2025年世界保健デーのテーマは「健康なはじまり、希望に満ちた未来」です。

1. 世界保健デーとは

 世界保健デーは、世界保健機関 (World Health Organization: WHO) が設立された 1948 年(昭和 23 年) 4 月 7 日を記念して設けられました。毎年この日には、WHOが国際保健医療に関するテーマを選び、世界各国でその年のテーマに沿った様々なイベントが開催されます。

2. 2025年世界保健デーについて

 2025年の世界保健デーのテーマは「健康なはじまり、希望に満ちた未来(Healthy beginning, hopeful future)」です。母子の健康、女性及びその家族のウェルビーイングを促進するための国際的なキャンペーンが開始されます。

3. すべての女性とこどもの健康を守るために

 現在、毎年約30万人の女性が妊娠や出産に関連して命を落とし、生後1か月以内に死亡する新生児は200万人を超え、さらに約200万人が死産となっています。これは約7秒ごとに1人が命を落としている計算となり、極めて深刻な状況です。国際社会では、2030年までにすべての女性とこどもの予防可能な死亡をゼロに近づけるため、さらなる努力が求められています。1
 国際連合やWHOでは、持続可能な開発目標(SDGs)の一環として、特に「目標3:すべての人に健康と福祉を」において、母子の健康増進を重要な課題と位置付けています。WHOは各国政府と連携し、安全な妊娠・出産のための医療ガイダンスの提供、周産期医療の能力強化のための技術支援、小児期の定期健診の拡充、各国における母子保健政策の策定の支援等を進めています。また一方で、避妊方法の普及を含めた家族計画の必要性のアドボカシー活動等のライフコースを通じた女性や家族全体のウェルビーイングのための取組も進められています。2

4. 日本の取組について

 我が国では、妊娠・出産に関する医療体制は諸外国と比較しても充実しており、妊産婦死亡率や、周産期死亡率、新生児死亡率は世界有数の低水準を維持しています。これは、母子健康手帳制度の普及、定期的な妊婦健診・乳幼児健診の実施等が大きく貢献しています。そして、すべての妊産婦とその家族が安心・安全で健やかな妊娠・出産、産後を送ることができるよう、令和5年に発足したこども家庭庁を司令塔とし、市町村が設置するこども家庭センターを拠点として、妊娠期から子育て期にわたる切れ目のない支援体制を確保しています。3
 また、我が国は国際協力の面でも積極的に母子保健に貢献しており、JICA(国際協力機構)を通じて発展途上地域における母子保健プログラムを支援し、継続的で質の高い母子保健サービス・ケア推進のため、サービス提供体制強化や保健人材の育成、保健医療施設整備、コミュニティ活動等を支援しています。4

5. 今後の展望 

 しかしながら、我が国においても、妊娠・出産・子育てを取り巻く環境は変化しており、産後うつの増加といった課題が浮き彫りになっています。これらに対応するため、産後ケア事業の体制拡充、妊産婦のメンタルヘルス支援の強化、子育て中の保護者の相談体制の整備等を図っています。3
 こども家庭庁と連携しつつ、引き続き国内の母子保健の向上に努め、すべての女性とこどもが安全・安心に妊娠・出産を迎えられ、また家族や地域社会が希望をもって子育てに取り組める社会の実現を目指していきます。


参考