2024年世界保健デーのテーマは「私の健康、私の権利」です。
1. 世界保健デーとは
世界保健デーは、世界保健機関(World Health Organization: WHO)が設立された1948年(昭和23年)4月7日を記念して設けられました。この日には、WHOが国際保健医療に関するテーマを選びます。また、世界各国でその年のテーマに沿った様々なイベントが開催されます。
2. 2024年世界保健デーについて
2024年のテーマは、「私の健康、私の権利(My Health, my right)」です。健康は世界中すべての人間が有する基本的人権の一部です。健康への権利は世界人権宣言に掲げられ、国際人権条約(※)にも含まれています。
- (※)「経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約(A規約)」、「市民的及び政治的権利に関する国際規約(B規約)」、「女子差別撤廃条約」、「児童権利条約」など
3. 健康は私たちの権利
健康への権利に含まれるものは、単に健康であるだけでなく、きれいな空気、良好な栄養、質の高い住宅、働きがいのある人間らしい労働と環境条件、そして社会からの自由だけでなく、医療サービス、教育、情報へのアクセスなどが挙げられています2。
私たちは生まれながらにしてこの健康への権利を平等に有していますが、現実にはジェンダー、人種、貧困、障害等の理由で差別、偏見、暴力、虐待が起きることがあります。また、紛争、気候変動や大気汚染は、世界中で何百万人もの人たちの健康への権利を脅かしています2。
健康への権利が剥奪されることがあってはならず、WHO含む国連機関は、人権に基づくアプローチ(human rights-based approach)を提唱しています。各国は、人権を遵守し、ジェンダー平等な社会への変革を意識した保健政策や取組を行う必要があります1。
4. 日本の取り組み
我が国は2で前述の国際人権条約を批准するとともに、日本国憲法第25条第1項において、『すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する』と規定しています。
我が国は国際連合の持続可能な開発目標のターゲットの一つであるユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(※)を1961年の国民皆保険制度の導入により既に達成しており、全世界での普及・推進をはかるための取組を進めています。また、医療保険だけではカバーし切れない様々な課題に対しても、国内法を整備するなど、健康への権利に対する取組を進めています。
- ※「全ての人が適切な予防、治療、リハビリ等の保健医療サービスを、支払い可能な費用で受けられる状態」のこと。
栄養の観点からは、健康への関心が薄い層も含めて誰もが自然に健康になれるよう、産学官等連携の下、健康的で持続可能な食環境づくりを進めており、生活習慣病の予防において特に重要となる食事因子である食塩の過剰摂取等の栄養課題の解決に取り組んでいます。
妊娠・出産においては、すべての妊産婦が安心・安全で健やかな妊娠・出産、産後を送ることができるよう、市町村が設置するこども家庭センターを拠点として、妊娠期から子育て期にわたる切れ目のない支援体制を確保しています。
5. 今後の展望
健康への権利は私たち全員が有するもので、その範囲は非常に多岐にわたります。厚生労働省としては、すべての人が差別や偏見なく、健康への権利を享受できるよう、国民の皆様の声をよく聞きながら、よりよい厚生労働行政を行っていきます。
- 参考
- WHOホームページ