第75回WHO総会結果(概要)

1 概要

  • 期間:2022(令和4)年5月22日(日)~5月28日(土)
  • 対面会議

  • 日本政府代表団:後藤茂之厚生労働大臣、日下英司国際保健福祉交渉官等

  • 本会議では、7日間にわたり、全72議題について協議。18の決議と18の決定を採択。
     
    ※WHO総会は、全加盟国代表で構成される最高意思決定機関。毎年5月に開催され、保健医療に関する重要な政策決定を行う。

2 政府代表発言

WHO総会では、後藤茂之厚生労働大臣がビデオメッセージにて政府代表演説を行い、

  • 健康をもたらす持続的な開発とユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の推進は平和と不可分であること
  • ロシアによるウクライナ侵略は国際秩序の根幹を揺るがす行為であり、保健医療環境の確保が困難な状況を強く懸念すること
  • 現在および将来の健康危機に対応するために、より強力で包括的な健康危機への備えと対応に取り組むこと
  • 多様化する健康課題への対応において、世界保健機関(WHO)が中心的な役割を果たすために、持続可能な財政が必要と認識していること等を述べた。
    (大臣発言: リンク
    ※ 発言内容(日本語リンク[PDF形式140KB] ・ 英語リンク)[PDF形式301KB]はコチラでご確認いただけます。(pdf)

3 主な成果

  1. (1)次期事務局長選挙:現職のテドロス事務局長の再任が決定した。任期は2022年8月16日~2027年8月15日。
  2. (2)ウクライナ関連決議:議題「健康危機におけるWHOの取り組み」の下、ウクライナ及びロシアがそれぞれ決議案を提出した。それぞれの決議案について投票が行われ、ロシアのウクライナ侵略と医療機関など保健関連施設への攻撃を非難するウクライナ提案の決議案は賛成多数で採択された一方、ロシアが提出した決議案は否決された。
  3. (3)台湾のWHO総会へのオブザーバー参加:日本から、国際的な感染症対応においては、台湾のような公衆衛生上の成果を上げた地域を参考にすることや、特定の地域が取り残されることによる地理的空白を生じさせないことが、世界全体の感染拡大防止の目的に適うとの考えを表明した。
  4. (4)健康危機:2024年5月のWHO総会でのIHR改正案の採択に向け、交渉を行う加盟国作業部会及びIHR再検討委員会の設立を決定した。また、IHR第59条の改正に関する決定案が全会一致で採択された。
    ※ IHR(International Health Regulations: 国際保健規則)は、世界保健機関(WHO)憲章第21 -22条に基づく国際規則であり、その目的は、国際交通に与える影響を最小限に抑えつつ、疾病の国際的伝播を最大限防止することである。
  5. (5)持続可能な財政: WHOの持続可能な財政の確保のため、WHOの財務規律やガバナンス改革の進捗と併せ、遅くとも2030-2031年予算までに、予算に占める分担金の割合を段階的に50%まで引き上げることを決定した。また、WHOの予算、プログラム、資金調達のガバナンス強化を検討する加盟国タスクグループの設置が決定した。
    ※ 2020-2021年予算に占める分担金の割合は16%である。