2021年 結核登録者情報調査年報集計結果について
当該年報は、2021年1月1日から同年12月31日の間に、新たに登録された結核患者及び潜在性結核感染症(LTBI)の者と、2021年12月31日現在に登録されているすべての登録者に関する状況について、感染症サーベイランスシステム(NESID)上の結核登録者情報システムに全国の保健所から入力されたものを、「結核登録者情報調査年報」として取りまとめたものである。
2021年 結核登録者情報調査年報集計結果[470KB]
2021年 結核登録者情報調査年報集計結果[470KB]
2021年 結核登録者情報調査年報集計結果について
~表ごとの解説~
諸外国と日本の結核罹患率について
2021年の結核罹患率(人口10万対)は9.2であり、前年と比べ0.9減少し、結核低まん延国となった。
日本の結核罹患率は、米国等他の先進国の水準に年々近づき、近隣アジア諸国に比べても低い水準にある。
2021年の結核罹患率の減少については、新型コロナウイルス感染症の影響も考えられる。
都道府県別の結核罹患率(人口10万対)は、長崎県、大阪府、徳島県、沖縄県、愛知県の順に高く、山梨県、秋田県、岩手県、長野県、福島県の順に低くなっている。長崎県の結核罹患率は13.5であり、最も低い山梨県の結核罹患率4.3の3.1倍となっている。
2021年の結核による死亡数は1,844人(概数)で、前年の1,909人に比べ65人減少している。死亡率(人口10万対)は1.5で前年と同じである
日本の結核罹患率は、米国等他の先進国の水準に年々近づき、近隣アジア諸国に比べても低い水準にある。
2021年の結核罹患率の減少については、新型コロナウイルス感染症の影響も考えられる。
結核罹患率の都道府県別おもな順位について
結核の死亡数及び死亡率の年次推移について
新登録結核患者数及び罹患率の年次推移について
(1)2021年に、新たに結核患者として登録された者の数(新登録結核患者数)は11,519人で、前年より1,220人(9.6%)減少している。減少率を見ると、2020年の前年からの減少率は11.9%(14,460人→12,739人)の大幅な減少であったが、2021年の減少幅は2.3ポイントの縮小となっている。(表4-1)
(2)2021年の結核罹患率(人口10万対)は9.2であり、前年の10.1より0.9(8.9%)減少し、結核低まん延の水準である罹患率10.0以下となっている。減少率を見ると、2020年の前年からの減少率は12.2%であることから、減少幅は3.3ポイントの縮小となっている。(表4-1、図1)
(3)喀痰塗抹陽性肺結核の患者数は4,127人で、前年より488人(10.6%)減少している。(表4-2)
(4)喀痰塗抹陽性肺結核の罹患率(人口10万対)は3.3であり、前年の3.7より0.4減少している。喀痰塗抹陽性肺結核の患者が全体に占める割合は35.8%で、前年から0.4ポイントの減少となっている。(表4-2)
(2)2021年の結核罹患率(人口10万対)は9.2であり、前年の10.1より0.9(8.9%)減少し、結核低まん延の水準である罹患率10.0以下となっている。減少率を見ると、2020年の前年からの減少率は12.2%であることから、減少幅は3.3ポイントの縮小となっている。(表4-1、図1)
(3)喀痰塗抹陽性肺結核の患者数は4,127人で、前年より488人(10.6%)減少している。(表4-2)
(4)喀痰塗抹陽性肺結核の罹患率(人口10万対)は3.3であり、前年の3.7より0.4減少している。喀痰塗抹陽性肺結核の患者が全体に占める割合は35.8%で、前年から0.4ポイントの減少となっている。(表4-2)
年次別・年齢階級別 新登録結核患者数および潜在性結核感染症新登録者数について
(1)年齢階級別の新登録結核患者数では、0~ 14歳の小児結核は29人で前年から23人(44.2%)の減少となっている。15歳~19歳で23人(30.7%)の増加がみられたが、その他は全ての年齢階級で新登録結核患者数は減少となっている。20歳以上で減少数が最も大きかったのは70~79歳で306人(12.0%)の減少となっている。各年齢階級別で全体に占める割合は、80~89歳が29.9%と最も大きくなっている。90歳以上でも割合は14.2%となっており増加傾向は続いている。(表5-1)
(2)年齢階級別の喀痰塗抹陽性肺結核新登録患者数では、0~14歳の小児結核の発生は2人となっている。15歳~19歳で15人(75.0%)の増加がみられたが、その他は全ての年齢階級で喀痰塗抹陽性肺結核新登録患者数は同数または減少となっている。20歳以上で減少数が最も大きかったのは70~79歳で131人(14.2%)の減少となっている。各年齢階級別で全体に占める割合は、80~89歳が33.3%と最も大きくなっている。(表5-2)
(3)2021年に登録された小児結核患者(14歳以下)のうち、重症結核例である粟粒結核及び結核性髄膜炎患者数は、粟粒結核の0歳の患者が1人となっている。(表5-3)
(4)2021年に新たに登録された潜在性結核感染症の者の数は5,140人で、前年より435人(7.8%)の減少となっている。年齢階級では、69歳以下の階級では登録数は減少、70歳以上では増加となっている。減少数は60~69歳の159人(17.5%)が最も多く、一方、増加は70~79歳の79人(7.6%)が最も多くなっている。(表5-4)
(5)新登録結核患者数に対する潜在性結核感染症新登録者数の比は、14歳以下の年齢階級では2.8以上となっており、潜在性結核感染症新登録患者数の方が多くなっている。特に0~4歳は20.1となっている。また、15歳以上の年齢階級は全て1を下回っており潜在性結核感染症新登録患者数の方が少なくなっている。(表5-5)
(6)職業別では、2021年の潜在性結核感染症新登録者数における医療職(看護師・保健師、医師、その他の医療職)の数の割合は19.6%で、前年の19.4%から0.2ポイントの増加となっている。一方、無職・その他の割合が、前年の38.5%から41.7%に増加となっている。乳幼児、保育園・幼稚園児、小中学生、高校生以上の生徒学生の割合は9.1%で、前年の12.2%から3.1ポイントの減少となっている。(表5-6)
(7)外国生まれ新登録結核患者数は、前年から98人減少して1,313人となっている。しかし、新登録結核患者における外国生まれの者の割合は11.4%と前年の11.1%から0.3ポイントの増加となっており、増加傾向が続いている。20~29歳では外国生まれ新登録結核患者数は前年に比べて57人の減少で675人となっているが、同年齢階級での新登録結核患者における外国生まれの者の割合は72.6%と前年から1.3ポイントの増加となっている。30~39歳では外国生まれ新登録結核患者数は54人減少して276人となり、外国生まれの者の割合も前年の48.1%から46.2%と1.9ポイント減少している。(表5-7)
(8)外国生まれ新登録結核患者のうち、入国5年以内の者は、前年の669人から101人減少し568人となっている。特に20~29歳の年齢階級では、前年から74人減少して384人となっている。(表5-8)
(9)日本生まれ新登録結核患者数は、前年の11,080人から1,271人減少して9,809人となっている。年齢階級別では80~89歳の患者数が最も多く3,274人で日本生まれ新登録結核患者の33.4%となっている。15歳~19歳で22人の増加がみられたが、その他は全ての年齢階級で患者数は減少となっている。減少数が最も大きかったのは70~79歳で337人の減少となっている。90歳以上も2020年に続いて減少となり、2021年は130人減少して1,566人となっている。(表5-9)
(2)年齢階級別の喀痰塗抹陽性肺結核新登録患者数では、0~14歳の小児結核の発生は2人となっている。15歳~19歳で15人(75.0%)の増加がみられたが、その他は全ての年齢階級で喀痰塗抹陽性肺結核新登録患者数は同数または減少となっている。20歳以上で減少数が最も大きかったのは70~79歳で131人(14.2%)の減少となっている。各年齢階級別で全体に占める割合は、80~89歳が33.3%と最も大きくなっている。(表5-2)
(3)2021年に登録された小児結核患者(14歳以下)のうち、重症結核例である粟粒結核及び結核性髄膜炎患者数は、粟粒結核の0歳の患者が1人となっている。(表5-3)
(4)2021年に新たに登録された潜在性結核感染症の者の数は5,140人で、前年より435人(7.8%)の減少となっている。年齢階級では、69歳以下の階級では登録数は減少、70歳以上では増加となっている。減少数は60~69歳の159人(17.5%)が最も多く、一方、増加は70~79歳の79人(7.6%)が最も多くなっている。(表5-4)
(5)新登録結核患者数に対する潜在性結核感染症新登録者数の比は、14歳以下の年齢階級では2.8以上となっており、潜在性結核感染症新登録患者数の方が多くなっている。特に0~4歳は20.1となっている。また、15歳以上の年齢階級は全て1を下回っており潜在性結核感染症新登録患者数の方が少なくなっている。(表5-5)
(6)職業別では、2021年の潜在性結核感染症新登録者数における医療職(看護師・保健師、医師、その他の医療職)の数の割合は19.6%で、前年の19.4%から0.2ポイントの増加となっている。一方、無職・その他の割合が、前年の38.5%から41.7%に増加となっている。乳幼児、保育園・幼稚園児、小中学生、高校生以上の生徒学生の割合は9.1%で、前年の12.2%から3.1ポイントの減少となっている。(表5-6)
(7)外国生まれ新登録結核患者数は、前年から98人減少して1,313人となっている。しかし、新登録結核患者における外国生まれの者の割合は11.4%と前年の11.1%から0.3ポイントの増加となっており、増加傾向が続いている。20~29歳では外国生まれ新登録結核患者数は前年に比べて57人の減少で675人となっているが、同年齢階級での新登録結核患者における外国生まれの者の割合は72.6%と前年から1.3ポイントの増加となっている。30~39歳では外国生まれ新登録結核患者数は54人減少して276人となり、外国生まれの者の割合も前年の48.1%から46.2%と1.9ポイント減少している。(表5-7)
(8)外国生まれ新登録結核患者のうち、入国5年以内の者は、前年の669人から101人減少し568人となっている。特に20~29歳の年齢階級では、前年から74人減少して384人となっている。(表5-8)
(9)日本生まれ新登録結核患者数は、前年の11,080人から1,271人減少して9,809人となっている。年齢階級別では80~89歳の患者数が最も多く3,274人で日本生まれ新登録結核患者の33.4%となっている。15歳~19歳で22人の増加がみられたが、その他は全ての年齢階級で患者数は減少となっている。減少数が最も大きかったのは70~79歳で337人の減少となっている。90歳以上も2020年に続いて減少となり、2021年は130人減少して1,566人となっている。(表5-9)
年次別・年齢階級別 結核罹患率について
(1)年齢階級別の結核罹患率は、70歳以上の高齢層で高くなっている。60~69歳の罹患率は7.0で全年齢の罹患率より低いが、70~79歳で13.7、80~89歳で36.5、90歳以上では64.6となっている。全体としては年齢階級別罹患率の年次推移は減少傾向となっている。(表6-1)
(2) 菌喀痰塗抹陽性肺結核の罹患率も、同様に、高齢層ほど高くなっている。70歳代までは10未満だが、80~89歳で14.6、90歳以上では27.7となっている。(表6-2)
(3)新登録結核患者のうち、日本生まれの患者の結核罹患率は、前年から1.0減少の8.0となっている。外国生まれ結核患者の影響が除かれた20~29歳の罹患率は2.1、30~39歳で2.3となっており、全体の罹患率からは低くなっている。(表6-3)
(1)都道府県別の新登録結核患者数は、47都道府県のうち7の県(宮城県、富山県、鳥取県、岡山県、福岡県、長崎県、大分県)で増加している。新登録結核患者数が最も多いのは東京都の1,429人で、次いで大阪府の1,171人となっている。(表7-1)
(2)都道府県別の結核罹患率は、47都道府県のうち7の県(宮城県、富山県、鳥取県、岡山県、福岡県、長崎県、大分県)で前年から増加している。一方、結核低まん延の水準である罹患率が10.0以下の都道府県の数は、35に達している。最も低い山梨県の罹患率は4.3となっている。(表7-2)
2021年末現在の結核登録者数は27,754人と、前年の31,551人より3,797人減少している。そのうち、活動性全結核の患者数は7,744人と、前年より896人減少している。また、2021年末の結核有病率は、前年の6.8から0.6減少し、6.2となっている。(表8)
(2) 菌喀痰塗抹陽性肺結核の罹患率も、同様に、高齢層ほど高くなっている。70歳代までは10未満だが、80~89歳で14.6、90歳以上では27.7となっている。(表6-2)
(3)新登録結核患者のうち、日本生まれの患者の結核罹患率は、前年から1.0減少の8.0となっている。外国生まれ結核患者の影響が除かれた20~29歳の罹患率は2.1、30~39歳で2.3となっており、全体の罹患率からは低くなっている。(表6-3)
新登録結核患者数及び結核罹患率 都道府県別・年次推移について
(2)都道府県別の結核罹患率は、47都道府県のうち7の県(宮城県、富山県、鳥取県、岡山県、福岡県、長崎県、大分県)で前年から増加している。一方、結核低まん延の水準である罹患率が10.0以下の都道府県の数は、35に達している。最も低い山梨県の罹患率は4.3となっている。(表7-2)
年末時結核登録者数及び有病率の年次推移について
新登録結核患者の疫学的特徴について
<再治療者>
<発見の遅れ>
(イ)診断が遅れた(受診から結核の診断までの期間が1か月以上)患者の割合は、前年から2.2ポイント増加して23.1%となっている。このうち30~59歳の有症状菌喀痰塗抹陽性肺結核患者に限定すると、診断が遅れた患者の割合は16.5%で、2002年以降で最も高い割合となっている。(表10-2)
(ウ)発見が遅れた(症状発現から結核の診断までの期間が3か月以上)患者の割合は、2.3ポイント増加して22.0%となっている。このうち30~59歳の有症状菌喀痰塗抹陽性肺結核患者に限定すると、発見が遅れた患者の割合は36.1%となっている。この発見の遅れ割合は、どちら2002年以降で最も高い割合となっている。(表10-3)
<薬剤耐性>
<糖尿病、HIV合併>
<医療従事者>
(イ)2021年の新登録結核患者のうち、医師の登録患者は27人で、前年より6人減少となっている。新登録結核患者中の割合は0.2%となっている。30歳から69歳の年齢階級別新登録結核患者中割合は0.4~0.8%となっている。(表13-2)
(ウ)2021年の新登録結核患者のうち、理学療法士、作業療法士、検査技師、放射線技師など、看護師・保健師・医師以外の者で医療機関に勤務する者の登録患者数は212人で昨年の223人から11人の減少となり、新登録結核患者のうちの割合は1.8%となっている。年齢階級別では、20~29歳が最も多く47人となっており、同年齢階級新登録結核患者の5.1%となっている。(表13-3)
<無職臨時日雇など>
<治療成績>
2020年の新登録再治療結核患者の2021年末での治療成績は、治療成功が69.7%、死亡16.7%、失敗0.4%、脱落・中断2.0%、転出1.8%、治療中9.4%、不明0.0%となっている。(表15-2)
2020年の潜在性結核感染症新登録者のうち治療を開始した者の2021年末での治療完了率は84.5%となっている。脱落・中断は6.9%となっているが、中高年齢階級では高く50~59歳では9.7%となっている。(表15-3)
2019年の新登録結核患者で多剤耐性結核患者の2021年末での治療成績は、対象49人のうち治療成功57.1%、死亡20.4%、失敗0.0%、脱落・中断4.1%、転出12.2%、治療中2.0%、不明4.1%となっている。(表15-4)