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2020年 結核登録者情報調査年報集計結果について

 

 当該年報は、2020年1月1日から同年12月31日の間に、新たに登録された結核患者及び潜在性結核感染症(LTBI)の者と、2020年12月31日現在に登録されているすべての登録者に関する状況について、感染症サーベイランスシステム(NESID)上の結核登録者情報システムに全国の保健所から入力されたものを、「結核登録者情報調査年報」として取りまとめたものである。


2020年 結核登録者情報調査年報集計結果

 

2020年 結核登録者情報調査年報集計結果について

~表ごとの解説~

諸外国と日本の結核罹患率について

2020年の結核罹患率(人口10万対)は10.1であり、前年と比べ1.4ポイント減少している。
日本の結核罹患率は近隣アジア諸国に比べ低い水準にあり、米国等他の先進国の水準に年々近づいている。
2020年の結核罹患率の減少については、新型コロナウイルスの影響による受診抑制等も要因の1つと考えられる。

 

結核罹患率の都道府県別おもな順位について

 都道府県別の結核罹患率(人口10万対)は、大阪府、徳島県、岐阜県、沖縄県、長崎県の順に高く、宮城県、山梨県、岩手県、鳥取県、山形県の順に低くなっている。
 大阪府の結核罹患率は15.8であり、同府の中でも大阪市の罹患率が最も高く、21.0となっている。(表2、表7-2)

 

結核の死亡数及び死亡率の年次推移について

 2020年の結核による死亡数は1,909人(概数)で、前年の2,087人に比べ178人減少している。死亡率(人口10万対)も1.7から1.5に減少している。
 

新登録結核患者数及び罹患率の年次推移について

 

(1) 2020年に、新たに結核患者として登録された者の数(新登録結核患者数)は12,739人で、前年より1,721人(11.9%)減少している。減少率を見ると、2018年から2019年にかけての減少率は7.2%(15,590人→14,460人)であることから、減少幅は4.7ポイントの大幅な拡大となっている。(表4-1)

(2)  2020年の罹患率(人口10万対)は10.1であり、前年の11.5より1.4(12.2%)減少している。減少率を見ると、2018年から2019年にかけての減少率は6.5%であることから、減少幅は5.7ポイントの大幅な拡大となっている。(表4-1、図1)

(3)  喀痰塗抹陽性肺結核の患者数は4,615人で、前年より616人(11.8%)減少している。(表4-2)

(4) 喀痰塗抹陽性肺結核の罹患率(人口10万対)は3.7であり、前年の4.1より0.4減少している。喀痰塗抹陽性肺結核の患者が全体に占める割合は36.2%で、前年と同じである。(表4-2)

 

年次別・年齢階級別 新登録結核患者数および潜在性結核感染症新登録者数について

 

(1)  年齢階級別の新登録結核患者数では、0~14歳の小児結核は52人で前年から14人(36.8%)の増加となっている。前年増加となった90歳以上では228人(11.6%)の減少となっている。15歳以上の年齢階級では全て減少となっている。特に、15歳~19歳で67人(47.2%)の減少、40~49歳で244人(24.8%)の減少と大きな減少となっている。各年齢階級別で全体に占める割合は、80~89歳が28.9%と最も多くなっている。90歳以上でも割合は13.7%となっており増加傾向は続いている。(表5-1)

(2) 年齢階級別の喀痰塗抹陽性肺結核新登録患者数は、0~14歳の小児結核での発生は3人となっている。15歳以上の年齢階級では全て減少となっている。特に、15~19歳で18人(47.4%)、40~49歳で82人(26.6%)が大きな減少となっている。各年齢階級別で全体に占める割合は、80~89歳が31.5%と最も大きくなっている。(表5-2)


(3)  2020年に登録された小児結核患者(15歳未満)のうち、重症結核例である粟粒結核及び結核性髄膜炎患者数は、粟粒結核と結核性髄膜炎を併発した0歳の患者が1人となっている。(表5-3)

(4)  2020年に新たに登録された潜在性結核感染症の者の数は5,575人で、前年より2,109人の大きな減少となっている。全ての年齢階級で登録数は減少となっているが、50~59歳の385人(33.6%)、40~49歳の384人(37.5%)、20~29歳の353人(40.7%)が特に大きな減少となっている。(表5-4)

(5) 新登録結核患者数に対する潜在性結核感染症新登録者数の比は、14歳以下の年齢階級では2.3以上となっており、潜在性結核感染症新登録患者数の方が多くなっている。特に0~4歳は13.5となっている。また、20歳以上の年齢階級は全て1を下回っており潜在性結核感染症新登録患者数の方が少なくなっている。(表5-5)

(6) 職業別では、2020年の潜在性結核感染症新登録者数における医療職(看護師・保健師、医師、その他の医療職)の数の割合は19.4%で、最近5年間で最も低い割合となっている。一方、無職・その他の割合が、前年の33.2%から38.5%に増加となっている。乳幼児、保育園・幼稚園児、小中学生、高校生以上の生徒学生の割合は12.0%から12.2%にわずかな増加となっている。(表5-6)

(7)  外国生まれ新登録結核患者数は、前年から130人減少して1,411人となっている。しかし、新登録結核患者における外国生まれの者の割合は11.1%と前年の10.7%から0.4ポイントの増加となっている。20~29歳では外国生まれ新登録結核患者数は前年に比べて119人の減少で732人となり、新登録結核患者における外国生まれの者の割合は71.3%と前年から1.8ポイントの減少となっているが、依然として高い割合となっている。 30~39歳では外国生まれ新登録結核患者数は47人増加して330人となり、外国生まれの者の割合も前年の36.9%から48.1%と大きく増加している。(表5-7)

(8)  外国生まれ新登録結核患者のうち、入国5年以内の者は、前年の836人から167人減少し669人となっている。特に20~29歳の年齢階級では、前年から130人減少して458人となっている。(表5-8)

(9) 日本生まれ新登録結核患者数は、前年の12,567人から1,487人減少して11,080人となっている。年齢階級別では80~89歳の患者数が最も多く3,578人で日本生まれ新登録結核患者の32.3%となっている。14歳以下の小児を除く年齢階級では、新登録結核患者数は全て減少となっている。減少数が最も大きかったのは80~89歳で351人の減少となっている。減少割合は15~19歳が27人の減少で43.5%と最も大きくなっている。90歳以上は184人減少して1,696人となっている。(表5-9)

 

新登録結核患者数及び結核罹患率 都道府県別・年次推移について

(1)  都道府県別の新登録結核患者数は、47都道府県のうち6の県(青森県、三重県、島根県、徳島県、愛媛県、沖縄県)で増加している。新登録結核患者数が最も多いのは東京都の1,589人で、次いで大阪府の1,400人となっている。(表6-1)

(2)  都道府県別の結核罹患率は、47都道府県のうち6の県(青森県、三重県、島根県、徳島県、愛媛県、沖縄県)で前年から増加している。一方、結核低まん延の水準である罹患率が10を下回った都道府県の数は、前年の22から増加して30となっている。最も低い宮城県の結核罹患率は5.9となっている。(表6-2)
 

年末時結核登録者数及び有病率の年次推移について

 2020年末現在の結核登録者数は31,551人と、前年の34,523人より2,972人減少している。そのうち、活動性全結核の患者数は8,640人と、前年より1,055人減少している。また、2020年末の結核有病率は、前年の7.7から0.9減少し、6.8となっている。(表7)
 

新登録結核患者の疫学的特徴について

<再治療者>
2020年新登録結核患者のうちの再治療者は、前年の667人から121人減少して546人となっている。このうち、前回治療年が2010年以降の者は338人と再治療者のうち61.9%となっている。(表8)


<発見の遅れ>
 (ア) 
2020年の新登録肺結核患者のうち有症状の者の中で、受診が遅れた(症状発現から受診までの期間が2か月以上)患者の割合は、前年から1.3ポイント減少して19.1%となっている。このうち30~59歳の有症状菌喀痰塗抹陽性肺結核患者に限定すると、受診が遅れた患者の割合は27.5%で6.9ポイントの大きな減少となっている。(表9-1)

 (イ)  診断が遅れた(受診から結核の診断までの期間が1か月以上)患者の割合は、20.9%となっている。(表9-2)

 (ウ)  発見が遅れた(症状発現から結核の診断までの期間が3か月以上)患者の割合は、19.7%となっている。(表9-3)


<薬剤耐性>
 
2020年の新登録肺結核培養陽性結核患者6,645人のうち、薬剤感受性検査結果が判明した者(INH、RFP両剤感受性検査結果判明者)は5,209人で、割合は78.4%となり、前年の82.1%から3.7ポイント減少となっている。このうち、多剤耐性肺結核患者数(INH,RFP両剤耐性の者)は46人で、前年より2人増加となっている。新登録肺結核培養陽性結核患者の多剤耐性結核割合は0.7%で前年の0.5%から0.2ポイント増加となっている。また、薬剤感受性検査結果が判明した者のうち、主要4剤(HRSE)全ての薬剤に対し感受性のある患者の割合は88.0%となっている。(表10)


<糖尿病、HIV合併>
 
2020年の新登録結核患者のうち、糖尿病合併患者は1,883人で、新登録結核患者の14.8%となっている。また、HIV検査を実施した患者は877人で、新登録結核患者の6.8%にあたり、このうちHIV陽性は31人で、新登録結核患者の0.2%となっている。(表11)


<医療従事者>
 (ア) 
2020年の新登録結核患者のうち、看護師・保健師からの登録患者は123人で、前年の152人から29人の減少となっている。新登録結核患者のうちの割合は1.0%と前年から0.1ポイント減少となっている。年齢階級別では、30~39歳が最も多く前年の27人から9人増加して36人となっており、同年齢階級新登録結核患者の5.2%となっている。(表12-1)

 (イ) 2020年の新登録結核患者のうち、医師の登録患者は33人で、前年より6人減少となっている。新登録結核患者中の割合は0.3%となっている。30歳から69歳の年齢階級別新登録結核患者中割合は0.4~1.1%となっている。(表12-2)


 (ウ) 2020年の新登録結核患者のうち、理学療法士、作業療法士、検査技師、放射線技師など、看護師・保健師・医師以外の者で医療機関に勤務する者の登録患者数は223人で昨年の221人から2人の増加となり、新登録結核患者のうちの割合は1.8%となっている。30歳から69歳での年齢階級別では、30~39歳における割合が最も大きく、同年齢階級新登録結核患者の7.4%となっている。(表12-3)


<無職臨時日雇など>
  2020年の新登録結核患者のうち、登録時の年齢が20~59歳であり、登録時の職業が無職臨時日雇等であった者は673人で、前年の762人から89人減少している。新登録結核患者のうちの割合は19.9%で前年の19.2%から0.7ポイントの増加となっている。年齢階級別での患者数は、高齢ほど多くなっており、55~59歳は136人で、同年齢階級の29.6%となっている。
また、男性の患者に占める無職臨時日雇等の者の割合は55~59歳が最も割合が大きく28.4%となっているが、前年から3.2ポイント減少となっている。(表13-1、13-2)


<治療成績>
 (ア) 2019年の新登録結核患者の2020年末での治療成績は、治療成功が66.3%、死亡23.1%、失敗0.1%、脱落・中断1.4%、転出2.6%、治療中6.4%、不明0.2%となっている。60歳以上から年齢階級の上昇にともなって死亡割合が増加し、60~69歳で12.6%、70~79歳で19.0%、80~89歳で35.9%、90歳以上で54.5%となっている。死亡の影響が少ない59歳以下の年齢階級の治療成功割合は75.4%~92.6%となっている。脱落・中断は40~49歳で最も高く2.4%となっている。(表14-1)

 (イ) 2019年の新登録再治療結核患者の2020年末での治療成績は、治療成功が69.1%、死亡18.3%、失敗0.1%、脱落・中断1.3%、転出1.3%、治療中9.4%、不明0.3%となっている。(表14-2)

 (ウ) 2019年の潜在性結核感染症新登録者のうち治療を開始した者の2020年末での治療完了率は84.2%となっている。脱落・中断は7.5%となっているが、中高年齢階級では高く50~59歳では9.6%となっている。(表14-3)

 (エ) 2018年の新登録結核患者で多剤耐性結核患者の2020年末での治療成績は、対象66人のうち治療成功66.7%、死亡7.6%、失敗0.0%、脱落・中断3.0%、転出10.6%、治療中7.6%、不明4.5%となっている。(表14-4)

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