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2019年 結核登録者情報調査年報集計結果について

 

 当該年報は、2019年1月1日から同年12月31日の間に、新たに登録された結核患者及び潜在性結核感染症(LTBI)の者と、2019年12月31日現在に登録されているすべての登録者に関する状況について、感染症サーベイランスシステム(NESID)上の結核登録者情報システムに全国の保健所から入力されたものを、「結核登録者情報調査年報」として取りまとめたものである。


2019年 結核登録者情報調査年報集計結果

 

2019年 結核登録者情報調査年報集計結果について

~表ごとの解説~

諸外国と日本の結核罹患率について

2019年の結核罹患率(人口10万対)は11.5であり、前年と比べ0.8ポイント減少している。
日本の結核罹患率は近隣アジア諸国に比べ低い水準にあり、欧米先進国の水準に年々近づいている。

 

結核罹患率の都道府県別おもな順位について

 都道府県別の結核罹患率(人口10万対)は、大阪府、岐阜県、兵庫県、奈良県、京都府の順に高く、岩手県、秋田県、福島県、宮城県、北海道の順に低くなっている。
 大阪府の結核罹患率は18.4であり、同府の中でも大阪市の罹患率が最も高く、25.6となっている。(表2、表7-2)

 

結核の死亡数及び死亡率の年次推移について

 2019年の結核による死亡数は2,088人(概数)で、前年の2,204人に比べ116人減少している。死亡率(人口10万対)も1.8から1.7に減少し、死因順位も31位と前年と比べて低下している。

 

新登録結核患者数及び罹患率の年次推移について

 

(1) 2019年に、新たに結核患者として登録された者の数(新登録結核患者数)は14,460人で、前年より1,130人(7.2%)減少している。減少率を見ると、2017年から2018年にかけての減少率は7.1%(16,789人→15,590人)であることから、減少幅は0.1ポイント大きくなっている。(表4-1)

(2)  2019年の罹患率(人口10万対)は11.5であり、前年の12.3より0.8(6.5%)減少している。減少率を見ると、2017年から2018年にかけての減少率は7.5%であることから、減少幅は1.0ポイント小さくなっている。(表4-1、図1)

(3)  喀痰塗抹陽性肺結核の患者数は5,231人で、前年より550人(9.5%)減少している。(表4-2)

(4)  喀痰塗抹陽性肺結核の罹患率(人口10万対)は4.1であり、前年の4.6より0.5減少している。喀痰塗抹陽性肺結核の患者が全体に占める割合は36.2%で、前年と比べて0.9ポイント減少している。(表4-2)

 

年次別・年齢階級別 新登録結核患者数および潜在性結核感染症新登録者数について

 

(1)  年齢階級別の新登録結核患者数では、前年減少となった90歳以上では再び161人(8.9%)の増加となっている。0~14歳の小児結核は38人で前年から13人(25.5%)の減少(ただし、5~9歳で3人の増加)となっている。その他の年齢階級では、30~39歳で118人(13.3%)、60~69歳で232人(13.6%)の減少となっている。各年齢階級別で全体に占める割合は、80~89歳が28.1%と最も多くなっている。90歳以上でも割合は13.6%となっており増加傾向は続いている。(表5-1)

(2) 年齢階級別の喀痰塗抹陽性肺結核新登録患者数は、0~14歳の小児結核での発生は0となっている。15歳以上の年齢階級では、90歳以上で78人(9.8%)の増加となっている。その他の年齢階級での増加はなく、30~39歳で60人(23.2%)、60~69歳で168人(24.2%)が大きな減少となっている。各年齢階級別で全体に占める割合は、80~89歳が30.5%と最も大きくなっている。(表5-2)


(3)  2019年に登録された小児結核患者(15歳未満)のうち、重症結核例である粟粒結核及び結核性髄膜炎患者数は、粟粒結核が3人で、患者の年齢は0歳が2人、12歳が1人となっている。結核性髄膜炎患者の発生は0となっている。(表5-3)

(4)  2019年に新たに登録された潜在性結核感染症の者の数は7,684人で、前年より270人の増加となっている。年齢階級別では、39歳以下と60~69歳で減少となっている。70歳以上の高齢層で増加が続いており、70~79歳では164人(14.5%)、80歳以上では168人(26.3%)の増加となっている。(表5-4)

(5) 新登録結核患者数に対する潜在性結核感染症新登録者数の比は、14歳以下の年齢階級では4.8以上となっており、潜在性結核感染症新登録患者数の方が多くなっている。特に0~4歳は22.8となっている。また、40~49歳と50~59歳で潜在性結核感染症新登録患者数の方が多くなっている。(表5-5)

(6) 職業別では、2019年の潜在性結核感染症新登録者数における医療職(看護師・保健師、医師、その他の医療職)の数の割合は21.8%となっている。一方、無職・その他の割合が、前年の30.6%から33.2%に増加となっている。乳幼児、保育園・幼稚園児、小中学生、高校生以上の生徒学生の割合は14.8%から12.0%に減少となっている。(表5-6)

(7)  外国生まれ新登録結核患者数は、前年から126人減少して1,541人となっている。15歳以上で新登録患者数が最も減少したのは30~39歳であり、前年から61人減少し、283人となっている。新登録結核患者における外国生まれの者の割合は前年と同じ10.7%となっている。20~29歳では外国生まれ新登録結核患者数は前年に比べて45人の減少で851人となっているが、新登録結核患者における外国生まれの者の割合は73.1%と前年から2.7ポイントの増加となっている。 (表5-7)

(8)  外国生まれ新登録結核患者のうち、入国5年以内の者は、前年の882人から46人減少し836人となっている。特に20~29歳の年齢階級では、前年から29人減少し、588人となっている。(表5-8)

(9) 日本生まれ新登録結核患者数は、前年の13,570人から1,003人減少して12,567人となっている。年齢階級別では80~89歳の患者数が最も多く日本生まれ新登録結核患者の31.3%となっている。90歳以上を除く年齢階級では、新登録結核患者数は減少となっており、15歳以上での減少割合は20~29歳が60人(16.3%)で最も大きくなっている。90歳以上は147人増加して1,880となっている。(表5-9)

 

年次別・年齢階級別 結核罹患率について

(1)  年齢階級別の結核罹患率は、20~29歳で9.2と高くなっている。60~69歳の罹患率は9.1で全年齢の罹患率より低いが、70~79歳で17.6、80~89歳で45.4、90歳以上では85.2となっている。全体としては年齢階級別罹患率の年次推移は減少傾向にあるが、90歳以上の罹患率は85.2と前年から2.4の増加となっている。(表6-1)

(2)  菌喀痰塗抹陽性肺結核の罹患率も、同様に、高齢層ほど高くなっている。70歳代までは10未満だが、80~89歳で17.8、90歳以上では37.7となっている。(表6-2)

(3) 新登録結核患者のうち、日本生まれの患者の結核罹患率は、前年から0.7ポイント減少の10.2となっている。外国生まれ結核患者の影響が除かれた20~29歳の罹患率は2.6、30~39歳で3.4となっており、全体の罹患率からは低くなっている。(表6-3)

 

新登録結核患者数及び結核罹患率 都道府県別・年次推移について

(1)  都道府県別の登録結核患者数が最も多いのは東京都の1,810人で、次いで大阪府の1,619人となっている。(表7-1)

(2)  都道府県別の結核罹患率で、結核低まん延の水準である罹患率10を下回った都道府県の数は、前年の17から増加して22となっている。最も低い岩手県の結核罹患率は6.8となっている。(表7-2)
 

年末時結核登録者数及び有病率の年次推移について

 2019年末現在の結核登録者数は34,523人と、前年の37,134人より2,611人減少している。そのうち、活動性全結核の患者数は9,695人と、前年より753人減少している。また、2019年末の結核有病率は、前年の8.3から0.6減少し、7.7となっている。(表8)
 

新登録結核患者の疫学的特徴について

<再治療者>
2019年新登録結核患者のうちの再治療者は、667人となっている。このうち、前回治療年が2000年以降の者は438人で、さらに2010年以降の者が371人と再治療者のうち55.6%となっている。(表9)


<発見の遅れ>
 (ア) 
2019年の新登録肺結核患者のうち有症状の者の中で、受診が遅れた(症状発現から受診までの期間が2か月以上)患者の割合は、20.4%となり、前年から0.2ポイントの減少となったが、2002年以降では依然として高い割合となっている。このうち30~59歳の有症状菌喀痰塗抹陽性肺結核患者に限定すると、受診が遅れた患者の割合は34.4%となっている。(表10-1)

 (イ)  診断が遅れた(受診から結核の診断までの期間が1か月以上)患者の割合は、21.9%となっている。(表10-2)

 (ウ)  発見が遅れた(症状発現から結核の診断までの期間が3か月以上)患者の割合は、21.7%となっている。(表10-3)


<薬剤耐性>
 
2019年の新登録肺結核培養陽性結核患者8,110人のうち、薬剤感受性検査結果が判明した者(INH、RFP両剤感受性検査結果判明者)は6,658人で、割合は82.1%となり、前年の84.0%から1.9ポイント減少となっている。このうち、多剤耐性肺結核患者数(INH,RFP両剤耐性の者)は44人で、前年より11人減少となっている。新登録肺結核培養陽性結核患者の多剤耐性結核割合は0.5%で前年の0.6%から0.1ポイント減少となっている。また、薬剤感受性検査結果が判明した者のうち、主要4剤(HRSE)全ての薬剤に対し感受性のある患者の割合は88.6%となっている。(表11)


<糖尿病、HIV合併>
 
2019年の新登録結核患者のうち、糖尿病合併患者は2,105人で、新登録結核患者の14.6%となっている。また、HIV検査を実施した患者は1,004人で、新登録結核患者の6.9%にあたり、このうちHIV陽性は29人で、新登録結核患者の0.2%となっている。(表12)


<医療従事者>
 (ア) 
2019年の新登録結核患者のうち、看護師・保健師からの登録患者は152人で、前年の168人から16人の減少となっている。新登録結核患者のうちの割合は1.1%と前年と同割合となっている。年齢階級別では、40~49歳が最も多いが前年の58人から13人減少して45人、同年齢階級新登録結核患者の4.6%となっている。(表13-1)

 (イ) 2019年の新登録結核患者のうち、医師の登録患者は39人で、前年より5人増加となっている。新登録結核患者中の割合は0.3%となっている。30歳から69歳の年齢階級別新登録結核患者中割合は0.5~0.7%となっている。(表13-2)


 (ウ) 2019年の新登録結核患者のうち、理学療法士、作業療法士、検査技師、放射線技師など、看護師・保健師・医師以外の者で医療機関に勤務する者の登録患者数は221人で昨年の225人から4人の減少となり、新登録結核患者のうちの割合は1.5%となっている。30歳から69歳での年齢階級別では、40~49歳における割合が最も大きく、同年齢階級新登録結核患者の6.3%となっている。(表13-3)


<無職臨時日雇など>
  2019年の新登録結核患者のうち、登録時の年齢が20~59歳であり、登録時の職業が無職臨時日雇等であった者は762人で、前年の869人から107人減少している。新登録結核患者のうちの割合も19.2%で前年の20.0%から0.8ポイントの減少となっている。年齢階級別での患者数は、高齢ほど多くなっており、55~59歳では、同年齢階級の32.9%とおよそ3人に1人となっている。
  また、男性の患者に占める無職臨時日雇等の者の割合は55~59歳が最も割合が大きく31.6%となっているが、前年から2.5ポイント減少となっている。(表14-1、14-2)


<治療成績>
 (ア) 2018年の新登録結核患者の2019年末での治療成績は、治療成功が65.6%、死亡22.4%、失敗0.1%、脱落・中断1.6%、転出2.4%、治療中7.5%、不明0.3%となっている。60歳以上から年齢階級の上昇にともなって死亡割合が増加し、60~69歳で11.9%、70~79歳で20.2%、80~89歳で35.7%、90歳以上で53.9%となっている。死亡の影響が少ない59歳以下の年齢階級の治療成功割合は75.1%~87.1%となっている。脱落・中断は50~59歳で最も高く2.3%となっている。(表15-1)

 (イ) 2018年の新登録再治療結核患者の2019年末での治療成績は、治療成功が64.6%、死亡18.9%、失敗0.1%、脱落・中断2.6%、転出2.4%、治療中10.2%、不明1.1%となっており、死亡の割合は全体よりも低くなっているものの脱落・中断が多くなっている。(表15-2)

 (ウ) 2018年の潜在性結核感染症新登録者のうち治療を開始した者の2019年末での治療完了率は83.9%となっている。脱落・中断は7.3%となっているが、中高年齢階級では高く60~69歳では9.3%となっている。(表15-3)

 (エ) 2017年の新登録結核患者で多剤耐性結核患者の2019年末での治療成績は、対象63人のうち治療成功52.4%、死亡14.3%、失敗0.0%、脱落・中断1.6%、転出23.8%、治療中7.9%、不明0.0%となっている。(表15-4)
 

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