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年金在職老齢年金制度の見直しについて
令和7年5月16日、「社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律案」を第217回通常国会に提出し、衆議院で修正のうえ、6月13日に成立しました。
本ページでは、在職老齢年金制度の見直しの概要について説明します。
1.在職老齢年金制度の概要
在職老齢年金制度は、年金を受給しながら働く高齢者について、一定額以上の報酬のある方は年金制度を支える側に回っていただくという考え方に基づき、年金の支給を調整する仕組みです。
現在の制度では、賃金と厚生年金の合計が月50万円(2024年度の場合)を超えると、超えた分の半額が支給停止となります。納めた保険料に応じた給付を受けられる社会保険では、例外的な仕組みと言えます。
2.見直しの趣旨
平均寿命・健康寿命が延びる中で、働き続けることを希望する高齢者が増えており、また人材確保・技能継承等の観点から、高齢者の活躍を求める世の中のニーズも高まっています。
例えば、「何歳まで仕事をしたいか」意向を調査したところ、65~69歳の方のうち、約6割が66歳以降まで働き続けたいと回答しています。
一方で、「厚生年金を受け取る年齢になったとき、どのように働きたいと思うか」調査したところ、65~69歳の方のうち、3割以上が「年金額が減らないよう時間を調整し会社等で働く」と回答しています。
一部の業界では、高齢者が働く時間を調整する動きがみられるという指摘もあります。
3.見直しの内容
このため、
・高齢者の活躍を後押しする
・働きたい人がより働きやすい仕組みとする
観点から、厚生年金が支給停止となる基準額を、月50万円→62万円(2024年度の場合)へ引き上げることを予定しています。
4.見直しによる年金額の変化の例
賃金(ボーナス含む年収の1/12)45万円、厚生年金10万円の方の場合
賃金45万円+厚生年金10万円 = 55万円
(現行)支給停止のラインが50万円のため、 55万円ー50万円 = 5万円
超過分5万円の半額が支給停止となるため、 5万円÷2 = 2万5千円 が支給停止
(見直し後)支給停止ラインが62万円となるため、従来停止されていた2万5千円も支給されます
※賃金が62万円に達するまで在職老齢年金制度による支給停止はありません。
5.よくあるご質問ー今回の見直しの目的はなんですか?
Q.今回の見直しの目的はなんですか?将来世代の給付水準が下がるのではないですか?
A.人手不足が深刻となる中、高齢者の活躍の重要性が高まっています。
在職老齢年金制度が高齢者の労働意欲を削ぎ、さらなる労働参加を妨げている例もあることから、高齢者の活躍を後押しし、できるだけ労働を抑制しない、働きたい人がより働きやすい仕組みとする観点から、在職老齢年金制度を見直すこととしました。
在職老齢年金制度の支給停止の基準額を引き上げる場合は将来世代の給付水準が低下するため、現行制度を維持すべきというご意見があると承知しています。
しかし、保険料負担に応じた本来の年金額を受給しやすくするものであり、また、この見直しを含め、今回の制度改正全体で見れば、将来の給付水準が上昇します。