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年金社会保険の加入対象の拡大について
令和7年5月16日、「社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律案」を第217回通常国会に提出し、衆議院で修正のうえ、6月13日に成立しました。
本ページでは、社会保険(厚生年金・健康保険)の加入対象の拡大の概要について説明します。
1.そもそも現行の社会保険の加入対象は
現行の社会保険制度における適用事業所とは、下図のA・Bに該当する事業所及びCのうち任意包括適用の申請をした事業所です。
社会保険に必ず加入することとなるのは、適用事業所に使用される、正社員及び以下の4つの要件を全て満たす短時間労働者です。
(ほかに、要件を満たせば個人で任意で加入することもできます。)
今回の加入拡大のポイントは、以下の3つです。
①短時間労働者の企業規模要件を縮小・撤廃
②短時間労働者の賃金要件を撤廃
③個人事業所の適用対象を拡大
それぞれについて、詳しく説明します。
2ー①.今回の加入拡大の対象となる方ー短時間労働者の企業規模要件を縮小・撤廃
今回の改正により、企業規模要件を縮小・撤廃し、②の賃金要件の撤廃もあわせて、短時間労働者が週20時間以上働けば、働く企業の規模にかかわらず、社会保険に加入するようになります。
改正の時期は、10年かけて段階的に縮小・撤廃することとしており、勤め先の規模によって変わります。
2-②.今回の加入拡大の対象となる方ー短時間労働者の賃金要件を撤廃
いわゆる「年収106万円の壁」として意識されていた、月額8.8万円以上の要件を撤廃します。これにより、年収106万円の壁を意識せず、自分のライフスタイルに合わせて働き方を選びやすくなります。
撤廃の時期は、法律の公布から3年以内で、全国の最低賃金が1,016円以上となることを見極めて判断します(最低賃金1,016円以上の地域で週20時間以上働くと、年額換算で約106万円となります。)。
2-③.今回の加入拡大の対象となる方ー個人事業所の適用対象を拡大
現在、個人事業所のうち、常時5人以上の者を使用する法定17業種(※)の事業所は、社会保険に必ず加入することとされています。
今回の改正では、法定17業種に限らず、常時5人以上の者を使用する全業種の事業所を適用対象とするよう拡大します。
ただし、2029年10月の施行時点で既に存在している事業所は当分の間、対象外です。
※①物の製造、②土木・建設、③鉱物採掘、④電気、⑤運送、⑥貨物積卸、⑦焼却・清掃、⑧物の販売、⑨金融・保険、⑩保管・賃貸、⑪媒介周旋、⑫集金、⑬教育・研究、⑭医療、⑮通信・報道、⑯社会福祉、⑰弁護士・税理士・社会保険労務士等の法律・会計事務を取り扱う士業
3.社会保険加入のメリット
社会保険(厚生年金・健康保険)に加入すると、以下のようなメリットがあります。
厚生年金に加入すると、「基礎年金」に加えて「厚生年金」が受け取れます。
健康保険に加入すると、病気やけが、出産のため、会社を休んだ場合に収入が保障されます。
年金額及び傷病手当金の額の例は以下のとおりです。
さらに詳しく社会保険加入のメリットや手取り・年金額の変化等をお知りになりたい場合は「社会保険適用拡大特設サイト」をご覧ください。
4.社会保険の加入拡大の対象となる短時間労働者の、就業調整を減らすための支援策について
社会保険の加入拡大の対象となる短時間労働者を支援するため、特例的・時限的に保険料負担を軽減する保険料調整の措置を実施します。
○対象者:従業員数50人以下の企業などで働き、企業規模要件の見直しなどにより新たに社会保険の加入対象となる短時間労働者であって、標準報酬月額が12.6万円以下であるもの
○期間:3年間
○支援策の内容:基本的に、社会保険料は労使折半(事業主と被保険者が半分ずつ負担)ですが、この措置の利用を希望する事業主は、事業主の負担割合を増やし、被保険者の負担を軽減できます。
その際、事業主が追加負担した分については、その全額を制度全体で支援します。
5.よくあるご質問ー配偶者の扶養(第3号被保険者)のままで働けなくなるのですか?
Q. パート・アルバイトで週20時間以上働くと、配偶者の扶養(第3号被保険者)から外れることになりますか?
A. 企業規模要件を段階的に撤廃するとともに、賃金要件も最低賃金の動向を踏まえて撤廃することとしております。これにより、配偶者に扶養されている方がパート・アルバイトなどで働く場合、雇用契約などにおける週の所定労働時間が20時間以上であれば、社会保険(厚生年金・健康保険)に加入することになります。
その場合、保険料が発生しますが、将来受け取れる年金について、基礎年金に加えて厚生年金が終身で支給される上、健康保険においても、病気やけが、出産で会社を休んだ場合の給付が充実するといったメリットがあります。
また、週の所定労働時間が20時間未満であれば、原則社会保険の加入対象にはならず、残業等により一時的に労働時間が週20時間以上になったとしても社会保険に加入はしませんが、週20時間以上で働く状況が2か月を超えて続くようであれば、加入対象となることがあります。
なお、年収130万円以上となると、20時間未満で働く場合でも、配偶者の扶養(第3号被保険者)から外れ国民年金と国民健康保険の保険料が発生します(収入が一時的に上がった場合は、事業主の証明により引き続き扶養が認められる特例があります。)。