年金年金改革法(平成28年法律第114号)が成立しました

平成28年12月14日、第192回臨時国会において、「公的年金制度の持続可能性の向上を図るための国民年金法等の一部を改正する法律」(平成28年法律第114号)が成立しました(年金改革法)。

この法律は、少子高齢化が進む中で、公的年金制度のメリットをより多くの方が享受できるようにするとともに、制度の持続可能性を高め、将来世代の年金水準の確保を図ることによって、将来的にも安心な年金制度を構築するものです。

年金改革法の概要

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年金改革について(首相官邸ホームページ)

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よくあるご質問にお答えします

(1)改正の意義

Q.今回の改正は何のためにするのですか?
A.今回の年金制度の改正は、現在の高齢者に配慮しつつ、将来年金を受け取る若い世代の年金をしっかりと確保するための改正です。年金は世代間の支え合いの仕組みであり、若い世代の年金をしっかり守ることで、年金制度への信頼を高め、若い世代の人々に安心して年金制度を支えていただけると考えています。
Q.年金制度が支え合いの仕組みとはどういうことですか?年金は自分で払ってきた保険料が積み立てられて、それが返ってくるのではないのですか?
A.公的年金制度は、いま働いている世代(現役世代)が支払った保険料をその時々の高齢者などに仕送りするように年金給付に充てる「世代間の支え合い」という考え方(これを賦課方式といいます)を基本として、運営されています (保険料収入以外にも、年金積立金や税金が年金給付に充てられています)。
Q.少子高齢化が進行すると、若い世代は年金をほとんど受け取れないのでしょうか?
A.年金制度は、5年に一度、健康診断のような形で行う「公的年金の財政検証」によって100年先までの見通しを検証しており、平成26年の財政検証では、若い世代が将来受け取る年金は、将来の時点で働いている人々の賃金の50%を上回る見込みです。年金制度が破綻している、若い世代は年金をもらえない、といったことは全くありません。
Q.そもそも、なぜ公的年金は必要なんですか?個人で備えればよいのではないですか?
A.私たちの人生には、自分や家族の加齢、障害、死亡など、さまざまな要因で、経済的に自立した生活が困難になるリスクがあります。こうした生活上のリスクは、予測することができないため、個人だけで備えるには限界があります。そこで、これらに備えるための制度が、公的年金です。公的年金は、あらかじめ保険料を納めることで、必要なときに給付を受けることができる保険です。
もし、公的年金がなかったら、私たちは、自分自身の老後に自分だけで備える必要があります。しかし、自分が何歳まで生きられるのか、長い人生の間に、経済の状況や社会の在り方がどう変化していくのかは予測できません。
個人や家族だけで対応しようとしても、必要な額の貯蓄ができなかったり、貯蓄のために必要以上に生活を切り詰めたり、家族や子どもに頼ることができなくなったりすることも起こるでしょう。これらに対しては、社会全体で対応した方が確実で効率的です。世代を超えて社会全体で支え合うことで、その時々の経済や社会の状況に応じた給付を実現することができます。

(2)短時間労働者への被用者保険の適用拡大の促進

Q.今回の改正で何が変わるのですか?
A.今回の年金改革法は、中小企業等で働く約50万人の短時間労働者に被用者保険(厚生年金・健康保険)への加入の途を開くものです。具体的には、現在、従業員500人以下の企業では、一般的に週30時間以上働く方が被用者保険の対象となっていますが、今回の見直しによって労使の合意に基づき、週20時間以上働く方にも対象が広がり、より多くの方が被用者保険に加入できるようになります。(平成29年4月~)
※平成28年10月から、従業員501人以上の企業等で働く短時間労働者への適用拡大を開始しています。
Q.現在パートで働いている主婦ですが、被用者保険が適用されるメリットは何ですか?
A.被用者保険に加入すると、将来基礎年金に上乗せする形で報酬比例の年金(厚生年金)が終身でもらえます。障害がある状態になった場合には、障害基礎年金に加えて障害厚生年金が支給されます。また、万一お亡くなりになった場合には、ご遺族の方に遺族厚生年金が支給されます。さらに、医療保険(健康保険)の給付も充実し、ケガや出産によって仕事を休まなければならない場合に賃金の3分の2程度の給付を受け取ることができます(傷病手当金、出産手当金)
Q.現在、年収130万円を超えないよう、就業時間を抑えて働いています。年収130万円の基準が年収106万円(月収8.8万円)になるのでしょうか。
A.被用者保険の適用拡大は、要件を満たした方が国民年金・国民健康保険ではなく、厚生年金保険・健康保険に加入するというものです。年収130万円の被扶養認定基準は、自身で保険料を支払うか支払わないかの基準で、これに変更はありません。また、年収130万円未満であっても加入対象にあてはまる場合には、被扶養者とはならずに、自身で厚生年金保険・健康保険に加入することになります。
なお、適用拡大では、月収が8.8万円以上であることが要件の1つですが、この月収には、残業代や一時金などは含まれません。したがって、年末の繁忙期などに残業代によって年収が106万円を超えたとしても、それによって被用者保険が適用になるわけではありません。
被用者保険の適用拡大の詳しい説明についてもご覧ください。

(3)国民年金の第1号被保険者の産前産後期間の保険料の免除

Q.今回の改正で何が変わるのですか?
A.国民年金第1号被保険者の方は、産前6週間、産後8週間に相当する4ヶ月間の保険料が免除され、その期間は保険料を支払っていたものとみなして、満額の基礎年金が保障されます。(対象者は約20万人の見込み)
また、この財源については、広く国民年金の被保険者全体で分かち合っていただくこととしており、国民年金の保険料を月額100円程度引き上げることとなります。(平成31年4月~)
なお、厚生年金の被保険者(第2号被保険者)の方は、産休中の保険料免除措置(給付も保障)がすでに導入されています。

(4)年金額改定ルールの見直し (マクロ経済スライド)

Q.マクロ経済スライドとは何ですか?
A.マクロ経済スライドは、少子化が進み人口が減少する中で、現役世代の負担が過重なものとならないよう、保険料の上限を固定し、その限られた財源の範囲内で年金の給付水準を徐々に調整する仕組みとして導入されたものです。これは、現在年金を受給されている世代と、将来年金を受給する世代(現在の若い人たち)との間で、適切に配分する仕組み、いわば世代間の分かち合いの仕組みです。
この仕組みのもとでは、例えば、現在年金を受給されている世代の年金の給付水準を高めると、将来年金を受給することになる世代の年金の給付水準が低下することになります。したがって、世代間の公平を考えながら、適切に配分する必要があります。 現在のマクロ経済スライドの仕組みは、平均余命の伸びや現役世代(被保険者)の減少を指数として、これを物価や賃金の伸びから差し引くことによって、数十年という長い年月をかけて年金の給付水準を徐々に調整するものです。また、年金受給者に配慮して、前年度より年金額を下げる調整までは行わない措置(名目下限措置)をとっているため、マクロ経済スライドによって名目の年金額が下がることはありません。
Q.今回の改正でマクロ経済スライドの何が変わるのですか?
A.マクロ経済スライドについて、現在の高齢者に配慮しつつ、できるだけ早期に調整を行い、将来年金を受給することになる世代の年金の給付水準を確保するため、名目下限措置を維持しつつ、賃金・物価が上昇したときに、過去に調整できず繰り越した未調整分(キャリーオーバー)を調整する仕組みを導入することとしました。(平成30年4月~)

(5)年金額改定ルールの見直し (賃金・物価スライド)

Q.年金額の改定ルールは、どのような仕組みになっているのですか。
A.年金額は、経済の変化を反映させるため、賃金・物価の変動に応じて改定する仕組みとなっています。さらに、賃金・物価の変動率がプラスの場合、マクロ経済スライドによる調整が行われます。
Q.今回の改正で年金額の改定ルールはどう変わるのですか?
A.年金の支え手である現役世代の負担能力(賃金)が低下しているときは、これにあわせて年金額を改定する考え方が徹底されるよう、ルールの見直しを行います。具体的には、物価に比べ賃金が名目でも実質でも低下する場合には、賃金の変化に合わせて年金額を改定(賃金スライド)するよう、年金額の改定ルールを見直します。
政府としてはデフレ脱却・賃金の上昇に全力で取り組んでいますが、年金は長期の制度ですので、経済のあらゆる事態に備えて仕組みを整えるものです。(平成33年4月~)
Q.なぜルールの見直しを行うのですか?
A.過去10年余りのデフレ下で、リーマンショックなどの影響もあって賃金が下がり、現役世代の負担能力(賃金)は低下しました。一方、年金額はこれに連動せず高止まりしていたため、現役世代の賃金に対する年金受給者が受け取る基礎年金の比率は従来よりも1割程度高くなる一方で、将来受け取る基礎年金の水準は1割程度低下することが明らかになりました。
このため、世代間の公平を確保し、将来年金を受給することになる世代の年金の給付水準がこれ以上、下がることがないようにする観点から、現役世代の賃金が名目でも実質でも低下する場合は、現役世代の賃金の変化に合わせて年金額を改定するよう見直しを行うものです。
Q.低所得者にはどのような配慮がなされているのですか?
A. 低年金・低所得の方への配慮として、平成31年10月(消費税率10%への引上げ時)に新たに福祉的な給付(最大年6万円)を実施します。年金額の改定ルールの見直しは、この福祉的給付実施後の平成33年度からであり、高齢者への配慮をしっかりと行います。この給付は受け取る年金額の約8%に相当するものであり、年金とあいまって高齢者の生活をお支えします。

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