第6回 日中韓高齢化セミナーについて

2016 年 7 月 5 日(火)から 6 日(水)にかけて、第6回日中韓高齢化セミナーを東京にて開催しました。

1 開始の経緯

2008 年 12 月の日中韓サミットにおいて、中国・温家宝首相より高齢化対策に関する協力及び会合の開催について提案がありました。 2009 年の日中韓外務大臣会合において岡田外務大臣が同意し、 2010 年に第1回が開催され、今回が6回目となります。

2 これまでの実績

三国の代表団が持ち回りで開催し、高齢化に係る政策対話と関連施設等への訪問を行っています。テーマは開催毎に三国間で協議して決定しています。

第1回 2010 年4月 中国(北京)開催 「 人口問題の現状と対策」「高齢者向けサービス」
第2回 2011 年 11 月 韓国(ソウル)開催 「 高齢者保健政策」「在宅介護サービス」
第3回 2012 年8月  日本(東京)開催 「 コミュニティと介護サービス」「アクティブエイジング」
第4回 2013 年7月 中国(上海)開催  「高齢化社会における健康サービスモデルの転換」「 空巣家庭(※)の高齢者保健サービスに関する政策設計」                                                           (※)子どもが巣立ったあとの、高齢者一人暮らしあるいは老夫婦
第5回 2015 年 12 月 韓国(済州島)開催 「高齢期の質の向上のための介護保険」「高齢化社会に対応する高齢化に優しい産業推進計画」MOC更新署名式

3 第6回 日中韓高齢化セミナー

(1)プログラム

日本、中国、韓国代表による基調講演
セッション1「 認知症 」
セッション2「 農村の空洞化 」
第7回セミナー開催に関する議論

(2)出席者

日本からは、蒲原基道厚生労働省老健局長ほか4名、中国からは 许 培海 中国人口と発展研究センター副主任ほか2名、韓国からはキム・ホンジュ保健福祉部老人政策官ほか3名が出席しました。

(3)概要

■基調講演
 3か国代表による基調講演が行われました。
 日本の蒲原老健局長からは、日本の介護保険制度導入による高い効果や地域包括ケアシステム構築に係る各種取組の推進、認知症施策の充実、必要な介護サービスの確保と働く環境の改善・家族支援を両輪とした、家族等の介護を理由とする離職等をなくすための取組について発表がありました。
 中国の 许 培海中国人口と発展研究センター副主任 からは、中国は他国と比して速いスピードで高齢化が進んでおり 57 年間で 65 歳以上の老齢人口が 4.7 倍となったことや家庭規模の変化、中国の高齢化が直面する問題および中国の介護に関する今後の主要対策について発表されました。
 韓国のキム・ホンジュ保健福祉部老人政策官からは、少子高齢化に対応するため韓国政府の発表した第 3 次少子高齢社会基本計画の概要が紹介されました。また、急増する認知症有病率に対応し、認知症患者の権利と安全を守り家族の負担の軽減するための支援体制を作るための第 3 次認知症管理総合計画の概要や、農村空洞化対策と事業についても発表がありました。



■セッション1
 セッション1では、各国の認知症施策を紹介するとともに、韓国からはキム・ミンジュ保健福祉部老人政策課事務官から認知症管理政策のこれまでの経過と成果や第 3 次認知症管理総合計画の推進方向について発表がありました。日本からは山田老健局総務課認知症施策推進室室長補佐から「認知症施策について」というテーマで、新オレンジプラン策定までの経緯と新オレンジプランの概要および7つの柱の紹介について発表しました。中国は李成福中国人口と発展研究センター副研究員から老人性認知症の拡大状況や認知症臨床診断サービスとその研究等について発表がありました。
 また、3国共通の認知症対策が喫緊の課題となっている状況の中で、介護保険の費用負担の現状や、スマートフォン等を活用した独自の認知症予防の取組等について意見交換を行いました。



■セッション2
 セッション2では、中国は李成福中国人口と発展研究センター副研究員から、高齢化と都市化を背景とする中国農村の空洞化問題について、韓国はファン・ナムヒ韓国保健社会研究院高齢社会研究センター博士から一人暮らしの高齢者のケアや邑・面・洞の福祉ハブ化等を内容とする農村空洞化への対応策について、日本は枝光老健局振興課地域包括ケア推進官から、地域包括ケアシステムの構築へ向けた政府の方針や好事例について発表されました。意見交換では、日本の地域での一般介護予防事業の好事例についての更なる紹介がなされ、また、介護事業者による不正受給への対策についても、韓国、中国の関心の高さが伺われました。



■第7回セミナー 次回、第7回セミナーは、中国にて来年夏頃をメドに開催することで合意しました(テーマ等の詳細については今後調整予定)。