第16回 日EUシンポジウムについて

1991年に、労働省(当時)と欧州委員会との間で、定期的な交流を実施することを取り決めて以来、最近は2年に1度日EUシンポジウムを開催し、雇用・労働分野におけるテーマについて意見交換を実施しています。
2016 年 7 月 15 日(金)東京にて、第 16 回日 EU シンポジウムを開催しました。

最近の開催実績 / テーマ
第 13 回( 2010 年 3 月・ブリュッセル) 「より安全でより健康的な職場」
第 14 回( 2012 年 7 月・東京) 「若年者のエンプロイアビリティの向上と労働市場参入の促進」
第 15 回( 2014 年 6 月・ブリュッセル)「グローバル化経済における事業再構築( Restructuring )の予測及びマネジメント」
第 16 回( 2016 年 7 月・東京)「現代における労使関係の役割」

第16回(2016年)日EUシンポジウム概要

今年は「現代における労使関係の役割」をテーマに開催しました。

講演・討議内容等

塩崎恭久厚生労働大臣及びバルディス・ドムブロフスキス欧州委員会副委員長より、代表挨拶を行うとともに、ミシェル・セルヴォ欧州委員会雇用・社会問題・社会的包摂総局長及び三ッ林裕巳厚生労働大臣政務官より、閉会挨拶を行いました。
塩崎厚生労働大臣は、代表挨拶の中で、健全な労使関係構築の重要性と成長と分配の好循環との関係について述べるとともに、今回のシンポジウムが日本とEUの抱える課題解決の一助となることを期待することを述べました。
三ッ林厚生労働大臣政務官は、閉会挨拶の中で、日・EUにおける25年間の社会・経済面での変化や、本シンポジウムの意義と活動継続の希望について述べました。

基調講演

( EU:ミラノ大学社会政治科学科准教授 ロベルト・ペデルシーニ )
EU における社会対話の特徴やプロセス、労使関係制度と新たな課題、 EU における社会対話の展望が紹介されました。団体交渉は分権化が進行中であることや、労働組合組織率・団体交渉適用率等が低下していること、また、 EU のイニシアチブにより EU レベル、国内レベルの二者間・三者間対話を強化するための枠組みと具体的な支援策を提供できることなどについて説明がありました。

(日本:東京大学大学院法学政治学研究科教授 荒木尚志)
日本と欧州における共通の課題やそれぞれの労使関係モデル・雇用におけるフレキシビリティのあり方の違いが紹介されました。また、非正規雇用の増大と対応、未組織労働者についての法政策上の課題についても説明がありました。

学識経験者・政労使の代表による報告、議論

「労使関係の現状と課題」、「今後のより良い労使関係に向けて」の2つのサブテーマについて、報告、議論が行われました。日本とEUで労働組合や労働条件調整のあり方に違いがある一方、近年、組織率の低下といった共通の課題に直面していることが明らかになりました。また、労使間での信頼・透明性が不可欠であることや三者間の対話の重要性について強調されました。

(日本側報告者)
早稲田大学社会科学総合学術院教授 篠田徹
労働政策研究・研修機構主任研究員 呉学殊
厚生労働省労働基準局労働関係法課長 大隈俊弥
日本労働組合連合会(連合)総合組織局総合局長 山根木晴久
日本経済団体連合会(経団連)労働政策本部統括主幹 高澤滝夫

(EU側報告者)
欧州委員会雇用・社会問題・社会的包摂総局社会的対話課長 ダヴィッド・パスカル・ディオン
ユニ・グローバルユニオン・ユニオン・ヨーロッパ地区事務局長 オリバー・ロティグ
欧州労働組合連盟(EUTC)副事務局長 ピーター・シェラー
ビジネスヨーロッパ社会問題担当部長 マクシム・セルッティ
欧州公共サービス企業及び雇用者センター社会問題政策調整官 ギヨーム・アフェラト

会議の様子