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建設雇用改善計画

建設雇用改善計画 (第九次) 目次

  1. I 計画の基本的考え方
    1. 計画の背景と課題
    2. 計画の期間
  2. II 建設雇用等の動向
    1. 建設経済の動向
    2. 建設労働者の動向
    3. 建設労働者の需給動向
    4. 建設労働者の労働条件等の動向
    5. 職業能力開発の動向
  3. III 雇用の改善等を図るために講じようとする施策に関する基本的事項
    1. 若年者等の建設業への入職・定着促進による技能労働者の確保・育成
      1. (1) 若年労働者の確保・育成
      2. (2) 女性労働者の活躍の促進
      3. (3) 高年齢労働者の活躍の促進
    2. 魅力ある労働環境づくりに向けた基盤整備
      1. (1) 建設雇用改善の基礎的事項の達成
      2. (2) 労働災害防止対策の推進
    3. 職業能力開発の促進、技能継承
      1. (1) 事業主等の行う職業能力開発の促進
      2. (2) 労働者の自発的な職業能力開発の促進
      3. (3) 熟練技能の維持・継承及び活用
    4. 雇用改善推進体制の整備
      1. (1) 建設事業主における雇用管理体制等の整備
      2. (2) 事業主団体等における効果的な雇用改善の推進
      3. (3) 地域の実情を踏まえたきめ細かな雇用改善の推進
      4. (4) 建設雇用改善助成金制度の活用及び建設業の動向を踏まえた検討
      5. (5) 関係行政機関相互の連携の確保等
      6. (6) 雇用改善を図るための諸条件の整備
    5. 円滑な労働力需給の調整等による建設労働者の雇用の安定等
    6. 外国人労働者問題への対応

I 計画の基本的考え方

1  計画の背景と課題

  • (1) 我が国経済は、平成25年に入って株高が進んだこと等を背景に企業や家計のマインドが改善し、個人消費を中心に内需が牽引する形で持ち直しに転じ、緩やかな回復基調が続いている。
     また、雇用情勢については、有効求人倍率が24年ぶりの高水準、完全失業率が18年ぶりの低水準で推移しており、着実に改善している状況にある。あわせて企業の雇用の不足感が高まっている。
     他方、人口が減少し、諸外国が経験したことのないような急激な少子高齢化が進んでおり、我が国の経済社会は大きな転換期を迎えている。人口減少や少子高齢化が、労働力の大幅な減少等様々な影響を与え、経済成長に向けた阻害要因となるおそれがあると指摘されている。
     このような経済状況の下、建設経済の現状を見ると、景気回復や東日本大震災からの復興需要、国土強靱化の推進、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催等により建設投資は近年増加傾向が見られる。
     また、建設労働者の現状を見ると、建設技術者や技能労働者等、建設関連職種の有効求人倍率は高止まりしており、第八次計画策定時の雇用の過剰供給から人材不足へと大きく変化している状況にある。さらに、建設業の労働力の年齢構成を見ると、他産業に比べて高年齢層(55歳以上)の割合が高い一方、若年層(15~29歳)の割合が低く、また、他産業に比べて新規学校卒業就職者の入職が少なく、定着が悪い状況はますます深刻化している。
     こうした中、建設産業には、社会資本や産業基盤を造成・維持し、国民の安全・安心な生活と財産を守り、我が国の産業の活性化に貢献するという重要な役割が期待されている。その役割を担うためには、建設産業の持続的な発展が不可欠であるが、今後、熟練技能を有する多くの高年齢層の労働者のリタイアが見込まれる中で、このまま若年者等の入職が進まなければ将来的に技能労働者が不足する懸念があり、若年労働者等の確保・育成及び技能継承が極めて重要な課題となっている。
     特に、若年労働者の確保・育成の観点からは、建設業で働く若年労働者がライフステージに応じた生活設計ができるよう、他産業と比較して遜色ない就労環境を確保することが重要であることから、建設事業主が労働時間の短縮や賃金の向上等の体系的な処遇改善を始めとした職場の雇用管理改善や職業能力開発に主体的かつ積極的に取り組むことが肝要である。景気の緩やかな回復基調の中で、建設投資が持ち直しつつある今こそ建設事業主が雇用管理改善等に取り組む好機であり、更なる施策を展開し、建設労働者にとって「魅力ある職場づくり」を推進していく必要がある。
     また、従来より我が国の建設産業においては、受注生産、個別生産、屋外生産、移動生産、総合生産といった建設生産の特性があるほか、重層下請構造、中小零細企業の割合が高い等といった特徴がある。加えて、これまでの長期にわたる建設投資の減少による競争の激化に伴うダンピング受注やその就労形態への影響等が指摘されている。これらを背景として、不明確な雇用関係、労働災害の多発、労働条件の改善や労働福祉の立ち後れ、適切な職業能力開発の機会の不足等の問題が存在しており、これらの問題への適切な対応については、関係省庁と連携を図り今後も万全を期していく必要がある。
     他方、人口減少や少子高齢化による労働力の大幅な減少等による建設産業の持続的な発展への悪影響を軽減させるためには、労働の質を高めることや良質な雇用機会を確保することが必要であるが、そのためには、個々の労働者が生涯を通じて能力開発を行い、その能力を高めることと併せて、そうして労働者が高めた能力を最大限発揮できる環境を整備することが重要な課題となっている。また、将来的に建設産業を活性化していくためには、労働の質を高めて、国際競争力を強化していく視点も重要である。
  • (2) 以上を踏まえ、「建設雇用改善計画(第九次)」においては、「若者が展望をもって安心して活き活きと働ける魅力ある職場づくりの推進」を課題とし、次の事項を最重点事項として、IIIの施策を推進していくこととする。
    • (1) 若年者等の建設業への入職・定着促進による技能労働者の確保・育成
       若年者の建設業への入職及び定着の促進を図るとともに、女性や高年齢者が活躍できる就労環境の整備等を図り、技能労働者の確保・育成に取り組むこと。
    • (2) 魅力ある労働環境づくりに向けた基盤整備
       建設労働者の職業生活の全期間を通じた職業の安定を図りつつ、「建設労働者の雇用の改善等に関する法律」(昭和51年法律第33号。以下「建設雇用改善法」という。)等に基づき、建設労働者の雇用の一層の近代化を進め、建設労働者にとって魅力ある労働環境づくりを図ること。
    • (3) 職業能力開発の促進、技能継承
       建設労働を取り巻く環境の変化も踏まえ、事業主等が行う職業能力開発の支援や公的職業訓練を推進し、建設労働者の職業能力の開発や向上を促進するとともに、技能の継承を図ること。

2  計画の期間

 この計画の期間は、平成28年度から平成32年度までとする。ただし、今後の建設業や建設業に係る施策の動向等を踏まえ、必要な場合は計画の改正を行うものとする。

II 建設雇用等の動向

1  建設経済の動向

 平成27年度の建設投資は、名目では前年度比5.5%減の48兆4,600億円であり、実質(平成17年度基準)では同6.4%減の43兆7,100億円となる見通しであり、実質ではピークの平成2年度から48.1%の減少と見込まれている。
 建設投資の動向を見ると、名目では、昭和59年度以降、主に民間投資の増加により前年度比プラスで推移し、平成4年度には約84兆円に達した。その後、主に民間投資の減少により平成6年度及び平成7年度は80兆円を下回り、平成8年度に民間住宅投資の増加により一時的に80兆円台となってから減少傾向に転じ、平成19年度には40兆円台まで減少したが、平成25年度は持ち直し、50兆円台を回復した。国内総生産(名目)に占める建設投資(名目)の割合も、昭和61年以降では平成2年度の18.0%をピークに低下しており、平成22年度は8.7%まで低下したが、その後は景気の回復や東日本大震災からの復興等による需要もあり、回復傾向にある。平成27年度は9.6%となる見通しである。
 今後も、人口減少、少子高齢化等の労働力供給の制約がある中、東日本大震災からの復興、国土強靱化の推進や2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催等の需要が見込まれ、建設産業を取り巻く環境には明るい兆しが見られる。

2  建設労働者の動向

  • (1) 建設業の就業者数は、平成2年度以降の建設投資(実質)の減少の中でも増加を続けていたが、平成9年の685万人(全産業に占める割合は10.4%)をピークに減少に転じ、平成22年には498万人となり、その後は同水準で推移している。平成27年には500万人(全産業に占める割合は7.8%)となり、ピークの平成9年と比較して27.0%の減少となっている。
     また、建設業の技能労働者の就業者数は、平成9年の455万人をピークに減少しており、平成22年には331万人となった。その後、平成26年には341万人まで持ち直したが、平成27年には331万人となっている
  • (2) 建設業の雇用者数も同様の傾向を示しており、平成9年の563万人(全産業に占める割合は10.4%)をピークに減少していたが、平成22年の405万人(全産業に占める割合は7.4%)以降横ばいとなり、平成27年には407万人となっている(全産業に占める割合は7.2%)。
  • (3) 建設業における雇用者のうち、日雇労働者の占める割合は、平成27年で3.9%となっており、全産業の1.3%に比べてなお高い割合となっている。
  • (4) 建設業の雇用者を事業所規模別に見ると、30人未満規模の小規模零細事業所に雇用されている者の割合は平成27年で61.9%(全産業では27.6%)となっており、小規模零細事業所に雇用されている者の割合が高い状態である。
  • (5) 若年者の入離職の状況については、新規学校卒業就職者に占める建設業就職者の割合は、平成8年の8.4%をピークに下降傾向を示し、平成21年には4.0%、実数においても平成8年の半分以下の2万9千人となった。その後増加に転じ、平成27年にはそれぞれ5.6%、4万1千人となっている。しかしながら、全産業における就業者の7.8%を建設業における就業者が占めていることから、新規学校卒業就職者の建設業への入職は少ないということができる。
     建設業に入職した新規高等学校卒業者の入職3年後の離職率については、昭和60年以降では、平成4年3月卒業者の39.4%を底に、平成8年には50%を超え、平成15年3月卒業者では57.4%と高い水準となった。その後は低下傾向となり、平成20年3月卒業者については43.4%となったあと再び上昇し、平成24年3月卒業者については50.0%となっている。全産業と比較しても、平成4年3月卒業者については同水準であったものが、平成24年3月卒業者については全産業より10.0ポイント高い状況にある。
  • (6) 建設業の就業者に占める若年層(15~29歳)の割合は、昭和63年の14.8%を底に上昇を続け、平成9年には22.0%となった。その後下降に転じ、平成25年には10.2%まで下がったが、平成27年には10.8%と回復傾向となっている。ただし、全産業の16.2%に比べると低くなっている。
  • (7) 建設労働者の高齢化の状況については、建設業における就業者に占める高年齢層(55歳以上)の割合は、昭和53年以降上昇傾向にあり、平成26年には34.3%となったが、平成27年には33.8%と減少した。しかし、全産業の29.2%に比べると高齢化が進展している。また、平成27年における建設労働者の平均年齢は44.0歳であり、全産業の42.3歳と比べるとやや高くなっている。
     また、建設業の中でも職種別に見ると、平成27年では左官が48.6歳、土工が48.1歳、型枠大工が46.7歳、大工が45.8歳、とび工が42.4歳、鉄筋工が44.6歳など、職種によって平均年齢のばらつきが見られる。
  • (8) 女性の就労状況については、建設業における就業者に占める女性の割合は、昭和60年以降では平成3年の16.7%をピークに低下し、平成22年から平成24年までの13.9%を底に回復傾向となり、平成27年には15.0%まで増加している。しかしながら、全産業の43.2%に比べるとかなり低くなっている。
     また、建設業における技能労働者に占める女性の割合は平成27年には2.4%となっている。

3  建設労働者の需給動向

  • (1) 全体の有効求人倍率がリーマン・ショック後の平成21年の0.47倍から平成27年には1.20倍へ回復している。建設業関連職種の職業別で見ると、建築・土木・測量技術者が平成21年の0.83倍から平成27年の3.75倍へ、建設躯体工事以外の建設の職業が平成21年の0.64倍から平成27年の2.88倍へ、電気工事の職業が平成21年の0.90倍から平成27年の1.92倍へ、土木の職業が平成21年の0.61倍から平成27年の2.80倍へと人材不足となっているほか、建設躯体工事の職業については、平成21年の景気が悪化した時期においても1.74倍、平成27年では7.00倍となっており、特に人材不足の状況となっている。
  • (2) 建設労働者の過不足状況については、全体的には平成21年から平成23年前半までは過剰であったが、平成23年後半以降は不足とする企業が多くなっている。部門別に見ると、平成23年後半以降は、ほぼ全ての部門で不足の状況となっているが、専門・技術や技能工の部門で特に不足感が高くなっている。

4  建設労働者の労働条件等の動向

  • (1) 労働時間の状況を見ると、平成9年4月1日からの週40時間労働制の全面適用を経て、建設業における事業所規模5人以上の事業所の1人当たりの年間総実労働時間は、平成10年に2,009時間となって以降上昇に転じ、平成27年は2,058時間となり、全産業の1,734時間と比べるとかなり長時間労働となっている。
  • (2) 週休制の導入状況を見ると、建設業において完全週休2日制を導入している企業の割合は、企業規模30人以上の企業に対する調査で、平成27年では40.0%と、平成13年の23.6%と比較すると普及は進んでいるものの、全産業の50.7%に比して普及が遅れており、土日連続全休制による現場閉所の割合が低いものと考えられる。
     また、年次有給休暇の状況については、建設業における平成27年の付与日数は18.6日で全産業の18.4日と同程度であったものの、取得日数は7.1日、取得率は38.1%と全産業の取得日数8.8日、取得率47.6%を下回っている。
  • (3) 建設業における賃金水準については、企業規模10人以上の事業所の生産労働者(男性)の年間の給与額を試算すると、平成27年で約433万円であり、平成16年の約401万円からほぼ横ばいとなっていたが、平成25年以降は上昇傾向にある。平成27年には、企業規模10人以上の事業所の全従業員で約513万円、企業規模5人以上9人以下の事業所の全従業員で約388万円と試算される。
     なお、企業規模10人以上の事業所について平成27年の年間の給与額を試算すると、製造業の生産労働者(男性)で約461万円、全産業の全従業員で約489万円と試算される。
  • (4) 労働災害の状況を見ると、建設業における休業4日以上の死傷災害は昭和53年以降減少を続けている。死亡災害は昭和60年代から年間1,000人前後で横ばいで推移していたが、平成9年以降は減少に転じ、平成26年には377人となった。また、全産業に占める割合は、死傷者数で14.4%、死亡者数で35.7%であり、建設業における労働災害は他の業種と比べて重篤な災害となる傾向を示している。

5  職業能力開発の動向

  • (1) 建設業におけるOFF-JT(業務命令に基づき、通常の仕事を一時的に離れて行う教育訓練(研修))の実施状況を見ると、正社員に対して「OFF-JTを実施した」と回答した建設業の事業所は、平成25年度には78.2%となっており、全産業の実施率の72.4%、製造業の実施率の73.7%より高い状況である。
     また、建設業における計画的なOJT(日常の業務に就きながら行われる教育訓練)の実施状況を見ると、正社員に対して「計画的なOJTを実施した」と回答した事業所は、平成25年度には63.1%となっており、全産業の実施率の62.2%より高いが、製造業の実施率の65.9%より低い状況である。
  • (2) 建設業における人材育成に関する問題点の状況を見ると、人材育成に「問題がある」と回答した建設業の事業所は、平成25年度には70.6%となっており、全産業の75.9%、製造業の78.6%より低い状況である。問題点の内訳については、複数回答で「指導する人材が不足している」が52.5%で最も多く、「人材育成を行う時間がない」が42.0%、「人材を育成しても辞めてしまう」が41.8%で続いている。

III 雇用の改善等を図るために講じようとする施策に関する基本的事項

 建設労働者の雇用改善を進めるに当たっては、今後、技能労働者の高齢化の進行等を背景に、技能労働者が不足するおそれがあることから、若年者等を技能労働者として確保・育成していくことが必要である。
 また、建設産業に関しては、依然として雇用関係が不明確、他産業と比べて長時間労働、技能労働者が低賃金である等労働条件の改善や労働福祉が立ち後れており、また、職業能力開発が十分に行われていない等の問題があり、これらの改善を図っていくことが必要である。
 このため、建設労働者の職業生活の安定にも十分に配慮した上で、前述の建設雇用等の動向を踏まえ、若年労働者等の確保・育成、建設労働者の雇用改善、労働福祉の増進、職業能力の開発及び向上等雇用の改善を一層促進することにより、建設労働者にとって魅力ある職場とするため、次の施策を積極的に推進する。

1  若年者等の建設業への入職・定着促進による技能労働者の確保・育成

(1)  若年労働者の確保・育成

 技能労働者については、高齢化が他産業に比べて進展しており、入職者は減少傾向にある。今後、熟練技能を有する高年齢層の労働者が大量に離職するとともに、このまま若年者等の入職が進まなければ、将来的に技能労働者が不足する懸念があり、若年労働者の確保・育成が極めて重要な課題となっている。

  • (1) 若年労働者の確保の観点から、建設業が社会的に評価され、イメージアップにつながるよう、建設業が社会資本の維持、災害対策等に多大な役割を果たしており、地域に不可欠な産業であることなど、国民一般の建設労働に対する正しい理解を促進するための取組を推進する事業主団体等に対して支援を行う。
  • (2) 若年者に建設業の役割やその魅力を伝え、建設業で働くことに対する意識や関心を高めるため、小学校、中学校、高等学校等の教育機関や関係行政機関等と連携し、現場見学会、職場体験、インターンシップ、実践的な技術研修などのキャリア教育や、進路指導、職業指導等に取り組む。
  • (3) 平成27年に改正された「青少年の雇用の促進等に関する法律」(昭和45年法律第98号)等に基づき、適切な職業選択のための取組の促進や職業能力の開発・向上及び自立の促進を行う。
  • (4) 建設躯体工事の職業を始めとした建設関連職種の有効求人倍率が高水準で推移していることから、未充足求人のフォローアップや求職者への建設関連職種に関する求人の情報提供、就職面接会の開催等により若年者等の求職者のマッチング支援を行う。
  • (5) 建設現場における技能労働者の年代ギャップによるコミュニケーション不足や技能指導方法等の違いが若年労働者にとって、職場環境への適応や技能のノウハウの習得がうまくいかない一因となっていることから、若年労働者と円滑なコミュニケーションがとれるよう、そのスキル向上について、事業主に対して支援を行うとともに、若年労働者を育成する職場風土の醸成を行う事業主団体等や事業主に対して支援を行う。
  • (6) 建設業で働く若年労働者がライフステージに応じた職業生活設計ができるよう体系的な処遇改善を始めとした雇用管理改善を図るとともに、技能労働者のキャリア形成に資する適切な資格の取得、それに向けた教育訓練と、取得した技能に見合った処遇等とを関連づけた望ましいキャリアパスについて検討し、建設業を目指す若年者等に提示することが求められている。また、建設業は長時間労働であり、特に技能労働者は低賃金となっているが、これは低い生産性が一因であると考えられ、この生産性を向上する一方策としても、教育訓練の充実やキャリアパスの提示は重要である。
     このため、これらの取組を実施する建設事業主団体等に対して支援を行う。

(2)  女性労働者の活躍の促進

  • (1) ワーク・ライフ・バランスの観点から、就労環境整備や女性労働者のキャリアアップを進めること等により、長期勤続を促進するとともに、作業方法や安全対策の配慮等女性労働者の活躍の促進について検討する事業主団体等や、男女別のトイレや更衣室の整備等により職場環境の改善を行う建設事業主等に対して支援を行う。また、働きながら安心して子どもを産み育てることができる就労環境の整備を推進するため、育児を積極的に行う男性(イクメン)を応援し、男性の育児休業取得を促進する。
  • (2) 女性の力は現場に多様な価値観や創意工夫をもたらし、建設業全体の活力につながると考えられることから、企業における女性の活躍状況等の情報提供、作業方法の改善による女性の職域拡大などの女性労働者の活躍を推進するための取組の支援等を通じて、建設業における女性の入職を促進する。
  • (3) 平成27年に国会で成立した「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)では、常時雇用する労働者の数が301人以上の事業主に対して、女性の活躍に関する状況把握・課題分析や行動計画の策定、情報公表を義務付けており、同法の周知・啓発、着実な施行を通じて、建設業における女性の活躍を推進する。
     加えて、女性労働者については、女性が就労しやすく、また、定着できる環境を整備するため、「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律」(昭和47年法律第113号)について一層の周知・指導等を行うことにより、男女の均等な雇用機会を確保するとともに、職場におけるセクシュアルハラスメント防止のための雇用管理上の措置義務を徹底させること等を通じて、建設職場への受入体制の整備を促進する。
     また、妊娠・出産等を理由とする不利益取扱いについては、女性労働者の尊厳を傷つけ、継続就業を妨げるものであることから、事業主に対する積極的な報告徴収、指導等を行う。
  • (4) 坑内労働に係る女性の就労の拡大については、適宜検討を行い、適切に対応する。

(3)  高年齢労働者の活躍の促進

  • (1) 高年齢労働者については、「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」(昭和46年法律第68号)における定年の引上げ、継続雇用制度導入等の措置の義務付けについて一層の周知・指導を徹底する。
  • (2) 建設業において高年齢労働者の特性や健康、体力等に対応した就労環境の整備及び高年齢労働者が有する高度な熟練技能の継承を図るため、高年齢労働者の特性に配慮した作業方法の見直し、適正な配置、柔軟な勤務形態、安全衛生対策、職業能力開発等、高年齢労働者の活用について検討する事業主に対して支援を行う。
     また、高年齢労働者の健康、体力や多様な就労ニーズを的確に把握しつつ、適切な雇用管理が行われるよう、事業主に対する啓発・指導を行う。

2  魅力ある労働環境づくりに向けた基盤整備

(1)  建設雇用改善の基礎的事項の達成

  • (1) 建設業においては、技能労働者等と明確な雇用契約を結び、直接雇用を進めることで技能労働者の将来設計を可能とし、雇用の安定と健全な育成を図る必要があるが、依然として重層的下請構造が存在し、雇用関係や労働条件が不明確である等の問題が指摘されていることから、雇用関係の明確化に向けた取組を更に強力に進める必要がある。
     このため、建設労働者の雇入れの主体及び雇用契約の内容等を明確にするよう、雇入通知書の交付等による労働条件の明示について、公共職業安定機関と労働基準監督機関等の関係機関との連携を密にし、適切に指導及び監督並びに周知を行う。
     また、日雇労働者等の建設労働者に対する雇入通知書の交付等の徹底を図るため、元請事業主による下請事業主に対する指導及び援助を促進する。
  • (2) これまでの建設投資の減少による競争の激化に伴い、事業主が労務関係諸経費の削減を意図して、これまで雇用関係にあった労働者を対象に個人請負労働者として請負契約を結ぶことにより、いわゆる一人親方とされる働き方が生じてきたとの指摘もある。
     これを踏まえ、いわゆる一人親方については、現状把握を行った上で、形式的に個人事業主であっても実態が雇用労働者である場合には、労働関係法令の適用があることについて、引き続き周知・啓発を行い、関係機関との連携を図りながら現状把握に基づいた効果的な対応を図る。
  • (3) 建設業務の実施に当たり労働者募集及び請負が適正に行われるよう、「建設雇用改善法」、「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」(昭和60年法律第88号。以下「労働者派遣法」という。)等の遵守に向け、適切に指導及び監督を行う。
     また、形式的には請負であっても実態として労働者派遣となっているいわゆる偽装請負の状態がある場合には、労働者派遣法第4条第1項第2号違反となるものであり、「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準」(昭和61年労働省告示第37号)に係る周知を図るとともに、厳正に指導監督を行う。
  • (4) 臨時・日雇労働者といった不安定な雇用形態の労働者の雇用の安定を図るため、季節労働者の通年雇用化、公共職業安定機関を通じた就労やグループによる就労等による出稼労働者の安定就労の確保等を推進する。
  • (5) 長時間労働の実態の改善については、労働者の心身の健康の保持はもとより、ワーク・ライフ・バランスの推進や若年者等の入職及び定着の促進の観点も併せ、技術者や技能労働者の職種の違いからくる就労実態に留意しながら、労使が具体的な目標設定の下に自主的に取り組むべき事項として重点的な指導を行う。
     特に、脳・心臓疾患の発生の危険を増大させる恒常的な長時間労働が発生しないよう、労働者の労働時間の把握及び管理の在り方についての必要な改善に取り組む。
     また、建設業においては、天候や納期の問題から完全週休2日制の普及が遅れているところであり、その普及が重要である。このため、完全週休2日制の実施を確保する効果的な手段として、土日連続全休制による現場閉所に向けた労使の取組や、段階的な方法としての4週8休制の導入に向けた労使の取組を促進するとともに、年次有給休暇の取得については、計画的付与制度の活用等による取得率の向上を図る。
  • (6) 労働保険及び社会保険の適用促進を図るため、従前より建設業行政等の関係行政機関と連携して通報に基づいた加入指導等を行ってきたが、引き続き関係事業主団体等との連携の下に、啓発・指導を推進する。
     労働保険の適用促進については、関係行政機関や労働保険事務組合と連携し、未手続事業の確実な把握、文書及び個別訪問による手続指導等により未手続事業の解消に取り組むとともに、労災保険制度におけるいわゆる一人親方等の特別加入制度の周知に努める。
     また、社会保険の一層の適用促進についても、関係機関と連携し、未適用事業所の確実な把握、文書及び個別訪問による加入指導等により未適用事業所の解消に取り組む。
  • (7) 建設業における退職金制度の整備を図るため、建設業退職金共済制度等について、適正な運営の確保に向けて共済証紙が適切に貼り付けられるよう事業主の理解を進めるとともに、関係機関等の協力を得ながら、加入促進対策の効果的実施により、退職金共済制度への加入を一層促進する。
     また、いわゆる一人親方についても、建設業退職金共済制度への加入について周知・啓発を図る。

(2)  労働災害防止対策の推進

  • (1) 建設業においては、人材不足の中で経験年数の短い技能労働者やいわゆる一人親方等の労働災害も発生しているところである。東日本大震災からの復興需要や2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催等による建設投資の増加にも鑑み、墜落や建設機械等による災害、石綿対策、熱中症予防対策等の労働災害防止に向けた事業主の自主的な取組を一層促進するため、労働災害防止計画等を踏まえ、リスクアセスメントの実施の促進、労働安全衛生マネジメントシステムの一層の普及・定着を図るなど建設業における総合的な労働災害防止対策を引き続き推進する。
     特に、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の大会施設工事は日本の建設工事を代表する存在となることから、これらの工事が今後の快適で安全な建設工事のモデルとなるように官民が連携して取り組む。
     また、安全衛生優良企業公表制度の利用促進を図り、企業の自主的な取組を推進する。
  • (2) 石綿を使用した建築物等の解体時等における石綿ばく露防止対策(事前調査及びその結果に基づく適切なばく露防止措置等)及び再生砕石への石綿含有産業廃棄物の混入防止等について、関係機関と連携しつつその徹底を図る。
  • (3) 手すり先行工法等の普及など墜落転落災害の防止対策を推進するとともに、雇入時の健康診断の実施を促進するために中小建設事業主が期間雇用者に行う雇入時の健康診断についての支援を行う。
  • (4) 長時間にわたる時間外・休日労働を行った労働者に対し、事業主による健康管理等に係る措置(医師による面接指導、健康診断結果に基づく事後措置等)の実施を推進する。
  • (5) 平成27年12月から事業主の義務となったストレスチェック制度(従業員50人未満の事業場については当分の間、努力義務)に関し、ストレスチェックの実施により労働者のセルフケアを促進するとともに、高ストレス者に対する医師の面接指導の結果を踏まえた就労上の措置や、集団的分析の結果を踏まえた職場環境改善の推進を図る等、労働者のメンタルヘルス対策に取り組む。
  • (6) 高年齢者の割合が高く、今後も高齢化が進むことが予想されることから、労働者の健康管理や職場における適正配置等の指導等を推進する。

3 職業能力開発の促進、技能継承

(1) 事業主等の行う職業能力開発の促進

  • (1) 労働者に対して事業主が必要な教育訓練を行うことは、各々の事業主の責務であるとともに、労働者の職業生活を通じた職業の安定及び地位の向上を図る観点からも重要である。
     また、今後、若年労働者を始めとした技能労働者の確保、次代を担う労働者への技能継承、生産性向上にも資する多能工化の推進等、様々な観点から、一層その重要性、必要性は高まっている。
     特に中小建設事業主では個別に教育訓練等を行いにくい状況にあり、業界が行う教育訓練等の取組の支援が重要となっている。
     このため、建設労働者の育成・確保に重要な役割を果たしている認定職業訓練等の実施の促進に向け、関係行政機関と密接に連携しつつ、引き続き支援を行うとともに、短期的な教育訓練である技能実習に対しても引き続き支援を行う。
     また、事業所内教育訓練の実施体制の整備が困難な中小建設事業主等の自主的な教育訓練を促すため、地域の職業能力開発のための総合的センターとして公共職業能力開発施設等を活用し、職業訓練指導員の派遣、施設使用の便宜の提供等を行う。
  • (2) 様々な労働者が集団として作業を進めている建設現場の実態に即した実践的な技能の向上などを図る観点から、建設現場における業務を通じた教育訓練の活用を図ることとし、広域的な教育訓練を支援する観点から富士教育訓練センター等における教育訓練に対して引き続き支援を行うほか、公共職業訓練を活用し、地域や業界の人材ニーズ等に基づき、建設労働者に係る職業訓練を実施する。
  • (3) ニーズに対応した即戦力になるように実践的な知識と能力を有する技能労働者の育成を行う必要がある。
     このため、建設事業主が雇用する労働者に生産性向上のためにOJTとOFF-JTを組み合わせた雇用型訓練を実施する場合、訓練に要した費用の一部を助成することにより、企業内における実践的な人材の育成を促進する。
     あわせて、建設機械等の運転技能に加えパソコンスキルや企業実習を組み合わせた総合的な技能を習得する訓練を公共職業訓練で実施するとともに、求職者支援訓練における同様の取組も推進する。
  • (4) 一人一人の労働者の希望、適性や能力を踏まえた職業能力開発の実施を支援し、若年労働者等を確保する観点から、建設業における技能労働者のキャリア形成に向けた適切な資格の取得、それに向けての教育訓練と、取得した技能に見合った処遇等とを関連づけた望ましいキャリアパスについて検討し、建設業を目指す若年者等に提示することが求められている。
     このため、これらの取組を実施する建設事業主団体等に対して支援を行う。
     あわせて、技能労働者のキャリアパスの見える化のための処遇改善を行う事業主に対する支援を行う。
     さらに、労働者の職業能力が企業内のみならず、広く社会一般において適正に評価されるよう、技能検定制度や職業能力評価の仕組みの活用等を図ることにより、職業能力の見える化を推進する。
  • (5) 設計、事務、管理部門はもとより、建設現場部門においても、工程や品質管理等多様な場面で情報技術の活用が進むこと、また、職業能力開発を効率的に行う観点から情報技術の活用が有効な場合があると考えられることから、情報技術の活用能力を高めるとともに、情報技術を活用した職業能力開発について、環境整備を図る。
  • (6) 建設業は重層下請構造の中で分業化が進み、現場に入る延べ人数が多く、技能労働者の稼働率が低いため、他産業に比べて労働生産性が低くなっているとの指摘もある。稼働率向上のためには、手待ち時間の短縮が効果的であるため、生産性を向上させ、労働時間の短縮や賃金等の処遇の改善につなげる一方策として、一人の技能労働者が受け持つ仕事を増やす、多能工化にも資する職業訓練を推進する。

(2) 労働者の自発的な職業能力開発の促進

 建設労働者に対する職業能力開発は、各々の事業主が責任をもって行う必要があるが、建設労働を取り巻く環境が変化する中で、一人一人の労働者が自己の技術・技能をより一層向上させるためには、労働者が自発的に職業能力開発を行うことも重要である。また、労働者の就労意識や就労形態の多様化が進む中で、一人一人に対応した適正なキャリア形成の必要性が高まっている。
 このため、労働者がキャリアコンサルティングを受けることができる機会の確保のための支援、「生涯を通じたキャリア・プランニング」及び「職業能力証明」のツールであるジョブ・カード(職業能力開発促進法(昭和44年法律第64号)第15条の4第1項に規定する職務経歴等記録書をいう。)の普及促進、公的職業訓練や教育訓練給付制度の活用等を通じて、建設業においても労働者のキャリア形成を促す。

(3) 熟練技能の維持・継承及び活用

 建設業における技能労働者については、高齢化が進む一方、入職者は減少しており、今後、熟練技能を有する高年齢層の労働者が大量に離職するとともに、このまま若年者等の入職が進まなければ、将来的に技能労働者が不足する懸念があり、これまで建設業を支えてきた熟練技能の維持・継承及び活用が困難になりつつある状況にある。
 技術・技能の継承には、一定の時間を要することに鑑み、若年者に対する各種の取組を通じて、技術・技能の継承を容易にしていく足がかりを構築する必要がある。
 若年者の技能離れが見られる中で、技能の振興や技能労働者の地位の向上を図るため、基幹技能者の確保・育成・活用、技能検定制度の着実な実施、特に若年者に対する積極的な受検勧奨に加え、技能五輪全国大会等各種技能競技大会の実施や技能五輪国際大会への選手派遣支援、技能者に対する各種表彰により、技能の魅力や重要性の啓発を行う。
 また、ものづくり分野を中心とした熟練技能の重要性についての国民各層の理解を深め、技能の受け皿となる若年人材の継続的な確保を図るため、熟練技能者の派遣等による技能講習の実施や、技能者による技能の実演を通じた技能者との交流等を実施する。
 さらに、児童・生徒やその親に対しては、技能やものづくりの関心を深めるため、公共職業能力開発施設、業界団体、教育機関等関係機関との連携により、技能やものづくりの魅力に触れる機会を作る。
 熟練技能の継承、維持を図るための若年労働者への教育訓練や次代を担う若年技能労働者の育成に当たり、技能労働者が不足する職種等についての教育訓練等の取組の支援を行う。また、高年齢者が若年者へ建設技能を指導する方法に関する訓練を行う事業主、事業主団体等に対して支援を行う。

5  雇用改善推進体制の整備

(1)  建設事業主における雇用管理体制等の整備

 建設労働者の募集、雇入れ、技能の向上、職業生活上の環境整備等に関する下請事業主に対する指導等の元請事業主の役割が適切に果たされるようにするとともに、雇用管理研修の内容改善、自主的な研修の実施やコンサルティング等による雇用管理改善を支援すること等により、建設事業主における雇用管理体制を充実させる。

(2)  事業主団体等における効果的な雇用改善の推進

 専門工事業者団体等中小建設事業主団体が行う自主的な雇用改善の取組の推進について引き続き啓発・指導を行うとともに、専門工事業者団体等中小建設事業主団体の取組についての支援を引き続き推進し、雇用改善、若年労働者の確保等を図る。

(3)  地域の実情を踏まえたきめ細かな雇用改善の推進

 地域における雇用改善の推進のための目標の設定やその実現に向けた具体的な取組を建設事業主や事業主団体等が共同して実施することについて、必要な指導及び援助を行うことにより、地域の実情を踏まえたきめ細かな雇用改善を推進する。

(4)  建設雇用改善助成金制度の活用等

 建設労働者確保育成助成金制度について、建設業におけるニーズを踏まえながら、継続的な政策評価に基づき、見直しを行い、効率的かつ効果的な運用を図る。
 また、中小零細建設事業主等による助成金の積極的な活用に資するため、引き続き、助成制度の周知徹底等に努める。

(5)  関係行政機関相互の連携の確保等

 建設労働者の雇用改善について、都道府県労働局と関係行政機関等の連絡協議の場等において情報や意見の交換等を積極的に行う。

(6)  雇用改善を図るための諸条件の整備

 建設業における雇用改善を図るためには、重層下請構造、代金支払い等に関する慣行等の建設業における諸慣行や、近年の競争の激化に伴うダンピング受注など、建設業における生産の仕組みに関わる事項について建設業行政等を始めとする関係行政機関による指導等を引き続き行うとともに、関係事業主等においても、当該事項について理解を深め、適切な対応を行う必要がある。
 特に、受注競争の激化に伴うダンピング受注については、建設事業主の経営を圧迫し、技能労働者の賃金の低下を始めとする就労環境に悪影響を及ぼすことが懸念されている。

  • (1) このため、法令で規定された安全対策の実施や労働保険及び社会保険への適正な加入など労働関係法令等の遵守に不可欠な経費を始めとする労務関係諸経費の確保、適切な工期の設定等について、引き続き、建設業行政等を始めとする関係行政機関による指導等により、公共工事の発注者及び民間事業者において建設労働者への適切な対応を行うことにより、雇用改善を推進する。
  • (2) 特に、予定価格の適切な設定、ダンピング対策の強化、施工時期等の平準化、発注体制が十分でない市町村等の発注者に対する支援、生産現場における多能工の活用など、建設労働者への適正な賃金支払い、労働時間の短縮等の労働条件の改善に資する公共工事の発注を推進するための方策や、公正な受注環境の確保について、各発注者が相互に緊密な連携を図りながら進める必要がある。あわせて、民間事業者がこうした取組を進める必要がある。
  • (3) 他方、情報技術を活用して技能労働者の資格や工事経験等を蓄積し、技能評価等に活用できる仕組みの開発に向けた取組について、官民による検討がなされており、このような雇用改善につなげていく取組にも注視していくことが重要である。

5  円滑な労働力需給の調整等による建設労働者の雇用の安定等

  • (1) 建設業務有料職業紹介事業及び建設業務労働者就業機会確保事業については、制度の趣旨に沿った適正かつ効果的な事業運営を確保する。
     特に、建設業務労働者就業機会確保事業については、当該事業が建設労働者の雇用の安定のための労働力需給調整機能を持つことを踏まえ、一時的に労働力の余剰が生じる建設事業主のみが送出可能であって、送出就業に従事させることを目的として労働者を雇用することや、建設業務労働者就業機会確保事業を主たる業務内容とする部署を設けること等趣旨に反する事業運営を行うことはできないことについて、指導等を行う。
     なお、建設事業以外の事業を主に行っている建設事業主については、建設事業以外の事業において建設業務労働者を活用する等によりその雇用の安定を図ることが適当であり、建設業務労働者就業機会確保事業は実施しないことが適当である。
  • (2) 中間搾取の防止等を図るため、建設雇用改善法第12条第1項に定める実施計画の認定並びに建設業務有料職業紹介事業及び建設業務労働者就業機会確保事業の許可に際しては、申請内容の確認及び審査を厳格に行う。
     なお、実施計画の認定に当たっては、労働政策審議会の意見を踏まえて行う。
  • (3) 実施計画を作成し、その実施に責任を有する事業主団体の役割が重要であることから、事業主団体において、
  •  ア 構成事業主、労働者、受入事業主の元請等関係者に対する制度の趣旨、内容等についての周知・啓発並びに送出事業主及び受入事業主に対する適正な事業運営に関する指導監督及び相談援助を行うこと
  •  イ 労働者の雇用の安定を重視して、適正な職業紹介を行うほか、送出事業主及び受入事業主の組合せを検討すること
  •  ウ 送出労働者について、送出事業主に対し、労働保険及び社会保険に適正に加入するよう促すこと
  •  エ 求人者及び求職者並びに送出事業主、受入事業主、送出労働者等からの苦情について、適切な処理を図ること
  • 等の措置が講じられるよう、事業主団体に対して指導を行う。
  • (4) 建設業務有料職業紹介事業及び建設業務労働者就業機会確保事業の実施状況を把握し、適切に指導監督を行うとともに、送出労働者等からの申告に適切に対応する。
    また、建設事業主、事業主団体、労働者等に対して、制度の趣旨、送出事業 - 16 - 主及び受入事業主に課される使用責任の内容、送出労働者等からの申告制度等について周知・啓発を図る。

6  外国人労働者への対応

 外国人建設技術者や外国に特有の建築又は土木に係る技能を持つ外国人労働者等の専門的・技術的分野の外国人労働者の受入れについては、我が国の経済社会の活性化や一層の国際化を図る観点から、より積極的に推進することとするが、いわゆる単純労働者の受入れについては、国内の労働市場にかかわる問題を始めとして我が国の経済社会と国民生活に多大な影響を及ぼすこと等から、国民のコンセンサスを踏まえつつ、十分慎重に対応することが不可欠である。

  • (1) 以上の基本方針の下、外国人労働者の就労環境の整備を図るため、公共職業安定機関の外国人求職者等に関する職業紹介、職業相談機能・体制の一層の整備・充実に務め、雇用管理の改善を図るための事業主への指導、援助等の一層の充実を図るとともに、労働基準関係法令等に基づき外国人労働者の労働条件及び安全衛生の確保を図る。
     また、不法就労等の防止のため、関係行政機関との連携・協力の下、事業主への啓発・指導等的確な措置を講ずる。
  • (2) 他方、復興事業の更なる加速を図りつつ、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の関連施設整備等による一時的な建設需要の増大に対応するため、緊急かつ時限的措置として、処遇改善や現場の効率化等により国内での人材確保に最大限努めることを基本とした上で、即戦力となり得る外国人材(技能実習修了者)の活用を図る外国人建設就労者受入事業を実施する(平成32年度で終了)。

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