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第4回 日独高齢化シンポジウムについて

 

2015年5月4日(月)から5日(火)にかけて、第4回日独高齢化シンポジウムをドイツ(ベルリン)にて開催しました。

 

1 事業開始の経緯

 

 2007 7月、ドイツ連邦保健省より、日独間で介護保険制度に係る情報を交換することについて提案がありました。これを受けて2008年度から交流を始めることについて両国が合意し現在に至っています。

 

2 これまでの実績

 

 両国政府の代表が、社会保障分野全般について、経験の情報交換、政策対話を日独交互に定期的に開催しています。テーマは、開催毎に両国間で協議して決定しています。

 第12009年2月 日本開催(日独仏三か国共同)認知症高齢者ケア、介護制度等
 第22011年8月 ドイツ開催 住居と介護、地域包括ケアセンター等
 第32013年4月 日本開催  医療IT、地域医療等

 

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3 今回の交流事業の概要

(1)テーマ:「高齢社会における予防」

  • その他 基調講演「介護と予防の分野における新たな取組」
  • その他 セッション1「予防政策における日本とドイツの共通点と相違点」
  • その他 セッション2「職場における健康増進と予防」
  • その他 セッション3「認知症の予防」
  • その他 セッション4「高齢期における予防」

 

シンポジウムの開会にあたり、厚生労働大臣及びドイツ連邦保健大臣が基調講演を行い、その後、各セッションのテーマに沿った日独代表からのプレゼンテーションと議論が行われました。

 

 

(2)出席者

 

日本政府からは、塩崎厚生労働大臣、新村健康局長 泉労働衛生課長、迫井老人保健課長、水谷認知症・虐待防止対策推進室長他が出席しました。
ドイツは、連邦保健省のグレーエ大臣、クラウスハー第4局長他、ドイツ連邦健康啓発センター、企業疾病金庫連合会等から出席されました。
また、一般参加者約40名が出席しました。

 

(3)議論の概要

■開会講演

 

   ドイツ連邦保健大臣から、連邦保健省は連邦教育・研究省、連邦経済・エネルギー省、連邦交通・デジタルインフラ省等とともに「人口動態戦略」に取り組んでおり、現在、連邦議会に「予防法」を提出中であることや、認知症に対応した要介護認定制度の見直しにも取り組んでいることが紹介されました。また、少子高齢化を共通課題とする両国の取組は他国の模範になるものであり、健康で生きがいを持てる高齢者を増やすことが重要である旨の発言がされました。
 厚生労働大臣からは、日本も健康長寿社会の形成に取り組んでいることや、「非感染症疾患の予防」、「介護予防」及び「認知症施策」の取組についての紹介がありました。また、社会保険方式で医療や介護を保障する制度的枠組みを持つ点で共通する両国が交流を深めることは、相互にとって極めて有意義である旨の発言がされました。

 

■セッション1「予防政策における日本とドイツの共通点と相違点」

 

  日本では、少子高齢化に伴い高齢化率が上昇しており、2060年には、65歳以上の高齢者が約40%を占めることが見込まれています。GDPに対する総医療費比は比較的低値を維持していますが、今後の増加が予想されていることから、医療費抑制を図ることは大切な課題です。そのため、生活習慣と社会環境の改善を通じて、健康寿命の延伸・健康格差の縮小を目指していること等が説明されました。

  ドイツからは、現在連邦議会に提出されている、健康増進と非感染症疾患の予防のための「予防法」等について説明がされました。この法律でも健康寿命を延ばすことが目標の1つとされています。

  また、ドイツ政府が設立した連邦保健啓蒙センターの取組が説明されました。当センターは16の州全てに窓口があり、非感染症疾患と感染症の予防等を、妊娠期~幼少期~職場~高齢期を通し、ライフステージに合わせながら一元的に行っていること等が説明されました。
 両国からの発表や議論を通じて、両国の高齢化を取り巻く状況が似ていることや、健康寿命を伸ばすことの重要性が共有されました。

 

■セッション2「職場における健康増進と予防」

 

    両国は、職場における健康増進と予防に向けて様々な対策を実施しています。

  日本では労働安全衛生法に基づき、仕事による労働者の健康障害を防ぐための様々な対策について、最低基準を示し、事業者に義務付けています。健康診断が義務付けられているほか、健康保持増進のための措置を講ずることが努力義務とされています。そのほか、昨年の労働安全衛生法の改正により、今年12月から職場の新たなメンタルヘルス対策(ストレスチェック制度)が導入されることとなりました。

  ドイツでは健康増進対策費約2.7億ユーロのうち、約1.8億ユーロを予防に充てています。「予防法」では、地域と疾病金庫(医療保険者)が連携して健康促進に取り組むことや、会社の医師やコンサルタントの責任の明確化等が定められました。また、ドイツでもストレス問題が増加しているため、連邦保健省と連邦労働・社会省が連携して、職場におけるメンタルヘルスの促進に取り組んでいます。また、労働災害が企業規模100人~499人で最も多いことから、イベント開催等を通じて中小企業における予防対策促進にも取り組んでいます。

  両国からの発表や議論を通じて、職場における健康増進に事業者が主体的に取組む環境づくりの重要性が確認できました。また、両国で職場のメンタルヘルスが問題となっているなど、課題が類似していることも明らかになりました。

 

■セッション3「認知症の予防」

 

  高齢化が著しい日本では、65歳以上の高齢者の4人に1人が認知症又はその予備群であり、 認知症の高齢者の割合は、今後上昇するものと考えられています。 認知症は誰でも関わる可能性のある身近な病気であり、認知症になっても生活しやすい環境を造る必要があります。認知症を正しく理解することや、認知症の初期段階で正しい診断を受けることも重要です。 また、かかりつけ医と介護サービス間の連携を密にすることも重要です。

  ドイツでも高齢化が進展しており、認知症の人が増加する一方で、介護に従事する労働力が減少することが予測されています。認知症を予防するためには、危険因子を減らすとともに、防御因子を増やすことが重要です。運動は認知症予防に効果があり、毎日30分程度動、特にジョギングが良いと考えられています。糖尿病にかかっている人の方が認知症に罹患するリスクが高いことから、糖尿病を早期にケアすることも重要です。

  認知症は誰でも関わる可能性のある身近な病気ですが、残念ながら今は認知症を完治させる薬が存在しないため、認知症を予防すること、認知症になっても認知症とともによりよく生きていくことが重要です。生活習慣を見直し、適度な運動と健康的な食生活を送ることが重要との認識が共有されました。

 

■セッション4「高齢期における予防」

 日本の介護保険受給者は、介護保険創設以降増加してきましたが、団塊の世代が75歳以上となる2025年までの10年間も急速に増加することが見込まれています。要介護状態となっても住み慣れた地域で生活できるようにするためには、コミュニティの構築など、地域作りが重要です。また、高齢者の生活支援サービスを充実させるとともに、高齢者の生きがいや介護予防にも繋がることから、高齢者に地域活動やボランティア活動などの社会参加をしていただくことも重要です。
 ドイツ側からは、高齢者のモビリティーについて説明されました。モビリティーは、自発的に体を動かせることを指す概念であり、寝返りなどの日常的な動きを含むものです。モビリティーの低下は介護を必要とすることとなり、介護施設利用者の76%は何らかのモビリティーが制限されているとのデータがあります。生活の質にも影響を与えることから、モビリティーを維持させるためのエクササイズ等をさせる動機付けが課題の1つとなっています。
 高齢者になってからも社会参加をすることは、モビリティーの維持にも繋がるものであり、住み慣れた地域で生活するために重要との認識が共有されました。

 

「会議の様子」

 

 

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