福祉・介護世界アルツハイマーデー及び世界アルツハイマー月間に寄せて(メッセージ) 令和4(2022)年度

一般社団法人日本認知症本人ワーキンググループ(JDWG)からのメッセージ

世界アルツハイマーデー・アルツハイマー月間に寄せて
 
                        一般社団法人 日本認知症本人ワーキンググループ(JDWG)
                                        代表理事 藤田 和子
                  
  ~~~~~  認知症の本人発信を続けることで、認知症の人への見方を変えていこう  ~~~~~
                                                        
 終わりの見えないコロナ禍、日夜私たちの暮らしと命を守るために力を尽くしてくださっている全ての皆さんに心からの感謝と敬意を表します。
 
 私たち認知症の本人も、身近な仲間や親しい人にさえ思うように会えない暮らしが始まってもう2年半余りが経ちます。みなさんと同じように、その時々の社会状況に対する不安やストレスを感じることが多くあります。私自身、これまで認知症の本人として、多くの仲間たちとともにさまざまな活動をしてきましたが、この2年半余りは、地元でもこれまでのような活動の仕方に工夫を重ねる日々を過ごしています。
 この2年半の間に多くのことを身につけることもできました。当初はとても大変だと感じたパソコンを使ったリモート会議や打ち合わせも、いつのまにか日常の一コマとなり、画面ごしではありますが多くの方々とお会いすることができています。マイナスの状況をプラスに変えていくことは、認知症になってからの工夫のひとつです。
 私はそういったことを自分自身の「暮らしのイノベーション」だと感じています。さまざまな制約を受ける中で、認知症とともに生きていくことは、本人だけではなく一緒に暮らしている家族などのみなさんにとっても、多くの試行錯誤と工夫の毎日ではないでしょうか。その時々に、失ったことを補う工夫にとどまらず、よりよい暮らしを見つけていくこと、地域でともに暮らし続けていくための工夫を見出していきたいと思っています。
 その工夫は、認知症とともに生きることへの「希望」を生み出していくことなるように思います。私たち認知症の本人が感じた不安や困難、それを乗り越えるためにどんな工夫をしてきたか、暮らしの中の喜びや楽しみをどのようにして見つけてきたか、今こそ、認知症の本人だからこそ生み出してきた知恵や経験を発信することが、社会の多くの人たちが認知症の人への見方を変えていく一歩にもつながる大事なアクションだと思っています。
 
 私たちJDWGでは、今年も全国各地の世界アルツハイマーデー・アルツハイマー月間の取り組みと協働し、「認知症とともに生きる希望宣言」を多くの人に伝える「希望のリレー活動」を行っています。みなさんがお住まいの地域で、認知症の本人と出会い語らうことで、ともに生きること、ともに暮らすまちを創っていきましょう。
   
                                            令和4年9月

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