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第2回 救急医療搬送体制等のあり方に関する検討会(議事録)
医政局地域医療計画課 救急・周産期医療等対策室
日時
場所
(〒105-0004 東京都港区新橋 1-18-1 航空会館)
議事
2026-8-19 第2回救急医療搬送体制等のあり方に関する検討会
○森田病院前医療対策専門官 定刻となりましたので、ただいまから第2回「救急医療搬送体制等のあり方に関する検討会」を開催いたします。
構成員の皆様方におかれましては、お忙しい中、御出席くださいまして、誠にありがとうございます。
進行を務めさせていただきます厚生労働省医政局地域医療計画課の森田と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
本日は、対面及びオンラインによる開催とさせていただきます。
オンラインでの参加に係る留意事項につきましては、事前に送付しております「オンライン参加の留意事項について」を御覧ください。
また、今回の検討会につきましては、公開の検討会として実施し、資料や議事録については厚生労働省ホームページにて公開、事前に御希望があった報道機関の方の傍聴、YouTubeでのライブ配信と併せての開催となります。
なお、前回に引き続き、今回もYouTubeでのライブ配信を行っておりますが、会議では専門的かつ多角的な観点から率直な意見交換を行う必要があるため、特に配信に関しましては、発言の趣旨が誤って受け止められることのないよう、また、構成員への誹謗中傷や不当な圧力につながることのないよう、視聴される皆様には御理解と御配慮をよろしくお願いいたします。
さて、本日の出席者は、会場にお越しいただいている方とオンラインで参加されている方がいらっしゃいます。オンラインでは風間構成員、佐藤構成員、西山構成員、山下参考人が参加されています。そのほかの方々には会場にお越しいただいております。
まず、御発言の方法から確認させていただきます。オンラインで参加されている構成員の方々におかれましては、御発言の際はZoom画面の下部にございますリアクションボタン、または参加者一覧の下部から「手を挙げる」をクリックし、座長の指名を受けてからマイクのミュートを解除し、お名前の後に御発言をお願いいたします。御発言終了後は再度マイクをミュートにし「手を挙げる」を解除していただきますようお願いいたします。「手を挙げる」ボタンがない場合は、代わりに画面に向かって手を挙げていただくなどして御表明をお願いいたします。
続きまして、資料の確認をさせていただきます。
議事次第、座席表のほか、
資料1「第1回検討会における構成員の主な御意見」
資料2「航空法令等における安全規制の概要」
資料3「救急医療搬送体制等のあり方に関する検討会第二回説明資料」
資料4「兵庫県内ドクターヘリにおける2パイロット運用の導入について」
資料5「和歌山県ドクターヘリ機体独自調達の経緯と課題」
以上をお配りしておりますので、御準備いただきますようお願いいたします。
不足、落丁等ございましたら事務局までお知らせください。
また、今回は参考人として、国土交通省航空局安全政策課運航基準高度化企画調整官、細川様、和歌山県福祉保健部福祉保健政策局医務課地域医療班長の藏光良様が会場に御出席いただいております。兵庫県保健医療部長の山下輝夫様はオンラインでの参加となります。
以上でございます。
報道の方で冒頭カメラ撮りをしている方がおられましたら、ここまででお願いいたします。
それでは、坂本座長に以後の議事進行をお願いいたします。
○坂本座長 おはようございます。座長を拝命している公立昭和病院の坂本です。
それでは、本日の第2回「救急医療搬送体制等のあり方に関する検討会」を始めさせていただきます。
早速ですけれども、議事に移らせていただきたいと思います。前回第1回では、ドクターヘリ事業につきまして、現状と課題について御報告いただいて、現状についての共有をさせていただいたところだと思います。
本日は、前回に続きまして、ヒアリングと質疑を通して、より深掘りをして、この課題について検討を積み重ねていきたいと思います。
まず最初に、議題1「救急医療用ヘリコプターの現状、主な論点について」、厚生労働省より御説明をお願いいたします。
○山崎救急・周産期医療等対策室長 事務局の山崎と申します。
資料1について御説明いたします。本資料は、第1回検討会において構成員の皆様から頂いた主な御意見を論点ごとに整理したものです。
まず、運航休止への対応として、運航休止が発生している地域において自治体による安定的な運航体制をいかに早期に確保するかが喫緊の課題であるとの意見がありました。そのための短期的な対応として、隣県との広域運航や共同運航、兵庫県において導入予定とされている2パイロット運用、さらには規制や要件の見直し等により当面の安定運航を確保する方策を検討すべきとの意見がありました。また、ドクターヘリとドクターカーの役割についても改めて整理が必要であるとの指摘がありました。
続いて、広域連携・共同運用の在り方に関する意見です。構成員からは、近隣県との連携運用は進んできているものの、完全な統合運用には至っていない、本来であればオーバーラップする地域では県境に捉われず最も近い機体が出動することが望ましいものの、実際には県内事案を優先する考え方が残っており、費用負担や出動優先順位の整理が課題となっているとの意見がありました。また、消防防災ヘリでは都道府県間の協定が整備されている一方で、ドクターヘリは都道府県単位の運用が基本となっていることから、共同運用や広域連携の在り方について検討が必要であり、国として解決すべき課題となる可能性があるとの意見を頂きました。さらに、広域搬送の需要が増加する中、ドクターヘリ、消防の救急車等がそれぞれ役割を担っている現状を踏まえて、需要に即した役割分担や連携を整理する必要があるとの指摘がありました。
次に、ドクターヘリの役割の再検討です。構成員からは、地域や疾病構造の変化を踏まえながら、ドクターヘリの役割、有効性、さらには経済効果についても検証する必要があるとの意見がありました。また、迅速医療介入と広域医療搬送という2つの役割を改めて整理し、医療機関の集約化や人手不足が進む中で拡大している広域搬送需要への対応を検討すべきとの意見もありました。加えて、ドクターカーや救急車では代替しにくい地域や場面が存在することから、ドクターヘリは地域の救急医療体制における重要な社会資源としてできる限り維持していくべきとの意見がありました。さらに、将来的な配置や機数を含めた全体的なグランドデザインを描くべきではないかとの指摘もありました。
続いて、機体確保等に関する対応です。人件費や機体価格、部品価格の高騰により、実際の運航経費は年々上昇しており、事業者の努力のみでは対応が難しくなっているとの指摘がありました。また、機体価格の高騰により機体更新が容易ではなくなっていることや、予備機の常時確保は民間事業者にとって非常に大きな投資負担となっているとの意見がありました。さらに、入札は運航開始の約6か月前に行われる一方で、新造機の調達には数年を要することから、事業者による先行投資リスクが大きいという課題も指摘されました。こうした状況を踏まえ、国や自治体による財政支援の在り方についても議論が必要との意見がありました。
次に、操縦士・整備士等の人材確保・養成・定着に関する意見です。構成員からは、既にライセンスを保有する人材の規模や養成可能数等、現状を把握するためのデータが必要であるとの指摘がありました。また、整備士については、安全確保を前提としつつ、5年以上の実務経験要件の見直しや緩和の可能性を議論すべきとの意見がありました。操縦士については、年齢構成が航空業界全体と比較して特に高齢化しているか、確認が必要との指摘があったほか、機長要件を満たす飛行時間の確保が難しくなっているという現状を踏まえ、若手人材の計画的な養成が必要との意見もありました。さらに、新たな運航箇所への参入には、操縦士や整備士の採用、育成に年単位の時間を要することについても指摘がありました。
勤務環境・安全運航の確保についてです。勤務環境に関しては、長時間労働の問題が安全運航の観点からも重要な課題であるとの意見がありました。また、人材確保や離職防止、安全運航の観点から、出動待機時間の在り方についても検討が必要との指摘がありました。
続いて、消防防災ヘリ・ドクターカー等との連携・分担に関する意見です。消防防災ヘリがドクターヘリを補完している事例を踏まえ、消防防災ヘリでは整備士不足による運航不能が生じていないのか、自主運航と委託運航で違いがあるのかを確認する必要があるとの意見がありました。また、ヘリだけでなく、ドクターカーや病院救急車など陸上の搬送体制についても強化し、空と陸を組み合わせた対応が必要であるとの指摘がありました。加えて、ドクターカーについては地域医療を支えるセーフティーネットとして、公的事業としての位置づけや補助制度の検討が必要との意見もありました。さらに、地域の地理的条件に応じて、どの搬送手段が有効であるかを整理する必要があるとの意見がありました。
地域の実情に応じた運用・配置の見直しについてです。地域特性に関しては、島嶼部、山間部、都市部等で課題が大きく異なることから、各都道府県における運用状況や課題を改めて把握する必要があるとの指摘がありました。また、一律の考え方ではなく、地域の実情を踏まえた運用の見直しや隣県との相互応援による効率化を進めるべきとの意見もありました。中山間地域や豪雪地帯では、ドクターヘリだけでなくドクターカー等との併用も重要との意見があり、地域特性や疾病構造の変化に応じた搬送体制の検討が必要との指摘がありました。
最後に、搬送需要に応じた担い手の確保についてです。構成員からは、地域ごとの搬送需要を把握し、需要と供給の両面を数値化する必要があるとの意見がありました。また、地方では、運航側のみならず、医師や看護師を含む医療側のマンパワーについても限界に近づいているとの指摘がありました。さらに、ドクターヘリのみならず、救急車や医療人材を含めた地域全体の搬送体制として検討する必要があることや、タスクシフトの観点から、救急救命士の活用、役割拡大についても検討が必要との意見がありました。
以上が第1回検討会における主な御意見の概要です。
○坂本座長 ありがとうございます。
事務局からは前回第1回の検討会で各構成員から出た御意見をまとめていただきました。本日も、前回と同じく、これから各参考人により資料の御説明を頂きますので、全ての資料の御説明を頂いた後に総合的な議論を質疑応答という形でさせていただきたいと思います。
次に、国土交通省航空局より、資料2「航空法令等における安全規制の概要」につきまして、御説明をお願いいたします。
○国土交通省 細川運航基準高度化企画調整官 ありがとうございます。
航空局安全政策課の細川より御説明させていただきます。
「航空法令における安全規制の概要」と題しまして発表いたします。
航空法でございますけれども、ここに書いてあるとおりでございまして、国際的に民間の航空条約、いわゆるシカゴ条約というものがございまして、各国がこれに従って国際的な航空、空の飛び方などのルールを見ているような状況でございます。それに基づきまして、国際民間航空機関、ICAOと呼ばれる組織がございまして、その条約に基づいて航空機の耐空性や航空従事者の免許などに関する国際標準及び勧告方式を条約の附属書として採択・改正しているような状況でございます。
国際標準と勧告方式でございますが、この条約に基づきまして、条約附属書という、細部を規定している附属書が19ほどございまして、それに各運航、ライセンスの話、空港での運用、そういったものの細かいルールを定めているような状況でございます。国際標準につきましては、国際航空のために統一した運用が望ましいと認められた基準、勧告方式はリコメンデーションというものですが、推奨事項として各国で努めていただくような記載がございます。シカゴ条約または附属書をベースに、我々日本では、航空法、それに基づく航空法施行規則を作成しておりまして、国際標準に準拠するような形で法令を定めております。
航空法の中身についてですが、特に航空の事業の関連についてどのようなルールが定められているのか、主な部分を抜き出してきております。まず、航空運送事業の許可、ここでは航空法100条に基づきまして、運航の計画をつくっていただきまして、どのようなルートでどのような時間帯に飛ばすのか、そういったものの運航計画を提出していただきまして、航空局で検査し、許可を出すというものになっております。運航計画に基づきまして、付随するものとして管理施設等の検査、実際の検査をさせていただくこと、また、運航の詳細なルールを各航空会社に定めるように求めている運航規程と、各航空機、ヘリの整備の詳細を定める整備規程を航空会社に要求しておりまして、そちらも提出いただき、審査し、許可するという流れになっております。
ここまでが事業を始めるまで、事業を変更する場合の許可のお話でございますが、実際、運用が開始された後は、報告徴収及び立入検査を実施させていただいております。立入検査では、事業者の方々の本社、運航・整備の基地及び訓練施設、実際の運航便に対して立入検査を行いまして、会社の業務が適切に行われていることを確認させていただいております。もしこれまで許可などで提出していただいている情報や計画につきまして、是正が必要と認めた場合には、その都度改善するような指導をしているという状況でございます。
その他法令につきましては、航空機の耐空性、機体の安全性、航空従事者の技能証明、ライセンスも監督しているような状況でございます。
特に今回のお話で申しますと、運航規程及び整備規程のところでございますが、ここがまさに運航の詳細なルール、整備の詳細なルールを定めております。まず、運航のほうですが、特に運航の管理方法、操縦士の訓練、経験、そういったところを定めていただく形にしております。そのほか、運用の方法の具体的なやり方、方法や限界につきましては、航空機を製造するメーカーがつくっているマニュアルに準拠して、それに基づいて運用方法、限界値を定めるということになっております。
また、整備規程のほうも同様でございまして、整備の人数、基地にはどのような設備が必要なのかなどを整備規程には求めております。特に整備の方式、そういったものにつきましても、航空機の製造メーカーがつくっているマニュアルや技術的な資料に基づいて整備規程類を航空会社が定めていただいて、それによって安全性を維持していただくというところを監督しております。
私から御説明は以上とさせていただきます。
○国土交通省峯村補佐 航空局乗員政策室の峯村と申します。
前回第1回で航空局の宿題となっていた事項がございましたので、私から補足の御説明をさせていただければと思います。
まず、前回御説明したとおり、先ほど事務局からの説明にもありましたけれども、ドクターヘリの機長要件を満たすための飛行時間の確保は、飛行経歴1000時間が求められるところですが、ドローンの登場などで経験を積む機会の不足がありまして、関係省庁での議論の結果を踏まえまして、令和10年度から航空大学校において、ライセンス取得済みのヘリコプター操縦士に対して、飛行経験や基礎的な技術の習得を積んでいただくコースを開設する準備を進めているところです。開始当初につきましては、ドクターヘリで今後不足が見込まれる年間10名規模ぐらい航空大学校での養成を検討しています。こちらの数字が前回宿題となっていましたので、御回答させていただきます。
もう一点、人材不足の影響として、前回、コロナの影響を挙げておりました。ただ、回転翼と飛行機のほうで少し事情が違うのではないかという御指摘がございました。コロナの影響ですが、ヘリコプター全体の飛行時間については、コロナ禍で飛行機の運航のように大きくへこんだというものではなく、操縦士や整備士の総数も大きくは変動せず、近年は横ばいといった状況になっております。一方、前回も御説明させていただきましたが、コロナ禍で航空業界への不安があり、航空機整備士を目指す、特に航空専門学校の入学者が大きく減少してしまいました。ただ、航空専門学校ですが、固定翼と回転翼の整備士、両方になれる専門学校もございまして、そういったところは、入学後に半年とか1年ぐらい基礎的な教育をした後、どちらを専門に行くのかといったところでコースが分かれる学校もございます。そういったところは、そもそもの入り口が減ってしまうと、回転翼も含めて今後の影響が出てしまうという懸念があります。そういった影響は回転翼も含めてあるのかと思っているところですので、裾野拡大は、大型機のみならず、小型機、ヘリコプターを含めて我々としてもやっていかなければならないと認識しているところでございます。
補足説明として以上でございます。
○坂本座長 ありがとうございました。
国土交通省航空局より、航空法令等に関する安全規制の概要及び前回議論された回転翼の操縦士あるいは整備士の育成についての補足説明を頂きました。
それでは、続きまして、日本航空医療学会より、資料3「救急医療搬送体制等のあり方に関する検討会第二回説明資料」につきまして、御説明をお願いいたします。
○猪口座長代理
それでは、実際にヘリに乗ってドクターヘリとして活動している病院側から今の体制や課題がどう見えるかという視点でお話しさせていただきます。
ここにありますのは、平成30年の厚労省の通知に書かれたものをシェーマにした現在の運航及び安全管理体制です。御覧のように、ドクターヘリには、都道府県、ドクターヘリの基地病院、運航会社、警察、消防、地元の医師会等多くの組織が関与しており、典型的な多職種・多機関連携で成り立っておりますので、これをどう運用していくかというところが一番の課題になります。
現在、運航調整委員会というところで定期的に各機関との調整を図っており、安全管理については安全管理部会でこれも統一的に扱っています。例えば運航会社は運航会社として国土交通省の定める規則に従って安全管理をやって届出をしています。厚労省にはやはり医療上の問題を届けているのですが、実はそのはざまのような問題もたくさん起こってきます。そこについては統一的に扱うところがないので、安全管理部会で検討したり、あるいは学会としてもデータベース化して、問題点をフィードバックしています。
関連する職種も非常に多くて、ここに書いてあるのは主に関わっている職種になりますが、統括している地域のメディカル・ディレクターが1人います。ヘリに乗っている搭乗医師、搭乗看護師、これは最低1名ずつ乗っていますが、大きい機体だと3名、OJTを入れて4名ぐらい乗っていることもあります。CS(コミュニケーション・スペシャリスト)という運航管理者等で、基地にいて無線機で連絡を取っている方がいます。それから、当然、操縦士、整備士が搭乗しており、少なくとも5つの職種が一緒に働いているということになります。医師は、医療に責任を持ちます。看護師は現場の診療に関わります。操縦士は、飛行に関する意思決定を行っています。整備士は、整備のほか、地上の安全管理や飛行中の操縦士の補佐も行っています。ここに書いてありませんけれども、さらに、医療系と運航クルーとの間の意思疎通といいますか、情報共有のコアの役割を果たしているというところが結構重要です。左側が医療機関、右側が運航会社に所属しているという状況です。
今回、問題になっていた整備士が搭乗していないとどういった問題が起こるのかについて、こちらで各基地病院に意見を聞いた際に指摘があったものを説明させていただきます。
飛行の点検というのは、飛行する前と後と、飛行間に行われます。ドクターヘリに、出動要請があると、ヘリは現場近くの臨時離着陸場まで飛行して着陸します。そこで一旦エンジンをストップし、患者の手当てをしてからヘリに収容します。臨時離着陸場に着いから離陸するまでの間に行う点検が飛行間点検と呼ばれています。
操縦士の補佐、地上の安全確認、これは、着陸したときに見物の方が寄って来ると危険なので、制止して安全を確保します。搬送患者の搬入・搬出、患者の搬送補助も整備士に手伝っていただいています。
①の搭乗整備士はこれを全部やっています。この方が搭乗していない場合は、整備士として基地に滞在することになるので、ヘリが一度離陸してしまうと、その場にはいなくなります。従って、飛行前の点検と飛行後の点検は行えるけれども、それ以外のことは十分にはできなくなるということになります。
基準適合性の確認と書いてありますが、点検そのものは、ルールに従って訓練された方が実施すれば整備士の資格がなくてもよいのですが、行われた整備が基準適合性を満たしていることを確認するのは、有資格整備士でなければできません。整備士であって、さらに、通称確認整備士と呼んでいる、この確認行為を行う資格を会社から与えられている人の確認が必要です。会社そのものが認定事業場という整備と基準適合性の確認を行うことができる組織に認定されている場合は、会社の組織として確認主任者による確認行為が行われることが必要です。従って有資格整備士が搭乗していないと、飛行間にはこの確認行為できないということになります。
副操縦士として、2名パイロットにした場合どうかというと、この場合も基準適合性の確認はできません。ただ、それ以外のことは、先ほど国土交通省から御説明があったように、例えばパイロットが点検を行うと整備規程等に定められていれば、その方が行っても別に問題はありません。
操縦士でないその他の訓練された者も操縦士の補佐や安全確認等はできるはずです。ただし、ドクターヘリではこういった方は日本では存在しません。EUですとEASAの法律でHEMSテクニカルクルーとして訓練された方が乗務員に規定されていますので、それがこの役割を果たしています。
整備士が乗っていないと、特に飛行間の軽微な修理と基準適合性の確認ができません。軽微な問題、例えばドアがちゃんと閉まらないなどが起きたときに、その場で修理し、基準適合性を確認のうえ、運航を続けるということが、できません。ただし、大きな問題、例えばエンジンに異音がして危ないというような問題は、軽微な修理ではすみなせんので、どちらにせよドクターヘリは飛べず、工場等での整備が必要になります。整備士が乗っていると、軽微なものについては、自分で修理した上、基準適合性を確認して、継続運航することができます。ただし、これは高頻度に起こることではなく、年間平均400回ぐらい飛んでいて1年に1回あるかないかぐらいの確率です。ただし、遠方の離島などで起きると、代替の機体や適切な代替搬送法が確保できないと対応困難になるため、対策が必要です。
以上が、ご指摘があった整備士が搭乗していないときの課題です。
次は、整備士・操縦士不足への対策例ということで、当然、専門人材を確保するための対策が必要になって、右側にあるようなことが我々のほうの検討でも上がってきています。これは国土交通省が取り組んでおられるので、改めて申し上げることはないかと思いますが整備業務の生産性の向上は、重要と思われます。これから本邦では、若年労働者がどんどん減っていきますので、いずれにせよ、作業の生産効率が上がらないと人手不足になってしまいます。そういう中で生産性を上げる算段は長期的には重要な課題と指摘されております。労務環境の改善の中の、タスクシフトとか異常検知の自動化、あるいは遠隔による確認作業などの技術的・システム的な改善も重要な課題だと思います。
次に、留意事項として指摘されたところです。整備士が乗ってHEMSを運用するというのは世界的にはほとんどないのですが、日本では25年間行われて安定的に推移してきましたので、急に変えると関係者が不安になるため、安全性が毀損されないよう十分な注意が必要というのが一点です。
もう一つ、先ほど申し上げましたように、明示的な役割ではないけれども、現在搭乗している整備士は多職種連携の中において中心的な役割を担っているので、この機能もきちんと考慮していただきたい。 代わりに搭乗する方も、事前にOJTを行って、医療クルーとの円滑な協力関係を構築していただきたい。 整備士不在のときに、先ほど申し上げた飛行間点検で問題が生じる可能性があるので、代替機や隣接ドクターヘリによる支援体制等により、患者が不利益を受けないよう配慮していただきたい。
最後に、これからの若年人口の急速な減少がある中での専門職の不足ということに対する対策としては、新規参入の促進は大事だけれども、生産性の向上、タスクシフト等様々な方法により、システムを頑健にしていただきたい。何が起こっても容易に崩れない体制にしていただきたいということであります。
今回、事象がいろいろと起きた根本的な原因を研究班で分析していますので、その状況をお話しします。今回、整備士不足で運休がありますが、その前に運航会社3社が行政処分を受けるということがありました。また、福岡で海上に不時着水して搭乗していた3名が水死しております。そういう中で問題を整理したということです。
実はドクターヘリの契約形態は2通りありまして、パターンAは昔からの方法で、基地病院と運航会社が契約して、自治体が補助金を交付するというやり方です。患者は病院が責任を持って診ます。この場合、基地病院と運航会社が契約の当事者になりますので、少なくとも契約の内容は確認できますし、契約時点である程度の情報開示を求めることはできます。
パターンBは、最近よくあるパターンですが、自治体が基地病院と契約し、同時に自治体が運航会社と契約します。運航会社と基地病院の間の直接の契約関係がないというパターンで、広域連合等、自治体がコアになってやっているところはこのパターンが多いです。もともと医療と運航は情報格差が著しいのですが、直接の契約関係がない場合、「情報の非対称性」と書いてありますけれども、さらに情報格差が広がってしまうというところが問題として挙げられています。
何が悪いかというと、構造的な問題や、今回の過少供給のメカニズムになっている、左側に「情報の非対称性」と書いてある問題があります。ドクターヘリは多職種連携で成り立っているので、それぞれの職種に非常に特殊な専門知識があり、かつ運航や整備関連の情報は非開示になっているものが多いです。先ほど説明があった、細かい規則が記載されている整備規程というのは企業秘密になっていて公開はされない。契約の当事者間の話合いですと、契約のときにある程度問いただすとかできますし、聞くこともできますが、そうでないと特に知り得ない情報がかなり存在します。そと、また、情報が足りなくなると、情報格差のために運航や整備の状況が一層確認できなくなり、このため契約主体間の目的が不一致になっていても、これ認知できないという状況に陥ります。ドクターヘリですから、当然、患者の救命が第一目的になるわけですが、それ以外の要素が入ってきても、これを認知できないということが起きるうのが重大な問題の一つとして挙げられます。
もう一つ右側に書いてありますのは事業の構造的な問題であって、我々がどうこうできる問題ではないのですが、今までいろいろ御指摘があったように、ドクターヘリ事業自体が、かなり固定費比率が高く、かつ安全管理が求められるので、なかなか簡素化できないということで、それが事業の参入障壁になっているという問題です。機体の購入費や人員の育成といった固定的な経費が最初に大きくかかります。もう一つは、需要が限定されていることです。全国で現在、運休している所も含めて58機入っていますが、例えば将来これが3倍、4倍になっていくかというと疑わしいく、需要は限られています。このため事業が自然に寡占化してしまうという問題です。
情報の非対称性、事業の寡占化、この2つによっていろいろな問題が起きているのではないかと考えています。
現在、我々としてできることの1番目は、契約のときに十分確認してくださいということで、委託契約時のガイドラインをつくりました。例えば入札するときに自治体側は一般競争入札が原則なのですが、それですと安全性の確認が十分できないことが多いので、できるような入札方式を取ってほしいということです。
2番目は、当該運航会社が安全・確実に長期継続できるかどうかという指標を、十分確認していただきたいということです。
3番目は、契約書の中に、安全性に疑義が生じた場合には委託者が運航会社の業務状況を確認する権利と、学会のデータベースにインシデントを登録する義務を記載して頂くと、必要最低限の情報が手に入るということです。
4番目は、公益通報によって明らかになった問題は結構多いので、社内で公益通報制度が適切に運用されているかどうか確認していただきたいということです。
最後は、委託者のほうも基礎知識を十分勉強してから契約に臨んでいただきたいということです。
以上の項目をガイドラインとして挙げているという御紹介です。
次は「まとめ」として記載しているので、時間の関係で省略させていただきます。ありがとうございます。○坂本座長 ありがとうございました。
日本航空医療学会から御説明を頂きました。
それでは、続きまして、資料4「兵庫県内ドクターヘリにおける2パイロット運用の導入について」につきまして、兵庫県より御説明をお願いいたします。
○兵庫県山下保健医療部長 兵庫県保健医療部長の山下でございます。
本日は、このような貴重な発言機会を頂きましたことを厚生労働省の皆様方及び検討会の構成員の皆様方に感謝申し上げたいと思います。また、日々安全なドクターヘリの運航に御尽力いただいております全ての関係者の皆様方に深く敬意を表したいと思います。
まず、兵庫県内のドクターヘリの設置状況について御説明申し上げます。兵庫県内では、関西広域連合を事業主体として、県立加古川医療センターを基地病院に、県立はりま姫路総合医療センターを準基地病院とする兵庫県ドクターヘリと、公立豊岡病院を基地といたします3府県ドクターヘリの2機が運航されている状況でございます。
このうち3府県ドクターヘリは、兵庫県北部地域に加えまして、京都府北西部、また鳥取県東部を主な運航範囲としておりまして、令和6年度には年間1,500件の出動の実績がございます。また、兵庫県のドクターヘリにつきましても、令和6年度の1年間で600件の出動実績があったということで、両機合わせますと、年間約2,000件を超える救急医療活動を担っているということになります。とりわけ但馬地域をはじめといたします広大な中山間地域におきましては、迅速な医療介入を可能とするドクターヘリの役割は極めて大きく、県民の命を守る重要な医療インフラとなっております。
一方で、令和7年度以降、運航事業者における整備士不足により計画運休が発生し、さらに令和8年5月には7月以降の全面運休の可能性が示されるという緊急事態となったところでございます。広大な山間部を有します兵庫県におきまして、ドクターヘリの長期運休は県民の命を守る救急医療体制に大きな影響を及ぼすために、関西広域連合内でのバックアップ体制だけではなくて、県独自としても運休回避のための対応策を検討する必要が生じました。
こうした状況の中、令和8年6月に兵庫県内のドクターヘリ緊急連絡会議を開催し、知事をトップとして各関係自治体や基地病院などと対応を協議したところでございます。その後、実務者レベル間で運航対策検討会を重ね、全面運休の回避や運休期間の短縮に向けた議論を行いました。このとき現場からは、整備士に代えて操縦士を同乗者とする運用、いわゆる2パイロット運用の導入によって安定した運航体制の確保を求める声が寄せられたところでございます。
2パイロット運用についてでございますが、厚生労働省の令和8年3月31日付事務連絡におきまして、都道府県等が必要と認める場合には、臨時的に必要と認める間、整備士に代わり操縦士を同乗者とすることは差し支えないとの考え方が示されているところでございます。兵庫県といたしましては、独自基準を含むドクターヘリの運航ルールにつきましては、本来、国レベルで明確なエビデンスに基づいて運航基準等が示された上で運航されるべきであるという立場に現在も変わりはございません。しかしながら、一方で現行の運航事業者の整備士不足が短期間で解消困難であり、また、代替事業者の確保も見込めない状況を踏まえますと、県民の命を守るためには、安全性を十分に確保した上で長期間の運休を回避するための臨時的な運航体制の変更も選択肢の一つであるという考えから、2パイロットの運用導入について検討を進めることといたしました。
なお、2パイロット運用の導入におきまして、注意した点といたしましては、運航体制の変更につきまして、第1に、基地病院のコンセンサスが得られている兵庫県内のドクターヘリ2機に限定するということ、2つ目には、令和9年3月までの臨時的措置であるとしたところでございます。つまり、今回の対応は、2パイロット運用そのものを恒久的な解決策として評価したものではなく、安全性の確保を前提に、あくまでも救急医療体制の空白を回避するための例外的な臨時的措置と位置づけているところでございます。
兵庫県内のドクターヘリにおきましては、左座席には従来の整備士が同乗する運用に加えまして、整備士に代わって操縦士が同乗する、いわゆる2パイロット運用を導入した結果、当初は全面運休の可能性もあった運航体制でございますが、令和8年8月からは1か月間の運休日数が数日程度と大幅に短縮することができました。また、運航体制の変更に伴います重大な問題は発生しておらず、現場関係者からも特段の不満や支障に関する報告等は受けていない状況でございます。その結果、現時点では安全かつ安定した運航が実施され、地域の救急医療体制の維持について評価しているところでございます。
次に、2パイロット運用時の役割についてでございます。これまで左座席に同乗している整備士が担っていました機長補佐や飛行中のナビゲーション支援、無線通信支援等の整備士が行っていた業務を、これに代わって訓練を終えた操縦士が同乗することによって対応することとなっております。一方、機体整備につきましては、これまでどおり原則として整備士が対応する体制を維持しております。飛行前後の日常点検につきましては、基地病院で確認整備士が実施し、飛行間の点検については、必要な訓練を受けました、運航事業者が実施する試験に合格いたしました機長が対応する体制としております。したがいまして、これまでの整備士の役割の全てを操縦士が代替しているわけではございませんが、安全性の確保を前提として限定的に役割分担を見直したものであると御理解いただければと思っております。
続きまして、2パイロット運用を導入するに当たりまして、課題と対応について御説明したいと思います。主な項目は3つございます。
まず第1点、基地病院のコンセンサスの形成でございます。今回の検討は基地病院からの要望を契機として開始したものでございますが、実際にドクターヘリに搭乗する医師や看護師など医療クルーの意向を十分に確認する必要がございました。そこで、基地病院におきましては、個別ヒアリングを実施し、希望しない医療クルーは同乗させないという取扱いを確認したところでございます。
2点目、安全確保対策でございます。左座席に整備士に代わって同乗する操縦士のOJTを含む教育訓練体制、あるいはランデブーポイントでの不具合が発生した場合の対応について過去の事例も含めて確認し、運航体制変更によります安全面への影響を最小限にするため、整理を行ったところでございます。具体的な内容につきましては、運航事業者から関係者へ説明いただき、県といたしましても、内容を整理した上で会議資料として共有し、検討を行いました。
3点目、判断基準とプロセスについてでございます。厚生労働省の通知では、都道府県等が必要と認める場合には、臨時的に必要と認める間とされているところでございますが、具体的な判断基準あるいは調整内容等が明確ではございません。そのため、基地病院、運航事業者、関西広域連合、京都府、鳥取県を含む関係機関等に対しまして、同じ情報を同じタイミングで共有し、方針決定や意向確認は公開の場で実施するなど、プロセスの透明性の確保に努めたところでございます。
なお、今般の2パイロット運用は、繰り返しとなりますが、あくまで臨時的な運航体制の確保でございます。整備士不足そのものを解消するものではございませんので、今後は抜本的な対策が必要であると認識しているところでございます。
次は導入後の課題についてでございます。まず、個別事案への対応でございますが、現在のところ、運航体制の変更によります現場からの大きな影響や支障の報告はございません。おおむね従前と変わらない運航ができておりますが、操縦士、整備士、医療クルーなど、関係者へのフォローは今後も継続して行う必要があると考えているところでございます。
また、2パイロット運用期間中に、たとえ軽微なものであったとしても不具合事案等が認められました場合は、原因や対応等の整理が必要でございます。運航事業者や基地病院において必要に応じてヒアリング等を実施し、事例を取りまとめた上で厚生労働省等へ報告する予定としております。
さらに、今回の2パイロット運用ですが、単に左座席へ整備士に代わって操縦士を配置しただけではなく、運航中の安全確保、あるいは地上での整備体制の維持、OJTの実施など、多くの関係者の協力によって成り立っている取組でございます。ただ、あくまでも臨時的な対応であり、安全で持続可能な運航体制の確保という観点におきましては、医療資源や人的資源が限られている中、いずれ現在の運航体制の対応ができなくなるのではないかと危惧しているところでございます。現在の緊急事態とも言える状況の中で、住民の命を守るための最重要な医療インフラの一つでございますドクターヘリの安定した運航につきましては、短期的には安全性確保を第一に考えつつ、柔軟な運航体制の整備が必要ではないかと考えております。また、前回の検討会でも御意見がございましたが、将来を見据え、これまで積み上げてこられた経験やノウハウを生かしながら、テクノロジーの進歩や時代とともに変遷するニーズの変化にも対応しつつ、人材育成、職場環境の改善並びに費用対効果も考慮した安全性と効率性の維持向上などについても継続的な検討が必要ではないかと考えております。
兵庫県といたしましては、今回の事例を契機として、本格導入から25年が経過したドクターヘリのエビデンスに基づいた運航実績の分析・評価に加えまして、運航基準あるいは要請基準等の整理、見直しを国のレベルで実施していただき、安全性を損なうことがあってはならないことは当然のことですが、ドクターヘリ特有の搭乗者要件等も含めまして、他のヘリコプター運航基準との整合性等も踏まえつつ、将来の人口減少社会を見据えた救急医療搬送体制の在り方について今後議論が深まることを期待しておるところでございます。
最後は、これまでの2パイロット運用導入までの主な経過を時系列で整理しておりますので、御参考に見ていただければと思っております。この地域に必要な医療インフラであるドクターヘリを安定的に運航するために今後皆様の御議論をぜひお願いしたいと思っております。
以上でございます。ありがとうございました。
○坂本座長 ありがとうございました。
兵庫県から、8月から既に導入されている2パイロット運用の経緯について御報告いただきました。
続きまして、別の角度から、資料5の「和歌山県ドクターヘリ機体独自調達の経緯と課題」につきまして、和歌山県より御説明をお願いいたします。
○和歌山県 藏光地域医療班長 ありがとうございます。
和歌山県福祉保健部医務課の藏光と申します。本日はよろしくお願いいたします。
本県がこれまで取り組んできた状況をお話しするこのような貴重な機会を頂きましたことに感謝の意を表したいと思います。ありがとうございます。
御案内のとおりなのですけれども、和歌山県は全国で初めて自治体独自でのドクターヘリの機体を購入することを決定いたしました。本日御出席の猪口先生にも御参画いただきまして、先月、川崎重工業へ製造を委託する運びとなりました。この決断に対しては賛否両論様々な御意見を頂いているところではございますが、それだけ高い関心を寄せていただいていると受け止めておる次第でございます。本来であれば、こうした決定に至る前に、厚生労働省をはじめ関係機関の皆様と綿密な協議を重ねるべきであったかもしれませんが、県民の命と健康を守るためには、まさに待ったなしの状況に追い詰められての判断であったことを御理解いただきまして、今後とも御支援をよろしくお願いしたいと思います。
それでは、本日、本県が機体購入に至った経緯と機体選定においての諸課題について御説明したいと思います。
まず、購入に至った背景についてです。御存じだと思いますが、和歌山県は本州最南端に位置しております。南北に長く、面積の8割以上を山地が占めている状況です。そのため、南部の新宮市から北部の和歌山市までは車で3時間程度かかる距離になっております。さらには、人口は県内全域に分布している一方で、県内の医療機関は81あるのですけれども、そのうち35施設が和歌山市に集中しているという医療格差を抱えています。こうした地理的・医療的背景から、本県は全国で7番目、近畿では最も早く2002(平成14)年度よりドクターヘリの運航を開始いたしました。
出動件数ですけれども、運航開始直後、2003年度は265件でした。翌年2004年度には338件と300件を超えました。その後も伸び続け、2015年度には421件、2021年度には514件と増加し、近年では、運航停止があった2025年度を除いて、年間550件前後で推移している状況です。これに加えまして、近隣府県、大阪府、奈良県、徳島県、三重県からの広域連携による応援も例年15件ほど受けている状況で、ドクターヘリは本県の救急医療に欠かせない命綱となっております。
しかしながら、昨年、運航委託事業者の、先ほど兵庫県の話にもありましたが、整備士不足で関西広域連合管内のドクターヘリが運航停止を余儀なくされました。表中の真ん中、運航停止の延べ日数を御覧いただきますと、本県で51日、広域連合管内の他府県におきましても、約50日程度の運航停止が発生した状況です。
これだけではなくて、令和8年度当初におきましては、大阪府、徳島県において運航委託事業者が決まらないという事態になりましたし、現状におきましても、兵庫県から先ほど御説明があったとおり、断続的な運航が大阪府・徳島県・兵庫県のドクターヘリで発生している状況です。広域連合管内の状況はこの表のとおりなのですが、資料の表中の訂正をお願いしたいのですけれども、和歌山県ドクターヘリに米印がついていると思います。3府県ドクターヘリ、徳島県ドクターヘリにもついておりまして、この米印は実は徳島県ドクターヘリではなくて奈良県ドクターヘリです。これは何かといいますと、今年度(令和8年度)中に運航契約が終了する府県でして、間もなく次期運航委託会社を決める必要が出てくるドクターヘリになっております。令和8年度においては大阪府と徳島県が、運航委託先が決まらないという事態になっていることを踏まえると、ドクターヘリ事業全体の不安定化が深刻な課題となっている状況です。
和歌山県は、関西広域連合へドクターヘリ事業を移管しておりません。独自運航を続けてきました。独自運航を続けてきているのですけれども、やはり広域連合と同じ問題を抱えております。振り返ると、発生経緯を見ていただきたいのですが、2024年に運航委託事業者が整備措置事案を起こしまして、それによって業務改善命令を受けました。このときに和歌山県において問題だと思っておりましたのは、関西広域連合管内のドクターヘリが同一事業者・同一機種による運航になっておりまして、構造的なリスクを強く認識した次第です。その後、2025年6月には整備士不足による運航停止の申出が運航事業者からありまして、和歌山県においては7月に7日間、10月から翌年3月にかけても断続的な運航停止が発生いたしました。
このタイミングで我々は、全国の運航事業者を訪問して代替運航を打診するなど活路を探ったのですけれども、受入れ先が見つかりませんでした。その際に事業者から伺ったのは、一時的な人員不足だけではなくて3つの課題です。1つ目は、整備士や操縦士の高齢化等に伴う深刻な人材不足、2つ目に、機体価格の高騰による機体の新規購入や更新が思うようにできないこと、3つ目に、運航経費に対する財源手当ての不足というものでした。現状の民間事業者に大きく依存する仕組みのままでは遠からず事業全体が立ち行かなくなるのではないかという強い危機感を抱きまして、持続可能な運用のために公的関与の検討を始めました。
当初、我々が検討したのは、機体、操縦士、整備士の全てを県で直接確保するという完全直営化でしたが、やはり全国的な人材不足の中で、即戦力となる人材を県職員として確保するのは極めて困難であるという結論に至りまして、この案は断念しました。
そこで、先ほど事業者を訪問した際の課題を挙げたのですけれども、この話の中で、機体が確保されれば運航を受託できるという声も頂きました。この声を踏まえて、県が機体を所有し、運航・維持管理を民間事業者に委託する、言わば上下分離方式を採用することといたしました。機体の調達には3年かかるので、直近の途切れのない運航確保を引き続き委託事業者に頼らざるを得ないといった点、また、高騰する機体購入費が県財政を圧迫するという懸念もあったのですが、最終的に決断に至った理由は2点ございます。将来を見据えた抜本策の必要性で、目先の運航維持に手を尽くしつつも、将来の安定運航を確保する、担保する仕組みというのは、今、つくっていかなければならないのではないかといった点と、制度開始から25年以上経過しておりまして、ドクターヘリは社会インフラとしても確立しておりますので、自治体としてそれを維持・存続させる責任がある。この2点でこの案を採択することになりました。
ここからは機体選定における課題といたしまして、我々、今回導入に当たっては、安かろう、悪かろうというのでは駄目だということで、国内で実績のあるメーカー各社からヒアリングを行いました。現在、国内で購入可能なドクターヘリ4機種についてまとめた表ですけれども、それぞれ、容積、航続距離、騒音性、速度に特徴があります。設計基準につきましては、BK117のみが高い安全基準を満たしているTA級で、その他はN類になっています。こういったことから、価格におきましても15億円から21億円、運航事業者につきましても大きな差があるという状況でした。
ここでは課題が大きく2つございます。
まず、1点目は、機体の購入費用ということで、購入費用は、先ほど見ていただきましたとおり、4機種、15~21億円と価格差があります。それに併せまして、ドクターヘリの購入に当たっての財源手当て、補助金がないという状況です。
続いて、機体の選定という部分になるのですけれども、選定される機体によって運航事業者が2~8事業者ということで、差があって、安定運航を目指す本県としましては、より事業者の多い機体を選定したいところでした。ただ、自治体の調達においては、高額な物品の場合は4,000万円以上、サービスの場合は3億円以上につきまして、WTO政府調達協定の適用を受けるので、特定の機体を合理的な理由なく選定することができなくなっております。原則は、価格競争となる一般競争入札だったのですけれども、本県の調達においては、価格だけで審査するのではなくて、性能や品質を総合的に評価する総合評価方式を採用いたしました。この総合評価方式におきましても、価格点と技術点を1対1で評価したのですが、これについても価格要素が大きく影響する構造にありました。
今回の調達結果と今後の見通しですが、冒頭お話ししたとおり、今回の調達は川崎重工業が「BK117 D-3」を16.4億円で応札・落札していただきました。今後の見通しですけれども、自治体所有のドクターヘリを運航するという前例のない取組で、想定できない課題に直面する可能性が十分にあります。
今後の調整事項といたしまして、現時点で把握できているものといたしましては、運航事業者にどこまでの範囲を委託するか、例えば予備機の手配をお願いするのか、耐空検査も包含して委託するかといった部分です。続いては、安全性の担保ですが、ドクターヘリは現状、航空運送事業としての取扱いになっておりますが、和歌山県で機体を購入いたしましたので、自家用運航も可能になります。そういった場合に安全面の担保をどのように取っていくのかというところも整理していく必要があると思っております。続きまして、機体の部品、消耗品等々あると思いますが、その管理をどうやっていくのか、通信局や無線の運用をどうしていくのかというところも整理していく調整事項となっております。
目下、直面する課題といたしましては、先ほどもあったのですけれども、機体購入費用に対する財源手当てをどうするかという部分と、運航委託費は、やはり現状より多額となる見通しで、その財源手当てをどうするかということにもなっていきます。運航委託費ですけれども、自治体で買うとなると、規模の経済が働かない部分もありまして、その部分で財源が膨らむ可能性があります。
いずれにしましても、和歌山県としては、このモデルを持続可能なドクターヘリのモデルとして確立することを目指しておりまして、いろんな課題に直面して皆様にも御迷惑をおかけすることも多々あると思いますが、いろんな御意見や御支援を頂ければありがたいと思っておりますので、引き続きよろしくお願いいたします。
○坂本座長 ありがとうございました。
資料1から5につきまして、それぞれ御報告を頂きました。
それでは、あと40分ほど時間がございますので、それぞれの報告につきまして、構成員の皆様から御意見、御質問を頂きたいと思います。御発言は挙手でお願いいたします。いかがでしょうか。
では、今構成員、お願いいたします。
○今構成員 日本病院前救急診療医学会の今です。よろしくお願いします。
整備士不足の問題がありました。ヒラタ学園の問題で、ドクターヘリという非常に重要な事業を人質のように取ってこのような結果になっていると思います。ただ、人質に取られているのに対して、和歌山県が独自にヘリコプターを購入するという対抗策は、すごい勇気、決断だと思います。問題点はたくさんあるかと思いますが、人質に取られたのに対する唯一の方法で和歌山県はすごいなと思いました。
和歌山県に対しての問題としては、ドクターヘリはこれまで運航会社が中心になってやってきたところを防災ヘリのように自家用運用するのか、運航会社に委託して航空運送事業でするのかで全く安全性が変わるので、その辺の課題というふうにお示しされていましたが、そこがどの方向性で行くのか、教えていただきたい。
○坂本座長 御質問ということで、自家用なのか、搬送事業なのかという切り分けと思います。和歌山県、お答えいただけますでしょうか。
○和歌山県藏光地域医療班長 過分なお言葉、ありがとうございました。
和歌山県は、先ほど整理事項として挙げさせていただいたところですけれども、今先生御指摘のとおり、安全性の確保は一番重要視していく部分だと思っております。運航事業者との相談にもりますが、できれば事業者の事業機に編入するという形で航空運送事業としての道を探っているところでございます。
○坂本座長 ありがとうございます。
運送事業としても安全性を質として維持しなければいけないということだと思います。
では、武下構成員、お願いいたします。
○武下構成員 ドクターヘリ分科会から武下です。
皆様、御説明いただきまして、ありがとうございました。
兵庫県様に御質問させていただきます。5ページ目に、費用対効果も含めて今後検討する必要があるという記載もありますので、念のため、確認なのですけれども、現状、兵庫県を除いては、ほかの拠点では基地病院に操縦士、整備士、運航管理の3名が勤務しております。兵庫県様は整備士がいないということで、整備士の役割を担う操縦士をもう一人勤務させるということですので、基地病院に常駐しているのは操縦士2名で、ヘリが基地病院に帰ってきたら整備する整備士1名、運航管理1名の4名で増員になっている、経費は増加しているという理解で間違いないでしょうか。
○坂本座長 兵庫県、よろしくお願いいたします。
○兵庫県山下保健医療部長 ありがとうございます。
兵庫県でございますが、現状のところでは、おっしゃったとおり、整備士が過分な仕事といいますか、基地での整備に加えて、同乗して様々なキーとなる仕事をされているというところからは、言わば切り離すような状況で、その代わりにその部分については訓練を受けた操縦士が乗っているわけでございますので、特別これに伴って運航の事業契約の費用を増額しているということは今のところはないですけれども、今後これを恒久的に行うとなったときの予算の組立てとかは変わるかもしれませんが、現時点ではそういう形で対応しているところでございます。
○坂本座長 ありがとうございます。
運航委託のコストには反映していないけれども、マンパワーとしては1人余計に必要となっているという理解でよろしいですね。
○兵庫県山下保健医療部長 先生、ありがとうございます。そういうことになるかと思います。
○坂本座長 ありがとうございました。
○武下構成員 兵庫県様、あと2点質問させていただきます。
5ページ目の結びで「運航基準や要請基準を統一・整理し」という記載もございます。この記載があるということは、どのような課題があるとお考えなのかというのが一点です。
兵庫県内においては、今、2機運用されておりますので、その2機に関しては運航基準や要請基準というのは統一されていますかという質問です。お願いいたします。
○兵庫県山下保健医療部長 ありがとうございます。
兵庫県は2機運用体制で、それぞれ基地病院が運航事業者と契約しております。その中で大きく分けて、いわゆるキーワード方式か、標準様式かということになるかと思いますが、3府県ヘリはキーワード方式で飛んでおります。皆さんも既に御案内かと思いますが、キーワード方式で要請に応じると、どうしてもオーバートリアージが多くなって、飛行回数が多くなっているという状況でございます。兵庫県ヘリは、それとは違って、標準の基準で飛んでいるということで、兵庫県内の中でも要請基準が統一されているというわけではございません。
○坂本座長 よろしいでしょうか。
○武下構成員 承知いたしました。兵庫県内の中でも要請基準等々が統一されていない状況で運用されている中で、今回を契機に統一化するということも検討の一つとしてあったほうがいいのではないかという御意見と承知いたしました。
では、3番目、これは和歌山県様にもお伺いしたいのですけれども、今回、入札の実施主体の都道府県が出ておられますので、入札についてお尋ねしたいと思います。和歌山県様の資料の4ページ目、業界としても操縦士、整備士を確保していかなければいけない、これは業界全体の課題です。一方で、昨今、運航停止が行われている事業者は、残念ながら特定事業者ということも事実でございます。4ページ目には記載がありませんけれども、このほか東京都、長崎県においても同じ運航会社、特定事業者が整備士不足を理由に運航停止しているという状況でございます。和歌山県様の令和8年度、例えば中日本航空、つくば航空と書かれていますが、この運航会社が休んでいるわけではなく、特定運航会社から令和8年度に新しく変わったということで、運航停止したのは特定事業者だというところが事実としてある。そうしたときに、猪口先生のプレゼンでもございましたけれども、いかに安定かつ安全に運航する会社を選ぶか、これは入札で都道府県しかできませんので、そこがポイントの一つになろうかと思います。兵庫県様と和歌山県様は、安定かつ安全な運航会社を選ぶための入札はどのようにしたらよいとお考えでしょうか。御意見を頂ければと思います。
○坂本座長 和歌山県様への質問ということでしょうか。
○武下構成員 兵庫県様です。
○坂本座長 では、お願いいたします。
○兵庫県山下保健医療部長 では、兵庫県のほうから答えさせていただいてよろしいでしょうか。猪口先生もおっしゃっていただいたように、きちんとプロポーザルして基地病院と運航会社の間の情報をしっかり取った上で、県としても、ある程度の事業への関与、安全性の担保というところには関わっていくということが入札については一番重要ではないかと思っております。令和9年度以降についても、運航事業者を決定する上では、その辺は各基地病院と県が情報を共有しながら進めていきたいと考えています。
以上です。
○坂本座長 継続性ということであると一般競争入札で値段だけではなかなか難しいということで、プロポーザルという言葉が出ましたけれども、総合的な判断が必要になるというようなことだと思います。よろしいでしょうか。
○和歌山県藏光地域医療班長 和歌山県です。
和歌山県につきましては、先ほど猪口先生の説明でありました運航委託パターンですけれども、パターンAを、現状、基地病院での契約をやっておりまして、令和9年度、10年度につきましても、今、基地病院のほうで入札事務が進められております。令和11年度の新たな機体での運航につきましては、パターンBになっていまして、和歌山県のほうでやっていくのですけれども、どういうふうに入札していくかというのも考えていたところでしたので、猪口先生のこの話はすごく有意義に聞かせていただくことができました。価格だけではない、安全性を考慮した入札になるようにやっていきたいと考えております。
○坂本座長 ありがとうございます。 基地病院は、和歌山県は県立病院でしたか。
○和歌山県藏光地域医療班長 はい、和歌山県立医科大学附属病院です。
○坂本座長 県立医科大学と県は別の財布ということですか。
○和歌山県藏光地域医療班長 そうですね。
○坂本座長 ありがとうございます。
それでは、小中構成員、お願いいたします。
○小中構成員 日本医師会の小中でございます。
非常に分かりやすくてまとまったお話、ありがとうございました。
とかくハード面というか、手続面でのお話が出ているのですけれども、兵庫県さんにお伺いしたいのですが、2パイロット運用は8月から運用されているということで、すばらしい取組だと思っています。それと同時に、一方、整備士に代わって操縦士がということで、飛行間点検等、各種の問題点がそこにはまだ残っているという中で、実際、基地病院からドクターヘリに搭乗する医療従事者、医療クルーの個別の意向をしっかりと踏まえる必要があるということですね。コンセンサス形成が必要だということですね。そのときに、基地病院の中において医療クルー、医療従事者の個別ヒアリングを実施し、希望しない医療クルーは同乗させない取扱いを確認するというお話が出ています。実際のところ、何らかの理由があって希望しない医療クルーは現在どれぐらい出ているのか、分かりましたら教えていただきたいのと、それから、こういった医療クルーを今後搭乗させていく何らかのシステム、取組をお考えであれば、その点についても教えていただきたいのですが、よろしくお願いいたします。
○坂本座長 ありがとうございます。
希望しない医療クルーという点につきまして、兵庫県のほうからお答えをお願いいたします。
○兵庫県山下保健医療部長 ありがとうございます。
繰り返しになりますが、兵庫県は2機体制で運用しておりまして、3府県ヘリは豊岡病院が基地病院となっておりますが、こちらでは医療クルーで希望しない方はいらっしゃらないと聞いておりまして、2パイロット導入前と同じ体制でシフトを組んでいると伺っているところでございます。
一方、加古川と、はりま姫路、この2つの病院でそれぞれ基地病院と準基地病院としている兵庫県ヘリでございますけれども、加古川で1名、はりま
姫路で2名が今回の搭乗は控えたいという意向を伝えておられるということを伺っています。これは、今回の2パイロット導入に対する不安だけなのか、その他ほかの要因もあって今回を契機にドクターヘリへのクルーといいますか、搭乗を遠慮したいという方がいらっしゃるのかまでは詳細に確認していないところでございます。以上、合計で3名の方が今回の運航体制の変更に伴って希望されていないと伺っているところでございます。
将来、これらの方々に対してどういうふうになるかということでございますが、先ほど申し上げていますように、2パイロット運用というのはあくまでも臨時的な運航ということでやっておりますので、その中でクルーの意思確認をしながら、搭乗される方には救急医療の現場でお願いしているところでございます。ただ、将来にわたってこういう2パイロット運用ということが一つの運用形態として国レベルで認められるということであれば、その辺については搭乗される医療クルーにもしっかりと状況の説明をしたり、いろんなことを意思確認しながら、搭乗クルーの確保は各病院が努力されるものだとは思いますが、現時点では、繰り返しになりますが、あくまでも期限前提で、今、いらっしゃるクルーの中での対応ということで考えているところでございます。
以上でございます。
○小中構成員 ありがとうございます。
中長期的にこの体制が続くような状態であるとすれば、この辺りのところをもう少し深掘りしていただいて確立していただけると、兵庫県さんだけでなく同様の状況になっている都道府県さんにも利活用できるシステムになるのではないかと思っております。よろしくお願いします。
○坂本座長 ありがとうございます。
オンラインで手が挙がっていますので、どうぞ。
○佐藤構成員 愛媛大学の佐藤格夫です。よろしくお願いします。
兵庫県さんの2パイロット運用、そういう運航で無難にきちんとこなしているのだと拝察しました。実際、ヒラタ学園が、例えばほかの県でも2パイロット運用でやりたいと要望があったときに、どれだけ需給力があるのだろうと、今、兵庫県さんは2つの基地局で2パイロット運用は臨時的な措置として行われていると思いますが、そのようなお話は出たりしましたか、伺いたいのですけれども。
○坂本座長 御意見ということでよろしいですか。
○佐藤構成員 はい。
○坂本座長 どうぞ。
○HEM-Net鷺坂理事長 ありがとうございます。
オブザーバーの参加でございますけれども、御質問したいことがありましたので、手を挙げさせていただきました。坂本座長には本当にありがとうございます。
私どもHEM-Netは、1999年に設立した団体でありまして、2001年のドクターヘリの本格運用からずっとドクターヘリを全国的に展開していこう、発展させていこうということで尽力してきた団体であります。そのためには、とにかく安全運航が大前提でありまして、そういった観点でずっと活動してまいりました。4年前にドクターヘリが全国展開したということで、これからはできるだけ質的な面にも目を向けて活動していこう、そういった団体でございます。団体の紹介をさせていただいたわけですが、それに関しまして、兵庫県さんの取組について2点ばかりお伺いしたいと思っております。
兵庫県さんも非常に苦渋の決断をされたのではないかと私どもからは見えるわけでございますけれども、少なくともドクターヘリは当初から整備員を乗せるということで安全確保をする、こういう考え方でずっと25年やってきたわけでございまして、本来であれば、受託運航会社が応札されているわけでありますから、整備員を確保して、整備員を乗せて飛ばす。それから、場合によっては、それが難しいのであれば、兵庫県さんも努力して整備員を乗せて飛ばすというのが本来の在り方ではないかと思います。臨時的だとおっしゃいますけれども、その間に何かあったらいけません。もし何かあったときには、これは兵庫県だけの問題ではなく、今、ドクターヘリは全国的にも横の連絡、ネットワークをつくって活動しておりますので、一つの小さな傷が全国に影響してドクターヘリの将来にも非常に大きな禍根を残すことになります。したがいまして、今、安全確保についておっしゃっておられましたけれども、県が主導的になって安全確保についてはきっちりやるのだという意思表示でもしていただければと、このような思いが一つであります。
それから、もう一点でございます。これは細かくなりますが、結局、飛行間点検は整備士が搭乗していないとできないわけです。消防防災ヘリもそうですし、普通のヘリも、普通は基地となるところから飛び立って、ぐるっと回ってきて帰ってくるというのが一般的です。消防防災ヘリも火災なんかはみんなそういう感じで、救急現場に降りなければいけない。救助だって、消防防災ヘリがホバリングして救助していますから、ずっと飛んでいるわけです。一旦降りて、飛行前点検、飛行間点検と言いますけれども、飛行前の点検というのは非常に重要な要素になってくると思います。ちゃんとした整備士がいなくてやっていいのかどうか、私は詳しくないことがあって恐縮なのですけれども、飛行間点検のやり方も、メーカーが示したマニュアルに従って各事業会社が事業計画をつくって、それで国交省の認可を受けていると思うので、多分こういったやり方をするのであれば、認可の変更とか事業会社がされていると思いますが、その辺は県としてきちっと事業会社にヒアリングして、状況を確認した上でやられたかどうか、もしやられているということであれば、そうしていただければと思います。それから、飛行間点検のところで運航事業者が実施する試験に合格した者、これもあります。この中身も第三者から見るとどんなことをしているのかよく分かりません。国交省の認可を受けた者なのかどうか、そういったこともきちっと県のほうで把握してやっていただきたいということで、もし今、頂けるのであれば、御返答いただければと思います。
以上でございます。
○坂本座長 ありがとうございます。
オブザーバーからの御要望、御意見ということで伺ったと思いますけれども、兵庫県さん、今の御要望について何か御意見ございますか。
○兵庫県山下保健医療部長 大変貴重な御意見ありがとうございます。
今、おっしゃっていただいたように、我々にとっても緊急事態でございまして、県民の命を守るために必要な医療インフラでありますドクターヘリをいかに安定して運航できるかということに苦渋の選択であったことは間違いございません。繰り返し強調しているように、期間限定的で導入したということでございます。ただし、幾ら期間を限定しても安全性が担保されていないということになったら、これは本末転倒でございますので、ここについては慎重に運航事業者と安全確認を協議したというところになるかと思います。
契約等の変更内容などについてですけれども、この辺については、前回の運航のときにも安全運航を大前提に、運航体制の変更にも堪え得るという形には一応なっております。先生の御意見の中で、当初からドクターヘリは整備士を乗せるということを大前提に運航してきたというお話がございました。もちろん25年間にわたって安全性が確保されてきたということは、最初に申し上げたように、深く敬意を表したいと思います。
ただ、果たして将来、永久的にずっとこの体制でいいのかということは、私個人としては少し疑問がございます。といいますのは、今、安全だから何もしなくていいのではないか、その体制を維持せよということよりも、今、安全であっても、将来、人口減少とか様々な問題があったり、テクノロジーも進歩してまいります。その中でいかに将来にわたって貴重なインフラを安定して運航するかということになりますと、運航を変更するときに一番ある意見としては、今、安全なのになぜわざわざ変えるのだという御意見や、もし何かあったときは誰が責任を取るのかということです。これは医療界でもよくあって、私が臨床医をやっていたときでも、手術場での手洗いの問題や一足化の問題とか、導入するとき、かなり問題になりましたけれども、結局はエビデンスのない不効率なことをやっていて、それで問題がないからということで引き続きやっていることもたくさんございました。こういうことというのは、これをやめろとか、続けろというわけではなくて、きっちりと検証すべきだということで今回お願いしているということでございます。
もう一点、ヒラタ学園等についての運航体制の安全性ですが、私もヘリコプターのプロフェッショナルではないですから、機械の安全性とか自分で点検してどうかということはできませんが、プロフェッショナルである運航事業者の対応はしっかりと我々も見詰めてまいりたいと思っております。
飛行間の点検につきましては、恐らくドクターヘリが飛んだときにランデブーポイントで救命処置をする、その時間と、もしくはランデブーポイントから直ちにドクターヘリに収容して早期に搬送する、どちらが多いのかというと、早期に収容するほうが多いのではないかと思っております。すなわち、飛行間で点検する時間は本当に限られた時間の中で、機長が運航責任者として、しっかりやっていただいております。ただし、ヘリコプターの安全性というのは、やはり飛行前の基地でしっかり点検することが重要であって、そこでしっかりと安全性を担保したものが飛んでいる。そこで何か問題があったものはもちろん飛ばないということを大前提でやっておりますので、その辺は御理解いただければと思っております。同様に、ドクターカーに関しましても、遠くまで患者を迎えに行くこともございますけれども、決して自動車整備士がずっと乗っているわけではございません。ドクターカーも向こうで何か起こったらどうなるのかという話になってくると、かなり問題が大きくなってまいります。
我々としては、ヘリコプターという事業形態をしっかりと持続的に運用していくために、安全性をまず第一に考えながら、今までのやり方の中で変更すべき、あるいは見直しの点に関してはしっかりと議論いただきたいと思っています。ヘリコプターの操縦士について、2017年でしたか、2000時間から1000時間の搭乗時間へと変更された経緯があったと思います。これについても安全性を軽視して緩和する、となったわけでは決してないと思います。これは時間だけではなくて、貴重な経験や訓練、こういうことを重視して運航時間を短くされた、いわゆる要件の組替えが行われたと理解しているのですけれども、同じようなことを整備士についてもぜひ検討していただければというのが私の考えでございます。
以上でございます。
○坂本座長 では、一言お願いいたします。
○HEM-Net鷺坂理事長 すみません。ちょっと誤解があったようなので一言申し上げますと、整備士同乗を未来永劫続けろと申し上げているわけではございません。これはドクターヘリの事業者が皆さんで決めた基準でございます。したがって、変更するならば、それなりの手順を踏んで変更すべきであって、兵庫県さんの立場を考えるとなかなか大変なのですけれども、要するに、だからといって安易な道に流れてはいけないということを申し上げたということでございます。よろしくお願いします。
○坂本座長 今のところ、来年の春までという短期的な事業でやっていらっしゃるということと、他のドクターヘリ事業にこれを拡大する話ではないということで、今回の事業に対して課題をさらに確認していくことが重要なのかと思います。
それでは、ほかに御意見いかがでしょうか。
今構成員、お願いいたします。
○今構成員 ドクターカーの話題がちょっと出ましたので、少しだけ補足します。全国ドクターカー協議会の代表理事もしております今です。
ドクターカーにおいては、車両の問題で運休になったり途中で駄目になったりということはこれまでの調査で1件もありませんので、ヘリコプターとは違います。ドクターカーにも整備士が乗っていないからみたいな雰囲気のことを今、おっしゃったので、ドクターカーは違うということを訂正いたします。
○坂本座長 ありがとうございます。御意見として伺いました。
ほかにいかがでしょうか。
淺香構成員、お願いいたします。
○淺香構成員 日本看護協会の淺香でございます。
兵庫県の方に御質問です。先ほど小中構成員からもありましたが、現場の人が不安に思うことはしない、そこは今のところエビデンスがあるわけではないと思いますけれども、現場で働く人たちの安全の確保という点においては心理的な部分も含めて、暫定的な対応ということの中ではしっかりと担保いただけていることを感謝申し上げたいと思います。
時限的な2パイロット運用ということなのですが、今の段階では整備士を乗せるという前提でいろいろ検討されているところだと思いますけれども、配置予定が具体的に立っているのかどうなのか、それが仮に来年の春まで立たなかった場合にその後どうされる予定があるかについて伺いたい。育成が難しいということは共有されているところなのですが、そういった中でも期限を切っての御計画と伺っておりますので、対策と今の計画の実施状況について伺えればと思います。よろしくお願いいたします。
○坂本座長 ありがとうございます。
兵庫県、来年4月以降のことについてだと思いますけれども、いかがでしょうか。
○兵庫県山下保健医療部長 ありがとうございます。
ドクターヘリに関しまして、整備士の搭乗者の要件ということで御質問を頂きました。最初に猪口先生からもお話があったと思いますけれども、海外ではドクターヘリに整備士は基本的に同乗しない運用が一般的であると承知しています。国内では、先ほどHEM-Netがおっしゃったように、最初から整備士を搭乗させてここまで安全性を担保してきたということは間違いない事実でございますので、搭乗するクルーの方もこれが前提条件となって安心・安全だということで乗っていただいているということも事実であります。ただ、今回こういう時限的なことになりましたので、我々としてはそれについてはしっかりとフォローアップしていきたいと思っております。しかし、育成ということになりますと、短期間では整備士の育成等はかないません。来春以降は事業者のほうにおいて搭乗できる整備士が確保できるという計画であると伺っておりますので、そちらのほうについては来年4月から従来どおりの運航に戻す予定を今のところは考えているところでございます。もちろん、また何か大きな変更があるかもしれませんから、その辺については遅れることなくしっかりと現状を見て決定していきたいと思っております。以上です。
○坂本座長 浅香構成員。
○淺香構成員 ありがとうございます。
今、懸念するところとしてはないと思いますが、なし崩し的に2パイロット運用がいろいろ検討されないままに続いていくことがないようにということだけお願い申し上げればと思います。ありがとうございました。
○坂本座長 ありがとうございます。
それでは、ほかに御質問、御意見いかがでしょうか。今構成員。
○今構成員 今です。
和歌山県のことで伺いますが、ヘリコプターの機体を自治体で購入するということ、しかも16億円で購入するということで、先ほどは大変な勇気というふうに申し上げましたが、今後、ドクターヘリを運航できないで運休する事態になった自治体が、買うしかないのではないかという事態に陥る可能性もあると思います。ほかに直面する課題とか予想できることはいいのですけれども、和歌山県もおっしゃっているように前例がないことなので、今後、何が起こるか分からないということを考えたときに、16億円という物すごく高い金額を出して機体を買うことが和歌山県独自の判断でいいのかどうか、それとももう少しいろんな人の意見を聞きながら判断すべきなのか、和歌山県だけの問題ではなくて、ほかのドクターヘリを運航できなくなってしまった自治体に影響することなので、ここは慎重にいったほうがいいのではないかと思います。16億円で落札しましたが、今後、これから行われる話合い、会議の結果、それが中止できるのかどうか、今は3年後に向けて進んでいると思いますが、場合によっては今後の、例えば今回の会議で中止できるのかどうか、それを教えてください。
○坂本座長 和歌山県、いかがでしょうか。
○和歌山県藏光地域医療班長 ありがとうございます。
一存ではお答えしにくい質問なのですが、和歌山県の機体購入に当たっては県議会をはじめ議決を得ておりますので、直ちに、この場で中止せよとなったから「はい、分かりました」と言えるかというと、ちょっと難しいのではないかと個人的には思っております。
以上です。
○坂本座長 よろしいですか。
ほかにいかがでしょうか。
武下構成員、お願いいたします。
○武下構成員 ドクターヘリ分科会から武下です。
和歌山県の藏光様に御質問させていただきます。全国初の事例でかなり御苦労されているとは思います。6ページ目に、運航事業者が機体さえあれば運航可能と、これは第1回目の分科会からの報告でもさせていただきましたが、現行の委託費では機体更新が難しいということがあって、その方法論として県が購入するということだと思いますけれども、もう一つ方法論としては、機体調達が可能な運航委託費を予算化するということもあったと思います。その中で、それではなくて独自で機体を購入するという選択肢を取られた理由をお教えいただけますでしょうか。
○坂本座長 和歌山県、いかがでしょうか。
○和歌山県藏光地域医療班長 ありがとうございます。
おっしゃるとおり、そういう選択肢もあったかと思います。ただ、先ほども御説明したとおり、本県といたしましても、社会インフラを存続させる責務があるということで、お金をどのように拠出するかを考えたときに、機体を購入する、それを事業者がするよりも自前で所有するほうが安定化につながるのではないかということでこのような判断に至っております。
○武下構成員 分かりました。
あと、和歌山県様に2点、質問させていただきます。
和歌山県様の9ページ目です。今後の調整事項として、予備機、耐空検査の取扱いとされています。改めて言葉の定義をさせていただきたいと思います。機体の耐空検査、車でいう車検、そのときに配備する機体を代替機、いつ起こるか分からない突発的不具合のときに導入する機体を予備機と定義させていただきたいと思います。代替機は必ず1年に1回配備が必要ですけれども、これを購入されなかった理由をお教えいただけますでしょうか。
○坂本座長 和歌山県、どうぞ。
○和歌山県藏光地域医療班長 ありがとうございます。
代替機につきましては、1か月、2か月ぐらいのものになりますし、2機を購入するというのは財政事情的にさすがに苦しいことがあって、はなから代替機は県では購入できないという判断になっております。
○武下構成員 ありがとうございます。
この点は、購入者が都道府県であるか、運航会社であるかということはあまり関係なくて、やはり代替機を保有するということには相応の運航委託費が要る。それが現実的に難しいからできない。これは運航会社だったらできるというものではありませんので、運航委託費ということも課題だと、なおかつ、突発的不具合で仮に100%配備するとすれば、さらなるハードルが上がるというところが事実と思います。
最後に、直面する課題の中で、運航委託費は現状よりも多額となる見通しだと、恐らく本機については和歌山県様が保有されているので、その分は運航委託費には入らないけれども、それでも現行よりも高くなるという理解で間違いないでしょうか。
○坂本座長 ここで多額となる見通しの運航委託費が、機体の減価償却等も含めたお金なのか、それとは別個に運航委託費として純粋に増えるのかという御質問だと思います。
○和歌山県藏光地域医療班長 ありがとうございます。
運航委託費は減価償却費除きになります。現状、本県が運航している機体はECになりまして、今回、落札いただいたのがBKで、ECとBKでは運航コストに差がありますので、単純にその辺りを踏まえ多額になるのかと考えているところです。
○武下構成員 ありがとうございます。
ということは、現行、機体を運航会社が保有しているところは当然もっと高いということが第三者の視点から評価というか、御発言いただいたのだと思っています。そのぐらい運航委託費というのも大きな課題であるということを御承知おきいただければと思います。
以上です。
○坂本座長 ありがとうございます。
喜熨斗構成員。
○喜熨斗構成員 日本救急救命士会の喜熨斗です。
今回の議論を伺いまして、現在の運航停止をどう回避するかという短期的な対応だけではなくて、将来を見据えた対策を今から進める必要があると考えております。資料にもありますように、今後、生産年齢人口が減少していく中では、整備士をはじめ救急医療を支える専門職の確保はさらに難しくなることが予想されています。そのため、要件緩和やタスクシフトだけを先行させるのではなくて、現在働いていらっしゃる整備士の方々が働き続けたいと思える環境を整えることが重要だと思います。給与や手当の改善のほか、待機時間を含めた勤務環境、また、教育、研修、キャリア形成などを含めまして、整備士の処遇改善を今の段階から具体的に検討する必要があると考えます。その上で、整備士しかできない業務は、その専門性をしっかり守り、整備士には専門性が必要な業務に集中していただく。一方で、一定の教育、訓練によって多職種間で担える業務についてはタスクシフトを検討していく必要があると思います。ぜひ本検討会において専門職の処遇改善による定着、専門性に応じた業務整理、そして適切なタスクシフトの検討を一体的に進めることが持続可能な救急医療搬送体制につながると考えております。
以上、意見です。
○坂本座長 御意見として承りました。
ほかにいかがでしょうか。
田邉構成員。
○田邉構成員 ありがとうございます。日本臨床救急医学会の田邉です。
一つ、意見です。先ほど今先生がおっしゃいましたとおり、和歌山県の取組、県独自の取組として、こういうものは大切にしていかなければいけないと思いますが、一方で、各県が様々に自県のことを考えて取り組むと、全国的な面で見ると非効率な部分も出てくる、あるいは厚生労働省がいろいろ支援をしていますけれども、各県への支援もやりづらくなってくるのかなといった点があります。どういった影響があるか、これからということですけれども、共同運航とか広域運用とかにも影響がないように進めていただきたい。その中で国との調整をしながらやっていただくと、よりいいのかなと思いました。これは意見です。
もう一つは、猪口先生の資料で、猪口先生にもあるいは国交省の方にもお聞きしたいと思いますけれども、将来的なものとして遠隔からの基準適合性の確認と書かれていますが、現状では、その場に整備士の方がおられないと基準適合性は確認できないというルールになっているものなのでしょうか。
○国土交通省細川運航基準高度化企画調整官 航空局でございます。
ルール上は現場の確認が必要になっていたのですが、最近、具体的な日取りは忘れてしまったのですが、我々としても、そういった状況が別のところでもあって、離島の話とかで問題になっている部分もあるので、リモートでの確認を少しずつ取り入れるような形は取り組ませていただいている状況でございます。
○田邉構成員 分かりました。ありがとうございます。
その中で、軽微な修理と基準適合性の確認、400回飛んで年に1回ぐらいあるということでしたけれども、1回あると、現場に行ったり云々、恐らく大変なのでしょう。
○猪口座長代理 今までの事例は離島等で報告がありますけれども、そのときは飛べないので、運航中止になります。従って、問題は患者さんをどうやって運ぶかということになります。離島の場合、即応できない場合が多いので、代替手段を準備しておくのが国際的には正しい方法なのですけれども、必ずしもすぐできないときにどうするかということです。
○田邉構成員 ごく軽微なときに遠隔で基準適合性が確認できれば、そこの部分が少し回避できる。もちろん安全第一といったところが大切かと思いますけれども、リモートといった部分は、飛行間の点検のところで副操縦士は「△」になっていて、搭乗整備士は「○」になっているわけですね。「△」というのは、やはり整備士がやったほうがよりいいからということですか。
○猪口座長代理 「△」になっている部分は、整備規程等で定められていればできるということです。ただし、基準適合性の確認は資格がない人にはできない。今、国交省からお話がありましたように、肉眼で確認しなくてもいいような方向に取組が行われています。現在の所ドクターヘリでは現実のシステムとして開始はされていませんけれども、法的にはその方向に、世界的にもそういう方向に動いているところだと思います。
○田邉構成員 ありがとうございます。
副操縦士がするよりも整備士がするほうがより質の高いものができるということであれば、その部分を遠隔化で整備士がサポートすると、より安全が確保できる、そんな工夫も将来的には考える必要があるかと思いました。
以上です。
○坂本座長 ありがとうございます。
横田構成員、お願いします。
○横田構成員 エアロトヨタの横田でございます。
今、田邉構成員から御質問いただいた現場で何か不具合があったときにということに関して、ドクターという観点からは猪口先生から補足を頂きました。では、実際に運航会社のほうはどういうことになるのかというと、離島あるいは町なかでの小学校のグラウンドに、例えばランデブーポイントが設けられていて、そこでドクターヘリと救急隊が合流したという場面を想定していただきますと、患者は先ほど先生が言われたように救急車に乗って、場合によっては、今はなかなか難しい状況にありますけれども、別のドクターヘリを呼んでというようなところでの、患者のケアは医療側でどうにか検討していただくということになります。ただ、機体は、現状ですと、整備士が同乗していれば、そこの適合性の確認ができれば、これは空輸というようなことで、そこから離脱することができる。そういうことができなくなると、今度、小学校等にトレーラーを呼んで機体を運び出すまで小学校のグラウンドが使えなくなる。こういうような第三者への影響が出る。そこのところを運航会社としては常日頃から非常に気にしているところでございますし、ある意味、それが整備士同乗によって一定程度防げているというようなことで、安全性の確認が重要ということが出ていることを補足させていただきます。
一方、これはどなたがということではないのですが、先ほど皆様のところから現在起きている整備士不足ということが問題になっており、確かに業界全体として大きな問題であることは事実です。ただし、今回の事案が起きたことが整備士不足だからなのかというと、真因はそこにはないということです。今後の運航会社の選定方法を猪口先生が御提言いただいているように、選定する側、発注者側の方々が正しく評価、理解していただく上では、この場ではなくて、いろいろと難しい話もあるかと思うのですが、このことについてはやはり正しく振り返りをして、なぜそうなったのかというところを、ある一定程度、当事者でいらっしゃる兵庫県様あるいは和歌山県様も恐らく深掘りしていただいているかと思いますので、そういうことの共有も非常に重要ではないかと考えた次第です。
以上です。
○坂本座長 ありがとうございます。
整備士不足は一つの原因ではありますけれども、表面的にそれだけではないのだと、もう少し背景となる問題を解決していかないと将来の中長期的な目標は立てられないということだと拝聴いたしました。
ほかによろしいでしょうか。
それでは、構成員の皆様からの御意見もおおむね出たところでございます。あと5分ほど残すのみになりましたので、一応ここで皆様からの御意見に関しては終了とさせていただきたいと思います。大変貴重な御意見を頂き、誠にありがとうございました。
本日は、第1回に続きまして、現状と課題について幅広く御意見を頂きました。特に、既に運休が生じている地域においてどのように確保するのかという短期的な課題、それから、将来にわたり安全で持続可能な運航体制をどのようにこれから構築していくのかという中長期的な課題、前回でも議論がございましたけれども、これは明確に分けて議論していくべきだろうと考えられました。
最後にもございましたけれども、運航事業者の選定や委託契約の在り方につきましては、単に価格のみでなく、安全確保への取組、あるいは運航体制、整備体制の継続性、そして予備機、代替機などの運航体制の確保、これらも含めて考えていくべきだろうということで、これは引き続き検討が必要な課題であると考えられると思います。
また、和歌山県から御紹介がございました自治体による機体保有等の整備についても、既存のドクターヘリの補助制度に機体の購入というものをどうのせていくのかという整合性、あるいは購入した機体に対しての運航事業者と県との責任の分担、あるいは継続性について、これもどちらが責任を持つのかということについて、まだまだ整理しなければいけない問題があるだろうということで、これは今後、実働の開始までに解決しておくべき問題というふうに捉えさせていただきました。
事務局におかれましては、本日、各構成員から頂いた御意見や御指摘、また、それにお答えいただいた本日の報告者からの御意見、これらに基づきまして、短期的な視点と中長期的な視点、双方から整理いただき、次回以降の議論に資するようにおまとめいただきたいと思います。
次回以降も引き続き関係者からのヒアリングを行いつつ、本日の論点をさらに深掘りして事務局に整理していただいた上で、9月を目途に中間取りまとめとなっておりますので、これに向けて今後の方向性も併せて検討してまいりたいと思います。
本日は、ありがとうございました。
最後に、事務局からいかがでしょうか。
○森田病院前医療対策専門官 事務局でございます。
次回の検討会については、日程が決まり次第、御案内させていただきます。
以上です。
○坂本座長 ありがとうございます。
それでは、長時間にわたりましたけれども、本日の「救急医療搬送体制等のあり方に関する検討会」はこれで終了させていただきます。皆様、どうもありがとうございました。

