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2026年9月16日 第211回労働政策審議会労働条件分科会 議事録
労働基準局労働条件政策課
日時
令和8年9月16日(水) 10:00~12:00
場所
厚生労働省専用第22~24会議室
(東京都千代田区霞が関1-2-2 中央合同庁舎5号館18階)
(東京都千代田区霞が関1-2-2 中央合同庁舎5号館18階)
出席者
- 公益代表委員
- 安藤委員、川田委員、神吉委員、首藤委員、原委員、水島委員、山川委員
- 労働者代表委員
- 市川委員、亀田委員、櫻田委員、佐藤(好)委員、椎木委員、菅村委員、春川委員、古川委員
- 使用者代表委員
- 加藤委員、鈴木委員、田中委員、田上委員、鳥澤委員、兵藤委員、福本委員
- 事務局
- 岸本労働基準局長、長良審議官(労働条件政策、働き方改革担当)、牛島審議官(労災、賃金担当)、佐藤総務課長、川口労働条件政策課長、竹野労働関係法課長、田邉労働条件確保改善対策室長、横田賃金課賃金支払制度業務室長、田上労働条件政策調整官、平山労働条件政策課長補佐、来嶋労働条件政策課長補佐
- オブザーバー
- 熊崎金融庁企画市場局デジタル・分散型金融企画室長
議題
(1)資金移動業者の口座への賃金支払制度について
(2)労働基準関係法制について
(2)労働基準関係法制について
議事
○山川分科会長 おはようございます。それでは、定刻になりましたので、ただいまから第211回「労働政策審議会労働条件分科会」を開催いたします。
本日の分科会は、会場とオンラインの双方での御参加による開催としております。
議事に入ります前に、本分科会委員の交代につきまして、事務局から説明をお願いします。
○労働条件企画専門官 事務局でございます。本分科会委員の交代につきまして御報告いたします。
お手元の参考資料No.1として、労働条件分科会委員名簿を配付しております。
労働者代表の松田惣佑委員が御退任され、全国生命保険労働組合連合会中央書記長の市川勝也委員に御就任いただいております。
また、本年8月付で事務局の異動がございましたので、御紹介させていただきます。
大臣官房審議官(労働条件政策、働き方改革担当)の長良でございます。
大臣官房審議官(労災、賃金担当)の牛島でございます。
総務課長の佐藤でございます。
労働関係法課長の竹野でございます。
賃金課賃金支払制度業務室長の横田でございます。
事務局からは以上でございます。
○山川分科会長 どうぞよろしくお願いいたします。
本日の委員の御出欠ですが、使用者代表の佐藤委員、それから、公益代表の黒田委員が御欠席と承っております。
カメラ撮りにつきましては、ここまでとさせていただきます。
それでは、本日の議事に入りたいと思います。
まず、議題の(1)は「資金移動業者の口座への賃金支払制度について」でございます。
本議題につきましては、金融庁の所管する事項に関係しますことから、労働政策審議会運営規程第4条に基づきまして、金融庁の担当者の方にオブザーバーとして御出席いただいております。
では、事務局から説明をお願いします。
○賃金課賃金支払制度業務室長 賃金課の横田でございます。私から資料No.1に基づいて説明させていただきます。
賃金のデジタル払いに関しましては、前回、前々回と2回にわたりまして、規制改革実施計画に記載され検討が求められていた点を中心に御意見をいただいたところでございます。本日は、今までいただいた御意見をまとめたもの、それを踏まえて事務局で作成した具体的な方向性について御説明させていただき、御意見をいただきたく思っております。
まず、資料の1ページ目でございます。規制改革実施計画を入れております。
破綻時の資産保全要件、指定代替口座の必置要件、その他要件の3点について、見直しの要否を含め検討し、結論を得次第、速やかに必要な措置を行うこととされておりました。
2ページ目でございます。1つ目の論点である、破綻時の資産保全要件について、資産保全要件につきましては、賃金という性質上、労働者保護の観点から、ガイドラインにおいて、破綻時から6営業日以内に弁済を行う仕組みを有することとしているところでございます。規制改革実施計画において、資金決済法の改正を踏まえ、資産保全要件の廃止または大幅な見直しを検討することが求められているところでございます。
本分科会において、委員の皆様からは、ニーズ調査でも破綻時の安全性への懸念を挙げる回答が相当数であり、6営業日以内の全額弁済の要件は残すべき。賃金支払いの安全性や確実性を低下させる見直しは行うべきではない。中小企業や労働者のニーズが少なく、現時点での見直しの必要を感じない、といった御意見をいただきました。また、破綻しても6営業日以内に債務を全額弁済できるような確実な方法が別途存在するのであれば、分科会で議論してもよいのではないかともいただいたところでございます。
これらの御意見を踏まえまして、今後の方向性としましては、破綻時から6営業日以内に全額弁済という現行の指定要件を維持することとさせていただくとともに、労働者保護の観点を損なわない部分として2点の明確化を行いたいと考えております。1つ目は保証額について、2つ目は資金決済法の改正による影響について、それぞれ資料の3ページ目、4ページ目で説明させていただきます。
資料の3ページ目でございます。保証額については、受入上限額である100万円に最大口座数を乗じた額とガイドラインに記載されておりまして、現在のところ、資金移動業者が想定している最大数の口座数を保証するように運用しているところでございます。つまり、例えば5万口座の開設を計画した場合につきましては、実際に開設されている口座が1万口座分であったとしても5万口座分の保証が必要と運用を行っていたところでございます。
これについて、随時、保証額を積み増すことで、実際に口座開設予定が立った口座分の額について保証の用意ができれば、利用者保護の観点からそれを損なわないため、それで要件を満たすことを明確化していきたいと考えております。
4ページ目でございます。2つ目の点、令和8年6月に施行された資金決済法の改正によりまして、賃金のデジタル払いの保証との関係を整理したものでございます。
賃金のデジタル払いの指定を受ける資金移動業者は、資金決済法に基づく登録も行うことが必須でございます。賃金のデジタル払いのための保証のほかに、資金決済法で求めている口座残高全額の保全が必要となっております。この保全は、資金移動業者が破綻した際には、利用者に供託経由で返還されることが必要でございました。一方で、賃金デジタル払いのための保証は、破綻後6営業日以内での労働者への直接弁済を求めており、両者は別々に用意する必要がございました。
この点について、資金決済法の改正により、資金決済法の保全の方法として、賃金デジタル払いの保証と同様の直接弁済が可能となったため、賃金のデジタル払いによる保証を行っていれば、資金決済法に基づく保全の要件を満たす場合が生じることとなりました。具体的には、図で示しているような全体で10億円の受入限度があり、そのうち賃金のデジタル払いの労働者指定口座分が3億円、うち2億円の残高を有しており、その他の口座の受入上限額が7億円であり5億円の残高を有している場合ですと、資金決済法の改正前は両制度の保証額を合わせると10億円が必要でございましたが、これが賃金デジタル払いの保証が資金決済法の保全要件も満たす場合には7億円まで減る場合が生じることとなっております。この関係につきまして、ガイドラインで明らかにしたいと考えております。
資料5ページ目でございます。2つ目の論点であります指定代替口座の必置要件についてでございます。
指定代替口座は、賃金のデジタル払いの口座に受入上限額を超えて給与振込が行われた場合に、超過分が自動送金される口座として利用されているものでございます。賃金デジタル払いの利用者には、預貯金口座等の登録を必須としているものです。これにつきまして、日本の預貯金口座がつくりづらい外国人労働者を考慮して、ATMによる返済等による代替手段などについての検討ということが求められております。
本分科会におきましては、口座の上限額が設定されている点を踏まえ、受入先としての預貯金口座等を求める要件は維持すべき。事務局の行ったヒアリング結果からは、外国人労働者からのニーズもないことから、要件の見直しは不要。ATM受取サービスは、受取上限額や期限が設定されていることから、超過分全てを受け取れなくなる弊害が考えられるといった御意見をいただいたところでございます。
今後の方向性としましては、指定代替口座について預貯金口座等に限定している現行の指定要件を維持する。その上で、多様な労働者のニーズを把握するため、外国人労働者も含め、ニーズ調査を実施し、制度のきめ細かな状況把握に努めることとしたいと考えております。
6ページ目でございます。3つ目は、その他要件という括りで、個人情報の第三者機関認証と、1円単位の払出しの2点についてでございます。
まず、個人情報の第三者認証につきましては、資金移動業者が銀行と異なり多様な業態を兼ねることが可能であるため、利用者の個人情報保護の観点から、プライバシーマークまたはISMS認証のどちらかの取得を求めているものでございます。分科会におきましては、労働者保護の観点から、銀行同等の保護が必要であり、仮に第三者認証の範囲を見直す場合は、プライバシーマークまたはISMS認証と同水準の認証であることを確実に担保することが必要という御意見をいただいていたところでございます。
検討の方向性としましては、プライバシーマークまたはISMS認証に準じた認証を認めることとしたいと考えております。
次に、1円単位の払出しについてでございます。1円単位の払出しにつきましては、通貨払いの原則も踏まえて、例えば1,000円以上のお札だけの払出しの方法しかないというものは認めず、1円単位の払出しを求めているものでございます。これについては、賃金のデジタル払い制度だけ異なる単位とする事情もないことから、本要件は維持すべきという御意見をいただいていたところでございます。
方向性として、労働者の利便性の確保や、ほかの賃金支払手段の払出しの状況を踏まえ、1円単位での払出要件は維持したいと考えております。その上で、全ての払出方法で1円単位を求めているわけではなく、1円単位での払出手段を1つ以上確保していることで足りるという旨、Q&Aに明記するなどして周知していきたいと考えております。
私からの説明は以上でございます。
○山川分科会長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの事務局の説明につきまして、御質問、御意見がありましたらお願いいたします。
オンラインでの御参加の委員の皆様は、御発言の希望があります場合には、チャット機能でお知らせください。
御質問、御意見等ございますでしょうか。
菅村委員、お願いします。
○菅村委員 御説明ありがとうございました。
まず、今回の基本的な方向性は、賃金支払いの安全性や確実性を担保するための現行要件を維持するものであることから、全体について異論はございません。
ただ、労使が共に見直しは時期尚早としていたにもかかわらず、規制改革会議の要望を受ける形で見直しが行われることについては疑問を持っております。その上で、個別の論点について2点意見を申し上げたいと思います。
1点目は、資金移動業者の破綻時の資産保全要件についてです。この点は、現行要件を維持する上で、保証契約の考え方などについて、ガイドラインやQ&Aで明確化するということですが、労働者の生活の糧である賃金が破綻時にも迅速かつ確実に支払われることが欠かせません。したがって、資金移動業者の体制や保証契約の内容が実態として本要件を満たしているか否かについては厳正な審査をお願いしたいと思っております。
2点目は、資料No.1の5ページに記載の、外国人も含めた調査の実施ということについてです。たとえ調査で外国人のニーズがあることが明らかになったとしても、賃金が安全にかつ確実に支払われるために設けられた各要件を緩和する根拠にはなり得ないと考えております。
厚生労働省におかれましては、今後とも金融庁とも連携しつつ、賃金の安全性・確実性がしっかりと担保されるよう、厳格かつ適正な制度運用をお願いしたいと思います。
以上でございます。
○山川分科会長 ありがとうございました。
ほかに、オンラインで、兵藤委員から御発言希望がございます。兵藤委員、どうぞ。
○兵藤委員 ありがとうございます。兵藤でございます。私からは、資金移動業者の口座への賃金支払制度の今後の検討の方向性について発言させていただきたいと思います。
資金移動業者の破綻時における資産保全要件及び指定代替口座の必要要件、その他の要件は、労働者が賃金全額を確実に受け取ることができるようにするために設けられたものですので、いずれの要件も堅持するべきと考えております。その上で、それぞれの要件をガイドラインやQ&Aにより明確化することは、現行の制度趣旨を損なうことなく、資金移動業者の事業円滑化に資するものと考えておりますので、したがって、今回示された検討の方向性について異論はございません。
1点、質問させていただきたいと思います。6ページにございます論点の中で、個人情報の取扱いに係る第三者機関の認証について、プライバシーマークまたはISMS認証に準じた認証であるか否かというところの判断についてですが、具体的にどのような基準に基づいて行われるものなのか、教えていただければと思います。
お願いいたします。
○山川分科会長 それでは、事務局からいかがでしょうか。
○賃金課賃金支払制度業務室長 御質問ありがとうございます。プライバシーマーク、ISMS認証に準じる認証の判断するメルクマールはどのようなものかという御質問につきまして、プライバシーマーク及びISMS認証につきましては、個人情報保護法関連の要求事項を満たしているかに加えまして、JIS規格による個人情報の管理のPDCAサイクルの確立についても審査基準に入れているところが特徴でございます。こういった特徴を有している第三者認証機関というところが今後、準ずる認証として判断するメルクマールと考えております。
○山川分科会長 兵藤委員、何かございますか。
○兵藤委員 ありがとうございます。
やはりここにつきましては、第三者機関による認証の範囲を見直す場合であったとしても、おっしゃるとおり、しっかりPDCAサイクルを回していただく要件など、ISMS認証と同水準の認証であるということを確実に担保することが重要だと考えておりますので、今後については強くそこをお願いしておきたいと思っております。
私からは以上です。ありがとうございました。
○山川分科会長 ありがとうございました。
ほかに御意見等ございますでしょうか。
川田委員、どうぞ。
○川田委員 ありがとうございます。
私も、他の委員からの御発言もあったかと思いますが、資料No.1の2ページ、5ページ、6ページに示されている具体的な検討の方向性については、労働基準法24条の賃金保護、とりわけ深い関わりがあるのは通貨払いの原則ですが、これを土台に考えた場合に、現状において、この内容が適当であると考えています。
それを前提に、あと2点述べたいのですが、一つは、基本的にこれまでの扱いを維持する内容になっているところが多いですが、一部扱いが変わっているところもあります。このような点については、特に現行労働基準法施行規則の7条2項で労働者に説明して同意を得るという規定がありますが、これを徹底することは重要だと指摘したいと思います。併せて、既にこのデジタル通貨払いを実施している事業者が今回の扱い変更を機に扱いを変えるような場合の対応についても考え方を整理して徹底するということをお願いしたいと思います。
もう一つは、この議論の中でも今後の電子マネーの扱いが変わってきたときの検討課題の話が出ていたと思います。この点は確かに、技術の進歩とか社会的な電子マネーの定着状況等を見て、今後、さらに検討していく必要はあり得るかと思いますが、その際には、現在、日本の中央銀行である日本銀行が、具体的な計画に基づいているわけではないものの、デジタル通貨を発行することについて一定の検討を行っているというようなことも耳にしております。仮にそういうデジタル通貨が本格的に定着していくと、この問題というものは現在検討している通貨払いの原則に対する例外ではなく、デジタル通貨による賃金支払いが通貨払いの原則の中に入り込んでくる可能性もあり得て、そうなってくると、現在行っているような例外としての検討の重要性というものがもしかすると薄れていく可能性もあり得るのかなという、その辺りの可能性まで視野に入れながら、技術と社会の変化を見て、今後の対応を検討するということが重要かと思っています。
以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。
ほかにございますでしょうか。よろしゅうございますか。
ありがとうございます。
本分科会での御意見として、賃金の性質や労働者保護の観点から、現行制度の維持が必要であるという御意見が多かったこと、また、その中で基準を明確化していくということ等で、できる限りの工夫を取って進めていく御方針と受け止めたところでございます。
事務局から提案のありました具体的な検討の方向性については御了解ということで、必要な箇所についてガイドライン等の改訂作業を進めていただくということでよろしゅうございますか。
(委員首肯)
○山川分科会長 ありがとうございます。御異議ございませんでしたので、事務局においては、ガイドラインの改訂等の対応をお願いしたいと思います。
オブザーバーの金融庁の担当者の方は、ここで御退席いただいて差し支えございません。ありがとうございました。
では、続きまして、次の議題に移りたいと思います。
議題の(2)は「労働基準関係法制について」でございます。
まず、事務局から、今後の議論の進め方につきまして御説明をお願いします。
○労働条件政策課長 労働条件政策課長でございます。資料No.2-1を御覧ください。今後の議論の進め方(案)についてでございます。
まず、1ページ目でございます。日本成長戦略あるいは経済財政運営と改革の基本方針2026において記載されておりますが、この日本成長戦略におきまして、労働時間法制等に係る政策対応について、2026年夏以降の労働政策審議会において議論を行うということとされております。
具体的に、裁量労働制あるいは変形労働時間制、連続勤務規制、勤務間インターバル、「つながらない権利」、副業・兼業、テレワーク等々について、現場の実態あるいは労使双方の立場を十分に踏まえて等々の点を踏まえながら検討を進めるということとされております。
2ページ目でございます。この労働条件分科会におきましては、昨年1月以降、非常に多岐にわたる議論をこの2ページ記載のとおり進めているところでございます。
これを踏まえて、3ページ目でございますが、今後の議論の進め方といたしましては、本年7月21日に閣議決定された日本成長戦略や骨太の方針、あるいは昨年1月からの本分科会での議論を踏まえて、以下の論点を中心に議論を行うこととしてはどうかということでございます。
御覧いただきますように、勤務間インターバル制度、連続勤務規制、「つながらない権利」、裁量労働制、変形労働時間制、副業・兼業、テレワーク・フレックスタイム制、その他、昨年1月から本分科会で議論してきた論点といたしまして、過半数代表者等、法定休日の問題、それから、年次有給休暇の問題等でございます。
非常に多岐にわたる論点がございますので、今後の進め方といたしましては、月2回ないし3回程度の頻度で議論を行うこととしてはどうかと考えております。
以上でございます。
○山川分科会長 ありがとうございました。今後の議論の進め方についての御説明でした。
では、御質問、御意見があればお願いいたします。
また、オンラインで御参加の皆様については先ほどと同様でお願いいたします。
御質問、御意見等ございますでしょうか。
鈴木委員、どうぞ。
○鈴木委員 ご指名ありがとうございます。私は、労働条件分科会における今後の議論の進め方について意見を述べさせていただきたいと思います。
日本成長戦略会議におきまして、戦略17分野に共通する分野横断的な課題として、柔軟で多様な働き方の実現に向けた労働時間法制の見直しが議論され、これから本分科会において議論が本格化することになったと理解しております。今後の検討に当たり、裁量労働制、変形労働時間制、フレックスタイム制、副業・兼業などについて、企業、そして、働く人の多様なニーズに応えられるよう制度の見直しを行い、労働供給制約への対応と生産性の向上、さらには日本経済の成長につなげていく視点が必要だと考えております。
企業は、厳しいグローバル競争の中でも、賃金引上げや、総合的な処遇改善など、積極的な人への投資を進めております。こうした方向性は日本成長戦略会議の考えとも合致すると思います。一方で、持続的に賃金を引き上げていくためには、原資となる付加価値を生み出していかないといけないと思っております。この付加価値を生み出す取組みは多岐にわたりますが、私としては、その重要な施策の一つが裁量労働制であると考えております。
裁量労働制は、単なる勤務制度ではなく、例えば育児や介護などによって働く時間の制約がある方においても、自律的かつ柔軟に働き、成果に応じた処遇を受けやすくなることで、その方が持てる能力あるいはパフォーマンスを引き出すことができ、モチベーションが高まり、キャリアの継続やキャリアアップにもつながると考えております。その結果として会社の業績の向上につながり、その成果を賃金引上げなどの処遇改善として社員に還元するといった好循環を生み出す上で、裁量労働制は重要な施策の一つだと考えております。
加えて、現在、御案内のとおり、AIが極めて速いスピードで発展しています。AIが定型業務に加えて、調査・分析といった非定型業務を補完・代替することになると、課題を設定し判断する、あるいは新しいアイデアを生み出すといった、より創造的で付加価値の高い業務がますます求められると思っております。AIをどのように使いこなし、どのような成果につなげていくかによって、同じ時間働いたとしても、生み出す付加価値というものは人によってこれまで以上に違いが生じる可能性があろうかと思います。企業の付加価値を生み出す中心は人であり、人材こそが企業競争力の源泉であるという点は今後も変わらないと考えます。
ただ、AI、さらにはAIエージェントによってホワイトカラーの仕事のやり方が変化し、今後は人がどれだけ働いたかというよりは、AIを活用しながら、限られた時間の中でどれだけ高い付加価値を生み出したかが重要になってきます。こうした仕事の変化に労働時間法制が追いついていないという強い危機感を持っています。こうした変化を踏まえると、従事した労働時間ではなく、成果に応じた処遇をより可能とする裁量労働制を、健康確保を前提に、過半数労働組合のある企業で拡充していく必要があると考えております。
最後に、今回示されたその他のメインの論点につきましても、画一的な規制の維持や規制強化という方向に議論が偏ることなく、働く人の健康を確保しながら、その能力を最大限引き出し、企業の存続と成長、ひいては日本の成長につなげる観点からの議論となることをお願いいたします。
私からは以上でございます。
○山川分科会長 ありがとうございました。
オンラインで、田中委員から御発言希望がございます。お願いします。
○田中委員 御指名ありがとうございます。田中です。私からは、変形労働時間制について発言させていただきます。
変形労働時間制は、業務の繁忙・閑散や納期など、自社ではコントロールすることが難しい要因に対応するための重要な制度です。事業活動の実態に柔軟に対応する労働時間制度としての役割があると考えています。
現行制度について、一部企業から、勤務日や勤務時間の設定変更に関する要件が厳格であり、現場の状況変化に対応することが難しいとの声とともに、変形労働時間制の見直しのニーズが上がっています。労働者の健康確保や生活への影響に配慮することが前提ですが、現場の実態を踏まえながら、より利用しやすく実効的な変形労働時間制の在り方について検討していくことは重要であると考えます。
私からは以上です。
○山川分科会長 ありがとうございます。
ほかにございますでしょうか。
菅村委員、どうぞ。
○菅村委員 御説明ありがとうございました。
労働条件分科会では、昨年の初めから労働時間法制に関わる幅広い論点について議論を深めてきたと思っておりますが、今回お示しいただいた論点案については、日本成長戦略に沿うような形でまとめられていると思っております。具体的には、本分科会で議論を積み重ねてきた管理監督者の規制や44時間特例措置の廃止などについては論点の中から除外されており、違和感を禁じ得ません。
その上で、労働側としては、特に労働時間の把握義務が論点から除外されることはあってはならないと考えております。時間外労働の上限規制の実効性を担保するためには、その土台である労働時間の適正把握が確実に行われることが欠かせません。労働時間の把握義務は論点に明確に取り上げていただくことを強く要望したいと思います。
また、今後の議論に当たって、特に勤務間インターバルや連続勤務規制など、労働時間に関する論点を取り上げる際には、生活時間の確保や過労死等防止の観点での調査・研究の結果やデータなどを資料として追加いただき、エビデンスに基づいた建設的な議論が行われるよう対応をお願いしたいと思っております。
加えて、既に大きく報じられておりますが、労基署による一律の指導の見直しについても意見を申し上げます。この点は、労働側から、過労死等がなくなっていない中で時間外労働を助長しかねないといった懸念・反対の意見を繰り返し申し上げてきたにもかかわらず、こうした見直しがなされたことは非常に遺憾です。
昨日公表された令和7年度の監督指導結果によれば、45時間以内への削減に対する指導が6,000件に近い数であったわけですけれども、そうした指導が一律取り止めになることについて、連合にも全国から、長時間労働を前提とする働き方に逆戻りするのではないかとの不安の声が多く寄せられているところです。労基法の趣旨を踏まえた労基署による厳格な対応を堅持していただきたいと思っておりますし、法違反だけではなく、その未然防止を図り、労働者の命と健康を守るための毅然とした監督指導を継続いただきたいと思います。
以上です。
○山川分科会長 ありがとうございます。
ほかにございますか。
鳥澤委員、どうぞ。
○鳥澤委員 ありがとうございます。労働基準関係法制に関して、改めて日商としての基本的な考え方について申し上げます。
日商が5月に公表した中小企業の働き方に関する調査では、約4分の1、25.9%の中小企業が45時間以上の勤務する従業員がいると回答するなど、人材の代替が困難な中小企業において、特定専門人材へ業務負荷が集中する傾向が見られます。また、同調査によりますと、時間外上限規制は、特に運輸35.7%、建設28.7%、宿泊・飲食24.5%など、地域のインフラを担う企業の事業運営に支障を及ぼしてございます。その要因は、今年の夏も各地で大きな災害がございましたが、こういった天候や取引先との関係など、他律的なものであり、自社の力だけではコントロールし難い状況にあることがうかがえます。こうした業種の企業活動の縮小・廃業は、他業種にも影響を与えるとともに、地域の人流減少に拍車をかけ、地域経済全体に深刻な影響を与えており、強く懸念しております。
当然のことながら、労働者の健康確保は極めて重要であることは重々承知しておりますが、硬直的な労働時間規制によって経済社会活動の維持機能が損なわれることは無視できない課題と認識してございます。加えて、人的リソースの限られる中小企業にとって、事業活動の維持・成長に向け、従業員の能力開発や技能の伝承、柔軟な働き方の推進は経営上の大きな課題となっております。
厚生労働省の働き方改革関連法施行後5年の総点検調査結果では、より働きたいと回答した労働者は約1割となりましたが、企業ベースで見た日商調査によれば、担当業務の完遂や責任、スキルの取得、経験蓄積等の理由から、より長い労働時間を希望または承知する従業員が一定数いると回答した企業が4割超に上りました。こうした結果を踏まえますと、労働者の健康を確保しながら、より働きたいという意思を持つ労働者の希望に応えていく視点も重要ではないかと考えます。その際、業種・業態によって身体的・精神的負荷は異なることを踏まえ、一律の労働時間のみによらない健康措置確保を講ずることが必要と考えます。
こうした認識・考え方に基づき、日商では、労働者の健康確保と労使合意を前提とし、より柔軟な労働時間制度の実現、時間外労働の上限規制の一部例外措置、月45時間年間6回の緩和は必要な措置であると考えてございます。今回、論点としてご提示いただいた中では、変形労働時間制の要件緩和が特に重要と考えます。サプライチェーンの下層に位置する中小企業においては、自社ではコントロールし難い繁閑に対し、限られた人材が柔軟に働ける環境を整備していくことは不可欠です。
各論の議論の場でも改めて申し上げたいと思いますが、労使合意を前提に、1年単位の変形労働時間制において、労働日及び労働時間を変更できる措置、30日前に労使合意を得る期間の短縮について検討が必要であると考えてございます。
少し長くなりましたが、私からは以上でございます。
○山川分科会長 ありがとうございます。
ほかにございますでしょうか。
それでは、まず、古川委員、お願いします。
○古川委員 ありがとうございます。
先ほど使側委員から、裁量労働制の拡充について意見がありました。前回分科会でも報告させていただいている連合の加盟組合へのヒアリングの結果によりますと、裁量労働制については、労使で厳格に運用していたとしても「長時間労働になりがち」「裁量が確保できない状況に陥りやすい」といったような実態が明らかになっております。こうした現場実態からも、裁量労働制の拡充などを行うと、長時間労働や健康被害の増加を引き起こしかねないのではないかと考えています。
制度の拡充・緩和ではなく、適正運用の徹底にこそ取り組むべきであるということを改めて申し上げておきたいと思います。今後示される実態調査結果も踏まえながら、制度の濫用防止はもちろんのこと、適正な運用を確保するための措置などの大幅な強化こそが必要であると考えております。
以上です。
○山川分科会長 ありがとうございます。
それでは、亀田委員、どうぞ。
○亀田委員 ありがとうございます。先ほど使用者側から発言のあった変形労働時間制などについて発言させていただきます。
そもそも、変形労働時間制は、現行でも繁忙期には最長で1日10時間、1週52時間までで所定労働時間が設定できるなど、極めて柔軟な制度です。それにもかかわらず、企業側の一方的な都合によって、繁忙期の長時間労働を長期化させたり、急な予定変更を可能とするような緩和を行えば、労働者は安心して休むことができないだけでなく、健康や生活設計に悪影響を及ぼしかねません。繰り返しになりますが、そのような懸念がある変形労働時間制の要件緩和は行うべきではないと考えております。
また、上限規制に関して、現場では月45時間、年6回を超えるケースがあるとの発言もありましたが、この時間数などは医学的知見に基づいた過労死認定基準を踏まえたもので、文字どおり、労働者の命を守るルールでございます。いまだに一般則が適用されていない自動車運転者、特にトラック運転者は2025年度も脳・心臓疾患の労災請求件数・認定件数ともに最も多い業種となっています。そうした実態からしても、上限規制を強化こそすれ、過労死や健康被害を増加させない要件緩和など許されるべきではないと強く申し上げます。
以上です。
○山川分科会長 ありがとうございます。
ほかはよろしいでしょうか。
一部、内容に関わる御意見もいただきましたが、今回の議題は議論の進め方についてということでございます。
特にございませんでしたら、事務局から説明していただいた点に、本日いただいた進め方に関する議論も踏まえまして、今後の議論を進めていただくということで差し支えございませんでしょうか。
(委員首肯)
○山川分科会長 それでは、御異議ございませんでしたので、次に個別の論点に移りたいと思います。
事務局から説明をお願いします。
○労働条件確保改善対策室長 事務局でございます。私からは資料No.2-2、それから、資料No.2-3について、通しで御説明させていただきます。
まず、画面にありますとおり、資料No.2-2の御説明でございますけれども、この資料No.2-2は、論点に関する資料でございます。今回の論点としましては、集団的労使コミュニケーションの在り方と年次有給休暇の2つの論点をお示ししておりまして、集団的労使コミュニケーションの在り方については、この資料No.2-2の1ページ目から2ページ目まで大きく3つに区分して記載してございます。また、年次有給休暇につきましては、3ページ目で記載してございます。順に、御説明させていただきます。
まず、1ページ目を御覧いただければと思います。
適切な労使コミュニケーションの在り方の1つ目の○としましては、過半数代表者の適正な選出についての論点でございます。読み上げますと「労使コミュニケーションの中核を担うのは労働組合であるが、過半数労働組合がない場合も、できるだけ対等な労使コミュニケーションを図ることができるよう、不適切な選出の事例も見られる過半数代表者の適正な選出が必要。現在、過半数代表者の選出手続を含めた要件は、労働基準法施行規則に実施命令として定められているのみであるが、適切な労使コミュニケーションの基盤の整備のため、法律に規定することについてどのように考えるか」というものでございます。
次の○でございますけれども、労働組合についての教育・啓発に関する論点でございます。「あわせて、労働組合による労使コミュニケーションを活性化する方策として、例えば、労働組合の意義、役割、重要性について教育・啓発を進めることについてどのように考えるか」。
続きまして、下の過半数労働組合・過半数代表者が担う役割についての論点でございます。「(過半数労働組合や)適正に選出された過半数代表者は、労使協定の締結等に向けて、労働者の意見の集約など、事業場の全ての労働者の公正な代表として手続を行うべきことを法律に規定することについてどのように考えるか」。
2ページ目を御覧ください。
過半数労働組合・過半数代表者が役割を円滑に遂行するための情報提供や便宜供与等の1つ目の○でございますけれども、情報提供・便宜供与についての論点でございます。「過半数労働組合や過半数代表者の役割が適正かつ円滑に遂行されるよう、過半数代表者の選出のために必要な情報や、事業場内の働き方の実態に関する情報等に関し、使用者が一定の情報提供を行うことや、活動のための便宜供与を行うことを法律上規定することについてどのように考えるか」。
2つ目の○でございますが、不当労働行為との関係に関する論点でございます。「労働時間の中で賃金を失うことなく活動すること等の金銭的な便宜供与を法律上明確化する場合、労働組合法の不当労働行為に当たらない旨を法律上明確化することについてどのように考えるか」。
3つ目の○は、不利益取扱いに関する論点でございます。「現在、労働者が過半数代表者であること等を理由とした不利益取扱いは、労働基準法施行規則に実施命令として定められているのみであるが、使用者との実効的なコミュニケーションを行い得る環境整備のため、過半数代表者であること等を理由とした不利益取扱いがなされないよう、法律上規定することについてどのように考えるか」。
4つ目の○は、指針に関する論点でございます。「過半数労働組合や過半数代表者の役割が適正かつ円滑に遂行されるよう、法律上に指針の根拠を規定した上で、過半数代表者の選出や過半数労働組合や過半数代表者の活動において留意すべき事項や、選択肢となる取組などについて、指針において規定することについてどのように考えるか」。
続きまして、3ページ目を御覧ください。3ページ目は、年次有給休暇に関する論点でございます。
まず、1つ目の○は、時季指定義務の日数などについての論点でございます。「時季指定義務の日数について、育児休業からの復帰者や退職するなど何らかの理由により年次有給休暇を与えることができる期間の短い労働者についても5日となっているが、当該日数についてどのように考えるか。また、時間単位年休の上限日数(5日)についてどのように考えるか」。
続きまして、2つ目の○は、年次有給休暇取得時に支払われる賃金に関する論点でございます。「年次有給休暇取得時に支払われる賃金について、原則として『所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金』とすることについてどのように考えるか。その際、『平均賃金』や『標準報酬月額の30分の1に相当する金額』については引き続き労使協定の締結により選択することが可能とすることについてどのように考えるか」。
資料No.2-2の御説明は以上でございまして、続きまして、資料No.2-3の御説明でございます。
資料No.2-3は、集団的労使コミュケーションの在り方、年次有給休暇につきまして、それぞれ前回御議論いただいた際の資料をベースに御用意させていただいたものでございます。
具体的には、集団的労使コミュニケーションの在り方については第203回会議、それから、年次有給休暇につきましては第206回会議の資料をベースにしてございます。その上で、今回の大きな変更点としましては、昨年9月の第203回会議以降、労働基準関係法制について御議論いただく際には、「各側委員からの主な意見の整理」というタイトルの資料を参考資料として提出しておりました。今回は、この「各側委員からの主な議論の整理」から今回の関係部分を抜粋した上で、直近の会議における御議論を下線を引く形で更新させていただいた資料を御用意させていただいております。
具体的には、集団的労使コミュニケーションの在り方につきましては、2ページ目から6ページ目になります。それから、年次有給休暇につきましては、64ページ目から66ページ目にそれぞれ、今、申し上げました資料を追加してございます。
資料No.2-3の御説明につきましては以上でございまして、事務局からの資料の御説明も以上でございます。
○山川分科会長 ありがとうございました。
それでは、集団的労使コミュニケーションの在り方と年次有給休暇について「本日御議論いただきたい論点」、それから、各論点に関係するこれまでの議論での主な意見などについて資料を用意していただいております。
事務局からの今の説明を踏まえまして議論を進めていければと思いますが、複数の論点がございますので、2つに分けて、まずは集団的労使コミュニケーションの在り方について御議論いただきまして、年次有給休暇につきましては後ほど時間を区切って議論してはいかがかと思います。
それでは、まず、集団的労使コミュニケーションの在り方につきまして、御質問、御意見があればお願いいたします。いかがでしょうか。
福本委員、どうぞ。
○福本委員 ありがとうございます。私からは過半数代表者が担う役割について発言させていただきます。
過半数代表者は、労使協定の締結等に向けて、労働者の意見の集約など、事業場の労働者の公正な代表として手続を行うということが期待されている点について異論はありません。以前の資料では、公正代表義務という用語が使われており、使用者側としては、意見集約が義務になった場合、使用者側に瑕疵がない場合にも協定無効となるおそれから反対してきました。義務という表現は誤解を招くものであり、今回、外していただいたことについてはよかったと考えています。
その上で、全ての労働者の公正な代表という表現が気になっております。現状、過半数労働組合・過半数代表者、いずれの場合も管理監督者から意見を聞くような実態にはなっていないと思います。また、論点にある労使協定の締結等の「等」に就業規則の新設・見直し時の意見聴取が含まれるとした場合、意見聴取の対象に管理監督者も含めることが適切なのか、議論が必要です。管理監督者も労働者に含め、意見聴取の対象にすることを提起された意図を確認したいと思います。
次に、過半数代表者に意見集約義務を課することの難しさについてコメントさせていただきたいと思います。過半数労働組合がある事業場、特に専従の組合員がいるところでは組合員の意見の収集は比較的容易と想像しますが、JILPTの調査によると、過半数代表者の活動の負担感、特に労働者間で異なる意見の集約に心理的な負担があるということの実態があります。これを踏まえれば、組合がない事業場において過半数代表者ないしその候補者が多くの意見を集めた上でそれを集約するということは簡単ではないと考えております。
そのため、集約については、法律上に規定するのではなく、企業ごとに労使コミュニケーションの成熟度は大いに異なることを前提に、まずは企業の好事例の横展開や必要な情報提供も含めて、そういったことが行いやすい環境を整えていくことがまずもって重要と考えております。
一旦、以上となります。
○山川分科会長 ありがとうございます。
今、御質問の趣旨が1つ含まれていたかと思います。全ての労働者のというところの趣旨について御確認という御希望がありますけれども、事務局から何かございますか。
○労働条件確保改善対策室長 事務局でございます。
御質問の趣旨にきちんと答えられているかというところはあるかもしれませんが、今回の論点につきましては、前回の論点について、前回の御議論も踏まえて更新させていただいたものでございます。
それから、管理監督者の話がございましたけれども、例えば、現行制度では管理監督者を選んではいけないということになっておりますけれども、論点は、そういった現行制度を踏まえた上で御用意させていただいたつもりでございます。
その上で、細部につきまして、どのような制度設計とするかにつきましては、引き続き、御意見、御議論を賜れればと考えております。
以上でございます。
○山川分科会長 それでは、川口課長、お願いします。
○労働条件政策課長 補足でございますが、おっしゃった御趣旨は、全ての労働者といったときに、確かに過半数代表というときに、そこの過半数代表の中の分母といいますか、その中には管理監督者も含めてという、そのうちの過半数となっているかどうかというところからして、今回の公正代表についても同じような法則で制度化するのかといったお尋ねだったかと思います。この辺はまさにこれからの御議論だと思います。
ここで少し書いた全ての労働者といった趣旨としては、先ほど福本委員からも問題提起ありましたように、この事業場内には本当にいろいろな就業形態とか雇用形態、様々な労働者の方がいる。そういった方を公正に代表するという趣旨で書いたものでありますが、これを具体的にどこからどこまでなのかというところは、この議論を具体化していく中で検討を深めていただければと思っております。
以上でございます。
○山川分科会長 福本委員、何かございますでしょうか。
○福本委員 理解しました。特にございません。
○山川分科会長 これから検討を深めるところもあるということかと思います。
ほかに。
菅村委員、お願いします。
○菅村委員 ありがとうございます。
まず、資料No.2-2の1ページの論点について、対等な労使コミュニケーションの確立と強化を図るための担い手は、憲法で労働三権が保障されており、労使対等の立場で交渉や協議を行うことができる労働組合であることは、これまでも労働側から強調してきたとおりです。その観点からすれば、たとえ過半数代表者の適正化を図ったとしても、労働条件設定機能を有する労働組合の代替にはなり得ず、すべきでもないと考えているところでございます。
また、労働組合は、労働者が自主的に団結し、民主的に運営されるものであって、外部から強制されるべきものではありませんが、日本の労働法制においても労働組合を労働者の権利を守る重要な主体として位置づけていることからすれば、論点に記載のある教育や啓発は極めて重要であり、より実践的な内容を含めて取り組んでいただきたいと思っております。
加えて申し上げれば、さらに踏み込んで、政策的な取組を進める必要もあるのではないかと考えております。例えば不当労働行為を行った企業については公契約から排除する、各種助成金等の不支給の要件とするなど、そうした対応についても検討すべきではないかと考えております。
続きまして、過半数代表者に係る論点につきまして意見を申し上げたいと思います。連合全体でも労働組合の組織化に取り組んではおりますけれども、残念ながら過半数組合がない職場も多く、こうした職場においては過半数代表者が民主的に選出された上で適切な役割を果たすことが不可欠であると思っております。
今回、論点に示された選出手続のほか、1ページ後半から2ページにかけての過半数代表の役割と公正代表性の確保、使用者による情報提供や便宜供与、不利益取扱いの禁止などを法律で明確化する方向性については全体として賛成の立場です。
その上で、選出手続について、資料No.2-3の15ページから17ページに記載があるとおり、実態として不適切な運用がなされていることが明らかになっています。そうした実態からすれば、現行の労基則の規定を単に労基法に格上げするだけでは不十分ではないかと考えております。当該選出に係る協定内容の事前の開示や、立候補者への所信表明機会の提供、直接無記名選挙の実施などを含めて、内容の充実化を図った上で労基法に格上げする必要があると思っております。
また、実効性を高める観点で、手続に瑕疵がある場合については協定等が無効になることについて、法律で明確化すべきであると考えております。
以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。
先ほど鳥澤委員のお手が挙がっておりまして、失礼しました。お願いします。
○鳥澤委員 ありがとうございます。私のほうから、労使コミュニケーションの在り方について、意見を3点申し上げさせていただきたいと思います。
まず1点目、労使コミュニケーションの在り方についてですが、中小企業の多くは過半数労働組合ではなく、過半数代表者を設置して対応しております。中小企業といっても規模は様々でございますが、少人数の組織においても労使コミュニケーションの活性化というものは重要でございます。中小企業では規模が小さいがゆえに、労使双方向の対話を通じ、経営者の方針と従業員のニーズをすり合わせることが可能となってございます。このような状況に応じた柔軟で多様な事業運営・労使コミュニケーションが、中小企業の企業競争力の源泉となっております。
大企業など、一定の人数規模がある組織における労使コミュニケーションを前提として、一律で制度化がなされれば、中小企業においては過半数労働者の運用が困難となり、かえって労使コミュニケーションの機会が阻害される懸念もございます。法律によって画一的な基準を定めるのではなく、現在の労働基準法施行規則の周知等を通じ、適切な過半数代表者の選出手続が行われるよう、引き続き支援を行うことが重要と考えます。
続きまして、過半数代表者の役割について申し上げたいと思います。過半数代表者について、過半数代表者に公正代表としての意見集約義務まで負わせるべきかについては慎重な検討が必要と考えます。過半数代表者に過大な義務を負わせることになれば、現在の過半数代表者のなり手不足に拍車をかける懸念もございます。
最後に、情報提供、便宜供与の在り方について申し上げます。労使での情報共有は極めて重要と認識してございますが、他方、労使で議論が存在しない事項においても一律で情報提供の義務が生ずれば、中小企業、過半数代表者、双方に過大な負担を生じ、かえって労使の健全なコミュニケーションを阻害する懸念がございます。具体的な共有内容は、労使の自治に任せることが望ましいのではないかと考えます。
また、便宜供与についても、法律で画一的な基準を定めることで企業風土に合わせた多様な運用が阻害される懸念がございます。こちらも慎重な検討が必要と考えます。
私からは以上です。
○山川分科会長 ありがとうございます。
オンラインで、兵藤委員からの御発言希望がございます。お願いします。
○兵藤委員 ありがとうございます。兵藤です。私からは3点発言させていただきたいと思います。
まず1点目といたしましては、現行の労働基準法施行規則の法律の格上げについてです。不適切な選出事例が残念ながらいまだに見られるという実態であること、また、トーコロ事件の判決をはじめ、民主的な選出方法が取られなかった場合の法的効力のコンセンサスはあることから、現行労働基準法施行規則の内容の限りで法律に規定することについては特段の異論はございません。
2つ目です。労働組合の意義・役割・重要性について教育・啓発を進めることについてです。労働組合の意義や役割などを経営者、労働者、学生などへ広く伝え理解してもらうことは重要だと考えております。その際、労働組合は、労働条件の向上や企業の行動の監視ということに加えまして、企業と一緒になって働き手の幸せと生産性の向上に取り組む、経営のよきパートナーとしても期待されている視点も重要だと考えています。こうした点を十分に踏まえて、教育・啓発を進めていくことが肝要だと考えております。
3つ目の点です。労使協定の内容の事前開示についてです。過半数代表の選出のために必要な情報の提供については、例えば就業規則の改正案は、過半数代表を選出する時点では具体的な改正案が固まっていないことも少なくありません。加えて、労使で協議しながら、就業規則、協定に関わる制度内容を決めていくというような場合もありますので、選出時点で具体的な協定案の提示を一律、画一的に求めることは、協議しながらまとめようとする企業における労使コミュニケーションの場においてはマイナスの影響を及ぼす懸念があるのではないかと考えます。
私からは、以上3点を申し上げさせていただきました。以上となります。
○山川分科会長 ありがとうございます。
では、続けて、田中委員、どうぞ。
○田中委員 ありがとうございます。私からは、過半数代表者の便宜供与・配慮について発言させていただきます。
過半数代表者に対する便宜供与・配慮については、義務として行うべき内容、推奨される内容、行うことが可能な内容、禁止される内容の4つに分けられると思います。便宜供与の範囲については、労使コミュニケーションの在り方や成熟度が各社によって異なるため、義務として行うべき内容と推奨される内容は極めて限定的な範囲として、行うことが可能な範囲を広く認めることを基本に議論を行うことが望ましいと考えます。労働時間の中で賃金を失うことなく活動することなどの金銭的な便宜供与については、過度な便宜供与以外は労組法の不当労働行為に当たらないということの明確化の議論は行われていると思います。しかしながら、そうした金銭的な便宜供与はあくまで可能なものであり、それ以上でも以下でもないことを労基法及び労組法で位置づけることが適当と考えます。
可能であることを超えて、推奨する、義務化することについては、労使コミュニケーションのありように法律が立ち入ることになりかねないため、行うべきではないと考えます。特に過半数労働組合の場合、労基法上の過半数代表としての活動なのか、労組法上の活動なのかを分けることが難しい事情があろうかと思います。一部企業では、労組法上の活動については所定労働時間外で行う取決めをしている労使もあります。現状、労働組合と会社との様々な関係の中で、多様な形でコミュニケーションが行われているところ、労基法で画一的な義務づけ・推奨を行うことで、企業の労使のこれまでの取決めや慣行に法が介入することにならないよう、最大限の配慮が必要と考えます。
私からは以上です。
○山川分科会長 ありがとうございます。
ほかにございますでしょうか。
佐藤好一委員、どうぞ。
○佐藤(好)委員 御指名ありがとうございます。私からは過半数代表者が担う役割について意見をさせていただきたいと思います。
資料No.2-3の7ページにあるように、そもそも、現行法においては、過半数労働組合や過半数代表者が果たす役割が明確になっていません。
そうしたことから、資料No.2-3の25ページにあるように、過半数代表者の34.5%が協定書にサイン等をしたのみであり、26ページにあるように、準備や活動を行った場合でも意見集約を行ったのは半数弱にとどまっている状況です。これでは事業場の労働者の実態を踏まえた労使協定の締結などが難しいことは明らかではないかと考えております。だからこそ、過半数代表者については、定義規定を設けた上で、その役割として事業場の全ての労働者からの意見集約を行うことや、職場全体を公正に代表する必要があることなどを法律で明確に定める必要があると考えます。また、労働者の意見集約も含め、職場の代表としての役割を果たすためには、使用者からの情報提供や便宜供与・配慮などが欠かせないため、これらに対する使用者の責務をセットで制度設計することが必要だと考えます。
先ほど使側委員から意見集約の義務化には反対する旨の御発言がありましたが、これまでの様々な調査結果を踏まえると、現行では規定がない過半数代表者の役割について、まずは法律で職場全体の意見集約など、果たすべきことをしっかり明記することが重要であると考えます。併せて、その役割を全うできるようにするための負担軽減も含めて、便宜供与や配慮などの環境整備を行うことが必要であると考えます。
次に、使側委員からは、過半数代表者の義務に関連して、なり手不足についても御発言があったかと思いますけれども、過半数代表者は労働者の代表として36協定などの締結といった重い責務を担うことから、その適正性の担保が欠かせませんので、なり手不足については、行政による相談体制や窓口整備などのサポートを充実させていくことによって解決していくべきだと考えます。
以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。
ほかにございますでしょうか。
神吉委員、お願いします。
○神吉委員 私からは、労働基準法施行規則に関して、最初の○で、過半数代表者の適正な選出に係る規則の法律への格上げについて意見を申し上げたいと思います。
現行、労基則6条の2第1項で、過半数代表者の選出手続について投票・挙手等の方法による手続と定められているのですけれども、この「等」が若干分かりにくいと思います。本日の資料No.2-3の15ページ、16ページにこの過半数代表者の選出方法についての調査結果が出ておりまして、15ページで主に問題にされているのは、まず、やってはいけない親睦会の代表者等が自動的になる方法だったり、使用者が指名する方法だったりが問題視されていますが、16ページのほうで、信任という候補者の定め方にも問題があるという調査結果が出ています。
信任投票制度の候補者を実質的に使用者のほうで決めているとすれば、除外される、やってはいけない方法だということが分かりやすいのです。しかし、本年7月に未払賃金請求訴訟で高松高裁判決が出ており、そこでは信任投票制度の在り方として実質的に異議がない場合には信任されたものとして過半数の支持を見る方法について異議が唱えられたと理解しております。
現行の労基則6条の2第1項の書き方だと、実質的に過半数の支持を得ていることを要することが、恐らく分からないです。民主的な手続が必要だということと、裁判所が見ている実質的な過半数の支持を得ているかは別の問題ですので、それが本当に必要とされているのであれば、それを明記すべきだと思いますし、実際に過半数の支持を得ていることの担保の仕方についても、今後、目配りが必要になってくるのではないかと思います。
以上です。
○山川分科会長 ありがとうございます。
では、春川委員、お願いします。
○春川委員 ありがとうございます。私からは、資料No.2-2の2ページの情報提供と便宜供与の論点について意見を申し上げます。
まずもって、過半数労働組合・過半数代表者が適正かつ円滑にその役割を果たすためには、使用者からの情報提供、活動のための便宜を受けるということについて、法律に明記することが大変重要であると考えておりますので、2ページの論点の1つ目と2つ目の方向性には労側として異論はございません。
この点、この情報提供、便宜供与については、過半数代表者はもとより、不当労働行為該当性を整理しつつ、労働組合が過半数労働組合として活動する場合の双方に対して同等に行われるべきであると考えており、この点も法令で明確にしておく必要があると考えております。加えまして、少数組合の役員・組合員が過半数代表者といった場合も当然に同等とすべきことも付言します。
その上で改めて、便宜供与について意見を申し上げます。論点に記載のとおり、過半数労働組合や過半数代表者が、例えば36協定の締結に当たって、職場の実態把握のために労働者の声を集約するといった、まさに過半数代表としての役割の範囲の中の活動については、所定時間内に賃金を失うことなくできるよう、金銭的な便宜を図るということは考えられると捉えております。これは過半数労働組合や少数組合の役員などが過半数代表として活動する際も同様で、このような便宜供与は不当労働行為に当たらないものと整理すべきではないかと考えております。
一方で、先ほど使側からの御意見にもありましたが、この論点に関しては、労働組合法に規定する支配介入等との関係について丁寧な整理が必要です。集団的労使コミュニケーションの担い手である労働組合の自主性や独立性を失わない範囲に限定して認めるべきであると考えます。
繰り返しになりますが、過半数代表者に対する特別な手当などの支給は不当労働行為に当たり得ると捉えておりますが、どこからが不当労働行為に該当するか否かといった範囲について、今後、慎重に議論した上で画定させる必要があろうと考えております。
以上、私から意見を申し上げました。
○山川分科会長 ありがとうございました。
では、古川委員、どうぞ。
○古川委員 ありがとうございます。今ほど春川委員からも発言がございましたが、私も情報提供について意見を申し上げたいと思います。
資料No.2-3の27ページを見ますと、活動に負担を感じているという割合が約7割に上っています。その内訳を見ると、「労働者の意見集約」の割合が最も高く、そして、その理由としては、「意見が職種や雇用形態によって異なるから」が最多。次いで、会社との協議で、その理由は「判断するための情報不足」、「時間の面などから負担だったから」という割合が高くなっています。
こうした負担の軽減を図って、過半数労働組合および過半数代表者が、労使協定を締結するにあたっての公正な労働者の代表としての役割を発揮するためには、便宜供与とともに、協定等の内容を判断するための情報提供を進めることが重要だと考えています。そのためには、労働基準法において情報提供を使用者の責務として明確に位置づけるべきであり、全くそのことがなされなかった場合、または、実質的な内容を伴っていない場合には、当該協定を無効にするということも含めて、法定をすることが必要だと考えています。
加えて、この効力要件とするに当たりましては、協定等ごとに提供しなければならない情報の内容を明確にしておく必要があると考えております。例えば36協定であれば、事業場の労働者名簿、時間外労働が必要な業務の内容、実労働時間の状況といったような項目が考えられるのではないかと思います。
以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。
鈴木委員、どうぞ。
○鈴木委員 ありがとうございます。私からは、先ほど労側委員からもご指摘のありました過半数代表者の選出数における関係と、残念ながらメインのテーマから外れてしまいました労使協創協議制についてコメントさせていただきます。
まず、過半数代表者選出についてですが、先ほど神吉先生からもご指摘があった信任を行う場合の留意点は大変重要だと思います。信任で行う場合の民主的な選出方法や、実質的に従業員を代表しているかどうかといった論点は重要だと思いますので、明確化に向けて議論すべきではないかと思っております。
ただし、鳥澤委員からも御指摘ありましたが、それを超えて、例えば直接無記名投票や、立候補者の意見表明、それから、協定締結の都度の選出義務化、任期複数人選出等について、あるべき方向性を示すことについては、各社の労使関係の成熟度は相当多様であることから、極めて慎重に議論する必要があると思っております。
次に、労使協創協議制についてです。これまでも労側委員から様々な御指摘をいただいております。労働条件の設定は労働組合だけが行うべきという御指摘は理解しておりますが、ベースアップの交渉等の協議では組合の有無にかかわらず広く行われていると理解しております。民主的に選出された代表が社員の意見を集約し、会社と妥結した場合、集団的な契約ができないという今の法制上の制限は、一定要件の下で見直しが必要ではないかと思っております。
また、先ほど春川委員から過半数労働組合の便宜供与についてのご指摘をいただきました。これに関して、先ほど田中委員から労基法上の過半数代表としての活動と組合活動の区別が難しいのではないかとのご指摘がありました点について、補足意見を申し上げます。労働組合においては、36協定は単に協定案の是非を判断して締結するだけでなく、職場の労働時間の実態を把握して、問題点を洗い出す上で、業務量や人員体制、配置の見直しも含め、労使でしっかりと話し合い、長時間労働の是正や処遇改善につなげていることが行われていると理解しております。
例えば、組合員の意見集約のアンケートをとる際にも、来年の36協定の上限時間をどう考えるか、現在の残業の実態についてどう評価するか、残業があることについて、どこに原因があると考えるか、それから、人員配置や業務のどこを改善すべきか、あるいは企業にどのような改善を求めていくかといった質問を一体的に把握されることもあるのではないかと思っております。このうち、人員配置や業務改善、企業への要望事項の検討に関しては組合活動としての性格が強くなるところ、どこからが組合活動なのかを明確に線引きすることは現場レベルでは難しいのではないかと思っています。
企業との話合いについても同様です。36協定の上限時間について、その必要性や根拠の説明を求めることは過半数代表としての活動になると思いますが、例えば長時間労働の原因について議論した結果、増員や休日の増加、あるいは割増賃金率引上げなどを同じ協議の場で求めることになれば、これは労働組合としての協議あるいは団体交渉としての性格が強くなるのではないかと思います。したがって、繰り返しとなりますが、過半数代表としての活動と組合活動を概念上は区別できたとしても、実際には区別が難しい場面が多いのではないかと思っております。また、形式的に分けられたとしても、これまで一体的に活動してきた労働組合がある場合に、それを分けることが果たしてよいのかどうかという、また別の問題、論点はあると思います。
加えて、田中委員からもご指摘がありましたが、組合活動は原則として所定労働時間外で行うことを労働協約で取り決めている企業労使もございます。仮に過半数代表の活動を所定労働時間内に賃金保障して行うよう、一律義務化あるいは推奨することになれば、これまでの労使自治の下で形成してきた取決めに法律が介入することになりかねないということを強く懸念いたします。
私からは以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。
オンラインの加藤委員から御発言の希望がございました。お願いいたします。
○加藤委員 御指名ありがとうございます。加藤でございます。私からは少し、大きく2点申し上げさせていただきたいと思っております。後半の一つについては御質問をさせていただきたいと思います。
1つ目については、事業場の働き方については情報提供が先ほどから議論になっているところでございます。過半数代表者の選出後、労使協定等の締結に当たって、事業場における働き方の実態に関する一定の情報について、使用者に提供を義務づけるか。ここが論点になっているかと思います。例えば36協定については、継続的な労使関係の中で、前年度の時間外労働の実績などを任意に共有しながら協議している事業所があると承知しております。このような情報提供は非常に重要で、実質的な労使協議を促すということで、大変大切だと考えております。
一方で、これを罰則つきの法的義務とするのであれば、罰則をもって提供を義務づける必要があるのか、もしくは提供が不可欠な場合にどのような範囲で提供する必要があるか。数多くある労使協定ごとに、個別具体的にこれを検討していく必要があるのではないかと考えます。例えばなのですけれども、一斉休憩の原則を適用除外とする労使協定について、締結に不可欠な情報があるかというのは明らかではないと思っております。必ずしも必要でない情報の提供が義務化されることとなれば、実質上、労使協定の締結を萎縮させることになるのではないかと考えます。
また、別の観点から言えば、これは例えば専門業務型の裁量労働制については労使協定で定めなければならない事項そのものが10項目にわたって詳細に法定されており、2024年に施行の前回改正において相当の議論が行われたと思います。その結果、適用対象となり得る労働者の範囲を協議するに当たっては、労働者の賃金水準を示すということは望ましいとされて、労使協定を見直す場合には、適用労働者の賃金評価制度の運用状況を開示することが適当とされたと思うのですけれども、これはいずれも罰則を行うような一律の情報提供義務とされていないと思います。やはり情報提供義務の在り方が制度利用そのものに大きな影響を与えるということについて懸念しているところでございます。
まずは、労基法上のそれぞれの労使協定の締結に際して、企業が実際にどのような情報を提供するのか、提供していないのか、ぜひ実態を調査していただきたいと思っております。多くの過半数労働組合が一般的に行っていないような情報提供までを罰則つきで義務化するという方向で議論が進んでいくことについては賛同しかねるところでございます。
もう一点、すみません。質問でございますけれども、資料No.2-2の2ページにあります、過半数労働者への不利益取扱いの実態について、もし何か調査結果があるようであればぜひ教えていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○山川分科会長 御質問ですが、事務局から何かございますか。
○労働条件確保改善対策室長 事務局でございます。過半数代表者に関する不利益取扱いに関する御質問だったかと思います。
具体的には、資料No.2-3の27ページが不利益取扱いに関する情報かと思ってございまして、この資料について簡単に御説明させていただきますと、資料の左上のところを御覧いただければと思いますけれども、「過半数代表者であった場合、過半数代表者としての活動を負担に感じたか」ということについて、合計3,000人が回答している中で、結果的には、右下のところになりますけれども、「会社との協議について負担を感じた理由」ということで、回答された方のn数で言うと、877人となっておりますけれども、その理由を具体的に聞く中で、幾つか挙げられておりますけれども、下から3番目になります。「活動するに当たって会社から不利益な取扱いを受けた・受けそうになったから」と回答された方が、この877人のうち15.1%いらっしゃったという結果がございます。
なお、こちらについては、出典がアンケート調査となってございまして、何か具体的にこういう取扱いだった等といった情報が得られているわけではないのですけれども、事務局としましては、一定の方々が不利益取扱いを受けたとおっしゃっているということであると理解してございます。
以上でございます。
○加藤委員 ありがとうございます。
今、おっしゃっていたところでいきますと、実際にどういう不利益取扱いがあったか、どの程度発生しているかという実態まではなかなか明らかにはなっていないのではないかと思っています。例えば今年、法改正が行われた労災保険の制度の見直しであれば、議論の過程でメリット制が労災保険給付を受けた労働者等に対する報復行為や不利益取扱いにつながることが懸念されるとの指摘があったと思います。
ただし、これは審議会では最終的には新たな禁止規定を設けるということではなく、まず、不利益な取扱いの実態を把握するということが適当だと整理されたと思っています。過半数代表者についても、これはまず、どのような不利益な取扱いがどの程度生じているのかという具体的な実態を把握することが、労働基準法の本則に新たな禁止規定を設ける検討を行う上での前提だと思いますので、仮に実態調査の結果を踏まえて不利益取扱いに罰則を設けるとなったとしても、構成要件はやはり明確に規定すべきであって、概念的・抽象的な規定に対して罰則を設けていくということに対しては少し反対したいと思います。
すみません。私からは以上でございます。
○山川分科会長 ありがとうございます。
御参考までにといいますか、事案が違いますけれども、少数組合が過半数代表者の選挙や手続等で選出された場合の不利益取扱いについては、労組法の話になってしまいますけれども、不当労働行為として労組法7条1号等が問題となった事例があったかと思います。
では、オンラインで首藤委員から御発言希望がございます。お願いします。
○首藤委員 ありがとうございます。よろしくお願いします。
先ほどの使用者側委員の鈴木委員からの御発言とも重なる部分があるのですけれども、まず、過半数代表者の役割を実質化して、活動のための環境を整備していくことというのはすごく重要だと私も考えております。
ただ、その一方で、その機能を広げていくと、結果として労働組合の活動や労使コミュニケーションというものが、特に少数派組合が存在するような職場においては代替されてしまう可能性もあると思っております。資料の中では労使コミュニケーションの中核は労働組合とされていますけれども、過半数代表者の実質化と労働組合の機能との関係性について、いま一度整理しておくことが必要なのかなと思いましたので、発言させていただきます。
よろしくお願いします。
○山川分科会長 ありがとうございます。
ほかに。
櫻田委員、お願いします。
○櫻田委員 ありがとうございます。先ほど加藤委員からも発言がございましたけれども、私からも資料No.2-2の2ページの3つ目の○にあります不利益取扱いについて発言させていただきたいと思います。
現行ルールでは省令において、過半数代表者であることなどを理由としまして「不利益な取扱いをしないようにしなければならない」という曖昧な形で定められているだけとなっています。そのせいもあってか、資料No.2-3の27ページにも、「不利益取扱いを受けた、あるいは受けそうになった」という方の回答が約15%にも及ぶ結果になっているのではないかと考えるところでございます。
こうした会社側からの労働条件の不利益変更、それを示唆する言動があれば、過半数代表者は本来の役割を果たすことができなくなってしまうわけであります。だからこそ、過半数代表者に対する「不利益取扱いをしてはならない」という禁止規定をしっかり条文に明記するとともに、違反が生じた場合には協定などが無効になることを明確に規定すべきであると考えております。
念のため、申し添えますけれども、この禁止規定の対象となるのは、「過半数代表者であること」を理由としたものはもちろんですけれども、過半数代表者に「なろうとしたこと」、過半数代表者として「正当な行為をしたということ」に対する不利益取扱いも含める必要があると思っております。
また、不利益取扱いの禁止を法律に格上げしたとしても、協定無効などの違反に対するペナルティーがなければ実効性を伴うルールにはなり得ないと思っております。この点については再度強調しておきたいと思います。
以上でございます。
○山川分科会長 ありがとうございました。
ほかにございますでしょうか。
菅村委員、お願いします。
○菅村委員 ありがとうございます。先ほど鈴木委員より労使協創協議制について発言がありましたので、改めて意見を申し上げておきたいと思います。
労働組合以外の組織との間でもベースアップの交渉などを行っている実態もあるというお話がございましたけれども、連合としても社員会のような組織が賃金交渉など、疑似団体交渉的な活動を行っているという事案があることは承知しております。
ただ、その実態を聞くと、結局は交渉といっても会社側の説明を受けるのみで、とても実質的な交渉を行っているとは言い難い状況があると考えております。労働組合の場合、交渉が決裂すれば場合によってはストライキを行うこともあるわけですけれども、そうした団結権・争議権などが保障されていない社員親睦会などの社内機関を、労使交渉の一方の担い手として労働条件設定機能などの一部を代替させることであるとか、そうした団体との協議に何らかの法的な効果などを生じさせることについては断じて行うべきではないと考えておりますので、改めて申し上げておきたいと思います。
以上です。
○山川分科会長 ありがとうございます。
そのほかは。
原委員、お願いします。
○原委員 ありがとうございます。私からは、ルールの在り方について2点と、それから、教育・啓発について1点お話ししたいと思います。
1つ目が、資料No.2-2の1ページ目の1つ目の○です。やはり基本的なことは法律に書いてあることが望ましいというわけで、現在、過半数代表者に関する規定が労基法本体にはないということで、非常に一般の方にとっても分かりにくくなっているということは否めません。そこで、例えば現行の労働基準法施行規則の内容、それから、このテーマに関して指針を定める根拠となる規定ですとか、基本的なこととして、過半数代表者に対する不利益取扱いの禁止、恐らく、こういったものは最低限かと思うのですけれども、どこまで盛り込むべきは今後の検討ということになりますが、まずはきちんと労基法本体に書き込んでいくことが必要と思われます。
それとの関係で2つ目が、資料No.2-2の2ページの一番下のところなのですけれども、指針です。これはハラスメント対策とか、ほかの分野では既にかなり活用されていますけれども、労基法の分野でもこの指針の活用ということが重要かと思います。といいますのは、指針というものは労基法上の義務を明確化する、具体化する。つまり、指針に反することは結果的に労基法違反にもなり得る。そういった部分もあれば、望ましい取組とか実務のヒントを示す、こういったこともあるわけです。つまり、柔軟に活用することができます。もちろん、その内容はこの分科会の議論等も踏まえつつ定めることになるかと思うのですけれども、この議論を進めていく上では、何を法律に盛り込み、何を指針に盛り込むか、こういったことも考えながら、各トピックについて考えていくと、より議論が整理しやすいのではないかと思いました。
3点目が、教育・啓発に関することで、資料No.2-2の1ページ目の2つ目の○のところです。これは簡単に申しますけれども、労働組合の意義等に関する教育が非常に重要であります。現在、例えば労働条件、労働基準法に関することですとか、それから、いわゆる同一労働同一賃金に関することについては様々な教育・啓発事業が展開されていると理解しておりますし、また、専門的な機関である労働委員会が、例えば全国各地で労使関係セミナーを開催して、様々な教育・啓発を進めているということもございますが、これをさらに充実させるような形で、労働組合とはどういうものか、その意義・役割について、また、それを守る労働組合法に関する様々な教育・啓発も、ぜひ積極的に、より今以上に展開していくということが不可欠だと感じました。
以上です。
○山川分科会長 ありがとうございます。
椎木委員、お願いします。
○椎木委員 御指名ありがとうございます。椎木でございます。
資料No.2-2の2ページ、過半数労働組合・過半数代表者が役割を円滑に遂行するための情報提供や便宜供与等の中の4つ目の部分について、意見を申し上げます。この点、選出手続や役割、使用者による情報提供や便宜供与などについては、しっかりと法律で定める必要があり、さらに法律上に根拠規定を設けた上で、運用上の留意点などを指針に定めていく方向性については賛同します。
その上で、指針にどういう内容を定めるかという部分でございますが、今後、様々な場合分けなどを行って、具体的検討を重ねていく必要があると考えています。例えば、各種協定の情報提供、36協定の締結を例に考えてみますと、事業場ごとの労働時間の状況などは必ず提供すべき情報ですが、そのほかの情報については提供することが望ましいと分類にするなど、整理した上で定める必要があると思われます。
また、便宜供与につきましても、望ましいものもある一方、労組法との関係で問題となるものもあろうかと思います。これらについては今後、丁寧に精査して指針などに明記していくことが必要であると考えます。
以上です。
○山川分科会長 ありがとうございます。
それでは、田上委員、どうぞ。
○田上委員 ありがとうございます。私のほうからは、中小企業・小規模事業者の立場から、この資料No.2-2の1ページのところ、適切な労使コミュニケーションの在り方、過半数労働組合・過半数代表者が担う役割のところで意見を申し上げたいと思います。
まず、中小企業・小規模事業者の現在地ということで、私ども全国中央会が7月に実施しました調査ですけれども、従業員1人から300人の事業者、1万3500社から回答をもらいまして、労使で協議を行う機会や場についてどういったものがありますかという問いに対して、過半数代表者があると答えた事業者が15.5%でした。これは労働組合がそれに当たる場合を含むものです。10人未満の事業所ですと、その約3分の1の5.3%というような結果でございました。これが現在地ということでして、これをまずは活用を拡大していくような方向に持っていくべきではないかと考えます。それによって、各種の労使協議であったり、締結であったり、制度活用といったものが広がっていくことが望ましいと考えます。
例えば変形労働時間制を考えてみたときに、先程の7月の調査で、35.7%の中小企業がこの制度を導入しておりました。一方、全従業員の平均での繁閑差、1日や1年の中で忙しいとき、忙しくないときというものの差があると答えた事業者が75.3%でございました。そういう意味では、繁閑差に対してまだまだ変形労働時間制度が活用されていないという意味で、伸び代があるのだろうと考えております。変形労働時間制がどんどん広まれば、忙しくない時期には早く帰れたり、仕事が忙しくないときには家族のことや趣味に割く時間をしっかり取れるようになって、喜ぶ従業員が多くいると思いますので、ぜひそうなると良いと考えております。
そして、この論点の、適切な労使コミュニケーションのところの、選定の仕方であったり、過半数代表者が担う役割であったりを法律に規定するということについては理解をしておりますが、そのときに、そういった方向で法制化・明確化を進めていく中で、中小企業・小規模事業者の各種労使協定の締結だったり制度活用のハードルをさらに上げてしまうようなことにならないように、十分配慮いただきたいと考えております。
ぜひ、中小企業・小規模事業者でも利用しやすい、5人、10人、30人、そういった事業者でも利用しやすいもの、あるいは手法についても並行して検討していただきたいと考えております。
以上でございます。
○山川分科会長 ありがとうございます。
もう一つ論点がございまして、特にということがございませんでしたら、次に、年次有給休暇の論点について、御質問、御意見があればお願いいたします。
櫻田委員、お願いします。
○櫻田委員 ありがとうございます。私からは、論点の1つ目の期中の育児休業復帰者などの年休算定期間が短い場合の5日義務の取扱いについて意見を申し上げたいと思います。
本来、この年次有給休暇は、労働者自身の請求に基づいて自由に取得できるものでございます。一方で、以前の分科会でも発言させていただいたのですが、私が所属しますサービス連合では、宿泊業で働く多くの仲間を組織しておりますが、組合員の年休取得などは、依然として他産業に比べて進んでいないという現状がございます。だからこそ、働き方改革の労基法改正で導入されました5日取得をてこに、休暇取得促進に取り組んでいるところでございます。
そもそも、働き方改革の労基法改正で5日取得義務が導入された背景には、年次有給休暇の取得促進があったと思っております。その趣旨を踏まえれば、対象となる労働日が少ないからといって、安易に時季指定義務の日数を減らすことには賛同ができません。
以前の分科会でも使用者側の委員の方か按分比例との提案もなされたところですけれども、例えば1年に占める算定対象期間の割合を基に5日を減ずるような方法は時季指定義務の趣旨を損ないかねないと考えております。年度末直前に復帰した方の5日指定をどうするかという点の検討の必要性は一定程度理解するものの、当該日数を安易に減らすことがないようにすべきだと考えております。
以上です。
○山川分科会長 ありがとうございます。
原委員、お願いします。
○原委員 まず、議論の前提になることを確認したいのですけれども、資料No.2-2の3ページの2つ目の○のところなのですけれども、この年休取得時の賃金の話なのですが、これは時間外労働、残業時間が多い場合などは、計算するときに通常の賃金よりも平均賃金で計算したほうが額が高くなることもあると理解しているのですが、これは事務局として、この年休の賃金の算定方法として、実際、平均賃金とか、それから、標準報酬月額の30分の1に相当する金額を導入している企業がどれぐらいあるのかという実態については把握されていらっしゃるかどうかということを確認したくて質問させていただきました。
お願いします。
○山川分科会長 それでは、御質問ですので、事務局からいかがでしょうか。
○労働条件確保改善対策室長 事務局でございます。
まず、先生御案内のとおり、年次有給休暇取得時に支払われる賃金について、この資料の論点のところにもありますとおり、3つの方法が選択可能となってございまして、先生がおっしゃったように、例えば、残業代が多い場合等、場合によっては平均賃金で計算するほうが多くなることもあり得るという認識でございます。
その上で、どういった企業はどういった方法を選択しているのかという実態でございますけれども、厚生労働省としては、制度としてはそういうことになってございますけれども、実態として、それぞれの方法について、どの企業が、ないしは、どれぐらい企業が選択しているのかということについては、把握することはできていないというところでございます。
以上でございます。
○山川分科会長 原委員、よろしいでしょうか。
ありがとうございました。
それでは、ほかに御質問、御意見はございますか。
では、市川委員、お願いします。
○市川委員 ありがとうございます。私からは、年次有給休暇の論点の2つ目のところ、年休日の賃金算定方法について意見を申し上げたいと思います。
連合には、時給制のパートタイマーの組合員などが多く所属しておりますが、時給制組合員の方は、年次有給休暇取得時の賃金の計算にあたり、3か月の賃金総額を休日を含む暦日日数で割って計算する「平均賃金」が適用される場合などは、「所定労働時間を労働した場合に支払われる通常の賃金」で計算した場合よりも著しく低くなるケースがございます。計算方法によって、年次有給休暇取得時の賃金が低く抑えられるようなことはあってはならないと考えております。
もともと、資料No.2-3の74ページの2つ目の●にございますとおり、賃金面での不利益を負わせないことで、労働者が安心して年休を取得することができるようにする趣旨で設けられたルールであると認識しております。そうしたことからも、「所定労働時間を労働した場合に支払われる通常の賃金」を原則とすることを法令で明確化すべきであると考えております。
併せまして、使用者が賃金を低くすることを目的として、恣意的に「平均賃金」や「標準報酬月額の30分の1に相当する額」を用いるといった運用がなされないような必要な対策を講じるべきであることは申し上げておきたいと思います。
私からは以上でございます。
○山川分科会長 ありがとうございました。
ほかにございますでしょうか。
では、まず、鳥澤委員、お願いします。
○鳥澤委員 ありがとうございます。年次有給休暇について、私からも1点意見を申し上げたいと思います。
まず、時季指定義務の日数については、多くの中小企業が従業員に年次有給休暇を最低限取得させる日数として認識してございます。その上で、資料No.2-2の3ページの1つ目のポツにございました通り、現行法上は休業や出向からの復帰等が年度の終了間際となった場合であっても、必ず最低5日取得しなければならないことから、労使双方のニーズに必ずしも合致しておらず、見直しが必要ではないかと考えます。
具体的に申し上げますと、休業期間等が一定期間ある場合は、年次有給休暇の本来の目的や趣旨から考えましても、実際の就労期間に応じて5日の取得義務を軽減する仕組みというものが必要ではないかと考えてございます。
私からは以上でございます。
○山川分科会長 ありがとうございます。
ほかにございますでしょうか。
それでは、福本委員、どうぞ。
○福本委員 ありがとうございます。今の鳥澤委員のコメントに重なる部分はありますけれども、私からは年休時季指定義務について発言させていただきます。
2015年の労政審建議では、正社員の約16%が年休を一日も取得しておらず、年休をほとんど取得していない労働者では長時間労働者の比率が高いという実態を踏まえて、5日以上の取得を確実にする仕組みということで義務化されたと理解していますから、過重労働防止の観点から導入された制度であると考えているところから、休業からの復帰者あるいは退職者に一律に5日の日数を適用することがふさわしいかというところは少し疑問が残っているところです。
休業復帰後、しっかり仕事をやり切りたい、集中して仕事に打ち込みたいとして積極的に無理に5日の年休を取得しない方も、したくない方もおられると聞いていて、5日の年休付与義務というものが労働者の意思を妨げるようなことはないようにしないといけないというところですとか、退職者も、雇用動向調査によると、年初の一般労働者の約2割に相当する業種も出てきていて、退職は年間を通じて発生しており、そういった意味でも、退職者というところを考えたときに、現在のこの仕組みが雇用実態に合っているのかというのは検討が必要であると理解しています。
パートタイム労働者の年休付与日数については、やはり比例付与の方式が取られていて、育児・介護休業や休職からの復帰者・退職者について、期間に応じた取得日数の比例案分の仕組みというものが実態に合っているのではないかというところです。それを引き続きやった場合に、本当に過重労働のところに影響してしまうのかというのはやや疑問が残るところでありますので、今の雇用実態ですとか本人の希望に合った比例案分の仕組みというところは検討を進めていただきたいと考えています。
私からは以上です。
○山川分科会長 ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。よろしゅうございますか。
ありがとうございました。
本日の各論点につきまして、委員それぞれのお立場から、非常に貴重かつ有益な御意見をいただきました。
各御意見の観点は非常に重要なものと思いますので、事務局におかれましては本日いただいた意見・議論の中身も踏まえて、さらに検討を進めて、次回以降の準備をいただくようにお願いしたいと思います。
では、特段ございませんでしたら、本日の議事はここまでとさせていただきたいと思います。
最後に、次回の日程等について事務局から説明をお願いします。
○労働条件企画専門官 事務局でございます。
次回の日程等につきましては、調整の上、追ってお知らせいたします。
以上でございます。
○山川分科会長 それでは、これをもちまして第211回「労働条件分科会」を終了いたします。本日はお忙しい中、大変ありがとうございました。散会いたします。

