第141回労働政策審議会障害者雇用分科会(議事録)

日時

令和8年8月31日(月)13:00~

場所

オンライン・対面による開催(中央合同庁舎第5号館 専用第14会議室(12階)東京都千代田区霞が関1-2-2)

議事

○山川分科会長 それでは、定刻となりましたので、ただいまから「第141回労働政策審議会障害者雇用分科会」を開催いたします。委員の皆様、お忙しいところ御参加を頂きまして大変ありがとうございます。
 議事に先立ちまして、事務局の職業安定局に異動がありましたので御紹介いたします。宮本職業安定局長、尾田高齢・障害者雇用開発審議官、中嶋総務課長、そして本日は公務のため御欠席となりますが、楊井障害者雇用対策課調査官、澤口雇用開発企画課長、以上の方々が新たに着任されました。よろしくお願いいたします。
 本日は、新田委員が御欠席となります。新田委員の代理としまして、日本経済団体連合会労働政策本部統括主幹の阿部博司様にオンラインで御出席いただいております。よろしくお願いいたします。会場には、影山委員、倉知委員、大喜多委員、河崎委員、神成委員、佐藤委員、菅村委員、大岩委員、田中伸明委員がお越しです。先ほども申し上げましたが、事務局では、澤口雇用開発企画課長、楊井障害者雇用対策課調査官、内山障害者雇用対策課長補佐が公務のため御欠席となります。また、宮本職業安定局長、尾田高齢・障害者雇用開発審議官が公務のため、途中で御退席され、また、中嶋総務課長が公務のため、一時退席される予定です。
 本日の分科会は、Zoomによるオンラインでの開催と会場からの参加の両方となっておりますので、開催に当たりまして事務局から説明があります。
 
○浅湫障害者雇用対策課長補佐 事務局でございます。本日も多くの委員に、Zoomを使ったオンライン参加を頂いております。開催に当たりまして、簡単ではありますがオンラインについて操作方法のポイントを御説明いたします。
 本日、分科会の進行中は皆様のマイクをオフとさせていただいておりますが、御発言をされる際には画面上の「手を挙げる」ボタンをクリックし、分科会長の許可があった後に、マイクをオンにして、お名前を名乗ってから御発言いただきますようお願いいたします。Zoomの操作方法については、事前にお送りしましたマニュアルを御参照ください。会議進行中にトラブルがありましたら、事前にメールでお送りしております電話番号まで御連絡いただきますようお願いいたします。なお、通信遮断等が生じた場合には一時休憩とさせていただくこともありますので、御容赦くださいますようお願いいたします。オンライン会議に係る説明については以上です。
 
○山川分科会長 それでは、議事に入ります。カメラの頭撮りがありましたら、ここまでとなっております。
 本日の議題は、議題1が障害者雇用の「質」についてです。こちらは、更に2つの論点に分かれておりまして、○1いわゆる「障害者雇用ビジネス」の規定・法規制の在り方、○2いわゆる「障害者雇用ビジネス」のガイドラインについてとなっております。議題2は、法定雇用率の算定に係る考え方についてとなっております。
 まず、議題1について、事務局から説明をしていただき、その後、委員の皆様から御意見を頂きたいと考えております。では、事務局からお願いします。
 
○河村障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長です。資料1に基づき、議題1について御説明させていただきます。冒頭でお詫びですが、会場は、本日たくさんの傍聴の方にお入りいただきまして、空調はこれで最大の強度にしているのですが、かなり暑くなってきているかと思いますので、この後もお召し物をお脱ぎいただく等、できる限り楽な格好でお聞きいただければ有り難いと思います。
 まず、資料1です。本日、いわゆる障害者雇用ビジネスへの対応について御審議をいただきます。次の2ページが資料の構成になっています。冒頭から17ページにかけて、この議題に関するこれまでの議論の振り返りの資料をお付けしております。続きまして、18ページ以降に今回の論点に関連する参考資料をお付けしております。28ページ以降で本日御議論いただく論点について順次御説明をさせていただきます。
 まず、3、4ページです。こちらは前回の令和4年の制度改正のときの衆議院、参議院それぞれの附帯決議の抜粋です。赤字の辺りですが、事業主が、単に雇用率達成のみを目的として、障害者雇用代行ビジネスを利用することがないよう、措置を検討するということが、前回の開催の附帯決議で付けられているところです。5ページ以降は、この審議会の前身に当たる研究会の報告書のうち、「障害者雇用ビジネス」関連の抜粋です。5ページの所ですが、この間、障害者雇用ビジネスの利用が大きく増えてきていて、その背景にはコンプライアンス意識の高まりの一方で、法定雇用率の達成に必要なハードルを乗り越えることが容易ではないということが感じられることによって、利用ニーズが増大している等の記載があります。
 6ページでは、研究会の報告書の中で、「障害者雇用ビジネス」についての課題が3点提示されています。1点目が、業務内容・就業場所が会社から離れていることによるインクルージョンの観点からの課題が発生する。また、それに伴って、雇用責任の希薄化がある。2点目に、固定的な業務付与によって障害のある方御本人の能力開発に一定の制限が加わってくる。あるいは、障害特性への理解が不十分である方のケア等により雇用管理上の課題が発生してくる。それから、3番目が、障害のある方の能力発揮の成果が有為な事業活動に十分活用されていかない、それによってコスト意識が高まっていくということが記載されております。
 7ページでは、こうした課題は、「障害者雇用ビジネスの利用がない、一般的な障害者雇用においても生じ得る点」だと触れた上で、次の○の所ですが、「従来のような状況把握の取組だけでは十分でない」と。その下の○で、一方で、明らかな法令違反というわけではない場合に、「公共の福祉に反する」ことを理由としての「禁止」、そして、許可事業者のみの「禁止」の解除を行うことについて、法制上の課題があるのではないかという議論がされてきたところです。
 8ページ以降は、研究会での議論の方向性についての資料です。枠囲みの中ですが、事務局からは、いわゆる6.1報告の中で、障害者雇用ビジネスを使用している場合について一定の項目の報告を求めると。これによって、行政庁において網羅的に把握可能にして、必要な指導監督を行い得るような体制にしていくということをお示ししたところです。
 その枠囲みの下ですが、この方向性で更に検討を深めるべきという御意見を頂いた一方で、さらに上回る規制の案として、6.1報告による報告だけではなく、利用企業名の公表を求めるという御意見も当時、頂戴しております。さらに、その下ですが、障害者雇用ビジネスの定義について、「主たる労働者の就業場所と異なる第三者が提供する就業場所において障害者を勤務させている」というところの観念に基づいた定義のみでは、報告義務の対象の範囲が必ずしも明確ではないのではないかという御意見、また、障害者雇用ビジネスの利用拡大の背景には、近年の法定雇用率の大幅な引き上げがあるという御意見も頂戴してきております。今後、検討を深めていく際には、障害者雇用ビジネスの業態等に関する実態把握をさらに進めた上で、より明確な定義付けに向けた検討を進めるということと、利用企業側の負担を併せて考慮しながら、議論を進めることが必要と報告書では取りまとめられております。
 9ページです。こうした報告義務等の論点とは別に、障害者雇用ビジネス業界向けと利用企業向け、それぞれに対してガイドラインを策定しようということで、ガイドラインの内容の例が9、10ページに示されております。10ページの枠の下ですが、先ほどと同様に、定義及び範囲について十分に議論をすべきという御議論に加え、真に問題となるのが何か、「有為に活用されていない」と判断される本質的な要素は何かについて議論を深めるべきだという意見も頂戴してきたところです。
さらに、下から2つ目の○ですが、障害者である労働者と雇用主である利用企業、さらには「障害者雇用ビジネス」事業者との三者間において、必要とする合理的配慮の内容を含めてしっかりコミュニケーションが図られるよう、ガイドラインに位置付けることが重要だという御意見も併せて頂戴してきたところです。その上で、今後、検討を深めていく際に、こうした意見も十分に踏まえて障害者雇用ビジネスの定義、あるいは問題があると判断される本質的要素の検討を進めていくとされてきたところです。
 続きまして、11ページ以降も、こちらの労働政策審議会に議論が移った後に関係者の皆様から頂戴してきた御意見について列挙したものですので、詳細については割愛させていただきます。また、18、19ページの所に、障害者雇用ビジネスについての論点に大変関わりの深い、7月の当分科会の議論である障害者雇用の「質」において、どのような姿を目指し、また、どのようなことを重視すべきなのかということを整理させていただいたときの資料を、振り返りのために付けさせていただいております。
 続きまして、20ページ以降です。先ほどの研究会報告書の御提言のとおり、この業態について十分に把握をした上で、最新の業態に対応し得る定義・規定をブラッシュアップしていかないといけないという課題がありますので、そのために改めて、20ページの所に、私どもが労働局を通じて把握している最近の業態の例を提示しています。同趣旨のものは21ページ以降も出てまいりますので、21ページ以降で少し御説明をさせていただきます。
 今般、障害者雇用ビジネス事業者の業態の把握を目的として、当分科会にもヒアリングでお越しいただいた業界団体であります促進協からお声掛けの御協力を頂きまして、障害者雇用ビジネス関係の企業に対してアンケート調査を行っております。ここから御説明させていただく資料は、今般のアンケート調査についての内容になります。左下に、アンケートに御回答いただいたビジネス事業者の主な業態を書いております。農園とサテライトオフィスのような、従来の典型的なタイプとして認識してきたものがビジネス事業者の数としても多いですし、その少し右に雇用障害者数もありますが、数としても多くなっております。その一方で、3行目の所、「その他」として、従来の型と少し異なる形の業態を取られている所も一定数見られます。右側に、これらの会社がコンサルティングや技術指導、あるいは労働者のキャリア形成支援等、従来の障害者雇用ビジネスの一般的なイメージとは異なる付加サービスというものを多く実践されていると、今回、御回答いただいております。次の22ページの成果物の活用方法については御参照いただければと思います。
 23ページ、労働者の直接の管理体制です。典型的な農園のイメージですと、左上の「農園形態」の1行目にありますとおり、利用企業側に雇用されている非常勤の方が多いと思いますが、パートタイム等の管理者の方が利用企業に雇用されており、その方が障害のある方に指揮命令等をしているという形態が、典型的なイメージであるかと思います。一方、右側のサテライトオフィス形態を御覧いただきますと、こうした利用企業の担当者が常駐して管理をするという形ではなく、「その他」ということで、例えば、PCを使って遠隔で管理をする等の様々な形態が見られております。
 24ページ、「サテライトオフィス形態」についてです。右側の欄ですが、従事している業務内容がいずれに該当するかということで、サテライトオフィス形態についても、従来の典型イメージとしては利用企業が、例えば人事・総務等のよく繰り返し行われるような定型作業について、切り出しで行っていただいている例が多いと認識しておりますが、一方で、ビジネス事業者が提供している業務のような少し複雑な形態のものもあるということを今回御回答いただいております。続きまして、25ページ以降に、今回、いわゆる6.1報告の中での報告についての議論も行いますので、規定や、報告事項の内容等を参考でお付けしております。
 28ページ以降が、本日御議論いただく論点になっております。まず、前半の論点1です。いわゆる障害者雇用ビジネスについての定義規定において、定義されたビジネス事業者に対して法規制をどのように行っていくかという論点です。28ページの所は、先ほどの研究会報告書の振り返りですので割愛させていただきます。
 29ページに入りまして、先ほど御参照いただきましたとおり、今般、業界団体の協力を得ながらアンケート調査を行ってきた結果として、従来から認識されてきた農園やサテライトオフィスの業態に加えて、利用企業の障害者雇用に係る雇用管理全般に対するコンサルティングを組み合わせて、あるいは、それを独立して行うという業態やその他多様な業態、例えば飲食料品製造、飲食店関係、在宅研修、IT技術指導、環境保全等が見られたところです。
 その下の黒ポツです。この間、在宅の障害のある方に対して、勤務として自己学習等を求め、業務付与を事実上行わず精神的苦痛を与える等の、従来から認識されてきた形態とは異なる事案についても現に報道されてきているところです。また、今後もビジネス環境の変化、あるいは法規制の導入そのものに伴う業態の変化も十分に想定されるところです。こうした観点も踏まえますと、今後の変化も想定しつつ、できる限り多様な業態をカバーし得るように定義規定を置き、その上で行政として着実に障害者雇用ビジネス事業者を把握し、さらに、問題があると認められる場合には、法に基づいて必要な指導監督を行い得る規制体系を採る必要があるのではないかと提案させていただいております。
 次に、30ページです。まず、定義規定を設けて、規制の対象範囲を画するということを考えるに際して、いわゆる「障害者雇用ビジネス」に関して改善すべき課題として指摘されているものを十分に押さえる必要があるであろうということで、研究会の報告書と、この間の「質」の議論等も踏まえて、改めてその課題感について以下の3点を振り返らせていただいております。
 その上で、31ページです。こうした1~3までの課題感を念頭に置きますと、従来の定義のような場所の観念、「主たる労働者の就業場所と異なる第三者が提供する就業場所」という場所での押さえ方だけではなく、利用企業の障害者の雇用管理そのものに対する外部から関与を反復継続して行うということを定義として押える必要があるのではないかということです。下の所に括弧書きを付けて「例」として書かせていただいておりますが、この辺りの法律上の定義につきましては、私ども政府内部でも内閣法制局等とよく相談をしていかないといけない部分がありますので、ここは、あくまで現時点での事務方のイメージを参考に記載させていただいているものではありますが、具体的なイメージとして括弧内のものを提案させていただいております。
 まず、雇用主が行う障害者雇用に係る業務の援助として、従来の農園やサテライト等を念頭に置いた場所の概念ですが、○1は、通常の労働者の就業場所とは異なる場所において障害者を勤務させることに係る援助を行う。それと並列する形で、○2として、雇用主又は障害者に対し、障害者の雇用管理等に対する援助を行う。最後に、今後の規制の導入等に伴う業態の変更等も念頭に置いた考え方ですが、○3として、その他○1・○2に類するものとして省令で定めるものとさせていただいております。この○1から○3のいずれかのものを業として反復継続して行う事業を「障害者雇用援助等事業」(仮称)として規定に置かせていただく。ただし、外形上はこの定義に当てはまるけれども、別途の把握・指導監督等がなされる等、規制の必要性が乏しいケース、例えば、なかぽつセンター等は、逆に省令等で除くという形を取ってはどうかという提案です。
 続きまして、32ページです。こうした定義に該当するものに対して、法律上で事業開始の届出の義務を設けた上で、告示で定めるガイドラインに即した援助の実施等に努めなければならないという旨を規定してはどうかとさせていただいております。その上で、これらの規定の施行に関して必要があると認められる場合には、必要な報告徴収・指導・助言・勧告等が行い得るよう、法に規定していくということではどうかとさせていただいております。その下半分以降は、利用企業側に対する報告義務についての内容です。下の枠囲みは、研究会の報告書として提示させていただいた内容の振り返りです。
 その上で、33ページですが、まず、利用企業に対して報告を義務付ける対象範囲についてです。事業活動からの分離によって雇用責任が希薄化するという課題、あるいは不適切な雇用管理に特に至りやすいものとして、1番は、正に場所の観念で規定したもので、通常の労働者の就業場所とは異なる場所で勤務させることに関する援助であるタイプですが、2番目に、その他として、障害者に対する日常的な援助を受ける場合について対象としてはどうかとさせていただいております。逆に言いますと、利用企業側から6.1報告を頂くときの対象範囲としては、2番の下の※の所ですが、就業場所の分離を伴わず、障害者に対する接点もないという形で、人事担当者に対する助言のみを受けるようなケースについては、この場合であったとしても、障害者雇用ビジネス事業者の先ほどの定義には入ってまいりますが、6.1報告のほうでは報告を要しないものという整理にしてはどうかとさせていただいております。
 さらに、その下が報告の義務付け項目の案です。まず、○1で、利用している障害者雇用ビジネス事業者の属性情報等、○2は、ビジネス事業者ごとの雇用されている障害者の就業場所・人数等の情報、○3は、今後の利用予定とさせていただいております。
 34ページは、○3の「今後の利用予定」として想定しているものにつきましては、現に障害のある方が従事している業務が有為な活用となっているかどうかの検証、あるいは、その検証結果を踏まえた配置転換等を促進をしていくという観点から、利用予定期間を含めた障害者雇用ビジネスの利用に関する利用企業としての方向性、例えば、その利用の形態や活用の方針、あるいは、今後の予定を記載するものとして位置付けてはどうかとさせていただいております。
 さらに、その下のポツです。研究会報告書の中で、利用企業名の公表を求める御意見も頂いております。一方で、後ろの論点2の所にも出てまいりますが、利用企業が主体性を持って雇用管理をしっかりと行って、自身も事業活動の中で有為な活用がなされる形で雇用ビジネス事業者の専門性に基づいた伴走支援を継続して受けるということは、必ずしも否定されるものではないのではないかという観点もありまして、利用企業名を公表をするという方向性ではなく、上記のような6.1報告やガイドラインに基づく指導等で、課題の是正を図っていくのはどうかとさせていただいております。
 続きまして、35ページ以降が後半の論点2です。論点2につきましては、障害者雇用ビジネス業界、あるいは利用企業向けのガイドラインについてです。35ページは、ガイドラインの法的性質です。まず、障害者雇用ビジネス事業者に対するガイドラインについては、先ほども出てまいりましたが、障害者雇用促進法上に根拠規定を設けるとともに、障害者雇用ビジネス事業者に対して、ガイドラインに即して事業を行うという努力義務を新たに法に規定してはどうかとさせていただいております。一方で、利用企業に対するガイドラインですが、これは障害者雇用の「質」のガイドラインの中で一体的に規定することとしてはどうかとさせていただいております。
 続きまして、36ページは、研究会の報告書でガイドラインの内容に関する方向性を提示したものです。こうした検討の方向性でよろしいかどうかについて、本日御意見をお伺いできればと思います。
 さらに、37ページは、先ほども御説明しましたとおり、研究会報告書の段階では、事業活動において「有為な活用」をするという点に関して、「有為に活用されていない」と判断される本質的要素について、もっと十分に議論する必要があるという御意見を頂戴しております。こちらにつきましては、3ポツ目の所に、障害のある方に付与されている業務が、事業活動に必要性・有用性があるものであるかどうかということを御検討いただきますが、それについては、最終的に利用企業自身が検証・判断すべきものだと捉えた上で、「例えば」として、検証に関してメルクマールとなる考え方を少しお示ししております。例えば、もともと利用企業として実施していた業務の中から、業務切り出し・プロセス分解等を行って担っていただいているような場合については、基本的にその必要性・有用性があると明確に説明できるケースが多いのではないかと。さらに、新規の業務等で、もともとあった仕事の切り出しではない場合ですが、当該業務による事業活動への必要性・有用性がコストと均衡が取れた形で明確に説明ができるという場合は、一般に「有為に活用」されていると考えられるのではないかとさせていただいております。このような「有為に活用」されているかどうかということについて、今後、要件の中で検証、判断していただくことが大変重要なプロセスにもなってきますので、この検証・検討に資する考え方について、より具体的にどのようなものが考えられるかについて、是非、本日、御議論いただきたいと思っております。
 続きまして、38ページです。38ページは、正に今、これから御議論いただきます「有為な活用」へのシフトを進めていくことになった場合、2つ目のポツですが、その際には、ビジネス事業者と利用企業でともに「有為な活用」に向けて事業活動の中から業務の切り出し等を行った上で、雇用されている障害者自身の意向も踏まえ、できる限り望ましい方向を目指して配置転換等を進めていくということが重要なのではないかと書かせていただいております。
 こうした「有為な活用」に向けたシフトを進めていく上では、障害特性に合わせた業務の切り出し等について、いかに有効に行い得るかが鍵となるものですので、国においても、調査研究等も踏まえて、「質」のガイドラインの中で、その具体的・効果的な方法論を提示するという方向で努力をする必要があると認識をしております。その上で、その下のポツですが、研究会報告書段階で、雇用される障害者の希望を踏まえつつ、自社の就業場所へ移行させていくことが望ましいという形で、物理的な場所の移行として望ましい姿が書かれておりますが、この点に関しましては、数多くの御意見を頂戴してきたところであり、重要なのは、利用企業の事業活動における「有為な活用」の方向に移行させるということと、雇用管理を事実上「代行」させる状況を改めて、利用企業自身が主体的に意思決定をしていくということが重要であるとも考えられますので、それらが確保された上で、専門性の高い伴走支援を継続して受けるということは否定されるべきではないのではないかとさせていただいております。
 続きまして、39ページの冒頭の所は、研究会の報告書の中でも示されてきた障害者雇用ビジネス事業者からの情報開示です。利用企業による選択を十分に行えるようにするという観点から、必要な情報開示項目についてもガイドラインで列挙し、その上で、年1回以上の情報開示を求めるということにしてはどうかと。そしてホームページに掲載していただくということでどうかとさせていただいております。
 続きまして、「その他、ガイドラインで示す項目として追加すべき事項」です。研究会の報告書でも御紹介させていただきましたが、合理的配慮のコミュニケーション等に関して、障害者雇用ビジネス事業者が障害者の雇用管理に直接関わっているケースは、定期的に、三者で面談等を実施することが望ましいという旨をガイドラインに記載してはどうかとさせていただいております。このほかに、ガイドラインに位置付けるべき事項につきまして、御提案等があれば御議論いただければ大変有り難いと思います。以上です。
 
○山川分科会長 ありがとうございました。それでは、意見交換に入りたいと思います。今回は、論点が多くなっておりますので、先ほど挙げた論点の2つに区切りまして、前半では資料1の28から34ページ記載の論点1、いわゆる「障害者雇用ビジネス」の定義規定・法規制の在り方について御議論を頂きまして、後半では、論点2の資料1の35から39ページに記載の「障害者雇用ビジネス」のガイドラインの具体的なイメージについて御議論いただきたいと思います。
 それでは、まず論点1の、いわゆる「障害者雇用ビジネス」の定義規定・法規制の在り方について、御意見がありましたら挙手をお願いいたします。発言される際にはお名前を言っていただいて、その後に御発言をお願いいたします。いかがですか。では、オンラインで御出席の方から。新田委員の代理の阿部様、お願いいたします。
 
○新田委員代理阿部様 経団連の新田の代理の阿部です。資料を御説明いただき、ありがとうございます。21ページから24ページのアンケート調査の結果を見ますと、「障害者雇用ビジネス」につきまして、各企業によって実情や利用背景が異なることが分かります。そうしたことを踏まえて、多様な業態をカバーできるように法規制の在り方を検討することの必要性は十分理解できます。今後の検討に当たっては、例えば、日常的な雇用管理は利用企業が行うことを前提に、障害者雇用のノウハウを持たない企業に対してコンサルタント業務を実施している事業者は届出の対象外とするなど、その適用範囲については更なる実態調査と議論が必要だと考えます。
 一方、障害者雇用ビジネスを利用している企業が報告することについては、現場の混乱が極力生じないよう、現行の6.1報告の様式に、必要な項目を追加する形での実施を検討すべきだと考えます。また、33ページの2ポツ目の「日常的な援助」につきましては、どのくらいの頻度の援助が対象になるのか、具体的に示すことが必要だと考えます。以上です。
 
○山川分科会長 ありがとうございました。それでは、オンラインで続けて、山口委員、お願いいたします。
 
○山口委員 愛知県中小企業団体中央会の山口です。まず、論点1の障害者雇用ビジネスの定義規定・法規制の在り方について、障害者雇用ビジネスの実態把握の内容と課題を説明いただきました。御説明や報道などから、障害者雇用に際し、業務内容や就業規則を切り離すにとどまらず、雇用管理も雇用ビジネス事業に丸投げする不適切なケースがあることは事実であります。
 一方で、中小企業の現場では、障害者雇用に関するノウハウ不足や、業務の切り出し、人材確保の困難さなどから外部サービスを活用しなければ障害者雇用そのものが進まないケースも少なくありません。そのため、制度設計に当たっては、障害者雇用ビジネスを一律に問題視するのではなく、雇用主としての責任を果たしているか、障害者本人の能力発揮やキャリア形成につながっているか、障害者雇用が事業活動の成果に活用されているかといった実質面を重視して判断すべきと考えます。
 その対応として、まずは障害者雇用ビジネスを異なる就業場所での勤務の援助だけではなく、雇用管理そのものに対する外部からの関与を反復継続して行うものと定義して、ガイドライン等で企業支援の具体例を示すことは理解をいたします。ただし、この定義では抽象的で、どこまで範囲となるか分かりにくいため、より具体的に規定していただく必要があると思います。また、雇用ビジネスの利用企業に対する法規制に対して、6.1報告に項目の追加を義務付けることは、企業の事務負担を増やすことから慎重であるべきです。特に、33ページ目の案○1~○3のうち、○2は、かなり細部にわたりますし、○3の今後の利用予定は、統一基準がなければ記載しづらく、企業ごとの基準の異なるデータは統計的に活用が難しいと感じます。私からは以上でございます。
 
○山川分科会長 ありがとうございます。では、新銀委員、どうぞ。
 
○新銀委員 全国精神保健福祉会連合会の新銀でございます。丁寧な御説明ありがとうございます。私からは、論点1の30ページ「障害者雇用ビジネス」における大きな課題3点について意見を述べさせていただきます。まず、1点目についてです。文面に、「「共に働く」という理念」という言葉が出てきておりますが、目に見える形で、同じ職場で働き同じ業務を行うことも、「共に働く」ことの1つだと思いますが、長く障害のある方や、御家族の声を聞いてきた立場から申し上げますと、それだけでは十分ではありません。大切なのは、障害のある本人が、自分もこの企業の一員であると実感できることです。自分は、ここにいていいのだろうかと感じてしまえば、安心して働き続けることは困難となります。障害のある方が仕事を辞めてしまう理由として、人間関係の問題は少なくありません。これは障害者だけ、あるいは企業側だけの問題ではなく、一緒に働く中で生じる摩擦の中から、お互いが気付きを得ていくことが重要なのではないかと考えております。
 2点目です。「業務の固定等により障害のある方の成長が制限される」という文言がありますが、例えば重度の障害のある方の場合、御本人が、その業務を希望して同意しており、なおかつ、企業にとって必要な業務であるならば、業務がある程度固定化されること自体は必ずしも問題になりません。問題なのは、本人が何を望んでいるのかを確認しないまま、本人が求めていない業務を漫然と継続させてしまうことです。大切にしたいのは、企業にとってどうなのかだけでなく、本人はどう感じているのかという双方の視点が必要かと存じます。
 3点目についてです。成果物の破棄や、重要性の高くないものを頒布するなどは実際に行われているという話をよく耳にします。これは、実に残念な事象ですが、なぜこのようなことが起きるのか、その背景についても考える必要があるのではないかと私は考えております。そもそも企業側が、障害者雇用に対して最初から期待値を低く設定している、あるいは障害のある方を雇用することに企業としてどのような価値があるのかを十分に見いだせていない、そうであるならば、できるだけコストをかけずに雇用するという発想になってしまうことも、ある意味理解できる部分があります。だからこそ、障害のある方を雇用するために、企業がコストをかける価値をどこに見いだすのかというテーマを明確にする必要があるのではないでしょうか。障害者雇用を単に法定雇用率を満たすための仕組みとして捉えるのではなく、障害のある人が企業の一員として働くことによって、企業にも、働く本人にも、そして社会にもどのような価値が生まれるのか、そこまで踏み込んで考えなければ、今回示してくださっている課題とか定義が単なる定義で終わってしまうのではないかという危惧を持っております。
 ここからは、31ページの外部からの関与について申し上げます。この外部からの関与を反復継続して行うものと定義すること、これは大変重要だと考えております。家族会として、これまで多くの御本人や家族の声を聞いてきましたが、問題が表面化したときには、既に本人がかなり苦しんでいたり、退職を考える段階になっていたりすることがあります。実際の現場で何が起きているのか、障害のある本人がどのように感じているのか、企業側がどのように課題を抱えているのかを第三者が継続的に確認することは、大変大きな意味があると考えます。第三者が外部から関与することによって、当事者と企業だけでは気付きにくい課題を早期に発見し、問題が大きくなる前に解決につながることを期待いたします。
 特に重要なのは、一度きりの確認ではなく、反復継続して行うという点です。障害のある本人の状況も、職場の人間関係も、企業の事情も時間とともに変化します。その変化を継続的に見ながら、本人の声を聞き、必要な調整を行っていく。それこそが、共に働くという理念を現実の職場の中で実現するために必要な仕組みではないかと思います。私どもが願っているのは、障害のある人が、自分もこの企業の一員として働いていると感じられることです。そのためにも、本人の声を中心に置き、企業だけに背負わせるのでも、障害のある本人だけに適応を求めるものでもなく、第三者も関わりながら、お互いに気付き、調整し、支え合う仕組みを作っていただきたいと期待しております。以上です。
 
○山川分科会長 ありがとうございます。では、清田委員、お願いします。
 
○清田委員 ありがとうございます。日本商工会議所の清田です。今回、障害者雇用ビジネスに関する議論の前提として資料にも記載いただいておりますが、利用事業者が急増している点は、やはり法定雇用率の非常に大きな引き上げが背景にあるというところは、我々としても感じるところです。議題2に関連していきますが、法定雇用率の算定に係る考え方についても同時にしっかりと議論していくことが重要であると改めて感じたところです。その上で、論点について何点か意見を申し上げたいと思います。障害者雇用ビジネスにつきましては、この度のヒアリングや事例、21ページ以降にあるアンケート調査を見ましても、必ずしも不適切な取組とは言い難いものも非常に多く、ビジネスを行う事業者及び利用企業においては、様々な認識を持ちながら障害者雇用を行っているというふうに受け止めております。
 こうした状況において、障害者雇用ビジネスを広範囲に把握して全てを規制していく方針については一定程度慎重であるべきではないかというふうに思います。障害者雇用ビジネスにおいて問題となる点についても整理をしていただいております。利用企業の雇用責任の希薄化であったり、不適切な就労環境であったり、利用企業の事業に有為に活用されていないことを原因とした障害者雇用のコスト意識といった、この3つに整理していただいていると思います。この3点に異論はありませんが、逆に申し上げますと、この3点が明らかに間違いなく遵守されていないという取組を、どのように把握して指導していくかという点が重要であると考えております。
 この中で、有為な事業活動の認識というものが曖昧であるとも思います。そうした中で、自社の就業場所へ移行させていくことや、期間を一定程度限定することを促していくというのは、現時点ではやや行き過ぎなのではないかなと感じるところです。他方で、先ほどのこの3点の考え方に基づいて、不適切なビジネスを行う事業所を把握するために一定の措置を設けなければならないということは承知しているところです。障害者雇用ビジネスを提供する事業者の支援サービスに対するガイドラインを用いて、この3点を抑制していくことは可能になるのではないかと思います。その上で、ビジネスを提供する事業者に対して、ガイドラインや、報告義務を設けるのであれば、利用企業の把握を目的とする6.1報告での報告義務は、現時点では慎重であるべきと考えております。私からは以上です。
 
○山川分科会長 ありがとうございました。では、美堂委員、お願いします。
 
○美堂委員 御説明、ありがとうございます。富士通の美堂です。論点1について、何点か意見を申し上げたいと思います。障害者雇用の質を高める上では、就業場所や支援の形態を考慮しつつも、障害のある方の活躍や企業活動への貢献という実質で判断することが重要と考えます。また、企業活動には本業に直接結び付く業務だけでなく、地域貢献活動や福利厚生支援なども含まれており、本業との直接的な関連のみをもって有意性を判断することには慎重であるべきと考えます。
 加えて、障害者雇用に関する専門的知見や伴走支援の活用は、より適切な雇用管理や活躍推進につながる面もあります。そのため、人事担当者への助言にとどまる場合を報告対象外とする整理には賛同するとともに、対象範囲については実態を踏まえた丁寧な検討を求めたいと思います。
 なお、事業者情報や今後の活用方針の報告については、行政による実態把握に必要な範囲にとどめるべきと考えます。障害者の活躍推進は企業の重要な経営課題の1つであり、利用企業名の公表や過度な情報開示については、企業の事業戦略や人材活用方針への影響も踏まえ、慎重な検討が必要と考えております。以上です。
 
○山川分科会長 ありがとうございました。では、渡邊委員、お願いします。
 
○渡邊委員 御説明、ありがとうございました。筑波大学の渡邊でございます。論点1についてコメントさせていただきます。障害者雇用ビジネスの定義や法規制をどのように行うかについて、事務局の御提案の内容は妥当なものと考えております。急速に広がりを見せる障害者雇用ビジネスは、今後も多様に変化し得ると思われます。そうしますと、今後も変化し続けるということを想定し、できる限り多様な業態をカバーできるような定義規定を置き、行政が障害者雇用ビジネス事業者を着実に把握し、問題がある場合には必要な指導・勧告を行うことができるような体制を整えておくということは、大変重要なことであると考えております。その点で、資料に示されている定義規定の例というのは適切な内容であると考えております。
 その上で、障害者雇用ビジネス事業者に対して届出義務などを定めて、障害者雇用の理念に反するようなもの、例えば従来から問題視されてきていた利用企業の事業とは全く関係のない形で、農園において就労させるといった障害者雇用ビジネス事業者に対して指導などを通じて改善させていく手法というのは大変望ましいものであると考えております。また、6.1報告において障害者雇用ビジネスを利用している場合に、利用企業に対して一定の項目を報告させる、求めるといったことは、適切で妥当なものであると考えております。報告を義務付ける内容について資料で御提案されている内容というのは、障害者雇用の理念を踏まえた必要な指導監督を行えるようにするために必要な項目であると考えられます。また、報告を行う利用企業に対する負担についても、十分配慮されている妥当なものであると考えております。私からは以上です。
 
○山川分科会長 ありがとうございます。先ほど会場でも、何人かお手が挙がっておられました。では影山委員、お願いします。
 
○影山委員 横浜市大の影山でございます。よろしくお願いします。2点ほどあります。1点目ですが、31ページの定義を拝見いたしますと、雇用ビジネスの問題が網羅されていない印象を持ちます。雇用ビジネスは雇用管理を丸投げしているという点に加え、障害者に有為な労働をさせない前提での事業です。したがって、社会的排除になってきますし、人権侵害であり、企業にとっては重大なコンプライアンス違反になる。この点が、この定義では読み取れない印象があります。
 先ほどの御説明で、例えば22ページに「成果物の活用方法」という記載がありました。その中では、販売している場合もあり、株主総会で配布している場合もある。これはいかにも有意に活用しているように見えるのですが、事業戦略上の意味を検証しなければ、形だけしかやっていないと解釈できます。こういうことも含めて、障害者に有意な労働をさせていないということが問題であるというのを、定義のほうに盛り込みにくいのであれば注釈などを付けていただいて、例えば企業の方が定義を見たときに、注釈を見てコンプライアンス上の問題があるということが分かるように、また、労働局の職員の方が見たときにも、そういうことが分かるように工夫していただければと思います。
 ちなみに、企業にとって有意な労働というのは、自明のものであって議論の余地はないと思います。つまり、企業は、社会が求める財やサービスを生産し、それによって収益を得ています。こういった財やサービスをつくることによって、従業員は社会にとって有意な存在です。一方、それによって企業に収益をもたらすという意味でも有意な存在ですから、二重の意味で有意な存在なのです。こういった活動をさせないというのは社会的排除になるはずです。
 人権問題であるというのは、このような活動によって、我々は社会や企業の中における自己の存在意義を確認してみたり、人とのつながりをつくったり、やりがいを得たり、成長したりするという、人間にとって必要なものを得ますので、そこから排除されているというのは人権問題になるわけです。したがって、憲法27条にも、義務だけではなくて勤労の権利が出てくるわけです。このように人権問題なので、各種法令に抵触するのでコンプライアンス違反になるのです。
 例えば障害者差別解消法第8条では、障害を理由とした差別は駄目ですよと書かれています。障害者雇用促進法第3条を受けて、第5条では事業主の責務として障害者が有意な職業人であることに協力しないといけないと書かれているのです。さらに、国際的な舞台に視野を移すと、障害者の権利条約にも、障害を理由とした差別は駄目だという記載がありますし、国連の人権とビジネスに関する指導原則でも、こういった差別は駄目ですと書かれています。さらに言うと、ILO宣言でも、雇用や職業における差別というのは駄目で、社会的排除をしてはいけないということが書かれているのです。このように各種法令、若しくはルールに抵触しますから、重大なコンプライアンス違反になってきます。この点が分かるように工夫していただけるとよろしいかと思います。
 2点目ですが、今日の資料の34ページです。33ページの報告を求める対象が少し広い印象もあるのですが、広く報告をしていただいて、そこから実態を把握していくということかなという気もいたします。ただ、34ページのほうに、利用企業名の公表を求める意見があったと。ただ、これについては、公表するのではなくて指導していくという対案が34ページに書かれています。ただ、私は、公表していただいたほうがいいと思います。つまり、雇用ビジネスや雇用ビジネスを利用している企業、及び前回議論になった雇用の質のガイドラインに抵触するような企業は全て名前を公表すべきだと思います。雇用の質のガイドラインに抵触する企業まで含めるのは、障害者雇用に関する人権侵害がある可能性があるのと、こういった外から見えない部分について手薄な企業というのは、いろいろな所に穴がある可能性があるのです。そういった意味で公表すべきです。
 どういう意味で公表すべきかというと、罰則ではないです。つまり、就職活動をしている方にとっては、人権侵害をしている企業や、人権侵害をしている企業を使っているような企業、若しくはそういう可能性のある企業を使っているような企業には就職したくないと思います。また、企業からすると、雇用ビジネスを活用したり活用している企業を使ったりすることは、人権サプライチェーン上のリスクを負うことになります。したがって、このようなリスクを回避させる意味で、名前を公表すべきだと思います。
 例えば、日本企業は国際的な舞台において熾烈な競争をしているわけです。こういった企業を排除しようとする動きが出た際に、この企業は障害者の人権を侵害している、若しくはサプライチェーン上で人権侵害が起こしているような企業を使っている、このような企業と取引をしてもいいんですかというネガティブキャンペーンが展開される可能性があります。そうなったら、ひとたまりもないのです。日本国内では、なあなあになったとしても、国際舞台においてはそんな甘いものではないです。こういったネガティブキャンペーンを展開された企業がどうなるかというと、かつてベトナムのスェットショップに製品の製造を依頼していて不買運動を起こされた企業がありますが。このような事態を引き起こす可能性もあります。
 では、こうなった場合に誰の責任かというと、やはりサプライチェーンマネジメント上、取組が甘かったということになります。しかし、そういう企業からすれば、分かっていたら名前ぐらい教えてほしかったとなる可能性があります。そういう意味で、人権を守って堅実に経営しようとしている企業が、良かれと思って雇用ビジネス活用をしてしまうとか、外から見えなかったので雇用ビジネスを使っている企業と取引をしてしまう。こういうリスクを避けるという意味で、つまり人権に配慮して経営を進めている日本企業を守るという観点で、それは、日本経済の人権という基盤になる部分の体質を強化するという意味にもなってきますので、雇用ビジネスの問題には、このような観点をも持って向き合っていただけるとよろしいのではないかと思います。以上です。
 
○山川分科会長 ありがとうございました。ほかに会場からありますか。倉知委員、お願いします。
 
○倉知委員 九州産業大学の倉知です。御説明、ありがとうございました。雇用代行ビジネスだけではなく、広く雇用ビジネスとして包括的に捉えたということで、すごく分かりやすくなってクリアになったかなと。今回の提案には全面的に賛成したいと思っています。
 報告の件ですが、6.1報告は確かに企業としては今後、少し事務負担が増えるかと思いますが、ここまできたら放置できないので、やはり多少負担があっても、良くしていくためには仕方がないのかなと思っています。そして、ここで把握したことによって不適切な事案について指導しやすくなるのは大きいと思います。その上で、公表については、不適切な事案を指導したということを公表されてはどうかと思いました。
 それから、3番目は、名称というか、仮称なのですが、雇用援助事業となると、今実際にやっている雇用相談援助事業と混同してしまうので、雇用援助ビジネス事業など、名称を少し考えていただけるといいかなと思いました。あと、利用企業へ戻す、また、一定の期間を定めるということについては、確かに急には難しいと思いますが、そこを目指すというのは、やはり外してはいけないと思っています。目指していくことが重要だと思います。
 最後に、ここまで大きな問題になった背景というのは、やはり企業の負担の急激な増加というのがあると思います。そのため、この後、議論する法定雇用率の考え方であったり、企業支援の強化であったりということも、更に議論していくことで、より良い形になっていくのかと思っています。以上です。
 
○山川分科会長 ありがとうございます。では、大岩委員、どうぞ。
 
○大岩委員 日立ゆうあんどあいの大岩でございます。個別の論点に入る前に、まず使用者側の立場として、企業側から見た雇用についてお話をしたいと思います。そもそも一般的な話として、会社全体の業績向上に何ら貢献を期待しない従業員を雇用し続ける企業というのは存在しないのです。ましてや、その従業員を雇用するために雇用を代行する、企業に対してサービスフィーを支払い続けること自体が、企業の存在意義や存在価値に反していると思います。これがいわゆる障害者雇用代行ビジネスを利用するという、一部の現場で実際に起こっていることであると思います。さらには、雇用された障害者自身が、企業から何も期待されず達成感もない形になることは、使用者側から見ても障害者側から見ても、何も良いことはなく、ここで得られるのは障害者雇用率の達成という数値のみであり、これは障害者雇用促進法の理念にも沿わないものとなっているのではないかと思います。
 一方で、企業が自社で雇用する障害者に、その特性に配慮しながら成果を出してもらって、企業全体の業績向上に何らかの貢献ができる状態へ導くために、ノウハウを持った他企業、いわゆる障害者雇用コンサルテーションビジネスから、相談や指導などのコンサルテーションを受けることは一定程度の意味があると考えます。また、自社が雇用する従業員の業務を他社が設定し、準備をして日々の勤退管理や評価など、雇用管理そのものを他企業が行うということは、一般的には自社から雇用代行ビジネス企業への出向又は派遣という形態です。そうであれば、雇用代行ビジネス業者は、障害者の給与相当分を利用企業に支払うことが通常の事業活動だと思います。さらには、自社が雇用した従業員が、ビジネス事業者の提供した業務に従事しているケースでは、受益をビジネス事業者が得ることになり、ビジネス事業者が利用企業に対して相応の対価を支払わない場合は、無償の役務提供となって税務上の問題となる可能性もあると思います。このように通常の事業活動から見て違和感のある状況が発生しているということは、法定雇用率の達成のみを追求してきたことの弊害であると考えます。
 また、20ページで列挙された事例ですが、その他の形態という中で、契約農家から利用企業への委託といった事例がありました。企業が雇用した従業員が農業活動に従事し、その成果をそれぞれの農業団体が享受するという形になっています。本来はそれぞれの農業団体が、障害者を直接雇用すればよいという話であり、企業はその団体に直接、支援として寄付金を出せばよいという話ではないかと思います。そのほかにも寄付行為と同様と考えられる事例が多くあると思いますので、福祉的雇用に対する寄付的な行為と、企業自身による雇用、すなわち経済活動については、明確に分けて議論すべきではないかと考えています。これらを前提として、本日の意見を述べていきたいと思います。
 論点1の、いわゆる障害者雇用ビジネスの定義規定・法規制の在り方ですが、28~30ページに記載されている方向性については、おおむね賛成です。31ページの障害者雇用ビジネスの定義については本来、利用企業自らが他の健常者と同様に雇用管理を行うということがあるべき姿だと思いますので、いわゆる雇用代行が法制上で許容されると誤解を受けないような文言を検討していただきたいと思います。
 また、32~34ページの記載で、障害者雇用ビジネス事業者に対する法規制に事業開始の届出などの義務を設けるとありますが、年1回の事業報告の提出を法律上、義務付けるべきではないかと考えます。
 最後に、利用企業に報告を義務付ける項目については、障害者雇用ビジネスの利用について、利用企業自身が検証、判断することを促すことを目的に、例えば33ページに列挙の項目を、ガイドラインを遵守した雇用ビジネス利用の雇用と、ガイドライン未達の雇用ビジネス利用の雇用に分けて報告するなどとしてはどうかと考えます。以上です。
 
○山川分科会長 ありがとうございます。会場からほかに。菅村委員、どうぞ。
 
○菅村委員 御説明、ありがとうございます。連合の菅村です。法規制の在り方について、発言をさせていただきます。障害者雇用ビジネスにおいては、労働者に対する法的責任は利用企業が負っているとはいえ、責任の所在が明らかになっているように見受けられるケースがあると認識しており、結果として障害のある労働者の権利が守られていないという実態もあると認識しております。そうした点を踏まえれば、利用企業に対して雇用の質を問うだけでなく、障害者雇用ビジネスについても、現状においてビジネス事業者を指導する根拠がない中で、定義規定を置いた上で必要な場合に指導監督を行い得る法規制の体系を取ることは必要な対応だと考えております。
 ここで助言・指導・勧告等と書かれておりますけれども、勧告に従わない事業者に対して通常は公表という流れになるのかと思っておりますが、再三の指導・勧告に従わない事業者に対して、更に何らかの措置を検討されているのかということを事務局に1点、お伺いしたいと思います。
 31ページに、障害者ビジネスの定義について記載されておりますが、その方向性で良いのではないかと考えております。
 報告義務の対象に関しては、33ページの※に記載があるように、障害者に直接の接点がなく、利用企業にコンサルティングのみを行っている事業者を除くことについては賛成です。なお、虚偽の報告があった場合は厳正に対処することは当然の上で、利用企業が報告を作成するに当たり、33ページに「2.日常的な援助」という記載がありますけれども、一体何が日常的な援助に当たるのか、具体的かつ分かりやすい定義や判断基準について検討することが必要であろうと思っております。また、今後も巧妙に報告義務を逃れるようなビジネスモデルが出てくることも想定されるため、障害者雇用ビジネスの動向を把握し、その報告を義務付ける対象については、必要に応じて適宜検討することが必要ではないかと考えております。以上です。
 
○山川分科会長 ありがとうございました。1点、御質問がありました。企業名公表に至るプロセスについてということだったと思います。事務局から、いかがでしょうか。
 
○河村障害者雇用対策課長 現時点において、障害者雇用促進法制の中で企業名を公表する場合は、基本的に今の法体系では、再三の雇入れの勧告に対してもなかなか応じていただけない、雇用義務を直接果たさなかったというケースに絞られているところです。まだまだ私どもも、定義をした上で障害者雇用ビジネス事業者に対してどういう規制で臨んでいくかというのは、本日初めて御議論いただく点でもありますし、先ほども少し、規制としてここまですべきかどうかという方向性の御意見もいただいた一方で、事業報告を求めたらどうか、あるいは公表の範囲についても御指摘がありますので、正に、この分科会の中で検討を深めていければと思います。以上です。
 
○山川分科会長 菅村委員、何かありますか。
 
○菅村委員 検討の対象であるということで承知いたしました。ありがとうございます。
 
○山川分科会長 ほかに会場からありますか。河崎委員、どうぞ。
 
○河崎委員 労働側委員の河崎です。私からは33ページ記載の報告義務の項目について、発言をしたいと思います。まず、冒頭に申し上げたいのは、障害者雇用ビジネスを利用している場合であっても、最終的には利用企業において障害の有無にかかわらず、共に働く、共に学び合う職場づくりにつなげていくという視点が重要であると考えております。その前提では、やはり障害のある当事者自身が、企業の一員としての存在価値を見いだすというのは当然必要だと考えております。そうした観点から、今回の見直し案に関して実効性を高める観点から、幾つか質問と発言をさせていただきます。
 33ページです。利用企業に報告を義務付ける項目のうち、○2の主な業務内容については、複数の事業を展開しているビジネス事業者もある中で、ここで言う主な業務内容とは、利用企業の障害者が実際に従事する業務、作業内容という理解でよろしいかどうか、事務局に御確認させていただければと思います。
 また、○3の今後の利用予定についてですけれども、報告義務を課すことで利用企業が自社での就業への移行に向けての意識を高め、計画策定など、具体的なアクションにつながる効果が期待できると考えます。その際に、利用予定期間だけではなくて、自社での就業への移行に向けて、具体的にどういった工夫をしながら取り組むのかといった記載を求めることなどについても、併せて検討してはどうかと考えます。私からは以上です。
 
○山川分科会長 ありがとうございました。御質問がありましたので、事務局からお願いします。
 
○河村障害者雇用対策課長 33ページの○2は、正に利用企業に雇用されていて、かつ利用企業の中には複数社のビジネス事業者を使われている場合もあると思いますので、そのビジネス事業者ごとの就業場所や人数の情報です。その内訳として、就業場所が、例えばサテライトであるならば、そのサテライトにいらっしゃる当該利用企業に雇用されている方の業務内容を書いてほしいという意図で記載しております。
 
○山川分科会長 あとは、今後の利用予定についての御質問という趣旨ですが、これでよろしいでしょうか。では、ほかにありますか。佐藤委員、お願いします。
 
○佐藤委員 私も34ページの利用企業名の公表について、意見をさせていただきたいと思います。企業名の公表は、通常は労働基準法違反や法定雇用率の未達成企業など、違反企業に対するペナルティとして用いられるということを考えますと、利用していることのみをもって公表することは慎重であるべきだと考えます。一方で、実態として雇用の質が著しく低いビジネス事業者を活用し続けている企業に対しては、雇用されている労働者の能力発揮やビジネスと人権の観点からも課題があると考えており、ビジネス事業者及び利用企業に必要な指導・助言を行うことで是正を図っていくということは必要であると考えます。その上で、利用企業の公表については、事業者の公表と併せて引き続き検討していくべきだと考えます。以上です。
 
○山川分科会長 ありがとうございます。ほかにありますか。では、オンラインの大谷委員、お願いします。
 
○大谷委員 皆様のほうからいろいろ言われたので、余り言うこともないなと思いながら聞いておりました。内容についてはいいかと思います。ただ、気になる部分としては、障害者雇用の通常の場合だと、本人のアセスメント等を行って、企業にとっては本当に大変な状況かとは思うのですが、本人に合った仕事を切り出していただいていると思います。ところが、これがビジネスになると、本人の意向がどうなっているのか、障害者ビジネスをやっている企業がどのように捉えているのか。
 特に農業関係で言いますと、今は農業だけではなかなか収益が上がらない状況下にあります。そのような中で、特に障害者の働く場所として、B型の中に就労移行などがあります。そこで農業等をやったり、いろいろやっていますけれども、これはあくまでも福祉的なことで、やっとそれができる。A型であっても農業だけではなかなか難しいからB型へ移行するという状況がある中で、一般就労の方向性の中で、本当にこれが可能なのか。今、そこに1万人からの人が働いているという状況があるけれども、本当にどういう事業で働いているのか。企業で一生懸命切り出していただいた業務に就いて働いているわけですけれども、B型の事業と同じようなところで出勤していただいて、花を植えて種を採ってというだけの事業であれば、これが本当に就労と言えるのかということです。ですので、やはりそういうところもしっかりと見ていただいて、ビジネスの在り方を考えていただきたいと思います。
 また、新しい雇用ビジネスが多分、これからどんどん生まれてくると思います。現実的に、最近はネットで、ハウスの中で1畝幾ら、何畝幾らというような企業が出ております。こういう所も出てきて、また新しい雇用ビジネスが始まっていますので、是非ともそういうものも含めたものとして、いろいろルール的なものを作っていただきたいと思います。
 また、公表することについては、企業側の意見も確かにあるとは思いますけれども、雇用するということは、堂々と雇用しているというように考えていただければいいと思いますので、そういうように考えれば、公表されても別に問題はないかと思います。ですので、その辺も踏まえて考えていただければと思います。遅くなってからで、すみません。以上です。
 
○山川分科会長 ありがとうございました。それでは、時間の関係もありますので、論点2の「障害者雇用ビジネスのガイドラインの具体的なイメージについて」に移らせていただければと思います。35ページ以降になります。御意見がありましたら、御発言、挙手をお願いします。阿部様、お願いします。
 
○新田委員代理阿部様 業界団体のヒアリングの際に話がありましたとおり、現在、業界団体が自主的にガイドラインの策定に向けた検討を進めていると承知しております。こうした自主的な取組の動向も考慮する必要があると思います。その上で、39ページの「利用企業による障害者雇用ビジネス事業者の選択に資する情報開示」については、利用企業が比較・確認しやすいように、開示する情報とその方法について具体例を示すべきです。加えて、障害者、利用企業及び障害者雇用ビジネス事業者による三者での面談等の実施については、必要とされる頻度が障害者本人の状況や利用企業の実情によって異なるため、一律ではなく、例えば「年一回程度」など、個々の状況に応じて柔軟に運用できる仕組みとすべきだと考えます。
 
○山川分科会長 ありがとうございます。ほかにいかがですか、影山委員、お願いします。
 
○影山委員 横浜市大の影山です。1点目はコメントになり、加えて、お願いしたいことが2点あります。
 1点目です。今日の資料の37ページです。有為性について、どういう点が有為性と言えるかどうかという点です。まず、分かりやすいのは、コストに見合っただけの業務をやらせている場合かと思います。ただ、定量的に必ずしも測定できない場合もあって、そういう場合に、定性的な尺度でも測定していくことを許容してもよろしいのではないかという気がします。例えば株主や顧客に対して成果物を配布していますという場合、ネットプロモータースコアを取って効果を確認している場合、定量的な評価になってくると思うのですが、少し踏み込んだ情報が欲しいので、意見を聞く、もしくは、書いてもらうといった形で、定性的なデータを収集することもあり得ます。したがって、少し広く見ていただけるとよいのではないかという気もしました。ただ、そうすると、無限に広がってくる可能性もあるので、そういう意味では、まずコストの点で見ていくこともあり得るかと思います。これが1番目です。
 2番目は、先ほど申しましたように、雇用ビジネスの活用と、若しくは雇用ビジネスを活用している企業と取引をするということは深刻なコンプライアンス違反になる可能性があります。したがって、企業には早急に、このような活用や取引をやめていただく必要があると思います。そうなると、例えば農園で働いていた障害者の方が宙に浮いてしまう可能性があります。どういうことかと言うと、雇用ビジネスを使うに当たっては、先ほどから御意見が出ていたように、例えば、障害者の方をたくさん雇っているのだけれども、もう切り出しができないとか、そもそも雇用のノウハウがなくて雇用ができないので、雇用ビジネスを使ってしまった。したがって、本社の業務をやらせようとしても、切り出しができない、対応ができない、こういうこともあり得ると思われます。したがって、障害者の方が、場合によっては就労先を失ってしまうことも考えられないことではないので、こういうことを避けないといけないと思います。ですので、現在、雇用ビジネスを活用している企業に対する支援を充実させることをお考えになっていただけるとよいかと思います。
 この支援に関しては、厚生労働省では様々な支援制度をお持ちだと思います。これについて周知・徹底を図っていくとともに、足りないものについては新たに設置していただくこともあるかと思います。ただ、その際に気を付けていただきたいのは、例えば、支援制度がありますというパンフレットを指導の際に持って行って渡すだけでは不十分なような気がします。企業の担当者がそういう制度を知った上で雇用ビジネスを使っている可能性もありますので。何が足りないかと言うと、自社で障害者の方に対応するためには何が必要か、仕事を切り出すにはどうしたらいいのかといった具体的なアドバイスが必要になってきます。従って、労働局でこの指導を行うか、労働局の業務としてなじまなければ、なかぽつセンターのような所と連携していく形もあり得るかと思いますが、具体的な支援を行っていくということを考えて、特にワンストップで、なるべくまとまりのある支援を行っていくことをお考えになっていただけるといいのではないかと思います。
 3番目は、雇用ビジネス事業者のビジネススキームの転換を支援することです。雇用ビジネス事業者に対しては、この分科会でも質問が出ていました。例えば、雇用に関するアドバイスを企業にできるか、定着に関するアドバイスができるか、若しくは、農産物だったら、それを収益事業化するノウハウがあるかどうか、こういう質問が出ておりましたが、回答を聞いていると、難しいのではないかという印象を持ちました。これは必然性があって、雇用ビジネスで収益が上がっているので、通常の雇用に関するアドバイスをする必要はないですし、もしそのようなアドバイスをしていたりすると、雇用ビジネスのほうの事業を使ってもらえないわけですから、そういうアドバイスのノウハウを形成する可能性は少なかったと思います。そういう中で、雇用ビジネスの際と同じだけの事業規模を確保するような障害者雇用のアドバイス事業で収益を得ていくというのは、難しいのではないかという気がします。特に障害者雇用の分野というのは、収益性が高いので様々な事業者が参入してきています。その中で、新たに事業規模を確保するのは難しい。そうなってくると、雇用ビジネス事業者の下に雇用されている健常者であれ障害者であれ、従業員の方が職を失う可能性もあります。
 そういう問題を回避するためには、雇用ビジネス事業者のビジネススキーム転換を促していただく、こういう指導も必要になってくるのですが、その際に、例えば、こういう事業を行いましょうという指導を行うのは、分科会としても厚生労働省としても望ましくないように思います。そういうことは雇用ビジネス事業者自身が考えることです。ただ、例えば新たなビジネススキームが法的に問題がないか、そういう相談をしてみたり、何かヒントはないか、そういう相談ができる先が必要かと思います。その際にワンストップで、相談を受ける先、例えば、各自治体には創業支援の窓口があります。そういう所を御紹介することも含めて、あそこに相談に行けばワンストップでいろいろ相談に乗ってもらえるという相談窓口を早急に設けていただくと、雇用ビジネスのスキーム転換もスムーズに行く可能性があるかという気がします。以上です。
 
○山川分科会長 ありがとうございます。先ほど、田中伸明委員からお手が挙がっておりました。どうぞお願いします。
 
○田中(伸)委員 日本視覚障害者団体連合の田中です。事務局からの御説明に感謝を申し上げます。私からは、ガイドラインで示す項目として、「追加すべき事項」の所に記載のある所について御意見を申し上げます。今、記載していただいている項目について、これは、働く障害者の方から合理的配慮の提供の意思表明があった場合には、やはり利用企業と現場を預かるビジネス事業者、それから、働く障害者との間で適切なコミュニケーションの機会を確保するところは是非、入れていただきたいと考えております。これに加えまして、労働安全衛生法が求める職場環境を、利用企業と協力してビジネス事業者も形成していくという点を、内容として入れていただくことを検討いただきたいと考えております。
 昨今、本年4月には労働安全衛生法が改正されて、主に高年齢者の労働者に対しては、労働災害防止に必要な措置を講じることを努力義務とするという改正が行われております。また、労働災害防止のための指針も厚労省から出されております。その内容を拝見しますと、例えば、手摺を付けるとか、職場の明るさをある程度一定に保つとか、こういう身体的な能力が低下した高年齢労働者に対する安全対策が具体的に書かれております。これは、もちろん高齢者を念頭に置いたものではありますが、働く障害者にとっても十分に参照に値する内容であると思っております。特にビジネス事業者は、複数の利用企業者から多様な障害者が数多く一箇所に集められるという特徴があります。ですので、やはり、そういうビジネス事業者の在り方として、労働安全衛生法が求める内容、健康とか生命の保持に必要な安全な職場環境をつくるという辺りは、ガイドラインに入れることを検討していただいてもよいかと私は考えておりますので、一度、是非、検討をお願いできればと思います。私からは以上です。
 
○山川分科会長 ありがとうございました。では、神成委員お願いします。
 
○神成委員 労働側委員の神成です。私からは、36ページのガイドラインの内容につきまして、雇用管理などの責任が利用企業にあることを前提とした協働関係を整理・明確化した上で、業務の切り出しや合理的配慮の実施、また、能力開発と評価、処遇の改善、適切な雇用の場の提供などについてガイドラインに明記しておくべきだと考えております。更に、就労場所が異なったとしても、利用企業として能力開発の状況や業務成果などを把握して、ビジネス事業者と連携をしながら、業務の高度化などの中長期的なキャリア形成の道筋を作成・提示することも重要なことだと思います。そのためには、本人の希望を踏まえながら、状況に応じたオフザジョブトレーニングの機会をできる限り提供するなど、作業の反復にとどまらない成長機会を確保することも必要であると考えております。
 また、先ほど田中(伸)委員からも御発言がありましたが、私も労働安全衛生管理の部分で、自社と異なる場所で働く場合の安全管理の責任と合意形成の必要性について、発言をさせていただきます。サテライトオフィスや農業施設など、自社の通常の就業場所と異なる場所で就労をさせる場合でも、利用企業が直接雇用する労働者でありますことから、労働安全衛生法に基づいて安全衛生管理体制の確立や労働災害防止のための具体的措置の実施が必要であることには変わりなく、更に障害特性に配慮した安全衛生教育を行うことが重要となってきます。
 また、感染症対策などの衛生管理や事故発生時の対策など、障害福祉サービス事業者が遵守すべき障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づいて、指定障害福祉サービスの事業者等の人員設備及び運営に関する基準の規定も参考にしつつ、自然災害などの非常事態において、安全管理上の役割分担を利用企業とビジネス事業者との間で、事前に協議・合意する仕組みを構築する必要があると考えます。利用企業とビジネス事業者の役割分担を曖昧にすることは望ましくなく、雇用管理や合理的配慮、安全衛生、労働災害、安全管理に不備がある場合の指導・是正なども含めてガイドラインで明確化すべきではないかと思っております。私からは以上です。
 
○山川分科会長 ありがとうございます。では、河崎委員、お願いします。
 
○河崎委員 労働側委員の河崎です。私からは、ガイドラインの法的性質について発言させていただきます。35ページに記載の、障害者雇用ビジネス事業者に対するガイドラインに関し、障害者雇用促進法上に根拠規定を設け、ガイドラインに即して事業を行う努力義務を課す方向で検討することに対しては賛成します。先ほど来、障害者雇用ビジネスで働く労働者の人権の課題も指摘されておりますが、ガイドラインは「障害者雇用ビジネス」で働く労働者の「雇用の質」を高めること、及び人権権利の保護の観点から策定することが重要だと考えております。
 また、利用企業に対するガイドラインにつきましては、障害者雇用の「質」のガイドラインの中で、一体的に規定することについても理解します。先ほど申し上げました障害者雇用ビジネスで働く労働者の権利保護に関しては、障害者雇用ビジネス事業者と利用企業の間で責任の所在が曖昧になり、法の狭間に陥ることがないよう、事業者と利用企業双方のガイドラインにおいて、お互いに確認し合う仕組みを設けることが重要ではないかと思っております。更に、事業形態や就労状況について書面のみで確認するだけではなくて、必要に応じて実地調査を行うことも検討していただければと思っております。私からは以上です。
 
○山川分科会長 ありがとうございます。佐藤委員、どうぞ。
 
○佐藤委員 労働側委員の佐藤です。御説明ありがとうございます。私からは36ページのビジネス事業者のガイドラインの具体的イメージについては、おおむね賛成の立場です。それに加えて、その上で追加すべき観点ということで、ビジネス事業者の伴走支援自体は否定するものではないのですが、利用企業のノウハウの向上と労働者のスキルアップを通じて、通常の一般就労に移行させていくプロセスであると位置付けるべきと考えます。事業者に対して、利用企業と協力しながら移行に向けたロードマップ等を策定することをガイドラインで規定してはどうかと思います。なお、労働者保護の観点からは、ビジネス利用企業が自社の就業場所での障害者雇用に移行させていくに当たって、できるだけ雇用を維持したまま移行することが重要であるということから、その点も記載をしていただければと考えております。
 次に、39ページの、利用企業による障害者雇用ビジネス事業者の選択のための情報開示についてです。利用企業がガイドラインに沿った事業を展開しているビジネス事業者を選択できる仕組みも必要であることから、ビジネス事業者に特定の項目について情報を開示させることには賛成です。その上で、追加すべき項目ということでは、無期転換ルールの適正な適用と、雇止めを前提とした利用の禁止についても記載すべきだと考えます。かつて、不適切事項として、第128回障害者雇用分科会でも報告があったように、一部のビジネス事業者が、1年ごとに同一就業場所にある他の利用企業の障害者と入れ替えることで無期雇用転換ルールの適用を回避できる旨の説明資料を配布しているという事案がありました。最初から雇止めを前提とした契約としないことや、不当な短期契約雇用は適切ではないことについてもガイドラインに記載すべきだと考えます。以上です。よろしくお願いします。
 
○山川分科会長 ありがとうございました。倉知委員、お願いいたします。
 
○倉知委員 九州産業大学の倉知です。35ページの内容については、全面的に賛成したいと思っています。36ページに幾つか加えたほうがよいというものがあるのですが、1つは、障害特性の十分な理解を含めた障害者雇用に精通した一定の資格者、これは大事なことで、資格もいろいろありますが、ちょうど厚生労働省がバックアップして、今、新しく障害者就労支援士という資格ができるということが決まっていますので、こういうことを例示していくことが大事なことではないかと思いました。
 また、○3の最終的に利用企業が自社の就業場所での障害者雇用に移行させていくための提案・支援の1つとして、例えば今の自分の企業の業種の中ではどうしても難しいということであれば、新たな業種の展開に向けた提案や支援ということもあるのかと思いました。
 それから、36ページの一番下の「一定期間の利用の後」の一定期間の考え方ですが、今すぐ決める必要はないかと思いますが、やはり、期間は設けるべきかと思っていて、特に異なる場所でビジネス業者の場所で働いている場合などは、やはり、自社雇用に移すまでの期間としては、1年ぐらいかなと私は思っています。というのは、雇用相談援助事業の期間が1年間となっていますので、激変緩和措置はもちろん必要だと思いますが、1年ぐらいを目途にというのはあるのではないかと思っています。
 最後に、このほかに位置付けるべき事項ということですが、先ほど佐藤委員がおっしゃったように、仕事をしっかりとやらないと、そこで働く利用者の意欲や能力がどんどん減退していくので、有為な労働生産性を高めていく、つまり、作業能力の向上をしっかりやるというようなことを何か入れられるといいなと思いました。私からは以上です。
 
○山川分科会長 ありがとうございました。それでは、大岩委員、どうぞ。
 
○大岩委員 日立ゆうあんどあいの大岩でございます。障害者雇用ビジネスのガイドラインの具体的なイメージについて、35ページの記載内容については、おおむね賛成です。36ページの検討の方向性ですが、1つ目は、成果物という文言についてです。やはり障害者の産み出す価値は物だけではないというのは、ほかの皆さんもおっしゃっているとおりだと思いますので、例えば「成果」というふうに表記してはいかがかと思いました。
 それから、2つ目として、就業場所に関する記述について、障害者以外の従業員の場所に関する働き方というのも非常に多様化しているのが現状です。ですので、自社の就業場所での障害者雇用という場所に関する記載というのはちょっと難しいような気がしています。例えば、自社単独での障害者雇用としてはどうかというふうに思います。
 2つ目、事業活動における有為な活動についてです。37ページの具体例については、例えばその他の具体例として、自社で行うべき業務を切り出して他社へ委託している業務で、例えばBPO業務などがあると思いますので、オフィス清掃や、社内カフェ、社内食堂の運営や、旅費精算や給与計算など、そういうものが考えられると思います。
 それから、38ページに記載の内容については、おおむね賛成です。39ページの記載内容については、おおむね賛成ですが、「その他ガイドラインで示す項目として追加すべき事項について」の内容で、障害者雇用ビジネス事業者が利用企業の雇用管理を代行することが前提となっている表現というのは改めたほうがよいのではないかと考えました。以上です。
 
○山川分科会長 ありがとうございます。それでは、オンラインで先ほどから手が挙がっています。まずは、山口委員、お願いいたします。
 
○山口委員 中小企業団体中央会の山口です。ガイドラインですが、障害者雇用の質の向上という方向性につながるもので、基本的には賛同いたします。ただし、36ページの一番下の下段に記載されている「自社の就業場所へ障害者雇用を移行させていくことが望ましい」という記載は、やや懸念があります。基本的には、自社の事業活動の中で障害者が活躍できる環境を整備していくことが理想であり、大企業や事業部門が複数ある企業においては比較的可能だと思います。一方で、中小企業は事業規模が小さくなるほど、1人の従業員のインパクトは大きく、特定の業種や職種では、業務内容が限定される場合も多く、地方では求職者の確保自体が難しい地域もあります。そのため、企業規模や業種にかかわらず、一律に自社就業場所への移行が望ましい姿として位置づけることには懸念があります。私からの意見は以上です。
 
○山川分科会長 ありがとうございました。では、田中克俊委員、お願いいたします。
 
○田中(克)委員 先ほどは時間の関係もあり発言しませんでしたが、論点1については事務局の提案については、おおむね賛成します。論点2の障害者雇用ビジネス向けのガイドラインについての事務局提案もおおむね妥当だと思いますが、少し気になったのは、36ページで、成果物の有為な活用や、複数の就業場所・業務内容の提案・支援などについて、企業側に向けて提案・支援を行うとなっていますけれども、事業者からの単なる提案と支援という平坦な流れだけでは形だけになってしまったり、実効性のあるものにならない可能性もありますので、提案と支援の間に、利用企業と事業者が協働して、じっくりと検討・協議を重ねるプロセスというのを追加するべきではないかと思います。ガイドラインにおいては、特にやはり利用企業がきちんと関与するということがとても大事だと思います。
 また、こうした協議を重ねることで、業務の切り出しやマネージメントのノウハウというのは次第に社内に蓄積されていって、その結果、スライド38ページにあるように、実質、雇用管理を代行させることがないようにして、利用企業自体が障害者の配置や業務の切り出し等の業務等の付与を行い、そして、ビジネス会社は関連する専門的な運用スキルや必要な能力、精神をサポートするというような役割分担や協働関係を1つの目的にするのがよいのではないかと思いました。頂いた資料を見て少し感じたのですが、サテライトオフィス型については、企業の担当者のほとんどが接触していないようですし、それと関連するのかどうか分かりませんけれども、留意する業務内容が、ビジネス事業者の提供した業務を行っていると回答した割合が非常に大きいことが資料で示されていますが、サテライトオフィス型はこれから増えていく可能性もあると思います。また、先ほど申しました準備と言うか、基本的な体制づくりとして、会社の担当者が一定程度の頻度で接触を図るようにガイドラインにも明示して、そして、きちんと労働者と関わっているかを調査・把握して、必要によってはその都度、指導を行っていくという仕組みを整えることも大事だと思います。
 あと、先ほど御意見がありましたが、労働安全衛生法と関連する規則、指針等の遵守、もちろんその他の労基法等関連の遵守は、事業者は当然のことですが、ことに労働安全衛生関連のルールについては、あえてガイドラインに明示することもとても大事だと思います。実際、50名を超える特例子会社でも、安全衛生委員会の開催など、基本的な安全衛生活動さえ行っていないところも少なくありません。安全衛生というのは労働の質の基本的な部分ですので、職場が自分の安全衛生を大事に考えてくれているという認識というのは労働者の心理的報酬としてもとても大きいと思いますので、ここは特に事業者に対して強調していくべきポイントだと感じています。以上です。
 
○山川分科会長 ありがとうございました。ほかにありますか。菅村委員、お願いいたします。
 
○菅村委員 ありがとうございます。連合の菅村です。資料37ページ、「有為な活用」について、1点御意見を申し上げます。37ページに記載のとおり、利用企業の本業や事業活動に必要な業務の切り出し・プロセスの分解・再構成などを行っている場合、とすることについては、おおむね賛成です。その上で、最終的に利用企業自体が判断すべきものということは理解していますが、利用企業の事業計画などを踏まえた組織的関与の程度や、利用企業に客観的・合理的な説明ができるということが、有為な活用においては重要だと思っていますので、その点を意見として申し上げておきたいと思います。以上です。
 
○山川分科会長 ありがとうございます。ほかにございますか。大喜多委員、お願いいたします。
 
○大喜多委員 ありがとうございます。私からは追加を検討すべきと考える事項を幾つか申し上げたいと思います。1つ目は、利用企業における相談・苦情窓口や連絡対応の補助についてです。不適切なビジネス事業者に関する報道では、ビジネス事業者が労働者に対して利用企業などに連絡を行わないよう指示をしていたという事案がありました。利用企業、ビジネス事業者、労働者の3者の定期的な連絡調整や、面談を実施する旨の記載に関連することですが、労働者がビジネス事業者を介さなければ利用企業と連絡ができないことは問題であると考えています。利用企業への相談・苦情窓口や適切な連絡対応の在り方についてはガイドラインに記載が必要ではないかと思います。
 また、3者におけるコミュニケーションに関しても、労働者保護の観点から、労働組合によるサポートや労使協議の枠組みが必要ではないかと考えております。本人の希望に応じて労働組合が面談への同席やサポートを行えることや、労使協議の活用についても記載いただきたいと思っております。
 最後に、自社の就業場所への円滑な移行に向けてなのですが、受入れ環境の整備が必要な点です。障害者雇用ビジネスを通じて、いずれかのタイミングで本業等で活躍していただくためには、労働者の能力開発とともに、移行した後に、職場の上司や同僚等の理解促進も不可欠であると考えております。利用企業として、そうしたソフト面も含めた受入れ環境の整備や意識啓発の取組を進めていくことについてもガイドラインに追加していただければと思います。以上です。
 
○山川分科会長 ありがとうございました。ほかはよろしいですか。複数の委員から、各関係者の法的義務なり責任の所在なり分担についての御指摘がありました。39ページですが、1点、確認を事務局にしたいのですが、合理的配慮義務は雇用主、利用企業に課せられるということで、例えば利用企業の方等が障害者の働いている現場に責任者等として派遣されている場合は、利用企業の方ですので、合理的配慮を実現する立場にあるということになっていくのではないかということと、それから、ビジネス事業者としては、合理的配慮の主体そのものにはならないかもしれませんが、差別解消法の義務は課せられていると、そういう観点から3者のコミュニケーションが必要になるという現行法の下での法的な役割の分担になるという理解でよろしいですか。
 
○河村障害者雇用対策課長 御指摘ありがとうございます。私どもも、あくまでも合理的配慮の法的な義務を負っているのは当然、雇用主である利用企業であるという前提に立った上で、実際のいろいろと報道でも課題の、この部分の背景になっている事案ですと、利用企業側の管理者に当たる方が、やはり臨時の雇用の方であって、実質的な権限は余り持っていなかったり、そういったこともある中で実態上のコミュニケーションが図られなかったりというケースでありますので、先生に御指摘いただいたとおり、法的関係性はしっかり明記をした上で、その上でなお、実態上の責任が果たされるためのコミュニケーションが必要だという趣旨を書くという整理で考えております。
 
○山川座長 ありがとうございます。では、特段ございませんでしたら、時間が若干超過いたしましたが、議題2の「法定雇用率の算定に係る考え方について」の審議に移りたいと思います。では、事務局から説明をお願いします。
 
○河村障害者雇用対策課長 資料2に基づきまして御説明をさせていただきます。議題1の中でも度々各委員から言及を頂いておりますけれども、まず、こうした様々な障害者雇用の質を巡る課題の背景として、この間の法定雇用率の引き上げがあるという問題意識のもとに、改めて本日は法定雇用率の算定に関して、現行の算定式が持っている考え方を御説明して、その考え方について今後どう捉えていくかという御議論を頂いた上で、実際に次の法定雇用率の改定、令和10年4月からの5年間の改定になりますが、それよりも少し先立った時期ではありますけれども、次の改定に向けて法定雇用率算定の具体的な算出方法等をどうしていくかという大きな方向性について御審議を賜りたいと思っております。
 まず、資料の2の1ページです。1として、「法定雇用率の算定に係る基本的考え方及びその評価について」と題させていただいております。1ポツ目にありますとおり、この法定雇用率は、社会連帯の理念に基づいて雇用の場を提供し得るのは事業主のみであるという、制定当初からの考え方に基づいて、障害の有無にかかわらず、同水準で労働者となり得る機会を確保するという考え方の下で算定式が定められております。このために、算定式を下に記載していますが、分母のほうに、障害の有無にかかわらない労働者数と失業者数が来て、分子のほうには、対象障害者である常用労働者、この対象障害者であるというのは現行法では3つの手帳の所持者ということになっておりますが、対象障害者である労働者の数と失業者の数がくるという形になっております。
 その上で、2ポツ目ですが、法定雇用率は、昭和51年に身体のみを対象として雇用義務化されて、その後知的、精神と徐々にその対象範囲を拡大してきたところです。現実的に雇用障害者数の推移を見ても、こうした対象範囲の拡大とともに、多様な障害特性のある方の雇用機会が大きく増加してきたという経過をたどっております。こうした状況も踏まえた上で、改めて、雇用率の算定に係る基本的な考え方について、今後どのように捉えていくべきかというのが、1つ目の御議論いただきたい事項です。
 続きまして、2ページの2の所ですが、現在適用されている令和5年の改定のときの算出方法について記載させていただいております。まず、(1)失業者の範囲の取り方です。現行法では、分母の全労働者も分子の障害者も共通ですが、失業者については、「労働の意思及び能力を有するにもかかわらず、安定した職業に就くことができない状態」の方と規定しております。枠囲みの下のポツですが、分母の全労働者の「失業者」については、労働力調査の「完全失業者」の数を用いており、この完全失業者というのは、○1、○2、○3の3つの要件を満たす方となっており、取り分け○3ですが、調査期間中という、その調査期間はその1行下にありますように、「月末1週間」です。この月末1週間の間に求職活動をしていた方を「失業者」として統計上で取る形になっております。
 次のポツですが、一方で、分子の「失業している対象障害者」については、ハローワークの有効求職者数を基礎として用いており、その実際の取り方はその下の※にありますけれども、障害のある方の場合は、求職登録してから一律の有効期間設定はありませんので、6か月以上利用がないときには、お電話等で求職意思を確認させていただいております。確認の際に、今まで求職活動ができていないけれども、やろうと思うという求職の意思の表示を頂いた場合には、求職登録にそのまま残る形を取っております。
 下のポツですが、こうした経緯をもとに、近年の精神の方の雇用義務化以降、分子に含まれる「失業者である対象障害者の数」が大幅に増加しており、令和5年改定のときには分子がおおむね100万人ぐらいですけれども、そのうち13万人が失業者である精神の方になっているという現状があります。こうした取り扱いですので、実際に失業者として計上している障害のある方の中に、実質的に求職活動をされていない方が含まれる数字にはなっている。この点をどうしていくかというのが今後の算定の論点としてあります。
 続きまして、3ページです。(2)労働者の年齢範囲についてですが、現行の雇用率算定において、データとしては64歳までのデータを使っております。現行の法令上は、単に「労働者」と規定しておりますので、法令上は生産年齢人口の上限たる65歳未満に範囲を狭める規定にはなっていないという論点がございます。これを踏まえた今後の検討の方向性の案が3番です。
 まず1.ですけれども、分子の「失業している対象障害者」の数については、先ほどの○1障害者雇用促進法上、あくまで「労働の意思及び能力を有するにもかかわらず」とされていることを踏まえるという観点が1つです。○2として、分母の全労働者の「失業者」の範囲との均衡をどう捉えるかという観点、それから○3ですが、そうは言っても障害のある方は、障害特性によって体調変動等も想定されて、短期間の求職活動実績を問うことの妥当性をどう考えるかと。こうした○1~○3などを総合的に勘案いたしますと、現行のハローワークの有効求職者のうち、例えば、求職登録した上で一定期間内に、現に求職活動を行っている方を「労働の意思」を有する者として、失業者として計上していく。この一定期間については、例えばということで、3か月、6か月、1年と節目の時期を示しておりますが、そういった方向性で検討してはどうかという御提案をさせていただいております。
 それから、2.労働者の年齢範囲ですが、やはりこの間の高年齢者雇用の進展と相まって、分母も分子も両方とも65歳以上の方が増えてきておりますので、法の規定においても年齢の上限はないということを踏まえて、全年齢のデータで算定することとしてはどうかという御提案です。事務局の説明は以上です。
 
○山川分科会長 ありがとうございました。それでは、意見交換に入りたいと思います。先ほどと同様に、御意見がありましたら挙手をお願いいたします。また、発言をされる際にはお名前をおっしゃっていただいてからお願いいたします。それでは、オンラインからになりますが、阿部様、お願いします。
 
○新田委員代理阿部様 経団連の阿部でございます。御説明ありがとうございます。
 2ページの「2 データの算出方法」では、これまで不明瞭な点が見受けられた「失業者」や「失業している対象障害者」に加え、「労働者の年齢範囲」を含めて一定の整理をした上で、「3 次期算定に向けた検討の方向性(案)」において、一定の定義付けをすべく、事務局案が示されたことを評価いたします。この方向性で検討を進めていくにあたっては、実際のデータを用いた試算なども確認しながら議論を深めていくことが必要だと考えております。
 また、今回の議題とはなっておりませんが、法定雇用率については、かねてより申し上げているとおり、例えば法定雇用率の達成企業割合が少なくとも50%以上で安定的に推移していることが確認できてから、見直し後の雇用率を適用する等、企業における障害者雇用の実態を踏まえた運用の在り方を検討すべきだと考えます。以上です。
 
○山川分科会長 ありがとうございました。では山口委員、お願いします。
 
○山口委員 愛知県中小企業団体中央会の山口です。御説明、ありがとうございました。現行の法定雇用率の算定方法について、ここ数年で法定雇用率がハイペースに引き上げられており、今回、適切な算定方法であるかを検討することは大切な視点であります。資料2では、失業者の定義の見直しや、年齢範囲の考え方が示されておりますが、まずは事務局案を適用した場合に法定雇用率がどの程度変動するのか、具体的な試算をお示しいただきたいと思います。検討においては、企業、とりわけ中小企業において持続的に雇用を進められるよう、現実性も十分考慮されるべきです。そのため、算定式の見直しに当たっては対象範囲を拡大する観点だけでなく、企業が実際に良質な雇用を継続できる制度となるよう、中小企業への影響も十分踏まえた検討をお願いいたします。私からは以上でございます。
 
○山川分科会長 ありがとうございます。では、清田委員、お願いします。
 
○清田委員 ありがとうございます。日本商工会議所の清田でございます。算定式の対象等を詳細に御提示いただきましてありがとうございます。また、今後の検討の方針もお示しいただいたことにつきまして、是非、この方向で検討を深めていただきたいと考えております。
 改めて、分母となる全労働者の対象範囲と、分子の障害者の対象範囲に、期間的な面で大きく差があるなというように思っているところです。今後、この検討式を考えていくに当たって、やはり一定程度可能な範囲で、対象の範囲というのは揃えていくべきというように考えております。私からは以上です。
 
○山川分科会長 ありがとうございました。菅村委員、お願いします。
 
○菅村委員 ありがとうございます。連合の菅村です。資料2の2ページにも記載がございますけれども、登録はしたものの求職活動を実質的に行っていないという方が含まれている現状については、より適正な把握が必要であると認識しております。その上で、現状を踏まえた検討に当たっては、社会連帯の理念の下、障害のある労働者の就労機会の確保という観点も踏まえていただくことが重要であると思っております。
 また、一定期間の考え方につきまして、先ほど御意見もございましたけれども、通常の労働者と同様に考えるのはやはり適当ではないと思っております。精神障害者をはじめ体調に波がある方もいらっしゃることを考慮すれば、一定程度長めの期間は必要であるというように思っております。
 続きまして、全年齢化への見直しについてです。労働者の年齢範囲について、65歳以上の継続雇用者が増えている実態や、法的な整合性も踏まえれば、年齢範囲を全年齢へ見直すことについては妥当だと考えております。以上です。
 
○山川分科会長 ありがとうございます。倉知委員、お願いします。
 
○倉知委員 九州産業大学の倉知です。今回、この計算式の内容について明確に提案を出していただいたことは感謝いたします。
 そこで、私はこの障害のある失業者と全労働者の失業者の不公平感をどうなくしていくか。先ほど清田委員もおっしゃっていましたけれども、正に、そこに尽きるなと思っていて、できるだけ同等にしていくべきだろうと。ただ、計算方法がどうしても違ってしまうとしたら、そこを何か近付ける修正方法を検討してもいいのではないか。このように、全失業者と障害のある失業者の割合を極力同じにしていくということは、適正な法定雇用率にとって大事なことではないかなと思っています。
 その上で、今後、ちょっと懸念されるのが、数字である程度、先ほど山口委員がおっしゃったように出してきた時に、今とどれだけ変わってしまうのかということが大きなところだと思いますが、そこに合わせるのではなく、やはり不公平感をなくすということを最優先していただき、もし数字に大きく変動があるとしたら、激変緩和措置をやりながら適正な法定雇用率に近付けていくという努力をしていくべきではないか。私はこう思います。以上です。
 
○山川分科会長 ありがとうございました。では、大岩委員、お願いします。
 
○大岩委員 日立ゆうあんどあいの大岩でございます。
 まず、他の委員からも意見がございましたが、雇用率の算出に使用する各数値の正確性を是非、確保いただきたいというように思います。
 それから、次に、検討の前提としまして、健常者の失業率が高いからといって企業に採用を強いるような法律はございません。一方で、障害者の雇用にはそれがある中で、就労準備制についての検証がないまま法定雇用率だけが上がっていく現状には疑問があります。2ページで示された内容というのは、例えば就労準備制の有無をできるだけ客観的に捉えるという意図もあるのだと思いますが、その観点での検証を深めていただきたいと思います。
 また、年齢については、就労準備制の検証を深めることを前提に全年齢化するということは理解できます。尚、それらの算定データを使用した場合に雇用率がどのように変化するのか、やはり見当が付きませんので是非、試算をお願いしたいと思います。
 最後に、現在の「質」を伴わない障害者雇用が多く見られる原因というのは、法定障害者雇用率の急峻な上昇にあると思います。達成企業の割合が50%を下回る現状の中で、目標だけが引き上がっていくということは更なる質の低下を招くおそれがございます。したがって、例えば直近の達成企業の割合が50%を超えるまでは法定雇用率の改定をしないとか、1回の引上げ率に上限を設けるなどの激変緩和措置についても強く要望していきたいと思います。以上でございます。
 
○山川分科会長 ありがとうございます。では、オンラインに戻りまして渡邊委員、お願いします。
 
○渡邊委員 筑波大学の渡邊でございます。法定雇用率制度自体については、障害の方々の職業の安定を図る措置として非常に重要なものであって、これを維持することについては異論のないところだと思っております。そのため、その雇用率の算定方法について見直すべき問題点がある場合には適切に対応することも当然求められているというように思っております。
 本日、御説明いただきました雇用率の算定において用いられております「失業している対象障害者」の範囲については、失業者の要件となっております「労働の意思」の把握方法に問題が認められるというように思っております。全労働者の失業者として把握されている範囲との関係でも均衡を失する状況にあるというような状況を踏まえますと、やはり見直すべきであるというように考えています。この失業している対象障害者の範囲は、法定雇用率に直接的影響を与える重要なものであるということを踏まえれば、今回の提案にある方向性での見直しといったようなものが必要であると思います。
 障害者の方々の就職活動の実績を把握する期間については、障害特性による困難性も考慮する必要性があるかと思いますので、労働の意思を確認する、その期間について適切に対応する必要があるかと思います。ただ、労働の意思を確認するといった観点からは、余りに長期に設定するということも妥当とは思われません。そのため、現状のハローワークでも求職意思確認の目安として用いられている6か月といったようなものを、その対象期間としてはいかがかというように考えています。
 また、労働者の年齢範囲については、高年齢者雇用の進捗展も見られるところですし、また法令上も年齢条件に関する特段の規定もないということからしますと、全年齢のデータで算定するということが適切な対応であると思います。私からは以上です。
 
○山川分科会長 ありがとうございました。では、田中克俊委員、どうぞ。
 
○田中(克)委員 北里大学の田中です。先ほどから話題になっておりますが、労働者の意思を確認する、労働の意思を確認する期間ですけれども、分子のほうは精神障害者が増えていくことを考えると、精神障害者においては、例えば分母と同じ1週間とかに合わせるというのは非常に困難なことで、これらの期間でさっと動き出すというのはなかなか難しいところです。かといって、今現在の精神障害者は多様性とともに軽症化している傾向が見られます。以前のように、統合失調症による陰性症状で動けないという方は、かなり割合としては少なくなっていますので、期間としては、1年あれば十分であり、先ほど意見があった6か月といったところが妥当で、それであれば十分チャンスを与えることになるのではないかと思っています。また、それ以上に短くするというのも軽症化している時代においてはあるのかもしれませんが、その場合には、ハローワークだけでなく、なかぽつセンターや就労移行支援事業所の利用において活動している人たちも含めた算定というのもありかと思います。
 やはり、それを目的にしてはいけないのでしょうけれども、ある程度のシミュレーション、現実的な数字を見た上での検討を重ねていくという手順も、やはり現実的には必要ではないかなと思っています。また、全年齢データで算定するということについては、皆さんと同じく賛成です。以上です。
 
○山川分科会長 ありがとうございました。他にございますか。影山委員、お願いします。
 
○影山委員 横浜市大の影山でございます。まず、法定雇用率の算定式については、分かりやすくて合理的なものであるように思います。今、御議論になっているのは、3ページにある方向性の話かと思います。まず、求職活動の期間をどう考えるかというのは、平等と公平性の話でよく出てまいりますが、平等にしてしまうと、公平性を欠くケースが出てくるという議論がございます。場合によっては、精神障害の方にとっては、もしかすると公平性を欠いてくる議論になる可能性もあるかなという気がいたしますが、これについては、専門の医師の方の御意見を伺うなどをして、期間については考えていってはどうかなという気がいたします。
 一方、年齢範囲については、労働力人口で見ていくということかなという気がします。今は65歳を超えても働いている方が多くなってきておりますので、そういった意味では、この御提案の内容でよろしいのではないかと思います。以上でございます。
 
○山川分科会長 ありがとうございました。他に御意見等ございますか。
 それでは、本日の各議題につきまして、委員の皆様方から大変熱心、かつ有益な御議論を頂きました。本日は、この辺りで終了させていただきたいと思います。次回の日程等について、事務局から説明をお願いします。
 
○浅湫障害者雇用対策課長補佐 次回の開催につきましては、令和8年9月15日(火)を予定しておりますが、詳細につきましては、分科会長と御相談の上で、皆様に御連絡をさせていただきます。以上です。
 
○山川分科会長 それでは、これをもちまして、本日の分科会は終了いたします。本日はお忙しい中、充実した審議をしていただきまして大変ありがとうございました。では、散会といたします。