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第59回 社会保障審議会生活保護基準部会議事録
日時
令和8年7月29日(水) 17:00~19:00
場所
AP虎ノ門11階A室
(東京都港区西新橋1-6-15NS虎ノ門ビル)
(東京都港区西新橋1-6-15NS虎ノ門ビル)
出席者(五十音順)
- 岩村 正彦
- 宇南山 卓
- 新保 美香
- 嵩 さやか
- 栃本 一三郎
- 永田 祐
- 村田 啓子
- 若林 綠
議題
- 消費実態による検証を補完する方法について
議事録
○岩村部会長 皆様、こんにちは。定刻でございますので、ただいまから第59回「社会保障審議会生活保護基準部会」を始めさせていただきます。
委員の皆様方におかれましては、大変お忙しい中を御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
最初に事務局から、本日の委員の出欠状況と資料の確認をお願いいたしたいと思います。また、オンラインでの御出席の委員の方がいらっしゃいますので、改めてではありますけれども、会議での発言方法等について御説明をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○加藤社会・援護局保護課長補佐 本日は、対面及びオンラインを組み合わせての実施とさせていただきます。また、動画配信システムでのライブ配信により一般公開する形としております。アーカイブ配信はいたしませんので、あらかじめ御了承ください。
まず、委員の皆様に御報告がございます。本部会の委員を務めていただいておりました岡部委員におかれましては、御都合により御退任されることとなりましたので、報告させていただきます。
その上で、本日の委員の出欠の状況でございますが、全ての委員に御出席いただいております。
それでは、事務局よりお手元の資料と会議の運営方法の確認をさせていただきます。
本日の資料でございますが、議事に関しまして、資料「消費実態による検証を補完する方法」、参考資料1「令和4年家庭の生活実態及び生活意識に関する調査について」、参考資料2「家庭の生活実態及び生活意識に関する調査結果の時系列比較」を御用意しております。
会場にお越しの委員におかれましては、机上に用意してございます。
オンラインにて御出席の委員におかれましては、電子媒体でお送りしております資料を御覧いただければと思います。
次に、発言方法につきまして、オンラインで御参加の委員の皆様には、画面の下にマイクのアイコンが出ていると思います。会議の進行中は、基本的に皆様のマイクをミュートにしていただきます。御発言をされる際には、Zoomツールバーの「リアクション」から「手を挙げる」をクリックいただき、部会長の御指名を受けてからマイクのミュートを解除して御発言ください。御発言が終わりました後は、Zoomツールバーの「リアクション」から「手を下ろす」をクリックいただき、併せて、再度マイクをミュートにしていただきますようお願いいたします。
以上でございます。
○岩村部会長 ありがとうございました。
それでは、早速議事に入りたいと思います。
議事次第を御覧いただきたいと思います。そこにありますように、本日の議事は「消費実態による検証を補完する方法について」となっております。
今日は事務局のほうで用意いただいている資料は1点のみでありますけれども、確認していただく事項が多岐にわたりますので、最初に事務局から一通り資料についての説明をいただいた後、幾つかの事項に区切るという方式で御審議をいただきたいと考えております。
それでは、まず事務局から資料の説明をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○榎社会・援護局保護課調整官 社会・援護局保護課の榎でございます。
それでは、資料「消費実態による検証を補完する方法」について御説明をさせていただきます。
前回までの基準部会では、検証作業の方針や具体的な作業内容について整理をいただきました。今回からその方針に従って作業した結果を順次お示ししながら議論を進めていただきたいと考えてございます。
今回の資料では、消費実態による検証を補完する方法について、作業結果の一部をまとめてございます。
まず、おめくりいただいて2ページを御覧いただければと思います。
前回資料からの引用でございますけれども、生活扶助基準本体の水準の検証に当たって、年収階級第1・十分位が比較対象として適当かどうかを確認するための指標の一覧でございます。一番下の赤枠の部分にございますとおり、「直接的な評価に結びつくものではないが、大きな変化がないか確認をする」指標としまして、社会的必需項目の不足状況と耐久消費財の保有状況を挙げてございました。
3ページについては御参考の資料でございます。令和4年検証で確認しました社会的必需項目の不足状況の結果をお示ししてございます。令和4年検証では、水準検証のモデル世帯としている夫婦子1人世帯の年収階級第1・十分位について、社会的必需項目の不足状況の変化を確認しておりました。
続いて、4ページを御覧いただければと思います。
令和4年検証の報告書の抜粋でございます。今後の検証等に関する意見として、社会的必需項目の不足状況を確認することについて、生活水準が維持されているかについて、生活の質の観点から重要であるという意見や、一般低所得世帯の消費実態との均衡のみにより生活保護基準の水準を捉えていると、比較する消費水準が低下する場合に絶対的な水準を割ってしまう懸念があることを踏まえ、消費実態との比較によらない手法についてより精緻化する必要があるといった御意見がございました。
5ページを御覧ください。
前回の資料で整理しておりました消費実態による検証を補完する方法に関する検証の方針でございます。今回は赤枠をつけている部分について、次ページ以降で幾つか作業結果をお示ししてございます。
まず1つ目の○については、社会的必需項目の関係です。社会的必需項目については、一般低所得世帯が比較対象として適当かどうかを確認するための指標の一つとして参照することが重要といった認識の下で、その選定の考え方、また、具体的な方法について「利用可能な最新のデータを用いて精査を行う」としておりました。また、「その際、社会参加や人との交流に関する項目を追加するか検討する」としてございました。
3つ目の○では、家庭の生活実態及び生活意識に関する調査結果について、一般世帯と生活保護世帯との比較に当たって、「時系列での変化について分かりやすく参照できるようにする」としてございました。
6ページを御覧いただければと思います。
社会的必需項目の更新について、作業の進め方などを整理してございます。
上段の部分では検討の全体像をお示ししてございます。ここに記載のとおり、最近の調査結果により社会的必需項目であると判定される項目を確認するとともに、社会的必需項目を選定する際の考え方や基準の検討を行った上で、社会的必需項目の評価方法、それから、検証に当たっての参照方法の検討について進めていく流れとしてございます。
中段の部分では、最新の調査結果により社会的必需項目を更新する方法について整理をしてございます。1つ目の○の部分にございますとおり、これまでの定期検証で参照してきた社会的必需項目は、厚生労働科学研究費による研究事業で実施されました2011年のアンケート調査結果に基づいて、50%以上の回答者が必要であると回答した項目であることに加えて、家庭の生活実態及び生活意識に関する調査によって実際の充足状況を確認することができる項目としまして、13項目を設定してございました。
2つ目の○にございますとおり、同じ研究者によって、2011年のアンケート調査の後続調査が2023年に実施されております。この結果を活用して社会的必需項目の更新を検討することが考えられます。
次ページ以降では、実際の作業結果も順次お示しいたしますけれども、後続調査の結果を活用することについて留意すべき点などございましたら、御指摘をいただきたいと考えております。
また、下段の部分でございます。更新作業の内容をお示ししてございますけれども、2023年のアンケート調査結果に基づいて、50%以上の回答者が必要であると回答した項目か否かを確認した上で、家庭の生活実態及び生活意識に関する調査によって実際の充足状況を確認することができる項目であるか、併せて確認をすることとしてございます。
7ページを御覧いただければと思います。
これまでの検証で参照していた、社会的必需項目の概要をまとめております。1つ目の○にございますとおり、まず「相対的剥奪状態」とは、社会生活を送るに当たり、金銭など必要な資源の不足のために一般社会で許容される生活水準が保ていない状態、すなわち社会で通常手に入れることのできる栄養や衣服などの物質的な資源を欠いていたり、一般に享受される活動や社会関係に参加やアクセスができない状態を指すものでございます。
また、社会的必需項目とは、各世帯がどの程度相対的剥奪状態にあるかを測るために選定された項目ということでございます。
現行の選定方法は先ほど説明したとおりでございますけれども、下段の表の部分が前回検証でも参照しました社会的必需項目13項目でございます。栄養や耐久消費財などの物質的な項目だけではなく、「親戚の冠婚葬祭への出席」のように社会的な項目についてもカバーされてございます。
8ページを御覧いただければと思います。
後続の調査でございます2023年調査の概要をまとめてございます。2023年調査は、先行研究やEUの剥奪指標などを参考にしまして68個の項目を提示した上で、「普通に生活するためには、最小限どのようなものが必要だと思いますか」という質問を設定してございます。
2023年調査の集計結果は、項目ごとに「必要である」とした回答者の割合を当該項目の支持率としまして、各項目の支持率の結果が示されております。
また、3つ目の○にございますとおり、8つの生活上の機能別に分類して集計の結果がまとめられてございます。
9ページを御覧いただければと思います。
2023年調査の結果に基づきまして68個の項目の支持率を整理するとともに、各項目について、家庭の生活実態及び生活意識に関する調査の調査項目との対応関係を併せて整理してございます。整理した結果は8つの機能別の分類に分けて示してございます。12ページまで結果が続いております。
表の中でグレーの網かけをしている項目については、支持率が50%に満たない項目でございます。
また、各表の右側にある家庭の生活実態及び生活意識に関する調査の欄が空欄となっている項目については、同調査の質問項目と対応していない項目となります。対応関係の整理に当たっては、厳密には異なっていても、類似している質問であれば対応させている点に御留意をいただければと思います。
家庭の生活実態及び生活意識に関する調査の詳細な質問項目については、参考資料1のほうで御確認いただければと思います。
10ページを御覧いただければと思います。
「栄養」、「移動」、「保障」に関する項目の結果をお示ししてございます。一番下の※の部分を御確認いただければと思いますが、特に「保障」に関する項目の中で「急な出費への対応」と「定期的な貯蓄」については、家庭の生活実態及び生活意識に関する調査において充足状況を把握しているものの、対応できない場合にその理由が金銭的なものであるか否かまでは把握していないという点に留意いただきたいと思います。
11ページを御覧ください。
「社会的活動」と「教養娯楽・自分のためのお金」に関する項目の結果をお示ししてございます。
上段の「社会的活動」に関する項目については、項目の追加の検討が検討課題となってございましたけれども、最新の結果に基づいて機械的に更新をしてみたところ、「親戚の冠婚葬祭への出席」に代わって「親族や友人に連絡を取るまたは会う」の項目が追加され、項目数としては引き続き1項目となってございます。
なお、「親族や友人に連絡を取るまたは会う」の項目については、対応する2023年調査の項目は「友人・家族・親戚に会うための交通費」となってございます。家庭の生活実態及び生活意識に関する調査の調査項目の中でこの項目に完全に一致するものが存在しないということで、類似する項目を対応させている形になってございますけれども、本来の項目よりもやや広い範囲を捉えている項目となっている点に御留意いただければと思います。
続いて、12ページを御覧いただければと思います。
「住宅」に関する項目の結果でございます。
住宅の関係では、表の下側の注釈にございますとおり、2点ほど留意点がございます。
1点目は、家庭の生活実態及び生活意識に関する調査の欄でQ5としている項目について、不足している場合にその理由まで把握していないという点でございます。
2点目は、ピンクで網かけをしている項目について、これらは特定の住宅設備の有無といった住宅環境に関する項目であり、住宅扶助により対応される項目であるという点でございます。
13ページを御覧いただければと思います。
2023年調査を用いて社会的必需項目を更新した結果に関して、確認いただきたい点を整理してございます。
まず、1つ目の○は一部の項目の取扱いについてでございます。
マルの1番目でございますが、12ページでピンクの網かけをしていた住宅環境に関する項目について、「給湯器を除いて不足している理由を把握していない」という点。また、「生活扶助で対応する項目ではない」という点。これらを踏まえまして、社会的必需項目から除外するという整理でどうかと考えてございます。
また、マルの2番目でございます。こちらは「家族全員の十分なふとん」という項目について、不足している場合にその理由は把握していないという一方で、経済的な理由が主な理由であると考えられることから、社会的必需項目に残す整理でどうかと考えております。
また、マルの3番目でございます。「急な出費への対応」と「定期的な貯蓄」、これらについても対応できない理由を把握していない一方で、金銭的な理由によるものと考えられることから、社会的必需項目に含めるという整理でどうかと考えてございます。
このような取扱いに関して御意見などありましたら、御指摘いただければと考えております。
続いて、2つ目の○を御覧いただければと思います。先ほど御覧いただいたマル1からマル3の取扱いを前提とする場合、更新後の社会的必需項目は22項目が該当することとなります。現行の項目と比較しますと、「電話(固定電話の保有)」、「親戚の冠婚葬祭への出席」の2項目が外れ、「インターネット」や「テレビ」などの11項目が追加となります。また、社会参加や人との交流に関する項目については、更新後に社会的必需項目に該当するのは「親族や友人に連絡を取るまたは会う」の1項目のみとなります。こうした結果について、気になる点あるいは留意すべき点などございましたら、御指摘をいただければと思います。
14ページを御覧ください。
先ほどお示ししました取扱いを前提とした場合に、社会的必需項目に選定される22項目を一覧としてございます。オレンジで網かけをしている項目が更新によって新たに追加される11項目でございます。
続いて、15ページを御覧いただければと思います。
社会的必需項目を選定する際の考え方や基準に関して、確認をいただきたい点をお示ししております。先ほどお示ししましたように、社会的必需項目の選定に当たって、「最小限必要と回答した人の割合が50%以上である」ということを基準とすることのほかに、何か別の考え方や基準が考えられるかどうかという点に関して御意見を頂戴したく思います。
1つ目の○では、例示としまして、EUの剥奪指標の取扱いを参考に考えられる選定方法2点ほどお示ししてございます。
マルの1番目は、所得との関係を考慮して項目を選定する方法でございます。中位所得層と低所得層で一定程度充足状況に差がある項目については、所得が低いほど社会的必需項目の充足に問題が生じやすく、生活の質にも影響しやすい項目と考えられますので、このような項目を選定することが考えられるのではないかと思います。
また、マルの2番目は生活意識との関係を考慮して項目を選定する方法でございます。社会的必需項目のうち、金銭的な理由で不足している場合において「生活が大変苦しい」と答える割合が多い項目については、最低限度の生活に必要な項目との関連が強いと考えられますので、このような項目を選定することが考えられるのではないかと思います。
実際にこれらの基準で選定した場合の結果は17ページ以降でお示しいたしますけれども、このような形で、社会的必需項目を選定することの是非について御意見などありましたら頂戴できればと思います。
また、2つ目の○の部分でございます。このほか考えられる選定の考え方や基準がありましたら、併せて御意見をいただければと思います。
16ページを御覧いただければと思います。
御参考までにEUの剥奪指標の概要をおまとめしております。EUでは、物質的・社会的剥奪を測るための項目として、上段の表に示す13項目が選定されております。項目の選定に当たっては、下段の表に示す4つのテストを実施し、全てをクリアすることが確認されております。
1つ目は適合性をテストするものになってございます。この適合性のテストは、「その国で受容可能な生活水準を維持するために必要なもの」と認識されているか否かを評価するテストになっておりまして、「回答者の50%以上が「誰もが持つべき」と考えられる項目」を基準とするのが一般的であるところ、データ制約によって、EUでは「その項目を欲している人が70%以上」という基準としてございます。この観点は、これまで参照してきた社会的必需項目においても対応できているものと考えられます。
2つ目のテストは妥当性をテストするものでございます。その項目が、実際に貧困や剥奪を測定するものとなっているかを検証するというテストでございまして、具体的には、低所得世帯ほどその項目を欠いているか、主観的な生活困難感と関連しているかなど、物質的剥奪と関連する指標と有意な関連が認められるかを確認するテストでございます。先ほど15ページでお示ししましたマル1とマル2の選定方法については、この妥当性のテストを参考としたものでございます。
このほか、信頼性のテスト、加法性のテストがそれぞれ実施されてございますけれども、ややテクニカルなものとなってございます。
続いて、17ページを御覧いただければと思います。
所得との関係を考慮して項目を選定する場合の結果をお示ししてございます。ここでは支持率50%以上を基準に選定された22項目について、その金銭的理由による不足割合を所得第3・五分位と所得第1・十分位で比較してございます。
なお、ここでの所得分位については、※の部分に記載してございますけれども、2~5人の勤労者世帯を世帯人員ごとに区分して、それぞれの区分で第3・五分位などの分位に該当する世帯を抽出しているものでございます。
表のほうを御覧いただきますと、右側の列では第3・五分位と第1・十分位の不足割合の差を示してございます。また、右端の列では不足の割合の差に1%水準で統計的な有意差が確認された項目に○印をつけてございます。不足割合の差の大きさは項目によって様々になってございますが、有意差が認められた項目は22項目中13項目となってございます。例えばテレビやスマートフォン・携帯電話、洗濯機、冷蔵庫、このような項目については所得第1・十分位でも97%を超える世帯で保有されておりまして、所得第3・五分位との有意差が認められないという結果になってございます。
18ページを御覧いただければと思います。
続いて、生活意識との関係を考慮して選定する方法に関してでございます。
まずは、基礎的なデータとして生活意識と所得との関係を整理しております。ここでの生活意識は、「あなたの世帯では、現在の暮らしの状況を総合的に見て、どう感じていますか」という質問に対して得た回答でございまして、上段の表にありますとおり、所得が低い世帯ほど生活が苦しいと答える割合が高くなってございます。
また、下段の表では主な世帯類型別に生活意識の分布をお示ししておりますけれども、母子世帯ではほかの世帯類型に比べて生活が苦しいと答える割合が高くなってございます。
19ページを御覧いただければと思います。
生活意識との関係を考慮して項目を選定する場合の結果をお示ししてございます。表の構成については17ページの所得の場合と同様となっておりますが、ここでは生活意識が「普通」の場合と「大変苦しい」の場合を比較してございます。両者の不足割合の差について、1%水準で有意差が確認された項目は22項目中15項目となってございます。
続いて、20ページを御覧いただければと思います。
各項目の充足状況と生活意識との関係を別の切り口で見た結果でございます。各項目の充足状況のそれぞれにつきまして、「生活が大変苦しい」と答えた世帯の割合を比較しております。右端の列にあります金銭的な理由により「ない・持っていない」世帯のケースが最も高い割合を示してございます。こうした結果から、相対的剥奪の状況と生活意識の間には一定の相関があると考えられるかと思います。
21ページを御覧いただければと思います。
17ページと20ページで確認をした結果をおまとめしております。所得と生活意識の双方で統計的な有意差が確認された項目には、この表の右端の列で○印をつけてございます。22項目中13項目が該当する結果となってございます。
このような結果を用いて、有意差が認められた13項目を社会的必需項目として選定するということが考えられるのではないかと思いますが、こうした方法の是非についてどのように考えるか、御意見などありましたら頂戴できればと考えております。
続いて、22ページを御覧いただければと思います。
社会的必需項目の評価方法に関して確認いただきたい点をお示ししてございます。
上段の1つ目の○にございますとおり、社会的必需項目の評価方法として、令和4年検証のように個々の項目の状況を評価することが考えられますけれども、その一方で、このほかに不足状況全体を総合的に評価することも考えられるかと思います。その場合の評価方法について、後ほど例示として2つの方法をお示ししますが、このような方法も含めてどのような方法が考えられるか御意見を頂戴できればと思います。
また、2つ目の○にございますとおり、社会的必需項目を参照する方法や参照する際の留意点についても併せて御意見をいただきたく思います。
※の部分では令和4年検証の際の取扱いをお示ししてございますけれども、このほかに考えられる参照方法があれば御指摘いただけますと幸いでございます。
下段の部分でございます。総合的に評価する方法として考えられる具体的な方法を2つほどお示ししてございます。
マル1は不足している項目数に着目して評価をする方法でございます。参考部分にあるとおり、EUの剥奪指標では「経済的理由で欠いている」項目の数が5項目以上の世帯の割合、あるいは7項目以上の世帯の割合、これらを基準として評価を行っております。このように、不足している項目の数が一定数以上の世帯の割合を総合的な評価指標とすることが考えられるのではないかと思います。
また、マル2は社会的必需項目全体の不足状況を評価するに当たって、支持率が高い項目ほどその不足を重く評価するという方法でございます。参考の部分にございますとおり、平成29年検証では不足する項目数を足し上げる際に各項目の支持率で重みづけをして評価指標を算出しておりました。このような指標により総合的な評価を行うことも考えられるのではないかと思いますけれども、次ページ以降で実際の集計結果をお示しいたしますので、その結果も踏まえつつ、率直な御意見などを頂戴できればと考えております。
23ページを御覧ください。
先ほどお示ししました社会的必需項目の総合的な評価方法について、家庭の生活実態及び生活意識に関する調査の個票データを用いて集計した結果をお示ししております。ここでの社会的必需項目は支持率50%以上の基準で選定した22項目を前提としてございます。表の中では、不足する項目数が一定以上の世帯の割合について、所得分位ごとに集計した結果をお示ししております。全体的な傾向として見ますと、所得分位が低いほど不足する項目数が多いという傾向がございます。
また、表の一番下にある行は、各項目の支持率で重み付けをした指標の集計結果でございます。こちらも同様に、所得が低いほど数値が高いという傾向になってございます。
24ページを御覧いただければと思います。
社会的必需項目の総合的な評価方法について、社会的必需項目を支持率50%以上で、かつ所得や生活意識との関係が有意な項目であることを基準に選定した13項目の場合の結果でございます。全体的な傾向としましては、先ほどの23ページと同様となっております。このような指標を用いて実際に評価をする際には、第1・十分位などの数値について時系列の変化を確認するということなどが考えられるのではないかと思います。
続いて、25ページを御覧いただければと思います。
こちらのページから29ページにかけては、家庭の生活実態及び生活意識に関する調査を用いて、一般世帯と生活保護受給世帯の比較を行うに当たって、時系列の変化をより分かりやすく把握できるようにグラフ化したものをお示ししております。ここでは支持率50%以上の基準で選定した22項目の社会的必需項目に加え、社会参加や教養娯楽に関する項目を3項目ほど追加してございます。
また、世帯類型については、高齢単身世帯についての結果をお示ししてございます。その他の世帯類型の結果については参考資料2のほうでお示ししてございますので、併せて御参照いただければと思います。
グラフのほうでは、各項目の不足割合について、生活保護受給世帯、一般世帯の平均、一般世帯の第1・五分位の3つで比較をしてございます。さらに、金銭的な理由によって不足している割合についても加えてございます。全体的な傾向としましては、生活保護受給世帯の不足割合がやや高くなるケースが多く見られているほか、時系列の変化として不足割合が減少して改善する動きが見られる項目もあれば、逆に割合が増加する項目も見られてございます。
少し飛んで28ページを御覧いただければと思います。
グラフの続きでございますけれども、一部の項目に関して、御参考までにこのページ右下の部分で生活保護制度における取扱いを補足してございます。生活保護受給世帯では一定以上の手持金は収入として認定され、保護費が減額される取扱いになってございます。また、生命保険の保有については、貯蓄的性格が強くないものであったり、解約返戻金が少ないものに限って認められてございます。「急な出費への対応」、「定期的な貯蓄」、「生命保険の加入」の各項目に関して、生活保護受給世帯の不足割合が高くなっている背景には、このような取扱いも影響しているのではないかと考えられます。
少し飛んで30ページを御覧いただければと思います。
一般世帯と生活保護受給世帯の比較を耐久消費財の保有状況について見たものでございます。先ほどと同様に、ここでは高齢単身世帯の例、結果のみをお示ししてございますけれども、その他の世帯類型の結果は参考資料2のほうでお示ししてございます。併せて御参照いただければと思います。
結果のほうを御覧いただきますと、どの世帯区分でも多くの項目で保有率が高くなってございます。一方で「パソコンもしくはタブレット端末」、「自動車」についてはやや保有率が低くなってございます。
31ページを御覧いただければと思います。
こちらは、耐久消費財について金銭的に余裕がないために保有していないという世帯の割合をお示ししたものでございます。どの項目も全体的に割合は小さくなっておりますけれども、生活保護受給世帯では一般世帯に比べて割合が少し大きくなる傾向がございます。
25ページ以降でお示ししましたこれらの集計結果につきまして、参考資料2に掲載したデータも含めて、何か留意すべき点などございましたら御意見を頂戴できればと考えております。
資料について事務局からの説明は以上でございます。御審議のほど、何とぞよろしくお願いいたします。
○岩村部会長 ありがとうございました。
ただいま資料の説明をいただいたところでありますけれども、大きく2つの論点があったと言えるかと思います。
1つ目の論点としましては、2023年の調査とかEUの指標というものを参考にして、社会的必需項目というのをどのように選定するかということです。
2つ目の論点といたしましては、選定した社会的必需項目につきまして、生活扶助基準の検証においてそれをどのように評価していくかというものでございます。
そこで、今日御議論いただくに当たっても、社会的必需項目の選定とその評価の方法ということについて、2つの段階に分けて御議論をいただければと思っております。
なお、特に論点は設定されてはいませんけれども、25ページ以降に示されております家庭の生活実態及び生活意識に関する調査結果の時系列比較についても、もし関連して何かコメントがあればぜひいただきたいと思っております。
では、今申し上げた順序に従いまして、まずは社会的必需項目の選定に関しまして、資料の13ページ目、15ページ目の確認事項というものを踏まえて、2023年の大人の必需品に関する調査による社会的必需項目の確認結果、そして、社会的必需項目選定の考え方につきまして、御質問あるいは御意見があればお出しいただきたいと思います。どなたからでも結構ですので、よろしくお願いいたします。
それでは、宇南山先生、お願いいたします。
○宇南山部会長代理 ありがとうございます。宇南山です。
非常に多岐にわたるので難しいのですけれども、まず最初のところでこのデータの出どころ、大人の必需項目というのを6ページ目、阿部先生の研究に基づいて選定されているということで、これまでの類似の検証においても阿部先生の研究に準じてやってきたということですので、それ自体は今回不適切だというものではないのですけれども、やはりある程度ルーティン的に検証するようにするのであれば、もう少し厚生労働省として類似の調査をするなどして、一研究者の結果に基づくというような形ではない、公式なデータソースに沿うというのもひとつ重要ではないかなと思います。ただ、もちろん阿部先生の研究は決しておかしいものだとは思っていませんので、オーソライズの形だけで今回は大人の必需品に関する調査というところに従うこと自体には特段反対するものではありません。
より重要なこととしまして、これまでもなのですが、今回も家庭の生活実態及び生活意識調査のほうであなたは持っていますか、不足していますかというような質問をした上で、金銭的に余裕がないからという理由で不足しているという場合にカウントするというような手順を取ったと理解しています。
ただ、この金銭的な理由で持たないというのは、一見すると理解しやすいのですけれども、よくよく考えてみると、本当に必需的な項目、絶対に社会的に欠かすことができないものだとするならば、優先的に支出をして保有してしまう。逆に言うと金銭的に何かを持たないというのは、比較的重要度がその人にとって低いので、お金があればやりますけれども、お金がなければやらないというような品目に該当してしまう可能性があるのではないかと思いますので、一つの提案なのですけれども、せっかくこの大人の必需品に関する調査で、これは必需品かどうかというのが別ソースで確認ができているのであれば、金銭的な理由かどうかによらず持っていないというのをカウントするのがいいのではないかと。最終的には中位所得者と比較しますので、もちろん個人の好みとかそういったもので持たない、例えば電子レンジを持たないというようなことはあり得ると思うのですが、金銭的でない理由であれば中位所得者のほうでの結果と比較することでコントロールできますので、金銭的な理由かどうかによらずに不足しているかどうかの比較をするというのは一つの考え方ではないかなと思いました。
あと、個別のところで、インターネットの接続環境が非常に重要だというのが大人の必需品の調査のほうで出ていて、9ページ目でしょうか。インターネット接続環境は8割の人が必需だと答えていると出ているのですけれども、よくよく考えると、この調査がインターネット調査で行われた結果だということを踏まえると、インターネットの接続環境の重要性というのがやや過大評価されている可能性はあるのではないかなと。もちろん8割あって一般的に考えても重要な項目だと思いますので、外すべきとは思いませんが、少しここのところ、例えばカウントするときに大人の必需品に関する調査の支持率で重みをつけるといったときには注意が必要なのかなと思いました。
あと、今どこまで論点にしていいかというと、15ページ目のところもいいのでしょうか。
○岩村部会長 はい。15ページでも結構です。
○宇南山部会長代理 EUの剥奪指標の作り方みたいなところに従いますと、一個一個の項目というのが基本的には重みをつけずに、1項目不足していたらどの項目で不足していても1ポイントですというようなカウントの仕方がされるのだと思います。
今回御提案いただいている中には支持率でウエートをつけるというような考え方も出ていますけれども、それにしても、大まかに言えば1項目につき1つずつのポイントがつくとすると、やはりそこの重要度というのがほぼ等しいのではないかと思われるような項目にする必要があって、例えば必要なときに医者にかかれる、必要なときに歯医者に書かれるというのは、もちろん別の項目なのですけれども極めて類似していて、片方がバツがつく人にはもう片方もバツがつく可能性が高いという意味で、医者にかかれるかどうかが2倍の重みを持ってしまう。そういうようなスケールになっているのではないかなと思いますので、今選定されている項目、22項目から最終的に13項目選んでいるというところで、あまり重要度についての議論がなかったので、そこが等しいウエートにしても問題なさそうだというようなところはもう少し慎重に検討されてもいいかなと思いました。
私からは以上です。
○岩村部会長 ありがとうございました。
ほかの先生方、いかがでしょうか。
それでは、若林先生、どうぞ。
○若林委員 ありがとうございます。
13ページについて、何点か申し上げます。
まず、住宅環境については、生活必需項目から除外するという整理でよいのではないかと考えています。
次に、私が特に気になったのは、3番の項目に関する点です。今回、「大人の必需品に関する調査」を用いて議論していますが、「家族・友人・知人などへのお土産やお祝い品」や「趣味やスポーツを通じた交流の機会」などは、必要と考える人の割合が50%を下回っていました。
これらについては、先ほど宇南山先生がお話しされた金銭的な理由とも関係すると思いますが、食事など衣食住に関わるものは生活上なかなか削りにくい一方で、人との交流に関する支出は、家計が厳しくなったときに真っ先に削られやすい項目ではないかと考えています。そのため、物質的な困窮とは異なる観点から検討する必要があるのではないでしょうか。
また、その背景には二つの可能性があると思います。一つは、そもそも交流する相手が少ないという状況です。もう一つは、経済的な理由から交流を控えることで、社会的孤立につながり、貧困の連鎖や世代間の人的資本形成にも影響する可能性があります。
したがって、こうした社会生活に関する項目については、慎重に議論することが重要ではないかと思います。例えば、社会保障・人口問題研究所が5年ごとに実施している「生活と支え合いに関する調査」では、人とのつながりや地域活動への参加と生活満足度との関係などが分析されています。厚生労働省とも継続的に実施されている調査ですので、参考資料として活用できるのではないかと思います。
この点は、次の論点である「月々または定期的な貯蓄をしているか」という項目とも関係してくるように思います。例えば、貯蓄を削ってでも人との交流を維持するという選択もあり得るため、貯蓄だけを見て生活状況を評価するのではなく、社会的なつながりとの関係も併せて考える必要があるのではないでしょうか。
最後に、16ページの「EUにおける物質的・社会的剥奪を把握するための項目」についてです。個人レベルの「定期的な余暇活動」や、世帯レベルの「年1週間の休暇」といった項目は、人とのつながりや社会参加とも関連する指標と考えられますので、これらについても検討対象としてよいのではないかと思います。
以上です。
○岩村部会長 ありがとうございます。
それでは、嵩先生、お願いします。
○嵩委員 御説明ありがとうございました。
私も今の若林先生のお話に近いところはあるのですけれども、まず社会的必需項目の更新の検討において、資料の11ページにありますように、友人等に会うための交通費というのは支持率50%を超えており、あと、所得と生活意識の双方で有意差があるということなので、ぜひこの項目は社会的必需項目として取り上げていただいて、今後充足状況を確認していく必要があると思います。
他方で、この交通費の問題だけではなくて、今回の調査では支持率は50%に達していなかったので漏れてしまった、外れてしまったのが冠婚葬祭への出席ということなのですけれども、参考資料1の20ページとか21ページにそれぞれ個別の調査の回答がありますけれども、生活保護世帯については金銭的余裕がないことで出席しないという回答が一般世帯よりも目立って多いような印象を受けています。
あと、このことと直接の因果関係があるかは分からないですけれども、参考資料1のQ3-3にあるように相談や頼み事ができる相手がいないという世帯の割合も生活保護世帯は一般世帯よりも高いようで、社会的な孤立という問題がうかがえるような気がします。
この生活保護世帯の孤立は、やはり相談や治療へのアクセスといったものを阻害するおそれがあると思いますので、先ほどのお話に近いのですけれども、社会的活動とか人との交流というもの、これを冠婚葬祭という形で出すかどうかはあれですが、人との交流とかについては、社会的必需項目の不足状況の中に入れるかどうかですけれども、別の項目でもいいと思うので、ここについてはもう少し今後も継続して検討していけるように慎重に扱ったほうがいいかなと思います。
以上になります。
○岩村部会長 ありがとうございます。
それでは、永田先生、どうぞ。
○永田委員 ありがとうございます。
私も若林先生、嵩先生のお話に重ねて、社会参加の観点から2点申し上げたいと思います。
まず、基本的な方法や手順について異議はありません。ただ、今回、50%という基準を適用すると、社会参加や人との交流に関する項目が1項目だけとなり、生活の社会的・文化的側面を十分に把握できないのではないかと懸念しています。
「親族の冠婚葬祭への出席」については、2023年の調査では41.3%と50%を下回っていますが、2011年の調査では53%であり、従来から継続的に参照されてきた指標でもあります。したがって、50%以上の中核項目とは区別した上で、社会参加の側面を補う参照項目として残し、確認していくことも考えられるのではないでしょうか。
2点目は、個々の項目の取扱いにとどまらず、両先生のお話とも共通する点です。年収階級第1・十分位が比較対象として適当かを確認する際に、社会的必需項目の不足状況に加え、社会参加や人とのつながりの状況を、別立ての補完的な参照指標として確認するという考え方もあるのではないかと思います。
両先生もおっしゃっていたように、社会参加には、社会的必需項目とは異なる観点もあると考えます。社会参加の形態は多様であり、冠婚葬祭、趣味、地域活動といった個々の項目は、必ずしも50%を超えやすいものではないと思います。しかし、何らかの形で社会に参加し、人間関係を維持していくこと自体は、健康で文化的な生活を維持する上で重要な要素であると考えています。
そのため、特定の活動への参加率そのものを見るというよりも、金銭的制約によって、友人・知人との交流や、冠婚葬祭、趣味、地域活動等への参加が困難となっている状況が、第1・十分位に集中していないかを確認することには意義があるのではないでしょうか。こうした状況を把握する手法を別途検討し、補完的に参照することも、一つの方法として考えられると思います。 以上です。
○岩村部会長 ありがとうございます。
ほかにはいかがでしょうか。
では、新保先生、どうぞ。
○新保委員 私も今3名の先生がおっしゃってくださったことに重なりますが、11ページを見てみましても、交通費だけではなくて、その下のほうに趣味やスポーツを通じた交流の機会ですとか、町内会・婦人会などの参加という項目があります。これが家庭の生活実態及び生活意識に関する調査ですと「趣味やスポーツ、ボランティア活動を通じた交流の機会」というところに対応しているのですが、こうした項目はやはりしっかり見ていく必要があるのではないかと思います。
今、社会課題として孤独・孤立対策を国の政策として推進している中で、孤独・孤立と生活困窮には、関連があるのではないかということも言われており、先ほど来先生方がおっしゃってくださったことはそのとおりだと思います。1項目だけでは少ないのではないかと思うところで発言させていただきました。
以上です。
○岩村部会長 ありがとうございます。
第1点目についてはその他いかがでしょうか。
栃本先生、どうぞ。
○栃本委員 ありがとうございます。
冒頭、宇南山先生がおっしゃったように、かつての基準部会で私もいた頃用いた2011年の暮らしに関する調査というのは、厚労省も関係して行ったものなのだけれども、その後、個別の研究者が行った今回示されているこの2023年のものともう一つ、前の基準部会の時の審議で調査研究の中身を精査すると使えないとした主観的スケール、MIS手法というのがありましたよね。そういった一連の調査というものを細かく吟味しますと、これで大丈夫かなというのがすごく多いのです。それは宇南山先生がさっき指摘したとおりだと思います。
したがって、2023年のものをうのみにするというのはどうかなという感じがしました。審議会で数回前のときにMISについて議論しましたね。あのときも研究としては、被験者に対する適切な説明という点でも不十分であり脆弱性を持ったものだったのです。この2023年のこれもどうなんでしょう。私は研究者として昔から読んでいますけれども一貫した評価・認識です。もう一つ、2023年のが先ほど出てきましたけれども、この調査研究が参照したのはEUの物質的・社会的剥奪指標2012年のものに依拠しています。2023年調査に関する研究が依拠したEUの指標は2012年のものによっているのですけど、EUは2017年にそれの更新したものが出ているのです。やはり2017年というものは非常によくできています。これは非常に明快なのです。本来これを使うべきです。
したがって、今回は間に合わないのですけれども、宇南山先生の御指摘のように、やはり昔の平成22年から24年に行った、厚労科研費かな。スタックかな。政策科学推進研究事業で行ったようなスタイルの形のものを、今回は間に合いませんけれども、かつ今申し上げた2017年のEuropean Commissionのものが出ていますので、それをトレースする形でこの領域の研究というのは今後とも進めていただきたいなと思いました。
それともう一つ、社会的必需項目というのを検討する根本的な理由は何かと言ったら、このEUのものでもそうなのですけれども、社会的収奪とか、あとはソーシャルインクルージョンなのです。ソーシャルインクルージョンとかエクスクルージョンとの関連の中でこういうもの、つまり社会的必需項目が研究されている、位置づけられなければいけないということなんで、大枠の中でどういう位置づけなのか、きちんと基本というのを踏まえないといけないと思いますね。その理解なしに行なわれている調査というものはトリビアルなものとなります。
そして、先ほどの先生方からの指摘にもありましたけれども、50%以上の回答者が必要であると回答したものについては、それが妥当かどうかというのは不明です。一般的な意味で、半分の人が必要だと思っているのだったらやはり必要ねと単純に考えるかもしれませんけれども、対象者に対する調査の説明とかそういうのが例の主観的なものについても尋ね方に問題があるものです。そうすると、普通の生活以上の人でもなされていないようなものまで必要だ、条件だみたいなことになってきたというのがありましたよね。
ということですが、もう一点別の観点から、50%以上という形にすると、技術的なことで項目が減ってしまうということがありますが、それだけではなく試験的にというか試行的には、例えばの話ですけれども、40%以上という形であったらどうなのかとか、できるのであればそういうことも比較吟味してみる必要があると思いました。
今日の基準部会の議論というのは極めて重要だと思うのです。特にデフレではなくて、インフレというか、物価とか賃金とかそういうのが上がっている中で、かつての底割れとは全く別の意味での新しい状況の中で相対的収奪を考える。社会的必需項目を考える。それは社会的排除につながるのだという視点、それは単なる最低限の生活というよりも人間の尊厳に値する生活ということにつながる。そして、それを消費実態による検証を補完するという形で活用できるか。先ほど部会長が2つ目のテーマとして挙げられた部分だとは思うのですけれども、この部分というのは非常に重要ですし、また、今後、実際に次回以降の議論をする際にも、今回の調査結果であるとか審議会の事務局が御用意された資料というのはとても重要なものだと思います。
ということで、長くなりましたけれども以上です。
○岩村部会長 ありがとうございます。
第1番目の項目については委員の皆様の御発言を大体いただいたように思いますので、この辺りで2番目のほうに移ってよろしいでしょうか。
ありがとうございます。
それでは、今度は第2番目ということで、資料の22ページ目の確認事項というのがございますが、それを受けて、社会的必需項目の評価方法につきまして御質問や御意見をお出しいただければと思います。よろしくお願いいたします。
宇南山先生、どうぞ。
○宇南山部会長代理 ありがとうございます。宇南山です。
22ページのこの結果を見て、それをどういうふうに反映するかというところなのですけれども、指標を作ったとして、それが1回限り作ったとして、例えば13項目中何項目が該当するとかしないというのをただ見ても、恐らくは評価をするのは難しいと思いますので、やはりそこには参照するべき比較対象というのが必要で、恐らくは中位所得者の人と生活保護受給者、もしくは第1・十分位の人たち、そこの比較が項目数がどれぐらい違うのかみたいなことが一つの指標になって、なおかつそれが時点とともにどう変わってきたのかというのを見る。今どきの言葉で言えばDifference in Differencesみたいな形で、比較対象のグループの時系列推移と生活保護世帯の時系列変化を比較して、生活保護受給者のグループだけ特段悪化していないかどうかというのを見ることで、消費水準を見るのとは別のチェック方法になるというのが一つの考え方かなとは思います。
ただ、1点気になっているのは、ある種基準を作るときには、全国家計構造調査の第1・十分位の消費水準でやるというルールの下でやっていくと、底抜けをしてしまう。絶対水準が健康で文化的な生活水準を割り込んでしまって日本全体が貧しくなっているようなときに、一番下の人たちは相対的なポジションは維持できていても、それが絶対的な水準を割り込んでしまうのではないかというのがこの検証の意義だとすると、こういった形で作った生活必需項目のスコアみたいなものの相対的な関係の推移というのを見ても、結局底割れをするかどうかに関しては答えが出せないような気がしています。
もしもやるなら、13項目中5項目を超えたら赤信号ですとか、そういうような絶対的な基準を設けるのであれば底抜けを押さえる下支えという意味はあるのですが、恐らくはそういう使い方は難しいと思いますので、そうなると、こちらのほうですごく悪化していますというのが出たときに、本体の検証との間でどう理解するべきなのかというのはなかなか難しいと。この指標があまり悪化していませんよというのを確認するというのは重要なのですけれども、悪化していたらどうなのだ、悪化していなければ底抜けはないのか。そこについては何も言えないので、この検証の意義というのがどこにあるのかは意外と難しいなと思っています。
まとめますと、どうやって使うかと言ったら、私は比較グループをつくって時系列を追って見ていくしかないだろうと思っている。それを見ていくことは、ただ相対的なものを見ていくだけなので、絶対水準の下支えにはならないだろうというのがポイントで、その意味では、うまくいっているときは問題ないけれども、この指標がすごく悪化したときにどういう解釈をするのか。悪化しても問題ありませんというようなことになるのだったら検証する意義がないので、もしも突如通常この指標が悪化した場合にどうするのかというのは少し念頭に置いておく必要があるのではないかなと思いました。
以上です。
○岩村部会長 ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。
若林委員、どうぞ。
○若林委員 2つお話ししたいことがあります。
1つ目は、先ほどの栃本先生と今回の宇南山先生の意見と重複するかもしれないのですが、専門委員会にも参加していて感じたことは、インフレのような今の状況で何が起きているかということは非常に1つ重要な論点ではないかと思っています。多分デフレ下で起きることインフレ下で起きることは必ずしも対称ではないと思うので、そこのところを慎重にデータを見てみるのはどうかというのが1つ目の意見です。
それから、もう一つ目なのですけれども、マル1の「社会的必需項目が経済的な理由で不足している世帯の割合を該当項目数別に把握する」ことなのですけれども、私はこの該当項目数ですることにちょっと違和感があります。といいますのも、先ほど言いましたように、これがないと生きていけないというものと人間らしい生活をするものに関しては、単純に1つと計算することは見えるものが見えなくなっているのではないかと思いますので、少なくとも先ほど永田先生から出ていたように、例えば社会的なものは社会的なもので見るとか、それとも個数ではなくて一つ一つが分野でどうなっているか。もちろんパーセンテージが難しいというのはあるかもしれないのですけれども、その辺りを見たほうが良いと思います。数で集計することによってかえって何が起きているのか分かりづらいのではないかと感じました。
以上です。
○岩村部会長 ありがとうございます。
ほかはいかがでしょうか。
栃本先生、どうぞ。
○栃本委員 宇南山先生が底割れの話をされましたけれども、前に宇南山先生たちと議論したときもそうなのだけれども、非常にアバウトな言い方をすると、やはりデフレのときのみんなが切り詰めてやりくり、家計だからやりくりでありますので、積み上げというのもやりくりの中でハウスホールドというのは決まってくるから、そういう状態の中では、第1・十分位との比較とかいろいろやったわけだけれども、底割れというのは起きる可能性が非常に高くなっていたのだと思います。だから、審議会の報告書のほうでは底割れという言い方はしなかったかもしれないけれども、やはり議論の中で底割れ底割れと言っていましたよね。
だけれども、今回の局面というのは、底割れというのは見えにくいというか、底割れというよりも賃金とか物価が上がっている中で、それがないと餓死するというか、底割れしてしまうというところにはいかないのだけれども、結局、相対的収奪というのが深まる。それと、社会的排除が行われてしまう。その部分が今回の扶助基準のポイントだと思うのですよね。だからこそ、今日の資料とかそういうのは今日だけにしないで、審議会の最終場面かどうか分からないけれども、もう少しその時々で参照したり、議論に入れたほうがいいと思うのです。というので、やはり第5・十分位とかとの比較で見るとか、そういう部分というのは本当に今回重要だと思います。
それと、先ほど時系列的にどうなのかなということのチェックも必要だとおっしゃられたと思うのですけれども、やはりこれも本当に重要だと思います。統計学の先生方とか、それぞれ今日御出席の先生方、基準部会の専門の先生方からすると、確定したものというものを見出して、それを当てはめるということの重要性はよく分かるのだけれども、具体的にどういう形でずばっとやるかというのは難しいところではあるのだけれども、基本的には今回のポイントは相対的収奪だから、相対的収奪が高まっているように見える部分に着目するというところを今回の最終報告までに考えておくということは大切だと思いました。
以上です。部会長、長くなりまして申し訳ありません。
○岩村部会長 とんでもありません。ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょうか。
宇南山先生、どうぞ。
○宇南山部会長代理 再びですみません。
今、栃本先生のお話を伺って私もすごく頭が整理できまして、その意味では、社会的剥奪であるとかの尺度として今回作ったものを参照するのは非常に重要だというのは賛同するのですけれども、もしそうだとするならば、検証するのは、今日、最初の御説明だと旧来型の底割れについて検証すると言ってこの指標が出てきているというのが、やや目的と出してきたもののそごがあるということになろうかと思いますので、社会的剥奪の程度が進んでいないかどうかをチェックするというような説明の仕方で、やることは同じような検証だとしても、底割れの検証ではないというようなスタンスを取るのは重要ではないかなと思いました。
以上です。
○岩村部会長 栃本先生、どうぞ。
○栃本委員 今、宇南山先生がおっしゃったのは本当にそう思いまして、今日の部会の資料の説明の表題とかそういうのはそれでいいとして、今後、宇南山先生がいみじくもおっしゃってくださったような観点で見ていったものですよということが明瞭な表題にしておくということは、審議会の記録ということでも重要だし、今回基準部会で何にフォーカスを当てたかとか、そういうことが明確になりますので、ぜひそうしていただければと思いました。
宇南山先生、まとめていただきまして本当にどうもありがとうございました。
○岩村部会長 栃本先生、ありがとうございます。
ほかにはいかがでございましょうか。
では、永田先生、どうぞ。
○永田委員 ありがとうございます。
先ほどの話ともちょっと関連するのですけれども、今の議論を聞いていても、社会参加については、さっき若林先生もおっしゃっていましたけれども、物品の不足とはちょっと性質が異なるのかなという感じがするので、当面は社会的必需項目の合計点に単純に入れてくというよりは、何か別の領域指標みたいなものを作って、今御議論があったように相対的剥奪みたいなことを見ていくのであれば、社会的排除の重要な項目だと思うので、そういう形で項目を立てるというのは一つの考え方ではないかなと改めて思ったというのが一点です。
それから、23ページとかを見ていると、これは先ほど宇南山先生がおっしゃっていた観点なのですけれども、5項目以上不足する割合というのが例えば第1・十分位では10.9%ですかね。第2・十分位だと3.5、第3だと2.9、第4は1.2というような感じで推移していて、これは見ようによってははね上がっているようにも見えるのですよね。だから、確認するということで確認しているのですけれども、これが評価するとなったときに非常にまずい状態なのか、これで確認できましたねという状態なのかというのは、やはりこれだけだと判断ができないというのが現状で、私もどうすればそれが評価できるのかという対案が出せないのですけれども、やはり長期的には、先ほど宇南山先生がおっしゃっていたように、どういう基準を割っていたらこれを赤信号なのかということを本来は判断する基準みたいなものをある程度持っていないと、一応見ているだけで、我々はもしかしたら非常に悪い状態になっているのに確認しているだけで終わっているという可能性もあるのかなと思ったということで、長期的にはそういったことも検討する必要があるのかなと感じました。
以上です。
○岩村部会長 ありがとうございます。
そのほかいかがでございましょうか。
村田先生、御様子から御発言というのは分かりますので、「手を挙げる」にこだわらずにどうぞ御発言ください。
○村田委員 ありがとうございます。
ソーシャルインクルージョンという御指摘で、私も理解が進んだと思います。特に強い意見があるわけではないのですが、1点、社会との関わりについて。友人や家族に会うための交通費や、孤独を防ぐという話があったと思いますが、今回の検討でどこまで進めるのか、あるいは次回の5年後になるのか分かりませんが、実際の保護世帯の方々は、今、単身高齢者の方が半分になっている一方で、それ以外の半分の方は、母子世帯で思うように働けないとか、病気で働くことに制約があるとか、いろいろな属性があるのではと思いますので、その点を無視して検討してしまうのもどうなのかなと思いました。
以上です。
○岩村部会長 ありがとうございます。
栃本先生が挙手されていますので、どうぞ。
○栃本委員 30秒ぐらいで終わるのですけれども、大分昔、EUの最低生活水準に関する比較調査研究というドイツ語のすごく分厚い本がありまして、これはすごく面白くて、各国別に最低生活の費用をどういうふうに算出するかとか、あと、消費で見るのかとか、収入で見るのか。日本の場合は脱商品化率が低いから、収入で見ても駄目で、消費で見ないと駄目なのですけれども、その中で各国の生活が困窮している人たちに対するメジャーについての記述で非常に印象に残っているのは、日本だと最低限の権利とか最低限の生活とかそういう言葉になるではないですか。だけれども、私がなるほどなと思ったのは、最低限の生活とか、これは基準部会だからそれでいいのだけれども、その一方で、もう一つ重要なメジャーというか基本的なことは、人間の尊厳に値するかどうかなのですよ。人間の尊厳に値する生活かどうかを見るのだというのが国によってはちゃんと書かれている。その部分は、別に最低限の水準が上がれば人間の尊厳が満たされるとかそういうことではなくて、極端に言えば、最低限の生活水準よりも、変な言い方だけれども、ちょっと下がったとしても人間の尊厳が実現するという形はないわけではないのです。というので、単に引き上げればいいということでもない話なのだよね。
その部分と今日の議論というのは結構関係があって、ソーシャルインクルージョンとかね。つまり、先ほど永田先生も少しそういうのを言われたけれども、人との交流がつくれないとか、そういうことはやはり具体的な不便さということもあるかもしれないけれども、やはり尊厳に値する生活かどうかということにかかわることなのです。そのことを数字だったり水準でどういうふうに見ていくかというのは非常に難しいことは難しいのだけれども、僕たちからすると、最低限ということは、最低限が少し上がればそれでいいのだということではなくて、それが人間の尊厳に値する形のものになっているかどうかという物の見方というのは重要だなというのを分厚いドイツ語の文献を見ていて思いました。
以上です。
○岩村部会長 ありがとうございます。
ほかにはいかがでございましょうか。2点目につきましてもこの辺りでよろしいでしょうか。
ありがとうございました。
それでは、大体御意見は頂戴したように思いますので、予定よりかなり早いのですが、今日はこの辺りで終了とさせていただきたいと思います。
次回の開催について事務局から説明いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○加藤社会・援護局保護課長補佐 次回の開催日程につきましては、追って委員の皆様に御連絡させていただきます。よろしくお願いいたします。
○岩村部会長 ありがとうございます。
それでは、本日の審議はここまでということにさせていただきたいと思います。
委員の皆様方におかれましては、お忙しい中、また、特に会場に来られた先生方は、お暑い中、ありがとうございました。
今日は非常にいろいろ重要な御意見も頂戴したように思います。本当にありがとうございました。
それでは、これで散会とさせていただきます。
委員の皆様方におかれましては、大変お忙しい中を御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
最初に事務局から、本日の委員の出欠状況と資料の確認をお願いいたしたいと思います。また、オンラインでの御出席の委員の方がいらっしゃいますので、改めてではありますけれども、会議での発言方法等について御説明をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○加藤社会・援護局保護課長補佐 本日は、対面及びオンラインを組み合わせての実施とさせていただきます。また、動画配信システムでのライブ配信により一般公開する形としております。アーカイブ配信はいたしませんので、あらかじめ御了承ください。
まず、委員の皆様に御報告がございます。本部会の委員を務めていただいておりました岡部委員におかれましては、御都合により御退任されることとなりましたので、報告させていただきます。
その上で、本日の委員の出欠の状況でございますが、全ての委員に御出席いただいております。
それでは、事務局よりお手元の資料と会議の運営方法の確認をさせていただきます。
本日の資料でございますが、議事に関しまして、資料「消費実態による検証を補完する方法」、参考資料1「令和4年家庭の生活実態及び生活意識に関する調査について」、参考資料2「家庭の生活実態及び生活意識に関する調査結果の時系列比較」を御用意しております。
会場にお越しの委員におかれましては、机上に用意してございます。
オンラインにて御出席の委員におかれましては、電子媒体でお送りしております資料を御覧いただければと思います。
次に、発言方法につきまして、オンラインで御参加の委員の皆様には、画面の下にマイクのアイコンが出ていると思います。会議の進行中は、基本的に皆様のマイクをミュートにしていただきます。御発言をされる際には、Zoomツールバーの「リアクション」から「手を挙げる」をクリックいただき、部会長の御指名を受けてからマイクのミュートを解除して御発言ください。御発言が終わりました後は、Zoomツールバーの「リアクション」から「手を下ろす」をクリックいただき、併せて、再度マイクをミュートにしていただきますようお願いいたします。
以上でございます。
○岩村部会長 ありがとうございました。
それでは、早速議事に入りたいと思います。
議事次第を御覧いただきたいと思います。そこにありますように、本日の議事は「消費実態による検証を補完する方法について」となっております。
今日は事務局のほうで用意いただいている資料は1点のみでありますけれども、確認していただく事項が多岐にわたりますので、最初に事務局から一通り資料についての説明をいただいた後、幾つかの事項に区切るという方式で御審議をいただきたいと考えております。
それでは、まず事務局から資料の説明をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○榎社会・援護局保護課調整官 社会・援護局保護課の榎でございます。
それでは、資料「消費実態による検証を補完する方法」について御説明をさせていただきます。
前回までの基準部会では、検証作業の方針や具体的な作業内容について整理をいただきました。今回からその方針に従って作業した結果を順次お示ししながら議論を進めていただきたいと考えてございます。
今回の資料では、消費実態による検証を補完する方法について、作業結果の一部をまとめてございます。
まず、おめくりいただいて2ページを御覧いただければと思います。
前回資料からの引用でございますけれども、生活扶助基準本体の水準の検証に当たって、年収階級第1・十分位が比較対象として適当かどうかを確認するための指標の一覧でございます。一番下の赤枠の部分にございますとおり、「直接的な評価に結びつくものではないが、大きな変化がないか確認をする」指標としまして、社会的必需項目の不足状況と耐久消費財の保有状況を挙げてございました。
3ページについては御参考の資料でございます。令和4年検証で確認しました社会的必需項目の不足状況の結果をお示ししてございます。令和4年検証では、水準検証のモデル世帯としている夫婦子1人世帯の年収階級第1・十分位について、社会的必需項目の不足状況の変化を確認しておりました。
続いて、4ページを御覧いただければと思います。
令和4年検証の報告書の抜粋でございます。今後の検証等に関する意見として、社会的必需項目の不足状況を確認することについて、生活水準が維持されているかについて、生活の質の観点から重要であるという意見や、一般低所得世帯の消費実態との均衡のみにより生活保護基準の水準を捉えていると、比較する消費水準が低下する場合に絶対的な水準を割ってしまう懸念があることを踏まえ、消費実態との比較によらない手法についてより精緻化する必要があるといった御意見がございました。
5ページを御覧ください。
前回の資料で整理しておりました消費実態による検証を補完する方法に関する検証の方針でございます。今回は赤枠をつけている部分について、次ページ以降で幾つか作業結果をお示ししてございます。
まず1つ目の○については、社会的必需項目の関係です。社会的必需項目については、一般低所得世帯が比較対象として適当かどうかを確認するための指標の一つとして参照することが重要といった認識の下で、その選定の考え方、また、具体的な方法について「利用可能な最新のデータを用いて精査を行う」としておりました。また、「その際、社会参加や人との交流に関する項目を追加するか検討する」としてございました。
3つ目の○では、家庭の生活実態及び生活意識に関する調査結果について、一般世帯と生活保護世帯との比較に当たって、「時系列での変化について分かりやすく参照できるようにする」としてございました。
6ページを御覧いただければと思います。
社会的必需項目の更新について、作業の進め方などを整理してございます。
上段の部分では検討の全体像をお示ししてございます。ここに記載のとおり、最近の調査結果により社会的必需項目であると判定される項目を確認するとともに、社会的必需項目を選定する際の考え方や基準の検討を行った上で、社会的必需項目の評価方法、それから、検証に当たっての参照方法の検討について進めていく流れとしてございます。
中段の部分では、最新の調査結果により社会的必需項目を更新する方法について整理をしてございます。1つ目の○の部分にございますとおり、これまでの定期検証で参照してきた社会的必需項目は、厚生労働科学研究費による研究事業で実施されました2011年のアンケート調査結果に基づいて、50%以上の回答者が必要であると回答した項目であることに加えて、家庭の生活実態及び生活意識に関する調査によって実際の充足状況を確認することができる項目としまして、13項目を設定してございました。
2つ目の○にございますとおり、同じ研究者によって、2011年のアンケート調査の後続調査が2023年に実施されております。この結果を活用して社会的必需項目の更新を検討することが考えられます。
次ページ以降では、実際の作業結果も順次お示しいたしますけれども、後続調査の結果を活用することについて留意すべき点などございましたら、御指摘をいただきたいと考えております。
また、下段の部分でございます。更新作業の内容をお示ししてございますけれども、2023年のアンケート調査結果に基づいて、50%以上の回答者が必要であると回答した項目か否かを確認した上で、家庭の生活実態及び生活意識に関する調査によって実際の充足状況を確認することができる項目であるか、併せて確認をすることとしてございます。
7ページを御覧いただければと思います。
これまでの検証で参照していた、社会的必需項目の概要をまとめております。1つ目の○にございますとおり、まず「相対的剥奪状態」とは、社会生活を送るに当たり、金銭など必要な資源の不足のために一般社会で許容される生活水準が保ていない状態、すなわち社会で通常手に入れることのできる栄養や衣服などの物質的な資源を欠いていたり、一般に享受される活動や社会関係に参加やアクセスができない状態を指すものでございます。
また、社会的必需項目とは、各世帯がどの程度相対的剥奪状態にあるかを測るために選定された項目ということでございます。
現行の選定方法は先ほど説明したとおりでございますけれども、下段の表の部分が前回検証でも参照しました社会的必需項目13項目でございます。栄養や耐久消費財などの物質的な項目だけではなく、「親戚の冠婚葬祭への出席」のように社会的な項目についてもカバーされてございます。
8ページを御覧いただければと思います。
後続の調査でございます2023年調査の概要をまとめてございます。2023年調査は、先行研究やEUの剥奪指標などを参考にしまして68個の項目を提示した上で、「普通に生活するためには、最小限どのようなものが必要だと思いますか」という質問を設定してございます。
2023年調査の集計結果は、項目ごとに「必要である」とした回答者の割合を当該項目の支持率としまして、各項目の支持率の結果が示されております。
また、3つ目の○にございますとおり、8つの生活上の機能別に分類して集計の結果がまとめられてございます。
9ページを御覧いただければと思います。
2023年調査の結果に基づきまして68個の項目の支持率を整理するとともに、各項目について、家庭の生活実態及び生活意識に関する調査の調査項目との対応関係を併せて整理してございます。整理した結果は8つの機能別の分類に分けて示してございます。12ページまで結果が続いております。
表の中でグレーの網かけをしている項目については、支持率が50%に満たない項目でございます。
また、各表の右側にある家庭の生活実態及び生活意識に関する調査の欄が空欄となっている項目については、同調査の質問項目と対応していない項目となります。対応関係の整理に当たっては、厳密には異なっていても、類似している質問であれば対応させている点に御留意をいただければと思います。
家庭の生活実態及び生活意識に関する調査の詳細な質問項目については、参考資料1のほうで御確認いただければと思います。
10ページを御覧いただければと思います。
「栄養」、「移動」、「保障」に関する項目の結果をお示ししてございます。一番下の※の部分を御確認いただければと思いますが、特に「保障」に関する項目の中で「急な出費への対応」と「定期的な貯蓄」については、家庭の生活実態及び生活意識に関する調査において充足状況を把握しているものの、対応できない場合にその理由が金銭的なものであるか否かまでは把握していないという点に留意いただきたいと思います。
11ページを御覧ください。
「社会的活動」と「教養娯楽・自分のためのお金」に関する項目の結果をお示ししてございます。
上段の「社会的活動」に関する項目については、項目の追加の検討が検討課題となってございましたけれども、最新の結果に基づいて機械的に更新をしてみたところ、「親戚の冠婚葬祭への出席」に代わって「親族や友人に連絡を取るまたは会う」の項目が追加され、項目数としては引き続き1項目となってございます。
なお、「親族や友人に連絡を取るまたは会う」の項目については、対応する2023年調査の項目は「友人・家族・親戚に会うための交通費」となってございます。家庭の生活実態及び生活意識に関する調査の調査項目の中でこの項目に完全に一致するものが存在しないということで、類似する項目を対応させている形になってございますけれども、本来の項目よりもやや広い範囲を捉えている項目となっている点に御留意いただければと思います。
続いて、12ページを御覧いただければと思います。
「住宅」に関する項目の結果でございます。
住宅の関係では、表の下側の注釈にございますとおり、2点ほど留意点がございます。
1点目は、家庭の生活実態及び生活意識に関する調査の欄でQ5としている項目について、不足している場合にその理由まで把握していないという点でございます。
2点目は、ピンクで網かけをしている項目について、これらは特定の住宅設備の有無といった住宅環境に関する項目であり、住宅扶助により対応される項目であるという点でございます。
13ページを御覧いただければと思います。
2023年調査を用いて社会的必需項目を更新した結果に関して、確認いただきたい点を整理してございます。
まず、1つ目の○は一部の項目の取扱いについてでございます。
マルの1番目でございますが、12ページでピンクの網かけをしていた住宅環境に関する項目について、「給湯器を除いて不足している理由を把握していない」という点。また、「生活扶助で対応する項目ではない」という点。これらを踏まえまして、社会的必需項目から除外するという整理でどうかと考えてございます。
また、マルの2番目でございます。こちらは「家族全員の十分なふとん」という項目について、不足している場合にその理由は把握していないという一方で、経済的な理由が主な理由であると考えられることから、社会的必需項目に残す整理でどうかと考えております。
また、マルの3番目でございます。「急な出費への対応」と「定期的な貯蓄」、これらについても対応できない理由を把握していない一方で、金銭的な理由によるものと考えられることから、社会的必需項目に含めるという整理でどうかと考えてございます。
このような取扱いに関して御意見などありましたら、御指摘いただければと考えております。
続いて、2つ目の○を御覧いただければと思います。先ほど御覧いただいたマル1からマル3の取扱いを前提とする場合、更新後の社会的必需項目は22項目が該当することとなります。現行の項目と比較しますと、「電話(固定電話の保有)」、「親戚の冠婚葬祭への出席」の2項目が外れ、「インターネット」や「テレビ」などの11項目が追加となります。また、社会参加や人との交流に関する項目については、更新後に社会的必需項目に該当するのは「親族や友人に連絡を取るまたは会う」の1項目のみとなります。こうした結果について、気になる点あるいは留意すべき点などございましたら、御指摘をいただければと思います。
14ページを御覧ください。
先ほどお示ししました取扱いを前提とした場合に、社会的必需項目に選定される22項目を一覧としてございます。オレンジで網かけをしている項目が更新によって新たに追加される11項目でございます。
続いて、15ページを御覧いただければと思います。
社会的必需項目を選定する際の考え方や基準に関して、確認をいただきたい点をお示ししております。先ほどお示ししましたように、社会的必需項目の選定に当たって、「最小限必要と回答した人の割合が50%以上である」ということを基準とすることのほかに、何か別の考え方や基準が考えられるかどうかという点に関して御意見を頂戴したく思います。
1つ目の○では、例示としまして、EUの剥奪指標の取扱いを参考に考えられる選定方法2点ほどお示ししてございます。
マルの1番目は、所得との関係を考慮して項目を選定する方法でございます。中位所得層と低所得層で一定程度充足状況に差がある項目については、所得が低いほど社会的必需項目の充足に問題が生じやすく、生活の質にも影響しやすい項目と考えられますので、このような項目を選定することが考えられるのではないかと思います。
また、マルの2番目は生活意識との関係を考慮して項目を選定する方法でございます。社会的必需項目のうち、金銭的な理由で不足している場合において「生活が大変苦しい」と答える割合が多い項目については、最低限度の生活に必要な項目との関連が強いと考えられますので、このような項目を選定することが考えられるのではないかと思います。
実際にこれらの基準で選定した場合の結果は17ページ以降でお示しいたしますけれども、このような形で、社会的必需項目を選定することの是非について御意見などありましたら頂戴できればと思います。
また、2つ目の○の部分でございます。このほか考えられる選定の考え方や基準がありましたら、併せて御意見をいただければと思います。
16ページを御覧いただければと思います。
御参考までにEUの剥奪指標の概要をおまとめしております。EUでは、物質的・社会的剥奪を測るための項目として、上段の表に示す13項目が選定されております。項目の選定に当たっては、下段の表に示す4つのテストを実施し、全てをクリアすることが確認されております。
1つ目は適合性をテストするものになってございます。この適合性のテストは、「その国で受容可能な生活水準を維持するために必要なもの」と認識されているか否かを評価するテストになっておりまして、「回答者の50%以上が「誰もが持つべき」と考えられる項目」を基準とするのが一般的であるところ、データ制約によって、EUでは「その項目を欲している人が70%以上」という基準としてございます。この観点は、これまで参照してきた社会的必需項目においても対応できているものと考えられます。
2つ目のテストは妥当性をテストするものでございます。その項目が、実際に貧困や剥奪を測定するものとなっているかを検証するというテストでございまして、具体的には、低所得世帯ほどその項目を欠いているか、主観的な生活困難感と関連しているかなど、物質的剥奪と関連する指標と有意な関連が認められるかを確認するテストでございます。先ほど15ページでお示ししましたマル1とマル2の選定方法については、この妥当性のテストを参考としたものでございます。
このほか、信頼性のテスト、加法性のテストがそれぞれ実施されてございますけれども、ややテクニカルなものとなってございます。
続いて、17ページを御覧いただければと思います。
所得との関係を考慮して項目を選定する場合の結果をお示ししてございます。ここでは支持率50%以上を基準に選定された22項目について、その金銭的理由による不足割合を所得第3・五分位と所得第1・十分位で比較してございます。
なお、ここでの所得分位については、※の部分に記載してございますけれども、2~5人の勤労者世帯を世帯人員ごとに区分して、それぞれの区分で第3・五分位などの分位に該当する世帯を抽出しているものでございます。
表のほうを御覧いただきますと、右側の列では第3・五分位と第1・十分位の不足割合の差を示してございます。また、右端の列では不足の割合の差に1%水準で統計的な有意差が確認された項目に○印をつけてございます。不足割合の差の大きさは項目によって様々になってございますが、有意差が認められた項目は22項目中13項目となってございます。例えばテレビやスマートフォン・携帯電話、洗濯機、冷蔵庫、このような項目については所得第1・十分位でも97%を超える世帯で保有されておりまして、所得第3・五分位との有意差が認められないという結果になってございます。
18ページを御覧いただければと思います。
続いて、生活意識との関係を考慮して選定する方法に関してでございます。
まずは、基礎的なデータとして生活意識と所得との関係を整理しております。ここでの生活意識は、「あなたの世帯では、現在の暮らしの状況を総合的に見て、どう感じていますか」という質問に対して得た回答でございまして、上段の表にありますとおり、所得が低い世帯ほど生活が苦しいと答える割合が高くなってございます。
また、下段の表では主な世帯類型別に生活意識の分布をお示ししておりますけれども、母子世帯ではほかの世帯類型に比べて生活が苦しいと答える割合が高くなってございます。
19ページを御覧いただければと思います。
生活意識との関係を考慮して項目を選定する場合の結果をお示ししてございます。表の構成については17ページの所得の場合と同様となっておりますが、ここでは生活意識が「普通」の場合と「大変苦しい」の場合を比較してございます。両者の不足割合の差について、1%水準で有意差が確認された項目は22項目中15項目となってございます。
続いて、20ページを御覧いただければと思います。
各項目の充足状況と生活意識との関係を別の切り口で見た結果でございます。各項目の充足状況のそれぞれにつきまして、「生活が大変苦しい」と答えた世帯の割合を比較しております。右端の列にあります金銭的な理由により「ない・持っていない」世帯のケースが最も高い割合を示してございます。こうした結果から、相対的剥奪の状況と生活意識の間には一定の相関があると考えられるかと思います。
21ページを御覧いただければと思います。
17ページと20ページで確認をした結果をおまとめしております。所得と生活意識の双方で統計的な有意差が確認された項目には、この表の右端の列で○印をつけてございます。22項目中13項目が該当する結果となってございます。
このような結果を用いて、有意差が認められた13項目を社会的必需項目として選定するということが考えられるのではないかと思いますが、こうした方法の是非についてどのように考えるか、御意見などありましたら頂戴できればと考えております。
続いて、22ページを御覧いただければと思います。
社会的必需項目の評価方法に関して確認いただきたい点をお示ししてございます。
上段の1つ目の○にございますとおり、社会的必需項目の評価方法として、令和4年検証のように個々の項目の状況を評価することが考えられますけれども、その一方で、このほかに不足状況全体を総合的に評価することも考えられるかと思います。その場合の評価方法について、後ほど例示として2つの方法をお示ししますが、このような方法も含めてどのような方法が考えられるか御意見を頂戴できればと思います。
また、2つ目の○にございますとおり、社会的必需項目を参照する方法や参照する際の留意点についても併せて御意見をいただきたく思います。
※の部分では令和4年検証の際の取扱いをお示ししてございますけれども、このほかに考えられる参照方法があれば御指摘いただけますと幸いでございます。
下段の部分でございます。総合的に評価する方法として考えられる具体的な方法を2つほどお示ししてございます。
マル1は不足している項目数に着目して評価をする方法でございます。参考部分にあるとおり、EUの剥奪指標では「経済的理由で欠いている」項目の数が5項目以上の世帯の割合、あるいは7項目以上の世帯の割合、これらを基準として評価を行っております。このように、不足している項目の数が一定数以上の世帯の割合を総合的な評価指標とすることが考えられるのではないかと思います。
また、マル2は社会的必需項目全体の不足状況を評価するに当たって、支持率が高い項目ほどその不足を重く評価するという方法でございます。参考の部分にございますとおり、平成29年検証では不足する項目数を足し上げる際に各項目の支持率で重みづけをして評価指標を算出しておりました。このような指標により総合的な評価を行うことも考えられるのではないかと思いますけれども、次ページ以降で実際の集計結果をお示しいたしますので、その結果も踏まえつつ、率直な御意見などを頂戴できればと考えております。
23ページを御覧ください。
先ほどお示ししました社会的必需項目の総合的な評価方法について、家庭の生活実態及び生活意識に関する調査の個票データを用いて集計した結果をお示ししております。ここでの社会的必需項目は支持率50%以上の基準で選定した22項目を前提としてございます。表の中では、不足する項目数が一定以上の世帯の割合について、所得分位ごとに集計した結果をお示ししております。全体的な傾向として見ますと、所得分位が低いほど不足する項目数が多いという傾向がございます。
また、表の一番下にある行は、各項目の支持率で重み付けをした指標の集計結果でございます。こちらも同様に、所得が低いほど数値が高いという傾向になってございます。
24ページを御覧いただければと思います。
社会的必需項目の総合的な評価方法について、社会的必需項目を支持率50%以上で、かつ所得や生活意識との関係が有意な項目であることを基準に選定した13項目の場合の結果でございます。全体的な傾向としましては、先ほどの23ページと同様となっております。このような指標を用いて実際に評価をする際には、第1・十分位などの数値について時系列の変化を確認するということなどが考えられるのではないかと思います。
続いて、25ページを御覧いただければと思います。
こちらのページから29ページにかけては、家庭の生活実態及び生活意識に関する調査を用いて、一般世帯と生活保護受給世帯の比較を行うに当たって、時系列の変化をより分かりやすく把握できるようにグラフ化したものをお示ししております。ここでは支持率50%以上の基準で選定した22項目の社会的必需項目に加え、社会参加や教養娯楽に関する項目を3項目ほど追加してございます。
また、世帯類型については、高齢単身世帯についての結果をお示ししてございます。その他の世帯類型の結果については参考資料2のほうでお示ししてございますので、併せて御参照いただければと思います。
グラフのほうでは、各項目の不足割合について、生活保護受給世帯、一般世帯の平均、一般世帯の第1・五分位の3つで比較をしてございます。さらに、金銭的な理由によって不足している割合についても加えてございます。全体的な傾向としましては、生活保護受給世帯の不足割合がやや高くなるケースが多く見られているほか、時系列の変化として不足割合が減少して改善する動きが見られる項目もあれば、逆に割合が増加する項目も見られてございます。
少し飛んで28ページを御覧いただければと思います。
グラフの続きでございますけれども、一部の項目に関して、御参考までにこのページ右下の部分で生活保護制度における取扱いを補足してございます。生活保護受給世帯では一定以上の手持金は収入として認定され、保護費が減額される取扱いになってございます。また、生命保険の保有については、貯蓄的性格が強くないものであったり、解約返戻金が少ないものに限って認められてございます。「急な出費への対応」、「定期的な貯蓄」、「生命保険の加入」の各項目に関して、生活保護受給世帯の不足割合が高くなっている背景には、このような取扱いも影響しているのではないかと考えられます。
少し飛んで30ページを御覧いただければと思います。
一般世帯と生活保護受給世帯の比較を耐久消費財の保有状況について見たものでございます。先ほどと同様に、ここでは高齢単身世帯の例、結果のみをお示ししてございますけれども、その他の世帯類型の結果は参考資料2のほうでお示ししてございます。併せて御参照いただければと思います。
結果のほうを御覧いただきますと、どの世帯区分でも多くの項目で保有率が高くなってございます。一方で「パソコンもしくはタブレット端末」、「自動車」についてはやや保有率が低くなってございます。
31ページを御覧いただければと思います。
こちらは、耐久消費財について金銭的に余裕がないために保有していないという世帯の割合をお示ししたものでございます。どの項目も全体的に割合は小さくなっておりますけれども、生活保護受給世帯では一般世帯に比べて割合が少し大きくなる傾向がございます。
25ページ以降でお示ししましたこれらの集計結果につきまして、参考資料2に掲載したデータも含めて、何か留意すべき点などございましたら御意見を頂戴できればと考えております。
資料について事務局からの説明は以上でございます。御審議のほど、何とぞよろしくお願いいたします。
○岩村部会長 ありがとうございました。
ただいま資料の説明をいただいたところでありますけれども、大きく2つの論点があったと言えるかと思います。
1つ目の論点としましては、2023年の調査とかEUの指標というものを参考にして、社会的必需項目というのをどのように選定するかということです。
2つ目の論点といたしましては、選定した社会的必需項目につきまして、生活扶助基準の検証においてそれをどのように評価していくかというものでございます。
そこで、今日御議論いただくに当たっても、社会的必需項目の選定とその評価の方法ということについて、2つの段階に分けて御議論をいただければと思っております。
なお、特に論点は設定されてはいませんけれども、25ページ以降に示されております家庭の生活実態及び生活意識に関する調査結果の時系列比較についても、もし関連して何かコメントがあればぜひいただきたいと思っております。
では、今申し上げた順序に従いまして、まずは社会的必需項目の選定に関しまして、資料の13ページ目、15ページ目の確認事項というものを踏まえて、2023年の大人の必需品に関する調査による社会的必需項目の確認結果、そして、社会的必需項目選定の考え方につきまして、御質問あるいは御意見があればお出しいただきたいと思います。どなたからでも結構ですので、よろしくお願いいたします。
それでは、宇南山先生、お願いいたします。
○宇南山部会長代理 ありがとうございます。宇南山です。
非常に多岐にわたるので難しいのですけれども、まず最初のところでこのデータの出どころ、大人の必需項目というのを6ページ目、阿部先生の研究に基づいて選定されているということで、これまでの類似の検証においても阿部先生の研究に準じてやってきたということですので、それ自体は今回不適切だというものではないのですけれども、やはりある程度ルーティン的に検証するようにするのであれば、もう少し厚生労働省として類似の調査をするなどして、一研究者の結果に基づくというような形ではない、公式なデータソースに沿うというのもひとつ重要ではないかなと思います。ただ、もちろん阿部先生の研究は決しておかしいものだとは思っていませんので、オーソライズの形だけで今回は大人の必需品に関する調査というところに従うこと自体には特段反対するものではありません。
より重要なこととしまして、これまでもなのですが、今回も家庭の生活実態及び生活意識調査のほうであなたは持っていますか、不足していますかというような質問をした上で、金銭的に余裕がないからという理由で不足しているという場合にカウントするというような手順を取ったと理解しています。
ただ、この金銭的な理由で持たないというのは、一見すると理解しやすいのですけれども、よくよく考えてみると、本当に必需的な項目、絶対に社会的に欠かすことができないものだとするならば、優先的に支出をして保有してしまう。逆に言うと金銭的に何かを持たないというのは、比較的重要度がその人にとって低いので、お金があればやりますけれども、お金がなければやらないというような品目に該当してしまう可能性があるのではないかと思いますので、一つの提案なのですけれども、せっかくこの大人の必需品に関する調査で、これは必需品かどうかというのが別ソースで確認ができているのであれば、金銭的な理由かどうかによらず持っていないというのをカウントするのがいいのではないかと。最終的には中位所得者と比較しますので、もちろん個人の好みとかそういったもので持たない、例えば電子レンジを持たないというようなことはあり得ると思うのですが、金銭的でない理由であれば中位所得者のほうでの結果と比較することでコントロールできますので、金銭的な理由かどうかによらずに不足しているかどうかの比較をするというのは一つの考え方ではないかなと思いました。
あと、個別のところで、インターネットの接続環境が非常に重要だというのが大人の必需品の調査のほうで出ていて、9ページ目でしょうか。インターネット接続環境は8割の人が必需だと答えていると出ているのですけれども、よくよく考えると、この調査がインターネット調査で行われた結果だということを踏まえると、インターネットの接続環境の重要性というのがやや過大評価されている可能性はあるのではないかなと。もちろん8割あって一般的に考えても重要な項目だと思いますので、外すべきとは思いませんが、少しここのところ、例えばカウントするときに大人の必需品に関する調査の支持率で重みをつけるといったときには注意が必要なのかなと思いました。
あと、今どこまで論点にしていいかというと、15ページ目のところもいいのでしょうか。
○岩村部会長 はい。15ページでも結構です。
○宇南山部会長代理 EUの剥奪指標の作り方みたいなところに従いますと、一個一個の項目というのが基本的には重みをつけずに、1項目不足していたらどの項目で不足していても1ポイントですというようなカウントの仕方がされるのだと思います。
今回御提案いただいている中には支持率でウエートをつけるというような考え方も出ていますけれども、それにしても、大まかに言えば1項目につき1つずつのポイントがつくとすると、やはりそこの重要度というのがほぼ等しいのではないかと思われるような項目にする必要があって、例えば必要なときに医者にかかれる、必要なときに歯医者に書かれるというのは、もちろん別の項目なのですけれども極めて類似していて、片方がバツがつく人にはもう片方もバツがつく可能性が高いという意味で、医者にかかれるかどうかが2倍の重みを持ってしまう。そういうようなスケールになっているのではないかなと思いますので、今選定されている項目、22項目から最終的に13項目選んでいるというところで、あまり重要度についての議論がなかったので、そこが等しいウエートにしても問題なさそうだというようなところはもう少し慎重に検討されてもいいかなと思いました。
私からは以上です。
○岩村部会長 ありがとうございました。
ほかの先生方、いかがでしょうか。
それでは、若林先生、どうぞ。
○若林委員 ありがとうございます。
13ページについて、何点か申し上げます。
まず、住宅環境については、生活必需項目から除外するという整理でよいのではないかと考えています。
次に、私が特に気になったのは、3番の項目に関する点です。今回、「大人の必需品に関する調査」を用いて議論していますが、「家族・友人・知人などへのお土産やお祝い品」や「趣味やスポーツを通じた交流の機会」などは、必要と考える人の割合が50%を下回っていました。
これらについては、先ほど宇南山先生がお話しされた金銭的な理由とも関係すると思いますが、食事など衣食住に関わるものは生活上なかなか削りにくい一方で、人との交流に関する支出は、家計が厳しくなったときに真っ先に削られやすい項目ではないかと考えています。そのため、物質的な困窮とは異なる観点から検討する必要があるのではないでしょうか。
また、その背景には二つの可能性があると思います。一つは、そもそも交流する相手が少ないという状況です。もう一つは、経済的な理由から交流を控えることで、社会的孤立につながり、貧困の連鎖や世代間の人的資本形成にも影響する可能性があります。
したがって、こうした社会生活に関する項目については、慎重に議論することが重要ではないかと思います。例えば、社会保障・人口問題研究所が5年ごとに実施している「生活と支え合いに関する調査」では、人とのつながりや地域活動への参加と生活満足度との関係などが分析されています。厚生労働省とも継続的に実施されている調査ですので、参考資料として活用できるのではないかと思います。
この点は、次の論点である「月々または定期的な貯蓄をしているか」という項目とも関係してくるように思います。例えば、貯蓄を削ってでも人との交流を維持するという選択もあり得るため、貯蓄だけを見て生活状況を評価するのではなく、社会的なつながりとの関係も併せて考える必要があるのではないでしょうか。
最後に、16ページの「EUにおける物質的・社会的剥奪を把握するための項目」についてです。個人レベルの「定期的な余暇活動」や、世帯レベルの「年1週間の休暇」といった項目は、人とのつながりや社会参加とも関連する指標と考えられますので、これらについても検討対象としてよいのではないかと思います。
以上です。
○岩村部会長 ありがとうございます。
それでは、嵩先生、お願いします。
○嵩委員 御説明ありがとうございました。
私も今の若林先生のお話に近いところはあるのですけれども、まず社会的必需項目の更新の検討において、資料の11ページにありますように、友人等に会うための交通費というのは支持率50%を超えており、あと、所得と生活意識の双方で有意差があるということなので、ぜひこの項目は社会的必需項目として取り上げていただいて、今後充足状況を確認していく必要があると思います。
他方で、この交通費の問題だけではなくて、今回の調査では支持率は50%に達していなかったので漏れてしまった、外れてしまったのが冠婚葬祭への出席ということなのですけれども、参考資料1の20ページとか21ページにそれぞれ個別の調査の回答がありますけれども、生活保護世帯については金銭的余裕がないことで出席しないという回答が一般世帯よりも目立って多いような印象を受けています。
あと、このことと直接の因果関係があるかは分からないですけれども、参考資料1のQ3-3にあるように相談や頼み事ができる相手がいないという世帯の割合も生活保護世帯は一般世帯よりも高いようで、社会的な孤立という問題がうかがえるような気がします。
この生活保護世帯の孤立は、やはり相談や治療へのアクセスといったものを阻害するおそれがあると思いますので、先ほどのお話に近いのですけれども、社会的活動とか人との交流というもの、これを冠婚葬祭という形で出すかどうかはあれですが、人との交流とかについては、社会的必需項目の不足状況の中に入れるかどうかですけれども、別の項目でもいいと思うので、ここについてはもう少し今後も継続して検討していけるように慎重に扱ったほうがいいかなと思います。
以上になります。
○岩村部会長 ありがとうございます。
それでは、永田先生、どうぞ。
○永田委員 ありがとうございます。
私も若林先生、嵩先生のお話に重ねて、社会参加の観点から2点申し上げたいと思います。
まず、基本的な方法や手順について異議はありません。ただ、今回、50%という基準を適用すると、社会参加や人との交流に関する項目が1項目だけとなり、生活の社会的・文化的側面を十分に把握できないのではないかと懸念しています。
「親族の冠婚葬祭への出席」については、2023年の調査では41.3%と50%を下回っていますが、2011年の調査では53%であり、従来から継続的に参照されてきた指標でもあります。したがって、50%以上の中核項目とは区別した上で、社会参加の側面を補う参照項目として残し、確認していくことも考えられるのではないでしょうか。
2点目は、個々の項目の取扱いにとどまらず、両先生のお話とも共通する点です。年収階級第1・十分位が比較対象として適当かを確認する際に、社会的必需項目の不足状況に加え、社会参加や人とのつながりの状況を、別立ての補完的な参照指標として確認するという考え方もあるのではないかと思います。
両先生もおっしゃっていたように、社会参加には、社会的必需項目とは異なる観点もあると考えます。社会参加の形態は多様であり、冠婚葬祭、趣味、地域活動といった個々の項目は、必ずしも50%を超えやすいものではないと思います。しかし、何らかの形で社会に参加し、人間関係を維持していくこと自体は、健康で文化的な生活を維持する上で重要な要素であると考えています。
そのため、特定の活動への参加率そのものを見るというよりも、金銭的制約によって、友人・知人との交流や、冠婚葬祭、趣味、地域活動等への参加が困難となっている状況が、第1・十分位に集中していないかを確認することには意義があるのではないでしょうか。こうした状況を把握する手法を別途検討し、補完的に参照することも、一つの方法として考えられると思います。 以上です。
○岩村部会長 ありがとうございます。
ほかにはいかがでしょうか。
では、新保先生、どうぞ。
○新保委員 私も今3名の先生がおっしゃってくださったことに重なりますが、11ページを見てみましても、交通費だけではなくて、その下のほうに趣味やスポーツを通じた交流の機会ですとか、町内会・婦人会などの参加という項目があります。これが家庭の生活実態及び生活意識に関する調査ですと「趣味やスポーツ、ボランティア活動を通じた交流の機会」というところに対応しているのですが、こうした項目はやはりしっかり見ていく必要があるのではないかと思います。
今、社会課題として孤独・孤立対策を国の政策として推進している中で、孤独・孤立と生活困窮には、関連があるのではないかということも言われており、先ほど来先生方がおっしゃってくださったことはそのとおりだと思います。1項目だけでは少ないのではないかと思うところで発言させていただきました。
以上です。
○岩村部会長 ありがとうございます。
第1点目についてはその他いかがでしょうか。
栃本先生、どうぞ。
○栃本委員 ありがとうございます。
冒頭、宇南山先生がおっしゃったように、かつての基準部会で私もいた頃用いた2011年の暮らしに関する調査というのは、厚労省も関係して行ったものなのだけれども、その後、個別の研究者が行った今回示されているこの2023年のものともう一つ、前の基準部会の時の審議で調査研究の中身を精査すると使えないとした主観的スケール、MIS手法というのがありましたよね。そういった一連の調査というものを細かく吟味しますと、これで大丈夫かなというのがすごく多いのです。それは宇南山先生がさっき指摘したとおりだと思います。
したがって、2023年のものをうのみにするというのはどうかなという感じがしました。審議会で数回前のときにMISについて議論しましたね。あのときも研究としては、被験者に対する適切な説明という点でも不十分であり脆弱性を持ったものだったのです。この2023年のこれもどうなんでしょう。私は研究者として昔から読んでいますけれども一貫した評価・認識です。もう一つ、2023年のが先ほど出てきましたけれども、この調査研究が参照したのはEUの物質的・社会的剥奪指標2012年のものに依拠しています。2023年調査に関する研究が依拠したEUの指標は2012年のものによっているのですけど、EUは2017年にそれの更新したものが出ているのです。やはり2017年というものは非常によくできています。これは非常に明快なのです。本来これを使うべきです。
したがって、今回は間に合わないのですけれども、宇南山先生の御指摘のように、やはり昔の平成22年から24年に行った、厚労科研費かな。スタックかな。政策科学推進研究事業で行ったようなスタイルの形のものを、今回は間に合いませんけれども、かつ今申し上げた2017年のEuropean Commissionのものが出ていますので、それをトレースする形でこの領域の研究というのは今後とも進めていただきたいなと思いました。
それともう一つ、社会的必需項目というのを検討する根本的な理由は何かと言ったら、このEUのものでもそうなのですけれども、社会的収奪とか、あとはソーシャルインクルージョンなのです。ソーシャルインクルージョンとかエクスクルージョンとの関連の中でこういうもの、つまり社会的必需項目が研究されている、位置づけられなければいけないということなんで、大枠の中でどういう位置づけなのか、きちんと基本というのを踏まえないといけないと思いますね。その理解なしに行なわれている調査というものはトリビアルなものとなります。
そして、先ほどの先生方からの指摘にもありましたけれども、50%以上の回答者が必要であると回答したものについては、それが妥当かどうかというのは不明です。一般的な意味で、半分の人が必要だと思っているのだったらやはり必要ねと単純に考えるかもしれませんけれども、対象者に対する調査の説明とかそういうのが例の主観的なものについても尋ね方に問題があるものです。そうすると、普通の生活以上の人でもなされていないようなものまで必要だ、条件だみたいなことになってきたというのがありましたよね。
ということですが、もう一点別の観点から、50%以上という形にすると、技術的なことで項目が減ってしまうということがありますが、それだけではなく試験的にというか試行的には、例えばの話ですけれども、40%以上という形であったらどうなのかとか、できるのであればそういうことも比較吟味してみる必要があると思いました。
今日の基準部会の議論というのは極めて重要だと思うのです。特にデフレではなくて、インフレというか、物価とか賃金とかそういうのが上がっている中で、かつての底割れとは全く別の意味での新しい状況の中で相対的収奪を考える。社会的必需項目を考える。それは社会的排除につながるのだという視点、それは単なる最低限の生活というよりも人間の尊厳に値する生活ということにつながる。そして、それを消費実態による検証を補完するという形で活用できるか。先ほど部会長が2つ目のテーマとして挙げられた部分だとは思うのですけれども、この部分というのは非常に重要ですし、また、今後、実際に次回以降の議論をする際にも、今回の調査結果であるとか審議会の事務局が御用意された資料というのはとても重要なものだと思います。
ということで、長くなりましたけれども以上です。
○岩村部会長 ありがとうございます。
第1番目の項目については委員の皆様の御発言を大体いただいたように思いますので、この辺りで2番目のほうに移ってよろしいでしょうか。
ありがとうございます。
それでは、今度は第2番目ということで、資料の22ページ目の確認事項というのがございますが、それを受けて、社会的必需項目の評価方法につきまして御質問や御意見をお出しいただければと思います。よろしくお願いいたします。
宇南山先生、どうぞ。
○宇南山部会長代理 ありがとうございます。宇南山です。
22ページのこの結果を見て、それをどういうふうに反映するかというところなのですけれども、指標を作ったとして、それが1回限り作ったとして、例えば13項目中何項目が該当するとかしないというのをただ見ても、恐らくは評価をするのは難しいと思いますので、やはりそこには参照するべき比較対象というのが必要で、恐らくは中位所得者の人と生活保護受給者、もしくは第1・十分位の人たち、そこの比較が項目数がどれぐらい違うのかみたいなことが一つの指標になって、なおかつそれが時点とともにどう変わってきたのかというのを見る。今どきの言葉で言えばDifference in Differencesみたいな形で、比較対象のグループの時系列推移と生活保護世帯の時系列変化を比較して、生活保護受給者のグループだけ特段悪化していないかどうかというのを見ることで、消費水準を見るのとは別のチェック方法になるというのが一つの考え方かなとは思います。
ただ、1点気になっているのは、ある種基準を作るときには、全国家計構造調査の第1・十分位の消費水準でやるというルールの下でやっていくと、底抜けをしてしまう。絶対水準が健康で文化的な生活水準を割り込んでしまって日本全体が貧しくなっているようなときに、一番下の人たちは相対的なポジションは維持できていても、それが絶対的な水準を割り込んでしまうのではないかというのがこの検証の意義だとすると、こういった形で作った生活必需項目のスコアみたいなものの相対的な関係の推移というのを見ても、結局底割れをするかどうかに関しては答えが出せないような気がしています。
もしもやるなら、13項目中5項目を超えたら赤信号ですとか、そういうような絶対的な基準を設けるのであれば底抜けを押さえる下支えという意味はあるのですが、恐らくはそういう使い方は難しいと思いますので、そうなると、こちらのほうですごく悪化していますというのが出たときに、本体の検証との間でどう理解するべきなのかというのはなかなか難しいと。この指標があまり悪化していませんよというのを確認するというのは重要なのですけれども、悪化していたらどうなのだ、悪化していなければ底抜けはないのか。そこについては何も言えないので、この検証の意義というのがどこにあるのかは意外と難しいなと思っています。
まとめますと、どうやって使うかと言ったら、私は比較グループをつくって時系列を追って見ていくしかないだろうと思っている。それを見ていくことは、ただ相対的なものを見ていくだけなので、絶対水準の下支えにはならないだろうというのがポイントで、その意味では、うまくいっているときは問題ないけれども、この指標がすごく悪化したときにどういう解釈をするのか。悪化しても問題ありませんというようなことになるのだったら検証する意義がないので、もしも突如通常この指標が悪化した場合にどうするのかというのは少し念頭に置いておく必要があるのではないかなと思いました。
以上です。
○岩村部会長 ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。
若林委員、どうぞ。
○若林委員 2つお話ししたいことがあります。
1つ目は、先ほどの栃本先生と今回の宇南山先生の意見と重複するかもしれないのですが、専門委員会にも参加していて感じたことは、インフレのような今の状況で何が起きているかということは非常に1つ重要な論点ではないかと思っています。多分デフレ下で起きることインフレ下で起きることは必ずしも対称ではないと思うので、そこのところを慎重にデータを見てみるのはどうかというのが1つ目の意見です。
それから、もう一つ目なのですけれども、マル1の「社会的必需項目が経済的な理由で不足している世帯の割合を該当項目数別に把握する」ことなのですけれども、私はこの該当項目数ですることにちょっと違和感があります。といいますのも、先ほど言いましたように、これがないと生きていけないというものと人間らしい生活をするものに関しては、単純に1つと計算することは見えるものが見えなくなっているのではないかと思いますので、少なくとも先ほど永田先生から出ていたように、例えば社会的なものは社会的なもので見るとか、それとも個数ではなくて一つ一つが分野でどうなっているか。もちろんパーセンテージが難しいというのはあるかもしれないのですけれども、その辺りを見たほうが良いと思います。数で集計することによってかえって何が起きているのか分かりづらいのではないかと感じました。
以上です。
○岩村部会長 ありがとうございます。
ほかはいかがでしょうか。
栃本先生、どうぞ。
○栃本委員 宇南山先生が底割れの話をされましたけれども、前に宇南山先生たちと議論したときもそうなのだけれども、非常にアバウトな言い方をすると、やはりデフレのときのみんなが切り詰めてやりくり、家計だからやりくりでありますので、積み上げというのもやりくりの中でハウスホールドというのは決まってくるから、そういう状態の中では、第1・十分位との比較とかいろいろやったわけだけれども、底割れというのは起きる可能性が非常に高くなっていたのだと思います。だから、審議会の報告書のほうでは底割れという言い方はしなかったかもしれないけれども、やはり議論の中で底割れ底割れと言っていましたよね。
だけれども、今回の局面というのは、底割れというのは見えにくいというか、底割れというよりも賃金とか物価が上がっている中で、それがないと餓死するというか、底割れしてしまうというところにはいかないのだけれども、結局、相対的収奪というのが深まる。それと、社会的排除が行われてしまう。その部分が今回の扶助基準のポイントだと思うのですよね。だからこそ、今日の資料とかそういうのは今日だけにしないで、審議会の最終場面かどうか分からないけれども、もう少しその時々で参照したり、議論に入れたほうがいいと思うのです。というので、やはり第5・十分位とかとの比較で見るとか、そういう部分というのは本当に今回重要だと思います。
それと、先ほど時系列的にどうなのかなということのチェックも必要だとおっしゃられたと思うのですけれども、やはりこれも本当に重要だと思います。統計学の先生方とか、それぞれ今日御出席の先生方、基準部会の専門の先生方からすると、確定したものというものを見出して、それを当てはめるということの重要性はよく分かるのだけれども、具体的にどういう形でずばっとやるかというのは難しいところではあるのだけれども、基本的には今回のポイントは相対的収奪だから、相対的収奪が高まっているように見える部分に着目するというところを今回の最終報告までに考えておくということは大切だと思いました。
以上です。部会長、長くなりまして申し訳ありません。
○岩村部会長 とんでもありません。ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょうか。
宇南山先生、どうぞ。
○宇南山部会長代理 再びですみません。
今、栃本先生のお話を伺って私もすごく頭が整理できまして、その意味では、社会的剥奪であるとかの尺度として今回作ったものを参照するのは非常に重要だというのは賛同するのですけれども、もしそうだとするならば、検証するのは、今日、最初の御説明だと旧来型の底割れについて検証すると言ってこの指標が出てきているというのが、やや目的と出してきたもののそごがあるということになろうかと思いますので、社会的剥奪の程度が進んでいないかどうかをチェックするというような説明の仕方で、やることは同じような検証だとしても、底割れの検証ではないというようなスタンスを取るのは重要ではないかなと思いました。
以上です。
○岩村部会長 栃本先生、どうぞ。
○栃本委員 今、宇南山先生がおっしゃったのは本当にそう思いまして、今日の部会の資料の説明の表題とかそういうのはそれでいいとして、今後、宇南山先生がいみじくもおっしゃってくださったような観点で見ていったものですよということが明瞭な表題にしておくということは、審議会の記録ということでも重要だし、今回基準部会で何にフォーカスを当てたかとか、そういうことが明確になりますので、ぜひそうしていただければと思いました。
宇南山先生、まとめていただきまして本当にどうもありがとうございました。
○岩村部会長 栃本先生、ありがとうございます。
ほかにはいかがでございましょうか。
では、永田先生、どうぞ。
○永田委員 ありがとうございます。
先ほどの話ともちょっと関連するのですけれども、今の議論を聞いていても、社会参加については、さっき若林先生もおっしゃっていましたけれども、物品の不足とはちょっと性質が異なるのかなという感じがするので、当面は社会的必需項目の合計点に単純に入れてくというよりは、何か別の領域指標みたいなものを作って、今御議論があったように相対的剥奪みたいなことを見ていくのであれば、社会的排除の重要な項目だと思うので、そういう形で項目を立てるというのは一つの考え方ではないかなと改めて思ったというのが一点です。
それから、23ページとかを見ていると、これは先ほど宇南山先生がおっしゃっていた観点なのですけれども、5項目以上不足する割合というのが例えば第1・十分位では10.9%ですかね。第2・十分位だと3.5、第3だと2.9、第4は1.2というような感じで推移していて、これは見ようによってははね上がっているようにも見えるのですよね。だから、確認するということで確認しているのですけれども、これが評価するとなったときに非常にまずい状態なのか、これで確認できましたねという状態なのかというのは、やはりこれだけだと判断ができないというのが現状で、私もどうすればそれが評価できるのかという対案が出せないのですけれども、やはり長期的には、先ほど宇南山先生がおっしゃっていたように、どういう基準を割っていたらこれを赤信号なのかということを本来は判断する基準みたいなものをある程度持っていないと、一応見ているだけで、我々はもしかしたら非常に悪い状態になっているのに確認しているだけで終わっているという可能性もあるのかなと思ったということで、長期的にはそういったことも検討する必要があるのかなと感じました。
以上です。
○岩村部会長 ありがとうございます。
そのほかいかがでございましょうか。
村田先生、御様子から御発言というのは分かりますので、「手を挙げる」にこだわらずにどうぞ御発言ください。
○村田委員 ありがとうございます。
ソーシャルインクルージョンという御指摘で、私も理解が進んだと思います。特に強い意見があるわけではないのですが、1点、社会との関わりについて。友人や家族に会うための交通費や、孤独を防ぐという話があったと思いますが、今回の検討でどこまで進めるのか、あるいは次回の5年後になるのか分かりませんが、実際の保護世帯の方々は、今、単身高齢者の方が半分になっている一方で、それ以外の半分の方は、母子世帯で思うように働けないとか、病気で働くことに制約があるとか、いろいろな属性があるのではと思いますので、その点を無視して検討してしまうのもどうなのかなと思いました。
以上です。
○岩村部会長 ありがとうございます。
栃本先生が挙手されていますので、どうぞ。
○栃本委員 30秒ぐらいで終わるのですけれども、大分昔、EUの最低生活水準に関する比較調査研究というドイツ語のすごく分厚い本がありまして、これはすごく面白くて、各国別に最低生活の費用をどういうふうに算出するかとか、あと、消費で見るのかとか、収入で見るのか。日本の場合は脱商品化率が低いから、収入で見ても駄目で、消費で見ないと駄目なのですけれども、その中で各国の生活が困窮している人たちに対するメジャーについての記述で非常に印象に残っているのは、日本だと最低限の権利とか最低限の生活とかそういう言葉になるではないですか。だけれども、私がなるほどなと思ったのは、最低限の生活とか、これは基準部会だからそれでいいのだけれども、その一方で、もう一つ重要なメジャーというか基本的なことは、人間の尊厳に値するかどうかなのですよ。人間の尊厳に値する生活かどうかを見るのだというのが国によってはちゃんと書かれている。その部分は、別に最低限の水準が上がれば人間の尊厳が満たされるとかそういうことではなくて、極端に言えば、最低限の生活水準よりも、変な言い方だけれども、ちょっと下がったとしても人間の尊厳が実現するという形はないわけではないのです。というので、単に引き上げればいいということでもない話なのだよね。
その部分と今日の議論というのは結構関係があって、ソーシャルインクルージョンとかね。つまり、先ほど永田先生も少しそういうのを言われたけれども、人との交流がつくれないとか、そういうことはやはり具体的な不便さということもあるかもしれないけれども、やはり尊厳に値する生活かどうかということにかかわることなのです。そのことを数字だったり水準でどういうふうに見ていくかというのは非常に難しいことは難しいのだけれども、僕たちからすると、最低限ということは、最低限が少し上がればそれでいいのだということではなくて、それが人間の尊厳に値する形のものになっているかどうかという物の見方というのは重要だなというのを分厚いドイツ語の文献を見ていて思いました。
以上です。
○岩村部会長 ありがとうございます。
ほかにはいかがでございましょうか。2点目につきましてもこの辺りでよろしいでしょうか。
ありがとうございました。
それでは、大体御意見は頂戴したように思いますので、予定よりかなり早いのですが、今日はこの辺りで終了とさせていただきたいと思います。
次回の開催について事務局から説明いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○加藤社会・援護局保護課長補佐 次回の開催日程につきましては、追って委員の皆様に御連絡させていただきます。よろしくお願いいたします。
○岩村部会長 ありがとうございます。
それでは、本日の審議はここまでということにさせていただきたいと思います。
委員の皆様方におかれましては、お忙しい中、また、特に会場に来られた先生方は、お暑い中、ありがとうございました。
今日は非常にいろいろ重要な御意見も頂戴したように思います。本当にありがとうございました。
それでは、これで散会とさせていただきます。

