2026年6月23日 第3回目安制度の在り方に関する全員協議会 議事録

日時

令和8年6月23日(火)15:00~15:38

場所

経済産業省別館1120号会議室
(東京都千代田区霞ヶ関1丁目3番1号 11階)

出席者

公益代表委員
 藤村会長、戎野委員、小西委員、首藤委員、松浦委員
労働者代表委員
 伊藤委員、熊谷委員、柴田委員、仁平委員、平野委員、水崎委員
使用者代表委員
 志賀委員、進藤委員、田上委員、土井委員、新田委員、堀内委員
事務局
 岸本労働基準局長、松本大臣官房審議官、
 野澤賃金課長、樋口主任中央賃金指導官、大野調査官、
 南條賃金課長補佐、八木賃金課長補佐、上条副主任中央賃金指導官

議題

  1. (1)令和7年度地方最低賃金審議会の審議結果を踏まえた論点について
  2. (2)その他

議事

○藤村会長
 では、ただいまから「第3回目安制度の在り方に関する全員協議会」を開催いたします。本日は権丈委員が欠席です。また、小西委員は所用のため、途中で退席されます。
 まず最初に、6月1日付けで委員に一部交代がございましたので、ご紹介いたします。使用者代表委員といたしまして、日本商工会議所産業政策第二部部長 進藤 創委員、全国中小企業団体連合会労働政策部長 田上 雄一委員です。

○進藤委員
 進藤です。どうぞよろしくお願いいたします。

○田上委員
 田上です。どうぞよろしくお願いいたします。

○藤村会長
 それでは議事に入りたいと思います。議題1「令和7年度地方最低賃金審議会の結果を踏まえた論点について」になります。まず事務局から資料No,1とNo,2についてご説明いただきたいと思います。お願いいたします。

○八木賃金課長補佐
 事務局でございます。資料No.1及び資料No.2についてご説明します。
 まず、資料No.1についてご覧ください。こちらは、前回、第1回全員協議会でいただいたご意見の整理を提出させていただきましたが、これに第2回のご意見を追加したものとなっておりますので、ご紹介させていただきます。
 続きまして、資料No.2をご覧ください。こちらは、前回、委員からいただきました内容や、事務局等で行った調査についてお示しするものです。
 まずは2ページになります。前回、地賃の審議の状況をより把握するため、採決状況について内訳はどうなっていたのか示してほしいというご要望をいただきましたので、右から2列目の採決状況の欄につきまして、反対または退席について、全員なのか一部であったのか、一部であれば何人であったのかということを記載しております。
 続きまして、3ページになります。こちらは、前回の全員協議会にも提出させていただきました引上げ後の最低賃金を下回ることとなるパートタイム求人の割合についてでございます。前回からの更新ということで、3月分のデータを追加しております。3月における全国平均の未達求人割合は、0.1%、発効日が3月の2県の未達求人割合は、1.4%となっております。
 4ページは、これを都道府県別にしたものとなりますが、3月の未達求人割合について、発効日が3月1日の群馬県については0.2%、発効日が3月31日の秋田県については3.7%となっております。
 続きまして、5ページになります。こちらはJILPTの「最低賃金引上げと企業行動に関する調査」の速報値をもとに、事務局において作成した資料になります。2025年度の地域別最低賃金の発効日が例年より遅くなったことの中小企業への影響になります。
 左側のグラフになりますが、2025年度の地域別最低賃金の発効日が例年より遅く11月から翌年3月までの間であった27府県に本社のある企業のうち、「発効日の遅れに伴い賃金の引上げ時期を遅らせた、または遅らせる予定である」と回答した企業の割合は約2割でありまして、その割合は、発効日が遅いほど高くなっております。なお、ここでの「賃金の引き上げ」とは、必ずしも最低賃金の改定による賃上げではないという点には留意が必要です。
 右側のグラフになりますが、発効日が遅くなったことによる影響については、約8割の企業が「特に影響はない」と回答がありました。「影響があった」と回答した企業は約1割であり、発効日が遅いほどその割合は高くなっております。何らかの影響があったと回答した企業の中では、「賃金引き上げに向けて準備期間が確保できた」と回答した企業が全体の約1割と最も多く、さらに、発効日が遅いほどその割合は高くなっております。
 続きまして、6ページになります。こちらは発効日が越年した6県(秋田、群馬、福島、徳島、熊本、大分)において、最低賃金引き上げの影響率が高い6業種の従業員数概ね300人未満の中小・零細事業者又は各事業所の人事労務責任者に対し、発効日が後ろ倒しされたことによる賃上げへの影響等について都道府県労働局によるヒアリングを行ったものになります。 
 まず、7ページの秋田県になります。他県も同様の傾向ではありますが、賃上げ時期については「例年より遅らせた」とする事業所と「例年どおり」とする事業所がございました。
 また、「遅らせた」とする事業所の理由としては、「賃上げ原資の確保」等の準備期間のほか、「例年、最低賃金の発効時期に合わせている」との回答も複数ありました。上から6つ目の丸になりますが、「例年どおり」とした事業所は、「毎年決まった時期に賃上げを行うこととしている」とする回答が多くなっております。発効日が後ろ倒しになったことの受止めとしては、「3月末まで遅らせる必要はなく、10月末や11月初旬であれば準備は整う」等の意見がございました。
 続いて、8ページの群馬県でございます。上から4つ目の丸になりますが、賃上げ時期を「例年どおり」とした事業所の中には、「群馬県の賃上げ補助金を利用するため」等の意見がありました。また、発効日が後ろ倒しになったことの受止めについては、「人件費が削減できてありがたい」等の意見がございました。
 続いて9ページの福島県になります。上から4つ目の丸になりますが、賃上げ時期を「例年どおり」とした事業所の中には、「10月発効の他県の支社と合わせて賃上げを行った」等の意見がございました。
 続いて10ページの徳島県になります。こちらも上から4つ目の丸になりますが、賃上げ時期を「例年どおり」とした事業所の中には、「香川が本社で四国4県に支社があるので、金額が一番高いところ、発効日は一番早いところに合わせて賃上げをしている」等の意見がございました。
 続いて、11ページの熊本県になります。発効日が後ろ倒しになったことの受け止めについては、「賃上げ原資の確保等の準備期間を確保することができた」という意見や、「全国に店舗があるが、賃金計算は本社一括なので、発効日がばらばらだと担当者の業務が煩雑になる」等の意見がございました。
 続いて、12ページの大分県になりますが、他県と同様の回答が見られたと考えております。
 続いて、13ページになります。こちらは、厚生労働省の委託調査の速報値になります。最低賃金の引き上げ時期が例年より遅くなったことの労働者への影響について聞いたものになりますが、2025年度の地域別最低賃金の発効日が例年より遅く2026年1月から3月までの間であった6県に主な仕事の勤務先がある最低賃金に近い水準で働く労働者に対し、最低賃金の引上げ時期が遅れたことにより時間あたりの賃金上昇時期が遅れたかを尋ねたところ、「例年と変わらない時期に時間あたりの賃金の上昇があった」と回答した方が42.8%、「遅れた」と回答した方が35.6%となっております。
 また、最低賃金の引き上げ時期が遅れたことによる影響を尋ねたところ、「特に影響はなかった」という回答が65.7%、「影響があった」という回答が34.3%となっております。何らかの影響があったと回答した中では、「時間あたり賃金が上昇する時期が遅れたため、仕事に対するモチベーションが下がった」という回答が最も多く、次いで「時間あたり賃金が上昇する時期が遅れたため、家計に悪影響が生じた」という回答が多くなっております。
 続いて、14ページになります。こちらは同調査において、発効日別に見た最賃近傍雇用者の時間あたり賃金が上昇した時期について調査したものになります。過去1年間で時間あたり賃金が上昇した時期は、「わからない」を除いて、「2025年10月」が最も多くなっており、「2026年4月」が次いで多くなっております。これを2025年度の最低賃金の発効日別に見ると、2026年1月に発効した4県に勤務地がある者では「2026年1月」が最も多く、2026年3月に発効した2県に勤務地がある者については「2026年4月」が最も多く、「2026年3月」が次いで多くなっているという状況でございます。
 最後に口頭でのご説明になりますが、前回の全員協議会におきまして、1月1日以降に発効日を指定した県の根拠について、労使双方の議論の状況について把握されている情報があればご紹介いただきたいというご要望をいただいておりましたので、ご紹介させていただきます。
ある県におきましては、金額が労使で折り合わず、公労使が協議を続けた結果、引き上げ額について公益委員見解で示すことに労使が合意した上で、公益から過去に例を見ない大幅引上げのため万全の準備が必要ということで、指定日発効とすることが提案されたと承知しております。公労使の協議の状況については県ごとに様々であったと承知していますが、一つの事例としてご紹介します。
 以上でご説明になります。

○藤村会長
 ありがとうございました。
 事務局から前回の議論の概要や、前回各委員から要望のあった資料、発効日が後ろ倒しにされたことによる影響等に関する資料についてご説明いただきました。これらの資料について、ご意見・ご質問がございましたらお願いしたいと思います。いかがでしょうか。

 (意見無し)

○藤村会長
 事務局では精力的に調べていただきありがとうございました。
 次に、事務局から資料No,3について説明いただきまして、その後資料の内容について議論できればと思います。説明お願いいたします。

○八木賃金課長補佐
 事務局でございます。資料No,3につきまして、ご説明します。これまでの委員の皆様のご議論を踏まえまして、「令和7年度地方最低賃金審議会の審議結果を踏まえた論点と考え方の整理」ということで、とりまとめ案を作成しております。簡単ではございますが、ご説明いたします。
 まず、「1.令和7年度の地域別最低賃金の審議結果と課題について」になります。この項目では、令和7年度の審議結果の概要や、考えられる課題について記載をするとともに、これ以降の2及び3で記載しております、2つの事項について、課題の整理と対応方針の整理を行うという旨記載をしております。
 続きまして、「2.近隣県等との過度な競争意識や最下位回避の意識による地域の実態と乖離した引上げの考え方」になります。「(1)課題」としまして、まず前提として最低賃金法9条第2項の規定による法定3要素のデータに基づく審議が原則であることや、令和5年の目安全協報告での「3要素のデータに基づき、労使で丁寧に議論を積み重ねて目安を導くことが非常に重要、今後の目安審議においても徹底すべきであることについて合意が得られた」ということについて記載しています。次の丸となりますが、その一方で、課題といたしまして、令和7年度の地方最低賃金審議会では、近隣県等の答申が出た後で審議を行うために、審議日程を後ろ倒しにする動きも一部に見られ、近隣県等や同じランク内での過度な競争意識や最下位回避の意識の中で、高い引上げ額となったのではないか、との指摘があることや、また、全員協議会の議論の中で、「目安額に大幅な上乗せをする地域が多数生じる状況が今後も続くのであれば、目安制度の在り方自体を議論する必要があるのではないか」というご意見や、「審議結果の背景には、目安を超える最低賃金の引上げが行われた場合の特別な対応として、補助金などによる政府の支援が示されたことなど、令和7年度の特殊事情があったのではないか」といったご意見を記載しております。「(2)対応方針」でございます。上から順にご説明いたします。
 ・令和5年に開催された全員協議会では、「最低賃金法第9条第2項の3要素のデータに基づき、労使で丁寧に議論を積み重ねて目安を導くことが非常に重要であり、今後の目安審議においても徹底すべきであること」を確認し、合意が得られたところであり、今後もこの基本的な考え方に基づいて、中央及び地方最低賃金審議会で審議を行うべきである。
 ・とりわけ、近隣県等との金額のみの比較だけで当該地域の最低賃金額を決めることや、最下位を避けたいという動機から、地域の実態と乖離した引上げ額を導き出すことは適切でなく、法定3要素のデータを総合的に考慮して地域別最低賃金額を決定すべきである。
 ・審議の結果、示された最低賃金額だけを捉えて「高すぎる」「低すぎる」との批判が生じることは適当でなく、目安額に大幅な上乗せをするのであれば、その判断理由を地方最低賃金審議会の公益委員見解等で明らかにすべきである。
 ・なお、令和7年度の審議では、一部で、地方最低賃金審議会の開催を予定していたものの、審議せずに審議日程を延期する動きも見られたが、これが仮に他地域の審議結果のみをもって当該地域の最低賃金額を決めたいとの意向によるものだとすれば、法定3要素のデータに基づく審議という最低賃金額の決め方そのものへの疑義を生じかねないことに留意が必要である。
 ・また、特に前年度、例年以上に高い引き上げを行った場合、翌年度の審議では、その影響等を公労使委員間で確認した上で、当該年度の審議を行うべきである。
 ・地方最低賃金審議会において、総合指数など様々な指標を活用し、全国における当該地域の位置づけを踏まえて地域別最低賃金額を決める事例も見られる。総合指数などの様々な指標を活用することは、地域の法定3要素の状況を勘案する際の一つの方法だと考えられるが、可能な限り最新のデータを用いて、法定3要素それぞれのデータを確認すべきである。その上で、他地域との比較を行う上では、当該地域の日本全体での位置づけを総合的に考慮すべきである。
 ・また、中央最低賃金審議会で用いられた指標のうち、一部について都道府県別データがなく、地方最低賃金審議会委員が対応に苦慮しているという意見があった。厚生労働省は、当該年度の中央最低賃金審議会の審議で用いたデータのうち、都道府県別データがないものについて、利用可能な資料やデータの参考事例等の丁寧な情報提供に努めることとする。
というところで、(2)対応方針をまとめているところでございます。
続きまして、「3.発効日についての考え方」についてご説明をします。まずは「(1)課題」になります。
 ・発効日について、最低賃金法第14条第2項の規定を記載するとともに、従前は、多くが法定発効であり、指定日発効については議論するケースは少なかったこと
 ・令和7年度については、中央最低賃金審議会の公益委員見解の記載を踏まえ、地方最低賃金審議会で、引き上げ額だけでなく、発効日についても議論が行われた結果、特に大幅な引き上げがあった11県において指定日発効とした結果、発効日が例年に比べ大幅に後ろ倒しされる傾向が見られたこと
 ・令和7年度は指定日発効が急増し、過半数の27府県で11月以降の発効となったほか、発効日に大きなばらつきが生じたこと
 ・また、発効日が令和8年1月以降となった地方最低賃金審議会の理由として、
 ・引き上げに伴う影響率が他地域と比べて高いこと
 ・これまで目安額どおりの引上げが続いてきたことから、令和7年度の大幅引上げは県内企業にとってインパクトが大きいこと
などの点について公労使委員間で議論が行われた結果、発効日が例年と比べて大幅に後ろ倒しされることとなったことを記載させていただいております。
一方で、こちらから課題部分になりますが、
 ・地域間の発効日の極端なばらつきは、最低賃金制度の全国的な整合性の観点のほか、一時的に地域間格差が拡大することや、仮に年度ごとに発効時期が大幅に変わるのであれば、労使双方の予見可能性を損なう恐れがあることなどの課題があるものと考えられること
 ・一部の地方最低賃金審議会から、
 ・地方に委ねることなく、法律の中立性、斉一生を踏まえ、中央において責任を持って結論を導き出すよう要望する
 ・中央最低賃金審議会において、発効日の在り方や留意すべき点などについて考え方を示した上で、地方最低賃金審議会において議論を深めることが適当である
 ・発効日の後ろ倒しを当該地域のみで実施した場合、他地域とのバランスの問題が生じるため、制度改正を含め、中央最低賃金審議会で議論すべき、
等の意見や要望が出されていること
 ・全員協議会の議論におきましても、
 ・地方から発効日をどのように決めれば良いのか分からないという声が多く上がっており、一定の目安を示してほしいという意見も聞かれる。地方最低賃金審議会の委員が考えるべき方向性や考慮要素をある程度明確に示す必要があるのではないか
 ・発効日の決め方について、地方最低賃金審議会の委員の中に迷いや混乱が生じているように思う。中央最低賃金審議会として地方最低賃金審議会に対し、期待していることをメッセージとして改めて示すべきではないか
 ・「支払い準備」の解釈が過度に柔軟に広がると発効日の後ろ倒しの歯止めがきかなくなるため、一定程度定義し、メッセージとして発出する必要があるのではないか
 ということについて記載しております。
 続きまして、「(2)発効日の後ろ倒しと影響の確認」となりますが、こちらについては、先ほど資料No,2でご説明させていただきました、越年発効となった背景やハローワークで受理したパートタイムの新規求人賃金の状況、JILPT調査、厚労省の委託調査に関する概要をまとめております。詳細の説明は省略いたします。
 続きまして、7ページの冒頭になりますが、「(3)全員協議会における議論」としまして、これまでの議論をまとめてさせていただいております。
 まず、2つ目の丸になりますが、望ましい発効日の時期や地方最低賃金審議会での審議における考慮要素等に関しては、未組織労働者にも春闘における賃上げ結果を速やかに波及させるという地域別最低賃金の改定の趣旨を踏まえると、引上げ額と引き換えに発効日が後ろ倒しされるのは本末転倒であり、早期発効が重要であるというご意見や、法定発効が基本であり、指定日発効は特別な理由がある場合に限り公労使で十分に議論した上で決定することを明確にすべきというご意見や、就業調整の問題など他制度の課題を最低賃金法の枠組みの中に持ち込むことは、最低賃金法の本来の要旨を歪める恐れもあるため、できる限り最低賃金法の目的に即して運用することが望ましいとのご意見がありました。
 続いて、他方で、特に令和7年度においては、事業者の予想を大きく上回る高い引き上げ幅となった地域もある中で、発効日が後ろ倒しされたことは、企業にとって、賃金原資の確保、給与規定の見直し、就業調整の抑制等の観点から一定の意義があったと考えられるというご意見や、発効日のばらつき自体が直ちに問題なのではなく、決定理由についての議論と説明が不十分だった点に課題があり、引上げ額と同程度の重みをもって発効日についても議論を尽くし、その理由を対外的に丁寧に説明することで納得性を高めることが重要であるというご意見や、さらに、地方最低賃金審議会で発効日について議論されたことは大きな進展だが、年度ごとに発効日が大幅に変動すると、労使ともに予見可能性を欠くとともに、年度によっては次の発効日までの期間が短くなることによるデメリットについても踏まえるべきであるというご意見もいただいたところでございます。
 さらに、引き上げ額と発効日の関係についても記載をしており、
 ・地方最低賃金審議会の審議では、金額と発効日を分けて議論するプロセスを踏むべきである。最低賃金法上も、地域別最低賃金額の決定原則(第9条第2項)と発効時期の規定(第14条第2項)が明確に分けられている。
 ・中央最低賃金審議会の「令和7年度地域別最低賃金額改定の目安に関する公益委員見解」で「引き上げ額とともに発効日についても十分に議論を行う」と示した趣旨は、発効日を交渉材料にして良いということではなく、引上げ額についてしっかり議論し、引上げを着実に実行できる発効日を地方最低賃金審議会の公労使委員間であわせて議論して決めてほしいという趣旨である。
 ・発効日の設定次第で、額では最下位を回避しつつ、企業側の準備期間を確保するなど、発効日がいわば「交渉材料」として扱われている。発効日が後ろ倒しされることで、名目の引上げ額と実際の引上げ効果との乖離が生じる状況となることは共通の認識とすべきである。物価上昇局面で発効日が遅れると、実質的な引上げ効果は更に低くなる
 というところを記載しております。
 「(4)対応方針」において、こうした議論の内容を踏まえまして、次の基本的な考えということで対応方針をまとめております。
 ・発効日は、法定強制力を伴う地域別最低賃金の実効性を確実に担保する観点から、最低賃金法第14条第2項に発効の時点が規定されており、指定日発効とする場合は、その必要性について広く理解を得られるかなどの観点から、各地方最低賃金審議会の公労使委員間で、十分に議論して決定すること。
 ・発効日について、大幅な引上げ額を確保するための過度な交渉材料とするべきではない。発効日に関する主な考慮要素として、全員協議会で示された課題、労働者の生活や企業経営に与える影響、例えば災害など様々な地域の事情について、公労使委員間で十分に議論した上で、発効日について判断すること。特に企業の支払いのための準備期間を主な理由として指定日発効とする場合、企業が賃金原資の確保や給与規定の見直し等に要する具体的な期間について、公労使委員間で十分に議論を行うこと。また、指定日発効とする場合には、その判断理由を地方最低賃金審議会の公益委員見解等でできる限り明らかに示した上で決定すべきこと。
 ・指定日発効とした地方最低賃金審議会においては、その影響等を把握した上で、翌年度の審議を行うべきであること。
 ということで対応方針を記載しております。
 続きまして、「4.その他」になります。全員協議会では、ランク区分の見直しや、EU指令についての考え方に関してもご意見をいただきました。詳細な説明は省略いたしますが、それぞれ、「今後の議論に向けて次のような意見が出されたが、一定の時間をかけて議論を尽くす必要がある。」とするとともに、これまでいただいたご意見の概要を記載しております。
 9ページの最後のところになります「5.今後の取組みについて」です。
 ・中央最低賃金審議会は地方最低賃金審議会に対し、令和8年度以降、「2.地域の実態と乖離した引上げ」及び「3.発効日」の考え方を踏まえた審議を行うことを要望する。
 ・「4(1)ランク区分の見直し」及び「4(2)EU指令についての考え方」について、全員協議会で引き続き議論を行うことで合意した。
 とまとめさせていただいております。長くなりましたが、説明は以上となります。

○藤村会長
 どうもありがとうございました。事務局に第1回、第2回の全員協議会の議論を踏まえて「令和7年度地方最低賃金審議会の審議結果を踏まえた論点と考え方の整理(案)」という形でまとめていただきました。この考え方の整理について、これから御意見をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○新田委員
 丁寧な説明ありがとうございました。使用者側を代表して、一言申し上げたいと思います。資料No,3については、目安全協で出された各委員の様々なご意見を細かくとり上げてまとめていただいたものと承知しております。とりまとめに向けて、活発かつ建設的な議論が行われたことに、改めて敬意を表させていただきます。あわせて、ご協力いただきました公益委員ならびに労働者側委員の方々にも感謝を申し上げます。
 目安全協の開催回数自体は少なかったと思いますが、1回1回が非常に中身の濃い議論になったと思っておりまして、これは、目安全協での議論が効率的かつ有益なものとなるように毎回様々な資料をご準備されて、とりまとめ案を作成いただいた厚生労働省の事務局の方々のおかげと考えております。あらためて感謝を申し上げたいと思います。
 今回のとりまとめ案は、昨年度の各地方最低賃金審議会の審議の結果とそれによって生じたと思われる課題について、この目安全協で多角的に検討した結果であり、今年度以降の各地方最低賃金審議会の審議における対応方針を示すものと承知をしております。今後、各地賃において自主性を発揮しながら、このとりまとめの主旨を踏まえて公労使三者による真摯な議論が行われることを切に期待しているところでございます。
 厚生労働省の事務方におかれましては、各都道府県の労働局と緊密に連携をしていただいて、地賃の各委員に対して、特にとりまとめの中の「近隣県等との過度な競争意識や最下位回避の意識による地域の実態と乖離した引上げについての考え方」、「発効日についての考え方」につきまして、しっかりと周知して理解を深めていただくなど今年度の審議に向けて万全な対応を要望したいと思います。今年度の各地賃の審議状況や結果を注視して、課題がなお残る場合につきましては、しっかりと調査したうえで、中賃として各地賃にどのような支援や働きかけが必要なのか改めて検討していくことも必要だろうと思います。
 我々中央最低賃金審議会の使用者側委員といたしましては、令和8年度の目安審議にあたって、このとりまとめの内容を十分に踏まえながら真摯に議論をしてまいりたいと考えております。私からは以上です。

○藤村会長
 はい、ありがとうございます。では、労働側からどうぞ。仁平さん。

○仁平委員
 今年の夏の地賃の審議に間に合うタイミングで一定のとりまとめができたことを、私は率直に良かったと思っております。新田委員からもありましたけれども、事務局に感謝申し上げたいと思います。先ほども説明いただきましたが、各地賃の審議状況、発効日が遅れたことによってどんな影響があったのか等、丁寧に資料収集していただいて、審議会にご提供いただいたことと思っております。ありがとうございました。そして、それぞれの立場からの意見がありましたが、いずれにしても、とりまとめにご尽力をいただいた公益委員、そして使側委員の先生方にも感謝申し上げたいと思います。
 これも重なりますが、本日とりまとめをしたわけでありますが、これを受けて、今年の夏の地方審議において十分に生かされていくことが大事だと思っております。地方審議が落ち着いて展開されることが重要だと思いますので、改めてお願いですが、本省と各地方労働局が力を合わせて、本日のとりまとめを周知いただくとともに、実際の審議の中でも、サポートしていただきたい、ということを要請申し上げたいと思います。

○藤村会長
 ありがとうございました。その他ございますでしょうか。よろしいですか。
 そうしましたら、このとりまとめ案を、「目安制度の在り方に関する考え方の整理」として、中央最低賃金審議会に報告したいと思います。それでよろしいでしょうか。

 (異議なし)

○藤村会長
 ありがとうございます。ご了承いただきましたので、この後の中央最低賃金審議会に報告したいと思います。
 この全員協議会というのは、ほぼ5年ごとくらいに、開催しております。最低賃金を決めていく上で、仕組みとして作っておかなければいけないことが課題として出てまいりまして、それを毎年の目安審議とは別に制度の在り方、仕組みを考えていこうということでやってきております。本来ですと、来年度の令和9年度中の取りまとめが目指されるものですが、今回は途中でこういう形で、考え方を示すということにいたしました。それは、昨年度の地方最低賃金審議会の審議において、目安を大幅に上回るような引上げが行われ、それとの関係で、発効日を大きく変えるという県が少なからず発生した。このままの状態で今年の審議に入ると、却って混乱するのではないかということで、私ども中央最低賃金審議会として、一定の方向性を示す必要があるということで、目安制度の在り方に関する全員協議会でご議論いただき、本日このような形で、公労使の全会一致で考え方を整理することができました。皆様のご協力に、心から感謝申し上げたいと思います。
 残っている課題もございます。ランク制度どうするかとか、あるいはEU指令の扱いとか。これらについては、一定の時間をかけて議論をする必要がございますので、今年の秋以降、また再開できればと思っております。
 それでは、第3回目安制度の在り方に関する全員協議会はこれで終了といたします。この後、引き続いて、この部屋において中央最低賃金審議会を開催したいと思います。事務局の準備の都合もございますので、一回休憩としたいと思います。
 どうもありがとうございました。