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第24回社会保障審議会人口部会 議事録
1.日時
令和8年9月17日(木)14:00~16:00
2.場所
国立社会保障・人口問題研究所 第4・第5会議室
(東京都千代田区内幸町2-2-3 日比谷国際ビル6階)
(東京都千代田区内幸町2-2-3 日比谷国際ビル6階)
3.出席者
委員 ※50音順
金子委員、小西委員、笹野委員、津谷委員、寺井委員、富田委員、野村委員、藤澤委員、増田委員、山内委員、吉田委員、和田委員
4.議題
(1)部会長の選出及び部会長代理の指名
(2)人口部会の今後の進め方について
(3)報告聴取
・令和7(2025)年人口動態統計月報年計(概数)
・令和7(2025)年簡易生命表
(4)将来推計人口とは─その役割と仕組み─
(2)人口部会の今後の進め方について
(3)報告聴取
・令和7(2025)年人口動態統計月報年計(概数)
・令和7(2025)年簡易生命表
(4)将来推計人口とは─その役割と仕組み─
5.議事
○西澤社会保障政策戦略官 定刻となりましたので、ただいまから第24回「社会保障審議会人口部会」を開会いたします。
委員の皆様におかれましては、お忙しい中、御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
部会長を選出していただくまでの間、便宜上、私、政策統括官付社会保障政策戦略官の西澤が議事進行を務めさせていただきます。よろしくお願いいたします。
開催に先立ちまして事務的な御連絡を申し上げます。
本日は、会場での御出席とオンラインによる御出席の併用開催とさせていただいております。
オンラインでの御出席の委員におかれましては、御不便をおかけいたしますが、どうぞよろしくお願いいたします。
まず、オンラインで御出席の委員の皆様に御確認させていただきます。画面下のマイクのアイコンは現在ミュート設定としていただいているかと存じます。会議の進行中は、マイクは原則ミュートとさせていただきます。御発言の際には「手を挙げる」ボタンをクリックしていただき、部会長の指名を受けてからミュートを解除し、御発言ください。御発言終了後は、再度ミュートにしていただきますようお願いいたします。音声に不具合等がございましたら、事務局宛てチャットにてお知らせください。
なお、本会議は動画配信システムのライブ配信により、一般公開とさせていただいております。
それでは、初めに政策統括官の田中より御挨拶を申し上げます。
○田中政策統括官 総合政策担当の政策統括官、田中でございます。
本日はお忙しい中、皆様、御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
政策統括官部門で人口部会の所管をさせていただいております。社会保障審議会人口部会は、従来から国勢調査の結果を受けまして、国立社会保障・人口問題研究所が行う将来推計人口について御議論いただくということで、おおむね5年ごとに開催をさせていただいております。
令和7年に実施されました国勢調査の結果も近々公表がされる見込みとなってございますので、次期の将来推計人口の公表に向けて本日から御議論をお願いしたく、開催でお集まりいただいたものでございます。前回は令和5年ということで、将来推計人口の公表をされておりますけれども、その後を見ますと、出生数の減少、総人口の減少。一方で、国際人口移動は増加傾向にある。これが現在、足元の状況でございます。
こうした直近の状況も踏まえながら、次期将来推計人口の手法について検討するということが必要になっております。この将来推計人口ですけれども、これを基に労働力の見通しとか、公的年金をはじめとする社会保障制度、各種の経済社会計画の基礎としても広く用いられておりますので、これが我が国の政策全般に大きな影響を持つということで、極めて重要な基礎資料となっております。委員の皆様お一人お一人の御意見が大変貴重なものとなりますので、ぜひ多角的、専門的な視点から御議論を賜りますようにお願いを申し上げます。これからどうぞよろしくお願いいたします。
○西澤社会保障政策戦略官 続きまして、委員の皆様の御紹介をさせていただきます。
本日は、多くの委員の皆様が新任もしくは再任されまして初めての会合となります。お手元の資料1-1、社会保障審議会人口部会委員名簿を御覧ください。五十音順に御紹介させていただきます。お名前を申し上げますので、一言御挨拶をいただければと思います。
金子隆一明治大学政治経済学部特任教授でございます。
○金子委員 金子でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○西澤社会保障政策戦略官 ありがとうございます。
続きまして、小西祥子東京大学大学院医学系研究科准教授でございます。
○小西委員 小西祥子と申します。今日はオンラインで参加させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
○西澤社会保障政策戦略官 ありがとうございます。
西郷浩早稲田大学政治経済学術院教授でございます。本日は御欠席でございます。
続きまして、笹野美佐恵茨城大学人文社会科学分野講師でございます。
○笹野委員 こんにちは。茨城大学の笹野と申します。来年の夏までサバティカルをいただいておりまして、その間はオンラインでの参加となってしまいますが、どうぞよろしくお願いいたします。
○西澤社会保障政策戦略官 よろしくお願いいたします。ありがとうございます。
続きまして、津谷典子慶應義塾大学名誉教授でございます。
○津谷委員 津谷典子でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○西澤社会保障政策戦略官 ありがとうございます。
寺井公子慶應義塾大学経済学部教授でございます。
○寺井委員 慶應の寺井と申します。オンラインで参加しています。どうぞよろしくお願いいたします。
○西澤社会保障政策戦略官 ありがとうございます。
富田敬子常磐大学理事・特任教授でございます。
○富田委員 富田敬子でございます。茨城からオンラインで参加させていただいております。どうぞよろしくお願いいたします。
○西澤社会保障政策戦略官 永吉希久子東京大学社会科学研究所教授でございます。本日、御欠席でございます。
野村周平東北大学災害科学国際研究所グローバルヘルス政策学分野教授でございます。
○野村委員 野村周平でございます。初めてでございます。よろしくお願いいたします。
○西澤社会保障政策戦略官 続きまして、藤澤陽介早稲田大学大学院会計研究科客員教授でございます。
○藤澤委員 藤澤と申します。よろしくお願いします。
○西澤社会保障政策戦略官 続きまして、増田幹人駒澤大学経済学部准教授でございます。
○増田委員 駒澤大学の増田幹人と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
○西澤社会保障政策戦略官 続きまして、山内昌和早稲田大学教育・総合科学学術院教授でございます。
○山内委員 山内昌和です。どうぞよろしくお願いいたします。
○西澤社会保障政策戦略官 続きまして、吉田尚大読売新聞東京本社編集局生活部編集委員でございます。
○吉田委員 読売新聞の記者で、吉田と申します。今日はよろしくお願いいたします。
○西澤社会保障政策戦略官 和田光平中央大学経済学部教授でございます。
○和田委員 中央大学経済学部で人口分析を担当しております和田光平と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
○西澤社会保障政策戦略官 以上14名の委員の皆様に御就任いただいております。どうぞよろしくお願いいたします。
次に、本日の出欠状況について御報告申し上げます。本日御欠席の委員は、西郷委員、永吉委員でございます。
なお、本日は会場の御出席とオンラインによる御出席を合わせまして12名の委員に御出席いただいており、委員総数の3分の1を超えておりますので、本会議は有効に成立しております。
また、本日の会議には関係府省庁の方々に社会保障審議会幹事として会場またはオンラインにて御出席をいただいております。
続いて、事務局の紹介をいたします。
審議官(総合政策担当)の尾崎でございます。
○尾崎審議官 よろしくお願いいたします。
○西澤社会保障政策戦略官 人口動態・保健社会統計室、統計管理官の楠田です。
○楠田統計管理官 よろしくお願いいたします。
○西澤社会保障政策戦略官 国立社会保障・人口問題研究所の岩澤人口動向研究部長でございます。
○岩澤人口動向研究部長(社人研) よろしくお願いいたします。
○西澤社会保障政策戦略官 同じく、社人研の是川国際関係部長です。
○是川国際関係部長(社人研) よろしくお願いします。
○西澤社会保障政策戦略官 以上で事務局の紹介でございます。
次に配付資料の確認をさせていただきます。
本日の資料は、議事次第のほか、資料1-1「社会保障審議会人口部会委員名簿」、資料1-2「社会保障審議会令(抄)」、資料2「人口部会の今後の進め方について」、資料3-1「令和7年人口動態統計月報年計(概数)の概要」、資料3-2「令和7年人口動態統計月報年計(概数)の概況」、資料4-1「令和7年簡易生命表の概要」、資料4-2「令和7年簡易生命表の概況」、資料5「将来推計人口とは-その役割と仕組み-」を配付しております。
不足等ございましたら、お近くの事務局までお知らせください。
会議冒頭のカメラの頭撮りはここまでとさせていただきます。御退室をお願いいたします。
それでは、議事に入らせていただきます。初めに本部会の部会長の選出を行います。資料1-2「社会保障審議会令」を御覧ください。第6条3項にございますように、部会長は部会に属する社会保障審議会の委員の互選により選出することとされております。本部会には津谷委員、寺井委員の2名の社会保障審議会委員がいらっしゃいますが、あらかじめ御相談を申し上げた上で、津谷委員に部会長をお願いすることとなりましたので、御報告申し上げます。
それでは、津谷委員におかれましては、部会長席へ御移動をお願いいたします。
○津谷部会長 ありがとうございます。
ただいま部会長に御選任いただきました津谷でございます。どうぞよろしくお願いいたします。委員の皆様の御協力と御理解をいただきながら、円滑かつ充実した議事運営に努めてまいりたいと思います。
それでは、議事を始めたいと思います。社会保障審議会令の第6条第5項によると、部会長のほかに、部会長が部会長代理を指名することとされております。そこで、部会長代理は金子隆一委員にお願いしたいと思います。金子委員、どうぞよろしくお願いいたします。
○金子委員 よろしくお願いします。
○津谷部会長 それでは、2つ目の議事に移りたいと思います。まず、「人口部会の今後の進め方について」、事務局から御説明をお願いいたします。
○西澤社会保障政策戦略官 事務局でございます。
資料2でございますが、人口部会の今後の進め方を記載しております。総務省による国勢調査、5年に1回行っておりますけれども、速報は既に5月に集計、公表されておりますが、結果が今月中に公表される予定でございます。毎回これを踏まえまして社会保障・人口問題研究所で将来推計を行っておりまして、その手法や推計の前提について検証・検討を行うこととして本部会を開催させていただいております。
今後の予定でございますが、1~2か月に1回程度部会を開催させていただきまして、その手法・前提の議論を順次行ってまいりたいと思います。
その結果を踏まえまして、次期将来推計人口の結果については、来年前半をめどに取りまとめることとしたいと考えております。
以上でございます。
○津谷部会長 ありがとうございました。
ただいま事務局より御説明のありました今後の議論の進め方について、御意見はございませんでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、今後の進め方については、事務局の御説明にあったとおりとさせていただきます。
では、次に議事の3つ目の「報告聴取」に入りたいと思います。人口に関する調査データとして、「令和7年人口動態統計」及び「令和7(2025)年簡易生命表」について、楠田統計管理官より御説明をお願いいたします。
○楠田統計管理官 統計管理官の楠田と申します。
私からは令和7年人口動態統計月報年計(概数)と令和7年簡易生命表について御説明いたします。人口動態統計、簡易生命表それぞれについて、公表資料である概況とそのポイントをまとめた概要を用意しておりますが、ここでは概要を用いて説明をさせていただきます。
まず、資料3-1を御覧ください。
こちらは6月3日に公表した令和7年人口動態統計月報年計(概数)の概要となります。表紙をめくっていただきまして、まず2ページを御覧ください。上段の表にありますように、人口動態調査は、基幹統計である人口動態統計を作成するための統計調査となっておりまして、この統計調査は、戸籍法等により届出られた出生、死亡、婚姻、離婚及び死産の全数を対象としております。また、この概況では、令和7年1年間に日本において発生した日本人の事象を対象としております。
下の表にありますように、人口動態調査結果に関しましては、大きく分けて3種類のものを公表しております。左から速報、月報、年報となっております。今回御説明するのは、真ん中にある月報(概数)について、年間合計した月報年計(概数)となります。また、資料の中で年次推移や前年との比較も行っておりますが、令和6年までは確定数であり、令和7年が概数となっております。
なお、通常月報年計(概数)から確定数で数値にほとんど差は生じませんが、令和7年は国勢調査年であり、人口を分母に用いる合計特殊出生率など諸率については、人口が令和7年10月1日現在人口推計から国勢調査人口を分母に用いることになるため、概数から動く可能性がある点について御留意ください。
3ページを御覧ください。
まず、出生についてですが、令和7年の出生数は67万1236人で、前年に比べて1万4937人、2.2%の減少となっております。これは平成28年以来10年連続で減少しておりまして、過去最少の結果となっております。また、合計特殊出生率は1.14と、こちらも前年に比べて0.01ポイント低下しており、出生数と同じく、平成28年以来10年連続で低下しており、過去最低となっております。
4ページを御覧ください。
左側の表は、出生数と合計特殊出生率の年次推移を数値でお示ししておりますが、出生数について見ていただきますと、令和4年から令和6年の対前年増減率はマイナス5%台でしたが、令和7年にはマイナス2.2%と、それまでと比べて減少が緩やかになっていることが分かります。また、合計特殊出生率について見ていただきましても、令和4年から令和6年には前年と比べて0.05~0.06ポイント低下しておりましたが、令和7年には0.01ポイントの低下にとどまっております。
右側の表は母の年齢階級別に出生数の推移を見たものとなっていますが、一番右の欄の令和6年から令和7年の動きを見ていただきますと、出生数が最も多い30~34歳において、2,221人、0.9%の増加となっております。
5ページを御覧ください。
令和7年には母の年齢階級が30~34歳では、平成27年以来10年ぶりに出生数が増加し、合計特殊出生率の母の年齢階級別内訳である出生率につきましても、同じく10年ぶりに上昇という結果になっております。
6ページを御覧ください。
こちらは都道府県別の出生の状況を合計特殊出生率で比較したものとなっております。これを見ていただきますと、沖縄県が1.52と最も高く、次いで宮崎県の1.46、福井県の1.45の順となっております。一方で、東京都の0.96が最も低く、次いで北海道、宮城県の1.00の順となっております。
なお、令和7年は13県で合計特殊出生率が上昇という結果になっております。
7ページを御覧ください。
ここからは死亡の状況についてです。まず、年次推移を見ていただきますと、死亡数・死亡率共に長期トレンドでは増加傾向にありますが、令和7年の死亡数は158万9489人となっており、前年に比べて1万5889人、1.0%の減少と、5年ぶりに減少しております。また、全死亡数のうち75歳以上の者の割合は80.9%と、8割程度となっております。
8ページを御覧ください。
こちらは死亡順位についてお示ししていますが、左の円グラフを見ていただきますと、第1位は悪性新生物、第2位は心疾患、第3位は老衰の順となっており、第1位から第7位は前年から順位に変動はありません。ここで悪性新生物はいわゆるがんのことであり、心疾患からは高血圧性のものを除いていることに御留意ください。
男女別では、男性の第1位から第3位は男女計と同様となっておりますが、女性は老衰のほうが第2位で、心疾患は第3位と順位が逆転しております。男女別も含めた順位は後ろにつけている概況の第7表に掲載しておりますので、御参照ください。
9ページを御覧ください。
こちらからは婚姻の状況になっております。まず、年次推移を見ていただきますと、長期トレンドでは婚姻件数、婚姻率共に減少傾向にあるものの、ここ数年は横ばいで推移しております。令和7年の婚姻件数は48万9119組で、前年に比べて4,027組、0.8%の増加となっており、2年連続で増加しています。
10ページを御覧ください。
こちらは夫と妻それぞれについて、届出時年齢別の婚姻件数の推移を見ています。先ほど婚姻件数全体では2年連続で増加していると申し上げましたが、届出年齢別に見ると、夫、妻共に25~29歳、30~34歳において2年連続で増加していることが分かります。
11ページを御覧ください。
こちらは離婚の状況について年次推移をお示ししていますが、令和7年の離婚件数は17万9068組と、前年に比べて6,836組、3.7%の減少となっております。
人口動態統計月報年計(概数)の概況についての説明は以上となりますが、詳しい数値は、後ろにつけております概況を御覧ください。
次に、資料4-1を御覧ください。こちらは7月24日に公表しました令和7年簡易生命表の概要をまとめたものとなっております。
表をめくっていただき、2ページを御覧ください。
まず、生命表とは何かについてですが、ある期間、ここでは令和7年1年間の死亡状況が今後変化しないと仮定したとき、各年齢の人が1年以内に死亡する確率、あるいは平均してあと何年生きられるかという期待値などを死亡率、平均余命という指標によって表したものです。
(1)の2段落目にありますように、これらの指標は男女別に各年齢の人口と死亡数を基にして計算しており、現実の人口の年齢構成には左右されず、死亡状況を表すものとなっており、死亡状況を厳密に分析する上で不可欠なものとなっております。また、0歳の平均余命である平均寿命は、全年齢の死亡状況を集約したものとなっておりまして、保健福祉水準を総合的に示す指標として広く活用されております。
(3)にありますように、生命表は、日本における日本人の死亡数等の状況を基に作成しております。
その下の表にありますように、公表している生命表の種類は幾つかありますが、今回の資料は一番左の毎年作成している簡易生命表の令和7年版になります。なお、下の表にありますとおり、令和7年は国勢調査年となっておりますので、今後国勢調査結果と人口動態の確定数を基にして完全生命表を作成する予定としており、その後、令和8年の確定数まで出たところで都道府県別生命表、市区町村別生命表を作成する予定としております。
3ページを御覧ください。
令和7年の平均寿命は、男性は81.35年、女性は87.33年で、前年と比較して男性では0.25年、女性では0.20年上回っています。また、平均寿命の男女差は5.98年と、前年に比べて0.05年小さくなっています。主な年齢の平均余命を見ると、男女共に全年齢で前年を上回っています。
なお、令和7年の平均寿命が歴代でどのくらいになるかについて、右のグラフで見ていただくと、数値を入れていないので分かりにくいのですが、これまでで最も高くなっているのは男女とも令和2年になっており、次に令和3年の2位、令和元年の3位に次いで、令和7年は4位になっております。
4ページを御覧ください。
平均寿命の国際比較は、国によって作成方法等が異なることから厳密な比較は困難ですが、厚生労働省が入手した資料の中では、左側の表にありますように、男性は世界第7位、女性は世界第1位となっております。男性は昨年の第6位から順位を下げましたが、女性の世界第1位は41年連続という結果になっております。
また、右側のグラフは、主な国の平均寿命について1985年~2025年までの推移をお示ししていますので、御覧ください。
5ページを御覧ください。
令和7年の平均寿命は延びましたが、このグラフは、どの死因がどの程度その伸びに寄与したかを見たものとなっております。これを見ると、男女共に悪性新生物、心疾患、新型コロナウイルス感染症などの死亡率の変化が平均寿命を延ばす方向に働いています。一方で、肺炎、老衰などの死亡率の変化が平均寿命を縮める方向に働きました。
6ページを御覧ください。
こちらはもう少し細かく死因を分析したもので、左側のグラフは主な年齢について死因別死亡確率を見たものとなっています。人はいずれ何らかの死因で亡くなりますが、令和7年の各死因における死亡状況に今後変わりがなかった場合、それぞれの年齢の人が将来何の死因で亡くなるかという確率を計算しているものになります。こちらを見ると、0歳の場合、男性は悪性新生物で亡くなる確率が最も高く、次いで心疾患、老衰、肺炎、脳血管疾患の順で、女性は老衰が最も高く、次いで悪性新生物、心疾患、脳血管疾患、肺炎の順となっております。
悪性新生物、心疾患、脳血管疾患の3つを合わせた死亡確率を赤枠で囲っておりますが、例えば0歳のところを見ていただきますと、男女とも4割程度となっており、これは生まれた者の4割程度が将来そのいずれかで死亡することを表しています。
右側の表は、特定の死因を克服した場合、平均寿命というのはどのぐらい伸びるかというものを計算したものになります。裏を返せば、各死因がどの程度平均余命や平均寿命に影響しているかを測ることができます。例えば悪性新生物を除去した場合の平均寿命の伸びは、令和7年は男性で3.07年、女性で2.66年となっております。また、悪性新生物、心疾患、脳血管疾患を全て克服できたという仮定を置きますと、表の一番下になりますが、0歳の場合、男性では5.84年、女性では4.77年となっています。
詳しい数値については、後ろにつけております概況を参照いただければと思います。
簡単ですが、私からの説明は以上となります。
○津谷部会長 楠田統計管理官、ありがとうございました。
ただいま御説明のありました人口動態統計と簡易生命表について、御質問や御意見がありましたらお願いいたします。御発言の順番は、まず会場に御出席の委員の皆様から御発言いただき、その後、オンラインで出席されている委員の方々から御意見を承りたいと思います。野村委員、どうぞお願いいたします。
○野村委員 野村です。ありがとうございます。
初めてのコメントになるので、そこはこの部会ではあまり関係ないという話だったら、ぜひ御指摘いただきたいのですけれども、資料3-1の2ページの速報と月報のところでございまして、私の持っている課題感をお話ししたいなと。コロナが始まったというのは、私、厚労科研班で超過死亡をずっと推計してまいりまして、感染研、今はJIHSですけれども、そこに厚労省さんからデータを送っていただいて、それをチームで分析するという形をやってきていまして、もともと超過死亡、目的は早期のモニタリングということで、何かあったときに総死亡数がふっと上がった瞬間を捉えると。そこに何かがあった。では、原因は何だろうかという議論をするための超過死亡の推定。多くの国では行われておりました。
日本の場合、人口動態統計の速報がall causes of death、全死亡の数を捉えていくと。これで困ったのが、届くのが2か月後という結構なタイムラグがある。すると、早期のモニタリングのあれがあまりできていない。ピークが既に終わっているときにデータが届くのです。なので、過去を見て、ああ、ここは増えていたね、どうだったねという議論に落ち着いてしまう。もちろん、それはそれで大事なのですけれども、早期で何か警戒をするという点だと、この2か月というのは結構手後れなスピード感であったなというのがございます。
月報を使って我々はcause-specificな推計もしていまして、循環器とかがんとかも見てきたのですけれども、これは6か月、5か月遅れ。分析するスパンも数日加えるとなると、結構昔の話をしてしまうので、ここを市区町村から厚生労働省さん、むしろ危機対応時というところに限って、例えばJIHSにダイレクトに市町村から何かしらのデータが届くというパイプラインがあると、日本として早期のモニタリングという点で超過死亡ができるなとずっと思っていました。国によりますと、2週間程度でデータが分析チームに、要は、CDCに届くというものがあったので、やり方によってはできるのではないかなと思った次第でございます。
大分話が変わりまして、次に、同じく3-1の10ページ目ですけれども、前ページに若干の総数として増加しているという話があったものの、そこまで極端に増えているわけではないので、こういった年齢別で見るときに、上のハイライトですが、増加しているところをハイライトするのはもちろん大事ですけれども、恐らくどこかも減少している可能性がある。どこかが減少している分が若い世代とか、あるいは後ろの世代に行っている可能性があるので、どちらも載せるのがフェアなのではないかなと。増えた・減ったの原因とか課題を議論するときも非常に重要になってくるので、こういう見出しというのはいろんな意味でミスリードにつながったりし得るので、ずっとこのままで。
トータルでそこまで極端に増えているわけではないので、どこかが増えているのだったら、どこかが減っているのだろうなと思ってしまうので、恐らく実際そうなのだと思うのです。このグラフを見る限りだと。年次的に減っているだけかもしれないのですけれども。なので、この見出し、いろんなところでまず見られるところに関しては、フェアな議論をするためにも、どこか増えているという話をするのであれば、どこか減っているというところも一緒に載せるといいのではないかなと思っております。
もう一つが資料4-1になりまして、人口動態統計ないし厚労省さんの生命表を日常的に使っている身からすると、人口動態統計では、「日本における日本人」と「日本における外国人」は基本的に分けて集計されていると思うのです。死亡率とか出生数とか。生命表や平均寿命は日本人を対象にしています。今年の8月に12年ぶりぐらいに、がっちゃんこしたやつの出生数と死亡数と死亡率を入れて1955年から2024年まで公表されていたと思うのですけれども、あれは非常によくて、あれは毎年できないのではないかなと思っております。
何でかというと、国際的に見ると、国籍問わず住民全体で出すというのは比較的一般的なのかなと思っていまして、いろんな格差はそういったナショナリティで起きやすいので、もちろん分けて出すのは大事なのですけれども、がっちゃんこして出すのは非常に大事かなと思っておりました。日本全体における人口動態を評価する上でも全体で見る。国際比較する上でも大事だと思うのです。あと、社人研さんがやっている将来人口の推計は、外国人も含まれているので、そこと整合性をとる上でも、日本における日本人と外国人を含む住民全体を対象とした平均寿命、生命表、あるいは出生数、死亡数とかという合計値も継続的に出てくるとよいかなと思っておりました。
以上です。
○津谷部会長 ただいま3点ほど御意見があったかと思いますが、楠田統計管理官、お答えがありましたらお願いいたします。
○楠田統計管理官 御意見ありがとうございました。
3点ほど御意見を我々に対していただいていると承知しておりますけれども、まず公表時期でございます。委員がおっしゃったのは、速報が2か月後、月報概数が5か月後ないしは6か月後に公表するというスケジュールでやっていることについて、少し遅過ぎるのではないかという御意見だったかと思います。まず、速報ですけれども、届け出られてから、市区町村、管轄の保健所、都道府県、厚生労働省で記載された内容が正しいかどうかというところをそれぞれの箇所でチェックするという、精緻な統計表をお送りするという形で、それなりの手順を踏んでやっておりますので、2か月かかるというのはしようがないのかなとは考えているのですが、具体的に早期化という検討ができるのかというところは持ち帰らせていただきたいなと考えております。
もう一つ、月報概数のところですが、特に死因のところにつきましては、死亡診断書等で書かれている内容を基に死因コードをつけるという作業をするのですけれども、オートマチックに全部死亡コードがつくという状況にありません。ある程度はできるのですが、その後は職員の目で、これはどのコードをつけるべきかというところを毎月チェックしているため、今の5か月、6か月というところは、かなり急いでやっていると感じております。ただ、何かしら緊急事態が起こったときにどういう対応が取れるかというところにつきましては、またその際に検討させていただきたいと考えております。
その次に参りまして、資料3-1の10ページでございます。こちらにつきまして、婚姻件数、25~29歳、30~34歳のところは増加しているのは分かったけれども、それ以外はどうなのかという御指摘でございました。それ以外のところについては減少しているというところなのですが、とはいえ、実態がどうなのかというところは、もう少し見出しを工夫するとか、リード文を工夫するとかして、こちらのお示ししたい内容が着実に伝わるよう今後検討していきたいと考えております。
3点目につきましては、7月28日だったかと思いますけれども、人口動態統計の特殊報告というものを出させていただいておりまして、特殊報告につきましては、人口動態統計を用いてテーマを毎年変えながら、ほぼ毎年出しているものですが、今回は外国人を含む人口動態統計というものをテーマとして出させていただいたということでございます。こちらにつきましても、外国人も含んで人口動態統計をきちんと出す、実数を出す、諸率を出すというところについてはそれなりに作業が発生しますので、毎回できるかといったところと、それ以外に婚姻とか死亡とか、それぞれをトピックにして特殊報告を出したり、年齢調整死亡率をもう少し都道府県別等にブレークダウンして分析したものですとか、毎回毎回それぞれのテーマでやっております。そのため、毎年外国人を含んだ統計が出せるかというところは、今後の課題とさせていただきたいのですが、現状はなかなか難しいかなと考えております。
○津谷部会長 楠田統計管理官、ありがとうございました。
いかがでございますか。
○野村委員 何度もすみません。ありがとうございます。
1点目につきまして、超過死亡の話ですけれども、2023年に迅速把握という新しい取組をやっておりまして、これは厚労省さんのチームが自治体さんと協力関係を築いてくださって、自治体から直接研究班のほうにデータを送っていただくパイプラインをつくっていただいたのです。これは有志でやっておりまして、省庁の方々が説明を各自治体にされて、いろいろお願いごとなりフィードバックをするということをやって成し遂げたもので、レガシーというふうに考えているのですが、恐らくまた何か起きたときにそういったものが同じようにできる仕組みというのが大事かなと思っていて、正直前回は担当された省庁さんが本当に気さくな方で、自治体の方に懇切丁寧にやられた。それがあって多くの自治体に参加いただいてデータを。本当にシンプルなCSVのようなもので、人数だけ、カウントだけ送ってもらう。そうすることによって総数を把握できるので。しかも、日本の場合、死亡届というのが法律的に死亡を知った日から原則7日以内と定められているすばらしい国であって、国によってはかなり遅れてくるのです。日本は比較的遅れが少ないので誤差も比較的小さかったということがありまして、うまくいったという経緯がございました。そういった運がよかった、人がよかったからという感じにならない仕組みが何かあるといいなと思っております。
最後の外国人に関しては、1つアイデアとして、これは恐らく省庁の中の方々が推定されているケースであると思うのです。厚労科研でやるという形もあるのではないかなと思っていまして、超過死亡はそれでやっていたので。我々は毎回、例えば厚労省のコロナのアドバイザリーボード、ああいったものに資料提出しているのですけれども、我々は分析チーム、統計が専門なので、コードを組んで、データが来てぱっと回せば、資料まで全部ざーっと一瞬でできる仕組みをつくっていたのです。なので、1回アルゴリズムさえ組んでしまえば、こういったパワポであれば、毎回データが来たら、ほぼオートマチックにつくることが技術的には可能だと思うので、それが得意な人にやってもらうというのは1つ手だと思っております。
長々とすみません。失礼します。
○津谷部会長 よろしいでしょうか。
それでは、そのほかの委員の方々、御意見や御質問はございませんでしょうか。ではまず、会場で御出席の委員の方々、御質問などありましたら、お願いいたします。よろしいでしょうか。吉田委員、どうぞ。
○吉田委員 読売新聞の吉田と申します。
資料3-1の4ページに「母の年齢階級別にみた出生数の年次推移」というものが載っていて、母親の年齢で25~29歳、あるいは35~39歳の出生数は減っているのですが、30~34歳の出生数だけは増えています。私は女性の働き方などを取材しているものですからここに関心を持ったのですが、これはどのような理由だと考えられるものでしょうか。ちょうどこの世代は働き盛りで、キャリアであるとか昇進・昇格を意識する年代だと思うのですが、国や企業の何かしらの両立支援の効果が特にこの世代に出るとか、どういったことがこの世代に現れてこの出生数になっていると推測できるものでしょうか。
○津谷部会長 楠田統計管理官、この御質問に対するお答えやお考えがありましたら、お願いいたします。30代前半の女性の出生数と出生率が増えている一方で、それ以外の年齢では、20代後半を含め下がっているが、これに女性の働き方がどのように関係していると考えられるのかという御質問かと思います。
○楠田統計管理官 御質問ありがとうございます。
これといった、しっかりとした理由が申し上げられるかというところはあるのですけれども、先ほど10ページでも御説明しましたが、婚姻件数につきまして、令和6年、令和7年は、妻のほうを特に見ていただければと思うのですけれども、25~29歳、30~34歳のところは増加しているということ。あと、日本では嫡出子というのが95%を超えているということで、日本では結婚をしてから出産を迎えるという方が大部分でございますので、この年代の婚姻件数が伸びているということが、30~34歳の出生数が伸びている要因の一つではないかと考えております。
○津谷部会長 吉田委員、いかがでございますか。よろしいでしょうか。
○吉田委員 はい。
○津谷部会長 そのほか、何か御質問がございましたら、お願いいたします。野村委員、どうぞ。
○野村委員 タイムマネジメント的にぎりぎりだったらカットしていただいて大丈夫ですけれども、資料3-2を見ますと、第2子と第3子は30~34歳で減少しているようで、第1子だけが増えているのです。シンプルにこの世代が子供をたくさん持つようになったというよりも、今まで20代後半で第1子を持つような方々が30代前半になって生み始めたという感じなのかなと。晩婚化とか、教育課程が長期化している。要は、修士とか博士とかを取りに行く人が増えているのかもしれないですし、いろんな修行とかキャリアの形成とか、何かしら経済的な不確実性も捉えて少し出産が後ろに行っているという可能性は十分にあるのかなと個人的には思っております。
○津谷部会長 ありがとうございました。
司会が発言するのはルール違反になるかもしれませんが、一言申し上げたいと思います。女性の結婚が遅くなって30代に入ると、バイオロジカルクロックがティッキング、つまり生物学的に子供をもつことが難しくなるということで、急いで出産する傾向があるため、30代の出生率が上がっているのではないでしょうか。これに女性の働き方がどう絡んでいるのかという問いへの答えは、結婚・出産と仕事との間には内生性があるため、難しいと思います。結婚が遅れているため出産が30代にずれ込むというのはその通りだと思いますが、逆の因果関係も考えられ、女性が結婚する大きな理由の1つが子供を欲しいということであれば、遅くなっても結婚して、急いで子供をもつことも考えられます。テンポ効果というのでしょうか。結婚が遅れると、その後速いテンポで子供、特に第1子を生むという傾向が強くなります。先ほど野村委員から御説明があったように、結婚後の第1子出生のテンポが速くなっているのではないでしょうか。しかし、その後、さらに2人目、そして3人目の子供をもつのかというと、そうとも言えないのではと思います。1つ言えるのは、女性にとって、結婚と出産・子育ては1つのコインの両面であり、これらに対する意思決定を同時にしているように思います。そこに働き方が絡んでくるのですが、この関係は複雑で、それを解きほぐすのは大変難しいと思います。
そのほか、御意見や御質問はございませんか。和田委員、お願いいたします。
○和田委員 和田でございます。
今、津谷部会長がおまとめになったとおりだと思うのですけれども、野村委員がおっしゃっていた点と吉田委員の関連で少しだけ踏み込んだ意見を申し上げたいと思います。野村委員がおっしゃった10ページの年齢別の婚姻件数です。夫と妻は件数だけではなくて、婚姻率も上昇していると承知しております。多分これは合っていると思います。
津谷部会長、統計管理官がおっしゃったように、日本の場合は95というより、97%ぐらいが嫡出率ですので、婚姻指標は出生指標の先行指標になります。それから、野村委員がおっしゃった、どの年齢階級が増えて他のが減るというゼロサムのような関係ではないのですけれども、先ほど部会長がおっしゃった、いわゆるテンポ効果が働きますと、産み控えた人たちが、今回、若干年齢の高い30代前後の年齢階級で、婚姻件数、婚姻率も上昇しているということです。
いわゆる晩婚化というほど年齢は上がっていなくて、むしろ期待されるのは、まだ十分に2子目以降も期待できる20代後半、30代前半での婚姻件数、婚姻率の上昇というのが出生数を上げる傾向も期待できるし、今日は資料にないですが、今年の人口動態統計の前半が実は概数では上昇している。11年ぶりに、ひのえうまなのにという感じなのですけれども、出生数が上昇しているということも承知しておりますので、これは今後の議論の中で、人口推計をしていく上で、出生数がもしかしたら回復基調になるかもしれないというのを我々は念頭に入れて今後は分析すべきなのでしょうか。最後は追加的な質問になります。
以上です。ありがとうございました。
○津谷部会長 ありがとうございました。
もしレスポンスがございましたら、楠田統計管理官、お願いいたします。
○楠田統計管理官 先ほど和田委員におっしゃっていただいたように、令和8年は6月分の速報まで出ており、上半期の結果が出ております。その速報の結果を見ますと、これは外国人も含んでしまうのですが、11年ぶりに出生数が増えたということですけれども、この状況が後半に向かってどうなるかというところは我々も注視していきたいと考えております。
○津谷部会長 ありがとうございました。
最後にもう一言、先ほど吉田委員より御質問のあった女性の働き方についてですが、出産可能年齢の日本女性の就業率は全年齢層で上がっていますが、特に20代後半の女性で非常に大きく上がっています。働いているから結婚しないのか、結婚にあまり興味がないから働くのか、はっきりとは分かりませんが、女性の働き方は、出産・子育ての前段階である結婚にも大きく影響しており、この関係について注視していきたいと思います。
そのほか、御意見や御質問はございませんでしょうか。よろしいでしょうか。
楠田統計管理官、御説明ありがとうございました。
会場出席されている委員の皆様、御質問や御意見、ありがとうございました。
では次に、オンラインで出席されている委員の方々から、御質問や御意見をお聞きしたいと思います。小西委員、お願いいたします。
○小西委員 ありがとうございます。
先ほどの出生と婚姻の関係の件はとても重要なことと存じまして、それに関連して1つお伺いしたく存じます。スライドの10ページの婚姻の図で、令和6年から7年にかけて婚姻数の届出時の年齢別に見た婚姻件数が増えたというデータに関してですが、届出数が増えたことと、実際にその年に結婚生活を始めた人が増えたことというのは少し違うと思いますので、出生への影響を分析する際には、ぜひ届出件数に加えて、結婚生活を始めた人数も加味していただければと存じますが、この点についてはどのような計画があるか、教えていただけますでしょうか。
○津谷部会長 楠田統計管理官、もし何かお答えがありましたら、お願いいたします。
○楠田統計管理官 人口動態統計につきましては、統計表、かなり多くのものをe-Statに掲載させていただいております。その中で届出時で見たものと結婚生活に入ったとき、同居したときで見たものと両方ございますので、その時々の用途によって使い分けていただくのかなと考えております。こちらから婚姻の状況をどの定義でお示しすべきかというところも今後検討していくべき課題なのではないかと考えております。
以上でございます。
○津谷部会長 ありがとうございました。
小西委員、よろしいでしょうか。
○小西委員 はい。ありがとうございます。
○津谷部会長 富田委員のお手も挙がっております。富田委員、お願いいたします。
○富田委員 ありがとうございます。
そちらの今の議論、音声の状況が非常に悪うございまして、私が今から申し上げることは多分これまでの発言と重複するところがあるかもしれませんが、御承知おきください。
私から質問ではなく、コメントです。先ほどから外国籍の方々の動態をどう捉えるかということを議論なさっていたように理解しているのですが、私も日本の現状において、外国人の方々の動態をきちんと把握できるように統計整備する段階に来ているのではないかとかねがね感じております。日本在住の外国人人口は既に3~4%に達しています。この方たちの動き、動態は、日本全体から見て決して無視し得ない状況になっていると思います。どのように戸籍上からデータを得るか、外国人登録からデータを入手するか、技術的にはチャレンジングだと思いますが、今後、例えば簡易生命表などをつくるときに、外国籍の方たちの動態も念頭に置いていただけたらと思っております。
以上です。
○津谷部会長 ありがとうございました。これからさらに重要性が増すと考えられる外国人人口の動態に目を配って、より精緻に捉えていくべきであるという御意見です。よろしいでしょうか。
藤澤委員からもお手が挙がっております。どうぞお願いいたします。
○藤澤委員 ありがとうございます。
新型コロナの死因のところで、資料3-1で言うと8ページの左下のところに注意書きで新型コロナウイルス感染症は、令和6年が8位で、令和7年が12位と減っているように見受けられています。資料3-2の概況の第6表を見ると、実際の死亡数・死亡率が載っていて、死亡数で言うと3万5000人が2万1000人ぐらいなので、6割ぐらいの水準に落ち込んでいますけれども、これは単純な質問ですが、新型コロナの死因で死亡する方が単純に減ったと捉えていいのか、それとも例えば呼吸器系の疾患を見ると、令和6年から7年にかけて増えていたりして、そちらに混ざっている可能性もあるか、もしくは両方の影響があるのかというところを分かる範囲で教えていただきたいなと思っています。
○津谷部会長 新型コロナ感染症による死亡数・死亡率をどのように捉えるのかという御質問です。楠田統計管理官、よろしいでしょうか。お答えをお願いいたします。
○楠田統計管理官 御質問ありがとうございます。
新型コロナウイルス感染症については、これは「新型コロナウイルス感染症」として死因がつけられたものについて集計をしているということで、いわゆる関連死のようなものは入っていないのですけれども、新型コロナウイルス感染症の死亡数は、令和4年が一番多く出ておりまして、4万7638件。令和5年、令和6年は、3万8086、3万5865と若干下がりまして、今回令和7年が2万1497人ということで、傾向としては減少傾向にあり、特に令和6年から令和7年にかけてはかなりその死亡数は減ってきているのではないかと見ております。
○津谷部会長 ありがとうございました。
藤澤委員、よろしいでしょうか。
○藤澤委員 はい。ありがとうございます。
○津谷部会長 ありがとうございました。
そのほか、御意見や御質問はございませんか。和田委員、お願いいたします。
○和田委員 1点だけ。先ほどの小西委員の結婚の届け出時年齢だけではなくて、結婚生活が入った年齢の婚姻率の動きを見たらどうかという御意見があったのですけれども、それはそんなに違いますか。結婚生活が入った年齢の定義というのは、日本の場合、途中歴史的な変遷はあるのですが、現在は結婚式を挙げた、もしくは同居したほうの早いほうの年齢というのが定義されています。それと届出時の年齢というのは、私の感覚なので、平均初婚年齢自体は、いわゆる結婚生活に入った年齢で計算しているのではないかと思うのですけれども、それも今、若干上がってきている。いわゆる晩婚化が進んでいるというのが分かるのですが、検定したわけではないけれども、それほど平均値に差が出るのかなと思ったのだけれども、その辺りの知見があったら教えていただきたいということです。
○津谷部会長 楠田統計管理官、お願いいたします。
○楠田統計管理官 その辺りは実際には分析がこれからというところでございまして、委員がおっしゃるように、今の平均初婚年齢というのは結婚生活に入った年齢、同居を開始したときか、結婚の挙式をしたとき、いずれか早いほうの年齢を見ていて、付け加えるならば、同居時と届出時が同年のものについて見ているということで、少し抜け落ちているものもありますので、それを含んだ上で、届出時で平均初婚年齢を計算してみたときに、どのくらい違いがあるのかという分析はこれからの課題とさせていただきたいと考えております。
○津谷部会長 ありがとうございました。
和田委員、そして小西委員、よろしいでしょうか。
岩澤部長からもお手が挙がっております。お願いいたします。
○岩澤人口動向研究部長(社人研) 今のことで補足させていただきますと、社人研の人口推計で初婚の分析もするのですけれども、そのときは、同居年齢というものを基準に集計をすることにしております。今、和田委員からの御指摘の通り、その差については、70年代、80年代は少し差が大きくて、少しずつその差が縮まったような傾向はあるのですが、ただ、足元で見てみますと、コロナのときにやや届出年齢が遅れたということがあったような雰囲気も出ておりまして、その辺り、今回は大変重要なところかと思います。届出の婚姻の統計を見るときに、もしかしたらそこに違いがありますと、実態とずれているというようなことがありますので、そこは丁寧にやっていきたいと思っております。重要な御指摘だったと思いますので、ありがとうございました。
○津谷部会長 岩澤部長、ありがとうございました。
将来人口推計では、女性の結婚年齢を妊娠・出産のリスクが実際に開始されるタイミングの指標として扱っておられると思いますので、これは適切かつ必要な対応かと思います。これは大変重要なことであり、今後も注視していきたいと思います。ありがとうございました。
そのほか、よろしいでしょうか。小西委員、どうぞ。
○小西委員 ありがとうございます。
今の岩澤部長のコメントについて1つだけ追加させていただきたいのですけれども、私の先ほどの発言の意図は、今、岩澤部長がおっしゃったように、届出が遅れるパターンがコロナによって変わった可能性があるのではないかというところから発しておりました。具体的に申しますと、コロナ禍で結婚式が挙げられなかったために、結婚生活は始めたのだけれども、届出は出していなかった方々が2024年とか2025年に届出を出したことによって、もしかすると届出件数が増えたのではないか。とすると、届出件数が増えた割には実際に結婚生活を始めた方の数はそれほど増えていないのかもしれない。とすると、出生への影響も、届出件数の上昇ほどには影響しないかもしれないという推測から申し上げた発言でした。
以上、補足です。
○津谷部会長 ありがとうございました。
野村委員、お願いいたします。
○野村委員 何度も失礼いたします。野村です。
私、実際超過死亡のアプローチで婚姻数の増減を論文化しておりまして、20年の複数の月と、2021年4月にしっかり婚姻数が減っているという現象が確認されておりまして、緊急事態宣言の時期に結構減少していたのです。出生数も、20年12月から21年2月にかけて有意に減っていたので、そういった影響が今になってちょっと出ているというのが、ひょっとしたら30~34歳における第1子の増加に影響していないというのは言いづらいのではないか。何かしら影響している可能性があるかなと思います。
○津谷部会長 ありがとうございました。
よろしいでしょうか。
委員の皆様から大変活発かつ有用な御議論をいただき、ありがとうございました。
それでは、本日最後の議事に移りたいと思います。「将来推計人口とは-その役割と仕組み-」について、国立社会保障・人口問題研究所の岩澤部長より御説明をお願いいたします。
○岩澤人口動向研究部長(社人研) 国立社会保障・人口問題研究所人口動向研究部長の岩澤でございます。
資料は5を見ながらお聞きいただきたいと思います。20分程度お時間をいただく予定でございます。今後、将来推計人口の方法論や考え方について御審議いただくことになりますので、将来推計人口について、基本的な役割と仕組みについて御説明したいと思います。
2ページを御覧ください。
日本の将来推計人口は、社人研が1997年以前は厚生省人口問題研究所という名前で、戦前から継続して公表しているもので、現在は国勢調査の公表に併せて5年ごとに実施しております。最新の推計は2023年に公表した令和5年推計となっております。
この結果は、地域別将来人口推計、全国および都道府県別世帯数の推計の基礎データになっていますほか、公的年金制度の財政検証、労働力需給の見込み、内閣府のほうの中長期の経済財政に関する試算、厚労省の医療計画とか、本日各省庁の幹事の皆様にも御参加いただいておりますが、様々な省庁での社会計画、地方自治体における計画の基礎資料として活用されてございます。
推計対象は、外国人を含む日本に常住する総人口となりまして、参考として、日本人人口に限定した結果についても出しております。推計期間は、基準年から50年間ですけれども、参考として100年間の結果を出しております。
国勢調査に併せ、各年の10月1日時点の人口を推計しています。
推計は、出生・死亡・国際人口移動の仮定に基づき、コーホート要因法という方法で年齢各歳別・男女別に算出しております。
3ページを御覧ください。
施策とか研究開発の立案、経済見通し等に活用されますので、客観的及び中立的に行われる必要があり、それを実現するために正確なデータ、そして科学的手法を用いるということが求められます。
ただし、将来は不確定なものでございます。残念ながら科学的に将来の社会を定量的に正確に描く方法は存在しません。1つには、現代科学において測定とその手法というものが不完全であること。2つには、まだ起きていない未来の出来事を全て把握するということは不可能だからと言えます。我々にできることは、専門的観点を重視し、現状で求め得る最良のデータと最良の手法を組み合わせて客観的な推計を行い、その根拠と仮定をしっかり説明することだと考えております。
4ページを御覧ください。
ここで科学における予測について考えてみたいと思います。科学的用語には「統計的推定」というものがありますが、これは実測データに基づいて、母集団の特性、母数、あるいはパラメータと言われているものを統計的手法によって割り出すということを意味します。
では、未来の事象は統計的推定の対象かと言いますと、現在において未来は「分からない」のではなくて、「存在しない」と考えることができます。そうだとすると、そもそも母数がまだ存在しない未来は、統計的な推定の対象とはなり得ないことになります。
では、科学的予測とは何かといいますと、現存の母数の推定ではなくて、シミュレーションだということになります。初期値をあらかじめ用意した因果モデルに投入して得られたシミュレーションの結果が科学的予測ということになります。
さらに、科学的予測には2種類あると考えられます。ここでは天気予報と将来推計人口の違いについて考えてみたいと思います。天候も将来推計人口も未来には事前に知り得ない事態が起こる点は同じです。ただ、天候の未来は、人間が操作することは不能で、将来への備え、雨天でしたら、傘を準備するといったことをするための予測が目的となります。一方で、将来人口は、操作がある程度可能だという面もございます。将来の状況、例えば少子化への対処とともに、少子化を緩和するために方策を講じるなど、働きかけを行うことができます。
つまり、社会科学における予測の主な目的は、将来実現する状況を言い当てるというよりは、現状の状況と趨勢が続いた場合に帰結する状況を示して、我々が今から何を行えばよいのか、それを考える指針を得るということになります。
社人研の過去の推計結果は、毎回少しずつ更新されてきましたが、これは当時の人が将来を見据えて少しずつ行動を変えた結果というものも含まれております。
実際の人口が推計と異なった場合、これは新たな変化や趨勢の変動というものを示しており、その把握ということ自体も重要な役割であると考えております。
ちなみに、総務省が毎月公表している人口推計というものがございまして、日本語ではこの将来推計人口とよく似ていて、違いを聞かれるようなこともあるのですが、こちらは定まった現実の推定というか、現実のことなので、英語も実は違いまして、population estimatesというふうに当てられてございます。
5ページを御覧ください。
先ほど述べましたように、将来人口推計は、基本的には予測、フォーキャストではなく、我々は、プロジェクション、投影と考えますが、シミュレーションだと考えております。ただ、将来人口推計が予測として用いられるということも我々は理解しておりまして、予測として活用できるかは、その前提、仮定の捉え方に依存するのではないかと思います。前提として蓋然性が高いと捉えれば、推計も予測と見なせますが、仮想的であると捉えれば、それは仮想的な結果ということになります。
未来を正確に言い当てるためには、本来、経済変動とか政策や自然災害とか、急激な意識の変化なども前提に組み込まなければならないと思います。しかし、不確実な要因を織り込もうとすると、推計に恣意性が入り、客観性が損なわれるという懸念がございます。
そこで大きく2つに分けて推計を行っております。客観性・中立性を優先した実績の趨勢に基づく投影は本推計とし、多様な用途における共通の基準としての将来像を提供します。一方、現状では現実性が低い仮定に基づき、投影し、あり得る将来を示すというのが条件付推計と呼びまして、不確実な未来に備えるシミュレーションとして活用されます。
6ページを御覧ください。
人口の投影に使う仮定は、人口学的データである出生・死亡・国際人口移動のみです。これに対し、経済の変化や意識の変化を織り込まなくてよいのかといった疑問を持たれるかもしれません。実は将来人口推計が社会経済的な動態を反映していないというふうには考えないでいただきたい。それは誤りだと考えております。なぜなら、前提として用いる人口動態には既に社会経済の影響が含まれていると言えるからです。
社会経済要因を明示的に組み込むことには、一方で様々な問題がございます。何の変数を予測に使うかといった変数選択において恣意性が入ってしまい、客観的ではなくなってしまいます。また、人口動態と社会経済変数の関係ついて、確立された普遍的な定量モデルというものも存在しません。不十分なモデルを推計に使うと不確実性がかえって増してしまうということがあります。
人口と社会経済は相互に影響し合うと考えられますが、両者を内生化した実用的なモデルというものも未発達であります。
さらに、現実的な問題として、社会経済の将来、例えば景気とか意識などを推計期間50年間にわたって高精度で予測すること自体が人口以上に困難だと言えます。
そして、実務上は、人口推計を基に社会経済や政策の将来を考えるという順序が採用されております。そういう意味で、特定の社会経済状況を前提としてしまいますと、そうした社会経済推計と矛盾が生じてしまうということがございます。
7ページを御覧ください。
こちらは今、述べた人口動態と社会経済変数の関係、問題点をまとめたものでございますが、社会経済動態の趨勢は人口の投影に使わないのではなくて、社会経済動態の影響は既に将来推計人口に間接的に組み込まれていると理解しております。
8ページをお願いいたします。
続いて、不確実性についてお話しします。先ほど未来は未確定、あるいは不確実性があるという話をしましたが、この不確実性について、全く分からないのではなく、ある程度整理して理解することも可能だと思います。将来推計人口の不確実性の原因は多様です。ただし、大きく分けると、基にした実績データや統計的手法に由来する不確実性と、推計された人口推移の実現性に関わる不確実性と2種類あると考えることができます。
前者については、実績データの趨勢を投影して得るものですが、趨勢の捉え方などによって投影結果というものは必ずしも一意に定まらず、一定の幅として捉えられます。これが本推計における例えば出生3仮定、死亡3仮定が設定されている理由となります。
後者については、今後の働きかけによって変えられる状況、または実績データからは実現すると想定できないような状況も含め、仮定が変わることで将来人口がどのように変わるのか、その影響を評価することを目的として、条件付推計という名前で実施されております。
令和5年推計では、以下の条件付推計を策定しました。まず、現状一定仮定及び封鎖人口による将来推計人口。それから、機械的に設定したレベルの出生及び国際人口移動の仮定による将来推計人口というものです。
新推計におきましても、趨勢の捉え方による不確実性は本推計における複数仮定で表現し、不測の変化を想定した場合や、仮定時の違いによる感応度を評価するといった目的で条件付推計を活用されるということで、そうしたものも設定する、策定する予定でございます。
9ページをお願いいたします。
ここで将来推計人口の基本的な考え方をまとめますが、公的将来推計人口は、将来社会を構想する際の基準または指針を得るために活用されています。
人口投影は、現在社会が向かっている方向にそのまま進行した場合に実現するであろう人口の姿を捉えることができます。
その前提が予測として認められるのであれば、将来推計人口は、将来実現すべき人口の予測として捉えられます。逆に現状では根拠に乏しく、実現性が低い仮定を用いた場合は、一つのシミュレーション結果として活用できます。
実績データの趨勢を投影したものは恣意性が少なく、中立的となりますし、実験的、機会的に様々な水準を投影したものは、仮定値の幅の影響度を把握することに有効だと考えられます。
とりわけ、社会における様々な施策計画や市場計画が、中立的将来推計である本推計を共通に用いられるということで、それらの間の整合性が図られます。また、比較可能性も保たれるという意味で、本推計というのは有益であると考えます。
10ページをお願いいたします。
ここからは将来推計の仕組みについて少し具体的に御説明します。こちらの図は、将来推計で使用するコーホート要因法による推計の計算手順を示しております。一番左に出発点である当年の人口があります。これが基準人口というものです。X歳の集団は翌年X+1歳になります。このとき、右側に矢印で示したように、X歳の人口は仮定された生残率、死亡が起きやすさの仮定に従って死亡者が除かれます。同時に、国際人口移動の仮定により、外国に出たり、外国から日本に入ってきたりする。その結果、X+1歳の人口が決まります。
0歳以上はこの仕組みで推計されますが、新たに加わる0歳人口は、右側にありますように、子供を産む年齢層の女性と年齢別出生率の仮定に基づいて出生が発生し、それが出生性比の仮定により男女別に分けられます。その後、生残率による死亡と国際人口移動仮定による出入りを経て、0歳の男女別人口が決まります。
11ページをお願いいたします。
具体的な仮定値は、出生・死亡・国際人口移動、それぞれが用意されます。出生に関しては、女性の年齢別出生率と生まれた子供を男女に分ける出生性比を仮定します。なお、合計特殊出生率の推移をそのまま投影しているというわけではございません。死亡については、男女・年齢別の生残率。これは翌年までに亡くならずに、生き残る確率ですが、これを決めます。そして、国際人口移動については、日本人、外国人それぞれについて、男女・年齢別に国際人口移動の仮定を置きます。
先ほど仮定設定は過去から現在に至る傾向、趨勢を将来に投影と説明しましたように、そのイメージを右側に示しました。人口変動要因の時間的変化を表す何らかの人口学的指標、あるいはモデルにおける変化を要約するようなパラメータを過去から現在まで観察し、その趨勢を将来に投影する。そして用いております。
12ページをお願いいたします。
こちらは3つの異なる時代のピラミッド、すなわち性別・年齢別人口が描かれていますが、これを形づくるために設定される仮定が示されております。スライドの下に①として女性の年齢別出生率のパターン。その右横に推計された出生数を男女別に分ける出生性比の仮定が示されています。
上の右に②として年齢別生残率と推計された男女別の死亡数が示されています。死亡は高齢で多く発生しますが、それが男女別の人口に反映されます。
真ん中の左の③として外国人の年齢別入国超過数の仮定が示されています。足元で見られる20代で多いパターンを仮定として採用し、人口に反映させます。
13ページをお願いいたします。
将来人口推計の役割と仕組みについてまとめてみたいと思います。将来人口推計は広範な分野で使われており、客観性と中立性が求められます。将来人口推計は、人口変動要因の動向に一定の仮定を設定して人口を計算するものです。人口投影という考え方に基づいて行われます。手法としては、コーホート要因法が国際的にも標準的な方法となっております。
コーホート要因法とは、出生・死亡・移動等の人口変動要因に基づいて、コーホートごとに将来の人口を推計する方法です。将来の出生動向、将来の死亡動向、将来の国際人口移動の動向を仮定して用います。国など公的機関が行う将来人口推計では、これらの人口動態要因についても、人口統計データの傾向を将来に投影することにより仮定設定を行います。
測定値が持つばらつきの投影の仕方に起因する将来の不確実性は、本推計における高位、中位、低位による複数仮定による幅として表現されます。
さらに、現状では科学的根拠が乏しいのですけれども、あり得る未来状況について、幅広い状況を想定した条件付推計によって、不測の社会変化のインパクトを知ることができます。
社会経済環境の趨勢は、人口統計データを介して仮定設定に間接的に反映されていると考えておりまして、直接的に推計には用いません。その理由としては、社会経済変数の投影を人口と同程度の中立的客観性、説明可能性を持って推計方法が未発達であるということ、推計人口を入力値として予測される社会経済状況と矛盾するといった問題点が挙げられます。
14ページをお願いいたします。
最後に、小さい情報ですけれども、参考資料として諸外国でも実施されている公的将来人口推計及び国連が加盟国について実施している世界人口推計について、直近の推計の概要をまとめたものをお示ししました。次のスライドと2ページにわたっておりますが、ここで挙げた全ての推計でコーホート要因法が使われていること。それから、推計期間は、本推計は50年程度、参考として100年程度を実施しているところが多く見られます。また、出生率、死亡率、国際人口移動に関して、複数の仮定、水準で将来の不確実性の幅を表現していることが分かります。
日本における条件付推計に類する特別シナリオとかモデル推計といったものを活用している国もございます。こうした諸外国国連推計の結果の提供の仕方なども参考にして、今般の新推計の公表の仕方についても検討してまいりたいと思っております。
以上でございます。
○津谷部会長 岩澤部長、ありがとうございました。
ただいま御説明のありました「将来推計人口とは―その役割と仕組み―」について、御質問や御意見がありましたら、お願いいたします。これまでと同様に、まず会場に出席されている委員の方々に御発言をお願いし、その後、オンライン出席の委員の皆様にお伺いいたしたいと思います。それでは、野村委員、どうぞ。
○野村委員 ありがとうございます。
岩澤先生、非常に議論されている点だと思うのですけれども、コロナ禍の年齢別死亡率のデータは、今後はどのように扱う議論が今、行われているのでしょうか。
○津谷部会長 岩澤部長、お答えをお願いいたします。
○岩澤人口動向研究部長(社人研) ありがとうございます。
これから仮定設定を考えていくのですが、人口学というのは、人口学的率といいますか、事象については、国勢調査がしっかり出て、単位時間当たりの率というものを見ないと、数だけで減った・増えたで評価できないところがございまして、それが出たら本格的にいろんな角度から分析したいとは思っています。ただ、1つ分かっているのは、コロナ禍の死亡というのは、これまでの中長期の傾向とは全く違うということが分かっておりますので、それをベースにやるということがなかなかできないと考えております。なので、まずは最新のところでどのぐらい通常に戻ってきているのかとか、あるいはその直前というものがどうだったのか。それは今回の実績と推計値の違いのようなものももう少ししっかり見ていって、どの辺りを基準として使えるかというのはこれからしっかりやっていきたいと思っております。
○野村委員 ありがとうございます。
やはり一意に1つ決めてやるという感じになるのですか。複数の方法論を採用するのかという話ではなく、ほかの国をいろいろ見てみたのですけれども、大分選択肢が違うなと思っていて、フランスとかだと、完全にコロナ禍の2020~2022年のデータを長期トレンドの推定から除いてモデル化したり、イギリスとかは、もういいでしょという感じで、最新の推計ではコロナ禍も含めた1975~2024年のデータを各年同じ重みで使って、シンプルにモデルを当てはめていたような気がするのです。カナダとかはアンサンブルモデルですかね。コロナ禍を完全に入れない場合、つまり2019年までのデータで推定した場合と全部入れた場合、つまり2023年までのデータを使った場合の2つを重みづけして、将来に向かうにつれてコロナ禍の影響が小さくなっていくだろうというシナリオを設けてやるというやり方があって、ああ、どれも納得いくなと。一方で、どれか1つだけ出すと、それは違うのではないかという突っ込みどころがいろんなところから出てきそうだなというのもありまして。コメントです。
○岩澤人口動向研究部長(社人研) ありがとうございます。
まさにそういう議論が出てくるという情報を今いただきました。選択肢としてある、一応基本推計というものについては、皆さんが共通で使うものになりますので、こちらがいろいろあればいいというものではなくて、多分我々がこれを標準で使うのがよいと、恐らくそこまで考えて出さなければいけないと思います。各国いろいろあるという場合ですが、コロナの状況が国によっても随分違うということがありますので、日本のコロナの状況に合った考え方をしっかり説明していきたいと思っております。
ありがとうございます。
○津谷部会長 ありがとうございました。
次に、金子委員、お願いいたします。
○金子委員 今、野村委員からの御質問の年齢別死亡率をどう扱うかというのは、どの辺に議論があるということなのでしょうか。
○野村委員 私の理解が間違っていたら違うと言っていただきたいのですが、過去のデータを使って、それぞれの年の年齢別の死亡率を使った上で、将来どういった年齢別の死亡率になるか。そこから、各年の年齢別の生残率を計算して、それをベースに人口を推計していくことになると思うので、インプットのデータ、要は、2040年、41年、42年の各年齢層における死亡率がどういう軌跡をたどるかを将来推計する際に、過去のデータを使うことになるので、その際にコロナ禍といういわゆるイレギュラーなものを使うと、推計の歪みが生じるのではないかという懸念でございました。
○金子委員 コロナ禍の影響の推計における扱いということですね。
○野村委員 はい。
○金子委員 分かりました。
基本的には投影によって将来生命表をつくる形でやるということなので、長期的にはコロナ禍の影響は取り除いた形のものになるという理解でよろしいですか。もちろん、まだコロナ禍の影響がある範囲においてはそれをどう反映するかというのは、今のお話のように難しい議論があるということですね。
○津谷部会長 岩澤部長、どうぞ。
○岩澤人口動向研究部長(社人研) 方法論については次のときに細かくやりますけれども、これまではリー・カーター・モデルという死亡の推計、推定方法を使っております。その場合は直近の状況というもの、パラメータを推定する場合も基本の年齢パターンを推計するときも直近を使うのですが、その直近は、コロナの時期を除くのか、コロナの影響が少しあるということでやるのかというのは考える必要があると。そういうふうに理解しました。今、生命表とか超過死亡の研究というのは、社人研でやっている一般会計のプロジェクトでも、コロナの辺りの死亡の変化というのに特化した研究をやっておりまして、論文が今度9月に人口問題研究で出るのですけれども、そういうものも参考にして、中長期に与える影響というものを少し説明できるような形で次回は準備したいと思っております。
○津谷部会長 ありがとうございました。
お話を伺っていて思い出したことがありますので、一言申し上げたいと思います。私はかなり長い間、人口部会の委員をつとめておりますが、今回の将来推計へのコロナ禍の影響という御質問から、東日本大震災の将来推計への影響について検討した時のことを思い出しました。東日本大震災では東北地方を中心に多くの死者が出ました。また、福島の原発事故のため外国人が大挙して出国したことで、国際人口移動も大幅な移出超過となりました。しかし、出国した外国人はその後間もなく相当数が日本に戻られ、また、震災による死亡の影響についても、中長期的にはそこまで大きなインパクトは認められなかった、特に生命表を変えるほどの大きな影響はなかったという結論が導かれたのではと思います。これが、さきほど金子委員がおっしゃったことではないかと思います。
とはいえ、コロナ禍の将来人口推計への影響は社会的な関心を集める事柄であり、特に女性の結婚と出生は、20代後半から30代前半という狭い年齢幅で起こっていますので、これにコロナ禍が影響を与えた可能性は否定できません。つまり、コロナ禍による産み控え、産み止めはあるかもしれませんが、死亡への影響は限られているのではないかと思います。いずれにしても、新型コロナ感染症の生命表への影響については、今回の将来推計で御検討いただけると思います。
会場に御出席の委員の方々で、ほかに御質問はございませんか。山内委員、お願いいたします。
○山内委員 早稲田大学の山内です。御説明いただきましてありがとうございました。考え方等について整理してくださって、私にとっても非常に勉強になりました。
質問というより半ばコメントでもありますが、国際人口移動の仮定のところについて、仮定の詳細をどうするかは別の機会に譲り、これまで1つの仮定でずっと推計をされてきたものを、例えば3つの仮定を設定するといった形でバリエーションを設ける可能性についてお伺いさせてください。
その理由としては、御説明にもありましたけれども、将来推計人口自体が社会に対するある種のメッセージ、考えてもらう材料でもあることを考えますと、外国籍の人口が今後どれぐらい増えるのかというのは、人口についての関心事項の一つかなと思いますので、ある程度幅を持って示していただく方が、いろいろと考えていく上で有用ではないかと思っています。
これまでの推計でも幾つかシミュレーションがなされていることは理解しているのですが、そこまで見てくださる利用者の方はあまり多くないのかなと正直思っています。ただ一方で、この基本となるメインの推計のところで、国際人口移動に3つの仮定を設けると、出生と死亡それぞれ3つの仮定があるとすれば27もの推計の結果を示すことになりますので、それはそれで煩雑になります。悩ましいところではあるのですけれども、現状、どのようにお考えなのかをお聞かせいただければと思います。
以上です。
○津谷部会長 岩澤部長、是川部長、この時点でお答えになれることがありましたら、お聞かせください。
○岩澤人口動向研究部長(社人研) ありがとうございます。
まさに前回ぐらいから外国人が急に変化が起きておりましたので、変化が起きているということは不確実性が高まっているということです。前回は条件付推計という形でやり、まずはいろんな利用法もあるだろうということで、実際にそういうものが財政検証でも使われているとかそういう形です。ですから、前回それをやってよかったなと思っております。
今度はそれを本推計という形でやるかどうかなのですけれども、今回お示ししたように、条件付推計と本推計というのは、一応考え方を分けておりまして、条件付推計はある意味いろんなシミュレーションとか感応度分析という形で使えるというイメージなのですが、本推計になりますと、投影という考え方になりますので、外国人の入国超過というものの変化を投影と仮に仮定を設定したときに、前回は直近のレベルが続くというのは、ある程度投影という考え方になるのですけれども、それを変えた場合にどういう考え方を示せるかと。その辺で説明がいくかどうかというところにかかってくるのではないかなと思うので、次回以降、皆さまにそういうこともお聞きしたいというところがあって、その中で決めていきたいというところもあります。現状でこうしていこうというのは、まだ決めていない段階でございます。
○津谷部会長 是川部長、何か付け加えることがありましたら、お願いいたします。
○是川国際関係部長(社人研) 御質問ありがとうございます。
我々としても非常に重要な点と考えております。一方で、今、岩澤のほうから説明がありましたように、出生、死亡の仮定のように高、中、低といったような、同じような確度仮定をつくれるかというと、そこまでのものでもないのかなとちょっと懸念しております。
というのは、国際人口移動は、発生のメカニズムが国内ではなく、国外にありますし、メカニズムとしても及ぶ範囲が広く、地理的にも非常に多くの国から日本に人がやってきているという状態もあります。国際的な情勢の変化とか、また、これまでの実際のデータの変動を見ても、そのボラティリティーが非常に高いということもありますので、これをどういうふうに情報として要約して、幅を見ていく上での有益な情報として用いていけるかということについても引き続き議論させていただければと思います。
以上です。
○津谷部会長 ありがとうございました。
山内委員、よろしいでしょうか。
○山内委員 はい。
○津谷部会長 そのほか、御質問や御意見はございませんか。増田委員、お願いいたします。
○増田委員 駒澤大学の増田です。
今の山内先生の御指摘と関連するのですけれども、個人的には、今、日本国内にいる外国人の出生率自体に複数の仮定を置いてみることも有意義なのかなと思っていて、まだ全然分かりませんが、育成就労制度に移行すれば、結果として定住が促される可能性もありますが、その場合出生率も若干変化するのかなという気もしているのです。
その中で、御質問ですが、諸外国の人口推計の様々な情報が参考資料としてありますけれども、もしお分かりであれば教えていただきたいのですが、この中で移民の出生率自体について複数の仮定を置いているような国があるのかどうか。もしお分かりであれば教えていただきたいと思います。よろしくお願いします。
○津谷部会長 岩澤部長、よろしいでしょうか。資料5の最後に参考資料として示されている部分についてです。
○岩澤人口動向研究部長(社人研) まず、諸外国の推計を見ていて思うことは、日本は国籍というものが明確なので、当たり前のような統計としてあるのですが、諸外国は、例えば外国生まれのようなもので出ていた場合があったり、国籍といっても、たくさん国籍を持っている方がいるということで、外国人という考え方が日本と違うというところもあるのです。ただ、もちろん、移民というふうに捉えて、移民の出生率が送り出し国によって違うとか、そういう分析はされていると思うので、そういうところは参考になると思うのですけれども、日本については、基本的には現状では働きに来るために来ています。先ほどちらっと人口ピラミッドの図で入国超過の年齢別のパターンがありましたが、働きに来る年齢で入ってきて、働いたり、勉強しに来たりするので、子供を持つために来るという人が少ないので、現状では極めて出生率が低いのです。
もし足元で出生率が高くなってきたということがあったら、それを反映して投影しますけれども、足元で出生率が低いままでしたら、投影の考え方でいくと、そのまま低いということになりますが、条件付推計でも今まで外国人の出生率をわざわざ明示的に入れているものではなかったのですが、今、お話を伺って、その辺に御関心がある方がもしかしたらいるかもしれないということで、外国人の出生率についての情報、少なくとも現状についてもう少ししっかり分析する必要があるかなと今、認識しましたので、参考にさせていただきたいと思います。ありがとうございます。
○津谷部会長 よろしいでしょうか。
○増田委員 ありがとうございました。
○津谷部会長 是川部長、何か付け加えることはございますか。
○是川国際関係部長(社人研) 大丈夫です。
○津谷部会長 それでは、和田委員、お願いいたします。
○和田委員 山内委員の関連で。国際人口移動のところは「人口移動」としか書いていなくて、率とは書いていないですが、これは数でいきますか、それとも率でいきますか。これは流入と流出でリスクの対応関係もちょっと難しいと思うのですけれども、今のところ想定としてはどうですか。
○岩澤人口動向研究部長(社人研) 前回の推計では、外国人は最初「入国超過数」で仮定を置きまして、途中の年次、2040年ぐらいからは総人口に対する年齢別の「率」として、それを一定としてというふうに入れておりますので、数の率の両方というか、2つともあります。
○和田委員 率で行くと。これは人口移動だけれども、入国超過率、年齢別で行きますか。両方使うというイメージですか。
○岩澤人口動向研究部長(社人研) そうですね。もし前回どおりでしたら、数でまず決めて、それを年齢別に分けるというやり方ですね。
○和田委員 分かりました。ありがとうございました。
○津谷部会長 金子委員からも一言ということです。金子委員、お願いいたします。
○金子委員 時間が押しておりますので、速効で行きます。
今日御説明いただいた将来推計の役割、仕組みといったことは、推計の使い方、見方に関わるので、これをもっと要約した形でもいいと思うのですけれども、報告書であるとか公表資料に活用することがよろしいのではないかというのが1点。
それから、外国人の話はちょっと長くなるので要約しますが、外国人のモデルのほうも、今後の発展に向けて、諸外国の状況、すなわち諸外国でも高齢化、人口減少が進んでいますので、それとの関係での出入りの影響も長期にはあるはずなので、そういったことを取り入れたモデルをデータの収集も含めてやっていけたらよいのではないかと思います。今後に向けて是川部長に期待するところであります。
もう一つ、先週公表された出生動向基本調査、今回は資料に含めていないようですが、今後それがこの部会でも俎上にのって、御説明いただけるということでしょうか。
○津谷部会長 岩澤部長、お答えをお願いいたします。
○岩澤人口動向研究部長(社人研) ありがとうございます。
まず、今日の考え方、報告書ということで、前回も実は報告書の3部とか4部にそういう考え方を載せておりまして、今回もそのような形で載せる予定にしております。
外国人については、マクロなもの、あるいはまさに移民の理論というものについては、是川部長も御専門なので、そういう背景について、それを推計に入れるという話ではなくて、現状の外国人の動向をどう理解するかというところで、そういう説明の場は設けられるとよいかなと思っております。
出生動向基本調査も同様で、出生の仮定を説明するときに少し補足的に参照させていただくことがあるかと思います。
以上でございます。
○津谷部会長 ありがとうございました。
では、長らくお待たせいたしました。オンラインで御出席の委員の皆様からの御質問や御意見をお受けしたいと思います。挙手をいただいた順番に指名いたします。まず、寺井委員、お願いいたします。
○寺井委員 丁寧な御説明をいただきましてありがとうございます。
私、実は年金数理部会というところにおりまして、将来人口推計を使わせていただいている身ですので、せっかくの機会ですのでコメントを1つ申し上げたいと思います。それはもう既に多くの委員の方がおっしゃっている国際人口移動のことについてです。年金数理部会では毎年度厚生年金や国民年金等の各制度の財政状況報告書を作成しているのですが、ついこの間6月に報告をしたことの中で一番のポイントとなったのが、国民年金第1号被保険者や厚生年金被保険者のそれぞれの数が、実績が将来見通しを上回ったということなのです。年金数理部会ではその要因を考えたのですけれども、要因としては、外国人入国超過数の実績が令和5年推計における仮定値を上回っている、それが影響していると結論づけているのです。
お伝えしたいのは、乖離があったということでは決してなくて、外国人労働者のインパクトが非常に大きくなっているという実感なのです。特に年金財政については、合計特殊出生率の低下傾向が続いていますので、外国人入国超過数が年金財政に与えるインパクトが大きくなっています。
これまでの説明を伺って、国際移動についての推計は非常に難しいということは本当によく理解している反面、利用される場面は非常に増えていて、関心も高まっているということをお伝えしたく、もう既にほかの委員の方もおっしゃっていますけれども、どのような前提を置くのかというのをしっかりと検討するとともに、使う側の身になって、解釈する際にどういうところを留意しながら解釈しなくてはいけないかということも、この部会で検討する過程で明らかにしていく必要があるかなと思っています。
私からは以上です。
○津谷部会長 有用なコメント、ありがとうございました。
これについて、もし何かレスポンスがございましたらお願いいたします。
○是川国際関係部長(社人研) ありがとうございます。
推計を使ってくださって非常にありがたいなと思いましたし、外国人のところについて今後重要になってくるという点、よく理解いたしました。今の御指摘で私自身が非常に重要だなと思っておりますのが、ユーザーの側でどういう数字なのかしっかり解釈できるようなものとしてという点かなとお聞きしました。というのは、単に高位、中位、低位のような一般的なラベリングをするだけですと、使う側としてそれがどの程度の確度のものかというのが分かりにくいということかなと思いまして、これまでの実績などを、どの部分の情報を活用したのかとか、そこにどういった判断が含まれているのかということも併せてお示しするような形で検討していければなと思ったところです。
現時点での感想めいたものとなりますが、以上です。
○津谷部会長 ありがとうございました。
よろしいでしょうか。
○寺井委員 はい。ありがとうございます。
○津谷部会長 笹野委員からもお手が挙がっております。笹野委員、お願いいたします。
○笹野委員 丁寧な御説明ありがとうございました。
資料5の11ページの御説明で過去の趨勢を将来に投影する際のお話が出ていたのですが、コロナの影響について少し追加で御質問させていただきたいと思います。近年お隣の韓国では2024年、2025年と出生数や合計特殊出生率が上昇していて、その背景として、現在、出産期に当たる年齢層の人口が多いことに加えて、コロナ禍の影響で先送りされていた婚姻が実現しているということが指摘されています。一方、本日拝見した資料では、日本でも婚姻件数自体は2年連続で増加しているのが見られますし、30~34歳の出生数も増加しているものの、全体の出生数や合計特殊出生率が低下しているのが見られました。これは日本でも一部では先送り分の実現が起きているけれども、ほかの年齢層や第2子以降の減少などによって全体としては増加に至っていないと考えられるのでしょうか。それとも、先送りされた婚姻・出生がその後に実現する程度自体が限定的だと考えるべきなのでしょうか。こうした一時的なタイミングの変化と、その世代が最終的に結婚する割合や持つ子供の数の変化をどのような指標や観察期間で見極めて、次期推計の出生仮定に反映されるのか教えていただければありがたいです。よろしくお願いいたします。
○津谷部会長 岩澤部長、いかがでございましょうか。
○岩澤人口動向研究部長(社人研) 私も日本の状況を考えるときに韓国の状況と比較するというのは大変有用だなと思っていまして、同じように東アジアで出生率が低いのですけれども、韓国との違いもしっかりある。というのは、韓国のこれまでの落ち込みというのが日本以上に激しい落ち込みだったものですから、そういう場合の取り戻し効果と、日本のようにかなり前から落ち込んでいて、今回、多少コロナの後の取り戻しがあるかもしれませんけれども、韓国ほどはそれが期待できないというふうにも見られるのではないかと思っておりまして、私は、韓国と比較すると、韓国ほどの取り戻しは今のところ見えていないと評価しております。
ただ、2025年の数値がはっきり出ているわけではないので、もちろん細かいことは次回以降の部会で説明したいと思いますが、基本的には人口動態の最新の動向を重視して将来に投影するということになるかと思っております。細かいことは次回以降もうちょっとデータに基づいて説明させていただければよいかな。今、問題意識はしっかり理解しましたので、そういう資料をつくっていきたいと思います。ありがとうございます。
○津谷部会長 ありがとうございました。よろしいでしょうか。
○笹野委員 承知しました。
○津谷部会長 富田委員からもお手が挙がっております。富田委員、お願いいたします。
○富田委員 時間が超過しておりますので、手短にお話しさせていただきます。
根本的に将来人口推計は何のためにあるかという原点に立ち戻ってみると、単なる数合わせではなくて、どうやって政策、施策にこれを有用に使ってもらえるかという原点に戻る必要があると思うのです。
ただ、そういう政策ニーズがあるにもかかわらず、人口推計は、3つの人口パラメータのみで推計がなされていて、経済社会的な変数とか政策変数が明示的に組み込まれないという、この辺にギャップを感じています。先ほど寺井委員がおっしゃっていたように、社人研から出る将来人口推計というのは非常に重要視され、インパクトも大きいと思うのです。私が考えますに、従来どおり3つのパラメータを使って、最近のトレンド、趨勢から将来を読み解くという基本的な姿勢は変えずに、これはこれで一つのやり方であると認めていいのだと思います。
その一方で、変わっていく社会、政策の影響、これらのインパクトをどう見ていくかと必要もあるわけで、特に今日多くの委員が述べられていた国際人口移動という現象は、政策の変化を無視し得ないと思うのです。ただ、出生・死亡に関しては、ある程度のトレンドを予見できるとしても、国際人口移動の場合、とてもボラタイルで予測が難しいということがあります。
そこで、1つの提案としてお話しさせていただくのですけれども、この基本推計はそのまま維持しながら、特に国際人口移動推計に関しては、もう少し政策動向等を反映したようなプロジクトを別個に社人研のほうで実施してはいかがでしょう。例えば、国連では人口部が2年に一度基本的な人口推計を実施していますが、その余業といいますか、一昔前に「Replacement Migration」というプロジェクトを立ち上げました。急速な出生率の低下を経験している国が人口減を移民で補った場合、どのぐらいの移民をネットで受け入れる必要があるのかという試算なのですが、これは非常に社会的にインパクトがありまして、メディアでも大きく取り上げられました。
つまり、日本政府も外国人の受入れ施策として、特定技能制度とか育成就労制度とか、いろいろ整えておりますし、何と言っても日本社会において共生社会というものをどうやって構築するかということに政府が非常に心を砕いておりますので、そういった政策の影響を考察するという観点からも、その政策を加味した形の人口推計というものを別途していただいてはいかがかと思って提案させていただきます。
以上です。
○津谷部会長 岩澤部長、お考えがありましたら、お願いいたします。
○岩澤人口動向研究部長(社人研) ありがとうございます。
まさに社人研は研究をする機関ということで、この将来推計人口とは別に国際人口移動に関する研究プロジェクトがいろいろ立ち上がって、是川がリーダーになってやっているようなものが幾つかございますので、そちらで研究としてやっていく、特に基本推計が出た後に、このシステムをいろいろ研究に発展させるということはこれまでもやってございましたので、そのような意味では今、たくさんのアイデアが研究者の中で出ているところでございます。
貴重な御意見、ありがとうございました。
○津谷部会長 ありがとうございました。
現在、終了予定時刻を6分ほど超過しております。まだまだ御意見や御質問がおありかと思いますが、誠に申し訳ございませんが、本日の部会はこれまでとさせていただきたいと思います。私の仕切りが十分でなかったにもかかわらず、大変有意義で活発な御議論をいただき、ありがとうございました。本日いただいた御意見や御提案を検討し、これを次回以降の部会審議に反映させていければと思っております。社人研には、これから大変なお仕事が待っていると思いますが、御健闘を期待しております。どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、本日の審議はこれで終了とさせていただきます。
次回の部会の開催について、事務局より御連絡をお願いいたします。
○西澤社会保障政策戦略官 次回の開催につきましては、後日改めて御連絡申し上げます。
本日は誠にありがとうございました。
○津谷部会長 御多忙の折、お集まりいただき、ありがとうございました。
委員の皆様におかれましては、お忙しい中、御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
部会長を選出していただくまでの間、便宜上、私、政策統括官付社会保障政策戦略官の西澤が議事進行を務めさせていただきます。よろしくお願いいたします。
開催に先立ちまして事務的な御連絡を申し上げます。
本日は、会場での御出席とオンラインによる御出席の併用開催とさせていただいております。
オンラインでの御出席の委員におかれましては、御不便をおかけいたしますが、どうぞよろしくお願いいたします。
まず、オンラインで御出席の委員の皆様に御確認させていただきます。画面下のマイクのアイコンは現在ミュート設定としていただいているかと存じます。会議の進行中は、マイクは原則ミュートとさせていただきます。御発言の際には「手を挙げる」ボタンをクリックしていただき、部会長の指名を受けてからミュートを解除し、御発言ください。御発言終了後は、再度ミュートにしていただきますようお願いいたします。音声に不具合等がございましたら、事務局宛てチャットにてお知らせください。
なお、本会議は動画配信システムのライブ配信により、一般公開とさせていただいております。
それでは、初めに政策統括官の田中より御挨拶を申し上げます。
○田中政策統括官 総合政策担当の政策統括官、田中でございます。
本日はお忙しい中、皆様、御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
政策統括官部門で人口部会の所管をさせていただいております。社会保障審議会人口部会は、従来から国勢調査の結果を受けまして、国立社会保障・人口問題研究所が行う将来推計人口について御議論いただくということで、おおむね5年ごとに開催をさせていただいております。
令和7年に実施されました国勢調査の結果も近々公表がされる見込みとなってございますので、次期の将来推計人口の公表に向けて本日から御議論をお願いしたく、開催でお集まりいただいたものでございます。前回は令和5年ということで、将来推計人口の公表をされておりますけれども、その後を見ますと、出生数の減少、総人口の減少。一方で、国際人口移動は増加傾向にある。これが現在、足元の状況でございます。
こうした直近の状況も踏まえながら、次期将来推計人口の手法について検討するということが必要になっております。この将来推計人口ですけれども、これを基に労働力の見通しとか、公的年金をはじめとする社会保障制度、各種の経済社会計画の基礎としても広く用いられておりますので、これが我が国の政策全般に大きな影響を持つということで、極めて重要な基礎資料となっております。委員の皆様お一人お一人の御意見が大変貴重なものとなりますので、ぜひ多角的、専門的な視点から御議論を賜りますようにお願いを申し上げます。これからどうぞよろしくお願いいたします。
○西澤社会保障政策戦略官 続きまして、委員の皆様の御紹介をさせていただきます。
本日は、多くの委員の皆様が新任もしくは再任されまして初めての会合となります。お手元の資料1-1、社会保障審議会人口部会委員名簿を御覧ください。五十音順に御紹介させていただきます。お名前を申し上げますので、一言御挨拶をいただければと思います。
金子隆一明治大学政治経済学部特任教授でございます。
○金子委員 金子でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○西澤社会保障政策戦略官 ありがとうございます。
続きまして、小西祥子東京大学大学院医学系研究科准教授でございます。
○小西委員 小西祥子と申します。今日はオンラインで参加させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
○西澤社会保障政策戦略官 ありがとうございます。
西郷浩早稲田大学政治経済学術院教授でございます。本日は御欠席でございます。
続きまして、笹野美佐恵茨城大学人文社会科学分野講師でございます。
○笹野委員 こんにちは。茨城大学の笹野と申します。来年の夏までサバティカルをいただいておりまして、その間はオンラインでの参加となってしまいますが、どうぞよろしくお願いいたします。
○西澤社会保障政策戦略官 よろしくお願いいたします。ありがとうございます。
続きまして、津谷典子慶應義塾大学名誉教授でございます。
○津谷委員 津谷典子でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○西澤社会保障政策戦略官 ありがとうございます。
寺井公子慶應義塾大学経済学部教授でございます。
○寺井委員 慶應の寺井と申します。オンラインで参加しています。どうぞよろしくお願いいたします。
○西澤社会保障政策戦略官 ありがとうございます。
富田敬子常磐大学理事・特任教授でございます。
○富田委員 富田敬子でございます。茨城からオンラインで参加させていただいております。どうぞよろしくお願いいたします。
○西澤社会保障政策戦略官 永吉希久子東京大学社会科学研究所教授でございます。本日、御欠席でございます。
野村周平東北大学災害科学国際研究所グローバルヘルス政策学分野教授でございます。
○野村委員 野村周平でございます。初めてでございます。よろしくお願いいたします。
○西澤社会保障政策戦略官 続きまして、藤澤陽介早稲田大学大学院会計研究科客員教授でございます。
○藤澤委員 藤澤と申します。よろしくお願いします。
○西澤社会保障政策戦略官 続きまして、増田幹人駒澤大学経済学部准教授でございます。
○増田委員 駒澤大学の増田幹人と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
○西澤社会保障政策戦略官 続きまして、山内昌和早稲田大学教育・総合科学学術院教授でございます。
○山内委員 山内昌和です。どうぞよろしくお願いいたします。
○西澤社会保障政策戦略官 続きまして、吉田尚大読売新聞東京本社編集局生活部編集委員でございます。
○吉田委員 読売新聞の記者で、吉田と申します。今日はよろしくお願いいたします。
○西澤社会保障政策戦略官 和田光平中央大学経済学部教授でございます。
○和田委員 中央大学経済学部で人口分析を担当しております和田光平と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
○西澤社会保障政策戦略官 以上14名の委員の皆様に御就任いただいております。どうぞよろしくお願いいたします。
次に、本日の出欠状況について御報告申し上げます。本日御欠席の委員は、西郷委員、永吉委員でございます。
なお、本日は会場の御出席とオンラインによる御出席を合わせまして12名の委員に御出席いただいており、委員総数の3分の1を超えておりますので、本会議は有効に成立しております。
また、本日の会議には関係府省庁の方々に社会保障審議会幹事として会場またはオンラインにて御出席をいただいております。
続いて、事務局の紹介をいたします。
審議官(総合政策担当)の尾崎でございます。
○尾崎審議官 よろしくお願いいたします。
○西澤社会保障政策戦略官 人口動態・保健社会統計室、統計管理官の楠田です。
○楠田統計管理官 よろしくお願いいたします。
○西澤社会保障政策戦略官 国立社会保障・人口問題研究所の岩澤人口動向研究部長でございます。
○岩澤人口動向研究部長(社人研) よろしくお願いいたします。
○西澤社会保障政策戦略官 同じく、社人研の是川国際関係部長です。
○是川国際関係部長(社人研) よろしくお願いします。
○西澤社会保障政策戦略官 以上で事務局の紹介でございます。
次に配付資料の確認をさせていただきます。
本日の資料は、議事次第のほか、資料1-1「社会保障審議会人口部会委員名簿」、資料1-2「社会保障審議会令(抄)」、資料2「人口部会の今後の進め方について」、資料3-1「令和7年人口動態統計月報年計(概数)の概要」、資料3-2「令和7年人口動態統計月報年計(概数)の概況」、資料4-1「令和7年簡易生命表の概要」、資料4-2「令和7年簡易生命表の概況」、資料5「将来推計人口とは-その役割と仕組み-」を配付しております。
不足等ございましたら、お近くの事務局までお知らせください。
会議冒頭のカメラの頭撮りはここまでとさせていただきます。御退室をお願いいたします。
それでは、議事に入らせていただきます。初めに本部会の部会長の選出を行います。資料1-2「社会保障審議会令」を御覧ください。第6条3項にございますように、部会長は部会に属する社会保障審議会の委員の互選により選出することとされております。本部会には津谷委員、寺井委員の2名の社会保障審議会委員がいらっしゃいますが、あらかじめ御相談を申し上げた上で、津谷委員に部会長をお願いすることとなりましたので、御報告申し上げます。
それでは、津谷委員におかれましては、部会長席へ御移動をお願いいたします。
(津谷委員、部会長席へ移動)
○西澤社会保障政策戦略官 それでは、これより議事運営につきましては、津谷部会長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。○津谷部会長 ありがとうございます。
ただいま部会長に御選任いただきました津谷でございます。どうぞよろしくお願いいたします。委員の皆様の御協力と御理解をいただきながら、円滑かつ充実した議事運営に努めてまいりたいと思います。
それでは、議事を始めたいと思います。社会保障審議会令の第6条第5項によると、部会長のほかに、部会長が部会長代理を指名することとされております。そこで、部会長代理は金子隆一委員にお願いしたいと思います。金子委員、どうぞよろしくお願いいたします。
○金子委員 よろしくお願いします。
○津谷部会長 それでは、2つ目の議事に移りたいと思います。まず、「人口部会の今後の進め方について」、事務局から御説明をお願いいたします。
○西澤社会保障政策戦略官 事務局でございます。
資料2でございますが、人口部会の今後の進め方を記載しております。総務省による国勢調査、5年に1回行っておりますけれども、速報は既に5月に集計、公表されておりますが、結果が今月中に公表される予定でございます。毎回これを踏まえまして社会保障・人口問題研究所で将来推計を行っておりまして、その手法や推計の前提について検証・検討を行うこととして本部会を開催させていただいております。
今後の予定でございますが、1~2か月に1回程度部会を開催させていただきまして、その手法・前提の議論を順次行ってまいりたいと思います。
その結果を踏まえまして、次期将来推計人口の結果については、来年前半をめどに取りまとめることとしたいと考えております。
以上でございます。
○津谷部会長 ありがとうございました。
ただいま事務局より御説明のありました今後の議論の進め方について、御意見はございませんでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、今後の進め方については、事務局の御説明にあったとおりとさせていただきます。
では、次に議事の3つ目の「報告聴取」に入りたいと思います。人口に関する調査データとして、「令和7年人口動態統計」及び「令和7(2025)年簡易生命表」について、楠田統計管理官より御説明をお願いいたします。
○楠田統計管理官 統計管理官の楠田と申します。
私からは令和7年人口動態統計月報年計(概数)と令和7年簡易生命表について御説明いたします。人口動態統計、簡易生命表それぞれについて、公表資料である概況とそのポイントをまとめた概要を用意しておりますが、ここでは概要を用いて説明をさせていただきます。
まず、資料3-1を御覧ください。
こちらは6月3日に公表した令和7年人口動態統計月報年計(概数)の概要となります。表紙をめくっていただきまして、まず2ページを御覧ください。上段の表にありますように、人口動態調査は、基幹統計である人口動態統計を作成するための統計調査となっておりまして、この統計調査は、戸籍法等により届出られた出生、死亡、婚姻、離婚及び死産の全数を対象としております。また、この概況では、令和7年1年間に日本において発生した日本人の事象を対象としております。
下の表にありますように、人口動態調査結果に関しましては、大きく分けて3種類のものを公表しております。左から速報、月報、年報となっております。今回御説明するのは、真ん中にある月報(概数)について、年間合計した月報年計(概数)となります。また、資料の中で年次推移や前年との比較も行っておりますが、令和6年までは確定数であり、令和7年が概数となっております。
なお、通常月報年計(概数)から確定数で数値にほとんど差は生じませんが、令和7年は国勢調査年であり、人口を分母に用いる合計特殊出生率など諸率については、人口が令和7年10月1日現在人口推計から国勢調査人口を分母に用いることになるため、概数から動く可能性がある点について御留意ください。
3ページを御覧ください。
まず、出生についてですが、令和7年の出生数は67万1236人で、前年に比べて1万4937人、2.2%の減少となっております。これは平成28年以来10年連続で減少しておりまして、過去最少の結果となっております。また、合計特殊出生率は1.14と、こちらも前年に比べて0.01ポイント低下しており、出生数と同じく、平成28年以来10年連続で低下しており、過去最低となっております。
4ページを御覧ください。
左側の表は、出生数と合計特殊出生率の年次推移を数値でお示ししておりますが、出生数について見ていただきますと、令和4年から令和6年の対前年増減率はマイナス5%台でしたが、令和7年にはマイナス2.2%と、それまでと比べて減少が緩やかになっていることが分かります。また、合計特殊出生率について見ていただきましても、令和4年から令和6年には前年と比べて0.05~0.06ポイント低下しておりましたが、令和7年には0.01ポイントの低下にとどまっております。
右側の表は母の年齢階級別に出生数の推移を見たものとなっていますが、一番右の欄の令和6年から令和7年の動きを見ていただきますと、出生数が最も多い30~34歳において、2,221人、0.9%の増加となっております。
5ページを御覧ください。
令和7年には母の年齢階級が30~34歳では、平成27年以来10年ぶりに出生数が増加し、合計特殊出生率の母の年齢階級別内訳である出生率につきましても、同じく10年ぶりに上昇という結果になっております。
6ページを御覧ください。
こちらは都道府県別の出生の状況を合計特殊出生率で比較したものとなっております。これを見ていただきますと、沖縄県が1.52と最も高く、次いで宮崎県の1.46、福井県の1.45の順となっております。一方で、東京都の0.96が最も低く、次いで北海道、宮城県の1.00の順となっております。
なお、令和7年は13県で合計特殊出生率が上昇という結果になっております。
7ページを御覧ください。
ここからは死亡の状況についてです。まず、年次推移を見ていただきますと、死亡数・死亡率共に長期トレンドでは増加傾向にありますが、令和7年の死亡数は158万9489人となっており、前年に比べて1万5889人、1.0%の減少と、5年ぶりに減少しております。また、全死亡数のうち75歳以上の者の割合は80.9%と、8割程度となっております。
8ページを御覧ください。
こちらは死亡順位についてお示ししていますが、左の円グラフを見ていただきますと、第1位は悪性新生物、第2位は心疾患、第3位は老衰の順となっており、第1位から第7位は前年から順位に変動はありません。ここで悪性新生物はいわゆるがんのことであり、心疾患からは高血圧性のものを除いていることに御留意ください。
男女別では、男性の第1位から第3位は男女計と同様となっておりますが、女性は老衰のほうが第2位で、心疾患は第3位と順位が逆転しております。男女別も含めた順位は後ろにつけている概況の第7表に掲載しておりますので、御参照ください。
9ページを御覧ください。
こちらからは婚姻の状況になっております。まず、年次推移を見ていただきますと、長期トレンドでは婚姻件数、婚姻率共に減少傾向にあるものの、ここ数年は横ばいで推移しております。令和7年の婚姻件数は48万9119組で、前年に比べて4,027組、0.8%の増加となっており、2年連続で増加しています。
10ページを御覧ください。
こちらは夫と妻それぞれについて、届出時年齢別の婚姻件数の推移を見ています。先ほど婚姻件数全体では2年連続で増加していると申し上げましたが、届出年齢別に見ると、夫、妻共に25~29歳、30~34歳において2年連続で増加していることが分かります。
11ページを御覧ください。
こちらは離婚の状況について年次推移をお示ししていますが、令和7年の離婚件数は17万9068組と、前年に比べて6,836組、3.7%の減少となっております。
人口動態統計月報年計(概数)の概況についての説明は以上となりますが、詳しい数値は、後ろにつけております概況を御覧ください。
次に、資料4-1を御覧ください。こちらは7月24日に公表しました令和7年簡易生命表の概要をまとめたものとなっております。
表をめくっていただき、2ページを御覧ください。
まず、生命表とは何かについてですが、ある期間、ここでは令和7年1年間の死亡状況が今後変化しないと仮定したとき、各年齢の人が1年以内に死亡する確率、あるいは平均してあと何年生きられるかという期待値などを死亡率、平均余命という指標によって表したものです。
(1)の2段落目にありますように、これらの指標は男女別に各年齢の人口と死亡数を基にして計算しており、現実の人口の年齢構成には左右されず、死亡状況を表すものとなっており、死亡状況を厳密に分析する上で不可欠なものとなっております。また、0歳の平均余命である平均寿命は、全年齢の死亡状況を集約したものとなっておりまして、保健福祉水準を総合的に示す指標として広く活用されております。
(3)にありますように、生命表は、日本における日本人の死亡数等の状況を基に作成しております。
その下の表にありますように、公表している生命表の種類は幾つかありますが、今回の資料は一番左の毎年作成している簡易生命表の令和7年版になります。なお、下の表にありますとおり、令和7年は国勢調査年となっておりますので、今後国勢調査結果と人口動態の確定数を基にして完全生命表を作成する予定としており、その後、令和8年の確定数まで出たところで都道府県別生命表、市区町村別生命表を作成する予定としております。
3ページを御覧ください。
令和7年の平均寿命は、男性は81.35年、女性は87.33年で、前年と比較して男性では0.25年、女性では0.20年上回っています。また、平均寿命の男女差は5.98年と、前年に比べて0.05年小さくなっています。主な年齢の平均余命を見ると、男女共に全年齢で前年を上回っています。
なお、令和7年の平均寿命が歴代でどのくらいになるかについて、右のグラフで見ていただくと、数値を入れていないので分かりにくいのですが、これまでで最も高くなっているのは男女とも令和2年になっており、次に令和3年の2位、令和元年の3位に次いで、令和7年は4位になっております。
4ページを御覧ください。
平均寿命の国際比較は、国によって作成方法等が異なることから厳密な比較は困難ですが、厚生労働省が入手した資料の中では、左側の表にありますように、男性は世界第7位、女性は世界第1位となっております。男性は昨年の第6位から順位を下げましたが、女性の世界第1位は41年連続という結果になっております。
また、右側のグラフは、主な国の平均寿命について1985年~2025年までの推移をお示ししていますので、御覧ください。
5ページを御覧ください。
令和7年の平均寿命は延びましたが、このグラフは、どの死因がどの程度その伸びに寄与したかを見たものとなっております。これを見ると、男女共に悪性新生物、心疾患、新型コロナウイルス感染症などの死亡率の変化が平均寿命を延ばす方向に働いています。一方で、肺炎、老衰などの死亡率の変化が平均寿命を縮める方向に働きました。
6ページを御覧ください。
こちらはもう少し細かく死因を分析したもので、左側のグラフは主な年齢について死因別死亡確率を見たものとなっています。人はいずれ何らかの死因で亡くなりますが、令和7年の各死因における死亡状況に今後変わりがなかった場合、それぞれの年齢の人が将来何の死因で亡くなるかという確率を計算しているものになります。こちらを見ると、0歳の場合、男性は悪性新生物で亡くなる確率が最も高く、次いで心疾患、老衰、肺炎、脳血管疾患の順で、女性は老衰が最も高く、次いで悪性新生物、心疾患、脳血管疾患、肺炎の順となっております。
悪性新生物、心疾患、脳血管疾患の3つを合わせた死亡確率を赤枠で囲っておりますが、例えば0歳のところを見ていただきますと、男女とも4割程度となっており、これは生まれた者の4割程度が将来そのいずれかで死亡することを表しています。
右側の表は、特定の死因を克服した場合、平均寿命というのはどのぐらい伸びるかというものを計算したものになります。裏を返せば、各死因がどの程度平均余命や平均寿命に影響しているかを測ることができます。例えば悪性新生物を除去した場合の平均寿命の伸びは、令和7年は男性で3.07年、女性で2.66年となっております。また、悪性新生物、心疾患、脳血管疾患を全て克服できたという仮定を置きますと、表の一番下になりますが、0歳の場合、男性では5.84年、女性では4.77年となっています。
詳しい数値については、後ろにつけております概況を参照いただければと思います。
簡単ですが、私からの説明は以上となります。
○津谷部会長 楠田統計管理官、ありがとうございました。
ただいま御説明のありました人口動態統計と簡易生命表について、御質問や御意見がありましたらお願いいたします。御発言の順番は、まず会場に御出席の委員の皆様から御発言いただき、その後、オンラインで出席されている委員の方々から御意見を承りたいと思います。野村委員、どうぞお願いいたします。
○野村委員 野村です。ありがとうございます。
初めてのコメントになるので、そこはこの部会ではあまり関係ないという話だったら、ぜひ御指摘いただきたいのですけれども、資料3-1の2ページの速報と月報のところでございまして、私の持っている課題感をお話ししたいなと。コロナが始まったというのは、私、厚労科研班で超過死亡をずっと推計してまいりまして、感染研、今はJIHSですけれども、そこに厚労省さんからデータを送っていただいて、それをチームで分析するという形をやってきていまして、もともと超過死亡、目的は早期のモニタリングということで、何かあったときに総死亡数がふっと上がった瞬間を捉えると。そこに何かがあった。では、原因は何だろうかという議論をするための超過死亡の推定。多くの国では行われておりました。
日本の場合、人口動態統計の速報がall causes of death、全死亡の数を捉えていくと。これで困ったのが、届くのが2か月後という結構なタイムラグがある。すると、早期のモニタリングのあれがあまりできていない。ピークが既に終わっているときにデータが届くのです。なので、過去を見て、ああ、ここは増えていたね、どうだったねという議論に落ち着いてしまう。もちろん、それはそれで大事なのですけれども、早期で何か警戒をするという点だと、この2か月というのは結構手後れなスピード感であったなというのがございます。
月報を使って我々はcause-specificな推計もしていまして、循環器とかがんとかも見てきたのですけれども、これは6か月、5か月遅れ。分析するスパンも数日加えるとなると、結構昔の話をしてしまうので、ここを市区町村から厚生労働省さん、むしろ危機対応時というところに限って、例えばJIHSにダイレクトに市町村から何かしらのデータが届くというパイプラインがあると、日本として早期のモニタリングという点で超過死亡ができるなとずっと思っていました。国によりますと、2週間程度でデータが分析チームに、要は、CDCに届くというものがあったので、やり方によってはできるのではないかなと思った次第でございます。
大分話が変わりまして、次に、同じく3-1の10ページ目ですけれども、前ページに若干の総数として増加しているという話があったものの、そこまで極端に増えているわけではないので、こういった年齢別で見るときに、上のハイライトですが、増加しているところをハイライトするのはもちろん大事ですけれども、恐らくどこかも減少している可能性がある。どこかが減少している分が若い世代とか、あるいは後ろの世代に行っている可能性があるので、どちらも載せるのがフェアなのではないかなと。増えた・減ったの原因とか課題を議論するときも非常に重要になってくるので、こういう見出しというのはいろんな意味でミスリードにつながったりし得るので、ずっとこのままで。
トータルでそこまで極端に増えているわけではないので、どこかが増えているのだったら、どこかが減っているのだろうなと思ってしまうので、恐らく実際そうなのだと思うのです。このグラフを見る限りだと。年次的に減っているだけかもしれないのですけれども。なので、この見出し、いろんなところでまず見られるところに関しては、フェアな議論をするためにも、どこか増えているという話をするのであれば、どこか減っているというところも一緒に載せるといいのではないかなと思っております。
もう一つが資料4-1になりまして、人口動態統計ないし厚労省さんの生命表を日常的に使っている身からすると、人口動態統計では、「日本における日本人」と「日本における外国人」は基本的に分けて集計されていると思うのです。死亡率とか出生数とか。生命表や平均寿命は日本人を対象にしています。今年の8月に12年ぶりぐらいに、がっちゃんこしたやつの出生数と死亡数と死亡率を入れて1955年から2024年まで公表されていたと思うのですけれども、あれは非常によくて、あれは毎年できないのではないかなと思っております。
何でかというと、国際的に見ると、国籍問わず住民全体で出すというのは比較的一般的なのかなと思っていまして、いろんな格差はそういったナショナリティで起きやすいので、もちろん分けて出すのは大事なのですけれども、がっちゃんこして出すのは非常に大事かなと思っておりました。日本全体における人口動態を評価する上でも全体で見る。国際比較する上でも大事だと思うのです。あと、社人研さんがやっている将来人口の推計は、外国人も含まれているので、そこと整合性をとる上でも、日本における日本人と外国人を含む住民全体を対象とした平均寿命、生命表、あるいは出生数、死亡数とかという合計値も継続的に出てくるとよいかなと思っておりました。
以上です。
○津谷部会長 ただいま3点ほど御意見があったかと思いますが、楠田統計管理官、お答えがありましたらお願いいたします。
○楠田統計管理官 御意見ありがとうございました。
3点ほど御意見を我々に対していただいていると承知しておりますけれども、まず公表時期でございます。委員がおっしゃったのは、速報が2か月後、月報概数が5か月後ないしは6か月後に公表するというスケジュールでやっていることについて、少し遅過ぎるのではないかという御意見だったかと思います。まず、速報ですけれども、届け出られてから、市区町村、管轄の保健所、都道府県、厚生労働省で記載された内容が正しいかどうかというところをそれぞれの箇所でチェックするという、精緻な統計表をお送りするという形で、それなりの手順を踏んでやっておりますので、2か月かかるというのはしようがないのかなとは考えているのですが、具体的に早期化という検討ができるのかというところは持ち帰らせていただきたいなと考えております。
もう一つ、月報概数のところですが、特に死因のところにつきましては、死亡診断書等で書かれている内容を基に死因コードをつけるという作業をするのですけれども、オートマチックに全部死亡コードがつくという状況にありません。ある程度はできるのですが、その後は職員の目で、これはどのコードをつけるべきかというところを毎月チェックしているため、今の5か月、6か月というところは、かなり急いでやっていると感じております。ただ、何かしら緊急事態が起こったときにどういう対応が取れるかというところにつきましては、またその際に検討させていただきたいと考えております。
その次に参りまして、資料3-1の10ページでございます。こちらにつきまして、婚姻件数、25~29歳、30~34歳のところは増加しているのは分かったけれども、それ以外はどうなのかという御指摘でございました。それ以外のところについては減少しているというところなのですが、とはいえ、実態がどうなのかというところは、もう少し見出しを工夫するとか、リード文を工夫するとかして、こちらのお示ししたい内容が着実に伝わるよう今後検討していきたいと考えております。
3点目につきましては、7月28日だったかと思いますけれども、人口動態統計の特殊報告というものを出させていただいておりまして、特殊報告につきましては、人口動態統計を用いてテーマを毎年変えながら、ほぼ毎年出しているものですが、今回は外国人を含む人口動態統計というものをテーマとして出させていただいたということでございます。こちらにつきましても、外国人も含んで人口動態統計をきちんと出す、実数を出す、諸率を出すというところについてはそれなりに作業が発生しますので、毎回できるかといったところと、それ以外に婚姻とか死亡とか、それぞれをトピックにして特殊報告を出したり、年齢調整死亡率をもう少し都道府県別等にブレークダウンして分析したものですとか、毎回毎回それぞれのテーマでやっております。そのため、毎年外国人を含んだ統計が出せるかというところは、今後の課題とさせていただきたいのですが、現状はなかなか難しいかなと考えております。
○津谷部会長 楠田統計管理官、ありがとうございました。
いかがでございますか。
○野村委員 何度もすみません。ありがとうございます。
1点目につきまして、超過死亡の話ですけれども、2023年に迅速把握という新しい取組をやっておりまして、これは厚労省さんのチームが自治体さんと協力関係を築いてくださって、自治体から直接研究班のほうにデータを送っていただくパイプラインをつくっていただいたのです。これは有志でやっておりまして、省庁の方々が説明を各自治体にされて、いろいろお願いごとなりフィードバックをするということをやって成し遂げたもので、レガシーというふうに考えているのですが、恐らくまた何か起きたときにそういったものが同じようにできる仕組みというのが大事かなと思っていて、正直前回は担当された省庁さんが本当に気さくな方で、自治体の方に懇切丁寧にやられた。それがあって多くの自治体に参加いただいてデータを。本当にシンプルなCSVのようなもので、人数だけ、カウントだけ送ってもらう。そうすることによって総数を把握できるので。しかも、日本の場合、死亡届というのが法律的に死亡を知った日から原則7日以内と定められているすばらしい国であって、国によってはかなり遅れてくるのです。日本は比較的遅れが少ないので誤差も比較的小さかったということがありまして、うまくいったという経緯がございました。そういった運がよかった、人がよかったからという感じにならない仕組みが何かあるといいなと思っております。
最後の外国人に関しては、1つアイデアとして、これは恐らく省庁の中の方々が推定されているケースであると思うのです。厚労科研でやるという形もあるのではないかなと思っていまして、超過死亡はそれでやっていたので。我々は毎回、例えば厚労省のコロナのアドバイザリーボード、ああいったものに資料提出しているのですけれども、我々は分析チーム、統計が専門なので、コードを組んで、データが来てぱっと回せば、資料まで全部ざーっと一瞬でできる仕組みをつくっていたのです。なので、1回アルゴリズムさえ組んでしまえば、こういったパワポであれば、毎回データが来たら、ほぼオートマチックにつくることが技術的には可能だと思うので、それが得意な人にやってもらうというのは1つ手だと思っております。
長々とすみません。失礼します。
○津谷部会長 よろしいでしょうか。
それでは、そのほかの委員の方々、御意見や御質問はございませんでしょうか。ではまず、会場で御出席の委員の方々、御質問などありましたら、お願いいたします。よろしいでしょうか。吉田委員、どうぞ。
○吉田委員 読売新聞の吉田と申します。
資料3-1の4ページに「母の年齢階級別にみた出生数の年次推移」というものが載っていて、母親の年齢で25~29歳、あるいは35~39歳の出生数は減っているのですが、30~34歳の出生数だけは増えています。私は女性の働き方などを取材しているものですからここに関心を持ったのですが、これはどのような理由だと考えられるものでしょうか。ちょうどこの世代は働き盛りで、キャリアであるとか昇進・昇格を意識する年代だと思うのですが、国や企業の何かしらの両立支援の効果が特にこの世代に出るとか、どういったことがこの世代に現れてこの出生数になっていると推測できるものでしょうか。
○津谷部会長 楠田統計管理官、この御質問に対するお答えやお考えがありましたら、お願いいたします。30代前半の女性の出生数と出生率が増えている一方で、それ以外の年齢では、20代後半を含め下がっているが、これに女性の働き方がどのように関係していると考えられるのかという御質問かと思います。
○楠田統計管理官 御質問ありがとうございます。
これといった、しっかりとした理由が申し上げられるかというところはあるのですけれども、先ほど10ページでも御説明しましたが、婚姻件数につきまして、令和6年、令和7年は、妻のほうを特に見ていただければと思うのですけれども、25~29歳、30~34歳のところは増加しているということ。あと、日本では嫡出子というのが95%を超えているということで、日本では結婚をしてから出産を迎えるという方が大部分でございますので、この年代の婚姻件数が伸びているということが、30~34歳の出生数が伸びている要因の一つではないかと考えております。
○津谷部会長 吉田委員、いかがでございますか。よろしいでしょうか。
○吉田委員 はい。
○津谷部会長 そのほか、何か御質問がございましたら、お願いいたします。野村委員、どうぞ。
○野村委員 タイムマネジメント的にぎりぎりだったらカットしていただいて大丈夫ですけれども、資料3-2を見ますと、第2子と第3子は30~34歳で減少しているようで、第1子だけが増えているのです。シンプルにこの世代が子供をたくさん持つようになったというよりも、今まで20代後半で第1子を持つような方々が30代前半になって生み始めたという感じなのかなと。晩婚化とか、教育課程が長期化している。要は、修士とか博士とかを取りに行く人が増えているのかもしれないですし、いろんな修行とかキャリアの形成とか、何かしら経済的な不確実性も捉えて少し出産が後ろに行っているという可能性は十分にあるのかなと個人的には思っております。
○津谷部会長 ありがとうございました。
司会が発言するのはルール違反になるかもしれませんが、一言申し上げたいと思います。女性の結婚が遅くなって30代に入ると、バイオロジカルクロックがティッキング、つまり生物学的に子供をもつことが難しくなるということで、急いで出産する傾向があるため、30代の出生率が上がっているのではないでしょうか。これに女性の働き方がどう絡んでいるのかという問いへの答えは、結婚・出産と仕事との間には内生性があるため、難しいと思います。結婚が遅れているため出産が30代にずれ込むというのはその通りだと思いますが、逆の因果関係も考えられ、女性が結婚する大きな理由の1つが子供を欲しいということであれば、遅くなっても結婚して、急いで子供をもつことも考えられます。テンポ効果というのでしょうか。結婚が遅れると、その後速いテンポで子供、特に第1子を生むという傾向が強くなります。先ほど野村委員から御説明があったように、結婚後の第1子出生のテンポが速くなっているのではないでしょうか。しかし、その後、さらに2人目、そして3人目の子供をもつのかというと、そうとも言えないのではと思います。1つ言えるのは、女性にとって、結婚と出産・子育ては1つのコインの両面であり、これらに対する意思決定を同時にしているように思います。そこに働き方が絡んでくるのですが、この関係は複雑で、それを解きほぐすのは大変難しいと思います。
そのほか、御意見や御質問はございませんか。和田委員、お願いいたします。
○和田委員 和田でございます。
今、津谷部会長がおまとめになったとおりだと思うのですけれども、野村委員がおっしゃっていた点と吉田委員の関連で少しだけ踏み込んだ意見を申し上げたいと思います。野村委員がおっしゃった10ページの年齢別の婚姻件数です。夫と妻は件数だけではなくて、婚姻率も上昇していると承知しております。多分これは合っていると思います。
津谷部会長、統計管理官がおっしゃったように、日本の場合は95というより、97%ぐらいが嫡出率ですので、婚姻指標は出生指標の先行指標になります。それから、野村委員がおっしゃった、どの年齢階級が増えて他のが減るというゼロサムのような関係ではないのですけれども、先ほど部会長がおっしゃった、いわゆるテンポ効果が働きますと、産み控えた人たちが、今回、若干年齢の高い30代前後の年齢階級で、婚姻件数、婚姻率も上昇しているということです。
いわゆる晩婚化というほど年齢は上がっていなくて、むしろ期待されるのは、まだ十分に2子目以降も期待できる20代後半、30代前半での婚姻件数、婚姻率の上昇というのが出生数を上げる傾向も期待できるし、今日は資料にないですが、今年の人口動態統計の前半が実は概数では上昇している。11年ぶりに、ひのえうまなのにという感じなのですけれども、出生数が上昇しているということも承知しておりますので、これは今後の議論の中で、人口推計をしていく上で、出生数がもしかしたら回復基調になるかもしれないというのを我々は念頭に入れて今後は分析すべきなのでしょうか。最後は追加的な質問になります。
以上です。ありがとうございました。
○津谷部会長 ありがとうございました。
もしレスポンスがございましたら、楠田統計管理官、お願いいたします。
○楠田統計管理官 先ほど和田委員におっしゃっていただいたように、令和8年は6月分の速報まで出ており、上半期の結果が出ております。その速報の結果を見ますと、これは外国人も含んでしまうのですが、11年ぶりに出生数が増えたということですけれども、この状況が後半に向かってどうなるかというところは我々も注視していきたいと考えております。
○津谷部会長 ありがとうございました。
最後にもう一言、先ほど吉田委員より御質問のあった女性の働き方についてですが、出産可能年齢の日本女性の就業率は全年齢層で上がっていますが、特に20代後半の女性で非常に大きく上がっています。働いているから結婚しないのか、結婚にあまり興味がないから働くのか、はっきりとは分かりませんが、女性の働き方は、出産・子育ての前段階である結婚にも大きく影響しており、この関係について注視していきたいと思います。
そのほか、御意見や御質問はございませんでしょうか。よろしいでしょうか。
楠田統計管理官、御説明ありがとうございました。
会場出席されている委員の皆様、御質問や御意見、ありがとうございました。
では次に、オンラインで出席されている委員の方々から、御質問や御意見をお聞きしたいと思います。小西委員、お願いいたします。
○小西委員 ありがとうございます。
先ほどの出生と婚姻の関係の件はとても重要なことと存じまして、それに関連して1つお伺いしたく存じます。スライドの10ページの婚姻の図で、令和6年から7年にかけて婚姻数の届出時の年齢別に見た婚姻件数が増えたというデータに関してですが、届出数が増えたことと、実際にその年に結婚生活を始めた人が増えたことというのは少し違うと思いますので、出生への影響を分析する際には、ぜひ届出件数に加えて、結婚生活を始めた人数も加味していただければと存じますが、この点についてはどのような計画があるか、教えていただけますでしょうか。
○津谷部会長 楠田統計管理官、もし何かお答えがありましたら、お願いいたします。
○楠田統計管理官 人口動態統計につきましては、統計表、かなり多くのものをe-Statに掲載させていただいております。その中で届出時で見たものと結婚生活に入ったとき、同居したときで見たものと両方ございますので、その時々の用途によって使い分けていただくのかなと考えております。こちらから婚姻の状況をどの定義でお示しすべきかというところも今後検討していくべき課題なのではないかと考えております。
以上でございます。
○津谷部会長 ありがとうございました。
小西委員、よろしいでしょうか。
○小西委員 はい。ありがとうございます。
○津谷部会長 富田委員のお手も挙がっております。富田委員、お願いいたします。
○富田委員 ありがとうございます。
そちらの今の議論、音声の状況が非常に悪うございまして、私が今から申し上げることは多分これまでの発言と重複するところがあるかもしれませんが、御承知おきください。
私から質問ではなく、コメントです。先ほどから外国籍の方々の動態をどう捉えるかということを議論なさっていたように理解しているのですが、私も日本の現状において、外国人の方々の動態をきちんと把握できるように統計整備する段階に来ているのではないかとかねがね感じております。日本在住の外国人人口は既に3~4%に達しています。この方たちの動き、動態は、日本全体から見て決して無視し得ない状況になっていると思います。どのように戸籍上からデータを得るか、外国人登録からデータを入手するか、技術的にはチャレンジングだと思いますが、今後、例えば簡易生命表などをつくるときに、外国籍の方たちの動態も念頭に置いていただけたらと思っております。
以上です。
○津谷部会長 ありがとうございました。これからさらに重要性が増すと考えられる外国人人口の動態に目を配って、より精緻に捉えていくべきであるという御意見です。よろしいでしょうか。
藤澤委員からもお手が挙がっております。どうぞお願いいたします。
○藤澤委員 ありがとうございます。
新型コロナの死因のところで、資料3-1で言うと8ページの左下のところに注意書きで新型コロナウイルス感染症は、令和6年が8位で、令和7年が12位と減っているように見受けられています。資料3-2の概況の第6表を見ると、実際の死亡数・死亡率が載っていて、死亡数で言うと3万5000人が2万1000人ぐらいなので、6割ぐらいの水準に落ち込んでいますけれども、これは単純な質問ですが、新型コロナの死因で死亡する方が単純に減ったと捉えていいのか、それとも例えば呼吸器系の疾患を見ると、令和6年から7年にかけて増えていたりして、そちらに混ざっている可能性もあるか、もしくは両方の影響があるのかというところを分かる範囲で教えていただきたいなと思っています。
○津谷部会長 新型コロナ感染症による死亡数・死亡率をどのように捉えるのかという御質問です。楠田統計管理官、よろしいでしょうか。お答えをお願いいたします。
○楠田統計管理官 御質問ありがとうございます。
新型コロナウイルス感染症については、これは「新型コロナウイルス感染症」として死因がつけられたものについて集計をしているということで、いわゆる関連死のようなものは入っていないのですけれども、新型コロナウイルス感染症の死亡数は、令和4年が一番多く出ておりまして、4万7638件。令和5年、令和6年は、3万8086、3万5865と若干下がりまして、今回令和7年が2万1497人ということで、傾向としては減少傾向にあり、特に令和6年から令和7年にかけてはかなりその死亡数は減ってきているのではないかと見ております。
○津谷部会長 ありがとうございました。
藤澤委員、よろしいでしょうか。
○藤澤委員 はい。ありがとうございます。
○津谷部会長 ありがとうございました。
そのほか、御意見や御質問はございませんか。和田委員、お願いいたします。
○和田委員 1点だけ。先ほどの小西委員の結婚の届け出時年齢だけではなくて、結婚生活が入った年齢の婚姻率の動きを見たらどうかという御意見があったのですけれども、それはそんなに違いますか。結婚生活が入った年齢の定義というのは、日本の場合、途中歴史的な変遷はあるのですが、現在は結婚式を挙げた、もしくは同居したほうの早いほうの年齢というのが定義されています。それと届出時の年齢というのは、私の感覚なので、平均初婚年齢自体は、いわゆる結婚生活に入った年齢で計算しているのではないかと思うのですけれども、それも今、若干上がってきている。いわゆる晩婚化が進んでいるというのが分かるのですが、検定したわけではないけれども、それほど平均値に差が出るのかなと思ったのだけれども、その辺りの知見があったら教えていただきたいということです。
○津谷部会長 楠田統計管理官、お願いいたします。
○楠田統計管理官 その辺りは実際には分析がこれからというところでございまして、委員がおっしゃるように、今の平均初婚年齢というのは結婚生活に入った年齢、同居を開始したときか、結婚の挙式をしたとき、いずれか早いほうの年齢を見ていて、付け加えるならば、同居時と届出時が同年のものについて見ているということで、少し抜け落ちているものもありますので、それを含んだ上で、届出時で平均初婚年齢を計算してみたときに、どのくらい違いがあるのかという分析はこれからの課題とさせていただきたいと考えております。
○津谷部会長 ありがとうございました。
和田委員、そして小西委員、よろしいでしょうか。
岩澤部長からもお手が挙がっております。お願いいたします。
○岩澤人口動向研究部長(社人研) 今のことで補足させていただきますと、社人研の人口推計で初婚の分析もするのですけれども、そのときは、同居年齢というものを基準に集計をすることにしております。今、和田委員からの御指摘の通り、その差については、70年代、80年代は少し差が大きくて、少しずつその差が縮まったような傾向はあるのですが、ただ、足元で見てみますと、コロナのときにやや届出年齢が遅れたということがあったような雰囲気も出ておりまして、その辺り、今回は大変重要なところかと思います。届出の婚姻の統計を見るときに、もしかしたらそこに違いがありますと、実態とずれているというようなことがありますので、そこは丁寧にやっていきたいと思っております。重要な御指摘だったと思いますので、ありがとうございました。
○津谷部会長 岩澤部長、ありがとうございました。
将来人口推計では、女性の結婚年齢を妊娠・出産のリスクが実際に開始されるタイミングの指標として扱っておられると思いますので、これは適切かつ必要な対応かと思います。これは大変重要なことであり、今後も注視していきたいと思います。ありがとうございました。
そのほか、よろしいでしょうか。小西委員、どうぞ。
○小西委員 ありがとうございます。
今の岩澤部長のコメントについて1つだけ追加させていただきたいのですけれども、私の先ほどの発言の意図は、今、岩澤部長がおっしゃったように、届出が遅れるパターンがコロナによって変わった可能性があるのではないかというところから発しておりました。具体的に申しますと、コロナ禍で結婚式が挙げられなかったために、結婚生活は始めたのだけれども、届出は出していなかった方々が2024年とか2025年に届出を出したことによって、もしかすると届出件数が増えたのではないか。とすると、届出件数が増えた割には実際に結婚生活を始めた方の数はそれほど増えていないのかもしれない。とすると、出生への影響も、届出件数の上昇ほどには影響しないかもしれないという推測から申し上げた発言でした。
以上、補足です。
○津谷部会長 ありがとうございました。
野村委員、お願いいたします。
○野村委員 何度も失礼いたします。野村です。
私、実際超過死亡のアプローチで婚姻数の増減を論文化しておりまして、20年の複数の月と、2021年4月にしっかり婚姻数が減っているという現象が確認されておりまして、緊急事態宣言の時期に結構減少していたのです。出生数も、20年12月から21年2月にかけて有意に減っていたので、そういった影響が今になってちょっと出ているというのが、ひょっとしたら30~34歳における第1子の増加に影響していないというのは言いづらいのではないか。何かしら影響している可能性があるかなと思います。
○津谷部会長 ありがとうございました。
よろしいでしょうか。
委員の皆様から大変活発かつ有用な御議論をいただき、ありがとうございました。
それでは、本日最後の議事に移りたいと思います。「将来推計人口とは-その役割と仕組み-」について、国立社会保障・人口問題研究所の岩澤部長より御説明をお願いいたします。
○岩澤人口動向研究部長(社人研) 国立社会保障・人口問題研究所人口動向研究部長の岩澤でございます。
資料は5を見ながらお聞きいただきたいと思います。20分程度お時間をいただく予定でございます。今後、将来推計人口の方法論や考え方について御審議いただくことになりますので、将来推計人口について、基本的な役割と仕組みについて御説明したいと思います。
2ページを御覧ください。
日本の将来推計人口は、社人研が1997年以前は厚生省人口問題研究所という名前で、戦前から継続して公表しているもので、現在は国勢調査の公表に併せて5年ごとに実施しております。最新の推計は2023年に公表した令和5年推計となっております。
この結果は、地域別将来人口推計、全国および都道府県別世帯数の推計の基礎データになっていますほか、公的年金制度の財政検証、労働力需給の見込み、内閣府のほうの中長期の経済財政に関する試算、厚労省の医療計画とか、本日各省庁の幹事の皆様にも御参加いただいておりますが、様々な省庁での社会計画、地方自治体における計画の基礎資料として活用されてございます。
推計対象は、外国人を含む日本に常住する総人口となりまして、参考として、日本人人口に限定した結果についても出しております。推計期間は、基準年から50年間ですけれども、参考として100年間の結果を出しております。
国勢調査に併せ、各年の10月1日時点の人口を推計しています。
推計は、出生・死亡・国際人口移動の仮定に基づき、コーホート要因法という方法で年齢各歳別・男女別に算出しております。
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施策とか研究開発の立案、経済見通し等に活用されますので、客観的及び中立的に行われる必要があり、それを実現するために正確なデータ、そして科学的手法を用いるということが求められます。
ただし、将来は不確定なものでございます。残念ながら科学的に将来の社会を定量的に正確に描く方法は存在しません。1つには、現代科学において測定とその手法というものが不完全であること。2つには、まだ起きていない未来の出来事を全て把握するということは不可能だからと言えます。我々にできることは、専門的観点を重視し、現状で求め得る最良のデータと最良の手法を組み合わせて客観的な推計を行い、その根拠と仮定をしっかり説明することだと考えております。
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ここで科学における予測について考えてみたいと思います。科学的用語には「統計的推定」というものがありますが、これは実測データに基づいて、母集団の特性、母数、あるいはパラメータと言われているものを統計的手法によって割り出すということを意味します。
では、未来の事象は統計的推定の対象かと言いますと、現在において未来は「分からない」のではなくて、「存在しない」と考えることができます。そうだとすると、そもそも母数がまだ存在しない未来は、統計的な推定の対象とはなり得ないことになります。
では、科学的予測とは何かといいますと、現存の母数の推定ではなくて、シミュレーションだということになります。初期値をあらかじめ用意した因果モデルに投入して得られたシミュレーションの結果が科学的予測ということになります。
さらに、科学的予測には2種類あると考えられます。ここでは天気予報と将来推計人口の違いについて考えてみたいと思います。天候も将来推計人口も未来には事前に知り得ない事態が起こる点は同じです。ただ、天候の未来は、人間が操作することは不能で、将来への備え、雨天でしたら、傘を準備するといったことをするための予測が目的となります。一方で、将来人口は、操作がある程度可能だという面もございます。将来の状況、例えば少子化への対処とともに、少子化を緩和するために方策を講じるなど、働きかけを行うことができます。
つまり、社会科学における予測の主な目的は、将来実現する状況を言い当てるというよりは、現状の状況と趨勢が続いた場合に帰結する状況を示して、我々が今から何を行えばよいのか、それを考える指針を得るということになります。
社人研の過去の推計結果は、毎回少しずつ更新されてきましたが、これは当時の人が将来を見据えて少しずつ行動を変えた結果というものも含まれております。
実際の人口が推計と異なった場合、これは新たな変化や趨勢の変動というものを示しており、その把握ということ自体も重要な役割であると考えております。
ちなみに、総務省が毎月公表している人口推計というものがございまして、日本語ではこの将来推計人口とよく似ていて、違いを聞かれるようなこともあるのですが、こちらは定まった現実の推定というか、現実のことなので、英語も実は違いまして、population estimatesというふうに当てられてございます。
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先ほど述べましたように、将来人口推計は、基本的には予測、フォーキャストではなく、我々は、プロジェクション、投影と考えますが、シミュレーションだと考えております。ただ、将来人口推計が予測として用いられるということも我々は理解しておりまして、予測として活用できるかは、その前提、仮定の捉え方に依存するのではないかと思います。前提として蓋然性が高いと捉えれば、推計も予測と見なせますが、仮想的であると捉えれば、それは仮想的な結果ということになります。
未来を正確に言い当てるためには、本来、経済変動とか政策や自然災害とか、急激な意識の変化なども前提に組み込まなければならないと思います。しかし、不確実な要因を織り込もうとすると、推計に恣意性が入り、客観性が損なわれるという懸念がございます。
そこで大きく2つに分けて推計を行っております。客観性・中立性を優先した実績の趨勢に基づく投影は本推計とし、多様な用途における共通の基準としての将来像を提供します。一方、現状では現実性が低い仮定に基づき、投影し、あり得る将来を示すというのが条件付推計と呼びまして、不確実な未来に備えるシミュレーションとして活用されます。
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人口の投影に使う仮定は、人口学的データである出生・死亡・国際人口移動のみです。これに対し、経済の変化や意識の変化を織り込まなくてよいのかといった疑問を持たれるかもしれません。実は将来人口推計が社会経済的な動態を反映していないというふうには考えないでいただきたい。それは誤りだと考えております。なぜなら、前提として用いる人口動態には既に社会経済の影響が含まれていると言えるからです。
社会経済要因を明示的に組み込むことには、一方で様々な問題がございます。何の変数を予測に使うかといった変数選択において恣意性が入ってしまい、客観的ではなくなってしまいます。また、人口動態と社会経済変数の関係ついて、確立された普遍的な定量モデルというものも存在しません。不十分なモデルを推計に使うと不確実性がかえって増してしまうということがあります。
人口と社会経済は相互に影響し合うと考えられますが、両者を内生化した実用的なモデルというものも未発達であります。
さらに、現実的な問題として、社会経済の将来、例えば景気とか意識などを推計期間50年間にわたって高精度で予測すること自体が人口以上に困難だと言えます。
そして、実務上は、人口推計を基に社会経済や政策の将来を考えるという順序が採用されております。そういう意味で、特定の社会経済状況を前提としてしまいますと、そうした社会経済推計と矛盾が生じてしまうということがございます。
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こちらは今、述べた人口動態と社会経済変数の関係、問題点をまとめたものでございますが、社会経済動態の趨勢は人口の投影に使わないのではなくて、社会経済動態の影響は既に将来推計人口に間接的に組み込まれていると理解しております。
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続いて、不確実性についてお話しします。先ほど未来は未確定、あるいは不確実性があるという話をしましたが、この不確実性について、全く分からないのではなく、ある程度整理して理解することも可能だと思います。将来推計人口の不確実性の原因は多様です。ただし、大きく分けると、基にした実績データや統計的手法に由来する不確実性と、推計された人口推移の実現性に関わる不確実性と2種類あると考えることができます。
前者については、実績データの趨勢を投影して得るものですが、趨勢の捉え方などによって投影結果というものは必ずしも一意に定まらず、一定の幅として捉えられます。これが本推計における例えば出生3仮定、死亡3仮定が設定されている理由となります。
後者については、今後の働きかけによって変えられる状況、または実績データからは実現すると想定できないような状況も含め、仮定が変わることで将来人口がどのように変わるのか、その影響を評価することを目的として、条件付推計という名前で実施されております。
令和5年推計では、以下の条件付推計を策定しました。まず、現状一定仮定及び封鎖人口による将来推計人口。それから、機械的に設定したレベルの出生及び国際人口移動の仮定による将来推計人口というものです。
新推計におきましても、趨勢の捉え方による不確実性は本推計における複数仮定で表現し、不測の変化を想定した場合や、仮定時の違いによる感応度を評価するといった目的で条件付推計を活用されるということで、そうしたものも設定する、策定する予定でございます。
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ここで将来推計人口の基本的な考え方をまとめますが、公的将来推計人口は、将来社会を構想する際の基準または指針を得るために活用されています。
人口投影は、現在社会が向かっている方向にそのまま進行した場合に実現するであろう人口の姿を捉えることができます。
その前提が予測として認められるのであれば、将来推計人口は、将来実現すべき人口の予測として捉えられます。逆に現状では根拠に乏しく、実現性が低い仮定を用いた場合は、一つのシミュレーション結果として活用できます。
実績データの趨勢を投影したものは恣意性が少なく、中立的となりますし、実験的、機会的に様々な水準を投影したものは、仮定値の幅の影響度を把握することに有効だと考えられます。
とりわけ、社会における様々な施策計画や市場計画が、中立的将来推計である本推計を共通に用いられるということで、それらの間の整合性が図られます。また、比較可能性も保たれるという意味で、本推計というのは有益であると考えます。
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ここからは将来推計の仕組みについて少し具体的に御説明します。こちらの図は、将来推計で使用するコーホート要因法による推計の計算手順を示しております。一番左に出発点である当年の人口があります。これが基準人口というものです。X歳の集団は翌年X+1歳になります。このとき、右側に矢印で示したように、X歳の人口は仮定された生残率、死亡が起きやすさの仮定に従って死亡者が除かれます。同時に、国際人口移動の仮定により、外国に出たり、外国から日本に入ってきたりする。その結果、X+1歳の人口が決まります。
0歳以上はこの仕組みで推計されますが、新たに加わる0歳人口は、右側にありますように、子供を産む年齢層の女性と年齢別出生率の仮定に基づいて出生が発生し、それが出生性比の仮定により男女別に分けられます。その後、生残率による死亡と国際人口移動仮定による出入りを経て、0歳の男女別人口が決まります。
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具体的な仮定値は、出生・死亡・国際人口移動、それぞれが用意されます。出生に関しては、女性の年齢別出生率と生まれた子供を男女に分ける出生性比を仮定します。なお、合計特殊出生率の推移をそのまま投影しているというわけではございません。死亡については、男女・年齢別の生残率。これは翌年までに亡くならずに、生き残る確率ですが、これを決めます。そして、国際人口移動については、日本人、外国人それぞれについて、男女・年齢別に国際人口移動の仮定を置きます。
先ほど仮定設定は過去から現在に至る傾向、趨勢を将来に投影と説明しましたように、そのイメージを右側に示しました。人口変動要因の時間的変化を表す何らかの人口学的指標、あるいはモデルにおける変化を要約するようなパラメータを過去から現在まで観察し、その趨勢を将来に投影する。そして用いております。
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こちらは3つの異なる時代のピラミッド、すなわち性別・年齢別人口が描かれていますが、これを形づくるために設定される仮定が示されております。スライドの下に①として女性の年齢別出生率のパターン。その右横に推計された出生数を男女別に分ける出生性比の仮定が示されています。
上の右に②として年齢別生残率と推計された男女別の死亡数が示されています。死亡は高齢で多く発生しますが、それが男女別の人口に反映されます。
真ん中の左の③として外国人の年齢別入国超過数の仮定が示されています。足元で見られる20代で多いパターンを仮定として採用し、人口に反映させます。
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将来人口推計の役割と仕組みについてまとめてみたいと思います。将来人口推計は広範な分野で使われており、客観性と中立性が求められます。将来人口推計は、人口変動要因の動向に一定の仮定を設定して人口を計算するものです。人口投影という考え方に基づいて行われます。手法としては、コーホート要因法が国際的にも標準的な方法となっております。
コーホート要因法とは、出生・死亡・移動等の人口変動要因に基づいて、コーホートごとに将来の人口を推計する方法です。将来の出生動向、将来の死亡動向、将来の国際人口移動の動向を仮定して用います。国など公的機関が行う将来人口推計では、これらの人口動態要因についても、人口統計データの傾向を将来に投影することにより仮定設定を行います。
測定値が持つばらつきの投影の仕方に起因する将来の不確実性は、本推計における高位、中位、低位による複数仮定による幅として表現されます。
さらに、現状では科学的根拠が乏しいのですけれども、あり得る未来状況について、幅広い状況を想定した条件付推計によって、不測の社会変化のインパクトを知ることができます。
社会経済環境の趨勢は、人口統計データを介して仮定設定に間接的に反映されていると考えておりまして、直接的に推計には用いません。その理由としては、社会経済変数の投影を人口と同程度の中立的客観性、説明可能性を持って推計方法が未発達であるということ、推計人口を入力値として予測される社会経済状況と矛盾するといった問題点が挙げられます。
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最後に、小さい情報ですけれども、参考資料として諸外国でも実施されている公的将来人口推計及び国連が加盟国について実施している世界人口推計について、直近の推計の概要をまとめたものをお示ししました。次のスライドと2ページにわたっておりますが、ここで挙げた全ての推計でコーホート要因法が使われていること。それから、推計期間は、本推計は50年程度、参考として100年程度を実施しているところが多く見られます。また、出生率、死亡率、国際人口移動に関して、複数の仮定、水準で将来の不確実性の幅を表現していることが分かります。
日本における条件付推計に類する特別シナリオとかモデル推計といったものを活用している国もございます。こうした諸外国国連推計の結果の提供の仕方なども参考にして、今般の新推計の公表の仕方についても検討してまいりたいと思っております。
以上でございます。
○津谷部会長 岩澤部長、ありがとうございました。
ただいま御説明のありました「将来推計人口とは―その役割と仕組み―」について、御質問や御意見がありましたら、お願いいたします。これまでと同様に、まず会場に出席されている委員の方々に御発言をお願いし、その後、オンライン出席の委員の皆様にお伺いいたしたいと思います。それでは、野村委員、どうぞ。
○野村委員 ありがとうございます。
岩澤先生、非常に議論されている点だと思うのですけれども、コロナ禍の年齢別死亡率のデータは、今後はどのように扱う議論が今、行われているのでしょうか。
○津谷部会長 岩澤部長、お答えをお願いいたします。
○岩澤人口動向研究部長(社人研) ありがとうございます。
これから仮定設定を考えていくのですが、人口学というのは、人口学的率といいますか、事象については、国勢調査がしっかり出て、単位時間当たりの率というものを見ないと、数だけで減った・増えたで評価できないところがございまして、それが出たら本格的にいろんな角度から分析したいとは思っています。ただ、1つ分かっているのは、コロナ禍の死亡というのは、これまでの中長期の傾向とは全く違うということが分かっておりますので、それをベースにやるということがなかなかできないと考えております。なので、まずは最新のところでどのぐらい通常に戻ってきているのかとか、あるいはその直前というものがどうだったのか。それは今回の実績と推計値の違いのようなものももう少ししっかり見ていって、どの辺りを基準として使えるかというのはこれからしっかりやっていきたいと思っております。
○野村委員 ありがとうございます。
やはり一意に1つ決めてやるという感じになるのですか。複数の方法論を採用するのかという話ではなく、ほかの国をいろいろ見てみたのですけれども、大分選択肢が違うなと思っていて、フランスとかだと、完全にコロナ禍の2020~2022年のデータを長期トレンドの推定から除いてモデル化したり、イギリスとかは、もういいでしょという感じで、最新の推計ではコロナ禍も含めた1975~2024年のデータを各年同じ重みで使って、シンプルにモデルを当てはめていたような気がするのです。カナダとかはアンサンブルモデルですかね。コロナ禍を完全に入れない場合、つまり2019年までのデータで推定した場合と全部入れた場合、つまり2023年までのデータを使った場合の2つを重みづけして、将来に向かうにつれてコロナ禍の影響が小さくなっていくだろうというシナリオを設けてやるというやり方があって、ああ、どれも納得いくなと。一方で、どれか1つだけ出すと、それは違うのではないかという突っ込みどころがいろんなところから出てきそうだなというのもありまして。コメントです。
○岩澤人口動向研究部長(社人研) ありがとうございます。
まさにそういう議論が出てくるという情報を今いただきました。選択肢としてある、一応基本推計というものについては、皆さんが共通で使うものになりますので、こちらがいろいろあればいいというものではなくて、多分我々がこれを標準で使うのがよいと、恐らくそこまで考えて出さなければいけないと思います。各国いろいろあるという場合ですが、コロナの状況が国によっても随分違うということがありますので、日本のコロナの状況に合った考え方をしっかり説明していきたいと思っております。
ありがとうございます。
○津谷部会長 ありがとうございました。
次に、金子委員、お願いいたします。
○金子委員 今、野村委員からの御質問の年齢別死亡率をどう扱うかというのは、どの辺に議論があるということなのでしょうか。
○野村委員 私の理解が間違っていたら違うと言っていただきたいのですが、過去のデータを使って、それぞれの年の年齢別の死亡率を使った上で、将来どういった年齢別の死亡率になるか。そこから、各年の年齢別の生残率を計算して、それをベースに人口を推計していくことになると思うので、インプットのデータ、要は、2040年、41年、42年の各年齢層における死亡率がどういう軌跡をたどるかを将来推計する際に、過去のデータを使うことになるので、その際にコロナ禍といういわゆるイレギュラーなものを使うと、推計の歪みが生じるのではないかという懸念でございました。
○金子委員 コロナ禍の影響の推計における扱いということですね。
○野村委員 はい。
○金子委員 分かりました。
基本的には投影によって将来生命表をつくる形でやるということなので、長期的にはコロナ禍の影響は取り除いた形のものになるという理解でよろしいですか。もちろん、まだコロナ禍の影響がある範囲においてはそれをどう反映するかというのは、今のお話のように難しい議論があるということですね。
○津谷部会長 岩澤部長、どうぞ。
○岩澤人口動向研究部長(社人研) 方法論については次のときに細かくやりますけれども、これまではリー・カーター・モデルという死亡の推計、推定方法を使っております。その場合は直近の状況というもの、パラメータを推定する場合も基本の年齢パターンを推計するときも直近を使うのですが、その直近は、コロナの時期を除くのか、コロナの影響が少しあるということでやるのかというのは考える必要があると。そういうふうに理解しました。今、生命表とか超過死亡の研究というのは、社人研でやっている一般会計のプロジェクトでも、コロナの辺りの死亡の変化というのに特化した研究をやっておりまして、論文が今度9月に人口問題研究で出るのですけれども、そういうものも参考にして、中長期に与える影響というものを少し説明できるような形で次回は準備したいと思っております。
○津谷部会長 ありがとうございました。
お話を伺っていて思い出したことがありますので、一言申し上げたいと思います。私はかなり長い間、人口部会の委員をつとめておりますが、今回の将来推計へのコロナ禍の影響という御質問から、東日本大震災の将来推計への影響について検討した時のことを思い出しました。東日本大震災では東北地方を中心に多くの死者が出ました。また、福島の原発事故のため外国人が大挙して出国したことで、国際人口移動も大幅な移出超過となりました。しかし、出国した外国人はその後間もなく相当数が日本に戻られ、また、震災による死亡の影響についても、中長期的にはそこまで大きなインパクトは認められなかった、特に生命表を変えるほどの大きな影響はなかったという結論が導かれたのではと思います。これが、さきほど金子委員がおっしゃったことではないかと思います。
とはいえ、コロナ禍の将来人口推計への影響は社会的な関心を集める事柄であり、特に女性の結婚と出生は、20代後半から30代前半という狭い年齢幅で起こっていますので、これにコロナ禍が影響を与えた可能性は否定できません。つまり、コロナ禍による産み控え、産み止めはあるかもしれませんが、死亡への影響は限られているのではないかと思います。いずれにしても、新型コロナ感染症の生命表への影響については、今回の将来推計で御検討いただけると思います。
会場に御出席の委員の方々で、ほかに御質問はございませんか。山内委員、お願いいたします。
○山内委員 早稲田大学の山内です。御説明いただきましてありがとうございました。考え方等について整理してくださって、私にとっても非常に勉強になりました。
質問というより半ばコメントでもありますが、国際人口移動の仮定のところについて、仮定の詳細をどうするかは別の機会に譲り、これまで1つの仮定でずっと推計をされてきたものを、例えば3つの仮定を設定するといった形でバリエーションを設ける可能性についてお伺いさせてください。
その理由としては、御説明にもありましたけれども、将来推計人口自体が社会に対するある種のメッセージ、考えてもらう材料でもあることを考えますと、外国籍の人口が今後どれぐらい増えるのかというのは、人口についての関心事項の一つかなと思いますので、ある程度幅を持って示していただく方が、いろいろと考えていく上で有用ではないかと思っています。
これまでの推計でも幾つかシミュレーションがなされていることは理解しているのですが、そこまで見てくださる利用者の方はあまり多くないのかなと正直思っています。ただ一方で、この基本となるメインの推計のところで、国際人口移動に3つの仮定を設けると、出生と死亡それぞれ3つの仮定があるとすれば27もの推計の結果を示すことになりますので、それはそれで煩雑になります。悩ましいところではあるのですけれども、現状、どのようにお考えなのかをお聞かせいただければと思います。
以上です。
○津谷部会長 岩澤部長、是川部長、この時点でお答えになれることがありましたら、お聞かせください。
○岩澤人口動向研究部長(社人研) ありがとうございます。
まさに前回ぐらいから外国人が急に変化が起きておりましたので、変化が起きているということは不確実性が高まっているということです。前回は条件付推計という形でやり、まずはいろんな利用法もあるだろうということで、実際にそういうものが財政検証でも使われているとかそういう形です。ですから、前回それをやってよかったなと思っております。
今度はそれを本推計という形でやるかどうかなのですけれども、今回お示ししたように、条件付推計と本推計というのは、一応考え方を分けておりまして、条件付推計はある意味いろんなシミュレーションとか感応度分析という形で使えるというイメージなのですが、本推計になりますと、投影という考え方になりますので、外国人の入国超過というものの変化を投影と仮に仮定を設定したときに、前回は直近のレベルが続くというのは、ある程度投影という考え方になるのですけれども、それを変えた場合にどういう考え方を示せるかと。その辺で説明がいくかどうかというところにかかってくるのではないかなと思うので、次回以降、皆さまにそういうこともお聞きしたいというところがあって、その中で決めていきたいというところもあります。現状でこうしていこうというのは、まだ決めていない段階でございます。
○津谷部会長 是川部長、何か付け加えることがありましたら、お願いいたします。
○是川国際関係部長(社人研) 御質問ありがとうございます。
我々としても非常に重要な点と考えております。一方で、今、岩澤のほうから説明がありましたように、出生、死亡の仮定のように高、中、低といったような、同じような確度仮定をつくれるかというと、そこまでのものでもないのかなとちょっと懸念しております。
というのは、国際人口移動は、発生のメカニズムが国内ではなく、国外にありますし、メカニズムとしても及ぶ範囲が広く、地理的にも非常に多くの国から日本に人がやってきているという状態もあります。国際的な情勢の変化とか、また、これまでの実際のデータの変動を見ても、そのボラティリティーが非常に高いということもありますので、これをどういうふうに情報として要約して、幅を見ていく上での有益な情報として用いていけるかということについても引き続き議論させていただければと思います。
以上です。
○津谷部会長 ありがとうございました。
山内委員、よろしいでしょうか。
○山内委員 はい。
○津谷部会長 そのほか、御質問や御意見はございませんか。増田委員、お願いいたします。
○増田委員 駒澤大学の増田です。
今の山内先生の御指摘と関連するのですけれども、個人的には、今、日本国内にいる外国人の出生率自体に複数の仮定を置いてみることも有意義なのかなと思っていて、まだ全然分かりませんが、育成就労制度に移行すれば、結果として定住が促される可能性もありますが、その場合出生率も若干変化するのかなという気もしているのです。
その中で、御質問ですが、諸外国の人口推計の様々な情報が参考資料としてありますけれども、もしお分かりであれば教えていただきたいのですが、この中で移民の出生率自体について複数の仮定を置いているような国があるのかどうか。もしお分かりであれば教えていただきたいと思います。よろしくお願いします。
○津谷部会長 岩澤部長、よろしいでしょうか。資料5の最後に参考資料として示されている部分についてです。
○岩澤人口動向研究部長(社人研) まず、諸外国の推計を見ていて思うことは、日本は国籍というものが明確なので、当たり前のような統計としてあるのですが、諸外国は、例えば外国生まれのようなもので出ていた場合があったり、国籍といっても、たくさん国籍を持っている方がいるということで、外国人という考え方が日本と違うというところもあるのです。ただ、もちろん、移民というふうに捉えて、移民の出生率が送り出し国によって違うとか、そういう分析はされていると思うので、そういうところは参考になると思うのですけれども、日本については、基本的には現状では働きに来るために来ています。先ほどちらっと人口ピラミッドの図で入国超過の年齢別のパターンがありましたが、働きに来る年齢で入ってきて、働いたり、勉強しに来たりするので、子供を持つために来るという人が少ないので、現状では極めて出生率が低いのです。
もし足元で出生率が高くなってきたということがあったら、それを反映して投影しますけれども、足元で出生率が低いままでしたら、投影の考え方でいくと、そのまま低いということになりますが、条件付推計でも今まで外国人の出生率をわざわざ明示的に入れているものではなかったのですが、今、お話を伺って、その辺に御関心がある方がもしかしたらいるかもしれないということで、外国人の出生率についての情報、少なくとも現状についてもう少ししっかり分析する必要があるかなと今、認識しましたので、参考にさせていただきたいと思います。ありがとうございます。
○津谷部会長 よろしいでしょうか。
○増田委員 ありがとうございました。
○津谷部会長 是川部長、何か付け加えることはございますか。
○是川国際関係部長(社人研) 大丈夫です。
○津谷部会長 それでは、和田委員、お願いいたします。
○和田委員 山内委員の関連で。国際人口移動のところは「人口移動」としか書いていなくて、率とは書いていないですが、これは数でいきますか、それとも率でいきますか。これは流入と流出でリスクの対応関係もちょっと難しいと思うのですけれども、今のところ想定としてはどうですか。
○岩澤人口動向研究部長(社人研) 前回の推計では、外国人は最初「入国超過数」で仮定を置きまして、途中の年次、2040年ぐらいからは総人口に対する年齢別の「率」として、それを一定としてというふうに入れておりますので、数の率の両方というか、2つともあります。
○和田委員 率で行くと。これは人口移動だけれども、入国超過率、年齢別で行きますか。両方使うというイメージですか。
○岩澤人口動向研究部長(社人研) そうですね。もし前回どおりでしたら、数でまず決めて、それを年齢別に分けるというやり方ですね。
○和田委員 分かりました。ありがとうございました。
○津谷部会長 金子委員からも一言ということです。金子委員、お願いいたします。
○金子委員 時間が押しておりますので、速効で行きます。
今日御説明いただいた将来推計の役割、仕組みといったことは、推計の使い方、見方に関わるので、これをもっと要約した形でもいいと思うのですけれども、報告書であるとか公表資料に活用することがよろしいのではないかというのが1点。
それから、外国人の話はちょっと長くなるので要約しますが、外国人のモデルのほうも、今後の発展に向けて、諸外国の状況、すなわち諸外国でも高齢化、人口減少が進んでいますので、それとの関係での出入りの影響も長期にはあるはずなので、そういったことを取り入れたモデルをデータの収集も含めてやっていけたらよいのではないかと思います。今後に向けて是川部長に期待するところであります。
もう一つ、先週公表された出生動向基本調査、今回は資料に含めていないようですが、今後それがこの部会でも俎上にのって、御説明いただけるということでしょうか。
○津谷部会長 岩澤部長、お答えをお願いいたします。
○岩澤人口動向研究部長(社人研) ありがとうございます。
まず、今日の考え方、報告書ということで、前回も実は報告書の3部とか4部にそういう考え方を載せておりまして、今回もそのような形で載せる予定にしております。
外国人については、マクロなもの、あるいはまさに移民の理論というものについては、是川部長も御専門なので、そういう背景について、それを推計に入れるという話ではなくて、現状の外国人の動向をどう理解するかというところで、そういう説明の場は設けられるとよいかなと思っております。
出生動向基本調査も同様で、出生の仮定を説明するときに少し補足的に参照させていただくことがあるかと思います。
以上でございます。
○津谷部会長 ありがとうございました。
では、長らくお待たせいたしました。オンラインで御出席の委員の皆様からの御質問や御意見をお受けしたいと思います。挙手をいただいた順番に指名いたします。まず、寺井委員、お願いいたします。
○寺井委員 丁寧な御説明をいただきましてありがとうございます。
私、実は年金数理部会というところにおりまして、将来人口推計を使わせていただいている身ですので、せっかくの機会ですのでコメントを1つ申し上げたいと思います。それはもう既に多くの委員の方がおっしゃっている国際人口移動のことについてです。年金数理部会では毎年度厚生年金や国民年金等の各制度の財政状況報告書を作成しているのですが、ついこの間6月に報告をしたことの中で一番のポイントとなったのが、国民年金第1号被保険者や厚生年金被保険者のそれぞれの数が、実績が将来見通しを上回ったということなのです。年金数理部会ではその要因を考えたのですけれども、要因としては、外国人入国超過数の実績が令和5年推計における仮定値を上回っている、それが影響していると結論づけているのです。
お伝えしたいのは、乖離があったということでは決してなくて、外国人労働者のインパクトが非常に大きくなっているという実感なのです。特に年金財政については、合計特殊出生率の低下傾向が続いていますので、外国人入国超過数が年金財政に与えるインパクトが大きくなっています。
これまでの説明を伺って、国際移動についての推計は非常に難しいということは本当によく理解している反面、利用される場面は非常に増えていて、関心も高まっているということをお伝えしたく、もう既にほかの委員の方もおっしゃっていますけれども、どのような前提を置くのかというのをしっかりと検討するとともに、使う側の身になって、解釈する際にどういうところを留意しながら解釈しなくてはいけないかということも、この部会で検討する過程で明らかにしていく必要があるかなと思っています。
私からは以上です。
○津谷部会長 有用なコメント、ありがとうございました。
これについて、もし何かレスポンスがございましたらお願いいたします。
○是川国際関係部長(社人研) ありがとうございます。
推計を使ってくださって非常にありがたいなと思いましたし、外国人のところについて今後重要になってくるという点、よく理解いたしました。今の御指摘で私自身が非常に重要だなと思っておりますのが、ユーザーの側でどういう数字なのかしっかり解釈できるようなものとしてという点かなとお聞きしました。というのは、単に高位、中位、低位のような一般的なラベリングをするだけですと、使う側としてそれがどの程度の確度のものかというのが分かりにくいということかなと思いまして、これまでの実績などを、どの部分の情報を活用したのかとか、そこにどういった判断が含まれているのかということも併せてお示しするような形で検討していければなと思ったところです。
現時点での感想めいたものとなりますが、以上です。
○津谷部会長 ありがとうございました。
よろしいでしょうか。
○寺井委員 はい。ありがとうございます。
○津谷部会長 笹野委員からもお手が挙がっております。笹野委員、お願いいたします。
○笹野委員 丁寧な御説明ありがとうございました。
資料5の11ページの御説明で過去の趨勢を将来に投影する際のお話が出ていたのですが、コロナの影響について少し追加で御質問させていただきたいと思います。近年お隣の韓国では2024年、2025年と出生数や合計特殊出生率が上昇していて、その背景として、現在、出産期に当たる年齢層の人口が多いことに加えて、コロナ禍の影響で先送りされていた婚姻が実現しているということが指摘されています。一方、本日拝見した資料では、日本でも婚姻件数自体は2年連続で増加しているのが見られますし、30~34歳の出生数も増加しているものの、全体の出生数や合計特殊出生率が低下しているのが見られました。これは日本でも一部では先送り分の実現が起きているけれども、ほかの年齢層や第2子以降の減少などによって全体としては増加に至っていないと考えられるのでしょうか。それとも、先送りされた婚姻・出生がその後に実現する程度自体が限定的だと考えるべきなのでしょうか。こうした一時的なタイミングの変化と、その世代が最終的に結婚する割合や持つ子供の数の変化をどのような指標や観察期間で見極めて、次期推計の出生仮定に反映されるのか教えていただければありがたいです。よろしくお願いいたします。
○津谷部会長 岩澤部長、いかがでございましょうか。
○岩澤人口動向研究部長(社人研) 私も日本の状況を考えるときに韓国の状況と比較するというのは大変有用だなと思っていまして、同じように東アジアで出生率が低いのですけれども、韓国との違いもしっかりある。というのは、韓国のこれまでの落ち込みというのが日本以上に激しい落ち込みだったものですから、そういう場合の取り戻し効果と、日本のようにかなり前から落ち込んでいて、今回、多少コロナの後の取り戻しがあるかもしれませんけれども、韓国ほどはそれが期待できないというふうにも見られるのではないかと思っておりまして、私は、韓国と比較すると、韓国ほどの取り戻しは今のところ見えていないと評価しております。
ただ、2025年の数値がはっきり出ているわけではないので、もちろん細かいことは次回以降の部会で説明したいと思いますが、基本的には人口動態の最新の動向を重視して将来に投影するということになるかと思っております。細かいことは次回以降もうちょっとデータに基づいて説明させていただければよいかな。今、問題意識はしっかり理解しましたので、そういう資料をつくっていきたいと思います。ありがとうございます。
○津谷部会長 ありがとうございました。よろしいでしょうか。
○笹野委員 承知しました。
○津谷部会長 富田委員からもお手が挙がっております。富田委員、お願いいたします。
○富田委員 時間が超過しておりますので、手短にお話しさせていただきます。
根本的に将来人口推計は何のためにあるかという原点に立ち戻ってみると、単なる数合わせではなくて、どうやって政策、施策にこれを有用に使ってもらえるかという原点に戻る必要があると思うのです。
ただ、そういう政策ニーズがあるにもかかわらず、人口推計は、3つの人口パラメータのみで推計がなされていて、経済社会的な変数とか政策変数が明示的に組み込まれないという、この辺にギャップを感じています。先ほど寺井委員がおっしゃっていたように、社人研から出る将来人口推計というのは非常に重要視され、インパクトも大きいと思うのです。私が考えますに、従来どおり3つのパラメータを使って、最近のトレンド、趨勢から将来を読み解くという基本的な姿勢は変えずに、これはこれで一つのやり方であると認めていいのだと思います。
その一方で、変わっていく社会、政策の影響、これらのインパクトをどう見ていくかと必要もあるわけで、特に今日多くの委員が述べられていた国際人口移動という現象は、政策の変化を無視し得ないと思うのです。ただ、出生・死亡に関しては、ある程度のトレンドを予見できるとしても、国際人口移動の場合、とてもボラタイルで予測が難しいということがあります。
そこで、1つの提案としてお話しさせていただくのですけれども、この基本推計はそのまま維持しながら、特に国際人口移動推計に関しては、もう少し政策動向等を反映したようなプロジクトを別個に社人研のほうで実施してはいかがでしょう。例えば、国連では人口部が2年に一度基本的な人口推計を実施していますが、その余業といいますか、一昔前に「Replacement Migration」というプロジェクトを立ち上げました。急速な出生率の低下を経験している国が人口減を移民で補った場合、どのぐらいの移民をネットで受け入れる必要があるのかという試算なのですが、これは非常に社会的にインパクトがありまして、メディアでも大きく取り上げられました。
つまり、日本政府も外国人の受入れ施策として、特定技能制度とか育成就労制度とか、いろいろ整えておりますし、何と言っても日本社会において共生社会というものをどうやって構築するかということに政府が非常に心を砕いておりますので、そういった政策の影響を考察するという観点からも、その政策を加味した形の人口推計というものを別途していただいてはいかがかと思って提案させていただきます。
以上です。
○津谷部会長 岩澤部長、お考えがありましたら、お願いいたします。
○岩澤人口動向研究部長(社人研) ありがとうございます。
まさに社人研は研究をする機関ということで、この将来推計人口とは別に国際人口移動に関する研究プロジェクトがいろいろ立ち上がって、是川がリーダーになってやっているようなものが幾つかございますので、そちらで研究としてやっていく、特に基本推計が出た後に、このシステムをいろいろ研究に発展させるということはこれまでもやってございましたので、そのような意味では今、たくさんのアイデアが研究者の中で出ているところでございます。
貴重な御意見、ありがとうございました。
○津谷部会長 ありがとうございました。
現在、終了予定時刻を6分ほど超過しております。まだまだ御意見や御質問がおありかと思いますが、誠に申し訳ございませんが、本日の部会はこれまでとさせていただきたいと思います。私の仕切りが十分でなかったにもかかわらず、大変有意義で活発な御議論をいただき、ありがとうございました。本日いただいた御意見や御提案を検討し、これを次回以降の部会審議に反映させていければと思っております。社人研には、これから大変なお仕事が待っていると思いますが、御健闘を期待しております。どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、本日の審議はこれで終了とさせていただきます。
次回の部会の開催について、事務局より御連絡をお願いいたします。
○西澤社会保障政策戦略官 次回の開催につきましては、後日改めて御連絡申し上げます。
本日は誠にありがとうございました。
○津谷部会長 御多忙の折、お集まりいただき、ありがとうございました。

