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- 第68回厚生科学審議会疾病対策部会指定難病検討委員会 議事録
第68回厚生科学審議会疾病対策部会指定難病検討委員会 議事録
日時
令和8年9月1日(火)14:00~16:00
場所
ハイブリッド(対面+WEB)開催
議事内容
○古藤補佐 定刻となりましたので、ただいまから第68回「厚生科学審議会疾病対策部会指定難病検討委員会」を開会いたします。
委員の皆様には、お忙しい中、お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
なお、本日は報道関係者及び一般の方の傍聴は行わず、代わりに会議の模様をYouTubeによるライブ配信にて公開しておりますので、御了承ください。
また、本日、委員の方には会場またはオンラインにて御参加いただいておりますが、オンラインでの御参加の方に向け、何点かお願いをさせていただきます。会議参加に当たり、ビデオカメラはオンにしていただき、マイクはミュートにしてください。御発言時はマイクをオンにしていただき、名前をおっしゃった上で御発言をお願いいたします。発言が終わりましたら、マイクをミュートに戻してください。御不明な点がございましたら、事前にお伝えしている電話番号までお問い合わせください。
本日の出席状況について御報告いたします。和田委員より欠席、山下委員より早退の御連絡をいただいております。
また、本日は森光健康・生活衛生局長が遅れて出席いたします。
それでは、ここからの議事進行は持田委員長にお願いいたします。
○持田委員長 まず、資料の確認をお願いします。
○古藤補佐 それでは、資料の確認をさせていただきます。
資料1-1、資料1-2は、議題1の「疾病ごとの個別検討(新規の疾病追加)について」に関する資料です。資料1-1は「指定難病に係る新規の疾病追加(令和10年度適用分)について研究班から情報提供のあった疾病(第68回指定難病検討委員会において検討する疾病)」についての一覧表、資料1-2がその個票となっております。
また、参考資料1として「指定難病の検討について」がございます。参考資料1は、今年度アップデートの検討委員会でも用いた資料となりますが、指定難病の要件について記載されております。難病の定義、指定難病の要件について記載がございますので、こちらを御確認いただきながら御議論いただければと思います。
資料2-1から2-5は、議題2の「指定難病(令和10年度適用分に係るパブリックコメントの結果について」の資料です。資料2-1は「「指定難病に係る診断基準及び重症度分類等について」の一部改正(案)に関する意見募集の結果について」です。また、本委員会として指定難病の診断基準等のアップデートを検討する疾病について、資料2-2はその一覧表、資料2-3はこのうちパブリックコメント等を受けて変更等を予定するものの個票、資料2-4は変更等を予定しないものの個票です。資料2-5は「本委員会として個別検討を要する疾病(個票)」になります。
続きまして、資料3-1、資料3-2は、議題3の「告示病名の変更について」の資料でございます。資料3-1は「告示病名の変更について情報提供のあった疾病」の一覧表、資料3-2はその個票となります。
資料は以上となります。不足等がございましたら、事務局までお申しつけください。
○持田委員長 それでは、議事を進めてまいりたいと思います。
まず、本日は議題1の「疾病ごとの個別検討(新規の疾病追加について)」、委員の先生方に御議論いただきたいと思います。
まず、事務局から説明をお願いいたします。
○西垣補佐 それでは、議題1につきまして、資料1-2の「指定難病に係る新規の疾病追加について研究班から情報提供のあった疾病(個表)」を御参照いただき、こちらの疾患順に委員の皆様に議論を行っていただきたいと思います。
指定難病の新規の疾病追加に関して、今回は神経・筋疾患4疾患、染色体または遺伝子に変化を伴う症候群1疾患、免疫疾患1疾患、循環器疾患5疾患、内分泌疾患3疾患、視覚疾患1疾患の計15疾患について議論を進めさせていただきます。本日は16時までの予定としております。
まず、神経・筋疾患の4疾患です。ADSS1ミオパチー、遺伝子異常による発達性てんかん性脳症、視床下部過誤腫症候群、GRIN関連神経発達異常症について御説明します。
ADSS1ミオパチーについて、1ページを御覧ください。
患者数は約100人で、過去に議論されたことはありません。
1の概要ですが、本疾患は、ADSS1遺伝子がコードするATP合成に関わる酵素の機能異常による常染色体潜性筋疾患です。ATP供給障害による筋の易疲労性など代謝性疾患としての側面を有する一方で、進行性の筋力低下・筋萎縮を来すいわゆるミオパチーとしての特徴もあります。病理学的にはネマリン小体が出現するなど先天性ミオパチー様の所見も呈すとあり、したがって、遠位型ミオパチー、代謝性ミオパチー、先天性ミオパチーなど多彩な疾患カテゴリーに分類されてしまう可能性があると記載がございます。
4.治療法には、転倒による外傷、嚥下障害による誤嚥性肺炎、左室不全による心筋症などに対して、対症療法を行うとございます。
続いて、重症度分類に参りますが、重症度分類はBarthel Index85点以下を対象とするとされており、こちらの重症度を用いた場合、対象となる患者の割合は約80%とされております。
次に、遺伝子異常による発達性てんかん性脳症について、8ページを御覧ください。
患者数は約3000人で、令和5年度の指定難病検討委員会では、既存の指定難病のうちの幾つかがこの疾患概念の中に入ると考えられることから、「客観的診断基準の確立」の要件を満たしていないと判断されたほか、「遺伝子異常による」疾患としながら、遺伝学的検査を必須としない診断基準となっている点についても御指摘をいただいておりました。
1.概要ですが、発達性てんかん性脳症はDEEと呼ばれ、難治性てんかん発作、てんかん性脳波異常、及び発達の停滞・退行を特徴とする重篤な神経発達疾患でございます。
2段落目にございますとおり、2026年5月現在、121のDEE関連遺伝子が登録されておりますが、そのうち、研究班による遺伝子検査で2例以上症例確認できた36遺伝子を対象とされているとのことです。また、本疾患は36遺伝子を原因とする疾患を包括するものではなく、36遺伝子に関連する疾患のうち、共通するDEEの表現型を呈する患者を対象とするとの記載もございます。
4.治療法に関しましては、現在疾患特異的な治療法はなく、てんかんなどの個々の症状を対象とした対症療法のみで、5.予後は、てんかんの重症度によるとの記載がございます。
続いて、重症度分類に参りまして、こちらは精神保健福祉手帳診断書における「G40てんかん」の障害等級判定区分、及び障害者総合支援法における障害支援区分における「精神症状・能力障害二軸評価」を用いて表に該当する患者を対象とするとしており、こちらの重症度を用いた場合に対象となる患者の割合は約99%とされております。
診断基準、重症度分類は、日本小児神経学会、日本てんかん学会にて承認を得ております。
次に、視床下部過誤腫症候群について、34ページを御覧ください。
患者数は不明ですが、新規の患者数は年間10人程度とされております。平成27、28、29年度には「発病の機構が明らかでない」の要件、令和3年度には「治療法未確立」と「長期の療養」、令和5年度には「治療法未確立」要件に該当しないと判断されました。
1.概要ですが、先天性病変である視床下部過誤腫により引き起こされ、笑い発作という特異なてんかん発作と思春期早発症を特徴とする症候群とございます。
3.症状につきましては、約半数に知的発達症、神経発達症、行動異常を伴うとございます。
4.治療法に関してですが、笑い発作は極めて薬剤抵抗性であり、外科的治療が適応とのことです。
5.予後に記載のとおり、笑い発作に関しましては外科的治療によって7から9割消失が得られますが、非笑い発作については発作消失率が5から7割ほどになるとございます。反応しない場合には、長期的な抗てんかん治療が必要になることのことでした。
続いて、重症度分類ですけれども、先ほどの疾患同様、「G40てんかん」の判定区分及び「能力障害二軸評価」を用いて該当する患者を対象としており、こちらの重症度を用いた場合は、該当する方が約60%とされております。
診断基準、重症度分類は、日本小児神経学会、日本てんかん学会、日本神経学会にて承認を得ております。
続きまして、GRIN関連神経発達異常症について、40ページを御覧ください。
患者数は約50人で、これまで議論されたことはございません。なお、小児慢性特定疾病には、現在、本疾患の一部であるGRIN2B関連神経発達異常症のみが指定されております。
NMDA受容体サブユニットをコードするGRIN遺伝子ファミリーの異常に起因する疾患です。GRIN遺伝子ファミリーのGRIN1、GRIN2A、GRIN2B、GRIN2Dの4疾患が原因として知られているとのことです。主な症状は、重度の全般性発達遅滞及び知的障害、てんかん、筋緊張異常、運動障害、自閉スペクトラム症です。
3.症状にございますが、GRIN2A関連神経発達異常症では、一部の既存の指定難病の患者さんを含むようです。
4の治療法ですが、現時点では根本的な治療法はなく、対症療法が中心となります。
5.予後に関しましては、合併するてんかんや運動障害などの神経症状及び呼吸状態、栄養状態等が予後を左右すると記載されています。
42ページに参りまして、重症度分類は、先ほどの疾患同様、「G40てんかん」の判定区分及び「能力障害二軸評価」を用いて該当する患者を対象としており、こちらの重症度を用いた場合に対象とする患者の割合は約99%とされております。
診断基準、重症度分類は、日本小児神経学会、日本てんかん学会にて承認を得ております。
以上です。
○持田委員長 ただいま御説明のありました神経系の4疾患について、要件を満たすかどうかということも含めまして御議論いただければと思います。
まず最初のADSS1ミオパチーですが、遠位ミオパチー、先天性ミオパチーといった指定難病の疾患がある中での位置づけがどのようなものであるかというのが少々気になります。いかがでしょうか。
それでは、守本先生、いかがでしょうか。
○守本委員 よろしくお願いします。守本です。
もう既にある指定難病ということになっておりますので、そういった既存の指定難病の一部の患者さんが、新しく遺伝子が見つかったということで、また別に取り出して新しい指定難病に定義するというのは、今後、そういうものはすごく増えてくるのではないかと思いまして、この疾患だけじゃなくて、ほかの指定難病にもいろいろとあると思いますので、関連する遺伝子が見つかったら、新しく指定難病としていくのかとか、そういった方針をまず検討すべきではないかなと思います。
遺伝学的に異常を認めたために独立させるという整理を進めてしまうと、今後、疾患が増えてくる可能性がございますので、この意義についても検討していただくということと、それから、方向性を先に定めたほうがいいと私としては思います。よろしくお願いします。
○持田委員長 ありがとうございます。
新規の指定難病を定義する上での整理をまず先行させるべきという御意見のようです。
何かほかに御意見ございますでしょうか。特にございませんでしたら、ADSS1ミオパチーに関しては、要件としての「客観的診断基準の確立」に関する部分になりますけれども、これに関して、委員会の中で全体整理を行ってから再検討していくと、それが妥当かと思いますが、よろしいでしょうか。
では、2つ目の遺伝子異常による発達性てんかん性脳症についてですが、診断基準に遺伝学的検査が含まれているわけですが、「病的疑いのバリアントを認める」という表現が本疾患の診断基準として適切かどうかというのが疑問に残るかと思います。また、36の遺伝子異常が関与するということで、大変たくさんの疾患が入ることになりますが、その中でDEEのみを切り分けているという点も気になります。
これに関しましては、神経内科が御専門の青木先生、いかがでしょうか。
○青木委員 東北大の青木です。
まず、診断基準のA.症状・臨床所見あるいはBの検査所見が特異的なものではございませんので、それに病的疑いのバリアントという主観的な要素を入れてしまうと、かなり広い範囲を診断しかねないと思います。したがいまして、客観的な診断基準の要件に該当しないのではないかと思います。
○持田委員長 ありがとうございます。
桑名先生、いかがでしょうか。
○桑名委員 桑名でございます。
今、青木先生からお話ありましたように、この疾患が独立した疾患概念なのかという点に疑問があります。症状、診断基準の面からも、独立した概念の一疾患というより、かなり広い疾患スペクトラムと考えるのが妥当かと思います。個別に列挙された病名の中の既に指定難病になっているものも含まれており、まずは、従来の様々な概念による疾患分類、さらにそこに遺伝子、これらの新しい知見が加わっている情報を整理して、系統的に指定難病に合致するかという点について検討するのが望ましいと考えます。
以上でございます。
○持田委員長 ありがとうございます。
今、お二人からいただきました御意見からは、客観的な診断基準が確立されているとは言えないとみなされますが、よろしいでしょうか。
では、続いて、3つ目の視床下部過誤腫症候群についてですが、これは以前の指定難病検討委員会でも、手術が有効であったりするということで、治療法が確立していないとは言えないと判断されていました。また、てんかんと精神疾患以外の症状は十分記載されておらず、他の施策体系ではカバーできない症状についての説明が不十分かと考えますが、張替先生、いかがでしょうか。
○張替委員 今、持田先生、おっしゃったとおり、私もこの治療法に関しては、あまり認識が変わるような新しい記載がなく、手術でかなり改善するということでとどまっておりますし、これだけだと術後の重症者割合が高いとは考えづらいので、なかなか認定は難しいのではないかと思いました。
以上です。
○持田委員長 ありがとうございます。
治療効果が高いことを踏まえると、「治療法未確立」、また「長期の療養」の要件、どちらも満たしていない。また、他の施策体系でカバーできない症状が明確化されていないことなどから、「発病の機構」の要件も満たさないと判断するのが妥当かと思います。よろしいでしょうか。
では、最後、4つ目のGRIN関連神経発達異常症についてですけれども、予後について具体的にあまり記載されていない点が気になります。また、既存の指定難病が含まれる中での位置づけがどのようなものかというのも気になりますが、これは石毛先生、いかがでしょうか。
○石毛委員 ありがとうございます。
この疾患は、様々な疾患と共通する症状のところが、てんかんや発達障害といった臨床所見を来す疾患ということですけれども、例えば先ほど検討しました遺伝子異常による発達性てんかん脳症の中には、このGRIN関連神経発達異常症というものは含まれてこないのでしょうか。
○持田委員長 事務局からお願いします。
○西垣補佐 事務局よりお答えいたします。GRIN2A以外の3遺伝子に関しましては、DEE関連遺伝子として登録されているということを研究班から確認しております。
○持田委員長 今の御回答についていかがでしょうか。
ほかに御意見がございましたら。桑名先生、よろしいですか。
○桑名委員 先ほどの疾患でも議論がありましたけれども、この疾患の中に既存の指定難病が含まれておりますし、さらにDEEと本疾患が互いに大きく重なり合っているところ、全体の方向性を定める前に疾患整理というのを進めていただくのが望ましいと思いますので、現状で検討を進めるのは難しいのかと思いました。
以上です。
○持田委員長 ありがとうございます。
ほかによろしいですか。
新規の指定難病を定義する上での整理を先に進めてから検討を行うべきという点で、「客観的診断基準の確立」の要件を満たしていないのではないかということになるかと思います。また、「長期の療養を要する」の要件を判断するためには、もう少し具体的な予後を示していただく必要もあるかと思います。そういうことでよろしいでしょうか。
それでは、この神経系の4疾患につきましては、いずれも指定難病には該当しないということでよろしいかと思います。
ほかに御意見はございませんでしょうか。よろしいですか。どうもありがとうございました。
では、事務局から続きをお願いいたします。
○西垣補佐 続いて、内分泌疾患1疾患、染色体・遺伝子異常1疾患、免疫疾患1疾患です。ROHHAD症候群、VEXAS症候群、TAFRO症候群について御説明します。
ROHHAD症候群について、46ページを御覧ください。
患者数は約400人で、過去に議論されたことはございません。
1.概要ですが、本疾患は、急性発症型肥満、視床下部機能障害、中枢性低換気、自律神経調節障害の臨床症状を特徴とする疾患群です。神経節腫瘍の合併例ではROHHAD-NET症候群と呼ばれるようです。
2.原因としましては、自己免疫的機序が報告されており、抗体が脳室周囲器官に対して炎症、細胞死を引き起こし、視床下部下垂体障害を惹起することが示唆されているとございます。
4.治療法ですが、ホルモン補充療法や呼吸管理が記載されています。
次のページに参りまして、5.予後について、長期予後は不明との記載となっております。
続きまして、49ページ、重症度分類ですけれども、こちら、研究班で作成されており、中等症以上を対象とするとされております。それぞれaからcを全て認める場合とされ、こちらの重症度を用いた場合、対象となる患者の割合は約60%とされております。
診断基準、重症度分類は、日本先天異常学会にて承認を得ております。
次に、VEXAS症候群について、51ページを御覧ください。
患者数は1000人未満で、令和5年度に診断基準に組み込む遺伝子変異と重症度分類の記載について整備が必要と指摘されまして、「客観的診断基準」の要件を満たさないと判断されました。
1.概要ですが、成人後期に発症する治療抵抗性の自己炎症症候群で、高熱、皮疹、軟骨炎、肺病変、関節炎などの多彩な全身性炎症症状を呈し、しばしば血球減少や骨髄異形成などの造血障害を伴います。
2.原因は、骨髄の造血系前駆細胞におけるUBA1の後天性体細胞変異が関連しているとされています。
3.症状では、初発時から複数の症状を認めることも、経時的に症状が追加されることもあり、皮膚や肺の好中球性炎症、耳介や鼻軟骨炎等が記載されています。また、様々な血液異常も知られており、大球性貧血、血小板減少、骨髄異形成症候群や骨髄腫等が見られます。
4.治療法に参りまして、グルココルチコイド治療は初期には有効性を示しますが、漸減中の再燃はほぼ不可避で、長期にわたって中等量以上の内服継続を要することが多いほか、生物学的製剤やメチル化阻害薬など、加えて輸血療法等も用いられるとございます。
52ページに参りまして、予後は不明としつつ、再燃や合併症を繰り返すことが記載されております。
55ページに参りまして、重症度分類ですけれども、前回、プレドニゾロンが減量できないことと輸血の必要性という2つの要件で提出されておりまして、薬剤の有無によらない基準が必要と判断されていたことを受けて、今回は3つの条件が設定されております。1につきまして、症状や臓器障害、炎症の程度を加えて対象をより明確に記載修正されているほか、2は本症に伴う造血障害の基準、そして、3は本症に伴う炎症症状や造血障害等により、modified Rankin Scaleが3以上という形になっております。こちらの重症度を用いた場合、対象となる患者の割合は93%とされています。
診断基準、重症度分類は、日本リウマチ学会、日本小児リウマチ学会にて承認を得ております。
続きまして、TAFRO症候群について、58ページを御覧ください。
患者数は900から7300人程度で、平成28、29年度に「客観的診断基準」の要件を満たさないと判断されました。
1.概要ですけれども、原因不明の全身性炎症性疾患で、血小板減少、全身浮腫・体液貯留、発熱、骨髄細網線維化または腎機能障害、臓器腫大の頭文字を取って命名された症候群とございます。急速進行性の血小板減少、難治性の体液貯留、急性腎障害を来して、適切な免疫抑制療法を行わなければ多臓器不全により致死的経過をたどる予後不良な疾患とございます。リンパ節生検では特発性多中心性キャッスルマン病と類似する組織所見を示すことがございますが、異なる病態を呈すると記載がございます。
4.治療法ですけれども、ステロイドの他に抗体製剤等が用いられるとございます。重症例では、血漿交換や透析、人工呼吸管理を要し、寛解導入後も長期の免疫療法が必要とのことです。
次のページに参りまして、5.予後ですが、5年生存率が67%、診断時Grade4以上で6割程度が透析を行うとの記載がございます。
62ページに参りまして、重症度分類です。研究班作成のTAFRO症候群重症度分類を用いています。初診時に重症度が低い場合でも早期死亡率が高いこと、Grade4以上で急性腎障害が顕著に増加することから、新規申請の場合は全例を、継続申請の場合はGrade4以上を医療費助成の対象とすると記載されています。Grade4以上とは、体液貯留、血小板減少、原因不明の発熱/炎症反応と腎障害の4項目で12点満点中9点以上を意味します。こちらの重症度を用いた場合、対象となる患者の割合は新規100%、更新は約36%とされています。
診断基準、重症度分類は、日本リウマチ学会、日本血液学会、日本リンパ腫学会にて承認を得ております。
この3疾患については以上となります。
○持田委員長 ありがとうございました。
ただいま御説明のありました3疾患について御議論いただきたいと思います。
まず最初のROHHAD症候群ですが、これは具体的な予後に関する記載がないのが気になりますけれども、いかがでしょうか。
桑名先生、お願いします。
○桑名委員 御指摘のとおりで、治療による具体的な予後が示されておらず、判断が難しいと考えます。また、神経節腫瘍の合併の有無の2つのタイプがあるとの記載がありますけれども、どの程度の割合なのか。あるいは、腫瘍性でないという記載がありますけれども、腫瘍形成が自己抗体産生を誘導し誘発される傍腫瘍症候群のような病態ではないかという点についても、もう少し記載を明確にしていただきたいと思います。
以上です。
○持田委員長 ありがとうございます。
ほかにございますか。
石毛先生、どうぞ。
○石毛委員 重症度分類のところで、ちょっとよろしいでしょうか。軽症・中等・重症が定められているのですけれども、治療によって分けられておりますので、この間に入ってきてしまうような患者さん、分け切れない患者さんがいる可能性があるのではないかと思いますが、こちらについては検討がもう少しあったほうがいいのかなと思います。
○持田委員長 ありがとうございます。
具体的な予後を示していただかないと、「長期の療養を要する」の要件についての判断が困難かと思います。また、重症度分類についても、「客観的診断基準の確立」の要件に関して問題があるのではないかという貴重な御指摘もいただきました。よろしいでしょうか。
では、続きまして、2つ目のVEXAS症候群について、これはあまり問題になる点は気づきませんでしたが、いかがでしょうか。ほぼ難病としての要件はどの項目も満たしているかと思いますが、御意見ございますか。
張替先生、どうぞ。
○張替委員 血液学的に研究班からクローン性造血と炎症も伴う疾患という御回答をいただいているのですけれども、血液学的にはクローン性造血というと腫瘍を想起するのと、それがベースになっている傍腫瘍症候群という見方もできるのかなと思ったので、そういう意味で指定難病の要件になるかどうか、ちょっとその辺が疑問に思いました。これはリウマチ学会の承認なので、桑名先生の御判断をいただければいいのかなと思いましたけれども、血液学的には少しそこが気になったところです。
以上です。
○持田委員長 ありがとうございます。
傍腫瘍症候群の可能性もということですね。
どうでしょうか、桑名先生。
○桑名委員 張替先生の御指摘のとおり、クローン造血が基礎にある病態ではありますが、最近、クローン造血自体は加齢に伴って多くの方に見られる現象で、様々な循環器疾患や炎症性疾患との関連が言われている。明確な腫瘍との鑑別・区別というのは、多分学問的にもまだ十分結論に至っていない部分であるとは思います。本疾患におけるクローン造血の位置づけは、確かに議論の余地はあるのかと思いますが、炎症性疾患という要素で見ますと、1つのクローン造血がきっかけにはなっているものの、それに伴う抗サイトカイン血症、炎症に伴う全身性病態が起こっているということから、どちらかというと炎症性疾患の位置づけのほうが強いのかと個人的には考えております。
以上です。
○持田委員長 これについて事務局で研究班に確認とかされていますか。どうぞ。
○西垣補佐 事務局より御回答させていただきます。
研究班によりますと、VEXAS症候群はMDS等の腫瘍性病変と無関係ではございませんが、MDSの中でUBA1遺伝子異常を伴う症例というのはごくわずかであって、MDSを伴う傍腫瘍症候群とは異なる病態と考えられるという御回答はいただいているところでございます。
○持田委員長 どうもありがとうございます。
VEXAS症候群は、MDSなどは除外した上で診断することになるわけですね。
○西垣補佐 MDSは、合併することがあるとの記載です。
○持田委員長 合併することもあるということですね。
張替先生、いかがでしょうか。これは炎症性疾患としての位置づけで、その結果としてクローン性増殖があるというのが桑名先生の御意見ですね。
○張替委員 桑名先生、おっしゃるとおり、クローン性造血は加齢に伴って増えてきて、心血管イベントの原因にもなるというのもそのとおりでございますので、それそのもので必ずしも腫瘍とは言いがたいのかもしれません。ただ、VEXAS症候群については治療が腫瘍性疾患に対する治療なので、加齢に伴うCHIPとはちょっと違っていて、主体が腫瘍のようなクローン性造血というような、血液学的にそういうふうに見えたものですから、腫瘍ではないということが十分否定できるのであればいいのかもしれません。そこはグレーなのかなと、正直そんな感じです。ですから、承認いただいたリウマチ学会のほうの判断でオーケーということであれば、これ以上は特に申し上げません。
以上です。
○持田委員長 よろしいでしょうか。
それでは、これに関しましては、いろいろ御意見ありますけれども、基本的には炎症性疾患で、それに伴ってクローン増殖があるということで、難病の要件は満たしているということでよろしいですか。では、御異論ございませんでしたら、そういうことで進めたいかと思います。
それでは、3つ目のTAFRO症候群ですけれども、いかがでしょうか。これに関しては、疾患の特性もあるかと思いますけれども、新規のときと更新時で重症度の判定基準が分かれているのですが、更新時の重症度を満たす患者さんの割合が少ないということが気になります。これに関して、いかがでしょうか。
桑名先生、お願いします。
○桑名委員 確かにこの重症度評価は、診断時は全例、更新時は従来の形の重症度評価に基づくような構成になっていて、指定難病の中でなかなか見られない形を取っているのかと思います。一方で、多くの症例は診断時、かなり重篤、全身の障害があり、予後不良であるため、亡くなられる方も結構多いので、更新時には、重症例が一定割合減ってくることは理解できるのかもしれません。ただ、診断時、更新時、統一した形で疾患自体の重症度を包括するような分類を提示していただいたほうが、この指定難病として多くの先生方が評価する際に、より分かりやすい判定基準になるのかと思います。
また、診断基準についても特異的な所見がなく、非特異的な所見を併せ技で構成している点も、この疾患概念の独立性についての、本質的な解析なり知見が必要な部分かなと思います。
以上です。
○持田委員長 ほかにございますでしょうか。よろしいですか。
それでは、診断基準についても、重症度の基準についても、もう少し検討いただく必要があるということで、「客観的診断基準の確立」の要件を満たしていないということになるかと思います。また、重症者の割合が少ない点は、「長期の療養を必要とする」という要件も満たさないかと思いますので、これはまだ研究班のほうに戻して検討いただく必要があるということでよろしいかと思います。
以上、御意見いただきましたが、最初のROHHAD症候群と3つ目のTAFRO症候群は指定難病に該当しないということでよろしいかと思います。2つ目のVEXAS症候群は、いろいろ御意見いただきましたが、要件を満たしているということで進めさせていただきたいと思います。よろしいでしょうか。ありがとうございました。
では、続きを事務局からお願いします。
○西垣補佐 続いて、循環器疾患の5疾患です。ホルト・オーラム症候群、QT延長症候群、カテコラミン誘発多形性心室頻拍、中性脂肪蓄積心筋血管症、不整脈原性右室心筋症について御説明します。
ホルト・オーラム症候群について、65ページを御覧ください。
患者数は約500人で、令和5年度に、主症状の一つである心疾患については外科手術やカテーテル治療が有効で、その後の生命予後は良好であることから、「長期の療養を要する」の要件を満たさないと判断されました。
1.概要ですが、ホルト・オーラム症候群は、母指や橈骨の異常を主体とする上肢の形成異常と心臓の異常を伴う症候群で、Heart-Hand症候群Ⅰ型とも呼ばれます。
2.原因ですけれども、関連する遺伝子異常が約85%の患者に見出されるとございます。
3.症状ですが、上肢の先天異常が約100%に認められ、母指や橈骨尺骨等の欠損や低形成といった異常でございます。胸郭や脊椎の異常等もございます。また、心臓の先天性異常である先天性心疾患や不整脈などがそれぞれ約90%、30%程度に認められるとのことです。
4.治療法ですが、手の異常や胸郭、脊柱の異常に関しましては整形外科的な再建手術、理学療法や矯正を行い、心臓の異常については心臓外科手術、カテーテル治療、ペースメーカー装着などを行うとございます。
5.予後に移りまして、生命予後は、先天性心疾患により左右され、多くの症例の心臓異常は心房中隔欠損や心室中隔欠損などの単純性欠損のために、生命予後は一般に良好とございます。前回の検討委員会でこの部分に御指摘がありましたけれども、大きな記載修正はございませんでした。
67ページに参りまして、重症度分類ですけれども、NYHA心機能分類II度以上または上肢の機能障害としてmRS3以上というものが用いられております。こちらの重症度を用いた場合、合併する重症心疾患は約20%で、上肢の異常に関しては約20%、両者の合併例を考慮しまして、全体では約30%と推計されているとのことです。
診断基準、重症度分類は、日本循環器学会にて承認を得ております。
続きまして、QT延長症候群について、71ページを御覧ください。
患者数は不明としつつも、2000人から3000人に1人とのことですので、5万人程度と推定されます。平成27、28年度には「長期の療養を要する」の要件を満たさないと判断されました。
1.概要ですが、QT延長症候群は、心電図上QT時間が延長することによって、多形性心室頻拍、心室細動が誘発され、心臓突然死の原因となる遺伝性不整脈でございます。
2.原因ですが、約7割に心筋のイオンチャネルやその関連たんぱくの遺伝子異常を認めるとございます。
3段落目には、先天性LQTSの浸透率は100%ではなく、病的バリアントを有するが、心電図上QT延長を生じない例もあるとの記載もございます。
次のページに参りまして、症状ですけれども、遺伝型により異なるようですが、意識消失を伴う失神発作や心室細動による心停止を認めるとございます。
4.治療法は、内服で発作をある程度抑制したり、植込み型除細動器を用いたりする方法があるようですが、5の予後に関しては不明と記載されております。
77ページに参りまして、重症度分類ですが、こちら、研究班作成の基準で1から3のいずれかに該当するものとされております。こちらの重症度を用いた場合に対象となる患者の割合は約30%とされています。
診断基準、重症度分類は、日本循環器学会にて承認を得ております。
続いて、カテコラミン誘発多形性心室頻拍について、79ページを御覧ください。
患者数は約500から600人と推定され、過去に平成27、28年度に「長期の療養」、平成29年度に「客観的診断基準」の要件を満たさないとされていました。
1.概要ですが、本疾患は運動あるいは情動ストレスがきっかけとなり、多形性心室頻拍を惹起し、失神発作や心停止を来す、まれな遺伝性不整脈です。
2.原因に移りまして、患者の6から7割に原因遺伝子の病的バリアントを認めるとございます。
3.症状ですが、未治療の場合、半数以上が失神発作を起こすと考えられ、発作頻度に関しては、データはないものの、年1~2回程度と推定されるとのことです。
4.治療法ですが、根治のための治療法はなく、β遮断薬やフレカイニドの長期にわたる内服により、ある程度発作を抑えること、植込み型除細動器の併用も行われるようです。
80ページに参りまして、予後ですけれども、正確な予後は不明とされるものの、基本的に治癒することはなく、生涯にわたり発症、すなわち突然死のリスクを伴い、心理的負担は大きいとの記載がございます。
続きまして、81ページの重症度分類に参ります。こちらは、1.心停止・心室細動の蘇生後と、2.不整脈性失神を認めて、十分な薬物治療後も失神の再発を認める場合を対象とされており、こちらの重症度を用いた場合に対象となる患者の割合は約50%とされています。
診断基準、重症度分類は、日本循環器学会にて承認を得ております。
続きまして、中性脂肪蓄積心筋血管症について、84ページを御覧ください。
患者数は約1000人で、令和3年度と令和5年度に、いずれも日本核医学会では承認が取られているものの、日本循環器学会や動脈硬化学会といった実際の臨床医が広く関わる学会での承認がございませんでしたので、「客観的な診断基準の確立」の要件を満たさないと判断されました。今回、日本循環器学会を含む循環器系の主要な学会から昨年度示されました慢性心不全ガイドラインに本疾患が掲載されたとのことで、指定難病追加に向けて再度提出がございました。
1.概要ですが、本疾患はTGCVとも呼ばれ、2008年に我が国で見出された心血管疾患でございます。心筋細胞や血管平滑筋細胞等において、本来のエネルギー源である中性脂肪の分解が何らかの原因で障害されているために、細胞内に中性脂肪が蓄積するとともにエネルギー不全が生じると考えられています。
3.症状に参りまして、青年期から壮年期に心不全症状、狭心症状等が出現し、びまん性冠動脈疾患や冠攣縮、不整脈を来すほか、突然死の報告もあると記載がございます。
なお、治療法ですが、心不全、狭心症、不整脈に対する内科的または外科的な標準治療を行うが、治療抵抗性とございます。
5.予後には、2026年6月までに診断された1200例中、170例が既に死亡しているとございまして、死亡例のほとんどは心臓死または突然死であったと記載されています。
87ページに参りまして、重症度分類でございますが、こちら、研究班作成の重症度分類でございまして、中等症以上を対象としております。なお、中等症は本疾患に関連する症状や臓器障害を認める場合、重症は過去1年の入院歴があったり、原発性TGCVと診断されていることと定義されています。こちらの重症度を用いた場合、対象となる患者の割合は約90%とのことです。
診断基準、重症度分類は、日本核医学会や中性脂肪学会等にて承認を得ております。
最後に、不整脈原性右室心筋症について、90ページを御覧ください。
患者数は約2000人から3000人です。前回提出されたときは5000人に1人という海外のデータを受けて2万4000人程度という形で推定されていたようですが、今回は実際の心筋症臨床医へのアンケート結果を受けて、大幅に減少させております。平成28年度には「長期の療養」、平成29年度は「客観的診断基準」、平成30年度には「長期の療養」と「客観的診断基準」、令和3年度には国内患者の予後の情報が不十分であるとして、「長期の療養」の要件を該当しないと判断されました。
1.概要ですが、本疾患は右心室を中心に脂肪変性・線維化が進行し、右室起源の心室不整脈及び心不全を生じる進行性疾患でございます。
2.原因に行きまして、細胞間接着デスモソームによる遺伝子バリアントの関与が示唆されているようです。
3.症状ですが、心室期外収縮の多発や心室頻拍による動悸やふらつき、失神などを認めることや、致死性不整脈や不可逆性・進行性の心不全を来し得るとの記載がございます。
5.予後につきましては、具体的な数字を出して今回追記をいただいた部分でございます。それによりますと、我が国のコホートでは、この患者254名の10年間の追跡で、持続性心室頻拍、心室細動の発症率は46%、心不全入院は14%とのことでした。
94ページに参りまして、重症度分類になります。研究班作成の表で中等症以上とされておりまして、すなわちNYHAII度、非持続性心室頻拍または上室性頻脈性不整脈または過去1年間の入院が1回以上あること、または家族歴・遺伝情報の大項目を満たすものとされております。こちらの重症度を用いた場合に対象となる患者の割合は約90%とのことです。
診断基準、重症度分類は、日本循環器学会にて承認を得ております。
この5疾患については以上となります。
○持田委員長 どうもありがとうございました。
循環器系の5疾患について御議論いただきたいと思います。
まず最初のホルト・オーラム症候群ですが、重症度基準を満たす症例の割合が少ないですね。長期の療養を必要とする要件を満たすとは、言えないのではないかと思います。これは前回の検討でも指摘されたことですが、今回も申請された内容もあまり変わっていないようです。
循環器の御専門の筒井先生、いかがでしょうか。
○筒井委員 筒井です。
前回も申し上げたのですけれども、この症候群での先天性心疾患というのは、心房中隔欠損症や心室中隔欠損症などのいわゆる単純性の欠損で、外科手術やカテーテル治療が可能で、そういう治療でほぼ完治して生命予後も良好で、重症な患者さんの割合も高くないということで、その後の記載も特段追記されていないということですと、「長期の療養を要する」という要件は、まだ詰められていないのではないかという印象を持っています。
以上です。
○持田委員長 ありがとうございます。
今、御指摘のとおりに、「長期の療養を要する」という点については、ちょっと該当しないのではないかということになるかと思います。よろしいでしょうか。
続きまして、2つ目のQT延長症候群ですが、いかがでしょう。これも重症度基準を満たす患者さんの割合が30%ということで、少々少ないように思われます。また、予後も不明ということでしたが、いかがでしょうか。
錦織先生、よろしいですか。
○錦織委員 ありがとうございます。錦織です。
重症度に関しては、持田委員長も御指摘のとおり、これまでの過去の議論と比較しましても重症度の割合が30%というのは、少し低いのかなという印象は持ちました。
それと、ちょっと判断が難しいかと思うのですが、この疾患が突然死のリスクがあるという点で、本当に大変な疾患であるということに関しては論を俟たないのですが、これまでの指定難病などでの長期の療養、長期の治療が必要ということの議論に鑑みた場合に、ずっと突然死のリスクがあるのでというところを「長期の療養を要する」と判断するのかどうかというのは、今回議論があったような指定難病の要件というのをどういうふうに考えるのか、療養というところをどういうふうに位置づけるのかという定義が変わればですけれども、これまでの指定難病という概念からすると、やや性格が違うのかなという印象は持ちましたので、その点は若干気になりました。
あと、治療に関しても、一応、β遮断薬とか抗不整脈薬の内服で、多くの場合コントロールができているということで、その中で突然死があるというところが非常に重いわけですけれども、その辺をどういうふうに判断するかというところは、もう少し検討が必要なのかなと私としては考えました。一般的な循環器系のお薬を使って、ある程度コントロールが可能になるのかなというところです。
以上です。
○持田委員長 ありがとうございます。
ほかにいかがでしょう。筒井先生、いかがですか。
○筒井委員 筒井です。
今、錦織先生から御指摘があったとおりで、こういう循環器疾患の中でいわゆる突然死のリスクがあるというような患者さんをどのように考えるか。いわゆる指定難病の要件である、日常生活が障害されて、しかも長期の療養を要するというところに該当するのかどうかというところは非常に判断が難しいと思います。突然死リスクというものをどういうふうに考えるかというところだと私も思っております。
一方で、このQT延長症候群の診断基準は、確かに国際的にも認められたものになっているのですけれども、心電図の所見のQT延長のみとか遺伝子の病的バリアントのみだけでも診断している。これも突然死リスクがあるので早期に診断しようというところにつながるのですけれども、そういうふうな診断基準になっていますけれども、指定難病という立場からいくと、症状を含む臨床像を含んで、もう少し長期療養が必要であるということが分かりやすいような表現にしていただく必要があるのではないかと思いました。
以上です。
○持田委員長 どうもありがとうございます。
「客観的診断基準の確立」という要件と「長期の療養を要する」という要件のいずれも、もう少し検討していただく必要があるということになるかと思いますが、よろしいでしょうか。
では、3つ目のカテコラミン誘発多形性心室頻拍についてはいかがでしょうか。診断基準で、患者本人もしくは家族に病的バリアントを認めるということが書いてございますが、こういうことで診断できてしまうということは、診断基準として問題かなと思いますが、筒井先生、いかがでしょうか。
○筒井委員 この疾患の診断基準自体も国際的には認められたものなのですけれども、先ほどのQT延長症候群と同じように、突然死リスクのある不整脈疾患なので、可能性のある患者さんを広く、しかも早期に診断しようというのが診断基準の考え方の根底にあると思います。ただ、持田委員長が御指摘のように、御家族で病的バリアントとか不整脈があるという方の場合の、御本人のそういう症状がどういうものなのかということも重要になってきますので、診断基準の中では、該当する患者さんの症状も含む臨床像を含めて診断基準として整備していただいたほうがいいのではないかと思います。
確かに、突然死リスクのある遺伝性不整脈疾患なのですけれども、先ほど錦織先生からも御指摘ありましたけれども、治療法とか予防法として、激しい運動とか精神的なストレスを避けるとか、それから、治療薬としても、β遮断薬とかフレカイニドといった抗不整脈薬がある程度有効ということが知られていますので、全く治療法がないわけではないということで、その点も「長期の療養を要する」というところに合致するのかどうかということについては、なかなか判断は難しい。そういう突然死リスクのある疾患という考え方の中に、この疾患はあると思います。
以上でございます。
○持田委員長 ありがとうございます。
それでは、この疾患に関しましても、「客観的診断基準の確立」と「長期の療養を要する」という両要件ともに満たしているとは言えないということで判断しようかと思いますが、よろしいでしょうか。ありがとうございました。
では、4つ目の中性脂肪蓄積心筋血管症はいかがでしょうか。先ほど御説明ありましたように、重症度分類で原発性と特発性に分けて、原発性TGCVのほうを重症とするというのが書かれておりますが、その診断の根拠が十分記載がないのですが、これはいかがでしょうか。
青木先生、どうぞ。
○青木委員 青木です。
今、御指摘がありましたとおり、有症状であれば重症度を満たすという基準になっているのですね。何らかの症状を伴って検査をした結果、診断基準を満たすはずなので、これですと、実質、診断された方全てが対象となってしまいますので、ここは再検討いただきたいと思いました。
○持田委員長 ありがとうございます。
こちらも重症度分類に関する問題があるという御意見ですね。よろしいでしょうか。
筒井先生、よろしいですか。
○筒井委員 今の青木先生の御指摘もございましたけれども、診断基準が画像診断と心筋生検という検査項目だけで構成されていますので、診断基準上は臨床上、どういう表現型を呈する方が対象になるのかというのが必ずしも明確に示されておりません。一方で、今、御指摘のように、重症度分類では、心筋症、冠動脈病変、不整脈といった臓器機能障害が認められるというのが組み入れられていますので、もう少し診断基準、重症度、あと概要も含めて記載を御検討いただいてはどうかと思います。
また、臨床像の中でも、心筋症、冠動脈疾患、不整脈という非常に大きな括りになっていますので、通常の心疾患と比べてどういう違いがあるのか、定量的なデータでお示ししていただくのがよろしいのではないかと思います。また、治療に関しても、通常の標準治療を行う場合に対して治療抵抗性という記載もあるのですけれども、どの程度の治療でどういうふうに効くのかといったところの御説明が十分ではないような印象を持っています。
それから、先ほど御指摘があった重症度についても、入院歴といったものも含まれていますけれども、客観的な指標が必要ではないかと思いますし、また、不整脈という記載もございますけれども、不整脈についても診断基準の概要等でも十分な記載がございません。突然死される方もおられるということなのですけれども、そういったリスクについても、まだ説明が十分ではないという点も、私としてはちょっと気になった点でございます。
以上です。
○持田委員長 どうもありがとうございます。
それでは、診断基準、重症度分類、ともにまだ十分整理されていないということで、「客観的な診断基準の確立」の要件は満たしていないということになるかと思いますが、よろしいでしょうか。また、長期予後についても、もうちょっと詳しく検討していただく必要もあるかと思います。よろしいでしょうか。
では、最後、5つ目の不整脈原性右室心筋症についてですが、これは前回申請時よりも推定患者数が大幅に減少したというところが気になります。また、重症度分類についても、家族歴があるのみで重症度を満たすとされていることも、根拠が十分じゃないと思います。
これも循環器ということで、筒井先生、いかがでしょうか。
○筒井委員 この疾患は、臨床像としては不整脈、心筋症、心不全という形で症状としては表現型が出てくる疾患なのですけれども、不整脈ということでかかっておられる患者さんの数、それから、心筋症、心不全ということでかかっておられる患者さんの数、当然両方持って合併しておられる患者さんの数、その辺りの正確な患者数の把握がまだ十分ではなくて、そこを進めていただく必要があるのではないかと思いました。
それと、これも診断基準としては国際的に認められたものなのですけれども、致死性不整脈があるということで、そのリスクを踏まえたものになっていますので、不整脈と心筋症、心不全のいわゆる臨床的な症状とか表現型を含めて、指定難病としては診断基準を整備していただく必要があるのではないかと感じました。
以上です。
○持田委員長 どうもありがとうございます。
この疾患も重症度分類での「客観的な診断基準の確立」のところをまだ満たしていないということになりますし、そもそも疾患の実態、特に患者数に関して、もう少し検討していただく必要があるということで、今回も難病としての条件は満たしていないということでよろしいかと思います。よろしいでしょうか。
では、今回、この循環器系の5疾患につきましては、いずれも指定難病には該当しないということで判断したいと思いますが、よろしいでしょうか。ありがとうございました。
引き続き、説明をお願いいたします。
○西垣補佐 最後となりますけれども、内分泌疾患2疾患、視覚疾患1疾患について御説明します。視床下部性肥満、先天性高インスリン血症、そして特発性周辺部角膜潰瘍についてです。
まず、視床下部性肥満について、97ページを御覧ください。
患者数は約4,700人から1万2,400人とのことで、過去に議論されたことはございません。
1.概要の2段落目を見ていただきますと、視床下部の器質的な病変ないしは物理的損傷により生じる後天性視床下部性肥満と、遺伝学的な原因により生じる先天性視床下部性肥満があるとございます。
2の原因につきましては、視床下部性肥満は、2次性肥満の一つであって、原発性肥満とは区別されるとのことです。
3.症状ですが、抑えることのできない食欲の亢進や、安静時エネルギー消費量の低下による治療抵抗性の肥満を来すとともに、下垂体機能低下症や中枢性尿崩症等の異常を併発することもあるとございます。
4.治療法ですが、視床下部性肥満に対しては特別な治療法は確立しておらず、原発性肥満症に準じた治療が行われるようです。
5.予後でございますが、予後や治療介入の意義に関するエビデンスは不十分とございます。
102ページに参りまして、重症度分類は重症を対象とするとされておりますが、こちら、後天性と先天性の視床下部性肥満で分けて記載されておりまして、こちらの記載はすなわち診断基準を満たした者全てを意味します。したがって、重症度分類を満たす者の割合も100%となるとのことです。
診断基準、重症度分類は、日本内分泌学会にて承認を得ております。
続いて、先天性高インスリン血症について、104ページを御覧ください。
患者数は約500人で、平成27年度は「長期の療養」、平成28、29年度は「客観的診断基準」の要件を満たさないと判断されました。
1.概要では、本疾患は、先天性、持続性のインスリン過分泌によって症候性の低血糖を来す疾患とございます。
2の原因ですが、およそ半数は膵β細胞上でインスリン分泌の調節を行うカリウムチャネルの遺伝子変異を認めるとされております。
3.症状としまして、主に新生児、乳児期に低血糖症状を認め、発汗や意識障害、けいれんなどが見られるようですが、低血糖は加齢とともに軽快傾向になることが多いと記載がございます。
4.治療法ですが、高濃度ブドウ糖の持続静注による血糖維持のほか、内科的治療としてジアゾキシドの内服、ソマトスタチン受容体アナログやグルカゴンの静注・皮下注等の注射剤が用いられるとございます。内科的治療の不良例においては、膵切除等が行われるとございまして、術後も糖尿病に対するインスリン投与等についても記載がございます。
5.予後ですが、重症例、管理不良例では神経後遺症の頻度が極めて高いとございますが、こちらの割合については不明です。
107ページに参りまして、重症度分類は研究班作成の基準で中等症以上を対象とするとされております。すなわち、血糖値70mg/dLを維持するために、ジアゾキシド内服、持続ブドウ糖静注、経管栄養、またはソマトスタチン受容体アナログやグルカゴンの投与を要するもの、先天性高インスリン血症に起因すると考えられるてんかんまたは中等度以上の発達遅滞を認めるもの、そして、糖尿病を来して、その後もインスリン投与を必要とするものということで、全体に薬剤や発達遅滞を基準に含めているところでございます。こちらの重症度を用いた場合、対象となる患者の割合は約70%とのことです。
診断基準、重症度分類は、日本小児内分泌学会にて承認を得ております。
最後に、特発性周辺部角膜潰瘍について、109ページを御覧ください。
患者数は500から1000人で、平成27、28年度に「長期の療養」の要件を満たさないと判断されました。
1.概要は、特に全身症状を伴わず突然に角膜周辺部の潰瘍を来す疾患で、一般には「Mooren潰瘍」と称されるとございます。若年から中高年の片眼又は両眼に発症して、著名な眼表面の炎症を呈するとともに、急速に進行して角膜穿孔を来して、視機能の予後は著しく不良と記載されています。
3.症状ですが、充血、眼痛、流涙、視力低下などを認めるとございまして、4.治療法ですが、ステロイド剤の点眼や内服、免疫抑制剤の内服がある程度有効とされるものの、このような保存治療を行っても急速に進行して、しばしば角膜穿孔に至るとございます。手術治療として上皮移植やボーマン膜の移植が記載されておりますが、その奏効率は不明とございます。
5.予後ですが、高度の角膜潰瘍、角膜穿孔を来し、また再発性が高く、視機能の予後は不良ということが記載されております。
111ページの重症度分類では、研究班の定められた基準を用いてIII度以上を対象とするとされ、すなわち罹患眼が両眼で、良好なほうの眼の矯正視力が0.3未満のものとされております。こちらの重症度を用いた場合に対象となる患者の割合は、初診時には半数以下ですが、経過中は約56%とのことです。
診断基準、重症度分類は、日本眼科学会にて承認を得ております。
こちらの3疾患についての御説明は以上となります。
○持田委員長 ありがとうございました。
それでは、これら3疾患について議論いただきたいと思います。
まず、視床下部性肥満の診断基準ですが、外傷による物理的損傷も指定難病として認められてしまう可能性があります。
これは小児内分泌代謝が御専門の石毛先生から御意見いただけますでしょうか。
○石毛委員 私も同意見です。通常は、物理的損傷というのは原因が明瞭ということになりますので、これまでの難病にはないパターンと認識しております。また、予後についての検討がまだ不十分と記載されておられますので、もう少し疾患についてまとめていただく必要があるのではないかと思います。
さらに、重症度分類が、結論としては全員助成対象となる重症度分類ですので、そういうのがあまり見分けられないということと、あと、そうしなければいけない疾患であるということであれば、根拠を御説明いただく必要があるのではないかと考えます。
○持田委員長 ありがとうございます。
物理的損傷が加わるという点で、「発病の機構」の要件が問題です。また、予後が不明ということで、「長期療養」に関するところも判断ができません。また、重症度分類の点も問題で、「客観的診断基準の確立」の要件にも抵触するということで、さらなる検討が必要かと考えられますが、よろしいでしょうか。
では、2つ目の先天性高インスリン血症ですが、これは成人では改善する症例が多いということで、「長期の療養を要する」という点を満たすかどうかが気になりますけれども、これはどうでしょう。
また石毛先生からお願いします。
○石毛委員 成人では改善するというのが、病気がよくなると見るか、成人では御自身で低血糖への対処が可能になるという、そちらの要素が大きいかというところについては、判断がなかなか難しいかと思います。低血糖が続きますと、疾患としては非常に生活が大変だと思いますけれども、重症度のほうを見てみますと、中等症が薬が要るものという定義となっておりますので、食事など日常生活の大変さなどを含めて、重症度を薬の使用によらないような形で分類できないかというようなことを検討いただくのがいいのではないかと思います。あとは、治療継続の必要性なども含めて御検討いただく必要があると思います。
○持田委員長 ありがとうございます。
「長期療養を要する」という要件について、もう少し検討して説明を追加していただく必要がありそうだということですね。また、重症度分類についても、今、御説明がございましたように、「客観的診断基準の確立」の要件を満たしていないと判断できるかと思います。よろしいでしょうか。
では、最後の特発性周辺部角膜潰瘍ですが、これはあまり問題になる点がなさそうですが、よろしいでしょうか。御意見がございましたら。
石毛先生、どうぞ。
○石毛委員 石毛です。
鑑別診断のところに、111ページのように膠原病が鑑別に上がっておりまして、角膜の所見が専門ではないものですから、膠原病が鑑別に上がる場合、角膜の異常はいろいろな疾患で起きてしまうのではないかと思うのですが、診断基準の検査所見につきましては、これは本疾患に特異的な所見で、他の疾患を十分に除外できる所見であるということでよろしいのでしょうか。
○持田委員長 これは眼科の山下先生、よろしくお願いいたします。
○山下委員 結論から申しますと、鑑別診断ができます。実は、111ページで見ますと、Definiteの症状、Aで、まず毛様充血、結膜充血というのがある。結膜炎、せいぜい上強膜炎の症状で強膜炎がないということですね。あと、Bのところで透明帯を伴わない。この2つで鑑別診断ができます。
まず、透明帯というのは、病変と角膜の隣部の間に透明なところが残っているのを言うのですけれども、これがあるのがカタル性、鑑別診断のC。膠原病というのは実はないのです。ですから、透明帯がないという意味では、膠原病とMooren、今回の潰瘍は鑑別しづらいのですが、Aの結膜炎はあるけれども、強膜炎がないということで、実は膠原病は強膜炎があります。Moorenは強膜炎がありませんということで鑑別できます。この症状AとBを組み合わせると、Cの疾患と今回の特発性周辺部角膜潰瘍(Mooren潰瘍)というのは鑑別診断ができますということが、かなり簡潔ではありますけれども、きちんと書いてあります。
ただ、御指摘のように、膠原病とMoorenの非常に初期は、眼科の専門の中でもちょっと議論になるところであります。ただ、この場合でも、全身疾患を調べて、膠原病というのは関節リウマチとか、昔、ウェゲナーと言っていた、ああいう疾患ですけれども、そういう疾患があれば、これは関係があるかもしれないというような全身疾患から類推できます。序文のところで全身疾患を伴わないというのが1つありますから、眼科所見だけではないですけれども、一応、鑑別はできます。所見だけで言いますと、そういう感じで、この所見を丁寧に読みますと、Moorenはあるけれども、膠原病とかカタル性ではありませんということが鑑別できますというのが結論であります。
以上になります。
○持田委員長 ありがとうございました。
眼科所見と全身所見で鑑別が可能ということで、石毛先生、よろしいですか。
そうしますと、本疾患に関しましては、おおむね問題になる点はないということでよろしいでしょうか。ありがとうございます。
最初の視床下部性肥満と2つ目の先天性高インスリン血症に関しては、いずれも指定難病としては該当しないということになるかと思います。
ほかに御意見がございましたら、いかがでしょうか。
ございませんでしたら、事務局より全体の取りまとめをお願いいたします。
○西垣補佐 1つ目のADSS1ミオパチーについては、先天性ミオパチーや遠位型ミオパチーから本疾患を切り出すことになるが、そのような整理をしてよいかどうかは全体で議論すべきではないかとのご意見をいただきまして、「客観的診断基準」の要件について判断困難として、承認は見送りになったと認識しております。
2つ目の遺伝子異常による発達性てんかん性脳症は、診断基準の遺伝学的検査で病的バリアントが疑われるものを対象として含めているため対象が広くなり得ること、鑑別診断が幾つかの指定難病との間で線引きが曖昧であること、そして、遺伝子異常の中でてんかん性脳症のみ切り分けることになり得るとの観点から、「客観的診断基準の確立」の要件を満たさないと判断されることが妥当とされ、承認は見送りになったと認識しております。
3つ目の視床下部過誤腫症候群では、前回までの検討時に指摘されました「治療法未確立」と「長期の療養」の要件について特段の追記がなかったこと、非笑い発作の合併割合を含めて明確な説明が必要であること、精神疾患以外の他の施策体系でカバーできない症状を明確化すべきであることから、「治療法未確立」、「長期の療養」、「発病の機構」の要件について判断困難と判断することが妥当とされ、承認は見送りになったと認識しております。
4つ目のGRIN関連神経発達異常症は、予後に関して具体的な状況が不明であること、遺伝子異常による発達性てんかん性脳症と重なる部分があって整理が必要ではないかとの議論から、「長期の療養」と「客観的診断基準」の要件を満たさないと判断することが妥当とされ、承認は見送りになったと認識しております。
5つ目のROHHAD症候群に関しましては、長期予後が不明であり、重症度分類に関しても再考が必要として、「長期の療養」、「客観的診断基準」の要件に関して判断することが困難であり、承認は見送りになったと認識しております。また、神経節腫瘍の合併についての御指摘もいただきました。
6つ目のVEXAS症候群については、承認されたと認識しております。
7つ目のTAFRO症候群については、重症者の割合が少なく重症度の再考が必要であることから、「長期の療養」、診断基準に関しても再考が必要として「客観的診断基準」の要件を満たさないと判断することが妥当とされ、承認は見送りになったと認識しております。
8つ目のホルト・オーラム症候群は、長期の療養に関して、前回と比べて特段の追記がないこと、重症者の割合も少ないことから、「長期の療養」の要件を満たさないと判断することが妥当とされ、承認は見送りになったと認識しております。
9つ目のQT延長症候群に関しましては、重症者の割合が少なく予後も不明とされていること、診断基準の明瞭化が必要であることから、「長期の療養」、「客観的診断基準」の要件を満たさないと判断することが妥当とされ、承認は見送りになったと認識しております。
10番目のカテコラミン誘発多形性心室頻拍に関しては、診断基準について、本人の症状等についての追記を含めた整備が必要と考えられた点、長期の予後の評価が難しい点から、「客観的診断基準の確立」、「長期の療養」の要件を満たすことが難しいと判断され、承認は見送りになったと認識しております。
11番目の中性脂肪蓄積心筋血管症は、一般的な心筋症との鑑別の観点、症状の記載がない検査項目のみでの診断基準となっている点、重症度分類で原発性TGCVが重症と判断される根拠に乏しい点等から、「客観的診断基準の確立」の要件を満たさないと判断することが妥当とされ、承認は見送りになったものと認識しております。
12番目の不整脈原性右室心筋症に関しましては、患者数の把握や診断基準の確立についてさらに検討が必要であると判断され、また、重症度分類での根拠が不明なため、「客観的診断基準の確立」の要件を満たさないと判断することが妥当とされ、承認は見送りになったと認識しております。
13番目の視床下部性肥満に関しましては、物理的損傷が原因の疾患は指定難病とすべきではないのではないかとの点、重症度分類については、診断された者全てが助成対象とするのであれば、その根拠も示されるべきという点、予後についての検討が不十分である点から、「発病の機構」、「客観的診断基準の確立」、「長期の療養」の要件を満たすことが難しいと判断され、承認は見送りになったと認識しております。
14番目の先天性高インスリン血症は、薬剤で分類している重症度分類をもう少し工夫できないかとの点から、「客観的診断基準」の要件を満たすことが難しいと判断され、承認は見送りになったと認識しております。また、低血糖が加齢とともに軽快傾向となるという部分に関するコメントもいただきました。
最後の15番目の特発性周辺部角膜潰瘍は、承認されたと認識しております。
事務局からは以上です。
○持田委員長 ありがとうございました。
今、まとめていただきましたような結果で御承認いただいたということにさせていただきたいと思います。
では、委員の皆様方、どうもありがとうございました。議題1について、全体を通して何かございましたら。よろしいでしょうか。
それでは、議題1は終了して、2つ目の議題に移りたいと思います。令和10年度適用分の指定難病に係るパブリックコメントの結果について事務局のほうから説明をお願いいたします。
○古藤補佐 それでは、議題2について御説明させていただきます。
まず、パブリックコメントに寄せられた意見につきまして、行政手続法第43条第1項の規定により、その結果を公示することとしており、来年3月末をめどに御意見に対する考え方をホームページでお示しすることとなっております。
資料2-1は、ホームページ上でお示しするパブリックコメントの結果案を事務局で作成したものになります。本日委員会で御了承いただけましたら、それに基づき公示の手続を進めていきたいと考えております。
それでは、資料2-1を御覧ください。「指定難病に係る診断基準及び重症度分類等について」の一部改正(案)について、令和8年6月16日から令和8年7月15日までパブリックコメントを実施したところ、全部で17件の御意見をいただきました。改正の内容に直接関係する御意見は16件でございましたが、うち2件はほかの意見と内容が重複しており、それぞれ同じ御意見として扱わせていただき、実際の御意見としては14件を資料に掲載しております。改正の内容には直接関係しない御意見は1件ございました。
改正の内容に直接関係する御意見は、個票をより分かりするための御意見が多く、こちらに関しては、研究班に確認の上で資料2-3の個票に反映させております。
また、資料2-5に掲載しております告示番号230肺胞低換気症候群につきましては、ただいま御説明しました、このパブリックコメントの期間終了後に、研究班及び事務局の確認において修正を要する記載が認められました。この記載に係る修正につきましては、委員会で承認をいただけましたら、今月中に追加でパブリックコメントを実施したいと考えております。
以上となります。
○持田委員長 ありがとうございました。
何か御質問がございましたら。よろしいでしょうか。特にございませんか。それでは、ありがとうございます。御了承いただいたものとしたいと思います。
あと、議題3ですね。お願いします。
○古藤補佐 ありがとうございます。
それでは、議題3について御説明させていただきます。
資料3-1を御覧ください。研究班より告示病名の変更について情報提供のあった疾患が4疾患ございました。
詳細については資料3-2を御覧ください。
まず、1つ目は告示番号53のシェーグレン症候群です。こちらは2023年に国際的に病名が「シェーグレン症候群」から「シェーグレン病」に変更されたことを受けまして、指定難病の告示病名も「シェーグレン病」に変更を希望されております。
次に、告示番号278巨大リンパ管奇形(頚部顔面病変)、告示番号279巨大静脈奇形(頚部口腔咽頭びまん性病変)、告示番号280巨大動静脈奇形(頚部顔面又は四肢病変)の3疾患です。代表して9ページの巨大リンパ管奇形でお示ししますが、こちらは3疾患ともクビを表す漢字の「頚」を、難しいほうの「頸」に変更を希望されております。これは日本医学会において、難しいほうの「頸」の使用を推奨されていることが理由となっております。
以上でございます。
○持田委員長 ありがとうございました。
国際的な変更や日本医学会の分科会の用語委員会の推奨に合わせての病名変更ということで、特に問題はないかと思いますが、いかがでしょう。御質問がございましたらよろしくお願いいたします。ございませんか。ありがとうございました。それでは、この件も御了承いただいたものとさせていただきます。ありがとうございました。
では、事務局のほうにお戻しします。
○古藤補佐 ありがとうございます。
4つ目の議事「その他」へ移りたいと思います。その他としての議題は特にございませんが、本日、令和8年8月より新しく赴任いたしました森光健康・生活衛生局長より一言御挨拶がございます。お願いいたします。
○森光局長 本年8月4日に健康・生活衛生局長を拝命いたしました森光でございます。
委員の皆様方におかれましては、日頃より、難病対策及び小児慢性特定疾患対策につきまして、御協力、御支援をいただきまして、厚く御礼を申し上げます。本日は、指定難病の新規追加について活発に御議論いただき、誠にありがとうございました。
指定難病につきましては、難病の患者に対する医療等に関する法律の下、公平かつ安定的な医療費助成の制度確立とともに、難病の医療に関する調査及び研究を推進することとなっております。このような法の趣旨を踏まえて、最新の医学的知見の下、新規疾患の追加や診断基準のアップデートについて、本検討委員会の先生方に御議論、御検討いただくことは大変重要なことだと認識しております。
これまで、累次の新規疾患追加に係る検討に加え、既存の指定難病に係る要件該当性の確認についても御議論いただき、それを踏まえた運用が開始されたところでございます。また、本年度は診断基準等のアップデートについても御議論いただいております。これまでの御尽力に厚く御礼を申し上げます。
引き続き、先生方におかれましては、指定難病の制度を持続的かつ公平に運営していくため、これまで同様、様々な御意見、御指導をいただけますと幸いでございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○古藤補佐 ありがとうございました。
本日で、新規疾病追加について、今年度の議論は終了いたしましたので、パブリックコメントを経て、次回の指定難病検討委員会を11月中に開催することを予定しております。
事務局からは以上でございます。
○持田委員長 ありがとうございました。
以上で第68回「指定難病検討委員会」は終了させていただきます。今回も皆様に活発な御議論をいただき、本当にありがとうございました。では、これで終了とさせていただきます。
委員の皆様には、お忙しい中、お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
なお、本日は報道関係者及び一般の方の傍聴は行わず、代わりに会議の模様をYouTubeによるライブ配信にて公開しておりますので、御了承ください。
また、本日、委員の方には会場またはオンラインにて御参加いただいておりますが、オンラインでの御参加の方に向け、何点かお願いをさせていただきます。会議参加に当たり、ビデオカメラはオンにしていただき、マイクはミュートにしてください。御発言時はマイクをオンにしていただき、名前をおっしゃった上で御発言をお願いいたします。発言が終わりましたら、マイクをミュートに戻してください。御不明な点がございましたら、事前にお伝えしている電話番号までお問い合わせください。
本日の出席状況について御報告いたします。和田委員より欠席、山下委員より早退の御連絡をいただいております。
また、本日は森光健康・生活衛生局長が遅れて出席いたします。
それでは、ここからの議事進行は持田委員長にお願いいたします。
○持田委員長 まず、資料の確認をお願いします。
○古藤補佐 それでは、資料の確認をさせていただきます。
資料1-1、資料1-2は、議題1の「疾病ごとの個別検討(新規の疾病追加)について」に関する資料です。資料1-1は「指定難病に係る新規の疾病追加(令和10年度適用分)について研究班から情報提供のあった疾病(第68回指定難病検討委員会において検討する疾病)」についての一覧表、資料1-2がその個票となっております。
また、参考資料1として「指定難病の検討について」がございます。参考資料1は、今年度アップデートの検討委員会でも用いた資料となりますが、指定難病の要件について記載されております。難病の定義、指定難病の要件について記載がございますので、こちらを御確認いただきながら御議論いただければと思います。
資料2-1から2-5は、議題2の「指定難病(令和10年度適用分に係るパブリックコメントの結果について」の資料です。資料2-1は「「指定難病に係る診断基準及び重症度分類等について」の一部改正(案)に関する意見募集の結果について」です。また、本委員会として指定難病の診断基準等のアップデートを検討する疾病について、資料2-2はその一覧表、資料2-3はこのうちパブリックコメント等を受けて変更等を予定するものの個票、資料2-4は変更等を予定しないものの個票です。資料2-5は「本委員会として個別検討を要する疾病(個票)」になります。
続きまして、資料3-1、資料3-2は、議題3の「告示病名の変更について」の資料でございます。資料3-1は「告示病名の変更について情報提供のあった疾病」の一覧表、資料3-2はその個票となります。
資料は以上となります。不足等がございましたら、事務局までお申しつけください。
○持田委員長 それでは、議事を進めてまいりたいと思います。
まず、本日は議題1の「疾病ごとの個別検討(新規の疾病追加について)」、委員の先生方に御議論いただきたいと思います。
まず、事務局から説明をお願いいたします。
○西垣補佐 それでは、議題1につきまして、資料1-2の「指定難病に係る新規の疾病追加について研究班から情報提供のあった疾病(個表)」を御参照いただき、こちらの疾患順に委員の皆様に議論を行っていただきたいと思います。
指定難病の新規の疾病追加に関して、今回は神経・筋疾患4疾患、染色体または遺伝子に変化を伴う症候群1疾患、免疫疾患1疾患、循環器疾患5疾患、内分泌疾患3疾患、視覚疾患1疾患の計15疾患について議論を進めさせていただきます。本日は16時までの予定としております。
まず、神経・筋疾患の4疾患です。ADSS1ミオパチー、遺伝子異常による発達性てんかん性脳症、視床下部過誤腫症候群、GRIN関連神経発達異常症について御説明します。
ADSS1ミオパチーについて、1ページを御覧ください。
患者数は約100人で、過去に議論されたことはありません。
1の概要ですが、本疾患は、ADSS1遺伝子がコードするATP合成に関わる酵素の機能異常による常染色体潜性筋疾患です。ATP供給障害による筋の易疲労性など代謝性疾患としての側面を有する一方で、進行性の筋力低下・筋萎縮を来すいわゆるミオパチーとしての特徴もあります。病理学的にはネマリン小体が出現するなど先天性ミオパチー様の所見も呈すとあり、したがって、遠位型ミオパチー、代謝性ミオパチー、先天性ミオパチーなど多彩な疾患カテゴリーに分類されてしまう可能性があると記載がございます。
4.治療法には、転倒による外傷、嚥下障害による誤嚥性肺炎、左室不全による心筋症などに対して、対症療法を行うとございます。
続いて、重症度分類に参りますが、重症度分類はBarthel Index85点以下を対象とするとされており、こちらの重症度を用いた場合、対象となる患者の割合は約80%とされております。
次に、遺伝子異常による発達性てんかん性脳症について、8ページを御覧ください。
患者数は約3000人で、令和5年度の指定難病検討委員会では、既存の指定難病のうちの幾つかがこの疾患概念の中に入ると考えられることから、「客観的診断基準の確立」の要件を満たしていないと判断されたほか、「遺伝子異常による」疾患としながら、遺伝学的検査を必須としない診断基準となっている点についても御指摘をいただいておりました。
1.概要ですが、発達性てんかん性脳症はDEEと呼ばれ、難治性てんかん発作、てんかん性脳波異常、及び発達の停滞・退行を特徴とする重篤な神経発達疾患でございます。
2段落目にございますとおり、2026年5月現在、121のDEE関連遺伝子が登録されておりますが、そのうち、研究班による遺伝子検査で2例以上症例確認できた36遺伝子を対象とされているとのことです。また、本疾患は36遺伝子を原因とする疾患を包括するものではなく、36遺伝子に関連する疾患のうち、共通するDEEの表現型を呈する患者を対象とするとの記載もございます。
4.治療法に関しましては、現在疾患特異的な治療法はなく、てんかんなどの個々の症状を対象とした対症療法のみで、5.予後は、てんかんの重症度によるとの記載がございます。
続いて、重症度分類に参りまして、こちらは精神保健福祉手帳診断書における「G40てんかん」の障害等級判定区分、及び障害者総合支援法における障害支援区分における「精神症状・能力障害二軸評価」を用いて表に該当する患者を対象とするとしており、こちらの重症度を用いた場合に対象となる患者の割合は約99%とされております。
診断基準、重症度分類は、日本小児神経学会、日本てんかん学会にて承認を得ております。
次に、視床下部過誤腫症候群について、34ページを御覧ください。
患者数は不明ですが、新規の患者数は年間10人程度とされております。平成27、28、29年度には「発病の機構が明らかでない」の要件、令和3年度には「治療法未確立」と「長期の療養」、令和5年度には「治療法未確立」要件に該当しないと判断されました。
1.概要ですが、先天性病変である視床下部過誤腫により引き起こされ、笑い発作という特異なてんかん発作と思春期早発症を特徴とする症候群とございます。
3.症状につきましては、約半数に知的発達症、神経発達症、行動異常を伴うとございます。
4.治療法に関してですが、笑い発作は極めて薬剤抵抗性であり、外科的治療が適応とのことです。
5.予後に記載のとおり、笑い発作に関しましては外科的治療によって7から9割消失が得られますが、非笑い発作については発作消失率が5から7割ほどになるとございます。反応しない場合には、長期的な抗てんかん治療が必要になることのことでした。
続いて、重症度分類ですけれども、先ほどの疾患同様、「G40てんかん」の判定区分及び「能力障害二軸評価」を用いて該当する患者を対象としており、こちらの重症度を用いた場合は、該当する方が約60%とされております。
診断基準、重症度分類は、日本小児神経学会、日本てんかん学会、日本神経学会にて承認を得ております。
続きまして、GRIN関連神経発達異常症について、40ページを御覧ください。
患者数は約50人で、これまで議論されたことはございません。なお、小児慢性特定疾病には、現在、本疾患の一部であるGRIN2B関連神経発達異常症のみが指定されております。
NMDA受容体サブユニットをコードするGRIN遺伝子ファミリーの異常に起因する疾患です。GRIN遺伝子ファミリーのGRIN1、GRIN2A、GRIN2B、GRIN2Dの4疾患が原因として知られているとのことです。主な症状は、重度の全般性発達遅滞及び知的障害、てんかん、筋緊張異常、運動障害、自閉スペクトラム症です。
3.症状にございますが、GRIN2A関連神経発達異常症では、一部の既存の指定難病の患者さんを含むようです。
4の治療法ですが、現時点では根本的な治療法はなく、対症療法が中心となります。
5.予後に関しましては、合併するてんかんや運動障害などの神経症状及び呼吸状態、栄養状態等が予後を左右すると記載されています。
42ページに参りまして、重症度分類は、先ほどの疾患同様、「G40てんかん」の判定区分及び「能力障害二軸評価」を用いて該当する患者を対象としており、こちらの重症度を用いた場合に対象とする患者の割合は約99%とされております。
診断基準、重症度分類は、日本小児神経学会、日本てんかん学会にて承認を得ております。
以上です。
○持田委員長 ただいま御説明のありました神経系の4疾患について、要件を満たすかどうかということも含めまして御議論いただければと思います。
まず最初のADSS1ミオパチーですが、遠位ミオパチー、先天性ミオパチーといった指定難病の疾患がある中での位置づけがどのようなものであるかというのが少々気になります。いかがでしょうか。
それでは、守本先生、いかがでしょうか。
○守本委員 よろしくお願いします。守本です。
もう既にある指定難病ということになっておりますので、そういった既存の指定難病の一部の患者さんが、新しく遺伝子が見つかったということで、また別に取り出して新しい指定難病に定義するというのは、今後、そういうものはすごく増えてくるのではないかと思いまして、この疾患だけじゃなくて、ほかの指定難病にもいろいろとあると思いますので、関連する遺伝子が見つかったら、新しく指定難病としていくのかとか、そういった方針をまず検討すべきではないかなと思います。
遺伝学的に異常を認めたために独立させるという整理を進めてしまうと、今後、疾患が増えてくる可能性がございますので、この意義についても検討していただくということと、それから、方向性を先に定めたほうがいいと私としては思います。よろしくお願いします。
○持田委員長 ありがとうございます。
新規の指定難病を定義する上での整理をまず先行させるべきという御意見のようです。
何かほかに御意見ございますでしょうか。特にございませんでしたら、ADSS1ミオパチーに関しては、要件としての「客観的診断基準の確立」に関する部分になりますけれども、これに関して、委員会の中で全体整理を行ってから再検討していくと、それが妥当かと思いますが、よろしいでしょうか。
では、2つ目の遺伝子異常による発達性てんかん性脳症についてですが、診断基準に遺伝学的検査が含まれているわけですが、「病的疑いのバリアントを認める」という表現が本疾患の診断基準として適切かどうかというのが疑問に残るかと思います。また、36の遺伝子異常が関与するということで、大変たくさんの疾患が入ることになりますが、その中でDEEのみを切り分けているという点も気になります。
これに関しましては、神経内科が御専門の青木先生、いかがでしょうか。
○青木委員 東北大の青木です。
まず、診断基準のA.症状・臨床所見あるいはBの検査所見が特異的なものではございませんので、それに病的疑いのバリアントという主観的な要素を入れてしまうと、かなり広い範囲を診断しかねないと思います。したがいまして、客観的な診断基準の要件に該当しないのではないかと思います。
○持田委員長 ありがとうございます。
桑名先生、いかがでしょうか。
○桑名委員 桑名でございます。
今、青木先生からお話ありましたように、この疾患が独立した疾患概念なのかという点に疑問があります。症状、診断基準の面からも、独立した概念の一疾患というより、かなり広い疾患スペクトラムと考えるのが妥当かと思います。個別に列挙された病名の中の既に指定難病になっているものも含まれており、まずは、従来の様々な概念による疾患分類、さらにそこに遺伝子、これらの新しい知見が加わっている情報を整理して、系統的に指定難病に合致するかという点について検討するのが望ましいと考えます。
以上でございます。
○持田委員長 ありがとうございます。
今、お二人からいただきました御意見からは、客観的な診断基準が確立されているとは言えないとみなされますが、よろしいでしょうか。
では、続いて、3つ目の視床下部過誤腫症候群についてですが、これは以前の指定難病検討委員会でも、手術が有効であったりするということで、治療法が確立していないとは言えないと判断されていました。また、てんかんと精神疾患以外の症状は十分記載されておらず、他の施策体系ではカバーできない症状についての説明が不十分かと考えますが、張替先生、いかがでしょうか。
○張替委員 今、持田先生、おっしゃったとおり、私もこの治療法に関しては、あまり認識が変わるような新しい記載がなく、手術でかなり改善するということでとどまっておりますし、これだけだと術後の重症者割合が高いとは考えづらいので、なかなか認定は難しいのではないかと思いました。
以上です。
○持田委員長 ありがとうございます。
治療効果が高いことを踏まえると、「治療法未確立」、また「長期の療養」の要件、どちらも満たしていない。また、他の施策体系でカバーできない症状が明確化されていないことなどから、「発病の機構」の要件も満たさないと判断するのが妥当かと思います。よろしいでしょうか。
では、最後、4つ目のGRIN関連神経発達異常症についてですけれども、予後について具体的にあまり記載されていない点が気になります。また、既存の指定難病が含まれる中での位置づけがどのようなものかというのも気になりますが、これは石毛先生、いかがでしょうか。
○石毛委員 ありがとうございます。
この疾患は、様々な疾患と共通する症状のところが、てんかんや発達障害といった臨床所見を来す疾患ということですけれども、例えば先ほど検討しました遺伝子異常による発達性てんかん脳症の中には、このGRIN関連神経発達異常症というものは含まれてこないのでしょうか。
○持田委員長 事務局からお願いします。
○西垣補佐 事務局よりお答えいたします。GRIN2A以外の3遺伝子に関しましては、DEE関連遺伝子として登録されているということを研究班から確認しております。
○持田委員長 今の御回答についていかがでしょうか。
ほかに御意見がございましたら。桑名先生、よろしいですか。
○桑名委員 先ほどの疾患でも議論がありましたけれども、この疾患の中に既存の指定難病が含まれておりますし、さらにDEEと本疾患が互いに大きく重なり合っているところ、全体の方向性を定める前に疾患整理というのを進めていただくのが望ましいと思いますので、現状で検討を進めるのは難しいのかと思いました。
以上です。
○持田委員長 ありがとうございます。
ほかによろしいですか。
新規の指定難病を定義する上での整理を先に進めてから検討を行うべきという点で、「客観的診断基準の確立」の要件を満たしていないのではないかということになるかと思います。また、「長期の療養を要する」の要件を判断するためには、もう少し具体的な予後を示していただく必要もあるかと思います。そういうことでよろしいでしょうか。
それでは、この神経系の4疾患につきましては、いずれも指定難病には該当しないということでよろしいかと思います。
ほかに御意見はございませんでしょうか。よろしいですか。どうもありがとうございました。
では、事務局から続きをお願いいたします。
○西垣補佐 続いて、内分泌疾患1疾患、染色体・遺伝子異常1疾患、免疫疾患1疾患です。ROHHAD症候群、VEXAS症候群、TAFRO症候群について御説明します。
ROHHAD症候群について、46ページを御覧ください。
患者数は約400人で、過去に議論されたことはございません。
1.概要ですが、本疾患は、急性発症型肥満、視床下部機能障害、中枢性低換気、自律神経調節障害の臨床症状を特徴とする疾患群です。神経節腫瘍の合併例ではROHHAD-NET症候群と呼ばれるようです。
2.原因としましては、自己免疫的機序が報告されており、抗体が脳室周囲器官に対して炎症、細胞死を引き起こし、視床下部下垂体障害を惹起することが示唆されているとございます。
4.治療法ですが、ホルモン補充療法や呼吸管理が記載されています。
次のページに参りまして、5.予後について、長期予後は不明との記載となっております。
続きまして、49ページ、重症度分類ですけれども、こちら、研究班で作成されており、中等症以上を対象とするとされております。それぞれaからcを全て認める場合とされ、こちらの重症度を用いた場合、対象となる患者の割合は約60%とされております。
診断基準、重症度分類は、日本先天異常学会にて承認を得ております。
次に、VEXAS症候群について、51ページを御覧ください。
患者数は1000人未満で、令和5年度に診断基準に組み込む遺伝子変異と重症度分類の記載について整備が必要と指摘されまして、「客観的診断基準」の要件を満たさないと判断されました。
1.概要ですが、成人後期に発症する治療抵抗性の自己炎症症候群で、高熱、皮疹、軟骨炎、肺病変、関節炎などの多彩な全身性炎症症状を呈し、しばしば血球減少や骨髄異形成などの造血障害を伴います。
2.原因は、骨髄の造血系前駆細胞におけるUBA1の後天性体細胞変異が関連しているとされています。
3.症状では、初発時から複数の症状を認めることも、経時的に症状が追加されることもあり、皮膚や肺の好中球性炎症、耳介や鼻軟骨炎等が記載されています。また、様々な血液異常も知られており、大球性貧血、血小板減少、骨髄異形成症候群や骨髄腫等が見られます。
4.治療法に参りまして、グルココルチコイド治療は初期には有効性を示しますが、漸減中の再燃はほぼ不可避で、長期にわたって中等量以上の内服継続を要することが多いほか、生物学的製剤やメチル化阻害薬など、加えて輸血療法等も用いられるとございます。
52ページに参りまして、予後は不明としつつ、再燃や合併症を繰り返すことが記載されております。
55ページに参りまして、重症度分類ですけれども、前回、プレドニゾロンが減量できないことと輸血の必要性という2つの要件で提出されておりまして、薬剤の有無によらない基準が必要と判断されていたことを受けて、今回は3つの条件が設定されております。1につきまして、症状や臓器障害、炎症の程度を加えて対象をより明確に記載修正されているほか、2は本症に伴う造血障害の基準、そして、3は本症に伴う炎症症状や造血障害等により、modified Rankin Scaleが3以上という形になっております。こちらの重症度を用いた場合、対象となる患者の割合は93%とされています。
診断基準、重症度分類は、日本リウマチ学会、日本小児リウマチ学会にて承認を得ております。
続きまして、TAFRO症候群について、58ページを御覧ください。
患者数は900から7300人程度で、平成28、29年度に「客観的診断基準」の要件を満たさないと判断されました。
1.概要ですけれども、原因不明の全身性炎症性疾患で、血小板減少、全身浮腫・体液貯留、発熱、骨髄細網線維化または腎機能障害、臓器腫大の頭文字を取って命名された症候群とございます。急速進行性の血小板減少、難治性の体液貯留、急性腎障害を来して、適切な免疫抑制療法を行わなければ多臓器不全により致死的経過をたどる予後不良な疾患とございます。リンパ節生検では特発性多中心性キャッスルマン病と類似する組織所見を示すことがございますが、異なる病態を呈すると記載がございます。
4.治療法ですけれども、ステロイドの他に抗体製剤等が用いられるとございます。重症例では、血漿交換や透析、人工呼吸管理を要し、寛解導入後も長期の免疫療法が必要とのことです。
次のページに参りまして、5.予後ですが、5年生存率が67%、診断時Grade4以上で6割程度が透析を行うとの記載がございます。
62ページに参りまして、重症度分類です。研究班作成のTAFRO症候群重症度分類を用いています。初診時に重症度が低い場合でも早期死亡率が高いこと、Grade4以上で急性腎障害が顕著に増加することから、新規申請の場合は全例を、継続申請の場合はGrade4以上を医療費助成の対象とすると記載されています。Grade4以上とは、体液貯留、血小板減少、原因不明の発熱/炎症反応と腎障害の4項目で12点満点中9点以上を意味します。こちらの重症度を用いた場合、対象となる患者の割合は新規100%、更新は約36%とされています。
診断基準、重症度分類は、日本リウマチ学会、日本血液学会、日本リンパ腫学会にて承認を得ております。
この3疾患については以上となります。
○持田委員長 ありがとうございました。
ただいま御説明のありました3疾患について御議論いただきたいと思います。
まず最初のROHHAD症候群ですが、これは具体的な予後に関する記載がないのが気になりますけれども、いかがでしょうか。
桑名先生、お願いします。
○桑名委員 御指摘のとおりで、治療による具体的な予後が示されておらず、判断が難しいと考えます。また、神経節腫瘍の合併の有無の2つのタイプがあるとの記載がありますけれども、どの程度の割合なのか。あるいは、腫瘍性でないという記載がありますけれども、腫瘍形成が自己抗体産生を誘導し誘発される傍腫瘍症候群のような病態ではないかという点についても、もう少し記載を明確にしていただきたいと思います。
以上です。
○持田委員長 ありがとうございます。
ほかにございますか。
石毛先生、どうぞ。
○石毛委員 重症度分類のところで、ちょっとよろしいでしょうか。軽症・中等・重症が定められているのですけれども、治療によって分けられておりますので、この間に入ってきてしまうような患者さん、分け切れない患者さんがいる可能性があるのではないかと思いますが、こちらについては検討がもう少しあったほうがいいのかなと思います。
○持田委員長 ありがとうございます。
具体的な予後を示していただかないと、「長期の療養を要する」の要件についての判断が困難かと思います。また、重症度分類についても、「客観的診断基準の確立」の要件に関して問題があるのではないかという貴重な御指摘もいただきました。よろしいでしょうか。
では、続きまして、2つ目のVEXAS症候群について、これはあまり問題になる点は気づきませんでしたが、いかがでしょうか。ほぼ難病としての要件はどの項目も満たしているかと思いますが、御意見ございますか。
張替先生、どうぞ。
○張替委員 血液学的に研究班からクローン性造血と炎症も伴う疾患という御回答をいただいているのですけれども、血液学的にはクローン性造血というと腫瘍を想起するのと、それがベースになっている傍腫瘍症候群という見方もできるのかなと思ったので、そういう意味で指定難病の要件になるかどうか、ちょっとその辺が疑問に思いました。これはリウマチ学会の承認なので、桑名先生の御判断をいただければいいのかなと思いましたけれども、血液学的には少しそこが気になったところです。
以上です。
○持田委員長 ありがとうございます。
傍腫瘍症候群の可能性もということですね。
どうでしょうか、桑名先生。
○桑名委員 張替先生の御指摘のとおり、クローン造血が基礎にある病態ではありますが、最近、クローン造血自体は加齢に伴って多くの方に見られる現象で、様々な循環器疾患や炎症性疾患との関連が言われている。明確な腫瘍との鑑別・区別というのは、多分学問的にもまだ十分結論に至っていない部分であるとは思います。本疾患におけるクローン造血の位置づけは、確かに議論の余地はあるのかと思いますが、炎症性疾患という要素で見ますと、1つのクローン造血がきっかけにはなっているものの、それに伴う抗サイトカイン血症、炎症に伴う全身性病態が起こっているということから、どちらかというと炎症性疾患の位置づけのほうが強いのかと個人的には考えております。
以上です。
○持田委員長 これについて事務局で研究班に確認とかされていますか。どうぞ。
○西垣補佐 事務局より御回答させていただきます。
研究班によりますと、VEXAS症候群はMDS等の腫瘍性病変と無関係ではございませんが、MDSの中でUBA1遺伝子異常を伴う症例というのはごくわずかであって、MDSを伴う傍腫瘍症候群とは異なる病態と考えられるという御回答はいただいているところでございます。
○持田委員長 どうもありがとうございます。
VEXAS症候群は、MDSなどは除外した上で診断することになるわけですね。
○西垣補佐 MDSは、合併することがあるとの記載です。
○持田委員長 合併することもあるということですね。
張替先生、いかがでしょうか。これは炎症性疾患としての位置づけで、その結果としてクローン性増殖があるというのが桑名先生の御意見ですね。
○張替委員 桑名先生、おっしゃるとおり、クローン性造血は加齢に伴って増えてきて、心血管イベントの原因にもなるというのもそのとおりでございますので、それそのもので必ずしも腫瘍とは言いがたいのかもしれません。ただ、VEXAS症候群については治療が腫瘍性疾患に対する治療なので、加齢に伴うCHIPとはちょっと違っていて、主体が腫瘍のようなクローン性造血というような、血液学的にそういうふうに見えたものですから、腫瘍ではないということが十分否定できるのであればいいのかもしれません。そこはグレーなのかなと、正直そんな感じです。ですから、承認いただいたリウマチ学会のほうの判断でオーケーということであれば、これ以上は特に申し上げません。
以上です。
○持田委員長 よろしいでしょうか。
それでは、これに関しましては、いろいろ御意見ありますけれども、基本的には炎症性疾患で、それに伴ってクローン増殖があるということで、難病の要件は満たしているということでよろしいですか。では、御異論ございませんでしたら、そういうことで進めたいかと思います。
それでは、3つ目のTAFRO症候群ですけれども、いかがでしょうか。これに関しては、疾患の特性もあるかと思いますけれども、新規のときと更新時で重症度の判定基準が分かれているのですが、更新時の重症度を満たす患者さんの割合が少ないということが気になります。これに関して、いかがでしょうか。
桑名先生、お願いします。
○桑名委員 確かにこの重症度評価は、診断時は全例、更新時は従来の形の重症度評価に基づくような構成になっていて、指定難病の中でなかなか見られない形を取っているのかと思います。一方で、多くの症例は診断時、かなり重篤、全身の障害があり、予後不良であるため、亡くなられる方も結構多いので、更新時には、重症例が一定割合減ってくることは理解できるのかもしれません。ただ、診断時、更新時、統一した形で疾患自体の重症度を包括するような分類を提示していただいたほうが、この指定難病として多くの先生方が評価する際に、より分かりやすい判定基準になるのかと思います。
また、診断基準についても特異的な所見がなく、非特異的な所見を併せ技で構成している点も、この疾患概念の独立性についての、本質的な解析なり知見が必要な部分かなと思います。
以上です。
○持田委員長 ほかにございますでしょうか。よろしいですか。
それでは、診断基準についても、重症度の基準についても、もう少し検討いただく必要があるということで、「客観的診断基準の確立」の要件を満たしていないということになるかと思います。また、重症者の割合が少ない点は、「長期の療養を必要とする」という要件も満たさないかと思いますので、これはまだ研究班のほうに戻して検討いただく必要があるということでよろしいかと思います。
以上、御意見いただきましたが、最初のROHHAD症候群と3つ目のTAFRO症候群は指定難病に該当しないということでよろしいかと思います。2つ目のVEXAS症候群は、いろいろ御意見いただきましたが、要件を満たしているということで進めさせていただきたいと思います。よろしいでしょうか。ありがとうございました。
では、続きを事務局からお願いします。
○西垣補佐 続いて、循環器疾患の5疾患です。ホルト・オーラム症候群、QT延長症候群、カテコラミン誘発多形性心室頻拍、中性脂肪蓄積心筋血管症、不整脈原性右室心筋症について御説明します。
ホルト・オーラム症候群について、65ページを御覧ください。
患者数は約500人で、令和5年度に、主症状の一つである心疾患については外科手術やカテーテル治療が有効で、その後の生命予後は良好であることから、「長期の療養を要する」の要件を満たさないと判断されました。
1.概要ですが、ホルト・オーラム症候群は、母指や橈骨の異常を主体とする上肢の形成異常と心臓の異常を伴う症候群で、Heart-Hand症候群Ⅰ型とも呼ばれます。
2.原因ですけれども、関連する遺伝子異常が約85%の患者に見出されるとございます。
3.症状ですが、上肢の先天異常が約100%に認められ、母指や橈骨尺骨等の欠損や低形成といった異常でございます。胸郭や脊椎の異常等もございます。また、心臓の先天性異常である先天性心疾患や不整脈などがそれぞれ約90%、30%程度に認められるとのことです。
4.治療法ですが、手の異常や胸郭、脊柱の異常に関しましては整形外科的な再建手術、理学療法や矯正を行い、心臓の異常については心臓外科手術、カテーテル治療、ペースメーカー装着などを行うとございます。
5.予後に移りまして、生命予後は、先天性心疾患により左右され、多くの症例の心臓異常は心房中隔欠損や心室中隔欠損などの単純性欠損のために、生命予後は一般に良好とございます。前回の検討委員会でこの部分に御指摘がありましたけれども、大きな記載修正はございませんでした。
67ページに参りまして、重症度分類ですけれども、NYHA心機能分類II度以上または上肢の機能障害としてmRS3以上というものが用いられております。こちらの重症度を用いた場合、合併する重症心疾患は約20%で、上肢の異常に関しては約20%、両者の合併例を考慮しまして、全体では約30%と推計されているとのことです。
診断基準、重症度分類は、日本循環器学会にて承認を得ております。
続きまして、QT延長症候群について、71ページを御覧ください。
患者数は不明としつつも、2000人から3000人に1人とのことですので、5万人程度と推定されます。平成27、28年度には「長期の療養を要する」の要件を満たさないと判断されました。
1.概要ですが、QT延長症候群は、心電図上QT時間が延長することによって、多形性心室頻拍、心室細動が誘発され、心臓突然死の原因となる遺伝性不整脈でございます。
2.原因ですが、約7割に心筋のイオンチャネルやその関連たんぱくの遺伝子異常を認めるとございます。
3段落目には、先天性LQTSの浸透率は100%ではなく、病的バリアントを有するが、心電図上QT延長を生じない例もあるとの記載もございます。
次のページに参りまして、症状ですけれども、遺伝型により異なるようですが、意識消失を伴う失神発作や心室細動による心停止を認めるとございます。
4.治療法は、内服で発作をある程度抑制したり、植込み型除細動器を用いたりする方法があるようですが、5の予後に関しては不明と記載されております。
77ページに参りまして、重症度分類ですが、こちら、研究班作成の基準で1から3のいずれかに該当するものとされております。こちらの重症度を用いた場合に対象となる患者の割合は約30%とされています。
診断基準、重症度分類は、日本循環器学会にて承認を得ております。
続いて、カテコラミン誘発多形性心室頻拍について、79ページを御覧ください。
患者数は約500から600人と推定され、過去に平成27、28年度に「長期の療養」、平成29年度に「客観的診断基準」の要件を満たさないとされていました。
1.概要ですが、本疾患は運動あるいは情動ストレスがきっかけとなり、多形性心室頻拍を惹起し、失神発作や心停止を来す、まれな遺伝性不整脈です。
2.原因に移りまして、患者の6から7割に原因遺伝子の病的バリアントを認めるとございます。
3.症状ですが、未治療の場合、半数以上が失神発作を起こすと考えられ、発作頻度に関しては、データはないものの、年1~2回程度と推定されるとのことです。
4.治療法ですが、根治のための治療法はなく、β遮断薬やフレカイニドの長期にわたる内服により、ある程度発作を抑えること、植込み型除細動器の併用も行われるようです。
80ページに参りまして、予後ですけれども、正確な予後は不明とされるものの、基本的に治癒することはなく、生涯にわたり発症、すなわち突然死のリスクを伴い、心理的負担は大きいとの記載がございます。
続きまして、81ページの重症度分類に参ります。こちらは、1.心停止・心室細動の蘇生後と、2.不整脈性失神を認めて、十分な薬物治療後も失神の再発を認める場合を対象とされており、こちらの重症度を用いた場合に対象となる患者の割合は約50%とされています。
診断基準、重症度分類は、日本循環器学会にて承認を得ております。
続きまして、中性脂肪蓄積心筋血管症について、84ページを御覧ください。
患者数は約1000人で、令和3年度と令和5年度に、いずれも日本核医学会では承認が取られているものの、日本循環器学会や動脈硬化学会といった実際の臨床医が広く関わる学会での承認がございませんでしたので、「客観的な診断基準の確立」の要件を満たさないと判断されました。今回、日本循環器学会を含む循環器系の主要な学会から昨年度示されました慢性心不全ガイドラインに本疾患が掲載されたとのことで、指定難病追加に向けて再度提出がございました。
1.概要ですが、本疾患はTGCVとも呼ばれ、2008年に我が国で見出された心血管疾患でございます。心筋細胞や血管平滑筋細胞等において、本来のエネルギー源である中性脂肪の分解が何らかの原因で障害されているために、細胞内に中性脂肪が蓄積するとともにエネルギー不全が生じると考えられています。
3.症状に参りまして、青年期から壮年期に心不全症状、狭心症状等が出現し、びまん性冠動脈疾患や冠攣縮、不整脈を来すほか、突然死の報告もあると記載がございます。
なお、治療法ですが、心不全、狭心症、不整脈に対する内科的または外科的な標準治療を行うが、治療抵抗性とございます。
5.予後には、2026年6月までに診断された1200例中、170例が既に死亡しているとございまして、死亡例のほとんどは心臓死または突然死であったと記載されています。
87ページに参りまして、重症度分類でございますが、こちら、研究班作成の重症度分類でございまして、中等症以上を対象としております。なお、中等症は本疾患に関連する症状や臓器障害を認める場合、重症は過去1年の入院歴があったり、原発性TGCVと診断されていることと定義されています。こちらの重症度を用いた場合、対象となる患者の割合は約90%とのことです。
診断基準、重症度分類は、日本核医学会や中性脂肪学会等にて承認を得ております。
最後に、不整脈原性右室心筋症について、90ページを御覧ください。
患者数は約2000人から3000人です。前回提出されたときは5000人に1人という海外のデータを受けて2万4000人程度という形で推定されていたようですが、今回は実際の心筋症臨床医へのアンケート結果を受けて、大幅に減少させております。平成28年度には「長期の療養」、平成29年度は「客観的診断基準」、平成30年度には「長期の療養」と「客観的診断基準」、令和3年度には国内患者の予後の情報が不十分であるとして、「長期の療養」の要件を該当しないと判断されました。
1.概要ですが、本疾患は右心室を中心に脂肪変性・線維化が進行し、右室起源の心室不整脈及び心不全を生じる進行性疾患でございます。
2.原因に行きまして、細胞間接着デスモソームによる遺伝子バリアントの関与が示唆されているようです。
3.症状ですが、心室期外収縮の多発や心室頻拍による動悸やふらつき、失神などを認めることや、致死性不整脈や不可逆性・進行性の心不全を来し得るとの記載がございます。
5.予後につきましては、具体的な数字を出して今回追記をいただいた部分でございます。それによりますと、我が国のコホートでは、この患者254名の10年間の追跡で、持続性心室頻拍、心室細動の発症率は46%、心不全入院は14%とのことでした。
94ページに参りまして、重症度分類になります。研究班作成の表で中等症以上とされておりまして、すなわちNYHAII度、非持続性心室頻拍または上室性頻脈性不整脈または過去1年間の入院が1回以上あること、または家族歴・遺伝情報の大項目を満たすものとされております。こちらの重症度を用いた場合に対象となる患者の割合は約90%とのことです。
診断基準、重症度分類は、日本循環器学会にて承認を得ております。
この5疾患については以上となります。
○持田委員長 どうもありがとうございました。
循環器系の5疾患について御議論いただきたいと思います。
まず最初のホルト・オーラム症候群ですが、重症度基準を満たす症例の割合が少ないですね。長期の療養を必要とする要件を満たすとは、言えないのではないかと思います。これは前回の検討でも指摘されたことですが、今回も申請された内容もあまり変わっていないようです。
循環器の御専門の筒井先生、いかがでしょうか。
○筒井委員 筒井です。
前回も申し上げたのですけれども、この症候群での先天性心疾患というのは、心房中隔欠損症や心室中隔欠損症などのいわゆる単純性の欠損で、外科手術やカテーテル治療が可能で、そういう治療でほぼ完治して生命予後も良好で、重症な患者さんの割合も高くないということで、その後の記載も特段追記されていないということですと、「長期の療養を要する」という要件は、まだ詰められていないのではないかという印象を持っています。
以上です。
○持田委員長 ありがとうございます。
今、御指摘のとおりに、「長期の療養を要する」という点については、ちょっと該当しないのではないかということになるかと思います。よろしいでしょうか。
続きまして、2つ目のQT延長症候群ですが、いかがでしょう。これも重症度基準を満たす患者さんの割合が30%ということで、少々少ないように思われます。また、予後も不明ということでしたが、いかがでしょうか。
錦織先生、よろしいですか。
○錦織委員 ありがとうございます。錦織です。
重症度に関しては、持田委員長も御指摘のとおり、これまでの過去の議論と比較しましても重症度の割合が30%というのは、少し低いのかなという印象は持ちました。
それと、ちょっと判断が難しいかと思うのですが、この疾患が突然死のリスクがあるという点で、本当に大変な疾患であるということに関しては論を俟たないのですが、これまでの指定難病などでの長期の療養、長期の治療が必要ということの議論に鑑みた場合に、ずっと突然死のリスクがあるのでというところを「長期の療養を要する」と判断するのかどうかというのは、今回議論があったような指定難病の要件というのをどういうふうに考えるのか、療養というところをどういうふうに位置づけるのかという定義が変わればですけれども、これまでの指定難病という概念からすると、やや性格が違うのかなという印象は持ちましたので、その点は若干気になりました。
あと、治療に関しても、一応、β遮断薬とか抗不整脈薬の内服で、多くの場合コントロールができているということで、その中で突然死があるというところが非常に重いわけですけれども、その辺をどういうふうに判断するかというところは、もう少し検討が必要なのかなと私としては考えました。一般的な循環器系のお薬を使って、ある程度コントロールが可能になるのかなというところです。
以上です。
○持田委員長 ありがとうございます。
ほかにいかがでしょう。筒井先生、いかがですか。
○筒井委員 筒井です。
今、錦織先生から御指摘があったとおりで、こういう循環器疾患の中でいわゆる突然死のリスクがあるというような患者さんをどのように考えるか。いわゆる指定難病の要件である、日常生活が障害されて、しかも長期の療養を要するというところに該当するのかどうかというところは非常に判断が難しいと思います。突然死リスクというものをどういうふうに考えるかというところだと私も思っております。
一方で、このQT延長症候群の診断基準は、確かに国際的にも認められたものになっているのですけれども、心電図の所見のQT延長のみとか遺伝子の病的バリアントのみだけでも診断している。これも突然死リスクがあるので早期に診断しようというところにつながるのですけれども、そういうふうな診断基準になっていますけれども、指定難病という立場からいくと、症状を含む臨床像を含んで、もう少し長期療養が必要であるということが分かりやすいような表現にしていただく必要があるのではないかと思いました。
以上です。
○持田委員長 どうもありがとうございます。
「客観的診断基準の確立」という要件と「長期の療養を要する」という要件のいずれも、もう少し検討していただく必要があるということになるかと思いますが、よろしいでしょうか。
では、3つ目のカテコラミン誘発多形性心室頻拍についてはいかがでしょうか。診断基準で、患者本人もしくは家族に病的バリアントを認めるということが書いてございますが、こういうことで診断できてしまうということは、診断基準として問題かなと思いますが、筒井先生、いかがでしょうか。
○筒井委員 この疾患の診断基準自体も国際的には認められたものなのですけれども、先ほどのQT延長症候群と同じように、突然死リスクのある不整脈疾患なので、可能性のある患者さんを広く、しかも早期に診断しようというのが診断基準の考え方の根底にあると思います。ただ、持田委員長が御指摘のように、御家族で病的バリアントとか不整脈があるという方の場合の、御本人のそういう症状がどういうものなのかということも重要になってきますので、診断基準の中では、該当する患者さんの症状も含む臨床像を含めて診断基準として整備していただいたほうがいいのではないかと思います。
確かに、突然死リスクのある遺伝性不整脈疾患なのですけれども、先ほど錦織先生からも御指摘ありましたけれども、治療法とか予防法として、激しい運動とか精神的なストレスを避けるとか、それから、治療薬としても、β遮断薬とかフレカイニドといった抗不整脈薬がある程度有効ということが知られていますので、全く治療法がないわけではないということで、その点も「長期の療養を要する」というところに合致するのかどうかということについては、なかなか判断は難しい。そういう突然死リスクのある疾患という考え方の中に、この疾患はあると思います。
以上でございます。
○持田委員長 ありがとうございます。
それでは、この疾患に関しましても、「客観的診断基準の確立」と「長期の療養を要する」という両要件ともに満たしているとは言えないということで判断しようかと思いますが、よろしいでしょうか。ありがとうございました。
では、4つ目の中性脂肪蓄積心筋血管症はいかがでしょうか。先ほど御説明ありましたように、重症度分類で原発性と特発性に分けて、原発性TGCVのほうを重症とするというのが書かれておりますが、その診断の根拠が十分記載がないのですが、これはいかがでしょうか。
青木先生、どうぞ。
○青木委員 青木です。
今、御指摘がありましたとおり、有症状であれば重症度を満たすという基準になっているのですね。何らかの症状を伴って検査をした結果、診断基準を満たすはずなので、これですと、実質、診断された方全てが対象となってしまいますので、ここは再検討いただきたいと思いました。
○持田委員長 ありがとうございます。
こちらも重症度分類に関する問題があるという御意見ですね。よろしいでしょうか。
筒井先生、よろしいですか。
○筒井委員 今の青木先生の御指摘もございましたけれども、診断基準が画像診断と心筋生検という検査項目だけで構成されていますので、診断基準上は臨床上、どういう表現型を呈する方が対象になるのかというのが必ずしも明確に示されておりません。一方で、今、御指摘のように、重症度分類では、心筋症、冠動脈病変、不整脈といった臓器機能障害が認められるというのが組み入れられていますので、もう少し診断基準、重症度、あと概要も含めて記載を御検討いただいてはどうかと思います。
また、臨床像の中でも、心筋症、冠動脈疾患、不整脈という非常に大きな括りになっていますので、通常の心疾患と比べてどういう違いがあるのか、定量的なデータでお示ししていただくのがよろしいのではないかと思います。また、治療に関しても、通常の標準治療を行う場合に対して治療抵抗性という記載もあるのですけれども、どの程度の治療でどういうふうに効くのかといったところの御説明が十分ではないような印象を持っています。
それから、先ほど御指摘があった重症度についても、入院歴といったものも含まれていますけれども、客観的な指標が必要ではないかと思いますし、また、不整脈という記載もございますけれども、不整脈についても診断基準の概要等でも十分な記載がございません。突然死される方もおられるということなのですけれども、そういったリスクについても、まだ説明が十分ではないという点も、私としてはちょっと気になった点でございます。
以上です。
○持田委員長 どうもありがとうございます。
それでは、診断基準、重症度分類、ともにまだ十分整理されていないということで、「客観的な診断基準の確立」の要件は満たしていないということになるかと思いますが、よろしいでしょうか。また、長期予後についても、もうちょっと詳しく検討していただく必要もあるかと思います。よろしいでしょうか。
では、最後、5つ目の不整脈原性右室心筋症についてですが、これは前回申請時よりも推定患者数が大幅に減少したというところが気になります。また、重症度分類についても、家族歴があるのみで重症度を満たすとされていることも、根拠が十分じゃないと思います。
これも循環器ということで、筒井先生、いかがでしょうか。
○筒井委員 この疾患は、臨床像としては不整脈、心筋症、心不全という形で症状としては表現型が出てくる疾患なのですけれども、不整脈ということでかかっておられる患者さんの数、それから、心筋症、心不全ということでかかっておられる患者さんの数、当然両方持って合併しておられる患者さんの数、その辺りの正確な患者数の把握がまだ十分ではなくて、そこを進めていただく必要があるのではないかと思いました。
それと、これも診断基準としては国際的に認められたものなのですけれども、致死性不整脈があるということで、そのリスクを踏まえたものになっていますので、不整脈と心筋症、心不全のいわゆる臨床的な症状とか表現型を含めて、指定難病としては診断基準を整備していただく必要があるのではないかと感じました。
以上です。
○持田委員長 どうもありがとうございます。
この疾患も重症度分類での「客観的な診断基準の確立」のところをまだ満たしていないということになりますし、そもそも疾患の実態、特に患者数に関して、もう少し検討していただく必要があるということで、今回も難病としての条件は満たしていないということでよろしいかと思います。よろしいでしょうか。
では、今回、この循環器系の5疾患につきましては、いずれも指定難病には該当しないということで判断したいと思いますが、よろしいでしょうか。ありがとうございました。
引き続き、説明をお願いいたします。
○西垣補佐 最後となりますけれども、内分泌疾患2疾患、視覚疾患1疾患について御説明します。視床下部性肥満、先天性高インスリン血症、そして特発性周辺部角膜潰瘍についてです。
まず、視床下部性肥満について、97ページを御覧ください。
患者数は約4,700人から1万2,400人とのことで、過去に議論されたことはございません。
1.概要の2段落目を見ていただきますと、視床下部の器質的な病変ないしは物理的損傷により生じる後天性視床下部性肥満と、遺伝学的な原因により生じる先天性視床下部性肥満があるとございます。
2の原因につきましては、視床下部性肥満は、2次性肥満の一つであって、原発性肥満とは区別されるとのことです。
3.症状ですが、抑えることのできない食欲の亢進や、安静時エネルギー消費量の低下による治療抵抗性の肥満を来すとともに、下垂体機能低下症や中枢性尿崩症等の異常を併発することもあるとございます。
4.治療法ですが、視床下部性肥満に対しては特別な治療法は確立しておらず、原発性肥満症に準じた治療が行われるようです。
5.予後でございますが、予後や治療介入の意義に関するエビデンスは不十分とございます。
102ページに参りまして、重症度分類は重症を対象とするとされておりますが、こちら、後天性と先天性の視床下部性肥満で分けて記載されておりまして、こちらの記載はすなわち診断基準を満たした者全てを意味します。したがって、重症度分類を満たす者の割合も100%となるとのことです。
診断基準、重症度分類は、日本内分泌学会にて承認を得ております。
続いて、先天性高インスリン血症について、104ページを御覧ください。
患者数は約500人で、平成27年度は「長期の療養」、平成28、29年度は「客観的診断基準」の要件を満たさないと判断されました。
1.概要では、本疾患は、先天性、持続性のインスリン過分泌によって症候性の低血糖を来す疾患とございます。
2の原因ですが、およそ半数は膵β細胞上でインスリン分泌の調節を行うカリウムチャネルの遺伝子変異を認めるとされております。
3.症状としまして、主に新生児、乳児期に低血糖症状を認め、発汗や意識障害、けいれんなどが見られるようですが、低血糖は加齢とともに軽快傾向になることが多いと記載がございます。
4.治療法ですが、高濃度ブドウ糖の持続静注による血糖維持のほか、内科的治療としてジアゾキシドの内服、ソマトスタチン受容体アナログやグルカゴンの静注・皮下注等の注射剤が用いられるとございます。内科的治療の不良例においては、膵切除等が行われるとございまして、術後も糖尿病に対するインスリン投与等についても記載がございます。
5.予後ですが、重症例、管理不良例では神経後遺症の頻度が極めて高いとございますが、こちらの割合については不明です。
107ページに参りまして、重症度分類は研究班作成の基準で中等症以上を対象とするとされております。すなわち、血糖値70mg/dLを維持するために、ジアゾキシド内服、持続ブドウ糖静注、経管栄養、またはソマトスタチン受容体アナログやグルカゴンの投与を要するもの、先天性高インスリン血症に起因すると考えられるてんかんまたは中等度以上の発達遅滞を認めるもの、そして、糖尿病を来して、その後もインスリン投与を必要とするものということで、全体に薬剤や発達遅滞を基準に含めているところでございます。こちらの重症度を用いた場合、対象となる患者の割合は約70%とのことです。
診断基準、重症度分類は、日本小児内分泌学会にて承認を得ております。
最後に、特発性周辺部角膜潰瘍について、109ページを御覧ください。
患者数は500から1000人で、平成27、28年度に「長期の療養」の要件を満たさないと判断されました。
1.概要は、特に全身症状を伴わず突然に角膜周辺部の潰瘍を来す疾患で、一般には「Mooren潰瘍」と称されるとございます。若年から中高年の片眼又は両眼に発症して、著名な眼表面の炎症を呈するとともに、急速に進行して角膜穿孔を来して、視機能の予後は著しく不良と記載されています。
3.症状ですが、充血、眼痛、流涙、視力低下などを認めるとございまして、4.治療法ですが、ステロイド剤の点眼や内服、免疫抑制剤の内服がある程度有効とされるものの、このような保存治療を行っても急速に進行して、しばしば角膜穿孔に至るとございます。手術治療として上皮移植やボーマン膜の移植が記載されておりますが、その奏効率は不明とございます。
5.予後ですが、高度の角膜潰瘍、角膜穿孔を来し、また再発性が高く、視機能の予後は不良ということが記載されております。
111ページの重症度分類では、研究班の定められた基準を用いてIII度以上を対象とするとされ、すなわち罹患眼が両眼で、良好なほうの眼の矯正視力が0.3未満のものとされております。こちらの重症度を用いた場合に対象となる患者の割合は、初診時には半数以下ですが、経過中は約56%とのことです。
診断基準、重症度分類は、日本眼科学会にて承認を得ております。
こちらの3疾患についての御説明は以上となります。
○持田委員長 ありがとうございました。
それでは、これら3疾患について議論いただきたいと思います。
まず、視床下部性肥満の診断基準ですが、外傷による物理的損傷も指定難病として認められてしまう可能性があります。
これは小児内分泌代謝が御専門の石毛先生から御意見いただけますでしょうか。
○石毛委員 私も同意見です。通常は、物理的損傷というのは原因が明瞭ということになりますので、これまでの難病にはないパターンと認識しております。また、予後についての検討がまだ不十分と記載されておられますので、もう少し疾患についてまとめていただく必要があるのではないかと思います。
さらに、重症度分類が、結論としては全員助成対象となる重症度分類ですので、そういうのがあまり見分けられないということと、あと、そうしなければいけない疾患であるということであれば、根拠を御説明いただく必要があるのではないかと考えます。
○持田委員長 ありがとうございます。
物理的損傷が加わるという点で、「発病の機構」の要件が問題です。また、予後が不明ということで、「長期療養」に関するところも判断ができません。また、重症度分類の点も問題で、「客観的診断基準の確立」の要件にも抵触するということで、さらなる検討が必要かと考えられますが、よろしいでしょうか。
では、2つ目の先天性高インスリン血症ですが、これは成人では改善する症例が多いということで、「長期の療養を要する」という点を満たすかどうかが気になりますけれども、これはどうでしょう。
また石毛先生からお願いします。
○石毛委員 成人では改善するというのが、病気がよくなると見るか、成人では御自身で低血糖への対処が可能になるという、そちらの要素が大きいかというところについては、判断がなかなか難しいかと思います。低血糖が続きますと、疾患としては非常に生活が大変だと思いますけれども、重症度のほうを見てみますと、中等症が薬が要るものという定義となっておりますので、食事など日常生活の大変さなどを含めて、重症度を薬の使用によらないような形で分類できないかというようなことを検討いただくのがいいのではないかと思います。あとは、治療継続の必要性なども含めて御検討いただく必要があると思います。
○持田委員長 ありがとうございます。
「長期療養を要する」という要件について、もう少し検討して説明を追加していただく必要がありそうだということですね。また、重症度分類についても、今、御説明がございましたように、「客観的診断基準の確立」の要件を満たしていないと判断できるかと思います。よろしいでしょうか。
では、最後の特発性周辺部角膜潰瘍ですが、これはあまり問題になる点がなさそうですが、よろしいでしょうか。御意見がございましたら。
石毛先生、どうぞ。
○石毛委員 石毛です。
鑑別診断のところに、111ページのように膠原病が鑑別に上がっておりまして、角膜の所見が専門ではないものですから、膠原病が鑑別に上がる場合、角膜の異常はいろいろな疾患で起きてしまうのではないかと思うのですが、診断基準の検査所見につきましては、これは本疾患に特異的な所見で、他の疾患を十分に除外できる所見であるということでよろしいのでしょうか。
○持田委員長 これは眼科の山下先生、よろしくお願いいたします。
○山下委員 結論から申しますと、鑑別診断ができます。実は、111ページで見ますと、Definiteの症状、Aで、まず毛様充血、結膜充血というのがある。結膜炎、せいぜい上強膜炎の症状で強膜炎がないということですね。あと、Bのところで透明帯を伴わない。この2つで鑑別診断ができます。
まず、透明帯というのは、病変と角膜の隣部の間に透明なところが残っているのを言うのですけれども、これがあるのがカタル性、鑑別診断のC。膠原病というのは実はないのです。ですから、透明帯がないという意味では、膠原病とMooren、今回の潰瘍は鑑別しづらいのですが、Aの結膜炎はあるけれども、強膜炎がないということで、実は膠原病は強膜炎があります。Moorenは強膜炎がありませんということで鑑別できます。この症状AとBを組み合わせると、Cの疾患と今回の特発性周辺部角膜潰瘍(Mooren潰瘍)というのは鑑別診断ができますということが、かなり簡潔ではありますけれども、きちんと書いてあります。
ただ、御指摘のように、膠原病とMoorenの非常に初期は、眼科の専門の中でもちょっと議論になるところであります。ただ、この場合でも、全身疾患を調べて、膠原病というのは関節リウマチとか、昔、ウェゲナーと言っていた、ああいう疾患ですけれども、そういう疾患があれば、これは関係があるかもしれないというような全身疾患から類推できます。序文のところで全身疾患を伴わないというのが1つありますから、眼科所見だけではないですけれども、一応、鑑別はできます。所見だけで言いますと、そういう感じで、この所見を丁寧に読みますと、Moorenはあるけれども、膠原病とかカタル性ではありませんということが鑑別できますというのが結論であります。
以上になります。
○持田委員長 ありがとうございました。
眼科所見と全身所見で鑑別が可能ということで、石毛先生、よろしいですか。
そうしますと、本疾患に関しましては、おおむね問題になる点はないということでよろしいでしょうか。ありがとうございます。
最初の視床下部性肥満と2つ目の先天性高インスリン血症に関しては、いずれも指定難病としては該当しないということになるかと思います。
ほかに御意見がございましたら、いかがでしょうか。
ございませんでしたら、事務局より全体の取りまとめをお願いいたします。
○西垣補佐 1つ目のADSS1ミオパチーについては、先天性ミオパチーや遠位型ミオパチーから本疾患を切り出すことになるが、そのような整理をしてよいかどうかは全体で議論すべきではないかとのご意見をいただきまして、「客観的診断基準」の要件について判断困難として、承認は見送りになったと認識しております。
2つ目の遺伝子異常による発達性てんかん性脳症は、診断基準の遺伝学的検査で病的バリアントが疑われるものを対象として含めているため対象が広くなり得ること、鑑別診断が幾つかの指定難病との間で線引きが曖昧であること、そして、遺伝子異常の中でてんかん性脳症のみ切り分けることになり得るとの観点から、「客観的診断基準の確立」の要件を満たさないと判断されることが妥当とされ、承認は見送りになったと認識しております。
3つ目の視床下部過誤腫症候群では、前回までの検討時に指摘されました「治療法未確立」と「長期の療養」の要件について特段の追記がなかったこと、非笑い発作の合併割合を含めて明確な説明が必要であること、精神疾患以外の他の施策体系でカバーできない症状を明確化すべきであることから、「治療法未確立」、「長期の療養」、「発病の機構」の要件について判断困難と判断することが妥当とされ、承認は見送りになったと認識しております。
4つ目のGRIN関連神経発達異常症は、予後に関して具体的な状況が不明であること、遺伝子異常による発達性てんかん性脳症と重なる部分があって整理が必要ではないかとの議論から、「長期の療養」と「客観的診断基準」の要件を満たさないと判断することが妥当とされ、承認は見送りになったと認識しております。
5つ目のROHHAD症候群に関しましては、長期予後が不明であり、重症度分類に関しても再考が必要として、「長期の療養」、「客観的診断基準」の要件に関して判断することが困難であり、承認は見送りになったと認識しております。また、神経節腫瘍の合併についての御指摘もいただきました。
6つ目のVEXAS症候群については、承認されたと認識しております。
7つ目のTAFRO症候群については、重症者の割合が少なく重症度の再考が必要であることから、「長期の療養」、診断基準に関しても再考が必要として「客観的診断基準」の要件を満たさないと判断することが妥当とされ、承認は見送りになったと認識しております。
8つ目のホルト・オーラム症候群は、長期の療養に関して、前回と比べて特段の追記がないこと、重症者の割合も少ないことから、「長期の療養」の要件を満たさないと判断することが妥当とされ、承認は見送りになったと認識しております。
9つ目のQT延長症候群に関しましては、重症者の割合が少なく予後も不明とされていること、診断基準の明瞭化が必要であることから、「長期の療養」、「客観的診断基準」の要件を満たさないと判断することが妥当とされ、承認は見送りになったと認識しております。
10番目のカテコラミン誘発多形性心室頻拍に関しては、診断基準について、本人の症状等についての追記を含めた整備が必要と考えられた点、長期の予後の評価が難しい点から、「客観的診断基準の確立」、「長期の療養」の要件を満たすことが難しいと判断され、承認は見送りになったと認識しております。
11番目の中性脂肪蓄積心筋血管症は、一般的な心筋症との鑑別の観点、症状の記載がない検査項目のみでの診断基準となっている点、重症度分類で原発性TGCVが重症と判断される根拠に乏しい点等から、「客観的診断基準の確立」の要件を満たさないと判断することが妥当とされ、承認は見送りになったものと認識しております。
12番目の不整脈原性右室心筋症に関しましては、患者数の把握や診断基準の確立についてさらに検討が必要であると判断され、また、重症度分類での根拠が不明なため、「客観的診断基準の確立」の要件を満たさないと判断することが妥当とされ、承認は見送りになったと認識しております。
13番目の視床下部性肥満に関しましては、物理的損傷が原因の疾患は指定難病とすべきではないのではないかとの点、重症度分類については、診断された者全てが助成対象とするのであれば、その根拠も示されるべきという点、予後についての検討が不十分である点から、「発病の機構」、「客観的診断基準の確立」、「長期の療養」の要件を満たすことが難しいと判断され、承認は見送りになったと認識しております。
14番目の先天性高インスリン血症は、薬剤で分類している重症度分類をもう少し工夫できないかとの点から、「客観的診断基準」の要件を満たすことが難しいと判断され、承認は見送りになったと認識しております。また、低血糖が加齢とともに軽快傾向となるという部分に関するコメントもいただきました。
最後の15番目の特発性周辺部角膜潰瘍は、承認されたと認識しております。
事務局からは以上です。
○持田委員長 ありがとうございました。
今、まとめていただきましたような結果で御承認いただいたということにさせていただきたいと思います。
では、委員の皆様方、どうもありがとうございました。議題1について、全体を通して何かございましたら。よろしいでしょうか。
それでは、議題1は終了して、2つ目の議題に移りたいと思います。令和10年度適用分の指定難病に係るパブリックコメントの結果について事務局のほうから説明をお願いいたします。
○古藤補佐 それでは、議題2について御説明させていただきます。
まず、パブリックコメントに寄せられた意見につきまして、行政手続法第43条第1項の規定により、その結果を公示することとしており、来年3月末をめどに御意見に対する考え方をホームページでお示しすることとなっております。
資料2-1は、ホームページ上でお示しするパブリックコメントの結果案を事務局で作成したものになります。本日委員会で御了承いただけましたら、それに基づき公示の手続を進めていきたいと考えております。
それでは、資料2-1を御覧ください。「指定難病に係る診断基準及び重症度分類等について」の一部改正(案)について、令和8年6月16日から令和8年7月15日までパブリックコメントを実施したところ、全部で17件の御意見をいただきました。改正の内容に直接関係する御意見は16件でございましたが、うち2件はほかの意見と内容が重複しており、それぞれ同じ御意見として扱わせていただき、実際の御意見としては14件を資料に掲載しております。改正の内容には直接関係しない御意見は1件ございました。
改正の内容に直接関係する御意見は、個票をより分かりするための御意見が多く、こちらに関しては、研究班に確認の上で資料2-3の個票に反映させております。
また、資料2-5に掲載しております告示番号230肺胞低換気症候群につきましては、ただいま御説明しました、このパブリックコメントの期間終了後に、研究班及び事務局の確認において修正を要する記載が認められました。この記載に係る修正につきましては、委員会で承認をいただけましたら、今月中に追加でパブリックコメントを実施したいと考えております。
以上となります。
○持田委員長 ありがとうございました。
何か御質問がございましたら。よろしいでしょうか。特にございませんか。それでは、ありがとうございます。御了承いただいたものとしたいと思います。
あと、議題3ですね。お願いします。
○古藤補佐 ありがとうございます。
それでは、議題3について御説明させていただきます。
資料3-1を御覧ください。研究班より告示病名の変更について情報提供のあった疾患が4疾患ございました。
詳細については資料3-2を御覧ください。
まず、1つ目は告示番号53のシェーグレン症候群です。こちらは2023年に国際的に病名が「シェーグレン症候群」から「シェーグレン病」に変更されたことを受けまして、指定難病の告示病名も「シェーグレン病」に変更を希望されております。
次に、告示番号278巨大リンパ管奇形(頚部顔面病変)、告示番号279巨大静脈奇形(頚部口腔咽頭びまん性病変)、告示番号280巨大動静脈奇形(頚部顔面又は四肢病変)の3疾患です。代表して9ページの巨大リンパ管奇形でお示ししますが、こちらは3疾患ともクビを表す漢字の「頚」を、難しいほうの「頸」に変更を希望されております。これは日本医学会において、難しいほうの「頸」の使用を推奨されていることが理由となっております。
以上でございます。
○持田委員長 ありがとうございました。
国際的な変更や日本医学会の分科会の用語委員会の推奨に合わせての病名変更ということで、特に問題はないかと思いますが、いかがでしょう。御質問がございましたらよろしくお願いいたします。ございませんか。ありがとうございました。それでは、この件も御了承いただいたものとさせていただきます。ありがとうございました。
では、事務局のほうにお戻しします。
○古藤補佐 ありがとうございます。
4つ目の議事「その他」へ移りたいと思います。その他としての議題は特にございませんが、本日、令和8年8月より新しく赴任いたしました森光健康・生活衛生局長より一言御挨拶がございます。お願いいたします。
○森光局長 本年8月4日に健康・生活衛生局長を拝命いたしました森光でございます。
委員の皆様方におかれましては、日頃より、難病対策及び小児慢性特定疾患対策につきまして、御協力、御支援をいただきまして、厚く御礼を申し上げます。本日は、指定難病の新規追加について活発に御議論いただき、誠にありがとうございました。
指定難病につきましては、難病の患者に対する医療等に関する法律の下、公平かつ安定的な医療費助成の制度確立とともに、難病の医療に関する調査及び研究を推進することとなっております。このような法の趣旨を踏まえて、最新の医学的知見の下、新規疾患の追加や診断基準のアップデートについて、本検討委員会の先生方に御議論、御検討いただくことは大変重要なことだと認識しております。
これまで、累次の新規疾患追加に係る検討に加え、既存の指定難病に係る要件該当性の確認についても御議論いただき、それを踏まえた運用が開始されたところでございます。また、本年度は診断基準等のアップデートについても御議論いただいております。これまでの御尽力に厚く御礼を申し上げます。
引き続き、先生方におかれましては、指定難病の制度を持続的かつ公平に運営していくため、これまで同様、様々な御意見、御指導をいただけますと幸いでございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○古藤補佐 ありがとうございました。
本日で、新規疾病追加について、今年度の議論は終了いたしましたので、パブリックコメントを経て、次回の指定難病検討委員会を11月中に開催することを予定しております。
事務局からは以上でございます。
○持田委員長 ありがとうございました。
以上で第68回「指定難病検討委員会」は終了させていただきます。今回も皆様に活発な御議論をいただき、本当にありがとうございました。では、これで終了とさせていただきます。

