2026年5月13日 薬事審議会 医療機器・体外診断薬部会 議事録

日時

令和8年5月13日(水)17:00~

場所

厚生労働省専用第22~24会議室

出席者

出席委員(28名)五十音順

(注)◎部会長 ○部会長代理
  他参考人2名出席


欠席委員(2名)五十音順  

行政機関出席者
  •  佐藤大作  (大臣官房審議官)
  •  野村由美子 (医薬局医療機器審査管理課長)
  •  安川孝志  (医薬局医薬安全対策課長)   他

議事

○医療機器審査管理課長 それでは、定刻になりましたので、「薬事審議会医療機器・体外診断薬部会」を開催いたします。医療機器審査管理課長の野村でございます。委員の先生方におかれましては、御多用の中御出席いただきまして、誠にありがとうございます。本会議は、Web会議形式を併用して開催いたします。
 最初に、本日の委員の出欠状況について御報告いたします。現在時点で、医療機器・体外診断薬部会委員30名のうち、24名に御出席いただいておりますので、薬事審議会令に基づく定足数を満たしておりますことを報告いたします。
 また、24名のうち17名の委員にはWebシステムを用いて御参加いただいております。
 続きまして、本日の審議に参考人として御参加いただく先生を御紹介いたします。議題1、議題2につきまして、地方独立行政法人静岡県立病院機構静岡県立こども病院循環器科医長、金成海先生、議題3、公益財団法人榊原記念財団附属榊原記念病院循環器内科主任部長、七里守先生に御出席いただきます。
 なお、金先生、七里先生におかれましては、Webにて御出席いただきます。
 議事に先立ちまして、所属委員の薬事審議会規程第11条への適合状況の確認結果について、御報告いたします。
 薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任された委員はおられませんでしたので、報告いたします。委員の皆様には、会議開催の都度、書面を御提出いただいており、御負担をおかけしておりますが、引き続き御理解、御協力を賜りますよう、何とぞ、よろしくお願い申し上げます。
 続きまして、本日の議題の公開・非公開の取扱いについて御説明いたします。
○事務局 事務局でございます。本日の議題の公開・非公開の取扱いについて説明いたします。令和6年薬事審議会確認に基づき、全ての議題につきまして、医療機器の承認審査等に関する議題であり、企業情報に関する内容などが含まれるため、非公開といたします。
 会場の皆様のお手元には、資料が格納されたタブレットのほか、議事次第及び座席表を紙でお配りしております。また、Webにて御参加されている先生方におかれましては、事前にお配りした資料をお手元に御用意ください。
 Webで御参加される先生方におかれましては、審議中はマイクミュート、通信環境等に支障がない限りカメラオンでお願いいたします。
 本日の審議事項に関する競合企業について報告いたします。資料6「競合企業リスト」をお開きください。これらに関する委員からの申し出状況等を踏まえた薬事審議会審議参加規程第5条及び第11条に基づく各委員の審議参加に係る取扱いは、次のとおりです。議題3において議決に参加できない委員は松宮委員です。以上、報告いたします。
○医療機器審査管理課長 事務局からは以上です。なお、本日の部会における議題1、議題2につきましては、類似する品目であることから、一括して御審議させていただければと存じます。
 それでは、以降の進行について、小野部会長、よろしくお願いいたします。
○小野部会長 それでは、これまでの事務局の説明につきまして、何か御意見、御質問等はございますか。よろしければ、ただいまより議題に入ります。本日は、議題1から議題4が審議事項、議題5が報告事項となっております。
 まず、参考人の出席をお願いしておりますので、参考人の入室が確認でき次第、議事を進行したいと思います。議題1と議題2についてでございます。
○事務局 すみません、事務局でございます。金先生につきましては、診療時間が少し長引いているようですので、診療が終わり次第、御入室いただけるとのことですので、先に議題の御説明を始めさせていただければと存じます。
○小野部会長 それでは議題1「医療機器「CP ステント」の生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び使用成績評価の要否について」及び議題2「医療機器「Covered CP ステント」の生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び使用成績評価の要否について」の審議に入ります。
 それでは、事務局より御説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 機構より御説明いたします。
資料1の2ページの専門協議委員一覧を御覧ください。CP ステント及びCovered CP ステントの審査に当たり、こちらの4名の専門委員から御意見を頂きました。両製品は適応が一部重複しているため、本日は両品目をまとめて御説明いたします。CP ステントは、バルーン拡張型の金属ステントであり、Covered CP ステントは、CP ステントと同一のステントをePTFE製カバー材で被覆したカバードステントです。
 以降、CP ステント、続いてCovered CP ステントの順に、審査における主な論点を中心に御説明いたしますが、2品目合計3適応ありますので、30分ほどお時間を頂きます。どうぞよろしくお願いいたします。なお、事前にお配りした審査報告書に一部修正がありましたので、当日配付資料の正誤表にてお示しいたします。この度は、修正がありますことをおわび申し上げます。
 まず、CP ステントについて、以降の説明は3ページからの審査報告書に基づいて御説明いたします。ページ番号は、緑色の通しページ番号、審査報告書のページ番号及び左に記載の行番号を用いて御説明いたします。
 初めに、品目の概要を御説明いたします。資料の9ページ、審査報告書の7ページの2行目から御覧ください。本品「CP ステント」は、先天性心疾患である肺動脈狭窄及び大動脈縮窄を対象として、血流を改善する目的で使用されるバルーン拡張型心血管用ステントです。本品は、ステント及びデリバリーカテーテルから構成されます。
 開発の経緯について御説明いたします。資料の11ページ、審査報告書の9ページの12行目から御覧ください。先天性心疾患に伴う肺動脈狭窄及び大動脈縮窄に対しては、米国のガイドラインにおいてステント留置術が有効な治療法として推奨されており、一定の条件を満たす場合には第一選択の治療として位置付けられています。本邦の診療ガイドラインにおいても、一定の体格及び解剖学的条件を満たす場合には、肺動脈狭窄に対する一次治療として、また大動脈縮窄に対する術後再狭窄の治療として、ステント留置術がクラスIとして推奨されています。しかしながら、本邦ではこれらの適応を有するステントが承認されておらず、主にバルーン血管形成術や外科手術が選択されてきましたが、十分な効果が得られない症例や再狭窄を来し再介入を要する場合も少なくない状況です。
 このような医療環境の下、国内ではやむを得ず胆管用ステント等が適応外で使用されており、先天性心疾患を対象とする専用ステントの早期導入が強く求められてきました。また、日本小児循環器学会から本品の早期導入を求める要望書が提出され、「医療ニーズの高い医療機器等の早期導入に関する検討会」において、海外での使用実績や国内の医療ニーズを踏まえ、本品は大動脈縮窄に対して早期導入すべき医療機器に指定されています。
 海外における使用状況について、資料の12ページ、審査報告書の10ページの16行目から御覧ください。本品は、欧米において既に大動脈縮窄に対する許認可を取得し販売されています。
 本品の非臨床試験成績については、特段の問題は認められませんでしたので、臨床成績について御説明いたします。資料の17ページ、審査報告書の15ページの14行目から御覧ください。本品の肺動脈狭窄に対する有効性及び安全性を評価するに当たり、国内で実施された医師主導治験の試験成績が提出されました。概要については同ページの表5を御覧ください。国内治験は、先天性心疾患に伴う肺動脈狭窄患者を対象として、本品の有効性及び安全性を評価することを目的に、国内11施設で実施された多施設共同前向き単群試験です。22例に本品が使用され、主要評価項目は「本品留置術の有効割合」とし、留置前後の狭窄部径が1.5倍以上増加した場合を「有効」と定義されました。
 結果について御説明いたします。資料の22ページ、審査報告書の20ページの5行目を御覧ください。「本品留置術の有効割合」は86.4%、90%信頼区間の下限値は68.4%であり、性能目標50%を上回り達成いたしました。
 有害事象について御説明いたします。資料の23ページ、審査報告書の21ページの27行目を御覧ください。重篤な有害事象の発生率は3件、12.5%であり、その内訳は、敗血症、頭蓋骨骨折及び上肢骨折でしたが、いずれの事象も本品との関連性は否定され、処置を受けた後に回復又は軽快いたしました。また、本品と関連があると判定された有害事象の発生率は2件、8.3%であり、ステントの変形及びステント位置不良でした。
 以上の臨床成績を踏まえ、機構における審査の概要について御説明いたします。資料の24ページ、審査報告書の22ページから「国内治験デザインの妥当性について」記載しています。同ページの38行目を御覧ください。先天性心疾患に伴う肺動脈狭窄は希少疾病であり、ステントによる治療対象となる症例は更に限られていること及び国内治験の対象をバルーン血管形成術が無効又は効果が乏しいと予想される患者としていることから、治験の実施可能性も踏まえ、ステント性能に関する事項を主要評価項目とし、副次評価項目に設定されたステント留置による狭窄解除に伴う血行動態の改善等から、本品の有効性及び安全性を総合的に評価することは受入可能であると判断いたしました。
 本品の肺動脈狭窄に対する有効性及び安全性について御説明いたします。資料の25ページ、審査報告書の23ページの16行目を御覧ください。申請者は、追加処置が行われた症例の原因分析から注意喚起等のリスク低減化を図ること、及び次ページに示す主要評価項目未達症例においては、本品の留置後に血行動態の改善等は認められており、再介入もなかったことから、本品の有効性に大きな懸念はないと考える旨、説明いたしました。機構は、国内治験の経験も踏まえ、病変部位や性状を考慮した手技の留意点について注意喚起やトレーニングを行うことでリスク低減を行うとする申請者の説明は受入可能であり、肺動脈狭窄に対する本品の有効性及び安全性は臨床上許容可能であると判断いたしました。
 肺動脈狭窄は、そのほかの先天性心疾患の合併が多く、個々の症例で様々な背景を有していることから、本品の肺動脈狭窄への適応については、外科医を含めたハートチームにて、患者の状態、体格、病変部位等を考慮し、外科手術やバルーン血管形成術の選択肢も考慮した上で、本品の使用が最善と判断された患者に使用することが重要と考えます。また、肺動脈狭窄に対するステント留置術は、湾曲した血管にステントを送達する必要があり、肺動脈分岐を含む血管走行が患者により様々であることから、先天性心疾患におけるカテーテル治療の中でも技術的に難易度が高いとされています。そのため、本品を用いた治療は、先天性心疾患に対するカテーテル治療の十分な経験を有する術者にて、術前の適応判断及び留置手技を行うことが重要であり、手技に関連する合併症に対する適切な対応が可能な医師及び医療機関において実施される必要があると考えます。
 肺動脈狭窄患者に関する本品の長期成績については、国内治験では本品留置後52週まで観察が行われ、治験期間中において再介入を要した再狭窄の発生は認められませんでしたが、患者の成長に伴う理由等でステントの再拡張が必要となる場合も想定されます。成長に伴うステントの再拡張については、肺動脈狭窄とは病態は異なりますが、この後御説明する大動脈縮窄を対象としたCOAST試験において再拡張を評価しており、一定の性能を有していることが確認できると判断いたしました。また、製造販売後においても、使用成績調査において再拡張を含む本品の長期成績を確認し、必要に応じてリスク低減化を講ずることが必要であると判断いたしました。
 製造販売後安全対策について御説明いたします。資料の27ページ、審査報告書の25ページの表13を御覧ください。申請者は、本品の肺動脈狭窄に対する使用に当たり、ステントのバルーン上への装填方法など、操作上の注意点について、座学及びハンズオンにてトレーニングを行う予定です。また、関連学会により本品の適正使用指針が作成されるため、当該指針の周知などを行う予定です。
 機構は、本品による肺動脈狭窄治療のリスクベネフィットバランスを最適に保つためには、ハートチームによる適切な患者選択に加え、肺動脈狭窄を含む先天性心疾患に対する十分な経験を有する医師が、本品に関する適切なトレーニングを受けた上で、各種合併症に対応可能な施設において使用することが重要と考えます。したがって、関連学会と協力し、患者選択、医師及び施設基準に関する適正使用指針を策定するとともに、トレーニングを含めた製造販売後安全対策を適切に行うとする申請者の方針は妥当であると判断し、これを承認条件として付すことといたしました。
 ここから、CP ステントの大動脈縮窄に関する臨床成績について御説明いたします。資料の29ページ、審査報告書の27ページの4行目から御覧ください。
本品の大動脈縮窄に対する有効性及び安全性を評価するに当たり、大動脈縮窄を対象とした米国医師主導臨床試験であるCOAST試験、COAST Continued Access Protocol試験、本品及びCovered CP ステントの使用に関する文献調査を基に作成された臨床評価報告書が提出されました。米国FDAへの申請に用いられた資料であるCOAST試験について主に御説明いたします。COAST試験は、小児、青年、成人の未治療又は再発性の大動脈縮窄に対する本品の有効性及び安全性を評価することを目的に米国17施設で実施された、多施設共同、前向き、単群の医師主導臨床試験です。なお、COAST試験において、本品の留置手技中に認められた大動脈損傷に対するCovered CP ステントの使用情報も収集されました。
 主要有効性評価項目の結果について御説明いたします。資料の33ページ、審査報告書の31ページの表20を御覧ください。主要有効性評価項目1「手技前と手技後12か月を比べた際の上肢下肢の収縮期圧較差の平均減少量」については、本品群の平均減少量は30±22mmHgであり、外科治療の成績を基に設定した達成基準である31mmHgを満たしませんでした。また、主要有効性評価項目2「入院期間」については、本品群の平均入院期間は1.1±0.3日であり、外科手術の成績を基に設定された達成基準3.5日を満たしました。
 主要安全性評価項目について御説明いたします。資料の35ページ、審査報告書の33ページの表24を御覧ください。主要安全性評価項目1「カテーテル手技時から手技後30日以内のステント又は留置手技に関連した重篤な有害事象又はやや重篤な有害事象」については、本品群での発生率は8.9%であり、外科手術成績を基に設定した基準を下回りました。また、主要安全性評価項目2「手技後のParadoxical高血圧」については、本品群での発生率は7.5%であり、達成基準84%を満たしました。ほかの臨床成績や文献報告から特筆すべき安全性事象は認められませんでした。
 以上の臨床成績を踏まえ、機構における審査の概要について御説明いたします。資料の46ページ、審査報告書の44ページの25行目を御覧ください。
大動脈縮窄に対する本品の有効性及び安全性を臨床評価報告書より評価することの妥当性については、一つ目として、大動脈縮窄に対するステント治療が欧米及び本邦のガイドラインにおいてクラスI又はクラスIIaで推奨されており、治療法としては確立していること、二つ目として、COAST試験は米国FDAでの認可に用いられた臨床試験であり、本品の性能評価に必要な事項が網羅的に評価されていること、最後に、本邦における本品の対象患者は年間5例前後と極めて少数例であり、新たに本邦で治験を実施することは極めて難しいことから、受入可能であると判断いたしました。
 資料の48ページ、審査報告書の46ページの4行目より、本品の大動脈縮窄に対する有効性について御説明いたします。COAST試験の主要有効性評価項目1の「上下肢の収縮期圧較差の平均減少量」について、達成基準が未達であった原因及び当該結果を踏まえた本品の有効性について、申請者は次のように説明しています。達成基準は外科手術症例の術後平均減少量36mmHgを基に設定されましたが、COAST試験の登録患者のうち、初回治療例では37mmHgの改善が得られた一方で、再治療例では21mmHgの改善にとどまり、申請者は、患者背景の違いにより全体の平均減少量が低くなったと考察しています。また、手技後2年以降には31mmHg以上の圧較差の改善が認められ、それが手技後5年まで維持されていること等を踏まえ、本品の有効性に問題はない旨、申請者は説明しています。
 機構は、本品の治療による上下肢収縮期圧較差の減少が長期的に示されていること及び文献においても同等の事項が確認されていることから、本品の有効性については臨床上許容可能であると、専門協議の議論も踏まえ判断いたしました。
 本品の大動脈縮窄に対する安全性については、同ページの25行目からです。
本品の治療において大動脈損傷の発生リスクが認められていることから、リスク低減措置として、海外における最近の知見に基づく注意喚起、製造販売後安全対策においてトレーニングを十分に行うことといたしました。
 製造販売後安全対策について御説明いたします。資料の50ページ、審査報告書の48ページを御覧ください。申請者は、本品の大動脈縮窄に対する使用に当たり、表50に示すトレーニングを行う予定です。また、大動脈縮窄に対しても、肺動脈狭窄と同様に、関連学会により作成される本品の適正使用指針の周知などを行う予定です。
 機構は、本品による大動脈縮窄治療のリスクベネフィットバランスを最適化するためには、肺動脈狭窄と同様、ハートチームによる適切な患者選択に加え、大動脈縮窄を含む先天性心疾患治療に対する十分な経験を有する医師が、適切なトレーニングを受けた上で、各種合併症に対応可能な施設において使用することが重要と考えます。したがって、関連学会と協力して適正使用指針を策定し、製造販売後安全対策を適切に行うとする申請者の方針は妥当であると判断し、これを承認条件として付すことといたしました。
 最後に、本品の使用成績調査について御説明いたします。資料の52ページ、審査報告書の50ページの表52、53に計画案の概要を示しています。本品の有効性及び安全性を確認することを目的に、肺動脈狭窄の重点調査項目として、狭窄の程度、再介入などが設定され、大動脈縮窄では、術前後の上下肢の収縮期圧較差、大動脈損傷の有無、再介入などが設定されました。また、本邦における本治療の対象患者数は極めて少数と想定されるため、登録期間の全例を登録する計画です。
 以上の審査を踏まえ、機構は、資料の54ページ、審査報告書の52ページの30行目から記載している使用目的にて、また同ページの35行目から記載している承認条件を付した上で、本品を承認して差し支えないとの結論に達し、本医療機器・体外診断薬部会にて御審議いただくことが適切と判断いたしました。本品は生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しています。また、使用成績評価の調査期間は10年とすることが妥当と判断いたしました。薬事審議会では報告を予定しています。
 続いて、資料2を御覧ください。Covered CP ステントについて御説明いたします。はじめに、本品の概要を御説明いたします。資料の8ページ、審査報告書の6ページの2行目から御覧ください。本品「Covered CP ステント」は、先天性心疾患患者における大動脈縮窄を対象として、バルーン血管形成術やステント留置術では血管損傷等のリスクが高い患者における血流改善及び大動脈縮窄に対するバルーン血管形成術又はステント留置術に合併した大動脈損傷に対する緊急処置を目的として使用される、バルーン拡張型のカバードステントです。
 開発の経緯について御説明いたします。資料の9ページ、審査報告書の7ページの36行目から御覧ください。CP ステントと同様に、国内外のガイドラインにおいて、一定の体格及び解剖学的条件を満たす場合には、大動脈縮窄に対するステント治療がクラスIとして推奨されています。しかしながら、本邦では大動脈縮窄に適応を有するステントが承認されておらず、CP ステントと同様に「医療ニーズの高い医療機器等の早期導入に関する検討会」において、本品についても大動脈縮窄に対して早期導入すべき医療機器に指定されています。
 外国における使用状況については、資料の10ページ、審査報告書の8ページの24行目から御覧ください。本品は、欧米において既に大動脈縮窄に対する許認可を取得し販売されています。
 本品の非臨床試験成績については、特段の問題は認められませんでしたので、臨床成績について御説明いたします。資料の16ページ、審査報告書の14ページの12行目から御覧ください。本品の大動脈縮窄に対する有効性及び安全性を評価するに当たり、大動脈縮窄を対象とした米国医師主導臨床試験であるCOASTII試験、COASTII Continued Access Protocol試験、本品及びCP ステントの使用に関する文献調査を基に作成された臨床評価報告書が提出されました。
米国FDAへの申請に用いられた資料であるCOASTII試験について主に御説明いたします。COASTII試験は、小児、青年、成人の未治療又は再発性の大動脈縮窄に対する本品の有効性及び安全性を評価することを目的に米国16施設で実施された、多施設共同、前向き、単群の医師主導臨床試験です。
 資料の18ページ、審査報告書の16ページの12行目を御覧ください。COASTII試験の主要有効性評価項目は、大動脈縮窄に伴う血行動態異常及び大動脈壁病変の臨床的改善を客観的かつ総合的に評価することを目的に、FDAと協議の上、本試験独自の疾患重症度スケールを作成して設定されました。用いた疾患重症度スケールは、手技前とフォローアップ時でそれぞれ表7及び表8のとおりで、「上肢収縮期血圧」、「上肢下肢の収縮期圧較差」及び「大動脈壁損傷」の3項目から構成され、その各々が5段階の評価となっており、グレード5が最も良い状態と定義されています。
 主要有効性評価項目の結果について御説明いたします。資料の21ページ、審査報告書の19ページの表11を御覧ください。主要有効性評価項目1「手技前と手技後12か月を比較した際の疾患重症度スケールに基づくグレードの中央値の変化」は2であり、また、主要有効性評価項目2「手技後12か月の疾患重症度スケールがグレード4又は5であり、かつ臨床的悪化を認めない患者の割合」は80%であり、いずれも統計学的に有意な改善が示されました。
 資料の23ページ、審査報告書の21ページの表17より、主要安全性評価項目について御説明いたします。主要安全性評価項目「カテーテル手技時から手技後30日以内のステント又は留置手技に関連した重篤な有害事象又はやや重篤な有害事象」について、事前に設定した解析計画に従い、COAST試験での112例を合算した194例で統合解析した結果、当該発生率は8.2%であり、事前に設定した達成基準18%を満たしました。ほかの臨床成績や文献報告から特筆すべき安全性事象は認められませんでした。
 以上の臨床成績を踏まえ、機構における審査の概要について御説明いたします。CP ステントと同様の理由から、臨床評価報告書より評価することは受入可能と考えており、「有効性及び安全性について」を中心に御説明いたします。資料の37ページ、審査報告書の35ページの21行目を御覧ください。COASTII試験において、本品の留置により疾患重症度スケールの改善が認められ、大多数の症例で臨床的悪化はなく、収縮期圧較差の軽減と維持が確認されていること及び文献においても同等の事項が確認されていることから、臨床的に許容可能であると専門協議の議論も踏まえ判断いたしました。また、安全性に関しては、CP ステントと同様に、大動脈損傷の発生リスクが認められ、リスク低減措置として、海外における最近の知見に基づく注意喚起、製造販売後安全対策においてトレーニングを十分に行うことといたしました。
 本品の長期安全性については、本品の治療の特性を踏まえ、臨床上許容可能と考えますが、遠隔期においてステント破損、大動脈損傷が一定頻度の割合で確認されていることから、CP ステントと同様に、ハートチームにて、そのほかの治療選択肢も考慮した上で、本品の使用が最善と判断された患者に使用することが肝要であると考えます。また、製造販売後においても、後述する使用成績調査において本品の長期成績を確認し、必要に応じてリスク低減措置を講ずることが必要であると判断いたしました。
 製造販売後安全対策について御説明いたします。資料の39ページ、審査報告書の37ページを御覧ください。申請者は、CP ステントと同様に、本品の大動脈縮窄に対する使用に当たり、表43に示すトレーニングを行い、関連学会が作成する適正使用指針の周知などを行う予定です。機構は、CP ステントと同様に、申請者の方針は妥当であると判断し、これを承認条件として付すことといたしました。
 最後に、本品の使用成績調査について御説明いたします。資料の41ページ、審査報告書の39ページを御覧ください。表45に計画の概要を示しています。
本品の有効性及び安全性を確認する目的として、CP ステントの大動脈縮窄に対する使用成績調査項目と同じ重点調査項目を設定いたしました。また、本邦における本治療の対象患者数は極めて少数と予想されるため、登録期間中の全例を登録するよう設定されました。
 以上の審査を踏まえ、機構は、資料の42ページ、審査報告書の40ページの36行目から記載している使用目的にて、また、資料の43ページ、審査報告書の41ページの4行目から記載している承認条件を付した上で、本品を承認して差し支えないとの結論に達し、本医療機器・体外診断薬部会で御審議いただくことが適切と判断いたしました。本品は生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しています。また、使用成績評価の調査期間は10年とすることが妥当と判断いたしました。薬事審議会では報告を予定しています。
 機構からの報告は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
――金参考人 入室――
○小野部会長 ありがとうございました。金先生はお入りになっていますか。
○医療機器審査管理課長 入っていただきました。
○小野部会長 それでは、参考人の金先生から追加の御発言等がありましたらよろしくお願いいたします。
○金参考人 この度は貴重な機会をありがとうございます。静岡県立こども病院循環器科の金と申します。今、音声よろしいでしょうか。
○小野部会長 はい。聞こえています。
○金参考人 今、機構の担当の方から説明があったことで、ほぼ網羅されているのですが、専門実地医師の立場から、本品によってもたらされる医療的な機会と医療ニーズについて、私の立場から説明を追加したいと思います。よろしくお願いいたします。1、2分ほど説明したいと思います。
 まず先天性心疾患領域では、これまで国内に十分な標準的治療の選択肢がなかった肺動脈狭窄及び大動脈縮窄に対して、適切な症例に低侵襲な治療選択肢を提供できる点にあります。
 まず、肺動脈狭窄に対するCP ステントは、主として術後病変を対象にバルーン血管形成術のみでは効果が乏しい病変、あるいは長い狭窄、先ほど説明もありましたような屈曲や圧迫を伴う複雑な病変に対して大きな意義があります。
ファロー四徴や総動脈管遺残などといった先天性疾患、術後に生じた分岐部肺動脈狭窄、あるいはフォンタン型手術後の肺血流の不均衡を伴う病変が具体例として挙げられます。また、日本先天性心疾患インターベンション学会(JCIC)、そのレジストリ由来のリアルワールドデータでは、JCICレジストリに登録された先天性心疾患に対するステント留置術の標的部位の中では、この肺動脈狭窄が最もステント留置術が多く、本邦で未承認の中でも実臨床の必要性が高かったことがうかがえます。
 一方で、肺動脈狭窄に対するステント治療自体は、2011年のAHA ScientificAHAScientific Statements、2021年の改訂版日本循環器学会ガイドライン、さらに2024年版JCICガイドラインにおいても支持されている治療と考えます。
 また、日本心臓血管外科手術データベース(JCVSD)でも、肺動脈形成術は毎年200例を超えて行われており、その一部、少なくとも年間数十例規模は今後このCP ステントによる低侵襲治療へ移行し得る可能性があると考えます。
 次に大動脈縮窄については、学童期以降の適した症例では欧米でも現在なおステント治療が標準的選択肢として位置付けられています。我が国の先ほどのリアルワールドデータでも、肺動脈病変、大動脈縮窄に対するステント留置術は適応外使用なら一定数行われてきています。その中でCovered CP ステントは安全性の観点から優先される重要な医療機器であり、未治療の手術をしたことがない大動脈縮窄、術後再狭窄のうちバルーン血管形成術や通常のステント留置では血管損傷のリスクが高いと判断される症例、あるいは実際に損傷発生時の救済、これらが具体的な適応事例となります。
 一方で、術後再縮窄、比較的体格が小さい、アクセスに制限がある、比較的幼少な症例、あるいは重度な狭窄で段階的に拡張していく症例では、Covered CP ステントでは、アクセスの太さ、あるいはデバイスの太さがちょっと大きいために、人工血管グラフトによるカバーがされていない通常のCP ステント、これがなお重要な選択肢として残っています。日本心臓血管外科手術データベース(JCVSD)でも、単純大動脈縮窄手術は年間20~40症例程度、さらに大動脈縮窄複合、この複合というのは他の心室中隔欠損等の病変を伴う大動脈縮窄という意味ですが、こういった複合修復術は年間100例前後行われており、このうち学童期以降の再縮窄や再解離において一定の割合、少なくとも年十数例から数十例程度は、このCP ステントやCovered CP ステントの導入により低侵襲治療へ移行し得ると考えています。
 以上により、本品は、外科治療を一律に代替するものではないですが、先ほどから説明があったように、ハートチームの下で適切な患者を選択し、低侵襲性と安全性を高めるために必要な治療選択肢と、こういった形で我が国における医療ニーズが高いと考えています。以上です。 
○小野部会長 ありがとうございました。それでは委員の皆様方から御意見、御質問がありましたら、よろしくお願いしたいと思います。いかがでしょうか。
宮川委員、お願いいたします。
○宮川委員 御説明ありがとうございます。非常に詳しい説明で、非常にいいものであると理解しました。CP ステントについてお聞かせ願いたいのですが、もちろん原疾患が様々ですので、肺動脈狭窄、それから大動脈縮窄も原疾患によって変わってくるというところがあります。ただし、このステントに関しては、全部サイズはステント長、長さで決まってくるということです。
 先ほどお話があったように、狭窄の中で非常に湾曲した部分が肺動脈狭窄にはある程度想定されるのですが、この表7を見ると使われたステント長のパーセンテージが書いてあるわけですが、16から39までの間で、やはり28、中ほどが一番使われるはずなのです。その成績というか、その中の湾曲した所はどのような形でこれを使用されたのかということを、お聞かせ願いたい。特に、留置後52週の調査期間としてやられているわけですが、今後、長期成績というものを拾っていかなくてはいけないとすると、その辺の導入の訳というか、どういうステント長で選ばれたのか、どういう原疾患によってそれが選ばれたのかについて、お聞かせ願いたいのですが、お願いいたします。
○小野部会長 これは多分、金先生にお答えいただいたほうがよいと思います。
多分、ステントの追随性の問題だと思いますが、いかがでしょうか、金先生。
○金参考人 御指摘のとおり、非常にバリエーションが高いのが、肺動脈病変あるいは先天性心疾患全体に共通する特徴だと思います。本当に湾曲していたり、屈曲していたり、あるいは周りの気管や大動脈など、ほかの臓器から圧迫されていると、そういったところに治療困難性があります。これは手術においても同様です。御質問にもありました長さの調節は、比較的16から39の中で5段階とバリエーションがありますので、病変と正常な血管の間を橋渡しするような形で選んでいきます。ときには微調整するために、ステントを2個、タンデムと言いまして、重ねて使う場合があります。
 このCP ステントの特徴としては、基本的にはクローズのセルと言いまして、各セルの境が、格子状になっている所が溶接でつながれています。プラチナを主体として、あとゴールドを使って溶接されているのですが、そこの所がステントのクローズの中でも少し柔らかさを持ったステントで、例えばカーブしている病変には、その病変の可塑性によってカーブしたまま留置される。本来的にはカーブしないで真っすぐ円筒状に留置されるほうが、放射出力が保たれるのですが、周りにも優しくあるべきところもありますので、ステントのエッジも丸く処理されていますし、また、屈曲病変にもフィットする形で対応する。
 そのような形で留置されるので、病変によって長さや性質あるいは個数を選んでいくという形で実質的には行われます。そういった点に関しても、先ほど機構からも説明がありましたようなトレーニングと言いますか、使用経験をよく踏んで適応判断にも富んだ医療チーム、ハートチームで判断していきますし、個々に、最初、導入する場合には、各施設において、そのCP ステントそのもののトレーニングが必要になると考えています。以上です。 
○宮川委員 宮川です。金先生、どうもありがとうございました。今までの御説明の中で、当然、湾曲するなど、いろいろなバリエーションがあるので、一つのステントで済むはずはないと思っていたものですから、今、先生から、複数のステントを使う、その状況に合わせて、それを挿入していくということが分かりました。そういう意味では、一つのステントで全てが終わるのではなく、複数ステントも入れることによって、このような狭窄、あるいはバリエーション、原疾患、それに対応していくということが必要なので、より今後の長期成績調査のときに詳しくそれを記載していただくことが非常に重要かなと思ったので、質問させていただきました。
 それから、もう一点、CP ステントの中の27ページ、11行目に「製造販売後においても後述する使用成績調査において再拡張を含む本品の長期成績を確認し」と書いてあって、この後がよく分からないのですが、「必要に応じてリスク低減措置を講ずることが必要であると判断した」と。この「必要に応じてリスク低減措置を講ずること」というのは、内容が何も書いていないのですが、これは何を表すのでしょうか。
○小野部会長 これは事務局からお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 御質問いただきありがとうございます。使用成績調査において、今回、国内の治験においても、そこまで症例数があったわけではありませんので、その都度、その都度、先生方でいろいろなTipsなども収集されるものと考えています。そういう情報を適宜、医療現場にフィードバックをしながら行っていくという旨で記載をさせていただきました。
○宮川委員 了解しました。あらかじめ決まったリスク低減措置ではなく、その状況に応じて協議をしながらやっていくという、そういうことで理解してよろしいですよね。そういう記載であれば、了解しました。
○小野部会長 ありがとうございました。ほかに御質問、御意見はありませんか。北澤委員、お願いいたします。
○北澤委員 北澤です。よろしくお願いいたします。私も資料1のCP ステントの医師主導治験について御質問します。この試験の主要評価項目は本品留置後の有効割合で、それは統計学的にも有意に満たしていました。副次評価項目の再狭窄部径の変化率は119.3%、大体2割ぐらい径が増えたと理解しました。質問は、これによって、患者のQOLと言いますか、例えば自分が楽になったような気がするとか、あるいは、今までできなかった活動ができるようになるといった臨床的な改善について教えていただきたいと思います。お願いいたします。
○小野部会長 この件は臨床アウトカムの話なので、金先生、お願いいたします。
○金参考人 お答えいたします。まず今の評価項目の中で、やはり成長を伴っていく子供さんのことですので、成人で例えば狭窄病変で苦痛を伴う病変の解除による症状改善とまでいかず、どちらかといえば、将来、大人になっていく体の成長の中で、治療の段階的な評価、治療計画の評価ということが主になってきます。具体的に言いますと、患者さんが、子供さんそのものが良くなったと、すぐに比較することは少ないことも多いです。どのような評価かと言いますと、例えば術後の肺動脈二つ、左右ありますが、そういった左右の肺血流の不均衡を伴っていると、フォンタン手術後にしてもファロー四徴症にしても、肺の成長そのものも、肺循環そのものの成長も障害されていますので、そういった不均衡を改善する。そういうことによって、次の手術を回避できる、あるいは右心室の負荷の軽減。そういった成長に過程における肺病変あるいは右心室の負荷の改善ということが、具体的な事例として挙げられます。それらのことにより、将来的な外科的手術介入の回避によって、患者さんの入院の期間、開胸による大きな侵襲を受ける機会を減らす、あるいは医療経済的な効果をもたらす。そういったことを目指しているところです。以上です。
○北澤委員 ありがとうございました。では、臨床的なメリットは、その子の成長を長期にフォローしていく必要があると理解していいわけでしょうか。
○金参考人 全くそのとおりです。そのためにフォローアップ期間が10年ということを推奨されているところです。
○北澤委員 ありがとうございました。
○小野部会長 ありがとうございました。ほかに御質問、御意見はありませんか。Webの先生方、委員の先生方、よろしいでしょうか。
 そうしますと、座長の私から一つ、これは事務局にお伺いするのか、金先生にお伺いするのか、どちらでもいいのですが、適正使用指針のところで、一つは小児循環器学会の専門医か、評議員、それからもう一つはCVITの専門医が入っています。小児の場合、小児インターベンションのJCICというきちんとした学会と認定システムがあって、小児の場合はJCICではなくて小児循環器学会の方の資格だけで資格基準を決めるような記述になっていましたが、これは何か意図があるのでしょうか。
○金参考人 金ですが、私の方からお答えしてよろしいでしょうか。
○小野部会長 では、金先生、お願いいたします。
○金参考人 私は、日本先天性心疾患インターベンション学会(JCIC)の理事長を務めています。その立場から御回答します。あと、日本小児循環器学会、こちらの理事も務めています。両方の立場からお答えします。
 まず、この申請を提出し、適正使用指針を策定した段階では、日本小児循環器学会の専門医という枠組みがあったのですが、そしてCVITの専門医、認定医という枠組みがあったのですが、JCICの認定医という枠組みはまだ設立されていませんでした。実は、つい昨年から策定されまして、明確にJCIC認定医というものが、先天性心疾患のカテーテル治療に精通した医師というレベルで、特化された資格として確立しまして、4年前から準備はしていたのですが、昨年から発効されたというところです。今回の部会に当たる前に、事前に機構の方々とも相談したのですが、この適正使用指針の中の「日本小児循環器学会専門医」という所を「JCIC認定医」に変更させていただくことはどうでしょうかと、私から御相談申し上げました。その方がより術者として明確になるからと。今回は、提出した時期の関係で、このままの適正使用指針、日本小児循環器学会専門医ということで提出したのですが、本品が認められた後で、この適正使用指針を再度見直して、ブラッシュアップする段階で、必要に応じてその認定の資格を改変することも提案していこうという準備をしています。以上です。
○小野部会長 いきさつも含めて、御回答ありがとうございます。この治療が結構大変なのは私も実は割とよく知っていますので、安全性ということを担保する観点からJCICの認定医がよいだろうということで、ちょっとお伺いした次第です。ありがとうございました。ほかには何か御質問、御意見はありませんか。
 それでは議決を行いたいと思います。なお、議題1の利益相反事項に関して、議決に参加できない委員はいらっしゃいませんでした。医療機器「CP ステント」について、本部会として承認を与えて差し支えないものとし、生物由来製品及び特定生物由来製品として指定しないとしてよろしいでしょうか。また、使用成績調査は期間を10年とすることでよろしいでしょうか。御異議がある方は御発言あるいは挙手をお願いしたいと思います。御異議がないようですので、そのように議決します。なお、本件は審議会にて報告を行うこととなっています。
 続いて、議題2の利益相反事項に関して、議決に参加できない委員はいらっしゃいませんでした。医療機器「Covered CP ステント」について、本部会として承認を与えて差し支えないものとし、生物由来製品及び特定生物由来製品として指定しないとしてよろしいでしょうか。また、使用成績調査は期間を10年とすることでよろしいでしょうか。御異議のある委員の方は発言、あるいは挙手をお願いいたします。特に御異議はないようですので、そのように議決をします。本件は審議会にて報告を行うこととなっています。
 以上をもちまして、議題1、議題2を終了します。金先生、どうも御陪席ありがとうございました。
○金参考人 ありがとうございました。失礼いたします。
――金参考人 退室――
――七里参考人 入室――
○事務局 金先生の御退席、確認されました。あと、七里先生の御入室も確認できました。
○小野部会長 議題3については、参考人の御出席をお願いしております。参考人は、七里守先生です。それでは、議題3「医療機器「エドワーズ サピエン3」の生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認事項一部変更承認の可否及び使用成績評価の要否について」の審議に入ります。事務局より御説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 機構より説明いたします。資料3、2ページ、専門協議委員一覧を御覧ください。本審査に当たり、こちらの4名の専門委員から御意見を頂きました。以降の説明は、3ページからの審査報告書に基づいて説明いたします。ページ番号は、緑色の通しページ番号、審査報告書のページ番号、及び左に記載の行番号を用いて説明いたします。なお、事前にお配りした審査報告書に一部修正がありましたので、当日配付資料の正誤表にてお示しいたします。この度は、修正がありますことをおわび申し上げます。
 初めに、品目の概要を説明いたします。資料12ページ、審査報告書10ページ1行目から御覧ください。本品「エドワーズ サピエン3」は、経皮的心臓弁留置に用いるバルーン拡張型人工心臓弁システムです。本品は、生体弁、デリバリーシステム、シース等から構成されます。
 次のページ、資料13ページ、審査報告書11ページを御覧ください。本品は、経カテーテル的大動脈弁置換術、肺動脈弁置換術、及び僧帽弁置換術に使用する医療機器として、既に承認されています。以降、経カテーテル的大動脈弁置換術をTAVRといいます。TAVRに使用する医療機器として、自己大動脈弁の重度大動脈弁狭窄(AS)を有する症候性の患者、及び大動脈生体弁の機能不全による症候性の弁膜症を有する患者への治療に対して、適応を有しています。本申請は、自己大動脈弁の重度ASを有する患者のうち、無症候の患者に対する治療への適応追加を目的とした一部変更承認申請です。
 次に、開発の経緯について説明いたします。審査報告書11ページの25行目から御覧ください。本邦においては、症候性の重度ASへの治療として、外科的大動脈弁置換術(SAVR)又はTAVRが施行されています。一方、無症候性重度AS患者においては、症状が現れる前に早期介入を行うことの有効性に関するエビデンスレベルが、患者の状態、認められる兆候によって異なります。本邦ガイドラインでは、無症候性重度AS患者における現状の手術介入の基本的な考え方として、左室駆出率が50%未満であり、心機能低下を認める患者などに対しては、早期手術がクラスIで推奨されています。運動負荷試験で有意な血圧低下を呈する患者、超重症AS患者及び著明な肺高血圧を呈する患者の手術介入はクラスIIa、ASの急速な進行を認める患者ではクラスIIbとなっています。一方、ただいま御説明した所見がない患者は、経過観察の継続が適切とされています。
 実臨床においては、SAVRの侵襲性の高さを踏まえ、心機能低下症例などの一部の症例を除き、基本的には経過観察(保存的治療)が継続され、症状若しくは心機能低下が発現した時点で手術介入が行われています。本品によるTAVRの施行は、現在の適応が症状発現後に限定されており、症状発現後に急速に疾患が進行する場合や、症状が主観的であるため無症候か否かの判断が困難な場合があることが課題です。また、手術介入前の検査や医療体制の理由で、症状発現から手術介入までの待機期間が存在します。
 以上の理由などにより、保存的治療を継続することで、適切な時期での治療介入を逃がし、介入困難に至ることや、突然死、不可逆的左室心筋障害などが引き起こされる場合があります。急な症状発現により緊急的な手術介入に至る症例も認められますが、本邦で実施されているJ-TVTレジストリにおいて、緊急TAVRを受けた患者は、選択的TAVRを受けた患者と比較し、有意に予後が悪いことが報告されています。申請者は、これらの課題を踏まえ、TAVRの適応を無症候性重度AS患者に拡大する本一変申請に至りました。
 外国における使用状況について、資料14ページ、審査報告書12ページ16行目から御覧ください。本品は、欧州及び米国において、既に無症候性ASの適応の許認可を取得し、販売されています。
 非臨床試験成績について、本申請に当たり、製品などに変更はなく、使用環境も変わらないため、試験成績の添付は省略されています。そのため、臨床成績について説明いたします。資料19ページ、審査報告書17ページ18行目から御覧ください。本品の有効性及び安全性を評価する臨床評価資料として、無症候性重度AS患者を対象として、米国及びカナダで実施された海外臨床試験であるEARLY TAVR試験の試験成績が提出されました。本試験は、日米の診療ガイドラインにおいて早期手術がクラスIで推奨される患者などを除く無症候性重度AS患者を対象として、本品を用いたTAVRを行った群(本品群)の保存的治療群(CS群)に対する優越性を検証することを目的とした無作為化比較試験です。なお、CS群において、経過観察中にASに関連した症状の発現などの場合には、大動脈弁置換術を実施することとされていました。以降、Delayed AVRといいます。Delayed AVRは、原則として本品を用いたTAVRが実施されました。本試験の主要評価項目として、「死亡、脳卒中及び予定外の心血管入院の複合事象」が設定され、最終登録患者が経過観察2年に達した時点で入手可能なデータを用いて解析が行われました。
 まず、主要評価項目に関する試験成績について説明いたします。資料25ページ、審査報告書23ページ表11を御覧ください。主要評価項目の発生率は、本品群26.8%、CS群45.3%であり、本品群のCS群に対する優越性が検証されました。各構成事象の解析から、死亡及び脳卒中の発生については両群で有意な差はなく、主要評価項目の達成に寄与した事象は、予定外の心血管入院であり、本品群20.9%、CS群41.7%でした。
 次のページ、表12を御覧ください。この表では、予定外の心血管入院の内訳を示していますが、CS群で予定外の心血管入院が発現した186例のうち、105例の入院理由は、無作為化後6か月以内にDelayed AVRを受けるためでした。また、表13にCS群で6か月以内のDelayed AVRを実施した理由を示していますが、その主な理由はASによる症状発現でした。
 次に、安全性評価について説明いたします。資料27ページ、審査報告書25ページ6行目からを御覧ください。表15に、手技後2年の安全性評価項目の結果を示していますが、いずれの項目においても、本品による早期介入による明らかなリスクは認められませんでした。
 続いて、本品による早期介入の弁関連リスクについて、資料29ページ、審査報告書27ページから御覧ください。表17に、手技後2年までの弁機能不全発生率を示していますが、本品群の発生率は、手技後1年時で2.1%、手技後2年時で3.5%でした。
 最後に、早期手術の推奨クラスごとの試験成績について説明いたします。資料30ページ、審査報告書28ページ1行目から御覧ください。早期手術の推奨クラスごとに蓄積されているエビデンスレベルが異なり、日米で推奨クラスが一部異なる条件も存在することから、本試験において本邦の診療ガイドラインに準じた早期手術の推奨クラスごとの部分集団解析が実施されました。当該解析では、グループ1として、本邦の診療ガイドラインのクラスIIaの患者のうち、有意な血圧低下を呈する患者、及び超重症AS患者に該当する患者集団、グループ2として、著明な肺高血圧を呈する患者(クラスIIa)、ASの急速な進行、具体的にはVmaxの年0.3m/秒以上の増加を認める患者(クラスIIb)及び推奨なしに該当する患者集団に分けて解析が行われました。
 早期手術介入の推奨クラスごとの部分集団解析の結果を、表19に示しています。主要評価項目の成績は、全体成績と同様に、両集団ともに本品群で低い結果であり、予定外の心血管入院についても両集団とも本品群で低下が認められました。
 以上の臨床成績を踏まえ、機構における審査の概要について説明いたします。
資料32ページ、審査報告書30ページ11行目から、「本試験の試験成績を踏まえた本品による早期手術介入の臨床的意義について」を御覧ください。申請者は、本試験の主要評価項目の達成に寄与した事象は予定外の心血管入院であったものの、予定外の心血管入院は、患者、介護者、家族に対し、身体的、精神的、経済的に負担を強いるものであり、当該事象を減少させることの臨床的意義は大きいと説明しました。また、本試験のCS群の追加解析において、Delayed AVRに移行した症例の約40%がDelayed AVRへの移行時に症状が重症でした。本試験において死亡率に差が認められなかった理由については、臨床試験の環境下におけるCS群の患者への事前教育や経過観察の入念さなどにより、症状発現が早期発見され、迅速に大動脈弁置換術に移行したため、CS群で治療機会の損失が少なかったことが要因であると、申請者は考察しています。
 機構は、本来であれば死亡率の低減、不可逆的左室心筋障害の回避などを臨床試験成績により示す必要があると考えますが、本試験の試験プロトコルなどにより厳密に経過観察などが行われており、CS群の大半の症例が無作為化後2年までにDelayed AVRが実施されていたことなどを踏まえると、死亡率等への影響を評価することは困難であったとする申請者の説明は一定の合理性があると考えます。また、主要評価項目の達成に寄与した予定外の心血管入院の主な内容は、CS群におけるDelayed AVRの実施などであり、その理由の大半がASによる症状発現及び悪化であったこと、無作為化後1年で約5割の症例がDelayed AVRの実施に至っていたことなどを踏まえると、予定外の心血管入院に一定の緊急性が認められると考えます。実臨床においては、ASの急速な進行により治療タイミングを逃すことで、介入困難や死に至る症例なども認められること、本品による早期介入によるリスクについて、手技後3年までの弁関連リスクの結果も踏まえ、特段のリスクは認められていないことより、適切な患者選択を行うことを前提に、本品の「無症候性重度AS」への適応拡大は臨床上許容可能であると、専門協議の議論も踏まえて判断しました。
 次に、資料33ページ、審査報告書31ページ35行目から、「早期手術の推奨クラスごとの臨床成績について」を御覧ください。早期手術の推奨クラスごとの臨床成績について、申請者は、本試験の部分集団解析において、クラスIIaの患者のうち有意な血圧低下を呈する患者及び超重症AS患者に該当する患者集団であるグループ1と、グループ1に含まれないクラスIIa、クラスIIb及び推奨なしに該当する患者集団であるグループ2で、全体集団と同様の臨床成績が示されたことから、いずれの患者においても全体集団と同様の有効性及び安全性が期待される旨、説明しました。
 機構は、本試験の部分集団解析において、グループ1とグループ2のいずれにおいても、全体集団と同様の結果が示されており、本邦の診療ガイドラインで示されている推奨クラスIIa、IIb及び早期手術の推奨がない患者のいずれにおいても、本品の適応に含めることは許容可能と判断しました。一方、現行の診療ガイドラインにおいて、推奨クラスI、IIa、IIbのいずれにも該当しない、早期手術が推奨されない患者への使用については、本試験において介入に至った理由などの詳細が不明であること、現時点では入院率の低減のみが示されていることなどを踏まえ、ハートチームにより保存的治療も含めた治療選択肢を十分に検討した上で、より慎重に判断する必要があると、専門協議の議論も踏まえ判断しました。
 次に、製造販売後安全対策について説明いたします。資料37ページ、審査報告書35ページ19行目からお願いいたします。申請者は、本適応拡大に伴い、本品の製品自体や留置手技に変更はないことから、無症候性重度ASに関する内容を含めた医師向け資材を用いて、これまでの適応拡大と同様に、企業担当者から医師へ情報提供を行う予定であると説明しています。また、本品による早期介入が必要な患者、及び患者選択時に考慮すべき事項については、本邦ガイドライン及び今後発出予定である学会ステートメントを基本とし、ハートチームにより適切な患者選択を行うことが重要であると考えており、関連学会より発出予定のステートメントを遵守するよう、関連学会とも連携して周知する予定であると説明しています。機構は、本適応拡大に当たり、本品の適応を判断する際には、患者にとって最善の治療をハートチームにより慎重に検討することが重要であると考えます。したがって、申請者の方針については適切であると判断し、これを承認条件として付すことといたしました。
 最後に、本品の製造販売後調査について説明いたします。資料38ページ、審査報告書36ページ8行目から御覧ください。申請者は、本適応拡大については、製品や留置手技に変更はなく、従来よりも全身状態の良好な患者への適応拡大であり、有害事象の発生は低い傾向になると想定されること、本試験の手技後3年までの臨床成績において、新たに懸念となる有害事象及び不具合は確認されていないことから、新たに製造販売後調査により確認すべき事項は特段ない旨、説明しています。機構は、製造販売後調査を不要とする申請者の説明については、受入可能であると判断しました。なお、本試験の長期成績については引き続き確認を行い、必要に応じてリスク低減措置を講じることが重要と考え、承認条件を付すことが妥当と判断しました。
 以上の審査を踏まえ、総合機構は、資料40ページ、審査報告書38ページ1行目から記載している使用目的にて、また同ページ21行目から記載している承認条件、今回の変更は、審査報告書同ページの24行目からの取消し線部、及び次のページの30行目からの下線部となりますが、これらの内容にて本品を承認して差し支えないとの結論に達し、本医療機器・体外診断薬部会で御審議いただくことが適切と判断しました。本品は、生物由来製品に該当します。薬事審議会では報告を予定しております。機構からの報告は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○小野部会長 ありがとうございました。それでは、参考人の七里先生の方から追加の御説明があればお願いいたします。
○七里参考人 よろしくお願いいたします。榊原記念病院の七里です。私は、臨床医の立場から、先ほど機構からありました説明に少しだけ補足をさせていただきます。
 現在、TAVIの治療適応は、有症候性の重度大動脈弁狭窄症となっております。
大動脈狭窄症の症候化には、日常生活での動作に伴う心負荷が大きく関わっています。TAVIによる治療を検討する大動脈弁狭窄症は、基本的に本邦では80歳以上の高齢者となりますので、一般的に加齢による日常生活範囲の低下等で心負荷は減少している方になります。このため、大動脈弁狭窄症による自覚症状は、一般的に生じにくい状態になっています。この申請の基になったEARLY TAVR試験でも、運動負荷試験を行い、有症候となる症例は治験の対象からは除外されています。
 しかし、一部の重度大動脈弁狭窄症は、無症候であっても経過不良であることが分かっております。日本循環器学会のガイドラインでも、早期治療が勧められております。先ほどお話したような運動負荷試験で症候を有する重度大動脈弁狭窄症に対する治療は、本邦のガイドラインでもクラスIとなっておりますが、負荷によって症状が起こるということは、本来、有症候と判断される患者群であると臨床的には言えるのではないかと思っております。
 これ以外にも、左室駆出率が50%以下の左室機能低下を有する症例や、高度な肺高血圧を合併している症例、弁通過速度が5m/秒以上あるいは大動脈弁口の面積が0.6cm2未満であるような超重度と言われる大動脈弁狭窄症の症例なども、早期の治療が推奨されています。また、欧米のガイドラインでは、BNPが上昇している症例も、無症候であっても早期治療が検討されるとしています。
これらの患者群は、無症候と言っても、重度大動脈弁狭窄症あるいはその周辺の心疾患により、既に心負荷を有しているか、心負荷があって心機能低下を生じ始めた状態であり、TAVIの適応であると考えます。これらが、この適応拡大によって治療の対象になってくる患者群と考えています。
 一方で、これらの所見を有しない、状態が安定していると考えられる重度大動脈弁狭窄症については、本治験から早期TAVIの有効性が、心不全の悪化を中心とする予定外の入院の減少のみであると報告されています。しかしながら、登録の2年間の間に、先ほども機構からお話がありましたが、約半数の患者さんにイベントが発生していることを考えると、症候にとらわれずに、TAVIの実施について、医師、患者間で話し合っておくべき時期であると考えています。したがって、TAVIを施行するかどうかは別にして、その術前検査を行い、術リスクの判定をする時期であると考えます。その上で、ガイドラインやステートメントに従って経過観察をして、先ほども臨床試験ゆえに厳格な管理が行われていたとコメントされておりましたが、患者さんの経過観察を行って、緊急のTAVIを避けるために、軽微であっても、症候が出れば早期に医療機関を受診していただくことを、患者さんと家族に理解いただくというタイミングになるかと思います。この点においては、例えば年齢や緊急時に対応できる医療施設が限られるなどの地理的要因などは、個別に尊重されてよいのではないかと思います。このような形で重度大動脈弁狭窄症に対するTAVIが無症候にも認められることで、医師、患者間のTAVIに対する準備が行いやすくなることも期待できると思います。
 一方で、留意点として、このTAVIという治療は、臨床導入から10年以上の経過を経て、治療成績が改善されていますが、それでも1%台の死亡率と同程度の脳梗塞の合併症が発生するという現実があります。無症候性の方に関する治療としては、これらのリスクを上回る有効性が求められますが、現在、推奨されているガイドライン上のもの以外に関しては、やはり、得られるメリットが少ないということから、あくまでも経過観察がファーストラインに来ると考えています。また、仮に比較的推奨リスクが高い患者さんの中においても、術前のリスク評価等において、例えばアクセス血管の性状不良等でTAVIリスクが高いと判断される場合には、早期治療とは出ず、症候が出現するのを待ってから治療に進むべきではないかとも考えています。
 最後に、臨床の立場からTAVIの実際についてコメントさせていただきます。TAVIの実施のためには、4~5名の医師と同数のメディカルスタッフを必要とし、カテーテル治療とはいえ、かなり大掛かりな治療になります。ハイブリッド手術室が必要となり、その確保と併せ、緊急での実施というのは、医療者側にかなり大きな負担を強いることになります。実際に、臨床の場で緊急でTAVIを行うことが難しいという施設もまだ多数あるということを伺っております。
国内からの報告で、予定されたTAVIに対して、緊急のTAVIを施行された症例では、術後の予後が不良であることも報告されておりますので、緊急TAVIを避けること自体は、やはり医療者側、患者側双方にとってメリットになるものと考えています。私からの追加のコメントは以上になります。
○小野部会長 ありがとうございました。それでは、委員の先生方から御意見、御質問等ありますか。
○塩谷委員 川崎医大の塩谷です。専門外ですので、的外れな質問になるかもしれませんが、MRIの検査や、挿入部の抗血栓薬の治療とかはどのようになるのですか。
○小野部会長 それでは、臨床的な質問ですので、七里先生からお答えいただけますか。
○七里参考人 ありがとうございます。MRIは頭部のMRIという御質問の趣旨でよろしいですか。
○塩谷委員 頭部も含めてですが。
○七里参考人 術前の検査は、基本的に造影のCTによる体幹部の血管あるいは心臓の大動脈弁自体の評価が一番の主体になります。頭部MRIは事前に比較のためを含めて撮影をしますが、それによって大きな方針が変わることは少ないとは思います。ただ、頭部のMRIによって、例えば、頚動脈から脳血管、遠位の脳内の血管の狭窄病変あるいは動脈瘤等が発生された場合には、術前を含む周術期の血圧コントロールとかに対して留意を払うことが求められるというように、施術が少し複雑化します。
 もう一つの御質問は、穿刺部を含めた抗血栓薬の話ということになるかと思います。基本的には、TAVIの治療に関しては、現在の国内では、アスピリンによる抗血栓療法を行うというのが原則になっております。
○塩谷委員 この装置を入れることによって、MRIができなくなるということはないということですか。
○七里参考人 それはありません。
○塩谷委員 2剤は必要なくて、バイアスピリンのみでの経過観察ということですか。
○七里参考人 今、本邦における主流はそれが周術期から術後の抗血栓レジメンになっております。
○塩谷委員 重症のASの場合は、ハイド症候群という、消化管出血を来してくるような症例があるのですが、このバイアスピリンは、入れることによって出血が助長されるということはなく、出血は、むしろ逆に予防できると考えてよろしいのですか。
○七里参考人 ハイド症候群の病態になっている患者様に関しては、根本原因が、大動脈弁狭窄による血流、いわゆる大動脈弁の通過速度に伴う凝固因子の問題になりますので、根本原因を大動脈弁置換術によって解除していますので、アスピリンによるマイナス面よりも、治療による恩恵の方が当然高くなっていくと考えます。
○塩谷委員 むしろ、ハイドを起こすような、症状のある症例には有効だと思いますが、今回は無症候性のASということなので、かえって出血を悪化させることはないと考えてよろしいのですね。
○七里参考人 そのように考えております。
○塩谷委員 ありがとうございます。
○小野部会長 ありがとうございます。それでは、松宮委員、お願いします。
○松宮委員 何点かあります。まず、1点目は、13ページの開発の経緯という所で、本邦ガイドラインでは、無症候性重度AS患者における現状の手術介入の基本的考えということで、1、2、3、4と書いてあります。それは七里先生に御紹介いただいたとおりで、そうでない場合は、現状では経過観察が推奨されていると。そこまではいいのですが、実臨床においては、サージカルAVR、開胸手術の侵襲性の高さを踏まえ、経過観察が継続されるうんぬんと書いてありますが、現状のガイドラインでは、サージカルAVRもTAVIも、いずれも、こういった場合には経過観察が継続されるというのが正しいはずなので、この文章がちょっとおかしいです。
 その後の本品によるTAVR施行の適応が症状発現後に限定されているとあります。サージカルAVR、TAVRにかかわらず、A弁へのインターベンションの施行は、有症状後に限られてきましたので、この記載は誤っています。こういった無症状で経過観察することには、問題があるのではないかと言われてきたと、だから、この試験をやったということですよね。これも、以前から議論があるポイントなのです。
 結局、経過観察しているうちに、突然死したり、緊急手術になって、成績の悪い手術を受けざるを得なくなったり、あるいは、経過観察しているうちに左室の心筋障害が進んで、手術した後の予後が悪くなったり、そういうことがあるのではないか、だったら、早く介入したほうがいいですねという議論がずっとされてきた。それを証明するために、この試験をされたわけですが、実際のところ、その差が出たのは予定外の心血管入院で、かつ、ほぼ症状が出たので手術をするために入院したというところにしか差が出なかった。逆に言うと、突然死や緊急手術はほぼなくて、経過観察したことによって心筋障害が進んで、手術後の予後が悪くなることもなかったわけですよね、だと思うのです、この文章をずっと読んでいますと。
 そうすると、症状が出て手術になる、2年のうちで半分ぐらいの人が手術になるから、じゃあ無症状のうちにやってもいいでしょうと聞こえるのですが、それはかなり乱暴な話ではないか。これは前からずっと議論があるにもかかわらず、この試験でそこに有意差が出たからといって認められているわけですが、こういう試験のデザインと結果をもって、全く無症状で、今言った1~3のような特別悪いASでない場合でも手術適応していいのかというのは、これで証明されているとは私には思えないというのが1点です。
 もう一点は、今回、無症状の重症ASは、TAVIは認められるわけです、サージカルAVRは認められないというか、そちらについては申請が出ていないわけなので。そうすると、本来は症状が出て開胸手術をしたほうがいいような若年者とか、二尖弁とか、そういう症例があるのですが、そういう人でも、無症状だから、でも私は怖いから早く手術をしてくださいとかいう場合は、TAVIが行われてしまう可能性があるわけです。そのハートチームでよく話してくださいとは言っているのですが。無症候の人にサージカルAVRをすることは今のところ認められていないとなると、こちらだけ認めると、そういうふうに流れてしまうリスクがあるのではないかと。実際、ヨーロッパのガイドラインでは、無症候性のASの手術は、去年のガイドラインではIIaに上がったのです。ただ、両方サージカルAVRもTAVIも含めて、無症候性は早期に手術する、IIaにしましょうとなって、そこに差がないのに、我が国だけ、TAVIだけ認めてサージカルAVRは認めないとなると、やはり問題があると思います。うがった見方ですが、販売会社がより収益を得られやすい方向に持っていっていると言われてもおかしくはない、TAVIの方が儲かるわけです。そのように思いますので、今後、サージカルAVRについても早期に申請を出してもらって認める方向であるのかということをお聞きしたいです。以上です。
○小野部会長 ありがとうございます。この議論はこの場ですべきことではないとは思います、むしろ、ガイドライン上の位置付けの話になってしまいますが。私も外科医ですから、松宮先生が言われたのは正にそのとおりというのは分かるのですが、少しこの場で議論することではなくて、ガイドライン上の位置付けをどうするかという話になってしまいますので、申し訳ないのですが、厚労省や機構としては回答できないと思います。
○松宮委員 最初の質問は、この文章がおかしいということですがいかがでしょうか。
○小野部会長 これはそうですね。この書き方については、事務局からお答えいただけますか。
○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございます。書き方の前に、外科弁の方の現状の適応についての補足のお話を先にさせていただきます。
 先生がおっしゃったとおり、ガイドライン上の取扱いはそういったところになっているかと思いますが、外科弁の方の薬事的な適応としては、無症候性に対して適応を持っていないかというと、そういうわけではなくて、外科弁は昔から存在する製品でもありますので、狭窄だけでなく、逆流も含めて、広く機能不全に対して大動脈弁の代用として使える製品として適応を有しているということになります。ですので、薬事上の適応のお話をさせていただくと、無症候性に対しても適応は持っているということにまずなっております。
 その上で、無症候性の患者さん、どんな方についても、誰彼構わずTAVRをやっていいかということについては、先生がおっしゃるとおりで、そういうものではなくて、本品による治療が適切だと判断された患者さんのみに適応されるべきと考えています。
○松宮委員 そうなのですか。無症候性でもサージカルAVRは薬事上は禁止されているわけではないということですね。
○小野部会長 薬事的にも保険的にも通ります。ただ、ガイドライン上推奨されていないという立て付けになっていますので、だから、議論が少しここでは食い違ってしまいますので。
○松宮委員 分かりました。だったら、私が誤解していました。TAVRについては症候性ということが書かれていたけど、サージカルについては書かれていないということですね。
○小野部会長 そうです。それはガイドライン上の立て付けと理解すべきところになっていますので、そこはここで議論するとまた収拾がつきにくいので、改めて弁膜症のガイドラインでしっかりと立て付けを決める、議論すべきと、ここでは締め括りたいと思います。
○松宮委員 分かりました。そこは少し誤解していました。2番目は、この試験をもって無症候性にやることに大きな意義があると言っていいかというところですが。二つ目の質問です。
○小野部会長 これは、七里先生にお答えいただいたほうがいいかと思いますが、いかがですか。
○七里参考人 ありがとうございます。松宮先生のおっしゃられることは、そのとおりかなと思います。先ほど私も追加コメントの中でお話させていただきましたように、基本的にこの試験は、心不全の悪化あるいは症候の悪化による早期治療ということが、結局、差が付いた唯一の点になりますので、急いで治療する必要はないということの裏返しになるかと思います。したがって、先ほども少しありましたが、全体で見れば、多くの症例においては、ガイドラインやステートメントをしっかりと作っていただいて、それに従って、経過観察が第一選択になりますが、一部の症例において、早期のTAVIを検討してもよいのではないかと考えています。ただし、当然のことながら、施術に伴うリスクベネフィットの関係がまず優先です。TAVI自体がかなりリスクが高いカテーテル治療であることは間違ないと思いますので、それが十分に見合うような、リスクが許容できる術前評価の結果に基づいて施行するかどうかを決定することになると思います。
 もともとの話は、経大腿アプローチでシンプルに実施できるケースが想定されてはおりますが、アプローチ部位については、強く制限することによって、むしろ無理な大腿アプローチが採択されるということも一方でリスクになります。オルタナティブなアプローチに関しても比較的国内で広がっておりますので、それも含めてよりリスクの低い手技を選択するために、制限を大きく付けずに、広く取っていると私自身は考えています。
○小野部会長 ありがとうございます。それでは、次に永井委員、よろしくお願いします。
○永井委員 ありがとうございます。七里先生、松宮先生のコメントで大分分かったのですが、一つだけ確認です。
 Kaplan-Meierを見せていただいてよろしいですか。25/401ページです。このKaplan-Meierを見ますと、予定外の入院のほとんどは最初の3、4か月で起こっています。逆に言いますと、その後は、この治療をやろうが、やるまいが、ほぼ同じです。先生方は十分にハートチームで検討してとおっしゃっている一方で、結局のところ、早期に悪くなる症例だけ同定して介入できれば、あとはやっても、やらなくても同じに見えます。先ほどの議論を拝聴していますと、なかなか早期に悪くなる患者の同定は難しい理解ですよね。そこだけちょっと気になりました。
○小野部会長 それでは、これは七里先生にお伺いします。早期に再入院、再治療になった群のサブ解析はされていますか。
○七里参考人 サブ解析の中で、先ほど機構からもお話があったところですが、もともとガイドラインに基づいて早期治療が比較的推奨されているグループと、そうではないグループとに分けて解析をしておりますが、どちらも同じような経過だったと報告されています。つまり、早期介入と経過観察で変わらないということですが、絶対的なリスクは、やはり推奨されているほうがイベントレートが少し高くなっているような解析の結果があったと思います。
 ですので、先ほどの松宮先生からの御質問の議論と一緒ですが、現在のガイドラインは原則非常に正しく作られていて、無症候であっても比較的推奨レベルが高いものに関しては、やはり、早期に悪くなるリスクがより高いグループということになります。そうすると、全てを同定することは難しいかもしれませんが、やはり、比較的早期に行うことがクラスとして上がってくるような無症候の方というのが、早期治療を検討していく遡上に載ってくる最初の患者さん方であって、状況が安定していて、それらに該当しない、ただ検査データだけが高度になったという患者さん方に関して言えば、時期尚早であって、患者さんとお話をしながら、経過観察期を短くすることも含めて、いわゆるクローズ・オブザベーションという形の経過観察に切り換えていくということになるのが現状ではないかと思います。
○小野部会長 ありがとうございます。永井委員、よろしいですか。
○永井委員 結構です。ありがとうございます。
○小野部会長 ありがとうございました。ほかに御質問、御意見はありますか。
特になさそうですので、議決を行いたいと思います。なお、本議題の利益相反事項に関して、議決に参加できない委員は松宮先生です。医療機器「エドワーズ サピエン3」について、本部会として、製造販売承認事項一部変更承認を可として差し支えないものとし、また、使用成績調査は指定を不要とするということで、よろしいですか。御異議のある方は御発言あるいは挙手をお願いします。御異議がないようですので、そのように議決します。なお、本件は、審議会にて報告を行うことになっております。以上をもちまして、議題3を終了します。七里先生、御陪席どうもありがとうございました。
○七里参考人 ありがとうございました。
――七里参考人 退室――
○事務局 御退席されました。
○小野部会長 それでは議題4「医療機器の高度管理医療機器、管理医療機器又は一般医療機器の指定及び特定保守管理医療機器の指定の要否について」の審議に入ります。事務局より御説明をお願いいたします。
○事務局 議題4につきまして御説明させていただきます。既存の一般的名称のいずれにも該当しない医療機器があり、新たに一般的名称を新設する際には、「いずれのクラス分類に該当するかについて」、また、「その特定保守に専門的な知識を要するものとして、特定保守管理医療機器に指定するか否か」について、御審議いただいております。今回は一般的名称の新設が必要なものが1件ございますので、資料4に沿って御説明させていただきます。
 1ページ、「新設する一般的名称(案)について」を御覧ください。
今回、新設予定の一般的名称は、「可搬型遺伝子解析装置」となります。その定義は、「生体試料から抽出した核酸分子の配列情報を解析する可搬型の装置をいう。解析を確実にするため、通常、核酸分子の増幅を行う」となっています。下の参考に記載しています類似の一般的名称としては、「遺伝子解析装置」がございまして、今まで据え置き型で遺伝子解析を行う装置がありましたが、持ち運び可能な遺伝子解析装置を意図した名称は存在しないため、今回、一般的名称を新設することとなりました。
 本一般的名称は、クラスI、一般医療機器に指定されるべきものと考えております。また、名称が想定する機器は可搬型かつ小型であり、専門的な設置管理や保守管理を要しないことから、特定保守管理医療機器及び設置管理医療機器には該当しないと考えております。説明は以上となります。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○小野部会長 ありがとうございました。委員の皆様方から、御意見、御質問等はございますか。どうぞ、北澤委員。
○北澤委員 北澤です。すみません、教えてほしいのですけれども、この製品は、承認されたとしたならば、どういう所で使うことが想定されているのでしょうか。
○事務局 事務局です。御質問どうもありがとうございます。主に置かれる場所としては、比較的小規模のクリニックですとか診療所などで、これまでの比較的大型のPCR検査装置が置けない、あるいはその管理ができなさそうな所であっても、簡便に置くことができる、PCR検査ができると、そのような文脈を考えております。
 感染症の検査を行うということが主な目的になりそうでして、これまで、そういった小規模なクリニックで検体を採取して外部機関に送ると、結果が出るまで何日を要しておりました。しかし、こちらはポイントケアというような状況かどうかというところはありますが、そういった診療所のレベルで、30分から50分程度で結果を出すことにより、患者さんの治療と公衆衛生的対応、行動制限等も即座にアドバイスできることが期待され、検査の幅が広がることが意図されております。
○小野部会長 ほかに御質問、御意見はございますか。特になさそうですので議決を行います。なお、利益相反により議決に参加できない委員はいらっしゃいませんでした。本件について、一般医療機器として指定し、特定保守管理医療機器として指定しないこととしてよろしいでしょうか。御異議のある委員の方は、発言あるいは挙手をお願いします。特に御異議がないようですので、そのように議決します。なお、本件は審議会にて報告を行うこととします。以上をもちまして、議題4を終了いたします。
 議題5「部会報告品目について」の報告に入ります。事務局より御説明をお願いいたします。
○事務局 事務局です。資料5、横向きの資料を御覧ください。こちらの資料では、令和8年1月5日から令和8年3月31日までの3か月に承認された品目のうち、クラスIVの医療機器、臨床評価が必要な医療機器、そして承認基準外の体外診断用医薬品など、本部会への報告対象となっている品目の概要を記載しています。
 医療機器につきましては、55品目が該当しております。まず、1ページからは、「臨床試験の試験成績が提出され、審査し承認した医療機器」12品目について、それらの一般的名称や販売名、クラス名などとともに概要をお示ししており、7ページまで続いています。次に、8ページからは、臨床試験成績を必要とせず審査・承認した41品目の一覧で、25ページまで続いています。続いて26、27ページでは、該当する体外診断用医薬品6品目をお示ししています。最後に、28ページにて、プログラム医療機器2品目をお示ししています。これら報告品目については、事前送付をもって報告とさせていただいていますので、この場での個別の説明は割愛させていただきます。資料5の説明は以上です。
○小野部会長 ありがとうございました。4種類の医療機器ということで、各クラス承認の有無ごとに説明を頂きましたけれども、何か委員の先生方から御質問、御意見はございますか。特にありませんので、以上をもちまして、議題5を終了いたします。
 本日の議題は以上となります。事務局から、連絡事項をお願いします。
○医療機器審査管理課長 委員の先生方におかれましては、本日は御多用の中、医療機器・体外診断薬部会に御参加いただき、誠にありがとうございました。次回以降の医療機器・体外診断薬部会につきましては、後日、メールにて御連絡をさせていただきます。連絡事項は以上です。
○小野部会長 以上をもちまして、本日の「医療機器・体外診断薬部会」を閉会いたします。本日はありがとうございました。
( 了 )
備考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。

照会先

医薬局

医療機器審査管理課 再生医療等製品審査管理室長 高梨(内線4226)