- ホーム >
- 政策について >
- 審議会・研究会等 >
- 国立研究開発法人審議会(高度専門医療研究評価部会) >
- 第43回 厚生労働省国立研究開発法人等審議会高度専門医療研究評価部会 議事録
第43回 厚生労働省国立研究開発法人等審議会高度専門医療研究評価部会 議事録
日時
令和8年8月4日(火) 12:15~17:00
場所
航空会館(501+502号室)(オンライン併用)
出席者
- 委員
-
- 土岐 祐一郎 部会長
- 中野 貴司 部会長代理
- 神﨑 恒一 委員
- 庄子 育子 委員
- 田極 春美 委員
- 成川 衛 委員
- 根岸 茂登美 委員
- 前村 浩二 委員
- 松前 江里子委員
議題
- 開会
- 議事
- (1)国立研究開発法人国立長寿医療研究センターの令和7年度業務実績評価及び中長期目標期間見込評価について
- (2)国立研究開発法人国立がん研究センターの令和7年度業務実績評価及び中長期目標期間見込評価について※ナショナルセンター医療研究連携推進本部(JH)に係る内容を含む
- (3)その他
- 閉会
配布資料
国立研究開発法人国立長寿医療研究センター
- 資料1-1 令和7年度 業務実績評価書(案)
- 資料1-2 令和7年度 業務実績概要説明資料
- 資料1-3 令和7年度 財務諸表等
- 資料1-4 令和7年度 監査報告書
- 資料1-5 第3期中長期目標期間 見込評価書(案)
- 資料1-6 第3期中長期目標期間 見込評価説明資料
国立研究開発法人国立がん研究センター
- 資料2-1 令和7年度 業務実績評価書(案)
- 資料2-2 令和7年度 業務実績概要説明資料
- 資料2-3 令和7年度 財務諸表等
- 資料2-4 令和7年度 監査報告書
- 資料2-5 第3期中長期目標期間 見込評価書(案)
- 資料2-6 第3期中長期目標期間 見込評価説明資料
参考資料
- 参考資料1 高度専門医療研究評価部会委員名簿
- 参考資料2 厚生労働省国立研究開発法人等審議会令
第43回 厚生労働省国立研究開発法人等審議会高度専門医療研究評価部会
○高屋企画調整官 定刻となりましたので、ただいまより第43回「国立研究開発法人等審議会高度専門医療研究評価部会」を開催いたします。
委員の皆様には、大変お忙しい中お集まりいただき、誠にありがとうございます。議題に入るまでの間、議事進行役を務めさせていただきます大臣官房厚生科学課国立高度専門医療研究センター支援室の高屋と申します。よろしくお願いいたします。
本日は、神﨑委員、中野委員、前村委員がオンラインでの御参加となっております。
また、庄子委員につきましては10分ほど遅れての御出席と伺っております。
国立研究開発法人等審議会運営規程に基づく御報告です。
運営規程第5条に基づき、本日意見聴取を行う国立研究開発法人の事務及び事業について利害関係を有する者は、当該法人に係る評価について議決権を有しないものとされています。法人との利害関係については、あらかじめ委員の皆様から御申告いただいておりますが、事務局におきまして確認いたしましたところ、神﨑委員におかれましては、本年度に主任研究者として国立長寿医療研究センターから研究費の配分を受けているということでございますので、本日の国立長寿医療研究センターの意見聴取においては、御発言をいただくことは可能ですが、評定案及び意見に関する評定記入用紙の提出はできないということでございます。それ以外の法人の意見聴取につきましては、御発言いただくことも、評定案及び意見に関する評定記入用紙の提出についても可能となっております。
なお、出席委員に関しましては部会所属委員の過半数を超えておりますので、会議が成立することを御報告いたします。
続きまして、事務局に異動がございましたので、御紹介をさせていただきます。
本日8月4日付の異動でございます。厚生労働省大臣官房危機管理・医務技術総括審議官の眞鍋でございます。
○眞鍋危機管理・医務技術総括審議官 皆様、こんにちは。御紹介いただきました厚生労働省危機管理・医務技術総括審議官の眞鍋でございます。
本日着任させていただきました。1年前まで厚生科学課長をさせていただいておりまして、この評価委員会にも事務局として参加させていただいておりました。引き続き大変お世話になっております。
言うまでもなく、独法の評価は非常に重要でございます。厚生労働省の重要な研究、臨床を行う機関、これらの機関が十分にその力を発揮して、そして、国民にその成果を還元するという中で、先生方の御評価は大変貴重なものとなってございます。
本日は国立長寿医療研究センターと国立がん研究センターの評価と伺っておりますけれども、何とぞよろしくお願い申し上げます。
簡単ではございますが、以上で挨拶とさせていただきます。今日はよろしくお願い申し上げます。
○高屋企画調整官 ありがとうございました。
眞鍋技総審につきましては、他の用務のため、この場で退席させていただきます。
また、厚生科学課長の荒木につきましても、用務の都合により午後1時50分頃をめどに一時退席をさせていただきますので、御了承くださいますようお願いいたします。
それでは、本日の会議の進め方について御説明いたします。
本日は、オンラインを併用したハイブリッド方式での開催となります。会場で出席の委員におかれましては、御発言の際は挙手をしていただき、部会長による指名を受けた後に御発言をお願いします。オンラインで出席の委員におかれましては、Zoomサービス内の「手を挙げる」ボタンをクリックしていただき、部会長による指名を受けた後に御発言をお願いいたします。御発言時以外はマイクをミュートにしていただきますよう、お願いいたします。
なお、御発言の際には冒頭に「お名前」を述べていただき、資料を用いて御説明される際には「資料番号」と「該当ページ」を明言いただきますよう、お願いいたします。
続きまして、本日の議事を御説明いたします。
本日は、国立長寿医療研究センター及び国立がん研究センターに関する「令和7年度業務実績評価」及び「中長期目標期間見込評価」に係る意見聴取を行います。
なお、国立高度専門医療研究センターの5法人につきましては、本年度が中長期目標期間の最終年度に当たるため、ここであらかじめ「見込評価」について簡潔に御説明させていただきます。
「見込評価」は、各法人の中長期目標期間の最後の事業年度に実施し、中長期目標期間終了時の直前の年度までの業務実績及び中長期目標期間終了時に見込まれる業務実績等に係る自己評価等を踏まえ、その達成状況等について総合的に評価するものとなります。「見込評価」の結果は、中長期目標期間終了時の法人の業務の継続または組織の存続の必要性その他その業務及び組織の全般にわたる検討並びに次期中長期目標の策定に活用するものとなります。なお、SからDの評定を付すことや各評定の基準の考え方については、年度実績評価の取扱いと同一となります。
各委員及び法人説明者におかれましては、この点を踏まえ、本日の意見聴取を行っていただきますようお願いいたします。
「見込評価」の説明は以上となります。
次に、本日の意見聴取の流れについて御説明します。
評価に係る意見聴取の流れにつきましては、評価項目ごとに「年度評価」及び「見込評価」の順に法人から続けて説明をしていただいた後、委員の皆様から御意見、御質問をいただきたいと存じます。説明と質疑応答の時間は事前に時間設定をしており、終了時に事務局がベルを鳴らしますので、目安としていただきますようお願いいたします。
それでは、本日の会議資料の確認をさせていただきます。
議事次第、国立長寿医療研究センター関係として資料1-1から1-6、国立がん研究センター関係として資料2-1から2-6及び両法人共通として参考資料1と2になります。
法人からは資料1-2、1-6、2-2及び2-6の説明資料を使用して説明を行いますので、オンラインで御参加いただいている委員の皆様におかれては、事前に紙媒体でもお送りしています議事次第、年度評価に係る資料1-2、1-4、2-2、2-4及び「見込評価」に係る資料1-6、2-6の御活用をお願いいたします。その他の資料につきましては、事前にお知らせしましたURLより閲覧していただくようお願いいたします。
会場の皆様につきましては、お手元にあるタブレットに本日の資料一式を格納しておりますので、そちらを御覧ください。
最後に、各委員に御提出いただく評定記入用紙につきましては、様式の電子媒体を事前に送付しておりますので、そちらに御記入いただき、後日、事務局に御提出をお願いいたします。「見込評価」につきましては、年度評価と同様、SからDの評定と併せて、その根拠を記載いただきますとともに、項目ごとに次期中長期目標期間の業務実施に当たっての留意すべき点等について積極的な御意見をいただけますようお願いいたします。
資料の不備や閲覧方法等について御不明な点がございましたら、チャット機能等で事務局までお申しつけください。
事務局からの説明は以上でございますが、ここまでで何か御質問等はございますでしょうか。
それでは、以降の進行につきましては、土岐部会長によろしくお願いいたします。
○土岐部会長 それでは、委員の皆様、よろしくお願いいたします。
まずは、国立長寿医療研究センターの令和7年度業務実績評価及び中長期目標期間の「見込評価」についての審議を始めたいと思います。
初めに、法人の理事長から御挨拶をよろしくお願いいたします。
○国立長寿医療研究センター荒井理事長 皆さん、こんにちは。国立長寿医療研究センターの理事長の荒井でございます。
委員の先生方におかれましては、本日は御多用の中、令和8年度高度専門医療研究評価部会に御参集いただきまして、誠にありがとうございます。
日頃より国立長寿医療研究センターの運営に格別の御理解と御支援を賜り、厚く御礼を申し上げたいと思います。
御承知のように、我が国は世界に先駆けて超高齢社会を迎え、高齢者人口は約3割に達しております。その中で認知症、フレイル、サルコペニアをはじめとする加齢に伴う課題への対応は、国民お一人お一人の健康寿命の延伸に直結する喫緊の効果的な課題であると認識しております。
当センターは、老化のメカニズムの解明から認知症の予防、診断、治療、そして、地域における健康長寿の社会実装まで、基礎研究から実装までを一貫して担うナショナルセンターとして、その責務を果たすべく取り組んでまいりました。
特に認知症に関しましては、新オレンジプランが出ました2012年には、2025年、すなわち昨年の認知症の方の数は700万人と想定されておりましたけれども、実際に蓋を開けてみると460万ということで、約230万以上の削減があったことになります。その削減に我々のセンターの果たす役割は極めて大きかったと考えておりまして、我々センターで試算をしますと、700万から460万に減ることによって、概算ではありますけれども、約2000億以上の医療介護費の削減効果となっているということがわかりました。
昨年度は様々な研究開発を行いましたけれども、御存じのように診療を取り巻く環境は非常に厳しいということでありまして、人件費、材料費等が非常に高騰しております中で非常に病院、研究所とも頑張っております。
今後とも国民の期待に応えるべく、しっかりと老化、高齢者医療の領域での研究を引っ張っていきたいと思いますし、アジアあるいは世界に向けてそういった成果を発信していければと考えております。
本日は、これらの取組につきまして忌憚のない御評価と御助言を賜りたく存じます。いただいた御意見を今後の運営に真摯に反映し、超高齢社会のフロントランナーとして、我が国として世界の健康長寿の実現に貢献してまいる所存であります。
本日はよろしくお願いいたします。
○土岐部会長 ありがとうございました。
それでは、まず研究開発の成果の最大化に関する事項、項目の1-1及び1-2について議論したいと思います。
初めに法人から年度評価及び「見込評価」の順に御説明いただき、その後に質疑応答という流れで進めていきたいと思います。時間が限られておりますので、ポイントを絞っての説明をよろしくお願いいたします。
○国立長寿医療研究センター室原研究所長 それでは、よろしくお願いします。国立長寿医療研究センター研究所長の室原でございます。
まず評価項目1-1、戦略的かつ重点的な研究・開発の推進、令和7年度につきまして御報告申し上げます。1-1では加齢に伴う疾患の本体解明・実態把握に取り組む、加齢に伴う疾患に対する予防、診断、治療、ケア等のための基礎・臨床疫学・ゲノム・研究・開発に取り組むということになっております。
Ⅱ 指標の達成状況でございます。成果につきましては、令和7年度は4件(125%)でございます。原著論文は370報(132%)ということで、目標値を大きく上回って達成しております。
次をお願いします。
評定の根拠の代表例として、下の図を御覧ください。
まず、認知症に対する早期発見・介入実証プロジェクトのJ-DEPP研究と認知症予防を目指した多因子の介入、J-MINT研究でございます。これらは引き続き私どもが行っている研究でございますが、早期に認知症の方を発見し、介入していくという現在の政府の方針とも極めて合致した研究内容となっております。特に認知症の受診勧奨につきましては、昨年度の7.3%から12.9%と大きく受診率が向上しているというのは一つの成果ではないかと思っております。これはJ-DEPPです。
また、J-MINT研究では、栄養や運動、生活習慣病、認知トレーニングなど多因子で介入した場合、認知症の発症が予防できるというようなことをこれまで示してきておりますが、今年度は特に費用対効果などの成果につきましても報告いたしております。
また、下段の基礎的な研究でございますが、アルツハイマー病(AD)のプレクリニカル期から血中のリン酸化タウ217が上昇していることは以前から知られておりましたが、それらが実際にアミロイド斑の周囲に蓄積しているというようなことを初めて報告しております。また、アルツハイマー病の別の機序として、脳幹青斑核から大脳皮質に投射するアドレナリン神経系の変性があるということも新しく発見し、これらを令和7年度に報告させていただいております。
次をお願いします。
繰り返しになりますが、左の上、J-DEPPとJ-MINT研究で受診率が7.3から12.9%に上昇するというようなことが達成できました。また、右側、多因子介入により、特に生活習慣病を有する方ではこの効果が大きいということ、あるいは一番右、費用対効果につきまして、J-MINTのような介入をいたしますと費用が削減でき、QOL、効果が有意に増強するということが分かりました。これらは今後の国の政策として認知症に関わる医療費を削減できるということが予想されますので、極めて大きな成果ではないかと思います。
下段は繰り返しになります。左側が先ほどのリン酸化タウが実際にアルツハイマー病の患者さんではAβの沈着の周囲に発現しているということ、右側はアドレナリン神経系の異常があるということを示した論文にそれぞれなります。
次をお願いいたします。
これもJ-DEPPとJ-MINT研究の繰り返しになりますが、特にJ-DEPPではこのような早期発見・介入が重要ということで、左下段にございますように手引きを作成いたしまして、参加自治体にお配りし、今後さらなる早期発見ができるような対策を継続してまいります。
右側、J-MINT研究は先ほど申し上げたとおりでございますので、割愛したいと思いますが、特に右下段、今年度はNCGG発のスタートアップ企業J-MAPを新たに設立いたしまして、これらをさらに強力に推し進めていきたいと考えております。
次のページをお願いいたします。
私どもの研究センターではアルツハイマー病のバイオマーカーを以前から研究しておりますが、今年度は特にDNAのメチル化に注目いたしまして、この中で特に2か所のDNAのメチル化が重要であるということ、さらにはAPOE4というのが認知症の関連遺伝子というのは以前から分かっておりますけれども、これらを組み合わせることにより、アルツハイマー病の診断が非常に有効に近づくということを報告しております。
また、右側の図になりますけれども、当センターのバイオバンク登録患者のデータを用いましてさらなるマーカーを検索いたしましたところ、非常に興味深いことにミリスチン酸という飽和脂肪酸が非常に認知症とも関連があるということが分かってまいりました。ミリスチン酸は飽和脂肪酸ですので、本来は悪玉と考えられがちでございますが、実はこの脂肪酸は逆に高いほうが認知症は少ないのではないかというようなことが分かってまいりまして、これは要素としても補充ができますので、将来的には非常に有効な研究になるのではないかと思っております。
次をお願いいたします。
次に、NILS-LSA研究を御紹介したいと思います。これは来年で30年になる。非常に長期の縦断疫学研究、特に高齢者と認知機能に焦点を当てた当センター独自の研究でございます。今年度、第10次の調査を終了しておりまして、約3,000名の登録患者さんのデータを蓄積しております。これはこれまでにも非常に多くの論文も公表しているところではございますが、特に右にございますように台湾のILASあるいはLASTと呼ばれるグループと共同研究として、右下にありますようなグルタチオン代謝、トリプトファン代謝、尿素回路、胆汁酸の生合成・代謝などの関連性を見いだしたということで、論文として報告をさせていただいております。
次のページをお願いします。
これは基礎的な研究になり、当センターのジェロサイエンス研究センターが中心に行っている研究でございます。
左の段にございますように、視床下部外側から出てまいりますNADが非常に重要な役割を果たしているということが分かってまいりまして、これらと筋肉との関係ですので、認知症やいわゆるサルコペニア、フレイルとの関連も最近見いだしておりますけれども、乳酸の蓄積などが非常に重要であるということを見いだしております。これまでにCell Metabolismなども報告しておりますが、つい先日『Nature Aging』に論文が受理されたということも伺っております。
右側はさらに栄養素と認知症やサルコペニアとの関係などを検討するということで、現在AMEDから研究費を頂き、研究を継続しているところでございます。
次のページをお願いいたします。
これは先ほどの繰り返しにはなりますけれども、Aβの病理をずっと解析しておりますと、先ほど来申し上げておりますように、タウ217番目のリン酸化部位が同定できたということ、それから、右の上、青斑核から大脳皮質へのノルアドレナリン神経の変性を見いだしたというようなこと、右下にございますように、今後も多角的に人の脳の解剖例等をマウス実験等でさらなる機序を検索していきたいと考えております。
以上が令和7年度でございます。
続きまして、評価項目1-1の中長期の見通しでございます。
まず下段の図でございますけれども、加齢に伴う疾患を報告するための研究成果、中長期で19件以上でございますが、令和7年度で既に19件、100%を達成しておりますので、来年度も幾つかの成果が発見できると思っておりますので、これは目標を上回って達成できると考えております。
また、下段の論文でございますけれども、中長期で1,700件のところ、既に1,705件、100%を達成しております。今年度もさらに論文数を積み上げていく予定でございます。
次のページをお願いいたします。
評定の根拠でございますけれども、先ほど来申し上げております。これも中長期となりますのでJ-DEPPとJ-MINT、そして、NILS-LSA研究ということです。これは繰り返しになりますので、割愛させていただきます。
下段もバイオマーカーの新規の発見、それから、早期の診断と介入ということでございますが、こちらのほうも繰り返しになりますので割愛させていただきます。
次のページをお願いいたします。
というようなことで、1-1につきましては7年度も中長期も自己評価Sとさせていただいているところでございます。申し遅れました。
この図につきましては令和3年度から8年度までの中長期をお示ししておりますけれども、繰り返しになりますが、J-MINT研究やJ-DEPP研究、NILS研究など、それから、後ほど申し上げますが、2023年度から開始しました東浦研究というのもございまして、こういった研究と患者さんのデータを統合したデータベースを新たに構築してきておりますので、これらを解析しながら研究を進めたいと思っております。
次をお願いいたします。
これは先ほどのNILS-LSAでございますが、来年で30年になります。これまでに非常に多くの研究成果を発表しております。下段にその例を挙げておりますけれども、例えば身体活動がやはり非常に重要である、認知機能低下を抑制するというようなことをこれまで明らかにしております。また、バイオマーカー、アミロイドのAβ42、40の比などを用いたバイオマーカーの開発などを行っております。この研究は認知症とサルコペニア、フレイルの両方を長期に縦断的に追っているというNCGG特異的なデータベースでございまして、世界的にも非常に注目度の高い研究であると自負しております。
次をお願いいたします。
こちらのほうは主に基礎研究になりますが、当センターのジェロサイエンス研究センターで令和3年から8年度まで行う研究となっております。先ほど来申し上げておりますように、非常に難易度の高い雑誌にも次々と論文を掲載できております。特に下段、右から2番目、肝臓-骨格筋連関の破綻がサルコペニアを引き起こすというようなことをつい最近『Nature Aging』に受理していただき、インプレスという状態になっております。それ以外にも海外の米国ワシントン大学の先生方との共同研究なども進めているところでございます。
次をお願いいたします。
以上が評価項目1-1につきましての中長期の報告となります。
これからは評価項目1-2、実用化を目指した研究・開発の推進及び基盤整備ということになります。
まず、令和7年度につきまして御紹介したいと思います。上段が目標の内容でございますが、長くなりますのでこちらは割愛させていただきますが、下段にございますように、まず臨床研究実施件数は年間200件目標のところを447件、2倍以上の達成度です。また、一番下、治験の実施件数は年間60件を目標のところ、70件、117%ということで十分に目標を達成しております。自己評価はSとさせていただいております。
次のページをお願いいたします。
次のページもファースト・イン・ヒューマン試験、医師主導治験などは目標を十分達成、あるいは企業との共同研究も達成しております。先進医療の承認につきましては中長期全体で1件を目指しておりますので、こちらのほうは今後また頑張っていきたいと思っております。
下段、ガイドラインへの参画、センター主導でのガイドラインは13件、260%となります。
以上のことで自己評価Sとさせていただきます。
次のページをお願いいたします。
これは先ほどの先進医療です。それから、企業、ガイドライン、これは先ほど申し上げたとおりでございます。
Ⅲ 評定の根拠、一番下段、認知症研究のための統合データベース(iDDR)を構築しております。これは我がセンターで非常にユニークなデータベースで、後ほど詳しく申し上げたいと思います。
また、神経変性疾患の創薬・診断につながる新たな画像バイオマーカーのファースト・イン・ヒューマン試験を開始しております。これも後ほど詳しく申し上げたいと思います。
これらの結果、自己評価Sとさせていただいております。
次のページをお願いいたします。
左側が先ほどのiDDRの説明になります。これはintegrated Database for Dementia Researchの略でございまして、当センターが有しております1万7000例以上のバイオバンクデータベース、これは実際の各患者さんの臨床データベースが入っております。それから、ゲノムのデータベースがございます。そして、画像のデータベースがございますけれども、これらはこれまで別々に保管され、解析されておりましたけれども、これらを全てひもづけで患者さんのデータを統合して登録することによりまして、患者さんの臨床像、画像データ、ゲノムデータやそのほかのオミックスデータをひもづけすることができ、極めて有用な高齢者あるいは認知症あるいはサルコペニア、フレイルの研究データベースということになります。これらは大変当センターにユニークなデータベースであると自負しており、当センターのみならず、センター外の研究者との共同研究も活発に進めております。
その一つの例として、右側にございますけれども、東京都健康長寿医療センターの先生方が保有する嗜銀顆粒性認知症という全体の認知症の5%程度の比較的珍しい認知症でございますが、この疾患に関するゲノム異常を世界に先駆けて報告しております。
右下の図になりますけれども、これは令和8年3月17日に中日新聞や東京新聞などの新聞にも掲載された成果となります。
次のページをお願いいたします。
これは先ほどの統合データベースの中の特にメディカルゲノムセンターが行っておりますゲノムデータやオミックスデータとなります。これはこれまで例えば網羅的なスリップ解析を4万9500例、ホールゲノムの配列解析を4,800例、トランスクリプトームの情報を2,700例、それから、全プロテオームの解析を282名ということで、我が国でも有数のゲノムあるいはオミックスのデータベースとなっております。これらを活用しながら、先ほどの嗜銀顆粒性認知症をはじめ、様々な疾患、それから、Late-onset Alzheimer's disease、LOADと呼ばれていますが、こういったものの疾患の遺伝子を次々に突き止めることができておりますし、また、センター外のほかの施設とも共同研究を活発に行っているところでございます。
次をお願いします。
先ほどのiDDRの中で画像と申し上げましたが、当センターでは画像を用いた研究も継続しております。
左側はアルツハイマー病患者さんなどに対するミクログリアを標的としたPETの核種を作っておりまして、左下にございます図でございますが、これはCSF1型受容体を標的とした核種を作ります。そうしますと、これが脳内のミクログリアに結合し、その画像が解析できるようになるということになります。今、認知症や神経疾患ではミクログリアが大変注目を浴びておるところでございますので、こういった核種の作成というのは、今後の当センターのみならず、ほかの研究施設にも非常に有用な手段になるのではないかと思っております。
また、右側は分子シャペロンのHSP90(Heat shock protein 90)を対象とした画像診断用の核種でございます。これは主にシヌクレオパチーと言われるシヌクレインが蓄積するパーキンソン病やレビー小体型認知症、右下にあります多系統萎縮症などに特に有用ではないかと考えられており、これらをこれまではサル、アカゲザルで行っておりましたが、今年度ファースト・イン・ヒューマンでも行われたということで、5名完了したという状況になっております。これらの2種類の核種を現在新しい画像診断の手法として研究開発を継続しているところになります。
次ページをお願いします。
これはロボットシステムの開発でございます。左上にございますようにリビングラボというラボを特設しておりまして、これは例えば独居ですとか高齢者の方、認知症の方が実際に暮らす家をラボ内に再現して、様々なロボットの機能などを実施する研究施設を有しております。
左下、その延長線上でございますけれども、産学官連携の一つとして、当センターとサンヨーホームズ株式会社が中心となりまして、当センターの近隣に一戸建ての住居を用意いたしまして、その中に独居、介護が必要な方、動けないような方を想定した実証施設ということで研究を開始しております。
これらの施設は非常に施設外からも引き合いが多く、海外からも国内からも見学者が絶えないような状況になっております。当センターとしても大変ユニークな施設ではないかと思っております。
これらのラボを使いまして、当センターで開発した右にございますような膝関節をアシストするような機器、あるいは企業やほかの大学研究、施設などが作ったロボットの機能を実証する、あるいは確認するというようなことも受託として請け負っておりまして、総合的な支援ロボットの開発という点で当センターのユニークなものであると自負しておるところでございます。
右下にありますように、全国の同じようなリビングラボとも連携しながら、ネットワーク化して研究を進めていきたいと思っております。
次をお願いいたします。
これが先ほど少し申し上げました東浦研究でございます。これは2023年から開始した比較的新しい研究ではございますが、特にサルコペニアやフレイルの進行、その抑制などに特化した縦断的な研究ということで、今後、先ほどのNILS研究のように長期に継続して行っていきたいと思っております。
この研究とバイオバンクのデータの統合の中で、先ほど申し上げましたミリスチン酸が大変重要なマーカーになり得るのではないかというようなことも確認しております。また、左下、GDF15と呼ばれるサイトカインとサルコペニア、フレイルとの関係を見いだして発表させていただいております。
右側、この東浦研究は当センターと例えばヤクルト本社、日立製作所、味の素などの企業との連携、そして、東京都健康長寿医療センターなどの学術機関あるいは大学との共同で、現在HICAS(Higashiura Innovation Consortium for Healthy Ageing Society)というものを構成し、研究を進めているところでございます。既に非常に多くの競争的資金、21件の競争的資金の獲得している状況で、今後の発展が期待されます。
次をお願いいたします。
国際活動と人材育成でございます。まず、当センター理事長の荒井先生が特にアジア地区の先生方と共同で、(1)にございますようにアジアのサルコペニアワーキンググループとして、いわゆる筋肉の健康という観点からコンセンサスステートメントを『Nature Aging』誌市に荒井理事長が中心となって発表しております。
また、左下、IAGGマスタークラス、これは世界的な国際老年学協会でございますけれども、こちらを通じて若手の育成というようなことも行っております。
右側にございますように、理事長の荒井先生がクラリベート社のトップ1%の研究者に選ばれ、つい最近ですけれども、WHOのScience Councilのメンバーに就任されておられます。
ほぼ時間になってまいりましたが、最後に1-2の中長期です。これは自己評価Sとさせていただいております。臨床研究は中長期で1,200件のところ、既に2,200件という大幅な目標を達成しております。知見も350件のところを306件まで行って87%を達成しており、この1年間で伸ばせると思っております。そのようなことがここに記載されております。
次をお願いいたします。
下段にございますように、先ほど申し上げましたバイオバンクデータベースを活用したiDDRというデータベースを構築しております。
また、下段、メディカルゲノムセンターでは非常に多くの患者さんのゲノム情報を収集しております。
次ページをお願いいたします。
その例でございます。iDDRです。これは先ほど申し上げましたので割愛させていただきたいと思います。
次のページをお願いします。
メディカルゲノムセンターで収集しております。様々なデータから、右側下、日本人のLate-onset Alzheimer's diseaseの進展に関わる遺伝子群、血漿バイオマーカーなどを同定できております。特に現在この中でもSHARPINというタンパクに注目して機能解析を行っておるところでございます。
最後のページをお願いいたします。
1-2の最後でございますけれども、ロボットセンターは先ほど申し上げましたような研究を継続しております。
以上でございます。ありがとうございます。
○土岐部会長 御説明どうもありがとうございました。
ただいまの説明につきまして、委員の先生から御質問をお受けしたいと思います。御質問がある方は挙手をよろしくお願いいたします。ウェブの先生方もどうぞよろしくお願いいたします。いかがでしょうか。
前村委員、よろしくお願いします。
○前村委員 長崎大の前村でございます。
超高齢社会で認知症とかフレイル、サルコペニアは非常に重要な問題になっているのですけれども、センターが以前から最先端の研究をしているということがよく分かりました。
年度報告の9ページのJ-DEPPとJ-MINT研究について質問させてください。認知症の方の治療は抗体薬等がありますけれども、このように早く見つけて早く介入していくというのは非常に重要な取組かと思います。その中で生活習慣病を有する者で改善度がよかったということなのですが、このJ-MINTの研究というのは対象は正常な方なのか、ある程度認知機能が低下し始めた人を対象にしているかということと、どのような介入をするのか、その介入の方法は生活習慣病を改善するような介入であるのかということについて教えていただければと思います。
○国立長寿医療研究センター荒井理事長 理事長の荒井の方から回答させていただきます。
このJ-MINT研究についてですが、対象はMCIでありまして、MCIの中でいろいろなリスクファクターを持っている方々ということになります。介入内容は、いろいろな慢性疾患を持っているケースについては、主治医のほうでガイドラインに沿って慢性疾患の管理をしていただきながら、週1回集まっていただいて、グループで運動教室の中で運動をしていただく。その中にはサルコペニア、フレイルを意識したレジスタンス運動であったり、我々が開発しましたコグニサイズという認知機能を改善するような運動も含めた形での運動介入を週1回やる。そして、栄養介入については、電話や訪問によって栄養管理を行い、さらにiPadを配りまして、その中にBrainHQというアプリを搭載しまして、その中で認知訓練を受けていただくといった形で4つのことを一遍やるという介入を1年半やった結果であります。
MCIの中で糖尿病、高血圧のある方は非常にリスポンスがよかったという結果なのですけれども、同時にJ-MINTはTambaというサブスタディーがありまして、そこの中では対象をMCIに限定せずに、糖尿病や生活習慣病のある方を対象にしておりますけれども、その研究においてもやはり多因子介入による認知機能改善効果が示されていますので、MCIの有無にかかわらず、生活習慣病、特に糖尿病、高血圧を有する方に関しては、今申し上げた多因子介入は極めて有効であるということです。現在アルツハイマー病に対する抗体薬が市販され、今、多くの施設では抗体薬による治療のみが行われておりますけれども、我々としてはできるだけ多因子介入を組み合わせた形で抗体薬を使っていただくということが推奨できるのではないかと考えております。
○前村委員 よく分かりました。ありがとうございます。
○土岐部会長 続きまして、神﨑委員、どうぞ。
○神﨑委員 東京都健康長寿医療センターの神﨑と申します。
私からの質問は、1つ目が今年度の27ページです。先ほど御説明がありましたように、荒井理事長が国際的に大変活躍されているのは私ももちろんよく存じているのですけれども、サルコペニアの診断でアジアの基準を策定というところがございますが、欧米人はやはりアジア人と体格が違うということで、サルコペニアの診断でアジアの基準をつくったというところにももちろん意味があるとは思うのですが、恐らくいろいろ苦労があったと思うのです。欧米のコンセンサスと大分基準が違ってくると思うのですけれども、その辺りの調整というのはどういうふうにされたのでしょうか。
○国立長寿医療研究センター荒井理事長 理事長の荒井でございます。
御質問いただきましてありがとうございました。サルコペニアについては2013年にアジアのワーキンググループを立ち上げまして、そこの中でアジア人のエビデンス、主に疫学研究のエビデンスを使って、アジア人独自の握力であるとか歩行速度、そして、骨格筋量に関するカットオフ値を設けて診断基準を提案してきたということであります。
その5年後の2019年によりプライマリーケアの先生方にも使っていただける形でガイドライン、診断基準を改訂したわけでありますけれども、その後、アジアをはじめとして、ヨーロッパにも、アメリカにも、あるいはオーストラリアにもこういったワーキングループがあって、それで診断基準を出しているということで、そのグループが集まってGLISというグループを形成しまして、グローバルな診断基準を策定するということを私が日本を代表してSteering committeeのメンバーとなり、2019年から行ってまいりました。
その結果が2024年に発表されたということですが、グローバルなディスカッションで今後いろいろな薬剤も開発されるであろうということで、グローバルな基準を使って世界的な治験を行うというのが大きな目標としてあったわけでありますけれども、そのディスカッションの中で骨格筋量と筋力だけを使って診断をしようということがグローバルなコンセンサスとして得られました。そのコンセンサスをアジアの方に落とし込んだ形で昨年の11月に出したのがAWGS2025ということではありますけれども、そこでも再度システマティックレビューを行い、アジアのデータを再度分析いたしまして、65歳以上に関する握力や骨格筋量の基準、さらにはより若い年代からのサルコペニアの啓発を行うべきだろうということを議論しまして、50歳から64歳までのカットオフ値も新たに設定し、グローバルな委員会のところまで議論はしていませんけれども、アジアのワーキングループとしましてはライフコースアプローチが大事であろうということで、より若いときからマッスルヘルスを意識した生活介入を行うべきであろうというメッセージを出させていただいております。
そういった観点で、診断基準の大元についてはグローバルな基準を用いる。そして、それぞれのカットオフ値については、やはり体格も大きく違いますので、アジア人のデータを用いさせていただいてカットオフ値を決めたということではありますけれども、まだまだ今後検証が必要な点も多々あるかと思いますので、また5年後を目指して新しいコンセプトといったものを打ち出していきたいと考えております。
○神﨑委員 ありがとうございます。御苦労が多かったと思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。
○国立長寿医療研究センター荒井理事長 ありがとうございます。
○土岐部会長 それでは、中野委員、どうぞ。
○中野委員 川崎医科大学の中野でございます。
すばらしい数々の研究の御成果を御報告くださいまして、本当にありがとうございます。大変興味深く拝聴いたしました。
その中で教えていただきたいのが、認知症研究統合データベース、iDDRですかね。このデータベースを使われて、東京都健康長寿医療センターが持っておられる嗜銀顆粒性認知症(DG)300症例のDNA解析を行って、世界で初めて疾患と関連性のある遺伝子座位を特定されたということで、すばらしい成果かなと思います。それに関して教えていただきたいのですが、この研究成果につきましては、嗜銀顆粒性認知症という疾患の遺伝子座位が明らかになったということだけなのか、あるいはこの嗜銀顆粒性認知症というのもアルツハイマー病と診断されるケースも多いということなので、他の疾患の病態とか発症病理に何かアプローチできる、そういったことにつながる研究ともなり得るのか、その点、御教示いただけますでしょうか。
○国立長寿医療研究センター室原研究所長 ありがとうございます。
これはまさに御指摘いただきましたように、東京都健康長寿医療センターの先生方が保有する患者さんの300症例のDNAの解析をこちらのほうで行わせていただき、その他の遺伝子座と比較した結果、細胞種と関連するDAPK2という遺伝子の関連が浮かび上がったということで、これが新しい遺伝子であろうということになります。
また、興味深い点としまして、一般的にアルツハイマー病の強いリスクと言われるAPOE4の遺伝子は実はこの嗜銀顆粒性の認知症ではあまりリスクにならないということが分かってまいりまして、この辺りが嗜銀顆粒性は今かなり汎用されるようになってきておりますので、こういったものがないにもかかわらず、認知症があるような方の中から嗜銀顆粒性認知症の方が疑っていけるというようなことからも、新しい切り口として使えるのではないかと私どもは考えております。
○中野委員 分かりました。どうもありがとうございます。
○土岐部会長 ほかはよろしいですか。
根岸委員、どうぞ。
○根岸委員 根岸です。よろしくお願いいたします。
御説明ありがとうございました。たくさんのすばらしい研究をされていると思います。特に認知症に関する御研究の成果については、毎年大変興味深く伺っております。
質問なのですけれども、評価項目1-1、13ページのところです。アルツハイマー病のプレクリニカル期におけるリン酸タウ217の出現を見いだされたということなのですけれども、これが実用化されれば、血液で分かるということで侵襲性は低く、低コストで検査ができる大変有用な研究だと思って期待しているところですけれども、まず一つ分からないところを教えていただきたいのですが、無症候期、まだ発症していない、しかもそれが20年から30年前に分かるということですけれども、脳内で起きている変化を血液で把握するというメカニズムがちょっと理解できないので教えていただきたいのが一つ。
それから、先々の発症に向けて、例えばそれを予防していくとか、あるいは発症そのものを遅らせるというような対策、介入方法と言ったらいいのでしょうか。そういったものは現時点ではどんなふうにお考えになっているか教えてください。
○国立長寿医療研究センター室原研究所長 御質問ありがとうございます。
まずリン酸化タウ217でございますけれども、これは以前から実は血中でむしろ上がっているということがプレクリニカルアルツハイマー病の時期から分かっておったのですが、逆にこれがどういうことを脳の中でやっているのかというのがむしろ分かっていなかったということで、今回我々の研究でp-tau217がこの図にもございますようにアミロイド斑の周囲に出現しているということが分かってきました。恐らく非常に早期のアルツハイマー病のアミロイド斑、老人斑とも呼ばれますけれども、ここに発現しているp-tau217が血中に漏れ出てきて、その結果、血中に上がってきている。その微量なp-tau217を測定することによって、まさにまだ完全には発症していないプレクリニカルな時期のアルツハイマー病の方を見つけられるのではないかということのひもづけといいますか、病気とのひもづけがここでやっと分かったということになります。
そこで、これらのマーカーを見ることによって、あるいはこれだけではなく、今日いろいろ申し上げましたようなDNAのメチル化とかミリスチン酸といったものと複合的に組み合わせますと診断確率がもっと上がってまいりますので、そういった中でプレクリニカル、いわゆるまだアルツハイマー病とまでは言えないぐらいの方で診断がつけば、御質問いただきましたように、現在抗体薬がございますので、こういったものを早期に開始すればアルツハイマー病の発症を遅らせられるということにつながるのではないかと思っております。
○根岸委員 ありがとうございました。
○土岐部会長 成川委員、どうぞ。
○成川委員 北里大学の成川と申します。
御説明ありがとうございました。
私からは1点だけ質問させてください。御発表の冒頭にあった8ページ、9ページあたりの認知症早期発見のJ-DEPPのことですけれども、受診率が今回のデータで上がってきたということは非常に評価したいと思います。いろいろ御苦労されて、いろいろなやり方を工夫された成果かなと思っています。
私の質問はその前段階といいますか、スクリーニングにいらっしゃる方とか、受検率と言うのですかね。そういう裾野拡大に向けてのこれまでの取組なり実績なり、つまり、スクリーニングの対象者みたいなものはここ数年でどれぐらい増えているのかとか、あるいは今後どういうふうに裾野を拡大していく、あるいは底上げをしていくかというお考えをお聞かせいただければと思います。よろしくお願いいたします。
○国立長寿医療研究センター荒井理事長 理事長の荒井でございます。
J-DEPPに関しましては、まず裾野という点に関しましては、当初の目的が1万人をスクリーニングするということで、各地域にアサインしてその数を集めていただくということで始めましたので、裾野の拡大ということはこれからだと考えておりますけれども、まずは1年目、2年目についてはそれぞれ1万人を目指して、各地域で様々な形で、すなわちオンラインだったり、会場に集まっていただいて、認知機能検査を受けていただく。このように様々な方法で検査を行った結果、やはりオンラインだけでは受診につながらないというような傾向があったということ、そして、会場型のほうが確かに受診率は高いのだけれども、それでも十分ではないということで、放置しては駄目だということがわかったということです。やはり診断後の支援という形で手厚いケアがないとなかなか病院受診につながらないということが分かりましたので、まず行ったのは地域の保健師さんなどに電話などで連絡を取っていただいて、認知機能の異常が指摘された方に対してアプローチをしていただくということによって、受診率が倍ぐらい上がるということが分かりましたし、やはり受けていただくだけでは不十分だということを我々として明確に認識することができたということは大きいかと思いますので、今後はこの認知機能検査のスクリーニングを各自治体で行っていただく際に、人手をどうやって使っていくかということを各自治体に考えていただく必要があると思っておりますし、将来的にはAIなどを活用していくということも必要ではないかなと考えております。
また、今後の展開につきましてはアプリなどを今作っておりまして、LINEを使って簡単に認知機能検査ができるという仕組みを構築しております。それによって御自分で認知機能のチェックをしていただき、問題がある場合にはまずはかかりつけ医に相談をしていただくというような形で、できるだけ専門医につながるというような形を取りたいと思っております。今後、アプリを使った検診の方法あるいはこれまでのような会場型の検診の方法など、いろいろな形で各自治体の実情に合った形でのアプローチを今後とも継続していきたいと思っております。また受診率を上げるために我々はビデオを作成しまして、そのビデオを見た方におきましては、ビデオを見る前と後では、もちろん同じ集団の比較ですので統計学的には難しい点もありますけれども、さらに受診する、受診をしたいという方が増えたということです。一般的なアウェアネスを上げつつ、しっかりと多くの方が診断、検査を受けていただけるような土壌を構築する。そして、それをかかりつけ医から適切な専門医につなげるような医師会との連携といったものも非常に重要だと考えています。
○成川委員 ありがとうございます。今おっしゃったような新しい技術をうまく使って、現場のリソースを削減しながら全体に広げていくという非常に心強い取組だと思っておりますので、ぜひ今後ともよろしくお願いいたします。
○土岐部会長 部会長の私から追加で、本当は政策提言のところで聞こうかなと思っておりましたけれども、いわゆる国の認知症基本法とかで認知症検診ですね。これは先生方のほうから提案をする予定とか、このスタディーをどういうふうに生かしていくとか、そういう方針はあるのでしょうか。
○国立長寿医療研究センター荒井理事長 ありがとうございます。理事長の荒井でございます。
今の御指摘の点につきましては、やはりJ-DEPP研究の結果を受けて、恐らくまだまだ認知症についてはスティグマがある。認知症と診断されたくないであったり、あるいは認知機能検査で引っかかったとしても、自分は大丈夫だとお感じの方がまだまだ多いと考えております。そういった結果が既にアンケートで出ておりますので、そういったことについてはしっかりと国民のアウェアネスを上げるというような活動が我々としては必要だと思っておりますので、そういった活動を地道に行うとともに、認知機能の低下のスクリーニングに関しましてはより感度のいい検査方法を考え出したいと思っておりますけれども、もちろん個人によってアクセスに対するアフィニティーが違うというのも理解しておりますので、様々なオプションを用意するということも重要だと思っております。そういうオプションを用意しながら、できるだけこれからの高齢者、今の高齢者はスマホを使われる方もかなり増えておりますので、スマホを使った形での認知機能検査のチェックであったり、あるいは最近では顔面の表情の認識であったり、声の認識といったものをうまくAIと絡めて認知機能低下のスクリーニングをするような技術もできておりますので、そういった技術とも連携した形で、いろいろな形でのアプローチが今後は必要になってくるのではないかと思いますし、自治体におきましても、その自治体の中で取り入れることができるような技術や検査方法を採用していただくということをお願いしていきたいと思っておりますし、そういったことに関して、先ほどマニュアルの出版をしたという報告をさせていただきますけれども、今、ちょうど最終版が2年目の報告として出来上がったものもありますので、そういったものを各自治体に再度お配りして、各自治体の実情に合った形での認知機能検査を進めていただくということをお願いしていきたいと思っています。
○土岐部会長 よろしいですか。
田極委員、どうぞ。
○田極委員 御説明ありがとうございます。田極です。
私から1点質問させていただきたいと思います。年度評価の20ページと21ページになります。まず、医師主導治験数については、長らく0件だったものが1件ということで非常に頑張られたのだなというのがよく分かりました。一方、先進医療承認件数については0件ということで、令和3年度からずっと0が続いている状態ですが、21ページのほうを拝見すると中長期目標の達成に向けて取り組んでいるということで、中長期目標としては達成可能であることを見込んでいるため、目標は維持していくものとするということで、中長期目標としては達成可能であるという見込みがあるとなっているのですが、この辺り、具体的にめどがついていらっしゃるのかどうかといったことを教えていただきたいと思っています。先進医療の申請をするものが減っているのではないかというお話もある中で、この目標を立ててあって、その中で見込みがあるとなっておりますので、その点、確認させていただければと思います。
○国立長寿医療研究センター室原研究所長 ありがとうございます。
これは確かに非常に難しい御質問なのですが、先ほど画像のところで申し上げました右側のファースト・イン・ヒューマン試験で既に5例の方を達成しておりまして、いわゆるヒートショックプロテインに対する分子標的としたPETの画像診断ということになりますけれども、こういったものを今後早期に先進医療として立ち上げていきたいと考えており、それが中長期では1件行けるのではないかという一つの根拠になります。ありがとうございます。
○土岐部会長 ありがとうございます。
それでは、次のステップに移りたいと思います。続きまして、医療の提供等その他の業務の質の向上に関する事項の評価項目1-3から1-5について議論をお願いしたいと思います。
それでは、御説明をよろしくお願いします。
○国立長寿医療研究センター松浦病院長 長寿医療研究センター病院長の松浦です。今日はよろしくお願いいたします。
まず、令和7年度の業務実績概要について説明します。
1-3、医療の提供に関する事項です。高齢者医療においては認知症、フレイル及びサルコペニアの対応が極めて重要な課題であることは明らかです。このため、これら高齢者特有の病態に対して、高度かつ専門的な医療の提供並びに診療・研究体制の整備を重点的に推進してまいりました。これらの課題に対して目標を今年度は大きく上回る成果を複数領域で達成していると考え、自己評価をSとさせていただきました。
下段にある病院運営に関する指標に関しましては、医業成績の指標である入院延べ患者数、病床利用率、平均在院日数、手術件数に関して、令和7年度は最もよい成績となり、全てにおいて初めて目標を達成することができました。病床利用率は87.2%、稼働率は90%超えで、手術件数も令和6年度と比べて500件近く増加し、目標を大幅に超えました。医療供給体制の充実と運営効率の向上の両面で着実な成果を上げたものと考えています。
スライドをお願いします。
下段にあります評定の根拠ですが、先ほど述べましたように、病院運営に関する指標において全てで目標を達成したこと、多くの研究成果を英文誌に発表し、高齢者医療の向上及び標準化に資するガイドライン策定で過去最多となる13件で関与したこと、病院内センター、特にもの忘れセンターにおいて包括的な認知症診療の提供と先進的治療体制を推進したこと、今後重要性が高まる在宅医療の充実に向け、診療・ケアの供給体制のモデル構築を推進したことなど、顕著な成績を上げたことによります。
次のスライドをお願いします。
次に、病院内センターを中心とした臨床研究を含めた診療に関して説明します。
まず、もの忘れセンターでは認知症基本計画に貢献しております。令和7年度には1,086例の鑑別診断を実施するとともに、多職種連携による包括的な認知症診療を提供しました。
さらに、(2)にありますように新たな抗アルツハイマー病薬による治療など、先進的治療体制を推進しました。加えて、全国に先駆けて遺伝子型情報の提供を行い、副作用発生リスクを踏まえた個別化医療の推進に取り組みました。
また、診断後支援として、(3)に示しますように外来窓口の個別相談、若年性認知症支援などを実施し、患者・家族視点に立った継続的支援体制を整備しました。さらに、あいちオレンジタウン構想に基づく地域連携を推進し、地域包括ケア体制の充実に貢献しています。
次のスライドをお願いします。
摂食嚥下・排泄センターにおいては、摂食嚥下機能及び排泄機能の包括的評価と治療の高度化に取り組みました。
(1)にありますように、嚥下障害に関しましては320列CTを用いて評価を行い、病態に応じた適切な治療を提供しています。
また、栄養摂取への影響の観点から検討を行い、口腔ケアの意義も明らかにしています。
さらに、(3)のように高齢者に多い排尿障害及び排便障害に対しては多職種支援によるラウンドを実施し、治療及びケアの有用性について客観的評価を用いて検証し、その成果を論文化しています。
これらの取組により、摂食・排泄機能の機能維持・改善を通じた高齢者の生活機能向上に貢献しています。
次のスライドをお願いします。
訪問リハビリテーションと脳・身体賦活リハビリテーションについてです。地域に基づいた医療の一端を担うため、これらの取組を開始してから10年以上が経過しています。
左側の訪問リハにおいては、月平均件数が1,000件の水準に達するなど、着実に拡大しています。また、大府市のみならず周辺自治体とも連携し、介護予防事業に参画しており、地域住民の健康維持増進及び介護予防の推進に寄与しています。
右側の認知症患者に対しての身体・認知機能の維持・向上を目的とした脳活リハに関しても、実施件数は年々増加しており、新たなこと試みとしてeスポーツを通じた認知症患者と若年者と交流をもたらす影響についての研究も論文化しています。
これらを通じて、地域における健康寿命延伸に大きく貢献していると考えています。
次のスライドをお願いします。
治験・臨床推進研究体制の整備についてです。
(1)にありますように、臨床研究の着実な施行に向けた支援体制の強化継続、医師主導治験などの実施を支援しました。また、当センターが治験調整委員会を担当する医師主導治験の会も開始となりました。
加えて、(2)にありますように、倫理性・透明性の確保のため、患者・家族への情報提供や研究倫理教育を実施し、臨床研究者認定制度を運用しています。治験・臨床研究推進体制の強化、先端医療の実用化推進に貢献しています。
次のスライドをお願いします。
在宅医療・地域医療連携推進部においては、これからの高齢者救急の需要を見据え、地域医療機関との連携強化を図るため、(3)にありますように内科系を中心とした高齢者救急対応チームの医療体制を確立しました。
また、今後重要性が高まる在宅医療の充実に向け、近隣在宅診療医及び医療機関との連携を推進するため、(5)にありますようにN登録体制を構築しました。これにより、入院から在宅、在宅から入院への円滑な移行を可能とし、アドバンスケアプランニング重視した診療ケア供給体制のモデル構築を推進します。
これらの取組により地域包括ケアに対応した医療モデルの実現に向けた医療連携体制の強化に貢献しています。
次のスライドをお願いします。
ロコモフレイルセンターにおけるフレイル・ロコモ・サルコペニア克服による身体的自立促進に向けた取組についてです。
包括的診療研究体制としてロコモフレイル外来及びレジストリを整備し、登録者数は1,329名に達しました。
(2)、(3)の治療介入に関しても、企業との共同研究を通じて新たな介入方法などの研究開発を実施し、その成果を学会及び論文として発表しています。
さらに、(4)にありますように自治体と連携しフレイル予防の啓発活動を行い、地域における健康寿命延伸に寄与しています。
これらの取組により、フレイルに対する診療、研究、予防を一体的に推進する体制の構築を進めています。
次のスライドをお願いします。
感覚器センターにおける高齢者感覚器包括医療と眼科再生医療の展開についてです。
感覚器外来では視覚、聴覚、味覚、嗅覚、平衡感覚を含む包括的な感覚器評価を実施し、感覚器リハビリテーション及びロービジョンケアを提供しています。
加えて、(3)にありますようにiPS細胞由来の再生医療等製品を使用して角膜移植などを実施し、眼科移植医療の拠点化に向けた診療体制の拡充を図ってきました。
これらの取組により、高齢者における感覚機能の維持・回復及び生活機能向上に貢献しています。
次のスライドをお願いします。
高齢者の慢性疼痛はQOL及びADLの低下が大きな要因となっており、当センター整形外科グループにおいて高齢者運動器疾患に関する縦断的研究を実施してきました。(1)から(4)にありますように筋肉量減少と慢性腰痛の関連性を明らかにすることにより、新たなサルコペニア治療の可能性を示唆する知見を得ました。加えて、(5)に示すように腰部脊柱管狭窄症における黄色靱帯肥厚に関与する遺伝子多型を同定しています。これらの研究は全て論文化され、高齢者運動器疾患の病態解明及び新規治療戦略の構築に貢献するものと思います。
次のスライドをお願いします。
高齢者診療を推進する科学的アプローチに基づく知見の創出についてです。まず、高齢者のためのガイドライン作成において、誤嚥性肺炎の治療と予防に関するガイドライン開発研究班に参画し、新たに虚弱関連肺炎(PAC)という今後重要となると考えられる概念を提案しました。また、(2)から(4)にあるように入院関連合併症に関する多施設レジストリデータの解析や、認知的フレイルバイオマーカー探索研究を行い、多くの成果を英文誌に投稿しています。これらの取組により、高齢者診療における基盤強化、新たな臨床概念の創出に貢献しています。
次のスライドをお願いします。
続きまして、3期の中長期業績見込みですけれども、令和7年度実績と同様にS評価とさせていただいております。
病院運営に関する指標に関してですが、令和3年度から令和5年5月までの間、当センターは1病棟を新型コロナウイルス感染症専用病床として運用し、パンデミック下における地域医療体制の維持及び重症患者対応に大きく貢献しました。一方で、稼働病床数の減及び感染対策に伴う病床制限のために、入院患者数を含め、全ての指標においてこの間は減少しました。しかしながら、徐々に回復し、先ほど述べましたように昨年度において全ての指標で目標を超えることができました。
次のスライドをお願いします。
評定の根拠ですけれども、先ほどの病棟運営の指標に加えて、高齢者医療の向上・標準化に資するエビデンスを創出し、ガイドラインの作成を多数行ったこと、もの忘れセンターでの最新医療の提供、再生医療をはじめとする高齢者感覚器障害の診療に貢献したことが挙げられます。
次のスライドをお願いします。
もの忘れセンターにおける活動は先ほど述べましたので、詳細は割愛させていただきますけれども、診療研究地域支援及び政策実装を一体的に推進し、我が国の認知症診療・研究を先導する顕著な成績を上げたと自負しています。
次のスライドをお願いします。
2022年に設立された摂食嚥下・排泄センターでは、摂食嚥下障害及び排泄障害を高齢者の生活機能維持に直結する重要課題として包括的に捉え、多くの診療科が横断的に関与する多職種協働による診療・研究体制を確立しました。これらは先導的取組であると考えられ、高齢者医療の質向上に大きく貢献するものと考えています。
次のスライドをお願いします。
続いて、移行期ケアを基軸とした診療情報共有と遠隔医療を含めた切れ目のない地域モデル構築についてです。非がん疾患のエンドオブライフ・ケアのガイドライン、認知症支援ガイドなど、学会や講演会を通じて啓蒙・普及に努めました。また、N登録体制を整え、新たな地域医療連携モデルの構築を進めました。さらに、親子教室などアドバンスケアプランニングの普及・啓蒙及び人材育成に取り組みました。移行期ケアを中心とした診療情報共有体制の強化及び在宅医療との連携促進に貢献したと考えています。
次のスライドをお願いします。
包括的感覚器ケアと高齢者感覚器障害の克服を課題に、感覚器センターでは、先ほど述べましたように感覚器の包括的評価やiPS細胞由来角膜上皮を用いた再生医療を推進し、高齢者感覚器障害に対する先進的医療を行ってきました。これらは感覚器障害と老年症候群を統合的に捉えた先導的な診療・研究として高齢者医療の発展に大きく貢献していると考えています。
次のスライドをお願いします。
高齢者診療ガイドラインの作成・普及に関して、センター全体での体系的な取組を説明します。高齢者総合評価機能(CCA)に基づく診療・ケアガイドライン2024、サルコペニア・フレイルに関する栄養管理ガイドラインなど、高齢者医療の質向上及び標準化に資する計39件のガイドライン作成に寄与し、目標を大幅に上回る成果を達成しました。
また、下段にもありますデジタルヘルスケア・ガイドラインに関しましては、GGIで既に論文化されていることも申し述べます。さらに、これらのガイドライン策定に関する研究成果などについて多数の英文誌に発表し、高齢者医療分野における科学知見の創出と国際的発信を推進いたしました。
次のスライドをお願いします。
続いて、1-4の人材育成に関する事項に移ります。国内外の有為な人材拠点となることを目標として、高齢者医療及びその研究を推進できる人材の育成並びにモデル的研修・講習の実施及び普及に努めてきました。多面的な人材育成に大きく貢献したことから自己評価をSとさせていただきました。
令和7年度は、認知症サポート医研修、認知症初期集中支援チーム員研修、高齢者総合計研修の全てで目標を達成することができました。
スライドをお願いします。
令和7年度には一昨年度には中断しておりました高齢者医療在宅医療総合看護研修を再開し、高齢者総合ケア研修と名称を改めて実施しています。本研修は内容、構成を抜本的に見直し、「~明日の実践にいかす~高齢者総合ケア研修」として、看護師のみならず多職種を対象と実施して実施しています。
また、下段の評価根拠ですけれども、先ほど述べましたように認知症サポート医研修及び認知症初期集中支援チーム員研修の実績、内科専門医研修プログラムの基幹施設認定の取得、初期臨床研修プログラムのJCEPによる講師認定が挙げられます。
次のスライドをお願いします。
認知症推進に向けた各種研修、専門医等の育成の実施についてです。新オレンジプランに基づく認知症サポート医養成研修につきましては、e-learningと集合研修を組み合わせた複合型として年5回実施、1,073人が修了認定されました。累計でも1万6612人となり、認知症政策推進大綱のKPIを達成しております。
認知症初期集中支援チーム員研修においても、オンライン研修の活用により受講機会を拡大し、修了者数は1,002人となりました。愛知県からの委託事業として372人を対象とした研修も実施しています。さらに、講師育成を進めて継続的かつ安定的な研修実施体制の強化を図っています。
これらにより、地域における認知症医療提供体制の強化に寄与しています。
次のスライドをお願いします。
専門医育成及び研修体制の強化についてですが、高齢者医療及び認知症医療に対応できる若手医師育成のためのプログラムを整備し、内科専門研修プログラムの基幹施設認定を取得いたしました。これにより、令和8年度より専攻医の受入れを開始し、本格的な専門研修体制を構築いたしました。
また、初期臨床研修プログラムプログラムにつきましては、JCEPの更新認定を取得し、初期研修医マッチングにおいて数年間継続してフルマッチを達成した結果、令和9年度より定員が3名から5名人増員されるということが決定いたしています。
さらに、コグニサイズ指導者・実践者養成研修を実施した結果、コグニサイズ促進協力施設は令和7年度末時点で50施設に拡大し、地域における介護予防の普及に寄与いたしました。
次のスライドをお願いします。
教育実習・国際人材育成についてですが、スライド右側にありますように、令和7年度は看護及びリハビリテーション分野などの学生に対し、当センターの特色を生かした専門実習を実施して計8,103名を受け入れました。
さらに、左側にありますように海外研修生の受入れにつきましても拡大しており、令和7年度は20名を受け入れております。受講生の多くはアジア諸国の医療専門職であり、日本における実地研修を通じて専門性を高め、帰国後は地域医療体制の構築に貢献することが期待されます。
次のスライドをお願いします。
続いて、中期業績概要ですけれども、これも令和7年度と同様にSとさせていただいています。中断した令和6年度の高齢者ケア研修を除いて、指標が全て100%を超えたこと。
次のスライドをお願いします。
下段にありますように、根拠も先ほど述べましたこととほぼ同様です。
次のスライドをお願いします。
認知症サポート医研修は直近5年間で5,000人以上を養成し、令和7年度末時点で累計1万6612人となり、当初目標1万6000人を達成しました。
また、認知症初期集中支援チーム員研修は直近5年間でも6,000人以上を養成し、累計1万7057人に達しています。
加えて、内科専攻医の受入れ開始、初期臨床研修医の育成体制の強化、学生の実習受入れの拡大、海外研修生の受入れなど、若手医療者及び多職種の人材の育成についても着実に推進してきたと自負しています。
これらの取組は認知症医療に関わる地域支援体制の強化に加え、次世代の医療人材育成の推進に大きく寄与しているものと考えています。
私からは以上です。
○国立長寿医療研究センター橋本企画戦略局長 それでは、評価項目1-5につきまして、ここから企画戦略局長の橋本が御説明いたします。
1-5、医療政策の推進等に関する事項についてでございます。今御覧いただいているスライドですが、令和7年度評価ですが、自己評価はSとしております。
Ⅱの指標の達成状況でございますけれども、ホームページのアクセス件数が1422万件、目標に対しまして237%となっております。令和6年度のような全国ネットのドラマ放送の監修といった特殊案件はなかったのですけれども、ウェブアクセシビリティーの向上、コンテンツの拡充、積極的なプレスリリースといった取組の継続で目標件数を大きく上回りました。
特にプレスリリースにつきまして、こちらの資料には載せていないのですけれども、その件数を見ますと、令和3年度13件、4年度15件、5年度が11件、そして、6年度はその倍の20件、7年度はさらにその倍の38件となっておりまして、近年、特に件数が増加しているところでございます。
次のスライドをお願いします。
スライドの左側ですが、認知症の進行リスクを高精度で予測するモデルを世界で初めて開発いたしました。この結果は地域健診などにおける簡便、高精度な認知症早期スクリーニングツールとしての活用が期待されます。
スライドの右側ですけれども、地域在住の高齢者を最長約22年追跡した調査データに基づきまして、個人の行動や思考を特徴づける特性であるパーソナリティーが将来の要介護発生リスクに与える影響を明らかにいたしました。こちらは個人のパーソナリティーに応じた個別化対応の展開を期待されておりまして、個人の強みを生かし、弱みを補うアプローチとして効果的な介護予防につながると考えられます。
次のスライドをお願いいたします。
スライドの左側ですけれども、健康に対する関心を高めていただく活動といたしまして、大府市役所におきまして健康長寿フェア2025を開催いたしました。
また、その下ですが、ベトナム国立高齢者中央病院と高齢化に伴う諸課題に対応するため、共同で研究や人材育成に取り組むことにつきまして覚書を締結いたしました。
このほか、高齢者の安全な薬物療法ガイドライン2025を策定するなど、認知症をはじめとした診療情報を積極的に発信いたしました。
スライドの右側ですけれども、市町村職員や医療介護福祉の専門職を対象に研修プラットフォームを通じて研修の動画を公開する。あるいは愛知県と協力いたしまして、研修等を実施いたしました。
また、認知症医療介護推進フォーラムを開催いたしまして、多くの医療関係者等に最新の情報を発信したところでございます。
また、令和7年4月1日付で内科専門研修プログラムの基幹施設としての認定を受けまして、東京都健康長寿医療センターと内科専攻医の総合連携施設など、医療機関間のネットワーク構築も図っているところでございます。
次のスライドをお願いいたします。
続きまして、第3期中長期目標期間「見込評価」の説明となりますけれども、こちらにつきましては、資料にございますとおり、自己評価をSといたしております。
次をお願いいたします。
こちらの上段ですけれども、認知症医療介護推進会議からの提言といたしまして、令和3年度に新型コロナウイルス感染症流行下における認知症の人の感染症対策の強化及び支援の推進を目指した提言を発表いたしました。
また、下の段ですけれども、国内初となる呼吸不全に対する在宅緩和ケアの指針ガイドの公表、リハビリテーション・栄養・口腔管理の一体的取組のための国内外初のガイドラインを作成いたしまして、リハビリテーション・栄養・口腔連携加算の創設に大きく寄与するなど、医療の均てん化を推進したところでございます。
御説明は以上でございます。
○土岐部会長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの1-3から1-5までですけれども、委員の先生方から御質問、御意見等をお受けしたいと思います。いかがでしょうか。
神﨑委員、どうぞ。
○神﨑委員 では、口火を切らせていただきますけれども、東京都健康長寿医療センターの神﨑です。
今年度の28ページなのですけれども、病床利用率がかなり高いなという印象を持ちました。御存じの方はどのくらいいらっしゃるか分からないのですけれども、国立長寿医療研究センター病院は愛知県大府市にあって、名古屋市から小1時間かかるところだと思います。特に大府からバスに乗らないといけないということで、結構集客に苦労するのではないかと私は思っているのですけれども、にもかかわらず、利用率が9割を超えているような感じで、今年度は100%も超えているということなのですけれども、これはちなみに稼働率で言うとどのくらいになるのでしょうか。その辺、集客に関する御苦労みたいなのというのはどんなことがあるのかお聞かせいただけるとありがたいです。
○国立長寿医療研究センター松浦病院長 御質問ありがとうございます。病院長をやらせていただいている松浦と申します。
まず、利用率はここにありますように目標は85%ということで、利用率は87.2%となっています。令和7年度ではありますけれども、稼働率は一般床においては大体95%近くと今年度はなっています。昨年度は90%超えとなっています。
それで、どのように集客されたかということなのですけれども、高齢者救急というのは今後非常に重要な課題になってくると思っていますので、積極的に地域の医療機関及び救急隊及び自治体の保健センター等を回らせていただいて、当院が高齢者救急に今後非常に力を入れていくのだということを病院長、地域連携室長と共に説明をさせていただいて、それで少しずつ少しずつ努力していったことによって、救急患者が非常に増えてきたということが非常に大きな要因であると考えております。
以上です。
○神﨑委員 ありがとうございます。
救急応需率もかなり高いということですね。
○国立長寿医療研究センター松浦病院長 そうですね。医療体制において夜間帯を全て受けるというのは非常に厳しいものが当院としてはありますけれども、ここの近隣、大府市、東浦町を中心とした時間内及び土日の日勤帯においてはほぼ90%以上を受けていると報告を聞いております。
○神﨑委員 分かりました。ありがとうございました。
○土岐部会長 それでは、続きまして前村委員、挙手されていましたね。
○前村委員 長崎大の前村でございます。
2つ質問させてください。
最初は今の神﨑先生の御質問とも関連するのですけれども、年度評価の34ページの(2)で患者数の減少に伴い近隣病院の救急外来への搬送状況調査とありますけれども、調査の結果どのようなことが分かったかということと、地域医療構想が言われていますけれども、その中でセンターの役割分担の立ち位置というのをどのように考えられているのかというのが第1点です。
2点目が年度評価の45ページの左の立方体を描いて認知症の進行リスクを予測するというのがあって、これは非常に興味深いのですけれども、こういうので分かれば非常に簡便でいいかなと思うのですけれども、これの感度とか特異度がどれぐらいあるかというのと、先ほど来、血液バイオマーカーで認知症を予測するというようなこともされていたのですが、こういう立方体を描くようなのに血液バイオマーカーを加えるようなことでどれぐらいさらに精度が上がっていくのかという見込みを教えていただければと思います。
○国立長寿医療研究センター松浦病院長 御質問ありがとうございます。病院長の松浦です。1点目は私がお答えさせていただきます。
まず、患者数減少に伴い近隣病院の救急外来の搬送状況の調査ということで、ここにありますように近くに西知多総合病院、あるいは知多半島総合医療センター、旧は市立半田病院といったものですけれども、あるいは近くの刈谷豊田総合病院というところにも訪問させていただきまして、近隣病院でもどのようなところで問題が起きているかということを共有させていただきました。そこで、やはり平均在院日数及び患者数が非常に減っているのではないかと思ったわけですけれども、特に刈谷総合病院においてはさほどでもなく、そこのところから積極的に高齢者に対する一種の下り搬送みたいなものを受けるようにいたしまして、工夫をさせていただいて連携を非常に強めているというようなことをさせていただきました。ですので、それによって少しずつ、完全な救急というわけではありませんけれども、当院としては高齢者中心とした医療を展開していく。向こうはどちらかというと、高齢者というよりも、得意なところは若年者と言ったら失礼なのですけれども、65歳未満、70歳未満の方々を中心として医療をされたいという御意向がありましたので、そういうところですみ分けをさせていただいているというような次第です。ありがとうございました。
○国立長寿医療研究センター荒井理事長 後半ですけれども、理事長の荒井です。
キュービック、立方体につきましては、MMSEという基本的な認知機能検査の中に含まれているのですけれども、それを描いていただいてAIを活用した形で予測するというアルゴリズムだったと思いますけれども、感度と特異度については、正確な数値は覚えていませんのでお答えができないのですけれども、AIを取り入れた形での診断予測ということになっていたと思います。
現時点でこの立方体とバイオマーカーを組み合わせた形でのデータはないのですけれども、将来的にバイオマーカーが恐らく保険で認められるということになるかと思っていますが、非常に高価でありますので、バイオマーカーを全ての患者さんで保険診療で測定するわけにはいかないと思いますので、まずはこういう簡便なスクリーニングで、先ほどアプリを使った形でというものも御紹介しましたけれども、アプリとか音声認識だったり、比較的安価なスクリーニングでまずリスクを同定し、もちろんその中には糖尿病とか高血圧といった生活習慣病も入っていると思いますけれども、ある程度のリスクが一定以上といった場合にバイオマーカーという形になるのかなと考えておりますので、そういった形で適正にマーカーを使うといったことも今後の大きな課題かなと考えております。
○前村委員 よく分かりました。ありがとうございます。
○土岐部会長 中野委員、どうぞ。
○中野委員 川崎医科大学の中野です。
人材育成に関して質問させてください。研修医が長年継続してフルマッチということは、きっと長寿医療研究センターの人材育成に関する評価の高さとか教育研修が充実しているということを示す指標であって、すばらしいと考えております。
そこでお教えいただきたいのは、研修医の皆さんなのですけれども、地元からいらっしゃる方が割と多いのか、名古屋圏あるいはその近郊からが多いのか、あるいは全国的にほぼ均等に分布しているのかということと、あとは医師の世界で現在高齢者医療を目指す方の数は増加傾向にあるのかどうか、全く自分の専門ではないので、全く自分が認識していないのでお教えいただきたいのですが、御教示いただければと思います。
○国立長寿医療研究センター松浦病院長 御質問ありがとうございます。病院長の松浦です。
まず、残念ながら名古屋圏というか愛知県の出身の人は研修医としては少なくて、実は四国出身の方とか、山陰出身の島根大学とか鳥取大学とか、香川大学とか、筑波大学の方もおられますけれども、福井大学とか、大体そのような形の方が多いです。来られる方は福井大学とか鳥取大学、島根大学でして、やはり少し過疎に悩んでいらっしゃるというようなところもあって、老年医学を少し学んで在宅医療に結びつけたいとか、それから、認知症というのがここの柱の一つですので、認知症診療に少しでも、やはり高齢者の認知症というのは地方では非常に問題になっているようでして、なかなか専門家がいなくて困っているというのがあって、そういうところに寄与したいという志で、そういうような形で神経内科、老年内科を中心として希望されるという研修が多うございます。
○国立長寿医療研究センター荒井理事長 理事長の荒井です。
後半につきましては、高齢者医療を学びたいという若い研修医が多いかという御質問だと思いますけれども、正確な数字は僕も把握しておりませんが、背景としてはやはり高齢化ということもありますし、過疎化ということもあって、総合診療医や老年科医への関心は高まっていると認識しています。ただ、実際に老年科という形で希望されている方がどのぐらい増えているかということについては具体的な数字は持っていないという状況であります。
既に委員の先生の中に神﨑委員がおられますので、神﨑先生は恐らくよく御存じかもしれませんけれども、現状もかなり高齢化が進んでおりますけれども、20年後の2045年といった時期になりますと、急性期の医療現場も85歳以上の患者さんが外来でも入院でもさらに増えて、その患者像というのは恐らくマルチモビリティーとか老年症候群といった病態の方がほとんどになると我々は予測しています。
そうすると、現在のいわゆる専門医、例えば循環器であったり、消化器であったり、そういった方々のニーズというのは徐々に減っていくと我々は予測していますし、恐らく国のほうも厚生労働省でもそういったデータを持っておられると考えておりますので、我々国立長寿医療研究センターとしましては、学会と連携をしてそういったことをしっかりと啓発し、老年医学の重要性をさらに啓発することによって、この領域に若い医師を呼び込みたいと思っておりますけれども、老年科のアイデンティティーという点についても我々はしっかりと議論をしているところでありまして、単に多くの病気を持つ高齢者のケアをするというだけではなくて、やはりエイジングといったことをしっかりと理解した上で、エイジングに対する対策をしながら、そこはかなりサイエンティフィックなアプローチも必要だと思いますけれども、フレイル、サルコペニアの予防ということも考えながら疾患管理をし、いかにQOLの高い診療を行うかということになると思います。
先ほどの救急医療においても、どんどんこれから増えるのは85歳以上の救急患者さんになりますけれども、どうしても今の診療システムだと、急性期の病態は救急で治すのだけれども、すぐまた帰ってくる。繰り返し受診するというのが問題でありまして、そこをしっかりと丁寧に救急の患者さんでフレイルの方、虚弱な方をしっかりと対応することによって、多少入院期間は延びるかもしれませんけれども、その方が繰り返し救急科を受診しないような形の救急医療というものを当センターを中心にしっかりと発信していきたいと考えています。
○中野委員 ありがとうございます。よく理解できました。将来的な高齢者医療の我が国の均てん化とか、これからの方向性を見定める上でもとても大切なお話だと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
○土岐部会長 よろしいでしょうか。
根岸委員。
○根岸委員 根岸です。
同じく年度評価の人材育成に関する事項で質問させてください。42ページにコグニサイズのことが書かれておりますけれども、個人的な話になりますが、私も老年期に入りまして、家には92歳の母がいるもので、YouTubeを見ながらコグニサイズを始めているところです。それで、いかにこれを継続するか。継続が非常に大事だというようなメッセージも拝見しておりますけれども、これを実施していって、どんな方法で効果を検証したらいいのか。ここには指導者、実践者の養成研修というものがありますけれども、やはりこういう研修をきちんと受けた人でないと評価がしにくいものなのでしょうか。それとも在宅で、私の場合には親子で今しているところなのですけれども、何か目標とするところですとか指標があるとまた取組もやりやすくなるのかなと思うのですが、いかがでしょうか。
○国立長寿医療研究センター荒井理事長 理事長の荒井ですけれども、ありがとうございます。
コグニサイズにつきましては、エビデンスがあるものとしては、きちんと教育、それに向けたインストラクターがグループで指導するという形のものはエビデンスとしてあるということで、それを基本的には推奨しておりますけれども、なかなかインストラクターの方が日本全国、全ての自治体にいるわけではないということを問題と認識しております。今お話があったようなYouTubeを介してコグニサイズをやっていただいている方もおられると伺っています。
その効果検証については、残念ながら社会実装という形でありますので、我々がちゃんと研修を受けていただいたインストラクターの下で運動して認知機能の改善効果を見たような形は非常に難しいと思っておりますけれども、それに近いような効果が得られればと期待はしております。
どのように評価をするかについては、我々の研究ではiPadを用いた形での認知機能検査を使って、ちゃんとした認知機能検査をしてエビデンスを出しておりますけれども、御自宅でやられる場合にはなかなかそういった正式な検査を受けていただくことは難しいと思っておりますので、先ほど来お伝えしましたけれども、御自分でiPadあるいはiPhoneを使った形での認知機能検査を受けていただくということ、あと、御自分でチェックをしていただくということも一つの方法としてあると思いますし、恐らく多くの方々というのは医療機関を受診されているかと思いますので、医療機関で受けていただけるような簡便な認知機能検査といったものをかかりつけ医の先生にお願いをして受けていただくといったことも大事かなと思っております。
コグニサイズは認知機能に効くというだけではなく、体全体の健康度を上げるという効果もありますし、こういったいろいろな運動教室で使っておりますとやはり人気度が高いということであります。なので、通常のいわゆる筋トレとか有酸素運動というのはどうも人気がなくて、継続性が非常に低いという問題があるのですけれども、このコグニサイズを取り入れることによって結構継続していただけるというようなケースも多いと聞いておりますので、いろいろな地域での運動メニューの中にコグニサイズを入れていただくとともに、御自分でやられる場合には御家族と一緒にやっていただくということと、やはりいろいろなコミュニケーションを取りながら、YouTubeだけを見てやっていただくよりも御家族と一緒に楽しんでいただいて継続していただくということで、効果判定はかかりつけ医の先生にお願いせざるを得ないと思いますし、いろいろな認知機能以外の例えば歩く動作であったり、転ぶリスクがどうかといったことについてもある程度簡便に自己評価ができるようなツールもありますので、そういったものを活用していただいて効果判定をしていただければと考えています。
○根岸委員 ありがとうございました。ぜひ続けて自分で検証していきたいと思います。
○土岐部会長 よろしいでしょうか。
それでは、続きまして業務運営の効率化、財務内容の改善及びその他の業務運営に関する事項、2-1から4-1について議論をお願いしたいと思います。
最初に法人のほうから説明をよろしくお願いいたします。
○国立長寿医療研究センター橋本企画戦略局長 それでは、企画戦略局長の橋本から御説明いたします。
まず評価項目2-1、業務運営の効率化に関する事項についてでございます。令和7年度評価につきましては自己評価をBとさせていただいております。
今御覧いただいているところで指標の達成状況でございますけれども、令和7年度、重要な指標であります経常収支率が96.0%、以下、後発医薬品の数量シェアが91.6%、一般管理費約8900万円、医業未収金比率が0.0383%となっておりまして、目標を下回っているところでございます。
一般管理費の増加につきましては、令和4年度に新病棟を開棟いたしましたが、その設備管理費等の委託費、あるいは物価、水道光熱費の高騰といったところが要因として考えられるところでございます。
また、医業未収金比率につきましては、患者数が年々増加しているところではございますけれども、増要因となっている債務者への定期的な督促とか回収業者への委託によりまして、未収金の回収に努めているところでございます。
次のスライドをお願いいたします。
スライドの左側でございますが、効率化による収支改善。こ[n1] れにつきましては、ベンチマークシステムを用いた価格交渉でありますとか同種同効品の切替え、こういった取組を実施いたしまして材料費の削減を図りました。医業収益は対前年度比で5億2300万円増加の89億3400万円となってございます。
スライドの右側でございます。情報セキュリティー対策の重要性が増しているところでございますけれども、NCO、国家サイバー統括室によりますフォローアップ監査を受けまして、改善計画に基づいて情報セキュリティー対策の維持・強化に努めているという評価を受けました。また、監査法人による情報システムの第三者監査も実施いたしまして、問題ないことを確認いたしております。
次のスライドをお願いいたします。
運営状況につきまして前年度との比較でございますが、医業収益につきましては対前年度比で5億2300万円増加の89億3400万円、一方、医業費用は対前年度比で4億8600万円増加の92億1000万円となっております。
医業収支差は2億7600万円のマイナスになっておりますけれども、そういう中で前年度よりは3700万円改善しているところでございます。一方、収益の増加につきましては入院患者数の増加でありますとか、入院外来一人一日の平均単価の増加が主な要因となってございます。
費用の増加につきましては、給与費の増加、それから、物価高に伴う材料費の増加が主な要因となっております。
また、医業外収支差は3億2200万円のマイナスとなっておりますけれども、そういう中で前年度よりは1億2200万円改善しております。
医業収支と医業外収支を総合した結果の総収支差は5億9800万円となっておりまして、こちらもマイナスでございますけれども、前年度よりは1億5900万円改善しているというところでございます。
次をお願いいたします。
ここからは評価項目2-1の第3期中長期目標期間「見込評価」の説明となります。自己評価はBといたしております。
次をお願いいたします。
こちらにつきましては、一般管理費の増加、先ほど申し上げた設備管理費の委託費、物価、水道光熱費の高騰等が要因となっているという分析、それから、医業未収金比率につきましては、増加要因となっている債務者への定期的な督促、回収業者への委託によって未収金の回収に努めているというところでございます。
次をお願いいたします。
こちらにつきましては、スライドの左側でございますが、経常収益につきまして救急受入れの強化、地域連携の推進などに積極的に取り組んだことによりまして、患者数、診療点数ともに令和3年度よりも大幅に増加して収益増加につながったと考えております。一方、経常費用につきましては、節電対策に伴う目標を設定いたしまして、センター内での取組を強化したことが経費の削減につながったと考えております。
スライドの右側でございますが、情報セキュリティー対策、その他情報管理等につきましては、情報セキュリティーポリシーの改定、情報セキュリティー関連手順書の整備、改訂を行いました。また、情報セキュリティー研修とか職員の自己点検を実施いたしまして、意識・知識の向上を図ったところでございます。
次をお願いいたします。
第3期中長期目標期間の財務・運営状況等につきまして、診療収益は年々増加いたしております。入院患者数も増加傾向にございまして、一日平均診療点数は入院、外来ともに増加をしております。一方で、減価償却費や借入金の償還が高い水準で推移しておりまして、経常収支差は、令和3年度はコロナ補助金もありましてプラスだったものの、令和4年度以降はそれがなくなりましてマイナスに転じました。令和7年度もマイナスになっておりますけれども、6年度に比べますと改善しているということは先ほど御説明したとおりです。
次をお願いいたします。
続きまして、評価項目3-1に移ります。財務内容の改善に関する事項についてです。
令和7年度評価でございますが、こちらも自己評価はBといたしております。繰越欠損金につきまして、前年度から約5億9800万円増加いたしまして、約29億8900万円となっております。物価高に伴う材料費や水道光熱費の増加、給与費の増加、それから、新病棟の設備管理費等の委託費や減価償却の増加といったところが主な要因となっておりまして、総収支差、当期純損益の損失がそのまま積み上がっているというような状況になっております。
次のスライドをお願いいたします。
スライドの左側に貸借対照表を載せておりますが、こちらについては資産総額が約213億5000万円、対前年度比で11億3000万円の減少となっております。
また、損益計算書につきましては、当期純損益、総収支差が5億9800万円の損失になっているところはたびたび御説明しているところでございます。
こうした中でございますが、ここにはBSとPLの概要だけを載せておるのですけれども、キャッシュフロー計算書の概要は載せていないのですが、資金残高も予断を許さないような状況になっておりますので、今後、資金ショートというリスクもあることを念頭に置きながら、引き続き改善に向けた取組を進めてまいりたいと考えております。
スライドの右側でございますが、外部研究資金の獲得状況につきまして、令和7年度は対前年度比で2億6800万円減少の14億3000万円となっております。科研費や民間財団等の競争的資金につきましては、募集を実施する省庁や団体等から募集要項等の情報を入手して研究者に情報提供を逐次行うなど、資金獲得に努めているところでございます。項目といたしまして増えているものもございますけれども、全体といたしましては残念ながら前年度よりも減少しているという状況でございます。
次をお願いいたします。
ここからは評価項目3-1の第3期中長期目標期間「見込評価」の説明となりますが、自己評価はBとしております。令和7年度の繰越欠損金は約29億8900万円で、令和3年度末時点では約4億6900万円でしたので、第3期期間内で約25億2000万円の増加となってございます。
次をお願いいたします。
左側ですけれども、外部研究資金の獲得状況につきまして、科研費あるいは治験・財団等が増加傾向にありますものの、AMEDを含む受託研究が減少傾向でございまして、全体の獲得額は年々減少しております。
また、寄附金の受入れにつきましては、寄附御協力ポスターを院内に掲示するほか、センターホームページにも寄附への協力依頼のリンクを掲載するといった方法で御案内をしておりまして、寄附の受入れを継続して取り組むところでございます。
次をお願いいたします。
最後に評価項目4-1でございますが、その他業務運営に関する事項につきまして、令和7年度の評価は、自己評価Bとさせていただいております。監査室による内部統制、内部統制委員会を開催するなどガバナンス強化に取り組んだこと、また、AMEDやNHO(国立病院機構)との人事交流でありますとか、クロスアポイントメント制度の活用促進といった人事交流の促進を図っているところでございます。
次をお願いいたします。
こちらは、第3期中長期目標期間「見込評価」ですけれども、同様に自己評価Bといたしております。
次をお願いいたします。
2ポツ目です。令和4年12月1日に理事長から職員へコンプライアンス・メッセージを発信いたしました。法令遵守だけではなくて倫理観、公序良俗などの社会的な規範に従って公正・公平に業務を行ってコンプライアンス意識の一層の向上に努めるというメッセージを全職員に通知いたしました。その他、ストレスチェックの実施でありますとか仕事と育児・介護の両立可能な環境整備に努めるなど、職員が働きやすい職場環境の整備も行っているところでございます。
御説明は以上となります。
○土岐部会長 ありがとうございました。
ただいまの御説明に対しまして御質問等はございますでしょうか。
成川委員、どうぞ。
○成川委員 北里大学の成川です。
御説明ありがとうございました。
私のほうから質問は1点だけですけれども、先ほどの御説明の中で外部研究資金が年次的にどんどん減ってきているというのがやはり気になっておりまして、これは背景の原因みたいなのは分かっているのでしょうか。研究の応募件数自身も減ってしまっているのか、あるいは採択がうまくいかないようなケースが増えてしまっているのか、その辺り、もし何か分析をしていたら教えていただけるでしょうか。
○国立長寿医療研究センター荒井理事長 理事長の荒井でございます。ありがとうございました。
実は令和2年度から5年にかけて非常に大型のAMED予算が入ってまいりまして、あと、令和6年度につきましても厚労科研の大型のものがあったということでありまして、実際には様々な研究に関する研修を行うことによって採択課題数は増えています。特に、6年度と7年度の比較の数値は忘れましたけれども、令和7年度と令和8年度の比較になりますが、約100件程度採択課題数は増えているということでありますけれども、残念ながら、大型のAMED研究の予算が十分に取れていないということで全体として研究費が減っているということでありますので、そこは非常に危機的な意識を持っておりまして、例えば基盤S、Aに対するエンカレッジメントなどをしておりますし、AMEDについては、残った方については我々と一緒に予行演習をしていただいてヒアリングのブラッシュアップをするというようなことも行っております。
AMEDにつきましても、これまでは大体1割強の採択率だったのですけれども、少なくとも今年度は3割まで増えておりますので、徐々にその効果は現れているかなと考えておりまして、これからしっかりと巻き返しをしていきたいと考えておりますけれども、少なくとも裾野は確実に広がっているということはお伝えしておきたいと思っております。
○成川委員 ありがとうございます。背景を含めてよく分かりまして、問題意識を持って皆様方は取り込まれているということですので、ぜひ今後の推移を注目したいと思います。
○土岐部会長 ほかはよろしいでしょうか。
松前委員、どうぞ。
○松前委員 松前でございます。
御説明ありがとうございます。いろいろな研究成果を出している中で、こういった財務については結果を出すための大変重要なことだと思っております。ただ、この財務内容を見させていただきますと、かなり厳しいのではないかなと少し思うところがございます。
まず2-1でございますが、教えていただきたいのは、様々なところで業務運営の効率化ということで行われていると思いますが、人件費等については説明がなかなか読みにくいのかなと思っておりまして、こちらも金額が上がっているということでございますけれども、従業員の数が上がっているのか、単価が上がっているのか、そういったところの分析をしていかなくてはいけないかなと思うのですけれども、そこが読めなかったというところが2-1でございます。
あと、3-1のほうでございますけれども、3-1も財務内容の改善に関する事項ということでございますが、繰越欠損金が年々どんどん増えているというところがまず一点、大変なことだなというところと、借入金につきましても大きな投資が4年のときにあったということがございます。それと、業務評価書などを見ますと、DX化ということで電子カルテなど今後の投資もまだ必要だという中で、さらに借入金というのが見込まれるというか、新規で必要なのかなという状況であるのではないかと思われます。その中で、先ほど少し御説明の中にありましたけれども、キャッシュフローを見ますと、資金残高についても大きく減ってきているというところがございますが、こちらについては借入金の返済計画について計画どおりにしっかりと実施されてきているのかというところ、また、変更は必要なのかとか、そういったところをもし教えていただけるのだったらお願いしたいと思います。
以上です。
○国立長寿医療研究センター橋本企画戦略局長 ありがとうございます。企画戦略局長の橋本です。
人件費、それから、借入金につきまして主に御質問があったと認識しております。こちらは固定的にかかる費用ということで、その動向を注視することは非常に重要だと考えております。人件費につきましては、職員の数は専門職等も含めて増加してきているという中で、令和7年度の50ページの資料にありますけれども、給与費も増加しているというような状況になっております。この辺りが人件費の増加という数字を表していると思います。
それから、借入金の返済につきましてですけれども、こちらは計画どおりに実施しており、今のところはそれを変えるというような状況にはなっていないと認識しておりますけれども、先ほど御指摘がありましたようにキャッシュフローの動向も踏まえながら、計画にどう対応していくかということにつきましては、随時そこはしっかりチェックしながら進めていく必要があると考えているところでございます。
雑駁ですけれども、概略としては以上の御回答になります。
○国立長寿医療研究センター荒井理事長 追加で理事長の荒井ですけれども、やはり給与費につきましても人事院勧告等で出ておりますので、そこは優秀な人材を確保するためには、国並みにはいきませんけれども、ある程度上げなければいけない。材料費も大体30%から50%上がってまいりますので、そこで非常に危機感を持ってベンチマークを使って見直しを進めておりますけれども、なかなか元の数値には戻らないという状況で、我々は危機意識を持って運営をしておりますが、やはり10億円というのが一つのメルクマルだろうと思います。そこを切らないようにしなければいけないと思っておりますけれども、2年後にこのままいくと資金ショートというリスクもあるという認識でおります。
我々としては、今回の診療報酬改定に期待をしておりましたけれども、残念ながら我々のような中規模の病院で特定機能病院ではないところに関しては特定機能病院ほどの診療報酬の増は期待できないということで、年間大体2億円程度のプラスにしかならないという試算です。これだけ9割以上の稼働率を稼いでいるにしてもなかなかV字回復というのは難しいのではないかと考えておりますので、ここはぜひとも国の支援をお願いしなければいけないかなと感じているところであります。
我々センターは、国循もそうですけれども、独法化してから新しい建物、2つの外来棟と入院棟を建築したということでありますので、ほかのNCと比べましてかなり不利な状況であるということで、その財政状況にあると。独法化してから新しい建物を2つ建てて、非常に大きな借金を返しているという状況については国には定期的に御説明をさせていただいておりますけれども、我々としては人件費、材料費をしっかりと見直しつつ、新しい人を採るにもすぐに補充せずに、慎重に吟味して有用な人材をできるだけ採るという方針で進めておりますので、世界的にエイジングに関する期待が非常に大きい中、研究活動を縮小してお金を減らすということはできるだけ避けたいと考えております。世界的にも非常に、特にアジアからの当センターへの注目度が高いということで、その期待に応える必要があると我々は考えておりまして、そういった意味でもなかなか費用を減らして研究活動を圧縮するという決断には至らないということで、そこはしっかりと国に対する御支援をお願いしているところであります。
○松前委員 ありがとうございます。
本当に研究については投資をしっかりとしていただかないといけないというのもこちらのセンターの役割として大変重要だと思います。また、人件費、研究者も含め従業員の獲得については、それも減らすということもなかなか難しいと思いますので、しっかりと計画的に実行していくということが基本かなと思うところと、借入金の返済、また、それ以外の外部資金も減っている中で、そういった資金繰りについても計画と実行とさらにそれをしっかりとこまめにチェックしていくということが今ここの段階においては大変重要かなと思います。
以上でございます。
○国立長寿医療研究センター荒井理事長 ありがとうございました。今後、いろいろなもの、電カルも含めて購入をしなければいけないという状況ではありますけれども、いろいろな機材、機器を買う場合には費用面でのフォローアップをしっかりとさせていただいておりますので、それが本当に適正かどうかと。人を増やすにしても、定期的にフォローアップして、収益につながってなければまた元に戻すというようなこともやっておりますので、しっかりと計画を持って人の雇用であったり機材の購入には当たっていきたいと考えております。
○土岐部会長 それでは、最後に法人理事長と法人監事からのヒアリングを行いたいと思います。
まずは、法人監事より業務の監査結果等を取りまとめた監査報告について御説明いただくとともに、監査等を踏まえた現在の法人の業務運営の状況や今後の課題、改善方針等についてコメントをよろしくお願いします。
○国立長寿医療研究センター橋本監事 監事の橋本でございます。
監査報告に沿って報告をします。
令和7年度の監事監査報告は6月18日付で理事長宛てに提出しております。令和7年度の監査報告は、私ども監事において協議しました結果、特段の指摘事項はございません。その結果、法人の業務、内部統制システム、役員の業務執行、監査法人の監査の方法及び結果、事業報告書におきまして、いずれも指摘すべき重要な事項はございませんでした。
若干補足しますと、先ほど企画戦略局長から報告のありましたとおり、総収支差は令和5年度よりも減少したものの、赤字で推移しており、繰越欠損金が増大し、資金ショートの可能性も全くゼロというわけではないと考えられるところでございます。ただ、センターとしましては、このような状況を放置することなく、診療実績を見える化するなどして皆さんで共有するという取組を進めておりまして、これにより職員全員の経営改革への意識というものが着実に高まってきていると感じています。
理事長をはじめ、職員の方々は日々診療に当たるとともに経営改善に向けた努力をされておられますので、監事としましては引き続き緊張感を持って注視してまいりたいと考えております。
以上でございます。
○土岐部会長 ただいまの監事の御発言にコメント、御質問等はございますでしょうか。
それでは、引き続きまして、法人の理事長より日々のマネジメントを踏まえ、現在の法人の業務運営の状況や今後の課題、改善方針等についてコメントをお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
○国立長寿医療研究センター荒井理事長 理事長の荒井でございます。
本日は、大変長時間にわたりまして様々な御指導をいただきまして、誠にありがとうございます。様々な御意見、御指導をいただきましたので、それを真摯に捉えまして、業務改善に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
今日いろいろなお答えをさせていただきましたけれども、まだまだ我々のような診療機関を取り巻く環境は非常に厳しいものがあると考えております。その中で人材の雇用をどのような形で厳格に管理していくかということは非常に大きな課題ではありますけれども、やはり医師については医師を雇用することによる収益といったものも十分に期待できるわけでありますので、その辺りをしっかりと見極めながら、かといって収益性の低い診療科をストップということもナショナルセンターの病院としては難しいということもありますので、いかにその辺りをバランスよく運営していくかということは我々にとって非常に大きな課題であると考えております。
研究所におきましても、限られた予算の中で研究レベルをいかに低下させないようにするかが課題となります。その中で人の雇用につきましても、誰かが辞めた場合、すぐに補充するのではなく、しばらく期間を置いてから雇用するようにはしておりますけれども、少なくともそういった形で費用をできるだけ抑えつつも、研究を行う上ではスピードが遅れないようにしていきたいと考えておりますので、センター全体一丸となって取り組んでいきたいと考えております。
我々センターは国内におきまして様々な研究活動や診療活動をしておりますけれども、特にアジアの国々からかなり期待の目を持って見ていただいておりまして、今年、台湾でNational Center for Geriatrics and Welfare Researchという新しい我々のようなセンターも立ち上がりましたけれども、そこの立ち上げに関しましても我々のセンターとの間でMOUを結びつつ、多くのアドバイスもさせていただいたと思っておりますし、韓国におきましてもKNIAという形でNIAの韓国版をつくりたいという御意向がありまして、それに関する様々なアドバイスをさせていただいたり、シンポジウムをさせていただくということで、アジアにおいて老年医学・老年学をいかに発展させるかといったことについても我々のセンターとしてはしっかりと取り組んでいかなければいけないと思っておりますし、私自身が国際老年病協会のアジア・オセアニア地区の会長をこの4年間仰せつかっているということもありますので、アジア・オセアニア地域の老年医学・老年学の発展にもコミットしなければいけないということも考えております。
そういったことも含めて、当センターのビジビリティーをさらに上げるべく、そして、経営の改善につきましても、借金がこれ以上増えるようなことがないように、あるいはキャッシュが枯渇することがないように全力で取り組んでまいりたいと思いますので、国からの御支援に期待しているところであります。
今日はどうもありがとうございました。
○土岐部会長 ありがとうございました。
ただいまの理事長の御発言に御質問等はございますでしょうか。
ないようですので、以上で国立研究開発法人国立長寿医療研究センターの令和7年度業務実績評価及び中長期目標期間「見込評価」についての審議を終了いたします。長い間どうもありがとうございました。
それでは、休憩ですね。
○高屋企画調整官 ここで15分ほど休憩を取ります。次の国立がん研究センターについては午後2時35分からの開始となります。よろしくお願いいたします。
(休憩)
○土岐部会長 それでは、引き続き議事のほうを再開させていただきます。
後半は国立がん研究センター[A2] の「令和7年度業務実績評価」及び「中長期目標期間見込評価」についての審議を行いたいと思います。
それでは、早速ではございますが、まずは法人の理事長から一言お言葉を頂戴したいと思います。よろしくお願いします。
○国立がん研究センター間野理事長 国立研究開発法人国立がん研究センターの理事長の間野博行でございます。今日はよろしくお願いいたします。
当センターは1962年に日本最初のナショナルセンターとして設立されまして、以来、日本及び世界のがん研究、がん医療を牽引してまいりました。研究と医療だけではなくて人材育成にも力を入れておりまして、今、例えば日本のアカデミア、大学で腫瘍内科の講座はたくさんありますけれども、そこの教授の多くの方は我がセンターで研さんを積まれた方です。
私が去年の4月に理事長を拝命しまして、そこでみんなに言ったことは、ワンセンターで世界を目指すというスローガンでした。当センターは中央病院とか東病院とか計6個の部門からなりますけれども、その6部門が一致団結して、世界のがんの創薬のエコシステムの中に自ら入っていって、日本から情報発信するとともに、世界の新しいがんの薬や診断機器を一刻も早く日本のがん患者に届けて実装するということを目指していきたいと思っております。そうすることが、今、ちまたで言われていますドラッグ・ロスの克服にもつながると考えて、このような活動を行っております。
今日は令和7年度と中長期計画の御評価をいただきますけれども、忌憚のない御助言、御示唆を賜れれば幸いでございます。今日はよろしくお願いします。
○土岐部会長 ありがとうございました。
それでは、まずは研究開発の成果の最大化に関する事項、評価項目1-1及び1-2について議論をしたいと思います。
JHについては後ほどまた別途時間を設けますので、JHを除いた部分につきまして、まずは法人から説明をよろしくお願いしたいと思います。
○国立がん研究センター間野理事長 よろしくお願いします。今、私が研究所長を兼任しておりますので、項目1-1と1-2は間野のほうから説明させていただきます。
では、資料2-2の6ページを御覧ください。
6ページ、1-1、担当領域の特性を踏まえた戦略的かつ重点的な研究・開発の推進で、自己評価をSとさせていただきました。
以下、時間の関係から項目を絞って簡単に御説明申し上げます。
ページをめくっていただいて、8ページを御覧ください。
左から1 がんの本体解明に関する研究で①日本人大腸がん患者さんの5割に特徴的な腸内細菌による発がん要因発見であります。これは当センターの研究所の柴田博士らを中心とした国際的なコンソーシアムが大腸がん1,000例にも及ぶ全ゲノム解析を世界規模で行ったものであります。その中で、興味深いことに日本人の大腸がんに固有の遺伝子変異パターンが見つかりました。遺伝子変異パターンというのはAがTになったり、GがCになったりする変異の種類のことですけれども、日本人に固有の変異パターンが約5割に見つかって、しかも、その原因が大腸の中に存在する腸内細菌に起因すると予想されることが明らかになりました。専門的な名前でPKSという酵素を産生する腸内細菌がいると周りの細胞にゲノム変異を起こすのです。その特徴的なパターンが日本人の大腸がんに多く、しかも若い人の大腸がん、若年発症のがんに多いことが明らかになりました。これなども将来的に新しい発がん、大腸がんの予防法につながる研究成果ではないかと考えます。これは科学誌『Nature』誌に出版されました。
次に右側を御覧ください。②免疫チェックポイント阻害薬の有効性を促進する新たな腸内細菌を同定であります。オプジーボのような免疫チェックポイント阻害薬はいろいろながんの治療に承認されて使われていますけれども、必ずしも全ての人に効くわけではないのです。そこで、有効だった患者さんと無効だった患者さんの腸の細菌を次世代シークエンサーによって網羅的に解析しました。そうすると、興味深いことに有効だった患者さんに特異的に全くこれまで知られていなかった腸内細菌が存在することが明らかになりました。それを彼らはYB328と名づけたのですけれども、そのYB328がどうやってチェックポイント阻害薬の有効性を増強するかも彼らは明らかにすることが成功しまして、YB328がいると腸の中に存在する免疫のトリガーというか司令細胞である樹状細胞が活性化されて、こんどはその活性化された樹状細胞が血流を通ってがんのところに行って、腫瘍局所の免疫細胞を活性化して抗腫瘍免疫を発揮することが明らかになりました。これも全く新しい抗腫瘍免疫の増強剤の可能性につながる研究成果ではないかと考えます。これも科学誌の『Nature』誌に出版されました。
めくっていただいて9ページ、左側の③人工透析下の腎臓がんの前がん病変及び発症機構を解明であります。腎機能が悪くなると人工透析にならざるを得ないのですけれども、不思議なことに10年以上人工透析を続けていると、ほとんどの人の両方の腎臓に数万とか数十万という無数の嚢胞、小さな袋なのですけれども、嚢胞ができるのです。しかも、それらの患者さんは腎臓がんの発症率も15倍に上がります。そのメカニズムは分かっていなかったのですけれども、当センター研究所の田中博士らのグループがそれらを細かくゲノム解析すると、実は腎臓の中の近位尿細管という尿が流れる管のたった1個の細胞が増殖に働く遺伝子変異を獲得して、それが増殖して嚢胞をつくることを明らかにしました。つまり、嚢胞は尿が詰まって袋みたいに膨れるのではなくて、腫瘍性に壁の細胞が増殖して嚢胞をつくるのです。それぞれ異なる嚢胞は異なる遺伝子変異を持っているので、言い換えると、長期で透析をしている患者さんは両方の腎臓に何万個、何十万個という独立した良性の腫瘍が存在しているということになります。このことが将来的にはより大きなコホートで検証されれば、透析を長くする場合には腎臓を取ったほうがいいとかという臨床ガイドラインの変更にもつながる重要な発見ではなかったかと思います。この研究成果は『Cancer Discovery』誌で出版されました。
ページを11ページまで進めていただいて、11ページ、左側で3番、希少がんや難治がんなどに対する新しい標準治療などを目指した研究で、①治験の機会が限られていた希少がん患者に治験を通してより多くの新薬を届ける「MASTER KEYプロジェクト」に連動する企業治験・医師主導治験を実施であります。希少がんというのは10万人当たり6例以下という発症数が少ないがんのことを言いますけれども、実は日本で希少がん全体を集めると15%から全体の20%と非常にたくさんの方が希少がんにかかっていることが分かっています。そのような方々はなかなかこれまでがんの薬が届かない状況が続いていました。そこで、我々はオールジャパンで希少がんを集めたデータベースというか、がんのゲノム変異なども取得した大きなレジストリをつくって、そこに次々と治験を誘導するという活動を行っています。
下のほうに書いてありますが、現在まで4,900例という希少がんにしては世界最大規模の患者さんのデータベースができていて、それを使って現在44種類の治験が走っていて、既に薬事承認が4件取得されています。こうして希少ながんであっても、患者さんに新しい薬を届けるという活動が我々の大きなコホートによって成功していると言えます。
ページを少しめくっていただいて、15ページを御覧ください。
15ページ、5番で患者さんに優しい新規医療技術開発に関する研究で、①Jmeesと国立がん研究センター東病院が共同開発した「内視鏡手術支援プログラムSurVis-Pel」が薬事承認を取得であります。もともと当センター東病院では、外科手術をする際に画像補助AIというのを開発していました。それが成功したので、そこからスピンオフしてJmeesというがんセンター発ベンチャーをつくりました。その後、がんセンター発ベンチャーと東病院が共同研究を実施して、そのAIプログラムの臨床性能試験を行って有用性が証明され、2025年の12月に薬事承認されました。
一番下の画像を見ていただくと分かるのですけれども、これは内視鏡による手術ですが、右側の青色に見える管が尿管です。そういう尿管とか神経あるいは動脈、静脈といった外科手術で間違えて切ってはいけないところをちゃんと描出してくれて外科手術を支援するようなAIプログラムが薬事承認を取得したことになります。こうして我々のシーズをNCC発ベンチャーとしてサポートすることで、実際の承認、医療実装まで行っております。
ページを次に移っていただいて、16ページを御覧ください。
これは当センターの論文数と被引用数の推移であります。総論文数は右上にありますように2025年は1,276と非常にたくさんの論文が作られました。
我々が特に重要だと考えているのは右下の高被引用論文数のグラフです。一般に論文の質の評価として用いられるのは、ほかの論文からどれぐらい引用されたか、被引用数というのがその論文のクオリティーを示すことになるとされています。全論文の中で特に上位1%に入るような極めて高い被引用数を誇る論文のことを高被引用論文、Highly Cited Papersといいます。その数が10年ぐらい前は東大、京大が上だったのですけれども、ここ6年ぐらいはそこでお分かりになるように絶対数は我々が常に日本一を維持しています。これはがん専門の領域ではなくて、医療全体で選ばれた数が我々のような小さなセンターが総合大学に比べてずっと高い数で1位を維持しているということからも、我々の研究力が優れていることがお分かりいただけるかと思います。
次のページ以降はJHの業績ですので、後にJHの本部長の青木先生から紹介をいただきます。
それでは、22ページを御覧ください。
今度は評価項目1-2で実用化を目指した研究・開発の推進及び基盤整備で、こちらも自己評価はSをつけさせていただきました。
24ページを御覧ください。
24ページ、左側です。1番、がんゲノム医療の基盤整備で①がんゲノム情報管理センター(C-CAT)の体制整備であります。日本では御存じのように2019年からがん遺伝子パネル検査が保険収載されて、皆保険の下でがんゲノム医療がスタートしました。そこで、パネル検査を受けた患者さんのゲノム情報と臨床情報が集約されるデータセンターがC-CATであります。C-CATでは集まってデータに患者さん一人一人のゲノム変異に応じた臨床試験をリストしたようなC-CAT調査結果というのを作成して、各病院にそれぞれお返ししています。
一方、C-CATで集まったデータは公平・公正、科学的な形で多くの方に利用いただいています。大学の研究者やあるいは企業の方にたくさん使っていていただいています。
そのページの下の図にあるように、データの収集は順調に推移して、今年の3月時点で約13万例のデータが集まっています。しかも、右側の図にありますように非常にたくさんの施設でそのデータが使われていて、166の課題で使われていて、しかも、重要なことはその中に21の企業が含まれています。企業の方はこのデータを新しい薬剤の開発に利用したり、あるいは臨床試験のデザインに使ったり、さらには薬事承認の申請にそのデータを使ったりして、日本のがんゲノム医療は極めて順調に進歩していると言えます。
次の25ページを御覧ください。
左側の2番、バイオバンク、データベース、コア・ファシリティーの充実で、患者情報を負担したJ-PDXライブラリー作製・利用体制の促進であります。
これまで抗がん剤の効き方、薬効の評価には培養皿で継代する細胞株というのが一般に使われていたのですけれども、細胞株の有効性というのは実際の患者さんの有効性とほとんど一致しなくて、その精度は5%と言われています。
ところが、患者さんのがん組織を生きたまま取り出してネズミの背中に植えて継代するPatient-Derived Xenograft、PDXというのですけれども、そのPDXでは有効性の予測が5割から8割と極めて高い精度で予測することができます。しかし、PDXを作るのは費用も時間もかかるのですけれども、我々は日本に薬を導入するために大きいPDXのライブラリーをつくろうと思いました。これまでに2,466例の患者さんのサンプルをネズミに植えて、既に800株近いPDXが樹立されています。しかも、これらのPDXは全て当センターの患者さんですので、電子カルテの情報が解析に利用できます。そういうPDXは世界にありません。
PDXが400を超えたぐらいから、いろいろな企業が未発表の抗がん剤を用いて薬効評価を我々に依頼してくるようになり、既に成功して論文化したものについては、第Ⅰ相臨床試験を我々のセンターで行うという形になっていますので、これも日本に薬を導入して日本の患者さんに早期に薬を届ける非常に大きなドライビングフォースになると我々は考えています。
次の26ページを御覧ください。
左側、4番、産官学の連携・ネットワークの構築で①臨床導出を目指した放射性医薬品(RI医薬品)の国内開発であります。放射性医薬品(RI医薬品)は近年の抗がん剤治療の中でますます大きな役割を持っています。国内で核種の創出から薬への包埋、それから、前臨床試験、性能試験、治験、承認、販売という最初から最後までの体制を国内で完結するということを目指したいというのが今の国の施策になっています。我々はそれに応えるべく、JAEAとか理研あるいは量子科学技術研究開発機構(QST)と連携してRI医薬品の開発に注力しています。既に実際に我々のところで作った薬でFIHに進んだものもありますので、国内のRI医薬品の開発体制の構築に大きな役割を果たしていると思っています。
それでは、2ページ進んでいただいて28ページを御覧ください。
左側、国際連携・国際貢献で①国際機関プロジェクトへの参画と協力です。これは最初に申し上げたとおり、国際的なプレゼンスの向上・連携というのは今の我々の非常に大きなテーマです。それに沿うように、やっと成果が出始めたのですけれども、例えばこの図の下にある写真、だるまを持っていますが、これはG7という政治的な枠組みがありますけれども、その下にあるG7 Cancerという活動のプレジデントが今年の6月から私が務めることになり、議長国が日本になりました。これからはこのG7 Cancerを我々が主導して国際連携を進めてまいりたいと思っています。
その下の写真はC8 Consortiumといって、世界の優れたがん研究機関、特にトランスレーションリサーチが優れた研究機関が8つ選ばれて連携してがん研究を進めていくという枠組みです。これも我々NCCはアジアから唯一選ばれて、世界のがん研究を牽引してまいっています。
次のページをめくっていただいて、29ページを御覧ください。
左側、②アジア主導の開発へ向けたネットワーク構築と新薬開発であります。東南アジア、東アジアは人口の増加が著しく、恐らく近い将来には世界の医薬品の非常に大きなマーケットになると期待されます。そのようなところで日本が主導してリーダーシップの下で大きなバーチャルな医療プラットフォームをつくって、薬をそこで開発し、また、がんゲノム医療を導入していくというのは日本という国にとっても極めて大事なプロジェクトと考えています。それを我々はATLAS Projectと名づけて、タイのバンコクにオフィスをつくってこの新しいプロジェクトを進めています。そこの図にあるようにたくさんの国が参加してくれていて、多くの治験が走っています。
右側の③を御覧ください。先進医療と治験の実施です。これらの活動の結果、企業治験の件数も国際共同治験の件数も順調に右肩上がりに伸びておりまして、企業治験の件数は1年あたり1,000件というこれまでにない数の治験が我がセンターを中心に走っております。
それでは、令和7年度の成果は以上にしまして、ごく短くですけれども、第3期の中長期計画の成果についても簡単に御紹介したいと思います。資料2-6を御覧ください。
6ページになります。評価項目1-1で、ここも自己評価をSとさせていただきました。
①で全ゲノム解析によってスキルス胃がんの治療標的を同定であります。スキルス胃がんは御存じのように日本で特に若い女性に多い予後不良のがんでして、有効な分子標的療法もほとんど存在しません。我々は腹水を起こしたスキルス胃がんの患者さんの腹水からがん細胞を純化して、それを全ゲノム解析することで、図にありますEML4-ALKとかMETとかFGFR2といった複数の治療標的を同定して、これらの患者さんに対する薬の開発につなげています。
それでは、ページをめくっていただいて11ページを御覧ください。
11ページの右側です。②国内初の造血器腫瘍遺伝子パネル検査「ヘムサイト」の製造販売承認取得であります。先ほど申し上げましたように、がん遺伝子パネル検査はこれまで6種類が承認されているのですけれども、去年までは全て固形腫瘍に対するパネル検査で、造血器の悪性腫瘍、例えば白血病とか悪性リンパ腫といった造血器のパネル検査は存在しませんでした。そこで、当センターの研究所の片岡博士らが中心となって、日本中の大学や、さらに日本血液学会と連動して、オールジャパンの日本発の血液の遺伝子パネル検査の開発に乗り出しました。それをやがて大塚製薬が引き継いでくださり、ヘムサイトという商品名で去年の3月に製造販売承認されて、今、既に広く日本で患者さんがこのパネル検査を受け、ゲノム医療を享受することができております。
それでは、次に評価項目1-2に移ります。22ページを御覧ください。
これが説明するページの最後になるのですけれども、評価項目1-2に関して、左側、②SCRUM-Japanにおける第四期の取組であります。先ほどMASTER KEYというプロジェクトで希少がんに対する大きな患者さんのレジストリを御紹介したのですけれども、今度は一般の固形腫瘍の非常に大きなレジストリで、それをSCRUM-Japanと名づけて大規模な活動を行っております。これはがんセンター東病院が中心となった活動で、固形腫瘍の組織パネル検査をした患者さんが3万例、それから、リキッドバイオプシーを受ける患者さんが1万例という非常に大規模な世界的なレベルでの患者さんのレジストリができています。これを用いて非常に多くの治験が走っていまして、これまでに20個の新薬・27種類の適応が承認されています。また遺伝子診断薬も16種類が承認され、非常に重要な成果を上げていると思います。これまで御紹介したものと合わせると、恐らく30品目を超えるような薬剤の承認に我々が中心的な働きをしていると思います。がんの領域に限らず、日本でこれだけの数の薬事承認をしている組織というのは多分ないのではないかと考えています。
最後に右側を御覧ください。③4者連携での新しいDCT実施体制による、がんに対する第Ⅰ相臨床試験を開始であります。DCTというのはDecentralized Clinical Trial、遠隔地の臨床試験、治験のことを言います。患者さんが必ずしもがんセンターに来ていただかなくても、お住まいのそばの病院を使って臨床試験を行うという体制をつくることは、これからの日本を考えた場合に極めて重要ですし、それは臨床試験に限らず、遠隔診療にもその技術が使えるということになります。これは単に病院側の希望だけではなくて、医療情報をセキュアに共有するIT基盤をつくる必要があります。今回は中外製薬とIT企業と我々病院が加わることによって、DCT、遠隔治験を進める体制をパイロットスタディー的に始めています。これなども日本におけるこれからの診療、治験の在り方を構築するという重要な試みと考えています。
この項目に関しても、自己評価はSとさせていただきました。
私からの説明は時間もいっぱいになりましたので以上です。ありがとうございました。
○土岐部会長 非常に多くの領域にわたりまして御説明をありがとうございました。
委員の先生方から御質問をお受けしたいと思いますが、まず私から。若年の大腸がんの大変インパクトのある研究なのですが、これは実際に毒素が便中に同定されているような方ですね。それと、菌が同定されないとかということと、それから、なぜ若年だけなのか、その3点についてもし分かりましたら教えていただけますでしょうか。
○国立がん研究センター間野理事長 細菌もほとんど便中には存在していないのですが、ヒットエンドランというか、恐らく若年の生活環境の中にその菌を誘導するような環境があるのではないかと思います。たとえば、すごく甘いものを子供のときに大量に飲むとか、そういう何らかの生活環境がPKSを持っている腸内細菌を住みやすくするような環境をつくって、やがて大人になるとそれがなくなっているという可能性も十分にあると思います。それはこれから実際に若年の方の便を調べたりすることを大規模にやることで明らかになると思います。
○土岐部会長 大変興味深い研究ですので、引き続きよろしくお願いいたします。
ほかに委員の先生方から御質問等あればと思いますが、いかがでしょうか。
皆さん遠慮されているみたいですけれども、それでは私からもう一点。遺伝子パネル検査は本当にすばらしいと思うのですけれども、今度はがんの拠点病院のほうにどんどん増えていくことになりまして、令和11年から拠点病院が全部ゲノム連携になるということなのですけれども、これは国の費用のこともあるのですけれども、効率よくできるように、例えばエキスパートパネルとか保険の点数の費用とか、もっと国民にだーっと一遍に広がるのには例えば今後どういう工夫をがんセンターのほうで考えていただけるのか。今のまま行くと結構とんでもない、一千億単位のお金が関わる話になってしまいますので、これはこのままいっていいのですかねというのは先生に聞くのかどうかよく分かりませんけれども、いかがでしょうか。
○国立がん研究センター間野理事長 例えばエキスパートパネルが重要な役割を担うのは、患者さんが治験に入る場合と遺伝カウンセリングが必要になる場合が大きな2つの理由ではないかと思います。ですので、現場の負担を考えますと、そうではないような患者さんに関しては少し簡素化するとか、そういうテクニカルなことはC-CATも連動して対最適化することによってできると思います。パネル検査をもう少し早い段階から受ける可能性もあるのですけれども、実際に当センターの中央病院を中心として早期パネル検査の前向きの試験を行っていますので、そこでまた有用性が確認されれば将来的には実現するのではないかと思います。
○土岐部会長 よろしくお願いいたします。
前村委員、どうぞ。
○前村委員 長崎大学の前村でございます。
2つ質問があるのですけれども、一つは先ほどの腸内細菌のことでほぼ同じような質問になるのですけれども、先ほど間野先生から腸内細菌叢がどうやってコリバクチン毒素をつくるようになるかはまだ解明中だということだったのですが、それと類似してYB328株をつくるような腸内細菌叢をつくるような腸内環境というのがどのようなものかというのがある程度分かっているのかというのと、YB328が免疫チェックポイント阻害薬の効果に関連するということで、免疫チェックポイント阻害薬を使う際にこのような腸内細菌を見るような試みも行われているというのかというのが一つであります。
もう一つ、年度報告の24ページで、がんパネルの後にエキスパートパネルが行われると思うのですけれども、それを省略する方向に行っているというのは、エキスパートパネルを開催するのがかなり負担になるのだとは思うのですけれども、逆にC-CATの成果で必ずしもエキスパートパネルを開かなくてもC-CATの結果を見ることによって解釈ができるようになったということと考えていいでしょうか。
○国立がん研究センター間野理事長 ありがとうございます。
YB328に関してはまだ腸内細菌が見つかったばかりなので、大きな進展はまだないのですけれども、YB328という腸内細菌は意外とたくさんのヒトの中いるのです。たしか日本人の15%程度が保持していたのではないかと思います。それが食生活によるのか、もしくは遺伝的な、あるいは経口でお母さんから移ったとか、そういった解析はこれからです。
YB328がどうやって、樹状細胞が活性化するのは分かるのですけれども、そのためにはYB328が生きていないと駄目なのか、分泌するもので十分なのか、それともYB328の細胞壁みたいなものが実際に必要なのかというのは現在解析しているところです。
それから、パネル検査でエキスパートパネルに関して、C-CATの調査結果で、例えばさっき私が申し上げた臨床試験が合うものがあるとか、遺伝カウンセリングが必要ではないかということがC-CATの調査結果で目立つ形で出るというように現在C-CATの調査結果は変わっていると思います。ですから、エキスパートパネルの簡略化にも役立っていると思います。
C-CATのエキスパートパネルを含めた全体のシステムは、日本に初めてがんゲノム医療が導入されて、それが安全に広がっていくためにある程度きちんとした体制を構築するというのが最初の方針でしたけれども、これだけがんゲノム医療が多くの方に広がって、みんな慣れてくると、やはり少し簡略化する方向に行けるのではないかと思いますし、それはやはり拠点の数が多くなることに対しては必要なことだと考えています。
以上です。
○前村委員 ありがとうございました。
○土岐部会長 ほかはいかがでしょうか。
田極委員、どうぞ。
○田極委員 御説明ありがとうございました。田極です。
私から、年度評価のほうの11ページ、項目1-1の希少がんや難治がんなどに対する新しい標準治療などを目指した研究について非常に関心を持っていまして、興味深く拝見したのですが、希少がんと言われたときに、患者の立場からするとかなり絶望的というか暗い気持ちになる中で、こういった地道なデータ登録から始まって、いろいろと研究基盤をつくっていただいて、実際に薬事承認までつないでいっていただいているというところについては本当にすばらしい成果だと思います。
また、25ページのところでも同じくバイオバンクですとかデータベース、電子カルテも使ってということで、研究基盤、そして、実用につなげられるデータベースを整備されているということについては非常に大事な取組で、これからもぜひ頑張っていただきたいなと思います。
私からは感想になりますが、以上です。
○国立がん研究センター間野理事長 ありがとうございました。
○土岐部会長 ありがとうございます。
ほかはよろしいですか。
もう一点よろしいですか。私ばかりすみません。22ページの年度評価のところに指標がたくさんあって、全て100%超え、200%超えみたいなのが多いのですけれども、3つほど100に行っていないものがありまして、一つが先進医療、医師主導です。この辺りが少ないと、皆さんが見るとなかなか創薬が進んでいないのかなという印象を持たれるではないかということがございました。ここの辺りはいかがなのですか。
○国立がん研究センター間野理事長 企業治験はダイレクトに薬の承認までつながりますので、その数を増やすということはすごく大きな目標です。医師主導治験の場合にはどうしても費用の問題もありますし、その数がなかなか増えない。それから、先進に関しても同じことで、やはり我々としては一番大事なことは企業治験をしてちゃんとしたスケールで薬あるいは機器の有効性を証明して、医薬品としての保険承認に持っていくというところが一番大きなテーマだと考えています。
○土岐部会長 いわゆるがんセンター自身のシーズとか、国内のシーズも早く企業に導出するとか、ベンチャーを立ち上げるとかして、企業治験という形がしたほうが早いのではないかということで。
○国立がん研究センター間野理事長 もちろん医師主導治験をやったり、それから、センター発ベンチャーという枠組みを使ってベンチャー化をサポートしたり、あるいは後で出るかもしれませんけれども、センターの中に橋渡し研究推進センターCPOTというものをつくって、センターの内部、それから、センター外部のシーズを承認まで持っていくことを手伝っている組織もあります。ですので、それはそれですごく熱心にやっているのですけれども、メインストリームは企業治験で薬を承認させるということが一番重要ではないかと思っています。
○土岐部会長 ありがとうございます。
よろしいですか。
それでは、研究開発の成果の最大化に関する事項の1-1、1-2は以上とさせていただきます。
続きまして、JHについてです。これも先ほどと同様の流れで法人のほうから御説明をまずいただきたいと思います。よろしくお願いします。
○国立がん研究センター青木副研究所長 JH本部長の青木です。本年の4月からJHの本部長を拝命いたしております。どうぞよろしくお願いします。
それでは、お手元の資料2-2の17ページを御覧ください。
これはJHの組織を示しておりますが、JHは2020年の4月に6NCの内部組織として発足いたしました。現在NC・JIHSの内部職員がクロスアポイントとして38名参画して、JHの運営を行っております。事務局の設置場所は国立健康危機管理機構内にあります。
ミッションは、NCが世界最高水準の研究開発・医療を目指して新たなイノベーションを創出することと、それに基づいて革新的な医療技術の開発・実装を促進するということです。
JHの事業の進め方といたしましては、JH事業計画に基づき、このスライドの右下に記載のあるNC・JIHS理事長会議の指導の下にJHの運営を行っております。JHには5つの課と、今年の3月まで全ゲノム解析等事業実施準備室がございました。
次のページに行っていただきまして、JHの事業計画には①、②、③とあり、①は新たなニーズに対応した研究開発機能を支援・強化することです。これに関しまして、一番目としては、令和3年度から構築しているNC・JIHS統合電子カルテデータベース(6NC-EHRs)ですが、ここに現在は105万症例以上の電子カルテデータが集積されています。これまでにこのデータを活用した医学研究が9課題支援されました。
2番目といたしましては、横断的研究推進費課題の中の一つの成果として、これはNCCの成果でありますが、T細胞性急性リンパ系白血病のゲノム解析によって新規サブタイプが同定されたといったことがございます。
3番目としては、NCの研究基盤を強化するために、セントラルラボ機能として空間的トランスクリプトームの解析を行うという解析技術基盤を構築しております。これによって、各NCからNCCの関根先生のところに検体を送ってもらって、空間的トランスクリプトーム解析を行って、そのデータを返すということを行っております。
研究支援人材の育成に関しましては、若手生物統計家NC連携育成事業におきまして、特に生物統計家の育成を引き続き行っております。
それから、NC・JIHS共通教育プラットフォーム事業におきましては、各NCの教育・研修コンテンツの配信支援を行っており、昨年度はバイオインフォマティシャン養成講座を配信しました。
②は効果的な研究開発が期待される領域ということですが、横断的研究推進費課題におきましては14課題の進捗支援、外部評価を行い、令和8年度の課題として5課題を採択いたしました。
また、JHは若手研究の助成ということも行っており、24課題の進捗管理、評価を行ったということと、令和8年度課題として13課題を採択しました。
それから、3番目に書いてありますのは、JHの中に設置されておりました全ゲノム解析等事業実施準備室において検討が進みまして、令和8年3月30日に国立がん研究センター内に日本ゲノム医療推進機構が発足いたしました。
③に関しまして、知財・法務においては、各NCの知財・法務関係の方々が情報共有を行っています。また、医療情報の取扱いに関する映像資料も昨年は作成しております。
JHが支援する課題などに関しましてはホームページで発信しており、月当たり7,000ビュー以上を目標としていますが、それはクリアしている状況です。また、JHリトリートを開催して、NC・JIHS間の研究者・医療者の交流を促進しております。
次に、具体的な令和7年度の成果について説明いたします。
まず①ですが、これは先ほど申しましたように6NC-EHRsの拡充を図っているということでして、100万症例以上の電子カルテ情報が集まっており、今年の3月にそれを記念したシンポジウムを開催しました。
このスライドの右下にある6NC-EHRsショーケースは、統計データですが、どのようなデータがあるか分かりやすく示しており、6NC-EHRsの広報に努めています。
右側の②は人材育成関係ですが、共通教育プラットフォーム事業として、2025年度までに206コンテンツのe-learningを配信しております。
また、若手生物統計家育成事業におきましては、これまでどおり若手生物統計家の育成を行っており、実務試験統計家資格を取得した若手がさらに上の資格を取得すべく研修を続けているといます。
次に20ページに行っていただきまして、③はNCCの成果でもございますが、横断的研究推進費課題の中の横山班は、血液がんとクローン性造血関連の心血管疾患の病態解明と治療法開発の研究をしております。この横山班の班員の吉田先生がT細胞性急性リンパ性白血病のゲノム解析によって新規サブタイプを同定し、それが国際学術誌『Blood』に掲載されたというものでございます。
④は、NC・JIHSリトリートに関して、2025年度はNCCにおきまして「ゲノム解析が切り拓く新たな医療の展開」をテーマに開催しました。310名が現地に参加して、145演題のポスター発表が行われております。この写真にありますように、優秀演題に対しては理事長賞あるいはJH本部長賞を授与いたしまして、若手の研究のモチベーションを上げるといったことに取り組んでおります。
次のスライド21ページに行っていただきまして、⑤は知財・法務課の取組でありますが、知財・法務課におきましては、各NCの知財・法務関係者、それから、JHの知財・法務課がそれぞれ定期的にカウンターパート会議を開催しております。ここで、各NCで知財・法務的に何か困っているところ、課題があった場合には、それぞれ情報を持ち寄ったり解決案などを持ち寄って解決を図っており、大変有用であるということです。
令和7年度は、具体的には、職務発明等に対する補償金の支払いに関する対応、アカデミア等の共願案件を放棄した場合の相手方機関での発明者補償、NC・JIHSにおける認定ベンチャーの取組、そのようなことに対する情報を共有しました。
⑧は、先ほど申しましたように、JHの中に準備室があり、この準備室は2023年3月に設置されましたが、そこでの検討が進みまして、体制整備、人材確保が行われ、今年の3月30日に国立がん研究センター内に厚生労働省の委託事業として日本ゲノム医療推進機構が発足したというものです。ここではゲノム情報と臨床情報を集積した情報基盤を構築し、それを患者還元あるいはデータ利活用に結びつけることを推進しています。
引き続き、資料2-6で中長期目標期間の「見込評価」について御説明させていただきます。
14ページですが、これはJHの概要ということで、先ほど説明したとおりでございます。
その後は、2021年度から2026年度までの具体的な成果を示しています。
15ページの①は先ほどの6NC-EHRsのことです。
②に関しましては横断的研究推進費課題で支援したものでありますが、日本小児がん研究グループ(JCCG)との共同研究で全国規模の多施設共同臨床研究を実施しまして、小児がんに対するゲノムプロファイリング検査の有用性を検討したものです。その結果、204例中147例(72%)で臨床的に有用な所見が検出されたということで、小児がんに対するゲノムプロファイル検査が有用であるということが確認された大きな成果となっております。
スライドは次に行っていただきまして15ページ、左側の③ですが、これはコロナ禍のときですが、新型コロナウイルスのパンデミックが始まったときにいち早くNCと企業が連携して、新たな抗体測定キットを開発しました。そして、実際にその抗体測定キットを用いてナショナルセンターの職員の血液中の抗体価を測り、臨床疫学的な検討を行ったというものです。その結果、2023年の調査で、NCGM、現在はJIHSですが、そこの半数以上にコロナの診断歴があるといったことや、コロナ罹患歴がある職員のうち、4人に1人が後遺症を経験しているといったことが分かりました。また、喫煙、飲酒、肥満がありますと、抗体価が低下するというような新たな知見も得られました。
④は6NCが連携してナショナルデータベース(NDB)の研究基盤を構築、それによって重点疾患の研究を進めたというものです。例えば糖尿薬のDPP4阻害剤であるシタグリプチン、これが日本で一番使われているらしいのですが、この製造の過程でニトロサミンが混入するということが報告されました。ニトロサミンは発がん物質でもありますので、実際に本当にがんの発生が増えたのかどうかということをNDBのデータで検討したところ、がんの発生は全く増えていなかったということでした。現在もシタグリプチンは製造過程を見直してニトロサミンの混入がない形で販売が進められているとのことです。
続きまして17ページですが、⑤はセントラルラボ機能を示したものです。各NCの研究基盤を強化するといった目的でセントラルラボ機能を担っております。ここでは空間的トランスクリプトーム解析を行いまして、実際に2025年度の研究成果として膵がんや大腸がんに対するこのような成果が出ています。
⑥は先ほど説明したところです。
⑦はリトリートのことで、資料18ページになりますけれども、2023年からリトリートを開催しておりまして、2023年は日本医学会総会と併設して、2024年はJIHSにおいて、2025年はNCCにおいてそれぞれリトリートを開催しております。
それから、⑧は先ほど申しましたように、準備室での検討によって、日本ゲノム医療推進機構(GeMJ)と呼んでおりますが、それが発足したことを示しております。
説明としては以上です。
○土岐部会長 ありがとうございました。
補足でございますけれども、JHにつきましては各ナショナルセンター共通の事項となっております。
それでは、御質問等があればよろしくお願いしたいと思います。
前村委員、どうぞ。
○前村委員 長崎大学の前村でございます。
電子カルテのデータベースは膨大な数のデータが入っていて、非常に貴重だと思うのですけれども、これはJH内で使うだけではなくて、例えば民間の企業とかに有償で使ってもらったり、そういう取組をしているのか、今後する予定があるのかというのはいかがでしょうか。
○国立がん研究センター青木副研究所長 御質問ありがとうございます。
まず、この6NC-EHRsに関しましては現在100万症例以上の電子カルテ情報が集積されておりまして、大変貴重なデータベースだと思っております。今までのところ、データのクレンジングに非常に手間がかかってきており、ようやく使えるような状況になってきました。現時点では6NCの職員が使える形にはなっております。今後、おっしゃるようにこの6NC-EHRsのデータの利活用をどのように広めていくかということが非常に重要な取組になると思っております。
現時点で同意の問題でまだ6NCの中でしか使えないのですが、NCにおいては次世代基盤法の趣旨にのっとって、全てのNCではないのですが、丁寧な同意ということを始めているところもございます。同意の問題などを解決しながら、これをいかに6NCの外に、特に企業などに使っていただくかということは次の課題になるということを認識いたしております。
また、この6NC-EHRsは今のところ匿名化した情報が集まってきているのですが、これに例えばバイオバンクのデータとか情報が組み合わさると、さらに有用なものになるかと思っておりますので、JHといたしましてもそのような取組を続けてまいりたいと思っております。
○前村委員 ぜひ期待しております。
○土岐部会長 ありがとうございます。
成川委員、どうぞ。
○成川委員 北里大学の成川と申します。
今のJHの電子カルテ統合データベースの話の続きなのですけれども、100万例を超えたということで非常に充実した内容になっていると思っています。いろいろな疾患の患者さんがいると思うのですが、こういう特徴を生かした今後の研究としてはどんなようなことを考えていらっしゃるのでしょうか。9課題支援をされていると書いてあったのですけれども、何か例示なり今後の展望なりあったら聞かせていただきたいと思います。
○国立がん研究センター青木副研究所長 現時点では9課題の研究課題を支援しております。それは各NCの各研究者がこういう課題をやりたいのでこの6NC-EHRsデータを使いたいという申請をしていただき、承認後に使っていただいているといった状況です。例えばどんな研究があるかというと、睡眠薬の使用実態状況と疾患の関連に関する研究ですとか、そのような各NCの特徴に応じて、かつNCをまたいだような研究ができるということが特徴になっております。
これまでは各NCの職員でかつJHの若手研究課題や横断的研究推進費課題が取れた方のみが使える状況だったのですが、昨今、外部資金を取ってこの6NC-EHRsのデータを使いたいという申出も増えてまいりましたので、まだ6NCの中だけではありますが、利用の範囲を拡大させていきたいと思っております。
○成川委員 分かりました。ありがとうございました。
○土岐部会長 よろしいでしょうか。
それでは、JHについては以上とさせていただきます。
続きまして、がん研究センターに戻りますが、医療の提供等、その他の事業の質の向上に関する事項、1-3から1-5について議論したいと思います。
まずは、先ほどと同様に法人のほうから説明をよろしくお願いいたします。
○国立がん研究センター瀬戸中央病院長 それでは、1-3、医療の提供に関する事項になります。ここは私、中央病院の瀬戸と東病院の土井のほうから報告させていただきます。
30ページをお願いします。
自己評価はSとさせていただきました。指標の達成状況ですけれども、概ね達成できているものと考えております。その中でも特に緩和ケアチームの関わる症例数と、その下にあります外来化学療法実施数というのが達成度としてはかなり高いものになっております。
その要因といたしましては、31ページをおめくりいただきまして、それぞれその要因については分析しておりますので、御参照いただければと思います。
評定の根拠になりますけれども、大きく3つ考えておりまして、一つは高度・専門的な医療提供ということで、NCCとしては東病院、中央病院一体となって、最近特に注目されている内用療法を含めて、放射線のアイソトープ医薬品の開発を基礎研究から実用化までワンストップで実施しているということでございます。その中で世界に先駆けて導入されたBNCTやあるいは東病院でやっている陽子線等、高精度の放射線治療の提供を行っているということ。
それから、2点目になりますけれども、低侵襲治療の開発・提供ということで、これはIVR(Interventional Radiology)とか、内視鏡、いわゆる腹腔鏡、胸腔鏡を用いた低侵襲で体の負担が少ない治療を積極に行ったと。その一例として食道がんの手術、これは今日部会長を務めていただいている土岐先生に深く関わっていただいている研究でありますけれども、後でまたもう少し説明さしあげたいと思います。
あとは、我々としては希少がん対策、小児がん、AYA世代等に対するがん対策の推進ということで、先ほど理事長からも説明がありましたけれども、やはり希少がんというのは我々としても非常に重要なものと思っておりまして、特になかなか情報にアクセスしにくいとか、あるいは治療法を確立しにくい、あるいは到達しにくいということで、患者申出療養の一環としてパートナー試験というのを行っております。これも後でまた御説明したいと思います。
ページをめくっていただきまして、ここからはしばらく土井先生にお願いします。
○国立がん研究センター土井東病院長 引き続き土井のほうから説明させていただきます。
32ページを御覧ください。
32ページには2つのことが書かれています。一つはアイソトープ医薬品の開発、もう一つは先進的な医療の実施として書かせていただいています。
内容的には、まず中央病院を主体とする世界初の固形、固体型のリチウムターゲットとするBNCT、これは初回承認は既に取っていますが、適用拡大に向けての臨床試験を着実に進めさせていただいています。
もう一つの2ページにわたって書かれているアイソトープ医薬品は、先ほど間野理事長からも御説明があったと思いますが、国内の中でワンストップサービスとしての開発というものがまだ十分に確立されておりません。例えば放射線各アイソトープをつくるサイクルトーンごとに品質の保証が十分されていなかったり、それから、その2つをキャリアと合わせたときのものが動物種でどういうふうに分布してくるか。また、人にどういうふうに分布するかということが十分に分かっていないものを、これは研究所、エポック、両病院とが一体となってワンストップサービスを治験の中で実施しているような状況になっています。
○国立がん研究センター瀬戸中央病院長 それでは、おめくりいただきまして33ページになります。
先ほど少しお話ししましたけれども、胸腔鏡下手術が切除可能な食道がんの新たな標準治療にということで、従来は食道がんの手術の特徴として肋骨の間を大きく切る、いわゆる開胸という手術とお腹を大きく開く開腹という手術と首の切開が加わるという手術と名がつく中で一番侵襲の大きな手術だったのですけれども、それを胸腔鏡で行うことによって予後にどのくらい影響があるかとか、あるいは当然治療後、手術後のQOLがどのように影響を与えるかということで、JCOG(Japan Clinical Oncology Group)という日本最大の臨床研究グループが中心となって行った第Ⅲ相試験であります。
その結果としては、その下にグラフでありますけれども、予後としても遜色ないということと、QOLよりも維持されるということで、『The Lancet Gastroenterology and Hepatology』に掲載されました。
右のほうに行っていただきまして、これは患者申出療養推進ということで、上のほうにありますBELIEVE試験というのは遺伝子パネル検査後の適応外薬をいかに患者さんに届けるかということで、そこにありますように8社から21医薬品を提供していただいて、実施機関は13施設になります。これまで850人の方がこの患者申出療養を使って薬に到達できているということになります。
その下はパートナー試験です。これは先ほど言った小児がんとかということになりますけれども、これも7社から医薬品を提供していただいて、これまで73人の方々がこの患者申出療養を活用していただいているということになります。
おめくりいただきまして、34ページになります。
左側はロボット手術で、実は現在中央病院には4台、東病院には3台のロボット、計7台が入っておりまして、日本でも恐らく有数のロボット手術を行っているということになると思います。令和7年度は合わせまして約1,600件のロボット手術を行っております。
ロボット手術に関しましては、先生方も御承知のように、今年の診療報酬改定でかなりロボット手術に加算がつくとか、いろいろ本当に認められておりまして、普及に向かっているということで、我々としてはその一翼を担っていると自負しております。
その右側は高度専門的な低侵襲治療の実施ということで、基本的には放射線が中心になりますけれども、そこにありますIMRTと言われる強度変調放射線治療であるとか、定位放射線治療であるとか、体腔内の治療であるとか、あるいは東で行っている陽子線治療というのが非常に数多く行われるという数字を示させていただいております。
その下、IVRです。これは画像下、例えば画像を使っていろいろな内視鏡とかを併用して行ういわゆるインターベンショナルな治療なのですけれども、これはそこに書いてありますように中央病院のIVRセンターは日本を代表するIVRセンターでありまして、8,000件を超えるものを行っております。代表的な肺転移に関してラジオ波を使って治療を行っているのがその写真になっております。
めくっていただきまして、土井先生。
○国立がん研究センター土井東病院長 資料の35ページを御覧ください。
左側の上段ですけれども、脂肪幹細胞を用いた形での機能温存の再生医療になります。御存じのように縮小手術、それから、低侵襲手術と言いながら、例えば前立腺の手術を受けますと、しばらくの間いわゆる排尿障害が起こってきます。また、直腸の手術を行った後の排便障害というのは高齢の方々にとってみると非常につらいという状況がありますので、できるだけ機能を早く回復するために患者さんの脂肪幹細胞から取った幹細胞を注入することによって、機能の回復を促進するということを目指しています。同時に、個人の脂肪幹細胞だけを使うのではなくて、アロの細胞を使いながらこういった治療を進めることを現在させていただいています。
下段、いわゆる遺伝子治療、腫瘍融解ウイルスというものになります。ウイルスが腫瘍の中で特異的に増殖することによって腫瘍を破壊するということを目的にしたものです。従来T-VECというお薬が承認されていますけれども、今回OBP-301、オンコリス社のものが承認になっています。これは岡山大学の藤原先生たちが開発されていたのですけれども、実際は医師主導治験のところで承認まで至っていませんでした。御相談がありましたので、臨床試験のところを私たちのほうからアドバイスさせていただいています。特に私たちとしては、食道がん学会のレジストリのデータとの比較という形で承認を取った。恐らく国内の中では初めてだと思いますけれども、そういった形で取らせていただいています。同時に世界初のアベノウイルスベクターとしての承認も取っていますので、海外への展開もスムーズに行くように製造拠点等も整備している形で承認に持ってきたものになります。
○国立がん研究センター瀬戸中央病院長 その右側になります。これは先ほどからお話をさしあげておりますMASTER KEYプロジェクトでありまして、繰り返しになって申し訳ありませんけれども、これはレジストリ、いわゆる登録制度とあるいは知見、2つの柱があって、登録制度としては固形がんでは約4,800例、血液がんでは約700例が既に登録されている。そういったものを活用して治験を行っておりまして、ここから先ほど理事長が言われたように新たな治療薬剤の可能性が広がっていくと考えております。
また、もう一つ大事なことは、このMASTER KEYプロジェクトは今アジアにも展開しておりまして、アジアの8か国29施設で1,000例を超える登録をいただいているということになります。
その下、希少がんネットワークの構築ということで、我々がいわゆる希少がんの中央機関であると。全国7か所にそういった拠点をいわゆる希少がん全国ネットワークで構築を進めております。その中で1つ重要な仕事として、希少がんというのは人口10万人当たり発生頻度が6例以下というのが大体定義になっているのですけれども、なかなか世界的に標準となる分類がなかったということで、今回35ページの下に書いてありますけれども、New Classification of Rare Cancersということで、病理の谷田部先生が中心となりまして、希少がんは31臓器に発生して、その種類は364種に及ぶという新しい定義を提唱して、トータルでするとがんの患者さんとしては約2割になるということを発表させていただいたところでございます。
おめくりいただきまして、36ページになります。
希少がんは先ほど申し上げたようになかなか情報にアクセスしにくいとか、治療法に悩まれるということなので、我々としてはここに書いてあります「オンライン希少がんMeet the Expert」ということでこれまで53回開催して、4,000名近い方々に御覧いただいているということと、それから、いろいろな相談窓口あるいはホットライン等を設けておりまして、約3,000件近い相談を受けている。ただ、これは余談なのですが、最近は減少傾向にあって、もしかするとこれは我々の予測、推測なのですけれども、みんなAI、ChatGPTに相談しているかもしれないと我々は考えて、ちょっと気になるところではあるのですけれども、これは余談です。
それから、その下、小児がんに関しては、先ほど申し上げたように患者申出療養の一環としてパートナー試験を行っているということになります。
右側に行って、最近特に重要視して取り組んでいるのが、がんとの共生をいかに支援するか。例えば就労支援等を含めて、いわゆるがんと診断がついてがんセンター中央病院に来た段階でいろいろな取組があると。あるいは入院後、治療後も、特に最近御高齢で独り暮らしの方が多いので、そういったことも含めてこういった支援体制を整えているということで、がんサポートセンターとか、あるいは今言った就労相談支援は社会保険労務士の方々とも共同しながらこういった取組を進めているということになります。
○国立がん研究センター土井東病院長 少しだけ36ページを補足させていただきますと、右下のところにあります就労支援ソリューション/ワークシステムの構成というものは、現在市販のソフトとして利用できる形になっています。これによって、治療中に少し隙間があっても何か働きたいという方に対してマッチングを行いながら、就労支援を行うという形を実は大鵬薬品からアウトしたベンチャーさんと一緒に作ったものが幾つかの企業で使用されているような状況になっていますので、こういった活動が続くことによって、がんの患者さんの仕事との共生というのができてくるのではないかと考えているところです。
そのまま第3期の中長期のほうのページを見ていただいて、25ページ、2つの項目だけ追加させてください。残りの項目は既に提示させていただきましたので、2つの項目について御説明させていただきます。
一つ、25ページ上段、右側です。いわゆるiPS細胞由来のNKT細胞を用いた治療というものをさせていただいています。これはもともと京都大学の金子先生たちが開発されているものを私たちのところで臨床試験、医師主導治験を行いました。結果的に非常にフィージビリティーがいいということで、彼らはベンチャーで私たちのデータを持ってアメリカに行かれました。シノビ・セラピューティクスというベンチャーを立ち上げて、大きなジェットを得ていますので、米国の中で第Ⅰ相臨床試験を再度行っています。そのときに参考になった安全性のデータが東病院で行った臨床試験のデータになっています。結果的に非常に大きなバジェットを得ていますので、彼らは日本にそれをまた持ってきていただいて、今、いわゆるニュートラルトライアルという日米同時の治験が中央病院、東病院、京都大学で行われていくことになっています。決して京都大学のものを全部取り上げるのではなくて、戻ってきたものをみんなでシェアするという形にさせていただいています。
次の26ページの左側を御覧ください。これは当院の伊藤が開発された腹腔鏡手術の支援ロボットになります。御存じのように、ダヴィンチのようなロボットの機器というのは非常に高い部分もありますし、その部分の使用に大きな問題になってくるのは人、それから、看護師の人数の部分が問題になってくることがあります。伊藤のコンセプトはこれをできるだけ少ない人数でできるようにということで、この機器を腹腔鏡として作っていますので、従来のロボットよりはかなり安いコスト、手術1件当たりのコストは安くなっています。そのために、恐らくアジア、アフリカ、中南米の方々にも使っていただけるような形としてコンセプトを作っています。彼が作ったベンチャーの一つであるA-Tractionが、この機器を朝日インテックのほうにM&Aをしていますので、ベンチャーの育成としても非常にいい結果をもたらしています。
右側の部分は既に説明していますので、なしということでよろしくお願いいたします。
以上になります。
○国立がん研究センター山本理事長特任補佐 それでは、1-4、人材育成に関する事項について、人材育成管理事務局長の山本から説明をさせていただきます。
資料の38ページを御覧いただけますでしょうか。
中長期の目標の内容でございますけれども、人材育成に関しましてはセンターの職員だけではなく、当然でございますけれども、国内外の他の施設の関係者に対しても教育・研修等を行い、人材育成に努めているところでございます。
具体的な取組の内容につきましては、指標の達成状況の表を御覧いただけますでしょうか。センターが主催または支援した外部向けの研修会の開催やe-learningの開催、また、このセンターの職員ではない国内外から実地研修を受け入れる。また、若手の筆頭著者である論文の執筆、学位の取得、専門資格の取得等について取組を進めております。
達成状況については、令和7年度の達成状況の欄を御覧いただけますでしょうか。おおむね100%を超えて取組を達成しております。
大きく数字がぶれているところがありますので、39ページの要因分析の表を見ていただいてよろしいでしょうか。大きくずれているのやはり新型コロナの影響がありまして、規制が緩和されたことに伴って、かなり受入れが進んだ部分があり、かなり大きいパーセンテージが出ているのはそうした影響でございます。
そのほか、このセンターでも受入れの拡大等について様々な取組をしているということが背景にございます。
評価につきましてはA評価とさせていただいております。その根拠は、39ページの下の表でございますけれども、先ほど御説明させていただきましたとおり、様々な研修について着実に参加者数等が増加しているというのが一番の評価の根拠になっております。また、職員の学位取得者数も順調に目標に達しているということもございます。
そのほか、数値に表れない定性的なものについては次の40ページを御覧いただけますでしょうか。
まず、若手の育成でレジデントを各種職種についても様々な取組を進めております。
また、左側の中段、フィジシャン・サイエンティストとして臨床と教育の往来を活性化する、また、橋渡し研究を担うという臨床医を育成するための制度を設けて取組を進めております。
また、その下にAMEDの日米医学教育計画の表がございますけれども、他の医療機関が実施するものにつきましても企画に携わって、今回はEarly Career Presentationの枠を設けて若手の育成にも努めているという状況でございます。
40ページ右側でございますけれども、若手の学位取得数、論文数については表のとおりで、若手の論文数が今回ちょっと下がったのですけれども、その左側に黒字で書かせていただいていますけれども、トップジャーナルにも掲載されるという形で質の面でも取組を進めているところでございます。
右下のところで国内外のリーダーとしてセンターに所属した経験がある方も含めて関係学会のほうで御活躍いただいている状況でございます。
41ページを御覧いただきますでしょうか。
論文執筆を進めていく上では連携大学院が重要だと考えておりまして、当センターは当然自身で学位付与ができるわけではありませんので、関係する大学と連携することが重要だと思っております。また、大学に所属されている方にとっては、当センターの施設を利用していただいて研究活動を進めていただけるということで、双方にメリットのある形で取組を進めております。
また、41ページ左下のところで人材育成の延長、関連ということで、市民との協働で薬事承認に関する対話のような事業を進めておりますし、右側を見ていただけますでしょうか。研修についてはどういったものをやっているかといいますと、がんの相談支援の研修ですとか緩和ケアに関する研修、がん検診に関する研修等、これは必ずしもどんどん右肩上がりで増えるというものではないですけれども、我が国の施策にとって非常に重要な研修を着実に進めさせていただいているところでございます。
また、41ページ右下のところで、臨床研究に関しては法令や保健統計等に関するe-learningサイトを開設して国内外で利用していただいているという状況です。
今回の第3期の期間を通じておおよそ達成していますけれども、残りの先ほど達成がいまいちであった論文数についても達成できるように取組を進めたいと思っておりますので、この期間の評価についてもA評価とさせていただいております。
以上でございます。
○国立がん研究センター松岡がん対策研究所長 それでは、続きまして1-5、医療政策の推進等につきまして松岡のほうから御説明させていただきます。
まず42ページでございますけれども、医療政策の推進につきましては国民視点に立ちまして、科学的知見を踏まえて国に専門的な助言を行うという目標の下に様々なものを軸として進めているところでございます。なお、左上に書かせていただいておりますけれども、本年度の自己評価はAとさせていただいております。
Ⅱの指標の達成状況でございますけれども、多岐にわたる活動がございますが、その中で2つの指標を挙げており、1つ目の病理診断コンサルテーションでございますけれども、これは令和7年度が336%ということでございました。こちらにつきましては、令和6年度より開始しております日本病理学会と当センターの共同運営というものが順調に進んでいるということを反映している成果だと考えております。
また、ホームページのアクセス数に関しましては前年同様でございます。こちらは芳しい数字ではございませんけれども、Google検索等でAIが生成する要約つきの検査結果とか対話型の生成AIサービスが普及しているということによりまして、我々のセンターのホームページに直接アクセスせずとも情報を取得できるようになった昨今の状況がございまして、そういった影響を受けているものと考察しております。
また、SNS等でも情報発信に力を入れておりまして、例えばがん情報サービスにおきましては、書籍「がんになったら手にとるガイド」についてはポストいたしまして、157万回表示されるなど、ふだんがん情報サービス等を見ない層にもリーチできるというところになっているところでございます。
次の44ページ以降でかいつまんで御説明させていただきます。
まず、44ページの左のほうを御覧いただければと思います。国への政策提言といたしましては様々な審議会や検討会に我々の職員が構成員として参画し、政策形成等に関わるということで貢献しているところでございます。
左側の下、ロジックモデルのところでございます。こちらはがん対策推進基本計画第4期の策定の際にロジックモデルが採用されており、がん対策推進協議会において中間評価が先日行なわれたところでございます。アウトプット、それから、アウトカム指標の測定、また、評価方法の提案ですとか、見直しについて継続的な検討を行えるような体制を整備し、現在も続けているところでございます。
44ページ右側でございます。こちらは医療の均てん化として3点挙げさせていただきました。まず1番目でございますけれども、都道府県がん診療連携拠点病院連絡協議会及びその部会運営につきましては我々のところで取りまとめておりまして、特に2040年を見据えましたがん医療提供体制の均てん化並びに集約化につきまして、国への提言に向けた論点整理を進め、先日ワーキンググループのほうで発表させていただいたところでございます。
続きまして、②のがん対策に係る研修でございますけれども、先ほどの病院の研修とも一部重複するところがあるかもしれませんが、このたび、特に昨今社会問題となっております経済毒性というものをテーマにしたがん診療連携拠点病院のスタッフ向けの研修会を新規に進めておるところでございます。また、供給が不足しておりましたがん相談支援センター相談員研修を我々の外部団体でも実施できるような体制並びに根拠資料を整えまして、整備指針を満たす研修として認める旨の課長通知をがん・疾病対策課のほうから出していただき、昨年から新たに外部団体でも我々と同じような質の研修ができるというような体制を整えるところに協力させていただきました。
③でございます。こちらはがん対策の評価でございますけれども、2021年の症例を対象にいたしました成人のがん患者体験調査、それから、2021年の死亡例を対象とした遺族調査を昨年夏に公表しているところでございます。また、小児の患者体験調査につきましては2年度の対象調査とした症例を集計して、現在報告書を取りまとめ、今年の秋公表をめどに厚生労働省と最終調整を現在行っているところでございます。
続きまして、45ページを見ていただければと思います。
こちらは情報発信・情報収集についてでございます。
左側の上でございますけれども、がん情報サービスにつきましては、コンテンツの作成・更新に加えまして、先ほど申し上げましたとおり、書籍で「がんになったら手にとるガイド」というものを改訂いたしまして、一般書籍として昨年12月に出版し、同時にPDFを公表し大変好評いただいているところでございます。
また、がん情報サービスもサイトリニューアルの時機をそろそろ迎えておりまして、その調達を進めるとともに、さらに散逸しておりました病院を探すという機能、それから、希少がんの病院を探す機能、また、施設別の症例数の検索システムというのがございましたけれども、こういったシステムを統合した整理を行いまして、現在調達を進め、来年の公開に向けて進めているところでございます。
②のがん登録ですけれども、こちらにつきましては、2023年の全国がん罹患者数の集計報告、また、がん登録情報の利活用を進めておりまして、全国がんに関しましては16件、院内がんは8件のデータ提供を実施しております。また、効率よく信頼性の高いがん登録とするために様々な書類とかロジ周りの整理を実施いたしました。また、2016年、18年診断症例の5年純生存率の推定結果をグラフに示しておりますとおり公表したところでございます。
右側を御覧いただければと思います。こちらは従前どおり患者・市民参画ということの要でございますけれども、患者・市民パネル(PPI)を運営しておりまして、特に昨年度はパネル検討会で大腸がんのファクトシートの利活用ということで検診をさらに進めるということで行い、また、がん医療の均てん化及び集約化に関して患者様、市民目線からのどういった期待があるか、不安があるかという御意見をいただくような会議を行ったところでございます。
そのほか、4番目で全国の図書館にウェブ情報ではなくて実際に生で資料を見ながらがん情報に触れるという機会を届けるために冊子を寄贈しておりまして、また、5番目のところでございますように、たばこ施策に関しましても全国調査を引き続き行い、また、全国の拠点病院等で御利用いただけるように禁煙外来を周知するための動画等を作成し、公表を行ったところでございます。
さらに次の資料でございますけれども、資料2-6です。
33ページにまとめてございますけれども5、6年間の総合評価といたしまして、こちらも自己評価Aとさせていただいておりまして、指標としては2つございますけれども、病理コンサルテーションが先ほど申し上げましたとおり180%の達成率で、やはり学会との連携が非常にうまくいった成果だと考えております。
ホームページに関しましては、先ほど申し上げましたとおり、達成率が高いわけではございませんけれども、やはり昨今の生成AI等の状況を受けたものと考えているところでございます。
簡単ではございますけれども、医療政策につきましては以上となります。
○土岐部会長 ありがとうございます。1-3から1-5について御説明いただきました。
委員の先生から御質問、コメント等があればお受けしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
では、私のほうから。あまり詳しい説明がなかったのですけれども、医療安全の患者さんの救急システムがありましたね。37ページですかね。病院全体の予期せぬ死亡を防ぐというのはすばらしいなというか、従来から院内急変というのは循環器疾患が多いので、がん研究センターの場合はその点を少し心配していたのですけれども、こういうシステムを作られて予期しない死亡が減少したと。これは非常にショッキングなこともあるのですけれども、実際にどの程度の効果、これは本当に数字で言えるようなものなのか、あとはどうやってこういう体制をつくられたのか、もしよろしければ教えていただけますでしょうか。
○国立がん研究センター土井東病院長 土井のほうからお答えさせていただきます。
もともとは治験の中でいわゆるサイトカインリリースシンドローム、ICANSが出たときに患者さんをいかに早くICUに送るかというところが課題でありました。その中で私たちが変わっているところは、看護師の判断でそれをやっていいとさせていただいて、実は医師が反対しようが当直医が何と言おうが、看護師のほうがよく見ているので、看護師の判断の下でICUに送るというシステムをつくらせていただきました。結果的にそれが看護師のモチベーションを上げましたので、状態の悪い患者さんが例えばモニター上でおかしいことがあれば、看護師の判断で即ICUに送っていく。ICUのドクターも看護師の判断で受けるということを了承していただきましたので、結果的にその中で急変する患者さん、例えば肺血栓症みたいな患者さんで急変するような患者さんが全てキャッチできるようになったので、こういった2分の1というところが出てきたのだと私たちは分析しているところになります。
○土岐部会長 ありがとうございました。
それでは、中野委員、どうぞ。
○中野委員 川崎医科大学の中野でございます。
先ほどの1-1、1-2の先端的な研究に引き続きまして、それを実装した医療の提供という点でもすばらしい成果を御報告いただきまして、大変感銘いたしております。
1点質問をさせていただきたいと思います。1-3の医療の提供の令和7年度、資料で申しますと35ページの左の下になるかと思います。遺伝子治療で腫瘍融解ウイルス治療の治験の推進ということでございますけれども、ベクターウイルスを用いた治療というのは、ここにも記載していただいてありますカルタヘナ法というのがある程度制約になるかというか、実施する上では私たち一般の病院におりますと結構足かせになるのではないかと思っております。それに関しまして対応や取扱いマニュアルを発信されたということですけれども、それについてもう少し詳しく御教示いただきたいなと思うことと、このウイルスベクターを用いた治療ががんセンター様とかあるいはどの程度の医療機関で実施可能な見込みがあるかというところも、見込みというのでもいいので御教示いただければと思います。
以上です。
○国立がん研究センター土井東病院長 ありがとうございます。
ここに書かれていますT-VEC、皮膚悪性腫瘍に承認されているものは国内の中でほとんど広まっておりません。その後、東大の先生方が開発されているものも限定的な供給になっているとお聞きしています。このオンコリス社の場合には海外で出ているデータ、ウイルスのシェディングのデータを逐一いただきましたので、それを用いてある一定の閾値以下のものであればウイルス感染、特にアデノウイルスですから感染しないのであろうということを予測して、いわゆるカルタヘナ対応の新しい取扱いをつくらせていただきました。PMDA、厚労省のほうにも交渉させていただいて、そのマニュアルを本来であれば施設から外には出さないのですけれども、依頼者、それから、各施設に出させていただいて、全く同じことをしてリスクがないことを証明させていただいています。
今後発売された暁には、そのマニュアルを適正使用ガイドの中に用いることで日本全国の施設で原理的にはできる形にさせていただいています。
○中野委員 ありがとうございます。
適切な取扱規程という言葉がキーワードのように感じました。どうもよく理解できました。ありがとうございます。
○土岐部会長 ありがとうございます。
続きまして、神﨑委員、どうぞ。
○神﨑委員 東京都健康長寿医療センターの神﨑と申します。
がんに関しては私は全く専門外なので現状について教えていただきたいのですけれども、今日のプレゼンテーションの内容からは外れる形の質問で恐縮なのですが、今、がん治療は本当にどんどん日進月歩で新しくなっていっていると思うのですけれども、この点に関して、例えば一般病院の消化器外科が化学療法などを行う際に、必ずしも情報についていけていないというようなことがあるのではないかという気がするのです。そういう意味で、例えばですけれども、がんを必ずしも専門としないような一般外科医に向けての化学療法に関する啓発であるとか、あとは、学生もそうだと思うのですけれども、学部学生に対するがんに関する卒前教育とか、その辺に関しては何か携わっていらっしゃるのでしょうか。
○国立がん研究センター瀬戸中央病院長 私も一般外科医の端くれでございますので、私からお答えさせていただきます。
先生の御指摘のように、日本の実情、現状としてはまだまだ先生の御指摘のとおりだと思っています。ただ一方で、がんセンターの中では役割分担をしっかりしております。その中で最近我々が取り組んでいるのは、いわゆる消化器外科医と腫瘍内科医がコンビネーションを組んでいろいろな場面場面で講演を行うとか、いろいろな雑誌に情報を流すとか、そういうことで両方の視点から地域、地方の外科の先生たちにも分かりやすいような形で情報が届くようには努めております。
これでよろしいでしょうか。
○神﨑委員 分かりました。ありがとうございました。
○土岐部会長 前村委員、よろしくお願いします。どうぞ。
○前村委員 前村です。
最先端の医療の提供と人材の育成が国内外問わず行われているというのがよく分かりました。
年度報告の30ページでまとめの達成状況が出ているのですけれども、いずれもすばらしい達成状況だと思いますけれども、この中で、細かいことで申し訳ないのですが、病床稼働率が中央病院で97%、東病院で100%というのは驚異的なのですけれども、100%ぐらい稼働率があるとなかなか緊急の人も入れなかったり、ベッドコントロールが大変になるのではないかと思うのですけれども、土日の入退院だとか緊急の患者がいたときの入院とかはどのようにコントロールされているのでしょうか。
○国立がん研究センター土井東病院長 ありがとうございます。
今、中央病院の看護部長になられている方が東病院の看護部長のときにつくったシステムなのですけれども、ベッドが足りないときには各病棟の師長に全て権限を与えることになります。その師長さんのほうにベッドが足りないのでベッドを用意してほしいと言いますと、各病床の管理は各病棟の師長さんが早く退院できる方は早く退院させていただいて、できるだけ入院させていくという形を取らせていただいています。また、土日については、前日入院、それから、遠方の方についても積極的に前の検査をしていただくということで入院することで、土日の病床管理というのもきちんとさせていただくことでここまでなってきています。場合によっては朝退院して空いたベッドに夕方に入っていただくことをしていますので、この104、107%のようなものが出てきたと考えられます。
○国立がん研究センター瀬戸中央病院長 補足させていただくと、我々がんセンターの病院の入院は、中央病院は緊急入院がそれほど多くないのです。いわゆる市中の病院に比べると緊急入院が多くなくて、基本的には多くは予定入院で、なおかつ治療が決まって予定入院なので、実は中央病院だと1週間後にこの病棟がどのくらい予定入院数があるか、実は全て分かります。なので、それを見て各診療科の充足率であるとか、各病棟の予定利用率というのは実は1週間先まですぐ分かるようになっているので、恐らく機能的な病床運用ができているのではないかと思います。
あとは、緊急入院についてももちろん入院の必要性のある方は受け付けておりますので、実は平日は中央病院でも稼働率は100%を超えることが多くて、土日の稼働率は今84~85%ぐらいになっているというのが事実です。基本的には予定入院が多いので、こういうことができるのではないかと個人的には思っています。
○前村委員 状況はよく分かりました。ありがとうございます。
○国立がん研究センター土井東病院長 1点だけ補足させていただきますと、今、東病院の看護部長のほうでCopilotを使って過去の入院のデータを入れ込んで予測式を作っていただいているので、昨年度から見てみると学会がこの辺がたくさんあるのでここはたくさん入れなければならないとか、逆にここは数が増えすぎるというのをある程度予測させていただいて対応させていただいています。このシステムは恐らく中央病院のほうにも同時導入されていると聞いています。
○前村委員 参考にさせていただきたいです。ありがとうございます。
○土岐部会長 根岸委員、どうぞ。
○根岸委員 根岸です。よろしくお願いいたします。
大変質の高い医療を御提供いただいていると思います。御説明ありがとうございます。
私のほうから、1-3の医療の提供に関する事項で2つ質問させてください。
まず一つが、あまり説明の中にはなかったのかもしれませんが、30ページです。指標の達成状況の項目が幾つかございますけれども、その中で例年、今回もそうですが、最も高い達成度が出ているのが緩和ケアチームに関わる症例数でございます。今、緩和ケアという定義が変わってきているというか、とっくに変わってはいるのですけれども、要するにがん診断時から行われる緩和ケアと。狭義でいけば本当に終末期における痛みの緩和なのかもしれませんけれども、少なくとも医療提供者はもうそういうふうには捉えてはいないと思うのです。
まず一つが、実際に関わった症例の中で終末期の緩和ケアではない症例数は大体どのくらいを占めるのか。そして、私が個人的に思うには、診断時でも遅いのかなと思うぐらいなのですけれども、今のところ、30ページにも書かれていますけれども、がん診断時からの緩和ケアということですけれども、こういう認識を患者さんあるいは御家族がどのぐらい今持つようになっているのか、その辺りが分かれば一つ教えていただきたいです。
もう一つ、36ページのところですけれども、先ほど両立支援のお話が少しあったかと思います。御承知のとおり、今年の4月から中小企業を含む全ての事業者に両立支援が努力義務化されたわけなのですけれども、ここに書かれているのは、主に患者さんあるいはその御家族に対する就労支援と思うのですけれども、実際に両立をする上でやはり企業へのサポートというのが非常に必要であり、特に努力義務化されたことによって中小の企業がどういうふうに就労を支えていったらいいのかというのが今、現実に大きな課題になってきております。その他のところでもありましたけれども、外来での化学療法が増えると、やはり仕事をしながら化学療法を継続するというようなケースが物すごく多くなってきております。その中で企業としてどんな措置を取ったらいいのか、どんな就労上の配慮をしたらいいのかというところで非常に悩むことが多くなってきております。そういった意味で、企業、特に中小企業への両立支援のサポートの御計画が何かあれば教えてください。
○国立がん研究センター瀬戸中央病院長 ありがとうございます。
1点目、まず緩和ケアの関わり方でいわゆる終末期以外の関わり方ということなのですが、申し訳ありません。その数字はコンサルテーションの数は把握しているのですけれども、終末期と終末期それ以外という分け方は僕が知っている限りではしていないので、その数字とかはこの場ではすぐにお答えは難しいです。申し訳ありません。
東病院はどうですか。
○国立がん研究センター土井東病院長 申し訳ないのですが、私どもも数としては把握しておりません。ただ、東病院に紹介する患者さんは東葛地区の占める割合が約70~80%の患者さんになります。そのために当院の緩和ケア科の者が定期的にその人たちを集めて講習会をすることで、前方の部分からの先ほどおっしゃっていただいた緩和ケアの考え方を紹介してくれるお医者様の方にもお教えすること、それから、看護師さんたちにもお教えすることで、前方の段階からより当院にかかる前からの緩和ケアに対して対応させていただいているというのが現状になります。数については把握しておりません。申し訳ありません。
○根岸委員 分かりました。ありがとうございました。
○国立がん研究センター瀬戸中央病院長 それから、2点目のほうです。いわゆる就労支援で、僕はあまり詳しくは存じ上げないのですけれども、東京都から支援が出ていて、そのネットワーク等で恐らく社労士の方を通じてつないでもらっている。実際に勤めている企業とか、そこの先が大企業だからこうとか中小企業だからどうかと差別化しているかどうかは僕もそこまで分からないのですけれども、少なくとも東京都もそういった事業をやっていて、その支援も受けながら社労士の方がつないでいただいているのではないかと僕は思っています。ただ、中小企業向けの何か特別なサポートしているかどうか、後で確認させていただいてもよろしいでしょうか。今日は宿題とさせていただきたいと思います。
○根岸委員 社労士という立場でのサポートというと、どういうふうな制度を使っていったらいいかとか、そういうことが中心になるかもしれないのですけれども、もう少し医療上のサポート、就労支援をしていく上で、そこはやはり専門職の方たちのサポートがほしいところです。先ほどの制度が変わった、努力義務化されたというところを踏まえますと、小さい企業、特に専門職が不在の小さな企業にとっては非常に大きな重要な取り組まなければいけない点になろうかと思いますので、ぜひその点も考えていただければと思います。よろしくお願いいたします。
○土岐部会長 それでは、よろしいでしょうか。
続きまして、業務運営の効率化、財務内容の改善及びその他業務運営に関する事項です。評価項目2-1から4-1について議論を始めたいと思います。
それでは、まず法人のほうから説明をよろしくお願いします。
○国立がん研究センター屋敷理事長特任補佐 企画経営部長の屋敷のほうから御説明をいたします。
資料2-2の46ページ目を御覧いただきたいと思います。
あと、残りが2-1が業務運営の効率化に関する事項で、3-1が財務内容の改善に関する事項、4-1がその他業務に関する重要事項と3つございます。それで、まず自己評価から申し上げますと、2-1の業務運営の効率化に関する事項はA評価としております。あと残りの2つはB評価ということで御提案しているものでございます。
46ページ目を御覧いただきますと、業務運営の効率化に関する事項で指標の達成状況、達成しているものもありますが、達成できていないものもあります。その中であえてA評価と自己評価につけたということにつきましては、後ほどお話しさせていただきたいと思います。
要因分析で80%未満の一般管理費の低減について、やはり昨今の物価高騰、委託費の人件費増に伴う委託が大きく影響しているということで8割を切るような状況になっています。
経常収支率につきましては後ほど申し上げます。
全体の評定の根拠としましては47ページ目で、「見込評価」も含めまして、コロナがあり、その後は物価上昇がありということ、また、がんセンター自体が先ほどの病床稼働率が107%とかありますが、それでも余裕で黒字が出るような収益あるいは費用の構造になっていないという経常収支黒という意味で申し上げますと、達成というのは非常に難しいような構造にあるのだろうと思います。その中で令和7年度においては、人事院勧告のほうも職員の処遇を考え、ちゃんと賃上げを行いつつということで、これまで経常収益100%以上を維持しておりますし、また、中期目標期間を通じて計算してみると超えているということなので、単年度で経常収支が赤字になっているというところは事実でございますが、法人全体の運営を考えたときに、それで下を向くとかということではなくて、かといって安心もせずにいくということで、まさに自己評価ということでA評価をつけさせていただいているものでございます。
少し具体的に内容を見ますと、48ページ目で業務運営の効率化に関する事項で、財務ガバナンスの強化、中長期キャッシュフローの見通しで、これはキャッシュベースで全体が資金ショートしないようにということでございますが、それぞれ投資の計画というものをめどを立てながらやっているということでございます。増員でありますとか施設整備といった点で投資委員会を月次で定例開催しておりまして、あとは実際に所期の目標が達成されているかというモニタリングもしておりまして、財務的なコントロールを行っているということでございます。
効率化による収支改善、48ページ目の左下でございますが、この棒グラフを見ていただきますとおり、7年度は赤のほうが少し高くなってきているということでございますが、平成27年度から令和7年度までの10年間を見ますと、経常収支というかPLの高さは大体70%ぐらい増になっているという状況で、医業収支、医業外収支とも増えてきているという中で、今年度につきましては赤字になってきているということでございます。当然そういう努力は続けておりまして、材料費の削減等で一括調達あるいは共同購入あるいはベンチマーク調査による価格交渉なども行い、縮減すべきは縮減をしているということでございます。
次が49ページ目の財務内容の改善に関する事項、これは自己評価はBということでございます。評定の根拠は外部資金の獲得額が増加してきている、あるいは知的財産などの収入支出の関係も成果が上がってきているという状況がございますので、トータルでBという自己評価でございます。
50ページ目を御覧いただきますと、自己収入の増加に関する事項、大体7割強、8割が医業収支ということでございますが、そのほかにも当然ございますので、運営交付金でありますとか、種々の資金の獲得が行われている。競争的資金でありますとか治験受託費等がございまして、これはグラフにありますとおり190億弱まで伸ばしてきているということで、これは医業収支だけではなく法人全体の財務基盤の強化という意味で今後とも伸ばしていきたい部分でございます。
50ページの右が知的財産戦略の状況で、これも先ほど説明があったと思いますので省略いたします。
次の51ページ目でございますが、寄附金につきましても昨年度10億円を超える金額があり、広く発信をしているというところもありまして、その成果として結びついているという状況でございます。
51ページ目の右下が資産、負債の管理で長期借入金の償還も順調に進んでいるということです。133億円残しておりますが、経常収益に占める残高割合というものは平成22年度の35%から令和7年度は12.6%に低下しているという状況でございます。
次が52ページ目のその他業務運営に関する重要事項で、これは自己評価Bということでございます。コンプライアンス等の強化に取り組んでおりまして、収賄事件が残念ながら2件起きたということで、令和5年度以降改革方針、あるいは7年度は行動規範あるいはアンケート調査など立て続けに対策を取ってきている。そういうコンプライアンスの推進を図ってきているということでございます。
スライドの53ページ目を見ていただきますと、監事、外部監査人とも連携しましてハイリスク事項の指摘及びそのフォローアップを行ってきているということ、あとは先ほど申し上げましたが、コンプライアンス等の強化に関する改革方針に基づくコンプライアンス室の増員、研修等も行ってきているということでございます。
あとは、人事の最適化に関しましては、医師の働き方改革への対応を進めている。あるいはこちらには書いてありませんが、国、国立大学法人との人事交流を進めている。あるいは障害者雇用につきましても着実に進めてきているということでございます。
53ページ目の右がその他で、施設整備については優先順位をつけて中長期の計画を作成し、投資の必要な範囲で改修を進めてきているということでございます。
あとは、医療機器についても投資委員会での審議を経て着実な投資を進めているということと、あとは柏キャンパスにつきましても全体計画の再策定に取りかかってきているという状況でございます。
あとは資料2-6、第3期を通じてというところを御覧いただきたいと思います。
資料2-6の第3期を通じてで一番最後の38ページ目を御覧いただきたいと思います。
財務内容についてでございますが、令和3年度以降、令和5年度と会計上の例外でございますが、ほぼ総収支差という意味では10億円程度の黒字を出してきたということでございます。7年度は赤字でございますが、経常収支差としては令和3年度から合計で約50億を超える黒字を出してきているという状況でございます。7年度は初の赤字ということでございますが、8年度はまた医業収支なども病床利用率等を上げて頑張っているところでございますので、7年度の自己評価は職員に対するメッセージも含めてA評価とつけさせていただいた次第です。
私のほうの説明は以上です。
○土岐部会長 ありがとうございます。
ただいまの御説明に対しまして御質問等はございますでしょうか。
松前委員、どうぞ。
○松前委員 御説明ありがとうございました。
特に50ページのところで、資金調達は様々な形があると思いますけれども、寄附については過去最高ということで大変すばらしいなと思いました。いろいろな活動をされているということなのですけれども、何が一番よかったのかというところを教えていただければと思います。
○国立がん研究センター屋敷理事長特任補佐 従前よりウェブサイト、パンフレット等、広報を進めているというところの成果もございますが、いろいろなSNSとかで患者さんが発信をしたりすると、がんセンターのほうに寄附をしていただくとか、そういうところが結構大きいのではないかなと思っております。ただ、そういうスポットのものに頼るわけにもいきませんので、こういうがんセンターの仕事を知っていただくという広報全般を進める中で、こういう御寄附も頂けるような状況ができればなと考えています。
○土岐部会長 もう一度しつこいですけれども、1,700件から2万7000件なのですか。51ページの寄附のグラフは1,700件から2万7000件なのですが、どういう仕掛けがあったのでしょうか。
○国立がん研究センター屋敷理事長特任補佐 これはSNSで患者さんが発信したものがありまして、それの反応度がすごく高かったということで、グラフに書けないのですけれども、本当に2万7000件までという状況でいただいているということでございます。
○土岐部会長 本当にSNSの力の恐ろしさを思い知りました。
ほかはよろしいでしょうか。
非常に経営的には順調に行かれているようで、単年度、昨年は最終的に少額の赤字でしたけれども、今年度の計画としてはどのような見込みを考えておられるでしょうか。
○国立がん研究センター屋敷理事長特任補佐 8年度は3期の最終年度にもかかっているのですが、医業収支の点からいきますと、8年度は診療報酬改定がございまして、今のところは3か月、4、5、6で来ておりますが、収益のほうは着実な伸びを示しています。ただ一方で、注意しなくてはいけないのは当然費用がどうなっているのかということになりますので、損益分岐点自体は黒字にするためには遠ざかっている状況にあります。より材料費とかそういうものが高くなってきているという状況でございますので、収益が増えたからといって決して油断ができる状況ではないと考えています。
7年度が少額の赤字ということでございますが、それを見て下を向いてもいけませんので、収益が各病院とも稼働率を上げて相当頑張っていただいていますので、費用の状況などを見ながら8年度も黒字を目指したいと考えています。
○土岐部会長 実際は6月からなので、まだ我々の病院でも1か月しか出ていないので、でも、診療単価でやはり5,000円ぐらいは上がるのではないかとは言われていますので、また経営がよくなることを期待しております。
ほかはよろしいでしょうか。
皆さん特に問題はないということでしたので、すばらしい経営ぶりだと思います。
ここで全体の振り返りを行いたいと思いますが、皆様から全体を通して質問等はございますでしょうか。
ないようですので、最後に法人の理事長と監事からヒアリングを行いたいと思います。
まずは法人の監事より業務の監査結果等を取りまとめた監査報告について御説明いただくとともに、監査等を踏まえた現在の法人の業務運営の状況や今後の課題、改善方針等についてコメントをお願いしたいと思います。
○国立がん研究センター小野監事 監事の小野です。よろしくお願いいたします。
監事の監査報告書につきましては例年と同様、適正意見ということで、会計監査人の監査報告書も同様でございます。
以下、センターの課題と対応をごく簡単に感じたところで述べさせていただきますと、まず研究ですけれども、これは当然ながら単年度では種まき、刈り取りということが中長期的なタイムラグが生じますので、いろいろ変動しますけれども、6年の中期で見てみますと適切な投資、つまり、リソースの投入と収益実現、投資回収が着実に実現されてきていると受け止めております。その証拠に国内外トップレベルの競争による創薬実現あるいはそのサポート、それから、共同研究費の拡大ということを実現できているのではないかと。
それから、臨床については、先ほどの(病床)稼働率のようにいろいろな工夫によって数字ができておりますけれども、私は長年監事を務めておりますが、最初からあれだけの高効率の稼働率ではありませんでした。医療連携等につきましても、独立法人のがんセンターでしたのでそれほど一般的ではなかったのですけれども、だんだんがんの均てん化もありまして、多くの病院とも競争が出てまいります。そういうところで職員の方あるいは医療職の方の意識が相当変わっていったということが根底にあると思います。それが結果の高稼働率だと思います。以前はそうではありませんでした。80%ぐらいの稼働率だったと思います。それで不思議ではないという意識だったのではないかと思いますので、やはりこの間相当変わったと私は受け止めております。
ということが臨床ですけれども、病院収支については、御案内のとおり、国立大学病院が軒並み赤字という状況下にありますので、言わば特定機能病院レベル、こういったレベルの病院でも今後収支の悪化が懸念されるということでありまして、まだ原因はよく分かりませんけれども、コロナによる患者の行動変容というのはいろいろな方が実感しておられると聞いておりますし、その要因、影響というものを見定めた対応が今後必要になってくるのではないかということで、収支は言わばふんどしを締めなくてはいけないと監事としては思っております。
最後、法人運営についてはいろいろな御説明がありまして、外部資金獲得について共同研究等の実績を御説明しましたけれども、これは全体で見ていただいたほうがいいと思います。事業報告書には出てくるのですけれども、令和7年度についてはセンターの全財源は1083億円でございます。約1000億、このうち国から支給されます運営費交付金プラス施設整備補助金を合わせても74億円、6.8%でございます。残りは1009億、93.1%の構成は病院の医業収益が723億円、66%、研究収益198億円、18%などということでございますので、今、独立行政法人というのは86法人あると思いますけれども、その中でもこれだけの自己財源で頑張っていただいいただいている法人は数えるほどではないかと正直に言って思いますので、ここは構造的なものはもちろんありますけれども、この中で国内はもとより世界トップレベルを目指す研究開発独法でございますので、そこでこれだけの自己財源を獲得しておりますけれども、ただ、今後それを戦っていくためには、民間であれば最初から黒字でなければなかなか困難でありますけれども、国の機関が先行していくにおいては、最初から黒字であれば民間がやってくださいという話ですけれども、将来のための投資、創薬のためのいろいろなリードタイム(初期赤字)ということを考えましたら、やはり不足する部分がありますので、この点は、今年度が中期の最終でございますので、来年からの新しい中期においては世界で戦っていくためにこの財源がどうあるべきかということが重要な議論になってくるのではないかと思います。もちろん自己収入も頑張るというふうに監事としては感じております。
私からは以上でございます。ありがとうございました。
○土岐部会長 ありがとうございます。
それでは、続きまして、法人理事長より日々のマネジメントを踏まえ、現在の法人の業務運営の状況や今後の課題、改善方針等についてコメントをお願いしたいと思います。
○国立がん研究センター間野理事長 ありがとうございます。
今日はありがとうございました。多くの適切な御助言をいただきましてありがとうございます。
これまで日本のがんの患者さんに最新、最良のがん医療を届けるということを我々の使命と考えて本当に努力してまいりました。しかし、現在の状況は理事長からすると、まだ足りない。もっと変わらないといけないと思います。我々が世界の中で強くならないと日本のがんの患者さんに世界最新の治療は届けられないのだから、もっと変わらないといけないというのを常に言い続けていますし、私自身本当にそう思っています。こうしてほぼ100%の病床利用率と過去最大の外部資金獲得をもってしてもなお、昨年度は赤字になりました。それはもちろん大きな要因は物価高騰による医療材料費の高騰、それから、例えば委託事業の値段の上昇、最後は人事院勧告を100%準拠するという形で、その分が赤字になったのではないかと思います。そのときも悩んだのですけれども、それでも例えば看護師さんの給与などもちゃんと高くないと看護師さんが獲得できないのです。ですので、人事院勧告に昨年度は100%準拠して、結果的に少し赤字になったと思います。
先ほどの高い志はさらに高く持ちたいのですけれども、一方、がんセンターがちゃんと永続的な機関であるために、赤字は私個人はあってはいけないと思っていて、それに向けてがんセンターの財務体質の変えるべきところを変えないといけないと思っています。小さな努力の積み重ねみたいなことは絶対にやっていかなくてはいけないと思っています。そういう形で何とか今年は全体を通して黒字になるようにしたいと考えています。
それでもなお、最初に戻りますけれども、世界に勝って日本のがんの患者さんに最新、最良の医療を届けるということは我々国立のセンターとしての職員の使命だと考えていますので、その実現に向けて、たくさんの問題が山積する中の最適解を解くようなところもありますけれども、幸いに非常に優秀な人材がそろっているセンターですので、その実現に向けて進めてまいりたいと思っているところです。
今日はありがとうございました。
○土岐部会長 ありがとうございました。
委員の先生方もよろしいでしょうか。
それでは、以上で国立研究開発法人国立がん研究センターの「令和7年度業務実績評価」及び「中長期目標期間見込評価」についての審議を終了したいと思います。
以上で本日の議事を終了しました。事務局にお戻ししたいと思います。
○高屋企画調整官 事務局です。
今後の流れについて御連絡いたします。本日御議論いただきました国立長寿医療研究センター及び国立がん研究センターの「令和7年度業務実績評価」及び「中長期目標期間見込評価」につきましては、本部会における御意見や法人の監事及び理事長のコメント等を踏まえまして、後日厚生労働大臣による評価を行い、その評価結果について法人に通知するとともに公表いたします。
委員の皆様におかれましては、事前に電子媒体でお配りしている評定記入用紙に必要事項を御記入いただき、本日のJHに関する審議も踏まえ、8月10日水曜日までに事務局宛てメールにより御提出いただきますようお願いいたします。
なお、評価結果につきましては、後日委員の皆様にもお送りいたします。
また、これまで御議論いただきました各法人の「見込評価」等を踏まえ、厚生労働省にて次期中期目標策定に向けた法人の業務、組織全般の見直し案を作成し、委員の皆様に御意見をいただきたく、後日改めて部会の開催を予定しています。日程等の詳細が決まりましたら、別途御連絡させていただきます。
事務局からは以上となります。
閉会に当たりまして、厚生科学課長の荒木より御挨拶申し上げます。
○荒木課長 厚生科学課長の荒木でございます。
途中抜けましてすみません。実は今、ゲノムのシンポジウムというところで、今回のがんセンターにも関わるかもしれませんが、そちらのほうに参っておりましたけれども、本当にこれまで3回にわたりということでナショセンの評価、本当に評価委員の先生方、ありがとうございます。しかも、一つ一つを詳細に見ていただいておりまして、しかも、御質問も本当に適切で、我々事務方としてもそういう視点があったのだなということで気づかされることも多々ございました。
今、事務局から申し上げましたように、今年度は各ナショナルセンター、すなわちナショセンでございますけれども、6年の中長期目標というか中期計画の中の一つの区切りになりますので、そのためにこれまでの3回の評価でもそうですけれども、中長期計画期間中の評価というのもしていただいておりますが、今後、また次期中期長期目標の策定に向けた審議というのも予定しておりますので、6年に1回、忙しい時期でございますが、土岐部会長をはじめ、引き続きよろしくお願いしたいと思います。
本当にお疲れさまでございました。ありがとうございました。
○土岐部会長 本日は以上でございます。どうも長時間にわたり、ありがとうございました。
委員の皆様には、大変お忙しい中お集まりいただき、誠にありがとうございます。議題に入るまでの間、議事進行役を務めさせていただきます大臣官房厚生科学課国立高度専門医療研究センター支援室の高屋と申します。よろしくお願いいたします。
本日は、神﨑委員、中野委員、前村委員がオンラインでの御参加となっております。
また、庄子委員につきましては10分ほど遅れての御出席と伺っております。
国立研究開発法人等審議会運営規程に基づく御報告です。
運営規程第5条に基づき、本日意見聴取を行う国立研究開発法人の事務及び事業について利害関係を有する者は、当該法人に係る評価について議決権を有しないものとされています。法人との利害関係については、あらかじめ委員の皆様から御申告いただいておりますが、事務局におきまして確認いたしましたところ、神﨑委員におかれましては、本年度に主任研究者として国立長寿医療研究センターから研究費の配分を受けているということでございますので、本日の国立長寿医療研究センターの意見聴取においては、御発言をいただくことは可能ですが、評定案及び意見に関する評定記入用紙の提出はできないということでございます。それ以外の法人の意見聴取につきましては、御発言いただくことも、評定案及び意見に関する評定記入用紙の提出についても可能となっております。
なお、出席委員に関しましては部会所属委員の過半数を超えておりますので、会議が成立することを御報告いたします。
続きまして、事務局に異動がございましたので、御紹介をさせていただきます。
本日8月4日付の異動でございます。厚生労働省大臣官房危機管理・医務技術総括審議官の眞鍋でございます。
○眞鍋危機管理・医務技術総括審議官 皆様、こんにちは。御紹介いただきました厚生労働省危機管理・医務技術総括審議官の眞鍋でございます。
本日着任させていただきました。1年前まで厚生科学課長をさせていただいておりまして、この評価委員会にも事務局として参加させていただいておりました。引き続き大変お世話になっております。
言うまでもなく、独法の評価は非常に重要でございます。厚生労働省の重要な研究、臨床を行う機関、これらの機関が十分にその力を発揮して、そして、国民にその成果を還元するという中で、先生方の御評価は大変貴重なものとなってございます。
本日は国立長寿医療研究センターと国立がん研究センターの評価と伺っておりますけれども、何とぞよろしくお願い申し上げます。
簡単ではございますが、以上で挨拶とさせていただきます。今日はよろしくお願い申し上げます。
○高屋企画調整官 ありがとうございました。
眞鍋技総審につきましては、他の用務のため、この場で退席させていただきます。
また、厚生科学課長の荒木につきましても、用務の都合により午後1時50分頃をめどに一時退席をさせていただきますので、御了承くださいますようお願いいたします。
それでは、本日の会議の進め方について御説明いたします。
本日は、オンラインを併用したハイブリッド方式での開催となります。会場で出席の委員におかれましては、御発言の際は挙手をしていただき、部会長による指名を受けた後に御発言をお願いします。オンラインで出席の委員におかれましては、Zoomサービス内の「手を挙げる」ボタンをクリックしていただき、部会長による指名を受けた後に御発言をお願いいたします。御発言時以外はマイクをミュートにしていただきますよう、お願いいたします。
なお、御発言の際には冒頭に「お名前」を述べていただき、資料を用いて御説明される際には「資料番号」と「該当ページ」を明言いただきますよう、お願いいたします。
続きまして、本日の議事を御説明いたします。
本日は、国立長寿医療研究センター及び国立がん研究センターに関する「令和7年度業務実績評価」及び「中長期目標期間見込評価」に係る意見聴取を行います。
なお、国立高度専門医療研究センターの5法人につきましては、本年度が中長期目標期間の最終年度に当たるため、ここであらかじめ「見込評価」について簡潔に御説明させていただきます。
「見込評価」は、各法人の中長期目標期間の最後の事業年度に実施し、中長期目標期間終了時の直前の年度までの業務実績及び中長期目標期間終了時に見込まれる業務実績等に係る自己評価等を踏まえ、その達成状況等について総合的に評価するものとなります。「見込評価」の結果は、中長期目標期間終了時の法人の業務の継続または組織の存続の必要性その他その業務及び組織の全般にわたる検討並びに次期中長期目標の策定に活用するものとなります。なお、SからDの評定を付すことや各評定の基準の考え方については、年度実績評価の取扱いと同一となります。
各委員及び法人説明者におかれましては、この点を踏まえ、本日の意見聴取を行っていただきますようお願いいたします。
「見込評価」の説明は以上となります。
次に、本日の意見聴取の流れについて御説明します。
評価に係る意見聴取の流れにつきましては、評価項目ごとに「年度評価」及び「見込評価」の順に法人から続けて説明をしていただいた後、委員の皆様から御意見、御質問をいただきたいと存じます。説明と質疑応答の時間は事前に時間設定をしており、終了時に事務局がベルを鳴らしますので、目安としていただきますようお願いいたします。
それでは、本日の会議資料の確認をさせていただきます。
議事次第、国立長寿医療研究センター関係として資料1-1から1-6、国立がん研究センター関係として資料2-1から2-6及び両法人共通として参考資料1と2になります。
法人からは資料1-2、1-6、2-2及び2-6の説明資料を使用して説明を行いますので、オンラインで御参加いただいている委員の皆様におかれては、事前に紙媒体でもお送りしています議事次第、年度評価に係る資料1-2、1-4、2-2、2-4及び「見込評価」に係る資料1-6、2-6の御活用をお願いいたします。その他の資料につきましては、事前にお知らせしましたURLより閲覧していただくようお願いいたします。
会場の皆様につきましては、お手元にあるタブレットに本日の資料一式を格納しておりますので、そちらを御覧ください。
最後に、各委員に御提出いただく評定記入用紙につきましては、様式の電子媒体を事前に送付しておりますので、そちらに御記入いただき、後日、事務局に御提出をお願いいたします。「見込評価」につきましては、年度評価と同様、SからDの評定と併せて、その根拠を記載いただきますとともに、項目ごとに次期中長期目標期間の業務実施に当たっての留意すべき点等について積極的な御意見をいただけますようお願いいたします。
資料の不備や閲覧方法等について御不明な点がございましたら、チャット機能等で事務局までお申しつけください。
事務局からの説明は以上でございますが、ここまでで何か御質問等はございますでしょうか。
それでは、以降の進行につきましては、土岐部会長によろしくお願いいたします。
○土岐部会長 それでは、委員の皆様、よろしくお願いいたします。
まずは、国立長寿医療研究センターの令和7年度業務実績評価及び中長期目標期間の「見込評価」についての審議を始めたいと思います。
初めに、法人の理事長から御挨拶をよろしくお願いいたします。
○国立長寿医療研究センター荒井理事長 皆さん、こんにちは。国立長寿医療研究センターの理事長の荒井でございます。
委員の先生方におかれましては、本日は御多用の中、令和8年度高度専門医療研究評価部会に御参集いただきまして、誠にありがとうございます。
日頃より国立長寿医療研究センターの運営に格別の御理解と御支援を賜り、厚く御礼を申し上げたいと思います。
御承知のように、我が国は世界に先駆けて超高齢社会を迎え、高齢者人口は約3割に達しております。その中で認知症、フレイル、サルコペニアをはじめとする加齢に伴う課題への対応は、国民お一人お一人の健康寿命の延伸に直結する喫緊の効果的な課題であると認識しております。
当センターは、老化のメカニズムの解明から認知症の予防、診断、治療、そして、地域における健康長寿の社会実装まで、基礎研究から実装までを一貫して担うナショナルセンターとして、その責務を果たすべく取り組んでまいりました。
特に認知症に関しましては、新オレンジプランが出ました2012年には、2025年、すなわち昨年の認知症の方の数は700万人と想定されておりましたけれども、実際に蓋を開けてみると460万ということで、約230万以上の削減があったことになります。その削減に我々のセンターの果たす役割は極めて大きかったと考えておりまして、我々センターで試算をしますと、700万から460万に減ることによって、概算ではありますけれども、約2000億以上の医療介護費の削減効果となっているということがわかりました。
昨年度は様々な研究開発を行いましたけれども、御存じのように診療を取り巻く環境は非常に厳しいということでありまして、人件費、材料費等が非常に高騰しております中で非常に病院、研究所とも頑張っております。
今後とも国民の期待に応えるべく、しっかりと老化、高齢者医療の領域での研究を引っ張っていきたいと思いますし、アジアあるいは世界に向けてそういった成果を発信していければと考えております。
本日は、これらの取組につきまして忌憚のない御評価と御助言を賜りたく存じます。いただいた御意見を今後の運営に真摯に反映し、超高齢社会のフロントランナーとして、我が国として世界の健康長寿の実現に貢献してまいる所存であります。
本日はよろしくお願いいたします。
○土岐部会長 ありがとうございました。
それでは、まず研究開発の成果の最大化に関する事項、項目の1-1及び1-2について議論したいと思います。
初めに法人から年度評価及び「見込評価」の順に御説明いただき、その後に質疑応答という流れで進めていきたいと思います。時間が限られておりますので、ポイントを絞っての説明をよろしくお願いいたします。
○国立長寿医療研究センター室原研究所長 それでは、よろしくお願いします。国立長寿医療研究センター研究所長の室原でございます。
まず評価項目1-1、戦略的かつ重点的な研究・開発の推進、令和7年度につきまして御報告申し上げます。1-1では加齢に伴う疾患の本体解明・実態把握に取り組む、加齢に伴う疾患に対する予防、診断、治療、ケア等のための基礎・臨床疫学・ゲノム・研究・開発に取り組むということになっております。
Ⅱ 指標の達成状況でございます。成果につきましては、令和7年度は4件(125%)でございます。原著論文は370報(132%)ということで、目標値を大きく上回って達成しております。
次をお願いします。
評定の根拠の代表例として、下の図を御覧ください。
まず、認知症に対する早期発見・介入実証プロジェクトのJ-DEPP研究と認知症予防を目指した多因子の介入、J-MINT研究でございます。これらは引き続き私どもが行っている研究でございますが、早期に認知症の方を発見し、介入していくという現在の政府の方針とも極めて合致した研究内容となっております。特に認知症の受診勧奨につきましては、昨年度の7.3%から12.9%と大きく受診率が向上しているというのは一つの成果ではないかと思っております。これはJ-DEPPです。
また、J-MINT研究では、栄養や運動、生活習慣病、認知トレーニングなど多因子で介入した場合、認知症の発症が予防できるというようなことをこれまで示してきておりますが、今年度は特に費用対効果などの成果につきましても報告いたしております。
また、下段の基礎的な研究でございますが、アルツハイマー病(AD)のプレクリニカル期から血中のリン酸化タウ217が上昇していることは以前から知られておりましたが、それらが実際にアミロイド斑の周囲に蓄積しているというようなことを初めて報告しております。また、アルツハイマー病の別の機序として、脳幹青斑核から大脳皮質に投射するアドレナリン神経系の変性があるということも新しく発見し、これらを令和7年度に報告させていただいております。
次をお願いします。
繰り返しになりますが、左の上、J-DEPPとJ-MINT研究で受診率が7.3から12.9%に上昇するというようなことが達成できました。また、右側、多因子介入により、特に生活習慣病を有する方ではこの効果が大きいということ、あるいは一番右、費用対効果につきまして、J-MINTのような介入をいたしますと費用が削減でき、QOL、効果が有意に増強するということが分かりました。これらは今後の国の政策として認知症に関わる医療費を削減できるということが予想されますので、極めて大きな成果ではないかと思います。
下段は繰り返しになります。左側が先ほどのリン酸化タウが実際にアルツハイマー病の患者さんではAβの沈着の周囲に発現しているということ、右側はアドレナリン神経系の異常があるということを示した論文にそれぞれなります。
次をお願いいたします。
これもJ-DEPPとJ-MINT研究の繰り返しになりますが、特にJ-DEPPではこのような早期発見・介入が重要ということで、左下段にございますように手引きを作成いたしまして、参加自治体にお配りし、今後さらなる早期発見ができるような対策を継続してまいります。
右側、J-MINT研究は先ほど申し上げたとおりでございますので、割愛したいと思いますが、特に右下段、今年度はNCGG発のスタートアップ企業J-MAPを新たに設立いたしまして、これらをさらに強力に推し進めていきたいと考えております。
次のページをお願いいたします。
私どもの研究センターではアルツハイマー病のバイオマーカーを以前から研究しておりますが、今年度は特にDNAのメチル化に注目いたしまして、この中で特に2か所のDNAのメチル化が重要であるということ、さらにはAPOE4というのが認知症の関連遺伝子というのは以前から分かっておりますけれども、これらを組み合わせることにより、アルツハイマー病の診断が非常に有効に近づくということを報告しております。
また、右側の図になりますけれども、当センターのバイオバンク登録患者のデータを用いましてさらなるマーカーを検索いたしましたところ、非常に興味深いことにミリスチン酸という飽和脂肪酸が非常に認知症とも関連があるということが分かってまいりました。ミリスチン酸は飽和脂肪酸ですので、本来は悪玉と考えられがちでございますが、実はこの脂肪酸は逆に高いほうが認知症は少ないのではないかというようなことが分かってまいりまして、これは要素としても補充ができますので、将来的には非常に有効な研究になるのではないかと思っております。
次をお願いいたします。
次に、NILS-LSA研究を御紹介したいと思います。これは来年で30年になる。非常に長期の縦断疫学研究、特に高齢者と認知機能に焦点を当てた当センター独自の研究でございます。今年度、第10次の調査を終了しておりまして、約3,000名の登録患者さんのデータを蓄積しております。これはこれまでにも非常に多くの論文も公表しているところではございますが、特に右にございますように台湾のILASあるいはLASTと呼ばれるグループと共同研究として、右下にありますようなグルタチオン代謝、トリプトファン代謝、尿素回路、胆汁酸の生合成・代謝などの関連性を見いだしたということで、論文として報告をさせていただいております。
次のページをお願いします。
これは基礎的な研究になり、当センターのジェロサイエンス研究センターが中心に行っている研究でございます。
左の段にございますように、視床下部外側から出てまいりますNADが非常に重要な役割を果たしているということが分かってまいりまして、これらと筋肉との関係ですので、認知症やいわゆるサルコペニア、フレイルとの関連も最近見いだしておりますけれども、乳酸の蓄積などが非常に重要であるということを見いだしております。これまでにCell Metabolismなども報告しておりますが、つい先日『Nature Aging』に論文が受理されたということも伺っております。
右側はさらに栄養素と認知症やサルコペニアとの関係などを検討するということで、現在AMEDから研究費を頂き、研究を継続しているところでございます。
次のページをお願いいたします。
これは先ほどの繰り返しにはなりますけれども、Aβの病理をずっと解析しておりますと、先ほど来申し上げておりますように、タウ217番目のリン酸化部位が同定できたということ、それから、右の上、青斑核から大脳皮質へのノルアドレナリン神経の変性を見いだしたというようなこと、右下にございますように、今後も多角的に人の脳の解剖例等をマウス実験等でさらなる機序を検索していきたいと考えております。
以上が令和7年度でございます。
続きまして、評価項目1-1の中長期の見通しでございます。
まず下段の図でございますけれども、加齢に伴う疾患を報告するための研究成果、中長期で19件以上でございますが、令和7年度で既に19件、100%を達成しておりますので、来年度も幾つかの成果が発見できると思っておりますので、これは目標を上回って達成できると考えております。
また、下段の論文でございますけれども、中長期で1,700件のところ、既に1,705件、100%を達成しております。今年度もさらに論文数を積み上げていく予定でございます。
次のページをお願いいたします。
評定の根拠でございますけれども、先ほど来申し上げております。これも中長期となりますのでJ-DEPPとJ-MINT、そして、NILS-LSA研究ということです。これは繰り返しになりますので、割愛させていただきます。
下段もバイオマーカーの新規の発見、それから、早期の診断と介入ということでございますが、こちらのほうも繰り返しになりますので割愛させていただきます。
次のページをお願いいたします。
というようなことで、1-1につきましては7年度も中長期も自己評価Sとさせていただいているところでございます。申し遅れました。
この図につきましては令和3年度から8年度までの中長期をお示ししておりますけれども、繰り返しになりますが、J-MINT研究やJ-DEPP研究、NILS研究など、それから、後ほど申し上げますが、2023年度から開始しました東浦研究というのもございまして、こういった研究と患者さんのデータを統合したデータベースを新たに構築してきておりますので、これらを解析しながら研究を進めたいと思っております。
次をお願いいたします。
これは先ほどのNILS-LSAでございますが、来年で30年になります。これまでに非常に多くの研究成果を発表しております。下段にその例を挙げておりますけれども、例えば身体活動がやはり非常に重要である、認知機能低下を抑制するというようなことをこれまで明らかにしております。また、バイオマーカー、アミロイドのAβ42、40の比などを用いたバイオマーカーの開発などを行っております。この研究は認知症とサルコペニア、フレイルの両方を長期に縦断的に追っているというNCGG特異的なデータベースでございまして、世界的にも非常に注目度の高い研究であると自負しております。
次をお願いいたします。
こちらのほうは主に基礎研究になりますが、当センターのジェロサイエンス研究センターで令和3年から8年度まで行う研究となっております。先ほど来申し上げておりますように、非常に難易度の高い雑誌にも次々と論文を掲載できております。特に下段、右から2番目、肝臓-骨格筋連関の破綻がサルコペニアを引き起こすというようなことをつい最近『Nature Aging』に受理していただき、インプレスという状態になっております。それ以外にも海外の米国ワシントン大学の先生方との共同研究なども進めているところでございます。
次をお願いいたします。
以上が評価項目1-1につきましての中長期の報告となります。
これからは評価項目1-2、実用化を目指した研究・開発の推進及び基盤整備ということになります。
まず、令和7年度につきまして御紹介したいと思います。上段が目標の内容でございますが、長くなりますのでこちらは割愛させていただきますが、下段にございますように、まず臨床研究実施件数は年間200件目標のところを447件、2倍以上の達成度です。また、一番下、治験の実施件数は年間60件を目標のところ、70件、117%ということで十分に目標を達成しております。自己評価はSとさせていただいております。
次のページをお願いいたします。
次のページもファースト・イン・ヒューマン試験、医師主導治験などは目標を十分達成、あるいは企業との共同研究も達成しております。先進医療の承認につきましては中長期全体で1件を目指しておりますので、こちらのほうは今後また頑張っていきたいと思っております。
下段、ガイドラインへの参画、センター主導でのガイドラインは13件、260%となります。
以上のことで自己評価Sとさせていただきます。
次のページをお願いいたします。
これは先ほどの先進医療です。それから、企業、ガイドライン、これは先ほど申し上げたとおりでございます。
Ⅲ 評定の根拠、一番下段、認知症研究のための統合データベース(iDDR)を構築しております。これは我がセンターで非常にユニークなデータベースで、後ほど詳しく申し上げたいと思います。
また、神経変性疾患の創薬・診断につながる新たな画像バイオマーカーのファースト・イン・ヒューマン試験を開始しております。これも後ほど詳しく申し上げたいと思います。
これらの結果、自己評価Sとさせていただいております。
次のページをお願いいたします。
左側が先ほどのiDDRの説明になります。これはintegrated Database for Dementia Researchの略でございまして、当センターが有しております1万7000例以上のバイオバンクデータベース、これは実際の各患者さんの臨床データベースが入っております。それから、ゲノムのデータベースがございます。そして、画像のデータベースがございますけれども、これらはこれまで別々に保管され、解析されておりましたけれども、これらを全てひもづけで患者さんのデータを統合して登録することによりまして、患者さんの臨床像、画像データ、ゲノムデータやそのほかのオミックスデータをひもづけすることができ、極めて有用な高齢者あるいは認知症あるいはサルコペニア、フレイルの研究データベースということになります。これらは大変当センターにユニークなデータベースであると自負しており、当センターのみならず、センター外の研究者との共同研究も活発に進めております。
その一つの例として、右側にございますけれども、東京都健康長寿医療センターの先生方が保有する嗜銀顆粒性認知症という全体の認知症の5%程度の比較的珍しい認知症でございますが、この疾患に関するゲノム異常を世界に先駆けて報告しております。
右下の図になりますけれども、これは令和8年3月17日に中日新聞や東京新聞などの新聞にも掲載された成果となります。
次のページをお願いいたします。
これは先ほどの統合データベースの中の特にメディカルゲノムセンターが行っておりますゲノムデータやオミックスデータとなります。これはこれまで例えば網羅的なスリップ解析を4万9500例、ホールゲノムの配列解析を4,800例、トランスクリプトームの情報を2,700例、それから、全プロテオームの解析を282名ということで、我が国でも有数のゲノムあるいはオミックスのデータベースとなっております。これらを活用しながら、先ほどの嗜銀顆粒性認知症をはじめ、様々な疾患、それから、Late-onset Alzheimer's disease、LOADと呼ばれていますが、こういったものの疾患の遺伝子を次々に突き止めることができておりますし、また、センター外のほかの施設とも共同研究を活発に行っているところでございます。
次をお願いします。
先ほどのiDDRの中で画像と申し上げましたが、当センターでは画像を用いた研究も継続しております。
左側はアルツハイマー病患者さんなどに対するミクログリアを標的としたPETの核種を作っておりまして、左下にございます図でございますが、これはCSF1型受容体を標的とした核種を作ります。そうしますと、これが脳内のミクログリアに結合し、その画像が解析できるようになるということになります。今、認知症や神経疾患ではミクログリアが大変注目を浴びておるところでございますので、こういった核種の作成というのは、今後の当センターのみならず、ほかの研究施設にも非常に有用な手段になるのではないかと思っております。
また、右側は分子シャペロンのHSP90(Heat shock protein 90)を対象とした画像診断用の核種でございます。これは主にシヌクレオパチーと言われるシヌクレインが蓄積するパーキンソン病やレビー小体型認知症、右下にあります多系統萎縮症などに特に有用ではないかと考えられており、これらをこれまではサル、アカゲザルで行っておりましたが、今年度ファースト・イン・ヒューマンでも行われたということで、5名完了したという状況になっております。これらの2種類の核種を現在新しい画像診断の手法として研究開発を継続しているところになります。
次ページをお願いします。
これはロボットシステムの開発でございます。左上にございますようにリビングラボというラボを特設しておりまして、これは例えば独居ですとか高齢者の方、認知症の方が実際に暮らす家をラボ内に再現して、様々なロボットの機能などを実施する研究施設を有しております。
左下、その延長線上でございますけれども、産学官連携の一つとして、当センターとサンヨーホームズ株式会社が中心となりまして、当センターの近隣に一戸建ての住居を用意いたしまして、その中に独居、介護が必要な方、動けないような方を想定した実証施設ということで研究を開始しております。
これらの施設は非常に施設外からも引き合いが多く、海外からも国内からも見学者が絶えないような状況になっております。当センターとしても大変ユニークな施設ではないかと思っております。
これらのラボを使いまして、当センターで開発した右にございますような膝関節をアシストするような機器、あるいは企業やほかの大学研究、施設などが作ったロボットの機能を実証する、あるいは確認するというようなことも受託として請け負っておりまして、総合的な支援ロボットの開発という点で当センターのユニークなものであると自負しておるところでございます。
右下にありますように、全国の同じようなリビングラボとも連携しながら、ネットワーク化して研究を進めていきたいと思っております。
次をお願いいたします。
これが先ほど少し申し上げました東浦研究でございます。これは2023年から開始した比較的新しい研究ではございますが、特にサルコペニアやフレイルの進行、その抑制などに特化した縦断的な研究ということで、今後、先ほどのNILS研究のように長期に継続して行っていきたいと思っております。
この研究とバイオバンクのデータの統合の中で、先ほど申し上げましたミリスチン酸が大変重要なマーカーになり得るのではないかというようなことも確認しております。また、左下、GDF15と呼ばれるサイトカインとサルコペニア、フレイルとの関係を見いだして発表させていただいております。
右側、この東浦研究は当センターと例えばヤクルト本社、日立製作所、味の素などの企業との連携、そして、東京都健康長寿医療センターなどの学術機関あるいは大学との共同で、現在HICAS(Higashiura Innovation Consortium for Healthy Ageing Society)というものを構成し、研究を進めているところでございます。既に非常に多くの競争的資金、21件の競争的資金の獲得している状況で、今後の発展が期待されます。
次をお願いいたします。
国際活動と人材育成でございます。まず、当センター理事長の荒井先生が特にアジア地区の先生方と共同で、(1)にございますようにアジアのサルコペニアワーキンググループとして、いわゆる筋肉の健康という観点からコンセンサスステートメントを『Nature Aging』誌市に荒井理事長が中心となって発表しております。
また、左下、IAGGマスタークラス、これは世界的な国際老年学協会でございますけれども、こちらを通じて若手の育成というようなことも行っております。
右側にございますように、理事長の荒井先生がクラリベート社のトップ1%の研究者に選ばれ、つい最近ですけれども、WHOのScience Councilのメンバーに就任されておられます。
ほぼ時間になってまいりましたが、最後に1-2の中長期です。これは自己評価Sとさせていただいております。臨床研究は中長期で1,200件のところ、既に2,200件という大幅な目標を達成しております。知見も350件のところを306件まで行って87%を達成しており、この1年間で伸ばせると思っております。そのようなことがここに記載されております。
次をお願いいたします。
下段にございますように、先ほど申し上げましたバイオバンクデータベースを活用したiDDRというデータベースを構築しております。
また、下段、メディカルゲノムセンターでは非常に多くの患者さんのゲノム情報を収集しております。
次ページをお願いいたします。
その例でございます。iDDRです。これは先ほど申し上げましたので割愛させていただきたいと思います。
次のページをお願いします。
メディカルゲノムセンターで収集しております。様々なデータから、右側下、日本人のLate-onset Alzheimer's diseaseの進展に関わる遺伝子群、血漿バイオマーカーなどを同定できております。特に現在この中でもSHARPINというタンパクに注目して機能解析を行っておるところでございます。
最後のページをお願いいたします。
1-2の最後でございますけれども、ロボットセンターは先ほど申し上げましたような研究を継続しております。
以上でございます。ありがとうございます。
○土岐部会長 御説明どうもありがとうございました。
ただいまの説明につきまして、委員の先生から御質問をお受けしたいと思います。御質問がある方は挙手をよろしくお願いいたします。ウェブの先生方もどうぞよろしくお願いいたします。いかがでしょうか。
前村委員、よろしくお願いします。
○前村委員 長崎大の前村でございます。
超高齢社会で認知症とかフレイル、サルコペニアは非常に重要な問題になっているのですけれども、センターが以前から最先端の研究をしているということがよく分かりました。
年度報告の9ページのJ-DEPPとJ-MINT研究について質問させてください。認知症の方の治療は抗体薬等がありますけれども、このように早く見つけて早く介入していくというのは非常に重要な取組かと思います。その中で生活習慣病を有する者で改善度がよかったということなのですが、このJ-MINTの研究というのは対象は正常な方なのか、ある程度認知機能が低下し始めた人を対象にしているかということと、どのような介入をするのか、その介入の方法は生活習慣病を改善するような介入であるのかということについて教えていただければと思います。
○国立長寿医療研究センター荒井理事長 理事長の荒井の方から回答させていただきます。
このJ-MINT研究についてですが、対象はMCIでありまして、MCIの中でいろいろなリスクファクターを持っている方々ということになります。介入内容は、いろいろな慢性疾患を持っているケースについては、主治医のほうでガイドラインに沿って慢性疾患の管理をしていただきながら、週1回集まっていただいて、グループで運動教室の中で運動をしていただく。その中にはサルコペニア、フレイルを意識したレジスタンス運動であったり、我々が開発しましたコグニサイズという認知機能を改善するような運動も含めた形での運動介入を週1回やる。そして、栄養介入については、電話や訪問によって栄養管理を行い、さらにiPadを配りまして、その中にBrainHQというアプリを搭載しまして、その中で認知訓練を受けていただくといった形で4つのことを一遍やるという介入を1年半やった結果であります。
MCIの中で糖尿病、高血圧のある方は非常にリスポンスがよかったという結果なのですけれども、同時にJ-MINTはTambaというサブスタディーがありまして、そこの中では対象をMCIに限定せずに、糖尿病や生活習慣病のある方を対象にしておりますけれども、その研究においてもやはり多因子介入による認知機能改善効果が示されていますので、MCIの有無にかかわらず、生活習慣病、特に糖尿病、高血圧を有する方に関しては、今申し上げた多因子介入は極めて有効であるということです。現在アルツハイマー病に対する抗体薬が市販され、今、多くの施設では抗体薬による治療のみが行われておりますけれども、我々としてはできるだけ多因子介入を組み合わせた形で抗体薬を使っていただくということが推奨できるのではないかと考えております。
○前村委員 よく分かりました。ありがとうございます。
○土岐部会長 続きまして、神﨑委員、どうぞ。
○神﨑委員 東京都健康長寿医療センターの神﨑と申します。
私からの質問は、1つ目が今年度の27ページです。先ほど御説明がありましたように、荒井理事長が国際的に大変活躍されているのは私ももちろんよく存じているのですけれども、サルコペニアの診断でアジアの基準を策定というところがございますが、欧米人はやはりアジア人と体格が違うということで、サルコペニアの診断でアジアの基準をつくったというところにももちろん意味があるとは思うのですが、恐らくいろいろ苦労があったと思うのです。欧米のコンセンサスと大分基準が違ってくると思うのですけれども、その辺りの調整というのはどういうふうにされたのでしょうか。
○国立長寿医療研究センター荒井理事長 理事長の荒井でございます。
御質問いただきましてありがとうございました。サルコペニアについては2013年にアジアのワーキンググループを立ち上げまして、そこの中でアジア人のエビデンス、主に疫学研究のエビデンスを使って、アジア人独自の握力であるとか歩行速度、そして、骨格筋量に関するカットオフ値を設けて診断基準を提案してきたということであります。
その5年後の2019年によりプライマリーケアの先生方にも使っていただける形でガイドライン、診断基準を改訂したわけでありますけれども、その後、アジアをはじめとして、ヨーロッパにも、アメリカにも、あるいはオーストラリアにもこういったワーキングループがあって、それで診断基準を出しているということで、そのグループが集まってGLISというグループを形成しまして、グローバルな診断基準を策定するということを私が日本を代表してSteering committeeのメンバーとなり、2019年から行ってまいりました。
その結果が2024年に発表されたということですが、グローバルなディスカッションで今後いろいろな薬剤も開発されるであろうということで、グローバルな基準を使って世界的な治験を行うというのが大きな目標としてあったわけでありますけれども、そのディスカッションの中で骨格筋量と筋力だけを使って診断をしようということがグローバルなコンセンサスとして得られました。そのコンセンサスをアジアの方に落とし込んだ形で昨年の11月に出したのがAWGS2025ということではありますけれども、そこでも再度システマティックレビューを行い、アジアのデータを再度分析いたしまして、65歳以上に関する握力や骨格筋量の基準、さらにはより若い年代からのサルコペニアの啓発を行うべきだろうということを議論しまして、50歳から64歳までのカットオフ値も新たに設定し、グローバルな委員会のところまで議論はしていませんけれども、アジアのワーキングループとしましてはライフコースアプローチが大事であろうということで、より若いときからマッスルヘルスを意識した生活介入を行うべきであろうというメッセージを出させていただいております。
そういった観点で、診断基準の大元についてはグローバルな基準を用いる。そして、それぞれのカットオフ値については、やはり体格も大きく違いますので、アジア人のデータを用いさせていただいてカットオフ値を決めたということではありますけれども、まだまだ今後検証が必要な点も多々あるかと思いますので、また5年後を目指して新しいコンセプトといったものを打ち出していきたいと考えております。
○神﨑委員 ありがとうございます。御苦労が多かったと思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。
○国立長寿医療研究センター荒井理事長 ありがとうございます。
○土岐部会長 それでは、中野委員、どうぞ。
○中野委員 川崎医科大学の中野でございます。
すばらしい数々の研究の御成果を御報告くださいまして、本当にありがとうございます。大変興味深く拝聴いたしました。
その中で教えていただきたいのが、認知症研究統合データベース、iDDRですかね。このデータベースを使われて、東京都健康長寿医療センターが持っておられる嗜銀顆粒性認知症(DG)300症例のDNA解析を行って、世界で初めて疾患と関連性のある遺伝子座位を特定されたということで、すばらしい成果かなと思います。それに関して教えていただきたいのですが、この研究成果につきましては、嗜銀顆粒性認知症という疾患の遺伝子座位が明らかになったということだけなのか、あるいはこの嗜銀顆粒性認知症というのもアルツハイマー病と診断されるケースも多いということなので、他の疾患の病態とか発症病理に何かアプローチできる、そういったことにつながる研究ともなり得るのか、その点、御教示いただけますでしょうか。
○国立長寿医療研究センター室原研究所長 ありがとうございます。
これはまさに御指摘いただきましたように、東京都健康長寿医療センターの先生方が保有する患者さんの300症例のDNAの解析をこちらのほうで行わせていただき、その他の遺伝子座と比較した結果、細胞種と関連するDAPK2という遺伝子の関連が浮かび上がったということで、これが新しい遺伝子であろうということになります。
また、興味深い点としまして、一般的にアルツハイマー病の強いリスクと言われるAPOE4の遺伝子は実はこの嗜銀顆粒性の認知症ではあまりリスクにならないということが分かってまいりまして、この辺りが嗜銀顆粒性は今かなり汎用されるようになってきておりますので、こういったものがないにもかかわらず、認知症があるような方の中から嗜銀顆粒性認知症の方が疑っていけるというようなことからも、新しい切り口として使えるのではないかと私どもは考えております。
○中野委員 分かりました。どうもありがとうございます。
○土岐部会長 ほかはよろしいですか。
根岸委員、どうぞ。
○根岸委員 根岸です。よろしくお願いいたします。
御説明ありがとうございました。たくさんのすばらしい研究をされていると思います。特に認知症に関する御研究の成果については、毎年大変興味深く伺っております。
質問なのですけれども、評価項目1-1、13ページのところです。アルツハイマー病のプレクリニカル期におけるリン酸タウ217の出現を見いだされたということなのですけれども、これが実用化されれば、血液で分かるということで侵襲性は低く、低コストで検査ができる大変有用な研究だと思って期待しているところですけれども、まず一つ分からないところを教えていただきたいのですが、無症候期、まだ発症していない、しかもそれが20年から30年前に分かるということですけれども、脳内で起きている変化を血液で把握するというメカニズムがちょっと理解できないので教えていただきたいのが一つ。
それから、先々の発症に向けて、例えばそれを予防していくとか、あるいは発症そのものを遅らせるというような対策、介入方法と言ったらいいのでしょうか。そういったものは現時点ではどんなふうにお考えになっているか教えてください。
○国立長寿医療研究センター室原研究所長 御質問ありがとうございます。
まずリン酸化タウ217でございますけれども、これは以前から実は血中でむしろ上がっているということがプレクリニカルアルツハイマー病の時期から分かっておったのですが、逆にこれがどういうことを脳の中でやっているのかというのがむしろ分かっていなかったということで、今回我々の研究でp-tau217がこの図にもございますようにアミロイド斑の周囲に出現しているということが分かってきました。恐らく非常に早期のアルツハイマー病のアミロイド斑、老人斑とも呼ばれますけれども、ここに発現しているp-tau217が血中に漏れ出てきて、その結果、血中に上がってきている。その微量なp-tau217を測定することによって、まさにまだ完全には発症していないプレクリニカルな時期のアルツハイマー病の方を見つけられるのではないかということのひもづけといいますか、病気とのひもづけがここでやっと分かったということになります。
そこで、これらのマーカーを見ることによって、あるいはこれだけではなく、今日いろいろ申し上げましたようなDNAのメチル化とかミリスチン酸といったものと複合的に組み合わせますと診断確率がもっと上がってまいりますので、そういった中でプレクリニカル、いわゆるまだアルツハイマー病とまでは言えないぐらいの方で診断がつけば、御質問いただきましたように、現在抗体薬がございますので、こういったものを早期に開始すればアルツハイマー病の発症を遅らせられるということにつながるのではないかと思っております。
○根岸委員 ありがとうございました。
○土岐部会長 成川委員、どうぞ。
○成川委員 北里大学の成川と申します。
御説明ありがとうございました。
私からは1点だけ質問させてください。御発表の冒頭にあった8ページ、9ページあたりの認知症早期発見のJ-DEPPのことですけれども、受診率が今回のデータで上がってきたということは非常に評価したいと思います。いろいろ御苦労されて、いろいろなやり方を工夫された成果かなと思っています。
私の質問はその前段階といいますか、スクリーニングにいらっしゃる方とか、受検率と言うのですかね。そういう裾野拡大に向けてのこれまでの取組なり実績なり、つまり、スクリーニングの対象者みたいなものはここ数年でどれぐらい増えているのかとか、あるいは今後どういうふうに裾野を拡大していく、あるいは底上げをしていくかというお考えをお聞かせいただければと思います。よろしくお願いいたします。
○国立長寿医療研究センター荒井理事長 理事長の荒井でございます。
J-DEPPに関しましては、まず裾野という点に関しましては、当初の目的が1万人をスクリーニングするということで、各地域にアサインしてその数を集めていただくということで始めましたので、裾野の拡大ということはこれからだと考えておりますけれども、まずは1年目、2年目についてはそれぞれ1万人を目指して、各地域で様々な形で、すなわちオンラインだったり、会場に集まっていただいて、認知機能検査を受けていただく。このように様々な方法で検査を行った結果、やはりオンラインだけでは受診につながらないというような傾向があったということ、そして、会場型のほうが確かに受診率は高いのだけれども、それでも十分ではないということで、放置しては駄目だということがわかったということです。やはり診断後の支援という形で手厚いケアがないとなかなか病院受診につながらないということが分かりましたので、まず行ったのは地域の保健師さんなどに電話などで連絡を取っていただいて、認知機能の異常が指摘された方に対してアプローチをしていただくということによって、受診率が倍ぐらい上がるということが分かりましたし、やはり受けていただくだけでは不十分だということを我々として明確に認識することができたということは大きいかと思いますので、今後はこの認知機能検査のスクリーニングを各自治体で行っていただく際に、人手をどうやって使っていくかということを各自治体に考えていただく必要があると思っておりますし、将来的にはAIなどを活用していくということも必要ではないかなと考えております。
また、今後の展開につきましてはアプリなどを今作っておりまして、LINEを使って簡単に認知機能検査ができるという仕組みを構築しております。それによって御自分で認知機能のチェックをしていただき、問題がある場合にはまずはかかりつけ医に相談をしていただくというような形で、できるだけ専門医につながるというような形を取りたいと思っております。今後、アプリを使った検診の方法あるいはこれまでのような会場型の検診の方法など、いろいろな形で各自治体の実情に合った形でのアプローチを今後とも継続していきたいと思っております。また受診率を上げるために我々はビデオを作成しまして、そのビデオを見た方におきましては、ビデオを見る前と後では、もちろん同じ集団の比較ですので統計学的には難しい点もありますけれども、さらに受診する、受診をしたいという方が増えたということです。一般的なアウェアネスを上げつつ、しっかりと多くの方が診断、検査を受けていただけるような土壌を構築する。そして、それをかかりつけ医から適切な専門医につなげるような医師会との連携といったものも非常に重要だと考えています。
○成川委員 ありがとうございます。今おっしゃったような新しい技術をうまく使って、現場のリソースを削減しながら全体に広げていくという非常に心強い取組だと思っておりますので、ぜひ今後ともよろしくお願いいたします。
○土岐部会長 部会長の私から追加で、本当は政策提言のところで聞こうかなと思っておりましたけれども、いわゆる国の認知症基本法とかで認知症検診ですね。これは先生方のほうから提案をする予定とか、このスタディーをどういうふうに生かしていくとか、そういう方針はあるのでしょうか。
○国立長寿医療研究センター荒井理事長 ありがとうございます。理事長の荒井でございます。
今の御指摘の点につきましては、やはりJ-DEPP研究の結果を受けて、恐らくまだまだ認知症についてはスティグマがある。認知症と診断されたくないであったり、あるいは認知機能検査で引っかかったとしても、自分は大丈夫だとお感じの方がまだまだ多いと考えております。そういった結果が既にアンケートで出ておりますので、そういったことについてはしっかりと国民のアウェアネスを上げるというような活動が我々としては必要だと思っておりますので、そういった活動を地道に行うとともに、認知機能の低下のスクリーニングに関しましてはより感度のいい検査方法を考え出したいと思っておりますけれども、もちろん個人によってアクセスに対するアフィニティーが違うというのも理解しておりますので、様々なオプションを用意するということも重要だと思っております。そういうオプションを用意しながら、できるだけこれからの高齢者、今の高齢者はスマホを使われる方もかなり増えておりますので、スマホを使った形での認知機能検査のチェックであったり、あるいは最近では顔面の表情の認識であったり、声の認識といったものをうまくAIと絡めて認知機能低下のスクリーニングをするような技術もできておりますので、そういった技術とも連携した形で、いろいろな形でのアプローチが今後は必要になってくるのではないかと思いますし、自治体におきましても、その自治体の中で取り入れることができるような技術や検査方法を採用していただくということをお願いしていきたいと思っておりますし、そういったことに関して、先ほどマニュアルの出版をしたという報告をさせていただきますけれども、今、ちょうど最終版が2年目の報告として出来上がったものもありますので、そういったものを各自治体に再度お配りして、各自治体の実情に合った形での認知機能検査を進めていただくということをお願いしていきたいと思っています。
○土岐部会長 よろしいですか。
田極委員、どうぞ。
○田極委員 御説明ありがとうございます。田極です。
私から1点質問させていただきたいと思います。年度評価の20ページと21ページになります。まず、医師主導治験数については、長らく0件だったものが1件ということで非常に頑張られたのだなというのがよく分かりました。一方、先進医療承認件数については0件ということで、令和3年度からずっと0が続いている状態ですが、21ページのほうを拝見すると中長期目標の達成に向けて取り組んでいるということで、中長期目標としては達成可能であることを見込んでいるため、目標は維持していくものとするということで、中長期目標としては達成可能であるという見込みがあるとなっているのですが、この辺り、具体的にめどがついていらっしゃるのかどうかといったことを教えていただきたいと思っています。先進医療の申請をするものが減っているのではないかというお話もある中で、この目標を立ててあって、その中で見込みがあるとなっておりますので、その点、確認させていただければと思います。
○国立長寿医療研究センター室原研究所長 ありがとうございます。
これは確かに非常に難しい御質問なのですが、先ほど画像のところで申し上げました右側のファースト・イン・ヒューマン試験で既に5例の方を達成しておりまして、いわゆるヒートショックプロテインに対する分子標的としたPETの画像診断ということになりますけれども、こういったものを今後早期に先進医療として立ち上げていきたいと考えており、それが中長期では1件行けるのではないかという一つの根拠になります。ありがとうございます。
○土岐部会長 ありがとうございます。
それでは、次のステップに移りたいと思います。続きまして、医療の提供等その他の業務の質の向上に関する事項の評価項目1-3から1-5について議論をお願いしたいと思います。
それでは、御説明をよろしくお願いします。
○国立長寿医療研究センター松浦病院長 長寿医療研究センター病院長の松浦です。今日はよろしくお願いいたします。
まず、令和7年度の業務実績概要について説明します。
1-3、医療の提供に関する事項です。高齢者医療においては認知症、フレイル及びサルコペニアの対応が極めて重要な課題であることは明らかです。このため、これら高齢者特有の病態に対して、高度かつ専門的な医療の提供並びに診療・研究体制の整備を重点的に推進してまいりました。これらの課題に対して目標を今年度は大きく上回る成果を複数領域で達成していると考え、自己評価をSとさせていただきました。
下段にある病院運営に関する指標に関しましては、医業成績の指標である入院延べ患者数、病床利用率、平均在院日数、手術件数に関して、令和7年度は最もよい成績となり、全てにおいて初めて目標を達成することができました。病床利用率は87.2%、稼働率は90%超えで、手術件数も令和6年度と比べて500件近く増加し、目標を大幅に超えました。医療供給体制の充実と運営効率の向上の両面で着実な成果を上げたものと考えています。
スライドをお願いします。
下段にあります評定の根拠ですが、先ほど述べましたように、病院運営に関する指標において全てで目標を達成したこと、多くの研究成果を英文誌に発表し、高齢者医療の向上及び標準化に資するガイドライン策定で過去最多となる13件で関与したこと、病院内センター、特にもの忘れセンターにおいて包括的な認知症診療の提供と先進的治療体制を推進したこと、今後重要性が高まる在宅医療の充実に向け、診療・ケアの供給体制のモデル構築を推進したことなど、顕著な成績を上げたことによります。
次のスライドをお願いします。
次に、病院内センターを中心とした臨床研究を含めた診療に関して説明します。
まず、もの忘れセンターでは認知症基本計画に貢献しております。令和7年度には1,086例の鑑別診断を実施するとともに、多職種連携による包括的な認知症診療を提供しました。
さらに、(2)にありますように新たな抗アルツハイマー病薬による治療など、先進的治療体制を推進しました。加えて、全国に先駆けて遺伝子型情報の提供を行い、副作用発生リスクを踏まえた個別化医療の推進に取り組みました。
また、診断後支援として、(3)に示しますように外来窓口の個別相談、若年性認知症支援などを実施し、患者・家族視点に立った継続的支援体制を整備しました。さらに、あいちオレンジタウン構想に基づく地域連携を推進し、地域包括ケア体制の充実に貢献しています。
次のスライドをお願いします。
摂食嚥下・排泄センターにおいては、摂食嚥下機能及び排泄機能の包括的評価と治療の高度化に取り組みました。
(1)にありますように、嚥下障害に関しましては320列CTを用いて評価を行い、病態に応じた適切な治療を提供しています。
また、栄養摂取への影響の観点から検討を行い、口腔ケアの意義も明らかにしています。
さらに、(3)のように高齢者に多い排尿障害及び排便障害に対しては多職種支援によるラウンドを実施し、治療及びケアの有用性について客観的評価を用いて検証し、その成果を論文化しています。
これらの取組により、摂食・排泄機能の機能維持・改善を通じた高齢者の生活機能向上に貢献しています。
次のスライドをお願いします。
訪問リハビリテーションと脳・身体賦活リハビリテーションについてです。地域に基づいた医療の一端を担うため、これらの取組を開始してから10年以上が経過しています。
左側の訪問リハにおいては、月平均件数が1,000件の水準に達するなど、着実に拡大しています。また、大府市のみならず周辺自治体とも連携し、介護予防事業に参画しており、地域住民の健康維持増進及び介護予防の推進に寄与しています。
右側の認知症患者に対しての身体・認知機能の維持・向上を目的とした脳活リハに関しても、実施件数は年々増加しており、新たなこと試みとしてeスポーツを通じた認知症患者と若年者と交流をもたらす影響についての研究も論文化しています。
これらを通じて、地域における健康寿命延伸に大きく貢献していると考えています。
次のスライドをお願いします。
治験・臨床推進研究体制の整備についてです。
(1)にありますように、臨床研究の着実な施行に向けた支援体制の強化継続、医師主導治験などの実施を支援しました。また、当センターが治験調整委員会を担当する医師主導治験の会も開始となりました。
加えて、(2)にありますように、倫理性・透明性の確保のため、患者・家族への情報提供や研究倫理教育を実施し、臨床研究者認定制度を運用しています。治験・臨床研究推進体制の強化、先端医療の実用化推進に貢献しています。
次のスライドをお願いします。
在宅医療・地域医療連携推進部においては、これからの高齢者救急の需要を見据え、地域医療機関との連携強化を図るため、(3)にありますように内科系を中心とした高齢者救急対応チームの医療体制を確立しました。
また、今後重要性が高まる在宅医療の充実に向け、近隣在宅診療医及び医療機関との連携を推進するため、(5)にありますようにN登録体制を構築しました。これにより、入院から在宅、在宅から入院への円滑な移行を可能とし、アドバンスケアプランニング重視した診療ケア供給体制のモデル構築を推進します。
これらの取組により地域包括ケアに対応した医療モデルの実現に向けた医療連携体制の強化に貢献しています。
次のスライドをお願いします。
ロコモフレイルセンターにおけるフレイル・ロコモ・サルコペニア克服による身体的自立促進に向けた取組についてです。
包括的診療研究体制としてロコモフレイル外来及びレジストリを整備し、登録者数は1,329名に達しました。
(2)、(3)の治療介入に関しても、企業との共同研究を通じて新たな介入方法などの研究開発を実施し、その成果を学会及び論文として発表しています。
さらに、(4)にありますように自治体と連携しフレイル予防の啓発活動を行い、地域における健康寿命延伸に寄与しています。
これらの取組により、フレイルに対する診療、研究、予防を一体的に推進する体制の構築を進めています。
次のスライドをお願いします。
感覚器センターにおける高齢者感覚器包括医療と眼科再生医療の展開についてです。
感覚器外来では視覚、聴覚、味覚、嗅覚、平衡感覚を含む包括的な感覚器評価を実施し、感覚器リハビリテーション及びロービジョンケアを提供しています。
加えて、(3)にありますようにiPS細胞由来の再生医療等製品を使用して角膜移植などを実施し、眼科移植医療の拠点化に向けた診療体制の拡充を図ってきました。
これらの取組により、高齢者における感覚機能の維持・回復及び生活機能向上に貢献しています。
次のスライドをお願いします。
高齢者の慢性疼痛はQOL及びADLの低下が大きな要因となっており、当センター整形外科グループにおいて高齢者運動器疾患に関する縦断的研究を実施してきました。(1)から(4)にありますように筋肉量減少と慢性腰痛の関連性を明らかにすることにより、新たなサルコペニア治療の可能性を示唆する知見を得ました。加えて、(5)に示すように腰部脊柱管狭窄症における黄色靱帯肥厚に関与する遺伝子多型を同定しています。これらの研究は全て論文化され、高齢者運動器疾患の病態解明及び新規治療戦略の構築に貢献するものと思います。
次のスライドをお願いします。
高齢者診療を推進する科学的アプローチに基づく知見の創出についてです。まず、高齢者のためのガイドライン作成において、誤嚥性肺炎の治療と予防に関するガイドライン開発研究班に参画し、新たに虚弱関連肺炎(PAC)という今後重要となると考えられる概念を提案しました。また、(2)から(4)にあるように入院関連合併症に関する多施設レジストリデータの解析や、認知的フレイルバイオマーカー探索研究を行い、多くの成果を英文誌に投稿しています。これらの取組により、高齢者診療における基盤強化、新たな臨床概念の創出に貢献しています。
次のスライドをお願いします。
続きまして、3期の中長期業績見込みですけれども、令和7年度実績と同様にS評価とさせていただいております。
病院運営に関する指標に関してですが、令和3年度から令和5年5月までの間、当センターは1病棟を新型コロナウイルス感染症専用病床として運用し、パンデミック下における地域医療体制の維持及び重症患者対応に大きく貢献しました。一方で、稼働病床数の減及び感染対策に伴う病床制限のために、入院患者数を含め、全ての指標においてこの間は減少しました。しかしながら、徐々に回復し、先ほど述べましたように昨年度において全ての指標で目標を超えることができました。
次のスライドをお願いします。
評定の根拠ですけれども、先ほどの病棟運営の指標に加えて、高齢者医療の向上・標準化に資するエビデンスを創出し、ガイドラインの作成を多数行ったこと、もの忘れセンターでの最新医療の提供、再生医療をはじめとする高齢者感覚器障害の診療に貢献したことが挙げられます。
次のスライドをお願いします。
もの忘れセンターにおける活動は先ほど述べましたので、詳細は割愛させていただきますけれども、診療研究地域支援及び政策実装を一体的に推進し、我が国の認知症診療・研究を先導する顕著な成績を上げたと自負しています。
次のスライドをお願いします。
2022年に設立された摂食嚥下・排泄センターでは、摂食嚥下障害及び排泄障害を高齢者の生活機能維持に直結する重要課題として包括的に捉え、多くの診療科が横断的に関与する多職種協働による診療・研究体制を確立しました。これらは先導的取組であると考えられ、高齢者医療の質向上に大きく貢献するものと考えています。
次のスライドをお願いします。
続いて、移行期ケアを基軸とした診療情報共有と遠隔医療を含めた切れ目のない地域モデル構築についてです。非がん疾患のエンドオブライフ・ケアのガイドライン、認知症支援ガイドなど、学会や講演会を通じて啓蒙・普及に努めました。また、N登録体制を整え、新たな地域医療連携モデルの構築を進めました。さらに、親子教室などアドバンスケアプランニングの普及・啓蒙及び人材育成に取り組みました。移行期ケアを中心とした診療情報共有体制の強化及び在宅医療との連携促進に貢献したと考えています。
次のスライドをお願いします。
包括的感覚器ケアと高齢者感覚器障害の克服を課題に、感覚器センターでは、先ほど述べましたように感覚器の包括的評価やiPS細胞由来角膜上皮を用いた再生医療を推進し、高齢者感覚器障害に対する先進的医療を行ってきました。これらは感覚器障害と老年症候群を統合的に捉えた先導的な診療・研究として高齢者医療の発展に大きく貢献していると考えています。
次のスライドをお願いします。
高齢者診療ガイドラインの作成・普及に関して、センター全体での体系的な取組を説明します。高齢者総合評価機能(CCA)に基づく診療・ケアガイドライン2024、サルコペニア・フレイルに関する栄養管理ガイドラインなど、高齢者医療の質向上及び標準化に資する計39件のガイドライン作成に寄与し、目標を大幅に上回る成果を達成しました。
また、下段にもありますデジタルヘルスケア・ガイドラインに関しましては、GGIで既に論文化されていることも申し述べます。さらに、これらのガイドライン策定に関する研究成果などについて多数の英文誌に発表し、高齢者医療分野における科学知見の創出と国際的発信を推進いたしました。
次のスライドをお願いします。
続いて、1-4の人材育成に関する事項に移ります。国内外の有為な人材拠点となることを目標として、高齢者医療及びその研究を推進できる人材の育成並びにモデル的研修・講習の実施及び普及に努めてきました。多面的な人材育成に大きく貢献したことから自己評価をSとさせていただきました。
令和7年度は、認知症サポート医研修、認知症初期集中支援チーム員研修、高齢者総合計研修の全てで目標を達成することができました。
スライドをお願いします。
令和7年度には一昨年度には中断しておりました高齢者医療在宅医療総合看護研修を再開し、高齢者総合ケア研修と名称を改めて実施しています。本研修は内容、構成を抜本的に見直し、「~明日の実践にいかす~高齢者総合ケア研修」として、看護師のみならず多職種を対象と実施して実施しています。
また、下段の評価根拠ですけれども、先ほど述べましたように認知症サポート医研修及び認知症初期集中支援チーム員研修の実績、内科専門医研修プログラムの基幹施設認定の取得、初期臨床研修プログラムのJCEPによる講師認定が挙げられます。
次のスライドをお願いします。
認知症推進に向けた各種研修、専門医等の育成の実施についてです。新オレンジプランに基づく認知症サポート医養成研修につきましては、e-learningと集合研修を組み合わせた複合型として年5回実施、1,073人が修了認定されました。累計でも1万6612人となり、認知症政策推進大綱のKPIを達成しております。
認知症初期集中支援チーム員研修においても、オンライン研修の活用により受講機会を拡大し、修了者数は1,002人となりました。愛知県からの委託事業として372人を対象とした研修も実施しています。さらに、講師育成を進めて継続的かつ安定的な研修実施体制の強化を図っています。
これらにより、地域における認知症医療提供体制の強化に寄与しています。
次のスライドをお願いします。
専門医育成及び研修体制の強化についてですが、高齢者医療及び認知症医療に対応できる若手医師育成のためのプログラムを整備し、内科専門研修プログラムの基幹施設認定を取得いたしました。これにより、令和8年度より専攻医の受入れを開始し、本格的な専門研修体制を構築いたしました。
また、初期臨床研修プログラムプログラムにつきましては、JCEPの更新認定を取得し、初期研修医マッチングにおいて数年間継続してフルマッチを達成した結果、令和9年度より定員が3名から5名人増員されるということが決定いたしています。
さらに、コグニサイズ指導者・実践者養成研修を実施した結果、コグニサイズ促進協力施設は令和7年度末時点で50施設に拡大し、地域における介護予防の普及に寄与いたしました。
次のスライドをお願いします。
教育実習・国際人材育成についてですが、スライド右側にありますように、令和7年度は看護及びリハビリテーション分野などの学生に対し、当センターの特色を生かした専門実習を実施して計8,103名を受け入れました。
さらに、左側にありますように海外研修生の受入れにつきましても拡大しており、令和7年度は20名を受け入れております。受講生の多くはアジア諸国の医療専門職であり、日本における実地研修を通じて専門性を高め、帰国後は地域医療体制の構築に貢献することが期待されます。
次のスライドをお願いします。
続いて、中期業績概要ですけれども、これも令和7年度と同様にSとさせていただいています。中断した令和6年度の高齢者ケア研修を除いて、指標が全て100%を超えたこと。
次のスライドをお願いします。
下段にありますように、根拠も先ほど述べましたこととほぼ同様です。
次のスライドをお願いします。
認知症サポート医研修は直近5年間で5,000人以上を養成し、令和7年度末時点で累計1万6612人となり、当初目標1万6000人を達成しました。
また、認知症初期集中支援チーム員研修は直近5年間でも6,000人以上を養成し、累計1万7057人に達しています。
加えて、内科専攻医の受入れ開始、初期臨床研修医の育成体制の強化、学生の実習受入れの拡大、海外研修生の受入れなど、若手医療者及び多職種の人材の育成についても着実に推進してきたと自負しています。
これらの取組は認知症医療に関わる地域支援体制の強化に加え、次世代の医療人材育成の推進に大きく寄与しているものと考えています。
私からは以上です。
○国立長寿医療研究センター橋本企画戦略局長 それでは、評価項目1-5につきまして、ここから企画戦略局長の橋本が御説明いたします。
1-5、医療政策の推進等に関する事項についてでございます。今御覧いただいているスライドですが、令和7年度評価ですが、自己評価はSとしております。
Ⅱの指標の達成状況でございますけれども、ホームページのアクセス件数が1422万件、目標に対しまして237%となっております。令和6年度のような全国ネットのドラマ放送の監修といった特殊案件はなかったのですけれども、ウェブアクセシビリティーの向上、コンテンツの拡充、積極的なプレスリリースといった取組の継続で目標件数を大きく上回りました。
特にプレスリリースにつきまして、こちらの資料には載せていないのですけれども、その件数を見ますと、令和3年度13件、4年度15件、5年度が11件、そして、6年度はその倍の20件、7年度はさらにその倍の38件となっておりまして、近年、特に件数が増加しているところでございます。
次のスライドをお願いします。
スライドの左側ですが、認知症の進行リスクを高精度で予測するモデルを世界で初めて開発いたしました。この結果は地域健診などにおける簡便、高精度な認知症早期スクリーニングツールとしての活用が期待されます。
スライドの右側ですけれども、地域在住の高齢者を最長約22年追跡した調査データに基づきまして、個人の行動や思考を特徴づける特性であるパーソナリティーが将来の要介護発生リスクに与える影響を明らかにいたしました。こちらは個人のパーソナリティーに応じた個別化対応の展開を期待されておりまして、個人の強みを生かし、弱みを補うアプローチとして効果的な介護予防につながると考えられます。
次のスライドをお願いいたします。
スライドの左側ですけれども、健康に対する関心を高めていただく活動といたしまして、大府市役所におきまして健康長寿フェア2025を開催いたしました。
また、その下ですが、ベトナム国立高齢者中央病院と高齢化に伴う諸課題に対応するため、共同で研究や人材育成に取り組むことにつきまして覚書を締結いたしました。
このほか、高齢者の安全な薬物療法ガイドライン2025を策定するなど、認知症をはじめとした診療情報を積極的に発信いたしました。
スライドの右側ですけれども、市町村職員や医療介護福祉の専門職を対象に研修プラットフォームを通じて研修の動画を公開する。あるいは愛知県と協力いたしまして、研修等を実施いたしました。
また、認知症医療介護推進フォーラムを開催いたしまして、多くの医療関係者等に最新の情報を発信したところでございます。
また、令和7年4月1日付で内科専門研修プログラムの基幹施設としての認定を受けまして、東京都健康長寿医療センターと内科専攻医の総合連携施設など、医療機関間のネットワーク構築も図っているところでございます。
次のスライドをお願いいたします。
続きまして、第3期中長期目標期間「見込評価」の説明となりますけれども、こちらにつきましては、資料にございますとおり、自己評価をSといたしております。
次をお願いいたします。
こちらの上段ですけれども、認知症医療介護推進会議からの提言といたしまして、令和3年度に新型コロナウイルス感染症流行下における認知症の人の感染症対策の強化及び支援の推進を目指した提言を発表いたしました。
また、下の段ですけれども、国内初となる呼吸不全に対する在宅緩和ケアの指針ガイドの公表、リハビリテーション・栄養・口腔管理の一体的取組のための国内外初のガイドラインを作成いたしまして、リハビリテーション・栄養・口腔連携加算の創設に大きく寄与するなど、医療の均てん化を推進したところでございます。
御説明は以上でございます。
○土岐部会長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの1-3から1-5までですけれども、委員の先生方から御質問、御意見等をお受けしたいと思います。いかがでしょうか。
神﨑委員、どうぞ。
○神﨑委員 では、口火を切らせていただきますけれども、東京都健康長寿医療センターの神﨑です。
今年度の28ページなのですけれども、病床利用率がかなり高いなという印象を持ちました。御存じの方はどのくらいいらっしゃるか分からないのですけれども、国立長寿医療研究センター病院は愛知県大府市にあって、名古屋市から小1時間かかるところだと思います。特に大府からバスに乗らないといけないということで、結構集客に苦労するのではないかと私は思っているのですけれども、にもかかわらず、利用率が9割を超えているような感じで、今年度は100%も超えているということなのですけれども、これはちなみに稼働率で言うとどのくらいになるのでしょうか。その辺、集客に関する御苦労みたいなのというのはどんなことがあるのかお聞かせいただけるとありがたいです。
○国立長寿医療研究センター松浦病院長 御質問ありがとうございます。病院長をやらせていただいている松浦と申します。
まず、利用率はここにありますように目標は85%ということで、利用率は87.2%となっています。令和7年度ではありますけれども、稼働率は一般床においては大体95%近くと今年度はなっています。昨年度は90%超えとなっています。
それで、どのように集客されたかということなのですけれども、高齢者救急というのは今後非常に重要な課題になってくると思っていますので、積極的に地域の医療機関及び救急隊及び自治体の保健センター等を回らせていただいて、当院が高齢者救急に今後非常に力を入れていくのだということを病院長、地域連携室長と共に説明をさせていただいて、それで少しずつ少しずつ努力していったことによって、救急患者が非常に増えてきたということが非常に大きな要因であると考えております。
以上です。
○神﨑委員 ありがとうございます。
救急応需率もかなり高いということですね。
○国立長寿医療研究センター松浦病院長 そうですね。医療体制において夜間帯を全て受けるというのは非常に厳しいものが当院としてはありますけれども、ここの近隣、大府市、東浦町を中心とした時間内及び土日の日勤帯においてはほぼ90%以上を受けていると報告を聞いております。
○神﨑委員 分かりました。ありがとうございました。
○土岐部会長 それでは、続きまして前村委員、挙手されていましたね。
○前村委員 長崎大の前村でございます。
2つ質問させてください。
最初は今の神﨑先生の御質問とも関連するのですけれども、年度評価の34ページの(2)で患者数の減少に伴い近隣病院の救急外来への搬送状況調査とありますけれども、調査の結果どのようなことが分かったかということと、地域医療構想が言われていますけれども、その中でセンターの役割分担の立ち位置というのをどのように考えられているのかというのが第1点です。
2点目が年度評価の45ページの左の立方体を描いて認知症の進行リスクを予測するというのがあって、これは非常に興味深いのですけれども、こういうので分かれば非常に簡便でいいかなと思うのですけれども、これの感度とか特異度がどれぐらいあるかというのと、先ほど来、血液バイオマーカーで認知症を予測するというようなこともされていたのですが、こういう立方体を描くようなのに血液バイオマーカーを加えるようなことでどれぐらいさらに精度が上がっていくのかという見込みを教えていただければと思います。
○国立長寿医療研究センター松浦病院長 御質問ありがとうございます。病院長の松浦です。1点目は私がお答えさせていただきます。
まず、患者数減少に伴い近隣病院の救急外来の搬送状況の調査ということで、ここにありますように近くに西知多総合病院、あるいは知多半島総合医療センター、旧は市立半田病院といったものですけれども、あるいは近くの刈谷豊田総合病院というところにも訪問させていただきまして、近隣病院でもどのようなところで問題が起きているかということを共有させていただきました。そこで、やはり平均在院日数及び患者数が非常に減っているのではないかと思ったわけですけれども、特に刈谷総合病院においてはさほどでもなく、そこのところから積極的に高齢者に対する一種の下り搬送みたいなものを受けるようにいたしまして、工夫をさせていただいて連携を非常に強めているというようなことをさせていただきました。ですので、それによって少しずつ、完全な救急というわけではありませんけれども、当院としては高齢者中心とした医療を展開していく。向こうはどちらかというと、高齢者というよりも、得意なところは若年者と言ったら失礼なのですけれども、65歳未満、70歳未満の方々を中心として医療をされたいという御意向がありましたので、そういうところですみ分けをさせていただいているというような次第です。ありがとうございました。
○国立長寿医療研究センター荒井理事長 後半ですけれども、理事長の荒井です。
キュービック、立方体につきましては、MMSEという基本的な認知機能検査の中に含まれているのですけれども、それを描いていただいてAIを活用した形で予測するというアルゴリズムだったと思いますけれども、感度と特異度については、正確な数値は覚えていませんのでお答えができないのですけれども、AIを取り入れた形での診断予測ということになっていたと思います。
現時点でこの立方体とバイオマーカーを組み合わせた形でのデータはないのですけれども、将来的にバイオマーカーが恐らく保険で認められるということになるかと思っていますが、非常に高価でありますので、バイオマーカーを全ての患者さんで保険診療で測定するわけにはいかないと思いますので、まずはこういう簡便なスクリーニングで、先ほどアプリを使った形でというものも御紹介しましたけれども、アプリとか音声認識だったり、比較的安価なスクリーニングでまずリスクを同定し、もちろんその中には糖尿病とか高血圧といった生活習慣病も入っていると思いますけれども、ある程度のリスクが一定以上といった場合にバイオマーカーという形になるのかなと考えておりますので、そういった形で適正にマーカーを使うといったことも今後の大きな課題かなと考えております。
○前村委員 よく分かりました。ありがとうございます。
○土岐部会長 中野委員、どうぞ。
○中野委員 川崎医科大学の中野です。
人材育成に関して質問させてください。研修医が長年継続してフルマッチということは、きっと長寿医療研究センターの人材育成に関する評価の高さとか教育研修が充実しているということを示す指標であって、すばらしいと考えております。
そこでお教えいただきたいのは、研修医の皆さんなのですけれども、地元からいらっしゃる方が割と多いのか、名古屋圏あるいはその近郊からが多いのか、あるいは全国的にほぼ均等に分布しているのかということと、あとは医師の世界で現在高齢者医療を目指す方の数は増加傾向にあるのかどうか、全く自分の専門ではないので、全く自分が認識していないのでお教えいただきたいのですが、御教示いただければと思います。
○国立長寿医療研究センター松浦病院長 御質問ありがとうございます。病院長の松浦です。
まず、残念ながら名古屋圏というか愛知県の出身の人は研修医としては少なくて、実は四国出身の方とか、山陰出身の島根大学とか鳥取大学とか、香川大学とか、筑波大学の方もおられますけれども、福井大学とか、大体そのような形の方が多いです。来られる方は福井大学とか鳥取大学、島根大学でして、やはり少し過疎に悩んでいらっしゃるというようなところもあって、老年医学を少し学んで在宅医療に結びつけたいとか、それから、認知症というのがここの柱の一つですので、認知症診療に少しでも、やはり高齢者の認知症というのは地方では非常に問題になっているようでして、なかなか専門家がいなくて困っているというのがあって、そういうところに寄与したいという志で、そういうような形で神経内科、老年内科を中心として希望されるという研修が多うございます。
○国立長寿医療研究センター荒井理事長 理事長の荒井です。
後半につきましては、高齢者医療を学びたいという若い研修医が多いかという御質問だと思いますけれども、正確な数字は僕も把握しておりませんが、背景としてはやはり高齢化ということもありますし、過疎化ということもあって、総合診療医や老年科医への関心は高まっていると認識しています。ただ、実際に老年科という形で希望されている方がどのぐらい増えているかということについては具体的な数字は持っていないという状況であります。
既に委員の先生の中に神﨑委員がおられますので、神﨑先生は恐らくよく御存じかもしれませんけれども、現状もかなり高齢化が進んでおりますけれども、20年後の2045年といった時期になりますと、急性期の医療現場も85歳以上の患者さんが外来でも入院でもさらに増えて、その患者像というのは恐らくマルチモビリティーとか老年症候群といった病態の方がほとんどになると我々は予測しています。
そうすると、現在のいわゆる専門医、例えば循環器であったり、消化器であったり、そういった方々のニーズというのは徐々に減っていくと我々は予測していますし、恐らく国のほうも厚生労働省でもそういったデータを持っておられると考えておりますので、我々国立長寿医療研究センターとしましては、学会と連携をしてそういったことをしっかりと啓発し、老年医学の重要性をさらに啓発することによって、この領域に若い医師を呼び込みたいと思っておりますけれども、老年科のアイデンティティーという点についても我々はしっかりと議論をしているところでありまして、単に多くの病気を持つ高齢者のケアをするというだけではなくて、やはりエイジングといったことをしっかりと理解した上で、エイジングに対する対策をしながら、そこはかなりサイエンティフィックなアプローチも必要だと思いますけれども、フレイル、サルコペニアの予防ということも考えながら疾患管理をし、いかにQOLの高い診療を行うかということになると思います。
先ほどの救急医療においても、どんどんこれから増えるのは85歳以上の救急患者さんになりますけれども、どうしても今の診療システムだと、急性期の病態は救急で治すのだけれども、すぐまた帰ってくる。繰り返し受診するというのが問題でありまして、そこをしっかりと丁寧に救急の患者さんでフレイルの方、虚弱な方をしっかりと対応することによって、多少入院期間は延びるかもしれませんけれども、その方が繰り返し救急科を受診しないような形の救急医療というものを当センターを中心にしっかりと発信していきたいと考えています。
○中野委員 ありがとうございます。よく理解できました。将来的な高齢者医療の我が国の均てん化とか、これからの方向性を見定める上でもとても大切なお話だと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
○土岐部会長 よろしいでしょうか。
根岸委員。
○根岸委員 根岸です。
同じく年度評価の人材育成に関する事項で質問させてください。42ページにコグニサイズのことが書かれておりますけれども、個人的な話になりますが、私も老年期に入りまして、家には92歳の母がいるもので、YouTubeを見ながらコグニサイズを始めているところです。それで、いかにこれを継続するか。継続が非常に大事だというようなメッセージも拝見しておりますけれども、これを実施していって、どんな方法で効果を検証したらいいのか。ここには指導者、実践者の養成研修というものがありますけれども、やはりこういう研修をきちんと受けた人でないと評価がしにくいものなのでしょうか。それとも在宅で、私の場合には親子で今しているところなのですけれども、何か目標とするところですとか指標があるとまた取組もやりやすくなるのかなと思うのですが、いかがでしょうか。
○国立長寿医療研究センター荒井理事長 理事長の荒井ですけれども、ありがとうございます。
コグニサイズにつきましては、エビデンスがあるものとしては、きちんと教育、それに向けたインストラクターがグループで指導するという形のものはエビデンスとしてあるということで、それを基本的には推奨しておりますけれども、なかなかインストラクターの方が日本全国、全ての自治体にいるわけではないということを問題と認識しております。今お話があったようなYouTubeを介してコグニサイズをやっていただいている方もおられると伺っています。
その効果検証については、残念ながら社会実装という形でありますので、我々がちゃんと研修を受けていただいたインストラクターの下で運動して認知機能の改善効果を見たような形は非常に難しいと思っておりますけれども、それに近いような効果が得られればと期待はしております。
どのように評価をするかについては、我々の研究ではiPadを用いた形での認知機能検査を使って、ちゃんとした認知機能検査をしてエビデンスを出しておりますけれども、御自宅でやられる場合にはなかなかそういった正式な検査を受けていただくことは難しいと思っておりますので、先ほど来お伝えしましたけれども、御自分でiPadあるいはiPhoneを使った形での認知機能検査を受けていただくということ、あと、御自分でチェックをしていただくということも一つの方法としてあると思いますし、恐らく多くの方々というのは医療機関を受診されているかと思いますので、医療機関で受けていただけるような簡便な認知機能検査といったものをかかりつけ医の先生にお願いをして受けていただくといったことも大事かなと思っております。
コグニサイズは認知機能に効くというだけではなく、体全体の健康度を上げるという効果もありますし、こういったいろいろな運動教室で使っておりますとやはり人気度が高いということであります。なので、通常のいわゆる筋トレとか有酸素運動というのはどうも人気がなくて、継続性が非常に低いという問題があるのですけれども、このコグニサイズを取り入れることによって結構継続していただけるというようなケースも多いと聞いておりますので、いろいろな地域での運動メニューの中にコグニサイズを入れていただくとともに、御自分でやられる場合には御家族と一緒にやっていただくということと、やはりいろいろなコミュニケーションを取りながら、YouTubeだけを見てやっていただくよりも御家族と一緒に楽しんでいただいて継続していただくということで、効果判定はかかりつけ医の先生にお願いせざるを得ないと思いますし、いろいろな認知機能以外の例えば歩く動作であったり、転ぶリスクがどうかといったことについてもある程度簡便に自己評価ができるようなツールもありますので、そういったものを活用していただいて効果判定をしていただければと考えています。
○根岸委員 ありがとうございました。ぜひ続けて自分で検証していきたいと思います。
○土岐部会長 よろしいでしょうか。
それでは、続きまして業務運営の効率化、財務内容の改善及びその他の業務運営に関する事項、2-1から4-1について議論をお願いしたいと思います。
最初に法人のほうから説明をよろしくお願いいたします。
○国立長寿医療研究センター橋本企画戦略局長 それでは、企画戦略局長の橋本から御説明いたします。
まず評価項目2-1、業務運営の効率化に関する事項についてでございます。令和7年度評価につきましては自己評価をBとさせていただいております。
今御覧いただいているところで指標の達成状況でございますけれども、令和7年度、重要な指標であります経常収支率が96.0%、以下、後発医薬品の数量シェアが91.6%、一般管理費約8900万円、医業未収金比率が0.0383%となっておりまして、目標を下回っているところでございます。
一般管理費の増加につきましては、令和4年度に新病棟を開棟いたしましたが、その設備管理費等の委託費、あるいは物価、水道光熱費の高騰といったところが要因として考えられるところでございます。
また、医業未収金比率につきましては、患者数が年々増加しているところではございますけれども、増要因となっている債務者への定期的な督促とか回収業者への委託によりまして、未収金の回収に努めているところでございます。
次のスライドをお願いいたします。
スライドの左側でございますが、効率化による収支改善。こ[n1] れにつきましては、ベンチマークシステムを用いた価格交渉でありますとか同種同効品の切替え、こういった取組を実施いたしまして材料費の削減を図りました。医業収益は対前年度比で5億2300万円増加の89億3400万円となってございます。
スライドの右側でございます。情報セキュリティー対策の重要性が増しているところでございますけれども、NCO、国家サイバー統括室によりますフォローアップ監査を受けまして、改善計画に基づいて情報セキュリティー対策の維持・強化に努めているという評価を受けました。また、監査法人による情報システムの第三者監査も実施いたしまして、問題ないことを確認いたしております。
次のスライドをお願いいたします。
運営状況につきまして前年度との比較でございますが、医業収益につきましては対前年度比で5億2300万円増加の89億3400万円、一方、医業費用は対前年度比で4億8600万円増加の92億1000万円となっております。
医業収支差は2億7600万円のマイナスになっておりますけれども、そういう中で前年度よりは3700万円改善しているところでございます。一方、収益の増加につきましては入院患者数の増加でありますとか、入院外来一人一日の平均単価の増加が主な要因となってございます。
費用の増加につきましては、給与費の増加、それから、物価高に伴う材料費の増加が主な要因となっております。
また、医業外収支差は3億2200万円のマイナスとなっておりますけれども、そういう中で前年度よりは1億2200万円改善しております。
医業収支と医業外収支を総合した結果の総収支差は5億9800万円となっておりまして、こちらもマイナスでございますけれども、前年度よりは1億5900万円改善しているというところでございます。
次をお願いいたします。
ここからは評価項目2-1の第3期中長期目標期間「見込評価」の説明となります。自己評価はBといたしております。
次をお願いいたします。
こちらにつきましては、一般管理費の増加、先ほど申し上げた設備管理費の委託費、物価、水道光熱費の高騰等が要因となっているという分析、それから、医業未収金比率につきましては、増加要因となっている債務者への定期的な督促、回収業者への委託によって未収金の回収に努めているというところでございます。
次をお願いいたします。
こちらにつきましては、スライドの左側でございますが、経常収益につきまして救急受入れの強化、地域連携の推進などに積極的に取り組んだことによりまして、患者数、診療点数ともに令和3年度よりも大幅に増加して収益増加につながったと考えております。一方、経常費用につきましては、節電対策に伴う目標を設定いたしまして、センター内での取組を強化したことが経費の削減につながったと考えております。
スライドの右側でございますが、情報セキュリティー対策、その他情報管理等につきましては、情報セキュリティーポリシーの改定、情報セキュリティー関連手順書の整備、改訂を行いました。また、情報セキュリティー研修とか職員の自己点検を実施いたしまして、意識・知識の向上を図ったところでございます。
次をお願いいたします。
第3期中長期目標期間の財務・運営状況等につきまして、診療収益は年々増加いたしております。入院患者数も増加傾向にございまして、一日平均診療点数は入院、外来ともに増加をしております。一方で、減価償却費や借入金の償還が高い水準で推移しておりまして、経常収支差は、令和3年度はコロナ補助金もありましてプラスだったものの、令和4年度以降はそれがなくなりましてマイナスに転じました。令和7年度もマイナスになっておりますけれども、6年度に比べますと改善しているということは先ほど御説明したとおりです。
次をお願いいたします。
続きまして、評価項目3-1に移ります。財務内容の改善に関する事項についてです。
令和7年度評価でございますが、こちらも自己評価はBといたしております。繰越欠損金につきまして、前年度から約5億9800万円増加いたしまして、約29億8900万円となっております。物価高に伴う材料費や水道光熱費の増加、給与費の増加、それから、新病棟の設備管理費等の委託費や減価償却の増加といったところが主な要因となっておりまして、総収支差、当期純損益の損失がそのまま積み上がっているというような状況になっております。
次のスライドをお願いいたします。
スライドの左側に貸借対照表を載せておりますが、こちらについては資産総額が約213億5000万円、対前年度比で11億3000万円の減少となっております。
また、損益計算書につきましては、当期純損益、総収支差が5億9800万円の損失になっているところはたびたび御説明しているところでございます。
こうした中でございますが、ここにはBSとPLの概要だけを載せておるのですけれども、キャッシュフロー計算書の概要は載せていないのですが、資金残高も予断を許さないような状況になっておりますので、今後、資金ショートというリスクもあることを念頭に置きながら、引き続き改善に向けた取組を進めてまいりたいと考えております。
スライドの右側でございますが、外部研究資金の獲得状況につきまして、令和7年度は対前年度比で2億6800万円減少の14億3000万円となっております。科研費や民間財団等の競争的資金につきましては、募集を実施する省庁や団体等から募集要項等の情報を入手して研究者に情報提供を逐次行うなど、資金獲得に努めているところでございます。項目といたしまして増えているものもございますけれども、全体といたしましては残念ながら前年度よりも減少しているという状況でございます。
次をお願いいたします。
ここからは評価項目3-1の第3期中長期目標期間「見込評価」の説明となりますが、自己評価はBとしております。令和7年度の繰越欠損金は約29億8900万円で、令和3年度末時点では約4億6900万円でしたので、第3期期間内で約25億2000万円の増加となってございます。
次をお願いいたします。
左側ですけれども、外部研究資金の獲得状況につきまして、科研費あるいは治験・財団等が増加傾向にありますものの、AMEDを含む受託研究が減少傾向でございまして、全体の獲得額は年々減少しております。
また、寄附金の受入れにつきましては、寄附御協力ポスターを院内に掲示するほか、センターホームページにも寄附への協力依頼のリンクを掲載するといった方法で御案内をしておりまして、寄附の受入れを継続して取り組むところでございます。
次をお願いいたします。
最後に評価項目4-1でございますが、その他業務運営に関する事項につきまして、令和7年度の評価は、自己評価Bとさせていただいております。監査室による内部統制、内部統制委員会を開催するなどガバナンス強化に取り組んだこと、また、AMEDやNHO(国立病院機構)との人事交流でありますとか、クロスアポイントメント制度の活用促進といった人事交流の促進を図っているところでございます。
次をお願いいたします。
こちらは、第3期中長期目標期間「見込評価」ですけれども、同様に自己評価Bといたしております。
次をお願いいたします。
2ポツ目です。令和4年12月1日に理事長から職員へコンプライアンス・メッセージを発信いたしました。法令遵守だけではなくて倫理観、公序良俗などの社会的な規範に従って公正・公平に業務を行ってコンプライアンス意識の一層の向上に努めるというメッセージを全職員に通知いたしました。その他、ストレスチェックの実施でありますとか仕事と育児・介護の両立可能な環境整備に努めるなど、職員が働きやすい職場環境の整備も行っているところでございます。
御説明は以上となります。
○土岐部会長 ありがとうございました。
ただいまの御説明に対しまして御質問等はございますでしょうか。
成川委員、どうぞ。
○成川委員 北里大学の成川です。
御説明ありがとうございました。
私のほうから質問は1点だけですけれども、先ほどの御説明の中で外部研究資金が年次的にどんどん減ってきているというのがやはり気になっておりまして、これは背景の原因みたいなのは分かっているのでしょうか。研究の応募件数自身も減ってしまっているのか、あるいは採択がうまくいかないようなケースが増えてしまっているのか、その辺り、もし何か分析をしていたら教えていただけるでしょうか。
○国立長寿医療研究センター荒井理事長 理事長の荒井でございます。ありがとうございました。
実は令和2年度から5年にかけて非常に大型のAMED予算が入ってまいりまして、あと、令和6年度につきましても厚労科研の大型のものがあったということでありまして、実際には様々な研究に関する研修を行うことによって採択課題数は増えています。特に、6年度と7年度の比較の数値は忘れましたけれども、令和7年度と令和8年度の比較になりますが、約100件程度採択課題数は増えているということでありますけれども、残念ながら、大型のAMED研究の予算が十分に取れていないということで全体として研究費が減っているということでありますので、そこは非常に危機的な意識を持っておりまして、例えば基盤S、Aに対するエンカレッジメントなどをしておりますし、AMEDについては、残った方については我々と一緒に予行演習をしていただいてヒアリングのブラッシュアップをするというようなことも行っております。
AMEDにつきましても、これまでは大体1割強の採択率だったのですけれども、少なくとも今年度は3割まで増えておりますので、徐々にその効果は現れているかなと考えておりまして、これからしっかりと巻き返しをしていきたいと考えておりますけれども、少なくとも裾野は確実に広がっているということはお伝えしておきたいと思っております。
○成川委員 ありがとうございます。背景を含めてよく分かりまして、問題意識を持って皆様方は取り込まれているということですので、ぜひ今後の推移を注目したいと思います。
○土岐部会長 ほかはよろしいでしょうか。
松前委員、どうぞ。
○松前委員 松前でございます。
御説明ありがとうございます。いろいろな研究成果を出している中で、こういった財務については結果を出すための大変重要なことだと思っております。ただ、この財務内容を見させていただきますと、かなり厳しいのではないかなと少し思うところがございます。
まず2-1でございますが、教えていただきたいのは、様々なところで業務運営の効率化ということで行われていると思いますが、人件費等については説明がなかなか読みにくいのかなと思っておりまして、こちらも金額が上がっているということでございますけれども、従業員の数が上がっているのか、単価が上がっているのか、そういったところの分析をしていかなくてはいけないかなと思うのですけれども、そこが読めなかったというところが2-1でございます。
あと、3-1のほうでございますけれども、3-1も財務内容の改善に関する事項ということでございますが、繰越欠損金が年々どんどん増えているというところがまず一点、大変なことだなというところと、借入金につきましても大きな投資が4年のときにあったということがございます。それと、業務評価書などを見ますと、DX化ということで電子カルテなど今後の投資もまだ必要だという中で、さらに借入金というのが見込まれるというか、新規で必要なのかなという状況であるのではないかと思われます。その中で、先ほど少し御説明の中にありましたけれども、キャッシュフローを見ますと、資金残高についても大きく減ってきているというところがございますが、こちらについては借入金の返済計画について計画どおりにしっかりと実施されてきているのかというところ、また、変更は必要なのかとか、そういったところをもし教えていただけるのだったらお願いしたいと思います。
以上です。
○国立長寿医療研究センター橋本企画戦略局長 ありがとうございます。企画戦略局長の橋本です。
人件費、それから、借入金につきまして主に御質問があったと認識しております。こちらは固定的にかかる費用ということで、その動向を注視することは非常に重要だと考えております。人件費につきましては、職員の数は専門職等も含めて増加してきているという中で、令和7年度の50ページの資料にありますけれども、給与費も増加しているというような状況になっております。この辺りが人件費の増加という数字を表していると思います。
それから、借入金の返済につきましてですけれども、こちらは計画どおりに実施しており、今のところはそれを変えるというような状況にはなっていないと認識しておりますけれども、先ほど御指摘がありましたようにキャッシュフローの動向も踏まえながら、計画にどう対応していくかということにつきましては、随時そこはしっかりチェックしながら進めていく必要があると考えているところでございます。
雑駁ですけれども、概略としては以上の御回答になります。
○国立長寿医療研究センター荒井理事長 追加で理事長の荒井ですけれども、やはり給与費につきましても人事院勧告等で出ておりますので、そこは優秀な人材を確保するためには、国並みにはいきませんけれども、ある程度上げなければいけない。材料費も大体30%から50%上がってまいりますので、そこで非常に危機感を持ってベンチマークを使って見直しを進めておりますけれども、なかなか元の数値には戻らないという状況で、我々は危機意識を持って運営をしておりますが、やはり10億円というのが一つのメルクマルだろうと思います。そこを切らないようにしなければいけないと思っておりますけれども、2年後にこのままいくと資金ショートというリスクもあるという認識でおります。
我々としては、今回の診療報酬改定に期待をしておりましたけれども、残念ながら我々のような中規模の病院で特定機能病院ではないところに関しては特定機能病院ほどの診療報酬の増は期待できないということで、年間大体2億円程度のプラスにしかならないという試算です。これだけ9割以上の稼働率を稼いでいるにしてもなかなかV字回復というのは難しいのではないかと考えておりますので、ここはぜひとも国の支援をお願いしなければいけないかなと感じているところであります。
我々センターは、国循もそうですけれども、独法化してから新しい建物、2つの外来棟と入院棟を建築したということでありますので、ほかのNCと比べましてかなり不利な状況であるということで、その財政状況にあると。独法化してから新しい建物を2つ建てて、非常に大きな借金を返しているという状況については国には定期的に御説明をさせていただいておりますけれども、我々としては人件費、材料費をしっかりと見直しつつ、新しい人を採るにもすぐに補充せずに、慎重に吟味して有用な人材をできるだけ採るという方針で進めておりますので、世界的にエイジングに関する期待が非常に大きい中、研究活動を縮小してお金を減らすということはできるだけ避けたいと考えております。世界的にも非常に、特にアジアからの当センターへの注目度が高いということで、その期待に応える必要があると我々は考えておりまして、そういった意味でもなかなか費用を減らして研究活動を圧縮するという決断には至らないということで、そこはしっかりと国に対する御支援をお願いしているところであります。
○松前委員 ありがとうございます。
本当に研究については投資をしっかりとしていただかないといけないというのもこちらのセンターの役割として大変重要だと思います。また、人件費、研究者も含め従業員の獲得については、それも減らすということもなかなか難しいと思いますので、しっかりと計画的に実行していくということが基本かなと思うところと、借入金の返済、また、それ以外の外部資金も減っている中で、そういった資金繰りについても計画と実行とさらにそれをしっかりとこまめにチェックしていくということが今ここの段階においては大変重要かなと思います。
以上でございます。
○国立長寿医療研究センター荒井理事長 ありがとうございました。今後、いろいろなもの、電カルも含めて購入をしなければいけないという状況ではありますけれども、いろいろな機材、機器を買う場合には費用面でのフォローアップをしっかりとさせていただいておりますので、それが本当に適正かどうかと。人を増やすにしても、定期的にフォローアップして、収益につながってなければまた元に戻すというようなこともやっておりますので、しっかりと計画を持って人の雇用であったり機材の購入には当たっていきたいと考えております。
○土岐部会長 それでは、最後に法人理事長と法人監事からのヒアリングを行いたいと思います。
まずは、法人監事より業務の監査結果等を取りまとめた監査報告について御説明いただくとともに、監査等を踏まえた現在の法人の業務運営の状況や今後の課題、改善方針等についてコメントをよろしくお願いします。
○国立長寿医療研究センター橋本監事 監事の橋本でございます。
監査報告に沿って報告をします。
令和7年度の監事監査報告は6月18日付で理事長宛てに提出しております。令和7年度の監査報告は、私ども監事において協議しました結果、特段の指摘事項はございません。その結果、法人の業務、内部統制システム、役員の業務執行、監査法人の監査の方法及び結果、事業報告書におきまして、いずれも指摘すべき重要な事項はございませんでした。
若干補足しますと、先ほど企画戦略局長から報告のありましたとおり、総収支差は令和5年度よりも減少したものの、赤字で推移しており、繰越欠損金が増大し、資金ショートの可能性も全くゼロというわけではないと考えられるところでございます。ただ、センターとしましては、このような状況を放置することなく、診療実績を見える化するなどして皆さんで共有するという取組を進めておりまして、これにより職員全員の経営改革への意識というものが着実に高まってきていると感じています。
理事長をはじめ、職員の方々は日々診療に当たるとともに経営改善に向けた努力をされておられますので、監事としましては引き続き緊張感を持って注視してまいりたいと考えております。
以上でございます。
○土岐部会長 ただいまの監事の御発言にコメント、御質問等はございますでしょうか。
それでは、引き続きまして、法人の理事長より日々のマネジメントを踏まえ、現在の法人の業務運営の状況や今後の課題、改善方針等についてコメントをお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
○国立長寿医療研究センター荒井理事長 理事長の荒井でございます。
本日は、大変長時間にわたりまして様々な御指導をいただきまして、誠にありがとうございます。様々な御意見、御指導をいただきましたので、それを真摯に捉えまして、業務改善に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
今日いろいろなお答えをさせていただきましたけれども、まだまだ我々のような診療機関を取り巻く環境は非常に厳しいものがあると考えております。その中で人材の雇用をどのような形で厳格に管理していくかということは非常に大きな課題ではありますけれども、やはり医師については医師を雇用することによる収益といったものも十分に期待できるわけでありますので、その辺りをしっかりと見極めながら、かといって収益性の低い診療科をストップということもナショナルセンターの病院としては難しいということもありますので、いかにその辺りをバランスよく運営していくかということは我々にとって非常に大きな課題であると考えております。
研究所におきましても、限られた予算の中で研究レベルをいかに低下させないようにするかが課題となります。その中で人の雇用につきましても、誰かが辞めた場合、すぐに補充するのではなく、しばらく期間を置いてから雇用するようにはしておりますけれども、少なくともそういった形で費用をできるだけ抑えつつも、研究を行う上ではスピードが遅れないようにしていきたいと考えておりますので、センター全体一丸となって取り組んでいきたいと考えております。
我々センターは国内におきまして様々な研究活動や診療活動をしておりますけれども、特にアジアの国々からかなり期待の目を持って見ていただいておりまして、今年、台湾でNational Center for Geriatrics and Welfare Researchという新しい我々のようなセンターも立ち上がりましたけれども、そこの立ち上げに関しましても我々のセンターとの間でMOUを結びつつ、多くのアドバイスもさせていただいたと思っておりますし、韓国におきましてもKNIAという形でNIAの韓国版をつくりたいという御意向がありまして、それに関する様々なアドバイスをさせていただいたり、シンポジウムをさせていただくということで、アジアにおいて老年医学・老年学をいかに発展させるかといったことについても我々のセンターとしてはしっかりと取り組んでいかなければいけないと思っておりますし、私自身が国際老年病協会のアジア・オセアニア地区の会長をこの4年間仰せつかっているということもありますので、アジア・オセアニア地域の老年医学・老年学の発展にもコミットしなければいけないということも考えております。
そういったことも含めて、当センターのビジビリティーをさらに上げるべく、そして、経営の改善につきましても、借金がこれ以上増えるようなことがないように、あるいはキャッシュが枯渇することがないように全力で取り組んでまいりたいと思いますので、国からの御支援に期待しているところであります。
今日はどうもありがとうございました。
○土岐部会長 ありがとうございました。
ただいまの理事長の御発言に御質問等はございますでしょうか。
ないようですので、以上で国立研究開発法人国立長寿医療研究センターの令和7年度業務実績評価及び中長期目標期間「見込評価」についての審議を終了いたします。長い間どうもありがとうございました。
それでは、休憩ですね。
○高屋企画調整官 ここで15分ほど休憩を取ります。次の国立がん研究センターについては午後2時35分からの開始となります。よろしくお願いいたします。
(休憩)
○土岐部会長 それでは、引き続き議事のほうを再開させていただきます。
後半は国立がん研究センター[A2] の「令和7年度業務実績評価」及び「中長期目標期間見込評価」についての審議を行いたいと思います。
それでは、早速ではございますが、まずは法人の理事長から一言お言葉を頂戴したいと思います。よろしくお願いします。
○国立がん研究センター間野理事長 国立研究開発法人国立がん研究センターの理事長の間野博行でございます。今日はよろしくお願いいたします。
当センターは1962年に日本最初のナショナルセンターとして設立されまして、以来、日本及び世界のがん研究、がん医療を牽引してまいりました。研究と医療だけではなくて人材育成にも力を入れておりまして、今、例えば日本のアカデミア、大学で腫瘍内科の講座はたくさんありますけれども、そこの教授の多くの方は我がセンターで研さんを積まれた方です。
私が去年の4月に理事長を拝命しまして、そこでみんなに言ったことは、ワンセンターで世界を目指すというスローガンでした。当センターは中央病院とか東病院とか計6個の部門からなりますけれども、その6部門が一致団結して、世界のがんの創薬のエコシステムの中に自ら入っていって、日本から情報発信するとともに、世界の新しいがんの薬や診断機器を一刻も早く日本のがん患者に届けて実装するということを目指していきたいと思っております。そうすることが、今、ちまたで言われていますドラッグ・ロスの克服にもつながると考えて、このような活動を行っております。
今日は令和7年度と中長期計画の御評価をいただきますけれども、忌憚のない御助言、御示唆を賜れれば幸いでございます。今日はよろしくお願いします。
○土岐部会長 ありがとうございました。
それでは、まずは研究開発の成果の最大化に関する事項、評価項目1-1及び1-2について議論をしたいと思います。
JHについては後ほどまた別途時間を設けますので、JHを除いた部分につきまして、まずは法人から説明をよろしくお願いしたいと思います。
○国立がん研究センター間野理事長 よろしくお願いします。今、私が研究所長を兼任しておりますので、項目1-1と1-2は間野のほうから説明させていただきます。
では、資料2-2の6ページを御覧ください。
6ページ、1-1、担当領域の特性を踏まえた戦略的かつ重点的な研究・開発の推進で、自己評価をSとさせていただきました。
以下、時間の関係から項目を絞って簡単に御説明申し上げます。
ページをめくっていただいて、8ページを御覧ください。
左から1 がんの本体解明に関する研究で①日本人大腸がん患者さんの5割に特徴的な腸内細菌による発がん要因発見であります。これは当センターの研究所の柴田博士らを中心とした国際的なコンソーシアムが大腸がん1,000例にも及ぶ全ゲノム解析を世界規模で行ったものであります。その中で、興味深いことに日本人の大腸がんに固有の遺伝子変異パターンが見つかりました。遺伝子変異パターンというのはAがTになったり、GがCになったりする変異の種類のことですけれども、日本人に固有の変異パターンが約5割に見つかって、しかも、その原因が大腸の中に存在する腸内細菌に起因すると予想されることが明らかになりました。専門的な名前でPKSという酵素を産生する腸内細菌がいると周りの細胞にゲノム変異を起こすのです。その特徴的なパターンが日本人の大腸がんに多く、しかも若い人の大腸がん、若年発症のがんに多いことが明らかになりました。これなども将来的に新しい発がん、大腸がんの予防法につながる研究成果ではないかと考えます。これは科学誌『Nature』誌に出版されました。
次に右側を御覧ください。②免疫チェックポイント阻害薬の有効性を促進する新たな腸内細菌を同定であります。オプジーボのような免疫チェックポイント阻害薬はいろいろながんの治療に承認されて使われていますけれども、必ずしも全ての人に効くわけではないのです。そこで、有効だった患者さんと無効だった患者さんの腸の細菌を次世代シークエンサーによって網羅的に解析しました。そうすると、興味深いことに有効だった患者さんに特異的に全くこれまで知られていなかった腸内細菌が存在することが明らかになりました。それを彼らはYB328と名づけたのですけれども、そのYB328がどうやってチェックポイント阻害薬の有効性を増強するかも彼らは明らかにすることが成功しまして、YB328がいると腸の中に存在する免疫のトリガーというか司令細胞である樹状細胞が活性化されて、こんどはその活性化された樹状細胞が血流を通ってがんのところに行って、腫瘍局所の免疫細胞を活性化して抗腫瘍免疫を発揮することが明らかになりました。これも全く新しい抗腫瘍免疫の増強剤の可能性につながる研究成果ではないかと考えます。これも科学誌の『Nature』誌に出版されました。
めくっていただいて9ページ、左側の③人工透析下の腎臓がんの前がん病変及び発症機構を解明であります。腎機能が悪くなると人工透析にならざるを得ないのですけれども、不思議なことに10年以上人工透析を続けていると、ほとんどの人の両方の腎臓に数万とか数十万という無数の嚢胞、小さな袋なのですけれども、嚢胞ができるのです。しかも、それらの患者さんは腎臓がんの発症率も15倍に上がります。そのメカニズムは分かっていなかったのですけれども、当センター研究所の田中博士らのグループがそれらを細かくゲノム解析すると、実は腎臓の中の近位尿細管という尿が流れる管のたった1個の細胞が増殖に働く遺伝子変異を獲得して、それが増殖して嚢胞をつくることを明らかにしました。つまり、嚢胞は尿が詰まって袋みたいに膨れるのではなくて、腫瘍性に壁の細胞が増殖して嚢胞をつくるのです。それぞれ異なる嚢胞は異なる遺伝子変異を持っているので、言い換えると、長期で透析をしている患者さんは両方の腎臓に何万個、何十万個という独立した良性の腫瘍が存在しているということになります。このことが将来的にはより大きなコホートで検証されれば、透析を長くする場合には腎臓を取ったほうがいいとかという臨床ガイドラインの変更にもつながる重要な発見ではなかったかと思います。この研究成果は『Cancer Discovery』誌で出版されました。
ページを11ページまで進めていただいて、11ページ、左側で3番、希少がんや難治がんなどに対する新しい標準治療などを目指した研究で、①治験の機会が限られていた希少がん患者に治験を通してより多くの新薬を届ける「MASTER KEYプロジェクト」に連動する企業治験・医師主導治験を実施であります。希少がんというのは10万人当たり6例以下という発症数が少ないがんのことを言いますけれども、実は日本で希少がん全体を集めると15%から全体の20%と非常にたくさんの方が希少がんにかかっていることが分かっています。そのような方々はなかなかこれまでがんの薬が届かない状況が続いていました。そこで、我々はオールジャパンで希少がんを集めたデータベースというか、がんのゲノム変異なども取得した大きなレジストリをつくって、そこに次々と治験を誘導するという活動を行っています。
下のほうに書いてありますが、現在まで4,900例という希少がんにしては世界最大規模の患者さんのデータベースができていて、それを使って現在44種類の治験が走っていて、既に薬事承認が4件取得されています。こうして希少ながんであっても、患者さんに新しい薬を届けるという活動が我々の大きなコホートによって成功していると言えます。
ページを少しめくっていただいて、15ページを御覧ください。
15ページ、5番で患者さんに優しい新規医療技術開発に関する研究で、①Jmeesと国立がん研究センター東病院が共同開発した「内視鏡手術支援プログラムSurVis-Pel」が薬事承認を取得であります。もともと当センター東病院では、外科手術をする際に画像補助AIというのを開発していました。それが成功したので、そこからスピンオフしてJmeesというがんセンター発ベンチャーをつくりました。その後、がんセンター発ベンチャーと東病院が共同研究を実施して、そのAIプログラムの臨床性能試験を行って有用性が証明され、2025年の12月に薬事承認されました。
一番下の画像を見ていただくと分かるのですけれども、これは内視鏡による手術ですが、右側の青色に見える管が尿管です。そういう尿管とか神経あるいは動脈、静脈といった外科手術で間違えて切ってはいけないところをちゃんと描出してくれて外科手術を支援するようなAIプログラムが薬事承認を取得したことになります。こうして我々のシーズをNCC発ベンチャーとしてサポートすることで、実際の承認、医療実装まで行っております。
ページを次に移っていただいて、16ページを御覧ください。
これは当センターの論文数と被引用数の推移であります。総論文数は右上にありますように2025年は1,276と非常にたくさんの論文が作られました。
我々が特に重要だと考えているのは右下の高被引用論文数のグラフです。一般に論文の質の評価として用いられるのは、ほかの論文からどれぐらい引用されたか、被引用数というのがその論文のクオリティーを示すことになるとされています。全論文の中で特に上位1%に入るような極めて高い被引用数を誇る論文のことを高被引用論文、Highly Cited Papersといいます。その数が10年ぐらい前は東大、京大が上だったのですけれども、ここ6年ぐらいはそこでお分かりになるように絶対数は我々が常に日本一を維持しています。これはがん専門の領域ではなくて、医療全体で選ばれた数が我々のような小さなセンターが総合大学に比べてずっと高い数で1位を維持しているということからも、我々の研究力が優れていることがお分かりいただけるかと思います。
次のページ以降はJHの業績ですので、後にJHの本部長の青木先生から紹介をいただきます。
それでは、22ページを御覧ください。
今度は評価項目1-2で実用化を目指した研究・開発の推進及び基盤整備で、こちらも自己評価はSをつけさせていただきました。
24ページを御覧ください。
24ページ、左側です。1番、がんゲノム医療の基盤整備で①がんゲノム情報管理センター(C-CAT)の体制整備であります。日本では御存じのように2019年からがん遺伝子パネル検査が保険収載されて、皆保険の下でがんゲノム医療がスタートしました。そこで、パネル検査を受けた患者さんのゲノム情報と臨床情報が集約されるデータセンターがC-CATであります。C-CATでは集まってデータに患者さん一人一人のゲノム変異に応じた臨床試験をリストしたようなC-CAT調査結果というのを作成して、各病院にそれぞれお返ししています。
一方、C-CATで集まったデータは公平・公正、科学的な形で多くの方に利用いただいています。大学の研究者やあるいは企業の方にたくさん使っていていただいています。
そのページの下の図にあるように、データの収集は順調に推移して、今年の3月時点で約13万例のデータが集まっています。しかも、右側の図にありますように非常にたくさんの施設でそのデータが使われていて、166の課題で使われていて、しかも、重要なことはその中に21の企業が含まれています。企業の方はこのデータを新しい薬剤の開発に利用したり、あるいは臨床試験のデザインに使ったり、さらには薬事承認の申請にそのデータを使ったりして、日本のがんゲノム医療は極めて順調に進歩していると言えます。
次の25ページを御覧ください。
左側の2番、バイオバンク、データベース、コア・ファシリティーの充実で、患者情報を負担したJ-PDXライブラリー作製・利用体制の促進であります。
これまで抗がん剤の効き方、薬効の評価には培養皿で継代する細胞株というのが一般に使われていたのですけれども、細胞株の有効性というのは実際の患者さんの有効性とほとんど一致しなくて、その精度は5%と言われています。
ところが、患者さんのがん組織を生きたまま取り出してネズミの背中に植えて継代するPatient-Derived Xenograft、PDXというのですけれども、そのPDXでは有効性の予測が5割から8割と極めて高い精度で予測することができます。しかし、PDXを作るのは費用も時間もかかるのですけれども、我々は日本に薬を導入するために大きいPDXのライブラリーをつくろうと思いました。これまでに2,466例の患者さんのサンプルをネズミに植えて、既に800株近いPDXが樹立されています。しかも、これらのPDXは全て当センターの患者さんですので、電子カルテの情報が解析に利用できます。そういうPDXは世界にありません。
PDXが400を超えたぐらいから、いろいろな企業が未発表の抗がん剤を用いて薬効評価を我々に依頼してくるようになり、既に成功して論文化したものについては、第Ⅰ相臨床試験を我々のセンターで行うという形になっていますので、これも日本に薬を導入して日本の患者さんに早期に薬を届ける非常に大きなドライビングフォースになると我々は考えています。
次の26ページを御覧ください。
左側、4番、産官学の連携・ネットワークの構築で①臨床導出を目指した放射性医薬品(RI医薬品)の国内開発であります。放射性医薬品(RI医薬品)は近年の抗がん剤治療の中でますます大きな役割を持っています。国内で核種の創出から薬への包埋、それから、前臨床試験、性能試験、治験、承認、販売という最初から最後までの体制を国内で完結するということを目指したいというのが今の国の施策になっています。我々はそれに応えるべく、JAEAとか理研あるいは量子科学技術研究開発機構(QST)と連携してRI医薬品の開発に注力しています。既に実際に我々のところで作った薬でFIHに進んだものもありますので、国内のRI医薬品の開発体制の構築に大きな役割を果たしていると思っています。
それでは、2ページ進んでいただいて28ページを御覧ください。
左側、国際連携・国際貢献で①国際機関プロジェクトへの参画と協力です。これは最初に申し上げたとおり、国際的なプレゼンスの向上・連携というのは今の我々の非常に大きなテーマです。それに沿うように、やっと成果が出始めたのですけれども、例えばこの図の下にある写真、だるまを持っていますが、これはG7という政治的な枠組みがありますけれども、その下にあるG7 Cancerという活動のプレジデントが今年の6月から私が務めることになり、議長国が日本になりました。これからはこのG7 Cancerを我々が主導して国際連携を進めてまいりたいと思っています。
その下の写真はC8 Consortiumといって、世界の優れたがん研究機関、特にトランスレーションリサーチが優れた研究機関が8つ選ばれて連携してがん研究を進めていくという枠組みです。これも我々NCCはアジアから唯一選ばれて、世界のがん研究を牽引してまいっています。
次のページをめくっていただいて、29ページを御覧ください。
左側、②アジア主導の開発へ向けたネットワーク構築と新薬開発であります。東南アジア、東アジアは人口の増加が著しく、恐らく近い将来には世界の医薬品の非常に大きなマーケットになると期待されます。そのようなところで日本が主導してリーダーシップの下で大きなバーチャルな医療プラットフォームをつくって、薬をそこで開発し、また、がんゲノム医療を導入していくというのは日本という国にとっても極めて大事なプロジェクトと考えています。それを我々はATLAS Projectと名づけて、タイのバンコクにオフィスをつくってこの新しいプロジェクトを進めています。そこの図にあるようにたくさんの国が参加してくれていて、多くの治験が走っています。
右側の③を御覧ください。先進医療と治験の実施です。これらの活動の結果、企業治験の件数も国際共同治験の件数も順調に右肩上がりに伸びておりまして、企業治験の件数は1年あたり1,000件というこれまでにない数の治験が我がセンターを中心に走っております。
それでは、令和7年度の成果は以上にしまして、ごく短くですけれども、第3期の中長期計画の成果についても簡単に御紹介したいと思います。資料2-6を御覧ください。
6ページになります。評価項目1-1で、ここも自己評価をSとさせていただきました。
①で全ゲノム解析によってスキルス胃がんの治療標的を同定であります。スキルス胃がんは御存じのように日本で特に若い女性に多い予後不良のがんでして、有効な分子標的療法もほとんど存在しません。我々は腹水を起こしたスキルス胃がんの患者さんの腹水からがん細胞を純化して、それを全ゲノム解析することで、図にありますEML4-ALKとかMETとかFGFR2といった複数の治療標的を同定して、これらの患者さんに対する薬の開発につなげています。
それでは、ページをめくっていただいて11ページを御覧ください。
11ページの右側です。②国内初の造血器腫瘍遺伝子パネル検査「ヘムサイト」の製造販売承認取得であります。先ほど申し上げましたように、がん遺伝子パネル検査はこれまで6種類が承認されているのですけれども、去年までは全て固形腫瘍に対するパネル検査で、造血器の悪性腫瘍、例えば白血病とか悪性リンパ腫といった造血器のパネル検査は存在しませんでした。そこで、当センターの研究所の片岡博士らが中心となって、日本中の大学や、さらに日本血液学会と連動して、オールジャパンの日本発の血液の遺伝子パネル検査の開発に乗り出しました。それをやがて大塚製薬が引き継いでくださり、ヘムサイトという商品名で去年の3月に製造販売承認されて、今、既に広く日本で患者さんがこのパネル検査を受け、ゲノム医療を享受することができております。
それでは、次に評価項目1-2に移ります。22ページを御覧ください。
これが説明するページの最後になるのですけれども、評価項目1-2に関して、左側、②SCRUM-Japanにおける第四期の取組であります。先ほどMASTER KEYというプロジェクトで希少がんに対する大きな患者さんのレジストリを御紹介したのですけれども、今度は一般の固形腫瘍の非常に大きなレジストリで、それをSCRUM-Japanと名づけて大規模な活動を行っております。これはがんセンター東病院が中心となった活動で、固形腫瘍の組織パネル検査をした患者さんが3万例、それから、リキッドバイオプシーを受ける患者さんが1万例という非常に大規模な世界的なレベルでの患者さんのレジストリができています。これを用いて非常に多くの治験が走っていまして、これまでに20個の新薬・27種類の適応が承認されています。また遺伝子診断薬も16種類が承認され、非常に重要な成果を上げていると思います。これまで御紹介したものと合わせると、恐らく30品目を超えるような薬剤の承認に我々が中心的な働きをしていると思います。がんの領域に限らず、日本でこれだけの数の薬事承認をしている組織というのは多分ないのではないかと考えています。
最後に右側を御覧ください。③4者連携での新しいDCT実施体制による、がんに対する第Ⅰ相臨床試験を開始であります。DCTというのはDecentralized Clinical Trial、遠隔地の臨床試験、治験のことを言います。患者さんが必ずしもがんセンターに来ていただかなくても、お住まいのそばの病院を使って臨床試験を行うという体制をつくることは、これからの日本を考えた場合に極めて重要ですし、それは臨床試験に限らず、遠隔診療にもその技術が使えるということになります。これは単に病院側の希望だけではなくて、医療情報をセキュアに共有するIT基盤をつくる必要があります。今回は中外製薬とIT企業と我々病院が加わることによって、DCT、遠隔治験を進める体制をパイロットスタディー的に始めています。これなども日本におけるこれからの診療、治験の在り方を構築するという重要な試みと考えています。
この項目に関しても、自己評価はSとさせていただきました。
私からの説明は時間もいっぱいになりましたので以上です。ありがとうございました。
○土岐部会長 非常に多くの領域にわたりまして御説明をありがとうございました。
委員の先生方から御質問をお受けしたいと思いますが、まず私から。若年の大腸がんの大変インパクトのある研究なのですが、これは実際に毒素が便中に同定されているような方ですね。それと、菌が同定されないとかということと、それから、なぜ若年だけなのか、その3点についてもし分かりましたら教えていただけますでしょうか。
○国立がん研究センター間野理事長 細菌もほとんど便中には存在していないのですが、ヒットエンドランというか、恐らく若年の生活環境の中にその菌を誘導するような環境があるのではないかと思います。たとえば、すごく甘いものを子供のときに大量に飲むとか、そういう何らかの生活環境がPKSを持っている腸内細菌を住みやすくするような環境をつくって、やがて大人になるとそれがなくなっているという可能性も十分にあると思います。それはこれから実際に若年の方の便を調べたりすることを大規模にやることで明らかになると思います。
○土岐部会長 大変興味深い研究ですので、引き続きよろしくお願いいたします。
ほかに委員の先生方から御質問等あればと思いますが、いかがでしょうか。
皆さん遠慮されているみたいですけれども、それでは私からもう一点。遺伝子パネル検査は本当にすばらしいと思うのですけれども、今度はがんの拠点病院のほうにどんどん増えていくことになりまして、令和11年から拠点病院が全部ゲノム連携になるということなのですけれども、これは国の費用のこともあるのですけれども、効率よくできるように、例えばエキスパートパネルとか保険の点数の費用とか、もっと国民にだーっと一遍に広がるのには例えば今後どういう工夫をがんセンターのほうで考えていただけるのか。今のまま行くと結構とんでもない、一千億単位のお金が関わる話になってしまいますので、これはこのままいっていいのですかねというのは先生に聞くのかどうかよく分かりませんけれども、いかがでしょうか。
○国立がん研究センター間野理事長 例えばエキスパートパネルが重要な役割を担うのは、患者さんが治験に入る場合と遺伝カウンセリングが必要になる場合が大きな2つの理由ではないかと思います。ですので、現場の負担を考えますと、そうではないような患者さんに関しては少し簡素化するとか、そういうテクニカルなことはC-CATも連動して対最適化することによってできると思います。パネル検査をもう少し早い段階から受ける可能性もあるのですけれども、実際に当センターの中央病院を中心として早期パネル検査の前向きの試験を行っていますので、そこでまた有用性が確認されれば将来的には実現するのではないかと思います。
○土岐部会長 よろしくお願いいたします。
前村委員、どうぞ。
○前村委員 長崎大学の前村でございます。
2つ質問があるのですけれども、一つは先ほどの腸内細菌のことでほぼ同じような質問になるのですけれども、先ほど間野先生から腸内細菌叢がどうやってコリバクチン毒素をつくるようになるかはまだ解明中だということだったのですが、それと類似してYB328株をつくるような腸内細菌叢をつくるような腸内環境というのがどのようなものかというのがある程度分かっているのかというのと、YB328が免疫チェックポイント阻害薬の効果に関連するということで、免疫チェックポイント阻害薬を使う際にこのような腸内細菌を見るような試みも行われているというのかというのが一つであります。
もう一つ、年度報告の24ページで、がんパネルの後にエキスパートパネルが行われると思うのですけれども、それを省略する方向に行っているというのは、エキスパートパネルを開催するのがかなり負担になるのだとは思うのですけれども、逆にC-CATの成果で必ずしもエキスパートパネルを開かなくてもC-CATの結果を見ることによって解釈ができるようになったということと考えていいでしょうか。
○国立がん研究センター間野理事長 ありがとうございます。
YB328に関してはまだ腸内細菌が見つかったばかりなので、大きな進展はまだないのですけれども、YB328という腸内細菌は意外とたくさんのヒトの中いるのです。たしか日本人の15%程度が保持していたのではないかと思います。それが食生活によるのか、もしくは遺伝的な、あるいは経口でお母さんから移ったとか、そういった解析はこれからです。
YB328がどうやって、樹状細胞が活性化するのは分かるのですけれども、そのためにはYB328が生きていないと駄目なのか、分泌するもので十分なのか、それともYB328の細胞壁みたいなものが実際に必要なのかというのは現在解析しているところです。
それから、パネル検査でエキスパートパネルに関して、C-CATの調査結果で、例えばさっき私が申し上げた臨床試験が合うものがあるとか、遺伝カウンセリングが必要ではないかということがC-CATの調査結果で目立つ形で出るというように現在C-CATの調査結果は変わっていると思います。ですから、エキスパートパネルの簡略化にも役立っていると思います。
C-CATのエキスパートパネルを含めた全体のシステムは、日本に初めてがんゲノム医療が導入されて、それが安全に広がっていくためにある程度きちんとした体制を構築するというのが最初の方針でしたけれども、これだけがんゲノム医療が多くの方に広がって、みんな慣れてくると、やはり少し簡略化する方向に行けるのではないかと思いますし、それはやはり拠点の数が多くなることに対しては必要なことだと考えています。
以上です。
○前村委員 ありがとうございました。
○土岐部会長 ほかはいかがでしょうか。
田極委員、どうぞ。
○田極委員 御説明ありがとうございました。田極です。
私から、年度評価のほうの11ページ、項目1-1の希少がんや難治がんなどに対する新しい標準治療などを目指した研究について非常に関心を持っていまして、興味深く拝見したのですが、希少がんと言われたときに、患者の立場からするとかなり絶望的というか暗い気持ちになる中で、こういった地道なデータ登録から始まって、いろいろと研究基盤をつくっていただいて、実際に薬事承認までつないでいっていただいているというところについては本当にすばらしい成果だと思います。
また、25ページのところでも同じくバイオバンクですとかデータベース、電子カルテも使ってということで、研究基盤、そして、実用につなげられるデータベースを整備されているということについては非常に大事な取組で、これからもぜひ頑張っていただきたいなと思います。
私からは感想になりますが、以上です。
○国立がん研究センター間野理事長 ありがとうございました。
○土岐部会長 ありがとうございます。
ほかはよろしいですか。
もう一点よろしいですか。私ばかりすみません。22ページの年度評価のところに指標がたくさんあって、全て100%超え、200%超えみたいなのが多いのですけれども、3つほど100に行っていないものがありまして、一つが先進医療、医師主導です。この辺りが少ないと、皆さんが見るとなかなか創薬が進んでいないのかなという印象を持たれるではないかということがございました。ここの辺りはいかがなのですか。
○国立がん研究センター間野理事長 企業治験はダイレクトに薬の承認までつながりますので、その数を増やすということはすごく大きな目標です。医師主導治験の場合にはどうしても費用の問題もありますし、その数がなかなか増えない。それから、先進に関しても同じことで、やはり我々としては一番大事なことは企業治験をしてちゃんとしたスケールで薬あるいは機器の有効性を証明して、医薬品としての保険承認に持っていくというところが一番大きなテーマだと考えています。
○土岐部会長 いわゆるがんセンター自身のシーズとか、国内のシーズも早く企業に導出するとか、ベンチャーを立ち上げるとかして、企業治験という形がしたほうが早いのではないかということで。
○国立がん研究センター間野理事長 もちろん医師主導治験をやったり、それから、センター発ベンチャーという枠組みを使ってベンチャー化をサポートしたり、あるいは後で出るかもしれませんけれども、センターの中に橋渡し研究推進センターCPOTというものをつくって、センターの内部、それから、センター外部のシーズを承認まで持っていくことを手伝っている組織もあります。ですので、それはそれですごく熱心にやっているのですけれども、メインストリームは企業治験で薬を承認させるということが一番重要ではないかと思っています。
○土岐部会長 ありがとうございます。
よろしいですか。
それでは、研究開発の成果の最大化に関する事項の1-1、1-2は以上とさせていただきます。
続きまして、JHについてです。これも先ほどと同様の流れで法人のほうから御説明をまずいただきたいと思います。よろしくお願いします。
○国立がん研究センター青木副研究所長 JH本部長の青木です。本年の4月からJHの本部長を拝命いたしております。どうぞよろしくお願いします。
それでは、お手元の資料2-2の17ページを御覧ください。
これはJHの組織を示しておりますが、JHは2020年の4月に6NCの内部組織として発足いたしました。現在NC・JIHSの内部職員がクロスアポイントとして38名参画して、JHの運営を行っております。事務局の設置場所は国立健康危機管理機構内にあります。
ミッションは、NCが世界最高水準の研究開発・医療を目指して新たなイノベーションを創出することと、それに基づいて革新的な医療技術の開発・実装を促進するということです。
JHの事業の進め方といたしましては、JH事業計画に基づき、このスライドの右下に記載のあるNC・JIHS理事長会議の指導の下にJHの運営を行っております。JHには5つの課と、今年の3月まで全ゲノム解析等事業実施準備室がございました。
次のページに行っていただきまして、JHの事業計画には①、②、③とあり、①は新たなニーズに対応した研究開発機能を支援・強化することです。これに関しまして、一番目としては、令和3年度から構築しているNC・JIHS統合電子カルテデータベース(6NC-EHRs)ですが、ここに現在は105万症例以上の電子カルテデータが集積されています。これまでにこのデータを活用した医学研究が9課題支援されました。
2番目といたしましては、横断的研究推進費課題の中の一つの成果として、これはNCCの成果でありますが、T細胞性急性リンパ系白血病のゲノム解析によって新規サブタイプが同定されたといったことがございます。
3番目としては、NCの研究基盤を強化するために、セントラルラボ機能として空間的トランスクリプトームの解析を行うという解析技術基盤を構築しております。これによって、各NCからNCCの関根先生のところに検体を送ってもらって、空間的トランスクリプトーム解析を行って、そのデータを返すということを行っております。
研究支援人材の育成に関しましては、若手生物統計家NC連携育成事業におきまして、特に生物統計家の育成を引き続き行っております。
それから、NC・JIHS共通教育プラットフォーム事業におきましては、各NCの教育・研修コンテンツの配信支援を行っており、昨年度はバイオインフォマティシャン養成講座を配信しました。
②は効果的な研究開発が期待される領域ということですが、横断的研究推進費課題におきましては14課題の進捗支援、外部評価を行い、令和8年度の課題として5課題を採択いたしました。
また、JHは若手研究の助成ということも行っており、24課題の進捗管理、評価を行ったということと、令和8年度課題として13課題を採択しました。
それから、3番目に書いてありますのは、JHの中に設置されておりました全ゲノム解析等事業実施準備室において検討が進みまして、令和8年3月30日に国立がん研究センター内に日本ゲノム医療推進機構が発足いたしました。
③に関しまして、知財・法務においては、各NCの知財・法務関係の方々が情報共有を行っています。また、医療情報の取扱いに関する映像資料も昨年は作成しております。
JHが支援する課題などに関しましてはホームページで発信しており、月当たり7,000ビュー以上を目標としていますが、それはクリアしている状況です。また、JHリトリートを開催して、NC・JIHS間の研究者・医療者の交流を促進しております。
次に、具体的な令和7年度の成果について説明いたします。
まず①ですが、これは先ほど申しましたように6NC-EHRsの拡充を図っているということでして、100万症例以上の電子カルテ情報が集まっており、今年の3月にそれを記念したシンポジウムを開催しました。
このスライドの右下にある6NC-EHRsショーケースは、統計データですが、どのようなデータがあるか分かりやすく示しており、6NC-EHRsの広報に努めています。
右側の②は人材育成関係ですが、共通教育プラットフォーム事業として、2025年度までに206コンテンツのe-learningを配信しております。
また、若手生物統計家育成事業におきましては、これまでどおり若手生物統計家の育成を行っており、実務試験統計家資格を取得した若手がさらに上の資格を取得すべく研修を続けているといます。
次に20ページに行っていただきまして、③はNCCの成果でもございますが、横断的研究推進費課題の中の横山班は、血液がんとクローン性造血関連の心血管疾患の病態解明と治療法開発の研究をしております。この横山班の班員の吉田先生がT細胞性急性リンパ性白血病のゲノム解析によって新規サブタイプを同定し、それが国際学術誌『Blood』に掲載されたというものでございます。
④は、NC・JIHSリトリートに関して、2025年度はNCCにおきまして「ゲノム解析が切り拓く新たな医療の展開」をテーマに開催しました。310名が現地に参加して、145演題のポスター発表が行われております。この写真にありますように、優秀演題に対しては理事長賞あるいはJH本部長賞を授与いたしまして、若手の研究のモチベーションを上げるといったことに取り組んでおります。
次のスライド21ページに行っていただきまして、⑤は知財・法務課の取組でありますが、知財・法務課におきましては、各NCの知財・法務関係者、それから、JHの知財・法務課がそれぞれ定期的にカウンターパート会議を開催しております。ここで、各NCで知財・法務的に何か困っているところ、課題があった場合には、それぞれ情報を持ち寄ったり解決案などを持ち寄って解決を図っており、大変有用であるということです。
令和7年度は、具体的には、職務発明等に対する補償金の支払いに関する対応、アカデミア等の共願案件を放棄した場合の相手方機関での発明者補償、NC・JIHSにおける認定ベンチャーの取組、そのようなことに対する情報を共有しました。
⑧は、先ほど申しましたように、JHの中に準備室があり、この準備室は2023年3月に設置されましたが、そこでの検討が進みまして、体制整備、人材確保が行われ、今年の3月30日に国立がん研究センター内に厚生労働省の委託事業として日本ゲノム医療推進機構が発足したというものです。ここではゲノム情報と臨床情報を集積した情報基盤を構築し、それを患者還元あるいはデータ利活用に結びつけることを推進しています。
引き続き、資料2-6で中長期目標期間の「見込評価」について御説明させていただきます。
14ページですが、これはJHの概要ということで、先ほど説明したとおりでございます。
その後は、2021年度から2026年度までの具体的な成果を示しています。
15ページの①は先ほどの6NC-EHRsのことです。
②に関しましては横断的研究推進費課題で支援したものでありますが、日本小児がん研究グループ(JCCG)との共同研究で全国規模の多施設共同臨床研究を実施しまして、小児がんに対するゲノムプロファイリング検査の有用性を検討したものです。その結果、204例中147例(72%)で臨床的に有用な所見が検出されたということで、小児がんに対するゲノムプロファイル検査が有用であるということが確認された大きな成果となっております。
スライドは次に行っていただきまして15ページ、左側の③ですが、これはコロナ禍のときですが、新型コロナウイルスのパンデミックが始まったときにいち早くNCと企業が連携して、新たな抗体測定キットを開発しました。そして、実際にその抗体測定キットを用いてナショナルセンターの職員の血液中の抗体価を測り、臨床疫学的な検討を行ったというものです。その結果、2023年の調査で、NCGM、現在はJIHSですが、そこの半数以上にコロナの診断歴があるといったことや、コロナ罹患歴がある職員のうち、4人に1人が後遺症を経験しているといったことが分かりました。また、喫煙、飲酒、肥満がありますと、抗体価が低下するというような新たな知見も得られました。
④は6NCが連携してナショナルデータベース(NDB)の研究基盤を構築、それによって重点疾患の研究を進めたというものです。例えば糖尿薬のDPP4阻害剤であるシタグリプチン、これが日本で一番使われているらしいのですが、この製造の過程でニトロサミンが混入するということが報告されました。ニトロサミンは発がん物質でもありますので、実際に本当にがんの発生が増えたのかどうかということをNDBのデータで検討したところ、がんの発生は全く増えていなかったということでした。現在もシタグリプチンは製造過程を見直してニトロサミンの混入がない形で販売が進められているとのことです。
続きまして17ページですが、⑤はセントラルラボ機能を示したものです。各NCの研究基盤を強化するといった目的でセントラルラボ機能を担っております。ここでは空間的トランスクリプトーム解析を行いまして、実際に2025年度の研究成果として膵がんや大腸がんに対するこのような成果が出ています。
⑥は先ほど説明したところです。
⑦はリトリートのことで、資料18ページになりますけれども、2023年からリトリートを開催しておりまして、2023年は日本医学会総会と併設して、2024年はJIHSにおいて、2025年はNCCにおいてそれぞれリトリートを開催しております。
それから、⑧は先ほど申しましたように、準備室での検討によって、日本ゲノム医療推進機構(GeMJ)と呼んでおりますが、それが発足したことを示しております。
説明としては以上です。
○土岐部会長 ありがとうございました。
補足でございますけれども、JHにつきましては各ナショナルセンター共通の事項となっております。
それでは、御質問等があればよろしくお願いしたいと思います。
前村委員、どうぞ。
○前村委員 長崎大学の前村でございます。
電子カルテのデータベースは膨大な数のデータが入っていて、非常に貴重だと思うのですけれども、これはJH内で使うだけではなくて、例えば民間の企業とかに有償で使ってもらったり、そういう取組をしているのか、今後する予定があるのかというのはいかがでしょうか。
○国立がん研究センター青木副研究所長 御質問ありがとうございます。
まず、この6NC-EHRsに関しましては現在100万症例以上の電子カルテ情報が集積されておりまして、大変貴重なデータベースだと思っております。今までのところ、データのクレンジングに非常に手間がかかってきており、ようやく使えるような状況になってきました。現時点では6NCの職員が使える形にはなっております。今後、おっしゃるようにこの6NC-EHRsのデータの利活用をどのように広めていくかということが非常に重要な取組になると思っております。
現時点で同意の問題でまだ6NCの中でしか使えないのですが、NCにおいては次世代基盤法の趣旨にのっとって、全てのNCではないのですが、丁寧な同意ということを始めているところもございます。同意の問題などを解決しながら、これをいかに6NCの外に、特に企業などに使っていただくかということは次の課題になるということを認識いたしております。
また、この6NC-EHRsは今のところ匿名化した情報が集まってきているのですが、これに例えばバイオバンクのデータとか情報が組み合わさると、さらに有用なものになるかと思っておりますので、JHといたしましてもそのような取組を続けてまいりたいと思っております。
○前村委員 ぜひ期待しております。
○土岐部会長 ありがとうございます。
成川委員、どうぞ。
○成川委員 北里大学の成川と申します。
今のJHの電子カルテ統合データベースの話の続きなのですけれども、100万例を超えたということで非常に充実した内容になっていると思っています。いろいろな疾患の患者さんがいると思うのですが、こういう特徴を生かした今後の研究としてはどんなようなことを考えていらっしゃるのでしょうか。9課題支援をされていると書いてあったのですけれども、何か例示なり今後の展望なりあったら聞かせていただきたいと思います。
○国立がん研究センター青木副研究所長 現時点では9課題の研究課題を支援しております。それは各NCの各研究者がこういう課題をやりたいのでこの6NC-EHRsデータを使いたいという申請をしていただき、承認後に使っていただいているといった状況です。例えばどんな研究があるかというと、睡眠薬の使用実態状況と疾患の関連に関する研究ですとか、そのような各NCの特徴に応じて、かつNCをまたいだような研究ができるということが特徴になっております。
これまでは各NCの職員でかつJHの若手研究課題や横断的研究推進費課題が取れた方のみが使える状況だったのですが、昨今、外部資金を取ってこの6NC-EHRsのデータを使いたいという申出も増えてまいりましたので、まだ6NCの中だけではありますが、利用の範囲を拡大させていきたいと思っております。
○成川委員 分かりました。ありがとうございました。
○土岐部会長 よろしいでしょうか。
それでは、JHについては以上とさせていただきます。
続きまして、がん研究センターに戻りますが、医療の提供等、その他の事業の質の向上に関する事項、1-3から1-5について議論したいと思います。
まずは、先ほどと同様に法人のほうから説明をよろしくお願いいたします。
○国立がん研究センター瀬戸中央病院長 それでは、1-3、医療の提供に関する事項になります。ここは私、中央病院の瀬戸と東病院の土井のほうから報告させていただきます。
30ページをお願いします。
自己評価はSとさせていただきました。指標の達成状況ですけれども、概ね達成できているものと考えております。その中でも特に緩和ケアチームの関わる症例数と、その下にあります外来化学療法実施数というのが達成度としてはかなり高いものになっております。
その要因といたしましては、31ページをおめくりいただきまして、それぞれその要因については分析しておりますので、御参照いただければと思います。
評定の根拠になりますけれども、大きく3つ考えておりまして、一つは高度・専門的な医療提供ということで、NCCとしては東病院、中央病院一体となって、最近特に注目されている内用療法を含めて、放射線のアイソトープ医薬品の開発を基礎研究から実用化までワンストップで実施しているということでございます。その中で世界に先駆けて導入されたBNCTやあるいは東病院でやっている陽子線等、高精度の放射線治療の提供を行っているということ。
それから、2点目になりますけれども、低侵襲治療の開発・提供ということで、これはIVR(Interventional Radiology)とか、内視鏡、いわゆる腹腔鏡、胸腔鏡を用いた低侵襲で体の負担が少ない治療を積極に行ったと。その一例として食道がんの手術、これは今日部会長を務めていただいている土岐先生に深く関わっていただいている研究でありますけれども、後でまたもう少し説明さしあげたいと思います。
あとは、我々としては希少がん対策、小児がん、AYA世代等に対するがん対策の推進ということで、先ほど理事長からも説明がありましたけれども、やはり希少がんというのは我々としても非常に重要なものと思っておりまして、特になかなか情報にアクセスしにくいとか、あるいは治療法を確立しにくい、あるいは到達しにくいということで、患者申出療養の一環としてパートナー試験というのを行っております。これも後でまた御説明したいと思います。
ページをめくっていただきまして、ここからはしばらく土井先生にお願いします。
○国立がん研究センター土井東病院長 引き続き土井のほうから説明させていただきます。
32ページを御覧ください。
32ページには2つのことが書かれています。一つはアイソトープ医薬品の開発、もう一つは先進的な医療の実施として書かせていただいています。
内容的には、まず中央病院を主体とする世界初の固形、固体型のリチウムターゲットとするBNCT、これは初回承認は既に取っていますが、適用拡大に向けての臨床試験を着実に進めさせていただいています。
もう一つの2ページにわたって書かれているアイソトープ医薬品は、先ほど間野理事長からも御説明があったと思いますが、国内の中でワンストップサービスとしての開発というものがまだ十分に確立されておりません。例えば放射線各アイソトープをつくるサイクルトーンごとに品質の保証が十分されていなかったり、それから、その2つをキャリアと合わせたときのものが動物種でどういうふうに分布してくるか。また、人にどういうふうに分布するかということが十分に分かっていないものを、これは研究所、エポック、両病院とが一体となってワンストップサービスを治験の中で実施しているような状況になっています。
○国立がん研究センター瀬戸中央病院長 それでは、おめくりいただきまして33ページになります。
先ほど少しお話ししましたけれども、胸腔鏡下手術が切除可能な食道がんの新たな標準治療にということで、従来は食道がんの手術の特徴として肋骨の間を大きく切る、いわゆる開胸という手術とお腹を大きく開く開腹という手術と首の切開が加わるという手術と名がつく中で一番侵襲の大きな手術だったのですけれども、それを胸腔鏡で行うことによって予後にどのくらい影響があるかとか、あるいは当然治療後、手術後のQOLがどのように影響を与えるかということで、JCOG(Japan Clinical Oncology Group)という日本最大の臨床研究グループが中心となって行った第Ⅲ相試験であります。
その結果としては、その下にグラフでありますけれども、予後としても遜色ないということと、QOLよりも維持されるということで、『The Lancet Gastroenterology and Hepatology』に掲載されました。
右のほうに行っていただきまして、これは患者申出療養推進ということで、上のほうにありますBELIEVE試験というのは遺伝子パネル検査後の適応外薬をいかに患者さんに届けるかということで、そこにありますように8社から21医薬品を提供していただいて、実施機関は13施設になります。これまで850人の方がこの患者申出療養を使って薬に到達できているということになります。
その下はパートナー試験です。これは先ほど言った小児がんとかということになりますけれども、これも7社から医薬品を提供していただいて、これまで73人の方々がこの患者申出療養を活用していただいているということになります。
おめくりいただきまして、34ページになります。
左側はロボット手術で、実は現在中央病院には4台、東病院には3台のロボット、計7台が入っておりまして、日本でも恐らく有数のロボット手術を行っているということになると思います。令和7年度は合わせまして約1,600件のロボット手術を行っております。
ロボット手術に関しましては、先生方も御承知のように、今年の診療報酬改定でかなりロボット手術に加算がつくとか、いろいろ本当に認められておりまして、普及に向かっているということで、我々としてはその一翼を担っていると自負しております。
その右側は高度専門的な低侵襲治療の実施ということで、基本的には放射線が中心になりますけれども、そこにありますIMRTと言われる強度変調放射線治療であるとか、定位放射線治療であるとか、体腔内の治療であるとか、あるいは東で行っている陽子線治療というのが非常に数多く行われるという数字を示させていただいております。
その下、IVRです。これは画像下、例えば画像を使っていろいろな内視鏡とかを併用して行ういわゆるインターベンショナルな治療なのですけれども、これはそこに書いてありますように中央病院のIVRセンターは日本を代表するIVRセンターでありまして、8,000件を超えるものを行っております。代表的な肺転移に関してラジオ波を使って治療を行っているのがその写真になっております。
めくっていただきまして、土井先生。
○国立がん研究センター土井東病院長 資料の35ページを御覧ください。
左側の上段ですけれども、脂肪幹細胞を用いた形での機能温存の再生医療になります。御存じのように縮小手術、それから、低侵襲手術と言いながら、例えば前立腺の手術を受けますと、しばらくの間いわゆる排尿障害が起こってきます。また、直腸の手術を行った後の排便障害というのは高齢の方々にとってみると非常につらいという状況がありますので、できるだけ機能を早く回復するために患者さんの脂肪幹細胞から取った幹細胞を注入することによって、機能の回復を促進するということを目指しています。同時に、個人の脂肪幹細胞だけを使うのではなくて、アロの細胞を使いながらこういった治療を進めることを現在させていただいています。
下段、いわゆる遺伝子治療、腫瘍融解ウイルスというものになります。ウイルスが腫瘍の中で特異的に増殖することによって腫瘍を破壊するということを目的にしたものです。従来T-VECというお薬が承認されていますけれども、今回OBP-301、オンコリス社のものが承認になっています。これは岡山大学の藤原先生たちが開発されていたのですけれども、実際は医師主導治験のところで承認まで至っていませんでした。御相談がありましたので、臨床試験のところを私たちのほうからアドバイスさせていただいています。特に私たちとしては、食道がん学会のレジストリのデータとの比較という形で承認を取った。恐らく国内の中では初めてだと思いますけれども、そういった形で取らせていただいています。同時に世界初のアベノウイルスベクターとしての承認も取っていますので、海外への展開もスムーズに行くように製造拠点等も整備している形で承認に持ってきたものになります。
○国立がん研究センター瀬戸中央病院長 その右側になります。これは先ほどからお話をさしあげておりますMASTER KEYプロジェクトでありまして、繰り返しになって申し訳ありませんけれども、これはレジストリ、いわゆる登録制度とあるいは知見、2つの柱があって、登録制度としては固形がんでは約4,800例、血液がんでは約700例が既に登録されている。そういったものを活用して治験を行っておりまして、ここから先ほど理事長が言われたように新たな治療薬剤の可能性が広がっていくと考えております。
また、もう一つ大事なことは、このMASTER KEYプロジェクトは今アジアにも展開しておりまして、アジアの8か国29施設で1,000例を超える登録をいただいているということになります。
その下、希少がんネットワークの構築ということで、我々がいわゆる希少がんの中央機関であると。全国7か所にそういった拠点をいわゆる希少がん全国ネットワークで構築を進めております。その中で1つ重要な仕事として、希少がんというのは人口10万人当たり発生頻度が6例以下というのが大体定義になっているのですけれども、なかなか世界的に標準となる分類がなかったということで、今回35ページの下に書いてありますけれども、New Classification of Rare Cancersということで、病理の谷田部先生が中心となりまして、希少がんは31臓器に発生して、その種類は364種に及ぶという新しい定義を提唱して、トータルでするとがんの患者さんとしては約2割になるということを発表させていただいたところでございます。
おめくりいただきまして、36ページになります。
希少がんは先ほど申し上げたようになかなか情報にアクセスしにくいとか、治療法に悩まれるということなので、我々としてはここに書いてあります「オンライン希少がんMeet the Expert」ということでこれまで53回開催して、4,000名近い方々に御覧いただいているということと、それから、いろいろな相談窓口あるいはホットライン等を設けておりまして、約3,000件近い相談を受けている。ただ、これは余談なのですが、最近は減少傾向にあって、もしかするとこれは我々の予測、推測なのですけれども、みんなAI、ChatGPTに相談しているかもしれないと我々は考えて、ちょっと気になるところではあるのですけれども、これは余談です。
それから、その下、小児がんに関しては、先ほど申し上げたように患者申出療養の一環としてパートナー試験を行っているということになります。
右側に行って、最近特に重要視して取り組んでいるのが、がんとの共生をいかに支援するか。例えば就労支援等を含めて、いわゆるがんと診断がついてがんセンター中央病院に来た段階でいろいろな取組があると。あるいは入院後、治療後も、特に最近御高齢で独り暮らしの方が多いので、そういったことも含めてこういった支援体制を整えているということで、がんサポートセンターとか、あるいは今言った就労相談支援は社会保険労務士の方々とも共同しながらこういった取組を進めているということになります。
○国立がん研究センター土井東病院長 少しだけ36ページを補足させていただきますと、右下のところにあります就労支援ソリューション/ワークシステムの構成というものは、現在市販のソフトとして利用できる形になっています。これによって、治療中に少し隙間があっても何か働きたいという方に対してマッチングを行いながら、就労支援を行うという形を実は大鵬薬品からアウトしたベンチャーさんと一緒に作ったものが幾つかの企業で使用されているような状況になっていますので、こういった活動が続くことによって、がんの患者さんの仕事との共生というのができてくるのではないかと考えているところです。
そのまま第3期の中長期のほうのページを見ていただいて、25ページ、2つの項目だけ追加させてください。残りの項目は既に提示させていただきましたので、2つの項目について御説明させていただきます。
一つ、25ページ上段、右側です。いわゆるiPS細胞由来のNKT細胞を用いた治療というものをさせていただいています。これはもともと京都大学の金子先生たちが開発されているものを私たちのところで臨床試験、医師主導治験を行いました。結果的に非常にフィージビリティーがいいということで、彼らはベンチャーで私たちのデータを持ってアメリカに行かれました。シノビ・セラピューティクスというベンチャーを立ち上げて、大きなジェットを得ていますので、米国の中で第Ⅰ相臨床試験を再度行っています。そのときに参考になった安全性のデータが東病院で行った臨床試験のデータになっています。結果的に非常に大きなバジェットを得ていますので、彼らは日本にそれをまた持ってきていただいて、今、いわゆるニュートラルトライアルという日米同時の治験が中央病院、東病院、京都大学で行われていくことになっています。決して京都大学のものを全部取り上げるのではなくて、戻ってきたものをみんなでシェアするという形にさせていただいています。
次の26ページの左側を御覧ください。これは当院の伊藤が開発された腹腔鏡手術の支援ロボットになります。御存じのように、ダヴィンチのようなロボットの機器というのは非常に高い部分もありますし、その部分の使用に大きな問題になってくるのは人、それから、看護師の人数の部分が問題になってくることがあります。伊藤のコンセプトはこれをできるだけ少ない人数でできるようにということで、この機器を腹腔鏡として作っていますので、従来のロボットよりはかなり安いコスト、手術1件当たりのコストは安くなっています。そのために、恐らくアジア、アフリカ、中南米の方々にも使っていただけるような形としてコンセプトを作っています。彼が作ったベンチャーの一つであるA-Tractionが、この機器を朝日インテックのほうにM&Aをしていますので、ベンチャーの育成としても非常にいい結果をもたらしています。
右側の部分は既に説明していますので、なしということでよろしくお願いいたします。
以上になります。
○国立がん研究センター山本理事長特任補佐 それでは、1-4、人材育成に関する事項について、人材育成管理事務局長の山本から説明をさせていただきます。
資料の38ページを御覧いただけますでしょうか。
中長期の目標の内容でございますけれども、人材育成に関しましてはセンターの職員だけではなく、当然でございますけれども、国内外の他の施設の関係者に対しても教育・研修等を行い、人材育成に努めているところでございます。
具体的な取組の内容につきましては、指標の達成状況の表を御覧いただけますでしょうか。センターが主催または支援した外部向けの研修会の開催やe-learningの開催、また、このセンターの職員ではない国内外から実地研修を受け入れる。また、若手の筆頭著者である論文の執筆、学位の取得、専門資格の取得等について取組を進めております。
達成状況については、令和7年度の達成状況の欄を御覧いただけますでしょうか。おおむね100%を超えて取組を達成しております。
大きく数字がぶれているところがありますので、39ページの要因分析の表を見ていただいてよろしいでしょうか。大きくずれているのやはり新型コロナの影響がありまして、規制が緩和されたことに伴って、かなり受入れが進んだ部分があり、かなり大きいパーセンテージが出ているのはそうした影響でございます。
そのほか、このセンターでも受入れの拡大等について様々な取組をしているということが背景にございます。
評価につきましてはA評価とさせていただいております。その根拠は、39ページの下の表でございますけれども、先ほど御説明させていただきましたとおり、様々な研修について着実に参加者数等が増加しているというのが一番の評価の根拠になっております。また、職員の学位取得者数も順調に目標に達しているということもございます。
そのほか、数値に表れない定性的なものについては次の40ページを御覧いただけますでしょうか。
まず、若手の育成でレジデントを各種職種についても様々な取組を進めております。
また、左側の中段、フィジシャン・サイエンティストとして臨床と教育の往来を活性化する、また、橋渡し研究を担うという臨床医を育成するための制度を設けて取組を進めております。
また、その下にAMEDの日米医学教育計画の表がございますけれども、他の医療機関が実施するものにつきましても企画に携わって、今回はEarly Career Presentationの枠を設けて若手の育成にも努めているという状況でございます。
40ページ右側でございますけれども、若手の学位取得数、論文数については表のとおりで、若手の論文数が今回ちょっと下がったのですけれども、その左側に黒字で書かせていただいていますけれども、トップジャーナルにも掲載されるという形で質の面でも取組を進めているところでございます。
右下のところで国内外のリーダーとしてセンターに所属した経験がある方も含めて関係学会のほうで御活躍いただいている状況でございます。
41ページを御覧いただきますでしょうか。
論文執筆を進めていく上では連携大学院が重要だと考えておりまして、当センターは当然自身で学位付与ができるわけではありませんので、関係する大学と連携することが重要だと思っております。また、大学に所属されている方にとっては、当センターの施設を利用していただいて研究活動を進めていただけるということで、双方にメリットのある形で取組を進めております。
また、41ページ左下のところで人材育成の延長、関連ということで、市民との協働で薬事承認に関する対話のような事業を進めておりますし、右側を見ていただけますでしょうか。研修についてはどういったものをやっているかといいますと、がんの相談支援の研修ですとか緩和ケアに関する研修、がん検診に関する研修等、これは必ずしもどんどん右肩上がりで増えるというものではないですけれども、我が国の施策にとって非常に重要な研修を着実に進めさせていただいているところでございます。
また、41ページ右下のところで、臨床研究に関しては法令や保健統計等に関するe-learningサイトを開設して国内外で利用していただいているという状況です。
今回の第3期の期間を通じておおよそ達成していますけれども、残りの先ほど達成がいまいちであった論文数についても達成できるように取組を進めたいと思っておりますので、この期間の評価についてもA評価とさせていただいております。
以上でございます。
○国立がん研究センター松岡がん対策研究所長 それでは、続きまして1-5、医療政策の推進等につきまして松岡のほうから御説明させていただきます。
まず42ページでございますけれども、医療政策の推進につきましては国民視点に立ちまして、科学的知見を踏まえて国に専門的な助言を行うという目標の下に様々なものを軸として進めているところでございます。なお、左上に書かせていただいておりますけれども、本年度の自己評価はAとさせていただいております。
Ⅱの指標の達成状況でございますけれども、多岐にわたる活動がございますが、その中で2つの指標を挙げており、1つ目の病理診断コンサルテーションでございますけれども、これは令和7年度が336%ということでございました。こちらにつきましては、令和6年度より開始しております日本病理学会と当センターの共同運営というものが順調に進んでいるということを反映している成果だと考えております。
また、ホームページのアクセス数に関しましては前年同様でございます。こちらは芳しい数字ではございませんけれども、Google検索等でAIが生成する要約つきの検査結果とか対話型の生成AIサービスが普及しているということによりまして、我々のセンターのホームページに直接アクセスせずとも情報を取得できるようになった昨今の状況がございまして、そういった影響を受けているものと考察しております。
また、SNS等でも情報発信に力を入れておりまして、例えばがん情報サービスにおきましては、書籍「がんになったら手にとるガイド」についてはポストいたしまして、157万回表示されるなど、ふだんがん情報サービス等を見ない層にもリーチできるというところになっているところでございます。
次の44ページ以降でかいつまんで御説明させていただきます。
まず、44ページの左のほうを御覧いただければと思います。国への政策提言といたしましては様々な審議会や検討会に我々の職員が構成員として参画し、政策形成等に関わるということで貢献しているところでございます。
左側の下、ロジックモデルのところでございます。こちらはがん対策推進基本計画第4期の策定の際にロジックモデルが採用されており、がん対策推進協議会において中間評価が先日行なわれたところでございます。アウトプット、それから、アウトカム指標の測定、また、評価方法の提案ですとか、見直しについて継続的な検討を行えるような体制を整備し、現在も続けているところでございます。
44ページ右側でございます。こちらは医療の均てん化として3点挙げさせていただきました。まず1番目でございますけれども、都道府県がん診療連携拠点病院連絡協議会及びその部会運営につきましては我々のところで取りまとめておりまして、特に2040年を見据えましたがん医療提供体制の均てん化並びに集約化につきまして、国への提言に向けた論点整理を進め、先日ワーキンググループのほうで発表させていただいたところでございます。
続きまして、②のがん対策に係る研修でございますけれども、先ほどの病院の研修とも一部重複するところがあるかもしれませんが、このたび、特に昨今社会問題となっております経済毒性というものをテーマにしたがん診療連携拠点病院のスタッフ向けの研修会を新規に進めておるところでございます。また、供給が不足しておりましたがん相談支援センター相談員研修を我々の外部団体でも実施できるような体制並びに根拠資料を整えまして、整備指針を満たす研修として認める旨の課長通知をがん・疾病対策課のほうから出していただき、昨年から新たに外部団体でも我々と同じような質の研修ができるというような体制を整えるところに協力させていただきました。
③でございます。こちらはがん対策の評価でございますけれども、2021年の症例を対象にいたしました成人のがん患者体験調査、それから、2021年の死亡例を対象とした遺族調査を昨年夏に公表しているところでございます。また、小児の患者体験調査につきましては2年度の対象調査とした症例を集計して、現在報告書を取りまとめ、今年の秋公表をめどに厚生労働省と最終調整を現在行っているところでございます。
続きまして、45ページを見ていただければと思います。
こちらは情報発信・情報収集についてでございます。
左側の上でございますけれども、がん情報サービスにつきましては、コンテンツの作成・更新に加えまして、先ほど申し上げましたとおり、書籍で「がんになったら手にとるガイド」というものを改訂いたしまして、一般書籍として昨年12月に出版し、同時にPDFを公表し大変好評いただいているところでございます。
また、がん情報サービスもサイトリニューアルの時機をそろそろ迎えておりまして、その調達を進めるとともに、さらに散逸しておりました病院を探すという機能、それから、希少がんの病院を探す機能、また、施設別の症例数の検索システムというのがございましたけれども、こういったシステムを統合した整理を行いまして、現在調達を進め、来年の公開に向けて進めているところでございます。
②のがん登録ですけれども、こちらにつきましては、2023年の全国がん罹患者数の集計報告、また、がん登録情報の利活用を進めておりまして、全国がんに関しましては16件、院内がんは8件のデータ提供を実施しております。また、効率よく信頼性の高いがん登録とするために様々な書類とかロジ周りの整理を実施いたしました。また、2016年、18年診断症例の5年純生存率の推定結果をグラフに示しておりますとおり公表したところでございます。
右側を御覧いただければと思います。こちらは従前どおり患者・市民参画ということの要でございますけれども、患者・市民パネル(PPI)を運営しておりまして、特に昨年度はパネル検討会で大腸がんのファクトシートの利活用ということで検診をさらに進めるということで行い、また、がん医療の均てん化及び集約化に関して患者様、市民目線からのどういった期待があるか、不安があるかという御意見をいただくような会議を行ったところでございます。
そのほか、4番目で全国の図書館にウェブ情報ではなくて実際に生で資料を見ながらがん情報に触れるという機会を届けるために冊子を寄贈しておりまして、また、5番目のところでございますように、たばこ施策に関しましても全国調査を引き続き行い、また、全国の拠点病院等で御利用いただけるように禁煙外来を周知するための動画等を作成し、公表を行ったところでございます。
さらに次の資料でございますけれども、資料2-6です。
33ページにまとめてございますけれども5、6年間の総合評価といたしまして、こちらも自己評価Aとさせていただいておりまして、指標としては2つございますけれども、病理コンサルテーションが先ほど申し上げましたとおり180%の達成率で、やはり学会との連携が非常にうまくいった成果だと考えております。
ホームページに関しましては、先ほど申し上げましたとおり、達成率が高いわけではございませんけれども、やはり昨今の生成AI等の状況を受けたものと考えているところでございます。
簡単ではございますけれども、医療政策につきましては以上となります。
○土岐部会長 ありがとうございます。1-3から1-5について御説明いただきました。
委員の先生から御質問、コメント等があればお受けしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
では、私のほうから。あまり詳しい説明がなかったのですけれども、医療安全の患者さんの救急システムがありましたね。37ページですかね。病院全体の予期せぬ死亡を防ぐというのはすばらしいなというか、従来から院内急変というのは循環器疾患が多いので、がん研究センターの場合はその点を少し心配していたのですけれども、こういうシステムを作られて予期しない死亡が減少したと。これは非常にショッキングなこともあるのですけれども、実際にどの程度の効果、これは本当に数字で言えるようなものなのか、あとはどうやってこういう体制をつくられたのか、もしよろしければ教えていただけますでしょうか。
○国立がん研究センター土井東病院長 土井のほうからお答えさせていただきます。
もともとは治験の中でいわゆるサイトカインリリースシンドローム、ICANSが出たときに患者さんをいかに早くICUに送るかというところが課題でありました。その中で私たちが変わっているところは、看護師の判断でそれをやっていいとさせていただいて、実は医師が反対しようが当直医が何と言おうが、看護師のほうがよく見ているので、看護師の判断の下でICUに送るというシステムをつくらせていただきました。結果的にそれが看護師のモチベーションを上げましたので、状態の悪い患者さんが例えばモニター上でおかしいことがあれば、看護師の判断で即ICUに送っていく。ICUのドクターも看護師の判断で受けるということを了承していただきましたので、結果的にその中で急変する患者さん、例えば肺血栓症みたいな患者さんで急変するような患者さんが全てキャッチできるようになったので、こういった2分の1というところが出てきたのだと私たちは分析しているところになります。
○土岐部会長 ありがとうございました。
それでは、中野委員、どうぞ。
○中野委員 川崎医科大学の中野でございます。
先ほどの1-1、1-2の先端的な研究に引き続きまして、それを実装した医療の提供という点でもすばらしい成果を御報告いただきまして、大変感銘いたしております。
1点質問をさせていただきたいと思います。1-3の医療の提供の令和7年度、資料で申しますと35ページの左の下になるかと思います。遺伝子治療で腫瘍融解ウイルス治療の治験の推進ということでございますけれども、ベクターウイルスを用いた治療というのは、ここにも記載していただいてありますカルタヘナ法というのがある程度制約になるかというか、実施する上では私たち一般の病院におりますと結構足かせになるのではないかと思っております。それに関しまして対応や取扱いマニュアルを発信されたということですけれども、それについてもう少し詳しく御教示いただきたいなと思うことと、このウイルスベクターを用いた治療ががんセンター様とかあるいはどの程度の医療機関で実施可能な見込みがあるかというところも、見込みというのでもいいので御教示いただければと思います。
以上です。
○国立がん研究センター土井東病院長 ありがとうございます。
ここに書かれていますT-VEC、皮膚悪性腫瘍に承認されているものは国内の中でほとんど広まっておりません。その後、東大の先生方が開発されているものも限定的な供給になっているとお聞きしています。このオンコリス社の場合には海外で出ているデータ、ウイルスのシェディングのデータを逐一いただきましたので、それを用いてある一定の閾値以下のものであればウイルス感染、特にアデノウイルスですから感染しないのであろうということを予測して、いわゆるカルタヘナ対応の新しい取扱いをつくらせていただきました。PMDA、厚労省のほうにも交渉させていただいて、そのマニュアルを本来であれば施設から外には出さないのですけれども、依頼者、それから、各施設に出させていただいて、全く同じことをしてリスクがないことを証明させていただいています。
今後発売された暁には、そのマニュアルを適正使用ガイドの中に用いることで日本全国の施設で原理的にはできる形にさせていただいています。
○中野委員 ありがとうございます。
適切な取扱規程という言葉がキーワードのように感じました。どうもよく理解できました。ありがとうございます。
○土岐部会長 ありがとうございます。
続きまして、神﨑委員、どうぞ。
○神﨑委員 東京都健康長寿医療センターの神﨑と申します。
がんに関しては私は全く専門外なので現状について教えていただきたいのですけれども、今日のプレゼンテーションの内容からは外れる形の質問で恐縮なのですが、今、がん治療は本当にどんどん日進月歩で新しくなっていっていると思うのですけれども、この点に関して、例えば一般病院の消化器外科が化学療法などを行う際に、必ずしも情報についていけていないというようなことがあるのではないかという気がするのです。そういう意味で、例えばですけれども、がんを必ずしも専門としないような一般外科医に向けての化学療法に関する啓発であるとか、あとは、学生もそうだと思うのですけれども、学部学生に対するがんに関する卒前教育とか、その辺に関しては何か携わっていらっしゃるのでしょうか。
○国立がん研究センター瀬戸中央病院長 私も一般外科医の端くれでございますので、私からお答えさせていただきます。
先生の御指摘のように、日本の実情、現状としてはまだまだ先生の御指摘のとおりだと思っています。ただ一方で、がんセンターの中では役割分担をしっかりしております。その中で最近我々が取り組んでいるのは、いわゆる消化器外科医と腫瘍内科医がコンビネーションを組んでいろいろな場面場面で講演を行うとか、いろいろな雑誌に情報を流すとか、そういうことで両方の視点から地域、地方の外科の先生たちにも分かりやすいような形で情報が届くようには努めております。
これでよろしいでしょうか。
○神﨑委員 分かりました。ありがとうございました。
○土岐部会長 前村委員、よろしくお願いします。どうぞ。
○前村委員 前村です。
最先端の医療の提供と人材の育成が国内外問わず行われているというのがよく分かりました。
年度報告の30ページでまとめの達成状況が出ているのですけれども、いずれもすばらしい達成状況だと思いますけれども、この中で、細かいことで申し訳ないのですが、病床稼働率が中央病院で97%、東病院で100%というのは驚異的なのですけれども、100%ぐらい稼働率があるとなかなか緊急の人も入れなかったり、ベッドコントロールが大変になるのではないかと思うのですけれども、土日の入退院だとか緊急の患者がいたときの入院とかはどのようにコントロールされているのでしょうか。
○国立がん研究センター土井東病院長 ありがとうございます。
今、中央病院の看護部長になられている方が東病院の看護部長のときにつくったシステムなのですけれども、ベッドが足りないときには各病棟の師長に全て権限を与えることになります。その師長さんのほうにベッドが足りないのでベッドを用意してほしいと言いますと、各病床の管理は各病棟の師長さんが早く退院できる方は早く退院させていただいて、できるだけ入院させていくという形を取らせていただいています。また、土日については、前日入院、それから、遠方の方についても積極的に前の検査をしていただくということで入院することで、土日の病床管理というのもきちんとさせていただくことでここまでなってきています。場合によっては朝退院して空いたベッドに夕方に入っていただくことをしていますので、この104、107%のようなものが出てきたと考えられます。
○国立がん研究センター瀬戸中央病院長 補足させていただくと、我々がんセンターの病院の入院は、中央病院は緊急入院がそれほど多くないのです。いわゆる市中の病院に比べると緊急入院が多くなくて、基本的には多くは予定入院で、なおかつ治療が決まって予定入院なので、実は中央病院だと1週間後にこの病棟がどのくらい予定入院数があるか、実は全て分かります。なので、それを見て各診療科の充足率であるとか、各病棟の予定利用率というのは実は1週間先まですぐ分かるようになっているので、恐らく機能的な病床運用ができているのではないかと思います。
あとは、緊急入院についてももちろん入院の必要性のある方は受け付けておりますので、実は平日は中央病院でも稼働率は100%を超えることが多くて、土日の稼働率は今84~85%ぐらいになっているというのが事実です。基本的には予定入院が多いので、こういうことができるのではないかと個人的には思っています。
○前村委員 状況はよく分かりました。ありがとうございます。
○国立がん研究センター土井東病院長 1点だけ補足させていただきますと、今、東病院の看護部長のほうでCopilotを使って過去の入院のデータを入れ込んで予測式を作っていただいているので、昨年度から見てみると学会がこの辺がたくさんあるのでここはたくさん入れなければならないとか、逆にここは数が増えすぎるというのをある程度予測させていただいて対応させていただいています。このシステムは恐らく中央病院のほうにも同時導入されていると聞いています。
○前村委員 参考にさせていただきたいです。ありがとうございます。
○土岐部会長 根岸委員、どうぞ。
○根岸委員 根岸です。よろしくお願いいたします。
大変質の高い医療を御提供いただいていると思います。御説明ありがとうございます。
私のほうから、1-3の医療の提供に関する事項で2つ質問させてください。
まず一つが、あまり説明の中にはなかったのかもしれませんが、30ページです。指標の達成状況の項目が幾つかございますけれども、その中で例年、今回もそうですが、最も高い達成度が出ているのが緩和ケアチームに関わる症例数でございます。今、緩和ケアという定義が変わってきているというか、とっくに変わってはいるのですけれども、要するにがん診断時から行われる緩和ケアと。狭義でいけば本当に終末期における痛みの緩和なのかもしれませんけれども、少なくとも医療提供者はもうそういうふうには捉えてはいないと思うのです。
まず一つが、実際に関わった症例の中で終末期の緩和ケアではない症例数は大体どのくらいを占めるのか。そして、私が個人的に思うには、診断時でも遅いのかなと思うぐらいなのですけれども、今のところ、30ページにも書かれていますけれども、がん診断時からの緩和ケアということですけれども、こういう認識を患者さんあるいは御家族がどのぐらい今持つようになっているのか、その辺りが分かれば一つ教えていただきたいです。
もう一つ、36ページのところですけれども、先ほど両立支援のお話が少しあったかと思います。御承知のとおり、今年の4月から中小企業を含む全ての事業者に両立支援が努力義務化されたわけなのですけれども、ここに書かれているのは、主に患者さんあるいはその御家族に対する就労支援と思うのですけれども、実際に両立をする上でやはり企業へのサポートというのが非常に必要であり、特に努力義務化されたことによって中小の企業がどういうふうに就労を支えていったらいいのかというのが今、現実に大きな課題になってきております。その他のところでもありましたけれども、外来での化学療法が増えると、やはり仕事をしながら化学療法を継続するというようなケースが物すごく多くなってきております。その中で企業としてどんな措置を取ったらいいのか、どんな就労上の配慮をしたらいいのかというところで非常に悩むことが多くなってきております。そういった意味で、企業、特に中小企業への両立支援のサポートの御計画が何かあれば教えてください。
○国立がん研究センター瀬戸中央病院長 ありがとうございます。
1点目、まず緩和ケアの関わり方でいわゆる終末期以外の関わり方ということなのですが、申し訳ありません。その数字はコンサルテーションの数は把握しているのですけれども、終末期と終末期それ以外という分け方は僕が知っている限りではしていないので、その数字とかはこの場ではすぐにお答えは難しいです。申し訳ありません。
東病院はどうですか。
○国立がん研究センター土井東病院長 申し訳ないのですが、私どもも数としては把握しておりません。ただ、東病院に紹介する患者さんは東葛地区の占める割合が約70~80%の患者さんになります。そのために当院の緩和ケア科の者が定期的にその人たちを集めて講習会をすることで、前方の部分からの先ほどおっしゃっていただいた緩和ケアの考え方を紹介してくれるお医者様の方にもお教えすること、それから、看護師さんたちにもお教えすることで、前方の段階からより当院にかかる前からの緩和ケアに対して対応させていただいているというのが現状になります。数については把握しておりません。申し訳ありません。
○根岸委員 分かりました。ありがとうございました。
○国立がん研究センター瀬戸中央病院長 それから、2点目のほうです。いわゆる就労支援で、僕はあまり詳しくは存じ上げないのですけれども、東京都から支援が出ていて、そのネットワーク等で恐らく社労士の方を通じてつないでもらっている。実際に勤めている企業とか、そこの先が大企業だからこうとか中小企業だからどうかと差別化しているかどうかは僕もそこまで分からないのですけれども、少なくとも東京都もそういった事業をやっていて、その支援も受けながら社労士の方がつないでいただいているのではないかと僕は思っています。ただ、中小企業向けの何か特別なサポートしているかどうか、後で確認させていただいてもよろしいでしょうか。今日は宿題とさせていただきたいと思います。
○根岸委員 社労士という立場でのサポートというと、どういうふうな制度を使っていったらいいかとか、そういうことが中心になるかもしれないのですけれども、もう少し医療上のサポート、就労支援をしていく上で、そこはやはり専門職の方たちのサポートがほしいところです。先ほどの制度が変わった、努力義務化されたというところを踏まえますと、小さい企業、特に専門職が不在の小さな企業にとっては非常に大きな重要な取り組まなければいけない点になろうかと思いますので、ぜひその点も考えていただければと思います。よろしくお願いいたします。
○土岐部会長 それでは、よろしいでしょうか。
続きまして、業務運営の効率化、財務内容の改善及びその他業務運営に関する事項です。評価項目2-1から4-1について議論を始めたいと思います。
それでは、まず法人のほうから説明をよろしくお願いします。
○国立がん研究センター屋敷理事長特任補佐 企画経営部長の屋敷のほうから御説明をいたします。
資料2-2の46ページ目を御覧いただきたいと思います。
あと、残りが2-1が業務運営の効率化に関する事項で、3-1が財務内容の改善に関する事項、4-1がその他業務に関する重要事項と3つございます。それで、まず自己評価から申し上げますと、2-1の業務運営の効率化に関する事項はA評価としております。あと残りの2つはB評価ということで御提案しているものでございます。
46ページ目を御覧いただきますと、業務運営の効率化に関する事項で指標の達成状況、達成しているものもありますが、達成できていないものもあります。その中であえてA評価と自己評価につけたということにつきましては、後ほどお話しさせていただきたいと思います。
要因分析で80%未満の一般管理費の低減について、やはり昨今の物価高騰、委託費の人件費増に伴う委託が大きく影響しているということで8割を切るような状況になっています。
経常収支率につきましては後ほど申し上げます。
全体の評定の根拠としましては47ページ目で、「見込評価」も含めまして、コロナがあり、その後は物価上昇がありということ、また、がんセンター自体が先ほどの病床稼働率が107%とかありますが、それでも余裕で黒字が出るような収益あるいは費用の構造になっていないという経常収支黒という意味で申し上げますと、達成というのは非常に難しいような構造にあるのだろうと思います。その中で令和7年度においては、人事院勧告のほうも職員の処遇を考え、ちゃんと賃上げを行いつつということで、これまで経常収益100%以上を維持しておりますし、また、中期目標期間を通じて計算してみると超えているということなので、単年度で経常収支が赤字になっているというところは事実でございますが、法人全体の運営を考えたときに、それで下を向くとかということではなくて、かといって安心もせずにいくということで、まさに自己評価ということでA評価をつけさせていただいているものでございます。
少し具体的に内容を見ますと、48ページ目で業務運営の効率化に関する事項で、財務ガバナンスの強化、中長期キャッシュフローの見通しで、これはキャッシュベースで全体が資金ショートしないようにということでございますが、それぞれ投資の計画というものをめどを立てながらやっているということでございます。増員でありますとか施設整備といった点で投資委員会を月次で定例開催しておりまして、あとは実際に所期の目標が達成されているかというモニタリングもしておりまして、財務的なコントロールを行っているということでございます。
効率化による収支改善、48ページ目の左下でございますが、この棒グラフを見ていただきますとおり、7年度は赤のほうが少し高くなってきているということでございますが、平成27年度から令和7年度までの10年間を見ますと、経常収支というかPLの高さは大体70%ぐらい増になっているという状況で、医業収支、医業外収支とも増えてきているという中で、今年度につきましては赤字になってきているということでございます。当然そういう努力は続けておりまして、材料費の削減等で一括調達あるいは共同購入あるいはベンチマーク調査による価格交渉なども行い、縮減すべきは縮減をしているということでございます。
次が49ページ目の財務内容の改善に関する事項、これは自己評価はBということでございます。評定の根拠は外部資金の獲得額が増加してきている、あるいは知的財産などの収入支出の関係も成果が上がってきているという状況がございますので、トータルでBという自己評価でございます。
50ページ目を御覧いただきますと、自己収入の増加に関する事項、大体7割強、8割が医業収支ということでございますが、そのほかにも当然ございますので、運営交付金でありますとか、種々の資金の獲得が行われている。競争的資金でありますとか治験受託費等がございまして、これはグラフにありますとおり190億弱まで伸ばしてきているということで、これは医業収支だけではなく法人全体の財務基盤の強化という意味で今後とも伸ばしていきたい部分でございます。
50ページの右が知的財産戦略の状況で、これも先ほど説明があったと思いますので省略いたします。
次の51ページ目でございますが、寄附金につきましても昨年度10億円を超える金額があり、広く発信をしているというところもありまして、その成果として結びついているという状況でございます。
51ページ目の右下が資産、負債の管理で長期借入金の償還も順調に進んでいるということです。133億円残しておりますが、経常収益に占める残高割合というものは平成22年度の35%から令和7年度は12.6%に低下しているという状況でございます。
次が52ページ目のその他業務運営に関する重要事項で、これは自己評価Bということでございます。コンプライアンス等の強化に取り組んでおりまして、収賄事件が残念ながら2件起きたということで、令和5年度以降改革方針、あるいは7年度は行動規範あるいはアンケート調査など立て続けに対策を取ってきている。そういうコンプライアンスの推進を図ってきているということでございます。
スライドの53ページ目を見ていただきますと、監事、外部監査人とも連携しましてハイリスク事項の指摘及びそのフォローアップを行ってきているということ、あとは先ほど申し上げましたが、コンプライアンス等の強化に関する改革方針に基づくコンプライアンス室の増員、研修等も行ってきているということでございます。
あとは、人事の最適化に関しましては、医師の働き方改革への対応を進めている。あるいはこちらには書いてありませんが、国、国立大学法人との人事交流を進めている。あるいは障害者雇用につきましても着実に進めてきているということでございます。
53ページ目の右がその他で、施設整備については優先順位をつけて中長期の計画を作成し、投資の必要な範囲で改修を進めてきているということでございます。
あとは、医療機器についても投資委員会での審議を経て着実な投資を進めているということと、あとは柏キャンパスにつきましても全体計画の再策定に取りかかってきているという状況でございます。
あとは資料2-6、第3期を通じてというところを御覧いただきたいと思います。
資料2-6の第3期を通じてで一番最後の38ページ目を御覧いただきたいと思います。
財務内容についてでございますが、令和3年度以降、令和5年度と会計上の例外でございますが、ほぼ総収支差という意味では10億円程度の黒字を出してきたということでございます。7年度は赤字でございますが、経常収支差としては令和3年度から合計で約50億を超える黒字を出してきているという状況でございます。7年度は初の赤字ということでございますが、8年度はまた医業収支なども病床利用率等を上げて頑張っているところでございますので、7年度の自己評価は職員に対するメッセージも含めてA評価とつけさせていただいた次第です。
私のほうの説明は以上です。
○土岐部会長 ありがとうございます。
ただいまの御説明に対しまして御質問等はございますでしょうか。
松前委員、どうぞ。
○松前委員 御説明ありがとうございました。
特に50ページのところで、資金調達は様々な形があると思いますけれども、寄附については過去最高ということで大変すばらしいなと思いました。いろいろな活動をされているということなのですけれども、何が一番よかったのかというところを教えていただければと思います。
○国立がん研究センター屋敷理事長特任補佐 従前よりウェブサイト、パンフレット等、広報を進めているというところの成果もございますが、いろいろなSNSとかで患者さんが発信をしたりすると、がんセンターのほうに寄附をしていただくとか、そういうところが結構大きいのではないかなと思っております。ただ、そういうスポットのものに頼るわけにもいきませんので、こういうがんセンターの仕事を知っていただくという広報全般を進める中で、こういう御寄附も頂けるような状況ができればなと考えています。
○土岐部会長 もう一度しつこいですけれども、1,700件から2万7000件なのですか。51ページの寄附のグラフは1,700件から2万7000件なのですが、どういう仕掛けがあったのでしょうか。
○国立がん研究センター屋敷理事長特任補佐 これはSNSで患者さんが発信したものがありまして、それの反応度がすごく高かったということで、グラフに書けないのですけれども、本当に2万7000件までという状況でいただいているということでございます。
○土岐部会長 本当にSNSの力の恐ろしさを思い知りました。
ほかはよろしいでしょうか。
非常に経営的には順調に行かれているようで、単年度、昨年は最終的に少額の赤字でしたけれども、今年度の計画としてはどのような見込みを考えておられるでしょうか。
○国立がん研究センター屋敷理事長特任補佐 8年度は3期の最終年度にもかかっているのですが、医業収支の点からいきますと、8年度は診療報酬改定がございまして、今のところは3か月、4、5、6で来ておりますが、収益のほうは着実な伸びを示しています。ただ一方で、注意しなくてはいけないのは当然費用がどうなっているのかということになりますので、損益分岐点自体は黒字にするためには遠ざかっている状況にあります。より材料費とかそういうものが高くなってきているという状況でございますので、収益が増えたからといって決して油断ができる状況ではないと考えています。
7年度が少額の赤字ということでございますが、それを見て下を向いてもいけませんので、収益が各病院とも稼働率を上げて相当頑張っていただいていますので、費用の状況などを見ながら8年度も黒字を目指したいと考えています。
○土岐部会長 実際は6月からなので、まだ我々の病院でも1か月しか出ていないので、でも、診療単価でやはり5,000円ぐらいは上がるのではないかとは言われていますので、また経営がよくなることを期待しております。
ほかはよろしいでしょうか。
皆さん特に問題はないということでしたので、すばらしい経営ぶりだと思います。
ここで全体の振り返りを行いたいと思いますが、皆様から全体を通して質問等はございますでしょうか。
ないようですので、最後に法人の理事長と監事からヒアリングを行いたいと思います。
まずは法人の監事より業務の監査結果等を取りまとめた監査報告について御説明いただくとともに、監査等を踏まえた現在の法人の業務運営の状況や今後の課題、改善方針等についてコメントをお願いしたいと思います。
○国立がん研究センター小野監事 監事の小野です。よろしくお願いいたします。
監事の監査報告書につきましては例年と同様、適正意見ということで、会計監査人の監査報告書も同様でございます。
以下、センターの課題と対応をごく簡単に感じたところで述べさせていただきますと、まず研究ですけれども、これは当然ながら単年度では種まき、刈り取りということが中長期的なタイムラグが生じますので、いろいろ変動しますけれども、6年の中期で見てみますと適切な投資、つまり、リソースの投入と収益実現、投資回収が着実に実現されてきていると受け止めております。その証拠に国内外トップレベルの競争による創薬実現あるいはそのサポート、それから、共同研究費の拡大ということを実現できているのではないかと。
それから、臨床については、先ほどの(病床)稼働率のようにいろいろな工夫によって数字ができておりますけれども、私は長年監事を務めておりますが、最初からあれだけの高効率の稼働率ではありませんでした。医療連携等につきましても、独立法人のがんセンターでしたのでそれほど一般的ではなかったのですけれども、だんだんがんの均てん化もありまして、多くの病院とも競争が出てまいります。そういうところで職員の方あるいは医療職の方の意識が相当変わっていったということが根底にあると思います。それが結果の高稼働率だと思います。以前はそうではありませんでした。80%ぐらいの稼働率だったと思います。それで不思議ではないという意識だったのではないかと思いますので、やはりこの間相当変わったと私は受け止めております。
ということが臨床ですけれども、病院収支については、御案内のとおり、国立大学病院が軒並み赤字という状況下にありますので、言わば特定機能病院レベル、こういったレベルの病院でも今後収支の悪化が懸念されるということでありまして、まだ原因はよく分かりませんけれども、コロナによる患者の行動変容というのはいろいろな方が実感しておられると聞いておりますし、その要因、影響というものを見定めた対応が今後必要になってくるのではないかということで、収支は言わばふんどしを締めなくてはいけないと監事としては思っております。
最後、法人運営についてはいろいろな御説明がありまして、外部資金獲得について共同研究等の実績を御説明しましたけれども、これは全体で見ていただいたほうがいいと思います。事業報告書には出てくるのですけれども、令和7年度についてはセンターの全財源は1083億円でございます。約1000億、このうち国から支給されます運営費交付金プラス施設整備補助金を合わせても74億円、6.8%でございます。残りは1009億、93.1%の構成は病院の医業収益が723億円、66%、研究収益198億円、18%などということでございますので、今、独立行政法人というのは86法人あると思いますけれども、その中でもこれだけの自己財源で頑張っていただいいただいている法人は数えるほどではないかと正直に言って思いますので、ここは構造的なものはもちろんありますけれども、この中で国内はもとより世界トップレベルを目指す研究開発独法でございますので、そこでこれだけの自己財源を獲得しておりますけれども、ただ、今後それを戦っていくためには、民間であれば最初から黒字でなければなかなか困難でありますけれども、国の機関が先行していくにおいては、最初から黒字であれば民間がやってくださいという話ですけれども、将来のための投資、創薬のためのいろいろなリードタイム(初期赤字)ということを考えましたら、やはり不足する部分がありますので、この点は、今年度が中期の最終でございますので、来年からの新しい中期においては世界で戦っていくためにこの財源がどうあるべきかということが重要な議論になってくるのではないかと思います。もちろん自己収入も頑張るというふうに監事としては感じております。
私からは以上でございます。ありがとうございました。
○土岐部会長 ありがとうございます。
それでは、続きまして、法人理事長より日々のマネジメントを踏まえ、現在の法人の業務運営の状況や今後の課題、改善方針等についてコメントをお願いしたいと思います。
○国立がん研究センター間野理事長 ありがとうございます。
今日はありがとうございました。多くの適切な御助言をいただきましてありがとうございます。
これまで日本のがんの患者さんに最新、最良のがん医療を届けるということを我々の使命と考えて本当に努力してまいりました。しかし、現在の状況は理事長からすると、まだ足りない。もっと変わらないといけないと思います。我々が世界の中で強くならないと日本のがんの患者さんに世界最新の治療は届けられないのだから、もっと変わらないといけないというのを常に言い続けていますし、私自身本当にそう思っています。こうしてほぼ100%の病床利用率と過去最大の外部資金獲得をもってしてもなお、昨年度は赤字になりました。それはもちろん大きな要因は物価高騰による医療材料費の高騰、それから、例えば委託事業の値段の上昇、最後は人事院勧告を100%準拠するという形で、その分が赤字になったのではないかと思います。そのときも悩んだのですけれども、それでも例えば看護師さんの給与などもちゃんと高くないと看護師さんが獲得できないのです。ですので、人事院勧告に昨年度は100%準拠して、結果的に少し赤字になったと思います。
先ほどの高い志はさらに高く持ちたいのですけれども、一方、がんセンターがちゃんと永続的な機関であるために、赤字は私個人はあってはいけないと思っていて、それに向けてがんセンターの財務体質の変えるべきところを変えないといけないと思っています。小さな努力の積み重ねみたいなことは絶対にやっていかなくてはいけないと思っています。そういう形で何とか今年は全体を通して黒字になるようにしたいと考えています。
それでもなお、最初に戻りますけれども、世界に勝って日本のがんの患者さんに最新、最良の医療を届けるということは我々国立のセンターとしての職員の使命だと考えていますので、その実現に向けて、たくさんの問題が山積する中の最適解を解くようなところもありますけれども、幸いに非常に優秀な人材がそろっているセンターですので、その実現に向けて進めてまいりたいと思っているところです。
今日はありがとうございました。
○土岐部会長 ありがとうございました。
委員の先生方もよろしいでしょうか。
それでは、以上で国立研究開発法人国立がん研究センターの「令和7年度業務実績評価」及び「中長期目標期間見込評価」についての審議を終了したいと思います。
以上で本日の議事を終了しました。事務局にお戻ししたいと思います。
○高屋企画調整官 事務局です。
今後の流れについて御連絡いたします。本日御議論いただきました国立長寿医療研究センター及び国立がん研究センターの「令和7年度業務実績評価」及び「中長期目標期間見込評価」につきましては、本部会における御意見や法人の監事及び理事長のコメント等を踏まえまして、後日厚生労働大臣による評価を行い、その評価結果について法人に通知するとともに公表いたします。
委員の皆様におかれましては、事前に電子媒体でお配りしている評定記入用紙に必要事項を御記入いただき、本日のJHに関する審議も踏まえ、8月10日水曜日までに事務局宛てメールにより御提出いただきますようお願いいたします。
なお、評価結果につきましては、後日委員の皆様にもお送りいたします。
また、これまで御議論いただきました各法人の「見込評価」等を踏まえ、厚生労働省にて次期中期目標策定に向けた法人の業務、組織全般の見直し案を作成し、委員の皆様に御意見をいただきたく、後日改めて部会の開催を予定しています。日程等の詳細が決まりましたら、別途御連絡させていただきます。
事務局からは以上となります。
閉会に当たりまして、厚生科学課長の荒木より御挨拶申し上げます。
○荒木課長 厚生科学課長の荒木でございます。
途中抜けましてすみません。実は今、ゲノムのシンポジウムというところで、今回のがんセンターにも関わるかもしれませんが、そちらのほうに参っておりましたけれども、本当にこれまで3回にわたりということでナショセンの評価、本当に評価委員の先生方、ありがとうございます。しかも、一つ一つを詳細に見ていただいておりまして、しかも、御質問も本当に適切で、我々事務方としてもそういう視点があったのだなということで気づかされることも多々ございました。
今、事務局から申し上げましたように、今年度は各ナショナルセンター、すなわちナショセンでございますけれども、6年の中長期目標というか中期計画の中の一つの区切りになりますので、そのためにこれまでの3回の評価でもそうですけれども、中長期計画期間中の評価というのもしていただいておりますが、今後、また次期中期長期目標の策定に向けた審議というのも予定しておりますので、6年に1回、忙しい時期でございますが、土岐部会長をはじめ、引き続きよろしくお願いしたいと思います。
本当にお疲れさまでございました。ありがとうございました。
○土岐部会長 本日は以上でございます。どうも長時間にわたり、ありがとうございました。

