第42回 厚生労働省国立研究開発法人等審議会高度専門医療研究評価部会 議事録

日時

令和8年7月23日(木) 10:55~15:55

場所

航空会館(B101号室)(オンライン併用)

出席者

委員
  • 土岐 祐一郎 部会長
  • 中野 貴司 部会長代理
  • 神﨑 恒一 委員
  • 庄子 育子 委員
  • 田極 春美 委員
  • 成川 衛 委員
  • 根岸 茂登美 委員
  • 前村 浩二 委員
  • 松前 江里子委員

議題

  1. 開会
  2. 議事
    1. (1)国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センターの令和7年度業務実績評価及び中長期目標期間見込評価について
    2. (2)国立研究開発法人国立循環器病研究センターの令和7年度業務実績評価及び中長期目標期間見込評価について
    3. (3)その他
  3. 閉会

配布資料

国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター

  • 資料1-1 令和7年度 業務実績評価書(案)
  • 資料1-2 令和7年度 業務実績概要説明資料
  • 資料1-3 令和7年度 財務諸表等
  • 資料1-4 令和7年度 監査報告書
  • 資料1-5 第3期中長期目標期間 見込評価書(案)
  • 資料1-6 第3期中長期目標期間 見込評価説明資料

国立研究開発法人国立循環器病研究センター

  • 資料2-1 令和7年度 業務実績評価書(案)
  • 資料2-2 令和7年度 業務実績概要説明資料
  • 資料2-3 令和7年度 財務諸表等
  • 資料2-4 令和7年度 監査報告書
  • 資料2-5 第3期中長期目標期間 見込評価書(案)
  • 資料2-6 第3期中長期目標期間 見込評価説明資料

参考資料

  • 参考資料1 高度専門医療研究評価部会委員名簿
  • 参考資料2 厚生労働省国立研究開発法人等審議会令

第42回 厚生労働省国立研究開発法人等審議会高度専門医療研究評価部会

○高屋企画調整官 定刻となりましたので、ただいまより第42回「国立研究開発法人等審議会高度専門医療研究評価部会」を開催いたします。
 委員の皆様には、大変お忙しい中お集まりいただき、誠にありがとうございます。議題に入るまでの間、議事進行役を務めさせていただきます大臣官房厚生科学課国立高度専門医療研究センター支援室の高屋と申します。よろしくお願いいたします。
 本日は、神﨑委員、中野委員、成川委員、前村委員がオンラインでの御参加となっております。
 また、神﨑委員につきましては11時頃より出席、中野委員につきましては11時30分頃より出席、成川委員につきましては15時頃より途中退席される予定との御連絡をいただいております。
 国立研究開発法人等審議会運営規程に基づく御報告です。
 運営規定第5条に基づき、本日意見聴取を行う国立研究開発法人の事務及び事業について利害関係を有する者は、当該法人に係る評価について議決権を有しないものとされています。法人との利害関係については、あらかじめ委員の皆様から御申告いただいておりますが、事務局におきまして確認いたしましたが、本日の意見聴取において、該当する委員はいらっしゃらなかったということで御報告をさせていただきます。
 また、これにより出席委員に関しましては部会所属委員の過半数を超えておりますので、会議が成立することを御報告いたします。
 なお、危機管理・医務技術総括審議官の佐々木につきましては用務の都合により前半の国立精神・神経医療研究センターの審議にのみ参加となりますので、御了承くださいますようお願いいたします。
 それでは、本日の会議の進め方について御説明いたします。
 本日は、オンラインを併用したハイブリッド方式での開催となります。会議に御出席の委員におかれましては、御発言の際は挙手をしていただき、部会長による指名を受けた後に御発言をお願いします。オンラインで出席の委員におかれましては、Zoomサービス内の「手を挙げる」ボタンをクリックしていただき、部会長による指名を受けた後に御発言をお願いいたします。御発言時以外はマイクをミュートにしていただきますよう、お願いいたします。
 なお、御発言の際には冒頭に「お名前」を述べていただき、資料を用いて御説明される際には「資料番号」と「該当ページ」を明言いただきますよう、お願いいたします。
 続きまして、本日の議事を御説明いたします。
 本日は、国立精神・神経医療研究センター及び国立循環器病研究センターに関する「令和7年度業務実績評価」及び「中長期目標期間見込評価」に係る意見聴取を行います。
 なお、国立高度専門医療研究センターの5法人につきましては、本年度が中長期目標期間の最終年度に当たるため、ここであらかじめ「見込評価」について簡潔に御説明させていただきます。
 「見込評価」は、各法人の中長期目標期間の最後の事業年度に実施し、中長期目標期間終了時の直前の年度までの業務実績及び中長期目標期間の終了時に見込まれる業務実績等に係る自己評価等を踏まえ、その達成状況等について総合的に評価するものです。「見込評価」の結果は、中長期目標期間終了時の法人の業務の継続または組織の存続の必要性その他その業務及び組織の全般にわたる検討並びに次期中長期目標の策定に活用するものとなります。なお、SからDの評定に付することや各評定の基準の考え方については、年度実績評価の取扱いと同一となります。
 各委員及び法人説明者におかれましては、この点を踏まえ、本日の意見聴取を行っていただきますようお願いします。
 「見込評価」の説明は以上となります。
 次に、本日の意見聴取の流れについて御説明します。
 評価に係る意見聴取の流れにつきましては、評価項目ごとに「年度評価」及び「見込評価」の順に法人から続けて説明をした後、委員の皆様から御意見、御質問いただきたいと存じます。説明と質疑応答の時間は事前に時間設定をしており、終了時に事務局がベルを鳴らしますので、目安としていただきますようお願いします。
 それでは、本日の会議資料の確認をさせていただきます。
 議事次第、国立精神・神経医療研究センター関係としまして資料1-1から1-6、国立循環器病研究センター関係としまして資料2-1から2-6及び両法人共通として参考資料1と2になります。
 法人からは資料1-2、1-6、2-2及び2-6の説明資料を使用して説明を行いますので、オンラインで御参加いただいている委員の皆様におかれましては、事前に紙媒体でもお送りしています議事次第、年度評価に係る資料1-2、1-4、2-2、2-4及び「見込評価」に係る資料1-6、2-6の御活用をお願いします。その他の資料につきましては、事前にお知らせしましたURLより御閲覧していただくようお願いいたします。
 会場の皆様につきましては、お手元にあるタブレットに本日の資料一式を格納しておりますので、そちらを御覧ください。
 最後に、各委員に御提出いただく評定記入用紙につきましては、様式の電子媒体を事前に送付しておりますので、そちらに御記入いただき、後日、事務局に御提出をお願いいたします。「見込評価」につきましては、年度評価と同様、SからDの評定と併せて、その根拠を記載いただきますとともに、項目ごとに次期中長期目標期間の業務実施に当たっての留意すべき点等について積極的に御意見をいただけますようお願いいたします。
 資料の不備や閲覧方法等について御不明な点がございましたら、事務局までお申しつけください。
 事務局からの説明は以上でございますが、ここまでで何か御質問等ございますでしょうか。
 それでは、以降の進行につきましては、土岐部会長によろしくお願いいたします。
○土岐部会長 早速でございますけれども、国立精神・神経医療研究センターの令和7年度業務実績評価及び中長期目標期間の「見込評価」につきまして、審議を始めたいと思います。
 まず最初に、法人の理事長のほうから一言御挨拶をよろしくお願いします。
○国立精神・神経医療研究センター中込理事長 座って失礼させていただきます。
 本日は、当センターの業務実績評価のために貴重なお時間をいただき誠にありがとうございます。理事長の中込でございます。本日はお手元の令和7年度の説明資料に沿って主に説明しますけれども、必要に応じて「見込評価」の資料を御参照いただければと思います。
 お手元の資料の2ページ目を御覧ください。こちらに私たちの自己評価を示させていただいております。総合評価はAとさせていただいています。こちらの令和7年度「見込評価」ともに同様の評価でございます。
 それでは、私からセンターの概要について簡単に御説明します。
 次をお願いします。
 当センターの基本理念は、病院、2つの研究所、さらに、その間をつなぐ4つのセンターがございまして、これらが一体となって、精神疾患、神経疾患、筋疾患及び発達障害の克服を目指した研究開発を行い、その成果を基に高度先駆的医療を提供するとともに全国への普及を図るということです。
 では、次をお願いします。
 最大の特徴は、基礎から臨床までシームレスなフローを可能とする、この研究体制でございます。当センターで開発された筋ジストロフィーの治療薬、ビルトラルセンがその具体的な成果に当たります。さらに、続きまして、エクソン44スキッピング薬ブロギジルセンの、現在、第Ⅱ相国際共同治験が進行中でございます。また後ほど御紹介があると思いますけれども、うつ病の新規治療薬開発につながる可能性のある知見も得られております。
 では、次をお願いします。
 令和7年度も、この研究基盤の強化を目指して、患者さんのレジストリやバイオバンク、臨床研究ネットワークの構築、そして、その利活用を進めてまいりました。特に全国100か所以上の治療施設の協力と複数企業との官民パートナーシップによる抗アミロイドβ抗体薬の全投与例を対象としたアルツハイマー病疾患修飾薬治療患者の全国レジストリの構築は順調に進んでおり、また、成果も出始めているところでございます。
 概要についての説明は、簡単でございますが、以上でございます。本日、改めまして、どうかよろしくお願いいたします。
○土岐部会長 ありがとうございました。
 それでは、評価のほうに移りたいと思います。
 まずは「研究開発の成果の最大化に関する事項」の評価項目1-1及び1-2について、議論をしたいと思います。
 初めに法人から「年度評価」及び「見込評価」の順に御説明いただき、その後、質疑応答という流れで進めたいと思います。時間が限られておりますので、ポイントを絞ってよろしくお願いいたします。
○国立精神・神経医療研究センター岩坪神経研究所長 それでは、研究開発に関しまして、神経研究所長の岩坪から御説明をさせていただきます。
 まず、6ページを御覧ください。「担当領域の特性を踏まえた戦略的かつ重点的な研究・開発の推進」につきましてはSと自己評価をさせていただいております。
 このように自己評価を高く取りました理由としては、まず第一に、難易度高の理由にも示しておりますように、当NCNPが筋ジストロフィー症など難治性かつ希少性の高い疾患から、また近年では認知症など頻度の高い疾患まで、まずは症例の集積に基づいて世界レベルの研究を進め、病態メカニズムに基づく画期的な治療薬の開発並びにその安全使用を可能とし、患者様の下に届けるというミッションを十二分に果たしてまいったということを挙げたく思います。
 そして、令和7年度にも、新しい遺伝性の脊髄小脳変性症の病因遺伝子同定と疾患メカニズムの解明、アルツハイマー病の新規治療薬の臨床実用化における全国患者レジストリの樹立を通じた安全使用体制の確立、また、精神疾患領域ではうつ病の新しいバイオマーカーの同定など、脳神経領域で幅広く医療推進に大きく貢献し得る画期的な研究成果を多数挙げたということが自己評価を高く取らせていただいた理由でございます。
 また、最近のNCNPにおける研究成果の顕著な伸びを反映しまして、この6ページの下段の表に示しておりますように、医療推進に大きく貢献する研究成果の数も昨年度に続きまして今年度も5件を数えることができ、また、英文・和文の原著・総説論文の発表総数も年間740件と、目標を超える達成を遂げております。
 さらに、もう一点特筆すべきこととして、後に資料57ページ目で詳しくお示しいたしますけれども、外部研究資金の獲得額も、令和7年度にも総計46億円の規模と、非常に高いレベルを有することができました。このように様々な点で研究活動の拡充ぶりが反映する成果が得られておりますこと、このSという評定を挙げさせていただいた根拠でございます。
 では、次に、7ページのⅢを御覧ください。こちらに自己評定Sの根拠としました3つの顕著な研究の実例3件についてまとめております。
 先ほどもタイトルを申しましたが、第1は、脊髄小脳変性症の新しい原因遺伝子SNUPNの発見と発症メカニズムの解明。第2には、アルツハイマー病疾患修飾薬全国臨床レジストリの構築並びに解析。そして第3点が、うつ病の新規バイオマーカーや治療標的としてのエタノールアミンに関する研究成果でございます。この後、内容を御説明させていただきます。
 8ページを御覧ください。こちらには、インパクトファクターが付与された学術雑誌収録論文数並びに引用数を表示しております。
 論文の総出版数を見ますと345編と、前年度のレベルを上回っておりまして、また、論文の引用数につきましても、過去8年間に刊行された論文の引用数総計、この右のカラムを足し合わせますと3万6260回に達しているところでございます。
 では、次の9ページを御覧ください。こちらから顕著な研究成果の達成内容を御報告させていただきます。
 まず第1に、我々NCNPの重要なミッションの一つであります希少な難治性疾患の解明の成果として、脊髄小脳変性症の新たな原因遺伝子SNUPNの発見と解析について御説明いたします。
 脊髄小脳変性症と申しますのは、運動のバランスをつかさどっております小脳の神経細胞が進行性に脱落をする、神経変性疾患の代表的な一群でございます。この疾患群には、遺伝性の病気を含めまして、極めて多くの種類のものが存在しますけれども、神経細胞が変性脱落をするメカニズムが完全に解明されたという事例はほとんどないのが現状でございます。今回、NCNP神経研究所疾病研究第一部の大久保並びに野口前室長らは、まず、患者レジストリに登録をされました小児期の小脳変性症の症例で、まず、次世代シークエンサー解析で新たな病因遺伝子SNUPNの遺伝子変異を見つけました。そして、この特定の遺伝子変異が遺伝情報の本体でありますDNAからできるRNAの正しいスプライシング処理という過程の障害によって細胞の変性を招くことを明らかにいたしました。
 この解明の過程を簡単に下段で説明させていただきます。まず、左の1.を御覧いただきますと、このSNUPNという遺伝子、DNAの変異によって、機能の低下したSNUPNタンパク質が細胞の細胞質部分で産生されることを示しております。2.を御覧いただきますと、このSNUPNというタンパク質の正常な機能はある程度分かってきておりまして、遺伝情報の本体であるDNAから作られるRNAの処理に関わるスプライシング因子という、非常に重要な機能を持ったタンパク質がありますが、これを、この×のついているところで、細胞質から再び細胞の核の中に運び込むアダプターの役割を担っているものでございます。すると、この遺伝子変異はスプライシング因子が細胞の核の中に運び込まれる輸送過程を障害することになるわけです。
 そうしますと、3.にありますように、細胞の核の中ではDNAからできたRNAのスプライシング、すなわち、スプライシングというものはRNAが正しく切り取られて、つなぎ合わせられて、タンパク質ができる元の形になる。そういう重要なプロセスでございますけれども、これが障害されることになります。実際に、この研究でSNUPNの異常によって130種類以上の非常に重要なタンパク質が正しく作られないということが起こることを確認したものでございます。この変化が小脳の神経細胞の変性脱落を招くことをモデル動物で次に実証する必要がございます。このために、CRISPR-Cas9といった最新の遺伝子編集技術を用いて、ヒトと全く同じSNUPN遺伝子変異を持つ、いわゆるノックインマウスを我々神経研の疾病第六部の井上室長の下で作製して解析しましたところ、この4番の顕微鏡写真に示しておりますように、小脳・脳・神経細胞の突起形成の障害並びに細胞脱落が再現されました。
 5番にございますのは、実際、このSNUPN変異でヒトでの小脳がどのように萎縮しているかをMRIで見た像でございますけれども、非常に似た小脳の高度萎縮がモデル動物で再現をされたわけでございます。この論文は本年2月、英国の一流学術誌『Brain』に発表することができました。これらの成果は、ヒトにおける神経変性疾患の新たな治療・診断法の開発につながる画期的な成果であると考えております。
 次に、10ページを御覧ください。希少疾患のみならず、頻度の高い、いわゆるコモンディジーズである神経変性疾患に関わる研究・開発も我々NCNPの重要なミッションと設定してございます。その代表格と言えるものの一つが、認知症の主な原因になるアルツハイマー病でございます。
 アルツハイマー病の治療領域では最近、大きな進展がございまして、本邦でもアルツハイマー病の原因になりますアミロイドβというタンパク質に対する免疫療法・抗体療法の臨床使用が始まりましてちょうど2年半余りが経過しております。実際にこういったお薬が上市をされますと、その安全かつ有効な実用を支えるための、大規模な、治療を受けた患者様のレジストリというものをつくって、データを登録して研究を進めていくことが必要になるわけでございます。今回、その構築並びに運営を我々NCNPが担うことになりました。
 今、レカネマブ、ドナネマブという2種類の抗体薬が上市されておりますけれども、これらを用いて、軽度認知障害期と言われます早期のアルツハイマー病の治療を行う施設も全国数百か所に及んでおりますが、その中でも百十数か所の専門性の高い協力機関と連携をしまして、治療薬の副作用を予測するApoE遺伝子の遺伝子型を決めたり、また、治療効果を反映すると想定されておりますリン酸化タウの血中濃度などの最新のバイオマーカー研究も行いつつ、並行して、全症例で重ねて施行しております「特定使用成績調査」(全例調査)のデータとの統合解析を、今、進めているところでございます。
 この体制、左の図にありますように、少し複雑になってございますけれども、このレジストリのデータ収集運営には、いわゆる遠隔研究、DCTを用いております。患者様が実際に全て来院されなくても、データ収集などがしっかり行われていくシステムでございますが、これを本格導入しまして、また、国際的な同様のレジストリとの連携も図るなど、今後の臨床開発を日本が主導できるための基盤を構築いたしております。
 右に、達成度のグラフなどもございます。本日時点で既には1,800例に迫る登録を達成し、これまでにレカネマブでは全投与例が、今、1万5000例。そして、ドナネマブで1万例。合わせて2万5000例が投与開始されているということでございますけれども、全国でも非常に安全に臨床実用が進んでいる、その基盤を支えているとも申せます。
 本レジストリのもう一つの大きな特徴は、下の囲みのところにございますけれども、製造販売企業、これは製薬企業で薬の場合はエーザイ、イーライリリーなどになります、また、バイオマーカー企業、これは本邦の富士レビオで、米国FDAあるいは日本のPMDAに、今、このバイオマーカーの承認申請を行い、アメリカではすでに承認を受けておりますが、こういった代表的な関連企業をも糾合する大規模な官民共同の臨床研究体制を実現できたということにございます。今後の本邦における産学連携のプロトタイプとしても期待を受ける体制をつくりつつあるということがございます。本レジストリの構築並びに初期の成果につきましては、昨年『Nature Aging』誌に論文発表をすることができました。
 次に、11ページを御覧ください。こちらにおきましては、精神疾患における新規のバイオマーカーの同定に関する顕著な研究成果を御説明させていただきます。
 ここで対象になりましたのがエタノールアミンという分子でございます。左上の絵にある非常に単純な構造をもつ小分子ですけれども、このエタノールアミンという物質は生体の細胞膜に豊富に含まれている成分でございます。今回、NCNP精神保健研究所の小川室長らは、脳脊髄液中に存在するエタノールアミンの濃度がほかの精神疾患と比較しますと、特に中等症以上のうつ病症状に関連をしており、例えば電気けいれん療法などの急速な効果のある治療を行った後には上昇・回復をすることを示しました。
 この臨床的な発見を動物モデルにも応用いたしまして、例えばうつ病様の行動を示すラットモデルが確立しておりますけれども、こういったモデルでエタノールアミンが脳内で低下すること、また、エタノールアミンを外来性に投与することで、このうつ様行動が改善をする、すなわち治療介入も可能であろうというようなことを明らかにすることができました。この成果は精神科の一流国際研究誌でございます『Molecular Psychiatry』誌に発表いたしまして、今後、バイオマーカーのさらなる開発、また、うつ病の病態研究、新規治療法の開発につながるものと大きく期待をされているところでございます。
 次からの数ページ、12~16ページは、JHの疾患横断領域における連携推進の成果を示しておりますが、これは別途御説明がございますので、ここではスキップをさせていただきます。
 次に、17ページを御覧ください。こちらは項目1-2「実用化を目指した研究・開発の推進及び基盤整備」の項目でございます。こちらについての御説明をさせていただきます。
 こちらも令和7年度の自己評価はSとさせていただいておりまして、次の3ページ、18~20ページにその根拠を示させていただいております。
 まず、特筆すべきポイントとしましては、この17ページの2つ目の●に書いてございますけれども、臨床開発の中で新しい、初めてヒトに投与するお薬の治験を行うファースト・イン・ヒューマン治験というものが非常に重要になってまいります。こういった治験を進めていくのはNCのミッションでございますけれども、1年前の令和6年度にデュシェンヌ型筋ジストロフィーの病因分子でありますジストロフィン、このエクソン50というところが欠けてしまう。そのタイプに対して、この50の部分を読み飛ばすエクソン50スキップアンチセンス療法というもののファースト・イン・ヒューマン試験が達成できました。また別途、幹細胞を用いたデュシェンヌ型筋ジストロフィーのファースト・イン・ヒューマン治験なども始めたところでございます。
 さらに、ほかの疾患としましては、狂牛病などで有名になりましたプリオン病、また、小児の脳の奥にあります白質が変性する、白質脳症として重要なペリツェウス・メルツバッハ病などの病気に対して、脳脊髄液腔内にアンチセンスオリゴヌクレオチド、RNAを抑える物質の投与をするファースト・イン・ヒューマンなどを開始しているところでございます。これを昨年度、令和7年度も順調に継続をしているところでございます。
 ちょうど昨年度、令和7年に新規に開始されたファースト・イン・ヒューマン治験はタイミング上なかったわけでありますけれども、既に申し述べましたように、本中期計画中の目標数3件を超える5件の開始を達成しております。そして、ちょうど現在も、さらに新たなプリオン病の治療、また、筋萎縮性側索硬化症(ALS)などに対する新しい核酸医薬として、siRNA製剤の治験など、新規のファースト・イン・ヒューマンの準備も順調に進んでいるところでございます。こういった成果は我々NCNPの希少難病を対象とする臨床研究体制の充実と継続的な活性化を反映する高い成果であると考えているところでございます。
 次の18ページにございますように、医師主導治験のほうでも本年度、新たに2件を開始することができました。
 このように、充実した臨床研究並びに非常に新規性高い共同研究などを、目標数を超えて達成できたことに併せまして、後で御説明いたしますバイオバンク体制も格段に充実し、その活用も進んだということから、この18~21ページに示しております指標の達成に基づいて、自己評価をSと高く取らせていただいたところでございます。
 次に、21ページの表を御覧いただきます。ここでは治験=クリニカルトライアルの実績を再掲しているところでございます。
 数字を御覧いただきますと、この赤囲みにあります昨年度、企業治験や臨床研究の新規実施数も過去最大レベルに達しておりますし、また、右の表にまとめてございますように、NCNPでは難治性の精神・神経疾患のほぼ全ての種類を網羅する治験を実施しているということも特筆できるかと存じます。
 次に、22ページに、精神疾患領域におけるNCNPでの臨床研究の最近の顕著な達成例を御説明させていただきます。
 こちらではアウトリーチ型、訪問を行う形でのケースマネジメントするチームによる認知行動療法が、コストを増やすことなく、重症の精神障害を持つヒトの不安感を改善できたという成果が挙げられております。この訪問型のケースマネジメントというものは、統合失調症の支援に強いエビデンスがこれまで示されております。この方法と認知行動療法を組み合わせて実施することによりまして、高い臨床的効果が得られ、医療経済コストの算定はクラスターRCTのデザインの臨床研究で検討しましたところ、コストを増やすことなく、特性不安ですとか、他者評価不安、パーソナルリカバリーの程度といった重要な指標が有意に改善をしたことが示されたものでございます。
 このように、公認心理師を含む多職種のチームによる訪問支援と認知行動療法の組合せが社会的コストの抑制に貢献する可能性を強く示唆することができた画期的な成果でございます。
 次に、23ページを御覧ください。こちらは、我々NCNPの新たな産学連携の取組を示させていただいております。
 こちらで題材になっておりますのは、尿中に存在するステムセル、幹細胞(UDC)でございます。近年、我々は尿中のUDCが多能性の分化能を発揮するということに注目をしまして、希少疾患の患者様の尿から採取した細胞を分化させることでモデルづくりへの応用を多面的に開始をしているところでございます。
 この活動の中心になっておりますのが、神経研遺伝子疾患治療研究部の青木部長らでありますけれども、彼らはNCNPを中核とした産学連携コンソーシアムをつくりまして、こちらの組織を中心とした希少疾患の創薬基盤となる研究・開発システムの構築を開始いたしました。そして、令和7年度にこれを大きく進めまして、こちらにございます企業6社、また、アカデミア5機関によるコンソーシアムを本格稼働したところでございます。
 最初の疾患ターゲットには、難病中の難病である筋萎縮性側索硬化症(ALS)を置いており、ALSの患者様の尿由来、細胞ラインの収集、ストック、また、品質確認を済ませたラインの参画機関への配付を開始いたしました。今後、さらに多くの企業とアカデミアが連携した創薬コンソーシアム体制が大きく進捗するものと確信をいたしております。
 次に、24ページを御覧ください。こちらには、バイオバンク並びにブレインバンクの事業の現況をまとめさせていただいております。
 当センターはいろいろなバイオバンクがございますが、一番伝統があって規模が大きなのは筋肉でございます。右に筋レポジトリーの実績を書いてございますが、総数2万6800を超えて、世界最大の筋バンクになっております。このバンクを中心にしまして、本邦での筋疾患の組織学的診断の8割以上をNCNPが担っておりまして、国際的にも筋病理の教育のメッカとして多くの活動を行っております。そこから得られた成果は新規の疾患概念の確立、治療薬開発の基盤となったということは、先ほど理事長も申しましたようなビルトラルセンなどの筋ジストロフィーの核酸医薬の上市にもつながっているものでございます。そして、この筋肉、凍結筋のみならず、筋の一部は培養あるいはiPS細胞としての保存も行っているところでございます。
 左の棒グラフに様々なサンプルの実績を、年次を追って書いてございます。まず、一番上の緑になっておりますのが我々の機関で非常にユニークな脳・脊髄液サンプルでございます。神経疾患では脳・脊髄液の採取を比較的よく行うわけですけれども、NCNPでは伝統的に精神疾患の患者様でも積極的に集積を進めておりまして、その総数が7,209検体に上っております。下に書いてございますように、最近はAMEDプロジェクトの製薬協とアカデミアの連携によるGAPFREE4プロジェクトが完結して、今、その応用活用が進んでいるところでございます。ここで整備しました精神・神経疾患の700例に及ぶ髄液・血液の多層オミックスデータ、ゲノミクスからタンパク質まで、様々なデータを集めたデータベースを企業優先で利用するプロジェクトを開始したところでございます。
 それから、右下にございます脳バンク。こちらのサンプル収集総数の384、昨年度の剖検脳数が25に達しております。また、近年、脳外科手術で得られました貴重な組織検体。これはてんかんで脳外科手術を必要とされる方など、多くの検体が集まっておりますが、てんかん・発達障害の分子レベルでの研究にも活用されて、世界的に注目をされております。
 25ページには、利活用の実績を示しております。これらのリソース、延べ380件の外部提供実績がありまして、令和7年度のみでも53件、4,825検体を提供し、前年度に比して大きく伸びを示しております。
 特筆すべきこととしまして、昨年、衛生検査所の設立が完了しまして、研究成果の臨床実装を支える検査の質的な基盤も確立したところでございます。サンプル提供も企業に対しても92件と、前年比19件の増。海外にも11件供与しておりまして、精神・神経・筋疾患の研究を支えるバイオバンクとしての機能が年々高まっているところでございます。
 最後に、26ページに、患者レジストリを活用しました病態解明・治療法開発に向けた取組をまとめてございます。
 RemudyはRegistry of muscular dystrophyの略で、NCNPの誇る筋疾患のレジストリでございますが、先ほど述べましたように、デュシェンヌ型筋ジストロフィーの治療薬開発をはじめ、創薬に大きく貢献をしております。Remudyを発端とするレジストリは、アンチセンス拡散薬ビルトラルセン、また、本中期計画中に第Ⅱ相試験へ進みました別のエクソン44の標的薬ブロギジルセンなどの画期的新薬の実用化にもつながっておりまして、最近ではデュシェンヌ型の初めての遺伝子治療薬として既に上市されておりますエレビジスのリアルワールドデータの収集、また、患者様の協力によるPatient and Public Involvementの基盤としても活用されているところでございます。
 以上、研究・開発を中心に御報告申し上げました。よろしく御評価のほど、お願いいたします。
○土岐部会長 「見込評価」のところはよろしいですか。
○国立精神・神経医療研究センター岩坪神経研究所長 はい。今、途中で「見込評価」につきましても幾つか挿入して御報告をさせていただいたとおりでございます。
 よろしくお願いいたします。
○土岐部会長 分かりました。
 それでは、委員の先生方から御質問をお受けしたいと思います。挙手を。
 まずは、前村委員、どうぞ。
○前村委員 長崎大学の前村でございます。この1年間でまた新しい研究の進捗が非常によく分かりました。
 質問としましては、23ページについて御質問したいのですが、UDC(尿由来細胞)で、また分化させられるというのは、非常に驚きだったのですが、この尿に出てきている細胞というものは尿細管細胞なのでしょうかというのが一つ。
 その場合に、iPS化するのだったらどの細胞からでもできるので、そこからiPS化させて、また神経に分化させるというのは分かりやすいのですけれども、iPS化を介さないでと書いてあるのですが、この尿から出てきた細胞に何らかの遺伝子を入れてリプログラミングして神経細胞にさせるのか。それができるとすると、神経細胞以外のほかの細胞にも分化させられるかというのを一つ質問したい。
 それと関連して、これをALS患者の病態解明に使うということなのですが、こういう病態のモデルとして使う場合は、遺伝子異常がある疾患、あるいは疾患感受性の異常があるような疾患の場合だと思うのですが、私は全く素人でよく分からないのですけれども、このALSというものは何らかの遺伝子異常があって発症することになっているのでしょうか。
 以上、お願いします。
○国立精神・神経医療研究センター岩坪神経研究所長 ありがとうございます。23ページのUDCについてお答えします。
 まず、この尿由来細胞、分化できるポテンシャルを持っている細胞がどこに由来するかというのは非常に興味深いところで、今、先生御指摘いただいたように、恐らく、これは近位尿細管の上皮が脱落をしてきたものが主なオリジンであろうと考えております。実際に調べてみますと、近位尿細管の特徴が出ているということも聞いております。
 このUDC、②のところに「分化誘導」とだけ書いてございます。今、先生御指摘のように、iPSのように不死化をした細胞から様々な分化が生じる際、iPSの場合は不死化してリプログラミングするところで山中4因子が作動するわけですけれども、このUDCの場合は基本的にはダイレクトにリプログラミングが進んでいくということになります。さらに、これは遺伝子を入れるということも試みておりますけれども、例えばいろいろなグロースファクターなど、培養時に添加する因子の組合せによって様々なタイプの細胞に分化誘導する試みをしておりまして、例えば我々の専門とする神経系ですと、神経細胞にも各種のグリア細胞にも分化をさせるということが可能となってきております。
 それから、ALSは難病でございまして、最初にこれをチャレンジングにも選んだわけですけれども、今、先生から御指摘のありましたように、実はALSというものは恐らく9割5分ぐらいまでは孤発性、遺伝性のないものでございます。しかし数パーセントに単一遺伝子の変異によって起こる家族性ALSが確認をされております。この病因遺伝子も幾つか見出されてきておるのですけれども、一番古典的には活性酸素を消去するSuper Oxide Dismutaseというタンパク質の遺伝子、SOD1の変異が特殊なALSを起こすということが分かってきております。SOD1の変異例のサンプルも頂いておりますけれども、孤発性のALSに関係してくるのはまた別の分子でございまして、TDP-43というタンパク質が変異がなくてもたまってきて変性を起こします。TDPの遺伝子に変異がございますと、下流でやはりTDPタンパク質の異常が起こって遺伝性のALSが起こるということも分かってきております。青木らは、こうした遺伝性のTDPの変異の患者様からもサンプルを頂いて、今、幹細胞を樹立しているところでございます。
 以上でございます。
○前村委員 ありがとうございます。研究の発展を期待しております。
○土岐部会長 続きまして、神﨑委員、どうぞ。
○神﨑委員 東京都健康長寿医療センターの神﨑と申します。よろしくお願いいたします。
2つあるのですが、一つはアルツハイマー治療のレジストリのことなのですけれども、これも大変な御苦労だと私は理解しているのですが、実際にこれは各施設で入力していただいたデータをNCNPのほうでデータベースとしてサーバーに管理しているということだと思うのですが、そこのところの例えば診療録の情報などは各施設のほうで入力していただいたものを、一定の規格のものを送っていただくということで、そこの手間は何とか省力化できるのかなというところは興味を持った点が一つ。
 もう一つは、次のエタノールアミンの研究といいますか、多分、臨床応用を考えていらっしゃると思うのですけれども、知識がないので教えていただきたいのは、エタノールアミンはヒトの体内で合成できないということだそうなのですけれども、ただ、治療によって薬物であったり電気刺激であったり、そういった治療によって上がるということなので、どういうメカニズムでそれが上がるのかということ。
 あとは、治療という点で、ラットに体外的に投与しているという実験をされているようなのですけれども、ヒトでもひょっとして治療ということを考えたときに、体内で合成できないとなると、やはり同じように体外的に投与することを考えていらっしゃるのか。それとも、これはよく分からないのですけれども、薬物治療であったり電気刺激であったりというようなことで十分、治療が成り立つと考えているのか。その辺の将来的な治療の展望みたいなことを教えていただければと思います。
 
○国立精神・神経医療研究センター岩坪神経研究所長 ありがとうございます。
 まず、このアルツハイマー病のレジストリ、10ページにお示ししたものでございます。今、先生がおっしゃっていただきましたように、これはかなり多数のデータを入力すると同時に、実は血液を採取して、ここでこのリスク遺伝子の遺伝子型を決めて、この情報をお返ししています。また「特定使用成績調査」の中でもこの副作用との関係を見ていくということが非常に重要になってまいります。
 そこで、「特定使用成績調査」も並行して行われているということを説明しましたが、非常に多数の登録項目がございますので、これに重なるようなものをアカデミアが並行して行う研究でまた入れていただくというのは、非常に忙しい臨床家に多くの労作をかけてしまうということがございます。そこで実は、これは企業コンソーシアムなどの成り立ちとも関連するのでありますけれども、企業との間で、この全例調査の結果を倫理的あるいは手技的なハードルを乗り越える形で共有する。それから、患者様にも共有してよろしいですかというインフォームドコンセントを必ず取るということで、全例調査のデータの中から必要なものをデータベースの上で流し込んでいただき、しっかり管理するという方法を取っております。そのために、あまり多くの追加的なエフォートをかけていただかなくてもデータを共有できる。そういう工夫をしたところであります。
 ただ、1つ申しますと、採血を一本取るというのもなかなか、研究用のものをしっかり品質のベリファイされたものを取るというのは難しゅうございまして、これを別ルートで我々は送っていただいて、この結果を出して共有する。そのデータと検査データの共有・突合というところが一つ、みそになってくるところでございます。
 以上が、このアルツハイマーに関する工夫展でございます。
 それから、次の11ページにございますエタノールアミンでございます。これも我々は注目をしていて、非常にびっくりしながらきれいな成果を見せてもらったのですけれども、このエタノールアミンがうつ病の方でどうして低下をするのか、あるいはこういう急性治療をして、なぜ治療効果とともに回復をしてくるのか。本当のところはまだ全くメカニズムが分かっていないということでございますけれども、先ほどリソースのところで申しましたように、以前に在籍しました功刀部長の時代から、うつ病の患者様にしっかりお願いをして、脊髄液を提供いただく。これを様々な、今で言うとオミックス的な解析。それを、歴史がありますので、様々なものに注目をして進めていく中で、このエタノールアミンがどうも変わっているらしいというところから発展をしたものでございます。このメカニズムはラットでも同じように動くということですので、今、小川室長たちはそれを明らかにしたいということで取り組んでいるのですけれども、真のメカニズムはまだ分からないというところでございます。
 最後に、これは治療応用するとき、体の中で合成されないということでどうするのかということでございます。エタノールアミンそのものをなかなか一定濃度以上のものをヒトで経口投与するというのは、すぐには安全性等で躊躇されるところでございますけれども、今、このラットでは静注などで、あるいは飲水の中に混ぜるということで、投与したときにうつ病様構造が改善されるという成果が出ておりますので、前臨床になりますけれども、動物での検討を十分に重ねていった上で治療応用ということを視野に入れたいと聞いております。
 このエタノールアミンにつきましては、もしありましたら、張所長の精神保健研究所からの御成果ですが、追加はございますでしょうか。
○国立精神・神経医療研究センター張理事 今、岩坪先生から御説明のとおり、今、真のメカニズムは一生懸命、研究に取り組んでいるところです。あとは、臨床応用に関しましては、エタノールアミンは高濃度になると毒性があると考えられていますので、今、ヒトへの投与についてはまだまだ慎重に検討を進めているという段階にあります。
 ただ、ラットでは効果が見つけられていますので、非常に有望視されて、今、研究に一生懸命取り組んでいるところです。
 以上です。
○神﨑委員 ありがとうございました。期待しております。
○土岐部会長 それでは、続きまして、成川委員、どうぞ。
○成川委員 北里大学の成川と申します。よろしくお願いいたします。御説明ありがとうございました。
 外部資金をコンスタントに獲得されながら、神経系難病の領域の研究・開発をいろいろ積極的に取り組まれておられる様子を拝聴しまして、この点は非常に評価できると思っておりまして、その上で2点、実績とかについての御質問なのですけれども、一つが資料の18~19ページの辺りに先進医療の承認件数が0件あったというものがありまして、その理由が19ページに書いてありまして、ほかの多様な試験の形態に移っているということで、この点は非常に理解できると思いながら読んだのですけれども、では、その代替としての医師主導治験ですとか特定臨床研究ですとか、そういったものについては、最近までの動きといいますか、どの程度、積極的にやられているかということについて少し御説明をいただきたいというのが一点です。
 もう一点が、資料の26ページ目で患者レジストリRemudyの御紹介がありました。これは非常に重要なプロジェクトだと思っておりまして、これまで2つの製品について、製薬企業とコラボレーションしながら活用されているということは非常に評価できると思ったのですけれども、これら以外で個別の企業と連携をして、何か薬の開発とか、そういったものに利用されているような実績があるのか、あるいは将来、そのような予定があるのかという辺りについて少し御説明いただければと思います。
 以上、2点です。よろしくお願いします。
○国立精神・神経医療研究センター岩坪神経研究所長 ありがとうございます。
 この先進医療のところは、これも、今、先生がまさにサマライズくださいましたとおりでございまして、以前はなかなか先進医療以外の形で新しい治療法を実用につなげるということが難しい面もあったのですけれども、最近、特定臨床研究をよい形で応用しますとか、あるいはやはり企業治験で非常に画期的なもの、ファースト・イン・ヒューマンでも申しましたようないろいろなものが出てきておりますので、それぞれの治療法に即した選択肢が大きくなってきたということで、6年前の時点に比べますと方法について選択の幅が広がってきているということがございます。先進医療のところは、これは資料にもございますように、反復磁気刺激でございますとか、こういったものについては早くから取り組んでおりますので、こちらのトラックでぜひ進めるところまで進めたいと考えているところでございます。
 それから、数の上でも出てきておりますが、特定臨床研究では、例えば例を1つ挙げますと、今、神経疾患のほうでは免疫性の神経疾患の治療薬、例えば補体に対する抗体でございますとか、様々ないいものが出てきております。これを最初に、例えば多発性硬化症に適応があったものを神経筋疾患の免疫性のものを応用していくとか、幾つか特定臨床研究での検証を受託するという形で進んでいるものがございます。一番最初は精神疾患の医療機器ですとか、それから、先ほどのデュシェンヌとか、そういうものがスタートであったのですけれども、最近、その幅が非常に広がってきているということを我々も感じているところでございます。
 Remudyも、今、一番フェーズが進んでおりますのは、申しました日本新薬さんと幾つかのエクソンスキップ、アンチセンス、オリゴヌクレオチドの開発というところなのでございますけれども、もちろん、ほかの企業さんも非常に興味を示してきていただいております。まだ具体の内容を詳細に御説明できるレベルではございませんけれども、海外、国内でも大手の製薬企業からこのデータの共用・活用というようなもののお申込みがあって活動を開始されていると聞いております。
 以上でございます。
○成川委員 御説明ありがとうございます。
 ぜひ、今後の活発な活用を期待しております。ありがとうございました。
○土岐部会長 ほかは。
 根岸委員、どうぞ。
○根岸委員 根岸です。よろしくお願いいたします。大変高度かつ専門的な研究・開発の御報告ありがとうございました。
 2点質問がございます。まず、9ページのところ、項目1-1の脊髄小脳変性症のところです。遺伝子SNUPNの発見という御報告がありましたけれども、これは本当に脊髄小脳変性症の治療に向けた大きな期待が持てることだなと強く感じております。今後の見通しとして、ヒトへの応用ですとか、それから、新規治療法の開発については現段階ではどのような内容になっているのかということが一つ。
 もう一点、11ページのエタノールアミンです。先ほど、このエタノールアミンの性質ですとか、それから、治療についての御説明がありましたけれども、診断について伺いたいのです。精神科疾患の診断が例えば血液でできる、あるいは今回は髄液ということですけれども、こういった客観的な数値・データに基づく診断ということで、診断法がだんだん広がっていっているように感じております。このエタノールアミンは、まだ血液の検査というものは難しい段階なのか。それと、将来に向けて精神科疾患におけるデータに基づく診断ということに対する御見解を伺いたいと思います。
○国立精神・神経医療研究センター岩坪神経研究所長 ありがとうございます。
 このSNUPNのほうでございますけれども、こちらは御説明しましたように、ある非常に特定の重要な機能を果たしております分子が、遺伝子変異があって、その機能が落ちるということが今回の成果でもはっきり分かってまいったわけです。そうなりますと、その機能を補充するという方向で、方向性は非常に明快に定まります。即ち、遺伝子治療という方法で正常なSNUPNを補充してあげるというのがダイレクトな方向になります。例えば最近ですと、アデノ随伴性ウイルスなどというベクターを使って、欠損した遺伝子を補充するという治療が、先ほどありました筋ジストロフィーなどは実はその一例でございますけれども、臨床応用に入っているものがございます。大久保研究員は最近、NCNPの室長で復帰されておりますので、一つの研究テーマ、AAVにつないで補充療法というものをまず動物レベルでやってみたいということを申しております。
 ただ、これは非常に希少な病気ですので、最終的にそれがどのぐらいの規模でなるかという問題がございますけれども、今ではn of oneの1人しか患者さんがいらっしゃらないような病気でも治療法をつくるというのは希少難病のほうでは重要になっておりますので、一つの対象として進め得るものだと思っております。
 それから、エタノールアミンでございます。こちらは御指摘のとおりで、今の時点では脳脊髄液の中でしか差が出ないということのようでございます。血液が、御案内のとおり、タンパク質も、あるいは含まれている血球成分も多うございますし、非常に密度が高いのでなかなか、そこで溶存しているエタノールアミンの差が出ないのかなと想像はしているところでございます。
 ただ、今、御指摘いただいたように、精神疾患でもやはり症状の推移を予測できるマーカーというものは、症状が常に切り離れるものではないわけでございますけれども、バイオロジーのほうを反映するようなマーカーというものが出てまいりますと、症状の解釈あるいは分類というものも非常に大きく進展をするものでございます。今回、髄液中でこれだけはっきりしたものが出たということで、そういった疾患分類とか治療のほうにも関係が出ると思いますし、また、お話がずれて恐縮でございますが、先ほど申しました私の専門のアルツハイマーのほうでも、以前は脳脊髄液でしか診断ができなかったのですが、最近はこのレジストリ研究の中でも血液を頂いて、血中にあるタウなどという物質のレベルの推移を、治療の効果との関係で見るということをやっておるわけでございますですので、エタノールアミン単独でどこまで行くのか、今後期待はしたいところでございますけれども、恐らく純粋な精神疾患のバイオマーカーというものも髄液から血液のほうへ動いてきているのだと思います。
 この点、理事長、いかがでしょうか。
○国立精神・神経医療研究センター中込理事長 私、精神科医なものですから、一言加えさせていただきます。
 恐らく、エタノールアミンに関しては、脳血液関門の破綻ということと関連しているらしいという知見もあるので、なかなか血液では難しいのだろうと思っています。ただ、大変貴重な御指摘だと思います。精神科の診断の問題というものは、今、非常に大きな議論がなされていまして、うつ病といってもいろいろな方がいっぱいうつ病になっていますし、恐らく、これは言ってみればとめどなく広がると非常に混乱も来します。そういう意味で、私どもとしてはやはりメカニズムに基づく診断ということを重要だと思っていまして、そのためには様々な生物学的な試料というものが非常に重要になってまいります。
 例えばがんでも、同じ肺がんでも遺伝子のタイプが違えば治療法も違うというように、私どもとしてもうつ病の中で、例えばメカニズムによって再分類できないか、あるいはうつ病、統合失調症と、違う病名がついているけれども、実際は免疫であるとか、そういったメカニズムが共通するものがないかということで、その方面の研究を進めているところですけれども、ここを何とか突破していくということは当センターのミッションでもあると考えています。
○根岸委員 どうもありがとうございました。
 さらなる研究の蓄積を期待したいと思います。ありがとうございます。
○土岐部会長 それでは「研究開発の成果の最大化に関する事項」については以上とさせていただきます。
 続きまして、医療の提供、人材育成、医療政策の推進です。項目1-3から1-5につきまして、法人のほうから説明をよろしくお願いいたします。
○国立精神・神経医療研究センター戸田病院長 病院長の戸田でございます。評価項目1-3「医療の提供に関する事項」でございます。27ページのほうでございます。自己評価としてはAといたしました。
 「Ⅰ 中長期目標の内容」です。高度かつ専門的な医療の提供としては、例えば薬物抵抗性の双極性障害の患者さんのために、先進医療制度を活用した反復経頭蓋磁気刺激装置(rTMS)を用いた治療の標準化を目指します。また、心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った患者さんに対して、センターの研究部門と連携して、退院後の地域生活への安全で円滑な移行を支援する質の高い医療の提供を行います。
 次の●、患者の視点に立った良質かつ安全な医療の提供としては、医師並びにメディカルスタッフの多職種連携かつ診療科横断によるチーム医療を推進して、継続して質の高い医療の提供を行っています。特にNCNPの中にはセンター内センターとして、それぞれの専門疾病センターがありますので、診療科を横断的に多職種連携で医療の提供を行っております。その下へ行きまして、全職員を対象として医療安全や感染対策のための研修会を開催しておりまして、全ての職員が受講する100%の受講を目指して行っております。一番下のほうですが、手術件数・病床利用率・平均在院日数・入院実患者数等については中長期計画に基づいて適切な数値目標を設定しております。
 28ページですが「Ⅱ 指標の達成状況」についてです。一番上、rTMSを用いた治療については、今年度は少なかったですが、今年度までを見ると達成率は92%でした。また、医療安全・院内感染のための研修会、医療安全管理委員会の開催、手術件数、病床利用率、平均在院日数、入院実患者数等については指標をおおむね達成していると考えまして、97%から135%の達成率でした。
 次に、29ページです。「Ⅲ 評定の根拠」でございます。心神喪失等の重大な他害行為を行った者の医療観察法による医療の提供ですが、当センターでは平成17年に日本初の医療観察法病棟を開棟し、日本最大の合計66床を有しています。令和7年度は27名の新規対象者を受け入れ、累計で609名の入院処遇対象者を受け入れてきました。
 また、脳神経小児科における超希少疾病の取組では、当センターでは、核酸医薬品の開発を製薬企業と共同で行い、また、複数の神経難病の治療薬の国際共同治験に参加しており、開発段階から医薬品開発に関与することで、ドラッグラグ・ドラッグロスの解消に取り組んでいます。
 さらに、てんかんに関する診療と研究ですが、全国てんかん拠点として、てんかんの診断・医療・研究・教育及び社会活動に関わる包括的な事業を実施しました。また、定位的ラジオ波温熱凝固術など低侵襲な手術にも力を入れており、バイオバンクの脳試料登録数が500件を超え、データベースとともに病態研究・解明研究を進展させております。
 それでは、これらとこれら以外も含めて、もう少し詳しく見ていきます。30ページです。心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療観察法による医療の提供ですが、当センターでは平成17年に日本初の医療観察法病棟を開棟し、平成22年にもう一個追加し、最大66床を有しております。また一方、平均在院日数は840日と全国で最も短くあります。
 臨床研究としては、厚労科研でガイドラインの作成、入院・通院モニタリングシステムなどに取り組んでいます。また、医療観察法病棟電子図書館を構築して調査・研究を行い、令和7年度より事業を開始しております。
 次に、31ページを御覧ください。希少神経難病症例の集積、専門的医療の提供として、当センターについては、左側の表にありますように、例えば多発性硬化症であれば、当院患者が占める割合は4%です。そのほか、先ほど話題になりました筋ジストロフィーに関しては、デュシェンヌ型で7.6%、先天性・福山型で13%、近年、シアル酸の薬剤アセノベルが上市されたGNEミオパチーでは全国の25%を当院で対応しているということになります。
 右側、当センター病院は『NEWSWEEK』誌によってアジア・オセアニア地区において神経医学医療領域の医療機関のランキングにおいて13位に選出されて、昨年は15位でした。上がっています。日本国内の機関に限ると5位で、外部機関からも高い評価を受けております。
 続きまして、32ページ、精神科領域におけるニューロモデュレーションの実施です。電気けいれん療法(ECT)の件数も1,073件と、初めて1,000件を超えました。東京都の割合として9%ですが、東京都からも研修の依頼を受けて、537名実施しております。
 また、左下に行っていただいて、先ほどお話ししたrTMSは、先進医療Bで治療抵抗性のうつ病に対してもrTMSを行っており、また、双極性障害まで幅広く行うことによって、治療の維持効果についても検証中です。また、磁気けいれん療法(MST)についても医師主導治験を取り組み始めました。このように、ニューロモデュレーションを中心に専門的な医療を提供しています。そして、医療の均てん化を推進しております。
 次に、33ページをお願いします。脳神経小児科における超希少疾病への取組ですが、左側、NCNPは国内外のハブとして活動しています。1.で、全国から患者が集まっており、また2.で、国際共同治験にも積極的に参加し、グローバルな開発推進、ドラッグ・ロスの解消に貢献しています。
 例えば右側の表で、アレキサンダー病やペリツェウス・メルツバッハー病では核酸医薬治験に我が国で唯一参加しており、下のほうのデュシェンヌ型筋ジストロフィーでは、先ほどのお話がありましたように、エクソンスキッピング治療を開発しましたし、治験にも大きく貢献しております。
 続きまして、34ページを御覧ください。未診断疾患イニシアチブ(IRUD)におけるNCNPの役割として、NCNPはIRUD体制の中核を担っており、診断の連携、解析の連携、データシェアリングやレポジトリー、中央倫理審査の体制を確立した中央事務局の役割を行っております。
 特に右側は、2万9325人/1万304家系の患者さんが現在参加され、そのうち8,335家系で解析が終了し、4,132家系(49.6%)で診断が確定し、その下、約50の新規疾患の新たな原因遺伝子を確立することができました。
 続きまして、35ページ、比較的近年のものとしては、運動失調症のレジストリJ-CATがあります。これはNCNPが唯一かつオールジャパンとして行っているもので、下のほう、厚労科研「運動失調班」、AMED難病の全ゲノム(國土班)などと連携しております。
 右側で、現在、全国3,771例が登録し、右下で、3,048例の遺伝子解析で48%の診断を決定し、つかないものは國土班で全ゲノム解析などを行っております。
 続きまして、36ページ、NCNPにおけるてんかんの診断と研究ですが、当院はてんかん診療部を持ち、全ての診療科にてんかん専門医を有し、全ての年齢層を対象に包括的な専門医療を展開・提供しております。2025年度は新入院が1,347名、長時間ビデオ脳波を562名に行いました。
 右側で、また先ほどお話ししましたように、厚労省のてんかん地域診療連携体制整備事業における全国てんかんセンター、全国てんかん支援拠点として、てんかんの包括的な新型治療に大きな役割を果たしております。各都道府県に1か所、てんかん拠点をつくろうという事業ですが、令和7年度で31拠点になりまして、約70%の都道府県でてんかん支援拠点を置くことができました。また、てんかんを診療しているてんかん支援ネットワークを構築しまして、1,599施設を登録しております。てんかんの専門医の地域偏在も実は非常に大きいということで、このネットワークを利用して、てんかんのオンライン診療を進めております。
 また右下、てんかん研究拠点の基盤として患者データベース、てんかん外科データベース、バイオバンクなどを整備し、様々な研究を進めております。
 左下で、当院は先駆的な治療として、定位的ラジオ波温熱凝固療法(RFTC)などを行っております。開頭手術では到達が困難な深部の病変を選択的に破壊するもので、既に40例ぐらいに実施して、60%の消失率を得ています。その下で、多施設共同研究を経て、R8年から診療報酬改定に新技術として収載されています。このような低侵襲手術が増えております。
 以上、病院からの報告といたします。
○国立精神・神経医療研究センター張理事 続きまして、項目1-4から人材育成に関しまして、精神保健研究所の張でございます。引き続き、御説明させていただきます。
 37ページです。NCNPには、研究活動のほかに、もう一つ重要なミッションがございます。それが、この人材育成とエビデンスに基づく適切な知識と技術の普及啓発になります。中長期目標の内容は37ページに示すとおりで、私たちはこの項目について自己評価をAといたしました。
 その根拠の概要を38ページにまとめました。リーダー育成の一つとして、全国的に需要の多い生物統計学講座を目標どおり10回開催し、延べ100人の育成に当たりました。
 医療の均てん化と質の向上のための専門研修の実施ですが、精神保健研究所では、全国の自治体職員や医療従事者等に対して、認知行動療法の手法を活用した薬物依存症に対する集団療法研修、通称SMARPPと呼ばれていますが、それや、あるいは発達障害に関する研修を始め、26本の研修を開催し、延べ2,000人以上が参加され、受講者の満足度も非常に高いという結果を得ています。また、認知行動療法、CBTセンターでは、厚生労働省から研修事業に係る補助を受け、基礎から実践的な内容まで幅広い研修を実施し、延べ700人以上の参加を得て、専門人材の育成に寄与しました。
 また、国際的な協働のための専門人材育成にも貢献しています。
 39ページからは、今、申し上げました評定の根拠について少し詳しく記載しております。まず、39ページに、病院を含めたNCNP全体の研修の実施状況をまとめました。研修の中には、診療報酬における施設基準を満たすために受講が必要となる研修や、近年、社会的にも大きな問題になっている発達障害に関して、かかりつけ医を養成する研修など、医療の均てん化に資する研修も多く含まれています。
 40ページと41ページは、先ほど御説明いたしました精神保健研究所の研修実施状況と結果をお示ししています。研修で取り上げているテーマとしましては、発達障害、あるいは摂食障害、PTSDのように、社会的な治療ニーズが高いにもかかわらず専門的な医療者が少ない疾患のほか、精神科入院患者訪問支援事業や精神科救急医療体制整備など、精神科医療の現場からのニーズが高いものが中心になっており、医療技術の均てん化と質の向上に努めています。
 41ページには研修の受講者による評価を記載していますが、いずれの研修におきましても受講者の満足度は高く、医療の質の均てん化や地域精神保健医療の向上に貢献できていると考えています。
 中長期の「見込評価」につきまして、資料1-6になりますが、38ページには令和3年度から7年度に開催された精神保健研究所の研修活動をまとめています。この間、延べ1万3000人以上の受講者を得ており、医療の質の均てん化や地域精神保健医療の向上への貢献が大きかったものと自負しています。
 資料1-2、令和7年度に戻りまして、42ページを御覧ください。認知行動療法(CBT)センターの研修実施状況をまとめています。CBTは精神療法の一つですけれども、精神疾患への治療効果のエビデンスが確立されており、薬物療法と並んで多くの診療ガイドラインで推奨されています。しかし、それを実施する治療者は全国的に不足している状況です。この問題に対処すべく、CBTセンターでは基本的な内容の研修からスーパービジョン研修まで幅広い研修を実施し、延べ700人以上の受講者を得ています。そして、受講者の高い満足度とCBT実施に対する高い動機づけという結果が得られています。
 資料1-6の「見込評価」説明資料の39ページには、令和3年度から7年度のCBTセンターの研修活動がまとめられています。臨床現場のニーズに合わせ、バリエーションに富んだ多くの研修が実施され、延べ4,000人を超える受講者があり、高い満足度を得ています。
 続きまして、資料1-2、令和7年度にお戻りいただきまして、43ページを御覧ください。NCNPでは国際的な専門人材育成も数多く行っていますが、ここでは主なものを2つ例示しております。
 一つは、ウクライナへの支援です。2つの医科大学から10名の精神科医療従事者が来訪され、PTSDの治療や自殺予防対策についての研修に加え、rTMSの実習を行いました。その後、その2つの医科大学では早速、rTMSが導入され、毎日、治療が実施されているとの報告を受けています。
 また、フィリピンの地域メンタルヘルス支援体制の構築にも貢献しています。フィリピンのモデル地域の市長自らがNCNPの研修にも参加され、その内容を取り入れたプランが、そのモデル地域だけではなく、フィリピン全土で実施されるための保健大臣省令が発出されるに至っています。
 少し飛びまして、51ページの右下を御覧いただきますと、認知行動療法の手法を活用した薬物依存に対する集団療法研修(SMARPP)が海外からも非常に注目されておりまして、インドネシアと韓国での普及を支援する国際貢献も行っています。
 資料1-6の「見込評価」資料の40ページには、今、御説明しましたウクライナ支援とフィリピン支援は令和6年度から継続しているものになります。
 もう一つお示ししましたのは、筋病理診断についてです。NCNPは世界最高水準の筋病理診断拠点であり、国内においては毎年セミナーを開いて若手医師の教育活動を続けています。また、諸外国からの留学生を積極的に受け入れるとともに、国際的なカンファレンス等を通じて技術指導を行うなど、国際的にも大きく貢献しています。
 続きまして、令和7年度の44ページ、項目1-5「医療政策の推進等に関する事項」について御説明を続けます。44ページを御覧ください。
 この項目の中長期目標は、精神疾患や神経疾患に関して適宜適切な政策提言を行うこと、医療の均てん化に寄与すること、国民並びに医療関係者に正しい情報を提供すること、公衆衛生上の重大な危害に対して迅速かつ適切に対応することであり、この項目に対する私たちの自己評価はSとなります。
 その根拠ですが、まず、44ページに記しましたように、公式ホームページのアクセス件数が1800万件以上あり、340%の達成度を得ています。これは「こころの情報サイト」の人気が高いことが大きく寄与しています。
 続いて、45ページには根拠の3本柱を掲示しています。1つ目は、精神・神経分野における診療報酬改定に関する提言です。2つ目は、精神保健医療福祉に関する行政計画の策定と実行の支援です。そして3つ目が、改正薬機法への提言になります。以下、それらについて御説明をいたします。
 46ページを御覧ください。触法精神障害者を対象とした医療観察法ですが、令和8年6月の医療観察法関連の診療報酬改定並びに医療観察法ガイドライン改定に向けて「地域移行支援病棟」と「一般病棟」の機能分化の提言とその人員配置基準に関する提言を行いました。NCNPは全国の医療観察法データベース事業の事務局を担当しており、研究利活用事業を行っていますが、それらの研究から見えてきた課題として、平均在院日数の長期化や行動制限実施率の経年的な上昇、さらには施設間格差の大きさなどが見いだされ、その是正に向けて病棟機能分化と人員配置基準を提言し、令和8年度の診療報酬改定に反映されました。
 次に、47ページでは精神科救急医療に関する診療報酬改定への貢献を記しています。精神科救急急性期入院料の要件は、従来、年間の新規入院患者の6割以上が非自発的入院、つまり、強制入院という要件があったのですけれども、この弊害としまして、非自発的入院の割合を保つことを意識した運用になりかねないということが懸念されていました。その是正策としてNCNPが行った研究によって、令和8年から非自発的入院の割合に基づくのではなく、純粋に救急医療の必要度に基づく要件に改定されることになりました。
 48ページですが、精神科入院患者の透析治療に係るコストについて、NCNPが行った研究によって可視化されることになり、令和8年度の診療報酬改定において、そのコストが出来高化されました。これによって、精神疾患を有する患者の身体合併症対応を支える評価が充実したことになります。このほかにも、難治性てんかんに対する低侵襲外科治療として、NCNPが行った研究によって定位的ラジオ波温熱凝固治療が令和8年度診療報酬改定に新技術として収載されました。これによって、深部の病変や従来の開頭手術では到達できなかった領域に対する治療の選択肢が増えることになりました。以上のように、令和8年度の診療報酬改定に重要な貢献を果たしております。
 資料1-6の「見込評価」の42ページには、令和3年度から7年度の実績をまとめています。お時間の関係で読み上げることはいたしませんが、令和4年度並びに6年度の診療報酬改定の際にも非常に重要な貢献を果たしてきています。
 続きまして、精神保健医療福祉に関する行政計画の策定と実行支援についてですが、令和7年度資料の49ページを御覧いただきたいと思います。国が障害福祉計画を策定しているわけですけれども、NCNPの研究によって、第7期までの障害福祉計画では、71%の市町村が成果目標を設定できていないということが判明しました。この是正に向けて、NCNPがロジックモデルと指標案を開発しまして提案した結果、第8期障害福祉計画では市町村が取り組みやすい新たな成果目標と活動指標が追加されることになりました。
 続いて、50ページを御覧ください。これは精神疾患における第8次医療計画の実行支援の成果についてですが、NCNPでは、その計画の基となる精神医療の実態調査、通称630調査と言われているものですけれども、その実態調査ともう一つ、NDB(ナショナルデータベース)データの集計を行っています。630調査は、精神病床を有する全1,572医療機関の悉皆調査ですけれども、これによって精神医療の現状と動向をつかむことができ、さらに詳しいことをNDBデータを使って調べ、国の医療計画に役立つ提言を行っています。令和7年度はNDBデータの指標を生活保護受給者にも拡張し、地域精神保健福祉資源分析データベースに新たな機能を追加する作業を行いました。これらは非常に地味な作業なのですけれども、国の医療計画策定と実行のためには不可欠なものであり、その貢献度は非常に大きいと自負しています。
 次に、51ページですけれども、改正薬機法についての貢献になります。NCNPの研究成果を基に「指定濫用防止医薬品」の指定成分として、デキストロメトルファン(商品名メジコン)、もう一つ、ジフェンヒドラミン(商品名レスタミン)。このたび、この2つが追加されることになりました。これらはいわゆる市販薬乱用によく使われる市販薬なのですけれども、そういう実態が私たちのNCNPの研究成果として判明しましたので、これらが改正薬機法で「指定濫用防止医薬品」の指定を受けることになりました。また、危険ドラッグ等乱用薬物に関する依存性の評価を行い、3種類の麻薬指定と1種類の指定薬物の指定の根拠を国に提供した実績も上げています。
 「見込評価」の資料1-6の42ページには、令和3年度から7年度における改正薬機法への数々の提言をまとめています。NCNPの研究成果が薬機法改正に大きく貢献してまいりました。また、3段目に書かれていますように、健康づくりのための睡眠ガイドライン2023の作成につきましても研究代表機関として大きな貢献を果たしてきました。
 私から以上になります。御評価よろしくお願いいたします。
○土岐部会長 ありがとうございます。
 それでは、ただいまの項目1-3から1-5に関しまして、委員の先生方から御質問はございますでしょうか。
 田極委員、どうぞ。
○田極委員 御説明ありがとうございました。田極です。私のほうから幾つか質問させていただきたいと思っております。
 まず、資料1-2のほうですが、36ページ、てんかんに関する診療と研究のところですが、こちらはオンライン診療の推進というものを先ほど御説明があったかと思います。こちらは患者さんに直接ということで、D to Pのような形でされているのかということをお伺いしたいと思っております。先ほど医師偏在の問題もあったかと思いますので、そういったところでどう活用されているのかが知りたいところです。
 それから、先に飛んでしまうのですが、44ページで、ホームページアクセス件数について、非常にアクセスが増えているということで、達成度も341%で、非常に高い成果になっているところなのですが、こちらについては、例えばどういう方がアクセスされているのかといった分析などをされていたら、その内容について教えていただけたらと思っております。
 あと、コメントなのですが、診療報酬への貢献ですとか、そういったものについて、薬機法への提言といったところについては非常に重要な取組だと思っておりまして、なかなか精神分野の診療報酬というものは非常に難しいなと私自身は思っていたところがありますが、こういったデータを基に、きちんと根拠を持って診療報酬改定につながる提案をされて、それが実行されたということについては非常に評価できることだと思っております。
 一応、2点が質問と1点がコメントです。
○国立精神・神経医療研究センター戸田病院長 てんかんのオンライン診療についてお答えいたします。
 デバイスで実際に持って、発作そのものを動画で撮っていただくようなこともやっておりまして、口で言うより、その動画を専門家が見る。それでどういうタイプの発作ということで、それである程度、何か見当がつく。もちろん、その後、外来に来てもらって、こういう投薬をして、あとは、例えば遠いところだと一回、外来へ来て、それ以降はずっとオンライン診療とか、そのような形でオンライン診療を行っているということで、特に離島などで離れたところとかなかなか来られない人は本当に動画でそれを見てやるという方向でやっております。
○国立精神・神経医療研究センター張理事 ホームページへのアクセスの件ですけれども、御質問ありがとうございます。
 どのような方がアクセスされているのかということは私たちも分析せねばならないという意識を持っていまして、ただ、入り口としては「こころの情報サイト」が非常にアクセス数が多いので、いわゆるメンタルな問題に関心を持たれている人が多いのだろうということは思っています。今、ほかのNCNP全体のホームページのどのサイトにどういうアクセスがあるのかということを分析しているところでして、どういうニーズがあるのかということを解析しているところです。
 ただ、それにしましても、どんな人がアクセスしているのかというアクセス者の属性までは調べる手段を持っていませんので、ただ、こちら側としましては、どういうサイトが関心を呼んでいてアクセスが多いのかという分析をまず進めまして、ニーズに合わせたホームページの内容づくりを今後も考えていくということを、今、進めています。
○田極委員 御説明ありがとうございます。
 オンライン診療のほうも、非常にこれからますます医師が不足していく地域、患者さんも非常に困ってしまうような状況も出てきているかと思いますので、適切なオンライン診療の推進ができればと思って、期待したいと思います。
 また、ホームページですが、やはり今は患者さんのほうも気になればネットで調べる時代ですので、適切な正しい情報を発信していただくというのは非常に重要な役割だと思っておりますので、まさにこちらのNCNPさんがやるべきことだと思っておりますので、こちらについても進めていただけたらと思います。
 私からは以上です。ありがとうございます。
○土岐部会長 前村委員、どうぞ。
○前村委員 長崎大の前村です。
 令和7年度の説明資料の32ページで、細かいことで恐縮なのですが、この下のほうでrTMSのことが書いてありまして、これに保険診療と先進医療Bと両方あるのですが、これはもともと先進医療Bで始まって、途中で保険診療として認められたということでしょうか。
 そうしますと、この右のグラフで、保険診療のほうで、2024年に比べまして2025年で件数が減っているのですけれども、この保険診療の件数が減ってきた要因というものは何かございますでしょうか。
○国立精神・神経医療研究センター戸田病院長 まず、先進医療から始まって保険診療に認められていたという理解でよいと思うのですが、確かに2025年は保険診療のほうも減っているのですよ。それは何となく、不適応な人が増えてきたといいますか、もう少ししっかり見てきたかということが一つの理由として考えられているのですけれども、それ以外の減った理由はまだ不明なところもございます。
○前村委員 ありがとうございます。
○国立精神・神経医療研究センター中込理事長 すみません。一言追加させていただきます。
 今、お話があったとおりなのですけれども、一つは2024年まではどちらかというと、私どもの院内の患者さんに磁気刺激療法を行うということでばっと増えたのですけれども、その後、それが一段落ついて、今度は専門外来のほうの患者様に施行するというフェーズになりまして、そのときに、今、話がありましたように、適応ではない方とかが紹介が多かったということが一つ。
 それから、実はこの磁気刺激の中に幾つか機種があります。機種の中で当初、6週間入院してやらなければならない機種を使っていたのですけれども、そうするとなかなか、これはマンパワーの問題と入院患者さんの在院日数の問題があって頭打ちしていたところで、今年度は少し短めにできる機種になっておりまして、スタッフのほうも充実していますので、一応、今年度はまた増えてきていると聞いております。
○前村委員 ありがとうございます。
○土岐部会長 中野委員、どうぞ。
○中野委員 中野でございます。御説明ありがとうございます。項目1-3の医療の提供について質問させてください。
 幅広く、乳幼児・小児から成人・高齢者まで、医療の提供をカバーしておられると思います。年度評価の資料で申し上げますと、33ページには脳神経小児科における超希少疾病への取組ということで、小児に特徴的な希少疾病というものをここで取り上げていただいています。また、次の34ページも、IRUDに上がってくる方々は結構、小児も多いのではないかと理解しております。
 私から御質問申し上げたいことは、例えばNCの中で成育医療センターとのすみ分けといいますか、ある程度、お得意の分野ですみ分けをしておられるのか、あるいはこのような神経難病とか希少疾患であれば、精神・神経疾患であれば圧倒的に神経センターのほうでカバーしておられる領域が多いのかとか、その点について御教示いただけますでしょうか。
○国立精神・神経医療研究センター戸田病院長 すみ分けと特にすごい意識をしているわけではございませんが、やはり神経がキーになりますので、同じ小児疾患でも神経症状とかのものがどちらかというとNCNPに来ます。さらに成育のほうは、呼吸器系の疾患とか急性期も含めて、同じ難病でもそちらは心臓も含めて成育で診るという形になるかと思います。IRUDに関しては、NCNPがいわゆる中央事務局をやっておりますので、成育の症例もあれば、例えば慶應の小児の症例もあれば、全国からの症例をこちらで、NCNPでIRUD事務局で解析するという形になっております。
○中野委員 ありがとうございます。理解できました。
○土岐部会長 私から1点、30ページの心神喪失等の状態で重大な他害行為があった者のいわゆる医療観察法の入院なのですけれども、こちらは在院日数が840日と短かったということなのですけれども、やはりこれでも一般からするとかなり長いという印象を受けますが、一方、さらにこういう病気の場合、フォローアップのほうもすごい大変になると思うのですけれども、これは退院後のフォローとか、継続して訪問介護、行動療法というものをやっていくのか。あと、再入院率とか、そういったものを、後のフォローはどのようにされているのでしょうか。
○国立精神・神経医療研究センター戸田病院長 普通の入院に比べれば確かに長いといえば長いのですが、まず、患者さんは急性期という時期があって、それで数か月、強力に治療していって、回復期というものがあって、それからさらに社会復帰期という、ステージごとに上げるかどうかということを行っております。そういうものを考えますと840日ぐらい、ほかの全国のところだったらもっとずっと長いです。その後のフォロー、退院後のフォローですが、要は社会復帰期を過ぎたフォローですが、パーセントまでは少し分からないですけれども、多く診ていると、やはり施設に行かれる方が多くて、あとは家庭とかで誰かケアしてくれる人がいる場合はそちらに行くのですが、そちらを優先しますが、そうでもない場合が多いので、地域の施設が多いです。
○国立精神・神経医療研究センター中込理事長 よろしいでしょうか。精神科なものですから、補充したいと思います。
 まず、在院日数に関しましては、これは平均が840日ということですけれども、かなり偏りがあって、非常に長い方がどうしてもいらっしゃる。一つはもちろん、治療に難渋する非常に難しい方も多いのですけれども、その辺は治療抵抗性の薬剤などを使って、ある程度適切に治療ができていると思います。
 一方、地域での受入れというものはかなり難しくて、やはり入院したときの様々な事例がございますので、地元での受入れが難しいとか、そこの調整のところでかなり苦慮する方が多いということは確かでございます。通院処遇に関しましては指定通院医療機関というものがございますので、そこを中心に診ていくのですけれども、以前は通院医療機関での医療実態というものの調査が少し遅れていたところがございますけれども、今は、下のほうに書いてありますように、このモニタリングシステムも通院処遇に関してもできるようになっています。ここのところの利用実態というものも徐々に明らかにされていますので、もう少し詳しいことはまた御報告できるのではないかと思いますけれども、かなり多職種で厚くやっていることは間違いない。ほかの通常の精神医療よりもむしろ厚いかもしれない。そういった状況でございます。
○土岐部会長 ぜひよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
 それでは、続きまして、評価項目2-1から4-1「業務運営の効率化、財務内容の改善及びその他業務運営に関する事項」のほうに移りたいと思います。
 まず、御説明をよろしくお願いいたします。
○国立精神・神経医療研究センター石川企画戦略局長 企画戦略局長の石川です。よろしくお願いいたします。私のほうからスライドの52ページ以降で御説明をさせていただきます。
 本日「見込評価」もということでございますけれども、こちらの令和7年度の実績評価資料にもずっと経年推移がございますので、こちらを御覧ください。
 それでは、評価項目2-1「業務運営の効率化に関する事項」について、自己評価はBとしております。
 中長期目標の内容は、以下に記載のとおり、6項目ございます。定量的な評価が設定されております4項目の達成状況について御説明します。
 まず、達成状況①でございます。経常収支率と後発医薬品になりますが、後発医薬品のほうは、これまでと同様、今年度も目標を達成できておりまして、こちらは最終的にも目標を達成できる見込みでございます。
 経常収支率でございます。こちらは、中長期計画期間では100%以上のところ、ここ2年連続で収支が若干悪化しておりましたので、令和7年度につきましては、本来は100%とすべきではございますけれども、目標自体を98.3%以上と設定をさせていただいておりました。その目標に対して実績値で99.2%と、若干よい方向に改善が見られましたために、達成度が101%となっております。ただし、金額としては、後ほど御説明しますが、1.9億円の赤字となっております。
 「見込評価」につきましては、御覧いただきますとおり、令和3~4年は黒字でございましたが、その後、かなり厳しい状況が続いておりまして、ちょうど現時点で達成度は100%となっております。今年度につきましては、先ほどから様々、昨今の社会的な課題、発達障害、児童精神の問題ですとか、政策提言にもございました睡眠に関する健康づくりといったものを研究所のほうでも進めておりますけれども、病院でも診療部といたしまして、児童精神診療部、睡眠診療部といったものを新たに立ち上げるなどしておりまして、これからまた収益増に向けて取組を進めるということから「見込評価」といたしましてもB評価とさせていただいております。
 スライドの53ページをお願いします。医業未収金、一般管理費になります。
 医業未収金につきましては、令和7年度は実績値0.023%、達成度は139%でございます。こちらの達成度は120%を超えておりまして、要因分析を下に記載をしておりますけれども、これまで同様、キャッシュレス決済を導入しておりまして、特に昨今、クレジットカードですとか口座振替の利用が増えております。また、発生防止や早期回収に向けて、例えば入院中の方につきましては入院時より、面談と申しますか、支払いの御相談といったものも早めに開始をすることで目標の達成に向けて取組を進めております。
 上に戻りまして、一般管理費です、こちらはどのセンターも同様かと思いますけれども、令和2年度の6800万円に対し、近年、ずっと上昇が続いておりまして、今年はわずかに下がっておりますけれども、1200万円の増加となっております。
 続きまして、スライドの54ページをお願いします。決算の状況でございます。
 令和7年度は、収益、費用、ともに増加をしております。経常収益が225億円、経常費用が227億円ということで、収支としましては2億円のマイナスとなっております。昨年少し御質問いただきましたが、こちらはセグメント別で見ますと、研究部門で見ますと、研究所を中心とする研究部門が4億円弱の黒字で、臨床研究部門が若干赤字になっております。トータルで研究関連部門は2億円強の黒字でございます。
 診療セグメントということで見ますと1億円強の黒字なのですけれども、教育セグメントのほうにレジデントや、医師が教育に携わった部分の人件費を案分して出しておりまして、そちらの人件費等を診療部門に加えますとマイナスの4.5億円となりまして、やはり病院での収支というものがかなり厳しい状態でございます。
 ただ、医業収支ということで見ますと、スライド54ページの2つ目の○にも記載をしておりますけれども、医業収益自体が7.6億円増加をしております。入院と外来で見ますと、入院が1.9億円の増、外来が5.7億円の増加でございます。こちらは、実は費用もかなり増えておりまして、神経内科、小児・成人ともに使用する医薬品がかなり高額ということもありまして、収入の7.6億円のうち6.5億円分が注射・投薬によるものとなっております。それ以外に、先ほど病院のほうで説明しましたような手術ですとかリハビリといったものを増やすことで収益増につながってございます。そうした高額医薬品の影響と、もちろん、物価高騰の影響もございまして、費用のほうが、全体で医薬品費で約6億円、それから、委託費も1.7億円ほど増加をしました。
 また、人件費でございますけれども、昨年は基本給改定をいたしました。今年度は残念ながら基本給の改定というものを行っておりません。ただし、昨年改定した影響がございまして、病院のほうはベースアップ評価料がございますが、どうしても研究部門のほうも一緒にベースアップしますので、そうしたところ、自己資金を使ってということになりますので、人件費としては2億円弱増えているという状況でございます。全体としては昨年よりは若干改善をいたしまして、約1.9億円のマイナスとなっております。
 続きまして、55ページをお願いいたします。指標以外の取組状況でございます。
 1点目、給与制度の適正化。1つ目のポツは人事院勧告の内容でございます。センターの対応といたしましては、先ほども申し上げましたけれども、令和7年度基本給の改定は残念ながら実施できませんでした。ただ、補正予算による補助金がございましたので、今年度は引上げをするということを見据えまして、賃上げ補助金を活用し、年度末賞与という形で幾らかの支給をしております。賞与につきましては昨年と同様としております。
 2点目、勤務環境の改善でございます。1つ目、休暇取得につきましては、定期的な周知を繰り返すなどによりまして、常勤職員につきまして平均取得日数が1.2日増えております。これに伴いまして、法定で定められております5日以上の休暇取得率が100%を達成することができております。
 収入確保策についても記載のとおりでございまして、これからも、今回はまた令和8年改定がございましたので、新たな施設基準等の取得を目指したいと思っております。
 続きまして、56ページをお願いいたします。項目3-1「財務内容の改善に関する事項」でございます。こちらも自己評価はBとしております。
 中長期目標の内容は記載のとおりでございます。こちらの指標は繰越欠損金の解消についてでございますけれども、令和7年度もマイナスの収支でございましたので、繰越欠損金もその分が増加しておりまして、残額が25億6600万円となっておりまして、こちらも計画が達成できておりません。
 繰越欠損金につきましては、繰越欠損金解消計画というものを令和3年に策定をしておりまして、それに基づいて様々な取組を進めております。例えば地域連携によります患者数の増ですとか、もちろん、経費削減策、実際に様々、電気の使用量ですとか一部削減はできているのですけれども、それ以上に費用の増加の伸びが大きくて、繰越欠損金の解消にはまだ至っておりません。先ほども申し上げましたけれども、特に人件費等につきましては、やはり賃上げをいたしますと、研究部門については自己財源による対応というものが必要になってきまして、今中長期計画期間につきましては、センターでも努力は続けておりますけれども、それを超える情勢の変化の影響というものもあったかと考えておりまして、自己評価につきましては「見込評価」も含めましてB評価とさせていただいているところでございます。
 続きまして、57ページ。こちらは外部資金の獲得状況でございます。
 こちらはここ数年、令和5~6年辺りは数億円単位の大型研究費、また、それに伴う追加交付等がございまして、大きく増加をしていたところでございます。令和7年度につきましては若干、そういった研究が終了した関係で競争的資金は減少しておりますけれども、まだ令和2年度に比べますと順調に増加をしております。また、治験・受託研究ですとか共同研究といったものは伸びているところでございます。
 また、他のセンターも同様ですが、寄附金獲得といったものにも最近、力を入れておりまして、昨年度はありがたいことに、遺贈のご寄附がございました。外部資金のトータルでは45.6億円を獲得することができております。当センターの場合、循環器、成育といったところと比べまして、病院等でも医師数が少なかったりですとか、職員数・体制が少し薄い部分がございますけれども、研究については、冒頭、先進的な研究の内容も報告いたしましたけれども、かなり積極的に取り組んでおりまして、こうした外部資金をこれからも引き続き確実に獲得をしていきたいと考えております。
 最後、58ページ、項目4-1「その他業務運営に関する事項」です。こちらも自己評価はBとしております。
 具体的な内容は、スライドの59ページを御覧ください。
 法令遵守等内部統制の構築につきましては、一昨年、当センターでも研究不正がございましたので、昨年からは外部の研究倫理教育コンテンツを導入することといたしました。
 お時間が迫っておりますので飛ばして右下、情報発信でございますけれども、先ほどホームページについても御質問がございましたけれども、病院のホームページをちょうど昨年後半に改訂をしまして、センター全体について順繰り、今、見直しをしております。その際に、やはり課題ですとか見やすさも含めて、ホームページ全体が統一されていないというような御指摘もございましたので、そういった点を分析しまして、かなり見やすく、情報アクセシビリティーの向上、そういったものを意識したつくりに変更しているところでございます。
 私からの説明は以上となります。
○土岐部会長 ありがとうございます。
 項目2-1から4-1について御説明いただきましたが、御質問等よろしいでしょうか。
 神﨑委員、どうぞ。
○神﨑委員 東京都健康長寿医療センターの神﨑と申します。
 今、病院といいますか、センターの経営は本当に大変だと思うのですけれども、令和7年度の54ページに実際の経常収支のことがグラフとして描かれているのですが、これは経常収益225億円で経常費用が227億円というのは病院だけの話ということでしょうか。これはセンター全体でしょうか。
○国立精神・神経医療研究センター石川企画戦略局長 こちらは全体です。
○神﨑委員 失礼ですけれども、外部活動資金の額がすごいという驚きがある一方で、そうすると、病院のほうはやはりそれだけ厳しいという見方になるのですか。
○国立精神・神経医療研究センター石川企画戦略局長 そうです。
○神﨑委員 内部事情だから、お財布の中を伺うようで申し訳ないのですけれども、そうではないのでしょうか。
○国立精神・神経医療研究センター石川企画戦略局長 先ほど申し上げたとおりで、少し省略してしまったのですが、左下と右下で、病院の入院と外来の平均患者数を書いておりますけれども、外来等もかなり満遍なく、どの診療科も患者数は増えておりまして、また、お薬が高いということもあるのですけれども、収益自体も増えてはおります。
 ただ、入院につきましては若干、3.9人平均で減っておりまして、実はこの中の2.2人が、医療観察法といいまして、入院も退院も裁判所が決定をするので、病院の努力ではできないといった入院患者さんがいらっしゃるのですけれども、医療観察法で2.2人ですので、平均で2人強減ってしまっているというようなこともございまして、少しそういった面で経営上のマイナス面というものも出てきております。
 一方で、先ほど少し申し上げましたけれども、新しい診療部門、診療体制といったものも今年になって立ち上げておりますので、そうしたものでまた新しい患者さんの獲得、新しい診療、先進的な診療も含めて、取り組んでまいりたいと考えております。
○神﨑委員 いや、別に私は追及するつもりは全くございませんので、当院も大変な事情がありますので、大変な御苦労があるので、月並みですけれども、頑張ってくださいというメッセージです。
○国立精神・神経医療研究センター石川企画戦略局長 ありがとうございます。
○土岐部会長 根岸委員、どうぞ。
○根岸委員 根岸です。よろしくお願いいたします。
 大変な中での経過と思いますけれども、2点伺いたいのです。まず、全体で最終的な経常収支が1.9億円の赤字という御報告がありました。その要因として1つ、人件費の増というものがありますけれども、人件費を増やしたことによって、その効果といいますか、例えば職員のモチベーションが向上したとか、そういった何か質的ないい評価ができるようなものがあれば教えていただきたいと思います。
○国立精神・神経医療研究センター石川企画戦略局長 ありがとうございます。
 実は職員満足度調査というものは毎年やっておりまして、昨年もお尋ねいただいたのですが、やはり処遇面といいますか、そこでマイナスのコメントが多くございまして、恐らく成育とかもそうではないかと思いますけれども、給与面で例えば東京都より低かったりとか、近隣のところよりも低いといったような指摘もありまして、そこはなかなか、もちろん、人事院勧告等もございましたので、基本給をアップしないというわけにはいかずといいますか、我々もそれは、おっしゃっていただいたように、モチベーション維持という意味もあって給与アップはするのですけれども、では、それによって十分に改善されているかと言われますと、また今年の満足度調査でもまだ少し満足まで行っていないというような状況にございます。
○根岸委員 ありがとうございます。世の中の物価がどんどん上がっていきますので、給料を幾ら上げても追いつかないというような現状があろうかと思います。
 あと、今後に向けて、さらに一般管理費の削減というものが目標になるかと思います。この辺りは少し、具体的にどういう面に対して、例えば職員に協力を仰ぐといいますか、みんながどんな意識を持ってここに向かっていくのか、お聞かせいただきたいと思います。
○国立精神・神経医療研究センター石川企画戦略局長 ありがとうございます。
 すみません。先ほどのことで職員満足度調査の悪い面だけ申し上げてしまったのですけれども、先進的な医療もやっておりますので、やりがいですとか、キャリアアップといいますか、そういうものにすごくつながるといった、いいコメントもたくさんいただいております。
 それで、一般管理費の削減、経費削減につきましては、毎年、経費削減計画ということで、もちろん、職員の方には電気ですとか水道ですとか、あとは紙自体もですけれども、そういう削減ももちろん求めています。一方で病院につきましても、やはり施設や機器の更新については、厳格に院長以下の委員会で必要性ですとか効率的な利用ですとか、そういったことを勘案した上で計画的に更新をしていただくということと、昨年からですけれども、センター独自ではなく、国立病院機構など、そういったところの共同調達も利用するようにしております。
 それから、今回、電子カルテを年度末に新しくしまして、それによって若干、支出は増えているのですけれども、特に看護師さんについてはスマートフォンを導入するなど、そういったことで時間外勤務の削減など、より効率的に、働き方改革にもつながりますけれども、そういった取組も進めております。
○根岸委員 ありがとうございました。
○土岐部会長 よろしいでしょうか。
 どうぞ。
○松前委員 松前でございます。御説明、大変ありがとうございました。
 私のほうで確認でございます。研究のデータとか、大変大量のものを使われていると思います。昨年は研究不正というものもあったということで伺っておりますけれども、そういったことに対していろいろな小さく対応をされていっていると理解してございますが、コンプライアンスもはじめ、確認テストとか、あと、研究についてはセキュリティー・インテグリティーといったものも大変重要だと思いますし、情報セキュリティーについても本当にしっかりとやっていかなければいけないと認識してございます。これらについて、特段、指標とか、例えば受講率とか、そういったことで少し、こういう評価の中で目に見えるところがあれば教えていただければ次につながるかなと思っております。見切れていないかもしれませんが、教えていただければと思います。
○国立精神・神経医療研究センター石川企画戦略局長 ありがとうございます。
 すみません。説明をはしょってしまいましたけれども、まず、そういった研修の受講率、特に研究不正ですとか、あとは情報セキュリティーの研修につきましては昨年度、かなりの回数で受講促進を促しまして、100%ということで達成ができております。また今年度も引き続きやっていきたいと思います。
 それから、コンプライアンス・ガバナンス強化ということで言いますと、本日、こちらには来ておりませんけれども、理事長補佐に産学連携推進ということで担当していただいていたのですが、やはり産学連携を進めるにもそういったコンプライアンスの部分といったところがきちんとしていませんときちんとした研究はできないということで、コンプライアンスも担当してもらっておりまして、ちょうど先月、運営戦略会議といいまして、毎月1回、病院の幹部、センター幹部を集めて、理事会の決定事項を実際に実務に落としていくための幹部会議がございまして、そこでもコンプライアンスの話をするといったこともしておりまして、少しずつ意識改革にも取り組んでいっているところでございます。
○松前委員 ありがとうございます。
○土岐部会長 それでは「業務運営の効率化、財務内容の改善及びその他の業務運営に関する事項」はこれで終わりたいと思います。
 全体を振り返りまして御質問等があればお受けしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
 なければ、最後に、法人理事長と法人監事からのヒアリングを行いたいと思います。
 まずは、法人監事より、業務の監査結果等を取りまとめた「監査報告」について御説明いただくとともに、監査等を踏まえた現在の法人の業務運営の状況や今後の課題、改善方針等について、コメントをよろしくお願いします。
○国立精神・神経医療研究センター菱山監事 監事の菱山と申します。令和7年度の監事監査の結果につきましては、お手元の資料1-4のとおりです。
 当センターは適切に運営されており、適正適法の意見を表明させていただきました。研究や臨床の活動は、ただいま御説明にございましたように、大きな成果を出されていると認識しております。
 令和7年度実績で特に評価した点が3点ございます。1点目は、センターの課題である累積赤字についてですが、資材高騰などで経営環境が悪化する中、工夫とメイハリのある支出を行って、当初の見込みよりは赤字幅を抑えることができました。
 2点目は、昨年の研究の不祥事がございましたけれども、そちらを受けて、新たに再発防止策を立案・実行して、コンプライアンスにしっかり取り組んでおられました。
 3点目は、理事長を中心に、両研究所や病院の交流を促す取組を積極的に行っておられました。
 引き続き、継続して行われるよう期待し、監事として注視してまいりたいと思っております。
 以上となります。ありがとうございました。
○土岐部会長 それでは、続きまして、法人の理事長より、日々のマネジメントを踏まえ、現在の法人の業務運営の状況や今後の課題、改善方針等につきまして、コメントを頂戴したいと思います。
○国立精神・神経医療研究センター中込理事長 本日は、本当にお忙しい中、また、暑い中、私どもの業務実績評価につきまして貴重な御意見を多数賜り誠にありがとうございます。様々な御意見を伺いながら、改めていろいろなことを考えさせていただきました。
 私ども、順番に申しますと、最初の研究部門におきまして幾つか、どの研究をここに提示しようかということでみんなでいろいろ考えたのですけれども、やはり当センターのミッションである基礎から臨床へというところの本当に様々な部門が協調して行われた研究成果というものを出させていただいています。さきに出しました脊髄小脳変性症につきましても、これは研究の中でも一つの部署ではなくて、先ほども岩坪所長からもありましたけれども、ゲノム編集をやっている本当に基礎的な部門から、それから、脊髄小脳変性症の患者さんを診ている医師から、様々な部門が連携してできた成果だと思っておりますし、そういう意味でも、研究所・病院もとにかく疾患を克服するというミッションを意識した上での研究成果だと自負しています。
 これまで、この中長期の間では、筋ジストロフィーにおいては非常に有望な薬物は開発できたと思っていますし、また、それに引き続く新たなシーズも、今、粛々と育っているわけですけれども、その他の疾患におきましても、このチームワークというものが発揮されて広がっていくということを実感しているところでございます。
 それから、やはり私どものセンターの一番大きな課題は経営ということだと思います。職員一同、懸命にコストをカットし、なおかつ利益をどうして上げることができるかということを日々考えているわけでございますけれども、先ほども委員からもお話がありましたけれども、私ども、どうしても精神とか、なかなか診療報酬的に非常に恵まれているわけではない中で、それと同時に、診療報酬という側面だけではなくて、なぜ精神でこうなっているのかということも考えない日はないぐらいなのです。
 その中でやはりみんな感じているのは、どう点数をつけるかというのは難しいというお話がありましたけれども、まさにそのとおりで、クオリティーをどう評価するかということが大変重要である。これは精神保健研究所長の張先生が日頃から言っていることなのですけれども、その中で私どもはいろいろな調査をしながら、精神医療をよくするために、どういうクオリティーの評価ができるかということを考えながら、今回の診療報酬改定に関する提言というものはそういうところが意識されたものだと自負しているのです。
 救急に関しても、非自発入院の患者さんの数ではないねと。本当に救急に必要な患者さんをどう評価するかは入れないとねとか、それから、先ほど医療観察法で、私は返答が中途半端でしたけれども、まさに部会長がおっしゃるように、そうはいっても在院日数は長いねという、そこのところをどうするかということで、この医療観察法病棟の機能を分化することによって、地域に押し出すと言うとあれですけれども、移行支援といいますか、そこを中心にする病棟を1つつくって機能分化をする。そこに適正な人員配置と、そして、診療報酬を割り当てる。ここまでも当センターのほうで、様々な調査・研究を基に、こういった診療報酬改定の定義ができたと考えています。そういう中で、恐らく私たちとしてはよりよい質の医療を掲げながら、この経営改善のほうにも、ますます邁進していきたいと考えておるところでございます。
 非常に雑駁な感想みたいになってしまいましたけれども、私からの最後の発言とさせていただきます。本日は本当にありがとうございました。
○土岐部会長 ありがとうございました。
 以上で、国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センターの令和7年度業務実績評価及び中長期目標期間見込評価についての審議を終了したいと思います。ありがとうございました。
 ここでお昼ですね。
○高屋企画調整官 事務局です。
 少し時間を超過してしまいましたが、この後、14時までお昼休憩とさせていただきます。本日会場に出席の委員におかれましては、昼食の準備をさせていただきます。
 午後については、14時より国立循環器病研究センターの審議を予定しています。各委員におかれましては、開始時間までに御着席いただきますようお願いします。
 事務局からは以上となります。
 
(休憩)
 
○土岐部会長 それでは、国立循環器病研究センターの令和7年度業務実績評価及び中長期目標期間見込評価について、審議を開始したいと思います。
 それでは、まず、法人理事長から一言、御挨拶をよろしくお願いいたします。
 ○国立循環器病研究センター大津理事長 失礼いたしました。それでは、始めさせていただきます。
○土岐部会長 よろしくお願いします。
○国立循環器病研究センター大津理事長 理事長の大津でございます。本日は当センターの業績評価の機会を賜り、厚く御礼申し上げます。
 国立循環器病研究センターは、循環器病の救命と克服を使命とするナショナルセンターとして、世界最高水準の研究・開発と高度専門医療の提供を求められています。この使命を果たすため、令和4年2月に策定した将来戦略、循環器領域における世界最高峰の機関を目指して、役職員が一丸となって取り組んでまいりました。
 研究・開発の面では、ミトコンドリア心筋症の病態解明をはじめとする、国際的に高く評価される研究成果を創出するとともに、その社会実装も着実に進展しております。昨年度には、世界最小・最軽量の新規ECMOシステムや、先天性心疾患手術を支援する3D心臓モデルの保険収載が実現したほか、国循発ベンチャーの創出・育成など、オープンイノベーションの推進においても成果を上げております。
 医療の面では、断らない医療を実践し、救急応需率95%という高い水準を維持するとともに、心臓移植をはじめとする高度専門医療を安定的に提供してまいりました。また、予防医学の分野においては、吹田研究を基盤としたエビデンスの創出とその社会実装を推進するとともに、循環器病予防に関する知見を広く発信し、国民の健康増進に貢献してまいりました。
 さらに経営面では、令和4年9月から実施してきた経営改革プランの成果により、医業収益は4期連続の増収、医業収支は7期ぶりの黒字化を達成いたしました。
 本日は、これらの取組や成果について、各担当から御説明申し上げます。委員の皆様におかれましては、当センターのさらなる発展に向け、忌憚ない御意見と御指導を賜りますようお願い申し上げます。
 本日はどうぞよろしくお願い申し上げます。
○土岐部会長 ありがとうございます。
 それでは、早速ではございますけれども「研究開発の成果の最大化に関する事項」の評価項目1-1及び1-2について、議論したいと思います。
 初めに、法人のほうから説明をよろしくお願いいたします。
○国立循環器病研究センター塩島研究所長 それでは、評価項目1-1を説明させていただきます。
○国立循環器病研究センター塩島研究所長 研究所長の塩島と申します。まず、令和7年度の業務実績評価の御説明をいたします。資料2-2の4ページをお願いいたします。
 4ページの上3分の2に中長期目標の内容がそのまま記載されておりまして、下3分の1に指標の達成状況がございます。医療推進に大きく貢献する研究成果は年4件以上というところが6件、英文原著論文は年383件以上のところが476件で、いずれも120%以上の達成度となっています。
 上に戻っていただいて、過去の主務大臣評価は令和3~5年度がA評価、前回、令和6年度はS評価でした。令和7年度についても自己評価はSとさせていただきました。
 5ページに行っていただいて、5ページの下に評定の根拠が記載されております。
 基礎研究、AI・疫学研究、医療機器開発、いずれの分野においても、大変優れた研究成果を発表できたということ、また、指標の達成状況が研究成果や英文論文数、いずれも120%以上であることから、自己評価はSといたしました。
 研究概要の詳細については、この後、6つの研究を取り上げて説明したいと思います。
 6ページをお願いいたします。6ページの左は①、ミトコンドリア心筋症に関する研究です。ミトコンドリアはエネルギーをつくる細胞内小器官で、ミトコンドリア心筋症はミトコンドリアの機能不全により心機能障害を来す遺伝子性疾患です。ミトコンドリア心筋症の患者さん由来の心筋組織、あるいはモデルマウスの心筋でマルチオミックス解析を行って、ATF3という転写因子が病態の進行に関与していること、また、ATF3の機能を阻害することによって病気の進行を遅らせることができるということを見いだしました。現時点で根本治療のないミトコンドリア心筋症の治療の可能性を示した重要な研究であると考えております。本研究成果は昨年4月『Science Advances』に掲載されております。
 続きまして、右側の②、日本人では、家族性高コレステロール血症が脳小血管病のリスクになることを示した研究です。家族性高コレステロール血症(FH)は、若年発症の冠動脈硬化症を来すということで有名ですけれども、これまでのヨーロッパの報告では脳梗塞のリスクにはならないとされていました。しかし、日本人で検討を行うと、家族性高コレステロール血症がラクナ梗塞あるいは脳の微小出血(Microbleeds)などの脳小血管病のリスクになるということが明らかになりまして、従来の定説を覆す貴重な研究成果であると考えます。本研究成果は昨年6月に『Stroke』に掲載されています。
 7ページをお願いします。7ページ左側は③、全身臓器のエネルギー状態を可視化できるマウスを開発したという研究です。各臓器のエネルギー状態を知るためにはATP濃度を測定する必要がありますけれども、これまでは臓器を取ってすり潰してという生化学的な方法でやっていましたので、多臓器における複数のタイムポイントでの測定が難しゅうございました。このマウスでは蛍光プローブがノックインされていて、ATP濃度が高いと赤、低いと緑から青のように、全身臓器でリアルタイムにATP濃度を可視化することができます。
 その右側は、運動によるエネルギー消費を骨格筋で見たものですけれども、白の点線で囲まれた部分の長さが1cmぐらいになっています。運動後0.1秒でATP濃度が低下しておりまして、これぐらいの空間分解能・時間分解能でATP濃度がモニタリングできることが分かりました。これは様々な分野に応用可能な基盤技術として大変有用であると考えます。この研究成果は昨年9月に『Cell Reports』に掲載されております。
 それから、右の④、細胞外のpH変化に応答する新たな仕組みを明らかにした研究です。この研究では、まず、細胞外のpHが低下して酸性になったときに、細胞膜は内膜と外膜の二重構造になりますけれども、細胞の内膜にあるリン脂質(PIP2)が細胞の外膜に移動するということをまず見出し、次に、トランスポゾンを用いたゲノムワイドスクリーニングで、このリン脂質の内膜から外膜への移動に関与する膜タンパク質(TM9SF3)を同定し、さらにその膜蛋白が欠損すると、細胞接着や細胞運動が阻害されるということが明らかになりました。
 本研究は、pHの低下に対する細胞応答機構の一端を明らかにするとともに、この機構が脳梗塞あるいは心筋梗塞で起こる虚血性アシドーシスの病態に関与する可能性も考えられて、重要な研究成果であると考えています。本研究成果は昨年10月『Nature Communications』に掲載されました。
 続いて、8ページをお願いします。8ページ左側は⑤、院外心停止の発生を予測するAIモデルを開発した研究です。気温・湿度・風速などの気象データと、年齢構成や貧困率などの地域特性を組み合わせて、院外心停止の発生数を予測するAIモデルを開発いたしました。米国の救急搬送データ42万件超を用いて検証しますと、7日前までの院外心停止の発生頻度を実用的な精度で予測可能であるということが示されています。
 図の右側の青い線が実際の10万人当たりの院外心停止発生頻度で、少し見えにくいのですけれども、それに重なる形で黄色の線がAIによる予測頻度を示したものです。院外心停止発生リスクが予測できると、救急態勢をそれに合わせて整備できますし、住民への注意喚起もできるということから、今後、いろいろ活用されることが期待されます。本研究成果は、昨年12月に『NPJ Digital Medicine』に掲載されています。
 最後、8ページ右側の⑥、新規ECMOシステム「バイオセーバー」の開発に関する研究です。ECMOは日本語では体外式膜型人工肺といいまして、コロナのときに重症肺炎患者さんに使用されたことで有名になりましたけれども、心臓あるいは肺に重度の症状がある患者さんに使われる医療機器です。
 従来、ECMOは、図の右側上にあるように、結構大きな機械なのですけれども、今回開発されたものはガス交換膜や遠心ポンプ、さらには回路のヘパリンコーティングなどの技術を取り入れて、大幅に小型化・軽量化がなされ、図の右側下のように、片手でも持ち運びできるぐらいの大きさにまでなっています。また、従来の承認使用時間は6時間でしたけれども、この機械に関しては14日間の使用が承認され、さらに駆動状態をモニタリングできるような監視装置がパネル上面に設置されています。この機械の開発によって、ECMOの装着、あるいは治療中の患者さんの搬送をより安全に行えるようになりました。この「バイオセーバー」は昨年11月に保険収載されていて、今後、徐々に使われていくと考えております。
 以上が、令和7年度の業務実績評価に関する御説明です。
 続きまして、令和3年度から令和8年度までの中長期目標期間における「見込評価」について御説明をいたします。資料2-6の4ページからお願いします。
 4ページは、先ほどと同様に、中長期目標の内容がそのまま記載されております。
 5ページ上半分に指標の達成状況がございますが、令和3年度から7年度までは実績値、令和8年度分は計画値が記載されています。一番右側、中長期目標期間の達成度は令和8年度の数字が計画値のままとなると、研究成果については152%、英文原著論文は115%となります。実際には論文数はもう少し増えると思いますので、達成度もさらに上がってくるものと思います。
 中長期目標期間における自己評価は、4ページに戻っていただいて、上にありますように、Sとさせていただきました。
 その根拠は6ページに記載されておりますが、基礎研究、臨床研究・疫学研究、さらにAI・医療機器開発、いずれの分野においても多くの優れた研究がこの期間に行われております。また、指標の達成状況も、研究成果は150%以上、英文論文が120%近くになると思われますので、自己評価はSとしております。
 7ページから10ページには、中長期目標期間において、これまで行われた、特に優れた研究成果を取り上げて記載しておりますけれども、最初の5つについては令和3年度から6年度までの実績で、前回までに御説明したものです。残りの3つは先ほど令和7年度の業績評価で御説明したものですので割愛したいと思います。
 評価項目1-1に関する説明は以上でございます。ありがとうございました。
○国立循環器病研究センター宮本オープンイノベーションセンター長 引き続きまして、オープンイノベーションセンターの宮本より評価項目1-2「実用化を目指した研究・開発の推進及び基盤整備」について御説明いたします。
 まず、自己評価についてですが、資料2-2の14ページを御覧ください。本項目の自己評価はSとしております。
 14ページから15ページに指標の達成状況を示しておりますが、医師主導治験、臨床研究、共同研究を着実に実施いたしました。特に医師主導治験は目標を大きく上回り、ガイドラインへの研究成果の採用も順調に進んでおります。
 続いて、16ページを御覧ください。S評価の根拠は3点としております。
 第1に、OIC・OILを核とした産学連携を推進し、共同研究・社会実装を大きく推進させたこと。第2に、減塩による循環器病予防に関する研究成果を万博等を通じて広く発信するとともに、心不全予測モデルの開発など、予防医療の推進に貢献したこと。第3に、全国規模レジストリを活用した世界的なエビデンスの創出や急性期臨床試験基盤の整備を進め、研究成果の国際発信と医療の質向上に顕著な成果を上げたことになります。
 では、具体的に御説明させていただきます。17ページを御覧ください。
 オープンイノベーションセンターを中心に、オープンイノベーションラボラトリー、いわゆるOILには21機関が入居し、入居率は期間を通じて83%以上でした。OIL Wet Laboratory(OWL)の整備やサイエンスカフェの活用を通じて、産学官連携を推進いたしました。
 そして、OIL入居企業と開発した軟質実物大3D心臓モデルは、医療機器承認・保険適用を取得し、研究成果の実用化を実現いたしました。先ほど説明があったECMOとともに、昨年度は2件の医療機器が保険適用となりました。
 18ページを御覧ください。大阪・関西万博や「S-1g大会」を通じて、減塩と循環器病予防の重要性を広く発信いたしました。万博にかるしおブースを出展し、減塩の重要性を全国の方々に発信するとともに、減塩レシピコンテストS-1gを開催し、応募された69作品の中から優秀作品を選定いたしました。国循賞金賞レシピは病院食として採用する予定であり、災害栄養部門金賞レシピを吹田市の防災レシピに掲載するなど、減塩の社会実装を推進いたしました。
 また、右にありますように、高血圧などのリスク因子から心不全発症リスクを予測するスコアを開発するなど、社会還元ができる予防の研究成果を創出いたしました。
 19ページを御覧ください。研究基盤の整備として、世界最大規模の学会と連携した全国レジストリを構築し、カテーテルアブレーションの安全性・有効性、そして、希少疾患の予後に関する研究成果等を発信いたしました。
 また、右にありますように、急性期臨床試験では、時間的制約等により同意取得が困難であることが以前から問題となっており、欧米では同意免除を適用する試験が増加しています。そこで当センターは学会、行政との協議を主導し、国際ルールと調和し、日本の文化的特性を配慮した同意プロセスの実現に向け、倫理指針の見直し及びJ-GCPの改正の議論に貢献いたしました。この取組は、日本医療研究開発大賞AMED理事長賞を受賞しました。
 以上より、研究成果の実用化と社会実装で顕著な成果を上げたことから、自己評価をSとしております。
 続いて、第3期中長期目標期間の「見込評価」について御説明いたします。資料2-6、16ページを御覧ください。
 「見込評価」におきましても、自己評価をSとしております。
 17ページを御覧ください。指標は、ここにありますように、医師主導治験、臨床研究、共同研究などで高い実績を維持する見込みとなっております。一方、ファースト・イン・ヒューマン試験などは今後の課題と考えております。
 18ページを御覧ください。S評価の根拠は、健都を核とした社会実装、OIL・OWLによる産学官連携、そして、企業との連携や全国レジストリ、ゲノム基盤を活用した研究成果の社会実装の3点といたしました。
 以下、具体的に御説明いたします。19ページを御覧ください。
 健都を拠点に研究の社会実装を推進するために、健都共創推進機構を設立し、これまでに18件の実証事業を実施いたしました。
 また、右にありますように、かるしおの普及啓発活動を通じて、減塩・循環器病予防に関する研究成果を住民・自治体・企業と共有し、行動変容や減塩製品開発につながる社会実装の場を創出いたしました。
 20ページを御覧ください。OIL・OWLを核に、20を超える企業・大学等との連携体制を構築しました。
 また、サイエンスカフェを中心とした異分野融合、成果導出支援を継続し、研究成果の実用化を推進いたしました。
 21ページを御覧ください。企業との共同研究部の設置、そして、国循発認定ベンチャー制度を通じて、研究・開発から社会実装までの出口戦略を強化してまいりました。共同研究部を4部設置し、認定ベンチャーは5社を認定いたしました。
 内容につきましては、ここにありますように、デジタルツイン、AI、核酸医薬、医療ビッグデータなど、幅広い分野での事業化を推進しております。
 22ページを御覧ください。メディカルゲノムセンターの整備を通じて、循環器疾患や難病に関する全国規模のゲノム医療研究基盤を構築いたしました。
 また、学会と連携した全国レジストリを構築し、カテーテルアブレーションや希少疾患に関する世界最大級のデータを活用した国際エビデンスを創出し、診断・治療の標準化と医療の質向上に貢献してきたと考えております。
 以上のように、第3期を通じて研究成果の創出から実用化、そして、社会実装までを一体的に推進する体制を構築し、顕著な成果を上げたということから、自己評価をSとしております。
 以上です。
○土岐部会長 ありがとうございました。
 ただいま、項目1-1から1-2について御説明をいただきました。それでは、委員の先生方から御質問をお受けしたいと思いますが、ありましたら、挙手をよろしくお願いいたします。
 まずは、前村委員、どうぞ。
○前村委員 長崎大学の前村です。基礎研究から応用研究まで非常に研究が進んでいるということがよく分かりました。私は、令和7年度の資料の6ページ、ミトコンドリア心筋症に関しての質問をさせていただきたいと思います。
 ミトコンドリア心筋症は、なかなか決め手になる治療がなくて、現場では非常に困っているところなのですが、それの治療のきっかけになる転写因子が見つかったということで、非常に画期的ではないかと思いますが、このATF3をターゲットとして考える場合に、どのような手法で治療する方向性が考えられるかということ。
 あと、ミトコンドリア心筋症に限らず、心不全一般でやはりミトコンドリア機能というものは重要になっているかと思いますけれども、ミトコンドリア心筋症ほどではなくても、一般の心不全でもこの転写因子ATF3というものは関与していると考えられるのでしょうか。
 以上、2点です。
○国立循環器病研究センター塩島研究所長 まず、どうやって治療するかということに関してですけれども、もちろん、ATF3を阻害するような低分子化合物があればいいのですけれども、それが見つかるかどうかがよく分からないし、うまくいかない場合は抗体を使う、あるいは核酸医薬を使ってノックダウンするようなことが理屈としては考えられます。実際にどれがうまくいくかというのはこれからだろうと思います。
 それから、一般の心不全に関与しているかどうかというのは、現時点ではデータがないので分からないのですけれども、ATF3により病態を進行するさせる機序の一つとしてPGC-1αの機能を抑制するということが今回分かっていますので、そういう代謝面のことを考えると、一般の心不全にも通じるものはあるかもしれないと思いますので、今後の検討課題になるかなと思います。
 私から以上でございます。
○前村委員 ありがとうございます。期待しています。
○土岐部会長 ありがとうございます。
 続きまして、成川委員、どうぞ。
○成川委員 北里大学の成川と申します。よろしくお願いいたします。
 御説明ありがとうございました。前半に御紹介いただいたいろいろな研究成果は、センターの専門性とか特徴を生かして、本当にいろいろな成果が出ていると確認をできました。しかも、質の高いジャーナルにいろいろ掲載されているということも評価をしたいと思っています。
 私、質問は1点だけあるのですけれども、資料2-2の17ページにあるオープンイノベーションセンターについてなのですけれども、こちらは近年、活発に活動されていると拝聴いたしました。この場合、共同研究をする相手先の企業とか、そういうところはテーマとかプロジェクトというものはどういう形で決められているのでしょうか。センターのほうから何か公募したり関心領域を出したり、あるいは企業のほうから手挙げをしてくるのか。その辺りの仕組みを教えていただけないでしょうか。
○国立循環器病研究センター宮本オープンイノベーションセンター長 ありがとうございます。
 まさに、それを担う役割をしているのがオープンイノベーションセンターということになります。そこには産学連携本部というものがございまして、常にイノベーションセンターの研究者あるいは臨床医の先生方から相談を受けております。そして、それに関連する企業を探したり、あるいは仲介をする。つまり、国立循環器病研究センターはまさに循環器病のニーズというものを臨床の現場から得ているということで、そのニーズを解決していくために必要な研究・開発をどういうストラテジーがいいかということについては、我々はそれを担っていると考えておりますので、そこに必要なノウハウあるいは社会実装というものについて、企業と連携する先を探しているということになります。先ほど御説明した3Dモデルも、複雑な先天性心疾患の心臓構造を理解し、診療に役立てることを目的として開発したものです。3Dモデルを臨床で使用し、保険適用を得るためにはどうすればよいか、企業と相談しながら一つずつ課題を解決してきた成果です。
 よろしいでしょうか。
○成川委員 よく分かりました。ありがとうございました。
○土岐部会長 それでは、続きまして、神﨑委員、どうぞ。
○神﨑委員 東京都健康長寿医療センターの神﨑と申します。
 私が興味を持ったのは、令和7年度の7ページの全身臓器のエネルギー状態を可視化できるマウスということで、何かすごいなという印象しか、まだ詳細が分からないのですけれども、これはリアルタイムで各臓器のエネルギーの低下、ATP濃度というものを測定するということで、四角の説明の中に「心筋梗塞直後に肝臓のATP濃度が低下する」と書いてあるのですけれども、それ自体も面白いなと思うのですけれども、これはほかの臓器とかリアルタイムで調べられるということであると、例えば心臓そのものがどうだとか、ほかの臓器がどうだとかということもいろいろと結果の中では分かるのか。
 あと、これは急性期の状態を評価するということだと思うのですけれども、もう一方で、慢性的な状態というものもやはり、このマウスというものは研究応用は可能なのでしょうか。興味としての質問です。
○国立循環器病研究センター塩島研究所長 ありがとうございます。
 心筋梗塞直後に肝臓のATP濃度が下がるというのはもちろん、これまで分かっていなかったことで、このマウスを使って初めて見えてきたことなのですけれども、それ以外の臓器はそんなに目立つような変化はなかったようですから、心臓と肝臓の間で臓器連関はエネルギー代謝の面ではあるというところまでは分かったのですけれども、どうしてこんなことになるのかというのは全然、これからのものになってきて、分かっておりません。
 それから、これはPETの原理を使っているので、勝手に光るわけではなくて、こちらから470nmの光を当てて返ってくる蛍光を見るというシステムなので、長時間にわたって光をずっと当てて何日間も観察するというものは難しいので、慢性期になってもう一回見るということはできますけれども、連続してずっと何日間も観察するというのはこのシステムでは少し難しいということになるかと思います。
○神﨑委員 ごめんなさい。質問が悪いと思うのですけれども、例えばノックアウトマウスみたいなものとワイルドタイプを、例えばこれで言うと肝臓みたいなものをある定常状態で比較するというようなことも可能なのですか。
○国立循環器病研究センター塩島研究所長 それは可能です。
○神﨑委員 だとすると、非常に応用範囲が広いなという印象を持ちました。
 ありがとうございました。
○国立循環器病研究センター塩島研究所長 ありがとうございます。
○土岐部会長 ほかはよろしいですか。
 私からですけれども、令和7年度の8ページの院外心停止のモデルなのですけれども、これは米国の42万件のデータでは気象条件と地域ということで、このデータが日本に使えるのかということが一つ。
 あと、このグラフのばらつきを見ると結構、日によるばらつきが多いようですけれども、これは実際にこのデータをもって、例えば救急体制とか病院の体制を変えるとか、そういう可能性があるようなものなのでしょうか。もし御意見があればお聞かせ願いたいと思います。
○国立循環器病研究センター塩島研究所長 ありがとうございます。
 日本に関してどうかというのはこれからですので、あとはこのデータ、アメリカのデータを国全体、州ごと、それから、より小さい領域というような形で検討していますけれども、いずれもある程度の予測は可能ということですので、気温とか湿度とか年齢構成などは恐らく日本でも共通の部分が多いと思いますので、恐らくある程度の予測は可能だろうと思いますが、それはこれからの検討課題です。
 それから、確かに日によって違うと言われてしまうとそのとおりなのですけれども、ある程度の予測は可能ですので、熱中症アラート的なことは少なくとも今後活用できていくのではないかと思っております。
○国立循環器病研究センター大津理事長 すみません。理事長の大津です。
 1点加えますと、同じようなことを総務省消防庁のデータを使って、突然死のデータを使ってやっております。それも気象との関連が言われておりますので、米国におきましても日本におきましても同じようなデータが出るということでございます。貧困率については、日本ではデータは取っていなかったと思います。
○土岐部会長 ありがとうございます。
 ほかは御質問よろしいでしょうか。
 それでは「研究開発の成果の最大化に関する事項」については、以上とさせていただきます。
 続きまして「医療の提供等、その他の業務の質の向上に関する事項」、項目1-3、1-4、1-5について議論をしたいと思います。
 先ほどと同様に、まずは法人のほうから説明をよろしくお願いいたします。
○国立循環器病研究センター山本病院長 では、評価項目1-3「医療の提供に関する事項」につきまして、病院長の山本より御説明させていただきます。
 まず、令和7年度資料ですけれども、20ページを御覧ください。
 昨年度はS評価をいただきまして、今年度の自己評価をSとさせていただきました。
 根拠の一つである数値目標を「Ⅱ 指標の達成状況」に挙げております。20ページの下の表にある3件の高度医療提供件数は、いずれも目標を上回りました。
 21ページにあります手術数、入院患者数、在院日数は、いずれも目標を上回っております。病床利用率は、目標を下回っております。
 22ページの「Ⅲ 評定の根拠」にまとめておりますが、心臓移植、ロボット支援下心臓手術、脳動静脈奇形の集学的治療などにおいて、豊富な臨床実績に基づき、高度医療の提供を続けております。ほかの例としても、ホモグラフトを用いたロス手術への取組、新生児死亡率の減少なども挙げられます。
 不整脈のカテーテルアブレーション、難病である慢性血栓塞栓性肺高血圧症のカテーテル治療を含む集学的治療、脳卒中の急性期治療などの分野において、国内トップレベルの診療実績を持っておりますが、単に治療を行うだけではなく、このような豊富な診療実績を背景として、多機関共同研究あるいは単機関研究を行って、今後のガイドライン作成などに資する高いエビデンスの創出に寄与をしております。
 希少疾患であり、突然死リスクが高く、出生後も治療に難渋する症例の多い胎児心室頻拍において、妊娠32週までに発症した症例ではQT延長症候群に基づくものが多いこと、また、積極的胎児治療の有効性を示しました。
 また、クラウドファンディングを活用して成人先天性心疾患に対する社会的認知向上に取り組むなど、希少疾患や難病への医学的かつ社会的アプローチを行っております。
 23ページから、少し具体的な事例を御紹介いたします。
 ①は、先ほど御説明しましたロボット支援下手術などの低侵襲手術あるいは移植手術の実績を示しております。昨年度はいずれも国内で2位の実施数で、下に示しますように、心臓移植後の予後は海外を大きく上回っております。
 ②の項目ですが、脳動静脈奇形に対する手術、血管内治療、ガンマナイフを用いた集学的治療を展開して、国内1位の症例数となっております。また、豊富な診療実績を背景に、幾つかの臨床研究成果も発表しております。
 24ページですが、③、加齢とともに発症率が上昇し、脳卒中や心不全の原因となる不整脈である心房細動に対するカテーテルアブレーションの取り組みを、経時的変化を示しておりますが、ここ数年で以前にも増して症例数が増えております。また、このような豊富な実績を背景に、多機関共同研究を主導して、その成果を『European Heart Journal』に発表し、エビデンスの構築を進めております。
 ④に示しておりますように、脳卒中急性期治療実績は国内1位であり、また、その豊富な診療実績を背景に、国際的な介入研究にも参画しております。ここに一例を示しますように、脳出血患者を対象とする研究では世界を牽引して、その成果を『The Lancet』誌にも報告しております。
 25ページの⑤に示しますように、指定難病である慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)に対するカテーテル治療は、左下の棒グラフに示しますように、これは国内の各施設の症例数ですが、一番左が国循で、国内トップの実績です。また、その豊富な実績を基に、右下のグラフのように、近年行っている集学的治療の有効性ということを研究業績としても発表しております。
 ⑥、⑦は、先ほど御説明した胎児心室頻拍の治療アプローチに関する研究成果、成人先天性心疾患に対する社会の理解を深めるためのクラウドファンディングの実績を示しております。
 続きまして、過去5年間の成果をまとめた「見込評価」に行かせていただきます。資料23ページを御覧ください。
 令和5年度、令和6年度でS評価をいただいており、令和7年度も自己評価ではSとさせていただきましたことを受けて、5年間の当院の医療提供については自己評価ではSとさせていただきました。
 24ページを御覧ください。根拠の一つである数値目標を「Ⅱ 指標の達成状況」に挙げておりますが、上段3件の高度医療提供件数は、心房細動の根治的治療、つまり、カテーテルアブレーション。これは令和3年度に比べて、令和7年度には約2倍まで増え、今年度も同様の件数以上の実施が見込まれています。補助人工心臓患者は新規の植え込み患者が出てくる一方、心臓移植を受けて補助人工心臓が取り外される患者さんもおられますので、外来フォローの件数としては大きな変化なく、ずっと目標以上の件数をこなしております。超急性期脳梗塞への再灌流療法は4割程度、この期間で増加をしております。このように、いずれの項目も順調に目標を達成しております。
 下段の4項目ですが、手術数は途中で集計方法が変わったため、推移が見づらくなっております。令和3年度は、今のカウント方法ですと2,810件となります。昨年度は前年度に比べてやや減少しましたが、大体、2,800~2,900件前後を推移し、持続的に目標を上回っております。入院患者数は、令和3年度に比べて増加して、目標を上回っております。
 一方で、平均在院日数は目標を上回る形で短縮をする、つまり、改善を示しており、その結果として、病床利用率は目標未達が続いております。このような現状を受けまして、経営改革の一環として、今年の4月からは運用病床数を38床減少しております。
 25ページの下の「Ⅲ 評定の根拠」にまとめておりますが、心臓移植、ロボット支援下手術、植込型補助人工心臓の植え込み術、指定難病である慢性血栓塞栓性肺高血圧症の集学的治療、脳動静脈奇形の集学的治療などで国内を牽引して、世界最高水準の高度専門的な医療の提供を続けております。また、希少疾患に該当する胎児頻脈性不整脈に対する薬物療法の有効性の実証、重症肺高血圧症による右心不全への一酸化窒素(NO)投与の有効性の証明、肥大型心筋症の突然死リスク予測の日本人モデル提唱など、臨床研究を通じて新たな診療体制モデルの構築・提供に貢献しました。既に当院を中心とした研究成果を受けて、胎児不整脈の予防・治療法は保険適用となりました。現在、肺高血圧による右心不全に対するNO療法の保険適用獲得に向け協議をしております。また、循環器病に関するゲノム情報の集約化、ゲノム情報に基づく医療展開を図ることを目的に、メディカルゲノムセンターを立ち上げております。遺伝性疾患である神経難病CADASILに対する専門外来を立ち上げ、新規治療法を探るべく、介入研究も実施するなど、循環器病の先制医療・個別化医療の実施を進めております。
 ここから具体的に例をお示ししますが、先ほどの令和7年度の実績と説明が重複しているところは省略しながら説明します。
 26ページの①のロボット支援下手術の実践、②の脳動静脈奇形に対する集学的治療、27ページの③の心臓移植の成果などは令和7年度の御説明のとおりです。
 ④ですが、肥大型心筋症というものは突然死リスクが高い疾患として有名です。肥大型心筋症の患者さんの中で、特にそのリスクが高い患者さんを予測するモデルというものは海外では出されています。この疾患は、多くがサルコメア遺伝子異常などの遺伝性疾患ですが、その表現型には民族差も指摘されており、日本人では海外の突然死予測モデルというものがうまく合いません。そこで、日本人の肥大型心筋症の患者さんを対象とする多機関共同研究を主導して、日本人患者に用いうる突然死予測モデルを提唱しております。これによって、突然死を予防するための予防的な植込型除細動器の適用を高い信頼性で判断可能となることが期待されます。
 28ページの⑤は、さきに述べました胎児頻脈性不整脈に対する薬物治療の有効性を示し、保険収載まで進めた事例を挙げております。
 ⑥も、先ほど述べた肺高血圧症に伴う右心不全へのNO療法の有効性を示した研究成果です。これを根拠に、現在、保険収載を目指して協議中です。
 29ページの⑦は、循環器病の先制医療・個別化医療を進めるために、メディカルゲノムセンターを令和4年度に立ち上げ、その成果が少しずつ出ていることを示しております。例としては、筋ジストロフィーの原因遺伝子として知られていたSGCB遺伝子の特定の変化が従来のDNA配列情報に基づく解析だけでは原因が特定できなかった拡張型心筋症の一因であることを世界で初めて明らかにしました。この変化は東アジア人集団に比較的多く見られ、両親から受け継ぐ2つのつのSGCB遺伝子の両方にこの変化を持つホモ接合体の拡張型心筋症では補助人工心臓の装着や心臓移植が必要などの重篤な経過をたどりやすいということも明らかとなりました。
 ⑧は、同じく循環器病様先進医療・個別化医療の取組の一例であり、先ほど御説明したCADASILという遺伝性の神経難病に対する取組を示しております。
 以上で御説明とさせていただきます。
○国立循環器病研究センター北波企画戦略局長 続けまして、評価項目1-4及び1-5について説明をさせていただきます。企画戦略局の北波と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 まず、資料2-2の26ページからでございます。項目1-4「人材育成に関する事項」で、自己評価につきましてはAとさせていただいております。
 内容は、御案内のとおり、人材の育成、そして、モデル的研修や講習の実施という形になっています。
 目標につきましては、年400人以上の研修の受入人数というところでございますが、令和7年度につきましては866人ということで、2倍以上の達成となっております。要因分析というところで書いてございますように、多面的な看護師、それから、ほかの職種の方で、連携大学院との交流というようなもので研修を積極的に受け入れるということをさせていただいております。
 27ページが「Ⅲ 評定の根拠」という形になりますので、一つは特定行為研修の区分を増やして充実を図ったこと。また、診療看護師の増員やフォローアップの総合研修という形でそういうものも充実させていること。また、連携大学院制度の下での若手研究者または医療従事者の交流を促進し、学位取得も進めているという形もございます。また、地域、それから、全国的に研修等を、ウェブを活用して実施して、NCVC、国循の知見を深めていくという活動をしております。
 28ページを御覧ください。
 今、申し上げました①でございます。28ページの左でございます。特定看護師の講習を開講ということで、令和7年度はPICCの挿入について、プログラムを開始させていただいているというところでございます。
 また右側、診療看護師(NP)でございますが、国循におきましては、現在、3名が活動し、また、その研修等についても、この28ページの下にありますように、研修1年目、2年目という形で診療科をローテーションし、経験も積んでいただく形にしているということでございます。
 29ページを御覧いただきますと、③に、連携大学院制度についての実績を書かせていただいております。令和7年度におきましては、大阪大学で5名、慶應義塾大学で1名、熊本大学に7名が入学し、3名が学位取得。また、当センターの職員から招聘教員として、他の大学について任命を受けているというところでございますし、病院部門での実習生や研修生につきましては、申し上げておりますように、866名の受入れということをしているところでございます。
 また、研修につきましても、海外からの研修生も受け入れているというところについて、写真つきで御紹介をさせていただいていますが、昨年につきましてはエジプト、それから、ベトナムから看護の関係での研修生の受入れをしたところでございます。
 右側の⑤でございますが、イノベーティブラーニングセンターというものを令和5年5月に開設をし、また、ウェブによるという研修講演会も実施をし、現在も視聴者数が1万人に達するという形になっております。
 次の30ページを御覧いただきますと、救急隊向け講演会というものがございます。私どものNCVCにおきましては、救急の受入れというもので応需率は97%ということで、ほとんどのものを受け入れているところでございますが、やはり循環器疾患に特化した医療機関でございますから、適切な医療をするためには救急隊にもしっかりと知識を持っていただいて適切な搬送をしていただくことが必要で、その搬送に当たっての判断基準であるとか、搬送の連携法というものについて、定期的に各消防隊にも講習をさせていただいているというものでございます。
 項目1-4につきまして、資料2-6の「見込評価」でございます。
 ほぼ重複いたしますので、基本的には同じでございますが、若干違う32ページ、左側でございますが、先ほど申し上げました特定看護師の研修につきまして、特定行為区分というものも11区分に拡大をしているというところでございますし、受講生の評価についてもここにお示ししております。全国平均3.8と、4段階評価では非常に高い評価を受けておりますし、また、こういう内部のメンタリング制度というところでは、初任の方が離職をしないように、指導者をしっかりつけて、そういう体制で臨んでいるというようなところを御覧いただければと思います。
 続きまして、評価項目1-5でございます。資料2-2の31ページを御覧ください。
 評価項目1-5につきましては、自己評価をAとさせていただいております。
 中長期目標の内容につきましては、国への政策提言、また、情報の収集や発信というものがございますので、これについて実績を説明させていただきまして、Aという形でいきたいと思います。
 ただ、指標につきましては、ホームページのアクセス件数というものをこの中長期計画では設定をしておりまして、年1,400万件という形で織り込んでいるところでございますが、残念ながら、実績値につきましては736万件ということで、半分程度となっています。ここに書いてございますとおり、要因分析にございますように、このところでAIによる検索数の内包ということで「ゼロクリックリサーチ」というものが主因になっておりまして、アクセス数がだんだん減っております。私たちのホームページというものは、今年度もホームページを改装しようということで、魅力的な情報発信というものは取り組んでおりますが、その中でいろいろなできる工夫をしていきたいと考えております。
 32ページを御覧いただきますと、政策提言というところです。今年度から本格的に始まりました「脳卒中・心臓病対策総合推進事業」を厚労省から委託を受けて実施することになっておりますが、このため、私どもの組織の中にございます循環器病対策情報センターの体制を4班体制に拡充をさせていただいて、しっかりと情報発信を含めて、包括的な支援を行う体制を取らせていただいているというところもございます。
 また、情報の収集・発信につきましては昨年、2025年が大阪・関西万博の年でございました。これに合わせて様々なイベント等が大阪で開催されまして、それに対して積極的に出ていくということも新たに始めさせていただいております。ここにありますJapan Healthというものは昨年初めて行われたもので、国循としてその活動を知らしめるということで、企業向け、一般の内容に沿うものを出展させていただいたところでございます。今年も引き続き、出展をするところです。
 33ページを御覧いただきますと、今、申し上げたものについて具体的に書いているところでございます。
 ①については、循環器病対策情報センターの組織改正について書かせていただいています。国の施策にのっとった柱立てについて組織を改正、それから、充実をさせていただいております。
 右側のところについては、出展についての内容でございます。大阪・関西万博では「わたしとみらい、つながるサイエンス展」に出展をいたしましたし、「Japan Health」にも出展をしたというところを御覧いただけたらと思います。
 「見込評価」は、資料2-6でございます。項目1-5で、33ページを御覧いただければと思います。
 ホームページアクセス件数につきましては、今、申し上げましたとおり、なかなか大きく増えていない状況ではございますが、政策提言・情報発信について幾つか事例を御紹介させていただきたいと思います。
 34ページを御覧いただければと思います。この中で、医療の均てん化並びに情報の収集及び発信のところに書かせていただいておりますが、提言を含めるということで捉えていただければと思います。日韓の大規模コホートを活用して、脳卒中後の後遺症、目に見えない後遺症はどのようなものがあるかというものも分析をし、それに対する気づき・対応について、レポートとしてまとめて、そして、国にも報告をさせていただいた事例でございます。
 35ページの右側に書いてございます。その結果、第1位で出てきたのが失語というものが顕現されます。外から見えにくい後遺症というものに着目をして、これについて着目をすべき、またはそれに対する対応について、ある一定の考え方を示させていただいたものでございます。これについては今年4月に公表し、また『JAHA』に採択されて掲載されています。中長期目標期間における「見込評価」についても、評価項目1-5につきましては自己評価Aとなりました。
 説明につきましては以上でございます。よろしくお願い申し上げます。
○土岐部会長 よろしいでしょうか。
 それでは、委員の先生方から御質問を受けて、若干、音声が明瞭ではなかったので聞こえにくいところがございましたけれども、もう一度、それも確認も含めて、委員の先生方から御質問があればお受けしたいと思います。
 では、部会長の私からですけれども、まずは病院運営のほうで大変苦労はされていると思いますが、病床利用率のほうです。全体の数字、ほかの指標が高い中で病床利用率のほうは78.8%ということだったのですが、こちらはどのようにお考えなのか。
 後半の資料になるのですけれども、37ページの資料を見ると、入院患者はおととしまでは、令和6年までは多かったのですけれども、令和7年はやはり入院患者も減っているということなのですけれども、この辺り、病床稼働率の低下も含めて、なぜか、分析とか原因とか対策を検討しておられるでしょうか。
○国立循環器病研究センター山本病院長 病院長の山本のほうから御説明させていただきます。
 一部推測も入りますが、まず一つは最近、救急隊のほうに伺いますと、トータルの救急の出動件数というものが減っておりまして、そういうこともあって、救急でこちらのほうにかかられる患者さんは、減少傾向にあるという点が一つはあるかと思っております。また、実は私も学会等でいろいろ、ほかの循環器の先生方に聞くと若干、トータルで循環器の患者さんというものは減ってきているような印象があるということがありますので、その辺りが反映されている可能性もあるのではないかと思っております。
 利用率のほうにつきましては、そういう患者数の問題と、もう一つはだんだん、入院患者の在院日数のほうを短縮するようにしておりますので、そちらのほうの影響もあるかと思います。このようなこともありまして、より効率的な運用をするため、先ほども述べましたが、38床、一般病床をこの4月から運用を休止して、現在、やっているというところであります。
○土岐部会長 ありがとうございました。
 神﨑委員、どうぞ。
○神﨑委員 東京都健康長寿医療センターの神﨑です。
 令和7年度の30ページなのですけれども、救急隊向けの講演会・セミナーという、これはすごいなと思ったのですけれども、こういう取組はほかの医療機関でもやっているものなのですか。それとも、国循だけなのでしょうか。
○国立循環器病研究センター北波企画戦略局長 お答えさせていただきますといいますか、答えにならないと思うのですけれども、地域の消防隊に対するコミュニケーションを取るということにつきましては、いろいろな医療機関は意識を持っているとは思います。
 ただ、私はこの国循に出向してきておりますけれども、やはり特異的な取組ではないかとも思っておりますし、ここの30ページにございますように、参加人数がすごく多いわけです。2025年には9回開催で803人、1回当たり100人ぐらいの消防隊の方が来られたりしますので、それを小まめにやられている。それから、病院の職員、ドクターが救急隊と直接連絡を取り合って、そして、コミュニケーションをされているというのはなかなかないのではないかということは考えられます。
 現在はそんなところです。
○神﨑委員 あと、それと関連するかもしれないですけれども、救急救命士とかは採用していらっしゃるのですか。
○国立循環器病研究センター北波企画戦略局長 今のところは採用はしておりませんが、今後、やはり救急救命士につきましては活動の範囲というものが法改正によっても拡大している状況でございますので、それは円滑な救急受入れの観点で国循としてどう考えるかというのはこれから問題意識を問うているところでございますし、考えていきたいとは考えています。
○神﨑委員 せっかく消防隊に尽くしているので、いいのではないかと思った次第です。
 ありがとうございました。
○土岐部会長 ほかはございませんか。
 根岸委員、どうぞ。
○根岸委員 根岸です。よろしくお願いいたします。様々な先駆的な医療について御発表ありがとうございます。
 項目1-3の「医療の提供に関する事項」で、23ページに低侵襲心臓手術、ロボット支援下の手術についての御発表を伺いました。恐らく、これが年々増加してきていますし、今後も増えていくと予測できますけれども、今、様々な中でロボット支援下の手術というものはたくさん行われるようになってきているかと思います。この手術を受ける患者さん側のメリットというものは早期社会復帰ということになろうかと思います。ほかにもあるかもしれませんけれども、これを提供する側、術者にとってのロボット支援下の手術の循環器における最大のメリットというものは何なのかということが一つ。
 もう一つは、恐らく導入に当たっては多額の費用が必要になるだろうと思います。今、年間の件数に対して何台と言っていいのか、よく分かりませんけれども、この手術ができるための機器が導入されているのか。そして、その稼働率がどのくらいなのか。要するに数を増やせばもっと手術の件数を増やすことができるのか、あるいはまだ余裕があるのか。その辺りを教えてください。
○国立循環器病研究センター山本病院長 病院長の山本のほうからお答えさせていただきます。
 私自身は循環器の内科医ですので、外科医のほうから聞いたda Vinciを用いるメリットというものは、一番いいのは視野が取りやすいと聞いております。実は低侵襲治療の中でMICSという方法があって、これは胸骨の正中切開ではなくて、右の肋骨に沿った形で切開をして、そういう形で手術をするという方法があるのですけれども、やはりこれは非常に視野が取りにくいと聞いております。そういう意味からすると、このロボットを使いますと、空ける穴も当然、切開でも小さいですし、そして、拡大して視野を見ることができるということ。これは非常にメリットがあると聞いております。またあとは、先ほど御発言がありましたように、患者さんが早く健常になって早く退院していただけるということになると病院としても回転がいいということもありますので、そういうメリットはあるかと思います。
 2つ目の御質問ですが、現在、うちではロボットは1台しかありません。ただ、毎日、ロボットが稼働しているわけではなく、現在は保険適用とされている疾患が限られているということもありますので、必ずしも今すぐロボットの数を増やしたら、このロボット支援下手術の数が伸びるというわけではないと思っております。また、このロボット支援下手術をやるときには、ある程度、血行動態が安定した方ではないとなかなかやりにくいということもありますので、そういう意味では増えていくとは思うのですけれども、爆発的に数がいきなり増えるというようなものではないかと考えております。
○根岸委員 ありがとうございました。
○土岐部会長 前村委員、どうぞ。
○前村委員 前村です。一回、Zoomが落ちてしまって申し訳ありませんでした。
 お聞きしたいのは、2019年に循環器病対策基本法が施行されて、国循が中心になって循環器病対策を行っているところだと思いますけれども、特に今年度からは「脳卒中・心臓病等対策総合推進事業」となって、ますます国立循環器病センターが中心となって対策を行うというようなシステムになっているところかと思います。
 その中で、資料2-2の33ページの左下にあります、4つの班をつくって対策をとるということになっているのですが、その中で特にお聞きしたいのは、がんの場合はがんの症例登録というものが法律で行われているところでありますけれども、循環器病に関してはなかなか悉皆性のあるレジストリというものがまだできない中で、これの1班になると思うのですけれども、医療DXを用いてデータを取っていくというような方向性だと思いますけれども、これがいつ頃、実現できるかというような見込みは何かありますでしょうか。
○国立循環器病研究センター北波企画戦略局長 お答えさせていただきます。企画戦略局の北波と申します。前村先生、御質問ありがとうございました。
 この総合事業自体は1班から4班まで総合的にはこんな連携をして行うものと考えておりますし、がんのような登録制度を取るのかどうか。これは恐らく国の政策の判断という形になろうかと思いますが、現状ではやはり症例について様々なデータベースがございますので、そういうものをいかにうまく活用し、学会のデータベースやナショナルデータベースというものも連携させて、バーチャルな形でしっかりとしていこうというのが基本的な方針なのかなとは考えているところでございます。そういう中で、私どものここで言う第1班というところについては、どのような指標をもってデータを集めるのがいいのか。その集める指標の共通認識というものをどのような形で団体と共に積み上げていくかというのがまずはやらなければならないと考えているところでございます。
 したがいまして、そういう相手がある話、また、国と二人三脚でやっていく中で、一般的に医療・介護総合データベース、国が行っている事業も、今、救急から始まっておりますけれども、どのような形で連携して現場に活用していくか。こういうところのスケジュールとも合わせていく必要があろうかと思います。私どもの見解は、お答えとしては、いつまでということはなかなか答えにくいのですけれども、国と歩調を合わせて、できるだけ速やかにやっていくしかないのかなと考えているところでございます。
○前村委員 ありがとうございました。
○土岐部会長 松前委員、どうぞ。
○松前委員 松前でございます。御説明ありがとうございます。
 私から1点、確認でございます。評価項目1-3の「医療の提供に関する事項」の25ページということで、⑦でクラウドファンディングの実施ということで、こういった活動を通じて、広告、つながりを整備していこうということだと思うのですけれども、この寄付総額654万円というものはもともとのクラウドファンディングの目標を達成しているのかどうかという点。
 あと、こういったところの取組の中に医療従事者の育成とか、その後の体制を整備していくとか、いろいろ仕組みづくりということで説明が書いてあるところでございますけれども、これは法人の中で組織横断的にといいますか、どこで管理をされていくのかということと、どういった将来像を考えているのかというところをもし分かれば教えていただきたいと思います。
 以上でございます。
○国立循環器病研究センター山本病院長 病院長の山本のほうからお答えさせていただきます。
 目標金額は400万円を立てておりまして、これを上回ったというところであります。この金額で、まずはやはりもともとが社会全体でなかなか先天性心疾患の方が外から見て、服を着ていたら、そういう病気をお持ちかどうか、全然分からないですから、そういうような病気が結構あるのですということを社会に広く知っていただくことを、この400万円を使って取り組んでいく目標ということにしております。そういうものの延長上で、今、言及していただきましたように、人材の育成ということもやっていきたいというのは思っております。
 人材の育成という点につきましては、先ほどの項目1-4の中にもありますが、当院のほうでいろいろ研修を受けていただいて、臨床上の経験を医療従事者に積んでいただいて、それを各地方のほうに持って帰っていただくというのが、まずは該当すると思います。現在、成人先天性心疾患の専門医数はすごく少なくて、かなり地域によって数にばらつきがあるのです。したがいまして、できるだけ国内でそういうような人材が均てん化して存在していくようにする。そういうようなトレーニングの場として当院をうまく活用していただけるようにしていきたいと考えております。
○松前委員 ありがとうございました。
○土岐部会長 よろしいですか。
 それでは、部会長からもう一点、心臓移植で、令和7年度資料の23ページなのですけれども、過去、年間32件がマックスなのですけれども、ここ2年ほど減少しているほうなのですけれども、移植全体が増えている中で何か要因があるのかなと思って聞かせていただきますが、いかがでしょうか。
○国立循環器病研究センター山本病院長 病院長の山本です。
 これは大体、数年待ちの方々ばかりで、順番に下りてきているということで、当院のほうがどうして2位なのかというところは要因としては分からないのですけれども、一つは東京大学のほうが伸びておられて、あと、関西はどうしても大阪大学と国循がほぼ同じような数をずっとやってきているということがあって、それぞれ西日本と東日本とで拠点化の病院の位置づけの違い、というものが少し反映されている可能性はあるかなというのは思っております。
○土岐部会長 ありがとうございます。
 レシピエントが複数施設にレジストレーションできるというのは、あれは始まっているのでしたか。
○国立循環器病研究センター山本病院長 あれは始まっております。
○土岐部会長 ありがとうございます。
 ほかに御質問がないようでしたら、この項目はこれで終了にしたいと思います。
 それでは、続きまして、項目2-1から4-1「業務運営の効率化、財務内容の改善及びその他業務運営に関する事項」について、まずは法人のほうから説明をよろしくお願いいたします。
○国立循環器病研究センター北波企画戦略局長 それでは、始めさせていただきます。企画戦略局の北波でございます。
 まず、資料2-2、評価項目2-1「業務運営の効率化に関する事項」ということで、34ページを御覧いただければと思います。
 自己評価につきましてはAという形にさせていただいております。
 指標のところでございますように、経常収支率は黒字になれば100%を超えるわけですが、残念ながら、令和7年度につきましても99.5%という形になっておりますので、100%には達していないところではございます。ただ、Aということにつきましては説明させていただきます。それから、目標のところにあと2つございますが、後発医薬品の使用率というものについて、これは85%以上というものについては十分達成しているというところでございます。一般管理費につきましては、最終年度において5%以上削減する、前年度比で1%削減ということでございます。これは他動的な要因がありまして、なかなか難しい。その中でも努力をしているということをお伝えしたいと思います。
 まず、35ページを御覧いただきまして「Ⅲ 評定の根拠」というところでございます。収支につきましては、まだ赤字というところ、黒字化というところまでは残念ながらぎりぎり至っていないところではございますが、材料費削減等々につきまして努力をさせていただいているところでございます。
 一つは、物品の調達について、大阪大学、それから、NHO大阪と共同で調達をするという新たな取組を経て、また、これまでいろいろな医療機器がございますが、こういうものの無駄・重複を排除し、運用を効率化し、将来の更新のほうに使うというものを進めるために、一元管理というものも始めようということをしておりました。大きな病院では分散して管理しているのですけれども、国循においてはこれからエコー装置をはじめとして、一元管理の開始をするというところでございます。また、医療機器への投資というものについても経営改善に密着しているというものを職員一同に意識づけをした上で、計画的に投資をしていくという体制を取っているところでございます。
 36ページが損益計算書などの財務諸表でございますので、これは参考までに見ていただいて、37ページを御覧いただきたいと思います。
 医業収益につきましてでございます。左側でございます。ここにございますように、毎月、理事長、病院長等と診療科部長等での1 on 1 meetingをして、手術件数や入院件数の動向について議論をし、改善策というものを相互に議論した上で実施をしているというところでございます。その結果、新入院患者数というものを私どもの目標の一つの指標にしておりますが、これは前年比としても若干少なくはなっているところでございますが、ただ、医業収益自体、ここにございますように、対前年度で8.9億円の増という形になっていますし、医業収支差につきましては7億円ということです。前年はマイナス1.1億円だったのですが、令和7年度につきましてはプラス7億円という形で、人件費振替後でございますけれども、医業収支については黒字額になっているところでございます。また、査定率というものにつきましても1%を超える、1.5%ぐらいの推移でございますので、収益に対して1%を超えると何億円という形で査定されているわけですが、これにつきましても組織的な取組をして1%前後というところまでいっているところでございます。
 右側が医業費用の縮減ということで、紹介させていただきました共同調達、1番目の○のパラグラフでございます。この結果、0.1億円の支出の削減というものにつながるというところでございます。また、折に触れて、ドクターを含む職員に対して経営状況について周知し、また、投資についての考え方、キャッシュフロー、現金がどのぐらい要るのかというところについても具体的に説明をするということもしております。
 3つ目の○のパラグラフのところに書いてございますように、エコー装置について各部署に分散していた運用体制を見直すとして、中央管理化をする。その結果、運用台数というものを1割以上減らすことをしているところでございます。
 また、下のところの「令和7年度より」といった囲みについてでございますけれども「予算総額管理方針」というものを立てております。それぞれの診療科、それから、研究所もそれぞれの部署がどのぐらい支出をしているのかというところについてしっかり見ていただくとともに、収支をきちんと改良するためにはどのぐらいの予算額というものを取ればいいのかというものを個別に例示をした上で年間の事業というものを考えていただくということをしているところでございます。
 続きまして、資料2-6の36ページを御覧いただきたいと存じます。業務運営の効率化については、先ほど御説明させていただいたことと重複いたしますので、これは御覧いただくというようなことで考えていただければと思います。
 それから、次に、評価項目3-1でございます。「財務内容の改善に関する事項」ということで、資料2-2の38ページを御覧いただければと存じます。
 ここで指標として掲げておりますのが、繰越欠損金の解消に向けた取組としてございます。
 これにつきましては、39ページに「①自己収入の増加に関する事項」、また「②資産及び負債の管理に関する事項」を御覧いただければと存じます。
 外部資金の獲得状況等につきましては、様々な取組の結果、堅実に動いているところではございますが、残念ながら、法人全体の収支につきましては、下のところにございますように、赤字がつながっているところでございます。当初の計画では、赤字を脱する時期というものが令和7年もしくは6年ぐらいを想定していたところでございますけれども、令和2年から、御承知のとおり、コロナが始まりまして、いわゆる患者数の減というものが大きく響き、令和4年は決算上は15億円の赤字であるとか、こういうものが累積をしているところがございます。その後は患者数の増加もしくは集約というものに努めてまいりましたが、一方でやはり利用率というものはなかなか上がらない中で、私どもとしては在院日数の短縮に加え、病床数を減らすなど、超急性期の役割を果たしつつ経営環境の改善に努めているところでございますが、まだぎりぎり黒字までには至っておりませんが、今後、かなり改善していくということで見込んでいるところでございます。
 40ページを御覧いただければと思います。これは財務内容について、これは昨年も御提示をさせていただきましたが、収益性、また、安全性について、他の医療法人と比較をしたものでございます。
 ここは御案内のところかと思いますが、自己資本比率につきましても28.1%という形で、一応、返済業務の返済割合についてはこの程度のレベルになっていくかなということでございますし、固定長期適合率も100%を下回っておりますので、定常の財務状況ではないか。しかしながら、借入金比率につきましては113.9%ということで書かれております。
 私ども、長期借入金の返済というものがございまして、毎年の返済が年間24億円という形になっています。これにつきましてはしっかりと返済をさせていただいておりますので、その返済をした上で、財務状況をしっかりと改善させていくということを取り組んでいる状況でございます。
 まず、資料2-6につきましても、同じことでございますので、説明は省略させていただきます。
 まだ黒字になり、それで資金が蓄積していない状況でございますので、自己評価につきましてはBとさせていただきたいと思います。
 続きまして、評価項目4-1でございます。資料2-2の41ページでございます。
 中長期目標につきましては、法令遵守等内部統制の適切な構築、それから、人事の最適化、その他の事項ということでございます。自己評価につきましてはBという形にさせていただいております。
 42ページを御覧いただければと思います。私ども、大津理事長の下で令和4年2月に「世界最高峰の機関を目指す」という形で、大津ビジョンを策定し、それに基づいて様々な改革を進めているところでございます。昨年10月には一区切りということで実施状況の取りまとめをし、組織内で共有をしたところでございます。
 主な成果については御覧のとおりでございますが、ゲノム医療・情報バイオリソースにつきましても、バイオバンクとの連携総数も3,000例に達するなど、一定の成果を上げているところでございますし、また(3)のところにございます研究費獲得支援ということで、組織を挙げて、研究費をいかに確保し、研究環境を向上させるかについて、いわゆるノウハウの伝授、それから、若手研究者に意欲を向上させる意味で最近始めましたYoung Researcher Awardというものも創設をし、表彰をするという取組もしているところでございます。
 右側にございますように、優秀な医師・レジデントの確保は「国循でしか経験できない」教育プログラムというものも立ち上げて、優秀な人材を確保し、また、輩出をするということに努めておりますし、(6)にございますように、断らない救急につきましても、一定程度、やはり実現しているのではないかと思います。また、企業との連携につきましても、協力できるところは価値を見ていただければと思います。
 43ページを御覧いただいて、人事の最適化の中で昨年始めた部分がございますので、紹介をさせていただきます。
 一つが、従前の人事評価に加えまして、新たな取組として360度評価というものを実施したところでございます。幹部職員、部長職以上、理事長も含めて、全員が被評価者となって、それぞれ観察者を設定して、それに基づいていろいろな評価をいただく。これは気づきと次の組織の統制というものにつながっていく。厚労省でも導入しているものでございますが、私どものところでも昨年から始めさせていただいて、被評価者60名、評価者10名、延べ600名程度が関与するという形で入れさせていただいたところでございます。
 資料2-6のほうにつきましては、評価項目4-1は43ページからでございます。
 過去の評価はB、B、B、C、Bでございますが、全体として新たな取組も行っていることから、自己評価についてはBということで判定をお願いしたいと考えております。
 説明につきましては重複しますので、省略させていただきますので、よろしくお願いいたします。
 以上です。
○土岐部会長 ありがとうございました。
 それでは、委員の先生方から御質問をお受けしたいと思いますが、いかがでしょうか。
 まず、私、部会長から、途中、分かりにくいといいますか、医業収益は7億円の黒字であったけれども、最終的に計上が2億円弱の赤字になった。もちろん、昨年は病院に対する補正予算とか、そういうものもあったと思うのですが、それも何億円か入っていると思うのですけれども、それも踏まえても、これだけの赤字、マイナスの分で、残りの分というものは分かりやすく説明していただけますと、例えば研究所部門なのか、それとも、これは建物とかのいわゆる返済の部分が入っているのかとか、どのように計算したら、この7億円の黒字が最終的な2億円の赤字になるのか、簡単に、分かりやすく説明をお願いできませんでしょうか。
○国立循環器病研究センター北波企画戦略局長 人件費を振り替えるということでプラス7億円という形にしておりますが、振り替えないで財務諸表上は医業収支ということになれば赤字になってきます。実はいわゆる24億円の返済というものにつきましてはキャッシュフローとBS上の話になりますので、私どもは減価償却を取る形になっています。
 ただ、やはりこの組織、また、施設関係で諸経費が非常に高騰している中で費用がかさんでいる。光熱水費であるとか材料費の増というものが影響しているとは考えておりますし、最近で言いますと、やはり人件費がベースアップをする。診療報酬も増えておりますけれども、職員の側としては待遇改善をしているというようなところで、最終的には若干の赤字を計上しております。
 御評価いただきたいのは、昨年に比べてもまた赤字幅が減っているということで、着実に改善を進めるという状況でございます。
○土岐部会長 ありがとうございます。
 庄子委員、どうぞ。
○庄子委員 すみません。庄子と申します。
 年度のほうの37ページなのですけれども「予算総額管理方針」を導入されたということで、これはなかなか大変だったのではないかと勝手に推測するのですが、部門横断的なものとかもあると思いますし、それから、実際にこれを導入したことで何か反発とか、もしあったのかどうかとか、スムーズにいったならいったであれですし、もし難しかったならば、どうやってそれを乗り越えられたのかとかを教えていただければと思います。
○国立循環器病研究センター北波企画戦略局長 お答えいたします。北波でございます。
 予算総額管理というものは、令和5年で決算上は令和6年から大分改善をしたのです。令和5年にはどのように提出をしたかというのは、一つのメルクマール、各診療科に予算枠というものを設定して、それで人件費、物件費について計画的に考えていただこうというところで提示をしたわけです。
 当然ながら、少ないとか多いとかという議論はございますし、もっと人が要るのだとか、いろいろ話もあったのですが、この趣旨といたしましては、やはり法人収支が赤字の中で、新しい取組というものを打って出すということはなかなか難しい状況の中で、自分のところはこのぐらいの枠があって、では、そういうものを縮減すればこういう新しいことができるのではないかという考え方もあり、枠を設定しているのですということを説明させていただいたりして、一定の理解を得ているというところです。
 ただ、新しい考え方で一昨年から提示して始めているところですので、若干の改善をする必要がございますし、現状でありますと、機器の更新というものが非常に大きなパターンとして、今後数年のうち、もしくは上がってまいりますので、一定の枠、それから、その枠の中で更新の全体像を考えていくという、組織全体の考え方に切り替えて、改善しながら進めていくところです。
 今後も、赤字の中でも自分たちの枠はどのぐらいの規模で活動しているのかということを分かるとともに、どういう形で戦略的に、今後、医療なり研究なりを進めていくかというのを考える一つのよすがにしていただければということで提示をしています。
○庄子委員 ありがとうございます。
○土岐部会長 よろしいでしょうか。
 すみません。もう一点、循環器は労働環境が非常に厳しいと言われておりますので、少しコメントだけいただけたらと思いますけれども、こちらも例えば連携Bは2035年に向けても千六百数十時間まで上限が減ってきておりますし、そういった問題も含めまして、循環器の先生方は超過勤務等はきちんとコントロールできておるのでしょうか。
○国立循環器病研究センター北波企画戦略局長 まず、予算総額管理の観点から企画戦略局からお答えさせていただくということで言いますと、実際、どのくらいの超過勤務、超過傾向はやはり避けられないところはあるのですけれども、いかに適切な形でコントロールしていくか。一つは、超勤がどのくらい発生しているかということについて、各診療科にもフィードバックする。また、当然ながら、労働基準法等々で要請されています80時間超の通知であるとか、そういうものはしっかりとさせていただいているというところであります。
 そして、その上で、やはり必要な人員というものについてはしっかりと、1 on 1の毎月の議論の中でも各診療科の部長からもお話をお伺いする、理事長、病院長とで議論しているということで、適切な対応を取っているというところは考えております。
○土岐部会長 ありがとうございます。
○国立循環器病研究センター山本病院長 すみません。病院長の山本ですが、追加でよろしいでしょうか。
○土岐部会長 どうぞ。
○国立循環器病研究センター山本病院長 まず一つは、やはり超過勤務の多い人は、秋頃に私が個別に、いわゆる医員とか非常勤を含めて、ピックアップして呼んで、個々の人たちに毎日30分、少し早く帰るような工夫をしたらどうかということを言うことで、そこから少しずつ減ってきた人が多かったということが一つ。それから、できるだけチーム制でやっていく形にしてくれということを各部署のほうにお願いをして、個別の人間が抱え込むようなことをしないようにということをお願いしてございます。
 あと、今後なのですが、循環器とはいえ、専門家ごとで診療科が分かれておりますので、特に夜間などについてはそういう現在の診療科の区切りを超えて、おのおので一緒に当たっていくようにしてもらうというようなことも取り組んでおります。それから、カンファレンスも減らせるものは減らしてもらうようにして、実際に私のほうからも申し上げて、幾つかの科ではカンファレンスの数を減らしておりますし、一つの作業について、そこにかける人間の数を例えば1人減らしてできるのではないかとか、そういうことを一つ一つ、何とか工夫して、乗り越えてやってもらっているというところであります。
○土岐部会長 御説明、どうもありがとうございました。
 それでは、全体を通じて、委員の先生方から御質問はよろしいでしょうか。
 質問は以上のようですので、最後に、法人の理事長と監事からのヒアリングを行いたいと思います。
 まずは、法人の監事より、業務の監査結果等を取りまとめた「監査報告」についての御説明をいただくとともに、監査等を踏まえた現在の法人の業務運営の状況や今後の課題、改善方針等について、コメントをお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
○国立循環器病研究センター小川監事 監事の小川でございます。よろしくお願いします。
 私ども監事監査の結果でございますが、資料2-4に添付されている監査報告書の記載のとおり、適正適法の意見を表明させていただいております。センターの運用は適切であり、特段の指摘事項はございません。
 令和7年度について、少しコメントさせていただきます。
 当年度のセンターの業績については、先ほどからの御説明にあったとおり、研究・開発、医療等におきましては、確実に成果を上げていると評価しております。
 一方、従来からの課題である財務面に関しては、前年度と比べて改善はしているものの、残念ながら赤字決算に終わり、繰越欠損金の解消等の業績目標は今年度も未達に終わりました。しかし、医療収支については7期ぶりに黒字化を達成することができた。一般的に病院運営が現状厳しい中で黒字化ができたということは特筆できることかと思っております。
 また、医業収益面においては、毎月の会議で新入院患者数等の数値目標を共有しての改善を図る取組を継続しています。また、医業費用の面では、医療機器の償却期間終了による減価償却費の減少が大きいものの、診療材料の共同調達によるコストの削減、医療機器の効率的な管理、投資予算管理の徹底でコスト削減の努力がされており、それが実を結んできたものと評価しております。
 月次決算の状況は、理事会、執行役員会等、各種会議で詳細に報告されており、全職員に現状の経営状況について周知されて、また、財政融資資金の多額の借入れの返済についても、今後予定されることへの対応について、経営陣からセンターの中長期的な資金繰りの見通しについて全職員に説明をする機会を設けるなど、全職員が危機意識を持って、業績改善のための取組がなされていると評価しています。
 翌年度以降についてはIT投資や医療機器の更新が本格化するなど、さらなる業績改善に向けて取り組まなければならない課題は多いと思いますけれども、引き続き、監事として注意していきたいと考えています。
 以上です。
○土岐部会長 続きまして、法人の理事長よりよろしくお願いいたします。
○国立循環器病研究センター大津理事長 理事長の大津でございます。本日は長時間にわたり御審議いただき、また、貴重な御意見、御助言を賜りましたこと、心より御礼申し上げます。
 本日御説明いたしましたとおり、当センターは研究・開発、医療提供、情報、経営の各分野において着実に成果を積み上げてまいりました。特に研究成果の社会実装の推進に加え、経営改革の成果として医業収支の黒字化を達成できたことは大きな前進であると考えております。
 一方で、高度医療機器の更新や研究基盤の強化など、今後取り組むべき課題も少なくありません。そのため、事業収益の向上に加え、競争的研究費、共同研究費などの外部資金の獲得、知的財産の戦略的活用を進め、持続可能な経営基盤の確立に努めてまいります。
 研究面では、若手研究者が挑戦できる環境を整備し、革新的な研究成果の創出と社会実装を加速してまいります。
 医療面では、世界をリードする高度循環器医療の開発・研究を進めるとともに、地域医療機関との連携を強化し、切れ目のない医療体制の構築に取り組んでまいります。
 さらに、本年度より脳卒中・心臓などの対策に係る総合推進事業の実施主体となって、我が国の循環器病対策の発展に貢献していく所存でございます。また、予防に関する研究とその社会実装を推進し、健康寿命の延伸と疾病負担の軽減に努めてまいります。
 国立循環器病研究センターは、循環器病の克服を通じて、国民の健康と福祉の向上に貢献するという使命の下、今後も研究・医療・予防のさらなる進展・発展に全力で取り組んでまいります。今後とも変わらぬ御指導、御支援を賜りますようお願い申し上げ、お礼の御挨拶とさせていただきます。
 本日はどうもありがとうございました。
○土岐部会長 ありがとうございました。
 ただいまのお二人の発言内容について、御意見、御質問等がございましたら、よろしくお願いいたします。
 よろしいでしょうか。
 それでは、以上で「国立研究開発法人国立循環器病研究センターの令和7年度業務実績評価及び中長期目標期間見込評価について」の審議を終了いたしたいと思います。
 以上で、本日の議事を終了いたしました。
 事務局から、今後の流れについて説明をよろしくお願いいたします。
○高屋企画調整官 事務局です。今後の流れについて御連絡いたします。
 本日御議論いただきました令和7年度業務実績評価及び中長期目標期間見込評価につきましては、この後、本部会における御意見や法人の監事及び理事長のコメント等を踏まえて、厚生労働大臣による評価を行い、その評価結果について、法人に通知するとともに、公表いたします。
 委員の皆様におかれましては、事前に電子媒体でお配りしている評定記入用紙に必要事項を御記入いただき、8月4日火曜日のJHに関する審議も踏まえ、8月12日水曜日までに事務局宛て、メールにより御送付いただけますようお願いいたします。
 なお、評価結果につきましては、後日、委員の皆様にもお送りいたします。
 次回ですが、8月4日火曜日12時15分よりこちらの航空会館501+502号室で、国立長寿医療研究センター及びJHを含む国立がん研究センターの評価に関する審議を予定しております。
 事務局からは以上となります。
○土岐部会長 ありがとうございます。
 それでは、以上となります。どうもありがとうございました。