第21回アレルギー疾患対策推進協議会 議事録

厚生労働省健康・生活衛生局がん・疾病対策課

日時

令和8年8月27日(木)14:00~16:00

場所

新橋ビジネスフォーラム(ハイブリッド開催)

議事

○佐藤専門官 定刻となりましたので、ただいまより第21回「アレルギー疾患対策推進協議会」を開催いたします。
 委員の皆様方におかれましては、お忙しい中、お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。事務局を務めさせていただきます、厚生労働省健康・生活衛生局がん・疾病対策課の佐藤と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 本日の協議会は、YouTubeでのライブ配信にて公開となりますので、御承知おきください。
 ウェブ参加の委員を含めた本日の会議の進め方について御説明いたします。御発言については、ウェブ参加の委員におかれましては、Zoomの「手を挙げる」機能を御活用ください。カメラは常に映る状態にしていただき、御発言しないときはミュートにして、発言するときのみ解除するようお願いいたします。本日はチャット機能の使用は予定しておりませんので、御了承願います。
 また、本日の協議会は、アレルギー疾患対策に関係する府省庁の方にもオブザーバーとしてオンラインで参加いただいております。また、現地では、この後御発表いただきます内閣府防災様にお越しいただいておりますが、業務の関係で途中退席の予定となっております。また、参考人として、国立病院機構福岡病院名誉院長の西間三馨先生にも御出席をいただいております。
 最初に、事務局に人事異動がございましたので、御紹介をさせていただきます。
 まず、健康・生活衛生局長に森光、健康・生活衛生局がん・疾病対策課課長に岩崎が、それぞれ着任しております。本日は、両名とも公務のため、途中からの参加予定となっております。また、同じく健康・生活衛生局がん・疾病対策課企画調整専門官に小川が着任しております。
 
○小川専門官 8月に着任いたしました、がん・疾病対策課の小川と申します。よろしくお願いいたします。
 
○佐藤専門官 続きまして、委員の先生の御紹介となります。
 前回御欠席されておりました、東邦大学医学部社会医学講座衛生学分野准教授 道川武紘委員、一言御挨拶をお願いいたします。
 
○道川委員 すみません、前回は欠席してしまいまして申し訳ありませんでした。道川と申します。環境保健の専門家として参加させていただいております。よろしくお願いいたします。
 
○佐藤専門官 ありがとうございます。
 本日、全委員18名の方に御出席いただいており、定足数に達していることを御報告申し上げます。そのほか、委員皆様の御紹介については、名簿をもって代えさせていただきます。
 続きまして、資料の確認をさせていただきます。資料は厚生労働省のウェブサイトにも掲載しております。議事次第、資料1から5、及び参考資料1から6がございます。不備等ございましたら、事務局までお知らせください。
 また、以上をもちまして撮影は終了とさせていただきます。これ以降の映像等の撮影・使用は、お控えいただきますようお願いいたします。
 事務局からは以上となります。
 以降の進行は海老澤会長にお願いいたします。
 
○海老澤会長 それでは、議事2「アレルギー疾患対策基本指針見直しについての議論」に移りたいと思います。
 最初に、内閣府防災より、災害時におけるアレルギー患者の対応について発表いただきます。前回の協議会では、農林水産省より、災害時に備えた食品の家庭備蓄の取組について紹介してもらいましたが、今回は基本指針改正にも関連する箇所でもありますので、資料1「災害時におけるアレルギーを有する避難者等への対応について」の御説明をお願いします。
 
○内閣府尾崎補佐 御紹介いただきました内閣府防災担当で食事支援を担当しています尾崎と申します。本日は、皆様、よろしくお願いいたします。
 では、早速ですが、お話しをさせていただきたいと思います。
 次のページをお願いいたします。避難所における良好な生活環境の確保に向けた取組指針というものを内閣府がつくっているところでございます。平成25年8月に策定しまして、令和6年12月に改定したものでございます。
 この取組指針とは何ぞやということですが、平成25年6月の災害対策基本法の改正を受けまして、ここに市町村と書いてありますけれども、都道府県も含めて、自治体に、避難所において避難者に対して、こちらからいろいろな良い環境を与えなければならないということで、その生活環境の確保に努めることが非常に求められておりますので、その取組に対して参考となるような資料でございます。この取組指針については、ホームページに掲載されておりますので、詳しい内容については御覧いただければと思います。もちろん、食品だけではなくて、避難所の設置から、福祉サービス、あとは応急仮設住宅の供与など、いろいろ載っておりますので、御覧いただければと思います。
 また、避難生活の環境変化に対応した支援の実施に関する検討会が、令和6年6月に「場所の支援」から「人の支援」へということで考え方の転換を取りまとめまして、令和6年に災害対応検討ワーキンググループが開催され、11月に能登半島地震の対応を踏まえた各種取組の実施や避難所の在り方の見直しについて取りまとめました。これらの提言を踏まえて、この指針についても令和6年12月に改定したところでございます。
 次のページでございます。指針のうちアレルギーの関係について抜粋したものでございます。このアレルギーについては、指針の中で、平時における対応と、次のページの発災後における対応と、2つに分けております。
 まず、平時における対応で、アレルギーについて、特に要配慮者というのが今回、議論の一つとなろうかと思いますけれども、この指針に書かれております。これをちょっと読み上げますと、1(1)1.アでございますけれども、下線の部分です。要介護高齢者、障害児者、医療的ケアを必要とする者、妊産婦、乳幼児、アレルギー等の慢性疾患を有する者、外国人等を要配慮者という形で、この指針について定められてございます。以下、要配慮者ということで、これを含めて整理しているところでございます。
 4、避難所における備蓄等でございますけれども、食料・飲料水の備蓄については、各自治体については、当然のことながら、食料・飲料水の備蓄を進めること。また、食料・飲料水を備蓄しない場合については、供給計画を作成することということでございます。
 そのほかに、食物アレルギーを有する避難者にも配慮しまして、同じもの、乾パンなど画一的なものだけにならないようにし、特に食物アレルギー対応食品等についても必要な方に確実に届けられるなど、要配慮者の利用にも配慮することでお願いしたところでございます。
 次のページでございますけれども、発災後における対応で、食事の質の確保がございます。ここにも要配慮者のことについて書かれております。咀嚼機能低下者、疾病上の食事制限者、食物アレルギーを有する者等に対する配慮をしていただきたいということでございます。
 また、9、食物アレルギーを有する者等への食料や食事に関する配慮ですが、アレルギーに関して全般に記載しているところでございます。食事の原材料表示をしていただくこと、避難者自身によるアレルギーを起こす原因食品の情報提供、各避難所における管理栄養士等への相談ということ。(4)は、文化・宗教上の理由による食事への配慮。これはアレルギーとは関係ございませんけれども、イスラムといった豚とか食べられない方など宗教上の問題で食べられない方もございますので、そこの方々にも配慮していただきたいというふうに定めるところでございます。
 この中で、特に(3)でございますけれども、食物アレルギーをはじめとした個別の対応が必要な要配慮者に食料や食事の提供を行う場合、各避難所における要配慮者の食事ニーズの把握やアセスメントの実施のため、保健衛生関係部局が管理栄養士等の専門職種に相談できるように努めることという形で、今、避難所をDMATさんとかが回っていらっしゃると聞きますので、いろいろ相談しながらアレルギーに気をつけていただきたいということで対応しているところでございます。
 熊本地震が起きてから、今日でちょうど1か月目になりますが、内閣府として食事だけではなくプッシュ型支援などで段ボールベッドや簡易トイレ、仮設風呂など様々なものを提供しました。また、災害救助法という法律がございますので、自治体がお弁当や飲料水などを提供した分の費用について、救助費で支弁しているところでございます。
 
 次のページでございますが、アレルギー疾患を有する方への対応に関する通知でございますけれども、我々としても事務連絡等を、厚労省さんの避難所等における食物アレルギー疾患を有する被災者への対応についてという依頼については、防災の関係の担当部局に共有したり、また、Q&A集など作成したものについても連名で通知を出したりという形でいろいろ対応させていただいております。
 簡単ではございますが、以上でございます。
 
○海老澤会長 ありがとうございました。
 また、今回の熊本地震では、日本栄養士会(JDA-DAT)にも御活躍いただいております。日本栄養士会の下浦委員から、JDA-DATの活動について、簡単に御紹介いただけますでしょうか。参考資料5を御覧ください。
 
○下浦委員 ありがとうございます。
 皆さん、こんにちは。日本栄養士会の下浦と申します。よろしくお願いいたします。本日は、このような機会をいただきまして、誠にありがとうございます。令和8年熊本地震における日本栄養士会災害支援チーム(JDA-DAT)の活動について、特に食物アレルギーへの対応を中心に5分ほどで御説明をさしあげたく思います。
 JDA-DATは、発災から現在まで、八代市、宇城市、氷川町を中心に、延べ190名、74~75チームを現在派遣しておりまして、熊本県、熊本県栄養士会、行政栄養士などが連携して支援活動を継続してきているところでございます。
 今回の活動を通じて改めて重要だと感じたことは、災害時の食物アレルギー支援というのは、一定のアレルギー対応食品を確保するだけでは十分ではないということでございます。支援を必要としている方を把握する。その方に適した食品を確認する。安全に届ける。そして、その後も継続して支える。この一連の仕組みをつくることが重要だと考えているところでございます。
 2ページ目を御覧ください。発災直後から、熊本県、熊本県栄養士会、行政栄養士と連携して、避難所の食事状況とともに、高齢者、乳幼児、食物アレルギーのある方、糖尿病や腎疾患のある方など、食事への配慮が必要な方への把握に努めました。食物アレルギーについては、単にアレルギーがありますという情報だけでは適切な食品を渡すことはできませんので、原因となる食物は何か、どの程度の除去が必要なのか、緊急時の薬を持っているのかなどを確認した上で、食品表示の確認、誤配や交差摂食の防止を含めて、個別に対応する必要があると考えているところでございます。したがって、支援物資として届いたアレルギー対応食品を一律に配布するのではなくて、必要とする方と、食品を専門的な確認を経て適切につなぐことが重要と考えているところでございます。
 また、災害時には、避難所に来られない方、来られていない方も多くいらっしゃいますし、そのため、避難所だけを見るのではなくて、在宅避難者を含めて、支援を必要としている方をどのように把握するかということも、今回大きな課題となりました。
 3ページ目を御覧ください。避難生活が長期化いたしますと、食支援の課題も変化してまいります。発災直後は、まず、食料そのものを確保することが優先されますが、その後は、食事の質や一人一人の状況に応じた対応がより重要になると考えております。特に、食物アレルギーの場合、同じアレルギー対応食と表示されていても、対象となるアレルゲンや製造環境などは食品によって異なるわけでございます。したがって、表示だけで判断するのではなく、原則として、本人や御家族にも確認しながら安全に提供する必要があります。
 一方で、対象となる方が避難所にいない場合や、御本人や御家族がアレルギーについて申告されないという場合もございます。こうした潜在的なニーズをどう把握するのかということも、今回改めて感じた課題と考えているところでございます。そのため、発災してから連携先を探すのではなく、平時から地域の医療機関、患者会、行政、管理栄養士などが顔の見える関係をつくり、連絡経路を共有しておくことが重要だと考えているところでございます。
 4ページ目を御覧ください。そこで重要な役割を果たすのが、こちらの特殊栄養食品ステーションでございます。特殊栄養食品ステーションは、アレルギー対応食をはじめ、ミルク、離乳食、介護食、とろみ剤、低たんぱく食品など、特別な配慮を必要とする方のための食品を集約して在庫を管理して、必要な方へ届けるための拠点であります。これは単なる物資の保管場所ではないということでございます。どのような支援を必要としている方がいるのかという情報と、どのような食品があるのかという情報を、管理栄養士などの専門職が確認して、必要な方と必要な食品をマッチングする調整拠点として機能しているところでございます。
 特に、アレルギー対応食についても、原材料表示や対象アレルゲン、保存、調理条件などを確認して、一般の食品とは区分して管理しているところでございます。専門医の先生方には、医学的な判断が必要な事例への御助言をいただくこともありますし、地域の患者さんや御家族に対して、こうした支援窓口があることを周知していただくなど、ぜひ連携をお願いしたいと考えているところでございます。
 この左側に示している特殊栄養食品ステーションを開設しましたというのが、このチラシの部分でございます。こういったものを地域の先生方、行政、避難所の責任者等々に御配布申し上げているところでございます。
 それでは、最後のページでございます。この図は、国、県、日本栄養士会、企業、関係団体などが集まる特殊栄養食品を、特殊栄養食品ステーションや地域のサテライトを通じて必要とする被災者へ届ける流れを示したものでございます。今回の熊本地震では、熊本県栄養士会事務局に特殊栄養食品ステーションの本体を置きまして、八代市、宇城市の保健所にサテライトを設置して対応させていただきました。これは今から10年前の熊本地震の例でございます。
 食物アレルギーへの災害支援で重要なのは、食品を集めることだけではありません。一方で、現状では、必要となるアレルギー対応食品そのものを十分に確保することが難しいという課題もあります。この点については、先ほどお話のありました内閣府の食事支援御担当者様とも連携して、平時の備蓄から発災時の調達、必要な方への供給までを一連の仕組みとして、今後具体的に検討していく必要があると考えているところでございます。物資を確保する。必要な方を把握する。専門的に評価する。適切な食品を選択する。安全に届ける。そして、届けた後も必要な支援につなげる。こういった一連の流れを平時から仕組みとして整えておくことが重要だと考えているところでございます。
 そのためにも、本日御参加の専門医の先生方、患者会、行政、そして私ども栄養士会は、それぞれの専門性を生かしながら、平時から役割と連絡経路を共有して、災害が起きた際にも切れ目なく支援できる体制を一緒につくっていくことが重要だと考えているところでございます。今回の経験を今後の地域における食物アレルギーの災害対策につなげていければと思っているところでございます。
 以上、令和8年熊本地震におけるJDA-DATの食物アレルギー対応について御報告させていただきました。ありがとうございました。以上でございます。
 
○海老澤会長 どうもありがとうございました。
 ただいまの内閣府防災と下浦委員の発表について、御質問や御意見ありますでしょうか。御質問、御意見ある方は、ウェブでは挙手ボタンを押していただいて御発言いただけたらと思います。あるいは、現地でもいかがですか。
 では、西間参考人、お願いします。
 
○西間参考人 参考人の西間ですけれども、10年前の熊本のときに、この組織は非常に力を発揮いたしました。そのとき私も行っていたのですけれども、こういう組織があるのだなと思って、すごいと思っていたのですけれども、10年たった今、この組織がしっかりと、より成熟してやられているのに本当に敬意を表します。すばらしいと思いました。
 
○下浦委員 ありがとうございます。
 
○海老澤会長 ありがとうございます。
 都道府県のアレルギーの拠点病院とか災害拠点病院というのが、熊本の場合は熊本大学病院が多分中心になってということだと思うのですけれども、そういったところと日本栄養士会の方々のこういう対策がうまくかみ合っていくと非常にいいなと思っておりますので、各地域で、能登のときもたしかやっていただけたというふうに記憶しておりますけれども、また各地域で、各都道府県でそういった動きができるといいなと思いました。どうもありがとうございました。
 もしよろしければ、特に御意見等なければ、続きまして、「アレルギー疾患対策基本指針の改正見直し(案)について」を事務局よりお願いします。
 
○佐藤専門官 事務局の佐藤でございます。
 お手元の資料2「アレルギー疾患対策基本指針の見直しに向けての論点整理」を御覧ください。
 1ページ目をおめくりください。最初の2つのスライドでは、これまでの協議会でお示ししておりますアレルギー疾患対策基本法及び基本指針についての概要図となっております。平成26年に制定されましたアレルギー疾患対策基本法は、アレルギー疾患患者の増加に対して、国・自治体・医療者・社会全体が連携し、患者の生活の質の向上や重症化の予防など、アレルギー疾患対策を総合的に推進するために制定されております。
 右の図にございますように、アレルギー疾患対策の推進に関する基本的な指針、以下「基本指針」と呼びますが、こちらにおいては、基本法の中で示されておりますとおり、本協議会や関係省庁の意見を受けて、厚生労働大臣が告示する形で発出されております。現在の基本指針は令和4年3月に一部改正が行われたものになっており、今回の協議会では、こちらの基本指針の改正についての議論を行っていきたいと考えております。
 1ページ、おめくりください。こちらはアレルギー疾患対策基本指針の概要となりますが、本指針は前文に続き、5項目で構成されております。
 第一は、基本的な事項として、前文と併せて総論的な位置づけとなっておりまして、第二には、主に正しい知識の普及や、発症・重症化に関わる生活環境の改善といった情報提供、普及啓発に関連する事項が、
 第三は、居住地域や世代に関わらず、適切な医療が受けられることを目指した医療提供体制の整備についての事項が、
 第四として、アレルギー疾患に関する研究推進についての事項が、
 第五には、学校・保育所などのアナフィラキシー対応や災害時の対応、自治体の取組といったアレルギー疾患対策の推進に関する重要事項についてが、記載されております。
 今回の見直し方針の考え方については、こちらの構成に従って整理してまいります。
 次、お願いします。令和8年度基本指針見直しの方向性としましては、これまでの協議会委員の皆様からの御意見や近年の施策実施状況等から、以下の点で見直しを行うことについて御提案したいと考えております。
 1つ目に、第二. アレルギー疾患に関する啓発及び知識の普及並びにアレルギー疾患の予防のための施策に関する事項の箇所では、アレルギー疾患に関する情報提供手段について、「ウェブサイト等」の表記を最新の情報通信手段に合わせた文言に修正すること。
 2つ目に、第三. アレルギー疾患医療を提供する体制の確保に関する事項では、特に医療提供体制の整備について、「アレルギー疾患医療提供体制の在り方に関する検討会」の検討結果に基づいた体制の整備について、具体的な内容やこれまでの施策・取組等を踏まえた医療機関の役割やかかりつけ医との医療連携について明記すること。
 また、3つ目は、第五. その他アレルギー疾患対策の推進に関する重要事項において、災害時におけるアレルギー疾患患者は、特別な配慮が必要となる「要配慮者」であることを明記するとともに、平時からの備蓄・準備の重要性についての啓発・周知を推進すること。
 また、アナフィラキシー時に使用が必要となる薬剤「アドレナリン自己注射薬」から「アドレナリン自己投与薬」に変更することとしております。
 なお、第三. 医療提供体制の修文についてですが、より内容が理解しやすいように、従来お示ししておりました医療提供体制の全体イメージ図を次のページに示すように修正することについても、お諮りしたいと考えております。
 次、お願いします。平成29年に「アレルギー疾患医療提供体制の在り方に関する検討会」を設置し、同年7月には中心拠点病院や都道府県拠点病院、かかりつけ医等の役割や連携体制について報告書としてまとめられました。報告書については、参考資料6として掲載してございます。
 こちらの図では、従来の図を踏襲して、国レベルとして中心拠点病院を設置し、都道府県レベルとして都道府県アレルギー疾患医療拠点病院が指定され、地域レベルでは、アレルギー疾患を専門とする一般病院やかかりつけ医が診療連携を進めていく構造について、より分かりやすく示しております。患者の流れとしては、必要に応じて、いずれの施設においても行き来することができ、施設間では、会議や相談、研修会の実施等を推進することによって、アレルギー疾患医療の均てん化に向けた取組を行うこととなっております。
 また、右の図には、アレルギー診療に関わる医療者等についても記載しております。どのレベルにおいても、専門医や多職種連携が重要であることについて位置づけております。
 次、お願いします。こちらは従来のアレルギー疾患医療提供体制の全体イメージとなっております。
 次、お願いします。ここからは今回の論点整理に当たりまして、参考とさせていただきました委員の先生方等からいただきました御意見をまとめた資料となります。項目ごとに整理しておりますので、簡単に御紹介させていただきます。
 まず、第二に関する御意見としましては、アレルギーポータルについて、アクセス性の向上や様々な情報コンテンツの追加、受け手に届くような体系化・可視化についての御意見などをいただいております。
 食物アレルギー、食品表示等については、外食・中食における情報提供について、一歩踏み込んだ対策についての御意見や食品表示についての御意見を、
 そのほかの意見としては、アレルギー全体の理解や教育、今回の修正にも関係しております情報通信手段の記載についての御指摘をいただいております。
 次、お願いします。第三の医療提供体制についての御意見としては、拠点病院だけではなく、専門医不足や地域偏在を念頭に置いた、かかりつけ医との連携体制の構築、多職種連携の重要性、成人・思春期移行期医療についての体制整備についての御意見をいただきました。
 次、お願いします。研究については、NDB等を活用した疫学調査の推進や、気候変動の影響、産学連携の体制などについての御意見をいただいております。こちらについては、別途、免疫アレルギー疾患研究10か年戦略の取りまとめといったものへの検討事項にしていけたらと考えております。
 第五のその他重要事項については、災害対応について多くの御意見をいただいております。災害対応として、平時からの準備、理解、食の安全の確保として、今回の熊本地震でも御活躍いただいております栄養士会(JDA-DAT)の重要性についてや、アレルギー疾患患者は要配慮者であるという記載についてなどの御意見もいただきました。
 次ページをおめくりください。そのほか、アドレナリン点鼻薬の登場による記載の変更について、アナフィラキシー対応の記載ぶり、周知啓発について。
 また、両立支援の文脈においては、就学や学業の維持についての明記といった御意見もいただいております。
 これらのいただいた意見については、施策や現在の取組に関する御意見なども含まれておりますので、全ての御意見が指針改正について反映すべき内容でないことに御留意ください。これからの施策や取組、研究の参考として検討していきたいと考えております。基本指針の論点整理としては、一旦、事務局から以上となります。
 
○海老澤会長 ありがとうございました。
 事務局からの説明について、何か御質問、御意見ありますでしょうか。ウェブからは、また挙手ボタンでお示しください。現地の方々はいかがでしょうか。よろしいですか。
 意見に関してもまとめていただいているので、かなり明確になっているかなというふうに思われます。
 それでは、次のところに移ってよろしいでしょうか。それでは、ここから基本指針の改正案について進めさせていただきます。事務局よりお願いいたします。
 
○佐藤専門官 事務局の佐藤でございます。
 続きまして、お手元の資料3「アレルギー疾患対策基本指針の改正案の概要」を御覧ください。
 1ページめくっていただけますでしょうか。資料2のほうで御紹介させていただきました指針見直しの方針の考え方に沿って、今年度、アレルギー疾患対策基本指針の主な改正については、以下のとおり進めさせていただきたいと考えております。
 前文及び第一については、変更なし。
 第二. アレルギー疾患に関する啓発及び知識の普及並びにアレルギー疾患の予防のための施策に関する事項について、アレルギー疾患に関する最新の知見に基づいた正しい情報を提供するために、インターネットその他の情報通信手段の整備等を通じた情報提供の充実を図る。
 第三. アレルギー疾患医療を提供する体制の確保に関する事項について、アレルギー疾患医療に携わるすべての医師に対して、講習会等を通じた最新の科学的知見に基づく適切な医療についての情報を提供する。
 アレルギー疾患医療提供体制について、中心拠点病院を設置し、都道府県アレルギー疾患医療拠点病院(以下「都道府県拠点病院」という。)を指定することで、かかりつけ医と専門医との連携体制を整備し、アレルギー疾患医療全体の質の向上を図る。
 アレルギー疾患患者が診療科を横断して継続した医療を受けることができるよう、都道府県拠点病院を中心とした診療連携や情報提供等の体制を整備する。
 中心拠点病院、都道府県拠点病院の役割を明記するとともに、かかりつけ医と専門医との連携体制の整備に努める。
 次、お願いします。第四. アレルギー疾患に関する調査及び研究に関する事項については、変更なし。
 第五. その他アレルギー疾患対策の推進に関する重要事項については、既存のガイドラインの周知に「児童養護施設等におけるアレルギー対応ガイドライン」を追記する。
 「アドレナリン自己注射薬」を「アドレナリン自己投与薬」に変更する。
 アレルギー疾患医療を受けながら、本人又はその家族が就労を維持するとともに、本人が就学及び学業を維持できるような周知を図る。
 アレルギー疾患を有する者が災害時に特別な配慮を有する「要配慮者」であることを明記する。
 災害時には、公益社団法人日本栄養士会等の関係団体や専門的な知識を有する関係職種の協力を得て、食物アレルギーに配慮した食品の確保等に努める。
 平時及び災害時において、関係学会や医療従事者等と連携し、ウェブサイトやパンフレット等を用いた周知啓発を行うことで、緊急時に備えた準備を促す。
 簡単ではございますが、基本指針の改正の概要については以上となります。
 
○海老澤会長 ありがとうございました。
 これらの改正案の概要について、御質問、御意見ありますでしょうか。今のところ、手は挙がっていないようですが、そうしましたら、私のほうからアレルギー疾患の医療提供体制について、特にアレルギー専門医の問題に関して、最近の情報を皆さんにアップデートしておきたいと思います。
 日本アレルギー学会が現在認定しています学会認定のアレルギー専門医は、内科、小児科、皮膚科、耳鼻咽喉科、眼科を基本領域として、今、全国に約5200名の専門医がおります。日本アレルギー学会が認定しているアレルギー専門医は、日本専門医機構が、基本領域は19領域、専門医機構が管理するということになって動いておりますけれども、サブスペシャルティ領域についての専門医機構の関わりということで、今まで2022年から約4年間にわたって機構と交渉してきました。
 当初、内科の連動研修と一緒に動いたものですから、内科のみを基本領域にという話があったり、皆さんに非常に御心配をかけていたのですけれども、最近、日本専門医機構のほうも、複数領域にまたがるサブスペシャルティ領域に関する指針というものを出していただいて、日本アレルギー学会が今、行っているアレルギー疾患、内科、小児科、耳鼻咽喉科、皮膚科、眼科という複数領域にまたがる専門医というものを少しずつ御理解いただいて、これから実質的な交渉に入って行きます。小児科領域ですと小児アレルギーの専門医が全ての領域を診ている状況があります。成人になると、突然それが臓器別に変わっていってしまって、患者さんも小児から持ち上がるといろいろな科を受診しなければいけないという問題もあります。
 日本アレルギー学会としては、成人領域においてもトータルにアレルギーを診られるような専門医をぜひ育成していきたいと考えているのですが、それは一朝一夕にはいきません。そういう方向をこれから目指して、日本専門医機構と機構認定のアレルギー専門医というものをこれから目指していくということで今、動いておりますので、医療提供体制の基本をなすアレルギー専門医について、一時期、ちょっと御心配をおかけしていたと思うのですが、日本アレルギー学会の理事長を10月まで、私、務めておりますので、現状を簡単に御報告させていただきました。
 ということで、引き続き、専門性をもって、先ほど佐藤専門官のほうから御紹介いただいた医療提供体制の図というものの背骨になってくるアレルギー専門医というものが、基本的に今後も十分役割を演じられるような状況を、ぜひ構築して提供していきたいというふうに考えております。
 私からの情報提供だったのですけれども、先生方から、今の佐藤専門官からの指針の改正案について御意見等はないということでよろしいでしょうか。今回は大きな改定というよりも、若干マイナーな改定にとどめてということで厚労省のほうからお話があったと思いますけれども、既に先生方の御意見が十分反映されているということであれば、これで一応お認めいただいたということで進めていきたいなというふうに考えておりますが、よろしいでしょうか。
 
(首肯する委員あり)
 
○海老澤会長 そうしましたら、今年度の基本指針の改正ですが、皆様の承認をいただけたということで、今回の協議会をもちましてアレルギー疾患対策基本指針の改正案として取りまとめたいと思います。軽微な修正については、会長預かりとして事務局とともに整理させていただきますけれども、そういう方向でよろしいでしょうか。
 
(首肯する委員あり)
 
○海老澤会長 ありがとうございました。
 それでは、令和8年度の基本指針改正についての議論は、こちらで区切らせていただきます。
 これからは、議事3「アレルギー疾患対策政策評価指標の作成について」に移りたいと思います。現在、厚生労働科学研究のほうでアレルギー疾患対策について可視化できるような評価指標を作成していますので、研究の進捗について御紹介したいと思います。まず、奈良県立医科大学の今村先生に「医療計画や政策推進のための指標の作成について」、御紹介いただきます。資料4の説明を今村先生、よろしくお願いいたします。
 
○今村委員 奈良医大の今村です。
 それでは、資料4について説明させてもらいます。私、国が作成しています医療計画や医療構想、政策の関係の指標の作成に多く携わっておりまして、この政策推進のための指標の作成がどのように考えられているかということについて、まずは、その概要を話させていただきたいと思います。
 次のスライド、お願いします。一番大きく関与しているのは医療計画でありますけれども、医療計画は本来、都道府県知事が各地域の医療を担当、司ることになっておるのですが、それに対して、国からも指導・助言を出していくということで、国からこの医療計画に関しての指標の案をお示ししたり、その使い方などについてアドバイスをしている。その原案をつくるための研究班というものを私が運用させていただいているという状況であります。
 その中で、施策をつくるためには、その効果をちゃんと検証しなければいけないということで、PDCAサイクルを回そうということで、そのためにどんな指標をつくればいいですかということを言っております。それが計画策定の趣旨の部分に書かれているものでありまして、では、指標はどんなものですかというのが2つ目のほうであります。医療計画では、指標をアウトカム、プロセス、ストラクチャーに分類して必ず設定してくださいということは言っているわけです。それに併せて、この指標をどう使うのですかというツールとして、ロジックモデルというものを案として提案しているというのが、今の医療計画の状況です。
 次のページ、お願いします。では、どのような指標がつくられているのかというと、まず、左端を見ていただいて、ストラクチャーとプロセスとアウトカムに分けて指標が作成されています。真ん中に急性期のものがありますので、そこを見ていただきますと、まず、ストラクチャーとして、施策として打てるようなものは何かというと、循環器の先生の数とかCCUの数とかがストラクチャーで、それを使ってプロセスとしてどんな評価ができるのですかというと、例えば、ここにある90分以内の冠動脈のカテの実施率というものがあって、最終的なアウトカムは何ですかというと、心筋梗塞で亡くなる方の年齢調整死亡率や、例えば救護のところであれば、救急車が病院に着くまでの時間とかというのがアウトカムとして設定されているということです。
 これは医療計画の指標例としてお示ししているのですが、この指標がどんなふうにつながるのですかというのが次のスライドで考えていることなのですが、指標としては、それぞれ様々な数字をつくっていくわけですが、施策を打ちました。その施策に対して、中間アウトカム的なものが何で、そこの最終アウトカムが何かということをちゃんとつないでいきましょうと。そういう考え方をして、施策と、それを進行管理するための指標というのをつくっていきましょう。そのときの考え方のツールの一つとして、ロジックモデルというのが今、よく使われているという状況であります。
 次のページ、見ていただいて、施策と指標をどうつないでいくのかという模式図なのですけれども、まず、一番左側にあるのは施策そのものです。先ほどでいえば、循環器の先生を増やすためにどうすればいいですかということと、実際に循環器の先生の数をちゃんと指標にしましょうというのが個別施策で、循環器の先生が増えたら90分以内のカテがちゃんと増えているのですかというのが中間アウトカムに当たるもので、そこに対してカテの実施数といったものが指標として入ってくる。それに対して、最終的に死亡率が下がっているのですかとか、実際に施策単位で救護という観点で言うと、先ほどの救急車はちゃんと短い時間で着いたのですかというのがアウトカムになるというような、流れ図として指標をつなぐというのがロジックモデルの基本的な考え方です。
 次、お願いします。このロジックモデルは1対1の関係ということではなくて、たくさんの指標の中から、それが中間アウトカムにどのようにインパクトを与えるのかということを考えながら施策と指標をつくっていくということでありまして、ロジックモデルは、つくっていく課程で施策への理解が深まるというメリットもあります。逆に、医療計画のほうでは、国全体がつくってしまうと、都道府県が本来つくるべきものですので、それでなぞるだけになってしまうと意味がないということで、指標案をお示しして、それで各都道府県で政策が回るようにPDCAサイクルがつくられる。
 その方法として、ロジックモデルというのは優良な方法ですよということが示されているというような関係です。ですから、あくまで政策作成のためのツールだと考えていただいて、ロジックモデルを使っていただくのがよいと思っております。
 次、お願いします。実際に奈良県で循環器計画をつくったときの実例でありますけれども、まず、循環器病の予防や救急搬送とか、医療体制の整備とか、患者支援、リハビリ体制の整備ということが施策として考えられているわけです。これに対して、どんな指標をつくっていきますかということと、その施策をどうアウトカムにつないでいきますかというのがロジックモデルの関係する部分であります。
 次のページ、お願いします。これは実際に奈良県で循環器についてつくられたロジックモデルの全体像ですけれども、ちょっと字が小さいですけれども、まず、脳血管疾患の概念について、初期アウトカム、中間アウトカム、最終アウトカムという形で出しています。医療計画の本体では、これはストラクチャー、プロセス、アウトカムという形ですが、考え方としてはほぼ同じものと整理しています。
 それをどんなふうに置いているかというと、例えば循環器の先生の数とかであれば、前の計画のときに奈良県はどんな目標で、実際どうだったか。それに対して全国はどうだったかという数字が書いてあって、それに対して、今回は第2期ですので、第2期の今の奈良の状況、目標、そして全国の状況というのが並んで、これを進行管理できるようにしている。それで、施策そのものがどれだけ進みましたかということに対して、これは循環器ですから脳外の先生とかの数ですね。それに対して、施策のほうでは、脳外のほうですと、クリッピングの数やコイルの挿入術がどれだけ行われたかというようなことが書いてあって、最終的に年齢調整死亡率を下げることができましたかとか、健康寿命が伸びましたかということがアウトカムに設定されているというものです。
 次、お願いします。同じような形で心血管疾患についてもつくられていまして、先ほどの脳神経内科的な部分が、こちらは心臓の循環器内科、心臓外科といった分野に置き換わるということです。例えば、こちらのほうですと、最初の段階で循環器の専門医の数や、それに対して90分以内のカテ実施率というのが中間アウトカムになっていて、最終的には年齢調整死亡率がアウトカムになっているというような形です。
 次、お願いします。全体のまとめとして、まず、政策推進のためには指標をつくることが重要で、この指標はPlan・Do・Check・ActというPDCAサイクルを回していくということが望ましいわけで、これのためにつくっております。
 医療計画では、SPO(ストラクチャー、プロセス、アウトカム)のような設定をしていますが、そういう概念は必ず必要になってきます。
 ロジックモデルの場合は、アウトカムを初期、中間、最終のような形にしていますけれども、いずれにしろ、施策そのものと、それで生み出される効果ということを考える必要があります。実際の指標の関係をちゃんと理解するためには、つくる段階からロジックモデルの作成にちゃんと関与するべきですし、それをやっていると進行管理の考え方も分かりやすいということになります。
 アレルギーの場合は、まず、全国として指標をつくっていくということであれば、医療計画とは違って、全体像をロジックモデルに示すということも考えられると思うので、そういったことを考慮して、今、研究班でいろいろな検討が進んでいるというふうに理解しております。
 今村から以上です。
 
○海老澤会長 ありがとうございました。
 ロジックモデルというのになじみがない委員の方もおられるかなというふうに思って、今村委員から説明いただいたのですが、各都道府県の医療計画を動かしていくときに1つの指標というものを立てて、それで実際に計画、そして行動に移して進めていくという考え方を、奈良県の事例を示しながら御説明いただいたところです。この時点で何か御質問ありますでしょうか。
 今村先生、1つ私から。今、研究班のほうで指標をいろいろ検討しているところですけれども、例えばがんですと全例登録というのが行われて、指標を決めていくのが比較的やりやすいかなと思うのですが、アレルギー疾患の場合は、どうしても軽症から重症まで幅広いという独特の特徴があるのと。あと、例えばがんですと、5年生存率とか死亡者数とか、そういったものが多分指標になってくるかなと思うのですけれども、そういう具体的な数字を、アレルギー疾患の場合、なかなか出しにくいという側面もございます。
 例えば、ぜんそくでの死亡というのは、昔、1万人近い時代もあったのですけれども、今、非常に減ってきて、1500とか、それぐらいに下がってきている状況で、そういうものも1つの指標になってくるのかなというふうに思うのです。また、アナフィラキシーで亡くなる方というのは、人口動態統計を見ていくと、年間で50~80ぐらいの間を推移しているというような状況で、その辺のデータが改善していくというのも1つの指標かなと思ったのですけれども、具体的にアレルギー疾患の場合ですと、治療とか専門医にかかることによって生活の質がよくなるとか、患者さんのコントロール状態がよくなってQOLがよくなる。
 そういったものが中心になってくると思うのですけれども、その辺をロジックモデルに入れていくときに、アレルギー疾患の場合はどういうふうにうまく当てはめていったらいいのかなというのを、研究班で主導しながら悩んでいたものですから、先生にその点を聞いておきたいなと思った次第です。お願いします。
 
○今村委員 ありがとうございました。
 そこは一番難しい部分だというふうに思っています。医療計画でも、アウトカムの設定というのが最大の問題になっていまして、例えば災害医療や在宅医療ではアウトカムの設定ができていません。それは死亡率とか成果というのが数値化できないからなのですね。ですから、アウトカムは設定できなくても、その途中にやるべきことは決められるというので、SPO型で全部やっているという状況があります。
 アレルギーの場合は、アナフィラキシーの死亡などは死亡統計からある程度拾えるから、できないわけではないと思うのですが、最終的にアレルギーで困っていること、もしくはアレルギー患者の疾病定義というのが一番難しい部分じゃないかなというふうに思っております。ですから、アレルギーと一言で言っても、それこそ眼科、耳鼻科、内科、皮膚科、あるわけで、どこでどんなふうに定義を切って最終アウトカムにつなげていくのでしょうかということの、まず、理屈上の書面上の整理が必要で、それを具体的に数字に落とせますかというのが次のステップだと思います。
 循環器も、最初、JAROADなどで全例登録しようと頑張っていたみたいですけれども、現実はなかなか難しくて、最終的にレセプトからNDBでやるのが全数拾えるからいいのではないかということになりましたけれども、じゃ、レセプトでどうやって心筋梗塞とかを定義するのですかというのが1つ大きな山になったと思います。こういったことを考えてつくっていただくことが重要だと思っています。
 以上です。
 
○海老澤会長 ありがとうございました。
 大変勉強になるというか、これからどういう指標をアレルギー疾患のロジックモデルとして都道府県の医療計画に落とし込んでいくかというところは、すごく重要な点かなというふうに認識いたしました。
 森田先生、手が挙がっているので、お願いいたします。
 
○森田委員 ありがとうございます。成育医療センターの森田でございます。
 ロジックモデルあるいは指標ということが理解できました。
 私からの質問は、この指標というものを、なるべく長く使えて、継続的に評価できる指標として使っていくということが1つ大事なのかなと思うのですけれども、例えば社会情勢の変化とか疾病構造の変化とかで、どうしても指標を加えなければならなそうだとか、あるいは変えなければいけなそうだという見直しが必要になるときもあるのかなと思うのですけれども、ほかの領域等でいわゆる指標の見直しとか、その辺というのはどういうようなスキームで行われているのかというのを教えていただければと思います。
 
○今村委員 御質問ありがとうございます。
 まず、指標の見直しは、6年に一遍、計画の見直しと併せて必ず行われています。その指標のゲートキーパー的な研究班を我々の研究班がさせていただいていまして、じゃ、指標を全部うちがつくっているのですかというと、実はそうではなくて、循環器は循環器、糖尿病は糖尿病で指標を考えるという研究班がそれぞれ動いていると考えていただいてよいと思います。
 その上で、こんな指標を増やしたいという意見はたくさんあるのですが、そうなると一方的に増えていくので、我々の研究班は、どれを落としますかということをやっているので、増やすべき指標を考える部分と、増やし過ぎて都道府県でも管理できなくなってしまうと困るので、その分、落としますということを並行してやっていくことが重要になると思います。それでどんどん入れ代わっていくことで新陳代謝が行われていると思っています。
 以上です。
 
○森田委員 理解できました。ありがとうございます。
 
○海老澤会長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでしょうか。お願いいたします。
 
○大嶋委員 大嶋と言います。
 先ほどの説明で、以前、県の地域医療計画の策定会議に参加していましたが、会議で検討していた各項目が、こういう形で決められているのがよく分かりました。
 お聞きしたいのは、都道府県単位の医療計画に落とし込む場合にサンプル数のボリュームがある程度ないと、他県と比較することが困難になってくると思います。ある県で、ある指標が他県に比べ非常に劣っている場合、劣っている部分を改善するため、県の施策として予算も動くかと思います。他県と比較できるようなある程度のサンプルボリュームが確保できるような指標でないといけないと思いますが、どれくらいのボリューム数を想定したほうがいいという、おおよその目安はあるのでしょうか。
 
○今村委員 ボリューム数という意味では、統計的な意味と現実に役立つかというような問題があると思います。まず、公式な統計としては、患者調査や死亡の全数調査がありますので、こういったものは事実に近いものなので、これは使えるのではないか。ただ、医療の現実という意味では、それこそ鳥取県と東京都では全然違ってくるので、これを同列に扱うことは難しいです。すると、日本全体の全数を見るという意味では、レセプトのようなもので拾えるほうがありがたいという話になります。
 特に、都道府県は、さらにそこから二次医療圏や市町村という単位に落としますので、市町村までになると500人の町とかが普通にありますので、そうなってくるとボリューム自身は意味がないということになります。医療計画では、二次医療圏ぐらいが大体限界という状況で今、指標をつくっていまして、それでも小さな二次医療圏だと数字がかなり少な過ぎて出せませんというものが出てきていますので、都道府県単位でつくれるということがまず必須で、その次に、可能なら二次医療圏ぐらいまでは欲しいですというのが今の指標作成の状況だというふうに思います。
 あと、逆に国全体でつくるときには、ブロック1つ当たり大きな拠点というのが考えられるのですが、都道府県で計画をつくるときに隣の県につくるという計画はつくれないので、県単位のときには県をまたがる計画というのはなかなか難しいというのも、県でつくるときの問題点だというふうに理解しています。
 以上、お答えになっているでしょうか。
 
○海老澤会長 ありがとうございました。
 大嶋先生、よろしいでしょうか。
 
○大嶋委員 ありがとうございます。
 
○海老澤会長 ほかに御質問ございますか。
 なければ、続きまして、私の、今、厚労省の研究班において、アレルギー疾患の政策指標案作成研究の進捗について説明させていただきたいと思います。今の今村先生のお話をベースにして聞いていただけると、多分理解が深まるのではないかなと思います。
 それでは、早速、スライドのほうをお願いいたします。アレルギー疾患対策についての評価指標作成について、前回の協議会でも話題に上がりましたが、昨年度から私どもの厚労科研の中で評価指標について検討を行っておりますので、その進捗について、一部御紹介したいと思います。
 私どもの研究班では、アレルギー疾患に関する行政施策の評価に資する研究という課題で、可視化された指標の作成を目指しております。アレルギー疾患対策における分野から現状と課題点を上げて、情報提供や医療提供体制、研究、その他の分野などについて整理し、指標が置けるものについて検討しています。最終的には、先ほどの今村先生の御説明にあったように、ロジックモデルの考え方を利用して、基本指針の評価につなげられるように整理されたものにしたいというふうに考えております。
 次のスライド、お願いします。研究班の中では、このように分担班に分かれておりまして、医療提供体制、情報提供・普及啓発、研究の3分野について研究を進めております。
 情報提供についての調査というのは、厚労省と日本アレルギー学会で共同で運用しているアレルギーポータルをより分かりやすく進めていくということに注力しておりますし、あるいは情報提供の在り方が、例えばがん疾病対策などと比べて、どういう状況に情報提供が活用されているかなどとも研究調査を行っています。
 研究に関しては、10か年戦略の整理とか研究領域における評価指標の検討、アレルギー疾患における疾病負荷評価の検討などを行っておりまして、医療提供体制に関しては、政策評価指標案の作成を中心にしながら、現在の医療提供体制でアレルギー疾患の疾病構造の変化を受けて、食物アレルギー、特に小児期の医療提供体制は、2006年に診療報酬化というのが実現した後に負荷試験が全国に広まって、今、世界に誇るべき医療提供体制なのですね。
 ところが、15歳を超えた途端に突然何もなくなってしまうという状況がございまして、経口負荷試験の診療報酬も取れない。そして、実際に成人領域までキャリーオーバーしていった方の食物アレルギー、アナフィラキシーを診てくれるドクターが十分確保できていないということも、都道府県拠点病院との面談なども行ったときに、ほとんどの都道府県からそういう訴えがございました。
 日本アレルギー学会が運用しているポータルにおいて、食物アレルギー研究会のほうで、全国の成人領域も診てくれるドクターのリストというのも、今、ウェブサイトに公開しまして、約700名の先生方が協力していただいています。ただ、その場合には、単にエピペンの処方だけとか、そういう先生方も含まれてきますので、本当の意味で小児から成人までの全人的に食物アレルギーのことを診てくれる医療提供体制ができていないという状況が、問題点として今、クローズアップされている状況です。そのような研究体制を、この基本指針の見直しに資するアレルギー疾患政策評価指標案というのを、この3つの領域からつくっていこうということで、今、検討を進めているところです。
 次のスライド、お願いします。先ほど今村先生のほうから、都道府県の医療計画というのは6年ごとに改正されて進んでいくという話があったと思いますが、現在は第8次の医療計画で、令和6年から11年度ですね。次が第9次の医療計画ということになっていきます。アレルギー疾患対策基本法には、指針の改正というのは5年ごとに変えていこうということになっているのですね。ですから、5年と6年で、アレルギー疾患対策のほうも各都道府県で医療計画に絡めて進めているという都道府県が結構あるのですね。
 ですから、5と6が交わってくるところというとなかなか難しいわけでありまして、それで今回は指針の改正に関してはマイナーな改正にとどめて、今後、指標というのをきちんと立てて、医療計画などにがんとか循環器といったようなものと同じような形で、アレルギー疾患対策というのも都道府県レベルで進めていけないかという考え方がベースにあります。
 次、お願いします。今、研究班のほうで、分野ごとにアレルギー疾患の政策評価指標というのを、まだ素案の段階ですけれども、検討しているところです。アナフィラキシーによる死亡者数というのは、人口動態統計のほうできちんと毎年出てまいりますので、こういう指標というのは、年間50から80ぐらい、変動はございますけれども、これを減らしていこうというのが1つの国全体としての取組としても重要なものになってくるかなと思って、今、アレルギー学会でもアナフィラキシーによる死亡者数を減らしていこうということを委員会で、そして厚労科研の研究班でも取り組んでおります。
 2番目が、人口動態統計による気管支ぜんそくによる死亡者数、これも比較的取りやすい指標だと思います。
 あとは、国民生活基礎調査によるぜんそくの有病率、さらにアトピー性皮膚炎の有病率、アレルギー性鼻炎の有病率、都道府県拠点病院調査におけるアレルギー疾患の有病率。これは今、伊藤先生、以前、厚労省に在籍した方が長野こどもで中心になって行っているような、全国都道府県拠点病院の職員の方々に協力いただいて、そういうアレルギー疾患の有病率を3年に1回出していこうということで研究班が動いています。
 このような疫学情報、そして疾病情報に関しては、こういうものが1つの指標になってくるかなというふうに考えております。
 次、お願いします。診療実態・医療提供体制、これは先ほどNDBという、レセプト情報からビッグデータを取り出してきて見ていくということで、レセプトベースなのでいろいろな問題点はあるのですけれども、例えば患者調査の方からは、気管支ぜんそくの外来受療率とかアトピー性皮膚炎の受療率、アレルギー性鼻炎の受療率というのは出すことができます。
 あと、NDBからは舌下免疫療法の実施患者数とか、スギとダニがありますけれども、そういったものも取り込むことができます。
 あと、エピペンの処方を受けている患者数、将来は点鼻のネフィーというのも対象になってくるかなと思いますし、あとは、生物学的製剤を使用しているアレルギー疾患患者数といったものも、ぜんそく、アトピー性皮膚炎などで明確に取り出していけるのではないかなと考えています。
 このように、NDBというのは非常に有効活用していけそうなのですけれども、これは今、長尾先生のところが中心になって、こういうものを動かしていただいているので、そういう研究班が継続していかないといけないという状況がございます。
 次、お願いします。医療提供体制、これは個別疾患ですけれども、即時型食物アレルギーによる健康被害に関する全国実態調査ということで、これは消費者庁の委託を受けて行っている、3年に一度、我々の施設が中心になって、全国の約1000名のボランティアの先生から実際に健康被害のデータを集めているのです。これは今、年間で6000ぐらいの症例数が上がってきております。これは3年に一度行っていて、これをベースにして食品表示を適正化していくということに今、つなげているのですけれども、古くは、奇遇なのですけれども、今村先生と私の接点はそこから始まっています。
 今村先生が厚労省の食品安全部にいたときに、私が研究班で今村先生と深夜、顔を突き合わせてアレルギー表示をどんなところにかけていくか、あるいはどういう基準でやっていくかとか、いろいろなことを今から26年前ぐらいに、まだ2人が若かった頃にやっていたものがスタートで、その後、3年ごとに、消費者庁に移ってきたのですけれども、我が国ならできることであって、世界でこんなことをやっている国はどこにもないですね。食品表示がデータに基づいてきちんと適正化されていくという、非常に重要なデータですけれども、これも継続して行っていくのに十分価値がある指標じゃないかなというふうに考えています。
 あとは、即時型食物アレルギー搬送患者のうち、アドレナリンが投与された患者の割合ということで、これはアドレナリンを適正に使用していくというのは、患者さんのためらいとか周囲のサポートの方々、学校の先生とか保育所の方がためらってということが今、背景にありますけれども、そういうことが適正に使っていけるように改善していくということが啓発を通して変わっていく可能性というのもあるのかなと思います。
 あとは、ショック症状を認めた患者の割合というのも同じように出すことができて、あとは、原因食物の上位10品目です。今、2026年の調査を行っているのですけれども、今まで日本は卵、牛乳、小麦というのが三大アレルゲンと言われていましたけれども、前回の調査で卵、木の実類と来たのです。今回は、ひょっとするとナンバー1に木の実類というのが来るかもしれないという時代を迎えてきております。2026年の調査がどういう結果になるかということも非常に重要になってきます。
 なので、消費者庁関連のいろいろなもの、ショック症状を引き起こした原因食品。これはマカダミアとかカシューナッツというのが、全健康被害の症例数の中でアナフィラキシーショックまで行く方というのは、そういうナッツ系が多いのです。そういった情報は非常に有効なので、これは消費者庁のほうから研究費を提供してもらって、我々、進めているのですけれども、ドクターには謝金を一切払わず、ボランティアでやっていただいているのですね。それが実際続けていけるかどうか、継続可能性があるかどうかということも今後検討していかなければいけないなと思っています。
 次、お願いします。医療提供体制の、その次は学会情報、自治体の取組ですけれども、これは私が運営している食物アレルギー研究会のホームページで、経口負荷試験の小児から成人の全国の実施施設のデータというのが取れます。
 あとは、成人の食物アレルギー診療対応可能な施設数です。
 あと、日本アレルギー学会のアレルギー専門医数、これも毎年アップデートしていけますし、都道府県別のPAEとCAIというのは、コメディカルのアレルギー診療をサポートしてくれる看護師さん、管理栄養士さん、薬剤師さんの人数というのも1つ重要な指標になってくるかなと思いますし、都道府県の医療連絡会議の実施率は、各都道府県のアレルギー医療提供体制の状況です。
 それと、講習会というのを都道府県で各医療者向け、学校職員向け、保育士向けで、拠点病院が中心になって開催してくれているかどうかというのも、自治体の取組として指標案としていいのかなと考えています。
 次、お願いします。先ほど今村先生に私が質問させていただいたのですけれども、がんとかみたいに、死亡者数をいかに減らすかといったようなことに、アレルギーの場合、ダイレクトにつなげていくのがなかなか難しいということで、具体的に今、挙げたものは比較的やりやすいのですけれども、アレルギーの診療の質を改善していくということは、患者さんの生活の質を改善していくというのがアウトプットとして一番大きいのですね。それをこのロジックモデルにうまく当てはめていくというのが、多分、本来は求められることなのかなと思うのです。
 その辺、今後、厚労省のほうと、アレルギー疾患対策、このロジックモデルを使っていくときにどうやって具体的に進めていったらいいかというのを、今後、研究班、また今村先生なんかにも相談しながら進めていきたいなと考えています。指標案はまだ案の段階なので、決して決まったものではないので、今回、簡単に説明させていただいて、これをお見せして、また先生方からもぜひこういうものをやったらいいのではないかという御意見があればお伺いしたいと思いますし、今村先生の話と併せて、ぜひ活発な御議論をお願いしたいなと思いますが、いかがでしょうか。
 私からの発表は以上になります。
 今村先生、何かちょっとコメントございますか。
 
○今村委員 ありがとうございます。
 先生とのなれ初めも言っていただきまして、25年ほど前に真夜中の2時、3時に厚生省で会議していたのが懐かしい限りで、私、今、内閣府の食品表示部会長をやっておりますので、アレルギー部会長を先生がされていて、私が表示部会長をしているのも何かの御縁だと思いました。
 今、指標の作成で、1点、注意事項としてお話ししたほうがいいかなと思ったのは、先ほどのアレルギーの患者さんのアウトカムが難しいということに関連するのですが、例えば国民生活基礎調査から上がってくる有病率というのは、患者さんの自称の数字なのです。ですから、自称アレルギー性鼻炎という方と、ドクターから診てアレルギー性鼻炎というのは大分違うのです。今までも、例えば糖尿病の患者さんや、そのほか医療計画で使う数字を見ているとかなりずれるのです。疾病によって、かなり違います。
 逆に、難病のように難しい病気だとそんなにずれないのですけれども、アレルギーのように、私、アレルギーだと言った時点で自称になってしまうという場合は、どれぐらいずれるかということの検証も必要になってくると思うので、アレルギーの患者さんとは何かということを最初に詰めていただく必要があるのかなと思いました。
 追加としては以上です。
 
○海老澤会長 大変大切な御指摘、ありがとうございます。
 アレルギー疾患対策というものが、アレルギー疾患の中でどういう患者さんを対象にしていくかということも非常に重要な点でありまして、今まで、例えばぜんそくに関して言えば、非常に重症な方、そして亡くなるような方をどうしていくかということをメインにやっていた時代もありますし、アトピー性皮膚炎でも引き籠もってしまって職業にも就けなくてというような方々をどうやって救っていくかという時代もありましたけれども、今、生物学的製剤、分子標的薬といったものが出てきて、小児から成人まで含めて、ぜんそくの本当に重症な方、入院が必要な方は本当に減ってきています。更にアトピー性皮膚炎の患者さんにおいても分子標的薬とかが出てきて、疾病構造がすごく変わってきたなというのを目の当たりにしている状況があります。
 ですから、今後、アレルギー疾患対策のターゲットというか、どこに絞っていくかということも、この指標の作成において重要かなと私も考えておりまして、アレルギー疾患は、クリニックから拠点病院、そして都道府県拠点病院、中心拠点病院まで幅広く診ていかないと対応できないくらい患者数が多いわけですね。ですから、そこのところで、このアレルギー疾患対策というのは、がんとか循環器の深刻な疾患と、対策の仕方はおのずから違ってくるかなと思っております。大変重要な御指摘ありがとうございました。
 森田先生、お願いします。
 
○森田委員 ありがとうございます。成育医療センターの森田です。
 今、海老澤先生からコメントございましたとおり、アレルギー疾患はすぐ治るという病気ではなくて、慢性疾患ですので、どうしても数が変わるというのはそんなに短期的には見えない疾患なのかなと思うのですね。そう思いますと、患者さんがどれだけ困っているか、あるいは症状がどれだけつらいか、あるいは就労もそうですし、いろいろなものでどれだけ困っているかという指標をつくっていくということが大事なのかなと思いながら、我々の研究のほうのスキームの中では、疾病負荷をどうやって評価するかということを今、考えているところです。
 そこでちょっとお伺いしたいのは、がんとか、ほかの領域も含めまして、患者さんの数ではなくて、患者さんの困り度合いとか患者さんの負荷、疾病による負荷をどれだけ評価指標に用いられたりするのかなというのを、もし御存じでしたら、先生方、教えていただければと思います。
 
○海老澤会長 今村先生、よろしいですか。
 
○今村委員 分かりました。患者さんがどれだけ困っているのかというのはものすごく難しい問題で、実際にはほとんどが取れていないです。では、循環器とかでどんなことが考えられるのかというと、亡くなる病気は健康寿命というものが考えられていまして、一般的に介護度2以上に上がった、もしくは死亡の合計というのでNDBと言われるもので出せるのですね。ですから、死亡につながるようなもので健康寿命が尽きるようなものについては、ある程度そういう指標が質の指標としてはつくれるのですが、アレルギーの場合は困っているという話なので、これはまた人によっても困り方が違うでしょうし、そもそもちゃんとアトピー性皮膚炎という診断がついて困っているのか、そう思っている人が困っているのかということの区別もつかないと思うので、根本的な問題の部分があると思っています。
 以上です。
 
○海老澤会長 ありがとうございました。
 森田先生、よろしいですか。ここは本当に難しいところだと思うのですけれどもね。
 
○森田委員 ありがとうございます。理解することができました。
 
○海老澤会長 ほかは御質問、御意見等ありますでしょうか。
 手が挙がっておりますが、増田先生、お願いします。
 
○増田委員 ありがとうございます。お願いいたします。
 大変勉強になりました。とても大切なことだと感じました。ただ、本当におっしゃるように、アレルギーは数が多い。特に、アレルギー性鼻炎なんかはとても数が多いですし、そもそも医療機関に来ていない方たちも多いわけで、その辺、医療機関に来ている人、それから、来ていなくても自分で重症だと思っている人。その辺りをどうやって統計として持ってくるのかというのは、大変難しいことであると思います。
 目標として、アレルギー性鼻炎にしても、疾患を施策によって減らすということを目的に置くというのもなかなか難しいことであって、重症である、困っている人を減らす。それを何か指標にメインとして持ってこられればいいのではないかなと感じました。大変難しいけれども、重要なことだと思いました。ありがとうございます。
 
○海老澤会長 ありがとうございます。
 先生のおっしゃるとおりで、有病率を減らすというのは到底難しい話で、一朝一夕にはできない。そして、さっきの困っている度合いをどうやって調べるかということも非常に大きな課題で、これから時間をかけて検討していかなければいけないなと思った次第です。
 続きまして、伊丹委員、お願いします。
 
○伊丹委員 ベネッセコーポレーション ひよこクラブ編集部の伊丹と申します。よろしくお願いいたします。
 私どもは0歳代、1歳代ぐらいの子どもがいる読者といつも接しているのですけれども、食物アレルギーに関する質問が非常に多くて、そういった情報提供がもっといろいろ行政から一般の方へされたらいいのではないかなと思ったりしているところです。先ほどの指標の中に、都道府県から保育士さんへの講習会を開催したといった指標があったのですけれども、そういった指標の中に、例えば都道府県で子育て中のママ・パパたちへの講演会をやっているとか、そういった指標をつくるのはどうかなと思いました。対象が一般の方というのは難しいでしょうか。
 
○海老澤会長 多分、それは可能だと思います。一般向けの講演というのも都道府県拠点病院で行うということは責務の一つでありますし、患者さんの理解を深めていただくということはすごく重要だと思いますので、ありがとうございます。
 続きまして、矢上先生、お願いします。
 
○矢上委員 ありがとうございます。藤田大の矢上でございます。
 NDBの生物学的製剤を使用しているアレルギー疾患患者数というのがあるのですけれども、今、この時代で思うところは、医療費を考えると、それが使われるだけでいいのではなくて、適切な人に使われて、そして使わなくても治せるとか、そういう指標というか、そういうものもないと、医療費だけどんどん広がっていくというような、違うかもしれませんけれども、もう一歩行って、もちろんPAE、CAIとか、ちゃんと診療する専門職としての都道府県拠点病院だったり、専門医がどう診療しているかというところがどうにか見えてこないかなと思い、ちょっと発言させていただきました。バイオとかJAKが使われることがいいのではないと私は思っていますので、そういうところもお願いできたらと思います。ありがとうございます。
 
○海老澤会長 一方的に増えていくだけというわけではなくて、本来だったら医療経済学といって、医療費を使った上で実際に患者さんがよくなっていくということをいかに効率的に行っていくかということが重要だと思うのですが、我が国では医療経済学の分野というのは、まだ欧米ほど発展していないと認識しておりまして、先生の御指摘はすごく重要だと思うのですが、それをいかに具現化していくかというのがすごく難しいなと思った次第であります。
 今、課長が到着されたので、課長から一言御挨拶いただきましょうか。
 
○岩崎課長 8月1日付でがん・疾病対策課長を拝命いたしました岩崎と申します。
 本日は、アレルギー対策基本指針改正の取りまとめに皆様、御協力いただき、本当にありがとうございます。振り返れば、二十数年前に海老澤先生と西間先生にお世話になりまして、今、ここにおりますが、再びアレルギーの政策のところに戻ってこられたこと、非常にありがたく思っております。ぜひ、今後も引き続き頑張ってまいりたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 
○海老澤会長 ありがとうございます。
 二十数年前という話がありましたけれども、たしか2003年だったかなと記憶しておりますが、文部科学省の会議で、日本で初めてアレルギー疾患に関する、公立の小中高の学校に在校しているお子さんたちのアレルギーの全国調査をやるというプロジェクトの担当だったのが岩崎課長で、そこに私が出ていって意見を話しました。そこで、ちょっとだけ脱線した話をすると、文部科学省はもともとぜんそくとアレルギー性鼻炎とアトピー性皮膚炎の調査をしようと考えていました。
 ところが、2003年だったので、もう既にエピペンはハチ毒に対して入ってきていて、その先に小児に適応が広がって、食物アレルギーにも広がってくるという時代背景があったのですが、そこで食物アレルギーの調査をしないのはなぜですかという話をして、アナフィラキシーもやらなければ駄目ですねという発言を私がしたところ、岩崎さんが私に、先生が調査票をつくってくれればやってもいいですよという話をしたという経緯があったので、そういうつながりでアレルギー対策が始まり、今村先生も岩崎さんも昔からつながっているということで、今日は同窓会をやっているような感じになってきましたけれども、すみません、昔の話をして。
 今、ロジックモデルから指標の話をしていたのですけれども、アレルギー疾患における指標というものをどういうふうにやっていくかというのは、すごく難しいという状況が先生方に見えたのではないかと思うのですね。これから研究班のほうで、さらに厚労省と相談しながらブラッシュアップしていきますが、今まで御意見いただいた中で、さらにそれに加えて御意見があるという方がおられれば、挙手いただくか、現地で今まで聞いていただいていた方々は何か意見ございますでしょうか。大丈夫ですか。
 今村先生、お願いします。
 
○今村委員 今村です。
 先ほどの議論の中で1つ追加したいことがあって、全数を把握するという意味では、NDBや全国の死亡統計を使えばいいのですけれども、数が増えたか減ったかという話でいくと、アレルギー性鼻炎、人口構造が変わっていくので、恐らく減っていくのです。ですから、人口が減っていく中で、その減っていくことが本当に有意に下がっているかということを見ていただく必要があるので、そのために年齢調整死亡率というのを使っているわけですが、実数と、一旦、こういう比率のようなものに変えたものは意味が変わってくるので、実数がどう変化するのかということに対しての対応ということも、指標の作成では非常に重要になってくると思います。
 先ほどの議論にもありました、有病率が分かるということのほかに、罹患率ですね。新しく何人起こったかというようなことも分かりますので、そういう意味では、NDBとかの場合はエピペンを使った人とか処方された人というものが罹患率として分かる点もメリットだと思いますので、そういったことも今後の指標作成のときには参考にしていただけると、より踏み込んだ指標になるのではないかと思いますので、追加させていただきました。
 以上です。
 
○海老澤会長 ありがとうございます。
 多分、人口が減ってくるということだけではなくて、子供が減ってくるとか、年齢ごとにどういう分布になってくるかとか、その辺も配慮して検討していかなければいけないのかなと思います。ありがとうございました。
 ほかはよろしいですか。
 そうしましたら、以上で我々が用意していたところは終わりなのですけれども、最後に、参考人の西間先生、こういう新しい動きを踏まえて、先生から御意見いただけたらと思いますが。
 
○西間参考人 今回は、最初に私、ちょっと話しましたように、熊本の地震で10年前に大変だったのが、日本栄養士会がこれほどの能力を今、維持して、かつ拡大して、そして何日かたって、すぐ熊本のほうから、いや、栄養士会がちゃんと動いていますよというので、熊本の担当の小児アレルギーの医師に、何か手伝えることないと言ったら、十分やっているみたいですよというぐらいに、ああいう災い、天災というのは忘れた頃にやってくるのが、全然忘れないでしっかりとやられていることに本当に感心しました。
 私の世界では、担当者、責任者はすぐつくるのです。それから、いろいろな組織はつくるのですけれども、10年たったら誰が何かも忘れるという、非常に息の長いこういう取組ができているというのは、これはアレルギー全部の中にもしっかりと定着させなければならないなと思いました。
 それと、指標は僕、本当に難しいと思います。数値化することは極めて困難だと思うのです。でも、それをしないとほかの人たちが理解してくれないし、それぞれの土地での比較もできない。死亡のことが出てきましたけれども、私が医者になったときの死亡は、会長も言われましたように、1万人とか、それに近いような死亡があった時代に医師になって、今は5歳から34歳ぐらいまでをぜんそく死の指標としてつくるのですけれども、数人なのです。だから、指標足り得ないという時代が今は来てしまいましたから、指標をつくるというのは本当に大事だけれども、極めて困難なことだなと思うのです。
 それと、今後、こういうふうにしてやりますよという説明がありましたけれども、僕はもうそれで結構だと思ったのだけれども、その中でも少し詳しくしないと、ちょっといじりました。いじるのがなかなか難しいので、いじったのですということになりかねないというところが少しありました。
 それはアレルギー疾患対策基本指針の改正案の概要の2ページの第三 アレルギー疾患医療を提供する体制の確保に関する事項の中のマル3の、アレルギー疾患患者が診療科を横断して継続した医療を受けることができるよう、都道府県拠点病院を中心とした診療連携や情報提供等の体制を整備する。これは極めて重要な、そして我々が今までも随分やってきたけれども、なかなか実が上げられないところで、これは非常に大きなポイントです。改正案の概要の中に入れてもらっていますので、これをしっかりと具体的なものに落とし込むようにやっていただきたいなと思いました。
 以上です。
 
○海老澤会長 非常に重要な御指摘と、また栄養士会の活動に対するお褒めの言葉、ありがとうございました。
 それでは、本日用意していた議事次第、全て終了となりましたので、進行を事務局にお返しいたします。
 
○佐藤専門官 海老澤会長、ありがとうございました。
 また、本日御承認いただきました基本指針の改正案に沿って、今後、作業のほうを進めてまいりたいと考えております。引き続き、アレルギー疾患対策への御理解と御協力のほど、よろしくお願いいたします。
 以上で本日の協議会を終了とさせていただきます。委員の皆様方におかれましては、長時間にわたり、誠にありがとうございました。