第140回労働政策審議会障害者雇用分科会(議事録)

日時

令和8年7月24日(金)16:00~

場所

オンライン・対面による開催(中央合同庁舎第5号館 専用第22~24会議室(18階)東京都千代田区霞が関1-2-2

議事

○山川分科会長 それでは、定刻になりましたので、ただいまから「第140回労働政策審議会障害者雇用分科会」を開催いたします。委員の皆様方、お忙しいところ御参加を頂きまして、大変ありがとうございます。本日は、倉知委員、大喜多委員、新田委員が御欠席となります。新田委員の代理として日本経済団体連合会労働政策本部統括主幹阿部博司様においでいただいております。よろしくお願いします。会場には、影山委員、河崎委員、神成委員、菅村委員、大岩委員、田中伸明委員、新田委員の代理の阿部様がお越しです。新銀委員は途中からオンラインで御参加と伺っております。本日の分科会は、Zoomによるオンラインでの御参加と会場からの御参加の両方となっておりますので、開催に当たりまして、事務局から説明がございます。
 
○岡田障害者雇用専門官 事務局です。本日も、多くの委員にZoomを使ったオンライン参加を頂いております。開催に当たり、簡単ではありますが、オンラインについて操作方法のポイントを御説明いたします。本日、分科会の進行中は皆様のマイクをオフとさせていただきますが、御発言をされる際には、画面上の「手を挙げる」ボタンをクリックし、分科会長の許可があった後に、マイクをオンにしてお名前を名乗ってから御発言いただきますようお願いいたします。Zoomの操作方法については、事前にお送りしましたマニュアルを御参照ください。会議進行中にトラブルがありましたら、事前にメールでお送りしております電話番号まで御連絡いただきますようお願いいたします。
 なお、通信遮断等が生じた場合には一時休憩とさせていただくこともありますので、御容赦くださいますようお願いいたします。オンライン会議に係る説明については以上です。
 
○山川分科会長 それでは議事に入ります。カメラの頭撮りがありましたら、ここまでとなっております。では、議題に入ります。本日の議題は議事次第にございますように、1、障害者雇用の「質」について、そのうち○1として障害者雇用の「質」の規定、○2「質」の向上に向けた事業主の認定制度及び認定に対するインセンティブの在り方についてとなっております。議題2がその他になっております。
 まず、議題1について事務局から説明いたします。その後、委員の皆様から御意見を頂きたいと思います。では、事務局からお願いします。
 
○河村障害者雇用対策課長 資料1です。2ページが全体の目次になっております。一番最初に、障害者雇用の「質」の規定ガイドラインについて、それから、これまでの議論の振り返り、また、今回の議論事項に関する資料を付けています。2番目、事業主の認定制度、認定に対するインセンティブについてとして、これまでの議論の振り返りと今回の議論事項に関する資料を付けています。43ページ以降に、本日御議論いただく論点を添付しています。
 3ページです。この障害者雇用の「質」を巡る議論のこれまでの経緯です。これは前回改正の令和4年当時の本分科会の意見書です。内容として、冒頭の辺りですが、障害者雇用に関して、やはり雇用者数、数の面で着実に進展しています。他方で、能力発揮をして活躍するというよりも、数の確保を優先するような動きが見られる。今後、数に加えて、お一人お一人が能力発揮して活き活きと活躍していける方向性を目指していくことが重要だと議論がされています。
 4ページです。その経緯を踏まえて、前回、令和4年の改正において、一番下の赤字の部分ですが、第5条の事業主の責務規定の所に、能力開発向上の措置ということが盛り込まれたところです。こうした第5条の改正も経た上で、今の総則の部分の5ページの規定になっています。まず、第3条で、この障害者雇用促進法の基本理念として、障害のある労働者の方が経済社会を構成する労働者の一員であるということが明確に位置付けられた上で、その能力発揮の機会を与えられるべきである。それを受けて、第5条、事業主の責務規定ですが、障害のある方の能力を正当に評価して、それにふさわしい適当な雇用の場を設けていくということと、さらに、適正な雇用管理や能力の開発向上等が位置付けられた上で、それらの措置によって雇用の安定を図るように努めなければならない。この雇用の安定に関しては、正に第1条にあります法全体の目的でもあります。
 6ページ以降が、前段の検討を行ってきました研究会の、今年2月にとりまとめられた報告書の該当部分の抜粋です。こちらの四角の囲みの中ですが、まずこの障害者雇用の「質」として、今後、特に重視していくべき要素として、1番から5番までが掲げられました。枠の一番下ですが、こうした「質」として特に重視していくべき中心要素については、法令で明示してはどうかということで議論をしてきました。
 続いて7ページです。こうした法令で明示していくということに対して、まず、事業主が目指していくべき方向性を明確に示す上で必要であるという御意見があった上で、真ん中辺りの赤字の部分ですが、この「質」として重視すべき要素について、事業所の規模によって可能な取組も異なるので、中小企業の実態を踏まえた検討が必要であるという御意見。また、これを法令上に明示していくということになると、一定の高いハードルを示すことにもなる。これから雇用に取り組んでいこうという事業主を萎縮させることにつながりかねないということから、慎重に検討すべきという御意見もありました。こうした御意見も踏まえた上で、次の○の所ですが、法令上の規定の仕方として様々な選択肢を取り得るため、事業主を萎縮させない形でどう規定できるかを含めて検討すべきだという御意見も頂戴しました。
 続いて8、9ページは、この4月、5月に本分科会で行ったヒアリングの中での御意見です。次の10~12ページは御報告になります。この間に行われました成長戦略の労働市場改革分科会のとりまとめを付けています。この労働市場全体のこの議論の中でも、冒頭の所ですが、2040年ぐらいまでのこの人口推計を視野に入れたときに、今後、生産年齢人口が急減していき、労働力の供給制約が厳しさを増していくという、こうした労働環境の中で、3番ですが、女性、高齢者、障害者等が例示に挙がった上で、いろいろな形で制約を持ったり、いろいろな事情を持つ方々についても、しっかりと労働参加を促して活躍していける方向性を目指すことが我が国にとって必要だということが議論された上で、11ページの一番下の3番、右下の所ですが、改めてこの障害者雇用の「質」の向上等について、位置付けがされました。
 続いて13ページ以降が、様々な法令で告示として示しているガイドラインの例を付けています。告示で示しているガイドラインの中にも、法的拘束力の強さ等において濃淡がありますが、冒頭に付けています同一労働同一賃金ガイドラインの例は、比較的強い性質の例として付けています。こうした告示の持っている効力の強さに関して、何が決め手になってくるかというところが、一番上の欄の法令上の根っこの規定が義務規定として置かれているのか、それとも努力義務規定として置かれているのかがあるかと考えております。
 こちらの短時間・有期労働者の雇用管理の改善に関する法律につきましては、第8条の不合理な待遇の禁止規定で、基本的に正規の方と非正規の方の間における待遇について、不合理と認められる相違を設けてはならないという禁止規定が置かれた上で、その規定の施行等に関しての必要な指針として、指針の根拠規定が置かれまして、その根拠規定に基づいて、一番下の欄ですが、告示として示しているガイドラインの一部をここで抜粋しております。
 ここには、通常の労働者、正社員と同一の能力を持っている短時間・有期の非正規の方については、能力・経験に応じて、その部分について、通常労働者と同一の基本給を支給しなければならないとされていますが、ここで「何々しなければならない」とされているものについては、告示で出している規定の違反が、すなわち第8条の法律の根拠規定部分の違反に当たるものと判断される性質ですので、法律の根拠規定自体は義務規定で、比較的強い性質になっているものの例になっています。
 続いて14、15ページは、私どもの障害者雇用促進法の中の例として、合理的配慮指針を挙げています。こちらにつきましても、法律の根っこの第36条の2あるいは3は措置を講じなければならないという形で義務規定になっており、その義務規定の適切・有効な実施を図るための指針として、ガイドラインの根拠規定が置かれており、それに基づいて示しているガイドラインが15ページです。こちらも義務規定に関する指針として、指針に定められていることに対する違反の状態というのは、基本的には法律の根拠の規定の違反になるという関係性になっています。同様に、この義務規定の例として、16、17ページでパワハラの指針の例を付けています。
 続いて18ページは、女性活躍推進法の計画の策定指針の例を示しています。こちらの場合も同様に、法律の根っこの規定は計画を定めなければならないということで義務規定でして、その義務規定の具体的な内容を効果的に実施するための指針として、19ページ以降のガイドラインが設けられております。こちらの女活法の策定指針の場合は、20ページの一番下の辺りですが、効果的な取組例として、企業で現に行われているものの中から効果的なものを抜粋して、それを右下の取組例の四角い欄の所ですが、様々にお示ししております。この部分は一部の抜粋ですが、広範な取組例が示された上で、それを参考に、各事業主が実情に応じて必要な取組を検討するというスタイルのものもあります。
 続きまして21、22ページは、外国人の雇用管理指針と、治療と就業の両立支援指針を示しています。いずれも根拠規定となっている根っこの所は、法律上は努力義務規定になっている上で、その努力義務規定に対して、適切に対処するために必要な指針を定めるものとしてガイドラインの根拠規定が置かれ、ガイドラインの記載内容としては、これこれに努めることというような記載や、以下の流れで進めることが望ましいという形で、それぞれの内容を示しているものの例になっております。
 続いて23ページは、今年度からJEEDにおいて進めていただいている雇用の「質」に関する調査研究の御紹介です。先ほどの指針の例の中にも、効果的な取組例を示していくタイプのものがありましたが、そうしたことも念頭に、現在、四角の赤枠の所ですが、企業ヒアリングを進めており、障害のある方の能力発揮等に積極的に取り組んでいる企業における、これまでいろいろと試行錯誤されて到達している効果的な取組を取材させていただいております。こうした調査研究の材料を基に今後、私どもで「質」のガイドラインを示していく際には、材料にしていってはどうかという趣旨で現在進めております。
 続きまして、24ページ以降は後半の議論のパーツです。「質」の向上に向けた事業主の認定制度と、認定に対するそのインセンティブの在り方に関する資料になっています。24ページは、今年の2月の研究会の報告書の抜粋です。今年の2月の研究会の報告書の中では、やはり企業規模にかかわらず「質」を高めていく必要があるという観点で、今、中小企業のみを対象にしている私どもの「もにす認定制度」について、大企業を含む全ての企業を新たに認定制度の対象にしていくとした上で、認定基準を改めて見直していってはどうか。その認定基準の見直しの際は、障害のある方御自身の「質」に対する満足度、ワーク・エンゲージメント等について、障害者御自身の目線を勘案するということや、中心的な要素については達成の必須項目を設けていく。あるいはデータ等の客観的指標を組み合わせるという方向で検討してはどうかとなっていました。
 また、インセンティブの設計のところは、調整金・報奨金、助成金などで経済的な一定のインセンティブを設けてはどうかという方向で議論がなされていました。この点について、枠の下の所ですが、おおむねこの意見の一致があった上で、更新制度等、認定後の検証の必要性の御指摘の御意見であったり、あとは企業規模によって取組可能な方法が異なるという点を踏まえて、大企業と中小企業の基準の設定について、どう検討していくべきかという御指摘。あるいは、既に「もにす認定」を受けておられる中小企業に対する影響も合わせて検討すべきだという御意見も頂戴してきたところです。
 さらに、その認定のインセンティブの在り方の所で、一番下の赤字の部分ですが、実雇用率に算定できるようにする、認定を取得した場合に割増して算定できるようにするという方向性のインセンティブが必要だという御意見も出されている上で、その上の部分ですが、「質」の評価を反映することによって、この雇用の「量」がトレードオフになるような仕組みはよくないのではないかという御意見も同時に出されてきたところです。25ページは、4月と5月のヒアリングでお出しいただいた主な意見の抜粋になっています。
 26ページ以降は、ほかの認定制度の例として、両立支援の「くるみん」、女性活躍の「えるぼし」、あるいは若者の支援の「ユースエール」について、資料を付けています。
 27ページは、「えるぼし認定」の例です。左から2列目の縦の欄ですが、認定基準が並んでいます。「えるぼし」の例では、比較的この定量的な指標を主にした認定基準になっているということがあった上で、一番右の欄ですが、認定を受けた後の更新の取扱いについては、基本的に認定を受けたときの項目について公表を求めています。その公表を怠っている場合や、公表しているその数値が一定期間、基準を下回っている場合に取消しが行われるという仕組みになっています。28ページは、その取消しの仕組みを図示したものですので、御参照いただければと思います。
 続きまして、29ページが両立支援の「くるみん」の認定の例になっています。こちらも認定基準の所ですが、例えば○3のように企業自身が立てた計画に対して、目標を達成しているかどうかということも問うた上で、○5~○8ですが、定量的な指標が多くを占めている状況になっています。
 続きまして、30ページです。こちらの「くるみん」は、中小事業主が事業規模によって満たしにくい基準について特例を設けています。○5の男性の育休取得率ですが、通常の認定基準はその右の欄です。通常の認定基準としては、30%以上ということを求めている上で、この30%を、例えば20%や10%など単純に基準を下げるということではなく、右側の300人以下の場合の特例基準の所ですが、やはり企業規模の小さい会社では、たまたまその年に男性で育休の対象者になるような層がどれだけいるかということは不安定になりえます。そういった特定の指標だけではなくて、(1)~(4)のように子の看護等休暇や労働時間短縮措置など、多様な指標を示した上で、いずれかに該当していればこの男性育休の30%を満たしているものと捉えて判断するという仕組みになっています。
 続きまして、31ページは「ユースエール」の例です。こちらもかなり認定基準としては、定量的なはっきりとした指標を多く設けた上で、こちらの場合は右側の更新の取扱いですが、毎年度、適合の確認ができる書類を労働局にお出しいただいて、労働局で審査をするようなスタイルになっています。
 続きまして、32ページ以降は、こうした認定の取得企業について、国としてそのデータベースでのPRをしているものの例として、「しょくばらぼ」を付けています。33ページに企業の掲載例を出しています。右下に「えるぼし」「くるみん」の認定の取得状況が公表されているところです。
 続きまして34ページ、35ページも同じこの「しょくばらぼ」について、どの範囲の情報を取ってきているかという内容の資料になっています。両立支援あるいは女性活躍、若者の雇用等の広範なサイトから情報を集約して、一覧で見せる形になっています。35ページにありますとおり、「ハローワークインターネットサービス」とも連携をしているので、求職者の方が企業を選ぶときの参考になりやすい形になっているという御紹介です。
 続きまして、36ページ以降が「もにす認定制度」の現行の仕組みの御紹介です。真ん中の赤字の辺りにあるとおり、基本的に最低限の雇用数をもっている上で、広範な取組項目を示して、その広範な取組項目の中から強みとしている所で加点方式で採点をしていって、一定以上の得点に達すれば認定するという仕組みになっています。
 その広範な項目の例が、37ページから39ページに付いています。非常に多岐にわたる項目をお示ししている上で、その中で加点できるところで得点を取っていく。合計点数が20点に達すると認定されるという仕組みになっています。黄色いマーカーを付けている所が、調査サンプルになった会社で、半分以上の会社がそこで得点をしているという項目の例です。特定の項目に偏って得点がなされているところがあります。
 39ページの下半分の所に、典型的な加点の例を付けています。取り分け真ん中の〈成果(数的側面)〉という所です。数の面等で合計で12点まで取れる形になっているので、その上で例えば社長のメッセージ発信のような比較的定性的な取組姿勢があると、そういったものを細かく加点していくと20点に達するような状況になっているという御紹介です。
 続きまして、40ページです。「もにす認定企業」に対して、研究会の中でインセンティブの措置として、調整金・報奨金をかさ上げするようなことで、インセンティブ設計してはどうかということを示してきたものです。同時にこの研究会の中でも、その場合の納付金財政への影響をよく検証してほしいという御意見は頂いてきたところです。今回、一定の仮定を置かせていただいて、もにす認定の企業が、上から3番目の○の所ですが、1人1月当たり1万円加算するとして、仮に「くるみん」ぐらいの認定水準まで認定が広がった場合に、どういう財政影響があるかということを検証しています。
 まず、その前提として、左の下の部分です。納付金財政については、過去5年間の平均では収支差がプラスで16億円が平均の姿です。それに対して、右半分の所が納付金財政に対して1万円加算した場合にどのぐらいの支出増があるのかですが、先ほど御紹介した「くるみん」の水準ぐらいまで広がると、14億ぐらい支出が増えるという形でした。全くできない水準ではありませんが、それなりの財政影響があるという結果になっています。
 続きまして、41ページ以降です。「もにす」の認定を取られている会社に対して、現行、ハローワークがどのぐらいメリットとなるような求人の応援ができているかという資料です。結論として、かなり局ごとのばらつきが大きい状況になっています。私ども本省で統一的な十分な指示が行えていないことによるところがありますが、結果として必ずしもその効果的な求人支援ができているとは限らない現状にあるという御報告です。
 続きまして、42ページです。大企業であったとしても、障害者専用求人だと、かなりハローワークの求人をお使いいただいているという資料になっています。
 続きまして、43ページ以降は、具体的な論点です。まず論点の1点目として、障害者雇用の「質」の向上を通じて、どのような姿を目指していくのか。特に重視されるべき要素は何なのかというところです。43ページは考え方を少し整理していますが、まず1ポツ目です。障害者雇用促進法の法目的が、もともと障害のある方の職業の安定に究極的な目的が置かれている。2ポツ目ですが、こうした職業の安定について、雇用関係の本質である労務提供の対価として賃金を支払うという契約関係だということに立ち返って、企業等の事業活動の中で持続可能なものとして達成していくということを考えますと、まず事業主にとっては、雇用している障害のある方の能力を十分に引き出して、事業活動の中で活躍をしていってもらう。こうした戦力化、活躍促進の側面が非常に重要であろうと。これは裏を返したときに、2番の所ですが、働いている障害のある方にとっても、自身の持てる能力をしっかりと高めて、十分に活かすことができる。事業活動に対しても貢献できて、それを実感できる。こうした成長、やりがい、貢献実感につながっていくものであって、この1番と2番の関係性は表裏の関係性にあって、循環していくような関係性にあるのではないかということを記載しています。
 44ページですが、まず1ポツ目の所は別の側面ですが、従来、研究会の報告書で特に重視されるべき要素として5点お示ししています。本分科会のヒアリングの中でも、こうした取組をしっかり進めていくための土台としては、経営層が十分に理解をした上で、組織的、継続的に取り組むための体制整備が非常に重要であるという御意見が出されてきたところです。これは大変重要な点ですので、6番目の項目として位置付けてはどうかということが、下の図示したものの中でも一番下の土台の部分に、この項目を入れています。
 さらに、1番から6番までの項目間の関係性の考え方の整理として、事業主にとってその能力発揮の十分な促進、あるいは能力発揮の成果を事業活動に十分活用ができているという戦力化、活躍促進が図られている状態が、障害のある方にとっては自身の成長、やりがい、貢献実感が得られる状態と裏表の関係性にあって、それが循環関係になっているのではないかということを、下の所で図示しています。
 それに対して、図の右側の3番と4番の部分になりますが、適正な雇用管理や障害特性に配慮した働きやすさを高めていく措置がしっかり取られているということ。あるいは、発揮されたその能力に対して、正当な評価と反映がなされるということが、この左側の欄にあります、事業主にとっての戦力化、活躍促進、あるいは障害のある方にとっての成長、やりがい、貢献実感を高めていく関係性に立つものなのではないか。これら全体が障害者雇用促進法の法目的でもある雇用の安定に結び付いていくものだと整理されるのではないかということを記載しています。
 続きまして、45ページです。1ポツ目は、この「障害特性に配慮した働きやすさを高める措置」については、既に義務付けられている「合理的配慮」との関係性において、実務的には同じ取組となると想定されるものではありますが、「合理的配慮」は能力発揮の支障になっている事情を改善する措置であって、一方でこの「障害特性に配慮した働きやすさを高める措置」は、この支障になっている事情の改善を超えて、更に能力発揮を高めていくものとして、概念の関係が整理されるのではないかということを記載しています。その際は、この間も議論として出しているとおり、障害のある労働者本人と職場の上司等に対して組織的なサポート体制が組まれるようなこと、上司以外に相談支援の体制を設ける等も含めて、そういったことが大事ですので、このガイドラインを実際に示していく段階では、そこに十分留意して検討してはどうかということを記載しています。
 さらに、その下の所は、この後御議論いただく「障害者雇用ビジネス」のガイドラインとの関係性です。「障害者雇用ビジネス」で課題の是正において重視すべき要素は、今般お示ししている障害者雇用全体の「質」として大事にしていくべき要素、取り分けこの能力発揮の成果を事業活動に十分活用していく等の項目と非常に密接に関わるものですので、両者のガイドラインは一体的、あるいは内容において十分整合性が図られるように検討する必要があるのではないかということを記載しています。
 一番下の○の所は、認定基準の在り方の見直しを後半の論点で御議論いただきますが、その際は「質」のガイドラインに沿う形で評価指標を再構築するという要素が必要ではないかとしています。
 続きまして、46ページです。論点の2点目として、ガイドラインの法的位置付け・性質をどうするかです。ここについては、一番上のポツの所に書いていますが、事業主の萎縮につながらないようにどう規定できるかということを十分検討する必要があるといった上で、法令上はこのガイドラインについては、先ほどの前段の資料でも御覧いただきましたが、根っこの規定を義務規定、禁止規定等に置くのか、それとも努力義務規定に置くのかによっても、相当性質の濃淡があります。ガイドラインの中の例には、効果的な企業の取組事例を幅広く示して、その中で企業に参考にしてもらうという性質もあるということは整理をしています。
 その上で、今回、検討していくこの「質」のガイドラインをどうしていくかですが、47ページです。47ページの冒頭は、法の目的が障害のある方の職業の安定に置かれているということを改めて記載した上で、次のポツの所ですが、現行の法においてもこの枠囲みの5条で、障害者雇用の質に関連して、能力発揮等に努めるべき旨の努力義務が規定されているところです。
 枠の下の部分ですが、障害者雇用のこの「質」のガイドラインをこの後検討していくに際しては、こうした現状の5条の規定をベースとして、障害者雇用の「質」として特に重視すべき要素の例示を法の条文上記載しつつ、現行の5条と同様に必要な措置に努めるべき旨の努力義務として規定を新たに設けた上で、事業主が効果的・適切に取組を進めていくために示す性質のものとして、ガイドライン、告示の根拠規定を設ける。そのガイドライン、告示においては、「質」として特に重視すべき要素それぞれを解説した上で、効果的な企業の取組手法例をお示しして、それらを参考に各事業主で実情に応じて必要な取組を検討していただくものとして出していくことでどうか。その際には、事業主の規模によって実施可能な取組が異なることがあるという点も十分に踏まえながら、具体的な内容を検討してはどうかとしています。
 一番下ですが、その際には事業主が取組を進めていくに際して、企業支援の在り方をこの後の論点として併せてしっかり検討する。さらに、ほかの一般的なガイドラインと同様に、施行に際して必要があると認める場合における報告徴収・指導・助言・勧告の規定の対象とするという考え方でどうかとしています。
 続きまして、48ページ以降の論点3として、認定制度の拡大、あるいは認定基準の見直しの方向性についてです。48ページは研究会の報告書で示された方向性について、こうした検討の方向性でよいかどうかを確認的に記載しています。
 その上で、49ページに認定基準の具体的な内容として、例えば以下の方向性で検討してはどうかとして、特に重視されるべき要素について、それぞれ1つ以上、達成必須項目を設けていく。できる限り定量的評価が可能なものは定量的な指標にするという方向性でどうかということを、例を挙げてお示ししています。
 続きまして、50ページです。認定については、1段階のみではなく、例えば3段階のように多段階にしていってはどうかということ。また、認定後の検証の仕組みとして取組の実績をホームページで公表していただくということを要件化した上で、要件を満たさない状態が一定期間続くという場合、あるいはその公表がないという場合には認定を取り消す、そのような方向性でどうかということを記載しています。
 下から2ポツ目の所ですが、中小企業について基準を異ならせるかどうかという点について、中小企業の認定基準のレベルを下げてしまうということを具体的にしますと、中小企業の認定そのものの信頼性に課題が生じる懸念もあります。基本的には共通の認定基準とした上で、具体的な認定基準の検討の際に、企業規模による取組方法の違いを十分に意識して、例えばくるみんの例のように中小企業が不利にならないように、十分考慮して設計をするということでどうかとしています。
 次に、一番下の所です。既に「もにす認定」を取っていただいている企業に関しては、施行後しばらくは従前に取得した認定を有効とした上で、一定期間内に新基準に基づいて認定申請を改めて行っていただくという方向でどうかということを記載しています。
 続きまして、51ページです。論点の4点目です。インセンティブ設計の在り方です。調整金・報奨金等を経済的インセンティブにしてはどうかという議論が行われるとともに、実雇用率の算定で評価してはどうかという御意見も頂いて、賛否両論が示されてきたところですが、どのような形でインセンティブ設計をしていくかということです。
 51ページの下半分の所、経済的なインセンティブの付与については、先ほど御覧いただいたとおり、追加的な財政支出がある程度影響が大きいということを想定した上で、一番下のポツの所ですが、現場の企業関係者の率直な声を、この間聞いてきた範囲では、1万円ぐらいの上乗せで、それによって「質」の向上に取り組むという政策効果が出るかというと、そこはどうだろうかという御意見はたくさん頂いているところではあります。
 続きまして、52ページです。雇用率の算定でインセンティブ設計をすることはどうかというところです。こちらについては、方法として1番目のように実雇用率で算定をするという場合と、方法の2番目として、全国の雇用率算定式の中にも反映して考慮する場合、それぞれ影響が違いますので分けています。
 まず、方法の1ですが、実雇用率で例えば1.5倍でカウントができるとした場合に、「くるみん」と同等の認定水準まで広がりますと3万人分ぐらいの実際の雇用量が減るという効果が出てしまう。こうした「質」の向上によって「量」が減ってしまうという点をどう考えるべきかということが、非常に難しい点かと思います。
 一方で方法の2のように、法定雇用率の算定式にも分子の「対象障害者である常用労働者の数」の所で認定事業主の見込みを基にあらかじめ1.5倍で反映しておく処置をすれば、「量」が減るという現象は防ぐことができます。一方でこの場合に、全事業主に関わる雇用率自体は押し上げ効果が発生するという点をどう考えるかということがあります。さらには「質」が相対的に低い、認定を取っていない企業がより多くの雇用を引き受けて、認定を取っている事業主がより少ない雇用量でよいということになる、それをどう考えるべきかという論点もあるかと思っています。
 この辺りは、雇用カウントでやるということも、それなりに難しいという状況があった中で、53ページです。こういう様々な課題を総合的に考えると、例えば以下のような企業価値の向上と求人充足支援を一生懸命やるということで、インセンティブを付与していくことを模索してはどうかということを記載しています。前半の企業価値向上に向けた支援としては、厚労省のホームページ等、あるいは先ほどの「しょくばらぼ」等の企業情報データベースを活用して、認定取得企業を積極的に周知していくということ。あるいは○の2つ目ですが、自治体の公共調達の加点要素として活用してもらえるように、定期的に自治体に認定企業の一覧を通知していくことを挙げています。
 続きまして、後半のハローワークにおける積極的な求人充足支援です。まず、ハローワークの職業紹介において、求職者の御希望にマッチする複数企業が出てくるわけですが、その中で認定取得企業を優先的に御案内する。これは○の2つ目の所ですが、合同面接会等において、優先的なPRを行う。さらに3番目の所ですが、ナカポツセンターや就労移行支援事業所、あるいは民間の職業紹介事業者に対して、認定事業主の一覧情報を提供し、マッチングに積極的に活用していただくという方法があるのではないかと記載しています。御説明が長くなってしまいましたが、以上です。
 
○山川分科会長 ありがとうございました。それでは、意見交換に入りたいと思います。今回は論点が多いものですから、前半と後半を2つに区切って、前半では、障害者雇用の「質」の規定に関する論点、具体的には資料1の43、46ページにあるような、障害者雇用の「質」の規定に関する論点を御議論いただき、後半においては、「質」の向上に向けた事業主の認定制度と、認定に対するインセンティブの在り方についての論点3と4、こちらは48、51ページなどにありますが、このような形で2つに区切って御議論いただいてはいかがかと思います。
 それでは、まず障害者雇用の「質」の規定に関する論点の1と2について、御意見があれば挙手をお願いいたします。先ほど説明のあったように、御発言の際にはお名前を言っていただき、その後に御発言いただくようにお願いいたします。何か御意見等ありますか。大岩委員、お願いします。
 
○大岩委員 日立ゆうあんどあいの大岩でございます。それでは、論点1について、まず発言させていただきます。
 論点1、障害者雇用の「質」を通じて「目指す姿」についてです。方向性については、おおむね異論はございません。ただし、特に重視されるべき要素で示された○6経営層の理解の下で組織的・継続的に取り組むための体制整備の視点の1つとして、同じ企業体で雇用される障害のない労働者と同一の権利、例えば同一の健康保険組合への加入や、内部通報制度の周知などが機能しているかどうかといったことも検討に入れることが必要ではないかと考えております。
 また、要素の○4発揮した能力に対する正当な評価とその反映についてですが、障害者雇用の現場では、就労準備性の不十分さ等による遅刻、欠勤、職務怠慢などの問題や、十分な合理的配慮や支援をしてもなお、加齢等により期待する成果が全く出せなくなってくるケースなどを抱えております。正当な評価のうちには、そのような負のケースへの評価とその反映も含まれるべきということをお伝えしたいと思います。
 同じく論点1、障害者雇用の「質」として特に注視されるべき要素です。こちらについても、方向性についてはおおむね異論はございません。ただ、要素○6の経営層の理解の下でという所ですが、特に経営層の理解というのが重要であると考えます。企業によっては、経営層に対してボトムアップで障害者雇用への理解促進を促すことが難しい場合もあるので、行政として企業経営者へ障害者雇用の啓発を促す施策も検討が必要ではないかと考えます。
 また、同じく論点1「障害者特性に配慮した働きやすさを高める措置」と「合理的配慮」の関係性です。障害者本人の働きやすさを追求する合理的配慮というのは、既に皆さん御承知のとおりです。ですが、経営視点で障害者の企業就労を考える場合、真に求めるべきは、障害特性に配慮した本人の成果を高める工夫及びその措置であると考えます。それを具体化すると、モチベーションアップ施策やエンゲージメント向上施策となっていくと思われます。「働きやすさを高める措置」という表現は、障害のある労働者からの視点であるため、合理的配慮との違いが分かりにくく、経営者視点での表現を工夫したほうが良いと思います。
 それから、障害のある労働者と職場のサポート体制を含めた検討の方向性について、これはおおむね異論はございません。障害の有無にかかわらず、目標管理や評価のフィードバックの機会も含めた1on1などを十分に検討すべきと思います。また、企業在籍型ジョブコーチの強化や障害者就労支援士の活用など、企業就労における支援者の育成強化策の検討を強く希望いたします。
 それから、障害者雇用ビジネスに対するガイドラインは、その設定要否についても議論はございますが、障害者の雇用主に対するガイドラインを設定すれば足りるのではないかと思います。また、認定制度における認定基準の在り方の見直しを「質」のガイドラインに沿う形で再構築するということに対しては同意いたします。
 次に論点2です。ガイドラインの法的位置付け・性質をどう考えるかということですが、46ページに示していただいたガイドラインの指針、ガイドラインの例の3)の位置付けと同様であれば、検討の方向性については、おおむね異論はございません。ただし、ガイドラインは企業にとって、経営や労務管理の自主性において参照すべき性質のものですので、行政による指導については極めて慎重であるべきであると考えます。
 最後に、ガイドラインの設定に当たっては、事業主の萎縮につながらないように是非、周知、意識醸成のプロセスや企業規模に応じた段階的な適用などを御検討いただきたいと思います。以上でございます。
 
○山川分科会長 ありがとうございました。オンラインで数名、御発言希望があります。山口委員、まずお願いします。
 
○山口委員 こんにちは。愛知県中小企業団体中央会の山口です。説明ありがとうございました。まず論点1、雇用の「質」の向上を通じて「目指すべき姿」についてですが、多くの中小企業においては、まずは法定雇用率の達成を意識して、次の段階として本人の障害特性や能力を見極めながら、業務や周囲とのマッチングなどの環境整備や適切な管理に取り組んでいくことと思います。本人の働きがいや定着につながり、企業としても実務負担を減らし、戦力化を図る上で大変重要と考えております。
 一方で、こうした雇用の「質」の向上に向けた様々な取組を、中小企業が自社のみで行うには限界もあります。特に、初めて障害者を雇用する企業や社内に専門人材がいない企業は、ノウハウが蓄績されるまでは、外部の支援機関によるサポートが大変重要です。障害者雇用の「質」の向上には、中小企業に対する専門機関、支援機関の機能の充実をお願いいたします。
 次に論点2ですが、ガイドラインの位置付けや性質について、ガイドラインは法令で位置付けることはせずに、優良な取組の参考例としていただきたいと思います。ガイドラインの法令との関係性について、幾つかパターンをお示しいただきましたが、一般的な企業がその違いを意識することは余りなく、法令に位置付けられれば、企業の取組の萎縮が懸念されますので、慎重な検討が必要だと思います。私からは以上です。
 
○山川分科会長 ありがとうございました。清田委員、どうぞ。
 
○清田委員 ありがとうございます。日本商工会議所の清田でございます。私から、論点1と2について意見を申し上げます。43ページで記載頂いております「目指す姿」に関しましては、障害者の方々が企業において戦力として活躍し、成長を感じながらやりがいを持って働いていただくという観点から、企業、労働者双方にとって幸福な、目指すべき理想の障害者雇用の在り方であるということから、異論はございません。また、そのような理想の形に近付けていくためにも、企業において「質」の高い障害者雇用を行う重要性というのは、理解しているところでございます。
 他方、人的・金銭的なリソースが限られていて、規模の制約により取り得る選択肢も限定的な中小企業におきましては、こうした要素を満たした取組を行うことは簡単ではないということを御理解いただきたいと思います。もにす認定の御紹介を頂いておりますが、認定実績が611社にとどまっているということを見ましても、他の制度と比べて非常に低調な実績であると思います。この点からも、「質」の高い取組を行うことは非常に難しく、加えて「質」の高い雇用を十分に行えている企業は、残念ながら少ないのではないかと受け止めているところです。
 繰り返しになって恐縮ですが、「質」の高い雇用に努めるべきというその重要性に対して異論を唱える人はいないと思います。ただ、しっかりと実態を見ながら進めていかなければ、制度は機能していかないというふうに捉えております。そうした中で、「質」に関するガイドラインを法令として明示していくということについては、これから障害者雇用に向けた取組を行おうとする中小企業に対して、二の足を踏ませるメッセージとなるとに考えております。
 大企業や一部先進的な取組を行っている中小企業の質の高い取組を、努力義務を伴うようなガイドラインの形で法令上に示すことで、一般的な中小企業が障害者雇用に対して高いハードルを感じ、障害者雇用自体への意欲がそがれてしまうのではないかという懸念を抱きます。法令として明示するのではなく、取組が可能な企業に対し、事例集のような形で参考となるような取組の提示をして、後押しをしていくという視点が重要なのではないかと考えております。
 また、「質」として特に重視すべき要素を条文に記載し、努力義務として規定するという方向性についても、現時点では慎重に検討するべきだと考えております。現在JEEDで行われている、雇用の質に関する調査・研究を通じ、まずは「質」として重視するべき要素自体をしっかりと、十分に検討していくことが必要ではないかと考えております。
 最後に、47ページの4ポツに、施行に際し必要があると認められる場合には、報告徴収・指導・助言・勧告の規定の対象とするという記載がありますけれども、こちらは実質的な罰則規定とも捉えられ、こうしたことを行うことは、企業の前向きな意欲を減退させるのではないかと感じます。この措置が果たして「質」の向上に寄与するのかということを考えますと、現時点では慎重に検討するべきだと考えております。私からは以上です。
 
○山川分科会長 ありがとうございました。新銀委員、お願いします。
 
○新銀委員 全国精神保健福祉会連合会の新銀でございます。丁寧な説明、ありがとうございます。私は論点1について、重複するかもしれませんけれども、改めて障害者就労に必要な視点ということで、社会モデルから考える能力発揮という目線で述べさせていただきたいと思います。
 障害者就労を考える上で重要なのは、障害を理解することと、職場で能力を発揮できる環境を整えることだというふうに考えておりますが、その出発点となるのが、障害をどのように捉えるかという考え方です。従来は、障害を本人の機能障害や能力の不足として捉える医学モデルが中心でしたが、この考え方では、障害があるから働くことが難しいという見方になりやすく、支援もできないことを補うという重点が置かれていました。
 一方、近年では社会モデルという考え方が広く普及しておりますし、社会モデルでは障害は本人だけに存在するものでなく、本人と社会環境との間に生じる障壁によって生まれてくるというふうに考えられております。つまり、働けないのではなく、能力を発揮できる環境が整っていないために働きにくくなっているという視点です。例えば、集中できる作業環境が確保されない、適切な休息を取ることが難しい、分からないことを繰り返し質問しにくい職場風土がある、などといった環境上の課題が、障害をより大きなものにしていると考えております。だからこそ重要になるのが、一人一人に対する丁寧なアセスメントだと考えております。どのような環境で力を発揮できるのか、どのような支援があれば、自分の能力を十分に発揮、いかせるのかを把握し、合理的配慮を具体的に実施していくことが求められます。
 合理的配慮というのは、能力が低い人への特別な配慮ではなく、本人が本来持っている力を発揮できるよう、社会や職場の環境を整えるための仕組みだと考えております。そこで大切なのは、合理的配慮と能力開発を別々に考えないことだと考えております。合理的配慮によって、能力を発揮しやすい環境を整え、その環境の中で経験を積み、技能を高め、更に新しい仕事へ挑戦する。この2つは、車の両輪のように同時進行で進めていくことが必要だと考えております。
 障害者本人だけでなく、共に働く職場の同僚や上司への支援も同時に欠かせないというふうに考えております。合理的配慮が職場全体の理解なく進められると、自分たちだけが負担を抱えているという感情が生まれ、結果として職場の協力が得られにくくなるというふうに考えております。このため、障害のある社員への支援と同時に、共に働く社員の困り事や不安にも目を向け、相談体制や役割分担、コミュニケーションを整えることが重要です。障害のある人と障害のない人の双方が安心して働ける職場づくりは、結果として職場全体の生産性を高め、企業の持続的な成長につながっていくというふうに思っております。
 障害者就労の目的は、障害があっても働けるようにすることではなく、一人一人の能力が発揮できる環境を整え、その力を企業や社会の価値へと結び付けることだと考えております。社会モデルの視点に立つことで、障害をなくすのではなく、障害となっている社会や職場のバリアを減らすという発想の転換が必要だと思っています。その発想の転換で、共生社会と誰もが能力を発揮できる職場づくりの一歩になっていただけたらというふうに期待しております。この論点1については、おおむね賛成しておりますが、このように考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。以上です。
 
○山川分科会長 ありがとうございました。では、続きまして美堂委員、お願いします。
 
○美堂委員 富士通の美堂と申します。御説明ありがとうございました。論点1の雇用の「質」に関連して、目指す方向性に異論はございませんが、障害のある方の活躍支援における企業の取組事例のそのほかの観点として、また社会モデル的観点でもございますが、生成AI活用の可能性について情報共有をさせていただきます。
 近年、このような技術の進歩によって、障害のある社員が能力を発揮しやすくなる可能性が大きく広がっていると感じております。文章作成や情報整理、会議内容の理解や要約、コミュニケーション支援などを通じて業務遂行上のバリアを低減し、職場への参加や活躍の可能性を広げることにつながると考えています。
 当社においても、聴覚障害のある社員が、オンライン会議でAIによる文字起こしや要約機能を活用することで議論への参加や情報把握がしやすくなった事例が見られます。また、発達障害のある社員が、自身に合った方法で情報整理やコミュニケーションを行うためにこうしたツールを活用するなど、その可能性は更に広がると感じています。
 これらはあくまで能力発揮を支援する手段であり、職場での人による理解や配慮を代替するものではありません。しかし、一方で、障害のある方それぞれが持つ強みや能力を発揮しやすい環境づくりという観点から、生成AIやテクノロジー活用は今後重要なテーマになると考えています。障害のある方の活躍促進に向けて、活用の事例や知見の共有が進むことを期待しております。どうぞ、よろしくお願いいたします。
 
○山川分科会長 ありがとうございました。では、渡邊委員、お願いします。
 
○渡邊委員 筑波大学の渡邊でございます。御説明ありがとうございました。私のほうからは、論点2について意見を申し上げたいと思います。障害者雇用の「質」の向上・確保に関して、「質」として重視すべき要素について、その根拠及び内容を法令上に規定することは必要であることだと考えております。
 その上で、先ほどの御説明にあったように、法令上での定め方、ガイドラインの定め方についてはいろいろなバリエーションがあって、濃淡があるといったような形になっております。47ページにお示しいただいたような御提案の内容であれば、企業を過度に萎縮させることがないといった形であろうと思っておりますので、妥当であろうと考えております。
 ガイドラインにおいて効果的な取組例を示しまして、各企業の実情に応じた対応を推奨するといったようなことは、障害者雇用に適切に取り組もうとしている多くの企業の助けになると、そういうふうに考えております。ガイドラインは、そのような誠実に責任を果たそうとする企業にとって有用なものになると考えられますし、そのような形での導入を目指すべきものと思っております。私からは以上です。
 
○山川分科会長 ありがとうございました。それでは、大谷委員、どうぞ。
 
○大谷委員 お世話になります。育成会の大谷です。よろしくお願いいたします。皆さんほとんど言っておられますので、私のほうからそれほど言うことはないのですけれども、「質」とは、では何なのだろうかと、働く側、障害のある人たちから考えたときに、さて何なのですかと思ったときに、やはり働きやすさ、まずそれに尽きることだと思います。ほかの何をそろえるよりも、まずその環境の働きやすさ。それと、そこからのステップアップをどう考えてもらえるか。やはりステップアップがほとんどない状況が現在続いておりますので、働くという環境の中で「質」をということであれば、やはりそういうことも十分考えていただいた状況下になっていただきたいなと思います。
 それと、同じようなことで、雇用ビジネスに対しても、そういう部分も取り入れてほしいと思います。働くということが何かというよりも、皆と一緒に働くことが、はじめて障害のある方たちにとって貢献ということになると思いますので、是非とも、難しい考え方をするよりもまず、働きやすい環境を設けていただける整理にしていただきたいと思います。以上です。
 
○山川分科会長 ありがとうございました。それでは、オンラインでもう一方おられます。岡本委員、お願いいたします。
 
○岡本委員 日本身体障害者団体連合会の岡本と申します。今、いろいろと委員の方がおっしゃっておられました、働くということの「質」について、いろいろと皆さん提案なり御意見を言われておるのですけれども、障害者というか当事者側として、働くことは社会の中で生きていく、お互いに生活していく上で大変重要なことだと思っております。
 その中で、「質」についてこういうふうにあるべきだ、こういうのがいいのではないのかというお話がありました。そのとおりだと思いますけれども、まず、やはり障害者自身の意見を聞いていただく。それについてこうではないかという指導、適切なアドバイスをしていただくことが有り難いなと思っております。
 もう1つは、生産なり何なり、働いていることが社会のどういう位置付けなのか、こういうことになっていくというか、そういうことも働く側が知る。そういうこともなしに、ただ単に時間をかけるというのではなく、同じ働く者として、そういう点が見えてこないと、なかなか定着率も含めてつながっていかないのではないかなと思っております。やはり、働くことは、その人その人が一人の人間として大きな存在になってくると思いますので、是非、その辺のところを指導なりアドバイスをしていただくことを望みます。以上です。
 
○山川分科会長 ありがとうございます。それでは、田中克俊委員、お願いいたします。
 
○田中(克)委員 これまでの議論についてはほとんど賛成です。ガイドラインに法令上の根拠を置くことにも賛成いたします。ただ、一律の義務とか制裁とかではなく、事業者を萎縮させないためにも、それを主体的に改善に取り組むための実践的な指針みたいな形にするべきではないかなと思います。基本原則みたいなものを共通にしつつも、企業規模によってはやはりかなり違ってくる所はあると思いますので、その体制に応じて実施方法に幅を持たせたようなもの、特に中小企業に対する配慮を含めたものが必要かなと思います。
 「質」については、構成概念として出していただいたこの6つのものはとても適切だと思います。ただ、例えば「能力発揮の成果の事業活動への十分な活用」だとか、「発揮した能力に対する正当な評価とその反映」といったものについては、職場でそういった評価を得られる方というのは結局のところ本業に即した仕事を任されているかどうかがとても大事で、きちんと本業の分析をした上で担える業務を切り出して、職務として再設計するなどといったことがポイントだと思いますので、そういったものをガイドラインの中に入れていただくことが大事だと思います。以上です。
 
○山川分科会長 ありがとうございました。では、会場御参加の田中伸明委員、お願いします。
 
○田中(伸)委員 日本視覚障害者団体連合の田中でございます。御説明、本当にありがとうございました。私から、まず論点1について、事務局からの御提案で、重要な要素として○6に「経営層の理解の下で組織的・継続的に取り組むための体制整備」というものが提案されておりますが、これは賛成いたします。これは非常に重要な要素だと私も考えておりまして、例えば、障害者の能力開発であるとか、あるいは成果の活用、あるいは評価ということを行うに当たっても、この○6はほかの5つを支える重要な要素であると思いますので、賛成意見を述べさせていただきたいと思います。
 それから、障害特性に配慮した働きやすさを高める措置の中で、職場におけるサポート体制、これは相談体制を含むものですけれども、こちらを検討してはどうかという御提案ですが、この点については、私は全面的に賛成をいたします。
 それから、論点2について、この点については事務局の御提案に賛成をしたいと思っております。既に障害者雇用促進法の中では、合理的配慮の提供については36条の3で既に法的義務としてスタートしているわけです。今回の「質」の向上については、努力義務がベースになった上で、その要素を分かりやすく示すという趣旨が非常に大きいと思います。特に、数字で見ますと、中小企業においては障害者雇用がゼロという企業もかなり多くあります。一体何をどうすればいいのかというのが分かりづらいという現状を改善するには、やはりこういった分かりやすいガイドラインというものを出すことのほうが、私はメリットが大きいと、そのように考えます。以上です。
 
○山川分科会長 ありがとうございました。それでは、会場から、菅村委員、お願いします。
 
○菅村委員 ありがとうございます。連合の菅村でございます。御説明ありがとうございました。私からは論点1について意見を述べたいと思います。人口が減少しているこの社会においては、多様な人材の活躍が求められています。そのことを踏まえれば、事務局より御提案いただいた、雇用の「質」の向上を通じ、働く障害者の「戦力化・活躍促進」と「成長・やりがい・貢献実感」が得られる社会の実現を目指すべき姿として位置付けることについて同意をいたします。
 その上で、資料44ページの図に、○4として「発揮した能力に対する正当な評価とその反映」という記載がございます。先ほど、正当な評価には負の評価も含むべきであるという御意見もございましたけれども、その評価という点につきまして、この資料1の6ページにも、中心的な要素として「評価結果に相応しい配置と処遇」という記載がございます。障害をお持ちの方に戦力として働いていただくという上では、それに見合った適切な処遇と相応しい配置が不可決であると考えております。
 現在、最低賃金に近い処遇で働いていらっしゃる方も多いと認識をしております。戦力として事業活動に貢献しているということを踏まえれば、最低賃金に近い処遇が長く続くような事態は適切ではないと思っております。働くことを通じて自立した生活を営むという観点からも、賃金や昇進などの処遇改善なども含めて検討いただきたいと思っております。
 また、教育訓練の機会が障害を持たない労働者と同様に付与されることや、有期雇用から無期雇用への転換など、中長期的なキャリア形成の道筋が示されることも重要であると考えております。私からは以上です。
 
○山川分科会長 ありがとうございました。では、影山委員、お願いいたします。
 
○影山委員 横浜市大の影山でございます。まず、論点1に関わります。今日の資料で申しますと、43ページに「能力発揮」という言葉が出てまいります。文脈からして戦力化の話だと思うのですが、障害のある方もマッチングや合理的配慮がしっかりしていると、相当な能力を発揮する方がいらっしゃいます。したがって、この論点はよろしいと思うのですが、ただ、必ずしもそうではない場合もありまして、そうすると、企業から見ると、やはり障害のある方は働きにくいのではないかと見られてしまう可能性もあります。そうなると、雇用ビジネスの活用は必要なのではないかという論点にもつながるおそれがあるような気がします。
 それに対して、障害者の方を雇用していて、例えば、働きやすくなるような制度の改定を行ってみたり、それから、障害者の方がいる職場というのは心理的安全性が高まりますので、そうすると健常者の業務パフォーマンスが上がります。そうなると、障害のある方の働く能力を超えて大きな価値を生むことになるのです。健常者全体の業務パフォーマンスが上がるわけですから、当然大きな価値が生まれてくるわけです。企業がこのような障害者の方の能力も踏まえて雇用を進めるべきで、ここで言う能力開発は、こういう点も含むべきであろうと思います。
 また、障害のある方に関して、この能力を把握するという点で申しますと、単に働く能力だけではなくて、このようなシナジー効果を生む能力についてもちゃんと分析をしていくべきであろうと。ここでの把握にはそういった能力の分析も入ってくるべきであろうと思います。そういう分析は難しいものではございません。特に、有価証券報告書には人的資本についての記載をせねばならないのですが、その根拠に関する分析はされていると思います。それを行えばこのような分析は可能になってまいりますので、ガイドラインにもこの点を盛り込んでいただけるとよろしいように思います。
 もう1点、論点2についてでございます。雇用の「質」についての方針を打ち出したという点では一つの画期になりますので、その方針を明示する意味でも、法律に明示していくということは私は必要だと思います。そうしないと、ほかの情報に埋もれてしまう可能性もありますので、法律への明示というのは必要かと思います。ただ、努力義務にせざるを得ないというのは、いろいろな面に御配慮いただくとそうなってくると思いますが、そうすると余り進まない可能性もございますので、今日の資料で申しますと、47ページの一番最後の丸ポツに、企業の支援を行う、それから、場合によっては報告徴収などを行うということが書かれております。つまり、努力義務として進める際に、より促すような方策も必要になってくるかと思いますので、こういったことを積極的に進めていただけるとよろしいのではないかと思います。以上でございます。
 
○山川分科会長 ありがとうございました。ほかにございますでしょうか。神成委員、お願いします。
 
○神成委員 労働者代表の委員であります自治労の神成でございます。私は論点1の資料45ページの部分、障害特性に配慮した働きやすさを高める措置について、合理的配慮とは別に更に能力発揮を高めていくものとして整理することや、その具体化に当たっては、障害のある労働者と職場を組織的にサポートする体制などを対象として含める方向性につきまして賛成をいたします。
 一方で、企業の現場におきましては、例えば、柔軟な働き方の導入などが働く上での支障を取り除くための合理的配慮に該当するのか、それとも特性に配慮した働きやすさを高めるための措置に該当するのか、区別が難しいケースも多いと考えられます。これまで事業主が「義務」として実施してきた合理的配慮の内容が狭められることのないように、今後のガイドライン等の検討におきましては、それぞれの概念の違いや具体的な措置の例を明確に整理して示すべきだと考えております。
 それから、障害者雇用ビジネスに対するガイドラインとの関係性についてです。一体的あるいは十分に整合性が図られるよう検討する必要があるという事務局の提案には賛成いたします。なお、不適切なビジネス事業者の利用を是正するガイドラインにおいては、例えば「質が不十分」という状況を具体的に示すなど、分かりやすさが必要だと考えます。私からは以上です。
 
○山川分科会長 ありがとうございました。では、阿部様、お願いいたします。
 
○新田委員代理阿部様 経団連の新田の代理の阿部でございます。論点2のガイドラインの法的位置付け・性質について発言いたします。今回お示しいただいたガイドラインについては、企業に一律の対応を求めるものではなく、事業主が適切に対処するために必要な取組の方向性や内容を示す性質のものと理解しております。その上で、企業ごとに障害者雇用の実態が異なることから、各企業が実情に応じた柔軟な活用ができる内容にすべきと考えております。
 加えて、企業支援のほかに、一般的なガイドラインと同様に、報告徴収・指導・助言・勧告の規定の対象にしてはどうかという提案がございました。障害者雇用促進法18条で、「公共職業安定所は、障害者の雇用の促進及びその職業の安定を図るために必要があると認めたときは、技術的な事項について助言又は指導を行うことができる」という規定がございますので、こうした規定を参考に、今後検討してはどうかと考えております。私からは以上です。
 
○山川分科会長 ありがとうございました。ほかにございますでしょうか。河崎委員、お願いします。
 
○河崎委員 労働側委員の河崎です。御説明ありがとうございました。ほかの委員の方と重なる部分もあるかもしれませんが御容赦ください。私からは、論点2について御意見させていただければと思います。47ページです。ガイドラインの法的位置付けについて、現行法の努力義務をベースとして法令に明示して、具体的な効果的取組等をガイドラインに示すという事務局案の方向性には賛同いたします。「えるぼし」や「くるみん」のように、企業が取り組むべき質の高い雇用の目安や効果的なメニューが具体的に示されているほうが、企業にとっても前向きに取り組みやすくなるものと考えます。雇用の「質」のガイドラインを通じて、従来の合理的配慮の提供に加えて、能力開発やキャリア形成支援など、障害者の活躍につながる取組が推進されますよう、実効性あるガイドラインを作成していく必要があると考えております。
 別件ですが、企業規模の配慮についてです。事務局案に記載されております、事業主の規模により実施可能な取組が異なることもある点を十分に勘案することにつきましては異存はございません。以上となります。
 
○山川分科会長 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。論点1、2について大変有益な御意見をありがとうございました。特に私のほうでまとめる、あるいは特定の提案をするわけではありませんが、皆さんの意見をお伺いしていて、法の全体構造というか、一方で雇用率の義務付けと合理的配慮の義務付けがあって、それと努力義務規定の3つがあるので、それらを理屈上、また実際上どれだけ役に立ち得るかという点からも整理しておく必要があるのかなと。主に整理ないし理屈的な話として、ちょっと感じたところです。
 続いて、論点3、4、資料1でいうと48ページ、51ページにある「質」の向上に向けた事業主の認定制度及び認定に対するインセンティブの在り方という論点について、御意見がありましたらお願いいたします。田中伸明委員、お願いいたします。
 
○田中(伸)委員 日本視覚障害者団体連合の田中でございます。まず、論点3についてですが、基本的に賛成の立場から御意見を申し上げます。認定について3段階程度ではどうかという御提案ですが、段階を設けることについては私も賛成です。認定に際しての要素ですが、やはり働く障害者の満足度というものを重視していただきたいという意見です。論点4のインセンティブを高める方策というところですけれども、この中で、自治体における公共調達における加点事由として利用してもらえるようにという御提案ですが、こちらは是非、積極的に行っていただきたいと思っております。
 もう1つは、障害者雇用に関する認定を受けるということは、非常に高い理念を持ってこれを掲げて実践していると、そういう事業者になりますので、対外的な企業価値というのをできるだけ上げていく、そういう方策を考える必要があると思っております。特に資金調達面とか、そういう方向で何かメリットがあるようなインセンティブの方策がないものかと思っています。こういう高い理念を掲げて実践しているという事業者に対して、例えば金融機関からの融資が得られやすいとか、そういった方策まで考えてもいいのではないかと、そのようなことを意見として申し上げておきたいと思っております。私からは以上です。
 
○山川分科会長 ありがとうございました。ほかにはいかがでしょうか。神成委員、どうぞ。
 
○神成委員 神成です。論点4の部分で、52ページのインセンティブに関して発言します。認定取得に対するインセンティブに関しては、雇用率算定におけるインセンティブ付与を行うことは、障害のある方の働く場を減少させることにつながりますし、制度の趣旨にそぐわないのではないかと考えます。インセンティブ付与は、雇用率算定以外の別のアプローチが望ましいのではないでしょうか。また、認定制度を広く普及させるという観点から、企業規模によるニーズの違いなども調査をしつつ、実効性のある内容となるように引き続き検討をしていってはいかがかと思っています。私からは以上です。
 
○山川分科会長 ありがとうございます。阿部様、お願いいたします。
 
○新田委員代理阿部様 新田の代理の阿部でございます。論点3について、要件設定を含め認定基準の見直しに当たっては、企業が認定の取得に向けた取組を着実に進められるよう、企業ごとに障害者雇用の実態が異なることを十分に踏まえた、柔軟性のある仕組みを検討すべきだと考えます。また、取得に当たっては、企業にとって過度な事務負担等にならないように要望いたします。
 論点4の雇用率算定におけるインセンティブの付与について、企業側は法定雇用率の達成に懸命に取り組んでいることから、雇用率算定におけるインセンティブの検討に当たっては、法定雇用率の押し上げにつながらないような制度設計が不可欠だと考えております。また、事務局から幾つかのインセンティブ案が示されておりますが、経済的インセンティブ付与と企業価値向上に向けた支援を組み合わせるなど、複数のインセンティブを設定することも検討すべきだと考えております。私からは以上です。
 
○山川分科会長 ありがとうございます。菅村委員、お願いいたします。
 
○菅村委員 連合の菅村です。論点3について、意見を申し上げたいと思います。まず、もにす認定の認定基準を見直すことについて、全ての企業を対象としてはどうかという御提案には、賛成いたします。現在、認定を取られている企業が少ないという報告がありましたが、それは認知度の低さによるのではないかと思っており、制度の認知度を高めるためには、より多くの企業に参画していただくことが重要だと思っております。それによって社会全体への普及効果が期待できるのではないかと考えております。
 認定基準の見直しの方向性についてですが、雇用の「質」の中心的な要素を必須の項目とした上で、データ等の客観的、定量的な指標を組み合わせることについても賛成です。主観的で定性的な取組姿勢を評価するだけではなくて、やはり客観的なデータによる裏付けを要件とする必要があると思っております。認定基準の検討に際して企業規模をどのように考えるかという点についても、質の高い事業主を認定するという趣旨を踏まえれば、認定の基準は共通にして質を担保することは重要だと思っておりますが、中小企業の取組を阻害しない、不利にならないような制度として検討する必要はあるということは、付言しておきたいと思います。
 幾つかのステップを設けるということについても、事務局案に賛成いたします。例えば、えるぼし、くるみんのように、上の段階になるほど定量的な指標を高い数字に設定し、より高い所を目指していただくということで段階を設けることは重要だと思っております。ただ、多段階にすることで、先ほど阿部様からも御意見がありましたが、企業側の事務負担が過度に重くならないよう配慮は必要だと思っております。
 また、認定後の検証の仕組みについて、取組実績の定期的な公表を要件とすることは重要だと思っておりますが、公表に関して「所定のホームページ」という記載があります。例えば、女性活躍推進法などは、データベースか又は自社のホームページのどちらでもいいというような形になっていて、正直、労働者側からすると一覧性が高いということが重要だと思っております。もちろん、自社ホームページで公表されることも重要ですが、併せて、一覧的に掲載いただくことも非常に重要だと思っており、御検討いただければなと思っております。
 質の高い企業を評価していくという方向性で認定基準を見直していくという意味でいえば、十分な基準に達していない企業については取り消すことも重要だと思っており、認定を取り消す方向についても異論はありません。この間も一部の報道では、もにす認定を取得しながらも実態が伴っていない所が依然として認定を取っているということがありました。そうしたことが続けば、制度に対する信頼性が失われますので、制度を適正に維持していくという観点からも、認定取消しの仕組みも含めて検討すべきだと考えております。以上です。
 
○山川分科会長 ありがとうございます。オンラインから御発言の希望がありました。山口委員、お願いいたします。
 
○山口委員 愛知県中小企業団体中央会の山口です。論点3、認定制度の拡大と認定基準の見直しについて、現行のもにす認定制度を大企業にも拡大し、併せて認定基準の見直しを行う場合には、認定基準の水準が大きく引き上げられることにより、これまで認定を取得してきた中小企業が認定を受けられなくなる、あるいは、更新時に認定の継続が困難とならないよう配慮が必要です。中小企業は、人材確保や組織体制などにおいて、大企業とは異なる実情を抱えていることから、認定基準の見直しに当たっては、こうした中小企業の実態や固有の実情を十分踏まえた検討が必要であると考えます。
 論点4、認定取得企業へのインセンティブについてですが、自治体による公共調達や民間事業者の調達における加点措置や優先発注など、経営上のメリット拡大や企業情報サイトを含め社会的評価の向上・浸透など、行政を中心に一層の仕組みづくりを進めていただきたいと思います。私からは以上です。
 
○山川分科会長 ありがとうございます。清田委員、どうぞ。
 
○清田委員 日本商工会議所の清田でございます。論点3の認定制度について、繰り返しとなり大変恐縮ですが、やはり規模によって取組可能な内容というのは異なるのではないかと思っております。先ほども申し上げましたが、JEEDで行われている雇用の質に対する調査研究等を見ながら、企業規模ごとの質の高い雇用の好事例も参考に制度を設計していくことが重要であると思っております。
 認定制度の目的は、質の高い障害者雇用の裾野を広げることなのではないかと考えております。そこで、中小企業にとって、同じような規模で質の高い取組をしているということが参考、励みになるような、そうした制度としてより身近に感じてもらうことが重要であると思っております。大企業と同一と言われると、どうしても大企業だからできることというような意識となってしまうことも想定されます。そうした点も留意しながら検討していくことが重要であると考えます。
 論点4のインセンティブにつきまして、納付金財政と調整金との兼ね合いについてですが、納付金財政への影響というのもしっかり考えながら、また、資料の記載の中で、現場関係者のニーズがそこまで高くないという記載もございますので、そうした意味から、金銭的なインセンティブがどこまで効果があるのかは、しっかりと検討していただきたいと思います。
 加えて、雇用率算定におけるインセンティブ付与について、方法2の箇所に記載がありますが、相対的に質の低い企業がより多くの雇用を引き受ける仕組みとなる懸念があるという記載があります。この点に関して十分に踏まえながら検討していくことが重要であると考えております。私からは以上です。
 
○山川分科会長 ありがとうございました。先ほど会場で大岩委員からお手が挙がっていたでしょうか。お願いいたします。
 
○大岩委員 日立ゆうあんどあいの大岩でございます。論点3について、検討の方向性については、事務局案でおおむね異論はございません。例えば、企業経営者自らが、ホームページだけではないと思うのですが、社内外に対して障害者雇用の方針を開示しているかとか、障害者雇用の理解促進を自社の社員に対して発信しているかなど、情報開示に関する指標として設定するようなことも御検討いただきたいと思います。皆さんおっしゃっているように、導入に当たっては、申請に向けた準備に要する企業側の負担を極力軽減するようにお願いしたいと思います。
 それから論点4、インセンティブです。田中委員、山口委員からもお話がありましたが、企業のビジネス上のアドバンテージが得られるような優遇策の設定が、インセンティブには大きく機能すると考えております。以上です。
 
○山川分科会長 ありがとうございました。オンラインに戻りまして、渡邊委員、どうぞ。
 
○渡邊委員 筑波大学の渡邊でございます。私からは、論点4についてコメントしたいと思います。インセンティブの在り方として、実雇用率の算定において評価することについては、「質」の評価の反映によって雇用の「量」がトレードオフになるような仕組みは、やはり妥当ではないと考えられます。したがって、別の方法でそういったインセンティブが与えられるような仕組みを考える必要があろうかと思います。
 その点で、経済的インセンティブといったことも検討されているところですが、現在考えられている内容では、関係者のヒアリングなどにおいて、余り効果的ではないといったようなことが示されているのに対して、財政に与える影響は、それなりに大きいということですので、経済的なインセンティブというのも現在の方法では、やはり妥当ではないと考えられるところです。
 ですので、限りある財源については、ほかの支援策に充てるといったことを考えていただき、インセンティブについては、事務局御提案の53ページにあるようなものをはじめとして、ほかに何か表彰制度など、そういったものも導入できないかといったことを含めて検討する必要があろうかと思います。私からは以上です。
 
○山川分科会長 ありがとうございました。田中克俊委員、お願いいたします。
 
○田中(克)委員 よろしくお願いいたします。私も論点3については、大企業を含めて認定制度を拡大する方向には賛成です。ただ、認定においては、制度や規定があるかうんぬんだけではなくて、事務局から示された「質」の基本的な構成概念、能力発揮の十分な促進とか、事業活動への十分な活用などといったものも、きちんとした評価の対象にすべきだと思います。また、本人が貢献や評価、成長とかをきちんと実感できているかどうかとか、業務の範囲がその後もきちんと広がっているかどうかとか、職場内のコミュニケーションがどうかといったことの質なども評価すべきかなと思っています。
 先ほども申しましたように、「質」の基本的な構成概念を満たすには、やはり本業に寄与しているということが大事な要素です。そのために、なかなか難しいとは思いますが、障害者のいる職場においては、本業をしっかりと分析して、きちんと切り出して、一人の健常者の代わりを一人の障害者がやるということではなくて、何人かの一般労働者がやっていることを何人かでそれぞれの特性に合わせて分担してやっていくといった工夫が質の向上に直接的に結び付くことになるのではないかなと思いますので、そういった業務の切出しをして本業を担ってもらうために努力や工夫も評価の対象にしていただくといいのかなと思っています。
 また、インセンティブですが、これまでも御意見がありますように、質の高い事業所の算定率を調整する方法は、やはり問題があるかなと思います。「質」の向上と雇用の「量」は決して代替関係ではありませんし、それによって質の高い企業の就労者が減るということは、やはり本質に反したことだと思っています。代わりのインセンティブについても御意見が出ていますが、実現は難しいのかもしれませんけれども、くるみんやえるぼしなどといったところ、また健康経営銘柄を取った所なども、企業選択のための非常に大きな動機付けになっていて、こういったところも含めて差別のない、人を大事にする企業というような評価につながるような活用の仕方ができれば、実効的なのかなと考えています。以上です。
 
○山川分科会長 ありがとうございます。ほかにございますか。影山委員、お願いいたします。
 
○影山委員 横浜市大の影山でございます。まず、論点3の部分、本論の部分ではないので、最後にさせていただきました。49ページの上から2行目、特に重視されるべき要素についてはうんぬんとあって、定量的指標になるべくしていきましょうということが書かれています。客観的で分かりやすいので、定量的な指標をなるべく設定していただくというのはよろしいかと思います。
 ただ、ちょっと私の理解が追い付いていない部分があって、教えていただきたいのですが、例の3番の部分、こういう例がありますよと並んでいる3番目の部分です。「発揮した能力に対する評価制度が実行されており、一定割合以上の配置・処遇への反映の実績がある」と。この文章をお読みしたときに、ちょっと違和感を覚えました。例えば、能力に対する評価をしっかりしていて、あなたは今の仕事に合っているから配置転換はしませんという場合も、配置・処遇への反映はしていることになると思います。
 そういうことも含めて「一定割合」というのを解釈しますと、例えば、50%やっていればいいというように、もし数値設定してしまった場合、50%は評価に基づいて配置をそのままにするとか、変更するということをしているのだけれども、残りの50%はほったらかしですということになってしまうのかなと思って、そうすると、人事制度としてはまずいのではないかなという気がいたします。そういう意味で、こういう場合は数値設定というのは、余り向かないような気がしております。
 例えば、マネジメントシステムの監査の観点があって、こういった評価、処遇への反映制度に関してマニュアル、規定、手順書がしっかりしており、それがきちんと運用されているかどうかを監査していくという観点があります。よくISOの監査などでやっている手法です。したがって、こういう場合には定性的な評価の観点も導入していただいてもよろしいのではないかなという気がいたします。私の解釈が間違っていたら、そのままでも結構です。
 論点4です。これも本筋ではなくて恐縮なのですが、53ページに企業価値向上に向けた支援があります。2番目の○で、公共調達における加点要素として活用してもらうと。つまり、SR調達というのが今求められておりますが、自治体にSR調達を進めていただく際に、認定を取った企業にも配慮していただくことを進めるということかと思います。この観点は非常によろしいと思います。
 そのために、「自治体別のもにす認定取得企業一覧を通知する」とあるのですが、以前からSR調達は必要だと言われながらも、遅々として進んでいない点があります。恐らく基準を作ることがなかなか難しかったりする点もあろうかと思います。そういたしますと、認定を取った企業の一覧を送っても、場合によってはスルーされてしまう可能性もあるかなという気がしております。しかしながら、認定取得企業は、地域の障害者の方が働きやすい職場をつくっているだけではなくて、それによって健常者の方も働きやすい職場をつくっていると考えられます。そういたしますと、地域に貢献する良い企業ということになってまいりますので、そういう企業を引き立てる意味でも、若しくは育てる意味でも、SR調達の対象にしていくというのはあり得るということを積極的に働き掛けていただけるとよいのではないかなと思います。以上です。
 
○山川分科会長 ありがとうございました。49ページについては御質問の趣旨が含まれておりますが、何か事務局からございますか。
 
○河村障害者雇用対策課長 配置という言葉ですが、いわゆる配置転換においては、ポストに就けるという意味合いがもちろん中心にあると思います。労働関係法令で配置といったときに、よく業務の付与の範囲自体も含みます。表現としては、例えばポスト自体を異動させたりはしないのだけれども、すごく頑張ってくれているので、業務の付与の幅を広げるということも含めて記載しているものではあります。
 一定割合という表現を一旦させていただいておりますが、それでもなお、非常に規模の小さい会社のときに、一定割合をどうするのかというすごく難しい問題が伴うと思います。今、先生から御指摘いただいたマニュアルや手順書などによって、まず評価制度の形がしっかりと作られていて、適切に運用されていること自体も、例えば企業規模によってはそういう指標も併せて見ていくとか、そういった方向性は大変有用かと思いますので、この後、認定基準の具体的な検討に入る際には、十分に留意して検討したいと思います。ありがとうございます。
 
○山川分科会長 ほかにございますか。よろしいでしょうか。論点3、4についても非常に有益な御意見を頂き、大変ありがとうございました。単なる整理的な発想ですけれども、周知ないし開示についていろいろ御議論いただきましたが、恐らく、対内的周知と対外的周知があって、それぞれに、ある種ターゲットを絞った周知のようなものも考えられるのかなと少し感じた次第です。本日は有益な御議論を種々頂きましたので、更に議論を進めるべく事務局で御検討いただきたいと思います。
 それでは、まだ議題(2)の「その他」が残っております。こちらについても事務局から説明をお願いいたします。
 
○河村障害者雇用対策課長 参考資料2をお手元に御用意ください。右側の欄にありますが、「障害者就労に係る雇用福祉横断検討会」を今年6月1日から開催しています。本分科会でも少し御紹介させていただきましたが、6月1日以降、合計で4回の開催を経ており、7月14日の検討会において、これまでの議論の整理をお示ししています。これまでの議論の整理としては、基本的に雇用と福祉のそれぞれが果たすべき機能・役割と、連携の基本的な考え方として、たたき台をお示ししており、この後数回、検討会で議論を経た上で、参考資料2の一番右下にありますが、夏頃として中間とりまとめを目指しています。
 こうした議論の状況にあり、各委員の皆様には、この後事務局から御参考として、7月14日にお示しした議論の整理をメールで送らせていただきますので、もし、各委員のほうで特段の御意見がございましたら、ショートノーティスで恐縮ですが、7月31日までに事務局に書面、メールでお送りくだされば幸いです。特段の御意見として書面でお送りいただいた場合には、そのまま8月の検討会のほうに資料として提示させていただき、検討会委員に御意見について御参照いただきながら、更に継続して議論いただくという方向性です。事務局からは以上です。
 
○山川分科会長 ありがとうございます。以上の点について何かございますか。よろしいでしょうか。それでは、今御説明がありましたように、もし御意見がありましたら、事務局宛てに個別に書面で提出をお願いいたします。特段ほかにございませんでしたら、これにて本日の障害者雇用分科会は終了させていただきたいと思います。次回の日程について、事務局から説明をお願いいたします。
 
○岡田障害者雇用専門官 事務局です。次回開催については、令和8年8月31日(月)を予定しておりますが、詳細については分科会長と御相談の上、皆様に御連絡させていただきます。以上です。
 
○山川分科会長 それでは、これをもちまして、本日の分科会は終了いたします。本日は、お忙しい中、有益な御議論を頂きまして、大変ありがとうございました。散会いたします。