2025年10月27日 薬事審議会 医療機器・体外診断薬部会 議事録

日時

令和7年10月27日(月)17:00~

場所

厚生労働省専用第14会議室

出席者

出席委員(17名)五十音順

(注)◎部会長 ○部会長代理
  他参考人3名出席


欠席委員(6名)五十音順  

行政機関出席者
  •  宮本直樹  (医薬局長)
  •  佐藤大作  (大臣官房審議官)
  •  野村由美子 (医薬局医療機器審査管理課長)
  •  安川孝志  (医薬局医薬安全対策課長)  他

議事

○医療機器管理課長 定刻になりましたので、「薬事審議会医療機器・体外診断薬部会」を開催いたします。医療機器審査管理課長の野村でございます。
 委員の先生方におかれましては、御多用の中、御出席を頂き誠にありがとうございます。本会議は、Web会議形式を併用して開催いたします。
最初に、本日の委員の出欠状況について御報告いたします。現時点で、医療機器・体外診断薬部会委員23名のうち、15名に御出席を頂いておりますので、薬事審議会令に基づく定足数を満たしていることを報告いたします。また、15名のうち、11名の委員にはWebシステムを用いて御参加を頂いております。
 続いて、本日の審議に参考人として御参加いただく先生方を御紹介いたします。議題2について、国立大学法人東北大学環境・安全推進センター教授、小川浩正先生、公益財団法人榊原記念財団附属榊原記念病院循環器内科主任部長、七里守先生、議題3について、東京女子医科大学腎臓内科教授・基幹分野長、星野純一先生に御参加を頂きます。なお、小川先生、七里先生におかれましてはWebにて、星野先生におかれましては現地にて御出席いただきます。
 議事に先立ち、所属委員の薬事審議会規程第11条への適合状況の確認結果について御報告いたします。薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任された委員はおられませんでしたので、報告いたします。委員の皆様には会議開催の都度、書面を御提出いただいており御負担をお掛けしておりますが、引き続き御理解、御協力を賜わりますよう何とぞよろしくお願い申し上げます。
 これより議事に入りますので、カメラ撮りはここまでといたします。続けて、本日の議題の公開、非公開の取扱いについて御説明いたします。
○事務局 事務局です。本日の議題の公開・非公開の取扱いについて説明いたします。令和6年薬事審議会確認に基づき、議題1については会議を公開で行い、議題2から議題6については、医療機器の承認審査等に関する議題であり、企業情報に関する内容などが含まれるため非公開といたします。
会場の皆様のお手元には資料が格納されたタブレットのほか、議事次第及び座席表を紙でお配りしております。また、Webにて御参加の先生方におかれましては、事前にお配りした資料をお手元に御用意ください。
 Webで御参加の先生方におかれましては、審議中はマイクをミュート、通信環境等に支障がない限りカメラをオンでお願いいたします。
○医療機器審査管理課長 事務局からは以上です。それでは、以降の進行について、小野部会長、よろしくお願いいたします。
○小野部会長 ここまでの事務局の説明について御意見、御質問等ございますでしょうか。よろしければ、これより議題に入ります。本日は、議題1から議題5が審議事項、議題6が報告事項となっております。なお、参考人の御都合により、議題の順番を入れ替えさせていただき、議題1、議題3、議題5、議題2、議題4の順に行う予定となっております。それでは、議題1、医療用接着剤基準等の改正又は廃止の可否についてに入ります。事務局より御説明をお願いいたします。
○事務局 事務局です。議題1、医療用接着剤基準等の改正又は廃止の可否について御説明いたします。1ページを御覧ください。本基準の法律上の位置付けですが、薬機法第42条第2項において、保健衛生上の危害を防止するために必要があるときは、医療機器について薬事審議会の意見を聴いて、医療機器の性状や品質、性能等に関し、必要な基準を設けることができるとされています。以降、「42条基準」といいます。
 現在、医寮機器の42条基準として、計八つの基準を制定しています。
 1)「医療用接着剤基準」2)「人工血管基準」3)「視力補正用コンタクトレンズ基準」などがあり、承認審査時には、その医療機器が42条基準に適合していることを確認しております。
 今回、1)医療用接着剤基準と2)人工血管基準の一部改正、3)視力補正用コンタクトレンズ基準の廃止を行いたいと考えております。
改正・廃止の概要として、1)医療用接着剤基準及び2)人工血管基準については、製品の物理的、化学的、生物学的試験の試験法が規定されておりますが、規定されている試験方法が古くなっていますので、最新の科学水準に合った試験方法にも対応できるようにするため、所要の改正等を行います。
 3)視力補正用コンタクトレンズ基準については、コンタクトレンズの直径、厚さ、ベースカーブ、頂点屈折力の許容差などが規定されていますが、近年、多種多様な視力補正用コンタクトレンズが開発されていることを踏まえて、機構が行う承認審査において製品ごとに評価を実施し、品質、有効性、安全性を担保できていることから、一律の基準である当該基準を廃止したいと考えております。
 2ページを御覧ください。医療用接着剤基準の具体的な改正案です。赤字が改正部分です。まず、最新の科学水準に合った試験方法にも対応できるようにするため、規定されている品質及び試験法と同等以上の品質、有効性及び安全性を担保することができる品質基準及び試験法がある場合には、それを用いることができる旨を追加したいと考えております。また、物理試験において、製品がほとんど無色透明であるという外観を規定していますが、近年、医療用接着剤の視認性を確保するため着色されている製品が開発されていることから、当該規定を削除したいと考えております。また、試験法で、日本薬局方を準用しており、日本薬局方の告示番号を最新のものに更新したいと考えております。
 続いて、4ページを御覧ください。人工血管基準の具体的な改正案です。医療用接着剤基準と同様に、同等以上の品質基準及び試験法を用いることができる規定を追加する予定です。また、日本薬局方の告示番号の更新についても同様です。
 最後に、パブリックコメントを実施したところ、大きく内容を変更する意見はありませんでした。
 事務局からの説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○小野部会長 ありがとうございました。それでは、委員の皆様方から御意見、御質問等ございますでしょうか。Webの方は挙手ボタンをお願いいたします。よろしいでしょうか。
 ありがとうございました。ほかに特に意見はありませんので、以上で議題1を終了します。
○医療機器審査管理課長 ありがとうございました。それでは、以降の議論は非公開とさせていただきますので、傍聴の皆様は御退席くださいますようにお願いいたします。準備が整い次第、非公開案件の議題の審議を開始いたします。
――傍聴人 退室――
○医療機器審査管理課長 準備が整いましたので、部会を再開いたします。審議に先立ち、事務局から御報告いたします。
○事務局 本日の審議事項に関する競合企業について報告いたします。資料7「競合企業リスト」をお開きください。これらに関する委員からの申し出状況等を踏まえた、薬事審議会審議参加規程第5条及び第11条に基づく各委員の審議参加に係る取扱いを確認したところ、議決に御参加できない委員はいらっしゃいませんでした。以上、御報告いたします。
○医療機器審査管理課長 それでは、以降の進行についても小野部会長、よろしくお願いいたします。
○小野部会長 ただいまの事務局の報告について御意見、御質問等ございますでしょうか。よろしければ、これより議題に入ります。
 議題3医療機器「エンボスフィア」の生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認事項一部変更承認の可否及び使用成績評価の要否についてです。議題3については、参考人の御出席をお願いしております。参考人は、星野純一先生です。ただいま、星野先生はもう入室をされております。
 それでは、議題3医療機器「エンボスフィア」の生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認事項一部変更承認の可否及び使用成績評価の要否について審議に入ります。事務局より御説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 機構より御説明いたします。資料3の2ページ、専門協議委員の一覧を御覧ください。本審査に当たり、3名の専門委員から御意見を頂きました。
 以降の説明は資料3の3ページからの審査報告書に基づいて御説明いたします。ページ番号は緑色の通し番号、審査報告書のページ番号及び左に記載の行番号を用いて御説明いたします。また、審査報告書に修正がありますので、当日配布資料の正誤表にてお示しいたします。当日資料として御準備した審査報告書は正誤表の内容が反映された資料です。
 それでは、審査報告書に沿って御説明を始めます。はじめに本品の概要を御説明いたします。資料3、9ページ、審査報告書7ページの冒頭「1.審議品目の概要」を御覧ください。
 本品は、ブタゼラチンを含浸コーティングしたアクリル系共重合体からなる非吸収性のマイクロスフィアです。本品は多血性腫瘍又は動静脈奇形を有する患者に対する動脈塞栓療法(以降「TAE」という)の適応で承認されており、カテーテルを用いて血管内に留置し、血流を遮断することを目的に使用されます。本申請は、多発性肝嚢胞又は多発性嚢胞腎を有する患者に対するTAEの適応を追加することを目的として申請されました。
 次に、開発の経緯を御説明いたします。同7ページの22行目から御覧ください。多発性肝嚢胞及び多発性嚢胞腎は遺伝性疾患であり、進行性に増加・増大する嚢胞が腹腔内及び胸腔内臓器を圧迫することで腹部膨満、腰痛・背部痛、栄養障害等を引き起こす疾患です。多発性肝嚢胞及び多発性嚢胞腎の治療として、ドレナージ術、開窓術、外科的切除術、移植術が実施されていますが、再発率や合併症リスクが高いといった課題があります。近年、本邦において、より低侵襲な治療としてコイルを用いたTAEが報告されていますが、再治療が困難であることや合併症リスク等の課題があり、現時点では、両疾患に対する標準的な塞栓物質は存在しません。
 本品は、既存適応である多血性腫瘍及び動静脈奇形に対する使用経験より、肝臓及び腎臓における塞栓効果と安全性が確認されていることから、多発性肝嚢胞及び多発性嚢胞腎に対しても有効であると考えられ、開発に至りました。
 続いて、国内外における使用状況について、資料11ページ、審査報告書9ページの4行目から御覧ください。多発性肝嚢胞及び多発性嚢胞腎への適応は外国においても承認されておりません。
 本品の非臨床試験については、本申請に伴う規格、構成品、使用方法等に変更がないことから資料が省略されましたので、臨床試験成績について御説明いたします。
 資料15ページ、審査報告書13ページの28行目から御覧ください。本申請では、多発性肝嚢胞に関する臨床試験成績として本邦で実施された医師主導治験成績が提出されました。また、参考資料として探索的な位置付けの臨床研究及び医師主導治験の2試験の長期フォローアップ成績を評価した臨床研究成績が提出されました。以降は医師主導治験を「本治験」、探索的な位置付けの臨床研究を「探索的研究」、長期フォローアップ臨床研究を「本フォローアップ研究」といいます。 
 また、多発性嚢胞腎に関する臨床評価資料として、臨床研究成績及び多発性嚢胞腎に対するTAEに関する公表文献を基に作成された臨床評価報告書が提出されました。
 まず、多発性肝嚢胞に対する本品の有効性及び安全性評価について説明します。多発性肝嚢胞患者を対象とした本治験の主要評価項目については資料16ページ、審査報告書14ページの10行目から御覧ください。主要評価項目には、TAE実施後6か月時点の「肝容積の縮小率が5%以上」及び「腹部膨満感の変化がやや改善以上」から構成される複合エンドポイントが設定されました。
 試験成績については資料18ページ、審査報告書16ページの冒頭から御覧ください。主要評価項目であるTAE実施後6か月時点の「肝容積の縮小が5%以上」及び「腹部膨満感の変化がやや改善以上」の両方を満たすresponder割合は23.1%、95%信頼区間は9.0-43.6%であり、信頼区間の下限値は達成目標である20%を満たしませんでした。
 安全性評価結果については、同16ページの15行目から御覧ください。手技との因果関係が否定できない有害事象の発生率は100%であり、TAE直後に生じたことから塞栓後症候群に起因すると判断されました。また、機器との因果関係が否定できない有害事象は、2例3件、7.7%で認められました。
 次に、本治験及び探索的研究の長期フォローアップ成績を評価した本フォローアップ研究について説明します。資料19ページ、審査報告書17ページの12行目から御覧ください。本治験登録症例において、腹部膨満感の変化がやや改善以上を満たす割合は、本治験の最終評価時点(TAE後6か月)で57.7%、本フォローアップ研究の最終評価時点(TAE後36か月)で42.3%でした。また、その他のQOLのスコアについても長期的に維持されていました。
 肝容積の変化については資料20ページ、審査報告書18ページの5行目から御覧ください。肝容積縮小率は、探索的研究及び本治験を含む前試験の最終評価時点で5.68%、本フォローアップ研究の最終評価時点で3.47%と肝容積がやや増大したものの、縮小は維持されていました。
 次に、多発性嚢胞腎に対する本品の有効性及び安全性評価について説明します。多発性嚢胞腎患者を対象とした臨床研究(以降「本研究」という)の有効性評価結果については、資料22ページ、審査報告書20ページの10行目から御覧ください。本品によるTAEを施行した3例全例において腎容積の縮小が認められました。3か月後の両腎容積縮小率は22.35±15.29%であり、その後も経時的な縮小が認められました。また、6か月以降のQOL評価において、腹部膨満感や疼痛の改善が全例で認められました。
 安全性評価結果については資料23ページ、審査報告書21ページの3行目から御覧ください。本研究では全例に発熱、CRP上昇等の塞栓後症候群が発生しましたが、いずれも非重篤な事象でした。重篤な有害事象は2例3件認められましたが、いずれも本品との因果関係は否定されました。
 また、参考情報として、多発性嚢胞腎に対する本品以外のTAEに有効性及び安全性の文献評価が提出されました。同21ページ10行目から御覧ください。表18の条件で検索を行った結果、表20の14報が評価対象とされました。
 有効性に関しては資料25ページ、審査報告書23ページの冒頭から御覧ください。コイル、エタノール等を用いたTAEによる腎容積縮小率は、手技後6か月で38.2~72.7%、手技後12か月では38.2~53.4%であり、本研究の成績も同様でした。
 安全性に関しては資料26ページ、審査報告書24ページの3行目から御覧ください。合併症に関する詳細な記載のなかった文献を除く全ての文献において、塞栓後症候群が報告されていました。その他の合併症については、文献間で頻度が高い特定の事象はなく、死亡例は706例中7例(0.99%)と報告されていますが、文献内で手技又は塞栓物質との関連性の特定はされておりませんでした。
 以上の試験成績を踏まえ、機構における審査の概要を御説明いたします。
 まず、多発性肝嚢胞に対する有効性について資料29ページ、審査報告書27ページの4行目から御覧ください。本治験では、先ほども御説明したとおり、主要評価項目の達成目標を満たすことができませんでした。その原因として、肝容積と臨床症状は必ずしも相関しないとの報告があり、複合エンドポイントを設定したこと自体は妥当であったものの、「肝容積縮小率5%」の尺度のみで本品の塞栓効果を評価することに限界があったことが考えられます。加えて、達成目標の根拠となるデータが限定的であり、本治験にはより重症な症例が多数登録され、有効性が得られにくかったことも想定されます。一方で、本邦における患者数、標準療法の侵襲性から、比較臨床試験の実施が困難な状況を踏まえると、本治験の主要評価項目の結果のみから本品の有効性を否定するべきではないと考えます。
 そこで、画像データ等の評価により、症例ごとに臨床的に意義のある塞栓効果が得られているか確認しました。資料33ページ、審査報告書31ページの12行目から御覧ください。症例ごとの評価により、肝容積縮小率5%に満たなかった症例においても、部分的な嚢胞の縮小により腹部膨満感の改善が得られた可能性が示唆されました。さらに、腹部膨満感の改善が得られなかった症例においても、肝容積の大幅な拡大抑制により腹部膨満感の悪化抑制、摂食障害や疼痛の改善を確認することができました。
 以上より、本品を用いたTAEの塞栓効果とそれに付随する臨床症状の改善や悪化抑制が確認できたことから、一定の有効性が期待されると考えます。
また、6か月時点の肝容積縮小率について、治療原理が同等であるコイルの成績は約5%であり、本治験でも同様の成績が得られていることから、本品を多発性肝嚢胞の治療選択肢の一つとして位置付けることは可能と判断しました。
 多発性肝嚢胞に対する安全性については、資料34ページ、審査報告書32ページの23行目から御覧ください。本治験において、手技に関連する有害事象として全例で塞栓後症候群が発生しているものの、事象の内容及び発生率は既存の塞栓物質と同等であり、本品特有の事象ではないこと、機器との因果関係が否定できない有害事象についても、発生時期や事象の内容から本品を用いた治療に起因する可能性は低いと考えられることから、本治験における本品の安全性は、臨床上、許容可能と判断しました。
 多発性肝嚢胞に対する長期的な有効性及び安全性については、資料35ページ、審査報告書33ページの24行目から御覧ください。本治験や探索的研究の前試験評価時点から、本フォローアップ研究の最終評価時点にかけて肝容積がやや増大し、治療効果も減弱の傾向が認められたものの、ベースラインと比較して肝容積は縮小かつ臨床症状は改善していました。無治療の場合には、経時的な肝容積の増大、QOLの悪化が報告されていることを踏まえると、TAE後36か月の時点でも肝容積の増大を抑制し、安全性上の懸念なくQOLの悪化を抑制できたことは一定の臨床的意義があると考えます。
 以上、多発性肝嚢胞に対する本品の有効性及び安全性のまとめとして、本治験及び本フォローアップ研究の成績から一定期間の肝容積増大抑制、症状の改善又は悪化の抑制が確認できたこと及び肝機能への影響を含め安全上の大きな懸念はなかったことから、本品を用いた治療の有用性は期待できると考えます。
 次に、多発性嚢胞腎に対する本品の有効性及び安全性について資料37ページ、審査報告書35ページの10行目から御覧ください。本研究では、TAE実施後12か月後には両腎容積が約半分まで縮小し、疼痛緩和や腹囲減少が認められました。当該成績は、本品以外の塞栓物質による文献報告の成績と比較しても遜色がないため、本品によるTAEの有効性は一定程度確認されたと考えます。
  また、全例で発生した塞栓後症候群を含め、本品特有の安全性事象は認められなかったため、臨床上許容可能と判断しました。
 以上より、本品を多発性嚢胞腎に使用する塞栓物質の選択肢の一つとして適応に含めることは受入れ可能と判断しました。
 続いて、本品の適正使用を含めた製造販売後安全対策については、資料38ページ、審査報告書36ページの12行目から御覧ください。本品を適正に使用するためには、多発性肝嚢胞及び多発性嚢胞腎の治療に精通し、十分な知識と経験のある医師、医療チームがトレーニング等により本品の手技に関して必要な知識・技術を習得した上で、本品のリスク・ベネフィットバランスを確保可能な対象患者を適切に選択し使用することが重要と考えます。これを踏まえ、表28に示す関連学会が作成する適正使用指針を遵守するとともに、表29に示すトレーニングの実施が必要と考ええ、これを承認条件として付すことが妥当と判断しました。
 最後に、製造販売後調査について資料41ページ、審査報告書39ページの2行目から御覧ください。多発性肝嚢胞に対する肝TAEにおいては、肝容積縮小と臨床症状の改善が相関しない症例や、本品の治療効果が得られない症例が本治験において一定数存在したことから、製造販売後調査において、引き続き本品の有効性及び安全性を確認し、必要に応じて追加のリスク低減措置を講じる必要があると考えます。また、多発性嚢胞腎に対する腎TAEにおいては、本研究が単施設で実施され、本品の使用実績が限定的であることを踏まえ、製造販売後調査において、製造販売後安全対策の充足性を確認しながら継続的に本品の有効性及び安全性を評価し、本品の適正使用指針の見直しや追加のリスク低限措置を検討することが重要と判断しました。
 製造販売後調査は、前の38ページの表30に示すとおり、目標症例数45例のうち、多発性肝嚢胞と多発性嚢胞腎の最低症例数はそれぞれ24例、13例と設定されました。本品によるTAEが有効な症例の条件は現時点で完全に明確ではなく、適正使用指針を遵守し、市販後のデータを収集しながら引き続き検討をしていく必要があることから、対象疾患の症例数が限られていることも踏まえ、本品を使用した全症例の情報を一定症例数に達するまで収集する全例調査の方針とすることが妥当と判断し、これを承認条件として付すことといたしました。追跡期間は、本品の長期的な治療効果の維持及び安全性の確認のため1年とすることが妥当と判断しました。
 以上の審査を踏まえ、機構は資料43ページ、審査報告書41ページの26行目より記載する<使用目的>にて、本品を承認して差し支えないと判断し、本医療機器・体外診断薬部会で御審議いただくことが適切と判断しました。本品は、使用成績評価の対象に指定し、使用成績評価の評価期間を4年6か月とすることが妥当と判断しました。また、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しました。なお、薬事審議会では報告を予定しております。
 機構からの報告は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○小野部会長 ありがとうございました。それでは参考人の星野先生から追加の御発言がございましたらお願いします。
○星野参考人 東京女子医大の星野です。まず、この病気は非常に難治性で進行性の遺伝性疾患であるということがあります。あとは患者さんの数が非常に限られた疾患ですので、今回の検討は比較的nをしっかりと集めて行った研究ではないかと理解しております。腎臓に関しては全ての血管を塞栓しますので、約5割の縮小は妥当な結果だと思います。肝臓に関しては、部分的な塞栓になりますので、個人個人の嚢胞局在に応じて塞栓部位も異なるため、縮小率も個々で異なります。そのため今回の結果も、個人的には治療効果を示唆する結果ではないかと考えております。私からは以上です。
○小野部会長 ありがとうございました。それでは委員の皆様方から御意見、御質問等ありましたらお願いします。
 それでは永井委員、お願いします。
○永井委員 京大の永井です。この製品の承認に異議はないのですが、臨床試験成績の解釈でコメントがあります。
 肝臓の医師主導治験、審査報告書の14ページです。この治験では、肝容積縮小率5%以上と腹部膨満感の改善、この二つを評価し、それをandの形で、複合エンドポイントと呼んでいますが、それは誤解です。複合エンドポイントというのは、基本はorの関係です。例えば、心血管イベントで、全死亡、心筋梗塞、脳卒中、入院などを合わせてMACEと呼びます。この定義を間違えると、臨床試験結果の解釈や、総合判断まで書きぶりがおかしくなってしまいます。
 もしandでいくとすれば、それは複合エンドポイントとは呼ばず、通常のエンドポイントです。あえて言うなら、レスポンダーという言葉だったらまだ分かります。複合エンドポイントとして理論を展開してしまうと、とてもおかしな記載なりますので訂正が必要と思います。
○小野部会長 ありがとうございました。それでは事務局から回答をお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 機構より回答いたします。御指摘を頂きありがとうございます。今回の主要評価項目につきましては、手技後、6か月時点での肝容積の縮小率5%以上と、腹膨満感の変化がやや改善以上の両方を満たす割合が設定されておりますので、複合エンドポイントという記載方法に誤りがあったことは大変申し訳ございません。こちらに関しては、記載方法を修正させていただきます。
○永井委員 そうですか。有効性・安全性にかかる機構の見解や、総合的な評価にも関係する部分がありますので、全体的に直していただけたらと思います。以上です。
○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございます。修正させていただきます。
○小野部会長 ありがとうございました。ほかに御意見、御質問等ございますか。宮川委員、お願いします。
○宮川委員 宮川です。御説明ありがとうございました。本品は5サイズあるわけですが、ほとんどが小さいサイズです。本邦の場合に、より小さい血管に対して限局的な所を一つずつ潰していく、そういうような考え方で、この小さいサイズを用いられてきたということでよろしいでしょうか。
○小野部会長 それでは事務局から御回答をお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 機構より回答いたします。本品の粒子径につきましては、5規格あるのですが、肝臓を対象とした治験の方では、一番小さい100から300μmの規格が使用されております。腎臓の臨床研究の方では、特段、サイズの規定はなかったのですが、小さいほうから三つの規格が使用されております。小さいサイズが使われた理由としては、なるべく末梢から詰めていくということで、小さいほうのサイズが選択されたと理解しております。
○宮川委員 ありがとうございます。それから、多発性の腎嚢胞の場合には、これは遺伝性ということも考えているわけですが、その場合には小さいときから嚢胞が大きくなっていくことが想定されます。治療のタイミングは、嚢胞の大きさによって決めていくのか、数によって決めていくのか。試験成績を見ますと、容積と書いてあるわけですが、どのように治療のタイミングを選ぶのかということも含めて教えていただきたいと思います。
○小野部会長 ありがとうございます。事務局答えられますか。難しければ星野先生にお答えいただいたほうが正確だと思います。
○星野参考人 ありがとうございます。基本的には血液透析を導入後の腎機能が廃絶している患者さんを対象にしますので、腎嚢胞が小さい時期でなく、嚢胞が巨大化して腎臓全体がほぼ全て嚢胞に置換された患者さんに対して、全ての腎臓の動脈を詰めるというのが基本的な治療になります。
○宮川委員 ありがとうございます。つまり、腎臓に関しては、この患者さんは透析導入後に治療されているということで、腎機能はある程度関係なしに、容積が大きくなっていくのをどれだけ防ぐのかというように使われる。しかしながら、肝臓の方はそれとは違って、肝臓のある程度の機能を保つために治療するという解釈でよろしいですか。つまり、二つの疾患に関しては、それぞれ治療タイミングを考えていかないといけないということでよろしいですか。
○小野部会長 事務局からお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 機構より回答します。先生の御理解のとおり、肝臓の方は機能を残しながら詰めていくということと、腎臓の方は既に腎臓透析を導入された患者さんに対して使用するという、使用のタイミングが異なりますので、それぞれ患者さんに対して適切なタイミングを確認した上で、本品が適応されるということになります。
○宮川委員 了解しました。それですと、両方に関わることですが、経時的に嚢胞が増大し、嚢胞の総容積は増えていくわけですから、治療により容積が不変なものは有効であると考えたほうがよろしいのかと思うのです。これは有効としていないのですが、その根拠はどういうことですか。
○小野部会長 これは事務局からお答えください。
○医薬品医療機器総合機構 機構より回答いたします。先生から頂いた御質問の内容を確認させていただきたいのですが、経時的に嚢胞が増大していく疾患ですので、そこが変わらないというところに関して、有効であるのではないかという御指摘で合っていますか。
○宮川委員 進行性で、容積がだんだん増えていくというのが、この病気の本態なわけです。そうすると、塞栓の前と後で嚢胞の容積が不変であるならば、本来は有効であると示すものと思います。それから、腎と肝では多少違うかもしれません。つまり、腎臓の場合には、先ほど星野先生がおっしゃったように、腎臓の嚢胞が大きくなると腹部の圧迫症状も含めていろいろな症状がある。肝臓に関しても、腹部に圧迫症状、腹部膨満感を含めて患者さんが臨床症状として呈するわけですが、治療によって症状を止めるということが必要なのか、それとも、容積を縮小させることがこの目的なのか。どちらかというふうに考えると、症状を止めるだけでもかなり有効なのか、進行性の病態と考えれば、容積を縮小するということに力を置くのか、どのように解釈すればよいのかと思い質問させていただきました。
○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございます。試験のプロトコルとしては、肝容積が縮小していて、かつ、腹部膨満感が改善していたという主要評価項目にはなっていたのですが、実際は先生のおっしゃるとおり、進行性の疾患ですので、嚢胞の拡大が抑制されていて、かつ、症状の進行が抑えられているというところであれば、本品の治療の意義はあると考えられますので、そういった点も踏まえて、今回はこちらの成績を踏まえて、本品の一定の有効性があるのではないかと判断しております。
○宮川委員 ありがとうございました。
○小野部会長 星野先生、今後市販後調査を進めていく上で、今の有効性の議論に関わるのが、アカデミアとしてはどういう形で評価をしていこうかということを、お考えになっているのか、少し教えていただけますか。
○星野参考人 ありがとうございます。今、宮川先生がおっしゃったように、進行性の病気ですので、サイズが変わらないということだけでも一定の効果があると見ることもできるかとは思います。ただ、今までもコイル等の治療を通じて、やはり、その中には縮小していく症例があるということで、今回のアウトカムが設定されたと思いますので、市販後調査におきましても、その肝容積と症状、この2点で、特に肝臓に関しては見ていくのが一番ではないかと思っております。
○小野部会長 大変よく分かりました。ありがとうございます。
○宮川委員 ただ今、星野先生から教えていただいたように、コイルの場合には、ある程度縮小するという実績があるわけですが、塞栓物質の今後の在り方というのは、どういうものを考えていくのが有用なのかお聞かせいただきたいと思います。
○小野部会長 星野先生の方から、いわゆる新しい塞栓術の立ち位置ということになりますが、御意見をお願いします。
○星野参考人 この治療自体は、サイズを小さくすることだけが目的ではなく、それに付随するQOLや、栄養状態も改善してきますので、その辺が次なる目標ということになってくると思います。
 市販後調査としては、現在議論にある目標で良いと思いますが、この治療法自体の最終的なゴールは、患者さんのQOLの改善だと思います。
○宮川委員 ありがとうございました。
○小野部会長 ありがとうございました。ほかに御質問、御意見等ございますか。ありがとうございました。それでは、特にございませんので、議決を行いたいと思います。なお、本議題の利益相反事項に関して、議決に参加できない委員はいらっしゃいません。医療機器「エンボスフィア」について、本部会として承認を与えて差し支えないものとし、生物由来製品及び特定生物由来製品としては指定しないとしてよろしいですか。また、使用成績調査は指定を4年6か月とすることでよろしいですか。御異議のある先生は、挙手あるいは御発言をお願いします。
 特に御異議はないようですので、そのように議決をいたします。なお、本件は審議会にて報告を行うこととなっております。以上をもちまして、議題3を終了いたします。星野先生、どうもありがとうございました。
――星野参考人退室――
 それでは議題5、仮称ですが、医療機器「LIFESCAPES 治療用 BMI」を先駆的医療機器として指定することの可否についての審議に入ります。事務局より説明をお願いします。
○事務局 それでは議題5について、御説明させていただきます。本議題は、先駆的医療機器の指定に関する内容ですので、始めに、先駆的医療機器の指定制度について御説明させていただきます。参考資料と書かれた通知を御覧ください。
 参考資料の2/9ページを御覧ください。(1)から(4)にありますように、四つの指定要件を満たす場合に、先駆的医療機器として指定を行います。一つ目の要件は、治療法又は診断法の画期性です。医療機器の場合は新規原理を有することが要件とされております。二つ目の要件は、対象疾患の重篤性です。生命に重大な影響がある重篤な疾患又は根治療法がなく症状が継続している疾患とされております。三つ目は、対象疾患に係る極めて高い有効性又は安全性が見込まれること、さらに四つ目は、世界に先駆けて日本で早期開発及び承認申請する意思並びに体制を有していることとされております。先駆的医療機器に指定されますと、4/9ページにありますように、機構による優先相談・審査や、コンシェルジュによるサポートを受けることができます。
 それでは、資料5に戻りまして、今回指定希望がありました製品について御説明させていただきます。資料5の2/66ページを御覧ください。名称は「(仮称)LIFESCAPES 治療用 BMI」、予定される使用目的又は効果は、「本品は、脳卒中後の重度麻痺患者を対象として手指の麻痺又は痙縮を改善するために用いる。」、申請者名は「株式会社LIFESCAPES」です。
 はじめに、製品概要について御説明させていただきますので、資料の28/66ページを御覧ください。
 本品は、頭皮脳波からリアルタイムに運動野の興奮性を推定し、その状態に基づいて体性感覚フィードバックを与えることで神経系の再構築を誘導、手指の麻痺や痙縮を改善することを目的とてしております。この図のマル1にある頭に付けたヘッドセット機器に装着された電極により脳波信号を読み取りまして、患者はマル2のモニターにより自身の脳波信号をリアルタイムに解析した結果を見ながら、繰り返し手指の運動イメージを行います。
 その際に、マル2にありますように、計測された脳波から運動野の興奮性状態を推定し、この運動野の興奮性に基づいて、マル3にある患者の手に装着した電動装具を駆動させて手指伸縮をアシストすると同時に、手指を動かす筋肉に対して神経筋電気刺激を与えます。このように、体性感覚フィードバックを与えることによって、神経系の再構築を誘導し、手指の麻痺や痙縮を改善する仕組みとなっております。
 それでは、2/66ページに戻りまして、各要件への該当性について御説明いたします。はじめに、要件1の治療法の画期性ですが、現時点では、本品と類似の原理に基づいて体性感覚フィードバックを行う既存の医療機器はなく、新規原理を有することから、指定要件1に該当すると考えております。
 続いて、要件2の対象疾患の重篤性ですが、本品が対象としている重度麻痺患者では筋電図において筋電の反応が検出されないことが多いため、当該治療法では十分な改善が得られず、現時点では有効な治療法もなく、廃用手となることが非常に多いことから、脳卒中後の上肢の重度麻痺は、社会生活が困難な状態が継続している疾患とみなすことができ、指定要件2にも該当すると考えております。
 続いて、要件3、対象疾患に係る極めて高い有効性又は安全性については、本品の前型品を用いた探索的治験を行っておりまして、重度上肢麻痺患者に対して臨床的有用性が期待される改善が確認されたことから、指定要件3に該当すると考えております。
 最後の要件4、世界に先駆けて日本で早期開発及び承認申請する意思並びに体制についても該当すると考えられたことから、本品を先駆的医療機器と指定して差し支えないと判断いたしました。
 以上、議題5に関する御説明となります。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○小野部会長 ありがとうございました。それでは、委員の先生方から御意見、御質問等ありましたらお願いいたします。宮川委員、どうぞ。
○宮川委員 教えていただきたいのは、脳卒中の場合、広範囲な梗塞部位があるとすると、この脳波の出現の確かさというのはどうなのか。つまり、軽症、中等度、重症と分けられておりますが、重症の場合、非常に狭い範囲での限局した脳梗塞であれば、それが深い所であっても限局していれば、その周りの運動野の脳波というのはある程度出現して、それを感知して動かすという形になると思うのですが、広範囲な脳梗塞、ここには脳卒中と書いてありますが、脳卒中の場合には、脳波の出現パターンの変化というのは、どのように考えたらよろしいのでしょうか。
○事務局 御質問いただきまして、ありがとうございます。まず、脳波をどのように取っているかについては、国際10-20法に基づいて、一般的な脳波の取り方で取っていると伺っております。御指摘のとおり、梗塞の状況によって得られる効果が変わってくる可能性が想定されますが、現状、探索的治験の方でも一定数重度の麻痺患者が含まれておりまして、一定程度の有効性は確認できているというところです。明確に梗塞の範囲等によって結果がどのように変わってくるか、脳波の取り方がどう変わってくるかといった御回答が現状できず申し訳ないのですが、今後の試験等でもそういったところを評価されていくものと思いますので、本日、御指摘いただいたところに関しては申請者側にもお伝えをいたしまして、今後の検証とさせていただきたいと考えております。以上です。
○宮川委員 ありがとうございます。理論的には非常によく分かります。29/66の図を見ても、運動野の障害された部位と範囲によって、かなり脳波が違ってくることが予想されるので、脳波を検知するということはどういうことなのか疑問だったものですから質問させていただきました。ありがとうございます。
○小野部会長 ありがとうございます。ほかに、御質問、御意見等ございますか。よろしいでしょうか。それでは、議決を行いたいと思います。なお、本議題の利益相反事項に関して議決に参加できない委員はいらっしゃいません。
 「(仮称)LIFESCAPES 治療用 BMI」を先駆的医療機器として指定することとしてよろしいでしょうか。御異議のある委員の先生方は挙手又は御発言をお願いいたします。
 御異議がないようですので、そのように議決をいたします。本件は審議会にて文書報告を行うことといたします。以上をもちまして、議題5を終了します。
 それでは、議題2、医療機器「remedeシステム」の生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び使用成績評価の要否に入りたいと思います。議題2については、参考人の出席をお願いしておりますので、参考人の入室が確認でき次第、議事を進行いたします。
○事務局 小川先生、七里先生ともに入室されております。
○小野部会長 それでは、議題2医療機器「remedeシステム」の生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び使用成績評価の要否についての審議に入ります。本議題について、参考人として、小川浩正先生並びに七里守先生にWebで御出席いただいております。 それでは、事務局より御説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 機構より説明いたします。資料2の2ページ、専門協議委員の一覧を御覧ください。本審査に当たり、4名の専門委員より御意見を頂きました。以降の説明は、資料2の3ページからの審査報告書に基づいて御説明いたします。ページ番号は緑色の通し番号、審査報告書のページ番号及び左に記載の行番号を用いて説明いたします。
 はじめに、本品の概要を説明いたします。資料の9ページ、審査報告書の7ページの1行目から御覧ください。本品は、経静脈的に横隔神経刺激を行う植込み型の刺激装置で、中枢性睡眠時無呼吸(以下CSAという。)のうち、持続陽圧呼吸療法や適応補助換気などの陽圧換気療法又は酸素療法に関して、不適又は不忍容の場合の治療に使用される機器です。本品は、図1~図5に示すとおり、植込み型パルスジェネレータ(以下IPGという。)、静脈に留置するリード及びその他の構成品から構成されます。
 資料の10ページ、審査報告書の8ページの1行目から御覧ください。本品のIPGは、患者の体位や活動レベルから患者が睡眠中かを判定し、左右のいずれかの静脈に植え込まれたリードで胸壁インピーダンスを測定し、呼吸が正常かを判定します。医師が設定した時間内で睡眠中の患者の呼吸状態に異常が発生した場合、IPGはリードを介して片側の横隔神経に電気刺激を行い、横隔膜を収縮させ肺を拡張させます。その結果、呼吸器の受容体が呼吸器中枢に働きかけ、正常な呼吸を行うようになります。
 開発の経緯を説明いたします。資料の11ページ、審査報告書の9ページの7行目から御覧ください。睡眠関連呼吸障害には、呼吸努力を伴うものの、気道に狭窄・弛緩などが生じ、睡眠中に気流が停止又は減少する閉塞性睡眠時無呼吸と、呼吸中枢の異常によって呼吸努力が伴わず、睡眠中に気流が停止又は減少するCSAが含まれます。また、CSAはチェーンストークス呼吸を行うCSA(以下CSA-CSBという。)を含めて8種類に分類されます。CSAの診断や治療に用いる指標としては、睡眠時間1時間当たりに発現する無呼吸又は低呼吸の回数を表す無呼吸低呼吸指数(以下AHIいう。)が使われ、15~30で中等症、30以上で重症と診断されます。
 CSAに対する既存治療には、薬物療法のほか陽圧換気療法、酸素療法がありますが、忍容性の問題で治療を継続できない又は治療効果が得られない患者がおり、治療法が限られているのが現状です。本品は、陽圧換気療法や酸素療法で治療を継続できない又は治療を行っても効果が得られない患者の呼吸状態を回復することで、CSAの治療を行う植込み型横隔神経刺激装置として開発されました。
 外国における使用状況について、資料の12ページ、審査報告書の10ページの1行目から御覧ください。表1のとおり、本品は米国及び欧州において、それぞれ2017年10月及び2010年8月に承認され使用を開始しており、2025年6月時点で米国では1,685台、欧州では123台販売されています。
 本品の非臨床試験成績については、特段の問題は認められませんでしたので、臨床試験成績について説明いたします。臨床試験成績については、資料の20ページ、審査報告書の18ページの9行目から御覧ください。本申請では、臨床評価資料として表4に示すとおり、中等症以上のCSA患者を対象に、米国及び欧州の31施設で実施された非盲検多施設共同無作為化試験(以下、本試験という。)に関する成績が提出されました。151例に本品の植込みが行われ、治療群は植込み手術の治癒期間である1か月経過後に刺激が開始され、対照群は治癒期間経過後から6か月間は刺激をせず、主要有効性評価の後に刺激が開始されました。本臨床試験の主要有効性評価項目は、ベースラインから刺激開始後6か月後までにAHIの50%以上の減少を達成した被験者の割合、主要安全性評価項目は、本品植込みから刺激開始後12か月までの植込み手技、本品又は実施された治療に関連する重篤な有害事象の回避率と設定されました。なお、本臨床試験では、最大で5年までのフォローアップが実施されました。
 試験成績について御説明いたします。資料の24ページ、審査報告書の22ページの7行目を御覧ください。主要有効性評価項目については、表10に示すとおり、治療群は51.5%、対照群は11.0%で、本品により有意なAHIの低下が認められ、主要有効性評価項目を達成いたしました。
 主要安全性評価項目については、資料の27ページ、審査報告書の25ページの1行目を御覧ください。表13に示すとおり、重篤な有害事象の回避率は、治療群で91.8%、対照群で91.0%でした。
 これらの試験成績を踏まえた機構における審査の概要を説明いたします。
はじめに、本品の外挿性について説明いたします。資料の28ページ、審査報告書の26ページの1行目を御覧ください。申請者は、本品の横隔神経を電気刺激し、横隔膜を収縮させて呼吸パターンを正常に戻すという作用原理に関して、電気刺激による神経反応及び筋肉の収縮能に大きな民族差はない旨を説明しています。また、静脈径に関して、48例のカダバー試験で血管径を計測したところ、左心膜横隔静脈の直径が1~3mmであり、体格と静脈径に相関がない旨の報告があること、右腕頭静脈に関しては民族差がある旨の報告がないこと等から、静脈径に関しても民族差がない旨を説明しています。
 なお、外挿性について事前に御質問を頂きましたので、補足して説明いたします。体格の指標である体表面積について、心不全領域の大規模観察研究で報告された本邦の患者の平均値を参考に、本臨床試験の対象患者のうち、体表面積が1.8m2以下の患者12例について確認を行いました。その結果、12例全てで植込みが成功し、症例数は少ないものの主要有効性評価項目は治療群で80.0%、対照群で50.0%と群間差を認めました。また、重篤な有害事象の発生率は16.7%で、各群で1例ずつ認めたのみであり、海外臨床試験において体格差の影響は認められませんでした。
 機構は、横隔神経刺激に対する応答、解剖学的な差分について得られている情報を踏まえ、民族差が本品の評価に及ぼす影響は許容可能と判断いたしました。ただし、本品を留置する血管のうち、左心膜横隔静脈はこれまでアプローチがされていない細い血管であることから、植込みを行う医師に対し、血管の選択やリードの留置に関するトレーニングを製造販売後に十分に行うことが重要と判断しています。
 本品の評価方針について説明いたします。審査報告書の26ページの21行目を御覧ください。冒頭で御説明したとおり、CSAは8種類に分類されますが、病因の異なる全てのCSAを本品の対象とする妥当性について申請者は、心不全に合併するCSA-CSBについては、国内外のガイドラインで、心不全に対する治療を実施した上で、陽圧換気療法や酸素療法を行うよう記載されていること、それ以外のCSAについては、米国のガイドラインでは陽圧換気療法や酸素療法を考慮してもよいことが記載されており、本臨床試験でCSA-CSBとそれ以外のCSAで、主要有効性評価項目及び主要安全性評価項目に大きな差を認めなかったことから、CSAの種類に関して制限は不要と判断した旨を説明しています。
 機構は、心不全患者では、CSA-CSBを含む睡眠関連呼吸障害による低酸素化や中途覚醒が心機能や予後に悪影響を及ぼすことが知られているのに対し、それ以外のCSAに関しては報告が限定的であり、病因によってAHIを低下させることの臨床的意義に関する知見に差があることを踏まえ、本臨床試験の患者集団を心不全に合併するCSA-CSBを有する心不全サブグループと、それ以外のCSAを有する心不全サブグループ以外の二つに分けて評価することといたしました。
 サブグループごとの評価について説明いたします。資料の30ページ、審査報告書の28ページの7行目から御覧ください。申請者からサブグループごとの成績が提出され、心不全サブグループは96例、心不全サブグループ以外は55例で、そのうち特発性のCSAが16例、心不全以外の疾患に合併したCSAが39例含まれていました。
 サブグループごとの有効性及び安全性について説明いたします。有効性については、資料の32ページ、審査報告書の30ページの4行目から御覧ください。
主要有効性評価項目に関しては、表21に示すとおり、心不全サブグループでは治療群が57.9%、対照群が4.4%で、心不全サブグループ以外では治療群が56.5%、対照群が21.4%と、いずれのサブグループにおいても群間差を認めました。
 副次評価項目については、資料の34ページ、審査報告書の32ページの2行目を御覧ください。副次評価項目のうち、睡眠中の呼吸イベントや睡眠の質、酸素化に関する指標に関しては、本品が刺激を開始すると、いずれのグループの治療群及び対照群でも改善を認め、2年後も改善状況は継続いたしました。
 QOLに関する指標、心機能に関する指標については、改善を認めたものと特に影響がないものがありましたが、サブグループ間で傾向に差は認めませんでした。
 安全性について、審査報告書の33ページの1行目を御覧ください。主要安全性評価項目に関しては、表24に示すとおり、いずれのサブグループでも治療群と対照群で大きな差はなく、サブグループ間でも重篤な有害事象の発生率に明確な差は認めませんでした。また、表25及び次ページの表26に示すとおり、重篤な有害事象の発生状況に関しても、どちらかのサブグループに特有の有害事象は認められず、いずれの事象も本品のIPGやリードの移動、交換、摘出若しくは追加の投薬により解消いたしました。
表27に示す植込みから刺激開始後1年までの死亡例に関しては、全て心不全サブグループで発生いたしましたが、いずれも本品との関連性は否定されています。また、いずれのサブグループにおいても、治療群と対照群とで死亡率に差は認められませんでした。さらに、次ページの表29に示す植込み後5年までの死亡例に関しても、心不全サブグループの方が死亡率は高かったものの、いずれの事象も本品との関連性は否定されています。
 サブグループごとの結果を踏まえた本品の有効性及び安全性に関する審査の概要について説明いたします。まず、有効性についてです。資料の40ページ、審査報告書の38ページの28行目を御覧ください。いずれのサブグループでも、本品の刺激により呼吸状態、睡眠の質及び日中の眠気を含むQOLが改善され、心不全サブグループにおいては、心機能の改善及び心イベント抑制が一定程度期待できる結果であったことから、本品の有効性はあると判断いたしました。
 安全性についてですが、資料の45ページ、審査報告書の43ページの11行目を御覧ください。機構は、次に述べる3点を踏まえ、本品の安全性に特段の懸念はないと判断いたしました。まず、本臨床試験で植込み手技や本品に関連した重篤な有害事象が発生しているものの、いずれも追加の処置を行うことで解消され、長期的な健康被害を及ぼすものではなかったこと、刺激開始後1年までの死亡例に関して、植込みから死亡までの日数に群間差がないことから、本品の刺激により死亡率が上昇するとは考えにくいこと、心不全サブグループの死亡率が高いものの、合併症である心不全やその他の併存疾患によるものと想定され、本品の関連した死亡は長期にわたって発生していないこと、加えて心不全患者においては、睡眠関連呼吸障害が心不全の増悪因子の一つであることです。
 以上から、同ページの22行目以降のとおり、AHIを低下させる本品の臨床性能、呼吸状態や睡眠の質などを改善した結果から、心不全に合併するCSA-CSB患者に対して本品によりAHIを低下させることによる有効性が期待でき、またそれ以外のCSAについても、本邦の臨床現場でも陽圧換気療法を実施している報告などを踏まえ、本品によってAHIを低下させるニーズは一定程度存在すると判断いたしました。
 一方、既存治療である陽圧換気療法や酸素療法と比較して侵襲性が高く、本臨床試験でも植込み手技に起因する重篤な有害事象の発生を認めたことから、既存の陽圧換気療法が不適又は不忍容であり、かつほかに治療の選択肢がない患者において、植込み手技又は本品に関連するリスクを呼吸状態や睡眠の質改善によるベネフィットが上回ることが期待できる場合であれば、本品を治療の選択肢の一つとして臨床現場に導入していくことは、一定の意義があると判断いたしました。なお、使用目的又は効果については、CSAの種類に限定しない申請者の申請内容は、おおむね妥当と判断し、審査報告書の44ページの17行目に記載した内容といたしました。
 製造販売後の安全対策について説明いたします。審査報告書の44ページの22行目を御覧ください。機構は、本品がCSA患者を対象として本邦に初めて導入される長期植込み型医療機器であり、本臨床試験では重篤な有害事象を一定数認めたことから、有害事象について十分に理解した上で、患者ごとの背景を考慮し、適切な患者選択を行うことが重要と判断いたしました。
 よって、次ページの24行目の表30に示す関連学会が定める適正使用指針を満たす医師により、本品のリスク・ベネフィットバランスを確保可能な患者を選択すること、本品に関連する有害事象や術後管理に対処可能な医師及び医療機関に対して、次ページの2行目の表31に示すプロクターの立会いを含む所定のトレーニングを実施すること、製造販売後の成績を踏まえ、適正使用指針の見直しや追加の安全対策を実施することを承認条件1として付すことが妥当と判断いたしました。
 製造販売後調査についてです。資料の49ページ、審査報告書の47ページの13行目から御覧ください。本臨床試験で見られたような有害事象に対するリスク管理及び有害事象への対応が本邦の医療環境下において問題なく実施されるかについては、製造販売後調査により情報を収集し、確認する必要があると考えます。また、本邦の医療環境下での有効性及び患者選択を含めた適正使用についても確認することが重要と考えます。製造販売後調査は、想定される患者数が少数であるため、販売開始から100例に達するまでの全例を調査対象としたこと、本臨床試験の主要有効性評価項目に使用されたAHIなどの呼吸イベントや、心機能への影響を評価項目として設定し、本臨床試験で発生した再手術の発生時期を踏まえて2年間観察することとした計画は受入れ可能と判断し、承認条件2として付すことといたしました。
 以上の審査を踏まえ、機構は資料の51ページ、審査報告書の49ページの26行目に記載している使用目的にて、本品を承認して差し支えないと判断し、本医療機器・体外診断薬部会で御審議いただくことが適切と判断いたしました。
 また、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断いたしました。なお、薬事審議会では報告を予定しています。
 機構からの報告は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○小野部会長 ありがとうございました。それでは、参考人で御出席されております小川先生、七里先生より追加の御説明等がありましたら、よろしくお願いいたします。
○小川参考人 それでは、東北大学の小川が話をさせていただきます。一応、CSAを対象とした治療装置ですが、CSA自体が慢性の心不全と合併して、日中の過度な眠気や倦怠感、集中力低下を通じてQOLを著しく損なうだけではなくて、生命予後にも関わる重要な病態ではあるということです。
 実際、今もCPAP、ASV、酸素療法等の治療が行われるわけではありますが、十分効果が得られない症例や、適応や忍容性の面で心配のある患者さんが少なくないのも事実です。
 本装置は、横隔神経を直接刺激することで自然な呼吸運動を再開させることによってCSAそのものを是正する新たな治療手段となります。これまでの機器が陽圧的な呼吸療法で行われていたのに対して、非陽圧呼吸療法で、マスクを必要としないで行う治療で、これまでの治療で不十分な症例や、不耐容症例にも適応可能だというところが特徴かと思います。マスクを使わないということで、患者の受け入れやすさにもつながることもあるかと思います。実際にこれまでの治療で対応困難な患者さんに対して、呼吸イベントの減少や眠気、倦怠感の改善、質及びQOLの向上が期待されることから、日常生活に支障を来している患者さんへの新たな治療の選択肢としては、期待されるものになるのではないかと考えております。以上です。
○小野部会長 ありがとうございました。七里先生からも何か追加で御説明はございますか。
○七里参考人 無呼吸に関する適応あるいは効果への期待に関しては、小川先生がおっしゃるとおりです。私は、この装置が認可された後に、主として植込みに際して当たる循環器の専門医として、少しコメントをさせていただきたいと思います。装置自体は、現在使われている植込み型のペースメーカーにかなり類似した構造になっております。大きさ的にもかなり近いものと考えております。大きな違いとしては、これまで我々が行っているものは電極を心腔内に留置するわけですが、今回のものは左心膜横隔静脈、あるいは右腕頭静脈に留置するというところが異なっています。
 もちろん、それに該当する形で製作された電極を用いることが一つの重要なポイントになりますが、そこに関して海外の人から見ると、特に欧米で行われた試験ですので、国内に持ってくるときの外挿性においては体格差の問題が少し考えられるわけです。それについては機構からもお話があったように、静脈は体格に必ずしも大きさが依存しない部分があります。今回の植込みのシステムの対象となった静脈径が小さい左心膜横隔静脈は平均2±1mmと報告されています。植込みのシステム自体は7Fr2.3mmぐらいの外筒をそこへ挿入して、その中に電極を通すという仕組みになっているので、一般的には静脈であれば、滑りのよい植え込みシステムを使えば静脈自体が広がってくれますし、大きな問題になることはないかと思います。
 実際の報告も、植込みに問題が起こったというよりは、植え込んだ電極が新規性の高い電極ですので、電極の脱落あるいは留置した場所からの正確な刺激ができないことが有害事象として上がってきています。したがって電極の植込みが困難で難しいということには該当しないかと思いますので、長期にわたる留置に伴う死亡例がなかったことと併せて、本品に関して従来の機器と同様のリスクで十分に使用していけるものではないかと思います。ただし、機構からもありましたように、植込み手技が独特のものになりますので、初期導入段階においては一定の施設に限定する、あるいは、プロクタリングと言われる指導システムをしっかりと構築して植え込み手技を広めていくことが重要ではないかと考えております。私からは以上です。
○小野部会長 ありがとうございました。委員の先生方から御意見、御質問等がございましたらよろしくお願いいたします。宮川委員、どうぞ。
○宮川委員 宮川です。承認に関しては、私は全く問題ないと思っています。刺激パラメータについて知りたいことがあるのでお聞きします。
パルスジェネレータは、心臓であればときどきパラメータを変えていくことがあろうかと思っているのですが、刺激パラメータは非常に多彩で、刺激電流やパルス幅、周波数という形でいろいろと変わってくるわけです。横隔神経の特性と睡眠時の呼吸の状況から見て、どのようにこの三つのパラメータを組み合わせて変えていくのか。それは、もともとSASの状況によって違ってくるのか。どのように変えていくのかということに興味があって聞いているのです。中心値がどのようになるのか、そして状況によってどのようにそれをアジャストしてパラメータを変えていくのか、それについて何か臨床的な状況は誰に聞いたらよろしいのかと思ってお聞きした次第です。
○小野部会長 ありがとうございます。これは、多分小川先生にお聞きしたほうがいいのではないかと思いますが、小川先生、いかがでしょうか。
○小川参考人 そうですね、確かに非常に重要な所なのだと思います。パルス幅や刺激の電圧の強さというのは、個々人でかなり変わってくるところではあるかと思いますので、それは1回では決め切れないかと私は思ってはいます。現在、舌下神経の刺激電極も臨床で行われつつありますが、それにおいても必ずしも常に同じ刺激条件を使っていくことはできないことが分かっていますので、状況で判断していかなければいけないかと考えているところです。
○宮川委員 ありがとうございます。電圧よりはパルス幅が結構効いてくるのかと思ったものですから、そういう意味では呼吸の深さが、パラメータの中で一番効いてくるのかと思ったものですから、お聞きした次第です。非常に答えにくい話だと思いますので、ありがとうございました。
○小野部会長 ありがとうございました。ほかに御意見、御質問等はありますか。永井委員、お願いします。
○永井委員 この製品が適応となる患者さんについて伺いたいのですが、審査報告書40ページの15行目を見ますと、(3)のとおり、自覚症状によるQOLの著しい低下を認めるCSAのCSB患者に限定するとありますが、審査報告書の44ページ(3)を見ると、CSBという言葉は消え、QOLの著しい低下という言葉も消え、ざっくりした記載になっています。実際に適応となる患者さんはCSBがある方に限定されるのか、そうでないのか、どちらなのでしょうか。
○小野部会長 ありがとうございます。事務局、これは整合性を付けるということですが、回答をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 機構より回答いたします。まず想定している患者像としては、自覚症状によりQOLが著しく低下している患者で、CSAの種類は問わないものを想定しております。審査報告書40ページで、CSA-CSB患者に限定されるというような書き方になっているのは、申し訳ありません、こちら側の。
○永井委員 はい、分かりました。
○小野部会長 ありがとうございました。北澤委員、よろしくお願いいたします。
○北澤委員 北澤です。聞こえますか。
○小野部会長 はい、聞こえます。
○北澤委員 ありがとうございます。ちょっと教えてほしいのですが、審査報告書の36ページ、緑の38ページの15行目からの「機構は」から始まる所で、「この臨床試験のアウトカムとして本来はAHIの低下ではなく、新イベントの抑制又は予後改善の程度を評価する必要があると考える」と書いておられて、私もそう思いました。ではどうするかということで市販後の調査の所を見ますと、100例について全数調査をすると書いてあって、項目の中に新血管イベントの発生や不具合及び有害事象なども書いてあり、機構はこれでいいとすると述べているのですが、低下の程度やどのぐらい良くなったかということを調べるためには、やはり何と比べて良くなったのかが分かる必要があるのではないかと思ったのです。この市販後の調査の方法について、教えていただきたいと思います。お願いします。
○小野部会長 事務局から回答をお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 機構です。申し訳ありませんが、御質問の内容としては心不全合併の方では予後、AHIの低下ではなく、予後やイベントの方も確認すべきであると書いている部分もありつつ、市販後の調査の方では、あくまでそこを評価項目に並べてはいるところですが、予後の改善の程度について何と比較するかというような趣旨でよろしいでしょうか。
○北澤委員 はい。市販後の調査で比較群はないのかということについてお尋ねします。
○医薬品医療機器総合機構 まずPMSの症例の考え方としては、こちらでは市販後の有害事象をメインで評価するような考え方に基づいて、症例成績や観察期間を設定した背景があります。御指摘いただいている予後についても確認はしていった上で、ほかの治療法と比較してどうかというところは、ある程度市販後の集まったデータを見て、また別途評価していく形になるかと考えております。
○小野部会長 北澤委員、よろしいでしょうか。ちょっと曖昧なところは残らざるを得ないですが。簡単に言えば、そういうことです。
○北澤委員 はい。
○小野部会長 松宮委員、お願いいたします。
○松宮委員 電極の植込みに関して、右腕頭静脈か左心膜横隔膜静脈いずれかに挿入すると書いてあるのですが、右の方が容易だろうと想像はされるのですが、そういう理解でよろしいのでしょうか。実際のこれまでの治験や、欧米での使用例で、右と左の割合はどの程度のものなのかということについて、まず教えていただければと思います。
○小野部会長 これは事務局から、まずお答えください。
○医薬品医療機器総合機構 機構から回答いたします。まず血管の選択として、左の心膜横隔静脈に留置したほうが、エネルギー消費が少ないということになっていて、まずは先に左の方に留置するように手順としてはなっています。それが、血管径が小さいなどの理由で難しい場合には、右を選択するという手順になっており、海外臨床試験もその方法に倣ってやっております。確か、左が94例、右が53例となっておりますので、左の方が多い形にはなっております。
○松宮委員 なるほど、分かりました。この図6を見ると、電極の位置自体はかなり心臓に近いというか、左心耳や肺静脈、一番末梢なものは左心室に接するぐらいの位置にあるのですが、不整脈の発生自体は少なかったとは書いてあるのですが、やはり一部突然死された方もおられたりして、もちろん心不全の患者さんが対象に含まれるので、そういうことがあってもおかしくはないとは思うのですが。左と右で差がなかったのかと。左は本当に安全なのかが少し気になったのですが、いかがでしょうか。
○小野部会長 事務局から御回答をお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 まず、左と右で重篤な有害事象の発生状況は確認をしており、左で5件、右で1件発生しているのですが、左の方がリードの脱落や故障、あとは併用しているデバイスとの相互作用などが発生しております。右の方はリードの移動が1件だけという状況で、発生率としては左の方が少し高い状況にはなっております。
○松宮委員 最後ですが、このようなペースメーカーも含めて、長期になるとリード感染というものが起こってくる可能性もあると思うのですが、左に入れた場合に抜去するときに通常、長時間になると血管に癒着して非常に細い所に入っているものを抜くのは危ないようにも思いますが、このリード自体はかなり滑りがいいというか、余り癒着しないような形にできているのか。これまで、左から抜去した例があるのかということについて教えていただければと思います。
○小野部会長 事務局でデータをお持ちですか。
○医薬品医療機器総合機構 機構より回答いたします。まず左の方に留置したもので抜去した症例も、海外臨床試験では報告をされております。1年追加後でも、抜去されたものは確認されております。
○松宮委員 はい、分かりました。
○小野部会長 ありがとうございます。ほかに御意見、御質問等はありますか。
私から専門委員の先生方にお伺いしたいのですが、5年までのフォローアップのデータがあるということですが、これは刺激をやめればまたCSAが戻ってしまうことになりますので、言ってしまうと生涯刺激を行うということになると思います。
 まず1点目は、このパルスジェネレータは、どのぐらいのバッテリー寿命があるのか。もしバッテリーが切れた場合には、ペースメーカーと同様にジェネレータ交換を行うことが想定されるのではないかと思います。そういったことが今後一生続くのかどうかということです。
 それから、ペースメーカーのリードでも同様のことがありますが、いろいろな条件で閾値が上昇するために、ペーシング不全が必ず起こります。そういった場合に、左の心横隔膜静脈ではもう入らないので、そうすると右の腕頭静脈留置という形で対応されるのか。その辺りは日本で経験がないので少しお答えしにくいのかもしれませんが、先生方の御存じの範囲内で教えていただけないでしょうか。もしかしたら、七里先生が分野的によく御存じではないかと思いますので、もし御存じでしたらお願いします。
○七里参考人 私ももちろん臨床経験があるわけではないので、小野先生の御質問に適切に答えられるかどうかは分からないですが、当然のことながら電池がなくなって出力が出なければ、また元に戻るのは御指摘のとおりです。植え込まれる方の予後がどのぐらいかというところで、交換の回数が決まるかとは思いますが、当然のことながら現在のペースメーカーと同様で、本体を交換して電池を変えていく必要が発生するのは、予測されるとおりのことかと思います。その中で、基本的にペーシングの閾値に関しての状況は当然変わっていってしまうので、これもまた避けられないことになると思いますし、心臓のもの以上に経験はないわけですが、電極周辺の環境と血管の中から刺激をするので、状況は時間経過とともに大きく変わりやすくなる可能性はあり得ると思います。ペーシングに関しては、どうしてもそこは避けられないのかというところです。
 電極の入れ替えに関する松宮先生の御質問はお考えのとおりであり、左の心膜横隔静脈は非常に細いので、そこに追加のものを入れることは恐らく不可能だと思いますから、追加のリードが必要ならば必然的に残された右腕頭静脈に追加をして、治療を継続することになろうかと思います。機構からありましたが、今のところ短い期間であればリード抜去はできると思いますが、10年以上になるとリード抜去はかなり難しくなりますし、そのときはリスクの高い手技になるので、将来的に長期にわたった症例のデバイス抜去が必要な場合は新たに出てくるかとは思っております。
○小野部会長 大変難しい質問をしてしまい、申し訳ございません。ありがとうございます。松宮先生、挙手ボタンが付いておりますが、まだ何かありますか。
○松宮委員 すみません、下げるのを忘れていただけです。
○小野部会長 分かりました。ほかに御質問、御意見等はありますか。よろしいでしょうか。それでは、議決を行います。なお、本議題の利益相反事項に関して、議決に参加できない委員はいらっしゃいません。医療機器「remedeシステム」について、本部会として承認を与えて差し支えないものとし、生物由来製品及び特定生物由来製品として指定しないとしてよろしいでしょうか。 また、使用成績調査は指定9年とすることでよろしいでしょうか。御異議のある委員の方々は、挙手又は御発言をお願いいたします。
 特に御異議がないようですので、そのように議決をいたします。本件は、審議会にて報告を行うこととなっております。
 以上をもちまして、議題2を終了いたします。小川先生、七里先生、どうもありがとうございました。
――小川参考人、七里参考人退室――
 それでは、議題4、医療機器の高度管理医療機器、管理医療機器又は一般医療機器の指定及び特定保守管理医療機器の指定の要否についての審議に入ります。事務局より御説明をお願いいたします。
○事務局 議題4について、事務局より説明いたします。既存の一般的名称のいずれにも該当しない医療機器があり、新たに一般的名称を新設する際には、「いずれのクラス分類に該当するかについて」、また、「その保守管理に専門的な知識を要するものとして、特定保守管理医療機器に指定するか」否かについて御審議いただいております。今回は、医療機器の承認に際し、一般的名称の新設が必要なものが1件あります。
 1ページの、「新設する一般的名称(案)について」を御覧ください。新設予定の一般的名称は、「植込み型横隔神経電気刺激装置」で、本日の議題2で御審議いただきましたremedeシステムに対応するものとなります。その定義は、「刺激装置の1種で、横隔膜をリズミカルに収縮させて呼吸を誘発するため、患者の横隔神経に電気刺激を供給するものをいう。前胸部に植え込むパルスジェネレータ及び横隔神経近傍の血管内に留置するリード等から構成される。」となります。
 これまでには、「横隔神経電気刺激装置」という電気刺激のためのジェネレータが体外にあり、特定保守管理医療機器「該当」の一般的名称がありましたが、remedeシステムのように、パルスジェネレータを体内に植え込む製品は特定保守管理医療機器「非該当」とするのが適切と考えられ、一般的名称を新設する運びとなりました。
 また、本一般的名称はクラスIV、高度管理医療機器に指定されるべきものと考えております。説明は以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○小野部会長 それでは、委員の先生方から御意見、御質問等はありますか。ただいま御議論いただいたremedeシステムの電極の方でしょうか。よろしいでしょうか。それでは、議決を行います。なお、本議題の利益相反事項に関して、議決に参加できない委員はいらっしゃいません。植込み型横隔神経電気刺激装置を高度管理医療機器として指定し、特定保守管理医療機器として指定しないとしてよろしいでしょうか。御異議のある委員の先生方は、挙手又は御発言をお願いいたします。
 御異議がないようですので、そのように議決いたします。なお、本件は審議会にて文書報告を行うことといたします。以上をもちまして、議題4を終了いたします。
 それでは、議題6、部会報告品目についてに入ります。事務局より御説明をお願いいたします。
○事務局 それでは、議題6について説明いたします。資料6、横向きの資料を御覧ください。こちらの資料では、令和7年7月1日から9月30日までの3か月間に承認された品目のうち、クラスIVの医療機器、臨床評価が必要な医療機器、承認基準外の体外診断用医薬品など、本部会への報告対象となっている品目の概要を記載しております。医療機器については、66品目が該当しております。
 まず1ページからは、「臨床試験の試験成績が提出され、審査し承認した医療機器」15品目について、それらの一般的名称、販売名、クラス分類などとともに概要をお示ししており、4ページまで続いております。5ページからは、臨床試験成績を必要とせず審査、承認した47品目の一覧で、13ページまで続いております。続いて14ページでは、再製造単回使用医療機器1品目をお示ししております。15ページでは、プログラム医療機器3品目をお示ししております。
 最後に16、17ページにて該当する体外診断用医薬品14品目をお示ししております。
 これら報告品目については、事前送付をもって報告とさせていただいておりますので、この場での個別の説明は割愛いたします。資料6の説明は以上です。
○小野部会長 委員の先生方から御質問、御意見等はありますか。御覧いただいていた委員の先生方もいらっしゃると思いますが、既承認品の内容です。よろしければ、これをもちまして議題6を終了いたします。
 本日用意した議題は以上となります。事務局から連絡事項はありますか。
○医療機器審査管理課長 委員の先生方におかれましては、本日は御多用の中、医療機器・体外診断薬部会に御参加いただき、誠にありがとうございました。
 次回の部会は12月8日(月)17時からを予定しておりますが、詳細については後日メールにて御連絡をさせていただきます。連絡事項は以上です。
○小野部会長 それでは以上をもちまして、本日の医療機器・体外診断薬部会を閉会いたします。本日はどうもありがとうございました。
( 了 )
備考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から一部非公開で開催された。

照会先

医薬局

医療機器審査管理課 再生医療等製品審査管理室長 高梨(内線4226)