2025年6月2日 薬事審議会 医療機器・体外診断薬部会 議事録

日時

令和7年6月2日(月)18:00~

場所

厚生労働省専用第22~24会議室

出席者

出席委員(22名)五十音順

(注)◎部会長 ○部会長代理
 他参考人4名出席


欠席委員(1名)五十音順  

行政機関出席者
  •  城克文 (医薬局長)
  •  佐藤大作 (大臣官房審議官)
  •  高江慎一 (医薬局医療機器審査管理課長)
  •  野村由美子(医薬局医薬安全対策課長) 他

議事

○医療機器審査管理課長 それでは定刻になりましたので、「薬事審議会医療機器・体外診断薬部会」を開催させていただきます。本日もよろしくお願いいたします。委員の皆様方におかれましては、御多用の中御出席いただきまして、誠にありがとうございます。本会議は、Web会議形式を併用しての開催となっております。
 最初に、本日の委員の出欠状況について御報告いたします。現時点で、医療機器・体外診断薬部会委員23名のうち19名に御出席いただいておりますので、薬事審議会令に基づく定足数を満たしておりますことを御報告いたします。
 続いて、本日の審議に参考人として御参加いただく先生方を御紹介させていただきます。議題3につきまして、医療法人社団西宮回生病院顧問の吉矢晋一先生、議題4につきまして、医療法人野崎徳洲会病院副院長の藤原昌彦先生、議題5につきまして、東邦大学医療センター大橋病院循環器内科教授の原英彦先生、獨協医科大学心臓・血管外科教授の福田宏嗣先生にそれぞれ御出席いただきます。なお、吉矢先生、原先生、福田先生におかれましてはWebで、藤原先生におかれましては現地で御出席いただく予定になっております。
 議事に先立ちまして、所属委員の薬事審議会規程第11条への適合状況の確認結果について御報告いたします。薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任された委員はおられませんでしたので、御報告させていただきます。委員の皆様には、会議開催の都度、書面をお出しいただいておりまして、大変御負担をおかけしておりますけれども、引き続き、御理解、御協力を賜りますよう、何とぞよろしくお願い申し上げます。
 これより議事に入ります。カメラ撮りはここまでといたしますので、御協力のほどよろしくお願いいたします。
 続けて、本日の議題の公開・非公開の取扱いについて、御説明をさせていただきます。
○事務局 事務局です。本日の議題の公開・非公開の取扱いについて、説明いたします。令和6年薬事審議会確認に基づき、議題1、議題2については会議を公開で行い、議題3から議題6につきましては、医療機器の承認審査等に関する議題であり、企業情報に関する内容などが含まれるため非公開といたします。
 会場の皆様のお手元には、資料が格納されたタブレットのほか、議事次第及び座席表を紙でお配りしております。また、Webにて御参加されている先生方におかれましては、事前にお配りした資料をお手元に御用意ください。Webで御参加される先生方におかれましては、審議中はマイクミュート、通信環境等に支障がない限りカメラオンでお願いいたします。
○医療機器審査管理課長 事務局からは以上です。それでは、以降の進行について、小野部会長、よろしくお願いいたします。
○小野部会長 ここまでの事務局の説明について、御意見、御質問等はございますか。よろしければ、これより議題に入りたいと思います。本日は、議題3から6が審議事項、議題1、2が報告事項となっております。
 それでは、議題1「次世代医療機器評価指標について」に入ります。事務局より御説明をお願いいたします。
○事務局 それでは、事務局より御報告いたします。資料1を御覧ください。本議題では、次世代医療機器評価指標としてまとめられました「包括的高度慢性下肢虚血治療用医療機器の臨床評価に関する評価指標(案)」について御報告させていただきます。
 2ページを御覧ください。厚生労働省では、医療ニーズが高く新規技術を使った医療機器について、承認審査の際に評価すべき点をあらかじめ検討し、評価指標として策定してまいりました。開発者と規制側が同じ指標を共有することで、治験相談等の議論が容易になることに加え、開発者の申請資料作成効率化に資することができ、承認前例のない品目であってもスムーズな審査が可能になることが期待されます。
 3ページに、次世代評価指標として発出されました通知一覧をお示ししております。また、4ページの一覧は、評価指標発出準備中の医療機器分野の評価指標テーマでして、本日は一番上にあります指標案がまとめられましたので御報告をさせていただくものとなります。
 それでは、5ページから本評価指標(案)について御説明させていただきます。本評価指標は、平成25年にまとめられました「重症下肢虚血疾患治療用医療機器の臨床評価」の改訂を目的としたものであり、平成25年の評価指標から発出後10年が経過し、設定に係る用語や概念が変化しているため、現状に即した評価指標の改訂を行うこととなったものです。令和5年度に調査を行い、令和6年度にはこちらに示しました6学会に御協力を頂きまして評価指標案をまとめました。今年の3月から4月にかけましてパブコメを実施しましたので、今年度中に通知として公表する予定です。
 6ページを御覧ください。本評価指標の策定過程における主な討議内容について、こちらにお示ししております。
 初めに、CLTI治療における血行再建の目的が、創傷治療だけではなく、疼痛緩和やQRL改善も含むことを考慮し、臨床評価項目が整理されました。また、新たなCLTIの重症度評価についての記載を行うとともに、国内状況を反映させた詳細な記載としております。3点目としましては、臨床試験への組入れの判断に当たりまして、WIfI分類の利用だけではなくて、透析患者にも十分考慮した内容としております。さらに、有効性評価におけるWIfIステージの利用や主要下肢有害事象MALEを明確に定義しました。加えて、安全性評価で考慮すべき有害事象に、MALEと再血管内治療を分けて記載しております。
 7ページは、評価指標の概要となります。平成25年の評価指標をベースに策定されておりまして、赤字は新規に追加した項目、青字は内容を改訂する項目となります。
 最後に、8ページ以降に評価指標案をお示ししております。今回策定しました評価指標につきましては、今年度内に通知として公表の予定です。御説明は以上となります。
○小野部会長 ありがとうございました。それでは、委員の皆様から御意見、御質問等はございますか。よろしいでしょうか。特にございませんか。Webの先生方は挙手ボタンをお願いいたします。では、田中委員。
○田中委員 少し細かいところなのですけれども、5ページの討議内容という所の四角に学会名を羅列しているのですが、「日本心血管インターベンション治療学会」が二つ書いてあるのですけれども、これは誤記ですか。
○事務局 大変申し訳ありません、誤記でございます。5学会に御協力を頂いたというところでございます。
○田中委員 承知しました。
○小野部会長 ほかに御質問、御意見等はございますか。よろしいでしょうか。それでは、ほかに御意見等がございませんので、これで議題1を終了させていただきたいと思います。
 それでは、議題2「承認基準の改正について」の報告に入ります。事務局より御説明をお願いいたします。
○事務局 事務局より、議題2、医療機器の承認基準の改正について、資料2-1に基づき御報告いたします。
 まず、承認基準について御説明いたします。承認基準では、後発医療機器の承認申請を行うに当たり必要な非臨床試験項目や各試験方法等を明確化しておりまして、開発企業にとっては承認申請までのプロセスを効率的に進めることができるとともに、承認審査の迅速化を図っております。
 資料2-1を御覧ください。今回、神経内視鏡及び血管内視鏡の承認基準で引用している日本産業規格が改正されたことに伴いまして、その変更内容を反映するために、2件の承認基準の改正を行います。主に引用している「JIS T 1553」において、視野角及び視野方向に対する試験方法を追加するなどの改正がされたため、JIS T 1553と整合を図るために、当該承認基準案の記載を整備すること、また、「血管内視鏡」の承認基準におきましては、一般的名称「ビデオ軟性血管鏡」を適用範囲に追加する改正を行っております。資料2-2、2-3にて改正予定の承認基準案をお示ししておりまして、JIS T 1553の改正に合わせた記載の整備、適用範囲の改正をしています。
 以上、御説明をさせていただきました承認基準のパブコメにつきましては既に実施しておりまして、内容を変更するような意見は頂いておりませんことを申し添えます。報告は以上です。
○小野部会長 ありがとうございました。それでは、委員の皆様方から御意見、御質問等はございますか。これは、JIS規格の基準の変更に伴う、整合性を付けるための文言修正ということになります。よろしいでしょうか。佐久間委員、どうぞ。
○佐久間部会長代理 内容には全く関係することではないのですけれども、私の理解のために確認させてください。今回のように評価指標が変更される、それに基づく承認基準が変更される、という状況になると、既存の医療機器は過去の基準で作られているわけですから、最新の基準に沿っていないものが使用されるということになります。この場合おそらく、新基準への移行期間のようなものがあるのかなと思うのですけれども、規制はどのような対応になるのでしょうか。規格の場合は確か移行期間というものを決めてやっていたと思うのですけれども、こういう承認基準の変更の時期には、ある意味では現行のものはこの基準を満たさないということになるかもしれないのですが、この点を現行の規制ではどのように扱う形になるのでしょうか。
○小野部会長 では、事務局から御回答をお願いいたします。
○事務局 すみません、少々お待ちください。
○医療機器審査管理課長 医療機器審査管理課長です。基本的には、今作っている会社さんが、急にJISを切り替えられて、いきなり承認基準に適合しないという状況は、それは非常によろしくないので、日本産業規格の改訂、これも猶予期間があると思いますけれども、そこを業界と調整した上で、そういう期間と同等の猶予期間を置いて対応を行うというのが通常のやり方です。ですので、業界が困らない形での担保をしております。
○佐久間部会長代理 許認可の過程で評価指標が変わったときは、これはどういう扱いになったのでしょうか。
○医療機器審査管理課長 承認基準は、これに合致しているものとして機構で審査を行いますので、これから外れると承認基準外れという形で要求される試験項目が変わってくるということがあります。次世代医療機器評価指標に関しては、あれは策定された時点での最新の技術などを取り入れて審査の参考にしているものですので、そこのところは、余り大きな変化はないということです。今回、上げさせていただいた議題1のものに関しましても、既に世界的に分類は変わっておりますので、実際の審査はそちらで行われているというのが現状でございます。
○佐久間部会長代理 理解が進みました。ありがとうございました。
○小野部会長 ありがとうございました。ほかにはよろしいでしょうか。それでは、以上をもちまして議題2を終了したいと思います。
○医療機器審査管理課長 それでは、以後の議論は非公開とさせていただきますので、傍聴の皆様は御退席をよろしくお願いいたします。準備が整い次第、非公開案件の議題の審議を開始させていただきます。
――傍聴人 退出――
○医療機器審査管理課長 それでは、準備が整いましたので、部会を再開させていただきます。審議に先立ちまして、事務局から1点御報告をさせていただきます。
○事務局 本日の審議事項に関する競合企業について報告します。資料7、競合企業リストをお開きください。
これらに関する委員からの申出状況等を踏まえた薬事審議会審議参加規程第5条及び第11条に基づく各委員の審議参加に係る取扱いは、次のとおりです。     
 議題3において議決に参加できない委員は、塩谷委員。議題4において議決に参加できない委員は、伊苅委員、田中委員、松宮委員。議題5において議決に参加できない委員は、今釜委員、田中委員、松宮委員。議題6において議決に参加できない委員は、今釜委員、塩谷委員、田中委員、松宮委員です。以上、報告します。
○医療機器審査管理課長 それでは以降の進行についても、小野部会長、よろしくお願い申し上げます。
○小野部会長 ただいまの事務局の報告について、御意見、御質問等はありませんか。よろしければ、これより議題に入りたいと思います。議題3については、参考人の出席をお願いしていますので、参考人の入室が確認でき次第、議事を進行します。
――吉矢参考人 入室――
○医療機器審査管理課長 吉矢参考人は既に入室されています。
○小野部会長 承知しました。それでは、議題3「医療機器「軟骨修復材 モチジェル」の生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び使用成績評価の要否について」の審議に入ります。繰り返しになりますが、本議題については参考人として吉矢晋一先生に御出席をWebでお願いしています。それでは、事務局より御説明をお願いいたします。
○医療機器審査管理課長 すみません、吉矢参考人は遅れての御参加になるそうです。申し訳ありません。
○小野部会長 そうしますと、説明の方は始めてよろしいですか。
○医療機器審査管理課長 説明は始めていただいて結構です。
○小野部会長 では、よろしくお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 機構より御説明します。資料3、2ページ、専門協議委員一覧を御覧ください。本審査に当たりまして、こちらの3名の専門委員から御意見を頂きました。
 以降は、資料3、3ページからの審査報告書に基づいて御説明します。ページ番号は、資料3の通し番号、審査報告書のページ番号及び左に記載の行番号を用いて御説明します。なお、事前にお配りした審査報告書に一部修正がありましたので、当日配布資料の正誤表にてお示しします。この度は修正がありますことをおわび申し上げます。
 初めに、本品の概要を御説明します。資料8ページ、審査報告書6ページ、冒頭を御覧ください。本品は、膝又は肘の損傷した関節軟骨の修復補助及び修復された軟骨による臨床症状の緩和を目的として使用するゲル状の吸収性軟骨再生用材料です。図1に示すとおり、2%アルギン酸ナトリウム溶液を充填したプレフィルドシリンジ及び塩化カルシウム溶液を充填したバイアルから構成されます。
 続いて、本品の使用方法について説明します。まず、切開下又は関節鏡視下で標的部位にアクセスし、欠損部の変性した軟骨等を除去し、軟骨下骨を露出させます。その後、針により軟骨下骨に複数の微細な穴を開け、骨髄液を滲出させる骨髄刺激法を行います。その上からアルギン酸ナトリウム溶液を注入し、さらに塩化カルシウム溶液をゆっくりと添加することにより、アルギン酸ナトリウム溶液をゲル化させます。その後、生理食塩液で塩化カルシウム溶液を洗い流し、創を閉鎖します。また、本日、模擬骨の欠損部に本品を注入及びゲル化させたものを御用意していますので、併せて御覧ください。
 関節軟骨は、組織学的に「硝子軟骨」と呼ばれており、欠損した軟骨が元の硝子軟骨と類似した成分で再生したものは「硝子様軟骨」と呼ばれています。本品は、軟骨の再生に適した三次元的な足場を提供することで、損傷した関節軟骨を硝子様軟骨により修復することを目的としています。
 次に、開発の経緯について御説明します。資料9ページ、審査報告書7ページ上段、6行目からを御覧ください。本品の対象疾患は、外傷性軟骨欠損症及び離断性骨軟骨炎となります。外傷性軟骨欠損症や離断性骨軟骨炎が進行すると、最終的には変形性関節症へと移行し、更に重度に進行すると人工関節への置換を行う以外に治療法がないため、そこまで至る前に早期段階での有効な外科的治療を考慮することが重要となります。
 外傷性軟骨欠損症及び離断性骨軟骨炎の主な既存治療として、資料10ページ、審査報告書8ページ上段、表1に示しておりますとおり、4cm以下の大きさの軟骨欠損を呈する場合には、自家骨軟骨柱移植術(以降、モザイクプラスティと言います)や骨髄刺激法などによる治療が行われています。モザイクプラスティは、患者自身の硝子軟骨を移植する方法で、移植片の採取が必要になりますが、耐久性に優れた硝子軟骨で修復されることが特徴です。骨髄刺激法の一種であるマイクロフラクチャーは、損傷部から骨髄間葉系幹細胞を含む骨髄液を滲出させて軟骨再生を図る方法で、移植片を必要とせず、手技が簡便であることが特徴です。ただし、再生した軟骨は一般的に荷重への耐久性が低いと言われる線維軟骨による修復となり、長期的には消耗すると考えられています。申請者らは、滲出させた骨髄液を関節欠損部に滞留させることで、線維軟骨ではなく硝子様軟骨組織の形成を促せる可能性があると考え、マイクロフラクチャーの簡便性を備えながら、より耐久性の高い軟骨修復が可能となる製品として、本品が開発されました。
 なお、本品は治験の実施後に製品改良が施されています。同8ページ、8行目からを御覧ください。開発当初は2%アルギン酸ナトリウムを凍結乾燥させたものとして開発され、使用前に医療現場で液材に調製する必要がありました。しかしながら、治験で使用した医師の要望から、すぐに使いやすいように製品形態が液材に変更されました。また、透明のゲルよりも視認性を上げるため、青色に着色されました。
 外国における使用状況について、本品は本邦で開発された医療機器であり、海外での許認可はないため、使用実績はありません。
 続きまして、本品の非臨床試験成績として、主に論点となった動物を用いた性能試験について御説明します。資料16ページ、審査報告書14ページ中段、表4を御覧ください。○○膝関節軟骨欠損モデルを用いて、本品を用いたときの軟骨組織の再生過程を肉眼的観察及び組織学的観察により評価されました。
 本品群の肉眼的観察及び組織学的観察の総スコアは、コントロール群と比較して統計学的に有意に高いことが示されています。また、資料19ページ、審査報告書17ページ上段、表7を御覧ください。表7に示されるとおり、硝子様軟骨組織の主成分であるII型コラーゲンの染色面積が、本品群で有意に高い結果が示されました。以上の結果から、動物において本品を用いたときに、軟骨再生が確認され、組織学的に硝子様軟骨による修復が確認されたと判断しました。
 次に、本品の臨床試験成績について御説明します。資料23ページ、審査報告書21ページ下段、30行目からを御覧ください。本申請では、臨床試験成績として、本邦で実施されたパイロット試験及び検証的治験が提出されました。ここからは主たる評価資料である検証的治験について御説明します。資料32ページ、審査報告書30ページ下段、19行目からを御覧ください。検証的治験は、膝又は肘の関節軟骨損傷患者を対象として、本品の有効性及び安全性を評価することを目的に本邦10施設で実施された多施設共同前向き単群試験です。
 主要評価項目については、膝と肘それぞれで項目が設定されています。膝の主要評価項目については、資料37ページ、審査報告書35ページ、冒頭を御覧ください。膝の主要評価項目には、膝の痛みや腫れの症状、運動機能等を評価するスコアであるIKDC(患者自己評価)スコア(以降、IKDCスコアと言います)の術後72週時における術前からの変化量が設定されました。達成目標は、モザイクプラスティの治療成績に基づき、臨床的意義のある値として17と設定されました。試験成績については、95%信頼区間の下限値は28.49であり、事前に設定した目標を達成しました。
 続いて、肘の主要評価項目については、次の36ページ中段、14行目からを御覧ください。肘の主要評価項目には、肘の痛みや腫れの症状、運動機能等を評価するスコアである Timmerman/Andrews Elbowスコア(以降、TAEスコアと言います)の術後72週時での値が設定されました。達成目標は、モザイクプラスティの治療成績に基づき、臨床的意義のある値として160と設定されました。試験成績については、95%信頼区間の下限値は197.9であり、事前に設定した目標を達成しました。
 また、副次的な評価項目については、72週時以外のIKDCスコアやTAEスコアの評価等に加えて、修復された軟骨組織の状態に関する探索的な評価として、術後72週時の膝又は肘における組織診断評価(以降、ICRS IIスコアと言います)による評価が実施されました。組織診断によるICRS IIスコアについては、資料41ページ、審査報告書39ページ下段、9行目からを御覧ください。ICRS IIスコアの総合評価において、0%が線維組織であり悪い状態、100%が硝子軟骨であり良い状態と規定されています。侵襲を伴う検査であるため、同意が得られた症例に限られますが、膝では平均72.2%、肘では平均90.5%となっており、詳細は後ほど御説明しますが、硝子様軟骨の再生について論じられた海外治療成績と同等以上のスコアであり、ヒトにおいても硝子様軟骨による修復が確認されました。
 続いて、安全性の結果について御説明します。少し戻りますが39ページ中段、15行目からを御覧ください。全例において何らかの有害事象が確認されたものの、主な有害事象は創合併症であり、治験機器に関連した有害事象や治験機器の不具合は確認されませんでした。
 次に、本品の審査における主な論点について説明します。次のページ、審査報告書40ページ、4行目からを御覧ください。一つ目の論点は、本品の有効性及び安全性についてです。まず、パイロット試験及び検証的治験では、製品改良前の凍結乾燥させたものが治験機器とされたことから、これらの臨床試験成績を製品改良後の本品である着色液材に外挿することの妥当性について説明します。同ページ、11行目からを御覧ください。製品の改良前後で製造方法や現場での調製作業に一部差分がありますが、ゲル化させた着色液材を用いた各種ベンチテストにおいて、ゲル化させた凍結乾燥体と同等以上の結果が得られたことから、ゲル化させた着色液材と凍結乾燥体は同等の物理的特性を有することが確認されています。加えて、○○○軟骨欠損モデルを使用した軟骨組織再生への影響を評価したところ、○○○○○○○○○において凍結乾燥体と着色液材で統計学的に有意な差はありませんでした。以上から、製品の改良前後で臨床上の性能における差はないことが示唆され、提出された臨床試験の結果をもって本品の評価を行うことは可能であると判断しました。
 次に、本品の有効性及び安全性について説明します。資料43ページ、審査報告書41ページ下段、20行目からを御覧ください。本品は、マイクロフラクチャーの一連の手技の中で使用され、関節軟骨の修復を補助するものであることから、マイクロフラクチャーの臨床成績とも比較評価を行いました。次のページ、審査報告書44ページの冒頭、表33を御覧ください。マイクロフラクチャーを行った際の臨床成績について、膝における72週時のIKDCスコアの術前からの変化量が28.0、肘における168週時のTAEスコアが193となり、本治験で確認された本品を用いた場合の臨床成績はこれと同等以上であることが確認できました。また、本品を使用することで修復された軟骨が硝子様軟骨として再生されるかについては、その評価に当たって軟骨組織の採取等の侵襲性を伴うため、同意の得られた一部の症例に限られますが、次のページ、審査報告書45ページ中段、表34に示しますとおり、組織診断を行ったICRS IIスコアの結果から、硝子様軟骨の再生について論じられた海外治療成績の文献成績と同等以上のスコアであることが示されました。
 以上の評価に加え、○○膝関節軟骨欠損モデルを用いた非臨床試験においても、本品が軟骨修復に寄与することが示唆されていることも踏まえ、本品を使用することにより既存のマイクロフラクチャー法単独では認められない硝子様軟骨組織による関節軟骨損傷の修復が確認されたと判断しました。
 安全性について説明します。資料49ページ、審査報告書47ページ下段、31行目からを御覧ください。パイロット試験及び検証的治験における144週までの観察期間においても、治験機器に関連した有害事象や治験機器の不具合は確認されなかったことから、特段の懸念はないと判断しました。
 二つ目の論点は、本品の臨床的位置付け及び使用目的についてです。資料50ページ、審査報告書48ページ下段、23行目からを御覧ください。一般的にマイクロフラクチャーを用いた線維軟骨組織による修復は、荷重への耐久性が低く、長期的には消耗すると考えられています。硝子様軟骨による修復の利点である耐久性の向上による長期成績の改善は、現時点では確認されていませんが、本品を使用してもマイクロフラクチャーによる症状改善に影響はなく、ICRS IIスコアによる組織診断等の結果、当該方法のみでは困難とされていた硝子様軟骨組織による修復が確認されたことから、本品の臨床的有効性は期待でき、関節軟骨損傷症例に対する治療の選択肢の一つとして、本品を医療現場へ提供する臨床的意義はあると判断しました。
 また、本品の使用目的については、検証的治験によって本品の有効性及び安全性が確認された軟骨欠損の最大面積、膝3.0cm、肘1.5cmに制限すること、及び変形性関節症を適応から除くことが適切と判断しました。
 三つ目の論点は、本品の製造販売後安全対策についてです。資料51ページ、審査報告書49ページ下段、34行目からを御覧ください。本品の使用方法、医療環境及び医療体制は、既存療法として確立しているマイクロフラクチャーと大きく異ならないと考えます。また、対象患者についてもマイクロフラクチャーと同じであることを踏まえ、現在、マイクロフラクチャーの手技を行っているような、一般的に関節軟骨損傷に関する適切な診断及び治療が可能な医師や施設で使用される場合には、問題なく本品を用いた治療を行うことは可能と考えます。そのため、製造販売後のリスク低減措置として、医師及び医療機関に対する要件や訓練を課さずとも、本品を有効かつ安全に使用することは可能と判断しました。
 最後に、使用成績評価についてです。資料52ページ、審査報告書50ページ下段、21行目からを御覧ください。臨床的に確立しているマイクロフラクチャーと比較した本品に係る安全性上の懸念は、軟骨欠損部に留置された本品が、その後、分解吸収される点であると考えます。本品の安全性については、パイロット試験及び検証的治験においても本品との因果関係が否定できない有害事象は確認されておらず、体内動態試験等の結果を踏まえると、○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○加えて、アルギン酸ナトリウムや塩化カルシウムは医薬品等にも使用されていることを考慮すると、本品の分解吸収過程に安全性上大きな懸念は想定されないことから、使用成績評価の指定は不要と判断しました。
 以上の審査を踏まえ、機構は、資料54ページ、審査報告書52ページ上段、8行目より記載しています使用目的にて、本品を承認して差し支えないとの結論に達し、本医療機器・体外診断薬部会で御審議いただくことが適切と判断しました。本品は生物由来製品及び特定生物由来製品には該当しないと判断しました。なお、薬事分科会では報告を予定しています。機構からの報告は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○小野部会長 ありがとうございました。参考人の吉矢先生はWebで参加していらっしゃいますが、吉矢先生から何か追加での御説明がございましたら、よろしくお願いいたします。
○吉矢参考人 聞こえておりますでしょうか。
○小野部会長 はい、聞こえております。
○吉矢参考人 今回申請された軟骨修復材について、コメントを少しさせていただきます。この対象となっています関節軟骨の損傷は、自然の経過ではなかなか元通りの組織への修復が期待し難く、不十分な修復に終わったりしますと、その後の膝関節機能の低下ですとか、変形性関節症の進行につながることが分かっているので、整形外科、運動器障害の治療における大きな問題の一つになっています。これまでに行われた手術治療としては、先ほど話に出ていましたマイクロフラクチャーという、骨髄や骨に穴を開けるという手術が、手術の侵襲が少なくて、よく用いられるのですが、それによっては耐久性のある硝子軟骨の再生が得られ難いということで、そうした耐久性を目的として、モザイクプラスティと言われるような自家骨軟骨柱移植や培養細胞移植も行われています。しかし、侵襲の少ないマイクロフラクチャーでは耐久性のある軟骨修復が得られないということがある一方、耐久性のある軟骨の修復の可能性のあるモザイクプラスティや培養軟骨細胞移植は、侵襲が大きくなったり、2回の手術が必要になったりという負担が大きいという問題があるので、新たな治療法の開発が非常に医療ニーズとしては大きな課題と考えます。
 今回の報告された研究結果によって、この軟骨修復材はマイクロフラクチャーという小さな侵襲のときに使用される新たな軟骨修復材で、それを使用することによって、これまで課題であった線維軟骨による修復で耐久性が少ないというようなことについて、より耐久性のある硝子様軟骨での修復が可能になったことが示された点で、大いに今後の治療の発展につながる期待があります。これから使用されていく中で、どの程度を対象にするのかとか、面積や変形などがどれほど許容されるのかとか、どのような手術を併用するべきかといったことや、より長期的な成績という点の課題はまだ残っていますが、これに関しては、我々臨床サイドでの応用の中で今後検討されていくべき課題だと考えておりまして、今の時点で提示されているデータに基づいて、今回の申請承認は可能ではないかと私も考えております。以上です。
○小野部会長 ありがとうございました。委員の先生方から、御意見、御質問等がございましたら、よろしくお願いいたします。もしなければ、座長の私から少しお伺いしたいのですが、治療の面積適応が、膝が3cm、肘が1.5cm、そういうデータが提示されていますが、これはどういったことに基づいて設定された数値なのか、事務局でお答えできますでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御質問を頂きありがとうございます。機構より回答いたします。御質問を頂いた膝3cm、肘1.5cmにつきましては、検証的治験で実際に組み入れられた症例の最大の面積に基づいて設定されております。
○小野部会長 ありがとうございます。吉矢先生にちょっとお伺いしたいのですが、やはり広範囲であるとこういった骨髄からの様々な間葉系幹細胞の誘導と軟骨再生というのは期待しづらいということで、こういった数値が臨床試験でも採用されたと理解してよろしいでしょうか。
○吉矢参考人 はい。一応、今回の本品を使ったマイクロフラクチャーがどの程度までカバーできるかということについて、はっきりしたデータはないのですけれども、これまでのマイクロフラクチャー単独の成績報告であるとか、今回の臨床試験そのものが、4cm以下を対象にしていることから、現時点での最大の面積としますと、膝であれば3cmとか、肘であれば1.5cmというようなところを対象とするのが妥当ではないかと考えています。
○小野部会長 ありがとうございました。ほかに委員の先生方から、御質問、御意見はございますか。宮川委員、お願いします。
○宮川委員 日本医師会の宮川です。お尋ねしたいのは、144週のところは分かったわけですけれども、今、参考人からもお話がありましたように、長期の耐久性をどのように確証を得るのかというか、それを確かめながらいくというのは、学会任せなのか、どういう形にするのか、データの構築はどうされるのかということについてお聞きしたいと思います。
○小野部会長 事務局から御回答をお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 御質問を頂きありがとうございます。機構より回答いたします。御質問を頂いた超長期の耐久性につきましては、やはり一般的に治験で確認されるような、かなり長期の後での成績というところもありまして、臨床試験ではなく、市販後に学会様との連携を含めてデータベースを蓄積していただくというところが適切ではないかと考えております。
○宮川委員 分かりました。データベースをそのように作成することはいいのですが、どのように検証していくのか。歯止めではないのですけれども、審査で、そこまでは有効性が確定、安全性も確定されたというところで、それ以降に関してどのような仕組みを作るのかということは、何か文言としてないのかなと思ったのでお聞きいたしました。普通ですと、そのような文言はどこかに、審査報告書も含めて、機構が何か記載されることはよくあることなのです。あって然るべきかなと思うので、それに関してはどのように考えたらいいでしょうか。
○小野部会長 事務局から続けてお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 御質問を頂きありがとうございます。機構より回答いたします。超長期のというところ、今後というところは治験では難しいというところはありますが、今回の現時点での審査、今回申請されている品目の使用目的は臨床症状の改善の補助、要は軟骨修復、修復補助やそれによる臨床症状の改善というところにつきましては、今回示されている144週までのデータで示されていると考えております。今後、長期というところも含めた効能をもって申請される場合には、そこに対する評価があった上で、改めて審議、評価されるものと認識しております。
○宮川委員 そのような形で議事録に残るわけですけれども、それでよろしいのでしょうか。私は、審議であるからには、明確な規定があるべきであると考えておりますが、いかがでしょうか。
○小野部会長 また事務局から続けてお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 御質問を頂きありがとうございます。この今後の長期というところにつきましては、申請者とも調整はさせていただきたいと思います。
○宮川委員 調整するというのは、どのように調整するのでしょうか。
○小野部会長 続けてまた事務局からお願いします。
○医療機器審査第二部長 医療機器審査第二部長の白土と申します。宮川先生、御質問ありがとうございます。こちらの返答が明確でなく申し訳ございません。今の結果としては、先ほど報告させていただいたとおり、144週の時点でマイクロフラクチャーではできない硝子様軟骨の組織が確認されたことで、一旦は承認するのですけれども、先生のおっしゃるとおり、この治療は長期的な患者の症状を持続的に改善させることを目的としておりますので、今のところは、学会と連携してレジストリなどを考えるか、若しくは、やはり長期的なフォローをしていくとなると患者さんをある程度選定していかないと難しい可能性もありますので、その場合に関しては、申請者である持田製薬と、臨床研究などを組み立てていただいて、長期的にどのような結果が出るかをフォローしていただく、そのような方法を考えていきたいなと考えております。
○宮川委員 明確な御回答、ありがとうございます。つまり、そういう面を見るためには、ある程度侵襲的なそういうことをしなければいけないので、しっかりとしたレジストリを作り、そして、臨床研究でどのような枠組みを作るかをしっかりと提示して、また教えていただきたいと思います。ありがとうございました。
○小野部会長 ありがとうございました。北澤委員、お願いいたします。
○北澤委員 北澤です。よろしくお願いします。審査報告書の49ページ、資料全体の51ページの真ん中辺りですけれども、今回、変形性関節症を適応から除くということで、それは今回の治験の結果からも妥当な御判断だと思うのですけれども、実際に臨床現場で使えるようになったときに、現実問題として、変形性関節症にこうした新しいものが適応外で使用されるようなことはあり得るのでしょうか。変形性関節症は特に高齢の方などで問題になっているので、適応外で使われることも結構あるのではないかと思ってお尋ねします。
○小野部会長 ありがとうございます。これは実際に臨床の現場をよく御存じの吉矢先生からお答えいただけますか。
○吉矢参考人 吉矢です。これまでにもこうした軟骨修復への新たな治療の試みはあったのですけれども、今のところ、適応としては変形性関節症を除いて、変性によって摩耗した軟骨というよりは、外傷性に軟骨が欠損した状態が適応と考えられています。そうした適応と、離断性骨軟骨炎という、これも変形性関節症とは異なる病態なので、そういうところに適応を絞るというのは、これまでの軟骨修復のいろいろな研究の中でも一つの領域として確立されてきています。したがって変形性関節症という明らかな病態が含まれることはないというのが、こういった軟骨修復における対象としてはこれまでに確立されてきた適応なので、そこが混同されることは余りないのではないかと思いますけれども。
○北澤委員 はい、分かりました。ありがとうございました。
○小野部会長 ほかに御質問、御意見等はありますか。
○末岡委員 すみません、末岡です。手を挙げていたのですけれども、今の北澤先生の御質問とほぼ一緒でしたので、大丈夫です。
○小野部会長 分かりました。ほかによろしいでしょうか。それでは、特にこれ以上御意見はないと思いますので、議決を行いたいと思います。なお、本議題の利益相反事項に関して、議決に参加できない委員は塩谷委員となります。
 医療機器「軟骨修復材 モチジェル」について、本部会として承認を与えて差し支えないものとし、生物由来製品及び特定生物由来製品としては指定しないということでよろしいでしょうか。また、使用成績調査は指定を不要とすることでよろしいでしょうか。御異議のある方は御発言、あるいは、Webの方は挙手ボタンでお願いします。北澤委員、挙手ボタンがそのままになっていますが、いかがでしょうか。特に御異議がないようですので、そのように議決をいたします。なお、本件は審議会にて報告を行うことになっております。以上をもちまして、議題3を終了いたします。
 吉矢先生、御出席どうもありがとうございました。
○吉矢参考人 どうもありがとうございました。
――吉矢参考人 退室――
――藤原参考人 入室――
○小野部会長 議題4につきましては、参考人として、藤原先生に御出席をお願いしてございます。
 それでは、議題4「医療機器「Esprit BTKエベロリムス溶出生体吸収性スキャフォールド」の生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び使用成績評価の要否について」の審議に入ります。事務局より御説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 機構より御説明いたします。資料4、2ページ、専門協議委員の一覧を御覧ください。本審査に当たり、3名の専門委員から御意見を頂きました。以降の説明は、資料4、3ページからの審査報告書に基づいて御説明いたします。ページ番号は、緑色の通し番号、審査報告書のページ番号及び左に記載の行番号を用いて御説明いたします。なお、事前にお配りした審査報告書に一部修正がございましたので、当日配布資料の正誤表にてお示しいたします。この度は修正がございますことをおわび申し上げます。
 初めに、本品の概要を御説明いたします。資料9ページ、審査報告書7ページ、1行目から御覧ください。本品は、対照血管径が2.5mm以上4.0mm以下の膝下動脈病変を有する包括的高度慢性下肢虚血(以降、CLTIと言います)のうち、慢性透析患者を除く患者の治療に使用するバルーン拡張型生体吸収性スキャフォールドシステムです。本品はスキャフォールドとデリバリーシステムから構成され、図1に示すとおり、スキャフォールドはデリバリーシステム先端のバルーン上にあらかじめ装着されています。本品のスキャフォールドは、生体吸収性のポリ-L-乳酸により形成されており、また、細胞増殖抑制作用を有するエベロリムスと生体吸収性ポリマーがコーティングされています。
 次に、開発の経緯を御説明いたします。資料10ページ、審査報告書8ページ、5行目からを御覧ください。CLTIは、下肢虚血、組織欠損、神経障害、感染などの肢切断リスクを持ち、治療介入が必要な下肢病変の総称で、膝下動脈の閉塞や狭窄に起因するCLTIの治療として実施される血行再建には、外科的手法と血管内治療があります。膝下動脈に対する血管内治療デバイスとして使用可能なのは、本邦ではバルーンカテーテルのみです。膝下動脈に対するバルーンカテーテルを用いた経皮的血管形成術(PTA)は急性期の成功率は高いものの、再狭窄率は3か月後で約70%と高く、結果として下肢切断、予後不良に至ります。
 このような背景もあり、生体吸収性スキャフォールドである本品の使用は、CLTIの治療に短期的及び長期的なメリットが期待されます。
 続いて、外国における使用状況について、資料11ページ、審査報告書9ページ、9行目からを御覧ください。本品は、米国において2024年4月に承認を取得し、2025年3月時点では約○○○○○本の販売実績があり、○○○○○○○○○。
 続いて、本品の非臨床試験については特段の問題は認められませんでしたので、臨床試験成績について御説明いたします。資料17ページ、審査報告書15ページ、35行目からを御覧ください。本申請では、臨床評価資料としてLIFE-BTK試験(以降、本臨床試験と言います)等に関する成績が提出されました。本臨床試験は、膝下動脈に新規病変又はPTA後再狭窄病変を有するラザフォード・ベッカー分類4又は5に該当するCLTI患者に対し、本品の有効性及び安全性をPTAと比較することを目的として海外50施設で実施された前向き多施設共同無作為化比較対照試験で、本品群173例、PTA群88例が登録されました。
 本臨床試験における主要評価項目の結果について御説明いたします。資料20ページ、審査報告書18ページ、1行目からを御覧ください。主要有効性評価項目は、「1年時点の救肢及び一次開存」と設定されました。また、主要安全性評価項目は、「周術期死亡及び標的下肢重大血行再建(MALE)の回避」と設定され、両群の予測値は95%、非劣性マージンは-10%と設定されました。
 試験成績については、資料22ページ、審査報告書20ページ、9行目からを御覧ください。主要有効性評価項目の成績は、本品群74.5%、PTA群43.7%、両群の差は30.8%、その信頼区間下限値は17.0%であり、本品群はPTA群と比較して有意に上回り、優越性が示されました。安全性評価項目の成績については、資料28ページ、審査報告書26ページ、3行目からを御覧ください。主要安全性評価項目の成績は、本品群96.9%、PTA群100%、両群の差は-3.1%、その信頼区間下限値は-7.1%であり、本品群はPTA群に対して非劣性であることが示されました。
 以上の試験成績を踏まえ、機構における審査の概要を御説明いたします。まず、本臨床試験の本邦への外挿性について、資料34ページ、審査報告書32ページ、28行目、「総合機構は」から始まる段落を御覧ください。本邦におけるCLTIの特徴として、約70~80%が糖尿病患者、約50%が透析患者であり、欧米諸国と比較し頻度が高く、また、石灰化病変が多いとされています。本臨床試験に登録された患者は非透析患者のみでしたが、疾患背景及び危険因子は、本邦における非透析のCLTI患者と比較して大きな乖離は確認されませんでした。一方、血管造影に基づくコアラボ評価において、登録されたほぼ全例で病変の石灰化はなし又は軽度であり、病変長に関しても実態と比較して短いものでした。したがって、病変背景に関しては日本の実臨床の現場を反映した成績とは言い切れないものの、本品による有効性及び安全性を確保可能な対象患者を本臨床試験に基づき適切に選択することで、本邦における評価として外挿可能であると判断しました。
 続いて、本品の有効性についてです。資料39ページ、審査報告書37ページ、1行目を御覧ください。本臨床試験で主要有効性評価項目を達成したこと、及び、非標的病変に対する治療が成績に及ぼす影響について、標的病変のみを治療した集団においても同様の成績が確認されたことから、本品の臨床性能は示されたと考えます。本臨床試験では、大切断の回避や臨床症状の改善については、PTAに対する優位性は認めませんでしたが、標的病変のみを治療した集団において、再狭窄だけでなく標的病変に対する症候性血行再建(CD-TLR)がPTAに対して減少したことは、スキャフォールド留置により膝下動脈の血管開存性が物理的に確保され、再治療の必要性が減少したことを示唆しており、臨床的意義につながる結果であると考えます。
 また、本臨床試験でどの程度の石灰化病変が評価されたかを確認しました。資料41ページ、審査報告書39ページ、2行目、「一方」から始まる段落を御覧ください。IVUSやOCTの血管内画像解析に基づき、事後的にコアラボが評価した結果から、本臨床試験に一定数の石灰化病変が含まれたと判断可能であり、石灰化病変においてもPTAに対する本品の優位性は損なわれるものではなかったことから、本品の適応に石灰化病変を含めることは可能と判断しました。
 次に、安全性に関しては同じページの20行目からを御覧ください。主要安全性評価項目について、PTA群に対する非劣性が示されたことに加えて、1年経過観察までの死亡症例や血栓性の完全閉塞のうち、本品との因果関係が明確となった事象はありませんでした。また、機器関連有害事象から新たに懸念されるリスクは限定的であり、手技関連の有害事象についても、本品群とPTA群で発生率に大きく乖離がある事象はなかったことから、本品の安全性は臨床上許容可能と判断しました。
 続いて、資料45ページ、審査報告書43ページ、13行目からを御覧ください。本臨床試験から本品の有効性及び安全性が示され、また、事後的な解析ではあるものの、石灰化病変に対する成績も確認されました。一方、石灰化の客観的評価が不足している等の限界も認められたため、石灰化の程度による本品の有効性及び安全性への影響については、製造販売後調査において評価を継続し、得られた情報を臨床現場に提供しつつ、適切な病変選択に役立てていくことが有効性確保に必要であると考えます。
 続いて、本品の適正使用を含めた製造販売後安全対策について、資料46ページ、審査報告書44ページ、35行目からを御覧ください。本品は、CLTI患者を適応対象とした本邦初の膝下動脈病変に対するスキャフォールドシステムであることから、本品を有効かつ安全に本邦に導入するためには、次のページ、資料47ページの3行目よりお示しする4点、すなわち、CLTIの治療に精通し、膝下動脈の治療に十分な知識と経験のある医師及び医療チームが、本品のリスク・ベネフィットバランスを確保可能な患者を適切に選択することが重要と考えます。また、本品を使用したことによる合併症や有害事象、適切なフットケアを含む術後管理に対処するための知識・技術を有し、迅速に対応可能な医療機関において、本品を用いた治療が行われること等が重要と判断しました。これらを踏まえ、機構は、表34に示すトレーニングの実施とともに、次のページ、表35に示す関連学会が作成する適正使用指針の遵守が必要と考え、これらを承認条件1として付すことが妥当と判断しました。
 最後に、使用成績評価について、資料49ページ、審査報告書47ページ、1行目からを御覧ください。表36に本品の使用成績調査の計画を示しております。
 製造販売後、フェーズ1として、石灰化重症度の客観的評価が可能な体制を有する施設に限定して150例まで全症例を登録し、同じページの20行目よりお示しする基準にて、150例での有効性及び安全性が確認され次第、販売施設の拡大を行っていく予定です。ただし、基準を達成できなかった場合は、フェーズ2にて引き続き評価を行い、その後、施設拡大を検討することとなっています。
 機構の見解は、資料50ページ、審査報告書48ページ、8行目からを御覧ください。本品は、本邦での使用成績がないことから、使用成績調査を実施し、得られたデータに基づき、症例選択の適正化、追加の安全性確保等の製造販売後安全対策を行う必要があると考えます。前に述べたとおり、本邦では石灰化病変の割合が多い可能性が高いこと、石灰化病変は臨床成績を不良とする大きな要因の一つであることから、石灰化重症度の客観的評価が可能な体制、すなわち、血管内画像提供が可能な施設で第三者評価を実施した上で、調査を行い、基準達成をもって、血管内画像診断が実施できない医療機関を含めて本品の使用を拡大する是非を検討する申請者の方針は、受入可能と判断しました。以上から、申請者が計画する使用成績調査案は適切と判断し、これを承認条件2として付すこととしました。また、海外で実施された本臨床試験の長期成績は、国内における本治療の適応の判断や安全対策等に重要な情報となることから、その追跡調査結果については経年報告することを承認条件3に付すことが妥当と判断しました。
 以上の審査を踏まえ、機構は、資料52ページ、審査報告書50ページ、25行目より記載する使用目的にて本品を承認して差し支えないと判断し、本医療機器・体外診断薬部会で御審議いただくことが適切と判断しました。本品は、使用成績評価の対象に指定し、使用成績評価の評価期間を7年とすることが妥当と判断しました。また、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しました。なお、薬事審議会では報告を予定しております。機構からの報告は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○小野部会長 御説明ありがとうございました。それでは、参考人の藤原先生から何か追加の発言がありましたら、よろしくお願いいたします。
○藤原参考人 野崎徳洲会病院の循環器内科の藤原と言います。ふだん、このような下肢閉塞性動脈硬化症に対する診療を行っております。
 ほとんど機構にお話していただいたとおりなのですが、現実的に患者さんの状況が時時刻刻と悪くなっていると思います。いろいろ理由はあると思うのですけれども、やはりCLTI、包括的高度慢性下肢虚血、以前で言うと重症虚血肢というような患者さんの予後が極めて不良であります。大切断、死亡が多くなって、大切断になる患者さんも、歩行機能の温存がほとんどできない状況になってきております。
 このLIFE-BTK試験自体は、当然、先ほど説明があったとおり、日本人の患者と完全にマッチするわけではないのですけれど、ある程度の割合でマッチする患者さんにおいて、本品の有効性が示されているだろうと思います。逆に言わせてもらうと、そのような患者さんの下肢若しくは生命予後を救うという意味で言うと、このデバイスは、過去、現状、膝下動脈に対する治療はもうballoon angioplastyに限定されております。バイパス手術がなかなかできない患者群にも入ってくると思いますので、そこに関しては非常にメリット、再治療、開存率の向上は、そういったマッチする患者さんにおいて非常に意義深いだろうと思っております。実臨床下においてもう一歩進んだ治療をするという意味では必要かと、実臨床家として考えております。以上です。
○小野部会長 御説明ありがとうございました。それでは、委員の先生方から御意見、御質問等がありましたら御発言、あるいはWebの場合は挙手をお願いできればと思います。いかがでしょうか。田中委員、どうぞ。
○田中委員 非常に重要なデバイスで期待がもてるかと思います。ただ、海外のデータだけで本邦で初使用をするということで、非常に難しい御判断であったかと思います。石灰化病変についてもうまく考察もされておりますし、海外との違いに準じて適正使用指針を決められているのかと思いました。その適正使用指針の中で、石灰化病変については高度石灰化を除くと明言されているのですが、長さについては15cmまでで、スキャフォールド留置区域が全部カバーするために17cmということになっています。ただ、デバイスを見てみると、1本38mmなのですよね。ですから、これを考えると、相当広い適応を考えられているのかと思うのですが、その辺りについては、長区間病変にこれを継ぎ足しながら入れることについて、どのようにお考えかどうかを聞かせていただきたいのですが。
○小野部会長 これは、藤原先生からお答えください。
○藤原参考人 非常に重要なコメントであろうかと思います。実際に私たちがオールカマーで膝下のカテーテル治療をした場合の病変長というのは、実はもっと長いのです。平均病変長としては30cmを超えます。ですので、例えば実臨床における透析や非常に悪い状況の患者さんと比べると、17cmというのは比較的短い病変長であろうと思っています。ですので、対象血管としては、近位部の膝下動脈というのが基本的なスタンスになると思います。ただ、現状でのLIFE-BTK試験等の結果を見ますと、短い病変での有効性が示されておりますので、実際の実臨床における病変にとっては比較的短いということが言えると思いますし、ステントの長さから考えますと、フルステントがずっと膝下までを全部網羅する形ではないというリミテーションであろうと思います。
○田中委員 ありがとうございます。もう一つの海外と本邦の違いということで、日本の先生方は本当にきめ細やかに閉塞突破されて、末梢まで長いバルーンで開くのも非常に得意とする領域かと思うのです。海外の試験と今の日本のPTAの成績とこの試験とで組ませて、どの程度プラスになるかということと、どういう対象が本当にPTAよりもこのスキャフォールドが必要かということも含めて、もう少し。恐らくPTAとスキャフォールドを組み合わせながら治療をされると思うのです。 それを、適正指針も含めて、もう少しガイドされたほうが、実臨床としては迷わないのかと思うのですが、いかがでしょうか。
○小野部会長 藤原先生、お願いします。
○藤原参考人 まず、今回私たちが策定した指針、適応に関しては、透析患者さんを除外するということです。実臨床においては、データによりますが、半分程度の透析患者さんは日本人で患者さんとして入るのですが、それが非常にコンプレックスな患者さんが多いと。そういった患者さんは、なかなか現実的にballoon angioplastyのみならず、恐らくこのスキャフォールドを用いてもなかなか難しいだろうと考えております。ですので、非透析の患者さんで、血管径が比較的あって、近位、TBR、前距骨腓骨の比較的近しい、近位に近い、中枢に近い患者さん、病変に対して、繰り返し治療をすることに対する適応を取ってきたということになります。一応、複合的なコンバインしたプロッチマールに本品を入れて、ディサーラをバルーン拡張することに関しては妨げることはないのですが、当初の状況を考えたときには、恐らくそれは余り好ましくなく、近位部で繰り返すピンポイントの狭窄に対して繰り返す治療というのをなるべく少なくすることを目標にしております。実臨床において、先ほど言いました30cm超に対する適応を使っていくつもりは現状はなくて、本当にこのステントでカバーできるような症例のみを対象にしていき、日本においてこのデバイス自体が安全かつ有効に示されるかを、まず第一段階の目標にしたいと思っています。
○田中委員 ありがとうございました。
○小野部会長 使用成績調査が150例、7年間ということで、そこで実臨床もよく見えてくるだろうということで、今、藤原先生がお答えになったような適応をしっかりと、どこまで抽出できているのかと。有効性、安全性を含めて、この使用成績調査の結果を報告することになるだろうと思っております。永井委員、お願いします。
○永井委員 京大の永井です。臨床試験成績について、少し伺います。緑色35ページにあるのですが、この臨床試験は、事象回避率が高くて有意差が出なさそうだとして、途中でエンドポイントを変えています。盲検解除前に変えているので、それ自体は問題はありません。一方で、その際、一次開存の判定にドップラー超音波による評価を追加し、そこだけで有意な群間差がで出たものです。緑色の23ページの下の表になります。ドップラー超音波の性質上、血流が悪いと信号を拾えないこともあると思うのです。そうすると、スキャフォールドの本製品が入って見えやすい所だけ見て、すなわち、血流ドップラーを拾いやすい所だけ拾って狭窄なしと判定された懸念はないのか。狭窄率の判定は、アンギオでも、ドップラーでもいいとなっていますので。
 そこで質問ですが、本品群でドップラーによる判定が特に多かったことはないでしょうか。その辺りのトリックは大丈夫なのでしょうか。いずれにせよ、使用成績評価できちんと評価していけばいいのですが、臨床試験成績については少し疑問を感じてしまいました。
○小野部会長 ありがとうございます。これは、要するに臨床試験の評価方法の正当性ということの質問のようですが、事務局でそこまで読み込んでおられますか。事務局からお答えできますか。
○医薬品医療機器総合機構 御質問いただきまして、ありがとうございます。今、御指摘を頂きました資料の緑色の35ページ、審査報告書の33ページに、今回の臨床試験の途中で主要有効性評価項目の変更が生じた点を記載しております。今、先生から御指摘を頂きましたとおり、再狭窄という評価項目が追加になっていることと、もう一つの変更点としては、評価時点が6か月から1年に延長されているところがあります。これらは、もともと事前に計画されていた初期100例のブラインドの解析を行ったときに、事象の回避率が、どの群がということが分からない状態ではあるのですが、回避率が高かったということで、より適切に、今回は血管を開存させるデバイスの長期の有効性を評価するというところを踏まえて、有効期間を1年に延長したということと、恣意的な判断が余り入りにくいであろう再狭窄という項目を追加したということで、機構としては、こちらの変更は受入可能と考えて、今回審査をしておりました。
 実際、再狭窄と判定された方の中のどの程度が。
○小野部会長 質問の内容は、どちらかというとドップラー評価のことがメインでしたね。評価法の方法であって、いわゆるエンドポイントの変更の話よりは、そちらの評価法の話がメインであったと思います。
○医薬品医療機器総合機構 機構からお答えいたします。すみません、今、手元にその割合のデータがないので、その点は今のところお答えはできないのですが、一方で、使用成績調査で確認していくという点については、この臨床試験で見られた成績に対して、日本でもアメリカで見られたのと同等のスキャフォールドの成績が見られることについては、同じような評価で見ていくという形で考えております。
○小野部会長 藤原先生、何か追加はありますか。ドップラーで音が聞こえる場合には、アンギオすると大体見えるはずなのですが。
○藤原参考人 これも非常に重要なポイントであろうと思います。膝下の血管自体をエコーで評価することが妥当であるかどうかということだと思います。一般的に、浅大腿動脈のデバイスの場合は完璧にエコーで評価するのが一般化しておりますが、膝下の血管病変を治療前後でエコーで評価するのは、なかなか難しい点はあるだろうと思います。
 これが、途中でどういった意義でエンドポイントが変わったかどうかは、それは私たちは知る由がないですが、恐らく一般的にされているエコー評価が全ての施設でできるわけではないと思うのですが、治験に参加するような条件、若しくは国内においてこのデバイスが承認された後に入るような施設に関しては、日常診療においてエコーで評価するというようなことは、そんなに珍しいことではなくて、恐らく慢性期に血管造影するというのは患者さんへの負担であったり保険上の問題があり一般的ではないので、エコーで評価することは妥当であろうと思います。
 当然、先生が御指摘されたように、ステントの方が見やすいのではないか、それは確かにそうだと思います。ステントが入っていますので、そこに見えると思うのですが、エコーで評価することが、では果たして著しくレベルが低くなるかというのは、もちろん術者、検者のスキルによると思いますが、恐らくPMS、市販後の臨床研究という形になるとするならば、入ってくる施設の技師さんたちは、少なくともステントを見逃すことは恐らくないだろうと思いますし、このRCTではないシングルアームでステントの評価をエコーで行うことは国内においても妥当かと思います。
○小野部会長 ありがとうございます。具体的な数値データについては、今、手元にないということですので、データを少しお探しいただいた上で、改めて委員にメールで回覧する形になると思われますが、永井委員、それでよろしいでしょうか。
○永井委員 はい。先ほどの参考人の先生のコメントでよく分かりました。実際、エコーは術者デペンデント、病変デペンデントの性質があるので、その正確性について少し慎重になったほうがよいと思いました。具体的な数字が知りたいというわけではありません。ありがとうございました。
○小野部会長 了解いたしました。ありがとうございました。ほかに質問はありますか。川上委員、お願いいたします。
○川上委員 薬剤溶出型ステントですので、薬剤について質問させてください。緑の通しページの112ページ、添付文書案の6ページの右側の上の方に、血中濃度の推移があります。これは、恐らく各被験者さんのステントから溶出した薬剤の濃度をグラフで見せていると思うのですが、私が見る限り、このグラフは審査報告書の中に見当たらないように思います。重要なグラフであれば審査報告書にも掲載すると宜しいかと思いました。逆に言うと、審査報告書にないグラフが添付文書案にあるのかと思うのですが、私の見落としですか。
○小野部会長 では、事務局からお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 御質問いただきまして、ありがとうございます。御指摘のとおり、審査報告書にPKのグラフは掲載しておりませんでしたが、臨床で行ったPK試験の成績から算出されたPKのパラメータ等の結果に関しては記載をしております。緑の33ページ、審査報告書の31ページにかけてが、今回海外で実施されたPK試験の成績になっておりまして、先ほど御指摘いただいた資料のグラフは、こちらの成績から作られたものになります。申請資料には同じグラフが入っておりますので、そちらを確認しておりました。
○川上委員 分かりました。そうすると、添付文書にグラフを載せることは宜しいかと思うのですが、縦軸の単位が間違っていませんか。血中濃度が大体オーダーレベルというと10のng/mLですよね。○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○ではないのですか。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘いただきましてありがとうございます。提出された資料を、今一度確認いたします。
○川上委員 それと、添付文書の次のページに主要文献が載っているのですが、その主要文献に、例えば同じこの成分の免疫抑制剤の内服剤、錠剤と抗がん剤の添付文書が引用されているのです。これは、このステントの有効性や安全性に係る主要文献ではないですよね。これは、適切なのでしょうか。
○小野部会長 事務局、お願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘いただきましてありがとうございます。先生のおっしゃるとおり、主要文献としてほかにも載せる文献があると思いますので、適切に対応いたします。御指摘ありがとうございます。
○川上委員 何か、薬剤の部分について添付文書の作りが雑な気がするので、目につきました。他の所も含めて、御検討いただければ幸いです。よろしくお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございます。承知いたしました。
○小野部会長 ありがとうございます。ほかに質問、御意見はありますか。宮川委員、お願いいたします。
○宮川委員 宮川です。患者背景についてですが、患者背景の中には糖尿病は入っていないと考えてよろしいでしょうか。記載がないのでお聞きします。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございます。審査報告書の緑のページで21ページ、審査報告書19ページの上の方の表の上から3行目に記載があり、7割程度の被験者さんが糖尿病患者さんということになっております。
○宮川委員 A1cを7.0で切っているわけですよね。それで、全てが患者背景の中に入っているということですね。
○医薬品医療機器総合機構 はい。
○宮川委員 それから、抗血小板療法がここにたくさん書いてあるのですが、それによっての差は当然出てくるはずだと思うのです。654分の45ページの所にあるとおり、それについての差というのは、これからかなり効いてくることになりそうなのです。それに対しての規定というか、今後の中身はどのように考えればよろしいのでしょうか。
○小野部会長 これは、事務局でお答えできますか。
○医薬品医療機器総合機構 はい。御指摘いただきましてありがとうございます。今後、本邦に導入された後は、まず臨床試験での抗血小板療法の推奨期間を基に、先ほどの添付文書などで注意喚起、情報提供を行っていく予定です。臨床試験での規定を踏まえて、少なくとも術後12か月間の二剤抗血小板療法を推奨していく、そこの情報提供を行っていく予定です。
○宮川委員 はい。それは、書いてあるわけですが、今後、有効性を含めて見るときに、これが必ず効いてくるはずなのです。それについての項目として、12か月は分かるのですが、種類も含めてどのように規定されるのかということなのです。つまり、有効性を見ていくときに、抗血小板薬の種類というのはかなり効いてくるはずなのですが、これに関しては何も触れなくてもよろしいのか、別にこれは一応臨床で使われる範囲の中で考慮されるべきであるということで言い切っていいのかどうか。今後長期的な判断をするときに、必ず必要な項目になってくるので、それに関しての規定が何もなくていいのかどうかということだけ、教えていただければと思います。12か月使うことは、ここに書いてあるわけですから、分かっています。比較するとか何かするときに、これが効いてくるのかどうか、どのように判断されるのかということです。
○小野部会長 事務局、回答できますか。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございます。今後行っていく製造販売後の使用成績調査の中の評価項目として、抗血小板療法の使用の有無に関する評価項目を追加していただいております。まず、国内で導入していく際に、抗血小板療法がどのように実施されたかという情報収集を行っていく予定です。それに関して、今回の使用成績調査は期間を区切って評価を行う時期を設定しておりますので、その際に得られた情報を評価して、抗血小板療法の実施状態に関しても、何か成績に影響がない方なども考察して、日本での使用実態も含めて評価を行っていく予定です。
○宮川委員 分かりました。しっかりと書き込みがあれば問題ない、比較できると思いますので、種類も含めて、それがしっかりと記載されるようにしていただければと思います。以上です。
○小野部会長 ありがとうございます。藤原先生、実際のDAPTの、要するに抗血小板剤を2剤選ぶ場合の選び方は、ある程度基本があるわけですが、一定に2剤を決めるのか、それとも実際の施設ごとのそれまでの慣習に基づいた2剤の選び方、あるいは、場合によっては変更するといった具体的なプラクティスについては、何らかのコンセンサスはあるのでしょうか。
○藤原参考人 非常に重要なポイントだと思います。スキャフォールドを置くということは、コウショク抗血小板作用が期待されるということです。冠動脈疾患の場合は、DAPTの選び方についてはエビデンスや施設の基準がいろいろあると思うのですが、今のところ、下肢動脈に関しては、アスピリンとクロピトグレルが基本的な承認になっております。ほかの抗血小板剤に関しては、今のところ適応的に下肢PADで取れていないというところも多くありますので、恐らくベースはバイアスピリンとクロピトグレルでスタートするだろうと思います。当然DAPTが推奨されますので、1年間のDAPTは容認されると思いますが、ほかのDAPTであったりシングルにどう起こしていくかは、まずは初期の我々のこのデバイスを使った後の結果を見てからの判断になるだろうと思います。ですので、この辺りは一応遵守して、その上で明確な日本からの結果を出した上で、その後、また減らす、増やす、ほかのデバイスを使う、これは、もちろんオンラベルの薬に限定されると思いますが、次の議論がスタートするのかと考えております。
○小野部会長 ありがとうございました。大変よく分かりました。ほかに御質問、御意見はよろしいでしょうか。北澤委員、お願いします。
○北澤委員 北澤です。審査報告書の33ページ、654分の35ページの中ほどなのですが、今回検討した臨床試験の患者さんは、日本の実態とは少し違うかもしれないということが書いてあります。12行目からですが、「日本の実臨床の現状を反映した成績とは言い切れないものの、本品による有効性及び安全性を確保可能な対象患者を本臨床試験に基づいて適切に選択することで、外挿可能である」と述べてあるのです。この検討した臨床試験は200何十人かの患者さんが参加しておられたと思うのですが、そのうち日本人での有効性、安全性を評価可能な対象患者さんを絞った上で解析した、いわゆるサブグループ解析といったものはないのでしょうか。質問の意味が通じていますか。
○小野部会長 私は意味が分かりました。事務局、回答はよろしいですか。
○医薬品医療機器総合機構 御質問いただきありがとうございます。こちらの記載の意図としては、この臨床試験に組み入れられた対象患者に相当する病変であれば、日本の実臨床でも問題なく有効性、安全性が得られると考えられるのです。逆に、臨床試験で使用された病変も、しっかりと臨床現場に周知徹底していって、その場合の病変の成績はこれであるということも明確に示した上で使っていただきたいということを意図しておりました。ですので、この集団の中のどれぐらいが本邦の症例ということではないかと考えているのですが。
○北澤委員 説明は分かりました。説明は分かったのですが、要するに、日本の患者さんと違うかもしれないけれども、違う人で試験をしたらこうだったから、この結果を考えてくださいという意味だと思うのですが、そのような場合に、臨床試験の結果を外挿できると言っていいのでしょうか。
○小野部会長 事務局、お願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 機構からお答えします。ここの記載なのですが、繰り返しの説明になるのですが、日本の実態の方が病変が長くて厳しい可能性があるといったところで、必ずしも海外の臨床試験の結果をもって日本の患者さん全てをカバーできるということではないので、その点をきちんと情報提供しながら、また、指針の中でも厳しい病変、重度石灰化病変を外すというような規定を設けたりといったところで少し絞って、市場に出していくという意図で、ここの記載をさせていただいた次第です。
○北澤委員 私は、これまで臨床試験、例えば外国人を対象にした試験を日本人に外挿するというのは、要するに外国人での結果を日本人にも当てはめられるという意味だと思っていたのですが、ここの文章で使われている外挿可能というのは、今の御説明ですとやや違うように思ったので、発言させていただきました。
○小野部会長 ありがとうございます。私も、そのように感じます。少し言葉の使い方を適正化したほうがよいというのが、北澤委員の御意見だと思いますので。安易に言葉を外挿すると、同等性が推測されることになってしまいますので、気を付けたほうがいいと思います。
○医薬品医療機器総合機構 承知いたしました。失礼いたしました。
○小野部会長 松宮委員、お願いいたします。
○松宮委員 有効性評価の所で、創傷治癒が、差はないのかもしれませんが、若干、本治療群で悪い傾向があり、かつ、大切断がほぼ全て感染が悪化して本臨床群だけに起こったと報告されています。数も少ないので、これが有意な事象かどうかはなかなか言い難いとは思うのですが、エベロリムスは免疫抑制剤なので、感染や創傷治癒などが懸念されるところだと思います。質問は、血中濃度は上がらないということですが、ステントのすぐ末梢にある患部の組織中のエベロリムス濃度は、ある程度上がっているといったことはないのかということは、確認されているのでしょうか。
○小野部会長 事務局、回答をお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 機構より回答させていただきます。末梢に限った血中濃度が、今手元にはないので、そこが影響したかどうかまでは精査できておりません。ただ、一方で、血中濃度を調べると全身毒性等の影響まで至る濃度まではいっていないということは調べており、そこで安全性については特段問題ないという評価をさせていただいているのが現状です。
○松宮委員 末梢血レベルでの濃度は上がらないというのは、先ほどのグラフで御指摘いただいたところで分かったのですが、ステントのすぐ末梢側の、血流が流れ出てすぐの所が潰瘍ができていたりする場所なので、そこに影響がないのかというのはまた別問題かという気がしました。以上です。
○小野部会長 ありがとうございます。松宮委員の御懸念は、私も正にそのとおりだと感じる次第です。そういったデータは、多分取られていないのですね。いわゆる全身毒性という観点で、これは血中濃度測定をされているのですが、いわゆる局所的なレベル、要するにPSI、proliferation signal inhibitorになりますから、創傷治癒が機転を遅らせるというのが、一つのエベロリムスの大きな合併症になります。そういった観点で考えると、いわゆる虚血性潰瘍のある所の創傷治癒にどのぐらい悪影響があるのかということも、十分な懸念すべき内容かと感じる次第です。
 ほかに御質問、御意見はありますか。それでは、活発な御意見、御質問をありがとうございました。特にこれ以上はないと思いますので、議決を行います。なお、本議題の利益相反事項に関して、議決に参加できない委員は、伊苅委員、田中委員、松宮委員です。医療機器「Esprit BTKエベロリムス溶出生体吸収性スキャフォールド」について、本部会として承認を与えて差し支えないものとし、生物由来製品及び特定生物由来製品として指定しないとしてよろしいでしょうか。また、使用成績調査は指定を7年とすることでよろしいでしょうか。御異議のある委員の先生方は、挙手あるいは御発言をお願いいたします。ありがとうございました。特に御異議がないようですので、そのように議決いたします。なお、本件は審議会にて報告を行うこととなっております。以上をもちまして、議題4を終了いたします。藤原先生、御出席どうもありがとうございました。
――藤原参考人 退出――
――原参考人、福田参考人 入室――
○小野部会長 議題5については、参考人の御出席をお願いしております。参考人としては、原英彦先生及び福田宏嗣先生にWebで御出席を頂いております。
 それでは、議題5「医療機器「TriClip システム」の生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び使用成績評価の要否について」の審議に入ります。事務局より御説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 よろしくお願いいたします。機構より御説明いたします。資料5の2ページ、専門協議委員一覧を御覧ください。本審査に当たりまして、こちらの4名の専門委員から御意見を頂きました。以降の説明は、資料3ページからの審査報告書に基づいて御説明いたします。ページ番号は、緑色の通しページ番号、審査報告書のページ番号及び左に記載の行番号を用いて御説明いたします。
 初めに、品目の概要を御説明いたします。資料10ページ、審査報告書8ページ、1行目から御覧ください。本品は、閉鎖不全を生じている三尖弁を接合するためのクリップを搭載したデリバリーシステム、デリバリーシステムを右心房内に送達するためのスティーラブルガイドカテーテル、そのほかの付属品から構成されます。
 次のページ、資料11ページ、審査報告書9ページの図3を御覧ください。まず、本品のデリバリーシステムを用いて大腿静脈からアクセスし、クリップを三尖弁まで送達させます。その後、三尖弁尖をクリップで把持することで、三尖弁からの逆流を低減します。
 次に、開発の経緯について御説明いたします。同ページの13行目から御覧ください。三尖弁閉鎖不全症、以降、TRと言いますが、TRは、三尖弁が完全に閉鎖しないために血液の逆流が生じる疾患であり、症状として、腹水、末梢浮腫などが挙げられます。TRは、弁構造自体の解剖学的要因による一次性TR、又は右心室、右心房の病的拡大による二次性TRのいずれかによって生じますが、二次性TRが大半を占めます。
 TRに対しては、現在、主に利尿薬などによる体液貯留の軽減が推奨されていますが、高度TR患者の管理は難しく、治療選択肢も限られており、入院を繰り返し、臨床転帰が不良であることが報告されています。また、高度TR患者に対する外科手術は、左心系弁手術と同時に行う場合はクラスIで推奨されている一方、単独三尖弁外科手術は院内死亡率が高いことが報告されており、左心系弁手術を必要としない又は心臓手術後の高度TRに対する外科的手術の適応基準と至適時期については、十分なコンセンサスが得られていません。そのため、現時点では薬物療法が標準治療であり、当該患者の臨床転帰を改善するために新たな治療選択肢が必要とされています。
 次のページ、資料12ページ、審査報告書10ページの2行目から御覧ください。本品は、僧帽弁逆流の治療を目的とした既承認品「MitraClip NT システム」を基に、三尖弁への送達性及び操作性を向上するための改良を行い開発された製品です。
 外国における使用状況について、同ページの9行目から御覧ください。本品は、欧州、米国などの諸外国において既に販売されております。
 続いて、本品の非臨床試験成績については特段の問題は認められませんでしたので、臨床試験成績について御説明いたします。資料18ページ、審査報告書16ページの31行目から御覧ください。本品の有効性及び安全性を評価する臨床試験成績として、海外臨床試験である「TRILUMINATE米国ピボタル試験」及び国内治験の成績が提出されました。米国ピボタル試験は、Roll-inコホート、無作為割付コホート及び単群コホートから構成され、無作為割付コホートでは、最初に組み入れられた350例が主要解析に用いられました。また、単群コホートでは、最初に組み入れられた100例が主要解析に用いられました。国内治験は、米国ピボタル試験の本邦への外挿性を確認するために行われました。
 ここからは、各試験の主要解析の成績について御説明いたします。最初に、米国ピボタル試験無作為割付コホートの結果を御説明いたします。主要評価項目の結果につきまして、緑色の資料26ページ、審査報告書24ページ、上段の図6を御覧ください。主要評価項目は、術後12か月の全死亡又は三尖弁外科手術、心不全による入院及びKCCQで評価したQOLの改善からなる階層的複合評価項目であり、本品群の対照群に対するWin比は1.44で、本品群の対照群に対する優越性が検証されました。以降に、各項目の結果をお示ししておりますが、死亡等のハードエンドポイントについては対照群との差が確認されず、主としてQOLの改善が主要評価項目の達成に寄与していました。
 副次評価項目の結果について、資料28ページ、審査報告書26ページの表11に示します。本品群における術後30日までの主要有害事象の回避率は98.3%と、性能目標を満たしました。また、TRが中等度以下まで軽減した患者の割合は、本品群で87%、対照群で5.4%であり、本品群で有意に高い割合でした。一方、6分間歩行については、差は確認されませんでした。
 続いて、資料30ページ、審査報告書28ページの図10を御覧ください。こちらの図は、術後12か月までのTRの重症度を示しておりまして、上が本品群、下が対照群になります。重症度については、オレンジや赤色が高度、緑色が中等度以下を表しますが、本品群では、術前に高度であった逆流が約9割の患者で中等度以下に改善し、術後12か月まで改善が維持されていることが確認されています。一方、下の対照群では、登録時から大きな変化はありませんでした。なお、参考資料として提出されておりますMRI、CTを用いたイメージングサブスタディからは、本品群でのTRの軽減と心臓リバースリモデリングが、バイオマーカー検査からは、本品群でのクレアチニンやeGFRなどの腎機能、MELDスコアなどの肝機能に関する検査値の改善傾向が確認されています。
 次に、米国ピボタル試験単群コホートの成績について御説明いたします。単群コホートは、解剖学的に複雑な患者を対象とした試験です。主要評価項目の結果について、資料44ページ、審査報告書42ページの表24を御覧ください。主要評価項目である術後12か月のKCCQスコアが登録時から10ポイント以上改善した生存者の割合は46.2%であり、性能目標を満たしました。
 副次評価項目の結果について、同ページの下の表26を御覧ください。術後TRの1グレード以上軽減した患者の割合は98.9%であり、性能目標を満たしました。また、主要有害事象の回避率においても、性能目標を満たしておりましたが、6分間歩行距離については、有意な増加は認められませんでした。
 次に、国内治験の成績について御説明いたします。国内治験は、米国ピボタル試験無作為割付コホートと同様な基準を基に患者の組入れが行われた試験です。主要評価項目の結果について、資料49ページ、審査報告書47ページの10行目から御覧ください。主要評価項目である術後12か月の全死亡又は三尖弁外科手術実施の回避率は100%であり、性能目標を満たしました。また、追加主要評価項目である術後12か月の年間心不全入院率について、心不全による入院は1件のみであり、性能目標を満たしました。なお、副次評価項目はKCCQスコアの15ポイント以上の改善でしたが、改善が見られた患者の割合は22.2%であり、性能目標を満たしませんでした。
 以上の主な試験成績を踏まえ、機構における審査の概要を御説明いたします。初めに、本品の有効性及び安全性についてです。資料53ページ、審査報告書51ページの1行目から御覧ください。
 臨床試験の設計背景を踏まえ、本品の有効性及び安全性については、米国ピボタル試験無作為割付コホート及び国内治験、米国ピボタル試験単群コホートに分けて評価を行いました。
 まず、無作為割付コホート及び国内治験からの安全性について、同ページの26行目から御覧ください。無作為割付コホートにおいては、主要有害事象は性能目標を達成し、術後1年時及び2年時においても、死亡や心不全入院などの有害事象の発生傾向は、本品群と対照群で同様でした。また、国内治験においても、本邦で特有の有害事象は確認されなかったことから、本品の安全性は臨床上許容可能と判断しました。
 次に、有効性についてです。次ページ、審査報告書52ページの3行目からになります。無作為割付コホートにおいて主要評価項目は達成していましたが、対照群と比較して本品群で改善が認められた項目はKCCQスコアの改善でした。また、国内治験において主要評価項目は達成していましたが、副次評価項目のKCCQスコアの改善の程度は米国試験と異なっていたことから、機構は、次の三つの事項について申請者に説明を求めました。
 まず、一つ目のハードエンドポイントで差が認めなかった理由です。申請者は、試験計画時において、○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○ことが要因であると考察しています。
 二つ目として、次のページ、資料55ページ、審査報告書53ページの27行目、2年時成績も踏まえた有効性の解釈についてです。無作為割付フルコホートの本品群の2年の結果から、術後1年以降の持続的なTRの軽減、QOL及び心不全症状の改善維持が確認されており、また、本品群で心不全による年間入院率の低下が確認されたことから、1患者当たりの入院回数の減少という患者ベネフィットが確認されたと説明しています。高度TR患者に対する治療選択肢は、現在、限られていることを踏まえ、本品の安全性と有効性は、臨床上、許容されると申請者は説明しています。
 最後に、三つ目として、次ページ、審査報告書54ページの3行目、国内治験の有効性の解釈についてです。国内治験で副次評価項目が未達であった理由は、登録時におけるKCCQスコアが高かったことが要因であると申請者は考察しています。登録時、KCCQスコアが高値を示した患者の改善の程度は低かったこと、また、次ページ、審査報告書55ページの図27に、各試験のKCCQスコアの比較を示しますが、10ポイント以上のKCCQスコアの改善が得られた患者割合は、米国ピボタル試験と同程度だったことが確認されており、その他の試験成績なども踏まえ、本邦の患者に対しても、本品によりTRが軽減することで、それに伴うQOLの改善や心不全症状の軽減が得られると申請者は説明しています。
 機構は、今回の試験結果については慎重に判断する必要があると考えますが、本品の対象患者に対して、現状、有効な治療手段がないため、同ページの20行目から示しております三つの観点、一つ目、本品による高度TRの軽減がQOLの改善及び症状改善に寄与していることが示されていること、また、持続的なTRの軽減及びQOLの改善維持が認められていること。二つ目、生命予後の悪化は見られておらず、心不全入院の年間入院率の低下が示唆されていること。三つ目、本品の安全性に関する臨床成績は良好であったこと。これらを考慮すると、適切な患者を選択することにより、本品使用のリスク・ベネフィットバランスは担保されると判断しました。
 続いて、解剖学的に複雑な集団を対象とした米国ピボタル試験単群コホートにおける評価について、緑色の資料59ページ、審査報告書57ページの5行目から御覧ください。単群コホートの患者は、ほかの試験と比較して、病態が進んでいる可能性があり、全死亡率及び心不全による入院率も高いことが確認されていますが、これは主に患者背景の差異によるものと申請者は考察しています。また、KCCQスコアの改善は無作為割付コホートの本品群と同程度であったことから、単群コホートに含まれたような患者に対しても、本品のリスク・ベネフィットバランスは担保されると説明されています。機構は、申請者の見解は受入れ可能と判断しましたが、国内治験は単群コホートに該当するような患者では実施されていなかったことを踏まえ、後述するトレーニングなどの製造販売後安全対策を十分に行うことが重要であると考えます。また、各試験の長期成績については、製造販売後においても、引き続き確認することが必要と判断し、これを承認条件として付すことといたしました。
 次に、本品の対象患者について御説明いたします。資料64ページ、審査報告書62ページの10行目からになります。機構は、本品の臨床的位置付けについて、至適薬物療法を行ったにもかかわらず、TRの重症度及び症状が改善されず、ハートチームにより三尖弁外科手術が最適治療ではないと判断された患者とする申請者の考えは、現在、有効な治療選択肢がないことを踏まえて適切であり、本品を医療現場に提供することの意義はあると考えます。
 一方、本品の使用が適する患者の選択、適正使用の確保が重要と考えます。これに対し、申請者は、本品のリスク・ベネフィットバランスを最適化するために、関連学会との連携により適正使用指針を策定し、体制を整える予定です。本品の患者選択に関する指針案について、緑色の資料66ページ、審査報告書64ページの表46に示します。機構は、関連学会と連携して適正使用の確保を行うとする申請者の方針は妥当であり、患者選択の適切性については製造販売後においても確認を行い、今後の国内外のエビデンスの蓄積を踏まえ、本品の適正使用が継続的に確保できるよう、関連学会と連携していくことが重要であると判断しました。
 次に、製造販売後の安全対策について御説明いたします。資料67ページ、審査報告書65ページの表47を御覧ください。本邦におけるトレーニングとして、座学、ハンズオンなどが予定されており、また、手技に当たっては、企業の製品スペシャリストによる技術的支援が全例で行われる予定です。また、関連学会で策定中の本品に関する施設基準及び実施医基準については、次ページ、審査報告書66ページの表48を御覧ください。各領域の専門医からなる医療チームが構成され、経カテーテル的僧帽弁接合不全修復術の経験を有する医師・施設により実施することが主な要件となっております。機構は、関連学会との連携も含めた市販後安全対策は妥当と判断し、これを承認条件として付すことといたしました。
 最後に、使用成績評価について御説明いたします。同ページの下側の表49を御覧ください。使用成績評価として、本品の有効性及び安全性を確認する目的で、重点調査項目として、本品特有のリスクである片方の弁尖のみのクリップ把持を意味するSLDA、また、有効性として、TR重症度の改善について250例までの全例調査を行う計画です。観察期間は3年で、調査期間は6年です。提出された臨床試験においてラーニングカーブが確認されていること、経カテーテル的なTR治療は新規性が高いことから、重点調査項目及び症例設計は妥当と判断しました。また、観察期間を3年とすることについては、Feasibility試験における長期成績に加え、各臨床試験の長期成績を確認していくことなども考慮して、妥当と判断しております。以上のことから、本計画案については妥当であると判断しました。
 以上の審査を踏まえまして、機構は、資料71ページ、審査報告書69ページの16行目より記載しております使用目的にて、本品を承認して差し支えないと判断し、本医療機器・体外診断薬部会で御審議いただくことが適切と判断しました。本品は、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しております。なお、特定医療機器に指定することが妥当と判断しています。また、使用成績評価の調査期間は6年とすることが妥当と判断しました。薬事審議会では報告を予定しております。機構からの報告は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○小野部会長 ありがとうございました。それでは、Web出席をされております参考人の原先生から、何か追加での御発言はございますか。
○原参考人 音声は聞こえておりますか。
○小野部会長 聞こえております。
○原参考人 東邦大学医療センター大橋病院の循環器内科の原でございます。今、機構の方から御説明がありましたように、実臨床としては、主に心房細動、不整脈の方々で心房が大きくなると、三尖弁の弁輪といって、三尖弁の付着部位が拡大してきますので、その方に三尖弁の逆流が多く出てくるのですけれども、利尿剤で今まで我々内科医は治療していました。もちろん患者さんの状態が良ければ、外科の先生にお願いしてオペをしてもらう、あるいは、僧帽弁と同時にオペをされる方も多いのですけれども、そうではなくて、三尖弁のみで逆流がひどくなってくるような方、そして、フレイルティが上がってくると、なかなか手術にもっていけない方も多々いらっしゃいます。その方々は、やはり入退院を繰り返していって、フレイルティが高まって亡くなるというのが今までの経過で、我々内科医も、いかんともし難い状態が続いていたのですけれども、こういったデバイスが入りますと、そういった方々のQOLが担保できる、そして、今の御説明にありましたように、安全性が担保できている、そのような治療です。私も僧帽弁のクリップ術をやっておりますけれども、非常に心不全で入院を繰り返している方が、ピタッと心不全での入院が止まりますから、こういった三尖弁の治療は、本邦にあるべきものではないかと思っている次第でございます。以上でございます。
○小野部会長 ありがとうございます。もう一方、参考人でWeb出席をされております福田先生から、何か御追加はございますか。
○福田参考人 獨協医大の福田でございます。聞こえますでしょうか。
○小野部会長 聞こえます。
○福田参考人 私は、外科医の立場から、TriClipの必要性というかニーズについて少し述べたいと思います。今、出てきましたけれども、三尖弁の閉鎖不全の多くは、左心系の疾患、僧帽弁あるいは大動脈弁あるいは心機能の低下した患者さん、そういった人に付随して二次性で起こるので、左心系とともに一緒に手術することが多いのですけれども、単独のTR、今回対象になっているような疾患というのは、非常に少ないということで、今、原先生も言われたように、通常は薬物治療、利尿剤とか、そういったもので治療するわけです。ただ、往々にして、やはり手術のタイミング、TRの予後あるいは右心機能自体の評価もまだ明確に定まっていないということで、左心系の疾患に比べて、手術適応とか、そのタイミングというのは明確に決まっていないというところがございます。そういったこともあって、外科の方へ回ってくる症例というのは少し遅い状況、腎機能、肝機能、あるいはPH、肺高血圧になっているような非常に状態が悪いハイリスクの患者で回ってくるということで、単独の三尖弁の閉鎖不全というのは、手術の成績も非常に良くないことが言われています。そういったこともあいまって、その手術適応あるいは手術に回ってくるといったところが、ガイドラインでは早めにというように言われていますけれども、往々にして、遅れがちになるということで、悪循環に陥っているのだと思われます。
 そういった中で、低侵襲であるTriClip治療というのが出てくると、躊躇なく手術に回してくることができますし、そういったハイリスクの患者さんの治療が可能になるということで、ハードエンドポイントに差はなかったのですけれども、症例を重ねるごとに、そういったものも差が出てくる可能性もあると思います。また、やはり大きいのは、QOLあるいは入退院を繰り返すようなことが改善するということで、患者さんには非常にメリットがあるのかなと思います。それから、既に同じようなMitraClipという治療が実際に行われて、多くの施設でたくさんの症例を経験しておりますので、この治療を導入するに当たって、適応指針あるいは実施施設の基準、実施基準などを厳格に定めることによって、安全に導入できるのではないかと思いますので、是非、導入していただければと思います。以上でございます。よろしくお願いいたします。
○小野部会長 ありがとうございました。それでは、委員の先生方から御意見、御質問等はございますか。永井委員、お願いします。
○永井委員 一つだけお願いします。臨床試験の場合には、登録された症例を全て使うというのが原則だと思うのですが、この臨床試験では無作為化のところでも572例中350症例しか主要解析に使っておらず、単群コホートでも188例中100例しか使っていません。これはどういった理由なのでしょうか。
○小野部会長 事務局の方から回答をお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 永井先生、御質問ありがとうございます。機構より回答いたします。今回の無作為割付コホートの350例、そして単群コホートの100例については、仮説検証を基に症例設計をした例数になります。全体の572例、188例はあるのですけれども、今回のこのTRの治療が既存の成績も乏しいところ、また、このTR適応のデバイスといったものもほとんどありませんので、仮説検証はこの症例数で、また成績を見て必要に応じて症例規模を拡大することを意図して、継続して症例が登録されていた背景があります。あくまで仮説検証の症例は350、100例ということで成績が提出され、そして、全体のコホートについても成績が得られているので提出されたというような流れになっています。こちらは、米国においても同様と伺っております。
○永井委員 仮説を検証するために症例数設計を行うわけで、そもそも、仮説を検証するために500何十例なり188例なりの数字が出てきたと思うのですが、それがなぜ半分近くになってしまっているのか。症例数ありきで、350症例だったらパワーがう云々、検出力が83%とか、そういう議論になっていて何か違和感があるのです。理屈が逆じゃないかと思うのですが。
○小野部会長 事務局、いかがですか。
○医薬品医療機器総合機構 機構より御説明いたします。先生、ご指摘をありがとうございます。まず無作為割付コホートの仮説検証の件です。先ほどの説明で詳細が述べられませんでしたので、資料で言いますと緑色の23ページ、審査報告書の21ページを御覧いただきますと、ここで無作為割付コホートの症例設計のことを記述しております。この審査報告書の21ページの後半側に書いております仮説に基づいて、主要解析は350例と設計されています。
○永井委員 よろしいですか。とすると、最初に算出した572例が何だったのだと思ってしまいます。
○医薬品医療機器総合機構 仮説検証としては、まず無作為割付コホートはこの350例ということで計画をしておりました。一方で、継続して症例が登録されておりまして、結果的に350例の主要評価項目の解析が完了して仮説検証ができたと、そして最終的に登録されていたのが572例であったということで、成績がまとめられたという経緯がございます。
○小野部会長 すみません、私から。これはCAPですか、Continued Access  Protocolという。スタディのいわゆるプリディターミンドの数を超えて、利用性がある場合には患者を繰り入れると、CAPと呼んでいますけれど、CAPコホートとは違う。
○医薬品医療機器総合機構 今の先生の御指摘どおり、症例を継続して登録していくという方法でしております。
○小野部会長 そうすると、永井先生、CAPコホートの場合には、もともとのピボタルのオリジナルコホートで解析をした場合は、CAPコホートは必ずしも主解析に入れないことがあるのは、先生も御存じだと思います。
○永井委員 はい、分かりました。ありがとうございます。
○小野部会長 多分そういうことのように感じました。ありがとうございます。宮川委員、お願いします。
○宮川委員 宮川です。TRの右心機能の評価というのは、なかなか難しいというか定まらないところがあるわけですけれども、この621分の69ページの中に、調査項目のフォローアップ情報として、TTE、NYHA分類、KCCQスコア、6分間歩行、投薬情報、採血等とあります。しかし、この右心機能の評価をする際に、ある程度、弁の修復をしたところで、例えばこの中にもMRIやCTがあって、その中で逆流の状況を見たり、それから、実臨床の中では、心エコーを含めて、逆流がどうだったのか、また、そこで弁が修復できなくて逆流がどうなったのかというのを含めて、カラードプラで見ることもあるわけです。「等」の中にいろいろ入るのかもしれませんけれども、フォローアップ情報としてこれらの項目だけを選んでいることが、本当に右心機能の評価につながるのかどうかということで、教えていただきたいと思っています。先ほど参考人からありましたように、非常に評価として難しいことはよく分かるのですが、これが果たして弁に対する治療を行ったときの評価として正しいものなのかどうか、適切なのかどうかを教えていただきたいと思います。
○小野部会長 これについては、参考人の原先生の方からお答えいただけますでしょうか。
○原参考人 ありがとうございます。バルブの評価と右心機能の評価は少し分けて考えなければいけないのかもしれませんが、逆流の評価としては、やはり心エコー図を用いたものがゴールドスタンダードですので、それを用いるということがよいと。あと、MRIなどに関しては、僧帽弁もそうですけれども、大動脈弁などの弁で幾つも知見を積み重ねているところですので、特に三尖弁逆流に関してのMRIが、食道超音波や経胸壁心エコーよりも優れているといった知見はないように思います。
 一方で、心機能に関しましては、先ほど福田先生からも少しお話がありましたけれども、専門的にはTAPSEであったりとか幾つかのメジャーメントがあるのですけれども、このトライアルでどうしてこうした項目を選んだかということに関しては、私の方も確実にはお答えできないです。ただ、一つは、弁の逆流に関しては超音波を用いた評価でよいと。右心機能に関しても幾つかの項目は採られているのですけれども、ゴールドスタンダードというのは、やはりエコーの専門医の中でもまだ議論がされているのが現状と考えています。以上です。 
○小野部会長 ありがとうございます。
○宮川委員 ありがとうございました。調査項目に関しては、もう少し整理されたほうがいいのかなと思います。実臨床の中で何を評価していったらよいのか、この術式を行ったことによっての成否も含めてです。これは単独のTRに関して行ったわけですよね。実際には、僧帽弁も含めていろいろな多弁の中で治療を行ったわけではなくて、なかなか例数が少ない、単独のTRに関してやったということになりますので、その調査項目に対しては、ある程度しっかりとした項目立てをしなければいけない。果たして患者さんの自覚症状も含めた、こういうKCCQスコアのような形で、それだけに頼っていくようなことは、確かに臨床試験で今までずっとやってきたということはあるのですけれども、何かもったいないなという気がしてならないので、是非、調査項目に関しては、専門家の先生としっかりと議論していただいて、整理をしていただきたいと思っております。以上です。
○小野部会長 ありがとうございます。事務局と医学専門家との間で、その辺はまたしっかりと詰めていただきたいという御要望だと理解いたしましたので、よろしくお願いしたいと思います。
○医薬品医療機器総合機構 貴重な御助言をありがとうございます。承知いたしました。
○小野部会長 北澤委員、お願いします。
○北澤委員 北澤です。何度もすみません。私も、今の宮川先生の御質問と似ているのですけれども、審査報告書の21ページ、緑のページだと23ページの4行目からの無作為割付コホートの主要評価項目のところです。私もよく分からないので教えてほしいのですけれども、これは単なる9~11行目のA、B、Cの複合エンドポイントというわけではなくて、結局、重要なものから順番に、Aが一番重要で、次がB、それからCと。結果を見ると、AとBは差がないけれど、CのQOLに差があったということなのですけれども、それをもってして、次の審査報告書の24ページの一番上の図6でもって、これを単純に足し算みたいにして、トータルで見たら有意差があったと評価するということが、どうなのかというのがよく分からなくて、教えていただきたいと思います。
 この試験は、このデバイスを使った群と、それから対照群は薬物療法なので、結局、患者は自分がどちらの群に割り付けられているかが分かっている状態ですよね。なので、QOLが良くなったというのは、純粋にデバイスの技術の差なのか、あるいは、こういうような新しい治療をやってもらっているという、医療者に対する感謝の気持ちというか、そういったいろいろなものが混じって、このQOLの変化になったのではないかと、私などは思ってしまうのですけれども、その辺りの評価の解釈の在り方について教えていただきたいと思います。お願いします。
○小野部会長 これはなかなか難しい質問ですね。事務局の方からお答えできますか。
○医薬品医療機器総合機構 先生、貴重な御質問ありがとうございます。機構より回答いたします。まず最初に、先生が御指摘された図6の主要評価項目の解析の仕方です。こちらは先生のおっしゃるとおりの解析になりまして、本品群と対照群で175×175の勝負をするような形で、死亡又は三尖弁外科手術、次に心不全入院、そしてKCCQスコアというような階層的順序を用いております。そのため、先に死亡が発生した場合は、そちらで勝負が付くというような形の解析になっています。
 重要なのは、こちらの図6の解析結果から有意差は得られているのですけれども、以降に示しております各構成項目の結果ももちろん確認しておりまして、QOLの件で申し上げますと、緑色の資料の27ページ、審査報告書の25ページがQOLに関する結果になります。これはKCCQスコアが15ポイント以上改善した被験者の割合ということで、本品群が対照群に比べて有意に多かったといった結果でした。
 あと、ご指摘のとおりオープンラベルの試験ですし、また、KCCQスコアも患者さんによる質問票なので、その影響は考えられるのですけれども、その件に関しましては資料の緑色の32ページがよろしいかと思います。審査報告書の30ページの図11、12ですけれども、こちらにTRの重症度とKCCQスコアの変化の関連性が示されておりまして、TRの減少が大きいほど、KCCQスコアの改善が大きいという結果が得られていまして、相関が見られています。また、対照群と比べてもQOLの改善幅が大きいといったところから、患者さんの主観的な評価はあるのですけれども、本品による効果によってQOLが向上したと示されていると考えています。回答になっておりますでしょうか。
○北澤委員 ありがとうございます。図11と図12でもって、結局、TRの改善度とKCCQスコアの変化というのが、見たところ相関があるように見えるので、KCCQスコアという第3番目のアウトカムだけれども、そこに有効性が見られたので、有効であったと解釈したと。そのような御判断だったということでしょうか。
○小野部会長 事務局、御回答をお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 先生、おまとめくださいましてありがとうございます。そのような判断でございます。
○北澤委員 ありがとうございました。
○小野部会長 ほかに御質問、ご意見はございますか。
○松宮委員 松宮です。一次性でも成績が良好だったので一次性と二次性は区別せずに、対象とするというお話でした。表46の患者選択に関する適正使用指針には、エプスタイン病とか感染は除かれていますこれ以外の一次性は、ほぼペースメーカリードによるTRぐらいしか思い浮かばないのですけれども、ペースメーカリードによるシビアTRというのは、この治療の適応にして問題ないと、そういう解釈でよろしいのでしょうか。
○小野部会長 これは事務局で回答できますか。
○医薬品医療機器総合機構 松宮先生、御質問ありがとうございます。機構より回答いたします。ペースメーカリードによるTRにつきましては、適応の範囲内ではあるのですけれども、ペースメーカリードの位置と三尖弁逆流をクリップする位置、その関係が非常に重要と考えています。今回の臨床試験でも、ペースメーカリードが留置された患者さん、特に米国ピボタル試験の単群コホートでは、クリップする位置とリードがかなり近めの患者さんもエントリーはされたのですけれども、手技の成績は良好という結果が得られていました。そのため、適応範囲ではあるのですけれども、やはりそこはリードとの位置関係をよく観察して手技の適否を判断するというところが重要と考えています。
○小野部会長 ありがとうございます。ほかに御質問、御意見はございますか。それでは、ほかに意見等がございませんので、議決に入りたいと思います。なお、本議題の利益相反事項に関して、議決に参加できない委員は、今釜委員、田中委員、松宮委員です。
 医療機器「TriClip システム」について、本部会として承認を与えて差し支えないものとし、生物由来製品及び特定生物由来製品として指定しないとしてよろしいでしょうか。また、使用成績調査期間を6年と指定することでよろしいでしょうか。御異議のある委員の先生方は、挙手又は御発言をお願いいたします。特に御異議はないようですので、そのように議決をいたします。なお、本件は審議会にて報告を行うこととなっています。以上をもちまして、議題5を終了いたします。原先生、福田先生、御出席どうもありがとうございました。
――原参考人、福田参考人 退出――
○小野部会長 それでは、議題6「医療機器の高度管理医療機器、管理医療機器又は一般医療機器の指定及び特定保守管理医療機器の指定の要否について」の審議に入ります。事務局より御説明をお願いします。
○事務局 事務局でございます。議題6につきまして御説明させていただきます。既存の一般的名称のいずれにも該当しない医療機器があって、新たに一般的名称を新設する際には、「いずれのクラス分類に該当するか」、それから、「その保守管理に専門的な知識を要するものとして、特定保守管理医療機器に指定するか否か」について御審議いただいております。今回は、医療機器の承認に際し、一般的名称の新設が必要なものが2件ございます。
 資料6-1を御覧ください。新設予定の一般的名称は「吸収性軟骨再生用材料」になりまして、本日の議題3で御審議いただきました軟骨修復材モチジェルに対応するものです。その定義は、「軟骨組織の再生を図る目的で、被覆、塗布、充填等によって患部に適用される吸収性材料をいう。生物学的効果を意図したり、医薬品を含有したり、生物由来原材料を使用したりすることがある」です。既存の一般的名称には、骨、腱、神経等の部位の再生を図ることを目的としたものは存在しますが、軟骨組織の再生を図ることを目的としたものはないため、一般的名称を新設する運びとなりました。本一般的名称はクラスIVに分類され、特定保守管理医療機器には非該当と考えております。説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いします。
○小野部会長 続けて6-2もお願いできますか。
○事務局 はい。それでは、事務局より続けて資料6-2に基づき御説明させていただきます。1ページの新設する一般的名称(案)についてを御覧ください。新設予定の一般的名称は「経皮的三尖弁接合不全修復システム」でございまして、本日の議題5で御審議いただきましたTriClip システムに対応するものです。その定義は、「経皮的に挿入し、三尖弁の接合不全を修復するために用いる植込み型器具をいう。デリバリーシステムを含む場合もある」です。既存の一般的名称として、僧帽弁を対象とした修復システムの名称は存在しますが、三尖弁を対象とする名称は存在しないため、一般的名称を新設したいと考えております。本一般的名称はクラスIVに分類され、特定保守管理医療機器には非該当と考えております。説明は以上でございます。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○小野部会長 ありがとうございました。それでは、委員の先生方から御質問、御意見等はございますか。既に該当品についての説明と質疑は行われておりますので、特に新しい一般的名称を創設することに関しての質疑としたいと思いますが、よろしいでしょうか。
 それでは、議決を行いたいと思います。まず、「吸収性軟骨再生用材料」について、利益相反により議決に参加できない委員は、塩谷委員でございます。それでは、本件について高度管理医療機器として指定し、特定保守管理医療機器として指定しないということで、よろしいでしょうか。御異議のある先生方は、挙手あるいは御発言をお願いいたします。特には御異議はないと判断をいたしました。
 続いて、「経皮的三尖弁接合不全修復システム」について、利益相反により議決に参加できない委員は、今釜委員、田中委員、松宮委員でございます。高度管理医療機器として指定し、特定保守管理医療機器として指定しないこととして、よろしいでしょうか。特に御異議がある先生は、御発言又は挙手をお願いいたします。特に御異議がないようでございますので、そのように議決をいたします。
 なお、本件は審議会にて文書報告を行うことといたします。以上をもちまして、議題6を終了いたします。
 それでは、そのほかの議題はありますか。
○事務局 それでは、事務局よりその他の案件として1件御報告いたします。当日配布資料マル3を御覧ください。以前、先駆け審査指定制度の対象品目として指定した品目の指定取消しがございますので、御報告させていただきます。令和2年6月に先駆け審査指定制度の対象品目として指定された「多孔化カバードステント(仮称)」につきまして、指定取消しをすることになりますので、御報告申し上げます。本品は、未破裂脳動脈瘤に用いるバルーン拡張型のカバードステントです。留置直後から瘤内への血流を抑制するとともに、瘤内の血流を安定化させ血栓化を促進することにより、早期の瘤閉塞による症候性病変の改善が期待されておりました。しかしながら、本品は○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○を考慮して、株式会社グッドマンは、○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○との結論に至りまして、本品の開発を中止する判断をされたため、先駆け医療機器の指定要件4を満たさなくなったものと判断いたしました。
 なお、本件につきましては、薬事審議会での報告を予定しております。御説明は以上となります。
○小野部会長 ありがとうございました。委員の先生方から何か御意見、御質問等はございますか。販売会社が販売を中止するということから該当しなくなったという、明らかな理由があるということです。よろしいでしょうか。よろしければ、以上をもちまして、この議題を終了いたします。
 本日用意した議題は以上でございます。事務局から連絡事項等はございますか。
○医療機器審査管理課長 委員の先生方におかれましては、本日御多用の中、また長時間にわたりまして、医療機器・体外診断薬部会に御参加いただきまして、誠にありがとうございます。次回の部会は7月18日(金)の18時からを予定しておりまして、詳細につきましては、また後日メールで御連絡させていただきます。
 なお、本部会について、本日を最後に岡本吉弘先生が御退任されます。岡本先生より一言頂きたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○岡本委員 国立衛研の岡本です。私が部会委員をやってちょうど3年なのですが、部会の大変さといいますか、日本に新しい医療機器を入れる大変さを実感できたというところで、大変勉強になりました。3年間どうもありがとうございました。
○医療機器審査管理課長 岡本先生のこれまでの本部会における議論への多大なる御貢献に、改めて感謝申し上げます。また、今後のより一層の御活躍を祈念させていただきます。こちらからは以上でございます。
○小野部会長 それでは、以上をもちまして、本日の医療機器・体外診断薬部会を閉会いたします。大変な長時間にわたりまして、先生方、御参加ありがとうございました。
( 了 )
備考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から一部非公開で開催された。

照会先

医薬局

医療機器審査管理課 再生医療等製品審査管理室長 高梨(内線4226)