第2回救急救命処置の在り方に関する検討会(議事録)

医政局地域医療計画課 救急・周産期医療等対策室

日時

令和8年7月9日(木)16:00~18:00

場所

新橋ビジネスフォーラム
(〒105-0004 東京都港区新橋1-18-21 第一日比谷ビル8階)

議事

2026-7-9 第2回救急救命処置の在り方に関する検討会
 
○三反田救急医療対策専門官 では、定刻となりましたので、ただいまから第2回「救急救命処置の在り方に関する検討会」を開催いたします。
 構成員の皆様方におかれましては、お忙しい中、御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
 進行を務めさせていただきます厚生労働省医政局地域医療計画課の三反田と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 本日は、対面及びオンラインによる開催とさせていただいております。オンラインでの参加に係る留意事項につきましては、事前に送付しております「オンライン参加の留意事項について」を御覧ください。
 さて、今回の検討会につきましては、公開の検討会として実施、資料や議事録については厚生労働省ホームページにて公開、事前に御希望があった報道機関の方の傍聴、YouTubeでのライブ配信と併せての開催としております。構成員の皆様方におかれましては、あらかじめ御了承ください。
 御出席いただいている構成員の方々には、会場にお越しいただいている方とオンラインで参加されている方がいらっしゃいます。オンラインでは、石井構成員、田母神構成員、井上構成員、猪口構成員、田邉構成員、中山構成員が参加されています。そのほかの構成員の方々には会場にお越しいただいております。また、オブザーバーとして、総務省消防庁救急企画室より岡地俊季室長、海上保安庁警備救難部救難課より小野泰弘医療支援係長がオンラインで参加されています。
 まず、オンラインでの御発言の方法から確認させていただきます。オンラインで参加されている構成員の方々におかれましては、御発言の際はZoom画面の下部にございますリアクションボタン、または参加者一覧の下部から「手を挙げる」をクリックしていただき、座長の指名を受けてからマイクのミュートを解除し、御発言をお願いいたします。御発言終了後は再度マイクをミュートにし、「手を挙げる」を解除していただきますようお願いいたします。「手を挙げる」ボタンがない場合には、代わりに画面に向かって手を挙げていただくなどの御表明をお願いいたします。
 続きまして、資料の確認をさせていただきます。議事次第、座席表のほか、資料1「構成員名簿」、資料2「救急救命処置の範囲の見直し、実証事業及び認定制度に関する検討について」、資料3「特区制度を活用した救急救命士による病院前超音波検査」をお配りしておりますので、御準備いただきますようお願いいたします。不足等ございましたら事務局までお知らせください。
 報道の方で冒頭カメラ撮りをしていらっしゃる方がおられましたら、ここまででお願いいたします。
(報道関係者退室)
○三反田救急医療対策専門官 では、早速ではございますが、議題1より議事を進行いたします。
 第1回から一部構成員の変更がございましたので、改めまして、構成員の方々を御紹介いたします。お一人ずつ御挨拶を頂ければ幸いでございます。五十音順にて、まず会場にいらっしゃる構成員より御紹介いたします。
 喜熨斗智也構成員よりお願いいたします。
○喜熨斗構成員 日本臨床救急医学会から出ております喜熨斗と申します。救急救命士の資格を持っております。よろしくお願いいたします。
○三反田救急医療対策専門官 ありがとうございます。
 次に、児玉聡構成員、お願いいたします。
○児玉座長 京都大学文学研究科で倫理学を教えております児玉です。本日、どうぞよろしくお願いいたします。
○三反田救急医療対策専門官 ありがとうございます。
 続きまして、佐々木隆広構成員、お願いいたします。
○佐々木構成員 仙台市消防局の佐々木と申します。よろしくお願いします。消防の立場から現状を皆様に発言させていただきたいと思っています。よろしくお願いします。
○三反田救急医療対策専門官 ありがとうございます。
 続きまして、小中俊太郎構成員、お願いいたします。
○小中構成員 日本医師会常任理事の小中でございます。今回、日本医師会では救急医療担当となっております。どうぞよろしくお願いいたします。
○三反田救急医療対策専門官 ありがとうございます。
 続きまして、深澤恵治構成員、お願いいたします。
○深澤構成員 チーム医療推進協議会事務局長の深澤でございます。出自は臨床検査技師でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○三反田救急医療対策専門官 ありがとうございます。
 では、本日オンライン参加の構成員の方々に移りまして、石井恵利佳構成員、お願いいたします。
○石井構成員 日本救急看護学会の石井です。よろしくお願いいたします。
○三反田救急医療対策専門官 ありがとうございます。
 続きまして、井上茂亮構成員、お願いいたします。
○井上構成員 皆さん、こんにちは。日本救急医学会、和歌山県立医科大学の井上茂亮です。よろしくお願いいたします。
○三反田救急医療対策専門官 ありがとうございます。
 続きまして、猪口正孝構成員、お願いいたします。
○猪口構成員 全日本病院協会の猪口です。よろしくお願いします。
○三反田救急医療対策専門官 ありがとうございます。
 続きまして、田邉晴山構成員、お願いいたします。
○田邉座長代理 救急救命東京研修所の田邉晴山です。どうぞよろしくお願いいたします。
○三反田救急医療対策専門官 ありがとうございます。
 続きまして、田母神裕美構成員、お願いいたします。
○田母神構成員 日本看護協会常任理事の田母神でございます。今回から参加させていただきます。よろしくお願い申し上げます。
○三反田救急医療対策専門官 ありがとうございます。
 続きまして、中山恵美代構成員、お願いいたします。
○中山構成員 日本脳卒中協会脳卒中スピーカーズバンクより参加しております中山恵美代と申します。今回は一般参加ということなのですが、私は救急医療の方々に助けていただいた代表として参りました。よろしくお願いします。
○三反田救急医療対策専門官 ありがとうございます。
 前回の第1回当検討会において、座長に児玉構成員、座長代理に田邉構成員が選出されております。議題2「救急救命処置の範囲の見直し、実証事業及び認定制度に関する検討について」におきましては、児玉座長に議事の進行をお願いいたします。
 それでは、よろしくお願いいたします。
○児玉座長 よろしくお願いします。
 本日、議題2は「救急救命処置の範囲の見直し、実証事業及び認定制度に関する検討について」です。
 それでは、資料について検討事項ごとに事務局より説明をお願いいたします。
 なお「4.特区制度を活用した救急救命士による病院前超音波検査」については、岡山大学高度救命救急センター救命救急科助教の上田浩平様より御説明いただきます。
○山崎室長 では、資料2について御説明を差し上げます。
 まず「1.本検討会での検討課題について」です。
 3ページを御覧ください。ここでは救急救命士制度の基本的な枠組みを整理しております。救急救命士は、厚生労働大臣の免許を受け、医師の指示の下で重度傷病者に救急救命処置を行うことを業とする者です。救急救命士法は資格法でございまして、令和3年の法改正以降は、病院前だけでなく重度傷病者が医療機関に到着してから入院するまでの間、また入院しない場合には医療機関に滞在している間にも救急救命処置を行うことが可能になっております。毎年おおむね3000人程度が新たに救急救命士として登録されております。
 次のページでは、現在の救急救命処置の範囲を示しております。
 5ページ目を御覧ください。従来、新たな救急救命処置の追加については「救急救命処置検討委員会」「救急医療の現場における医療関係職種の在り方に関する検討会」、そのワーキンググループと、複数の場で議論されてきました。その結果、追加に関する提案から結論に至るまでの流れが分かりにくく、役割分担も明確でない部分がございました。そこで、検討の流れを分かりやすくするために、既存の検討会及びワーキンググループを整理し、本検討会において議論することとした上で、「救急救命処置検討委員会」との役割分担を整理しております。具体的には「救急救命処置検討委員会」で必要な評価項目、例えば処置の必要性、安全性、難易度、侵襲度等を確認しまして、その上で本検討会において救急救命処置への追加可否などを議論するという流れになっております。
 6ページ目を御覧ください。その新たな検討スキームを図示したものがこちらです。前回の検討会でこれらの検討会の名称が少し分かりにくいという御指摘がございましたため、「救急救命処置検討委員会」の名称については名称変更を検討しております。
 7ページ、8ページ目は、規制改革実施計画に掲げられた処置等のスケジュールです。前回は、7ページ目の急性冠症候群等に対する心電計の使用による12誘導心電図の測定と伝送、心肺停止を対象にした自動式人工呼吸器による人工呼吸について御議論いただきました。
 それでは、次のページから御議論いただきたい事項に進みます。「2.アナフィラキシーに対する自己注射が可能なアドレナリン(エピネフリン)製剤によるアドレナリンの筋肉内投与」について御説明します。
 10ページ目を御覧ください。現在は、アナフィラキシーが疑われる重度傷病者に対しまして、エピペンが交付されている場合には救急救命士が本人に代わって使用することができるようになっております。今回の提案は、エピペンを交付されていない傷病者であってもアナフィラキシーと判断される場合にはアドレナリンの筋肉内投与を可能にしてはどうかというものです。過去の救急救命処置検討委員会では、カテゴリーⅡ、つまり、さらなる検討が必要と評価されました。その理由としまして、アナフィラキシーの判断基準、投与対象、投与手順、ヒューマンエラー防止策、必要な講習、心肺停止時に使用するアドレナリンとの違い等をきちんと整理する必要があったためです。
 次のページを御覧ください。令和3年度から5年度にかけて厚生労働科学研究により、判断基準の策定、観察カード、研修プログラムの作成と検証が行われました。令和5年度には、実際の救急現場で救急救命士の判断と搬送先の医師の判断がどの程度一致するかを確認する観察研究も行われております。
 12ページに結果の概要を示しております。アナフィラキシーの傷病者は救急搬送人員の0.3%で、そのうち重度の呼吸・循環・意識障害を示すものは約30%でした。医師の診断を基準にした場合、救急救命士による判断の正確性は、感度が76.4%、特異度が99.99%、陽性的中率が95.9%でした。また、救急救命士がアドレナリンの適応であると判断した事例については、搬送先医師または事後検証を行った日本アレルギー学会専門医は全例アナフィラキシーであると判断しております。この結果から、観察カードなどを用いることで救急救命士はアナフィラキシーやアドレナリンの適応をかなり高い精度で判断できると考えられます。一方で、一部には医師の判断と一致しない事例もありましたため、処置の実施に当たっては、オンラインで医師の具体的指示を受ける形がより安全で現実的だと整理しております。
 次のページですが、実証事業の体制整備です。実証事業では、26のMC協議会、77の消防本部が選定されました。選定に当たっては、指示医の確保、参加救急救命士の確保、安全管理体制などを確認しております。
 14ページからですが、それぞれプロトコルや観察カード、15ページでは、チェックカードや手技の手順書、MCとのやり取り例、16ページでは、救急救命士向けの講習、MC医向けの講習、事後検証項目などが整理されております。救急救命士については、講義を6時限、実習を4時限、合計10時限の講習を受け、効果測定に合格した者を地域MC協議会が実証業務認定救急救命士として認定する仕組みとしました。
 17ページを御覧ください。実証事業の結果です。令和7年7月31日から12月31日までの間に投与されたと報告された事例は39例でした。製剤を落として破損したというインシデントは1事例ありましたが、傷病者への影響はないと地域MC協議会で検証されております。有害事象に該当する報告はありませんでした。観察カードは593件で使用され、そのうち救急救命士がアナフィラキシーと判断したものは397件でした。このうち314件、79.1%で搬送先の医師の判断と一致しております。エピペン投与事例39件については全例で搬送先医師の判断と一致しております。
 18ページ目を御覧ください。以上を踏まえた案です。医師の具体的指示の下で実施する自己注射が可能なアドレナリン製剤によるアドレナリンの筋肉内投与について、救急救命処置に追加してはどうかという御提案です。よろしくお願いいたします。
○児玉座長 ありがとうございました。
 それでは、構成員の皆様から御意見、御質問を頂きたいと思います。ぜひ活発に御議論いただければと思います。いかがでしょうか。
 では、佐々木構成員、よろしくお願いします。
○佐々木構成員 仙台市消防局の佐々木と申します。
 消防の立場で結論からいえば、ぜひ追加してほしいと思っています。アナフィラキシーを発症した病院前の現場では、症状が悪化する傷病者を見ていることしかできない救急隊員も全国には少なからずいたと思います。投与方法は養成課程でしっかり教育を受けておりますし、今回は投与の対象の制限を解除するものなのだと思います。実証事業によって初発のアナフィラキシーを判断する正確性は証明されましたし、さらに安全増しの対策として、チェックシートであったり、医師の具体的な指示を得ることとしているほか、今回は指示を与える医師の教育にまで踏み込んでおります。そういった状況から一人でも多くの命を救うためにぜひ承認していただきたいと思います。
 以上です。
○児玉座長 ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。オンラインの方もぜひお願いいたします。
 田母神構成員、よろしくお願いいたします。
○田母神構成員 御説明いただきまして、ありがとうございます。
 私からは質問を3点申し上げたいと思っております。
 資料2の17ページでございますが、観察カードを使用した全事例が593事例ということでお示しいただきました。そのうち救急救命士の方々がアナフィラキシーと判断した事例が397症例、判断しなかった事例は196症例ということになると思いますが、これらの方々について搬送先の医師の判断はどうであったのかというところでございます。改めて非常に貴重なお取組と思いますので、アナフィラキシーと救急救命士の方々が判断しなかった場合の視点をどのように評価されているか御説明いただければと思っております。
○児玉座長 ありがとうございます。
 一つずついってよろしいでしょうか。
 では、事務局、もし分かりましたらよろしくお願いします。
○山崎室長 御質問ありがとうございます。
 17ページの593件のうち、アナフィラキシーと判断したのが397件で、一方で搬送先の医師の判断でアナフィラキシー以外と判断した事例がありました。その詳細については今回こちらの研究班の報告書の中には書かれておりません。
○児玉座長 つまり、この196件というのは、実際に救急救命士がアナフィラキシーと判断しなくて、搬送先の医師もそう判断しなかったということでよろしいのですね。
○山崎室長 報告書上は、搬送先医師の判断は特に明示されていないということでございます。
○児玉座長 そこは分からないということですか。
 田母神構成員、それでよろしいでしょうか。
○田母神構成員 ありがとうございます。
 そういった視点とともに、今回の実証事業は、今まで処方されていない方に対する対応ということでございますので、伺いたいという趣旨でした。もう一点は、救急救命士の方々がアナフィラキシーと判断して報告した上で、医師とは合致しなかったことが2割あると御報告いただきましたが、この点についてはこの実証事業の中でどのように評価されているか、例えばプロトコールの精緻化、そういったものが求められるのか、あるいはある程度想定された範囲内であるのかというようなところで何か評価されていますでしょうか。
○児玉座長 この点も事務局、よろしいでしょうか。
○山崎室長 ここにつきましても、特に報告書上は考察はなかったところではございますけれども、やはり観察段階では医師の判断と一致しない事例がございましたが、そこでエピペンを投与するというわけではなくて、当然、投与39例は全例で搬送先医師の判断と一致していたということもありますが、適切なMC医のコントロールの下でそういった指示が行われたということがございますので、その点を踏まえて御検討いただければと思っております。
○児玉座長 田母神構成員、よろしいでしょうか。
○田母神構成員 ありがとうございます。
 これまで処方のない方に対応していくとなりますと、今回は有害事象の報告はなかったということでございますが、対象者が増えてまいりますと、当然そういったことも想定されると思います。事後検証でありますとか、そこを踏まえた教育研修の充実、プロトコールの見直し、そういったところの今後の在り方についてどのように考えられているでしょうか。これは厚生労働省にお伺いしたいのですが、教育研修が既に実施されているということでは先ほど委員の先生から御発言がありましたけれども、今回、処方のない方への対応ということで、より丁寧な観察や教育研修の充実、OJTも含めた実施体制の整備、安全管理体制ということ、報告・連絡の体制整備などを国として改めて通知するなどの準備、計画があるのかどうかお伺いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○児玉座長 事務局、よろしいでしょうか。
○山崎室長 事務局です。
 まず、不一致の事例について詳細な分析を行うということは、当然、今後の運用の質を高める上で不可欠なものでありまして、この点を全く軽視するというものではございません。現時点では、不一致例の詳細分析を今後の事後検証や教育改善の課題として位置づけつつ、医師の具体的指示を前提とした処置として認めることについては一定の安全性が確認されているものと考えております。教育体制をどうするか、あるいは事後検証をしっかり行うかということについては当然進めていくことになると思いますし、必要に応じて通知などで追加の研修を行っていただくことや、何か新たな知見に基づいて変更する場合にはそういった対応をさせていただきたいと考えております。
○児玉座長 田母神構成員、よろしいでしょうか。
○田母神構成員 ありがとうございます。
 安全性の担保ということで、十分に医師、看護師との連携という辺りを明記いただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。ありがとうございました。
○児玉座長 ありがとうございます。
 ほかに御意見いかがでしょうか。
 深澤構成員、よろしくお願いします。
○深澤構成員 御指名ありがとうございます。
 私からはまず大前提のお話を少しさせていただく予定でございます。基本的に救急救命士の制度というのは国民の生命を守るための重要な制度ということで、医学的根拠、もちろん十分な安全性を確認された処置、それについては今後も検討を進めるべきということをまず大前提で考えているところです。ただ一方で、処置の範囲の拡大というものに関しては、やってみたら認めるとか、どうもそういう発想が何となくあるような気がいたします。そういう意味では、国民にとって安心と考えられるのか、安全性が十分に担保されているか、今、田母神構成員からもお話があったと思いますが、そういった視点から判断されるというのが大前提にあるのかと思っております。
 ただ、今回のアナフィラキシーに関していうと、基本的には時間との勝負ということで、適切な時期のアドレナリン投与が患者の生命の予後、こういったものを大きく左右するということで、救急車内ではなく病院内でも同様のことが指摘されているということでございます。そういった意味では、アナフィラキシーの投与、救急救命士の現場での適切な投与に関しては救命率の向上が当然期待されるということでございます。一方で、こういうふうに限定したという今回の御説明でございましたけれども、アナフィラキシーと他の疾患との鑑別等も含めて、先ほど田母神構成員からも御指摘があったように、しっかりとしたメディカルコントロールまたは事後検証体制というものを厚生労働省にはお願いして、私からの意見とさせていただきます。ありがとうございました。
○児玉座長 深澤構成員、貴重な御意見ありがとうございます。
 では、小中構成員、よろしくお願いします。
○小中構成員 日本医師会常任理事の小中でございます。
 過去にエピペンを交付等されていなくても、今回の医師の具体的指示など、効果及び安全面から必要な対策を講じているといった条件であれば、投与可能と判断してよろしいのではないかと思っています。
○児玉座長 ありがとうございます。
 事務局にお尋ねしたいのですが、安全かというのが問題になっておりました。医師の具体的指示の下、アドレナリンの筋肉内投与を行うということで、いろいろ検証もしていただいたわけですけれども、事後検証みたいなことは何かお考えがありますでしょうか。
○山崎室長 今でも、既に認められている処置につきましても継続的に事後検証というのはされているものでございますので、そういったものを今後も継続していく、ほかの処置と同じように検証していくということになろうかと思っております。
○児玉座長 ありがとうございます。
 もし御意見がありましたら、オンラインの方も、対面の方でも結構ですが、よろしくお願いいたします。
 喜熨斗構成員、お願いします。
○喜熨斗構成員 日本臨床救急医学会の喜熨斗と申します。
 まず、この処置の実施につきましては、全面的に賛成いたします。実証事業におきましても、有害事象等がなく安全に終了したということで、この内容は大変意義深いと思っておりますし、実証事業に関わられた、御尽力された皆様には感謝申し上げたいと思っております。
 安全に実施することが大前提で、その質をどう維持し向上していくのか、非常に重要な内容だと思います。改めまして、追加教育の内容につきましても、今後、具体的に内容が決められていくものと思っております。先ほどのように、質の維持をしながらも、やはり救急救命士は日夜現場で活動しているものですので、追加の教育内容につきましても、できるだけ負担がかからないような内容で、例えばオンライン等を駆使するなど、考慮いただきながら追加講習の内容を決めていただきたいと思っております。
 以上です。
○児玉座長 ありがとうございます。
 オンラインで田母神構成員、御意見ありますでしょうか。お願いします。
○田母神構成員 先ほど申し上げるべきだったのですけれども、14ページのプロトコールにおきまして、向かって右側がエピペン適応ありというところで終わっておりますが、投与の後の副作用の確認や、副作用が発現した場合の対応、そういったところも追加する必要はないのだろうかと思いまして、御検討いただければと思っております。
 以上でございます。
○児玉座長 御意見ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。
 石井構成員、よろしくお願いいたします。
○石井構成員 今のお話にも出ていたように、初めてエピペンを使用されることによっての副作用出現も大いに考えられるかと思います。そういったときに、オンラインによる医師の指示ということですが、そのときには何か工夫されるのか、指示だけを得て、それで終わりになるのか、それともオンラインで医師が経過観察も一緒にしていくのか等、何か安全対策として考えていらっしゃることがあれば教えていただきたいです。
○児玉座長 ありがとうございます。
 この点、事務局、いかがでしょうか。
○山崎室長 事務局です。
 当然、個別の事例によるかとは思いますが、基本的には、投与しているところから継続してオンラインのMC医師とつながりながら経過を見ていくということになりますので、何らか副作用等が起きれば、そこでまた指示を仰ぐということが想定されるかと思います。
○児玉座長 石井構成員、よろしいでしょうか。
○石井構成員 ありがとうございます。
 では、継続的に医師も一緒に副作用の出現等を確認していく体制を整えられるということでよろしいでしょうか。そう解釈しました。ありがとうございます。
○児玉座長 ありがとうございます。
 ほか、御意見いかがでしょうか。
 中山構成員、もしよろしければいかがでしょうか。
○中山構成員 日本脳卒中協会の中山です。
 私の場合は感想を述べるようなことになってしまうのですが、アナフィラキシーなどのときにアドレナリンを投与するということに対して賛成です。一刻を争うような状態ならちゅうちょなく行ってほしいのと、私の場合は脳卒中だったので、時間の勝負で後遺症が後に残ってしまったという経験がありますので、ぜひこの件については進めていただきたいと思います。
 以上です。
○児玉座長 貴重な御意見ありがとうございます。
 ほかに御意見いかがでしょうか。
 田邉構成員、お願いします。
○田邉座長代理 田邉です。
 この研究は、坂本哲也先生の下で行われた研究ですけれども、私、そのお手伝いをしておりましたので、その関係で少し補足させていただきます。
 継続の観察が大事、あるいは医師も見ていく必要があるといった点について、14ページの左側、おっしゃるとおりかと思いますけれども、プロトコルの一番下の「※8」がついているところですが、その上の段階で「エピペンを用いた筋肉内注射の実施」というところがあって、した後には医師に事後報告をする、継続観察していくということが書いてあります。ただ、書いているだけでは不十分なところがありますので、今後、厚労科研の中で具体的にこの中身も書くような文書も作られて、そこに、今、おっしゃられたようなことをしっかり書いていく、こういうのが大事かと思っています。
 以上です。
○児玉座長 貴重な御意見ありがとうございます。
 ほかにコメント、御質問等ありますでしょうか。
 猪口構成員、よろしくお願いいたします。
○猪口構成員 全日本病院協会の猪口です。
 意見はいろいろ出ているのですが、アドレナリン投与が遅れることによって、命が助かる、助からないだけではなくて、ショック状態によってショック肝になったり、様々なほかの病態が長引いてしまうというようなこともありますし、一方で、先ほど来御懸念のあった副作用みたいな話もあるわけですから、これをやることは大事だと思いますけれども、教育の部分においてしっかり教育する、そういうことをした上でこれはぜひやったほうがいいのではないかと思っています。賛成の立場でちょっと注文をつけた、そんな感じです。
○児玉座長 貴重な御意見ありがとうございました。
 ほかに御意見、御質問等はよろしいでしょうか。
 緊急度が非常に高いところで救急救命士がアナフィラキシーショックに対応するのは重要だという一方で、副作用や事後検証といったことの大事さあるいは教育の重要性ということが強調されたと思います。
 本日の議論において、今、いろいろ言っていただいたような必要な留意点がありましたけれども、資料18ページで示された方向性、つまり、医師の具体的指示の下、自己注射が可能なアドレナリン製剤によるアドレナリンの筋肉内投与については救急救命処置に追加してはどうかというところですが、これについておおむね御了解いただけたものと受け止めますが、いかがでしょうか。
(構成員首肯)
○児玉座長 ありがとうございます。
 それでは、御了解いただいたものとして進めたいと思います。御議論ありがとうございました。
 続きまして「3.幸帽児に対する卵膜の破膜」につきまして、事務局から御説明をよろしくお願いいたします。
○山崎室長 20ページを御覧ください。破水せずに卵膜に包まれたまま娩出された児について、そのままでは呼吸ができないために救急救命士が卵膜を破膜できるようにすることとしてはどうかというものです。過去の検討では、提案内容の精査が続いておりまして、未了とされていました。ただし、幸帽児は娩出後に被膜されたままですと呼吸ができず、低酸素による死亡あるいは高次機能障害につながるおそれがあります。そのため、速やかな破膜は救命のための処置として意味があるものでございます。頻度は非常に少ないとされていますが、産科医や助産師が必ずしも同乗できるわけではなく、救急救命士のみで車中分娩に対応する可能性があります。
 21ページ目を御覧ください。令和7年度の厚生労働科学研究で幸帽児に対する卵膜破膜の実施指針が整理されました。対象は、児の全身が卵膜に包まれたまま娩出された状態または娩出後に卵膜の一部が出生児の顔面に残り、呼吸を妨げる可能性がある状態です。一方で、児の全身娩出前に行う人工破膜は、臍帯脱出などの重い合併症を伴う危険があるため、今回の対象には含めておりません。
 手技としては、基本的には用手で卵膜を破るものです。手袋を装着し、児の下にガーゼやタオル等の吸水物を置きまして、児を仰臥位または側臥位とし、ガーゼを用いて卵膜を裂開します。用手で困難な場合には補助的に鉗子等を用いることも想定されています。
 22ページ目を御覧ください。整理案です。この処置は、新生児の身体に直接侵襲を加えるものではなく、卵膜に対して行うものです。適応判断も基本的には視認で可能と考えられます。一方で、娩出後30秒から60秒程度という非常に短い時間で対応する必要がありますため、医師の具体的指示を待つよりも包括的指示の下で実施できるようにすることが現実的ではないか。もちろん判断に迷う場合にはオンラインMCへ速やかに助言を求めることが必要です。また、周産期医療の専門家や周産期医療協議会の委員が地域MC協議会に関与することも重要と考えられます。
 以上を踏まえ、幸帽児に対する卵膜の破膜を医師の包括的指示の下で実施する産婦人科領域の処置の救急救命処置の一つとして明示してはどうかという御提案です。よろしくお願いします。
○児玉座長 ありがとうございます。
 それでは、構成員の皆様から御意見、御質問を頂きたいと思います。いかがでしょうか。
 喜熨斗構成員、よろしくお願いします。
○喜熨斗構成員 日本臨床救急医学会の喜熨斗と申します。
 こちらの処置の実施につきましては、全面的に賛成いたします。猶予のない状況での処置の実施となりますので、これは救急救命士として実施すべき内容だと思っております。一方で、こういった産科の対応につきましては、頻繁にあるものではないということですので、救急救命士が自信を持って実施できるような教育の充実化も併せて御検討いただきたいと思っております。
 以上です。
○児玉座長 貴重な御意見ありがとうございました。
 ほかはいかがでしょうか。
 佐々木構成員、お願いします。
○佐々木構成員 仙台市消防局の佐々木と申します。
 消防としてもぜひ救急救命処置に追記してほしい処置です。仙台市でも実は事例がございまして、症例検討会で取り上げられたことがございます。そのほか、全国救急隊員シンポジウムでも報告されてございます。また、今回改訂された救急救命士の標準テキストにも新たに記載された事例でございます。病院前救護の場、消防救急の場では避けることのできない事例でございまして、医師の介入を待ついとまがない緊急の事案になるかと思います。救急救命士がそもそも現場に行けない医師に代わって重度傷病者に医療行為を行い、一人でも多くの命を救うためにできた制度であるという本質を考慮するならば、ぜひ追記してほしいと考えます。
 以上です。
○児玉座長 ありがとうございます。
 ほかには御意見いかがでしょうか。
 田母神構成員、よろしくお願いします。
○田母神構成員 ありがとうございます。
 幸帽児、被膜児に対しては即時の対応が求められるところでございます。一方で、極めてまれな症例であります。そして、記載で気になりますのが、そういった御提案があったということだと思いますが、20ページに、侵襲度、危険度はほとんどないという表現がございます。急速に分娩が進行した結果、被膜児で生まれる子供は体重が小さかったり、母体のほうも急速な分娩の進行で産後に出血が多量になるとか、様々なリスクが想定される状況であるかと思います。そうした中で、迅速、確実かつ安全な行為の実施に当たっては、十分な教育、トレーニングが不可欠と考えます。今回の追加の提案に対して、産科医や助産師といった周産期医療の専門家の下にそういった全体を踏まえた必要な追加研修を実施する必要があります。この点について資料には記載がございませんでしたので、必要な教育研修や体制整備を行うという理解でよろしいのか、お伺いしたいと思います。その内容の検討に当たってはそうした専門家の参画があると理解してよろしいのか、お伺いしたいと思います。お願いいたします。
○児玉座長 貴重な御意見ありがとうございます。
 事務局のほうからいかがですか、教育という側面ですが。
○山崎室長 この処置に限らず、新たに追加する処置に関しましては、適切な研修を受けていただくことが前提でございます。この資料にはございませんけれども、例えば厚労科研の結果等を踏まえれば、幸帽児の写真や動画等によって視覚的な理解を頂くとか、あるいは対象者、非対象者の確認、用手的な破膜の手順、児の皮膚や軟部組織損傷を避けるための安全管理、そういったものを標準的に含めることが想定されるのではないかと思っております。また、地域のMC協議会の関与の下で標準化された教材や手順に基づいて研修を行って、必要な周産期医療の専門家の助言を得るということで、研修の質を担保していくことが適当と考えております。
○田母神構成員 ありがとうございます。
 こういった機会を捉えて周産期の専門家の参画の担保をお願いしたいと思っております。
 それから、今、おっしゃられたとおり、鉗子などを使う場合には、皮膚損傷をはじめ、リスクを伴いますので、そうした点も踏まえた対応も十分図られるようお願いしたいと思います。資料で、直接侵襲を加えるものではないですとか、気になるところがありましたので、ぜひ丁寧な記載をお願いしたいと思います。
 以上でございます。
○児玉座長 貴重な御意見、御質問ありがとうございました。
 ほかの御意見や御質問いかがでしょうか。
 石井構成員、よろしくお願いいたします。
○石井構成員 侵襲度、危険度はほとんどなくといったところは私も気になったところでありました。あと、8万件当たり1件しかないといったところもありまして、頻度としてはかなり少ないと思いますが、そういった中で技術の維持といったところもどのようにしていくのか、いざというときにはできるようにしておかなければいけないといったところもあると思います。教育体制に関わることなのかと思いますけれども、今の段階で何か考えられていることがありましたら教えていただきたいです。
○児玉座長 ありがとうございます。
 事務局、よろしいでしょうか、技術の維持ということで。
○山崎室長 まさにその点は厚生労働科学研究の中で整理いただくものかと思っておりますので、そういう意味でも、本日御議論いただいた御意見は厚労科研の研究者の方々にお伝えして、そういったことを踏まえた研修内容にしていただきたいと考えております。
○児玉座長 ありがとうございます。
 石井構成員、よろしいでしょうか。
○石井構成員 ぜひよろしくお願いいたします。
○児玉座長 ありがとうございます。
 ほかに御質問、御意見いかがでしょうか。
 深澤構成員、よろしくお願いします。
○深澤構成員 御指名ありがとうございます。
 私からは要望という形で少しお話をさせていただきます。こちらの行為の拡大につきましても、先ほどの私からの大前提を基にお話を進めさせていただくのですが、基本的に救急救命士の処置の拡大については、まず賛成か反対か、この2項目の対立というふうに私は考えていません。科学的根拠、教育・認証、メディカルコントロール、事後検証、この4つの制度を確立した上で、段階的に検証可能な形で導入することが最も重要ではないかと考えているところでございます。
 ただ、病院外分娩において幸帽児として出生した新生児の対応につきましては、出生直後の呼吸確保という救命上の必要性を踏まえて、現場で実施すべき最低限の救命処置について法的整備等も含めて進める必要があるということでございます。分娩介助そのものではなく、新生児の蘇生の一環として実施される救命処置については、現場の救急救命士が迷うことなく対応できるように、明確な指針、そして教育の体制が一番重要だと思います。こういったことを要望させていただきます。
 以上でございます。
○児玉座長 貴重な御意見ありがとうございます。
 ほかにコメントや御質問いかがでしょうか。
 私のほうから確認ですが、産婦人科領域の処置として明示するというので、資料4ページの一覧の産婦人科領域の処置、ここにあるものが今まであるもので、そこに新たに手技を追加するということでよろしいでしょうか。そこに関して、臍帯処置、胎盤処理等も現在教育がなされて実施されているという理解でよろしいでしょうか。
○山崎室長 おっしゃるとおりでございます。
○児玉座長 ありがとうございます。
 ほか、御意見、御質問いかがでしょうか。
 小中構成員、よろしくお願いいたします。
○小中構成員 日本医師会の小中でございます。
 多くの御意見を頂きました。産科医師及び助産師等の指導を含めた適切な研修教育を修了するといった条件で行為可能と判断いたします。よろしくお願いいたします。
○児玉座長 貴重な御意見ありがとうございます。
 ほかはいかがでしょうか。ほかのコメント、御意見、もしまだ発言されていない方がいらっしゃったらよろしくお願いいたします。
 田邉構成員、よろしいですか。
○田邉座長代理 ありがとうございます。
 今、委員の皆様がおっしゃったとおり、やはり教育とか事後研修、特にまれなものですので、まれなものが起きたものについて検証して、それをみんなで共有する、こういった体制が大事かと思って聞いておりました。
 以上です。
○児玉座長 ありがとうございます。
 ほかはいかがでしょうか。
 こちらで当てて申し訳ありません。中山構成員、いかがでしょうか。
○中山構成員 私もこれについては全面的に賛成です。母体について気になっていたので、危険度の評価というところで母体のほうも大丈夫ということであれば、いいと思います。
○児玉座長 貴重な御意見ありがとうございます。
 ほかにコメント、御質問いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 猪口構成員もよろしいですか。
○猪口構成員 私のほうもこれはやるべきだと思っておりますけれども、我々医師も、まれな疾患に関しては、まれな感染症とか気がつくのに結構時間がかかるのです。見た目でこれはまずいというのはかなり印象的な状況だろうと思いますから、すぐ思い出すとは思いますが、教育研修を一旦終わって、できるようになったというだけではなくて、繰り返し気づきを与えるというのですか、こういう状態があるということを確認し合うというのが大事かと思います。
○児玉座長 貴重な御意見ありがとうございます。
 ほかにコメントや御質問はいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 本件も、まれな事例というので、教育研修は非常に重要で、継続的な教育も必要という話がありましたけれども、1つ目と同じように安全性や教育研修等をしっかり行っていく必要があるのではないかという御意見を頂いたかと思います。こうした必要な留意点がありましたけれども、資料の22枚目で示された方向性についておおむね御了承いただいたものと受け止めますが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
(構成員首肯)
○児玉座長 ありがとうございます。
 それでは、御了解いただいたものとして今後進めていきたいと思います。御意見ありがとうございました。
 そうしましたら「4.特区制度を活用した救急救命士による病院前超音波検査」につきまして、事務局から御説明をお願いいたします。
○山崎室長 続いて「特区制度を活用した救急救命士による病院前超音波検査」についてです。この後、資料3に基づき、岡山大学から詳しく御説明いただく予定ですが、私からは資料2での論点整理に絞って御説明を差し上げます。
 24ページ目を御覧ください。本件は、特区という限られた地域において救急救命士による病院前超音波検査の実証開始を認めるかどうかということが論点でございます。認める場合には実証の経過や結果を本検討会で報告いただく、認めない場合にはその理由を明らかにし、必要に応じて期限を定め、改めて検討することにしたいと考えております。
 これまでの議論では大きく4つの観点から指摘がございましたが、改めて病院前超音波検査を直ちに全国展開するかということではなく、特区という限られた地域における実証という観点で御議論いただければと思います。その4つにつきましては、24ページにあります。個別に申し上げることはいたしませんが、こういった御意見があったということで、それについて岡山大学様のほうでもプロトコルを修正いただくなどしましたので、資料3について御説明をお願いできればと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○櫻井副病院長 岡山大学病院の副病院長を務めます櫻井淳と申します。
 これまでデジタル田園健康特区のプロジェクト推進に努めてまいりました。本提案の推進に当たっては、岡山県下の医師会をはじめ、看護協会、臨床検査技師会、そして救急現場を支える救命士部会の皆様と、地域医療の発展・維持という共通の目的の下で議論を重ねてまいりました。そして、当院の救急医学講座の中尾篤典教授は本日公務のために欠席でございますが、学内でも多職種で十分な議論を重ね、本日、私と上田の2人が大学を代表しまして御説明申し上げます。
 今回の提案は、救急医療の初期評価、そして処置、搬送を最優先するという救命活動の基本原則を守りつつ、超音波検査をこれを補完する車内での限定的な補助手段と位置づけております。また、既存のメディカルコントロール体制を尊重し、その枠組みの中で地域の実情に即したプロトコルを確立することが不可欠であると考えております。
 私ども岡山大学は臨床研修中核病院でもございまして、本院の責任において倫理性、科学性が担保された臨床試験を実施してまいりたいと考えております。まずは、特区において技術的な精度や診療プロセスの効果・改善を着実に実証すること、その積み重ねを通じてエビデンスを創出していく所存です。
 何とぞ前向きな御議論をよろしくお願い申し上げます。
 それでは、事業の詳細は、資料3を用いまして地域医療DX推進講座の上田より御説明申し上げます。
○上田助教 岡山大学病院の上田と申します。救急医でございます。よろしくお願いいたします。
 2ページ目を御覧いただけますと幸いでございます。まず、吉備中央町でございますが、2022年4月にデジタル田園健康特区に指定されております。デジタル田園健康特区の詳細につきましては、参考資料①を御参照ください。
 吉備中央町は人口1万人の町でございまして、高齢化率は45%を超えるという、全国平均から比べても高齢化率が高い地域でございます。救急搬送数は、決して多い数ではないですけれども、年間600件となっております。また、町内に救急医療機関がございませんので、救急搬送の9割以上が町外搬送になっております。右側に地図を載せておりますけれども、吉備中央町は岡山県の真ん中にございまして、ほとんどが岡山市と倉敷市の2つの市に搬送されております。覚知から病院到着までに関しましては、平均で61分、1時間を超えるという地域でございます。また、傷病者の詳細等を検討いたしますと、この地域においては外傷患者が比較的多く、交通外傷や、墜落・転落外傷等が多い地域と考えております。
 また、今回のデジタル田園健康特区に際しまして、救急救命士の超音波事業に関しての住民アンケートを行っておりますが、住民の85%の方が賛同いただいているという地域でございます。この特区におきまして、救急救命士による病院前超音波検査を検討させていただいているという現状でございます。令和5年度にワーキンググループにもかけて御議論いただいた内容でございます。
 次のページをお願いいたします。前の検討会の繰り返しになるかと思いますけれども、病院前超音波検査の効果について簡単にお示ししております。ドクターカーやドクターヘリでは、ガイドラインやマニュアル等でも書かれておりますけれども、医師が行う超音波検査は標準装備とされておりますし、有効性についても示されていると存じております。また、病院前超音波を行うことで重症患者の病態の早期把握や搬送先選定の精度向上につながると考えております。さらに早期の患者の病態の情報を病院側も把握するということで、手術室確保や輸血の準備等、治療方針の前倒しが可能になるといったような効果も挙げられております。先行研究はまだ少ないジャンルではありますけれども、1つの論文からは手術開始時間が15分短縮したというような効果も得られております。吉備中央町のような長時間搬送を要する地域ほど、こういった時間短縮効果は非常に意義が大きいことだと考えておりまして、提案させていただいております。
 次のページをお願いいたします。今まで世界的にも導入されてこなかったという経過がございますけれども、10年前の論文等を見ますと、機材購入費や教育費用といった費用面が大きなハードルとなって、なかなか進んでこなかったところだと思います。しかし、今、ポケットエコー、ポータブルエコーも普及しておりますし、かなり安価に超音波が購入できるようになっております。また、e-ラーニング等オンラインのシステムもかなり普及してきたこともありまして、費用面に関しましては、比較的安価になってきていると考えております。また、本邦はメディカルコントロール体制も他国と比べてもしっかりしたものがございますので、その範囲で実行できるのではないか、また、エコーに関しましては、医師、看護師、臨床検査技師、いろんな職種の方が既に使われているものでございます。教育としてもいろんな職種と連携しながら行っていくことが可能と考えておりますので、検討できる状況になってきたと考えております。
 次のページをお願いいたします。しかし、超音波検査を救急救命士が行う際には、搬送時間の問題や、短時間で、しかも効果的に行わなければならないと考えております。今、考えている手技の検討は、前の検討委員会でも構成員の先生から、まずは簡易的なおなかのエコーから進めてはどうかという御意見を頂いております。主に、モリソン窩、脾周囲、ダグラス窩といった3つの部位から行うのはどうかというような御指摘を頂きまして、検討させていただきました。もともとおなかの超音波は医師であればFASTをさせていただいて、これは通常6点だと思います。心窩部と両側胸腔、あと、お示ししている3点ということになりますが、歴史をひもときますと、まずこの3点から始まった超音波が現在の6ポイントのエコーになっているということもございますので、救命士が行うエコーに関してはこの3点ではどうかと考えております。また、吉備中央町は比較的外傷が多いということもありましたので、おなかの超音波を先に選択しております。
 また、2分半ルールを付け加えております。これに関しましては、海外の先行研究から、2分半程度の施行時間であれば搬送時間の延長はなかったという報告例がありまして、このような時間で設定いたしました。
 また、参考資料③にも書いておりますけれども、岡山県の検討、また弘前大学、日本体育大学のほうで検討させていただいた事項でも、これは学生に教育した内容ですが、大体2分程度の施行時間でエコーができておりますので、2分半という時間を設定して、なるべくこれを超えないように施行時間を制限するというのがこの手技の中では必要かと考えております。
 さらに、以前の御質問項目にもありましたけれども、感度の限界を書いております。一般的に超音波検査というのは特異度が高く、感度がそれに応じては低いという傾向にございます。陰性であっても出血等を完全に否定できるものではないと考えておりますし、エコー検査自体で全てを判断することはないと考えておりますので、バイタルサインや受傷機転等の所見を踏まえた上で、エコーでの確認を行うといったところが大事かと思います。
 6ページ目です。岡山市消防とプロトコルの案について検討しております。まず、急性腹症等が疑われる患者に対しまして、初期評価をしっかり行っていただく。こちらに対して超音波の必要性があると救命士が判断いたしまして、MC医に連絡いたします。MC医が超音波の適応があると判断した場合に医師から救命士に超音波の実施許可が与えられて実施するというような形でプロトコルを検討いたしました。また、サポート体制といたしまして、リアルタイム画像伝送システムを構築いたしまして、手技の間等を医師が確認しながら行うという体制を考えております。
 次のページをお願いいたします。また、前回の検討会で宿題を頂いておりました研究デザインに関する検討を書いております。右側に書いておりますのが吉備中央町の症例数の検討でございます。あくまで試算でございますので、実際、本年度、来年度にどれぐらいの数が発生するか分かりませんけれども、3年間データを見て、外傷、腹部疾患等で検討したところ、合算しますと190例ぐらい、3年なので年間60例ぐらいの数が見込めると考えております。外傷だけに限定いたしましても、30例程度と考えておりますので、対象疾患としては30~60程度、少ない数でありますけれども、その数が見込まれると考えております。ただ、30~60になりますと、研究としてどういうことができるのかといったところになりますが、当院の櫻井のほうからもありましたとおり、まずは画像がしっかり撮れるのか、施行時間への影響はないのか、撮れた画像はどうだったのかといった検討は吉備中央町の単独の研究ではできると考えております。しかし、手術時間の問題や、あと、予後の話になりますと、かなりの症例数の蓄積が必要になりますので、こちらに関しましては、吉備中央町単独でできることではございませんので、今後、吉備中央町の結果を踏まえて、もしエリアを拡大する、こういったことがございましたら、そのときに検討いただく形かと考えております。また、本研究に関しましては、岡山大学の倫理委員会に申請いたしまして、必ず許可を得た上で行うことを考えております。
 次のページをお願いいたします。宿題を頂いておりました教育体制についても考えました。これに関しまして、参考資料③に移っていただきたいのですが、今まで岡山県で実施してきた教育に対しての実証事業でございます。
 12ページをお願いいたします。2022年にハンズオンセミナーを開催しまして、まず、救命士が実際に超音波を当てられるのか、検証いたしました。そのときには90秒ぐらいでエコーを当てられたという、これも論文として出して既に報告済みのものでございます。2025年3月3日に初期臨床研修医と手技について比較を行いました。これに関してはe-ラーニングとハンズオンセミナーを用いて比較しております。結果といたしましては、研修医と救急救命士において特に有意差はないという結果を出しております。これに関しては論文等、今、査読の段階まで回っております。
 次に、救急救命士が救急車の中で、動く車の中でできるのかという御指摘もありましたので、これに関しても検討しております。車が停止したとき、時速15キロ、30キロのところで比較試験を行いました。参加いただいた救命士からは時速30キロで処置をやることはありませんという御意見を頂いておりますが、やってみましょうということでやらせていただいております。実際にこの3つの速度でやりましても、停止時と比べて検査結果に影響が出たということもありませんし、かなり短時間で施行が可能だったということを報告しております。
 また、参考資料の12ページの下に、岡山県で最初にさせていただきましたが、ほかのいろんな地域で検討を始めていただいているということを書いております。
 資料3の8ページに戻ります。以上の結果を踏まえまして、段階的な教育プロセスということで御提案しております。第1段階といたしまして、事前教育(eラーニング)とプレテストを考えました。加えまして、ハンズオンセミナーはやはり必要なことでありますので、ハンズオンセミナーを行う形で考えております。次に、事前実習と書いておりますが、我々医師もエコーの勉強をするときに、同僚であったり健常者の方と当て合いっこしながら学習していくという過程がございますので、これを救命士同士で当てていただいたりして、その結果について評価を行うことを考えております。加えまして、いきなり現場に出るというのはなかなか難しいと思っておりますので、病院実習をして、これを全てクリアした救命士に関してMC協議会等で認可いただきまして、現場に出るというような形の教育課程を考えております。
 また、具体的な症例数の目標等に関しましては、先行研究等で50回ぐらいのエコーの施行回数であれば、技能、学習曲線等が平たん化するとされておりますので、大体の目標数値として50例を設定しました。日本の救命士がトライしたことはございませんが、現場の声からは病院実習の時間は短縮していただきたいという御意見もありますので、これも研究等で適正な回数というのは計っていく必要があると思っておりますが、まず最初の段階ということでこの数字を挙げております。
 次のページをお願いいたします。まとめになります。吉備中央町の先ほどまでお話しいたしました背景と、あと、資料に出せていないところで申し訳ないのですけれども、岡山県の救命士にもアンケート調査を行っておりまして、57%の方が救急活動においておなかの超音波の必要性を感じた場面があると回答いただいております。また、住民の方にも御賛同いただいているという背景がございます。また、救命士の超音波検査に関しての検討もしておりまして、長距離搬送が必要な吉備中央町においては、救急救命士の超音波検査によって救命率が向上する可能性があるのではないかと考えておりまして、本事業を提案させていただいております。
 長い時間になりましたけれども、私からの説明は以上です。ありがとうございました。
○児玉座長 ありがとうございます。
 そうしましたら、構成員の皆様から御意見、御質問を頂きたいと思います。資料2の24ページが以前のワーキンググループでディスカッションして指摘していただいた事項で、今、御説明していただいたものがそれを受けて御提案いただいたものと理解しております。いかがでしょうか。
 井上構成員、お願いいたします。
○井上構成員 井上でございます。
 大変興味深い提案で、教育まで踏み込まれておりますけれども、大変僭越ながら本質的なお話を少しさせていただきたいと思います。5つ問題があると思います。
 まず、これは先ほどのエピペンと卵膜の扱いと全く違うものです。救命士が現場で救急処置行為をリスクがあってもやるべき前の2つと今回は根本的に全然違う枠組みだと理解しています。最大の問題は、この検査によって救急救命士の現場処置、すなわち治療が何か変わるか、これが明確ではないという点です。病院前医療における検査の意義を考える場合、診断と治療を分けて考えていかなければいけないと思います。例えば血糖測定で低血糖であれば、すぐ現場でのブドウ糖投与につながります。12誘導心電図でSTEMIを疑えばPCI可能な病院への転送につながります。すなわち検査によってその後の救命士の現場での処置の意思決定が大きく変わるので、本来やったほうがいいと思うのです。
 一方、今回、FASTが陽性であっても陰性であっても、救命士が現場で行う処置は基本的に変わらないと思います。救命士が止血とか輸血とか開腹とか、IVRもできるわけではないですね。FAST陽性であっても、例えば肝硬変によるただの慢性的な腹水の可能性もあるので、緊急処置や緊急搬送が不要なこともあります。救命士が超音波後に新たな介入を行うアルゴリズムというのは特にないですし、救命士が超音波を撮像できるかではなく、その検査で病院前の医療の何が変わるのか。搬送先も、重症外傷であれば、恐らくこの地域であれば、最重症であればドクターヘリで川崎医大に行きますし、そうでなければ岡山市内の救命センターに行くというプロトコル自体は変わらないと思います。ですので、撮像できることと病院前医療が有用であることは全く違う問題だと私は認識しております。
 第2の問題としては、この対象となる症例が一体年間何例存在するのかというのが疑問であります。吉備中央町の過去3年間、1777例のうち、外傷はたった106例で、現場の年間約30例を腹部エコーの対象と試算していますけれども、その抽出条件がバックボード固定と収縮期血圧90以下、外傷CPA、重症外傷の病名のいずれかで、この106例で一般的に重症外傷と言われるISS(Injury Severity Score)が16点以上の分布が全く分からないのです。これが何例なのかというのが分からないと、緊急手術が何例見込まれて緊急のIVRが何例なのかというのが分からないのです。
 先ほどチャットのほうで私たち和歌山県立医大のデータを送らせていただいております。ちなみに、昨年度はISS16点以上が和歌山県内から集まって200例ありました。それでも外傷手術が年間たった30例、そしてIVRは16件しかないのです。すなわち5人に1人しか手術等の介入が必要でないような状況になります。前回、吉備中央町ではISS16点以上が1例か2例と伺っているのです。となると、何年かかるのかという問題にもなりますので、この辺は再検討されたほうがいいかなと思います。
 第3は、評価の3、4、結局この結果が出なければ全国的に展開する意味がないです。1、2に関しては安全性に関するものだと理解しておりまして、エコーが患者の治療への迅速化や救命率の向上にダイレクトに評価されない限りは、基本的にこの研究自体のデザインに問題があると理解しております。先ほど言いましたように、ISS16点以上が年間1~2例だとすれば、829例集積するには相当な年数がかかるのです。多分400年とか、それぐらいだと思います。1400例だと700年ぐらいかかると思います。吉備中央町だけでは難しいのは十分承知しておりますが、かといって大規模都市で莫大な予算をかけて展開するようなことでもないと理解しています。
 あとは細かいことになりますが、検査のプロトコルと対象疾患が一致していないですね。モリソン窩と脾周囲とダグラス窩の3点を見るということで、外傷だとこれはいいのですけれども、腸管損傷、急性腹膜炎、消化管穿孔、イレウスとか、これは見るものが全然違ってきますので、どさくさに紛れているのか分からないですけれども、この3点だけで評価できない消化管疾患も含まれていることを指摘させていただきます。
 あと、プロジェクトの介入そのものの定義は明確にされたほうがよくて、救命士がプローブを操作して画像をリアルタイムに伝送して、オンライン医師がプローブ操作を指示しというようなことを言っておられますけれども、安全にエコー検査ができることと救命率を上げることは全く別物なので、その辺りは整理されたほうがいいかなと思います。技術的に実現可能性は十分分かりました。安全であることも分かりますけれども、臨床的有用性、患者さんへのインパクトがいま一つ見えないというのが私の正直な感想です。
 私からは以上です。
○児玉座長 ありがとうございます。
 いかがいたしましょうか。もし上田様からコメント等ありましたら、お願いします。
○井上構成員 何かしーんとさせてしまってすみません。ウェブでの参加で雰囲気が見えなくて、現場の皆様、大変失礼しました。
○児玉座長 大丈夫です。しーんとしましたけれども、今、準備中です。よろしくお願いします。
○上田助教 井上先生、ありがとうございます。
 前回、レクのときにも御指摘いただいた内容かと思います。確かに吉備中央町の症例自体は非常に少ないと考えております。私も吉備中央町に出向いて何例か重症症例、ドクターカー等で、あと、ヘリ等で行った経験がございますけれども、ISS16以上という方、特に腹部外傷に限定するという方に関しましては、年間数例というようなところでございますので、それだけで予後や効果を十分に検証することは難しいと考えております。
 あと、FAST陽性の治療に対しての変更があるかどうかといったところでございますけれども、これはおなかの話ではないですが、エコー所見で陽性だった方、ドクターカー、ドクターヘリ等で基幹病院に戻ろうとしましたけれども、そこでは手術ができないという形で転院搬送になったという症例も経験はいたしますので、そういった症例等に関しましては、有効性があるのではないかと考えております。
 外傷以外の症例に関しましては、確かに詰めが甘いところはございますけれども、これに関して、おなかを含めるか、内因性も含めるかという話も岡山市消防とさせていただいたのですが、外傷で見られるような範囲であれば内因性も見てはどうかという御意見も頂きまして、試算したという内容でございます。
 また、プロジェクトの安全性と臨床試験の明確化に関しては当院でも考えさせていただきたいと思います。ありがとうございます。
○井上構成員 ありがとうございます。
 私、エコー自体を否定しているわけではなくて、外傷、しかも腹部というのは、エコーがあっても見えるだけで何も介入できないのです。例えば肺エコーで緊張性気胸が見えて、そこで救急隊が欧米みたいに現場で胸腔穿刺やドレナージができる、また、心嚢液があって心タンポの人に心嚢穿刺ができる、そういう時代が来たら、診断と現場治療がセット販売になるようなことであれば絶対やるべきだと思うのです。そういうところまで、今、議論が行っていないので、進めるのであれば、救命士の胸腔穿刺も今後検討していく、そんなときにエコーはすごく使えるのではないかと思っています。
○上田助教 井上先生、ありがとうございます。
 確かに海外でもエコーをベースにして緊張性気胸に対してアプローチするという論文は出ておりまして、ただ、実際に患者さんにやったというのは出ていなかったと思います。我々もドクターカーで出たときに何を介助してあげるのが一番いいのかというと、恐らく緊張性気胸だとは思います。ただ、救命士にいきなり肺エコーを緊張性気胸をベースにというのも難しいところもありますし、手技の簡便性等考えましても、腹部エコーを第一に今回は選択させていただいたというような内容でございます。ありがとうございます。
○児玉座長 貴重な御意見ありがとうございます。
 ほかに御質問、御意見いかがでしょうか。
 小中構成員、お願いします。
○小中構成員 日本医師会の小中でございます。
 救急医学会の井上先生とやはり同様の見解でございます。疑義が4つほどございますので、順番に御説明させていただきたいと思います。
 まず、資料3の6ページ目です。超音波検査プロトコルでは、まず、救急救命士が適応を判断することとなっていますけれども、その判断基準や、誤って判断した場合などについて、いま一度整理が必要なのではないかといったことであります。
 さらに、救急救命士がプローブを当てて、それを受けたメディカルコントロール医師が診断を行うといったプロトコルになっています。これを即時診断と言ってよいのか、この点についても確認が必要なのではないかという内容でございます。
 この処置のメリットがなかなか見えにくいということです。教育や実施環境を維持していくための費用対効果あるいは労務対効果についてもさらに検討が必要なのではないかと思います。
 資料3の9ページ目です。岡山県の救急救命士へのアンケート結果で42.3%が導入に賛成ということでございますけれども、逆に賛成されていない方の御意見とか理由がどういったものであるのか。さらにこれを全国規模で見た場合、救急救命士が約8万1000人おられますけれども、その相当数が少なくとも賛成ではないといったことになりますので、この点についてはさらに議論の余地があるのではないかと考えております。
 総じて見て、この処置につきましては、単に現場で処置を行えるかどうかといったことではなく、救急医療あるいはその後の搬送体制も含めてグローバルに考えていく必要がある点がほかの処置と大きく異なる点であると理解しております。実証の実施には地域の理解が十分に必要となることから、岡山県医師会、地域の医師会をはじめとしまして、県の医療審議会、それから調整会議、MC協議会、周辺の市町村としっかりとコンセンサスを得ることが極めて重要だと考えております。
 以上でございます。
○児玉座長 貴重な御意見ありがとうございます。
 上田様のほうで何か回答はありますでしょうか。お願いいたします。
○上田助教 御意見いただき、ありがとうございます。
 まず、このプロトコルですけれども、前のワーキンググループ等でも、特定行為に準じる形で施行するようにという御意見を頂いておりまして、判断のミス等に関しましても、そちらに準じる形はどうかと考えております。
 診断という書き方に関しましては、持ち帰らせていただきまして、吟味していきたいと考えております。
 費用対効果に関しましては、購入費用と、今、画像伝送のシステムの費用を主な費用と考えております。ただ、教育までどれぐらいの費用がかかるかまでは算定できておりませんし、こういったことは実証等を積み上げながら検討していくところかと考えております。
 また、救命士の42.3%の方に関しましては、賛成の方が42.3%、どちらでもないという方が3割、反対という方が2割程度というアンケートの回収でございました。2割の方に関しましては、追加処置に関する作業が増えるといった御意見や、判断に悩むというような御回答がほとんどだったかと記憶しております。ありがとうございます。
○櫻井副病院長 追加で櫻井でございます。
 先ほど最後の小中構成員からのコメントで、現場のステークホルダーの皆様とのディスカッションは私たちも非常に大事だと考えております。
 岡山県では、県の医師会の先生方、そして看護協会、臨床検査技師会からそれぞれ相談役ということで窓口対応していただく理事の先生を御指名いただきまして、看護協会においては二宮会長自ら相談役になっていただいております。吉備中央町については医療ワーキングを町主催で実施しておりまして、そちらの地域の2つの医師会の会長の先生方とこれまで6回議論させていただいております。そういったことで徐々にこの取組が地域にはしっかり理解していただいていると思っておりますけれども、それに甘んじることなく、私どもしっかりと自治体、そして先ほど御指摘ありましたMC協議会など、皆様と一緒に考えてまいりたいと思っております。
○児玉座長 ありがとうございます。
 小中構成員、よろしいでしょうか。
○小中構成員 はい。
○児玉座長 ありがとうございます。
 ほかに御意見、御質問いかがでしょうか。
 深澤構成員、お願いいたします。
○深澤構成員 意見を言う前に、1点質問させていただきたいのですけれども、9ページの吉備中央町民へのアンケート調査の中で、救急救命士の超音波検査に対して住民の85%が賛同していると記載がございます。こちらのアンケート調査はどのような文章で依頼されたのか、そこだけ教えていただいてよろしいですか。
○櫻井副病院長 資料がございますので、少々お待ちください。
○上田助教 手元の資料で申し訳ございませんけれども、救急搬送時、救急救命士が医師の指示の下で超音波エコーで診療するという形のアンケートの内容でございます。
○深澤構成員 ということは、今回の御提案のように、事細かくこういった形で3点の超音波をやるとかということではなく、純粋に雰囲気で超音波検査に関して住民に対して、いいよねというような形でアンケートを取られたと私は受け止めたのですが、そういった形ですか。
○上田助教 アンケート自体は令和5年度に町のほうで行った事業でございますので、このような内容になっております。
○深澤構成員 そういった意味では、先ほど来、井上構成員や小中構成員からお話があったように、私は平成5年もこの検討会のメンバーでございましたので様々に御意見させていただきました。このときも、やはりいろいろな絡みがありまして、基本的に実証実験に対して精緻化するということで話は終わっていると認識しています。
 今回、新たに考えていただいて御提案になったと思っていますけれども、それでもまだまだ現時点では救急救命士の超音波検査については慎重に行ったほうがいいと考えております。私、冒頭お話ししました臨床検査技師でございます。臨床検査技師は、診療放射線技師、看護師、もちろん医師は当然ですけれども、そういった職種が超音波検査を診断として臨床で行える職種となっておりますけれども、超音波検査は、単に機器を操作する技術ではなく、適切な画像を描出して、その画像が診断に堪える品質を保証して、さらに臨床経過と照らし合わせて評価する、そういった一連の医療行為ということでございます。画像取得と画像診断を区別する考え方は理解できるのですけれども、実際には適切な画像を描出するには、技術、解剖学、病態生理学、超音波物理学、そういったものに基づく高度な知識、豊富な経験が求められております。
 御提案のように、ネットを通じた遠隔指示があれば、臨床的に意味がある画像が得られるとは到底考えられません。また、スピードを落とした救急車の中で検査するといった御提案でございますけれども、特殊な環境下での検査の精度を確保することは容易ではありません。逆にそういった形で検査を実施し判断が間違ったときに、搬送先の選定の誤り、治療開始の遅延といった危険性を否定できないといったところでございます。
 この資料で示されていた超音波検査について、井上構成員が言われたとおり、救命に有用であるかということがまず前提ではないということ、そういった意味では、我々からすると印象としか考えていないのかなと考えているところでございます。こういった御提案いただいている重症患者であれば、迷わず三次救急のほうに送るというのが大前提になると思っておりますので、もうちょっと精緻化させて考えていただいて、様々な関係職種の合意形成も踏まえて、さらに制度設計につきましては、医療安全の観点からも考えていただきたいと思っております。
 救急救命士の制度の発展というものは、可能な行為の項目数を増やすこと自体を目的にすることではないと私たちは思っています。何度も言いますが、科学的根拠、多職種との連携、教育体制、メディカルコントロール、そういったものを基盤にした慎重な制度設計が必要だと思っております。そういう意味では、今回の御提案の救急救命士による病院前超音波検査については、引き続き慎重な実証研究による十分な検証を重ねるべきであることを私の立場からは表明させていただきます。
 以上でございます。
○児玉座長 ありがとうございます。
 上田様のほうからいかがでしょうか。よろしいですか。
 では、喜熨斗構成員、よろしくお願いします。
○喜熨斗構成員 日本臨床救急医学会の喜熨斗と申します。
 様々な構成員からこの実施の意義について御意見が出ております。私が考えるに、重症で、バイタルサインが不安定な方というのはこういったエコー検査をせずとも救命救急センターへの搬送となると思います。一方で、救急救命士として処置だけではなくて医療機関への搬送を正しくできるということは重要なことだと思っております。例えばバイタルサインは安定しているけれども、高リスク受傷機転の方について、二次救急に搬送するのか、三次救急に搬送するのか迷ったときに、超音波検査をすることによって腹腔内出血が分かることで三次救急の判断ができる、いわゆるアンダートリアージを防ぐような効果が期待できるのだろうと思っておりますし、実証事業によってそういった部分が明確になることが重要なことだと思っております。
 一方で、この実証事業が安全に行われるということも非常に重要です。以前の検討会では実証事業の内容の精緻化をして改めてこの検討会に出すということでしたので、精緻化という部分で2点、質問させていただきたいと思います。
 1点目ですが、プロトコルの検討をされておりまして、この対象が18歳以上となっております。救急救命処置の中には、例えば薬剤は体重によって投与量を変えなければいけないなどの理由により適応年齢が設定されているものもありますが、超音波検査をするということについて、将来的に実運用になった際には小児等にも適応されるべき内容だと思いますので、今回なぜ18歳以上と対象を制限したのかということが質問の一点目です。
 2点目は、この実証事業をする際のインフォームド・コンセントを具体的にどのように取られるのかということを教えていただければと思います。
○児玉座長 同じ点、私も気になったので、ぜひ御説明いただければと思います。
○上田助教 ありがとうございます。
 岡山大学病院の上田と申します。
 18歳以上とした理由に関しましては、確かに特定行為等に準じるのであれば15歳以上でもいいのかという議論もあるかと思いますけれども、今後、研究として出していくという形に関しまして、同意の取りやすさ、こういった観点から18歳以上ということで検討しました。また、吉備中央町の搬送を見ますと、15歳から17歳は非常に少なくて、ほぼいらっしゃらないということも考えまして、同意の取得が得やすい方ということで18歳以上にしております。ただ、消防のほうからも15歳ではどうかというような御意見を頂いておりまして、この辺りはまた倫理委員会等を含めまして検討することを考えております。
 また、インフォームド・コンセントに関しましては、まずは住民への十分な御説明と、救急処置になり、緊急での同意というのはなかなか難しくなりますので、オプトアウト形式での同意の取得という形になるかと思っております。ただ、搬送記録自体が消防データと医療データを結びつけるというのが現状難しい状況でございますので、レジストリー登録や症例登録等に関しましては、適切に同意書を取得した上で行うことを考えております。
○喜熨斗構成員 ありがとうございます。
 18歳以上に制限されたことについて、自治体の事情等も鑑みてということは十分理解できました。検討の中には、将来的に15歳よりもさらに若い小児も対象に検討しなければいけないと思いますので、その辺りも介入できるような方法論もぜひ御検討いただければと思います。よろしくお願いいたします。
○児玉座長 ありがとうございます。
 時間がなくなってきておりますけれども、御意見、御質問ありましたら、ぜひよろしくお願いいたします。
 田母神構成員、よろしくお願いします。
○田母神構成員 ありがとうございます。
 井上先生、小中先生、深澤先生の御指摘のとおりであると考えております。私ども本会で前身となるワーキンググループにも参画させていただいております中で、必要性、安全性、そして難易度というところでの懸念点を申し述べてきております。
 資料2の24ページに構成員の先生方からの主な指摘事項ということで示されております。例えば先ほども御指摘がありましたが、医学的に必要であったと考えられる症例数や、ドクターヘリといった地域での課題解決を含めた検討を含めて、こうした指摘に関するお答えが十分なかったように思っております。
 今回、内因性疾患ということでかなり幅広く例示されております。そうした幅広い疾患につきまして、バイタルサインをはじめとしまして、各種検査を行って診断されていくプロセスがあると思いますが、かなり幅広い疾患なども想定した上で救急車内でエコーの対象とするという判断というのは非常に難しいものがあるのではないかと考えております。
 プロトコールにつきましても、先ほど御指摘があったところでございますが、初期評価・全身観察による評価に加えて、超音波検査の適応の判断というところが位置づけられております。そうした非常に複雑な判断を救急救命士に求めるということは、救急救命士の養成課程などを踏まえますと、まずは救急車で生命維持のために実施する処置が数々あり、そこに対する対応が求められる。そして資料3の7ページに示されているような外傷にしましても、内因性疾患にしましても、重篤な状況であれば救急車のスピードを低速にしてエコーをするというよりも早期に高次医療機関に搬送するということがまずもって重要なのではないかと考えております。救急救命士の方の責任の所在を含めた検討とともに、診断に至るまでの検査のプロセスにおいては再評価を含め、どういったところまでを求めていくのか、全体の検討が必要と考えておりますし、現段階ではこの必要性というのが理解できたとは言えない状況でございます。
 以上でございます。
○児玉座長 田母神構成員、貴重な御意見ありがとうございました。
 井上先生、お願いいたします。
○井上構成員 度々すみません。
 アンケートのことがいろいろ議論されていますが、そもそもこのアンケートは根拠にならないので、ここを議論すること自体がナンセンスなのではないかと思っています。理由は2つあります。
 まず1つは、選択バイアスです。医療従事者やドクターではなくて、住民に「エコーをしてくれていいですか」と言ったら「いいですね」と答えます。新しい医療技術ですから、それは「いい」と言うに決まっています。特に医療従事者ではない人については、子供に尋ねるぐらいのことなので、これは選択バイアスになるかと思っています。
 あとは、情報バイアスです。コメントに書きましたけれども、エコーを導入して、いいというメリットは当然伝わると思いますが、その分、コストや人件費や通信費がかかりますね。多分1台のエコーは今、数百万円だと思いますが、それを20台入れたら数千万円になると思いますし、教育費もそれぐらいかかると思います。通信費や機器更新費がかかります。それを1世帯当たりで割ったら1人当たり何千円、何万円の負担ですよ、それとどっちがいいですかというふうな書き方をしないとフェアではないと思っています。
 以上です。
○児玉座長 御指摘ありがとうございます。
 上田様、よろしいでしょうか。
○上田助教 ありがとうございます。
 当院はドクターカーを運用させていただいておりまして、地域に対して、そのほかの救急医療に対しての介入というのは今も行っております。ただ、ドクターカー、ドクターヘリもそうなのですけれども、地域の実情といたしまして、消防隊員の数もかなり少なくなっておりまして、ランデブーポイントの選定等も多くの人を割けないといった実情もございます。そこについては地域等の、またエコーとは別の話になってくるかと思いますが、地域としてはそういう実情もあるということは付け加えさせていただきます。
○櫻井副病院長 櫻井から補足させていただきます。
 井上先生、ありがとうございます。先ほど導入コストのお話もございました。こちらも学内でもいろいろな方とディスカッションしたのですけれども、これをいろいろな地域で実装するとしても、救急車1台当たり出動する回数も全然違いますし、運用されている地域の特性も違うと思います。ですので、例えば消防局が保有している全救急車に導入するというのはなかなか現実的ではないと考えております。逆に言えば、効率的に配置すれば有効な症例はひょっとしたら見つかりやすくなるかもしれない。どういったケースであれば配置が適切なのか、そういったこともまだ私たちは臨床でも救命士に十分やっていただいているわけではございませんので、そういったところも評価するというのは一つ意義があるというディスカッションはございました。
 参考までコメントさせていただきます。
○井上構成員 ありがとうございます。
○児玉座長 ありがとうございます。
 ほかはいかがでしょうか。
 佐々木構成員、お願いいたします。
○佐々木構成員 仙台市消防局の佐々木と申します。
 消防目線でお話しさせていただきます。三次救急医療機関に搬送するのはもちろん大切だと思うのですが、三次救急医療機関だからといって応需率が100%とは限りません。当地域は、三次でも60%ぐらいの応需率ですので、エコーが搬送トリアージに活用できれば非常に有効な地域もあるのだろうと感じます。他方、構成員の皆様から様々御意見を頂いたように、精緻化しなければいけない部分がいろいろあると感じました。また、搬送時間の短い地域や医療事情の良好ないい地域というのは必要性が低いのだろうと思っておりまして、これは全国一律にニーズのある処置ではないだろうと感じています。
 以上です。
○児玉座長 ありがとうございます。
 時間がなくなってきておりますので、ひとまず、ここで議論をストップしたいと思っているのですけれども。
 小中構成員、よろしくお願いします。
○小中構成員 日本医師会の小中でございます。
 本日の皆様の御意見を伺いまして、事象を実証するにはまだまだ検討、調整すべき事項が残されていると思われます。結論から言いますと、現時点では容認できるものではないと判断いたします。よろしくお願いいたします。
○児玉座長 貴重な御意見ありがとうございます。
 今のお話もありましたけれども、この検討会ではなかなかコンセンサスが得られないということかなと私も思っておりました。一方で、佐々木構成員もおっしゃったみたいに、一部の山間部等では有効であるかもしれないということで、技術の発展という話もありましたけれども、例えば10年後、20年後、こういったエコーを撮るのが当たり前ということになるとすると、そのロードマップ、そういったものを見せていただいて、そのためにどういう実証研究が必要かということを示していただくのが非常によいのではないかと思います。
 いろいろ御意見がありましたので、大変恐縮なのですけれども、実証研究を行う前に、どういう実証研究が必要かということも含めて明確にしていただいて、改めて本検討会に示していただくことが適当と考えますが、構成員の皆様、それでよろしいでしょうか。
(構成員首肯)
○児玉座長 ありがとうございます。
 そうしますと、上田先生にお伺いしたいのですけれども、本日御指摘のあった論点を整理した上で、申し訳ありませんけれども、改めて御提示いただくとすると、時期的にはどのぐらいにもう一度実証研究のことを含めてお示しいただけますでしょうか。
○上田助教 ありがとうございます。
 具体的な時期については、もう一度整理して御回答させていただきたいと考えておりますが、ただ、数年とか、そういう話ではないと思いますので、なるべく早期に御返答させていただきたいと思います。
○児玉座長 それでは、本検討会もその資料を頂いてから速やかにまた検討したいと思いますので、ぜひ御協力をお願いできればと思います。ありがとうございました。
 時間がなくなってきておりますけれども、続きまして「5.医療機関に所属する救急救命士が実施する特定行為の認定制度」について事務局から御説明いただければと思います。
○山崎室長 事務局です。
 資料2の26ページを御覧ください。救急救命士が新しく追加された特定行為等を実施する場合には、追加講習等を修了し、都道府県メディカルコントロール協議会による認定を受ける必要があります。都道府県メディカルコントロール協議会は、都道府県の消防担当部局または衛生担当部局を事務局とし、お示ししているようなメンバーで構成されております。地域MC体制間の調整、地域MC協議会からの報告に基づく指導、助言等を担っております。
 全国には47の都道府県MC協議会がございまして、消防機関に所属する救急救命士に対しては全てのMC協議会で特定行為の認定が行われております。一方で、医療機関に所属する救急救命士に対しては複数のMC協議会で認定業務が行われていない現状がございます。このため、医療機関で必要とされていても都道府県によっては医療機関に所属する救急救命士が救急外来や初療室で特定行為を実施できないという場合がございます。
 27ページを御覧ください。今後の認定制度の案でございます。現在は、都道府県MC協議会による認定が中心ですが、医療機関に所属する救急救命士については認定の取扱いに地域差がある状況でございます。そこで、都道府県MC協議会による認定に加えまして、学会による認定制度も認めてはどうかということで案をお示ししております。学会による認定を認めることで医療機関に所属する救急救命士のスキル評価の標準化、認定機会の拡充、全国で有効な認定、地域差の是正が期待されます。一方で、認定主体が複数になることで制度が複雑になってしまったり、あるいは認定基準に差が出たりするという懸念もございます。そのため、まずは単一の学会による認定制度として開始し、運用実績を見ながら今後の在り方を検討することが現実的ではないかという整理をしております。
 なお、医療機関に勤務する救急救命士の救急救命処置実施に関するガイドラインは、日本救急医学会と日本臨床救急医学会が共同で作成しております。特に日本臨床救急医学会は、救急救命士を含む多職種で構成される学会でございまして、多角的な検討体制を有している点を踏まえております。医療機関に所属する救急救命士が地域によって認定を受けられたり受けられなかったりする状況というのは、今後の人材活用を考える上でも整理が必要なことから、本日は、都道府県MC協議会による認定に加えまして、学会による認定制度を認めることについてどのように考えるかということに関して御意見を頂きたいと考えております。よろしくお願いいたします。
○児玉座長 ありがとうございます。
 それでは、構成員の皆様から御意見、御質問を頂きたいと思います。時間の関係で結論まで至らないかもしれませんけれども、ぜひ御意見を頂ければと思います。よろしくお願いします。
 では、佐々木構成員、よろしくお願いします。
○佐々木構成員 仙台市消防局の佐々木です。
 消防の救命士が臨床救急医学会の認定申請をする選択肢もあるのでしょうか、という質問です。この理由ですけれども、現状、多分、認定基準は県ごとに異なっているのではないかと、一例を挙げると、ビデオ硬性挿管用喉頭鏡認定のための実習症例数は県によって少し違いがある認識で、消防のビデオ喉頭鏡認定救命士が他県に職場が変わった場合、そこのまた認定を受けるような体制になっていると思います。他方、臨床救急医学会の認定を受ければ、恐らく地域を限定せずに活動できるメリットがあるのだろうと思います。そうすると、臨床救急医学会と県の消防課が認定する認定基準が異なった救命士が混在してしまうのではないかと思っていて、その辺りを整理する必要があるのかと感じています。
○児玉座長 ありがとうございます。
 事務局、よろしくお願いします。
○山崎室長 御意見ありがとうございます。
 本日は医療機関に所属する救急救命士のことからこういった問題意識で論点を挙げさせていただきましたけれども、当然、おっしゃるような論点も新たに出てこようかと思っております。例えば論点としては、消防本部の救急救命士との関係をどう整理するのかということもあり得るかと思いますけれども、やはりメリット・デメリットがいろいろあると思いますので、そこは整理した上で御議論いただければと思います。現時点で何か決まったものをお示しするということではございません。
○児玉座長 貴重な御意見ありがとうございます。
 喜熨斗構成員、お願いします。
○喜熨斗構成員 日本臨床救急医学会の喜熨斗と申します。
 私自身が研究代表として令和4年度の日本救急医療財団の助成事業を頂きまして、全国の医療機関に勤務する救急救命士を対象とした調査を実施しました。現在の課題に何を抱えているかという中で最も回答が多かったのがこの問題でした。あくまでも厚生労働省が事前に通知で示されている教育を受けた方が対象となりまして、教育は受けているけれども、認定を受けられないので、実施できないという状況ですので、都道府県MC協議会において、そういった準備が難しい地域においては代替案としてぜひ可及的速やかに進めていただきたいと思っております。
 私の意見としましては、消防機関の認定につきましては、各都道府県MC協議会で既に体制が整っていますので、あくまでも今回は医療機関でそういった認定を受けられない救急救命士が対象というのが整理としてはよいのではないかと思っております。
 以上です。
○児玉座長 ありがとうございます。
 猪口構成員、よろしくお願いします。
○猪口構成員 全日本病院協会の猪口です。
 救急救命士が特定の医療行為を行う、特定の処置を行うということに対してMCが認定するというのは、消防に所属する救命士たちに対してそういう認定をするというのは非常によく分かる。医師のいないところで処置を行って安全性を確保するためには、教育訓練、そして認定、その後の事後処置等を行うのは全部必要なことだろうと思います。
 ただ、医療機関における救命士というのは、病院の中の医療行為の全ては病院の指示命令系統の中で行われていて、特に医師がいる中でしかまず行われない状況です。全く同じ医療行為を行うわけだから、安全を確保するために、安全だとか、そういう処置、教育、全部行われるとして、最後に認定するというところのものが公的にいろいろ認められる必要がまずあるのか、ちょっと疑問です。病院に勤める救命士たちにまでそういう認可が全部必要なのか。特に都道府県MCという離れたところにいて、病院の中に、システム、命令系統も何も持たないところに認可する権利が与えられるというのは不思議な話だなと思いながら、この成り行きを見ておりました。MCがなかなかうまくいかないから学会がやるというのは、いいか悪いかは置いておいて、病院救命士の命令系統のことを考えるとちょっと不思議だなと思うところがあります。
 今日も処置拡大が行われていますが、その都度、学会認定で全部行うのでしょうか。我々病院団体が懸念しているのは、そうやってこの制度で始まったならば、全国のMCできちんとやっていただきたい。そうでないと、学会で認定して、教育費用、認定費用だとか全部費用がかかってくるのです。処置行為が増えるごとに認定費用が増えていく。消防に勤めている救命士だったならば、それで教育を受けられるでしょうが、病院に勤めている救命士たちは自分で費用を払うのか、病院で費用を払うのか、その辺は非常に不明確なのです。彼らのためには病院が払ってあげないといけない。そうすると、病院は個人の資格のためにずっと費用がかさんでいくという状況にもなります。学会がやっていただくというのは、こういうふうになってしまった状況においては、そういう救われない救命士のためにいいことだとは思いますが、本来もうちょっと考えるべきだったと思いますが、学会がやるに当たっては、その費用を国が持つなり都道府県が持つなり、費用的な弁済の方法を考えていただくか、全国のMCがきちんとやっていただくか、どちらかでやっていただかないと、病院に勤めている救命士も病院も負担がかかり過ぎると思います。
 以上です。
○児玉座長 貴重な御意見ありがとうございます。
 そもそも医療機関における救急救命士が特定行為を行うという必要性がまずどうなのか、実態を調査する必要もあるかと思います。特定行為が増えるたびに認定するのか、その場合の認定にかかる費用をどこが、誰が払うのかといった指摘もあったかと思います。取りあえず、このまま先に進もうと思いますが、貴重な意見ありがとうございました。
 ほかはいかがでしょうか。
 田母神構成員、お願いいたします。
○田母神構成員 ありがとうございます。
 資料にございますとおり、医療機関に所属する救急救命士に対して複数のMC協議会において認定業務が行われていないということでございます。学会による認定となった場合のデメリットとして、資料に御記載いただいておりますが、認定主体の複線化による複雑化、認定主体ごとの基準差とともに、先ほど御発言ありましたが、現状の都道府県単位での認定と全国一律との整理が必要と考えます。加えて、医療機関ということでございますので、多職種協働の要素が重要であります。救急救命士の方々の資質の均てん化や質の担保に向けましては、都道府県のMC協議会と連携の上、関係職種の参画というところが企画・運営・実施の段階で非常に必要だと思います。そうした適切な認定基準を設けていただき、コンテンツのみならず体制の基準を満たす場合に限って国の関与の下に運営を行い、質の担保を行う必要があると思っておりますが、そうした理解でよろしいのか、お伺いしたいと思います。
○児玉座長 この点、事務局、いかがでしょうか。
○山崎室長 ありがとうございます。
 様々御意見を頂いたところですけれども、今、都道府県MC協議会が特定行為を認定している中で、院内のところまでできていないところがある。一方、院内では、猪口先生もおっしゃったとおり、院内メディカルコントロールや医師の指示や監督の下で救急救命処置等を行っているので、安全管理の基盤があるだろうということもあるかと思います。ただ一方で、院内の救命士が病院外に出るということもあるかと思いますし、また、病院の命令系統がどうか、そういったこともありますので、そういった課題については今後整理させていただきたいと思っております。やはり都道府県MC協議会というのが一つありますので、それを主体として、ほかの認定との関係をどうするか、あるいは認定主体の複線化とか、あと、制度の分かりにくさについて懸念が示されている状況かと思います。そういった点について整理した上で改めて論点として出させていただければと思っております。
○児玉座長 ありがとうございます。
 今、まとめていただきましたけれども、まだ追加のコメントがあるかもしれませんが、では、田邉構成員と小中構成員でお願いいたします。手短によろしくお願いいたします。
○田邉座長代理 ありがとうございます。
 確かに御指摘のとおり、そもそも病院救命士に対して認定が要るのかといったような議論はあろうかと思います。ただ、現状では認定があるという前提の中で、都道府県によっては救急救命士が処置をしたくてもできない、処置が病院で必要とされているけれども、できないという状況がある。そこのところを早期に解決しようとすると、そもそも要るのかといった議論は置いておいて、そこのところを先にやってしまう、認定できないところの都道府県の代わりに学会が認定するといったような体制も必要かと思うところです。
 以上です。
○児玉座長 貴重な御意見ありがとうございます。
 小中構成員、お願いいたします。
○小中構成員 日本医師会の小中でございます。
 様々な御意見が出ておりますが、都道府県MC協議会や諸団体、その中でもある程度統一した認定基準が設定できる条件がクリアできるのであれば、学会による認定制度を認めると判断してよろしいのではないかと思います。
○児玉座長 貴重な御意見ありがとうございます。
 時間が過ぎておりますが、今、構成員の方々に指摘していただいた懸念等ありましたので、事務局においてさらに整理していただいて、改めて次回以降に本検討会に示していただくことが適当と考えますが、それでよろしいでしょうか。
(構成員首肯)
○児玉座長 ありがとうございます。
 これで論点は全て終わりましたけれども、最後に事務局から何かありますでしょうか。
○三反田救急医療対策専門官 事務局でございます。
 次回の検討会につきましては、日程が決まり次第お知らせしたいと思いますので、よろしくお願いします。
 構成員の皆様、本日はありがとうございました。
○児玉座長 それでは、これにて本日の「救急救命処置の在り方に関する検討会」を終了いたします。時間が延びてしまって申し訳ありませんでしたけれども、皆様、長時間ありがとうございました。