薬事審議会血液事業部会令和8年度第1回運営委員会議事録
日時
令和8年6月26日(金)16:00~18:00
場所
Web併用形式
日比谷国際ビルコンファレンススクエア8階 8C会議室
日比谷国際ビルコンファレンススクエア8階 8C会議室
出席者
- 出席委員(5名):五十音順、敬称略 ◎委員長
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- 大隈 和
- 堺田 惠美子
- ◎田野﨑 隆二
- 松本 雅則
- 水上 拓郎
- 欠席委員(2名):五十音順、敬称略
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- 後藤 智己
- 松本 剛史
- 日本血液製剤機構:敬称略
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- 木村 洋一
- KMバイオロジクス株式会社:敬称略
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- 中野 宏俊
- 矢治 博幸
- 塩入 將介
- 貝原 徳保
- 武田薬品工業株式会社:敬称略
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- 保科 亘
- 柘植 裕子
- 正野 泰士
- 寺田 幸司
- 白砂 純
- 杉本 貴彦
- 日本赤十字社:敬称略
-
- 谷 慶彦
- 奥田 誠
- 金桶 陽
- 後藤 直子
- 佐藤 えりか
- 事務局:
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- 岩崎 容子(血液対策課長)
- 山本 光寿(血液対策課長補佐)
- 糸谷 涼(血液対策課長補佐)
- 東 雄一郎(血液対策課長補佐兼医薬安全対策課次世代医療品等安全対策専門官)
- 岡 大介(需給専門官)
議題
- 1. 委員長代理の指名について
- 2. 感染症定期報告について
- 3. 血液製剤に関する感染症報告事例等について
- 4. 献血血液等の研究開発等への使用に関する報告について
- 5. 日本赤十字社における再発防止策等について
- 6. その他
配布資料
資料ページをご参照ください。
議事
- 議事内容
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○糸谷血液対策課長補佐 定刻となりましたので、ただいまより、「薬事審議会血液事業部会令和8年度第1回運営委員会」を開催いたします。本日はお忙しい中、御参集いただきまして誠にありがとうございます。この度は御参加いただく方の利便性等の観点から、Web併用での審議とさせていただきます。なお、本日の会議は公開で行いますが、カメラ撮りは議事に入るまでとさせていただきます。マスコミ関係者の方々におかれましては御理解と御協力をお願いいたします。
まず、初めに委員の交代がありましたので御紹介いたします。今般、松下正委員が御退任され、薬事審議会血液事業部会運営委員会規程第3条第1項に基づき、血液事業部会の部会長からの指名により、松本雅則委員に新たに御着任いただくことになりました。松本委員、一言お願いいたします。
○松本(雅)委員 皆様、こんにちは。奈良医大の血液内科の松本です。松下先生の後を継ぎまして、輸血細胞治療学会の代表として加わっておけという意味だと思いますので、よろしくお願いいたします。
○糸谷血液対策課長補佐 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。次に、会議における委員の出席についてですが、後藤智己委員、松本剛史委員から御欠席の御連絡を頂いております。したがいまして、委員7名中5名に御出席いただいていることを報告いたします。
本日は参考人として、一般社団法人日本血液製剤機構より、木村経営戦略本部経営管理部部長、KMバイオロジクス株式会社より、中野研究開発本部研究開発管理部部長、矢治生産本部SCM部部長、塩入社長付顧問、貝原企画管理本部経営企画部長、武田薬品工業株式会社より、保科血漿分画製剤研究開発部門PDTファーマシューティカルサイエンスヘッド、柘植グローバルクオリティコマーシャルクオリティ品質保証部ヘッド、品質保証責任者、正野サプライチェーンマネジメント部ジャパンサプライチェーンヘッド、寺田第二事業部血漿分画製剤マーケティング統括部ヘッド、白砂医療政策・マーケットアクセス統括部渉外リード、杉本医療政策・マーケットアクセス統括部渉外主席部員。また、本日は日本赤十字社血液事業本部より、谷血液事業経営会議委員、奥田安全推進室長、金桶経営企画部次長、後藤技術部次長、佐藤技術部製造管理課長に御出席いただいておりますので、よろしくお願いいたします。
加えまして、事務局に人事異動がありましたので御報告いたします。血液対策課課長補佐として山本、私、糸谷、需給専門官に岡が着任しております。よろしくお願い申し上げます。また、本日、血液対策課長の岩崎に別の用務が入りましたので途中退席いたします。御了承のほどよろしくお願いいたします。
続きまして、全ての委員の皆様より、薬事審議会規程第11条への適合状況を御申告いただいており、本日の議題について影響ないことを確認しておりますので御報告させていただきます。委員の皆様には会議開催の都度、書面を御提出いただいており御負担をおかけしておりますが、引き続き御理解、御協力を賜りますよう何とぞよろしくお願い申し上げます。
議事に入る前に、会場にお越しいただいている委員の皆様におかれましては、本日の資料の確認をお願いいたします。タブレット上に、「1 議事次第」から「15 資料6-2」までのPDFファイルが表示されているか御確認をお願いいたします。ファイルが表示されていない場合や不足がある場合には、お近くの職員にお声掛けください。
本日は、Web併用での審議のため、対面での進行と一部異なる部分がありますので、審議の進行方法について御説明させていただきます。審議中に御意見、御質問がございましたら挙手等によりお示しいただきますようお願いいたします。座長から順に発言者を御指名いただきます。指名された方はマイクがミュートになっていないことを御確認の上、議事録作成のため、まずお名前を御発言ください。ノイズを減らすため、御発言が終わりましたらマイクをミュートにしていただきますようお願いいたします。間もなく議事に入りますので、カメラ撮影はここまでとさせていただきます。
それでは、以降の進行を田野﨑委員長にお願いいたします。
○田野﨑委員長 皆さん、こんにちは。よろしくお願いいたします。これまでの説明に対して御質問とか御意見があればお願いしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
それでは議事に入りたいと思います。議題1「委員長代理の指名について」です。運営委員会規程第4条第3項により、委員長代理をあらかじめ委員長が指名すると定めておりますので、堺田惠美子委員にお願いしたいと思います。よろしいでしょうか。
○堺田委員 ありがとうございます。千葉大学の堺田です。御指名いただき大変光栄に存じます。まだまだ若輩でございますので、是非とも御指導いただきながら務めてまいりたいと思います。よろしくお願いいたします。
○田野﨑委員長 よろしくお願いいたします。それでは議事を続けたいと思います。議題2「感染症定期報告」について、事務局から資料の御説明をお願いいたします。
○糸谷血液対策課長補佐 事務局です。資料1を御覧ください。資料1-1の2~3ページ目です。感染症定期報告を御説明いたします。令和7年12月から令和8年2月までの3か月間の受理データです。今回は対象期間において5つの文献の報告がありました。文献本体についてはいつものように配布のみとしておりますが、資料1-2に全文を掲載しています。マンマレナウイルス、エムポックス、鳥インフルエンザ、野兎病、ヘリコバクターに関する報告となります。
論文の概要を御説明いたします。1つ目は、2025年12月、ニューイングランドでの報告です。アフリカのチャド共和国に滞在していた37歳の男性が、急性の後頭部頭痛、嘔吐、無力症を呈し、脳脊髄液からラッサウイルスに近縁なマンマレナウイルス属の新種が検出されたという症例です。2つ目は、2025年10月、米国において流行地への渡航歴のないエムポックス(クレードⅠ)の症例の報告です。3つ目は、2025年11月、米国でA型鳥インフルエンザウイルスのヒト感染例の報告でした。本亜型H5N5の初めてのヒト感染の症例ということです。4つ目は、米国の乳児の神経侵襲性野兎病の報告で、母体からの垂直感染が疑われた症例です。5つ目は、日本からの養豚農家におけるHelicobacter trogontum菌血症の報告です。患者は頭痛、悪心、発熱等を生じて医療機関を受診し、血液培養にてHelicobacter trogontumが検出されました。
続いて、資料1-1の4~5ページ目に移ります。感染症定期報告(個別症例報告概要)についてです。今回までの受理分で外国症例を一覧にまとめたものですが、当該機関において新規の外国症例はありませんでした。
続きまして、参考資料に移らせていただきます。これは令和7年度第4回運営委員会でお示しした感染症定期報告制度の見直しに関する資料です。2ページ目ですが、令和6年7月に開催された医薬品医療機器制度部会において、感染症定期報告の実態について報告された359件のうち、約8割で報告事項がないという報告であったことが示されています。
3ページ目です。これを踏まえ、感染症定期報告制度の見直しが検討され、リスクが高い場合に速やかに評価・検討結果の報告を求めること、また、対象期間中に報告対象がない場合は報告を不要とする見直しをすべきであることとされました。
5ページ目です。そこで感染症定期報告の記載を改正し、具体的な取扱いを省令で定めることとして、30日報告の新設、6か月報告の変更を行い、令和8年5月から運用を開始しています。今回の本体資料は対象期間が令和7年12月から令和8年2月までであることから、基本的には従来の感染症定期報告として整理された資料です。他方、制度見直し後の30日報告については令和8年5月以降の新たな運用として、運営委員会での取扱い、資料様式、評価結果の示し方を、現在、PMDA及び局内で検討中でございます。整理ができ次第、別途、改めて御報告いたします。
なお、今回、委員会直前に2件の30日報告が報告されました。本2件について今回の資料には入れていませんが、特段の対応を要するリスクを示唆する報告でないと伺っています。今回は制度見直し後の運用が定まっていない状況でもありますので、この後、水上先生から御見解をお示しいただきたいと思います。
議題2について、事務局からは以上となります。
○田野﨑委員長 ありがとうございました。ただいまの説明について、水上委員から追加で御発言があればお願いします。
○水上委員 よろしくお願いします。国立健康危機管理研究機構の水上と申します。今回、2件、6か月定期報告のところで、マンマレナウイルスとエムポックスについて御報告したいと思います。文献1は、アフリカ大陸中央部に位置するチャド共和国に滞在していた37歳の男性が髄膜脳炎を発症し、検査の結果、患者の脳脊髄液からラッサウイルスに近縁なマンマレナウイルスが分離されたという報告になります。このマンマレナウイルスは、主にげっ歯類など小動物を自然宿主とするアレナウイルス科に分類されています。マンマレナウイルス属のヒトへの感染は、主にウイルスに感染したげっ歯類の尿、糞便、唾液などの排泄物に汚染された微細なエアロゾル粒子の吸入によって起こります。ヒト・ヒト感染がまれに起こりまして、感染者の血液又は体液との接触により起こると考えられています。マンマレナウイルス属に分類される代表的なウイルスとしては、主に西アフリカに分布し、ラッサ熱を引き起こすラッサウイルス、主に南米に分布し、アルゼンチン出血熱を引き起こすフニンウイルスや、ボリビア出血熱を引き起こすマチュポウイルス、チャパレ出血熱を引き起こすチャパレウイルスなどが知られています。
本報告で分離されたウイルスは、発症6日及び8日目に採取された脳脊髄液から、旧世界マンマレナウイルスのコンセンサス配列を標的とするRT-PCRにより検出されたこと。それから、血漿中にラッサウイルス特異的IgM及びIgG抗体が認められたこと。そして、透過型電子顕微鏡により、マンマレナウイルスに典型的な球形粒子とリボソームの存在が確認されたことから、一応、これがラッサウイルス系統と84.8%から86.6%の高い相同性を示したことなどから、ラッサウイルスに近縁なウイルスであるということが示されました。しかし、ゲノムデータからは、この既知のラッサウイルス系統に属さず、臨床症状も典型的なラッサ熱に見られる出血性・多臓器障害とは異なる様子を示しており、重篤な神経症状が認められたことから、今回、同定されたウイルスはラッサウイルスに近い新型のマンマレナウイルスであると結論付けられています。ラッサウイルスは西アフリカの風土病として知られており、これまでチャド共和国ではラッサウイルスは検出されていませんでしたが、今回、中央アフリカ周辺でも、健康な成人において重篤な疾患を引き起こすラッサウイルス類似の病原体が発見されたことから、現時点で特別な対策を取る必要はないものの、今後、注視していく必要があると考えられます。
また、げっ歯類を自然宿主とするウイルスによる人蓄共通感染症の発症事例として、WHOは本年5月3日に、4月1日にアルゼンチンを出航したオランダ国籍のクルーズ船MVホンディウス号内で、ハンタウイルスによる感染症クラスターが発生したことを発表しました。5月10日から11日にスペイン領のテネリフェ島で乗客87名と乗務員35名が下船、5月18日にも乗務員25名がオランダで下船しています。下船後の検疫や搬送はWHOやECDCが主導して対応しました。6月15日時点で確定例12例、可能性例1例の合計13症例が報告され、死亡は3例となっており、致命率(CFR)は23%となっていますが、乗船者以外の陽性者は報告されていません。平均潜伏期間は22日と推定されており、接触42日後の安全確率は96%となっています。
ハンタウイルスは、ブニヤウイルス目ハンタウイルス科に属するウイルスの総称であり、ハンタウイルス感染症はオルソハンタウイルス属に引き起こされる感染症です。エンベロープを有するマイナス鎖、1本鎖RNAです。ヒトへの感染はマンマレナウイルスと同様に、主にげっ歯類の排泄物に汚染された微細なエアロゾル粒子の吸入によって起こります。その他の感染経路としては、げっ歯類に噛まれること、げっ歯類の尿、糞又は唾液で汚染された物に触れた後に鼻や口に触れること、あるいは汚染された食物を食べることが挙げられます。
ヒト・ヒト感染についてはまれであり、一般的に医療従事者や接触者への感染は起こりにくいとされています。しかし、新世界ハンタウイルスのヒト・ヒト感染は、アルゼンチン南部とチリで発生し、過去最大の126名を記録した2018年から2019年のアウトブレークが報告されており、アルゼンチン南部では院内感染も発生しています。その原因となったウイルスが今回のアンデスウイルスであります。
ハンタウイルスは、地域ごとに異なるウイルス主が分布していることが知られており、ユーラシア大陸に分布する腎症候性出血熱(HFRS)を引き起こし、南北アメリカ大陸に分布するものはハンタウイルス肺症候群(HPS)を引き起こし、致命率は1~15%となっています。HPSを引き起こす新世界ハンタウイルスは約25種類存在し、致命率は35~50%となっています。
アンデスウイルスは、HPSを引き起こすウイルスの一種であり、オナガコメネズミを自然宿主としています。米国輸血・細胞治療学会のAABBのファクトシート、ニューワールド・ハンタウイルスによりますと、このハンタウイルスによる輸血感染事例は報告されておらず、56℃・30分の乾熱及びSD処理によって不活化され、血液の安全性に関する一般的な認識や規制上の懸念は非常に低い、ベリーロー(Very low to absent)となっています。ただし、潜伏感染期間は最大8週間となっており、帰国者の献血制限である帰国後4週間を超えることや、発症前の時点でウイルス血症が認められ、症状が現れる最大2週間前から血中にRNAが存在するという報告もあることから、輸血による感染リスクはゼロでないと考えられます。そのため、輸入症例が発生した場合に備え、検査体制等を整える必要性の有無について検討を行う必要があると考えています。
2つ目は、エムポックスになります。文献には2025年疫学第42週に、米国、欧州においてエムポックス(クレードⅠ)の流行が知られている地域への渡航歴のない者について、エムポックス(クレードⅠ)の感染が初めて報告されたという、UK Health Security Agency(UKHSA)からの報告になります。
エムポックスウイルスは、ポックスウイルス科オルソポックスウイルス属に属するエンベロープを有する2本鎖DNAウイルスです。ウイルスはコンゴ盆地型(クレードⅠa及びクレードⅠb)と、西アフリカ型(クレードⅡa及びクレードⅡb)の2系統に分類されます。1970年にザイール、現在のコンゴ民主共和国でヒトへの感染が初めて確認されています。自然宿主はいまだに同定されていませんが、げっ歯類や霊長類であると考えられており、ヒトへの感染はそれらの保菌動物との接触により散発的に起こっています。ヒト・ヒト感染に関しては濃厚接触者の感染やリネン類を介して医療従事者への感染事例が報告されていましたが、それらはまれとされていました。しかし、2023年9月にコンゴ民主共和国で特定された、このクレードⅠbはヒト・ヒト感染が主な感染経路となっています。
エムポックスの近年の流行について簡単に振り返りますと、2022年5月からクレードⅡbによる感染が世界的に流行し、WHOは2022年7月23日に、フェイク(PHEIC)、「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」に該当すると宣言しました。当該フェイクは2023年5月に、一旦、解除されたものの、2024年8月にコンゴ民主共和国及びアフリカ諸国でクレードⅠa及びⅠbの急速な感染拡大が見られたことから、WHOは二度目のフェイクを宣言しました。2024年10月以降、トルコ、アイルランド、中国といったアフリカ以外の国々においてもクレードⅠaの輸入症例が確認されています。二度目のフェイクは、監視体制の強化と流行の安定化を受けて2025年9月に解除されました。
しかしながら、本文献において2025年10月以降、米国カリフォルニア州やスペインのマドリードなどで直近の海外渡航歴のない方におけるクレードⅠbの感染が認められ、クレードⅠbによる市中感染が起きていることが報告されました。感染者はいずれもMSMの方でした。スペインではクレードⅠbが主流となりつつあります。ドイツでもベルリンを中心にクレードⅠbが増えています。また、2025年12月に英国でクレードⅠbとクレードⅡbの組換え株の出現が報告されています。
本邦におきましても、輸入感染症として2022年7月25日に国内1例目の患者が報告されて以降、2023年3月初旬をピークに、以後も散発的な患者の発生が報告され、2026年5月29日時点では累計330例の症例が確認されています。特に2025年10月以降から感染者はやや増加し、市中感染が起きていることが分かっています。クレードⅠbの感染については、2025年9月に国内で初となる症例が神戸で確認され、本年4月には東京都内で国内2例目の感染事例が確認されました。その後も、少なくとも2例のクレードⅠbの感染が確認され、関東地域を中心にクレードⅠbがMSMコミュニティ内で伝播している可能性が示唆されています。
アジアでは、シンガポールでも2026年4月にクレードⅠbの国内感染疑い例が報告されています。また、2026年3月にパキスタンのシンド州カイルプール地区において、新生児集中治療室(NICU)に入院中の小児におけるクレードⅠbの集団感染が報告されています。9地区、249例の疑いのうち29例が確定となっています。そのうち8例は死亡で、致命率(CFR)は28%となっています。死亡したのは生後6か月未満の乳児でした。今まで2022年以降、アフリカ以外のエムポックスは成人男性が中心で、小児症例は極めて少数でした。本症例は非アフリカ地域で発生し、NICUを中心に感染伝播し、死亡例もある初めてのケースですが、クレードⅠbの流行地であるコンゴ民主共和国での2024年の流行ケースでは、全症例の39%が5歳児未満であったということ、また、死亡例の62%が5歳児未満で、特に1~4歳の高い致命率であったことからも、今回、この未診断の成人からの家庭内感染と、NICUでの感染伝播で十分説明可能であり、ウイルス側の変化を示す証拠はないことからも、特段の対応の変更は不要と考えています。
MPXV、このエムポックスウイルスの潜伏期間は5~21日、平均12日とされており、無症候感染者から感染事例も報告されています。また、無症候感染者が献血ドナーとなり、実際に輸血に至った事例が2023年にタイで報告されています。幸い輸血された患者での感染は認められず、現在に至るまで輸血によるMPXVの感染事例は報告されていませんが、無症候感染者を含むMPXV感染者の血液からウイルスDNAが検出されていることから、輸血による感染リスクは否定できず、今後も注視していく必要があると考えています。
最後に、令和8年5月1日付けで変更となった感染症定期報告の30日報告の件ですが、今回、日本赤十字社様よりブンディブギョウイルス(BVDV)に起因するエボラ出血熱の報告がされています。WHOのリスク評価によるエボラ出血熱のリスク国は、マラリア渡航による制限国と同一のため1年間の献血延期が求められており、現時点で国内の輸血用血液製剤の影響は示唆されず、特段、対応を要しない症例と考えています。
私からは以上となります。
○田野﨑委員長 どうもありがとうございました。詳細な御説明でした。これまでの事例に関連して、ハンタウイルス、エムポックス、エボラ出血熱に関しても、いろいろな御説明を頂きましたが、委員の先生方から何か御質問、御意見があればお願いしたいと思います。よろしいでしょうか。私から1点。ハンタウイルスに関しては8週間少し治療しないといけないということで、これが渡航期間4週を超えるので、何らかの対策も考えないといけないという御説明を頂きました。日本赤十字社のほうで何かしら御検討いただいていることは、今のところ何かありますか。
○日本赤十字社血液事業本部後藤技術部次長 日本赤十字社の後藤です。検討はしておりますけれども、今のところすぐに日本にハンタウイルスが入ってくることもないだろうということで、引き続き注視していくということと、詳細が分かってきたというところもありますので、それを踏まえて何かできる対策があるかを、今後も検討していきたいと思います。
○田野﨑委員長 どうもありがとうございます。何かほかに御意見などがあればお願いしたいと思います。よろしいでしょうか。ありがとうございました。それでは、事務局におかれましては今後とも、従来の感染症定期報告並びに今年の5月1日から適用された感染症評価報告について、報告内容の共有をお願いしたいと思います。
○糸谷血液対策課長補佐 承知いたしました。
○田野﨑委員長 では次に議題3「血液製剤に関する感染症報告事例等について」に移りたいと思います。事務局より資料の説明をお願いします。
○糸谷血液対策課長補佐 事務局です。資料2-1「血液製剤に関する医療機関からの感染症報告事例等について」です。こちらも令和7年12月から令和8年2月までの3か月間の感染症事例をまとめております。1ページ目です。本期間内の新規及び追加の報告は、輸血用血液製剤8件、血漿分画製剤1件でした。そのうち輸血用血液製剤との因果関係が否定された報告は0件、血漿分画製剤との因果関係が否定された報告は0件でした。輸血用血液製剤における病原体感染症報告事例の内訳は、HBV感染が3件、HCV感染が1件、HIV感染症が0件、その他が4件で、そのうちパルボウイルスB19感染が1件、細菌等が3件でした。
HBVの感染報告事例ですが、輸血後に抗体検査等が陽性であった事例は3件、このうち献血者の保管検体の個別NAT陽性の事例は0件、劇症化又は輸血後に死亡したとの報告を受けた事例は0件でした。HCV感染報告事例ですが、輸血後に抗体検査陽性があった事例は1件、このうち献血者の保管検体の個別NAT陽性の事例は0件、劇症化又は輸血後に死亡したとの報告を受けた事例は0件でした。HIV感染報告事例では、輸血後の抗体検査等が陽性であった事例は0件でした。その他の感染症報告事例ですが、B型及びC型肝炎以外の肝炎ウイルスの感染報告事例は0件、細菌等感染報告事例において、当該輸血用血液製剤の使用済みバッグを用いた無菌試験が陽性であった事例が0件、このうち輸血後に死亡したとの報告を受けた事例は0件でした。
2ページ目です。2~4ページ目に、事例一覧を記載しております。2ページ目の上の3例は、輸血における疑い例を含むHBV感染報告例です。先ほど申し上げたとおり、献血者の個別NAT陽性の事例はありませんでした。3件が、輸血後の抗体検査等で陽性であった事例として報告されております。このうち上から2番目、AA-25000032について御説明させていただきます。
患者は70歳代の男性で、照射赤血球液が投与された症例です。投与前はB型肝炎ウイルスに未感染でしたが、受血後の検査で抗原抗体検査及びHBV-DNAが陽性となりました。献血者の当該献血時のHBV関連検査は陰性でしたが、次回献血時にHBs抗原及びHBc抗体陽性、スクリーニング個別NATで陽性が判明しています。陽転献血時の検体と患者検体中のウイルス相同性確認を行うと、検査した範囲で塩基配列が全て一致しました。この献血者から1本の原料血漿を製造しており、確保済みとのことです。
続いて下に移り、輸血による疑い例を含むHCV感染報告例です。こちらも献血者の個別NATが陽性になった事例の該当はありませんでした。7本の原料血漿が製造されており、全て確保されております。
続いて下に移って、輸血による疑い例を含むパルボウイルス感染症報告です。こちらの患者は70歳代の男性で、照射赤血球液投与をされております。投与後の検査でIgM抗体が陽性となりました。献血者4名のうち、1名で個別NATが陽性となりました。この1名について、献血者検体と患者検体中のウイルス相同性確認を行ったところ、検査範囲内の塩基配列は全て一致しました。
続いて3ページ目です。細菌等感染報告3例は、いずれも照射赤血球液が投与された事例です。日赤投与前検査において当該輸血用血液の残余にて、細菌培養試験を実施しましたが、いずれの症例においても陰性であり、エンドトキシン検査も陰性という結果でした。
4ページ目です。血漿分画製剤の一例は、40歳代の男性の乾燥濃縮人血液凝固第Ⅷ因子が投与された文献からの情報です。現在の製剤による感染症報告ではないとのことです。
続いて資料2-2「供血者からの遡及調査の進捗状況等について」です。1ページ目ですが、血液製剤等に係る遡及調査ガイドラインに基づく日本赤十字社における供血者からの遡及調査実施の進捗状況を、日本赤十字社より御提出いただいております。今回は、令和7年4月1日から令和8年3月31日までの速報値ということでいただいております。表には比較のため、一昨年と昨年の件数も併記しております。一番右のカラムが、令和7年度の速報値となっております。表の一番上が表1、遡及調査対象献血血液の概要となっております。こちらについては調査対象とした献血件数が、前年度と比較してHBVは1,099件で前年度-816件、HCVは146件で前年度-70件、HIVは21件で前年度+9件、HEVは7,529件で前年度+2,250件が対象となりました。
遡及調査対象の表2に移ります。遡及調査対象のうち、プールNAT結果が陰性、かつ個別NAT結果が陽性であった献血血液はありませんでした。
表3の遡及調査対象のうち、個別NATの結果が陰性の輸血用血液製剤の投与により、受血者の陽転が確認された血液は2本報告されており、いずれもHBVでした。
2ページ目です。医薬品医療機器等法第68条の11に基づく回収報告状況を個別に羅列しております。当該期間内に18件の製剤の回収がありました。議題3について、事務局からは以上です。
○田野﨑委員長 どうもありがとうございました。委員の皆様から御意見、質問などをお伺いしたいと思います。いかがでしょうか。HEVの症例が非常に多くなったというのが、資料2-2の別紙にありますが、最初の遡及調査対象としての献血件数のHEVが増えたことについて、何かコメントを頂ければと思いますが、いかがでしょうか。
○糸谷血液対策課長補佐 日本赤十字社様、いかがでしょうか。
○日本赤十字社血液事業本部後藤技術部次長 日本赤十字社の後藤です。献血者の陽性者数自体、昨年度分は少し多かったという状況でした。そのバッググラウンドとして、E型肝炎の医療機関から(国への)の感染報告数を見ると、やはりとても増えているという状況で、前年の1割増し、2割増しでした。今年に入ってからも、更にE型肝炎の報告も増えているという状況がありましたので、献血者にもそれが反映されているのではないかと推測しております。
○田野﨑委員長 ありがとうございました。E型肝炎に関しては、医療者における関心が高まってきたために増えてきた可能性もあるかと思っていたのですが、実際に感染例も増えているということを、少し示唆するようなデータと考えてもよろしいでしょうか。
○日本赤十字社血液事業本部谷血液事業経営会議委員 献血者の陽性が増えて遡及の対象が増えただけであって、実際に患者に輸血された血液でE型肝炎が成立したという例はゼロです。
○田野﨑委員長 どうもありがとうございます。堺田委員、お願いします。
○堺田委員 千葉大学の堺田です。私も同様に、調査期間中のHBVの発症件数が800件と非常に少なくなっていることについて確認されていただければと思います。この件については、基準が変わったということではなく、純粋に調査対象が減ったという理解でよろしいでしょうか。
○田野﨑委員長 日本赤十字社からお願いします。
○日本赤十字社血液事業本部後藤技術部次長 日本赤十字社の後藤です。HBVやHCVに関しては検査で陽性となった方、偽陽性が疑われるけれども、毎回、献血の血液の検査で陽性になってしまうという方もおられます。そのような方にはお手紙を差し上げて、検査結果をお伝えするとともに、献血いただいても使えないので(献血を)御遠慮ください、ありがとうございますということをお伝えしているところです。そのようなことをやっておりますと、そういう献血者が献血にいらっしゃることが減ってきますので、全体としては陽性と判定される人が減ってきているのではないかと考えております。
○田野﨑委員長 よろしいでしょうか。
○堺田委員 分かりました。ありがとうございます。
○田野﨑委員長 HBVの話が出ましたので私から。HBVでドナーや患者のウイルス相同性が確認されているという事例が、2件発生しています。ウインドウピリオドでの感染なのかと思いますが、もし何かドナーに関する情報があればお願いしたいと思います。いかがでしょうか。
○日本赤十字社血液事業本部後藤技術部次長 日本赤十字社の後藤です。(献血者がその後の献血等で)陽性になって感染が特定されている事例が2例あります。上の32の事例では、複数回献血者で陽転が認められましたので、遡及調査ということで前回の献血の受血者を調査したところ、感染が認められたという事例です。もう1例の37の事例は、医療機関からHBVの感染が疑われるということで御報告を頂いた事例です。関連する献血者にその後の献血が認められませんでしたので、事後検査依頼ということで血液センターに来ていただけるようにお願いし、血液を頂いたところ、新たに感染していたことが分かりました。受血者の感染と献血者もその後発症したということが分かりましたので、輸血による感染だったというのが判明した事例です。
○田野﨑委員長 どうもありがとうございます。いずれにしても、こちらはウインドウピリオドや何かでの感染は防げないということを、やはり認識しないといけないということかと思いました。委員の皆様から、何か追加で御質問などがあればお願いします。よろしいでしょうか。どうもありがとうございました。事務局におかれましては、今後も感染症症例や遡及調査結果の報告をお願いしたいと思います。
次に議題4「献血血液等の研究開発等への使用に関する報告について」に移りたいと思います。事務局より資料の説明をお願いしたいと思います。
○糸谷血液対策課長補佐 事務局です。資料3について御説明させていただきます。資料3-1、1ページ目、献血血液の研究開発等への使用に関する報告の概要です。本報告は、令和2年8月26日、医薬・生活衛生局血液対策課長通知「「安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律第12条に規定する採血等の制限の考え方について」の一部改正について」別添において、「採血事業者又は血液製剤の製造販売業者は、血液製剤の製造に伴って副次的に得られたもの等を使用し、又は提供した量、その使用目的等の使用状況について、年度毎に血液事業部会運営委員会に報告するものとする。」とされていることから行われる報告です。
令和7年4月1日から令和8年3月31日の期間において、提供件数は453件であり、そのうち、新規45件、継続408件でした。各企業の提供状況及び個別の報告につきましては、資料3-1の1ページから2ページ目、及び資料3-2を御参照ください。議題4について事務局からは以上です。
○田野﨑委員長 どうもありがとうございます。これはかなりの件数に上っていると思いますが、日本赤十字社のほうからは、何かこの労務について非常に御負担にもなっているかもしれませんが、何かコメントがあればお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
○日本赤十字社血液事業本部佐藤技術部製造管理課長 日本赤十字社の佐藤です。おっしゃるとおり、年々少しずつ転用の本数等が増えていっている状況ですが、現在のところ、まだ業務に影響が出ているようなことはございません。
○田野﨑委員長 どうもありがとうございます。委員の皆様から何か御質問、御意見があればお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしいですか。
○松本(雅)委員 奈良医大の松本です。この日本血液製剤機構で外部というのがあるのですが、これは日本血液製剤機構に出したものを、また外に出すという考えでよろしいのですか。日本赤十字社は、そういうのがあるのは分かっているのですが。この製薬会社にも、渡したものを、またもう一回外に出すことがあるのですか。
○田野﨑委員長 今、御指摘の点は、日本血液製剤機構の所の外部:5件と書かれている所ですか。
○松本(雅)委員 1ページの一番下の所に書いてあると思いますが。
○田野﨑委員長 日本血液製剤機構の血漿分画製剤で、使用にならなかったものかと思いますが。こちらはいかがですか。よろしくお願いします。
○一般社団法人日本血液製剤機構木村参考人 御質問ありがとうございます。日本血液製剤機構の木村と申します。私どものほうに要望がありまして、提出しているものにつきましては、通知に基づきまして、製造の途中で副次的に得られた製剤化されない中間画分や、製剤化まではするのですが検査の途中で市場には出せなくなったような製品を、要望に基づいて審査した上で提供するというケースがあります。それを報告させていただいております。
○田野﨑委員長 よろしいですか。
○松本(雅)委員 ということは、その人たちが研究に使われるということですか。例えば、私が、こういう製剤の途中のものが欲しいとか言ったら、きっちりしていればもらえるということですか。
○一般社団法人日本血液製剤機構木村参考人 日本血液製剤機構の木村です。通知により提供は副次的に得られたものということで、製剤は基本的にはグロブリン製剤が一番血漿を必要とするものですので、グロブリン製剤を作っていく過程で、その他の未利用となる画分でしたら、審査をさせていただいた上で適正と判断した場合は、提供させていただくことになるかと思います。
○松本(雅)委員 分かりました。
○田野﨑委員長 どうもありがとうございます。この研究開発等への使用に関するものに関しては、資料3-2にあるように、一応、法律に基づいたルールに従って計画書を提出して申請して、それでその下で御提供いただいていると理解しております。それで、よろしかったでしょうか。
○一般社団法人日本血液製剤機構木村参考人 木村です。そのとおりでございます。
○田野﨑委員長 どうもありがとうございます。ほかに御意見、御質問があればお願いしたいと思います。どうもありがとうございました。研究や、実際には学術、いろいろ研修などに使われていることが多くて、無駄にならないように使われているということでよろしいかと思っております。事務局におかれましては、今後も献血血液等の使用状況に関して、御報告をお願いしたいと思います。
それでは、続いて、議題5「日本赤十字社における再発防止策等について」に移りたいと思います。日本赤十字社より資料の説明をお願いいたします。
○日本赤十字社血液事業本部奥田安全推進室長 日本赤十字社血液事業本部安全推進室の奥田と申します。私のほうからは、日本赤十字社における安全推進に向けた取組につきまして御説明させていただきます。資料4を御覧ください。
スライドをお願いします。本日は、こちらの7つの項目について御説明させていただきます。
次のスライドをお願いします。初めに、安全管理体制の整備です。令和7年度に発生した当初の血液事業における一連の事故等を受けまして、これまで職員の意識改革やガバナンスの強化を進めてまいりました。具体的には、職員の意識改革として、血液事業に関わる全職員に向けて、血液事業本部長からのメッセージを定期的に発信してきたほか、ガバナンスの強化として、血液事業安全推進チームの発足や血液事業における危機事象公開基準の策定を進めてきたところです。さらに、安全管理体制の一層の充実を図る観点から、血液事業の安全推進の統括管理を担う部署として、令和8年4月1日付けで血液事業本部内に安全推進室を新設いたしました。
次のスライドをお願いします。続きまして、安全推進室の位置付けです。御覧のように、令和8年度から、本部長の直轄部門として、血液事業における安全推進や危機管理を担う部署として、「安全管理室」を設置しております。
次のスライドをお願いします。続きまして、安全推進室の構成になります。御覧のように、リスク管理を担う安全推進課と、クライシス管理を担う危機管理対策課の2課から構成されております。上段の安全推進課におきましては、リスク管理を担う部門として、事故等の未然防止策の策定や仕組みの改善等を通じて、職員が行う作業の安全性の向上を図ることとしております。また、リスクの評価やフィードバック、集計、分析等を通じて、事故等の原因究明や職員の教育のほか、業務の標準化や安全文化の形成に取り組むこととしております。
一方、下段の危機管理対策課におきましては、クライシス管理を担う部門として、アクシデントや災害等の発生時に、全体統括の役割を果たすこととしております。
次のスライドをお願いします。続きまして、安全推進室における今までの主な取組を御紹介いたします。各血液センターにおける状況の実地確認や過誤事例の共有を進めつつ、再発防止策の具体化に着手しております。具体的には、各種遵守状況の監視や管理、現場と直接交流する機会の創出を目的として、血液センターへの巡視を始めております。既に滋賀、静岡、東北ブロック、4センターの視察を行っております。また、各血液センターに対して、全国の過誤事例の共有を進めているほか、再発防止策の検討も進めております。なお、再発防止策の策定に向けた取組状況については、後ほど詳細を説明させていただきます。
次のスライドをお願いします。続きまして、安全推進室における今後の主な取組です。体制・構造の整備、仕組み・システムの整備、文化・マインドの醸成の3つの取組を「3本柱」と位置付け、血液事業本部と血液センターが連携し、対応を進めていく予定です。具体的には、事故等発生時における対応ルールの再整理に当たり、関連会議体の運営方法の見直しや関連文書類の改訂を進める予定のほか、人に依存しない仕組みの導入として、業務のDX化の推進や分析作業のAIの活用等も進める予定です。さらに、人を責めずに、仕組みやプロセスで解決する文化の浸透に向けて、職員によるインシデント報告の活性化に取り組んでいく予定です。
次のスライドをお願いします。続きまして、過誤等の再発防止に向けた取組状況になります。初めに、採血部門です。採血装置の情報入力のミスや入力の忘れ、穿刺部の消毒忘れなどの過誤が発生しております。そのため、当面の対応として、2名でのダブルチェックによる確認の徹底を図ることとしております。
続きまして、製造部門です。製剤の転倒や落下の事例が発生していることに向け、製剤を搬送する際に使用する台車の見直しを進めております。
続きまして、供給部門です。誤納品や梱包資材の数量等の誤りが発生していることを受け、搬送システムのDX化に着手することとしています。
続きまして、車両事故への対策です。先進運転技術を搭載した車両への切替えや、AIドライブレコーダーを活用した運転改善に取り組むこととしております。
次のスライドをお願いします。最後に、薬事審議会血液事業部会運営委員会へ報告する事例となります。今回の報告は、令和7年度第4四半期の報告文となります。血液製剤や原料血漿の廃棄、または転用の事例におきましては、御覧のように25件発生しております。いずれもケアレスミスが原因となりますが、こうした注意をすれば防げるミスから優先的に防止対策を講じてまいりたいと考えております。
さらに、先ほど御説明した安全推進に向けた取組の充実を図ることで、過誤の削減に引き続き取り組んでまいりたいと考えております。私からの説明は以上です。
○田野﨑委員長 どうもありがとうございました。委員の先生方から御質問、御意見があればお願いします。いかがですか。松本委員、お願いします。
○松本(雅)委員 奈良医大の松本です。詳細に御説明いただきまして、どうもありがとうございます。安全推進室というのは、素晴らしい試みだとは思いますが、うまく機能するかどうかというのはこれからだと思いますので、是非、頑張っていただきたいと思います。聞いていて思ったのは、危機管理対策課というのは、クライシスというか、何か危機が起こったときにワークする課と思いますが、これは常設で置いておかれるのか、普段は何をする課になるのかというのが聞いていて思ったのですが。
○日本赤十字社血液事業本部奥田安全推進室長 日本赤十字社の奥田です。御質問ありがとうございます。危機管理対策課におきましては、例えば、最近であれば台風や地震とか自然災害も含めて発生したときに、各地域センター等の血液の採血状況、供給状況などを一連で管理するような部署です。
○松本(雅)委員 分かりました。是非、うまくワークするようにしていってください。よろしくお願いします。
○日本赤十字社血液事業本部奥田安全推進室長 ありがとうございます。
○田野﨑委員長 ほかはいかがでしょうか。昨年の第4四半期の25件というのは、この前に御報告いただいたものが新しいものということでよろしかったでしょうか。
○日本赤十字社血液事業本部奥田安全推進室長 そのとおりでございます。
○田野﨑委員長 この四半期においては、非常に重篤な問題はなかったということでよろしかったでしょうか。
○日本赤十字社血液事業本部奥田安全推進室長 原料血漿の落下、破損等で少し数が多かったものもあります。
○田野﨑委員長 どうもありがとうございます。堺田委員、お願いします。
○堺田委員 千葉大学の堺田です。昨年、このインシデントに関しても、情報の報告の手順がまだ明確に決められていなかったと記憶しておりますので、このように部署を設置し、報告の手順を明確化したことは大変良い試みであり、是非、運用を継続いただければと思います。医療安全の観点からも、医療安全文化の醸成を目的として、積極的にインシデントレポートとして報告し、安全対策や管理体制の見直しに役立てることが重要とされますが、先ほどのご報告からは、報告事例は必ずしも多くないように思われました。この点に関してはいかがでしょうか。報告の手順などに関しては、かなり明確化なさったように思いますが、現状の報告数、さらにどのようなレベルのものを報告に上げるのか、そういった報告基準はどのように設定されているのか、この点のみお聞かせいただければと思います。よろしくお願いします。
○日本赤十字社血液事業本部奥田安全推進室長 御質問ありがとうございます。日本赤十字社の奥田です。一応、厚労省報告など、血液に関する減損・廃棄につながるような事象に関しては、新たな第一報報告というレポート方式を採用いたしまして、今、順次集めているところです。
補足ですが、従来使っているインシデント報告レポートのシステムを今現在並行して使っておりまして、大体、月間で2,000件前後は集まってきているような状況です。以上です。
○堺田委員 ありがとうございます。インシデントのリスクレベルを吟味、確認しながら対策を練っておられるという理解でよろしいでしょうか。
○日本赤十字社血液事業本部奥田安全推進室長 はい、そのとおりでございます。また新たにリスク分類というのも設けて、今、それを策定中ですが、そちらも採用して進めてまいりたいと思っております。
○堺田委員 是非、お進めいただければと思います。ありがとうございます。
○田野﨑委員長 ほかはよろしいでしょうか。どうもありがとうございました。日本赤十字社におかれましては、貴重な献血による血液事業になっているということから、厚生労働省ともよく相談しながら、再発防止策をしっかりと講じていただきまして、引き続き、今後の運営委員会においても、その進捗状況を御報告いただくようお願いいたします。
最後に、議題6「その他」に移りたいと思います。事務局より、令和7年度の主要血液製剤の供給状況について御説明をお願いいたします。
○岡需給専門官 資料5について御説明いたします。令和7年度の主要血液製剤の供給状況についての速報値です。例年、年末の血液事業部会にて前年度の実績の御報告をしておりますが、令和2年度より、主要な血液製剤等の実績について、速報値として、この運営委員会で御報告しているものです。
2ページです。血液分画製剤の国内需給の推移です。グロブリンの需給率が引き続き減少しております。安定供給に関しては、武田薬品の成田工場にて、2025年10月に不具合が発生したことによる製造一時停止がございます。加えて、JBの2027年度京都工場のメンテナンス実施に向けた在庫確保がある中で、各メーカーと連携して対応させていただきました。
他方で、国の責務である国内需給については、先ほどの事情により下がっているところですが、一過性のものであることから、今年度は、ある程度戻るものと見込んでおります。
他方、今後のグロブリンの需要増加と国内メーカーの現状の製造能力を踏まえると、現状のような需給率が数年は続くものと考えており、中長期的なスケジュールで改善を図らなければならないと認識しております。
現在、日本成長戦略会議において、主要な製品技術等の戦略17分野における官民投資ロードマップを策定しており、当該免疫グロブリンについても、17分野の創薬先端医療における感染症対応製品として掲載いただく予定としており、国内製造施設整備、国内生産体制確保並びに原料血漿確保体制を強化することで、国内需給率100%を目指すこととし、製造施設の刷新等に向けた予算の獲得を目指しているところです。
アルブミンに関しては、令和4年度の基礎的医薬品の適用を受け、薬価がそろったこと、また、国内メーカーの周知活動の取組もありまして、需給率が上昇しております。
3ページ以降です。アルブミン製剤、グロブリン製剤、血液凝固第Ⅷ因子製剤の供給量の推移について、令和7年度の実績値を示しています。各グラフの一番右側に、令和8年度の見込みを掲載していますが、こちらは令和8年度の需給計画値を使用しているので、実績値と比較して多めな見込みとなっております。
最終ページを御覧ください。令和7年度の日本赤十字社の原料血漿確保状況等の実績値です。年々必要量が増えている中で、しっかりと確保いただいております。
今回は速報値ですので、また精査させていただき、他の製剤を含めた数値を年末の血液事業部会にて改めて御報告させていただきます。資料5については以上です。
○田野﨑委員長 ありがとうございました。ただいまの御説明について、委員の皆様から、御質問、御意見をお願いいたします。私から1点、免疫グロブリンの需給率の所です。今後とも60%ぐらいの需給率が続くことが推測されるということでよろしいでしょうか、今の御発言。
○岡需給専門官 そのような御理解で結構でございます。
○田野﨑委員長 そうしますと、資料5の所で、これだけを見ると、国内の供給はある程度は維持できるかもしれない、あるいはこれから少し上がっていくかもしれませんが、予想以上に海外からの免疫グロブリンの量が増えているようにも見えるのですが、以前より、将来予測ということで議論されていて、これが想定内なのかどうかということについて御検討いただいているのでしょうか。
○岡需給専門官 国内需給率については、ある程度の想定の範囲内であると感じております。今回は、先ほど申し上げたとおり、武田の工場の不具合等がありましたので、当初の見込みより多少需給率が下がっているところですが、これが今はもう再稼働しておりますので、令和8年度以降については、60%程度の需給率となる見込みです。
○田野﨑委員長 1つ懸念されるのが、以前の議論の中では原料血漿が足りなくなるのではないかということで、2025年の予測とか、2028年までとか、そういうようなことが検討されていて、ただ結果として、国内での製造キャパシティの問題であるので、日本赤十字社の方々としては、十分な供給はできているということで、私も理解していたものです。
ただ、需要の伸びを考えると、果たしてそのように言っていられるのかどうかということも、少し考えなければいけないのかなと思って発言させていただきました。これについて何かコメントを頂ければと思います。
○山本血液対策課長補佐 委員長が御指摘のとおり、これまで律速になっているのは、メーカーの製造能力の問題であるというところで、日本赤十字社の採漿能力が律速になっているわけではないというところです。
先ほど、海外のメーカーの供給量が思った以上に多いのではないかという御指摘がございましたが、考えられるのは、KMバイオロジクス社が供給しているのは、5%のグロブリン製剤ですので、使用時間が10%製剤よりも掛かってしまうことと、CSLベーリングのハイゼントラ皮下注製剤がありますので、使い勝手がいい、自宅でできるということもあって、需要が伸びているのではないかと考えられます。
KMバイオロジクス社におかれては、10%製剤の製造を進めておりますので、そこの巻き返しはできるのではないかと考えております。
あとは、国内での皮下注製剤の開発というのは、今後の課題と考えております。
先ほど、岡需給専門官から話があったように、日本成長戦略というもので血漿分画製剤、特にグロブリンの製造能力強化が求められております。そういった中で、メーカーのほうの製造能力を高めますと、当然、その原料血漿の確保対策の強化も必要になります。成長戦略の素案のロードマップでは、原料血漿確保対策の強化ということで、献血の啓発、献血ルームの整備といったものも挙げております。
いずれにせよ、車の両輪だと考えておりますので、製造能力の強化には、原料血漿確保対策の強化も併せてやることとしております。以上でございます。
○田野﨑委員長 どうもありがとうございました。委員の先生方から、御質問、御発言があればよろしくお願いいたします。全体にわたって、よろしいでしょうか。そうしましたら、どうもありがとうございました。
続きまして、KMバイオロジクス株式会社より、バイクロット配合静注用の輸出についての御説明をお願いいたします。よろしくお願いいたします。
○KMバイオロジクス株式会社貝原参考人 KMバイオロジクスの貝原から御説明させていただきます。資料6-1を御確認ください。バイクロット配合静注用の輸出について、御説明させていただきます。
1ページです。弊社のバイクロットですが、国内献血由来の血漿を原料として製造した活性化第Ⅶ因子と第X因子を有効成分として、1:10のたん白質重量比で含有する「乾燥濃縮人血液凝固第X因子加活性化第Ⅶ因子」でございます。
効能・効果ですが、「血液凝固第Ⅷ因子又は第Ⅸ因子に対するインヒビターを保有する患者の出血傾向の抑制」というところで、出血時投与、定期投与の両方が可能になっております。
対象疾患と患者数をお示ししております。こちらは、令和6年度の血液凝固異常症全国調査から引用しております。インヒビター保有の血友病A患者は92名、インヒビター保有の血友病B患者は13名です。こちらが先天性の血友病の患者において、あと後天性の血友病患者323名も適用となっているところです。
2ページです。バイクロットを輸出させていただく背景です。以下の理由により、バイクロットを海外輸出したいと考えております。特に、世界の血友病患者を救うことというのは、弊社の企業理念に従うものです。
1点目は余剰原料の活用です。貴重な献血血漿の有効活用のために、余剰原料で製品を作って海外で販売していきたいと考えております。
2点目は血友病専門医の声です。複数の血友病専門医からも、バイクロットは有効性・安全性に優れた製剤と御評価いただきまして、海外に出すべきだと後押しを頂いております。世界中で唯一、日本だけが3種類のバイパス製剤を使って治療ができているという現状がございます。
3点目は血友病患者の治療アクセスの向上です。WFHからの声明のところで、治療へのアクセスが限られているため、世界の血友病患者の3分の2は治療を受けていない、高所得国でさえ満足できるものではないという声明がございます。現時点においては、2026年度に血液事業部会運営委員会の承認を得た上で、最速で2027年度、来年度に輸出国の薬事承認を取得し、2028年度以降からの輸出を考えているところです。
3ページから血漿分画製剤の輸出許可申請する際の確認事項ということで、4ページです。血漿分画製剤の輸出許可申請する際の確認事項で、以下の確認事項に沿って御説明させていただきます。こちらは、令和3年9月22日の血液事業部会運営委員会で了承された確認事項に沿っております。3点について、順を追って御説明させていただきます。
5ページを御覧ください。検討対象となる製剤の国内自給についてです。バイクロットの供給量自体は、国内需要を100%充足できる供給量は確保しております。また、製造能力にも余力があり、仮に他剤が供給停止になった場合でも国内需要に対応可能であるというところです。
①過去3年程度の需給計画別表の血液製剤の種類ごとの国内需給率の状況です。国内の血漿由来のインヒビター製剤というのは、バイクロット(国内献血由来)とファイバ(海外非献血由来)の2剤があり、製剤特性の違いから、他剤を使用されている患者もいることから、それを無理矢理バイクロットに変更することもできませんので、バイクロット単独で需給率100%にすることは困難なところが実情としてございます。一方で、冒頭で御説明したとおり、バイクロットの供給量自体は、国内需要を100%満たすものを確保しており、仮に他剤が供給停止となった場合にも、国内需要に対応することは可能です。
②国内自給率100%を満たさなくなった場合の対応方針です。こちらは国内供給を最優先として、契約する相手国との契約にも記載させていただきます。また、国内の需要量、輸入量を注視して、仮に輸入品が供給停止になった場合などのリスクを勘案して、血液対策課様とも連携の上、一定量の在庫は確保したいと考えております。
6ページを御覧ください。安定供給の確保についてです。安定供給については弊社の使命ですので、バイクロットの輸出については、以下の観点から安定供給の確保に問題はないと考えております。
①原則として他社代替製剤が供給されていることですが、インヒビター製剤としては、国内血漿由来の他社代替製剤は供給されていないのですが、バイクロットと同じ適応症を持つ海外血漿由来及び非血漿由来の他社代替製剤が複数存在しているので、治療上の代替手段は確保されているところです。
②国内で安定供給できるための十分な在庫を保有していることということで、需給計画に基づく中間体から製品までの適正在庫を保有しており、在庫も十分確保済みです。他剤の供給源、輸入停止などの緊急時に対応できる体制を構築しております。
③輸出する製剤と同一事業者が製造する他の血漿分画製剤の供給に支障を来さないことで、原料血漿の必要量、バイクロットの生産工程及び設備の共用状況から、他製剤の供給に支障がないことを確認しております。仮に、海外輸出してバイクロットを増産する必要があった場合にも、他剤に影響が出ないことは確認しております。
その他です。輸出計画(輸出対象国、1年当たりの輸出見込量等)を明らかにすることで、輸出対象候補国としては、トルコ、サウジアラビアの企業と検討中です。並行して、先行して輸出させていただいている血液凝固第Ⅸ因子製剤のノバクトⅯの輸出先であるバングラデシュ、ネパール、その他輸出準備国との相談も実施中です。輸出国については、WFHの寄附対象国を中心に検討を進めているところですが、冒頭に説明したとおり、バイクロットはインヒビターを保有する患者が投与対象になるので、ある程度血液凝固因子製剤による治療が行き届いている国が輸出国となる可能性が高いです。ですので、必ずしもWFHの寄附対象国に限らないところは、御承知おきいただければと考えております。
1年当たりの輸出見込量は、最大で既存設備を勘案して、製造可能な最大本数は1年当たり5,000本で、国内の供給量が1万本程度ですので、その半量が輸出できる最大量だと考えております。
②災害等で血液確保や他社製品を含め血液製剤の国内安定供給に支障が生じる可能性との際、できる限り国内供給を優先する旨を、輸出に当たって相手先事業者等と確認していることとあります。こちらについては、ノバクトMでもそうなのですが、国内供給を最優先するという契約、運用は徹底してまいりたいと考えております。ノバクトⅯもこのような契約を結んで、輸出先であるバングラデシュやネパールに輸出しているという実情がございますので、バイクロットでも、このような運用を徹底してまいります。御説明は以上です。
○田野﨑委員長 どうもありがとうございました。委員の皆様から、御質問、御意見があればお願いいたします。こちらは、今まで正式にここで審議してというところまではいっていなかったとは思いますが、委員の先生方で反対の意見の方がいらっしゃればお願いいたします。詳細に御説明いただいたものと思いますが。よろしいでしょうか。また、この後、実際に輸出国の薬事承認の取得を経て、それから2028年度以降から輸出ということで、実際に輸出されていった場合の実績などの報告などもお願いすることになります。特に御意見等があればと思いますが、よろしいでしょうか。
○水上委員 国立感染症研究所の水上です。1点だけお伺いいたします。今回、このような形で輸出されることは賛成しております。この性状に関しては輸出国に合わせた、例えば用法・用量等に合わせて製造法を変えたり、そういったことはあるのでしょうか。それとも、日本国内と製法、規格等は全く一緒と考えてよろしいのでしょうか。
○KMバイオロジクス株式会社貝原参考人 現状では、製法等は変える考えはございませんので、同じものを輸出したいと考えております。
○水上委員 ありがとうございます。
○山本血液対策課長補佐 事務局から補足です。今回、輸出のお話をお認めいただいた後においても、実際に輸出をする際には、血液事業部会で輸出の量を表に記入し、またお諮りすることとなります。以上を補足申し上げます。
○田野﨑委員長 よろしければ、どうもありがとうございました。
続きまして、武田薬品工業株式会社より、一部の血漿分画製剤の製造において発生した事象の説明及び今後の製品の供給についての説明をお願いいたします。
○武田薬品工業株式会社白砂参考人 武田薬品で血漿分画製剤の渉外業務を担当しております白砂と申します。よろしくお願いいたします。
それでは、お手元の資料6-2を御覧ください。武田薬品から、一部の血漿分画製剤の製造において発生した事象の説明及び今後の製品の供給について御説明、御報告をさせていただきます。
続いて、スライドの2です。本日の御報告事項ですが、弊社の一部の血漿分画製剤を製造している成田工場において、無菌製剤プロセスシミュレーションで確認すべき事象が発生したことを2025年12月23日に本運営委員会で報告をさせていただいておりました。本日は、その無菌製剤プロセスシミュレーションの原因調査の結果と医療機関等への対応状況、今後の製品供給の計画について御報告いたします。よろしくお願いします。
それでは、品質保証責任者の柘植から、無菌製剤プロセスシミュレーションの原因調査の結果について御説明させていただきます。
○武田薬品工業株式会社柘植参考人 では、品質保証責任者の柘植から御報告させていただきます。
3ページを御覧ください。無菌製剤プロセスシミュレーションの原因調査結果です。無菌製剤プロセスシミュレーションというのは、このラインで無菌製剤の製造プロセスが確実に無菌状態を維持できているかということを、定期的に検証しているプロセスシミュレーションのことです。結論としては、包括的な調査の結果、無菌製剤プロセスシミュレーションに用いられた消耗品の特定のロット及び特定の装置との接続状態を含む複合的な要因が、今回の件に関与した可能性があると考えました。詳細ですけれども、複数回の無菌製剤プロセスシミュレーションにおいて、陽性バイアルが特定の装置、具体的には凍結乾燥機なのですけれども、この装置を経由した場合でのみ検出されました。また、調査の結果、特定の装置に使用する消耗品、具体的にはエアーフィルターなのですけれども、その特定のロットに樹脂の成型不良が認められました。当該消耗品を使用した場合の完全性試験では結果にばらつきがありまして、一貫性が認められませんでした。
これらの結果を踏まえますと、消耗品単体に起因するものではなく、特定の装置と使用した消耗品の接続状態を含む複合的な要因で、今回の本件の問題が発生したと考察しております。当該消耗品ロットを別ロットに交換して実施しました無菌製剤プロセスシミュレーション、これは本年の2月に実施いたしましたが、こちらでは陽性バイアルは検出されませんでした。以上の結果から、当該消耗品ロットを使用していない製品の品質には問題がないと判断しております。また、今回の一連の事象を受けまして、フィルター交換時に外観確認を追加し、成型状態に軽微な状態異常のあるフィルターは排除するということを再発防止策として設定し、実施済みです。
○武田薬品工業株式会社寺田参考人 それでは、寺田より医療機関等への対応状況について御説明させていただきます。
4枚目を御覧ください。本事象の影響を受けまして、成田工場の稼働を一時的に停止することとなり、免疫グロブリン製剤において他社様の製品による代替供給を実施いたしました。この代替供給の御協力もあり、多くの医療機関への製品供給は継続されまして、全体の総量としては大きな混乱はなかったと認識をしておりますが、やはり一部の医療機関様においては十分量のグロブリン製剤が行き届かなかったというお声も頂戴しております。また、弊社では海外血由来のグロベニン-I10%静注の輸入量を緊急的に増やし、2026年1月より医療機関様への供給を開始しておりました。成田工場においては、事象の原因調査結果が判明したことを受け、現在稼働を再開しておりまして、今後も安定供給の継続に向けて必要な対応を続けてまいります。
続きまして、5枚目です。今後の製品供給計画について御紹介いたします。現在弊社では緊急輸入いたしました海外血由来のグロベニン-I10%静注の供給をしておりますけれども、成田工場の原因調査及び品質確認に時間を要した影響で、献血グロベニン-I5%の一部規格については供給停止状態が継続をしております。一方で、2026年6月12日に献血グロベニン-I5%の剤形を改良、高濃度化した献血グロベニン-I10%が薬価収載を頂いております。国内の免疫グロブリン製剤の需要というのは、5%製剤と比べますと、やはり10%製剤のほうが圧倒的に高いということ、あとは、工場での製造効率の向上も見込めるということから、今後は、弊社といたしましては、免疫グロブリン製剤の製造はこの献血グロベニン-I10%へ集約するということを現在考えております。こういった状況を踏まえ、献血グロベニン-I5%については、今後、薬価削除に向けた手続を進める予定です。なお、献血グロベニン-I10%は同製剤5%の全ての効能・効果を有しております。武田薬品からは、御報告は以上となっております。
○田野﨑委員長 どうもありがとうございました。委員の皆様から御質問、コメントがあればお願いいたします。これからは大丈夫ですということを伺いましたので、どうぞよろしくお願いいたしたいと思います。特に御質問などがなければ、どうもありがとうございました。
○山本血液対策課長補佐 すみません。本日御欠席の後藤委員から、再発防止策について事前の御説明の際にお話していただきたいというコメントを頂いておりますので、よろしければお願いいたします。
○武田薬品工業株式会社柘植参考人 先ほど最後に付け加えさせていただいたのですけれども、今回の事象というのは、フィルターと我々の使っている装置の接合するときに外観確認をするということで、適切に、成型不良が少しでもあるものというのは排除できるので、その手順を既に入れており、既に実施も済ませておりますので、そのような不備は今後起こらないと思っております。
○田野﨑委員長 よろしいでしょうか。委員の皆さんも特によろしいでしょうか。そうしましたら、どうもありがとうございました。
本日の議題はここまでとなりますが、その他何かあればお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、議事を事務局にお返しします。
○糸谷血液対策課長補佐 田野﨑委員長、ありがとうございました。次回の運営委員会の日程は、別途御連絡を差し上げます。本日は、これをもちまして、薬事審議会血液事業部会令和8年度第1回運営委員会を終了いたします。どうもありがとうございました。
(了)

