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- 2026年6月16日 第110回社会保障審議会年金数理部会 議事録
2026年6月16日 第110回社会保障審議会年金数理部会 議事録
年金局総務課首席年金数理官室
日時
令和8年6月16日 13時30分~15時30分
場所
全国都市会館 第1会議室
出席者
- 委員
-
- 寺井部会長
- 猪熊委員
- 小野委員
- 日下部委員
- 駒村委員
- 佐藤委員
- 庄子委員
- 松本委員
議題
- (1)公的年金財政状況報告-令和6年度-について
- (2)その他
議事
○楠田首席年金数理官 では、全員おそろいになりましたので、ただいまより第110回「社会保障審議会年金数理部会」を開催させていただきます。
審議に入ります前に、資料の確認をさせていただきます。本日準備している資料は、議事次第、委員名簿、座席図のほか、資料1として「公的年金財政状況報告-令和6(2024)年度-(案)」。こちらは資料1-1から1-5の分冊に分かれております。資料2として「『老齢基礎年金の併給状況』の公表について」でございます。
次に、本日の委員の出欠状況について御報告いたします。本日は、嵩委員から御都合により欠席される旨の連絡を受けております。
御出席いただきました委員の方が3分の1を超えておりますので、会議は成立しておりますことを御報告申し上げます。
なお、猪熊委員、庄子委員につきましては、オンラインでの御参加でございます。庄子委員は遅れて御参加との連絡をいただいております。
それでは、以降の進行については寺井部会長にお願いいたします。
○寺井部会長 委員の皆様には御多忙の折、お集まりいただきましてありがとうございます。
本日は、「令和6年度公的年金財政状況報告」について審議を行いたいと思います。
カメラの方がいらっしゃれば、ここで退室をお願いいたします。
令和6年度の報告書の作成に当たっては、委員の皆様に御協力いただき、あらかじめ作業班において作業を行い、本日の資料である報告書案を作成いただきました。
それでは、事務局から本年度の報告案について、説明をお願いいたします。
○楠田首席年金数理官 委員の皆様には作業班で報告書案の作成に御尽力いただき、ありがとうございました。作成いただいた令和6年度の公的年金財政状況報告の案について、事務局より御説明させていただきます。
報告書の案は資料1-1から1-5まで5つに分かれておりますが、本日は資料1-1にありますポイントと概要を中心にここは御説明し、追加で概要に取り上げられていない事項を御紹介させていただきたいと思います。
それでは、資料1-1を御覧ください。最初に表紙、次に委員名簿がございます。その後に、ページ番号で3ページから5ページになりますが、これらは令和6年度の公的年金財政状況報告のポイントとなっています。こちらのポイントは、年金数理部会としてこの報告で最もお伝えしたいことをまとめたものになります。
中身に入りますと、まず3ページの上の枠囲みの中にありますとおり、「公的年金財政状況報告」は、年金数理部会が、公的年金の毎年度の財政状況について、各制度・各実施機関からの報告に基づいて、専門的な観点から横断的に分析・評価を行った結果を取りまとめたものです。この報告では実績の動向を明らかにし、また、財政検証との比較や財政状況の評価といったことを行っていますほか、共済組合等も含めた厚生年金全体での財政状況を取りまとめています。
お伝えすべきポイントは2つあり、1つ目は公的年金の収支状況についてです。3ページの下の図表、令和6年度の単年度収支状況を見ていただきたいと思います。こちらは年金数理部会が公的年金の財政状況を制度横断的に比較・分析しているものとなります。表側に収支項目が並んでいますが、ここでは賦課方式を基本とする財政運営が行われていることを踏まえ、財政収支状況について、運用損益分を除いた単年度収支残と運用損益に分けて分析をしています。また、表頭には厚生年金計、国民年金勘定、基礎年金勘定、公的年金制度全体とありますが、一番左の厚生年金計は、共済組合等を含めた厚生年金全体の数値になっています。この厚生年金計については、平成27年10月に被用者年金が一元化されていますが、効率的な事務処理を行う観点から、共済組合等を実施機関として活用することとなっている関係で、厚生年金の財政は、厚生年金勘定と厚生年金の実施機関たる共済組合等の厚生年金保険経理に分かれて管理されておりまして、厚生年金拠出金、厚生年金交付金をやり取りすることで財政的に一元化されています。
決算についてもおのおのに分かれて実施されていますが、ここでは報告いただいた資料を基に、厚生年金勘定と国共済、地共済、私学共済の厚生年金保険経理を合わせた厚生年金全体の財政収支状況を取りまとめています。その際、単純に各実施機関の決算の数値を合計するわけではなく、厚生年金全体としての財政収支状況を捉えるために、例えば厚生年金拠出金、厚生年金交付金といった厚生年金の実施機関の間でのやり取りについては、収入・支出の両面から取り除いて整理をしています。
また、この厚生年金計と隣の国民年金勘定、基礎年金勘定を合わせたものが一番右の欄の公的年金制度全体の財政収支状況になります。ここでも公的年金制度内のやり取り、図表中で言えば、マル1の基礎年金交付金、マル2の基礎年金拠出金になりますが、こちらは収入・支出に同じ額が計上されて相殺されることになるので、こうした公的年金の制度内でのやり取りは、収入・支出の両面から除いています。このように、厚生年金全体や公的年金制度全体について財政収支状況を明らかにすることもこの年金数理部会の大きな役割の1つであると考えています。
さて、令和6年度の公的年金制度全体の単年度収支状況について見ていきますと、図表の一番右の欄になりますが、収入面では保険料収入が43.1兆円、国庫・公経済負担が12.1兆円となっており、運用損益分を除いた単年度の収支総額は55.7兆円となっています。
一方、支出面を見ますと、大宗を占める給付費は55.3兆円で、支出総額は55.8兆円となっています。この結果、運用損益分を除いた単年度収支残は0.1兆円のマイナスでした。また、運用損益は、時価ベースで2.0兆円のプラスとなっています。これらの結果、公的年金制度全体の時価ベースの年度末積立金は、前年度末に比べて2.0兆円の増加で、306.0兆円となりました。
続きまして、4ページを御覧ください。こちらはポイントの2つ目ということで、公的年金の財政状況の評価です。ここが今回の財政状況報告における最も重要な結論となっています。この報告では、令和6年度までの実績と令和6年財政検証の前提や将来見通しを比較して分析を行っていますが、公的年金の財政状況の評価に当たっては、そういった比較だけではなく、長期的な財政の均衡の観点から評価をしています。評価については水色の枠囲みの中に記載しています。おのおののバックデータについては、後ほど概要の御説明の中で触れさせていただきますので、ここでは評価の結果を述べさせていただきたいと思います。
枠囲みの中、1つ目の丸にありますように、令和6年度は令和6年財政検証における将来見通しと比較する初年度となっています。その下は令和6年度の実績について確認したことを挙げています。まず、マル1ですが、国民年金第1号被保険者数、厚生年金被保険者数共に実績が将来見通しを上回っています。これは、外国人入国超過数が令和6年度財政検証の前提となった国立社会保障・人口問題研究所による令和5年将来推計人口、以降は単に「令和5年推計」と呼ばせていただきますが、これにおけるいずれの仮定値も上回っていることが影響していると考えられます。また、65歳の平均余命は、令和5年推計における死亡高位の仮定値と同水準となっており、これらは公的年金財政にプラスの効果となります。
次に、マル2ですが、合計特殊出生率は平成28年より低下傾向が続いており、令和6年の実績は令和5年推計における出生低位の仮定値とおおむね同水準となっています。また、対物価上昇率で見た実質賃金上昇率は、令和6年財政検証におけるいずれのケースの前提も下回っており、これらは公的年金財政にマイナスの効果となります。
また、マル3にある積立金については、令和5年度末の実績が将来見通しを上回っていたこともあり、令和6年度末においても実績が将来見通しを上回りました。なお、令和5年度末の実績が将来見通しを上回った部分のほとんどは、将来見通しの積立金に平滑化したものが使われていることによるものです。
5ページに参りまして、マル4ですが、令和6年度は、マクロ経済スライドによる給付水準調整が行われた一方で、賃金の上昇が物価上昇に追いつかず、実質賃金の伸びはマイナスとなったことから、前年の令和5年度とは異なり、既裁定年金の伸びを賃金の伸びより抑制する効果は発動されませんでした。
2つ目の丸にありますように、このように確認した将来見通しからの乖離が、一時的なものではなく中長期的に続いた場合には、年金財政に与える影響は大きなものとなります。特に、令和6年の合計特殊出生率は令和5年より低下し、令和5年推計における出生低位の仮定値とおおむね同水準となっておりますが、このような傾向が今後も続くようであれば、将来の年金制度の運営は大きな影響を受けることになります。とはいえ、年金財政の観点からは、人口要素、経済要素等いずれも短期的な動向にとらわれることなく、長期的な観点から財政状況の動向を注視すべきであると。こちらが今回の報告における公的年金の財政状況の評価となります。
ポイントについては以上となります。
次に、6ページ以降の公的年金財政状況報告の概要について御説明させていただきます。
7ページ、項番0番のスライドを御覧ください。上の枠内の記載については、ポイントでも御説明しましたが、その下に報告書の構成をお示ししており、構成は第1章、第2章、第3章、付属資料となっています。第1章では報告書全体を理解する上で必要となる基本的な事項を中心に公的年金の概要を説明しています。第2章では被保険者、受給権者、財政収支、財政指標の現状と推移について、実績の確認や分析を行っています。第3章では、財政検証結果との比較ということで、実績と令和6年財政検証の将来見通しとの比較、積立金の乖離の分析、財政状況の評価といったことをしています。この概要では、報告の第2章と第3章から重要と思われるところを抜粋して掲載しております。
次に、8ページを御覧ください。ここからの4ページでは報告を読む際の基本的な情報として、項番aからdの資料を掲載しています。まず、項番aは年金数理部会についてまとめたものです。図の下のほうにありますように、年金数理部会のミッションとしては、各制度において実施される財政検証についてピアレビューをするということ。それから、右側になりますが、各制度実施機関から毎年度の決算について御報告いただき、それらを分析・評価し、公的年金財政状況報告を取りまとめるといったことになります。今回の報告は、この公的年金財政状況報告の令和6年度版という位置づけになります。
次に、9ページの項番bの資料を御覧ください。こちらは年金数理部会の役割について図示したものとなっております。
続きまして、10ページ、項番cの資料は年金制度の体系図になります。こちらは第1章にも記載しております。
続きまして、11ページの項番dは公的年金の資金の流れを示したものです。経過措置が終了した後の姿ということで、基礎年金交付金などは省いてありますが、大まかな資金の流れが分かるようになっております。
続きまして、12ページからは報告書の抜粋を掲載しておりますが、まずは被保険者の現状及び推移ということで、第2章第1節より抜粋しています。
13ページの項番1を御覧ください。こちらは公的年金の被保険者数の推移になります。近年の状況を見ますと、国民年金第1号被保険者と第3号被保険者が減少して、厚生年金の被保険者が増加する傾向でございます。令和6年度もこの傾向が続いており、公的年金制度全体の被保険者数は、前年度から0.2%の増加となっています。厚生年金については全体で1.6%の増加となっているのですが、このうち短時間労働者の増加率は21.2%となっていました。
続きまして、14ページ、項番2は被保険者の年齢分布になります。令和6年度末の被保険者の年齢分布をグラフでお示ししていますが、左上にあります厚生年金計では50歳から54歳の割合が最も大きくなっています。こちらは団塊ジュニア世代の方が属しているところになります。隣の厚生年金保険者のうち短時間労働者について見ますと、男性は緑色になりますが、60歳以上の被保険者が多くなっています。また、オレンジ色の女性は45歳から64歳のところが多くなっています。
左下の国民年金第1号被保険者を見ますと、20歳から24歳のところが最も大きくなっており、ここは主に学生の方が属しているところです。
続きまして、15ページ、項番3からは年齢分布の変化を見ています。まずは厚生年金計について見てみますが、左側が被保険者数、人数のグラフになっており、右側が総人口比のグラフになっています。直近の令和6年度末とその5年前、10年前を比較しています。まず、厚生年金計の男性ですが、左側のグラフの青い折れ線になりますが、最も被保険者が多い年齢階級が、10年前は40歳から44歳だったのですが、その5年後には45歳から49歳、そして令和6年度末には50歳から54歳ということで、シフトしてきていることが分かると思います。こちらは団塊ジュニア世代が移ってきているということになります。
一方、女性を見ていただきますと、5年前に比べて、一部15歳から24歳のところは少し減少しておりますが、全体として被保険者数が増加していることが見てとれます。
こちらの被保険者数については、先ほど団塊ジュニア世代ということを言いましたが、元の人口の規模の影響を受けてしまうために、これだけで見るとなかなか状況が把握しづらいということで、右に総人口比として年齢階級ごとに被保険者数の人口に対する割合を示したグラフを載せています。総人口比を見ると、5年前と比べますと、若年層を除き全体的に上昇しており、その上昇幅は女性のほうが大きくなっています。また、一番右の65歳以上のところの総人口比を見ていただきますと、この総人口比は上昇しており、65歳以上の雇用が進展している状況が分かると思います。
続きまして、16ページ、項番4は短時間労働者について見たものですが、詳細な分析を項番8から10でしておりますので、そちらで説明させていただきます。
続きまして、17ページ、項番5は国民年金第1号被保険者についてです。国民年金第1号被保険者は、左側の人数で見ますと、団塊ジュニア世代のシフトを除けば、男女共に全体的に被保険者数が減少しています。右側の総人口比で見ますと、5年前と比べて、男性は20歳から24歳、60歳から64歳のところを除いて低下しており、女性は20歳から24歳を除いて低下しています。
続きまして、18ページ、項番6の国民年金第3号被保険者についてです。第3号被保険者についてはほとんどが女性ということなので、女性を中心に見ていきますが、左側の人数で見ますと、49歳以下の被保険者数の減少が著しくなっています。右側の総人口比で見ますと、年齢を問わず全体的に比率が下がってきており、女性は5年前と比べて全ての年齢階級で低下していることが分かると思います。
続きまして、19ページの項番7ですが、こちらは厚生年金の標準報酬月額別被保険者の分布になります。男性を見ていただきますと、最高等級の65万円の被保険者が最も多くなっています。女性を見ますと、22万円のところにピークがある分布となっております。一方、右側の短時間労働者について見ますと、男性・女性共に12.6万円のところにピークがある分布になっています。
続きまして、20ページの項番8から項番10ですが、令和6年度は10月に短時間労働者の企業規模要件が100人超から50人超へ拡大されたことから、本報告では短時間労働者の厚年適用が開始された以降の短時間労働者の適用状況を分析しております。
まず、20ページの項番8ですが、左側のグラフで厚生年金に適用される短時間労働者数を月次で見ますと、男女ともおおむね増加し続けていますが、女性の伸びが男性よりも高い傾向にあります。また、短時間労働者数は、新たに適用拡大が実施された月の前後で大きく増加しています。
右側のグラフは、一定の要件を満たす短時間労働者について、厚生年金の適用が開始された平成28年10月、その後、企業規模要件を拡大した令和4年10月、令和6年10月といった適用拡大前後の6月の月次推移を見ていますが、いずれの適用拡大においても適用拡大を実施した10月末で短時間労働者数が大きく増加しています。対前年同月差で見ても10月末で大きく増加していますが、増加幅は平成28年10月末が最も大きく、その幅はだんだんと小さくなっています。
次に、21ページの項番9ですが、こちらは短時間労働者の厚生年金適用が開始または拡大した年度である平成28年度、令和4年度、令和6年度の末時点でそれぞれ短時間労働者の年齢分布を男女別で比較して、その変化を見たものとなっています。令和6年度末の短時間労働者は、平成28度末や令和4年度末に比べて、全ての年齢階級で増加し、構成比で見ると、年齢分布は男女共にピークが年齢の高いほうにシフトしていることが分かります。
なお、次の項番でも同様ですが、各時点間の変化は、適用拡大だけでなく、他の就労状況の変化の影響も含まれていることについて留意が必要となります。
22ページの項番10は標準報酬月額別分布の変化を見たものですが、こちらも令和6年度末のほとんどの階級で平成28年度末よりも増加しており、構成比で見ると、男女ともピークが等級の高いほうにシフトしていることが分かります。
続きまして、23ページからは受給権者の現状及び推移になりますが、こちらは第2章第2節から抜粋しています。
24ページの項番11を御覧ください。こちらは受給権者の年金総額の推移になります。令和6年度末の年金総額は、公的年金制度全体で59.6兆となっており、前年度末に比べて2.6%の増加となっています。年金額改定率がプラスだったこともあり、前年度末に比べて全ての制度で増加しました。
続きまして、25ページの項番12は老齢・退年相当の受給権者の年齢分布となっています。こちらは厚生年金の実施機関ごとに示しています。左上に旧厚生年金とありますが、これはいわゆる民間被用者の方の厚生年金のことで、事業統計ですと、厚生年金第1号と呼んでいるものの数値になります。年齢分布を見ますと、国共済を除き、男女共に全ての制度で70歳から74歳のところが最も多くなっており、国共済では男女とも75歳から79歳のところが最も多くなっています。
続きまして、26ページの項番13ですが、こちらは共済組合等の職域加算部分を除いた老齢・退年相当の平均年金月額となります。共済組合等の共済年金には職域加算部分が含まれていますので、これらの職域加算部分を除いた厚生年金相当部分の年金額を推計しています。推計した結果ですが、この表の一番右を見ていただきますと、厚生年金計の平均年金月額は男女計で15.5万円。男女別に見ますと、男性が17.3万円、女性が12.0万円となっています。
続きまして、27ページの項番14は老齢相当の受給権者の年齢階級別平均年金月額になります。枠囲みの中にありますように、旧厚生年金の平均年金月額は、受給権者全体の平均加入期間が長くなっている中で、令和4年度までは減少傾向にありましたが、その要因としてはここに挙げたマル1からマル6の要因が考えられます。その後、令和5年度以降は年金額改定率の引上げがそれまでと比べて大きかったことにより上昇に転じております。グラフでは、旧厚生年金について年齢階級別の平均年金月額を、直近の令和6年度末と5年前、10年前と比較していますが、特に10年前から5年前にかけて減少していた部分の要因を記載していますので、御覧いただければと思います。
続きまして、28ページの項番15ですが、こちらは老齢相当の年金月額階級別受給権者数です。旧厚生年金については、基礎年金を含む額でお示ししています。グラフを見ていただきますと、男性は18~19万円のところに、女性は10~11万円のところにピークがあるということです。
続きまして、29ページから財政収支の現状ということで、第2章第3節から抜粋しています。
30ページの項番16は令和6年度の単年度収支状況でございまして、こちらは先ほどポイントのところで御説明しましたので、省略させていただきます。
続きまして、31ページの項番17は、厚生年金の保険料収入の増減要因の分析となります。右上のところに保険料収入の推移がありますが、厚生年金計を見ますと、令和6年度では3.2%増加しており、実施機関別で見ても全て増加しています。要因別の寄与を見ますと、国共済以外については被保険者数の増加が保険料収入を増加させる方向に寄与しています。また、いずれの実施機関も1人当たり標準報酬額の増加が増加要因となっており、さらに私学共済では保険料率の引上げも増加要因となっています。
続きまして、32ページを御覧ください。ここからは財政収支等及び財政指標の実績と将来見通しとの比較ということで、第3章の第2節と第3節から抜粋しています。ページの下のほうにありますように、実績と比較する将来見通しについては、令和6年財政検証における諸前提に加えて、主な制度改正項目を反映した上で行った試算結果を用いていることに御留意ください。
まず、33ページの項番18ですが、こちらは合計特殊出生率と65歳平均余命の実績と前提の比較になります。左側が合計特殊出生率のグラフで、黒い線が実績、点線が令和5年推計の仮定値になっています。こちらを見ますと、先ほどポイントでも御説明しましたが、令和6年の実績は前年よりも0.05ポイント低下していまして、令和5年推計と比較すると、出生低位の仮定値と概ね同水準であることが確認できるかと思います。
右側は65歳平均余命のグラフです。令和6年の実績は、前年と比べると男性は0.06年低下し、女性は横ばいで、令和6年については男女共に令和5年推計における死亡高位の仮定値とおおむね同水準であることが確認できます。
続きまして、34ページの項番19は、20歳に達した者が65歳に達するまで生存する確率である生残率、外国人入国超過数の実績と前提の比較になります。こちらの右側のグラフを見ると、令和6年の外国人入国超過数の実績は34.2万人となっており、財政検証に用いられた最も高い前提である条件付推定の仮定値25万人を上回っていることが確認できます。
続きまして、35ページからは経済前提について見ています。項番20は、物価上昇率と名目賃金上昇率の実績と前提の比較です。黒い実線が実績、赤い点線が参考ケースの前提、青い点線がベースラインケースの前提となっています。令和6年の物価上昇率の実績は2.7%となっており、いずれの前提ともおおむね同水準であることが分かります。また、令和6年度の名目賃金上昇率の実績は2.12%となっており、いずれのケースの前提も下回っていることが確認できます。
続きまして、36ページの項番21は、実質賃金上昇率と実質的な運用利回りについて見たものです。実質賃金上昇率は対物価上昇率で見た賃金上昇率になりますが、令和6年度の実績については、先ほど見た名目賃金が伸びなかった影響によりまして、いずれの財政検証における前提をも下回っているということになります。また、実質的な運用利回りは、対名目賃金上昇率で見た運用利回りになりますが、一番下に書いてありますように、運用利回りについて、実績と前提を比較する際には、公的年金では保険料や新規裁定の給付費が名目賃金上昇率を基本として増減することから、長期的な観点からは、実質的な運用利回りと比較することは適当であると考えており、ここでは実質的な運用利回りについて見ています。
黒い実線で示されています実績を見ますと、令和6年度は成長型経済移行・継続ケース、過去30年投影ケースのいずれの前提も下回っている状況です。なお、運用利回りは、単年度の変動が大きいことから、過去5年度分を平均した5年移動平均で比較しますと、グラフの黄色の線になりますが、こちらで見るといずれの前提も上回っています。
次に、37ページを御覧ください。項番22は労働力率についてです。黒い実線が令和6年の実績、点線が令和7年の推計値となっています。令和6年の実績と令和7年の労働参加進展シナリオの推計値、赤の点線を比較しますと、比較している推計値は実績よりも1年先のものとなっていますが、男性では15歳から24歳、女性では15歳から19歳、30歳から49歳、60歳以上のところで既に実績が推計値を上回っている状況になっています。
続きまして、38ページの項番23は被保険者数と受給者数の実績と将来見通しとの比較をしたものになります。被保険者数については、先ほどポイントで取り上げた事項になります。
グラフは、実績を黒の星印で、財政検証の将来見通しを棒グラフで示していますが、令和6年度は、上の段の左側の厚生年金計、右側の国民年金第1号被保険者のいずれも実績が将来見通しを上回っている状況になっています。また、受給者数については、下の段の左側の厚生年金計、右側の基礎年金のいずれも実績が将来見通しを下回っている状況になっています。
次に、39ページの項番24を御覧ください。ここからは収支の主な項目について見ています。実績と財政検証結果との比較に当たりましては、将来見通しの対象範囲が決算ベースと異なる場合には、決算の実績に一部修正を加えて財政検証ベースの実績を作成しまして、それと財政検証の結果を比較しております。また、財政検証には複数のケースがございますが、ここでは例示として成長型経済移行・継続ケース、過去30年投影ケースと比較をしています。
上の段の保険料収入についてですが、令和6年度については厚生年金計、国民年金勘定共に実績が将来見通しを上回っている状況です。また、下の段の給付費については、令和6年度は厚生年金計、国民年金勘定共に実績が将来見通しを下回っている状況となっています。
なお、ここで言う国民年金勘定の給付費は、注に書いてありますように、国民年金第1号任意加入被保険者に係る付加年金などの国民年金独自の給付に係るものとなっております。左側の厚生年金計のグラフとは金額のスケールが違っているので、そこは御留意いただければと思います。
続きまして、40ページの項番25は基礎年金拠出金についてです。令和6年度は厚生年金計では実績が将来見通しを下回っている状況となっており、右側の国民年金勘定では実績が将来見通しとほぼ同水準ということになります。
次の41ページの項番26は積立金についてです。黒の星印が実績、白の丸印が時価評価による変動を平滑化した後の積立金額を示しています。まず、令和6年度末の実績を見ますと、厚生年金計、国民年金勘定のいずれも実績が将来見通しを上回っています。また、平滑化後の積立金額で見ても、同様に令和6年度は将来見通しを上回っている状況になっています。
続きまして、42ページの項番27は財政指標についてです。年金数理部会では財政状況の把握の一助とするために、年金扶養比率や総合費用率、積立比率など幾つかの財政指標を作成して分析しているところですが、ここではそのうち年金扶養比率と積立比率を取り上げています。上側の図が年金扶養比率で、これは制度の成熟度を表す指標ですが、被保険者数は将来見通しを上回り、受給者数は将来見通しを下回ったということで、令和6年度の年金扶養比率は厚生年金計、基礎年金共に実績が将来見通しを上回っている状況となっています。
下側の図は積立状況を表す積立比率です。こちらも令和6年度は厚生年金計、国民年金勘定共に実績が将来見通しを上回っている状況となりますが、平滑化後を見ると、国民年金勘定の実績は将来見通しを下回っています。
続きまして、43ページからは積立金の乖離の分析と財政状況の評価になります。
まず、44ページの項番28を御覧いただきたいのですが、こちらは積立金の乖離の分析について、乖離分析の流れを図で表したものになっております。概略を御説明しますと、一番左にありますように、令和6年度末において積立金の将来見通しからの乖離があるわけですが、まずそれを左側から2つ目にありますように、令和5年度末の積立金の乖離と令和6年度に係る発生要因の寄与に分解いたします。次に、左から3つ目、令和6年度に係る発生要因の寄与について、さらに名目運用利回りの乖離によるものとそれ以外のものの2つに分解します。それから、一番右になりますが、さらにそれらについて細かく発生要因別に分解するということで、乖離の内容を細かく分けるということをしております。
次の45ページからがこの乖離分析の結果になります。項番29ですが、こちらは積立金の実績と将来見通しの乖離について、発生年度ごとに乖離状況を見たものです。上段左側のグラフは成長型経済移行・継続ケースにおける厚生年金計についてですが、一番左側に令和6年度末の将来見通しと実績の乖離を示しており、右側のところにそれを令和5年度末の積立金の乖離と令和6年度発生要因の寄与計に分解したものを示しています。令和6年度末は実績が将来見通しを上回っている、乖離がプラスとなっていますが、それは令和5年度末積立金の将来見通しからの乖離が、令和6年度に係る発生要因の寄与計のマイナスを上回ってプラスになったことによるものです。なお、令和5年度末積立金における将来見通しと実績の乖離のほとんどは、今回の財政検証から将来見通しの積立金に平滑化したものが使われていることによるものとなっており、そのことは時価評価額と平滑化後の額の乖離分とその他の乖離分に分けて示したうち、前者のほうが大きくなっていることからも分かります。他のケース、国民年金勘定についても同様の状況となっています。
続きまして、46ページの項番30は積立金の乖離分析の結果で、厚生年金計、国民年金勘定それぞれについて、令和6年度発生分についての乖離の発生要因別に見たものです。図の左側のところに乖離の発生要因が、右側のところに積立金への影響を示しています。下の図にありますように、積立金の乖離について細かく分けたものから要因別に取り出して集約するということをしており、2つのケースのうちの最大値と最小値を表示しております。
左側の図を見ていただきますと、令和6年度に生じた厚生年金計の積立金の乖離は、マイナス12.9兆円からマイナス11.4兆円となっていますが、一番上の名目運用利回りの乖離の寄与が大宗を占めています。また、右側の図の国民年金勘定についても同様の状況となっています。
続きまして、47ページからは厚生年金の財政状況の評価になります。項番31では厚生年金の財政状況の評価の考え方についてまとめています。厚生年金の財政状況の評価ですが、年金数理部会では積立金の実績と評価の基準となる積立金額というものをつくり、それとの差を考察することにより行っています。「評価の基準となる積立金額」とは、財政検証の積立金の将来見通しを、実績が出ている年度については、賃金上昇率及び物価上昇率の実績と財政検証における前提との乖離に対応する分だけ補正して比較できるようにしたものです。こちらについては、詳しくは報告書の本文230ページ、231ページにありますので、そちらを御参照いただければと思います。
四角の中の2つ目になりますが、この考察では、前提として公的年金財政の均衡が下のてんびん図で言う左側の財源の全体と右側の将来の年金給付の全体で図られていること、また、保険料水準が固定された上で、将来の年金給付費が将来の保険料収入と積立金との財源と均衡するように給付水準を自動調整する仕組みになっていること、そういったことを踏まえて行っており、この分析では積立金の乖離について、積立金及び将来の保険料収入の財源と対比する形で乖離の規模を図るということで評価をしています。
評価の結果については次のページの項番32にまとめています。左側の表に分析の結果をまとめていますが、積立金の実績と評価の基準となる積立金額の推計値の差額、表で言うとマル3のところになりますが、こちらをマル4の財源との対比で見ると、一番下にあるように、プラス0.7~0.8%となっています。また、表の中の括弧書きで時価評価による変動を平滑化したものについてお示ししていますが、こちらの場合ですと、プラス1.1~1.2%となっています。この結果から、令和6年度末における積立金の財政検証からの乖離が財源の1%に相当するものである、そういった規模感であることが確認されたということです。
最後、49ページから50ページの項番33、34については、先ほどのポイントのところで御説明しましたので、割愛させていただきます。
概要についての説明は以上ですが、このほか、本文から概要に取り上げていないものについて1点ほど御紹介をさせていただきたいと思います。資料1-3の41ページを御覧ください。こちらのページの2段落目については、委員の御意見を受けて今回新たに追加したものとなります。公的年金被保険者数は令和4年度以降増加していますが、これは外国人の入国超過数が増加傾向にある影響もあると考えられます。
その状況を踏まえて、ここにありますように、「外国人の入国超過数が今後も増加し、公的年金被保険者に占める外国人の割合が上昇していくことも考えられるなかで、外国人被保険者における年齢階級別、性別、標準報酬月額階級別の分布の変動等を把握し、外国人被保険者の動向が公的年金制度に与える影響を分析することについて、今後検討が望まれる」、このような提言を追加しております。
私からの説明は以上となります。
○寺井部会長 ありがとうございました。
それでは、報告書の案に関して、委員の皆様から何か御意見等ありましたら、どうぞよろしくお願いいたします。いかがでしょうか。日下部委員、お願いします。
○日下部委員 日下部でございます。
報告書案について、内容に異論ございません。これまで取りまとめいただきましてありがとうございます。
今回、ポイントが去年よりより分かりやすくなったと感じております。分量は2ページから3ページになりましたけれども、読みやすさという点では、太字を活用したりなど、去年よりも読みやすくなったと感じております。また、本文についても、適宜削れる部分は削っていくという姿勢もあり、積立金の仕分のところとか、そういったところの工夫もあって、よりよいものができたと思っております。
私からは以上です。
○寺井部会長 ありがとうございました。
ほかにいかがでしょうか。では、私のほうからお願いしてもよろしいでしょうか。駒村委員、何か御意見がありましたらお願いします。
○駒村委員 まず、報告書全般としては毎年充実しているのだなと思いまして、そろえていただきまして、事務局には大変お礼を申し上げたいと思います。
今、御説明を聞きながら、またいろいろと考えなければいけない部分があるなと思って見ていたのは、例えば資料1-1の18ページ、3号の動きでありますが、3号は、前回の年金改正でもどうするかという見直しの議論がこれからあると思うのですけれども、18ページの右側が総人口に占める割合がどう変化しているのかということで、新しい年度になればなるほど全ての年齢で下がっているというのが分かるのですが、これは1つは女性の就業率の上昇と適用拡大があると思うのですけれども、このほか、未婚率の上昇みたいなものもあるのではないかなと思いますので、この辺は分解して評価をしていく必要があるのではないかなと思って、この報告書としては成立していますが、さらなる分析のテーマが残っているのではないかなと思いました。
以上です。
○寺井部会長 ありがとうございます。
佐藤委員、いかがでしょうか。何か御意見を頂戴できればと思います。
○佐藤委員 御説明、どうもありがとうございました。
私も資料が格段に分かりやすくなっていて良いと思うのですけれども、資料1-1の4ページ、5ページのポイントのところで、特に下線で「長期的な」とありますが、これはどれぐらいをもって長期であると定義するのかということは難しい問題かと思います。1つ、出生率の低下ですが、同じ資料で27ページのところ、合計特殊出生率が左側の下にございますが、今回の御報告では、これが低位の下限を破っておりません。ただ、今年は財政検証の比較の洗い替えがございましたので、これが低下を続けている、そういったところの動向についても引き続き注視をしながら見ていく必要があるかなと感じております。
私は全体の報告案にも異存がございません。どうぞよろしくお願いいたします。
○寺井部会長 ありがとうございます。
松本委員、いかがでしょうか。
○松本委員 御説明ありがとうございました。
今回初めて委員に参加させていただいて、たくさんの情報量を保ちながらも概要とポイントというものをつくって、それぞれレベル感をつけて分かりやすさも保っているという構成がとてもいいなと思いました。また、議論に参加させていただく中で、いろいろ見せ方を変えたり、もう不要と思われる部分を削除したりといった修正も行われておりまして、今後も情報量も保ちながら分かりやすさも保っていくというところについて引き続き努力していけたらいいなと思いました。
ありがとうございました。
○寺井部会長 ありがとうございます。
オンラインで参加されている猪熊委員、何か意見ございますでしょうか。
○猪熊委員 御説明ありがとうございました。
今回参加して、国民年金の保険料収入の増減要因分析などが典型かと思いますけれども、前例踏襲にこだわらずに、時代の流れに即して見直したほうがよいところは、記述内容などを見直したというのはすごくよかったと思います。それと、年金財政に長期的に影響を与えるものとして、出生動向とか死亡動向とか働き方の動向とかもございますが、外国人の存在の影響力がやはり増していると感じますので、そこの部分、関連するところの記述を増やして、影響が指摘してできるところは盛り込んでいただいたのもよかったなと思います。
まとめやポイントも年金数理の専門家の方々が知恵を絞られて分かりやすくなったと思います。ただ、私を含め一般人から見ると、年金は相当難しくて、理解するのも、報告書を読むのもハードルが高いと思うので、これは自分自身の課題でもあるのですけれども、さらに分かりやすく、自分事として制度を考えてもらうために一層の工夫が必要ではと思っています。
デジタルになじんだ若い世代向けに動画、とか音声を使った広報とか、あるいは、人の一生をストーリー性を持って制度を説明するとか、年金広報は担当部局も一生懸命やっていますが、年金数理部会も数理部会ならではの広報の仕方もあるかなと今回思いましたので、これは今後、検討していければと思います。
以上です。ありがとうございます。
○寺井部会長 ありがとうございました。
小野部会長代理、お願いします。
○小野部会長代理 ありがとうございます。
当然ながら私もこの報告書には異存ございません。
若干コメントさせていただきますと、私は公的年金財政状況報告書の検討に当たりまして、公的年金の財政の評価というのは、企業年金の財政決算とは異なることに留意してきたと思っております。1つは、企業年金の財政決算のように、直近の財政再計算で確定した基礎率に基づく単一のシナリオどおりに推移しているかを確認するのではなくて、財政検証における複数の投影結果を比較の対象として、それらの投影結果のうち、どの辺りを推移しているかというのを確認しているということなのだろうと思います。
もう一つは、社会保障制度と社会の在り方というのは互いに影響し合いながら、社会保障制度が設計を微調整するとともに、国民も社会に適合し、結果として社会保障制度との付き合い方を変えてきたという認識が必要であると思っております。
その典型的なものが今回も分析しました被用者保険の適用拡大でありまして、例えば第2章の53ページにある図表2-1-7の年齢階級別の被保険者数の総人口比を見れば、就業率の上昇とともに、特に女性や高年齢の第2号被保険者の比率がここ10年を見ても著しく上昇しているということが分かります。その結果、113ページにある図表2-2-22の新規裁定者の平均加入期間の推移は、平均加入期間の延びを示しています。特に女性については、118ページにある図表2-2-24、旧厚生年金の老齢相当の受給者の年齢別の平均月額において、若い受給者の水準が上昇している要因として、平均加入期間が延びているという影響もあるというふうに分析されたということであります。こうした事実が2024年の財政検証における分布推計の結果に反映されているというふうに理解しておりまして、こうした変化を考慮すると、分析は慎重に検討しなければいけないと考えております。
以上でございます。
○寺井部会長 ありがとうございました。
委員の皆様には今後の課題にもつながる貴重な御意見をいただいたと思っております。そのほかに何かありますでしょうか。
報告書そのものの修文が必要との御意見は特にございませんでしたので、これをもちまして、本部会の令和6年度公的年金財政状況報告とさせていただきたいと思います。よろしいでしょうか。
(委員首肯)
○寺井部会長 では、異議がないものと認めます。
それでは、これを本部会の報告とさせていただきたいと思います。
なお、誤字脱字等の細部の修正が必要になった場合には、私に御一任いただければと存じます。
(委員首肯)
○寺井部会長 以上で令和6年度公的年金財政状況報告についての審議は終了しました。
次に、その他の議題として年金局事業企画課調査室の村木室長より資料2について御報告いただけるとのことですので、どうぞよろしくお願いいたします。
○村木調査室長 年金局事業企画課調査室長の村木でございます。本日は御報告の機会をいただきましてありがとうございます。
私からは、今年の2月に「老齢基礎年金の併給状況」という統計を新たに公表しまして、個人単位で併給を反映した年金額分布を初めて集計いたしましたので、こちらについて、資料2により御紹介、御説明申し上げます。
まず、資料の1ページに概要を示しております。公的年金制度は、老齢、障害、遺族といった支給事由により給付が行われておりますが、これまで事業年報に掲載されている統計表等は、基本的に年金種別ごとに集計しておりまして、老齢年金の統計、障害年金の統計、遺族年金の統計と、それぞれ個別に作成してきたところです。
今般、併給状況も踏まえた個人単位の年金額を把握する新たな統計として、主に老齢基礎年金受給者を対象としまして、併給ができます遺族厚生年金も勘案して、併給状況別の受給者数と老齢厚生年金、遺族厚生年金を合算した年金月額の分布統計を作成しました。
集計に当たりましては、基礎年金番号を用いて個人を名寄せしまして、異なる年金種別を統合・合算した受給者数、年金月額を取りまとめております。実際に公表した統計資料は、末尾の13ページ以降に参考資料としてつけております。
分布統計に関しましては2ページ目でございますが、令和2年の参議院附帯決議におきまして、分布推計について検討を行い、その結果を公表するよう求められ、令和6年の財政検証におきまして、各世代の65歳時点における老齢年金の年金額の分布推計を作成したという経緯がございます。これに対応して、実績についても年金額の分布を把握する観点から今回の統計を作成したものでございますが、その際、財政検証における推計対象の整理も踏まえまして、老齢基礎年金受給者を主な対象とするとともに、実態把握の観点から併給可能な遺族厚生年金を含めた年金額の分布として整理したものです。
既存の統計にも年金額分布はございまして、2ページの下でございますが、基礎年金と厚生年金の受給権者の年金月額階級別の分布を以前から公表しております。
基礎年金の分布につきましては、2階部分の厚生年金を受給している場合でも、1階部分である基礎年金の年金月額のみを対象とした統計を、また、厚生年金の分布につきましては、厚生年金の受給権者について、同じ年金種別、例えば老齢厚生年金であれば、老齢基礎年金の年金月額を含めて統計を作成しているところでございます。
3ページに参考として併給できる基礎年金と厚生年金の組合せを示しております。左側が基礎年金、上側が厚生年金を示しており、左斜めの列で全て丸となっているのは同一の年金種別の組合せでございます。
異なる年金種別の場合でも丸となっている箇所がございますが、これらは65歳以上の場合に併給できる組合せを示しているものです。例えば老齢基礎年金であれば、遺族厚生年金も併給できまして、この場合、右側の枠で示しておりますように、本人の老齢厚生年金があるときは、それが全額支給された上で、遺族厚生年金のほうが高い場合はその差額が支給されるなどの調整が行われる仕組みとなっております。
4ページと5ページが併給状況とその集計範囲を図示したものでして、4ページは先ほど触れました既存の統計についてお示ししております。ここにAさんからDさんの受給状況を示していますが、1階と2階の併給状況は様々で、Aさんのように自営業などで働いてきて、老齢基礎年金のみを受給する方や、Bさんのように配偶者を亡くして、自身の老齢基礎年金と遺族厚生年金を受給する方、Cさんのように会社員として働いてきて、老齢基礎年金と老齢厚生年金を受給する方、Dさんのように65歳になる前で、老齢基礎年金は受給しておらず、特別支給の老齢厚生年金のみを受給している方などがございます。このとき、既存の老齢基礎年金の統計は、赤い破線枠のように老齢基礎年金を受給しているAからCさんの1階部分のみを集計範囲として取りまとめたものとなっております。また、老齢厚生年金の統計は、老齢厚生年金を受給しているCさんやDさんについて、青い破線枠のように老齢基礎年金も含めて集計をしています。一方、Bさんのように老齢基礎年金と遺族厚生年金を併給している場合には、遺族厚生年金は2階部分のみが遺族年金の統計として集計されるため合算されず、既存の統計では個人単位としての受給状況を把握することが難しい面がございました。
5ページ目が今回の統計の集計の対象について図示したものです。一番下の部分に、それぞれの方について老齢基礎年金との合算の対象を整理しています。AさんやCさんのように年金種別が単一の方はもちろん、既存の統計と同様に集計されますが、Bさんのように異なる年金種別を併給している場合についても、基礎年金番号を用いて名寄せを行うことで種別を越えて年金額が合算できるようになりまして、老齢基礎年金と遺族厚生年金を合わせた年金月額として把握することが可能となりました。
6ページ以降が今回の統計の集計結果になります。6ページの上段は、老齢基礎年金受給者の併給のパターンを示しておりまして、マル3が老齢厚生年金と遺族厚生年金の両方を受給するケースとなっております。下段が上段の図に対応する人数や平均年金月額を示しています。今回の統計のポイントであります老齢基礎年金を受給しつつ遺族厚生年金も受給している方、上の図ではマル2とマル3に対応しますが、その受給者数は、下の薄い緑色の部分ですが、492万人となっております。
右側の表に男女別の内訳を示しておりまして、女性が483万人と大半を占めています。平均年金月額も13.7万円と比較的高い水準となっております。また、その左のマル1の厚生年金なしの部分は老齢基礎年金のみの受給者となりますが、398万人となっております。既存の統計において老齢基礎年金のみと言う場合は、老齢という種別だけで見ますので、この図で言うと、老齢厚生年金がないマル1プラスマル2が該当し、白い枠の中ですけれども、581万人となっており、先ほどの数字と200万人近く差があります。
7ページは今回の統計の年金額分布でございます。縦軸が年金月額階級、横軸が受給者数、左側が男性、右側が女性となっておりまして、老齢基礎年金受給者について、遺族厚生年金の組合せも含めた年金月額の分布となっております。分布の形を見ますと、男女共に6~7万円の階級が最も多くなっておりますが、男性については18~19万円の階級にも山が見られます。グラフの色ですが、緑色の部分が遺族厚生年金ありの受給者で、前の6ページのマル2とマル3に対応するもので、青色が1階も2階も老齢年金の受給者で、前のページのマル4に対応するもの、白色が老齢基礎年金のみで、前のページのマル1に対応するものとなっております。
特徴を見ますと、緑色の遺族厚生年金を含む受給者については、先ほど申し上げましたとおり、大半が女性で、比較的高い金額帯に分布しておりまして、13万円以上の階級では遺族厚生年金がない受給者よりも人数が多くなっています。また、白色の老齢基礎年金のみの受給者は、特に女性において7万円未満の階級で多く分布している状況が見られます。
8ページは、令和5年度末時点の65歳の方について、老齢基礎年金受給者の年金月額階級の分布を見たもので、財政検証において65歳時点の分布推計が作成されていることを踏まえて、対応する実績として整理したものでございます。前のページのグラフのような内訳の区分は行っておりませんが、分布の形はおおむね類似をしております。一方で、65歳時点では遺族年金の受給者はまだ多くないので、特に女性において高い金額帯の人数は、先ほどの全体の分布と比べてやや少なくなっております。
9ページは老齢基礎年金受給者に老齢厚生年金の受給者も加えて作成した分布で、老齢基礎年金がなく、老齢厚生年金のみを受給しているような方も含めて見た分布です。青色と白色の部分が老齢厚生年金がある受給者で、このうち白色の部分は特別支給の老齢厚生年金の受給者を示しています。
令和5年度末時点では特別支給は報酬比例部分のみとなっており、女性は男性よりも支給開始が5年遅れて設定されておりますので、特別支給の受給者が多く、3万円未満の階級辺りに分布をしております。
10ページは既存の分布統計や分布推計との違いを参考としてお示ししたものです。下の表にございますように、左が既存の事業年報における分布統計、中央が今回の統計、右が財政検証における分布推計で、それぞれの対象者や年金額、支給停止額などの扱いを比較したものとなっております。
今回の統計の特徴としましては、65歳時点の分布も作成していることに加えて、遺族厚生年金を含めた年金額としている点、さらに支給停止されている年金額は含めずに集計をしているという点が挙げられます。
11ページは既存の事業年報の平均年金月額との比較をお示ししたもので、左側が今回の統計、右側が既存の統計の結果となっております。左上の今回の結果に対応するものとして、右側の老齢厚生年金受給者の結果を比較いたします。こちらの右側の老齢厚生年金受給者には特別支給の老齢厚生年金の受給者も含まれる点は留意が必要ですが、女性の平均年金月額を比較いたしますと、既存の統計では7.9万円であるのに対して、今回の統計では9.4万円となっており、遺族厚生年金を含めて集計している影響が現れております。
また、下の参考で示しております厚生年金の比較において、遺族厚生年金の結果を比べてみますと、右の既存の統計では同一種別ごとの集計ですので、基礎年金については、遺族基礎年金がある場合に限り合算をされております。しかし、遺族基礎年金の受給者数はあまり多くないため、既存統計の遺族厚生年金の平均年金月額は8.5万円と相対的に低い水準となっています。これに対し、左側の今回の統計では、老齢基礎年金など併給できる基礎年金を含めて集計しているため、平均年金月額が13.1万円と高くなっており、集計方法による違いが生じているところでございます。
12ページは財政検証の分布推計と比較したグラフで、65歳時点の老齢年金受給者の年金月額分布をお示ししたものです。注書きにございますとおり、今回の統計は令和5年度末時点で65歳であるのに対し、財政検証は令和6年度末時点で65歳である点に留意が必要ですが、グラフを見ますと、分布の形はおおむね一致していることが確認できます。
13ページ以降は、冒頭触れましたとおり、今回公表している統計資料を参考資料としておつけしたものです。こちらにつきましては、ホームページのe-Statにおいてエクセルファイルで掲載しております。
私からの説明は以上です。
○寺井部会長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの御説明に関して何か御意見等ありましたら、よろしくお願いいたします。駒村委員、お願いします。
○駒村委員 併給の情報がこれまで分かっていなかったので、非常にいい統計を発表していただけたと思います。
12ページの解説が「概ね一致している」と言っているのですけれども、2か所低いほうで差がちょっと出ていていますね。ちょうど高いほうがその分減っていると。これは男女計で出ていますが、これは男女計でなくて男女別々で見るとどんな状態になっているのかなと少し関心を持ちました。
以上です。
○寺井部会長 いかがでしょうか。
○鈴木数理課長 数理課長でございます。
分布推計は男女それぞれで出しておりますのであれですけれども、今、手元ですぐ出すものはないのですが、そもそも少し差があるというところがありますと。5~7万円のところは財政検証のほうが少し少なくて、15~20万円のほうが逆にずれているというところがございます。先ほど10ページのところで前提の違いというのを調査室長からも説明させていただきましたけれども、何で幾らずれているというところまではちょっと難しいのですが、一番重要なところは、支給停止の扱いについて、それぞれで違うというのが大きいのかなと考えております。分布推計のほうは、加入記録から純粋に年金額を計算して、その年金額の分布という形で出している。一方で、今、御説明させていただいた分布の実績のほうは、まさに支給額のベースになっている。65歳ですので、一番大きいのは在老の停止ではないかと思っております。定量的にそれでどれぐらいというのは申し上げられない、難しいところですけれども、高額のところですと、在老で止まって支給停止になった分が下のほうの分布にずれるというのがあるのではないかと今のところは考えているところでございます。
そのほかにも、65歳ですので、繰下げはいないのですが、繰上げでもらっている方がいらっしゃったり、その他、加給とかについては、実績のほうには入るけれども、分析のほうには入らないとか、そういった細かいところの違いもありますけれども、多くはそういった支給停止の影響があって幾つかのところでずれが生じているのかなというふうには思っております。
○寺井部会長 駒村委員、いかがですか。
○駒村委員 はい。
○寺井部会長 そのほかに質問ございますでしょうか。小野部会長代理、お願いします。
○小野部会長代理 ありがとうございます。
資料を拝見していてなかなか理解が追いついていないというのが正直なところですけれども、率直な感想としましては、今回の遺族年金を含む統計に関しましては、特に女性に関する給付の適正性ということに関して少し見方が変わってくるかもしれないなと感じました。その点で気になるのは、そもそも財政状況報告書にはこのような情報がなかったわけですので、今後どうするのかというのは、事務局をはじめ、御関係の皆様にお伺いしたいという点が1点です。
それから、今、御説明もありましたが、65歳時点の給付額については、この年齢ですと、遺族給付の影響というのはそれほど大きくないのではないのかなと想定しつつ、今、駒村委員が指摘されました、12ページの金額の低いほうと少し高いほうの差異に関しての要因というのを私も少しお聞きしたいなと思っていました。今の御説明である程度理解しましたが、そういうことであれば、特に令和5年度と6年度という時点の違いがありますので、この実績に関しては、6年度が出た時点でもう一回比較した結果を見せていただくというのも1つ分析の参考になるのではないのかなと思いました。
以上です。
○寺井部会長 ありがとうございます。
2点御質問をいただいたのですけれども、いかがでしょうか。お願いします。
○楠田首席年金数理官 事務局でございます。
財政状況報告にこのような新しい統計が出たことについてどのように対応していくのかという御質問をいただいたかと思います。今回財政状況報告自体は令和6年度の結果をお示ししていますが、新しい統計については現在令和5年度のものを出していただいており、これは少し統計が出る時点がずれていることによるものです。どういった形で財政状況報告のほうに取り込んでいけるのかというところは、今後調査室等々とも相談しながら対応していきたいと考えております。
○寺井部会長 小野委員、いかがですか。
○小野部会長代理 承知しました。ありがとうございます。
○寺井部会長 もう一つの点について、よろしくお願いします。
○鈴木数理課長 数理課長でございます。
実績と分布推計との比較を時点をそろえたところでということで、昨年のピアレビューのほうでも分布推計のやり方についていろいろと御意見をいただいたところございますので、そこは実績との比較も踏まえて、まさに分布推計をこれからどのようにやっていくかという重要なところになると思いますので、どういった形でできるかはありますけれども、引き続き実績との違いと、あと分布推計をどうやって改善していけるかというのは考えていきたいと思っております。
○寺井部会長 ありがとうございます。
いかがですか。
○小野部会長代理 ありがとうございました。
○寺井部会長 そのほかに御意見、御質問等ございますでしょうか。
それでは、特段御意見、御質問等がないようですので、この件はお二方の御質問ということにさせていただきたいと思います。
では、最後に朝川年金局長より御発言があるとのことですので、よろしくお願いいたします。
○朝川年金局長 ありがとうございます。
最後に私のほうから一言御礼の御挨拶をさせていただきます。寺井部会長をはじめ、年金数理部会の委員の先生方には、これまで大変精力的に御審議いただきまして、また、本日、令和6年度の公的年金財政状況報告を取りまとめていただきまして、ありがとうございます。先生方には令和6年度における公的年金の財政状況について、専門的な観点から横断的に分析・評価していただきまして、実績の動向とその背景を明らかにしていただきました。本日お伺いしていても示唆に富む分析・評価がたくさんございました。
また、令和6年度は、令和6年財政検証と比較する初年度ということでしたが、実績を令和6年財政検証の前提や将来見通しと比較していただくことによって、足元の年金財政の状況について理解を深められる大変充実した内容の報告書をお取りまとめいただいたと考えてございます。
年金局といたしましても、部会として取りまとめていただいた結果につきまして、分かりやすく発信していくことなど、引き続き取り組んでまいりたいと考えております。
このたびは誠にありがとうございました。
○寺井部会長 ありがとうございました。
それでは、事務局から連絡がありましたらお願いいたします。
○楠田首席年金数理官 今後の日程につきましては、調整して御連絡申し上げますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○寺井部会長 それでは、第110回「年金数理部会」はこれにて終了いたします。どうもありがとうございました。
審議に入ります前に、資料の確認をさせていただきます。本日準備している資料は、議事次第、委員名簿、座席図のほか、資料1として「公的年金財政状況報告-令和6(2024)年度-(案)」。こちらは資料1-1から1-5の分冊に分かれております。資料2として「『老齢基礎年金の併給状況』の公表について」でございます。
次に、本日の委員の出欠状況について御報告いたします。本日は、嵩委員から御都合により欠席される旨の連絡を受けております。
御出席いただきました委員の方が3分の1を超えておりますので、会議は成立しておりますことを御報告申し上げます。
なお、猪熊委員、庄子委員につきましては、オンラインでの御参加でございます。庄子委員は遅れて御参加との連絡をいただいております。
それでは、以降の進行については寺井部会長にお願いいたします。
○寺井部会長 委員の皆様には御多忙の折、お集まりいただきましてありがとうございます。
本日は、「令和6年度公的年金財政状況報告」について審議を行いたいと思います。
カメラの方がいらっしゃれば、ここで退室をお願いいたします。
令和6年度の報告書の作成に当たっては、委員の皆様に御協力いただき、あらかじめ作業班において作業を行い、本日の資料である報告書案を作成いただきました。
それでは、事務局から本年度の報告案について、説明をお願いいたします。
○楠田首席年金数理官 委員の皆様には作業班で報告書案の作成に御尽力いただき、ありがとうございました。作成いただいた令和6年度の公的年金財政状況報告の案について、事務局より御説明させていただきます。
報告書の案は資料1-1から1-5まで5つに分かれておりますが、本日は資料1-1にありますポイントと概要を中心にここは御説明し、追加で概要に取り上げられていない事項を御紹介させていただきたいと思います。
それでは、資料1-1を御覧ください。最初に表紙、次に委員名簿がございます。その後に、ページ番号で3ページから5ページになりますが、これらは令和6年度の公的年金財政状況報告のポイントとなっています。こちらのポイントは、年金数理部会としてこの報告で最もお伝えしたいことをまとめたものになります。
中身に入りますと、まず3ページの上の枠囲みの中にありますとおり、「公的年金財政状況報告」は、年金数理部会が、公的年金の毎年度の財政状況について、各制度・各実施機関からの報告に基づいて、専門的な観点から横断的に分析・評価を行った結果を取りまとめたものです。この報告では実績の動向を明らかにし、また、財政検証との比較や財政状況の評価といったことを行っていますほか、共済組合等も含めた厚生年金全体での財政状況を取りまとめています。
お伝えすべきポイントは2つあり、1つ目は公的年金の収支状況についてです。3ページの下の図表、令和6年度の単年度収支状況を見ていただきたいと思います。こちらは年金数理部会が公的年金の財政状況を制度横断的に比較・分析しているものとなります。表側に収支項目が並んでいますが、ここでは賦課方式を基本とする財政運営が行われていることを踏まえ、財政収支状況について、運用損益分を除いた単年度収支残と運用損益に分けて分析をしています。また、表頭には厚生年金計、国民年金勘定、基礎年金勘定、公的年金制度全体とありますが、一番左の厚生年金計は、共済組合等を含めた厚生年金全体の数値になっています。この厚生年金計については、平成27年10月に被用者年金が一元化されていますが、効率的な事務処理を行う観点から、共済組合等を実施機関として活用することとなっている関係で、厚生年金の財政は、厚生年金勘定と厚生年金の実施機関たる共済組合等の厚生年金保険経理に分かれて管理されておりまして、厚生年金拠出金、厚生年金交付金をやり取りすることで財政的に一元化されています。
決算についてもおのおのに分かれて実施されていますが、ここでは報告いただいた資料を基に、厚生年金勘定と国共済、地共済、私学共済の厚生年金保険経理を合わせた厚生年金全体の財政収支状況を取りまとめています。その際、単純に各実施機関の決算の数値を合計するわけではなく、厚生年金全体としての財政収支状況を捉えるために、例えば厚生年金拠出金、厚生年金交付金といった厚生年金の実施機関の間でのやり取りについては、収入・支出の両面から取り除いて整理をしています。
また、この厚生年金計と隣の国民年金勘定、基礎年金勘定を合わせたものが一番右の欄の公的年金制度全体の財政収支状況になります。ここでも公的年金制度内のやり取り、図表中で言えば、マル1の基礎年金交付金、マル2の基礎年金拠出金になりますが、こちらは収入・支出に同じ額が計上されて相殺されることになるので、こうした公的年金の制度内でのやり取りは、収入・支出の両面から除いています。このように、厚生年金全体や公的年金制度全体について財政収支状況を明らかにすることもこの年金数理部会の大きな役割の1つであると考えています。
さて、令和6年度の公的年金制度全体の単年度収支状況について見ていきますと、図表の一番右の欄になりますが、収入面では保険料収入が43.1兆円、国庫・公経済負担が12.1兆円となっており、運用損益分を除いた単年度の収支総額は55.7兆円となっています。
一方、支出面を見ますと、大宗を占める給付費は55.3兆円で、支出総額は55.8兆円となっています。この結果、運用損益分を除いた単年度収支残は0.1兆円のマイナスでした。また、運用損益は、時価ベースで2.0兆円のプラスとなっています。これらの結果、公的年金制度全体の時価ベースの年度末積立金は、前年度末に比べて2.0兆円の増加で、306.0兆円となりました。
続きまして、4ページを御覧ください。こちらはポイントの2つ目ということで、公的年金の財政状況の評価です。ここが今回の財政状況報告における最も重要な結論となっています。この報告では、令和6年度までの実績と令和6年財政検証の前提や将来見通しを比較して分析を行っていますが、公的年金の財政状況の評価に当たっては、そういった比較だけではなく、長期的な財政の均衡の観点から評価をしています。評価については水色の枠囲みの中に記載しています。おのおののバックデータについては、後ほど概要の御説明の中で触れさせていただきますので、ここでは評価の結果を述べさせていただきたいと思います。
枠囲みの中、1つ目の丸にありますように、令和6年度は令和6年財政検証における将来見通しと比較する初年度となっています。その下は令和6年度の実績について確認したことを挙げています。まず、マル1ですが、国民年金第1号被保険者数、厚生年金被保険者数共に実績が将来見通しを上回っています。これは、外国人入国超過数が令和6年度財政検証の前提となった国立社会保障・人口問題研究所による令和5年将来推計人口、以降は単に「令和5年推計」と呼ばせていただきますが、これにおけるいずれの仮定値も上回っていることが影響していると考えられます。また、65歳の平均余命は、令和5年推計における死亡高位の仮定値と同水準となっており、これらは公的年金財政にプラスの効果となります。
次に、マル2ですが、合計特殊出生率は平成28年より低下傾向が続いており、令和6年の実績は令和5年推計における出生低位の仮定値とおおむね同水準となっています。また、対物価上昇率で見た実質賃金上昇率は、令和6年財政検証におけるいずれのケースの前提も下回っており、これらは公的年金財政にマイナスの効果となります。
また、マル3にある積立金については、令和5年度末の実績が将来見通しを上回っていたこともあり、令和6年度末においても実績が将来見通しを上回りました。なお、令和5年度末の実績が将来見通しを上回った部分のほとんどは、将来見通しの積立金に平滑化したものが使われていることによるものです。
5ページに参りまして、マル4ですが、令和6年度は、マクロ経済スライドによる給付水準調整が行われた一方で、賃金の上昇が物価上昇に追いつかず、実質賃金の伸びはマイナスとなったことから、前年の令和5年度とは異なり、既裁定年金の伸びを賃金の伸びより抑制する効果は発動されませんでした。
2つ目の丸にありますように、このように確認した将来見通しからの乖離が、一時的なものではなく中長期的に続いた場合には、年金財政に与える影響は大きなものとなります。特に、令和6年の合計特殊出生率は令和5年より低下し、令和5年推計における出生低位の仮定値とおおむね同水準となっておりますが、このような傾向が今後も続くようであれば、将来の年金制度の運営は大きな影響を受けることになります。とはいえ、年金財政の観点からは、人口要素、経済要素等いずれも短期的な動向にとらわれることなく、長期的な観点から財政状況の動向を注視すべきであると。こちらが今回の報告における公的年金の財政状況の評価となります。
ポイントについては以上となります。
次に、6ページ以降の公的年金財政状況報告の概要について御説明させていただきます。
7ページ、項番0番のスライドを御覧ください。上の枠内の記載については、ポイントでも御説明しましたが、その下に報告書の構成をお示ししており、構成は第1章、第2章、第3章、付属資料となっています。第1章では報告書全体を理解する上で必要となる基本的な事項を中心に公的年金の概要を説明しています。第2章では被保険者、受給権者、財政収支、財政指標の現状と推移について、実績の確認や分析を行っています。第3章では、財政検証結果との比較ということで、実績と令和6年財政検証の将来見通しとの比較、積立金の乖離の分析、財政状況の評価といったことをしています。この概要では、報告の第2章と第3章から重要と思われるところを抜粋して掲載しております。
次に、8ページを御覧ください。ここからの4ページでは報告を読む際の基本的な情報として、項番aからdの資料を掲載しています。まず、項番aは年金数理部会についてまとめたものです。図の下のほうにありますように、年金数理部会のミッションとしては、各制度において実施される財政検証についてピアレビューをするということ。それから、右側になりますが、各制度実施機関から毎年度の決算について御報告いただき、それらを分析・評価し、公的年金財政状況報告を取りまとめるといったことになります。今回の報告は、この公的年金財政状況報告の令和6年度版という位置づけになります。
次に、9ページの項番bの資料を御覧ください。こちらは年金数理部会の役割について図示したものとなっております。
続きまして、10ページ、項番cの資料は年金制度の体系図になります。こちらは第1章にも記載しております。
続きまして、11ページの項番dは公的年金の資金の流れを示したものです。経過措置が終了した後の姿ということで、基礎年金交付金などは省いてありますが、大まかな資金の流れが分かるようになっております。
続きまして、12ページからは報告書の抜粋を掲載しておりますが、まずは被保険者の現状及び推移ということで、第2章第1節より抜粋しています。
13ページの項番1を御覧ください。こちらは公的年金の被保険者数の推移になります。近年の状況を見ますと、国民年金第1号被保険者と第3号被保険者が減少して、厚生年金の被保険者が増加する傾向でございます。令和6年度もこの傾向が続いており、公的年金制度全体の被保険者数は、前年度から0.2%の増加となっています。厚生年金については全体で1.6%の増加となっているのですが、このうち短時間労働者の増加率は21.2%となっていました。
続きまして、14ページ、項番2は被保険者の年齢分布になります。令和6年度末の被保険者の年齢分布をグラフでお示ししていますが、左上にあります厚生年金計では50歳から54歳の割合が最も大きくなっています。こちらは団塊ジュニア世代の方が属しているところになります。隣の厚生年金保険者のうち短時間労働者について見ますと、男性は緑色になりますが、60歳以上の被保険者が多くなっています。また、オレンジ色の女性は45歳から64歳のところが多くなっています。
左下の国民年金第1号被保険者を見ますと、20歳から24歳のところが最も大きくなっており、ここは主に学生の方が属しているところです。
続きまして、15ページ、項番3からは年齢分布の変化を見ています。まずは厚生年金計について見てみますが、左側が被保険者数、人数のグラフになっており、右側が総人口比のグラフになっています。直近の令和6年度末とその5年前、10年前を比較しています。まず、厚生年金計の男性ですが、左側のグラフの青い折れ線になりますが、最も被保険者が多い年齢階級が、10年前は40歳から44歳だったのですが、その5年後には45歳から49歳、そして令和6年度末には50歳から54歳ということで、シフトしてきていることが分かると思います。こちらは団塊ジュニア世代が移ってきているということになります。
一方、女性を見ていただきますと、5年前に比べて、一部15歳から24歳のところは少し減少しておりますが、全体として被保険者数が増加していることが見てとれます。
こちらの被保険者数については、先ほど団塊ジュニア世代ということを言いましたが、元の人口の規模の影響を受けてしまうために、これだけで見るとなかなか状況が把握しづらいということで、右に総人口比として年齢階級ごとに被保険者数の人口に対する割合を示したグラフを載せています。総人口比を見ると、5年前と比べますと、若年層を除き全体的に上昇しており、その上昇幅は女性のほうが大きくなっています。また、一番右の65歳以上のところの総人口比を見ていただきますと、この総人口比は上昇しており、65歳以上の雇用が進展している状況が分かると思います。
続きまして、16ページ、項番4は短時間労働者について見たものですが、詳細な分析を項番8から10でしておりますので、そちらで説明させていただきます。
続きまして、17ページ、項番5は国民年金第1号被保険者についてです。国民年金第1号被保険者は、左側の人数で見ますと、団塊ジュニア世代のシフトを除けば、男女共に全体的に被保険者数が減少しています。右側の総人口比で見ますと、5年前と比べて、男性は20歳から24歳、60歳から64歳のところを除いて低下しており、女性は20歳から24歳を除いて低下しています。
続きまして、18ページ、項番6の国民年金第3号被保険者についてです。第3号被保険者についてはほとんどが女性ということなので、女性を中心に見ていきますが、左側の人数で見ますと、49歳以下の被保険者数の減少が著しくなっています。右側の総人口比で見ますと、年齢を問わず全体的に比率が下がってきており、女性は5年前と比べて全ての年齢階級で低下していることが分かると思います。
続きまして、19ページの項番7ですが、こちらは厚生年金の標準報酬月額別被保険者の分布になります。男性を見ていただきますと、最高等級の65万円の被保険者が最も多くなっています。女性を見ますと、22万円のところにピークがある分布となっております。一方、右側の短時間労働者について見ますと、男性・女性共に12.6万円のところにピークがある分布になっています。
続きまして、20ページの項番8から項番10ですが、令和6年度は10月に短時間労働者の企業規模要件が100人超から50人超へ拡大されたことから、本報告では短時間労働者の厚年適用が開始された以降の短時間労働者の適用状況を分析しております。
まず、20ページの項番8ですが、左側のグラフで厚生年金に適用される短時間労働者数を月次で見ますと、男女ともおおむね増加し続けていますが、女性の伸びが男性よりも高い傾向にあります。また、短時間労働者数は、新たに適用拡大が実施された月の前後で大きく増加しています。
右側のグラフは、一定の要件を満たす短時間労働者について、厚生年金の適用が開始された平成28年10月、その後、企業規模要件を拡大した令和4年10月、令和6年10月といった適用拡大前後の6月の月次推移を見ていますが、いずれの適用拡大においても適用拡大を実施した10月末で短時間労働者数が大きく増加しています。対前年同月差で見ても10月末で大きく増加していますが、増加幅は平成28年10月末が最も大きく、その幅はだんだんと小さくなっています。
次に、21ページの項番9ですが、こちらは短時間労働者の厚生年金適用が開始または拡大した年度である平成28年度、令和4年度、令和6年度の末時点でそれぞれ短時間労働者の年齢分布を男女別で比較して、その変化を見たものとなっています。令和6年度末の短時間労働者は、平成28度末や令和4年度末に比べて、全ての年齢階級で増加し、構成比で見ると、年齢分布は男女共にピークが年齢の高いほうにシフトしていることが分かります。
なお、次の項番でも同様ですが、各時点間の変化は、適用拡大だけでなく、他の就労状況の変化の影響も含まれていることについて留意が必要となります。
22ページの項番10は標準報酬月額別分布の変化を見たものですが、こちらも令和6年度末のほとんどの階級で平成28年度末よりも増加しており、構成比で見ると、男女ともピークが等級の高いほうにシフトしていることが分かります。
続きまして、23ページからは受給権者の現状及び推移になりますが、こちらは第2章第2節から抜粋しています。
24ページの項番11を御覧ください。こちらは受給権者の年金総額の推移になります。令和6年度末の年金総額は、公的年金制度全体で59.6兆となっており、前年度末に比べて2.6%の増加となっています。年金額改定率がプラスだったこともあり、前年度末に比べて全ての制度で増加しました。
続きまして、25ページの項番12は老齢・退年相当の受給権者の年齢分布となっています。こちらは厚生年金の実施機関ごとに示しています。左上に旧厚生年金とありますが、これはいわゆる民間被用者の方の厚生年金のことで、事業統計ですと、厚生年金第1号と呼んでいるものの数値になります。年齢分布を見ますと、国共済を除き、男女共に全ての制度で70歳から74歳のところが最も多くなっており、国共済では男女とも75歳から79歳のところが最も多くなっています。
続きまして、26ページの項番13ですが、こちらは共済組合等の職域加算部分を除いた老齢・退年相当の平均年金月額となります。共済組合等の共済年金には職域加算部分が含まれていますので、これらの職域加算部分を除いた厚生年金相当部分の年金額を推計しています。推計した結果ですが、この表の一番右を見ていただきますと、厚生年金計の平均年金月額は男女計で15.5万円。男女別に見ますと、男性が17.3万円、女性が12.0万円となっています。
続きまして、27ページの項番14は老齢相当の受給権者の年齢階級別平均年金月額になります。枠囲みの中にありますように、旧厚生年金の平均年金月額は、受給権者全体の平均加入期間が長くなっている中で、令和4年度までは減少傾向にありましたが、その要因としてはここに挙げたマル1からマル6の要因が考えられます。その後、令和5年度以降は年金額改定率の引上げがそれまでと比べて大きかったことにより上昇に転じております。グラフでは、旧厚生年金について年齢階級別の平均年金月額を、直近の令和6年度末と5年前、10年前と比較していますが、特に10年前から5年前にかけて減少していた部分の要因を記載していますので、御覧いただければと思います。
続きまして、28ページの項番15ですが、こちらは老齢相当の年金月額階級別受給権者数です。旧厚生年金については、基礎年金を含む額でお示ししています。グラフを見ていただきますと、男性は18~19万円のところに、女性は10~11万円のところにピークがあるということです。
続きまして、29ページから財政収支の現状ということで、第2章第3節から抜粋しています。
30ページの項番16は令和6年度の単年度収支状況でございまして、こちらは先ほどポイントのところで御説明しましたので、省略させていただきます。
続きまして、31ページの項番17は、厚生年金の保険料収入の増減要因の分析となります。右上のところに保険料収入の推移がありますが、厚生年金計を見ますと、令和6年度では3.2%増加しており、実施機関別で見ても全て増加しています。要因別の寄与を見ますと、国共済以外については被保険者数の増加が保険料収入を増加させる方向に寄与しています。また、いずれの実施機関も1人当たり標準報酬額の増加が増加要因となっており、さらに私学共済では保険料率の引上げも増加要因となっています。
続きまして、32ページを御覧ください。ここからは財政収支等及び財政指標の実績と将来見通しとの比較ということで、第3章の第2節と第3節から抜粋しています。ページの下のほうにありますように、実績と比較する将来見通しについては、令和6年財政検証における諸前提に加えて、主な制度改正項目を反映した上で行った試算結果を用いていることに御留意ください。
まず、33ページの項番18ですが、こちらは合計特殊出生率と65歳平均余命の実績と前提の比較になります。左側が合計特殊出生率のグラフで、黒い線が実績、点線が令和5年推計の仮定値になっています。こちらを見ますと、先ほどポイントでも御説明しましたが、令和6年の実績は前年よりも0.05ポイント低下していまして、令和5年推計と比較すると、出生低位の仮定値と概ね同水準であることが確認できるかと思います。
右側は65歳平均余命のグラフです。令和6年の実績は、前年と比べると男性は0.06年低下し、女性は横ばいで、令和6年については男女共に令和5年推計における死亡高位の仮定値とおおむね同水準であることが確認できます。
続きまして、34ページの項番19は、20歳に達した者が65歳に達するまで生存する確率である生残率、外国人入国超過数の実績と前提の比較になります。こちらの右側のグラフを見ると、令和6年の外国人入国超過数の実績は34.2万人となっており、財政検証に用いられた最も高い前提である条件付推定の仮定値25万人を上回っていることが確認できます。
続きまして、35ページからは経済前提について見ています。項番20は、物価上昇率と名目賃金上昇率の実績と前提の比較です。黒い実線が実績、赤い点線が参考ケースの前提、青い点線がベースラインケースの前提となっています。令和6年の物価上昇率の実績は2.7%となっており、いずれの前提ともおおむね同水準であることが分かります。また、令和6年度の名目賃金上昇率の実績は2.12%となっており、いずれのケースの前提も下回っていることが確認できます。
続きまして、36ページの項番21は、実質賃金上昇率と実質的な運用利回りについて見たものです。実質賃金上昇率は対物価上昇率で見た賃金上昇率になりますが、令和6年度の実績については、先ほど見た名目賃金が伸びなかった影響によりまして、いずれの財政検証における前提をも下回っているということになります。また、実質的な運用利回りは、対名目賃金上昇率で見た運用利回りになりますが、一番下に書いてありますように、運用利回りについて、実績と前提を比較する際には、公的年金では保険料や新規裁定の給付費が名目賃金上昇率を基本として増減することから、長期的な観点からは、実質的な運用利回りと比較することは適当であると考えており、ここでは実質的な運用利回りについて見ています。
黒い実線で示されています実績を見ますと、令和6年度は成長型経済移行・継続ケース、過去30年投影ケースのいずれの前提も下回っている状況です。なお、運用利回りは、単年度の変動が大きいことから、過去5年度分を平均した5年移動平均で比較しますと、グラフの黄色の線になりますが、こちらで見るといずれの前提も上回っています。
次に、37ページを御覧ください。項番22は労働力率についてです。黒い実線が令和6年の実績、点線が令和7年の推計値となっています。令和6年の実績と令和7年の労働参加進展シナリオの推計値、赤の点線を比較しますと、比較している推計値は実績よりも1年先のものとなっていますが、男性では15歳から24歳、女性では15歳から19歳、30歳から49歳、60歳以上のところで既に実績が推計値を上回っている状況になっています。
続きまして、38ページの項番23は被保険者数と受給者数の実績と将来見通しとの比較をしたものになります。被保険者数については、先ほどポイントで取り上げた事項になります。
グラフは、実績を黒の星印で、財政検証の将来見通しを棒グラフで示していますが、令和6年度は、上の段の左側の厚生年金計、右側の国民年金第1号被保険者のいずれも実績が将来見通しを上回っている状況になっています。また、受給者数については、下の段の左側の厚生年金計、右側の基礎年金のいずれも実績が将来見通しを下回っている状況になっています。
次に、39ページの項番24を御覧ください。ここからは収支の主な項目について見ています。実績と財政検証結果との比較に当たりましては、将来見通しの対象範囲が決算ベースと異なる場合には、決算の実績に一部修正を加えて財政検証ベースの実績を作成しまして、それと財政検証の結果を比較しております。また、財政検証には複数のケースがございますが、ここでは例示として成長型経済移行・継続ケース、過去30年投影ケースと比較をしています。
上の段の保険料収入についてですが、令和6年度については厚生年金計、国民年金勘定共に実績が将来見通しを上回っている状況です。また、下の段の給付費については、令和6年度は厚生年金計、国民年金勘定共に実績が将来見通しを下回っている状況となっています。
なお、ここで言う国民年金勘定の給付費は、注に書いてありますように、国民年金第1号任意加入被保険者に係る付加年金などの国民年金独自の給付に係るものとなっております。左側の厚生年金計のグラフとは金額のスケールが違っているので、そこは御留意いただければと思います。
続きまして、40ページの項番25は基礎年金拠出金についてです。令和6年度は厚生年金計では実績が将来見通しを下回っている状況となっており、右側の国民年金勘定では実績が将来見通しとほぼ同水準ということになります。
次の41ページの項番26は積立金についてです。黒の星印が実績、白の丸印が時価評価による変動を平滑化した後の積立金額を示しています。まず、令和6年度末の実績を見ますと、厚生年金計、国民年金勘定のいずれも実績が将来見通しを上回っています。また、平滑化後の積立金額で見ても、同様に令和6年度は将来見通しを上回っている状況になっています。
続きまして、42ページの項番27は財政指標についてです。年金数理部会では財政状況の把握の一助とするために、年金扶養比率や総合費用率、積立比率など幾つかの財政指標を作成して分析しているところですが、ここではそのうち年金扶養比率と積立比率を取り上げています。上側の図が年金扶養比率で、これは制度の成熟度を表す指標ですが、被保険者数は将来見通しを上回り、受給者数は将来見通しを下回ったということで、令和6年度の年金扶養比率は厚生年金計、基礎年金共に実績が将来見通しを上回っている状況となっています。
下側の図は積立状況を表す積立比率です。こちらも令和6年度は厚生年金計、国民年金勘定共に実績が将来見通しを上回っている状況となりますが、平滑化後を見ると、国民年金勘定の実績は将来見通しを下回っています。
続きまして、43ページからは積立金の乖離の分析と財政状況の評価になります。
まず、44ページの項番28を御覧いただきたいのですが、こちらは積立金の乖離の分析について、乖離分析の流れを図で表したものになっております。概略を御説明しますと、一番左にありますように、令和6年度末において積立金の将来見通しからの乖離があるわけですが、まずそれを左側から2つ目にありますように、令和5年度末の積立金の乖離と令和6年度に係る発生要因の寄与に分解いたします。次に、左から3つ目、令和6年度に係る発生要因の寄与について、さらに名目運用利回りの乖離によるものとそれ以外のものの2つに分解します。それから、一番右になりますが、さらにそれらについて細かく発生要因別に分解するということで、乖離の内容を細かく分けるということをしております。
次の45ページからがこの乖離分析の結果になります。項番29ですが、こちらは積立金の実績と将来見通しの乖離について、発生年度ごとに乖離状況を見たものです。上段左側のグラフは成長型経済移行・継続ケースにおける厚生年金計についてですが、一番左側に令和6年度末の将来見通しと実績の乖離を示しており、右側のところにそれを令和5年度末の積立金の乖離と令和6年度発生要因の寄与計に分解したものを示しています。令和6年度末は実績が将来見通しを上回っている、乖離がプラスとなっていますが、それは令和5年度末積立金の将来見通しからの乖離が、令和6年度に係る発生要因の寄与計のマイナスを上回ってプラスになったことによるものです。なお、令和5年度末積立金における将来見通しと実績の乖離のほとんどは、今回の財政検証から将来見通しの積立金に平滑化したものが使われていることによるものとなっており、そのことは時価評価額と平滑化後の額の乖離分とその他の乖離分に分けて示したうち、前者のほうが大きくなっていることからも分かります。他のケース、国民年金勘定についても同様の状況となっています。
続きまして、46ページの項番30は積立金の乖離分析の結果で、厚生年金計、国民年金勘定それぞれについて、令和6年度発生分についての乖離の発生要因別に見たものです。図の左側のところに乖離の発生要因が、右側のところに積立金への影響を示しています。下の図にありますように、積立金の乖離について細かく分けたものから要因別に取り出して集約するということをしており、2つのケースのうちの最大値と最小値を表示しております。
左側の図を見ていただきますと、令和6年度に生じた厚生年金計の積立金の乖離は、マイナス12.9兆円からマイナス11.4兆円となっていますが、一番上の名目運用利回りの乖離の寄与が大宗を占めています。また、右側の図の国民年金勘定についても同様の状況となっています。
続きまして、47ページからは厚生年金の財政状況の評価になります。項番31では厚生年金の財政状況の評価の考え方についてまとめています。厚生年金の財政状況の評価ですが、年金数理部会では積立金の実績と評価の基準となる積立金額というものをつくり、それとの差を考察することにより行っています。「評価の基準となる積立金額」とは、財政検証の積立金の将来見通しを、実績が出ている年度については、賃金上昇率及び物価上昇率の実績と財政検証における前提との乖離に対応する分だけ補正して比較できるようにしたものです。こちらについては、詳しくは報告書の本文230ページ、231ページにありますので、そちらを御参照いただければと思います。
四角の中の2つ目になりますが、この考察では、前提として公的年金財政の均衡が下のてんびん図で言う左側の財源の全体と右側の将来の年金給付の全体で図られていること、また、保険料水準が固定された上で、将来の年金給付費が将来の保険料収入と積立金との財源と均衡するように給付水準を自動調整する仕組みになっていること、そういったことを踏まえて行っており、この分析では積立金の乖離について、積立金及び将来の保険料収入の財源と対比する形で乖離の規模を図るということで評価をしています。
評価の結果については次のページの項番32にまとめています。左側の表に分析の結果をまとめていますが、積立金の実績と評価の基準となる積立金額の推計値の差額、表で言うとマル3のところになりますが、こちらをマル4の財源との対比で見ると、一番下にあるように、プラス0.7~0.8%となっています。また、表の中の括弧書きで時価評価による変動を平滑化したものについてお示ししていますが、こちらの場合ですと、プラス1.1~1.2%となっています。この結果から、令和6年度末における積立金の財政検証からの乖離が財源の1%に相当するものである、そういった規模感であることが確認されたということです。
最後、49ページから50ページの項番33、34については、先ほどのポイントのところで御説明しましたので、割愛させていただきます。
概要についての説明は以上ですが、このほか、本文から概要に取り上げていないものについて1点ほど御紹介をさせていただきたいと思います。資料1-3の41ページを御覧ください。こちらのページの2段落目については、委員の御意見を受けて今回新たに追加したものとなります。公的年金被保険者数は令和4年度以降増加していますが、これは外国人の入国超過数が増加傾向にある影響もあると考えられます。
その状況を踏まえて、ここにありますように、「外国人の入国超過数が今後も増加し、公的年金被保険者に占める外国人の割合が上昇していくことも考えられるなかで、外国人被保険者における年齢階級別、性別、標準報酬月額階級別の分布の変動等を把握し、外国人被保険者の動向が公的年金制度に与える影響を分析することについて、今後検討が望まれる」、このような提言を追加しております。
私からの説明は以上となります。
○寺井部会長 ありがとうございました。
それでは、報告書の案に関して、委員の皆様から何か御意見等ありましたら、どうぞよろしくお願いいたします。いかがでしょうか。日下部委員、お願いします。
○日下部委員 日下部でございます。
報告書案について、内容に異論ございません。これまで取りまとめいただきましてありがとうございます。
今回、ポイントが去年よりより分かりやすくなったと感じております。分量は2ページから3ページになりましたけれども、読みやすさという点では、太字を活用したりなど、去年よりも読みやすくなったと感じております。また、本文についても、適宜削れる部分は削っていくという姿勢もあり、積立金の仕分のところとか、そういったところの工夫もあって、よりよいものができたと思っております。
私からは以上です。
○寺井部会長 ありがとうございました。
ほかにいかがでしょうか。では、私のほうからお願いしてもよろしいでしょうか。駒村委員、何か御意見がありましたらお願いします。
○駒村委員 まず、報告書全般としては毎年充実しているのだなと思いまして、そろえていただきまして、事務局には大変お礼を申し上げたいと思います。
今、御説明を聞きながら、またいろいろと考えなければいけない部分があるなと思って見ていたのは、例えば資料1-1の18ページ、3号の動きでありますが、3号は、前回の年金改正でもどうするかという見直しの議論がこれからあると思うのですけれども、18ページの右側が総人口に占める割合がどう変化しているのかということで、新しい年度になればなるほど全ての年齢で下がっているというのが分かるのですが、これは1つは女性の就業率の上昇と適用拡大があると思うのですけれども、このほか、未婚率の上昇みたいなものもあるのではないかなと思いますので、この辺は分解して評価をしていく必要があるのではないかなと思って、この報告書としては成立していますが、さらなる分析のテーマが残っているのではないかなと思いました。
以上です。
○寺井部会長 ありがとうございます。
佐藤委員、いかがでしょうか。何か御意見を頂戴できればと思います。
○佐藤委員 御説明、どうもありがとうございました。
私も資料が格段に分かりやすくなっていて良いと思うのですけれども、資料1-1の4ページ、5ページのポイントのところで、特に下線で「長期的な」とありますが、これはどれぐらいをもって長期であると定義するのかということは難しい問題かと思います。1つ、出生率の低下ですが、同じ資料で27ページのところ、合計特殊出生率が左側の下にございますが、今回の御報告では、これが低位の下限を破っておりません。ただ、今年は財政検証の比較の洗い替えがございましたので、これが低下を続けている、そういったところの動向についても引き続き注視をしながら見ていく必要があるかなと感じております。
私は全体の報告案にも異存がございません。どうぞよろしくお願いいたします。
○寺井部会長 ありがとうございます。
松本委員、いかがでしょうか。
○松本委員 御説明ありがとうございました。
今回初めて委員に参加させていただいて、たくさんの情報量を保ちながらも概要とポイントというものをつくって、それぞれレベル感をつけて分かりやすさも保っているという構成がとてもいいなと思いました。また、議論に参加させていただく中で、いろいろ見せ方を変えたり、もう不要と思われる部分を削除したりといった修正も行われておりまして、今後も情報量も保ちながら分かりやすさも保っていくというところについて引き続き努力していけたらいいなと思いました。
ありがとうございました。
○寺井部会長 ありがとうございます。
オンラインで参加されている猪熊委員、何か意見ございますでしょうか。
○猪熊委員 御説明ありがとうございました。
今回参加して、国民年金の保険料収入の増減要因分析などが典型かと思いますけれども、前例踏襲にこだわらずに、時代の流れに即して見直したほうがよいところは、記述内容などを見直したというのはすごくよかったと思います。それと、年金財政に長期的に影響を与えるものとして、出生動向とか死亡動向とか働き方の動向とかもございますが、外国人の存在の影響力がやはり増していると感じますので、そこの部分、関連するところの記述を増やして、影響が指摘してできるところは盛り込んでいただいたのもよかったなと思います。
まとめやポイントも年金数理の専門家の方々が知恵を絞られて分かりやすくなったと思います。ただ、私を含め一般人から見ると、年金は相当難しくて、理解するのも、報告書を読むのもハードルが高いと思うので、これは自分自身の課題でもあるのですけれども、さらに分かりやすく、自分事として制度を考えてもらうために一層の工夫が必要ではと思っています。
デジタルになじんだ若い世代向けに動画、とか音声を使った広報とか、あるいは、人の一生をストーリー性を持って制度を説明するとか、年金広報は担当部局も一生懸命やっていますが、年金数理部会も数理部会ならではの広報の仕方もあるかなと今回思いましたので、これは今後、検討していければと思います。
以上です。ありがとうございます。
○寺井部会長 ありがとうございました。
小野部会長代理、お願いします。
○小野部会長代理 ありがとうございます。
当然ながら私もこの報告書には異存ございません。
若干コメントさせていただきますと、私は公的年金財政状況報告書の検討に当たりまして、公的年金の財政の評価というのは、企業年金の財政決算とは異なることに留意してきたと思っております。1つは、企業年金の財政決算のように、直近の財政再計算で確定した基礎率に基づく単一のシナリオどおりに推移しているかを確認するのではなくて、財政検証における複数の投影結果を比較の対象として、それらの投影結果のうち、どの辺りを推移しているかというのを確認しているということなのだろうと思います。
もう一つは、社会保障制度と社会の在り方というのは互いに影響し合いながら、社会保障制度が設計を微調整するとともに、国民も社会に適合し、結果として社会保障制度との付き合い方を変えてきたという認識が必要であると思っております。
その典型的なものが今回も分析しました被用者保険の適用拡大でありまして、例えば第2章の53ページにある図表2-1-7の年齢階級別の被保険者数の総人口比を見れば、就業率の上昇とともに、特に女性や高年齢の第2号被保険者の比率がここ10年を見ても著しく上昇しているということが分かります。その結果、113ページにある図表2-2-22の新規裁定者の平均加入期間の推移は、平均加入期間の延びを示しています。特に女性については、118ページにある図表2-2-24、旧厚生年金の老齢相当の受給者の年齢別の平均月額において、若い受給者の水準が上昇している要因として、平均加入期間が延びているという影響もあるというふうに分析されたということであります。こうした事実が2024年の財政検証における分布推計の結果に反映されているというふうに理解しておりまして、こうした変化を考慮すると、分析は慎重に検討しなければいけないと考えております。
以上でございます。
○寺井部会長 ありがとうございました。
委員の皆様には今後の課題にもつながる貴重な御意見をいただいたと思っております。そのほかに何かありますでしょうか。
報告書そのものの修文が必要との御意見は特にございませんでしたので、これをもちまして、本部会の令和6年度公的年金財政状況報告とさせていただきたいと思います。よろしいでしょうか。
(委員首肯)
○寺井部会長 では、異議がないものと認めます。
それでは、これを本部会の報告とさせていただきたいと思います。
なお、誤字脱字等の細部の修正が必要になった場合には、私に御一任いただければと存じます。
(委員首肯)
○寺井部会長 以上で令和6年度公的年金財政状況報告についての審議は終了しました。
次に、その他の議題として年金局事業企画課調査室の村木室長より資料2について御報告いただけるとのことですので、どうぞよろしくお願いいたします。
○村木調査室長 年金局事業企画課調査室長の村木でございます。本日は御報告の機会をいただきましてありがとうございます。
私からは、今年の2月に「老齢基礎年金の併給状況」という統計を新たに公表しまして、個人単位で併給を反映した年金額分布を初めて集計いたしましたので、こちらについて、資料2により御紹介、御説明申し上げます。
まず、資料の1ページに概要を示しております。公的年金制度は、老齢、障害、遺族といった支給事由により給付が行われておりますが、これまで事業年報に掲載されている統計表等は、基本的に年金種別ごとに集計しておりまして、老齢年金の統計、障害年金の統計、遺族年金の統計と、それぞれ個別に作成してきたところです。
今般、併給状況も踏まえた個人単位の年金額を把握する新たな統計として、主に老齢基礎年金受給者を対象としまして、併給ができます遺族厚生年金も勘案して、併給状況別の受給者数と老齢厚生年金、遺族厚生年金を合算した年金月額の分布統計を作成しました。
集計に当たりましては、基礎年金番号を用いて個人を名寄せしまして、異なる年金種別を統合・合算した受給者数、年金月額を取りまとめております。実際に公表した統計資料は、末尾の13ページ以降に参考資料としてつけております。
分布統計に関しましては2ページ目でございますが、令和2年の参議院附帯決議におきまして、分布推計について検討を行い、その結果を公表するよう求められ、令和6年の財政検証におきまして、各世代の65歳時点における老齢年金の年金額の分布推計を作成したという経緯がございます。これに対応して、実績についても年金額の分布を把握する観点から今回の統計を作成したものでございますが、その際、財政検証における推計対象の整理も踏まえまして、老齢基礎年金受給者を主な対象とするとともに、実態把握の観点から併給可能な遺族厚生年金を含めた年金額の分布として整理したものです。
既存の統計にも年金額分布はございまして、2ページの下でございますが、基礎年金と厚生年金の受給権者の年金月額階級別の分布を以前から公表しております。
基礎年金の分布につきましては、2階部分の厚生年金を受給している場合でも、1階部分である基礎年金の年金月額のみを対象とした統計を、また、厚生年金の分布につきましては、厚生年金の受給権者について、同じ年金種別、例えば老齢厚生年金であれば、老齢基礎年金の年金月額を含めて統計を作成しているところでございます。
3ページに参考として併給できる基礎年金と厚生年金の組合せを示しております。左側が基礎年金、上側が厚生年金を示しており、左斜めの列で全て丸となっているのは同一の年金種別の組合せでございます。
異なる年金種別の場合でも丸となっている箇所がございますが、これらは65歳以上の場合に併給できる組合せを示しているものです。例えば老齢基礎年金であれば、遺族厚生年金も併給できまして、この場合、右側の枠で示しておりますように、本人の老齢厚生年金があるときは、それが全額支給された上で、遺族厚生年金のほうが高い場合はその差額が支給されるなどの調整が行われる仕組みとなっております。
4ページと5ページが併給状況とその集計範囲を図示したものでして、4ページは先ほど触れました既存の統計についてお示ししております。ここにAさんからDさんの受給状況を示していますが、1階と2階の併給状況は様々で、Aさんのように自営業などで働いてきて、老齢基礎年金のみを受給する方や、Bさんのように配偶者を亡くして、自身の老齢基礎年金と遺族厚生年金を受給する方、Cさんのように会社員として働いてきて、老齢基礎年金と老齢厚生年金を受給する方、Dさんのように65歳になる前で、老齢基礎年金は受給しておらず、特別支給の老齢厚生年金のみを受給している方などがございます。このとき、既存の老齢基礎年金の統計は、赤い破線枠のように老齢基礎年金を受給しているAからCさんの1階部分のみを集計範囲として取りまとめたものとなっております。また、老齢厚生年金の統計は、老齢厚生年金を受給しているCさんやDさんについて、青い破線枠のように老齢基礎年金も含めて集計をしています。一方、Bさんのように老齢基礎年金と遺族厚生年金を併給している場合には、遺族厚生年金は2階部分のみが遺族年金の統計として集計されるため合算されず、既存の統計では個人単位としての受給状況を把握することが難しい面がございました。
5ページ目が今回の統計の集計の対象について図示したものです。一番下の部分に、それぞれの方について老齢基礎年金との合算の対象を整理しています。AさんやCさんのように年金種別が単一の方はもちろん、既存の統計と同様に集計されますが、Bさんのように異なる年金種別を併給している場合についても、基礎年金番号を用いて名寄せを行うことで種別を越えて年金額が合算できるようになりまして、老齢基礎年金と遺族厚生年金を合わせた年金月額として把握することが可能となりました。
6ページ以降が今回の統計の集計結果になります。6ページの上段は、老齢基礎年金受給者の併給のパターンを示しておりまして、マル3が老齢厚生年金と遺族厚生年金の両方を受給するケースとなっております。下段が上段の図に対応する人数や平均年金月額を示しています。今回の統計のポイントであります老齢基礎年金を受給しつつ遺族厚生年金も受給している方、上の図ではマル2とマル3に対応しますが、その受給者数は、下の薄い緑色の部分ですが、492万人となっております。
右側の表に男女別の内訳を示しておりまして、女性が483万人と大半を占めています。平均年金月額も13.7万円と比較的高い水準となっております。また、その左のマル1の厚生年金なしの部分は老齢基礎年金のみの受給者となりますが、398万人となっております。既存の統計において老齢基礎年金のみと言う場合は、老齢という種別だけで見ますので、この図で言うと、老齢厚生年金がないマル1プラスマル2が該当し、白い枠の中ですけれども、581万人となっており、先ほどの数字と200万人近く差があります。
7ページは今回の統計の年金額分布でございます。縦軸が年金月額階級、横軸が受給者数、左側が男性、右側が女性となっておりまして、老齢基礎年金受給者について、遺族厚生年金の組合せも含めた年金月額の分布となっております。分布の形を見ますと、男女共に6~7万円の階級が最も多くなっておりますが、男性については18~19万円の階級にも山が見られます。グラフの色ですが、緑色の部分が遺族厚生年金ありの受給者で、前の6ページのマル2とマル3に対応するもので、青色が1階も2階も老齢年金の受給者で、前のページのマル4に対応するもの、白色が老齢基礎年金のみで、前のページのマル1に対応するものとなっております。
特徴を見ますと、緑色の遺族厚生年金を含む受給者については、先ほど申し上げましたとおり、大半が女性で、比較的高い金額帯に分布しておりまして、13万円以上の階級では遺族厚生年金がない受給者よりも人数が多くなっています。また、白色の老齢基礎年金のみの受給者は、特に女性において7万円未満の階級で多く分布している状況が見られます。
8ページは、令和5年度末時点の65歳の方について、老齢基礎年金受給者の年金月額階級の分布を見たもので、財政検証において65歳時点の分布推計が作成されていることを踏まえて、対応する実績として整理したものでございます。前のページのグラフのような内訳の区分は行っておりませんが、分布の形はおおむね類似をしております。一方で、65歳時点では遺族年金の受給者はまだ多くないので、特に女性において高い金額帯の人数は、先ほどの全体の分布と比べてやや少なくなっております。
9ページは老齢基礎年金受給者に老齢厚生年金の受給者も加えて作成した分布で、老齢基礎年金がなく、老齢厚生年金のみを受給しているような方も含めて見た分布です。青色と白色の部分が老齢厚生年金がある受給者で、このうち白色の部分は特別支給の老齢厚生年金の受給者を示しています。
令和5年度末時点では特別支給は報酬比例部分のみとなっており、女性は男性よりも支給開始が5年遅れて設定されておりますので、特別支給の受給者が多く、3万円未満の階級辺りに分布をしております。
10ページは既存の分布統計や分布推計との違いを参考としてお示ししたものです。下の表にございますように、左が既存の事業年報における分布統計、中央が今回の統計、右が財政検証における分布推計で、それぞれの対象者や年金額、支給停止額などの扱いを比較したものとなっております。
今回の統計の特徴としましては、65歳時点の分布も作成していることに加えて、遺族厚生年金を含めた年金額としている点、さらに支給停止されている年金額は含めずに集計をしているという点が挙げられます。
11ページは既存の事業年報の平均年金月額との比較をお示ししたもので、左側が今回の統計、右側が既存の統計の結果となっております。左上の今回の結果に対応するものとして、右側の老齢厚生年金受給者の結果を比較いたします。こちらの右側の老齢厚生年金受給者には特別支給の老齢厚生年金の受給者も含まれる点は留意が必要ですが、女性の平均年金月額を比較いたしますと、既存の統計では7.9万円であるのに対して、今回の統計では9.4万円となっており、遺族厚生年金を含めて集計している影響が現れております。
また、下の参考で示しております厚生年金の比較において、遺族厚生年金の結果を比べてみますと、右の既存の統計では同一種別ごとの集計ですので、基礎年金については、遺族基礎年金がある場合に限り合算をされております。しかし、遺族基礎年金の受給者数はあまり多くないため、既存統計の遺族厚生年金の平均年金月額は8.5万円と相対的に低い水準となっています。これに対し、左側の今回の統計では、老齢基礎年金など併給できる基礎年金を含めて集計しているため、平均年金月額が13.1万円と高くなっており、集計方法による違いが生じているところでございます。
12ページは財政検証の分布推計と比較したグラフで、65歳時点の老齢年金受給者の年金月額分布をお示ししたものです。注書きにございますとおり、今回の統計は令和5年度末時点で65歳であるのに対し、財政検証は令和6年度末時点で65歳である点に留意が必要ですが、グラフを見ますと、分布の形はおおむね一致していることが確認できます。
13ページ以降は、冒頭触れましたとおり、今回公表している統計資料を参考資料としておつけしたものです。こちらにつきましては、ホームページのe-Statにおいてエクセルファイルで掲載しております。
私からの説明は以上です。
○寺井部会長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの御説明に関して何か御意見等ありましたら、よろしくお願いいたします。駒村委員、お願いします。
○駒村委員 併給の情報がこれまで分かっていなかったので、非常にいい統計を発表していただけたと思います。
12ページの解説が「概ね一致している」と言っているのですけれども、2か所低いほうで差がちょっと出ていていますね。ちょうど高いほうがその分減っていると。これは男女計で出ていますが、これは男女計でなくて男女別々で見るとどんな状態になっているのかなと少し関心を持ちました。
以上です。
○寺井部会長 いかがでしょうか。
○鈴木数理課長 数理課長でございます。
分布推計は男女それぞれで出しておりますのであれですけれども、今、手元ですぐ出すものはないのですが、そもそも少し差があるというところがありますと。5~7万円のところは財政検証のほうが少し少なくて、15~20万円のほうが逆にずれているというところがございます。先ほど10ページのところで前提の違いというのを調査室長からも説明させていただきましたけれども、何で幾らずれているというところまではちょっと難しいのですが、一番重要なところは、支給停止の扱いについて、それぞれで違うというのが大きいのかなと考えております。分布推計のほうは、加入記録から純粋に年金額を計算して、その年金額の分布という形で出している。一方で、今、御説明させていただいた分布の実績のほうは、まさに支給額のベースになっている。65歳ですので、一番大きいのは在老の停止ではないかと思っております。定量的にそれでどれぐらいというのは申し上げられない、難しいところですけれども、高額のところですと、在老で止まって支給停止になった分が下のほうの分布にずれるというのがあるのではないかと今のところは考えているところでございます。
そのほかにも、65歳ですので、繰下げはいないのですが、繰上げでもらっている方がいらっしゃったり、その他、加給とかについては、実績のほうには入るけれども、分析のほうには入らないとか、そういった細かいところの違いもありますけれども、多くはそういった支給停止の影響があって幾つかのところでずれが生じているのかなというふうには思っております。
○寺井部会長 駒村委員、いかがですか。
○駒村委員 はい。
○寺井部会長 そのほかに質問ございますでしょうか。小野部会長代理、お願いします。
○小野部会長代理 ありがとうございます。
資料を拝見していてなかなか理解が追いついていないというのが正直なところですけれども、率直な感想としましては、今回の遺族年金を含む統計に関しましては、特に女性に関する給付の適正性ということに関して少し見方が変わってくるかもしれないなと感じました。その点で気になるのは、そもそも財政状況報告書にはこのような情報がなかったわけですので、今後どうするのかというのは、事務局をはじめ、御関係の皆様にお伺いしたいという点が1点です。
それから、今、御説明もありましたが、65歳時点の給付額については、この年齢ですと、遺族給付の影響というのはそれほど大きくないのではないのかなと想定しつつ、今、駒村委員が指摘されました、12ページの金額の低いほうと少し高いほうの差異に関しての要因というのを私も少しお聞きしたいなと思っていました。今の御説明である程度理解しましたが、そういうことであれば、特に令和5年度と6年度という時点の違いがありますので、この実績に関しては、6年度が出た時点でもう一回比較した結果を見せていただくというのも1つ分析の参考になるのではないのかなと思いました。
以上です。
○寺井部会長 ありがとうございます。
2点御質問をいただいたのですけれども、いかがでしょうか。お願いします。
○楠田首席年金数理官 事務局でございます。
財政状況報告にこのような新しい統計が出たことについてどのように対応していくのかという御質問をいただいたかと思います。今回財政状況報告自体は令和6年度の結果をお示ししていますが、新しい統計については現在令和5年度のものを出していただいており、これは少し統計が出る時点がずれていることによるものです。どういった形で財政状況報告のほうに取り込んでいけるのかというところは、今後調査室等々とも相談しながら対応していきたいと考えております。
○寺井部会長 小野委員、いかがですか。
○小野部会長代理 承知しました。ありがとうございます。
○寺井部会長 もう一つの点について、よろしくお願いします。
○鈴木数理課長 数理課長でございます。
実績と分布推計との比較を時点をそろえたところでということで、昨年のピアレビューのほうでも分布推計のやり方についていろいろと御意見をいただいたところございますので、そこは実績との比較も踏まえて、まさに分布推計をこれからどのようにやっていくかという重要なところになると思いますので、どういった形でできるかはありますけれども、引き続き実績との違いと、あと分布推計をどうやって改善していけるかというのは考えていきたいと思っております。
○寺井部会長 ありがとうございます。
いかがですか。
○小野部会長代理 ありがとうございました。
○寺井部会長 そのほかに御意見、御質問等ございますでしょうか。
それでは、特段御意見、御質問等がないようですので、この件はお二方の御質問ということにさせていただきたいと思います。
では、最後に朝川年金局長より御発言があるとのことですので、よろしくお願いいたします。
○朝川年金局長 ありがとうございます。
最後に私のほうから一言御礼の御挨拶をさせていただきます。寺井部会長をはじめ、年金数理部会の委員の先生方には、これまで大変精力的に御審議いただきまして、また、本日、令和6年度の公的年金財政状況報告を取りまとめていただきまして、ありがとうございます。先生方には令和6年度における公的年金の財政状況について、専門的な観点から横断的に分析・評価していただきまして、実績の動向とその背景を明らかにしていただきました。本日お伺いしていても示唆に富む分析・評価がたくさんございました。
また、令和6年度は、令和6年財政検証と比較する初年度ということでしたが、実績を令和6年財政検証の前提や将来見通しと比較していただくことによって、足元の年金財政の状況について理解を深められる大変充実した内容の報告書をお取りまとめいただいたと考えてございます。
年金局といたしましても、部会として取りまとめていただいた結果につきまして、分かりやすく発信していくことなど、引き続き取り組んでまいりたいと考えております。
このたびは誠にありがとうございました。
○寺井部会長 ありがとうございました。
それでは、事務局から連絡がありましたらお願いいたします。
○楠田首席年金数理官 今後の日程につきましては、調整して御連絡申し上げますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○寺井部会長 それでは、第110回「年金数理部会」はこれにて終了いたします。どうもありがとうございました。

