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医薬品等行政評価・監視委員会 5周年シンポジウム 議事録
日時
令和7年11月13日(木) 17:00~19:00
場所
厚生労働省専用第21会議室(WEB会議併用)
出席者
パネリスト、有識者
- パネリスト
- 磯部 哲 (慶應義塾大学大学院法務研究科 教授)
戸部 依子 (日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会 会員)
花井 十伍 (全国薬害被害者団体連絡協議会 代表世話人(大阪HIV訴訟原告団))
渡邉 裕司 (浜松医科大学 学長)
藤原 康弘 (独立行政法人 医薬品医療機器総合機構 理事長) - 有識者
- 水口 真寿美 (薬害オンブズパースン会議 事務局長)
勝村 久司 (全国薬害被害者団体連絡協議会 副代表世話人)
中村 元気 (東奥義塾中学校・高等学校 養護教諭)
行政関係出席者
- 厚生労働省
大臣官房厚生科学課 -
- 佐々木 昌弘 (危機管理・医務技術総括審議官)
- 荒木 裕人 (厚生科学課長)
- 池上 貴啓 (医薬品等行政評価・監視委員会室長補佐)
議題
- 1.委員会5年の歩みを振り返って
- 2.有識者からのコメント
- 3.パネルディスカッション、質疑応答
議事録
〇開会挨拶
厚生労働省 厚生科学課
定刻になりましたので、医薬品等行政評価監視委員会5周年シンポジウムを開催いたしたいと思います。パネリスト・有識者の皆様方におかれましては、ご多忙の折、ご出席賜わり本当にありがとうございます。
医薬品等行政評価・監視委員会は、薬害被害再発の防止のために医薬品行政を中立、そして公正な立場から監視評価することを目的といたしまして、2020年9月に設立され、今年で設立5周年を迎えました。
本シンポジウムにつきましては、医薬品等行政監視委員会のこれまでの活動状況の振り返りをさせていただきます。それとともに活動を報告する目的で今回開催させていただいたところでございます。
それでは本日のご登壇者を紹介させていただきます。まず評価委員会の委員としまして、磯部委員長、戸部委員、花井委員、渡邉委員の四名にお越しいただいております。また、PMDAの藤原理事長にもご参加いただいております。加えて、薬事行政に関する有識者といたしまして、薬害オンブズパースン会議 事務局長の水口真寿美様、全国薬害被害者団体連絡協議会 副代表世話人の勝村久司様、東奥義塾中学校・高等学校 養護教諭の中村元気様にもご同席いただいております。
最初に事務局より注意事項についてご説明させていただきます。傍聴に関してはライブ配信を行っておりますので、できるだけゆっくりはっきりご発言いただくようお願いいたします。また、シンポジウムの後半にオンライン傍聴の参加者の皆様から登壇者への質問をお受けする時間を設けております。質問にあたりましては、ZoomのQ&A機能からご質問内容を投稿いただけます。
それでは以降の進行につきましては、磯部委員長にお願いいたします。
〇委員会5年の歩みを振り返って
【パネリスト】慶應義塾大学大学院法務研究科 教授 磯部 哲
医薬品等行政評価・監視委員会の委員長を仰せつかっております慶応義塾大学の磯部と申します。本日、5周年シンポジウムということでやっているのですけれども、どういう経緯でこの委員会ができ、それが果たして期待通りの役割をしているのか、期待はずれなのか、むしろもっとどんなことに取り組むべきなのか、取りこぼしていることはないのかとか、そもそもどんな風に見られているのか、そういったことについて、自分たちの存在を知ってほしいと思うと同時に、どんな風に見られているかを知りたいということがありまして、このような企画をした次第です。ご参加いただいたパネリストの先生方、有識者の方々、ありがとうございます。みっちり勉強しようというのではなくて、果たしてどんな問題がありそうなのか、まだまだどういうことを今後は取り組んでいかなきゃいけないのかといったことを一つ二つ気づきが得られればありがたいなというふうに思っております。
【パネリスト】全国薬害被害者団体連絡協議会 代表世話人 花井十伍
この医薬品等行政評価監視委員会という組織なのですが、これは非常に極めて特殊な組織です。医薬品の規制当局は、法律に基づいて法規範の下で仕事をしているという組織で、基本的には不正とかそういうことはないということが前提ですし、もし何かの不正があれば、それは不正だということで、社会問題化するわけですが、医薬品の場合はその歴史において色々なことがありまして、それによって結果的にこのようなものが作られています。振り返りますと、医薬品というものは皆さん、自分の病気を治したりするというところで使うものであって、医薬品の登場によって人の健康というものは非常に良くなるということを経験しているわけです。特に戦後から申しますと、かつては伝染病と言われた感染症領域において、ですね。例えばあのペニシリンであるとか、あと戦後すぐ結核に関しては、ストレプトマイシンが40年代後半ぐらいに導入されています。こういう抗生物質は本当にその感染症に対してドラスティックな大きな成果をあげたわけです。いわゆるハンセンもそうですし、こういった抗生物質系というものがどんどん日本に入ってきて、できれば国産化しようというのが流れとして戦後にあったわけですね。ところが、あの1956年にペニシリンショックというのがございまして、薬品が良いことばかりじゃないという、これは大変な社会的な衝撃がありまして、医薬品でこんなことが起こるのかということになったわけです。そして、その後に1960年代にサリドマイドというものが起こります。 これは我が国だけではなくて、世界中に衝撃を与えたわけです。
医薬品行政というのは基本的には規制行政なので、あんまり強い規制というのは避けると、最低限規制しようという、そういう抑制的なものがあったと思うのですけれども、この事件をもって世界中の当局が医薬品の安全性、有効性は国が確認しなければならないということを考えるようになったんですね。今では当然の考え方ですが、これはまさにサリドマイドにより世界でスタートしたということで、この1967年、世界の法改正というのは、まさに薬事元年というふうに今でも言われています。
その後ですね、日本でこれを薬害と呼ぶようになりまして、サリドマイド被害や薬害エイズとかですね、薬害という言葉で、一連の医薬品の被害というものが問題化していくようになったんですね。
一般の市民の方にとってみれば、何か特殊なことが起こっているという形が薬害ということではあるのですけれども、今や例えば、いわゆる一般薬品のオーバードーズ、そういった問題もございますし、それからワクチンのように本当にたくさんの人が使う場合はですね、それは何らかの重篤な被害というものが起こるリスクは、数を使えば使うほど高くなるということになるので、そういったときに、一体医薬品っていうのは、本当に自分のためになるのかどうかっていうことを考える契機っていうのが、今出てきているのではないかと思います。
この監視組織はですね、主に薬害の被害者が、やはりこの行政の仕事が足らないのではないかという疑惑ですね、当時薬務局と言いましたけれども、薬務っていうのはもちろん監視という面もあるんですけれども、産業振興的な部分も担っていたので、それを同時にやるから癒着が起こるんじゃないか、そういう疑惑を持ったりしてですね、それを監視する人たちを監視しなきゃいけないんじゃないかというコンセプトが、PMDA法をつくるときに、強く被害者たちが主張したわけです。こうした主張に対してPMDAを作る契機っていうのは、アメリカやヨーロッパに比べてその監視体制や承認体制があまりにも日本は脆弱だったことから、日本の医薬品に対する安全対策、もしくは承認体制を強化しようというコンセプトだったわけだから、 まずそれを強化してないのに監視する方を作るというのは、 まさに屋上屋を架すことになるのではないかと当時の厚生大臣が申しまして、大臣の言うことも一理あるということで、私たちはその場ではこの監視委員会ということを、強く言いましたけれども、そこでは諦めたと、PMDAの設立を優先したということになるわけですね。
その後、薬害肝炎というのが起こって、その検証の段階でやっぱりこういうのを作るのが必要だというところでできたということなので、ある種薬害被害者たちの悲願という部分はあるものの、やはりあのこういった組織は市民による評価監視という少し強い言葉になっていますけれども、市民の健康に関係のあるプロダクト、商品、こういう商品について、逆にPMDAがちゃんと適切にやっているかということを市民の目線で評価するというコンセプトは、やっぱり良いコンセプトだと思います。消費者庁というコンセプトがあるわけですけれども、皆さんにとってみれば、消費者庁の特殊領域版としての医薬品版というふうな感覚でも外れてないかなというふうに思います。
五年ということなのですが、今度は私たちも市民に監視をされてですね、もっと頑張れとかですね、監視っていう言い方すると、監視する人を監視して、それをまた市民が監視するみたいな話ですけれども、やっぱり、民主主義というのは監視というよりもお互い透明性を高めていろんな意見を言える場を作っていくということがとても大切ですので、この委員会に関して言えば、そういった市民の声ということも十分取り入れていきたいというところなので、今医薬品に対する特にワクチンや市販薬に対する意識が高まっているところです。PMDAや私たちの委員会に皆さんが関心を持っていただけたらというふうに祈念するところです。
【パネリスト】慶應義塾大学大学院法務研究科 教授 磯部 哲
今回、大きな背景は花井さんがご説明くださったわけですけれども、この委員会がどういう経緯で出来たのかといったこと、そしてこれまでどういうことに取り組んできたのかというお話をしていきたいと思います。
こちらは(スライド2ページ目)淡々と経緯などを書いているものではありますが、今お話あったように、直接のきっかけは、薬害肝炎の見直しの作業をしていたときということになりますけれども、もともとこの平成22年の2年前に、弁護団と大臣、国との間で国の責任を認めながら再発防止の誓約といったことを内容とする基本合意というものが交わされて、それを受けてこの検討委員会が発足し、その中で厚労省から独立した中立公正な監視評価機関、そんな第三者組織の設立が必要なのではないかということが言われたものでありました。ただ、設置形態についてどうあるべきかということは、組織論としてはいろいろあって、折り合いがつかずということで、10年越しで出来上がって、今回5年目ということになります。権限としては、同スライド2番のところにありますように、行政機関に対して施策の実施状況を評価・監視をする、必要に応じて安全性の確保等のために講ずべき施策を厚生労働大臣に意見または勧告を行うということで、法律によって直接にこのような委員会が設置され、大臣に対して意見勧告権限を持っているというのは、極めてユニークな存在ではないかと思います。ただ、いきなり意見勧告を行えるわけではなく、それに必要な調査を行い、また報告を受けたりする、しかも、どのような課題に取り組むかを自ら決めて必要な情報収集などを行っていく、そして、きちんと厚生労働省の方で、その事務局機能を果たしていただくというような、そういうコンセプトで設置されております。
では、これまで果たしてどんなことをやってきたのか。ちなみに医薬品等行政評価・監視委員会というキーワード検索していただければ、ホームページに各回の資料のようなものはもちろんあるわけであります。大きくテーマを分ければ、スライド3~4ページのようなところかなと思います。
始まったのが令和2年ということで、直ちに新型コロナワクチンについても議論をいたしました。 ワクチンの安全性、副反応疑い報告の制度はどうなのかとか、データベースの構築が十分ではないというので対策が後手になってないかということなども議論いたしました。
HPVワクチンについては、積極的勧奨再開、キャッチアップ接種などが進められていく中で、折々に話題として取り上げ、ちょっとこのリーフレットの広告表現はひどいんじゃないかとか、具体的なこともいろいろ話をしてきたと思います。また、これは委員会発足当初から緊急承認制度や特例承認というような制度の負の面はどんなことがあるのかないのか、運用状況などを教えてくださいというようなことで、事務局厚生労働省の担当局の方からご説明をいただくなどいたしました。とりわけ催奇形性を示す医薬品に関する安全対策などを具体的に伺ってきたという経緯がございます。
その他、後発医薬品メーカーの不祥事を受けて、知らない間に承認条件と違う製造をしていた等がありましたので、どういう経緯で見つかり、どういう対策がとられたのかといったことのご報告を聞いたりして、なんでもっと早くできなかったのかとかですね、このまま製造が止まってしまったら、逆にどういう弊害が生じるのかといったこともうかがいました。安全対策をしながら、しかし、適時に適切にきちんと薬が届くという、アクセルとブレーキの両方のバランスが難しいなということを、このテーマの時にはすごく感じた気がします。
また、今日のシンポジウムが始まる前の雑談では“PMDAっていきなり言って国民の皆さんは分かるのかな”などと心配していましたけれども、医薬品医療機器総合機構という、後で藤原理事長からもご紹介いただけると思いますけれども、薬品の審査・安全などを担う重要な独立行政法人ですが、一体どんな活動をされているのか、海外の類似の機関の活動と比較して、患者・市民参画の取組みがあるのか、今どういうことを課題と考えられているかといったことの話もうかがってきました。
その他、一つ一つ言い出すとたくさんあるのですけれども、公知申請された医薬品の適正使用、一般用医薬品の濫用等、行政を監視しているだけでなくて、普通に薬局で一般の方が手に取って、それをどう利用されているのか、結構心配なことがあるのではないか、医薬品についてのリテラシーといったことが、私の中ではにわかに非常に強い関心を持つようになったところでした。
法改正の動きについても進捗状況などをうかがいましたし、糖尿病治療薬、これに至ってはですね、もう結局自由診療の場で糖尿病治療薬が、海外では肥満症の適用はあるのだけれども、日本ではない、それが自由診療の名のもとで意外と自由に使われているということが明らかになり、やや信じがたい思いがあったところなのですね。結局医薬品を使うのは医療の現場ではないか、その医療がどうきちんと適正になされているかってことまで視野におさめないと、到底、医薬品に基づく健康被害の防止なんてことは十分議論したことにならないのではないか?などなど、関心は広がるばかりというところでございます。あんまり話しを広げると、この委員会の所掌とは違うじゃないかということを言う人もいるのであろうと思うのですが、我々はあまりそういうことは気にし過ぎず、議論はとにかくいろいろしてみたいと考えている方でございます。
そして法律上、意見勧告権限がある中、その実績はどうなのでしょう。この5年の中で1回だけ意見というのを出しました。勧告ではなく意見にとどまったことを含め、後でご批判などあればいただければと思います。けれども、新型コロナワクチンについての安全対策、安全性評価のあり方ということで、十分データを系統的に評価・検討する体制が整っているのかとか、その他いろんなデータベースと連結させてデータの有効利活用といったことを進めるべきだというようなことで、意見を言い、 一応この委員会、年4回やっているのですけれども、12月に意見を出したので、それ以降6月・12月と半年にごとに、施策の状況などをうかがうことをしているところです。
このようなことをやってきた委員会ですけれども、果たしてこれで本当に十分なのかどうなのかといったこと、もっと突っ込むべきところもあったのではないかなどと思います。後ほど、本日有識者として勝村先生と水口先生にお越しいただいておりますが、この委員会発足に深く関わってきてくださった先生方にもお話を伺いたいなというふうに思っておりますし、今少しお話ししましたように、結局薬事の世界だけ見ていては健康被害を十分に予防できるのかといえば、そうではないのではないか。医師や看護師、医療プロフェッショナルがどんな役割を担っているのかというようなこと、医療の世界の例えば広告規制なんかも問題があるであろうということで、あるいは医薬品の広告をSNSでぱっと見て簡単に信じてしまうような国民の側のリテラシーも心配ではないかと。そういう教育の場面も重要な鍵を持つのではないかという思いもあって、本日はPMDA藤原先生や、中学高校で養護教諭をされている中村先生にもお話しいただければというふうなことを考えております。
【パネリスト】日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会 会員 戸部依子
委員をさせていただいております、戸部です。よろしくお願いします。私は市民の立場で参加をさせていただいておりまして、今日この時間は委員会活動を通じてどんな気づきがあったかということをお話しさせていただきたいと思っております。
こちらのスライドですけれども、日常生活において、私たち市民というのは自分でその薬について、使う使わないとか、自分で判断しなければいけないという場面が意外と多いなと、こういうことを感じました。 この図の下の方を二つ、市販薬とワクチンと書いておりますけれども、例えば、市販薬を買おうとした時に、ある効果を求めて買うわけですけれども、薬局行ったら、同じ効果なのだけれども、いろんな種類のものが売っていて、またその値段も違う。今まで聞いたことあるものとか、SNSなどで見かけたものがあるとか、いろんな情報があって、それをうまく整理しないといけないという気づきがあります。
まだ病気にはなっていないんだけれども、いつどのタイミングで薬が必要なのかとか、あるいはどの程度必要なのかというようなことを考えます。こう振り返ってみると、どうやって判断していたのかなと思うぐらい。気づいてないこともあるのかなというふうに感じております。
そして上の二つはですね、入院中とか外来の通院というふうに書いておりますけれども、ある程度医療関係者の方からいろんなことを教えていただいて、生活をしているわけです。ここのところでですね、先ほど花井委員から抗生剤のこれまでの経緯のお話がありましたけれども、例えば抗生剤などを使うときには、専門家である医師、薬剤師、こういった方々がコンサルトを受けながら何を選択していったらいいのかということで、専門家でさえこの情報交換をして、経験や専門性に基づいて選んでらっしゃるという話を聞きますと、やはり私たち市民はなおのこと、しっかりと情報をいろんなところから入手して選んでいかないといけないのだなということに気づきました。
この委員会でリーフレットのレビューをするという機会も、たくさんあったのですけれども、その時に私がどういう視点でいつも考えているかというと、いわゆる医療機関での説明と同意という場面を想定しております。そこではやはり市民として一方的に、あるいは患者として、説明を受けるだけということではなくて、ちゃんとわからないことは聞かないといけないし、医療に従事してらっしゃる方と相互に意見交換をするということがやはり前提として必要なのだろうなというふうに思っております。双方向の意見交換ができる、それに繋がるような情報が得られるかどうかという視点で見てきたということです。
五年間の気づきの中で結構大きかったのは、この薬のことでありまして、薬自体のリスクについては、これまでいろんなところで聞く機会があって、百パーセント安全な薬はないということではありましたけれども、薬自体の安全性だけではなくて、使う場面だとか使い方によってのリスクも種類もいろいろあるのだなということを知ったことはすごく大きかったです。使う場面というようなところでは、やはりその使うリスクもあるし、使わないリスクもあるということなので、そこのあたりをですね、よく知らないといけないなというふうに思いました。
そして、使い方のリスクということでは、先ほどもオーバードーズのこともありますねという話がありましたけれども、オーバードーズのような使い方によってのリスクというようなこともさることながら 、治療目的以外の使い方をされている。そのような状況では、その薬の安全性だけではなくて、本来のその医療治療目的で使う薬の供給というようなところに支障が出たりするとのことで、質量と供給量のバランスが崩れてしまうとかもあるということは大きな気づきでした。
今後どんなことを考えていく必要があるかという点については、この後のディスカッションであるんでしょうけれども、どのような施策が必要かということはさることながら、その政策の効果、レビューのあり方について、どういうタイミングで、どのような基準で考えていったらいいのかなということを今後、関心を持って行きたいなと思っております。
【パネリスト】浜松医科大学 学長 渡邉裕司
医薬品等行政評価・監視委員会5周年シンポジウムでこのような発言の機会をいただきありがとうございます。私は日本医学会連合から推薦いただき、医師の立場からこの委員会に参加させていただきました。本日はL’Abbe Plotが示す医薬品の有益性と有害性の分岐点についてご紹介させていただきます。医薬品等行政評価・監視委員会での私たちの使命の一つは、医薬品の有効性と安全性のバランスが適切に国民の皆さんに届けられているかを監視し、必要ならばその改善を提言することであるとも思います。そのためには、医薬品によってどのような方が恩恵を受け、またどのような方が害を受けるのかを見極める視点が不可欠となります。この視点を可視化し、判断の基盤を提供するのがL’Abbe Plotです。
ご覧いただいている図がL’Abbe Plotと呼ばれるものですが、横軸がコントロール群のイベント発生率、そして縦軸に介入群のイベント発生率が記されています。Line of identityはy=xを示して、このライン上であれば介入をしてもしなくても同じ、有益作用も有害作用も介入群とコントロール群で差がありません。このラインより下に位置すれば介入による有益性が有害性を上回り、上に位置すると有害性が有益性を上回ることになります。また、一つ一つの前向きランダム化プラセボ対象比較試験の結果が一つの点を形成します。 例えば、スタチンを使用してLDLコレステロール値を下げ、それが冠動脈疾患を含む死亡率の低下につながるかを検証する試験が過去に複数行われていますが、その一つ一つの試験が介入群のイベント発生率とプラセボ投与群のイベント発生率を示す結果を持ち、一つの試験が一つの点を形成していきます。そして、同じようにスタチンを使った複数の試験結果をここにプロットしてみて、そのプロットした点がy=xよりも、ここに示すように全部下側にくるということならば、これは一貫性を持って介入の有益性が高いと言えます。共通した介入を行う複数の試験に近似線を引き、もしこのように原点を通るような線が引けたら、それはとても好ましい結果です。つまりコントロール群のイベント発生率が0%の対象者に介入を行ってもリスクが増えなかったということを示しているわけで、安全性が高い介入であることを示します。ただ、医薬品は往々にして、このようにy=xと交点を持ってしまいます。そしてこの交点が、有効性と有害性の分岐点、治療の妥当性を示す閾値と考えられます。コントロール群のイベント発生率が高い方々にとっては医薬品投与や介入の結果が、Line of identityよりも下にきて、有益性が有害性を上回ることが予想されます。しかし、イベント発生率が低い低リスク群の方々にとっては、同じ介入や医薬品投与であっても、有益性よりも有害性が上回ってしまうことがあることを概念的に示しています。
例えば、コロナのワクチンは高齢者や合併症が多い方々には有益性が高いことが示されています。一方で、若い方で合併症も持たない、リスクがもともと低い方々に高齢者と同じようなワクチンの有益性が示されるかというと、それはそうではありません。 私たち医療者にとっては、このバランス点がどこにあるのか、目の前の患者さんがどちら側に位置するのかを丁寧に検討する必要があると思っています。そして、薬害を防ぐためには、この左側に位置するような、つまり有益性よりも有害性が上回ってしまうような対象の方には薬を投与しないことが非常に重要です。また一方で、右側に位置するような、同じ薬によって便益を得る可能性がある方々からその機会を奪ってもならないと考えています。
薬物治療の基本姿勢は、必要な薬を、必要とする人に、必要なだけ、つまり最適な用量で、ということです。言い換えれば、使うべきでない人には使ってはいけない。また、不幸にも有害事象が起きた場合には、早期発見と不利益の最小化に努め、その情報を共有し、救済への確実なアクセスを保証すること、これが医療者の使命であると考えています。
【パネリスト】独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA)理事長 藤原康弘
PMDAという名前を初めて聞く方も多いと思いますので、前半はどういう仕事をしている組織かという話をして、その後なかなか世の中に知られていませんので、私ここに赴任して六年目になりますけれども、この六年ぐらいでなんとか認知度を増やすようないろんな試みをしてまいりましたので、それを紹介して皆さん方のアドバイスをいただければと思っております。
スライドの右側にあるビルですね。これがPMDAの入っているビルでございます。前は六本木通りその前には首相官邸がありますけれども、霞が関のど真ん中にある20階建てのビルの半分ぐらいを私どもの組織が占めております。それ以外にも海外にも大阪にも事務所を持っておりまして、ワシントンD.C.事務所、バンコクのアジア事務所、それから関西支部でございます。常勤職員は今千人程度の職員がおります。
皆さん方、医薬品とか医療機器とかのいろんな承認という話を、新型コロナの時にいろいろ耳にされたと思いますけれども、実際その時は、厚生労働省がいろいろやりますっていうことで表に出てきましたが、私どもPMDAという組織は全く黒子の組織でありまして、ここに書いてあるように、医薬品、医療機器、再生医療等製品などの科学的な審査とか、あるいはその審査の過程で、承認申請資料のGCP調査、GMP調査などと言いまして、ちゃんと作られているのかチェックするのも私どもです。例えば、最近話題になっている後発医薬品がちゃんと作れないとか、あるいは新薬の医薬品がちゃんと作られていないとか、臨床試験がちゃんとやられていないっていうのは、私どもの職員が全世界中を飛び回って製造所に行ったり病院に行ったりして、その資料が正しいかどうかの確認をしています。それに加えて、非常に大事なのが、安全対策ですね。国の安全対策の生データは私どものところで全部集めてスクリーニングして見ておりますし、健康被害救済について、これは後からちょっと紹介しますけれども、適正に医薬品を使っていて、重篤な副作用が起きたり不幸にして亡くなられた方がいらっしゃったら、医療費とか医療手当とか、遺族年金とかを出す判断の一助も私どもがやっております。
業務を大きく分けると審査、安全、救済という三つの業務で、セフティー・トライアングルと呼んでおりますけれども、この審査では、医薬品、医療機器、再生医療等製品、それ以外に一般用医薬品と医薬部外品の一部も私ども見ています。それらに関する審査・安全対策・救済業務をやっている組織だというふうにご理解ください。
できてまだ新しい組織でして、去年20周年を迎えました。その前も国立医薬品食品衛生研究所の中に医薬品医療機器審査センターというのが1997年にできて、7年ぐらいしてからこの独立行政法人に変わったんですけれども。20周年を機して、職員みんな若い人が多いので、新たにパーパスとかですね、バリューとかっていうのを設定して、次の20年をしっかり働いていこうということを今心にしているところであります。このあたりから認知度の向上の話をさせていただきたいと思います。
私も病院からこの組織に移ってきましたけれども、異動時に、やはり自分の患者さんに説明しても知っている人はほとんどいませんでしたので、役所みたいなところへ行くんですよっていう話を患者さんにはしていました。その程度の認知度なんだけれども、それは裏方ですから仕方ないので、でもそれをもう少しみんなに知ってもらった方がいいだろうということで、この六年間、こういうような試みをしております。一般の方々にもっと我々の業務を知っていただきたい。さらに医療従事者も、薬剤部の薬剤師の方々は結構知っているのですけれど、医師と看護師はあまりPMDAは馴染みがないので、そういう方々への周知をしていこうとかですね。だからメディアも、業界紙とか専門の薬事の業界の人たちは知っていますけれども、一般紙とか、あるいは一般の臨床をやっている方々が読む医学誌とか、看護の雑誌とかそういうのも全然私どもの名前は出てきませんので、いろいろなとこへ露出して、こんな仕事をしていますっていう紹介をしていますし、この一年は、海外への発信、最近は医薬品や医療機器も大半が輸入製品でして、日本のことを知っていただかないと、海外の企業って日本に輸出してくれませんので、海外に対して日本にもちゃんとした組織がありますよということを、必死になって宣伝して回っております。
最近一番皆さん方に見ておいていただきたい、一般の方々に知っておいていただきたいのは、PMDAおくすりサーチという、患者会の方々のチェックも受けながら作ったホームページなのですけれども、様々な医薬品に関する情報がここで一括して見られます。まだ中身が、行政が作っている文書も結構多くてわかりにくいところがありますけれども、これは随時改定していきながら、一般の方々が見て自分が使っている薬がどんなものかというのを簡便に知れるようにというのも目標に、今整備しているところでございます。
最近は新聞とかテレビとか、ほとんど若い人は見ませんのでXやFacebookとかSNSを使って、私どもの仕事はこういうことをやっていますっていうのを出していますし、私もLinkedInに入りまして、公的な発信なんか、主に海外に向けてやったりしております。
これは従来からやっているところですけれども、例えばこども霞が関見学デーであったり、OTC医薬品普及啓発イベントであったり、全体的に薬学系に関係するイベントが多いのですけれども、こういうところにPMDAの職員がみんな行ってですね、薬がどういうふうに作られているのか、どういうふうに審査されているのか、安全対策はどうやっているのかというような話を毎年やっています。
私も毎年だいたい30回から40回、全国を行脚して回って、いろんな学会とか講演会とか患者会の集まりとかに行って、仕事の紹介をしていますし、健康被害救済業務も後からお話しますけれども、非常に日本独特の仕組みというか非常にユニークで、WHO加盟国190カ国以上ありますけれども、先進国で唯一きちっとやっているのは日本だけなので、こういういい仕組みがあるっていうのを紹介することも、今年去年と博多花丸大吉さんに出てもらって宣伝しております
業界紙だけではなくて、一般紙やテレビ局なんかにも出て行って、PMDAという名前をなるべく出すように、正式名称の独立行政法人 医薬品医療機器総合機構は誰も覚えられませんので、なるべくPMDAという名前が周知できるようなことを各メディア通じてやっておりますし、私の前任の理事長の時にも一回開催したんですけれども、あまりにもちょっと固すぎて人が来なくなったので、もう一度リセットし直して、メディア向けプレスセミナーっていうのを最近始めて、メディアの方々にもわかっていただくという努力もしております。海外発信ですけれども、先ほど申しました健康被害救済業務、日本独特の仕組み。これ非常にいいので、日本はこういうのをやっていますよということを宣伝しないといけないなと思って、The Lancetとていう世界で最も優れた医学雑誌の一つであるイギリスの雑誌ですけれども、そこに投稿して、採択、掲載されました。我々はこんないい仕組みがあるので、世界中の人達へ、医薬品党の健康被害に対して日本を見習った仕組みを作った方がいいのではないですか?という提言をしています。
海外での情報発信について最近出したものです。海外の企業さんですね、日本の企業さんだけではなくて、海外の人達、今輸入品が非常に増えていますという話をしましたが、その人たちですね。日本をあまり見てくれない、興味が無い人が多いので、日本にもたくさん患者さんがいて、みんな困っているのですから、日本にいい医薬品やいい医療機器を持ってきてくださいというためにですね。日本の薬事は世界と同じようなことをやっています、健康被害救済もあります、安全対策もしっかりしていますよ、ということを英語で発信しています。海外の方々と話すとですね、日本語を読めないので英語で伝えないと日本のことを理解していただけないというジレンマをいつも感じています。大体一ヶ月から二ヶ月に一回は海外に行って、いろんな国の規制当局の人たちとコミュニケーションを取ったり、学会に行って私どもの話をしたりっていうこともずっとしています。
患者参画を最後に紹介しますけれども、私は40年医者をやっていまして、乳がんが専門なんですけれども。乳がんの医者の頃から患者団体との付き合いが長いので、患者参画というのは、どこに行っても続けないといけないなと思いましたので、PMDAに来てからも患者参画やりませんかっていうのを提案して、始めました。
2019年に始めて2021年にようやく我々が考えている方向性を示した「PMDA患者参画ガイダンス」を作成しました。その後、患者さんからいろんな情報もいただくし、我々からも情報を提供するし、PDCAサイクルを回しながら、PMDAの認知度向上も兼ねながら、一般の人達、薬害被害者の方々も、そういう方々の意見を聞いて、私どもの業務を常に改善していこうということをやり始めております。
いかんせん非常に人が少ない足りない組織ですので、今努力はしておりますけれども、最近のトピックとしてはこういう希少がんの患者さん、希少疾病の患者さんの会と連携しながら、市販後にどんな副作用が出たかというのも迅速に集めて、それに対する対策をしましょうということを、個人からじゃなくて患者団体を通じて集めるような方策をどういうふうに立案するかというような協力もしております。薬害被害者の方々の話を聞く研修というのはもう長年ずっとやってきたんですけれども、それに加えまして、一般の患者さん、特に希少疾病とか難病の方々、そういう方々に来ていただいて、年に一回はその人たちの直の話を聞くことも始めております。
私どもの組織は臨床現場の経験者は少ないので、例えば二回目やってもらったのは日本難病・疾病団体協議会を通じてALSの患者さん、この片は人工呼吸器を装着したままで喋らないで全部筆談でプレゼンしてもらいました。そういうのを若い職員に見てもらうととても感じるところがあって、こういう方々になんとかしていい薬を早く届ける、あるいは安全に届けるっていうことを、周知するのがいいかなというふうに思ってやっています。
患者さんとPMDA職員との疾患別意見交換会は今年から始めましたけれども。私どもの職員と、それから患者団体の方々で、一回目は炎症性腸疾患(IBD)、クローン病とか潰瘍性大腸炎の患者さん、そういう人たちの団体と膝を突きあわせて、どんなことが困っているのかとか、それに対してどういうことを行政に期待しているのかとか、全員がディスカッションする二時間ぐらいのセッションをやったんですけれども、非常に良かったです。IBDの患者さんは、一番便失禁に困っていて、なかなか便失禁用のフォローをする器具が一般の薬局になくて大変なんですとか、それがエンドポイントだと一番嬉しいんですけれどとか。患者さんから直接、生の声を聞きたいっていうのを私としては強く思っております。
〇パネリスト間のやりとり
【パネリスト】慶應義塾大学大学院法務研究科 教授 磯部 哲
花井さんにまず聞いてみます。今PMDAのお話しを伺って、審査安全、救済もあるんですけれども、冒頭に歴史を語られた時に、その監視という役割と産業振興の役割というのが両立するのかっていうようなところの疑惑がある部分、もともとあったということをおっしゃっていましたけれども、PMDAの役割と働きぶりを、どう見ていらっしゃいますか。
開発を進めていくということもやりながら、しかし安全対策もやっていく。一つの組織がやっているわけですけれども、無理なく両立してやれているという風に見てらっしゃいますか。
【パネリスト】全国薬害被害者団体連絡協議会 代表世話人 花井十伍
これは非常に難しいテーマで、癒着という言葉で言えば、そういうことが懸念されたわけです。事実、オーファンドラッグ支援事業っていうのは、別の組織に移管して、それは別でやりましょうということを当時したんですけれど、実は医薬品の評価っていうものが、例えばレギュラトリーサイエンス相談というのをやっていて、企業が開発したいというときに、バリバリの製薬企業だったらいいんですけれど、最近ベンチャーなどが増えてきた時に、自分たちのこの技術は本当に薬品に効くんじゃないかと思っても、彼らの発想って、薬品を知らないから結構安易だったりするわけです、
そこをちゃんとPMDAの方が、医薬品っていうのはそう簡単じゃないと指導するということをやってるわけですよね。これはある種応援でもあるんだけれど、しかしながらそういうことをしないと、やはりちゃんといい医薬品が出てこないということなので、一概にその応援する部分と審査する部分が整合しないというふうに言い切ってしまうのは難しい部分があると、最近よく感じます。
もう一つは日本で開発してほしいというドラッグロスの問題が出てくると、やはり是非日本で開発する間口を、窓は開いてますよいつでも来てくださいっていうだけではなくて、積極的にその審査の手順はこうなっているから、こういうことをすれば良いと強く手を引くようなことをおこなうと、それも応援と言えば応援なんですけれども、たとえば学生さんに来てほしい大学が、試験や予備校もやって自分の大学に行ってというのは難しいとは思うのですけれど、やはりある程度厳しく審査すればするほど時間がかかり、必要な薬品にアクセス権がなくなるというこのダブルバインドがありますので、どの段階で薬品が市場に置くべきかっていうところがまず閾値なわけですけれども、そうした中でやはりその応援するというか、企業をある程度サポートするというニュアンスが全くないままの業務というのは難しいというふうに思っています。
もう一つ、余計な話をすれば、PMDAの理事長は歴代臨床医がやっているというところは非常に良いなと思っていまして、やっぱりその医薬品というプロダクトに対する規制の薬機統制っていうのはなかなかその臨床的な感覚とはまた違うところがあってですね、そういった時に実際現場で使う医師という人がそのトップに就いているというところが、この組織をある種の実践的な医薬品の上市ということにつながっているんではないかと、評価しています。
【パネリスト】慶應義塾大学大学院法務研究科 教授 磯部 哲
渡邉先生、医師や看護師の方々は、PMDAに馴染みはないというのは、そうなのですか?
【パネリスト】浜松医科大学 学長 渡邉裕司
私は、医療者であれば副作用の救済を対応するPMDAを知っていて当然と思っていますし、そのように期待しています。少なくとも医学部の学生への講義の時には、PMDAという組織の存在やその役割は必ず話しております。ただそれは医療者を代表する認識ではないかもしれませんし、一般の方々にとってはPMDAはさらに遠い存在かもしれません。
【パネリスト】慶應義塾大学大学院法務研究科 教授 磯部 哲
藤原先生、花井さんの意見について何かコメントあれば。
【パネリスト】独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA)理事長 藤原康弘
研究振興と審査、安全対策の両立って、本当に難しくてですね。これは花井さんがいつもご指摘している通りで、我々そこをどういうふうにやっていくかっていうのは、常に襟を正して臨んでいるところですね。理事長は誰がいいかですけれども、私は誰でもいいと思っていて。唯一やらなければいけない人は臨床現場をちゃんと見ている人、診療とかの現場でちゃんと働いた経験がある程度ある人じゃないと私はだめだと思っていて。それは医者じゃなくても看護師さんでも薬剤師さんでも誰でも良いと思うのですね。患者さん、あるいはその家族の人達と長く接触する経験があって、その人たちはどう考えているのかとかどんな思いがあるのかっていうのを、ものすごくたくさん、私もたくさんの方々を診てきましたし、たくさんの方々を治療や看取りをしてきましたけれど、その人達のそれぞれ、一人一人の声をずっと気持ちの中に留めているわけですよね。それをもとに仕事をしているので、そういうことができるような人であれば、私は誰でもいいと思っていますね。
〇有識者からのコメント
【有識者】薬害オンブズパースン会議 事務局長 水口真寿美
薬害オンブズパースン会議という民間の医薬品の監視組織の事務局長を1997年からさせていただいております。この医薬品等行政評価監視委員会の設立を提言した薬害肝炎検証委員会の委員でもありましたので、今日はその検証委員会の最終提言から15年、委員会発足から5年と題してお話をさせていただきたいと思います。
現在、この監視委員会は薬害防止のためにある委員会ですから、そういう点で、短い時間ですので、医学外防止の観点から今問題であると思う大きな二つの課題を指摘させていただきたいと思っています。
一つは、医薬品の早期承認や例外的承認制度の増加に安全対策と救済が追いついていないのではないかという問題です。最終提言後、最終提言というのは2010年だったんですけれども、医薬品等を早期に市場に出すということが、一つの大きなテーマになって、早期承認ための例外的な承認制度が数多く創設されました。もともと承認前に行われる臨床試験で確認できる安全性は限界がありますが、それを早く市場に出すわけですから、早期承認制度のもとでは市販後の安全対策の比重が高まって、その重要性は増すわけです。副作用に対する迅速な救済の必要性も同様です。安全対策の基本は有害事象を収集して、適切に評価することなんですけれども、実際のところ私が気になるのは、収集した有害事象報告について、行政評価監視委員会でも問題になっていましたけれども、因果関係が評価不能とされて安全対策に活かされていないケースが相次いでいるということです。
薬害オンブズパースン会議では、2019年にゾフルーザという薬との関係で、「評価不能」という問題を取り上げたんですけれども、2022年1月には意見書を出して、新型コロナワクチンの死亡例の99.4%が「評価不能」だと指摘したんですね。それからもう3年経っているんですけれども、今もこの数字が変わってないというのが大変残念な状況だということが言えると思います。それから、新型コロナワクチンの接種後の死亡として、これも皆さんご承知と思いますけれども、予防接種救済制度のもとで認定されたものが1047件、その多くが副反応としてちゃんと報告されていないとか、こんなにたくさんの方が亡くなっているのに、その情報が安全対策に活かされていないのではないかという問題点があると思います。そしてもう何年もの間、安全対策調査会と副反応検討部会の取りまとめの決まり文句というのは重大な懸念は認められないということなんですね。
最終提言は、薬害事件のいろいろな教訓をもとに、スライドでご覧いただいているようなことを基本的考え方として書いているんです。この検証委員会の提言は、委員が全部提言を書きました。厚労省に下書きをしていただいた部分はございません。その中で、ここを私たちはすごく重視したわけです。要するに薬害っていうのは、皆さんが言うように新しい知見が足りないから起きたというような話ではなくて、入手していた情報の評価を誤って行政が規制するという意思決定をしなかったことに、本質的な問題があるんだということに留意して安全対策を実施すべきだということを、基本的な考え方として言ったのですけれども、先ほど言った重大な懸念は認められない」を安全対策調査会の取りまとめの決まり文句にするというのは、この最終提言の指摘に反するのではないかと思うわけです。
救済制度についても、予防接種法の救済認定は本当に遅いですし、資料収集も負担が大きくて断念する方もいると聞いています。また「因果関係が否定できないものは救済する」と大臣は答弁されているんですけれども、一旦不支給にすると、私も取消訴訟を担当しているんですけれども、国は、こんなに被害者が立証しなきゃ勝てないのか、被害者は救われないのかと思うぐらいに、徹底的に争ってきます。取消訴訟では全然違う論理なんですね。それから、抗がん剤には依然として救済制度の適用はありませんので、今度条件付承認制度が新しくできまして、それが適用されるようになった時のことを考えると、非常に心配な状況にあります。
薬害防止の観点から問題となる状況の二つ目は、不十分な情報提供と過剰な宣伝です。患者や家族が今情報を取ろうと思うと、インターネット検索するわけですけれども、こんなに情報があるのにリスク情報にはたどり着けないという声をたくさん聞きます。YouTubeなど、SNSのガイドラインでは、WHOや厚労省と異なる見解を「誤情報」と定義して、削除の対象としてきた。最近ちょっとましになってきていますけれど、そういうことも影響しています。
一方、この委員会でも取り上げていただいたんですけれども、HPVワクチンのキャッチアップ接種に関する問題のように、医師の団体が薬機法の趣旨に反するような虚偽や過剰な内容の宣伝をするという例が見られているというのは、非常に残念なことだと思います。
今後の課題ということなんですけれども、最終提言が目指した監視委員会というのは、当初は、運輸安全委員会のようなものを作ろうと議論さえしていたぐらいに、とにかく厚労省から独立して活動することを使命としています。形としては審議会にはなりましたけれども、そのために既存の審議会とは異なる仕組みを入れるということを、意識したわけです。発足から5年間を拝見しますと、委員の発議権というものが入っていてよかったなっと思います。その委員発議で取り上げたテーマというのは、先ほどご紹介にあったコロナワクチンとかコロナの治療薬とか、HPVワクチンの広告とか緊急承認とか、不祥事の問題とか、時宜を得た重要なテーマを取り上げていただいていて、議事録をずっと読み返しましたけれども、良い議論がなされていると思います。ただ、5年で21回しか開いていないので、もっと取り上げてほしかったというのは率直なところございます。
もう一つ一番申し上げたいのは、対外的発信が足りないんじゃないかということです。勧告ではなくて意見ということでしたけれども、やっぱりそれが5年間で1本っていうのは、少なくとも私たち肝炎検証委員会の委員がこの組織を提案した時に描いていた姿とは違うというのが私の感想です。条文もあるからなかなか難しいのかもしれませんが、意見と言ってもいろいろな出し方がありますし、談話的な公表でもいいのです。委員会で何を議論して、委員は何を問題だと思ったのかということを、頑張って議事録を読んだのではない人にもわかるような発信の仕方をしていただきたいと思います。また、勧告等を受けた厚労省はこの委員会の特殊性を認識して、大臣や局長がそれにコメントして、ロードマップを作って、実行状況がちゃんとわかるように発信していくくらいの重みを持った委員会を提案したと思っています。
5年を経て、薬害被害者の願いで発足したこの委員会がさらに成長するということに大いに期待をしています。
【有識者】全国薬害被害者団体連絡協議会 副代表世話人 勝村久司
最初にご紹介いただいた通り、この委員会が五年前にできるその数ヶ月前に、医薬品等行政評価監視委員会の委員の選考に関する委員会という委員会がありまして、その委員は四人だったんですが、そのうちの一人でした。当時の第一回目の会議の議事録が今も厚労省ホームページ載っており、それを改めて自分で読んできたんですけれども、その当時に相当この委員会への期待も多岐にわたり、私も話していたということを思いだしまして、その内容も踏まえ五年を経て、改めてこの委員会に期待することを率直にお話しさせていただければと思います。
まず薬害とは何かということですけれども、薬害というのは先ほどもお話あった副作用と有効性とのバランスの難しい問題としての副作用とは違うんだ、私たちはその原因が薬ではないものを薬害と呼ぶと考えています。どういう意味かというと、人が原因であるものが薬害だと、だから薬害はなくすことができる。副作用被害とは違う。医薬品等の行政に関わるいわゆる薬学の専門家の方々が、しっかりと本当に国民のためということを忘れずに仕事をしていただいていたらここまで被害が拡大することはなかった、というものが、薬害と呼ばれている様々な被害の共通点だと思っております。もっと早く回収できたのにとか、もっと早く添付文書を改定できたのに、専門家の方々が患者のためという目的を少し忘れてしまって、別の利益のために情報の隠蔽とか操作、そういう手段をしたときに被害が起こり、被害が拡大してしまう。そういうことを防ぐために、いわゆる専門家の職業的良心とか学問的良心というものを監視する仕組みということが、委員会に期待していることです。
そのためには、市民感覚というのをすごく大事にした議論を、期待するところです。市民感覚には四つあると思っていまして、患者の視点というのは必ず入ると思うのですけれども、忘れてはいけないのは、消費者の視点。つまり、医療業界、医療界という非常に大きな経済社会ですから、そこでの消費者の権利ということが確保されているかというのは非常にいろんな情報の面とか、安全の面で大事な観点ですし、あくまでも医療も民主主義でなければいけないという市民の視点も大事。それから何よりも不本意な経験をした被害者が誰よりも被害が再発しないことを願っている。そういう人たちのエネルギーを素直に生かしていっていただきたい。そうすると、やっぱり被害者の声じゃないかという声に対する感度を非常に高めておいてもらわないと、患者との接触は日常的にあるんでしょうけれど、やはり被害者の視点、被害者の声、それから、消費者や市民の視点というものも大事にとしていただきたいと思うわけです。
四つの市民感覚についてですが、市民感覚とは何かを調べると、「専門家や権力者の論理ではなく、世間一般の人々が持つ健全で常識的な感じ方、考え方を基盤に社会は判断し、監視する視点のこと」だとも出てくるわけですね。専門家の皆さんは職業人である以上、市民感覚で市民が専門家を選んで、市民が専門家を監視するという形にならないとダメだと。専門家自身がそうであるためには、市民感覚を失わないようにしてもらわらなきゃいけない。そのことを市民は専門家に期待して、それを監視するんだと。そうすると、非常に医療界にとってよくないことになるかということなんですけれども、 患者本位の市民感覚を重視すると、やっぱり専門家の皆さんや、医薬品などを提供する業界の中にも非常に健全な人たちがたくさんおられるわけです。そういう市民感覚を持つ人たちとも感覚が一致するわけで、良識を守ることにも繋がって、決して片方を優遇していなくて、全体がよくなるべきだと思っています。
市民感覚に合わない例ということで、先ほど水口先生からもありましたが、委員会が一つ意見書を出されているのを今回改めて読ませてもらったんですけれど、その中にも出てきた表がこれですが、このアルファ、ベータ、ガンマとていうのはやっぱり非常に市民感覚的に違和感があって、アルファとベータに分けるのは分かるんですけれど、ガンマっていうのをそれらの集合から独立させることは、やっぱり非常に感覚に合わないというか、数学、論理学の集合論の基礎的な部分で、明らかに間違っていると思うのですね。実はガンマっていうのは、アルファの中に含まれる部分集合でなければいけないわけで、アルファかベータしかない。アルファの中にはガンマもある。つまり、ガンマっていうのはアルファの一部なので因果関係を否定できない。それをガンマにして、アルファの因果関係が否定できない報告数をすごく減らしてしまうということが、非常に薬害を防止するという観点から気になっています。これはコロナが始まる前から、私たちもいろんな被害を報告してきたんですけれども、ガンマ扱いされてきたという経験が非常にあり、ガンマは情報が足らないというのだったら、より情報を調べていくという姿勢を持ってやっていってほしいですし、専門家の皆さんが、専門的すぎると、こういう基礎的な市民感覚というのがなおざりにされてしまうことがあるかもしれない。そういうことがあってはいけないというような意味で、市民感覚っていうのは大事だと思いますし、他にもこの委員会で取り上げてほしい非論理性の事例というのはいくつも感じているところがあって、そういうところはぜひまた今後もそういう感覚で指摘していってほしいと思うわけです。
最後に改めて具体的な要望なんですけれども、この委員会は先ほど話ありましたように、屋上屋を重ねる委員会でも、隙間を埋める委員会でもなく、大きな視野で行政全体を俯瞰して、本質的根本的に議論をしてほしい。オセロゲームに例えれば、個々の一つずつの駒が白か黒かの議論ではなくて、オセロの角にあたる駒を白にするというような議論をしてほしいというのが、この委員会への私の期待です。オセロの角の駒っていうのは白になると内側の駒も全部白になっていくし、角の駒は一度白になると黒に戻ることはない。しかし非常に医療が複雑ですから、普通のオセロゲームのような二次元ではなくて、三次元とか、もしかしたら四次元のような複雑さもいっぱいあって非常に分かりにくいと思うのですけれども、やっぱり個々の盤面の角に大事なポイント、共通の大事な押さえるべきところがあると思いますので、そういうところを見据えた議論をしていただけたらありがたいと思います。
この五年間の議事録とか、もちろん追いかけさせてもらってるんですけれども、委員の皆さんのご発言は本当に基本的に市民感覚を持ってそのような議論を取り組んでいただいていると感じていますが、まだ結果が見えてきていないというところ。特にこの委員会は三条委員会とか消費者委員会の権限が弱いので、例えば意見書を出されてますけれども、年に一度は、厚労大臣に意見書を出すと決めてしまうとか、その際には厚労大臣と直接その場で意見交換をして、厚労大臣からも意見を言ってもらうようなことをしていくぐらいが必要なんじゃないでしょうか。
薬害というのは、被害が拡大してしまうかもしれない時間との戦いでもあるというのを意識してほしいと思いますし、いわゆる嫌われる勇気って書いてるんですけれども、やっぱりサッカーの審判は試合中にフェアな善人でなければならなくて、優しい人だったらちょっと注意するだけでも、なかなかイエローカードを出しにくいというのではなく、きちんとイエローは出して、それで改善できればまたフェアに対応していくということを続けていかなきゃいけませんので、そういう立場になっていってほしい思っています。
例えば情報公開の問題とか利益相反の問題とか、プロモーションの問題ですね。広告規制の問題とか、オセロの角にあたるものは非常にたくさんあると思いますので、ご無理をお願いしているかもしれませんけれども、引き続きそのような視点でご尽力をお願いできればと思っています。
【有識者】東奥義塾中学校・高等学校 養護教諭 中村元気
オーバードーズ(以下「OD」)を繰り返す若者について、現場視点を交えながらお話できればと思います。早速ですがグラフをご覧ください。これは精神科で薬物依存の治療を受けた十代がどのような薬物を使用していたかを示したものです。赤色で示された市販薬の割合が近年急増していることが分かります。左側の患者数を見ていただくと、数も割合も増加の一途をたどっていることがわかります。また、市販薬をオーバードーズする人は、従来の違法薬物使用者に比べて死にたい気持ちが明らかに強いことも分かっています。死にたいほどの苦しさから一時的に解放されるために、自己治療的に市販薬の精神作用を利用しているということです。昨年度に行われた中学生対象の特命調査では、およそ55人に一人が市販薬をODしているという恐ろしい結果が出ました。この急増は現場でも感じています。
ドラッグストアは全国的に増え続けており、私が勤務する青森県の学校でも、現在中学高校ともに一学年に平均一人程度の当事者を把握しています。
こちらのグラフは令和六年までの小中高生の自殺者数を男女別に示したものです。市販薬依存の増加と同様に、女子中高生の自殺が増えていることがわかります。今の日本では十万人を超える子どもたちが統計的には市販薬ODを経験しており、全国の学校現場で多くの教員が救えない現実に直面し、悲鳴を上げています。
これだけ深刻な問題となっている市販薬ODに対して、現状どのような予防策が講じられているのかを見ていきます。学校では、薬物乱用防止教室などでODの害を伝えていますが、効果はあまりありません。子どもたちは害を理解した上で、それでもODをしています。薬の箱への注意表示も同様です。厚労省がODするよりSD(相談)しようというメッセージを出したことが春にありました。この時、ネット上で大炎上をしました。子どもたちは相談を怖くて危険な行為と感じているからこそ、薬に頼っています。
ドラッグストアでは販売個数を一個までと定めていますが、店を回ればいくらでも買える現状があります。今年5月にはコンビニでの販売も可能となる法案が通ってしまい、このままいけば今後はさらに入手しやすくなることが予想されます。薬剤師や登録販売者による声がけも行われていますが、当事者が本音を打ち明けることはほとんどありません。生徒の中には皮肉にも、登録販売者はすんなり売ってくれないから嫌いと話す人もいました。相談支援体制の強化も進められていますが、助けを求める力の低い当事者を待つだけでは届きません。
右のイラストは市販薬ODを棘付きの浮き輪に例えています。大人が考える以上に、子どもたちは深刻な状況を生きており、苦渋の選択の末に市販薬ODを行っています。
ここからは、私が個人的に考える有効な予防策についてお話しします。まず強調したいのは販売制限だけでは苦しさの根本的解決にはならないということです。私の関わっている生徒の中にも市販薬ODが現状を命綱となってしまっている子たちがたくさんいます。それでも現状では薬を手に入れやすぎる、間口が広すぎるという問題があります。そこで、イラストで示している駅のホームドアのようにODに飛び飛び込みずらい仕組みを整える必要があると考えています。行政には乱用リスクの高い薬の第一類への変更や販売禁止、医療機関限定の処方への見直しを求めます。この点については、監視委員会の皆さんには積極的な発信勧告を期待しております。企業には、同一購入者を特定できる販売システムの導入と瓶小粒、大容量などODしやすい形態の販売中止を強く求めます。本当であれば、同一購入者の特定については、行政の方でマイナンバーカードとの紐付けなど行ってほしいところではありますが、あまりにも規模が大きいかと思い、企業間で協力し合って、そのようなシステムを構築していただくというような形が現実的なのではないかと考えております。学校の方ではセーフティーネット機能を充実にしていく必要があります。例えば、死をほのめかす発言や不適切な養育が現在増えております。スクールソーシャルワーカーなどと連携し、医療福祉につなぐ体制が必要です。また、知識や脅しによる教育ではなく、ソーシャルスキルを育てるような学びの場を設けることが薬物乱用を防止する効果があるという研究もありますので、そのような学びの場の設定も必要と思っております。
また、相談機関も、待つ支援ではなく出向いていくようなアウトリーチ型の支援を広げていくことが求められます。先ほどのホームドアの例で申し上げますと、現状の予防策は駅で黄色い線の内側にいてと叫んでいるだけの状態です。実際のホームドアの設置で飛び込み自殺が76%減少したという報告もあります。市販薬ODにもそれぐらいの抜本的な対策が必要であると考えております。
〇パネルディスカッション
テーマ
1.医薬品行政の現状と課題
2.取り組むべき課題
3.これからの医薬品等行政評価・監視委員会
【有識者】東奥義塾中学校・高等学校 養護教諭 中村元気
私は今、中学生と高校生に私立学校で関わっているんですけれども、関東の方のすごく偏差値の高い私立学校というわけではなくて、本当に地域の幅広い層の子供たちが通ってくる学校なんですね。そういった中で、本当に世相をすべて反映したような子どもたちに広く関わっている立場から申し上げさせていただきますと、今現状で行われている行政だったりとか監視委員会での活動の取り組みというものが本当に一部の上層の人たちにしか届いていないという現状があると思います。
生徒たちの中には、文字での情報を本当に読まない生徒もいますし、保護者の方でもいらっしゃる現状もあります。ですので、そういうなかなか届きづらい方にも届いていく、先ほど私からも申し上げましたけれど、アウトリーチ的な、リスクのあるような家庭に、どれだけ情報を届けていくかを、考えていく必要があると思っております。
【パネリスト】慶應義塾大学大学院法務研究科 教授 磯部 哲
ありがとうございます。薬を製造する部分、まず作ろうという川上から、それが川中で流通して、やがてユーザーの所に行く、川下に行ってどう使われているかというところまで十分我々が監視できているかというと、そうじゃなかったのではないかと思うんですね。
このあたり、何か今後の行政としての取組みっていうのは、さきほど藤原先生は一般の方に向けたSNSの発信などに取り組んでいらっしゃるというお話をいただきました。キャラクターが出てきたりしましたよね。こういう一般の方の一般用医薬品を飲むにあたっての注意とか、リテラシーといったことについて、今PMDAとしてどんなことを取り組んでらっしゃるのか、あらためてうかがってもよろしいですか。
【パネリスト】独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA)理事長 藤原康弘
まだ取り組んではないです。先ほど申し上げたいろいろなことを今始めたところです。少ないリソースの中でいろいろなことをやっていかないといけませんが、その中の一つにこれは入っているんですね。一般用医薬品の審査もしていますので、非常に大きな問題が起きているっていうのは十分承知していて。今週末の小児科学会でも多分議論されると思いますけれども。先ほど中村先生がおっしゃったように、色々な方々に届くように、どう分かりやすく伝えるかという点が、医薬品の審査をしている私どもも同じだし、健康被害救済や安全対策も同じで、単に情報を固い言葉で並べても、誰も受け取ってくれないので、どう腹落ちするように資材を作って啓蒙していくか、あるいはみんなで共有していくかということを今意識してやろうっていうのを始めたところなので、資材はこれから作らないといけないと思っているところです。
いずれにしても、いろんな層の人に訴えかけるっていうのはものすごく難しいことなんですけれども、特にこの一般用医薬品だったらオーバードズの場合は若い方々ですよね。彼らって、家庭環境に問題があったり、警察との関係が難しかったりとか、いろんな課題を多分抱えていると思うので。その人たちの心に届くように、例えばPMDAとしてどういう文章を出していけばいいのか、どういう形で伝えていけばいいのかっていうのは、今みんなで考えようねって言っているところです。
【パネリスト】慶應義塾大学大学院法務研究科 教授 磯部 哲
ありがとうございます。地域によってとかではなく、地方にも都市部にもそういう方はたくさんいらっしゃると思いますし、いくら情報提供したって日本語が理解できない外国の方とかであればどうなるか、いろんな方がいらっしゃると思うのですけれども、薬は特にリスクもあるでしょうが、同じように健康食品であったり何かの機器であったり、色々なリスクがそれぞれあるのだと思います。
そういう方にどう上手に使っていってもらえるのか、デジタルデバイドなどもある中、誰がどの段階で働きかけるべきなのかということを消費者目線でということで、戸部先生に例えばどんな取り組みが他の領域ではある、医薬品ではもっとこういうのがあってもいいんじゃないかっていうようなことはあるのでしょうか。医薬品の部分に限ってでもいいんですけれど、もう少し一般の人が今日の例でいえばホームに飛び込まないようにするための装置として、誰がどんな役割を果たせるかということをコメントいただければと思います。
【パネリスト】日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会 会員 戸部依子
今のご質問の回答になるかどうかはちょっとわからないんですけれども、市民としてというようなところでは、例えばPMDAも、薬を服用して何か副作用があったら報告してくださいという制度ができてですね、双方向のやり取りがだいぶできるようになったんだなというふうに思っております。なので、例えば先ほどのオーバードーズのお話なども、ご本人から何か情報発信というのは難しいのかもしれませんけれども、例えばご家族の方からこういったことが起こっているんだけれども、どうしたらいいかというような相談などもPMDAさんにできたら良いなというふうに思います。
あとは報告した内容がどういうふうに活かされているのかということをもっと知ることができると、市民の役割も自覚できるのかなというふうに思いました。先ほど勝村さんのお話、アルファベータガンマのところでガンマに分類されている、要は情報が十分でないというようなことに関しても、事前のアセスメントの中では確認できていなかったけれども、もしかしたら、実際の使っている場面でわかった話があれば、もっとガンマの部分とかアルファの部分が減っていくのかどうか、見届けたいなと思っています。そういう意味で今たくさんある情報の活用とか、それの効果の評価にかけるスタミナも必要ではないかというふうに思います。
【パネリスト】慶應義塾大学大学院法務研究科 教授 磯部 哲
はい、ありがとうございます。そこはまた重要な論点であろうと思います。 アルファベータガンマについて、言いたいことはたくさんあるのですけれども、水口さんに振りたいなと思っています。過剰な宣伝といったことがダイレクトに一般の方のところに行く中で、それはまた薬害の温床になりえると思うのですけれども、医薬品行政として何をもっとどうすべきかということを改めて、オーバードーズの話もありましたので、教えていただければと思います。
【有識者】薬害オンブズパースン会議 事務局長 水口真寿美
私が先ほど申し上げたのは、専門家の団体がそういうことやっていいの?という、この委員会で検討していただいたようなことなんですけれども。多様な情報がネットに溢れている。その中で、私が一番言いたかったのは、薬害被害者の声が消されていて見ることができないから、本当にどういうリスクがあるのかということを肌で感じることができない現状があること。みんなが検索して見ている世界は、実は多様なものがあるように見えて、そこに一定の操作が入っていて、それほど多様なものじゃないという現実があるということを、指摘したかったっていうのが一つあるんです。それをどうするかという問題と、そういう情報の中で選んでいく視点をちゃんと身につけられるかということが重要です。これさえやればいいっていう話はもうないんですけれども、薬害っていうものはどういうところで起きてるかというと薬被連の方たちは冊子も作って学校でも教育してると思うのですけれども、基本的な共有がやはり大事なんじゃないか、被害を身近で感じられるようなことを、理屈じゃなくてちゃんと提供していくというのが一つの課題ではないかと思います。
綺麗な整理された情報を提供するというよりも、薬はこういう面もあるんですよということを肌で感じられるような工夫は必要じゃないかと思います。それともう一つは、先ほど先生がおっしゃられたのは患者からの副作用報告制度の話なのかなと思いますけれども、ちょっと論点が違いますが、これも肝炎検証委員会提言で提案した制度です。その後できているんですけれど、はっきり言ってあまり活用されてないと思います。安全対策調査会での結果の扱い方もすごく軽いし、それから患者が入力しやすいようなシステムになってるのかっていうと、そうなってない。そう報告ができるってこともあまり知らされていない。ここはやる気になればもっといろいろできると思います。
【パネリスト】慶應義塾大学大学院法務研究科 教授 磯部 哲
ありがとうございます。情報の送り手と受け手というのは様々に役割があって、適切に評価された情報を欲しい人が欲しいタイミングで十分アクセスできるのかがいろいろに問われているのだと思います。それは全体として大きな課題ですし、我々がどこの部分を監視していかなければいけないのか、そういう課題をご指摘いただきました。花井さんコメントお願いします。
【パネリスト】全国薬害被害者団体連絡協議会 代表世話人 花井十伍
先ほどのオーバードーズしやすい薬を一類にするべきっていうことについて、制度論としては様々論点はあると思います。ただ購入ゲートとして薬剤師の前を全部通るようにしろということだと思うんですけれども、相当議論になってですね、私も主張はしましたが業界からすると現実をわかってない空論だと指摘される訳です。
結局のところ、例えば登録販売者がいろいろ声をかけだしているんです。今その検討会は、新しい薬機法を踏まえて関与しないと専門家が関与しなければ違法だというのを明確にしたので、都道府県の監視体制がしっかりすれば良いのですけど、みのがされてしまうとまたどんどん違法状態になる可能性があります。そういうときに、例えば行政が、いろいろ言うっていうのはよくあると思うんですよ。例えば製造販売業者とか、ドラッグストアとかそういうところに行政が強く言うっていうのはあるんですが、それを強めると、その規制行政が規制しすぎだっていう別の力学があって、全部力学で決まっていくところがあって、 一番強いのは誰かってやっぱり市民なんですよ。だから、例えばドラッグストアでうるさいこと言わずに早く売ってほしいのにっていう市民の声が多数を占めれば、それ見たことかと、余計な専門家の関与でみんな迷惑してるじゃないか、ってなるのですよ。なのでやっぱりこの市民社会の中で医薬品を皆どう考えるの?っていう問題意識が高まることが重要です。
例えばグローバル企業相手であっても、日本の市場は情報公開にとてもうるさい市場であるという実態があれば、日本法人もそれを理由にグローバル本社に強くかけ合うことができたりするわけです。やっぱりこの委員会も一般の人たちが医薬品行政をどうするかと考えるような形を作るための情報発信ということなので、戻りますけれど、難しい情報発信をどうしようかなということになります。
【有識者】東奥義塾中学校・高等学校 養護教諭 中村元気
市民からの声というのはPMDAで集めていただくのも可能なものなんでしょうか。一つ浮かんだアイデアがありまして、さっき戸田先生からお話がありました、本人の声ではなく保護者の声という話で、保護者も実は精神的に不安定なケースも多くありまして、さらに人が声を上げられるかというと、教員だったり、各都道府県にある精神保健福祉センターだったりが、薬に関する害でどのようなものを実感していますか?というアンケートだったり、調査を受ければものすごい数のオーバードーズ被害についての情報が集まってくると思うんですね。そういう声を待っているのではなくて、回答を促す。全国に調査を依頼するっていうような形を取れば、ものすごい数の市民の声が集まってくるのではないかなと思いました。
【パネリスト】慶應義塾大学大学院法務研究科 教授 磯部 哲
ありがとうございます。この後の取り組むべき課題の一つに、広い意味では患者参画といったことを考えていたのですけれども、患者どころか一般市民感覚を持つ人がいろいろにどう関わるかっていう話になっているとも言えるような気がしたんですね。
勝村先生のご発表の中でも、市民感覚ということを強調されて、専門家をきちんと監視するということでしたけれども、この監視委員会が果たしてどうやったらもう少し市民感覚を強くできそうなのか、それとも監視委員会だけでは十分ではなくて、もっとそういうチャンネルが他にもあった方がいいというふうにお考えなのかといったあたりはどうでしょう。
【有識者】全国薬害被害者団体連絡協議会 副代表世話人 勝村久司
まさに今、花井さんの話にもありましたけれども、市民の声っていうものが簡単に作れてしまえると、おそらくオールドメディアも思っているし、この映画をヒットさせるとかですね、そういうことのノウハウもあると思いますし、電通という会社とかがどういう動きをしているのかは知りませんけれども、なんとなくいろんな意味で流行っていうのは作れるということはあるし、それに僕らもある程度乗っているところもあるんでしょうけど、情報っていうものの本当のリテラシーとは非常に難しく、だけど今まさにそこがやっぱり一番問われている。なのでちょっと過度なプロモーションが市民を動かしてしまうということであれば、健全な普及啓発とか健全な教育からそこはずれていく。
僕も高校の教員をしているんですけれども、学校教育法の中には「健全な批判力を養う」という条文があるんですね。いろいろ専門家の人たちからのいろんな知見を学ぶっていう場でもあるんだけれども、やっぱり新たな社会を作っていくという意味で、健全な批判力を持って自分で考えて情報も見ていくんだっていう視点を、やっぱりどこかで大事な問題として、自分たちは共通認識を持っておかなきゃいけない。その根拠が薬害の歴史であると思いますし、だからそういう思いを持って始めて薬害をなくしていけると思うので、非常に難しい問題ですが、現実の中村先生のお話もありますけれども、そういう整理をして取り組んでいかなきゃいけないんだろうなと思います。
【有識者】薬害オンブズパースン会議 事務局長 水口真寿美
この委員会が市民感覚をどういうふうに取り入れて生かしていくかと、先ほど磯部委員長からお話があったかと思うんですけれども、そういう意味で言えば、例えばHPVワクチンのプロモーションのことをこの委員会で取り上げていただいた時に、薬機法上どういう位置づけかとかね、難しいコメントが厚労省からあったと思うのですけれど、これって患者の自己決定とか市民の選択権っていう観点から見たらどうなの?っていう意見を、この委員会が持った。違法でなければ何でもいいっていう話ではないので、あの議論はいい議論だったんだけれども、それが議事録を読まない人には伝わらない。ここがやはりもったいなかった。議事録を読みましたが、先生方はある程度自信を持っていただいていいと思うんです。市民感覚の議論はできている部分はあると思うのですが、それをやっぱり発信していくとか、臆せず薬機法違反かどうかは実は問題ではない、患者の自己決定権の観点から見たときに、これはどうなんですか?という観点でやっぱりコメントを出していただくっていうぐらいの感じでやっていただくのがいいのではないかと思います。
そういう意味では、先ほど私が救済制度の情報が安全対策に活かされていませんという話をさせていただいたんですけれど、専門家は、厚労省から「制度の目的が違います」って言われれば「なるほどそうなのか」と納得する部分はあると思うんだけれど、多分市民感覚から言うと、同じ厚労省の中で、一方では、死んでいるということで、制度の目的は違うかもしれないけれど、救済認定されているのに、「いろんなシグナル捕まえていくのが安全対策なんでしょ?それを制度の目的が違うと言って、そんなに綺麗に割り切れるんですか?」となる。委員会、部署横断の話なので、この委員会にふさわしいテーマなんじゃないかなと思っています。
議論されている中で、市民感覚は出てきているような気は、私はしたというところは一応申し上げておきたいなと思います。
【パネリスト】慶應義塾大学大学院法務研究科 教授 磯部 哲
ありがとうございました。市民感覚の生かし方、患者参画の話とか、一般国民のリテラシーをどうするか、オーバードーズの問題、実は今後の課題として取り上げたいというテーマ、全て先に議論していただいたと思います。市民感覚は悪くないけど、議事録を読めというのはちょっと分かりにく過ぎる、そこはあまり健全じゃない感覚だから、もうちょっと分かりやすくアウトプットしていくべきじゃないかということで、大変示唆に富んだご指摘でした。実は今シンポジウムへのQ&Aの中でも、年に1回勧告・提言するというのはできるのかできないのか、どうするのだ?とコメントしてくださっている方もいらっしゃいます。なんでもいいから必ず1回すると決めていけばよいかというと、私はどちらかというと中身次第かなと思っていたので、議論の結果、やはり提言すべきものが出てくればしたい、すべきであるというのが基本的なスタンスだったと思います。とはいえ、様々なルーティンの課題を回すのに懸命で、意見を作るエネルギーや時間を取れなかったところもなくはないのですけれども、でもせっかくの権限だし、“今、何が課題か”を分かりやすく伝えていくツールでもあり得るのだろうと思いましたので、今後さらに対外発信を充実させるというご提言を参考にできればなと思ったところです。
【パネリスト】全国薬害被害者団体連絡協議会 代表世話人 花井十伍
前回の委員会で一応最後に予告編として、つまり僕らこんなひどい目にあってるのに
なんでそれがなってないの?っていうのが市民感覚としてあって、制度が違うっていうのは、これは薬害肝炎の例の集団感染が隠されたっていう文脈と同様の問題なんですけれど、結局何目的のために集めている情報だからこうだっていうのは霞ヶ関の理屈で、一人一人の患者はこれで被害があったっていうところなんですよ。
なかなか難しい問題ではあるけれども、因果関係としてアルファベータガンマじゃないけれども、判定不能の山があってですね、 業界関係者はあそこにどういうものが入っているかっていうのは分かっているから、悪用されているわけですよ。判定不能の中にある疑いを否定できないっていうものが結果として覆い隠されて、ある種副作用を少なく見せる装置として利用されちゃってるんですよね。だからそういうところも含めて、やはりこの救済とシグナル収集ということを、やっぱり制度的に連携させるということが、次の課題かというふうに私は思っていますし、ぜひやりたいと思います。
【パネリスト】慶應義塾大学大学院法務研究科 教授 磯部 哲
ありがとうございます。集まった情報をきちんと分析してるんだな、だからこういう情報が出てるなら安全とひとまず思えそうだな、じゃあ安心してワクチンを打とう、という気持ちになれるかどうか、そういう情報発信をして、正確な知識のもとで安全に予防接種を受けられる環境が整っているという、そういう信頼が生まれることが大事だと思うんです。
それが、ガンマ99.4%ではそうは言いにくいのではないかということを言っていたわけです。科学的な意味合いの違いとかそこではなく、見え方の問題というふうに、私などは考えておりまして、でもそれも含めて、副作用救済制度がどう見られているかということにも関わるご指摘だと思いましたので、今後取り組むべき課題の一つに、やはりあげていってみようかなと思いました。PMDAはシグナルを十分検出、収集できているのかという点について、藤原先生に投げてよろしいですか。
【パネリスト】独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA)理事長 藤原康弘
私も昔、審査員会やっていた時期には、一日数時間全世界からの副作用報告全部見てやっていました。それよりは今数が増えていますが、隣で見てもらってもいいぐらいですね。いい加減に見てる人はいないと思います。ただ得られている情報が非常に少ないっていうのはやっぱり大きな課題です。副作用報告に記載されている情報がですね、医学的判断とかをするのに非常に不足していることがあるのも事実なんですね。医療全般は不確実性がたくさんありますから、病院行って、じゃあすべてが科学的に全部進んでいるかっていうとそんなことはないので、なかなか難しいですね。少なくとも来ている副作用報告、あるいは救済に関する情報などはきちっと見ていますし、我々がむしろ救済業務の中で苦労しているのは、医療機関からの診療経過がきちっと来ないとかですね。色々な機会にかかわっているので、私も職員も医療機関から言われるんですよ。PMDAなんか知らんぞとか、どこの組織だとかですね。職員はめげそうになりながらでも、患者さんのために何とかしないといけないっていうので、医療機関に聞いて情報を集めているのをずっと繰り返しながらやっている。性悪説ではなくて、私は性善説で。職員は情報をいかにたくさん収集するか、あるいはどこから色々な情報を集めるかに苦心しているというのが実態です。
【パネリスト】慶應義塾大学大学院法務研究科 教授 磯部 哲
ありがとうございました。実はアルファベータガンマについて、Q&Aいくつかあるのですけれども、ガンマ99.4%はその後どうしているのか?振り分けたりしてるのか?などです。見直しの動きがあったというのはどうなったのでしょうか?というものもあり、関心が強いようです。これは今後こちらの委員会でも取り上げると思います。現在、今研究班で検討しているその成果を来年にはいただけるのではないか、少なくとも“情報不足・評価不能、以上”かのように言いっぱなしで終わっているわけじゃないということがもっと伝わるような表現に変えていく、大きくはそういう方向だとうかがっていますので、少し改善することは期待できるのではないかと思っております。
そのほか、この委員会についてきちんと提言を出すなら出す、レポートする、もっと頑張る、しっかり大臣と協議するとかやったらどうだというふうな応援コメントをいただいております。
疑い報告、安全性に重大な懸念がないと言いっぱなしなことに、やはりちょっと疑問があると。これもやはり情報の伝え方という問題ではないかと思っております。貴重なご意見をいただき、ありがとうございました。
【有識者】薬害オンブズパースン会議 事務局長 水口真寿美
さっき発信が必要って言ったんですけれど、それはやっぱりやっていただきたいっていうのは強く思います。全然重みも違うし、集まっているメンバーが仲間というのはありますけれど、 私は、同じような医薬品の評価の監視組織をやってますけれど、私たち5年の間に43本意見書を出してるんですよね。その意見書は全部ここの委員会に送っています。この委員会の意見書はやはり重みはありますけれども、重たいものを常に出さなきゃいけないって思っているとね。なぜこの委員会をこの人数、このメンバー数にしたかというと、フットワーク軽く評価するという姿を念頭に置いていたからなのです。「もっと発信するぞ」って今日宣言していただいたらいいんじゃないかなと思います。あとはやはりこの議論をもっと深掘りしてほしいって思うのに、終わってしまっているものがいっぱいあるので、深掘りもお願いしたいなと思います。
すみません、もう一点だけ。市民参画という点から言うと、確か基本的に安全対策調査会と副反応部会には市民の委員はいないんですよね。やっぱり市民の委員が入るということは大事だし、それから、誰でも入れるかというと、政府の委員会に入って役割を果たすための、訓練というか、ちょっとしたカリキュラムを持っている国がありますので、そういうのも今後検討していただきたいなと思います。
【有識者】全国薬害被害者団体連絡協議会 副代表世話人 勝村久司
僕もいくつか厚生労働省の患者代表とか市民代表みたいな立場で委員をさせてもらった経験が、今もあるんですけれども、やはり国民の代表になっているっていうことのプレッシャーはすごくて、もし僕がなっていなかったら別の人がなっているわけなので、そう考えると、やはり相当どんな立場であれ結局はその市民感覚、市民の代表って言ってもその市民が何の仕事をしているかよりも、やっぱり市民感覚を持っているかということがすごく大事だと思うのですけれど、やっぱり情報、議事録も全部公開するということは、それがちゃんと国民の代表として役割を全うできてるかどうかっていうことを、結局見せているんだと思うんですよね。
四年前に意見書を出したものがその後どうなっているんだ?ということは、年に一遍、厚労省大臣とやり取りするぐらいの気持ちがやっぱりそこへ関心のある国民からするとやってほしいと思っているに違いないし、そんなに今年は何もなかったね、っていうのは本当なのかっていうのは、やっぱりあると思いますし、だけど皆さんの中でやることに限りがあるのも当然みんなも理解できているわけなので、一つ、「時間との戦い」っていうような部分をちょっと持っておいてもらわないと、いつまでもずっとこんな調子でやっていてもいいんだと思っておられないと思いますけれど、そういう誤解も生じかねないので、時間を区切って、任期の再任もどうしていくんだという議論もしてですね、ここまででこれはやりとげたいと思うような国民の代表としてのそれぞれの皆さんの知見に沿ったものを一つずつオセロの角を取っていくということを、ずっと続けていかなきゃいけないと思うんですよね。
そういう意味で、僕はガンマに関しても非常に見解は甘いと思います。ガンマはガンマという部分集合を作ってもいいけど、絶対アルファの中に置いておかなきゃいけない。アルファの集合から外に出しちゃうとだめです。実際僕、昔から僕の妻と子供の被害もガンマにされてしまって、アルファじゃないって言われてしまってるんで、非常にそこは難しいところなのかもしれませんが、ぜひいろいろ深くこれを機に考えていただければありがたいと思います。
【パネリスト】慶應義塾大学大学院法務研究科 教授 磯部 哲
ありがとうございます。 強いエールをいただいたというふうに思いました。
申し訳ございません。これで本当に時間が終わってしまいました。Q&Aに触れさせていただくのは十分じゃなかったかもしれませんが、関心を寄せてくださり、質問を寄せてくださった視聴者の方々に御礼申し上げます。今後も議論は続きますので、ぜひ厚労省・本委員会宛に、追加でご意見ご質問などがあればお伝えいただければと思います。
本日、パネリスト先生方、有識者の先生方、ご参加ありがとうございました。もっと時間があったらいいなと思いましたし、なんなら第二回をいつかやれればというふうにも思いますけれども、ここで一旦進行を事務局にお返しいたします。
〇閉会挨拶
厚生労働省 厚生科学課
磯部委員長、どうもありがとうございます。それでは以上をもちまして、医薬品等行政評価監視委員会5周年シンポジウムを終了いたします。
ZOOMにてご参画いただきました皆様へ退出時に表示されますアンケートへの回答につきましてもご協力をお願いします。
本日のシンポジウムのアーカイブあるいは議事録資料につきましては、後日ホームページの方に掲載させていただきますので、よろしくお願いいたします。それでは、本日はご参加いただきましてありがとうございました。
厚生労働省 厚生科学課
定刻になりましたので、医薬品等行政評価監視委員会5周年シンポジウムを開催いたしたいと思います。パネリスト・有識者の皆様方におかれましては、ご多忙の折、ご出席賜わり本当にありがとうございます。
医薬品等行政評価・監視委員会は、薬害被害再発の防止のために医薬品行政を中立、そして公正な立場から監視評価することを目的といたしまして、2020年9月に設立され、今年で設立5周年を迎えました。
本シンポジウムにつきましては、医薬品等行政監視委員会のこれまでの活動状況の振り返りをさせていただきます。それとともに活動を報告する目的で今回開催させていただいたところでございます。
それでは本日のご登壇者を紹介させていただきます。まず評価委員会の委員としまして、磯部委員長、戸部委員、花井委員、渡邉委員の四名にお越しいただいております。また、PMDAの藤原理事長にもご参加いただいております。加えて、薬事行政に関する有識者といたしまして、薬害オンブズパースン会議 事務局長の水口真寿美様、全国薬害被害者団体連絡協議会 副代表世話人の勝村久司様、東奥義塾中学校・高等学校 養護教諭の中村元気様にもご同席いただいております。
最初に事務局より注意事項についてご説明させていただきます。傍聴に関してはライブ配信を行っておりますので、できるだけゆっくりはっきりご発言いただくようお願いいたします。また、シンポジウムの後半にオンライン傍聴の参加者の皆様から登壇者への質問をお受けする時間を設けております。質問にあたりましては、ZoomのQ&A機能からご質問内容を投稿いただけます。
それでは以降の進行につきましては、磯部委員長にお願いいたします。
〇委員会5年の歩みを振り返って
【パネリスト】慶應義塾大学大学院法務研究科 教授 磯部 哲
医薬品等行政評価・監視委員会の委員長を仰せつかっております慶応義塾大学の磯部と申します。本日、5周年シンポジウムということでやっているのですけれども、どういう経緯でこの委員会ができ、それが果たして期待通りの役割をしているのか、期待はずれなのか、むしろもっとどんなことに取り組むべきなのか、取りこぼしていることはないのかとか、そもそもどんな風に見られているのか、そういったことについて、自分たちの存在を知ってほしいと思うと同時に、どんな風に見られているかを知りたいということがありまして、このような企画をした次第です。ご参加いただいたパネリストの先生方、有識者の方々、ありがとうございます。みっちり勉強しようというのではなくて、果たしてどんな問題がありそうなのか、まだまだどういうことを今後は取り組んでいかなきゃいけないのかといったことを一つ二つ気づきが得られればありがたいなというふうに思っております。
【パネリスト】全国薬害被害者団体連絡協議会 代表世話人 花井十伍
この医薬品等行政評価監視委員会という組織なのですが、これは非常に極めて特殊な組織です。医薬品の規制当局は、法律に基づいて法規範の下で仕事をしているという組織で、基本的には不正とかそういうことはないということが前提ですし、もし何かの不正があれば、それは不正だということで、社会問題化するわけですが、医薬品の場合はその歴史において色々なことがありまして、それによって結果的にこのようなものが作られています。振り返りますと、医薬品というものは皆さん、自分の病気を治したりするというところで使うものであって、医薬品の登場によって人の健康というものは非常に良くなるということを経験しているわけです。特に戦後から申しますと、かつては伝染病と言われた感染症領域において、ですね。例えばあのペニシリンであるとか、あと戦後すぐ結核に関しては、ストレプトマイシンが40年代後半ぐらいに導入されています。こういう抗生物質は本当にその感染症に対してドラスティックな大きな成果をあげたわけです。いわゆるハンセンもそうですし、こういった抗生物質系というものがどんどん日本に入ってきて、できれば国産化しようというのが流れとして戦後にあったわけですね。ところが、あの1956年にペニシリンショックというのがございまして、薬品が良いことばかりじゃないという、これは大変な社会的な衝撃がありまして、医薬品でこんなことが起こるのかということになったわけです。そして、その後に1960年代にサリドマイドというものが起こります。 これは我が国だけではなくて、世界中に衝撃を与えたわけです。
医薬品行政というのは基本的には規制行政なので、あんまり強い規制というのは避けると、最低限規制しようという、そういう抑制的なものがあったと思うのですけれども、この事件をもって世界中の当局が医薬品の安全性、有効性は国が確認しなければならないということを考えるようになったんですね。今では当然の考え方ですが、これはまさにサリドマイドにより世界でスタートしたということで、この1967年、世界の法改正というのは、まさに薬事元年というふうに今でも言われています。
その後ですね、日本でこれを薬害と呼ぶようになりまして、サリドマイド被害や薬害エイズとかですね、薬害という言葉で、一連の医薬品の被害というものが問題化していくようになったんですね。
一般の市民の方にとってみれば、何か特殊なことが起こっているという形が薬害ということではあるのですけれども、今や例えば、いわゆる一般薬品のオーバードーズ、そういった問題もございますし、それからワクチンのように本当にたくさんの人が使う場合はですね、それは何らかの重篤な被害というものが起こるリスクは、数を使えば使うほど高くなるということになるので、そういったときに、一体医薬品っていうのは、本当に自分のためになるのかどうかっていうことを考える契機っていうのが、今出てきているのではないかと思います。
この監視組織はですね、主に薬害の被害者が、やはりこの行政の仕事が足らないのではないかという疑惑ですね、当時薬務局と言いましたけれども、薬務っていうのはもちろん監視という面もあるんですけれども、産業振興的な部分も担っていたので、それを同時にやるから癒着が起こるんじゃないか、そういう疑惑を持ったりしてですね、それを監視する人たちを監視しなきゃいけないんじゃないかというコンセプトが、PMDA法をつくるときに、強く被害者たちが主張したわけです。こうした主張に対してPMDAを作る契機っていうのは、アメリカやヨーロッパに比べてその監視体制や承認体制があまりにも日本は脆弱だったことから、日本の医薬品に対する安全対策、もしくは承認体制を強化しようというコンセプトだったわけだから、 まずそれを強化してないのに監視する方を作るというのは、 まさに屋上屋を架すことになるのではないかと当時の厚生大臣が申しまして、大臣の言うことも一理あるということで、私たちはその場ではこの監視委員会ということを、強く言いましたけれども、そこでは諦めたと、PMDAの設立を優先したということになるわけですね。
その後、薬害肝炎というのが起こって、その検証の段階でやっぱりこういうのを作るのが必要だというところでできたということなので、ある種薬害被害者たちの悲願という部分はあるものの、やはりあのこういった組織は市民による評価監視という少し強い言葉になっていますけれども、市民の健康に関係のあるプロダクト、商品、こういう商品について、逆にPMDAがちゃんと適切にやっているかということを市民の目線で評価するというコンセプトは、やっぱり良いコンセプトだと思います。消費者庁というコンセプトがあるわけですけれども、皆さんにとってみれば、消費者庁の特殊領域版としての医薬品版というふうな感覚でも外れてないかなというふうに思います。
五年ということなのですが、今度は私たちも市民に監視をされてですね、もっと頑張れとかですね、監視っていう言い方すると、監視する人を監視して、それをまた市民が監視するみたいな話ですけれども、やっぱり、民主主義というのは監視というよりもお互い透明性を高めていろんな意見を言える場を作っていくということがとても大切ですので、この委員会に関して言えば、そういった市民の声ということも十分取り入れていきたいというところなので、今医薬品に対する特にワクチンや市販薬に対する意識が高まっているところです。PMDAや私たちの委員会に皆さんが関心を持っていただけたらというふうに祈念するところです。
【パネリスト】慶應義塾大学大学院法務研究科 教授 磯部 哲
今回、大きな背景は花井さんがご説明くださったわけですけれども、この委員会がどういう経緯で出来たのかといったこと、そしてこれまでどういうことに取り組んできたのかというお話をしていきたいと思います。
こちらは(スライド2ページ目)淡々と経緯などを書いているものではありますが、今お話あったように、直接のきっかけは、薬害肝炎の見直しの作業をしていたときということになりますけれども、もともとこの平成22年の2年前に、弁護団と大臣、国との間で国の責任を認めながら再発防止の誓約といったことを内容とする基本合意というものが交わされて、それを受けてこの検討委員会が発足し、その中で厚労省から独立した中立公正な監視評価機関、そんな第三者組織の設立が必要なのではないかということが言われたものでありました。ただ、設置形態についてどうあるべきかということは、組織論としてはいろいろあって、折り合いがつかずということで、10年越しで出来上がって、今回5年目ということになります。権限としては、同スライド2番のところにありますように、行政機関に対して施策の実施状況を評価・監視をする、必要に応じて安全性の確保等のために講ずべき施策を厚生労働大臣に意見または勧告を行うということで、法律によって直接にこのような委員会が設置され、大臣に対して意見勧告権限を持っているというのは、極めてユニークな存在ではないかと思います。ただ、いきなり意見勧告を行えるわけではなく、それに必要な調査を行い、また報告を受けたりする、しかも、どのような課題に取り組むかを自ら決めて必要な情報収集などを行っていく、そして、きちんと厚生労働省の方で、その事務局機能を果たしていただくというような、そういうコンセプトで設置されております。
では、これまで果たしてどんなことをやってきたのか。ちなみに医薬品等行政評価・監視委員会というキーワード検索していただければ、ホームページに各回の資料のようなものはもちろんあるわけであります。大きくテーマを分ければ、スライド3~4ページのようなところかなと思います。
始まったのが令和2年ということで、直ちに新型コロナワクチンについても議論をいたしました。 ワクチンの安全性、副反応疑い報告の制度はどうなのかとか、データベースの構築が十分ではないというので対策が後手になってないかということなども議論いたしました。
HPVワクチンについては、積極的勧奨再開、キャッチアップ接種などが進められていく中で、折々に話題として取り上げ、ちょっとこのリーフレットの広告表現はひどいんじゃないかとか、具体的なこともいろいろ話をしてきたと思います。また、これは委員会発足当初から緊急承認制度や特例承認というような制度の負の面はどんなことがあるのかないのか、運用状況などを教えてくださいというようなことで、事務局厚生労働省の担当局の方からご説明をいただくなどいたしました。とりわけ催奇形性を示す医薬品に関する安全対策などを具体的に伺ってきたという経緯がございます。
その他、後発医薬品メーカーの不祥事を受けて、知らない間に承認条件と違う製造をしていた等がありましたので、どういう経緯で見つかり、どういう対策がとられたのかといったことのご報告を聞いたりして、なんでもっと早くできなかったのかとかですね、このまま製造が止まってしまったら、逆にどういう弊害が生じるのかといったこともうかがいました。安全対策をしながら、しかし、適時に適切にきちんと薬が届くという、アクセルとブレーキの両方のバランスが難しいなということを、このテーマの時にはすごく感じた気がします。
また、今日のシンポジウムが始まる前の雑談では“PMDAっていきなり言って国民の皆さんは分かるのかな”などと心配していましたけれども、医薬品医療機器総合機構という、後で藤原理事長からもご紹介いただけると思いますけれども、薬品の審査・安全などを担う重要な独立行政法人ですが、一体どんな活動をされているのか、海外の類似の機関の活動と比較して、患者・市民参画の取組みがあるのか、今どういうことを課題と考えられているかといったことの話もうかがってきました。
その他、一つ一つ言い出すとたくさんあるのですけれども、公知申請された医薬品の適正使用、一般用医薬品の濫用等、行政を監視しているだけでなくて、普通に薬局で一般の方が手に取って、それをどう利用されているのか、結構心配なことがあるのではないか、医薬品についてのリテラシーといったことが、私の中ではにわかに非常に強い関心を持つようになったところでした。
法改正の動きについても進捗状況などをうかがいましたし、糖尿病治療薬、これに至ってはですね、もう結局自由診療の場で糖尿病治療薬が、海外では肥満症の適用はあるのだけれども、日本ではない、それが自由診療の名のもとで意外と自由に使われているということが明らかになり、やや信じがたい思いがあったところなのですね。結局医薬品を使うのは医療の現場ではないか、その医療がどうきちんと適正になされているかってことまで視野におさめないと、到底、医薬品に基づく健康被害の防止なんてことは十分議論したことにならないのではないか?などなど、関心は広がるばかりというところでございます。あんまり話しを広げると、この委員会の所掌とは違うじゃないかということを言う人もいるのであろうと思うのですが、我々はあまりそういうことは気にし過ぎず、議論はとにかくいろいろしてみたいと考えている方でございます。
そして法律上、意見勧告権限がある中、その実績はどうなのでしょう。この5年の中で1回だけ意見というのを出しました。勧告ではなく意見にとどまったことを含め、後でご批判などあればいただければと思います。けれども、新型コロナワクチンについての安全対策、安全性評価のあり方ということで、十分データを系統的に評価・検討する体制が整っているのかとか、その他いろんなデータベースと連結させてデータの有効利活用といったことを進めるべきだというようなことで、意見を言い、 一応この委員会、年4回やっているのですけれども、12月に意見を出したので、それ以降6月・12月と半年にごとに、施策の状況などをうかがうことをしているところです。
このようなことをやってきた委員会ですけれども、果たしてこれで本当に十分なのかどうなのかといったこと、もっと突っ込むべきところもあったのではないかなどと思います。後ほど、本日有識者として勝村先生と水口先生にお越しいただいておりますが、この委員会発足に深く関わってきてくださった先生方にもお話を伺いたいなというふうに思っておりますし、今少しお話ししましたように、結局薬事の世界だけ見ていては健康被害を十分に予防できるのかといえば、そうではないのではないか。医師や看護師、医療プロフェッショナルがどんな役割を担っているのかというようなこと、医療の世界の例えば広告規制なんかも問題があるであろうということで、あるいは医薬品の広告をSNSでぱっと見て簡単に信じてしまうような国民の側のリテラシーも心配ではないかと。そういう教育の場面も重要な鍵を持つのではないかという思いもあって、本日はPMDA藤原先生や、中学高校で養護教諭をされている中村先生にもお話しいただければというふうなことを考えております。
【パネリスト】日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会 会員 戸部依子
委員をさせていただいております、戸部です。よろしくお願いします。私は市民の立場で参加をさせていただいておりまして、今日この時間は委員会活動を通じてどんな気づきがあったかということをお話しさせていただきたいと思っております。
こちらのスライドですけれども、日常生活において、私たち市民というのは自分でその薬について、使う使わないとか、自分で判断しなければいけないという場面が意外と多いなと、こういうことを感じました。 この図の下の方を二つ、市販薬とワクチンと書いておりますけれども、例えば、市販薬を買おうとした時に、ある効果を求めて買うわけですけれども、薬局行ったら、同じ効果なのだけれども、いろんな種類のものが売っていて、またその値段も違う。今まで聞いたことあるものとか、SNSなどで見かけたものがあるとか、いろんな情報があって、それをうまく整理しないといけないという気づきがあります。
まだ病気にはなっていないんだけれども、いつどのタイミングで薬が必要なのかとか、あるいはどの程度必要なのかというようなことを考えます。こう振り返ってみると、どうやって判断していたのかなと思うぐらい。気づいてないこともあるのかなというふうに感じております。
そして上の二つはですね、入院中とか外来の通院というふうに書いておりますけれども、ある程度医療関係者の方からいろんなことを教えていただいて、生活をしているわけです。ここのところでですね、先ほど花井委員から抗生剤のこれまでの経緯のお話がありましたけれども、例えば抗生剤などを使うときには、専門家である医師、薬剤師、こういった方々がコンサルトを受けながら何を選択していったらいいのかということで、専門家でさえこの情報交換をして、経験や専門性に基づいて選んでらっしゃるという話を聞きますと、やはり私たち市民はなおのこと、しっかりと情報をいろんなところから入手して選んでいかないといけないのだなということに気づきました。
この委員会でリーフレットのレビューをするという機会も、たくさんあったのですけれども、その時に私がどういう視点でいつも考えているかというと、いわゆる医療機関での説明と同意という場面を想定しております。そこではやはり市民として一方的に、あるいは患者として、説明を受けるだけということではなくて、ちゃんとわからないことは聞かないといけないし、医療に従事してらっしゃる方と相互に意見交換をするということがやはり前提として必要なのだろうなというふうに思っております。双方向の意見交換ができる、それに繋がるような情報が得られるかどうかという視点で見てきたということです。
五年間の気づきの中で結構大きかったのは、この薬のことでありまして、薬自体のリスクについては、これまでいろんなところで聞く機会があって、百パーセント安全な薬はないということではありましたけれども、薬自体の安全性だけではなくて、使う場面だとか使い方によってのリスクも種類もいろいろあるのだなということを知ったことはすごく大きかったです。使う場面というようなところでは、やはりその使うリスクもあるし、使わないリスクもあるということなので、そこのあたりをですね、よく知らないといけないなというふうに思いました。
そして、使い方のリスクということでは、先ほどもオーバードーズのこともありますねという話がありましたけれども、オーバードーズのような使い方によってのリスクというようなこともさることながら 、治療目的以外の使い方をされている。そのような状況では、その薬の安全性だけではなくて、本来のその医療治療目的で使う薬の供給というようなところに支障が出たりするとのことで、質量と供給量のバランスが崩れてしまうとかもあるということは大きな気づきでした。
今後どんなことを考えていく必要があるかという点については、この後のディスカッションであるんでしょうけれども、どのような施策が必要かということはさることながら、その政策の効果、レビューのあり方について、どういうタイミングで、どのような基準で考えていったらいいのかなということを今後、関心を持って行きたいなと思っております。
【パネリスト】浜松医科大学 学長 渡邉裕司
医薬品等行政評価・監視委員会5周年シンポジウムでこのような発言の機会をいただきありがとうございます。私は日本医学会連合から推薦いただき、医師の立場からこの委員会に参加させていただきました。本日はL’Abbe Plotが示す医薬品の有益性と有害性の分岐点についてご紹介させていただきます。医薬品等行政評価・監視委員会での私たちの使命の一つは、医薬品の有効性と安全性のバランスが適切に国民の皆さんに届けられているかを監視し、必要ならばその改善を提言することであるとも思います。そのためには、医薬品によってどのような方が恩恵を受け、またどのような方が害を受けるのかを見極める視点が不可欠となります。この視点を可視化し、判断の基盤を提供するのがL’Abbe Plotです。
ご覧いただいている図がL’Abbe Plotと呼ばれるものですが、横軸がコントロール群のイベント発生率、そして縦軸に介入群のイベント発生率が記されています。Line of identityはy=xを示して、このライン上であれば介入をしてもしなくても同じ、有益作用も有害作用も介入群とコントロール群で差がありません。このラインより下に位置すれば介入による有益性が有害性を上回り、上に位置すると有害性が有益性を上回ることになります。また、一つ一つの前向きランダム化プラセボ対象比較試験の結果が一つの点を形成します。 例えば、スタチンを使用してLDLコレステロール値を下げ、それが冠動脈疾患を含む死亡率の低下につながるかを検証する試験が過去に複数行われていますが、その一つ一つの試験が介入群のイベント発生率とプラセボ投与群のイベント発生率を示す結果を持ち、一つの試験が一つの点を形成していきます。そして、同じようにスタチンを使った複数の試験結果をここにプロットしてみて、そのプロットした点がy=xよりも、ここに示すように全部下側にくるということならば、これは一貫性を持って介入の有益性が高いと言えます。共通した介入を行う複数の試験に近似線を引き、もしこのように原点を通るような線が引けたら、それはとても好ましい結果です。つまりコントロール群のイベント発生率が0%の対象者に介入を行ってもリスクが増えなかったということを示しているわけで、安全性が高い介入であることを示します。ただ、医薬品は往々にして、このようにy=xと交点を持ってしまいます。そしてこの交点が、有効性と有害性の分岐点、治療の妥当性を示す閾値と考えられます。コントロール群のイベント発生率が高い方々にとっては医薬品投与や介入の結果が、Line of identityよりも下にきて、有益性が有害性を上回ることが予想されます。しかし、イベント発生率が低い低リスク群の方々にとっては、同じ介入や医薬品投与であっても、有益性よりも有害性が上回ってしまうことがあることを概念的に示しています。
例えば、コロナのワクチンは高齢者や合併症が多い方々には有益性が高いことが示されています。一方で、若い方で合併症も持たない、リスクがもともと低い方々に高齢者と同じようなワクチンの有益性が示されるかというと、それはそうではありません。 私たち医療者にとっては、このバランス点がどこにあるのか、目の前の患者さんがどちら側に位置するのかを丁寧に検討する必要があると思っています。そして、薬害を防ぐためには、この左側に位置するような、つまり有益性よりも有害性が上回ってしまうような対象の方には薬を投与しないことが非常に重要です。また一方で、右側に位置するような、同じ薬によって便益を得る可能性がある方々からその機会を奪ってもならないと考えています。
薬物治療の基本姿勢は、必要な薬を、必要とする人に、必要なだけ、つまり最適な用量で、ということです。言い換えれば、使うべきでない人には使ってはいけない。また、不幸にも有害事象が起きた場合には、早期発見と不利益の最小化に努め、その情報を共有し、救済への確実なアクセスを保証すること、これが医療者の使命であると考えています。
【パネリスト】独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA)理事長 藤原康弘
PMDAという名前を初めて聞く方も多いと思いますので、前半はどういう仕事をしている組織かという話をして、その後なかなか世の中に知られていませんので、私ここに赴任して六年目になりますけれども、この六年ぐらいでなんとか認知度を増やすようないろんな試みをしてまいりましたので、それを紹介して皆さん方のアドバイスをいただければと思っております。
スライドの右側にあるビルですね。これがPMDAの入っているビルでございます。前は六本木通りその前には首相官邸がありますけれども、霞が関のど真ん中にある20階建てのビルの半分ぐらいを私どもの組織が占めております。それ以外にも海外にも大阪にも事務所を持っておりまして、ワシントンD.C.事務所、バンコクのアジア事務所、それから関西支部でございます。常勤職員は今千人程度の職員がおります。
皆さん方、医薬品とか医療機器とかのいろんな承認という話を、新型コロナの時にいろいろ耳にされたと思いますけれども、実際その時は、厚生労働省がいろいろやりますっていうことで表に出てきましたが、私どもPMDAという組織は全く黒子の組織でありまして、ここに書いてあるように、医薬品、医療機器、再生医療等製品などの科学的な審査とか、あるいはその審査の過程で、承認申請資料のGCP調査、GMP調査などと言いまして、ちゃんと作られているのかチェックするのも私どもです。例えば、最近話題になっている後発医薬品がちゃんと作れないとか、あるいは新薬の医薬品がちゃんと作られていないとか、臨床試験がちゃんとやられていないっていうのは、私どもの職員が全世界中を飛び回って製造所に行ったり病院に行ったりして、その資料が正しいかどうかの確認をしています。それに加えて、非常に大事なのが、安全対策ですね。国の安全対策の生データは私どものところで全部集めてスクリーニングして見ておりますし、健康被害救済について、これは後からちょっと紹介しますけれども、適正に医薬品を使っていて、重篤な副作用が起きたり不幸にして亡くなられた方がいらっしゃったら、医療費とか医療手当とか、遺族年金とかを出す判断の一助も私どもがやっております。
業務を大きく分けると審査、安全、救済という三つの業務で、セフティー・トライアングルと呼んでおりますけれども、この審査では、医薬品、医療機器、再生医療等製品、それ以外に一般用医薬品と医薬部外品の一部も私ども見ています。それらに関する審査・安全対策・救済業務をやっている組織だというふうにご理解ください。
できてまだ新しい組織でして、去年20周年を迎えました。その前も国立医薬品食品衛生研究所の中に医薬品医療機器審査センターというのが1997年にできて、7年ぐらいしてからこの独立行政法人に変わったんですけれども。20周年を機して、職員みんな若い人が多いので、新たにパーパスとかですね、バリューとかっていうのを設定して、次の20年をしっかり働いていこうということを今心にしているところであります。このあたりから認知度の向上の話をさせていただきたいと思います。
私も病院からこの組織に移ってきましたけれども、異動時に、やはり自分の患者さんに説明しても知っている人はほとんどいませんでしたので、役所みたいなところへ行くんですよっていう話を患者さんにはしていました。その程度の認知度なんだけれども、それは裏方ですから仕方ないので、でもそれをもう少しみんなに知ってもらった方がいいだろうということで、この六年間、こういうような試みをしております。一般の方々にもっと我々の業務を知っていただきたい。さらに医療従事者も、薬剤部の薬剤師の方々は結構知っているのですけれど、医師と看護師はあまりPMDAは馴染みがないので、そういう方々への周知をしていこうとかですね。だからメディアも、業界紙とか専門の薬事の業界の人たちは知っていますけれども、一般紙とか、あるいは一般の臨床をやっている方々が読む医学誌とか、看護の雑誌とかそういうのも全然私どもの名前は出てきませんので、いろいろなとこへ露出して、こんな仕事をしていますっていう紹介をしていますし、この一年は、海外への発信、最近は医薬品や医療機器も大半が輸入製品でして、日本のことを知っていただかないと、海外の企業って日本に輸出してくれませんので、海外に対して日本にもちゃんとした組織がありますよということを、必死になって宣伝して回っております。
最近一番皆さん方に見ておいていただきたい、一般の方々に知っておいていただきたいのは、PMDAおくすりサーチという、患者会の方々のチェックも受けながら作ったホームページなのですけれども、様々な医薬品に関する情報がここで一括して見られます。まだ中身が、行政が作っている文書も結構多くてわかりにくいところがありますけれども、これは随時改定していきながら、一般の方々が見て自分が使っている薬がどんなものかというのを簡便に知れるようにというのも目標に、今整備しているところでございます。
最近は新聞とかテレビとか、ほとんど若い人は見ませんのでXやFacebookとかSNSを使って、私どもの仕事はこういうことをやっていますっていうのを出していますし、私もLinkedInに入りまして、公的な発信なんか、主に海外に向けてやったりしております。
これは従来からやっているところですけれども、例えばこども霞が関見学デーであったり、OTC医薬品普及啓発イベントであったり、全体的に薬学系に関係するイベントが多いのですけれども、こういうところにPMDAの職員がみんな行ってですね、薬がどういうふうに作られているのか、どういうふうに審査されているのか、安全対策はどうやっているのかというような話を毎年やっています。
私も毎年だいたい30回から40回、全国を行脚して回って、いろんな学会とか講演会とか患者会の集まりとかに行って、仕事の紹介をしていますし、健康被害救済業務も後からお話しますけれども、非常に日本独特の仕組みというか非常にユニークで、WHO加盟国190カ国以上ありますけれども、先進国で唯一きちっとやっているのは日本だけなので、こういういい仕組みがあるっていうのを紹介することも、今年去年と博多花丸大吉さんに出てもらって宣伝しております
業界紙だけではなくて、一般紙やテレビ局なんかにも出て行って、PMDAという名前をなるべく出すように、正式名称の独立行政法人 医薬品医療機器総合機構は誰も覚えられませんので、なるべくPMDAという名前が周知できるようなことを各メディア通じてやっておりますし、私の前任の理事長の時にも一回開催したんですけれども、あまりにもちょっと固すぎて人が来なくなったので、もう一度リセットし直して、メディア向けプレスセミナーっていうのを最近始めて、メディアの方々にもわかっていただくという努力もしております。海外発信ですけれども、先ほど申しました健康被害救済業務、日本独特の仕組み。これ非常にいいので、日本はこういうのをやっていますよということを宣伝しないといけないなと思って、The Lancetとていう世界で最も優れた医学雑誌の一つであるイギリスの雑誌ですけれども、そこに投稿して、採択、掲載されました。我々はこんないい仕組みがあるので、世界中の人達へ、医薬品党の健康被害に対して日本を見習った仕組みを作った方がいいのではないですか?という提言をしています。
海外での情報発信について最近出したものです。海外の企業さんですね、日本の企業さんだけではなくて、海外の人達、今輸入品が非常に増えていますという話をしましたが、その人たちですね。日本をあまり見てくれない、興味が無い人が多いので、日本にもたくさん患者さんがいて、みんな困っているのですから、日本にいい医薬品やいい医療機器を持ってきてくださいというためにですね。日本の薬事は世界と同じようなことをやっています、健康被害救済もあります、安全対策もしっかりしていますよ、ということを英語で発信しています。海外の方々と話すとですね、日本語を読めないので英語で伝えないと日本のことを理解していただけないというジレンマをいつも感じています。大体一ヶ月から二ヶ月に一回は海外に行って、いろんな国の規制当局の人たちとコミュニケーションを取ったり、学会に行って私どもの話をしたりっていうこともずっとしています。
患者参画を最後に紹介しますけれども、私は40年医者をやっていまして、乳がんが専門なんですけれども。乳がんの医者の頃から患者団体との付き合いが長いので、患者参画というのは、どこに行っても続けないといけないなと思いましたので、PMDAに来てからも患者参画やりませんかっていうのを提案して、始めました。
2019年に始めて2021年にようやく我々が考えている方向性を示した「PMDA患者参画ガイダンス」を作成しました。その後、患者さんからいろんな情報もいただくし、我々からも情報を提供するし、PDCAサイクルを回しながら、PMDAの認知度向上も兼ねながら、一般の人達、薬害被害者の方々も、そういう方々の意見を聞いて、私どもの業務を常に改善していこうということをやり始めております。
いかんせん非常に人が少ない足りない組織ですので、今努力はしておりますけれども、最近のトピックとしてはこういう希少がんの患者さん、希少疾病の患者さんの会と連携しながら、市販後にどんな副作用が出たかというのも迅速に集めて、それに対する対策をしましょうということを、個人からじゃなくて患者団体を通じて集めるような方策をどういうふうに立案するかというような協力もしております。薬害被害者の方々の話を聞く研修というのはもう長年ずっとやってきたんですけれども、それに加えまして、一般の患者さん、特に希少疾病とか難病の方々、そういう方々に来ていただいて、年に一回はその人たちの直の話を聞くことも始めております。
私どもの組織は臨床現場の経験者は少ないので、例えば二回目やってもらったのは日本難病・疾病団体協議会を通じてALSの患者さん、この片は人工呼吸器を装着したままで喋らないで全部筆談でプレゼンしてもらいました。そういうのを若い職員に見てもらうととても感じるところがあって、こういう方々になんとかしていい薬を早く届ける、あるいは安全に届けるっていうことを、周知するのがいいかなというふうに思ってやっています。
患者さんとPMDA職員との疾患別意見交換会は今年から始めましたけれども。私どもの職員と、それから患者団体の方々で、一回目は炎症性腸疾患(IBD)、クローン病とか潰瘍性大腸炎の患者さん、そういう人たちの団体と膝を突きあわせて、どんなことが困っているのかとか、それに対してどういうことを行政に期待しているのかとか、全員がディスカッションする二時間ぐらいのセッションをやったんですけれども、非常に良かったです。IBDの患者さんは、一番便失禁に困っていて、なかなか便失禁用のフォローをする器具が一般の薬局になくて大変なんですとか、それがエンドポイントだと一番嬉しいんですけれどとか。患者さんから直接、生の声を聞きたいっていうのを私としては強く思っております。
〇パネリスト間のやりとり
【パネリスト】慶應義塾大学大学院法務研究科 教授 磯部 哲
花井さんにまず聞いてみます。今PMDAのお話しを伺って、審査安全、救済もあるんですけれども、冒頭に歴史を語られた時に、その監視という役割と産業振興の役割というのが両立するのかっていうようなところの疑惑がある部分、もともとあったということをおっしゃっていましたけれども、PMDAの役割と働きぶりを、どう見ていらっしゃいますか。
開発を進めていくということもやりながら、しかし安全対策もやっていく。一つの組織がやっているわけですけれども、無理なく両立してやれているという風に見てらっしゃいますか。
【パネリスト】全国薬害被害者団体連絡協議会 代表世話人 花井十伍
これは非常に難しいテーマで、癒着という言葉で言えば、そういうことが懸念されたわけです。事実、オーファンドラッグ支援事業っていうのは、別の組織に移管して、それは別でやりましょうということを当時したんですけれど、実は医薬品の評価っていうものが、例えばレギュラトリーサイエンス相談というのをやっていて、企業が開発したいというときに、バリバリの製薬企業だったらいいんですけれど、最近ベンチャーなどが増えてきた時に、自分たちのこの技術は本当に薬品に効くんじゃないかと思っても、彼らの発想って、薬品を知らないから結構安易だったりするわけです、
そこをちゃんとPMDAの方が、医薬品っていうのはそう簡単じゃないと指導するということをやってるわけですよね。これはある種応援でもあるんだけれど、しかしながらそういうことをしないと、やはりちゃんといい医薬品が出てこないということなので、一概にその応援する部分と審査する部分が整合しないというふうに言い切ってしまうのは難しい部分があると、最近よく感じます。
もう一つは日本で開発してほしいというドラッグロスの問題が出てくると、やはり是非日本で開発する間口を、窓は開いてますよいつでも来てくださいっていうだけではなくて、積極的にその審査の手順はこうなっているから、こういうことをすれば良いと強く手を引くようなことをおこなうと、それも応援と言えば応援なんですけれども、たとえば学生さんに来てほしい大学が、試験や予備校もやって自分の大学に行ってというのは難しいとは思うのですけれど、やはりある程度厳しく審査すればするほど時間がかかり、必要な薬品にアクセス権がなくなるというこのダブルバインドがありますので、どの段階で薬品が市場に置くべきかっていうところがまず閾値なわけですけれども、そうした中でやはりその応援するというか、企業をある程度サポートするというニュアンスが全くないままの業務というのは難しいというふうに思っています。
もう一つ、余計な話をすれば、PMDAの理事長は歴代臨床医がやっているというところは非常に良いなと思っていまして、やっぱりその医薬品というプロダクトに対する規制の薬機統制っていうのはなかなかその臨床的な感覚とはまた違うところがあってですね、そういった時に実際現場で使う医師という人がそのトップに就いているというところが、この組織をある種の実践的な医薬品の上市ということにつながっているんではないかと、評価しています。
【パネリスト】慶應義塾大学大学院法務研究科 教授 磯部 哲
渡邉先生、医師や看護師の方々は、PMDAに馴染みはないというのは、そうなのですか?
【パネリスト】浜松医科大学 学長 渡邉裕司
私は、医療者であれば副作用の救済を対応するPMDAを知っていて当然と思っていますし、そのように期待しています。少なくとも医学部の学生への講義の時には、PMDAという組織の存在やその役割は必ず話しております。ただそれは医療者を代表する認識ではないかもしれませんし、一般の方々にとってはPMDAはさらに遠い存在かもしれません。
【パネリスト】慶應義塾大学大学院法務研究科 教授 磯部 哲
藤原先生、花井さんの意見について何かコメントあれば。
【パネリスト】独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA)理事長 藤原康弘
研究振興と審査、安全対策の両立って、本当に難しくてですね。これは花井さんがいつもご指摘している通りで、我々そこをどういうふうにやっていくかっていうのは、常に襟を正して臨んでいるところですね。理事長は誰がいいかですけれども、私は誰でもいいと思っていて。唯一やらなければいけない人は臨床現場をちゃんと見ている人、診療とかの現場でちゃんと働いた経験がある程度ある人じゃないと私はだめだと思っていて。それは医者じゃなくても看護師さんでも薬剤師さんでも誰でも良いと思うのですね。患者さん、あるいはその家族の人達と長く接触する経験があって、その人たちはどう考えているのかとかどんな思いがあるのかっていうのを、ものすごくたくさん、私もたくさんの方々を診てきましたし、たくさんの方々を治療や看取りをしてきましたけれど、その人達のそれぞれ、一人一人の声をずっと気持ちの中に留めているわけですよね。それをもとに仕事をしているので、そういうことができるような人であれば、私は誰でもいいと思っていますね。
〇有識者からのコメント
【有識者】薬害オンブズパースン会議 事務局長 水口真寿美
薬害オンブズパースン会議という民間の医薬品の監視組織の事務局長を1997年からさせていただいております。この医薬品等行政評価監視委員会の設立を提言した薬害肝炎検証委員会の委員でもありましたので、今日はその検証委員会の最終提言から15年、委員会発足から5年と題してお話をさせていただきたいと思います。
現在、この監視委員会は薬害防止のためにある委員会ですから、そういう点で、短い時間ですので、医学外防止の観点から今問題であると思う大きな二つの課題を指摘させていただきたいと思っています。
一つは、医薬品の早期承認や例外的承認制度の増加に安全対策と救済が追いついていないのではないかという問題です。最終提言後、最終提言というのは2010年だったんですけれども、医薬品等を早期に市場に出すということが、一つの大きなテーマになって、早期承認ための例外的な承認制度が数多く創設されました。もともと承認前に行われる臨床試験で確認できる安全性は限界がありますが、それを早く市場に出すわけですから、早期承認制度のもとでは市販後の安全対策の比重が高まって、その重要性は増すわけです。副作用に対する迅速な救済の必要性も同様です。安全対策の基本は有害事象を収集して、適切に評価することなんですけれども、実際のところ私が気になるのは、収集した有害事象報告について、行政評価監視委員会でも問題になっていましたけれども、因果関係が評価不能とされて安全対策に活かされていないケースが相次いでいるということです。
薬害オンブズパースン会議では、2019年にゾフルーザという薬との関係で、「評価不能」という問題を取り上げたんですけれども、2022年1月には意見書を出して、新型コロナワクチンの死亡例の99.4%が「評価不能」だと指摘したんですね。それからもう3年経っているんですけれども、今もこの数字が変わってないというのが大変残念な状況だということが言えると思います。それから、新型コロナワクチンの接種後の死亡として、これも皆さんご承知と思いますけれども、予防接種救済制度のもとで認定されたものが1047件、その多くが副反応としてちゃんと報告されていないとか、こんなにたくさんの方が亡くなっているのに、その情報が安全対策に活かされていないのではないかという問題点があると思います。そしてもう何年もの間、安全対策調査会と副反応検討部会の取りまとめの決まり文句というのは重大な懸念は認められないということなんですね。
最終提言は、薬害事件のいろいろな教訓をもとに、スライドでご覧いただいているようなことを基本的考え方として書いているんです。この検証委員会の提言は、委員が全部提言を書きました。厚労省に下書きをしていただいた部分はございません。その中で、ここを私たちはすごく重視したわけです。要するに薬害っていうのは、皆さんが言うように新しい知見が足りないから起きたというような話ではなくて、入手していた情報の評価を誤って行政が規制するという意思決定をしなかったことに、本質的な問題があるんだということに留意して安全対策を実施すべきだということを、基本的な考え方として言ったのですけれども、先ほど言った重大な懸念は認められない」を安全対策調査会の取りまとめの決まり文句にするというのは、この最終提言の指摘に反するのではないかと思うわけです。
救済制度についても、予防接種法の救済認定は本当に遅いですし、資料収集も負担が大きくて断念する方もいると聞いています。また「因果関係が否定できないものは救済する」と大臣は答弁されているんですけれども、一旦不支給にすると、私も取消訴訟を担当しているんですけれども、国は、こんなに被害者が立証しなきゃ勝てないのか、被害者は救われないのかと思うぐらいに、徹底的に争ってきます。取消訴訟では全然違う論理なんですね。それから、抗がん剤には依然として救済制度の適用はありませんので、今度条件付承認制度が新しくできまして、それが適用されるようになった時のことを考えると、非常に心配な状況にあります。
薬害防止の観点から問題となる状況の二つ目は、不十分な情報提供と過剰な宣伝です。患者や家族が今情報を取ろうと思うと、インターネット検索するわけですけれども、こんなに情報があるのにリスク情報にはたどり着けないという声をたくさん聞きます。YouTubeなど、SNSのガイドラインでは、WHOや厚労省と異なる見解を「誤情報」と定義して、削除の対象としてきた。最近ちょっとましになってきていますけれど、そういうことも影響しています。
一方、この委員会でも取り上げていただいたんですけれども、HPVワクチンのキャッチアップ接種に関する問題のように、医師の団体が薬機法の趣旨に反するような虚偽や過剰な内容の宣伝をするという例が見られているというのは、非常に残念なことだと思います。
今後の課題ということなんですけれども、最終提言が目指した監視委員会というのは、当初は、運輸安全委員会のようなものを作ろうと議論さえしていたぐらいに、とにかく厚労省から独立して活動することを使命としています。形としては審議会にはなりましたけれども、そのために既存の審議会とは異なる仕組みを入れるということを、意識したわけです。発足から5年間を拝見しますと、委員の発議権というものが入っていてよかったなっと思います。その委員発議で取り上げたテーマというのは、先ほどご紹介にあったコロナワクチンとかコロナの治療薬とか、HPVワクチンの広告とか緊急承認とか、不祥事の問題とか、時宜を得た重要なテーマを取り上げていただいていて、議事録をずっと読み返しましたけれども、良い議論がなされていると思います。ただ、5年で21回しか開いていないので、もっと取り上げてほしかったというのは率直なところございます。
もう一つ一番申し上げたいのは、対外的発信が足りないんじゃないかということです。勧告ではなくて意見ということでしたけれども、やっぱりそれが5年間で1本っていうのは、少なくとも私たち肝炎検証委員会の委員がこの組織を提案した時に描いていた姿とは違うというのが私の感想です。条文もあるからなかなか難しいのかもしれませんが、意見と言ってもいろいろな出し方がありますし、談話的な公表でもいいのです。委員会で何を議論して、委員は何を問題だと思ったのかということを、頑張って議事録を読んだのではない人にもわかるような発信の仕方をしていただきたいと思います。また、勧告等を受けた厚労省はこの委員会の特殊性を認識して、大臣や局長がそれにコメントして、ロードマップを作って、実行状況がちゃんとわかるように発信していくくらいの重みを持った委員会を提案したと思っています。
5年を経て、薬害被害者の願いで発足したこの委員会がさらに成長するということに大いに期待をしています。
【有識者】全国薬害被害者団体連絡協議会 副代表世話人 勝村久司
最初にご紹介いただいた通り、この委員会が五年前にできるその数ヶ月前に、医薬品等行政評価監視委員会の委員の選考に関する委員会という委員会がありまして、その委員は四人だったんですが、そのうちの一人でした。当時の第一回目の会議の議事録が今も厚労省ホームページ載っており、それを改めて自分で読んできたんですけれども、その当時に相当この委員会への期待も多岐にわたり、私も話していたということを思いだしまして、その内容も踏まえ五年を経て、改めてこの委員会に期待することを率直にお話しさせていただければと思います。
まず薬害とは何かということですけれども、薬害というのは先ほどもお話あった副作用と有効性とのバランスの難しい問題としての副作用とは違うんだ、私たちはその原因が薬ではないものを薬害と呼ぶと考えています。どういう意味かというと、人が原因であるものが薬害だと、だから薬害はなくすことができる。副作用被害とは違う。医薬品等の行政に関わるいわゆる薬学の専門家の方々が、しっかりと本当に国民のためということを忘れずに仕事をしていただいていたらここまで被害が拡大することはなかった、というものが、薬害と呼ばれている様々な被害の共通点だと思っております。もっと早く回収できたのにとか、もっと早く添付文書を改定できたのに、専門家の方々が患者のためという目的を少し忘れてしまって、別の利益のために情報の隠蔽とか操作、そういう手段をしたときに被害が起こり、被害が拡大してしまう。そういうことを防ぐために、いわゆる専門家の職業的良心とか学問的良心というものを監視する仕組みということが、委員会に期待していることです。
そのためには、市民感覚というのをすごく大事にした議論を、期待するところです。市民感覚には四つあると思っていまして、患者の視点というのは必ず入ると思うのですけれども、忘れてはいけないのは、消費者の視点。つまり、医療業界、医療界という非常に大きな経済社会ですから、そこでの消費者の権利ということが確保されているかというのは非常にいろんな情報の面とか、安全の面で大事な観点ですし、あくまでも医療も民主主義でなければいけないという市民の視点も大事。それから何よりも不本意な経験をした被害者が誰よりも被害が再発しないことを願っている。そういう人たちのエネルギーを素直に生かしていっていただきたい。そうすると、やっぱり被害者の声じゃないかという声に対する感度を非常に高めておいてもらわないと、患者との接触は日常的にあるんでしょうけれど、やはり被害者の視点、被害者の声、それから、消費者や市民の視点というものも大事にとしていただきたいと思うわけです。
四つの市民感覚についてですが、市民感覚とは何かを調べると、「専門家や権力者の論理ではなく、世間一般の人々が持つ健全で常識的な感じ方、考え方を基盤に社会は判断し、監視する視点のこと」だとも出てくるわけですね。専門家の皆さんは職業人である以上、市民感覚で市民が専門家を選んで、市民が専門家を監視するという形にならないとダメだと。専門家自身がそうであるためには、市民感覚を失わないようにしてもらわらなきゃいけない。そのことを市民は専門家に期待して、それを監視するんだと。そうすると、非常に医療界にとってよくないことになるかということなんですけれども、 患者本位の市民感覚を重視すると、やっぱり専門家の皆さんや、医薬品などを提供する業界の中にも非常に健全な人たちがたくさんおられるわけです。そういう市民感覚を持つ人たちとも感覚が一致するわけで、良識を守ることにも繋がって、決して片方を優遇していなくて、全体がよくなるべきだと思っています。
市民感覚に合わない例ということで、先ほど水口先生からもありましたが、委員会が一つ意見書を出されているのを今回改めて読ませてもらったんですけれど、その中にも出てきた表がこれですが、このアルファ、ベータ、ガンマとていうのはやっぱり非常に市民感覚的に違和感があって、アルファとベータに分けるのは分かるんですけれど、ガンマっていうのをそれらの集合から独立させることは、やっぱり非常に感覚に合わないというか、数学、論理学の集合論の基礎的な部分で、明らかに間違っていると思うのですね。実はガンマっていうのは、アルファの中に含まれる部分集合でなければいけないわけで、アルファかベータしかない。アルファの中にはガンマもある。つまり、ガンマっていうのはアルファの一部なので因果関係を否定できない。それをガンマにして、アルファの因果関係が否定できない報告数をすごく減らしてしまうということが、非常に薬害を防止するという観点から気になっています。これはコロナが始まる前から、私たちもいろんな被害を報告してきたんですけれども、ガンマ扱いされてきたという経験が非常にあり、ガンマは情報が足らないというのだったら、より情報を調べていくという姿勢を持ってやっていってほしいですし、専門家の皆さんが、専門的すぎると、こういう基礎的な市民感覚というのがなおざりにされてしまうことがあるかもしれない。そういうことがあってはいけないというような意味で、市民感覚っていうのは大事だと思いますし、他にもこの委員会で取り上げてほしい非論理性の事例というのはいくつも感じているところがあって、そういうところはぜひまた今後もそういう感覚で指摘していってほしいと思うわけです。
最後に改めて具体的な要望なんですけれども、この委員会は先ほど話ありましたように、屋上屋を重ねる委員会でも、隙間を埋める委員会でもなく、大きな視野で行政全体を俯瞰して、本質的根本的に議論をしてほしい。オセロゲームに例えれば、個々の一つずつの駒が白か黒かの議論ではなくて、オセロの角にあたる駒を白にするというような議論をしてほしいというのが、この委員会への私の期待です。オセロの角の駒っていうのは白になると内側の駒も全部白になっていくし、角の駒は一度白になると黒に戻ることはない。しかし非常に医療が複雑ですから、普通のオセロゲームのような二次元ではなくて、三次元とか、もしかしたら四次元のような複雑さもいっぱいあって非常に分かりにくいと思うのですけれども、やっぱり個々の盤面の角に大事なポイント、共通の大事な押さえるべきところがあると思いますので、そういうところを見据えた議論をしていただけたらありがたいと思います。
この五年間の議事録とか、もちろん追いかけさせてもらってるんですけれども、委員の皆さんのご発言は本当に基本的に市民感覚を持ってそのような議論を取り組んでいただいていると感じていますが、まだ結果が見えてきていないというところ。特にこの委員会は三条委員会とか消費者委員会の権限が弱いので、例えば意見書を出されてますけれども、年に一度は、厚労大臣に意見書を出すと決めてしまうとか、その際には厚労大臣と直接その場で意見交換をして、厚労大臣からも意見を言ってもらうようなことをしていくぐらいが必要なんじゃないでしょうか。
薬害というのは、被害が拡大してしまうかもしれない時間との戦いでもあるというのを意識してほしいと思いますし、いわゆる嫌われる勇気って書いてるんですけれども、やっぱりサッカーの審判は試合中にフェアな善人でなければならなくて、優しい人だったらちょっと注意するだけでも、なかなかイエローカードを出しにくいというのではなく、きちんとイエローは出して、それで改善できればまたフェアに対応していくということを続けていかなきゃいけませんので、そういう立場になっていってほしい思っています。
例えば情報公開の問題とか利益相反の問題とか、プロモーションの問題ですね。広告規制の問題とか、オセロの角にあたるものは非常にたくさんあると思いますので、ご無理をお願いしているかもしれませんけれども、引き続きそのような視点でご尽力をお願いできればと思っています。
【有識者】東奥義塾中学校・高等学校 養護教諭 中村元気
オーバードーズ(以下「OD」)を繰り返す若者について、現場視点を交えながらお話できればと思います。早速ですがグラフをご覧ください。これは精神科で薬物依存の治療を受けた十代がどのような薬物を使用していたかを示したものです。赤色で示された市販薬の割合が近年急増していることが分かります。左側の患者数を見ていただくと、数も割合も増加の一途をたどっていることがわかります。また、市販薬をオーバードーズする人は、従来の違法薬物使用者に比べて死にたい気持ちが明らかに強いことも分かっています。死にたいほどの苦しさから一時的に解放されるために、自己治療的に市販薬の精神作用を利用しているということです。昨年度に行われた中学生対象の特命調査では、およそ55人に一人が市販薬をODしているという恐ろしい結果が出ました。この急増は現場でも感じています。
ドラッグストアは全国的に増え続けており、私が勤務する青森県の学校でも、現在中学高校ともに一学年に平均一人程度の当事者を把握しています。
こちらのグラフは令和六年までの小中高生の自殺者数を男女別に示したものです。市販薬依存の増加と同様に、女子中高生の自殺が増えていることがわかります。今の日本では十万人を超える子どもたちが統計的には市販薬ODを経験しており、全国の学校現場で多くの教員が救えない現実に直面し、悲鳴を上げています。
これだけ深刻な問題となっている市販薬ODに対して、現状どのような予防策が講じられているのかを見ていきます。学校では、薬物乱用防止教室などでODの害を伝えていますが、効果はあまりありません。子どもたちは害を理解した上で、それでもODをしています。薬の箱への注意表示も同様です。厚労省がODするよりSD(相談)しようというメッセージを出したことが春にありました。この時、ネット上で大炎上をしました。子どもたちは相談を怖くて危険な行為と感じているからこそ、薬に頼っています。
ドラッグストアでは販売個数を一個までと定めていますが、店を回ればいくらでも買える現状があります。今年5月にはコンビニでの販売も可能となる法案が通ってしまい、このままいけば今後はさらに入手しやすくなることが予想されます。薬剤師や登録販売者による声がけも行われていますが、当事者が本音を打ち明けることはほとんどありません。生徒の中には皮肉にも、登録販売者はすんなり売ってくれないから嫌いと話す人もいました。相談支援体制の強化も進められていますが、助けを求める力の低い当事者を待つだけでは届きません。
右のイラストは市販薬ODを棘付きの浮き輪に例えています。大人が考える以上に、子どもたちは深刻な状況を生きており、苦渋の選択の末に市販薬ODを行っています。
ここからは、私が個人的に考える有効な予防策についてお話しします。まず強調したいのは販売制限だけでは苦しさの根本的解決にはならないということです。私の関わっている生徒の中にも市販薬ODが現状を命綱となってしまっている子たちがたくさんいます。それでも現状では薬を手に入れやすぎる、間口が広すぎるという問題があります。そこで、イラストで示している駅のホームドアのようにODに飛び飛び込みずらい仕組みを整える必要があると考えています。行政には乱用リスクの高い薬の第一類への変更や販売禁止、医療機関限定の処方への見直しを求めます。この点については、監視委員会の皆さんには積極的な発信勧告を期待しております。企業には、同一購入者を特定できる販売システムの導入と瓶小粒、大容量などODしやすい形態の販売中止を強く求めます。本当であれば、同一購入者の特定については、行政の方でマイナンバーカードとの紐付けなど行ってほしいところではありますが、あまりにも規模が大きいかと思い、企業間で協力し合って、そのようなシステムを構築していただくというような形が現実的なのではないかと考えております。学校の方ではセーフティーネット機能を充実にしていく必要があります。例えば、死をほのめかす発言や不適切な養育が現在増えております。スクールソーシャルワーカーなどと連携し、医療福祉につなぐ体制が必要です。また、知識や脅しによる教育ではなく、ソーシャルスキルを育てるような学びの場を設けることが薬物乱用を防止する効果があるという研究もありますので、そのような学びの場の設定も必要と思っております。
また、相談機関も、待つ支援ではなく出向いていくようなアウトリーチ型の支援を広げていくことが求められます。先ほどのホームドアの例で申し上げますと、現状の予防策は駅で黄色い線の内側にいてと叫んでいるだけの状態です。実際のホームドアの設置で飛び込み自殺が76%減少したという報告もあります。市販薬ODにもそれぐらいの抜本的な対策が必要であると考えております。
〇パネルディスカッション
テーマ
1.医薬品行政の現状と課題
2.取り組むべき課題
3.これからの医薬品等行政評価・監視委員会
【有識者】東奥義塾中学校・高等学校 養護教諭 中村元気
私は今、中学生と高校生に私立学校で関わっているんですけれども、関東の方のすごく偏差値の高い私立学校というわけではなくて、本当に地域の幅広い層の子供たちが通ってくる学校なんですね。そういった中で、本当に世相をすべて反映したような子どもたちに広く関わっている立場から申し上げさせていただきますと、今現状で行われている行政だったりとか監視委員会での活動の取り組みというものが本当に一部の上層の人たちにしか届いていないという現状があると思います。
生徒たちの中には、文字での情報を本当に読まない生徒もいますし、保護者の方でもいらっしゃる現状もあります。ですので、そういうなかなか届きづらい方にも届いていく、先ほど私からも申し上げましたけれど、アウトリーチ的な、リスクのあるような家庭に、どれだけ情報を届けていくかを、考えていく必要があると思っております。
【パネリスト】慶應義塾大学大学院法務研究科 教授 磯部 哲
ありがとうございます。薬を製造する部分、まず作ろうという川上から、それが川中で流通して、やがてユーザーの所に行く、川下に行ってどう使われているかというところまで十分我々が監視できているかというと、そうじゃなかったのではないかと思うんですね。
このあたり、何か今後の行政としての取組みっていうのは、さきほど藤原先生は一般の方に向けたSNSの発信などに取り組んでいらっしゃるというお話をいただきました。キャラクターが出てきたりしましたよね。こういう一般の方の一般用医薬品を飲むにあたっての注意とか、リテラシーといったことについて、今PMDAとしてどんなことを取り組んでらっしゃるのか、あらためてうかがってもよろしいですか。
【パネリスト】独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA)理事長 藤原康弘
まだ取り組んではないです。先ほど申し上げたいろいろなことを今始めたところです。少ないリソースの中でいろいろなことをやっていかないといけませんが、その中の一つにこれは入っているんですね。一般用医薬品の審査もしていますので、非常に大きな問題が起きているっていうのは十分承知していて。今週末の小児科学会でも多分議論されると思いますけれども。先ほど中村先生がおっしゃったように、色々な方々に届くように、どう分かりやすく伝えるかという点が、医薬品の審査をしている私どもも同じだし、健康被害救済や安全対策も同じで、単に情報を固い言葉で並べても、誰も受け取ってくれないので、どう腹落ちするように資材を作って啓蒙していくか、あるいはみんなで共有していくかということを今意識してやろうっていうのを始めたところなので、資材はこれから作らないといけないと思っているところです。
いずれにしても、いろんな層の人に訴えかけるっていうのはものすごく難しいことなんですけれども、特にこの一般用医薬品だったらオーバードズの場合は若い方々ですよね。彼らって、家庭環境に問題があったり、警察との関係が難しかったりとか、いろんな課題を多分抱えていると思うので。その人たちの心に届くように、例えばPMDAとしてどういう文章を出していけばいいのか、どういう形で伝えていけばいいのかっていうのは、今みんなで考えようねって言っているところです。
【パネリスト】慶應義塾大学大学院法務研究科 教授 磯部 哲
ありがとうございます。地域によってとかではなく、地方にも都市部にもそういう方はたくさんいらっしゃると思いますし、いくら情報提供したって日本語が理解できない外国の方とかであればどうなるか、いろんな方がいらっしゃると思うのですけれども、薬は特にリスクもあるでしょうが、同じように健康食品であったり何かの機器であったり、色々なリスクがそれぞれあるのだと思います。
そういう方にどう上手に使っていってもらえるのか、デジタルデバイドなどもある中、誰がどの段階で働きかけるべきなのかということを消費者目線でということで、戸部先生に例えばどんな取り組みが他の領域ではある、医薬品ではもっとこういうのがあってもいいんじゃないかっていうようなことはあるのでしょうか。医薬品の部分に限ってでもいいんですけれど、もう少し一般の人が今日の例でいえばホームに飛び込まないようにするための装置として、誰がどんな役割を果たせるかということをコメントいただければと思います。
【パネリスト】日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会 会員 戸部依子
今のご質問の回答になるかどうかはちょっとわからないんですけれども、市民としてというようなところでは、例えばPMDAも、薬を服用して何か副作用があったら報告してくださいという制度ができてですね、双方向のやり取りがだいぶできるようになったんだなというふうに思っております。なので、例えば先ほどのオーバードーズのお話なども、ご本人から何か情報発信というのは難しいのかもしれませんけれども、例えばご家族の方からこういったことが起こっているんだけれども、どうしたらいいかというような相談などもPMDAさんにできたら良いなというふうに思います。
あとは報告した内容がどういうふうに活かされているのかということをもっと知ることができると、市民の役割も自覚できるのかなというふうに思いました。先ほど勝村さんのお話、アルファベータガンマのところでガンマに分類されている、要は情報が十分でないというようなことに関しても、事前のアセスメントの中では確認できていなかったけれども、もしかしたら、実際の使っている場面でわかった話があれば、もっとガンマの部分とかアルファの部分が減っていくのかどうか、見届けたいなと思っています。そういう意味で今たくさんある情報の活用とか、それの効果の評価にかけるスタミナも必要ではないかというふうに思います。
【パネリスト】慶應義塾大学大学院法務研究科 教授 磯部 哲
はい、ありがとうございます。そこはまた重要な論点であろうと思います。 アルファベータガンマについて、言いたいことはたくさんあるのですけれども、水口さんに振りたいなと思っています。過剰な宣伝といったことがダイレクトに一般の方のところに行く中で、それはまた薬害の温床になりえると思うのですけれども、医薬品行政として何をもっとどうすべきかということを改めて、オーバードーズの話もありましたので、教えていただければと思います。
【有識者】薬害オンブズパースン会議 事務局長 水口真寿美
私が先ほど申し上げたのは、専門家の団体がそういうことやっていいの?という、この委員会で検討していただいたようなことなんですけれども。多様な情報がネットに溢れている。その中で、私が一番言いたかったのは、薬害被害者の声が消されていて見ることができないから、本当にどういうリスクがあるのかということを肌で感じることができない現状があること。みんなが検索して見ている世界は、実は多様なものがあるように見えて、そこに一定の操作が入っていて、それほど多様なものじゃないという現実があるということを、指摘したかったっていうのが一つあるんです。それをどうするかという問題と、そういう情報の中で選んでいく視点をちゃんと身につけられるかということが重要です。これさえやればいいっていう話はもうないんですけれども、薬害っていうものはどういうところで起きてるかというと薬被連の方たちは冊子も作って学校でも教育してると思うのですけれども、基本的な共有がやはり大事なんじゃないか、被害を身近で感じられるようなことを、理屈じゃなくてちゃんと提供していくというのが一つの課題ではないかと思います。
綺麗な整理された情報を提供するというよりも、薬はこういう面もあるんですよということを肌で感じられるような工夫は必要じゃないかと思います。それともう一つは、先ほど先生がおっしゃられたのは患者からの副作用報告制度の話なのかなと思いますけれども、ちょっと論点が違いますが、これも肝炎検証委員会提言で提案した制度です。その後できているんですけれど、はっきり言ってあまり活用されてないと思います。安全対策調査会での結果の扱い方もすごく軽いし、それから患者が入力しやすいようなシステムになってるのかっていうと、そうなってない。そう報告ができるってこともあまり知らされていない。ここはやる気になればもっといろいろできると思います。
【パネリスト】慶應義塾大学大学院法務研究科 教授 磯部 哲
ありがとうございます。情報の送り手と受け手というのは様々に役割があって、適切に評価された情報を欲しい人が欲しいタイミングで十分アクセスできるのかがいろいろに問われているのだと思います。それは全体として大きな課題ですし、我々がどこの部分を監視していかなければいけないのか、そういう課題をご指摘いただきました。花井さんコメントお願いします。
【パネリスト】全国薬害被害者団体連絡協議会 代表世話人 花井十伍
先ほどのオーバードーズしやすい薬を一類にするべきっていうことについて、制度論としては様々論点はあると思います。ただ購入ゲートとして薬剤師の前を全部通るようにしろということだと思うんですけれども、相当議論になってですね、私も主張はしましたが業界からすると現実をわかってない空論だと指摘される訳です。
結局のところ、例えば登録販売者がいろいろ声をかけだしているんです。今その検討会は、新しい薬機法を踏まえて関与しないと専門家が関与しなければ違法だというのを明確にしたので、都道府県の監視体制がしっかりすれば良いのですけど、みのがされてしまうとまたどんどん違法状態になる可能性があります。そういうときに、例えば行政が、いろいろ言うっていうのはよくあると思うんですよ。例えば製造販売業者とか、ドラッグストアとかそういうところに行政が強く言うっていうのはあるんですが、それを強めると、その規制行政が規制しすぎだっていう別の力学があって、全部力学で決まっていくところがあって、 一番強いのは誰かってやっぱり市民なんですよ。だから、例えばドラッグストアでうるさいこと言わずに早く売ってほしいのにっていう市民の声が多数を占めれば、それ見たことかと、余計な専門家の関与でみんな迷惑してるじゃないか、ってなるのですよ。なのでやっぱりこの市民社会の中で医薬品を皆どう考えるの?っていう問題意識が高まることが重要です。
例えばグローバル企業相手であっても、日本の市場は情報公開にとてもうるさい市場であるという実態があれば、日本法人もそれを理由にグローバル本社に強くかけ合うことができたりするわけです。やっぱりこの委員会も一般の人たちが医薬品行政をどうするかと考えるような形を作るための情報発信ということなので、戻りますけれど、難しい情報発信をどうしようかなということになります。
【有識者】東奥義塾中学校・高等学校 養護教諭 中村元気
市民からの声というのはPMDAで集めていただくのも可能なものなんでしょうか。一つ浮かんだアイデアがありまして、さっき戸田先生からお話がありました、本人の声ではなく保護者の声という話で、保護者も実は精神的に不安定なケースも多くありまして、さらに人が声を上げられるかというと、教員だったり、各都道府県にある精神保健福祉センターだったりが、薬に関する害でどのようなものを実感していますか?というアンケートだったり、調査を受ければものすごい数のオーバードーズ被害についての情報が集まってくると思うんですね。そういう声を待っているのではなくて、回答を促す。全国に調査を依頼するっていうような形を取れば、ものすごい数の市民の声が集まってくるのではないかなと思いました。
【パネリスト】慶應義塾大学大学院法務研究科 教授 磯部 哲
ありがとうございます。この後の取り組むべき課題の一つに、広い意味では患者参画といったことを考えていたのですけれども、患者どころか一般市民感覚を持つ人がいろいろにどう関わるかっていう話になっているとも言えるような気がしたんですね。
勝村先生のご発表の中でも、市民感覚ということを強調されて、専門家をきちんと監視するということでしたけれども、この監視委員会が果たしてどうやったらもう少し市民感覚を強くできそうなのか、それとも監視委員会だけでは十分ではなくて、もっとそういうチャンネルが他にもあった方がいいというふうにお考えなのかといったあたりはどうでしょう。
【有識者】全国薬害被害者団体連絡協議会 副代表世話人 勝村久司
まさに今、花井さんの話にもありましたけれども、市民の声っていうものが簡単に作れてしまえると、おそらくオールドメディアも思っているし、この映画をヒットさせるとかですね、そういうことのノウハウもあると思いますし、電通という会社とかがどういう動きをしているのかは知りませんけれども、なんとなくいろんな意味で流行っていうのは作れるということはあるし、それに僕らもある程度乗っているところもあるんでしょうけど、情報っていうものの本当のリテラシーとは非常に難しく、だけど今まさにそこがやっぱり一番問われている。なのでちょっと過度なプロモーションが市民を動かしてしまうということであれば、健全な普及啓発とか健全な教育からそこはずれていく。
僕も高校の教員をしているんですけれども、学校教育法の中には「健全な批判力を養う」という条文があるんですね。いろいろ専門家の人たちからのいろんな知見を学ぶっていう場でもあるんだけれども、やっぱり新たな社会を作っていくという意味で、健全な批判力を持って自分で考えて情報も見ていくんだっていう視点を、やっぱりどこかで大事な問題として、自分たちは共通認識を持っておかなきゃいけない。その根拠が薬害の歴史であると思いますし、だからそういう思いを持って始めて薬害をなくしていけると思うので、非常に難しい問題ですが、現実の中村先生のお話もありますけれども、そういう整理をして取り組んでいかなきゃいけないんだろうなと思います。
【有識者】薬害オンブズパースン会議 事務局長 水口真寿美
この委員会が市民感覚をどういうふうに取り入れて生かしていくかと、先ほど磯部委員長からお話があったかと思うんですけれども、そういう意味で言えば、例えばHPVワクチンのプロモーションのことをこの委員会で取り上げていただいた時に、薬機法上どういう位置づけかとかね、難しいコメントが厚労省からあったと思うのですけれど、これって患者の自己決定とか市民の選択権っていう観点から見たらどうなの?っていう意見を、この委員会が持った。違法でなければ何でもいいっていう話ではないので、あの議論はいい議論だったんだけれども、それが議事録を読まない人には伝わらない。ここがやはりもったいなかった。議事録を読みましたが、先生方はある程度自信を持っていただいていいと思うんです。市民感覚の議論はできている部分はあると思うのですが、それをやっぱり発信していくとか、臆せず薬機法違反かどうかは実は問題ではない、患者の自己決定権の観点から見たときに、これはどうなんですか?という観点でやっぱりコメントを出していただくっていうぐらいの感じでやっていただくのがいいのではないかと思います。
そういう意味では、先ほど私が救済制度の情報が安全対策に活かされていませんという話をさせていただいたんですけれど、専門家は、厚労省から「制度の目的が違います」って言われれば「なるほどそうなのか」と納得する部分はあると思うんだけれど、多分市民感覚から言うと、同じ厚労省の中で、一方では、死んでいるということで、制度の目的は違うかもしれないけれど、救済認定されているのに、「いろんなシグナル捕まえていくのが安全対策なんでしょ?それを制度の目的が違うと言って、そんなに綺麗に割り切れるんですか?」となる。委員会、部署横断の話なので、この委員会にふさわしいテーマなんじゃないかなと思っています。
議論されている中で、市民感覚は出てきているような気は、私はしたというところは一応申し上げておきたいなと思います。
【パネリスト】慶應義塾大学大学院法務研究科 教授 磯部 哲
ありがとうございました。市民感覚の生かし方、患者参画の話とか、一般国民のリテラシーをどうするか、オーバードーズの問題、実は今後の課題として取り上げたいというテーマ、全て先に議論していただいたと思います。市民感覚は悪くないけど、議事録を読めというのはちょっと分かりにく過ぎる、そこはあまり健全じゃない感覚だから、もうちょっと分かりやすくアウトプットしていくべきじゃないかということで、大変示唆に富んだご指摘でした。実は今シンポジウムへのQ&Aの中でも、年に1回勧告・提言するというのはできるのかできないのか、どうするのだ?とコメントしてくださっている方もいらっしゃいます。なんでもいいから必ず1回すると決めていけばよいかというと、私はどちらかというと中身次第かなと思っていたので、議論の結果、やはり提言すべきものが出てくればしたい、すべきであるというのが基本的なスタンスだったと思います。とはいえ、様々なルーティンの課題を回すのに懸命で、意見を作るエネルギーや時間を取れなかったところもなくはないのですけれども、でもせっかくの権限だし、“今、何が課題か”を分かりやすく伝えていくツールでもあり得るのだろうと思いましたので、今後さらに対外発信を充実させるというご提言を参考にできればなと思ったところです。
【パネリスト】全国薬害被害者団体連絡協議会 代表世話人 花井十伍
前回の委員会で一応最後に予告編として、つまり僕らこんなひどい目にあってるのに
なんでそれがなってないの?っていうのが市民感覚としてあって、制度が違うっていうのは、これは薬害肝炎の例の集団感染が隠されたっていう文脈と同様の問題なんですけれど、結局何目的のために集めている情報だからこうだっていうのは霞ヶ関の理屈で、一人一人の患者はこれで被害があったっていうところなんですよ。
なかなか難しい問題ではあるけれども、因果関係としてアルファベータガンマじゃないけれども、判定不能の山があってですね、 業界関係者はあそこにどういうものが入っているかっていうのは分かっているから、悪用されているわけですよ。判定不能の中にある疑いを否定できないっていうものが結果として覆い隠されて、ある種副作用を少なく見せる装置として利用されちゃってるんですよね。だからそういうところも含めて、やはりこの救済とシグナル収集ということを、やっぱり制度的に連携させるということが、次の課題かというふうに私は思っていますし、ぜひやりたいと思います。
【パネリスト】慶應義塾大学大学院法務研究科 教授 磯部 哲
ありがとうございます。集まった情報をきちんと分析してるんだな、だからこういう情報が出てるなら安全とひとまず思えそうだな、じゃあ安心してワクチンを打とう、という気持ちになれるかどうか、そういう情報発信をして、正確な知識のもとで安全に予防接種を受けられる環境が整っているという、そういう信頼が生まれることが大事だと思うんです。
それが、ガンマ99.4%ではそうは言いにくいのではないかということを言っていたわけです。科学的な意味合いの違いとかそこではなく、見え方の問題というふうに、私などは考えておりまして、でもそれも含めて、副作用救済制度がどう見られているかということにも関わるご指摘だと思いましたので、今後取り組むべき課題の一つに、やはりあげていってみようかなと思いました。PMDAはシグナルを十分検出、収集できているのかという点について、藤原先生に投げてよろしいですか。
【パネリスト】独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA)理事長 藤原康弘
私も昔、審査員会やっていた時期には、一日数時間全世界からの副作用報告全部見てやっていました。それよりは今数が増えていますが、隣で見てもらってもいいぐらいですね。いい加減に見てる人はいないと思います。ただ得られている情報が非常に少ないっていうのはやっぱり大きな課題です。副作用報告に記載されている情報がですね、医学的判断とかをするのに非常に不足していることがあるのも事実なんですね。医療全般は不確実性がたくさんありますから、病院行って、じゃあすべてが科学的に全部進んでいるかっていうとそんなことはないので、なかなか難しいですね。少なくとも来ている副作用報告、あるいは救済に関する情報などはきちっと見ていますし、我々がむしろ救済業務の中で苦労しているのは、医療機関からの診療経過がきちっと来ないとかですね。色々な機会にかかわっているので、私も職員も医療機関から言われるんですよ。PMDAなんか知らんぞとか、どこの組織だとかですね。職員はめげそうになりながらでも、患者さんのために何とかしないといけないっていうので、医療機関に聞いて情報を集めているのをずっと繰り返しながらやっている。性悪説ではなくて、私は性善説で。職員は情報をいかにたくさん収集するか、あるいはどこから色々な情報を集めるかに苦心しているというのが実態です。
【パネリスト】慶應義塾大学大学院法務研究科 教授 磯部 哲
ありがとうございました。実はアルファベータガンマについて、Q&Aいくつかあるのですけれども、ガンマ99.4%はその後どうしているのか?振り分けたりしてるのか?などです。見直しの動きがあったというのはどうなったのでしょうか?というものもあり、関心が強いようです。これは今後こちらの委員会でも取り上げると思います。現在、今研究班で検討しているその成果を来年にはいただけるのではないか、少なくとも“情報不足・評価不能、以上”かのように言いっぱなしで終わっているわけじゃないということがもっと伝わるような表現に変えていく、大きくはそういう方向だとうかがっていますので、少し改善することは期待できるのではないかと思っております。
そのほか、この委員会についてきちんと提言を出すなら出す、レポートする、もっと頑張る、しっかり大臣と協議するとかやったらどうだというふうな応援コメントをいただいております。
疑い報告、安全性に重大な懸念がないと言いっぱなしなことに、やはりちょっと疑問があると。これもやはり情報の伝え方という問題ではないかと思っております。貴重なご意見をいただき、ありがとうございました。
【有識者】薬害オンブズパースン会議 事務局長 水口真寿美
さっき発信が必要って言ったんですけれど、それはやっぱりやっていただきたいっていうのは強く思います。全然重みも違うし、集まっているメンバーが仲間というのはありますけれど、 私は、同じような医薬品の評価の監視組織をやってますけれど、私たち5年の間に43本意見書を出してるんですよね。その意見書は全部ここの委員会に送っています。この委員会の意見書はやはり重みはありますけれども、重たいものを常に出さなきゃいけないって思っているとね。なぜこの委員会をこの人数、このメンバー数にしたかというと、フットワーク軽く評価するという姿を念頭に置いていたからなのです。「もっと発信するぞ」って今日宣言していただいたらいいんじゃないかなと思います。あとはやはりこの議論をもっと深掘りしてほしいって思うのに、終わってしまっているものがいっぱいあるので、深掘りもお願いしたいなと思います。
すみません、もう一点だけ。市民参画という点から言うと、確か基本的に安全対策調査会と副反応部会には市民の委員はいないんですよね。やっぱり市民の委員が入るということは大事だし、それから、誰でも入れるかというと、政府の委員会に入って役割を果たすための、訓練というか、ちょっとしたカリキュラムを持っている国がありますので、そういうのも今後検討していただきたいなと思います。
【有識者】全国薬害被害者団体連絡協議会 副代表世話人 勝村久司
僕もいくつか厚生労働省の患者代表とか市民代表みたいな立場で委員をさせてもらった経験が、今もあるんですけれども、やはり国民の代表になっているっていうことのプレッシャーはすごくて、もし僕がなっていなかったら別の人がなっているわけなので、そう考えると、やはり相当どんな立場であれ結局はその市民感覚、市民の代表って言ってもその市民が何の仕事をしているかよりも、やっぱり市民感覚を持っているかということがすごく大事だと思うのですけれど、やっぱり情報、議事録も全部公開するということは、それがちゃんと国民の代表として役割を全うできてるかどうかっていうことを、結局見せているんだと思うんですよね。
四年前に意見書を出したものがその後どうなっているんだ?ということは、年に一遍、厚労省大臣とやり取りするぐらいの気持ちがやっぱりそこへ関心のある国民からするとやってほしいと思っているに違いないし、そんなに今年は何もなかったね、っていうのは本当なのかっていうのは、やっぱりあると思いますし、だけど皆さんの中でやることに限りがあるのも当然みんなも理解できているわけなので、一つ、「時間との戦い」っていうような部分をちょっと持っておいてもらわないと、いつまでもずっとこんな調子でやっていてもいいんだと思っておられないと思いますけれど、そういう誤解も生じかねないので、時間を区切って、任期の再任もどうしていくんだという議論もしてですね、ここまででこれはやりとげたいと思うような国民の代表としてのそれぞれの皆さんの知見に沿ったものを一つずつオセロの角を取っていくということを、ずっと続けていかなきゃいけないと思うんですよね。
そういう意味で、僕はガンマに関しても非常に見解は甘いと思います。ガンマはガンマという部分集合を作ってもいいけど、絶対アルファの中に置いておかなきゃいけない。アルファの集合から外に出しちゃうとだめです。実際僕、昔から僕の妻と子供の被害もガンマにされてしまって、アルファじゃないって言われてしまってるんで、非常にそこは難しいところなのかもしれませんが、ぜひいろいろ深くこれを機に考えていただければありがたいと思います。
【パネリスト】慶應義塾大学大学院法務研究科 教授 磯部 哲
ありがとうございます。 強いエールをいただいたというふうに思いました。
申し訳ございません。これで本当に時間が終わってしまいました。Q&Aに触れさせていただくのは十分じゃなかったかもしれませんが、関心を寄せてくださり、質問を寄せてくださった視聴者の方々に御礼申し上げます。今後も議論は続きますので、ぜひ厚労省・本委員会宛に、追加でご意見ご質問などがあればお伝えいただければと思います。
本日、パネリスト先生方、有識者の先生方、ご参加ありがとうございました。もっと時間があったらいいなと思いましたし、なんなら第二回をいつかやれればというふうにも思いますけれども、ここで一旦進行を事務局にお返しいたします。
〇閉会挨拶
厚生労働省 厚生科学課
磯部委員長、どうもありがとうございます。それでは以上をもちまして、医薬品等行政評価監視委員会5周年シンポジウムを終了いたします。
ZOOMにてご参画いただきました皆様へ退出時に表示されますアンケートへの回答につきましてもご協力をお願いします。
本日のシンポジウムのアーカイブあるいは議事録資料につきましては、後日ホームページの方に掲載させていただきますので、よろしくお願いいたします。それでは、本日はご参加いただきましてありがとうございました。

