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第4回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会研究開発及び生産・流通部会季節性インフルエンザワクチン及び新型コロナワクチンの製造株について検討する小委員会(第二部)議事録
健康・生活衛生局感染症対策部予防接種課
日時
令和8年5月26日(火)16:45~18:00
場所
Web会議
航空会館ビジネスフォーラム703号室
(東京都港区新橋1-18-1 航空会館7階)
議題
- (1)2026/27 シーズン向け新型コロナワクチンの抗原組成について
- (2)2026/27 シーズン向けインフルエンザ HA ワクチンの製造株に ついて
- (3)その他
議事
○眞中予防接種課課長補佐 定刻になりましたので、ただいまより「第4回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会 研究開発及び生産・流通部会 季節性インフルエンザワクチン及び新型コロナワクチンの製造株について検討する小委員会」の第二部を開催させていただきます。第二部の議事は公開です。議事の様子はYouTubeで配信いたしますので、あらかじめ御了承ください。なお、事務局で用意しているYouTube撮影用以外のカメラ撮りは、議事に入るまでとさせていただきますので、プレス関係者の方々におかれましては御理解と御協力をお願いいたします。また、傍聴の方は、傍聴に関しての留意事項の遵守をお願いいたします。会議冒頭の頭撮りを除き、写真撮影、ビデオ撮影、録音をすることはできませんので御留意ください。
本日は、対面とWeb会議のハイブリッドで開催いたします。会議の進め方については、第一部で御連絡したとおりです。Web会議から御参加されている委員及び参考人の皆様は、カメラをオンに切替えをお願いいたします。
続いて、委員の出欠状況について御報告いたします。本日は小嶋委員から、御欠席の御連絡を受けております。現在、8名の委員にWebにて御出席いただいており、委員9名のうち8名に御参加いただいておりますので、定足数を満たしており、厚生科学審議会の規定により、本日の会議が成立したことを御報告いたします。なお、大曲委員については用務の都合により、17時30分頃に御退席の予定となっておりますので御承知置きいただければと思います。
申し訳ございませんが、冒頭のカメラ撮りについては、ここまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。なお、これ以降は、写真撮影、ビデオ撮影、録音をすることはできませんので御留意ください。
議事に先立ち、本小委員会の資料について説明させていただきます。本小委員会の資料は通信負荷軽減の観点から、基本的に画面には投影いたしませんので、傍聴されている方々を含め、Webサイトに掲載している資料をお手元に御用意ください。それでは、ここからの進行は福島委員長にお願いいたします。
○福島委員長 皆様、第二部もよろしくお願いいたします。それでは事務局から、審議参加に関する遵守事項等について、報告をお願いいたします。
○眞中予防接種課課長補佐 審議参加の取扱いについて御報告いたします。本日、御出席いただいた委員及び参考人から、予防接種・ワクチン分科会審議参加規程に基づき、ワクチンの製造販売業者からの寄附金等の受取り状況、申請資料への関与について御報告を頂きました。各委員及び参考人からの申請内容については、利益相反関係書類を御確認いただければと思います。本委員会での調査審議を行う品目は、新型コロナワクチン及びインフルエンザHAワクチンです。本日の出席委員及び参考人の寄附金等の受取り状況から、参加規程第9条により、宮入委員に寄附金受取りの実績があり、かつ、その額が50万円以上500万円以下の年度があることから、議決不参加の基準に該当するので、審議の際、「議決には参加しない」に該当いたします。以上です。
○福島委員長 ただいま事務局から、本日の審議参加についての御報告を頂きました。参加規程第9条により、宮入委員が審議の際、「議決に参加しない」に該当いたします。しかしながら参加規程によりますと、審議会場から退室するとの取扱いについては、「当該委員等の発言が特に必要であると当委員会が認めた場合には出席し、意見を述べることができる」となっております。今回の会議では委員長として、宮入委員には「専門家としての意見を述べていただきたいこと、また意見を述べることがありましたら公平な立場でお願いしたい」と思います。いかがでしょうか。
その他、本委員会での意見の取りまとめは議決には当たりませんが、先ほど御報告のあった宮入委員におかれましては、参加規程第9条に準ずる形で、意見とりまとめの際には参加いただかないこととしたいと思いますが、いかがでしょうか。特に御異論はありませんか。
(異議なし)
○福島委員長 ありがとうございます。それでは、委員会としての了承が得られたということで、早速、議事に入らせていただきます。第二部の1つ目の議題は「2026/2027シーズン向け新型コロナワクチンの抗原組成について」です。はじめに、事務局より資料1の御説明をお願いいたします。なお、質疑応答は全ての資料について御説明いただいた後に、お時間を設けたいと思います。よろしくお願いします。
○村上副反応情報分析専門官 事務局です。まず、資料1の2ページを御覧ください。2024年2月5日に開催したワクチン分科会において、2024年度以降の定期接種で用いる新型コロナワクチンの抗原組成については、最新のWHOの推奨する抗原組成を用いることを基本とすること、選択肢確保の観点から、様々なモダリティのワクチンについても開発状況に応じて用いること、そして具体的な検討については、研究開発及び生産流通部会において行うことをお認めいただきました。
今後の進め方ですけれども、新型コロナウイルスの変異や流行する系統の状況、ワクチンに関する科学的知見、諸外国の動向などについて情報収集を行い、本小委員会において、新型コロナワクチンの抗原組成に関する検討を行うこととされております。5月のWHOにおける推奨する抗原組成に係る議論も踏まえ、赤枠の本日の議論の所ですが、本小委員会において専門的な御議論を頂きたいと考えております。
その後の流れとしては、使用する抗原組成が決定した後に、製造販売企業による薬事申請などが行われ、秋冬に向けて市場の供給、接種の実施といった流れとなっております。
ここで、WHOの推奨の内容や我が国の新型コロナウイルスの各系統の検出状況、免疫学的な知見などについて、国立感染症研究所の参考人の先生から御説明を頂いてもよろしいでしょうか。
○福島委員長 承知しました。それでは、国立健康危機管理研究機構国立感染症研究所の長谷川参考人から、資料2-1、資料2-2の御説明をお願いいたします。
○長谷川参考人 国立感染症研究所の長谷川と申します。よろしくお願いします。まず資料2-1です。こちらは「WHOのTechnical Advisory Group on COVID-19 Vaccine Composition(TAG-CO-VAC)でのCOVID-19ワクチン抗原構成の推奨について」の資料です。WHOのCOVID-19ワクチン組成に関する技術諮問グループ(TAG-CO-VAC)は、2026年5月7日と8日に半年ごとの定例の会合を開催いたしました。SARS-CoV-2の変異株の流行状況、現行ワクチンの有効性、そして今後のワクチンの抗原組成について審議を行いました。
まず、SARS-CoV-2の現在の流行状況です。2026年においても、SARS-CoV-2は世界的に流行を続けており、重症例、COVID-19後遺症、死亡が報告されています。ただし、感染・ワクチン接種による集団免疫の向上や臨床管理の改善により、医療システムへの負荷は2020~2021年の当時と比べて大幅に低下しています。全てのWHO地域で、過去の同時期と比較してSARS-CoV-2の検査陽性率は低下傾向にあります。
変異株の動向としては、現在の世界的な主流は「監視対象変異株(VUM)」に分類されるXFGですが、その割合は減少しつつあります。一方、西太平洋地域ではNB.1.8.1が優勢となっています。また、BA.3.2の割合が世界的に増加しているものの、JN.1系統の変異株を置き換えるほどの拡大には至っておらず、疾病負担の大幅な増加とも現時点では結び付いていません。小児においてはBA.3.2が占める割合が成人より高い傾向も一部で見られていますが、サンプル数が少なく、解釈には慎重さが求められます。
抗原性の分析では、JN.1系統内の変異株であるLP.8.1、NB.1.8.1、XFGなどは、互いに抗原的に近縁であるのに対して、BA.3.2はそれらとは明確に抗原性が異なることが確認されました。LP.8.1ワクチンを接種した人の血清は、JN.1系統の各変異株に対して強い中和活性を示し、BA.3.2に対しても交差免疫が認められたものの、その抗体価はLP.8.1に対するものより低かったという結果です。一方、BA.3.2を抗原とするワクチン候補は、LP.8.1ワクチンと比べて全体的な免疫原性が低く、JN.1系統への交差反応性も限定的でした。ワクチン有効性の観点では、1価のJN.1、KP.2及びLP.8.1ワクチンはいずれも、既存免疫を上回る症候性・重症COVID-19に対する追加的な保護効果が示されました。
TAG-CO-VACによるCOVID-19ワクチン抗原構成による推奨についてですが、1価のLP.8.1をCOVID-19ワクチンの抗原として推奨しています。現在流行しているSARS-CoV-2変異株に対して、広範かつ頑健な中和抗体応答又は有効性を示す他の抗原、例えばXFG、NB.1.8.1や他のアプローチも考慮されるとされています。WHOのSAGEの勧告に従い、加盟国はCOVID-19重症化リスクが最も高いグループへのルーティンなCOVID-19ワクチン接種を検討すべきであり、更新された抗原組成を持つワクチンの入手を待ってワクチン接種を遅らせるべきではないとしています。
検討されたデータの限界です。まず、サーベイランスデータには地理的な偏りと遅延があるということ、また BA.3.2の公衆衛生上の影響は現時点では不明であること、 JN.1系統変異株の感染や1価LP.8.1ワクチン接種による免疫応答データは中和抗体に偏っており、細胞性免疫を含むその他のデータや解釈が不足しています。 現時点で、1価LP.8.1mRNAワクチンの有効性のデータは限られており、BA.3.2が流行優勢期のデータは存在しないということが限界となっています。
総括としては、LP.8.1はワクチン抗原として、JN.1系統変異株に対して広範な交差反応性の免疫応答を誘導することが確認されており、抗原的に異なるBA.3.2系統に対しても一定の応答を示す点から、現時点でのCOVID-19ワクチンの推奨抗原として妥当性が高いとされております。資料2-1に関しては以上です。
続いて、資料2-2についてです。こちらは国内の全国のゲノムサーベイランスによる系統別の検出状況です。1枚目に示しているのが新型コロナウイルスゲノムのPANGO Lineageの変遷で、1か月単位になっております。右の表に示しているのが4月の検出です。検出のうち、全体の数が58件ですけれども、23株がNB.1.8.1系統の変異株で、28株がBA.3.2系統、7株がその他となっております。左の検出数を見ていただくと、9月に1つの大きな山があり、それから減少していきます。年を明けてからも更に減少してきている中での割合を調べていくと、BA.3.2.2系統が増えてきているという状況です。
2枚目の資料を見ていただくと、これが変遷です。NB.1.8.1系統は2~4月と、148、87、23と減ってきているのに対して、BA.3.2は7、19、28と微増している状況です。全体としてNB.1.8.1の数が減ってきていますので、BA3.2の割合が4%、15%、48%と増えている状況にあります。数としては7、19、28といった形です。以上です。
○福島委員長 ありがとうございました。続いて、国立健康危機管理研究機構国立感染症研究所の高橋参考人から、資料3の御説明をお願いいたします。
○高橋参考人 国立健康危機管理研究機構国立感染症研究所の高橋と申します。まず、資料3の1ページです。こちらは最近流行している変異株の変異部位と系統樹です。右側にお示ししている青い変異株が懸念される変異株で、オレンジ色が監視下の変異株です。御覧いただいて分かるように、JN.1系統あるいは、その系統株、若しくは系統が異なるBA.3.2というのが注目すべき変異株となっております。
2ページを御覧ください。これらの変異株の抗原性評価を行ったデータを左側にお示ししております。こちらのデータは、WHO Statementの補足資料図5として提示されたものです。これはマウスに、様々な変異株由来のスパイク配列を使ったmRNAワクチンを2回接種し、得られた抗血清を使って、左側に記載されている様々な変異株に対する中和抗体価を測定しております。それで得られた中和抗体のデータを基に抗原地図というものが作成されました。抗原地図は抗原性評価に幅広く使われているものですけれども、左の図に記載されているように変異株の名前の間の距離が、各変異株間の抗原性変化の大小として表わされています。左上に示されているXFG、NB.1.8.1、LP.8.1といったJN.1系統の変異株に関しては、比較的抗原性が近接しているのに対し、右上に示されているBA.3.2は、他のオミクロン変異株から相対的に抗原性が離れているということが、抗原地図からもお分かりいただけるかと思います。
続いて3ページです。現在、新型 コロナスパイクに対する免疫履歴が、国ごとに多様化している状況がありますけれども、海外のデータに関しては、WHO Statementに幾つか参考となるデータが記載されております。ここでは、特に国内のワクチン接種を対象とした免疫原性のデータを御紹介したいと思います。3ページには、東京大学医科学研究所の佐藤先生が論文として報告したデータを御紹介しています。こちらは2025/2026シーズンのLP.8.1単価ワクチン接種者の抗血清を用いて、PreとPostで以下に記載されている様々な変異株に対する中和試験が行われています。左がmRNAワクチンで、右が組換え蛋白ワクチンです。どちらも、ここに記載のJN.1系統の株あるいは、右に記載されているBA.3.2株に対して、Preと比べてPostでは中和抗体価の上昇が確認されています。
もう1つ特筆すべき点としては、Preの段階で、BA.3.2に対する中和抗体価が他のXFG等に対する中和抗体価よりも高めであるということです。これも起因して、PostでBA.3.2に対する抗体の上がり幅が若干、他よりも低い傾向があります。ただ、Postの数値そのものを見ると、このデータでは他のJN.1系統、特にXFG等と比較してもそれほど大きな差があるような数値にはなっていないという状況です。
次に、4ページですが、昨シーズンのXEC単価ワクチン接種者の抗血清を用いて、同様の試験が行われていますので、その結果も紹介させていただきます。先ほどの結果と同様に、XECの単価ワクチンでも様々なJN.1系統の株あるいはBA.3.2に対して、Preと比べてPostでは中和抗体価の上昇が認められているという内容となっております。
最後に、5ページです。こちらは長谷川参考人が行った国内のデータであり、WHO Statementの補足資料の図10に記載されているものです。Aが、N抗体陰性で最近の感染履歴がないと推定される集団と、Bが、N抗体陽性の集団です。先ほどの結果と同様に、JN.1のワクチン接種後に、様々なJN.1系統株に対する抗体価、加えてBA.3.2.2株に対する抗体価の上昇が確認されているといった結果になりました。私からは以上です。
○福島委員長 ありがとうございました。引き続き事務局より説明をお願いいたします。
○村上副反応情報分析専門官 事務局です。資料1の3ページにお戻りください。こちらは、本日の議論のまとめです。まず、WHOの推奨として、先ほど感染研の先生方から1価LP.8.1もワクチン抗原として適切な選択肢としてみなされる。そして、現在流行している変異株に対して、広汎かつ頑健な中和抗体応答又は有効性が示された他のアプローチも同様に検討され得る旨を御説明いただいています。また、国立健康危機管理研究機構からの報告として、NB.1.8.1等のJN.1系統やBA.3.2系統が現在、我が国において流行している新型コロナウイルスの変異株である旨を御報告いただいたところです。
第1部の製薬企業からの報告としては、各社のmRNAワクチン又は組換えタンパクワクチンについて、新たな抗原組成のワクチンの開発状況等が報告されています。非臨床データとしては、JN.1系統のワクチン(LP.8.1、XFG、NB.1.8.1ワクチン)について、初回免疫、追加免疫においても、各ワクチンはJN.1系統に対して抗体を誘導したことが説明されています。また、BA.3.2.2系統のワクチンについても、初回・追加免疫のいずれにおいてもBA.3.2.2系統に対して抗体を誘導したと説明されています。さらに、臨床データとしては、LP.8.1等のJN.1系統を抗原とするワクチンの接種によって、JN.1系統及びその下位系統に対して抗体を誘導し、BA.3.2に対して免疫応答を誘導した旨が御報告されています。
これらを踏まえて、2026/27シーズンの定期接種で使用する新型コロナワクチンの抗原組成についての事務局案としては、令和8年度の定期接種において使用するワクチンの抗原組成について、「1価のLP.8.1をCOVID-19ワクチンの抗原組成とする」こととしてはどうか。また、そのほかの抗原、例えばXFG及びNB.1.8.1についても、「令和8年5月現在流行している変異株に対して、広汎かつ頑健な中和抗体応答又は有効性が示された抗原」に該当するとして、我が国で使用するワクチンの抗原組成に含めてはどうかと考えています。
一方で、現時点では、JN.1系統、LP.8.1、XFG、NB.1.8.1のワクチンのほかのSARS-CoV-2変異株に対する効果の検討状況は製剤によって異なっており、いずれの抗原組成のワクチンについても臨床データは限定的であることから、引き続き情報収集を求めることとしてはどうかと考えています。抗原組成と今後の流行株への対応について御議論のほど、よろしくお願いいたします。事務局からは以上です。
○福島委員長 ありがとうございました。それでは、資料等の説明内容について、質疑応答の時間とさせていただきます。2026/27シーズン向けの新型コロナワクチンの抗原組成として選定することが適当と考える抗原組成について、まずは委員の皆様から御意見、御質問を頂き、まとめて参考人、又は事務局に御回答いただく形とさせていただきます。御質問のある方は順次、御発言をお願いいたします。挙手ボタンを押してください。質疑応答の後に、審議とりまとめに移らせていただきます。いかがでしょうか。では、宮入委員、お願いいたします。
○宮入委員 御説明をありがとうございます。大体理解したのですが、BA.3.2というのが一つのリスクだということですけれども、数は増えていないと理解いたしました。ほかのJN.1系統以外で増えている系統のものがあるかというのが1つ目の質問です。
2つ目の質問は、抗原性が離れているにもかかわらず、ワクチンを接種することで中和抗体が上がるのはどういうことなのかということについて教えていただければと思います。
○福島委員長 ありがとうございます。こちらは、参考人の先生方に御回答いただく形でよろしいですか。
○長谷川参考人 前半は私で、後半は高橋先生が適当かと思います。
○福島委員長 そうですね。よろしくお願いいたします。
○長谷川参考人 BA.3.2というのが、世界的にずっとだらだらという表現が正しいかは分かりませんが、続いているという状況があって、一方、JN.1系統のものはいろいろ変わってきましたけれども、全体的に減ってきていて、相対的にパーセントとしてはBA.3.2が上がってきているという状況です。それ以外のもので増えてきているというものは特に議論されておりません。
○宮入委員 ありがとうございます。
○福島委員長 ありがとうございます。それでは、高橋参考人、よろしくお願いいたします。
○高橋参考人 後半部分の質問に対して回答させていただきます。ご指摘のようにBA.3.2の抗原性はJN.1系統と異なっています。人の場合、過去に様々なワクチンあるいは感染歴があって、起源株やBA.2、BA.5と様々な株にさらされていると、免疫記憶あるいは免疫刷り込みという表現をすることもありますが、それが獲得されて、それによって交差性の高い中和抗体が誘導されていることで今回、BA.3.2に対してもワクチン接種後に抗体価が上がるというメカニズムが働いていると想定されています。
○宮入委員 ありがとうございます。よく分かりました。
○福島委員長 ありがとうございます。そのほか御質問、御意見等はございませんか。ございましたら挙手ボタンを押していただければと思います。石井委員、お願いいたします。石井委員、よろしいですか。
○石井委員 BA.3.2について、公衆衛生上の影響は現時点では不明であるということなのですが、特に重症化しやすい等の報告はあるのでしょうか。
○福島委員長 こちらは、長谷川参考人、よろしいですか。
○長谷川参考人 BA.3.2で重症化するとかということは、特にございません。一つ、海外におけるBA.3.2の患者さんは、小児で割合が高いということが言われております。コロナのパンデミック以降に生まれてきたお子さんたちです。そういったお子さんたち、4歳、5歳以下のお子さんたちは今までばく露されていないナイーブの状態で、そういうお子さんたちで割合が高いということは指摘されておりますが、そこで重症化しているということではございません。そういったことも考えると、やはり過去の感染歴が交差免疫に寄与しているのかなと考えられます。以上です。
○石井委員 ありがとうございます。今、選択しようとしている抗原がBA.3.2から抗原性が離れているものではあるものの、これらを国内でワクチン抗原としておくことで、特にBA.3.2が仮に流行したとしても大きな問題はないであろうという理解でよろしいでしょうか。
○福島委員長 ありがとうございます。こちらも長谷川参考人、そして高橋参考人、補足されますか。
○長谷川参考人 いや、そういった免疫記憶などによって反応する抗体が出てくるということが分かっているということで、問題があるかないかということは、現時点では何とも、言えません。
○石井委員 ありがとうございます。
○高橋参考人 私も同じ意見で、補足するところはございません。
○石井委員 ありがとうございました。以上です。
○福島委員長 ありがとうございます。
○眞中予防接種課課長補佐 福島先生、事務局です。
○福島委員長 はい。
○眞中予防接種課課長補佐 先ほどの石井委員からの御質問なのですが、現在の流行株と冬の流行株が一致するかどうかというのは、毎年判断が難しいところです。そのため、抗原組成の推奨の検討に当たっては、先ほど先生方にデータを確認いただいているとおり、広汎かつ頑健な抗原であることというのが極めて重要な要素だと考えており、WHOの推奨とともに、本邦でも当該観点を踏まえて、事務局案として提案させていただいたところです。今後の流行状況等については、抗原組成を踏まえて定期接種ワクチンの議論をする際に、改めて御確認等を頂くものと考えております。事務局としては以上です。
○福島委員長 ありがとうございます。石井委員、よろしいでしょうか。
○石井委員 ありがとうございました。
○福島委員長 ありがとうございます。そのほか御質問、御意見等はございますか。ございましたら挙手ボタンを押していただければと思います。よろしいでしょうか。私も最新のサーベイランスの情報に基づいて、最善の候補の株を列挙いただいているのかなと思います。
では、御意見、御質問がこれ以上ないようでしたら、議論の取りまとめに移りたいと思います。なお、宮入委員におかれましては、取りまとめに参加いただくことはできませんので御留意ください。
それでは、2026/27シーズン向けの新型コロナワクチンの抗原組成には、WHOの推奨と同様に、1価のLP.8.1をCOVID-19ワクチン抗原として推奨することとする。その上で、その他の抗原、例えばXFG及びNB.1.8.1についても、「令和8年5月現在流行している変異株に対して、広汎かつ頑健な中和抗体応答又は有効性が示された抗原」に該当するとして、我が国で使用する抗原組成に含める。また、今後、流行が想定されるSARS-CoV-2変異株に対するワクチンの有効性や免疫原性については、引き続き情報収集を求めることとするという結論で御異論はございませんか。
(異議なし)
○福島委員長 皆さん、うなずいていただいているということで、そのような結論にさせていただきます。ありがとうございました。
それでは、次の議題に入らせていただきます。「2026/27シーズン向けインフルエンザHAワクチンの製造株について」です。まず、事務局より御説明をお願いいたします。なお、質疑応答については、全ての資料について御説明いただいた後にお時間を設けたいと思います。よろしくお願いいたします。
○村上副反応情報分析専門官 事務局です。本議題より、日本ワクチン産業協会インフルエンザ専門委員の木許参考人にも御出席いただいています。資料4を御用意ください。2026/27シーズン向けインフルエンザHAワクチンの製造株について御説明いたします。2ページを御覧ください。こちらは、季節性インフルエンザHAワクチンの製造株の選定に当たっての基本的な考え方をイメージした図です。製造株の選定に当たっては、原則としてWHOが推奨する株の中から、期待される有効性、ワクチンの供給可能量を考慮した上で検討を行うこととされています。
ここで、国立感染症研究所における検討、及び製造メーカーにおける製造効率の検討について、各参考人から御説明いただいてもよろしいでしょうか。
○福島委員長 承知いたしました。それでは、国立健康危機管理研究機構国立感染症研究所の長谷川参考人から、資料5について御説明をお願いいたします。
○長谷川参考人 それでは、資料5の説明をさせていただきます。こちらは2026/2027年シーズン向けのインフルエンザHAワクチン製造候補株の検討について、令和8年度インフルエンザワクチン用製造株とその推奨理由となります。2025/26シーズンの世界的なインフルエンザの流行では、A/H1pdm09、A/H3及びB型(ビクトリア系統のみ)がそれぞれ検出され、その割合は国・地域によって異なっていましたが、全体としてA/H3亜型が主流となった国が多かったです。南半球においては、例年この時期は、インフルエンザの検出数は減少傾向にありますが、A/H3亜型の抗原変異株(サブクレードK)の出現により、一時的な増加が認められました。世界的には、A/H3亜型が減少した後、B/ビクトリア系統の報告数が増加しました。
日本における流行は、2025年第39週に流行入りの目安となります定点報告数が1.0を超え、第47週でピークを向かえ、例年より早い流行となりました。第48週以降は速やかに減少しましたが、2026年の年明け以降に再び増加し、第6週に2度目のピークを記録しました。インフルエンザウイルスの分離・検出報告は、流行前半がA/H3亜型、後半がB/ビクトリア系統のウイルスの報告が多かったです。
国立感染症研究所では、WHO推奨株選定会議、こちらは2月23~26日に行われましたが、そちらで議論された流行株の解析成績と、令和7年度ワクチン接種後のヒト血清と流行株との反応性、及びワクチン製造候補株の製造効率などを総合的に評価して、令和8年度(2026/2027シーズン)のインフルエンザワクチンの製造候補株として、以下を推奨することといたしました。
まず、A/H1N1亜型ですが、こちらの候補株はA/Switzerland/6849/2025、高増殖株はIVR-278です。選定理由は、A/H1N1pdm09亜型ウイルスは、赤血球凝集素(HA)遺伝子系統樹上、2025年9月以降、サブクレードD.3.1、D.3.1.1、C.1.9.3などが報告されていましたが、D.3.1及びD.3.1.1の検出が多く、時間が進むに連れて、D.3.1.1のウイルスが優勢になってきました。国内では、A/H1N1pdm09の報告数は少なかったのですが、D.3.1の検出が多かったです。入国時感染症ゲノムサーベイランスでは、D.3.1及びD.3.1.1が多く検出されました。
フェレット感染血清を用いた抗原性解析では、2026シーズンの南半球の推奨株は2025/2026シーズンの北半球の推奨株から変更になっているため、26シーズンの南半球の推奨株(細胞分離も鶏卵分離もともに、A/Missouri/11/2025サブクレードD.3.1)類似株に対するフェレット感染血清と流行株の反応性が調べられました。その結果、血清は流行株とよく反応しました。
また、A/Victoria/4897/2022類似株(サブクレードD)を含む2025/2026シーズンのワクチンを受けたヒトの血清と有効株の反応性も調べられました。細胞分離のA/Wisconsin/67/2025類似株との反応性と比較した場合、ワクチン後のヒト血清は流行株とよく反応しました。
以上より、D.3.1及びD.3.1.1の流行が大きいこと、また、2026シーズンの南半球用のワクチン推奨株がMissouri/11/2025類似株へ変更されていること、さらに、これらのフェレット感染血清は流行株との反応性が良いことから、WHOは2026/2027シーズンの北半球用の鶏卵培養ワクチン推奨株としてA/Missouri/11/2025類似株を推奨しました。
感染研では、国内のA/H1N1pdm09亜型ワクチン製造候補株として、D.3.1に属する高増殖株A/Switzerland/6849/2025(IVR-278)、及びA/Missouri/11/2025(IVR-279)を国内ワクチン製造所3社に分与いたしました。
各製造所において、増殖性(感染価の測定)、ショ糖クッション法によるウイルス蛋白質の収量、及びエーテル処理によるスプリット工程及び、ろ過工程まで行った生産性が評価されました。
増殖性については、IVR-278株及びIVR-279株ともに感染価は108EID50/0.2mL以上ありました。ウイルス蛋白質収量については、2025/2026シーズン国内ワクチン製造株であるA/Victoria/4897/2022株と比較したところ、それぞれ候補株の3社平均値はIVR-278株が104%、IVR-279株が103%でした。継代による抗原性の乖離は認められませんでした。
また、生産性評価については、A/Victoria/4897/2022株と比較したところ、3社平均値はIVR-278で130%、279株が101%でした。以上の結果から、いずれの株もワクチン製造に適していることが示されました。
以上より、ワクチン株検討会議では、令和8年度のA/H1N1亜型ウイルスのワクチン株として、良好な生産性を示したA/Switzerland/6849/2025(IVR-278)を推奨いたしました。
続きまして、A/H3N2亜型について、候補株はA/Michigan/105/2025(SAN-049A)です。A/H3N2亜型ウイルスは、HA遺伝子系統樹上、2025年9月以降にサブクレードKのウイルスが大変多く検出されました。それ以外のサブクレードJ.2.2、J.2.3、あるいはJ.2.4のウイルスも検出されました。遺伝子情報を登録した国でのサブクレードの割合については、多くの国でKのウイルスが優勢でした。一方で、J.2.3のウイルスは中南米で、J.2.4のウイルスはアフリカの一部及び南アジア・東南アジアの一部で検出の割合が高かったです。
フェレット感染血清を用いた抗原性解析では、2025/2026シーズンのワクチン推奨株であるA/District of Columbia/27/2023(細胞培養ワクチン)類似株及びA/Croatia/10136RV/2023(鶏卵培養ワクチン)類似株(ともにサブクレードJ.2)に対する血清は、流行株との反応性が低下していました。一方で、2026シーズン南半球用の推奨株であるA/Sydney/1359/2024(細胞培養ワクチン)(サブクレードJ.2.4)類似株に対する血清は流行株とよく反応していました。A/Singapore/GP20238/2024(鶏卵培養ワクチン)類似株に対する血清との反応性は、やや低下が見られましたが、A/Croatia/10136RV/2023(鶏卵培養ワクチン)類似株に対する血清との反応性と比較すると、良好な反応性を示しました。また、サブクレードKの細胞分離株及び鶏卵分離株に対する血清は、同クレードのウイルスと非常によく反応しました。
また、A/Croatia/10136RV/2023類似株を含む2025/2026シーズンのワクチンを接種したヒトの血清を用いた血清学的試験では、細胞分離のA/District of Columbia/27/2023類似株に対する反応性と比較した場合、サブクレードJ.2.3及びKのウイルスとの反応性は低下しました。一方で、J.2.4のウイルスとは、よく反応しました。
以上より、多くの地域でサブクレードKのウイルスの検出割合が高いこと、Kのウイルスに対するフェレット感染血清はKのウイルスと非常によく反応していること、2025/2026シーズンのワクチンを受けたヒトの血清はKのウイルスとの反応性がよくないことなどから、WHOは、2026/2027シーズンの北半球用の鶏卵培養ワクチン推奨株としてサブクレードKに属するA/Darwin/1454/2025類似株を推奨しました。
感染研では、国内のA/H3N2亜型ワクチン製造候補として、Kに属する高増殖株、A/Darwin/1454/2025(IVR-283)、A/Darwin/1499/2025(IVR-284)、A/Michigan/105/2025(IVR-285)、及びA/Michigan/105/2025(SAN-049A)を国内のワクチン製造所3社に分与いたしました。
増殖性については、いずれの候補株も感染価は107.9EID50/0.2mL以上でした。ウイルス蛋白質収量については、2025/2026シーズン国内ワクチン製造株であるA/Perth/762/2024(IVR-262)株と比較したところ、それぞれ候補株の3社平均値は、IVR-283株で100%、IVR-284で85%、IVR-285株で102%、SAN-049A株で99%でした。ウイルス蛋白質収量は良好であったIVR-283、IVR-285及びSAN-049Aについて継代による抗原性の変化を調べたところ、1社においてIVR-283及び285に抗原性の変化が認められました。
生産性評価については、A/Perth/762/2024(IVR-262)株と比較したところ、それぞれ候補株の3社平均値は、IVR-283で92%、IVR-285で118%、SAN-049Aで111%でした。
以上より、生産性評価において、IVR-283、IVR-285及びSAN-049Aはいずれも良好な成績を示しましたが、SAN-049Aのみ継代による抗原性の変化が認められなかったことから、ワクチン株検討会議では、令和8年度のA/H3N2亜型ウイルスのワクチン候補株として、A/Michigan/105/2025(SAN-049A)を推奨しました。
続いて、B型に移ります。B型のビクトリア系統です。候補株はB/Tokyo/EIS13-175/2025。理由は、B/ビクトリア系統のウイルスは、HA遺伝子系統樹上、2025年9月以降も、9月以前から引き続きサブクレードC.5.xのグループ(C.5.1、C.5.6、C.5.6.1あるいはC.5.7)が検出されました。また、C.3及びC.3.1のウイルスも検出されました。C.3ウイルスは以前から検出されていましたが、最近のウイルスは、HAの頭頂部分に糖鎖付加を伴う変異(197番目のアミノ酸)を持っているのが特徴です。また、C.3.1のウイルスも197番目に変異を持っています。
一方で、C.5.xのウイルスも同じ部位に変異を持ちますが、糖鎖が付加される変異ではありません。遺伝子情報を登録した国のサブクレードの割合については、アジアから欧州にかけてC.5.6あるいはC.5.6.1のウイルスの報告が多く、東南アジアの一部や西アフリカでC.5.7の報告が比較的多かったです。一方で、C.3.1のウイルスの報告は米国で多かったのに対し、C.3のウイルスは日本および韓国からの報告が多かったです。
フェレット感染血清を用いた抗原性解析では、試験機関によって得られた結果が違っておりましたが、C.5.xのウイルスが主な試験株であった場合には、2025/26シーズンの細胞培養および鶏卵培養ワクチン推奨株であるB/Austria/1359147/2021類似株に対する血清との反応性は良かったです。一方で、米国あるいは日本ではC.3.1あるいはC.3のウイルスの流行が大きく、B/Austria/1359147/2021類似株に対する血清とこれらのウイルスとの反応性は良くなかったという結果です。これは、C.3およびC.3.1のウイルスのHA分子の頭頂部への糖鎖付加により抗体の反応性が低下したためと考えられました。
細胞分離のC.3.1ウイルスに対する血清は、C.5.xウイルスだけでなく、C.3およびC.3.1ウイルスに対しても良く反応しました。一方で、鶏卵分離のC.3.1ウイルスに対する血清は、C.5.xのウイルスとの反応性は良かったのですが、C.3あるいはC.3.1のウイルスとの反応性は良くなかった結果です。これは、C.3.1ウイルスを鶏卵で分離・増殖させると、HA分子の頭頂部分の糖鎖が脱落する変異を持つウイルスが効率よく増えてしまい、そのウイルスに対する血清は、糖鎖を持つウイルス(すなわちC.3およびC.3.1ウイルス)との反応性が低下したと考えられました。
また、B/Austria/1359417/2021類似株を含む2025/26シーズンワクチンを接種したヒトの血清を用いた血清学的試験では、細胞分離のB/Austria/1359147/2021類似株との反応性と比較した場合、C.5.xのウイルスとはよく反応したが、C.3およびC.3.1のウイルスとの反応性は良くなかった。
以上より、多くの地域ではないが、C.3あるいはC.3.1のウイルスが増えてきていること、2025/26シーズンのワクチン推奨株B/Austria/1359417/2021類似株に対するフェレット感染血清は、これらのウイルスとの反応性が良くないこと、C.3.1のウイルスに対する血清、特に細胞分離ウイルスに対する血清はサブクレードに関わらず反応性が良いこと、および2025/26シーズンのワクチンを受けたヒトの血清はC.3およびC.3.1のウイルスとの反応性が良くないことから、WHOは、2026/27シーズンの北半球用の鶏卵培養ワクチン推奨株としてサブクレードC.3.1のB/Tokyo/EIS13-175/2025類似株を推奨しました。
感染研では国内のB/ビクトリア系統ワクチン製造候補株として、サブクレードC.3.1に属するB/Tokyo/EIS13-175/2025、B/Tokyo/EIS13-011/2025およびB/Perth/115/2025を国内のワクチン製造所3社に分与しました。
増殖性については、B/Tokyo/EIS13-175/2025の感染価は108EID50/0.2mL以上でした。B/Tokyo/EIS13-011/2025については108EID50に近い値を示しましたが、B/Perth/115/2025については106EID50程度と低かったです。
ウイルス蛋白質の収量については、2025/26シーズン国内ワクチン製造株であるB/Austria/1359417/2021株と比較したところ、それぞれ候補株の3社平均値は、B/Tokyo/EIS13-175/2025株で90%、B/Tokyo/EIS13-011/2025株で74%、B/Perth/115/2025株で48%でした。これらの成績から、継代による抗原性の変化と生産性の評価は、B/Tokyo/EIS13-175/2025についてのみ実施されました。継代による抗原性の変化は認められなかった。生産性評価については、B/Austria/1359417/2021と比較したところ、3社平均値は80%であり、ワクチン製造株として適正があると評価されました。
以上より、製造候補株のうち、B/Tokyo/EIS13-175/2025が増殖性、収量、生産性および抗原性に問題が認められないことから、ワクチン株検討会議では、令和8年度のB/ビクトリア系統ウイルスのワクチン株としてB/Tokyo/EIS13-175/2025を推奨しました。長くなりましたが、以上です。
○福島委員長 大変詳細に御説明いただきましてありがとうございます。本当によく分かりました。
それでは、続きまして日本ワクチン産業協会の木許参考人から、資料6について御説明をお願いいたします。
○木許参考人 日本ワクチン産業協会インフルエンザ専門委員会の木許です。日本ワクチン産業協会より、2026/27シーズンのインフルエンザHAワクチン製造候補株の検討成績を御報告します。
まず、2ページです。製造候補株の製造適性評価の方法を簡単に説明させていただきます。製造候補株の製造適性評価は、小スケールの実験系でワクチン製造と同じように発育鶏卵にウイルス株を接種して培養します。発育鶏卵からウイルス液を採取し、濃縮、しょ糖クッション遠心を行います。得られた精製ウイルス液について、ウイルスたん白質の収量を評価します。これを中間評価と呼びます。また、得られた精製ウイルス液について、スプリット工程(ろ過工程を含む)を行い、模擬ワクチン原液まで作成し、ウイルスたん白質の収量を評価します。これを最終評価と呼んでいます。
次に3ページです。製造候補株の製造適正評価は先ほど御説明した模擬ワクチン原液のたん白質収量に加えまして、発育鶏卵で継代培養を行ったウイルスの感染価、抗原性、電子顕微鏡による形状確認の結果を踏まえ、総合的に判断しています。今シーズンのWHOの推奨株は、3株全てにおいて昨シーズンより変更がありましたので、3株の製造候補株の評価を実施しています。
4ページです。A/H1N1の製造候補株の中間評価の結果についてです。製造候補株は、感染研から2株分与されましたので、この株について検討を行っています。その結果、いずれの株も昨シーズン製造株と同等レベルのたん白質収量を示しています。
5ページは、A/Switzerland/6849/2025(IVR-278)のウイルス粒子形状を電子顕微鏡で観察した画像です。環状のウイルス粒子も一部観察されていますが、その量は過去の製造株程度であり、ウイルス粒子形状による製造への影響はないものと考えています。
6ページは、最終評価の結果です。昨年株と比較して、両株ともに収率として同等以上の結果を得ています。これらの評価の結果から、日本ワクチン産業協会としては、A/Switzerland/6849/2025(IVR-278)株の製造適性は十分にあり、製造株として使用可能と位置付けています。
続いて、7ページです。A/H3N2の製造候補株の中間評価の結果について御説明します。製造候補株として、4株が分与されましたので、それぞれについて検討を行っています。その結果、A/Darwin/1454/2025(IVR-283)、A/Michigan/105/2025(IVR-285)、A/Michigan/105/2025(SAN-049A)は、いずれも昨シーズン製造株と同等レベルのたん白質収量を示しました。一方で、A/Darwin/1499/2025(IVR-284)は、ほかの株と比較して低い収量となっています。
8ページは、A/Michigan/105/2025(SAN-049A)のウイルス粒子形状を電子顕微鏡で観察した画像です。結果として、球状粒子が大部分を占めており、製造への影響はないものと考えています。
9ページは、最終評価の結果です。最終評価では、昨年株と比較して、A/Darwin/1454/2025(IVR-283)を除き、同等以上の収率の結果を得ています。また、抗原性解析において、A/Darwin/1454/2025(IVR-283)及びA/Michigan/105/2025(IVR-285)について抗原変異が認められています。これらの評価の結果から総合的に判断し、日本ワクチン産業協会としては、A/Michigan/105/2025(SAN-049A)株の製造適性は十分にあり、製造株として使用可能と結論付けています。
10ページです。B/VICTORIA系統の中間評価です。製造候補株として3株を分与いただきましたので、それぞれについて検討を行っています。その結果、いずれの株も昨年株を下回るたん白質収量となりましたが、B/Tokyo/EIS13-175が最も高い収率を示していました。
11ページは、B/Tokyo/EIS13-175のウイルス粒子形状を電子顕微鏡で観察した画像になります。結果として、球状粒子が主体であり、製造への影響はないものと考えています。
12ページは、最終評価の結果です。最終評価にて、B/Tokyo/EIS13-175は、昨年株比80%となりましたが、本実績を踏まえて、製造上許容可能な水準だと考えています。よって日本ワクチン産業協会としては、B/Tokyo/EIS13-175株は製造株として使用可能と結論付けています。以上で報告を終わります。
○福島委員長 御説明ありがとうございました。今回、3株とも推奨株が変更になったということで検討も大変だったと思いますが、大変詳細に検討していただいてありがとうございます。
それでは、引き続き事務局より説明をお願いいたします。
○村上副反応情報分析専門官 事務局です。それでは資料4の5ページにお戻りください。上のほうにワクチンが出荷されるまでの基本的な流れを示していますが、参考人からの御説明と重複するところがありますので、簡単に御説明します。
まず、WHOで亜型ごとに複数の推奨株の推奨が出されています。こちらは御説明があったとおりですが、例年なみの2月下旬に公表されています。内容としては5ページの下半分にお示しのとおりです。先ほどの御説明にもあったとおり、昨シーズンから3株全てについて内容の変更があったところです。
続きまして、6ページです。こちらはインフルエンザHAワクチンの製造についての特徴を概念的に示したものになります。インフルエンザHAワクチンは、複数の原液を用いるものですので、それぞれの原液を、全体の製造能力がある程度限られている中で、それをどれだけバランスよく製造するかということによって、最終的にワクチンの供給できる量が増減するという形になっています。製造効率を考慮して、各原液の製造量を調整することが必要になるということを示している図となっています。
続きまして、7ページです。こちらはワクチンの製造効率について、参考人の説明の概要をまとめたものになっています。こちらは各メーカーで御検討いただいた結果のまとめとなっていますが、計算する際に考慮した数字の関係上、資料6にお示しいただいている製造効率とは少しずれている点があります。製造量については、各製造株の製造効率と、あとはそれに用いる鶏卵の数が影響するものであり、それを踏まえて製造効率を御検討いただきました。
B/ビクトリアについては、昨シーズンと比較して0.79倍と低くなっていますが、全体としては1.06倍で、昨年と同程度の製造効率となっています。
8ページです。こちらは推奨(案)としてまとめたスライドとなっています。これまでの説明と同様ですが、2026/27シーズン向けインフルエンザHAワクチンの製造株の推奨として、A型株はA/スイス/6849/2025(IVR-278)及び A/ミシガン/105/2025(SAN-049A)、B型株についてはB/東京/EIS13-175/2025としてはどうかと考えています。
以降は参考資料となっていますので、適宜、御参照いただければと思います。事務局からの説明は以上です。
○福島委員長 ありがとうございました。それでは質疑応答の時間とさせていただきます。御質問のある方は順次、御発言をお願いいたします。御質問のあと、まとめて参考人、または事務局に御回答いただく形とさせていただきます。それでは、高梨委員、よろしくお願いいたします。
○高梨委員 ありがとうございます。資料7ページの増殖効率についてなのですが、B型のほうが増殖効率が平均で0.79ということで、全体としては1.06ということではあったのですが、御説明いただいた中で、すみません、不勉強なのですが、B型のところだけ高増殖株の候補を比較したわけではなかったのかなと思いながら伺っていました。B型というのは、そもそも高増殖株というリアソータントのものが選べないという状況からスタートして、結果的にこうなったのかということが1点目。
それと、こういった状況でも、B型は許容範囲であるというお言葉もありましたが、どれくらいを許容範囲と考えるのか、その基準のようなものがありましたら教えていただければと思います。
○福島委員長 ありがとうございます。こちらは木許参考人、あるいは長谷川参考人、どちらから御回答いただけますか。
○長谷川参考人 はい、リアソータントに関しては、今回はリアソータントがなかったのでワイルドタイプのものでも増殖性が比較的良好であったということから、今回はこのワイルドタイプの野生株を使っています。
許容範囲については、メーカーさんのほうから御回答いただければ。
○木許参考人 B型が8割でも生産の許容範囲であるのはなぜかといったことなのですが、我々も、過去の実績等と比較して、昨年比80%であれば、製造を続けても安定供給には支障がないという判断をして御説明させていただいたところです。ほかの製造株、ほかの亜型の生産にもよりますが、A型の生産状況にもよりますが、今回は、このB型80%は全社が許容できる範囲だと判断しています。
○高梨委員 御経験に基づいてということですね。ありがとうございます。
○福島委員長 ありがとうございました。次に笹本委員、よろしくお願いいたします。
○笹本委員 日本医師会の笹本です。御説明ありがとうございました。内容はよく分かりました。今の質問とかぶるところがありますが、医療機関としてはワクチンの供給がひっ迫するということを大変心配します。今の情報だと、B型のビクトリア系は供給不足になる可能性があると判断されるところです。そういう場合、例えば工場での生産段階で生産規模を拡大するなどの対応は、企業にとっては可能なものなのでしょうか。その辺のところを教えていただければと思います
○福島委員長 ありがとうございます。これは木許参考人、御回答されますか。
○木許参考人 御質問ありがとうございます。私どもも生産を開始してすぐにスケールアップというのは、薬機法、承認書、あとはGMPの観点からも、すぐにというのは難しいのですが、その代わりに生産のスケジュールで3株のバランスを取るということと、製造期間を少し延長することで、国民の皆さんがワクチン不足等にならないように各社が今、生産を調整しているという状況にあるというところです。スケールアップはなかなかすぐにはできませんが、国内のワクチン供給に支障をきたさないように、メーカーとしては尽力しております。
○笹本委員 ありがとうございました。場合によっては、ワクチンの接種期間の延長ということも、私たちのほうから求めていかなくてはいけないので、できるだけ情報をよろしくお願いいたします。
○木許参考人 承知しました。
○福島委員長 ありがとうございます。
○眞中予防接種課課長補佐 事務局です。補足させていただきますと、笹本委員に御指摘いただいたとおり、ワクチン供給については、製造株を選定していただいた後、従来、8月下旬から9月上旬ぐらいに各企業からヒアリングした供給予定量を部会で御報告させていただいています。今回、この製造株というのは、先ほど検討していただいている製造効率を踏まえて、例えば10万個ある卵をそれぞれ均等に分けるのではなくて、この製造効率を踏まえて卵の数を変更することで、最大収量となるように各企業で工夫されて製造していただくものと理解しています。以上です。
○福島委員長 ありがとうございます。笹本委員、よろしいでしょうか。
○笹本委員 ありがとうございました。
○福島委員長 先ほど宮入委員が手を挙げていらっしゃったような気がするのですが。
○宮入委員 基本的には同じ質問でしたので、少し近年、10月から流行が始まると問題がありましたので、そこに間に合うかどうかというのが気になっていたところです。
○福島委員長 ありがとうございます。そのほか御質問はありませんか。お時間も迫っているのですが、よろしければ私から1点だけ。長谷川参考人、木許参考人、大変ありがとうございました。特にH3について、最近は卵馴化に伴う抗原変異であったり、そもそも卵で増えないという問題がある中で、両方クリアできる株があって本当によかったなと思っています。その中で今回、候補でありながら選定されなかった2つの株、IVR283とIVR285なのですが、こちらは抗原変異があったというところで選択されなかったと思いますが、結構大きな抗原変異だったのでしょうか。1社のみということではありましたが、可能な範囲でお教えいただければ。これは木許参考人ですかね。もし情報としてここで述べるべきものではないのであれば、大丈夫です。
○木許参考人 そうですね、日本ワクチン産業協会としては、継代培養したウイルスの抗原の変化を遺伝子解析等までの深い部分までは現在確認をしていないというところと、私どもの抗原性変異の確認としては、抗血清を用いた赤血球凝集抑制反応を、感染研と同じくHIで行っています。そのため詳細な変異箇所の特定まで至っていないところが現状です。
○福島委員長 ありがとうございました。そのほか御質問がないようであれば、議論の取りまとめに移ってよろしいでしょうか。
なお、宮入委員におかれましては、取りまとめに御参加いただくことはできませんので、御留意ください。では、本日の議論の取りまとめとして、まずA型のH1N1についてはスイス株(IVR-278)を選定すること、A型のH3N2についてはミシガン株(SAN-049A)を選定すること、B型のビクトリア系統については東京株を選定すること、以上で御異論はありませんか。
(異議なし)
○福島委員長 皆さん、うなずかれていますので異議なしということで、まとめさせていただきます。
以上で、本日の予定していました議事は全て終了しました。その他、事務局から何かありませんか。
○眞中予防接種課課長補佐 次回の開催については追って御連絡させていただきます。事務局からは以上です。
○福島委員長 ありがとうございます。それでは、本日の季節性インフルエンザワクチン及び新型コロナワクチンの製造株について検討する小委員会を終了します。本日はありがとうございました。
本日は、対面とWeb会議のハイブリッドで開催いたします。会議の進め方については、第一部で御連絡したとおりです。Web会議から御参加されている委員及び参考人の皆様は、カメラをオンに切替えをお願いいたします。
続いて、委員の出欠状況について御報告いたします。本日は小嶋委員から、御欠席の御連絡を受けております。現在、8名の委員にWebにて御出席いただいており、委員9名のうち8名に御参加いただいておりますので、定足数を満たしており、厚生科学審議会の規定により、本日の会議が成立したことを御報告いたします。なお、大曲委員については用務の都合により、17時30分頃に御退席の予定となっておりますので御承知置きいただければと思います。
申し訳ございませんが、冒頭のカメラ撮りについては、ここまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。なお、これ以降は、写真撮影、ビデオ撮影、録音をすることはできませんので御留意ください。
議事に先立ち、本小委員会の資料について説明させていただきます。本小委員会の資料は通信負荷軽減の観点から、基本的に画面には投影いたしませんので、傍聴されている方々を含め、Webサイトに掲載している資料をお手元に御用意ください。それでは、ここからの進行は福島委員長にお願いいたします。
○福島委員長 皆様、第二部もよろしくお願いいたします。それでは事務局から、審議参加に関する遵守事項等について、報告をお願いいたします。
○眞中予防接種課課長補佐 審議参加の取扱いについて御報告いたします。本日、御出席いただいた委員及び参考人から、予防接種・ワクチン分科会審議参加規程に基づき、ワクチンの製造販売業者からの寄附金等の受取り状況、申請資料への関与について御報告を頂きました。各委員及び参考人からの申請内容については、利益相反関係書類を御確認いただければと思います。本委員会での調査審議を行う品目は、新型コロナワクチン及びインフルエンザHAワクチンです。本日の出席委員及び参考人の寄附金等の受取り状況から、参加規程第9条により、宮入委員に寄附金受取りの実績があり、かつ、その額が50万円以上500万円以下の年度があることから、議決不参加の基準に該当するので、審議の際、「議決には参加しない」に該当いたします。以上です。
○福島委員長 ただいま事務局から、本日の審議参加についての御報告を頂きました。参加規程第9条により、宮入委員が審議の際、「議決に参加しない」に該当いたします。しかしながら参加規程によりますと、審議会場から退室するとの取扱いについては、「当該委員等の発言が特に必要であると当委員会が認めた場合には出席し、意見を述べることができる」となっております。今回の会議では委員長として、宮入委員には「専門家としての意見を述べていただきたいこと、また意見を述べることがありましたら公平な立場でお願いしたい」と思います。いかがでしょうか。
その他、本委員会での意見の取りまとめは議決には当たりませんが、先ほど御報告のあった宮入委員におかれましては、参加規程第9条に準ずる形で、意見とりまとめの際には参加いただかないこととしたいと思いますが、いかがでしょうか。特に御異論はありませんか。
(異議なし)
○福島委員長 ありがとうございます。それでは、委員会としての了承が得られたということで、早速、議事に入らせていただきます。第二部の1つ目の議題は「2026/2027シーズン向け新型コロナワクチンの抗原組成について」です。はじめに、事務局より資料1の御説明をお願いいたします。なお、質疑応答は全ての資料について御説明いただいた後に、お時間を設けたいと思います。よろしくお願いします。
○村上副反応情報分析専門官 事務局です。まず、資料1の2ページを御覧ください。2024年2月5日に開催したワクチン分科会において、2024年度以降の定期接種で用いる新型コロナワクチンの抗原組成については、最新のWHOの推奨する抗原組成を用いることを基本とすること、選択肢確保の観点から、様々なモダリティのワクチンについても開発状況に応じて用いること、そして具体的な検討については、研究開発及び生産流通部会において行うことをお認めいただきました。
今後の進め方ですけれども、新型コロナウイルスの変異や流行する系統の状況、ワクチンに関する科学的知見、諸外国の動向などについて情報収集を行い、本小委員会において、新型コロナワクチンの抗原組成に関する検討を行うこととされております。5月のWHOにおける推奨する抗原組成に係る議論も踏まえ、赤枠の本日の議論の所ですが、本小委員会において専門的な御議論を頂きたいと考えております。
その後の流れとしては、使用する抗原組成が決定した後に、製造販売企業による薬事申請などが行われ、秋冬に向けて市場の供給、接種の実施といった流れとなっております。
ここで、WHOの推奨の内容や我が国の新型コロナウイルスの各系統の検出状況、免疫学的な知見などについて、国立感染症研究所の参考人の先生から御説明を頂いてもよろしいでしょうか。
○福島委員長 承知しました。それでは、国立健康危機管理研究機構国立感染症研究所の長谷川参考人から、資料2-1、資料2-2の御説明をお願いいたします。
○長谷川参考人 国立感染症研究所の長谷川と申します。よろしくお願いします。まず資料2-1です。こちらは「WHOのTechnical Advisory Group on COVID-19 Vaccine Composition(TAG-CO-VAC)でのCOVID-19ワクチン抗原構成の推奨について」の資料です。WHOのCOVID-19ワクチン組成に関する技術諮問グループ(TAG-CO-VAC)は、2026年5月7日と8日に半年ごとの定例の会合を開催いたしました。SARS-CoV-2の変異株の流行状況、現行ワクチンの有効性、そして今後のワクチンの抗原組成について審議を行いました。
まず、SARS-CoV-2の現在の流行状況です。2026年においても、SARS-CoV-2は世界的に流行を続けており、重症例、COVID-19後遺症、死亡が報告されています。ただし、感染・ワクチン接種による集団免疫の向上や臨床管理の改善により、医療システムへの負荷は2020~2021年の当時と比べて大幅に低下しています。全てのWHO地域で、過去の同時期と比較してSARS-CoV-2の検査陽性率は低下傾向にあります。
変異株の動向としては、現在の世界的な主流は「監視対象変異株(VUM)」に分類されるXFGですが、その割合は減少しつつあります。一方、西太平洋地域ではNB.1.8.1が優勢となっています。また、BA.3.2の割合が世界的に増加しているものの、JN.1系統の変異株を置き換えるほどの拡大には至っておらず、疾病負担の大幅な増加とも現時点では結び付いていません。小児においてはBA.3.2が占める割合が成人より高い傾向も一部で見られていますが、サンプル数が少なく、解釈には慎重さが求められます。
抗原性の分析では、JN.1系統内の変異株であるLP.8.1、NB.1.8.1、XFGなどは、互いに抗原的に近縁であるのに対して、BA.3.2はそれらとは明確に抗原性が異なることが確認されました。LP.8.1ワクチンを接種した人の血清は、JN.1系統の各変異株に対して強い中和活性を示し、BA.3.2に対しても交差免疫が認められたものの、その抗体価はLP.8.1に対するものより低かったという結果です。一方、BA.3.2を抗原とするワクチン候補は、LP.8.1ワクチンと比べて全体的な免疫原性が低く、JN.1系統への交差反応性も限定的でした。ワクチン有効性の観点では、1価のJN.1、KP.2及びLP.8.1ワクチンはいずれも、既存免疫を上回る症候性・重症COVID-19に対する追加的な保護効果が示されました。
TAG-CO-VACによるCOVID-19ワクチン抗原構成による推奨についてですが、1価のLP.8.1をCOVID-19ワクチンの抗原として推奨しています。現在流行しているSARS-CoV-2変異株に対して、広範かつ頑健な中和抗体応答又は有効性を示す他の抗原、例えばXFG、NB.1.8.1や他のアプローチも考慮されるとされています。WHOのSAGEの勧告に従い、加盟国はCOVID-19重症化リスクが最も高いグループへのルーティンなCOVID-19ワクチン接種を検討すべきであり、更新された抗原組成を持つワクチンの入手を待ってワクチン接種を遅らせるべきではないとしています。
検討されたデータの限界です。まず、サーベイランスデータには地理的な偏りと遅延があるということ、また BA.3.2の公衆衛生上の影響は現時点では不明であること、 JN.1系統変異株の感染や1価LP.8.1ワクチン接種による免疫応答データは中和抗体に偏っており、細胞性免疫を含むその他のデータや解釈が不足しています。 現時点で、1価LP.8.1mRNAワクチンの有効性のデータは限られており、BA.3.2が流行優勢期のデータは存在しないということが限界となっています。
総括としては、LP.8.1はワクチン抗原として、JN.1系統変異株に対して広範な交差反応性の免疫応答を誘導することが確認されており、抗原的に異なるBA.3.2系統に対しても一定の応答を示す点から、現時点でのCOVID-19ワクチンの推奨抗原として妥当性が高いとされております。資料2-1に関しては以上です。
続いて、資料2-2についてです。こちらは国内の全国のゲノムサーベイランスによる系統別の検出状況です。1枚目に示しているのが新型コロナウイルスゲノムのPANGO Lineageの変遷で、1か月単位になっております。右の表に示しているのが4月の検出です。検出のうち、全体の数が58件ですけれども、23株がNB.1.8.1系統の変異株で、28株がBA.3.2系統、7株がその他となっております。左の検出数を見ていただくと、9月に1つの大きな山があり、それから減少していきます。年を明けてからも更に減少してきている中での割合を調べていくと、BA.3.2.2系統が増えてきているという状況です。
2枚目の資料を見ていただくと、これが変遷です。NB.1.8.1系統は2~4月と、148、87、23と減ってきているのに対して、BA.3.2は7、19、28と微増している状況です。全体としてNB.1.8.1の数が減ってきていますので、BA3.2の割合が4%、15%、48%と増えている状況にあります。数としては7、19、28といった形です。以上です。
○福島委員長 ありがとうございました。続いて、国立健康危機管理研究機構国立感染症研究所の高橋参考人から、資料3の御説明をお願いいたします。
○高橋参考人 国立健康危機管理研究機構国立感染症研究所の高橋と申します。まず、資料3の1ページです。こちらは最近流行している変異株の変異部位と系統樹です。右側にお示ししている青い変異株が懸念される変異株で、オレンジ色が監視下の変異株です。御覧いただいて分かるように、JN.1系統あるいは、その系統株、若しくは系統が異なるBA.3.2というのが注目すべき変異株となっております。
2ページを御覧ください。これらの変異株の抗原性評価を行ったデータを左側にお示ししております。こちらのデータは、WHO Statementの補足資料図5として提示されたものです。これはマウスに、様々な変異株由来のスパイク配列を使ったmRNAワクチンを2回接種し、得られた抗血清を使って、左側に記載されている様々な変異株に対する中和抗体価を測定しております。それで得られた中和抗体のデータを基に抗原地図というものが作成されました。抗原地図は抗原性評価に幅広く使われているものですけれども、左の図に記載されているように変異株の名前の間の距離が、各変異株間の抗原性変化の大小として表わされています。左上に示されているXFG、NB.1.8.1、LP.8.1といったJN.1系統の変異株に関しては、比較的抗原性が近接しているのに対し、右上に示されているBA.3.2は、他のオミクロン変異株から相対的に抗原性が離れているということが、抗原地図からもお分かりいただけるかと思います。
続いて3ページです。現在、新型 コロナスパイクに対する免疫履歴が、国ごとに多様化している状況がありますけれども、海外のデータに関しては、WHO Statementに幾つか参考となるデータが記載されております。ここでは、特に国内のワクチン接種を対象とした免疫原性のデータを御紹介したいと思います。3ページには、東京大学医科学研究所の佐藤先生が論文として報告したデータを御紹介しています。こちらは2025/2026シーズンのLP.8.1単価ワクチン接種者の抗血清を用いて、PreとPostで以下に記載されている様々な変異株に対する中和試験が行われています。左がmRNAワクチンで、右が組換え蛋白ワクチンです。どちらも、ここに記載のJN.1系統の株あるいは、右に記載されているBA.3.2株に対して、Preと比べてPostでは中和抗体価の上昇が確認されています。
もう1つ特筆すべき点としては、Preの段階で、BA.3.2に対する中和抗体価が他のXFG等に対する中和抗体価よりも高めであるということです。これも起因して、PostでBA.3.2に対する抗体の上がり幅が若干、他よりも低い傾向があります。ただ、Postの数値そのものを見ると、このデータでは他のJN.1系統、特にXFG等と比較してもそれほど大きな差があるような数値にはなっていないという状況です。
次に、4ページですが、昨シーズンのXEC単価ワクチン接種者の抗血清を用いて、同様の試験が行われていますので、その結果も紹介させていただきます。先ほどの結果と同様に、XECの単価ワクチンでも様々なJN.1系統の株あるいはBA.3.2に対して、Preと比べてPostでは中和抗体価の上昇が認められているという内容となっております。
最後に、5ページです。こちらは長谷川参考人が行った国内のデータであり、WHO Statementの補足資料の図10に記載されているものです。Aが、N抗体陰性で最近の感染履歴がないと推定される集団と、Bが、N抗体陽性の集団です。先ほどの結果と同様に、JN.1のワクチン接種後に、様々なJN.1系統株に対する抗体価、加えてBA.3.2.2株に対する抗体価の上昇が確認されているといった結果になりました。私からは以上です。
○福島委員長 ありがとうございました。引き続き事務局より説明をお願いいたします。
○村上副反応情報分析専門官 事務局です。資料1の3ページにお戻りください。こちらは、本日の議論のまとめです。まず、WHOの推奨として、先ほど感染研の先生方から1価LP.8.1もワクチン抗原として適切な選択肢としてみなされる。そして、現在流行している変異株に対して、広汎かつ頑健な中和抗体応答又は有効性が示された他のアプローチも同様に検討され得る旨を御説明いただいています。また、国立健康危機管理研究機構からの報告として、NB.1.8.1等のJN.1系統やBA.3.2系統が現在、我が国において流行している新型コロナウイルスの変異株である旨を御報告いただいたところです。
第1部の製薬企業からの報告としては、各社のmRNAワクチン又は組換えタンパクワクチンについて、新たな抗原組成のワクチンの開発状況等が報告されています。非臨床データとしては、JN.1系統のワクチン(LP.8.1、XFG、NB.1.8.1ワクチン)について、初回免疫、追加免疫においても、各ワクチンはJN.1系統に対して抗体を誘導したことが説明されています。また、BA.3.2.2系統のワクチンについても、初回・追加免疫のいずれにおいてもBA.3.2.2系統に対して抗体を誘導したと説明されています。さらに、臨床データとしては、LP.8.1等のJN.1系統を抗原とするワクチンの接種によって、JN.1系統及びその下位系統に対して抗体を誘導し、BA.3.2に対して免疫応答を誘導した旨が御報告されています。
これらを踏まえて、2026/27シーズンの定期接種で使用する新型コロナワクチンの抗原組成についての事務局案としては、令和8年度の定期接種において使用するワクチンの抗原組成について、「1価のLP.8.1をCOVID-19ワクチンの抗原組成とする」こととしてはどうか。また、そのほかの抗原、例えばXFG及びNB.1.8.1についても、「令和8年5月現在流行している変異株に対して、広汎かつ頑健な中和抗体応答又は有効性が示された抗原」に該当するとして、我が国で使用するワクチンの抗原組成に含めてはどうかと考えています。
一方で、現時点では、JN.1系統、LP.8.1、XFG、NB.1.8.1のワクチンのほかのSARS-CoV-2変異株に対する効果の検討状況は製剤によって異なっており、いずれの抗原組成のワクチンについても臨床データは限定的であることから、引き続き情報収集を求めることとしてはどうかと考えています。抗原組成と今後の流行株への対応について御議論のほど、よろしくお願いいたします。事務局からは以上です。
○福島委員長 ありがとうございました。それでは、資料等の説明内容について、質疑応答の時間とさせていただきます。2026/27シーズン向けの新型コロナワクチンの抗原組成として選定することが適当と考える抗原組成について、まずは委員の皆様から御意見、御質問を頂き、まとめて参考人、又は事務局に御回答いただく形とさせていただきます。御質問のある方は順次、御発言をお願いいたします。挙手ボタンを押してください。質疑応答の後に、審議とりまとめに移らせていただきます。いかがでしょうか。では、宮入委員、お願いいたします。
○宮入委員 御説明をありがとうございます。大体理解したのですが、BA.3.2というのが一つのリスクだということですけれども、数は増えていないと理解いたしました。ほかのJN.1系統以外で増えている系統のものがあるかというのが1つ目の質問です。
2つ目の質問は、抗原性が離れているにもかかわらず、ワクチンを接種することで中和抗体が上がるのはどういうことなのかということについて教えていただければと思います。
○福島委員長 ありがとうございます。こちらは、参考人の先生方に御回答いただく形でよろしいですか。
○長谷川参考人 前半は私で、後半は高橋先生が適当かと思います。
○福島委員長 そうですね。よろしくお願いいたします。
○長谷川参考人 BA.3.2というのが、世界的にずっとだらだらという表現が正しいかは分かりませんが、続いているという状況があって、一方、JN.1系統のものはいろいろ変わってきましたけれども、全体的に減ってきていて、相対的にパーセントとしてはBA.3.2が上がってきているという状況です。それ以外のもので増えてきているというものは特に議論されておりません。
○宮入委員 ありがとうございます。
○福島委員長 ありがとうございます。それでは、高橋参考人、よろしくお願いいたします。
○高橋参考人 後半部分の質問に対して回答させていただきます。ご指摘のようにBA.3.2の抗原性はJN.1系統と異なっています。人の場合、過去に様々なワクチンあるいは感染歴があって、起源株やBA.2、BA.5と様々な株にさらされていると、免疫記憶あるいは免疫刷り込みという表現をすることもありますが、それが獲得されて、それによって交差性の高い中和抗体が誘導されていることで今回、BA.3.2に対してもワクチン接種後に抗体価が上がるというメカニズムが働いていると想定されています。
○宮入委員 ありがとうございます。よく分かりました。
○福島委員長 ありがとうございます。そのほか御質問、御意見等はございませんか。ございましたら挙手ボタンを押していただければと思います。石井委員、お願いいたします。石井委員、よろしいですか。
○石井委員 BA.3.2について、公衆衛生上の影響は現時点では不明であるということなのですが、特に重症化しやすい等の報告はあるのでしょうか。
○福島委員長 こちらは、長谷川参考人、よろしいですか。
○長谷川参考人 BA.3.2で重症化するとかということは、特にございません。一つ、海外におけるBA.3.2の患者さんは、小児で割合が高いということが言われております。コロナのパンデミック以降に生まれてきたお子さんたちです。そういったお子さんたち、4歳、5歳以下のお子さんたちは今までばく露されていないナイーブの状態で、そういうお子さんたちで割合が高いということは指摘されておりますが、そこで重症化しているということではございません。そういったことも考えると、やはり過去の感染歴が交差免疫に寄与しているのかなと考えられます。以上です。
○石井委員 ありがとうございます。今、選択しようとしている抗原がBA.3.2から抗原性が離れているものではあるものの、これらを国内でワクチン抗原としておくことで、特にBA.3.2が仮に流行したとしても大きな問題はないであろうという理解でよろしいでしょうか。
○福島委員長 ありがとうございます。こちらも長谷川参考人、そして高橋参考人、補足されますか。
○長谷川参考人 いや、そういった免疫記憶などによって反応する抗体が出てくるということが分かっているということで、問題があるかないかということは、現時点では何とも、言えません。
○石井委員 ありがとうございます。
○高橋参考人 私も同じ意見で、補足するところはございません。
○石井委員 ありがとうございました。以上です。
○福島委員長 ありがとうございます。
○眞中予防接種課課長補佐 福島先生、事務局です。
○福島委員長 はい。
○眞中予防接種課課長補佐 先ほどの石井委員からの御質問なのですが、現在の流行株と冬の流行株が一致するかどうかというのは、毎年判断が難しいところです。そのため、抗原組成の推奨の検討に当たっては、先ほど先生方にデータを確認いただいているとおり、広汎かつ頑健な抗原であることというのが極めて重要な要素だと考えており、WHOの推奨とともに、本邦でも当該観点を踏まえて、事務局案として提案させていただいたところです。今後の流行状況等については、抗原組成を踏まえて定期接種ワクチンの議論をする際に、改めて御確認等を頂くものと考えております。事務局としては以上です。
○福島委員長 ありがとうございます。石井委員、よろしいでしょうか。
○石井委員 ありがとうございました。
○福島委員長 ありがとうございます。そのほか御質問、御意見等はございますか。ございましたら挙手ボタンを押していただければと思います。よろしいでしょうか。私も最新のサーベイランスの情報に基づいて、最善の候補の株を列挙いただいているのかなと思います。
では、御意見、御質問がこれ以上ないようでしたら、議論の取りまとめに移りたいと思います。なお、宮入委員におかれましては、取りまとめに参加いただくことはできませんので御留意ください。
それでは、2026/27シーズン向けの新型コロナワクチンの抗原組成には、WHOの推奨と同様に、1価のLP.8.1をCOVID-19ワクチン抗原として推奨することとする。その上で、その他の抗原、例えばXFG及びNB.1.8.1についても、「令和8年5月現在流行している変異株に対して、広汎かつ頑健な中和抗体応答又は有効性が示された抗原」に該当するとして、我が国で使用する抗原組成に含める。また、今後、流行が想定されるSARS-CoV-2変異株に対するワクチンの有効性や免疫原性については、引き続き情報収集を求めることとするという結論で御異論はございませんか。
(異議なし)
○福島委員長 皆さん、うなずいていただいているということで、そのような結論にさせていただきます。ありがとうございました。
それでは、次の議題に入らせていただきます。「2026/27シーズン向けインフルエンザHAワクチンの製造株について」です。まず、事務局より御説明をお願いいたします。なお、質疑応答については、全ての資料について御説明いただいた後にお時間を設けたいと思います。よろしくお願いいたします。
○村上副反応情報分析専門官 事務局です。本議題より、日本ワクチン産業協会インフルエンザ専門委員の木許参考人にも御出席いただいています。資料4を御用意ください。2026/27シーズン向けインフルエンザHAワクチンの製造株について御説明いたします。2ページを御覧ください。こちらは、季節性インフルエンザHAワクチンの製造株の選定に当たっての基本的な考え方をイメージした図です。製造株の選定に当たっては、原則としてWHOが推奨する株の中から、期待される有効性、ワクチンの供給可能量を考慮した上で検討を行うこととされています。
ここで、国立感染症研究所における検討、及び製造メーカーにおける製造効率の検討について、各参考人から御説明いただいてもよろしいでしょうか。
○福島委員長 承知いたしました。それでは、国立健康危機管理研究機構国立感染症研究所の長谷川参考人から、資料5について御説明をお願いいたします。
○長谷川参考人 それでは、資料5の説明をさせていただきます。こちらは2026/2027年シーズン向けのインフルエンザHAワクチン製造候補株の検討について、令和8年度インフルエンザワクチン用製造株とその推奨理由となります。2025/26シーズンの世界的なインフルエンザの流行では、A/H1pdm09、A/H3及びB型(ビクトリア系統のみ)がそれぞれ検出され、その割合は国・地域によって異なっていましたが、全体としてA/H3亜型が主流となった国が多かったです。南半球においては、例年この時期は、インフルエンザの検出数は減少傾向にありますが、A/H3亜型の抗原変異株(サブクレードK)の出現により、一時的な増加が認められました。世界的には、A/H3亜型が減少した後、B/ビクトリア系統の報告数が増加しました。
日本における流行は、2025年第39週に流行入りの目安となります定点報告数が1.0を超え、第47週でピークを向かえ、例年より早い流行となりました。第48週以降は速やかに減少しましたが、2026年の年明け以降に再び増加し、第6週に2度目のピークを記録しました。インフルエンザウイルスの分離・検出報告は、流行前半がA/H3亜型、後半がB/ビクトリア系統のウイルスの報告が多かったです。
国立感染症研究所では、WHO推奨株選定会議、こちらは2月23~26日に行われましたが、そちらで議論された流行株の解析成績と、令和7年度ワクチン接種後のヒト血清と流行株との反応性、及びワクチン製造候補株の製造効率などを総合的に評価して、令和8年度(2026/2027シーズン)のインフルエンザワクチンの製造候補株として、以下を推奨することといたしました。
まず、A/H1N1亜型ですが、こちらの候補株はA/Switzerland/6849/2025、高増殖株はIVR-278です。選定理由は、A/H1N1pdm09亜型ウイルスは、赤血球凝集素(HA)遺伝子系統樹上、2025年9月以降、サブクレードD.3.1、D.3.1.1、C.1.9.3などが報告されていましたが、D.3.1及びD.3.1.1の検出が多く、時間が進むに連れて、D.3.1.1のウイルスが優勢になってきました。国内では、A/H1N1pdm09の報告数は少なかったのですが、D.3.1の検出が多かったです。入国時感染症ゲノムサーベイランスでは、D.3.1及びD.3.1.1が多く検出されました。
フェレット感染血清を用いた抗原性解析では、2026シーズンの南半球の推奨株は2025/2026シーズンの北半球の推奨株から変更になっているため、26シーズンの南半球の推奨株(細胞分離も鶏卵分離もともに、A/Missouri/11/2025サブクレードD.3.1)類似株に対するフェレット感染血清と流行株の反応性が調べられました。その結果、血清は流行株とよく反応しました。
また、A/Victoria/4897/2022類似株(サブクレードD)を含む2025/2026シーズンのワクチンを受けたヒトの血清と有効株の反応性も調べられました。細胞分離のA/Wisconsin/67/2025類似株との反応性と比較した場合、ワクチン後のヒト血清は流行株とよく反応しました。
以上より、D.3.1及びD.3.1.1の流行が大きいこと、また、2026シーズンの南半球用のワクチン推奨株がMissouri/11/2025類似株へ変更されていること、さらに、これらのフェレット感染血清は流行株との反応性が良いことから、WHOは2026/2027シーズンの北半球用の鶏卵培養ワクチン推奨株としてA/Missouri/11/2025類似株を推奨しました。
感染研では、国内のA/H1N1pdm09亜型ワクチン製造候補株として、D.3.1に属する高増殖株A/Switzerland/6849/2025(IVR-278)、及びA/Missouri/11/2025(IVR-279)を国内ワクチン製造所3社に分与いたしました。
各製造所において、増殖性(感染価の測定)、ショ糖クッション法によるウイルス蛋白質の収量、及びエーテル処理によるスプリット工程及び、ろ過工程まで行った生産性が評価されました。
増殖性については、IVR-278株及びIVR-279株ともに感染価は108EID50/0.2mL以上ありました。ウイルス蛋白質収量については、2025/2026シーズン国内ワクチン製造株であるA/Victoria/4897/2022株と比較したところ、それぞれ候補株の3社平均値はIVR-278株が104%、IVR-279株が103%でした。継代による抗原性の乖離は認められませんでした。
また、生産性評価については、A/Victoria/4897/2022株と比較したところ、3社平均値はIVR-278で130%、279株が101%でした。以上の結果から、いずれの株もワクチン製造に適していることが示されました。
以上より、ワクチン株検討会議では、令和8年度のA/H1N1亜型ウイルスのワクチン株として、良好な生産性を示したA/Switzerland/6849/2025(IVR-278)を推奨いたしました。
続きまして、A/H3N2亜型について、候補株はA/Michigan/105/2025(SAN-049A)です。A/H3N2亜型ウイルスは、HA遺伝子系統樹上、2025年9月以降にサブクレードKのウイルスが大変多く検出されました。それ以外のサブクレードJ.2.2、J.2.3、あるいはJ.2.4のウイルスも検出されました。遺伝子情報を登録した国でのサブクレードの割合については、多くの国でKのウイルスが優勢でした。一方で、J.2.3のウイルスは中南米で、J.2.4のウイルスはアフリカの一部及び南アジア・東南アジアの一部で検出の割合が高かったです。
フェレット感染血清を用いた抗原性解析では、2025/2026シーズンのワクチン推奨株であるA/District of Columbia/27/2023(細胞培養ワクチン)類似株及びA/Croatia/10136RV/2023(鶏卵培養ワクチン)類似株(ともにサブクレードJ.2)に対する血清は、流行株との反応性が低下していました。一方で、2026シーズン南半球用の推奨株であるA/Sydney/1359/2024(細胞培養ワクチン)(サブクレードJ.2.4)類似株に対する血清は流行株とよく反応していました。A/Singapore/GP20238/2024(鶏卵培養ワクチン)類似株に対する血清との反応性は、やや低下が見られましたが、A/Croatia/10136RV/2023(鶏卵培養ワクチン)類似株に対する血清との反応性と比較すると、良好な反応性を示しました。また、サブクレードKの細胞分離株及び鶏卵分離株に対する血清は、同クレードのウイルスと非常によく反応しました。
また、A/Croatia/10136RV/2023類似株を含む2025/2026シーズンのワクチンを接種したヒトの血清を用いた血清学的試験では、細胞分離のA/District of Columbia/27/2023類似株に対する反応性と比較した場合、サブクレードJ.2.3及びKのウイルスとの反応性は低下しました。一方で、J.2.4のウイルスとは、よく反応しました。
以上より、多くの地域でサブクレードKのウイルスの検出割合が高いこと、Kのウイルスに対するフェレット感染血清はKのウイルスと非常によく反応していること、2025/2026シーズンのワクチンを受けたヒトの血清はKのウイルスとの反応性がよくないことなどから、WHOは、2026/2027シーズンの北半球用の鶏卵培養ワクチン推奨株としてサブクレードKに属するA/Darwin/1454/2025類似株を推奨しました。
感染研では、国内のA/H3N2亜型ワクチン製造候補として、Kに属する高増殖株、A/Darwin/1454/2025(IVR-283)、A/Darwin/1499/2025(IVR-284)、A/Michigan/105/2025(IVR-285)、及びA/Michigan/105/2025(SAN-049A)を国内のワクチン製造所3社に分与いたしました。
増殖性については、いずれの候補株も感染価は107.9EID50/0.2mL以上でした。ウイルス蛋白質収量については、2025/2026シーズン国内ワクチン製造株であるA/Perth/762/2024(IVR-262)株と比較したところ、それぞれ候補株の3社平均値は、IVR-283株で100%、IVR-284で85%、IVR-285株で102%、SAN-049A株で99%でした。ウイルス蛋白質収量は良好であったIVR-283、IVR-285及びSAN-049Aについて継代による抗原性の変化を調べたところ、1社においてIVR-283及び285に抗原性の変化が認められました。
生産性評価については、A/Perth/762/2024(IVR-262)株と比較したところ、それぞれ候補株の3社平均値は、IVR-283で92%、IVR-285で118%、SAN-049Aで111%でした。
以上より、生産性評価において、IVR-283、IVR-285及びSAN-049Aはいずれも良好な成績を示しましたが、SAN-049Aのみ継代による抗原性の変化が認められなかったことから、ワクチン株検討会議では、令和8年度のA/H3N2亜型ウイルスのワクチン候補株として、A/Michigan/105/2025(SAN-049A)を推奨しました。
続いて、B型に移ります。B型のビクトリア系統です。候補株はB/Tokyo/EIS13-175/2025。理由は、B/ビクトリア系統のウイルスは、HA遺伝子系統樹上、2025年9月以降も、9月以前から引き続きサブクレードC.5.xのグループ(C.5.1、C.5.6、C.5.6.1あるいはC.5.7)が検出されました。また、C.3及びC.3.1のウイルスも検出されました。C.3ウイルスは以前から検出されていましたが、最近のウイルスは、HAの頭頂部分に糖鎖付加を伴う変異(197番目のアミノ酸)を持っているのが特徴です。また、C.3.1のウイルスも197番目に変異を持っています。
一方で、C.5.xのウイルスも同じ部位に変異を持ちますが、糖鎖が付加される変異ではありません。遺伝子情報を登録した国のサブクレードの割合については、アジアから欧州にかけてC.5.6あるいはC.5.6.1のウイルスの報告が多く、東南アジアの一部や西アフリカでC.5.7の報告が比較的多かったです。一方で、C.3.1のウイルスの報告は米国で多かったのに対し、C.3のウイルスは日本および韓国からの報告が多かったです。
フェレット感染血清を用いた抗原性解析では、試験機関によって得られた結果が違っておりましたが、C.5.xのウイルスが主な試験株であった場合には、2025/26シーズンの細胞培養および鶏卵培養ワクチン推奨株であるB/Austria/1359147/2021類似株に対する血清との反応性は良かったです。一方で、米国あるいは日本ではC.3.1あるいはC.3のウイルスの流行が大きく、B/Austria/1359147/2021類似株に対する血清とこれらのウイルスとの反応性は良くなかったという結果です。これは、C.3およびC.3.1のウイルスのHA分子の頭頂部への糖鎖付加により抗体の反応性が低下したためと考えられました。
細胞分離のC.3.1ウイルスに対する血清は、C.5.xウイルスだけでなく、C.3およびC.3.1ウイルスに対しても良く反応しました。一方で、鶏卵分離のC.3.1ウイルスに対する血清は、C.5.xのウイルスとの反応性は良かったのですが、C.3あるいはC.3.1のウイルスとの反応性は良くなかった結果です。これは、C.3.1ウイルスを鶏卵で分離・増殖させると、HA分子の頭頂部分の糖鎖が脱落する変異を持つウイルスが効率よく増えてしまい、そのウイルスに対する血清は、糖鎖を持つウイルス(すなわちC.3およびC.3.1ウイルス)との反応性が低下したと考えられました。
また、B/Austria/1359417/2021類似株を含む2025/26シーズンワクチンを接種したヒトの血清を用いた血清学的試験では、細胞分離のB/Austria/1359147/2021類似株との反応性と比較した場合、C.5.xのウイルスとはよく反応したが、C.3およびC.3.1のウイルスとの反応性は良くなかった。
以上より、多くの地域ではないが、C.3あるいはC.3.1のウイルスが増えてきていること、2025/26シーズンのワクチン推奨株B/Austria/1359417/2021類似株に対するフェレット感染血清は、これらのウイルスとの反応性が良くないこと、C.3.1のウイルスに対する血清、特に細胞分離ウイルスに対する血清はサブクレードに関わらず反応性が良いこと、および2025/26シーズンのワクチンを受けたヒトの血清はC.3およびC.3.1のウイルスとの反応性が良くないことから、WHOは、2026/27シーズンの北半球用の鶏卵培養ワクチン推奨株としてサブクレードC.3.1のB/Tokyo/EIS13-175/2025類似株を推奨しました。
感染研では国内のB/ビクトリア系統ワクチン製造候補株として、サブクレードC.3.1に属するB/Tokyo/EIS13-175/2025、B/Tokyo/EIS13-011/2025およびB/Perth/115/2025を国内のワクチン製造所3社に分与しました。
増殖性については、B/Tokyo/EIS13-175/2025の感染価は108EID50/0.2mL以上でした。B/Tokyo/EIS13-011/2025については108EID50に近い値を示しましたが、B/Perth/115/2025については106EID50程度と低かったです。
ウイルス蛋白質の収量については、2025/26シーズン国内ワクチン製造株であるB/Austria/1359417/2021株と比較したところ、それぞれ候補株の3社平均値は、B/Tokyo/EIS13-175/2025株で90%、B/Tokyo/EIS13-011/2025株で74%、B/Perth/115/2025株で48%でした。これらの成績から、継代による抗原性の変化と生産性の評価は、B/Tokyo/EIS13-175/2025についてのみ実施されました。継代による抗原性の変化は認められなかった。生産性評価については、B/Austria/1359417/2021と比較したところ、3社平均値は80%であり、ワクチン製造株として適正があると評価されました。
以上より、製造候補株のうち、B/Tokyo/EIS13-175/2025が増殖性、収量、生産性および抗原性に問題が認められないことから、ワクチン株検討会議では、令和8年度のB/ビクトリア系統ウイルスのワクチン株としてB/Tokyo/EIS13-175/2025を推奨しました。長くなりましたが、以上です。
○福島委員長 大変詳細に御説明いただきましてありがとうございます。本当によく分かりました。
それでは、続きまして日本ワクチン産業協会の木許参考人から、資料6について御説明をお願いいたします。
○木許参考人 日本ワクチン産業協会インフルエンザ専門委員会の木許です。日本ワクチン産業協会より、2026/27シーズンのインフルエンザHAワクチン製造候補株の検討成績を御報告します。
まず、2ページです。製造候補株の製造適性評価の方法を簡単に説明させていただきます。製造候補株の製造適性評価は、小スケールの実験系でワクチン製造と同じように発育鶏卵にウイルス株を接種して培養します。発育鶏卵からウイルス液を採取し、濃縮、しょ糖クッション遠心を行います。得られた精製ウイルス液について、ウイルスたん白質の収量を評価します。これを中間評価と呼びます。また、得られた精製ウイルス液について、スプリット工程(ろ過工程を含む)を行い、模擬ワクチン原液まで作成し、ウイルスたん白質の収量を評価します。これを最終評価と呼んでいます。
次に3ページです。製造候補株の製造適正評価は先ほど御説明した模擬ワクチン原液のたん白質収量に加えまして、発育鶏卵で継代培養を行ったウイルスの感染価、抗原性、電子顕微鏡による形状確認の結果を踏まえ、総合的に判断しています。今シーズンのWHOの推奨株は、3株全てにおいて昨シーズンより変更がありましたので、3株の製造候補株の評価を実施しています。
4ページです。A/H1N1の製造候補株の中間評価の結果についてです。製造候補株は、感染研から2株分与されましたので、この株について検討を行っています。その結果、いずれの株も昨シーズン製造株と同等レベルのたん白質収量を示しています。
5ページは、A/Switzerland/6849/2025(IVR-278)のウイルス粒子形状を電子顕微鏡で観察した画像です。環状のウイルス粒子も一部観察されていますが、その量は過去の製造株程度であり、ウイルス粒子形状による製造への影響はないものと考えています。
6ページは、最終評価の結果です。昨年株と比較して、両株ともに収率として同等以上の結果を得ています。これらの評価の結果から、日本ワクチン産業協会としては、A/Switzerland/6849/2025(IVR-278)株の製造適性は十分にあり、製造株として使用可能と位置付けています。
続いて、7ページです。A/H3N2の製造候補株の中間評価の結果について御説明します。製造候補株として、4株が分与されましたので、それぞれについて検討を行っています。その結果、A/Darwin/1454/2025(IVR-283)、A/Michigan/105/2025(IVR-285)、A/Michigan/105/2025(SAN-049A)は、いずれも昨シーズン製造株と同等レベルのたん白質収量を示しました。一方で、A/Darwin/1499/2025(IVR-284)は、ほかの株と比較して低い収量となっています。
8ページは、A/Michigan/105/2025(SAN-049A)のウイルス粒子形状を電子顕微鏡で観察した画像です。結果として、球状粒子が大部分を占めており、製造への影響はないものと考えています。
9ページは、最終評価の結果です。最終評価では、昨年株と比較して、A/Darwin/1454/2025(IVR-283)を除き、同等以上の収率の結果を得ています。また、抗原性解析において、A/Darwin/1454/2025(IVR-283)及びA/Michigan/105/2025(IVR-285)について抗原変異が認められています。これらの評価の結果から総合的に判断し、日本ワクチン産業協会としては、A/Michigan/105/2025(SAN-049A)株の製造適性は十分にあり、製造株として使用可能と結論付けています。
10ページです。B/VICTORIA系統の中間評価です。製造候補株として3株を分与いただきましたので、それぞれについて検討を行っています。その結果、いずれの株も昨年株を下回るたん白質収量となりましたが、B/Tokyo/EIS13-175が最も高い収率を示していました。
11ページは、B/Tokyo/EIS13-175のウイルス粒子形状を電子顕微鏡で観察した画像になります。結果として、球状粒子が主体であり、製造への影響はないものと考えています。
12ページは、最終評価の結果です。最終評価にて、B/Tokyo/EIS13-175は、昨年株比80%となりましたが、本実績を踏まえて、製造上許容可能な水準だと考えています。よって日本ワクチン産業協会としては、B/Tokyo/EIS13-175株は製造株として使用可能と結論付けています。以上で報告を終わります。
○福島委員長 御説明ありがとうございました。今回、3株とも推奨株が変更になったということで検討も大変だったと思いますが、大変詳細に検討していただいてありがとうございます。
それでは、引き続き事務局より説明をお願いいたします。
○村上副反応情報分析専門官 事務局です。それでは資料4の5ページにお戻りください。上のほうにワクチンが出荷されるまでの基本的な流れを示していますが、参考人からの御説明と重複するところがありますので、簡単に御説明します。
まず、WHOで亜型ごとに複数の推奨株の推奨が出されています。こちらは御説明があったとおりですが、例年なみの2月下旬に公表されています。内容としては5ページの下半分にお示しのとおりです。先ほどの御説明にもあったとおり、昨シーズンから3株全てについて内容の変更があったところです。
続きまして、6ページです。こちらはインフルエンザHAワクチンの製造についての特徴を概念的に示したものになります。インフルエンザHAワクチンは、複数の原液を用いるものですので、それぞれの原液を、全体の製造能力がある程度限られている中で、それをどれだけバランスよく製造するかということによって、最終的にワクチンの供給できる量が増減するという形になっています。製造効率を考慮して、各原液の製造量を調整することが必要になるということを示している図となっています。
続きまして、7ページです。こちらはワクチンの製造効率について、参考人の説明の概要をまとめたものになっています。こちらは各メーカーで御検討いただいた結果のまとめとなっていますが、計算する際に考慮した数字の関係上、資料6にお示しいただいている製造効率とは少しずれている点があります。製造量については、各製造株の製造効率と、あとはそれに用いる鶏卵の数が影響するものであり、それを踏まえて製造効率を御検討いただきました。
B/ビクトリアについては、昨シーズンと比較して0.79倍と低くなっていますが、全体としては1.06倍で、昨年と同程度の製造効率となっています。
8ページです。こちらは推奨(案)としてまとめたスライドとなっています。これまでの説明と同様ですが、2026/27シーズン向けインフルエンザHAワクチンの製造株の推奨として、A型株はA/スイス/6849/2025(IVR-278)及び A/ミシガン/105/2025(SAN-049A)、B型株についてはB/東京/EIS13-175/2025としてはどうかと考えています。
以降は参考資料となっていますので、適宜、御参照いただければと思います。事務局からの説明は以上です。
○福島委員長 ありがとうございました。それでは質疑応答の時間とさせていただきます。御質問のある方は順次、御発言をお願いいたします。御質問のあと、まとめて参考人、または事務局に御回答いただく形とさせていただきます。それでは、高梨委員、よろしくお願いいたします。
○高梨委員 ありがとうございます。資料7ページの増殖効率についてなのですが、B型のほうが増殖効率が平均で0.79ということで、全体としては1.06ということではあったのですが、御説明いただいた中で、すみません、不勉強なのですが、B型のところだけ高増殖株の候補を比較したわけではなかったのかなと思いながら伺っていました。B型というのは、そもそも高増殖株というリアソータントのものが選べないという状況からスタートして、結果的にこうなったのかということが1点目。
それと、こういった状況でも、B型は許容範囲であるというお言葉もありましたが、どれくらいを許容範囲と考えるのか、その基準のようなものがありましたら教えていただければと思います。
○福島委員長 ありがとうございます。こちらは木許参考人、あるいは長谷川参考人、どちらから御回答いただけますか。
○長谷川参考人 はい、リアソータントに関しては、今回はリアソータントがなかったのでワイルドタイプのものでも増殖性が比較的良好であったということから、今回はこのワイルドタイプの野生株を使っています。
許容範囲については、メーカーさんのほうから御回答いただければ。
○木許参考人 B型が8割でも生産の許容範囲であるのはなぜかといったことなのですが、我々も、過去の実績等と比較して、昨年比80%であれば、製造を続けても安定供給には支障がないという判断をして御説明させていただいたところです。ほかの製造株、ほかの亜型の生産にもよりますが、A型の生産状況にもよりますが、今回は、このB型80%は全社が許容できる範囲だと判断しています。
○高梨委員 御経験に基づいてということですね。ありがとうございます。
○福島委員長 ありがとうございました。次に笹本委員、よろしくお願いいたします。
○笹本委員 日本医師会の笹本です。御説明ありがとうございました。内容はよく分かりました。今の質問とかぶるところがありますが、医療機関としてはワクチンの供給がひっ迫するということを大変心配します。今の情報だと、B型のビクトリア系は供給不足になる可能性があると判断されるところです。そういう場合、例えば工場での生産段階で生産規模を拡大するなどの対応は、企業にとっては可能なものなのでしょうか。その辺のところを教えていただければと思います
○福島委員長 ありがとうございます。これは木許参考人、御回答されますか。
○木許参考人 御質問ありがとうございます。私どもも生産を開始してすぐにスケールアップというのは、薬機法、承認書、あとはGMPの観点からも、すぐにというのは難しいのですが、その代わりに生産のスケジュールで3株のバランスを取るということと、製造期間を少し延長することで、国民の皆さんがワクチン不足等にならないように各社が今、生産を調整しているという状況にあるというところです。スケールアップはなかなかすぐにはできませんが、国内のワクチン供給に支障をきたさないように、メーカーとしては尽力しております。
○笹本委員 ありがとうございました。場合によっては、ワクチンの接種期間の延長ということも、私たちのほうから求めていかなくてはいけないので、できるだけ情報をよろしくお願いいたします。
○木許参考人 承知しました。
○福島委員長 ありがとうございます。
○眞中予防接種課課長補佐 事務局です。補足させていただきますと、笹本委員に御指摘いただいたとおり、ワクチン供給については、製造株を選定していただいた後、従来、8月下旬から9月上旬ぐらいに各企業からヒアリングした供給予定量を部会で御報告させていただいています。今回、この製造株というのは、先ほど検討していただいている製造効率を踏まえて、例えば10万個ある卵をそれぞれ均等に分けるのではなくて、この製造効率を踏まえて卵の数を変更することで、最大収量となるように各企業で工夫されて製造していただくものと理解しています。以上です。
○福島委員長 ありがとうございます。笹本委員、よろしいでしょうか。
○笹本委員 ありがとうございました。
○福島委員長 先ほど宮入委員が手を挙げていらっしゃったような気がするのですが。
○宮入委員 基本的には同じ質問でしたので、少し近年、10月から流行が始まると問題がありましたので、そこに間に合うかどうかというのが気になっていたところです。
○福島委員長 ありがとうございます。そのほか御質問はありませんか。お時間も迫っているのですが、よろしければ私から1点だけ。長谷川参考人、木許参考人、大変ありがとうございました。特にH3について、最近は卵馴化に伴う抗原変異であったり、そもそも卵で増えないという問題がある中で、両方クリアできる株があって本当によかったなと思っています。その中で今回、候補でありながら選定されなかった2つの株、IVR283とIVR285なのですが、こちらは抗原変異があったというところで選択されなかったと思いますが、結構大きな抗原変異だったのでしょうか。1社のみということではありましたが、可能な範囲でお教えいただければ。これは木許参考人ですかね。もし情報としてここで述べるべきものではないのであれば、大丈夫です。
○木許参考人 そうですね、日本ワクチン産業協会としては、継代培養したウイルスの抗原の変化を遺伝子解析等までの深い部分までは現在確認をしていないというところと、私どもの抗原性変異の確認としては、抗血清を用いた赤血球凝集抑制反応を、感染研と同じくHIで行っています。そのため詳細な変異箇所の特定まで至っていないところが現状です。
○福島委員長 ありがとうございました。そのほか御質問がないようであれば、議論の取りまとめに移ってよろしいでしょうか。
なお、宮入委員におかれましては、取りまとめに御参加いただくことはできませんので、御留意ください。では、本日の議論の取りまとめとして、まずA型のH1N1についてはスイス株(IVR-278)を選定すること、A型のH3N2についてはミシガン株(SAN-049A)を選定すること、B型のビクトリア系統については東京株を選定すること、以上で御異論はありませんか。
(異議なし)
○福島委員長 皆さん、うなずかれていますので異議なしということで、まとめさせていただきます。
以上で、本日の予定していました議事は全て終了しました。その他、事務局から何かありませんか。
○眞中予防接種課課長補佐 次回の開催については追って御連絡させていただきます。事務局からは以上です。
○福島委員長 ありがとうございます。それでは、本日の季節性インフルエンザワクチン及び新型コロナワクチンの製造株について検討する小委員会を終了します。本日はありがとうございました。

