第138回労働政策審議会障害者雇用分科会(議事録)

日時

令和8年5月27日(水)10:00~

場所

オンライン・対面による開催(中央合同庁舎第5号館 専用第22~24会議室(18階)東京都千代田区霞が関1-2-2)

議事

○山川分科会長 おはようございます。では定刻となりましたので、ただいまから「第138回労働政策審議会障害者雇用分科会」を開催いたします。委員の皆様方、お忙しいところ御参加いただき、ありがとうございます。
 本日は、岡本委員と新銀委員が御欠席とのことです。会場には影山委員、倉知委員、大喜多委員、河崎委員、神成委員、佐藤委員、菅村委員、大岩委員、清田委員、新田委員、田中伸明委員がお越しです。美堂委員は、少し遅れて御参加の予定です。また、事務局の盛谷審議官も、公務のため遅れて出席すると伺っております。
 本日の分科会は、Zoomによるオンラインでの開催と会場からの御参加の両方となっております。開催に当たり事務局から説明があります。
 
○原田障害者雇用対策課長補佐 事務局です。本日も、多くの委員にZoomを使ったオンライン参加を頂いております。開催に当たりまして、簡単ではありますがオンラインについて操作方法のポイントを御説明いたします。本日、分科会の進行中は、皆様のマイクをオフとさせていただきますが、御発言される際には画面上の「手を挙げる」ボタンをクリックし、分科会長の許可があった後に、マイクをオンにして、お名前を名乗ってから御発言いただきますようお願いいたします。
 Zoomの操作方法につきましては、事前にお送りしましたマニュアルを御参照ください。会議進行中、トラブルがありましたら事前にメールでお送りしております電話番号まで御連絡いただきますようお願いいたします。
 なお、通信遮断等が生じた場合には、一時休憩とさせていただくこともありますので、御容赦いただきますようよろしくお願いいたします。オンライン会議に係る説明については以上です。
 
○山川分科会長 それでは、議事に入ります。カメラの頭撮りはここまでとなっております。本日の議題は、関係団体からのヒアリングということで、一般社団法人日本障害者雇用促進事業者協会様、一般社団法人日本難病・疾病団体協議会様、NPO法人全国就業支援ネットワーク様となっております。それでは、前回に引き続いて、ただいま御紹介いたしました関係団体3団体から、「今後の障害者雇用促進制度の在り方に関する研究会 報告書」につきまして、御意見、お考え等をお聞きしたいと思います。
 はじめに事務局から、本日のヒアリングの流れについて説明をお願いします。
 
○原田障害者雇用対策課長補佐 事務局です。本日も、資料2に御用意しております「ヒアリング項目」に関しまして、3団体の皆様にヒアリングをさせていただきます。各団体のお名前につきましては、議事次第を御覧ください。なお、一般社団法人日本難病・疾病団体協議会の大黒様におかれましては、本日はオンラインで御参加いただいております。
 ヒアリングは、各団体、質疑応答を含めて約20分程度を予定しております。冒頭の10分間で団体から御説明いただき、その後10分間を目安に、委員の皆様から御意見、御質問を頂くという形で進めさせていただきます。各団体からの発表・質疑が終わりましたら、最後に全体を踏まえた質疑・意見交換を実施します。各団体の皆様は、御提出いただいた発表様式に沿って御発表いただければと思います。
 なお、各団体にお願いしたいことですが、発表後の意見交換の時間を十分に確保し、よりよい議論にしたいと考えておりますので、説明時間が10分を経過した時点でベルを1回鳴らします。12分を経過した時点でベルを2回鳴らしますので、その場合、速やかに意見をまとめていただきますようお願いいたします。事務局からの説明は以上です。
 
○山川分科会長 それでは、まず一般社団法人日本障害者雇用促進事業者協会様から御説明をお願いいたします。
 
○一般社団法人日本障害者雇用促進事業者協会西村氏 皆様、おはようございます。ただいま紹介いただきました、一般社団法人日本障害者雇用促進事業者協会の理事長を務めさせていただいております西村と申します。本日は、どうぞよろしくお願いいたします。まず冒頭、このような公の機会で御意見を述べさせていただくという貴重な機会を頂きましたこと、本当に有り難く感じております。御礼を申し上げたいと思います。我々としては、誠実にしっかりと皆様方と対話をしていきたいと考えております。
 では早速、お手元に資料が配付されているかと思いますので、「障害者雇用ビジネスに係るガイドライン(案)」に関する業界意見書について御説明いたします。まずはじめに、基本認識です。当協会は、厚生労働省において進められている障害者雇用ビジネスに関するガイドライン検討について、障害者雇用の「質」の向上及び業界の健全化を目的とする取組として、基本的には賛同する立場にあります。法定雇用率の段階的引上げ等を背景に、障害者雇用が量的には拡大する一方で、雇用の実態が十分に伴わないケース、就労者の納得感や成長、評価につながらない形での雇用、雇用主企業の関与が形式的なケースなど、課題が存在することについて、当協会としても真摯に受け止めております。
 一方、令和7年11月10日に開催された「第10回今後の障害者雇用促進制度の在り方に関する研究会」において、JEEDの調査研究を用いた現状分析において、雇用企業側の課題として、「障害者の持てる能力の十分な発揮に向けたノウハウ不足の問題意識が大きく、また、能力発揮先としてふさわしい業務の安定確保が問題」と捉えられておりました。また、令和7年12月19日に発表された令和7年障害者雇用状況の集計結果から、企業規模1,000人以上の実雇用率は2.69%あるものの、企業規模100人未満の実雇用率は1.94%と低く、これは同時に都市部に求人が集中し、地方に求人が少ないという求人需要の地域格差も大きな課題となっていると認識しております。このような背景から、当協会として、不適切な事例の是正を主眼としつつ、民間による障害者雇用ビジネスが担える役割として、支援や業務開発のノウハウ共有、業務開発能力、サテライト型による地方雇用の推進など、一定の課題解決につながる高い効果があると自負しており、真摯に取り組む利用企業と支援事業者を正当に評価し、障害者雇用全体の発展につながるものとして設計されることを強く期待しております。
 2つ目です。雇用主と支援事業者の役割分担についてです。障害者雇用における雇用主体はあくまでも利用企業であり、採用、配置、評価、労務管理の最終責任は雇用企業に帰属するという点に当協会として異論はありません。支援事業者が企業の雇用責任を代替・形骸化させる運用、いわゆる「代行ビジネス」の雇用は不適切であり、是正されるべきと考えております。その上で、雇用主企業が主体的に最終責任を負うことを前提に、支援事業者が現場における専門性に基づいて役割を担う「協働関係」として整理することが、実効性と労働者保護の観点から重要であると考えております。
 3つ目です。有為な事業活動についてです。利益創出や黒字性、農園型における成果物の販売の有無を絶対的な要件とすべきではないと考えております。企業活動においては、各事業部門の直接的に売上げや利益を意識しやすい業務もあれば、事業部門における社内支援業務、福利厚生支援やそれらの補助活動など、直接的な利益を生むということを意識しづらい業務も多く存在しており、障害者も当然ながら事業部門で活躍している人もいれば、間接部門で活躍されている方も多くいらっしゃいます。重要なのは、業務が企業活動や組織運営の中でどのように意味付けられているのか、就労者が自らの役割や貢献を理解、実感できているのか、能力向上や就労継続につながっているのかといった点であり、「何らかの付加価値・意義を生み出している業務」という観点で整理されるべきであると考えております。一律的に、形式的に要件を加えれば加えるほど、働く選択肢を逆に狭めてしまう懸念が考えられると思っております。
 4つ目です。利用期間・就労場所に関する一律の制限について。障害者雇用ビジネスの利用について、一定期間での就労、特定職種への限定、自社就業場所への移行、地域的近接性といった要件を一律に制度上課すことには慎重であるべきと考えております。障害のある方の就労においては、通勤制約、地域就労格差、居住の安定、環境の変化への影響など個別性が極めて高く、一律の移行や制限は、結果として離職や就労断念を招きかねないと考えております。多様な働き方とITの進展を踏まえ、物理的な就業場所に限定されない障害者雇用制度への柔軟性を持つべきと考えておりますし、同じ場所で働き続けることを希望されている方がいらっしゃることも忘れてはいけない視点だと思います。また、利用年限を、例えば2年等に限るなど、一定期間に限るとすれば、一定年限経過後に利用企業の他就業場所への配置転換が困難なケースが発生した場合、企業が当該障害者を解雇せざるを得なくなりますが、労働法等に照らし、単に「利用年限が到来したこと」のみを利用とする解雇は無効であり、労働者保護に欠けることになると考えております。
 5番目です。利用企業への報告義務を課すことについてです。いわゆる障害者雇用促進法を根拠とした企業に課している報告義務の目的は、国が企業ごとの雇用状況を把握する、未達成企業への助言、指導の基礎情報とする、雇用政策に活用するという目的で行われるものと認識しております。目的と照らし、障害者雇用ビジネス利用のみの報告を課すことが妥当な範囲であるかを慎重に検討することが必要だと考えております。また、特例子会社と同様にサービス利用企業に詳細な報告義務を課すという考え方についても、特例子会社制度は、本来は別法人で雇用している労働者を、例外的に親会社の雇用とみなす(算定特例)制度であることと併せて、厳しい認定要件や詳細な報告義務が課せられています。これに対してサービス利用企業は、こうした制度上の特例措置等を受けるものではないため、法規制として均衡したものであるかどうかを慎重に検討する必要性があるかと考えております。報告については、団体としては積極的に情報開示や代替えの手段というところでは協力をしていきたいと考えております。
 6つ目です。これは、企業が主体的な雇用管理を行うことを前提とした本人主体の制度へということです。障害者雇用の本質は就業場所や雇用スキームの形式ではなく、障害のある方が本人の希望と特性に沿って能力を発揮し、継続的に働き、成長し、社会参加できているかどうかにあると考えております。形式的な制限ではなく、雇用の「質」を確認する基準によって評価する仕組みへの転換が望ましいと考えております。本人の希望、合意の確認、業務内容の具体的な明示、評価、処遇への適切な反映、能力開発・キャリア形成の機会などが示されているか、企業による雇用管理が担保されているか、就業場所が離れていても組織との接点が持たれているかといった中身について重視されるものが望ましいと考えております。
 最後になります。当協会として、障害者雇用の「質」の向上及び業界の健全化を目的とする取組として、障害者雇用支援サービス適格事業者認定制度やJEAP認定障害者雇用支援アドバイザーなど、事業運営の適正化と人材育成に取り組んでまいりました。今年度については、更に当協会自らのガイドラインの策定も進めており、本年度中をめどに、会員企業の足並みをそろえて実施してまいりたいと考えております。改めてお伝えさせてください。当協会は、厚労省において進められている障害者雇用ビジネスに関するガイドライン検討について、障害者雇用の「質」の向上及び業界の健全化を目的とする取組として、基本的に賛同する立場です。分科会で御議論されるガイドラインについて、不適切な取組を抑制し、真摯な取組を可視化・評価し、民間の創意工夫をいかしながら、障害者雇用の「量」と「質」の両立を実現する制度として策定されることを業界として強く期待しております。以上です。ありがとうございました。
 
○山川分科会長 ありがとうございます。それでは、ただいまの御発表につきまして、質疑応答に移りたいと思います。御質問等があります方は挙手をお願いします。御発言の際には、お名前を言っていただいて、その後に御発言をされるようにお願いします。御質問等ございますでしょうか。それでは、大岩委員、よろしくお願いします。
 
○大岩委員 大岩でございます。それでは質問をさせていただきます。一部報道でも取り上げられました雇用ビジネスにおける問題、課題、これは私個人としても無視できないと思っておりますし、反響の大きさを踏まえて質問をいたしたいと思います。
 そもそも自社で雇用した従業員の雇用管理、就業管理、業務管理、成果把握などを実態として他社が担うということ自体が、会社経営ですとか運営の基本から逸脱していると思っています。会社経営者の視点からは、障害者法定雇用率を満たさないということを前提とした会社運営というのは、コンプライアンス違反だとか、社会的責任の放棄、多額の納付金の支払ということで、会社経営責任の放棄とみなされています。同様に、障害者雇用ビジネスの利用については、障害者の担う業務の多くが自社の会社運営や成果に何ら資することのないものとなっている。更には、それに従事する障害者の人件費、それに加えて多額のサービス費用を必要とすること。加えて、雇用企業として障害者の放置を是認した形となるなど、コンプライアンス違反、社会的責任の放棄となっているケースも存在することなど、やはり経営責任の放棄とみなされるケースがあると思います。これらから、雇用ビジネスを利用することについて、経営者としては株主代表訴訟のリスクも視野に入れた対応を覚悟すべき状況と思っています。ということで、2点質問させていただきます。
 2ページの項目2です。「雇用主と支援事業者の役割分担について」で説明を頂きましたが、雇用主不在で実質的に雇用ビジネスの支援者のみが就業管理、業務管理、成果把握などを行うケースがある中で、支援者と雇用主の協働関係についてどうお考えか、具体的に教えていただきたい。これが1点目です。
 2点目、今後の雇用ビジネスの方向性というのを考えると、障害者の自社雇用や自社で支援業務を行うための採用、定着支援などのノウハウのコンサル、それから、従事業務の切り出しのためのコンサルや特例子会社設立のためのコンサルなど、障害者雇用ビジネスではなくて、障害者雇用コンサルとして活躍の道を探ることが必要ではないかと思っています。弊社も含めまして、付帯業務の切り出しというのは比較的容易で障害者雇用につなげやすいのですが、障害者の特性を踏まえつつ、個々人に合った様々な業務を会社の本業から切り出すということは、知見が少なくて苦労している会社が多いと思っています。是非、業務分析ですとかエスノグラフィー手法などを活用した障害者の特性を踏まえた業務切り出しコンサルなど、真に社会の要請に応える障害者雇用コンサルの姿を創出していただきたいと思うのですが、いかがお考えでしょうか。以上です。
 
○一般社団法人日本障害者雇用促進事業者協会西村氏 大変、貴重な御意見、誠にありがとうございます。今、大岩委員がおっしゃった御指摘はごもっともなことだと思っておりますし、私も冒頭申し上げましたように、日本の今の障害者雇用の一番の課題は、研究会でも分析された内容で、業務の創出が非常に個社で考えていくには限界にきているのではないかということが1点と、あともう1つは、やはり雇用ノウハウ等の知見が、一部の企業には備わっている企業もあるとは思いますが、全体マクロ的な視野で見たときには、各企業にそういった雇用ノウハウが浸透していると決して言える状態にはなっていないと。この2つの課題が解決されない限り、障害者雇用が劇的に進んでいくようなことはないのではないかと考えております。
 そういった現状の中で、各社、先ほど株主代表訴訟のリスクというようなお話もありましたが、まず、法定雇用率を、コンプライアンスという観点から企業は合理的なプロセスを経て対策を取られているものだと承知しております。先ほど申し上げたように、自社に適切な業務がない、自社で適切な雇用管理ができないと、いわゆるリソース不足ということを客観視されて、必要なものを外部から補完をして適切な雇用管理に結び付けていく。このプロセスにおいては、経営者の責務として、健全であり、かつ合理的な意思決定プロセスにのっとっていると考えられますので、そういう観点からは代表訴訟のリスクということではなくて、むしろ、自社のそういう能力評価を過大視せず、逆に過大視をして、例えばうまくいかず、むしろ労務リスクが発生する可能性が高まるようなことを無理してやることを防いでいるという観点があると思いますので、そういうことから、代表訴訟のリスクについては、むしろ回避をしていると言える側面が十分にあるのではないかと考えております。
 支援管理の協働関係についてということですが、障害者雇用以外にも、一般的に企業が何か事を進める際には、基本的には社会にあるプロフェッショナルの組織やサービスを選択されて、その専門性をいかしながら自社にとってより良いものを作り上げていくということが、これは一般的な事業運営の形だと考えております。例えば1つの例を出しますと、新卒を採用するときには、多分、採用専門のパートナー会社とパートナーシップを組んで採られていると思いますし、社員の研修やキャリア育成については、そのキャリア育成の専門家集団のプロの事業者と組んでやられているケースも多く存在すると思っております。そのように、主体的に言えば、障害者雇用についても企業が責任を負って行うというのは当然のことだと思っていますが、冒頭申し上げたようなノウハウ不足というところを、外部のリソースを活用してより良い協働関係の中で安定的な雇用、「質」の高い雇用を目指していく取組については否定されるものではないのではないかと思っております。支援と指揮命令とかこの辺りの区分は、確かに御指摘されますように、一歩間違うと代行ということになりかねない要素がありますので、むしろ、このような部分について適正なガイドラインを策定いただくことを我々としては非常に期待をしております。
 もう一個、自社のノウハウコンサル定着業務支援、雇用コンサルのほうに軸足を移すべきなのではないかという御意見がありましたが、正にここの部分については、支援事業者、今、サテライト型や農園型というのが大きく注目をされていますが、一方で、各社会員企業の中でも、障害者雇用のノウハウをいかしながら、定着支援や採用のアドバイスや環境へのアドバイスなど、そういうコンサルティングというのは実は多く存在をしておりますし、それを求められている企業さんも非常に多いですので、実際、それを担えている所も存在していると思っております。以上です。
 
○山川分科会長 ありがとうございます。大岩委員、何かありますか。
 
○大岩委員 ありがとうございます。採用、それから教育など、プロと組んでいくことは確かにあるのですが、それとプロが代行するというのは確実に違うと。プロが代行することを排除する、そこをよくお伝えしたいと思います。以上です。
 
○山川分科会長 ありがとうございます。ほかにございますか。では、会場でお三方手が挙がりました。まず倉知委員、お願いします。
 
○倉知委員 九州産業大学の倉知です。ありがとうございました。基本認識の所で、ノウハウ不足の問題と業務の安定確保の問題で、そこが求められていると。具体的には、障害者を代行することではなく自社雇用ができるように支援することで、例えば、障害者雇用の意義と効果を全社のものにしていくような支援であったり、又は仕事の切り出しと職務再編であったり、また、新たな業務の提案であったり、また、従業員の障害理解を進めていくための支援であったり、障害がある人が職場にうまく適応できるような支援であったり、こういうことに支援が求められているのではないかと。それと、今、西村さんたちが現在やっていることと重なるものがほぼないのではないかと思っていて、その上で、役割分担というお話を頂きましたが、具体的に何を担おうとしているのかが全く見えて来ません。私が今、言ったような必要な支援に対して、このような役割を担っているのだということを教えていただければというのが1点です。
 3項目目の有為な事業活動というところの意味なのですが、これは、利用企業が本来業務として位置付けることを要件としているわけで、ここでおっしゃっていることはずれているような感じがしました。それをどう見ていらっしゃるのか教えていただきたいということと、4項目目で利用期間・就労場所に関する一律の制限とおっしゃっていますが、これは、ずっと代行をしていることではなく、雇用企業の就業場所にどう移行させていくのかということが大事で、その点について言っているわけで、今のお話だと、ずっと代行することをお話したような気がして、気になりました。以上、よろしくお願いします。
 
○一般社団法人日本障害者雇用促進事業者協会西村氏 御質問、御意見ありがとうございます。3点頂いたと認識しております。まず1点目の業務の切り出しや、具体的な協働の支援の役割分担について、具体的にはどういうことなのかという御質問ですが、まず1つ目の業務のことについては、昨今、やはり会社の各企業の中の業務というのは本当に劇的なスピードで変化をしております。最近は、DXを超えて今はAIというものができて、本当に人がなかなか要らないという形になってきています。具体的には、例えば、もしかしたら厚生労働省にもあったかもしれませんが、メール便の各フロアーへの配達とか、昔はそういう業務を障害の方が担われたケースがあったと思うのですが、今は多分、どこのビルも紙すらないので、そういう業務はなくなっていっているということがあり、新しい業務の創出ということが、本当に一番の大きな課題だと思っております。その業務がどのような障害の特性の方に合っているのかということを、とにかく検証し続けていくというトライ&エラーになると思いますが、ここが一番重要だと思っています。
 その中で、2つ考え方があると思っております。1つは、今、既に企業の中に存在する業務をシェアする。いわゆる切り出しという考え方です。ある業務を切り分けるという考え方が1つと、私はもう1つあると思っております。今はないけれども、新しい付加価値を創造できる、それが事業に貢献できる、資するようなもの、その付加価値の創造が新たな障害者の方の雇用に結び付くということであれば、それは、その方向性としては可能性があるのではないかと思っております。そこは、そういうもののアイディアや御意見というものがたくさん生まれてくるような循環が生まれたほうがいいのではないかと思っております。そこについて、今、いろいろ御指摘がありますが、コーヒー作りや農園の野菜作りやハーブティを作ったりとか、いろいろなものが今、生まれ始めようとしておりますので、この先々にもっとブラッシュアップされていくものがいっぱい生まれてくればいいと考えております。
 支援の役割分担については、先ほど冒頭に申し上げましたように、雇用の支援のノウハウがなかなかない。具体的には、例えばアセスメント、特に精神の障害の方々に対する、非常に見えない障害とも言われていると思いますが、適正な特性を把握するためのアセスメント。では、アセスメントの技法や品質というものが全ての企業に備わっているかというと、決してそういうことではないと思っております。その入口のアセスメントの段階でそういう状況ですので、正しいアセスメントをした結果、御本人さんの特性の御自身への理解、そして、雇う側の環境に対する理解。これがしっかり合った上で初めて適正な合理的配慮は何なのだということであったりとか、適正な業務配分はどういうことなのだということだったりとか、あと支援体制はどうあるべきなのかというのは全て決まっていくと思っておりますので、そういうことの知見を有されていない企業に対して、そういうことを御提供させていただくのは1つの役割分担のあり方だと思います。こういうことが、アセスメントだけではなくて、採用から定着からいろいろな場面でそういう部分はあるのだと思っております。
 2つ目の有為な業務ということについてです。何をもって有為というのかという定義なのですが、私は、ここに書かせていただいているところで、やはり、その会社にとってどういう位置付けにされている仕事なのかということが明確になっているのが大前提だと思います。どういう意味をもって、どういう目的でそこの業務をやっているのかということが、トップを含めて明確になっていれば、当然、就業される当事者の方に対しても全く同じ説明がなされるわけです。この業務はこういう目的で我が社はこういうことを期待してやっているのだと。当然、働く当事者だけではなく、ほかの組織の従業員の方に対しても、あの部署はこういう意味でやっているのだということがしっかりと明示される。これが一番有為な事業活動だと思っております。有為と企業自身が考えれば、自発的に障害者の方に、障害者に限らず従業員には辞めてもらいたくないという意識が当然働くわけで、自発的な関わりが絶対生まれていくはずだと思っておりますので、まだまだ不十分な点はあるかと思っておりますが、有為な事業活動ということに一番重点を置いて、我々も事業活動でより良いものを社会に提案していきたいと考えております。
 3つ目の就労場所のことについてですが、これはもう昨今、少し極端な例かもしれませんが、日本の企業の中でも、世界中どこに住んでいても構いませんと言って募集を出している会社も現れているぐらい、要は、雇用される場所というものにやはり限定されない時代になってきていると考えております。このことが、好む、好まないというのは当然それぞれの御判断だとは思うのですが、どこでも働けるというような機会の創出ということが、むしろ障害者雇用の分野においてはもっと積極的に広まるべきことなのではないか。むしろそれを後押しすべきことなのではないかと思っております。最終的には、いろいろな所に住まわれている方が、サテライト型がいいのか、特例子会社がいいのか、それとも在宅がいいのか、それとも、例えば都会のど真ん中で働くのを希望されるのか、本人の御希望に沿って選べる社会づくりが私は一番いいのではないかと思っております。こういう働き方がいいはずだということで決めつけること自体が選択肢の幅を狭めていく、そういうネガティブな作用もあると考えておりますので、あくまでも、本人主体の希望の選択ができるような環境づくりに向けた制度設計がいいのではないかと考えております。
 
○山川分科会長 ありがとうございます。あと4名お手が挙がっております。恐縮ですが、今日は3団体の皆様からのヒアリングを予定しておりますので、今お手の挙がっている菅村委員と大谷委員、影山委員、田中委員の4名の委員の皆様には、できるだけ簡潔にお願いいたします。
 
○菅村委員 連合の菅村です。障害者雇用につなげるために、先ほど大岩委員からもコンサルとしての道を探るべきではないかというお話があり、西村様からコンサルになっている所も多いという御回答があったと認識しております。業務の切り出しとか新たな職域の開発ということについて、協会に加盟されていらっしゃる事業者の方々であれば、経験や知識がゼロの企業でも対応できるという理解でよろしいのか、また、そういったコンサルができる事業者もいらっしゃるけれども、やはりそういうところが難しくて、単なる代行ビジネス的なものになっている所もあるのではないかというのが実情だと思っております。その辺りを伺いたいのと、もう一点、時間がない中ですみません。企業によるサービス利用期間に一律の制限を設けるということについては慎重な立場でいらっしゃると理解しておりますが、私も最終的には企業自身が自走して、自社で雇用していくことが必要だろうと思っております。支援サービスと企業の業務代行にならないような企業の自走化というところでのバランスについてどのようにお考えなのかという、以上2点についてお聞かせください。
 
○一般社団法人日本障害者雇用促進事業者協会西村氏 まず、会員企業の中で、コンサルティングやそういったことを全ての企業が同じ品質でやっているかというと、そこはそうではないと理解しています。精緻な調査を行ったわけではないので、明確にはお答えしにくい部分ではあるのですが、具体的にホームページ等で積極的にしっかりと明示されていらっしゃるという企業もあれば、一切明示されていないという会社もありますので、そこには凸凹というか、濃淡があると理解しています。
 利用制限や企業主体に持っていくということについてですが、恐らくですけれども、実態として我々のこういった雇用ビジネスを利用されている企業というのは、どのような企業なのかということで申し上げますと、基本的には障害者雇用をとても意識高く積極的にやられている会社がほとんどです。これが多数を占めます。ですので、100人以上採用しているとか、数百人採用しているとか、本社にもいらっしゃるし拠点にもいらっしゃるし、専門性の高い仕事で雇用もしているし、実は御利用いただいている企業は、ありとあらゆる所に障害者雇用を積極的にやられている会社が主です。
 そういった企業が更に雇用を増やしていくというときに、手段が限られていたので手段を少しでも増やしていきたいというニーズや、もう1つは、今まで雇用ができていなかったような障害のある方の雇用を進めていきたいというお考えで、自社のリソースだけでは難しい所を補っていくという考え方で着手されていらっしゃるケースがほとんどです。障害者雇用を全くやっていない会社というのは、我々のサービス自体に興味すら持たれておりませんし、我々のサービスを使うとなるとお金を請求させていただきますので、お金を払ってまでやるつもりは全くありませんというような企業ですから、そもそも取引に至らないというのが実態です。
 そういった観点で言いますと、そもそも企業主体ではいろいろやっておられて、一部を新たな手段という領域でやられているので、企業が企業主体でやっていないということは実は全くなくて、特に専門的なノウハウが必要な部分について見直していただいていると。それを企業にも少しずつ移行していくという流れがほとんどの取引だと理解しております。ただ、一部不適切なケースがあるというのも認識しておりますので、それについてはしっかり是正してまいりたいと考えております。
 
○山川分科会長 ありがとうございます。追加の御質問あるいは補足の御回答を希望される場合があるかもしれませんが、申し訳ありませんけれども時間の関係で、今、御質問いただいていない委員の皆様も含めて、もし何かありましたら終了後事務局にお伝えいただいて、回答を事務局からお伝えいただくということにさせていただければと思います。それでは、今お手の挙がっている方で、オンラインの大谷委員、お願いいたします。
 
○大谷委員 お世話になります。育成会の大谷です。障害のある方が働く場所が増えるということについては賛成いたしますが、この度書いていただいている内容については、協会が何をするかというものがほとんど見えてこなくて、企業側のものをああだこうだというようにしか読めないので、その辺がちょっと気になりました。それで、1の所で地方のほうでやればというような雰囲気もあるのですが、地方で何をするのか、農業をやるのか。農業にしても今、地方も大変な状況で、確かに空き地はあっても農業で本当にできるのかと。それと、3番と4番のことについては、ビジネスをどうしたいのかというところが見えてこないです。全体像として協会が何をやりたいかというものがうかがえない状況下にあります。ですので、これをやりたいとか、これに向かっていますというはっきりとしたものが見えてこない状況下にあります。
 それと、算定の問題で、企業名を公表する公表しないという問題以前に、雇用として考えてある以上はどこからどの方が来ているということを発表するのがなぜ駄目なのか、そこのところが腑に落ちないです。ちゃんと雇用するという形で考えて、ビジネスとしても形態がなされているのであれば、別にそこの企業さんの名前が出ても何の問題もないと思うのですが、なぜここでこのような文章があるのかなというのが気になります。
 それと、何のために寄与されるか。本人のためであるのだったら頑張っていただきたいと思います。一つの新しい就職場所として考えていただけるのであれば、全体的に頑張っていただくことは大事ですが、もう少し内容を精査されないと、これではそこにいる本人さんがどうなるのか先々が見えません。ちょっと何かあれば2年後にはどこに行くか分からない、1年後にはどこに行くか分からない。路頭に迷うような状況にならないような仕組みづくりであれば賛成はできるかと思うのですが、現状ではそこはまだ見えてこないということがありますので、ちょっと不信に思うのはその部分です。以上です。
 
○山川分科会長 西村様、何かございますか。
 
○一般社団法人日本障害者雇用促進事業者協会西村氏 大谷委員の本当に貴重な御意見、本質を突かれた御意見だと思っております。御本人が安心してしっかり活躍できているのかと、こういうことについて我々の取組がまだまだ不十分で、世の中には伝わっていないという御意見だと思っておりますので、今の大谷委員の御意見はしっかりと受け止めて、事業の健全化に向けて取り組んでまいりたいと思います。ありがとうございました。
 
○山川分科会長 ありがとうございます。では、影山委員、お願いいたします。
 
○影山委員 プレゼンテーションをありがとうございました。横浜市大の影山と申します。お尋ねしたいことが3点ございます。まず、3ページの「有為な事業活動について」の部分なのですが、成果物を販売するもしくはその加工品を販売するという方向性もあるのではないかなと思います。そのような方向性を担保するために、売るためのルートを開発したり、そのルートを活用するようにクライアントに助言したりしてきたかどうか、これが1点目です。
 農産物や加工品を売るのではなく間接部門と位置付けるということもあり得ると思います。例えば、農産物を受け取った社員のモチベーションとか求心力が上がる、株主のネットプロモータースコアが上がってくる、こういったことはあり得ると思います。ただ、それが示されないと、クライアント企業は先入観で自社では障害者に担っていただく仕事はないと考えている可能性があるので、そういった分析を行って、アドバイスをしてきたのか、これが2点目です。
 3点目は、もしやってきたのであれば、そういったアドバイスを受けたクライアントがどういう反応をしてきたのか。なぜこの点をうかがうかというと、クライアントが望まない分析やアドバイスは行いにくい、雇用ビジネスは好ましくないけれども、活用するクライアントの姿勢にも問題があるということになってくると思うので、お尋ねする次第です。以上です。
 
○一般社団法人日本障害者雇用促進事業者協会西村氏 御意見、御質問をありがとうございます。まず、1点目の「有為な」という所で、販売やそういった活動はしているのか、また支援はしているのかということですが、実績としては複数の会員企業の中で販売を行っていたりとか、実績はあります。協会全体として強く推奨しているというところまでは行けておりませんが、足並をそろえてということです。各社「有為な」という所を重要視していますので、そういった活動は各社なりに実行に移されていて、実績としては出ております。ただ、定量的なものが今はしっかりと明示できませんので、今後そういったことも調査データとして出していけるようにしていきたいと思います。
 2点目ですが、株主に対して配るとか、従業員と交わることによるこういったことの組織内の変化はどのようなものがあるのかと。一つの例で、ネットプロモータースコア(NPS)の評価指標を用いたりしたらどうだという御提案を頂いたと思います。正におっしゃるとおりで、こういった定量的な分析というものをしっかり出していって、効果があるないということを客観視していくということについては、今後取り組んでまいりたいと思っております。ただ、定性的な話にはなりますが、個別の企業の声や従業員の声というのは、各社いろいろな所でネットやホームページに開示しているものがあります。そういった所では、非常にプラスのことに結び付いているケースも多数、実績としてありますので、そういったことは少し整えて出していきたいなと考えております。
 影山委員、3点目はどういったことでしたでしょうか。
 
○影山委員 そういうことをアドバイスしたときに、クライアント企業はどういう反応をするのか。そんな分析やアドバイスは煩わしいというような反応をするのか、それとも、ちゃんと受け入れようとするのかということです。
 
○一般社団法人日本障害者雇用促進事業者協会西村氏 会員企業の中では、企業規模も大きく違うところはあるのですが、今回の冒頭に御説明させていただいた内容についても、会員企業の方といろいろなディスカッションを経て、そういったプロセスの上で出させていただいております。昨今のこういった話題というのは、協会内でも活発な議論が実はなされていて、協会の中でもいろいろな委員会を設けております。そういった中で、例えば昨年の適格事業者認定やアドバイザー研修、そして今、足下で走っているのは、ガイドライン検討委員会というものを協会内で有識者の方にも入っていただいてやっているのですが、そういった議論もオープンにしておりますし、それらのことについては、以前と比べたら会員企業の方々の意識ということについては大分そろってきているのではないかという手応えを感じております。
 ただ、徹底した事業運営がしっかりできているかというと、まだまだ不十分な点や濃淡もありますので、そこは皆様方のお力も借りながら、適正化に向けて努めていきたいと思っております。
 
○山川分科会長 ありがとうございました。では、田中伸明委員、お願いいたします。
 
○田中(伸)委員 日本視覚障害者団体連合の田中でございます。御発言の機会を頂きまして、ありがとうございます。ヒアリングへの対応に感謝申し上げます。障害者雇用ビジネスについては、昨今、新聞数社から問題点の指摘がされている報道もありますし、上野厚労大臣からも一般論としてという御発言ではありますが、指摘がなされているところです。この分科会でも、そういう意味ではしっかりと検討する必要があろうかと考えております。
 検討に当たっては、障害者雇用対策基本方針に立ち返って考える必要があると考えます。その中には、障害のない人と共に生きがいを持って働けるような職場づくりというものが掲げられています。その前提で、利用企業と雇用ビジネス事業者との間の連携は非常に重要になってこようかと思います。その観点から以下、御質問を申し上げます。1点目は、倉知委員や影山委員ともかぶりますが、数字の3番「有為な事業活動について」という所です。この点は法定雇用率の達成のみを目的としていると受け取られないように、しっかりと障害のある方を戦力として見ているということを示す必要があります。そういう意味では、利用企業の経営戦略としてどういう位置付けなのかというところを、ビジネス事業者側と利用企業者側でしっかりと協議して進めていく必要があろうかと思います。そこでお尋ねですが、こういった協議の場あるいは意思疎通の場というのが設定されているのかどうかというところをお答えいただければと思います。
 2点目は6番目ですけれども、「本人主体の制度へ」という所に関係いたしますが、働いている障害者から合理的配慮の提供の申出があった際に、やはり速やかに対応する体制が必要です。この点についても利用企業とビジネス事業者との間でしっかりと情報共有をして、速やかに対応する必要があろうかと思います。この点についても、体制づくりについて現状を御報告いただけると有り難く思います。
 3点目ですが、先ほど申し上げました障害者雇用対策基本方針の中にも、安全と健康の確保という項目が掲げられています。そういう意味では職場環境であったり、非常時の安全対策というところは必要になってこようかと思います。これも雇用契約を結んでいる利用企業側と、職場の現場を預かるビジネス事業者側とでしっかりと情報共有をして、どういう安全対策を講じているのか、職場環境を維持しているのかという辺りを協議する必要があろうかと思います。この点についての現状を御報告いただけると助かります。
 それから、最後ですが、人事異動の関係をお尋ねしたいと思います。先ほどの基本方針にも障害のない人と共に生きがいを持って働けるような職場というものが掲げられています。やはり障害のない人と共に働くのだということがテーマになりますと、ビジネス事業者側で準備した職場のみで長期間雇用され続けているということになると、働く障害者の側で共に働いていけているのだろうかという疑問点も出てこようかと思います。この人事異動、人事交流の関係でも利用企業側との協議の場などがありましたら、御報告いただければと思います。以上です。
 
○山川分科会長 時間の関係で、書面等で補足資料等を提出していただくという方法でも結構ですが、お願いいたします。
 
○一般社団法人日本障害者雇用促進事業者協会西村氏 4つの質問を頂きました。ありがとうございます。どのような利用企業の位置付けとされているのか、最初に取引の段階で協議がなされているのかということなのですが、基本的にはこういったことがとても重要だという理解の下、ここについて会員企業には強く言っているところです。
 2つ目の本人主体の合理的配慮というところは、3つ目の安全、健康の配慮と多分近しいところではあると思うのですが、正にサービス提供事業者が運営する事業所全体の施設の施設管理責任というのは、サービス提供事業者側が負っている形です。一方で、雇用主としての合理的配慮義務や安全衛生の体制については講じる必要があると。ここについては協議をしてやっていくということと、適格事業者認定の設けている制度の中でも、ここについてはどういう役割分担が望ましいのかということを明記しておりますし、今作っているガイドラインにおいても、ここの部分をどういう役割分担で何をどう責任区分するのかということについてちょうど議論をしておりますので、御指摘のとおりここについては隙間が生まれないような形でやっていきたいと思っています。特に震災、要は地震や災害時の緊急時対応のフローや安全対策については、ここも正に両者で協議をして、役割分担を明確にしておくということを進めているところです。
 人事異動については、人事交流ですね。これは、各会員企業も利用企業に強く推奨していて、働く当事者の方が利用企業の本社へ行ったり、基本的には会社のイベントや他社員が受けるような機会というものについては、平等に対応をお願いしたいということを当然のことながらやっておりますし、それができなかったら差別と捉えかねないことにも当然なると思っております。逆に、本社の方や事業部門の方が現場に異動されてくるケースも一部はあります。また、多くではないですが、そういうサテライト型から転勤されていく方、部署異動をされていく方というのも実績としては結構多く出始めておりますので、そういった人事交流は我々も盛んに行われることが望ましいと考えておりますので、今後も推奨していきたいと考えております。
 
○山川分科会長 ありがとうございました。追加の御質問、御回答がありましたら、先ほど申しましたように事務局にお寄せいただければと思います。日本障害者雇用促進事業者協会様、大変ありがとうございました。
 続いて、一般社団法人日本難病・疾病団体協議会様から御説明をお願いいたします。オンラインでの御参加です。よろしくお願いいたします。
 
○一般社団法人日本難病・疾病団体協議会大黒氏 本日はよろしくお願いいたします。一般社団法人日本難病・疾病団体協議会(JPA)を代表して発言の機会を頂きありがとうございます。私は代表の大黒宏司と申します。よろしくお願いいたします。
 JPAは、難病・長期慢性疾患・小児慢性疾患などの患者、家族会、106団体、約17万人で構成される全国組織です。本日は手帳を所持していない難病患者のうち、就労困難性のある個別判定制度の創設及び実雇用率算定について、意見を申し上げます。
 令和8年2月6日に報告された、今後の障害者雇用促進制度の在り方に関する研究会報告書の「手帳を所持していない難病患者の位置付け」にあるように、「本人からの申請により、医師の意見書等も勘案しながら、個別の職業生活への「制限」の程度を指す就労困難性を判定し、一定水準のある場合、まずは実雇用率において一定の算定を可能とする」という方向については、私たちは支持します。
 私たちJPAとしては、具体的な判定方法としては、同報告書の案3である「難病の医療費助成の重症度判定+就労困難性のアセスメント+国が設置する審査委員会による合議」を基本的に支持します。これは例えば難病指定医による判断と、支援職による易疲労性、痛み、免疫力低下等を想定したアセスメント情報を組み合わせて判断材料とした上で、国において審査委員会を設け、合議を経て、就労困難性が手帳所持者と同等以上にあると考えられる者を判定するという方法です。
 さらに具体的には、就労困難性は海外事例を参考にできると思いますので、参考資料のドイツにおける判定方法など、先行例を調査して活用すべきであると考えます。この参考資料は、難病患者の就労困難性に関する調査研究委員会にて示されたものです。ドイツの「同等認定」制度では、障害度の30~40の者の申請に基づいており、その障害像の具体例の中には、軽症のパーキンソン病、潰瘍性大腸炎やクローン病で頻繁に再発して症状が持続する中程度の障害がある場合、また、Ⅰ型糖尿病でコンロトール良好な場合、免疫不全で異常な感染ではないが感染しやすい場合、また、皮膚炎が広がっているなど顔面に広がっている場合、リウマチ性疾患で僅かな影響がある場合などが含まれています。
 ドイツの場合と同様に、個別判定制度では、障害と同等認定の必要性の間に因果関係がなければならないと考えますので、その因果関係を判定できる専門家、例えば難病指定医などの関与が必要と考えます。なお、医師の判定により、仕事をしてはいけない状態と判断された場合の対応、例えば障害年金の適用や手当の新設なども検討する必要があると考えます。また、ドイツの「同等認定」制度では、「障害の結果、同等の取扱いがなければ、適切なポストを得られず、又は維持できない」と確認できれば、「重度障害者と同等の者」と認定するとしています。よってほかの障害者との比較ではなく、同等の取扱いがなければ、一般の人と同様の適切な職業を得られない、また一般の人と同様の適切な職業を維持できないと考えるのが妥当であり、個別の就労困難性はあくまでも一般の方との比較において考えるべきであると考えています。特に易疲労性や痛み、症状変動など、数値化しにくい困難については、実際の就労場面も踏まえた評価が不可欠です。
 難病患者の就労困難性については、「見えない」若しくは「見えにくい」部分があり、また、個別性も大きいので、個別判定制度の創設のための調査・研究においては、当事者の参加、できれば複数人の当事者の参加が必要であると考えます。また、今回、考えられる就労困難性のある方に対する個別判定制度は、新たな制度であるため、実際の運用後に明らかになる課題も少なくないと考えられます。個別判定制度の創設後、障害者雇用率制度の対象から外れた方の中に、就労が困難な状況にある方がいることが判明した場合には、その就労困難性について検討し、制度を改善していく柔軟性を持つことが重要であると考えます。日本においても、難病患者の実態に即した柔軟な制度設計が必要ではないかと考えています。さらに手帳を所持していない難病患者の就労支援において、障害者雇用率制度の適用は非常に重要だと考えますが、その難病患者が働き続けるための支援も並行して実効性のあるものにする必要があると思います。これは雇用主だけではなく、職場の仲間、同僚を含めた企業全体の理解促進の働き掛けが必要であると思います。難病患者への合理的配慮や両立支援の充実は、結果として子育てや介護、治療と仕事の両立を必要とする方を含め、全ての人にとって働きやすい社会につながると考えています。例えば令和8年2月10日に告示された「治療と就業の両立支援指針」も参考に、企業側は通院のための休暇制度、労働時間の短縮、時差出勤、配置転換や業務内容の変更、通院時間の確保、体調に応じた休憩、在宅勤務などの通勤負担の軽減などを、一律ではなくて個別対応できる環境を整えていくことが大切だと考えます。
 次に実雇用率算定については、これまでと同様に初期には手帳を所持していない難病患者を雇用した場合には、身体障害者、知的障害者、または精神障害者を雇用したものとみなす方向から始めることで良いと考えます。その際には、他の障害の影響度も十分に考慮しながら進めていただきたいと思います。
 JEEDの調査研究によれば、確かに健康状態の変動、労務管理の負担、職場環境整備の必要性など、難病患者を雇用するに当たって事業主が懸念されるリスクは様々あると思います。しかし、これらは必ずしも実態に即したものとは限らず、多くは情報不足や誤解に基づいているものともされています。だからこそ難病患者を雇用率制度に含めることで、企業が就労支援のノウハウを積み重ね、難病患者に対する社会的な理解、配慮、支援が一層進むことを期待しています。
 最後になりますが、難病患者の中には働きたいという意思と能力がありながら、支援につながれない方が数多く存在します。今回の議論が病気を抱えながらも安心して働き続けられる社会づくりにつながることを期待し、私からの発言とします。どうぞ引き続き御議論を賜りますようお願い申し上げます。ありがとうございます。以上です。
 
○山川分科会長 大黒様、ありがとうございます。それでは質疑応答に移りたいと思います。御質問がある方は挙手をお願いいたします。先ほどと同様、御発言の際にはお名前をおっしゃっていただければと思います。御質問等はありますか。佐藤委員、お願いいたします。
 
○佐藤委員 お話ありがとうございます。自動車総連の佐藤です。3点ほど、ちょっとお伺いしたいと思います。まず、1点目ですが、3ページにあるように難病患者の方は、疾病ごとの進行性や体調の変動など、疾病特性の違いに加えて個別性も高いという一方、就労困難性については資料に記載されているように「見えない」若しくは「見えにくい」部分があると私も認識しています。その点も含めて雇用主だけではなく、当事者のプライバシーに配慮しつつ、職場の上司や同僚も含め企業全体の理解促進を図ることが重要だと私も理解をしています。この点については、労働組合としても是非協力をしていきたいと考えています。
 その上で、一般的な啓発事業としては難病情報センターも含めて努力されていると思いますが、企業内の理解促進においてどのような支援が望ましいと考えているのかをお伺いさせてください。
 2点目は、協力機関として、ハローワークの難病患者就職サポーターなどに対する要望があれば、併せてお伺いさせてください。
 3点目ですが、資料の中に治療と仕事の両立支援の記載がありました。こうした制度の活用も重要であると考えています。両立支援は本年4月から努力義務になり、ガイドラインが指針に格上げをされたというものの、もともとのガイドラインの認知度が低いということが課題になっていると理解しています。資料に記載されている難病患者だけではなく、全ての方が働きやすくなることが重要だと考えています。現場では、両立支援制度や関連施策の周知、活用状況をどのように受け止めているのか。また、制度の活用促進や安定就労の観点から、どのような課題や必要な支援があるのかというところをお聞かせいただければと思います。よろしくお願いいたします。
 
○山川分科会長 大黒様、いかがでしょうか。
 
○一般社団法人日本難病・疾病団体協議会大黒氏 ありがとうございます。まず、啓発活動というのは非常に大事な部分だと思っています。実際、難病患者さんが働けるという状況であるにもかかわらず、その実態が分からないために働けないという状況があります。最近でも山梨をはじめとする行政における難病雇用枠ができているという状況の中で、少しずつ難病患者さんが働けるという状況で、その難病患者さんが働けるというノウハウがどんどん各地から出てきていると思います。実際、なかなか個別性が高くて、確かに雇用するノウハウはなかなか難しいのですけれども、そういうところからちょっとずつでもノウハウを積み重ねていって、好事例を皆さんで集めていただいて共有するということが一歩一歩の前進であると思いますので、よろしくお願いいたします。
 また、ハローワークの就職サポーターさんも非常に頑張っておられるのですが、残念ながら今はサポーターさんへの支援が数千人レベルで抑えられています。実際、指定難病の患者さんだけでも、100万人以上おられますので、実際そういうことを考えるとサポーターさんの支援を得られているというのは1%未満を切るようになっています。そういう意味でも、やはりハローワークも含めて先ほどありました啓発活動が非常に重要であると思います。また、サポーターさんの支援というのは実績としてはどんどん伸びておりますので、是非、活用いただければと思っています。ハローワークには専門の相談の窓口がありますので、その辺りも含めて就職サポーター以外の方も支援の窓口になっていますので、それも活用していただければと思います。
 また、両立支援の部分ですが、両立支援もそうですけれども、なかなか認知度が上がらないというのは、そのとおりです。これもなかなか難病患者だけではなく、がんの患者さんの両立支援もちょっとずつ上がってきていますので、それらも含めて病気のある方の就労というのを一緒に考えていただいて、一緒に考えて前進していければと思っていますので、全体を含めて、この難病患者の就労を考えていただければ有り難いなと思っています。以上です。
 
○山川分科会長 ありがとうございます。何かありますか。では、もうお一方、倉知委員からお手が挙がっています。お願いいたします。
 
○倉知委員 九州産業大学の倉知です。どうもありがとうございました。2点、質問と1点、ちょっと意見だけ。1つが個別判定の件なのですが、難病患者さんが全てではなくて、難病患者さんの中には障害者手帳を取っている方もたくさんいらっしゃって、その手帳に該当しない項目、手帳で拾い切れない項目に絞って、例えば疲労、変動性、痛み、免疫低下など、そういうところをしっかり見た上で困難性を判断していく。このように私は考えているのですが、それと大黒さんの意見も同じかどうかの確認を1点。病状にこだわっているわけではないということです。
 2点目は、雇用したとみなす方向から始める際には他の障害への影響も十分に考慮しながら進めていただきたいとありますが、これはどういう考慮を求めているのか。これを教えていただきたいというのが2点目です。
 3点目は意見なのですが、運用の見直しという点はすごく大事な視点だと思って、そういうモニタリングをしっかりして、また更にブラッシュアップしていくような、この仕組みは本当に大事だなと思いました。私からは以上です。
 
○山川分科会長 大黒様、御質問の点、いかがでしょうか。
 
○一般社団法人日本難病・疾病団体協議会大黒氏 ありがとうございます。個別判定について、手帳を有しないという部分がということなのですが、確かに倉知先生の御承知のとおり、手帳を持っておられる方もおられるという状況ではあります。その方はその方でということなのですが、残念ながら例えば膵臓の疾患、私は膠原病なのですが、免疫の疾患という部分ではなかなか手帳では拾い切れないという分野もありますので、そういう方たちも含めて、できれば公平に公正にしていくためにはどうすればいいのかという部分だと思っています。その中に、痛みやだるさという部分は非常に大事な話であって、難病では医学的な重症度と障害の困難性が必ずしも一致しないという場合があります。例えば、外見上では軽症でも、先ほど言いました強い疲労や症状の変動によって継続就労が極めて困難であるケースがあります。そのために、医学的所見だけではなくて、実際の就業生活への影響も評価する必要があるために、ある程度、医学的な側面だけではなく、具体的な個別性のアセスメントというのが私たちも必要ではないかと考えています。新しい方法ですが、個別の判定というのが必要になってくるのではないかと考えていますので、是非、御検討いただければと考えています。
 また、他の障害者の影響ということで、私たちも難病患者がその雇用率制度の中に入っていくときに、ほかの障害者の方たちが自分たちの雇用率の部分がどうなっていくのかというのは、心配される方もやはりおられるという状況にあろうかと思います。やはりその辺りで対立関係を生むのはもったいないということですので、私たちの状況も含めて障害者全体のことを踏まえて考えていっていただければ有り難いなと思いますので、是非、皆さん、障害者全体のことで一緒に就労を考えられるような状況にしていただければ有り難いと思っています。以上です。
 
○山川分科会長 ありがとうございました。ほかに御質問、御意見等ありますか。それでは、一般社団法人日本難病・疾病団体協議会様、大変ありがとうございました。
 
○一般社団法人日本難病・疾病団体協議会大黒氏 ありがとうございました。
 
○山川分科会長 ありがとうございます。3団体目ですが、NPO法人全国就業支援ネットワーク様より、御説明をお願いいたします。
 
○NPO法人全国就業支援ネットワーク藤尾氏 皆さん、こんにちは。全国就業支援ネットワークの藤尾と申します。どうぞ、よろしくお願いいたします。ここまで、どなたも鐘を鳴らしていないので、初にならないか緊張しながらなのですけれども、よろしくお願いします。
 全国就業支援ネットワークは、団体の概要にもあります通り、273の事業体の会員を持つ団体になります。その多くが「障害者就業・生活支援センター」いわゆるなかぽつセンター、一部関西だと就ポツ(しゅうぽつ)センターという呼び方をされている事業所の集まりになります。今回、このヒアリングを受けるに当たっては、私、藤尾個人の意見にならないよう、4月の早い段階で役員が集まって協議し、本日の回答をまとめてまいりましたことをお伝えさせていただきます。
 それでは早速内容に入らせていただきます。まず、最初に雇用の「質」についてですが、この件に関しては、項目1、2となっている「質」と代行ビジネスの話が双方に関連をしているので、併せてお話をさせていただきます。まず、役員会の中で冒頭皆さんから質問が挙がったのが、「これは障害者雇用の質についてですか、それとも一般的な雇用の質についてですか」という疑問でした。いわゆる雇用の「質」を考えたときに、「障害者だから」「障害者の場合に限って」このような議論が出てくること自体への違和感が、役員の方々から広く出されました。
 特に報告書における施策の中には入っていませんが、「現状について」という項目を見ると、例えば「戦力として扱われている」といった記述があります。これは、普通に考えれば、雇用していれば当たり前のことだと思います。それをわざわざ「質」として挙げなければならない現状自体が、そもそもおかしいのではないかということで意見交換がなされました。
 その上で、先に代行ビジネスについて、皆さんの意見をまとめたものを挙げさせていただきます。実は、全国就業支援ネットワークとしても、長いことこの課題について協議をしたり取り組んだりしてきました。しかし、今回の報告書を拝見する中で、代行ビジネスについてあれこれと考えること自体が、そもそもの本質を見えづらくさせているのではなかろうかという意見にいたりました。
 どのような形であれ、最終的な雇用の形がどうなっているのかという雇用の「質」にもう少ししっかり特化して考えていくことが、結果としてその質にそぐわないものは自然淘汰されていくような流れになるのではないかという話に至りました。そして雇用の「質」とされていることについて考えたとき、現在は広く様々なものが混在しているのではと考えます。そもそも雇用する上であれば、一般的に当たり前と考えられることは、「質」ではなく担保されることが前提ですから、そこが担保されていなければ是正の対象になるのではないかという意見がありました。
 一方で、将来的に認定制度を見据えた場合に、雇用の「質」ということで何かを取り上げるのであれば、一般の方にとっても障害のある方にとっても、こういったところが担保されていると「働きがい」が生まれたり、将来像が見えやすくなったりするというような、推奨されるべき要素を分けて議論をする必要があるのではないかという結論に至っています。したがって、雇用の「質」を考えるときには、「今是正が必要なもの」「推奨認定の対象になるもの」の二つにしっかりと分けて議論をすることが必要だということを、ここではお伝えしたいと思います。
 その上で、代行ビジネスのガイドラインについては、「あえて協議をしなくていいのではないか」という結論になりました。せっかくガイドラインというお話がでているのですが、ガイドラインを設けるのではなく、先ほどの雇用の「質」のところに一本化をし、そこで働いている方々がどのような形で働いているのかをしっかり見るべきだと考えます。「どのような形で」という中には、先ほどお伝えした「担保されるべきものが担保されているのかどうか」が含まれます。そして、「質の認定」の話で言えば、その先で「優れた取組をされているのかどうか」というところで評価をしていく。そうすることによって、ガイドラインは必要なくなるのではないかという意見になります。
 また、このようなことも危惧されています。「ガイドラインを設けること自体が、『こうすれば使っていいのだ』という誤ったメッセージを発信することになるのではないか」という点です。先ほど、促進協の西村代表からも「皆さんきちんとやっていたのに、これ(代行ビジネス)を使っているのだ」という御説明がありましたが、そもそも「これを使えばいいだろう」という話になってしまい、「きちんとやる」ことなく当初から代行ビジネスを利用することを助長する可能性もあるのではないかということで、ガイドラインを設けることには余り前向きな意見がありませんでした。以上が雇用の「質」に関する話になります。
 続いて、障害者雇用率制度の在り方についてです。難病患者のうち就労困難性のあるという所に関しては、現在進められている内容で進めていただければということで、意見が一致しております。また、精神障害者保健福祉手帳の取扱い、重度及び短時間の取扱いですが、これについてもおおむね現行の方向でということで意見が一致しております。ただ、一方で「短時間でいい」という形が助長されないか、という懸念が意見として挙がっていました。
 特定短時間(週10時間以上)の方がどうやって生活していくのかということに議論が移行した際、その方の生活をどう考えるかという視点が重要になります。このことは障害のある方に限らない話だと思うのですが、雇用保険の加入要件が下がってくれば、当然そういった方は増えてくるのだと思います。一般の方であれば、自分たちで何とかやり繰りしてやっていこうという動きが出てくると思うのですが、そこに働きづらさを抱えた方、障害のある方たちの場合には、自力ではなかなか生活を確保するところまで届かない可能性があるのではないか。そのため、短時間労働の方の生活設計も同時に検討していく必要があるのではないか、という意見を頂いています。
 この件に関しては、ここは労働政策審議会なのでこの場ではないのですが、福祉サービスを利用する方においても、恐らく同じような検討が必要ではないかと思います。その方が「将来どう生活をしていくのか」しっかり検討した上で、この短時間雇用等についても検討していく必要があります。
 そういった意味で言うと、短時間でスタートした方であっても、力があり、更に御自身が希望して「より長い時間働きたい」ということであれば、そこをしっかりと見据えた上での雇用としてでスタートを切っていくことが重要なのではなかろうかということに意見が集約されました。
 続いて就労継続支援A型事業所の取扱いについてです。これに関しては役員一同一致をしています。中にはA型事業所を運営されていて、報奨金を受給している法人さんもいらっしゃいましたが、意見は一貫しております。就労継続支援A型は障害福祉サービスに位置付けられているので、雇用率の算定対象としたり、納付金、給付金の対象としたりすることは適切ではないのではという意見です。また、事業協同組合の算定特例等についても、一部非常によろしくない形態のものもあると我々も認識しておりますので、認めない方向がよいのではないかということで、意見が一致しています。
 最後に、100人以下の事業主の方へ対象を拡大することに関してです。これについては、一部で賛否がありました。ただ、実際になかぽつセンターは雇用支援も行うため、皆さん中小企業の方といろいろと意見交換をする場面があります。障害者を雇用している中小企業の皆さんのお話を聞くと「多くの方々は我が事として捉えていない」という回答が多い現状があります。本来であれば、雇用率が動機付けとなって、障害者雇用に取り組み「やれた」というその先の結果につながっていくのだと思います。しかしながら、納付金が課されていない事業規模の皆さんの多くにとっては、優先順位が低くなっていると考えます。ですから、納付金を課すことが経営を非常に圧迫をするかもしれませんし、そのこと自体ができないと反発を招くかもしれませんが、まずは「自分たちのこと」として目の前に置いてもらう機会とするために、納付金を課す方向で動くということで一致しています。
 また、これについては、令和6年度にスタートした「相談援助助成金」の取扱いがどうだったのかを精査をして、今後の展開も同時に考えた上で、より有効な方法とセットで進めていかれてはどうかということで、意見が一致しております。私からは以上となります。ありがとうございました。
 
○山川分科会長 藤尾様、ありがとうございました。それでは、ただいまの御説明についての質疑に移りたいと思います。御質問等のある方は挙手をお願いいたします。また、御発言の際にはお名前をおっしゃるよう、お願いいたします。御質問等はありますか。では影山委員、お願いします。
 
○影山委員 御説明、どうもありがとうございました。横浜市大の影山と申します。よろしくお願いします。2ページの「より良い雇用としての評価指標」と、3ページの雇用ビジネスの件で、それぞれ1点ずつ教えていただきたいと思います。まず、評価指標のところで、付加価値を生み出しているかどうかを確認するという話が出ていました。重要な御指摘かと思うのですが、付加価値というのは経常利益や人件費などを足して算出するので、量的な尺度であり扱いやすいような気がします。一方、例示されている明確なキャリアパス等は質的な尺度、場合によっては名義尺度になってしまって、これを併せてどういう分析というか、手法で関連を明らかにするのかイメージが湧かなかったので、その点をお考えでしたら教えてください。
 3ページですが、2番目の雇用ビジネスの点の第2パラグラフです。企業が目指すべき雇用の到達点に至るまでのプロセスと考えるべきであるという御指摘ですが、そこに付帯条件をお考えなのかどうか。例えば一定の期間を課し、この期間内に本格的な雇用に移ってくださいとか、何らかのアセスメントを行って、そのアセスメントに従って本社に戻すとか、そういう付帯条件をお考えでしたら教えてください。以上です。
 
○NPO法人全国就業支援ネットワーク藤尾氏 ありがとうございます。今、2点ご質問を頂いたのですけれども、まず1つ目についてです。私たちが障害のある方の就職支援をしている中で実感するのは、皆さん求人票をしっかり見られているということです。例えば「正社員登用があるかないか」とか、「何歳になったら幾らぐらいの給料になっているか」というようなことです。やはり「働く」というのは単に作業をすることではなく、それを通してその先の将来の設計をしていくということなので、そのイメージが湧くかどうかが大事になります。むしろ具体的な内容については、こういった政策審議会で皆さんにご議論していただきたいと思います。単に障害者を雇用するということではなく、その方が「将来どのように生活していくか」ということを選択できるところまで、しっかりと見据えたものになっているといいのかな、ということが意見として上がっています。明確に何かを検証したデータがあるということではないので、この点については御容赦いただければと思います。
 それから、代行ビジネスをプロセスとして上げた点についてですが、重要視していることは、最終的に「どのような雇用になっているか」ということになります。これは一部の例になりますが、千葉県でも農業系の所で2年間雇用企業をサポートして、その後に自立をしてもらうという形態のものが中にはあります。なので、時限的に代行ビジネスを利用して、その後の雇用が質を担保されたものになるのであれば、企業の選択肢として私はありだと思っています。先ほど意見のあった、コンサル的な役割についても同様です。ただし、代行ビジネスの利用が継続的に続いていくという事ことには反対です。最終的にはしっかりとそこから外れて自立していくという意味合いで、このように記載させていただいております。以上です。
 
○山川分科会長 ありがとうございます。ほかに御質問等はありますか。倉知委員、どうぞ。
 
○倉知委員 御報告、ありがとうございます。九州産業大学の倉知です。3ページの雇用ビジネスのガイドラインの件です。私としては要るのではないかと思っています。例えば今、雇用ビジネスの実状はすごく見えにくくなっていて、また年間2,000人ずつ増えて影響が非常に大きく、ガイドラインを明確にすることで見える化して、あるべき姿や雇用の「質」をどう高めていくかと。そういうように雇用代行にしないというメッセージを入れていかないと、どんどんどんどん見えなくなって、大きくなっていくのではないでしょうか。そういうことがあって、私はガイドラインが要るのではないかと思っているのですが、いかがでしょうかというのが1点目です。
 もう一点は、企業支援の一層の強化というのは正にそうです。雇用相談援助事業を改めて見直す必要があるということと、例えば企業支援にはどのような仕組みや支援、制度があったらいいかなど、何か御意見があればお伺いしたいと思います。以上です。
 
○NPO法人全国就業支援ネットワーク藤尾氏 倉知委員、ありがとうございます。まず1点目のガイドラインについてですが、公式な場では少し言いづらいのですが、正直「キリがない」というか、作ったら作ったで、またそこに抜け道ができて、結局その繰り返しになってしまうのだろうとう印象を持っています。ガイドラインというのは、「正しい使い方」であり、「使うことを前提」としたものになりますよね。その前提で何かを作っていくことが本当にいいのかというところがまず1点目の疑問です。
 その意味では、ガイドラインに盛り込みたい内容を前段でお話した雇用の「質」というところで一本化して、「障害者雇用であれば、こういったことが担保されていることが重要です」という方向性をしっかりと作り込むことこそが重要だと思っています。要は、それに即してやるということになれば、それは結果的に代行ビジネスのガイドラインが目指すところの「不適切な代行ビジネス」を利用することの牽制にもつながると思います。代行ビジネスの「正しい使い方」を意味するガイドラインという形態自体が、余り望ましくないかと思っています。雇用のガイドライン、いわば障害者雇用の「質」のところをしっかりと固めて、それに即した形で何か支援策が入るということであれば、そこは利用する企業の自由になってくるかと思います。そのような動きとイコールにできないかというのが、今回、ガイドラインを作らないほうがいいのではないかという、全国就業支援ネットワークとしての意見になっています。
 2つ目の企業支援については、特に0人雇用の企業や、千葉で言うと農園型のビジネスを利用している所が多いのですけれども、そもそもこういった企業は雇用相談に行っていない場合が多いです。例えばハローワークであったり、障害者就業・生活支援センターであったり、地域の企業支援を担当している公的な窓口に、そもそも足を運んでいない所が多いと考えます。まずは「既存の仕組みをしっかり利用してもらう」というのが第一にあると思います。
 正直な話、これまでの障害者雇用は「数」を追い求めることで成り立ってきた経緯があり、残念ながら障害者雇用の在り方やノウハウが蓄積されてこなかったと感じています。それが今、限界にきており、結果として現状の「ねじれ」につながっているのではないかと思います。なので、雇用の「質」をちゃんと考えていく中で「障害者雇用は本来こうあるべき」という形を確立する必要があります。仮に「でもこの雇用率を達成するのは難しいよね、だからこういう代行ビジネスも必要だよね」ということを皆さんが容認(OK)するのであれば、それはそもそも「雇用率そのものがねじれた仕組みを生む制度になってしまっている」ということになります。そうであるならば、制度そのものを抜本的に見直す必要があります。
 ここは確か以前研究会のヒアリングでも、全就としてお伝えさせていただいた点ですが、障害者雇用率が一体何を目指したものなのかということを今一度考えるべきです。単に「数を充足させるためのもの」ではなく、雇用率を一つのきっかけとして、障害のある方も活躍できる場を作っていくという本筋に立ち返る必要があります。よく皆さんから「計算式から出てくる数値なので、数値そのものを変更することはできない」と言われますが、雇用率そのものの在り方をしっかりと見直した上で、企業の中でどう活躍できるかということを支援していく形にしていくのが良いのではないでしょうか。
 端的な例を挙げます。一般の雇用であれば業務を拡張するとか、人が抜けて仕事をやる人が足りないからということで、求人を出すと思います。しかし障害者雇用に限って言えば、いつ何パーセントになるから、あと何人雇わなければいけないという形で求人が発生します。この状況自体が実際問題、企業への支援を難しくしているのです。企業側からすれば「やってもらう仕事がない」ということになるからです。この辺りの構造的な問題を今こそしっかりと検証していくことが必要だと思っています。直接的なお答えになっていないかもしれませんが、私からは以上です。
 
○山川分科会長 ありがとうございます。倉知委員、何かありますか。よろしいでしょうか。ほかに御質問等はありますか。河崎委員、お願いします。
 
○河崎委員 労働側委員の河崎です。今日は御説明、ありがとうございました。私からは障害者の就労支援や定着支援など幅広い業務を行っていらっしゃる、いわゆるなかぽつセンターの方が多く加盟されているということを踏まえて、是非、現場の状況を教えていただきたいと思っています。具体的には、特例子会社も含めた一般就労について、雇用の「質」が高い職場とそうでない職場とでは、どのような違いや特徴があるのか、更に雇用の「質」を改善するためには、どういう支援策が必要となるのかについて、お考えがあれば教えていただきたいというのが1つ目です。
 併せて、障害がある労働者が長く働き続けられるために、職場や企業に共通する特徴などがあれば、教えていただきたいと思います。また、そこに対する公的な支援として、どういったものが必要になってくるのかという点についても、教えていただければと思っております。以上です。
 
○NPO法人全国就業支援ネットワーク藤尾氏 ありがとうございます。今質問いただいた雇用の「質」の高い所と低い所というのは、非常に難しい内容で、どこまでお答えできるかとうところではございますが、これまでの私の経験と仲間との意見交換の中で得られた範囲でお話させていただきます。
基本的には、今回取り組まれているような「戦力化」、つまりしっかりと業務を担っている職場においては、御本人たちも生き生きと働いていて、先ほど後半にあった、実際にそこで長く働くという「定着」にもつながっていると思います。
 一方で、その対極に位置するのがどういった環境になってくるかというと、「自分がここで働いている意義があるのだろうか」という疑念を抱かせてしまうような業務内容の職場になります。ナカポツセンターの皆さんと意見交換すると、よく出てくる話として「忙しい職場は、あまりトラブルが起きないよね」というのがあります。仕事がなくて空き時間の多い職場のほうが、かえってトラブルが起こりやすい傾向があると感じます。したがって、やはり仕事がしっかり用意されており、自分の達成感や自己成長をしっかりと実感できること、また他者と協力して仕事を進められ、その職場が自分の居場所としてしっかり認められていること。これらが担保されている職場が、私たちの考える「質の高い雇用」につながっていると考えております。
 そういった意味で、企業の方々ができる最善の策は、出社した際に明確な役割があり、その役割が企業の活動にしっかりと寄与し、さらにその成果が本人にフィードバックされるという一連の流れを構築することになると考えます。こうしたサイクルがある職場が、質の高い職場ではないかと考えております。以上です。
 
○山川分科会長 ありがとうございました。ほかに御質問等はありますか。ないようでしたら私のほうから。質問事項の中で、ガイドラインの創設については御意見を頂いたところですが、利用についての報告を求めるという点も質問事項に含まれております。いかがでしょうか。
 
○NPO法人全国就業支援ネットワーク藤尾氏 ありがとうございます。ガイドラインの話の前に役員の間で意見交換があったところでは、一定の報告を求めるのはいいだろうという話になりました。ただ、何を定義として代行ビジネスと捉えるのかというところにかなりの時間を割いたり、その項目の精査が必要かと思うのです。ここがずれてくると、そもそも報告事項が意味をなさなくなるので、やるのであればその定義をしっかり明確化していくというところとセットでないといけないという意見が出ていました。
 もう一つ意見としてあったのが、報告を課すことによって、これは報告しなければいけない内容なんだねということを、利用企業に対して促す効果はあるかもしれないということで意見がありました。以上です。
 
○山川分科会長 ありがとうございます。ほかにはよろしいでしょうか。それではNPO法人全国就業支援ネットワーク様、大変ありがとうございました。
 
○NPO法人全国就業支援ネットワーク藤尾氏 ありがとうございました。
 
○山川分科会長 これで本日の3団体からのヒアリングは終了しました。私のほうで少し質疑応答のやり取りを急がせてしまったこと等もありますが、先ほどの質疑応答の中で特に続けてお聞きしたかった、あるいはお答えしたかったということがありましたら、挙手をお願いしたいと思います。補足的なことは先ほど申したように、書面でのやり取りも可能ですが、本日のところは何かありますか。
 進行に御協力いただきまして、大変ありがとうございました。では、本日はこの辺りで終了したいと思います。御発表いただいた3団体の皆様、大変ありがとうございました。大変有益な御発表を頂いて、熱心な質疑応答がなされたと考えております。では、次回の日程等について、事務局から説明をお願いします。
 
○原田障害者雇用対策課長補佐 事務局です。次回の日程については分科会長と御相談の上、皆様に御連絡させていただきます。以上です。
 
○山川分科会長 本日は御多忙の中、大変ありがとうございました。これで終了いたします。