第1回医療法人情報の第三者提供に関する専門委員会 議事録

日時

令和8年5月22日(金)16:00~18:00

場所

航空会館 501+502号室
(東京都港区新橋1丁目18-1)

出席者

委員(五十音順、敬称略)
荒井 耕    国立大学法人一橋大学大学院経営管理研究科 教授
五十嵐 邦彦  銀座公認会計士共同事務所 公認会計士
伊藤 伸一   一般社団法人日本医療法人協会 会長
今村 英仁   公益社団法人日本医師会 常任理事
遠藤 久夫   学習院大学 学長
角田 徹    公益社団法人日本医師会 副会長
北山 昇    森・濱田松本法律事務所外国法共同事業 弁護士
寺島 多実子  公益社団法人日本歯科医師会 常務理事
野木 渡    公益社団法人日本精神科病院協会 副会長
野口 晴子   早稲田大学政治経済学術院 教授
本田 文子   国立大学法人一橋大学大学院経済学研究科・社会科学高等研究院 教授
本田 麻由美  読売新聞東京本社編集局 編集委員
松原 由美   早稲田大学人間科学学術院 教授
村田 磨理子  公益財団法人統計情報研究開発センター 主任研究員

議題

  1. 委員長の選出
  2. 医療法人情報の第三者提供制度について

議事

○医療法人支援室室長 定刻となりましたので、ただいまより「第1回医療法人情報の第三者提供に関する専門委員会」を開会させていただきます。委員の先生方におかれましては、お忙しい中、御出席くださいまして誠にありがとうございます。
 議事に入る前に、本来であれば委員の皆様方の御紹介と事務局の紹介をさせていただくところではございますが、お時間の関係上、委員名簿及び厚生労働省出席者名簿の配布をもって紹介に代えさせていただきます。また、本日は、松原委員から遅れる旨の御連絡を頂いております。
 まず、はじめにオンラインで御参加の方へ、御発言の仕方などについて御説明をさせていただきます。御発言の際には「手を挙げる」ボタンをクリックし、委員長の指名を受けてから、マイクのミュートを解除し、御発言いただくようお願いいたします。なお、「手を挙げる」ボタンがない場合には画面に向かって挙手をお願いいたします。発言終了後は「手を挙げる」ボタンをオフにするとともに、マイクをミュートにするようお願いいたします。また、委員長から議題などに賛成か異議がないかどうかの確認の際、賛成の際には「反応」ボタンをクリックして「賛成」ボタンをクリックするか又はカメラに向かってうなずいていただくことで「異議なし」の旨を確認させていただきます。本日、この場に対面で御出席いただいた委員の皆様方におかれましては、御発言の際に挙手をしていただき、委員長の指名を受けてからマイクをオンにして御発言いただくようお願いいたします。
 まず、事務局を代表いたしまして、医政局長の森光より御挨拶申し上げます。
○医政局長 医政局長の森光でございます。本日は、委員の皆様方におかれましては、大変お忙しい中、御出席を賜りまして誠にありがとうございます。また、平素より医療行政の推進に御尽力を賜っておりますこと、重ねて御礼を申し上げます。
 これまで、医療法人の皆様の御理解と御協力を頂き、国及び福祉医療機構で経営情報をお預りしてデータベース化する取組を進めてまいりました。昨今の物価高や賃金上昇に直面している医療現場の実態を表す大変有用なデータとして活用し、先般の補正予算編成や診療報酬改定に大いに役立てることができました。改めて御礼を申し上げます。
 本委員会は、こうして得られた有用なデータを個人及び法人の権利・利益を侵害されない前提として、国民共有の財産として公益性のある研究に役立てていただく制度を安全かつ円滑に運営をするために設置いたしました。高齢化や医療の高度化により国民医療費が増加する中で、持続可能な医療提供体制を構築するために、医療が置かれている現状を国民の皆様に丁寧に説明し、理解していただく必要がございます。そのために、引き続き、我々政府の立場からデータに基づいた正しい情報を発信してまいりますが、学術研究、教育の分野でも医療の現状について分析が進み、その成果が発信されていくということは大変意義深いものと考えております。本日、御出席の皆様におかれましては、是非、この制度がより良いものとなりますよう、それぞれの御専門のお立場から、是非、忌憚のない御意見を賜りたいと考えております。これからどうぞよろしくお願いいたします。
○医療法人支援室長 次に、お手元の資料の確認をさせていただきます。本日の資料は、上から議事次第のほか、資料1、設置要綱、資料2、医療法人情報の第三者提供制度について、参考資料として医療法人の経営情報のデータベースの在り方に関する検討会の報告書を2点御用意しております。資料の不足等がございましたら事務局までお知らせください。
 続いて、議題の1つ目、本委員会の委員長についてお諮りしたいと思います。委員長は、委員の互選により選出したいと存じますが、社会保障審議会長をはじめ、社会保障制度に関する審議会の委員長を歴任されてきた遠藤委員に、この度もお願いしたいと思いますが、皆様いかがでしょうか。御異議はございませんでしょうか。
                                  (異議なし)
○医療法人支援室室長 ありがとうございます。それでは、皆様方に御賛同を頂けましたので、遠藤委員に委員長をお願いしたいと思います。遠藤委員におかれましては、お席を御移動の上、委員長として以降の議事運営をお願いいたしたいと存じます。よろしくお願いいたします。
○遠藤委員長 ただいま本委員会の委員長を仰せ付かりました遠藤でございます。委員の皆様方の御協力を頂きながら、当委員会の円滑な運営に努めていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、早速、議事に入る前に1つ、ルールについて御確認いただければと思います。まず、団体を代表して御参加いただいている委員の方が御欠席の場合の代理出席の方法についてお諮りしたいと思います。代理出席をされる場合には、事前に、事務局を通じて委員長の了解を得ること、当日の会合において承認を得ることによって、代理出席をされる方を参考人としてお認めして御発言を頂くことを認めるということにしたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしいですか。
                                  (異議なし)
○遠藤委員長 ありがとうございます。それでは、議事に移ります。資料2、医療法人情報の第三者提供について、事務局から関連資料の説明をお願いいたします。
○医療法人支援室室長 資料2、表紙が青く横長の資料です。「医療法人情報の第三者提供制度について」を御覧ください。1枚おめくりいただいて、右下のスライド番号にページ数が入っております。見出しに医療法人の経営情報のデータベース(MCDB)に係る第三者提供制度の概要です。この基本的な考え方としては大きく2つあります。1つ目は、医療法人の経営情報のデータベースは「国民共有の財産として有効活用されるべきであり、研究目的等のためにデータを利用する第三者への提供制度について検討が必要」ということが、今までの検討会の報告書で確認されております。ただ、その際に医療法人情報には、医療法人の競争上の利益を侵害するおそれのある情報等が含まれていることに留意し、個人及び法人の権利利益が侵害されない程度とするとなっております。この2点を基本的な考え方として決めていくことになっております。
 この第三者提供制度といったときに、その下の「施行予定の仕組み」として、3つ要素があります。1つ目は、オーダーメード集計と申しまして、個々のデータではなくて、それを研究者の申請者からの依頼に応じて集計をして、その結果を出すというオーダーメード集計。2つ目として、本日御議論いただく医療法人情報の提供、個別のデータを提供する仕組み。その際には、再識別を防止するとか、安全管理措置をきちんと図ってもらうとか、こういうことを全部セットにして第三者提供制度と申しております。その中で、特に2つ目の医療法人情報の提供について御議論を頂くというのが、本会の目的です。
 2ページ目を御覧ください。上のほうに、左から右に流れるスケジュールがあります。本日はもう5月に入っておりますが、5月、6月ぐらいにかけてになると思いますが、ガイドラインの策定に向けた検討を行っていただきまして、この専門委員会で、こういうガイドラインにしようということの御承認を得られましたら、そのガイドラインに基づいて、個別の申請内容をこの専門委員会でも審議いただくことを予定しております。具体的にガイドラインの検討に際して、どういうことを盛り込む必要があるのかということで、下に3つ大きくあります。
 1つ目は、医療法人情報には個別の医療機関の経営情報が入っておりますので、最初に申し上げたように、個人及び法人の経営利益が侵害されない制度に向けて、「匿名化処理基準」をどのように匿名化するかという、この策定の考え方をガイドラインに盛り込む。
 2つ目ですが、医療法人情報を利用する必要性、意義、有用性等及び相当の公益性がある場合に提供するとなっておりますので、この相当の公益性をどのように確認するか。3つ目としては、安全管理措置や手数料、諸々そういったものが妥当かどうかということもこのガイドラインの中に盛り込んでまいります。
 3ページです。今、大きく3点申し上げましたが、このことにつきましては、これまでのMCDBの検討会がありまして、その検討会の報告書の中で、方向性はもう既に出ております。3ページ目の太字部分の2行目、「以下の事項を第三者提供に係るガイドラインに定めるべきである」とあり、相当の公益性として、下に3つ並んでおります。医療法人情報を提供することによって「学術研究の発展に資する」、あるいは「教育の発展に資する」、「医療提供体制の確保に資する」ということです。例えば、医療提供体制の確保に資するというのは、自治体がこの情報を使って地域の医療提供体制を考えるなど、そういうことを考えております。こちらを「公益性」とまとめまして、ガイドラインに規定することになっております。
 4ページ目を御覧ください。2つ目として、安全管理措置につきましても、これまでの検討会の報告書の中で、ここに書かれているようなことをまとめております。太字の所だけ御覧いただきますと、「オンサイトセンター」と書かれておりますが、オンサイトセンターというのは、医療法人情報を実際に利用する場所を、データベースを管理している福祉医療機構「WAM」の中に作りまして、その中で利用していただくように、安全管理をしっかりと担保した場所を福祉医療の中に設けますが、それを「オンサイトセンター」と呼んでおります。そのオンサイトセンターを作って、医療法人情報の提供を原則としてオンサイトセンターで受けることとする。ただし、公的機関等又は公的機関等からの委託・補助を受けて行う研究者等は、安全管理措置が確認された自施設又はオンサイトセンターにおいて医療法人情報の提供を受けると書いており、安全管理措置につきましても、このような方針を、これまでの検討会の中で確認しております。
 5ページです。3つ目は、本日、特に御議論いただく内容として、再識別防止があります。太字部分の1つ目のポツです。医療法人情報を提供する情報は、研究目的に照らして必要最小限の範囲に限定するとともに、直ちに特定の個人や医療法人等の識別につながる情報は提供しないこと。例えば、法人名や個人名、医療法人整理番号、医療機関コード等は提供しないことです。また、研究目的のオーダーメード集計によって達成できる場合は、オーダーメード集計の結果を提供し、医療法人情報は原則として提供しないこと。こうしたことを今までの検討会で報告して確認しております。
 特に赤い太字部分の「直ちに特定の個人や医療法人等の識別につながる情報を提供しない」という、匿名化をどのようにするかということを主に、本日御議論いただく内容になっております。
 6ページです。改めて、医療法人情報とは何かということで、これは医療法の中で定義をしております。青枠の中を囲っている所を御覧いただくと、医療法が定義する医療法人情報は、水色の「法人単位の事業報告書等」と、肌色の「施設単位の経営情報等」を整理した情報ということで、厚生労働省に、この2つの情報が手元にあります。それを整理して、医療法人情報と名付けております。法令上は下のフローチャートのように、医療法人情報の中に法人単位の事業報告書等、施設単位の経営情報等、その他必要な事項となっておりますが、その他必要な事項の中には特に入っておりません。法人単位の事業報告書等と施設単位の経営情報等です。
 7ページです。今、申し上げた水色の部分の「法人単位の事業報告書等」と肌色の「医療機関単位の経営情報等」の中に、それぞれこうした情報が入っていて、これを厚生労働省において整理したものを「医療法人情報」と呼んでおります。詳細につきましては、後ほど出てまいります。
 8ページです。今申し上げた医療法人情報を提供するに当たりまして、どのように匿名化、再識別防止を図るかという基本的な考え方をここに記載しております。再識別防止の基本的考え方として、実際に医療法人情報を提供する前提となるゼロ番を設けております。と申しますのは、研究目的がオーダーメード集計によって達成できる場合は、オーダーメード集計の結果を提供することが大前提になって、それでも、オーダーメード集計が達成できないという場合に、医療法人情報を提供する。※に「オーダーメード集計は、匿名化処理をする前のデータをもとにして集計を行う」と書いてあるのは、これから申し上げるように、医療法人情報を提供する場合は匿名化措置をすることになります。ただ、オーダーメード集計の場合は、そうした匿名化を識別されるおそれがありませんので、集計しますので、匿名化する前のデータをもとにオーダーメード集計をして提供するということになります。
 原則の1、匿名化処理です。①法人名、医療機関コード等、直ちに識別につながる情報は空欄化する。②住所、病床数、役員数、職員数など、識別につながりやすい情報は匿名化する。匿名化するというのは、空欄にするという意味ではなくて、その下に※が3つありますが、例えば、住所は都道府県単位にするとか、病床数は何床刻みにするとか、役員数や職員数などは、何人以上何人未満という階級化にするなど、ひっくるめて匿名化と申しております。③損益計算書の金額についても匿名化します。例えば金額を丸める。あるいは上限値・下限値を設定して、それを超える、あるいは下回る場合については、何円以上何円未満と置き換えることを想定しております。
 そうした匿名化処理をしても、2番ですが、経営情報等と他の情報を連結して提供するという仕組みがありますので、その場合には、更に匿名化を行う。それはどういうことかと申しますと、下のフローチャートを見ますと、左に事業報告書等の水色の部分があって、右に経営情報等があります。これを連携させた情報を提供した場合に、水色の「事業報告書等」というのは、もともと医療法人が都道府県に報告をして、都道府県で閲覧することができる情報になっております。ですので、水色の部分は、いわば公表情報です。それを都道府県を通じて厚生労働省に出していただいてデータベース化しているものです。
 一方、右の経営情報等は、そうした閲覧をすることができない情報で、それを結び付けて提供した場合に、矢印が出ておりますが、例えば、事業報告書の法人資産額の65億4,321万円というのが、もし出て、それは公表データですので、検索等すれば識別できると。そうしますと、それとつながっている経営情報等が、本来は非公表で分かってはいけない数字ですが、どこの法人のどの病院のデータか分かってしまいますので、水色の部分は公表情報であるのですが、一緒に匿名化をして出すということが原則の2番目です。
 そうした処理を行っても、3番目、やはり、識別につながるかどうかというのは、最終的には個別にこの専門委員会で審査を頂きますので、その際に、こういう出し方をするけれども、識別につながるかどうかを判断していただく、審査いただくということを原則としたいと考えております。
 9ページです。今の中で、前提としてオーダーメード集計で対応可能な場合は、こちらで対応するということで、下の表で、医療法人情報提供とオーダーメード集計の違いということでイメージを書いております。上の表に、「医療法人情報の提供」とあります。もちろん病院名などは匿名化するのですが、A病院の収益が200億円で収支差が6億円という個別の数字が出ます。それをもとに、研究者が集計をして利益率何パーセントと出します。
 一方、右側の②を見ますと、もっと具体的に、何々加算届出病院の経常収支データを個別に出してくださいといったときに、匿名化しても、こうした届出病院というのは、かなり限定される場合があって、そうした場合、この加算を出している病院は、あそこの病院だよねということが分かってしまうのであれば、医療法人情報の提供のスキームでは、空欄化にすることになります。そうすると、利益率が計算できない。
 ただ、その下の表にあるようなオーダーメード集計で、最初からこういう利益率を計算してください、あるいは加算届出病院の利益率を計算してくださいということであれば、こちらのほうで正確に計算をして御提供できるという違いがあると考えております。
 10、11ページが、具体的にこの経営情報等の中にどういうデータが入っているかというのを示しております。10ページの左を御覧いただくと、基本情報として、正に、どういう法人名なのか、医療機関コード、病院名、診療所名等、見れば直ちに分かってしまうものも入っております。それと併せて、損益計算書がかなり詳細な収支のデータが入っております。
 11ページを御覧いただくと、職種別の給与情報が、詳細の識別にどういった給与で、人数で、1人当たり幾らの給与費になるのかというデータが入っております。
 こうしたデータを実際に厚生労働省のほうで整理して、第三者提供制度にするということです。
 12ページを御覧いただくと、別の観点ですが、厚生労働省のほうで整理して、提供するといいますが、どこまでのデータがどのタイミングで提供できるのかという流れをまとめたものが12ページです。左上の表に、例として、2024年度中決算法人というのがあります。医療法人の決算月というのは、必ずしも厳密に年度単位ではなくて、何年何月決算法人とバラけております。例えば、2024年4月の決算法人があったとすると、3か月以内にそのデータを提示するということになっておりますので、7月末までです。その後、データベース化します。紙で出てくるものですので、それを電子化するということで、データベースの集積が9月、10月、11月ぐらいまで掛かって、その後、データクリーニングしてということです。例えば、4月決算法人であっても、1年弱掛けて最終的にデータクリーニングが終わるという流れです。これがそれぞれの決算法人ごとにあるとすると、2024年度は、2025年3月決算法人が最終的にまとまるのが、2026年2月から3月ぐらいとしますと2024年度中の決算法人の最終的にまとめてクリーニングが終わるのが、1年後ぐらいになります。そうしてまとまったデータを、この提供対象にするということを考えております。ちなみに、研究者の先生方はどのようにクリーニングしているかということは、正確に知る必要があると思います。どういうクリーニングをするかということも併せて明記する必要があるかと考えております。
 13ページです。その上で、医療法人情報の中で、真ん中に赤枠で囲ってありますが、「施設単位の経営情報等」をどのように匿名化するかという案です。赤い点線で囲ってありますが、その下に3つ、基本情報、損益計算書、職種別給与情報があります。その右側にそれぞれどういう内容が入っているかを示しており、直ちに識別できる情報が含まれているかどうかで申しますと、基本情報には入っていて、それ以外には入っておりません。ですので、この右側を御覧いただくと、基本情報の中に入って、直ちに識別できる情報は空欄化する。それ以外は、住所は都道府県までにするとか、役員数率は階級化するとか、損益計算書及び職種別給与情報につきましては、それを見て直ちに匿名はできないかもしれませんが、そこに書いてあるように金額を丸めるとか、上限値・下限値を超える金額は置き換える。また、職種別人数については階級化するという匿名化をしてはどうかという案です。
 今申し上げたことが14、15ページに、経営情報等のそれぞれの項目ごとに、どういう匿名化をするかということを書いております。14ページが基本情報と損益計算書、15ページに職種別給与等情報の匿名化の案が書かれております。
 16ページです。今申し上げたのは、施設単位の経営情報等ですが、それと、公表されている法人単位の事業報告書、公表というのは、都道府県に行って閲覧することができる事業報告書等ですが、それを組み合わせた場合に、事業報告書等の下のほうを見ますと、こちらも基本情報、本来業務、医療法人の本来業務というのは、病院・診療所以外にも、例えば、老健施設等がありますので、どういう本来業務をやっているかという情報のことですが、そして損益計算書、これは法人全体でどういう損益になっているかという法人体の損益計算書です。それから、法人としての貸借対照表が事業報告書等の中に入っております。こちらにつきましても、先ほど申し上げたように、水色の部分からたどって経営情報等を把握することができますので、同じように匿名化処理するという案になっております。
 17、18ページまでが、この事業報告書等を匿名化する、それぞれの項目ごとにどのように匿名化してはどうかというものが載っております。
 19ページです。こちらは、今まで出てこなかった話ですが、見出しとして、「経営情報等と病床・外来機能報告を連結させた場合の匿名化処理」とあります。こちらは、医療法人情報と各医療機関が厚労省に提出している病床機能報告、外来機能報告を連結させて提供するということです。上の青枠の下の所に、「医療法人情報の第三者提供制度に関する報告書」の抜き出しがあります。多角的な分析を行うために「病床機能報告」及び「外来機能報告」と連携した情報の提供を求める研究者等については、社会保障審議会において、つまり、この専門委員会ですが、当該情報の必要性を審査し、特定の個人や医療法人等の識別につながらないように十分に配慮した上で提供することとなっております。そうしますと、病床機能報告を外来機能報告と連携させた場合に、こちらの病床機能報告も同じように、先ほどの事業報告書と同じように公表されているオープンデータですので、やはり匿名化しないと、そこからたどることによって識別されてしまうというおそれがあります。
 ですので、20ページを御覧いただくと、病床機能報告と外来機能報告はそれぞれ、ここに書いてある以上に様々なデータがそれぞれ機能報告の中にあるのですが、その中で、ここに書かれているデータについては、経営情報等と連結して提供するようにしてはどうか。ただし、匿名化処理をして提供するということを考えております。
 20ページの一番上の所に、書いてありますが、MCDBの報告項目のうち、病床機能報告・外来機能報告データとの連結で対応可能な下図下線部分については報告不要とし、医療法人の負担軽減を図っているとあります。これは、もともと経営情報等の中で、医療機関の職員数を報告することになっているのですが、職員数はもともと病床機能報告・外来機能報告の中に入っているので、そちらを活用すればいいではないかということが決まっておりましたので、それを引っ張ってきて負担軽減を図っているという事情もあります。
 21~24ページまでは、こちらは細かくなってしまいますので、一つひとつの御説明は割愛いたしますが、病床機能報告と外来機能報告を連結させる場合に、どのように匿名化して提供するかという案を載せております。
 25ページです。もう1つ、提供の依頼がある可能性として、左下の所に、「法人単位の事業報告書等」があります。都道府県に行けば閲覧できるデータではあるのですが、こちらの第三者提供制度を通じて、提供してくださいということも、可能性としてはあり得ると考えております。ただ、こちらを提供して、やはり同じように、どこの法人なのかということが識別につながるおそれもありますので、この仕組みの中で提供する場合には、匿名化して提供したいと考えております。
 今申し上げたようなことを、26ページに、匿名化についての参考にした制度があります。国税庁で納税者の所得情報を申告して、それを匿名化した上で研究者に提供するという仕組みがあります。所得情報ですので、本当に絶対に分かってはいけないものを、どのように匿名化するかということで、例えば、住所は都道府県単位にするとか、上位又は下位をコーディングするとか、あるいは桁数に応じてラウンディングするということで有効数字は2桁にしているのですが、そうした「丸め」をしているという仕組みがあります。これを参考にして、次の27ページです。
 医療法人情報の提供に当たっても、国税庁のラウンディングやコーディングを参考に、例えば、1つ目のポツですが、上位0.5%又は下位0.5%を、何円以上何円未満ということで置き換えるとか、2つ目のポツですが、非常に希なデータについては分かってしまうのであれば空欄化するとか、2つ目にある有効数字についても2桁にしてはどうかと考えております。
 28ページです。そのような匿名化をしても、医療機関の情報として、恐らく、非常に考えられるのが、都道府県別に、かつ、どういう医療機能を持つ医療機関を抜き出して、データを出してくださいといったときに、どの地域で、どういう医療機関かということが分かると、病院名、医療機関名を匿名化したとしても、大体想像がついてしまうということが考えられます。例えば、左上にありますが、都道府県別に300床以上の精神科病院の給与費データを出してくださいと言われたときに、例えば、高知県ですと、そういう病院は1になると、1の病院は当然分かってしまうわけですから、そうした場合は、これは特定につながるために提供しないことにする。島根県も、そういう病院が2つあるといった場合に、確かに2つなので、2つのデータが並んでいたときに、どちらのデータがどっちかということが明らかに分かるわけではない。ただ、あそことあそこで、どっちがどっちなのかということになるわけです。事務局の案としては、研究者に渡す時点ではお渡しする。ただし、それを研究者が最終的に集計をして出す際に、どのように公表するかという時点でリスクがありますので、それは、公表する際に、公表のルールをしっかり定めて、分からないようにするということにしてはどうかということを考えております。
 ここまでが医療法人情報を提供する際に、どのように匿名化して、提供したらいいかという案です。また、提供する大前提として、オーダーメード集計で対応可能であれば、それで対応するという原則があった上で、こうした匿名化をして提供してはどうかという内容になっております。以降は、参考資料で、関係する法令や基礎資料を載せておりますので説明は割愛いたします。事務局からの説明は以上です。
○遠藤委員長 ありがとうございました。同じようなことで、政府が収集したデータを公益目的のために一般に使わせるという試みはレセプトでは既にできて、NDBやDPCデータを匿名化して使う仕組みができていますけれども、これを作るときも匿名化をどうするか緻密な議論がされたわけです。データは違いますけれども類似の内容ですし、本件においても特に本日は匿名化をどうするかについて事務局が原案を出されていますので、それを中心に御意見等を頂ければと思っています。まず、会場に御参加の委員の方から御発言を頂ければと思いますが、オンライン、また会場と戻りますので、今、会場参加の方で何か御意見、御質問等のある先生はいらっしゃいますか。どなたでも結構です。荒井委員、どうぞ。
○荒井委員 1点、非常に根本的なところで苦言を申し上げたいのですが、この医療法人の経営情報のデータベースの第三者提供制度の趣旨がどうかというと、資料2の1ページ目に書いてあるように「国民共有の財産として有効活用されるべき」と、そういう趣旨でこの第三者提供制度というのは作っているわけです。もちろん、だからといって医療法人の諸々の情報が、だだ漏れするのがいいとは思わないのですが、ただ、第三者提供制度の趣旨ができるだけ有効活用させる目的であると考えると、非常にバランスを欠いた仕組みだと思います。検討会でも趣旨を実現する観点から、あくまでも「直ちに」特定の個人や医療法人の識別につながる情報は提供しないこととしたのです。「直ちに」とは何かと言えば、法人名、個人名、医療法人整理番号、医療機関コード等です。
 ところが、今回出してきたのは「直ちに」ではないものばかりなのです。途中の所には、これは直ちに特定されるから除きましょうと最初に書いてあるのですが、それ以外のは全然直ちにではないですよね。検討会の議論を全く無視しているのではないかと思います。いかがでしょうか。
○遠藤委員長 事務局、コメントをお願いいたします。
○医療法人支援室室長 御指摘のとおり前回の検討会の中で、直ちに特定の個人や医療法人の識別につながる情報は提供しないこととなっております。ただ、その前に大前提として、個人や法人の権利利益が侵害されない制度とするとあって、研究者の方が、これはどこの病院、どこの診療所かが分かったときに、要は研究者の先生が分かってしまうことが権利利益の侵害につながるおそれがある。そこは分からないようにすることによって権利利益の侵害につながらないようにする必要はあると考えておりまして、文字通り直ちに分かる情報だけを分からないようにすれば、この権利利益を侵害しないことが守られるかどうかというと、そうではないというのが我々事務局から提案した案です。
○荒井委員 与えられたデータを他の所からデータを持ってきて、一つ一つ突き合わせれば研究者が知り得るという話ですよね。けれども、今回の制度だと公表の前に厚労省が特定できないことを確認した上で公開すると言っているわけです。それぐらいまで担保されているのに、こういう目的で特定の人だけに許可しますという形で与えられたものを、他の所からデータを持ってきて研究者が一つ一つ突合していけば分かるというところまで匿名化を図ることが、今回の制度趣旨とのバランスを欠いているのではないかということですけど、いかがでしょう。
○医療法人支援室室長 今、先生は、追求すれば分かるとおっしゃったのですが、医療法人の情報が非常に難しいのは、例えば個人の情報や世帯単位の情報など一様な情報ですと、それを見てもそんなにパッとどこのことか分かりづらい。ところが、病院や診療所などの医療機関というのはかなりいろんな特性を持った機関があるので、そんなに追求しなくても、先ほど申し上げたように例えば都道府県単位にしてある程度見れば、これってどこの病院のことだとかなり想定が付いてしまうので、医療機関の情報を提供する上での難しさ、あるいは分かりやすさがあると考えております。
○荒井委員 今の話は一般公開したときに、それはかなりのリスクがあるという理解なら分かります。ただ、それはさせないように公開の段階で厚労省が確認するわけです。今、問題になっているのは、公益性の目的のために必要だと認められた研究者が、安全な環境下において分析する段階において努力すれば特定できる。そこまで匿名化することによって研究上の制約が大きくなりすぎると言っているのです。例えば病床数や職員数、これは丸めるとほとんど研究できなくなります。なぜかと言うと、病床当たりの売上高や事業利益、あるいは職員1人当たりの付加価値額が研究上は非常に重要ですが、そういうものを丸めてしまったらほとんど研究できなくなってしまいます。だから、バランスを欠いているのではないかと言っているのです。
○遠藤委員長 御主張は分かりました。今、非常に重要な御指摘を頂いていて、個別の内容ではなく基本的な方針の話です。様々な方策が取られているので基本的には安全であろうから、もう少し匿名化を緩めてもよろしいのではないかと、そういうような御意向だと思いますけれども、この件については重要ですので御意見を承りたいと思います。今村委員、どうぞ。
○今村委員 最初に1ページ目の「目的及び基本的な考え方」で、2つ目の○の「個人及び法人の権利利益が侵害されない制度とする」というのは、基本的に日本医師会としては、たとえ公益性を持って研究する研究者であっても、個人及び法人の個人情報が識別されていいとは、まず考えておりません。先ほど荒井委員は「直ちに」と言われましたが、1か月後に個人や法人が特定されたら1か月は「直ちに」ではないからいいのかというと、これは医療法人サイドからすれば、そこの「直ちに」という部分は、個人情報や法人情報は研究者であろうとも、匿名で決して同定されないことが前提であると考えているところです。つまり、今のレトリックで言うと、「直ちに」でなければ個人情報が特定されてもいいですよねみたいに取れてしまいますけれども、基本的に「直ちに」であろうがなかろうが、ここは個人及び法人が特定されてしまってはまずいと、その旨で今までも議論をさせていただいていると考えています。
○荒井委員 まず、直ちにというのは必ずしも時間軸のことを言っているのではないのです。これは別に法人名とか、本当に見た目で即、その場所ですぐ分かるものは消すのです。だけど、それ以外のものは別に時間が経ったから自動的に分かってくるという話でなくて、他の所から情報を集めてきて突合していけば、研究者が意図的にそういう努力をしたら分かるという話をしているので、すぐにではないけれど1か月経つと自動的に分かってくるみたいな話にも聞こえるのですが。
○今村委員 いや、そこはそう言っているのではなくて、そこは8ページ目で、それこそ、研究者が、ここで言うとある意味、逆引きをしていくと分かってしまうことを含めて、そういう意味では時間だけの話をしているわけではなくて、結果、分かってしまうこと自体が問題ではないですかと申し上げているところです。
○荒井委員 そのことは理解しますけれども、ただ、それをすると研究上の制約があまりにも大きすぎて、この国民共有の財産として有効活用されるべきだということで、わざわざ第三者提供制度を作った趣旨を著しく毀損するのではないかと。そういうことを踏まえて検討会で直ちにということで作ってきたわけで、いきなり急に飛んでいると私は理解しています。
○今村委員 今の件に関しては、そのためにこそオーダーメード集計の仕組みを作ってあると考えておりますので、日本医師会としては決して飛躍はないと考えています。
○遠藤委員長 本件は重要ですので、先ほど会場とオンラインを分けましたけれども、オンライン、会場のどちらでも結構ですので御発言の意思のある方は御意思を示していただければと思います。オンラインの方で何かございますか。角田委員、お願いします。
○角田委員 遠藤委員長、ありがとうございます。今の御議論ですが、この制度は、1ページの大前提を踏まえた上で、5ページの所に「第三者提供に係るガイドライン及び利用規約に定めるべきである。」ということで書かれています。
 大原則は、国民共有の財産として研究目的のため利用されるということは十分理解しております。ただ一方で、個人や法人の権利利益が侵害されない。これは、つまり個人、法人が特定されないということが大前提です。ですから、それをしっかり守っていただきガイドライン上、並びに利用規約には、5ページに書いてあるように、「提供する情報は、研究目的に照らして必要最小限の範囲に限定するとともに、直ちに特定の個人や医療法人等の識別につながる情報は提供しないこと。」と。これは「直ちに」というよりも、特定できないということが極めて重要だと考えています。以下、ここに書かれている4つの項目をしっかりと踏まえた上で、今後、ガイドライン等に明記されるべきと考えています。
 医療法人情報は個人情報ではありませんが、例えばある医療機関で、ある職種の従業員が1人という場合には、当然、個人の給与が報告対象になってしまいます。仮に当該医療機関が特定されてしまった場合には、個人の給与情報の漏えいにつながる懸念がありますので、これは特定できないことを大原則として慎重に進めていただきたいと思います。私からは以上です。
○遠藤委員長 ありがとうございます。会場で御発言の御意思のある方、いらっしゃいますか。本田麻由美委員、お願いします。
○本田(麻)委員 ありがとうございます。素人の立場で、それもこれまでの議論の経緯をさらっとしか知らない立場で説明を受けたときにすごく感じたのは、すごく慎重にしなければいけないことは理解するのですが、ちょっとあまりにも慎重な部分があるなと感じたのは事実です。バランスをどう取るのかというのがここの一番の本質なのだと思いますけれども、私が思ったことを具体的に申し上げると、例えば看護師の給与や働き方を考えたときに、介護職員の人数などを全部階級化して、例えば5人刻みとか10人刻みにすると、実際の給与基準がどれぐらいあるか、働いている時間がどれぐらいあるかということを調査して、これから看護職がちゃんと定着できるようにしていくことを研究したい際に、とても微妙な数字しか出てこなくて、それって意味のある研究になるのかどうかも分からないと感じたのは事実です。
 例えば、分かってないかもしれませんが、規定の基準の日に人数が何人だったとしても、すごく上下するものだと思うので、その人数を明確にしてもそれが特定に関係するのだろうかと感じたり、個別に考えるとそこまでやらなくても大丈夫なものと、ある程度は仕方ないものがあるので、もう少し踏み込んで考えてもいいのかなと感じました。ただ、どれがどうで、これがこうでというのは私は専門家でないので言えないのですが、初めてと言ったら失礼かもしれませんけれども、初めて接してみて感じたとことを発言させていただきました。
○遠藤委員長 オンラインでお手を挙げている方がいらっしゃいますが、今の発言に対する直接的なコメントだと推測しますので、今村委員にお願いします。
○今村委員 正に今の本田委員がおっしゃった部分を集計できるのが、オーダーメード集計になっています。それは研究者のほうが、オーダーメード集計で「こういった部分で」という細かいところを出していただければ、これは厚労省のほうでオーダーメード集計としての結果、そして、今、本田委員がおっしゃったような結果を基に、ただし、ここは匿名化されない形で出てくることになっていると、今までの議論を、日本医師会として理解しているところです。
○遠藤委員長 今の関連で荒井委員、お願いします。
○荒井委員 先ほどもおっしゃっていた、オーダーメードの仕組みがあるのはそうですが、オーダーメードの仕組みでは対応できない研究がたくさんあるわけです。例えば先ほどの職員1人当たり、あるいは看護師1人当たりの事業収益や付加価値といったものを見て、それに対してどういう要因が影響しているのかという回帰分析をしたり、そういう統計的な検証をしたり、それをオーダーメード集計によってやってくれるわけではないのです。だから精度の高い政策のための知見を得ようと思ったら、オーダーメード集計では研究者レベルのことにあまり対応できないという実態があるのです。
○今村委員 ここは是非、厚労省のほうに、そうなると日本医師会への説明とちょっと違いますよということになってしまうのですが、オーダーメード集計においては、今、荒井委員が希望するようなところも含めて、しっかりまずは集計するということは可能だと捉えているのですが、いかがでしょうか。
○医療法人支援室室長 今、荒井委員がオーダーメード集計で対応できない研究とおっしゃったのですが、厚労省としても具体的に、オーダーメード集計で、こういうデータを持っていて、これを活用して集計することは当然想定しているのですが、それでは、なぜオーダーメード集計で対応できないのか。もう少し荒井委員に補足いただければと思います。
○荒井委員 厚労省が言っているオーダーメード集計というのは、例えば病床規模別の利益はどうなっているかなど、そういうような話ですよね。統計的な検証まではしないわけですよね。以前の検討会とか、それ以前の委員会での議論であればそういう話だったと思います。ところが、研究者がある程度の質のエビデンスを提供しようと思ったら、そういうことをちゃんとしないといけない。ただ、それをちゃんと厚労省がやってくれるのですか。
○医療法人支援室室長 統計的な検証というところを、もう少し教えていただければと思います。
○荒井委員 せっかく野口先生がいらっしゃるので、私よりお詳しいと思いますが、どうでしょう。
○野口委員 手を挙げていましたが、私の前にお二人いらっしゃるようなので、一応、答えてよろしいでしょうか。
○遠藤委員長 ちょっと私のほうから言わせていただきます。私、荒井先生の言っている意味は分かるのです。要するに、そちらで言っているオーダーメードというのは、結局、どこまでやれるのか。今、こういうものの分析については相当統計的に、様々な複雑な手法を使うようになっていて、正にどれを使うかは研究者の腕みたいなところもあるようなレベルになっているので、そこをオーダーメードとしてどなたがやるのか知りませんが、それができるのかということをおっしゃっているわけです。そのぐらいしないと、ちゃんとした結論が出ないような分析テーマもあるから、そのためにはきちんとしたデータがほしいとおっしゃっているわけです。
○荒井委員 そうです。
○遠藤委員長 ただ、オーダーメードでと言うときには、どうしてもそういうデータが出てこないだろうと、私は理解しますけれども。どの程度のことまでできるのか。先ほども出てきましたが、例えば回帰分析でもいろいろな種類があります。こういう内容でやってくださいと言ったときに、そういうことまでやってくれるのでしょうか。
○医療法人支援室室長 失礼しました。そういう意味では、オーダーメード集計でどこまでできるかということを本日はきちんと整理して御説明できないので、そこは申し訳ありません。次回までに、オーダーメード集計で何が、どこまでできるかを整理して御説明させていただければと思います。
○遠藤委員長 取りあえず、そういうことで、これに関してオンラインで手を挙げている先生が3名いらっしゃいますので、順番で野木委員からお願いいたします。
○野木委員 ありがとうございます。野木です。私も基本的にはオーダーメード集計の中で、ある程度できる形のものを出していただきたいと思っています。それはなぜかと言うと、荒井先生を信頼していないわけではなくて、荒井先生みたいな先生がしっかり研究される部分は大丈夫だと思っていますし、今、ここに出ている先生方は本当に真面目に真摯にされる先生方が多いと思います。ただ、何か発表したときに、それが他のものに使われないかといった不信感というか、例えば先ほども出ましたけれども、一人一人の給料が出たときに人材紹介会社が変な形で使う、あそこの病院の給料は幾らですよ、ここの病院は幾らですよみたいな形で使われるのは非常に怖いと思いますし、自分たちの経営している部分を邪魔される、それは今でも起こっているのです。例えば病院に1人のナースが入ってきたとします。人材会社から紹介してもらって入れたとき、そのナースが、他の病院に行ったらもっと給料がいいよ、隣の病院はもっとこうなのだよという情報を流して、逆にその人を引き抜いてしまうようなことが起こっていて、医療機関としては本当にどうしていいか分からない。ナースはいない、入れたらそんなことをして逆に減るみたいなことが起こったりしている現実があるということです。
 今の世の中で情報の管理は非常に難しいと私は思っていて、前もこの委員会で言ったと思いますが、登記簿には私ども理事長の住所、氏名が全部載っているのです。そういうところを見てM&Aの会社が来るし、当然のごとく資料もいっぱい送ってきます。M&Aをしないですか、こんなのがありますよ、あれしませんかというのをいっぱい送ってくる。その片一方で情報が無防備に扱われ外部漏洩する恐れがあるのではないか、私ども個人の情報も法人の情報も外部に漏洩してしまわないかと非常に恐怖感を感じているのが、ひとつあるのです。
 これは言いにくいのですが、厚労省も分かっていると思いますけれども、私は他の省庁の委員会にも入っていました。大体、そういう所になると大手企業のコンサル等が下請をして個人情報管理もやっていますが、この間、ランサムウェアによって先生の個人情報が全部流れた可能性がありますと紙ペラ1枚で来たのです。誰がこの責任をとるのかと、私はその担当省庁に尋ねました。そしたら、すみませんけど、マイナンバーの暗証番号を変えてもらえませんか、銀行の口座番号を変えてくれませんか、住む場所を変えるわけにいきませんよねと言われました。いわゆる厚労省等が使っている業者でも情報が流出してしまうということが起こっている現実の中で、荒井委員のことを信用していますけれども、他の部分で情報が漏れたり、いろんなことがあったときに誰が責任を、どういうふうにとってくれるのですかというところはしっかり考えてもらいたくて、現状において私ども個人や理事長の住所が出ている段階で、それはおかしいだろうと法務省にお願いに行きましたけど、なかなか急には変わらないと言われています。そういう部分の整理ができてからやらないと、本当に取り返しのつかない事態になってしまわないかという恐怖感があります。前も言いましたが、いつトクリュウにやられるかなという思いも、一方であることは少し理解していただきたいと思いました。以上です。
○遠藤委員長 それでは、伊藤委員、続けてお願いしたいと思います。
○伊藤委員 ありがとうございます。伊藤でございます。野木先生にほとんど全部言っていただいたのでいいのですけれども、今いろいろとお話を頂いている最初の所で、バランスという言葉がございました。これは、要するに医療政策への反映をするための分析ということになるわけです。よりよい社会保障システムを作っていくということなのですが、それが個々の医療機関、医療法人のリスクの上に成り立っているというのはあってはいけないのではないかなと思います。そもそも、リスクに関しては今までずっと協議をされてきていますし、職員の雇用への影響や、野木先生がおっしゃったように、犯罪へのリスクというのは決して小さなものではないと思います。それが漏れる可能性がある所に関しては、これはやはりそれぞれの医療法人の存続を優先されるべきだろうということで、まず、そこを譲ることはできないと思っております。
 それで、ある程度厳格な仕組みの中で始めた後に、その実態がいろいろと分かってきた中で、規制を徐々に緩めていくということに関しては、決して反対をするものではありません。今回、他制度の例として、26ページに国税庁のお話が出ていますが、所得税の申告情報で、もっと税の問題について徹底的にしっかり研究をしたいから個々の個人の情報を出せと言っているのと同じだと思うのです。誰が幾ら稼いでいるか情報を研究者に全部出せということは、私は素人だからよく分からないけれども、そういうことが許されるのかどうか、私はなかなか厳しいのではないかと思います。これは、決して全面的に絶対やるなと言っているわけではないのですが、一つ一つ、正に整理をしながら、どこまで許容できるかということを恐らくこの委員会の中で議論していく、あるいはまた別に何かチームを作って議論していくことにすべきではないかと考えております。以上です。
○遠藤委員長 ありがとうございます。お待たせしました。野口委員は、先ほど申しましたNDBの匿名の情報提供制度委員会の委員でもおられますし、統計解析の専門家でもありますので、何かコメントがあれば一つよろしくお願いします。
○野口委員 ありがとうございます。今回の資料では、再識別防止、あるいは競争上の利益の保護の観点から、匿名化措置、あるいは安全管理措置が非常に丁寧に、荒井先生と私は同意見なのですけれども、丁寧過ぎるぐらい整理されていると理解しております。こうした方向性自体は非常に重要だと思います。制度に対する信頼性確保の観点からも不可欠だと思っています。
 その一方で、NDBとか介護DBも初期の段階ではこういった議論がすごくあったのですが、匿名化の数字が過度に高くなると、先ほど荒井先生が何度もおっしゃったように、政策研究として本当に必要な分析ができないわけです。例えば、赤字経営の医療機関が存在するとしても、その背景は一様ではないわけです。例えば、地域の救急医療を担っている、本当に多くの先生たちが長時間働いて担っている。あるいは過疎地域を抱えている。需要がない地域を抱えている。けれども行政的な医療サービスは提供しなければいけない。あるいは慢性的な人材不足で非常に高額なお金を、一人雇うために人材のそういった会社に払わなければいけない。あるいは病床機能の違いなどによっても政策的概念というのは全く異るわけです。
 しかし、匿名化によって、例えば地域特性とか、病床機能とか、医療提供制度との関係性が、今の御提案だと全く分析できなくなるということです。そうすると、赤字経営の病院や診療所が増えているといった平均的で表面的な分析、先ほどからオーダーメードと言われていますが、これは平均値、せいぜい出していただいても多分、標準偏差ぐらいだと思うのです。改めて厚労省さんが整理してくださるということなのですが、そういったものにとどまって、では、なぜそういう経営状況が生じているのかというメカニズム、あるいは構造的理解というものが全くできないのです。特に、医療政策とか医療経済の研究において非常に重要なのは、平均値そのものよりも異質性、病院だとか診療所だとか、本当に皆さんが努力されているその異質性を把握することが非常に重要だと思うのです。
 どのような医療機関が、どういった条件の下で、今のこの厳しい経営状況に置かれているのかを分析できなければ、結果として地域医療構想、地域偏在対策、あるいは医師偏在対策、あるいは看護師の偏在対策、私は医療従事者の検討会にも今は入っているのですが、そういった人たちの偏在、そして働き方改革への対応、今の状態だと、今後の政策形成にもう十分に活用できないのです。
 率直に言いますが、研究者側としては、個々の病院とか、個々の先生方は全く関心ないです。むしろ、その地域特性とか病院機能とか、医療提供体制の関係、そういったものを政策的、構造的な要因を分析したいというニーズが大きいのではないかと私自身は思っています。そのため、直ちに特定につながる情報の秘匿、これはもちろん重要です。ただ、分析に必要な情報まで過度に失われてしまうと、もう政策に全く役に立たない。その意味では、この再識別リスクを抑えることと、政策研究として有用な分析可能性を確保することのバランス、これは先生方みなさんがおっしゃっているように非常に重要で、単純に匿名化を強めればよいというものではないと思います。
 むしろ、NDBとか介護DBとか小児難病とか慢性期とか、感染症とか、そういうデータベースは、全部入っているのですが、非常に厳格です。利用申請はむっちゃ厳しいです。本当に研究者からガーガー文句言われるぐらい厳しいです。それで契約管理、あるいは公表前審査、これまたガチガチに厳しいです。1個でもテーブルを変えると、もうそれは公表前審査に、いちいち出さなければいけません。こういう再識別リスクをコントロールする方向性というのはすごく徹底されています。NDBとか介護DBとか、ほかのDBでは。
 ですので、提供段階前に過度に情報を削ってしまうというよりは、要するに、誰に、どの目的で、どの環境下で利用を認めるのか、これは使う前の審査です。さらに、彼らが出した成果物を公表前に徹底的に管理する。それ以外を出した場合は、NDBも介護DBも使えなくなります。ある一定期間、もう全く使えなくなります。これを丁寧に説明することによって公益性の高い研究と再識別防止の両立を図っていくことができるのではないかと。ですので、先生方の御心配もすごく分かるのですが、政策の本来の趣旨である、なぜ今これが必要なのか、本当に赤字で苦しんでいる病院や診療所は一杯いらっしゃると思います。では、なぜ、そうなのかということを分析するためには、ちょっと今の状態だと匿名化がきつすぎると私は思います。以上です。
○遠藤委員長 ありがとうございます。先行しているNDBのデータの扱い等々も含めて御発言がありました。会場で何か御意見はありますか。今村委員、どうぞ。
○今村委員 今、NDBのお話を興味深く聞いていたところなのですが、NDBも、最初に始まったときは本当にガチガチで、研究者は使えない状態から始まったとお聞きしています。それらを経て今の状況になったとお聞きしています。同様に、この医療法人情報のデータベースについても、我々が研究者を信じていないわけでは決してないということは先ほどからいろいろ出ているかと思います。
 ただ、その結果として、いろいろな事象が先ほどもちょっと出ましたけれども、何らかの形でリークしてしまう。若しくは、先ほどの赤字の病院のうんぬんという話がありましたけれども、その赤字の病院の研究の結果として、赤字の病院が特定されてしまって、その結果として、その赤字の病院はそれで黒字化すればいいのでしょうが、むしろ、データが漏れてしまった結果、やれなくなるというようなことなど、様々なことが、我々からすると、やはり心配です。
 したがって、最初から個々の第三者の公表の在り方は慎重にしていただきたいと。そのバランスは、その中で時間をかけて、しっかりと大丈夫だと、やはり情報提供者側が納得できる形でしていただかないと、恐らく、最終的には情報提供ができなくなってしまう可能性があると。是非、そこら辺はNDBでの今までの経過を御存じであれば、正にそこら辺のところのタイムスケジュール的なことも含めて、しっかりと御提言いただければ我々としても納得感が得られるのかなと思うところです。よろしくお願いします。
○遠藤委員長 ありがとうございます。荒井委員、どうぞ。
○荒井委員 今、ナショナルデータベースであるとか、あるいは国税庁の所得税のものを持ってきて比較しているのですが、そもそも、比較しているものが少し違う。ここは医療機関の損益計算書であって、個人のデータでは必ずしもないのです。特定の職種の人が1人しかいないときに、その人の給与が載っているときだけ初めて個人情報になる話であって、医療機関の損益計算書だけを要求されているとか、あるいは医療機関の損益計算書と職員数だけを必要としますと開示されているときに、個人情報は全く関係ありません。そういうときに、こういう国税庁の所得税のようなものを持ってくるというのは適切な比較ではないです。
 もう少し言わせてください。医療機関の損益計算書などというのは、本来、公的な資金、公的医療保険制度で運用されているということを考えれば、公的資金の利用の説明責任からして、医療機関の損益計算書を出すぐらいのことは、本来、一般公開でもおかしくないレベルのものなのです。なので、それを所得税のデータのものと比較して持ってくるというのは、ちょっとおかしいのではないかと思います。
○遠藤委員長 ありがとうございます。また、御意見を承りたいと思います。私の見間違いかもしれませんが、先ほどオンラインで本田委員がお手を挙げておられましたか。挙げておられませんでしたか。それでは、ほかの方で結構ですが、あるいは会場参加の方で御意見はありますか。では、今村委員、どうぞ。
○今村委員 今、個人情報ではないというお話がありましたけれども、そもそも、例えば、日本では病院は1万を切っているわけです。先ほどのお話でも、結局、我々は、限りなく結果としては医療法人情報は個人情報と変わらないと捉えております。むしろ、個人情報が満載だという前提で研究していただかないと、個人情報と関係ないと言われれば言われるほど、こちらとしては、そういう研究者にこの情報をお任せしていいのだろうかということになります。そこら辺は是非認識を改めていただかないと、8,000ぐらいの病院の病院長さんは、えっと思われると思いますので、よろしくお願いします。
○荒井委員 申し訳ないですけれども、医療機関の損益計算書が個人情報だとは、普通は認識しないと思います。
○今村委員 普通は認識しないからこそ、我々はここを個人情報並みの情報だということで御認識いただいて、しっかり研究をしてくださいということを逆にお願いしている立場です。ただ、それは、すなわち個人情報ではないからもっと緩くと言われれば、なおさらこちらとしては不安になりますというだけなのです。
○遠藤委員長 この議論はここでストップしましょう。先ほど来、野木委員がお手を挙げておられますので。
○野木委員 ありがとうございます。基本的に今村先生がおっしゃったこととよく似ているのですが、やはり、医療法人の経営情報というのは個人情報に近いというのは、それは何度も言いますけれども、やはり登記簿に全部載っているのです、全てが。住所から何から。ここの病院の理事長の家はここで、こうやって収益はこれだけ上げていますというのは出ているのです。以前も話しましたが、現実的に、理事長の家が強盗に遭っているのですよ、本当に。宅配業者を装った人たちに遭っているのです。それは、やはりここに行ったらお金があるのではないかということを思ってしまうのです、収益がいいと。それは全部載っているわけですから。やはり、そこは、別に荒井委員がそういうことを思っているとか、野口委員がそういうことを個々に思っていると全然思いませんけれども、今村委員が言われたように、やはりそこはちょっと配慮してもらいたいのです。少なくとも、登記簿から住所はなくしてほしいと、私は法務省に相当申し入れを行いましたが、「検討いたします」との回答で、事態は一向に動かないのが実情です。それぐらい消してくれてからであれば私は少し安心しますけれども。
 今、本当にこういうトクリュウとかのいろいろな問題があり、すぐ情報が出る中で、やはり非常に恐いなという意識はあります。もう殺されるという思いですよね。殺されるという思いがあるので、やはりそこは恐いなと思っているので、ちょっと理解していただきたいとは思っています。
 それから、野口委員も言われていますが、私たちがこのように言うのはおこがましいのですけれども。例えば、日本精神科病院協会で赤字の会員病院があったら、協会内には病院経営管理という委員会がありますので、赤字病院が相談しに来られたら、そこで検討して全部見て、なぜ赤字なのかということを明確に言っています。それは本当の研究者の考え方とは少し違うのかもしれませんけれども、私ども経営者が集まった中で、お宅の病院が赤字になっている理由はここですよということは明確に伝えているので、厚労省から尋ねられたら、こういう理由ですということは回答できます。やはり自分たちは医療機関を運営しているわけですから分かります。研究者の方に研究してもらうというのは有り難いですが、私どもが分かっていないと言われると、ちょっと寂しいなという気はしました。以上です。
○遠藤委員長 ありがとうございました。では、会場でどなたか、北山委員、お願いいたします。
○北山委員 北山です。個人情報か個人情報ではないかという点は、前回の検討会でも一人医師医療法人の存在を念頭に議論した記憶がありますが、いずれにしても、プライバシー性の高い情報が含まれるから慎重に取り扱うべきという方向性の議論をしたと記憶しています。医療法人情報の全てが個人情報に該当するかというと、必ずしもそうではないと思いますが、もともと医療法人情報に含まれている個人名とひも付く形で、例えばその方の収入等が分かるようなものであれば、それを加工した後の加工後データも、提供元において元データと照合できる限りにおいては、法律上は個人情報に該当すると思います。
 そのような加工後データが提供された後に、提供を受けた研究者の方にとってみれば、直ちにその情報だけからは誰の情報か分からない、と言える余地はあると思うのですが、モザイクアプローチのように、世の中で簡単に手に入るような他の情報と容易に照合することによって特定の個人を識別できるのであれば、法律上は個人情報に該当することかと思いますので、本件でも、匿名加工のような適切な加工をしない限りは個人情報のままのものも含まれるという話にはなると思います。
 今までの議論を伺っていると、然は然りながら、研究をより有効にするために、そういった情報であったとしても、研究者はできれば利用したい、そして、研究者にとっては、その情報だけからは直ちに特定の個人の識別につながらない情報はあるでしょうと。そして、その研究者の方が、ほかの情報からモザイクアプローチなどはしないという前提条件のもとで取り扱う限りにおいては、何ら個人の権利利益への侵害は生じないのではないかと。条件は検討するとして、そういう一体の条件下であればこのような情報を提供しても良いとするならば、この制度の運用としてあり得るのかなと思います。
 今日の事務局から提案いただいた資料だと、匿名化処理基準という形で匿名加工を前提に議論されていると思うので、いわゆる個人情報保護法の個人情報に該当するか否かという観点でも個人情報には全く該当しませんという前提の議論をしたいのかなと認識し、ここに臨んでいましたが、そもそも、いや、そうではなくて個人情報ではないとまでは言えないけれども、その情報だけからは特定の個人は識別できないから使えてもいいではないかという御意見もあると理解いたしました。それを踏まえた上で、この制度でそれを認めるか否かというところをまずは確定いただいたほうが、私としては加工基準について議論がしやすいと思います。
○遠藤委員長 御意見として承るということでよろしいですか。野口委員が手を挙げておられますので、よろしくお願いいたします。
○野口委員 余り審議に差し支えると申し訳ないので短く。まず、NDBとか介護DBは、最初は非常に注意深く、すごく厳格に匿名化をして、割と使いにくかったと。それで、だんだん研究者が研究をして、どんどんオープンになっていったという経緯は先生がおっしゃるとおりです。ですので、今回も一つそういうステップ、我々研究者が本当に信用されていないようなので、我々研究者も、先生方に信用していただけるように努力すべきということは、研究のエグザンプルをしばらく積み重ねていくという努力はしなければいけない、そういうタイムスケジュールでいくというのは理解いたしました。私はそれでよろしいかと思います。
 もう1つは、先ほど命の危険を感じるとおっしゃっている先生がいらっしゃいましたが、それは本当にとんでもないことだと思いますし、自分たちの病院、あるいは御自身の診療所の経営は自分たちが分かっていると、それは私も重々承知しております。ただ、こういうデータで何が分かるかというと、個々の診療所、あるいは個々の病院のいわゆる赤字体質の理由ということではなくて、政策というのは、日本全体の赤字から黒字の病院がどういう分布をしているのか。日本全体の病院の経営状態を診療のパターンとか、そういった先生たちが日々行っていらっしゃることと併せて考えることが重要だと思うのです。そうでないと政策は立てられないと思うのです。
 例えば、1つの病院が赤字からいきなり黒字になったとして、皆さんの経営努力がものすごくあったと。それは、そういった経営委員会で先生方が理由を知って、個々で努力をされたと。それはすばらしいことなのですが、個々のエグザンプルではなくて、日本全体で平均的に見て、どういうことが起こっているのかと。だから、先ほどから何度も繰り返しますが、個々の病院とか個々の先生方に、研究者は特定したり関心があるわけでは決してなく、日本全体を見て平均的あるいはその分布がどうなっているかということに我々はすごく興味があるということですので、その辺りは安心していただいていいと思うのです。ただ、それでも安心できないということがあると思いますので、タイムラインというか長期的に見て、我々研究者も自分たちが先生方に信頼されるような結果を出してお示しして、先生方に理解していただいて、どんどん使い勝手がいいものになっていけばいいなと思います。以上です。結局長くなってしまいました。
○遠藤委員長 いえいえ、ありがとうございます。それでは、角田委員、お願いいたします。
○角田委員 遠藤先生、ありがとうございます。日本医師会の角田です。荒井先生や野口先生、本当に研究者を疑ったりするわけでは決してございません。むしろ現場の実情をしっかりと分析していただいて、ちゃんと課題を挙げていただく、これは極めて重要なことだと思います。そのためにこのデータが使われることは、全く異存はございません。ただ、一方で医療機関が特定された場合は、今この世の中ですから、どういうルートでそういった情報が流れるか分からない、そういうリスクを実は現場では本当に懸念しております。やはり懸念が残っている限り、もちろん信頼はしているけれども、そういうリスクがある世の中ですから、とにかく特定できないということを私どもとしては大前提にしたいと思います。
 そのためには、厚労省がやっているオーダーメード集計、これは研究者の方の意図を出していただいて、こういう集計をということでオーダーしていただければ、かなりの所で対応できるのではないかと思っております。ですから、先ほどの議論の中で、オーダーメード集計ではできない項目ということもありましたが、そういったものは余り数が多くないのではないかと思っております。厚労省がそういった形で、オーダーメード集計にしっかり対応することによって、特定するリスクをゼロにしていくこと。これが、現場での信頼につながると思います。私からは以上です。
○遠藤委員長 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。失礼いたしました。村田委員、お願いいたします。
○村田委員 ここまでの議論の内容を余り追い掛けられていないのですが、私は公的統計のミクロデータの利用について、提供と利用に携わっている者ですけれども、恐らく今回の第三者提供制度の検討に当たっては、公的統計の統計法に基づいた利用、二次的利用についても参考にされたと思うのです。公的統計のミクロデータの利用は、オーダーメード集計と匿名データの利用と、調査票情報の利用で3つに分かれています。
 今回このお話を最初に聞いたときに、オーダーメード集計と匿名データの利用ということだったので、公的統計のミクロデータの利用の匿名データに対応する匿名データだとすると、やはり匿名化処理は必要だし、なんならもっと厳しく掛けてもいいのではないかと最初は思ったのですが、よく考えてみると、調査票情報の提供に相当するものがこちらの制度では明確にされていないと。調査票情報というのは、大雑把に言ってしまえば匿名化処理されていない元のデータだとお考えいただければいいのですが、今日の議論のお話も含めて私のほうで感じたのは、こちらで言っている匿名データというか、匿名化処理をした上でのデータの提供というのは、一部分は調査票情報の提供も含まれるものなのではないかと考えました。
 個別に提供の申出を審査して、どのような匿名化処理を行うかを決めていくというように理解しているので、匿名化処理されたデータでは分析の目的に合わないといった場合には、そういった処理についての必要性というものを申出ごとに検討するのかなと理解していたところなのです。その辺りを厚労省の方から事前にお話を伺っていなかったので、その辺りの考え方についてお話いただければと思います。
○遠藤委員長 ありがとうございます。では事務局、お願いいたします。
○医療法人支援室室長 村田委員の御指摘のとおり、統計法に基づく調査票情報の提供と匿名データの提供制度と2種類あると。我々はそれを参考にいたしました。我々の理解した範囲では、匿名データの提供は、絶対に分からないようにして研究者の先生に利用していただくものが匿名データの提供制度で、調査票情報の提供は、それこそ集まったデータをそのまま研究者の先生に渡して、非常に厳密に管理された環境で、かつ審査も厳しくして徹底的にやって利用していただくという制度だと理解しております。今回の医療法人情報の提供は、端的に申し上げるとその中間に当たるものなのかなと思っております。というのは、医療法人情報の提供は、先ほど申し上げたように絶対に分からないようにするというのが医療機関の特性上、非常に難しいと。全く分からないようにすると、それこそ本当にすかすかになってしまうので、どうしても完全に匿名化するというのは難しいのかなと考えております。
 ですので、今おっしゃったような統計法に基づく匿名データの提供ではないと。ただ、最初に御説明したようにリスクがあるので、程度問題ではあるのですが、一定程度の匿名化をして、それでも分かってしまうので、調査票情報の提供に近いようなしっかりしたセキュリティの下でやっていただくことで、完全には分からないようにはできないので、その分しっかりしたセキュリティの下でやっていただくというように考えております。
○遠藤委員長 村田委員、何かございますか。
○村田委員 そうですね。匿名化処理自体は、こちらの何ページにもわたる資料にどういった匿名化処理を考えているかという案が書かれているのですが、実際に適用するとなると、ものすごい手間が掛かるのです。そういったことを個別に審査していくということも大変だとは思うのですが、研究に必要な所はなるべく提供できるような形にできたほうがいいのかなと。
 それに加えて、単に匿名化処理の問題ではなくて、例えば統計法だと、安全管理措置とか、そういった義務に対して罰則が決められています。今回、この提供に関しては罰則はないとはお伺いしているのですが、利用規約でも、例えば特定の個人とか、世帯とか事業所とか、それを識別するような研究をしてはいけないということを公的統計のほうでは明記しています。それに対して、そういう事例があった場合には直ちに提供を解除するとか、何年間かにわたって提供しないとかといったようなペナルティもあるのです。そういったものを組み合わせた上で提供していくということが、利用者側にとってもバランスが取れたものになるのではないかなと感じました。以上です。
○遠藤委員長 どうもありがとうございます。ほかに何か御意見はありますか。この件については、大体御意見を承ったかなと思います。それ以外の点で何かございますか。といいましても、ただいまの議論はほとんど全体をカバーしているような議論ですが、個別に、この問題について質問があるとか、何かあればお聞きしたいと思いますが、御意見でも結構です。オンラインでも結構ですし、会場でも結構ですが、何かございますか。あるいは、この会議の進め方とか、そういう全体的な話でも結構です。よろしいですか。それでは、失礼いたしました。野木委員がお手を挙げておられます。よろしくお願いいたします。
○野木委員 何度もすみません。ありがとうございます。最後に一言。協会のほうから言えと言われていたのを言うのを忘れたのですが、最後のほうで出ていたのですけれども、精神科病院というのは、やはり全体的に少ないのです。資料の最後に出ていたのですが、すぐ特定できてしまう、すごく特定しやすいというところがあるので、ここはやはり配慮してほしいということを必ず言ってくださいと言われたのですが、それを言い忘れましたので、追加として言わせていただきました。以上です。
○遠藤委員長 ありがとうございました。ほかに何か言い忘れのある方はいらっしゃいますか。よろしいですか。ありがとうございました。失礼いたしました。伊藤委員、お願いいたします。伊藤委員、ミュートです。
○伊藤委員 申し訳ありません。医療法人協会の伊藤です。システムとして分からないので、教えていただきたいということで発言させていただきました。今回、最終的に公表するものを事前にこの第三者委員会でもって公表していいものかどうかということを判断するというように理解しているのですが、この委員会の中で判断するということは、ある意味非常に荷が重いという言葉は変ですけれども、もう少し前段階での様々な検討なり処理なりがされた上で、最終的な決断をするということになろうと思うのです。その前段階の処理がどのような形で行われるのか、もし今分かっているのだったら少し教えていただきたいと思います。いかがでしょうか。
○遠藤委員長 事務局、お願いいたします。
○医療法人支援室室長 そうしましたら、お手元の資料の32ページを御覧ください。左から右のほうにフローチャートが流れております。左から見ていただきますと、利用者から厚労省に申請していただいて、事前に調整をしていただいた上で、正式に申請を厚労省にしていただいて受理した上で、その時点で、こういう申請が来ていますということを、この専門委員会にお諮りいたします。専門委員会の中で、こういう研究目的の方が、こういう内容で研究したいので、こういうデータの依頼が来ていますということをお示しいたします。それを見た中で、これは、このままだと研究者が明らかに分かってしまうのではないかというような判断を、事務局のほうで最初に申し上げたような匿名化の考え方で匿名化して審査委員会にお諮りするのですが、それを改めてこの委員会の中で、これを研究者にお渡ししていいかどうかというのを審査いただきます。そこで、この情報を提供してもいいという御承認が得られましたら、これは大臣の承諾という形になりますが、それから研究者にお渡しして、正式に契約を締結するということです。
 この契約締結の中で、先ほど御指摘があったような、もし破った場合にどのようになるかとか、そういうことをお約束いただく契約になっております。それで契約をした上で、厚労省のほうからデータを提出して、かつ利用者の公表というのは、厚労省がこういう方から依頼があって、データをお渡ししますということを公表いたします。その上で、データを利用いただいて、公表物については、研究者の方が提出する前に、こういう形で公表しますというのを厚労省に事前に出していただいて、もちろん研究内容どうこうではなくて、これが公表されると、それを見てどこの医療機関かということが分かってしまわないかということを厚労省が確認をして、大丈夫ですということが確認できた上で公表していただきます。最終的にデータは消去していただいて、報告書を受け取るという流れになっております。以上です。
○遠藤委員長 伊藤委員、いかがでしょうか。
○伊藤委員 そうしますと、この専門委員会での審査というのは、データを提供する際に一度審査をするだけでしょうか。それとも、公表物が出た段階で、厚労省の意見を添えた形でもって第三者委員会で再度確認するのかということについて教えてください。
○遠藤委員長 事務局、どうぞ。
○医療法人支援室室長 前者です。審査委員会で御審議いただくのは、提供する際の承認時です。ただ、公表する前の点検は厚労省のほうで、もちろん、厚労省がどういう点検をするかということも、ガイドラインの中にあらかじめ定めた上で、そのガイドラインに沿って厚労省が公表内容を確認いたします。最終的に、この専門委員会にどういう公表がされたかということは御報告いたします。以上です。
○遠藤委員長 伊藤委員、いかがでしょうか。
○伊藤委員 分かりました。ありがとうございます。
○遠藤委員長 ほかに何かございますか。よろしいですか。それでは、本日、非常に多くの意見が出されて、事務局案に対して明確な反対の意見も出されましたので、事務局におかれましては本日の御意見を踏まえて、必要な対応を続けていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、本日の議論はこれぐらいにさせていただきたいと思いますが、事務局から何かございますか。
○医療法人支援室室長 事務的な話ですが、議事録については、できる限り早く公表できるように更正いたしますので、委員の先生方におかれましても、御多忙中とは存じますが、更正、確認について御協力いただきますようお願い申し上げます。第2回の委員会は、6月15日の16時からを予定しておりますので、詳細が決まり次第、追って御連絡いたします。以上です。
○遠藤委員長 ありがとうございます。それでは、本日の委員会はこれで終了させていただきたいと思います。本日は、大変お忙しい中どうもありがとうございました。