第6回労働基準法における「労働者」に関する研究会 議事録

労働基準局労働条件政策課

日時

令和8年7月17日(金) 17:00~19:00

場所

厚生労働省 専用第21会議室

議題

⑴ プラットフォームワーカーの働き方等について
⑵ 労働基準法における「労働者」について

議事

議事内容

○岩村座長 定刻より少しだけ早いですけれども、本日御出席予定の皆様はおそろいということですので、第6回「労働基準法における「労働者」に関する研究会」を始めさせていただきます。
 構成員の皆様方におかれましては、お忙しいところをお集まりいただきまして誠にありがとうございます。
 本日の研究会でございますけれども、会場で御参加の方とオンラインで御参加の方という形での開催となります。
 本日は、芦野先生、小畑先生、笠木先生、島田先生、新屋敷先生がオンラインでの御参加ということでございます。
 カメラ撮りはここまでということにさせていただきます。
では、早速、議事に入りたいと思います。お手元の議事次第を御覧ください。
 議題の一つ目は「プラットフォームワーカーの働き方等について」でございます。事務局のほうで資料を用意していただいておりますので、最初に事務局からその説明をいただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○労働条件政策課課長補佐 事務局でございます。
 まず、資料1について御説明させていただきます。
 初めに、資料1の位置づけについて御説明させていただきます。
 昨年度、厚生労働省の委託事業としてプラットフォームワーカーの働き方等に関する調査を実施し、今年3月に調査報告書を公表いたしました。その調査報告書につきましては参考資料1、参考資料2として提出させていただいております。資料1につきましては、その調査報告書を踏まえて事務局として作成したものでございます。
 資料1の冒頭や調査報告書の冒頭では留意点などとして、資料や調査結果を読み取る上で留意すべきことを記載しております。例えば、資料1の冒頭にも一部記載しているとおりでございますが、資料1は調査報告書におけるプラットフォーム事業者等からの回答のうち、本研究会での議論に特に資すると考えられるものについて、昭和60年報告における判断要素等に従って事務局の判断で便宜的に整理したものであること、また、調査のヒアリング対象の大半はプラットフォーム事業者及び業界団体であることなどがございます。
 それでは、資料の内容の説明に移らせていただきます。時間の都合上、各項目の➢の項目を中心に御説明させていただきます。
 まず、1ページでございます。
 No.1は、「仕事の依頼、業務従事の指示等に対する諾否の自由の有無」に関する事情を整理したものでございます。右側の「調査報告書から読み取れる内容」といたしましては、事業者からワーカーに対して受諾を強制している旨の回答や、受諾しないワーカーに対して実質的な不利益を課している旨の回答は見られないというところでございます。
 その下にグレーハイライトで【事業者・業界団体・労働組合の回答のうち主なもの】という項目がございます。こちらにつきましては、調査報告書のうち本項目に関連する事情を要約して記載したものでございます。業界ごとの特徴など、御議論いただく上で有益な点もあると思われますが、時間の都合上、本日は説明を割愛させていただきます。
 続いて、同じく1ページのNo.2に移ります。
 No.2は、「業務遂行上の指揮監督の有無」に関する事情を整理したものでございます。調査報告書では、指揮監督の有無に関連する事情が多かったため、便宜上、No.2-1からNo.2-6に分けてございます。
 まずNo.2-1でございます。こちらは、「ワーカーに対する指揮命令」に関する事情を整理したものでございます。右側の➢の項目の一つ目でございますが、事業者からワーカーに対して、業務に関する指示等は行っていない旨の回答が見られます。他方で、➢の項目の三つ目でございますが、事業者がワーカーに対して、事実上指揮命令している構造がある旨の回答も見られます。
 続いて、4ページに移ります。
 No.2-2は、「AI・アルゴリズムを活用した「参照ルート」の推奨」に関連する事情を整理したものでございます。右側の➢の項目の一つ目でございますが、フードデリバリーや軽貨物等輸送・配送の業界では、AI・アルゴリズムにより最適化された配送ルートをアプリ上でワーカーに提示している旨の回答が見られます。また、➢の項目の二つ目ですが、事業者において、ワーカーに参照ルートの利用を義務づけている旨の回答は見られないところでございます。
 続いて、同じく4ページ目のNo.2-3に移ります。
 こちらは、「GPS等の位置情報の取得・利活用」に関連する事情を整理したところでございます。右側の➢の項目でございますが、フードデリバリーや軽貨物等輸送・配送の業界では、GPS等の位置情報を取得し、トラブル発生時の状況把握等を目的として利用している旨の回答が見られるところでございます。
 続いて、5ページに移ります。
 No.2-4は、「定期的な報告」に関連する事情を整理したところでございます。➢の項目の一つ目ですが、進捗確認やトラブル対応等を目的として、ワーカーに定期的な報告等を求めている旨の回答が見られるところでございます。一方で、業務遂行上の指示を行うことを目的に報告を求めている旨の明確な回答は見られないところでございます。
 続いて、同じく5ページのNo.2-5に移ります。
 こちらは、「「研修」の実施」に関連する事情を整理したところでございます。右側の➢の項目の一つ目でございますが、事業者からワーカーに対して研修が行われている旨の回答が見られるところでございます。ただし、研修の態様、具体的には、内容、受講のタイミング、受講の要否等につきましては、各事業者において様々であるというところでございます。
 続いて、6ページに移ります。
 No.2-6は、「クライアントからの直接的な関与等」に関する事情を整理したところでございます。➢の項目の一つ目ですが、クライアントからワーカーに対して、業務の進め方に関する依頼等がコミュニケーションの一環としてなされることがあり得る旨の回答でしたり、業務の特性としてクライアントとワーカーの間で技術的な議論や仕様のすり合わせが必然的に発生する旨の回答が見られるところでございます。
 続いて、7ページに移ります。
 No.3-1は、「拘束性の有無」の中でも「ワーカーの就業場所」に関する事情を整理したところでございます。右側の➢の項目ですが、クライアントがワーカーに常駐を求める旨の回答が見られるところでございます。一方で、ワーカーが稼働場所を自由に選べる旨の回答や、フルリモートの案件もある旨の回答も見られるところでございます。
 続いて、同じく7ページのNo.3-2に移ります。
 こちらは、「就業時間の制約」に関連する事情を整理したところでございます。右側の➢の項目ですが、ワーカーに対して就業時間の制約を行っている旨の回答も、行っていない旨の回答も見られるところでございます。
 続いて、8ページに移ります。
 No.4は、「代替性の有無」に関する事情を整理したところでございます。右側の➢の項目ですが、ワーカーが代替要員を立てる際に、事前の通知や合意を求められることが多い旨の回答が見られるところでございます。また、アカウントのなりすましが見られたときの措置や、名義貸しの防止対策を行っている旨の回答が見られるところでございます。
 続いて、同じく8ページのNo.5に移ります。
 こちらは、「報酬の労務対償性」に関連する事情を整理したところでございます。右側の➢の項目ですが、ワーカーに対する報酬について、稼働時間に応じて報酬が支払われる旨の回答や、距離等の複数の要素により算出される旨の回答が見られるところでございます。
 続いて、10ページに移ります。
 No.6は、「事業者性の有無」に関連する事情を整理したところでございます。右側の➢の項目の一つ目ですが、業務で使用する自転車、バイク、PC等について、ワーカー自身が所有するものを使用する旨の回答が見られるところでございます。また、➢の項目の二つ目ですが、ワーカーの平均報酬額に関する回答が見られるところでございます。また、➢の項目の三つ目ですが、保険料の負担について、事業者側が負担する旨の回答、ワーカーが負担する旨の回答、双方が負担する旨の回答が見られるところでございます。
 続いて、11ページに移ります。
 No.7は、「専属性の程度」に関連する事情を整理したところでございます。右側の➢の項目ですが、ワーカーが専業で稼働する旨の回答も、副業で稼働する旨の回答も見られるところでございます。また、ワーカーが複数のプラットフォームに登録することがある旨の回答も見られるところでございます。➢の項目の二つ目ですが、クライアントがワーカーに対して専業のような働き方を求めることがある旨の回答が見られます。また、➢の項目の三つ目ですが、一方で、事業者がワーカーに対して他社の業務に従事することを制限することはない旨の回答が見られるところでございます。
 続いて、12ページに移ります。
 No.8は、「その他」に関連する事情でございますが、こちらは調査報告書上、特筆すべき回答は見られないというところで割愛させていただきます。
 続いて、同じく12ページのNo.9に移ります。
 No.9は、「未分類」という項目でございまして、昭和60年報告の要素を分類した際にどこにも分類できない事情を整理したものでございます。
 初めに、No.9-1は、「契約形態」に関連する事情を整理したところでございます。➢の項目の一つ目でございますが、事業者、ワーカー、クライアントの三者間の契約形態として以下の回答が見られるところでございます。一つ目ですが、事業者を介して、ワーカーとクライアントが直接契約をするという回答が見られます。また、二つ目ですが、事業者がワーカーとクライアントのそれぞれと契約をする、具体的には、事業者がクライアントから発注を受け、ワーカーに対して再委託をするという回答が見られるところでございます。13ページに続きますが、一番上の➢の項目ですが、再委託の類型につきましては、具体的には準委任契約であると整理している回答が見られるところでございます。
 続いて、14ページに移ります。
 No.9-2は、「未分類」の中でも「基本契約・個別契約」に関連する事情を整理したところでございます。右側の➢の項目ですが、ワーカーに再委託する契約形態を採用している事業者において、あらかじめワーカーが規約に同意することにより、事業者とワーカーとの間で基本契約が締結され、その上で個々の案件ごとに個別契約が締結される旨の回答が見られるところでございます。
 続いて、15ページに移ります。
 No.9-3は、「未分類」の中でも「事業者を介さない直接契約の禁止」に関連する事情を整理したところでございます。右側の➢の項目ですが、事業者を介さない直接契約を禁止している旨の回答や、事業者を介さない直接契約を締結する場合には、事業者への報告や紹介料の支払いを求める旨の回答が見られるところでございます。
 続いて、同じく15ページのNo.9-4に移ります。
 こちらは、「未分類」の中でも「報酬の決定方法」に関連する事情を整理したところでございます。➢の項目の一つ目ですが、ワーカーの報酬額の決定方法として、おおむね以下の四つの回答が見られるところでございます。一つ目は、事業者がクライアントとワーカーの間に入って報酬額の調整を行うという類型でございます。二つ目が、事業者が決定した報酬額をワーカーに提示するという類型でございます。三つ目が、クライアントが決定した報酬額をワーカーに提示するという類型でございます。四つ目が、ワーカー自身が決定した報酬額をクライアントに提示するという類型でございます。また、16ページに続きますけれども、一番上の➢の項目でございますが、報酬額の透明性確保に取り組んでいる旨の回答も見られるところでございます。
 続いて、17ページに移ります。
 No.9-5は、「未分類」の中でも「ワーカーに対するペナルティー」に関する事情を整理したところでございます。右側の➢の項目ですが、事業者からワーカーに対して、ペナルティーを設けている旨の回答も、設けていない旨の回答も見られるところでございます。ペナルティーを設けている旨の回答の中には、クライアントからの評価が著しく低い場合、業務をキャンセルした場合、利用規約に違反した場合等に、ペナルティーを課す旨の回答が見られるところでございます。また、ペナルティーの内容も様々でございまして、具体的には、注意勧告、一定期間の申込み制限、アカウント停止等が見られるところでございます。
 続いて、22ページに移ります。
 No.9-6は、「未分類」の中でも「ワーカーに対するインセンティブ」に関連する事情を整理したところでございます。右側の➢の項目でございますが、インセンティブを設けている旨の回答も、設けていない旨の回答も見られるところでございます。また、インセンティブを設けている旨の回答では、評価が高いと、より好条件の案件を紹介されるようになる旨の回答でしたり、ワーカーとクライアントがマッチングしやすくなる旨の回答でしたり、あるいはクライアントからの需要がワーカーの供給を上回るために報酬が加算される旨の回答などが見られるところでございます。
 続いて、23ページに移ります。
 9-7は、「未分類」の中でも「ワーカーに関するデータの蓄積」に関連する事情を整理したところでございます。右側の➢の項目ですが、個々のワーカーに関するデータを蓄積している旨の回答が見られるところでございます。また、蓄積したデータの活用方法としては、クライアントからの評価を次回のマッチングに活用する旨の回答などが見られるところでございます。
 資料1の御説明は以上でございますが、本研究会の開催要綱では、プラットフォームワーカーを含む新たな働き方に関する課題の把握・分析を行うということが調査・検討事項の一つになっております。本日は、労働者性の判断基準の在り方を考える上で参考にすべき点があるか否かという観点や、プラットフォームワーカーの新しい働き方として注目すべき点、踏まえるべき点があるか否かという観点など、様々な観点から御議論いただければと考えております。
 事務局からは以上でございます。
○岩村座長 ありがとうございました。
 それでは、ただいま事務局から説明いただいたことを踏まえて、構成員の皆様の間での意見交換等をお願いしたいと思います。特に項目の順番等を決めるということはせず、どの項目からでも結構でございますので、御意見等があれば御発言いただきたいと思います。
 では、竹内構成員、どうぞ。
○竹内構成員 冒頭で資料の説明をしていただいていた頃に入室してまいりましたので、この資料の位置づけ等について最後にも御説明いただきましたところではありますけれども、やや理解していないところもあるかもしれませんが、その点を含めて申し上げたいと思います。資料1の1ページ目にも記載のありますとおり、また、冒頭等で説明いただいたとおり、資料の位置づけとして、この資料の基となった調査の対象は、大部分がプラットフォーム事業者と認識をしております。労働組合のような、ある意味、就業者の利益を代弁するような立場からの回答もありますけれども、それは1件であると認識をしております。
 そのような意味だと、恐らく、プラットフォーム事業者は、回答内容からも示されているとおり、労働者ではないということを前提に就業してもらっているということかと思います。大部分がそのような取扱いを現にしている事業者による回答であるということには留意する必要があると思います。
 他方で、なかなかこういう実態についての情報自体、ある意味きちんとした形での把握というのは難しい中で、このような資料があるということ自体は大変貴重だと思っております。働き方の実態に関して、事業者からの回答が中心を占めるといっても、非常に貴重であると思いますので、その意味では、留意する前提があるということには気をつけつつ、議論で参照していく必要があろうかと思います。
 それで、私が特に一般論的なことで申し上げたいことは、一つには、昭和60年報告に見られる労働者性の判断要素に照らして、この調査の内容について読み取れることをまとめていただくこと自体、非常に大変ですし、貴重な資料と思っているのですけれども、先ほど御説明いただいた開催要綱の検討事項で、プラットフォームワーカーを含む新たな働き方に関する課題の把握・分析が掲げられていることからしますと、単に昭和60年報告に当てはめてどうかということだけではなくて、それも重要な作業の一つとは思いますけれども、この資料からうかがわれるプラットフォームワーカーの働き方の様々なところを捉えて、それを労働者性判断の中に、要するに、例えば、昭和60年報告ではあまり捉えていなかったような就労の特徴とかがあったりするかもしれず、そういうものについて、労働者性の今後の判断基準といいますか、判断要素の在り方に何か考慮していくべきことがあるのではないかとか、そのような観点での検討をする必要があろうかと思っております。そのように昭和60年報告に当てはめるというだけで終わらせるものではないという形で、今回の実態の調査というものを今後の議論に生かしていく必要があるというのが私の考えるところでございます。
 その意味で、この資料自体に関してもう少し具体的に言いますと、この資料の記載に当てはめて労働者に当たる、当たらないということが、この資料から独り歩きしないようにしていただきたいというのが私の認識でございます。
 その上で、具体的にいろいろ考えるところはございますけれども、例えば、指揮監督について具体的に何か指示をしているわけではないという回答が見られますが、この点に関連して、このまとめていただいた資料だと、ペナルティーは課していないという回答が多いのですけれども、他方で、インセンティブ等の仕組みとして次の仕事がたくさん回ってくるようになるとかといったことが記載されています。そうすると、具体的に何か指示とかをしていなくても、すなわち、例えば、アプリの推奨ルートなどで、これは推奨ですという形で、ああしろこうしろという形で指示はしていないにしても、それがより高い評価とかと結びついて、事実上、指揮をしている、拘束をしているといえるのではないか、そうすると、そのようなものを指揮監督などの事情として今後取り込んでいくことになるのではないかなどという形で、昭和60年報告で示される要素にそれぞれ照らしてみてばらばらに検討するのではなくて、この就労の在り方全体を含めて、労基法9条の定義の文言の下でどのように読み込んでいくかということを考える、そのために、この資料を参照していく必要があるかと思いました。
 もう1点だけ、具体的なところで、事業者性に関して述べているのは10ページだと思いますけれども、これはこの調査の中身といいますか、むしろ事業者性は何をもって考えるかというようなことにも関係するのですが、ここでは自転車などを自分が所有しているとか、平均報酬額とか、保険料負担というようなことがありますけれども、これは最高裁判例では労組法上の労働者の判断の中で具体的に言及されているものではございますが、事業者性として、利得を上げたりする、収益を上げる機会とかが存在するか、確保されているか否かというような、まさに事業を行うものとして成功するか、あるいは失敗したときにはそのリスクを負うかとか、そのような事情も事業者性といえるものとしてございます。
 そういう意味で、ここでは主として機械・器具の負担関係などを中心に事業者性を見ている、これはもともと昭和60年報告でもそのように整理されていますので理解できるところはございますけれども、例えば、自分で顧客を獲得するような余地があるかとか、あるいは、提示された仕事を取るか否かということしかできないかとか、そういう事情ですね、それは調査の中のほかのところで読み取れる内容があろうかと思いますけれども、この調査から、昭和60年報告で整理されている具体的な判断要素の事項であっても、その事項の中身などについて、やはり具体的内容などについてこれまでの理解とはもう少し異なる事情などを見ていくべきではないかとか、そういう形で今回の知見を生かすべきだと思いました。
 私からは以上です。
○岩村座長 ありがとうございました。
 芦野先生、どうぞ。
○芦野構成員 よろしくお願いします。今の竹内先生のお話とかなり重なるところがありますが、まず一つ目として、準委任であるとの回答が示されていましたが、これについてはこれまでも発言してきたとおり、名目上の契約形態ではなく、その実態を見る必要があるということを改めて感じたところです。
 先日のILOの第193号条約でも、全文を精査できているわけではありませんが、契約上の取決めにおける関係の位置づけにかかわらず、実際の労務提供と報酬に関する事実を主として考慮し、雇用関係の存在を正確に判断すべきということが書かれていたと思います。ここはまさにそのとおりで、今回の調査でも様々な実態が示されており、その意味で非常に有益であると思っています。
 二つ目としましては、これも竹内先生のお話と重なるところがありますが、結局、プラットフォームワーカーの場合には、デジタル化・アルゴリズム化されており、一定程度管理されているといえるのだろうと思います。そうすると、デジタル技術やアルゴリズムという手法を用いた管理の下で生じる事情を、どの判断要素に位置づけるのか、個別の要素に当てはめるだけでなく、総合的に考えていく必要があるのだろうと思っています。
 例えば、今回の調査でも示されているように、同じ仕組みの機能をどのように評価するのかという問題があります。例えば、GPS等の様々な仕組みを用意していることについて、事業者側から見れば、「これは皆さんが働きやすいように用意しているものです」という評価になると思いますが、一方で働いている側から見れば、「これは自らを拘束し得るものになってくるのではないか」という捉え方もあり得るのだろうと思っています。
 すなわち、「義務ではない」とか、「ペナルティーはない」と説明されたとしても、例えば、将来仕事を提案してもらえる機会が減るのではないか、あるいは収入に影響を及ぼす可能性があるのではないかというように、働く側は捉えることもあり得るだろうと思っています。
 その意味では、非常に大変だったと思いますが、今回は同じ事象についてそれぞれ両方の意見が出ている場合にどう捉えているのかということを見る上で、非常に有益で興味深い資料だと思います。
 もう一つは、どうしても特にワーカー側の回答が限られているため、これをどこまで一般化できるのかについては、今後さらに慎重に検討していく必要があるのだろうと思っております。
 いずれにしましても、非常に有益な資料を様々な角度から分析をしていただきましてありがとうございました。今後、有益に活用できればと思っております。
 私からは以上です。
○岩村座長 ありがとうございました。
 それでは、水町先生、どうぞ。
○水町構成員 ありがとうございます。
 ざっと見たところ、プラットフォームワーカーと言っても非常に多様であるということと同時に、欧米先進諸国でより利用が進んでいる中で見られる現象と共通の傾向もあると思いました。
 その中で大きく二つで、一つはこのデータを用いてどういうことを検討しなければいけないかということ、その検討課題としては大きく三つあります。
 まず、アルゴリズムによって情報を収集して自動処理をして、それに対して何らかの決定をしているということが共通の性格として見られるので、EU指令とかILO条約でも言われているようなアルゴリズムに対する情報収集、情報処理に対してどういう規制をするかというのがまだ日本ではきちんと議論されていないので、今回のデータからどういうことをしていくべきかというのがある程度見えてくるのではないかというのが課題の一つです。
 二つ目は、労働者性に関して言うと、今回は、プラットフォーム事業者からのヒアリングで情報を得ていますが、例えば、クライアントが労働者と直接契約している場合、クライアントがどういう指示をしているかというのが必ずしもデータとして上がってきていないので、労働者性を見るときに、クライアントからどのような指示、決定がなされているかという事情がもしかしたらほかに出てくるかもしれないので、そこはやや注意が必要だろうということです。
逆に、三者関係の中で、今プラットフォーム事業者との関係が見られているけれども、使用者性がどうなるかというのが検討課題の三つ目で、場合によっては、就業者が直接クライアントと契約を結んでいる場合には契約上の責任者はクライアントにあるのか、もしその決定において何らかの実質的な関与があった場合には、アメリカの共同使用者性のように事業者がその責任を負うということがあり得るのかということについても、今回の研究会でダイレクトにその使用者性を議論するかどうかは別にしても、そういう課題もあると思いました。
 もう一つの大きな話は、2番目の先ほど言った労働者性に関して3点だけ申し上げたいのですが、一つが、具体的なところで言うと資料の1ページ目以降で時々出てくることで、No.2-1の「ワーカーに対する指揮命令」の中で、「安全衛生やセキュリティ上の注意喚起、業務改善のための注意指導等」を行っている。これは、労働者でなくても、個人事業主でも安全や健康など様々な法令の遵守のためにやらなければならない指示、注意、関与があります。これが労働者でなくても行っているから労働者性の判断のときに考慮しないのか、事実上そういうものを行っているから考慮するのかというのは、国によって解釈が様々です。
 ですから、逆に労働者性の判断に入れるということになると、個人事業主にそういうものをしないようにしようという話にもなってしまって、変なことになるので、労働者性を考えるに当たって、法令上行うべき、個人事業者にも行うべき指示というものをどう考えるかというのは、ここできちんと考えるべきポイントかと思います。それが1点目です。
 2点目は、No.2とNo.3、「業務遂行上の指揮監督の有無」とか、場所、時間の拘束に具体的に関わってくるようなものですが、プラットフォームワーカーや、アルゴリズムによる決定がなされるときにヨーロッパで大きな議論があるのは、労働者性を判断するときに、人による命令処分から監視に基づく誘導や決定に、決定の在り方、監視の在り方が大きくシフトしています。命令からコントロール、命令から監視へという中で、これまでの労働者性の判断基準というのは人による命令ということが重視されてきたのだけれども、アルゴリズムによって情報を収集して、自動処理して、そして一定の誘導をして、誘導にもし乗らなかったときは、場合によって懲戒処分をするかどうかというよりは、この資料の中でも出てきましたが、一種のインセンティブを与えて、誘導に乗った人にはちゃんと効率的に配達しているだろうから今後も配達の注文をいっぱい与えるということもあるかもしれないし、誘導に乗らなかった人についてはアルゴリズムが配達の注文を回さないとか、注文量を減らすとかという処理を勝手にやるのです。それは本当に勝手にやっているのか、ソフト上入れてやっているのかということはありますが、今後特にプラットフォームワーカーを考えるときにそういう点を判断要素の中にどう取り込んでいくかですね。必ずしも昭和60年報告ではそういう監視に基づく誘導決定というものが全面的に入ってきていないので、そういうものをどう考え直していくかという上で、今回の資料の中でもいっぱいその素材があるなということです。
 3点目は、ヨーロッパ等々と同じ議論で、一つ目の諾否の自由というのは労働者性の判断基準としてあまり重要ではないのではないかということが言われつつ、逆に4番目の労務提供の代替性、非代替性、ほかの人に代わってやることができるかどうか、業務を受託して、そして自分でやらなければいけないのか、おまえがやれと言われているのか、それとも別にほかに従業員を雇ったりして、ほかの人に代替的にやってもらってもよいですよ、そういう形で業務に対する完成のアウトプット、成果を出しますよというところが、事業者性と労働者性の表と裏の関係で、労務代替性がないと労働者性が強くなるし、労務代替性があって従業員を雇ってほかにやらせることができるのだったら事業者性が強くなって労働者性は弱くなるよねということが、特にこういう契約形態が多様化する中で重要な要素になっているので、幾つかの判断要素の中の重みづけというものが、例えば、諾否の自由がだんだん相対的に弱くなってきて、4番目の労務代替性というものが大きくなっているというヨーロッパの中の議論の前提となっているような事情と類似する事情が今回のこの調査結果からも出てきているので、そういうものを見ながら全体としてどう組み直していくとか、判断基準を修正していくかということを考える、良い調査結果になっているのではないかと思いました。
 以上です。
○岩村座長 ありがとうございます。
 それでは、笠木先生、どうぞ。
○笠木構成員 ありがとうございます。
 今、既に出ている発言と重なるところもありますので、手短にコメントさせていただきます。
 私も今回の調査報告は大変興味深く内容を拝読いたしまして、整理していただきました事務局の皆様に感謝申し上げます。
 やはりプラットフォームワーカーと事業者とクライアントの三者の契約関係や働き方というものが業界や事業者によって非常に多様になっているということを認識し、これを統一的な枠組みで捉えるということは非常に難しいということも感じました。
 その上で、水町先生が2点目のところで指摘されていたことと重なるので簡単にいたしますが、EU指令などで推定の仕組みなどで考えられているのは基本的にプラットフォーム事業者とプラットフォームワーカーとの関係ということだと思いますが、今回の調査を見ておりますと、実際にはクライアントから常駐を求められていたり、専業的な働き方を求められたり、指揮命令にならないように注意しつつというような記述はありますけれども、ある程度いろいろと指示がされていそうなケースもあります。あるいは、クライアントとの直接契約だけれども、契約内容はプラットフォーム事業者が全面的に決定をしていて、その上で、これは家事代行なので、恐らく実際の働き方のところはクライアントのほうで割と具体的な指示をしているかもしれないと思われ、他方で、インセンティブとかペナルティーはプラットフォームで決めていることも窺えるところがあります。労働者性という問題だけに限れば、あくまでもその人がどのような形で実際に働いているかというところで議論すれば良いということになるのだと思うのですけれども、労働者性の判断要素を誰と誰との間で見ていくかという問題もありそうに思いましたし、言うまでもないことですが、労災などとの関係では、やはり使用者性の問題がどうしても出てきますので、プラットフォームワーカーの場合には、労基法上の労働者性という議論、枠組みだけでは解決し切れない問題があるというようなことを考えました。
 2点目は、これも既に竹内構成員、芦野構成員から御指摘がありましたが、今回の調査は基本的に事業者から聞き取っているということで、お答えの中にも、既存の判断要素に則って労働者にならないような形で働いてもらっている、というような面もありますので、お答えいただいている内容について、実態が本当にどうなっているのかということをもう少し読み込んでいく必要はあるということも考えました。
 最後に、これも水町先生が言及された代替性の話ですが、これは現状では労働者性を否定する要素として考慮されていると理解しておりますが、比較的明確に客観的に評価しやすい要素だと考えております。また、後で議論になる中間取りまとめにおいても、重要な要素となり得るのではないかというような指摘があったところですので、調査結果を拝読する際もこの点に少し注目いたしました。ただ、今回の報告の内容ですと、アカウントへのログインということと関係づけて、名義貸しであるとか、なりすましをするということは禁止されているというお話が出てきておりまして、これは厳密に代替性の問題とは少し違っているように思われ、アカウントは本人のものだとしても、依頼を受けた人がそれをほかの人に仕事をさせているかというようなところについて、これももう少し踏み込んで可能であれば見ていく必要があると考えました。
 以上です。ありがとうございます。
○岩村座長 ありがとうございます。
 それでは、次に新屋敷先生、どうぞ。
○新屋敷構成員 ありがとうございます。
 調査の結果、大変勉強になりました。ありがとうございました。
 芦野先生が御指摘していただいたところと重なるかと存じますが、例えば17ページのペナルティーの点。ペナルティーの内容を見ていくと、これが、今は実質的にコントロールになっているのではないか、結果として生じるようなペナルティーが、結局、コントロールというか、指揮命令になってきているのではないかとか、あるいはインセンティブによってワーカーの行動が規制されることになるのではないかというお話がございました。しかし、例えば、それを基準を示してコントロールだ、指揮命令だという形で示したとしても、恐らくプラットフォーム事業者のほうで、アルゴリズム等の内容を調整をしていってしまうのではないかと考えております。
 イギリスで、実際に、そのように動いているということも聞いております。ワーカーのほうで自発的に動いていくというような形で調整されていってしまうと、結局、指揮命令やコントロールという要素としては捉えられない、ということになっていくと考えております。
 したがいまして、この調査自体は大変ありがたいというか、事実に基づいたものであるとは思うのですけれども、こういうことを捉えて、これは指揮命令だとか、コントロールだとか、そういうように労働者性の判断要素に当てはまるものなのだというふうに判断してしまうと、評価が恐らく分かれる、変わり得るものをそのまま基準とするというのは、なかなか難しいと思っておりまして、後日になって事業者側の調整をどのように考えるのかということが1点気になった点でございます。
 もう1点が、15ページの「事業者を介さない直接契約の禁止」という点です。イギリスの例を出しても軽々に比較はできないかもしれないのですが、イギリスのemployee概念より広いworker概念についても、労働法の規制が適用されるかどうかが問題になっている限界事例において依拠されることがある基準として、ワーカーがその組織を通して自分で自分の労務を提供する機会を得ているのかどうか、あるいは自分が労働市場で労務提供を直接売り買いすることができるのかどうかという点が、労働法の規制が適用されるかどうかの最後のテストになってくるときがあります。今回この「事業者を介さない直接契約の禁止」の点が、プラットフォームワーカーの労働者性を考えるときに、もしかしたら参考になるかもしれないと思いました。
 私からは以上です。
○岩村座長 ありがとうございました。
 それでは、島田構成員、どうぞ。
○島田構成員 ありがとうございます。
 まず、調査の御説明をありがとうございました。大変勉強になりました。
 私からは、2点申し上げたいことがございます。
 まず1点目は、ペナルティーやインセンティブの位置づけについてです。
 プラットフォームワーカーに関する諸外国での裁判例との比較を振り返ってみても、ペナルティーやインセンティブというのが労働者性の判断にとって非常に重要な意味を持つのではないかと思います。
 もっとも、インセンティブにしてもペナルティーにしても、その内容が非常に多様でありますので、それぞれの内容を丁寧に見ていく必要があるのではないかと思います。
 例えば、インセンティブに関しますと、依頼をたくさん受けたことが給与に直接反映されるような制度であれば、そのような給与制度を通じて諾否の自由が実際にはないであるとか、あるいは指揮命令を推認させるという事情になり得るかと思います。それは、事業主に都合のよい行動をワーカーがするようにプログラミングしている、誘導しているという点で指揮命令につながるという意味です。
 ただ、他方で、インセンティブと言っても、例えば、ユーザーの口コミというか、ユーザーの評価が次のマッチングにつながるというのは、これは同時に事業者性を基礎づける、むしろ事業者性のほうに傾きやすい事情ともいえるかと思います。つまり、自らの才覚で、より広いビジネスチャンスにつながるという意味では、事業者性にむしろ近いという意味もあり得ると思います。
 また、場合によっては、お客さんから直接チップを受け取るというようなケースも、それは自営業者にも近いように思います。諸外国と違って、チップがあることで給与が最初から低く設定されているというよりも、あくまでも余剰としてユーザーから直接もらえるという意味では、自らの才覚で収入を増やせるという意味で、やや事業者性に近いような意味もなくはないと思います。
 ペナルティーに対しても同様で、応答しないといけないとか、ユーザーの評価が低いことで給与が減るのであれば、それは誘導があるという意味で間接的に指揮命令を推認させる事実になる可能性があります。他方で、個別に請け負った仕事をキャンセルするとか、受け取った荷物の配達を拒否することでペナルティーを受ける場合、これは単なる契約不履行とか契約違反の問題であって、指揮命令とは区別する必要があるかと思います。そこで、どのようなインセンティブなのか、使用者の誘導、インセンティブが多少あるとしても、それがどのような内容なのかということを見ていく必要があるかと思います。これが1点目です。
 2点目としては、労働者性の判断要素を検討していく中で、プラットフォーム事業者のみならず、一般的に事業者がその労働者性との関係で肯定されやすい事情や、行動を避けるということを考慮する必要があるのではないかということです。
 今回の調査でも、事業者として、これをやってしまったら労働者性が認められやすくなるとか、労働者性を肯定させる方向に傾くということに関してはやらない、という事業者の意思が読み取れるような回答があったかと思います。
 もちろん、それで問題がない部分では良いのですけれども、不都合がある場合もあるのではないかということです。これは、先ほど水町先生から御指摘があったところとも関連するかと思うのですけれども、例えば、ワーカーに対する研修が指揮命令を基礎づける可能性があるのであればもう研修はやらないとか、研修をしても強制はしないという可能性があります。この研修が法令上の指示であればまた別の話になるのかもしれないですけれども、法令の指示ではないものの、あったほうが良いというものも恐らくあるのではないかと思います。例えば、ベビーシッターの研修など、ユーザーの身体生命に関わるようなものであれば、仮に法律上のルールがないとしても、事業者による研修自体は望ましいともいえるように思います。他方で、労働者性の判断において、研修したらそれは指揮命令の一部と評価される可能性が高いのであれば、事実上の効果として、事業者はその研修をしなくなる可能性が高いのではないでしょうか。しかし、これが望ましいのか、ということも含めて検討する必要があるのではないかと考えました。
 ありがとうございます。以上です。
○岩村座長 ありがとうございます。
 では、川田先生、どうぞ。
○川田構成員 ありがとうございます。
 資料の整理と御説明ありがとうございました。
 私から前置き的なところと、事務局に質問させていただきたいこと、それからこの資料の内容についての意見、コメント、感想的なものかもしれませんが、そういう順番でお話をさせていただきたいと思います。
 まず、前置きとしては、ほかの構成員からも御発言がありましたが、この調査自体は、法的にどうなるかということとは違う次元で実態について調査をしたというものだと承知しており、そのようなものとして受け止めてこの後の研究会の議論に反映させていくべきものであるということです。
 それから、前置きのもう一つとして、先ほど水町先生からも御発言がありましたが、私の知る限り、そんなに世界中のことを知っているわけではないのですが、この調査で明らかになった内容というのは、既に法的な議論とか、司法判断が先行しているヨーロッパにおける状況とある程度共通に考えることができる部分がそれなりに多くあるということが確認できたような調査結果であると感じています。
 ここまでが前置きで、2点目の事務局に質問したい点として、今、述べたような前提だと、実態についてのこの調査結果を議論にどう反映させていくかということが今後課題になっていくと思うのですが、そのときに前提としてはこういうプラットフォームワークの前提になる情報技術とか通信技術が発展したことで、これまでの働き方では見られなかったような働き方が生じているというところにどう対応していくかというようなことが課題になると思っています。そのときに一つのポイントとして、例えば、働き手が得られる情報が限られている中だと、一旦、一つの働き先を選んだらそこからは簡単に変えられないが、例えば、インターネット等でほかの働く機会についていろいろ情報が得られるということであれば、そういうものも参照しながら、その時々で良い条件のところで働くような機会が増え、実際上そういうことがやりやすくなっていくだろうと思います。それを法的にどう考えるのかというのは先の話なのですが、実態としてどうなのか。恐らくこれと同じような問題は以前から、例えば、派遣労働者が複数の派遣元への登録を掛け持ちして、良いオファーがあったところに行くという状況はあったと思うのですけれども、プラットフォームワークというのは、さらにそういう働き方の可能性が増えてきているのだろうと思います。
そこで、お伺いしたいのは、今回、業界団体、事業者、労働組合を調査対象にしておられる中で、その働き手の目線で見た働き方の実態として、今申し上げたような情報通信技術を駆使する中で、その時々で良い条件を選んで働く、例えば、複数のプラットフォームを選択肢として持っていて、良いオファーが来たところを選んで働くというような働き方が実態としてどのくらいあるのか、あるいは、そのような働き方の実態の中身はどうかということをデータとしてどのくらいカバーできていると考えられるのかというところをお伺いしたいです。これは、もし追加の機会があれば、そういう観点からの実態調査も必要になってくるかもしれないということも含めての質問です。
 3点目は、この調査についての意見、コメント、感想です。これは2点目で述べたことと共通しますが、要するに、情報技術、通信技術が発達していく中で新しい働き方が広がっているということについて、今回の調査で実態を把握して、それを今後労働者性の法的な検討にどう反映させていくかという話につながっていくと思いますが、そういう中で幾つかポイントになるようなところがあると思います。やや思いつくままに挙げた感じのもので、これ以外にもあり得ると思いますが、3つほど挙げたいと思います。
 まず、先ほど述べたような働き方を選択する機会が情報通信技術の発達の中で増えてきているため、今までであれば、例えば、仕事の依頼や命令という形で行っていたことを、その仕事を発注する側が多くの潜在的な働き手にオファーを出して、働き手の側で選択をして受けるものを選ぶというようなことがやりやすくなっているということを労働者性の中でどう考えていくのか。
 それから、労働者性の話からはみ出す可能性もありますが、社会の実態として起きる出来事を労働法的にどう捉えるのか。例えば、アカウント停止というのは今までの労働法の枠組みの中で、具体的な状況によって、解雇なのか、懲戒処分としての停職なのか、降格なのか、それぞれ実態によって今、挙げた全ての可能性、あるいはそれ以外の可能性があると思いますが、そういうことを考えていく素材というような意味合いがこの調査結果にはあると思います。これが二つ目です。
 三つ目は、次の議題に関わるかもしれませんが、国内外の動向等を見ていくと、プラットフォームワーカーをめぐる問題というのは恐らく大きな問題として、新しい働き方についての労働法的な視点からの保護の内容に関わるもの、それから議論の中に出てきた使用者性に関わる問題などもあり、そういう中でこの研究会の主題である労働者性の話もあるという見方になるのだろうと思います。
 例えば、先ほど述べたような話で言うと、アカウント停止を解雇と見て保護するのかとか、ある特定の働き先で働き続けるということよりは、その時々で良い条件の下で働く機会を保護することが重要なのではないかというような話というのは、恐らく労働法的な保護の内容に関わってきて、それは、現在日本の労働法の通説的な考え方だと、労働者性は保護の対象になる労働法規の趣旨、目的を踏まえて考えていくということなので、考えられる保護の内容が労働者性の考え方と関わってくる部分もあるだろうと思います。
 使用者性についても同じように検討すべきことがありますが、恐らく全体をやり始めると収拾がつかなくなるというか、際限なく話が広がってしまうので、この研究会の議題との関係ではやはり労働者性というところに絞って考えていくということになると思いますが、労働者性を考えていくときに、その外側にかなり大きな問題の広がりがあるということを踏まえて検討していくということ自体は必要なのだろうと思います。
 そういうことを考える素材として、この調査結果があると言えるのではないかというのが最後の点です。
 以上です。
○岩村座長 ありがとうございます。
 では、事務局から質問への回答をお願いします。
○労働条件確保改善対策室長 ありがとうございます。事務局でございます。
 全てについて適切にお答えできるかどうかということはございますが、まず、調査でカバーできているかどうか、調査設計のようなところについてお答えさせていただきますと、今回の調査につきましては、この研究会を意識しまして、まさに働き方などについて調査をしたものでございます。調査対象の抽出は、市場占有率やワーカーの稼働数等を考慮して行っております。
 その上で、事務局の認識としましては、政府のほうで、労働者性の観点から、このようなプラットフォーム労働者の働き方などについて横断的にヒアリング調査を行ったことは初めてではないかと思っております。先程、事業者への聞き取りが多いことについて御指摘がございましたけれども、多くの事業者や団体にヒアリングを行ったということで、移り変わりの早い分野でもあり、解釈する上で留意すべき点もございますが、現状のプラットフォームワーカーの働き方の実態は、一定程度、把握することができたのではないかと考えております。カバーという意味では、そのように考えているというのが1点目でございます。
 その上で、情報通信の技術などが発達した結果、このような働き方の機会がどのようになっているのかということでございますけれども、定量的に測ったものとして、ぱっと思い当たるものはございませんが、御指摘のとおり、初期のものでいうと、インターネットのようなところから始まったのではないかと思いますけれども、これまでには見られなかった働き方という機会が増えてきたということはあろうかと思っております。定量的に申し上げるのは難しいというのが2点目でございます。
 それから、ワーカー本人の目線で見た働き方の実態のようなところについては、関係団体などによって、それぞれ異なる目的で調査されたものはあろうかと思っておりますが、冒頭申し上げましたとおり、労働者性の観点といいますか、この研究会のテーマに沿うような形で、特に政府が実施したものとしては、今回の調査が初めてではないかと思っております。
 以上でございます。
○岩村座長 川田先生、よろしいでしょうか。
○川田構成員 ありがとうございました。
 この調査結果は非常に貴重な資料であると思いますので、労働者性に関する法的な判断は、これを基に、この後、進めていくということなのだろうと思います。ありがとうございます。
○岩村座長 小畑先生、どうぞ。
○小畑構成員 ありがとうございます。
 大変興味深い結果をきれいにまとめていただきましてありがとうございます。
 そして、先生方からの御発言はいずれも重要なものばかりで、大いに共感して拝聴したところでございます。
 私が御質問したい点は、川田先生に対するお答えによってかなり答えていただいたことになるかとは思うのですが、この調査がどれほどの範囲をカバーしたのかということについてお尋ねしたいと思っておりました。
 例えば、非常にローカルな企業、業界団体などと全く無関係に存在するようなプラットフォーム事業者というものがあちこちにあるということですと、もしくは新たなものがどんどん新たなビジネスモデルをもって登場するというようなお話になってきますと、今回の調査結果以外の、より素朴なと申しますか、ソフィスティケートされていないような回答をするようなローカルなプラットフォーム事業者というものもあり得ると思ったほうがよいのか、そういった点に興味がございましたが、先ほど川田先生へのお答えを拝聴いたしまして納得したところでございます。
 以上でございます。ありがとうございます。
○岩村座長 ありがとうございました。
 では、竹内先生、どうぞ。
○竹内構成員 ありがとうございます。
 今回の調査の中身ではなくなってしまうのですけれども、先ほど御意見があった中で島田構成員の発言について私が申し上げたい点が2点ございます。
 島田構成員の御発言は、ペナルティーやインセンティブ、様々なものがあるので細かく具体的に見ていく必要があるというふうな一般論をおっしゃった上で、具体例を2点言及されたかと思います。一般的にそれぞれ様々なものがあるため慎重に見ていかなければいけないという点はそのとおりだと思いまして同意をいたします。
 その上で、例えば、ユーザーの評価が次のマッチングにつながるということについて、それはむしろ使用者といいますか、労務提供の相手方となるような相手方が何かコントロールをしようとしている事情ではないのではないかというような、あくまでも例ですし、それも様々なので、このようなユーザーの評価でも場合によりけりという御趣旨も含んでいるのかもしれませんけれども、しかし、例えば、就労プラットフォームの事業者がそのようなユーザーの評価を利用するというシステムを用いているという場合には、そのこと自体を労働者性に当たって考えるべきではないかと考えられ、そのような点からいうと、先ほどの御意見の具体的な内容について、私は疑問を感じております。
 もう1点、法令の規制等ではないけれども、役務提供の相手方、利用者であるユーザーの身体生命に関わるような事例などについては研修等をやったほうが望ましい、そのようなものについて、労働者性につながる事情として扱うとやらなくなるからどうかということがありまして、その点については一応分からなくはないところもあります。私はそのこと自体にも疑問がありますけれども、他方で分からなくないところはあるのですが、しかし、労働者として扱わない場合であってもそのようなコントロールを許容するということであれば、コントロールに伴う就業者のリスクということについても向き合うべきだと思います。何が言いたいかというと、労働者扱いしなくても何らかの労働者と共通するような保護というものについて議論すべきではないかということです。
 これは既にこの研究会で申し上げておりますけれども、諸外国、私が知っているのはアメリカですが、労働者扱いしなくても、例えば、最低報酬保障をするとか、労働者に共通するような一定の保護を与えるという例はございます。ですので、先ほどのような議論をするのであれば、労働者でないけれどもやはり就業者として保護するべきではないか、そういうふうな議論と併せてセットをしないと、非常にその視野も限られた議論になると思いました。
 ただ、他方で、最後に申し上げたところは、もちろんこの研究会が労働者性の判断基準というものを基本的には対象にしていますので、そのことを念頭に置いた議論をしなければいけないと思いますけれども、先ほどの島田構成員の二つの具体的な例について、私は非常に疑問を覚えましたので、ここで申し上げる次第です。
 以上です。
○岩村座長 ありがとうございます。
 島田構成員、何かリアクションはございますか。
○島田構成員 ありがとうございます。
 インセンティブに関しては、確かにそのインセンティブを使うことで、間接的に誘導しているという点ではもちろん指揮命令という点でも考慮し得るものかもしれません。私もその点は否定するものではないのですけれども、ただ、誘導といってもあくまでも間接的にとどまり、また、口コミによって次のお客さんを得るというのは一般事業者がしていることであることも考慮する必要があるのではないかと思います。とりわけ最近は口コミというものがビジネスチャンスを広げる重要なものと位置づけられていることを考えると、誘導の面だけを取り上げるのは適切ではなく、両方の側面があるということも認識しておく必要があるのではないかと感じたところです。ありがとうございます。
○岩村座長 ありがとうございました。
 水町先生、どうぞ。
○水町構成員 今の点はこれからもう少し詰めていけばよいと思うのですが、少なくともフランスの議論の中では、客による評価を使って使用者が決定をしているという事情は労働者性の判断要素に入ると言われていますし、法令上の指示であったとしても、個人事業主に行っている法令上の指示や注意であったとしても労働者性の判断の中に入れるという解釈がフランスの判例ではなされていますので、そのような点を日本でどう考慮するかを、この後検討すれば良いと思います。
 以上です。
○岩村座長 ありがとうございます。
 最後に、私から少しだけですが、本日、用意していただいたこの調査報告書の資料を拝見していて一つ感想として強く思ったのは、答えていただいた各社が、そうは書いていないのですけれども、昭和60年報告をかなり意識して設計をしているなということが1点あります。これは、先ほど島田先生のご意見でも触れられていたと思います。
 そうなると、以前から申し上げているのですが、今回我々が検討して昭和60年報告の基準をどのように見直すかということについて、それがどのように当事者の行動に影響を及ぼすかということもやはり検討しておかなくてはいけないだろうと思っています。それが1点です。
 それから、今も議論になっていましたが、インセンティブであるとか、ペナルティーとか、あるいは水町先生がおっしゃったアルゴリズムでモニタリングをした上で、それに基づいてインセンティブを設けるというようなものをどう評価するか。竹内先生は、先ほど指揮監督などとしてというお話をされましたけれども、そうであるとすると、やはり指揮命令という言葉で今まで表現してきたものが一体具体的には何を意味しているのかということを議論した上でないと、結論というか、どういう評価をするかということが導けないという気はしています。やはり、インセンティブを指揮命令と言うということは、少なくとも言葉の表現上は難しいだろうという気がするので、その辺をどう考えるかというのは、もう少し検討が必要と思います。
 もう一つは、契約というものがプラットフォームとワーカーとの間で結ばれるのですが、そこでイメージしている契約というのが一体何なのか、もし実態が分かればもう少し検討が必要かなという気がしました。というのも、14ページのNo.9-2の「基本契約・個別契約」では、フードデリバリーと軽貨物等輸送・配送において、2段構えの契約を締結すると記載されています。恐らく直接クライアントとワーカーがその契約を締結するケースというのも、もしかすると2段構えになっている可能性はあるのではないか、そのときに、どちらの契約を捉えて労働者と考えるのかという問題が存在するだろうと私は思っていますので、その辺も少し考える必要があるという気がしています。
 よろしければ二つ目の議題であります「労働基準法における「労働者」について」に移りたいと思います。前回の研究会でも一部について議論をいただいたところでありますけれども、改めて事務局のほうから資料を用意していただいておりますので、その説明をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○労働条件政策課課長補佐 事務局でございます。
 資料2について御説明させていただきます。
 資料2は、これまでの研究会での御議論や、裁判例の分析結果等をまとめた資料でございます。前回の研究会では、「第2」の素案を御用意し、御議論いただきましたが、当日の御議論を踏まえた修正を行うとともに、次回研究会では「第1」と「第3」の素案についても事務局にて準備することとなっておりました。そこで、今回は「第1」と「第3」についても素案を御用意いたしました。また、前回の研究会でいただいた御意見につきましては、「第2」と「第3」に加筆しております。その上で、今回の主な修正箇所について簡単に御説明させていただきます。
 資料2の2ページでございます。
 「第1 はじめに」の「1 労働基準法上の「労働者」」という項目につきましては、労働基準法9条の位置づけや昭和60年報告について記載しております。
 続いて、4ページに移ります。
 「2 本研究会について」の「(1)本研究会の開催経緯」という項目につきましては、労働基準関係法制研究会の報告書を踏まえて本研究会が立ち上げられたことを記載しております。
 その下の「(2)これまでの検討の概要」という項目につきましては、本研究会の開催要綱に記載された検討事項や、これまでの検討項目の概要を記載しております。
 次に、「第2 これまでの議論の整理」の修正部分について確認してまいります。
 こちらにつきましては、前回の研究会でいただいた御意見の一部を主に3か所加筆させていただいております。
 まず、13ページでございます。
 こちらにつきましては、点線で囲まれている部分の上から二つ目の「イギリスでは」から始まる点を加筆しております。
 二つ目は、35ページでございます。
 こちらにつきましては中央の本文部分、「法曹専門家からのヒアリングでは」という1段落を加筆しております。
 3点目は、62ページでございます。
 こちらにつきましては、「イ」の「(構成員意見)」の一部と、その上の本文部分を若干加筆しております。また、そのほかにも幾つか形式面を含め、修正しております。
 次に、68ページに移ります。
 「第3 今後の研究について」という項目でございます。
 こちらにつきまして、本文部分ではこれまでの研究会で確認された事項と、今後の研究について記載しております。
 また、その下の「(構成員意見)」の欄では、前回の研究会でいただいた御意見を加筆しております。
 資料2の御説明は以上でございます。
○岩村座長 ありがとうございました。
 それでは、資料2につきまして御説明いただきましたので、その中で特に今回初めて出てきました「第1」と「第3」を中心に御意見等を頂戴できればと思います。
 では、竹内先生、どうぞ。
○竹内構成員 ありがとうございます。
 今、座長がおっしゃった「第1」と「第3」という話に収まるかどうか分からないのですけれども、まずここまでおまとめいただきましてありがとうございます。
 もちろんこれまでの経緯をまとめたものとしては全く異論がないところでございます。また、今後の議論に当たりましても、参照されるべき資料となるものと思っております。
 他方で、議論の方向性等を特定のものに固定するような趣旨の文章として位置づけられることはないように、これを生かしつつも、本日、議題の(1)のほうで議論したようないろいろな調査から明らかになる知見とか、あるいは諸外国の状況等を踏まえて、これからあるべき判断基準の在り方などを議論していくものと考えております。ですので、この資料が何か特定の方向性を決めるような形で位置づけられることがないということについて、確認したいということが一つ目の意見でございます。
 二つ目として、「第1 はじめに」の5ページ目の「ア 裁判例」については、現時点で、一定の期間に判決が下された裁判例を範囲として検討しているということであり、これはこれまでの議論のまとめなので全く問題がないですが、確定はしていないものでありますけれども、令和7年以降も非常に重要な裁判例が出ていますので、今後の議論においてその裁判例をどこまで取り扱うかについては、この研究会でそれ自体議論がなされることになろうかと思いますけれども、今後の議論においてはこの後の裁判例も恐らくは視野に入れて検討していくことが必要ではないかということを申し上げたいと思っております。
 もう1点、これは現実的には難しいという気もしているのですけれども、昭和60年報告がこの研究会においての重要な基礎の一つであり、今後それをどのように位置づけていくのかということが議論の出発点になっていると思っております。
 それで、昭和60年報告につきましては、第1回研究会においても資料として示されたと理解をしております。その内容を見ると、この資料の中でも随時盛り込まれているような判断基準の考え方というものが示されており、また、労働者に当たるか、当たらないか、という具体的な事例が幾つか示されています。
 他方で、私のほうで昭和60年報告それ自体について独自に調べているわけではないので調査不足の可能性はありますけれども、昭和60年報告がどのようにして、あるいはどのような具体的な裁判例などを基にして出来上がったのかということについて、必ずしも詳らかになっていないような気がいたしました。少なくともこの場で共有はされていないように思いました。
 昭和60年報告が今日の就労を取り巻く状況を踏まえてどのように見直されるかという点では、その点は過去の話かもしれませんけれども、いわば立法でいうと、法改正を考えるときに現在の立法の経緯とかを調べるということは当然あるわけです。そうすると、昭和60年報告でいろいろなことが言われて、そして、今日、現実の裁判例では昭和60年報告をかなり意識して実際の判決が下されているわけでありますけれども、昭和60年報告がどのようにできたのか、例えば、どのような裁判例を参考にしているのかとか、そのようなことについて、40年前の文章ですので資料等がそもそも残っているかというようなこと自体分からないところがございますけれども、昭和60年報告についてなぜこのような内容になっているのかということについても解明ができれば、この研究会における今後の議論に資するのではないかと思いました。
 初めに申し上げたとおり、そもそも立法史的な資料が探せるかどうかということもありますので、現実の可能性は必ずしも高くないと考えておりますけれども、そのような昭和60年報告の経緯についても少し明らかにできれば良いのではないかと思った次第です。
 以上です。
○岩村座長 ありがとうございます。
 1点目か2点目について、事務局への投げかけのようなものがありましたのでお願いします。
○労働条件確保改善対策室長 事務局でございます。
 この資料の位置づけや、裁判例についての御質問だったかと思います。
 前回の研究会でもお答えをさせていただきましたので、それを御紹介するような形でお答えをさせていただくことになりますけれども、まず、この資料についてでございます。前回の研究会では、この資料は、この時点でのこれまでの御議論を整理したものであるということ。それから、これまでの資料及び議事録を全て読まずとも、この資料を読めば、これまでの御議論や裁判例の分析結果などの概要が分かるようなものを意図しているということを一つ申し上げたということでございます。
 それから、もう一つとしましては、今後、引き続き御議論を続けていただく上での土台のようなものになると考えてはおりますけれども、特定のトピックについて、この時点で結論づけなどをしたりするような資料ではないということを申し上げました。前回の研究会で答弁させていただいた内容に変更はないということでございます。
 2点目は、裁判例についてでございます。
 裁判例につきましては、昭和60年1月1日から令和6年12月31日までの期間に判決が下されたものなど、一定の基準に当たる裁判例を抽出した上で分析をいただいたという位置づけだと考えております。その上で、このような形での分析をもう一度行うかどうかということはあるかとは思うのですけれども、少なくとも、これまでの分析に影響を与え得るような裁判例や、認識しておいたほうがよいと思われる裁判例などを、個別に扱うことは否定されるものではないと考えております。今後、研究会として、どのような御議論をお願いするかということはございますけれども、そういった中で、御議論をいただければと思っております。
 以上でございます。
○岩村座長 よろしいでしょうか。
 3点目については、私と事務局で相談をさせていただきたいと思います。
 新屋敷先生、どうぞ。
○新屋敷構成員 先ほどの議題の一つ目について、1点だけ申し上げます。川田先生がおっしゃっていたアカウント停止が解雇となるのかということを考えたときに、基本契約と個別契約という枠組みが使われている場合に、イギリスでは必ずしも基本契約に基づくアカウント停止ついては法的なものとして扱われないため、その点などどうするのかなということも考えておりました。
次に、これまでの議論の整理(案)に関しまして、申し訳ないのですが、「第1」と「第3」のところではないのですが、12ページや13ページで、例えば、13ページの「労働者概念の定義に修正はないが」という記載について、これはイギリスの文脈であれば、「労働者」を「employeeやworker」と直さないといけないと思っておりまして、細かい点について後ほど事務局に修正をお願いできればと考えております。
○岩村座長 ありがとうございました。
 構成員の意見については、「第2」の記載でも修正の申出があれば対応できますので、どのように修正するか、今、口頭では伺いましたけれども、やはり文章でいただいたほうがよろしいと思いますので、後ほど事務局へ提出をお願いします。
○新屋敷構成員 ありがとうございます。
○岩村座長 水町先生、どうぞ。
○水町構成員 ありがとうございます。
 まず「第1 はじめに」の4ページ、「2」の「(1)本研究会の開催経緯」のところで、労働基準関係法制研究会の内容がポツで三つ挙げられています。労働基準関係法制研究会報告書の17ページに記載があるのですが、例えば、労働者性を研究する場において、恐らくこの研究会を指しているのですが、その場において事業の概念との関係を含めて議論を行うなど、早期に検討に着手することが必要とされていたのですが、その点についてこの資料では記載されていません。この研究会でその点を扱うのか、それとも労働基準関係法制研究会報告書には記載されていたけれども、別の場で早期に研究するということなのか、これは優先順位が低いからとりあえず今は検討しないということなのか。
 私は、ずっと前の研究会から、この研究会の冒頭でも併せて事業概念について、特に国外に事業の拠点があって、日本国内で労務提供をしている労働者に、日本で普通に働いているけれども、法人登記をシンガポールでしていて、シンガポールから遠隔コントロールをして日本で働いている人に最賃法とか労基法が適用されないのはおかしいのではないか、そこについて解釈上どうにか対応できるのかも含めてちゃんと検討したほうが良いということをずっと言ってきたので、その点についてどうかということを、この資料を修正するというよりは、事務局として、厚生労働省としてどういう検討をされようとしているのかという点が質問の一つ目です。
 68ページの「第3 今後の研究について」の中で、行が変わった「今後の研究では、これらを踏まえて」というところで、「実態を確認しながら、昭和60年報告で示す判断基準の在り方や、労働者性判断の予見可能性を高めるための方策についての研究をさらに深めていく」と書いてあって、特に労働者性の予見可能性を高めるための方策をどうするかという点が今後の重要な具体的な検討課題になると思うので、この点は良いと思いました。
しかし、その次の「なお」以下です。先ほどの座長のお話の中にも関わるとも思いますが、「なお」以下の、当事者にどのような影響を及ぼすのかということなども想定しながら検討すべきであるという3行が加えられています。このことはそのとおりだと思うのですが、先ほどの前の論点で座長がおっしゃっていた指揮命令という言葉の中でどう労働者性を判断するかということも併せて少しだけ敷衍して言わせていただくと、今の労基法9条の法律上の定義では、使用されるもので賃金を支払われるものと書かれていて、その中では「使用」という言葉が使われています。そして、昭和60年報告ではこれは指揮監督下の労働と言ったり、賃金性と合わせて使用従属性という言葉を使っていますが、法令上は「使用」という言葉を使っています。
 では、この「使用」が何を意味するかというときに、「使用」の言葉だけでは何も出てこないので、労働基準法などがどういう人たちに対してどういう保護を及ぼそうとしているのかという構造や趣旨をきちんと理解した上で、労働基準法のつくられた1947年と比べて就業の実態が大分変わってきているので、その労働基準法が保護しようとしているものを誰に対して保護すべきかという構造や趣旨に基づいて、「使用」という概念で労働者性を判断できるのか、もしかしたら「使用」という言葉でそれを捉え切れなくなっているとすれば、労基法9条を改正するかという話になるかもしれませんが、これは労基法9条を改正しなくてもその解釈を変えることによって対応できるのではないかということで今、検討しているところです。
 要は、「使用」という言葉を仮に法改正しないでそのまま使うとすれば、その「使用」の意味というのは、その言葉、文言の意味もあるかもしれませんが、労基法の趣旨や構造、そして働く実態がどのように変わっているかという中で中身をどう組み替えていくかということが大切です。
 その中で「第3」に戻ると、確かに労基法の定義を変えたり、どの法令解釈をするときも法令を変えて適用対象とか中身を変えると、当事者の行動に影響を与えるということは当然出てくるので、そのことを考えなければいけないのだけれども、「なお」以降の3行だけ付け加えられると、当事者の行動を見ながら変えるべきところを変えないということに受け取られかねないのも問題だと思うので、そもそも労基法等の法令の構造、趣旨に照らして、どのような労働者性の判断基準とすべきなのかということを本質的に議論しつつ、新しい労働者性の判断基準も、新しいと言わなくても修正でも良いのですが、その修正を考えるときに当事者の行動にどう影響するかも併せて考慮すべきということで、この3行にプラスしてその前段で本来考えるべきことを文言として追加していただければというのが私の意見です。
 以上です。
○岩村座長 ありがとうございます。
 芦野先生、お願いいたします。
○芦野構成員 ありがとうございます。
 まず一つ目は、先ほどの座長のお話にも関連してこちらにも関連するところですが、個別契約と基本契約に分かれている場合にどう考えるかという点です。これは非常に重要な御指摘であると思っております。したがいまして、この点は「第3 今後の研究について」において意識しておく必要があるのではないかと思います。
 この点については、かつて、鎌田耕一先生が座長を務め、水町先生や小畑先生も御参加された厚生労働省の「雇用類似の働き方に係る論点整理等に関する検討会」において、プラットフォーム事業者等のヒアリングが行われたことがあります。そこで得られた成果なども活用しながら、三者間契約の契約関係や働き方の実態を踏まえた分析も、今後は必要になってくるだろうと思っております。
 二つ目は、今の水町先生のお話にも関連してくるところですが、結局どのような視点から捉えるかという問題です。保護を必要とする者と、保護を必要としない取引形態とが組み合わさっている中で、労働者性の概念については、保護を必要とする者としての労働者というのはどのような者であるのかを一度見直そうとしているのだと思います。一方で、インターネットを用いたプラットフォームを通じて働く就業者のように、そもそも仕組みとして当事者間に非対称性が生じ、そのために保護を必要とする取組形態というものが最近では生まれ始めてきており、より顕著になっているのではないかと思います。そのような形態が、従来の単純な使用者と労働者という枠にとどまらない形態としてできているため、そこの点をもう少し意識した分析があってもよいと思いました。
 以上です。ありがとうございます。
○岩村座長 ありがとうございました。
 川田先生、どうぞ。
○川田構成員 ありがとうございます。
 この資料の「第2」の内容について、細かい部分の御指摘等はあるかと思いますが、大きなところとしては、私はこれまで行われてきた議論の内容が反映されていると思っています。
 それで、この後の議論との関係ということになると思いますが、既にほかの構成員からも御指摘はあったと思いますが、一つはここ直近でかなり下級審中心に裁判例の動きが大きいと思います。そのため、最終的に取りまとめる際には、どこかで基準時を定める必要はあると思うのですが、できるだけ最近の動きが取り入れられるような議論の整理の仕方というものは必要になってくるのだろうと思っています。
 それから、これも既に議論が出たところですが、恐らく働き方に関する社会の動き、社会的な実態、前の議題で出てきた情報通信技術の進展というのも一つだと思いますが、そのような実態が動く中でこの研究会で検討対象としている労働基準法、あるいは関連する個別的労働関係法による保護の必要性がどのようなものかということを改めて整理し直して、それに応じた労働者性の在り方を考えていくというのは、この後の議論の対象になっていくものだと思います。限界的な部分ではこれまで議論の中で既に出てきた話なのか、新しい話なのかというのは出てくると思いますが、大きな流れとして、このような部分はこの後の議論に委ねられているという整理は必要だろうと思います。そのようなものとして私はこれまでの議論の取りまとめとしておおむね的確にまとめられていると思っております。
 以上です。
○岩村座長 ありがとうございます。
 水町先生から事業概念についての御質問がありまして、事務局から回答をお願いします。
○労働条件確保改善対策室長 要を得たお答えにならないかもしれませんが、水町先生がおっしゃったとおり、労働基準関係法制研究会を経てこの研究会が立ち上がったという経緯がございます。そして、この研究会としての検討事項、ミッションのようなものについては、開催要綱に規定されているということでございます。
 ただ、これは、先程あったような、切り分けのような話になってくるのだと思いますが、労働基準法の労働者性は、独立して存在しているわけではなく、他とのつながりもありますので、どこまで視野に入れてやるのかという話はあるのだろうということです。
 ですので、事務局としましては、特定の事項について、重要ではないのでこの検討事項に入れていない等というつもりはないのですけれども、まさにどのようなところまで考慮に入れてこの労働者性の話を御議論いただくのかということではないかと認識しております。この研究会のミッションは意識した上で、どのようなところまで視野に入れて御議論いただくのかということではないかと思っております。
 以上でございます。
○岩村座長 ありがとうございます。
 一応、念のためお伝えすると、この研究会の開催要綱に検討事項が記載されており、そこがまさにこの研究会のミッションになるのですが、労働者性に絞った形での検討事項ということになっております。労働基準関係法制研究会からのつながりということで言うと、水町先生がおっしゃることも分かるのですが、そもそもこの研究会はこういう形でミッションを決めた上で発足しているということは御理解いただければと思います。
○水町構成員 その限りでは、厚生労働省としてここ以外のところでもちゃんと検討するということが労働基準関係法制研究会報告書では求められているということが理解していただければと思います。
○岩村座長 ありがとうございます。
 新屋敷先生、どうぞ。
○新屋敷構成員 ありがとうございます。
 今後さらに検討したい点として発言させていただければと思います。
 70ページですけれども、先ほど近時の裁判例についても検討すべきという話だったのですが、この研究会でもずっと問題になってきておりましたし、第2回の労働者側、使用者側の弁護士からのヒアリングでも回答がございましたけれども、契約書の取扱いをどのようにしていくのか、労働者性の判断において予測可能性を高めていくに当たって契約書の取扱い・位置づけを検討していくべきではないかと考えてございます。
 昭和60年報告や、労働者性に関するこれまでの裁判例においても、実態判断が優先されて、契約書式や契約の形式は問わないということになっていたと思いますし、そのように一般的な理解をされてきたと思います。しかし、最近の例を見ておりますと、契約書に、これは業務の性質だからというような、いかにも裁判所等の認定で使ってくださいと言わんばかりの内容が整えられてしまったときに、判断がかなり揺れている、揺れてくるように私のほうでは理解しております。
 ですから、業務の内容はこうですというように契約書に非常に細かく書いた場合に、労働者性の判断において契約の名称や形式ではなくて、実態を捉えていくためにどのように契約書との関係を整理するのか、あるいは先ほどプラットフォームの話も出てきましたけれども、諸外国においては非常に細かい約款のようなものが恐らく用意されていて、しかもそれが基本契約、個別契約であったりとか、先ほど芦野構成員からも御指摘があったように、三者関係で契約関係が結ばれていたりして、さらにそこで事業者なのか、それとも労働者なのかということが議論になってきますので、労働者性判断に当たって、契約書や約款とかの扱いが非常に難しくなってくるのではないかと考えております。
 それで、労働者性の判断要素の見直しというところも大きく重要な点であると思うのですけれども、どのように実態を捉えていくのかという点についても、私としては今後の研究会で検討していけたらと考えてございます。
 以上です。
○岩村座長 ありがとうございます。
 笠木先生、どうぞ。
○笠木構成員 どうもありがとうございます。
 本日お示しいただきました議論の整理の案については、異論はございません。
 その上で、今後そのような議論もあるということを期待したい、という趣旨で希望を申し上げます。「第3 今後の研究について」のところで、この研究会では労働者性判断について、労基法上の労働者性判断について昭和60年報告で示す判断基準の在り方や予見可能性を高めるための方策が中心的な課題になる、とあります。これについては異論はなく、また何度か私のほうから繰り返し申し上げていることではあるのですが、そこで新たに示される労働者性判断の基準がどういう意味・機能を持つものなのか、というマクロな視点を入れつつ検討していくことが有益ではないかと思っております。
 労働者であると判断されることによってどういった保護があり、そうでなければどのように取り扱われるのかという視点もありますし、社会保障の観点から言えば、労働者であるとなる場合と、そうでない場合でどういった違いが出てくるのかというようなところを少し幅広に見ながら検討していく視点が必要と考えております。昭和60年報告書というのはあくまで労基法上の労働者性が問題となった裁判例における労働者性の判断基準を整理した、というもので、そこが少しある意味では狭い視野のものになっているようにも思いますし、せっかくこのような機会を設けて議論しておりますので、そのような広い視点があることを期待しております。
 以上です。
○岩村座長 ありがとうございます。
 それでは、議題の二つ目の資料2に関する議論はここまでとさせていただきたいと思います。資料2につきまして、特に「第3」についてだと思いますけれども、御意見をいただいているところでございます。その点については、事務局と私のほうで相談しまして、必要に応じて追記、あるいは修正をするということにさせていただければと思います。
 その上で、次回以降の研究会におきまして、個別の論点についてこれを参照しながら議論を進めていくということにさせていただきたいと考えております。
 それでは、第6回「労働基準法における「労働者」に関する研究会」は、本日はここまでということにさせていただきたいと思います。
 構成員の先生方におかれましては、御多忙の中、御参集いただき、また積極的に御議論いただき、大変ありがとうございました。
 それでは、これで散会いたします。