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2026年4月17日 第208回労働政策審議会労働条件分科会 議事録
労働基準局労働条件政策課
日時
令和8年4月17日(金) 10:00~12:00
場所
厚生労働省専用第15会議室
(東京都千代田区霞が関1-2-2 中央合同庁舎5号館12階)
(東京都千代田区霞が関1-2-2 中央合同庁舎5号館12階)
出席者
- 公益代表委員
- 安藤委員、川田委員、神吉委員、黒田委員、首藤委員、原委員、水島委員、山川委員
- 労働者代表委員
- 亀田委員、櫻田委員、佐藤(好)委員、椎木委員、菅村委員代理、春川委員、古川委員、松田委員
- 使用者代表委員
- 加藤委員、鈴木委員、田中委員、田上委員、鳥澤委員、兵藤委員
- 事務局
- 岸本労働基準局長、尾田審議官(労働条件政策、働き方改革担当)、松下総務課長、川口労働条件政策課長、先﨑労働関係法課長、田邉労働条件確保改善対策室長、中島労働条件政策課長補佐、来嶋労働条件政策課長補佐、瀧田労働関係法課長補佐、下田労働条件企画専門官
議題
(1)2024年度 年度評価について
(2)「労働組合法施行令の一部改正」及び「労働基準法施行規則の一部改正」について(報告事項)
(3)労働市場改革分科会について(報告事項)
(2)「労働組合法施行令の一部改正」及び「労働基準法施行規則の一部改正」について(報告事項)
(3)労働市場改革分科会について(報告事項)
議事
○山川分科会長 それでは、定刻になりましたので、ただいまから第208回「労働政策審議会労働条件分科会」を開催いたします。
本日の分科会は、会場からの御参加とオンラインでの御参加の双方で開催とさせていただいております。
議事に入ります前に、本分科会委員の交代について、事務局から紹介をお願いします。
○下田労働条件企画専門官 事務局でございます。
本分科会委員の交代につきまして御報告いたします。
お手元の参考資料No.1として「労働条件分科会委員名簿」を配付しております。使用者代表の佐久間一浩委員が御退任され、全国中小企業団体中央会労働政策部長、田上雄一委員に御就任いただいております。
また、使用者代表の松永恭興委員が御退任され、本日御欠席ではございますが、株式会社日立製作所人材統括本部人事勤労本部長、福本隆介委員に御就任いただいております。
事務局からは以上でございます。
○山川分科会長 どうぞよろしくお願いいたします。
本日の委員の御出欠ですが、労働者代表の冨髙委員が御欠席と伺っております。代理として、日本労働組合総連合総合政策推進局長の菅村裕子様に御出席いただいております。よろしくお願いします。
また、使用者代表の佐藤委員と福本委員が御欠席と伺っております。
では、カメラ撮りについてはここまでとさせていただきます。
では、本日の議題に入ります。議題(1)は「2024年度年度評価について」です。
では、事務局から説明をお願いします。
○下田労働条件企画専門官 労働条件政策課でございます。
議題(1)の年度評価につきまして、資料No.1及び参考資料No.2により御説明させていただきます。
まずは資料No.1の1ページ目を御覧ください。当分科会におきましては、2025年度までの目標を2つ設定してございます。1つ目が年次有給休暇取得率を70%以上とするもの。2つ目が週労働時間40時間以上の雇用者のうち、週労働時間60時間以上の雇用者の割合を5%以下とするものでございます。本日は、この目標に対する2024年度における進捗状況や今後の方針等について御説明申し上げます。
まず、1つ目の目標である年次有給休暇の取得率につきましては、2024年度の実績は66.9%となっております。2つ目の目標である週労働時間40時間以上の雇用者のうち、週労働時間60時間以上の雇用者の割合につきましては、2024年度の実績は8.0%となっております。
続きまして、施策実施状況でございます。主な取組として働き方改革関連法の周知ということで、時間外労働の上限規制や年次有給休暇の年5日の取得義務等の幅広い周知、働き方改革に関する相談・支援ということで、働き方改革推進支援センターによる相談対応や、働き方改革推進支援助成金等による支援を行っております。特に働き方改革推進支援助成金におきましては、2024年度から時間外労働の上限規制の適用が開始されました建設業、自動車運転の業務、医業に従事する医師などにつきまして、労働時間の短縮等に向けた環境整備に取り組む中小企業を支援するためのコースを設け、助成を行っております。
さらに、長時間労働の是正に向けた監督指導、年次有給休暇の取得促進に向けた取組ということで、10月の取得促進期間や夏季・年末年始など、時季を捉えた集中的な広報などを実施してまいりました。
続きまして、資料の2ページ目の下のほうでございます。2024年度の施策実施状況に係る分析でございます。この部分はお手元の参考資料No.2に基づき御説明いたします。参考資料を御覧ください。
1ページ目でございます。まず、年次有給休暇の取得率につきましては、2024年は66.9%となり、労使の皆様の御尽力もございまして、1984年以降最も高い数値となり、また、10年連続の増加となりました。
続いて、3ページ目を御覧ください。企業規模別の年次有給休暇取得率の経年変化を掲載しておりますが、2024年の取得率は前年と比較しまして、いずれの規模別区分においても増加しております。企業規模別の取得率の差も縮小傾向にはありますが、特に30~99人の区分で2020年と比較して10ポイント以上の増加となっております。
一方で、同じページの参考部分を御覧ください。2024年度の意識調査によりますと、約4割の労働者が年次有給休暇の取得に「ためらいを感じる」または「ややためらいを感じる」と回答しております。ためらいを感じる理由としましては、「周囲に迷惑がかかると感じる」「後で多忙になる」といったことが挙げられておりまして、年次有給休暇の取得率向上のためには、引き続き年次有給休暇を取得しやすい職場の環境づくりが必要であると考えております。
続きまして、参考資料の4ページ目を御覧ください。2024年の週労働時間40時間以上の雇用者のうち、週労働時間60時間以上の雇用者の割合は8.0%となり、目標の5%とは乖離があるものの、長期的には緩やかに減少傾向となっております。なお、先日発表されました労働力調査の結果によりますと、2025年は7.7%となっておりまして、減少傾向を継続しております。労働時間の状況につきましては、今後の動向を十分に注視しつつ、引き続き取組を進めていく必要がございます。
参考資料の5ページ目を御覧ください。こちらは業種別の状況でございますが、業種別に見てみますと、運輸業、郵便業や宿泊業、飲食サービス業、教育、学習支援業といったところが長くなっております。特に2024年度に時間外労働の上限規制の適用が開始されました建設の事業や自動車運転の業務などにつきましては、長時間労働の背景に取引慣行上の課題等が認められることから、関係省庁と連携して取引慣行の改善に向け取り組んでいく必要があると考えております。
最後に、資料No.1にお戻りいただきまして、3ページ目を御覧ください。施策の達成状況を踏まえた評価と今後の方針でございます。
まず、年次有給休暇取得率の目標につきましては、先ほど御説明しましたとおり、着実に増加してきている状況でございます。目標の達成に向けまして、引き続き各種施策の周知等を行うとともに、病気やけがに備えて取得を控えるようなことが起こらないよう、事例集、就業規則の規定例を記載したリーフレット等の作成、配布、働き方・休み方改善ポータルサイト上での周知等により、病気休暇取得制度等の特別休暇制度の普及促進に努めてまいります。
週労働時間60時間以上の雇用者の割合の目標につきましては、引き続き全業種横断的に中小企業を中心として、労働時間相談・支援班や働き方改革推進支援センター等での丁寧な相談対応や、助成金等各種支援制度の周知を実施しますとともに、長時間労働が疑われる事業場等に対する監督指導を適切に実施してまいります。
また、先ほども申し上げましたが、一昨年4月から建設の事業、自動車運転の業務等についても時間外労働の上限規制の適用が開始された状況を踏まえまして、厚生労働省におきましては、取引関係者や国民全体に向けて、国土交通省とも連携しながら、働き方改革の重要性や業界が抱える課題等について周知広報を行ってまいります。
さらに、トラックドライバーに関しましては、長時間の恒常的な荷待ち時間を発生させないことなどに係る労働基準監督署による荷主要請、国土交通省のトラックGメンへの協力等の取組も行っております。
また、医業に従事する医師に関しましては、他の職種との業務分担など、医療機関の勤務環境改善に向けた取組を支援するため、医療勤務環境改善支援センターによる相談対応、助言などの事業を実施しております。
また、運送業に関してでございますが、荷主都合による輸送先での長時間の待機や手積み・手下ろしによる非効率な荷役作業等のケースもございまして、荷主側の配慮がなければ労働時間を容易に短縮しがたい状況にございます。荷主側の取組を促すため、働き方改革推進支援助成金におきまして、荷主等による集団が運送事業者の荷待ち・荷役時間の短縮に取り組み、成果を上げた場合に助成する「取引環境改善コース」を新設することを予定しております。
最後に、国民の皆様にも年次有給休暇の取得、長時間労働の削減のための対策等の重要性を御理解いただくため、10月の「年次有給休暇取得促進期間」や11月の「過労死等防止啓発月間」などの機会を通じて周知・啓発に努めてまいります。
事務局からの説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。
○山川分科会長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの事務局からの説明につきまして、御質問、御意見等がありましたらお願いいたします。オンライン参加の皆様におかれましては、御発言の希望がある場合にはチャット機能でお知らせください。御質問、御意見等ございますでしょうか。櫻田委員、お願いします。
○櫻田委員
私からは、年次有給休暇の取得率について発言をさせていただきます。2024年における年休の取得率は66.9%。2020年と比較しますと10%以上上昇しているということは、まさに現場の労使の取組の成果でありますし、また、厚労省をはじめとして、行政による支援等によるものだと考えております。
一方で、参考資料No.2の3ページを見ますと、企業規模別では1,000人以上が69.0%であるのに対して、30~99人では64.9%となっております。30~99人の規模では大きく実績が伸びていますけれども、まだまだ規模感の差は大きいままであると捉えております。
また、雇用形態や業種別の課題も含めて、年休取得率のさらなる上昇に向けて効果的かつ重点的な取組が不可欠であると思います。特に私が所属しておりますサービス連合には、宿泊業で働く仲間が多くおります。宿泊業、飲食サービス業では、参考資料No.2の2ページにございますが、年休取得率は平均と比べても15ポイント程度低いという結果が出ております。また、週60時間を超える労働者の割合も高いということから、こうした年休取得や長時間労働に課題がある業種を重点対象として、今も助成金などによる支援を行っていただいておりますが、さらなる取組支援の強化をお願いしたいと思います。
なお、参考資料No.2の3ページにも意識調査の結果が示されておりますが、年休取得のハードルになっているのは、「ためらいを感じる」と「やや感じる」があわせて39.2%、「周囲に迷惑がかかる」といった職場への気兼ねが大きな要因だと思います。雇用形態や企業規模等にかかわらず年休を取得しやすい職場環境づくりを進めていくということが重要であると思います。
また、そうした休みやすさを確保するという観点でも、労働時間の短縮につながる業務効率化と生産性向上の取組を進めることが欠かせないと考えます。引き続き厚労省におきましても労使それぞれに対して好事例の展開を含めた効果的な後押しをお願いしたいと思います。
私からは以上でございます。
○山川分科会長 御意見、御要望も含め、ありがとうございました。
ほかにございますでしょうか。では、亀田委員、お願いします。
○亀田委員 ありがとうございます。
私からは目標2の週労働時間60時間以上の雇用者の割合につきまして、発言させていただきます。こちらは、全体として着実に低下しており、長時間労働の是正に向けた取組が前進しているものと受け止めております。
他方で、参考資料No.2の5ページにあるとおり、運輸業、郵便業が17.7%、宿泊業、飲食サービス業が15.1%、教育、学習支援業が13.9%となっていますが、いずれも減少傾向にあるとはいえ、他の業種に比べて依然として高止まりしている状況です。さらに、参考値として2025年の結果が7.7%であったことも示されておりますが、2025年度までの政府目標である5%の未達成が確定していることについては、重く受け止める必要があると思っています。
こうしたことを踏まえますと、労働時間の短縮に向けて大前提となる労働時間の適正把握はもとより、不払い残業の根絶を含め、労基署による監督指導などを徹底していただくことこそが重要であると考えています。
併せて、中小企業を中心に働き方改革推進支援センターによる制度の正しい理解・活用と、伴走型支援の強化、関係機関による経営支援などを通じて業務の効率化や省力化などを通じて、労働時間の短縮が両輪で進むように省庁横断的な取組をお願いするところでございます。
以上でございます。
○山川分科会長 ありがとうございました。
ほかはいかがでしょうか。では、オンラインで、鳥澤委員、お願いいたします。
○鳥澤委員 ご指名ありがとうございます。
まずは、資料の取りまとめ及び御説明のほう、ありがとうございました。私から意見を申し上げます。
資料でお示しいただきましたとおり、年次有給休暇の取得率は増加傾向であり、また、週労働時間60時間以上の雇用者の割合も減少傾向が続いております。以前まではコロナによる上振れではないかという推測もございましたが、コロナ終息後も減少が続いている点からも長時間労働の削減に向けた取組が進んでいるものと受け止めております。
他方で、中小企業からは36協定の範囲内で適法に時間外労働を行っているにもかかわらず、労働基準監督署から外部要因等のやむを得ない事情を考慮しない一律の指導が行われ、企業活動を萎縮させているという声もございます。監督機関である労働基準監督署が行う指導は、法制度の範囲や違反のおそれがある場合に対してのみ行うべきと考えます。
働き方改革のさらなる進展に向けて、指導ではなく、支援が重要です。企業が時間外労働削減のために支援を希望する場合においては、その内容に応じ、働き方改革推進支援センターなどの支援機関とより緊密に連携すべきであると考えますので、併せて申し上げます。
私からは以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。
オンラインでもうお一方、兵藤委員から御希望があります。お願いします。
○兵藤委員 ありがとうございます。兵藤でございます。発言させていただきます。
資料No.1で拝見させていただきまして、只今の御説明のとおり、年休取得率の向上は、10年間で最も高い取得率に向上したという点や、長時間労働の是正が着実に進んでいるということが分かり、全体観としての評価は大変よかったと感じております。
先ほど櫻田委員からも御指摘がございましたとおり、私も同様の点について御意見を申し上げたいのですが、業種によってさらに取組が必要ではないかと感じております。例えば参考資料No.2の2ページを見ますと、生活関連サービス業、娯楽業などで一部昨年に比較して年休の取得率が低下しているということが見てとれました。厚生労働省におかれましては、全体だけでなく、業種ごとの取得率にも着目をしていただき、引き続き必要な対応を検討いただきたいと考えております。
また、長時間労働の是正についても、同じ資料の5ページを拝見しておりますと、週労働時間40時間以上の雇用者のうち、週労働時間60時間以上の雇用者の割合は、運輸業、郵便業のほか、宿泊業、飲食サービス業、教育、学習支援、生活関連サービス業、娯楽業などでもまだ多いことが分かります。これらの業種の中には過労死などの防止のための対策に関する大綱における重点業種などに含まれるものが多く、過労死等の事案の収集や分析が進められるということも当然承知はしておりますが、こうした成果も活用しながら、長時間労働者の割合が多い分野における対策には、今も取り組んでいただいているとは思いますけれども、さらに重点的に取り組むべきと考えておりますので、ぜひよろしくお願いいたします。
私からは以上となります。
○山川分科会長 ありがとうございました。
ほかにございますでしょうか。それでは、田上委員、どうぞ。
○田上委員 全国中央会の田上と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
御説明、誠にありがとうございました。2024年度の年度評価ということで、着実に数値的な部分、向上しているというところでしたが、向上している中で、課題としては「周知」が1つポイントかなとお聞きしていて感じました。周知というのは、中小企業の末端までしっかり伝えていくことが、やはり難しいと感じておりまして、通達一本でなかなか伝わるものでもないというところがあろうかと思います。ですので、今後に向けては、どのように、具体的に、より深く突っ込んで、周知・啓発をしていくのかというところが課題になってくると考えますので、意見として申し上げたいと思います。
以上でございます。
○山川分科会長 ありがとうございました。
ほかにございますでしょうか。よろしいでしょうか。
種々御意見等いただきありがとうございました。
それでは、本分科会における2024年度の年度評価につきましては、説明していただいたとおりのものとして取りまとめることとした上で、本日委員の皆様からいただいた御発言、御意見等の内容を踏まえながら、引き続き取組を行っていくということにしてはいかがかと思いますが、そういうことでよろしゅうございましょうか。
(委員首肯)
○山川分科会長 ありがとうございます。御異議ございませんでしたので、そのようにいたしたいと思います。
では、続きまして、次の議題に移りたいと思います。議題(2)「労働組合法施行令 公示送達のデジタル化」と「労働基準法施行規則 高度プロフェッショナル制度の『臨時の健康診断』の項目追加の改正」につきまして。こちらは報告事項です。事務局から説明をお願いします。
○先﨑労働関係法課長 労働関係法課長でございます。
資料No.2-1を御覧いただければと思います。労働組合法施行令の一部を改正する政令案の概要につきまして、御報告させていただきます。
改正の趣旨でございます。下線部でございますが、令和4年に成立しました民事訴訟法等の一部を改正する法律によりまして、訴訟関係書類の送達に関する規定が改正されたこと。また、送付場所が不明等の場合に、一定の手続により送達があったものとみなす公示送達の手続につきまして、政府としてデジタル化を図っていく方針が示されていること等を踏まえまして見直しを行うものでございます。
次に、改正の概要でございます。まず、労組令の第29条第2項につきましては、準用している民訴法の規定に条項移動が生じたため、所要の規定の整備を行うものでございます。
次に、労組令の第30条では和解調書の正本等の公示送達の方法を定めておりますけれども、今般の改正によりまして、①にございますが、送達すべき書類を交付可能である旨を、不特定多数の者が閲覧することができる状態に置くこと。②としまして、その旨が記載された書面を労働委員会の掲示場に掲示し、またはその旨を労働委員会に設置した電子計算機、すなわち、パソコンで閲覧できる状態に置くこと、これらの措置を行うことによりまして、官報または公報による公示送達を廃止する内容の改正を行うものでございます。
施行期日につきましては、令和8年5月21日を予定しております。
資料No.2-1については以上でございます。
○田邉労働条件確保改善対策室長 続きまして、資料No.2-2を御覧いただければと思います。労働基準法施行規則の一部改正について御説明をさせていただきます。
まず、改正の趣旨でございますけれども、高度プロフェッショナル制度の対象労働者につきましては、使用者に、健康確保のための措置を実施することを求めているというところでございます。この健康確保のための措置については、必ず実施するものから、そうでないものなどまで、幾つかの種類がございますけれども、資料中の「1.改正の趣旨」の1ポツ目に記載されておりますような、いわゆる選択的措置と言われるものの中に「臨時の健康診断」というものがございます。上から2行目のところでございます。その上で、2ポツ目のところになりますが、この「臨時の健康診断」の検査項目は、労働安全衛生法に基づく一般健康診断の検査項目を用いることとしてございます。こうした中で、本年3月16日の安全衛生分科会におきまして、労働安全衛生法に基づく一般健康診断の検査項目に「血清クレアチニン検査」という検査項目が追加されることとなりました。こうしたことから、高度プロフェッショナル制度の「臨時の健康診断」につきましても、「血清クレアチニン検査」という検査項目が追加されることとなるという内容でございます。
なお、施行期日につきましては、資料の一番下のところに書いてございまして、令和9年4月1日ということでございます。
資料No.2-2及び議題(2)の資料の御説明につきましては、以上でございます。
○山川分科会長 ありがとうございました。
ただいまの説明につきまして、御質問、御意見等がございましたらお願いいたします。佐藤好一委員、お願いします。
○佐藤(好)委員 自動車総連の佐藤でございます。ありがとうございます。
まずは労働組合施行令の一部改正について、御説明いただいた内容に異論はございません。その上で御意見です。厚生労働省においては、労使紛争の迅速かつ公正な解決に向け、今後も労働委員会が団結権の擁護や労働関係の公正な調整を図るという労働組合法第19条の2の第2項に沿って、本来の役割をしっかりと発揮できるよう、引き続き必要な改善などの取組を進めていただきたいと思います。
加えて、安衛則等の一部改正に伴って、高度プロフェッショナル制度に係る「臨時の健康診断」の検査項目を追加することは当然であると受け止めております。
関連して、高度プロフェッショナル制度について意見を申し上げたいと思います。「臨時の健康診断」は選択的措置の一つですが、2025年度の報告の状況を見ますと、健康確保の観点から効果的と考えられる勤務間インターバルの確保及び深夜業の回数制限を実施している事業場はいまだゼロであると捉えております。健康管理時間が長時間になってしまったことが分かってから行う「臨時の健康診断」のような事後的な措置よりも、インターバルの導入などの事前の予防的措置の実施を促進するべきではないかと考えます。
また、1か月当たりの健康管理時間の平均は300時間未満に収まっているものの、最長時間が400時間以上から500時間未満という事業場も一部に見られます。健康管理時間は労働時間とイコールではないと認識しておりますが、適用労働者の健康確保が図られるよう、引き続きしっかりと監督指導を行っていただきたいと思います。
以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。
ほかはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
関連した件について御意見をいただきましたけれども、報告いただいた労働組合法施行令、公示送達のデジタル化と労基法施行規則、高度プロフェッショナル制度の「臨時の健康診断」の項目追加の改正につきましては、報告事項ですので、労働条件分科会への報告をいただいたということにいたしたいと思います。ありがとうございます。
では、続きまして、次の議題(3)「労働市場改革分科会」。こちらも報告事項です。事務局から説明をお願いします。
○川口労働条件政策課長 事務局でございます。
資料No.3を御覧ください。日本成長戦略会議の下に設けられました労働市場改革分科会の議論の状況につきまして、前回本分科会でお話ししましたように、その議論の状況について御報告をさせていただきたいと思っております。
資料No.3、5ページ目を御覧ください。この労働市場改革分科会でございますが、テーマとして、労働市場改革の中で、人手不足など労働供給制約下にある中でということで、「現状と課題」にありますとおり、1から3の大きなテーマがございます。1つが労働生産性の向上。それから労働移動の円滑化。すなわち、労働生産性の高い分野への労働移動をするという論点。それから労働参加の確保。こういったテーマがございます。こういった点について幅広く議論するということで、労働市場改革分科会が設けられております。これまで3月11日に第1回、4月3日に第2回が行われておりまして、本日はこの状況について御報告をさせていただきたいと思います。
資料の9ページ目を御覧ください。第1回ということで、3月11日の回です。全体の論点を提示いたしまして議論いただいたという回でありますが、9ページ、労働生産性につきましては、論点ということで幾つか挙げられています。若干御紹介いたしますと、労働生産性の向上は重要である。それを持続的な賃上げにつなげていくためにはどういった取組、連携が必要かという論点。あるいは生産性向上に向けた人的資本の促進というところに向けた様々な支援、どのような方法が考えられるか。リ・スキリング等の論点が掲げられております。
また、一番下の丸にありますように、こういった生産性向上という意味では、企業に求められるマネジメントということ、それに対する相談支援、様々な支援ということが重要であろうということで、議論がなされております。
12ページを御覧ください。労働移動の観点について論点を掲示しております。この中でも、労働生産性の向上に合わせて、ここであれば、成長産業、あるいは社会を支えるエッセンシャルワーカー等の分野への労働移動という観点からどのようなことが必要であるか。2ポツ目にありますように、その際に労働者の適職選択に資するような職業情報の提供とか、労働市場の見える化といったことに向けてどう対応していくか。こういった論点が掲げられております。
続きまして、16ページ、労働参加の論点です。労働参加ということで、女性、高齢者、障害者等、潜在的に就業意欲がある方のさらなる労働参加を促進するためにどのようなことが必要であるか。あるいは4点目にありますような、労働参加という文脈の中で、労働時間制度につきましても、労働者の健康確保を図りつつ、柔軟で多様な働き方の実現に向け、運用、制度両面からどのような対応が考えられるか。
最後、労働参加につきましても、企業における人材マネジメントということが重要であるという観点から、特に中小企業について様々な経営課題がある。そういった中で人材マネジメントに関する相談支援が重要ではないか。こういった論点の下に御議論いただいたということでございます。
18ページ以降は各委員の方々の資料を掲載しておりますが、委員ごとの意見を御紹介するというよりも、全体的な議論について概括的に御説明をさせていただきたいと思います。
特に3月11日の第1回につきましては、今申し上げたように、労働市場をめぐる現状と課題ということで、全体的な御議論がありました。その中で、特に労働時間制度につきましては、全体として労働参加を促進するといったときに、短期的な労働力の確保、目の前の労働力の確保という観点と、長期的に労働力を確保する。特に少子化問題とかも意識しながら長期的に確保するというところを分けて考えるべきであると。そういった長期的なという観点では、意欲のある女性・高齢者など多様な人材が働きやすい、そういう社会を実現することが必要で、そういった意味での労働者の希望に基づく柔軟な働き方を可能にする仕組みを広げていくこと。働き方改革を進めること。長時間労働の是正が重要だと。こういった意見が多く見られたと思っています。
さらに、全体の中で上限規制の話も出ました。業種によってはこういった上限規制の支障があるといった御意見もありましたが、上限規制というものは、先ほどの長時間労働是正ということとも絡めて守っていくべきだという意見が複数あったと思っています。
また、こういった議論、長時間労働を是正していくという中では、特に下請構造の強い影響を受けている中小企業では、他律的な要因、自社ではコントロールできないという事情もあるので、取引適正化ということが重要であると。あるいは中小企業等における相談支援、こういった体制の構築が重要であるといった御意見がありました。
第1回は各論についても議論が出ております。本分科会でも議論になっていますが、裁量労働制についての意見を幾つか御紹介いたします。柔軟で多様な働き方の実現に向けて見直しは一定程度必要といった御意見。あるいは裁量労働制の拡充というものは、労働生産性の改善・向上だけでなく、創造性を発揮する仕事の特性に適した柔軟な働き方の拡大に資するものであり、長時間労働の抑制策や裁量労働制にふさわしい処遇の確保の在り方など、制度の濫用策とセットで見直し議論をしていきたいといった御意見。
一方で、裁量がない中で制度の適用を受けて長時間労働になってしまったりするという課題もあると。本当の意味で労働者が仕事や業務量に対して裁量を持てているのか、どう担保できるのかという点を慎重に検討していくべきだ、いく必要があるといった御意見。
あるいは本当の意味で裁量がない方に適用されてしまう、あるいは長時間労働になりやすいという実態もあって、今、行うべきは制度の拡充ではなく、2024年度(令和6年度)改正を踏まえた定期的なモニタリングなど、適正運用というものの徹底が必要ではないかという御意見。
これは裁量労働制だけではなかったかもしれませんが、労働者の同意とか選択といった議論がありますが、本当の意味で自由な意思に基づいているのかというところは慎重に考えるべきといった御意見。
これは厳密には第2回の議論だったかもしれませんが、フレックスタイム制との混同といいますか、フレックスタイム制でもいつ働くのかという裁量はあって、そこでも対応できる場合もあるのではないかといった御意見がありました。
このほか、各論の中では、例えばいわゆる上限規制との関連で、原則としての時間外労働45時間・年間6回までといったことについて、一部の例外措置ができないか、あるいは変形労働時間制の運用、あるいは要件の見直しなどについて検討すべきだといった御意見がありました。
それから、いわゆる勤務間インターバルでありますとか、働き方の健康・安全の確保、生活時間の保障の観点から、長期の連続勤務に対する規制の導入ということを進めることが必要であるといった御意見がありました。
第1回は、このような総論的な観点から各論的な観点まで御意見が様々あったということでございます。
4月3日、第2回につきましては、論点として3つの柱の中のいわゆる労働生産性の向上、労働移動の議論が中心の回でございましたが、労働時間制度の関係も特に運用面の見直しについて少し議論が行われております。資料の71ページに資料を載せております。労働時間の運用面につきましては、「現状」ということで、働き方改革推進支援センターということで、現在、全国社会保険労務士会連合会に委託しておりますが、ここで労働時間、あるいはその制度に限らず助成金等の支援策の活用についても助言をしていると。こういうセンターが各都道府県にございます。
あるいは労働基準監督署におきましても、監督指導と切り離した労働相談・支援班を設けております。こういったところで、希望する企業に対しては、個別の訪問支援等によって労働時間に関する制度説明ということも行っております。
労働基準監督署において運用ということで、適法な時間外労働に対しても、時間外労働時間数に着目した一律の指導を実施しているといった御指摘。先ほど鳥澤委員からもございましたが、そういった指摘もございます。
こういった中で、方向性ということで、支援の在り方としましては、監督署、あるいは働き方改革推進支援センターが連携して効果的に実践していくこと。支援センターにおいても、36協定でありますとか労働時間制度に向けて、複雑な制度がなかなか理解されないという部分もありますので、その活用に向けた相談支援といった議論。
それから、監督署における指導の在り方についてもどう考えるか。こういった論点の下で御議論いただいた回でございます。
具体的な議論としましては、支援ということで、支援機関、特に支援センターだけではなくて、よろず拠点でありますとか様々な支援機関がございますので、こういった支援機関の連携による相談支援の強化、中小企業の経営の視点も含めた業務の支援ということは、有効な支援方策ではないかといった御意見。
それから、先ほどの監督指導の関係であれば、時間外労働が適法な範囲であっても監督署に指導される、それにより企業が萎縮してしまうといった御意見。監督署でともすれば画一的、硬直的な指導がされているという声が聞こえるといった御意見。企業の実態やニーズに沿った運用とか支援を期待したいといった御意見がありました。
一方で、時間外労働というものをある意味推奨するような方向での制度、あるいは運用の見直しは行うべきではないということ。それから、監督署の監督指導というものは、労働者の命と健康を守るための最低基準に対する労働基準法の趣旨を踏まえた厳格な対応というものを堅持すべきであると。こういった御意見があったということでございます。
非常に雑駁で、しかもほぼ口頭の御説明になって恐縮でございますが、過去2回、3月11日、4月3日の労働市場改革分科会の議論の状況ということで、御報告でございました。ありがとうございます。
○山川分科会長 ありがとうございます。
それでは、ただいまの説明につきまして、御質問、御意見があればお願いいたします。オンライン参加の皆様におかれましては、先ほどと同様にチャット機能で御発言の希望があればお知らせください。御質問、御意見等ございますでしょうか。どうぞ。
○川口労働条件政策課長 補足、よろしいでしょうか。
ただいま労働市場改革分科会の議論の状況について御説明をさせていただきました。これとの関連で、いわゆる裁量労働制につきましては、労働市場改革分科会、特に第1回でも複数の委員から御意見がありました。御紹介しましたように、見直しについて一定程度必要ではないかという御指摘もあった一方で、裁量がない中での長時間労働になってしまうといった課題もあるという御意見もありました。この裁量労働制については、本分科会におきましても昨年来御議論いただいて、多くの御意見をいただいております。
こういった中で、今後の議論に当たりまして、事務局といたしましては、裁量労働制の今の実態、特に令和6年度、2024年度に施行された制度の適正運用、様々な労使委員会の機能強化等の適正運用の取組、改正がございました。この状況でございますとか、いわゆる裁量労働制の満足度でありますとか裁量の度合い、こういったデータに基づく議論がありますが、現時点の状況ということ、実態を把握するための調査というものを行いたいと考えています。
その際、裁量労働制の実態の把握ということにつきましては、これまで令和元年度の実態調査で御議論いただいてきましたが、令和元年度実態調査は、いわゆる政策誘導的にならないように、中立的にということを意識して実施された調査だと思っております。この調査をベースに、一方で、限られた予算、期間の中で調査を行ってまいりたいと考えております。
説明のほうは以上でございます。
○山川分科会長 ありがとうございました。失礼しました。
では、追加の御説明のあった点も含めまして御質問、御意見があればお願いいたします。では、菅村様、お願いします。
○菅村代理
先ほど来、労側委員から労基署の監督指導に係る意見が出されておりますが、まず冒頭、自民党の提言について意見を申し上げたいと思います。自民党の日本成長戦略本部が総理に対し、労働時間制度に係る運用見直しを提言したことが報じられております。提言の中では、労基署による一律の指導を見直すといった趣旨の記載がなされているということですが、労働者の命と健康を守るための最低基準である労働基準法の趣旨を踏まえれば、厳格な対応は今後も堅持すべきであって、上限規制の範囲内であっても、時間外労働を推奨する方向での見直しは行うべきではないと考えております。
加えて、そもそも上限規制や36協定などの正しい理解が十分になされていないという実態があるということを踏まえますと、36協定未締結での違法残業や不払い残業をなくすことこそ急務であって、各労働時間制度を含めた適正運用の徹底と労働時間の短縮を主眼に置いた取組にこそ注力をいただきたいと考えております。
続きまして、先ほど御説明いただいた労働市場改革分科会に係る報告についてです。これまでも労働側から発言しておりますが、労働条件分科会において1年以上にわたり労使で丁寧に労働時間について議論を積み重ねてきております。それにもかかわらず、日本成長戦略会議で政策の方向づけがなされ、本分科会が下請のようになってしまうということや、その議論が軽んじられるようなことがあってはならないと考えております。労働政策については、職場実態を熟知した労使を含む三者構成原則を踏まえた労政審での議論を尊重すべきであるということは再度強調しておきたいと思います。
その上で、労働市場改革分科会で取り上げられている論点について、労働側としての意見を改めて申し上げておきたいと思います。
まず、基本的な考え方について、さらなる労働参加の促進に向けては、多様な人材が働きやすい社会を実現していく必要がございます。そのためにも、業務効率化、省力化と労働時間の短縮を両輪とした働き方改革の定着を進め、誰もが安心して働き続けることができる環境整備を進めることが重要だと考えます。具体的な施策としては、労働時間の縮減と豊かな生活時間の確保に向けた上限規制の段階的な強化に加え、しっかりと休息や生活時間を確保できるよう、長期の連続勤務規制、勤務間インターバル制度の義務化、つながらない権利の立法化などの検討を進めるべきであると思います。
この点、労働市場改革分科会においても、健康確保には勤務間インターバルが実効的、長時間労働や転勤を前提とした雇用慣行が就業継続やキャリア形成の障壁であるといった意見が出されていると承知しております。
また、柔軟で多様な働き方を実現していくことは重要ですが、それは長時間労働を招いたりするようなものであってはならず、フレックスタイム制をはじめ、現行制度を適切に活用すれば今でも十分に実現可能であると考えております。
これまでの本分科会や労働市場改革分科会において、一部の委員からは働く者の同意による規制緩和などの声もございますが、労使間に厳然たる交渉力格差があることを踏まえれば、働き方や業種、職種等の違い、働く者の同意などを理由に規制緩和を行うべきではないと考えます。
特に裁量労働制については、これまでも繰り返し述べておりますけれども、適用労働者のほうが長時間労働になりやすいということ、必要な裁量や適切な処遇が必ずしも確保されていないという実態があること等の課題が明らかになっていると思っております。この点について、労働市場改革分科会でも複数の有識者から、裁量労働制においては裁量が確保できず、長時間労働となる実態もあるために慎重な検討が必要であるということ、労使合意は労使の力関係の差があることも踏まえるべきという指摘があったと認識しており、そうしたことを踏まえれば、2024年改正を踏まえた厳格な導入手続や、定期的なモニタリングなどの適正運用の徹底こそ進めるべきと考えます。制度の拡充、要件緩和は行うべきではないと考えております。
労働時間規制の緩和を求める意見の背景には、働き方改革を単に労働時間を減らすだけとネガティブに捉えていることがあるのではないかと考えておりますが、この点、働き方改革は長時間労働の抑制と業務効率化などによる生産性向上の両立を目的としたものであると私どもは捉えております。長時間労働を抑制すれば、労働者はリ・スキリングなどの時間の確保も可能となります。それによって能力向上が図られれば、ひいては企業の生産性向上にもつながるものと考えます。労働力希少社会である今こそ、長時間労働の抑制と生産性向上を同時達成する働き方改革の一層の推進が必要であると考えます。
最後に、先ほど課長から説明いただいた実態調査の件について申し上げておきたいと思います。労働側としては、裁量労働制については2024年の改正内容を含め、適正運用を徹底すべきであり、制度の拡充緩和を行うべきではないと先ほども発言をしたところでございます。しかしながら、今ほど実態を把握するための調査を行いたいという御説明がございました。2024年の改正から僅か2年というタイミングで本当に政策効果をはかることができるのかということには疑問があると考えております。そのような中で調査を実施するということは、経済団体などからの見直しの要望を踏まえたものという疑念を持たれてもやむを得ないのではないかと思っております。
加えて、極めて精緻に実施された2019年の調査とは異なり、先ほど課長からも説明があったように期間と予算が限られている中で、不十分な調査を実施し、その結果が拙速な見直しの議論に用いられるということを強く懸念しております。
労働側としては、今、調査を行うことの必要性と妥当性に疑問を感じざるを得ないと考えておりまして、それでもなお調査を行うということであっても、拡充のための材料とするような調査とすべきではなく、あくまで2024年改正の実態把握の点からの調査とすべきであると考えております。
以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。
ほかにございますでしょうか。鈴木委員、どうぞ。
○鈴木委員 御指名ありがとうございます。
ただいまの菅村代理からの御発言に関連して、私からもコメントを差し上げたいと思います。
まず、監督署につきましては、私どもも画一的な指導があるという声は企業からも聞いています。長時間労働を推奨するような対応ではなく、先ほどおっしゃったように、36協定の理解不足で例えば36協定の未締結や賃金の不払いがあれば、それは違法ですので、徹底した行政指導が引き続き必要だというのは、私どもも同じ思いです。
次に、労政審と労働市場改革分科会の関係性についても御指摘がありました。労働条件分科会には、具体的な政策を実現するために、現場をよく知る労使が話し合って決めるという役割があることに変わりはありません。ただ、政府のほかの会議体は別の役割を持ち、より大きな視点で働き方についての議論をするという意味があると思っています。2016年、2017年に政府として働き方改革実現会議が開催されました。その際、会議での議論がきっかけで上限規制の議論が加速したという経緯もあり、そこを否定する必要はないと私自身は思っています。
また、業務効率化と労働時間の縮減に重きを置いた御発言があったと受け止めております。ご発言を否定するつもりはございませんが、業務効率化だけでは例えば賃金引上げの原資となる付加価値の増加に直結しない面もあると思っております。中小企業における価格転嫁の促進については、特にサプライチェーンの上流である大企業が取り組むことも必要と思いますが、あわせて、働き手の能力の発揮という観点から、長時間労働の是正と併せて労働者の希望に基づく多様な働き方の実現にもしっかりと対応していかないといけないと思っています。
○山川分科会長 ありがとうございます。
オンラインでの御発言希望がお二方からございます。まず、加藤委員、お願いします。
○加藤委員 御指名ありがとうございます。加藤でございます。
私からは、今回お話がありました裁量労働制の拡充の必要性について、一言申し上げさせていただきたいと思っております。現在、我々がおります自動車業界においては、よく言われる100年に一度の大変革期というところにあります。そうした事業活動を維持・発展させるために、新しい事業を生み出すこととか研究開発、それに伴う人材育成といったところに対して、変化に対応すべく挑戦というものを行っております。とりわけ人事の分野ですと、柔軟で自律的に働けるという環境づくりが我々どもの喫緊の課題だと思っております。
自動車ビジネスは、これまでは目指すべき方向性というものが明確で、リソーセスをかなり投入するということで生産を担うということをやってきていました。そうした時代には労働時間の長さがそのまま成果に結びつきやすいということだったかと思います。しかし、これからは、従来の課題解決型というところから、よく言われるイノベーションという課題創造型への働き方が求められてくるのではないかと思っております。このような働き方では必ずしも労働時間の長さイコール成果ということではないのかなと考えております。
先ほど申し上げた誰もがいつでも失敗というものを恐れずに挑戦、トライできるというように、実労働時間からみなし労働時間に労働時間管理というものを変えていく必要があるのではないかと強く感じております。こうした裁量労働制の拡充により、先ほど申し上げた柔軟で自律的に働いて成果を出せる制度を整えていくべきではないかと思っております。
手前みそで大変恐縮ですけれども、当社でも裁量労働制の活用を進めてきましたところ、上司側が適用者に対して上位の方針をきちんとかみ砕いて説明をして、まとまった業務を付与することで、適用者自身が自ら考えて業務に取り組むようになったといった効果とか、多くのポジティブな効果が報告はされております。
また、労働組合を通したアンケートにおいても、生産性、成果の質向上につながるといった前向きなコメントも多くいただいているところでございます。
一方で、先ほどからお話に出ております制度趣旨に合わないような運用とか健康面、処遇面に関しては十分承知をしているところでございます。当社でも上司全員に対して制度趣旨の徹底とか、例えば新しく制度を導入する職場に至っては、職場実態の把握に努めて、労使ともども会話をしながら適正な運用に取り組んでいるところでございます。
こうした取組の積み重ねというものもあって、通常の労働時間制度の下での働き方と比較した場合には、裁量労働制の下で働くほうが効率化、かつ短時間で働けるという労働者が、平均的に見れば多いかなと思っております。
今後適切な運用を行っている企業の取組というものも参考にしながら、先ほどおっしゃっていただいた長時間労働の抑制策とか、裁量労働制にふさわしい処遇の確保の在り方については、濫用の防止策とセットで見直し議論をしていくべきではないかと考えております。
私からは以上でございます。
○山川分科会長 ありがとうございました。
続けて、オンラインで鳥澤委員から発言希望がございます。よろしくお願いします。
○鳥澤委員 御指名ありがとうございます。鳥澤でございます。
私からは3点申し上げます。
まず、1点目の労働生産性でございますが、労働生産性の向上に向けては、企業数の8割強、特に地方で高い付加価値を占める小規模事業者の存在は極めて重要です。地域や企業の特性に応じて個社支援、地域支援の両面で政策を検討することが求められます。
地域全体の維持・活性化に向けては、社会を支えるエッセンシャルワーカー等の分野の供給力強化が喫緊の課題となります。業界全体でのデジタル化、ロボット活用など、重点的な支援による省力化に着実に取り組むとともに、賃金をはじめとした職場の魅力向上や対策の検討をお願いいたします。
また、一般的に中小企業の生産性は低いとされていますが、中小企業白書でも示されているとおり、中小企業の実質生産性は大企業に比して遜色ない水準です。しかしながら、生産性向上によって中小企業が創出した付加価値を取引価格に適正に反映できず、相対的に生産性が低くなってございます。弊社においても仕事を請け負った際、本来であれば10日かかる工程を企業努力で8日間で対応したにもかかわらず、次回発注からは同様の仕事が2割ほど発注額を削減された状態で提案されるという事例がございました。大企業と中小企業との間の取引については、行政指導のおかげもあり、随分と状況は改善されてきておりますが、中小企業同士の受発注ではまだまだこういった事態が残念ながら生じております。中小企業の労働生産性を欠いているのは、適正価格での取引にならないという点が大きいと考えております。従業員の雇用と給与と健康を守るためにも、まずは省庁横断的・政府全体での労務費を含む価格転嫁の一層の推進が不可欠です。
続きまして、労働移動について申し上げます。成長分野やエッセンシャルワーカーの労働参加を促進することに異論はございません。求職者や非正規雇用労働者に対する公的職業訓練の強化、中小企業を含んだ情報提供の強化などを通じ、労働移動の後押しをお願いしたいと思います。
他方で、地方中小企業においては、大企業、都市部への従業員流出の懸念は大変根強くございます。政策を用いて労働移動を促すことで、地域の生活・産業を支える中小企業の人手不足を加速させ、地域の経済・社会の衰退につながらぬよう、十二分な配慮が必要と考えます。
3点目、労働参加について申し上げます。下請構造の強い影響を受ける中小企業におきましては、自社でコントロールできない外部要因での支障が多いため、まずはサプライチェーン全体での理解促進、取引の適正化を進めることが重要です。
加えて、45時間・年6回までの上限規制の一部例外措置や、変形労働時間制の運用、要件の見直しなど、健康確保と労使合意を大前提としながら、より柔軟な働き方を可能とする制度の検討が求められます。特に変形労働時間制について、外部要因で生じる突発的な業務への対応としての活用ニーズがある一方で、既に労働日を特定している場合は途中の変更が認められていないことや、期間開始の30日前に労使合意を得ることが必要であるため、有効に活用できないとの声が多くございます。他律的な要因への対応のため、計画申請後の変更を認める措置、労使合意を得る期間の短縮など、より柔軟に活用できる制度となるよう、要件を緩和すべきと考えます。
また、専任の人事担当者がいない多くの中小企業の人的課題の解決へ向け、働き方改革推進支援センターをはじめとする公的な支援機関、自治体、商工会議所、民間支援機関等の地域の支援機関が持つ強みを有機的に機能させることが有効であり、連携した支援体制の整備が重要と考えます。
私からは以上でございます。
○山川分科会長 ありがとうございました。
ほかにはいかがでしょうか。田上委員、お願いします。
○田上委員 私のほうからは2点申し上げたいと思います。
まずは、私ども全国中央会では、毎月、景況報告ということで、全国の組合や全国の中央会から意見、声を集約しているのですけれども、その中で、例えば建設業の組合員の声として、働き方改革の特例が消えて2年たつ中で、中にはもっと稼ぎたい、働きたいということで、そのために辞めて一人親方になってしまうとか、そういう声も上がっているということが、実際ございます。同じようなことで、運送業でも、土日に働けなくなってしまったので収入が減って困っているという声も職員から上がっている、という状況があります。
そういった「より働きたい」「より稼ぎたい」という生声が実際ございます。そういう方々が良い形で、健康を確保しながら、希望に応じて働けるということになると良いと思いますし、今、それがなぜできていないのかというところは、分析していく必要があると考えます。
もう一つは、中小企業は実に様々だということです。家族従業員という形で、生活の中で業務を運営している場合もありますし、業態によっては、1回終業した後、夜中に呼び出されて突発的に対応するとか、サプライチェーンの川下のほうになればなるほどそういう臨機応変、柔軟な対応をしている状況があります。その辺りは時間管理だけでは解決できないところがあろうかと思っております。
そういった実態に応じて、解決策を図っていくということが求められていると考えます。
以上でございます。
○山川分科会長 ありがとうございました。
ほかにはいかがでしょうか。櫻田委員、お願いします。
○櫻田委員 私からは、働き方改革の今後のさらなる定着や推進に関して発言をしたいと思います。
先ほど菅村代理のほうからも発言があったとおりですが、労働力希少社会であるからこそ、性別や障害の有無などにかかわらず、働くことを希望する誰もが安心して働き続けられる環境の整備が大変重要だと考えております。そもそも本分科会における働き方改革の見直し論議の本来の趣旨は、働き方改革関連法の施行状況やその実効性を検証した上で、必要に応じて法改正などにつなげていくということであったはずだと認識しております。この間も労働側から発言をさせていただいているとおり、現状を見ますと、残念ながら過労死ゼロや長時間労働の根絶には程遠いというのが実態であると思いますので、それを踏まえると、働き方改革の実効性をどう高めていくのか、職場にどう定着させるのかといった観点での議論を深めていくということが強く要請されていると考えています。
そうしたことは資料No.3の17ページにも示されていますが、総点検の結果でも改めて明らかになったのではないかと思っています。そうした観点からしますと、本当の意味で長時間労働をなくしていくための労働時間の把握義務の強化や、いまだに横行している不払い残業の根絶に向けた取組が喫緊の課題であると思っています。
また、労働者の生活時間の確保はもとより、労働市場改革分科会でも論点とされていますリ・スキリングを含む能力開発を促進するという意味でも、しっかりと休みを取れるよう労働からの解放規制の強化が必要ではないかと思います。具体的には、宿泊業、飲食サービス業などで特に課題となっておりますが、長期の連続勤務を規制するルールの早期導入や、いまだに導入が低調ですけれども、勤務間インターバル制度の義務化などを進めることが重要であると思っておりますし、こうした前向きな政策の充実に向けた議論をしっかりと進めていくべきだと考えています。
以上です。
○山川分科会長 ありがとうございます。
では、オンラインで田中委員から発言の御希望がありました。お願いします。
○田中委員 ありがとうございます。田中です。
私からは裁量労働制に関連して発言させていただきます。以前の分科会で公益の方から、労働者の希望に沿う方向を生み出すのであれば、労働時間の現状維持や、むしろ減らすことが可能な制度でなければならないといった御指摘をいただいたかと思います。働き方改革の総点検において、労働者の労働時間の受け止めとして、「現状がよい」が6割、「減らしたい」が3割、「増やしたい」が1割という結果がありました。ただし、減らしたい人の中には、特定の時期には増やしたい人、逆に増やしたい人の中には、特定の時期には減らしたい人が含まれていました。同じ労働者でも時期によって多様な働き方のニーズがあると理解しています。裁量労働制は、そのような多様なニーズがある中で、短く効率的に働く労働者が成果に応じた処遇を得られるという面があります。適正に運用されれば労働者の希望に沿うことが可能だと考えますし、企業側は労働時間を長くするために制度運用をするというわけではないと考えます。
私からは以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。
それでは、古川委員、お待たせしました。お願いします。
○古川委員
私からも裁量労働制に関して意見を申し上げたいと思います。裁量労働制の見直しの要否につきましては、労働側の委員だけでなく、公益委員のほうからも2024年の制度改正がスタートして日も浅く、実態も把握していない中での検討に対する疑問が投げかけられてきたのではないかと考えています。
また、前回も公益委員から、労働者のニーズを踏まえるのであれば、総点検調査の結果で、労働時間を増やしたいとした労働者の大多数が、その理由を「賃金を増やしたいから」と回答したこと、そのことと裁量労働制の適用は矛盾するのではないかといった趣旨の御意見もあったと認識しております。裁量労働制は、幾ら頑張って長時間働いたとしても、それに比例して賃金が増えるものではありません。労働側としてはこの間も一貫して各職場における適正運用を徹底させるべきで、裁量労働制の拡充や要件緩和は不要であるということを主張してまいりました。
使側からは濫用防止策とセットでの見直しという御発言もありますが、2024年改正を踏まえた適正運用が徹底されているのかどうかの実態把握もなされておらず、効果的かつ実効性ある濫用防止策がいかなるものかという知見もない中で制度拡充を議論すべきではないと考えます。
加えて、労働時間に比例する処遇が残ると、成果に応じた処遇を行うとのメッセージが伝わりにくい旨の指摘もございましたが、会社からのメッセージの浸透というのは、労働時間制度の問題とは全く無関係ですし、成果に応じた処遇というのは、人事評価や賃金制度の問題であって、裁量労働制を適用して、みなし労働時間でカウントすることとは必ずしもリンクしないと考えますので、拡充の理由にはならないと考えております。
繰り返しになりますが、見直しを行うべき理由、またニーズがない裁量労働制の拡充や要件緩和は行うべきではないということを強く申し上げておきたいと思っております。
以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。
ほかはいかがでしょうか。では、春川委員、お願いします。
○春川委員 ありがとうございます。
私からも裁量労働制について意見させていただきます。裁量労働制の対象業務について、これまでこの分科会の中でも使側の皆様から、例えば過半数労働組合との合意を要件に拡充を認めるべきではないかといった御意見も出されていたと認識しておりますが、労働組合の有無によって規制内容が異なるということはあってはならないと考えておりますし、労使関係も様々ですから、濫用の懸念が極めて大きいと考えております。
非対象業務の混在についても意見を申し上げます。裁量労働制の適用労働者の主たる業務が対象業務である場合であっても、労働者の裁量が認められない非対象業務を混在させるということは、会社側の都合で、恣意的にいかようにも非対象業務の割合を高めるということができてしまうと考えています。ですから、業務量、時間を結果的に増やすことになってしまうと捉えています。そうなってしまえば、適用労働者が自ら業務の遂行方法、労働時間の配分を決定できなくなってしまい、結果的に裁量が失われ、みなし労働時間制の下で過大な長時間労働、過重労働を強いられかねないと考えております。そうした懸念が大変大きいので、非対象業務と兼務をしているような場合には裁量労働制を適用できないという現行の取扱いを変更すべきではないということを改めて申し上げます。
先ほど来ありますように、2024年改正で設けられた「裁量が失われたと認められる場合には、労働時間のみなしの効果は生じない」といった指針の趣旨を踏まえて、適切な裁量の確保に向けた取組を徹底することが重要であるということを意見として申し上げます。
以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。
ほかにございますでしょうか。鈴木委員、どうぞ。
○鈴木委員 御指名ありがとうございます。
裁量労働制について、私からも発言をさせていただきたいと思います。これまでも多くの委員から裁量労働制の裁量性をどう担保できるのか、裁量性がないのではないかという御指摘ですとか、先ほども労側委員から処遇についての問題点の指摘があったと受け止めております。まず、労働者に裁量がないのではないかという点ですが、今、ご指摘があったとおり、裁量性の確保がなかりせば、みなし効が発生しないということですので、制度の中核的な要件であると同時に、長時間労働の防止にとっても大変重要なファクターだと思っております。
その上で、厚生労働省の実態調査によれば、裁量労働制の適用労働者の約7割は、具体的な仕事の内容・量について自分が決めているというような回答があったり、進捗報告の頻度も同じような回答だったり、また、業務の時間配分と遂行方法について、9割の方が自分で決めているという回答もありました。不適切な運用があれば、それを改善していくことは当然と思いますが、調査結果をみる限り、適正な運用が全体としてはなされていると理解をしております。
ただ、この調査が少し古い調査だということもございますので、今回厚生労働省の事務局から御提案のあった今時点での裁量労働制の状況がどうなのかについて、裁量性の有無とか適用労働者の満足度について改めて把握していただき、それに基づいて建設的な議論をしていくということが重要ではないかなと思っています。
処遇に関しましては、厚生労働省の調査に基づいて、有識者による二次分析も行われており、その結果によると、適用労働者は非適用労働者に比べまして年収が13%高いといったような分析結果もあり、過半数労働組合がある企業など適正に運用されている企業であれば、制度適用におきまして適用対象者の前年等の残業代を予算化し、それを適用後は毎月の裁量労働制手当として支給するというような処遇の確保ということにも最大限工夫もしていると理解しており、今後どういった濫用防止策として考えていくかということを考えたときの1つの参考にもなり得るものではないかと思っています。
私からは以上です。
○山川分科会長 ありがとうございます。
ほかにございますでしょうか。菅村代理、お願いします。
○菅村代理 ありがとうございます。
昨日、裁量労働制が適用されて過労死をされたという御遺族の話を聞く機会がございました。御遺族の方は、裁量労働制の拡大について、労働者は業務に対する拒否権がなく、長時間労働になりやすい働き方だとして強く反対されておりましたけれども、こうした痛ましい事案を根絶するような労働時間規制を検討していくことこそが労働条件分科会に求められる役割であると考えております。その上で、先ほど来、使用者側委員から柔軟で自律的な働き方の実現であるとか、創造的な働き方、さらには誰もがそれにトライしていくためには裁量労働制が必要であるという御発言がございましたが、それらはマネジメントの問題であると考えております。
エビデンスを見れば、裁量労働制の適用労働者のほうが労働時間が長いことは明らかです。仕事が終われば早く帰れる、早く切り上げればいいのだということをおっしゃいますけれども、結果として長いというエビデンスが出ているということ、みなし労働時間と実労働時間に乖離があるということは、裁量性が本来ない人にも適用されているのではないでしょうか。そういったものが実態として数字にもあらわれているものだと考えております。こうした状況があるにもかかわらず拡充の意見が出てくるということに対して、労働側としては全く理解ができないというところです。
内容や量を自分で決めている人が多いという調査結果の御引用もございましたが、適用労働者と非適用労働者で自分に裁量があるかどうかの割合がそれほど変わらなかったという調査結果であったと認識しておりまして、必ずしも裁量労働制である必要があるのかということは疑問であると思っております。
以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。
ほかにございますでしょうか。松田委員、お願いします。
○松田委員 ありがとうございます。私からは労働時間制度に関して2点意見を申し上げたいと思います。
1点目は、前回も発言させていただきましたが、上限規制の月45時間超の年6回までのルールについてです。特別条項は、あくまで本来予見しがたい業務量の大幅な増加等による臨時の業務上の必要性がある場合に結べるものであり、この回数を増やすことにつきましては、特別条項の趣旨を没却させ、長時間労働の常態化を招きかねないことから、決して認められるべきではないと考えてございます。
先ほど櫻田委員からも過労死ゼロや長時間労働の根絶には程遠いのが実態であるという指摘がありましたし、この回数制限につきましても、医学的知見に基づいた過労死認定基準を踏まえて設定されたものであることは改めて強調しておきたいと思います。
2点目は、同じく労働市場改革分科会で一部の委員から見直しの声がある変形労働時間制についてです。この制度は、繁忙期に長い労働時間を設定し、閑散期に短い労働時間を設定するものでありますが、変形期間の開始前に労働時間を特定しておく必要があります。前回もそうですし、本日の分科会でも他の委員から御意見がありましたが、労使合意の期限を30日前から短縮すべきという点につきましては、労働者の生活設計に悪影響を与えかねないと考えておりますので、要件緩和は行うべきではないと考えております。
開始前の特定は、労働者がいつ、どのくらいの時間働くことになるのかを事前に予測できるようにし、労働者が予定を立てやすくするための重要な要件であると認識しております。この期間をむやみに短縮したり、ましてや事後の特定まで認めてしまえば、労働者の生活設計は成り立たなくなりますし、さらに言えば、会社から突然「繁忙になったから」と言われ、労働者は使用者の都合で急な長時間労働を強いられかねないというケースも考えられます。労働者の健康や生活をないがしろにするような要件緩和は、労働者保護の観点から決して受け入れられないと考えております。
私からは以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。
ほかにございますでしょうか。それでは、椎木委員、お願いします。
○椎木委員
私も労働時間制度について発言したいと思います。資料の71ページに「労働時間制度の運用面の見直し」という項目がございます。この中に「労基署と支援センターが連携して効果的に実施していくことが重要」と記されております。まさにそのとおりだと私も考えてございます。過半数代表者の適正な選出を含め、36協定の適切な締結、改定も重要ですし、事業主による各労働時間制度の適正な運用を促すという取組は、時間外労働の上限規制の実効性を高めるという観点で非常に重要であると考えてございます。
これらの取組は、労働時間の適正把握や業務の効率化、省力化などを通じた労働時間の短縮を主眼に置くべきと考えてございます。ただ単に法規制の遵守、あるいは制度の遵守という観点だけではなく、たとえ法律の範囲内であっても、時間外労働を増やすような方向での制度運用はあり得ないと考えておりますし、そのような見直しはしてはならないと考えてございます。
労働基準監督署の監督指導については、法違反が生じている場合やそのおそれがある場合は毅然とした監督指導を行い、早急な是正を図ることが法的にも社会的にも要請されていると考えております。労働者の命と健康を守るための最低基準である労働基準法の趣旨を踏まえた厳格な対応を堅持すべきであると考えます。
以上でございます。
○山川分科会長 ありがとうございます。
ほかはいかがでしょうか。鈴木委員、お願いします。
○鈴木委員 改めて裁量労働制について意見を述べさせていただきたいと思います。先ほど菅村代理から適用労働者と非適用労働者で仕事の裁量に違いがないのではないかという御指摘をいただきました。専門業務型についてはやや差があるという認識を持っております。企画についてはほぼ同じというのは、そのとおりかもしれません。
ただ、一方で、労働者調査で現在の働き方に対する認識が、厚生労働省の実態調査で示されております。例えば仕事の裁量が与えられることでメリハリのある仕事ができるということでは、適用労働者と非適用労働者でかなり差がありますので、そこは全体を見て評価をするべきであり、裁量の有無ということについては、まさに今度新しく実態調査の結果を見た中でまた議論をさせていただきたいと思っています。
また、長時間労働になるのではないかという点については、これも毎度繰り返し申し上げておりますが、過半数労働組合がある企業の取組というのは参考になると思っております。組合の有無で規制の内容を変えるべきではないと春川委員からも御指摘いただきました。ただ、労基法24条に、組合があることでの規制の緩和は既にあるものと思っておりますし、これも繰り返しで大変恐縮ですが、労働三権が保障された労働組合、とりわけ過半数労働組合のある企業ではしっかりと労使のコミュニケーションが取られ、裁量労働制を導入する際にしても、健康確保措置とか処遇の確保ということについて真摯な議論が行われ、導入後もしっかりとチェック機能を働かせるような役割を過半数労働組合は担っているのだと私としては理解をしています。
よく連合さんもおっしゃるように、賃金の引上げ率も、これは過半数労働組合でなかったと思いますが、組合があるほうが賃金の引上げ率も高いということで、一定の労使の対等性というのが、組合がないところ、あるいは単に組合があるというところ以上に過半数労働組合があるところのほうが高いと私どもとしては思っており、そうした認識の下で御提案もさせていただいています。
私からは以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。
ほかにはいかがでしょうか。オンラインで黒田委員から御発言の希望があります。黒田委員、お願いします。
○黒田委員 御指名ありがとうございます。黒田です。
先ほど二次分析に関する言及が委員からございましたので、二次分析に関わった者として少しだけ補足をさせていただければと思います。先ほど、適用の労働者のほうが非適用の労働者よりも年収が平均で13%高いとの結果が出ているという御発言がございました。この13%という数字自体はそのとおりなのですが、この先にも分析をしておりますので、その点を補足させてください。
まず、勤め先の企業についての違いをコントロールすると、この13%という数字は7.8%の差まで縮まります。さらに適用労働者のほうは非適用労働者よりも長めに働いていますので、その労働時間を加味した上で時給換算すると、実は適用労働者と非適用労働者の時給の差は1%ぐらいにまで縮まるという結果になっています。つまりこうした要因を考慮すると両グループの差はどんどん縮まっていくということです。13%という数字だけがひとり歩きしてしまいますと、13%も年収が高いのだから多少労働時間が長くてもいいのではないか、そんな感じの誤解が生じてしまう可能性もありますので、念のため補足させていただきました。
以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。
では、鈴木委員、どうぞ。
○鈴木委員 黒田委員、ありがとうございます。
ややミスリードな発言だったというふうに少し反省もしておるところでございますけれども、ただ、時間単位ベースでは、処遇は、非適用者に比べて下がってはいないという分析結果であることが重要だと思っておりますし、労働時間が長くなってしまうのではないかということについては、また別途、対策、方策について検討がされるべきだと思っております。その意味では、過半数労働組合等があり、私どもが適正に運用されていると考えている企業では、一定時間を超えた場合に裁量労働制の適用を外すということですとか、あるいは業務量が過度にならないかということについて、上司と適用労働者の方が、人事等級や能力に見合った仕事、役割について期初にしっかりと話し合って決め、また、期中で都度都度1on1ミーティングのような打合せ、コミュニケーションを取る中で、過度な業務になっていないか、そのようなことがあれば、適宜目標の見直しということもされている。そうしたことも含め、様々重層的な取組によって長時間にならないよう問題に対処していると思っておりますので、補足致します。
以上でございます。
○山川分科会長 ありがとうございました。
ほかはいかがでしょうか。菅村代理、お願いします。
○菅村代理 ありがとうございます。
鈴木委員から実態調査結果について、専門業務型は適用労働者の方が裁量があるという指摘がありましたけれども、裁量のある仕事を与えるということと裁量労働制でみなし時間を適用するということは別であると考えております。
また、過半数労働組合に関する様々な御意見がございました。労働三権が保障された労働組合の重要性は、鈴木委員御指摘のとおりかと考えております。ただ、だからといって、労基法の規定の例外や適用除外を設けるということは別であると考えております。労働組合の役割は、労働基準法が最低基準であることを前提とした上で、それを土台にして労働条件の上乗せをするのが労働組合の役割であって、労働組合があるから労基法の例外を認めていいということにはならないと考えております。
私からは以上です。
○山川分科会長 ありがとうございます。
鈴木委員、お願いします。
○鈴木委員 ただ今の菅村代理の御発言ですが、どういう形で例外措置を設けるかということについては、裁量労働制だけでなく、36協定を代表とする、過半数労働者との労使協定が数多くある中で、幅広い形で労基法が適用される場面で現実に機能しているものだと思っています。例えば、36協定を結ぶ場合には、過半数労働組合があれば、まず過半数労働組合が締結主体になるという法的な位置づけになっている点も、私としては重く見るべきではないかと思っております。
以上でございます。
○山川分科会長 ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。では、川田委員、どうぞ。
○川田委員 ありがとうございます。
主としては、労働市場改革分科会というよりは、この分科会での議論に関する話になり、労働時間に関するものですが、既になされている議論に付け加えるところがあまりないのかなと思いつつ、幾つか意見を述べさせていただきたいと思います。
まず、事務局の説明の最後のほうで出てきました調査については、その御説明の中にありました政策誘導的ではない中立的なものという形で令和6年以降の状況を把握する。それをこの分科会での審議に反映させておくということの重要性はあるものと思っています。特にこの分科会で昨年まで議論してきた中の過半数代表制などにも関わってくるようなところが裁量労働制に関連した手続という文脈でも出てくるだろう。去年まで行っていて、言わば働き方改革後の見直しの本体に当たるような部分との関連性というのもかなりあると考えております。
その際に、中身としては、これも事務局から説明があったかと思いますが、中立性を確保するということだと、前回の令和元年の調査が、中立性の確保という点に関しては非常に慎重に設計された調査であり、基本的にこれを引き継いでいくということがベースにはなるのかなと思います。
同時に、裁量労働制との関係で言うと、令和元年のものを引き継ぐ、また、予算等の制約がある中ではありますが、今日議論になったような例えば裁量性の確保に関する状況であるとか、制度の導入の際等における手続的な要件。労使協定、労使委員会決議、あるいは本人同意に関する状況。それから、労働時間の長さとの関係では、裁量性が確保できていること自体が労働者の健康状態に与える影響というものも、調査で分かる範囲で実態を知ることができればいいのかなと思っているところです。この辺りは、先ほど述べたように、いろんな制約がある中での調査ということになると思いますが、個人的には、いま挙げたようなことが実態として分かるといいかなと思っています。
もう一つ短く。裁量労働制に関しては、今の話の中でも申し上げたことで、本日の議論の中で既に出てきていますが、裁量性を確保するためのやり方。ここはもしかすると現在の裁量労働制の対象になっている業務遂行の方法と時間配分についての裁量と、それとは区別して、業務の内容等についての裁量といったものを切り分けた議論が必要かもしれませんが、そういうものも含めての裁量性の確保であるとか、あるいはこれも既に出てきています適正な処遇の確保などが重要な検討課題になるといえます。また裁量労働制という制度をつくって、一定のものをその対象に含めるということは、裁量的な働き方を前提とした、働き過ぎに対する歯止め、健康確保あるいは労働からの解放の確保といった仕組みを用意するというような点に1つの意義があり得るかと思っています。
この辺りはこの分科会で実態の調査を踏まえて検討されるべき対象ではないかと個人的には考えています。
以上です。
○山川分科会長 ありがとうございます。
ほかにございますでしょうか。よろしいでしょうか。
本日も各委員の皆様から様々御意見をいただいて、労働市場改革分科会の報告というテーマではありましたが、この労働条件分科会における議論にも関わる御意見が種々示されたところでございます。特に裁量労働制につきましては、裁量性、健康面、処遇面といった適正運用上の対応等についてもかなりの委員から御議論、御指摘をいただいたところでございます。
この議論はこれまで複数回続けてきているところでございまして、先ほど事務局から御説明もありましたけれども、裁量労働制についてさらに議論を行うに当たって、先ほど述べましたような課題という観点も含めた現行の実態を把握するということは、今後の議論を進めるに当たって重要ではないかと考えております。これまでの議論を踏まえてさらに事務局で必要な対応の検討をお願いしたいと思ったところでございますが、よろしいでしょうか。
それでは、本日の議事はここまでとさせていただきたいと思います。
では、次回の日程等について事務局から説明をお願いします。
○下田労働条件企画専門官 事務局でございます。
次回の日程等につきましては、調整の上、追って御連絡させていただきます。
以上でございます。
○山川分科会長 それでは、これをもちまして、第208回「労働条件分科会」を終了いたします。本日は、お忙しい中、有益な御議論をいただきまして大変ありがとうございました。散会いたします。

