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- 第184回労働政策審議会安全衛生分科会議事録
第184回労働政策審議会安全衛生分科会議事録
労働基準局安全衛生部計画課
日時
令和8年3月16日(月)14:00~16:00
場所
対面及びオンラインにより開催
会場:AP虎ノ門(東京都港区西新橋1-6-15 NS虎ノ門ビル11階)
出席者
会場
- 公益代表委員
-
- 髙田礼子(分科会長)
- 宮内博幸
- 熊﨑美枝子
労働者代表委員-
- 漆原肇
- 佐々木弘臣
- 中村恭士
- 氷室佐由里
- 松尾慎一郎
- 山口裕之
- 使用者代表委員
-
- 及川勝
- 小澤達也
- 鈴木重也
- 七浦広志
- 福永忠宣
- 矢内美雪
(五十音順、敬称略)
- 事務局
-
- 安井省侍郎(安全衛生部長)
- 佐藤俊(計画課長)
- 土井智史(安全課長)
- 佐々木孝治(労働衛生課長)
- 中野響(化学物質対策課長)
- 船井雄一郎(建設安全対策室長)
- 樋口政純(産業保健支援室長)
- 長山隆志(主任中央労働衛生専門官)
オンライン
- 公益代表委員
-
- 砂金伸治
- 黒澤一
- 島田裕子
- 新屋敷恵美子
-
(五十音順、敬称略)
議題
- (1)労働安全衛生規則等の一部を改正する省令案要綱等について(諮問及び報告)(一般健康診断の検査項目等関係)
- (2)労働安全衛生規則の一部を改正する省令案要綱について(諮問)(産業医関係)
- (3) 職場における熱中症防止対策について(案)(報告)
- (4) 第14次労働災害防止計画の実施状況等について
議事
- 議事内容
- ○髙田分科会長 それでは定刻となりましたので、ただいまから「第184回労働政策審議会安全衛生分科会」を開催いたします。本日は、対面及びオンラインの併用により開催することとしておりますので、お含みおきください。カメラ撮影等については、ここまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。
本日の出欠状況は、福田委員、清田委員が御欠席となっております。また、佐々木委員、松尾委員が遅れて参加の見込みとなっております。なお、産業保健支援室長につきましては、所用により、議題(3)終了後、退席されます。
それでは、事務局からオンラインによるZoomの操作方法等について説明をお願いいたします。
○計画課長 計画課長の佐藤です。Zoomの操作方法等の御説明をさせていただきます。まず、ハウリング防止のため、御発言されないときにはマイクをオフに設定をお願いいたします。また、オンライン参加の委員の皆さまにつきましては、御発言される場合には、御発言がある旨をチャットに書き込んでいただき、分科会長から指名されましたら、マイクをオンに設定の上、氏名をおっしゃってから、御発言をお願いします。この他に、進行中、通信トラブル等の不具合がありましたら、チャットに書き込み又は事務局へメールにて御連絡をお願いします。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございました。それでは議事に入りたいと思います。議題(1)「労働安全衛生規則等の一部を改正する省令案要綱等について(諮問及び報告)(一般健康診断の検査項目等関係)」に関して、事務局から説明をお願いいたします。
○労働衛生課長 労働衛生課です。資料1-2で御説明したいと思いますので御用意ください。まず、1ページを御覧ください。最初に、「労働安全衛生規則等の一部を改正する省令案」の諮問を行いたいと思います。改正の趣旨は、「労働安全衛生法に基づく一般健康診断の検査項目等に関する検討会」の結論については、1月19日の分科会で御報告申し上げたところですが、今回、その結論を受けて必要な改正を行うものです。改正は3点です。2.の最初のポツにあるように、血清クレアチニン検査の追加、喀痰検査の削除、そして肝機能検査の名称変更です。これらに関連しまして、その他所要の改正も行います。中身は大きく2つありまして、1つは労働基準法施行規則の改正です。高度プロフェッショナル制度の選択的措置の中に臨時の健康診断というものがあり、これは健診項目は脳心臓疾患に関連するもの等を採用しています。そうしたことから、今般、血清クレアチニン検査が一般健診に追加されることに伴い、こちらも改正を行うというものです。
もう1つは、ハネ改正です。有機溶剤中毒予防規則や特定化学物質障害予防規則などにおいて、この肝機能検査の名称が使用されていることから、今回の改正に伴い、連動して改正するものです。公布日は4月を予定しておりまして、そこから1年ほど間をおいて、令和9年4月1日を施行期日としたいと考えております。
続きまして、2ページです。労働安全衛生規則第44条第2項の規定に基づき厚生労働大臣が定める基準等の一部を改正する告示案の概要(報告)です。これらの告示ですが、要は、医師が必要でないと認めるときは省略することができるとする基準を示したものです。今申し上げました一般健診の項目の見直しに伴い、改正の概要ですが、1つは血清クレアチニン検査については、40歳未満の労働者を省略することができるものとして追加するものです。もう1つは喀痰検査ですが、検査項目からの削除に伴い、当該省略告示からも削除するものです。告示日等ですが、告示は令和8年4月を予定、そして令和9年4月1日、改正省令と同じ日を適用期日としたいと考えております。
事務局からの説明は以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございました。本件について、質問、意見等のある方は、会場の委員は挙手を、オンライン参加の委員は御発言がある旨、チャットに書き込みをお願いいたします。まず、会場参加の委員からいかがでしょうか。中村委員、お願いいたします。
○中村委員 労働側委員の中村です。今回諮問される内容につきましては、1月の分科会において説明いただいた内容が改めて諮問なされるものと承知しており、特段の異論はありません。1月の分科会においても、労働側委員から発言があったところですが、検査項目から追加、削除がなされる喀痰検査や、血清クレアチニンの取扱いはもとより、肝機能検査の名称変更については、旧名称が広く一般に浸透していると思いますので、その点に留意いただいた上で、改正内容について丁寧な周知、広報をお願いしたいと思います。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございました。そのほかはいかがでしょうか。鈴木委員、お願いいたします。
○鈴木委員 御指名ありがとうございます。諮問内容に異論はありません。厚生労働省におかれましては、来年4月1日の施行に向けて、事業者、労働者、それから健診機関、医療機関等の関係者に、ただいま中村委員から御指摘のあった肝機能検査の名称変更も含め、改正内容を丁寧に周知・広報をしていただきますようお願いいたします。その上で、関連して1点コメントさせていただきます。血清クレアチニン検査の追加に伴い、新たに有所見と判定される労働者が一定程度発生することになるかと思います。CKDの進行を抑制するためには、早期発見・早期介入が重要ですので、検査結果であるeGFRの数値に応じて、医療機関を早期に受診することが必要になります。この点に関連して、現行の一般健康診断においても、要検査・要受診との結果にもかかわらず、受診行動に十分つながっていないという指摘があると承知しています。THPや健康経営の推進を通じて、適切なフォローアップがなされることを期待するところです。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございます。そのほかはいかがでしょうか。そうしましたら事務局よりお願いいたします。
○労働衛生課長 ありがとうございます。この度の改正省令の内容につきましては、丁寧に関係者に周知してまいりたいと思います。その際には、特に肝機能検査の名称変更は、慣れ親しんだ名称があると思いますので、両方を示しながら、また運用でも応用が利くようにと言いますか、その旨も併せて通達の中でお示ししてまいりたいと考えているところです。
それから鈴木委員からお話がありました、検査を受けてもその後の医療機関への受診行動に結び付いていない点については、労働安全衛生法、一義的には事後措置を図るというところを義務付けしていて、その余の対応については努力義務といったところもあります。その関連としてTHP(Total Health promotion Plan)指針に基づく、事業者に対する努力義務の取組を求めているところですけれども、こうした健康づくりの一環で、その後受診行動に結び付けられるような方策が何かないかというのは、また今後検討してまいりたいと考えているところです。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございました。中村委員、よろしいでしょうか。鈴木委員、よろしいでしょうか。そのほか御発言はございますか。よろしいでしょうか。オンライン参加の委員もチャットの書き込みはないようですが、よろしいでしょうか。ありがとうございます。
それでは、議題(1)「労働安全衛生規則等の一部を改正する省令案要綱等について(諮問及び報告)(一般健康診断の検査項目等関係)」において諮問された、「労働安全衛生規則等の一部を改正する省令案要綱」については、妥当と認めることとしてよろしいでしょうか。
(異議なし)
○髙田分科会長 ありがとうございます。それでは、事務局で答申の手続をお願いいたします。また、報告事項につきましては、事務局から御説明いただいた方針で進めていただくこととしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
続きまして、議題(2)「労働安全衛生規則の一部を改正する省令案要綱について(諮問)(産業医関係)」に関して、事務局から説明をお願いいたします。
○労働衛生課長 資料2-2をお開きください。安衛則改正省令案の諮問についてです。1ページを御覧ください。この度の改正の趣旨です。御案内のとおり、常時50人以上の労働者を使用する事業場においては、産業医の選任義務と選任した旨の報告義務があります。一方で、産業医の解任時には報告義務が課されていません。こうしたことから、先の労働安全衛生法等の改正法に対する附帯決議の中で、産業医の解任を行ったことを労働基準監督署が把握することができる仕組みの検証を行うこととされ、そのことを踏まえて、今回その仕組み作りをするものです。
改正の概要です。事業者に対して、産業医の解任等があった場合に所轄労働基準監督署長へ、当該解任等を行った産業医の氏名等を遅滞なく報告することを義務付けます。ただし、産業医の選任報告に際して、併せて解任等の報告を行った場合は、こうした報告は不要としたいというように考えております。公布日等ですが、公布日は令和8年4月、施行期日は令和8年8月1日を予定しています。
1点補足したいのですが、同じ資料の3ページ目、【参考】産業医の選任に係る報告様式を御覧ください。こちらは選任報告様式ですが、実は現行の様式の中で、この赤い枠囲みで抜き出していますが、前任者の氏名、辞任・解任等の年月日も記載することとなっています。一回の報告で新任の方、そして前任の方について知れるような状況になっています。ただ、裏を返すと、この選任報告が出されなければ、この間の解任等があった状況について把握できないという課題がありました。そういった問題意識から国会で指摘があったところです。そうしたことから、今般、省令改正を行うこととしたいと思いますが、解任報告は従前の任意様式としますが、現行の選任報告の様式に従って報告することも可能としたいと考えております。正に、赤線の枠囲みの内容を使っていただき、こちらを使用していただくことを想定しております。
事務局からの説明は以上です。
○髙田分科会長 御説明ありがとうございました。本件について、質問、意見等のある方は、会場の委員は挙手を、オンライン参加の委員は御発言がある旨、チャットに書き込みをお願いいたします。会場参加の委員でいかがでしょうか。氷室委員、お願いいたします。
○氷室委員 ありがとうございます。諮問された内容については、改正労働安全衛生法の附帯決議を踏まえ、個別事業場における産業医の選任状況を監督署が適切に把握することができるようにするものであり、賛成の立場です。一方で、今回の改正に基づいて、産業医の解任のみを報告する事業者については、その報告時点で法令違反の状態にあるということは言うまでもありません。そのため都道府県の労働局におきましては、解任のみの報告がなされた事業者に対して、速やかな産業医の選任を求めるとともに、当該事業者の状況を継続的に把握して、必要に応じて適切な監督、指導をお願いしたいと思います。
併せて、高年齢労働者の災害防止対策や治療と仕事の両立支援の努力義務化、それからストレスチェックの実施義務事業場が50人未満の事業場も含む全ての事業場に拡大されるなど、個別の企業における産業保健体制の充実・強化は、これまで以上に重要になると考えています。そのため、産業医の選任義務がある事業場はもとより、選任義務のない事業場におきましても、積極的に産業医の選任がなされるよう、必要な支援に取り組んでいただきたいと思います。以上です。よろしくお願いいたします。
○髙田分科会長 ありがとうございました。そのほか、鈴木委員、お願いいたします。
○鈴木委員 御指名ありがとうございます。私も諮問内容に異論はありません。ただいまの氷室委員の御発言に重なるところがありますが、事業場における産業医の解任や辞任の状況を監督署が適時に把握し、必要に応じて選任を働き掛けることで、労働者の健康管理等を行う体制が確保されることが重要だと認識しています。本件に関して1点質問をいたします。資料2-2の3ページの右側に、「解任報告は任意様式とするが、現行の選任報告の様式によって報告可能とする」との記載があります。念のための確認ですが、昨年1月から産業医の選任報告は電子申請による実施が義務付けられているところ、任意の様式を用いて解任等の報告を行う場合であっても、電子申請の実施義務が生じるとの理解で正しいかどうかを確認させていただきたいと思います。
○髙田分科会長 ありがとうございました。ただいまの氷室委員と鈴木委員の御発言について、事務局からお願いいたします。
○労働衛生課長 両委員から、正に今回の改正に伴い、一時的にはその違法状態になり得る、その部分についてしっかり監督署のほうで把握をし、必要に応じて適切な指導を行うべきであるという旨の御指摘を頂きました。この辺りについて、制度運用に当たっては、しっかり周知を図りまして、また、なかなか選任されない理由もあるのだろうと思います。そういったものも含めて、監督署が把握して、事業場とやり取りを続けていく、これができることが今回の大きな前進だと思っていますので、丁寧な周知をこちらについても行いたいと思っております。
それから、50人未満の産業医の選任の義務のない事業場についても、現在、予算事業で50人未満の、30人からというところですけれども、その辺りの小規模の事業場に対して、産業医を、仮に今支援を受けるとしたらどのようなメリットを感じられるのかという、モデル的な予算事業を行っているところです。その事業の成果を踏まえながら、今後、更に産業医の選任の促進というのを我々としても考えてまいりたいと思っております。
それから鈴木委員から御質問がありました、報告の手法ですけれども、今般の改正省令に基づく報告も、当然に電子情報処理組織を使用しての報告義務付けとしたいと思っているところです。
○髙田分科会長 ありがとうございました。氷室委員、いかがですか、よろしいでしょうか。鈴木委員、お願いいたします。
○鈴木委員 御回答ありがとうございました。関連して1点追加でコメントさせていただきます。私どもの複数の会員企業から、専属産業医の選任に当たり、適切な人材の確保を非常に苦労したとか、苦労しているという声を聞いています。また、今後、50人未満の事業場におけるストレスチェック実施義務化を背景に、地産保の体制充実、特に産業医の配置が大きな課題になろうかと思います。厚生労働省におかれましては、今までもいろいろと取り組まれていると承知していますが、引き続き、関連する教育機関・団体とも連携して、産業医の育成や地域偏在の解消などに努めていただきたいと思います。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございます。ただいまの鈴木委員の御発言について、お願いいたします。
○労働衛生課長 ありがとうございます。先ほどの氷室委員の御指摘にも通ずるものがあると思いますけれども、50人以上も、そして50人未満の事業場においても、この産業保健体制を確保、あるいはその産業保健体制の支援を頂きながら、しっかりその働く人の健康確保を図っていくことが大変重要だと考えているところです。産業医並びに地産保における登録産業医の確保についても、関係機関・団体と連携しながら、引き続き国としても取り組んでまいります。
○髙田分科会長 鈴木委員、よろしいでしょうか。そのほかはいかがでしょうか。福永委員、お願いいたします。
○福永委員 御指名、ありがとうございます。使用者側代表委員、戸田建設の福永です。先ほど御説明を頂きました諮問の内容について、異論ございません。先ほど来、氷室委員、鈴木委員の御発言とまた同様の話にはなるのですが、50人以上の労働者を使用する事業場に、産業医の選任が義務付けられており、50人未満の事業場も今後ますます、産業保健体制の確保や支援が欠かせません。事業規模が継続・拡大する段階は、当然、産業医の解任・新任の手続きが管理されますが、事業規模が縮小、または事業が分割されて50人に満たない規模になった場合、先ほどの産業保健体制の持続の課題を合わせ、この報告・届出義務をどのように対応するのが望ましいのか、Q&A等を用いて具体的に周知いただければと思いますので、よろしくお願いいたします。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございました。そのほかいかがでしょうか。それでは福永委員のコメントについて、お願いいたします。
○労働衛生課長 常時労働者数50人を切るようなケースにつきましては、こちらの報告義務は掛からないこととなります。ただ、我々としましては、そうしたケースについてもできる限り報告は頂きたいと思っているところでして、そうした望ましい取組について、何かしらの形でお示しできたらと思っております。
○髙田分科会長 福永委員、よろしいでしょうか。そのほかはいかがでしょうか。オンライン参加の委員についてもチャットの書き込みはございませんので、御発言がないということでよろしいでしょうか。ありがとうございます。
それでは、議題(2)「労働安全衛生規則の一部を改正する省令案要綱について(諮問)(産業医関係)」において諮問された「労働安全衛生規則の一部を改正する省令案要綱」については、妥当と認めることとしてよろしいでしょうか。
(異議なし)
○髙田分科会長 ありがとうございます。それでは事務局で答申の手続きをお願いいたします。
続きまして、議題(3)「職場における熱中症防止対策について(案)(報告)」に関して、事務局から説明をお願いいたします。
○労働衛生課長 それでは、資料3を御覧ください。職場における熱中症防止対策につきましては、検討会を設置・開催し、今般、報告書並びにガイドラインが取りまとめられたところですので、その内容について御報告いたします。
1ページ目をお開きください。左上のこの検討会の趣旨・目的です。職場における熱中症による死亡者数ですが、3年連続で30人以上となっております。そうしたことから、この死亡者を減らすことを目的とし、昨年6月、労働安全衛生規則改正を行いまして、事業者に対し、「早期発見のための体制整備」等、所要の措置を講じるよう義務付けたところです。このとき、当分科会におきまして、これに加えまして平時からの健康管理も含めた予防策の重要性が指摘されたところ、今般、学識経験者及び現場に詳しい関係業界の代表者等による検討会を設置し、開催したところです。向かって右側が構成員の名簿です。座長は産業医科大学の堀江副学長です。開催日は左下にありますように計4回開催いたしました。
2ページ目をお開きください。その検討会の報告書案の概要です。検討に当たりましては、昨夏の状況、言わば改正省令の効果といったものについて振り返りながら御議論いただきました。2.令和7年夏の状況です。速報値は12月末時点のものですが、これで令和6年のものと比較しますと、休業4日以上の死傷者数は約41%増加しました。一方で、死亡者数は50%減少しました。具体的には15人となっています。こうしたことから、一定程度、今般の改正省令の効果があったと捉えたいと思っています。ただ、死傷者数が約4割増えていることに関しては、昨夏、平均気温偏差が統計開始以来最高を記録するなど、大変暑かったことが一因となっている可能性があると思っています。併せて、改正省令の遵守状況につきまして労働基準監督署で調査を行いました。この中で違反・指導状況を見ますと、全体では約6%の事業場が何がしかの指導を受けていました。その中でも実際に熱中症を起こした発災事業場で見ますと約20%が指導を受けていた状況です。
以上を踏まえまして、3.検討結果ですが、(1)重篤化の防止につきましては、引き続き改正省令に基づく措置の徹底を図る必要があるとされたところです。
(2)予防策の強化ですが、死亡者数の抑制だけでなく、熱中症の罹患リスクそのものを低下させることが求められるとされました。この予防対策の中身は、その次のポツにございますように業種・業態により作業内容や作業場所による制約条件などが異なり、対策の実施にあたっての留意点も様々なものがある中、一律に対策を示すのではなく、複数のオプションの中から、事業者がその業種・業態に応じて適切な対策を選択できるよう、包括的に熱中症防止対策をまとめたガイドラインを策定することが有効であるとされました。こうしたことから、この検討会で併せてガイドラインが策定されたところです。
(3)予防策への支援等です。現行の熱中症対策機器の補助は、60歳以上の高年齢労働者を対象に行われていますが、休業4日以上の死傷者は、60歳未満の者が7割以上にのぼることから、対象年齢の制限の廃止等について検討することが必要とされたところです。以上が報告書の概要になります。
続きまして、3ページで、ガイドライン策定の考え方についてです。このガイドラインの項目は、既存の「熱中症予防基本対策要綱」がございますので、これをベースといたします。これに加えまして、「令和7年「STOP!熱中症クールワークキャンペーン」実施要綱」の中で、「労働衛生管理体制の確立等」が記載されているところで、これらを盛り込み、内容的に充実したものを作るといたしました。
その結果ですが、4ページです。こちらはガイドラインの概要になります。本体は参考資料でお付けしていますので、また御参照ください。第1.目的等です。先ほどのお話と少し被るかもしれませんが、このガイドラインというのは、熱中症リスクに応じて行うことが望ましい具体的方法を示すことにより、事業者がその業種・業態に応じて適切に選択して取り組むよう促すことを通じて、職場における熱中症防止を図ることを目的とするものです。そして取組に当たりましては、第2.熱中症リスクの評価を行った上で、第3.熱中症リスクに応じた措置の中から適切なものを選択して、実施していただく形をとっています。言ってみればPDCAサイクルを回すイメージです。
そして今回、既存の対策要綱等にはない新しい事項も盛り込まれましたので、その点のみピックアップして御紹介します。具体的には、第3.熱中症リスクに応じた措置の1. 労働衛生管理体制の確立等の中で、最初のポツですが、衛生委員会等を活用し、労働者の理解と協力を得つつ労使で話し合い、その内容を労働者に対して周知することが重要という記載を盛り込みました。また、同じ点線枠囲みの一番下に、報告体制の整備及び手順等の作成並びに周知とありますが、これが改正省令のことです。今回、このガイドラインに改正省令の内容も埋め込むこととしました。
右側に転じていただいて、4.健康管理です。最後のポツにありますが、作業開始前に、当日の体調に普段と異なる変化がないか、睡眠不足がないかなど、声かけしていただくよう記載しています。また、作業従事者も自分で普段と違うなという形で気付きがあれば、自ら申し出ることが望ましい旨も記載しています。
次に、5.労働衛生教育です。これまで熱中症予防管理者や作業従事者向けの教育カリキュラムについてはお示ししてきたところですが、今般、新しく職長等、現場で指揮を行う方向けの教育をカリキュラムと併せて掲載しました。
最後、7.その他です。上から3つ目の●注文者や作業場所管理事業者による配慮ですが、まず注文者については主に建設業をイメージしていますけれども、経費や工期、納期について配慮することが望ましい旨を記載しています。また、作業場所管理事業者につきましては主に運送業等をイメージしていますけれども、その場所で作業する作業従事者が熱中症を発症した際の緊急連絡とか、あるいは作業を請負った事業者から休憩場所について要望等を受けた場合には、適切に対応することが望ましい旨の記載を盛り込んでいます。その下の●労働者と異なる場所で就業する個人事業者等については、本ガイドラインを参考にして自ら取り組むことが必要である旨を記載しています。
ガイドラインの内容については以上になりますが、今後、周知を図りつつ、今期のクールワークキャンペーンに活用してまいりたいと考えています。事務局からの説明は以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございました。ただいま、資料3に基づきまして職場における熱中症防止対策に係る検討会の報告書案と、職場における熱中症防止のためのガイドライン(案)について概要を御説明いただきました。本件につきまして質問、意見等のある方は会場の委員につきましては挙手を、オンライン参加の委員につきましては御発言がある旨、チャットに書き込みをお願いいたします。まず会場参加の委員でいかがでしょうか。山口委員、お願いいたします。
○山口委員 御指名ありがとうございます。労働側の山口でございます。今回報告いただいた内容については、現場実態をよく知る労使を含む専門家検討会の成果と受け止めており、内容について特段の異論はございません。新たに策定されるガイドラインに基づき、中小企業を含むより多くの事業場において効果的な取組が実施されるよう、厚労省においてQ&Aを含むガイドラインの内容について、分かりやすく周知・広報をしていただきたいと思います。
なお、事業場における熱中症対策については、一度作成して終わりというものではなく、その年の状況や課題を踏まえて衛生委員会等において労使で議論を行い、次年度に向けて対策をアップデートしていくことが重要だと思っています。今回示されるガイドラインについても同様で、今年の夏の状況を踏まえ、再び検討会において議論を行い、PDCAサイクルを回し、対策をより充実させていただきたいと思います。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございます。そのほか、いかがでしょうか。先に鈴木委員、お願いたします。
○鈴木委員 御指名ありがとうございます。初めに、報告書(案)並びにガイドライン(案)を取りまとめていただいた検討会の皆様に感謝申し上げます。先ほど御説明がありましたとおり、速報値であるものの、昨年の熱中症による死亡者数が前年同期比で50%減少したことについては、昨年の省令改正が死亡災害の防止に一定の効果があったものと受け止めています。引き続き、改正省令の周知と、事業者による措置の徹底を図ることが重要だと感じています。
他方、休業4日以上の死傷者数は増加傾向にありますので、予防策を推進していくことが大きな課題になろうかと思います。今回作成いただいたガイドライン(案)に沿った対応を取る事業者が広がるよう、経団連としても周知に努めてまいります。厚生労働省におかれましても、中小企業を含めた丁寧な周知をお願いいたします。
それから、熱中症の予防策には、費用が発生するものも多く、特に中小企業向けの補助金は重要になると思います。その意味で資料3の2ページ「検討結果」の最後にある、「(3)予防策への支援等」は重要な課題です。他方で、高年齢者の労働災害防止対策のためのエイジフレンドリー補助金で対応している現状には違和感がありますので、対象年齢の制限を廃止することに異論はありません。検討会では、既に補助対象となっているウエアラブル端末やファン付き作業服、WBGT指数計を巡り、補助対象としてふさわしいかどうか様々な議論があったと承知しています。補助対象については、財源が社会復帰促進等事業(社復事業)であることも考慮し、真に補助対象にふさわしいものを、エビデンスベースでしっかりと御検討いただきたいと思うところです。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございます。そうしましたら、まずここまでで山口委員と鈴木委員の御発言につきまして、お願いいたします。
○労働衛生課長 この度、ガイドラインにつきましては、早速、クールワークキャンペーンで活用してまいりますので、分かりやすく周知・広報をしてまいりたいと思いますし、また関係の皆様方の御協力、連携もお願いできたらと思っております。大きな企業だけでなく中小企業も含めて裾野を広く周知してまいりたいと思っております。
そうした上で、山口委員からお話がございました取組のアップデートについてです。当ガイドラインにおいても、労使での話合い、そして取組についての検討ということで、次の夏に向けて秋、冬などに同様の会議体で確認し、対策に活用していくことが望ましい旨を記載してございます。正にPDCAを回すと、冒頭申し上げたところはこの点を指して申し上げたわけでございまして、しっかりこの取組を促すことも含めて周知をしてまいりたいと思っております。
また、検討会自体も、報告書の最後の件の中で令和8年度以降も本検討会を開催し、継続的に検討する必要があるという御指摘を頂きました。この度の予防策の状況、もちろん、先の改正省令の効果も引き続き勘案していく必要があると思っておりますけれども、事務局といたしましては、来年度以降も検討会を開催し、必要であればそのアップデートを図っていくことを考えてまいりたいと思っております。
それから、鈴木委員から支援の部分で御指摘がございました。検討会ではファン付き作業服やウエアラブルデバイス、これらについて性能の評価であるとか、あるいは計測精度等について疑問若しくは意見があったところでございます。我々といたしましては、こうした御意見を踏まえまして、まずはその実態について把握し、それを踏まえて、今後、こうした補助金を活用するに際してのあり方というのを検討してまいりたいと考えているところでございます。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございました。山口委員、よろしいでしょうか。鈴木委員、よろしいでしょうか。ありがとうございます。そうしましたら、宮内委員、お願いいたします。
○宮内委員 山口委員、鈴木委員に御発言いただきまして、同じようなことになってしまうのですが、報告の中に熱中症による休業4日以上の死傷者数は41%増加したけれども、死亡者数は半減しましたという御報告がありました。これは、いずれにしろ本当に熱中症の重篤化により死亡することに対する対策ができたということは間違いないですし、大事には至らなかったというふうに理解されています。昨年6月に熱中症対策の事業者に対する義務付けがあり、これについて事業主の方々や事業場の産業医の先生、管理者の方々、本当に一つの目的に対して協力いただいた結果だったのではないかと、私は理解しております。平均気温の上昇に対する労働者の健康、熱中症の予防、災害に対する対策というのは非常に大きな問題で、最重要課題の一つではないかと思っております。大学としてもこういうことに対する研究を実際やっております。そうは言いましても、画期的なものというのはなかなか難しくて、いろんな方法を、正に今こちらに書かれておりますけど、包括的な熱中症対策を行うことによって予防していこうということは非常に重要かなと理解しております。今後、新たな知見などが出た場合には、是非、そういうことも踏まえて、また委員会を開催いただいて、より良い方法というのをどんどん提案していただければと思っております。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございます。そのほか、福永委員、お願いいたします。
○福永委員 使用者側委員の福永です。まず、今回、検討会が開催され、その報告を頂きましたことについて感謝申し上げます。今回のガイドライン(案)について異論等はございません。資料の3ページのとおり、従来の基本対策要綱とキャンペーンの実施要綱から引用されているので、無理なく各事業場において取り組めるガイドラインになるかと考えます。
その中で、資料の2ページ、令和7年の夏の状況についてコメントさせていただくと、労働基準監督署の調査による違反・指導の状況、全体では6%に対して、熱中症の発災事業場では20%という数値の比較がございます。これについてのグラフが資料7ページに参考3として記載がございますが、全体と災害端緒の調査ということで、n値の桁が違うため単純比較できないところでもあります。災害端緒、熱中症が発症した事業場の調査ということで、一般の調査と性質が異なる部分が大きいと考えます。今回の検討会開催に当たりエビデンスベースの情報の収集や、その分析を課題としていましたが、今回の報告内容に記載がございませんので、補足するところがあれば御説明いただきたいと思います。
また、建設業においては、昨年9月頃に建設労務安全研究会の会員企業がアンケート調査に協力しましたが、時間が経つと正確な情報が収集できなかった実態がございます。グラフ等で確認いただけるとおり、「不明」とする回答が少なからずございます。令和8年度の検討会は令和9年、来年夏の予防活動に向けて、どのような情報を収集するか、早い段階で取りまとめていただき、業界や各事業場に対して発信いただけると、より有効なデータ収集ができると考えます。御検討のほう、よろしくお願いいたします。私から以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございます。ただいまの宮内委員と福永委員の御発言につきまして事務局からお願いいたします。
○労働衛生課長 ありがとうございます。まず宮内委員からの御提案ですけれども、正に今回のガイドラインは包括的なものを示したものでございます。何か1つの対策、シングルで熱中症を完全に防げるものではないとした中で、若しくは個々の事業場の業務、業態によって様々に異なるところから、統一的、画一的なものは難しいという中で、この中から選んでいただくような立て付けとさせていただきました。引き続き、検討会の開催については、先ほど申し上げましたように新たな知見を収集しながら事務局として考えてまいりたいと思っています。
また、宮内委員からお話がございましたように、この度、死亡者数が半減しているというところ、まだ速報値なので安心はできないと思っていますけれども、もし確定値がこれに近い値で終息するのであれば、本当にこの度の改正省令を踏まえて、各事業場として、そしてその中で勤められている産業保健スタッフの御尽力は大きかったと思いますので、この場をお借りして感謝申し上げたいと思います。
それから、福永委員から御指摘がございました労基署調査、資料3の7ページの参考3についてです。口頭で恐縮ですが、補足をさせていただきますと、本調査は昨年の6月1日から9月30日の間に、熱中症に限らず労基署が指導を行った建設業、製造業、運送業、警備業、この4つの事業場を対象として行ったものです。御案内のとおり、この4業種については熱中症の被災が多い業種ですのでここは選択的に行ったということです。
そうした結果、御覧のとおり、何かしら指導に行きましたという1万7,000のうち、この度の改正省令の違反・指導があったのが6%、一方で実際に熱中症を端緒とした指導を行った事業場は103という形で、数はどうしても少なくなるわけですが、このうち改正省令の違反・指導があったのが20%ということです。これだけで単純比較するのは確かに慎重になるべきかもしれませんけれども、一応、熱中症を防ぐためにも、まずはこの改正省令をしっかり守っていただくことが最低限必要なことは示唆されるということで、御紹介申し上げた次第です。また、その内容については検討会でも御了承いただいたところです。
今回の検討会に当たりましては、福永委員からお話がございましたように、建設業には特別のお計らいを頂きまして実態調査を実施いたしました。ただ、確かに実施時期が少し遅くなったことから、いろいろな記憶を辿りながらという部分もあったと承知しています。次年度以降については、本年度の結果を踏まえながら、より適切なタイミングで実態把握することを検討したいと思っています。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございました。福永委員、いかがでしょうか。
○福永委員 御回答ありがとうございました。やはり早い段階で情報を頂けますと、より有効なデータが提供できると思いますので、よろしくお願いいたします。それと、先ほど7ページのグラフの中で「違反・指導あり」の20%は大いなる問題ですが、「違反・指導なし」が80%にもかかわらず熱中症が発生した原因を追求していくと、より次のステップの熱中症予防の取組に資するのではないかと思います。そのような視点での調査も検討いただければと思います。
あと、追加のコメントとして、4ページに今回のガイドライン(案)の7.その他の所に、注文者や作業場所管理事業者による配慮というのがございます。注文者については建設業を主に対象とし、作業場所管理事業者については運送業と対象、との御説明をいただきましたが、作業場所管理事業者については、本分科会においても、法30条の4関連の適用範囲がまだ議論が途中であり、今回ガイドラインの公布に当たって、適用範囲についても何らかの補足が必要と考えますので、是非、追加の検討をお願いします。私から以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございます。事務局、いかがでしょうか。
○労働衛生課長 ありがとうございます。7ページの資料で、この8割の所は、ひょっとしたら熱中症を発生させるのに十分でない部分があるのではないかという御指摘でした。そういったところは、正に今回の予防策が埋めていける部分があるのではないかと私どもは思っていますので、来年度、この予防策の成果と言いますか実施状況も把握しながら、併せて今後の検討課題にしたいと思っています。
それから、ガイドラインのほうですけれども、言葉としては作業場所管理事業者という言葉を使わせていただきました。
○建設安全対策室長 少し補足させていただきます。作業場所管理事業者というのは既に法律上、定義がなされておりまして、その事業というか仕事を行う場所を管理する事業者ということなので、それ以上でもそれ以下でもないわけですけれども、その条文を含んだ令和9年4月から施行分の政省令改正については、先般、諮問・答申を頂きましたので、今、十分な周知期間をもって施行できるように施行通達の準備などもしているところです。施行通達ではご指摘の点についての例示などもできればと思っていますので、そういったところと併せて誤解がないようにしっかり周知していきたいと思います。
○髙田分科会長 事務局、よろしいでしょうか。ありがとうございます。福永委員、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。そのほか、いかがでしょうか。松尾委員、お願いいたします。
○松尾委員 私からは4ページのガイドラインの関係で、7.その他で、労働者と異なる場所で就業する個人事業者等についてという項ですが、先ほど説明があったとおり、こういう場所においてはということで、これは、この間議論された特別団体の関係の学習教育も含めて、きちっと行う必要がある。要件整備もこれからされるわけですから、その辺のことと、1年間通してずっとこういう働き方をしている方が全てではございませんので、混在する場所で働く方もいらっしゃいますので、この辺はそういうことも想定した対策、あるいは周知をしていただきたいと考えています。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございます。事務局、いかがでしょうか。
○労働衛生課長 個人事業者等についてですが、労働者と一緒に同じ熱中症のおそれのある作業に関わっている場合には、そこを管理する者において配慮していただく、必要な措置を取っていただくということは改正省令のほうでも整備したところですけれども、労働者と全く異なる場所で就業する個人事業者等については、基本、自ら取り組んでいただくということは先ほど御説明したとおりでございます。ただ、その場合にも、自ら学んでいただけるよう、例えば、今、熱中症ポータルサイトというのを厚労省で運営していますが、そこで分かりやすいガイドなどもお示ししています。必要な教材のブラッシュアップを図りながら、こちらについて活用いただけるように併せて周知も図ってまいりたいと思っています。以上です。
○髙田分科会長 松尾委員、お願いいたします。
○松尾委員 改めてお願いしたいのは、該当する当人が2つのパターンでやるということなので、こういう働きの現場だとこういうことがあるんだということと併せて、個人事業者等ですから、先ほど申し上げたきちっとした自らの学習等、両面あるんだということを周知し、理解させることが大切だろうと思っていますので、その辺はよろしくお願いいたします。
○髙田分科会長 ありがとうございます。
○建設安全対策室長 個人事業者の切り口で申し上げますと、この分科会でも御議論いただいて既に出している、個人事業者等の健康管理に関するガイドラインというのがありまして、そういう中で、先ほど衛生課長からも申し上げましたとおり、御自身の熱中症も含めた健康管理をやっていただくのが基本だと思います。ただ、こういう教育などについては、注文者さんが教育の場を提供する、そういった配慮をしていただくことが望ましい旨も書いております。ましてや、注文者さんの職場に入って労働者と同じ場所で就業する場合になりますと、同じルールで、異常が発生したときの連絡先や異常発生時の手順といったものの中に組み込まれてやることになりますので、そういう熱中症に対する知識を上げることと、労働者と同じ場所で働くときのルールに従って適切に動く、そういう両面を注文者さんなりに御配慮いただくことが重要と思っています。
○髙田分科会長 松尾委員、よろしいでしょうか。ありがとうございます。そのほか、いかがでしょうか。オンライン参加の委員につきましても、チャットの書き込みはないので御発言はよろしいでしょうか。ありがとうございます。ただいま様々、御意見を頂きましたけれども、いただいた御意見を踏まえまして、事務局のほうは御説明いただいた方針で進めていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
続きまして、議題(4)「第14次労働災害防止計画の実施状況等について」に関しまして、事務局から説明をお願いいたします。
○建設安全対策室長 議題(4)について、資料4-1と4-2に基づいて、建設安全対策室の船井から御説明させていただきます。まず、資料4-1です。1枚めくっていただくと、第14次労働災害防止計画の実施状況についてというページがありますが、前回までの主な御議論のまとめという所で、赤く囲っております。今回、御説明させていただく主な点は、アウトプット・アウトカム指標についてです。この関連性を検証するということでずっと申し上げてきましたが、これを御説明させていただきます。この間、既に2回、去年11月と12月に取組状況を御報告させていただきました。その中で、いろいろ御指摘いただいた点も踏まえて、今回、まとめさせていただきました。
まとめに当たっては、委託事業で14次防の計画のフォローアップ事業等も行っており、そういったところでの議論、さらには労働者死傷病報告のデータ、災害発生事業場に対して再発防止をした際の聞き取りや被災者アンケートなど、そういった情報をもろもろ踏まえて実態を把握させていただきました。資料4-2は後ほど御説明いたします。
次ページです。中身ですが、まずは行動災害、転倒の関係です。今回、アウトプット指標・アウトカム指標の関係性を検証いたしました。その結果、ひとつは、「アウトプット指標とアウトカム指標の関係性が認められたもの」。もう一つは、「アウトプット指標とアウトカム指標の関係性が今のデータからはなかなか評価、判断できない」というもの、例えば、アウトプット指標が微増で、アウトカム指標が微減ということで、微増と微減なので、関係性がどこまで強いのか分からないというような状況があります。最後は、「アウトプット指標はすごくいいのですが、アウトカム指標が悪くなっているということで、その指標だけでは関係性が逆に出てしまっているというもの」がありました。この3つのパターンがあるということをを前提にお話を聞いていただければと思います。
まず、1つ目の行動災害の転倒の関係ですが、これは2つ目のもので、はっきりとまでは関係性が見いだせないというものです。3ページにある安全衛生教育の実施率や休業見込み日数など、こういった関係からも完全な関係性が見えていないという状況です。今日は時間がないので、一つ一つ細かく御説明することは省略させていただきますが、4ページ以降の指標にある千人率、千人率だけだと傾向がなかなかつかめないのではないか、というところもあって、5ページには度数率なども付けていますし、6ページには安全衛生調査の主要項目に加えて、災害発生事業場に対する再発防止指導結果、被災者アンケート、それぞれ関係するような部分を付けさせていただいています。
こういったものを総合的に踏まえて分析した結果が7ページです。「結果の分析」というところで、ポツが5つぐらい書いてありますが、転倒災害のアウトプット指標の内訳を見ると、前回も御説明いたしましたが、ハード面の対策は8割ぐらいしっかりやられている一方で、ソフト面の対策がなかなかできていない状況でした。そういった中で、ソフト面の対策を安全衛生調査で聞くときに、3ポツ目にありますが、骨密度、ロコモ度等のチェックや、転びにくい又はけがをしにくい身体づくりのための取組、といったようなことまでしか聞けていない、選択肢が設定されていませんでしたので、本当の意味での幅広いソフト面の対策の実施状況は、必ずしも正確には把握できていなかったのではないかと思います。この2つ以外にソフト面の対策と言えるような、効果がありそうなところが選択肢で拾い切れていなかったのではないかということです。ハード面の対策についても、それが本当に転倒防止に十分に寄与していたのかというところをもう少し掘り下げてみる必要があるのではないかという分析です。
繰り返しになりますが、アウトプット指標・アウトカム指標の関連性については、現時点では明確な関係性を見いだすのは困難であるという状況です。そういったことも踏まえて、今後の検討事項ということで右側にありますが、ソフト面の対策の取組内容について、高年齢者の特性を踏まえた多様な取組がちゃんと反映されているのか、把握できるのかということを詰めていく必要があると思いますし、ハード面の対策の効果というのも対策別に把握することも重要ではないかと考えています。
戻っていただいて、6ページです。被災労働者アンケートを見ると、転倒に関する教育を受けていて、内容も理解しているという割合が5割ぐらいになっています。十分とは言えないというところもありますので、なぜ教育をやらないのかというところも掘り下げていければと考えております。1つ目の転倒の関係は以上です。
続いて、9ページの腰痛の関係です。こちらについても、グラフを見ていただくと分かるように、ノーリフトケアの導入率は上がっていますが、腰痛の千人率については改善せずに、微増ではありますけれども上がってしまっている状況です。したがって、こちらについても現時点でははっきりとした関係性が見えない状況です。
そういったこともあって、11ページを見ていただくと、もう少し細かく掘り下げて、どういう災害がどういう背景要因で起きているのかを調べる必要があるだろうということで、令和6年と令和7年、これは抽出して調べたものですが、社会福祉施設での腰痛の災害をそれぞれ100件ずつ分析いたしました。その結果をざっくりまとめたのが11ページですが、大体これの4分の3が施設介護で発生しており、そのほとんどが介助作業中の災害でした。最も多いのは、車椅子に乗る際の移乗です。下の所で言うと、下から2つ目の四角の一番左側、そういったところで多かったという状況です。
もう少し俯瞰してみると、介助作業は132件ありますが、そのうちノーリフトケアが導入されていなかったのですが、導入されていれば防ぐことができた可能性が高い災害が104件、大体全体の8割ぐらい、全体というか介助作業中の災害の8割ぐらいは、ノーリフトケアで発生させずに済んだのではないかということが言えるわけです。ですので、アウトプット指標に掲げているような取組は、引き続き重要であると思います。一方で、訪問介護も少なからずあるわけですし、施設介護でもノーリフトケアが使えない場面もありますので、リフトを使えば全部いいというわけではなくて、やはり作業姿勢の改善などのソフト面の対策も併せてやる必要があると考えています。
12ページです。今申し上げたことが分析には書かれていますが、もう少し中身を見てみると、2ポツ目です。労働安全衛生調査によると、リフトの導入が大体38%ぐらい、スライディングシートが39%ぐらいというように、ノーリフトケアの中でもその手法がこういう割合になっています。これが全体の事業場の割合ですが、災害発生事業場について見てみると、リフトが16%ぐらいということで、災害を起こした事業場では、全体に比べるとリフトの導入が低調ということもうかがえます。したがって、ノーリフトケアといっても対策の中身によって少し違う傾向もあるのかなということもうかがえます。これを踏まえたアウトプット指標・アウトカム指標の関連性は、繰り返しになりますが、現時点ではなかなか評価し切れない状況です。
安全衛生教育についても、10ページにもありますが、事業者が腰痛教育をやったという割合が一番右上にある85%です。被災労働者アンケートについて見ると、必ずしも母数が一緒というわけではないのですが、大まかな傾向としては、ノーリフトケアの導入についての教育や周知を受けていて、内容も理解しているという割合が非常に少なく、16%ぐらいにとどまっているということで、そういったところのギャップも大分あるのではないかと考えています。
したがって、今後の検討事項については、導入した機械を、教育等を通じてしっかり活用できているかなど、ノーリフトといってもどういう設備ややり方に効果があるのか、適切なのか、そういったところも引き続き把握していく必要があると考えています。
14ページの高年齢労働者対策です。こちらについては、前々回出した資料ですが、引き続きアウトプット指標、まだまだソフト面の対策を中心に取組が必要であるということで、少し率も下がっているのですけれども、千人率で見ると男性、女性ともに若干ではありますが、改善していて、この点からも、まだアウトプット・アウトカムの連携ははっきりと見て取れない状況です。さらに、15ページに度数率を把握したものを付けています。左下を見ていただくと、男性、女性の60歳以上で見た場合ですが、こちらは千人率と違って、男性は度数率が上がっていて、女性は横ばいという形で、千人率と度数率で見た場合でも、傾向がちょっと違う状況でもありました。
こういうことも踏まえて、現時点ではまだなかなか関係性の把握が見いだせないということもありますが、17ページに分析結果としてまとめています。1ポツ目は今申し上げたとおりです。2ポツ目ですが、労働安全衛生調査の結果などを見ると、エイジフレンドリーガイドラインを知っていて、かつ対策に取り組んでいると回答した18.1%をアウトプット指標の数値として掲げているのですが、一方で、エイジフレンドリーガイドラインは知らなかったのだけれども、ガイドラインに定めるような事項をやっていたと回答した事業場は、実は37%ぐらいあり、合計すると半分以上の事業場で何かしらの高年齢労働者対策はやられているということです。
ただ、取組の中身について知っていたか知らなかったかで把握すると、ガイドラインを知っている事業場のほうがリスクアセスメントに取り組んでいる割合が高いわけです。したがって、ガイドラインをちゃんと知っていて取り組むという方は、より対策の本質に近いところをやっているということです。そういうことからも、先般、分科会でも御議論いただきましたが、新しくできた「高年齢者の労働災害防止のための指針」、法改正でできた努力義務、そういったものも踏まえて、指針の内容をしっかり周知して理解していただいた上で、新しい指針に基づく取組をやっていただくことが重要ではないかと考えています。
安全衛生教育については、教育を実施したとする事業者と、教育を受けてちゃんと理解しているという労働者の理解に乖離があると。これは先ほどのものと同じような状況ですが、そういったところにも注意を払う必要があるということです。
18ページは、今申し上げたことを書いていますが、今後の対応策として、右側にあるように、高年齢労働者の方というのは、高年齢ではない方のように必ずしもフルタイムで働く方ばかりではありません。パートタイム、時間が短い形で働いたり、いろいろな形で働かれる方もいるので、果たして千人率だけで見ていくのがいいのかというのが今回の数値からも分かりました。ですので、今後は度数率も勘案しながら検討していく必要があると考えています。
続いて、多様な働き方の関係の外国人の関係です。外国人については、20ページを見ていただくと分かるように、母国語教材等の活用による分かりやすい方法での教育の率が上がっています。これに伴い、外国人の死傷年千人率が下がっているという関係がはっきり見て取れますので、まだ全産業までは大分乖離はあるものの、両指標の関係性は見てとれるのではないかというものです。
ただ、今申し上げたように全産業との開きはあるということで、業種別などで掘り下げて見ていく必要があるということで、22ページを見ていただくと、業種別の全労働者と外国人労働者の死傷年千人率の比較をやったもので、3年分ぐらい付けています。これを見ると、一番左が全産業ですが、全産業での全労働者と外国人労働者の開きよりも大きく開いている業種というのが実はあります。全体で見ても製造業はそうですし、金属製品製造業など、そういった部分では結構大きく開いていて、建設業でも大きく開いていることが分かります。
それと、23ページを見ていただくと、そもそも外国人労働者の方が多く働いている業種はどうなのだろうというのを見ると、上の横に積み上げた棒グラフを見ていただくと分かるように、災害発生率が高い危険業種とされている建設業や製造業、製造業が赤で建設業がその隣の黄土色ですが、特定技能や技能実習は5割から7割を占めていて、非常に多いのです。ただ、全労働者で見ると2割ちょっとくらいなので、業種で見た場合に、働いておられる業種の構造が外国人労働者と全労働者で大分違うのではないかと。したがって、災害発生割合が高い業種で多く働いているということも、全体で見た場合の千人率の開きにつながっているのではないかと思います。
24ページです。製造業について見た場合、災害発生率が非常に高い食料品製造業で外国人の方が多く働いており、これも外国人の災害発生率が高くなる要因になっているのではないかということです。
25ページは分析ですが、今申し上げたところを結果の分析で書いています。外国人労働者災害防止の関係については、アウトプット指標・アウトカム指標の関連性という意味では、一定の関連性はあります。したがって、アウトプット指標に掲げたことを引き続きしっかりやっていくことで災害発生率の低下はできるのではないかということで、続けていきます。その上で、更にということですが、全体で見た場合の外国人労働者と全労働者の開きは減少傾向にはあるけれどもまだありますので、目標達成までは大分あるわけですけれども、分析の中で見てとれたように、業種の偏りなどがあるということです。
ただ、特定の業種の中でも、外国人のほうが労働災害発生率が高くなっている業種と高くなっていない業種があります。先ほど説明を飛ばしてしまったのですが、22ページを見ていただくと、食料品製造業などはほとんど同じです。逆に外国人のほうが低いというところもあります。金属製品製造業は、外国人がすごく高いということで、このように外国人が高いところと、高くないところもあります。なぜこういう状況になっているのかというのは、業種の特性も踏まえて分析を行って、業種に応じた対応をしていく必要があるのではないかと考えています。
あとは、外国人の方が教育をどのぐらい理解しているのか、母国語等でやると言っているので、理解度も拾っていく必要があると思うのです。21ページで被災者アンケートをやっているのですが、どうしても母数が少ないのと、このアンケートに答えている時点で日本語がある程度分かっているというバイアスも掛かっているので、取り方なども含めて理解度を把握していくことも必要ではないかと思っています。
26ページ以降は業種別対策で、27ページが陸運業です。業種別対策については、おおむねアウトプット指標・アウトカム指標の関係性がよく出ているところです。陸上貨物運送事業もそうです。ですので、こちらについては、ポイントだけ説明させていただくと、29ページです。これは関連性が出ていますので、引き続き荷役対策をしっかりやっていくことによって災害を減少できるのではないかと思います。その上でですが、陸上貨物の死傷について見ると、墜落・転落が多くて、全体の4分の1ぐらいを占めています。トラック運送なので、その多くはどうしても荷台からの墜落・転落が多いわけですが、荷台からの墜落・転落というのは、2m以上の高所ではないので、安衛法の規制対象外ということで、その辺の意識や対策の適切な実施が十分に徹底されていないのではないかというところもうかがえるわけです。したがって、そういった点も含めて、教育の中にしっかり組み込まれて実施されていくことが、更なる災害減少につながるのではないかということで、しっかり取り組んでいきたいと思います。
30ページ以降は建設業です。31ページに前々回、前回と出した資料を付けさせていただいていますが、こちらも関係性がよく出ている状況です。33ページにポイントをまとめています。墜落・転落を対象としたリスクアセスメントは高い割合でやられていて、災害も減っているわけですが、中身を見てみると、リスクアセスメントの実施率は高いのですけれども、災害を起こした所について見ると、作業床を設けていなかったなど、そういう割合が結構高かったりするので、リスクアセスメントはやるけれど、リスク低減措置をしっかりと徹底することができているのかというのは、まだ疑問が残るところです。陸運業と似ていますが、高さ2m未満の場所からの墜落というのもあるわけで、これは2m以上の箇所とは対策が違うので、作業や墜落の高さに応じたきめ細やかな対策もやっていく必要があるのではないかと考えています。
続いて、35ページの製造業です。こちらも年によって災害の件数のばらつきはありますが、はさまれ・巻き込まれ防止対策の割合が順調に目標達成に向かっている中、災害も減少のラインに乗っていて下回る状況です。課題となっている中小における割合、死傷者数ともに順調に実施率も増えて、災害も減っているという関係が見て取れます。
37ページにまとめていますが、今申し上げたところが書いてあります。中小におけるリスクアセスメントが前年から上昇して、災害も減っています。一方で、これを更にしっかりやっていくためですが、機械のリスクアセスメントをやっていく上ですごく重要なのは、特に中小などだともっと重要ですが、機械メーカーからの残留リスクの通知書を頂いて、それをユーザーとしてのリスクアセスメントに活用していくというのが重要なわけです。その通知状況について見ると、36ページの右下のほうに書いてありますが、通知を受けなかったとか、受けたか覚えていないなど、そういう割合が全体の3分の2ぐらいあります。残留リスクの情報提供や、覚えていないということは活用していないということなので、活用がしっかりなされていないわけですので、こういったところにもしっかり力を入れていく必要があると思います。
中小でリスクアセスメントをやらない理由として、取り組み方が分からないとか、専門のスタッフがいないなど、そういう声もありますので、取り組みやすいツールを周知していくことも併せてやりたいと思っています。
続いて、林業の関係です。39ページを見ていただければと思います。こちらについては、業種別の中では1つだけ指標の関係性が十分に見て取れない、逆方向に行ってしまっています。アウトプット指標が伐木ガイドラインに基づく措置の実施割合、これは非常に高い割合で、目標は50%なのですが、大幅に超えて9割前後で推移している状況ですが、林業の死亡災害が増えています。2023年、2024年で比較すると、死亡のうち伐木も増えてしまっているという状況です。40ページにあるように、労働安全衛生調査だけではなくて、災害発生事業場に対する再発防止指導や被災者アンケートもやったのですが、N=を見ていただくと分かるように、非常に数が少ないので、これだけでやるのは危険であろうということで、業界団体に協力してもらった深掘りアンケートや、死亡災害を3年分一つ一つ全部めくる作業をしています。
42ページは、3年分の死亡災害を分析した結果です。12月にも口頭で少し触れたかもしれませんが、死亡災害のうち真ん中にあるのが伐木作業中の災害です。伐木災害率が令和6年は結構高くなっています。伐木というと、どうしてもかかり木処理、木が掛かってしまって、それを処理するときの災害が多い印象はありますが、左側にあるとおり、そんなにそこが顕著になっているわけではありませんでした。
一方で、令和6年に特に目立ったのが、右下にある他人の伐倒木による災害です。人が倒した木にぶつかってしまって亡くなってしまったという事案があります。そういうことがないように、伐木ガイドラインでは、ちゃんと人がいないことを確認した上で倒すなど、そういった事故を防止するための措置が書いてあるのですが、災害の中身を分析すると、ガイドラインに基づく措置が不十分の疑いがある事案がかなりありました。令和6年で言うと、21件中15件、7割ぐらいあります。実はこれは令和5年も7割ぐらいありました。令和4年は6割弱ということなので、ちょっと増加傾向が見られるということです。ガイドラインに基づく措置を事業者としてはやっていると回答していても、実際の現場では十分に行われていなくて死亡災害に至っているという事案があるということです。
43ページです。そういったことが起きる背景としては、林業の現場は倒す木が非常に大きく、場合によっては数十mに及ぶこともありますので、チェーンソーを用いて倒しているときに、ほかの作業者がどこで作業を行っているかを目だけで確認するのはなかなか難しいですし、森林の中なので、倒した木の影響範囲にいる方と連絡調整を肉声でやるのも難しい状況があります。ですので、ガイドラインに定める事項は分かっているけれども、なかなかできないということもあるのではないかと思います。したがって、作業者がそういうもらい事故のようなことにならないような計画的な配置作業をやっていただくことに加えて、通信・連絡手段も確保するというように、ガイドラインに定める措置をただやれと言われているだけではなくて、作業者の方が現場で実行可能になるような、円滑に実施できるような環境整備も併せて必要ではないかということで書かせていただいています。
左下のアウトプット指標・アウトカム指標の関連性については、冒頭に申し上げたとおり、なかなか見て取れない状況ですので、右側にあるように、ガイドラインに基づく措置を現場で一人一人がしっかりやられることを確認していくことを、追加の項目として考えていきたいと思っています。
続いて、45ページの化学物質の関係です。化学物質についても、ラベル表示・SDSの率が行ったり来たりしています。リスクアセスメントについても、リスクアセスメントそのものは目標を達成していないのですが、リスクアセスメント結果に基づく措置はできていると。その結果の災害件数は、このまま行くと目標数値を超えてしまう状況で、直ちに今のデータからは関係性が見いだせないというのが現状です。
46ページ以降に労働安全衛生調査の細かい所を抜き出して書いています。50ページには、災害発生事業場への再発防止対策の結果や被災者アンケートも載せていますが、これもNが少なくて安全衛生調査との比較がなかなか難しいので、林業や腰痛と同じように、災害をめくったというのが51ページにあります。令和6年と令和5年の休業4日以上の化学物質の性状に関連の強い死傷災害を調べたところ、有害物との接触が大体8割超、何か吸引したとかそういうのではなくて、有害物と接触したというのが8割超でした。これを業種別で見ると、化学工業や金属製品製造業のように、そういうことがあるだろうという業種だけではなくて、食料品製造業や飲食店など、清掃関係でも実は多く発生していました。災害の中身について見ると、52ページにあるように、清掃・洗浄作業が最も多くて、皮膚等への接触が多くなっていました。したがって、保護手袋を用いた接触防止が非常に重要になってくることがうかがえるわけです。
53ページです。上のほうには、今申し上げたようなことを書かせていただいています。左下の指標の関連性については、現時点ではまだ評価し切れないところです。なかなか評価し切れない背景として、死傷病報告では物質まで見られないので、努力義務対象物質がどの程度の割合を占めていたかというところまでは、なかなか見いだせないという状況もありました。
今後の対策ですが、今申し上げたように、清掃や洗浄作業による保護具の着用状況とか、リスクアセスメントやその結果に基づく状況について、しっかり把握していくことが重要であると考えています。それと、化学物質の関係については、目標設定の時期がほかのものと違ってリスクアセスメント対象物質としてどんどん義務化されていきますので、令和8年4月からは新たに800物質が追加されて、2,900物質になるということで、もう義務になってしまうということです。45ページの目標値を見ていただくと分かるように、2025年までの数値だったのです。これが全部義務になってしまうということで、では、新しい目標をどうするかということですが、前回も御説明させていただいたとおり、義務対象物質がどんどん自律的管理で増えていく中で、そちらもまだ完全実施できていない、手が回っていない、ましてや義務ではない物質にも手が届かないという状況がうかがえますので、まずは義務対象物質になったものをしっかりやっていただく必要があるということで、努力義務の対象物質について新たに指標を立てることはせず、義務になったリスクアセスメント対象物質について、ラベル表示やリスクアセスメントの実施率を安全衛生調査で取っていますので、そちらをしっかりフォローしていくこととさせていただきたいと思っています。
最後、熱中症の関係ですが、こちらについては55ページにあるとおり、アウトプット指標が伸びています。アウトカム指標も減少の傾向をたどっています。こちらについては31人、31人ということで、2024年の数値しか出していませんが、確定値ではないですが、新しい数字も減少の方向になっていて、先ほど衛生課長から御報告申し上げたとおり、熱中症対策の強化が功を奏しているのではないかと考えています。57ページのアウトカム指標・アウトプット指標の関連性はよく出ているので、引き続き改正省令に加えて、右側にあるように先ほど御報告があった新たな対策を併せてしっかりと取り組んでいきたいと考えています。資料4-1については以上でございます。
続けて、資料4-2についても併せて御説明させていただきたいと思います。1枚めくっていただいて、赤で囲んでいる所です。労働災害発生状況の詳細分析が必要という所ですが、こちらにつきましては、災害発生状況と言ったときに本当に千人率だけでいいのだろうかと。もう少し労働投入量も踏まえた、我々100万延べ実労働時間当たりの休業4日以上の死傷者数を度数率という形で呼んでおりますが、そういったものも踏まえて、災害件数も加味してしっかり分析する必要があるのではないか、そういう深掘りをする必要があるのではないかということで、やらせていただきました。具体的には、オーダーメード集計といって、労働力調査のオーダーメード集計を掛けて労働時間数を算出して、災害の傷病報告の件数といったものを加味して分析した結果がこちらになります。
3ページ目以降に具体的な数値を書かせていただいております。まず、3ページ目を見ていただきますと、これは死傷者数の推移ですが、男女合わせると、近年増加傾向で、特に女性が小売業や社福中心に増えている状況があります。
続きまして4ページ目が労働投入量、延べ労働時間で、こちらについて男性はおおむね横這いなのですが、女性が増えている傾向になります。
5ページ目ですけれども、こちらについては、労働投入量当たりの労働災害発生頻度、度数率については、業種別の折れ線グラフですが、業種によっては特に女性で顕著な増加が見られるところがあります。
これは少し細かくて分かりにくいので、6ページ目に、業種別を抜きにして、男性女性に分けて、青い線が休業4日以上の死傷者数、薄いグリーンの線が労働投入量、延べ労働時間数です。そこから出される度数率は赤い線で書きましたが、これを男女で分けて書いていて、10年前の平成26年を100%、1.0としたときにどうなったかという推移を表わしたのがこちらになります。これを見ていただいて分かるように、特に女性で非常に度数率が上がっております。投入量も増大しているのですが、それ以上に災害も増えていて、度数率が上がっている状況が見てとれます。
7ページ目、8ページ目には、1個1個の線は業種別なのですが、なかなか読みにくいので、全体的な傾向だけ見ていただければと思いますけれども、年代別に労働投入量の増加率と死傷災害の増加率を両軸に取って比較をしました。これは何が言いたいかというと、災害の増加というのが、労働時間が増えて労働投入したので災害も増えましたという関係なのか、それを上回る災害発生率の増加、要は危険な作業等によって単位時間当たりの災害発生率が上がったのか、そういったことを比較した図です。真ん中に斜めに通っている点線がありますが、この点線は、労働投入量と災害増加率がマッチする、時間が増えたので災害が増えたという線です。これより上に行くと、投入量よりも災害発生率が高くなっている状況です。これを見ていただきますと、39歳以下は余り傾向が見てとれませんが、それ以外の40歳~50歳や60歳以上は、中には傾向が少し違うのがありますが、おおむねどの業種でもこの斜めの点線より上にある、すなわち投入量の増大よりも死傷者数の増大の度合いが大きくなっている傾向がうかがえます。
その要因が何なのかというと、10ページ目に度数率の増大要因を少し分析しております。まず、上の棒グラフが全産業の年齢層別の度数率です。これは、年齢層が上がると、若いと高いのですが、30代で底を打って、それ以降は年を追うごとに高年齢の方は度数率が高い傾向があります。それに加えて、下に年齢層別の延べ労働時間、年齢別の投入量、これを年代別で比較しますと、高年齢層の方の投入量が増えている。したがって、何が言いたいかというと、災害発生率が高い人がたくさん働いているということです。
これに加えて11ページ目は度数率の推移ですが、これは女性で高年齢の方が右肩上がりで非常に伸びている状況がうかがえます。あと、業種別の細かいものを付けさせていただいておりますが、一部の業種では別の要因もありますが、おおむねどの業種でも似たような傾向があるところです。さらに11ページ目の左下を見ていただきますと、高年齢層の度数率自体も上がっております。60歳以上の折れ線グラフ、少し色が分かりにくいのですが、見ていただきますと、要は右肩上がりになっているというのは、年代別で見たときに60代の人も年を追うごとに度数率が高くなっているのが見てとれます。これは、これまで分科会においても、従来若い人がやっていたような、ある程度身体機能を有することを前提としたような作業に高年齢の方が増えていると、なので災害が増えているというようなことを申し上げてきたのですが、これが度数率という形で裏付けされたデータにもなります。
今申し上げたようなことをざっくりまとめると、17ページ目です。休業4日以上の死傷者数は近年増加傾向にあり、特に女性を中心に第三次産業系で顕著に増加しております。そういった増加は、労働投入量の増大よりも死傷者数の増大の度合いが大きくなる。ですので、度数率が上がってきているということです。あと、年齢別の労働時間の投入量の推移を見ると、やはり中高年においては、その投入量も増加しております。こういったことが全年齢を均してみた場合の度数率の増加にも寄与しているのかなと分析しております。特に高年齢層においては、女性を中心に同一年齢層においても度数率が年を追うごとに増加しているということで、今申し上げた、昔は若い人がやっていた仕事に高年齢の方が就いているという裏付けにもなっています。こういったことを踏まえると、高年齢労働者の対策をしっかりやっていく、先ほども話に出てきた高年齢者の指針、努力義務になった部分、こういったものに沿った取組を推進することが必要であることが裏付けられたということです。
全体的な傾向としては今申し上げたとおりですが、一方で、社会福祉施設や陸上貨物運送事業の女性などでは、40代以下においても度数率が経年的に増えている状況も見てとれます。飲食店については、傾向が他とはやや異なる部分もあります。こういったところについては、まだ今回十分な分析には至っておりませんけれども、こういった業種についてももう少し掘り下げて調べる必要があると思っております。大変長くなりましたが、議題4については以上です。
○髙田分科会長 御説明ありがとうございました。資料4-1、資料4-2で詳しく御説明を頂きました。大変膨大な内容となっておりますが、本件について、質問、意見等のある方は、会場の委員については挙手を、オンライン参加の委員については御発言がある旨をチャットに書き込みをお願いいたします。会場参加の委員でいかがですか。
○漆原委員 労働者側の漆原でございます。昨年の分科会の議論を踏まえ、詳細な分析、検討を頂くとともに、今後の対策の方向性についても、より具体的に示していただいたことについて、事務局に感謝申し上げます。その上で、何点か発言したいと思います。以前も労働者側から発言をしたところですが、アウトプット指標とアウトカム指標の関連性に関する課題について、今後の検討や検証のために、必要に応じて補助的な参考指標を設定するということについてを検討をいただければと思います。
また、保護具は正しく使用しなければ十分な効果を発揮することができないため、保護具の性能や利用方法に関して、現場における十分な理解が重要であると思います。熱中症対策におけるファン付き作業服についても、保護具とは言えませんが、性能にかなりの差があると言われておりますので、その性能差をどう考えるかということや、林業における通信機能を有するイヤーマフ、化学物質の清掃・洗浄作業において経皮ばく露を低減するための保護手袋など、現状、市場において様々な製品が流通しており、また、その性能も異なります。より効果的かつ労働者の動きを妨げないような保護具について、現場の労使がその利用方法や性能も含めて、正しく理解することが重要と思いますので、改めて厚生労働省として保護具に関する調査・研究の充実をお願いできればと思います。
その上で、今回、事務局からの説明では、過重労働対策やメンタルヘルス対策など、14次防の期間終了時の目標達成が難しいのではないかと過去の分科会において労働者側委員から発言あった項目について、新たな記載がなされていないと理解しています。これらの項目も重要な課題であり、今後対策を充実させていく観点から、安衛研などと協力をしながら、必要な調査・研究を行っていただくとともに、計画の最終年度の目標達成に向け、引き続き対策の充実をお願いしたいと思います。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございました。そうしましたら、ただいまの漆原委員の御発言についてお願いいたします。
○建設安全対策室長 建設安全対策室長の船井から回答させていただきます。まず1点目ですが、アウトプット指標とアウトカム指標が十分関連性が見られない、若しくはちょっと逆になってしまっているとか、もう少し掘り下げて見なければいけない点というのが今回の評価分析を通じて大分明らかになったと我々としても認識しております。そういった部分については、指標をガラッと変えるということではないですが、例えば度数率も追加で補助指標として出していくであるとか、林業の関係でも、新たに何か取れないか、外国人の関係についても業種別でみたいな話が出てきておりますので、どういう形になるか今は即答できませんが、補助指標のような形で併せて見ていく必要があると思っております。
2点目の、保護具の関係ですが、必ずしも保護具ではないかもしれませんが、具体的にお話があった林業の関係で言うと、通信手段を確保するには恐らくヘッドセットであるとかイヤホンとかを付けなければいけない一方で、耳に付けるということなので、チェーンソー作業に伴う聴覚保護具との取り合いみたいなものが出てくるということは承知しております。なので、そういった保護具がちゃんと機能しつつ、連絡・通信もやられるために、中小零細企業さんでもちゃんとできるようなものというのが、ものすごく高額・高性能とかではなくても、どういうものができるかというのは、実は来年度に委託事業なども活用してやっていきたいと。調査研究と言うほど大げさなものではないのですが、こういう組み合わせでうまく機能できるというのを、現場の声も踏まえてお示しできたらと思っております。やはり現場でこれだったら使えるなというのが一番広がると思いますので、そういう視点でやらせていただきたいと思っております。
あと、過重労働やメンタルの部分ですが、これは資料4-1で冒頭御説明させていただいたとおり、こういった評価・検証というのが、どうしても労働者死傷病報告をベースにしてやらせていただいている部分がありますので、一方で過重労働やメンタルというのが、災害把握というのが事案の発生から死傷病報告を提出するというまで、どうしてもタイムリーになかなか分析できないという部分がありますし、あと、今回、被災者アンケートもやっていますが、そういったこともなかなかプライバシーへの配慮から難しい部分もありますので、今回、分析したやり方というのの対象にするのは難しかったという状況がありますので、まず、この点は御理解いただければと思います。では、何もやれないかということでは全くなくて、12月の分科会でご報告させていただいたときにもいろいろな対策を御説明させていただきましたし、特に過重労働対策に関する各指標というのが過労死大綱の目標数値ともリンクしておりますので、過労死協議会でも御議論いただいているという状況にもあります。このため、なかなか安全衛生の切り口だけで目標数値であるとか施策というのを決めていくというのは難しいという点も御理解いただければと思います。ただ、御指摘いただいたような調査・研究も含めて、こういった取組、過労死大綱などもにらみながらしっかりやっていかなければならないというのはそのとおりだと思いますので、ここに載っていないからやらないというわけではありません、そこはしっかり進めてまいりたいと思っております。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございました。漆原委員はよろしいですか。ありがとうございます。そのほかはいかがですか。七浦委員、お願いいたします。
○七浦委員 御指名ありがとうございます。使用者側の七浦です。非常に多くの御説明を頂いて、向かっていかないといけない目標が見えてきたと思っております。その中で44ページからの化学物質の対策のところですが、53ページのまとめのところにも書いていただいているように、対象物質の拡大により対応が追いついていない事業場もあるということで、やはりSDSの交付、それから表示については各企業様が非常に困難に思っているという所で、これが対策の遅れにつながっているのではないかと考えております。そういう意味でも、ソフトウェアなどを使いながらSDSの最新版の取得ができるなど、分かりやすくしていただきたいと思っております。大きな企業でも難しく、中小企業様には特にうまくいかない所でありますので、国や業界団体等が、SDSのデータの最新版にアクセス出来るようなデータベースなどを作っていただいて、明確になることによって、より安全に健康被害も無くなっていくのではないかと思っております。この辺りは今後の対策として何か工夫して考えているようなことがあるのであれば、少しお聞きしたいと思っておりますが、いかがでしょうか。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございます。それでは七浦委員のコメントに関して、事務局からお願いいたします。
○化学物質対策課長 御質問ありがとうございます。化学物質のリスクアセスメントの状況は、現状でも十分に回っていないという面があるということは私どもも承知しております。ただ一方で、化学品を譲渡・提供する方がSDSを相手方に対して提供するというのが法律上の枠組みとして義務付けられているものですので、その履行を適切に確保していくべきということがまず第一かなと思っております。SDSに関しては、化学物質として全く同じものであったとしても、事業者、交付・配布する方によって内容が異なることも想定されますので、国としてSDSの情報をまとめて整備していくということは現状考えてはいません。一方で、モデルSDSは作っているところですので、こちらは活用いただけるように、引き続き、作成・公表を続けてまいりたいと思っております。
○計画課長 すみません。ちょっと追加になりますが、先の法改正で一応SDSの罰則が公布から5年以内に政令で定める日に施行となりますが、そこに合わせて、省令事項になりますけれども、SDSの表示事項の追加というのが入っています。そこに向けていろいろと制度を整えていくという中で、今お話いただいた電子化みたいな取組も我々としても推進していかなければいけないと思っていますので、そういうことも含めて、これから5年後に向けていろいろと取り組んでいきたいと思っています。
○髙田分科会長 ありがとうございます。七浦委員はよろしいですか。ありがとうございます。そのほかはいかがですか。宮内委員、お願いいたします。
○宮内委員 大変細かい分析の報告を頂きまして御礼申し上げます。特に労働者の作業行動に起因する労働災害防止策の推進ということで、転倒が中心ということだと思いますけれども、アウトプットとして卸売業・小売業等は教育を80%以上ということで目標を作っております。これがなかなか難しい状況というお話がありました。背景には、書いてありますが、人手不足や導入業者等の減少ということで、思うように時間が割けなかったというような推定はできるのですが、やはりまずは教育をしっかりと取り組んでいただいて、そこを通していろいろなことを推進していくことが重要かと思います。現状から言うとすぐに効果が出るかどうか、いわゆるアウトカムに直接教育がリニアになるか、これはなかなか難しい問題があって時間がかかるというのは、私は十分教育者として認識しております。ただ、高年齢労働者に対する新しい指針が努力義務化になりますので、もう少し何か多くの面で教育を推進するとか理解をするような方法を考えるのが良いと思っております。この指針の中では、特に高齢者に関してはゆとりのある作業スピードをお願いする、複数の作業を同時に行うときに優先順位を付けて負担のかからないようなことを考慮しましょうと、非常に重要なことが書かれております。一方、海外でもこういうことは推進されていて、例えば、安全で特にヒューマンエラーの学術の中ではスレットアンドエラーマネージメント:TEMというのがありまして、これは要するに事前にいろいろなことが起きることを推定しておいて、ちょっとリスクアセスメントに近いのですが、それをしっかり予測して仕事をやって、焦らないで的確に仕事をやるということを何度も何度も教育したりするようなことがありますから、是非、教育の内容についても少し今後考えていただいて、実施率を上げるような方法を考えられたらいいかと私は思いました。
それと、アウトプット指標とアウトカムがリニアになっていないというのは当然ある程度起きるかなと思っていて、というのは変な話ですが、アウトプット指標に書いてあることをやってきたことによって、まだこのぐらいの値で済んだ、やらなかったらもっと達成できないデータになっていたということもあるので、余り簡単に結びつけることもできないのかなと。正に今お話があったように、サブでいろいろなアウトプット指標を考えるというのは私も非常に重要だと思っていますので、是非、そういうことも今後御推進いただければと思いました。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございました。宮内委員の御発言についてお願いいたします。
○建設安全対策室長 ありがとうございます。船井のほうから回答させていただきます。1点目の御質問は、高齢者の関係と三次産業系の行動災害を包括的にお話いただいたと思いますが、三次産業系の行動災害の教育については、12月のときも少し御報告させていただいたと思いますが、もうちょっと前にやった転倒・腰痛の検討会の中間整理でも御指摘いただいていたのですが、いわゆる製造業や建設業みたいに、まとまった座学の何時間の教育みたいなのはなかなかできないという指摘をいただいており、短い時間でモジュール化した教育をパッパッとやっていくというのがいいのではないかということも踏まえて、そういった教育ツールの開発なども順次進めていて、小売業は既にできていたと思いますが、社福なども準備をしているというところで承知をしております。こうしたものも活用していくことが非常に重要なのかと思っております。
あと、高齢者の関係は指針ができたばかりで、これからというところなので、しっかりやっていきたいと思っております。あと、アウトプット指標アウトカム指標の関係、先ほどの漆原委員からの御指摘にも共通いたしますが、何分14次防で初めてやった取組なので、いきなり完璧なものはできないという、言い訳になってしまいますが、我々も試行錯誤で、関連性が強そうなものはサブ指標として明示しながらしっかり対策を進めていくということを考えていきたいと思います。それを次の災防計画にもつなげて、よりよいものにできたらと思っております。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございます。
○宮内委員 大変、今のお話で了解できました。もう一つお願いなのですが、重要事項の中では労働災害防止だけではなくて、一人一人の能力を十分に生かせるような社会を実現しましょうというのがあったと思うのですが、ですから、正にカスタマイズというか、テーラーメイドと言いますか、一人一人を見ていって、その能力を生かすということも同時にこういった高齢者については非常に重要かなと思っておりますので、よろしくお願いいたします。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございます。事務局は特によろしいですか。そうしましたら、お待たせしておりますオンライン参加の委員の方に移りたいと思います。黒澤委員が御発言を御希望ということですので、よろしくお願いいたします。
○黒澤委員 東北大学の黒澤でございます。今までに見たことのないようなデータで、大変御苦労なさったのだというふうに読みました。主なものは2点です。1点目は、資料4-1の6ページ、身体的要因を考慮した対策の所で、取り組んでいるというのが、例えば5.8%とか、あるいは③番ですと13.6%ですとか、そういうソフト面の対策がうまくいっていないというようなことだったと思います。分析を見ると、作業姿勢や作業スピードなど、そういうことの取組の促進というようなことが書かれています。転倒の労災が起きる場面というのが厚生労働省から出ていると思うのですけれども、結構大きな部分が、何もない所で、多分足がもつれてとか、そういうことで転倒が起きているということを考えると、転びにくいといいますか、身体の強化的な、そういうことがやはり基本になるのではないかと思います。
また、昨今の少子高齢化や疾病予防で健康寿命の延伸など、そういうことを厚生労働省が言っていると思うのですけれども、医療費の削減など、そういうことを鑑みても、身体活動を習慣化する、あるいは職域でその身体活動を促進するような何か啓発をするなどということは、もっと積極的に取り組んでいいのではないかと思います。この、何と言いますか、7ページの分析のところではその点が抜けているような気がしましたので、今後の方向性に向けては、その点も大事ではないかというようなことを意見させていただきたいと思います。
それから、11ページです。社会福祉施設で車椅子の移乗などで事故が多いという所で、御指摘もありましたが、ノーリフトケアだけではないということで、やはりこれはテクニカルな問題が結構あると思います。移乗させるときの体重の掛け方など、そういうことは結構、何て言うか、病院ですと最初から習うことなのですけれども、リハビリテーション科の病棟へ行ったりしますと。しかし、そういうことが、例えば介護施設などで、パートタイムのアルバイトなどの人ですと、余り教育を受けずにやってしまったりということがあったり、知っていると思って任せてしまったりなどということで起きている。そもそもそういう社会福祉施設の中に安全衛生管理体制のようなものが、やはり建設業ですとそういう文化が醸成されていると思うのですけれども、なかなか、医療や社会福祉施設などでは安全衛生管理体制が十分ではないということがあって、教育も十分でなかったり、管理も十分でなかったりということもあると思うので、そちらのほうも、何て言いますか、是非、安全衛生管理体制、文化の醸成のような、そういうことを気にするのが当たり前のような、そういう方向に向かっていくのがいいのではないかと思います。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございました。ただいまの黒澤委員の御発言についてお願いいたします。
○建設安全対策室長 ありがとうございます。船井から回答させていただきます。1点目の高齢者の関係ですが、繰り返しになりますけれども、まずは高齢者の指針、新しくできたものに基づいてリスクアセスメントをきちんと行い、作業環境改善や作業管理によるリスク低減に取り組んでいくと、指針に基づいてしっかりやっていくということが基本だと思いますし、それをやりたいと思います。その上で、今回の指標を検証する中でも、被災事業場に対する再発防止の場を活用した実態把握や業界団体の協力を得てアンケートをやるなど、ソフト面での対策について、今回、2項目ぐらいしか聞けていなかったという反省もあって、もう少し掘り下げてしっかり内容まで踏み込んだ把握をしていきたいなと思っているところで、そういった結果も踏まえながら、御指摘の点も踏まえて何ができるかということもやっていきたいと思います。
確かに、御指摘のとおり、身体機能の低下、あとは、低下していることと自分の意識のギャップということで、何もない所でつまずくというようなことはよく指摘いただいているところですので、そういった視点は、ここに書いてないからといって全く気付いていないというわけでもないので、十分留意した上で進めていきたいと思います。
あと、もう1つ、介護職場の安全衛生管理体制の部分です。これは本当に御指摘のとおりだと思っておりまして、適切な安全衛生管理体制を構築していただいた上で、そこに教育も乗せてシステマチックにやっていただくということが重要だと思います。ただ、人手不足などもあって、安全衛生だけでお願いしても、なかなか関心を持っていただけないというような部分もこれまでの取組の中でもあるので、やはり安全衛生管理体制も十分ではないということは、一般労働条件のところもしっかりやっていただかなければいけないということもあって、そういう点も含めて、介護保険などを担当している部署とも連携させていただきながら取り組んでいるところであり、これからもやっていきたいと思います。介護関係の団体は、サービス種別によっていろいろな団体がありますし、いろいろと置かれた状況も違うのですけれども、毎年、そういった方々を集めて意見交換会などもやっておりますので、そういった場も活用しながらやっていきたいなと思っております。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございました。黒澤委員、いかがでしょうか。
○黒澤委員 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
○髙田分科会長 そのほか、オンライン参加の委員で御発言を御希望の委員はいらっしゃらないということでよろしいでしょうか。そうしましたら、会場に戻りたいと思います。鈴木委員、お願いいたします。
○鈴木委員 時間が押していますので、簡単に申し上げます。転倒防止の観点から体力増強の重要性に関する御指摘がありました。一般論として、健康経営やTHPの観点から、体力を把握する、体力を増強することの取組を否定するわけではないのですが、厚労省から御指摘があった「高年齢者の労働災害防止のための指針」で示されているように、まずはリスクアセスメントを実施することが重要です。業種・業態によって、必要な課題や対策の優先順位、特にハード面の対応なのかソフト面の対応なのかといったところは異なりますので、体力増強というよりも、リスクアセスメントをしっかりと実施することが優先課題になると考えます。
もちろん高年齢者の体力と労災との関係性については引き続き検討していただきたいと思います。例えば、同一年齢層で度数率が経年的に増加していることについて、過去に比べて高年齢者の体力が低下しているのか、あるいは厚生労働省が指摘するように、従来は若い労働者が担ってきた一定の身体機能を有することを前提とする仕事を高年齢者もするようになったからなのか、複合的なものですので、調査研究を継続することが重要ではないかと思います。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございます。鈴木委員のコメントについていかがでしょうか。事務局、よろしいですか。コメントを頂きまして、ありがとうございました。続きまして、松尾委員、お願いいたします。
○松尾委員 先ほど七浦委員がおっしゃったことと同様なのですけれども、有害な化学物質の関係で、それの疾病、災害があったときに、使用する作業の関係で、どのような作業のときに使われたのかということでやったときに、SDSの公表はやはり限定的だと考えているのですけれども、先ほど回答があったようなことでいうと、使用実態をつかむのに非常に時間が掛かったりしますので、そういった困難性もありますから、労働者側としても、実際にそういう事象が発生したときに正確にそういうものが把握できるような体制を、是非取っていただきたいと改めて要望いたします。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございます。ただいまの松尾委員からの要望につきましては、事務局、お願いします。
○化学物質対策課長 化学物質対策課です。御趣旨としては、化学物質による疾病等が発生した場合に、その原因となる物質の候補が分からないということでしょうか。
○松尾委員 現状ですと、どういう作業をしたときにその物質が使われているのかを特定するのに少し時間が掛かり、すぐに分からないというところがありますから、かなり労力が必要になってきているので、その辺の改善をお願いしたいということです。
○化学物質対策課長 化学物質の性状というか、接触・ばく露の仕方によって、すぐに影響があるものもあれば時間差があるものもあるということかと思います。化学物質による労働災害防止ということが我々のミッションでありますので、原因の究明ができるように、そこは取り組んでまいりたいと思います。そこでSDSが絡んでくるということであれば、それについても1つの検討課題であると認識をしております。
○髙田分科会長 松尾委員、よろしいでしょうか。ありがとうございます。そのほかいかがでしょうか。小澤委員、お願いいたします。
○小澤委員 小澤です。すみません、時間が押しているところで。エイジフレンドリーガイドラインの認知度について、業種ごとのデータを頂いたのです。それを見ると、全体的に低いのですけれども、業種ごとによってまた全然違っていて、それこそ倍以上違っていたりするわけです。それを見て、全体的に持ち上げるのも重要なのですけれども、やはり低スコアの業種を引き上げなければいけないなと思ったのです。この件だけではなくて、ほかの項目も同じことが言えると思うのですけれども、これだけ分析をいろいろしていただいたので、我々の所属する業界団体では、自分たちのことは自分たちが一番よく知っているので、もっと、いろいろなデータを分析し、不足があれば追加の調査をするなりして業界全体としてこれに取り組んでいかなければいけないなと思っているのですけれども、その低スコアの業界団体に働き掛けてもっと改善を促すなど、そういう取組をされたらいいのではないかと思うのですけれども、そういったことはやっているのかどうか。やってなかったら、是非、やるべきだと思うのですけれども、どうでしょうか。
○髙田分科会長 ありがとうございます。事務局、お願いします。
○安全課長 安全課でございます。エイジフレンドリーガイドラインの認知度については、御指摘のとおり全体としては低いのですが業種によって様々です。例えば各種商品小売業などでは転倒が多いのですけれども、比較的認知度は高くて、実態としても取組は進んでいるというような状況にあります。御指摘のとおり、低スコアの業界等も含め、業種に着目した対応を進めていこうということで、来年度においては、幾つかの業種をターゲットにして、業種別のマニュアルのようなものを作って、そこから広めていこうということも進めておりますし、今回、指針ができましたので、いろいろな業界を相手に指針の説明会やセミナーを行い、それから高齢者の災害が発生した事業場に対しても少しギアを上げて取組を進めていくというようにしておりますので、適切な対応が取られるようにしていきたいと考えています。
○髙田分科会長 ありがとうございます。小澤委員、お願いいたします。
○小澤委員 ありがとうございます。高年齢労働者の労働災害防止対策だけではなくて、ほかのものについても業界団体に働き掛けたらいいかなと思いますので、是非、よろしくお願いします。
○髙田分科会長 事務局、いかがでしょうか。
○建設安全対策室長 ありがとうございます。業種横断的なことと業種別のものがあるので、そこはうまく切り分けてやっていきたいと思いますし、高年齢労働者の話は資料4-2でも御説明させていただきましたが、今回の詳細な分析を通じて、高齢者対策を新しい指針に基づいてやっていくことが非常に重要だということが裏付けられましたし、今まで作ったことがないような業種別のデータなどもインパクトがある形でできましたので、こういうものも使いながら、それぞれの業種に周知するということもすごく重要かなと思いました。
○髙田分科会長 小澤委員、よろしいでしょうか。そのほかいかがでしょうか。よろしいでしょうか。ありがとうございました。
事務局におかれましては、本日、委員の皆様から様々な御意見を頂きましたが、その御意見を踏まえまして、引き続き第14次労働災害防止計画に基づく安全衛生対策をしっかり進めていただきたいと思いますので、是非ともよろしくお願いいたします。
ここまでの議題以外で何か御発言はございますか。よろしいでしょうか。時間は過ぎてしまいましたけれども、本日の議題は全て終了いたしました。本日の分科会はこれで終了いたします。本日もお忙しい中、ありがとうございました。

