第3回労働市場改革分科会 議事録

1.日時

令和8年4月22日(水)15:00~16:30

2.場所

厚生労働省 共用第6会議室
(東京都千代田区霞が関1丁目2番2号3階公園側)

3.出席者

構成員
長坂 康正  厚生労働副大臣(分科会長代理)
神谷 政幸  厚生労働大臣政務官(分科会長代理)
石﨑由希子  横浜国立大学大学院国際社会科学研究院 教授
伊藤 仁   日本商工会議所 専務理事
片岡 剛士  PwC コンサルティング合同会社 上席執行役員、チーフエコノミスト
近藤 絢子  東京大学社会科学研究所 教授
坂本 貴志  株式会社インディードリクルートパートナーズリクルートワークス研究所 研究員
神保 政史  日本労働組合総連合会 事務局長
中根 弓佳  サイボウズ株式会社 執行役員、人事本部長
藤原 清明  日本経済団体連合会 専務理事
水島 郁子  大阪大学大学院高等司法研究科 教授
室賀 貴穂  九州大学大学院経済学研究院 准教授
山田 久   法政大学経営大学院イノベーション・マネジメント研究科 教授

ヒアリング団体
全国中小企業団体中央会
全国商工会連合会

事務局
山田厚生労働審議官
青山大臣官房総括審議官
岸本労働基準局長
村山職業安定局長
宮本人材開発統括官
田中雇用環境・均等局長
河野政策立案・総括審議官
岡政策統括官付参事官(総合政策統括担当)

内閣府規制改革推進室次長 菱山次長
文部科学省 橋爪大臣官房審議官(総合教育政策局担当)
経済産業省 今里経済産業政策局産業人材課長
国土交通省 藤田不動産・建設経済局審議官
国土交通省 木村物流・自動車局審議官

4.議題

労働市場改革について

5.議事

○山田厚生労働審議官 定刻前でありますが、皆さんおそろいになりましたので、ただいまから第3回「日本成長戦略会議労働市場改革分科会」を開催いたします。
 皆様方におかれましては、大変お忙しい中、御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
 最初に、分科会の開会に際しまして、長坂厚生労働副大臣から御挨拶をいただきます。
○長坂厚生労働副大臣 厚生労働副大臣の長坂康正でございます。
 構成員の皆様には、本日も労働市場改革分科会へ御出席をいただきまして、ありがとうございます。
 本日の第3回労働市場改革分科会におきましては、前回の分科会においてお示しをいたしました論点のうち、柔軟で多様な働き方の実現に向けた労働時間制度の在り方や、女性・高齢者をはじめとした労働者のさらなる労働参加の促進等に向けた環境整備、労働力希少社会における企業における人材マネジメントの在り方等について御議論をいただきます。
 また、労働時間制度の在り方について議論を行う上では、地域経済の大宗を占める中小企業・小規模事業者の実態も踏まえた議論を進めていく観点から、本日は全国商工会連合会、全国中小企業団体中央会様にも御出席をいただいており、中小企業・小規模事業者の実態について御説明をいただきます。
 引き続き、皆様から貴重な御意見をいただきながら議論を深めていきたいと考えておりますので、本日も闊達な御議論をよろしくお願いいたします。
○山田厚生労働審議官 ありがとうございました。
 長坂副大臣は、他の公務のため途中で退席予定となっております。
 カメラの頭撮りはここまでとさせていただきます。
(報道関係者退室)
○山田厚生労働審議官 それでは、議事に入ります前に、本日の分科会について事務的な御連絡を申し上げます。
○岡政策統括官付参事官 本日の資料は、お手元のタブレットで御覧いただけます。操作方法に不明な点がある場合は、事務局にお申しつけください。
 オンライン参加の委員の皆様におかれましては、原則としてカメラはオン、マイクはミュートでお願いいたします。御発言の際は、挙手ボタンを押していただきまして、指名があるまでお待ちください。指名後、ミュートを解除して御発言をお願いいたします。機器等のトラブルがございましたら、チャット機能、あるいは事前に事務局からお送りしております電話番号まで御連絡をお願いいたします。
 また、本日、水島委員は所用により途中で御退席される予定でございます。
 以上でございます。
○山田厚生労働審議官 それでは、議事に入ります。
 本日の議題は「労働市場改革について」となっております。
 資料1「第1回労働市場改革分科会を踏まえた論点の整理について」、資料2「国土交通省提出資料」について、まず事務局から御説明をさせていただきます。続いて、全国商工会連合会様、全国中小企業団体中央会様よりそれぞれ資料3、資料4について御説明いただきたいと存じます。意見交換についてはそれら説明が終わった後にまとめて行いたいと思います。
 まず、資料1、2からお願いします。
○河野政策立案総括審議官 資料1、2ページを御覧ください。本日御議論いただきます論点でございます。
 ⑥は労働時間制度について。労働力希少社会であることを踏まえると、労働投入の効率化や労働参加の促進が重要、労働者の健康確保を前提としつつ、労働時間制度について柔軟で多様な働き方の実現に向け、どのように対応していくべきか。
 ⑦は労働参加等に関する論点。女性・高齢者等のさらなる労働参加の促進、スキルと能力を十分に発揮できる環境の整備、非正規雇用労働者の処遇改善、就労意欲のある障害者について、能力発揮の十分な促進等に向けた雇用の質の向上等の課題について、具体的にどのように対応していくべきか。
 ⑧は特に中小企業における人材マネジメントを支援するため、既存の仕組みを踏まえつつ、どのように対応していくべきか。
 ⑨は人材マネジメントに関する支援と経営課題の課題解決に向けた支援の連携について、既存の仕組みを踏まえつつ、どのように対応していくべきか。
 4ページ以降に、これらの論点に関連する制度や関連施策等の資料をおつけしております。主なものについて御説明をいたします。
 11ページを御覧ください。まず、論点⑥の労働時間制度について。労働基準法における労働時間制度の体系でございます。
 12ページを御覧ください。法定休日についてです。原則は週休1日ですが、4週4休の変形週休制等により、相当の日数連続して労働させることも可能となってございます。
 15ページを御覧ください。勤務間インターバル制度についてです。現在、終業時刻から次の始業時刻の間に一定時間以上の休息時間を確保する勤務間インターバル制度については、労働時間等設定改善法上、事業主の努力義務とされております。16ページに、令和7年時点で導入している企業は6.9%という調査結果がございます。
 18ページを御覧ください。情報通信技術による常時アクセス可能性からの労働者の保護の文脈で、業務時間外の連絡に関し、一部の国において、いわゆるつながらない権利を法制化する例も見られます。
 20ページを御覧ください。柔軟な働き方としてフレックスタイム制がありますが、一番上の箱にございますように、現行では、全ての労働日の始業、終業時刻を労働者本人の決定に委ねることが導入の要件となってございます。
 21ページを御覧ください。フレックスタイム制度を採用している企業の割合等とともに、右の図のところに、企業におけるテレワークの導入率をお示ししております。新型コロナ感染症対策を契機として、導入割合は増加しているところでございます。
 22ページを御覧ください。労働者が副業・兼業を行う場合には、割増賃金の支払いに係る労働時間を通算することとされております。副業・兼業の促進に関するガイドラインにおいて、使用者による健康確保措置が規定されております。
 25ページを御覧ください。裁量労働制には専門業務型と企画業務型がございます。直近の見直しについては、26ページでございます。本人同意・同意の撤回の手続の整備、健康・福祉確保措置の選択肢の追加、労使委員会の機能強化といった見直しを行っております。
 27ページを御覧ください。労働時間制度の最後は、変形労働時間制についてでございます。右側の欄に必要な手続を掲げてございます。
 なお、28ページにありますとおり、労働基準法制に関し、昨年1月より、労働政策審議会の労働条件分科会におきまして議論が行われてございます。
 次に、論点⑦労働参加の促進に関して御説明をいたします。
 まず、女性に関してでございますが、33ページを御覧ください。昨年成立いたしました改正女性活躍推進法により、これまで従業員数301人以上の企業に公表が義務づけられていた男女間賃金差異について、101人以上規模の企業に公表を義務づけるとともに、女性管理職比率についても、101人以上規模の企業に公表が義務づけられ、本年4月1日から施行されております。
 38ページを御覧ください。妊娠・出産・育児期の両立支援制度について、子供の年齢別に載せておりますが、育児・介護休業法については、令和6年に、子の年齢に応じた柔軟な働き方を実現するための措置を拡充する等の改正が行われまして、昨年4月以降、順次施行されているところでございます。
 次は非正規雇用労働者についてでございます。50ページを御覧ください。平成30年の働き方改革関連法により、同一企業内における正社員と非正規雇用労働者との間の不合理な待遇差の解消のための規定が整備をされ、51ページにありますとおり、原則となる考え方や具体例を示したガイドラインが策定をされました。52ページを御覧ください。このガイドラインにつきましては、施行後5年見直しについて検討を行ってきた労働政策審議会の部会報告を踏まえまして、裁判例等を踏まえた見直し等を行い、本年10月から適用する予定でございます。
 次は高齢者の関係でございます。55ページを御覧ください。企業における雇用・就業の確保に関し、左側にございますとおり、65歳までの雇用確保措置の実施率は99.9%であり、ほぼ全ての企業において実施をされています。右側の70歳までの就業確保措置の実施率は34.8%となっております。58ページにお進みください。ハローワークにおける高齢求職者の就職支援については、全国300か所に生涯現役支援窓口を設けて実施をしておりまして、直近の就職率は91.1%となっております。また、シルバー人材センターについては、60ページにありますとおり、近年、会員数に占める女性比率は上昇傾向でございまして、また、直近では医療・介護・保育分野での就業者数が増加しております。
 次は障害者の関係です。61ページを御覧ください。障害者雇用者数は22年連続で過去最高を更新し、着実に進展をしております。その中で、63ページを御覧いただきまして、障害者雇用を経営戦略の一つとして位置づけたり、障害者の戦力化を目指すことを重視している一般企業は1割前後にとどまっている現状がございます。
 次は、論点⑧中小企業における人材マネジメント支援に関してでございます。68ページを御覧ください。働き方改革の推進や同一労働同一賃金の取組等に関する相談支援のためのワンストップ相談窓口として、47都道府県に働き方改革推進支援センターを設置しております。72ページを御覧ください。労働時間に関しましては、労働基準監督署に労働時間改善指導・援助チームを編成し、相談対応、支援を実施しております。74ページを御覧ください。中小企業がDX・GXによる事業展開等に伴い、必要となる職業訓練の提案や支援策の誘導を行う相談支援事業を実施いたしております。75ページは、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構の事業でございますが、全国のポリテクセンター等におきまして中小企業の人材育成に関する相談を受け付け、課題を整理し、課題に応じて最適な人材育成プランを提案し、オーダーメイド型の職業訓練の実施まで一貫して行ってございます。76ページは、中小企業支援の観点で見たハローワークのサービス概要です。求人充足に向けた助言、就職面接会の開催等により人材確保を支援しております。
 最後は、論点⑨人材マネジメントに関する支援と経営課題の解決に向けた支援の連携についてでございます。79ページを御覧ください。経済産業省の事業であるよろず支援拠点です。平成26年度に創設をされ、中小企業・小規模事業者を対象として、多様な経営課題に関する相談に対応しております。ワンストップ窓口機能、個々の支援機関では対応できない課題について地域の支援機関等をつなぐハブとしてのコーディネート機能、中小企業診断士等による高度な経営アドバイス機能等を担い、80ページにありますとおり、令和6年度の相談件数は30万件強となってございます。
 資料1の説明は以上です。
 資料2を御覧ください。国土交通省提出資料に関して御説明を申し上げます。
 働き方改革の一環として、時間外労働の上限規制が労働基準法に規定され、平成31年4月から適用されましたが、長時間労働の背景に業務の特性や取引慣行の課題がある一部については5年間適用が猶予され、令和6年4月から適用されております。本日は、適用が猶予されていた事業等に関し、これまでの取組と現状等について国土交通省から資料を提出いただいております。
 2ページを御覧ください。建設業における働き方改革の取組についてでございます。これまでの取組により、右の上の図にございますように、建設業の労働時間は減少しておりますが、なお高水準となっております。将来にわたって担い手を確保していくため、働き方改革の取組が継続されておりまして、1の部分であります発注者に対する適正な工期設定の働きかけや、2のところにございますように公共工事における週休2日工事の拡大、3のところにございますように柔軟な働き方の促進、具体的には昨年6月、変形労働時間制の活用につきまして、国土交通省と厚生労働省とで連携し、リーフレットを作成して周知をいたしております。変形労働時間制につきましては、3ページの上の箱にございますとおり、天候等に左右されるため30日前までの勤務カレンダーの設定が難しいとの意見が業界から出ている状況でございます。また、4ページにお進みいただきまして、近年の猛暑の中、受注者が施工の時期や時間を柔軟に選択できるよう、昨年12月に建設工事における猛暑対策が取りまとめられてございます。この中でも、左の下側の1-5にございますように、変形労働時間制の活用も対策の一つとして位置づけられているところでございます。
 5ページは、住宅・建築生産分野における取組でございます。
 6ページにお進みください。トラック運送事業の働き方改革の取組についてでございます。トラック運送業は、全産業平均に比べまして年間賃金が1割低く、労働時間が2割長くなっており、人手不足を解消し、物流を持続可能なものとするためにも、トラックドライバーの労働条件の改善が喫緊の課題とされております。このため、生産性向上のための取組支援や、本年4月に全面施行された改正物流法によるドライバーの労務負担軽減、標準的運賃の周知・浸透に加え、昨年6月に公布をされましたトラック適正化二法に基づく適正原価制度による構造的な賃上げ環境の整備、貨物自動車運送事業法に基づくトラック・物流Gメンによる荷主等の監視体制の強化、また地方運輸局等のGメンと公取地方事務所、都道府県労働局が連携をいたしまして、取引適正化と労働時間の適正管理の両面からの是正といった取組を実施しております。
 7ページは旅客自動車運送事業における取組でございます。
 8ページ以降は、前回御議論いただいた論点とも関わるものでございますが、建設業の担い手確保に向けた取組や、国土交通省所管事業における担い手確保・生産性向上・働き方改革のための取組に関する資料を提出いただいております。8ページにございますとおり、建設業の就業者はピーク時と比べ減少傾向にございまして、高齢化も進行しております。10ページを御覧ください。令和6年に第三次・担い手3法を制定し、建設工事の全ての契約段階において適正な労務費が確保され、経験や技能に応じた賃金が支払われるよう、労務費に関する基準という新たなルールが導入されました。また、11ページにありますとおり、技能者の資格や就業履歴を業界横断的に蓄積し、技能・経験に応じた処遇を実現するため、建設キャリアアップシステムの普及拡大を進めているところでございます。12ページのとおり、建設業者のICT導入に対する支援も実施をしております。13ページは、産学官の関係者を構成員とするタスクフォースを設置し、主に高校生をターゲットに現場見学会の周知等を実施している取組です。成長戦略として、官民で投資を促進していく17戦略分野全ての投資を下支えする建設産業について、担い手確保や生産性向上の取組を加速し、供給力の強化を図っていくこととしております。
 14ページ以降は、倉庫業、自動車整備業、鉄道分野、海事分野、港湾運送、航空分野、観光分野における取組についても資料を提出いただいております。
 私からの説明は以上です。
○山田厚生労働審議官 続きまして、全国商工会連合会の塩田様より、資料3について御説明をお願いします。
○全国商工会連合会塩田専務理事 全国商工会連合会の専務理事をしております塩田でございます。本日は、このような場をいただきまして、ありがとうございます。着座にて御説明させていただきます。
ただいま御紹介いただいた論点のうち、主に労働時間制度に関して資料3に沿って御説明をさせていただきます。
 
 まず、商工会について御紹介をさせていただきます。1ページ目に全国の地図を掲載しておりますが、地図中の赤色で示した部分が商工会の立地している地区で、全国の国土の4分の3を占めています。現在、会員数は約77万者で、全国の組織が市町村レベル、都道府県レベル、全国レベルという3層の構造で構成をされております。商工会には、全国に1万人の職員がおり、そのうち4,000人の方が経営指導員として、地域の事業者の経営をバックアップしています。年間の指導件数は250万件となっています。
 2ページ目が、会員事業所の業種構成です。建設業、小売業、それからサービス業の比率が大きく、規模別では、5人以下の事業者が約8割を占めます。
 
 次に、労働時間規制に関して、まずは、人手不足の状況です。
4ページ目を御覧ください。2017年から26年までの四半期ごとに取りまとめております。 
コロナ禍の初めの頃は人手過剰になった時期があるものの、それ以降、恒常的に人手不足の状況になっており、特に一番下の建設業のところが、オレンジ色でございますけれども、非常に人手不足の状況が顕著であります。
 5ページ目を御覧ください。人手不足でどういうところに困っているのかというところですが、赤く色づけしているところが、従業員の確保難、人件費の増加等々人手に関する課題です。特に、建設業とか卸売業、サービス業では、非常に難しい状況になっております。
 建設業では、熟練労働者の確保の難しさに加え、全体のマスとして人手不足の問題、さらに労働時間規制等の制約もあるところです。
 
 次に時間外労働の状況です。
 6ページ目を御覧ください。令和元年から7年までの時間外労働の傾向を御紹介させていただいています。一番左の赤いところが、45時間を超える時間外労働している従業員がいる企業で5%程度存在します。ここ7年間の間比較的根強く比率があり、全体では労働時間が減少傾向にはなっていますが、コアが残っているということです。人手不足が深刻であるということに加えて、業種的に、天候や繁忙期等の問題など不確定要素の影響が非常に大きいというのが根っこにありまして、少数でありますが一定割合存在するということです。
 7ページ目をご覧ください。業種別の時間外労働について、約4,000事業者を対象としたアンケートで見ますと上のところに破線で3業種囲んでありますが、サービス業、特に運輸業と、製造業と建設業が大きなウエートを占めています。
 8ページ目を御覧ください。具体的に上限規制の影響について御紹介します。横の棒グラフのところが色分けのとおり影響は三種類に分類されます。一点目は一番上にあります従業員の収入の減少です。これが17.8%です。次が、灰色のところの機会損失による売上・利益の減少、納期や工期の延長、代替要員の確保等にかかるコスト増など、事業への影響が32.8%です。納期や工期の延長を余儀なくされたとか、代替要員の確保等のコストが生じたということです。三点目がオレンジ色のところで、業務の集中等です。例えば従業員の人手が足りないので、経営層が代替したり、技能者や管理職など特定の従業員に業務が集中したりというような状況が生じているということです。こうした様々な問題が現場では生じているということです。
 
 9ページ目を御覧ください。ここまでの統計データに加え、今までのものは4,000事業者レベルの合計値だったのですが、生声という形で幾つか御紹介します。
 一番上の緑で囲んでいるところの赤のところですが、もっと働きたいのに働けない従業員がいるという声、そして、特に、建設業・サービス業・観光業などにおいては、不確定要素が多く時間外労働などのルールを厳格に守ることが困難という声に加え、地域差があること、大企業と中小企業、都会と地方の温度差についても言及があります。それから、一番下の枠囲いのところに、制度への対応に苦慮しているとの声ということで、一番上にありますが、国や県の提出書類の量の削減や年度末工期への柔軟さが必要だと思うという話やその下のマルで、天候・災害・地盤条件など不確定要素が多い中で、労働時間上限が工程調整を困難にしているという声などがあります。
 
 最後に、要望です。
 要望は3点あります。1点目はもっと働きたい従業員に対する対応です。現場には、技能習得や収入増のために一定程度労働時間を増やしたい労働者がいます。年齢や個人差も踏まえつつ、一律の運用ではなく、労働者本人の希望を反映できる制度を実現していただきたい。
 2点目は地域や業種・業態の差に対する対応です。全国の国土の4分の3を占める商工会の主なエリアは中山間地域や離島等を含み、距離による制約など都市部とは異なる条件があります。こうした地域特性に加え、当該地域の労働時間上の制約や労働者の考え方も踏まえ無理なく対応できる労働時間管理を可能とする制度を実現していただきたい。
 最後の3点目は、労働時間管理制度の柔軟な運用です。日々状況が変化する現場では、制度の活用が難しい場面があります。例えば、変形労働時間制で求められる30日前の勤務カレンダー設定や、設定後の変更に関して、実務上は予見可能性の確保が難しいとの声があります。また、商工会は大都市部を除く地域を中心としつつ、都市周辺部にも所在しています。これらの地域で、加工食品、インフラ整備、運送、観光など幅広い事業が地域経済を支えています。こうした実態に即し、企業や労働者が効率的に業務や労働をできるような、柔軟な労働時間管理の運用を実現していただければありがたいと思います。
 以上です。ありがとうございました。
 
○山田厚生労働審議官 ありがとうございました。
 続きまして、全国中小企業団体中央会の佐藤様から、資料4について御説明をお願いします。
○全国中小企業団体中央会佐藤専務理事 全国中小企業団体中央会専務理事の佐藤と申します。今日は発言の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。
 着座で御説明させていただきます。
 それでは、資料4を御覧いただければと思います。
 まず、私どもの中小企業の現状でございますが、私ども、中小企業が集合して集まっていろいろな困難に取り組む組合という制度を運用しておりまして、その中に約219万事業者がおります。その中の1万5219の事業者に毎年、労働事業実態調査というものを行っておりまして、その中で、労働力が経営上の障害になっているのはどんな項目かというのを選択してもらったところ、一番多いのが、1ページにありますように人材不足、ただしこれは質の不足ということです。それから、いろいろな原材料の高騰、そして3番目に量の不足、こういった点がございます。
 質の不足というのはどういうものを聞いているかといいますと、例えばベテランが引退をして、若手が代替していくしかないのですが、そこがなかなか若手が定着しにくいとか、経営者の右腕の人材とか、それから経営者をサポートするデジタル人材、こういったところが欲しいといったような要望がこの中身でございます。
 また、経営の実態として、中小企業は十分な従業員がおりませんので、少人数で業務を回しているという場合には、例えば病欠などで誰かが休んだ場合には代替要員がいないと。そういうことをカバーするために、不慣れな人とか技能が不足している人がカバーに入ります。そうなると、どうしても非効率になり、生産性が下がると。こういったところなので、質という点での不足を非常に大きく意識しているという実態でございます。
 2ページ目を御覧いただければと思います。
 今のが個々の事業者でございますが、特に私どもは毎月定期的に実態を把握するために、全国の中に2,500名の情報連絡員を置いて、毎月いろいろな実態についてのレポートをしていただいております。その中から労働関係に関する生声といったものを抽出したものでございます。
 現在の労働時間規制に関する生声では、特に働き方改革によって先ほど来御説明がありましたような建設業、運輸業などで、工期が延びたり、それからゆとりのある労働時間環境を確保するのが大変難しい、こういったような生声が聞かれております。特に業種によって、先ほど来ありますような急な天候の異変とか、発注者の急な注文の変更といったようなものがあったために、その対応に苦慮しているという状況でございます。
 3ページ目を御覧いただければと思いますが、これは今のような各県にある組合の中の意見を各都道府県に中央会が1つありまして、ここでも集約をして集めております。そこから出てきた中央会からの意見が3ページ目でございます。
 働き方改革に関する意見として、特に建設業からは、先ほどありましたような労働時間の規制があるので、もっと働きたい、稼ぎたいという社員が、独立して独り親方になったり、フリーランサーになったりと、こういったようなことで従業員がいなくなってしまうということとか、運送業では、時間外規制が強化されたために収入が減って困っていると。兼業・副業せざるを得ないといったような声とかがございます。
 加えて、労働時間です。労働者のキャリア形成とかライフスタイルの変化の中で、例えば下のほうにありますけれども、健康や家庭と両立しながら、意欲に応じてより働きたいと考えている労働者も少なくない。こういった声が反映されていないとか、短時間に集中的に経験を積んで自己実現をしたいという方に対する要望にどう応えたらいいか。それから、現在の労働法制、社会保険制度が多様化する働き方のニーズに必ずしもマッチしていないのではないのだろうか。それから、画一的な制約が労働者の就労意欲や所得向上を阻害しているのではないかといった声が集約したこととして上がってきております。
 まとめますと、キャリア形成、ライフスタイルの変化に応じた労働時間規制というものに柔軟に変えていただきたいという要望でございます。
 4ページ目を御覧いただければと思います。
 中小企業の現状でございますが、例えば何に困っているかということを聞いた場合、ここで典型的な例を挙げておりますが、特に中小企業がサプライチェーンの川下に属している、こういったような地位にあるために、川上の発注者とか注文者から突発的な依頼が舞い込んでくる。こういった場合に、臨機応変な対応をせざるを得なくなる。例えばここにありますように、水道・ガス・電気工事の受託業者が、漏水・断水、ガス漏れ、あるいは災害といったときには、夜間・早朝でも緊急に出動しなければいけない。
 それから、突発として挙げましたけれども、そもそもそれ以外に中小企業としては業態や経営形態が様々ありますので、ある意味、臨機応変に発注者の方にお応えしていくというのが中小企業のアピールポイントにもなっています。そういうところで労働時間規制とのギャップを埋めるためには、経営者とか管理者がこの間を埋めていくしかない。そうすると、先ほどの質の不足のところにもありますように、経営者や管理職ではカバーできないというようなことが現場の実態としてかなり困っているという声でございます。
 したがって、中小企業の経営実態とか経営環境に合わせますと、事前に画一的に決められた固定の始業時間とか終業時間をベースにした時間管理がなかなかその実態に合わないというような声が寄せられております。
 次に、5ページを御覧いただければと思います。
 中小企業の組織の状況でございますが、私どもは先ほどの1万5290の事業所に労働組合の有無を聞いたところ、令和7年度では、ないところは93.2%、特に1~9人の従業員のところは、96.6%が労働組合がないというところでございます。
 それから、6ページ目になりますと、労使の意見を集約したり、協議をする場はどう整えているのかということを聞いたところ、特に設けていないというのが68.2%、そして特に1~9人の従業員のところは85.9%がそういう場がないということでございます。
 これはおかしいではないかというような御意見があるかもしれませんが、特に経営の実態の中で、先ほど来申しましたように、業務が仮に逼迫するような中では、なかなか事前に計画されたり、事前に届け出たりするというような労働時間制度に対応することはなかなかハードルが高いということを示しているという状況でございます。
 そして、7ページ目にございますが、労働時間の現状に関する対応の難しさとして、中小企業においては、人事労務の専門の担当者がいないという場合が多いので、どうしても社長自らが制度を理解した上で協定をつくって、日々運用まで担っていくと。さらには勤怠管理も紙、エクセルがまだ主流の状態のところが大変多く、自己申告制などになりますと、テレワーク、外勤などでの労働時間の正確な把握にはどうしてもそごがある。また、そういった中で、事業主が守るべき規制がどんどん増えてきますと、制度改正に迅速に対応するというのは非常に難しいという声が聞こえてきております。
 先ほど来まとめています都道府県中央会のほうの声も8ページでございまして、特に36協定の活用とか裁量労働制の拡充、変形労働時間制の柔軟化といったいろいろな制度があると。これに対して、残業規制というものが柔軟に対応できるのではないかという御意見に対しまして、なかなか先ほどのように突発的な事項とか、それから、業態によっては発注者の要望に迅速に応えなければいけないというと、画一的でない制度設計がどうしても必要ではないのだろうかと。そして、そういった制度を効果的に発揮してもらうためには、この改正内容がすぐ中小企業の方が理解をして対応できるような、いわゆる管理の負担が少ない使いやすい制度を制度設計していただきたいという要望が大変多うございます。
 また、中小企業の経営者個々になりますと、特に自身が何をすればいいかよく分からないというようなことも大変多うございますので、実態に合うガイドラインとか簡易な手続、専門家による支援、使いやすい労働時間管理ツール、勤怠管理システム、こういったものの導入の補助もお願いをしたいということでございます。
 最後に、9ページの要望の2番目でございますが、各中小企業が労働生産性を高める取組をいろいろやっております。例えばここに書いてありますようなDX投資とか、教育訓練・能力開発、女性・高齢者の活用、メンタルヘルス、評価制度導入といったようなものがありますけれども、下にありますように、先ほど来言っておりますが、小規模企業ほどこういった制度を導入するのになかなか困難である、こういう回答がございます。したがって、これらの点についての支援の強化をしていただければということがお願いとして最後でございます。
 私の発表は以上でございます。ありがとうございました。
○山田厚生労働審議官 ありがとうございました。
 それでは、資料1の論点⑥から論点⑨、それから、全国商工会連合会様、全国中小企業団体中央会様からの御説明について、一気通貫で委員の皆様から御意見、御質問を承りたいと思います。
 御意見、御質問のある方は、御自身の名前の札を立てていただきますようお願いします。オンラインにて御出席いただいている方は挙手ボタンを押してください。
 まずは会場の皆様に御発言いただき、続いてオンラインの皆様に移ってまいりたいと思います。時間が限られておりますので、恐縮ですがお一人につき4分程度で簡潔に御発言いただければ助かります。
 水島先生が途中退室ということですので、オンラインの水島先生からお願いします。
○水島委員 ありがとうございます。
 途中退席するため、初めに発言の機会をいただき、ありがとうございます。
 本日もオンラインからの参加で失礼します。
 論点⑥に関し、第1回の分科会でも発言しましたが、労働時間制度を検討するに当たって、労働者の健康確保を前提とすることが必要と考えます。そこで、労働者の健康確保の観点から、御準備いただいた参考資料の順番で私見を述べさせていただきます。
 働き方改革により、時間外・休日労働の上限規制がなされたことは重要な成果であると考えます。健康確保の観点から上限規制は維持されるべきであり、総点検の結果を踏まえても、上限規制を緩和する必要は全くないと考えます。
 法定休日に関し、現行の変形週休制は、労働者の健康確保の点から問題があると考えます。労働者の2%は14日以上連続勤務をしたことがあるとの結果ですが、精神障害の労災認定基準では、1か月以上にわたって連続勤務を行った場合は、心理的負荷が強、2週間以上にわたって連続勤務を行った場合は中とされています。現行の変形週休制は強い心理的負荷を与える連続勤務を許容するものであり、早急な見直しが必要と考えます。
 勤務間インターバル制度は、平成31年に事業主の努力義務となりましたが、制度を知らない企業がいまだ少なくありません。勤務間インターバル制度は、労働者の健康確保の観点から効果的な施策と考えられ、導入が望まれますが、現行の努力義務、リーフレットの作成や周知による導入促進では限界があると言わざるを得ません。私見では、努力義務から義務化へ、労働時間等設定改善法による規制から労働基準法による規制へと展開することが望ましいと考えます。
 この点、労働基準法による規制には反対、懸念のお声を多くお聞きしますが、EUでは1993年EU労働時間指令に基づき、11時間のインターバルがスタンダードです。罰則付き義務化を取りつつ、適用除外や特例措置を認めることにより、各国では勤務間インターバル制度が実現していると私は理解しています。諸外国の適用除外や特例措置を参考にすれば、労働基準法による規制を行うことも非現実的ではありません。
 裁量労働制について、裁量労働制に親和的と言えそうな労働者像を3つ挙げ、併せて課題を述べます。
 まず、自律的に働くことができ、そのような働き方を希望する労働者は裁量労働制に親和的です。自律的労働者が自らの健康を意識し、管理しているならばよいのですが、残念ながらそうでない方も多くいらっしゃるわけで、一定の健康確保措置が必要と考えます。現在でも健康福祉確保措置として上がっていますが、勤務間インターバルの確保が重要と考えます。
 2番目に、タイムパフォーマンスを重視する労働者です。タイパを重視する若い世代は、時間的に長く拘束されることより、集中して物事に取り組むことを望む傾向にあるように思います。課題は、上司と労働者の間の業務の量や質に対する評価のギャップです。労働者が集中して仕事に取り組み成果を上げれば、それは評価されるはずですが、短い時間で成果を出した場合、取組が足りないのではないか、時間をかければよりよい成果が上がったのではないかと、上の世代の上司から評価されてしまわないかという懸念が私にはあります。そもそもこのような考え方は裁量労働制になじまないのですが、こうしたギャップが起きないよう、意識改革と裁量労働制に対する十分な理解が必要と考えます。
 3点目に、裁量労働制はうまく利用すれば仕事のメリハリをつけられますので、育児や介護の家庭責任を負う労働者にも役立つものになります。もちろんこの効果は副次的なものにすぎませんので、育児・介護と仕事の両立を可能とするために裁量労働制を適用するという考えは本末転倒ですが、うまく使えば機能するということです。
 裁量労働制はうまく機能すれば労働者にとってもよい制度であると考えますが、しかし、裁量労働制と言いながら、早い時間帯に出社を求めるとか、求められる仕事や時間に対する裁量が十分でないとか、裁量労働制がうまく機能しない場面も容易に予想できます。裁量労働制が適正に運用されるために、何が必要でどうあるべきか、慎重な検討が必要であって、労働政策審議会労働条件分科会で議論を深めることが重要な事項であると考えます。拙速な拡大はすべきでないと考えますし、拡大するのであれば、しっかりとした議論と検証が必要と考えます。
 長くなりましたのでこれで終わります。ありがとうございました。
○山田厚生労働審議官 ありがとうございました。
 続いて会場の皆さんのほうから。山田委員からお願いします。
○山田委員 ありがとうございます。
 私のほうは資料をお配りしていただいておりますけれども、そちらに沿って説明をさせていただきます。
 大きくは労働時間制度、それから労働参加に関連してという部分と、中小企業の支援ということで、2つ大きく分けてお話しさせていただきます。
 最初の2つの丸ポツは労働時間制度に関するところなのですけれども、一番最初のポツのところは、基本的な労働時間の制度の在り方に対しての基本的な理念ということで、改めて書かせていただいております。言うまでもないのですが、非常にいろいろな環境が変化していく中で、いわゆる労基法が想定している典型労働者というのは、工場法からの連動があるということで、確かにそこから外れる労働者がたくさん増えてきているという意味では、労働時間の柔軟化というのは私は必要だと思っています。上限に関しては、基本的に私は守るべきだと思っていますけれども、柔軟性という意味では必要があるのだと思います。
 ただ、労働政策全般に言えることなのですけれども、原理的にはフレキシキュリティーという概念が非常に重要だと思っておりまして、これは柔軟性ということと保障性、これをどう両立させていくかということで、具体的に言いますと、今回議論になっている裁量労働制の拡大に関しては、柔軟性を高めるという意味で、先ほど水島先生のお話にもありましたが、うまく使えば非常にいい制度ということで、極力前向きに検討することは私は基本的には大事だと思います。
 ただ、保障性という意味で様々に日本の場合は問題があるというのが実態であります。私は大きくは、先ほど水島先生もおっしゃっているような健康確保措置の問題と、もう一個はやはり賃金の問題もあると思います。この2つがどういうふうに整備されていくのかそこを、考えながら進めていく必要があると思います。
 健康管理上の措置に関しては、日本の問題というのは、労働時間、タイムマネジメントに対しての従業員の考え方がどうしても弱いという根本問題があるがゆえに、ちょっと慎重にならざるを得ないというのが今の実態なのだと思います。ここが総論の話です。
 では、具体的にどういうふうに進めていくかということで、既にこの会でも当局のほうから提言がありましたけれども、一つは、実は今のある様々な変形労働制にしろ、フレックスタイム制にしろ、結構うまく使えば実は使えるというところがあるのが実態かと思います。そういう意味では、特にフレックスタイム制なんかは本当に労働時間の設定が自由にできるということで、そういう意味では、そこは個別の支援センターなんかの相談を受けながら、フルに使っていくということはまずやっていくべきだろうなと。これはもう既に進められているところですから、改めてこれは支持をいたします。
 もう一方を言いますと、海外を見ていますと、特にヨーロッパというのは、労働時間に関してもちろん最低限の規制はあるのですけれども、結構デロゲーションと言いますけれども、労使自治がうまく機能するのであれば、そこの例外的なことを認めているということをやっているわけです。御案内のように、日本も一応そういう建前を取っているのですけれども、なかなか実際には過半数代表なんかがうまくいっていないケースがあるということかと思います。
 ただ、これだけ世の中が複雑になり、様々なケースが出てくる場合、全て制度でやるというのは限界が出てきているので、改めて労使自治がワークするような仕組みを考えていく必要があるのだと思います。具体的に言いますと、過半数労働組合のある場合というのは比較的労働組合がしっかりワークしているというケースですから、この場合は、いろいろな形でどこまで認めるかというのは最終的には労政審の中で議論していくという話だったと思いますし、既にそういう議論もあると思うのですけれども、そうだと思うのですが、一つ具体的に提案したいのは、これも非常に難しい議論だということも分かっているのですけれども、いわゆる従業員代表制みたいなところを、私は適格認定された例えば産別組織のようなところのバックアップがあれば、これによって労使対等が保証できる限りにおいて、組合のないところに対しても適用していくということを少し考えていってもいいのではないかということです。
 これによって、なかなか中小企業の中では労使関係というのは十分出来上がっていない日本において、一定程度これを形成していく。そうすると、いい労使関係ができれば、企業も長期的に見ると発展するというのはいろいろな研究の中で分かっておりますので、そういうところを少しトライしてもいいのではないかというのが一つ私の提案であります。これが労働時間制度に関するところであります。
 もう一つの労働参加につきましては、非常にいろいろな環境が変わってくる中で、一つの問題は、現実の問題として、1回目にも申し上げましたように、長時間労働できる人自体がどんどん減っていっているという現実があるということであって、従来は、企業がこういう時間にこういう場所でこう働いてほしいということを提案したときに、あるいは提示したときに、それに応えてくれる労働者がたくさんいたからそれはそれで回ったのですけれども、今はそうではないわけです。高齢化が進み、あるいは男女が一緒に働いていくということになりますと、当然男性も子育て、介護あるいは家事をやっていくというのは、先進国の特にヨーロッパの常識になっているわけですけれども、そうなっていくと、やや単純化した言い方になりますけれども、働き方というのが、企業の都合で決めるというだけではなくて、それぞれの生活ある人たちが自主的に労働時間を決めていくような状況をつくっていかないと、なかなかその人材が活用できないというのは現実なのだと思います。
 そういう意味では、具体的にここで書いていますけれども、私は4つ大事だと思っていまして、一つは、多様な勤務体系、例えば日本とヨーロッパの週当たりの労働時間を見ていますと、日本は週当たりの労働時間が長い人と短い人の二極化しているのです。ヨーロッパを見ると、例えば週30時間、35時間~39時間と、結構ワーク・ライフ・バランスがしやすいような人がかなりいる。だから、こういう労働時間の在り方を、幾つかのパターンを用意していくような使用者にとっての努力が求められてきているのだと。そうでないとなかなか働く人がいないということなのです。
 ただ、それだけだと実際には引継ぎが難しくなってくる、いろいろな業務の推進が難しくなってきますので、今、技術の発達によって、これは実際、中小企業でもうまくやっているところが出てきているわけですけれども、いろいろな情報をネットとかオンラインで共有していくということによって、ある程度円滑にできるようにということができているところがあります。こういうところを積極的に進めていくということなのではないかと。
 それプラス、当然同一労働同一賃金の問題とか、ネットにつながるということになりますと、いわゆるつながらない権利のような話も出てくると。これはすぐにできる話ではないのですけれども、私が大事だと思うのは、環境が大きく変わってきているということを公労使で共有感を持って、2回目にバックキャスティングという話があったと思うのですけれども、そういうことをやっていかないと、働く人がいないし企業も大変な時代になるという意識を持ってやっていく必要があるのではないかなというのが。
○山田厚生労働審議官 すみません、時間を大分超過しているので。
○山田委員 取りあえずこれで。
○山田厚生労働審議官 続いて室賀先生、お願いします。
○室賀委員 柔軟で多様な働き方の拡大に関して、まずテレワークについて申し上げます。
 テレワークは通勤時間を削減し、労働供給の余地を拡大させる効果があります。加えて、近年の実証研究では、テレワークの実施により、家事・育児時間の増加や家族で過ごす時間の増加、さらに生活を重視する意識への変化が確認されています。こうした点から、テレワークの普及を促していくべきだと私は考えております。
 また、フレックスタイム制について申し上げます。フレックスタイム制は、家事・育児との時間調整コストを低下させる重要な制度ですが、厚生労働省の資料によると、導入企業割合は令和6年時点で7.2%にとどまっているということです。今後の拡大に向けては、企業側の負担にも配慮しつつ、部分的なフレックスタイム制の導入を認める等、柔軟な設計を検討する必要があると考えております。ただし、労働者の権利保護の観点からの議論も不可欠であると考えます。
ここまで柔軟な働き方の拡大について申し上げましたが、柔軟化には課題もあります。家庭内負担との境界の曖昧化や、長時間労働につながる可能性があるため、勤務間インターバル制度やつながらない権利の導入についても併せて検討すべきです。また、柔軟な働き方の提供が賃金抑制圧力として作用する可能性もあるため、均等待遇ルールの強化も重要であると考えます。
 続いて、女性の労働参加の促進について申し上げます。私の研究では、女性の労働時間が増加する際、その多くは余暇ではなく家事・育児時間の減少によって調整されていることが明らかになっています。すなわち、労働時間と家事・育児時間はほぼ1対1の代替関係にあり、家事・育児負担の軽減は女性の労働参加を促進する上で極めて有効な政策手段となります。
 また、厚生労働省の資料でも、夫の家事・育児時間が長いほど妻の継続就業割合が高いことが示されています。こうした観点から、家事・育児の再配分を促す施策、例えば共育プロジェクトの拡大が重要であると考えております。女性本人への支援にとどまらず、男性側にテレワークやフレックスタイムといった柔軟な働き方を広げていくことは不可欠です。
 制度面では、妊娠・出産・育児期の両立支援制度はいずれも極めて重要であり、利用実態を注視し、引き続き着実に推進していく必要があると考えております。
 また、追加的な課題として、妊娠初期への対応が挙げられます。妊娠初期は、職場に伝えづらい状況も多く、切迫流産や切迫早産等で入院し、離職に至るケースもあります。現行の産前休業に加え、妊娠初期から利用可能な有給休暇の付与といった対応も検討に値すると考えております。
 最後に、制度の運用について申し上げます。現場では、管理職の制度理解不足により、制度が適切に運用されていないケースや、利用を希望する労働者に対する不利益取扱いやハラスメントが生じているとの指摘もあります。そのため、現在既に取り組まれている事業主に対する情報発信やコンサルティング支援の強化が重要です。また、労働局や労働基準監督署による支援も事業主・労働者双方にとって極めて重要であり、こうした取組を一層推進していくべきであると考えます。
 以上です。
○山田厚生労働審議官 ありがとうございます。
 続いて坂本委員、お願いします。
○坂本委員 変形労働時間制について述べさせていただきますけれども、前回、伊藤委員からもありましたし、今回も話をいただきましたけれども、経済に対する影響を踏まえますと、これは現場の実情に合わせた柔軟な制度設計あるいは運用の在り方も含めて、これができないかについては、ぜひ政府のほうで検討していただきたいと思っております。
 ただ、その際には、これは労働者の予見可能性あるいは健康確保というところを最優先に考えるべきでありますから、それが認められる客観的条件を明確化するなど、これは限定的な活用とされること、それを前提にできないか議論をしていただけたらと思っております。
 一方、労働時間規制についてですけれども、これは政府のほうでの分析でもありましたように、そもそも長く働きたいという方が限定的であります。あるいは、労働時間の上限規制の近傍で働く方も非常に少ないといったことを踏まえますと、まずそもそもとして労働時間規制が近年の労働時間数の減少に大きく影響を与えているというわけではないということ、これは社会としてもやはり認識をしていただきたく思います。
 そうした観点で申し上げますと、これはなぜ現代の労働者がより長く働きたいと思わないのか、これについてより本質的には企業内で、例えば高い成果を出した、難しい職務をこなしたという人により早期に昇進させるですとか、高い報酬を支払うですとか、そういった意欲ある個々の多様な希望ですとか意欲に合わせたインセンティブ体系をしっかりと企業の中で整えるということが重要なのだと思います。
 政府としても、こういった企業における人材マネジメントの改革、言わばモチベーション改革といったようなことの必要性ですとか、あるいはそのための相談支援体制の充実、また、それに成功する企業の事例の横展開などもあってもよいかなと思いますので、そういったようなところを通じて、よりよい労働時間制度の在り方について考えていただけたらと思っております。
 労働供給につきましては、労働力希少社会ですから、女性や高齢者、障害者など、事情を抱えた労働者の方に最大限能力を発揮していただくことは非常に重要です。また、非正規雇用の労働者等の処遇改善という観点で考えますと、生活支援と職業訓練を受けて、よりよい処遇の仕事へ移動していただき、また、そういった再就職の実現を政府としても一層を支援していくことが重要だと考えています。
 出産・子育てについても、ぜひ成長戦略の一環として位置づけていただきまして、支援を抜本的に拡充していただきたいと思います。
 高齢者についても同様です。ハローワークによる支援ですとか、シルバー人材センターを介した多様な就業機会の提供など、こういったところは政府として取組を強化していくべきだと思います。
 資料の中でも、医療・介護・保育分野のシルバー人材センターの取組なんかもありましたけれども、こういったことを通じて、高齢者が活躍できる余地はまだ多くあると思います。その際には、企業側も当然タスクを細分化する必要があったりですとか、安全面で配慮を行う必要が出てきたりですとか、そういった様々負担が生じてくるかと思います。今後、最低賃金も大きく上昇していく中で、こういったコストが企業の過度の負担にならないように、企業側に対する支援もぜひ充実を考えていただけたらと思います。
 最後に、シニアの方というところで関連して、年金制度に関しても、これもハローワークと年金事務所との連携ですとか、そういった様々新しい取組をやっていただいているとお伺いしていますけれども、こういったようなところを通じて、まず個々の労働者の方にいつまで働けるか、働きたいかということを考えていただきまして、それに応じて年金の受給開始時期も、繰下げも含めて考えていただくと。そういったことを実現していくことが日本経済の供給能力確保のためにも非常に重要だと思いますから、制度の運用面も含めた在り方をぜひ検討していただけたらと思っております。
 私からは以上になります。
○山田厚生労働審議官 ありがとうございます。
 続きまして、伊藤委員、お願いします。
○伊藤委員 ありがとうございます。
 まず、労働時間制度について意見を申し上げたいと思います。資料6として意見書を配付しておりますが、若干内容を付け加えてお話しいたします。
 時間外労働の上限規制について、厚生労働省の調査結果やご参加の皆様からは、現状さほど問題がないという御見解・御意見が多いものと存じます。他方で、本日全国商工会連合会様および全国中小企業団体中央会様からもお話がございましたが、現場の中小企業からは、時間外労働の上限規制の影響は大きいという声が相当数出ている、というのが実態でございます。
 我々も悉皆調査を実施してはおりませんので、正直に申し上げて実態を正確に把握できている訳ではなく、企業の生声という形で把握している部分もございます。従業員が20人以下のいわゆる小規模事業者の実態について、ぜひ一度適切な調査を実施した上で、時間外労働の上限規制については議論をすべきでないかと考えております。
 我々の把握している限りでは、宿泊・飲食業、運輸業、建設業などの業種においては、現在の時間外労働の上限規制によって、事業活動に何らかの支障が出ているという声が多数上がっております。労働者の健康管理や労使での合意というのは勿論我々も大前提だと考えておりますけれども、そのうえで上限45時間、年間6回までの上限規制の一部例外化、加えて変形労働時間制をはじめとする多様で柔軟な労働時間制度の拡充や要件緩和というものが必要だと現時点では考えております。
 商工会議所では、現在改めて全国の中小企業を対象に調査を実施しております。資料にも掲載いたしました通り、500社程度の途中集計の結果ではございますが、約7割の企業が変形労働時間制などの要件緩和や手続の簡素化による繁閑や予期せぬ業務に対応できる柔軟な労働時間制度の実現を求めております。変形労働時間制は、繁閑に応じた労働時間の配分を可能にするための制度でございますが、急な天候不順あるいは取引先との関係など、他律的な要因で繁忙の時期が相当程度変動することを踏まえれば、私どもとしては現行の制度では十分に対応ができていないと考えております。予め想定できないような繁忙期間の変化にも対応できるように、例えば現在認められていない計画申請後の変更を認める措置や、加えて30日前に天候の変化は分からないという声が相当強くございますので、労使合意を得る期間を30日前から短縮する措置など、より柔軟に活用できる制度として、要件の見直しを検討いただきたいと思います。
 また、勤務間インターバル制度につきましても意見を申し上げます。現行の労働時間制度においても、時間外労働の上限規制によって、年・月単位で極めて厳格な労働時間管理を求められております。勤務間インターバル制度ではこれらに加えてさらに日単位で労働時間に管理・制約を課すことになりますので、企業の労働時間配分や業務対応への柔軟性を欠くことにつながりかねないと考えております。従業員の健康確保に向けて、企業が自主的に勤務間インターバル制度の導入を行うこと自体には全く異論はございません。他方で、一律の義務化についてはこうした点にも十分留意し、慎重に検討していただきたいと思います。
 加えて、支援体制の在り方について意見を申し上げます。多くの中小企業には専任の人事担当者がおりませんので、こうした中小企業に対するそれぞれの実情を踏まえた丁寧な指導、とりわけ伴走型での支援が非常に重要です。働き方改革推進支援センターにおける相談支援については、労務課題への対応だけではなく、AIやデジタル技術の導入や業務プロセスの見直しといった経営課題と一体となった支援でないとなかなか効果が上がらないのではないかと考えております。中小企業診断士など、中小企業の経営支援の専門家といったものをそのセンターに配置するなどして、センターの機能の強化というものに努めていただきたいと思います。
 中小企業向けの経営支援機関には様々なものがございますが、こうした機関との連携に当たっては、働き方改革推進支援センターがどういった分野への対応を得意とされているかが、必ずしも明確に共有できていない部分もあるように聞いております。強みを明確にしていただいた上で、他の支援機関との差別化や機関相互の分担の検討をしていただくことで、連携がよりスムーズになるのではないかと思います。
 我々商工会議所も、労務を含む経営課題について個別の相談に対応しております。こうした事業については、中小企業対策として既にご支援をいただいておりますが、引き続き支援を強化していただきたく、お願いいたします。
 以上です。
○山田厚生労働審議官 ありがとうございます。
 続いて近藤委員、お願いします。
○近藤委員 お配りした資料に書いてあることは、ほかの委員の方がおっしゃっていることとほとんどかぶりますので、書いていないことをしゃべってしまうのですけれども、お話を伺っていて、やはり中小企業と大企業では状況が全く異なるということがよく分かりました。裁量労働制の議論なんかでも、大企業の非常に高度な業務管理ツールみたいなものを導入できるところは、そのツールできちんと監視をした上で、裁量労働の適用拡大をするというようなことが可能なのではないかという議論が一方であるわけです。
 他方で、中小企業の場合は、そういった管理コスト自体が非常に重荷になっているという話があって、そこが同じまないたで論じられてしまうと非常に難しいところがあるのかなという印象がありました。
 私、法律に関しては素人なので、これがどこまで法律で可能なのか分からないのですけれども、事前に規制をしてぎりぎりとしておくということと、本人たちの合意に任せて問題が起きてから事後的に対処することを使い分けられないのかなということを考えました。従業員が1人しかいないような零細企業の場合というのは、いわゆる社長がいて、従業員がたくさんいてというところの労使関係とはちょっと異なると思うのです。そういう本当に柔軟に直接話し合って決められるような環境のところの場合は、後になって不都合が生じたときに泣き寝入りしないで済むような仕組みを整えておいて、それで問題にならない限りは本人たちの合意でどうにかするみたいな、そういう複線化した規制みたいなものが可能であるならば、そのほうがいいのかなというのが何となく雑感として思ったのですが、ただ、私、法律に関しては全然素人ですので、できるのかどうかというのはまだ分からないのですけれども、ありとあらゆる場面を想定して、あらかじめ法律で決めておくというのは、山田委員もおっしゃっていたように無理だと思うのです。ただ、一方で、きちんと規制をしておかないと、その裏をかいてブラック企業みたいなことをやる会社が出てきてしまうというリスクに対してはちゃんと備えておく必要があると思うので、そういった意味では、どちらかが不幸になるようなことが起きたときに泣き寝入りしないで済むような仕組みを整えていく、そのためのガイドラインとして、こういうふうに守っておけば大丈夫だよというガイドラインはきちんと定める。ただ、そのガイドラインをぎちぎちに守らせるというよりは、こういうものが理想な形であるということをきちんと広めた上で、そこから外れるようなことをする場合は、本当にお互いにそれでいいよと思っているならいいよというようなことが実現できるような仕組みという考え方をしたほうが、少なくとも中小企業に関してはそのほうがうまくいくのかなと思いました。
 突然繁忙期がやってくるような業態というのは、逆に突然仕事がない時期もやってくるのだと思うのです。その突然仕事がない時期にたくさん休んでおけばいいのだというふうにお互いに合意しているのだったらそれでいいと思うのですけれども、それを労働者の側がそれは嫌だと思っているのであれば、それはよくないという考え方なのかなと思います。ただ、健康管理の視点から定められた上限規制というのは、最低限必要なラインとして、そこは置いておくべきだと思うのですけれども、細かい運用に関してというのは、事前にきっちり縛っておくというよりは、問題が起きたときにすぐに対応できる仕組みを整えておくというような視点の転換が必要なのかもしれないなと思いました。
 以上です。
○山田厚生労働審議官 ありがとうございます。
 片岡委員、お願いします。
○片岡委員 どうもありがとうございます。
 労働時間絡みの話についてを中心に、資料に沿ってお話をしたいと思います。
 労働時間、労働参加というところで、やはり幾つか前提条件を踏まえる必要があるのかなと思うのです。やはり高齢化が進んでいます。それから、人手不足というところもありますので、結果的に日本経済全体として投入できる労働時間の量というのは着実に減ってきていると。そういう中で、どういう形で労働時間の維持を進めていくのかというところは、まず一つ前提条件としてあるかなと思います。
 資料でも書いていますけれども、労働時間をどういうふうな方向感で推移していく必要があるのかというところについて、何かしら政府のほうで方針とか、そういうものを出していくということも必要なのではないかなと思っています。
 それから、裁量労働制が必要以上に長時間労働促進につながらないようにするために、企業や政府、働き手、それぞれさらなる工夫といったようなものが必要かなと思います。特に勤務間インターバル制度の促進ですとか、36協定の締結促進遵守とか、そういったようなところというのは重要なポイントなのだと思います。
 それから、雇用の質の部分ですけれども、働く意欲ある方をどういう形で希望のような形で働いていただくようにするかというところが、様々な側面で重要かなと思っています。ですので、フレックスタイム制とか、福利厚生制度の充実とかそういったところ、あと、女性の働く機会の促進みたいなことについては、当然ながら男性の理解とかそういうことは必須かと思います。
 そして、多様な人材確保というところなのですけれども、労働者一人一人の方々が多様なペルソナを持てるようなことが大事かなと思っています。これは兼業とかそういう話にも、もちろん職種によると思うのですけれども、そういう話にもつながりますし、特に労働者の方々のキャリア促進とか、そういう観点、スキルアップデートという話も重要です。
 最後に、人材マネジメントの話ですけれども、中小企業・小規模事業者向けのよろず支援拠点、資料にも書かれていましたが、そうしたところのさらなる活用ですとか、あと地域に関して言いますと、地域の金融機関のコンサルティング機能との連携とかDXの活用、こうしたところは地道にやっていく必要があるのではないかと思っています。
 私のほうからは以上です。
○山田厚生労働審議官 ありがとうございます。
 続きまして、神保委員、お願いします。
○神保委員 ありがとうございます。
 私からは、論点⑥と⑦に絞って発言をさせていただきます。
 まず、論点⑥でございますけれども、「働き方改革」とは、長時間労働に依存した企業文化を見直して、いかに生産性を高めながら労働時間を減らしていくかについて労使で議論し、解決策を見いだすことに重きを置いたものであると認識しています。
 そうしたことを踏まえれば、労働力希少社会である今こそ、労働投入の効率化、あるいは労働参加の促進を進める意味でも、業務プロセス等の見直しを含めた真の「働き方改革」の一層の定着・促進を図ることが重要であると思います。
 その上で、労働時間制度については、働く者の健康・安全の確保、リカレント教育、リ・スキリング時間の確保を含めた生活時間保障の観点を基本に据えるべきであると考えております。「働き方改革」の実効性を高めるためにも、労働時間の適正把握の徹底とともに、時間外労働の上限規制の計画的・段階的な強化を図るべきです。
 加えて、今回の見直しを機に、働く者がしっかりと休息や生活時間を確保できるよう、休日労働を含めた長期の連続勤務を制限するルールの導入、勤務間インターバル制度の義務化、つながらない権利の立法化の検討を進めることが重要であると考えております。これらの施策の実施は、労働者のリ・スキリング時間等の確保にもつながり、企業の生産性向上にも資するということを申し上げておきます。
 また、時間外労働の上限規制に関してですが、月45時間超の回数制限の見直しなどを求める声も一部にありますが、長時間労働を常態化させ、健康被害を生じさせかねない見直しはあってはならないと思います。特別条項は、計画的かつ効率的な業務遂行を進めた上で、本来は予見し難い臨時の業務上の必要性がある場合に限り締結できるといった趣旨を堅持すべきです。
 次に、柔軟で多様な働き方については、フレックスタイム制をはじめとする現行制度を適切に活用すれば、今でも十分に実現可能です。現に、連合の加盟組織においても、労使協議などを通じて、実態に応じた様々な取組がなされております。制度の正しい理解の促進等、適正運用を促し、労働者が安心して自己の能力を最大限発揮できる環境を整備していくことが重要であると考えております。
 なお、労使合意や業種特性に応じた労働時間規制の緩和についてですが、労使間に厳然たる交渉力の格差があることなどを踏まえれば、労働者の健康に重大な影響を及ぼすものであり、決して認められるものではありません。
 特に裁量労働制については、他の委員も指摘されているように、長時間労働になりやすく、裁量や適切な処遇が必ずしも確保されていない実態がございます。そうした事実を踏まえれば、いま行うべきは、制度の拡充や要件緩和ではなく、2024年改正を踏まえた適正運用の徹底を進めることであると考えております。
 なお、先ほども申し上げましたように、柔軟な働き方は現行制度でも十分可能であり、成果に応じた賃金の出来高払いもできることから、裁量労働制を拡大する理由にはならないと思います。
 論点⑥の最後になりますけれども、変形労働時間制は例外的な制度であることから、労働者保護の観点から様々な要件が課されております。この趣旨を踏まえれば、長時間労働の常態化や労働者のリ・スキリング等の時間を含む生活時間の設計を毀損しかねない要件緩和などは行うべきではありません。
 そして、論点⑦については2点ほど意見を申し上げますが、まず、「同一労働同一賃金」についてです。雇用労働者の約4割を非正規雇用の方が占めていることを踏まえれば、雇用形態間の待遇格差の是正は喫緊の課題であると受け止めております。そのため、今年10月から施行される「同一労働同一賃金」の制度見直しを職場に根づかせるとともに、施行状況を踏まえて、法規制の一層の充実・強化を検討することが必要であると考えます。
 次に、障害者雇用についてです。障害者雇用は、社会全体で取り組むべき課題であると認識しております。雇用障害者数をさらに増加させるとともに、その雇用の質を向上させることが重要と考えております。そのためには、障害者雇用への企業・社会における意識の醸成を図るとともに、雇用の質の向上に関する法令等の整備、実態を適切に把握する仕組みの整備が必要であると考えます。あわせて、質の高い雇用を実現している事業者に対するインセンティブ措置を講じることや、企業に対する相談支援、専門的援助などの支援体制の強化も重要であると思っているところです。
 私からは以上です。
○山田厚生労働審議官 ありがとうございます。
 中根委員、お願いします。
○中根委員 ありがとうございます。
 私は、論点⑥から⑨を横断して3点申し上げたいと思います。1点目が労働時間の話、2点目が副業・兼業の責任の話と3点目が文化の話です。
 1点目の労働時間に関しましては、ほかの委員もおっしゃっていらっしゃるとおり、今、労働法の中でかなり柔軟な働き方が可能であると思います。まずはその中で健康的に働ける方法を支援していくというのが大前提なのかなと思っております。
 その中で、どうしても業種であったり季節的なものは個別の対応が考えられるかなと思うのですけれども、私が申し上げたいのは、長時間労働がさらに増長されるような働き方は絶対にやるべきではないと思います。それをやることによって、さらに労働参加の妨げになると考えます。今、日本においては、まだ十分活躍できていない女性がたくさんいると思っています。日本の教育水準は非常に高くて、この女性の能力を生かさない手はないですから、労働力確保のためにも彼女たちの労働参加を促す、その妨げになるようなことはやるべきではないと思っています。これが1点目です。
 2点目の副業・兼業なのですけれども、今まであまりここで取り扱われていなかったですが、冒頭で御説明があったとおり、副業・兼業に関してです。これはいろいろな能力や労働力をうまく企業間で活用し合うということで、うまく活用できることが好ましいと思います。一方で、企業の中で労務管理をしている中で感じるのは、労働時間の通算管理が非常に難しいなということです。基本的には、副業・兼業というのは個人の選択によって行われるものであって、当該企業における労務管理あるいは指揮命令下にない労働の時間に関しても当該企業において管理し、健康に配慮しなさいと言われても、なかなかこれは難しいなと。かつ、副業先つまり自社ではないところにおいては雇用されていようが、それが業務委託だろうが、さらにはそれがプライベートな活動、例えばPTAとか、そういう形でいろんな活動をされており、契約がどうであれ関係なく、管理することはできませんと。なので、基本的には、自分たちが管理できる範囲で健康的に働けるかどうかというのを企業の中で責任を持って労働者を支援していくというのは理解できるのですが、それ以外のことに関しては、労働者自身が自立して自己管理を行うということが原則と思います。
 なお、副業・兼業についてはそうせざるを得ないケースと、自主的に自己の成長のためにやりたいというケースがあると思います。後者の場合は選択肢があると思うのですけれども、前者の場合、生活のためにやらざるを得ないケースに関しては、まずやるべきことは、賃金を上げていくこと。望まない副業・兼業をしなくてもフルタイムで働けば生活できるという状況を目指していくべきかと思っています。
 3点目に関しましては、まず、冒頭で女性の労働参加を維持・促進していくべきということを発言させていただきました。今、私は、東京だけでなく地方で業務する機会が増えてまいりました。地方に関しては、若者・女性の流出、東京一極集中と言われますけれども、これが非常に激しいなというのを身をもって体感しております。
 ただ、資料にも書かせていただいたとおり、経済産業省さんが3月に出されている資料(第30回産業構造審議会経済産業政策新機軸部会「参考資料2040年の就業構造推計(改訂版)について」)において、産業構造と就業者状況が2040年にどう変わっていくだろうかということを推計されたデータがありました。これが非常に興味深いのですが、AIの進化によって、ホワイトカラー、いわゆる中間層が余剰化すると。今これだけ人がいないと言っているのだけれども、余剰化する層がいるというデータが出ております。もちろんこれは事務職であるので、理系人材は圧倒的に不足をするのですけれども、首都圏の事務職は余剰化する。どれだけ余剰化するかというと、1都3県で200万人という推計が出ておりました。これは地方であったり、今、人材不足だと言っている日本においてチャンスなのではないかなと思っております。
 東京一極集中で東京に出て行った人が、もしかしたら地方に戻ってきてくれるかもしれないと思ったときに、一つ大きな問題になるのが、私は文化やバイアスなのではないかなと思います。地方にも優秀な女性はたくさんいるのですけれども、やはり東京と比べるとまだ女性の活躍は大分遅れがあるなと感じます。この女性をいかに地方に戻し、地方でも活躍できるような状況にしていくか。これは文化であったり意識の改革というのが必要で、漢方薬のように飲み続けないと変わっていかないことだと思います。これをぜひ政府がリードしていただき、自治体等と協力しながら、地方によい働く場というか、女性も成長できる機会というのを準備しておくことによって、2040年の人口変動を労働力の分散と活用につなげられるのではないかなと思っておりますぜひこの資料を見ていただければと思います。
○山田厚生労働審議官 ありがとうございます。
 藤原委員、お願いします。
○藤原委員 ありがとうございます。
 資料12を提出しておりますので、そちらを御覧いただきながらお聞き取りいただければと思います。
 まず、論点⑥の労働時間制度につきまして、働く者にとって働き方の多様な選択肢を提供するという観点から、裁量労働制、それから副業・兼業、フレックスタイム制の3点を申し上げたいと思います。
 高市内閣が目指す強い経済の実現には、円滑な労働移動がまず非常に重要になると思いますが、それに加えて、柔軟で自律的な働き方を促して、個々人の労働生産性を上げることが重要だと考えております。裁量労働制につきましては、適用対象者の約8割が満足し、また、健康状態がよいと答える割合が非適用者の方よりも多いという結果も厚生労働省から示されているところでございます。この分科会でも、長時間労働や本人の裁量に関する懸念の声が出ております。
 一方で、既に導入している企業では、一定時間を超えた場合に裁量労働制の適用から外すといった長時間労働の防止にも取り組んでおります。また、私どもの調査におきましては、裁量労働制の適用を同意しない、同意を撤回した労働者が一人でもいる企業は約4割にも上りまして、ある程度自由な意思で選択していると理解しております。
 裁量労働制は、適正に運用されれば労働者にとっても非常に満足度の高い働き方になります。ぜひとも健康確保を前提として、制度の乱用防止策とセットで今後、制度拡充の議論を進めていただきたいと思っております。
 副業・兼業につきましては、キャリア形成や労働移動の促進にとってもプラスの面があります。割賃通算規制を見直して普及を図っていくべきだと考えております。
 また、フレックスタイム制につきましても、通常勤務日との組合せを可能にすることで、現場で働く方も含めて柔軟な働き方の選択肢が広がると思います。本日は触れませんけれども、勤務間インターバルや連続勤務規制など、その他のテーマについては提出資料を御覧いただきたいと思います。
 続きまして、論点⑦に関して申し上げたいと思います。労働者のスキル・能力を十分に発揮できる環境を整備するということで、地域経済の発展のために、地域のニーズを踏まえてリ・スキリングを進めていく必要があると考えております。既に厚労省では都道府県ごとに地域職業能力開発促進協議会を設置し、経産省ではより広い広域経済圏を対象にしたブロック単位で地域人材育成構想会議を組織して取り組んでいらっしゃると承知しております。高市政権が掲げる17の戦略分野を意識しながら、さらに戦略的にこういった取組を推進していただきたいと思います。
 以上です。
○山田厚生労働審議官 ありがとうございました。
 最後に、石﨑委員、お願いします。
○石﨑委員 ありがとうございます。
 私からは、労働時間制度についてと労働参加についてそれぞれ意見を申し上げたいと思います。
 まず、労働時間制度につきましては、第1回にも申し上げましたけれども、健康確保の実効性という観点からも、あるいは個々の労働者の真意に基づく選択・同意の確保という観点からも、集団的労使関係の基盤がしっかりしているということが重要であると考えております。法規制をどこに置くかということは、労使関係の実態がどう機能しているかというところともリンクするところかと思いますので、今後、法規制の見直し等を検討するに当たっては、労使関係の実態を踏まえた上で、慎重な議論を労政審において進めていただきたいというのが、まず全体として考えているところであります。
 その上で、個別の論点につきまして、上限規制については、私もこれは緩和すべきではないと考えております。本日のお話の中でも、業界によって上限規制の遵守に非常に苦労されているところがあるというお話がありましたけれども、伺っておりますと、発注先からの圧力等があるというようなところもあるように伺っておりまして、業界の慣行自体を見直していく必要があると考えます。既にその辺り、労働局などでも関係機関と連携して指導されているということですが、そうした取組については引き続き進めていただきたいと考えております。
 続きまして、裁量労働制につきましては、今、藤原委員のほうからもお話がありましたように、適切に運用されている場合には非常にメリットのある面もあるということは間違いないと思います。そうした意味で、裁量労働制の適用対象業務の設定を労使に委ねる範囲を広くしていくということについては、それ自体がおよそ否定されるべきものではなく、将来的に取り得るべき法制度の一つであると考えております。ただ、これもこれまでに指摘がありましたように、また、過去の検討会の報告書などでも指摘されているように、長時間労働のリスクであったり、裁量がないところでのこの制度の適用といったようなところもあろうかと思いますし、そうした点を踏まえた上で、2024年の改正がなされたと理解しております。
 そうした意味では、まずこの改正後の状況がどうなっているのかというところの把握・確認が必要であり、そうした点に係る調査研究結果を踏まえた上での議論というのが必要かと思います。
 また、藤原委員からもお話がありましたけれども、そうした不適切に適用されている例といいますか、長時間労働が恒常化している者に対して適用している例などについて、今後適用し続けることを法制度として許していくのかどうかというようなところですとか、仮に適用拡大した場合に、そうした副作用のリスクが大きくならないかといった点を慎重に御検討いただきたいと思っております。
 今出されている、経団連さんの御提案は、過半数組合がある場合に適用拡大という御提案かと思うのですが、過半数組合であれば本当に大丈夫なのかとか、そういったところも引き続き検討される必要があるかなと思っております。
 続きまして、勤務間インターバルについて、私は水島委員と同様、将来的に義務化が必要ではないかと考える立場ですが、しかし、現状を考えますと、やはり直ちに義務化することは困難であると考えておりまして、まずは導入に向けた労使の協議を一層促す、そのような立法的対応が必要なのではないかと考えております。
 また、義務化に当たっても、硬直的な規制というのは現場の実態に合わず、かえって実効性を失うおそれがあるので、やはりそこに関しては一定の例外を認めたりというようなことが必要ではないか。ただし、その場合も代償休息の確保を求めるような方向で設計をすべきではないかと考えております。
 それから、副業・兼業における労働時間の通算についてですが、先ほど中根委員からも問題提起がございましたけれども、自らの選択に基づく副業・兼業先での労働時間について通算をする、そのことの責任を使用者に問うていくというのは、ややパターナリスティックな面が強いというところもありますし、また、そういった通算管理を強化していきますと、副業・兼業を希望する労働者を非雇用型の副業・兼業に誘導するという面もありますので、そうした意味でも、こうした通算というのはしないほうが望ましいのではないかと考えます。
 ただし、健康確保の観点から、こうした副業・兼業労働者に対する配慮は必要でありまして、その際、雇用型だけでよいのか、非雇用型の部分についても配慮していく必要がないのかという点も検討の必要があると考えます。
 続きまして、労働参加の点についてですけれども、女性管理職割合が低いという話がありました。女性に限った話ではないのですが、管理職の働き方自体が長時間労働になっていたりとか、魅力的な働き方になっていない点が課題であり、まずそこの見直しを行っていく必要があるのではないかと考えています。
 また、父親の育休取得率についても出ておりましたけれども、育休を取得したかどうかという「点」に注目するのではなくて、その後ずっと育児に継続的に関与できているかというところが重要でありまして、そういった意味でも、残業せずに帰れるかとか、長時間労働ではない、というところがやはり重要になってくるかと思っております。
 それから、室賀委員から御指摘がありましたけれども、フレックスタイムであったり、テレワークであったり、そうした柔軟な働き方を進めていくということが、特にいろいろな制約を抱えている労働者にとっては非常に重要であると考えますし、将来的には全ての労働者との関係で、そうした柔軟な働き方の導入について協議する権利を認めるような方向性も併せて検討すべきではないかと考えます。
 高齢者雇用、障害者雇用に関しまして、資料では分けて書いてしまいましたけれども、いずれも雇用の質をより良くしていくということが重要でありまして、健康・安全に働ける環境の整備と、それから、職場で能力開発等についてどういった方針が取られているのかとか、そういったところについての情報開示・提供を行っていくということが必要ではないかと思います。
 また、障害、高齢に限らず、いろいろな理由によって就労困難を抱える方に対する就労支援という観点からは、やはりチーム支援が非常に重要ではないか、有効であるという場面があると聞いております。こうした取組を進めていくに当たっては、ハローワークの役割が重要になるかと思いますが、ハローワークにおける専門人材の配置や職員の専門性を確保するための能力開発といったようなところもぜひ積極的に行っていただければと思います。
 私からは以上になります。
○山田厚生労働審議官 ありがとうございます。
 事務局からは特にないですよね。
 では、以上をもちまして、本日予定していた議事は全て終了いたしました。
 本日の御議論を踏まえて、神谷厚生労働大臣政務官から御挨拶をいただければと思います。
○神谷厚生労働政務官 厚生労働大臣政務官の神谷政幸です。
 構成員の皆様、本日も貴重な御意見を賜りまして、誠にありがとうございました。
 また、全国商工会連合会と全国中小企業団体中央会におかれましては、御多忙の中、労働時間制度に関して、中小企業・小規模事業者の実態も踏まえた貴重なお話をいただきまして、ありがとうございました。
 本日、構成員の皆様からの御意見にありましたとおり、これから労働力がより希少となっていく中では、柔軟で多様な働き方の実現を通じて、労働投入の効率化やさらなる労働参加の促進、特に中小企業における人材マネジメントへの支援、これらを進めていくことがより重要になります。
 なお、労働時間規制の制度面に関して、裁量労働制や変形労働時間制、連続勤務規制、勤務間インターバル制度など、様々な御意見をいただきました。また、前回の議論では、国民の生活を支える医療・福祉分野における人材の育成・確保、労働生産性の向上が重要であるとの御意見をいただきましたが、本日の国土交通省の資料にあります建設等の分野における取組も重要であります。
 本日の第3回をもちまして、事務局より提示させていただきました全ての論点について、構成員の皆様より御意見をいただきました。次回においては、これまでの議論を踏まえた取りまとめについて御議論いただきたいと思います。
 本日はありがとうございました。
○山田厚生労働審議官 ありがとうございました。
 神谷政務官からも御発言いただきましたが、次回は、これまでの議論を踏まえつつ、本分科会の取りまとめに向けた議論をお願いしたいと思います。
 日程につきましては、後日事務局から御連絡をいたします。
 それでは、本日の会議は以上で終了といたします。
 ありがとうございました。