2025年10月30日 薬事審議会 医薬品第一部会 議事録

日時

令和7年10月30日(木)17:00~

場所

厚生労働省共用第6会議室

出席者

出席委員(18名)五十音順

(注)◎部会長 ○部会長代理
 
欠席委員(3名)五十音順

行政機関出席者
  •  宮本直樹  (医薬局長)
  •  佐藤大作  (大臣官房審議官)
  •  紀平哲也  (医薬局医薬品審査管理課長)  
  •  安川孝志  (医薬安全対策課長)      他

議事

○医薬品審査管理課長 それでは、「薬事審議会医薬品第一部会」を開催させていただきます。本日はお忙しい中、御参集いただき、誠にありがとうございます。本会議はペーパーレスでの開催といたします。
 会場で御参加いただいている委員の皆様におかれましては、資料はお手元のタブレットを操作して御覧いただくこととなります。操作等で御不明点等がございましたら、適宜、事務局がサポートいたしますので、お声掛けください。
 本日の会議における委員の出席についてです。髙橋委員、田﨑委員、前田委員から御欠席との御連絡をいただいております。また、外園委員、松野委員の御参加が遅れているようです。本日は、現在のところ、当部会委員数21名のうち16名の委員にこの会議に御出席いただいておりますので、定足数に達しておりますことを御報告いたします。
 続きまして、薬事審議会規程第11条への適合状況についてです。全ての委員の皆様より適合している旨を御申告いただいておりますので、報告させていただきます。委員の皆様におかれましては、会議開催の都度、御協力を賜り、誠にありがとうございます。
 それでは、森部会長、以降の進行をお願いいたします。
○森部会長 それでは、本日の審議に入らせていただきます。まず、事務局から、資料の確認と審議事項に関する競合品目・競合企業リスト、委員からの申出状況につきまして、報告をお願いいたします。
○事務局 それでは、資料の確認をさせていただきます。本日はあらかじめお送りさせていただいた資料のうち、資料No.1~No.11を用いますので、お手元に御用意いただけますでしょうか。
 本日の審議事項に関する競合品目・競合企業リストは資料No.11に記載のとおりです。これらに関する委員からの申出状況等を踏まえた、薬事審議会審議参加規程第5条及び第11条に基づく各委員の審議参加に係る取扱いは、次のとおりです。議題1「ザズベイ」、退室委員、議決に参加しない委員ともになし。議題2「ユプリズナ」、退室委員、議決に参加しない委員ともになし。議題3「希少疾病用医薬品の指定の可否」、退室委員なし、議決に参加しない委員、阿古委員、佐藤直樹委員。以上です。
○森部会長 今の事務局からの御説明に特段の御意見等はございますか。よろしければ、皆様に確認いただいたものとさせていただきます。本日の非公開議題は、審議事項3議題、報告事項4議題となっております。
 それでは、審議事項の議題に移らせていただきます。議題1につきまして、機構から概要説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 議題1、資料No.1、医薬品ザズベイカプセル30mgの製造販売承認の可否等について、機構より説明いたします。資料No.1の審査報告書を御覧ください。審査報告書の一番下、全67ページの通し番号で4ページ、「1.起原又は発見の経緯及び外国における使用状況に関する資料等」の項を御覧ください。
 本剤の有効成分であるズラノロンは、神経活性ステロイドであるアロプレグナノロンの誘導体であり、既承認のSSRI等のモノアミン仮説に基づく抗うつ薬とは主たる標的が異なり、GABAA受容体のアロステリック部位に結合し、GABAA受容体機能を亢進することにより抗うつ作用を示すことが期待される薬剤です。
 今般、大うつ病性障害(MDD)患者を対象とした国内第III相試験成績等に基づき、本剤の医薬品製造販売承認申請が行われました。海外では、産後うつ病に対しては2023年8月以降に米国及び欧州で承認されていますが、MDDに対して承認されている国又は地域はございません。本申請の専門委員として、資料No.10に記載されている10名の委員を指名しております。
 審査の内容について、臨床試験成績を中心に説明させていただきます。まず、有効性について、通し番号で42ページの表33を御覧ください。MDD患者を対象に本剤14日間単剤投与時の有効性等を検討するプラセボ対照二重盲検並行群間比較試験である国内第III相試験(以下、「A3734試験」)において、主要評価項目である治験薬投与開始15日目におけるHAM-D17合計スコアのベースラインからの変化量について、プラセボ群と本剤30mg群との間に統計学的な有意差が認められました。次に、14日間の治験薬投与終了からの経過について、同じページの下の表34を御覧ください。治験薬投与終了後からは、HAM-D17合計スコアのベースラインからの変化量は、本剤とプラセボの群間差は先ほどの主要評価時点よりもやや小さくなる傾向ですが、いずれの時点においてもプラセボ群を上回る傾向であることが確認されました。また、通し番号49ページの表41を御覧ください。A3734試験において、HAM-D17反応率及びHAM-D17寛解率についても、主要評価時及び投与終了以降のいずれも、本剤30mg群でプラセボ群と比較して抑うつ症状が改善する傾向が認められております。以上を踏まえて、機構は抑うつ症状に対する本剤の有効性は示されたと判断しました。
 次に安全性について、通し番号52ページの「7.R.3 安全性について」の項を御覧ください。提出された試験成績等を検討した結果、傾眠、めまい等の有害事象が比較的多く発現する傾向が認められるため、中枢神経系の有害事象の発現等には注意を要するとともに、依存性及び乱用のリスクを踏まえた本剤の適正使用が重要と考えておりますが、これらの事象も含めて適切な注意喚起の下で使用されることで、日本人うつ病患者における本剤の安全性は許容可能と判断いたしました。
 次に有効性及び安全性の結果を踏まえて、本剤の投与対象、臨床的位置付け及び効能・効果について、通し番号57ページの下の「機構は、以下のように考える。」の段落を御覧ください。実施された国内臨床試験成績等から、本剤はうつ病患者の急性期治療における治療選択肢の一つとなると考えますが、本剤が有する依存形成のリスクなどを踏まえると、本剤を14日間を超えて長期的に服用することは避けるべきであり、継続期、維持期における再燃・再発予防の目的での投与は行わないことが適切と考えております。したがって、SSRI等のモノアミン仮説に基づく従来の抗うつ薬とは異なり、再燃・再発予防を目的とした投与を行わないことを正確かつ適切に医療現場に対して情報提供することが重要と考えております。また、急性期の定義は必ずしも明確ではないことなどを踏まえると、本剤の効能・効果について、申請のとおり「うつ病・うつ状態」とし、再燃・再発予防を目的とした投与を行わないよう、添付文書等で注意喚起することが妥当と考えております。以上の機構の判断について、専門協議において支持されました。
 また、ほかの抗うつ薬で治療中の患者に対する本剤の投与について、御説明させていただきます。通し番号44ページの表37を御覧ください。抗うつ薬による治療にもかかわらず反応不十分なMDD患者を対象に投与中の抗うつ薬に本剤を上乗せしたときの有効性等を検討するプラセボ対照二重盲検並行群間比較試験(以下、「A3736試験」)が実施されております。この試験は有効性に関する仮説を十分な精度で検証する規模のものではない点に留意は必要ですが、主要評価項目である治験薬投与開始15日目におけるHAM-D17反応率のプラセボ群と比較した本剤群の調整オッズ比の点推定値は0.56であり、事前に規定した閾値である1.14を下回りました。続いて、通し番号51ページの下の「機構は、以下のように考える。」の段落を御覧ください。機構は、このA3736試験成績を踏まえると、ほかの抗うつ薬に本剤を上乗せ投与したときの臨床的意義は現時点では不明であるものの、ほかの抗うつ薬に本剤を上乗せしたときに安全性上の大きな懸念は認められていないことなどから、A3736試験のみをもって、日常診療でほかの抗うつ薬に本剤を上乗せ投与することを厳しく制限するような確定的な情報は現時点では得られておらず、その必要まではないものと判断しました。
 一方で、本邦において、うつ病の薬物治療では基本的に単剤療法が推奨されており、本剤単剤を投与したA3734試験において有効性が示されていることに加え、通し番号50ページの表42に記載のとおり、本剤を単剤投与したA3734試験では、初回治療例に加えて前治療として抗うつ薬を服用していたWash out後の患者も含まれていましたが、この抗うつ薬の治療歴の有無によらず、プラセボに対する本剤単剤治療の抑うつ症状の改善傾向が認められています。
 これらの点等を踏まえ、添付文書の7項(用法・用量に関連する注意)において、治療選択に当たっては、「他の抗うつ薬で治療中の患者に本剤を投与する場合には本剤単剤による治療を行うことを検討すること」に関する注意喚起をすることが妥当と判断しました。以上の機構の判断については、専門協議において支持されました。
 以上の審査を踏まえ、本申請を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。本剤は、新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は8年、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当せず、原体及び製剤はそれぞれ毒薬及び劇薬に該当すると判断しております。薬事審議会には報告を予定しております。
 なお、事前に柴田委員より質問を頂いております。まず、その点について説明させていただきます。添付文書の臨床成績の17.1.2項を御覧いただけますか。こちらに、国内第III相試験、先ほど説明させていただいたA3736試験、ほかの抗うつ薬に対する上乗せ治療の試験の結果を示しております。
こちらでは中段に、「事前に定めた閾値である1.14を下回った」という有効性の結果の記載をさせていただいておりますが、柴田委員から、この試験の結果を踏まえて、「事前に定めた閾値である1.14を下回った」だけではなく、「事前に定めた閾値である1.14を下回り、効果が劣る傾向であった」と記載する必要があるのではないかとのコメントを頂きました。また、この本試験計画で点推定値が1.14を上回る可能性がどの程度あったのか、検定に基づくサンプルサイズ設定がされていないことにしても、事前の想定から何パーセントの確率で点推定値が1.14を上回る見込みであったのかなどを提示する必要があるのではないかとのコメントを頂いております。
 これについて、まず1点目は御指摘を踏まえて、結果ベースの記載として「事前に定めた閾値である1.14を下回り、本剤群で反応率が低い傾向であった」という記載に修正いたします。また、この本試験計画で点推定値が1.14を上回る可能性がどの程度あったのかという2点目の御指摘を踏まえて、インタビューフォーム等の資材で記載するようにさせていただきます。
 また、柴田委員と大森委員から、A3736試験の成績等を踏まえると、添付文書の用法・用量に関連する注意の7.5項において、併用時の有効性は示されていない旨を記載するべきではないかとのコメントも頂きました。御指摘を踏まえて7.5項の中で、他の抗うつ薬に本剤を上乗せ投与した際の有効性が明確でない旨の内容を追記し、より単剤での使用を医師が慎重に検討いただけるような記載となるよう修正したいと思います。具体的な文言は検討させていただきます。
 大森委員から別途2点コメントを頂いておりますので、このまま説明させていただいてもよろしいでしょうか。
○森部会長 お願いします。
○医薬品医療機器総合機構 大森委員から2点コメントを頂いております。1点目、添付文書の5.2項に、「本剤は、抑うつ症状が認められる患者に投与すること」との記載がありますが、症状があればいつでも投与できるという解釈の余地を残すことから、「本剤は、抑うつ症状が認められる患者の治療導入期に投与すること」としてはどうかとのコメントを頂きました。
 これについては、「治療導入期」という表記を入れた場合、医師が初回治療、初回エピソードに限定される薬剤であるというイメージを抱く可能性や、ほかの抗うつ薬を使用している患者が本剤に切り替えることができないという印象を抱く可能性もあると考えております。実臨床では、例えばSSRI等で急性期治療を行っているものの効果不十分である場合や、副作用等の観点で継続困難となり本剤に切り替える場合等、抑うつ症状の改善を目的とした薬物療法において、そのようなケースでも医師により本剤の使用は検討され得ると考えております。また、今回、単剤療法として実施されたA3734試験は、病相回数や前治療の有無を問わず、中等症以上のうつ病患者を対象として実施され、A3734試験成績を踏まえると、本剤の投与対象としては、抑うつ症状の改善を目的とし、薬物療法を要するうつ病患者全般が投与対象となり得るものと考えております。
 2点目のコメントに関して説明に移らせていただきます。添付文書の臨床成績の17.1.1項の下に記載されている非盲検非対照パートの記載に関して非盲検非対照パートの本剤の投与の目的として、「再燃・再発のために本剤による治療が必要となった」旨を記載してはどうかとの指摘をいただいています。
 この件ですが、審査報告書41ページ下段の脚注50を御覧いただければと思います。こちらに記載のとおり、非盲検非対照パートへの移行については、「HAM-D17合計スコアが14点以上」及び「うつ病エピソード(DSM-5の診断基準に従う)が2週間以上持続」のいずれも満たした場合に治療開始基準を満たすと規定されていました。したがって、この試験において患者によってはまだ十分な効果が得られていないタイミングで2回目の投与がなされた可能性もありますので、必ずしも全症例が再燃・再発のために投与されていたものではございません。しかしながら、ご意見を踏まえて、適切な情報提供という観点から、本試験における非盲検非対照パートへの移行の基準、この脚注50の記載ですが、この内容を添付文書の臨床成績の項で具体的に情報提供するようにいたします。
 説明と質疑応答については以上となります。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○森部会長 御説明どうもありがとうございました。では、事前質問を頂いている柴田委員から御意見を頂ければと思います。
○柴田委員 基本的に、今、御説明いただいた内容で方向性としては異存ございません。ただ、数点を確認させていただきたいと思います。上乗せ効果については、やはり示されていないという認識でおります。その話に入る前に、ちょっと外国での経緯を教えてください。審査報告書4ページには、産後うつ病に対して2023年8月に米国で承認されて以降、2025年8月現在、英国で承認され、EUで審査中、大うつ病性障害、MDDに対して承認されている国又は地域はないと書いてあるのですが、正確には米国ではMDDの申請を出して承認されなかったという結論だったと理解しているのですが、その理解で正しいですか。
○医薬品機器総合機構 はい、御指摘のとおりです。
○柴田委員 そのMDDで承認されなかった理由というのは、どういうことなのでしょうか。
○医薬品機器総合機構 海外でMDDの承認はなく、産後うつのみに対して承認されている経緯ですが、これは基本的に試験成績に基づくものです。具体的には、海外ではMDDと産後うつそれぞれに対して臨床試験が行われていましたが、抗うつ薬の併用も許容されたMDD患者さん対象の海外第III相試験というのが、まず最初に20mgと30mgで実施されまして、これの主要評価項目について、主要評価項目は本邦の臨床試験と同じですが、いずれもプラセボ群との間に統計学的な有意差が示せなかったという結果が出ました。それを踏まえて、海外では用量を50mgに増量して、改めてMDD対象の同じく併用を許容した形で追加試験が実施されまして、これにおいて、主要評価項目でプラセボ群と本剤50mg群とで統計学的な有意差を示したというところになります。ただ、こういった試験成績は得られたものの、○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○、MDDに対しては承認されていないものと理解しております。
○柴田委員 これについて二つ確認すべき点があると思うのですけれども、一つは、50mgに増量した試験は、単剤投与と併用投与の両方が含まれていたのでしょうか。それとも単剤だけに絞っていたのでしょうか。
○医薬品機器総合機構 両方含まれています。
○柴田委員 両方含まれていたのですね。この50mgの方では、50mg使えば上乗せ効果はあったという結果なのでしょうか。
○医薬品機器総合機構 そのとおりです。
○柴田委員 分かりました。であれば、用量がうまく設定されるのであれば、既存の薬に対する上乗せによる効果があるかもしれないというところまでは、外国の試験では示されているということですね。
○医薬品機器総合機構 はい。
○柴田委員 分かりました。ただし、そのようなポジティブな結果がありつつも、FDAでは承認しなかったということは、FDAでは承認しなかったけれども本邦では承認できると考えられる理由について教えてください。
○医薬品機器総合機構 審査報告書の50ページから51ページをまず御覧いただけますか。「機構は、以下のように考える。」の段落で結論を書かせていただいているのですが、まず、今回、A3734試験に関して、単剤投与の結果として15日目の結果で主要評価項目に関して有意差が得られています。14日間の投与をやめて以降ですが、投与開始22日目以降では、群間差は小さくなる傾向にはあるものの、経時的に悪化する傾向は認められておらず、プラセボ群より本剤30mg群の方で改善する傾向にあります。
 先ほど説明でも少し触れましたが、審査報告書49ページの表41では副次評価項目としてHAM-D17反応率や寛解率についても示させていただいております。こちらの結果ですが、15日目において、プラセボ群に対して反応率、寛解率ともに上回る傾向で、57日目、本剤をやめてから6週間たったタイミングにおいても、プラセボ群を上回る傾向が維持されておりました。実際に寛解にまで至るということは、この治療において非常に重要な点でありますし、反応率についても50%の反応が認められるという結果ですので、A3734試験の結果から、機構としては臨床的な意義が十分あるだろうと考えている次第です。
○柴田委員 そのような結果は、50mg群を使った場合のエビデンスとしても出ているはずですよね。ここには書いてないですが。なので、そのように同じような結果が出ていても、用量は違いますが、同じような有効性が示されているはずなのにFDAが承認しなかったことに対して日本はこのように考えたという御説明を、まだ頂いてないと思うのですけれども。
○医薬品機器総合機構 FDAは○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○と申請者からは伺っています。実際には、海外で実施された試験に関しては、50mgを使った試験において○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○と申請者からは伺っております。
 日本国内の試験に関しては、今お話させていただいたように、効果が維持できる傾向にあるか否かについては、やはりお薬が入らない期間は、非薬物療法、精神療法などは実施されているもののやや群間差は小さくはなるけれども、維持はされていた。実際、国内第II相試験においても、症例数は少し減りますが、維持される傾向にありました。そのように、2試験において、ある程度再現されている傾向がありますので、MDD患者に対する本剤の投与に関して意義があるだろうと考えております。
○柴田委員 今の点について、冒頭、14日間を超えて漫然と投与されることを想定していないというふうにおっしゃいましたけれども、その認識でよろしいのですね。
○医薬品機器総合機構 はい。
○柴田委員 であれば、○○○○○○○○○○○○○○○○日本では14日間というのを前提にしているので、長期に投与したときに効果が減弱することは日本では問題にはならない、そのような使用の仕方を添付文書あるいは資材で情報提供するので、○○○○○○○○○○○○については日本ではもうクリアしているという意味で、承認してよいという結論に至っているということですね。
○医薬品機器総合機構 はい。
○柴田委員 分かりました。その点については納得いたしました。
 本題の上乗せ効果に戻りますけれども、この試験はもともと、先ほど御説明いただいたように、海外の第III相試験で30mg群の検証に失敗しており、そのときのサブグループ解析で、併用のサブグループでは効果が見られず、併用してないサブグループでは効果が見られていたので、そこに絞って開発を続けたという話だったと思います。つまり、30mg群で上乗せをしたときに、先ほどのA3736試験、上乗せ試験については、この試験だけがネガティブな結果だったのではなく、先行試験においても同じような傾向が出ていたわけで、駄目押しをして上乗せの効果が示せなかったということになると思います。海外で30mgで上乗せのポジティブなエビデンスがあるのならば、日本の試験がこういう形であっても効くのではないかという類推の下に、縛らないという判断は納得いくところがあるのですけれども、海外の第III相試験のサブグループ解析とはいえども、30mg群では上乗せが示せず、更に今回の日本の試験でもネガティブな結果であったということを踏まえると、上乗せに関してはやはりエビデンスがないので、使っていい状況にはないというふうに判断せざるを得ないのではないかと思うのですが、いかがですか。
○医薬品機器総合機構 上乗せの結果については委員からのコメントのとおりで、まず海外の301A試験に関して、20mgと30mgにおいて併用薬の有無別で検討した結果としても、これも部分集団解析という結果解釈の限界はあるかと思っていますが、その結果としては余り良い傾向がなかったというところだと思います。国内で実施されたA3736試験ですが、統計的な事前の仮説としては十分な検出力を持ったものではないのですけれども、結果としては良い傾向に出なかったという事実があると思っています。ただ、一方で、用量は異なりますのでこれが説得力としてとても高い結果になるかというとそうではないかもしれませんが、海外で改めて追加で実施された海外301B試験では、50mgにおいて併用薬も乗っている中で有意差が出たという結果はあります。
 そういった中で、併用の可否をどこまで強く制限するかについて、審査チーム内及び専門協議においても、様々な議論があった点ではあるのですが、これらの結果を踏まえ、併用を完全に制限するという結論を導くほどの結果かというと、そうではないと考えています。まとめますと、基本的に推奨すべきは単剤療法ですが、けれども、併用に関して完全に制限するまではしない形でよいのではないかと考えました。
 ただ、今回、柴田委員、大森委員からも、やはりそれでも複数のネガティブな情報もある中なのだから、もう少し7.5項について強めの注意喚起を入れたほうがいいのではないかという御指摘を頂きましたので、併用の検討の結果について、明確な効果、有効性は出ていないというところはきっちり情報提供した上で、現場には、基本的には単剤療法推奨という形で注意喚起をしていきたいと思っております。
○柴田委員 ありがとうございます。長くなって申し訳ございませんが、A3736試験の解釈については、審査報告書の41ページ、67分の43と書いてある所の脚注に、デザインの設定が書いてあります。プラセボ群のHAM-D17反応率を20%、本剤30mg群の反応率のオッズ比を2.1、オッズ比なので単純に2.1倍すればいいということではないですが、およそ2倍になるという想定で試験が組まれていて、見込みとしては40%ぐらい出ればいいのではないかと見込んでいたところ、そうではなかったということです。実際には13%なので。つまり、これは、コイントスしてたまたま下に出たということではなく、事前の見込みでは本剤の効果、力からすると40%ぐらいの反応が出るはずであったところが、13%ぐらいにとどまったということなので、相当に思っていたこととは違う状況であったということです。たまたまというよりも、たまたまではあるのだけれども、有意差検定はしていないけれども、想定していた程の効果は全然出ていなかったと解釈せざるを得ないというところかと思います。
 実際、95%信頼区間の上限は1.5ぐらいですので、オッズ比の信頼区間の上限が1.5ぐらいだったと思いますので、2.1出ると思っていたものが有意に低かった、思っていたよりも相当に低かったという結果なので、やはりこれはたまたまネガティブになったというよりも、海外の第III相試験のサブグループ解析とこれを組み合わせると、やはり上乗せに関しては積極的なエビデンスがないと言わざるを得ないのではないかと思います。
 もう一つ、50mgにおいて海外の試験で上乗せの効果が見られているという話については、その話は添付文書とかには出ていないですよね。
○医薬品機器総合機構 現時点での添付文書案では特に記載はしていません。
○柴田委員 ですよね。なので、それを根拠にするのはちょっと厳しいと思うので、最終的には単剤を原則とすると書かれるということだったので、結論としてはいいと思いますけれども、これまでの審査報告書での議論等は少し甘いのではないかと思うので、併用が、漫然と併用されるようにならないように、きちんと情報提供する必要があるのではないかと思います。それで個別の患者さんに対して併用を禁止するということまではいかなくていいと思いますけれども、併用していいエビデンスは基本的には30mでは出ていないのだということが先生方に伝わるように、インタビューフォーム等にしっかりと書いていただく必要があるかと思う次第です。
 最後に、細かい話ではあるのですけれども、そういう意味で添付文書のA3736試験の結果は劣っていると書けないのはおっしゃるとおりなので、そういう方針であるのは、おっしゃることには一理あるので、事前の想定を満たさなかったということは一言入れていただく必要があるかと思います。ぱっと見て、これがネガティブスタディだというのが分かるように書いてくださいという趣旨です。以上です。
○医薬品機器総合機構 詳細なコメントをありがとうございました。頂いたコメントを踏まえて、臨床成績の項と7.5項の記載ぶりについて検討させていただきます。
○森部会長 では、引き続きまして大森委員から御意見をよろしいでしょうか。
○大森委員 まず、今、御指摘のあった点については本当に全部賛成なのですが、もう一つ、臨床の方から併用の問題に関して付け加えるとすると、他の抗うつ薬で治療中の患者に本剤を投与するということは、他の抗うつ薬では効果がなかった、反応しない例に投与するということになっているのですね。つまり、難治例、治療抵抗性例にも使えるというメッセージになりかねないのです。それは、この薬の意義では多分ないので、この表現の仕方は十分注意する必要があると思います。併用の問題に関しては以上です。
 最初の効果・効能に関する注意の5.2項に関して、提案が却下されたようなのですが、「本剤は、抑うつ症状が認められる患者に対し投与すること」、そして、次の文章、「抑うつ症状が寛解又は回復した患者における再燃・再発の予防を目的とした投与は行わないこと」となっています。 
 実は、2番目の文章というのは臨床的には意味がないと思うのです。というのは、抑うつ症状が寛解、回復している患者に、わざわざもう一つ薬を出すかといったら、そんなことはないわけです。しかも、2週間しか投与できない薬を、抑うつ症状が寛解又は回復した患者における再燃・再発の予防を目的に投与するか、これはもうない、あり得ないですね。ですので、2番目の文章というのは実際には意味を持たない、効力のない文章になっています。そうすると、残るのは、最初の「抑うつ症状が認められる患者に対して投与すること」になってしまいますが、そうすると、全部なのですよ。抑うつ症状があるうつ状態の人には誰でも投与できるということになってしまいまして、慢性例でも、ほかの抗うつ薬では効かない例にも、ともかく全部出せることになってしまうのですね。それは、この薬の意義と性質を考えると、非常に不必要な使用が拡大するおそれがあります。
 この薬の利点は、恐らく速効性ということなのですよね、ほかの抗うつ薬は効果発現に時間が掛かるけれども、この薬は効果はそれほどでもないかもしれないけれど、ともかく早く、ある程度よくできるという点だと思うのです。
 実際、審査報告書の中でも、急性期と書こうか、だけれど、それはまた曖昧だから、こんな形にしたとあるのですけれども、結局、急性期という限定すらなくなっているのが、この効果・効能の5.2項だと思うのです。ですので、先ほどの私の「治療導入期」という提案に対しては、それだと初発だけに限られてしまうのではないかという心配もあるということでしたが、それでしたら、「初発又は再燃・再発における治療導入において」とすればいいかと思います。治療導入というのは何も最初の薬物と必ずしも限定しない、ある程度の期間を想定できると思うので、初発又は再燃・再発のときに最初に使うみたいなイメージ、最初ないし初期の段階で、治療初期の段階で使うような形にしないといけないのではないかと思うのです。この現在の規定では、ありとあらゆる抑うつ状態のあらゆるステージの人に投与できることになってしまうので、何かちょっと工夫は必要ではないかと感じております。
 それが一つと、もう一つは、これが何度も何度も使えるという問題ですね。この試験の方法は、普通には行われないやり方だと思うのです。2週間投与して良くなった。しばらく様子を見ていて、6週間以上様子を見ていて、再投与の基準に合えば、簡単に言えば再発・再燃に近いと思うのですが、そうなれば、もう一回使える。また、2週間投与して、しばらく様子を見る。6週間、7週間もたって、調子が悪ければ、もう一回2週間使う。それを何と6回繰り返した。かなり多くの患者さんが結局6回使っているのですよね。つまり、1年ぐらい掛かっても寛解していない。
 この懸念は、審査報告書でも機構も表明されていて、だからこそ、7.2、3、4項という辺りで、かなり慎重な表現をされているとは思うのです。ただ、7.2項の所で、「本剤を14日間投与し、抑うつ症状が寛解又は回復した後に、再燃・再発が認められた場合には、本剤による治療を再度行うことができるが」と書いてあるのですが、「できるが」はちょっと踏み込みすぎの感じがいたしまして、「行うことは選択肢となり得るが」というぐらいにしたほうがいいのではないかと感じております。2回投与して治ればいいけれども、そうでない人が臨床試験上多い。
 多くの患者がまた悪くなる、そういう見通しの中で、再投与をお勧めするような書き方はしたくない。再使用を除外はしないけれども、もっと慎重な表現の方が、ここはいいかと思います。以上です。
○新薬審査第三部長 添付文書の5.2項の所ですが、この記載の背景としては、現在の既存の抗うつ薬の多くは、ある程度の時間がたって症状が少し良くなる、完全に寛解しなくても症状が少し良くなるという方々には、ある程度の長さは継続使用されつつ、減量などを経て最終的には薬を抜いた治療や観察に移行していくのだと思います。ただし、症状がある程度良くなっても、また再発するということもありますから、効果が認められた後も一定の期間は使っているという現状もございます。この薬剤はそういう意味で従来の薬剤とは使い方は違いますという意図が背景にございます。
 2点目の御指摘になりますけれども、7.2項の所も、確実に6週間空けてくださいと強調したかったというところで、全く駄目ではないのだけれど、少なくとも6週間は絶対空けてくださいという意味を中心に記載内容を検討したという背景がございます。
○大森委員 今の最初の方の説明がちょっと意味が分かりかねたのですが。
○新薬審査第三部長 従来の抗うつ薬ですと、ある程度、症状が良くなってきても、すぐに抗うつ薬の投与をその時点で直ちにやめるわけではなく、症状が良くなっても一定期間続けておれるという方が結構いらっしゃると理解しております。そういった意味で、この薬剤はそういう使い方をしないもの、2週間だけしか投与できませんということを強調したいという背景があってこの表現としたということになります。
○大森委員 それはそういう意味には取れないと思いますけどね。
○医薬品医療機器総合機構 
今回、大森委員からは2点御指摘を頂いたと思います。まず、後者の方になりますが、添付文書の7.2項について、御指摘を踏まえて、選択肢となり得るというような積極的な認識が抱かれないよう、もう少し控えめな表現を検討させていただきます。
 もう1点、前者ですが、5.2項について、御指摘ありがとうございました。委員から、途中、具体的な御提案も頂いておりましたので、そういった内容を入れた上で、文言について検討させていただきたいと思っています。こちらで文言を検討した後に、また改めて大森委員にも御相談させていただければと思います。
○大森委員 是非、何か必要だと思います。これだと、余りにも幅広い人たちに使ってもいいということになると思うのですね。抑うつ症状は、程度次第ではほかの病気でも認められることもあるわけですし、ある程度きちんとした形で、この薬の意義、早く効果が発現するというところをきちんと生かせるような使い方を皆がするのがいいと思うのです。先ほどありましたが、外国でMDDには認められていないけれど、産後うつ病には承認されている。その治験はとてもうまくいった。僕の解釈では、産後うつ病というのは、結局、発症間もない人たちに非常に限定されますので、それでうまくいくのではないかと、これが僕の個人的な解釈です。
 この薬をMDD、うつ病に生かすためには、それが生きるような形に限定するのが大事ではないかと思います。それは5.2項もそうだし、7.5項の書き方次第では難治性うつ病にまで使われてしまうので、そういったことを是非避けないといけないと思う次第です。以上です。
○医薬品医療機器総合機構 いずれにしても、今回の部会から頂いたコメントを踏まえて、5.2項と7.2項について検討させていただいて、また御相談させていただければと思います。
○大森委員 よろしくお願いします。
○森部会長 宮川委員、お願いします。
○宮川委員 宮川でございます。今、大森委員と柴田委員が適切に御指摘をされたのだろうと思います。うつ病の実際の治療現場を御理解いただけていないように思っております。大森委員からありましたように、初発の非常に早い段階や、ほかの医薬品を使っていない段階の方には、非常に速効性があっていいのですけれども、その中には、いわゆる難治性、治療抵抗性のうつなども多く含まれていることも理解していただかないと、やはり現代のうつ病の治療方法にマッチしなくなってしまう。ここは大森先生の実地の経験を含めて御示唆を頂いたので、機構の方も謙虚にご意見を受け入れていただいたほうが、間違いがなく、配慮していただきたいと思います。文言に関してはかなり修正をしないと、受け入れることができないと思いますので、是非とも御配慮いただきたいと思います。特に、うつ病に関しては、大きな問題が潜んでいます。5.1項の所に書いてあるように、自殺企図や念慮のある方がいらっしゃるので、投与に関しては非常に慎重を要するという、現代におけるうつ病治療の根本を考えていただければ、答えは必ず出てくるのだろうと思います。慎重な書き込みが必要であろうと考えております。以上です。
○医薬品医療機器総合機構 部会の先生方から頂いた御意見を踏まえて、7.2項の方は少しの整備かと思っておりますが、5.2項の文言については検討させていただきます。
 なお、「初発又は再発・再燃における治療導入において」という提案があった点について、A3734試験においては、必ずしも初発だけではなくて、抗うつ薬の前治療があった患者さんも含まれていまして、それであっても重症度は中等度以上で、前治療薬をWash outして組み入れられたという状況です。したがって、そういった患者さんも含まれた成績であるという点も考慮して記載内容は検討しなければいけないと思っています。その点は後日、また御相談をさせていただければと思います。
○森部会長 そのほかの先生方から御意見、コメントはいかがですか。堀委員、どうぞお願いします。
○堀委員 堀です。今の大森先生からのご意見ですが、私は大森先生のご意見にとても賛同いたします。というのは、私は患者の立場からお伝えしたいと思っているのですけれども、やはりこの文言ですと、患者がうつ病・うつ状態が認められるということであれば、今、大森先生がおっしゃったように5.2項の部分の所を拝見しますと、もう本当に何でもうつ病には効く万能な薬で、大森先生から速効性があるということをお聞きしましたら、誰もがこのお薬を飲みたいと思うのではないかと思いました。
 一つお聞きしたいのが、7.5項の部分の所ですけれども、今、単剤で飲むということは分かりました。併用がなかなか難しいということも分かりました。その場合、もし、既存の抗うつ薬を飲んでいらっしゃる方が、この当該薬に変えた場合、インターバル、要するに、間隔ということなどは全く関係なく、すぐに切替えをすることができるのでしょうか。教えてください。
○新薬審査第三部長 今回の臨床試験の場合ですと、従来飲んでいたお薬の影響をできるだけ排除したいという意図で、Wash outという期間を設けながら試験が進められました。しかし、日常診療の中では、何か併用で安全性の問題が懸念される場合には、今飲んでいる薬剤はしばらくやめてくださいということはあるかもしれませんけれども、そういう懸念がないときは、次に受診するまでは今飲んでいる薬を飲まないでくださいというのは、なかなか難しいのではなかろうかと思っております。
○医薬品医療機器総合機構 臨床試験では、単剤のA3734試験にも、前治療として抗うつ薬を投与していた患者さんが入っていたのですが、Wash outの期間を14日間設けられていました。ただ、その設定は、どちらかというと、本剤の有効性評価に影響しないようにという観点が大きいかと思っています。ですので、臨床試験の規定としてはそうだけれども、それが必ずしも現場に参考になるかというと、そうではなくて、やはり患者さんと先生とのコミュニケーションの中で、すぐ切り替えるのか、少し様子を見て、非薬物療法なども考慮しながらやっていくのかなど、それは患者さんの状況に応じてケース・バイ・ケースの判断になるのではないかと考えています。
○堀委員 そうしますと、今の臨床試験においては、すぐに切り替える、インターバルを入れるなど、そういうことに関しては明示されてはいないということなのでしょうか。本当にケース・バイ・ケースで主治医の先生と患者との相談で行われるということなのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 前治療がなされている患者さんに対し、3734試験では14日間Wash outを行う規定になっていましたので、そのような患者さんには、少なくとも14日間は空いているということになります。
○堀委員 分かりました。ということは、現場で実際にそれがどのように行われるかということは、これからということでよろしいのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 はい、そのようになります。実際には、いきなり切り替えるというよりも、既存の薬剤を漸減させていきながら切り替えるとか、いろいろなやり方があると思いますが、そこは医師と患者さんとでコミュニケーションを取って検討していただくところになるのではないかと思います。
○堀委員 御回答ありがとうございます。それ以外に二つ質問をさせていただきたいのですが、よろしいでしょうか。まず一つ目は、食事の内容についてお尋ねいたします。現在アメリカや英国では産後うつ病の治療薬として使われていて、私が調べたところにおきますと、1日50mgを毎夕2週間ということで、脂肪の多い食事を摂ってから服用するというように聞いております。すみません、これが間違っていたら申し訳ありませんが、ただ、今、添付文書を拝見しておりますと、16.2.1項の食事の内容の所で、やはり「高カロリーなものと」という文言も書いてありますので、実際にこのお薬を服用する場合、夕食の食事内容というものに関しては制限があるのかどうかを教えてください。
○新薬審査第三部長 いわゆる典型的な臨床薬理試験の条件で摂取するような高カロリー・高脂肪のものは、通常、我々がなかなか食べられるような量ではありませんので、日本で行われた臨床試験の場合ですと、特に食事でこういうものは避けてくださいというような規定は設けていなくて、普通の食事下で普通に生活していただいているという状況で試験を実施しております。
○堀委員 分かりました。ありがとうございます。そうすると、特に制限はないということでよろしいですね。
○新薬審査第三部長 脂っこいものを積極的に食べてくださいということを特に推奨しなくても大丈夫かなと思います。
○堀委員 分かりました。もう1点は、副作用についてお尋ねいたします。今、11.2項の副作用の嘔吐の所を拝見していますと、1%未満ということで、かなり低いように思います。私がうつ病の抗うつ病薬を見ていますと、割と嘔吐や、吐き気を感じられる患者さんが多いと聞いているのですが、このお薬は、吐き気の副作用が少ないというように理解してよろしいのですか。
○医薬品医療機器総合機構 既存の抗うつ薬ですと、SSRI、SNRIもいずれもセロトニン系のものになりますので、消化器症状が出やすいという傾向はあるかと思います。この薬剤については、それとは機序も異なりますので、実際の臨床試験の結果としても、嘔吐といった消化器症状の発現状況は低かったということになります。
○堀委員 ありがとうございます。そうすると、先ほど大森委員のおっしゃっているように速効性があって、吐き気が少ないとなった場合、患者としては非常に飲みやすいというか、有り難い薬と思われると思います。だからこそ、先ほど先生方がおっしゃっていた添付文書に関しても、もう一度やはり見直しをしていただきたいことと、あと、患者向け資材に関してはお作りになる御予定でしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 作成予定です。
○堀委員 そこに関しましても、より具体的に記載していただくと有り難いと思いました。私からは以上です。ありがとうございます。
○森部会長 それでは、ほかの委員の先生方から御質問、御意見はいかがですか。大森委員、どうぞ御発言ください。
○大森委員 堀委員の御質問と関連して、速効性があって、吐き気は少ないけれども、めまい、眠気が多いのです。
 そして、2週間しか使えない。なぜかというと、依存性のリスクが否定はできないということがあるかと思います。2週間使って様子を見る。それでそのまま良くなる人もいるとは思いますが、結果を見ると、結局、かなりの多くの人がもう一度悪くなるので、速効性はあるけれども、この一剤をもって寛解までもっていけるかという点に関しては、まだ今後の検討になるのだろうと思います。
 それと、切替えのことの御質問がありましたけれども、前治療薬がある場合、そのときに一つ注意をしなければいけないのは、添付文書10項の相互作用、併用注意の項目です。この薬はベンゾジアゼピン系の薬剤との併用は注意ということになっています。なぜかというと、この薬自体、両方ともGABAA受容体に作用が共通しているのですね。ですので、お互いの副作用を増強する心配があります。それと、その下にミルタザピン、三環系、四環系抗うつ薬というのも併用注意になっています。SSRIはそうでもないのですが、これらの抗うつ薬は比較的眠気、ふらつきなどを起こすリスクがあるので、これも併用注意ということで、実際の臨床現場でも、急な切替えができないとしても、こういった併用注意のお薬があることは注意しなければいけないと思っております。一応、追加をさせていただきました。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございました。この薬剤の作用機序も踏まえますと、ベンゾジアゼピン系との併用については注意しなければいけないので、このように併用注意として注意喚起をさせていただいております。
○森部会長 大森委員、よろしいですか。
○大森委員 はい、ありがとうございました。
○森部会長 では、柴田委員、お願いします。
○柴田委員 長くなって申し訳ないのですけれども、一つだけ確認をさせていただきたいのですが、既に治療を受けている患者さんがこの薬に切り替えます、切り替えたときに14日間投与します、14日間たったら患者さんはその後はどうされるのですか。
○医薬品医療機器総合機構 本剤の基本的な使い方に関する資材が企業の方で既に作成されておりまして、これに基づいて、簡単に本剤の使い方について御説明をさせていただければと思います。
○森部会長 委員の皆様はオンラインで御覧になれますか。
○医薬品医療機器総合機構 今、ここの画面で投影することで、共有されている形になりますので、オンラインで参加されている委員もご覧になられている状況かと思います。
○森部会長 分かりました。ありがとうございます。
○医薬品医療機器総合機構 基本的な使い方の御説明をさせていただきます。先ほどからお話しているとおり、基本的に本剤は単剤での治療となります。抑うつ症状があって、かつ、薬物療法を行う必要のある患者とされている中等症以上のうつ病患者に対して、急性期治療として、図の左側ですけれども、まず本剤を14日間投与することになります。その後は、患者さんの状態に応じて、適切に精神療法等の非薬物療法を行いながら、定期的に患者さんの状態を観察するということが基本になります。前治療の有無に関わらず、基本的にはそのスタンスを取っていただくべきということになります。
 その上で、少なくとも本剤投与後6週間は、本剤の投与を行うことはできないことになりますので、本剤投与によって抑うつ症状が改善し、抑うつ症状が6週間以上認められなかったものの、その後に再燃・再発した場合は、改めて本剤を投与するか、あるいは他剤の治療をするのかは、医療現場で検討いただくことになります。
○新薬審査第三部長 柴田委員、御質問の意図をもう一度確認させていただきたいのですが、投与終了後6週までの間はどのようにするのかという御質問だったかと理解したのですが。
○柴田委員 意図としては、既存の治療をずっと継続されているときに、どういう理由で本剤に切り替えないといけないのか、その切り替えなければいけないという状況が起こって、14日たった後に、その方はどうされるのか、そういう質問です。
○医薬品医療機器総合機構 この図にも記載はありますが、14日間まず本剤を投与した後に、効果があった場合、効果があるとは寛解にまで至る、若しくは至らなくてもある程度改善傾向にあるといったときですが、そのような場合のその後の6週間は、定期的な通院によって患者の状態を確認し、必要に応じて非薬物療法、精神療法を考慮しながら対応いただくことになる、そういった使い方がまずベースとしてあるかと思います。
 ただ、このときに効果があった場合であっても、患者さんのご希望や医師との相談も踏まえ、別の抗うつ薬を服用したいというのであれば、既存のSSRIなどの治療薬の投与をすることは可能です。一方で、本剤を14日間投与しても効果があまり出ていないという話であれば、すぐに既存の抗うつ薬への治療方針に変更する、即ち治療方針を再検討する必要があるというところになります。
○新薬審査第三部長 あと、最初柴田委員からに御質問を頂いたのは、これを投与する人たちはどういう方々か、なぜこれに投与を変える必要があるのかというお話だったと思います。実際に担当の医師がどう判断されるかは分かりませんが、多くは、従来のものが余りよく効いていない場合、あるいは、うまくいっていないという方々が、新しいものにチャレンジしていく場合というように、本剤の発売当初の頃は多いのだろうと思います。その後、初発の方々が徐々に増えてくるとは思いますけれども、発売当初は、初発の方々よりも従来の治療で満足されていない方々が、新しい治療法に1回切り替えてみるというケースが多くいらっしゃるのではなかろうかと考えております。
○柴田委員 ありがとうございます。私はこれについてこれ以上コメントする立場にはないので、先ほど大森先生、宮川先生がおっしゃったコメントを踏まえて、添付文書の書き方を御検討いただければと思いました。
 統計家の立場から少しだけコメントをさせていただきますと、臨床試験を組むときには、二つの大きな流れがあります。一つは、既存の治療体系の中に新しい薬を入れたらどうなるのかというのを調べるような形で試験が組まれるケース、もう一つは、今回のように、薬そのものの薬効を確認するために人工的な環境を作って薬の効果を調べるというケース。人工的な環境を作って調べた試験の結果は、その結果をそのまま臨床現場に導入することができないことが、ままあるのです。それが今回起こっているので、そういう二通りの臨床試験の組み方、後者の組み方で組まれているにもかかわらず、あたかもそれが前者の治療体系の中にうまく入ってくるような形で薬効評価をしている試験だと思って情報提供したりすると、今、先生方から御指摘があったような混乱が生じてしまうので、その点は、評価をされるときに、統計学的な観点あるいは臨床試験に通じておられるお立場の方の観点から精査をしていただく必要があるかと思います。形式的にそのまま書いてしまうと、臨床現場で混乱が起こってしまうということだと思うので、老婆心ながらコメントをさせていただきました。以上です。
○新薬審査第三部長 御指摘ありがとうございます。
○森部会長 先生方から御意見、コメントはいかがですか。
○大森委員 すみません、もう一度発言させてもらってよろしいでしょうか。
○森部会長 大森委員、お願いします。
○大森委員 今の説明が大変気になったのです。発売後は、今までの薬でうまく効果がなかった人に、最初に使われることになるのではないかということでしたが、それこそ正に併用試験で効果が否定されたところです。ですので、そういう形でこの薬が臨床現場に入っていくのはまずいと思いますので、添付文書か資材等で、もう少しきちんとした案内をしないといけないのではないでしょうか。この薬もリスクはあるわけですから、メリットが予想できないような状況でどんどん使われていってしまうのはまずいと思います。以上です。
○医薬品医療機器総合機構 併用の結果の解釈については先ほど議論をさせていただいて、そこはより厳しく、より単剤療法を推奨できる方向の注意喚起にしていかなければいけないと、機構としても理解しております。ですので、基本的にこの剤は単剤療法を中心に検討いただくという点を、改めて添付文書の7.5項できっちりと対応させていただくようにしたいと思います。
 専門協議においても、いきなりたくさんの方に使われることのないよう、適切な投与対象をしっかりと情報提供していくこと、また本剤には依存性のリスクもありますので、やはり14日間の投与期間は厳格に守らなければいけないし、それ以降も、投与の必要性を検討いただくというところを、適切に情報提供していく必要があるだろうという御指摘も頂いております。資材の方は引き続き申請者とも鋭意作成中なので、そういった内容もきっちり盛り込めるような形で、対応を進めていきたいと思います。
○森部会長 そのほかに御意見はいかがでしょうか。では、私から発言してよろしいでしょうか。これまでの御説明のように、A3734試験では本剤とプラセボが比較されて、本剤が比較的速やかにうつ状態を改善するということが示されております。続いてA3736試験では、既存薬で治療中の方に本剤が上乗せされたときに、短期的に速やかな追加の改善効果があるかどうかが検定されていますけれども、残念ながら期待どおりの結果ではなく、むしろ、併用した場合の方が、うつ状態が余り良くなかったという結果が出ています。既存薬で治療中の方が本剤の使用をしようと考えた場合に、どういうように使うべきか、つまり、切り替えて使うときに、どういうように使った場合にどのような安全性と有効性があるかについての検定が、今回の臨床開発ではされていないということが問題だと思います。
 繰り返し申し上げます。従来の既存薬で治療している方が効果不十分なので、この薬を使ってみようと臨床医や患者が思った場合に、臨床試験で切り替えて、こういった有効性がありました、こういった副作用がありましたということが示されていません。先ほど機構の方が、既存薬は徐々に中断して併用するようなことを、臨床現場の方で先生方と患者が相談して決めるというようにおっしゃいましたが、その基になる臨床試験が行われていないので、委員の先生方が心配されている、懸念されているという点があります。
 機構の方もよく御存じだと思いますけれども、抗うつ薬であるSSRIやSNRIは、急激に中断した場合に、抗うつ薬中断症候群という極めて体調が悪くなる現象があり、これは臨床現場で広く注意喚起をされております。
例えばパロキセチンの中断なども、医療現場で度々注意喚起をされているということがあり、医療現場で精神科の先生が慎重にお切替えになるということを鑑みても、この部分は臨床試験がされていないので、どのように既存薬を減量した中で本剤に切り替えていくのか。先ほど柴田委員からも、切り替えて2週間使用した後に、そのまま6週間何もせずに経過を見るのか、もともと使っていた薬を再開するのかという御質問があったと思うのです。そこに関する回答も、今は全くない状況です。
 大森委員から御指摘のある、本剤の使用について「治療導入期」にすべきだとおっしゃっている理由は、切替えをした場合の臨床試験がされていないためです。このことは、審査報告書を読んでいても、全く確認することができません。
 一方で、A3734試験ではWash outはされていますので、Wash outした方法やノウハウは、臨床試験の中で行われているかもしれませんが、A3736試験で対象となっているHAM-D17合計スコアが20前後の方々と、既存治療をWash outした方のもともとのうつ状態が、同レベルかどうかの情報がないので、我々は判断ができないことになっているのです。
 したがって、先ほど機構の方が御説明された、既に先行して抗うつ薬を使っている方が、この薬剤に切り替えて使うということについて、この第一部会の場で委員の先生方や厚労省の方も含めて議論をする中で、情報が欠けているということは指摘したいと思います。これについて、委員の先生方からこの後も御意見を伺いますし、機構の方の御意見も伺いたいと思っています。以上です。
○医薬品医療機器総合機構 先ほども御説明させていただきましたが、A3734試験の単独療法試験に関しては、抗うつ薬の前治療のある方々も入っております。具体的には審査報告書の50ページの表42、抗うつ薬の前治療の有無別で層別解析も実施しております。実際に抗うつ薬の前治療がなかった患者とあった患者で130例程度ということで、それなりに前治療があった患者も入っている状況です。
 この点について、先生から、Wash outされているということで、直接的な切替えとは違うのではないかというお話を頂きましたが、実際には有効性の評価の観点で、きっちりWash outしていかなければいけないというところがあって、14日間のWash out期間を設けております。こういった症例をもって、切替え症例の解釈も情報提供としてはできるのではないかと思っておりました。実際、抗うつ薬の開発においては、抗うつ薬の臨床評価ガイドラインが発出されており、単剤療法で治療効果に関して検証する、その後に長期的に長期継続効果についても検討するという形で、既存薬から切り替えたときに、どう有効性が推移するか、また安全性に問題がないかという点まで求められているものではないということは、御理解いただきたいと思っております。
 ご懸念の直接的にすぐに切り替えるといった試験成績自体はないものの、抗うつ薬の前治療の有無別での結果はあるので、その点を、有効性だけではなく、安全性も含めてきっちり資材で情報提供させていただいて、そういった情報も現場の参考にしていただくというのは一つあるかと思っています。
○森部会長 御説明ありがとうございました。そうすると、既存薬を使用中の患者が本剤に切り替える場合、一定期間は併用するのが前提だということもあり得るということでしょうか。併用した場合は有効性が低くなりそうということが、今データで出ているのですけれども、そういう理解でよろしいのですか。それとも、一定期間は先行薬を中止して、その後に使用すべきというのが機構のお考えですか。
○医薬品医療機器総合機構 基本的には、すぐに併用というよりは、使っている既存薬のSSRIの量を徐々に減らしながら投与を中止し、その後切り替えていくというのが、現場においてまず起こり得る使い方の一つかと思っています。また、本剤を2週間投与した後6週間の間はどういう治療をしていくのかの点も含め、そのあたりを臨床試験のエビデンスとして求めるのは、なかなか現実的には難しいところもあるかと思っています。そこは、今後、本剤が現場に出た後に、どういった使い方が推奨されるか、関連学会なども連携しながら検討されていくことになると考えております。
○森部会長 委員の先生方、今の機構からの御回答について何か御発言はありますか。宮川委員、どうぞお願いします。
○宮川委員 宮川です。先ほど柴田委員が、こういう薬を検討するときに二つの大きな流れがあるとお話いただきました。実臨床の中の疑問点をどうやって解くのかというやり方と、もう一つは、薬の性質を見るだけで、このような臨床試験をしたということで、その二つのうちどちらですかといったら、後者の方ですというお話だったということは、この薬は実臨床の中に実装できないという結論にもなり得るのではないでしょうか。機構は、先ほどから部会長がおっしゃっている真意をしっかりと理解し、お答えしなければならないところだろうと思います。
 うつ病の患者さんがいらっしゃって、医師が効果不十分だと考えたときに、薬を併用せざるを得ないわけですが、その方法がないですよね。そこは、既存の薬が効かないとしても、それを減量しながら併用するということをしたならば、実際に上乗せしたものの効果が半減や減少というデータが出ていて、さらに、今まで使っていた薬を半減や減量といったときに、臨床現場で使えるかどうかは、どうお答えになるのですか。
 現状、冒頭で柴田委員の指摘に対する答えは出ていないし、部会長が先ほどお話を整理された段階でのお答えにもなっていません。機構からの答えが非常に難しく、実際には答えになっていないことをお話になっていると判断せざるを得ないように思います。
○森部会長 機構の方、お願いします。
○医薬品医療機器総合機構 本剤に関して、実際にどのように前治療薬を切り替えて使っていくかに関しては、現状の臨床試験の成績等を加味しますと、SSRI、SNRI若しくはボルチオキセチン、といった前治療薬を漸減中止し、その後、一定期間を空けるかどうかに関して、臨床試験では2週間でしたけれども、実際の臨床現場では、ある程度の判断いただいた後に本剤を始めるという形が、現時点としては望ましいと思います。ですから、基本的に、本剤を上乗せしてから併用薬を漸減することや、直接的にクロスオーバーすることは余り推奨されないかというのが現在の理解です。
 診療ガイドラインに関しては、現在の抗うつ薬は、効果不十分の場合でも原則として上乗せをしていくということは推奨されておらず、SSRI、SNRI、ボルチオキセチンに関して、基本的には単剤による治療を推奨しております。
 ですので、現状で上乗せをしていくということは、今までの薬に関しても推奨されていないという状況かと思います。
○森部会長 宮川委員、お願いします。
○宮川委員 診療ガイドラインで、単剤でうつ病が軽快などの治療効果があるのは国内では何パーセントですか。先ほど大森委員からあったように、難治性や治療抵抗性が、かなりのウエイトを占めており、その現状の中でこの診療ガイドラインができているのです。その状況は私も存じております。では単剤で治療するとして、併用したり切り替えたりするときのノウハウが、ここに載ってないと使えないわけです。それが7ポツにきちんと明記されていないから御指摘をしているということを御理解ください。
○医薬品医療機器総合機構 いわゆる抗うつ薬の単剤治療によって効果が出なかった場合に他の抗うつ薬の単剤治療に切り替えていくということで、最終的にどれぐらい寛解に至るのかということに関しては、現在のところ国内外のデータではおそらく累計で7割ぐらいの方々ということで理解しております。残りの3割の方々は、既存の抗うつ薬に関して十分な効果を生み出すことができなかったという状況にあります。御指摘のとおり、これらの方々の中には治療抵抗性というように定義される方もいます。一方で、既存の抗うつ薬はいずれもモノアミン系の抗うつ薬に分類されるもので、今回の抗うつ薬に関しては作用機序が違うというところで、先ほどの3割の方々の中には、必ずしも治療抵抗性だけではない、いわゆるモノアミン系の既存抗うつ薬に反応しなかった方々が含まれるのではないかという理解をしております。
 実臨床に出てから本剤がどのように使われていくかに関して情報がない中で今議論をするのは、なかなか難しいところがあるとは思いますけれども、委員からも御指摘のように、治療抵抗性とはっきり診断できる方々に本剤を使うことは、決して推奨されるわけではないと思います。その辺りは情報提供をしていただきながら使っていただくことが大事かと考えます。
○宮川委員 ありがとうございます。今おっしゃったとおりなのですよ。この薬の臨床試験では実施されてないですよね。だからこそ、ずっと大森委員が御指摘したり柴田委員が御指摘したりしているのです。それを臨床試験の中に答えがあるかのように表現されたから、おかしな話なのです。ないのだったらないと最初から言えばいいのに、理屈を並べられて、何とかこの答えを出そうとする。しかし、答えを出すための根本の臨床試験がないじゃないですか。
 柴田委員が最初から、そういう答えを出す解がないから困っておられました。それに対する解がここにはないというところが、非常に問題です。どうやってこの解を実臨床の中に求めているのかを、最初からいろいろな委員がお話になっているというように御理解いただければと思います。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございます。
○森部会長 では、大森委員から御意見を頂きます。
○大森委員 今、特に付け加えることはございません。いろいろな議論はそのとおりだと思っています。
○森部会長 A3736試験は、既存薬で治療中の方に本剤を追加することによって、比較的速やかに追加の改善が得られるかどうかということを期待した試験でしたが、本剤を既存薬で治療中の方がどのように活用するかという観点からは、恐らくスリーアームで試験をすべきだったと思います。つまり、本剤を追加する群、プラセボを追加する群、既存薬を中止して本剤を使用する群というようにスリーアームにすれば、切り替えて本剤を使用した場合に、臨床的な有用性が分かった可能性があります。
 ただし、冒頭に申し上げたように、既存薬を急激に中断することは、患者に極めて不利益ですので、機構の方の御説明のように、漸減をしていき、一定の期間を置いて本剤を使用するほうが不利益は少なかったので、スリーアームにされていないですし、なおかつ、本来の目的は、追加することによって速やかな改善効果があるかどうかを見るということに主眼を置いたツーアームの試験でした。その試験がうまく成功しなかったことの裏返しとして、切替えとして使う場合は、本剤単剤で使ってくださいというロジックが、恐らく臨床現場に混乱を招くおそれがあるという御指摘ですし、私もそこは指摘したいと思います。
 したがって、本剤を臨床現場でどのように位置付けていくかということについては、できれば改めて十分御検討いただきたい。本剤が未治療の方やWash outした方の治療で速やかに改善するということは既に認められていますし、専門協議でもそのように認められています。ただし、切り替えて使用する場合の切替え法については、専門協議ではどういった議論だったのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 専門協議では、併用に関する結果解釈の議論はしましたが、切り替えて使用という点に関しては、特段具体的な議論はしていません。
○森部会長 やはりここは専門の先生方に十分な御検討を頂きたい箇所になりますけれども、どういった形にするとよろしいか。いかがしたらよろしいでしょうか。当局の方、いかがですか。
○医薬品審査管理課長 審査管理課長です。御議論、どうもありがとうございました。先生方からいただいていた御指摘は、基本的に皆さん同じで、臨床試験で得られた結果は、一定の枠の中で行われた試験の結果であって、実臨床に対してどう当てはめるかという御指摘だったかと思います。つまるところ、例えば添付文書などの資材において、この臨床試験の中でこれまでどういう条件でやってきて、どういうことが分かったのか、あるいは、実臨床に当たって、どういうことがまだ分かっていないのかということをきちんと情報提供する、これが一番の主眼だと思います。
 もう1点、実臨床に当たって提案なり指摘なりができる部分がどこまで可能かという点については、機構の方できちんと整理をしていただく必要があるかと思います。もし、今日の御議論を踏まえて、この薬を承認することそのものは差し支えないというところで御判断いただけるのであれば、添付文書並びに資材あるいは製造販売後の調査の中で、どういった情報を集めて、今後、情報提供することを考えるかということを、機構の方に整理してもらって、部会長や委員の先生方に御確認いただいた上で承認ということで手続を取るというのが、一つの案としてあるかと思います。いずれにしても、今回の試験については、この薬がそもそも薬として成り立つのかどうかということを主眼に置いた試験であって、実臨床への当てはめという点では、臨床試験の限界があるのだろうということかと認識しております。
 また、Wash outの件についても、先ほどからたくさんの御意見をいただきました。臨床試験として有効性を確認する上では必要だったデザインだとは思いますけれども、逆に言うと、Wash outできる患者だけがここに入ってきていて、実臨床の場でどういうようにできるのかというところとは、また少し別だと思います。そこも含めて、機構の方で整理を頂く必要があるかと考えております。
 その上で本日は、承認の可否をここで御結論いただいた上で、今後の対応について検討させていただければと思います。
 1点補足をさせていただきますと、先般のこの部会の中で、車の運転について添付文書にどのように記載するかということで、後で添付文書の記載を御確認いただくことを条件に可とするという形で採決をいただいたかと思います。それと同じような形で、本日も御判断いただけるかどうかということで御検討いただければと思います。以上です。
――2分ほど中断――
○医薬品審査管理課長 オンラインの先生方、すみません。今、現場の方で部会長と事務局とで御相談をさせていただいておりますので、少しお待ちください。
――7分ほど中断――
○森部会長 お待たせいたしました。今、委員の先生方や機構の方々や当局の方とも少しお話させていただきました。これまでの御議論を改めて確認して、本剤の臨床試験の中では、切替えを前提とした臨床試験成績は得られていないということについても、添付文書に明示していただくということと、本剤の有効性が確認されている使用法については、A3734試験のように、急性期の有効性を主たる評価項目とした成績が得られているということなので、臨床成績の中で得られている使い方を十分に鑑みて御使用いただくということで、添付文書の使用の重要な基本的注意などについて記載整備するという形に修正いただくという方向を確認いたしました。この方向性について、特に委員の先生方から追加の御意見や御発言はありますか。大森委員、いかがでしょうか。
○大森委員 私もこの薬の意義は十分あると思っていて、意義を活かせるような例にうまく使えるような添付文書にしていただければと思います。薬の意義そのものは、今までの抗うつ薬とは違った速効性という点がありますので、今日問題に上がった点を添付文書で十分に考慮していただけるのでしたら、薬の承認そのものとしてはいいのかなと、今の部会長の説明を伺って、そのように思いました。
○森部会長 そのほかに委員の先生方から追加の御発言はありますか。よろしいでしょうか。委員の先生方に修正の内容を確認いただく手順は、どのようにしたらよろしいでしょうか。
○事務局 機構と厚生労働省との間で調整をさせていただいてから、委員の皆様に回覧させていただく形とします。結果については改めて次の本部会にて報告させていただければと思います。
○森部会長 その上で、本剤の承認についての御意見を伺うということでよろしいですね。ありがとうございました。
 それでは、本剤の議決に入らせていただいてよろしいでしょうか。議題1について、承認を可としてよろしいでしょうか。御異議がないようですので、承認を可とし、次回に添付文書の内容などの記載確認をさせていただいた上で、薬事審議会に報告ということになるかと思いますので、そのようにさせていただきます。よろしいでしょうか。ありがとうございました。
 続いて、議題2に移らせていただきます。議題2について、機構から概要説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 それでは、議題2、資料No.2、医薬品ユプリズナ点滴静注100mgの製造販売承認事項一部変更承認の可否等について、機構より御説明いたしします。資料No.2、ユプリズナ点滴静注100mgの審査報告書を御覧ください。
 IgG4関連疾患(以下、「IgG4-RD」)は、リンパ球とIgG4陽性形質細胞が全身の臓器へ浸潤し、結節や肥厚性病変等を認める原因不明の疾患です。現在、本邦においてIgG4-RDに係る効能・効果で承認されている医薬品はなく、ステロイドが第一選択薬とされていますが、しばしばフレアと言われる再燃が認められ、確立された治療法はありません。
 イネビリズマブ(遺伝子組換え)(以下、「本薬」)は、CD19に対するヒト化IgG1モノクローナル抗体であり、視神経脊髄炎スペクトラム障害に係る効能・効果で承認されております。今般、IgG4-RD患者を対象とした国際共同第III相試験の成績等に基づき、効能追加の承認申請がなされました。海外では、2025年6月時点で、本薬は視神経脊髄炎スペクトラム障害に係る効能・効果で欧米を含む40以上の国又は地域で承認されており、IgG4-RDに係る効能・効果では、2025年9月現在、米国を含む2か国で承認されており、○○○○○○○です。本品目の専門協議では、本日の配布資料No.10に示します専門委員を指名しております。
 本薬の有効性及び安全性について、臨床成績を中心に御説明いたします。まず、有効性に関して、審査報告書の通し番号9ページ、表6を御覧ください。
活動性のIgG4-RD患者で、ステロイドをプレドニゾロン換算で20mg/dayまで減量できた患者を対象とした国際共同第III相試験(以下、「MITIGATE試験」)において、主要評価項目である「フレア発現までの期間」について、プラセボに対する本薬の優越性が検証されました。日本人集団の結果については、13ページ、表9を御覧ください。本薬群でフレアは認められず、日本人集団の結果は全体集団と同様の傾向でした。以上より、日本人患者を含め、IgG4-RD患者に対する本薬の再燃抑制効果は示されたと判断いたしました。
 次に、安全性に関して、16ページ、表13を御覧ください。MITIGATE試験の無作為化比較期における有害事象の発現状況は表に記載したとおりであり、プラセボ群と比較して本薬群で副作用の発現割合は高かったものの、大半の事象はGrade2以下でした。また、本薬群で認められた重篤な副作用及び治験薬の投与中止に至った副作用は、いずれも既知のリスクであり、転帰は回復でした。日本人集団については、参加者数が限られており、国内外の安全性プロファイルの比較には限界があるものの、全体集団と比較して有害事象の発現状況に異なる傾向は認められませんでした。また、19ページ、表17を御覧ください。MITIGATE試験の無作為化比較期において、本薬群で4例に重篤な感染症が認められており、感染症については引き続き注意が必要と考えました。以上を踏まえると、本薬についての十分な知識とIgG4-RDの治療についての知識及び経験を有する医師が使用することを前提とすれば、既承認の効能・効果と同様の注意喚起をすることで、日本人のIgG4-RD患者を含めて、本薬の安全性は管理可能と判断いたしました。
 以上、機構での審査の結果、IgG4関連疾患の再燃抑制に対する本薬の臨床的意義のある有効性は示され、認められたベネフィットを踏まえると安全性は許容可能と考えられたことから、医薬品リスク管理計画に係る承認条件を付した上で承認して差し支えないと判断し、本部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。再審査期間については、本品目は希少疾病用医薬品に指定されていることから、10年と設定することが適切と判断しました。薬事審議会では報告を予定しております。
 また、森部会長と柴田委員より、事前に御質問を頂いております。まず、森部会長からは、「MITIGATE試験における主要評価項目であるフレア発現までの期間について、フレアの基準としてどのような基準が用いられていたのか。また、フレアという用語は臨床現場の医師にとってなじみがなく、分かりにくいのではないか」との御質問を頂きました。
 まず、1点目のフレアの基準については、審査報告書8ページを御覧ください。8ページの一番下の段落に記載したとおり、IgG4-RDの国際的な診断指針である2019年ACR/EULARのIgG4-RD分類基準に準じた基準があらかじめ設定されており、「新たに発現もしくは悪化により再び疾患の分類基準を満たす症状が現れた場合」・・を「フレア発現」と定義しておりました。
 次に、フレアとの用語については、申請資料及び審査報告書においては、再燃を示す用語としてフレアを使用しておりますが、御指摘を踏まえ、添付文書の臨床成績の項では、臨床現場の医師にも分かりやすくなるよう、フレアが再燃を表すことが明確になるよう記載を修正いたします。また、添付文書の臨床成績の項には、1点目で御指摘いただいたフレアの基準についても追記いたします。
 次に、柴田委員からは、主要評価項目である「フレア発現までの期間」のイベント定義について御質問を頂いております。審査報告書9ページの図4を御覧ください。こちらに示したとおり、「フレア発現イベントは、治験担当医師による治療の有無とACによるフレア基準への該当性の有無の組合せで定義されておりますが、治療されなかったがACではフレアと判定された場合の取扱いはどのようになっていたのか。また、そのような参加者はどの程度いたのか」との御質問と、「添付文書の臨床成績の項に、フレアの定義及びイベントの定義を記載すべき」との御指摘を頂きました。
 まず、1点目についてですが、治療が行われなかったがACではフレアと判定された場合については、イベントとしては取り扱われず経過観察とされました。また、MITIGATE試験において治療は行われなかったがACではフレアと判定された参加者の割合は、プラセボ群では1.5%(1/67例)、本薬群では2.9%(2/68例)でした。なお、MITIGATE試験の副次評価項目として設定されていた、治療の有無を問わない、ACが判定したIgG4-RDフレアの年間のフレアの発現率は、プラセボ群で0.75、本薬群で0.16であり、主な副次評価項目である、フレアに対する治療を要し、かつ、ACが判定したフレアの年間発現率は、審査報告書の14ページの表10に結果を記載しておりますが、プラセボ群では0.71、本薬群で0.10であり、両者の結果に乖離は認められませんでした。
 2点目の御指摘についてですが、まず、フレアの基準については、先ほどの森部会長からの御質問に対する回答の中で御説明したとおり、追記いたします。
また、イベントの基準についても、治療を要し、かつACでフレアと判定された場合のみがイベントとして取り扱われたことが明確となるよう、添付文書の臨床成績の項の記載を修正いたします。機構からの説明は以上です。御審議のほど、どうぞよろしくお願いいたします。
○森部会長 御説明ありがとうございました。では、先生方から御意見がございますか。機構の方には事前に御質問いたしましたが、今回、そのフレアの基準として引用されていました2019年のガイドラインについては、疾患の定義は明記されていたのですが、フレアに関する記載は特にありませんでしたので、このガイドラインをどのようにフレアの基準に応用するのかを伺ったところ、新たに発現もしくは悪化により再度疾患基準を満たした場合にフレアとしているということを明確に確認いただきましたので、よろしいかと思います。柴田委員、追加はよろしいでしょうか。
○柴田委員 特に追加はございません。どうもありがとうございました。
○森部会長 そのほか、先生方から御質問、御意見はございますでしょうか。
記載整備いただく方向性が明確になりましたので、どうもありがとうございました。
 それでは、議決に入らせていただきます。議題2について承認を可としてよろしいでしょうか。特に御異議がないようですので、承認を可として、薬事審議会にも報告させていただきます。
 続いて、議題3に移らせていただきます。議題3について、事務局から概要説明をお願いいたします。
○事務局 それでは、議題3、希少疾病用医薬品の指定の可否について御説明いたします。今回、御審議いただく品目一覧は、資料No.3-1に記載をしております。資料No.3-2から順を追って御説明いたします。
 まず、資料No.3-2、メザギタマブ(遺伝子組換え)、申請者は武田薬品工業株式会社、予定効能・効果は「IgA腎症」で、当該疾患は指定難病です。現在、本邦においてIgA腎症に係る薬剤としてジラゼプ塩酸塩水和物が承認されておりますが、長期の腎機能障害進行抑制効果については明らかではなく、また、いずれの治療法もいまだ確立されたものではございません。本剤は抗CD38モノクローナル抗体であり、形質細胞及び形質芽細胞を長期的に抑制し、IgA腎症に対して有効性を示すことが期待されます。国際共同第Ib相試験において、尿蛋白/クレアチニン比に基づく尿蛋白の減少及び推算糸球体濾過量の維持が示唆されました。現在、国際共同第III相試験を実施中です。
 続いて、資料No.3-3、Povetacicept、申請者はVertex Pharmaceuticals社、予定効能・効果は「IgA腎症」です。疾病に対する説明は先ほどと同様です。本剤は、IgA腎症と関連が報告されているB細胞活性化因子(BAFF)及び増殖誘導リガンド(APRIL)を阻害し、IgA腎症に対して有効性を示すことが期待されます。海外第I/II相試験において、尿蛋白/クレアチニン比に基づく蛋白尿の減少が示唆されております。現在、国際共同第III相試験を実施中です。
 続いて、資料No.3-4、イプタコパン塩酸塩水和物、申請者はノバルティスファーマ株式会社、予定効能・効果は先ほどと同じく「IgA腎症」です。本剤は、IgA腎症への関与が示唆されている補体第二経路の主要なプロテアーゼであるFactor Bの阻害剤であり、IgA腎症に対して有効性を示すことが期待されます。国際共同第III相試験において、9か月後の尿蛋白/クレアチニン比の対数変換値について、本剤はプラセボ群に比べて38.3%減少したという結果が得られております。現在、国際共同第III相試験を実施中です。
 続いて、資料No.3-5、VX-670、申請者はVertex Pharmaceuticals社、予定効能・効果は「筋強直性ジストロフィー1型」(以下、「DM1」)、こちらは、指定難病である筋ジストロフィーの病型の一つです。DM1は、筋強直現象、進行性の筋萎縮及び筋力低下を特徴とする常染色体顕性遺伝性疾患であり、進行に伴い嚥下障害及び呼吸機能障害に至るほか、多臓器に障害を及ぼす全身性の疾患です。各症状に対して対症療法が行われているものの、有効な治療法は存在しません。本剤は、DM1の原因となる変異型のDMPK遺伝子が転写されたRNAのCUGリピートに結合し、スプライシング異常を補正することにより、DM1に対する有効性が期待されます。開発の可能性について、海外第I/II相試験を実施中、国際共同第III相試験を実施予定であり、承認申請に向けた計画については、今後、機構と協議予定です。
 続いて、資料No.3-6、KUS121、申請者は株式会社京都創薬研究所、予定効能・効果は「網膜中心動脈閉塞症における視力低下の改善」です。本邦における対象者患者数は約7,200例と推定されます。網膜中心動脈閉塞症は、網膜中心動脈の閉塞による虚血性眼疾患であり、虚血と同時に無痛性で突発性な重度の視力・視野障害が生じ、日常生活において高度な障害が永続する重篤な疾患です。本邦において網膜中心動脈閉塞症に対して承認されている薬剤はなく、標準的治療は存在しません。本剤は、ATP加水分解酵素の一つであるVCP阻害薬であり、網膜中心動脈閉塞症患者を対象とした国内第I/II相試験において、視力・視野の改善効果が示唆され、安全性について問題となるような有害事象は認められませんでした。開発の可能性について、海外第II相試験を実施中、国内第III相試験を実施予定であり、承認申請に向けた計画については、今後、機構と協議予定です。
 続いて、資料No.3-7、Empasiprubart、申請者はアルジェニクスジャパン株式会社、予定効能・効果は「多巣性運動ニューロパチー」(以下、「MMN」)、当該疾患は指定難病に指定されております。MMNは、感覚障害を伴わない左右非対称性の上肢遠位優位筋力低下と筋萎縮を主徴とする後天性の慢性脱髄性末梢神経疾患であり、著しく生活の質を落とす状態が長期継続する疾患です。MMNに対しては免疫グロブリン製剤を用いた導入療法及び維持療法を行うこととされておりますが、免疫グロブリン静注製剤による維持療法を行った場合でも、多くの患者で徐々に進行する筋力の低下が認められるとの報告があり、また、血栓塞栓性イベントや腎機能障害等の副作用により、治療継続が制限されることも問題となることから、新たな治療薬が必要とされております。本剤はC2に対する抗体であり、MMN患者を対象とした海外第II相試験において、日常生活動作、握力等の項目について、プラセボ群に対して改善傾向が認められております。現在、国際共同第III相試験が実施中です。
 続いて、資料No.3-8、同じくEmpasiprubart、申請者はアルジェニクスジャパン株式会社、予定効能・効果は「慢性炎症性脱髄性多発根神経炎」(以下、「CIDP」)、当該疾患は指定難病に指定をされております。CIDPは、左右対称性の末梢神経の脱髄による筋力低下、感覚障害を特徴とする進行性自己免疫疾患で、筋力低下により日常生活での動作が困難となり、60%の患者で自立歩行ができないとの報告があります。CIDPに対する主な治療法として、免疫グロブリン、副腎皮質ステロイド、血漿交換がありますが、いずれの治療法も血栓や急性腎機能障害等の合併症といった副作用を伴い、長期的な施行が制限されます。昨年12月に胎児性Fc受容体阻害薬が承認されたものの、CIDPの発症機序は様々であり、C2に対する抗体である本剤は既承認の薬剤と作用機序が異なるものです。CIDPを対象とした臨床試験の結果は得られておりませんが、非臨床試験及び類縁疾患であるMMN患者を対象とした海外第II相試験の試験成績を踏まえると、CIDPに対する新たな治療選択肢となることが期待されております。開発の可能性について、国際共同第III相試験が実施中です。
 以上より、いずれも希少疾病用医薬品の指定要件を満たすと考えております。
 御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○森部会長 御説明ありがとうございました。では、委員の先生方から御質問、御意見がございましたらお願いいたします。よろしいでしょうか。
 では、議決に入ります。なお、阿古委員、佐藤直樹委員におかれましては、利益相反に関するお申出に基づき、議決への参加を御遠慮いただくこととなっております。では、議題3について、指定を可としてよろしいでしょうか。
 御異議がないようですので、指定を可とし、薬事審議会に報告いたします。
 続いて、報告事項に移ります。報告事項の議題1~4について、事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 それでは、御説明いたします。今回の報告事項の議題一覧については資料No.4のとおりです。順を追って御説明いたします。
 まず、議題1、資料No.5、ベオビュ硝子体内注射用キット120mg/mLについて、ノバルティスファーマ株式会社より、中心窩下脈絡膜新生血管を伴う加齢黄斑変性に関する用量について、投与間隔を変更するもの、また、増殖糖尿病網膜症に関して、効能・効果及び用法・用量を追加する製造販売承認事項一部変更承認申請がございました。機構において審査し、承認して差し支えないと判断をしております。
 続いて、議題2、資料No.6、希少疾病用医薬品の指定の取消しについてです。届出者はノーベルファーマ株式会社、医薬品シロリムスです。本剤は、「限局性皮質異形成II型に伴うてんかん発作」を予定される効能・効果として、希少疾病用医薬品に指定をされております。当該効能に対する医師主導治験において、本剤の有効性が確認されず、本効能・効果での開発中止が決定されたものです。したがって、本剤の本効能・効果に関する希少疾病用医薬品の指定を取り消すこととしております。
 続いて、報告事項の議題3、医療用医薬品の承認条件についてです。まず、資料No.7-1、献血ベニロン-I静注用500mg、同静注用1,000mg、同静注用2,500mg、同静注用5,000mgについては、「視神経炎の急性期(ステロイド剤が効果不十分な場合)」の効能・効果について、全例調査に係る承認条件が付されております。この度、KMバイオロジクス株式会社より、承認条件に基づいて実施された全例調査の報告書が提出され、機構における評価の結果、全例調査に係る承認条件は対応されたものと判断をしております。
 続いて、資料No.7-2、オンパットロ点滴静注2mg/mLは、「トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチー」の効能・効果について、全例調査に係る承認条件が付されておりました。この度、Alnylam Japan株式会社より、承認条件に基づいて実施された全例調査の報告書が提出され、機構における評価の結果、全例調査に係る承認条件は対応されたものと判断をしております。
 続いて、議題4、医療用医薬品の再審査結果についてです。まず、資料No.8-1、プリズバインド静注液2.5gについて、日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社より、以下の状況におけるタビガトランの抗凝固性作用の中和、生命を脅かす出血又は止血困難な出血の発現時、重大な出血が予想される緊急を要する手術又は処置の施行時に係る効能・効果について、再審査の申請がございました。資料No.8-2、ソリクア配合注ソロスターについて、サノフィ株式会社より、インスリン療法が適応となる2型糖尿病に係る効能・効果について、再審査の申請がございました。資料No.8-3、ルムジェブ注カート、同ミリオペン、同ミリオペンHD、同100単位/mLについて、日本イーライリリー株式会社より、インスリン療法が適応となる糖尿病に係る効能・効果について、再審査の申請がございました。資料No.8-4、ビプリブ点滴静注用400単位について、武田薬品工業株式会社より、ゴーシェ病の諸症状(貧血、血小板減少症、肝脾腫及び骨症状)の改善に係る効能・効果について、再審査の申請がございました。いずれについても機構において確認を行い、いずれもカテゴリー1、承認拒否事由のいずれにも該当しないと判断をしております。報告事項の議題の説明は以上です。
○森部会長 御説明ありがとうございました。では、先生方から御質問がございましたらお願いいたします。よろしいでしょうか。それでは、報告事項については御確認いただいたものとさせていただきます。
 本日の議題は以上です。事務局から報告はございますか。
○事務局 次回の部会は令和7年12月3日(水)17時から開催予定です。よろしくお願いいたします。
○森部会長 それでは、本日はありがとうございました。これで閉会させていただきます。
( 了 )
備考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。

照会先

医薬局

医薬品審査管理課 専門官 津田(内線4233)