第16回HTLV-1対策推進協議会 議事録

日時

令和8年3月13日(金)16:00~18:00

場所

会館ビジネスフォーラム(B101号室)
(東京都港区新橋1-18-1)

議題

(1)HTLV-1 総合対策の概略と現状の報告 (4 課)
(2)HTLV-1 に関する普及啓発事業について
(3)HTLV-1 感染実態と対策について
(4)患者会の活動報告
(5)今後のHTLV-1 の水平感染の普及啓発の在り方について
(6)その他

議事

○小谷エイズ対策推進室長 定刻となりましたので、ただいまより第16回「HTLV-1対策推進協議会」を開催いたします。
 本日は、御多用のところ、本会議に御出席いただき、ありがとうございます。
 本日議事進行を務めさせていただきます、感染症対策部感染症対策課の小谷と申します。よろしくお願いいたします。
 本日の議事は公開となります。なお、カメラ撮りは議事に入るまでとさせていただきますので、プレス関係者の方々におかれましては、御理解と御協力をお願いいたします。
 また、傍聴の方は「傍聴に関しての留意事項」の遵守をお願いいたします。
 会議冒頭の頭撮りを除き、写真撮影、ビデオ撮影、録音をすることはできませんので、御留意ください。
 本日はウェブ会議で開催することとしております。
 まず、ウェブ会議を開催するに当たり、会議の進め方について御連絡させていただきます。
 御発言される場合は、まず挙手機能を用いて挙手していただくか、チャットに発言される旨のコメントを記載していただき、座長から御指名いただいてから御発言をお願いいたします。なお、ウェブ会議ですのでタイムラグが生じますが、御了承願います。
 次に、感染症対策部の鷲見部長より御挨拶をいただきます。
○鷲見感染症対策部長 健康・生活衛生局感染症対策部長の鷲見でございます。
 開会に当たり、一言御挨拶を申し上げます。
 本日、御出席の構成員、参考人の皆様には、御多用のところ、御出席を賜り、誠にありがとうございます。
 また、日頃よりHTLV-1対策の推進につきまして御指導を賜り、厚く御礼申し上げます。
 HTLV-1は関係する領域が多岐にわたっており、総合的な対策が重要です。本協議会も厚生労働省健康・生活衛生局感染症対策部感染症対策課、そして、がん・疾病対策課、難病対策課及びこども家庭庁成育局母子保健課が連携して開催しているところでございます。
 16年前の平成22年にHTLV-1総合対策が取りまとめられ、翌平成23年にはHTLV-1対策推進協議会の第1回が開催されました。その後、本協議会では、総合対策が掲げる5つの重点施策である感染予防対策、相談支援、医療体制の整備、普及啓発・情報提供、研究開発の推進につきまして精力的に御議論いただき、令和5年4月「HTLV-1普及啓発事業実施要綱」を定め、普及啓発等の事業を開始しているところでございます。
 今回は16回目の開催となります。これまでの母子感染対策の着実な実施により、垂直感染は確実に減少傾向を示しており、感染経路の中心が水平感染へと移行しつつあると伺っております。本日は、まずHTLV-1に関する委託事業を含めた現状報告、現在の感染実態と対策について御発表いただき、続いて患者会からも活動報告をいただく予定です。また、構成員、参考人の皆様から事前にお寄せいただいた御意見を基に、「今後のHTLV-1の水平感染の普及啓発の在り方」につきまして、これまでの取組の成果も踏まえながら御議論いただきたいと思います。
 HTLV-1総合対策の一層の推進に向けて、構成員、参考人の皆様には、今回も真摯かつ活発な御議論をいただきますようお願いいたしまして、簡単ではございますが、開催に当たっての挨拶とさせていただきます。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
○小谷エイズ対策推進室長 ありがとうございます。
 続きまして、構成員の出欠状況について御報告いたします。
 本日は、急務のため、日本医師会の濵口構成員から御欠席という御連絡をいただいております。
 また、俣野構成員においては、途中中座をされますが、その後戻られるともお聞きしております。
 現在、構成員14人中13名の方に御出席いただいております。本来であれば、御出席の皆様を順に御紹介申し上げるところですが、進行の都合上、名簿にて御紹介に代えさせていただきます。御理解のほど、お願い申し上げます。
 また、本日は、参考人として、東京大学名誉教授、昭和医科大学客員教授の内丸薫参考人、日本赤十字社九州ブロック血液センターの相良康子参考人に御出席いただいております。
 申し訳ございませんが、冒頭のカメラ撮りにつきましてはここまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。
 次に、事務局より資料等の確認をいたします。
 まず議事次第、構成員名簿、座席図のほか、資料1-1、厚生労働省感染症対策課、がん・疾病対策課、難病対策課より提出された「HTLV-1総合対策の概略と現状について」。
 資料1-2、こども家庭庁母子保健課より提出された「HTLV-1母子感染予防対策等について」。
 資料2、渡邉座長より提出された「HTLV-1に関する普及啓発事業について」。
 資料3-1、渡邉座長より提出された「HTLV-1感染と予防対策の現状」。
 資料3-2、内丸参考人より提出された「HTLV-1母子感染対策に関するこれまでの取組みと今後の展望」。
 資料3-3、相良参考人より提出された「HTLV-1感染実態と啓発・対策について」。
 資料4-1、患者会の片山構成員より提出された「患者会の活動報告 アトムの会」。
 資料4-2、患者会の菅付構成員より提出された「患者会の活動報告 スマイルリボン」。
 資料5-1、厚生労働省感染症対策課より提出された「HTLV-1における正しい知識の発信」。
 資料5-2「今後のHTLV-1の水平感染の普及啓発の在り方について」。
 参考資料1「HTLV-1対策推進協議会開催要綱」を御用意しております。
 不足の資料等がございましたら、事務局にお申しつけください。
 なお、本日の座長の渡邉構成員に務めていただきます。以降の議事運営につきましては、渡邉座長にお願いいたします。
 渡邉先生、よろしくお願いいたします。
○渡邉座長 今御紹介いただきました渡邉でございます。私が座長を務めさせていただきます。
 本日の議題は、お手元の議事次第のとおりになっております。議題ごとに、資料を御説明いただいた後に質疑応答の時間を取りますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 構成員、参考人の皆様には、円滑な議事進行に御協力をよろしくお願いいたします。
 それでは、早速ですが、議事に入りたいと思います。
 まず厚生労働省、こども家庭庁から資料1-1、1-2についてそれぞれお話をいただきたいと思います。
 それでは、資料1-1についてお願いいたします。
○小谷エイズ対策推進室長 それでは、厚生労働省より資料1「HTLV-1総合対策の概略と現状について」を御説明させていただきます。
 引き続きまして、厚生労働省感染症対策課の小谷でございます。よろしくお願いいたします。
 まず1枚おめくりください。
 2ページ目、こちらではHTLV-1対策の経緯についてまとめております。全てを読み上げませんが、平成21年7月に研究者・患者団体の有志によりHTLV-1感染総合対策等に関する有識者会議が設置され、その中で厚生労働省が対策を総合的に推進する枠組みを確保し、継続的協議の場を設けるべきと提言を受けました。平成22年9月に当時の菅首相がHTLV-1特命チームを立ち上げ、同年12月にHTLV-1特命チーム第4回会合でHTLV-1総合対策が取りまとめられました。その後、平成23年7月に第1回のHTLV-1対策推進協議会が開催されております。その後、令和5年4月にはHTLV-1普及啓発事業実施要綱を定め、普及啓発等の事業を開始しているところでございます。
 3枚目を御覧ください。
 HTLV-1総合対策の骨子でございます。大きく推進体制と重点施策という形でまとめております。
 推進体制においては、国、地方公共団体、医療機関、患者団体等の密接な連携を図り、HTLV-1対策を強力に推進するということが挙げられております。
 重点施策としては大きく5つ、感染予防対策、相談支援(カウンセリング)、医療体制の整備、普及啓発・情報提供、研究開発の推進が挙げられております。
 それぞれの重点施策に基づいて資料を御説明させていただきます。
 4ページ目を御覧ください。
 まず重点施策1、感染予防対策についてでございます。こちらにつきましては、特定感染症検査等事業の中で、以下のとおりHTLV-1に関する検査及び相談事業を実施しているところでございます。
 5ページ目は相談事業についての実績でございます。対象項目としては性感染症、HTLV-1、HIV、肝炎ウイルス等でございます。令和7年度の調査対象となった自治体数は157でございまして、こちらの回収率は100%となっております。
 相談件数等については、表を御覧ください。
 6ページ目を御覧ください。
 あわせて、HTLV-1の母子感染については、これまでの様々な取組により感染者数は減少しております。一方で、HTLV-1の垂直感染に加えて水平感染による伝播が生じている可能性があるため、今後は水平感染も重要な課題となっているとしております。
 垂直感染は主に母子感染で、こちらの中では母乳を制限しなかった場合は15~20%されているものの、完全人工栄養を行った場合は3~6%程度まで減少すると報告されております。
 一方で、水平感染も幾つかのパターンがございますが、その他として性感染症等が挙げられており、こちらの中では、HTLV-1の水平感染者推測数というものについて、4,150名/年の新規感染者が生じていると報告されているところでございます。
 7ページ目を御覧ください。
 続いて、重点施策2についてでございます。こちらにつきましては、厚生労働省のホームページでは、相談支援体制の整備のために各都道府県のHTLV-1(ATL、HAM、母子感染を含む)の相談窓口を公開し、検索ができるようにしております。さらに、同ホームページにおいて、HTLV-1情報ポータルサイトほっとらいぶの情報も御案内しているところでございます。
 8ページ目を御覧ください。
 こちらが現在の電話相談やオンライン相談などの相談支援の体制でございますが、非常に応じて専門医のいる医療機関へつながるよう、適切な支援が行き届く仕組みをつくっているところでございます。
 9ページ目を御覧ください。
 HTLV-1キャリアやATL・HAM患者に対する相談体制の整備のために、相談従事者への研修の実施であるとか、手引き等の作成・配布を行っております。
 先ほど述べましたHTLV-1情報ポータルサイトほっとらいぶでは、HTLV-1を学びたい医療従事者や行政担当者向けにe-learningとしてHTLV-1とその関連疾患の動画を提供しております。こちらをもって、時間や場所を問わず、最新の詳細な知識を習得できる形となっております。
 続いて、重点施策の3に参ります。医療体制の整備でございます。第4期がん対策推進基本計画においてHTLV-1総合対策等について記載しているほか、がん診療連携拠点病院等の整備指針及び関連事務連絡において、がん相談支援センターが情報提供する項目の一つとしてHTLV-1関連疾患であるATLを示しているところでございます。
 続いて、11ページ目を御覧ください。
 難病の患者に対する医療等の総合的な推進を図るための基本的な方針や難病の医療提供体制の構築に係る手引きの中で、HAM等の難病に関する医療提供体制整備を示しているところでございます。
 続いて、12ページ目を御覧ください。
 こちらは、整備以外にも診療ガイドラインの作成の観点で、厚生労働科学研究やAMEDにおいても、疾患の早期発見と適切な治療を受けられる体制を整えるためのガイドラインを以下のとおり作成しているところでございます。
 13ページ目を御覧ください。
 こちらは検査法の改善等の観点でございます。同様に各研究班において、HTLV-1感染症の診断精度の向上及び検査体制の拡充を目的として、従来の抗体検査の改良及び簡便な検体を用いた検査の実用化を検討しております。また、HTLV-1核酸検査(定性法、定療法)の感度及び精度の確認を実施し、妊婦健診等の核酸検査の感度を上げることで、確認検査の判定保留例の診断を可能とし、検査フローの最適化を行っております。
 こういったものをもってHTLV-1感染症の診断精度の向上及び検査体制の拡充が期待されると考えております。
 続いて、重点施策4に参ります。上の記載にもございますが、HTLV-1情報ポータルサイトほっとらいぶは、HTLV-1キャリアやその関係者等が必要とする信頼性の高い情報をいち早く分かりやすく届けるために、HTLV-1関連の研究者、臨床家が執筆・監修している総合的な管理情報サイトになっております。幅広い対象者に向けて情報提供を行っており、患者や医療従事者向けの研修参加・登録システムとしても機能しているところでございます。
 15ページ目を御覧ください。
 こちらは重点施策5として研究開発の推進ということになっております。先ほども少し触れましたが、現在、HTLV-1関連疾患研究領域研究課題として、AMED、厚生労働科学研究棟の中で実施されています。また、毎年「HTLV-1関連疾患研究領域研究班合同発表会」を公開で開催しております。厚生労働省・こども家庭庁・AMEDの支援課題について広く情報共有し、連携を強化しているところでございます。
 最後、16ページ目を御覧ください。
 研究開発の推進につきましては、研究班の連携により、全国一元化レジストリ・バイオリポジトリが構築されており、HTLV-1、HAM、ATLの診療実態把握、病態不解明、治療開発に生かされているところでございます。
 近年、ATLのリスクの集団の特定や発症予測等が可能となっており、AMEDの研究班においても検討が進められているところでございます。
 端的ではございますが、厚生労働省からの発表は以上とさせていただきます。
○渡邉座長 ありがとうございました。
 それでは、資料1-2をこども家庭庁のほうからお願いいたします。
○こども家庭庁 こども家庭庁母子保健課でございます。
 資料1-2について御説明をさせていただきます。
 次のページをお願いいたします。
 HTLV-1母子感染予防対策について、スライドでお示しいたします。
 HTLV-1の母子感染予防対策については、初めに妊婦健診におけるHTLV-1抗体検査といたしまして、平成22年10月6日付で妊婦健診における望ましい基準を発出し、その中でHTLV-1抗体検査を位置づけることで、これらの検査が自治体の助成を含めて実施できるような形で行っております。現在、助成券並びに補助券等で助成を行っていただき、妊婦健診の中でこれらの検査の実施が進められているところでございます。
 また、HTLV-1母子感染対策事業の都道府県における実施状況を下段でお示ししております。HTLV-1母子感染対策協議会の設置、HTLV-1母子感染関係者の研修事業の状況、HTLV-1母子感染普及啓発の状況について、それぞれ把握している実数をお示ししております。
 これらの都道府県における実施につきましては、次のページにお示ししております性と健康の相談センター事業の内数として、HTLV-1等母子感染対策加算というのを自治体に対してお示ししておりまして、こういった加算で自治体においての取組を母子保健課として進めておりますところでございます。
 次のページをお願いいたします。
○こども家庭庁 次は、こども家庭庁におけるプレコンセプションケアの取組をお話しさせていただきます。
 まず、プレコンセプションケアの背景についてなのですけれども、2024年の骨太の方針に相談支援等を受けられるケア体制の構築等プレコンセプションケアについて5か年戦略を策定した上で着実に推進するというところが盛り込まれました。
 その上で、プレコンセプションケアに関する検討会を立ち上げて、令和7年の5月に「プレコンセプションケア推進5か年計画」を策定いたしまして、それに沿った取組を進めているところであります。
 同検討会において、左側の囲みにありますように、プレコンセプションケアは、1番のところにありますように、性別を問わず、適切な時期に、性や健康に関する正しい知識を持ち、妊娠・出産を含めたライフデザイン(将来設計)や将来を考えて健康管理を行う概念としたところです。
 それらの概念を若い世代に知っていただきたい、あるいは2番、3番にありますように、相談する窓口についてもさらに充実させたいというところで、右側にありますように今後5年間の集中的な取組を今進めているところであります。
 具体的には、赤い枠にありますようにSNSやウェブサイトを活用した積極的な情報発信ですとか、あとはプレコンセプションケアの普及に係る人材(プレコンサポーター)の育成を11月からスタートさせているところです。プレコンサポーターについては、希望する方が誰でもなれるというところ、あとは相談支援あるいは講演会の講師等になっていただくための専門職の2つの講座に分けて実施しているところであります。そういったところで、プレコンセプションケアの認知度80%、プレコンサポーターに関して5万人以上を5年後に養成するというところを目標に掲げているところであります。
 また、プレコンセプションケアに関する相談窓口について、現状、自治体の保健所にあるようなイメージなのですけれども、性と健康の相談センターというものを立ち上げてプレコンセプションケアに関する相談に乗っていただいているのですが、まだまだ知られていないというところがあります。なので、そうした窓口がありますよという認知度を広めていきたいというところと、あとは、より当事者が相談しやすいような夜間休日の対応だったり、オンライン相談だったり、あるいは身近な医療機関で相談できるような体制を今整備しているところであります。
 さらに、専門相談に関しては、どちらかというと基礎疾患を有する方に関する支援ですけれども、そういった方々に対してもどこかの医療機関で妊娠に関して相談できるような窓口を全国に展開していきたいと考えております。
 次のスライドをお願いします。
 今回は普及啓発というところなのでお知らせをさせていただくのですけれども、昨年の9月に「はじめよう プレコンセプションケア」というサイトを立ち上げております。若い世代の当事者の方々に伝わりやすいような記事づくりを心がけておりまして、記事だけでなくて、漫画とかQ&Aやショートドラマなどのコンテンツを作成しているところであります。そういった中に性感染症関連のコンテンツ、ウェブ記事でしたり、あとは漫画でそういったところをお伝えするというような取組を進めているところであります。なので、そうしたところを厚生労働省さんと連携しながら、引き続きそういったところを啓発していければと考えております。
 こども家庭庁からは以上です。
○渡邉座長 どうもありがとうございました。
 それでは、ここで御質問、御意見等を受けたいと思いますが、まず順番として、最初に資料1-1に関連した部分で御質問とか御意見とか。
 石渡先生。
○石渡構成員 日本産婦人科医会の石渡でございます。どうもありがとうございました。
 6ページ目のところなのですけれども、垂直感染のことについて母子感染と書かれて、あと、母乳感染のことが書いてあります。ほかにも垂直感染の経路としては、例えば経胎盤感染とかそういうことも考えられると思うのですけれども、完全人工栄養を行った場合は3~6%程度まで減少すると報告されていますが、この垂直感染の中に胎内感染、経胎盤感染とか、そういうのはいかがなものでしょうか。教えていただければありがたいです。
○渡邉座長 私のほうから。私の理解している範囲でございますが、完全に母乳を遮断した場合の母子感染の頻度は3%前後であると理解しております。6%前後というデータを詳しくは知らないのですが、3%前後と理解されていて、経路についてはいまだ明確にはなっていないと理解しております。ただ、経胎盤であろうということで様々な研究が進められていると理解しております。
 では、岩本先生。
○岩本構成員 岩本です。
 多くの方が気づいたと思いますが、やはり指摘させて頂きます。資料1-1の御説明のときに「すが」首相とおっしゃったのですけれども、菅首相は令和の年号を披露した首相であって、この場合の首相は「かん」首相だと思います。指摘だけさせていただきます。
 それからもう一点、水平感染、垂直感染という捉え方がされていますが、「水平感染」が性感染症を指すのだと思います。最近の妊婦健診などのデータを伺うと、経産婦における陽転の増加というのがかなり多い、と伺って大変驚いています。今日、そういう議論をなされるのかどうか教えてください。後で議論されるのであれば、ここでは申し上げません。よろしくお願いします。
○渡邉座長 その辺のところは、後で資料5のところといいますか、5番目のところですかね。その辺で少し皆様の御意見を紹介したりしながら議論できたらと思っております。
○岩本構成員 了解しました。
○小谷エイズ対策推進室長 岩本構成員、すみません。私が名前を読み間違えました。理解しております。大変失礼いたしました。
○渡邉座長 それでは、齋藤先生、お願いいたします。
○齋藤構成員 先ほどの石渡先生の御質問ですけれども、全例臍帯血で検査をしておりませんので、本当に経胎盤感染かどうかというのは分かりません。私がかなり前、20年ぐらい、30年ぐらい前かな。全例臍帯血をして、2~3%に臍帯血でPCRで陽性になるケースがありました。3例はその後継続的に陽性だったので、恐らくこれは経胎盤感染だと言えるのですが、ただ、長崎大学からもその後データが出てきまして、臍帯血で陽性なのだけれども、途中で消えてしまう症例もあるので、必ずしも臍帯血が陽性だからといって経胎盤感染とは言えないというようなデータも出てきております。したがいまして、恐らく経胎盤感染はあるのだけれども、臍帯血で陽性イコール経胎盤感染でもないということもありますので、ここをイコールとするのはなかなか難しいのではないかなと思っています。ちょっと慎重な言い回しが必要なのではないかなと考えています。
 今、森内先生が入られたので、その辺り、長崎のデータも含めて御解説いただければと思います。
○渡邉座長 ありがとうございました。
 それでは、森内先生のほうから御発言をいただけますでしょうか。
○森内構成員 その点を発言するつもりはなかったのですけれども、齋藤先生がおっしゃられましたように、臍帯血陽性でその後消えたというのは随分前に片峰先生たちが御報告されていることではありますので、その辺りは新しいデータがまた出てきたところで検討すべきかなと思います。
 先ほどの3~6%のところですけれども、これは私ではなくて内丸先生のほうからお話していただいたほうがいいのかなとも思ったのですが、板橋班での研究では完全人工栄養で6%くらい、そして、90日未満の短期母乳で3%ぐらいだったという数字が出ていたので、そこから3~6%というのを出したのだと思います。その研究では完全人工栄養のほうがむしろ母子感染率は高かったのですけれども、ただ、95%信頼区間ががっぷりかぶっている。要するに統計学的な有意性はないというデータですので、そういったふうなものだと思います。
 私のほうで一応確認しようと思ったのは、9ページでe-learningの話が出ていたのですけれども、これは誰が対象なのかというのがよく分からなくて。先ほどの資料1-2のこども家庭庁のほうでは、プレコンセプションに関するようなことを一般の人にアピールするために、ショートビデオや漫画みたいなものを使ってというお話があって、確かに若い人にはそういったものを使わないと、長々とした講義みたいなe-learningなんて出しても意味がないです。これはプロの人たちを相手にしたものなのか、それとも一般の人への啓発も含めたe-learningなのか、それだけ確認しようかと思いました。
 以上です。
○渡邉座長 それでは、これについては厚生労働省の方に御確認をお願いしたいのですけれども、我々はほっとらいぶというサイトをつくる際に、ここにも図が引用されていますけれども、いろいろなレベルのニーズを考えて、それぞれに対応するルートを基本にして厚生労働省の私の研究班ではシステムを構築いたしました。ですから、そことこのe-learningとがどういう対応になっているのか御説明をいただければ。
○小谷エイズ対策推進室長 ありがとうございます。
 ここでいうほっとらいぶにおけるe-learningコンテンツなのですけれども、こちらは特定の層というものではなく、幅広い方々に見ていただくことを想定しております。ですので、いわゆる患者様だけではなく、医療従事者とかを含めてといったところの方々に見ていただけるような形になっているものだと認識しております。
○渡邉座長 補足ですが、8ページに書いてあるのが私どもの研究班でほっとらいぶを構築したときの基本的なコンセプトでございますので、参考にしていただければと思います。
 それでは、内丸先生のほうから御発言いただけますか。
○内丸参考人 森内先生から名前が出たので一言だけコメントで、6という数字の根拠はそのとおりだろうと私も思います。板橋班のデータでは完全人工で6だったと。多分それが根拠だろうと。森内先生がおっしゃったとおりだと思いますというのがコメントです。
○渡邉座長 ありがとうございました。
 板橋先生をはじめ、内丸先生たちは大変御尽力いただいたのですけれども、やはり疫学的なデータとしては数が足りなくて、少しパワーが弱かったというのが私の理解ではありますが、一応きちんと論文化されておりまして、こういう数字が出ているというのは確かにそうだったと私ももう一度思い出しました。ありがとうございます。
 今、差し当たり御質問がないようですので、こども家庭庁の発表に関しましては何かございますでしょうか。
 まず森内先生が手を挙げておられるということで、挙手のマークを挙げていますね。森内先生、それから石渡先生という順番で参りたいと思います。
○森内構成員 先ほどの質問とかぶるのですけれども、関連してプレコンセプションケアに関することで、若い人たちに向けての啓発をショートビデオであったり、漫画であったりいろいろなものでされているということで、いい取組だと思います。ただ、私、不勉強で既にそういうのが上がっているということを知らなかったのですけれども、既にスタートしているのであれば、どのくらいの期間でどのくらい閲覧があったのか、そういう情報は御存じでしょうか。
○渡邉座長 いかがでしょうか。
○こども家庭庁 ありがとうございます。
 まだ十分に周知できていないところもあったので、そこまで十分な数値、広く進んでいるというところではないところではあるのですけれども、具体的な数値に関しては今持ち合わせていないというところであります。すみません。
 こちらに関してはいろいろできたばかりで、昨年9月から順次コンテンツを拡充していって、今、3月時点で大分仕上がってきているという段階なので、4月以降にどんどん積極的に周知をしていければとは考えております。すみません。現状はデータは持っていないというところが御回答にはなります。
○森内構成員 せっかくするのであれば、きちんと閲覧してもらえるようにしていかないといけません。例えば今YahooなどのAIとか、いろいろなところのAIとかでどういったものを根拠にしているかというと、YouTubeを一番根拠にしているとか。ですので、YouTubeの中で何か閲覧していると勝手にコマーシャルでこれが入ってくるぐらいの宣伝をしていくとだんだん引っかかってくるし、そこからさらに究めたい人にはもうちょっと詳しいところに誘導するというやり方もあると思うのです。つくりっ放して「なかなか(閲覧数が)上がらないね」ではやった意味があまりないので、どうすれば到達するのかということをきちんとフォローしていく必要があるかと思いました。
 以上です。
○こども家庭庁 ありがとうございます。
○渡邉座長 それでは、石渡先生、お願いいたします。
○石渡構成員 私の質問も、今、先生が言われたことと重複しているのです。
 私のもう一つの質問は、2ページ目に書かれているHTLV-1の母子感染対策協議会の設置で、36都道府県が今されているようですけれども、そのほかのここに書かれていない都道府県については、どのような対策といいますか協議会みたいなものがあるのかどうかということをお聞きしたいと思っているのです。
○渡邉座長 ありがとうございます。
 この点に関しまして、こども家庭庁のほうで何か情報はお持ちでしょうか。
○こども家庭庁 母子保健課でございます。
 御指摘の点につきまして、母子保健課調査で毎年状況を把握しているところではございます。都道府県によってはHTLV-1も含めた感染対策の協議会等を開催しているけれども、明示的にHTLV-1等母子感染対策協議会を設置していないという趣旨で回答いただいた可能性があると考えますが、HTLV-1等母子感染対策協議会を設置していない都道府県について、追加で詳細な調査をお伺いしておらず、詳細なデータとして持ち合わせているものはございません。我々としてもそういったところの状況について引き続き把握をするとともに、HTLV-1等母子感染対策加算を活用した都道府県の取組については推進しているところでございます。引き続き、各自治体への取組を推進してまいりたいと考えております。
○石渡構成員 ありがとうございます。
 キャリアの方が少ないからというわけではないのですよね。
○こども家庭庁 ありがとうございます。
 そういったところも含めて、現時点で詳細なところがデータとしては手元にないというところでございます。
○石渡構成員 分かりました。ありがとうございました。
○渡邉座長 それでは、そろそろ時間でございますので、次のところに参りたいと思います。
 次に、日本HTLV-1学会理事長の立場で、私から資料2の説明をさせていただきます。
 資料2は「HTLV-1に関する普及啓発事業について」ということでございます。
 先ほど既に小谷室長のほうからお話がありましたけれども、令和5年度から普及啓発に関しての予算をつけていただくことになりました。背景はここに書いてございますけれども、事業の目的としては、HTLV-1についてメディア等を活用した広報を実施し、感染予防を啓発するとともに、HTLV-1に関する理解の促進を図るということで、我々の学会に委託を受けました。
 体制整備ということで、事業の目的は今申し上げたとおりなのですが、事業の内容として、真ん中のところにありますように、HTLV-1に関する普及啓発ということで、皆様がHTLV-1を正しく理解できるように、インターネット、ポスター及びリーフレット等の媒体を用いて、HTLV-1の概要、検査・予防法等の啓発を行う。
 それから、講習会の開催ということで、内容的にはHTLV-1感染の診断、治療、相談を行う医師や保健所職員に対して、HTLV-1の専門性を向上させ、医療の均てん化を図るための講習会を開催する。原則としてオンラインである。
 それから、相談体制の整備ということで、相談体制を整備するということを進めております。
 それで、こういうようなことが事業の目的でございましたので、HTLV-1学会のほうでHTLV-1に関する普及啓発事業運営委員会を立ち上げまして対応させていただきました。
 大きく取組の項目については次のページにまとめてございますけれども、まずは、厚労省の研究班で作成いたしましたHTLV-1情報ポータルサイトほっとらいぶの維持管理。
 それから、研修会・講習会が日本各地で開催されておりますが、そういったものを遠隔配信して皆様が視聴できるようにするということを考えております。
 それから、独自にe-learningコンテンツを作成し、配信をする。これはターゲットを割と明確にして作成しております。例えば医療従事者とかそういった形で作っております。
 それから、各種医療従事者、関連学会・医師会などへの啓発活動を進めることとなっております。
 あとは、HTLV-1の相談体制の整備ということを進めておりますが、先ほどの厚生労働省の資料の8ページにありましたように、様々なレベルの需要といいますかニーズがございますので、それぞれに対応した形で対応できるようにということで進めております。
 その次はポータルサイトの説明になっておりますけれども、相談対応の枠組みとか情報提供の枠組みとか分かりやすく表示しております。
 それから、その次のページが先ほど説明いたしました遠隔配信の紹介、それから、e-learningコンテンツを作って配っているというところでございます。
 それから、実際に全国の研修会・講習会の遠隔配信をさせていただいております。実績としてはこのようなものになっているということでございます。
 それから、各種医療関係者への働きかけということで、実際には我々が改訂した冊子の配布とか、それから、医師会向けの普及啓発のフライヤーを配布するというような取組を行っております。
 それから、HTLV-1の相談体制の整備ということで、これは厚生労働省と相談いたしまして、2017年から相談を始めまして、HTLV-1学会で独自に登録医療機関という制度を設けまして、このような形で全国の病院の指定をしております。つまり、実際に相談支援を行うということと、それから、地域への対応、実際にそういったことの実績を学会に報告していただいて、厚生労働省と実績を共有するという形で進めております。
 運営委員会のほうで応募してきた医療機関の審査を行って、承認して増やしてきているという形でございます。最初は6施設からスタートして、現在は22施設まで拡大されたということになっております。
 それから、まとめですけれども、普及啓発事業における課題というところをまとめてございますが、現在こういう取組がありますよということが左の上にありますが、今後の課題としては、結局、ポータルサイトを維持管理していくためには、実は見えないところでかなりの日常的な労力が必要でございます。専門家の方々に様々な協力を得ながらやっているということで、それをきちんと維持していくのがなかなか大変であるということでございます。
 それから、研修会・9講習会の遠隔配信は、はっきり言いますと、実は費用がかなり高いのです。やはりそういう業者、専門の方にお願いをしなければいけないので、かなり費用がかかるというところが問題ではあろうかと思います。
 あと、e-learningのコンテンツは、やはり学会のそれぞれの専門の先生に個別にお願いしております。当然これは無償で行っていただいておりますが、作ったものの配信とかそういった手配にはコストがかかる。
 それから、私が問題意識を持っておりますのは、やはり我々がここにこういう情報があるから見てくださいではなくて、むしろ積極的にプッシュ型で情報を提供していく努力をしなければいけないと。私がこれを言い始めたのですが、残念なことにその辺の素養が全くないので、専門の方々にいろいろとアドバイスをいただきながら、SNS等を通じて情報を届けるような仕組みを考えていかなければいけないだろうと考えています。
 HTLV-1の相談体制の充実ということですが、これは先ほど紹介しましたHTLV-1学会の登録医療機関以外のコホート研究に参加している医療機関も相談対応の窓口としては適切で、全部で46施設になります。それに厚労省のアンケートを通じて対応してもらえる血液内科を全国でいろいろ調べまして、18施設増やして、今年度はトータルで64施設ぐらいがそういう相談対応ができるというところで、それを今ウェブサイト上でも紹介しているところでございます。これは、少しでもそういう相談対応ができる窓口を広げるという努力を我々がどちらかというと専門家の側からいろいろな形でしていくということでございます。
 もう一つ大事なことが、私どもは大事だと思っているのですが、なかなかうまくいっていないところが、遠隔診療のシステムを利用したどこからでも相談してもらえるような体制をつくってウェブサイトにも表示してあります。これは専門家が相談対応できるという形になっているのですが、一応受診勧奨という枠組みの中の遠隔診療になりますけれども、思ったほど需要がないということで、どうやってそれをうまく利用していくかが課題です。先ほどから申し上げましたように、全国各地にいろいろなところで感染者がいらっしゃるのですけれども、近所に専門家がいない、アクセスができないということが非常に多いと思うのです。それを乗り越える一つの大きな仕組みだろうと自負していたのですが、実際にやってみますとなかなか活用されないというところで、ここも先ほど申し上げましたように、まずいろいろなところにアピールして、こういうものがあるよということを広げていかなければいけないかなと考えている。それが今、私どもの考えている課題のまとめでございます。
 ということで、私の発表は以上でございます。
 どなたか御質問及びコメント等がございましたらお願いしたいと思います。
 では、特に御発言がないようですので、次の課題に移りたいと思います。
 座長の私、内丸参考人、相良参考人から資料3-1、3ー2、3-3の説明をしたいと思います。
 ここにありますように、3-1は感染と予防対策の現状を非常に簡便にまとめたもので、2番目は母子感染対策に関する話を内丸先生から、3番目が感染実態と啓発対策についてというのを相良先生からお願いいたします。
 私の資料のほうですが、簡便にまとめてございます。
 まず最初に、HTLV-1感染が世界でどうなっているか、日本ではどうなっているかということを示しております。いつも私の授業のときなどにも強調するのですが、HTLV-1というのは実は世界中にいる。つまり、どこかに偏って存在するものではなくて、新人類がアフリカから世界に広がったときに一緒に持って出たウイルスです。これがHIVと違う。人類と出会ってまだ50年しか付き合いのないHIVと、何万年、6万年と言われていますけれども、ずっと人類と一緒にいたウイルスであるという違いがございます。ただ、地域によって感染の頻度が大きく分かれたというのが現実です。
 あとは、全体の数はもちろん分かっておりません。ちゃんとした調査がないのですが、大体1500万とか2000万人の感染者がいると言われています。
 我が国の感染者数のこれまでの報告を右側に書いてありますが、1990年代では120万人ぐらい、人口の1%ぐらいと言われていたのが、20年後にはちょっと減っていたけれども、感染者の分布が少し変わったよという話がございます。
 あと、この後相良先生のお話があるかと思いますが、これが相良先生のデータですけれども、どんどん減ってはきているのですが、実は献血者の抗体陽性者の数から全体の数を推定する方法論に大きな限界が見えてきているというところでこういうデータを挙げております。これには実は、様々な理由があるのだと思います。この辺は相良先生のほうからお話をいただければと思っております。
 最後のページですけれども、HTLV-1感染と予防対策の現状とまとめを挙げてあります。
 母子感染予防に関しましては、妊婦健診で抗体陽性から授乳制限が一般的に行われるようになってきているというのが今の状況だと思います。断乳を勧める上で、母子感染対策マニュアルと断乳するためのマニュアルもできておりますので、非常にその辺は充実してきていて、実際に日本産婦人科医会のデータによると、年間50例以下、恐らく20例程度の母子感染の例しかなくなって、そこまで減ってきているというのが現状だと思います。
 感染者数と水平感染なのですけれども、性感染は予防対策が取られておりませんので、先ほど申しましたように感染実数がまだ正確に把握できないという大きな問題点がありますけれども、過小評価されてきていると我々は理解しております。
 水平感染は最新のデータ、これはまた相良先生の話の年間4000件以上はあるだろうという話になっていることはやはり理解しておく必要がある。
 それから、もう一つは、国際的にはHTLV-1というものは性感染症の一つであるというのがWHOの捉え方でございます。圧倒的にそういう形でWHOは対策に取り組んでいる。肝炎、エイズ、性感染の3つの柱で取り組んでおりますが、HTLV-1は性感染症の中に含まれているということが国際的な現状でございます。
 あと、実はHAMとかぶどう膜炎は水平感染から発症するという報告が以前からあったのですが、ATLも実はぽつぽつとそういう報告がありましたが、最近いろいろコホート研究のデータが整理されてきて、かなり明確に水平感染と思われるキャリアからのATLの発症がたくさんあるということが分かってきて、今、論文の投稿中であるというところでございます。
 私の発表はそこまででございます。
 では、全部まとめて質疑ということで、次に内丸先生のほうから母子感染に関する発表をお願いしたいと思います。
○内丸参考人 昭和医科大学の内丸でございます。
 「HTLV-1母子感染対策に関するこれまでの取組みと今後の展望」ということで、簡単にサマライズするようにと御指導いただいておりますので、以降御紹介をいたします。
 次のスライドをお願いいたします。
 これは先ほども御紹介がありました総合対策でございます。こちらのほうで赤枠をつけておりますが、重点施策のところで全国的な妊婦の抗体検査、保健指導というようなことが挙げられておりまして、総合対策の枠組みということでいうと、ここからがスタートラインということになります。
 次のスライドをお願いいたします。
 これは総合対策が始まった当時のHTLV-1キャリアマザーに対する授乳の指導方針ということで、こちらは2009年ですかね。本日も御出席していらっしゃいますけれども、齋藤滋先生の特別研究でもって医師向け手引きが発出されております。こちらのほうでは、確認検査を行った後、赤枠で示したところでございますけれども、完全人工乳、短期母乳栄養、凍結母乳、3つの方法を一応並列的に提示し、それぞれについての御説明をした上で妊婦に選んでもらうというのがこの当時の医師向けの手引きの方向性、方針でございました。
 次のスライドをお願いいたします。
 このときに問題になりましたのが、同報告書にもデータが上げられておりますけれども、短期母乳とか凍結解凍母乳に関しては、調査対象といいますか、データとして集められたnが少ないということで、十分な根拠をもって短期母乳が人工栄養と差がないと言うために多数例での検証をすることが必要と考えられて、2011年から当時昭和大学の小児科の教授でした板橋先生を代表とするコホート研究が開始されております。
 次のスライドをお願いいたします。
 このコホート研究の途中、2019年度まで行われたわけですけれども、2017年の段階で短期母乳が果たして完全人工栄養と感染率について差がないかということを現在コホート研究で検証中というような状況で、短期母乳も選択肢として並列してあげるのはいかがなものかという議論が出てまいりまして、板橋班のほうから、一応私はこれは第1版と位置づけておりますが、HTLV-1母子感染予防対策マニュアルが発出されております。
 この中で下のほうでございます。赤線でアンダーラインを引いておりますけれども、経母乳感染を完全に予防するために母乳を遮断する必要があるということで、原則として完全人工栄養を勧めるという記載になってございます。
 次のスライドをお願いいたします。
 これとちょうど軌を一にして、2017年、日本産科婦人科学会の診療ガイドの改定の年でございましたので、HTLV-1抗体陽性の妊婦に対する授乳指導について、5番のところ、赤枠で囲ったところでございますけれども、人工栄養、凍結母乳、短期母乳、3つ並べてあげてあるのですけれども、人工栄養のところに推奨というのが入ったと。ちなみに、この前の版が2014年版ですけれども、この版では人工栄養のところは推奨が入っていなかった。17年版から推奨が入り、その次の改訂の2020年版ではほかの2つが落ちて、母子感染予防の観点から完全人工栄養を推奨するというのがガイドラインのアンサーになったわけでございます。
 次のスライドをお願いいたします。
 その後、2019年度をもって9年間の板橋班のコホート研究の成果、結果が出ました。完全人工栄養が、先ほど示したようなデータであったり、理論的にも当然ながら最も確実な方法である。ここは変わらないわけですけれども、小さくて申し訳ございません。左下のほう、板橋班のコホートのデータで完全人工栄養で6.4、これがさっき話題になった6という数字だと思いますけれども、短期母乳栄養に比べて、これはやや統計学的にパワーが弱いところはあるのですけれども、一応信頼区間がかぶるということで、3か月以内、90日以下の短期母乳栄養は完全人工栄養と感染率に明らかな差はないというエビデンスとして出されたわけであります。
 板橋班の研究データでもう一つ重要であったのは、短期母乳を選択したお母さんが実際に3か月でやめられているかということでございますけれども、短期母乳を選択したお母さんの中でも7.8%は6か月たってもまだ母乳をあげていた。推定では恐らく3か月の時点では20~30%ぐらいのお母さんが結果的には3か月以内での人工栄養への移行に失敗していることが推定されるという重要なメッセージが出てまいりました。
 次のスライドをお願いいたします。
 これらの板橋班の研究成果を踏まえて、2020年度から厚労科研の内丸班が板橋班の後継として立ち上がりましたけれども、この研究班で母子感染予防対策マニュアルの改訂に取り組みました。
 次のスライドをお願いします。
 この改訂版のマニュアルの骨子でございますけれども、真ん中の辺りに書いてございます。先ほど申し上げましたように、理論的にもエビデンス的にも最も確実なのは完全人工栄養であるということは変わらないわけであります。
 ただ、板橋班のデータで、90日未満の授乳であれば感染リスクに統計学的な差はないというデータが示されたことを踏まえて、上の枠の中でございますけれども、母乳を介した、感染予防という観点だけではなくて、授乳ということの妊娠・出産・育児における観点からのメリットについても十分お母さんに御説明した上で、共有意思決定支援を行うというようなことをこのマニュアルでは記載してございます。
 一方で、先ほどの板橋班のデータにございましたように、短期授乳を選択していても、適切な支援がなければかなり失敗するリスクがあるということがございますので、このマニュアルの中でも、短期授乳を選択肢に挙げるためには、支援体制が整備されて、その支援が受けられるということを必須条件として選択肢に挙げる。ただ単に選択肢に挙げればいいというものではないということが明記されてございます。
 次のスライドをお願いいたします。
 それでは、実際に現状で短期授乳はどうなっているかというようなことでございます。これは左上のほうでございますけれども、日本産婦人科医会が3年に1回、ここのところAMEDの関係で毎年になっていますけれども、行われている調査で、上のところでございます。短期母乳栄養ですが、今回2023年度の調査では13.7%、大体1割から2割ぐらいのお母さんが現状でもまだ短期授乳を選択しておられる。
 一方で、お母さん方が授乳に関してどう考えているかということを調査したのが右の上でございます。これは各対策協議会で毎回のように御紹介しているキャリねっとというキャリア登録ウェブサイトに登録されている経産婦のキャリアの方を対象にした調査でございますけれども、もし3か月以下の授乳であれば感染率が変わらないのであればおっぱいをあげたいですかということをお尋ねしております。
 これはお母さんの気持ちだなと思うのですけれども、たとえ感染率が変わらなくても、少しでもリスクがあることはしたくないということで、半数のお母さんはそれでも完全人工栄養とおっしゃっているのです。一方で、40%のお母さんがもし感染率に差がないようであれば3か月以下の母乳保育をしたいと。一定の割合のお母さんはやはり違いがないのであればやりたいという希望を述べておられます。
 現状でそういったお母さんたちに対する授乳の支援が適切に行われているかということをキャリねっとの登録者を対象にして調査した結果が左下でございます。ちょっと小さくて恐縮ですけれども、2番目のカラム、1~3と書いてあるところ、短期授乳を選んだお母さんを対象として、分娩後1~3か月に授乳支援が得られたかという質問に対して、3分の2のお母さんがなかったとお答えになっております。そのなかったと答えたお母さんを対象にして、必要であった、あるいは希望したというお母さんが大体6割ぐらいという状況で、現状ではそういった支援体制が、必ずしもといいますか、十分ではないと言わざるを得ないというデータでございます。
 次のスライドをお願いいたします。
 こういった状況を踏まえて、あるいはお母さん方の考え方、板橋班の研究成果を反映するならば、やはり短期授乳を希望するお母さんに対しては、それが完全人工栄養に適切に移行できるような支援体制の構築が急がれるところであると考えます。
 一方で、決して経験が多い地域、施設が多いわけでもございませんので、どうやって支援していいのか分からないというところ、医療機関においてもしかり、保健センター等の行政においてもしかりという状況かと思われますので、具体的にどのようなタイミングでどのような支援が短期授乳を選択する上では必要なのですよというようなことをやはり具体的に提言する必要があるだろうということで、2020年からの現行のこども家庭庁の内丸班でこういった人工乳移行マニュアルというのを作成いたしました。現在、原稿が完成して、各関連学会に御共有いただいてパブコメを取っているところでございまして、今月中にはパブコメが終わって最終版として発出できる予定でございます。
 次のスライドをお願いいたします。
 こういった変遷を経て精力的に取り組まれてきた母子感染予防対策でございますけれども、その結果、真ん中の下のほうでございます。2022年度の日本産婦人科医会の調査では、確定したキャリア妊婦数の推計が522人と10年前と比べてかなり減ってきておりますし、完全人工乳なり短期も含めてですけれども、もし適切な対応が取られると、感染率3%と仮定すると、実は15人しかいないという形になりまして、母子感染予防という点ではかなりの効果を上げてきているのではないかと考えられます。
 一方で、次のスライドをお願いします。
 そういった意味からいうと、先ほど来議論に出ておりますけれども、もう一つの感染ルートでは水平感染をどうするかということがクローズアップされてきているわけでございまして、その点が妊婦健診のデータにも影を落としてきている。
 これは2023年だったと思いますけれども、日本産婦人科医会の調査で、抗体陽性であった2回目以降の妊婦さんが前回抗体が陽性であったかということを調べた調査でございますけれども、2回目以降で抗体陽性だった妊婦さんのうちの実に16.3%は前回陰性だった。つまり、この間に水平感染しているということが明らかになっております。
 こういった観点からも、母子感染対策を今後とも強力に推進するとともに、水平感染に対する取組をいかにするかというようなことが今後重要になってくると考えられます。
 私からは以上でございます。
○渡邉座長 どうもありがとうございました。
 それでは、引き続き相良先生の御発表を伺った後で、まとめて質疑をさせていただきたいと思います。
 相良先生、よろしくお願いいたします。
○相良参考人 よろしくお願いします。日赤の相良です。
 次のページをお願いします。
 HTLV-1の抗体検査というものは、今、悉皆調査としては献血者と妊婦さんという2つの集団で行われているところであります。
 そこで、その検査がどのように奏効しているかというのを示したのが左側のグラフになります。
 左の上は献血者の陽性率ですけれども、検査が始まる前の1984年、そして、直近の2022年を比べますと、陽性率が96%減少しています。
 左の下は先行して妊婦健診を始めておられた長崎県のHTLV-1の抗体陽性率の推移を示しております。長崎県でAPP(ATL Prevention Program)を始められた1987年の陽性率から直近の2024年の陽性率までの推移を見ますと、40年間で93%の陽性率の減少が見られます。
 このように、検査をして適切な介入をするということで陽性率は確実に下げられる。すなわち、HTLV-1の感染というのは予防可能なものであるということがお分かりいただけると思います。
 では、それがどのように関連疾患の患者の減少、国民のQOLの向上、医療費の抑制につながるかということを次のページでお示しします。
 次のページをお願いします。
 これは小和田先生の研究ですけれども、費用対効果の分析ということで、ここではQOL、健康状態から死亡までの間の値に生存年を掛け合わせた質調整生存年QALYという数字を用いて奏功性を見ております。
 2011年から2021年までの間に生まれた1000万人余の方を対象として、生涯にわたってHTLV-1のスクリーニングが行われなかった場合と比較をしたときには、QALYは1万9586増加し、平均余命としては631の増加が見込まれるということ、さらに、予防された死亡数としては、ここに挙げておりますものの合計で13万3000人という数字が得られております。また、治療費の概算としては800億円弱の予防効果があったということがこの論文で示されております。
 次のページをお願いします。
 一方で、水平感染というものがどのような状態かということで、直近の第3次コホートを見てみますと、九州、沖縄というところが常々エンデミックエリアだと言われてまいりましたけれども、それに対して東京や大阪といったところでの水平感染者数というものが大きな数字として上がってきております。大都市圏での水平感染者数の著増というものが継続しているということがお分かりいただけるかと思います。
 また、左下の男性、女性の数字ですけれども、これは第1次コホートから第3次コホートまでを比べたもので、第1次コホートのときの人口補正をしてみますと、第3次コホートの水平感染の発生状況というのが男性では1.94倍、女性では1.85倍に増加しております。特に第1子妊娠出産年齢に当たる30~34歳の女性では3.55倍と著増していることが分かりました。
 しかしながら、先ほど渡邉先生からも言及されておりましたが、献血者集団というのは一般を反映する集団ではございません。ここで示した水平感染者数というのは真値よりもかなり少ないと考えられます。
 次のスライドをお願いします。
 なぜ水平感染が問題かということについて少しここで話したいと思います。
 HTLV-1の関連疾患として、一番左のATL、真ん中のHAM、そして、一番右のHU(ぶどう膜炎)というものが主な疾患として知られております。
 一番左のATLですけれども、上側については御自分のお母さんやきょうだいはHTLV-1陰性の40歳の男性がATLを発症しております。奥さんとそのお母さんがHTLV-1陽性ということで、水平感染によるATLの発症が報告された第1例だと認識しています。
 また、その下は43歳の白人男性ですけれども、カメルーン出身のパートナーからアフリカ型のHTLV-1に感染し、それによってATLを発症したということが報告されています。
 どちらもATLの発症年齢中央値が60代から70代と言われている中で、40歳、43歳と早期発症が見られております。
 また、真ん中のHAMについては、イギリスに在住していたときには検査で陰性だった方が、スペインに移住される際に新しいHTLV-1陽性のパートナーを得られて5か月後にHAMを発症、さらにその5か月後には車椅子が必要になるといったように非常に早期の発症、そして、急な進展が報告されております。
 また、一番右側のぶどう膜炎についても、18歳の女性の方なのですけれども、お母さんや妹さんはHTLV-1陰性、御本人も手術歴や輸血歴がないという中でHTLV-1陽性となってぶどう膜炎を発症され、再発を繰り返し重篤化されるということで、水平感染で関連疾患を発症した患者さんは非常に早期に発症し、重篤化が早いということが分かってまいりました。
 次のスライドをお願いします。
 諸外国では、感染予防対策として、例えば左側、ブラジルですけれども、政府主導で感染対策を実施されており、こちらでは階層的な支援体制というものがつくられております。
 右側のイギリスでは全国のHTLV-1感染者の登録事業というものが行われており、感染者について、関連疾患発症の兆候、それから、症状について調査をするというフォローアップ体制が整えられております。
 次のスライドをお願いします。
 日本においてHTLV-1に関する啓発を行うべき集団としては、医療従事者、青少年・若年成人、一般の方々が考えられ、下に示しておりますような資料やツールを使った啓発が必要かと思います。
 次のページをお願いします。
 そして、このようなところが至急な対応が必要であり、既に行われております研修会やガイドライン、e-learningといった構築済みのものでも浸透を図るべきであり、それ以外の資材についても可及的速やかな構築と共有が必要かと考えます。
 次のスライドをお願いします。
 日本で実施すべき感染予防対策としては、国、政府主導で正確な疫学調査ができる検査体制を整え、適切な集団に資源を優先的に投資し、STIの枠組みに整備された動線に沿って、検査開始前の善意の血液製剤、お子さんの成長を願った授乳、長期のパートナー関係など様々な経路からのHTLV-1感染というものを正しく理解していただくことが重要だと思います。
 また、お子さんのために断乳という決断をされたお母様方の深い覚悟と愛情にも賞賛を示しつつ、啓発によりこれらの正確な知識を広めることによって、当事者支援としてスティグマの緩和を進めつつ、SDGsの目標の一つでもありますUniversal Health Coverageということで、皆さんに支払い可能な費用で受けられる体制をつくり、感染予防や関連疾患治療というものを両輪とした対策を構築していく必要があると認識しております。
 私からは以上です。
○渡邉座長 どうもありがとうございました。
 それでは、私から始まって3人の発表がございましたので、それに関連した御質問を順番に受けていきたいと思います。御質問、コメントはございますでしょうか。
 菅付さん、どうぞ。
○菅付構成員 相良先生のお話をお聞きして、本当に緊急性を感じました。
 また、内丸先生のお話を聞いて、母子感染予防対策が進んでいるということ、成果を上げているということも分かりました。
 そして、渡邉先生のお話の中でこれだけは何とか解決させてほしいということがあります。それは、キャリア数がこの30年間の間に120万人から60万人に減ったとです。これが厚労省HPでも記載されているということが、信じられない数字だと思うのです。なぜかというと、30年前に40歳だった人は70歳で、亡くなっていないと半数に減っていかない数字です。日本の平均寿命からしてもキャリアはキャリアのままで生存しているはずなのにです。
 私のスマイルリボンの場合ですが、患者とキャリアの方が会員になっているのですけれども、その方たちに聞き取り調査をして、自分の家族はキャリアとして検査をしましたかという質問をしました。すると、男性の配偶者の方とかは特に、そういうのは俺には関係ないって受けられない方とか、それから、すごく心配症な御家族の方は検査をしていないとか、目に見えない、ざるのようなキャリア数が浮き彫りになりました。この辺をきちんと把握していただいて、それに対しての啓発事業とか対応策を考えるべきではないかなと。だから、もう少し正確な数字を発表していただきたいと思います。これをクエスチョンのままでずっと半分になったということで、この対策がどんどん衰退していくことをとても危惧しています。
 以上です。
○渡邉座長 ありがとうございます。
 我が国における感染者数の実態が非常に把握しにくくなってきているということは、先ほどの相良先生の御発表の中にもございましたけれども、非常に大きな問題で、何らかの形で感染実態を把握する仕掛けが必要であると我々も思っております。
 ただ、妊婦健診のデータ等で見ますと、やはり若年者の感染者数というのは明らかに減少しているという傾向は妊婦健診のデータでは見えます。そういったことはありますけれども、やはり全体像を把握する仕掛けが本当は望ましいなと私自身も考えております。
 それ以外の先生方で御発言等はございますでしょうか。
 石渡先生、どうぞ。
○石渡構成員 内丸先生、相良先生、どうもありがとうございます。
 やはり母子感染予防で、90日以内の短期で母乳をやめるという方、これは20~30%ぐらいの方がきちんとそれができずに、その後も母乳栄養をしているというところに一番問題があるのではないかと思うのです。こういうキャリアでない方の場合には、母乳栄養はむしろ推奨されているわけなので、特にお姑さんとか母親のほうから何で母乳をあげないのとかそういうようなプレッシャーがかかってくると、なかなか短期でやめるということは難しいような環境にもあるのではないかと思って、そういう意味においても、心理的なサポートというのが今後とも必要ではないかというような印象を受けました。
 それで、こういう母乳ケア等の費用を補助するための体制整備なのですけれども、これについてはかなり補助金的な支援があるのでしょうか。
○渡邉座長 これに関しまして、こども家庭庁のほうではいかがでしょうか。こども家庭庁の方のほうからコメントをいただけますでしょうか。
○石渡構成員 例えばミルクに移行するという場合も、ミルク代は結構かかりますよね。そういうときのサポートというのは、実際はあるのでしょうか。
○こども家庭庁 母子保健課でございます。
 いただいた御指摘の点については、当課として想定される事業はございません。確認の上で、後日御回答させていただけますと幸いです。
○渡邉座長 分かりました。では、また後日お願いいたします。
 では、森内先生のほうから御質問かコメントを。
○森内構成員 その前に、多分今の件に関しては内丸先生のほうからお答えがあると思います。
○渡邉座長 では、内丸先生から。
○内丸参考人 そのつもりで私は手を挙げましたので、森内先生、別であったらこの後にお願いします。
 少なくとも私が把握している、石渡先生が御指摘になったミルクの補助とか、そういったことも必要ですけれども、何より必要なのはまず授乳に関する支援です。例えば乳房ケアであったり、これは主に助産師がほぼ担っているというのが医会の調査でも結果が出ているわけですけれども、そういった助産師のケアに関しては多分保険点数はついていないです。そういった意味での制度的なサポートというのがない。お母さんによっては自費で助産院でそういった指導を受けたお母さんもいらっしゃる。
 私が申し上げた、あるいは今作っているマニュアルも、具体的にどんな支援が必要なのかと提示することによって、それに対する支援体制を医療機関だけではなくて行政のほうでも考えていただきたいということで、必要な支援がこれであるということを具体的に提示したというのが今回の、したがって、私は提言という言葉を使っておりますけれども、というのが現状になろうかと思います。
 森内先生、すみませんでした。
○渡邉座長 内丸先生、ありがとうございました。
 それでは、森内先生のほうから。
○森内構成員 ちょっと補足ですけれども、ミルク代に関しては菅付構成員もおられますので、鹿児島の事例を教えていただければと思います。私が振るのも変なのですけれども、もしこの点について情報提供をいただけましたら。私の理解では、鹿児島のほうでは少しミルク代の助成とかが行われているのですよね。
○菅付構成員 鹿児島県のHTLV-1母子感染対策としてのミルク支給事業は、2018年鹿児島市で「未来を守るミルク支給事業」としてスタートしました。その後、県全体としても本格的に実施されるようになりました。
 キャリアママの多いところと少ないところとそのサポートの格差が大きいので、例えば長崎県ではどうなっているのでしょうか。森内先生、私は長崎県のことが知りたいです。
○森内構成員 長崎県は、例えば昨年のデータですと、キャリアの妊婦さんは十数人まで減っていって、しかも、長崎は昔から産科の先生方は完全人工栄養ということを強く主張しておられるので、ただ、里帰り分娩とかいろいろなところで既に長崎で出産されるときにもう短期母乳と決められる方も若干おられはします。けれども、相当数キャリアの妊婦が減ったということと、さらには完全人工栄養でしっかりとやっていくのだという意向が強いものですので、あまりミルク代の補助というところには強く訴えていないですね。私も提言したことはありますけれども、産婦人科の先生方はその辺りにはあまり熱心ではないという印象はあります。
○渡邉座長 ありがとうございます。
 それでは、そのほかの先生。
○森内構成員 すみません。1点だけよろしいですか。
○渡邉座長 どうぞ。
○森内構成員 水平感染は最後にまたディスカッションがあると思うので、そのときにと思うのですけれども、1つだけ、相良先生の資料の2枚目で、左下の長崎県の妊婦のデータのところで、誤解があったらいけないので補足です。長崎県は1987年から妊婦さんの抗体検査をして母子感染の防止ということに取り組んでいますけれども、ただ、ここで1987年からいきなりどどっと減っていますけれども、これは私たちの長崎県における母子感染防止のためのプロジェクトの影響ではないです。これは妊婦さんの陽性率ですから、それが急に減るわけはありません。その影響はそれ以降に生まれてきた子供たちのところで初めて出てくるわけです。
 実際に妊婦さんたちの出生コホートということで見ていくと、まさにこの1980年代から90年代にかけての妊婦さんたち、1960年代に生まれた人たちというのは、日本全国において母乳哺育率がすごく低いのです。その頃の社会のトレンドだったと思うのですけれども、その頃生まれた多くの人はもともとが完全人工栄養になるような世代だったので、いきなりそこでぐぐっと減ってきたという効果を見ているということになります。ですので、ここのデータは、その辺を読み違えると過大評価しているみたいになります。実は本当に母乳推進の人たちなどから「お前たちの根拠は全くうそではないか」ということでよくたたかれるところなので、そこはやはりきちんと説明しておいたほうがいいかなと思って、一言余計なことを言わせていただきました。
 以上です。
○渡邉座長 森内先生、どうもありがとうございました。私も非常に得心がいく御説明でございました。
 それでは、ほかに御質問の方はいらっしゃらないようですので、次の議題に移らせていただきます。
 次に、患者会の活動報告として、片山構成員と菅付構成員より資料4-1、4-2について御説明をいただきたいと思います。
 それでは、まず片山構成員、よろしくお願いいたします。
○片山構成員 よろしくお願いいたします。
 それでは、私のほうからアトムの会の説明をさせていただきます。
 2枚目をよろしくお願いします。
 まず、患者会活動の変化と治療の停滞ということで、コロナ前は毎年全国大会を各地区で行っていまして、支部ごとの患者・医師による集会を行っておりました。コロナ後は支部の休止などで活動が縮小されております。
 現在、若い患者の方はネット情報で完結して入会しない傾向があります。電話相談は増えているが、会員は増えておりません。今、研究はいろいろやっていただいているのですけれども、治療薬はまだ依然として生まれていないという状況でございます。
 26年、27年で死亡・施設入所・連絡不明となった会員が多数ということで、ここ直近2年ですけれども、死亡の方7名を含めて、25名が減少という形になっております。
 患者の数ですけれども、当初の2分の1に減少ということで、会員は2016年に330名いたのですけれども、この直近2026年ですと162名ということで、10年間で168名減少しているという形になっております。もちろんこの辺の原因は高齢化ですとか病気進行による在宅生活の限界ということで、患者の減少ではなく、いろいろと耐えられなくなっているというのが原因だと思っています。今、先生方が研究をいろいろやっていただいているのですけれども、我々患者会が必要としているのは治療薬ということになります。
 次のページをお願いします。
 今、HAMは進行して希望が持てないということで、HAMは進行性で根本治療が現在は存在しない。現在の治療は対症療法のみであります。いつ自分がなって、もう間に合わないのではないかというような絶望感が広がっています。
 私ども、最後のHAM患者としての訴えなのですけれども、HAMという過酷な病気がありますということと、HAMからATLを発症する方がやはり何%かおられるということで、この辺の恐怖を抱えている。原因であるHTLV-1をなくすことが唯一の我々の希望でありますということで、最後に書かせていただきましたけれども、私たちは治療を待ちながら人生を送っています。HAMの治療開発とHTLV-1根絶に向けて強力に取り組んでいただきたいと強く願っております。
 以上です。
○渡邉座長 ありがとうございました。
 それでは、引き続きまして、菅付さんのほうから御発表をお願いしたいと思います。
○菅付構成員 スマイルリボンの菅付加代子です。
 今日は、HTLV-1啓発を目的に、水平感染を防ぐために今できる具体的な提案として発表させていただきます。
 2枚目をお願いします。
 現状認識として、今日のお話にもあったように、母子感染対策は進展して既に一定の成果を上げています。しかし、成人後の感染が課題になっており、水平感染への対策が未着手であります。しかし、根本的な問題として、HTLV-1自体が社会に知られていないのではないか、認知度が極めて低いのではないかと考えております。
 次のページをお願いします。
 当事者の視点から、HTLV-1は今、世界的には性感染症になっています。しかし、日本の場合は今まで母子感染予防対策を中心にやってきて、10年も15年もそれを一途にやってきました。まさか水平感染が今度は水面下の中で広がっているなんて思っていない若いママさんや患者自体、キャリアの人たちに対し、それを強い性感染症のイメージで強調して伝えると逆効果になり得るのではないかと考えています。周りにますます偏見を持たれるのではないか。周囲の目が気になって、検査に行くのがためらわれる。よく知られている性感染症のイメージは、梅毒といった怖い、痛い、かゆい、そういった性感染症と同じふうに捉えられてしまったら、偏見を生み出して、本来必要な検査がおっくうになって、検査の回避につながってしまうのではないか。水平感染を防ぐには、恐怖をあおるのではなくて、理解を広げることが不可欠ではないか。だからこそ、まずは感染症の存在そのものを知ってもらうことが先決だと思います。HTLV-1というウイルスがあって、そこから感染症になる病気があって、でも、それはもともとみんなが持っているものである。そういう理解から始まって性感染症に持っていくのがいいのではないかと思います。
 次をお願いします。
 そこで、短期的な提案として、スマイルリボンのキャラクターで「すまいるんるんちゃん」という着ぐるみがいるのですけれども、親しみやすい入り口から認知を拡大していって、これは一体何、このキャラクターはという関心を喚起して、母子感染、そして、水平感染もあるのだよ。それを自然に理解してもらう。
 この右の、写真は「知って、肝炎プロジェクト」という厚労省が主体になったキャンペーンの写真をAIで加工して、すまいるんるんちゃんを中心に置いて、こういう啓発をしたらどうかというのを作ってみました。
 次をお願いします。
 啓発の方向性として、やさしく、確実に伝える。「大切な人を守ろう 笑顔をつなぐリボン運動」、3つのスローガン、正しく知ろう。検査で確かめよう。守る行動をしよう。怖がらせない。そして、相手を責めない。孤立させない。一人でずっと思い悩んでいる、そういう啓発であってはいけないと思います。
 次をお願いします。
 中期的な提案なのですけれども、全国的に広げるための整備基盤として、やはり国の法的根拠、国の制度が必要であると思います。自治体や教育現場を含む全国規模の啓発をするために、感染症法5類に位置づけること。これは肝炎対策に準じるものです。もしくは総合対策の法制度化、HTLV-1総合対策基本法のような法的根拠をつくっていただけると、もっと自治体や教育現場を含んで全国的な啓発が推進できると考えます。
 次をお願いします。
 まとめとして、HTLV-1の水平感染を防ぐためには、恐怖でなく理解を広げる。そういう啓発が不可欠だと思っております。
 私たちは当事者です。患者やキャリア、この声を生かして、啓発設計への参画を私たちも一緒になって考えていきたいと思います。
 以上です。
○渡邉座長 ありがとうございました。
 それでは、片山さん、菅付さんの御発表に関しまして、コメントとか御意見とかがございましたら発言をお願いしたいと思います。
 石渡先生、どうぞ。
○石渡構成員 石渡です。
 菅付さん、どうもありがとうございました。私も全く同感でありまして、やはり学生の頃、つまり、15歳ぐらいまでに、中学を卒業するまでに包括的な性教育が必要ではないかと私たちは考えているわけなので、包括的性教育というのは、互いの人権を尊重するということと、人と人とのコミュニケーションがきちんと取れるような教育で、それを15歳までに終わらせる。これが必要ではないかなと思っているのです。そこは人権がベースですから、当然のことながら、患者さんあるいは感染者の方についても温かくいいますか、そういう心の支援も必要になってくるわけなので。
 それから、もう一つはプレコンセプションケアも非常に重要で、今、こども家庭庁が物すごく力を入れてやっている分野だと思うのですけれども、やはり身体的、体のほうも、それから、精神的、心のほうも、そして、社会的にも良好な健康な状態をを結婚する前といいますか妊娠する前にきちんとウェルビーイングの状況にしておくということも重要ではないかと思って、これもひいてはHTLV-1の感染予防等につながっていくのではないかと私は考えておりますので、非常に感銘深くお話を聞きました。ありがとうございました。
○渡邉座長 どうもありがとうございました。
 そのほかコメント等はございますでしょうか。
 それでは、次の課題に参ります。
 続きまして、厚生労働省から資料5-1、5-2の説明をさせていただきます。よろしくお願いします。
○松本感染症対策課長補佐 厚生労働省の松本と申します。
 まずは資料5-1「HTLV-1における正しい知識の発信」について御説明をさしあげます。
 こちらについては、昨年末に行いました厚生労働省のホームページの更新内容の概要についてまとめているところでございます。
 先ほどの患者会からの御発表で、HTLV-1の水平感染を防ぐためには、恐怖ではなく理解を広げる啓発が不可欠であるというところで、そういったキャリアの方々であったり患者会の方々の御意見も踏まえての更新となっております。
 まず、感染経路につきましては、性的接触による感染等があるという事実について、キャリアの方の声からそういう事実を知らなかったというお声がありましたので追加しております。
 また、感染力につきましては、日常生活の中ではうつらないこと、HTLV-1は感染細胞が生きたままの状態で大量に体内に入り込まない限り感染しないというような、恐怖をあおらないような事実も同時に更新内容に入れているところでございます。
 次は資料5-2になりますが、こちらは、今回の協議会を開催するに当たりまして、事前に構成員の皆様及び参考人の皆様を対象に御意見をまとめたものになっております。
 こちらの質問1、質問2、質問3の内容につきまして、これから渡邉先生に進行をお願いいたしますが、皆様の御意見をいただきながら、今後のHTLV-1の水平感染の普及啓発の在り方を考える根拠というか材料とさせていただきたいと思っております。
 渡邉先生、お願いいたします。
○渡邉座長 発言ありがとうございます。
 資料5-2のほうは、今御説明がありましたように、事前に先生方にいろいろとアンケート調査をしてまとめたものでございます。
 それで、質問1、2、3とございますので、それぞれに関しまして、皆様に追加の御発言があればいただきたいと考えております。
 まず質問1ですが、厚生労働省ホームページで掲載している啓発用資材に関する御意見ということで、まず3つの枠組みで考えます。現状評価、それから、今後の方針、それで具体的な御提案はないですかということで皆様の御意見をいただきました。
 順番に行きたいと思います。現状評価に関しまして皆様からいただいたコメントをここに記載してございますが、これに対する追加あるいは補足といったものがございましたら、御発言をいただければと思います。
 今のところなさそうですので、次の2番目の質問です。水平感染を含む普及啓発の今後の進め方に関する御意見ということで、水平感染の普及啓発に関する考え、対象者に応じたアプローチ・情報発信、自治体・医療機関での取組の強化(連携を含む)、あとは実態把握と検査体制の整備というような形で分かれておりますが、皆さんの御意見をいただきました。ここにまとめて記載してございます。先ほど申し上げましたように、追加とかコメントとかがございましたらお願いいたします。
 石渡先生、どうぞ。
○石渡構成員 石渡です。
 また繰り返しになってしまいますが、やはり学校での教育というのは非常に重要だと認識をしております。といいますのは、全ての生徒がこれを聞くわけなので、例えば今、学校で行われているいわゆる性教育というのは、はっきり言うと学習指導要領の中に歯止めがかかっているような状況で、やはりこういう性感染症に関しても、全ての生徒が一回は耳にするということが非常に重要ではないかと思うのです。一度聞いておきますと、今度また何か将来にあったときに非常にそれが聞きやすいような環境ができてくるのではないかなと思っているのです。
 そういう意味で、私はこども家庭庁の中に文部科学省の方が入っていかなかったということに少し不満を感じてはいるのです。といいますのは、厚労省の母子保健課は全部こども家庭庁に移りましたけれども、文科省のほうからは移ってこなかったということは私は少しよくなかったのではないかなと思っています。
 あと、プレコンセプションケアの中にぜひHTLV-1を組み込んでいただければありがたいと思っております。
 以上です。
○渡邉座長 ありがとうございます。
 齋藤先生、次にお願いいたします。
○齋藤構成員 富山大学の齋藤です。
 キャリアということで告知されるというので分かるのが、いわゆる産婦人科の妊婦健診と、それから、献血というのが一番多いのですよね。もちろんHAMとかATLを発病したときには分かるのですが、そのときに、献血で分かった場合と妊婦健診で分かった場合の水平感染の説明の仕方というのも少し変えていただきたいと思うのです。というのは、妊婦健診で検査するのは、おめでたい、妊娠されて非常に幸せな気分で来られたのですが、従来母子感染という形、多少ですけれども水平感染があるということも説明していますが、水平感染というところを強調しますと、私も石渡先生も産婦人科なのですけれども、そこを強調すると、このウイルスがどこから来たのだ。性的交渉で来た。過去のいわゆる恋人の誰から移ったのだという形になって、過去に私は非常につらい思いをしたことがあって、そういったことから離婚されたケースもあったのです。ですから、妊婦健診で分かった際の説明の仕方をどのようにするのかということも改めて、産婦人科の立場から言うと、あまり強調すると非常に不幸な結果になってしまうこともあるので、そこもぜひ考えていただきたいと思うのです。これは恐らくほかの診療科では多分経験しない。そういったことがございますので、よろしくお願いします。
 献血で分かった方はこういった形で水平感染もあるのですよということをちゃんと説明していただきたいなとは思うのですが、妊婦健診で分かった際の御説明の仕方は非常に難しいです。
 石渡先生、いかがでしょうか。
○渡邉座長 どうぞ。石渡先生、何か。
○石渡構成員 先生の言われるとおりだと思います。非常に説明は難しいと思います。だからこそ、キャリア妊婦さんのその後の支援体制といいますか、心のケアも含めたそういう支援体制というのが必要ではないかと思っております。
 ほかの感染症も同じなのですけれども、水平感染といいますか、セックスによって起こってくる感染というのは、話し方によっては、今、齋藤先生が言われたように大変な騒動になることもありますし、非常に慎重にやっていってはいるのですけれども、なかなか難しい一つのポイントだと思っております。
○渡邉座長 様々なケースの事例の報告は我々も把握しております。ですから、非常に慎重に取り組むべきであると我々も理解はしております。
 それでは、森内先生のほうから御発言はございますか。
○森内構成員 私も離婚になった後で相談をと紹介されたケースとかもありますので、この辺りの対応は慎重にすべきだと思います。特に献血は別として、妊婦さんという女性だけが主に調べられるという状況の中では、差別というか、その辺りの対応をきちんとしておかないといけないので、妊婦さんとその周囲の人たちに向けた説明の仕方、啓発の仕方というのは相当慎重にやるべきだと思います。
 ただ、その一方で、水平感染によって、もちろんHAMとかぶどう膜炎も深刻な病気ではありますけれども、ATLもしっかり起こるのだということが分かってきた現時点で、性感染に関することの啓発をしないわけには絶対いかないので、そこのバランスを取るということだと思います。
 ただ、難しいのは、同じように母子感染も性感染もするものでも、例えばB型肝炎ウイルスであればワクチンがある。それから、C肝ほどではありませんけれども、抗ウイルス薬もどんどん開発されてきている。そして、C肝とかB肝みたいに輸血後肝炎などを徹底的に世の中に啓発した時期がありましたけれども、それはもちろん抗ウイルス薬が開発されて、ちゃんと早めに対応していけば予後が著しく改善するということになったので、大々的にそういう啓発をしたという経緯もあったと思います。
 HIVの場合でも、今、抗ウイルス薬は相当開発されていますので、いきなりエイズではなかったら相当予後はよくなっている。ワクチンの開発はまだですけれども、半年に一遍注射をすれば基本的にワクチンと同じように防ぐことができるような時代にもなっている。
 それに比べると、HTLV-1はワクチンがないので、性感染を防ごうと思ったら、要するにコンドームをずっと使い続けるということになりますから、子供を諦めるのかという話にまでつながってしまう。またキャリアだと宣告されている人に、B肝、C肝であればこういう治療法があるからねとか、HIVでもこういう治療法があるからねというみたいなことを、HTLV-1の場合現時点では提示できないので、母子感染、性感染するウイルス感染の中では一番過酷なというか、説明が難しいところがあります。ですので、やはりその辺りを相当慎重に説明したりするということと、不安に思うような人たちのカウンセリング体制とかキャリア外来が普通に医療保険の中でできるような体制までつくらないと、そこの不安が盛り上がっているところに対処することはできないだろうと思いますので、(性感染の啓発は)やるべきだと思うのですけれども、相当慎重な準備と今後の課題をしっかり見据えていく必要はあると思います。
 以上です。
○渡邉座長 ありがとうございます。
 御指摘の点は、座長が余計な発言してはいけないのですが、私自身は非常に共感いたします。
 ほかに何かコメント等はございますでしょうか。
 また座長が余計な発言をさせていただきます。水平感染ということに対する態度といいますか、取り組み方が日本と欧米諸国では非常に異なる。これはHIVの研究をされていた先生方よく御存じかと思いますけれども、HTLV-1におきましても、レジストリを形成する、例えばイギリスの場合とか、それから、スペインもブラジルもそうなのですけれども、まずHTLV-1は病原性ウイルスであると。したがって、見つけたらまずどこから来たか明らかにしなければいけない。つまり、人にうつさないようにしなければいけない。あるいはどこから来たかを明らかにするということで、基本的な考え方で最初にやることはパートナーをちゃんと調べる。当然のようにそういう形になっています。私がWHOの会議に参加していますと、欧米の人というか、日本以外はそれが当たり前みたいな言い方になってしまいますので、世界の現状はそうである。
 ただし、今、先生方が御指摘された事柄というのは、私ども、キャリアの方々、患者の方々、いろいろな形で接していて、全くそのとおりであると。非常に慎重な取組が必要だというのが私の実感で、それを何とか工夫して、日本版のいい形を皆さんで考えていけたらいいなと私は思っているところであります。
 岩本先生、御発言をよろしくお願いします。
○岩本 構成員の岩本です。
 私はずっとHIVの患者さんとともに年を取ってきたのですけれども、それぞれのウイルスにおいて対策上困難を極める事柄があると思います。HIVの場合、日本では主に血友病者や水平感染の観点で取りあげられました。母子感染と水平感染という問題設定は、ともすれば母と子、男と男の問題と捉えられがちです。しかし、感染症というのは社会の問題であるとともに、家族の中の問題でもあり、要するに男と女がいれば、感染症の一形態として性感染症も起こりえます。HIV/エイズに長く関わってきて、ウイルスという感染体にはセックスの在り方とか、マイノリティーの方々が持つ問題と感染症がくっ付いて取りあげられ、一般的な男と女の問題としてなかなかまともに取り上げられない、という経験をしました。これは明らかに初等中等教育の教育の問題だとも思います。一方で、HTLV-1は人間がアフリカから持って出てきたウイルスであり、日本に入って来たのは2万年以上前だと言われています。長い歴史の間、人間の移動とか活動とともに共存してきたウイルスです。
 今、渡邉先生がおっしゃった通りだし、これまでの議論もありましたけれども、人間が生活するときの一つの問題として、愛するという行為には必ず感染というものがつきまとう可能性がある。子供に感染しないようにするのももちろんですが、男から女へも、女から男へもうつさない、感染に気をつけなくてはいけないということを、もう一度国全体の問題としてやらなくてはいけないというご意見に全くの同感です。
 僕は、水平感染ももう少しうまい取り上げ方があるのではないかなという気がします。HTLV-1の場合、献血者のデータから毎年4,000人ぐらい感染しているのではないかという推定が出てきましたけれども、その前から家族内の感染についてはある程度わかっていた。最近の妊婦健診のデータから、経産婦の中で陽転されている妊婦さんがかなりいらっしゃると聞きました。要するに、若者だけの問題ではなく、家族を含めて、もう少し取り上げるべきだと僕は思います。厚労省に全部押しつけるのは無理ですね。文科省、旧文部省だと思いますが、初等中等教育の中で、取りあげていただくことが大切だと思います。日本は唯一の患者さんの数の多い先進国なのですから、対応にもっと力を入れるべきだと思います。長くなってすみません。以上です。
○渡邉座長 岩本先生、どうもありがとうございます。
 水平感染の話で、ちょっとだけ私のほうで付け加えさせていただきますと、実は世界中のいろいろな国の疫学データを分析して、今、パスツール研と一緒に論文を出しているところで、最新の数理統計学のデータに基づいて、実は感染の七十数%は水平感染であるというデータになっています。つまり、HTLV-1はそういう形で感染するウイルスだということをまずは理解して、先生がおっしゃったように、家庭の中へいわゆる普通の生活の中でもどんどんうつり得るのだという前提でどういう取組ができるかということを考えていかなくてはいけないなとつくづく思いました。
 それでは、山野先生のほうからどうぞ。
○山野構成員 ありがとうございます。
 水平感染の話題なので、それに関連してなのですけれども、うちの助教の先生が無料電話相談を担当しておりまして、そこでどのような相談が多いのかということをいろいろと毎月レポートをいただいて話し合ったりするのですけれども、そこで多いのは、かなりHTLV-1の水平感染も含めたインターネット等での情報の普及、特に若者の方々はネットからの情報を結構キャッチして、それを読む能力というのは大分高いので、そういう方々が無料電話相談に相談をして、そこで相談事項として、どこで検査を受けられますでしょうかという相談が結構多いのです。保健所とかでほかの性感染症は受けられることが多いのですけれども、HTLV-1の場合は全国ほとんどで受けることができないという状況で、そのようにかなり知識が普及してきているような中では、そういうふうな検査体制をどのように整備していくのかということも並行して進める必要があるのではないかなと実感しております。
○渡邉座長 ありがとうございます。
 普通の外来で保険診療の範囲内で検査ができるようになると、非常にデータも出やすくなるかなという感じは私もいたします。
○山野構成員 そういう方々というのは、やはり病院には結構行きにくいみたいですね。
○渡邉座長 そうすると、窓口も必要であると。
○山野構成員 保健所とかそういうところに問い合わせても結局やっていないという状況なので、そういう中でさすがに病院には相談に行けない。自分のプライバシーも見えてしまうので、プライバシーが見えないような形で知りたいというニーズが物すごく多い。そういう問合せが多いと聞いております。
○渡邉座長 分かりました。
 改めて、どのような解決策があり得るか、また研究班等でも議論してみたいと思います。また、厚生労働省の方々とも相談できるようにしていきたいと思います。
 岩本先生、再びよろしくお願いいたします。
○岩本構成員 検査の問題が出たので、HIVの経験を申し上げると、HIVは世の中も非常に社会的な大きな問題になって、保健所とかで取り上げられて、それは非常に大きな意味があったのですけれども、一方で、保健所が検査するというのは1週間に1回、1時間だけとかそういうところも多くて、必ずしも患者さんの利便性を考えると、HIVの保健所などでの検査が随分前に始まったということもあるのですけれども、患者さんの利便性を考えると、それをやるなということではないのですけれども、それは感染症法の中に入れて保健所の中の検査に入れるとか、そういう方法も取れると思うのですけれども、今、郵送検査が非常に進んできて、最近の若い人は自分で検査して、そういう中に郵送検査で非常にちゃんとやっているような会社を選んで、そういう中の検査の中にHTLV-1も入れるとか、そういうほうが若者には浸透しやすいのではないかなと僕は思いましたので、否定しているわけではなくて、要するに時代の変化を見たほうがいいよということを言いたかっただけです。
○渡邉座長 先生の御指摘は、私ども、保健所のアンケート等を行って得られた情報から判断しますと、実態をよく踏まえてコメントいただいていると考えます。
 ただ、HTLV-1の領域は、先生は御存じかどうか分かりませんが、POCT、いわゆるイムノクロマトが開発されまして、ろ紙にスポットした検体とか全血検体で15分で結果が出る体制が出来上がりました。ですから、今、先生がおっしゃったように、郵送でどうのという形も実は今後展開可能になるかなと。その辺のところは厚生労働省とも相談をして、どういう形があり得るかということを検討させていただければと思います。
 では、塚崎先生、どうぞ。
○塚崎構成員 血液内科の塚崎です。
 今日はアジェンダを見てから、基本は感染対策がテーマだということは承知していたのですが、発症予防及び発症者の治療についてというところのコメントをどこかでさせていただければと思っております。
○渡邉座長 先生、どうぞ。
○塚崎構成員 ありがとうございます。
 それでは、血液内科医として、ATLに対しての治療法の開発というのが現状どうかといいますと、この十数年で6つの新薬、分子標的治療薬が承認されて、再発・難治の患者さんに使えるようになって、そして、その中でも唯一初発の新規に発症した患者さんに抗がん剤と併用して使えるという薬剤があったのですが、それがATLに対しての標準治療として抗がん剤と併用してできるということが最近発表されました。ガイドラインに載ります。
 それと並行してですけれども、同種移植が高悪性度のATLに有望だと言われていたものが、これでしっかりエビデンスとして生存を延ばすということも検証されて、それも恐らくもうすぐガイドラインに載ります。
 一方、私が特に関わってきた低悪性度ATLに対してのIFN/AZT療法という欧米で言われているものがどうかということについて、日本での検証試験をAMEDの支援の下で行って、それはもうすぐ結果を報告することになります。
 今お話ししたように、これまでは新規治療法としての開発、それと新規治療法として承認されたものを再発・難治ではなくて初発の人に使うという両方の研究が並行して行われてきたのですが、新薬の開発は今もあと数件行われているのですが、低悪性度あるいは高悪性度のATLを発症した初発の人に対しての治療法開発が今全く行われていないというのが、恐らくこれはここ十数年なかったことが現状としてあるということが一つ問題として今後どうすればいいかということで、考えていかなければいけないと思っております。
 一方、先ほど森内先生が言われた、発症予防法が肝炎やHIVとは異なってHTLV-1ではないというところ、これはまさにおっしゃっているとおりなのですが、これまでの継続的な研究の中で、HTLV-1キャリアの中でのハイリスクATL発症という人が分かっている状況で、先ほど申した6つの新薬ですね。その中のどれかを使えば、そういう方々からのATLの発症予防ができるのではないかということについての研究もできれば日本で行われてほしいとずっと思ってきていますが、まだされていない。そういうところをどういうふうに進めていくのかというのは、HTLV-1関連の疾患の発症予防及び発症者の治療ということで今後の問題かと思いまして、お話しさせていただきました。
 以上です。
○渡邉座長 塚崎先生、どうもありがとうございます。
 全く御指摘のとおりで、私が余分なことを付け足しますと、私どもは厚生労働省の担当の方々ともいろいろと御相談をさせていただいていますが、HTLV-1感染とその関連疾患とをまず全体として慢性ウイルス感染症と捉えて、課題としては感染予防、発症予防、そして、早期治療介入という幾つかのフェーズに分けて取り組んでいくべきであるということは御相談を申し上げてきているところです。
 今、御指摘にありましたように、感染予防の部分がまだ全然欠落しているということで、ここをどういうふうに進めていくか。ワクチンの開発もいろいろな試みがあるのですが、今のところ成功していない。そうすると、HIVのように薬物による感染予防という考え方で新たな研究開発も必要ではないかと考えています。
 それから、もう一つは発症予防というところに関連しますが、発症のリスクを評価するバイオマーカーはほぼ出ましたということで、それをきちんと臨床に応用できる状況になれば、今、論文のレベルですので、非常にコストもかかる。それを現場に持ち込むことができれば、非常に評価とアプローチがしやすくなるだろうと思っています。
 あとは、ハイリスクの人たちにどのようにアプローチしていくのか。つまり、塚崎先生がずっと苦労されておりますように、フルにATLを発症してしまった人たちの治療、闘うのはいかに大変かと。私も一応血液内科の端くれですので、経験もございます。大変なことです。ですから、発症しないようにする、早いうちから治療介入していくという方向性を日本から何とか情報発信できる新しい治療開発ができたらいいなと私は思っています。
 今のは座長というより、この領域の研究者としての個人的な感想でございます。
 俣野先生、御発言いただけますか。
○俣野構成員 ありがとうございます。
 まず、先ほど郵送検査の話が出ましたので、念のためのコメントですけれども、陽性の結果が出た方への郵送検査の導入がもし進むようであれば、陽性の結果が出た方への結果の返し方というか、そこも十分検討していただく必要はあるかと思います。その方々が陽性の結果を受けてどういうふうに動けばいいのかということも分かるようにする必要もありますし、また、逆に動向把握の観点も含めて、陽性の方々がちゃんと医療機関か保健所等に行くようなシステムづくりというのも非常に重要かと思いますので、まずコメントさせていただきました。
 それから、別件で、今、座長の渡邉先生より慢性感染症のことを言っていただけて、私も全く同意見でございますので、大変ありがたいと思いました。その中で、ほかにもコメントはされていると思いますが、最近HTLVに関しては発症のリスクに関して以前よりかなり知見が出てきましたので、特に検査の推奨において、検査を受けて陽性でも何もキャリアでどうしても対応できないというよりは、発症リスクが分かるだけでも検査を受けるインセンティブにはなると思いますので、そういうことを今後の検査推奨に少しでも何らかの形で取り組んでいくのも一つの考え方かなと思った次第です。
 以上です。
○渡邉座長 俣野先生、ありがとうございます。
 ほかには御発言はいらっしゃらないようですね。
 すみません。私、座長の権限を越えてもう一つ付け足しの発言をさせていただきたいのですが、慢性ウイルス感染症という捉え方をしていくと、結局、欧米、ブラジルでもやられているように、感染者のレジストリをつくって、コホートでずっとフォローしていくという形でいわゆる疫学のデータも得られるし、時系列の検体も得られるということで、研究の一番大事な基盤になると考えております。それはこれまでHTLV-1の領域では本当に個人の努力あるいは個別の研究費でやっていたのですけれども、そういったいわゆるレジストリというものはやはり長期的に継続することが重要であると考えております。
 HTLV-1のキャリアに関しましては、2002年から私が取り組んで、手弁当でやっていたのですけれども、やはりそういうことは国が責任を持ってそういったレジストリをきちんと運営していくという方向を今後検討していただけたらいいなということで、私の研究者の立場からのお願いといいますかコメントでございます。
 今、水平感染、感染の議論がいろいろ出ましたけれども、菅付さんのほうから御発言があるようです。どうぞ。
○菅付構成員 今日の議題というか、話合いの中心になるべきこれからの水平感染をどうしたらよいかについてですが、当事者の視点というところで、私の発表の2枚目のファイルを出していただきたいのですけれども、このことを重要視して、ここのところ、感染症のイメージを表に出さないで、一番大事なのは、HTLV-1ウイルスということを一般の方が知らないということが非常に問題なのです。研究のことを進めるにしても、ATLの治療薬を開発するにしても、HTLV-1が知られていなければ理解を得られなくて、知られていなければ厚生労働省も予算をつけられない。
 だから、根本的なことを解決するためには、HTLV-1をもっともっと知っていただいて、本当は5類とか何か法律で、先生方のお話を聞いていて思ったのが、例えばHTLV-1感染症予防対策基本法、予防するための法律、つまり、水平感染も含めて、母子感染も含めて、これはもっと後の話になるのですけれども、これをきちんと法律、法制化していけば、もっと一遍に広がって、薬の開発や治療、予防法も確実に進むと思われます。また、都道府県全て、自分のところは全然知られていないからいいのだとかというような行政の対応、47都道府県で協議会を設置していないところも平然とある、そういうことがないようにお願いしたい。なので、HTLV-1感染症、ウイルスについていかに啓発するかということが一番大事だと思いました。
 キャリアの会員さんに意見を聞きました。すると、今まで母子感染をすれば、将来、感染症はなくなるという言葉を信じてきたのに、性感染症だから注意しましょうと今さら言われても嫌な感じしか残らない。嫌なイメージしか残らない、ショックですと言われました。特に若いママさんには抵抗があると思いました。
 以前、スマイルリボンの活動で「未来を守るミルクサポート事業」を鹿児島県から全国に広げようとしたことがあったのですけれども、ミルクを実物支給するのですが、そのとき母親のだけではなくて父親も参加してもらう。そして、保健師さんがHTLV-1について父親にも説明をする。母親を孤立させないだけでなく水平感染があるということを気づかせる。そういった事業を進めようとしたことがあります。コロナが落ち着いた今だからこそ有効なのかなという気もしました。
 そのように性感染症であることは事実なので、ほかの性感染症を予防することと同じように考える教育であれば、それはそれで良しとして。だけれども、HTLV-1は今まで母子感染予防対策を中心にやってきて、それを大事にやってきたからこそ、新しい感染者を止めるということができたわけです。これを維持にしながら、HTLV-1感染症予防策として水平感染があることをまず配偶者が理解して、自然に社会に広がっていくような形で啓発していくことを望みます。
 以上です。よろしくお願いします。
○渡邉座長 ありがとうございました。
 それでは、そろそろ時間も参りましたので、本当にありがとうございました。
 本日いただきました御意見は、関係課室において今後の検討課題として共有させていただきます。
 また、次回の開催につきましては、事務局からお願いいたします。
 皆様、ありがとうございました。
 次回の開催については、調整の上、また御連絡を申し上げます。
 本日はこれで終了といたします。