2024年2月22日 費用対効果評価専門組織 第10回議事録

日時

令和6年2月22日13:00~

場所

オンライン開催

出席者

田倉 智之委員長、齋藤 信也委員長代理、池田 俊也委員、木﨑 孝委員、新谷 歩委員、新保 卓郎委員、中山 健夫委員、野口 晴子委員、飛田 英祐委員、米盛 勧委員、矢部 大介専門委員、石原 寿光専門委員、福田 敬専門委員、国立保健医療科学院 保健医療経済評価研究センター 白岩上席主任研究官

<事務局>
木下医療技術評価推進室長 他

議題

○ ウゴービ皮下注に係る分析枠組みについて

議事

○費用対効果評価専門組織委員長
では、次の品目に入らせていただきます。
続きまして、ウゴービ皮下注に係る分析枠組みについて御議論をいただきます。
ウゴービ皮下注に係る分析枠組みについて御議論いただきますが、まずは事務局から説明をお願いいたします。

(事務局より説明)

○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございました。
それでは、議論に先立ちまして、まず本製品の検証作業に係る分析枠組みに対する企業意見の聴取を行いますので、事務局は企業を入室させてください。

(意見陳述者入室)

○費用対効果評価専門組織委員長
私は、費用対効果評価専門組織委員長です。
早速ですが、10分以内でウゴービ皮下注に係る分析枠組み案についての企業意見の御説明をお願いいたします。続いて質疑応答をさせていただきます。
では、始めてください。

○意見陳述者
失礼いたします。意見陳述者、〇〇と申します。
本日は貴重なお時間を賜り、誠にありがとうございます。弊社からの分析枠組みに関する意見陳述に先立ち、これまで事前協議において御助言をいただきました国立保健医療科学院の先生方に御礼申し上げたいと思います。ありがとうございました。
本日は、本分野の専門家として〇〇先生にお越しいただいております。
それでは、始めさせていただきます。

○意見陳述者
意見陳述者、〇〇でございます。
それでは、ウゴービ皮下注に関して企業からの意見陳述を開始いたします。どうぞよろしくお願いいたします。
次のページをおめくりください。
弊社からの意見陳述としての項目は、こちらにお示ししている5点となります。
3ページ目をお願いします。
本剤、ウゴービ皮下注の概要をお示しいたします。有効成分はセマグルチド(遺伝子組換え)、効能・効果は肥満症でございます。23年11月に収載いただいております。
4ページ目をお願いいたします。
収載時には、ウゴービ皮下注について最適使用推進ガイドラインが定められており、添付文書の用法・用量、効能・効果に加えて、厳格な基準が設けられております。特に投与対象となる患者については、適切な食事・運動療法に係る治療計画を作成し、6か月以上実施した上で効果が不十分な場合につき、ウゴービを投与するなどの基準が設けられております。加えて、投与期間については最大で68週であることなども定められております。
5ページ目をお願いいたします。
本剤の薬理作用はGLP-1受容体作動作用による体重減少作用です。セマグルチドの投与による血糖降下作用と体重減少作用を発揮する有効量に差異が認められることから、臨床で体重減少作用を発揮するためには、セマグルチドの2型糖尿病用治療用製剤(オゼンピック・リベルサス)で得られている血糖降下作用を示す暴露量よりもさらに高い暴露量が必要であるとされております。ウゴービ皮下注のみ高い用量が投与可能でございます。
6ページ目をお願いいたします。
こちらより、〇〇先生より御紹介いただきます。〇〇先生、よろしくお願いいたします。

○意見陳述者(専門家)
皆さん、こんにちは。〇〇の〇〇です。本日はよろしくお願いいたします。
まず、最初のスライドになります。
これは日本人の肥満症の定義についてのスライドになります。日本では肥満の基準をBMI25以上と定めています。日本人は欧米人に比してWHO基準でいうところのObese、BMI30以上の人は多くはありません。しかし、肥満に起因する健康障害、特に代謝性疾患の有病率は日本と欧米で大きな差がありません。これは日本人がBMI25以上程度の軽度の肥満であっても、内臓脂肪蓄積等を基盤として特に代謝性疾患のリスクが増大するという民族的な特性を有しているからであると考えられています。
また、医療的には、肥満症というものは単に体重が重いだけの肥満と明確に区別すべきです。●●では、ここに示す肥満に起因ないしは関連する11個の健康障害を1つ以上合併するか、その合併が予測され、医学的に減量を必要とする疾患単位を肥満症と定義しています。
次のスライドになります。
次に、肥満症におけるアンメットメディカルニーズを御紹介いたします。基本的に肥満症診療ガイドラインに基づく標準治療は食事・運動療法となります。ただし、食事・運動療法は、そもそも体重がどれだけ減量できるのか、また、長期減量を維持できるのか、そして、その治療を継続できるのかという点で常に大きな課題を抱えています。また、現時点で利用可能な薬剤としてマジンドールが食事・運動療法の補助として処方可能なわけですが、適応は高度肥満症に限られ、また、安全性の観点から処方が3か月に限定されています。このように現行の肥満症治療には大きなアンメットメディカルニーズが存在します。
次のページで海外と日本のデータを紹介させていただきます。
まず、海外のデータです。このデータは、●●で前糖尿病状態、Pre-diabetesの成人が1年間生活習慣介入治療によって糖尿病発症予防に取り組んだ際の縦軸が治療継続率の推移となります。この報告では、44週時点、つまりおよそ10か月の時点での生活習慣介入による減量治療が継続できていたのは●●だったとされております。また、日本の単施設で実施された高度肥満症患者を対象としました減量プログラムからの報告でも、フォローアップ期間中央値、1.8人における治療継続率は7割程度でした。つまり、かなり多くの部分の肥満患者さんにおいて、通常の減量プログラムを維持・継続することは難しい課題であるということが分かります。
次のスライドに移ります。
最後に、これは日本人の肥満症、オレンジ色ですね。そして、医療従事者、グリーンの方々に対して行った●●のデータの横断研究の結果となります。本研究の対象は肥満者であり、全ての人が肥満の治療を必要とする肥満症患者ではなく、また、参画した医療関係者のほとんどは糖尿病や肥満症診療を専門としない医師であることから、肥満症診療を積極的に行っている医療機関と単純に比較することはできません。
このようなリミテーションを踏まえた上での数字になるのですけれども、右上のオレンジ色のグラフを見てください。2つ目ですが、日本人の肥満のある方のうち、過去5年間に医師と減量に関する対話をしたことがあると答えた方の割合は〇〇%でした。また、このグラフの一番右の肥満ないし肥満症と診断を受けた人の中で、定期的なフォローアップ来院を続けている方の割合は肥満症全体の〇〇%にとどまっていたというデータです。
さらに、右下に示しますように、オレンジ色が肥満者、そして緑色が医療関係者、両方のグラフを出しているわけですけれども、様々な医学的減量介入、薬剤ないしは減量治療、栄養士さんへの紹介、行動療法の実施等について医師と患者様、両方に尋ねたところ、その割合は〇〇程度にとどまっていました。つまり、現在の日本において、肥満、そして肥満症への社会医療的介入は極めて限定的であり、多くの課題を有していると考えます。
私からの発表は以上です。ありがとうございました。

○意見陳述者
〇〇先生、ありがとうございます。
次に、10ページに移りまして、本剤の臨床的位置づけについてです。
肥満症患者のうち、合併症を有し、かつBMIが27以上の集団では薬物治療の介入の重要性が高いとされております。そのため、本剤の対象患者集団としては、診療ガイドラインの薬物治療の適応基準に加えまして、新血管系リスク因子が高い対象集団に限定した設定となっております。
11ページにお移りください。
次に、これら肥満症の疫学と本邦における治療環境を考慮し、科学院の先生方と協議の結果、こちらにある分析枠組みについて提案をさせていただきます。
分析対象集団は肥満症とし、2型糖尿病を合併している肥満症患者は心血管疾患のイベントリスクが高いことに加え、治療成績が異なるために集団を分けて、(a)2型糖尿病を合併している肥満症患者、(b)2型糖尿病を合併していない肥満症患者の2つの集団といたします。
比較対照技術は、いずれの対象集団においても標準治療である食事療法・運動療法となります。
この選定は、肥満症診療ガイドライン添付文書、最適使用推進ガイドラインを踏まえて妥当であるというふうに考えております。
また、分析枠組みにおける留意点として、食事・運動療法の費用対効果評価の推計においては、日本における診療実態、治療継続率等を反映する必要があると考えております。
12ページ目にお移りください。
最後に、御参考までに分析の手法と分析に用いる臨床試験成績、費用対効果評価モデルに関して、こちらのページ以降に記載をいたします。
13ページ目にお移りください。
STEP6試験は、セマグルチドの体重減少効果を検討する東アジアにおける第Ⅲ相試験として実施しまして、日本人集団は360例組み入れられました。全集団がウゴービ効能・効果に合致しております。被験者においては、治験への組み入れ後、2対1対1の割合でそれぞれ2.4、1.7グラム、プラセボの3群に割り付けられ、68週間の治療期間が設けられました。全ての被験者において生活習慣介入が行われております。

○事務局
失礼します。事務局でございます。
時間を過ぎておりますので、あと1分程度で終わらせていただければと思います。よろしくお願いいたします。

○意見陳述者
はい。申し訳ございません。
STEP6試験の結果につきまして、こちらのとおり体重の変化率、左側、体重変化率の推移について右側にお示しいたします。ベースラインから投与後68週までの体重の変化率、プラセボの2.1%に比べて、セマグルチド2.4ミリグラム群でマイナス13.2%、1.7ミリグラム群でマイナス9.6%と有意に低下して、セマグルチド両用量のプラセボに対する優越性が検証されております。
最後、15ページでございますが、御参考までに分析に用いる費用対効果評価モデルについてこちらに記載をしております。
以上で企業の陳述を終わります。超過してしまいまして申し訳ございません。以上でございます。ありがとうございます。

○費用対効果評価専門組織委員長
では、委員の方々及び企業から御質問はございますでしょうか。いかがでしょうか。
では、私のほうから、少し初心者的な御質問で恐縮なのですけれども、念のため、分析期間に係るところのお話で、68週が最大という御意見もありましたし、先ほど来、STEP6等の試験も全部68週で切っていますが、これは投与期間最大が68週で、分析期間としても68週で分析するのか、その後も含めて例えば生涯とかそのような分析を想定されているのか、御意見いただきたいと思います。

○意見陳述者
ありがとうございます。企業から回答させていただいてよろしいでしょうか。

○費用対効果評価専門組織委員長
どうぞ。お願いします。

○意見陳述者
ありがとうございます。
分析期間につきましては、こちらは生涯というところで検討をしているところでございます。ただ、具体的な分析の期間につきましては、今後この枠組みが決定次第、企業分析に入りました後に検討を重ねていきたいと考えております。

○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
専門外で教えていただければと思うのですが、68週を最大で決められている理由というものはどんなところにあるのでしょうか。

○意見陳述者
ありがとうございます。
〇〇、いかがでしょうか。

○意見陳述者
今の御質問は、治験の期間が68週に設定された理由というところでございますが、●●。

○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
○○先生、お待たせしました。どうぞ。

○○○委員
ありがとうございます。
先ほど委員長がおっしゃいました68週の後の解析というところも極めて重要かと思います。生涯というのはなかなかデータ集積が難しいかとは思いますが、やはりこの薬剤の特性として、中止をするとまた食欲が戻ってしまう、また体重が増えるということがございますので、少なくともエクステンションであと1年ぐらい見られるとか、そういったことを考慮してもいいのかなと思いました。
以上です。

○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
○○委員、どうぞ。

○○○委員
私も68週のところをもう少し教えてください。これは効いていても68週でやめるということか、68週までやって効かなかったらもうやめるということなのか、そこら辺の感じをもう少し教えていただけますでしょうか。

○意見陳述者
では、〇〇から御回答させていただきます。
まず、68週まで続けるかどうかということですが、あまり効果が見られない場合は、薬剤の投与は68週を待たず中止いたします。ただ、効果が見られた場合であっても、68週を超えての投与成績というものはございませんので、仮に体重がそれまでに下がっていたとしても、その時点で中止するというふうにいたしています。

○○○委員
ありがとうございます。
前の質問にもありましたけれども、リバウンドがどれぐらいあるかというようなことのデータはないということでよろしいわけですね、今の時点では。

○意見陳述者
お答えいたします。
STEP1という試験におきまして、実は投与を中止した後1年間フォローアップするという試験がございます。こちらの結果によりますと、●●。

○○○委員
ありがとうございました。

○費用対効果評価専門組織委員長
その他の先生方、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、これで質疑応答を終了いたします。企業の方は御退室ください。お疲れさまでした。

(意見陳述者退室)

○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございました。
それでは、ウゴービ皮下注に係る分析枠組みについて御議論をお願いしたいと思います。
臨床の御専門の先生方、御出席ですので、先にコメントいただければと思いますが、○○先生、コメントございますでしょうか。

○○○委員
このままでいいと思います。2型糖尿病のあるなしでしっかり分けて見ていくということは避けられませんし、この形でよろしいかと思います。

○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
○○先生、いかがでしょうか。

○○○委員
ありがとうございます。
先ほどのコメントとも関連しますが、やはりこの薬剤、68週でストップをしてしまうと結局元の木阿弥なのですが、国もいろいろ考えられての68週だと思いますので、もう少し長いフェーズでの費用対効果を見ていただくことで、今後この薬剤をどういう位置づけにするのか、68週を超えても使えるようにしていくのか、例えばもう自費診療とかそっちに落としていくのかとか、そういったところを考える上でも長期の観察ということが必要かと思います。
以上です。

○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
その他の委員の先生方、いかがでしょうか。御意見ございますでしょうか。
分析期間の関係でいきますと、海外ではこれは長期使用の実態とか成績とかはあるのでしょうか。○○先生、もし御存じだったら教えていただければと思います。

○○○委員
ありがとうございます。
すみません。まとまった形で費用対効果分析をこの薬剤で見たものについては、ちょっと私は存じ上げておらず、申し訳ございません。

○費用対効果評価専門組織委員長
○○先生、いかがですか。海外はもう少し長く使えているとか、使えていないとかというお話は何かございますか。要は海外のデータも活用できるのかどうかという観点をちょっと考えて今、御質問させていただいたのですが。

○○○委員
私もちょっと不勉強ですけれども、そんなに長いデータはまだないかなと思いますね。それから、やはり日本人と欧米は、使わざるを得ないとは思うのだけれども、使えるところはあると思うのだけれども、使えないところもあるので、それは注意して解釈しないといけないかなと思います。

○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
この研究班でも他の品目で同様な海外データの活用についての議論はございますので、そういったお話なのかなと思って伺っておりました。
先生方、いかがでしょうか。
あと、科学院さんに1点お聞きしたいと思うのですけれども、この肥満というものとQOL、効用値換算について、恐らくまた議論が出てくるのかなと思うのですが、何か今、事前の協議の中であったようなお話があれば情報共有していただいてもよろしいでしょうか。

○国立保健医療科学院
ありがとうございます。
肥満患者のQOL値については、委員長御指摘のとおりいろいろ議論があるところだと思っているのですけれども、ただ、事前の分析前協議において、QOL値に関して特段議論になったところはありませんでした。
以上です。

○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
その点については、科学院さんのほうも慎重に御確認をされるとは思いますけれども、ぜひどうぞよろしくお願いいたします。
その他の委員、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、議決に入らせていただきます。先生方の御意見をまとめますと、ウゴービ皮下注に係る費用対効果評価に係る分析枠組み案を了承するということでよろしいでしょうか。

(首肯する委員あり)

○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。