2026年2月20日 第35回 医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議

日時

令和8年2月20日(金)17:00~19:00

場所

オンライン会議

(オンライン会議場)
厚生労働省 専用第22~24会議室(18階)
東京都千代田区霞が関1-2-2

出席者

出席構成員



出席参考人

議題

  • 候補成分のスイッチOTC化について
  • その他

議事

○医薬品審査管理課長 それでは、時間になりましたので、ただいまより第35回医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議を開催いたします。まず、本日の出欠状況についてです。五十嵐構成員、平野構成員、和田構成員から御欠席との御連絡をいただいております。また、原構成員が遅れられているようです。現在のところ、18名の構成員に御出席をいただいております。本日は、候補成分のスイッチOTC化の議論をするに当たって、関係する学会より参考人の先生に御出席をいただいておりますので御紹介させていただきます。日本アレルギー学会より、長瀬洋之先生に御出席をいただいております。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
○長瀬参考人 どうぞよろしくお願いします。
○医薬品審査管理課長 会議を開始するに当たりまして、注意事項を御説明いたします。web参加の方が御発言される際にはシステム上で挙手をいただき、座長に指名されるまでお待ちください。また、発言の際はミュートを解除した上で、お名前をおっしゃっていただき、御発言をお願いいたします。また、発言されないときはマイクをミュートにするようお願いいたします。会議中に接続トラブル等が発生しましたら、会議の途中でも結構ですので事務局までお申出ください。また、会場参加の先生方が御発言される際には挙手していただき、座長の指名をお待ちください。それでは、カメラ撮影、スクリーンショットのほうはここまででお願いいたします。笠貫座長、以降の議事進行をお願いいたします。
○笠貫座長 よろしくお願いします。それでは、本日の配付資料の確認について事務局からお願いします。
○事務局 事務局でございます。資料につきましてはペーパーレス化を実施してございまして、オンライン参加の方は送付済みの電子資料を、会場参加の方はお手元のタブレット端末で資料を御確認ください。タブレット端末ですが、会議資料の議事次第を画面に表示した状態で配付をしてございます。ほかの資料を画面に表示するには、画面左上の「ファイル」を指で一回軽くタップした上で御覧ください。本日の資料として、ファイルに表示されている上から順に、会議資料、参考資料となります。会議資料につきましては資料を一つのPDFファイルとしており、議事次第、配付資料一覧、候補成分のスイッチOTC化に関する資料として資料1-1から資料1-3を配付してございます。参考資料は、参考資料1から3となってございます。また、タブレットには個別の会議資料及び参考資料も入れておりますので、適宜御活用ください。配付資料の説明は以上となります。御不明な点がございましたら、事務局までお申しつけください。事務局からは以上です。
○笠貫座長 ありがとうございます。本日の議題に入ります。まず、「候補成分のスイッチOTC化について」です。ブデソニド・ホルモテロールフマル酸塩水和物について、事務局から説明をお願いします。
○事務局 事務局でございます。ブデソニド・ホルモテロールフマル酸塩水和物について御説明いたします。
 1ページ、資料1-1を御覧ください。ブデソニド・ホルモテロールフマル酸塩水和物のスイッチOTC化した際の効能・効果は、風邪のあとなかなか咳が収まらない(咳喘息)です。対応する医療用医薬品はシムビコートタービュヘイラー30吸入及び同60吸入で、その効能・効果は、気管支喘息(吸入ステロイド剤及び長時間作動型吸入β2刺激剤の併用が必要な場合)、慢性閉塞性肺疾患(慢性気管支炎・肺気腫)の諸症状の緩解(吸入ステロイド剤及び長時間作動型吸入β2刺激剤の併用が必要な場合)です。要望者は、本成分の主な要望理由として、咳喘息で受診される方が少なからずおり、OTCがあれば病院受診の手間が省ける。逆にシムビコートで治らないのであれば、受診して精査する必要あり、分かりやすいと思われることを挙げています。
 3ページを御覧ください。シムビコートですけれども、2009年に初回承認をなされていまして、再審査結果は2018年以降、効能・効果ごとにそれぞれ通知をされていますが、承認拒否事由のいずれにも該当しないと判断をされてございます。
 続いて、5ページを御覧ください。本剤には禁忌に、有効な抗菌剤の存在しない感染症、深在性真菌症の患者、本剤の成分に対して過敏症の既往歴のある患者が設定をされております。また、重大な副作用には、アナフィラキシー、重篤な血清カリウム値の低下が設定されてございます。
 続いて、9ページを御覧ください。推定使用者数等として、咳喘息の患者数は不明であるものの、喘息患者数は100万人と推定をされてございます。
 10ベージを御覧ください。海外での承認状況です。一般用医薬品として本成分が承認をされている国はございません。医療用医薬品としては効能・効果によって異なりますが、100か国以上で承認をされてございます。
 続いて18ページ、資料1-2を御覧ください。日本呼吸器学会、日本アレルギー学会、日本臨床内科医会及び日本OTC医薬品協会からそれぞれ見解が提出をされておりますので、簡単に御紹介をさせていただきます。
 まず、日本呼吸器学会の見解です。スイッチOTC化については「反対」との御意見をいただいております。その根拠として、本成分のうち、ブデソニドは吸入ステロイドであるため、嗄声や咽頭カンジダ症等の副作用に注意を要する。ホルモテロールはβ刺激薬であるため、動悸・頻脈・血圧上昇などの心血管系の副作用や低カリウム血症、不整脈等のリスクが報告されている。また、心疾患や高血圧、QT延長を来しうる薬剤との併用に注意が必要とされている。OTC化により、「効かないから吸入の回数を増やす」といった自己判断で乱用された場合、感染症の誘発や増悪、心血管イベントや不整脈など重篤な副作用のリスクの増大が無視できないこと、喘息予防・管理ガイドラインにおける「気管支拡張薬の試験的使用」とは、胸部X線等で肺がんや結核等の重篤な疾患を除外し、他の原因疾患の可能性の検討等を行った上で行われる診断的治療であるため、その一連のプロセスは、患者の自己判断や薬剤師の判断では実施が不可であること、海外において、β刺激薬がOTC化されている国はあるが、OTC購入が行われた場合、喘息患者の疾患負荷が著しく増加し、健康被害に加えて学校の欠席や仕事の欠勤など社会経済的な損失が生じることが報告されている。そのため、本成分のOTC化は、結果として、国民の健康維持および医療費適正化の観点からも不利益が大きいと考えられること、咳喘息では成人で約40%、小児ではより高頻度で喘鳴を伴う典型的な喘息に移行することが知られている。咳喘息の治療は医師の管理下での継続が推奨されており、症状改善を根拠とした自己中断は喘息への移行を招く危険性があることを挙げていただいています。
 続いて、22ページを御覧ください。日本アレルギー学会の見解についてです。スイッチOTC化については「反対」との御意見をいただいております。その根拠として、誤った吸入手技では薬効が得られないため、医療用薬剤として処方される場合には医師による指導に加えて、吸入薬指導加算が設定されることで薬剤師による吸入指導が推進されている。OTC化された場合にはそのようなインセンティブが設定しづらいため、不適切な吸入手技で使用される危険性が高いこと、本成分の使用により、症状が一時的に軽快した場合、肺癌、肺結核、COPD、間質性肺疾患、非結核性抗酸菌症等の重大疾患の診断遅延を招く危険があること、肺結核の見逃しによる感染拡大や肺癌の診断遅延等は、個人のみならず社会全体に重大な影響を及ぼす可能性があることを挙げていただいています。
 続いて、24ページを御覧ください。日本臨床内科医会の御見解です。スイッチOTC化については「反対」との御意見をいただいております。その根拠として、咳喘息には、副鼻腔気管支炎などが合併することが少なくなく、この場合は、咳喘息があったとしてもこの吸入薬の効果が現れないため、この吸入薬を咳喘息の鑑別を目的として単独で用いることは正しくないこと、一般に、咳嗽発現から2週間を目処に鎮咳薬による対症療法で観察し、加えて発熱などの急性感染症を疑う症状があれば必要な検査結果に従う治療を行うことが妥当である。一方で、咳嗽が2週間を超える場合は、慢性気道疾患あるいは慢性気道感染症等の原因疾患の鑑別を行うことが適切な医療である。これらの医療行為は医師を除いて担当することは不可能で、国民に遍く保険診療として療養が給付されることが最も適切であることを挙げていただいています。
 続いて、26ページを御覧ください。最後に、日本OTC医薬品協会の御見解です。スイッチOTC化については「反対」との御意見をいただいております。その根拠として、本成分は、2成分から構成されるが、いずれの成分もOTC化されていないため、スイッチOTC化の可否は合剤として検討するのではなく、成分ごとに検討することが適切と考えることを挙げていただいています。
 29ページ、資料1-3を御覧ください。御意見募集において、118件の御意見が寄せられてございますので、一部を御紹介させていただきます。吸入手技の説明、副作用対策等指導が必要な成分ではあるが、現在でも調剤薬局において見本デバイスや動画を補助として薬剤師が説明しているので、要指導医薬品として同様の資材を用いながら薬剤師の指導を行うことは可能である、シムビコートは、慢性疾患管理と長期安全性の観点からも一般用医薬品化は適当ではないとの御意見を頂戴してございます。事務局からの御説明は以上です。
○笠貫座長 ありがとうございました。日本呼吸器学会からの見解につきまして間藤構成員から御意見、補足等がありましたらお願いします。
○間藤構成員 恐れ入ります。今、御指名いただいた日本呼吸器学会、日本アレルギー学会にも所属しております自治医大呼吸器内科の間藤と申します。本剤は気管支喘息に一番と言っても過言ではなく、治療として用いられる吸入薬でございます。やはり喘息という病気は非常に罹患率の高い疾患でございまして、若い方から年配の方までたくさんいる疾患ではあるのですけれども、現時点では医師の診断の下にこういったお薬が出されています。それで、繰り返しになってしまうかもしれないのですが、その背景としましてはやはりこのような薬剤が気管支喘息の治療の中心である薬というのが1つはまずステロイドということになります。喘息の治療の強度というのは、患者さんの発作の頻度によって分けられているのですけれども、軽症から重症まで、あまねく段階で一番治療の基本となる薬剤はステロイド薬です。以前は経口で用いまして大きな副作用等も問題になっていたのですけれども、現在は吸入で使うことによってその副作用というのはかなり軽減してまいりました。一方で、このステロイドという薬は炎症を抑えるという意味では喘息以外の薬剤にも効きます。やはり皆さんが懸念されているように、感染症であっても、腫瘍であっても、どういった病態であっても炎症を抑えて症状を楽にするという効果がございますので、喘息以外の病態であっても症状を軽減して、咳とか呼吸困難というものを一度抑えて楽にしてしまうというところがございます。治療として用いる場合には、それがいいほうに働くのですけれども、そこに重篤な疾患があった場合には発見の遅れ等にもつながります。もう一つ、少し薬理学的なところになるのですけれども、診断が遅れるのみならず、炎症を抑えることによって感染症の場合には、感染を助長してしまう、悪化させてしまうという弱点があります。ですから、咳が一見、楽になった、熱が下がったというところが、実は知らない間に感染症が悪化していたということにもなりかねませんので、こういった観点からやはりきちんとした診断の下に使うべきではないかと考えてございます。
 あとは、何点か、学会のほうから強調されていたことなのですけれども、もう一つの今回のお薬に入っているβ刺激剤というお薬があります。これは炎症を抑えるお薬ではなくて、気管支を拡張させる気管支拡張薬になります。こちらは、前もたしかツロブテロールでしょうか。貼付剤のときにもOTC化するかというときに議論になりましたけれども、心拍を上げてしまったりですとか、そういう副作用がございまして、吸入とはいえ、そういった心血管への作用があるということで、こちらも医師の診断、それから監視の下に使うべきではないか。海外の文献などにも、こういったお薬の乱用でむしろ状態が悪化したとか、そういった報告もあるということで、β刺激薬についてもやはり注意すべき成分と考えております。ひとまず、私からは以上となります。ありがとうございます。
○笠貫座長 ありがとうございます。間藤構成員、ありがとうございます。日本アレルギー学会からの見解について、長瀬参考人から御意見、補足がありましたらお願いします。
○長瀬参考人 長瀬と申します。呼吸器内科専門医、アレルギー専門医としてコメントさせていただきます。ただいま間藤構成員からお話がございましたが、咳嗽というのは非常に多くの鑑別診断がございます。咳喘息が多いのは事実ではございますが、まだまだ感染症もありますし、肺がんもありますし、様々ございます。この多くの鑑別が必要なところなのですが、胸部のレントゲンと申しますのは非常に有用なツールです。これを1枚撮ることで多くの疾患、多くの重篤な疾患を早期に見つけることができます。このステップは診療では基本なのですが、今回、例えばこのシムビコートがOTC化されることになりますと、そこにたどり着くことが遅れてしまうということが最も懸念されることになります。
 2つ、大きな心配がございます。一つは悪性腫瘍、肺がんでございます。肺がんといいますのは、早く見つかれば手術で治る、完全に取り切れる可能性がありますけれども、これが1か月、2か月の遅れで取り切れない状態になりますと、残念ながら根治というものはいまだに難しいのが肺がんでございます。このように、国民の方の一部に完治ができたはずの肺がんを致命的なステージに進行させてしまうというのは大きな損失ではないかと思っております。もう一点です。先ほどお話がありました肺結核はいまだに日本は世界的にもまだ多いほうの国だとされております。これは、咳をし続けることによりまして家族には感染いたしますし、あるいは学校や職場に行かれている場合には大変な蔓延を招いてしまうということになります。その治療的診断というものが明確に分かればいいのですけれども、咳の症状というのはその吸入によってよくなったかどうかというものはかなり判定が難しい。例えば、臨床試験でもプラセボ群でもある程度、咳がよくなるというようなデータもございます。自己判断が難しい以上、やはり効いているかもしれないなということで受診が遅れる。これによって肺がんや結核など、診断、適切な管理にたどり着くのが遅れるということが我々の最も懸念していることでございます。実際、今回の吸入ステロイドと気管支拡張薬、ICS、LABAの配合剤をOTC薬として運用している国は世界的に見てもございません。やはりそういう背景があることは、明確に呼吸器内科医、あるいはアレルギー専門医は認識しているということではないかと思います。私の補足のコメントは、以上でございます。ありがとうございました。
○笠貫座長 ありがとうございました。次に日本臨床内科医会からの見解につきまして、湯浅構成員から御意見、補足がありましたらお願いします。
○湯浅構成員 ありがとうございます。今回の要望のニーズは、咳喘息と思われる咳嗽に対し、吸入薬用い、診断的治療を試みようとすることであると思います。咳の患者さんが来院された時に、咳の原因となっている疾患を鑑別しますが、咳の出始めの段階で特別な場合を除き、鑑別のトップに咳喘息をあげることはありませんし、その段階で診断的治療を目的として吸入薬を使用することもありません。OTCはあくまでも急性期症状に対し、安全性が担保されている薬を短期間使用し、効果がなければ速やかに医療機関を受診することが基本です。その観点からも吸入薬を診断的治療に用いることは適切ではありません。咳喘息を含めた咳の原因を診断するためには、手順を追って丁寧に診察しなければなりません。胸部レントゲン写真を撮影することは必須で、咳の原因となる心不全、肺炎、肺がんや結核などを除外した上で、長引く咳に対しては、次の段階として咳喘息を含むアレルギー疾患を考え、吸入薬を考慮します。咳喘息に限らず、吸入薬により改善する疾患がいくつかありますが、その代表例として軽症~中等症の気管支喘息が挙げられます。咳喘息の40%ほどが、気管支喘息に移行することが知られており、咳喘息と気管支喘息の境界は曖昧で、明確に区別しにくい場合があります。実臨床の中で治療的診断として吸入薬を2週間から4週間使用して、咳が改善するかどうかということを評価しながら患者さんを診療していくことがありますが、その意味からも、この薬は医師の管理の下に使用していかなければならない薬だと思っております。日本臨床内科医会として、そして私個人としても、OTC化には反対という立場を取らせていただきます。以上です。
○笠貫座長 ありがとうございました。日本OTC医薬品協会からの見解につきまして、磯部構成員から御意見、補足をお願いします。
○磯部構成員 磯部でございます。よろしくお願いいたします。私どもは今回、反対という意見を表明させていただいております。理由は、OTCの場合、成分ごとに状況をよく把握する必要があるだろうということですが、先ほどの間藤構成員のお話なども伺っていて、咳喘息の場合に今の日本の治療体系を考えると、気管支の炎症があって、それを吸入ステロイドできちんと抑えた上で、少し発作もあるので長時間作用型のβ2刺激剤で気管支を拡張することによって楽にして、併用ないしは配合ということなので、こういったシムビコートのような配合剤に意味がある。併用が前提になってきている治療体系になっているのだと伺いました。私も事前に調べて、そういうことなのだろうなと思いました。
 そういう場合に、スイッチOTCを必ずしも一成分ごとに考えるのかどうかというのは、私どもは意見を出しているのですが、もう少し考えなければいけなかったかなという気持ちもちょっと持ってはいます。その上で、今も医師の管理下かどうかということを言っているのですが、私はこれからのスイッチOTCは医師が管理するのか、薬剤師が管理するのかという二者択一の議論ではなく、これから医療者が減っていって、自治医大の周辺も大変厳しくなっていると思います。開業の先生方の高齢化の問題も非常に大変で、なかなかかかれないということでお困りの患者さんもたくさんおられる中で、どうやって地域医療を維持していくのかということを考えるときに、当然、医師が毎回、毎回処方する必要があるのか。医師はスーパーバイザーとして、その患者さんのトータルのケアを見ていくのは当然なのでありますが、日頃の薬のお渡しとか、状況の確認を薬局なりドラッグストアの薬剤師の皆さんが見て、先生、こういうときはどうしますかということを話し合いながら、なるべく地域のチーム医療を拡げていくというようなことも今後考えていかなければいけないのかなと思います。当然、有効性や安全性を確保する前提ではありますけれども、そういった二択的な議論から進めて、どういうふうに管理できるのかを考えたほうがいいのではないかと思っております。そういう意味で、この薬も医師から見て先ほども感染症のお話とかいろいろあったわけでございますが、そうすると短期の処方で続けなければいけないのではないかと普通は思うのですが、どのくらいの処方日数で現実にやられているのか。多分、最初は安定させるのに苦労されていて、鑑別診断をして、ある程度安定する時期がきたときには長期処方というのも考えておられるのではないかと思うのです。もし長期処方ができるのであれば、その段階で薬局、ドラッグストアである程度薬をもらいながら医師がスーパーバイザーで診ていく。そういう意味でのOTCの選択肢というものは、医師確保が厳しい地域では考えてもいいのではないかと私どもは思っておりまして、ここでは一つ一つ丁寧に見るということで反対ということを申し上げているのですが、この薬についてはそういうことも含めて今後考えていっていいのではないかと思います。
 それから、先ほど間藤構成員からお話はなかったのですが、いただいている資料の19ページの中に、学会のほうで、スイッチ化した際の社会への影響の観点からというところで、今のβ2刺激薬の単剤の使用ですね。短時間型の剤が、私も論文をいただいて拝見しましたが、それがOTC購入で非常に問題だということだけを切り取られて書いておられるのですが、論文を拝見しますと、もともとβ2刺激薬の単剤使用が問題であって、処方薬でも出ていて、それに加えてOTCまで買ってしまっているということで、さらにおかしくなっているということなので、そもそもこの使用そのものの問題をとらまえている文献というふうに私は理解をしました。ここだけ書かれると、さもOTC化が非常に問題なんだということなので、その薬剤の特性的な面をこの論文は言っていると記載していただけるとありがたいと思いました。また、20ページですが、医療機関との関係でいきますと、まさしく一般医と専門医の関係は、当然こういうものはよく分かっているのですが、薬剤師から需要者への受診勧奨という言葉なのですが、あまりいい言葉ではありません。OTCに関しては薬剤師と医師との連携をどうやっていくのか。ずっとやってきている地域もありまして、実証的にやって結構うまく連携がとれている地域などもありますので、薬剤師でも医療機関との連携についてはかなり進んできている部分もあるということも少し補足させていただきたいと思います。すみません。長くなりましたけれども、私のほうは取りあえず以上でございます。ありがとうございました。
○笠貫座長 ありがとうございました。構成員の方々からこの成分のOTC化について御意見をいただきたいと思います。堀構成員、お願いします。
○堀構成員 ありがとうございます。COMLの堀です。私は、患者、または消費者の立場から3点、今回の当該薬をOTC化するのに反対の意見を述べさせていただきます。
 まず1点目ですけれども、今、何人もの先生方から教えていただきましたように、患者、または消費者が自己判断で中止をした際において、気道の炎症がまだ残っているにもかかわらず中止してしまったときの影響力、それがもちろん先ほどおっしゃっていた肺がん、または肺結核、それからもちろん気道の炎症ですので気管支喘息などにつながっていくというようなことを聞きますと、勝手に自己判断で消費者が中止をすることの怖さということを私どもはよく分かっていないので、そんな影響力を考えますと、やはり心配であるということが1点目です。
 2点目が、私どもはどうしても添付文書を拝見しながら、この薬の効能、使い方などを拝見するのですけれども、今いただいております添付文書の効能または効果におきますと、気管支喘息においては喘息の急激な悪化状態のときには原則として本剤は使用しないこと、そして次の慢性閉塞性肺疾患の場合におきましても急性期治療を目的として使用する薬剤ではないと書いてあります。先ほど湯浅構成員もおっしゃっていましたけれども、OTCの薬剤というと、どうしてもやはり急性期で患者は使うという意識が強いかと思います。それで、同じ添付文書の7.4のところを拝見しますと、本剤を維持療法に加えて頓用吸入としても使用する場合におきましても、頓用吸入には維持療法としての使用に追加して行うこと、本剤は頓用吸入のみに使用しないことということも書かれています。そういうことを私たち需要者が理解しないままこれを使ってしまうと、急性期に使ってしまうという心配があります。そういうことから、私どもが使用する際に薬剤師さんがどのように使用に対してのいろいろなチェックを伝えるかということを考えますと、非常にそこが不安になります。
 3点目は、ここの8の添付文書の重要な基本的注意のところなのですけれども、8.1で今回の本剤の維持療法としての定期吸入は気管支喘息、あるいは慢性閉塞性肺疾患の長期管理を目的としており、毎日規則正しく使用することということも書いておりますので、結局、長期使用ということを目的としてつくられた薬剤と私は理解しました。その場合、OTC化にした場合、長期というのはどれくらい服用すべきなのか。それを薬剤師の方が販売のときにどのように伝えられるのか。そういうことも考えたときに、やはりこの薬剤は非常に難しい。OTC化には非常に難しい薬ではないかと思います。
 最後なのですけれども、今回の申請者はスイッチOTC化したときの効能・効果は風邪の後、なかなか咳が収まらない咳喘息と書いてあります。それで、今回のこの当該薬は気管支喘息と、それから慢性閉塞性肺疾患ということなので、私ども素人には咳喘息と気管支喘息との違いというものがよく分からなく、私の判断では咳疾患と気管支喘息というものは症状が違うのではないかとは理解しているのですけれども、その点をもし販売の際に薬剤師の方がどのように理解し、判断し、この薬を出すことができるのかということも考えますと、非常に不安です。以上、3点、お伝えいたしました。
○笠貫座長 ありがとうございました。ほかに御意見はございませんか。磯部構成員、どうぞ。
○磯部構成員 今の堀構成員のお話に関して、一言だけコメントさせていただきたいと思います。私は処方薬かOTCかということで考えるときに、自己判断でやめてしまうということに関しては、処方薬でもたびたび起こることだと認識しております。つまり、患者さんに幾ら医師が言ってもやめてしまうことは、それはあります。それが理由だからOTC化はできないとか、OTCという薬は自分だけで判断する薬ではなくて、薬剤師の方や、第2類医薬品になった場合は登録販売者の方がいろいろサポートをしながら使っていく薬でもありますので、何も薬剤師が教えてくれなくて、必ずしも自分だけの判断でやるというものではありません。しかも、隣に富永構成員がおられるのですけれども、保険調剤の場では当然シムビコートも出されますので、吸入の仕方の問題であるとか、副作用の問題であるとか、先ほどお話のあった自己管理でやめてはいけないというのは、医師からも薬剤師からも口うるさいくらい言われるわけです。それで、実際にOTCになっても販売される方は、当面薬剤師ははっきりしているので、保険調剤と同じようなことを口うるさく言うことは当然できます。処方薬だとそれが達成できて、OTCだと達成できないということは、必ずしもそういった二項対立的な構図ではないのではないかと思っておりますので、私のコメントとさせていただきたいと思います。
○笠貫座長 堀構成員、どうぞ。
○堀構成員 御意見ありがとうございます。非常にその点は私も理解はしております。ただ、現時点では薬剤師の方が、OTC化になった場合に需要者に対して、今は資材とか、どのように説明するとか、そういうことがまだ何も議論されていない状況です。私はさっき反対と申し上げましたけれども、現時点では反対です。ですので、もしこれをOTC化するのであるならば、様々な要件に関してこれから時間をかけてゆっくり丁寧に皆さんで議論をし合って、それでOTC化をしていく。そういうことであるのならば、賛成です。以上です。
○笠貫座長 宮川構成員、どうぞ。
○宮川構成員 宮川でございます。今の議論を聞いて、大変安心しました。磯部構成員がおっしゃったことは、オーバー・ザ・カウンター、OTCの本来の使い方をお示しされたので、全てのOTCを今、磯部構成員がおっしゃったように、日本OTC医薬品協会が実証された地区、限定された地区だけではなく、全国津々浦々全て同じように登録販売者ではなく、薬剤師がしっかりと指導することによって行われるのがOTCでございます。そのところをしっかりと徹底してくださるということであれば、非常に私は納得できることなので、御発言通り実行していただきたく、ぜひ日本OTC医薬品協会としてよろしくお願い申し上げます。
○笠貫座長 ありがとうございます。富永構成員、お願いします。
○富永構成員 日本薬剤師会の富永です。私の名前も出していただいたのでちょっと発言したいのですが、シムビコートが処方箋で出ていると、私どもも気にかけるわけです。どうしてかというと、まず医師の判断はどうなのか、どういう病名なのか、吸入のどういうふうな指導を受けているのか、それによってこのお薬は違ってくるわけですね。それで、先ほど堀構成員もおっしゃったように、維持療法のとき、それでSMART療法といって追加で吸入もできたりする。だから、医師からいろんな検査をなさって、レントゲンもあったでしょうし、スパイロメトリーもあったと思いますけれども、それで病気が評価された上でその吸入の方法を聞かれて、そして薬局に来られるわけだから、またそれと違ったことを言っても大変なことだし、これは一つの診察とその処方、そして投薬という服薬指導の流れの中で患者のためにお薬が出されているという薬なんですよね。それで、どこまで薬剤師が管理できるかというところは、やはり喘息の管理とか、COPDの関係は医師しかできないわけで、喘鳴さえも我々は判断できるわけでもありませんので、そこは医師が適正な管理の下に処方を出していただいて、我々は適正使用という中でその吸入指導を行うという薬だと思います。それで、安全性も担保されて効果もある。それと、薬を止めるときのタイミングも医師が判断する。そういうものだと思っております。以上です。
○笠貫座長 ありがとうございます。では、松野構成員、お願いします。
○松野構成員 ありがとうございます。日本保険薬局協会の松野です。私も皆さんの御意見を聞いて、同じように、今の段階ではスイッチOTC化は難しいと思うのですが、今後スイッチOTC化されたものをどういう状況で消費者の方が使っていくのかという、そもそもの制度の在り方を見直すことが重要だと思います。例えばドクターが診断をされてずっと安定した状況であれば、OTCとして診察なしで薬局で買って薬剤師の指導の下に使っていいというふうな流れが確立されるような方向にいけば、この吸入剤にかかわらず様々な薬がスイッチOTC化されることにもつながっていくのだろうと思います。制度化の根本的なところが変えていけるように、薬剤師の職能においても一層の努力がいるでしょうし、こうした取組みが連動し、より良い制度になっていけることを期待しています。以上です。
○笠貫座長 ありがとうございます。磯部構成員、短くお願いします。
○磯部構成員 宮川構成員、ありがとうございます。いろいろ御指導いただいて大変感謝しております。登録販売者の件で、私は登録販売者の件をとやかく言う気もないのですが、私は地域でチーム医療の人員確保が厳しい中で、例えば看護師の方も非常に確保が難しくなってきて、看護学校の人員もなかなか取れないみたいな話も聞かせていただいているのですが、登録販売者の方はある程度、薬業ドラッグとかで働いていて、ちゃんと資格を取ろうとする方なんですね。ですから、私はそういう気持ちは大事にしてあげたほうがいいのではないか。薬業の分野も人手不足が進んでいる中で、試験問題をぜひ見ていただきたいと思うのですけれども、かなり難しい。私も自分で解ける自信はあまりないのですが、その上で毎年、毎年、最低12時間の研修を受けることにして、社内でも社外のものでもいろいろ研修もやっているので、そういう努力はきちんと見てあげて、できないということよりは、どうやったら育成できて一緒にパートナーとしてやっていけるのかという視点で、ぜひ宮川構成員には温かい心で見ていただいて、みんなで頑張って地域を守っていこうということで考えていただけるとありがたいなと思いました。以上でございます。
○宮川構成員 宮川ですけれども、そのとおりです。ですから、磯部構成員がおっしゃったようにやっていただきたい。私も登録販売者に関してはしっかりとやるべきであると、薬剤師の育成の議論の場ではお話しをしているので、それを逆手に取っているわけではなく、しっかりと教育活動を薬剤師とともにしていただきたい。登録販売者がいろいろなトラブルに遭われたり、訴えられたりしないようにしていただくのが非常に重要なことだろうと思うので、教育やリテラシーを向上させる活動をぜひ協会としては進んでやっていただきたいと思っている次第です。よろしくお願いします。
○笠貫座長 佐藤構成員お願いします。
○佐藤構成員 ありがとうございます。産経新聞の佐藤です。御説明ありがとうございました。議論を聞いていて、おっしゃることは一々ごもっともだとお聞きしつつ、素人が勝手に始めて勝手にやめると危険だからスイッチOTC化できない、というニュアンスに聞こえるのは大変残念だと思いました。OTCがセルフメディケーションの薬として認識されていることが大きな原因だと思いますけれども、OTCの使用は、私自身はセルフメディケーションだとは思っておらず、薬局で、薬の専門家である薬剤師と相談しながら使うことだと思っています。ここまでのところは一般論です。一方で、今回の薬に関しては長瀬参考人から大変重篤な疾患をマスクする可能性がある薬であるという御指摘があった点は大きなところだと思っております。実際に処方するときに臨床の先生方は事前に胸部レントゲンを撮ってこの薬を処方しているということだと思います。胸部レントゲンは開業の先生方でもごく一般的に普及しており、そういう扱い方をされている薬なのであれば、胸部レントゲンのない薬局で売るということはなかなか難しいのではないかと思いました。今後の話としては、磯部構成員から御指摘があったようにネットワークの構築、例えばこれまでにも初診で疾患名がついた場合には販売できるようにしてはどうかという議論もあったことですし、医療機関と薬局の連携がどのように実現されるかということを含めて検討することが必要ではないかと思いました。以上です。ありがとうございました。
○笠貫座長 ありがとうございます。宗林構成員、お願いします。
○宗林構成員 藤田医科大学の宗林です。私も、今日のシムビコートについて反対、賛成というようなことではありません。今後のスイッチ化、あるいはOTCの在り方ということを考える時期にもきているのではないかと思っています。というのは、例えばOTCとして承認されたものでも、私はOTCというものは2週間とか、そういうものの症状の一時的な緩和というふうに思っておりましたけれども、何年も飲んでいいようなものがOTC薬として出ているというような実積も出てきているようです。また、以前にはちょっとあったのですけれども、今のこの薬のように診断、それから薬の選択、ここまでは医師のやることであり、医師の能力によることだと思うのです。ただし、それで様子を見て、調子がよくなっていって、これで安定しているねとなった場合、長期に飲む薬、例えば血圧の薬とか、この吸入薬ももしかしたら割と長期に飲んでいらっしゃる方は多いのではないかと思いますけれども、そういった場合に、リフィルの処方箋も出てきたことですので、医者にかかって必ずもらわなくちゃいけない医療用の医薬品だけに限るというようなことではなくて、OTC化したときの仕組みとして一旦そういうふうなことで調子が、これである程度、何年かやってきたんだ、調子がいいというよう人のために、一定期間、OTCで賄えるというようなOTCの在り方も検討していくべきではないかと思いました。ですから、これは制度として変えていかなくちゃいけない問題ですけれども、そうすることによってお医者さんのほうも混んでいるときにちゃんと診なくちゃいけない、診断しなくちゃいけない人をきちんと診られるというようなこともあるでしょうし、それからOTCを買うということでの消費者の利便性もあると思いますので、ぜひそういう観点もこれからは取り入れていっていただきたいと思っています。以上です。
○笠貫座長 ありがとうございました。ここでまとめさせていただきます。
○長瀬参考人 長瀬ですが、発言をよろしいでしょうか。
○笠貫座長 長瀬参考人、どうぞ。
○長瀬参考人 よろしくお願いいたします。シムビコートの使用法につきまして、情報を補足させていただきます。シムビコートは現状、日本では連用です。連用のみしか認められておりません。そこに追加することができるものがSMART療法という形になっております。世界的にはシムビコートは喘息の症状のあるときのみ吸入をするというやり方が認められている国もありますけれども、少数派でありまして、それは反対であるという国のほうが多数になっております。日本におきましても頓用をどうするかということで、日本呼吸器学会、日本アレルギー学会、日本喘息学会で議論いたしましたが、時期尚早であろうということで、その頓用という承認を申請するということを断念しております。ですので、医師が診断をしてある程度安定して、その後OTC化ということ、医療者側への御配慮の発言は大変ありがたく受け止めたのですけれども、その前にやはり自己管理でシムビコートを頓用で認めるということが保険上で承認されるというステップが必要なのではないかというふうに現状では理解しております。情報の追加でございます。どうもありがとうございました。
○笠貫座長 ありがとうございました。それでは、これまでの議論をまとめさせていただきます。今後の課題も指摘されましたが、診断的治療については皆さんが非常に懸念されていたと思います。また、合剤についても単剤のみでのスイッチOTC化が認められていない合剤のリスクについては多くの問題点が指摘されました。ブデソニドとホルモテロールについて、それぞれの単剤の副作用の懸念として、心血管イベント、QT延長、感染症等の問題があり、現時点でこの合剤のスイッチOTC化は難しいという意見が多かったと思います。さらに、今後のOTCの在り方についての課題も指摘されました。診断後の連用を前提とした薬スイッチOTC化や、診断的治療としてのOTCの在り方、人材育成、信頼関係の構築など、セルフメディケーションに関する制度の在り方などです。この1剤でもこれだけ深掘した議論がなされたことは、本会議としての大きな意味があったと思います。それでは、この進め方についてまとめたいと思います。この成分の現時点での取扱いについて、この進め方でよろしいか御意見をいただきたいと思います。パブリックコメント及び2回目の検討会議の議論が必要だという御意見のある方がありましたら挙手をお願いします。ありがとうございます。それでは、2回目の議論は不要ということになりましたので、本日いただいた御意見を踏まえて事務局で検討会議結果案を作成し、構成員の先生方に御確認いただいた後に公表するということで進めたいと思います。それでは、本日の議題は以上でございますので、事務局のほうから何かありましたらお願いいたします。
○事務局 事務局でございます。本日も、長時間にわたり御議論をいただきましてありがとうございました。本日は、以上となります。今回の会議を最後に、第1回から評価検討会議に座長として御参画をいただいております笠貫座長が退任をされます。笠貫座長、最後に一言、御挨拶をいただけますでしょうか。
○笠貫座長 ありがとうございます。3月で座長を辞任いたしますので、一言御挨拶申し上げます。
 2016年4月から2026年3月まで、10年間になります。私の議長の不手際から、皆さんに御迷惑をかけたことをおわびするとともに、長い間、御協力いただき、無事にこの座長を終えることができ心から感謝申し上げます。評価検討会議での座長として、レギュラトリーサイエンスの視座から、10年間進めてきた考え方をお手元にメッセージとしてスライドを急遽お配りさせていただきました。2015年の12月頃だったと思いますが、当時厚生労働省の森審議官が、教授室に訪れたのが、この会議に関わりを持ったはじめでした。セルフメディケーションの推進の話でしたが、今日の議論では非常に成熟して、さらに次のステップに向けた議論がされたように、10年間で本会議の議論内容は大きく変わってきたと感じています。それまでは日本薬学会から要望が出て、関連学会に意見を聞いて、審議会で決めるというスキームでしたが、セルフメディケーション推進という社会背景を踏まえて、新しいスキームを作るということした。私も70歳を迎えて座長が務まるかどうか不安もありましたが、21世紀のセルフメディケーション・セルフケアは国民生活に関わる重要な国策と考え、お引き受けしました。そこで私が議論の中で、学会からの要望だけではなくて企業、学会、団体、消費者からの要望を受けることと、多くのステークホルダーによる議論が必要であること、パブリックコメントは、消費者の自己責任の問題として、非常に重要であることから、評価検討会議後のパブリックコメントと、その後の評価検討会議で採否を決定することが必要と考えました。
 さらに、ステークホルダー間で活発な議論による共通言語と共通認識の醸成が一番大事であり、そして、原則として全員の合意が必要だと最初から考えていました。国民を対象にしているので、リアルタイムでの全面公開と、当日参加可能な方は入場するか、YouTubeでの参加も検討するという話もしました。そういうスキームを実現するに当たっては、レギュラトリーサイエンスの考え方が基盤になければいけないと考えたのです。今日お手元にお渡しした資料は、スイッチOTC化におけるレギュラトリーサイエンスの考え方を示したものです。医学的、薬学的合理性だけではなく、経済的、政治的、倫理的合理性について比較考察が必要です。そして、消費者の受容可能なリスクは何かが最も大事であり、国民ニーズが受容可能なリスクを上回るということをそれぞれの時点で考えていくことが必要だと思っています。そして、その価値観が異なるステークホルダーの多様性の保証、情報の開示、選択肢の多様性の保証、そして意思決定のプロセスの透明性と公開性の保証、手続の明確化と説明責任が非常に大事だという認識のもとに10年間座長を務め前てきたつもりです。その中で、2016年4月から2019年の期間は全員合意ということで、可能な限り多くの構成員の方に発言していただいた上で、時には予定時間をかなりオーバーしながら熟議を重ねていただきました。その結果、企業の方々から出た10種12成分のうち9種9成分が全員合意であったことは、構成員の方々の高い見識と認識の結果だと私は思います。また、個人の方からの要望であった9種16成分のうち2種2成分が、全員合意であったことは、成果であったと思います。その熟議の中でどういう課題があり、どういう解決策があるのかについては、それぞれカテゴリーごとにまとめると各成分に共通性があると感じておりました。そういう意味で、4年間の実績は非常に大きな意味があったと思っています。しかし、2020年5月に規制改革推進会議で、本評価検討会議が本来あるべき姿と違う、リスク等に議論が偏ったということを指摘されました。私はまず安全性を担保するためのリスクを検討した上で、ベネフィットと比較検討すること、さらには、保険財政の影響、経済性のベネフィットについても、この会議の対象以外のところまで議論をしていただきたいと思っていました。それ以降全員一致という合意形成の在り方の見直しを行い、この会議では採否を決めないことになりました。それまでの成果を踏まえて、先ほどの中間取りまとめで挙げました課題、論点を3つにカテゴリーを分けていただき、課題と論点とその解決策について議論を深掘りしていくことになりました。今日の会議で最後に議論されましたように、今後のスイッチOTC化の在り方にまで深く議論していただいたことは本会議の新たな意義として期待しております。
 振り返りますと、PPIについても2016年からの時代に不採用にされましたが、2024以降、薬剤師・薬局の方だけではなくて、医師、消費者の意識が大きく変わり、昨年PPIがここでまとめられた検討会議結果をもとに部会承認が可と判断されました。セルフメディケーションの大きな変革期に入ったことを実感したところです。それから、印象に残ったのは、緊急避妊薬、レボノルゲストレルです。当初は日本産科婦人科学会と日本産婦人科医会は反対でしたが、パブリックコメントでは賛成が多く、約400件の中でリプロダクティブ・ヘルス/ライツや、WHOのエッセンシャルドラッグに指定されている国際的な問題を含めて社会的な重要課題について議論されました。2021年に再度要望が出たときには実にパブリックコメントが4万件を超え、国民の認知度は大きく向上しました。さらに、膨大な資料と日本産科婦人科学会、日本産婦人科医会、日本薬剤師会、市民プロジェクト、性暴力支援センター、文部科学省と、多くの人たちにヒアリングをさせていただき、この頃は、3時間を超える会議をさせていただいたかと思います。
 さらに、全国的なネットワークをつくり、議論が発展していったことを大変うれしく思っております。当初、前期ではPPIと、緊急避妊薬がどうなるだろうか、パブリックコメントがどこまで増えるのかと思っておりましたけが、昨年で一つの役割を終えたということで辞任をさせていただくことにいたしました。セルフメディケーション・セルフケアの推進に向けて医療関係者、薬学関係者、そして消費者がさらに連携を深めていくことが非常に重要だろうと思います。2015年に薬局ビジョンが立ち上がり、日本の国家として健康医療戦略が始まったのは2014年でした。私も薬事行政に関わりながら、2006年以降の6年制の薬学教育に始まり、薬事行政の大変革期にこの会議が生まれ、10年間座長の役割を果たせたことは大変光栄だと思っています。最後に、皆さんの御協力に心から感謝申し上げます。本当にありがとうございました。
○事務局 笠貫座長、長年にわたり、御尽力をいただきまして誠にありがとうございました。最後に、座長からの配付資料につきましては、追って本検討会議の資料のほうに掲載をさせていただきます。次回の検討会議ですけれども、詳細が決まり次第、改めて御連絡をいたします。御多用のところ恐縮ではございますけれども、どうぞよろしくお願いいたします。事務局からは以上です。
○笠貫座長 これで第35回医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議を終了します。ありがとうございました。
( 了 )

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