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- 第1回労働市場改革分科会 議事録
第1回労働市場改革分科会 議事録
1.日時
令和8年3月11日(水)8:30~10:00
2.場所
- 厚生労働省 省議室
(東京都千代田区霞が関1丁目2番2号 9階国会側)
3.出席者
構成員
上野 賢一郎 厚生労働大臣(分科会長)
長坂 康正 厚生労働副大臣(分科会長代理)
神谷 政幸 厚生労働大臣政務官(分科会長代理)
石﨑由希子 横浜国立大学大学院国際社会科学研究院 教授
伊藤 仁 日本商工会議所 専務理事
片岡 剛士 PwC コンサルティング合同会社 上席執行役員、チーフエコノミスト
近藤 絢子 東京大学社会科学研究所 教授
坂本 貴志 株式会社インディードリクルートパートナーズリクルートワークス研究所 研究員
神保 政史 日本労働組合総連合会 事務局長
中根 弓佳 サイボウズ株式会社 執行役員、人事本部長
藤原 清明 日本経済団体連合会 専務理事
水島 郁子 大阪大学大学院高等司法研究科 教授
室賀 貴穂 九州大学大学院経済学研究院 准教授
山田 久 法政大学経営大学院イノベーション・マネジメント研究科 教授
事務局
山田厚生労働審議官
岸本労働基準局長
村山職業安定局長
宮本人材開発統括官
田中雇用環境・均等局長
河野政策立案・総括審議官
岡政策統括官付参事官(総合政策統括担当)
上野 賢一郎 厚生労働大臣(分科会長)
長坂 康正 厚生労働副大臣(分科会長代理)
神谷 政幸 厚生労働大臣政務官(分科会長代理)
石﨑由希子 横浜国立大学大学院国際社会科学研究院 教授
伊藤 仁 日本商工会議所 専務理事
片岡 剛士 PwC コンサルティング合同会社 上席執行役員、チーフエコノミスト
近藤 絢子 東京大学社会科学研究所 教授
坂本 貴志 株式会社インディードリクルートパートナーズリクルートワークス研究所 研究員
神保 政史 日本労働組合総連合会 事務局長
中根 弓佳 サイボウズ株式会社 執行役員、人事本部長
藤原 清明 日本経済団体連合会 専務理事
水島 郁子 大阪大学大学院高等司法研究科 教授
室賀 貴穂 九州大学大学院経済学研究院 准教授
山田 久 法政大学経営大学院イノベーション・マネジメント研究科 教授
事務局
山田厚生労働審議官
岸本労働基準局長
村山職業安定局長
宮本人材開発統括官
田中雇用環境・均等局長
河野政策立案・総括審議官
岡政策統括官付参事官(総合政策統括担当)
4.議題
(1)労働市場改革分科会の取扱い等について
(2)労働市場をめぐる現状と課題等について
(2)労働市場をめぐる現状と課題等について
5.議事
○山田厚生労働審議官 定刻になりましたので、ただいまから第1回「日本成長戦略会議労働市場改革分科会」を開催いたします。
皆様方におかれましては、大変お忙しい中、早朝から御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
本日、議事進行を務めます厚生労働審議官の山田です。よろしくお願いいたします。
それでは、分科会の開会に際しまして、上野賢一郎厚生労働大臣から御挨拶を頂きます。
○上野厚生労働大臣 皆さん、おはようございます。厚生労働大臣を務めております上野賢一郎でございます。
今日は、構成員の皆様には早朝から御参加いただきまして、本当にありがとうございます。また、このたびは御就任いただきまして、重ねて御礼申し上げたいと思います。
労働市場改革は、我が国の経済成長の実現に向けまして、極めて重要な取組だと考えております。人手不足などによりまして、労働供給の制約下にある我が国の労働市場につきまして、生産性の高い分野への円滑な労働移動あるいは働き方改革を含めた柔軟な働き方の拡大、そうしたことに向けまして、検討を進めていく必要があると考えております。
夏の成長戦略の取りまとめに向けまして、御参画いただきました構成員の皆様の御知見をお借りしながら、本分科会の議論を取りまとめていきたいと考えておりますので、皆様におかれましては、大変御多用の中、恐縮ではございますが、お力を頂けますように心からお願い申し上げたいと思います。
簡単でございますが、御挨拶とさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○山田厚生労働審議官 上野大臣は他の公務のため、ここで退席されます。
カメラの頭撮りはここまでとさせていただきます。御協力のほどよろしくお願いいたします。
(報道関係者退室)
○山田厚生労働審議官 それでは、議事に入ります前に、本日の分科会について事務的な御連絡を申し上げます。
○岡政策統括官付参事官 本日の資料は、お手元のタブレットで御覧いただけます。画面の左上に三点リーダーがございますけれども、ここを押していただきますと資料を見ることができます。
オンライン参加の委員の皆様におかれましては、原則としてカメラはオン、マイクはミュートとしていただきたいと思います。御発言の際は、挙手ボタンを押していただきまして、指名があるまでお待ちください。指名後、ミュートを解除して御発言いただくようにお願いいたします。また、機器等のトラブルがございましたら、チャット機能でお知らせいただくか、あるいは事前に事務局からお送りしている電話番号まで御連絡を頂けると幸いでございます。また、通信遮断などが生じた際には進行を一時中断とする場合がございますので、御承知おきいただきたいと思います。
以上でございます。
○山田厚生労働審議官 それでは、議事に入ります。
本日の議題は「労働市場改革分科会の取扱い等について」「労働市場をめぐる現状と課題等について」となっております。
まず、議題1の労働市場改革分科会の取扱い等につきまして、事務局から説明いたします。
○河野政策立案総括審議官 政策立案総括審議官の河野でございます。
資料1を御覧ください。「労働市場改革分科会の開催について」でございます。
日本成長戦略会議の下に開催いたします労働市場改革分科会でございますが、2にございますとおり、分科会長は厚生労働大臣、分科会長代理は厚生労働副大臣、厚生労働大臣政務官でございます。
構成員の皆様を御紹介申し上げます。
横浜国立大学大学院国際社会科学研究院教授の石﨑委員。
日本商工会議所専務理事の伊藤委員。
PwCコンサルティング合同会社上席執行役員、チーフエコノミストの片岡委員。
東京大学社会科学研究所教授の近藤委員。
株式会社インディードリクルートパートナーズリクルートワークス研究所研究員の坂本委員。
日本労働組合総連合会事務局長の神保委員。
サイボウズ株式会社執行役員、人事本部長の中根委員。
日本経済団体連合会専務理事の藤原委員。
大阪大学大学院高等司法研究科教授の水島委員。
九州大学大学院経済学研究院准教授の室賀委員。
法政大学経営大学院イノベーション・マネジメント研究科教授の山田委員。
なお、本日は全ての委員の皆様に御出席いただいております。
分科会の庶務でございますが、3にございますとおり、関係行政機関の協力を得て厚生労働省で処理いたします。
続きまして、資料2を御覧ください。「労働市場改革分科会の取扱いについて」でございます。分科会並びに議事録及び配付資料につきましては、原則として公開することといたしたいと考えております。
この取扱いにつきまして、御意見ございませんでしょうか。
それでは、そのような取扱いにさせていただきます。
○山田厚生労働審議官 それでは、議題2の「労働市場をめぐる現状と課題等について」に入ります。資料3「労働市場改革分科会の今後の進め方について」、資料4「労働市場をめぐる現状と課題等について」、資料5「2040年の就業構造推計について」、それぞれ事務局から説明いたします。
○河野政策立案総括審議官 御説明いたします。
資料3を御覧ください。労働市場改革分科会の今後の進め方について御説明いたします。
本日、現状と課題等について、次回以降、各論について御議論いただきまして、夏の成長戦略取りまとめに向けて、5月頃、取りまとめを行う予定でございます。
続きまして、資料4を御覧ください。労働市場をめぐる現状と課題等について御説明申し上げます。
2ページを御覧ください。我が国の現状と課題についてですが、2010年以降の我が国の実質GDP成長率は、年平均で見ますと1.0%、足元では、2025年の実質GDP成長率は1.1%となっております。GDPギャップは、2022年頃以降、需要超過傾向でございまして、経済成長を実現するためには供給力強化が必要となっております。
労働力供給制約下にあって、働く人一人ひとりを大切にしながら、労働政策では「労働生産性の向上」「成長分野や社会を支えるエッセンシャルワーカー等の分野への労働移動の促進」「柔軟で多様な働き方による労働参加の促進」の3つの柱に強力に取り組み、今の暮らしや未来への不安を希望に変える「強い経済」を実現していくことが重要と考えております。また、これらの3つの柱を実現するためには、企業において労働者の働く意欲や能力を引き出すような人材マネジメントを高めることが重要と考えております。
3ページには、昨年12月に開催されました日本成長戦略会議における高市総理大臣の発言を載せております。労働市場改革については、心身の健康維持と従業者の選択を前提として、柔軟で多様な働き方を実現することが重要、現場のニーズを更にきめ細かく把握しながら、規制改革会議などの関係機関とも連携して、労働時間規制の運用・制度の両面から、検討を加速するよう指示がございました。
4ページと5ページは、日本成長戦略会議提出資料でございますが、4ページの現状と課題のところにございますように、労働市場改革の課題として、労働生産性の向上、労働移動の円滑化、労働参加の確保の3つが掲げられております。
6ページを御覧ください。労働生産性に関する現状につきまして、整理いたしております。左の2つの図を御覧ください。実質労働生産性の上昇率は長期的には徐々に低下傾向にあります。労働生産性の上昇率を要因分解したのが右から2番目の図でございますけれども、我が国は、研究開発費や人的資本投資、ソフトウエア投資等の無形資産投資の寄与が弱く、特に非製造業のソフトウエア投資は伸び悩みが見られました。
7ページを御覧ください。左の図は、社会を支えるエッセンシャルワーカー等の分野の労働生産性の上昇率を見たものですが、諸外国と比較しても弱くなっています。右の図は、企業規模別に労働生産性の推移を見たものでございます。
8ページに、労働生産性に関する論点案についてお示しいたしております。
9ページにお進みください。労働移動に関する現状について整理いたしております。希少な労働力がより効率的に活用されることによって、経済全体の効率性が高まり、少子高齢化と人口減少下にあっても、「強い経済」を実現することにつながると考えます。転職者について、左の図の青い線でございますが、足下を見ますと増加しているものの、長期的に大きくは増加しておりません。また、我が国の労働移動は、同一産業、同一職種間が多い傾向にございます。
10ページを御覧ください。転職希望者数に対して転職者数が少ない状況にありますが、「今のところ、転職をしなくても問題がない」「転職しても自分の希望条件は満たされそうにない」といった理由のほか、「自分にあった仕事がわからない」「仕事の探し方がわからない」といった理由で転職活動をしていない方もおられます。転職後の賃金ですが、直近では、年齢にかかわらず、上昇する状況にございます。
11ページに、労働移動に関する論点案についてお示ししております。
12ページを御覧ください。労働参加に関する現状について整理いたしております。左の図にありますとおり、マンアワーベースの労働力供給量を見ますと、人口減少が加速化している中でも、女性・高齢者を中心とした就業者数の増加により維持されております。右の図の赤枠で囲った部分にありますとおり、今後も労働参加が進めばマンアワーベースで労働力供給量を維持することが可能となる一方で、労働参加が進まない場合はマンアワーベースで労働力供給量が約15%減少するという推計もございます。後ほど御説明いたしますが、昨年10月に実施した調査によりますと、労働時間を増やしたい労働者は10.5%いるという結果でございましたが、そのうち、短時間勤務の方や上限規制の枠内で労働時間を増やすことを希望する労働者がボリュームゾーンでございましたので、これらの層について労働力供給を増やす余地があると考えられます。
13ページを御覧ください。就業意欲があるが求職活動していない無業者や、育児・介護等一定の制約を理由に非正規雇用を選択している労働者は、約700万人程度存在すると考えられます。高齢者の就業率を見ますと、右の図にございますとおり、国際的に見ても群を抜いて高く、就業意欲も高いところでございます。高齢者が働いていない理由を見ると、3分の1の方が「健康上の理由」を挙げており、4分の1の方が「望む仕事が見つからない」というキャリアに関する回答をしておられます。
14ページを御覧ください。障害者の雇用でございます。雇用者数は約70.5万人と過去最高を更新しておりますが、能力発揮の促進といった雇用の質の向上の必要性や、中小企業における雇用の伸び悩み、意欲のある難病患者の就労支援の必要性等の課題が指摘されております。外国人労働者は、2025年では約257万人となり、過去最高となっております。
15ページに、労働参加に関する論点案についてお示ししております。
16ページを御覧ください。先週、厚生労働省において公表いたしました働き方改革関連法施行後5年の総点検の概要資料でございます。この調査は、働き方改革関連法施行後5年の状況を把握するため、労働者を対象とするアンケート調査、企業・労働者を対象とするヒアリング調査を実施したものでございます。
資料の左側、労働者アンケート調査では、労働時間の増減希望につきまして、「労働時間を増やしたい」と回答した割合は約10.5%、「このままでよい」が59.5%、「減らしたい」が30.0%となっており、このうち「増やしたい」という10.5%の内訳を見ますと、週の所定労働時間35時間以下で年収200万円未満の方が3.4%、週所定労働時間35時間超または年収200万円以上で上限規制である月80時間の範囲で労働時間を増やしたい方が4.9%、同じく上限を超えて労働時間を増やしたい方は0.5%であり、パートタイム的に働いている方と、フルタイム的に働いている方で上限の範囲内で労働時間を増やしたいという方の2つの類型が多くなっております。もっと働いてもらいたい、もっと働きたいというニーズについては、時間外労働の実態と上限規制との間に隙間があり、規制の範囲内で労働時間を増やしたいという場合も多いのではないかと思われますが、今回の総点検調査でも、改めてそのような実態が示されたものと考えております。
資料4の説明は以上です。
続いて、資料5を御覧ください。経済産業省から提供されている資料について御説明します。
2ページを御覧ください。2040年の就業構造推計の改訂版では、2040年に十分な国内投資や産業構造転換が実現する場合、人口減少により就業者数は約6700万人から約6300万 人となるが、AI・ロボット等の利活用やリ・スキリング等により労働需要が効率化され、全体で大きな不足は生じないとされております。一方で、職種・学歴・地域間では需給ミスマッチが生じるリスクがあり、事務職が約440万人、文系人材が約80万人余剰、AI・ロボット等利活用人材約340万人を含む専門職、現場人材約260万人、理系人材約120万人が不足する可能性があるとされております。
私からの説明は以上です。
○山田厚生労働審議官 ありがとうございました。
それでは、委員の皆様から御意見を承りたいと思います。
まずは、労働生産性と労働移動の関係という部分について、現状・課題・論点案につい てそれぞれ御意見を頂ければと思います。
御意見のある方は、御自身の名前の札を立てていただきますようお願いいたします。また、オンラインにて御出席で御意見のある方は挙手ボタンを押していただくようにお願いいたします。
まずは、会場の皆様に御発言いただき、続いてオンラインの皆様に発言の機会を移してまいりたいと思います。時間が限られておりますので、皆様全てから御意見を頂きたいと思いますので、お一人につき2分程度という制約で簡潔に御発言いただきますようお願いいたします。
神保委員からお願いします。
○神保委員 ありがとうございます。おはようございます。連合の神保でございます。
まず、私から、冒頭、政策決定プロセスについて一言申し上げておきたいと思います。雇用労働政策は、グローバルスタンダードである「三者構成原則」の下で現場実態を熟知した労使が知恵を出し合いながら、議論、決定することが不可欠であると考えております。労働市場改革分科会においても三者構成の行動政策審議会の審議を踏まえた検討がなされることが必要です。
その上で、労働生産性向上に向けた能力開発や労働移動について、意見を申し上げたいと思います。リ・スキリングを含む人的資本投資の促進については、企業の労働生産性の向上のみならず、労働者個々人の成長にもつながるものであって、非正規で働く方を含め、全ての労働者を対象に取り組むことが重要であると考えております。その際には、現場の労使が十分に合意形成を図りながら実施するとともに、習得したスキルや成果が適切に評価され、処遇改善につながる仕組みを整備することが必要です。あわせて、取組に課題を抱える中小企業に対しましては、伴走型支援の強化など、さらなる後押しが必要です。
次に、労働移動についてです。成長産業への労働移動には専門的なスキルや資格の取得が必要になると認識しております。労働者にはスキル習得のための時間的・経済的余裕が十分でない方も多くいます。政府として、移動後の成長産業において能力開発や人材育成が実施される環境整備を進めることが重要であると考えております。また、労働移動はあくまで労働者本人の意思が尊重されるべきであり、成長産業において魅力のある処遇、労働条件、そして長期的・安定的に雇用を維持すること、継続的なリ・スキリングの機会を提供することが必要です。
私からは以上です。
○山田厚生労働審議官 ほかにございませんでしょうか。
片岡委員、お願いします。
○片岡委員 片岡です。おはようございます。
労働生産性、労働移動について若干意見を申し上げたいと思います。
資料7を御覧いただければと思います。冒頭の2ページ目のところで、労働生産性、労働移動についてまとめています。先ほど御説明いただいたとおり、2010年代以降、経済状況がやや改善してきている状況の中で、労働生産性の向上を持続的な賃上げにつなげていくという観点が重要になってくると思いますが、やはりマクロ経済環境の改善・安定といったところは必要条件なのかなと思っています。労働生産性は付加価値割る労働投入というところですので、これを拡大するためには付加価値そのものの拡大と労働投入の効率化といったところが求められると思います。付加価値の拡大に関しては、適切なマクロ環境、高付加価値創出のための経営側・労働側での取組、それから労働移動の円滑化といったところを考慮すべきだと思いますし、労働投入効率化につきましては、業務の効率化、適切な労働時間管理、労働参加促進といったところが重要になるかと思います。
日本成長戦略に関係する絡みで申し上げますと、17戦略分野は基本的に製造業が対象であります。製造業は、御承知のとおり、マクロの付加価値全体に占める割合は2割程度ですので、7割のサービス業の生産性向上、ないしは製造業・サービス業との投入・産出を通じました関係性、サプライチェーンの強化といったところが必須になるのではないか、こうしたところに大きく影響を与えるような改革が必要になってくるのかと思います。
労働移動に関して申し上げたいと思いますが、円滑な労働移動に関しましては、最新のテクノロジーの活用を通じた労働市場の見える化や、副業・兼業の促進、裁量労働制の拡充といったところが基本的に必要になるのではないかと思います。就業構造に関しては、文系人材ないしは事務職の方、こうしたところと、理系人材、AI・ロボット等テクノロジーの活用人材、ここら辺はミスマッチが生じていると思いますので、こうしたミスマッチを解消するような形で適切に新たなテクノロジーを生かしながら、いろんな形で活発に活動の場を広げていくというところが労働生産性や労働移動の拡大につながるものだと思います。こうした方向感で改革を進めていく必要があるのではないかと考えている次第です。
私からは以上です。
○山田厚生労働審議官 続きまして、伊藤委員、お願いします。
○伊藤委員 ありがとうございます。
全国515の地方の商工会議所を代表する日本商工会議所から、中小企業の観点からコメントさせていただきたいと思います。
労働生産性の議論ですけれども、中小企業との関連で見る場合に、一律に規模の違いだけで見るのは適切ではなく、むしろ中小企業については2つの類型があると我々は考えております。資料6にメモを作りましたけれども、1つは、いわゆる利益や規模を拡大する、成長を志向する、地域を牽引するような企業であり、地域牽引企業と呼んでいます。もう一つが、地域コミュニティーやインフラを支える地域貢献企業、この2つの固まりがあると思っております。
成長志向型の企業については、個社の労働生産性を重視した政策を取ることは非常に有効だと思っております。他方で、小規模事業者が大宗を占める地域で頑張っている地域貢献企業につきましては、生産性向上はもちろん重要なのですけれども、併せて地域での需要の拡大あるいは人手不足にどう対応するのかといった全般的な政策がより一層重要であります。企業数の8割、また提出資料の下部に図示いたしましたが、企業規模別の付加価値は地方に行くほど小規模事業者が占める割合が大きくなります。この観点から、個社と地域の両面へ向けた政策が必要だということをコメントしておきたいと思います。
また、生産性向上の観点につきましては、厚労省の資料にもありましたけれども、中小企業の生産性が低いというふうに言われていますが、過去、中小企業白書でも分析がされておりますように、むしろ実質の生産性は高いのだけれども、それが適切に価格転嫁できていない、この部分に大きなギャップがあって、そこも勘案すれば十分に競争力に堪えられる企業が中小企業の中にも多くあると考えております。現在、政府でも進めていただいている価格転嫁・取引適正化の取組の重要性については、この生産性の議論の中では忘れてならない論点だと思っております。
加えて、労働移動について一言コメントさせていただきます。成長分野やエッセンシャルワーカーへの労働参加を促進するということは我々も重要だと思っておるところでありますが、他方で、先ほど申し上げました地方の中小企業では、大企業あるいは大都市への人の流出といった問題が深刻であります。政策を用いて労働移動する際に、このような地域のインフラを支える中小企業の人手不足を加速させて、さらに地域が疲弊するということはあってはならないと考えますので、この点についても申し上げます。
以上です。
○山田厚生労働審議官 今、会場で札が上がっているのは藤原委員、室賀委員、坂本委員です。その順番で、まずは藤原委員からお願いします。
○藤原委員 ありがとうございます。
資料11-1の提出資料を御覧いただきたいと思います。こちらは、今、春季労使交渉真っ最中でございますが、それに臨む経済界側のスタンスをまとめたものでございます。
この図にもありますように、成長と分配の好循環、それから実質賃金の安定的なプラス化ということを目指しているわけですが、その実現のためには、人への投資を通じた賃金引上げの力強いモメンタムのさらなる定着が重要だということを訴えております。そのために必要な賃金引上げ原資の安定的な確保に当たっては、やはり労働生産性の改善・向上というものが不可欠になります。具体的には、付加価値の最大化に注力しながら労働投入の効率化を図るという働き方改革の進化が必要と考えております。
付加価値の最大化に当たりましては、より柔軟で自律的に働ける環境整備、とりわけ裁量労働制の拡充が最重要課題と考えております。加えまして、イノベーション創出の担い手であります多様な人材や働き手の能力開発、スキルアップを通じた労働力の質的向上を図るなど、その活躍を推進して労働生産性を改善・向上させることが欠かせないと思っております。
また、我が国全体におけるマクロの視点で労働生産性の改善・向上を図るためには、高い付加価値を生み出す成長産業や分野等への労働移動を進めていくことが重要だと考えております。企業、経済界、政府、それぞれ求められる役割を果たして、社内外における労働移動の積極的な推進に取り組んでいく必要があると思っています。とりわけ、政府に対しましては、労働移動推進型の雇用セーフティーネットへの移行に向け、雇用保険制度の改正を含めた取組、制度整備を引き続き求めてまいりたいと思っております。
資料11-2は「労働移動の積極的な推進」実現に向けたアクションプランで、経団連の考え方をまとめたものでございます。昨年10月にまとめたのですが、この中には、企業自ら取り組むこと、政府にお願いしたいこと、そして教育機関と連携したいことというふうに分けておりますので、また後ほど御覧いただきたいと思います。
以上でございます。
○山田厚生労働審議官 室賀委員、お願いします。
○室賀委員 では、資料12を御覧ください。
私は、日本経済の大きな課題の1つは人的資本の未活用であると考えております。人口減少が進む日本においては、労働力の量を増やすだけでなく、既に存在している人的資本をいかに効率的に活用するかが重要になります。未活用となっている人材としては、女性人材、中途人材、高度人材等が挙げられますが、特に女性人材の活用は日本経済にとって最も大きな潜在成長要因の1つです。
例えばOECDのデータを用いた研究では、日本の女性は、スキル水準そのものは世界でもトップレベルにあるものの、職場におけるスキルの使用度は先進国の中で最低水準であることが示されています。つまり、日本では能力が低いのではなく能力が十分に活用されていないという問題があります。また、経済学の研究では、人材配置の最適化は経済成長の重要な要因であることが示されています。例えば女性やマイノリティーが能力に合った職業に就くようになったことが1960年から2010年までのアメリカの経済成長の20~40%を説明するという研究もあります。
この観点から見ると、日本においてもスキルと職務のミスマッチを解消し、人材がより生産性の高い仕事へ移動できる労働市場を整備することは、生産性向上の重要な政策課題であると考えております。
以上です。
○山田厚生労働審議官 続いて、坂本委員、お願いします。
○坂本委員 坂本と申します。
先ほどは丁寧な御説明、大変ありがとうございます。
エッセンシャルワーカーのところ、論点を頂いていたと思います。経産省の資料でも現場の人材が非常に不足していく、あるいは厚生労働省におきましても、労働経済白書などで社会インフラ関連職ということで位置づけて、こうしたところに光を当てることが重要だと考えています。こういった業界というのは地方中小企業が重要な役割を担っています。伊藤委員からもありましたけれども、地方中小企業といってもかなり千差万別でして、抜本的に生産性を引き上げているような優れた中小企業は、私がヒアリングしていてもたくさんあります。こういった優れた中小企業に人材や資本を重点的に投下していく、そういう方針を政府としても掲げていただきたいと思っています。これは、もちろん労働政策のみならず産業政策一体となって、逆に言えば、優れていない企業には円滑に市場から退出いただくということも含めて、施策として展開していってほしいと思っています。
こういった優れた経営を行う中小企業への労働移動に当たっては、ハローワークも非常に重要な役割を担ってくるかと思います。民間の職業紹介所等もシェアを拡大しているところではあるのですが、やはり地方の中小企業にはなかなか手が届いていないというのが現状です。ですので、ぜひハローワークを地方の社会インフラ関連職を中心に質の高い労働移動を担う主要な担い手として位置づけていただきまして、関係機関と連携した上で必要な施策を展開していってほしいと考えています。
私からは以上です。
○山田厚生労働審議官 山田委員、お願いします。
○山田委員 ありがとうございます。
私からは3点、申し上げさせていただきたいと思います。
1つ目は、労働市場改革に関しての基本的な考え方です。リ・スキリングとか労働移動という話が出ていますが、これは改めてですけれども、あくまで生産性向上のための手段だというところ、この辺を改めて認識することが大事だと思います。労働生産性の向上を実現するには、基本的には企業が経済や社会の環境の変化に応じて事業構造を見直していくということが前提になるわけです。その結果、高付加価値事業を創造し、成長させる。こういう経営戦略がまずありきだということだと思います。それを実現するために、スキルの転換とか、企業内外での適材適所を通じて人材面で担保する。それがリ・スキリングであり、労働移動だという、その辺のストーリーを改めて認識してやっていくということがまず第一だと思います。でないと無駄な投資になってしまうということです。
2つ目は、やはり中小企業の話です。雇用の7割を生んでいるのは中小企業です。先ほど事務局の資料にありましたように、生産性向上に今のところはあまり貢献できていない面があるということなのですけれども、何がネックになっているかというと、経営のリソースで、特に人材が不足しているということです。そういう意味では、ここもどう経営戦略を立てていくかということが大事で、考えてみると、今後、AIの導入等で大企業のホワイト企業が余剰になっていくということが言われているわけです。こういうスキルがあり、経験のある人たちを中小企業の言わば参謀としてマッチングしていく。ここは簡単な話ではないのですけれども、意識改革やリ・スキリングとか要ると思いますが、そういうことを考えていく。例えば出向形式、派遣、副業ということを含めて、これが非常に重要になってくるということではないか。中小企業でもう一ついいますと、価格転嫁、これは先ほど来、議論がありましたので、ここも重要だということは付け加えておきます。
最後に、やはり現場力ということだと思います。日本の競争力を支えているのは、もちろん革新的なところをどんどん増やしていくことも大事なのですが、現実には品質力で勝負しているというのが結構あります。ここを支えているのは現場だと思います。経産省さんの資料にありましたように、現場の労働力がどんどん不足していくわけです。人材がなかなか入ってこない。これはやはり低賃金ということもある。まだ十分技術が使いこなせていない。アドバンスト・エッセンシャルワーカーというコンセプトが前の骨太の中に入っていたと思いますけれども、この部分を政策的に注力してやっていく、こういうことが大事ではないかということで、次回以降、具体的な政策についてはまた提案させていただきたいと思います。ありがとうございます。
○山田厚生労働審議官 続いて、オンラインで御参加いただいている委員から御発言いただきます。石﨑委員、水島委員、近藤委員の順番で、まずは石﨑委員からお願いします。
○石﨑委員 ありがとうございます。石﨑から発言させていただきます。
頂きました資料4の7ページにおきまして、エッセンシャルワークに関して生産性上昇率の点でよい数字が出ていないというような御指摘があったかと思います。とりわけ医療・福祉業界などに関しましては、生産性という観点のみから評価することが適切かという点もございまして、ほかの評価軸も場合によっては必要になるのではないかということをまず指摘させていただければと思います。
AIやロボットなど新技術の活用による現場の負担の軽減や労働環境の改善というのは、エッセンシャルワークへの労働移動の促進という観点からも重要となりますけれども、エッセンシャルワーカーが担う労働のうち、そうした新技術によって代替できない部分の労働の価値というものを社会の中で認めていき、また、それに見合った処遇を確保していくことが重要ではないかと考えます。
労働移動に関しまして、労働者自身の希望による適職選択を進めていくという点からは企業の労働環境に係る情報開示を進めていくことが重要であり、分かりやすい情報を整理し発信する仕組みを整え、拡充していくことが必要になるかと思います。
リ・スキリングを推進する点に関しましては、受講する労働者に対する経済的な負担の援助という点も重要ではありますけれども、同時に、リ・スキリングを受講する時間に対する配慮というものも進めていくことが必要ではないかと考えております。
以上でございます。ありがとうございました。
○山田厚生労働審議官 続きまして、水島委員、お願いします。
○水島委員 ありがとうございます。
労働生産性の論点案について、労働生産性の向上に向けてリ・スキリングの推進が必要という考えには賛成です。ただ、1点目には「国や地域によるリ・スキリングの推進が必要」とありますが、2点目以下では企業の取組に委ねる印象が強い点が気になります。企業の経営判断や自主性を尊重することは重要ですが、国や地域がどのように連携し、どのような支援を行うのかを示すことが結果として企業の人材育成を促進すると考えます。
労働者にどのようなスキルを取得させるかは業種や職種によって様々であると考えますが、2点申し上げます。
まず、IT分野です。業務効率化のためにITを導入する企業は多く、それを使いこなせる人材が不可欠です。しかし、ITやAIの進化は非常に速く、現在取得したスキルが将来も通用するのか、新たなスキル取得が必要になるのか、もしくは特別なスキルを要せずに誰もが使えるようになるのか、予測が難しい面があります。将来的に意味を失う可能性があるスキルへの投資は企業の皆様もちゅうちょするのではないかと思われます。
2点目は、社会を支えるエッセンシャルワーカーです。特に介護分野では人材の不足が見込まれます。論点案では「業務効率化等を推進する人材の育成」とあります。そのような人材は必要ですが、その前に介護を担う人材の確保が不可欠です。この点は労働移動の論点に関わります。社会を支えるエッセンシャルワーカー分野への労働移動は国として積極的に取り組むべき課題と考えます。先ほどの坂本委員の御意見に共感しますし、重要な御意見と思いました。この分野への移動を促すためには賃上げが喫緊の課題と考えます。厚生労働省におかれましては、介護人材確保に向けた様々な取組を既に進めておられることは承知しておりますが、ぜひ持続的に取り組んでいただくとともに、さらには介護報酬の大胆な見直しも必要ではないかと考えます。
最後に、リ・スキリングや労働移動の推進に当たっては、ただ取組を広げるのではなく、将来の社会や産業構造を見据え、柔軟性の高い分野に重点を置くことが重要と考えます。限られた財源を効果的に活用するためにも、どこに力点を置き、どのように支援を行うのか、メリハリのある制度設計と運営が求められると考えます。
以上です。
○山田厚生労働審議官 続きまして、近藤委員、お願いします。
○近藤委員 私からもエッセンシャルワーカーの労働生産性向上について、8ページ辺りの話についてお話ししたいと思います。多くの委員から既に中小企業が価格転嫁できていないとか、そういったことで指摘されていることの繰り返しになるのですが、労働生産性というのは生産された付加価値を投入された労働力で割ったものですけれども、生産された付加価値というのは生産物の売上げから生産費用を引いたものに当たるので、売上げの部分が上がらないと生産性は上がらないという構造になっているわけです。売上げを上げるために、労働者が生産できる生産物の量が上がったものをコストカットという形で価格の引下げに使ってしまうと、それは労働生産性に反映されなくて買い手側の余剰になるわけです。
エッセンシャルワーカーのところで何が問題かというと、エッセンシャルワーカーが提供するサービスというのは生活に密着したサービスであるので、値上げすると一般庶民の懐を直撃するみたいなところがあるわけです。なので、エッセンシャルワーカーの労働生産性を向上しようとすると、どうしても生活関連サービスの価格が上がるということが必ず起きてしまう。そこのところをきちんと認識していない状態で業務効率化やリ・スキリングでどうにかなるという感じになってしまうと、議論が空回りしてしまうと思います。特にエッセンシャルワーカー、介護の場合は介護報酬を引き上げなければ労働生産性に反映されないわけですし、運輸業とかでもあっても、結局、下請の人たちが価格競争している間は仮に生産性に当たるものが向上していたとしても数字に表れてこないということが起きますので、生産されたサービスの市場のほうに問題があるのではないかという視点が必要かと思います。
以上です。
○山田厚生労働審議官 続けて、中根委員、お願いします。
○中根委員 中根です。ありがとうございます。
労働生産性について特に申し上げたいと思います。自己啓発や教育訓練ですが、日本は社会人になって学びを続ける割合が少ない、他国に比べて学ぶ時間が非常に少ないというのは以前から言われていることだと思います。では、なぜ学びの時間が少ないかというと、学ばなくても子言うが維持されるもしくは継続していることや労働時間で評価される、そういうkおれまでの状況が諸外国と比較して労働者の学びが少ない状況に反映されてきたのではないかと思います。私は、経営者を含めて支援すべきだと思っていて、経営者が、自社にとって何が必要か、時間ではなく生産性に対して評価を行うというスタンスを持てるということが必要なのではないかと思っております。先ほど坂本委員が企業の選別も必要ではないかということを言及されていて、私もそこに非常に共感しております。ただ、人口が減少しており、企業の中でも人材の獲得競争が激化しています。一定の報酬を払えない企業というのは自然と退出していくことになると思いますし、採用ができなければそういったことが予想されるのですけれども、経営者自身に学びの機会を提供するということが必要なのではないかと思っています。
今、何を学ぶべきか、ITやAIの活用というのは必ず労働生産性の確保につながると非常に強く感じますので、それを政府や自治体がデザインする。デザインといっても、メリハリをつけて、支援すべき産業や企業に対して意図を持った重点的な投資を行う。このデザインなのですけれども、経営者に対して学びの機会を提供するとともに、生産性の向上に伴走する仕組みと一体となって提供するということが必要なのではないかと思っております。この後、第2回、第3回で具体について議論されるかと思いますが、例えば、こちらは厚労省の管轄ではないかもしれないのですけれども、ITやAIの活用ということでいきますと、中小企業庁がITの導入補助金等でサポートされているかと思います。ただIT導入補助金の申請要件が年々厳しくなっているようで、採択件数が低下しています。もちろん不正があったりということで、その辺りは非常に注意されているのかなと思いますが、この点、先ほど申し上げたとおり、産業や企業を政府あるいは自治体がデザインしながら意図を持った投資に回せると、より生産性が向上し、中小企業の人件費のほうにも回していけるのではないかと考えます。
以上です。ありがとうございます。
○山田厚生労働審議官 ありがとうございました。
これで前半部分のテーマについては一通り全ての委員から御発言いただきました。
続きまして、労働参加の関係の部分についての御意見を賜りたいと思います。今と同じように、御意見のある方は札を立てていただく、あるいは挙手ボタンを押していただくという段取りで進めていきたいと思います。
労働参加の関係部分についての御意見、いかがでしょうか。
まず、伊藤委員からお願いします。
○伊藤委員 ありがとうございます。
労働参加の論点につきまして、まず労働時間制度について申し上げます。
昨年、商工会議所のほうで会員に対して調査いたしまして、いわゆる時間外労働の上限規制について、全体的に支障が生じているかという聞き方をしたところ、回答の中では2割程度が上限規制に支障があるという結果でございました。さらに業種別に分けますと、食品・飲食業といったサービス、運輸、建設といった現場、こういったところを見ている事業者で支障が生じている割合が4割ないし5割といった形で、業種の中での違いというものも出ておりました。下請構造の強い影響を受けている中小企業では、自社ではコントロールできないような外部の要因での支障が出てくるということがございます。この観点から、サプライチェーンあるいは取引先との関係での、先ほど申し上げましたような取引の適正化ということが第一だと考えております。
また、45時間、年間6回までの上限規制の一部の例外措置や、あるいは変形労働時間制の運用や要件の見直しなど、健康確保と労使の合意を大前提としながら、より柔軟な働き方を可能とするような制度の検討をお願いしたいと考えております。
特に変形労働時間制については、既に制度としてあるわけですけれども、外部の要因で生じる突発的な業務への対応の活用ニーズがあるものの、既に計画申請している場合は途中で変更が認められない、あるいは30日前に労使の合意を得ることが必要ということで、様々な変化に対して有効に活用できないという声が先ほどの建設や運輸の事業者から多く出てきております。計画申請後の変更を認める措置、労使の合意を得る期間の短縮など、より柔軟な活用できるような制度というもので要件を緩和すべきだと考えております。
もう一点、専任の人事担当者がいない多くの中小企業については、人事問題の解決を支援する目的で設置されています働き方改革推進支援センターをはじめとする公的な支援機関、自治体、商工会議所、あるいは民間の支援機関と有機的に連携した支援が必要だと考えております。特に変形労働制、テレワーク制度、業務の切り出しなど、多様な人材の確保あるいは育成に対して、そもそも中小企業の経営者が必ずしも熟知していないというケースが多々見られますので、その分野についてのコンサルティングの支援というものが必要と考えています。また、労働基準監督局における監督指導についても、丁寧に現場実態を把握した上で、取り得る対策についての助言、あるいはサポートいただくことをぜひお願いしたいと考えております。
以上です。
○山田厚生労働審議官 続いて、神保委員、お願いします。
○神保委員 ありがとうございます。
労働参加について意見を申し上げます。
まず、労働参加を促進するためには、働くことを希望する女性、高齢者、障害がある方など、多様な人材が働きやすい社会を実現することが必要です。その実現のためには育児や介護あるいは治療等と仕事の両立支援のさらなる充実と、長時間労働の是正などの「働き方改革」の定着を進めていくことが求められていると考えております。
あわせて、論点案には記載がありませんが、労働者の約4割を占める非正規雇用の課題にも正面から取り組む必要があると考えております。待遇改善に向けた「同一労働同一賃金」の徹底、正職員転換の促進等を進める必要があることと併せて、さらに踏み込んで、有期雇用契約の制限ルールの検討なども含めて、働き方に関する総合的な改革に取り組む必要があります。
そして、論点案に記載された柔軟で多様な働き方についてです労働時間規制の緩和を望む声もありますが、現行制度を適切に活用すれば労使の工夫次第で柔軟な働き方の実現じゃ可能であると考えております。雇用する使用者と労働者の力の差は厳然たる差が存在しているため、労働者の同意などを理由に緩和を行うべきではないと考えております。
次に、裁量労働制についてです。裁量労働制については、連合の構成組織の中でも、労使で制度設計からきめ細かい運営まで運用を徹底し、趣旨どおり適切に運用をされているところもあります。一方で、真に裁量がない方への適用や、長時間労働になりやすい実態もあります。こうした点を踏まえれば、今行うべきは制度の拡充ではなく、2024年度改正を踏まえた定期的なモニタリングなどの適正運用の徹底であると考えております。
最後に、労働時間制度でございますけれども、働く者の健康・安全の確保と、生活時間保障の観点を基本に据えるべきであって、上限規制の段階的な強化や、休息と生活時間の確保に向けた長期の連続勤務規制の導入等を進めることが必要であると考えます。
以上です。
○山田厚生労働審議官 山田委員、お願いします。
○山田委員 ありがとうございます。
労働参加の確保に関して、まず前提として共有しておかないと駄目だと思っているのは、働く人たちの属性がすごく変わっているということです。特に重要なのは、女性、シニアが増えているということもですが、逆に現役世代の男性がすごく減ってきているという現実をまず認識する必要があるのだと思います。それは何を意味しているかというと、かつては男性は仕事・女性は家事・育児という分業の時代もあったのですけれども、今は男性も女性も働くし、同時に家事・育児といった生活に重要な部分も共有していかないと駄目で、そうでないと社会生活の基盤が崩れるという社会に変わっている、そこが大前提の認識だと思います。そのときに、労働参加の確保といったときに、当然、量的にもそうなのですけれども、質ということも大事で、要はそれぞれの人たちが能力を活かせていける、同時に生活をしっかりさせていく、そういう認識が必要なのだと思います。そうしますと、政府が労働時間の短縮の問題にずっと取り組んできたわけですけれども、これは、ある意味、非常に必要があって行われてきている。だから、原則としては、やはり上限は守っていくということが前提になってくるのではないか。もちろん議論があって、そこで一定の柔軟化というのは個別論ではあるのかもしれませんが、大きなところは、そこは重要なところではないかと思います。
労働力不足の対応というと、労働生産性の向上ということが最も重要だと思いますが、そのときに重要なのは、既に先ほど近藤委員からもあったと思いますが、価格を上げていくということでいいますと、あるいは量よりも質を上げていくということになりますと、様々な意味で顧客に対しての日本社会の在り方、ある意味、ゆがんだ顧客志向みたいなことがあるわけですから、そういうところの商慣行や取引慣行も見直していくということが実は結果として働く人たちの能力を生かしていくことにつながっていく、そういう論点が非常に重要ではないかということであります。
個別の裁量労働政策の論点に関しては、また機会があったときに発言させていただきたいと思います。
○山田厚生労働審議官 続いて、藤原委員、お願いします。
○藤原委員 ありがとうございます。
最初の厚労省さんからの説明にありましたとおり、労働供給制約が生じつつありますので、それに対応する必要があると思います。私どもとしても、女性、若年者、高齢者、障害者、外国人、有期雇用労働者など、多様な人材の就業の継続と定着を通じて、労働参加のさらなる促進を図っていくことが不可欠だと考えております。加えて、働く意欲はあるものの働いていない潜在労働力を着実に労働参加へつなげていくことが望まれます。この点でも、裁量労働制の拡充というのは、労働生産性の改善・向上だけでなく、創造性を発揮する仕事の特性に適した柔軟な働き方の拡大に資するものであり、広い意味でいろいろな人が労働参加したくなるという観点からも必要な課題だと思っております。過半数労働組合との十分な協議と健康確保を前提にして、一定の範囲で対象業務を拡大する制度の見直しが不可欠だと思っております。
総理が施政方針演説で裁量労働制の見直しの検討に言及されたことは歓迎したいと思っております。裁量労働制の導入企業からは、裁量労働制が働き手の能力を最大限発揮させて、成長意欲を一層喚起させるという声を聞いております。一方で、先ほど神保委員からも御指摘ありましたように、制度趣旨に沿わない運用がされているということ、健康面や処遇面での観点で問題が生じているといった指摘があることも承知しております。今後、適切な運用を行っている企業の取組を参考にして、長時間労働の抑制策や、裁量労働制にふさわしい処遇の確保の在り方など、制度の濫用防止策とセットで見直し議論に臨んでまいりたいと思います。
以上でございます。
○山田厚生労働審議官 坂本委員、お願いします。
○坂本委員 坂本です。
各種調査を見ますと、中高年齢者について申し上げますが、日本の中高年齢者の方は労働意欲が非常に高く、就業したい、あるいはもっと長く働きたいという方も実際にはいらっしゃいます。そういった中で、中高年齢以降の労働市場というところで、おおむね50代から60代後半にかけてのミドルシニア世代と70歳前後以降のシニア世代ということで、それぞれマーケットの特性に合わせて検討していくことが重要だと思っています。
ミドルシニア世代については、特に地方では定年制がない企業や従業員の要請に応じていつまでも働けるような企業が結構あります。ですので、こういった企業に中高年の方が移動していく環境をつくるということは労働力確保の観点からも非常に望ましいと思います。実際に今、民間の人材サービスでもこのマーケットはかなり広がっているところでありますが、こういった地域の実情に応じたマッチングは、先ほど申し上げたとおり、やはりハローワークが非常に重要な役割になってくるかと思いますので、こういったところをうまく活用していただけたらと考えています。
あるいはシニア世代、もう少し上の世代の方になりますけれども、こういった方に関しては、フルタイムで働くというよりは労働負荷の低い、地域に根差した小さな仕事と私は申し上げていますけれども、そういった仕事で働くというのが現実的だと思います。こういった仕事に関しましては、当然、シルバー人材センターももっと役割を果たしていただきたいですし、あるいはスポットワークなど、短期単発のワークなど、最近いろいろ普及しているところでありますので、こういったチャネルの総合的な活用をいかにして図るかということを検討していただきたいと思っています。
最後に、労働時間規制におきましては、労働市場の需給環境は大きく変わっていますから、見直しの検討は必要かと思いますけれども、ただ、中小企業等においては、話を聞いていますと、現実的に離職防止の観点などから労働時間の引上げは難しいと聞きます。そういった企業に関しては相談を支援する体制の構築などが有用かと思いますので、こちらもぜひ考えていただければと思っております。
以上です。
○山田厚生労働審議官 片岡委員、お願いします。
○片岡委員 ありがとうございます。
まず、先ほど山田委員や近藤委員からもお話がありました労働生産性に占める付加価値の部分についてコメントしたいと思います。付加価値が拡大する余地が、昨今、デフレの状況からインフレの状況に変わってきたこともあって、増やしやすくなっているというところは、今回、労働生産性ないしは関連する規制等々を考えるに当たっては重要な話なのかなと思います。もちろんミクロ的な産業政策ないしは規制緩和みたいな、そういった部分はとても大事だと思いますが、他方で、それを可能にするようなマクロ環境はやはり変わってきているということですね。そうした中で、各企業が横並びではなくて、独自の戦略、経営を取っていく。それによってアウトプットが増える余地がある。そこの中でどういうふうにAIや半導体、いろいろな新しい技術を生かしていくのか、人材をどういう形で拡大させるのか、そういうような目線がこれまで以上に必要になっていると思っています。
労働参加についてですけれども、さらなる労働参加というところで申し上げますと、働く意欲があって、育児や介護の両立に課題を抱えている方々に対しては、特に政府や企業の両面から適切な制度構築が必要なのは言うまでもないことかと思います。
それから、フレックスタイム制や福利厚生制度の充実、育児や介護の両立に対する理解の促進、働いている方のキャリアステージの明確化、男性社員の力が弱くなってきたのではないか、そういう話もございましたけれども、男性社員を含む周囲の方々の理解促進、こうしたところの対策は、より進めていく必要があるのではないかと思います。
それから、労働者のキャリア形成支援みたいなところとスキルのアップデートというところで、先々のキャリアを見越した能力形成支援策や、あと、育成サイクル、実務経験、評価、研修みたいなものをうまくミックスさせながら、それぞれ個々の方の職業経験を高める、こういうような支援策も必要なのかと思います。
最後に、労働時間制度に関してですけれども、私自身は、柔軟で多様な働き方の実現に向けて裁量労働制の見直しは一定程度必要なのかなと思っています。ただ、裁量労働制がもちろん長時間労働促進につながらないようにするために工夫は必要ですので、そこら辺はバランスを考えながら、働きたい方が自由に働けるようなポジティブな意味での改革といったものが必要なのではないかと思っています。
以上です。
○山田厚生労働審議官 室賀委員、お願いします。
○室賀委員 私からは女性の労働参加の拡充について申し上げます。
既にほかの委員からも指摘があったとおり、現在、日本では女性の労働参加率自体は上昇していますが、依然として女性の非正規雇用率は50%以上と非常に高い状況にあります。このため、高いスキルを持つ女性がその能力に見合った形で活躍できていないケースが多く見られます。また、出産や育児、介護といったライフイベントによって女性のキャリアが中断されるケースも少なくありません。いわゆるチャイルドペナルティーと呼ばれる現象で出産後に正規雇用から外れたり、賃金が長期的に低下することが多くの研究で指摘されています。さらに日本の雇用慣行として長時間労働や転勤を前提とした働き方が残っていることも女性の就業継続やキャリア形成の障壁となっています。
ノーベル経済学賞受賞者のクラウディア・ゴールディン氏が指摘したとおり、労働における柔軟性の確保こそが性別による賃金格差やキャリア格差を解消する鍵となります。したがって、女性の労働参加を量的に拡大するだけでなく、柔軟な働き方を可能にする雇用制度の整備やキャリア継続を支える制度設計が重要になっていくと考えております。
以上です。
○山田厚生労働審議官 まず、水島委員からお願いします。
○水島委員 ありがとうございます。
まず、論点案の1点目ですが、育児や介護との両立に課題を抱える者で就業意欲がある者のさらなる労働参加を促進するには、育児支援や介護支援が不可欠です。保育所や放課後児童クラブ、ショートステイや老人保健施設が利用できる環境があれば、育児や介護を理由とする離職が避けられ、また、一旦離職した者も労働市場に復帰しやすいと思います。育児や介護の環境が整えば、おのずから労働参加は促進されると思います。そのためには、先ほど申し上げましたが、エッセンシャルワーカー人材の確保が重要な課題です。自治体の中には、介護助手、介護アシスタント担当業務のような介護現場における高齢者の就労を促進しているところもあるようです。これは、エッセンシャルワーカーの職場における人材確保の要請と高齢者の就労意欲の双方をかなえる取組のように思います。
それから、労働時間制度に関し、15ページの「労働者の健康確保も図りつつ」というところにアンダーラインがありませんが、この点が極めて重要であることを改めて確認しておきます。私見では、労働者の健康確保のために勤務間インターバルが実効的であると考えます。
以上です。
○山田厚生労働審議官 続いて、中根委員、お願いします。
○中根委員 ありがとうございます。
労働参加、労働時間の確保に関しては2つの方法があり、これまでも議論されていますけれども、多くの人が労働市場に参加できることと、1人当たりの時間を増やすということだと思います。この会というのは日本全体の経済成長を長期的に高めていくということが命題だと思いますので、全体としてのインパクトが大きいのか、短期ではなく長期視点で考えるべきだと思っております。ほかの委員もおっしゃっているように、女性、高齢者の労働意欲が高いというのは、日本の非常にいいところだと思いますので、この方々をいかに市場に呼び込むかというところを考えるべきだと思います。
先ほども言われていますけれども、長時間労働できる人を中心に採用しようとすると獲得が難しく、人手不足になる側面があるというのは、当社の過去の経験からも言えることだと考えております。短時間の方々でも、もしくはその場にいない人であっても労働に参加できるという形にすることによって、多くの方を労働市場に呼び込むことができます。弊社もその環境をつくり、多くの方が来てくれた、特に女性が入社し活躍しているということがあります。ケア責任を特定の人に押しつけるような状況を強いては長期的な少子化の増長となってしまうことがあると考えております。なお、短期の人、短時間で働ける人も含めて労働環境に入れていくということは、多様な働き方や価値観の人々と共にチームで仕事するということで、短期的には複雑なこと、煩雑なことが起きます。ただ、これらは業務の構造化し効率化し、他社と共有して進めるということによってイノベーションが起き、結果として、最初に議論した労働生産性の向上につながるというのを私たちは身をもって体験しておりますので、これをぜひ進めていくべきかと思います。
2つ目の1人当たりの時間を増やすというところなのですけれども、1人当たりの時間を増やすということに関しては、上限の範囲内で働きたい人と、法定を超えて増やしたいという人がいて、法定を超えて増やしたい人は5.2%という数字をどう捉えるかというところだと思います。業種や地域性などを踏まえて、一律ではない柔軟な働き方を検討するのは必要なことだと思いますが、政府の観点でいくと、一企業の短期的な労働力の確保ということと、日本の総労働力を長期的に確保するためにどうするべきかというのを混同せずに対応すべきと考えます。長時間労働が増長されない仕組みは先に述べた通り、多様な人を労働市場に呼び込む環境をつくり、あるいは学びの時間を確保するうえで必要思っております。そうしなければ結果的に長期的に総労働力を確保することができず、少子化もより進んでしまうという危機感を感じております。
以上です。
○山田厚生労働審議官 続いて、近藤委員、お願いします。
○近藤委員 まず、労働参加に関してなのですけれども、多くの委員が女性と高齢者のことは指摘されているのですが、実は既にかなり高いわけですね。これからも短期的にこの上昇ペースが続いていくと、これから短期、中期ぐらい、10年とかそのぐらいのスパンであれば増え続けることは期待できると思いますが、女性のL字カーブというのですけれども、中高年女性の非正規雇用率がとても高いという問題も、今、子供を産んでいる世代が仕事を辞めなくなってきていますので、その世代がだんだん年を取っていくにつれてLではなくなっていくということが期待されるとは思います。ただ、就業率は100%より上にいきませんので、今、既に高いということは、長期的に30年、40年というスパンで見たときに、上がる余地はそれほど残っていないということでもあるので、長期のことを考える場合には参加率は100%で打ち止めなのだということを考慮に入れて、このままのペースで増え続けるのではなくて、今は残っている少ないところをいかにして活用するかということを目指してはいるのだけれども、そこが終わった後、もう一個開発する余地はないのだということは、長期のことを考えるときには頭に入れておいたほうがいいかと思います。
あと、短期的な摩擦ということを考えますと、今、女性が出産退職してパートに入るというパスから正規雇用を続けるというパスにどんどん移動していますので、これまでエッセンシャルワーカーの大きな供給源だった主婦パートがパートにならないで正社員を続けるようになります。短期的にはそこで逆に飲食業や小売業のアルバイトの成り手が減るというようなことが起きますので、そういう意味で、労働移動というか、そもそも飲食や小売が最低賃金のパートに頼っているという体質を変えていかなければいけないという課題もあると思います。
労働時間規制に関しては、私は専門家ではないのですけれども、フルタイムで働いている労働者というのは生活の基盤を雇い主に握られている状態なわけです。どうしても雇用主のほうが力が強いので、労使の合意に基づいて緩めるといっても、労使の合意というのは本当に合意しているのかという問題は常について回りますので、少し性悪説に立って企業のほうが強いているのではないかと疑うという視点で法整備は進めたほうがいいと思います。働ける人は働けるようにということであれば、主な雇用主ではないところで仕事をすれば、自由を確保するというのも一つのやり方で、副業とかギグワークというのが広がっているというのは、ある意味、いいことだと思うのですが、ギグワークみたいなものが普及してくると、どうしてもギグワークだけで生活を立てる人が出てくる。それは避けがたい副作用なので、既存の社会保険制度はそういったような人たちの出現に合わせて制度を整備していくということが重要だと思いますけれども、制度の側で合わせることにして、これを規制するというよりは制度の側をそれに合わせて変えていくという視点が大事かと思います。繰り返しになるのですけれども、労使の交渉で緩めるという方向性はとても危険で、それよりは、こういう法律があるので、法律の中でどうにかなるように労働生産性を改善してくださいというやり方のほうが長期的に見て日本の労働力の量を確保するという意味ではいい視点なのかと思います。
以上です。
○山田厚生労働審議官 石﨑委員、お願いします。
○石﨑委員 ありがとうございます。
労働参加に関しまして、家庭責任を担われる方、高齢者、障害者のうち、労働の意欲がある方について労働参加を高めていくためにということで申し上げますと、こうした方をターゲットとする両立支援策の充実ということももちろん重要ではあるのですが、同時に、こうした方だけに限られず、広く労働者をターゲットとして、労働者の希望に基づく柔軟な働き方を可能にする仕組みを広げていくことや、既に複数の委員から御指摘があるように、長時間労働の是正ということが重要になっていくように思います。ここで挙がっている属性の方の労働参加を高めることは、労働生産性の向上という点から議論されているかと思うのですが、併せて実質的な平等の実現という観点からも重要な意味を持つということを改めて確認しておきたいと思います。
柔軟な働き方というときに、これも複数の委員から既に御意見が出ているように、裁量労働制の拡大というような提案もなされているところではありまして、裁量労働制が、ある種、労働者の裁量で働き方を決められる、そういうプラスの側面があることは確かではあるのですけれども、他方で、神保委員などから指摘があったように、裁量がない中でこの制度の適用を受けて長時間労働になってしまったりするという課題もありますので、本当の意味で労働者が仕事、特に業務量などに対しても裁量を持てているのか、その辺りがどう担保できるのかという点をやはり慎重に検討していく必要があるのではないかと考えております。
また、労働者の選択の尊重と健康確保、この2つの視点はいずれも重要であるわけですが、先ほど近藤委員からも御指摘がありましたように、労働者の同意や選択が本当の意味で自由な意思に基づいているのか、そこは労使の交渉力の格差を考えたときには慎重に考える必要があり、また、それをもし担保していくということであるならば、集団的な労使の基盤をしっかりさせていくことが重要であろうかと思います。
また、集団的労使関係の基盤をしっかりしていくというところは健康確保の実効性を高める点からも重要と思います。健康確保という観点からは、先ほど水島委員から御指摘があった勤務間インターバル規制の強化も一つ今後の課題になっていくかと思いますし、その辺り、具体的なスケジュールなども示していく必要があるのではないかと考えております。
こうした点については、先般公表された労働基準関係法制研究会報告書の中でも一定の提案がされているところであり、既に労政審でも充実した議論がされていることは承知しておりますけれども、この点、引き続き、労政審で実態を踏まえて具体的な検討を進めていただくということが重要ではないかと考えている次第です。
以上でございます。
○山田厚生労働審議官 一通り御意見を頂きました。ほかに追加で御意見などありますでしょうか。
長坂副大臣、お願いします。
○長坂厚生労働副大臣 厚生労働副大臣の長坂康正でございます。
本日は早朝から活発な御議論いただきまして、ありがとうございました。いずれも大変貴重な御意見であり、引き続き、本分科会におきまして、議論を深めていただきたいと考えております。
人口減少が進む中で、日本で働く人の約7割が活躍している中小企業は、DXの推進や成長分野への進出等によって稼ぐ力を高める必要があり、その担い手となる労働者を育て確保していくことが不可欠でございます。地域経済、ひいては日本経済の成長に向け、効果的なリ・スキリングの実施、成長分野や国民生活の基盤を支える分野の人材確保といった政策を強化していくべきだと考えております。
具体的には、経営戦略の一環として、人材育成の強化や自社の労働時間制度の見直しに取り組む中小企業が安心して相談できる体制の整備、また、成長分野等で求められる職業能力の見える化の推進、労働者の主体的なリ・スキリングを支える施策の強化、地域社会を支える医療・介護等のエッセンシャルな分野の人材確保の支援などの課題につきまして、次回の分科会で議論を深めていただくよう事務局においても必要な準備をお願いいたします。あわせて、労働基準監督署の監督指導の実情を踏まえ、今後の運用についての考え方を整理するようお願いしたいと思います。
○山田厚生労働審議官 ありがとうございました。
どうぞ。
○村山職業安定局長 お時間を頂き、恐縮です。職業安定局長でございます。
本日の御議論で、今、副大臣がまとめられたところでございますけれども、1点、論点に対する根本的な提起といたしまして、水島委員、近藤委員ほか複数の先生方から、エッセンシャルな分野における労働生産性の問題をどういうふうに見るのかという点についての御提起があったと思います。
特に例示として引き合いに出されたのは介護の分野であったかと思いますが、申し上げるまでもなく、ファイナンスする原資は保険料と公費と自己負担でございますし、また、価格に関しましては、公定価格でございまして、ファイナンスの面でも転嫁ができるかどうかといった面でも他と違う特質を持っております。同時に、今後の就業構造や地域経済を考えた場合、非常に大きな点があるということでございます。先ほど申し上げたような事情から、この場で報酬の問題を正面からご議論いただくのはなかなか難しい面もあるわけではございますけれども、一方で、今日、例えば人材確保に当たりまして、坂本委員から、ハローワーク等を通じて、よりしっかりと対応していくべきではないかというようなお話もございました。また、山田委員からは、アドバンスト・エッセンシャルワーカーというお考えもお示しいただき、ある意味、これからの労働の質の向上の中核を担い、それが生産性の向上につながっていくという御指摘もございました。
一例、こんなこともやっているということで施策を御紹介申し上げますと、神保委員からお話のありました、自己啓発に時間と金銭が隘路になるということがありますので、労使の御理解も得て、教育訓練休暇給付金を新しくつくって昨年の10月から施行しています。これは、無給の教育訓練休暇を取って自己啓発して、資格等をかなり長期にわたって取ろうという方について、失業給付並みの給付をして、その生活を支えるという制度でございます。
利用状況を見ますと、エッセンシャルな分野でも使われておりまして、サービスや医療・介護、さらには宿泊、そういった分野の方々が新しい知識を自己啓発で得るために使われております。具体的には、いずれも40代の方の例ですけれども、例えば観光業の方がインバウンドの増加に対応して語学を本格的に学ぶために語学留学を何か月かされる後押しをするとか、あるいは介護の分野で、ITの技術についてこれからマネジメントの上でも必要なので、ITパスポートをはじめとして幾つかの資格を取得するために集中的に勉強するために、仕事は一旦お休みにするけれども、この給付を活用するというような実例なども挙がっているところでございます。
先ほど申しましたように、近藤委員をはじめ、多くの先生から挙げられたエッセンシャルな方々に関する労働生産性について、ちょっと引いた対応というか、全面的にお答えになる部分はどこまでという部分はあるかもしれませんが、この分科会の1つのミッションとして、労働施策の分野あるいは関連の分野との関連性のようなところでいろいろ御示唆を深めていただけることができれば大変ありがたいと思っております。
論点ペーパーに対する根本的な御指摘があったので、私のほうから一言お答えさせていただきました。恐縮です。
○山田厚生労働審議官 そろそろ時間も参っておりますので、以上をもちまして、本日予定していた議事を終了させていただきます。
本日の御議論を踏まえて神谷政務官から御挨拶を頂ければと思います。
○神谷厚生労働大臣政務官 構成員の皆様、本日は、お忙しい中、貴重な御意見を賜りまして、誠にありがとうございました。
御議論の中で、企業の人材マネジメントや中小企業への支援、産業政策との連携等について御意見を頂きました。議論を進める上で、生産性向上、労働移動、労働参加のそれぞれの論点について、特に中小企業をはじめとした企業におけるマネジメントをどのように支援していくかという視点についても併せて考えなければならないと強く感じたところです。御参加いただいた構成員の皆様の御意見、御示唆、それらをしっかりと受け止めさせていただきたいと考えております。
次回も闊達な御議論のほどよろしくお願い申し上げます。本日はありがとうございました。
○山田厚生労働審議官 ありがとうございました。
恐らく皆さん言いたいことが山盛りある中で、非常にコンパクトに御意見をまとめていただき、議事の運営に御協力いただきまして、ありがとうございます。
今回、事務局において資料の中で論点案を出しておりますけれども、皆様の御意見を踏まえて修正いたします。次回以降、各論点について、より具体的な御議論を深めていただければと思います。
次回の日程につきましては、後日、事務局より御連絡いたします。
それでは、本日の会議は以上で終了いたします。ありがとうございました。
皆様方におかれましては、大変お忙しい中、早朝から御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
本日、議事進行を務めます厚生労働審議官の山田です。よろしくお願いいたします。
それでは、分科会の開会に際しまして、上野賢一郎厚生労働大臣から御挨拶を頂きます。
○上野厚生労働大臣 皆さん、おはようございます。厚生労働大臣を務めております上野賢一郎でございます。
今日は、構成員の皆様には早朝から御参加いただきまして、本当にありがとうございます。また、このたびは御就任いただきまして、重ねて御礼申し上げたいと思います。
労働市場改革は、我が国の経済成長の実現に向けまして、極めて重要な取組だと考えております。人手不足などによりまして、労働供給の制約下にある我が国の労働市場につきまして、生産性の高い分野への円滑な労働移動あるいは働き方改革を含めた柔軟な働き方の拡大、そうしたことに向けまして、検討を進めていく必要があると考えております。
夏の成長戦略の取りまとめに向けまして、御参画いただきました構成員の皆様の御知見をお借りしながら、本分科会の議論を取りまとめていきたいと考えておりますので、皆様におかれましては、大変御多用の中、恐縮ではございますが、お力を頂けますように心からお願い申し上げたいと思います。
簡単でございますが、御挨拶とさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○山田厚生労働審議官 上野大臣は他の公務のため、ここで退席されます。
カメラの頭撮りはここまでとさせていただきます。御協力のほどよろしくお願いいたします。
(報道関係者退室)
○山田厚生労働審議官 それでは、議事に入ります前に、本日の分科会について事務的な御連絡を申し上げます。
○岡政策統括官付参事官 本日の資料は、お手元のタブレットで御覧いただけます。画面の左上に三点リーダーがございますけれども、ここを押していただきますと資料を見ることができます。
オンライン参加の委員の皆様におかれましては、原則としてカメラはオン、マイクはミュートとしていただきたいと思います。御発言の際は、挙手ボタンを押していただきまして、指名があるまでお待ちください。指名後、ミュートを解除して御発言いただくようにお願いいたします。また、機器等のトラブルがございましたら、チャット機能でお知らせいただくか、あるいは事前に事務局からお送りしている電話番号まで御連絡を頂けると幸いでございます。また、通信遮断などが生じた際には進行を一時中断とする場合がございますので、御承知おきいただきたいと思います。
以上でございます。
○山田厚生労働審議官 それでは、議事に入ります。
本日の議題は「労働市場改革分科会の取扱い等について」「労働市場をめぐる現状と課題等について」となっております。
まず、議題1の労働市場改革分科会の取扱い等につきまして、事務局から説明いたします。
○河野政策立案総括審議官 政策立案総括審議官の河野でございます。
資料1を御覧ください。「労働市場改革分科会の開催について」でございます。
日本成長戦略会議の下に開催いたします労働市場改革分科会でございますが、2にございますとおり、分科会長は厚生労働大臣、分科会長代理は厚生労働副大臣、厚生労働大臣政務官でございます。
構成員の皆様を御紹介申し上げます。
横浜国立大学大学院国際社会科学研究院教授の石﨑委員。
日本商工会議所専務理事の伊藤委員。
PwCコンサルティング合同会社上席執行役員、チーフエコノミストの片岡委員。
東京大学社会科学研究所教授の近藤委員。
株式会社インディードリクルートパートナーズリクルートワークス研究所研究員の坂本委員。
日本労働組合総連合会事務局長の神保委員。
サイボウズ株式会社執行役員、人事本部長の中根委員。
日本経済団体連合会専務理事の藤原委員。
大阪大学大学院高等司法研究科教授の水島委員。
九州大学大学院経済学研究院准教授の室賀委員。
法政大学経営大学院イノベーション・マネジメント研究科教授の山田委員。
なお、本日は全ての委員の皆様に御出席いただいております。
分科会の庶務でございますが、3にございますとおり、関係行政機関の協力を得て厚生労働省で処理いたします。
続きまして、資料2を御覧ください。「労働市場改革分科会の取扱いについて」でございます。分科会並びに議事録及び配付資料につきましては、原則として公開することといたしたいと考えております。
この取扱いにつきまして、御意見ございませんでしょうか。
それでは、そのような取扱いにさせていただきます。
○山田厚生労働審議官 それでは、議題2の「労働市場をめぐる現状と課題等について」に入ります。資料3「労働市場改革分科会の今後の進め方について」、資料4「労働市場をめぐる現状と課題等について」、資料5「2040年の就業構造推計について」、それぞれ事務局から説明いたします。
○河野政策立案総括審議官 御説明いたします。
資料3を御覧ください。労働市場改革分科会の今後の進め方について御説明いたします。
本日、現状と課題等について、次回以降、各論について御議論いただきまして、夏の成長戦略取りまとめに向けて、5月頃、取りまとめを行う予定でございます。
続きまして、資料4を御覧ください。労働市場をめぐる現状と課題等について御説明申し上げます。
2ページを御覧ください。我が国の現状と課題についてですが、2010年以降の我が国の実質GDP成長率は、年平均で見ますと1.0%、足元では、2025年の実質GDP成長率は1.1%となっております。GDPギャップは、2022年頃以降、需要超過傾向でございまして、経済成長を実現するためには供給力強化が必要となっております。
労働力供給制約下にあって、働く人一人ひとりを大切にしながら、労働政策では「労働生産性の向上」「成長分野や社会を支えるエッセンシャルワーカー等の分野への労働移動の促進」「柔軟で多様な働き方による労働参加の促進」の3つの柱に強力に取り組み、今の暮らしや未来への不安を希望に変える「強い経済」を実現していくことが重要と考えております。また、これらの3つの柱を実現するためには、企業において労働者の働く意欲や能力を引き出すような人材マネジメントを高めることが重要と考えております。
3ページには、昨年12月に開催されました日本成長戦略会議における高市総理大臣の発言を載せております。労働市場改革については、心身の健康維持と従業者の選択を前提として、柔軟で多様な働き方を実現することが重要、現場のニーズを更にきめ細かく把握しながら、規制改革会議などの関係機関とも連携して、労働時間規制の運用・制度の両面から、検討を加速するよう指示がございました。
4ページと5ページは、日本成長戦略会議提出資料でございますが、4ページの現状と課題のところにございますように、労働市場改革の課題として、労働生産性の向上、労働移動の円滑化、労働参加の確保の3つが掲げられております。
6ページを御覧ください。労働生産性に関する現状につきまして、整理いたしております。左の2つの図を御覧ください。実質労働生産性の上昇率は長期的には徐々に低下傾向にあります。労働生産性の上昇率を要因分解したのが右から2番目の図でございますけれども、我が国は、研究開発費や人的資本投資、ソフトウエア投資等の無形資産投資の寄与が弱く、特に非製造業のソフトウエア投資は伸び悩みが見られました。
7ページを御覧ください。左の図は、社会を支えるエッセンシャルワーカー等の分野の労働生産性の上昇率を見たものですが、諸外国と比較しても弱くなっています。右の図は、企業規模別に労働生産性の推移を見たものでございます。
8ページに、労働生産性に関する論点案についてお示しいたしております。
9ページにお進みください。労働移動に関する現状について整理いたしております。希少な労働力がより効率的に活用されることによって、経済全体の効率性が高まり、少子高齢化と人口減少下にあっても、「強い経済」を実現することにつながると考えます。転職者について、左の図の青い線でございますが、足下を見ますと増加しているものの、長期的に大きくは増加しておりません。また、我が国の労働移動は、同一産業、同一職種間が多い傾向にございます。
10ページを御覧ください。転職希望者数に対して転職者数が少ない状況にありますが、「今のところ、転職をしなくても問題がない」「転職しても自分の希望条件は満たされそうにない」といった理由のほか、「自分にあった仕事がわからない」「仕事の探し方がわからない」といった理由で転職活動をしていない方もおられます。転職後の賃金ですが、直近では、年齢にかかわらず、上昇する状況にございます。
11ページに、労働移動に関する論点案についてお示ししております。
12ページを御覧ください。労働参加に関する現状について整理いたしております。左の図にありますとおり、マンアワーベースの労働力供給量を見ますと、人口減少が加速化している中でも、女性・高齢者を中心とした就業者数の増加により維持されております。右の図の赤枠で囲った部分にありますとおり、今後も労働参加が進めばマンアワーベースで労働力供給量を維持することが可能となる一方で、労働参加が進まない場合はマンアワーベースで労働力供給量が約15%減少するという推計もございます。後ほど御説明いたしますが、昨年10月に実施した調査によりますと、労働時間を増やしたい労働者は10.5%いるという結果でございましたが、そのうち、短時間勤務の方や上限規制の枠内で労働時間を増やすことを希望する労働者がボリュームゾーンでございましたので、これらの層について労働力供給を増やす余地があると考えられます。
13ページを御覧ください。就業意欲があるが求職活動していない無業者や、育児・介護等一定の制約を理由に非正規雇用を選択している労働者は、約700万人程度存在すると考えられます。高齢者の就業率を見ますと、右の図にございますとおり、国際的に見ても群を抜いて高く、就業意欲も高いところでございます。高齢者が働いていない理由を見ると、3分の1の方が「健康上の理由」を挙げており、4分の1の方が「望む仕事が見つからない」というキャリアに関する回答をしておられます。
14ページを御覧ください。障害者の雇用でございます。雇用者数は約70.5万人と過去最高を更新しておりますが、能力発揮の促進といった雇用の質の向上の必要性や、中小企業における雇用の伸び悩み、意欲のある難病患者の就労支援の必要性等の課題が指摘されております。外国人労働者は、2025年では約257万人となり、過去最高となっております。
15ページに、労働参加に関する論点案についてお示ししております。
16ページを御覧ください。先週、厚生労働省において公表いたしました働き方改革関連法施行後5年の総点検の概要資料でございます。この調査は、働き方改革関連法施行後5年の状況を把握するため、労働者を対象とするアンケート調査、企業・労働者を対象とするヒアリング調査を実施したものでございます。
資料の左側、労働者アンケート調査では、労働時間の増減希望につきまして、「労働時間を増やしたい」と回答した割合は約10.5%、「このままでよい」が59.5%、「減らしたい」が30.0%となっており、このうち「増やしたい」という10.5%の内訳を見ますと、週の所定労働時間35時間以下で年収200万円未満の方が3.4%、週所定労働時間35時間超または年収200万円以上で上限規制である月80時間の範囲で労働時間を増やしたい方が4.9%、同じく上限を超えて労働時間を増やしたい方は0.5%であり、パートタイム的に働いている方と、フルタイム的に働いている方で上限の範囲内で労働時間を増やしたいという方の2つの類型が多くなっております。もっと働いてもらいたい、もっと働きたいというニーズについては、時間外労働の実態と上限規制との間に隙間があり、規制の範囲内で労働時間を増やしたいという場合も多いのではないかと思われますが、今回の総点検調査でも、改めてそのような実態が示されたものと考えております。
資料4の説明は以上です。
続いて、資料5を御覧ください。経済産業省から提供されている資料について御説明します。
2ページを御覧ください。2040年の就業構造推計の改訂版では、2040年に十分な国内投資や産業構造転換が実現する場合、人口減少により就業者数は約6700万人から約6300万 人となるが、AI・ロボット等の利活用やリ・スキリング等により労働需要が効率化され、全体で大きな不足は生じないとされております。一方で、職種・学歴・地域間では需給ミスマッチが生じるリスクがあり、事務職が約440万人、文系人材が約80万人余剰、AI・ロボット等利活用人材約340万人を含む専門職、現場人材約260万人、理系人材約120万人が不足する可能性があるとされております。
私からの説明は以上です。
○山田厚生労働審議官 ありがとうございました。
それでは、委員の皆様から御意見を承りたいと思います。
まずは、労働生産性と労働移動の関係という部分について、現状・課題・論点案につい てそれぞれ御意見を頂ければと思います。
御意見のある方は、御自身の名前の札を立てていただきますようお願いいたします。また、オンラインにて御出席で御意見のある方は挙手ボタンを押していただくようにお願いいたします。
まずは、会場の皆様に御発言いただき、続いてオンラインの皆様に発言の機会を移してまいりたいと思います。時間が限られておりますので、皆様全てから御意見を頂きたいと思いますので、お一人につき2分程度という制約で簡潔に御発言いただきますようお願いいたします。
神保委員からお願いします。
○神保委員 ありがとうございます。おはようございます。連合の神保でございます。
まず、私から、冒頭、政策決定プロセスについて一言申し上げておきたいと思います。雇用労働政策は、グローバルスタンダードである「三者構成原則」の下で現場実態を熟知した労使が知恵を出し合いながら、議論、決定することが不可欠であると考えております。労働市場改革分科会においても三者構成の行動政策審議会の審議を踏まえた検討がなされることが必要です。
その上で、労働生産性向上に向けた能力開発や労働移動について、意見を申し上げたいと思います。リ・スキリングを含む人的資本投資の促進については、企業の労働生産性の向上のみならず、労働者個々人の成長にもつながるものであって、非正規で働く方を含め、全ての労働者を対象に取り組むことが重要であると考えております。その際には、現場の労使が十分に合意形成を図りながら実施するとともに、習得したスキルや成果が適切に評価され、処遇改善につながる仕組みを整備することが必要です。あわせて、取組に課題を抱える中小企業に対しましては、伴走型支援の強化など、さらなる後押しが必要です。
次に、労働移動についてです。成長産業への労働移動には専門的なスキルや資格の取得が必要になると認識しております。労働者にはスキル習得のための時間的・経済的余裕が十分でない方も多くいます。政府として、移動後の成長産業において能力開発や人材育成が実施される環境整備を進めることが重要であると考えております。また、労働移動はあくまで労働者本人の意思が尊重されるべきであり、成長産業において魅力のある処遇、労働条件、そして長期的・安定的に雇用を維持すること、継続的なリ・スキリングの機会を提供することが必要です。
私からは以上です。
○山田厚生労働審議官 ほかにございませんでしょうか。
片岡委員、お願いします。
○片岡委員 片岡です。おはようございます。
労働生産性、労働移動について若干意見を申し上げたいと思います。
資料7を御覧いただければと思います。冒頭の2ページ目のところで、労働生産性、労働移動についてまとめています。先ほど御説明いただいたとおり、2010年代以降、経済状況がやや改善してきている状況の中で、労働生産性の向上を持続的な賃上げにつなげていくという観点が重要になってくると思いますが、やはりマクロ経済環境の改善・安定といったところは必要条件なのかなと思っています。労働生産性は付加価値割る労働投入というところですので、これを拡大するためには付加価値そのものの拡大と労働投入の効率化といったところが求められると思います。付加価値の拡大に関しては、適切なマクロ環境、高付加価値創出のための経営側・労働側での取組、それから労働移動の円滑化といったところを考慮すべきだと思いますし、労働投入効率化につきましては、業務の効率化、適切な労働時間管理、労働参加促進といったところが重要になるかと思います。
日本成長戦略に関係する絡みで申し上げますと、17戦略分野は基本的に製造業が対象であります。製造業は、御承知のとおり、マクロの付加価値全体に占める割合は2割程度ですので、7割のサービス業の生産性向上、ないしは製造業・サービス業との投入・産出を通じました関係性、サプライチェーンの強化といったところが必須になるのではないか、こうしたところに大きく影響を与えるような改革が必要になってくるのかと思います。
労働移動に関して申し上げたいと思いますが、円滑な労働移動に関しましては、最新のテクノロジーの活用を通じた労働市場の見える化や、副業・兼業の促進、裁量労働制の拡充といったところが基本的に必要になるのではないかと思います。就業構造に関しては、文系人材ないしは事務職の方、こうしたところと、理系人材、AI・ロボット等テクノロジーの活用人材、ここら辺はミスマッチが生じていると思いますので、こうしたミスマッチを解消するような形で適切に新たなテクノロジーを生かしながら、いろんな形で活発に活動の場を広げていくというところが労働生産性や労働移動の拡大につながるものだと思います。こうした方向感で改革を進めていく必要があるのではないかと考えている次第です。
私からは以上です。
○山田厚生労働審議官 続きまして、伊藤委員、お願いします。
○伊藤委員 ありがとうございます。
全国515の地方の商工会議所を代表する日本商工会議所から、中小企業の観点からコメントさせていただきたいと思います。
労働生産性の議論ですけれども、中小企業との関連で見る場合に、一律に規模の違いだけで見るのは適切ではなく、むしろ中小企業については2つの類型があると我々は考えております。資料6にメモを作りましたけれども、1つは、いわゆる利益や規模を拡大する、成長を志向する、地域を牽引するような企業であり、地域牽引企業と呼んでいます。もう一つが、地域コミュニティーやインフラを支える地域貢献企業、この2つの固まりがあると思っております。
成長志向型の企業については、個社の労働生産性を重視した政策を取ることは非常に有効だと思っております。他方で、小規模事業者が大宗を占める地域で頑張っている地域貢献企業につきましては、生産性向上はもちろん重要なのですけれども、併せて地域での需要の拡大あるいは人手不足にどう対応するのかといった全般的な政策がより一層重要であります。企業数の8割、また提出資料の下部に図示いたしましたが、企業規模別の付加価値は地方に行くほど小規模事業者が占める割合が大きくなります。この観点から、個社と地域の両面へ向けた政策が必要だということをコメントしておきたいと思います。
また、生産性向上の観点につきましては、厚労省の資料にもありましたけれども、中小企業の生産性が低いというふうに言われていますが、過去、中小企業白書でも分析がされておりますように、むしろ実質の生産性は高いのだけれども、それが適切に価格転嫁できていない、この部分に大きなギャップがあって、そこも勘案すれば十分に競争力に堪えられる企業が中小企業の中にも多くあると考えております。現在、政府でも進めていただいている価格転嫁・取引適正化の取組の重要性については、この生産性の議論の中では忘れてならない論点だと思っております。
加えて、労働移動について一言コメントさせていただきます。成長分野やエッセンシャルワーカーへの労働参加を促進するということは我々も重要だと思っておるところでありますが、他方で、先ほど申し上げました地方の中小企業では、大企業あるいは大都市への人の流出といった問題が深刻であります。政策を用いて労働移動する際に、このような地域のインフラを支える中小企業の人手不足を加速させて、さらに地域が疲弊するということはあってはならないと考えますので、この点についても申し上げます。
以上です。
○山田厚生労働審議官 今、会場で札が上がっているのは藤原委員、室賀委員、坂本委員です。その順番で、まずは藤原委員からお願いします。
○藤原委員 ありがとうございます。
資料11-1の提出資料を御覧いただきたいと思います。こちらは、今、春季労使交渉真っ最中でございますが、それに臨む経済界側のスタンスをまとめたものでございます。
この図にもありますように、成長と分配の好循環、それから実質賃金の安定的なプラス化ということを目指しているわけですが、その実現のためには、人への投資を通じた賃金引上げの力強いモメンタムのさらなる定着が重要だということを訴えております。そのために必要な賃金引上げ原資の安定的な確保に当たっては、やはり労働生産性の改善・向上というものが不可欠になります。具体的には、付加価値の最大化に注力しながら労働投入の効率化を図るという働き方改革の進化が必要と考えております。
付加価値の最大化に当たりましては、より柔軟で自律的に働ける環境整備、とりわけ裁量労働制の拡充が最重要課題と考えております。加えまして、イノベーション創出の担い手であります多様な人材や働き手の能力開発、スキルアップを通じた労働力の質的向上を図るなど、その活躍を推進して労働生産性を改善・向上させることが欠かせないと思っております。
また、我が国全体におけるマクロの視点で労働生産性の改善・向上を図るためには、高い付加価値を生み出す成長産業や分野等への労働移動を進めていくことが重要だと考えております。企業、経済界、政府、それぞれ求められる役割を果たして、社内外における労働移動の積極的な推進に取り組んでいく必要があると思っています。とりわけ、政府に対しましては、労働移動推進型の雇用セーフティーネットへの移行に向け、雇用保険制度の改正を含めた取組、制度整備を引き続き求めてまいりたいと思っております。
資料11-2は「労働移動の積極的な推進」実現に向けたアクションプランで、経団連の考え方をまとめたものでございます。昨年10月にまとめたのですが、この中には、企業自ら取り組むこと、政府にお願いしたいこと、そして教育機関と連携したいことというふうに分けておりますので、また後ほど御覧いただきたいと思います。
以上でございます。
○山田厚生労働審議官 室賀委員、お願いします。
○室賀委員 では、資料12を御覧ください。
私は、日本経済の大きな課題の1つは人的資本の未活用であると考えております。人口減少が進む日本においては、労働力の量を増やすだけでなく、既に存在している人的資本をいかに効率的に活用するかが重要になります。未活用となっている人材としては、女性人材、中途人材、高度人材等が挙げられますが、特に女性人材の活用は日本経済にとって最も大きな潜在成長要因の1つです。
例えばOECDのデータを用いた研究では、日本の女性は、スキル水準そのものは世界でもトップレベルにあるものの、職場におけるスキルの使用度は先進国の中で最低水準であることが示されています。つまり、日本では能力が低いのではなく能力が十分に活用されていないという問題があります。また、経済学の研究では、人材配置の最適化は経済成長の重要な要因であることが示されています。例えば女性やマイノリティーが能力に合った職業に就くようになったことが1960年から2010年までのアメリカの経済成長の20~40%を説明するという研究もあります。
この観点から見ると、日本においてもスキルと職務のミスマッチを解消し、人材がより生産性の高い仕事へ移動できる労働市場を整備することは、生産性向上の重要な政策課題であると考えております。
以上です。
○山田厚生労働審議官 続いて、坂本委員、お願いします。
○坂本委員 坂本と申します。
先ほどは丁寧な御説明、大変ありがとうございます。
エッセンシャルワーカーのところ、論点を頂いていたと思います。経産省の資料でも現場の人材が非常に不足していく、あるいは厚生労働省におきましても、労働経済白書などで社会インフラ関連職ということで位置づけて、こうしたところに光を当てることが重要だと考えています。こういった業界というのは地方中小企業が重要な役割を担っています。伊藤委員からもありましたけれども、地方中小企業といってもかなり千差万別でして、抜本的に生産性を引き上げているような優れた中小企業は、私がヒアリングしていてもたくさんあります。こういった優れた中小企業に人材や資本を重点的に投下していく、そういう方針を政府としても掲げていただきたいと思っています。これは、もちろん労働政策のみならず産業政策一体となって、逆に言えば、優れていない企業には円滑に市場から退出いただくということも含めて、施策として展開していってほしいと思っています。
こういった優れた経営を行う中小企業への労働移動に当たっては、ハローワークも非常に重要な役割を担ってくるかと思います。民間の職業紹介所等もシェアを拡大しているところではあるのですが、やはり地方の中小企業にはなかなか手が届いていないというのが現状です。ですので、ぜひハローワークを地方の社会インフラ関連職を中心に質の高い労働移動を担う主要な担い手として位置づけていただきまして、関係機関と連携した上で必要な施策を展開していってほしいと考えています。
私からは以上です。
○山田厚生労働審議官 山田委員、お願いします。
○山田委員 ありがとうございます。
私からは3点、申し上げさせていただきたいと思います。
1つ目は、労働市場改革に関しての基本的な考え方です。リ・スキリングとか労働移動という話が出ていますが、これは改めてですけれども、あくまで生産性向上のための手段だというところ、この辺を改めて認識することが大事だと思います。労働生産性の向上を実現するには、基本的には企業が経済や社会の環境の変化に応じて事業構造を見直していくということが前提になるわけです。その結果、高付加価値事業を創造し、成長させる。こういう経営戦略がまずありきだということだと思います。それを実現するために、スキルの転換とか、企業内外での適材適所を通じて人材面で担保する。それがリ・スキリングであり、労働移動だという、その辺のストーリーを改めて認識してやっていくということがまず第一だと思います。でないと無駄な投資になってしまうということです。
2つ目は、やはり中小企業の話です。雇用の7割を生んでいるのは中小企業です。先ほど事務局の資料にありましたように、生産性向上に今のところはあまり貢献できていない面があるということなのですけれども、何がネックになっているかというと、経営のリソースで、特に人材が不足しているということです。そういう意味では、ここもどう経営戦略を立てていくかということが大事で、考えてみると、今後、AIの導入等で大企業のホワイト企業が余剰になっていくということが言われているわけです。こういうスキルがあり、経験のある人たちを中小企業の言わば参謀としてマッチングしていく。ここは簡単な話ではないのですけれども、意識改革やリ・スキリングとか要ると思いますが、そういうことを考えていく。例えば出向形式、派遣、副業ということを含めて、これが非常に重要になってくるということではないか。中小企業でもう一ついいますと、価格転嫁、これは先ほど来、議論がありましたので、ここも重要だということは付け加えておきます。
最後に、やはり現場力ということだと思います。日本の競争力を支えているのは、もちろん革新的なところをどんどん増やしていくことも大事なのですが、現実には品質力で勝負しているというのが結構あります。ここを支えているのは現場だと思います。経産省さんの資料にありましたように、現場の労働力がどんどん不足していくわけです。人材がなかなか入ってこない。これはやはり低賃金ということもある。まだ十分技術が使いこなせていない。アドバンスト・エッセンシャルワーカーというコンセプトが前の骨太の中に入っていたと思いますけれども、この部分を政策的に注力してやっていく、こういうことが大事ではないかということで、次回以降、具体的な政策についてはまた提案させていただきたいと思います。ありがとうございます。
○山田厚生労働審議官 続いて、オンラインで御参加いただいている委員から御発言いただきます。石﨑委員、水島委員、近藤委員の順番で、まずは石﨑委員からお願いします。
○石﨑委員 ありがとうございます。石﨑から発言させていただきます。
頂きました資料4の7ページにおきまして、エッセンシャルワークに関して生産性上昇率の点でよい数字が出ていないというような御指摘があったかと思います。とりわけ医療・福祉業界などに関しましては、生産性という観点のみから評価することが適切かという点もございまして、ほかの評価軸も場合によっては必要になるのではないかということをまず指摘させていただければと思います。
AIやロボットなど新技術の活用による現場の負担の軽減や労働環境の改善というのは、エッセンシャルワークへの労働移動の促進という観点からも重要となりますけれども、エッセンシャルワーカーが担う労働のうち、そうした新技術によって代替できない部分の労働の価値というものを社会の中で認めていき、また、それに見合った処遇を確保していくことが重要ではないかと考えます。
労働移動に関しまして、労働者自身の希望による適職選択を進めていくという点からは企業の労働環境に係る情報開示を進めていくことが重要であり、分かりやすい情報を整理し発信する仕組みを整え、拡充していくことが必要になるかと思います。
リ・スキリングを推進する点に関しましては、受講する労働者に対する経済的な負担の援助という点も重要ではありますけれども、同時に、リ・スキリングを受講する時間に対する配慮というものも進めていくことが必要ではないかと考えております。
以上でございます。ありがとうございました。
○山田厚生労働審議官 続きまして、水島委員、お願いします。
○水島委員 ありがとうございます。
労働生産性の論点案について、労働生産性の向上に向けてリ・スキリングの推進が必要という考えには賛成です。ただ、1点目には「国や地域によるリ・スキリングの推進が必要」とありますが、2点目以下では企業の取組に委ねる印象が強い点が気になります。企業の経営判断や自主性を尊重することは重要ですが、国や地域がどのように連携し、どのような支援を行うのかを示すことが結果として企業の人材育成を促進すると考えます。
労働者にどのようなスキルを取得させるかは業種や職種によって様々であると考えますが、2点申し上げます。
まず、IT分野です。業務効率化のためにITを導入する企業は多く、それを使いこなせる人材が不可欠です。しかし、ITやAIの進化は非常に速く、現在取得したスキルが将来も通用するのか、新たなスキル取得が必要になるのか、もしくは特別なスキルを要せずに誰もが使えるようになるのか、予測が難しい面があります。将来的に意味を失う可能性があるスキルへの投資は企業の皆様もちゅうちょするのではないかと思われます。
2点目は、社会を支えるエッセンシャルワーカーです。特に介護分野では人材の不足が見込まれます。論点案では「業務効率化等を推進する人材の育成」とあります。そのような人材は必要ですが、その前に介護を担う人材の確保が不可欠です。この点は労働移動の論点に関わります。社会を支えるエッセンシャルワーカー分野への労働移動は国として積極的に取り組むべき課題と考えます。先ほどの坂本委員の御意見に共感しますし、重要な御意見と思いました。この分野への移動を促すためには賃上げが喫緊の課題と考えます。厚生労働省におかれましては、介護人材確保に向けた様々な取組を既に進めておられることは承知しておりますが、ぜひ持続的に取り組んでいただくとともに、さらには介護報酬の大胆な見直しも必要ではないかと考えます。
最後に、リ・スキリングや労働移動の推進に当たっては、ただ取組を広げるのではなく、将来の社会や産業構造を見据え、柔軟性の高い分野に重点を置くことが重要と考えます。限られた財源を効果的に活用するためにも、どこに力点を置き、どのように支援を行うのか、メリハリのある制度設計と運営が求められると考えます。
以上です。
○山田厚生労働審議官 続きまして、近藤委員、お願いします。
○近藤委員 私からもエッセンシャルワーカーの労働生産性向上について、8ページ辺りの話についてお話ししたいと思います。多くの委員から既に中小企業が価格転嫁できていないとか、そういったことで指摘されていることの繰り返しになるのですが、労働生産性というのは生産された付加価値を投入された労働力で割ったものですけれども、生産された付加価値というのは生産物の売上げから生産費用を引いたものに当たるので、売上げの部分が上がらないと生産性は上がらないという構造になっているわけです。売上げを上げるために、労働者が生産できる生産物の量が上がったものをコストカットという形で価格の引下げに使ってしまうと、それは労働生産性に反映されなくて買い手側の余剰になるわけです。
エッセンシャルワーカーのところで何が問題かというと、エッセンシャルワーカーが提供するサービスというのは生活に密着したサービスであるので、値上げすると一般庶民の懐を直撃するみたいなところがあるわけです。なので、エッセンシャルワーカーの労働生産性を向上しようとすると、どうしても生活関連サービスの価格が上がるということが必ず起きてしまう。そこのところをきちんと認識していない状態で業務効率化やリ・スキリングでどうにかなるという感じになってしまうと、議論が空回りしてしまうと思います。特にエッセンシャルワーカー、介護の場合は介護報酬を引き上げなければ労働生産性に反映されないわけですし、運輸業とかでもあっても、結局、下請の人たちが価格競争している間は仮に生産性に当たるものが向上していたとしても数字に表れてこないということが起きますので、生産されたサービスの市場のほうに問題があるのではないかという視点が必要かと思います。
以上です。
○山田厚生労働審議官 続けて、中根委員、お願いします。
○中根委員 中根です。ありがとうございます。
労働生産性について特に申し上げたいと思います。自己啓発や教育訓練ですが、日本は社会人になって学びを続ける割合が少ない、他国に比べて学ぶ時間が非常に少ないというのは以前から言われていることだと思います。では、なぜ学びの時間が少ないかというと、学ばなくても子言うが維持されるもしくは継続していることや労働時間で評価される、そういうkおれまでの状況が諸外国と比較して労働者の学びが少ない状況に反映されてきたのではないかと思います。私は、経営者を含めて支援すべきだと思っていて、経営者が、自社にとって何が必要か、時間ではなく生産性に対して評価を行うというスタンスを持てるということが必要なのではないかと思っております。先ほど坂本委員が企業の選別も必要ではないかということを言及されていて、私もそこに非常に共感しております。ただ、人口が減少しており、企業の中でも人材の獲得競争が激化しています。一定の報酬を払えない企業というのは自然と退出していくことになると思いますし、採用ができなければそういったことが予想されるのですけれども、経営者自身に学びの機会を提供するということが必要なのではないかと思っています。
今、何を学ぶべきか、ITやAIの活用というのは必ず労働生産性の確保につながると非常に強く感じますので、それを政府や自治体がデザインする。デザインといっても、メリハリをつけて、支援すべき産業や企業に対して意図を持った重点的な投資を行う。このデザインなのですけれども、経営者に対して学びの機会を提供するとともに、生産性の向上に伴走する仕組みと一体となって提供するということが必要なのではないかと思っております。この後、第2回、第3回で具体について議論されるかと思いますが、例えば、こちらは厚労省の管轄ではないかもしれないのですけれども、ITやAIの活用ということでいきますと、中小企業庁がITの導入補助金等でサポートされているかと思います。ただIT導入補助金の申請要件が年々厳しくなっているようで、採択件数が低下しています。もちろん不正があったりということで、その辺りは非常に注意されているのかなと思いますが、この点、先ほど申し上げたとおり、産業や企業を政府あるいは自治体がデザインしながら意図を持った投資に回せると、より生産性が向上し、中小企業の人件費のほうにも回していけるのではないかと考えます。
以上です。ありがとうございます。
○山田厚生労働審議官 ありがとうございました。
これで前半部分のテーマについては一通り全ての委員から御発言いただきました。
続きまして、労働参加の関係の部分についての御意見を賜りたいと思います。今と同じように、御意見のある方は札を立てていただく、あるいは挙手ボタンを押していただくという段取りで進めていきたいと思います。
労働参加の関係部分についての御意見、いかがでしょうか。
まず、伊藤委員からお願いします。
○伊藤委員 ありがとうございます。
労働参加の論点につきまして、まず労働時間制度について申し上げます。
昨年、商工会議所のほうで会員に対して調査いたしまして、いわゆる時間外労働の上限規制について、全体的に支障が生じているかという聞き方をしたところ、回答の中では2割程度が上限規制に支障があるという結果でございました。さらに業種別に分けますと、食品・飲食業といったサービス、運輸、建設といった現場、こういったところを見ている事業者で支障が生じている割合が4割ないし5割といった形で、業種の中での違いというものも出ておりました。下請構造の強い影響を受けている中小企業では、自社ではコントロールできないような外部の要因での支障が出てくるということがございます。この観点から、サプライチェーンあるいは取引先との関係での、先ほど申し上げましたような取引の適正化ということが第一だと考えております。
また、45時間、年間6回までの上限規制の一部の例外措置や、あるいは変形労働時間制の運用や要件の見直しなど、健康確保と労使の合意を大前提としながら、より柔軟な働き方を可能とするような制度の検討をお願いしたいと考えております。
特に変形労働時間制については、既に制度としてあるわけですけれども、外部の要因で生じる突発的な業務への対応の活用ニーズがあるものの、既に計画申請している場合は途中で変更が認められない、あるいは30日前に労使の合意を得ることが必要ということで、様々な変化に対して有効に活用できないという声が先ほどの建設や運輸の事業者から多く出てきております。計画申請後の変更を認める措置、労使の合意を得る期間の短縮など、より柔軟な活用できるような制度というもので要件を緩和すべきだと考えております。
もう一点、専任の人事担当者がいない多くの中小企業については、人事問題の解決を支援する目的で設置されています働き方改革推進支援センターをはじめとする公的な支援機関、自治体、商工会議所、あるいは民間の支援機関と有機的に連携した支援が必要だと考えております。特に変形労働制、テレワーク制度、業務の切り出しなど、多様な人材の確保あるいは育成に対して、そもそも中小企業の経営者が必ずしも熟知していないというケースが多々見られますので、その分野についてのコンサルティングの支援というものが必要と考えています。また、労働基準監督局における監督指導についても、丁寧に現場実態を把握した上で、取り得る対策についての助言、あるいはサポートいただくことをぜひお願いしたいと考えております。
以上です。
○山田厚生労働審議官 続いて、神保委員、お願いします。
○神保委員 ありがとうございます。
労働参加について意見を申し上げます。
まず、労働参加を促進するためには、働くことを希望する女性、高齢者、障害がある方など、多様な人材が働きやすい社会を実現することが必要です。その実現のためには育児や介護あるいは治療等と仕事の両立支援のさらなる充実と、長時間労働の是正などの「働き方改革」の定着を進めていくことが求められていると考えております。
あわせて、論点案には記載がありませんが、労働者の約4割を占める非正規雇用の課題にも正面から取り組む必要があると考えております。待遇改善に向けた「同一労働同一賃金」の徹底、正職員転換の促進等を進める必要があることと併せて、さらに踏み込んで、有期雇用契約の制限ルールの検討なども含めて、働き方に関する総合的な改革に取り組む必要があります。
そして、論点案に記載された柔軟で多様な働き方についてです労働時間規制の緩和を望む声もありますが、現行制度を適切に活用すれば労使の工夫次第で柔軟な働き方の実現じゃ可能であると考えております。雇用する使用者と労働者の力の差は厳然たる差が存在しているため、労働者の同意などを理由に緩和を行うべきではないと考えております。
次に、裁量労働制についてです。裁量労働制については、連合の構成組織の中でも、労使で制度設計からきめ細かい運営まで運用を徹底し、趣旨どおり適切に運用をされているところもあります。一方で、真に裁量がない方への適用や、長時間労働になりやすい実態もあります。こうした点を踏まえれば、今行うべきは制度の拡充ではなく、2024年度改正を踏まえた定期的なモニタリングなどの適正運用の徹底であると考えております。
最後に、労働時間制度でございますけれども、働く者の健康・安全の確保と、生活時間保障の観点を基本に据えるべきであって、上限規制の段階的な強化や、休息と生活時間の確保に向けた長期の連続勤務規制の導入等を進めることが必要であると考えます。
以上です。
○山田厚生労働審議官 山田委員、お願いします。
○山田委員 ありがとうございます。
労働参加の確保に関して、まず前提として共有しておかないと駄目だと思っているのは、働く人たちの属性がすごく変わっているということです。特に重要なのは、女性、シニアが増えているということもですが、逆に現役世代の男性がすごく減ってきているという現実をまず認識する必要があるのだと思います。それは何を意味しているかというと、かつては男性は仕事・女性は家事・育児という分業の時代もあったのですけれども、今は男性も女性も働くし、同時に家事・育児といった生活に重要な部分も共有していかないと駄目で、そうでないと社会生活の基盤が崩れるという社会に変わっている、そこが大前提の認識だと思います。そのときに、労働参加の確保といったときに、当然、量的にもそうなのですけれども、質ということも大事で、要はそれぞれの人たちが能力を活かせていける、同時に生活をしっかりさせていく、そういう認識が必要なのだと思います。そうしますと、政府が労働時間の短縮の問題にずっと取り組んできたわけですけれども、これは、ある意味、非常に必要があって行われてきている。だから、原則としては、やはり上限は守っていくということが前提になってくるのではないか。もちろん議論があって、そこで一定の柔軟化というのは個別論ではあるのかもしれませんが、大きなところは、そこは重要なところではないかと思います。
労働力不足の対応というと、労働生産性の向上ということが最も重要だと思いますが、そのときに重要なのは、既に先ほど近藤委員からもあったと思いますが、価格を上げていくということでいいますと、あるいは量よりも質を上げていくということになりますと、様々な意味で顧客に対しての日本社会の在り方、ある意味、ゆがんだ顧客志向みたいなことがあるわけですから、そういうところの商慣行や取引慣行も見直していくということが実は結果として働く人たちの能力を生かしていくことにつながっていく、そういう論点が非常に重要ではないかということであります。
個別の裁量労働政策の論点に関しては、また機会があったときに発言させていただきたいと思います。
○山田厚生労働審議官 続いて、藤原委員、お願いします。
○藤原委員 ありがとうございます。
最初の厚労省さんからの説明にありましたとおり、労働供給制約が生じつつありますので、それに対応する必要があると思います。私どもとしても、女性、若年者、高齢者、障害者、外国人、有期雇用労働者など、多様な人材の就業の継続と定着を通じて、労働参加のさらなる促進を図っていくことが不可欠だと考えております。加えて、働く意欲はあるものの働いていない潜在労働力を着実に労働参加へつなげていくことが望まれます。この点でも、裁量労働制の拡充というのは、労働生産性の改善・向上だけでなく、創造性を発揮する仕事の特性に適した柔軟な働き方の拡大に資するものであり、広い意味でいろいろな人が労働参加したくなるという観点からも必要な課題だと思っております。過半数労働組合との十分な協議と健康確保を前提にして、一定の範囲で対象業務を拡大する制度の見直しが不可欠だと思っております。
総理が施政方針演説で裁量労働制の見直しの検討に言及されたことは歓迎したいと思っております。裁量労働制の導入企業からは、裁量労働制が働き手の能力を最大限発揮させて、成長意欲を一層喚起させるという声を聞いております。一方で、先ほど神保委員からも御指摘ありましたように、制度趣旨に沿わない運用がされているということ、健康面や処遇面での観点で問題が生じているといった指摘があることも承知しております。今後、適切な運用を行っている企業の取組を参考にして、長時間労働の抑制策や、裁量労働制にふさわしい処遇の確保の在り方など、制度の濫用防止策とセットで見直し議論に臨んでまいりたいと思います。
以上でございます。
○山田厚生労働審議官 坂本委員、お願いします。
○坂本委員 坂本です。
各種調査を見ますと、中高年齢者について申し上げますが、日本の中高年齢者の方は労働意欲が非常に高く、就業したい、あるいはもっと長く働きたいという方も実際にはいらっしゃいます。そういった中で、中高年齢以降の労働市場というところで、おおむね50代から60代後半にかけてのミドルシニア世代と70歳前後以降のシニア世代ということで、それぞれマーケットの特性に合わせて検討していくことが重要だと思っています。
ミドルシニア世代については、特に地方では定年制がない企業や従業員の要請に応じていつまでも働けるような企業が結構あります。ですので、こういった企業に中高年の方が移動していく環境をつくるということは労働力確保の観点からも非常に望ましいと思います。実際に今、民間の人材サービスでもこのマーケットはかなり広がっているところでありますが、こういった地域の実情に応じたマッチングは、先ほど申し上げたとおり、やはりハローワークが非常に重要な役割になってくるかと思いますので、こういったところをうまく活用していただけたらと考えています。
あるいはシニア世代、もう少し上の世代の方になりますけれども、こういった方に関しては、フルタイムで働くというよりは労働負荷の低い、地域に根差した小さな仕事と私は申し上げていますけれども、そういった仕事で働くというのが現実的だと思います。こういった仕事に関しましては、当然、シルバー人材センターももっと役割を果たしていただきたいですし、あるいはスポットワークなど、短期単発のワークなど、最近いろいろ普及しているところでありますので、こういったチャネルの総合的な活用をいかにして図るかということを検討していただきたいと思っています。
最後に、労働時間規制におきましては、労働市場の需給環境は大きく変わっていますから、見直しの検討は必要かと思いますけれども、ただ、中小企業等においては、話を聞いていますと、現実的に離職防止の観点などから労働時間の引上げは難しいと聞きます。そういった企業に関しては相談を支援する体制の構築などが有用かと思いますので、こちらもぜひ考えていただければと思っております。
以上です。
○山田厚生労働審議官 片岡委員、お願いします。
○片岡委員 ありがとうございます。
まず、先ほど山田委員や近藤委員からもお話がありました労働生産性に占める付加価値の部分についてコメントしたいと思います。付加価値が拡大する余地が、昨今、デフレの状況からインフレの状況に変わってきたこともあって、増やしやすくなっているというところは、今回、労働生産性ないしは関連する規制等々を考えるに当たっては重要な話なのかなと思います。もちろんミクロ的な産業政策ないしは規制緩和みたいな、そういった部分はとても大事だと思いますが、他方で、それを可能にするようなマクロ環境はやはり変わってきているということですね。そうした中で、各企業が横並びではなくて、独自の戦略、経営を取っていく。それによってアウトプットが増える余地がある。そこの中でどういうふうにAIや半導体、いろいろな新しい技術を生かしていくのか、人材をどういう形で拡大させるのか、そういうような目線がこれまで以上に必要になっていると思っています。
労働参加についてですけれども、さらなる労働参加というところで申し上げますと、働く意欲があって、育児や介護の両立に課題を抱えている方々に対しては、特に政府や企業の両面から適切な制度構築が必要なのは言うまでもないことかと思います。
それから、フレックスタイム制や福利厚生制度の充実、育児や介護の両立に対する理解の促進、働いている方のキャリアステージの明確化、男性社員の力が弱くなってきたのではないか、そういう話もございましたけれども、男性社員を含む周囲の方々の理解促進、こうしたところの対策は、より進めていく必要があるのではないかと思います。
それから、労働者のキャリア形成支援みたいなところとスキルのアップデートというところで、先々のキャリアを見越した能力形成支援策や、あと、育成サイクル、実務経験、評価、研修みたいなものをうまくミックスさせながら、それぞれ個々の方の職業経験を高める、こういうような支援策も必要なのかと思います。
最後に、労働時間制度に関してですけれども、私自身は、柔軟で多様な働き方の実現に向けて裁量労働制の見直しは一定程度必要なのかなと思っています。ただ、裁量労働制がもちろん長時間労働促進につながらないようにするために工夫は必要ですので、そこら辺はバランスを考えながら、働きたい方が自由に働けるようなポジティブな意味での改革といったものが必要なのではないかと思っています。
以上です。
○山田厚生労働審議官 室賀委員、お願いします。
○室賀委員 私からは女性の労働参加の拡充について申し上げます。
既にほかの委員からも指摘があったとおり、現在、日本では女性の労働参加率自体は上昇していますが、依然として女性の非正規雇用率は50%以上と非常に高い状況にあります。このため、高いスキルを持つ女性がその能力に見合った形で活躍できていないケースが多く見られます。また、出産や育児、介護といったライフイベントによって女性のキャリアが中断されるケースも少なくありません。いわゆるチャイルドペナルティーと呼ばれる現象で出産後に正規雇用から外れたり、賃金が長期的に低下することが多くの研究で指摘されています。さらに日本の雇用慣行として長時間労働や転勤を前提とした働き方が残っていることも女性の就業継続やキャリア形成の障壁となっています。
ノーベル経済学賞受賞者のクラウディア・ゴールディン氏が指摘したとおり、労働における柔軟性の確保こそが性別による賃金格差やキャリア格差を解消する鍵となります。したがって、女性の労働参加を量的に拡大するだけでなく、柔軟な働き方を可能にする雇用制度の整備やキャリア継続を支える制度設計が重要になっていくと考えております。
以上です。
○山田厚生労働審議官 まず、水島委員からお願いします。
○水島委員 ありがとうございます。
まず、論点案の1点目ですが、育児や介護との両立に課題を抱える者で就業意欲がある者のさらなる労働参加を促進するには、育児支援や介護支援が不可欠です。保育所や放課後児童クラブ、ショートステイや老人保健施設が利用できる環境があれば、育児や介護を理由とする離職が避けられ、また、一旦離職した者も労働市場に復帰しやすいと思います。育児や介護の環境が整えば、おのずから労働参加は促進されると思います。そのためには、先ほど申し上げましたが、エッセンシャルワーカー人材の確保が重要な課題です。自治体の中には、介護助手、介護アシスタント担当業務のような介護現場における高齢者の就労を促進しているところもあるようです。これは、エッセンシャルワーカーの職場における人材確保の要請と高齢者の就労意欲の双方をかなえる取組のように思います。
それから、労働時間制度に関し、15ページの「労働者の健康確保も図りつつ」というところにアンダーラインがありませんが、この点が極めて重要であることを改めて確認しておきます。私見では、労働者の健康確保のために勤務間インターバルが実効的であると考えます。
以上です。
○山田厚生労働審議官 続いて、中根委員、お願いします。
○中根委員 ありがとうございます。
労働参加、労働時間の確保に関しては2つの方法があり、これまでも議論されていますけれども、多くの人が労働市場に参加できることと、1人当たりの時間を増やすということだと思います。この会というのは日本全体の経済成長を長期的に高めていくということが命題だと思いますので、全体としてのインパクトが大きいのか、短期ではなく長期視点で考えるべきだと思っております。ほかの委員もおっしゃっているように、女性、高齢者の労働意欲が高いというのは、日本の非常にいいところだと思いますので、この方々をいかに市場に呼び込むかというところを考えるべきだと思います。
先ほども言われていますけれども、長時間労働できる人を中心に採用しようとすると獲得が難しく、人手不足になる側面があるというのは、当社の過去の経験からも言えることだと考えております。短時間の方々でも、もしくはその場にいない人であっても労働に参加できるという形にすることによって、多くの方を労働市場に呼び込むことができます。弊社もその環境をつくり、多くの方が来てくれた、特に女性が入社し活躍しているということがあります。ケア責任を特定の人に押しつけるような状況を強いては長期的な少子化の増長となってしまうことがあると考えております。なお、短期の人、短時間で働ける人も含めて労働環境に入れていくということは、多様な働き方や価値観の人々と共にチームで仕事するということで、短期的には複雑なこと、煩雑なことが起きます。ただ、これらは業務の構造化し効率化し、他社と共有して進めるということによってイノベーションが起き、結果として、最初に議論した労働生産性の向上につながるというのを私たちは身をもって体験しておりますので、これをぜひ進めていくべきかと思います。
2つ目の1人当たりの時間を増やすというところなのですけれども、1人当たりの時間を増やすということに関しては、上限の範囲内で働きたい人と、法定を超えて増やしたいという人がいて、法定を超えて増やしたい人は5.2%という数字をどう捉えるかというところだと思います。業種や地域性などを踏まえて、一律ではない柔軟な働き方を検討するのは必要なことだと思いますが、政府の観点でいくと、一企業の短期的な労働力の確保ということと、日本の総労働力を長期的に確保するためにどうするべきかというのを混同せずに対応すべきと考えます。長時間労働が増長されない仕組みは先に述べた通り、多様な人を労働市場に呼び込む環境をつくり、あるいは学びの時間を確保するうえで必要思っております。そうしなければ結果的に長期的に総労働力を確保することができず、少子化もより進んでしまうという危機感を感じております。
以上です。
○山田厚生労働審議官 続いて、近藤委員、お願いします。
○近藤委員 まず、労働参加に関してなのですけれども、多くの委員が女性と高齢者のことは指摘されているのですが、実は既にかなり高いわけですね。これからも短期的にこの上昇ペースが続いていくと、これから短期、中期ぐらい、10年とかそのぐらいのスパンであれば増え続けることは期待できると思いますが、女性のL字カーブというのですけれども、中高年女性の非正規雇用率がとても高いという問題も、今、子供を産んでいる世代が仕事を辞めなくなってきていますので、その世代がだんだん年を取っていくにつれてLではなくなっていくということが期待されるとは思います。ただ、就業率は100%より上にいきませんので、今、既に高いということは、長期的に30年、40年というスパンで見たときに、上がる余地はそれほど残っていないということでもあるので、長期のことを考える場合には参加率は100%で打ち止めなのだということを考慮に入れて、このままのペースで増え続けるのではなくて、今は残っている少ないところをいかにして活用するかということを目指してはいるのだけれども、そこが終わった後、もう一個開発する余地はないのだということは、長期のことを考えるときには頭に入れておいたほうがいいかと思います。
あと、短期的な摩擦ということを考えますと、今、女性が出産退職してパートに入るというパスから正規雇用を続けるというパスにどんどん移動していますので、これまでエッセンシャルワーカーの大きな供給源だった主婦パートがパートにならないで正社員を続けるようになります。短期的にはそこで逆に飲食業や小売業のアルバイトの成り手が減るというようなことが起きますので、そういう意味で、労働移動というか、そもそも飲食や小売が最低賃金のパートに頼っているという体質を変えていかなければいけないという課題もあると思います。
労働時間規制に関しては、私は専門家ではないのですけれども、フルタイムで働いている労働者というのは生活の基盤を雇い主に握られている状態なわけです。どうしても雇用主のほうが力が強いので、労使の合意に基づいて緩めるといっても、労使の合意というのは本当に合意しているのかという問題は常について回りますので、少し性悪説に立って企業のほうが強いているのではないかと疑うという視点で法整備は進めたほうがいいと思います。働ける人は働けるようにということであれば、主な雇用主ではないところで仕事をすれば、自由を確保するというのも一つのやり方で、副業とかギグワークというのが広がっているというのは、ある意味、いいことだと思うのですが、ギグワークみたいなものが普及してくると、どうしてもギグワークだけで生活を立てる人が出てくる。それは避けがたい副作用なので、既存の社会保険制度はそういったような人たちの出現に合わせて制度を整備していくということが重要だと思いますけれども、制度の側で合わせることにして、これを規制するというよりは制度の側をそれに合わせて変えていくという視点が大事かと思います。繰り返しになるのですけれども、労使の交渉で緩めるという方向性はとても危険で、それよりは、こういう法律があるので、法律の中でどうにかなるように労働生産性を改善してくださいというやり方のほうが長期的に見て日本の労働力の量を確保するという意味ではいい視点なのかと思います。
以上です。
○山田厚生労働審議官 石﨑委員、お願いします。
○石﨑委員 ありがとうございます。
労働参加に関しまして、家庭責任を担われる方、高齢者、障害者のうち、労働の意欲がある方について労働参加を高めていくためにということで申し上げますと、こうした方をターゲットとする両立支援策の充実ということももちろん重要ではあるのですが、同時に、こうした方だけに限られず、広く労働者をターゲットとして、労働者の希望に基づく柔軟な働き方を可能にする仕組みを広げていくことや、既に複数の委員から御指摘があるように、長時間労働の是正ということが重要になっていくように思います。ここで挙がっている属性の方の労働参加を高めることは、労働生産性の向上という点から議論されているかと思うのですが、併せて実質的な平等の実現という観点からも重要な意味を持つということを改めて確認しておきたいと思います。
柔軟な働き方というときに、これも複数の委員から既に御意見が出ているように、裁量労働制の拡大というような提案もなされているところではありまして、裁量労働制が、ある種、労働者の裁量で働き方を決められる、そういうプラスの側面があることは確かではあるのですけれども、他方で、神保委員などから指摘があったように、裁量がない中でこの制度の適用を受けて長時間労働になってしまったりするという課題もありますので、本当の意味で労働者が仕事、特に業務量などに対しても裁量を持てているのか、その辺りがどう担保できるのかという点をやはり慎重に検討していく必要があるのではないかと考えております。
また、労働者の選択の尊重と健康確保、この2つの視点はいずれも重要であるわけですが、先ほど近藤委員からも御指摘がありましたように、労働者の同意や選択が本当の意味で自由な意思に基づいているのか、そこは労使の交渉力の格差を考えたときには慎重に考える必要があり、また、それをもし担保していくということであるならば、集団的な労使の基盤をしっかりさせていくことが重要であろうかと思います。
また、集団的労使関係の基盤をしっかりしていくというところは健康確保の実効性を高める点からも重要と思います。健康確保という観点からは、先ほど水島委員から御指摘があった勤務間インターバル規制の強化も一つ今後の課題になっていくかと思いますし、その辺り、具体的なスケジュールなども示していく必要があるのではないかと考えております。
こうした点については、先般公表された労働基準関係法制研究会報告書の中でも一定の提案がされているところであり、既に労政審でも充実した議論がされていることは承知しておりますけれども、この点、引き続き、労政審で実態を踏まえて具体的な検討を進めていただくということが重要ではないかと考えている次第です。
以上でございます。
○山田厚生労働審議官 一通り御意見を頂きました。ほかに追加で御意見などありますでしょうか。
長坂副大臣、お願いします。
○長坂厚生労働副大臣 厚生労働副大臣の長坂康正でございます。
本日は早朝から活発な御議論いただきまして、ありがとうございました。いずれも大変貴重な御意見であり、引き続き、本分科会におきまして、議論を深めていただきたいと考えております。
人口減少が進む中で、日本で働く人の約7割が活躍している中小企業は、DXの推進や成長分野への進出等によって稼ぐ力を高める必要があり、その担い手となる労働者を育て確保していくことが不可欠でございます。地域経済、ひいては日本経済の成長に向け、効果的なリ・スキリングの実施、成長分野や国民生活の基盤を支える分野の人材確保といった政策を強化していくべきだと考えております。
具体的には、経営戦略の一環として、人材育成の強化や自社の労働時間制度の見直しに取り組む中小企業が安心して相談できる体制の整備、また、成長分野等で求められる職業能力の見える化の推進、労働者の主体的なリ・スキリングを支える施策の強化、地域社会を支える医療・介護等のエッセンシャルな分野の人材確保の支援などの課題につきまして、次回の分科会で議論を深めていただくよう事務局においても必要な準備をお願いいたします。あわせて、労働基準監督署の監督指導の実情を踏まえ、今後の運用についての考え方を整理するようお願いしたいと思います。
○山田厚生労働審議官 ありがとうございました。
どうぞ。
○村山職業安定局長 お時間を頂き、恐縮です。職業安定局長でございます。
本日の御議論で、今、副大臣がまとめられたところでございますけれども、1点、論点に対する根本的な提起といたしまして、水島委員、近藤委員ほか複数の先生方から、エッセンシャルな分野における労働生産性の問題をどういうふうに見るのかという点についての御提起があったと思います。
特に例示として引き合いに出されたのは介護の分野であったかと思いますが、申し上げるまでもなく、ファイナンスする原資は保険料と公費と自己負担でございますし、また、価格に関しましては、公定価格でございまして、ファイナンスの面でも転嫁ができるかどうかといった面でも他と違う特質を持っております。同時に、今後の就業構造や地域経済を考えた場合、非常に大きな点があるということでございます。先ほど申し上げたような事情から、この場で報酬の問題を正面からご議論いただくのはなかなか難しい面もあるわけではございますけれども、一方で、今日、例えば人材確保に当たりまして、坂本委員から、ハローワーク等を通じて、よりしっかりと対応していくべきではないかというようなお話もございました。また、山田委員からは、アドバンスト・エッセンシャルワーカーというお考えもお示しいただき、ある意味、これからの労働の質の向上の中核を担い、それが生産性の向上につながっていくという御指摘もございました。
一例、こんなこともやっているということで施策を御紹介申し上げますと、神保委員からお話のありました、自己啓発に時間と金銭が隘路になるということがありますので、労使の御理解も得て、教育訓練休暇給付金を新しくつくって昨年の10月から施行しています。これは、無給の教育訓練休暇を取って自己啓発して、資格等をかなり長期にわたって取ろうという方について、失業給付並みの給付をして、その生活を支えるという制度でございます。
利用状況を見ますと、エッセンシャルな分野でも使われておりまして、サービスや医療・介護、さらには宿泊、そういった分野の方々が新しい知識を自己啓発で得るために使われております。具体的には、いずれも40代の方の例ですけれども、例えば観光業の方がインバウンドの増加に対応して語学を本格的に学ぶために語学留学を何か月かされる後押しをするとか、あるいは介護の分野で、ITの技術についてこれからマネジメントの上でも必要なので、ITパスポートをはじめとして幾つかの資格を取得するために集中的に勉強するために、仕事は一旦お休みにするけれども、この給付を活用するというような実例なども挙がっているところでございます。
先ほど申しましたように、近藤委員をはじめ、多くの先生から挙げられたエッセンシャルな方々に関する労働生産性について、ちょっと引いた対応というか、全面的にお答えになる部分はどこまでという部分はあるかもしれませんが、この分科会の1つのミッションとして、労働施策の分野あるいは関連の分野との関連性のようなところでいろいろ御示唆を深めていただけることができれば大変ありがたいと思っております。
論点ペーパーに対する根本的な御指摘があったので、私のほうから一言お答えさせていただきました。恐縮です。
○山田厚生労働審議官 そろそろ時間も参っておりますので、以上をもちまして、本日予定していた議事を終了させていただきます。
本日の御議論を踏まえて神谷政務官から御挨拶を頂ければと思います。
○神谷厚生労働大臣政務官 構成員の皆様、本日は、お忙しい中、貴重な御意見を賜りまして、誠にありがとうございました。
御議論の中で、企業の人材マネジメントや中小企業への支援、産業政策との連携等について御意見を頂きました。議論を進める上で、生産性向上、労働移動、労働参加のそれぞれの論点について、特に中小企業をはじめとした企業におけるマネジメントをどのように支援していくかという視点についても併せて考えなければならないと強く感じたところです。御参加いただいた構成員の皆様の御意見、御示唆、それらをしっかりと受け止めさせていただきたいと考えております。
次回も闊達な御議論のほどよろしくお願い申し上げます。本日はありがとうございました。
○山田厚生労働審議官 ありがとうございました。
恐らく皆さん言いたいことが山盛りある中で、非常にコンパクトに御意見をまとめていただき、議事の運営に御協力いただきまして、ありがとうございます。
今回、事務局において資料の中で論点案を出しておりますけれども、皆様の御意見を踏まえて修正いたします。次回以降、各論点について、より具体的な御議論を深めていただければと思います。
次回の日程につきましては、後日、事務局より御連絡いたします。
それでは、本日の会議は以上で終了いたします。ありがとうございました。

