2026年1月21日 中央社会保険医療協議会 総会 第643回議事録

日時

令和8年1月21日(水)10:00~

場所

日比谷国際ビルコンファレンススクエア

出席者

構成員等
  • 小塩隆士会長
  • 飯塚敏晃委員
  • 笠木映里委員
  • 永瀬伸子委員
  • 本田文子委員
  • 城山英明委員
  • 鳥潟美夏子委員
  • 松本真人委員
  • 永井幸子委員
  • 高町晃司委員
  • 奥田好秀委員
  • 鈴木順三委員
  • 伊藤徳宇委員
  • 茂松茂人委員
  • 江澤和彦委員
  • 黒瀨巌委員
  • 小阪真二委員
  • 太田圭洋委員
  • 大杉和司委員
  • 森昌平委員
  • 木澤晃代専門委員
  • 上田克彦委員
  • 小松知子専門委員
事務局
  • 間保険局長
  • 林医療課長
  • 梅木医療技術評価推進室長
  • 吉田保険医療企画調査室長
  • 和田歯科医療管理官
  • 清原薬剤管理官 他

議題

  • 令和8年度診療報酬改定に係る検討状況について
  • 意見発表者による意見発表、中医協委員からの質問

議事

○小塩会長
おはようございます。ただいまより、第643回「中央社会保険医療協議会 総会」を開催いたします。
本日も対面を基本としつつ、オンラインも組み合わせての開催としております。
また、会議の公開につきましては、ユーチューブによるライブ配信で行うこととしております。
まず、委員の出席状況について御報告いたします。
本日は、田島専門委員が御欠席です。
さて、本日の中医協総会は、令和8年度診療報酬改定に向けて国民の皆様の御意見を伺う公聴会でございます。
開会に当たりまして、委員を代表いたしまして、私から一言御挨拶を申し上げます。
本日は、御参加いただきましてありがとうございます。
当協議会は、厚生労働大臣の諮問機関です。診療報酬や薬価など、公的医療保険から医療機関等に支払われる公定価格を決定する権限を有する機関として、法律に基づいて設置されております。診療報酬等に関する事項について、厚生労働大臣の諮問に応じて、審議・答申を行う役割を担っております。
本日は、1月14日に厚生労働大臣より諮問された「令和8年度診療報酬改定」の審議を行うに当たり、私ども委員が国民の皆様の御意見を伺う機会として、公聴会を開催することとしたものです。
今回、意見発表をお願いしております方々は、石川県を中心とした北陸地方に御自宅または職場が所在している方々を対象とさせていただきました。今回の公聴会は、オンラインでの開催としております。後ほど御意見を発表していただく時間を設けておりますので、忌憚のない御意見をよろしくお願い申し上げます。
それでは、当協議会の委員を紹介させていただきます。
当協議会は、第1に、医療保険の保険者、被保険者、事業主等を代表する委員、いわゆる支払側委員、第2に、医師、歯科医師、薬剤師を代表する委員、いわゆる診療側委員、第3に、公益を代表する委員により構成されております。必要に応じて専門委員を置くことができるとされております。
本日出席の委員は、支払側委員といたしまして、鳥潟委員、松本委員、永井委員、鈴木委員、それでオンラインで御出席の高町委員、奥田委員、伊藤委員。
続きまして、診療側委員といたしまして、江澤委員、茂松委員、黒瀨委員、小阪委員、太田委員、大杉委員、森委員。
続きまして、公益委員といたしまして、城山委員、オンラインで御出席の本田委員、飯塚委員、笠木委員、永瀬委員。
そして、総会に所属しております専門委員といたしまして、木澤専門委員、上田専門委員、小松専門委員です。
また、厚生労働省からは、保険局長、審議官、医療課長などが出席しております。どうぞよろしくお願いいたします。
カメラの頭撮りは、このあたりということでお願いいたします。
(カメラ退室)
○小塩会長
それでは、議事に入らせていただきます。
本日の議事の進め方ですが、まず、事務局から、令和8年度診療報酬改定の検討状況について説明してもらいます。その後、御参加いただいている委員発表者の方々より、御意見を頂戴したいと思います。
それでは、まず、令和8年度診療報酬改定の検討状況について、事務局より説明をお願いいたします。
○林医療課長
医療課長です。総会資料となっておりますものを御覧ください。
2ページ目に目次となってございます。参考資料となっておりますけれども、これまでの経緯としまして、1月14日に中医協に今般の診療報酬改定について諮問をさせていただきました。
また、これまでの議論の経過でございますけれども、32ページから今年の次回の診療報酬の改定率についてお示しをさせていただいております。
また、37ページからは、医療保険部会・医療部会で議論されました診療報酬改定の基本方針をお示ししております。
こうしたものを受けまして、これまで長く議論をいただいてまいりました、1号側、2号側、そして、中医協としての意見書などをお示しさせていただいております。
その上で、取りまとめられました議論の整理について、簡単に御紹介させていただきます。
次のページ、下に1と書いてあるページでございますけれども、この資料が、これまでの議論の整理を行ったものということでございます。
目次のⅠといたしまして「物価や賃金、人手不足等の医療機関等を取り巻く環境への変化への対応」として、人件費や物件費の高騰、医療従事者の人材確保に向けた取組などについての改定の論点の整理を行ったところでございます。
また、2つ目、大きな項目としましては「2040年頃を見据えた医療機関の機能の分化・連携と地域における医療の確保、地域包括ケアシステムの推進」として、Ⅱ-1からⅡ-8までございますけれども、医療機能に応じた入院医療の評価、治し、支える医療の実現、かかりつけ医機能、かかりつけ歯科医機能、かかりつけ薬剤師機能の評価、外来機能の機能分化と連携、質の高い在宅医療・訪問看護の確保など、様々な項目について議論の整理を行っていただいております。
続いて「Ⅲ 安心・安全で質の高い医療の推進」でございますが、これにつきましても様々な分野について御議論を賜ったところでございます。
患者にとって安心・安全に医療を受けるための体制の評価、アウトカムにも着目した評価の推進など、Ⅲ-1からⅢ-9までございます。
4番目として「効率化・適正化を通じた医療保険制度の安定性・持続可能性の向上」ということで、後発医薬品、バイオ後続品の使用促進から始めまして、Ⅳ-6までの項目について、議論の整理をさせていただいたところでございます。
具体的な内容につきましては、この目次の後、4ページ以降に記載されてございますので、今日は時間の都合で、この内容について御説明をすることは省かせていただきたいと思いますけれども、こうした内容について御参照いただきつつ、御意見を賜れればと考えてございます。
本日、公聴会での意見発表者の皆様には、貴重なお時間をいただいて御参加いただいておりますことを、事務局としても深く御礼を申し上げます。
以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明に関しまして、支払側、診療側から補足の御説明等ございましたら、代表の方からお願いしたいのですけれども、よろしいでしょうか。
特に追加の御説明はないということですので、先に進めます。
それでは、意見発表者の皆様より御意見を頂戴したいと思います。
意見発表者につきましては、今回の公聴会の開催案内に併せて公募を行いました。応募いただいた方々の中から、意見の内容や発表者のバランス等を考慮して、私ども公益委員のほうで、10名の方を選ばせていただきましたので、本日は、その方々に意見発表をお願いしております。
意見発表に当たりましては、まず、前半に5名の方に意見を発表していただき、それらの意見に対して、当協議会の委員から質問をさせていただきます。その後、後半に残りの5名の方々から意見を発表していただき、それに対して、委員から質問を行いたいと思います。
なお、時間の関係上、大変恐縮ではございますが、御意見の発表は、お一人につき5分以内ということでお願いいたします。
また、意見発表の初めに、お名前と御職業をおっしゃっていただくようにお願いいたします。
それでは、最初に西村様、お願いいたします。
○西村氏
澁谷工業健康保険組合の西村でございます。このたびは、このような意見発表の機会をいただき、ありがとうございます。
私どもは、加入者約4,300人の健保組合であり、本日は、石川県を中心とした北陸地方の健保組合の立場として意見を述べさせていただきます。
それでは、まず、最初に健保組合の財政状況を紹介させていただきます。
全国の健保組合の令和7年度予算では、被保険者数の伸びと賃金引上げ効果を反映し、全体として保険料収入は増加しますが、高齢者への拠出金の増加には追いつかず、被保険者と事業主の保険料負担が既に限界に達している中で、保険料率を引き上げた健保組合も少なくない状況です。
私ども石川県の支部を含む11健保組合の財政状況は、保険料収入は増加したものの、多くの組合で、保険給付費や後期高齢者支援金が増加しており、保険料率の引上げにより対応している組合が存在している状況です。
澁谷工業健保組合も、医療給付費と拠出金負担が伸びており、数年ごとに保険料率を引き上げて何とか対応しております。
一方で、保険者として、加入者の健康を守り、健保組合の持続的な運営を維持するために、業務の効率化等を進め、限られた財源の中で母体企業とも協力し、健康づくりや重症化予防などの保健事業に取り組んでいますが、昨今の物価、賃金の上昇を受け、特定健診や特定保健指導の単価も上昇している状況です。
こうした状況の中、今回の診療報酬改定で本体部分が大幅に引き上げられることにより、健保組合の財政にどのような影響があるか非常に心配しています。大部分を賃上げと物価への対応に充当するということですので、費用を負担する被保険者や事業主にとって納得のできる対応をお願いいたします。
医療費の増加は保険料の上昇につながり、被保険者と事業主の負担増に直結します。我々が被保険者と事業主からお預かりしている保険料を適切に使い、加入者が安心、納得して必要な医療を受けることができる体制の実現に期待しています。
また、一昨年の令和6年に発生しました能登半島地震では、私どもの健保組合の加入者も被災し、地域で必要とされる医療の維持をしていくための対応を真剣に考えなければならないと強く感じていました。
ICT等の活用で効率化を図りつつ、限られた医療資源を有効に活用することで、地域において必要な医療体制を整備することは喫緊の課題だと認識していますので、スピード感を持った対応を期待しています。
震災の際、御尽力いただいた医療関係者の皆様には深く感謝申し上げます。
それでは、改定に向けた意見として、まず、物価や賃金への対応についてです。
物価上昇への対応については、医療機関の機能による影響の違いを踏まえた対応をお願いいたします。
賃上げへの対応については、医療機関に勤務する方の賃金が確実に上がることと、その実態を検証できるよう、検討をお願いします。
次に、後発品とバイオ後続品の使用促進についてです。後発品は使用が一般化したものの、加入者からは使用に関する不安の声が届いており、我々も周知広報に力を入れて対応してまいりますので、後発品の使用が後退することのないよう、引き続き品質と安定供給の確保に向けた取組の推進をお願いします。
バイオ後続品は、加入者に対して何かしらの働きかけが必要だと意識は持っておりますが、実際の取組をどう進めたらよいのか悩んでいるのが現状です。
医療機関や薬局の皆様の協力がなければ、使用促進は難しいと思っていますので、保険者も一体となって普及していくことで、加入者が安心して使用できる環境が整うことを期待しています。
以上が、健保組合の立場からの意見でございます。中医協の委員の皆様におかれましては、保険財源の観点も強く意識しながら、引き続きの御審議をよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
○小塩会長
どうもありがとうございました。
続きまして、長尾様、お願いいたします。
○長尾氏
医療法人社団長尾医院の長尾信と申します。職業は医師です。
私は、地域の一次医療を担う診療所の立場から、現場の実感を交えてお話しさせていただきます。
地域の診療所は、日々の外来診療に加え、慢性疾患の継続的な管理や、在宅医療、医療・介護の連携の中心として地域医療を支えています。
高齢化が進む中で通院が難しい患者さんへの対応や、自宅で療養される方を支える役割は年々大きくなっています。
こうした役割を果たすためには、24時間対応の体制を維持したり、多職種との連携を調整したり、医療DXやICTを導入して情報共有を進めたりと、診療以外の業務も多くあります。
これらは、医療の質や安全を保つために欠かせない取組ですが、現場では負担として積み重なっているのが実情です。
特に小規模な診療所では、人手にも資金にも限りがあり、地域医療を支え続けること自体が年々難しくなってきています。
かかりつけ医としての役割を十分に果たすためには、診療行為そのものだけではなく、地域で医療を続けるための体制づくりも評価していただきたいと感じています。
診療所は、災害時であっても平時であっても、地域住民の健康を支える地域の最後のとりでです。今後の診療報酬改定においては、慢性疾患管理や在宅医療、医療・介護連携、24時間対応といった取組を現場の実情に即して評価していただければと思います。
地域医療を将来にわたって守っていくために、現場の声に寄り添った制度設計と診療報酬体系を、ぜひ御検討いただければ幸いです。
以上です。ありがとうございました。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、高村様、お願いいたします。
○高村氏
連合石川で事務局長を仰せつかっております、高村と申します。本日は、発言の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。
私は、被保険者、患者の立場から3点意見を述べさせていただきたいと思います。
まず、1点目、地域で医療を担う人材確保についてです。
石川県の人口は約110万人で、4つの医療圏がございます。医療の供給は、金沢大学などがある石川中央医療圏に集中しております。2024年の能登半島地震によりまして、被災地では看護師の離職が相次ぎまして、人材不足が課題となっております。
労働者、生活者が安心して暮らし、働き続けられるようにするために必要なことは、医療現場に人材が集まり、定着するための取組を着実に進めていくことだと考えております。そのためには、医療現場で働く全ての労働者の処遇改善を図ることが必要です。
私たち連合は、みんなの春闘として中長期的な視点を持って、人への投資と月例賃金の改善に向けて全力で取り組んでいます。
医療現場におきましても、しっかり賃上げをしていただくことが必要ですし、看護職員をはじめ、医療現場で働く全ての労働者が賃上げを実現できるよう、一人一人の手元に確実に行き届く仕組みとし、実績報告を求め、検証できるようにすることが必要だと考えております。
なお、実際の処遇改善に当たっては、労使で協議して決めていただければと思います。また、処遇改善には賃上げだけではなく、働きやすい職場環境であることも重要です。ICTの活用などにより、業務負担の軽減と効率化を図っていただきたいと思います。
ただ、議論の整理にあります、ICT機器等を組織的に活用した場合に、看護職員の配置基準を柔軟化するという考え方につきましては、安易に看護職員の配置基準を柔軟化すれば、現場の負担増となるのではないか、患者の安全や医療の質に問題が生じるのではないかと不安があります。くれぐれも安全と質の担保を前提に、慎重に御検討していただきたいと思います。
加えまして、医療職一人一人が専門職を十分に発揮できる環境は、患者にとって質の高い医療提供につながると考えておりますので、それぞれの専門性を生かす形で、タスクシフト・タスクシェア、多職種連携を進めていただきたいと思います。
医療人材の確保に向けた取組は重点項目でもありますので、しっかり対応を図っていただきますよう、お願い申し上げます。
2点目は、機能分化と連携強化の推進についてです。
人口減少、超少子高齢化が進行する中、限りある医療資源のもとで効率的な医療提供体制が確保できるよう、中長期的な視点で医療機関の機能分化と連携強化を進めていくことが必要でございます。
御高齢の患者は、今後さらに増えると思いますので、入院医療において、高齢者の救急搬送の受入れや早期のリハビリなどを提供する機能へ転換していくとともに、在宅医療、介護サービスとの連携強化なども図っていただきたいと思います。
また、高齢になっても働き続ける労働者は増加していますので、就労中の患者も増えていくだろうと考えております。
そのため、仕事と治療の両立という観点から、質の高い外来医療の提供とともに、就労中の患者が医師や専門職などから適切に両立支援を得られるよう対応を図っていただきたいと思います。
加えて、安全・安心に子供を産み育てられる環境整備も重要ですので、小児周産期医療の提供体制の確保に向けて、高度な医療を担う医療機関と、その後方支援などを担う医療機関、地域の保健福祉サービスなどとの連携強化に向けて、適切に対応を図っていただきたいと思います。
最後、3点目、患者本位で効率的な医療の推進についてでございます。
私たち被用者保険の被保険者は、自らの医療費だけでなく、高齢者の医療費も負担しています。毎年医療費が増加する中で、保険料の負担感は非常に重くなっています。そのため、医療提供体制の効率化を通じて、医療費の増加を抑えていくことが必要であると考えております。
医療DXを推進し、医療の効率化や適正化を推進するとともに、薬剤の多剤・重複投与の是正、データ分析の強化などにより、医療の質の向上にもつなげていただきたいと思います。
被保険者、患者の納得と安心につながる医療提供を実現する診療報酬に改定されるよう、要望いたします。
以上でございます。どうもありがとうございました。
○小塩会長
どうもありがとうございました。
続きまして、阪上様、お願いいたします。
○阪上氏
ただいま御紹介いただきました、阪上です。
本日、このような機会をいただきましたことを感謝申し上げます。
私は、現在、国立病院機構金沢医療センターの院長をしております。当院は、二次救急を主体とした急性期総合病院となりますが、御多分に漏れず、大きな赤字を抱えている状況にあります。
院長以外の職務として、石川県の医師会の理事、それから、県の地域医療構想アドバイザー、それから、支払基金の審査委員のほうも拝命しているところです。
さらに、石川県の災害医療コーディネーターとして能登半島地震の際には、県庁で全体の調整業務にも当たりましたので、これらの立場を踏まえて、本日、お話しさせていただきます。
まずは、2年前の能登半島地震を経験して、地方における医療体制において危機感を抱いたことを数点挙げさせていただきます。
1つ目は、地域全体のサージキャパシティの必要性です。能登半島地震の際には、現地の医療が逼迫したことはもちろんなのですが、これらの地域からの傷病者あるいは病院入院患者、疾病を抱える高齢者の避難者の受皿となった金沢以南の地域においても、急性期から慢性期に至るまでの全ての医療機関が逼迫状態となりました。
このために、医療の緊急事態宣言の要請を県から発出してもらうということを検討する状態まで至ったことがありました。
これらの事象というのは、今後、高い確率で発生が予想されている南海トラフ巨大地震が発生した場合にも起こり得るものと危惧しております。
今回は災害時ということでしたが、これは平時に置き換えた場合でも問題になり得ると感じました。例えば、どの機能の医療機関においても、経営を維持しようとした場合には病床稼働率等を90%以上になるようにという取組をしないといけない。そうすると、病床削減とか、マンパワーの削減が行われることになりますが、こういったことが行われた場合、例えばした、ちょっとした感染の流行などの急性疾患の増加によって、地域医療全体のレジリエンスが保てない状況が危惧されると理解しております。
現在、2040年に向けての医療機関の機能分担と病床削減が急務とされており、この必要性は十分理解しているところなのですが、どこかにバッファー機能を持たせておく必要があるのではないかと考えています。
個人的なことを言うと、急性期医療機関が病床に少しゆとりがあっても、経営的に成り立つような、そういった制度設計が望ましいのではないかと思っているところです。
次に、能登半島地震というのは、高齢化が進む地域での医療課題も顕在化させたと考えています。能登北部は、もともと高齢化率の高い地域ですが、震災をきっかけに10年から20年時代が進んだとも言われています。看護師をはじめとする多くの医療職の離職も進んでいます。
これらは、子供たちの教育環境などのほかのインフラが悪化したこともありますが、地方にとっては病院自体や、そこで働く職員自体がインフラの役目を果たしています。震災急性期のときに、高齢者施設の県外避難の調整会議にも参加したのですが、この際に、他県のほうからは施設の職員も一緒に連れてきてくれれば、施設ごと受け入れるという意見も聞かれました。
しかし、地元では、これらの職員が避難所を運営するなどの地域を守る役目も担っていて、これらの人がいなくなることでは意味が全くないという声も聞かれてきています。まさに医療関係者の機能と場所と人が、インフラそのものであるということを表していると感じました。
今後、医療機関の集約化というのが必須になってくるとは思われますが、こういう地域においては、単に人口割で考えてよいものではないと感じています。能登のような地域では、高齢患者さんの医療機関へのアクセスの問題自体も非常に大きいものがあります。
これらの問題を解決していくためには、ICTの利活用と外部からの支援体制の構築は非常に重要であると考えています。
しかしながら、先ほどから意見がありますように、ICT導入自体に関しては、導入そのものに各種コストが発生するほか、これを維持するためにも多額の維持費が必要となります。更新費用やセキュリティ費用、あるいはこれを運用する人の人件費ということも考えなければなりません。
その一方で、ICTの導入を仮に進めたとしても、人員配置基準があると効率化が阻まれて、医療機関としてはダブルコストの要因にもなっているところです。ICT活用を前提とした上での柔軟な人員配置の容認、これは安全を担保した上でということになりますが、そういった形と事務負担を最小限にする簡素な制度設計が必要と考えています。
また、能登半島のような過疎地域での医療の継続を考えた場合に、医療機関が多い地域からのスタッフ派遣が、これまで以上に重要となってくると考えます。
この際に、派遣する側、受ける側双方が不利益を被らないような、みなし在籍等の制度設計を構築して、効率よく地域を支えられる、面で地域を支えるという体制が進むような形の整備を求めていきたいと思います。
それから、これは地震とは直接関係ありませんが、地域の医療体制を守っていくためには、不採算部門やインフラ部門といった評価を高めてほしいと感じています。
インフラ部門というのは、人口構成の変化や医療技術の進歩によって、患者の数自体は減っていくものの、医療機能としては地域として必要とされているもの、それを言いたいと思います。
それで、地域の医療を存続するための不可欠な機能には、待機そのものへ適正な評価が不可欠と考えています。
まず、不採算部門としては、救急が挙げられると思います。例えば、我々の病院でも救急搬送件数は年々増加していますが、このためにオンコールを含めた医療スタッフを待機させることになり、この24時間の待機コストというものが、症例数に依存する現行の出来高評価では十分に補塡されない状況があって、これも赤字の常態化に寄与しております。医師の働き方改革の対応というのは、これをさらに深刻化させていると感じています。
また、社会のインフラ領域としては、先ほどから話がありますような周産期領域や小児部門あるいは身体合併症を有する患者をはじめとする精神疾患患者への対応が挙げられると思います。
それで、先ほど言いましたような待機そのものへの診療報酬制度もそうですけれども、数の規制緩和というものも考えていただきたいと思います。例えば、当院は地域周産期母子センターに指定されてNICUを有しているところなのですが、この設備を一時的に、我々はコロナの対応に当てた関係もあって、それ以後、2,500グラム未満の未熟児の数というものが制度上満たされずに、NICUへの入院を、もし仮にしたとしても、その施設加算を取れない状況となっています。
このような症例数とか、手術件数に依存するような、手技に関する基準に関しても緩和への転換をしてほしいものが多いと感じています。
それで、医療機能の集約化というのは、今後の医療の在り方を考えた場合に重要であることは十分理解しているのですが、地方においては、症例数や実績を基準とした場合に、患者のアクセスや治療行為の質の担保が維持されない状態が起こり始めています。例えば、私が関係しているようなことで言うと、関連学会からも要望が出ていると理解しておりますが、心臓の除細動器移植術において、自施設における心臓外科の手術件数の実績に依存する基準が存在します。
直接、これらは関係のない医療行為を基準としていることとなり、そういう手術が必要であるというリスクの低さも含めて、現在の実情に合わないと考えております。
これらは、先ほどから言っていますように、地域のネットワーク、面として質担保ができることを条件とした基準緩和へ転換してほしいと思っております。
最後に、ベースアップ評価に関してになります。
医療者の賃上げは急務ですが、収益自体が症例数、出来高に依存する構造では、特に地方で赤字要因となるものと理解しております。地域の実情に即して、機能と維持を評価する診療報酬体系へ抜本的見直しをしていただけるよう、お願いしたいと思います。
以上、私からの発言となります。このような機会をいただき、ありがとうございました。
○小塩会長
どうもありがとうございました。
それでは、続きまして、山本様、お願いいたします。
○山本氏
私は、石川県白山市にあります、有限会社美川物流代表取締役会長の山本邦彦といいます。このような発言の機会をいただき、ありがとうございました。よろしくお願いいたします。
当社は、みなとグループとして4社で、倉庫業、運送業、製造業の請負、派遣業の事業を、石川県を拠点に展開しております。
中小企業の事業主の立場として意見を申し上げたいと思います。よろしくお願いいたします。
まずは、中小企業を取り巻く景気情勢について御紹介いたします。
物価の高騰、燃料費やエネルギー価格の上昇、人件費の増加など、中小企業を取り巻く環境はとても厳しい状況が続いています。日本の景気の傾向は緩やかな成長基調といいますけれども、中小企業の実態としては、そうではないところがたくさんあります。
また、ここ2、3年、賃上げ局面が続いています。中小企業でも余裕がない状況ですが、人材確保のためには無理をしてでも賃上げを実施しなければならない状況です。そうした中、賃金とセットで上がっていく社会保険の負担も増してきております。
さらに、来年4月から、子ども・子育て支援金が始まり、労使双方に新たな負担が生じます。
少子化対策は重要ではありますけれども、若い方が将来に希望を持って暮らすためには、現役世代の負担を減らしていくことが重要ではないかと考えます。
そのため、現役世代の負担感の強い高齢者医療への拠出金を減らせるよう、高齢者の医療費の見直しなど、少子高齢化社会における負担の在り方について見直しを図っていくべきだと考えております。中小企業の事業主や従業員の保険料負担は限界に達していると思われます。
次に、社会保険料改定についてですが、報道などで病院の経営状況の悪化や人材確保のための医療現場に働く人の賃上げが必要とはよく聞かれております。
物価高騰や賃上げへの対応も迫られる経営者として、そうした状況は想像できるところです。
また、石川県でも、特に奥能登地域など、医療従事者の確保が難しいという話も聞いております。地域の医療の確保は、そこで暮らす人々の生活を守るためにとても重要でありますので、考えていただきたいと思っております。
ただ、お話をしたとおり、事業主も従業員の負担も非常に厳しいという中で、限られた資源を効率的に配分して、必要な医療をどのように守るかという視点の検討を行っていただきたいと思っております。
診療報酬における賃上げや物価高騰への対応は、保険料や自己負担の増加に直結するため、事業主や被保険者、患者が納得できる受入れ可能な対応をしていただきたいと思います。
具体的に3点意見を述べたいと思います。
1つ目は、賃上げに対応するために、診療報酬の引上げを行うのであれば、増えた収入を着実に医療従事者の方の賃上げに使っていただきたいと思います。
また、実際に患者と接する仕事ですので、なかなか難しい部分もあるとは思いますが、ICTやAIの発展や医療DXが進んでいますので、生産性向上の取組を併せて検討していただきたいと思います。
2つ目は、効率的な医療提供体制の構築にしっかりと取り組んでいただきたいということです。
協会けんぽの保険料率は、都道府県支部ごとに異なります。それは、都道府県別の加入者一人一人の医療費の違いが反映されているためですが、医療費の違いは、住民1人当たりの病床数など、地域の医療提供体制が大きく影響していると思います。将来を見据えて、医療機関や病床数が不足しているなら適切な整備を、過剰な地域があるなら適正化を、地域の状況を踏まえ、ぜひともお願いしたいと思います。
また、かかりつけ医などを持つことも重要だと思っております。自分の健康を把握してくださり、何でも相談できる身近な対応になるにかかりつけ医が増えていくようにお願いしたいと思っております。
3つ目は、医療DXの推進です。
保険証がマイナンバー保険証に切り替わり、薬の処方状況や、ほかの病院の診療状況などの情報提供ができるようになったと聞いております。そうしたメリットを患者がどんどん実感できるようにしていただきたいと思います。
マイナ保険証への理解を進めることにもつながっていくと思いますし、医療DXのさらなる推進につながっていくと思います。
私からは以上となります。本日は、ありがとうございました。
○小塩会長
どうもありがとうございました。
それでは、ただいま5名の方々から御意見を頂戴いたしました。ただいまいただいた御意見に対して、中医協の委員のほうから御質問等がありましたら、お願いしたいと思います。
なお、本日の公聴会は一般の方々から御意見を伺って、今後の中医協での審議の参考にさせていただくということを趣旨としております。
したがいまして、委員におかれましては、本日は、いただいた御意見に対する確認や質問のみとさせていただき、委員御自身からの意見表明や反論につきましては、控えていただければと思います。
それでは、ただいま5名の方々の御意見に対しまして、御質問等ございましたら、よろしくお願いいたします。
いかがでしょうか、それでは、松本委員、お願いいたします。
○松本委員
ありがとうございます。
支払側委員を務めております、松本でございます。
最初に発表がありました澁谷工業健康保険組合の西村様への質問となります。
先ほど医療体制の整備に当たっては、スピード感を持った対応という御意見がございましたけれども、医療機関の機能の分化・連携あるいは地域における医療の確保について具体的に期待することがあれば教えていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○小塩会長
それでは、西村様、ただいまの質問に対して御回答をお願いいたします。
○西村氏
御質問ありがとうございます。
それでは、入院と外来に分けて意見を申し上げます。入院では、今後の人口構造と医療ニーズの変化に合わせて、機能の分化、連携、集約化を進めることで限られた医療資源を効率的に活用し、最適な医療を実現することが必要だと考えます。
今後は病棟だけでなく、医療機関の機能にも着目し、地域で担う役割を明らかにする議論があると伺っております。保険者としても地域の医療機関の役割が明確に分かることは重要だと思っておりますので、ぜひそのような方向で議論をお願いいたします。
外来については、かかりつけ医機能について、特に現役世代は、働きながら治療との両立を図る必要があることから、時間外の診療への対応は、かかりつけ医を選択する際に重要な要素となると考えています。
患者負担に配慮をいただきつつ、現役世代が安心して働き続けることができる質の高い医療の提供を期待しています。
我々も事業主と連携し、加入者の健康維持に努力を重ねておりますので、医療関係者の皆様と同じ方向を向いて取組を進めていけたらと考えております。
また、長期処方やリフィル処方の積極的な活用により、継続的に受診している患者の通院負担の軽減につながることも期待しています。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかに御質問はございますでしょうか。
小阪委員、お願いいたします。
○小阪委員
ありがとうございます。
阪上先生にお聞きしたいのですけれども、単に人口割が非常に問題だというお話がありましたけれども、どのような要因を加味していくべきかというのが一つと、それから、能登半島地震の経験から言われまして、急性期病院がある程度のキャパシティの余裕を持った状態で経営できるとよいとのことですが、大体稼働率はどれぐらいで経営できると、能登半島地震ぐらいの患者さんは吸収できるとお考えでしょうか、その2つをお願いしたいと思います。
○小塩会長
ありがとうございます。
阪上様、よろしくお願いいたします。
○阪上氏
阪上です。
まずは、人口割の話なのですが、やはり医療に対するアクセスの距離感というものが、非常に都会というか、我々、例えば石川県においても金沢市の市内と能登では全然違うことになりますので、僕のイメージとしては、例えば東京からの時間的な距離を地図で表すとこうなりますよみたいな、そういうものがあるかと思うのですが、そういった実態のアクセスまでの時間等を換算したような面積的なものを考えた構図というのが望ましいのではないかなと考えているところです。
それから、2番目の質問の、どれぐらいのキャパシティがあればということなのですが、実際問題として、我々は1月1日に発災した能登半島地震だったので、当時は、我々の地域の急性期医療機関は、大体稼働率50%だったので、すぐそれを埋めることで、稼働になったのですが、もう1月4日に始まっ始まりまして、一般業務が始まった途端にいっぱいになってしまって動きが取れなくなったという状況があります。
私たちの病院は国立病院機構でもあるので、1病棟を実は増やすことで、人も全国から集まっていただいて、何とか40床、ふだんよりも上げて、何とかカバーできたというところもあるので、自分自身の感覚としては、通常は、多めに見積もっても80%、大体75%前後の稼働率で回るような状況であれば、いろいろな事象に柔軟に対応できるかなと思っております。
ただ、ここも少し難しいのは、先ほど言いましたように、小児・周産期とか精神部門とか、そういった部門もありますので、そこはまた別に考えておく必要があるのかなと理解しているところです。
以上になります。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかに御質問ございますでしょうか。
飯塚委員、お手が挙がっています。お願いします。
○飯塚委員
ありがとうございました。
阪上様に御質問なのですけれども、先ほど病院等でインフラのコストというものを、例えば救急部門のオンコールの待機のコストのようなものをしっかり評価すべきだという御意見がございましたけれども、仮にそういうものを見ていった場合に、今後の医療の提供体制ですとか、特に機能集約化に対してどういう影響が出ていくのか、もし御意見がございましたら、お願いできますでしょうか。
○小塩会長
ありがとうございます。
阪上様、よろしくお願いいたします。
○阪上氏
ありがとうございます。
我々の救急を担う意味でも、そこに人員配置をしないといけないので、例えば、石川県であると、金沢大学あるいは金沢医科大学から、そこに当直できる医師の派遣を求めるとか、そういったことを回していくことになります。
実態としては、救急の医療とかは医師だけではなくて、看護師をそこに配置する等の必要がありますし、当然、ほかの薬剤師とか検査関係の技師を配置する必要も出てきますので、必然的に救急を担う病院というのが、こういったコストを発生させたとしても、集約方向に向かわざるを得ないという、そういう方向性になると考えております。
だから、むしろ、そういったコストをつけやすいような状況にさせることで、各医療機関において機能集約ということに向かっていくことが期待できるのではないかと、個人的には考えております。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかは、よろしいでしょうか。
それでは、茂松委員、お願いいたします。
○茂松委員
ありがとうございます。
医療側の茂松でございます。長尾先生への御質問でございます。
本来、医療DXの導入、ICTの活用ということで、多職種連携とか、24時間帯制といったものを確立させていくということで、本当にこれから必要であろうと思っておりますが、実際、医療の現場では、負担として積み重なっていっているという御発言があったと思いますが、特にどういう点で負担が多くなっているのかということをお聞きしたいと思っております。よろしくお願いいたします。
○小塩会長
それでは、長尾様、よろしくお願いいたします。
○長尾氏
ありがとうございます。
基本的には、説明とか入力とか連携調整などの実務がやはり増加しているものと思います。特に小規模診療所になればなるほど、その負担が顕在化しているものと思っています。
やはり医療DXの効果を最大化するためにも、やはり導入、運用段階の負担を適切に評価していただくことが重要なのだろうと思っています。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかは、よろしいでしょうか。
それでは、永井委員、お願いいたします。
○永井委員
ありがとうございます。
私からは、3番目に御発言されました高村様に御質問させていただきたいと思います。
御発言の中で、看護職員の配置基準の柔軟化に対して、現場の負担増といった不安を思われているということでございましたので、その辺りをもう少し具体的に御説明いただけたらと思います。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございます。
高村様、いかがでしょうか。
○高村氏
御質問ありがとうございます。
看護職員配置基準の柔軟化への不安という部分についての質問でございますね。
ICT機器等の活用により、看護記録ですとか、情報共有などに係る業務という部分においては、効率化できると思っております。
そうした業務時間が削減された分は、より患者のケアに集中できるようになり、患者にとって質の高い医療につながるものと思っておりますので、ICT機器の活用自体は推進していただきたいと考えているところです。
一方で、御高齢の患者が増加している中では、人が対応せざるを得ない業務というのは増えていくものではないかなとも思いますので、ICT機器を活用したからといって、人を少なくしてもいいということではないと考えております。
安易に人員配置基準を柔軟化すれば、現場で働く人にしわ寄せが生じてしまい、患者の安全ですとか、質の担保に悪影響を及ぼすのではないか、さらに離職を招くことにつながって、さらに人員不足を招くのではないかと危惧し、不安に思っています。
よって、現場の実態を踏まえ、慎重に対応していただきたいとの思いから、発言をいたしました。
以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかは、よろしいでしょうか。
それでは、引き続きまして、後半の5名の方々から御意見を賜りたいと思います。
最初に、前多様、お願いいたします。
○前多氏
私は、石川県金沢市で歯科診療所を開設しております、歯科医師の前多と申します。
本日は、このような貴重な発言の機会を賜り、誠にありがとうございます。歯や口腔の健康が全身の健康や生活の質に深く関わることは、近年広く認識されるようになってまいりました。
人生100年時代を見据え、国民が生涯にわたり安心して歯科医療を受けられる体制を維持していくことは、今後ますます重要になると考えております。
私は、石川県において地域歯科医療を担う立場から、日常診療の現場で直面している実情を踏まえ、意見を申し述べさせていただきます。
まず、第1に、歯科医における感染対策についての評価です。歯科診療は、必ず患者の口腔内に直接触れて行う医療であり、歯科医師及び歯科医療従事者は日常的に感染リスクと隣り合わせの環境で診療を行っております。
そのため、感染対策は選択的な対応ではなく、歯科診療を行うための前提条件となっております。歯科医院では、診療の内容を問わず、全ての患者に対し、ディスポーザブル製品の使用、器具の洗浄、滅菌、診療ユニットの清拭・消毒といった標準予防策を日常かつ継続的に実施しております。
また、使用後のディスポーザブル製品や、補綴物製作のための印象材、石膏模型材についても感染性廃棄物として適正に処理しており、廃棄費用やマニフェスト管理など、継続的な事務負担が発生しています。
これらの工程は、小規模な歯科診療所では、限られた少人数のスタッフによって担われているのが実情です。近年の物価高騰や人件費の上昇により、ディスポーザブル製品、消毒薬、滅菌関連機器の購入、維持管理費、廃棄処理費用等の感染対策に係るコストは大きく増加しており、従来の診療報酬体系では吸収が困難な水準に達しつつあります。
これらの基本的な感染対策は、全ての歯科診療に不可欠な基盤的行為であることから、施設基準による加算ではなく、初診料・再診料において、恒久的に評価される仕組みを強く要望いたします。
第2に、歯科訪問診療の評価についてです。
地域の歯科診療所では、これまで通院されていた患者さんが高齢化、全身疾患の進行により、通院困難となり、訪問診療を希望されるケースが年々増加しております。多くの歯科医院では、新規の訪問患者さんを多数受け入れるのではなく、これまで継続して診療を行ってきた患者さんへの対応として、訪問診療を行っているのが実情です。
しかし、現行の施設基準では、一定数以上の実績や複数機関との連携体制が求められ、地域に根差した小規模診療所では、必ずしも基準を満たせない場合があります。外来歯科医療を基盤とし、患者の生活環境の変化に応じ、訪問診療を担う地域の歯科診療所の役割についても、地域包括ケアの観点から適切に評価される制度設計をお願いしたいと考えております。
第3に、麻酔薬剤料の算定についてです。
歯科医療において、疼痛を適切に除去することは、患者の安心と信頼を確保する上で極めて重要です。そのため、局所麻酔は頻繁に処置されている内容であります。
しかし、現行制度では、処置内容によって、麻酔薬が薬剤料として評価されていない場合があり、算定ルールも分かりにくい状況です。また、保険診療に係る明細書において、歯科麻酔の使用が記載されたり、されなかったりする現状は、患者との信頼関係の観点からも課題があると認識しております。
使用した薬剤については、実態に即した形で薬剤料として評価するとともに、処置間で異なる算定ルールの整理、是正をお願いしたいと考えております。
最後に、歯科パノラマ断層撮影、通称パノラマレントゲンと光学印象について申し上げます。
歯科パノラマレントゲンは、上下全ての歯と顎の骨、さらにその周囲の構造を1枚の画像として映すレントゲン検査であり、口腔内全体を1枚で把握できる歯科診療において、基本かつ重要な画像検査です。
歯や顎の状態は一人一人大きく異なり、正確に記録された画像は、災害時等の身元確認においても非常に有効な資料となります。
また、現在、一部適用されている光学印象による口腔内のデジタル記録は、ICTによる保存性や情報共有の観点からも優れており、光学印象による全顎撮影では、パノラマレントゲンと同じく、身元確認の資料となり得ます。これら歯科パノラマレントゲン光学印象による口腔内全顎撮影が身元確認の資料として、社会的役割を担うことをぜひ評価していただきたいと存じます。
以上、歯科地域医療の現場から意見を述べさせていただきました。誠にありがとうございました。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、松下様、お願いいたします。
○松下氏
金沢市保険年金課長の松下です。私からは、国民健康保険の保険者として発言をさせていただきます。貴重な機会をいただきまして、ありがとうございます。
私ども国民健康保険は、国民皆保険制度の最後のとりででございまして、重要な役割を担っております。
従来より、年金受給者の方々の割合が高いなど、構造的な課題を抱えておると。そういった中、特に、近年につきましては、団塊の世代の方々が後期高齢者医療へ移行、また、被用者保険の適用拡大などによりまして、国保全般にわたって被保険者数が減少を続けておると。
その一方で、医療の高度化等によりまして、1人当たりの医療費負担は増大しておるということを兼ねて、財政的な問題を抱えている市町村が多いのが現状でございます。
また、我々市町村国保は、被保険者の方々から直接保険料を納付いただく立場でございます。そういった中、先ほどもお話がありましたが、明年度から子ども・子育て支援金制度が始まるということです。今でも、医療分、介護分、支援分など、その保険料が充てられる用途は異なるとはいえ、合わせた保険料の賦課限度額といいますのは、今でも国基準等で100万円を超えておるということでございまして、被保険者から見る保険料負担といいますのは、ますます年々増加の一途をたどっておるということでございます。
国によりまして、都道府県単位で保険料の水準の統一化などの取組も進められておるところではございますが、被保険者の方々に御理解、御納得いただくためには、一層の医療費適正化に向けた取組、こういったものも不可欠であると考えております。
地域の医療につきましては、人口減少、人手不足が急速に進む中、地域医療体制の衰退が非常に深刻な課題ということになっておりますが、やはり人口減少に伴う医療機関提供体制の縮減や撤退といったことは、あってはならないものと考えております。
今回の医療法等の改正におきましては、地域で効率的な医療提供体制を構築するため、医師偏在是正に向けた対策等が柱となっておるということで、重点的に医師確保が必要な区域に勤務する医師に手当を支給といったことや、知事が重点的に医師確保をすべき区域を指定するといったことができるようになったことなどは、地方医療の声が届きやすくなるものではないかと期待するところでございます。
また、離島や中山間地域など、地域の実情に配慮し、地域ごと、診療科ごとに、真に必要な医療、医師を算定し、抜本的な偏在対策を講じることが肝要ではないかと考えております。
そして、特に医療資源が、地方は不足するということで、今後につきまして、一層のICTを活用した効率的な連携活用や、医療DXによるオンライン診療等の推進に期待するところでございます。
特に、今、地方におきましては、運転手不足などの影響によりまして、地域交通といったものが非常に衰退の傾向にございます。
そういった中、患者の方々の通院負担を軽減するといった点からも、オンライン診療、遠隔医療につきまして、いろいろな課題等はあるかもしれませんけれども、平時より活用の幅といったものを広げていただければと考えております。
そして、これらのデジタル技術の活用といったものは、災害時での活用というものも非常に有効ではないかと考えております。能登半島地震の際には、本市でも避難所の開設、また、みなし仮設住宅等にも多くの被災された方々が御入居されたということがございました。
そういった中、県内に全国各地から災害の派遣応援チームの方々ですとか、自治体の方々に御支援いただいたことを改めて感謝申し上げたいと思います。
その際は、やはりこちらにいらっしゃる方と、被災地である地元のかかりつけ医さんですとか、そういったデータ、そういった距離を克服するようなデジタルを活用した取組、例えば電子処方箋などの、そういった取組が有効であったと聞いております。今後も、そういった医療DXの電子カルテによる情報共有の普及等にも期待するところでございます。
また、災害発生に関しましては、やはり医療機関自体が機能を維持していただくという点も重要かと思っております。まだ、策定率がやや低いのではないかなと言われるBCP計画等の普及といったものも必要ではないかと思っております。
また、増え続ける医療費として、高額な医薬品の課題があろうかと思いますが、当然、適正な医療に必要な医薬品で有効性が確認されたものについて、保険適用という考えに異論はないところでございますが、費用対効果の検証等を踏まえまして、引き続き慎重な議論をお願いしたいと考えております。
また、長期処方、リフィル処方等につきましても、残薬対策等も踏まえた推進に期待しますとともに、OTC類似薬の動向についても、今後注視してまいりたいと考えております。
また、今回の診療報酬改定におきましては、何と申しましても医療機関の危機的な経営状況が大きな論点となっておるかと思っております。大学病院、自治体病院についても、多くの病院で赤字経営となっておりまして、経営改善というものは喫緊の課題ではないかと思っております。様々な角度から議論をされておるところかと思いますが、ぜひとも、物価、賃金の上昇、人手不足等の医療機関を取り巻く環境の変化に対しまして、確実に経営や従事者の処遇改善につながることを期待しております。
また、地域医療は、大学病院に対しまして医師派遣など、医療人材の確保という重要なところを頼っておるというのが現状でございます。今後とも、大学病院と地域医療機関の連携により、地域医療が確立するといった点にも目を向けていただきまして、地域住民にとって安全・安心で質の高い医療が提供できる環境整備につながる診療報酬の改定であっていただければと考えております。
私からは以上です。ありがとうございました。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、今庄様、お願いいたします。
○今庄氏
このような発言の機会をいただきまして、ありがとうございます。丸岡らいふ薬局で管理薬剤師をしております、今庄恵子と申します。よろしくお願いします。
私は、関西の大学を卒業後、薬剤師として病院勤務を経た後に、薬局薬剤師として、北陸では約25年勤めております。日々、地域の薬の専門家として店頭に立ち続けております。
まず、この場を借りて、2024年の元旦に起こりました能登半島地震で御協力いただいた関係者の皆様には、改めて感謝を申し上げたいと思います。
その際、私も避難所に赴いて関係の方々と連携し、服用薬の把握、仕分け、代替薬の提案、また、指導などをいたしまして、災害などの有事でも服薬されている薬剤の確認が行えるマイナ保険証や、お薬手帳の有効性、また、医薬品を提供するということの重要性を再認識いたしました。
それでは、本日は薬剤師の立場から意見を申し上げたいと思います。
まず、薬の供給不足についてですが、いまだに入ってこない薬が多く、患者さんや医師への説明などの業務負担や不足に備えての在庫増、管理などにかかるコスト負担も大きく、現場での薬剤師の疲弊は相当なものになっております。
また、薬局は、物価も、賃金上昇を抱えて、逆ざやなどによる経営の影響が続いており、大変厳しい状況です。地域医療を支えている薬剤師・薬局に対しては、かかりつけ薬剤師、薬局の機能強化や医療の質向上に関する評価とともに、地方における薬局機能の維持や従事者への十分な賃上げを行えるような評価をお願いしたいと思います。
また、病院薬剤師不足の問題についてですが、石川を含む北陸地方では、薬局薬剤師も募集しても集まらずに、特に震災を受けた地域は困っておりますので、薬局薬剤師の偏在対策についても検討が必要と考えています。
それでは、これまでの議論の整理の内容について意見をさせていただきます。
まず、後発医薬品への対応ですが、先ほどお伝えしたとおり、現場では毎日供給不足に悩まされています。例えば、感染症に使用する、今、使いたいというお薬の入手のめどが立たず、患者さんに対して、その利用に間に合うかどうか、ひやひや緊張する場面も多くあります。現状を踏まえて、安定供給に関する評価や、供給不足解消に向けた対応をお願いしたいと考えます。
次に、かかりつけ薬剤師についてですが、患者さんから薬に詳しい親戚ができたみたいとか、安心感が増えたなど、ポジティブな反応をいただきます。何よりも薬歴が充実して、これまでの経過や生活、療養状況等を踏まえた、より個別最適化したきめ細かい服薬管理、指導が実施できるということがよいことだと考えています。
せっかくですので、薬剤師が患者さんとの信頼関係が構築しやすくなるような見直しをお願いできればと思っています。
次に、薬局の集約化、大規模化についてなのですけれども、石川県は中小の薬局が多く、そうした薬局が地域医療を支えています。都市部では大規模化も可能かもしれませんが、石川県のように人口減少が続いている地方では、大規模化しても採算が取れず、高齢者が多い地域や、今日も雪が降っていますけれども、雪が積もる地域では集約化をすると、アクセスの阻害にもつながります。
こうした状況を踏まえ、立地規模だけによらず、薬局の機能を評価するなど、地方の薬局も維持できるような配慮をお願いいたします。
次に、在宅医療ですが、医師と薬剤師の同時訪問や、在宅医療の提供、体制整備、実効性の改善に向けた見直しについては、ぜひお願いします。
また、在宅で使用する医療材料の逆ざやであったり、使い切れない包装単位であったりなどが問題になっています。現場が在宅医療に積極的に取り組めるよう、現場の状況を調査していただき、改善をお願いできればと思います。
次に、調剤管理料についてです。今回、見直しがあると聞いております。見直しの内容によっては、大きな影響があると思います。今回の見直しが薬局の存在自体を左右することのないよう、激変緩和など、配慮した形の内容にしていただきたく思います。
次に、医療DXについてですが、薬局で扱える情報は日々増えております。薬剤師が判断すべき情報は膨大になっているため、薬剤師は日々相当の努力をし、医療の質を高めておりますので、前向きな評価をお願いできればと思います。
最後に、病院薬剤師についてです。
薬剤業務向上加算に関して、石川県では、金沢の基幹病院から薬剤師を研修、出向しております。関係する病院の先生方からも非常によい取組と聞いていますので、取組を進めていくことが、ぜひとも必要かと考えます。
また、ポリファーマシー対策や入退院時の連携、また、施設間の情報連携などがより進むよう評価の検討をお願いできればと思います。
私からは以上です。どうぞよろしくお願いいたします。
○小塩会長
どうもありがとうございました。
続きまして、福井様、よろしくお願いいたします。
○福井氏
福井です。私は、現在、26歳で大学生をしております。
2011年に中学1年生でHPVワクチンを3回接種いたしました。その後、全身の痛みや、認知機能障害を持った副反応症状を発症しました。
福井県の高校を5年かけて卒業し、その後、症状悪化によって受験できなかった年を含めて、3年間の受験生活を送り、大学へ進学し、この春、大学院に進学する予定でいます。
患者が地方に暮らしていても適切な治療を受けられること、また、患者自身が理解し納得した上で診療を受けられるようにしていただきたいという思いから、2点、要望いたします。
1つ目は、かかりつけ医と専門医が連携するオンライン診療の普及です。地方には、近くに医療機関がないとか、都会みたいに、いろいろな専門の先生がいるという地域がなく、周りに専門医がいないというところもあるので、私のように遠方の病院に通って治療を受けている患者さんもいると思います。
一方で、医療の質の向上のためには、医療の集約化も必要です。そこで、オンライン診療を活用することによって、身近なかかりつけ医とオンラインによる専門医の連携ができる環境があれば、どの地域に住んでいても適切な診療を受けられると考えます。
特に、私のようなHPVワクチンの副反応被害者の場合、HPVワクチンの副反応と伝えると、治療を拒否してくる先生もいたり、心ない言葉を言ってくる先生もいて、そのためにドクターショッピングをしないといけなかったり、適切な治療を受けるための専門医がいる地域にわざわざ家族総出で引っ越したりする人もいらっしゃいます。
その他、治療と生活を両立するために、就職とか、就学をする場所を制限されてしまって、本当はこういうところで働きたかったとか、この大学に進みたかったというのを諦めて、治療ができる範囲の学校や就職先を選ばれるという人もいらっしゃいます。
オンライン診療の普及は、多くの医師が、このHPVワクチンの副反応の正しい理解や、適切な治療の普及につながるだけではなくて、患者の人生の選択肢を広げることにも、私はつながると思います。
そして、2つ目ですが、医療への患者参加を進めるための医療DXの推進です。患者が、どの医療機関を受診しても適切な治療を受けられるように、治療の標準化や質の向上に向けて医療DXを進めることは、とても重要なことだと考えています。
特に、先ほど述べたような、かかりつけ医と専門医の連携にも、この医療DXは欠かせません。
また、患者自身が自分の受ける治療をきちんと理解して納得した上で決断できるように、自己の医療情報へのアクセスを担保することも非常に重要だと考えますので、医療DXによって医療機関同士の情報共有を進めるだけではなくて、患者との情報共有という点も併せて進めてほしいと思っています。
これは、患者のためだけではなくて、医師がインフォームド・コンセントにかける時間や労力を減らすことにつながり、働き方改革にもつながるのではないかと考えます。
特に、医療DXによって患者への情報提供を進める議論の中で、紹介状とか、いわゆる診療情報の提供について、患者への情報共有だけが置き去りにされている感じがします。かかりつけ医と専門医の両方が、必要な患者への適切なインフォームド・コンセントのためには、紹介状の内容を患者に共有することも不可欠です。医療DXにおける議論については、ぜひ、紹介状の内容を患者に共有できるように進めてほしいと思います。
HPVワクチンの副反応症状が出た場合、PMDAの医薬品副反応被害救済制度などの申請を行う人が多いのですけれども、そういう申請書とか、あと予防接種の副反応被害救済制度の手続、もっとひどい場合、私もそうなのですけれども、障害者年金等の各種公的申請には、本当にたくさんの書類が必要です。自分で申請するだけでまいってしまうというぐらい、本当に事務がすごく複雑で心折れるものになっています。それを医療DXの活用によって、手続とか、カルテ開示にかかるものなどの様々な費用負担についても軽減できるのではないかなと思っています。
また、患者と情報共有を進めていくために、患者にとって分かりやすい項目名にしていただきたいとも思っています。
これらの点も含めまして、患者への安心・安全な医療の提供につながる改定としていただきたいと考えますので、どうぞよろしくお願いいたします。
私からは以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
それでは、最後になりましたが、橋本様、よろしくお願いいたします。
○橋本氏
よろしくお願いいたします。
私は、石川県白山市の白山石川医療企業団において、急性期病院、回復期及び在宅療養支援病院の2つの機能を有する病院と、白山麓地域にある3つの診療所を統括する看護局長を務めております、橋本と申します。
急性期から回復期、在宅療養支援までを担う看護管理者の立場から意見を述べさせていただきます。
山麓地域のへき地医療を支える診療所や、公立つるぎ病院では移動距離が長く、時間的制約が大きい中、巡回診療や訪問診療に加え、オンライン診療にも積極的に取り組んでいます。
医師が訪問する前に、訪問看護ステーションと、石川診療情報共有ネットワークを通じて患者情報を共有するなど、限られた人員で地域に医療を届けるため、効率化を図る工夫を重ねています。
看護職員の負担軽減は非常に重要であり、県内でもICT機器等の活用により、業務効率化や超過勤務の削減を進めるための取組が報告されています。
一方で、導入はしたものの、思ったような成果を得ることが難しいという声もあります。実効的な業務効率化や負担軽減につなげるためには、ただ、ICT機器を導入するだけでは難しく、専任の看護職員がシステム設計や病棟での使用方法の支援に当たるなどして、効果や影響を検証しつつ、システムや運用を改善し続けるような体制が必要だと考えています。
白山地域における救急搬送の受入れに関しては、拠点的に急性期医療を担う公立松任石川中央病院が主に対応しており、年間3,500件から4,000件、1日平均約10件の救急搬送を受け入れています。
一方、公立つるぎ病院では、地域包括医療病棟や地域包括ケア病棟において、看護師が多職種と連携しながら、高齢の入院患者さんの受入れや早期在宅復帰を支援しています。
地域全体を見渡して、医療、看護機能や人的資源を分配し、各病院や診療所が役割を果たすために必要な病院運営、病棟運営を円滑に進める必要があり、ここにおいて、看護管理者のマネジメントは極めて重要です。
各病院内においても、部署間、職種間で横断的な連携、相談が必要であり、多様な専門職の価値観や教育背景を尊重しながら調整役を担うことが、医療の質と地域医療体制の維持につながっています。
当企業団では、こうした役割を果たすため、看護管理者の計画的な育成に力を入れ、認定看護管理者教育課程などで、地域全体を俯瞰する視点や、他施設との連携について学ぶことを推進しています。
2040年を見据えた医療機関の機能分化、連携の推進に不可欠ですので、看護管理者がより力を発揮できる体制整備のために、診療報酬上の評価を推進していただきたいと考えます。
また、看護職員が多様なライフステージに応じて就業を継続できるよう、勤務体制の工夫を重ねていますが、限られた人員の中で24時間対応を担う看護師や病棟の夜勤業務は、身体的、精神的負担が大きく、責任が重いものです。看護職員が今後も医療提供を支えていくために、職責に見合った確実な賃上げが不可欠です。
加えて、夜勤手当が2010年以降ほとんど引き上げられていない現状を踏まえ、夜勤者の確保のためにも、夜勤手当の引上げを強く要望いたします。
現在、認定看護師や特定行為研修を修了した看護師が増え、病院、診療所内にとどまらず、地域や在宅療養支援での活動も求められています。こうした経験豊富な人材を確保し、地域で活躍してもらうためにも、適切な処遇の確保が必要です。
看護職員の賃上げ、夜勤手当の適正な評価、そして、看護管理者育成の支援は、地域医療を持続可能なものとするために不可欠です。
令和8年度診療報酬改定において、これらの点が適切に評価されることを期待し、私の意見といたします。
以上で私からの発言を終わります。ありがとうございました。
○小塩会長
ありがとうございました。
それでは、ただいまの後半の5名の方々の御意見に対して、委員から御質問等ございましたら、よろしくお願いいたします。
それでは、小阪委員、最初にお願いいたします。
○小阪委員
ありがとうございます。
金沢市の松下様にお伺いしたいのですが、距離を越えた情報連携ということでございますが、現在、マイナカード、それから電子処方箋、それから3文書6情報と進んできておりますけれども、これで十分でしょうか、それとも十分でないのであれば、どのような連携をするシステムというのが必要とお感じでしょうか。
○小塩会長
松下様、いかがでしょうか。
○松下氏
御質問ありがとうございます。
私どもも今年度マイナ保険証を、御発言にあったように、切り替えたといいますか、12月から新規は発行しておりませんので、一斉更新を行ったということでございます。
マイナ保険証の普及によりまして、基盤となる個人の確認ですとか、そういった部分が進んだということで、非常に、今、基盤が整った段階ではないかなと考えております。
特に我々、消防のほうでは、救急車のほうに、そういったマイナ保険証を利用して、過去の医療データ等を見ながら搬送先を決定する、そういった取組も始まったところでございますので、そういった中、今までは基盤となる個人認証といった部分に、なかなかハードルがあったのかなというところではあるのですが、そういった部分を、今後クリアしていくという中で、個人情報ですので慎重な取扱いという部分は必要になろうかなとは思うのですが、その個人の要望により、データがいろいろなところで活用できるといった発展に期待するところでございます。
○小塩会長
ありがとうございます。
小阪委員。
○小阪委員
すみません、ということは、これで十分という御認識でしょうか、それとも足りないという御認識でしょうか。
○小塩会長
松下様、いかがでしょうか。
○松下氏
電子カルテの情報共有といった部分に関しては、これからなのかなとも捉えておるところでございますので、そういった点の発展に、今、期待しておるところでございます。
○小阪委員
その状況を見てということでございますね。
○松下氏
そのとおりでございます。
○小阪委員
ありがとうございました。
○小塩会長
ありがとうございました。
それでは、続きまして、森委員、お願いいたします。
○森委員
ありがとうございます。
意見発表者の皆様、本当にありがとうございました。
私からは、丸岡らいふ薬局の今庄先生に質問をしたいと思います。
薬剤師の基本的で、重要な業務として、患者さんのアドヒアランスの確保、患者さんが安心してきちんと正しく服用してもらうということがあります。
ただ、どんなに丁寧に指導をしても、残薬が出てしまうことがあって、この中医協の中でも残薬に関しての議論がありました。
現場での残薬に対しての取組や対応、それから苦労等あれば、お話しいただければと思います。
以上です。
○小塩会長
今庄様、いかがでしょうか。お願いします。
○今庄氏
御質問ありがとうございます。
残薬に対しての対策ということですけれども、森先生が言われていたように、まず、残薬が発生しないように、薬剤師としては、まず、お渡しする、投薬する際に、なぜ御自身にこの薬が必要なのかということをきちんと説明して、患者さんが理解できる、そして飲めるということを願ってお話をしています。
それでも、どうしても残薬が発生してしまう患者さんは、確かに一定程度いらっしゃいます。そのような患者様に関しては、単に残薬について、きちんとした日数の調整を行えばいいというものではないのです。同じ日数分余っているとは限りません。どのタイミングだけが特別に残ってしまうとか、どういう剤形がということで、なぜ、その残薬が発生したのかということの原因追及を患者さんのお話をひもときながら、薬剤師は、その原因と対策について探っていくというのを現場でやっております。
その原因によっては、例えば、剤形の変更が必要なのか、あと服用回数がとか、あと何かしら不都合があるから飲めないのであれば、それが副作用でないか、お薬の影響ではないかということなどを処方された先生にも処方提案などを行いつつ、残薬の解消に向けて働きかけをしております。
ということは、患者さん一人一人、きめ細かいフォローというのが大切になっております。いろいろな背景もありますので、管理できない、できる方、また、理解力ももちろんありますので、その個別最適化をどのように行っていくのかというのは、その薬剤師がかかりつけの機能を発揮して、薬学的な知見を持って継続的なフォローアップを行うということが大事になってきます。
そして、まず、それを正直にお話ししていただけるという患者さんとの信頼関係を築いていくことが重要だと思って、日々接しております。
このようなお返事でよろしいでしょうか。
○小塩会長
ありがとうございました。
よろしいですか。続きまして、いかがでしょうか。
よろしいですか。飯塚委員、お願いいたします。
○飯塚委員
御意見頂戴しまして、ありがとうございます。
福井様に質問をさせていただきたいのですけれども、先ほど、オンライン診療は潜在的に、非常に可能性が高いと、ただ、使いにくい場面があるというお話であったかと思いますが、現状、制度的にどのような問題があるか、また、どのように変えていくのがいいのか、もし御意見がございましたら、お願いできますでしょうか。
○小塩会長
福井様、いかがでしょうか。
○福井氏
ありがとうございます。
このオンライン診療の連携で私が一番望むのは、専門の先生が近くにいなくとも適切な治療を受けられるようになることです。例えば、点滴で、専門の先生のところに数か月に1回通っていますが、本当は毎週点滴を打ちたいけれども、その先生ではないと、この点滴をしよう、痛み止めを打ちましょうとか、ちゃんと理解をして、適切な治療をしてくれるということがないからです。本当だったら、すごく体がだるくて、痛くてしようがないときに、車で10分とかのところにある、かかりつけ医の先生のところで、専門の先生と連携できれば、専門の先生から、こうやって打っているから、こうしましょうと連携を取って治療を受けられると思うのです。しかし、現状は、ほとんどの方が、見てくれる先生がいないといって、沖縄からわざわざ東京に飛行機を乗り継いで来る患者さんもいたり、適切な治療が受けたいときに受けられないとか、体調が本当に悪いときに点滴をしてもらえないとか、そういう患者さんが多くいらっしゃるので、オンライン診療の連携によって、身近でちゃんと適切な、診療だけでなく治療もできるようにというのが、私たちの望むところです。
○小塩会長
ありがとうございました。
よろしいでしょうか。ほかは、いかがですか。
永瀬委員、お願いいたします。
○永瀬委員
今の福井さんからのお話は、患者の立場から医療DXをどう利用するかというお話だったのですけれども、前のほうになりますけれども、山本邦彦さんからも、医療DXのメリットを患者が実感できるようにということをおっしゃっておられたと思います。
これまで医療DXのこと、皆様取り上げてくださって、医師の立場から、あるいは薬局の立場から、あるいは病院の立場からいろいろお話があったのですけれども、福井様と山本様から患者の立場からというお話でしたので、山本様は、最初に戻ってしまいますけれども、もう少し詳しく教えていただきたいということと、福井様に関しては、患者の立場から、先ほどの紹介状の情報共有などができていないということをおっしゃっていましたけれども、そのほか、オンライン診療以外の部分での患者の立場からの医療DXの利用ということについて、もう少し詳しく教えていただければと思います。よろしくお願いいたします。
○小塩会長
ありがとうございました。
そういたしましたら、最初に、山本様、コメントをいただけますでしょうか。
○山本氏
DXの関係ですけれども、保険証と、今、お薬手帳、ここら辺を持っていっても、お薬手帳を持っていますかとか、いろいろな面で聞かれたりして、マイナカードとお薬手帳の連携がまだ取れていないということが多々あるということを感じております。
せっかくマイナカードがあるのであれば、そこら辺の情報が早く伝わるようにして、そういう機会というか、スムーズに情報が通じる場があればいいかなと思っております。
今の答えでよろしいでしょうか。
○小塩会長
ありがとうございます。
続いて、福井様、何か追加で御発言ございますでしょうか。
○福井氏
医療のDXにおける紹介状の件なのですけれども、私の例だと、福井県で、福井医科大とかから、専門の先生に紹介状を書いていただいたのですが、自分がここが一番辛いとか、それに一番こういう症状があったとか、もともと伝えていたのにもかかわらず、紹介状では、それがきちんと伝わっていなくて、もう一回、こういうことで、どうしたのかというのを、紹介状を渡した先生に、一から言わないといけないことがありまして、二度手間に感じました。その先生にたどり着くまでも、すごく長いストーリーといいますか、色々あった中で、このときにこういうことがあって、このときにこういうのが倒れてとか、この症状で一番辛いのだということを、最初から言わないといけないというのはどうなのか。情報共有がちゃんとできていないというか、紹介状に書いてもらえていなかったのだなと思うこともありまして、どういう紹介状を書いたのかとか、こういうことを含めてくれているのかとか、患者から確認がもっと簡単にできたらいいですし、そういうことを情報共有することによって、一々先生が、新たにまた再確認しないといけないということもなくなるのではないかなと思っています。
私からは以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
○永瀬委員
ありがとうございました。
多分、直接聞きたいということもあると思いますけれども、どういうことが紹介されて、また戻ってきたのかを知っておきたいと、そういうことでございますね。
○福井氏
そのとおりです。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかは、よろしいですか。
どうもありがとうございました。本日は、10名の方々から大変貴重な御意見を頂戴いたしました。
ここで私が全体を要約しないといけないのですけれども、うまく要約できるか、ちょっと自信がないのですけれども、まとめさせていただきます。
まず、診療報酬の改定全体に関することにつきましては、最近の物価高騰や人件費の増加が医療現場にも、それから医療保険の支え手である企業や被保険者の方々にとっても非常に大きな影響がありますので、それぞれの観点から医療の体制の維持・強化や、医療費適正化といった対応が必要であるという総論的な御意見をいただきました。
また、人口減少に伴う医療機関の提供体制の縮減や撤退はあってはならないといった御意見もありましたし、今回、石川県の方々を中心に御意見を頂戴したのですけれども、石川県は震災によりまして、急激な人口動態の変化や、それから、医療人材の流出という問題が起こっております。
こうした問題は、医療機関単独の努力では解決できない深刻な課題になっておりますので、将来、日本全国で発生する問題でもありますので、ぜひ検討が必要だという御意見もいただきました。
それから、冒頭に事務局から説明のありました、これまでの議論の整理にあります4つの項目につきましても御意見を頂戴いたしました。
1つ目の物価や賃金、人手不足等の医療機関等を取り巻く環境の変化への対応につきましては、まず、人材確保の観点から賃上げの推進に加えまして、業務の負担軽減、効率化や、タスクシフト・タスクシェア、多職種連携が必要だという御意見がありました。
また、DXを活用した人員配置の柔軟化やベースアップ評価料を是正すべきであるという御意見もございました。
そのほか、診療報酬は薬価の単純な引上げだけではなくて、着実に医療従事者の賃上げにつながることが必要だという御意見もいただいております。
続きまして、2番目の2040年頃を見据えた医療機関の機能の分化・連携と地域における医療の確保、地域包括ケアシステムの推進につきましては、まず、地域の一次医療を担う診療所の機能を維持するための各種事務負担の評価や、かかりつけ医機能を総合的に把握するための包括的な取組を、診療報酬において実態に即して、適切に反映する必要があるという御意見もいただきました。
そして、高齢者の患者の増加を見据えた入院医療の転換、在宅医療、介護サービスとの機能分化と連携強化を進めるべきである。また、大学病院と地域医療機関との連携による地域医療を確立していく必要があるという御意見もありました。
そして、歯科診療における感染対策の評価や、患者の生活変化に応じて、歯科訪問診療を適切に評価する必要があるという御意見も頂戴しております。
そして、薬局や病院の薬剤師がかかりつけ機能や、多職種連携あるいはチーム医療推進や、入退院時の連携といったそれぞれの役割を果たすための評価が重要になるという御意見もございました。
3つ目の安心・安全で質の高い医療の推進につきましては、まず、医療の安全の担保と、医療の質の向上、医療DXの推進などといった患者本位で効率的な医療の推進が必要だという御意見がございました。
また、限りある医療資源の有効活用によって人口構造が変化する中で、地域で必要となる医療が提供され、加入者が安心、納得して医療を受けられる体制の実現に期待するという御意見もございました。
また、歯科パノラマ診断撮影につきましては、身元確認等の社会的役割を果たすという点も重要だということや、あるいは歯科治療のデジタル化の推進が必要となるという御意見もいただいております。
また、地域医療の在り方に関しまして、とりわけワクチン後遺症に対する適切な医療を身近で受けられるような医療体制の実現が必要だという御意見がありました。特にオンライン診療、医療DXの推進が求められるという御意見をいただきました。
4つ目の効率化、適正化を通じた医療保険制度の安定性や持続可能性の向上につきましては、まず、限られた資源で効率的に地域の医療提供体制を確保していくために、新たな地域医療構想を踏まえて、適正化の取組とセットの上で、真に必要な医療を適切に評価することが必要だという御意見がありました。
また、高額医療品や高額医薬品につきましては、引き続き、慎重な議論を求める御意見もいただいております。
以上、簡単に私のほうでまとめさせていただきましたが、これ以外にも、それぞれのお立場から貴重な御意見をいただきました。改めてお礼申し上げます。
本日いただいた御意見も踏まえまして、これから中医協でさらなる審議を進めてまいりたいと思いますが、支払側委員、診療側委員、それぞれから、お一言ずつ御感想等ございましたら、よろしくお願いいたします。
それでは、松本委員からお願いいたします。
○松本委員
支払側委員の松本でございます。代表いたしまして、コメントをさせていただきます。
今日は、各分野あるいはいろいろなお立場の方から様々な御意見をいただきました。我々が日頃の議論の中で、ついつい見落としがちな御意見もございましたし、また、改めてこういったことを議論しなくてはいけないということをしっかりと認識したものもございました。
こうしたものが、今後の議論を通じて、しっかりした答申につなげるように今後も頑張ってまいりますので、ありがとうございました。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、診療側の委員、お願いいたします。
○江澤委員
診療側委員を代表いたしまして、私、江澤より発言させていただきます。
本日は、10名の方々からそれぞれのお立場で御意見をいただきました。また、被災による様々な問題がある中、必死に地域医療の確保に尽力いただいておりますこと、改めて感謝を申し上げます。
さて、昨今の急激な物価高騰や人件費上昇が見られる社会情勢にもかかわらず、公定価格で運営されている医療・介護分野は、価格転嫁できず、経営状況が著しく逼迫しており、かつてない異常事態となっております。
そのような中、今回、通常の改定とは別枠で賃上げ、物価対応のための財源を一定程度確保いただきました。これらをしっかりと医療現場に届けて、患者さんのための身近な医科・歯科医療機関、薬局を守り、国民皆保険体制を維持して、そして、質の高い医療を提供していかねばなりません。国民の生命、健康を守っている地域医療の提供体制が崩壊してしまうことになれば、その実現も難しいものとなります。本日、皆様方から頂戴しました様々な御意見は、診療報酬の多くの課題を協議するに当たりまして、改めて気づかされたことも多く、非常に貴重なものでありました。
当協議会として、これまでと同様、国民の皆様に真摯に向き合い、患者さんに寄り添い、安心・安全な医療のために、国民皆保険、そして地域医療をしっかりと守り、あるべき我が国の社会保障に資するために役立ててまいりたいと考えております。
本日は、誠にありがとうございました。
○小塩会長
どうもありがとうございました。
それでは、公聴会は以上とさせていただきます。
本日は、お忙しい中御参加いただき、誠にありがとうございました。
それでは、本日の中医協総会は、これにて閉会といたします。
次回の日程につきましては、追って事務局より御連絡いたします。どうもありがとうございました。