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2025年12月24日 第206回労働政策審議会労働条件分科会 議事録
労働基準局労働条件政策課
日時
令和7年12月24日(水) 14:00~16:00
場所
AP新橋 D+Eルーム
(東京都港区新橋1-12-9 新橋プレイス 4階)
(東京都港区新橋1-12-9 新橋プレイス 4階)
出席者
- 公益代表委員
- 神吉委員、黒田委員、首藤委員、原委員、山川委員
- 労働者代表委員
- 亀田委員、櫻田委員、佐藤(好)委員、椎木委員、冨髙委員、春川委員、古川委員、松田委員
- 使用者代表委員
- 鬼村委員、佐久間委員、佐藤(晴)委員、鈴木委員、田中委員、鳥澤委員、兵藤委員
- 事務局
- 岸本労働基準局長、尾田審議官(労働条件政策、働き方改革担当)、松本審議官(労災、賃金担当)、松下総務課長、川口労働条件政策課長、野澤賃金課長、田邉労働条件確保改善対策室長、中島労働条件政策課長補佐、下田労働条件企画専門官
議題
(1)「賃金の支払の確保等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱」について(諮問)
(2)労働基準関係法制について
(2)労働基準関係法制について
議事
○山川分科会長 それでは、定刻になりましたので、ただいまから、第206回「労働政策審議会労働条件分科会」を開催いたします。
本日の分科会は、会場からの御参加とオンラインでの御参加の双方で開催とさせていただいております。
本日の委員の御出欠ですが、使用者代表の松永恭興委員、公益代表の安藤至大委員、川田琢之委員、水島郁子委員が御欠席と承っております。
それでは、カメラの頭撮りにつきましては、ここまでとさせていただきます。よろしくお願いします。
それでは、本日の議題に入りたいと思います。まず、議題1「賃金の支払の確保等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱」についての諮問となります。
では、資料につきまして事務局から説明をお願いいたします。
○賃金課長 賃金課の野澤です。
私のほうから、資料No.1-1と1-2について御説明させていただきます。
まず、資料No.1-1でございます。表紙に「賃金の支払の確保等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱(諮問)」と書かせていただいているものでございます。
この3枚目を御覧いただけましたらと思います。お勤め先の企業等が倒産した場合に、かつ未払賃金がある場合、国が立替払をするという制度でございますが、その具体の手続が、賃金の支払の確保等に関する法律施行規則、私どもの省令でございますが、省令に定められております。現行の条文では、労働者に未払賃金を申請いただく場合に、申請書のほかに監督署長が発行する確認通知書等の必要な書類を添付しなければならないという規定となっております。
まず、来年3月を目途に、この申請手続を電子化したいと考えております。それに伴いまして、申請者の皆様の利便性向上のために、一定の場合には添付書類を添付することを要しないとする省令改正を行いたいと考えております。この省令改正の諮問をさせていただきたいと思っております。
資料No.1-2で具体の内容について御説明申し上げます。横置きで「未払賃金立替払の手続デジタル化について」と書かれた資料でございます。
まず、1枚目を御覧ください。未払賃金立替払制度の概要でございます。企業倒産によりまして賃金が支払われていないまま退職に至った労働者の方々に対しまして、未払賃金の一部を国が立替払するという制度でございます。支払事務のほうですが、独立行政法人労働者健康安全機構が担っております。
そちらにも書かせていただいておりますが、対象となる事業主は、労災保険の適用事業主であって、かつ、1年以上事業を実施していること。そして、労働者の皆様は、破産手続開始等の申立ての日の6ヶ月前の日から2年の間に退職したことなど、労使ともに一定の要件が置かれております。
2ページを御覧いただけましたらと思います。本年6月でございますが、デジタル社会の実現に向けた重点計画というものが閣議決定されております。
上のほうの下線を引かせていただいた部分でございます。この中で、行政手続において添付書類として提出を求めている場合は、その必要性の精査を行った上で、行政機関間の情報連携等によって添付書類を省略する必要があると書かれているところでございます。具体の施策についても、この閣議決定文の中に書き込まれておりまして、その一つが私どもの未払賃金立替払制度でございます。
下のほうの下線を引いた部分を御覧いただけましたらと思います。労働基準監督署が把握・保有する立替払額の情報について、支払事務を行う労働者健康安全機構とシステムを通じて情報連携できるよう、システム改修を実施し、利便性向上に努めると書かれておりまして、時期も2025年度後半予定と記載されているところでございます。
今回、私どもがさせていただこうと思っておりますことは、この閣議決定に基づいてやらせていただくものとなります。
1ページおめくりいただけましたらと思います。3ページでございます。
左側のブルーになっている部分が現行の仕組みでございます。お勤め先が倒産してしまって、かつ、未払いの給与がある場合、労働者の方は請求時に裁判所等の証明書か、あるいは労働基準監督署長が発行する確認通知書というものがあるのですが、それを添付した上で、申請書とともに未払賃金立替払の事務を担う労働者健康安全機構に申請いただくといった手続の流れになっております。
法律上の倒産の場合は裁判所等の証明書が発行されることが多いようですが、そうでないケースもある。それから、事実上の倒産といった場合、裁判所等の証明書が発行されませんので、法律上の倒産だけれども、裁判所等の証明書が発行されない場合、それから事実上の倒産の場合は、監督署のほうで確認通知書というものを発行することになりまして、右側の赤いほうでございますが、労働者の方が電子申請を行う場合は、この確認通知書は省略が可能になるといったような仕組みでございます。
図で御覧いただいたほうがお分かりになるかなと思いますので、4ページを御覧いただきましたらと思います。
一番下のところに労働者とありますが、お勤め先が倒産して、かつ、受け取っていない賃金がある場合でございます。まず、労働基準監督署のほうに確認申請していただくことになります。ここで確認通知書というものが監督署のほうから発行されます。この確認通知書というのは、お勤め先が倒産してしまったという事実を確認して、かつ、いつ倒産したかといった確認とともに、お勤めになっていたAさん、Bさん、Cさん、それぞれの方に幾ら未払賃金があるのかということを監督官が確認したものを書面にしたものになります。
この確認通知書を受け取った後で、労働者の方から未払賃金の立替払の支給事務を行う労働者健康安全機構のほうに賃金立替払の請求を行っていただくことになります。右側のピンクのところでございます。ここの部分がこれまで紙ベースでの申請になっていたのですが、オンライン化することになります。オンライン化するに伴って、申請書類の一部が省略可能となります。
具体的な仕組みといたしましては、この左側のグリーンのところが労働基準行政システムで、真ん中のところに未払賃金立替払システムがありますが、この両システムを情報連携することによって、監督署の確認通知書の情報が未払賃金立替払システムのほうに提供されることになる。それによって、労働者御本人が確認通知書を添付しなくて済むことになるといった制度改正でございます。
繰り返しになるのですが、現行の省令上、申請を行う際は、確認通知書等を添付しなければならないという規定になっております。なので、一定の場合には添付を要しないということを書き込まないと添付しなくていいということになりませんので、添付を要しない場合があるということを省令に書かせていただきたいと思っております。
説明は以上でございます。
○山川分科会長 ありがとうございました。
では、ただいまの件につきまして、御質問、御意見等がありましたらお願いいたします。オンライン御参加の皆様は、御発言希望があります場合にはチャット機能でお知らせください。御質問、御意見等ございますでしょうか。
佐久間委員、どうぞ。
○佐久間委員 ありがとうございます。
私は、この未払賃金立替払の手続のデジタル化について、「賛同」いたします。不幸にも倒産してしまった企業について、労働者の方々に未払いとなっている賃金分の費用を用意しろと言っても現実には用意することができず、しかし、労働者に支払えないという状況は大変困ります。私が参画させていただいております社会復帰促進等事業に関する検討会というのが開かれているのですけれども、そこでもこの安全衛生確保等事業の中の立替金払制度の予算は必ず確保してほしい、ということを何度も申しているところでございます。今回、デジタル化になるということで、不幸にも倒産になった企業については、労働者の方々に手続簡素化というのは、よろしいのではないかと考えております。
あと、厳しい状況の中で倒産してしまった企業の資金の回収ということも念頭に入れていただきたいと考えております。
以上です。
○山川分科会長 ありがとうございます。
ほかにございますでしょうか。
兵藤委員、どうぞ。
○兵藤委員 ありがとうございます。
まずもって、諮問の内容に異論はございません。労働基準監督署と労働者健康安全機構との情報連携により確認通知書の添付が不要となれば、請求者の利便性向上とともに、通知書を発行してきた監督署の業務効率化にも資するものだと考えております。3ページの矢印に記載のとおり、来年3月頃とありますが、電子申請の受付開始を着実に実施いただきますように、ぜひお願いしたいと申し上げます。
また、今回の確認通知書に加えまして、法律上の倒産をした事業主の事業所を退職した場合に、裁判所等が発行する証明書の添付も省略可能となり、電子申請で手続を実施できれば請求者の利便性は一層高まると考えます。厚生労働省が単独で対応するのが難しく、長期的な課題になろうかとは存じますけれども、前向きな御検討をいただければと考えております。
また、その上で、未払賃金立替制度につきまして、一言申し上げたいと思います。御案内のとおり、本制度は事業主が全額を拠出する労災保険制度の保険料を原資とする社会復帰促進等事業として運営されており、倒産した企業に雇用されていた労働者に対し、国が使用者に代わって賃金の一部を早期に支払うセーフティネットです。倒産法制における賃金債権の優先順位を補完する重要な役割も果たしているということで、社復検討会の資料によりますと、不備事案を除いた請求書の受付日から支払までの期間は、令和6年度で平均19.3日という実績が報告されております。令和2年度から4年度には平均14日程度で支払っていたということを踏まえますと、期間を短縮する余地はあるのではないかと考えております。今般の電子申請を契機に、退職した労働者が未払賃金を早期に受け取れるように、処理の迅速化をぜひ進めていただければと考えております。
私からは以上です。
○山川分科会長 ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。
冨髙委員、お願いします。
○冨髙委員 ありがとうございます。
本日御提案いただきました内容ですが、未払賃金立替払制度は、倒産時における労働者のセーフティネットとして大きな役割を果たしており、その手続のデジタル化については異論ございません。その上で、私も制度そのものについて、意見を申し上げたいと思います。
倒産時の労働者保護の実効性を高めていく観点でいえば、資料No.1-2の1ページにも記載されている認定要件の緩和、立替払の対象範囲の拡大や限度額の引上げなどを行っていただきまして、労働者保護の視点での制度の強化をぜひお願いしたいと考えております。とりわけ立替払の額については、未払賃金総額の8割とされていますが、退職時の年齢に応じた限度額が設けられており、その上限額については2002年から変更されておりません。この間の賃金や物価上昇などを踏まえると、この上限額の引上げも検討するべきではないかと思いますので、意見として申し上げておきたいと思います。
以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。
ほかにございますでしょうか。
鈴木委員、お願いします。
○鈴木委員 ありがとうございます。経団連の鈴木でございます。
ただいま冨髙委員から、上限額の引上げを検討すべきとの御発言がありました。私も含めて皆様の認識は同じかと思いますが、倒産時における労働者の債権に特別な保護を与えることの必要性は極めて高いと理解しています。適宜、上限額の見直しの検討も必要と思いますが、上限額を定めた理由は、労災保険制度における事業主の保険料に基づく社会復帰促進等事業で手当てをしている、つまり、事業主全体の共済理念を働かせて事業主に連帯責任を負わせて負担しているという事情もございますので、そのような制度の趣旨・目的や実際の立替払の実績を踏まえた慎重な検討が必要ではないかと思う次第です。
以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。
ほかによろしいでしょうか。
それでは、制度の課題あるいは運用について御要望もございましたけれども、今回の諮問の内容につきましては、皆様、特段異論がないということだと思いますので、当分科会といたしましては、先ほど説明がありました省令案の要綱等につきましては、妥当と認めるということで労働政策審議会宛てに報告することとしてはいかがかと思っております。御異議ございませんでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○山川分科会長 ありがとうございます。では、御異議ございませんでしたので、そのように進めさせていただきたいと思います。
では、事務局から答申案等の配布をお願いいたします。オンラインで御参加の皆様につきましては、共有画面で御確認をお願いいたします。
それでは、よろしいでしょうか。お手元の答申案、報告案について御確認いただきたいと思います。
労働政策審議会令第6条第7項、労働政策審議会運営規程第9条によりまして、分科会の議決をもって審議会の議決とすることができるとありますので、本分科会の報告をもって審議会の答申となるということでございます。当分科会の議決が審議会の議決として扱われます。ということで、お配りした案のとおり、労働政策審議会会長宛てに報告して、この報告のとおり妥当と認めるということで厚生労働大臣宛ての答申を行うということとしたいと思いますが、それで御異議ございませんでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○山川分科会長 ありがとうございます。
それでは、事務局に読み上げをお願いいたします。
○賃金課長 御説明いたします。
お配りしております資料は2枚構成になっております。2枚目を御覧いただけましたらと思います。
山川労働条件分科会長から岩村本審会長宛てということで、令和7年12月24日付け、本日付けで労働政策審議会に諮問のあった標記については、本分科会は、審議の結果、下記のとおり結論を得たので報告する。
「要綱は、妥当と認める。」としております。
1枚目は岩村会長から厚生労働大臣宛てという形で答申をいただくという形になります。
説明は以上でございます。
○山川分科会長 ありがとうございます。
ただいま読み上げられた内容で当分科会長から労働政策審議会会長宛てに報告して、その報告のとおり、厚生労働大臣宛てに答申を行うこととしたいと思います。オンラインで参加の皆様には、答申案を後ほど送付させていただきます。
それでは、ここで松本審議官から御挨拶がございます。
○審議官 担当審議官の松本でございます。
ただいま答申をいただいたことに感謝申し上げます。必要な省令改正の手続を進めさせていただきます。
また、労働基準監督署と労働者健康安全機構のシステム間の情報連携については、来年3月頃の開始を予定しております。厚生労働省としましては、システム連携の円滑なリリースを図るとともに、未払賃金立替払制度の円滑な実施が図られますよう、引き続き努めてまいります。
今後とも引き続き御指導をお願いしたいと存じます。ありがとうございました。
○山川分科会長 それでは、事務局では今後の御対応、よろしくお願いいたします。
続きまして、次の議題に移ります。議題2「労働基準関係法制について」でございます。では、資料につきまして事務局から説明をお願いします。
○労働条件確保改善対策室長 事務局でございます。
資料No.2-1、資料No.2-2につきまして、通しで御説明させていただきます。
まず、資料No.2-1は、論点に関する資料でございます。内容ごとに、1ページ目から2ページ目まで、大きく4つに区分してございます。順に御説明させていただきます。
まず、「時間外・休日労働の上限規制」についての論点でございます。読み上げますと、時間外労働の上限規制など働き方改革関連法施行後、週60時間以上の長時間労働は減少傾向となり、女性・高齢者の労働参加が進むなど一定の成果が見られるが、過労死等の件数は増加傾向にある。上限規制について、誰もが働きやすい労働環境を実現していく必要性や、脳・心臓疾患の労災認定基準も踏まえ、どのように考えるかということでございます。
続きまして、「法定労働時間週44時間の特例措置」についての論点でございます。法定労働時間が特例として週44時間である特例措置対象事業場においても、所定労働時間を40時間以内としている場合が多いが、業種による違いや、この特例措置を利用している事業場も存在することを踏まえ、どのように考えるか。
2ページ目を御覧ください。
「年次有給休暇」についての論点でございます。
2つ、○を設けてございますが、1つ目でございます。時季指定義務の日数について、年次有給休暇を与えることができる期間の短い労働者についても5日となっているが、どのように考えるか。また、時間単位年休の上限日数(5日)についてどのように考えるか。
続きまして、2つ目の○でございます。年次有給休暇取得時に支払われる賃金について、原則の算定方法である「平均賃金」と「所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金」では、算定方法の違いから、算定される金額が異なるところ、どのように考えるか。
続きまして、「裁量労働制」についての論点でございます。裁量労働制は、働き手一人一人の能力発揮を促すため、労使の十分な協議や健康確保等を前提に見直しを行うべきとの意見がある一方、長時間労働を助長しかねず、2024年に見直しを行ったばかりであり緩和すべきでないとの意見もあるが、どのように考えるか。
資料No.2-1の御説明は以上でございます。
続きまして、資料No.2-2を御覧ください。こちらは、今回のテーマ、それぞれにつきまして、以前、御議論いただきました回の会議資料をベースに、データの時点修正などといった修正や補足資料を追加するなどといった形で御用意させていただいたものでございます。既出の資料かどうかなどといったことについては、各資料の右肩を御覧いただければと思いますけれども、主な変更点について、順に御説明させていただきます。
まず、資料の9ページ目を御覧ください。こちらは、前の8ページ目と、内容的には続きの資料となります。8ページ目では、週労働時間60時間以上の雇用者の割合などの推移を示しておりますけれども、9ページ目では、「週労働時間40時間以上の雇用者のうち、週労働時間60時間以上の雇用者の割合等の推移」を示す資料を追加してございます。
続きまして、ページが飛びますけれども、13ページ目、16ページ目を御覧いただければと思います。こちらの資料でございますけれども、13ページは脳・心臓疾患、16ページは精神障害のそれぞれにつきまして、時間外労働時間別支給決定件数を示す資料を追加したものでございます。
それから、再びページが飛びますが、26ページ目を御覧いただければと思います。こちらは「労働参加の状況と労働投入量の変化」についての資料でございます。御案内のとおり、日本の人口、15歳以上人口は、2010年より減少傾向にございます。
そうした中で、左の図でございますけれども、労働参加によって労働人口及び就業者は、2010年より増加傾向にあるということでございます。
それから、右の図では、労働時間を加味したマンアワーベースでも総労働投入量は維持されているという資料を追加したものでございます。
続きまして、31ページ目、32ページ目を御覧いただければと思います。こちらは右肩にございますけれども、令和4年就業構造基本調査を出所といたしまして、31ページ目では産業別、32ページ目では職種別に、就業時間の希望についてまとめた資料を追加したものでございます。
続きまして、37ページ目から39ページ目までを御覧ください。こちらは、建設業・運輸業などのいわゆる適用猶予業種の時間外労働の上限規制についてまとめた資料を追加したものでございます。
続きまして、56ページ目を御覧ください。こちらは、年次有給休暇の時季指定義務に関しまして、2015年にいただきました建議や関連するQ&Aについてまとめたものでございます。
最後に、この資料No.2-2の御説明の冒頭で、データの時点修正を行った旨を申し上げましたけれども、例えば、先週19日の金曜日に、厚生労働省の就労条件総合調査が公表されまして、年次有給休暇の取得率などのデータについて更新してございます。
事務局からの御説明は以上でございます。
○山川分科会長 ありがとうございます。時間外・休日労働の上限規制等の労働時間法制の具体的課題につきまして、資料No.2-1として、本日御議論いただきたい論点、それから、資料No.2-2として、関連する現行制度、データ等をお示しいただきました。
ただいまの説明を踏まえまして議論を行っていただきたいと思いますけれども、資料No.2-1で大きく言って4つの論点が示されております。まず、最初の「時間外・休日労働の上限規制」という点について御議論いただきまして、そのほかの3つの論点については、さらにそれぞれ時間を区切って御議論いただくということではいかがかと思います。それでよろしければ、まず、この「時間外・休日労働の上限規制」という論点について、御質問、御意見をお願いいたします。先ほどと同様、オンラインで御参加の皆様は、御発言の希望がありましたらチャット機能でおっしゃってください。御質問、御意見等ございますでしょうか。
冨髙委員、お願いします。
○冨髙委員 ありがとうございます。
上限規制の発言に入る前に1点申し上げたいことがございまして、昨日より、労基法改正に関する次期通常国会への提出を見送るという報道が複数なされており、その中では、労働時間規制について、来年の成長戦略や「骨太の方針」の策定に向けて日本成長戦略会議の中で検討を行うことも報道されております。
まさにこの分科会で今年2月から1年近くかけて労使で丁寧な議論を積み重ねてきておりますが、にもかかわらず、こうした動きがあることに対して、労働側として懸念をしているところです。改めて申し上げれば、この雇用・労働政策につきましては、職場実態を熟知した労使が知恵を出し合って論議・決定していくことが必要不可欠だと思っております。加えて、労使に政府・公益を加えた三者が政策の決定プロセスに関与する三者構成原則はグローバルスタンダードであり、日本ではこれを具現化している場が労働政策審議会だと考えているところでございます。
報道の真偽というところは別としまして、もし日本成長戦略会議において、労働時間法制について検討されるとしても、本分科会での議論が尊重されることが非常に重要だと思っております。この労働政策審議会が官邸における新設の会議の下請になるようなことがあってはならないと思いますし、また、この場での議論が骨抜きにされるということもあってはならないというふうに思っておりますので、その点につきましては、ここで意見を申し上げておきたいと思います。
その上で、上限規制について1点意見を申し上げたいと思っております。こちらにつきましても、以前、大臣指示のお話もさせていただきましたが、国会の中で総理も、上限規制を超える趣旨ではないというような発言もあったかと思いますけれども、繰り返し申し上げているとおり、現在の上限規制は過労死ラインぎりぎりの水準であり、そうした働き方を容認するような見直しはあってはならないと思います。さらには、上限時間を超えなければいいということでも全くないと思っておりますので、むしろ積極的に長時間労働の是正を訴えていくことが重要だと思っております。
また、健康確保や本人同意が前提であれば、それらが担保されていればいいという風潮も一部あるのではないかと思うのですけれども、労使の間には交渉力の厳然たる格差があるということはこれまでも申し上げているとおりでございますし、そういった中で働く方個人が労働時間を自由に選択するのは非常に難しい。健康確保と労働者の同意があったとしても、働き方改革を逆行させるような規制緩和につながるようなことは行うべきではないと考えております。
資料No.2-2の4ページの右側にもあるとおり、一般労働者の総実労働時間は2000時間程度で高止まりをしている状況でございます。同じく11ページ、14ページを見てみますと、過労死等の労災請求件数は過去最多を記録し、直近では、脳・心臓疾患、精神障害がともに増加傾向にあります。こういった実態を踏まえれば、何よりも過労死の根絶に向けて全力で取り組むべきだと考えているところでございます。改めて、労働時間の規制緩和ではなく、働き方改革の着実な進展に向けて、時間外労働の上限規制の段階的・計画的な引下げを含め、実効性を高める方向での検討・議論を行うべきだと考えております。
また、以前の分科会で使用者側委員から、上限規制が一律に適用されていることが問題という発言もございましたけれども、労基法は最低基準を定めたものであり、これはたとえ働き方、業種・職種が異なったとしても、また働く者のニーズの有無にかかわらず、命や健康を守るための最低基準でございますので、一律であってしかるべきだと思います。さらに言えば、その健康維持を図るルールだけではなくて、働く者が豊かな生活時間を確保できる水準を目指していくというのが、今回の議論の重要なポイントだと考えておりますので、改めて意見として申し上げておきたいと思います。
以上でございます。
○山川分科会長 ありがとうございました。
それでは、鈴木委員、どうぞ。
○鈴木委員 御指名ありがとうございます。使用者側の鈴木でございます。
冒頭、冨髙委員から三者構成主義の重要性、御指摘ございました。私も全くそのとおりだと思います。雇用・労働政策というのは、現場を熟知している労使、学術的な知見をお持ちの公益の先生が議論を重ねる中で結論を出す。これはILO条約の考え方にも沿うものだと思っております。その上で、上限規制等についてコメントさせていただきたいと思います。
経団連では、業務負担が増加しやすい管理監督者の方も含めた全社員の健康確保は経営者の責務であるという考えの下、経営者による健康確保に向けたメッセージ発信や、特定部署とか社員に仕事や負担が集中していないかどうかの定期的な確認など、過重労働防止に向けて、一連の取組を会員企業に定期的に呼びかけをさせていただいております。
2017年の労使合意の中で、過労死・過労自殺ゼロの実現と、女性や若者・高齢者など多様な人材が活躍できる社会の構築に不退転の決意で取り組むということの必要性はいささかも変わってはございません。ただ、その実現に向けては、労使の自主的な努力、そして多方面にわたる総合的な政策が相まって進めていくということが、より実効性を高めるものだと考えております。とりわけ後者の多様な人材の活躍といったことができる社会の構築という点では、女性活躍推進法とか育児・介護休業法といったようなものの着実な履行でありますとか、企業の自主的な取組により、労働時間の短縮だけでなく柔軟で自律的な働き方ができるような環境の整備も必要になっていると思っております。
過重労働防止の観点からは、本日のテーマではございませんが、これまでも勤務間インターバル制度や連続勤務規制について、これは労使の立ち位置、労使の基本的な考え方はまだ相当隔たりが大きいとは認識しておりますが、過重労働防止対策の一つという認識の下で、使用者側としては真摯に議論に参加させていただいているつもりです。
なお、前に申し上げましたけれども、資料No.2-2、13ページに記載のございます令和6年度の脳・心臓疾患の時間外労働時間別支給決定件数を見ますと、時間区分がない「その他」を除く労災認定件数214件中、80時間以上の件数が約8割を占めているような状況が見てとれるところであります。過重労働防止の観点から、法令遵守をしっかりと行うことの重要性を改めて感じるところでございます。
労働側におかれましては、これまで縷々御発言されて、それを私としてもお伺いする中で、上限規制というものは労災防止のためだけにあるわけではない。こうした思いをお持ちであるということは承知しておりますが、深刻な人手不足問題、長時間労働につながる商慣行など、様々な実態や課題があり、上限規制という手法だけで解決することは難しいと思っております。また、事業に多大な影響を及ぼす強い規制であるということを考えますと、先ほどおっしゃられた上限規制を段階的・計画的に引き下げる、そうした見直す方向での議論をすることについても、慎重さが強く求められると思っています。
また、最低基準ということについても何度か議論させていただいており、その都度申し上げておりますが、例えば36協定は、1日8時間、週40時間という原則の中で、36協定を結ぶなどの手続によって別の規制を入れている、これら全体が最低基準になっているものと理解しています。また、時代の変遷の中で、働き手の価値観、働く就労環境も変わっていますので、多様な選択肢を提供していることも、同時に志向していく必要があると思っています。
私からは以上でございます。
○山川分科会長 ありがとうございました。双方から労政審の意義、位置づけについても御意見をいただいたところでございます。
オンラインで鳥澤委員から御発言希望があります。お願いします。
○鳥澤委員 鳥澤でございます。
資料の取りまとめ及び御説明、ありがとうございます。
私からは時間外上限規制について、意見を申し上げます。東京商工会議所が会員企業約1000社を対象に実施した調査では、時間外労働上限規制の事業運営への影響について、何らかの支障が生じていると回答した企業は全体の約2割となりましたが、宿泊・飲食業、運輸業では5割超、建設業でも4割を超えるなど、業種ごとに影響の度合いは大きく異なることがわかりました。また、支障が生じている企業のうち約6割が、月間の時間外労働45時間を超えるのは年6回までへの対応が困難であるという結果になったほか、気象条件や予期せぬトラブルへの対応、取引先からの納期要請といった他律的な事情への対応から、年間単位の変形労働時間等の柔軟な働き方の運用に関する要望も多く見られました。
こうした中小企業の多くは、従業員の健康確保、生産性向上、人材確保・定着の面からも、働き方改革の重要性は十分理解し、取り組んでおります。他方で、多くの企業が時間外上限規制への対応のため、自社の生産性向上のみでは十分に対応できず、受注抑制をせざるを得ない状況であることを鑑みると、従業員への賃上げ等の待遇向上、ひいては我が国の産業力強化や社会基盤維持などの観点から、一律の時間規制ではなく、多様な実態に則した制度を求める声も多くございます。労働者の健康確保は大前提としつつ、業種などによる個別事情を踏まえた柔軟な規制の検討が必要ではないかと考えます。加えて、働き方改革推進の障壁となる商慣習の見直しや人手不足産業への支援体制の強化など、国全体での働きかけなども必要である点を併せて申し上げたいと思います。
私からは以上です。
○山川分科会長 ありがとうございます。
続きまして、オンラインの田中委員から御希望がございます。お願いします。
○田中委員 ありがとうございます。田中です。
私からも上限規制に関する発言をさせていただきます。働き方改革関連法が施行された前後から、各企業、過重労働リスクがある恒常的な長時間労働の是正や年次有給休暇の取得促進などを進めてきています。経団連の2024年の調査によると、春季労使交渉以外のタイミングで労働組合等と議論したテーマで最も多かったのは、時間外労働の削減で65.2%、次いで年次有給休暇の取得促進で58%となっています。多くの企業にとって重要課題であるということです。こうした労使による継続的な取組と、上限規制、年5日の年休付与義務などが相まって、資料No.2-2の9ページにもありました、週労働時間40時間以上の雇用者のうち、週労働時間60時間以上の雇用者の割合は8.0%と、減少傾向にあります。
一方で、中小規模の企業、地方の企業を中心に人手不足が大きな課題となっています。資料No.2-2の3ページの右側の雇用人員判断D.I.を見てみますと、中堅・中小企業の人材不足感が高い実態が見てとれます。また、資料No.2-2の26ページの右側には、マンアワーベースの総労働投入量はほぼ横ばいという結果が示されています。しかしながら、例えば運輸業界では、パートタイムで働くトラック運転手はほとんどいませんので、パートタイム労働者の労働参加が増えることで人手不足感が解消されるということはほぼないと言えるかと思います。マンアワーベースでははかり切れない業種があることは御理解いただきたいと思います。こうしたことからも、現行の時間外労働の上限規制は堅持すべきものと考えております。
加えて、今年4月から順次施行されています物流効率化法では、荷待ち時間短縮などの努力義務、特定荷主の物流統括管理者の選任義務、中長期計画の作成・報告の義務などが盛り込まれました。また、今年成立したトラック新法により、長時間労働を含む業界の構造的課題の解消のために、荷主の理解と協力の下、実効性ある取組を進めていこうという状況です。長時間労働につながる商慣行については、一企業一業界で解決が難しいものもあります。企業連携や政府支援を進め、実際の労働時間の短縮を図ることが重要と考えます。
私からは以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。
それでは、春川委員、お願いします。
○春川委員 ありがとうございます。
私からも、この上限規制について、2点発言させていただきます。
先ほど鈴木委員のほうからも、資料No.2-2の33ページに記載があります2017年の労使合意の内容について触れられましたが、この合意の中においては、「上限時間の水準までの協定を安易に締結するのではなく、月45時間、年360時間の原則的上限に近づける努力が重要」であるということも含めて確認しております。この点は大変重いものだと思っております。こうした経緯を踏まえても、引き続き労働時間を縮減していく取組が重要であると考えますし、それを後押しする各種施策を含めた前向きな検討こそが必要と考えています。
2点目ですけれども、この論点に関連して、労働時間の適正把握について発言いたします。連合総研の最新の調査結果、具体的には今年の11月に発表されました第50回勤労者短観ですが、それを見ますと、残業手当の未申告がある労働者は回答全体の約4分の1と昨年の結果とほぼ同水準になっております。そもそも労働時間を管理されていない労働者の割合は全体の約14%、さらには99人以下の企業においては約2割にも及んでいるという状況で、なかなか改善が進んでいないと見ております。
このように割増賃金逃れといった一部法規制の潜脱がなされているような状況を生み出している原因の一つは、まさに労働時間の把握・管理が適正になされていないことであると考えています。以前、この分科会で提示いただきました安衛法の労働時間把握の状況を見ますと、違反件数は義務化後も減っていないという状況でもありましたし、そういったずさんな労働時間管理が横行しているということが、労災認定や司法の場で労働者側が長時間労働を実証することそのものを困難なことにしている実態があると考えています。
こうしたことを踏まえましたら、これまでも労働側が繰り返し申し述べてきたとおり、労働時間の適正な把握が確実に行われるよう、安衛法における把握義務に加えて、労基法における労働時間の適正把握の罰則つきの義務化を含めた規制強化を行うべきであるということを意見として申し上げます。
私からは以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。
それでは、古川委員、どうぞ。
○古川委員 御指名ありがとうございます。
私からも上限規制に関連して御意見申し上げたいと思います。この場におきましても、使側から、上限規制については、労働者の働きたいニーズを抑制しているという御発言がございましたが、今回、新たに資料に追加いただいている資料2-2の31、32ページで見ますと、労働者の働きたいニーズは雇用形態で大きな違いがあり、パート・有期などで働いている方が就業時間を増やしたいと考えておられて、上限規制というよりも、いわゆる年収の壁などによる就労調整といったことなどの税・社会保障の仕組みの問題のほうが大きいのではないかと捉えております。
そうした意味では、残業時間の認識につきましても、資料No.2-2の45ページの調査結果におきましては、雇用形態の違いが区別されておりませんけれども、そうした方が含まれているということについても十分に留意する必要はあるのではないかと思います。その上で、結果を見ますと「このままでよい」が6割以上と多数でありますし、「減らしたい」が合わせて約26%。他方で、「増やしたい」というのは合わせても1割ということでありまして、その理由の7割近くは「残業代を増やしたい」となっています。この調査結果から見ますと、生活のためにやむなく残業をせざるを得ないという方が多いことこそが問題であると考えています。
残業については、業務上の必要がある場合に限って使用者の指示の下で行うもので、本来、賃金を増やすための手段ではなく、「より長く残業ができるように規制を緩めればよい」というような処方箋は筋が違っていると思います。残業がなくても豊かに暮らせる賃金水準の確保が必要でありまして、本日のテーマとは若干異なりますが、国としても持続的な賃上げを後押しするといった環境整備を引き続き強力にお願いしたいと思います。
加えて、人口減少・超少子高齢化が進む中で、人手不足の深刻化ということを背景に、一部の使用者等からは規制緩和を求めるといった声がありますけれども、人手不足を長時間労働で補うということは、決して持続可能なものではないですし、むしろ労働生産性を低下させかねないのではないかと思います。資料No.2-2の26ページにもあるとおり、就業者と労働力人口、マンアワーベースの総労働投入量も維持されているといった情勢を踏まえる必要があると思います。その上で、ILOの報告書などでは、長時間労働によって疲労等が蓄積することで労働者の生産性が低下するとの研究結果もあることから、労働生産性を高める意味でも、長時間労働を促すことは全く妥当ではないと考えます。
労働時間の短縮をはじめ、働き方改革のさらなる定着を図ることが重要だと思います。働くことを希望する多様な方々の労働参加をなお一層促し、そして女性や高齢者が安心して働き続けられるように、誰もが働きやすい環境整備を進めるべきと考えております。
私からは以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。
オンラインで原委員から御希望がございます。お願いします。
○原委員 原です。ありがとうございます。
今の御発言とも重なるのですけれども、働きたいというニーズがあるときに、それが現在の上限規制を超えて働きたいという話なのかについては、十分に考える必要があると思うのです。その意味で、現在の上限規制というのは、まずはこの規制をしっかり適用していく、施行していくということが重要であると思います。その上で、例えば現在の80時間とか100時間といった数字は固定的なものではありませんので、今後も継続的にこういった上限の数値・時間数でいいかどうかということを議論していくことが重要で、そのためにも様々な実態調査を引き続き行っていただくことが重要かと思います。
そうした議論を経て、もし将来的にこの80とか100時間という時間数を引き下げる必要があるとなった場合には、またそれに向けて議論し、法改正などの手立てを考えていくこともあるわけですから、まずは現在の上限規制をしっかり適用・施行していくということ。それから、この数値は普遍的なものではないということがありますから、将来的に例えば引下げをすることが必要になるかどうかといったことも含めて、実態を踏まえた議論のために様々な調査を引き続き行っていただくことが重要であると感じます。
以上です。
○山川分科会長 ありがとうございます。
それでは、亀田委員、お願いします。
○亀田委員 ありがとうございます。
先ほど春川委員も触れましたが、連合総研の調査結果によりますと、2025年9月に所定外労働を60時間以上行った割合は全体で14.3%。昨年の調査の13.3%よりも増加しており、60時間以上残業した者の3割以上は体調を崩したことがあると回答しております。また、過労死ラインである月100時間以上残業したとの回答も全体で6.2%と、4年ぶりに5%台を超える結果となっている状況です。こうした結果は厚労省の各種調査結果とも整合しており、長時間労働はなくなっておらず、過重労働が続くことで心身の疲労が積み重なり、健康被害も多く生じている実態があるということが改めて浮き彫りになったと考えております。先ほど来、労側委員から発言しておりますとおり、働き方改革の実効性を一段と高めていくことが重要だと考えております。
加えて、以前、使側委員からも発言がありましたが、業種・業態によっては、いまだ長時間労働につながる商慣行が残っており、まさにそうしたことも背景として、建設業や自動車運転者などでは年間総労働時間や長時間労働者の割合が高止まりとなっている状況でございます。トラック適正化2法、新・担い手3法の改正に加えて、来月から施行されます取適法を含めて、商慣行の見直し、是正をしっかり行った上で、関係業界における人材確保につなげるといった取組を加速させていく必要があるのではないかと考えております。
以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。
ほかにこのテーマについてございますでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、続きまして、「法定労働時間週44時間の特例措置」という論点につきまして、御質問、御意見がありましたらお願いいたします。ございますでしょうか。
それでは、椎木委員、お願いします。
○椎木委員 御指名ありがとうございます。椎木でございます。
法定労働時間週44時間の特例措置について考えを述べたいと思います。
まず、前回の2001年4月施行の省令改正から四半世紀近くが経過していること、さらに10年前の労働政策審議会の建議においても、特例措置対象事業場の範囲の縮小を図る方向で、改めて審議会で検討の上、所要の省令改正を行うことが適当と結論づけられています。これをしっかり踏まえた対応が必要だと考えております。実態面からしましても、2024年のアンケート調査においても、この対象となるところの87.2%が特例をもう既に使っておりません。さらに、法定労働時間を週40時間にすることによる支障の有無についても、83.5%が特に支障はないと回答しています。
さらに、資料No.2-2の52ページにありますとおり、ほかの業種においても、それぞれ過去数年単位で段階的に週40時間制に移行してきていることも踏まえますと、今回の見直しを機に、全ての事業場に法定労働時間週40時間の原則を適用し、早急に特例措置は廃止すべきであると考えます。
以上でございます。よろしくお願いします。
○山川分科会長 ありがとうございました。
佐久間委員、お願いします。
○佐久間委員 ありがとうございます。
法定労働時間の週44時間の特例措置については、この資料の53ページに出ておりますように、87.2%が使用していないという結果もあります。この現状を鑑みると、方向性としては見直しをしていくことも必要であると考えます。働き方改革の進展や人材確保の観点からも、人数的規模を見ても、大企業を中心に既に週40時間というのを前提とした雇用管理が定着していると思います。制度の例外を将来的にというか、整理していくという考え方というのは、私も理解できるところでございます。
しかし、一方で、中小企業、とりわけ地域の小規模事業者においては、現在もこの特例措置を前提に事業運営、人員配置を行っている実態があります。人手不足が深刻化する中で、制度を急激というか、すぐに移行すれば、現場の混乱とか経営の影響というのは避けられないと思います。仮に見直しを行うのであれば、周知期間を十分取っていただく。そして、段階的な移行措置を講じていただくということが不可欠だと思っております。中小・小規模事業者が無理なく対応できる時間軸の検討を強く求めていきたいと思います。
以上でございます。
○山川分科会長 ありがとうございます。
オンラインで鳥澤委員の御発言希望がございます。お願いします。
○鳥澤委員 鳥澤でございます。
今、佐久間委員からもご発言ございましたが、地方における厳しい人手不足状況の中、本特例に依存して運用している事業者というのは一定数存在し、こうした事業者が商業インフラを支えている地域も存在いたします。法の趣旨を鑑みれば、将来的な段階的縮小は必要かと考えますけれども、資料50ページに記載のとおり、業種別の利用実態に差があるということからも、まずはこの数字だけでなく、利用する事業者の業界や実態を丁寧に把握した上での、十分な移行支援が必要と考えます。
私からは以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。
ほかはいかがでしょうか。
では、よろしければ、3番目になります「年次有給休暇」につきまして、御質問、御意見をお願いいたします。
櫻田委員、お願いします。
○櫻田委員 ありがとうございます。
年次有給休暇について、2点意見を申し上げたいと思っております。
まず、1点目ですけれども、今回、論点には記載がないものでありますけれども、年休における出勤率8割以上の要件について申し上げたいと思います。今回の見直し議論のポイントは、労働からの解放規制の強化と考えておりまして、その観点からしますと、より多くの労働者が年休を付与されて、かつ確実な取得を促すという方向での見直しが重要であると考えております。年休は労働者の心身の疲労回復を図り、ゆとりある生活に資するとの趣旨で設けられた制度でありますので、精勤手当のような出勤奨励を目的とした制度ではないということを踏まえますと、日本特有の出勤率8割以上という要件につきましては、廃止する方向で検討を行うべきではないかと考えるところであります。
2点目ですけれども、論点の1つ目の○に記載されております育児休業などから復帰された方や退職する労働者に対する年休の時季指定義務の取扱いについてです。以前の分科会で、使用者側の委員からは按分比例というような提案もなされたところでありますけれども、資料No.2-2の56ページの建議には、「年5日以上の年次有給休暇が確実に進むような仕組みを導入することが適当」と記載がございます。この趣旨を踏まえますと、その日数が安易に減らされないということにすべきであると考えているところでございます。
私からは以上でございます。
○山川分科会長 ありがとうございました。
オンラインからお二方、発言御希望がございます。
まず、鬼村委員、お願いします。
○鬼村委員 御指名ありがとうございます。使用者委員の鬼村でございます。
5日間の年休付与について意見を申し上げたいと思います。そもそも年間5日の年休の付与義務というものは、年間5日も年休が取れないような労働者は、恐らく月の時間外労働も長いだろうという実態を踏まえて、本来、労働者の権利であるはずの年休を、過重労働防止という健康確保の観点から、5日限りで使用者が付与するというものであると理解しております。
他方、育児休業とか介護休業あるいは私傷病の休職など、休業や休職をしていた労働者というのは、復職した後、一般的に労働による心身の疲労というものは少ないものと思います。したがいまして、こうした休業者に対しても年間5日の年休付与義務というものを、過重労働防止の観点から罰則付の義務という形にまで強制するということは、本来の趣旨に合わないのではないかと強く感じております。
また、我々実務をやっている者からすると、例えば年度末なんかに海外から帰任する労働者、あるいは育児の休職から復職する労働者等においては、なるべく早く勤務に慣れてキャッチアップしたいという意向があったり、あるいは年休を今後のために少し残しておきたいという意向がある場合もございますが、そういった者に対しても、現状は無理やり、とにかく5日は休んでいただくという状況になっておりまして、場合によっては、労働者の働きたい意欲であるとか自らのキャリア観に対しても阻害するようなケースも出るのではないかなと懸念しております。
したがいまして、こうした問題を解決するには、1つのやり方としては、復帰後の期間、残日数に応じて、その5日間というのを比例按分した上で付与するということではないかなと改めて考えておりますので、意見を申し上げさせていただきました。
私からは以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。
続きまして、佐藤委員、どうぞ。
○佐藤(晴)委員 ありがとうございます。使用者委員の佐藤でございます。
私からは、年休の出勤率要件につきまして、これは不要・廃止すべきではないかという御意見がありましたけれども、その件につき、意見を申し上げたいというふうに思います。出勤率要件は、年休制度のそもそもの趣旨であります労働による心身の疲労からの回復といった観点からも設けられているというふうに理解しております。また、日本の年休の制度というか仕組みについては、そもそも制度全体において独自性が強いという印象を持っておりまして、この出勤率だけを取り上げて不要・廃止するといった議論をするということには疑問があります。
例えば、欧州では、年休の全日数について、会社が期初に計画的に指定する運用となっているところ、日本は労働者の権利性というのが徹底されて、そのために会社には時季指定権というような例外措置が認められ、計画的な付与についての制限も設けられているというふうに理解しています。また、仕組みだったり、運用自体も異なる点が多く、出勤率要件の廃止については、そもそもの年休の制度趣旨に加えて、こういった日本の仕組みであったり、あるいは実態に則した慎重な議論が必要というふうに考えます。
もう一点、時間単位年休についても意見を申し上げたいというふうに思います。年休の単位について、1日単位のみとするか、半日単位であったり、時間単位で認めるか。これは各社労使のポリシーによるところがありますけれども、働く環境を労使のニーズに応じて選択できるようにするという観点からは、時間単位年休の付与日数を増やすニーズが一定程度ある以上は、5日を超える時間単位年休の選択肢を設けることは検討に値するのではないかというふうに考えます。
私からは以上です。
○山川分科会長 ありがとうございます。
では、オンラインの原委員、お願いします。
○原委員 原です。ありがとうございます。
ちょうど今の画面の資料No.2-2の56ページのスライドと関係するところですけれども、使用者の時季指定義務のところですね。これは、もともとは、1年間働いていく中で、最低でも5日間は年休を取得しようという話だったと思うのですね。そうしますと、例えば長期的な休業や休職との関係で、復帰してから10日間しかない中で5日間取って休むといったことというのは、本来の趣旨とはやや外れてくる部分があるように思います。
ですから、具体的な日数や制度設計については慎重に考える必要があると思うのですけれども、長期的な休職や休業の関係で、1年間の中で実際に就労する期間が短い場合には、5日という数字について、具体的により短くするといったことも含めた制度設計、もちろん、そこでは日数が少なくなり過ぎないようなバランスも重要かと思うのですけれども、少なくとも絶対に5日ということを求めることについては、見直しをするべきではないかと感じますので、発言いたしました。
以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。
では、椎木委員、お願いします。
○椎木委員 御指名ありがとうございます。
年次有給休暇の論点1つ目の後段、「また」以降の部分でございます。時間単位年休の上限日数について。本日の参考資料No.1の20ページで、これまでの本分科会で使用者側委員より、上限日数を延長して個別労使の判断に委ねてはどうかという御発言があったというふうに記憶してございます。確かに労働者にそのような一定のニーズがあることも事実かと思いますが、年次有給休暇の本来の制度趣旨を踏まえれば、1日単位での取得を促進するというのが重要であると思います。したがって、時間単位年休の上限日数を延長する必要はないと考えてございます。
現状でも、過重労働などで疲労が蓄積した労働者に対して、業務が多忙であるからということを理由として、細切れでの年休取得、時間単位を半ば強いるような使用者もいるという声、そういった運用をされているという声が聞こえてきてございます。労働時間制度等実態調査によりますと、1年の取得日数が5日以下という回答が全体でも25.4%という状況でございます。とりわけ企業規模1人から9人のカテゴリーでは54.6%と、半数を超えている状況でございます。連合の労働相談におきましても、我が社には年休制度はないと言われ、全く取得ができないとか、パートタイマーとして3年以上働いているのに、年休が取れないなどの声も届いてございます。
そもそも義務化された年5日の取得も遵守されていないという現状があることからすれば、働く者が年休を取りやすくするための環境整備が必要だと考えます。
以上でございます。よろしくお願いします。
○山川分科会長 ありがとうございました。
では、兵藤委員、どうぞ。
○兵藤委員 ありがとうございます。
年休取得率につきましては、資料にございますとおり、年々、増加傾向にあることが分かります。しかし、業種によってはまだ十分とは言えないところがございますので、それぞれの業種ごとの年休取得の好事例の横展開や計画年休の周知など、取得しやすい環境整備を官民でさらに取り組まなければならないと考えております。その点に関しまして、以前、たしか櫻田委員が御指摘されたと思いますが、年休の残日数を可視化するということも取得率向上に資すると考えますので、ぜひ促進策について検討することに賛同しております。
一方で、今ございました時季指定義務の日数につきまして、Q&Aの解釈を拝見しておりますと、かなり厳格に解釈されているというところではございますけれども、実際に企業実務の中で、長期の傷病休暇から復職されてきた人への対応であったり、復職されてきた方の対応の中で考えますと、先ほど原委員からもございましたが、残り10日、1か月という方に対して、必ずしもというのは、実務に沿ったとはなかなか言いがたいのではないかと考えております。つきましては、時季指定義務の日数については、勤務可能日数に応じて按分できるように、制度の見直しをぜひ御検討いただければと考えております。よろしくお願いいたします。
私からは以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。
松田委員、お願いします。
○松田委員 御指名ありがとうございます。
私のほうから、年休取得に関する不利益取扱いの禁止と、論点の2つ目の年休日の賃金の算定方法について意見を申し上げたいと思います。
まず、不利益取扱いの禁止につきましては、資料No.2-2の55ページにも記載ございますが、現行も労基法の附則136条で、「不利益な取扱いをしないようにしなければならない」との定めがございますが、曖昧な訓示規定にとどまっているため、どこまで実効性があるのかは疑問だと考えてございます。年休の取得促進を図っていくための基盤として、不利益取扱いの禁止を本則で規定すべきと考えてございます。
また、論点の2つ目の白丸にある年休取得時の賃金の算定方法について、こちらは資料の57ページの上の2つ目の黒丸に記載がありますが、年次有給休暇は賃金が減額されないことが大前提であると考えております。それが保障されているからこそ、働く者が安心して年休を取得することができると考えておりますので、そうしたことからも、②所定労働時間就労した場合に支払う通常の賃金を原則とすることを法令等で明確化すべきであることは、これまでも労働側から発言してきたとおりであると考えてございます。
その上で、使用者側が賃金額を低くすることを目的として、平均賃金や健康保険法上の標準報酬月額の30分の1に相当する額を用いるといった恣意的な運用がなされないように対策を講じるべきだと考えております。よろしくお願いいたします。
私からは以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。
「年次有給休暇」につきまして、ほかにございますでしょうか。よろしいでしょうか。
ございませんでしたら、最後、4点目になりますけれども、「裁量労働制」につきまして、御質問、御意見等をお願いいたします。
冨髙委員、どうぞ。
○冨髙委員 ありがとうございます。
これまでも何回か述べておりますけれども、裁量労働制に関する基本的な考え方について申し上げたいと思います。裁量労働制は、適用労働者の裁量・処遇の確保、定期的なモニタリング等、運用改善をはじめ、適正運用が確保されないと長時間労働を助長しかねないと考えております。
また、論点にも記載のとおり、そもそも2024年に見直しを行ったばかりということでございまして、改正内容を含めた適正運用を徹底することが非常に重要だと考えており、拡大を検討する必要はないと考えているところでございます。
その上で、参考資料No.1の25ページのところ、使用者側の御発言が幾つか記載されておりますけれども、3つ目のところです。過半数労働組合との合意の下で裁量労働を適用するにふさわしい対象業務の範囲を決められるような仕組みの導入の検討を行うべきという記載がございます。
裁量労働制は、実態として、先ほど申し上げたように、長時間労働にどうしてもなりがちになっているところでございまして、その適正運用を担保する観点で対象業務の範囲、また本人同意を含む導入手続などが厳格に定められているのだと認識しているところでございます。再三再四、使用者側委員が強調されている各社の労使関係の多様性を鑑みても、裁量労働制を適用するにふさわしい業務を労使の判断に委ねるということは、濫用の懸念が大きく、極めて問題があると考えているところでございます。裁量労働制に限らず、強行法規である労基法のルールについて、労使合意によるさらなる緩和を認めるべきではないということを改めて申し上げておきたいと思います。
以上です。
○山川分科会長 ありがとうございます。
まず、オンラインで何人かの方が手を挙げられております。まず、佐藤委員、どうぞ。
○佐藤(晴)委員 ありがとうございます。
裁量労働制に関して、いわゆる成果をベースとする処遇制度に関しては、現行法の下においても導入が可能であったり、あるいは制度導入によって裁量を与えるマネジメントの問題ではないかというような趣旨の御意見があります。ある企業ですけれども、過半数労働組合と協議して裁量労働制を導入したというところがございます。この企業では、みなし労働時間は所定労働時間とするものの、毎月、時間外労働に換算して約30時間分の裁量労働手当を支給する仕組みというのを導入しているということですけれども、適用労働者の健康管理に関する時間によって把握できる実際の時間外労働相当というのが、約25時間となっているというように聞きます。
つまり、毎期の賞与によって業績への反映を行うということは、もちろん裁量労働制を導入しなくても可能ではありますけれども、加えて裁量労働制を利活用することにより、短い時間で成果を上げることで、本人にはよりメリットがある、メリットにもなり得るということも言えるということかと思います。裁量労働制は、労働時間だけをベースとしない処遇をより可能にする制度として、もって労働者の働きがい、働きやすさ、そして働き手の能力の最大発揮と成長意欲の一層の喚起といったことが期待できるものと考えますので、対象業種の拡大の検討が必要であって、これを時期を逸せず行うことが適切というふうに考えます。
私からは以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。
続けて、オンラインからの御希望で、田中委員、お願いします。
○田中委員 ありがとうございます。
裁量労働制について発言します。多様な価値観、働き方へのニーズを持つ社員に、いかに意欲を持って能力を発揮してもらうかは、会社にとって重要な課題です。この考えの下で、各社では柔軟な、そして自律的な働き方が可能となるような仕組みを検討して導入しているということと思います。フレックスタイム制などで対応できると考える企業・組合もあろうかとは思いますが、一方で、創造的で非定型の業務など、労働時間とアウトプットが必ずしも比例しない仕事に従事している働き手にふさわしい労働時間法制を拡充していくこと。中でも、適用労働者の約8割が満足と答えている裁量労働制の拡充については、最重要課題と考えております。
資料No.2-2の72ページにありました。裁量労働制適用者の多くが、健康状態について、「よい」であったり、「まあよい」と認識しています。これについて、以前、労働側委員から、あくまで主観であって、客観的ではないとの御指摘がありましたが、一方で、72ページの下段の回帰分析結果からは、裁量労働制適用者のほうが健康状態が「良い」と答える確率が高いということが見てとれます。これは議論に有用なデータの一つだと考えています。
私からは以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。
では、鬼村委員、お願いします。
○鬼村委員 御指名ありがとうございます。
裁量労働制について発言させていただきたいと思います。
先ほどもございましたが、論点資料にもありますが、裁量労働については、前回の見直しから時間もたっていない中で、さらなる見直しは不要ではないかという御指摘もおありかとは思いますが、現状の日本の労働生産性を考慮すると、これは適時見直しを進めていくということが重要ではないかと考えております。弊社の例で考えましても、競争環境というのは、北米の関税であるとか、日々、どんどん変化していく中でも国際競争力を維持・向上させていこうと思いますと、日本国内の労働生産性をいかに高めていくかということは、非常に重要な経営課題の一つであると考えております。
そうした中では、この裁量労働制をより幅広く適用できるように制度を見直していくことで、自律的な働き方をどんどん広げていって、その結果、働き手の能力の最大発揮であったり、成長意欲の一層の喚起ということを進めていって労働生産性を引き上げていくということが非常に重要なアプローチではないか考えています。
また、資料No.2-2の68ページでも御紹介が幾つかございましたけれども、裁量労働制を適用されている方の働き方についての御認識でございますけれども、「時間にとらわれず柔軟に働くことで、ワークライフバランスが確保できる」であるとか、「仕事の裁量が与えられることで、めり張りのある仕事ができる」というような回答が多くなっているかと思います。
弊社のほうでも裁量労働制を導入させていただいておりますけれども、直近の調査でも弊社内の適用者の7割が、この裁量労働制を適用することでやりがいが向上したと回答しておりますし、適用者からの具体的な声でいくと、成果につながるような行動がより取れるようになった、時間配分の裁量が増えたことで、納得いくまでアウトプットにこだわれるようになったというようなものから、時間配分の柔軟性が高まったことで、育児や介護との両立もやりやすくなったといった声もございました。
以前、分科会の中で黒田先生からも御発言あったとおり、裁量を実際持って働くかどうかということが非常に重要で、この実態が伴わないと、こういったポジティブな声というのはもちろん伴わないものだと理解しておりますけれども、労働生産性を高めていく上では、この裁量労働制というものは有益な制度なのだろうと考えております。
最後になりますけれども、このように労働生産性を引き上げていこうと思いますと、労働時間の削減だけではなくて、もちろんこれもやりますが、これだけではなくて、より社員の働きがいを高めていって、あるいは働きやすい職場環境の整備を進めていって、アウトプットを大きくしていくということも併せて取り組む必要があると考えております。裁量労働制を今、導入したり、広げていっている各社の取組みの背景には、この労働時間をベースとしない処遇を可能にして、労働者の働きがいや働きやすさを高めていこうというメッセージなり思いが込められているのではないか思います。
処遇の仕方だけうまく工夫すれば現行制度でも、という御指摘、御意見もおありかと思いますが、裁量労働制と併せて制度を導入していくこと、それを社内に周知していくことで、こうした経営のメッセージがより伝わりやすくなって、従業員の意識改革にもつながっていくのではないかなと思っております。ぜひとも対象業務の拡大に向けた議論をこうした場で進めていくことができればと改めて考えております。
以上でございます。
○山川分科会長 ありがとうございます。
先ほど会場の鈴木委員から御発言希望がございましたが、お願いします。
○鈴木委員 御指名ありがとうございます。
厚生労働省の調査では、法律要件となっております業務の遂行方法とか時間配分の裁量性については、およそ9割の適用労働者の方が自分に裁量があると回答されていますので、おおむね適切な運用がされている実態にあろうかと認識しておりますが、第202回の分科会におきまして黒田先生から、もし適用の拡大や要件の見直しをするためには、制度を導入する、しないではなくて、裁量をしっかり担保できるというのが前提条件という御発言があったところです。この指摘は、議論を進めていく上で重要なポイントだと私も受け止めをさせていただいているところです。
この点に関しまして、過半数労働組合がある企業では、制度を適用する前に丁寧に裁量のある、なしを確認したり、あるいは制度を適用した後も裁量性が失われるほどの長時間労働にならないように、その抑制に向けた工夫などをしていらっしゃる企業が多いと思っております。
例えばということで御紹介しますと、個々の労働者に適用する前の段階の工夫としては、上司が裁量労働制をしっかり理解できるよう、上司に教育あるいは制度の周知活動を十分行っている企業が多いと思っておりますし、また、制度適用可能な人事等級の適切な設定をする。それから、裁量のある、なしについて、所属長や上司と制度適用候補者が個々に個別に話し合いを行い、適用することが適当かどうか、しっかり確認する。実際に、こういうプロセスを経て適用しないという方もいらっしゃるという企業も聞いております。
また、ある企業では、企業独自の適用基準を策定し、その中で超過勤務時間の見込みが月間、それから年間でそれぞれ一定時間を超えることが見込まれる場合は負荷が大きい、裁量を失わせるということから適用しないというルールを設けて運用しているということです。さらに、導入時に適用労働者の過去1か月間の仕事内容を書き出した上で、裁量があるかどうかを上司と確認する企業もあると承知しております。
また、制度導入後の運用上の工夫としましては、長時間労働により、結果として裁量が失われることがないよう、健康確保時間が一定時間以上となった場合には、制度適用から外す措置を行う企業もあると承知しております。加えて、毎年、過半数労働組合が全体の負荷を確認するとか、適用労働者と上司が週に1回、話し合いを行いつつ、その適用労働者の負荷を確認するといった運用をされている企業もあると承知しております。
以上のように、過半数労働組合がある企業では、労使が知恵を絞り、多種多様な工夫によりまして裁量性を確保・確認を行っているというふうに思っており、過半数労働組合があるということが裁量性の担保になり得ると私としては考えています。
経団連が11月に民間調査会社に委託しまして、ホワイトカラー労働者約1000人を対象にした調査を行いましたところ、約3割の方から裁量労働制の適用を受けたいとの希望もあったことを御参考までに御紹介させていただきたいと思います。
制度の見直しを行ったばかりという御指摘もいただいているところではございますが、高市総理の大臣指示が出されたということもございますし、労働者の健康確保を大前提に、過半数労働組合がある企業の労使で一定の範囲で対象業務を決定できる仕組みの創設を改めて強く申し上げたいと思っております。
私からは以上でございます。
○山川分科会長 ありがとうございます。
オンラインの鳥澤委員、お願いします。
○鳥澤委員 ありがとうございます。
多くの委員からご発言がございましたが、労働生産性の向上や多様で柔軟な働き方の整備のため、裁量労働制に関する議論は必要であり、時宜を得たものと考えます。現在の裁量労働制は、手続等が煩雑であることに加え、対象業務が厳格に規定されていることが企業側の利用を難しくしております。この分科会で何度か申し上げておりますが、特に中小企業においては、1人の労働者が複数の業務を遂行することが多く、主たる業務として企画・専門型裁量労働制が認められる業務を遂行していたとしても、非対象業務との兼務により適用ができないケースも推定されます。このことが大企業と中小企業の企業間格差を生むものであると考えられますし、また人材の流動性の妨げにもなりうると考えております。
裁量労働制の対象労働者には、特別な健康確保措置や本人同意規定が存在することなどを鑑みますと、対象業務を主たる業務として担当し、自身の裁量が認められる労働者については、適用が可能となるような見直しも検討できます。手続の簡素化も含めて必要な議論をすべきと考えます。
私からは以上です。
○山川分科会長 ありがとうございます。
同じくオンラインの原委員、お願いします。
○原委員 原です。ありがとうございます。
裁量労働制は、法的に訳さずに言うと「裁量労働のみなし労働時間制」なわけですね。つまり、働き手に能力発揮を促すために裁量をもって働いてもらうということと、その結果、働いた時間をみなし労働時間でカウントするということは、必ずしも結びつくものではないということがございます。もっと言えば、裁量をもって働いてもらい、実時間で管理するということが否定されているわけではないわけですね。ですから、能力発揮を促すためには裁量労働制の拡張・拡充が必要、だということが、果たしてどこまで言えるかということは、慎重に考える必要があると思います。
また、今、ちょうど画面に出ておりますけれども、現在の裁量労働制の適用を受けて働いている方々の肯定的な意見というのは、非常に細かい要件が設定されていて、限定的に運営されている中で満足度が高くなってくることはあり得るとも言えますので、「こういった結果があるから広げていくのがいい」ということに結びつくかということも、これは考える必要があると思うのです。
実際には、2024年の見直しがされてから、まだあまり時間が経っておりませんから、この見直しの結果、どういう実態面での影響があったかといった、実態的な調査なども踏まえて、今後議論していくべきであって、現時点ですぐにといったことよりも、まずは見直しの結果、どういう良い影響があったのか、あるいはマイナスの影響があったのかといったことを、しっかりと実態を明らかにした上で議論していくことが必要な状況であると感じます。
以上です。
○山川分科会長 ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。
では、佐藤委員、どうぞ。
○佐藤(好)委員 ありがとうございます。
本日もそうですが、これまでの議論の中でも使側の方から、裁量労働制の適用労働者の満足度や健康状態が良好であるということを理由に拡大を求めるという意見がありましたけれども、その根拠である実態調査の結果について、労側は見方が異なることを再度申し上げておきたいと思います。
資料No.2-2の80ページ、81ページの調査結果を見ますと、確かに適用労働者全体の満足度は高いものの、年収別のデータを確認すると、年収が低くなるにつれて満足度も低下しており、働き方そのものに対する満足度とは言い切れないのではないかと捉えております。また、健康状態についても、先ほどありましたけれども、これが「よい」といったところの回答については、あくまでも主観的な健康感でありますので、客観的なものではないことに留意が必要だと考えております。
また、参考資料No.1の26ページにありますとおり、公益委員からは、データ解析によれば、裁量労働者の適用の有無ではなく、現場のレベルの裁量の有無が労働時間や健康、満足度を強く左右することが明らかになっているという発言もありました。
労働側としては制度の拡大ということではなくて、現場の裁量労働制適用労働者の裁量をいかに確保するか、適正運用を進める上で大きなポイントであると考えております。そうした適正運用を進める取組を強化すべきでありまして、改めて制度の拡大ではなく、そういった好事例の横展開を図ることが重要ではないのかと考えております。
以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。
オンラインの黒田委員、お願いします。
○黒田委員 ありがとうございます。黒田です。
先ほど何度か名前を言及していただきましたので、この裁量労働制調査にずっと関わってきた者として、少し意見を述べさせてください。
まず、今まで出た御意見の中であった、私も関わった回帰分析の結果についてです。裁量労働制を導入されている方は、健康状態が「よい」と答えている方が大半であるという御意見がございました。単純集計ではそうなのですが、より精緻な分析で見えてきたことは、裁量労働制適用者でも、裁量がない人たちは健康状態が悪いということが見えています。したがって、これは再三申し上げてきたことですけれども、裁量労働制を導入しさえすれば健康もよくなるということではないということは、念のため、もう一度申し上げておきたいと思います。
続いて、この裁量労働制を導入することによって、本当に創造性が高いアウトプットがたくさん生まれて労働生産性が上がっていくのかということに関してですが、私が知る限り、科学的なエビデンスはまだこれから蓄積が必要という状況です。ですから、先ほど原委員もおっしゃいましたけれども、データを集めて、本当にそうなのかというエビデンスをできるだけしっかり精査していく。その上で、本当に裁量労働制を導入したほうが日本全体にとってよいということが見えてくれば、それは新たな方向性をまたこの審議会でしっかりと議論していくということになるのだと思います。
例えば、先ほども、裁量労働制を導入したことで、「納得いくまで仕事をすることができて、モチベーションが上がった」といった御意見など、好事例のご紹介がいくつかございました。モチベーションの向上だけでなく、そうした方々ほど、実際にクリーンヒットを打つようなすばらしい生産性の向上が観察できるのか。そして、そういったアウトカムを出すために費やした労働時間は一体どれほどだったのか、ということもデータを用いて精査していく必要があろうかと思います。
さらに、先ほど御意見が出ていた過半数労働組合の話ですけれども、これもしっかり機能している企業さんで、本当にそこで働いている裁量労働制の方々の裁量が担保されているのかということと、結果、その人たちの健康や労働時間の実態を併せて把握することによって、今、行われている議論もクリアになっていくのではないかというふうに思います。
私からは以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。
古川委員、お願いします。
○古川委員 ありがとうございます。
裁量労働制について、これまでのこの分科会におきましても、使側の委員から、「国際競争力の向上とか付加価値の創出の観点からも裁量労働制の拡充が必要」ということですとか、「先端企業を牽引するアメリカでは労働時間規制の例外措置対象者の割合が半数以上と高い」という御意見がございましたけれども、それがなぜ裁量労働制を導入すれば国際競争力の向上などが見込めるのかというのは必ずしも明らかではありません。
こういった国際競争力の向上や付加価値の創出は、労働法制の緩和ということで対応すべきものではなくて、各産業がどのように成長・発展していくか、これを考える産業政策等々で行うべきものです。裁量労働制を適用すれば、当然に労働者の能力発揮が促されて、付加価値の創出が可能になると言い切れるものではありませんし、ましてや裁量労働制以外の労働時間制度の下で働いている方々も、高い付加価値の商品やサービスを多数生み出しておられるのではないかと思います。
また、「労働時間以外をベースとした処遇が可能となるよう、裁量労働制を拡大すべき」という御発言もございましたが、いわゆる成果をベースとする処遇制度は、裁量労働制とは関係なく、当然導入は可能ですし、実際に多くの企業で既に導入されています。そもそも裁量労働制は、適用対象労働者の裁量に委ねた上で、あらかじめ定めた労働時間数は働いたものとみなす制度でありますし、労働時間以外の成果に応じた処遇を可能とするためのものではないということから考えますと、拡大すべき理由にはならないと思っております。
以上のことから、労側としては裁量労働制を拡大する必要性は全くないと考えております。以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。
それでは、お三方いらっしゃいますけれども、まず春川委員、お願いします。
○春川委員 ありがとうございます。
先ほど来、非対象業務との兼務についても適用を認めるべきではないかという御意見もありましたので、私からは改めて労側としての意見を発言させていただきます。労働者にとって非対象業務を混在される場合は、これは言ってみれば職場あるいは使側の都合で業務量や時間を増やすことができるようになってしまいます。そうなれば、本来、適用労働者である裁量労働制適用労働者が、自らの業務の遂行方法、そして本来の労働時間の配分を決定できなくなって裁量が失われてしまい、結果的にみなし労働時間制の下で、過大な長時間過重労働を強いられかねないということを懸念しております。この懸念が大変大きいために、非対象業務と兼務している場合には、裁量労働制を適用できないという現行の取扱いは変更すべきではないということを労側の意見として改めて申し上げます。
私からは以上です。
○山川分科会長 では、鈴木委員、お願いします。
○鈴木委員 御指名ありがとうございます。
先ほど古川委員から生産性向上の大変重要な指摘といいますか、議論のポイントについて御示唆いただいたと思います。私も裁量労働制の導入だけで生産性の向上ができるということを思っているわけではございません。御指摘のございました産業政策も重要だと思っております。その点は誤解なきよういただければと思っています。
ただ、私の信念に近いものかもしれませんが、付加価値を生み出す主体としては、働く方お一人お一人であり、働き手の働きがい、働きやすさが重要である、そうした思いを持っているところでございます。働きがい、働きやすさを整える環境については、様々あるわけでありまして、もちろん長時間労働の是正もそうでしょうし、あるいはテレワークとかフレックスタイム制の導入・拡充などもあろうかと思います。そういった環境整備、人への投資という言い方もできると思いますが、こうした人への投資は、生産性向上に結び付くには相当に時間がかかることもあると感じています。
これは可視化することがなかなか難しいところではありますが、企業の経営者あるいは企業の人事担当者を含め、多くの関係者が働きがい、働きやすさを高められる方策を日々考え、取り組んでおり、それが働き手の満足度につながることなどを指標に改善を重ねておられると思っています。その意味で、裁量労働制の適用労働者の8割の方が満足しているという数字は、私としては大きな意味のある数字だと思っております。
年収が高いから満足度が高いのではないかというような御示唆もいただいていますが、各種調査でも、また私どもの調査でも、自律的に働けることでやりがいが高まった、あるいは、先ほど鬼村委員からの現場の生の声の通り、適用労働者の方が制度の裁量的に働く、自律的に働くことのよさを感じていただいている実態があり、この点は大変重要だと思っております。
これも再三申し上げて大変恐縮ですが、裁量労働制を入れなくても裁量的に働いてもらう、アサインの問題ではないかという御指摘は1つ考え方としてはあろうかと思っています。これを否定するものではございません。しかし、裁量労働制は多くの手続規制があり、本人同意など、かなり簡単ではない制度であると認識しております。企業としても相当法律の遵法に気を遣い留意しながら、裁量労働制を導入・運用されています。なかなか手間のかかる制度ではありますが、適用労働者の満足度あるいは効果を期待しながら導入・活用しています。導入・活用している企業様ほど対象業務の拡大を求める声も高いことは御理解を賜りたいと、思っています。
以上でございます。
○山川分科会長 ありがとうございます。
それでは、首藤委員、どうぞ。
○首藤委員 ありがとうございます。
これまでの議論を伺っていて、裁量労働制をどう考えるのかというときに、従来の実態把握が、正確な実態が把握できているのだろうかというところをちょっと懸念します。多分、4象限に分かれるのではないかなと思っています。つまり、業務の裁量がある、なしというのがあって、縦軸にみなしの労働時間制の適用がある、なしというふうになって、業務の裁量もあるけれども、みなし労働でもあるという人と、業務の裁量はあるけれども、みなし労働がない人。さらに、業務の裁量がなくて裁量労働制のみなし労働だけがある人、両方がない人。
黒田先生の研究がまさにその一部だと思うのですけれども、それぞれの満足度であるとか労働時間であるとか生産性であるとか、そういったものを丁寧に確認して、対象業務の拡大が必要であるのかどうかというところを議論していかないと、裁量労働というふうな言い方で様々な裁量労働制、この4象限が混ざった形で議論されているところが少し問題かなと私は感じました。
以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。
櫻田委員、どうぞ。
○櫻田委員 ありがとうございます。
裁量労働制で働いている労働者について、満足度や健康状態も良好であることから、制度の拡充を求めるという意見が使用者側の委員から出されておりますけれども、今回も、資料No.2-2の68ページ以降の調査結果を見ましても、裁量や適切な処遇が必ずしも確保されていないという実態が明らかになっているのだと思っています。
これまでも申し上げていて、繰り返しにはなりますけれども、82ページを見ますと、適用労働者における業務従事年数は3年未満が10~20%というところを占めておりまして、実態としても裁量をもって働くことができる労働者が適用されているのかということについては懸念があるのではないかと思っています。
また、適用労働者の裁量の有無に関しても、75ページにありますが、業務の遂行方法、時間配分などでは、裁量労働制の適用と非適用で裁量の程度には大きな差が見られていません。果たして適用労働者に十分な裁量が確保されているのかという疑問がある結果ではないかと受け止めています。
最後になりますけれども、みなし労働時間については、79ページを見ますと、約4割の適用労働者が自らのみなし労働時間数を認知していないという結果が出ています。その上、先ほど使用者側の委員の方から、みなしよりも実労働時間のほうが短い実態もあるという御発言もありましたけれども、調査結果では適用労働者の平均みなし労働時間数と平均実労働時間数を比較すると、実労働時間のほうが1時間弱長くなっているという結果が出ているところです。これはみなし労働時間数が働き方の実態に合致していないケースが少なくないということを示しているのではないかと思っています。
以上を踏まえますと、昨年の改正でみなし労働時間の適切な設定が必要であることの明確化、労使委員会等を通じた適正運用の確保といった対応も図られたところでありまして、今日もほかの労働委員からも発言があったとおり、こうした適正運用の取組を進めるべきでありまして、制度の拡充の必要はないということを重ねて申し上げておきたいと思います。
私からは以上でございます。
○山川分科会長 ありがとうございました。
ほかにございますでしょうか。
冨髙委員、どうぞ。
○冨髙委員 ありがとうございます。
今までの議論を聞いていて、特に使用者側からは、労働生産性向上といった観点で裁量労働制の拡充が必要という意見が多く出ていたかと思いますけれども、そのエビデンスがあまり明確ではないと印象を受けております。そもそも労働生産性ですけれども、分母と分子の関係でいえば、分母の労働時間が長くなれば労働生産性というのは低下するのではないかと思うところです。
黒田先生や原先生がおっしゃるとおり、我々としても分析が圧倒的に足りないのではないかと思っておりますし、そういった中で制度の拡充という流れに持っていくのは、かなり乱暴ではないかと感じておりますので、意見として申し上げておきたいと思います。
以上です。
○山川分科会長 ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
ありがとうございます。
本日の議題の各テーマにつきまして、委員、それぞれのお立場から、現状でのデータの評価等も含めて、非常に貴重な御意見をいただいたところでございます。各テーマにつきまして御意見いただいた点は非常に重要なものでございますので、事務局では、本日の議論も踏まえまして、さらなる検討と資料の準備をお願いいたします。
特段ございませんでしたら、本日の議事はここまでとさせていただきたいと思います。
では、次回の日程等について事務局から説明をお願いします。
○事務局 事務局でございます。
次回の日程等につきましては、調整の上、追ってお知らせさせていただきます。
○山川分科会長 よろしいでしょうか。追って調整の上、お知らせするということですが、本年はないと思いますので、どうぞよいお年をお迎えください。
それでは、これをもちまして、第206回「労働条件分科会」を終了いたします。お忙しい中、大変ありがとうございました。

