第12回今後の障害者雇用促進制度の在り方に関する研究会(議事録)

日時

令和7年12月24日(水)10:00~

場所

オンライン・対面による開催(中央合同庁舎第5号館 専用第22~24会議室(18階)東京都千代田区霞が関1-2-2)

議事

○山川座長 おはようございます。定刻となりましたので、ただいまから「第12回今後の障害者雇用促進制度の在り方に関する研究会」を開催いたします。構成員の皆様方、お忙しいところ御参集いただきまして、誠にありがとうございます。本日は、構成員の皆様は全員御出席となります。事務局では、原田課長補佐が公務のため欠席です。本日の研究会は、Zoomによるオンラインでの開催と会場からの御参加の両方になっております。会場には、倉知構成員、冨髙構成員、田中伸明構成員にお越しいただいております。開催に当たり、事務局から説明があります。

○河村障害者雇用対策課長 本日もZoomを使ったオンライン参加を頂いております。簡単ですが、オンラインの操作方法のポイントを御説明いたします。本日は、会議の進行中は皆様のマイクはオフといたします。御発言の際は、画面上の「手を挙げる」ボタンをクリックしていただき、事務局、座長から発言の許可があった後にマイクをオンにし、お名前を名乗ってから御発言いただくようお願いをいたします。Zoom操作方法については、事前にお送りしたマニュアルを御参照ください。
 会議進行中にトラブルがありましたら、事前にメールでお送りしている電話番号まで御連絡ください。通信遮断等が発生した場合は、一時休憩とすることもありますので御了承くださいますようお願いいたします。オンライン会議に係る御説明は以上です。

○山川座長 カメラの頭撮りはここまでといたします。それでは、議事に入ります。第5回から第11回まで、今後の障害者雇用制度の在り方について、主な論点を一通り御議論いただきました。今回は、これまで頂いた御意見を踏まえて議論の整理を行いたいと思います。初めに事務局から、資料1「障害者手帳を所持していない難病患者の雇用率算定に向けた個別判定のイメージ」について、御説明をお願いします。

○河村障害者雇用対策課長 資料1に基づいて御説明いたします。手帳を所持していない難病患者の方の雇用率算定上の取扱いについては、令和7年10月3日の研究会で御議論を頂きました。その際に、最後に座長から、正に本日お出ししている、もう少し「個別判定」のイメージを深めたものを出すことと、対象者数について粗い試算を行って提出するよう御指示いただいていますので、宿題返しとして本日提出するものです。
 まず、2ページについては、令和7年10月3日に御議論を頂いたときの構成員の先生方の主な御意見をごく簡単にまとめております。冒頭の方向性に関する御意見として、十数年来議論されてきた課題であって、方向性を示して具体的検討に入る段階であるという趣旨の御意見を頂いております。その一方で、○の2つ目、具体的な判定基準等が不明の中では、その是非自体の判断が難しいと。障害者手帳の所持者と同等以上の困難性が客観的に判定できるかどうかを、引き続き検討するべきであるという趣旨の御意見も頂いております。そのほか、その下の「個別判定」の仕組みに関する御意見、また対象者に関する御意見も頂いておりますので御参照ください。
 3ページです。改めて「個別判定」の設計をしていくに際しての基本的な考え方を粗く書いています。まず○の1点目、障害者雇用促進法における「雇用義務」は、「対象障害者」の方の雇用の場の確保が、自由競争では困難だという前提の下に、経済活動の一部たる「採用の自由」に制限を加えるという、規制として非常に強い性質があります。ですので、これまでも対象者の範囲に際しては、「対象範囲の明確性」「公正性」「一律性」の3点を確保するという考え方によってきましたが、この考え方は引き続き重要であるという前提に立っております。
 ○の2点目、今回検討する難病患者さんの「個別判定」は、難病によって現れた「身体機能の障害」が、身体障害者手帳の交付対象範囲を決めている法の別表にたまたま該当しないということで手帳が得られない場合であっても、手帳をお持ちの方と同等以上に「就労困難性」のある方がいることが、調査研究ではっきりしてきたことを踏まえ、「就労困難性」が手帳所持者と同等以上と考えられる方を、手帳も一つの判断の仕組みなのですが、手帳ではなく個別に判断をする仕組みとして検討をしていこうという考え方を書いております。
 括弧書きですが、正に、たまたま身体障害として現れた内容が、法の別表に該当するかしないかによって最後まで決まってしまうということでは、「公正性」の観点で課題があるのではないかということで、「公正性」を確保するという考え方の下に、ほかの重要な2原則である「対象範囲の明確性」と「一律性」を十分確保しながら制度設計を行うという考え方としております。
 下半分の括弧が付いている所は、こうした手帳によらない「個別判定」については、雇用義務との関係においても現行制度の中で、身体、知的の一部についての判定が今行われており、一番下の行ですが、重度の知的障害者判定が年間3,000件程度実施されているという状況にあります。
 4ページです。「個別判定」のイメージを粗く3案、記載をしております。案1が比較的シンプルなもので、だんだん手続が加わっていくようなグラデーションになっております。案1が、難病そのものについて主治医の診断書で判定をした上で、(2)支援職によるアセスメント情報を組み合わせて、その組合せで一定基準であれば判定を行う。
 案2は、前半の医療面の判断のところについて、難病指定医による判断、これは医療費助成の認定のプロセスの中で、全ての難病について臨床調査個人票という重症度を判定する枠組みが作られておりますので、それをベースとする。後半の支援職によるアセスメント情報以下は同じです。
 案3については、案2に加え、3点目として、(3)国において難病指定医や就労支援関係者等の審査委員会を設けて、そこでの合議を経て、「就労困難性」が手帳所持者と同等以上かどうかを判定するというイメージを記載しております。
 5ページです。実雇用率の算定の対象としてはどうかということで、今議論を行っているわけですが、その対象となり得る難病患者数の推計として、機械的に3パターンを出しております。この対象者数については、どのような条件設定にするかによって相当伸び縮みがありますので、その幅を見ていただくという意味でも、典型例の3つを挙げて試算をしております。
 まず、パターン○1です。こちらは令和7年10月3日の論点中でも一部お示ししていますが、最優先で取り組むべきは、現に困難に直面されている方として、手帳の申請をしたけれども不認定だったという方の中に、相当困難性を抱えている方がいるというデータがありますので、手帳不認定者のうち困難があって、かつ就業を希望する、これから働きたい方という対象者でいくと、2,800人ぐらいです。
 パターン○2は、パターン○1に加えて、手帳の申請には至ってはいないが、手帳の非所持の理由が手帳の基準から外れてしまうためで、かつ、これから働きたい方で設定をして計算していくと、約2万7,600人です。パターン○3は、パターン○2までの、これから働きたい方に加えて、既に就業中の方も含めて「就労困難性」が高いと考えられる方を拾って計算をすると、6万5,000人ぐらいという試算をしております。
 それぞれ算定式で使っている数字については、6ページに記載をしておりますので御参照ください。説明は以上です。

○山川座長 ありがとうございました。ただいま説明していただきましたように、資料1を、前回の議論を受けて、議論を深めるための材料としてという位置付けで用意していただきました。
 それでは、議論に移りたいと思います。毎回お願いしておりますけれども、発言される際は挙手していただいて、あるいはZoomでは御発言希望と示して、お名前をおっしゃって、こちらで御指名させていただいてから御発言をお願いいたします。御質問、御意見等ございますでしょうか。新田構成員、お願いします。

○新田構成員 経団連の新田でございます。資料に基づいた丁寧な説明、ありがとうございました。特に山川先生から御提案のあった点につきまして、今回の資料に基づいて御紹介いただき、非常に参考になったと思っているところでございます。
 その上で、感想を含めていくつか申し上げたいと思います。説明を改めて聞いていて、就労に当たって困難に直面している、障害者手帳を持っておられない難病の方々の取扱いを検討することは、社会的な課題の1つであり、非常に重要なことだと認識しているところです。
 一方で、難病の方々については、個別の状況が非常に多様であること、「個別判定」という部分については、非常に難しいということも認識したところです。今回、事務局より「個別判定」のイメージ案もお示しいただいたところですが、具体的な判定基準がなお明確とは言えないのではないかと感じています。加えて、今回資料の中に試算の推計も出していただいておりますが、パターン○1からパターン○3まで見たときに、適用される人数に非常に大きな開きがある点から見ましても、この点についての議論は慎重かつ丁寧に行っていく必要があると思っております。そうした観点からの議論を重ねてお願いできればと思っているところです。私からは以上です。

○山川座長 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。倉知構成員、お願いします。

○倉知構成員 九州産業大学の倉知です。「個別判定」はまだ粗いイメージということですが、イメージを膨らますことができました。4ページの「個別判定」の方法の粗いイメージですが、まず難病であるという診断が必要だと思います。就労困難性のアセスメントですが、案1、案2の(2)、案3の(2)にもあるのですが、支援職によるアセスメント情報というのは、易疲労性・痛み・免疫力低下等の判断であり、多分医学的な判断になるのではないかと思っております。ですから、やはりこれは医師が判断すべき情報ではないかと思います。しかし、医師が判断した結果が職業生活上の困難性としてどれくらいあるのか、この辺りについては、医師だけではなく支援専門職が入った審査委員会で合議して決めていくという形がいいのではないかと思っています。
 ですから、案1にプラスして、国が設置する審査委員会による合議という形にしてもいいのか、この辺、これからもう少し議論がいるかと思っています。まず難病にかかっているという診断と、「就労困難性」が医学的な面から、易疲労性・痛み・免疫力低下等があるという診断。そして、就労支援専門職が職業的に困難性が高いかどうかを判断し、最終的な審査委員会で合議して決定するという形が良いと思いました。私からは以上です。

○山川座長 ありがとうございます。今の話は、4ページの案1、案2、案3で、案3の場合は難病の医療費助成という観点からの重症度判定ですが、それを案1の医師の難病罹患に置き換えた上で合議、プラス、アセスメントを課す、そういう位置付けということでしょうか。

○倉知構成員 はい。

○山川座長 ありがとうございます。ほかにございますか。清田構成員、お願いします。

○清田構成員 ありがとうございます。日本商工会議所の清田でございます。私からも感想、意見を申し上げます。
 難病の患者で手帳不認定の方、「就労困難性」を有している方、こうした方々の支援の重要性は認識しているところです。他方、障害者雇用という枠組みで考える際には、引き続き慎重に議論を積み重ねていくことが重要ではないかと考えています。
 判定方法についてお示しいただいていますが、アセスメントの方法につきまして、難病それぞれの個別性が高い中で、どのような方が、どのような項目で、どのような基準に基づいて判定するのか、引き続き丁寧に検討していくことも重要ではないかと考えています。一層の議論、調査研究を繰り返しながら、引き続き個別判定の方法の検討を行っていければと考えています。私からは以上です。

○山川座長 ありがとうございました。ほかはいかがでしょうか。では、田中克俊構成員、お願いいたします。

○田中(克)構成員 田中です。これまでにいただいたご意見を踏まえ、私自身としては、個別判定の方法については、案3で示された方法が最も適切ではないかと考えています。確かに、難病には多様な種類があり、個別性も大きいという特徴があります。しかし、難病認定の手続き自体は、非常に厳密かつ制度的に整備されています。具体的には、単なる診断書ではなく、医学的な根拠や証拠を含む専門様式の審査書類が用いられ、原則として1年ごとに更新されます。また、記載できる医師も限定されており、誰でもよいわけではなく、指定医が作成する必要があります。このように、難病認定はかなり厳格に運用されている制度であると言えます。確かに、症状については、易疲労性、痛み、免疫力低下など、評価が難しい側面があるのは事実ですが、これらについても個人調査票によって一定程度整理されており、その点については、基本的には信用に値するものだと考えています。ただし、先ほどご指摘があったように、こうした医学的な症状評価が、そのまま「就労困難性」にどの程度結びつくのかについては、専門医であっても判断が難しい部分があるのも事実です。特に今回は、障害者手帳を保持していない人も対象に含めるという新しい試みであるため、この点はより慎重な検討が必要になると思います。その意味では、手続きとしては煩雑になる可能性はありますが、案3に示されたように、審査委員会による合議を含めた丁寧な運用からスタートすることが、非常に重要ではないかと考えています。

○山川座長 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。冨髙構成員、お願いします。

○冨髙構成員 ありがとうございます。先ほど御説明いただきました基本的考え方に記載のとおりで、手帳を所持していない難病患者において、「就労困難性」を基に個別に判定をしていくという方向で、仕組みを具体的に検討すること自体は異論ありません。今までも出ておりましたけれども、4ページに示されている3つの案、いずれも就労困難性のアセスメントが適切に機能することは非常に重要だと思っております。この3つの案というのは、アセスメントを運用する上で対象者の限定の在り方、アセスメントを行う方の業務負荷、その実施後の事後措置などを勘案する観点から、それぞれ違いが設定されていると認識しております。先ほど清田構成員からもございました、判断基準の詳細等が今の時点では分からない中で、この中からこれというのを選ぶのは難しいと思っているのですけれども、いずれにしても、働くことを希望する方全てがアセスメントの対象となることに加えて、公平性、公正性の観点、制度の運用上の必要な観点を踏まえた選択肢とするのが望ましいと思っておりますので、皆様言われているように、その点を含めて丁寧に検討することが必要だろうと思っております。
 それから、就労困難性のアセスメントの検討に当たりましては、客観性及び妥当性を備えつつ、難病患者本人や家族、また、受け入れる企業、それぞれにとって納得性ある仕組みであることが、当然のことながら不可欠だと思っております。ドイツやフランスにおいても、難病、慢性疾患のある方の就労困難性のアセスメントの「個別判定」が行われていると認識しておりますので、そういったものも参考に検討することは必要ではないかと思います。以上です。

○山川座長 ありがとうございます。そのほかにございますでしょうか。それでは、眞保構成員、お願いいたします。

○眞保構成員 法政大学の眞保です。議論を進めるために、資料の取りまとめを頂きましてありがとうございます。資料3ページにあります現行制度での障害者手帳によらない各「個別判定」の例が出ているわけですが、これは医師と専門職、あるいは有識者の合議の上で判定がなされていることを鑑みますと、手帳によらない判定は、資料4ページの案であれば、少なくとも資料3ページの手続が必要だと考えます。
 しかしながら、(1)にございます難病指定医による医療費助成の認定時の診断書ですけれども、指定医であっても専門領域によって記述内容に差が生じるとの当事者のお声も聞いております。したがいまして、障害者雇用において、どのような医師に診断していただくのか、どのような項目が記載された診断書を用いるのか、今後十分に検討していく必要があると考えております。
 また、「対象範囲の明確性」「公正性」「一律性」を担保することが引き続き重要であるという考えが資料3ページに示されておりますことから、資料4ページ(2)の支援職によるアセスメントについては、「対象範囲の明確性」「公正性」「一律性」が担保される十分な科学的エビデンスに基づいた指標について、別途研究会等を設置して構築していく必要があると考えています。
 最後に資料5ページの推計値ですが、事務局におかれましては、大変御苦労されてお示しいただいたのではないかと思います。拝見しますと、例えば、パターン○3の場合ですと、現在雇用されている精神障害のある方の38%ぐらいに当たる人数にもなる数字です。したがいまして、対象者の範囲の明確性というのは、やはり重要になってくると思っております。以上です。

○山川座長 ありがとうございました。資料1の4ページの案3についての、医師の専門性等についての御提案も含まれていたかと思います。ありがとうございます。いかがでしょうか。ほかにございますか。ありがとうございました。
 では、続きまして資料2「これまでの議論の整理」について、事務局から説明をお願いします。

○河村障害者雇用対策課長 資料2でございますが、本研究会においては今年の春以降、個別の論点について順次議論を続けてまいりました。それぞれについて、私どものこの議論の整理の書き方としては、2ページを参照いただきますと、2ページから3ページにかけてが、今年11月に御議論いただいた障害者雇用の「質」の御議論の整理です。一番最初の所に事務局からお示しをしています論点提示について、枠囲みで書いており、その下に出していただいた御意見について、意見の多寡にかかわらず、おおむね趣旨がまとめられるものについては1つの御意見として書いており、趣旨の異なる意見をそのまま列挙させていただいた形にしております。取り分け、制度設計の進め方としては、まもなく本研究会は取りまとめを目指していくことになりますが、その後、労働政策審議会の障害者雇用分科会に場を移しまして、分科会で御議論を継続していただくことになりますので、分科会で今後御議論いただく際に、特に留意して丁寧に検討すべきだと考えられる点を中心に記載をしております。
 内容につきましては、事前に構成員の先生方、お目通しいただいていると思いますので、逐一は御説明申し上げませんが、2、3ページが今申し上げた障害者雇用の「質」に関する議論の整理、4~6ページが「障害者雇用ビジネス」に関する議論の整理、7ページが手帳を所持していない難病の方の位置付けの整理、8ページが同じく手帳を所持していない精神・発達障害の方の位置付けに関する整理、9、10ページが就労継続支援のA型、これは春頃に御議論いただいたものですが、それに関する位置付けに関する整理、11ページについても夏頃に御議論いただきましたが、精神障害の方の「重度」区分を設けるかどうか、またその精神障害の方で20時間から30時間までの短時間労働の方の御議論についての整理、12ページにつきましても、100人以下の事業主への納付金の拡大に関する整理を記載しています。簡単ですが、説明は以上です。

○山川座長 ありがとうございました。資料2でございます。これは本日の議題1で難病の方々について改めて御議論を頂きましたので、本日の議論も踏まえて、難病の7ページにつきましては、改めて本日幅広い御議論をいただいたものを追記するという形になろうかと思いますが、とりあえずこちらの資料につきまして、御意見、御質問がありましたらお願いいたします。新田構成員、お願いします。

○新田構成員 経団連の新田でございます。資料を丁寧に御説明いただきありがとうございます。特に、これまでの議論の内容について、時々の論点を示した上で、その際に出た意見を併記していただきました。今後、非常に議論が進めやすくなったのではないか、あるいは報告書の取りまとめに、非常に資する資料になったのではないかと受け止めております。
 先ほど、課長からもお話がありましたとおり、これから報告書にまとめることになると思いますが、それに向けて、今回の議論の整理を見ていると、ある程度意見が一致している部分と、意見が異なっている項目がそれぞれあるように思います。とりわけ、意見の異なる論点・項目につきましては、それぞれの意見をきちんと併記していただき、その後の分科会での議論にしっかりと資するような報告書としていきたいと思いますので、今後、そのような観点での取りまとめを是非御検討いただければと思います。私からは以上です。

○山川座長 ありがとうございます。御指摘のとおり、研究会の報告は分科会での議論につなげていくためのものという位置付けになるものと私も理解しております。ほかにいかがでしょうか。田中伸明構成員、お願いします。

○田中(伸)構成員 ありがとうございます。日本視覚障害者団体連合の田中でございます。事務局におかれましては、詳細にまとめていただきまして、本当にありがとうございました。私からは、今後の検討の素材を提供するという意味で、2点意見を申し上げたいと思います。
 1点目ですが、今回、手帳を持たない難病の方、それから精神・発達の方について議論を行いました。この点につきましては、今後の検討課題として、やはり働きづらさを抱える方に対する包摂的な就労支援を、雇用率とは別の柱として考えていくということを、1つの検討課題としていただければと思います。
 やはり、雇用率1本では、なかなか難しいところもあります。引き籠もりの方や様々な事情で生活が困窮に陥っている方も含めまして、手帳を所持しない難病の方、精神・発達の方の就労支援も考えていく必要があるのではないか、そのように考えております。
 2点目は、納付金の対象範囲を、100人以下の常用労働者数の企業にも拡大することについてです。これにつきましては既に、激変緩和措置というものを十分に検討した上で、納付義務の対象を拡大することについては賛成の意見を述べたところでございます。検討の素材としまして、この納付金の徴収につきましては、現在の労働保険事務組合に担っていただくことも1つの検討課題としてはどうかと思います。現在、この労働保険事務組合につきましては、中小企業を中心に、労働保険の適用あるいは保険料の徴収について、大きな役割を担っているところかと思います。納付金の納付事務についても併せて担っていただければ、非常に事務負担を軽減することができるのではないかと考えております。
 また、労働保険事務組合の職員の方に、ジョブコーチ資格を取得していただくことを推奨するというのも一案かと思います。現在、労働保険事務組合の認可を受けている団体としては、地域の商工会議所や商工会が多く認可を受けておられます。もし、このようなジョブコーチの資格を職員の方が取得をした場合には、地域が一体となって中小企業の障害者雇用を進めることができる可能性があるのではないかと考える次第です。場合によっては、中小の事業者の方や商工会議所の方と障害者雇用促進委員会というようなものを立ち上げて、地域の中小企業における障害者雇用を進めていくことができるのではないかと考えます。やはり、そのことで、100人以下の事業者における法定雇用率達成割合の上昇や、ゼロ企業の解消にも資するのではないか、そのように考えております。
 もちろん、これは中小の事業者の方の御意見も十分に聞きながら制度を考えていく必要があろうかと思いますが、是非、よりよい制度に向けて議論ができればということで、検討の素材として御意見を申し上げました。以上です。

○山川座長 ありがとうございます。基本的な観点も含めまして、御意見を頂きました。それでは、山口構成員、お願いします。

○山口構成員 愛知県中小企業団体中央会の山口です。これまでの議論の整理、御説明ありがとうございました。資料の順番とは異なりますが、中小企業の立場から問題意識の高い順に意見をいたします。
 まず、障害者雇用率制度の在り方の観点の中でも、障害者雇用納付金の適用範囲の100人以下の事業主への拡大について申し上げます。第5回研究会で申し上げたとおり、中小企業はここ数年の物価高や最低賃金の上昇、社会保険の適用拡大などで経営環境は非常に厳しく、また雇用ゼロ企業が受入環境を整備するには業務の切出しや支援人材の配置、障害特性に応じた設備や勤務体系など、様々な準備が必要となります。特に、企業規模は小さいほどハードルは高く、これらの環境が整わないまま雇用すると、企業と障害者の双方に望ましくない状況が生じます。また、雇用がうまくいかない場合に、課題を克服するための支援が得られなければ、いわゆる雇用ビジネスに丸投げする発想にもつながります。中には、当初から法定雇用率の達成を諦める企業もあると思いますので、その場合、現在の達成企業の割合は半数を下回る状況ですが、更に悪化も考えられます。
 よって、現段階では100人以下の事業主の適用拡大は反対です。現行の雇用率の対象であり、積極的に障害者雇用に取り組もうとする中小企業に対しては、ハローワークやJEED、雇用相談援助事業などの支援メニューの充実は大変有り難く感じております。引き続き、個々の企業の課題やニーズに応じた細やかな助言をお願いします。雇用ゼロ企業にはアウトリーチ的な支援もお願いいたします。また、利用率が上がってませんが、「事業協同組合等算定特例制度」について、本来の中小企業とその組合企業が使いやすい制度になるよう、要件緩和などもお願いしたいと思います。
 次に障害者雇用の「質」の観点から申し上げます。そもそも、雇用の「質」とは何か、定義について議論が十分ではないと思いますので、参考としてのガイドラインや好事例の収集、展開は理解できますが、法令規定のような企業への強制力を伴う明示や一律的な報告義務を課すことは避けるべきです。また、法定雇用率の達成企業が半数を下回る現状において、雇用率と雇用の「質」を一度にクリアすることは多くの中小企業にとって簡単ではありません。少しずつ課題を克服し、目標を達成できるよう、企業の現場への丁寧な支援をお願いいたします。私からは以上です。

○山川座長 ありがとうございました。では、清田構成員、お願いします。

○清田構成員 ありがとうございます。日本商工会議所の清田でございます。これまでの議論の整理をお示しいただき、誠にありがとうございます。私も山口構成員とほぼ同じ意見になってしまうことをお許しいただければと思います。まず、100人以下の納付金の義務・適用については、引き続き慎重に検討いただきたいと思っています。令和4年の障害者雇用分科会における意見書においては、100人以下の事業所における障害者雇用が進展した上で実施することが適当とまとめられている中で、現時点では、まだ進展したとは言い難い状況であると受け止めております。先日の障害者雇用分科会でもお示し頂きましたが、雇用ゼロ企業における雇用は、苦戦をしており、なかなか厳しい環境が続いていると受け止めております。先ほど、山口構成員からもございましたが、規模の制約から、中小企業の障害者雇用特有の難しさがあるものと受け止めてございます。その中で、物価上昇、最低賃金の大幅な引上げ、中小企業の経営環境が厳しい中におきまして、単に納付金による金銭的な負担を課したとしても、適切な雇用にはつながらないのではないかと思っております。引き続き、支援相談援助、助成金事業等を通じ、中小企業における障害者雇用の進展を確認した後に御検討いただければと思っております。
 加えまして、先ほど労働保険事務組合等を活用した御支援という御提案を頂いたかと思います。地方の商工会、商工会議所で担っているケースがありますが、各地の商工会、商工会議所のスタッフ数は僅か数人という中で、商工会議所の事業であります経営支援、資金繰り等の経営支援、それから交流事業、検定事業など、様々実施をしている中では、なかなかマンパワー的な余力が厳しいのではないかと、私の立場から推察するところでございます。
 もう1点、障害者の雇用の「質」についてです。こちらも山口構成員と同様に、「質」の高い雇用を行うことが重要ということは、異論はございません。他方で、その「質」というものがどのようなものなのか、丁寧に議論をした上で進めていくべきと考えております。私からは以上です。

○山川座長 ありがとうございました。ほかは、いかがでしょうか。倉知構成員、どうぞ。

○倉知構成員 九州産業大学の倉知です。これまで幅広い議論をしてきたことがよく分かりました。その上で3点、話したいと思います。
 まず、雇用の「質」ですが、雇用の「質」と、いわゆる「障害者雇用ビジネス」というのはかなり関連性があると私は思っています。雇用の「質」を整備することで、障害者雇用ビジネスの在り方についても大きな進展があるのではないかと考えています。ですから、今、余りよろしくない「障害者雇用ビジネス」のやり方が異常な増え方をしているので、雇用の「質」を先送りにすると、悪い結果がどんどん広がっていってしまうのではないかという危機感を持っていますので、余りのんびりできないのではないかと考えています。これが1点です。
 2点目が、障害者手帳を所持していない難病患者の位置付けの所で、7ページの四角に囲まれた所の4点目、実雇用率における算定は、他の障害種別への影響が生じないようにする観点からの方策を併せて検討するということですが、今まで、精神障害や知的障害の方が実雇用率の算定になったり、雇用義務化をしてきましたが、その際に、他の障害種別への影響は起きていないということがはっきりしてきているので、これは、そういう問題はないのではないかという意見が結構あったのではないかなと思っていますので、これを載せるかどうかについては検討を頂けると良いと思っています。
 3点目、納付金の適用範囲の件です。山口構成員や清田構成員の意見も、中小企業の方がどれだけ大変かというのは私もよく分かっています。それでも、雇用を拡大していくことは進めないといけなくて。今、一番ネックになっているのが、雇用義務があるという意識がされていないことなのです。私は、この適用範囲を広げるというのは、雇用納付金を徴収するということではなく、雇用義務があるということを意識してもらうこと、これがないと企業支援もできないのです。なので、まず意識してもらう。だから、何年後にやりますよという予告でもいいので、意識してもらうという方策はとらないといけないと私は思っています。その上で中小企業に対して、企業支援を障害者支援以上に強力にやっていかないとなかなか打開しないと思っています。雇用の意識を持ってもらった上で、企業外の支援機関が仕事の再構成や切り出しを支援して、さらに、障害のある方が働く場に支援者が出向いて行って、うまく適用できるように支援していくことが必要です。ここを企業任せにしないで、専門機関がしっかり支援をやる、これがあって初めてうまくいくのだろうと思っています。企業支援をかなり強力にやる、雇用への意識付けのためにも、適用範囲の企業を100人以下に広げていって意識付けができるようになればいいと、こんな仕組みができないかなと思っています。決して納付金を徴収するということではないと御理解いただければと思っています。私からは以上です。

○山川座長 ありがとうございます。ほかにいかがですか。勇上構成員、お願いします。

○勇上構成員 神戸大学の勇上です。事務局におかれましては、これまでの議論を大変丁寧におまとめいただきましてありがとうございました。私からは、3ページの障害者雇用の「質」に関して、確認的な意味も込めて、やや原則論的な意見を申し上げたいと思います。
 一般に障害者雇用政策というのは、日本が長年とってきた雇用率制度という、主として雇用の量的な面を追求するという政策と、最近日本でも導入した差別禁止、合理的配慮のアプローチなど、雇用の「質」を担保する政策が整備されてきました。そこで、日本やドイツなどでは、近年、これらの両方のアプローチを採用することによって、雇用の量と「質」の双方を同時に追求するという政策体系をとってきたと私は理解しています。これはやはり、雇用機会の量の確保を追求する余り、「質」を考慮しないということが生じてくることの弊害への対応という面もあると思います。例えば、先ほど倉知構成員がおっしゃったような「障害者雇用ビジネス」に関する御懸念とも関連していると思います。
 この点を踏まえますと、やはり障害者雇用における量と「質」というのはトレードオフであってはならないと思います。共に追求されるべき目標であるという趣旨で導入されてきたというように考えております。ですが、やはり、雇用の「質」の向上に伴う新たな経済的負担というものは生じ得ると思います。ですので、それについては労使双方から御意見が出ている通り企業への支援、あるいは今回議論した表彰制度の対象拡大などとともに、「調整金」や助成金などによって、企業の負担に対する適切なインセンティブというものを設け、負担に対して措置していくということが原則ではないかと考えております。私からは以上です。

○山川座長 ありがとうございました。では、渡邊構成員、どうぞ。

○渡邊構成員 御説明ありがとうございました。私からも大きく2点、コメントをさせていただきたいと思います。
 まずは障害者雇用の「質」のガイドラインなどの創設についてです。障害者雇用において「質」の確保も重要であるとの認識は既に共有しているところかと思います。その障害者雇用の「質」として重視すべき要素を法令において明示することは、企業がその取組を進める上でも、また、行政がそれら企業を支援する上でも重要であると考えております。ですので、何らかの形で法的な根拠を付与するということは必要なことだと思っております。もっとも、法令において明示する方法にはいろいろなバリエーションがありますので、既に御意見の中にもありましたように、企業の取組というものを萎縮させることがないような形で、どのように定めるのが望ましいのかといったところを検討することが必要かと思っております。
 2点目は、納付金の義務付け範囲の対象拡大といったところなのですが、100人以下の事業主へ拡大することについて、この方向性としては重要かと思っています。基本的な取扱いとして、このような形で100人以下の事業主についても納付義務の対象とするというのは、企業間の公平性や障害者雇用に対する状況改善といった観点からも必要なことだと思っております。
 もっともその影響の大きさという点からも、適用範囲の拡大においては段階的に進めるといったことが必要になると思われますし、また、御意見の中にもありましたように、特に中小企業に対する支援策の拡充、強化とセットで進めていくことが肝要であると考えております。私からは以上です。

○山川座長 ありがとうございました。ほかにありますか。眞保構成員、お願いします。

○眞保構成員 法政大学の眞保です。丁寧に資料を取りまとめいただきまして、御説明ありがとうございました。私も3点ほど、3つの視点をコメントさせていただきたいと思っております。
 まずは障害者雇用の「質」なのですが、やはりそこで重視すべき要素をガイドライン等、根拠あるいは内容を法令上に明記する、規定するということは、雇用する企業にとって目標とすべき方向が明確になるという点で有益だと考えています。
 また、関連するのですが、事業主の認定制度については、もしインセンティブを付けるのであれば、認定後の検証が必要であると思っており、更新制度などを設ける必要があると考えています。その点で、「質」の担保のためには、障害者雇用状況報告書の項目を充実して、より雇用の実態を把握できるようにするということも必要だと考えています。
 3点目、いわゆる雇用ビジネスについては、利用する企業様が能力開発等に取り組まれて、採用から定着に至る雇用管理について責任を持って関わって、原則として、企業様の事業場内でこのプロセスを支援するビジネスモデルに変革できる体制を作れるような制度ができたら望ましいというように考えています。以上です。

○山川座長 ありがとうございました。ほかに、いかがでしょうか。ほかにないようでしたら、本日はこの辺りで終了といたします。本日は、議論の取りまとめの点も含めて、様々な有益な御議論を頂きました。報告書に向けた取りまとめの段階に入っていくこととなると思いますが、本日頂いた御意見も含め、事務局で改めて整理をしていただいて、次回までに報告書の案の作成を頂いてはいかがかと思っております。
 そういうことでよろしければ、次回の日程について事務局から説明をお願いいたします。

○河村障害者雇用対策課長 次回は年明けになりますが、皆様に確保いただいている日程の中で改めて調整をさせていただきまして、次回の日程の御連絡をさせていただきます。よろしくお願いいたします。

○山川座長 よろしいでしょうか。それでは、これをもちまして、本日の研究会は終了いたします。次回は改めて御連絡ということですが、恐らく年内ということはないと思いますので、皆様、どうぞ良いお年をお迎えください。どうもありがとうございました。