第207回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会 議事録

日時

令和7年12月12日(金) 13:00~15:00

場所

厚生労働省 職業安定局第1会議室
(東京都千代田区霞が関1丁目2番2号 中央合同庁舎5号館12階)

議事

○中窪部会長 それでは、ただいまより第207回「雇用保険部会」を開催いたします。
 まず、事務局より委員の改選等について報告をお願いします。
○新堀調査官 初めに、委員の改選がございましたので、御紹介いたします。
 労働者代表として、サービスツーリズム産業労働組合連合会事務局長の石川聡一郎委員に御就任いただいております。本日所用のため御欠席ですが、一言御紹介させていただきました。
 このほか、本日の委員の出欠状況です。
 公益代表委員の風神委員、使用者代表委員の島本委員が所用のため御欠席となっております。
 また、使用者代表委員の平田委員が所用のため途中御退席、大臣官房審議官の古舘は別の公務のため途中退席となっております。
 以上です。
○中窪部会長 マスコミの方のカメラ撮影はここまでとさせていただきますので、御協力をよろしくお願いいたします。
 それでは、議事に入ります。まず、「雇用保険制度」のうち「財政運営について」です。
 資料1及び資料2について、事務局より御説明をお願いします。
○新堀調査官 財政ということで、資料1「財政運営(失業等給付・雇用保険二事業②)」、資料2「財政運営(育児休業給付②)」について、併せて約20分程度、御説明させていただきます。
 まず、資料1の失業等給付・二事業の説明に入る前に、口頭での導入です。前回の雇用保険部会で、令和6年度の決算額を踏まえた弾力倍率を提示し、失業等給付については、現行の弾力倍率を踏まえると、保険料率の引下げが可能な状況にあること等を説明させていただきました。
 その際、保険料率、雇用保険二事業から積立金への返還割合による違い、こういった様々な推計・試算を提示し、丁寧・慎重な議論や、バランスの取れた検討が必要といった御意見をいただいております。このため、今回、事務局で借入金の返還割合、保険料率について、幾つかの前提を置いた試算を御用意させていただきました。
 では、1ページの中身に入ります。失業等給付の令和8年度から13年度の収支見込みについて、幾つかのパターン分けをした試算を作成しています。
 まず、その試算の前提です。
 1の「雇用情勢の前提」ですが、1ポツ目、試算①として、令和8年度以降の基本手当の受給者実人員は、直近1年間、具体には令和6年11月から令和7年10月の平均値44.4万人をベースとし、実績ベースの試算をしています。
 2ポツ目ですけれども、令和6年の法改正によりまして、令和7年4月から、自己都合離職された方については、給付制限期間が2か月から1か月、リスキリングをされた方については給付制限解除という、給付制限の短縮措置を施行しています。これらの影響を踏まえた行動変容による受給者像も考慮して、受給者実人員47.2万人という、試算①と比べて高めの数値で試算した推計値につきましても、試算②としてお示ししております。
 2の「その他試算に当たっての前提」です。
 1ポツ目、収入については、令和7年度予算をベースとしています。
 2ポツ目、令和10年10月からの適用拡大など、令和6年法改正の影響も加味しています。
 次に支出です。
 1ポツ目ですが、失業等給付について、令和8年度以降は令和6年度決算をベースとしつつ、令和6年法改正の影響を加味しているというものです。※にありますとおり、令和10年10月施行の雇用保険の適用拡大により、新たに被保険者となる方、約500万人については、同年度中は基本手当の受給要件を満たしませんので、こちらによる支出増は令和11年度以降に反映するということで試算しております。
 2ポツ目、雇用保険二事業については、令和7年度以降は令和6年度決算をベースに「人への投資」、こちらは令和8年度まで、また、「こども未来戦略(加速化プラン)」、こちらは令和10年度までといった政府方針がありますので、これらによる支出も加味した試算としています。
 以上が試算の前提です。
 続きまして、2ページ目でございます。具体の試算となります。
 資料に入る前に、まず、また口頭で導入となります。令和6年度決算を踏まえた失業等給付の弾力倍率は2.69倍であり、2を超えている状況ですので、本則0.8%の保険料率を0.4%まで引き下げることが法律上可能ですが、財政状況を見据えた実現可能性も考慮し、保険料率を本則0.8%から0.1%刻みで下げ、0.7、0.6、0.5の3通りの試算をしています。
 また、失業等給付の収入を考慮するに当たっては、失業等給付の積立金から雇用保険二事業に貸し出した額について、二事業の剰余金を毎年積立金に返還するということ、剰余のうち2分の1を超えない範囲内で厚労大臣が財務大臣に協議して定める額を雇用安定資金に組入れ可能ということになっています。このため、二事業の剰余金の2分の1を積立金に組み入れた場合、全額を積立金に組み入れた場合の2通りの試算を今回示させていただいているため、料率の3パターンと合わせて、計6通りの試算の提示となります。
 では、中身に入ります。2ページ目の試算(1)は、雇用保険二事業の剰余金を2分の1積立金に組み入れ、本則0.8%から引き下げた0.7%の料率を維持した場合の試算です。
 上段の二事業の部分を御覧いただきますと、まず令和6年度の弾力倍率は0.54倍となっており、1.5を下回るため、料率の引下げはできないというのは前回の部会で御説明したとおりです。
 その上で、令和7年度のところ、収入は8100億、支出が6400億で、1700億円の剰余が発生する見込みです。令和8年度以降も一定の剰余が出る見込みということで試算をしています。その半額の残りが毎年度、安定資金残高に積み上がっていきますので、弾力倍率の部分、下から2番目ですけれども、上昇傾向が続き、令和12年度には弾力倍率が料率引下げの基準となる1.5を超えるということが分かります。
 一方、下段の失業等給付です。こちらは収入部分の令和7年度のところ、保険料率が前年度より0.1%下がっているため、収入は1.58兆円となっています。この料率0.7%を維持しますので、令和7年度の1.58兆円の収入が令和9年度まで続いていきます。その後、10年度途中の10月から適用拡大があり、被保険者数が増えるため、収入が増えていきます。支出は、令和7年度については予算ベースの試算のため1.51兆円、その後、8年度以降は令和6年度の実績をベースに試算しており、1.4兆円の支出が続きます。
 収支を見ていただきますと、令和7年度、差引剰余が800億、令和8年度は支出が減ることで差引剰余は1700億など、着実に剰余ありの状況が続いていきます。
 また、二事業からの組入れの部分ですが、剰余金を毎年、半額組み入れる前提ですので、その分だけ積立金の残高増に寄与します。したがって、差引剰余がプラス、二事業からの組入れもプラスですので、積立金残高の部分を見ていただきますと、令和7年度2.67兆円から右肩上がりに増えていき、弾力倍率は令和8年度2.84倍から令和13年度は4.40倍となる試算になっています。
 試算②については47.2万人ベースということで、支出が増える関係上、差引剰余、弾力倍率も試算①に比べ低めに出ていますけれども、弾力倍率が2を上回る状況が続くという傾向は変わりません。
 続きまして、3ページです。こちらは雇用保険二事業の剰余金を2分の1積立金に組み入れ、料率を本則0.8%から0.6%に引き下げた場合の試算です。
 上段の二事業の部分については、先ほどと同様ですので、割愛させていただきます。
 下段の失業等給付の部分を見ていただきますと、収入の部分、令和7年度は1.58兆ですが、0.7%からもう0.1%引き下げると令和8年度の収入は1.36兆円ということで、約2000億強の減収となります。その後、適用拡大により、10年度以降、収入増となっていきます。
 一方、収支の差引剰余を見ていただきますと、令和8年度以降は収入が支出を下回り、剰余はマイナスとなりますが、二事業からの組入れも収入としてカウントされますので、結果、収支はプラスとなり、積立金残高は、令和8年度2.7兆から右肩上がりで、令和13年度には3.29兆、弾力倍率も令和8年度2.42倍から上昇が続き、令和13年度に2.95倍となります。
 その下の試算②については、先ほどと同様、差引剰余、弾力倍率は試算①に比べまして若干低くなりますが、弾力倍率は2倍を超える水準が令和13年度まで続くと見込まれます。
 4ページです。こちらは雇用保険二事業の剰余金を2分の1積立金に組み入れ、料率を0.5%に引き下げた場合の試算です。
 こちらも同様、二事業は割愛させていただきます。
 下段の失業等給付のところですが、令和7年度の収入1.58兆円は、現状の0.7%からさらに0.2%料率を引き下げますと、令和8年度に1.14兆円ということで、約4000億の減収となります。収支の差引でいきますと、令和8年度、3000億ほどの単年度マイナスとなり、二事業からの組入れが900億ほどあってもマイナスとなるため、積立金残高は2.67兆円から2.48兆円まで減少します。弾力倍率は2.01倍、その後もマイナスが続き、令和9年度の弾力倍率は1.88倍と2を割り込むため、0.5%まで引き下げた保険料率は、法の規定に基づき、11年度に本則の0.8%まで引き上がることになります。このため、令和11年度の部分ですが、収入は適用拡大による効果、料率の本則復帰により7000億ほど増えています。その後、弾力倍率は3を超える水準となると見込まれています。
 試算②の場合、支出が多いため、差引剰余のマイナス額が①の試算よりも増える結果、弾力倍率が令和8年度の時点で既に2倍を下回ると見込まれます。
 続きまして、5ページです。雇用保険二事業の剰余金を全額、積立金に組入れ、保険料率を本則0.8から引き下げた0.7%の料率を維持した場合の試算です。
 上段の二事業の部分ですが、令和7年度剰余が1700億ありますが、それを全額積立金に組み入れる。その後も剰余が出た場合は、全額、失業等給付の積立金に組み入れていきますので、二事業の借入残高は2分の1返済の場合よりも早く減っていきます。他方、二事業の安定資金残高は1400億のままの状況が続き、借入残高がなくなる直前の令和11年度まで続きます。なお、12年度には剰余3100億のうち、借入れの返還に2700億、その残余の400億は残高に積み上がり、安定資金残高は1800億となります。この試算の場合、弾力倍率のところですが、引下げの基準となる1.5倍を下回る水準が続きます。
 下段の失業等給付を見ていただきますと、令和7年度の場合、失業等給付の差引剰余800億と二事業からの全額組入れの1700億を足した分が積立金にオンされます。この組入れが令和12年度まで続くため、積立金残高は大きく増加していき、令和7年度弾力倍率が2.45倍であったものが、令和13年度には4.88倍となります。試算②の受給者増を見込んだ固めの試算の場合であっても、着実に積立金残高は増え、弾力倍率が引き上がっていく傾向も同様です。
 6ページです。雇用保険二事業の剰余金を全額積立金に組入れ、保険料率を0.6%まで引き下げた場合の試算です。
 上段、二事業のところは割愛いたします。
 下段、失業等給付のところですが、料率の引下げにより、令和8年度収入は減り、収支はマイナスとなりますが、二事業からの組入れ1700億があることで、収支は黒字となり、積立金の残高は約1000億増え、2.87兆円となります。料率引下げで収入が落ちる分、先ほどの試算よりも弾力倍率は低めに出ますけれども、令和8年度2.59、令和13年度には3.43倍と、弾力倍率2倍を超える水準が続きます。
 試算②の場合であっても同様です。
 7ページです。7ページは、雇用保険二事業の剰余金を全額積立金に組入れ、保険料率を0.5%まで引き下げた場合の試算です。
 上段、二事業のところは同様のため、割愛いたします。
 下段、失業等給付の部分において、令和8年度の収入部分ですが、料率を引き下げた分、収入は前年度と比べて約4000億減少します。それにより差引剰余は2800億マイナスで、二事業からの組入れが1700億あってもマイナスとなるため、積立金残高は減少します。その後も同様です。13年度は二事業からの組入れがなくなることで、積立金は2.46兆となり、弾力倍率は2倍を割り込む1.98となり、保険料率を本則の0.8に引き上げないといけない状況となります。
 ②の固めの試算の場合、令和8年度時点で1.999倍と、2を下回る状況となります。
 以上、6パターンの試算をお示しさせていただきました。
 資料1の説明は以上です。
 続けて、資料2も説明させていただきます。資料2「財政運営(育児休業給付②)」について御説明いたします。
 1ページ目です。この資料におきましては、育児休業給付に関する試算ということで、令和8年度から13年度までの収支見込みについて試算をしています。
 青枠内の試算の前提です。
 収入については、1ポツ目、令和7年度予算をベースとしております。その際、育児休業給付は本則0.5%の料率であるところ、弾力倍率が1.2を上回った場合には、0.4%まで引き下げることができる法の規定となっていますので、弾力倍率が1.2を超えていれば、「あくまで機械的に」雇用保険料率を0.4%として計算しています。
 2ポツ目、令和10年10月施行の適用拡大につきましても、令和10年度以降、収入と支出の影響額を加味した上で試算をしています。
 続いて、支出です。
 1ポツ目、令和7年度予算をベースに、「こども未来戦略」におきまして、男性育休の取得促進の政府目標が定められているため、令和12年に85%という目標を定めていることを踏まえ、この目標を達成することを前提に試算をしています。
 2ポツ目、適用拡大も加味して試算をしています。
 以上を踏まえて試算をさせていただいたものが2ページ目となります。
 令和7年度につきましては、本則0.5%であるところ、料率は0.4%。収入9713億、支出9026億、差引剰余687億、資金残高は5431億で、弾力倍率は1.39となります。その後、令和8~9年度と男性の育休取得率の増加も見込み、支出は増え、差引剰余は減っていきますけれども、令和8年度は弾力倍率1.74、9年度1.56。令和10年度で支出が収入を上回り、収支はマイナス、その後も11年度、12年度とマイナスが続きますが、弾力倍率は、11年度は1.31、12年度は1.34と、料率引下げの基準となる1.2倍を上回っている状況です。他方、13年度には差引剰余がマイナス812億、資金残高は4321億、弾力倍率は1.14倍と、1.2を下回ります。
 育児休業給付の試算は以上です。
 以上、資料1・2を踏まえて、令和8年度の保険料率について、どのように考えるべきか、御議論いただければと思います。どうぞよろしくお願いします。
○中窪部会長 ありがとうございました。
 ただいまの説明につきまして、御質問、御意見がありましたらお願いいたします。いかがでしょうか。
 田上委員、お願いします。
○田上委員 全国中央会、田上でございます。
 今回、シミュレーションをお示しいただきまして、誠にありがとうございます。こちらのシミュレーションについてのコメントをさせていただければと思います。
 まず、失業等給付、雇用保険二事業の②でございますけれども、剰余金の2分の1を組み入れるのか全額を組み入れるのかというところを見比べてみますと、お示しいただいたシミュレーションを見て分かるところで申し上げますと、全額組入れをしますと、二事業のほうの弾力倍率がなかなか上がっていかないというところがはっきりしたかなと思いますので、こちらは不安があると受け止めたところでございます。
 それで、この点については、2分の1の組入れが望ましいと考えておりますけれども、その中で3つ、今回、シミュレーションをお示しいただきまして、基本的には弾力倍率に少し余裕があるというところを踏まえると、保険料率の引下げの方向でよろしいかなと改めて思ったわけですけれども、0.5まで下げてしまうと、途中、また0.8に上げないといけないというような、下げて、また上げないといけないという、少し変動が激しいこととなります。実際、本当に引き上げることが許されるのかというところも気がかりですので、0.5に引き下げるというのは難しい、望ましくないと受け止めました。
 それから、育児休業給付の②につきましては、こちらもシミュレーションありがとうございました。こちらのシミュレーションに関しては、弾力倍率を見据えて考えますと、こちらのシミュレーションどおりの0.4に引き下げる状態ということで問題ないと受け止めました。支出が後半、差引剰余がマイナスになっていくというところは気にはなるのですけれども、そのときの弾力倍率を見て判断していくことが妥当と考えております。
 以上でございます。
○中窪部会長 ありがとうございました。
 平田委員、お願いします。
○平田委員 財政状況の御説明ありがとうございました。
 まず、雇用安定資金の趣旨は、平常時に積み立てて、景気が悪化したときに取り崩して事業を行うことで、雇用対策の基盤であると考えますので、雇用保険事業の財政基盤は早期に強化すべきだ考えております。
 失業等給付に係る雇用保険料率は引下げが可能な財政状況にあると理解しました。
 今後、財政が悪化弾力条項が発動できない状況になれば、本則まで戻さなければならない制度だと認識しておりますので、足元の財政状況を見ながら、労使の保険料負担も下げつつ、中期的な視点から安定的な料率を維持していくことも重要だと考えております。
 失業等給付と育児休業等給付の今後を見据えた財政運営については、給付制限期間の短縮や適用拡大の影響、男性の育児休業取得率の上昇が財政に与える影響を丁寧に見極めて、検討していくべきだと思っております。
 以上です。
○中窪部会長 ありがとうございました。
 では、佐藤委員、お願いします。
○佐藤委員 ありがとうございます。
 はじめに、失業等給付に係る保険料率について、物価高、あるいは賃上げへの対応が求められている企業の足元の経営環境を踏まえますと、弾力条項を適用して料率を下げることが望ましいと考えます。他方、企業経営の観点から、保険料負担においては予見可能性を高めていくことも必要であると認識しております。
 また、二事業の財政につきましては、令和6年度から安定資金の積立てができるようになったものの、依然として残高は心もとない状況であると認識しております。不況時等における雇用の安定、能力開発に資する二事業財政の安定化に向け、引き続き積立ては必要と考えております。
 こうした点を踏まえまして、資料の3ページにお示しいただいております雇用保険二事業の剰余金2分の1繰り入れ、失業等給付の保険料率0.6%引下げの試算においては、少なくとも0.6%引き下げた上で、令和13年度までは料率を維持することが可能であり、二事業の弾力条項の適用についても、令和12年度から可能となる見通しが立っていることを踏まえまして、本案が妥当ではないかと現時点では考えております。
 続いて、育児休業給付の財政運営についてです。今回の試算においては、令和13年度まで料率0.4%を維持することが可能であると認識しております。一定程度、安定的な財政運営の見通しが立っていることから、少なくとも来年度においては0.4%の維持が妥当ではないか考えます。
 他方、資料にございますとおり、育児休業の取得者増を背景に、こちらの給付の支給額は年々増加しております。財政運営について、部会での議論のとおり、国庫負担が本則まで引き上げられたという経緯は理解しているものの今後も支給額増加が見込まれ、育児休業給付の目的が少子化対策などにも及んでいるという点を踏まえますと、0.4%の据え置きが可能な間に、国庫負担の割合の引上げを検討すべきであるということは、引き続き申し上げたいと考えております。
 よろしくお願いします。
○中窪部会長 ありがとうございました。
 冨髙委員、お願いします。
○冨髙委員 ありがとうございます。
 資料1の失業等給付と雇用保険二事業の財政運営について意見を申し上げたいと思います。
 まず、二事業の剰余金からの組入れについてですが、雇用安定資金に労働者が拠出した保険料を貸し出していること、また、積立金の額が失業等給付の保険料率に影響することを踏まえれば、早期に返済を終えることが重要と考えております。一方で、雇用保険二事業も労働者の雇用の安定と能力開発、スキルアップなどにおいて、重要な役割を担っているという側面を考えると、幾つかシミュレーションを示していただきましたが、剰余金からの組入れを2分の1とすることは、選択肢としては考え得るものと思います。
 その上で失業等給付の保険料率についてですが、先ほども御説明いただきましたように、本則が0.8で、今年度の料率は昨年の本部会での議論を踏まえて0.7に引下げ、そのうえで来年度さらに引下げるかどうかということとかと思いますが、雇用危機といった非常時に対応するためには安定的な財政運営が不可欠と考えております。一定の保険料率を保つことと、労使の保険料の負担感のバランスを見ながら、慎重に判断することが重要ではないかと考えております。
 以上です。
○中窪部会長 ありがとうございました。
 千葉委員、お願いします。
○千葉委員 育児休業給付に関して意見を申し上げたいと思います。試算においては、令和12年度まで弾力倍率が1.2を上回る状況が続くということを踏まえますと、保険料率を0.4%にすること自体に、特段の違和感はないと考えています。
 ただ、先ほど事務局の説明の中で、試算の前提として「こども未来戦略」における男性育休取得促進目標を加味したとございました。資金残高の減少が続くことを考えると、今後の男性の育休取得状況や、適用拡大の状況、また、以前から申し上げておりますけれども、育児休業給付が本来の雇用保険の趣旨を超える少子化対策としての要素が強いことに鑑みれば、育児休業給付の財政基盤の在り方を含め、毎年丁寧に検証を行った上で、仕事と育児の両立を求める労働者の声に十分に対応できるようにすることが重要だと考えています。
 以上でございます。
○中窪部会長 ありがとうございました。
 そのほか、いかがでしょうか。よろしいですか。
 それでは、事務局から何かございますか。
○堀雇用保険課長 ありがとうございました。
 今回、雇用保険財政ということで、財政運営に関するシミュレーションをお示ししたところでございますけれども、御指摘いただきましたように、安定的な財政運営と、他方で保険料負担の軽減ということも考える必要があるというふうに考えております。本日の御議論を踏まえまして、次回、雇用保険二事業の剰余の取扱いと令和8年度の保険料率について、事務局のほうで対応案をお示しし、御議論いただきたいと考えております。
 加えまして、佐藤委員と千葉委員からいただきました育児休業給付の財政の在り方は、引き続き今後の検討課題として受け止めさせていただければと思っております。
○中窪部会長 それでは、資料1及び資料2につきましては以上とさせていただきます。事務局におかれましては、本日、委員からいただいた意見を踏まえて、対応について御検討をお願いいたします。
 続きまして、「雇用保険制度」のうち、「広域求職活動費の見直しについて」、資料3について、事務局より説明をお願いします。
○新堀調査官 続いて、実務関係で、広域求職活動費の見直しについて御説明をさせていただきます。5分程度説明いたします。
 まず、1ページ目の冒頭の青枠内の制度趣旨となります。この広域求職活動費ですけれども、受給資格者等が求職活動を行うに当たっては、住居所の地域以外での就職を希望し、公共職業安定所の紹介により、遠隔地の求人事業所を訪問する場合に、交通費と宿泊料を支給することで求職活動を援助し、再就職の促進を図る制度として運用を実施しております。法律に支給根拠がありまして、その支給要件を省令に規定しています。
 その下の青枠内、主な支給要件として、①安定所の紹介により、遠隔地の求人に応募し、その事業所を訪問して面接すること。
 2つ目、本人の住所・居所を管轄する安定所と、訪問事業所を管轄する安定所との間の距離が往復200キロ以上であること。
 3つ目、訪問先の事業所から求職活動費が支給されない、またはその額が広域求職活動費の額に満たない場合に支給するとしています。
 支給内容の青枠内ですけれども、交通費として、鉄道賃、船賃、航空賃、車賃を支給。宿泊料を支給するという制度になっています。
 2ページ目、お開きください。
 まず、現状の部分です。口頭で少し補足させていただきます。本年3月の雇用保険部会において、一般職の公務員の給与に関する法律における級地区分の見直しの関係で、この広域求職活動費の見直しについて報告をさせていただきましたが、その後の検討課題等を把握するため、広域求職活動費の支給状況に係る集計調査を行いました。その概要が現状部分です。
 1ポツ目、直近の支給データ(令和2年から令和7年)に基づくと、1人当たりの基本手当受給期間における広域求職活動費の平均受給回数は1.6回であり、受給回数が3回以下の者が約96%を占めるということが分かっています。
 参考資料に少し触れさせていただきますが、4ページをお開きください。広域求職活動費の支給状況です。令和6年度受給者数は3981人、支給金額は約1.8億となっています。
 次の5ページを御覧ください。受給回数別の受給資格者数と割合です。1回の方が77.8%、2回以下まで含めますと92.2、3回以下まで含めると96.2%となっております。
 2ページ目にお戻りいただきまして、現状の2ポツ目のところですけれども、この制度、現状、受給回数に制限がないということでして、受給回数が多い者の中には、面接態度の不良による不採用や採用辞退、内定辞退を繰り返すことなどによって、広域求職活動費を繰り返し受給するという事案が見られました。
 このため、今回、以下のとおり、適正支給の観点も踏まえて、制度見直しをしてはどうかという御提案をさせていただいております。
 ページ下部の見直しの概要です。
 先ほど御紹介した調査の結果も踏まえ、対象者に対して、少なくとも3回の広域求職活動費の支給を可能としてはどうかというものです。
 その際、就職困難者については、その事情にも配慮し、以下のとおり所定給付日数を30で除した数を、1つの受給資格における受給回数の上限としてはどうかというものです。具体的には、1ポツの括弧内にありますとおり、一般の離職者の場合には3回から5回、倒産・解雇等による離職の場合、3回から11回、就職困難な者の場合、5回から12回とするものです。
 また、ページが飛んで恐縮ですけれども、参考の7ページを御覧いただければと思います。7ページに基本手当の所定給付日数を整理した資料を入れておりますが、これらの日数を30で割ったものが、今、御説明した回数の上限となるというような御提案でございます。
 恐縮ですが、またページ、戻っていただきまして、2ページの見直し概要の1ポツ目の※の部分です。難病をお持ちの方、震災等があった場合には、基本手当の受給日数を延ばす、個別延長給付などがありますが、その対象になる場合には、その分だけ支給回数を増やすという対応も行うことで、対象者の状況に応じた支給回数を設定することを考えております。
 最後に、2ポツ目ですけれども、この対応は省令改正を行うことになりますが、今回御説明させていただいた方向で了承が得られましたら、3~4か月程度の周知期間をしっかりと設けた上で、令和8年8月を目指して施行するというスケジュール感で、改めて来年の部会で省令の要綱案をお示しし、職業安定分科会でもお諮りすることを考えております。
 説明は以上です。
○中窪部会長 ありがとうございました。
 ただいまの説明につきまして、御質問、御意見がありましたらお願いいたします。
 田上委員、お願いします。
○田上委員 全国中央会、田上です。御説明ありがとうございました。
 今回の見直しにつきましては、例えば辞退を繰り返すとか、そういった悪い利用を制限するというところが目的にあると受け止めたのですけれども、当然、見直しの後も、そういった不正といいますか、悪意のある受給に対する注意を払うというところは継続されると思いますので、そこの確認をさせていただければと思います。
 以上です。
○中窪部会長 ありがとうございます。
 
 古賀委員、お願いします。
○古賀委員 ありがとうございます。
 御説明ありがとうございました。資料3の2ページ、見直しの概要の記載内容につきましては、これまでの運用の実態を踏まえつつ、その上で、倒産や解雇などによる離職者や就職困難者などにも配慮した内容と受け止めております。方向性としてはおおむね理解しております。
 施行に向けましては、先ほどの御説明にもあったとおり、3~4か月程度の周知期間を置くということですが、十分な周知期間を取っていただきたいと思いますし、また、求職者に対し丁寧な周知をお願いしたいと思っております。
 加えて、より早期に就職に結びつくよう、ハローワークにおけるマッチング機能の強化にも一層取り組んでいただきたいと考えております。
 以上でございます。
○中窪部会長 ありがとうございました。
 そのほか、いかがでしょうか。よろしいですか。
 それでは、事務局から。
○堀雇用保険課長 ありがとうございました。
 この広域求職活動費につきまして、例えばUIJターンとか希望の職種が近場にないといったことで遠隔地での就職を希望するといった場合など、様々な事情で御活用いただいているものと考えております。今回、所定給付日数に応じた受給回数の制限を行うこととしておりますけれども、特に就職困難な方に対しましては、今、古賀委員からもおっしゃったとおり、ハローワークにおいて、本人の事情や希望を踏まえた、いわゆる適格紹介を行うとともに、きめ細やかな個別相談、面接の受け方や応募書類のつくり方など、丁寧な対応を行って就職に結びつくようにしてまいりたいと考えております。
 また、しっかり丁寧な周知をということで、3~4か月程度と考えておりますけれども周知期間を置いて施行することとしておりますし、田上委員からありましたように、施行後も今回の見直しの影響などもしっかり把握するようにして、適正な御利用をしていただけるようにしてまいりたいと考えております。
 以上です。
○中窪部会長 よろしいですか。
 では、ほかになければ、資料3につきましては以上とさせていただきます。
 事務局におかれましては、本日、委員からいただきました意見を踏まえて、対応について御検討をお願いいたします。
 続きまして、「雇用保険二事業について」ということで、資料4及び資料5について事務局より説明をお願いいたします。
○中江雇用保険課長補佐 事務局でございます。
 雇用保険二事業について、5分程度御報告をさせていただきます。
 まず、資料4「雇用保険二事業について」を御覧ください。資料の御説明に入る前に、まず、雇用保険二事業につきましては、事業主の方から拠出いただいている保険料を基に運営しておりまして、それぞれの事業についてPDCAサイクルによる管理を実施しているところであります。具体的には、毎年度、前年度の目標の達成状況や執行状況を踏まえた評価を行い、当該年度の目標設定を行うとともに、こうした評価を踏まえて翌年度の概算要求を行っております。
 1ページ目を御覧ください。雇用保険二事業関係の収支状況でございます。一番右、令和8年度概算要求では、収入0.81兆円、支出として0.64兆円、差引剰余0.18兆円という形で想定しております。
 2ページ目です。先ほど申し上げたとおり、令和8年度概算要求では、雇用保険二事業関係予算として、昨年度とおおむね同額となる0.64兆円、具体的には6369億円を要求しているところです。従来、二事業について12の政策分野に便宜的に分類して、その内訳をお示ししているところ、本ページから4ページまでにかけては、こうした政策分野別の予算額と、その分野の代表的な事業として予算額が多い二事業を整理したものです。
 2ページ目において記載しておりますとおり、①求人・求職マッチング促進等として276億円、②地域雇用対策等として209億円、以下、詳細は割愛いたしますが、12の分野ごとに概算要求額と増減額を記載しております。
 5ページ目を御覧ください。従来、二事業について、政策手法別でも便宜的に各事業を分類して、その内訳をお示ししているところ、次のページにかけて、当該手法別の予算額と、その手法に係る代表的な事業として予算額が多い二事業を整理しています。
 複数の類型に該当する事業については、1つの類型に絞らず複数の類型に分類することとしておりまして、必ずしも類型別の合計額は二事業全体の額に一致しませんが、それぞれ、1つ目、直接的な雇用創出効果が見込まれる「雇用創出型」として2238億円。2つ目、直接的な雇用維持効果が見込まれる「雇用維持型」として1820億円。3つ目、マッチング対策として効果が見込まれる「就職支援型」として1217億円。4つ目、職業訓練による能力開発が見込まれる「能力開発型」として2619億円。5つ目、雇用問題の環境整備を図る「環境整備型」として1966億円となっております。
 以上が雇用保険二事業関係予算の全体像でございますが、7ページ以降、冒頭に申し上げた目標管理サイクルに係る資料や、令和6年度事業評価・令和7年度目標設定の概要、令和6年度評価の令和8年度概算要求への反映状況に係る資料を参考資料としてつけさせていただいております。
 資料4については以上でございます。
 続いて、資料5「雇用保険二事業に基づく助成金の効果検証を踏まえた令和8年度概算要求における対応」を御覧ください。
 まず、6ページ目を御覧ください。雇用関係助成金については、昨年12月の雇用保険部会でも御報告したとおり、効果検証の取組を強化するため、3つのグループに分け、3年計画で順次、詳細なヒアリングを実施し、必要な見直しを行うこととしております。
 1ページ目にお戻りください。先ほど申し上げた方針にのっとって、令和8年度概算要求に向けて、雇入れ関係の6助成金・17コースについて詳細なヒアリングを実施し、見直し方針案を取りまとめたところです。こうした方針等を踏まえ、執行実績が低調な「特定求職者雇用開発助成金(成長分野等人材確保・育成コース)」、「早期再就職支援等助成金(UIJターンコース)」を廃止するとともに、「早期再就職支援等助成金(中途採用拡大コース)」について、賃金の上昇や生産性の向上を促す観点から、抜本的な見直しを行いました。
 詳細な説明は割愛いたしますが、2ページ目以降に見直し内容の詳細をつけさせていただいております。令和9年度以降の概算要求等に向けても取組を着実に実施し、不断の効果検証や見直しを進めてまいります。
 事務局からの説明・御報告は以上でございます。
○中窪部会長 ありがとうございました。
 それでは、本件につきまして、御質問、御意見がありましたらお願いいたします。
 奥委員、お願いします。
○奥委員 ありがとうございます。
 御説明ありがとうございました。
 御説明にはなかったのですが、資料4の参考資料についてです。
 11ページ目に令和6年度の事業評価において、a・b評価が増加している点につきましては、厚労省を中心に丁寧な周知・支援に取り組んでいただいた成果と受け止めております。
 また、12ページの懇談会における指摘事項の1つ目の○にもありますとおり、a・b評価も含めましてPDCAを回し、厚生労働行政をより充実させることで、誰もが働きやすい環境整備に一層努めていただきたいと考えております。
 その上で、資料4の20ページ、障害者に係るハローワークのマッチング機能の充実・強化について発言したいと思っています。支援対象企業数の増加などを理由に、令和6年度は目標未達となっております。その結果を踏まえ、令和8年度概算要求では、支援対象企業数の増加や障害者雇用の経験がない事業者を支援対象として、コーディネーター数の維持を前提とした要求になっておりますが、現状の維持ではなく、体制の強化が必要ではないでしょうか。厚生労働省には、障害者の雇用の促進と安定に向けて、ハローワークの体制強化と十分な予算確保に御尽力いただきたいと考えております。
 以上でございます。
○中窪部会長 ありがとうございました。
 そのほか、いかがでしょうか。よろしいですか。
 何か今のことについて事務局から。
○堀雇用保険課長 ありがとうございました。
 今回、令和8年度においては、このコーディネーター数については維持ということになっております。御指摘も踏まえまして、引き続き、今後のハローワークにおける障害者支援について検討していきたいと思っております。
○中窪部会長 それでは、資料4及び資料5につきましては以上とさせていただきます。
 本日予定されていました議題は以上ですので、本日の部会はこれで終了といたします。
 委員の皆様におかれましては、お忙しい中、どうもありがとうございました。