薬事審議会血液事業部会令和7年度第2回安全技術調査会議事録

日時

令和8年1月14日(水)17:00~18:00

場所

Web併用形式
厚生労働省 共用第8会議室

出席者

出席委員(8名):五十音順、敬称略 
  • 朝比奈 靖浩
  • 天野 景裕
  • 池田 和彦
  • 石井 明子
  • 瀬尾 幸子
  • 玉井 佳子
  • 水上 拓郎
  • 脇田 隆字
欠席委員:敬称略
  • 大隈 和
宇都宮市保健所:敬称略
  • 中村 好一
日本赤十字社:敬称略
  • 谷 慶彦
  • 後藤 直子
事務局:
  • 岩崎 容子(血液対策課長)
  • 金子 健太郎(血液対策課長補佐)
  • 源 周治(血液対策課長補佐)
  • 東 雄一郎(血液対策課長補佐兼医薬安全対策課次世代医療品等安全対策専門官)
  • 菅井 波名(医薬品審査管理課 審査調整官)

議題

  1. 変異型クロイツフェルト・ヤコブ病に係る献血制限について
  2. その他

配布資料

資料ページをご参照ください。

議事内容

○源血液対策課長補佐 定刻となりましたので、「薬事審議会血液事業部会令和7年度第2回安全技術調査会」を開催いたします。本日はお忙しい中、御参集いただき誠にありがとうございます。この度は、御参加いただく方の利便性等の観点から、Web併用での審議とさせていただきます。また、本日の会議は公開で行いますが、カメラ撮りは議事に入るまでとさせていただきます。マスコミ関係者の方々におかれましては、御理解と御協力をお願いいたします。
 はじめに、本調査会委員でありました荒戸委員ですが、昨年10月2日に御逝去されましたことを御報告いたします。荒戸委員におかれましては、平成29年の安全技術調査会からの委員として御就任され、薬学・生化学の専門家の視点から貴重な御意見を頂くなど、血液事業について多大なる御尽力を頂きました。心より御冥福をお祈りいたします。
 次に、本日の委員の御出席状況ですが、大隅委員より御欠席との御連絡を頂いております。したがいまして、現時点での安全技術調査会委員9名中8名に御出席いただいていることを御報告いたします。なお、本日の会議では、御欠席の大隅座長に代わり、座長代理の水上委員に議事の進行をお願いいたします。
 また、本日は参考人として、宇都宮市保健所より、中村好一所長に御出席いただいております。加えまして、日本赤十字社血液事業本部より、谷血液事業経営会議委員、後藤技術部次長に御出席いただいております。
 さらに、議題2の報告事項の説明のため、医薬局医薬品審査管理課より、菅井審査調整官が出席しております。どうぞよろしくお願いいたします。
 続きまして、全ての委員の皆様より、今回の議題について「薬事審議会規程第11条」に適合している旨を御申告いただいておりますので御報告させていただきます。また、薬事審議会参加規程に基づいて、各委員の利益相反の確認を行いましたところ、対象年度における寄附金、契約金等の受取の実績なし、又は50万円以下の受取であることから、特段の措置はございません。これらの申告についてはホームページで公開させていただきます。委員の皆様には会議開催の都度、書面を御提出いただいており、御負担をお掛けしておりますが、引き続き御理解、御協力を賜りますよう、何とぞよろしくお願い申し上げます。
 議事に入る前に、会議にお越しいただいている委員の皆様におかれましては、本日の資料の確認をお願いします。タブレット上に、「1 議事次第」から「12 参考資料2」までのPDFファイルが表示されているか御確認をお願いします。ファイルが表示されていない場合や不足がある場合には、お近くの職員にお声掛けください。
 本日はWeb併用での審議のため、対面での進行と一部異なる部分がありますので、審議の進行方法について御説明をさせていただきます。審議中に御意見、御質問をされたい委員におかれましては、まず、挙手等により、発言したい旨をお示しいただきますようお願いいたします。その後、座長から順に発言者を御指名いただきます。御発言いただく際は、マイクがミュートになっていないことを御確認の上、御自身のお名前を明示し、御発言ください。また、ノイズを減らすため、御発言が終わりましたらマイクをミュートにしていただきますようお願いいたします。間もなく議事に入りますので、カメラ撮影はここまででお願いいたします。
 以降の進行を、水上座長代理にお願いいたします。
○水上座長代理 はい、ありがとうございます。冒頭、事務局から御紹介ございましたように、本日議事進行を担当する座長代理の水上でございます。よろしくお願いいたします。
 まず最初に、事務局から報告がありましたが、荒戸委員が残念ながら御逝去されました。荒戸委員には、長い間、当調査会においていろいろな御意見を頂きまして、多大なる貢献をなされました。ここで故人をしのび、黙祷をささげたいと思います。よろしいでしょうか。
○源血液対策課長補佐 それでは皆様、荒戸委員の御冥福をお祈りし、黙祷をささげます。会場の方は御起立願います。黙祷。
                                     (黙祷)
○源血液対策課長補佐 黙祷終わります。会場の方は御着席ください。ありがとうございました。
○水上座長代理 議事に入ります。議題1、変異型クロイツフェルト・ヤコブ病に係る献血制限について、事務局、日本赤十字社及び中村参考人から、資料の説明をお願いいたします。まずは、資料1-1「変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)に係る献血制限の見直しについて」、事務局より経緯の説明をお願いいたします。
○源血液対策課長補佐 事務局です。資料1-1の1.変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)に係る献血制限の見直しに至る経緯について御説明いたします。我が国におけるvCJDに係る献血制限は、昭和60年代以降に英国を中心として発生した牛海綿状脳症(BSE)の流行を受け、平成11年9月24日の血液事業部会安全技術調査会における議論を踏まえ、1980年から1996年の英国長期(6か月以上)滞在者を対象として開始されました。その後も欧州におけるBSEの発生状況等を踏まえ、段階的に強化されました。平成17年2月4日には、国内初のvCJD症例が確認され、対象となる英国滞在期間の短縮やヒト胎盤エキス(プラセンタ)注射剤使用歴の追加等の更なる強化が実施されましたが、その後、国内外でのvCJDの発生の減少及び諸外国での献血制限状況等に鑑み、平成21年12月10日の血液事業部会運営委員会において1980年から1996年の英国滞在歴の要件を「1日以上」から「1か月以上」へ緩和いたしました。
 諸外国においては、令和3年以降、英国では国内で採取された血漿の分画製剤原料としての使用が段階的に解禁され、令和4年には米国及び豪州が輸血によるvCJD感染のリスク評価に基づき、欧州滞在歴による献血制限を全面的に撤廃されました。その後、オランダやドイツをはじめとする欧州域内でもこれを追従する動きが広がっていました。
 このような状況の中、令和5年11月20日に開催された血液事業部会安全技術調査会において、近年のvCJDの発生状況や各国における規制緩和等を踏まえ、国内でのvCJDに係る献血制限の見直しに向けたリスク評価の再実施が提言され、検討を行うこととなりました。
 続いて、このvCJDの感染発生状況や各国における現行の献血制限等の情報について、資料1-2を用いて、日本赤十字社から補足説明を頂きます。
○日本赤十字社血液事業本部後藤技術部次長 日赤の後藤より、変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)に係る問診項目について、これまでの検討経緯、大まかな該当人数、受入れに当たっての準備等について御説明いたします。
 資料1-2の2枚目を御覧ください。最初に、vCJDの状況について、世界のvCJD発生数の推移のデータをお示ししました。1995年の英国を皮切りに、主に欧州各国で確認された事例が相次ぎましたが、安全対策の実施により、2000年代以降は減少に転じ、現在は発生がほとんどなくなっております。2020年以降のデータも見ましたが、vCJDの国際サーベイランスに報告された事例はないということでした。
 3枚目を御覧ください。vCJDの原因とされたBSEの発生についても、農水省のデータからですが、現状では全世界で年間10件以下、特にここ数年は年間数件の発生という状況です。2017年には日本国内の健康な牛のBSE全数検査が廃止されております。
 4枚目を御覧ください。欧州滞在歴・プラセンタ等の使用歴による献血延期の措置について、これまでの検討や該当人数の推測値について御説明いたします。
 次(5枚目)を御覧ください。こちらが欧州等滞在歴による献血制限の表となります。英国については1980年から2004年までの間、96年までは通算31日以上、97年以降は通算6か月以上の滞在で献血制限の対象となっています。そのほかの地域は時期はそれぞれですが、アイルランドやサウジアラビア等は通算6か月以上、ほかは通算5年以上の滞在が対象となっています。この基準は平成22年以降、適用されています。
 次(6枚目)をお願いします。2023年秋の安全技術調査会でも御報告しましたが、2025年現在の状況、諸外国の基準の状況は、アメリカ、カナダ、ドイツ、オーストラリアでは、地域的なvCJD感染リスク、滞在歴による献血制限は廃止されています。また、2023年にECDCから英国滞在歴がある献血者のvCJDについて、公衆衛生ガイダンスが発出されました。この中では、米国とオーストラリアが英国滞在歴のある献血者への制限を解除したことを受け、欧州委員会がEUでの同様の制限の見直しをECDCに要請しました。数理モデルからはvCJDの伝播リスクは非常に低いと評価され、モデルに不確実性はあるものの、利益とのバランスで容認可能と判断されました。EU各国は、献血延期となっている者について国ごとの差異を考慮した上でリスクを比較検討可能であり、ECDCは新設するSoHOネットワークを通じて、各国の意思決定を支援するとされております。オランダやドイツはvCJDに係る献血制限を撤廃しました。また、昨日1月13日の日付で、スイスも撤廃するという通知が出ておりました。
 次(7枚目)を御覧ください。これまでの議論のまとめとなります。日本は国内でvCJDに感染した例はないことから、主たる感染リスクは流行国での滞在歴となります。英国はリスク評価に基づき、自国で採血した血漿製剤の小児への使用禁止措置を撤廃し、また、血漿分画製剤の原料としての利用を再開しました。オーストラリアはリスク評価に基づき、英国滞在歴による献血制限を撤廃しました。米国は自国でのvCJDの感染事例はなく、英国のリスク評価をもとに地理的なvCJD感染リスクに基づく献血制限を撤廃しました。ドイツ、オランダ、カナダも本件の状況アセスメントから英国滞在歴による献血制限を撤廃しました。
 日本ではvCJD関連の献血制限は、2009年の国の通知以降、一度も見直しはされていないのですが、国内で感染したvCJDの事例がないため、国内のリスク評価は難しい状況であります。日本は米国と同様に、「vCJDの症例数は以前に予測されていたよりもはるかに少なく、将来の症例数も低いままである」「血液製剤によるvCJDの伝播リスクは、受血者が将来vCJDを発生するリスクを増加させない、または最小限である」という英国のリスク評価をもとに、英国等のvCJD発生国の滞在歴による献血制限の撤廃が可能と考えましたが、2023年の安全技術調査会で頂いた御意見を受けて、日本国内の評価も別に行いました。
 8枚目を御覧ください。欧州渡航歴・プラセンタ使用に該当する献血希望者の方がどのくらいいるかを社内で調べてみました。過去5年でそれぞれの問診項目に該当するとして、献血をお断りすることになってしまった人数をお示ししております。資料では年数が抜けていますが、2019年から2021年といったところの数字とお考えいただければと思います。プラセンタ使用、英国渡航歴、欧州渡航歴合わせて年間1,000人以上が該当していることが分かりました。対象者は過去に遡ると更に多くなると推測され、該当者は献血できない状態が永年続いておりますので、この基準を撤廃するに当たっては、しっかりと情報提供をすることが重要になると考えております。
 次(9枚目)をお願いします。ハイリスク期、この英国渡航歴の通算31日以上に該当する人がどれぐらいいるかについては、中村先生の推計から算出してみました。最もリスクが高い1980年から1996年の時期に1か月・31日以上英国に滞在した日本人の数、それから国民の献血率からは、このハイリスク期の滞在者、つまり問診17に該当する人数としては最大見積もって4,000人を超える程度になると推計されました。
 10枚目を御覧ください。滞在歴等の該当献血者の受入れに向けた方策について御説明いたします。次をお願いします。vCJD関連の問診項目変更に伴う必要作業等をまとめました。vCJDの問診に係る国の関連通知が廃止されるということが前提となります。そして日本赤十字社では、血液事業の情報システムにおける該当問診項目の削除に係るシステム改修に取り掛かります。しかしながら、情報システムの改修を待つ間にもvCJDの関連項目に該当する献血者を受入れ可能とするために、対応手順の作成と職員への教育訓練等を実施し、準備を進めてまいります。また、原料血漿も同様の問診項目が適用されておりますので、血漿分画製剤メーカー等への情報共有も必要となります。そして、この大きな変更に関して、国民に対する国や日赤からの適切な情報提供を実施することが必要ですし、実施するように計画してまいります。vCJD関連の問診項目に該当される方の献血受入れについては、令和8年秋頃の開始を目途に様々な準備を取り進めてまいります。この先のページにつきましては、過去の安全技術調査会の資料をもとにした参考資料となりますので、私からの説明は以上といたします。ありがとうございました。
○源血液対策課長補佐 ありがとうございます。事務局です。資料1-1に戻ります。資料1-1の2.厚労科研における検討の概要について御説明いたします。厚生労働科学研究班(令和5~6年度「安全な血液製剤の安定供給に資する適切な採血事業体制の構築のための研究」(代表 大隈和 関西医科大学教授))における検討の概要となります。
 米国食品医薬品局(FDA)及びオーストラリア保健省薬品・医薬品行政局(TGA)が実施した数理モデルによる輸血由来vCJD感染リスク評価の手法を踏まえ、日本独自の数理モデルを用いたリスク評価が実施されました。具体的には、英国においてはBSE流行に伴うvCJD発生リスクが高かった1980年から1996年までの17年間に、1か月以上英国に滞在した日本人の献血を起点としたvCJD感染リスクを推計し、現行の欧州等滞在歴に基づく献血制限が国内のvCJD患者発生に与える影響について検証が行われました。
 最大リスクを想定した条件下を含む複数のシナリオにおいて評価が行われた結果、時間の経過と共にvCJD感染リスクが低減していくことも併せて考えると、現行の英国滞在歴に基づく献血制限を撤廃した場合であっても、これによってvCJD患者数が増加することはないと結論付けられました。
 続いて、この研究班におけるvCJD感染リスクに関する推計について、中村参考人より投影スライドに合わせて補足説明を頂きます。それでは、中村参考人より説明をお願いいたします。
○宇都宮市保健所中村参考人 それでは、スライドを使って御説明させていただきます。研究課題は、そこにあるように、英国渡航歴のある者の献血から変異型クロイツフェルト・ヤコブ病が感染するリスクに関する推計ということです。
 次のスライドをお願いいたします。利益相反開示ですが、これは先ほど説明がありましたように、研究班の事業として行いましたが、研究費は頂いておりません。私は以前、厚生労働省の研究費でプリオン病の疫学研究を実施しておりましたが、今は行っておりません。
 次をお願いいたします。現状については、先ほど説明がありましたが、献血年齢は16~69歳、これは今さら説明するまでもありませんが、1980年から1996年までの17年間に英国に1か月以上滞在歴がある者は、問診の段階で除外されるということになっております。そういう中で、実際に除外されるべき人間がどれだけいるのかということが分からないのが現状です。
 それから、もう1つの前提として、2024年時点までのリスク評価になっていますが、その後については、リスクは当然低下してきます。2点、理由がありますが、1つは、1980年から1996年までの間に英国滞在歴がある者ということで、固定された集団ですので、この集団は時間がたつとともに年を取ってまいりまして、当然、死亡する方が出てきますし、あるいは年齢が高齢化して献血ができなくなってくる。それからもう1つ、実際には出ていないのですが、英国滞在歴がある者から変異型クロイツフェルト・ヤコブ病が発症したときには、自動的にそれは献血から除外されることになります。
 それから、もう1点ありますが、変異型だけではなく、プリオン病については、プリオンタンパク遺伝子とコドン129、これはメチオニンかバリンでできているのですが、これがホモかヘテロかで病状がいろいろと違ってきます。これについての考慮がなかなか難しいというところもありますが、幸いという言い方がいいかどうか分かりませんが、日本人は97%程度が、ほとんど全てがメチオニンのホモです。そういったことも考えながらということでした。
 次をお願いいたします。アメリカ、オーストラリアでのリスクの推計について先ほど御紹介がありましたが、問題点があります。死亡による探知しか行っておらず、発症ではありません。そういう意味で、vCJDなどは潜伏期間が明確ではない。したがって、英国における虫垂とか扁桃の標本から推計した有病率とか、仮説を積み上げた上での潜伏期間の推計の値をもとにリスクの評価を行っているという、突っ込みどころがある推計です。
 次をお願いいたします。我が国では1999年から、プリオン病のサーベイランスと称していますが、実際はこれは登録です。これがずっと行われていまして、今まで変異型クロイツフェルト・ヤコブ病1例しか報告はありません。この方は1990年4月に2週間ほど英国に滞在して、2001年の6月に発症、潜伏期間は11年2か月です。輸血歴、献血歴はありません。それから、157例の硬膜移植歴があるクロイツフェルト・ヤコブ病の情報がありまして、潜伏期間が、そこにありますように平均169か月、最長が40年近くということが明らかになっています。サーベイランスを行っているために、vCJDの確実な把握、臨床的に疑われた場合には英国の渡航歴などを調査しておりますし、輸血歴がある場合には病型など詳細な検討を行っております。その結果、1例ということです。
 次をお願いいたします。まず、問題点として何をやらなければいけないかです。1980年から1996年に英国に1か月以上滞在した者が何人いたのかということを推計しなければいけないということです。
 次をお願いいたします。実は、これは直接出す資料はありません。もとになった資料として、こういうのが使えるのかなというので出したのが法務省の出入国管理統計です。1つは、「渡航先別出国日本人の渡航目的」、これは残念ながら帰国日本人ではありません。もう1つは「滞在期間別帰国日本人の渡航目的」、これは帰国日本人です。これが1980年から1996年までのものです。全てありますので、まずこのデータを集めました。渡航先別出国日本人の渡航目的は、そこにありますようにいろいろあるのですが、年によって若干表記が異なりますが、基本的には同じと考えて結構だと思います。
 次をお願いいたします。これを用いまして、滞在期間別帰国日本人の渡航目的より、渡航目的別に1か月以上滞在歴がある帰国者の人数を年次ごとに求めます。「渡航目的別に1か月以上滞在歴がある者」に「英国への出国割合」を乗じた数を「渡航目的別英国滞在歴1か月以上の帰国者数」としました。この数字を、17年間の渡航目的全ての合計を出したものを「英国1か月以上の帰国者の延べ人数推計値」とします。これは延べ人数ですので、重複した方がいらっしゃいます。重複率を0~80%まで20%区切りで検討して実人数の推計値を求めました。この場合、重複率0%というのがリスクの最大の評価になります。「実人数の推計値」に「英国でのvCJD推定有病率の人口100万人当たり493人」を乗じた数値を「vCJD感染推定数」としました。
 次をお願いいたします。この英国の感染者の有病率ですが、2つ数値があります。残っていた切除虫垂標本から実際に感染したかどうかを、ものすごく膨大な量ですが、2つの期間にわたって調べています。1万2,000サンプルのうちの3例、それから、3万2,400サンプル中の16例、こちらのほうが有病率が高い。人口100万対493という数字が出てきます。こちらのほうを高いリスクと推計されるということで用いました。
 次をお願いいたします。潜伏期間について、3つの潜伏期間の推計方法があります。1つは15年という数値です。これは米国のリスク評価で用いたコドン129ホモの潜伏期間ですが、このような数字です。もう1つ、次が我が国唯一のvCJDの患者の潜伏期間、これは先ほど申し上げましたように、11年2か月と考えています。それから、もう1つあるのが、硬膜移植歴があるクロイツフェルト・ヤコブ病の潜伏期間の平均が146か月。この3つの数字がありますが、これらの潜伏期間を用いずに全期間全ての推計を行い、リスクを最大で見積もっております。
 次をお願いいたします。実際に問題の17年間に英国に1か月以上滞在したと推定される実人数に英国での感染割合を乗じた数字というのを出しますと、感染割合が0.64474%、細かな数字まで出して申し訳ないですが、というのが推計されます。
 次をお願いいたします。これを、実際に英国滞在者で感染推定人数にvCJDの発症割合を乗じた数字を実際の感染者数の推定値とします。そのうちの10%が供血を行ったと仮定します。全期間で考えるので、推計リスクは最大になります。それから、2023年の供血者、延べ344万人、これは日本赤十字社のデータですが、これを2020年の国勢調査人口の15~69歳で割りますと、5.94%。すなわち、重複を含めて該当年齢の人口の5.94%が献血をしているということが推定されます。感染者の供血を輸血された患者の感染確率が100%、これも最大リスク評価ですが、行って、この前提で輸血者からvCJD発症期待値を求めて、ポアソン分布を仮定して、患者数が0人、1人の確率を計算し、これを基にリスク評価を行いました。
 次をお願いいたします。17年間の英国滞在歴1か月以上の推計者数が約7万人弱、これは重複を含んでいます。vCJD感染者数が、この中で、先ほどの英国の数字を掛け合わせますと、約34人ということになります。この34人、供血者の延べ人数がこういう形になりますので、このうちの献血者が何人いたかということを推定したのが下の表です。表側の5.94というのは実際の数字、それから最大見積もって10%、リピータの割合ゼロというのが0%、80%というのが、これは多過ぎかもしれませんが、こういう形になります。それで、実際に何人供血したかという数字がそこに出ております。
 次をお願いいたします。これが最終的な結果です。献血者の割合が5.94%と、もっと多かった10%と見て、それからリピータの割合を0~80%までずらしたときに供血者数の感染者数1人以下の確率を見ますと、このような形で、通常用いられている有意水準0.05を1人以下は全て超えております。感染者が0人の所で、献血者割合が10%、英国の渡航歴のリピータの割合が0%の所が0.033430ということで、ここだけ0.05を切っておりますが、ほかの所は切っていません。ここの数字は非常に高くリスクを見積もった、ある意味ではあり得ないような数字ですが、ここだけ有意に出ているということです。
 次をお願いいたします。ということで考察です。今まで述べてきましたように、リスクを最大に見積もっています。そういった中で実際にどうなったかというのがこの前のスライドでした。次をお願いいたします。統計学的に有意に感染者数が少なかったというのが出たのが、先ほど言ったように、非常にありそうもないような想定、供血者が10%、英国リピータの割合が0%、感染者が0人という所のみでした。次をお願いいたします。繰り返しになりますが、全ての推計がリスクを最大に見積もったものでして、実際はこれよりもっとリスクは小さいものだと考えております。
 次をお願いいたします。こういった中で、一部、先ほど申しました、ありそうもないような条件以外でも統計学的に有意にvCJDの数が少なかったわけではないという結果は、英国滞在者の供血制限によって防ぐことができたvCJD患者はいなかったと結論付けていいと考えております。したがって、今後、時間の経過とともにvCJDのリスクが軽減していくので、今後とも英国滞在者の献血制限の解除をしても、これによってvCJD患者が増加することはないと考えてもいいと思っております。
 次をお願いいたします。補足です。安全性に関する考証としまして、先ほど申し上げましたように、潜伏期間としては唯一のvCJDが11年2か月、それからdCJDの潜伏期間が平均169か月、これは14年と1か月になります。ただ、最長が451か月、37年7か月ということで結構ありますが、こういった状況です。これに対して、最後のリスクである1996年から既に27年半経過しているということで、唯一のvCJD患者の潜伏期間の2倍以上の時間が経過しています。それから、もう1つ、英国でのコドン129メチオニンホモの潜伏期間の推計値もほぼ2倍が経過しています。
 次をお願いいたします。既に英国滞在歴1か月以内の者の供血は解禁されておりますし、vCJDの感染の確率は滞在期間に依存するだろうと。ただし、1点、注意しなければいけないのは、1か月以内だと感染確率ゼロというわけではありません。唯一のvCJD患者は英国に2週間、あるいは3週間程度の滞在で感染しています。しかしながら、これまでも英国1か月以上の者からの供血があった可能性がありますが、これによる感染の報告はありません。
 次をお願いいたします。結論です。現在の供血制限を解除しても、このことによるvCJDの患者の増加は考えにくいというのが結論です。
 次をお願いいたします。もう1つ補足です。今までの供血の制限が無用の措置だったのかということについては、そうではありません。リスクがありそうなときには、やはりそれに対応して安全が確認できてから、それを解除するというのが正しいやり方だと私自身は考えております。私からの御報告は以上です。どうもありがとうございました。
○源血液対策課長補佐 中村参考人、ありがとうございました。それでは再度、資料1-1に戻ります。資料1-1の3.今後の対応(案)について御説明させていただきます。
 以上の議論を踏まえ、安全技術調査会として、以下の対応(案)について御審議をお願いいたします。国内外におけるvCJDの発生状況、国内における感染リスクの評価結果及び諸外国における献血制限の状況等を総合的に勘案し、欧州等への滞在歴に基づく献血制限を撤廃する。また、欧州等滞在歴に基づく制限と同様の考え方に基づき設定されていた、ヒト胎盤エキス(プラセンタ)注射剤使用歴による献血制限についても併せて撤廃する。なお、日本赤十字社における運用に当たっては、周知期間として半年から1年程度を目安に、十分な期間を確保することとし、安全技術調査会後、速やかに局長通知により、日本赤十字社に対し問診システムの改修等の体制整備及び、関係者への周知について指示するとともに、運用開始日について改めて報告するように求める。運用開始時は令和8年秋を予定していますが、課長通知により、vCJDに関連する欧州等滞在歴及びヒト胎盤エキス注射剤使用歴に基づく献血制限を廃止するとともに、運用開始日を周知する。以上となります。
○水上座長代理 それでは、ただいまの事務局、日本赤十字社及び中村参考人の説明について、御意見や御質問がございましたらお願いいたします。よろしいですか。非常に貴重な日本のデータに基づいた統計解析結果と日本赤十字社の分析結果が出ておりますので、御質問はないでしょうか。よろしいですか。ありがとうございます。特に御質問がありませんでしたので、欧州等滞在歴及びプラセンタ注射剤使用歴に基づく献血制限につきましては、事務局が提示した案で御承認いただけますか。異議なしでよろしいですか。特に異議がないということで、ありがとうございました。
 それでは、本日の審議において示された見解を踏まえ、日本赤十字社におかれましては、献血制限の撤廃後に献血者と現場の職員等が混乱なく、その運用に対応できるよう、必要な体制整備を進めるとともに、関係者への周知に遺漏のないよう御対応をお願いいたします。また、事務局におかれましては、日本赤十字社における運用が円滑に進むよう、引き続き必要な支援をお願いいたします。
 続いて、議題2、その他に移ります。報告事項として、医薬品審査管理課より、資料2、生物由来原料基準の一部改正についての説明をお願いいたします。
○医薬品審査管理課菅井審査調整官 議題2、その他、資料の右上の数字は資料2、生物由来原料基準の一部改正について御報告いたします。
 まず、資料の1/4ページ目の「1 改正の趣旨」を御覧ください。まず、生物由来原料基準についてですが、この基準は、医薬品医療機器等法第42条に基づき医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器及び再生医療等製品に使用されるヒトその他の生物に由来する原料等について、製造に使用される際に講ずべき必要な措置を定めたものです。また、告示のほか、運用に関する通知及びQ&A事務連絡において、その運用を示しています。
 この度、令和4年度から令和6年度のAMED研究班において、新たな知見や技術に応じた更新及び合理的な範囲で国際整合性を高める観点から、現行の基準の具体的課題や解決策が検討された結果を踏まえ、生物由来原料基準の改正及び運用の見直しを行うこととしており、昨年11月の再生医療等製品・生物由来技術部会において御審議を頂きましたので、本調査会においても主な改正方針について御報告させていただきます。
 まず、告示の改正事項について、「2 改正の概要」を御覧ください。牛海綿状脳症(BSE)のリスクの観点から、反芻動物由来原料基準において定めている使用不可能な部位及び使用可能な原産国についてです。
 改正事項のうち、まず、(1)について、ウシの頭部、せき柱のうち、30か月齢以下のものについては、平成25年から食用としての利用が可能となっており、10年以上食品としての使用実績があること等を踏まえ、医薬品等においても、国際獣疫事務局により、無視できるBSEリスクに認定された国、いわゆる清浄国等が原産国であって、かつ、月齢が30か月以下のウシ由来のせき柱骨と頭骨については、使用を可能とするよう改正するものです。
 続いて、(2)について、国際獣疫事務局による清浄国の認定の更新状況を踏まえ、カナダ産原料に関する記載及び告示において個別列挙している使用可能国のうち、清浄国と重複する国の記載を削除するものです。以上の告示改正事項については、昨年11月20日に開催された再生医療等製品・生物由来技術部会において御審議いただき、御了承いただいております。
 次に、2/4ページの「5 その他」を御覧ください。こちらでは、運用通知等の見直し内容について抜粋して御説明いたします。
 まず、(3)を御覧ください。ヒト細胞組織原料基準においては、現状、ドナーの感染検査について、検査項目、検査方法等に応じた再検査が適切な時期に行われている等、ウインドウピリオドを勘案した検査又は管理がなされていることとしています。これについて、HBV、HCV、HIVの血清学的検査に加え、信頼性の確保された個別核酸増幅検査によりウイルスが検出されないことが確認され、かつ、最終製品に至る製造工程において、ウイルス混入を否定する管理試験等が設定されている場合、又は最終製品に至る製造工程にウイルス不活化・除去工程が組み込まれている場合には、ドナーにおける再検査を不要とすることを示すというものです。
 次に(4)を御覧ください。ヒト細胞組織原料基準について、ドナーが新生児の場合には、垂直感染被害のばく露事象が疑われる場合を除いて、原則として実母の感染状態を評価する検査で代替できるということを示すものです。御報告は以上です。
○水上座長代理 ありがとうございました。ただいまの説明につきまして、御意見や御質問がございましたらお願いいたします。委員の皆様、御質問がありましたら挙手をお願いいたします。よろしいですか。ありがとうございました。
 それでは、本日の議題は以上となります。ほかに何か御意見等はございますか。それでは、事務局に議事進行を戻したいと思います。
○源血液対策課長補佐 水上座長代理、ありがとうございました。次回の安全技術調査会の日程は、別途、御連絡差し上げます。これにて、血液事業部会令和7年度第2回安全技術調査会を終了いたします。ありがとうございました。

(了)