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- 2025年12月18日 第107回社会保障審議会年金数理部会 議事録
2025年12月18日 第107回社会保障審議会年金数理部会 議事録
年金局総務課首席年金数理官室
日時
場所
出席者
- 委員
-
- 翁部会長
- 小野委員
- 駒村委員
- 佐藤委員
- 庄子委員
- 嵩委員
- 寺井委員
- 野呂委員
- 枇杷委員
議題
- (1)公的年金制度に係る令和6(2024)年財政検証のピアレビューについて
- (2)その他
議事
○楠田首席年金数理官 では、定刻になりましたので、ただいまから、第107回「社会保障審議会年金数理部会」を開催させていただきます。
審議に入ります前に、資料の確認をさせていただきます。傍聴者の方は、厚生労働省のホームページから資料を御覧ください。
資料は、議事次第、委員名簿、座席図のほか、「公的年金制度に係る令和6年財政検証のピアレビュー(案)」として、資料1から資料9までございます。
次に、本日の委員の出欠状況について御報告いたします。本日は、全委員が御出席されておりますので、会議は成立していますことを御報告申し上げます。
なお、駒村委員、嵩委員におかれましてはオンラインでの御参加となります。
それでは、以後の進行については翁部会長にお願いいたします。
○翁部会長 委員の皆様には、御多忙の折、お集まりいただきまして、どうもありがとうございます。
当部会では、公的年金制度の安定性の確保の観点から、財政検証時における検証(ピアレビュー)を行うこととされ、今年7月の部会では、令和6年財政検証についてヒアリングを行ったところです。その後、委員の皆様に御協力をいただき、作業班において分析や報告書の起草等の作業を行いました。
本日は、作業班で作成した報告書案に基づいて審議を行うことを予定しております。
カメラの方がいらっしゃれば、ここで退室をお願いいたします。
(カメラ退室)
○翁部会長 それでは、事務局から御説明をお願いいたします。
○楠田首席年金数理官 私のほうから資料の報告書案について御説明申し上げます。委員の皆様には、作業班で報告書案の作成に御尽力いただき、ありがとうございました。
報告書案につきましては、本日配布しております資料のとおりでございまして、これはこれまで6回の作業班を開催し、委員御参画の下で起草したものでございます。委員の皆様には御覧いただいておりますので、資料1と資料3以降につきましては、配布をもって説明に代えさせていただきます。本日の説明では、第1章から第6章までの内容を概要としてまとめました資料2に基づいて説明を進めさせていただきます。
では、資料2を御覧ください。表紙をおめくりいただきまして、2ページはこの概要の目次になっており、次の3ページはピアレビューについての御紹介となっています。年金数理部会では、公的年金制度の安定性の確保に関して検証を行っております。財政検証のピアレビューはこれに対応するもので、平成16年から5年ごとに行っておりまして、今回は5回目の報告となっております。
4ページを御覧ください。こちらは本報告書の構成をお示ししており、第1章から第6章までございます。
第1章は「令和6年財政検証の結果」の確認に加え、これまでの財政検証との比較、財政検証結果に含まれる不確実性についての確認、感応度分析を行っています。
第2章は本部会の目的である「公的年金制度の安定性」の確保の確認に関わるところで、公的年金制度の安定性として、持続可能性や給付の十分性について検証・評価したものとなっています。
第3章は「将来見通しの作成過程」についてですが、公的年金制度の安定性について見る際に、将来見通しをよりどころとするため、その作成過程についても検証・評価しているものとなっております。
第4章は財政検証の結果が適切に開示されているかについて検証・評価を行っています。
第5章は今回の財政検証では初めて作成・公表された年金額の分布推計について、その結果と作成過程を確認するとともに、適切性について検証を試みたものとなっております。
第6章は前回のピアレビューでの提言について、対応状況を確認するとともに、今後の財政検証に向けての提言をまとめたものとなっています。
5ページを御覧ください。こちらは「第1章 令和6年財政検証結果」の要旨となっています。第1章では多くの分析をしていますので、そちらにつきましては後ほど17ページ以降で御覧いただくこととしますが、ここではまとめの部分を取り出しております。
上の枠内ですが、前回の令和元年財政検証結果と比較すると、令和6年財政検証では、前提については、出生率が低下している一方で、外国人の入国超過数は上昇し、労働参加が高まっています。また、実質賃金上昇率は、前回から2030年代前半まで下降した後は上昇し、実質的な運用利回りは前回から2030年代半ばまで上昇した後は同水準となっております。
結果として、2つ目のポツにありますとおり、公的年金の被保険者数は上昇しており、そのうち厚生年金被保険者の割合は上昇していますが、国民年金第1号被保険者と第3号被保険者の割合は下降しています。保険料収入はこの動きに連動しており、給付費については、将来的には被保険者数の変化に伴って前回より上昇しているほか、足下の約20年間においても、賃金と比較した相対的な給付水準の上昇に伴って上昇していきます。したがって、収支を総合的に見れば、厚生年金・国民年金ともに財政は改善しており、マクロ経済スライドによる給付水準調整期間は前倒しになり、最終的な所得代替率も上昇しているということでございます。
また、下の枠内にありますように、財政検証結果に含まれる不確実性と感応度分析についても確認していますが、ここでは結果に関する留意点を上げております。
財政検証結果はいろいろ前提を変えて見ていますが、それについて、所得代替率を見ると、変化する部分の多くは基礎年金部分から生じていることが見受けられますが、この理由として2つ上げております。
まず、基礎年金の給付水準が先に決まって、その後、報酬比例部分の給付水準が決まる仕組みになっていること。それから、基礎年金の給付水準が遠い将来まで続くため、遠い将来の給付規模が小さいところで同じ財政効果を得るために、より多くの調整をしなければならないことが考えられるとしています。
続きまして、6ページを御覧ください。こちらは「第2章 公的年金制度の安定性」について確認しております。
まず、上の枠内に評価の視点がありますが、公的年金制度の安定性を「持続可能性と給付の十分性が、将来にわたり、ともに保たれている状況にあること」と定義した上で、持続可能性、給付の十分性、それぞれについて確認しています。
評価の結果ですが、まず、持続可能性について確認した結果を下枠に5点ほど記載しておりますが、評価のまとめとして7ページの上の枠内を見ていただきますと、まず、近年の女性や高齢者の労働参加の進展もあり、人口中位推計で見ますと、経済が低迷する場合を除いて、年金制度の持続可能性は維持されることを確認しております。しかしながら、これは給付水準の調整によって実現されることに留意が必要であること。また、年金制度の持続可能性を高めていくためには、女性や高齢者の労働参加のさらなる進展や生産性及び労働分配率の持続的な向上が重要であるということでございます。
また、足下の合計特殊出生率は将来推計人口の低位出生の仮定値に近づいている状況となっており、この傾向が今後、長期にわたって続けば、年金制度の持続可能性に大きな影響を与えるため、出生率の動向も注視するとともに、外国人流入の動向についても注視していく必要があるとまとめております。
下の枠内は給付の十分性についての評価ですが、まず、確認した結果を2点ほど記載しており、その次、評価のまとめとして、こちらについても、近年の女性や高齢者の労働参加の進展もあり、経済好調とならない一部のケースを除いて、将来的に所得代替率50%の給付水準を確保していけることを確認しましたが、さらに年金給付を充実していくには、女性や高齢者の労働参加のさらなる進展、生産性や労働分配率の持続的な向上が重要であるとしています。
また、給付の十分性の確保の観点から、出生動向や外国人流入の動向を今後も注視していく必要があるということです。
加えまして、基礎年金における今後の給付水準調整の程度が、厚生年金の報酬比例部分と比べて大きい点については、将来の給付水準調整の程度が低所得者ほど大きくなると見込まれることに加え、厚生年金の所得再分配効果が低減することにもなり、将来の低所得者層での給付水準の低下が懸念されることから、今後の給付水準調整の状況についても注視していく必要があるとしています。
最後、なお書きですが、給付の十分性の確保は被保険者個々人の働き方や年金受給の在り方にもかかっていることから、年金制度に対する個人の関わり方も重要であるとしています。
続きまして、8ページを御覧ください。こちらは「将来見通しの作成過程」ということでございまして、大きく3つに分けて確認しています。
まず、1つ目はデータの十分性及び信頼性の評価についてでございます。
評価結果としては、報告を受けた範囲において、使用されたデータは、公的年金の実態を的確に反映するものとして、関連性のあるデータソースから適時適切に集計されたといったことが書かれておりまして、また、適切に加工・補正・補完等が行われているとしています。
また、データについて、整合性及び合理性の確認など適切な管理が行われていると考えられるとしています。
9ページは、2つ目の設定された仮定(前提)の適切性についてでございまして、こちらも評価結果としては、設定された仮定(前提)は、社会経済等の現状及び将来見通しを作成する期間にわたる傾向が考慮されており、これらの間に特段の不整合は見当たらず、過去の実績を踏まえた適切な設定となっているとしたところでございます。
2つ目のなお書きにつきましては、6章の提言にも関わりますので、そちらのほうで紹介させていただきます。
続きまして、10ページに参りまして、3つ目の視点が推計方法(数理モデル)の適切性の評価についてでございます。
これも評価結果としては、推計方法は、財政検証の目的や法令等の要請に則したものであると考えられ、報告を受けた範囲において、推計方法は適切である。
また、複数の実施機関で作業を分担する点についても、重要な不整合は生じていないということでございました。
3つ目の記載については、6章の提言にも関わりますので、そちらのほうで紹介させていただきます。
続きまして、11ページを御覧ください。こちらは「第4章 情報開示の適切性」についてでございます。
評価結果の点につきましては、公表資料は財政検証の目的に照らして十分な内容であるという評価でした。理解のしやすさ等に関しては、これも6章に関連することでございますので、後の提言のほうで説明させていただきます。
続きまして、12ページを御覧ください。こちらは「第5章 年金額の分布推計の結果と作成過程」についてでございます。
上の枠内にありますように、令和6年財政検証では、初めて年金額の分布推計が実施されましたが、その結果は従来のモデル年金とは異なり、公的年金に対する個々人の関わり方の重要性を示唆しているという点で意義深いということで、ここでは、その結果と作成過程を確認するとともに、適切性について検証しております。
また、3つ目の四角にありますとおり、年金額の分布推計は、「モデル年金」とは異なり、個々人の65歳到達年度末時点での老齢年金額の分布となっていますが、これは現時点の加入履歴に財政検証の前提や結果などを加味して将来へ投影した結果であることをつけ加えております。
下枠の確認結果ですが、今回、初めて、令和6年財政検証の関連資料として作成、公表された年金額の分布推計は、各世代の65歳時点における老齢年金の平均額や分布の将来見通しを示すものとなっており、若年世代ほど労働参加の進展により厚生年金の被保険者期間が延伸し、年金額も増加する傾向にあることが具体的な数字で初めて定量的に示されました。また、一定の制度改正を仮定したオプション試算も示されており、例えば、被用者保険のさらなる適用拡大が実施された場合の年金の平均額や分布の変化を、定量的に把握することが可能となりました。
このように、年金額の分布推計は、今後の所得保障政策の検討や、講じられた政策の効果の確認に資するものであることが確認され、次回以降の財政検証においても、継続して年金額の分布推計が示されることが望まれますが、その際に検討が望まれる点を幾つか上げており、これについても後の提言のほうで説明させていただきます。
13ページを御覧ください。こちらからは「第6章 今後の財政検証に向けて」ということでございまして、今後の財政検証に向けた提言が記載されております。
まず、(1)将来見通しにおける人口前提と経済前提の関係です。
今回の財政検証では、人口中位推計を基本として4ケースの経済前提における結果を示し、次に、各経済前提について人口前提を変更した場合の結果を示していますが、将来の経済成長の状況は、出生率や外国人流入の動向に影響を受けることから、現状、少子化が急速に進んでいる状況を踏まえて、人口と経済の連動性を推計に反映させる方法について検討を進めるとともに、現状は、おおむね100年の見通しについて、人口前提または経済前提の一方を変動させ、他方を固定した結果を示すことについて、その趣旨を丁寧に説明することが望まれるとしております。
次に、(2)経済前提の名称に関するわかりやすい説明と次回財政検証との比較の整理です。
今回の財政検証では、シナリオの意味を分かりやすくする工夫として、シナリオの意味の明確化を目的に、各ケースに名称がつけられていますが、所得代替率を見ると、成長型経済移行・継続ケースにおける結果のほうが高成長実現ケースよりも高くなっており、一般被保険者の理解に混乱が生じる可能性があるという状況になっています。所得代替率は年金給付の十分性を見る指標の一つであることから、今後、経済成長の複数のシナリオと、その結果である所得代替率の逆転が生じる場合には、混乱を招かないような説明と工夫が望まれるとしています。
また、次回財政検証結果を今回財政検証結果と比較する際に、それぞれのシナリオの意味を十分整理した上で、いずれのシナリオを比較するかについて丁寧な説明が望まれるとしています。
次、(3)情報開示の方法や内容をわかり易くする工夫では、前回ピアレビューでも指標の分かりやすさについて指摘しておりまして、それに対しては、「年金マンガや各種広報資料を通じて丁寧に説明するよう努めており、異時点間の数値の比較においても、内容に応じて適切な指標で割り戻すなど実感の持てる示し方となるよう務めている」とのことでしたが、一般被保険者に正しい理解が進むよう、広報や分かりやすい内容について、さらなる工夫が望まれるとしています。
14ページに参りまして、(4)本体財政検証に用いる旧厚生年金被保険者のデータ数の拡充です。
今回の財政検証では、分布推計の基礎数を、元となる統計から5分の1抽出のデータで作成することとしたことから、本体財政検証の基礎数についても、国民年金の被保険者及び受給待機者については、100分の1抽出データから5分の1抽出データに拡充された一方で、データ項目の違いから、旧厚生年金の被保険者等については、従来どおり100分の1の抽出のデータが使用されています。
厚生年金の被保険者等の実態をより精緻に反映した数理モデルとするため、旧厚生年金のデータについても、5分の1抽出データへの拡充についての検討が望まれるということです。
その次、(5)推計方法の改善の検討です。
推計方法については、数理モデルの精緻化を図る観点での検討は今後も必要で、例えば、公的年金被保険者に外国人の占める割合が増加する中で、外国人の公的年金加入率、外国人労働者と日本人労働者との平均賃金の差異、国民年金保険料の納付状況や免除状況における外国人と日本人の差異等について考慮することについて、データの整備も含めた検討が望まれるとしています。
その次に、(6)財政検証の実施体制の整備です。
確率的モデルの技術や財政検証の仮定(前提)の設定において、複数の要素間の相関関係を考慮するなどのための学術的な調査や議論等については、引き続き進めておく必要があることから、そのための体制の整備について努めていくことが望まれるとしています。
15ページに参りまして、(7)性別、世代別、年金額階級別の分布推計の改善及び充実ですが、大きく4点上げております。
まず、1つ目として、分布推計では、2020年度末から2021年度末の1年度間におけるデータを基礎として基礎率が作成されていますが、基礎率作成の対象期間として適切な範囲の検討及び既存統計や財政検証との乖離の確認が望まれるとしています。
2つ目ですが、分布推計では、固定された制度間の総移動人数の中で、どの被保険者等か動くかについては、乱数を用いてランダムに決定していますが、今回、この乱数については1回発生させたものを使用しています。異なる乱数により被保険者等の移動を決定した場合には、異なる推計結果が得られる可能性があり、今後、乱数を複数回発生させた場合に推計結果に与える影響を検証することが望まれるとしています。
3つ目は分布推計の拡張・充実に関してですが、まず、今回は人口中位推計、成長型経済移行・継続ケースと、同じく人口中位推計、過去30年投影ケースの計2ケースのみの組合せについて示されていますが、その拡張についての検討について。
次に、分布推計では、受給開始時点の年金額分布のみの表示となっていますが、65歳以上の就労は進展しており、受給開始後も年金額の改定により給付水準は変動していくことから、例えば、70歳時点等、受給開始後における年金額分布について示していくことについて。
また、結果については、5年単位や5万円単位で集計したものだけが公表されていますが、今後の制度改正の議論に資するため、1年単位や1万円単位で集計したデータの公開について、それぞれ検討が望まれるとしています。
4つ目ですが、基礎数については、個々の被保険者等の情報を含むため公表していないとのことですが、データの透明性を高めるために、さらに匿名加工したデータや粒度の小さいクロス表を開示することが望まれるとしています。
16ページに参りまして、その他、第3章に関連して、国家公務員及び地方公務員の定年延長について、ある程度実績が出てくる次回財政検証で、その影響を織り込むことについて。
また、将来見通しの作成過程に係るガバナンスについて、担当者等の誤作業の回避のために適切な手順書等の作成について検討が望まれるとしています。
最後に、前回ピアレビューで指摘した、複数のシナリオの結果が並列に扱われる中で、マクロ経済スライドの終了年度をどのように決定していくかについては依然として課題が残っており、マクロ経済スライド開始から一定の期間が経過していることを踏まえると、具体的な決定方法について早期の検討を期待したいとしています。
下の枠内では、年金数理部会として、今後の公的年金財政状況報告や財政検証のピアレビューの作成に当たっての留意点を上げています。
1つ目として、令和7年年金制度改正法において、次期財政検証の結果、基礎年金と厚生年金の調整期間の見通しに著しい差異があり、公的年金制度の所得再分配機能の低下により基礎年金の給付水準の低下が見込まれる場合には、基礎年金と厚生年金のマクロ経済スライドによる調整を同時に終了させるために必要な法制上の措置等を講ずるものとされました。この措置が講じられた場合、公的年金全体で財政均衡を見ることとなるため、当部会として、その際の財政状況をどのように検証・評価するか検討する必要があるとしています。
2つ目として、今回の財政検証で初めて実施された分布推計について、その結果と作成過程の適切性について検証を行いましたが、次回以降の財政検証における分布推計については、さらに統計的手法を取り入れて適切性を評価するなど、評価方法の改善について検討が望まれるとしています。
以上が今後に向けた提言でございまして、報告書の構成としてはおおむね以上のとおりですが、報告書には第1章、第2章に多数の分析資料を掲載していますので、その中から概要に掲載しているものについて、抜粋して幾つか紹介させていただきたいと思います。
まず、25ページを御覧ください。
左側のグラフは公的年金の被保険者数の将来見通しを、労働参加のケースで平成16年の財政再計算から令和6年財政検証まで、どのような見通しになっているかを比較したものでございます。回を重ねるごとに、おおむね上昇していることが分かるかと思います。
右側のグラフは令和元年財政検証から令和6年財政検証にかけて、厚生年金の被保険者数の見通しの変化の要因を分析しております。黒い実線は令和元年から令和6年にかけての上昇幅を表しており、その上昇の要因を示しているのがこのグラフでございます。これを見ていただくと、灰色で示している被保険者種別ごとの割合等の変更の影響が大きくなっていますが、これは雇用者に占める厚生年金被保険者数の割合などが増加した影響が大きくなっていることを示しています。あとは、出生率などを含む人口の前提の変更及び実績との相違や、労働参加の前提の変更及び実績との相違も影響していることが分かります。
次に、30ページまで飛んでいただきまして、厚生年金の給付費についても、令和元年財政検証のケースIIIと令和6年財政検証の成長型経済移行・継続ケースについて、同じような要因の分析をしているところでございます。なお、ここで言う厚生年金の給付費というのは、あくまでも賃金で割り戻した2004年度価格ということでございまして、名目額ではございません。
このうち、青い部分、オレンジの部分、灰色の部分は、先ほどの被保険者と同じものを表しており、被保険者数の上昇要因によって上昇している部分ですが、先ほどの被保険者数よりも遅れる形で給付費については上昇する要因となっております。
もう一つは、紫で表示しておりますけれども、これは経済前提が変わったことや見通しと実績の違いによる影響を示していますが、これについては2040年頃までは大きく上昇する要因となっており、それ以降は上昇への寄与が小さくなっています。これについては、既裁定者の年金額改定率は基本的に物価上昇率で、この率が一時期を除いて令和6年財政検証の前提のほうが大きいこと。また、2004年度価格に割り戻す賃金上昇率が、2030年頃までは令和6年財政検証の前提のほうが小さく、その後は大きくなることによるといったものに起因しております。
31ページですが、こちらでは基礎年金給付費について、同じような分析をしています。
厚生年金給付費と比べると、青い部分が一時期下降要因になっている。また、緑の部分の寄与が大きく出ているという違いがあります。青い部分は人口の前提の変更及び実績との相違ですが、人口前提を令和元年財政検証から令和6年財政検証に置き換えることにより、基礎年金部分のマクロ経済スライドによる給付水準調整終了年度が3年延長したことから、少し遅れて給付費の下降に寄与したと考えられます。
また、緑の部分は積立金の初期値の変更ですが、積立金の実績が令和元年財政検証の見通しを上回ったことによって給付財源が増加し、給付水準調整期間が長い基礎年金の給付費については、調整を緩やかにする効果が現れたことによるものです。
次の32ページを御覧ください。先ほどの紫の部分で見ていただきましたように、経済前提の変更や前提と実績の違いは給付費の変動に大きく影響しておりますが、2040年頃まで、その影響が大きくなっている要因について、ここでは考察しています。
財政検証での見通し上の給付水準が賃金水準との対比で高まっている理由としては、1つ目の四角に上げておりますように、マクロ経済スライドによる給付水準の調整が従前の見通しどおりでないことや、賃金上昇率が物価上昇率よりも低かったり、マイナスで物価上昇より低いことがあったため、想定より高い率で改定されたためと考えられます。
そこで、平成16年財政再計算から令和6年財政検証にかけての変化を例にとって要因分析を行っておりまして、3つ目の四角にありますように、マクロ経済スライドの効果の変化、既裁定者の年金額を物価で改定する効果の変化、新規裁定のマクロ経済スライド適用前の年金額の水準の変化に分解して、それぞれどうなっているかを見ています。
33ページを見ていただきますと、基礎年金について、左上の成長型経済移行・継続ケースにおける新規裁定の場合を見ていただきますと、青で示しているマクロ経済スライドの適用前の年金額の水準も一定程度影響していますが、2025年頃までは黄色で示しているマクロ経済スライドによる効果の変化が大きくなっています。
一方で、右上の成長型経済移行・継続ケースにおける既裁定の場合を見ていただきますと、それぞれの要因から一定の寄与が認められますが、比較的大きいのは、「既裁定者の年金額を物価上昇率で改定する効果の変化」、赤になります。こちらが2030年頃までは大きく、その後は小さくなっています。小さくなる理由は、平成16年財政再計算では、2030年頃には既裁定者の年金水準が新規裁定者と2割乖離したため、その後は賃金上昇率で改定される見通しとなった一方で、令和6年財政検証では、賃金上昇率よりも低い物価上昇率での改定が続く見通しであるためです。
最後に、40ページを御覧ください。40ページ以降については、感応度分析をしたものとなっております。
例えば、40ページには、成長型経済移行・継続ケースにおいて、経済前提である物価上昇率、賃金上昇率、運用利回りの率が、機械的に、例えば0.5ポイント上昇あるいは低下したときに、所得代替率や給付水準調整終了年度がどう変化するのかといったところを見ています。例えば、実質賃金上昇率が0.5ポイント上昇すれば所得代替率は0.6ポイント以上上昇し、0.5ポイント低下すれば所得代替率は0.2ポイント低下するといったことが分かったということでございます。
経済前提のほかに足下の積立金を1割動かしてみた場合、被保険者数を1割動かしてみた場合についても、感応度分析を行っております。
以上、駆け足での説明となりましたが、報告書についての概要を御説明させていただきました。よろしくお願いいたします。
○翁部会長 御説明ありがとうございました。
それでは、報告書案につきまして、何か御意見などございましたらお願いいたします。いかがでしょうか。
庄子委員、枇杷委員の順でお願いします。
○庄子委員 庄子でございます。
御説明ありがとうございました。
第5章のところにまとめてありますが、年金額の分布推計についてです。今回、初めて、この財政検証で年金額の分布推計が実施されたということで、私もこれほどではないですが、大量のデータを取り扱い、様々な計算をした経験のある人間として、まず、このような計算がなされたことには深く敬意を表したいと思います。
その上で、年金数理部会としても、まとめの資料の12ページのところに記載のとおり、今回は初めての分布推計の計算ということだったと思いますので、いろいろと改善したらいいのではないかと思われる点などを記載しておりますので、ぜひとも次回に向けてよく見ていただいて、取り入れられるものは取り入れていただきたいというふうに考えております。
もう一点、直接はピアレビューに強くそこだけを書いているものではありませんが、第2章の終わり、まとめの資料では7ページに、合計特殊出生率の低下が継続している点が記載されています。これは年金制度の持続可能性に大きな影響を与えるということはもちろん、社会の持続可能性にも大きく影響するものだと思っておりますので、合計特殊出生率の推移については、しっかりとその状況を見ていく必要があるものと考えております。
以上でございます。
○翁部会長 ありがとうございました。
それでは、枇杷委員、お願いいたします。
○枇杷委員 ありがとうございます。
御説明、丁寧にいただきまして、ありがとうございました。
2点ほど確認といいますか、質問ということになるのですけれども、最初に、まとめの資料の7ページの一番下、給付の十分性の確保は被保険者個々人の働き方云々に関わっており、年金制度に対する個人の関わり方も重要であるというコメントになっているのですけれども、普通の方が読んだときに、ここで言う関わり方というのが何を意味するのか少し分からないかなというふうに感じました。前後のところで何かそういうコメントが入っていれば、それでも読めるのかなという部分がありますので、そこはちょっとマイナーな話なのですけれども、ここの個人の関わり方という部分について、例えば働き方を変えることによって云々とか、少し補足があってもよいのかなというふうに感じた次第でございます。
それから、もう一点は、14ページの提言の部分の6番、財政検証の実施体制の整備の部分ですけれども、これは表現を変えるという必要は恐らくないと思っているのですけれども、ここに書いてある内容を読むと、どちらかというと学術的な調査とか研究を行うための体制整備というのが中心に書かれているような印象でありますけれども、実際にはそれ以外に、通常の財政検証を行うときにデータを抽出するプロセスとか、計算が適切に行われているかということを数理課の中でレビューする体制、あるいは今回、始めた分布推計についても同じようなものが必要だと思うのですね。
それらについて、いわゆる内部統制の文書化や明確化は、多分もう少し行われてもよいのかなというふうに、ヒアリングを通じた範囲ではちょっと感じた次第ですので、これは厚生労働省様あるいは関係団体様の中で、そういったニュアンスの部分もぜひ共有いただいて、研究開発だけじゃないんだよということを念押しさせていただければというふうに思います。
以上でございます。
○翁部会長 ありがとうございます。
1つ目のところについて、何か事務局のほうからございますでしょうか。7ページ。
○楠田首席年金数理官 御指摘を踏まえまして、事務局のほうでどういったことを追加すべきかというところを検討させていただきまして、また部会長に御相談しまして、修文が必要であればさせていただきたいと思います。
○翁部会長 基本的には、ここの働き方とか年金受給の在り方ということですね。
○楠田首席年金数理官 そうです。前段に書いてありますので、それを改めて繰り返して書くということはちょっと冗長なのかなということで、このままにさせていただいたのですが、修文が必要かどうかというところについては、ほかの委員の御意見も伺いながら整理させていただきたいと思います。
○翁部会長 ありがとうございます。
もし、この部分についても含めて御意見や感想などございましたら、ほかの委員の方からお願いいたします。
野呂部会長代理、お願いします。
○野呂部会長代理 今の枇杷委員の御意見を聞いて、確かにこのセンテンスだけ読むと少しイメージが沸きにくいなというのが実感ですので、もし変えるということであれば変えてもいいかと思いますが、今、御説明ありましたとおり、年金制度、例えば定年延長で繰下げをするということを書いてきている中での最後のまとめなので、あまり冗長に書くと、まとめにならないというところがあり、読んでみれば分かるということで、変更しなくてもいいかなというのが私の感想でございます。
以上です。
○翁部会長 ありがとうございます。
そのほかにいかがでございましょうか。
小野委員、お願いいたします。
○小野委員 今の点については、私も野呂部会長代理の意見に賛成です。
それで、コメントをさせていただきたいと思うのですけれども、ピアレビューというのは、同じ分野の専門家が互いの仕事や成果物を評価して、改善点とかよい点を指摘し合うという活動なのですが、今回、私としては、できるだけあら探しにならないということを考えておりまして、また、令和6年財政検証については高く評価しております。
その関係から申し上げますと、第6章に掲げた提言というのは、ものによっては、現在採用している考え方と、当部会からの提言というのを並列的に検討して選択していくということになるものがあるのではないかと思います。ここでは、令和元年財政検証で経済前提専門委員会の委員をされた、日本を代表する経済学者でいらっしゃいます吉川洋先生の著作物からの知見を交えまして、2つほどコメントをさせていただきます。
まず、人口と経済との関係ですが、先生は、人口減少は確かに重要な問題だということですが、日本経済の成長については、人口減少ペシミズムが行き過ぎているとおっしゃっています。例えば、日本経済の過去の実績で、実質GDP成長率の圧倒的な部分を説明するのはTFPと資本の寄与でありまして、労働投入量が直接的に成長率を説明する部分は小さいと指摘していらっしゃいます。
もちろん、少子高齢化というのは、ライフサイクルモデルを前提とすれば、資本蓄積の低下という間接的なルートで成長を低める可能性もあります。しかしながら、技術進歩が経済成長に大きな役割を果たしているときは、成長率と貯蓄率との間の因果関係は全く明らかでないとも指摘していらっしゃいます。この辺りは御存じだと思いますけれども、提言のうち、(1)の人口と経済の連動性を推計に反映させる方法について検討を進める上の参考になるのではないかと考えます。
次に、確率的モデルの技術の件です。今回、確率的将来推計は表に出てきていないと理解していまして、私もそれでよいと思いますが、念のためにコメントさせていただきます。年金局や年金部会の見解は、財政検証イコール投影ということでありますので、アメリカで実施しているような確率的将来推計とは、現在のところ相入れないということです。したがいまして、確率的将来推計に転換するということがもしあれば、その場合には、経済前提の専門委員会とか年金部会で十分な検討が必要なのではないかと考えます。
一方で、この確率的モデルの技術の進行というのは、例えば今回、初めて実施した分布推計を改良する際など、様々な業務に生かせる可能性もあると思いますので、研鑽は必要だと思います。
なお、日本の公的年金は市場で運用される積立金を保有しておりますので、確率的将来推計をもし行うとすれば、実体経済に加えて金融市場を相手にせざるを得ないということですが、単に中心極限定理が成立するような確率変数を設定して、無批判に100年間のシミュレーションを行うことが本当に妥当なのかということについては、吉川先生の著書「マクロ経済学の再構築」という本の指摘が役に立つと思います。
以上です。
○翁部会長 どうもありがとうございました。
そのほか、いかがでございますか。
佐藤委員、お願いします。
○佐藤委員 丁寧な御説明、どうもありがとうございました。
2点ございまして、1つは、この結果の発信の仕方なのですけれども、概要書からして相当なページにわたる。一方で、新聞報道では、先ほど庄子委員のコメントにもありました特殊出生率の低下などが取り上げられて、国民が不安に思っている。ところが、結果としては、こういったところには留意をする必要があるものの、全般的に財政は改善している。こういう重要なメッセージを端的に発信することが重要で、同じく国民が不安に思うのは、年金制度は持続的なのですか、給付を十分もらえるのですかといったところも、6ページから7ページにかけて評価結果がありますので、こういったところがきちんと明確に国民の皆様に伝わる発信を望みます。
それから、第6章の提言のところ。これは本編のほうは配布をもってということで御説明はなかったのですけれども、218ページに前回の提言に対する対応がきちんとまとめられていて、PDCAをきちんと回すということが大事かと思いますので、また5年後に向けて、今回の提言もきちんと対応が確認できる体制があるといいと思います。
以上です。
○翁部会長 御意見ありがとうございました。
ほか、いかがでしょうか。
オンラインの駒村委員、嵩委員、いかがでしょうか。
○駒村委員 ありがとうございます。
非常に膨大な資料をまとめていただきまして、事務局にはお礼を申し上げます。
特段、加えることはないのですけれども、私としては、この要約の中でも既に記述済みでありますけれども、11ページにあるように、成長ケースのネーミングについては、今後、次回の検証のときも少し工夫いただいたほうがいいのではないかなというのが1つ目。
それから、12ページの分布推計でありますけれども、これも書いてありますので、全体の経済前提、人口労働力率が今後伸びていくので就労期間も伸びていきますという投影を受けた結果であるという点が重要でして、自然とこういう分布になるというわけではない。あくまで投影と整合性で計算されたものであるということは、強調したほうがいいのではないかなと思います。
それから、16ページのマクロ経済スライドの終了時期についても重要な指摘だと思っておりますので、強調したいと思います。
以上です。
○翁部会長 どうもありがとうございました。
嵩委員、いかがでしょうか。
○嵩委員 ありがとうございました。
御説明と膨大な作業、どうもありがとうございました。
私から、特段、これというのはないですけれども、分布推計、今回、初めてされたということで、また、こういった今回の財政検証もそうですけれども、前回との比較という形で、どうしても数値で上がったとか下がったとか、そういうところに注目されてしまいがちなのですが、分布推計もこれからまた5年後に向けて手法などを見直したりされると思うので、そのときにいろいろ見直した結果、前回との差が生じやすくなったりすることもあると思います。そのときに一概に上がったとか下がったとか、そういう短絡的な結論が注目されないように、いつもそうですけれども、丁寧に説明し、こういう点の検証の仕方が変わったとか、そういったところも説明していただきながら、より正確な情報というのを伝えていただけるように工夫していただきたいと思っております。
以上になります。
○翁部会長 ありがとうございました。
寺井委員、何かございますか。
○寺井委員 まずは、丁寧に御説明いただいて、ありがとうございました。
もう既にほかの委員の方がいろいろおっしゃったことをなるほどと思いながら聞いていまして、重ねてになるかもしれないですけれども、重なる議論の中で各委員が真剣に考えてつくり上げた報告書で、特に私が思いましたのは、国民の年金の安定性に対する関心であったり、疑問であったりに応えるような内容というのを意識しつつも、この報告書自体が信頼性の高いものであるべきなのだということを、議論を通して学ばせてもいただいたし、大事なことなのだなというふうに思いました。
であるからこそ、私どもが議論を重ねて、とても信頼性のある、よい報告書ができ上がったと思っていますので、佐藤委員がおっしゃったように、ぜひ広報に役立てていただきたい。それが国民に分かりやすい形で伝わることで、なお一層、年金制度への信頼が増すという、よい循環ができるといいなというふうに思いました。
以上です。
○翁部会長 ありがとうございました。
野呂部会長代理、お願いいたします。
○野呂部会長代理 今回の2024年の財政検証のピアレビューの作業の中で感じましたのは、これまでマイナスだった物価や賃金が今回はプラスになるし、外国人の流入問題が非常に大きな影響があるということで、年金財政をめぐる環境が新しい時代といいますか、新しい局面に入ったのだなということを痛感いたしました。そういう中で、今回の財政検証は、今、委員方のご意見にありました通り、分布推計を始めていただいたり、外国人についても複数の前提を置いていただいたりと、いろいろ対応いただいているということで、その点も大変よかったと思っております。
そういう中で、特に次回に向けてということで、コメントを2点ほど申し上げたいと思います。
第1点は、先ほど事務局から御説明のありました13ページの(2)の経済前提のシナリオ設定についてですが、今回の財政検証の経済前提シナリオも、理論的に精緻につくられたものだと聞いておりますけれども、高度成長実現ケースと成長型経済移行・継続ケースでは、将来の所得代替率という観点で見ますと逆転しているということで、所得代替率だけで見ると、2番目の位置づけのはずの成長型経済のケースのほうが最も楽観シナリオになっておりました。
これにはたくさんの理由があるので、これがいいとか悪いとかということではないのですけれども、こういう結果になりますと難しいのが、前の財政検証のシナリオとどう比較するかということで、今回のピアレビューでは、中庸同士のシナリオを比較するということから、2番目の成長型経済ケースと前回のケースIIIを比較したのですが、これで本当によかったどうかということについては、今後も検証を続けたほうがいいかなと思います。ただ、現時点では、この比較の仕方で妥当かなという気はしているのですけれども、検証・検討が必要だと思いました。
GDPや賃金の統計におきましても、一時点の数字だけではなかなか評価しにくく、前回との比較やトレンドを見ないと評価できないということで、多分、財政検証も同じだと思いますので、財政検証を前回あるいは前々回とどのように合理的な比較をするかということの研究もやっていく必要があると思いました。
私の思いつきですけれども、例えば参考としまして、前回の経済前提シナリオを若干置き換えたものを機械的に試算してみることで、前回と今回の経済前提シナリオの違いを見るということもありますし、小野委員とはちょっと立場が違いますけれども、今の決定論的手法の将来見通しを置き換えるというわけではなくて、参考として確率的手法をやってみることによって、それぞれのシナリオがどういう位置づけかということを見てみるということも工夫としてあるかなと思いました。
もう一点が積立金についてですけれども、今回の財政検証の結果は資産運用に支えられるということで、あまり安定的とは言えない面もあったり、ほかの委員の方もおっしゃいました出生率の大きな低下など、不安な面は非常に多いのですけれども、一方で、厚生年金の積立金を見てまいりますと、中庸と言われます成長型経済のケースにおいてさえも、積立金が2050年には年間支出の9倍、最終年度の2120年には何と23倍に達するということです。もちろん、それは今後、マクロ経済スライドをどうするかということにもよるのですけれども、積立金がどんどん大きくなっていくというような投影になっております。
そこで、もしこの未来が成長型経済ケースのように進むのであればという条件つきですけれども、こうした積立金を活用して、年金給付を厚くするために、逆のマクロ経済スライドというのですか、今まで年金を削ってきたわけですけれども、それを少しでも戻すことはできないものか。あるいは、現役世代の負担の問題が今いろいろ言われておりますので、保険料の引下げも検討の視野に入らないのかということも感じました。
先ほど佐藤委員がおっしゃったことと全く一緒なのですが、社会保障といいますと、どうも暗い話やら重たい話も多いのですけれども、労働参加や資産運用などが好調であればという条件つきながら、年金の積み増しや保険料引下げの可能性もないことはないということを上手にアピールして、たまにはと言うと語弊がありますけれども、国民に社会保障に関する明るい話題も提供してはどうかなというのが感想でございます。
以上でございます。
○翁部会長 ありがとうございます。
ほかはよろしいでしょうか。
私も感想なのですけれども、1つは、さっき小野委員が吉川先生の考え方を御紹介いただいた、13ページの人口前提と経済前提の関係のところですけれども、本当に急速に少子化が進んでおりますので、これが経済にどういう影響を与えるのか、または、それが年金にどういう影響を与えるかというところについては、国民の関心もすごく強いのではないかなというふうに思っています。先ほど小野委員は、そんなにペシミスティックに考えなくていいという吉川先生の御議論を御紹介いただいたわけです。
いろいろな見方があると思います。少子高齢化社会というところで、若い方が少なくなる中でイノベーションをどういうふうに起こしていけるかとか、高齢者が増えると新技術への対応に遅れるというようなところもあります。そういう意味で、労働人口は減りますけれども、生産性がどういうふうに推移するかというのが非常に大事だと思っております。いずれにしましても、この辺りはこれからの見通しにとって非常に重要なことだと思いますので、ぜひ検討を進めていただきたいなというふうに私も思っております。
それから、2点目は、皆様がおっしゃった分布推計、今回は大変な作業だったと思うのですけれども、非常に意味のある取組だったと思います。私どももたくさんの項目について、改善や充実に向けての項目を出させていただきました。今回、分布推計で分かったのは、例えば将来の労働参加が進んでいくと、どういうふうに年金の姿が変わっていくのかということが見えてきたということは非常によかったと思っているのですけれども、さらにここは重要な取組として改善をぜひ続けていただきたいと思いますし、私どもの申し送りのところにも書いてありますけれども、数理部会としても、これが適切かどうかということの評価について、さらに評価の仕方というのも工夫していくということが必要なのかなというふうに感じました。
また、広報の重要性については、皆様がおっしゃったとおりなので、ぜひよろしくお願いしたいなというふうに思っています。
これが私の感想でございますけれども、皆様から大変重要な御指摘や御意見をいただきましたので、ぜひこれを今後も反映していただきたいと思いますとともに、特に今回、7ページのところで枇杷委員から御指摘いただいた、ここについて、両方の御意見があって、このままでもいいのではないかという御意見が複数あったのですけれども、いかがですか、このままでもよろしいでしょうか。本文を見てくださいということにはなるかと思うのですけれどもね。この前のところのことなのですね。働き方とか、枇杷委員、いかがでしょうか。
○枇杷委員 皆さんがそうだということで、私がそう読んでしまっただけですので、それで結構です。
○翁部会長 そうですか。分かりました。それでは、このままということにさせていただきたいと思います。
そのほかに何か御意見ございますか。よろしいでしょうか。
それでは、特に御意見もないようですので、報告書そのものの修文については必要なしということで、これをもちまして、本部会の「公的年金制度に係る令和6年財政検証のピアレビュー」を確定させていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○翁部会長 ありがとうございます。
それでは、これを本部会の報告とさせていただきたいと思います。
なお、誤字脱字等の細部の修正が必要になった場合には、私に御一任いただければと思います。
それでは、公的年金制度に係る令和6年財政検証のピアレビューに関する審議は以上で終了いたしました。
最後に、朝川年金局長より御発言をいただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○朝川年金局長 年金局長の朝川です。
最後に、私のほうから、一言御礼の御挨拶をさせていただきます。
翁部会長をはじめ、年金数理部会の委員の先生方におかれましては、これまで大変精力的に御審議をいただきました。また、本日、ピアレビューの報告書を取りまとめていただきまして、誠にありがとうございます。
先生方にこれまでの財政検証との比較でありますとか、変化の要因分析、感応度分析、また公的年金制度の持続可能性や給付の十分性といった観点からの検証・評価を行っていただきまして、年金財政の状況や構造についての理解を深められる、大変充実した内容の報告書をお取りまとめいただいたと考えております。
また、今回の財政検証で初めて実施しました年金額の分布推計につきましても、その意義を評価していただいた上で、次回に向けた改善点について貴重な御提言をいただきました。
年金局としましても、ピアレビューの中でいただきました御提言を踏まえて、今後、検討を深めてまいりたいと考えております。また、本日、御指摘、多数いただきました広報についてもしっかり取り組んでまいりたいと思います。
そしてまた、今回の年金数理部会をもちまして、翁部会長、野呂部会長代理におかれましては御退任をされると伺ってございます。
翁部会長におかれましては、平成22年3月から当部会の臨時委員として御参画いただきまして、令和3年2月からは社会保障審議会の本委員、かつ年金数理部会長として当部会の運営を担っていただきました。
また、野呂部会長代理におかれましては、平成29年7月から当部会の臨時委員として参画いただきまして、令和3年7月からは当部会の部会長代理として当部会の運営を担っていただきました。
翁部会長には15年あまり、野呂部会長代理におかれましては8年あまりの長きにわたりまして年金数理部会の運営に御尽力をいただきまして、また様々な課題について貴重な御示唆を賜り、誠にありがとうございます。心より御礼申し上げますとともに、今後も年金制度及び年金財政の有識者として、引き続き御指導賜りますようよろしくお願いいたします。
改めまして、先生方皆様、この1年間、大変お世話になりました。本当にありがとうございます。
○翁部会長 どうもありがとうございました。
皆様、大変お疲れさまでした。事務局の楠田さんも大変御尽力いただきまして、本当に事務局の皆様にもお礼を申し上げたいと思います。ありがとうございました。
それでは、事務局から連絡がありましたらお願いいたします。
○楠田首席年金数理官 今後の日程等につきましては、改めて御連絡申し上げたいと思います。
○翁部会長 それでは、第107回年金数理部会はこれで終了いたします。どうもありがとうございました。

